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|旅行者《パッセンジャー・ピジョン》の悔恨

#サイキックハーツ #旅行者 #プロメテウス

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●ベンチ
 嘗て、ソロモンの悪魔により創造されたのが新たなるダークネス種族『デモノイド』であった。
 魂に眠るダークネスを『デモノイド寄生体』に変異させる魔術儀式を受けた存在。
 肉体を寄生体に乗っ取られた、巨躯の怪物デモノイド。
 理性はない。
 あるのは創造主よりの絶対なる命令のみ。
 生まれた意味は、一つしかなかった。
 即ち、他種族の手駒である。
 彼らは生まれながらの隷属者であった。

 理不尽だ。
 言うまでもない。
 誰かに利用されるばかりの生命だった。
 生命であるとすら認識されていなかったのかも知れない。
 けれど、拠り所はあったのだ。
 意志無き怪物と成り果てても、運命を共にした者たちとの間に生まれたものがある。

 ただひとつのもの。
「それが仲間との絆、『プラスコネクト』」
 生も死も越え、全てのデモノイド達の想いを繋ぎ、自由を求める。
 隷属無き生命。
 それが求めるものだった。
 けれど、自由というものは力なくば得られないものだった。
 そのために戦わなければならない。
「そう、ダ。チカラ、が必要ダ。チカラを強く、しなければ」
 片言の言葉を紡ぎながらオブリビオン『ロード・マンガン』は『ダークネス強化改造施設』の一つに足を踏み出した。
 金属の巨人の如き体躯。
 知性を感じせない『ロード・マンガン』の言葉とは裏腹に、その腕、指先が見せる動きは機敏だった。
『ダークネス強化改造施設』の機能を解放しつつあるのだ。

「デンリョク、たくさん、あって、ヨカッタ。ここ、なら、もっと、モット、力、蓄えられる」
『ロード・マンガン』が得た『ダークネス強化改造施設』は、ある発電所だった。
 巧妙に偽装しれていたため、今まで発見できていなかったのだろう。
 オブリビオンとして復活した『ロード・マンガン』は己が引き入れたオブリビオン『キャノンデモノイド』たちを引き連れて、その体躯に電流を流し込み続けていた。
 己を介在しての強化。。
 みるみる間に『キャノンデモノイド』の体躯が巨大化していく。
 体高5mはあろうかという巨体である。
「マンガン、プラス、……プラス、プラス、プラス……思い出せなイ」
『ロード・マンガン』は『ダークネス強化改造施設』の中に増えていく『キャノンデモノイド』たちを見ながら、自分が何のために戦うのかを覚えていた。
 自由のため。
 だが、そうしなければならないと強く思っていた理由を忘れていた。
 隷属されていたから、という理由は前提でしかない。
 もっと言うのならば『誰のために』だ。
 一人のためではなかったはずだ。多くの者のために、と願ったはずだ。
 けれど、顔も名前も思い出せない。
 それが、悲しくて、苦しくて、『絆ぐ者』でありながら『ロード・マンガン』は知らず嗚咽するのだった――。

●サイキックハーツ
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まりいただきありがとうございます。サイキックハーツ世界において、新たな事件が予知されました」
 彼女の言葉に猟兵たちは頷く。
「とある一つの発電所にてオブリビオンとして復活したダークネス『ロード・マンガン』の活動が確認されています。この発電所は、かつて全世界のご当地怪人の頂点に君臨していた『大首領グローバルジャスティス』が手掛けた『ダークネス強化改造施設』だったのです」
 巧妙に偽装されていたのか、今まで発見が遅れていたようであった。
 ここに現れた『ロード・マンガン』は大量の電力を得て自身を強化しつつ、手勢である『キャノンデモノイド』を『ダークネス強化改造施設』でもって強化改造しているようなのだ。

 当然、これを放置すれば強化改造されたデモノイド軍団が人類社会を脅かすことは、言うまでもないだろう。
「ですが、悪いことに発電所の職員の方々……無論、エスパーの皆さんはデモノイドたちの力に当てられて暴走しているのです」
 このサイキックハーツ世界において一般人も全てエスパーになっている。
 暴力・災害・病気や飢餓に至るまで、すべての『通常攻撃』が無効化される。だが、ユーベルコードには無力であることは変わらない。
 どうにか彼らを無力化して発電所……『ダークネス強化改造施設』へと踏み込まねばならないのだ。

「加えて、施設内で待ち受けている強化改造された『キャノンデモノイド』は、通常のデモノイドより巨躯である上に、ユーベルコード『自爆装置』によって皆さんに組み付いて自身ごと排除しようとしてくるのです」
 これが恐らく『ダークネス強化改造施設』の力なのだろう。
『キャノンデモノイド』を排除して、『ロード・マンガン』を打倒さなければならい。
 ナイアルテは、放置できぬオブリビオンの蠢動を予知できたことを幸いであると思っているようだった。
 まだ、どうしようもできないほどの脅威に育ちきっていない『ロード・マンガン』と『キャノンデモノイド』たち。
 これを叩くには今しかないのだ。

「彼らは『ダークネス強化改造施設』によって強力な存在に至っています。危険な戦いになるでしょう。ですが、オブリビオンとなった彼ら強化は捨て置けません。どうか、お願いたします」
 そう告げてナイアルテは猟兵たちを送り出すのだった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 かつて全世界のご当地怪人の頂点に君臨していた『大首領グローバルジャスティス』が手掛けた『ダークネス強化改造施設』の一つは発電所に巧妙に偽装されていました。
 ここにオブリビオンとして復活した『ロード・マンガン』が現れ、電力を奪い続けて自身を強化しつつ、『ダークネス強化改造施設』を用いて『キャノンデモノイド』たちを強化改造を施しています。
 放置すれば、強化改造を施されたオブリビオン軍団が世界を脅かすことになるでしょう。

●第一章
 冒険です。
 発電所に偽装されていたとは言え、エスパーである一般人の職員たちは職務についていました。
 ですが、彼らはデモノイドの力に当てられて、暴走状態にあります。
 彼らは全てエスパーであり、通常攻撃が通用しません。
 ユーベルコードには無力ですが、裏を返せば、加減しなければ殺してしまう可能性があるということです。
 なんとか彼らを無力化し、発電所の奥へと進みましょう。

●第二章
 集団戦です。
 改造強化を施された『キャノンデモノイド』たちとの戦いになります。
 彼らは改造強化によって体高が5mほどもある巨躯になっており、加えてユーベルコード『自爆装置』によって敗北を悟れば皆さんに組み付いて自爆してでも刺し違えるつもりのようです。
 これはフラグメントのユーベルコードに加えて行ってきます。

●第三章
 ボス戦です。
 この強化改造施設を得た『ロード・マンガン』との戦いになります。
 ここまでの間に彼は発電所の電力を全て吸収して、超強化された状態になっています。
 単純ですが、その攻撃はことごとくが強力なものになっています。
 油断はできないでしょう。

 それでは『ロード・マンガン』の目論見を打破し、人々を救う皆さんの物語の一片となれますようにいっぱいがんばります!
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第1章 冒険 『暴走するエスパー』

POW   :    負傷を与えぬ攻撃手段で鎮圧する

SPD   :    何らかの拘束手段で鎮圧する

WIZ   :    心理や意識に干渉する手段で鎮圧する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ち、力が溢れてくる……! と、とめられない!」
 何故、とエスパーである一般人……発電所の職員たちは己たちの溢れる力に困惑していた。
 誰もが暴力・災害・病気や飢餓を乗り越えるだけの力を得ていた。
 だからといって誰かを傷つけたいとは思っていなかったのだ。
 だが、彼らはなにかに当てられたように、自分の中の悪性……凶暴性が膨れ上がっていくのを感じていた。
「あああっ!!!」
 咆哮と共に彼らは互いに組み合う。
 白目を向いた目に映るものはなかった。
 あるのは、ただの己の中にある凶暴性の発露のみ。
 溢れるサイキックの奔流。
 吹き荒れるような衝撃が発電所内に広がり、互いを傷つけ合う力は衝撃と共に走り抜けていく。
 これを猟兵達は止めなければならない――。
鏡島・嵐
くそ、思ったより厄介な事態みてーだな。
なんとかオブリビオンの企てを止めないと、エラいことになっちまう気ィする。
怖ぇけど、踏ん張らねえと。

エスパーさんたちは一般人だけど通常攻撃で無力化は出来ないんか。殺すんは論外だし、無力化するにしても暴走してるのを止めるんは骨だな。
だけど……これなら……!
(懐から一本の小さな縫い針を取り出して)

暴走するサイキックを〈第六感〉を活かして〈見切り〉つつ、手近なエスパーさんに接近。《針の一刺、鬼をも泣かす》で動きを止めつつ、暴走状態を解除できないか試みる。
この暴走がデモノイドの力による「異常」だってんなら、この針で浄化できるはずだ。
効いてくれよ……!



 サイキックハーツ、とある発電所を襲った事態は、思う以上に厄介極まりないことであった。
 一般人とは言え、この世界の人間は全てエスパーである。
 病気や事故等と言った通常の攻撃に準じるものは何一つ効果を発揮しない。無効化されてしまうのだ。
 故に彼らが一度暴走してしまえば、これを止めるのは困難を極める。
「くそっ」
 鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)は発電所に急行し、発電所を渦巻くサイキックの奔流を認めて事態の困難さを認める。
「ああああっ!!!」
 職員である一般人たちは、皆サイキックを制御できないようであった。
 恐らく、ダークネス……オブリビオンが出現したことによって、その力に当てられたのだろう。

「これもオブリビオンの企ての一つなのか? ここで止めなくちゃ、エラいことになっちまう気ィする」
 正直に言って怖い。
 例え、相手が一般人であっても、溢れるサイキックの奔流はそれだけで嵐の心を鷲掴みにするようであった。
 だが、踏ん張らなければならない。
 己よりも恐れを抱いて、暴走するサイキックの渦中にいるエスパーたちがいるのだ。
 なら、己がここで踏ん張らねば、誰が踏ん張るというのだ。

 とは言え、エスパーは通常攻撃が無効化されるとは言え、ユーベルコードを前にし無力だ。
 ユーベルコードでの戦いに慣れている猟兵である己であっても加減を間違えれば、彼らを殺してしまうかも知れない。
 それは論外だ。
 絶対にしてはいけないことだと嵐は思った。
「骨だな……だけど……これなら……!」
 嵐が取り出したのは長年使い込まれた針であった。
 吹き荒れるようなサイキックが嵐を襲う。
 その最中を嵐は駆け抜ける。
 第六感。
 勘の冴えわたる所であったし、嵐は己の頬を切り裂くサイキックの奔流にすら構わなかった。

「麦藁の鞘、古き縫い針、其は魔を退ける霊刀の如し、ってな!」
 ユーベルコードに煌めく嵐の瞳。
 その 針の一刺、鬼をも泣かす(ペインエディター・ペインブレイカー)。
 嵐の想いが込められた針の一撃が暴走を続けるエスパーの胸を貫く。
 しかし、その一撃はエスパーの肉体を傷つけるものではなかった。
 そう、暴走しているというのならば、その暴走の起点となっている場所を貫く。
 彼らが抱えている問題。
 それはオブリビオンの出現によって、力に当てられたからだ。
 なら、その暴走状態を引き起こしているサイキックの起点を異常とみなして、嵐の針は、それを通ら抜いたのだ。

「ッ、効いてくれよ……!」
 針の一撃は一般人の胸より溢れるサイキックを浄化し、落ち着かせる。
「できた……! これなら!」
 肉体を傷つけることなく人々を救うことができると嵐は震える足を叩いて、いまだ暴走を続けるサイキックの嵐の中へと飛び込んでいくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

北条・優希斗
連・アド〇
…例え、作られたのだとしても
その意志は貴方達自身のものだったと俺は思うよ
でなければ…『デモノイド』と言う種のサイキックハーツとしてプラチナが選ばれる道理が無い
…まあ、昔話は後にして
目前の一般エスパー達を、どう無力化するかに集中しよう
…とは言えUCであれば無力化できるなら、俺は然程苦労しないんだが
先制攻撃+UC
自身の能力にUCを乗せ
早業+グラップルの締め技に功夫と範囲攻撃を絡めて気絶させて、俺に出来る限りの相手を無力化するよ
元々この型は一般人を無力化する為のもの
…だがUCである以上、エスパーにもこれは有効だよね
反撃にはカウンター+見切り+グラップルで応戦
操られたエスパー達を気絶させるよ



 デモノイド。
 それはサイキックハーツ世界において、隷属を運命づけられた新たなダークネス種族であった。
 生まれた意味は、最初から決定されていた。
 従い、駒になること。
 ただそれだけなのだ。 
 それしかなかった。
 故にデモノイドたちは意志なくとも、運命を同じくする者たちとつながることで絆を得た。
 それが『プラスコネクト』。
 互いにつながることで力を増していく。

