小桜・連理
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神社での結婚式も最近は増えたらしいね☆
あちきも新郎新婦の始まりの日に立ち会えて嬉しいよ。
(でも二人結婚をを認めるのは、あちきじゃなくて、幼い現人神の役目だけどね♪)
集まった氏子さんの中には、白