「……例え、作られたものだとしても。その意志は貴方達自身のものだったと俺は思うよ」
 北条・優希斗(人間の妖剣士・f02283)は、サイキックハーツ世界、とある発電所に渦巻くサイキックの嵐を見つめる。
 エスパー……一般人たちは、オブリビオンの出現によって力に当てられて暴走し続けている。
「でなければ……『デモノイド』という種のサイキックハーツとして『ロード・プラチナ』が選ばれる道理がない」
 そう。
『絆ぐ者』がいたからこそ、彼らは互いの力を共有して揮っていた。
 昔話だな、と優希斗は、目の前のサイキックの嵐に向き直る。
 ここからは『今』の話だ。
 過去があるから『今』がある。未来だって見つめることができる。

「彼らをどうにかしなければな」
 優希斗の瞳がユーベルコードに煌めく。
 例え、刃が使えなくとも。
 一般人であるエスパーたちを殺す異なっく止めることはできる。
「蒼月の型:拳聖・零式(ソウゲツノガタ・ケンセイ・ゼロシキ)――蒼き月の舞は絶えること無く」
 踏み込んだ優希斗は、迫るサイキックの奔流を己が拳で叩き伏せる。
 砕けたサイキックは破片のように己に迫る。
 それを頭を低くして躱して、優希斗は更にサイキックの奔流の源であるエスパーへと飛び込む。

 空の手がエスパーの作業着に触れる。
 襟を掴んでひっけた指を起点に彼の体が翻る。
 以下に通常攻撃が無効化されるとは言え、意識を刈り取る方策はいくらでもある。
 例えば、失神するなどすればどうか。
 人体であれば、思いつくことはいくつもあるのだ。
 襟がエスパーの首に絡みつき、優希斗は絞め落とす。
「ぐっ……!?」
「すまないが、しばらく気を失ってもらおう」
 気を失ったエスパーの襟を掴んだまま、放り投げる。
 サイキックの奔流から遠ざけるためだ。

「もともと、この型は一般人を無力化するためのもの……だが、ユーベルコードに昇華したのならば、有効ということか」
 溢れるサイキックの中、優希斗は更に駆け出す。
 己の型が通用するのならば、人々の生命を奪うことを前提としなくていい。
 後は彼らの暴走を疾く鎮め、この事態を引き起こしたオブリビオン……デモノイドたちの凶行を止めなければ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鷹神・豊
デモノイドの成り立ちは俺も予知で視てきたが…
彼らが単純な悪では無い事は承知している
むしろ最大の被害者とも言えるかもしれん
当然の権利だろう

一般人の無力化は極力穏便に済ませたい所だが
視線は合いそうにないか
すまんが少々怖い思いをしてもらう
UC使用

拳銃を構え弾が頬をかすめる位を狙い
スナイパーで威嚇射撃を行う
少しでも手元が狂えば相手は即死だ
だが躊躇わない
努力は裏切らないと勇気と自信を持って

次は頭だと警告
これ位の迫力を見せねば威圧感は出せん

恐怖心で大人しく退いてくれれば良いのだが
暴走状態が勝る場合は…暴力だな
手加減して急所への気絶攻撃で追撃

俺達にも俺達の社会がある
理不尽でも誰かが対処せねばならない
先を急ぐ



 単純な悪であったのならば、何も思うこともなかっただろう。
 しかし、人の中に逃れ得ぬ悪性が存在し、そこから変容していくのならば、単純なとは言えないだろう。
 故に鷹神・豊(蒼天の鷹・f43985)は過去を思う。
 デモノイド。
 寄生体に意志を奪われた者たち。
 隷属するために生み出されたダークネス種族。
 自由とは程遠い魂の牢獄。
 同胞と共に自由を、解放を求めていたのだろう。

 故に豊は、彼らが単純な悪ではないことを承知している。
 予知してきたからだ。
 むしろ、そういう意味では他のダークネス種族の最大の被害者とも言える。
 復讐でもなく、支配でもなく。
 ただ、自由への解放を求めたの言うのならば。
「当然の権利だろう」
 だが、と豊は拳銃を構えた。
 銃口の剣呑な輝きを見ても一般人たちは反応できないだろう。
 彼らはサイキックが暴走しているのだ。

 止めようとしても止められるものではない。
 しかも、悪いことに此処はサイキックハーツである。一般人は総じてエスパーだ。
 通常攻撃の全てが無効化されてしまう。
 怪我、病気、そうしたものから開放されたことは喜ばしいことかもしれないが、こと、この状況においては最大の障害となっているのだ。
 暴走を止めるには殺すしかなくなっている。
 ユーベルコードならばそれができる。

 が、そうした安直な手段を猟兵たちは取らない。
「すまんが少々怖い思いをしてもらう」
 引き金を引く。
 銃声が響き渡り、轟音がサイキックの嵐の中に飲み込まれていく。
 その弾丸は、しかし一般人のすぐ真横を飛ぶだけだった。
 外れたのではない。
 豊が意識して『外した』のだ。
 勧告(カンコク)射撃めいた拳銃による一撃。
 これによって一般人は暴走するサイキックの中で恐怖に叫んだ。
「な、な、なぁ……!?」
「次は頭だ」
「は、外しておいて、それはないだろう?!」
「暴走する力を抑えられないのなら、そうするしかない。他の誰かに塁が及ぶ前に」
 豊の言葉は、酷薄に思えただろう。

 だが、そうでもしなければ彼らがサイキックの暴走を抑えようという意志すら持ち得ないことを豊は知っていた。
 これくらいしなければ威圧感は出せない。
「で、でも止められないんだ!」
「なら、実力行使だな」
 豊は拳銃をホルスターに収めて拳を握りしめる。
 硬い音が拳から響く。
 鉄拳へと変貌する己の拳の一撃が溢れるサイキックを押しのけて一般人の腹部へと叩き込まれる。

「ゴハッ……!?」
「すまないな。だが、理不尽でも誰かが対処せねばならないんだ」
 豊は腹部を強かに打ち据えられて悶絶して、気を失う一般人を抱えて周囲を見回す。
 まだ暴走は終わらない。
 後で恨まれても構わない。
 誰かがやらねばならないことなら、己がやればいい。
 嘗て、他者に予知の命運を預けてばかりであった頃の自分ではもうないのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・タタリクス
|エイル様《主人様》の!
香りがしまぁぁぁぁすっ!
はい、なんでもできるクールメイド、参上しましたっ

確かデモノイドは他のデモノイドとプラスコネクトする事で
より強固な存在になれた、はず?
絆の強さ……『絆ぐ者』
繋がっているのに、『誰か』が分からないのは悲しいですね

ともあれ、まずはエスパーの皆様を止めませんと
ええ、とりあえずこういう時は愛を叫ぶ
はい、それでは! 冒頭ではちょっと遠慮してましたので全力で!

エイル様の!!!! 香りが!!! しまぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁすっ!!!!!!

ふぅ、いい|愛《叫び》でした
誰がやべーメイドですか
どこからどうみても愛を叫ぶメイドでしょう!!



 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は考えるより先に叫ぶメイドである。
 それは、これまでのことからもよくわかっていることだ。
 むしろ、叫ばないと逆に心配になる。
「|『エイル』様《主人様》の! 香りがしまぁぁぁぁすっ!」
 迸る叫び。
 それが思いの発露であったというのならば、致し方のないことであった。
 だということにしておこう。そうした方が良い。
「はい、なんでもできるクールメイド、参上しましたっ」
 ステラは荒れ狂う暴走サイキックを目の前にして腕を組んで立つ。
 威風堂々とはこのことであろう。

 ふむ、とステラは思う。
 デモノイド。
 それはサイキックハーツ世界において、新たなダークネス種族として想像された種族。
 隷属を決定づけられた種族であるという。
 そして、デモノイドは他のデモノイドと『プラスコネクト』することで、その能力を共有していた。
 それを彼らは『仲間との絆』だと言っていた。
「絆の強さ……『絆ぐ者』……繋がっているのに、『誰か』がわからないのは悲しいですね」
 慟哭が発電所の奥から聞こえてくるようだった。
 恐らく、慟哭の主が『ロード・マンガン』なのだろう。
 この事態を引き起こした張本人。
 どうして強くならねばならなかったのか。それすらもわからなくなっている。
 故に哭いているのだ。
 それはいっそ、憐れにすら思えたことだろう。

「ともあれ、まずはエスパーの皆様を止めませんと」
 ステラは嵐のようなサイキックを前にして息を吸い込む。
 こういう時にどうするのかなんて一つだ。
「エイル様の!!!! 香りが!!! しまぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁすっ!!!!!!」
 突然の絶叫。 
 それは鼓膜という鼓膜をぶち抜く大絶叫であった。
 普段から鼓膜をぶち抜かれているメイドからすれば、被害者から加害者に変わった瞬間でもあった。
 だが、ステラの目的は鼓膜をぶち抜くことではなかった。
 いいや、そもそも鼓膜をぶち抜かれることを目的にして音を出す者なんていないと断っておこう。

「……っ!?!?」
 エスパーたる一般人たちは、その叫びに困惑した。
 いや、ドン引きした、といってもいいだろう。
 この非常に何を言っているんだろうか、と思っただあろう。
 そもそも香り? どういうこと?
 困惑する彼らを前にステラは一人、吐出しきった息を吸い込んで胸を撫で下ろす。
「ふぅ、いい|愛《叫び》でした」
 そう、それは献身的なメイドの想いというか、狂気。
 それに当てられた一般人たちは、麻痺したようにサイキックの暴走が止まったのを知るだろう。
「た、助かった、のか?」
「い、いや、それにしても、ヤバすぎるだろ……あのメイド」
 その言葉にステラは目を見開く。

「誰がやべーメイドですか。どこからどう見ても愛を叫ぶメイドでしょう!!」
 そうかな?
 そうかも――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
事前に[悪騎兵]で[機械大剣]デモニック・ララバイを機械大剣化
機械大剣のスピーカーから【衝撃波】を発しサイキックの奔流にぶつけ相殺し、【推力移動】プラズマシューズで発電所内を疾駆!距離を詰める!

迅速に、彼らを無力化します!準備は良いですかクレイドル!!
『奏者こそ!彼らの心に響くような音色を奏でておくれよ!!』

悪騎兵[陽月光]発動。【催眠術】揺籃の子守唄ハンドベル変形
衝撃波を機械大剣で【受け流し】揺籃の子守唄から機械絆へ転送された楽譜に則り絶えず音程を変化させていく楽機を振るい鳴らし、彼らの暴走する【闘争心】を鎮め、内なる【優しさ】を引き出す【楽器演奏】
傷ついた身体を癒し正気を取り戻させます!!



 力に当てられて暴走しているエスパーたちのサイキックは嵐のようだった。
 一般人であっても、暴走すれば脅威となる。
 しかし、彼らには通常攻撃が通用しないのだ。
 であれば、どうするべきか。
 如何に通常攻撃が通用しないとは言え、ユーベルコードを前にしては無力である。
「迅速に、彼らを無力化します!」
 朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)の決断は迅速だった。
 ユーベルコード、悪騎兵(ユーベルキャバリア)によって小枝子は己がキャバリア『デモニック・ララバイ』を機械大剣へと変じて、その柄を握りしめる。

 溢れるようにして迫るサイキックの奔流に衝撃波を発し、相殺する。
 しかし、それだけでは一般人の暴走を抑えることはできない。
 なおも迫りくるサイキックの奔流の中を小枝子はプラズマシューズの反発力でもって発電所を駆け抜け、距離を詰めた。
「ああああ!!!」
 叫び声が響いている。
 彼らとて、この暴走は本意ではないのだろう。
 それがわかる。
 だからこそ、小枝子は一刻も早く彼らをこの苦しみから解放しなければならないとお思ったのだ。
「準備はいいですか、クレイドル!」
『奏者こそ! 彼らの心に響くような音色を奏でておくれよ!!』
 それには自身がない。
 小枝子にとって、心に響くような音色とはどんなものだっただろうか。
 自分にできるのは、破壊だけだ。
 それしかできない。

 だからこそ、小枝子はわずかにためらうかもしれない。
 いや、戦いにあって小枝子はためらうことをしない。
 ためらう間に生命が失われてしまうことを彼女は知っていたからだ。ためらう前に行動を起こす。そうすることで救われる生命があることを知っている。
「喚き散らせ」
 放たれるは音。
 陽月光(ヘリオスフェガリ)を放つは、機械大剣より変じたハンドベル。
 響く音。
 それは発電所内部に広がっていく。
 絶えず音程が変化していく。
 振るい鳴らされる音は、一般人たちの心にある暴走の要たる闘争心を鎮めるものであった。
 その奥にある優しさを引き出すように小枝子は、己の中に送り込まれてくる楽譜のままにハンドベルを打ち鳴らす。
「思い出してください。貴殿らは、戦うために、そんな力を得たのではないということを。優しさが必要なのであります。今再び、その溢れる力は、誰かのためにあるのでありましょう」
 己のように破壊するためだけではない。
 誰かを思うことが出来る優しさがあるはずだ、と小枝子はハンドベルを打ち鳴らす。
 戻るべき彼岸は此処だと示すように、強く、強く打ち鳴らし、一般人の心を引き寄せ、サイキックの嵐を鎮めるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

皇・銀静
…ふん…面倒くさいな
「主ー☆デモノイドだよ☆デモノイドが叛乱するよ☆」
判ってる…取り合えず此奴らをまず黙らせてからだ
【戦闘知識】
エスパー達の状態を分析
【念動力・空中戦・弾幕・属性攻撃】
UC発動
疾駆する神発動
飛び回りながら念動光弾を叩き込み動きを封じつつ掴みかかればその生命力を啜り脱力させる
但し脱力して動けなくなる程度(不殺徹底
グリム
「本当はもう少し可愛がりたかったけど…今は眠ってね☆」
闇属性の弾丸を放つ
精神にのみ打撃を当てて気絶させる
時間が経てば回復するがそれまでは目覚めるには厳しい状態
「闇の力ってのは本来精神に作用するんだよ☆」
詳しいなお前…?
「色々グリムちゃんは視てきたんだよ☆」



 一般人の暴走。
 それは他世界とことなり、一般人がエスパーという存在に昇華しているがゆえに、一筋縄ではいかぬ事態であった。
 このサイキックハーツ世界において、一般人には通常攻撃が通用しない。
 病気、災害、あらゆる生命を脅かすものを克服しているのだ。
 故に、彼らを如何にかするのならばユーベルコードを以てしてしかないのだ。
「……ふん……面倒くさいな」
 皇・銀静(陰月・f43999)は思わずそう呟いていた。
 確かに面倒なことだ。
 簡単に終わる事件であったのならば、そもそも自分が出張る必要もない。
 そういう意味ではどちらにせよ、こういう面倒事に足を踏み入れなければならないのだから、ままならないものである。

 そんな銀静の想いを知ってか知らずか、『グリム』が脳天気な声を発する。
『主ー☆ デモノイドだよ☆ デモノイドが叛乱するよ☆』
「判ってる……とりあえず此奴らをまず黙らせてからだ」
 銀静の瞳がユーベルコードに輝く。
 一般人たちの状態は概ね把握している。
 オブリビオンの放つ力に当てられて、エスパーとしての力……即ち、サイキックが暴走しているのだ。
 これによって発電所の内部にいた一般人たちは自らのサイキックで身動きが取れなくなっている。
 其の上、嵐のようなサイキックは己たちを阻んでいる。
 であるのならば。

「四門開門・凶(シキョウモンカイモン)!」
 銀静の周囲の生命力を奪う邪気が身にまとわれる。
 踏み込んだ瞬間、銀静は己が手で持って一般人たちの体躯を掴み上げる。
「ガッ……!?」
「悪いが、暫し生命力を奪わせてもらう」
『本当はもう少し可愛がりたかったけど……今は眠ってね☆』
 その言葉と共に一般人の体がぐったりと力を喪う。
 すると、周囲に渦巻いていたサイキックの嵐が止み、一般人が気を失ってしまう。。
 死んだわけではない。
 暴走した力の過剰分だけを銀静は奪い取り、一般人の暴走を収めてみせたのだ。

「とは言え、簡単ではないからな」
 そういて銀静は闇属性の弾丸を放つ。
 それは精神に作用する弾丸であり、心を揺らせば体も揺れると言う理屈のもとに銀静は闇の弾丸でもって一般人たちを気絶させていいくのだ。
『闇の力ってのは、本来精神んに作用するんだよ☆』
「詳しいなお前……?」
『色々グリムちゃんは視てきたんだよ☆』
 その言葉を受け流して、銀静は発電所の奥へと更に進んでいくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【POW判定】
真剣口調でいくよ

ロード・マンガン…レアメタルナンバーのデモノイドロードか
…ワタシの中には、|彼の仲間《デモノイドロード》の魂もある
|会わせてやる《デモノイドロードの力で灼滅する》事も、考えておこうかな

まずは暴走状態のエスパー達を助けないとね
【捕縛】技能で動きを封じ、【催眠術】で眠らせる事によってエスパー達を傷つける事無く無力化するよ

UCは『クローネちゃんの愛用品★』
ブラックスライム製の縄を創造して、【捕縛】技能を100レベルにするよ
攻撃は【硬化/鉄壁/オーラ防御/霊的防護/回復力】で耐えるね



「『ロード・マンガン』……レアメタルナンバーのデモノイドロードか」
 クローネ・マックローネ(闇と神を従える者・f05148)は、その言葉に懐かしさを覚えたのかも知れない。
 己が内包する魂。
 いくつもの死者の魂の中において、デモノイドに関連しものもあるのだろう。
「……ワタシの中には、|彼の仲間《デモノイドロード》の魂もある……|会わせてやる《デモノイドロードの力で灼滅する》ことも、考えておこうかな」
 それが救いになるのかはわからない。
 けれど、慟哭の声が発電所内部に響いている。
 忘れてしまった何かを思い出そうとして哭いているのか。
 それとも、己が何を為すべきかを知りながら、なんのためにという想いに哭いているのか。

 いずれにしても、その慟哭を効いたのならば、クローネは如何にかしなければならないと思う。
 それが内包した魂に影響されてのことなのか、それとも彼女自身の想いの発露なのかはわからない。
「それはさておき、だ。まずは暴走状態のエスパーたちを助けないとね」
「ああああっ!!!」
 叫び声が響いている。
 一般人であるエスパーたちのサイキックが暴走しているのだろう。
 嵐のようにサイキックの奔流がクローネに迫っている。
 これを受け流しながら、クローネは瞳をユーベルコードに輝かせる。
 ブラックタールである彼女だからこそ出来ることがある。
 クローネちゃんの愛用品★(ブラック・アイテム・クリエイト)を生み出し、エスパーたちをブラックスライム製の縄で捕縛し、催眠術によって眠らせるのだ。

「心配しなくていいよ。眠るだけでいいんだよ。チカラを抑えるのは忘れて、ただ眠ればいいんだよ」
 囁くようにクローネはエスパーたちの耳元で囁く。
 それはともすれば、子守唄のようにも聞こえたことだろう。
 溢れ出るサイキックの事事t区を身を硬化させ、鉄壁の如きオーラでもって護る。それを突き破るようなサイキックであれど、これに耐えながらクローネは次々とエスパーたちを眠らせ、サイキックの暴走を抑えていくのだ。
「うん、これでいいかな……でも、エスパーのサイキックを暴走させるほどの力……ただ当てられただけなのかもしれないけれど、ここまでとは」
 デモノイドロードたちは、かつて絆でつながることで力を発揮していた。
 もしかしたら、と思う。
『ロード・マンガン』は、自分が繋がるべき相手を忘れてしまっているのだろう。
 だからこそ、このエスパーたちの暴走状態だ。
 無理矢理に繋がろうとした結果、エスパーたちのサイキックは暴走し、繋がることを拒否したのかも知れない。

 なら、この慟哭は、きっと。
「迷い子のように哭いているだけなのかもしれないね――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
グローバルジャスティス、ダークネスの繁殖を目的に活動してたみたいだけど…厄介な施設を残していくね
それの余波でエスパー達も暴走してるし…面倒な施設を各地に残してるのが害悪過ぎんか??

やり過ぎても倒しちゃうし、普通に殴っても無効…
けど痛みを感じない訳じゃない
【断章・焔ノ血】起動
そして《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
蒼炎を炙り火力程度で展開し、じわっとダメージを与え
そして剣で斬撃を与える
通常攻撃だから致命打にはならないけど、痛みは本物
蒼炎による実際のダメージと、斬撃による痛みで痛めつけて精神を疲弊させよう
蒼炎によるダメージが重なり過ぎないように適度に回復に切替て痛めつけよう



『ダークネス強化改造施設』。
 それはかつてのご当地怪人……『グローバルジャスティス』の遺産であるとも言える。
「ダークネスの繁殖を目的に活動していたみたいだけど……厄介な施設を残していくね」
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は、発電所に偽装されていた施設に足を踏み入れる。
 ダークネス……復活してオブリビオンとなった『ロード・マンガン』のせいで、知らず発電所に務めていた一般人たちいのサイキックが暴走し、嵐のように内部に渦巻いている。
 これをなんとかしなければならないのだ。
 極めて面倒なことになっている。
 この世界の一般人は全てエスパーと呼ばれる存在に昇華している。
 通常攻撃の一切が通用せず、如何にかするにはユーベルコードを用いるしかない。

 逆を言えば、ユーベルコードであるのならばエスパーと言えど害することができるということなのだ。
「面倒なことに面倒な施設。しかも、これが各地に残っているっていうんだから、害悪過ぎんか?」
 玲は首を傾げながらも、しかし事態の収束に動かねばならない。
 放置していたとしても、問題は先延ばしになるだけだ。
 そして、いずれ世界を破滅に導いてしまう。
 であるのならば、猟兵としてやるべきことは一つ。
 この事態を引き起こした『ロード・マンガン』を打倒することだ。

 とは言え、だ。
「やりすぎてもいけないんだよね。でも、普通に殴っても無効……けど、痛みを感じないわけじゃない、のなら――偽書・焔神起動。断章・焔ノ血読み込み開始」
 玲の瞳がユーベルコードに輝く。
 抜刀された己が模造神器の刀身を彼女は軽く握る。
 血潮が流れ、周囲に蒼き炎が吹き荒れる。
 サイキックの嵐とぶつかって相殺され、少しづつ玲は力の加減を見極めるように出力をましていくのだ。
「よし、これくらいかな」
 そう呟いた瞬間、玲は踏み出し、エスパーへと己が模造神器の斬撃を加える。

「――っ、うっ!?」
「痛いでしょ。でも肉体にダメージは残らない。これが、通常攻撃だからね。でも痛いのは痛い……なら、精神は疲弊するよね。なら、サイキックの暴走だって弱まっていくって寸法!」
 名案でしょ、と玲は笑う。
 もう少し優しく、と言うエスパーの言葉に玲はやっぱりにっこり笑っていうのだ。
「気合で頑張ろう! 暴走しているサイキックを抑え込むまで、痛いの続くよ~痛いの嫌なら、死ぬ気で制御しようね」
「そんな!」
「やらないと痛いだけだから」
 うん、と玲は頷く。
 今後も同じようなことがあるかもしれない。
 その時に今回の経験が活かせればいい。
「なにせ、痛くなければ覚えないって言うしね」
 うんうんと玲は頷いて、エスパーたちがサイキックを制御できるようになるまで、適度に、それこそ交互に蒼き炎と紅き炎を加え、彼らのサイキックの暴走が収まるのを見届けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『キャノンデモノイド』

POW   :    デモノイド・クライング・パーム・キャノン
【4つの砲門】から【デモノイド細胞の砲弾】を放ち攻撃する。その後、着弾点からレベルm半径内が、レベル秒間【デモノイド細胞で侵食された】状態になる。
SPD   :    拡散デモノイド・クライング・パーム・キャノン
【デモノイド・クライング・パーム・キャノン】を最大レベル秒間連射し続け、攻撃範囲にダメージと制圧効果(脱出・侵入を困難にする)を与える。
WIZ   :    クライング・デモノイド
【激しい咆哮】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。

イラスト:純志

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達はなんとかエスパーたちの暴走を収め、発電所内部へを進んでいく。
 入り組んだ巨大なパイプや施設。
 そのためか、発電所は天井高く設計されており、まるで巨人の庭に猟兵達は迷い込んだような気持ちになったかもしれない。
 そして、猟兵達は気がつくだろう。
「――」
 気配がする。
 いや、違う。
 己達が立つ地面に影が落ちたのだ。
 視線を上げた瞬間、そこにあったのは巨大な『キャノンデモノイド』たちであった。

 体高5mはあろうかという巨人めいた蒼い体躯。
 その身より飛び出すのは4つの砲身。
 物言わぬ獣。
 いや、ただ従うだけの存在でしかないデモノイドたちは、まるで猟兵たちを待受けていたと言わんばかりに飛び出す。
「――」
 言葉はない。
 あるのは、命令のみ。
 ただ隷属するためだけに生まれた存在は、オブリビオンとなっても変わらない。
『デモノイドキャノン』たちは、隙あらば猟兵に組み付き、その身を『自爆装置』でもって爆発させ、刺し違えようというのだ。
 恐るべきことである。
 一瞬も気が抜けない。
「――」
 己が生命すらもいとわず迫る『デモノイドキャノン』たち。
 その蒼き暴威が、迫っていた――。
北条・優希斗
…隷属する為だけに、ね…
確かにそういう一面があったのは否定しないし
君達が単なる『悪』ではないのも理解できるけれども
でも…『デモノイド』と言う『種』として『絆ぐ者』の絆と共に君達がサイキックハーツ大戦に挑んだ時
『隷属』からの『解放』を求めたと言う意味で、君達の意志はあったと思うよ、俺は
…でなければ、|誰《・》も報われないから
ともあれそれを伝えるには、君達を突破しないとね
…行くよ(真の姿:https://tw6.jp/gallery/?id=149146)
先制攻撃+UC+心眼で相手の弾道を見切り
残像を残して射線を誘導
攻撃を回避後ダッシュ+軽業で肉薄
双刀抜刀範囲攻撃+2回攻撃+急所狙い+早業で|デモノイド《オブリビオン》を斬る
肉薄した段階で自爆のタイミングは予知済だから
それに合わせてUC:斬縛技・紫閃を『結界糸』で発動
自爆を無効化するよ
…御免ね
…もし君達の事を|俺達《エクスブレイン》が予知出来ていれば
君達を殺す以外の方法で救えたのかも知れないけれど
…その罪も背負って、俺は進むと決めているから



「……隷属する為だけに、ね……」
 確かに、と声ならぬ声と共に4つの銃身を巨大な体躯よりせり出させた『デモノイドキャノン』の姿に北条・優希斗(人間の妖剣士・f02283)は、その一面を知る。
 否定できない。
 ダークネス種族によって生み出されたダークネス。
 それがデモノイドだ。
 寄生体によって意志を奪われて、ただ他勢力の駒としてサイキックハーツ世界にて存在していたもの。
 それを生命と呼べるだろうか。
 意志無きものなど、生命と呼べるだろうか。
 ダークネスは、だからこそ彼らを駒として扱った。
「君達が単なる『悪』ではないのも理解できるけれども」

 それでも、と瞳に光が灯る。
 超克の輝き。
「でも……『デモノイド』という『種』として『絆ぐ者』の絆と共に君達がサイキックハーツ大戦に挑んだ時、『隷属』からの『解放』を求めたという意味で、君達の意志はあったんだと思うよ、俺は」
「――」
 声なき声が応える。
 そこに意志を認めて、溢れる力をほとばしらせながら、その瞳を向ける。
 目を背けてはならない。
 4つの銃身が光を放つ。
 弾雨のような銃撃。
 その最中を優希斗は駆け抜ける。

「……でなければ、|誰《・》も報われないから」
 叶ったこと、叶わなったこと。
 全てが人の生き方だというのなら、それではあまりにも報われない。
 隷属からの解放という願いは、祈りだ。
 誰もがなにかに隷属している。
 けれど、隷属していると気がつくのならば、それはきっと不幸であっただろうし、試練だ。そして、その試練に立ち向かったのが彼らだというのなら。
「……舞えや、舞え。全ての未来と過去のその先を」
 翻る刃が舞う。
 それは迫る弾丸を見切りながら、残像を戦場に刻むように駆け抜ける。
 発電所内部に弾丸が激突して火花が散る。
 明滅する戦場。

 しかし、優希斗は、そんな明滅する戦場にあって、その瞳で見ていた。
 数秒先の未来予知。
「視えている。だからこそ」
 踏み込む。
 蒼き暴威。
 巨体の下に潜り込んだ彼のヤイビアが翻る。
 斬撃は蒼き体躯を切り裂く。
 血潮めいた何かが散る中、それでも撒き散らされ続ける弾丸を優希斗は舞うようにして躱し、蒼き残光を後にするように剣撃を走らせる。

「――!」
 不利を悟ったのだろう、『デモノイドキャノン』が巨大な体躯、その両手を広げて優希斗へと組み付かんと飛びかかる。
 それを優希斗は、すでに視ていた。
 故に半歩後ろに飛ぶ。
 瞬間、宙を走るのは紫電の如き鋼糸。
 四肢を寸断される『デモノイドキャノン』。
 痛みに寄る咆哮ではない、声ならぬ声が響く。
「……御免ね」
 もしもと思う。
 未来は不確定だ。どうなるかなんてわかるべくもない。
 あの時、できたことは祈ることだけだった。
 彼らを思う。

「君達を殺す以外の方法で救えたのかも知れないけれど……その罪も背負って、俺は進むと決めているから」
 だから、と翻った斬撃の軌跡から目をそらさない。
 蒼き巨躯が倒れ伏す。
 広がっていく血潮。
 優希斗は、視ていた。
 過去も、今も。そして、未来も。
 見て、進む。
 どんな未来が待っていても、過去を背負って生きていくのが自分だと、すでに克己しているのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・タタリクス
まったく、誰がやべーメイドですか
もっと全世界がエイル様を讃えるべきでしょう
……そういえばこの世界にエイル様は来たんでしょうかね?

とか考えていたら、目の前に5mの青い巨体
セラフィム……には不格好すぎますね
無垢な悪意、という意味では一緒かもしれませんが
あまりにも兵器すぎる

久しぶりに生身でいきますか
『アンゲールス・アラース』を装着
空へ飛翔して【テールム・アルカ】起動です!!
人型にリサイズした『パルスマシンガン』と『ハイペリオンランチャー』を召喚
ハイペリオンランチャーで広範囲をなぎ払いつつ
漏れたデモノイドをパルスマシンガンで撃ち抜いていくとしましょう!
この戦い方も久しぶりですがたまにはいいものですね



 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は憤慨していた。
「まったく、誰がやべーメイドですか」
 ぷんすこぷん。
 そう書けば可愛らしいことこの上ない。
 が。
「もっと全世界が『エイル』様を讃えるべきでしょう」
 言ってることとやってることが、やっぱりヤべーのである。
 申し開きもできないレベルで。
 しかしまあ、ステラにとって、それは対したい問題ではなかった。
 誰になんと言われようとも、己が奉じる心は決まっている。なら、他の誰の介在も許さずに一直線に邁進し続けるのがメイド道というものなのだ。
 本当にそうか? という疑問はちょっとはあるが、そういうものである。そういうもんだといったら、そうなのである。異論は認めるが、口出し無用! それがステラという猟兵なのである。

「……そう言えば、この世界に『エイル』様は来たんでしょうかね?」
 香りはするのに、存在の痕跡がないように思えてならない。
 どういうことかと考えていると、眼の前には蒼き暴威『デモノイドキャノン』の巨躯。
 身よりせり出した4つの銃身から放たれる弾幕にステラは目を見開く。
 鋼鉄の巨人を思わせる蒼き威容。
「『セラフィム』……にしては不格好過ぎますね。無垢な悪意、という意味では一緒かもしれませんが、あまりにも兵器すぎる」
 ステラは駆け抜けながら、己の背に天使の翼を展開し、弾丸を防ぐ。
 弾かれる弾丸が発電所のあちこちに激突して火花を散らす。

「――」
 響くは言葉なき咆哮。
 意志も感じられない。
 ただ隷属のままに、ただ命ぜられるままに。
 それこそがデモノイドであると言うように弾丸をばらまき続けているのが『デモノイドキャノン』だ。
 その弾雨をステラは天使の翼弾きながら、一歩踏み出す。
 久方ぶりに生身単身での戦いである。
 途切れぬ弾雨の間隙を縫うようにして踏み出して、翼を広げてステラは飛ぶ。それを追うように4つの銃身がステラを狙うようにして動く。
 確かに面制圧能力は凄まじい。
 だが、ステラは構わなかった。

「箱舟、起動。武装、転送。テールム・アルカ!」
 彼女の手にリサイズされたキャバリア兵器が転送される。
「一点突破です」
 リサイズされた『パルスマシンガン』を構え、『ハイペリオンランチャー』が火を吹く。
 放たれた砲撃は迫る弾雨を薙ぎ払い、更に『デモノイドキャノン』を打ち据える。。
 体躯がよろめいた瞬間をステラは見逃さず、『パルスマシンガン』より放たれた弾丸を集約させて『デモノイドキャノン』の蒼き体躯を貫く。
 崩れ落ちる巨躯が重たい音を立てたのを見やり、ステラは更に戦場を駆け抜けていく。
「この戦い方も久しぶりですが、たまにはいいものですね」
 ステラは銃声の音響く発電所内部を、さらに多くへと進んでいく。
 その奥で待ち受けるのは、敵の首魁。
 ならば、まっすぐに突き進む。
 それが彼女のメイド道なのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鏡島・嵐
ちょっ……なんだコイツら。クゥよりデカいじゃねえか! 5mつったらキャバリア並みだぞ!
あんなのに組みつかれて自爆されたら一巻の終わりじゃねえか……もう「怖い」なんて一言じゃ済まねえなこりゃ……!

(震えながらも、獅子を召喚)

隙を突いて近づかれないようにこっちも足回りを強化しねえとな。
クゥ、走るんは任せた!

とは言え、足止めの射撃を喰らうんもそれはそれで拙いな。
〈第六感〉をフルに活かしてつかず離れずの距離を保ちつつ、〈目潰し〉〈武器落とし〉で攻撃を妨害しつつ弱らせていく。

いよいよ向こうが組みつこうと躍りかかってきたら、カウンター気味に〈マヒ攻撃〉を放って動きを止め、そこをクゥに追撃させる。



 でかい、というのが鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)が最初に感じたことだった。
『デモノイドキャノン』。 
 それは蒼き暴威とも言うべき存在だった。
 明らかに通常のデモノイドよりも巨体である。
 体高5mはあろうかという威容。
「ちょ……なんだコイツら。クゥよりデカいじゃねえか!」
 キャバリア並だ、と嵐は思ったことだろう。
 あんなものに組み付かれて自爆でもされたら……。
 どうなるかなんていうまでもない。
 生身の人間である自分など簡単に吹き飛んでしまう。
 一巻の終わり。
 そう言葉が彼の頭の中に浮かび上がって、わずかに表情が青ざめる。
 しかし、『怖い』と言っていられる状況でもなけれrば、一言で済ませることのできる脅威でもない。

 震える。
 身が震える。
 いつだってそうだ。
 何度戦っても、どれだけ長く戦場に身を置いても慣れない。
 この体の震えが止まるときが己に来るのかと思う。
 けれど。
「おれは一人じゃあない。だから、来てくれ、クゥ!」
 その言葉と共にユーベルコードの輝きを宿した、焔を纏う黄金のライオンが召喚される。
 身を寄せるように。寄り添うように。支えるうように黄金のライオン『クゥ』が嵐へと体躯を擦り付ける。
「ありがとう……力を貸してくれ!」
 嵐はクゥに騎乗し、一気に弾雨野中を駆け抜ける。

 戦場に満ちる弾丸。
 恐ろしさは消えない。 
 けれど、立ち向かわなければならない。
「クゥ、任せた!」
 意識を共有する。生命を共有しているのだ。共に戦場を疾駆することは、初めてじゃあない。 
 共に在る者がいるということは心強いことだ。
 心が強くなるのならば、恐ろしさは消えずとも薄まるのだ。
「――」
 意志無き声が響く。
 こちらに組み付くつもりなのだろう。巨体がたわむようにして跳躍する。
「……クゥ!」
 獅子の咆哮が迸る。
 恐らく己に組み付いて自爆するつもりなのだろう。弾丸で仕留められなければ、身を挺して自爆する。
 刺し違える。
 自分の身と引き換えにしてでも。
 その心持が如何なるものか嵐には理解できなかったかもしれない。それは恐ろしいことだ。 

「そんな捨て鉢になって、それが当然だなんてことは、見てられないんだよ!」
 スリングショットから放たれる一撃が『デモノイドキャノン』の頭部にぶつかり、動きが止まる。
 そこに飛びかかるクゥの牙。
 噛み砕く顎に『デモノイドキャノン』の巨体が硬直する。
 喉を噛み砕いたのだ。
 巨躯を投げ捨て、クゥは着地する。
 嵐は、事切れた『デモノイドキャノン』を見下ろし、我が身を顧みないとは恐怖にも勝ることなのかと暫し考え、発電所の奥へと駆けていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
押し進め!!

【オーラ防御】『念動障壁』砲弾を弾き
【念動力】|禍集焔業《【闘争心】の炎》でデモノイド細胞を焼き払う!

るぅううううああああああ!!!!

超貫通念動弾を放って【貫通攻撃】
組み付きにくるデモノイドを念動力による【空中機動】で躱し、|楽器型機械大剣《デモニック・ララバイ》発振【斬撃波】
念動の【怪力】で機械大剣を素早く振るい、【早業】斬撃波を伴う刃でデモノイドを【切断】滅多切りする!

壊せ!壊れ尽くせ!!02!!!

そして先の『悪騎兵』で機械大剣に込めた3つ目のUC『灯火の戦塊』発動
不壊属性の自律ディスポーザブル02群を召喚高速射出【推力移動】
強引にデモノイドに組み付かせ灼熱光剣で貫き破壊する!



「――」
 意志なき咆哮が迸る。
 4つの銃身から放たれるのはデモノイド細胞によって生み出された弾丸。
 発電所内部に撒き散らされる弾丸は、火花を散らし、そして周囲をデモノイド細胞で侵食していく。
 その弾雨の最中に朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)はいた。
「るぅううううあああああ!!!!」
『デモノイドキャノン』の意志無き咆哮とは裏腹な咆哮。
 推し進む。
 その意思を強烈に感じさせる小枝子の咆哮が、戦場に響いていた。
 オーラと念動障壁(シールドバッシュ)による防御。
 弾かれ続ける弾丸。
 周囲に飛び散る弾丸が、どれだけデモノイド細胞で戦場を侵食していくのだとしても、小枝子は立ち止まるつもりはなかったのだ。

 己のの心は常に燃えている。
「――」
 迫る『デモノイドキャノン』。
 恐らく小枝子に組み付いて自爆するつもりなのだろう。
 だが、小枝子は己が念動力を集約させ、弾丸へと変えて解き放つ。
「押し通る!!!!」
 放たれた弾丸は徹甲弾のように『デモノイドキャノン』の体躯を一撃で貫いていた。
 真正面から組み付こうというのならば、その一撃でことと足りる。
 だが、敵は多数。
 四方八方から迫りくる『デモノイドキャノン』たちは、小枝子に組み付いて、自爆装置で己が身を挺してでも仕留めようとしている。
 そこに意志はない。
 ただ隷属があるばかりだ。
 命ぜられたから、身を顧みずに自爆させる。
 
 思考停止ですらない。
 もとよりそのつもりだったと、そのためだけに生まれた生命であるとさえ言うように『デモノイドキャノン』たちは小枝子に飛びかかるのだ。
「滅びを覚悟したのではない。元からそのためだけだというのなら!!」
 小枝子は己が手にした機械大剣を揮って迫る『デモノイドキャノン』を切り捨てる。
 しかし、その巨体を押しのけてでも『デモノイドキャノン』たちは己に迫っていいる。いかにしてでも巻き添えにしようと言うのだろう。
「――」
「壊せ! 壊れ尽くせ!! 02!!!」
 咆哮と共にユーベルコードの輝きが満ちる。
 放たれた『ディスポーザブル02』たちが迫りくる『デモノイドキャノン』に組み付き、さらに灼熱の光剣でもって体躯の中心……心臓とも言うべき箇所を貫くのだ。
 爆散する『デモノイドキャノン』と『ディスポーザブル02』。
 燃え上がる光景に小枝子は一瞥をくれる。
 そこには虚しさすらなかった。あるのは意志だけだった。
「お前たちが自分を壊そうというのなら、自分がお前たちを壊す。その意思無き瞳も、声も、全てだ!!」
 小枝子は、破壊の権化として、迫りくる暴威の波を打ち砕きながら発電所の奥へと踏み込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鷹神・豊
聳える蒼い巨躯は怪物の威容
これでも元は一人の人間だった筈だ

討ったのは灼滅者かもしれない
だが倒せと言ったのは俺達に違いない
君達はどちらを憎むのだろうな
愚問か

広い空間を縦に活用
機器やパイプ、敵の体を利用し
ジャンプやフックショットで飛び回りながら
UCで砲門を狙い撃ち焼却
細胞の侵食は防ぐ手段が乏しい
先手必勝だ

兵器無力化の判断は待たず
本体まで一気に畳みかける
敗北を悟る間も無くとどめを刺すか
高速空中機動で撹乱し俺を見失わせるのが理想だが
敵が動いてきた場合も動揺せず追撃を続行

君が自爆するより俺が撃つ方が速い
でなければ
俺もそこまでの人間というだけだ

全て独りで完結出来れば良いがな
命じた側には命じた側の責任がある



 蒼き暴威、『デモノイドキャノン』。 
 その体躯は鷹神・豊(蒼天の鷹・f43985)が知るそれとは異なる巨躯であったことだろう。
 明らかにこの『ダークネス強化改造施設』によるものであると知れた。
 これでも元は一人の人間だったのだ。
 オブリビオンと成り果てる前、デモノイドへとなる前。
 元は人だ。
 寄生体を移植することで生まれる存在。
 ダークネスの尖兵として生み出されたダークネス。
 端から自由意志というものはない。
 然し、彼らは繋がることで自由を渇望し、隷属からの脱却を望んだのだ。

 そして、それを討ったのは灼滅者である。
「だが、倒せと言ったのは俺達に違いない。君達は、どちらを憎むのだろうな」
「――」
 意思無き咆哮が響く。
 そこに意志はない。
 善悪はない。
 あるのは、ただ命令だけだった。
「愚問か」
 問いかけに応える者は、ここにはいない。ただ、命じた者と命ぜられた者がいるだけだ。ただそれだけのことなのだ。

 だからこそ、豊は迫りくる砲撃の中を走る。
 周囲がデモノイド細胞に侵食されていく。このままではジリ貧であることが即座に理解できた。
 だからこそ豊は周囲の機器の上を蹴って飛び、さらにフックショットで身を宙に翻らせながら砲撃を躱す。
「どのみち踏み込まねばならないのだから、俺の後ろが如何にデモノイド細胞に侵食されようとも無意味だ」
 それに、と豊の瞳がユーベルコードに輝く。
「こういうのは先手必勝だ」
 霹靂(ヘキレキ)の如き弾丸が拳銃から放たれる。
 その一撃は地面で爆発し、『デモノイドキャノン』の体躯を揺らす。

 それは布石だった。
 巨体が揺れて『デモノイドキャノン』は体勢を整える。
 再び砲撃を行おうというのだろう。
 だが、その体勢を整える瞬間に豊は駆け抜けていた。踏み込んでいた、と言ってもいい。
 かつての己には踏み出す力がなかった。
 渦中を知りながら、そこに飛び込むことができなかった。
 許されてもいなかった。
 だが、今は踏み出せる。
 己の意志で、意思なき怪物を眼の前に踏み出すことが出来る。
『デモノイドキャノン』が踏み込んできた豊に組み付こうと、その巨大な体躯、両手を広げる。

「寄せ。君が自爆するより俺が撃つ方が速い」
 拳銃を向ける。
 向けた銃口にためらいはない。あるのは決然たる意思だけだ。
 引き金を引いた瞬間、『デモノイドキャノン』の体躯が爆ぜる。
 ここで死ぬのならば、己もそこまでだということだ。
 吹き飛ぶ巨躯が地面に落ちて崩れ行く。
 霧散していく蒼き巨躯を豊は見下ろして瞳を細める。
「全て独りで完結出来れば良いがな。命じた側には命じた側の責任がある」
 今がその時だ、と豊は短く告げて消えていく蒼い怪物に背を向けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【POW判定】
真剣口調でいくよ

キャノンデモノイド…随分と巨大化しているね
この上自爆能力まであるとなると、接近戦は危険か

アナタ達には悪いけど、この先に|待たせている相手《ロード・マンガン》がいるんでね
手早く始末させてもらうよ

UCは『ワタシの上級悪魔兵腕砲』
【ダッシュ/空中浮遊/空中機動】で組み付かれないように距離をとり、変形させた片腕から放つ【レーザー射撃】で戦うよ
攻撃は【第六感/見切り/身かわし】で可能な限り避けて、回避困難な場合は【硬化/鉄壁/オーラ防御/霊的防護/回復力】で耐えるね



「――」
 咆哮が轟いている。
 発電所の内部は広い。もとより、『ダークネス強化改造施設』だったのだから、この不必要とも思える巨大な空間も頷けるところである。
 加えて迫る『デモノイドキャノン』は、体高5mはあろうかという巨躯であった。
 明らかに強化改造が施されていると見ていいだろう。
 しかし、その咆哮に意思はない。
 怒りも憎しみもない。
 当然、悲しみもない。
 あるのは隷属の結果だけだ。
 故にクローネ・マックローネ(闇と神を従える者・f05148)は、その赤い瞳をユーベルコードに輝かせる。

「……随分と巨大化しているね」
「――」
 敵は群れである。
 数を頼りにしながら、その巨躯で持って道を阻んでいるのだ。
 しかも、とクローネは自爆装置までも有していることに気がついていた。
 接近戦はできない。
 組み付かれてでもすれば、自爆されてこちらもただでは済まないいだろう。
「アナタたちには悪いけど、この先に|待たせている相手《ロード・マンガン》がいるんでね。手早く始末させてもらうよ」
 煌めくユーベルこおーど。
 己の肉体に広がるのは蒼きデモノイド寄生体。
 纏う寄生体は、クローネの片腕を光線砲の砲台へと変じさせる。
 それは奇妙な砲台だった。

 捻れるようにデモノイド寄生体……その細胞が砲身を形成し、支持装置のように地面へと支柱が打ち立てられるのだ。
「これがワタシの上級悪魔兵腕砲(ブラック・デモノイドロード・アーム・キャノン)。標的捕捉……デモノイド・クライング・パーム・キャノン、発射!」
 放たれるは光条の一撃。
 炸裂する一撃は迫る『キャノンデモノイド』で薙ぎ払うようだった。
 敵に何もさせない。
 自爆のために組み付く暇も与えない。

 敵もそれは承知しているだろう。
 故に砲撃が迫りくる。
 クローネが突出した個であるというのならば、『デモノイドキャノン』たちは、群れだ。
 意思なき存在故に、彼らに恐怖はない。
 怒りや憎しみがないのと同じように、恐怖はない。
 だからこそ、そんな戦法が取れる。
 我が身がクローネの放つ光条に撃たれても、それでも砲撃をやめないのだ。
「どこまで行っても、結局、隷属する運命だっていうのは……悲しいことかもしれないけれど」
 それでも、捨て置くことはできないのだ。
 故にクローネは、待ち受けているであろう、この事件の首魁である『ロード・マンガン』の元へと向かうために光条が切り拓いた道を往くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
まあ生前?なら兎も角、オブリビオンになったんならそれはもうただのデモノイドという名の化物
こういう奴の方がやりやすいってね

体格というのは基本的にはデカい方が有利だけれど、屋内で5mは…
ええ…運用出来るの…?
クソデカイ力士が働く為の設計にでもなってたの、この発電所?
この発電所…何か変…?

引き続き《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
剣を構えて駆けながら【偽書・焔神】起動
剣から蒼炎を放射し、キャノンデモノイドを炙る
砲門を重点的に狙って焼いていって砲身を歪ませよう
熱した砲身は接近した時に剣で『なぎ払い』切断
砲門を使用不可にして、後は焼き!
…食べないけどね?
不味そうだし!



 デモノイドは、寄生体に支配されたダークネスである。
 ダークネスによって生み出されたダークネス。
 隷属を運命づけられた存在。
 自由を望み、しかし叶わなかった存在である。
「まあ生前? なら兎も角、オブリビオンになったんなら、それはもうただのデモノイドという名の化け物。こいういうやつの方がやりやすいってね」
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は、戦場となった発電所を疾駆する。
 迫るは砲撃。
 蒼き暴威『デモノイドキャノン』たちの放つ砲撃は苛烈そのものであった。

 巨躯であること。
 そおして、4つの砲身が絶え間なくデモノイド細胞を変じさせた弾丸を放ってくるのだ。
 しかも、着弾した地点をデモノイド細胞で侵食していくのだ。
「デカいのは確かに厄介だけどさ……屋内でこんな大きいのって運用できるの……? っていうか、この発電所、何か変……?」
 それもそのはずである。
 ここは発電所に偽装された『ダークネス強化改造施設』なのだ。
 もとより、発電所としての設備もあろうが、これに加えて改造強化されたダークネスを搬出する機構もあったはずだ。
 ならば、その内部もまた同様であろう。
「――」
 意思なき咆哮が響き渡る。

「クソデカイ力士が働く設計にでもなってたの、この発電所?」
 地下のクソデカイ謎の棒を回すとか、そんな方法で発電するつもりだったのかもしれない。
 そんな想像を玲は振り払うように頭を振る。
 ちょっと面白い光景かもしれないなどと思ってしまったのだ。
 抜き払った二振りの模造神器。
 蒼き刀身が煌き、戦場に残光を刻みながら彼女は『デモノイドキャノン』に迫る。
「接近戦は即自爆に動くだろうから!」
「――」
 咆哮と共に迫りくる『デモノイドキャノン』。
 ユーベルコードに輝く玲の瞳が見据えるのは、その身よりせり出した4つの砲身だった。

「システム切替、偽書・焔神起動。猛り、狂い、燃やし尽くせ」
 振るった刀身より放たれた浄化の蒼き炎が宙を走り、『キャノンデモノイド』の砲身へと叩きつけられる。
 歪んだ砲身を押しのけるようにして玲は踏み込み、手にした模造神器を蒼き体躯へと突き立てる。
 血潮はでなかった。
 何故なら、その刀身は内側から『キャノンデモノイド』の体内を焼き切り、自爆装置の機能を失わせていたのだ。
「――」
 無念、という感情すら『キャノンデモノイド』にはなかった。
 あるのは、ただ隷属するためだけの体躯。
 オブリビオンとなっても、その運命は変わらない。
 ただ只管にあるのは空虚のみ。
 かつてあった意思というものすら感じさせない蒼い巨躯は、蒼炎の炎の中に霧散するしかなかったのだ。

「……食べないけどね?」
 いや、焼けばいいってもんでもないだろうに、と玲は呟く。
 とは言え、である。進まねばならない。
 蠢く巨躯。
 その先にあるのは、発電所……『ダークネス強化改造施設』の最奥。
 そこに控える『ロード・マンガン』。
 これを討たねば、デモノイドの脅威は再び世界を脅かす尖兵となることは間違いないのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

皇・銀静
デモノイド…もっとも新しいダークネスだったな
元々はコイツらも人でありソロモンの悪魔どもの実験体だった
ならば昔同様に引導を渡してやる

グリム
「畏まり☆」(機神化)
【戦闘知識】
敵の能力と動きを解析
そして急所も捕捉
【属性攻撃・弾幕・念動力・二回攻撃・空中戦・切断】
念動障壁展開
UC発動
槍の神同時発動
神速で飛び回り槍による串刺しや拳
回し蹴りや魔剣による斬撃を叩き込んでの蹂躙

自爆も何もさせる気はない
お前達は静かに眠ればいい

「同情してるの?」
そんなわけあるか
だが…甦ってまで自我も何もかもないってのは少しばかり虚しいな
生まれ変わりがあるならもう少しはましであるぐらいは祈ってやる
「あるよ☆きっとね☆」



「デモノイド……最も新しいダークネスだったな」
 皇・銀静(陰月・f43999)は、蒼き巨躯を見上げていた。
 そこにいたのはオブリビオンとなった『キャノンデモノイド』であった。
 だがしかし、それは通常とは異なる巨躯。
 そう、この発電所に偽装された『ダークネス強化改造施設』によって強化改造の施されたオブリビオンなのだ。
 故に体躯は膨れ上がり、体高5mはあろうかという体躯へと変貌しているのだ。
 吹き荒れるような砲撃。
 デモノイド細胞が驟雨医を侵食していく中、銀静は息を吐き出す。
「元々はコイツらも人であり、ソロモンの悪魔どもの実験体だった。ならば、昔同様に引導を渡してやる」
『畏まり☆』
『グリム』の言葉と共に身を包むは、キャバリア。

 敵が体高5m級であるというのならば、此方の手段が手っ取り早いと思ったのだろう。
「強化改造された、ということで巨躯になったのなら、単純に能力も強化されていると見るべき、か」
『そうみたい☆』
「なら、遠慮はいらない」
 迫る砲撃を念動障壁で防ぐ。
 が、長くは保たないだろう。
 銀静は『グリームニル』の瞳にユーベルコードの輝きを宿す。

「白虎門…反転…須らく…砕け散れ」
 その言葉と共に邪気をまとった風を吹き荒れさせ、『グリームニル』が『キャノンデモノイド』の懐に飛び込む。
 神速の踏み込みは、そのまま飛び蹴りのように『キャノンデモノイド』の体躯を打ちのめし、さらに槍を押し倒した胸へと突き立てる。
 だが、それを受けてなお『キャノンデモノイド』は『グリームニル』に組みつこうとしてくる。
 自爆装置によって、死すのならば諸共と言うつもりなのだろう。
「自爆も何もさせる気はない」
 瞬間、魔剣を叩き込んで『キャノンデモノイド』を絶命させるのだ。
 絶命すれば、自爆装置も起動はできない。

「お前たちは静かに眠ればいい」
 銀静はただ、そう呟く。
 その瞳には、『キャノンデモノイド』と同じように感情もなかった。
 あるのは、ただ一つ。
『同情してるの?』
「そんなわけあるか」
 ただ、虚しいだけだ。
 オブリビオンとして蘇っても自我のない手駒としてしか存在できない。
 そんなデモノイドたちは、どこまで行っても利用されるばかりでしかないのだ。
 それを虚しいというのならば、きっとそうなのだろう。
 もしも、生まれ変わりというものがあるのなら、もう少しはマシであってほしいと祈るのは、何も間違いではないだろうと思うのだ。

「ただ、祈ってやるだけだ。もっとマシな運命っていうものを」
『あるよ☆ きっとね☆』
 その言葉に銀静は応えない。
 そして、物言わぬ骸となった『キャノンデモノイド』たちが霧散していく。
 やはり、祈っても虚しいだけだ。
 どこまで行ってもオブリビオンと己達は相争う間柄。
 であるのなら、己は前に進むだけなのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ロード・マンガン』

POW   :    マンガンランス
単純で重い【マンガンランス】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    エレクトリック・デモノイド
自身の【体内に蓄積した電力】を代償に、【電流の肉体を持つデモノイド】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【放電】で戦う。
WIZ   :    マンガンジャイアント
自身の身長の2倍の【マンガン鉱石の巨人】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。

イラスト:鋼鉄ヤロウ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 発電所の電力を引き出し、『ロード・マンガン』は巨大化していた。
 もとより巨人のような体躯であったが、『ダークネス強化改造施設』にあっては、なおその力は強大化していた。
「デンリョク、タクサン、これで、戦えル」
 片言の言葉。
 知性を感じさせないものであったが、然し『ロード・マンガン』は、その赤い輝きを瞳に宿し、ロードクロサイトの如き体躯を一層強大なものとする。

「マンガン、プラス……」
 デモノイドロードの力。
 繋がる力。
 然し、その発露は虚しく輝くばかりであった。
 今の『ロード・マンガン』には、その力を何処に繋げばいいのかわからないのだ。
 忘れている。
 忘却の彼方に確かな絆を感じていながら、しかし、それが何なのかわからない。
「わからなイ。どうして、思い出せナイノカ、わからなイ」
 慟哭が響く。
 しかし、『ロード・マンガン』は、その瞳にユーベルコードの輝きを灯す。
 眼の前に猟兵がいる。
 滅ぼさなければならない。
 従属という運命は、変わらない。
 どこまで行っても『ロード・マンガン』は他者に従うことしかできない。

 自由という名も知らず。
 平和すらも知らず。
 さりとて、戦うことでしか己の存在を証明できない鋼鉄の巨人は、その赤き輝きを宿し、蓄えた力を発露するように猟兵たちに慟哭のまま襲いかかるのだった――。
鏡島・嵐
おれは、|この世界《サイキックハーツ》のことには全然詳しくねーけど。
コイツがものすごく悲しい存在だってことは、なんとなくわかる。

何をしても報われず、安らぎも得られず、だからって別の運命を選ぶという発想も無く。
「生きる目的」が無くなっても生きるのをやめられねえのが生命ってモンだけど。
……それでも。
この在り方を「善し」と認めるなんて、おれには出来ねーよ。

今のおれに出来ることは他に無ぇし、とても怖いけど。
だからこそ、せめてこの悪い夢から解き放ってやらなくちゃな。
……さあ、悪夢を笑い飛ばせ、|笛吹き男《ラッテンフェンガー》!

能力を増幅し、〈限界突破〉した一撃を。
狙いをつける目に、少しだけ涙を浮かべて。



 哭いている。
 巨体が震えている。
「マンガン、プラス……プラス、プラス、プラス……ッ!!!」
 どこに繋げばいいのかわからない。
 わからないから、哭いているのだと鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)は思う。
 眼の前の鋼鉄の巨人『ロード・マンガン』は、慟哭している。
 その姿に嵐は見上げる。

 わからない。
 己もわからない。
 あの慟哭の主が、何故ああも悲しげな声を上げているのか。
 この世界、サイキックハーツ世界のことを全て知っているわけではない。
「けれど、アイツがものすごく悲しい存在だってことは、なんとなくわかる」
「プラス、プラス……わからなイ。どこに繋げばいイ? わからなイ」
 膨れ上がっていく鋼鉄の巨体。
 発電所の天上を突き破った巨体は、その手にしたロードクロサイトの槍を振り上げた。
 叩きつけられるようにして天上を突き破りながら、槍の穂先が嵐に襲いかかる。
 瓦礫が飛び散り、その最中を嵐はしかして面を上げて見つめる。

『ロード・マンガン』の赤い瞳には、悲しみばかりが満ちている。
「何をしても報われず、安らぎもえられず、だからって別の運命を選ぶという発想もなく。『生きる目的』がなくなっても、生きるのをやめられねえのが生命ってモンだっけど」
「オオオオオッ!!」
「……それでも」
 再び振り上げられた槍が発電所の天上を完全に粉砕する。
 散る破片野中、嵐は駆け抜ける。
「この在り方を『善し』と認めるなんて、おれには出来ねーよ」
 体が震える。
 悲しみ満ちる戦場に体が恐怖に震える。けれど、恐怖に固まることがなかったのは幸いだったことだろう。
 己にできることは多くない。
 けれど、あるのだ。
 恐怖に打ち勝つだけの理由が己の中にはある。

「だからこそ、せめてこの悪い夢から解き放ってやらなくちゃな」
 嵐の瞳がユーベルコードに輝く。
 これは悪夢だ。
『ロード・マンガン』にとっての。
 過去の化身として世界からにじみ出た彼の、悲しみ理由さえわからなくなった虚ろな胸を抉る夢だ。
 だから、嵐は恐怖に引きつる口角を無理矢理に釣り上げた。
「……さあ、悪夢を笑い飛ばせ、|笛吹き男《ラッテンフェンガー》!」
 嵐の足元から、いや、背に立ち上るのは道化師。
 笛吹き男の凱歌(ラッテンフェンガー・パラード)。
 響くは、荒唐無稽な冒険劇。
 おっちょこちょいで、お調子者の行軍歌。
 進む先が常闇であっても、それでも前に進むことを決めた喜劇。
 なら、嵐は思う。

「わからなイ、どうしテ、ここにイるのか。わからなイ」
「だよな。繋がる先もわからなくなっちまったんだもんな。寂しいよな。心細いよな。でも、それは、お前がきっと誰かと絆を紡いでいたからだ。だから」
 思い出せるのなら、それはきっと骸の海に還った時だ。
 視界が歪む。
 眦に浮かぶ涙。
 それを拭うより早く、嵐のスリングショットから放たれる弾丸は『ロード・マンガン』を貫く一撃となって宙を閃光のように駆け抜けた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

北条・優希斗
*2章の真の姿維持
そう言えば再孵化の時
プラチナは『帝竜』として覚醒したが、当時の記憶は無かったね
…他者に従う事しか出来ない、か
…それも『自由』を求めた先の結末なのかも知れないね
…|誰《・》もこのままじゃ報われないな
ならば、せめて俺は君に『絆の力』とは何かを
リスクを承知の上である程度思い出してから骸の海に還って欲しいかな
本当に悲しいのは
―『忘れた儘』でいる事だから(瞑目)
開眼と同時に先制攻撃+UC
電流の肉体持つデモノイドの軌跡を見切り
ダッシュ+軽業+残像+第六感+戦闘知識+地形の利用+オーラ防御
放電の被害を最小限にしマンガンに肉薄
その|精神世界《ソウルボード》にUC:シャドウペルソナを召喚
その上で自身のペルソナと共に
『ロード・プラチナ』が『束縛』からの『自由』を望んで『絆の力』で戦った事をマンガンの精神世界と現実世界の両方から
2回攻撃+早業+連続コンボ+居合を含めて双刀で
徹底的に記憶として刻み込む
…乱暴なのは承知しているけれども
君には対話よりも外科『医術』の方が有効だと思えるからね
…お休み



 過去を思う。
 北条・優希斗(人間の妖剣士・f02283)は思う。
 己の過去を。
 大いなる戦いの記憶は鮮烈だった。
『ロード・プラチナ』――帝竜としての彼女は誠に隷属から開放された自由を謳歌するようでもあった。
「『プラチナ』は、帝竜として覚醒したが、当時の記憶はなかったね」
「わからなイ」
『ロード・マンガン』の巨体が薙ぎ払った発電所の屋根。
 瓦礫が散乱する中、その身に溜め込んだ電力によって生み出されたデモノイドたちが優希斗に殺到する。

 これまで貯めた電力がどれだけのものであったのかを示すように、電力そのものたるデモノイドの数は凄まじかった。 
 もしかしたのならば、この発電所に偽装された『ダークネス強化改造施設』の恩恵があったのかもしれない。
「……他者に従うことしかできない、か。それも『自由』を求めた先の結末かもしれないね……|誰《・》もこのままじゃ報われないな。ならば、せめて俺は君に『絆の力」とは何かを思い出して欲しい」
「マンガン・プラス、プラス……プラス、わからなイ」
「だろうね。やっぱり――『忘れた儘』でいることは、本当に悲しいことだから」
 瞑目したのは、すでにオブリビオンと化しているからだろう。
 それは死していると同義。
 故に、それは例え己の胸に去来する虚しさを埋めるための儀式であったのかもしれない。
 けれど、それでも、だ。

 偽りとも見せかけとも言われようとも、それでも今己の胸に去来した虚しさを贖うためには、それらと向き合わなければならない。
 対決なのだ。
 これは、きっとそういうことなのだ。
 過去を踏みつけ、排出して時が前に進むのなら、これは避けては通れない。
「舞えや、舞え。全ての未来と過去のその先を」
 刮目し、煌めくは超克の輝き。
 灯されたユーベルコードの輝きは、迫る電流のデモノイドを一閃、切り裂く。
 両断された電流が再び結合して優希斗の背後から襲いかかる。
 しかし、その一撃を見切り、貫くのは残像だけであった。

「どこに繋げバ、いい……どこにも、ダレにも、つながらイ」
「きっと名前を告げても、貴様はわからないままだろう。だから、その心に直接刻み込む」
 ユーベルコードの輝きが満ちる。
 精神世界、ソウルボードと呼ばれた世界に己のシャドウペルソナを召喚し、優希斗は現実と精神の両面から『ロード・マンガン』へと斬りかかる。
「『ロード・プラチナ』は『束縛』からの『自由』を選んで『絆の力』で戦った。それさえも忘れてしまったから、貴様は思い出せないのだろう。過去の化身、オブリビオン……過去の堆積は、存在を歪める」
 振るう刃が『ロード・マンガン』の巨躯と激突して火花を散らす。
 迫る電流のデモノイドを躱しながら、優希斗は赤い瞳を見つめる。
 慟哭が響いている。
 精神世界では、もうずっと慟哭が響いていた。

 悲しみばかりが膨れ上がっている。
 だからこそ、刻まねばならない。
 忘れたのなら、忘れないように。
「……乱暴なのは承知しているけれども」
 それでも思い出して欲しい。
 それは彼らにとってかけがえのないものだからだ。それなくば、彼らは隷属したままだ。
 自由への希求。
 それによって彼らは戦いの中でも、お互いのことを認識できていたのだ。
 辿る道が破滅であっても、進むことができたはずなのだ。
「……もう疲れたろう」
「忘れて、ハならない、コト」
「そうだ。だから……おやすみ」
 振るう斬撃は、斬りつける己の心を痛めるようだった。

 それでも、振るう。
 オブリビオンという存在は、そこにあるだけで世界を破滅に導く。
 猟兵としての刃は、己の心をも斬りつけるものだとしても、振るうことにためらいはないのだと優希斗は『ロード・マンガン』の体躯へと慟哭の源を刻み込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鷹神・豊

俺は予知で何を視たとて
一々心痛に喘ぐ程繊細ではなかった
灼滅者達の脆さは得難い優しさだった

彼らと関わり理解した
俺のような者こそ人一倍思慮深く
同時に強くも在るべきだと
君達が言う所の絆だ

己の都合で出した犠牲に弁明はしない
UC使用
反抗は大いに結構
俺達が掴んだ自由を奪ってみせろ

飛び道具は封印し真っ向勝負
槍を鷹爪のダッシュで潜り抜け
破壊された地形を悪路走破で走行
隙を見て地道に拳や蹴りを入れ
巨体の足元から徐々に身体部位封じをかける

動きが鈍れば上の部位へ攻撃対象を移し
関節等の脆い部分を狙う
最終的には急所を見抜き連続コンボで叩く

矮小な人間も此処まで抗える
言うだけは簡単だ
俺は俺の絆を示す事で
僅かでも君と繋がろう



 今にして思えば、と言えることではない。
 当時からそう思っていただろうし、そうしたことを言葉にはしなかっただけだ。
 仮に、それを言葉にした所で彼らの優しさに報いることではなかったからだ。
 己にできたのは、予知を視て伝えることだけだった。
 心痛に喘ぐほど繊細さを示す必要はなかった。
 常に戦うのは自分ではなかった。
 戦いに赴く彼らに己の痛みは、関係のないことだったし、それを背負わせるつもりなどなかった。
「あの日、あの時の彼ら――灼滅者達の脆さは、得難い優しさだった」
 弱さを優しさなどと言い換える事自体が、脆弱さを証明しているようなものであったが、鷹神・豊(蒼天の鷹・f43985)はそう思わなかった。
 彼らの誰かの憂いに寄り添う優しさがあったからこそ、今がある。

「彼らの優しさがああるからこそ、俺は理解した。俺のようなものこそ、人一倍思慮深く、同時に強く在るべきなのだと」
「マンガン、プラス……わからなイ。胸に、刻まれテ、それでも、これがなんなのカ。繋がるべき場所モ、わからなイ」
『ロード・マンガン』の声が響く。
 慟哭にも似た声だった。
「それが『絆の力』だ。だが、行く先もわからないのならば……俺にも理解できるよ。君達のそれと、俺の胸に抱くものは同じだ」
 ユーベルコードに瞳が煌めく。
 過去は変えられない。 
 が、今ににじみ出た過去は歪む。
 あの戦いは生存競争だった。
 結局、どこまで行っても。大義を掲げても。
 己たちの都合で滅ぼしたのだ。弁明の余地はない。

 振りかぶられる巨大なロードクロサイトの槍。
「オオオオッ!!」
 慟哭と共に振り下ろされた一撃を、豊は踏み込んだ己の足……地面を掴むように火花を散らした車輪の回転と共に前に踏み出した。
 小細工はいらない。
 踏み出す。
 一気に駆け抜けて、巨大な槍の上を疾駆する。
 まっすぐに見据える。
 ここにあるのは、己の意思だ。
「反抗はお覆いに結構。俺達が掴んだ自由を奪って見せろ」
 己の心には克己心がある。
 眼の前に在るのは敵ではない。己が乗り越えなければならない過去である。
 精算だ。

 かつての痛みを乗り越えろという己が思う試練でしかない。
 発電所の天井をぶち抜くほどの巨体となっている『ロード・マンガン』に立ち向かうのは事実、困難だろう。
 だが、そうした現状に反旗(ハンキ)を翻すように豊は己が蹴撃を『ロード・マンガン』の顔面に叩き込む。
 反動で身を翻し、離れた距離を着地して即座に詰める。
 巨体であろうとなんであろうと、人型をしているのならば、そこに関節がある。
 振るわれる拳が関節を砕くように叩き込まれる。
 拳に痛みが走る。
 が、それでいいとさえ思った。

 己は示さなければならない。
 隷属を運命づけられた徒に。
 かつて紡いだ絆が、どれだけのものであったのかを。そこに上下もなければ多い少ないもない。
 あるのは厳然たる事実のみ。
「マンガン、プラス……」
「わからないだろう。その先が……だからこそ、俺は示す。矮小な人間も此処まで抗える。。言うだけは簡単だ。俺は、俺の絆を示すことで、僅かでも君と繋がろう」
 例え、敵同士であったとしても。
 そこには確かにつながりがあるのだ。
 砕けた拳の先に亀裂がある。
 噴出した血潮であっても、繋がりというのならば、きっとそうなのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【WIZ判定】
真剣口調でいくよ

はじめまして、或いは、久しぶり
どうしたの?タカトにでも絆をとられたの?…なんてね
大方、アナタ達デモノイドのサイキックハーツが灼滅された事が影響しているんだろうね
…もし、アナタがこの施設を使う事をやめてくれるなら、ワタシが知るデモノイドロードの名を教えてもいいんだけど
…まあ、無理だよね
仕方ないか
これ以上孤独と忘却で苦しむ前に…
|灼滅《ころ》してあげるよ、ロード・マンガン

UCは『ワタシの上級悪魔兵合体』
召喚したデモノイドロードと合体する事で真の姿の一つ、デモノイドロード形態に変身するよ
デモノイド寄生体弾による【弾幕】と、剣状に【武器変形】させた腕による【切断】攻撃を使い分けて戦うよ
攻撃は【第六感/見切り/身かわし】で可能な限り避けるね

…最期に、教えてあげるよ
ワタシと合体したデモノイドロードの名を
骸の海に還れば、また忘れてしまうのだとしても
せめて、一人位は
(マンガンにしか聞こえない様に小さな声で)…■■■■



 発電所の天井をぶち抜くほどの巨体。
 それが『ロード・マンガン』であった。恐らく、『ダークネス強化改造施設』を使用したことへの影響であろう。
 巨大なロードクロサイトの槍の穂先を掲げ、慟哭が響く。
 それは猟兵たちの攻勢を受けて痛みに喘ぐからではなかった。
「マンガン、プラス……プラス、プラス」
『プラスコネクト』。
 デモノイド同士繋がることで得られる力。
 しかし、過去の化身である『ロード・マンガン』には、それが使えないようだった。
 忘れてしまったからだろう。
 過去の堆積は、それほどまでに存在を歪める。

 彼らにとってもっとも得難く、大切なものであったもの。
 それが失われてしまっているのだ。
 故に慟哭はやまない。
「はじめまして、或いは、久しぶり」
 クローネ・マックローネ(闇と神を従える者・f05148)は静かに告げる。
 けれど、『ロード・マンガン』は理解できていないようだった。
「どうしたの?『タカト』にでも絆をとられたの? ……なんてね。大方、アナタ達デモノイドのサイキックハーツが灼滅されたことが影響されているんだろうね」
 クローネは頷く。
 空の手を彼女は広げた。

「……もし、アナタがこの施設を使うことをやめてくれるなら、ワタシが知るデモノイドロードの名を教えてもいいんだけど」
「わからなイ。デモノイド、ロード、ということも、何もかも。この悲しみダケが、心に渦巻いているッ!」
 振るわれる槍の一撃に施設が粉砕されていく。
 瓦礫が舞い、周囲に土煙が舞い上がる。
「……まあ、無理だよね。仕方ないか」
 これ以上、とクローネは思った。
 絆を忘れたデモノイドロードにとって、今の状況は何よりも耐え難い状況だろう。。
 繋がることで力を得た彼ら。
 繋がることで孤独ではないことを知った彼ら。
 知ってしまったから、喪ったことで苦しまねばならない。

「これ以上孤独と忘却で苦しまなくていいんだよ……だから、|灼滅《ころ》してあげるよ、『ロード・マンガン』」
 ユーベルコードにクローネの瞳が輝く。
「『レアメタルナンバー』の力……少しの間、利用させてもらうよ」
 召喚されたダークネス。
 かつて存在したサイキックハーツの種族『デモノイドロード』。
 その力の一端を合体することでクローネは引き出していた。
「わからなイ。胸が、痛みヲ、訴えテ、いるノニ」
 それがなにかわからないとロードクロサイトの槍が再び振るわれる。
 叩きつけられる一撃をクローネの変形した腕のブレードが切断する。宙を回転しながら穂先が飛び、地面に突き刺さる。

 衝撃に地面が揺れる。
「……最期に教えてあげるよ」
 クローネの腕部が銃器に変形し、弾幕を解き放つ。
 デモノイド寄生体の細胞が変じた弾丸が『ロード・マンガン』の体躯へと叩きつけられ、その駆体にひび割れが生じていく。
「ワタシと合体したデモノイドロードの名を……骸の海に還れば、また忘れてしまうのだとしても」
 せめて、一人位は、と思うのはエゴだったのかもしれない。
 忘れてしまう。 
 得たとしても、また忘れてしまう。
 そういう運命だと肯定したくはないが、しかし、骸の海は過去の集積地。
 その堆積に存在が歪んでしまう。
 再び、このサイキックハーツ世界に『ロード・マンガン』が復活しても、それは今目の前にいる『ロード・マンガン』と同一ではないのだ。

 けれど、クローネは巨体の上を駆け上がってブレードを『ロード・マンガン』の額に叩き込む。
「……■■■■」
 それは彼にしか聞こえなかっただろう。
 けれど、せめてと思ったのだ。
 それは誰かの憂いに寄り添う心があればこそ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
『禍集・壊塵非生』先の戦いで爆散させたディスポーザブル02に、デモノイドキャノン共の残骸を巻き込み己に集積融合変身!
ファウダー展開【呪詛弾幕】電流デモノイドを呪い壊しその電力を【念動力】で回収融合!

戦え!それだけが!!自分と貴様をつないでいるのだから!!!

メガスラスター【推力移動】
02とデモノイド達で固めた禍集壊腕、4腕の【怪力】で殴り掛かる!
槍の穂先を受け止め、マンガン鉱石の躰を砕き、そして!
機械大剣より4つ目のUC『レゾナンスワールド』と五つ目のUC『破砕演奏』発動!
機械大剣【楽器演奏】己が【闘争心】を反映させた音を放ち、
自身の周囲、ロード・マンガン、ダークネス強化改造施設を破壊し尽くす!



 戦いばかりが、己の道だった。
 それ以外はない。
 破壊するしかないし、破壊せねばならないと思う。
 それを衝動と呼ぶのならば、きっとそうなのだろう。問答するつもりはない。否定もしない。全て肯定するしかない。
 何故なら、己は破壊の権化だからだ。
「オオオオオオオオオオオッ!!!!!」
 凄まじい咆哮と共に爆散する『ディスポーザブル02』と『キャノンデモノイド』の残骸を取り込むように、いや、巻き紅葉にして朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は戦場を疾駆する。
 天井の崩落した発電所、『ダークネス強化改造施設』の瓦礫すらも彼女は巻き込んで束姉ていく。

 禍集・壊塵非生(デッドギヤ・ディスポーザブル)。
 ユーベルコードの力は、彼女の姿を三眼六臂の破壊を顕現させるためだけの権能へと至らしめる。
 振るう拳が電流デモノイドへと叩きつけられ、その電流たる体躯すらも引きちぎり、捕食するように巻き込んでいくのだ。
 いや、融合している。
 膨大な電力すらも食い物にして小枝子は咆哮する。
「壊れろォォォッ!!!」
「マンガン、プラス、プラス……わからなイ」
 ひび割れた体躯。
 しかし『ロード・マンガン』は戸惑うばかりであった。
 彼にとって、『プラスコネクト』は力として認識できていても、繋がるべき場所を見いだせない力だった。

 忘れてしまった悲しみが、彼の力を減じているのは皮肉でしかなかった。
 オブリビオンとして、過去よりにじみ出た時に歪んだのだろう。それが忘却に繋がっている。繋がるべき場所を見失った迷い子同然。
「戦え! それだけが!! 自分と貴様をつないでいるのだから!!!」
 小枝子は咆哮する。
 戦え、と。
 眼の前に敵がいるのだからと、噴射するメガスラスターの噴射光と共に小枝子は『ロード・マンガン』に組み合う。
 寸断されたロードクロサイトの穂先の一撃を払い除けて、拳を叩き込む。
 亀裂がさらに深くなっていく。
「壊れろぉぉぉぉ!!!」
 手にした機械大剣より迸る音。
 それは小枝子の心音であった。
 己が闘争心。
 戦え、と叫び立てる心。

 どのみち、だ。
 結局のところ、自分達は戦うことでしか互いを認識することはできない。
 だから、小枝子は拳を振るう。
『ロード・マンガン』の一撃を受けても止まらない。
 周囲を破壊に導き、さらに小枝子は憤怒の形相のままに拳を叩きつけ続ける。
 これが己の出来ること。
「マンガン、プラス……プラ、ス……」
「これが、繋がるということ、だァァァァッ!!!」
 握りしめた拳が鉄槌のように『ロード・マンガン』の頭蓋へと叩き込まれひしゃげさせた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
信念も無く、願いも無く
戦いでしか満たされないというのなら、このまま此処で果てて貰うよ
まあどっちみち、種族としてはもう完全に滅び去った種族
遠慮はしない、過去は今に干渉するべきじゃない

光此処に在らずとも
願い此処に在らずとも
祈り此処に在らずとも
想い此処に在らずとも
超克の意思、此処に在り!

超克…オーバーロード
外装転送、模造神器全抜刀

いくらグローバルジャスティスの遺産でパワーアップしようとも、それ以上の力で正面から打ち砕いてあげる
過去は過去らしく、思い出にだけあれば良い
骸の海に還るのがお似合いだよ

4剣を構え、近接戦を仕掛けよう
外装の剣で敵のランスと打ち合い機会を図る
電力で質量が増えるとか、随分と都合のいいパワーアップをしてくれちゃって
物理法則も何もあったもんじゃないね…って今更か
【Code:T.S】起動
全剣に雷刃を展開
敵に合わせてサイズを調整、一気に振り抜き敵を斬り裂き切断していこう
過去は過去、未来ある世界に迷惑を掛けないように!

アドリブ等歓迎



「信念もなく、願いもなく。ただ戦いでしか満たされないというのなら、このまま此処で果てて貰うよ」
 響く慟哭。
 ひしゃげた頭蓋。
 ひび割れた体躯。
 寸断されたロードクロサイトの槍。
 その全てを奮って『ロード・マンガン』は慟哭していた。

 月夜・玲(頂の探究者・f01605)の語るところの信念は、もとより『ロード・マンガン』にはなかったのかもしれない。
 あったのは、絆だけだ。
 隷属し、従うだけの存在。それがデモノイドだ。
 故に、同胞との絆以外は持ち得ていなかった。
 そして、それが骸の海より滲み出るがゆえの堆積に歪んだのならば、記憶もまた歪む。
 そうなって当然であると言えば、それまでなのだろう。
「プラス……プラス、わからなイ。なんで、戦ウのか」
「戦う理由も、その慟哭の理由もわからないんだね。まあ、どっちみち種族としてはもう完全に滅び去った種族。遠慮はしない、過去は今に干渉すべきじゃない」
 何故なら、オブリビオンは存在するだけで世界に破滅をもたらすからだ。
 捨て置けない。
 放置することもできない。

 故に玲の瞳が超克に輝く。
「光此処に在らずとも」
 抜き払った二振りの模造神器の刀身が蒼く輝く。
「願い此処に在らずとも」
 その理由も忘れたオブリビオンは、その巨体を戦慄かせた。
「祈り此処に在らずとも」
 振り上げた拳は、振り下ろされるしかない。
「想い此処に在らずとも」
 どこまで行っても戦う理由しなかい。それが猟兵とオブリビオンという存在の間柄であるとうのならば。
「超克の意思、此処に在り!」
 玲のオーバーロードの光と共に転送された外装が模造神器の残る二振りを抜き払う。
「超克……オーバーロード、外装転送、模造神器全抜刀」
 煌めく蒼き刀身の四振りが煌めく。
 その輝きを切っ先に宿して、玲は『ロード・マンガン』の巨体へと飛ぶ。

 この『ダークネス強化改造施設』によって『ロード・マンガン』は発電所の電力を根こそぎ奪っている。
 あの巨体が証明している。
だからこそ、玲はそれ以上の力で正面から打ち砕くと言わんばかり四振りの模造神器を交錯させた。
「プラス……コネクト……!」
「過去は過去らしく、思い出だけあれば良い。骸の海に還るのがお似合いだよ。Code:T.S(コード・サンダーソード)、出力上昇、雷刃形成」
「オオオオッ!! どうしテ、どうしテ、思い出せなイ」
 咆哮と共に『ロード・マンガン』が身に満たした電力をほとばしらせながら、寸断されたロードクロサイトの槍を振りかぶって投げ放つ。
 瞬間、交差させた模造神器より迸る雷刃と『ロード・マンガン』の放ったロードクロサイトの槍が激突する。

 力と力の奔流。
 その激突が天井の崩れた発電所の周囲を吹き飛ばし、さらに力を増していく。
「マンガン、プラス、プラス、プラス……ッ」
 吹き荒れる力。
 この発電所……『ダークネス強化改造施設』より引き出される電力によって『ロード・マンガン』は巨体化しているのだ。
 恐るべきことである。
 電力を得る度に巨大化していく、というのならば『ロード・マンガン』は、この『ダークネス強化改造施設』にて際限なく巨大化していくことだろう。
 それによって齎される被害というものは想像に難くない。
 故に玲は、その瞳に超克の輝きを灯す。
 ここで押し切らねばならないと判断してのことだった。
「随分と都合の良いパワーアップしてくれちゃって……物理法則も何もあったもんじゃないね……って、今更か」
 玲の模造神器が槍の一撃を振り払う。
 かち上げた槍の向こうに見える巨体。
 猟兵たちの攻勢が、その体躯に亀裂を走らせているのだ。
「過去は過去、未来ある世界に迷惑をかけないように!」
 玲はそう言って形成された四つの雷刃を振るい、『ロード・マンガン』の駆体に二連十字の斬撃の痕を刻み込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

皇・銀静
デモノイドロード…デモノイドの中から生まれて知性と謀略を得たもの
ソロモンの悪魔共の犠牲者だ

「そういえば主は戦ったの?」
…阿佐ヶ谷地獄…アンデットの襲撃で多くの人がデモノイド化した事件でな(心底苦々しげ)
僕らは結局救うことは出来なかった

【戦闘知識】
マンガンの能力把握

お前らはプロメテウスから火は貰えなかったんだな
「ここでもその神話はあるんだね☆」

【属性攻撃・弾幕・念動力・空中戦】
UC発動
超高速で飛び念動光弾と凍結弾を乱射
【二回攻撃・切断・功夫・リミットブレイク】
魔剣と槍による連続攻撃による猛攻

…お前達が闘い以外を知れば違う道もあったかもな
…デモノイドヒューマンがその道を得たと言ってもいいかもな。



 忌々しい光景だった。
 ユーベルコードの明滅と共に『ロード・マンガン』の体躯は巨大化していく。
『ダークネス強化改造施設』の恩恵によるものであろうことは想像できる。『グローバルジャスティス』の残した遺産は、オブリビオンにも適応されるらしいということが確認できただけでも儲けものであったのかもしれない。
 このような施設が、この世界のいたるところに存在しているのだとすれば、世界の破滅を引き起こす脅威がいまだそこかしこに存在していることになる。
「デモノイドロード……デモノイドの中から生まれた知性と謀略を得たもの。ソロモンの悪魔共の犠牲者だ」
『そういえば主は戦ったの?」
 皇・銀静(陰月・f43999)の言葉に『グリームニル』が尋ねる。

 忌々しい光景に、忌々しい記憶が蘇る
「……阿佐ヶ谷地獄……アンデットの蹴撃で多くの人がデモノイド化した……僕らは結局救うことはできなかった」
 多くを取りこぼしてきた。
 けれど、それでも、だ。
 今を生きるのならば、今を守らねばならない。
「マンガン、プラス……プラス、プラス……わからなイ」
 慟哭と共に『ロード・マンガン』は、その手にしたロードクロサイトの槍を掲げる。
 発電所に偽装された『ダークネス強化改造施設』から迸しる電流が、彼の体躯に流れ込み強化改造を行い続けているのだ。
 膨れ上がる体躯は、そのためなのだ。
 戦いによって電力が失われても、この発電所にいる限り『ロード・マンガン』は、徐々に力を増していく。

「お前らは『プロメテウス』から火はもらえなかったんだな」
『此処でもその神話はあるんだね☆』
 煌めくユーベルコードの明滅。
 互いに一瞬。
 交錯するように『グリームニル』と『ロード・マンガン』の体躯が入れ違う。
 僅かな時間。
 されど、放たれた念動光弾と凍結弾は『ロード・マンガン』の体躯を貫いていた。
 反転する機体。
 銀静は見下ろしていた。

 発電所の天井をぶち抜いた巨体。
 その慟哭に揺らめく赤い瞳を。
 意思はなく、あるのは思い出とも言えぬ、絆の残滓。
 骸の海より滲み出た『ロード・マンガン』は歪んだ存在である。ならば、そこに本来なら持ち得ていたであろう記憶がないのもまた道理。
 失われてしまった何かを求め、しかし、如何にすれば、それが取り戻せるのかもわからぬ迷い子。
 それが『ロード・マンガン』なのだ。
「……お前たちが戦い以外を知れば、違う道もあったかもな……」
 だが、そうはならなかったのだ。
 空より見下ろした『グリームニル』の手にある槍が天雷の如き一撃となって『ロード・マンガン』の体躯へと突き刺さる。
「……デモノイドヒューマンが、その道を得たと言っていいのかもな」
 それが唯一の慰めであるというよに銀静は穿たれた巨躯を見下ろすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・タタリクス
|戦いから抜け出せず《プロメテウスはいまだ熾り》
されど戦う理由を失う
悲しいですね
人の夢とはかくも儚いのでしょうか?

その熾火に意味はあったのでしょう
それが昌盛したことも
ですが、再生ダークネス……いえ、オブリビオン化したことに
意味はないのかもしれません
ならば、ここで終わりにしましょう
『戦いに際しては心に平和を』
ええ、戦いの結果がもたらすのは勝敗だけではないのです

真正面からいきますよ!
【トニトゥルス・ルークス・グラディウス】!
死ぬわけにはいきませんが動けなくなる程度にはエネルギーをブチ込みましょう
マンガンランスと真っ向から勝負です!

この戦いが、貴方の|墓標《ミチシルベ》となれば嬉しいのですが……



「|戦いから抜け出せず《プロメテウスはいまだ熾り》、されど戦う理由を喪う」
 記憶が戦う理由たり得るのならば、今のオブリビオン『ロード・マンガン』は戦う理由すら見失い、されど力をふるい続ける怪物そのものであったことだろう。
 慟哭が響いている。
 身に刻まれた傷に痛むからではない。
 もっと内側、己達では見ることもできない。
 誰も認識できない魂の奥底とも言うべき、何か柔らかい部分。
 そこがきっと傷んでいるのだろうとステラ・タタリクス(紫苑・f33899)はお思う。
「悲しいですね」
「マンガン、プラス、プラス……」
 うわ言のように、そうつぶやき続ける『ロード・マンガン』。
 ロードクロサイトの赤い槍の穂先は寸断され、その身には亀裂が走っている。

 しかし、それでも戦い続けようとしている。
 それを憐れと思うのならば、デモノイドの成り立ちを知るからだろう。
「人の夢とはかくも儚いのでしょうか?」
 ステラは思う。
 振るわれる寸断された槍は、質量兵器としても十二分な威力を持って彼女に襲いかかる。
 慟哭あれど、容赦はない。
 その赤き瞳は今も燃え盛るようであった。
 戦う理由すらわからぬのだとしても、オブリビオンと猟兵。
 その立場だけで戦う理由になるのだというように『ロード・マンガン』は力を振るい続けているのだ。
 悲しみに、その駆体がひしゃげるのだとしてもだ。

「その熾火に意味はあったのでしょう。それが昌盛したことも。ですが、再生ダークネス……いえ、オブリビオン化したことに意味はないのかもしれません。ただ、悲しみを得るためだけの復活などというのは」
 悲しみが連鎖していくだけだ。
 隷属から連鎖した悲しみ。
 紐づけられた悲しみだけが、幾度となく再生されるだけなのだ。
「ならば、ここで終わりにしましょう。『戦いに際しては心に平和を』」
 誰かの心に平穏が訪れますようにと願う。
 ステラは踏み出す。
 戦いの結果が生み出すのは、勝敗だけではないと思うのならば示さばならない。

「天使核、コネクト」
 己が心臓からエネルギーが噴出する。
 迸る力は、己が手にした雷光の剣へと注がれ、長大な刀身を形勢していく。
 創造される刃。
 走る力はぶち抜かれた天井を越えて振りかぶられる。
「トニトゥルス・ルークス・グラディウス……! この一撃が、貴方の|墓標《ミチシルベ》となれば!」
 例え、骸の海に還るのだとしても。
 それでも刻まれるものがあるのだと思う。
「わからなイ、どうしテ、なのカ」
「その悲しみは、誰かにつなげてはならないのです。貴方の存在は、悲しみを誰かにつなげてしまう。貴方自身がしたことではないのでしょうし、そのつもりもないのでしょう。けれど、その存在が、誰かを悲しみに突き落とすのです」
 だから、と彼女は言う。
「もうこんなことは終わらせなければならないのです。人が前を向いて歩むためには、過去は引き止めるのではなく、背中を押さねば!」
 故に、とステラの振りかぶった雷光の剣は『ロード・マンガン』へと叩きつけられ、その巨大な体躯を両断して滅ぼすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年01月25日


挿絵イラスト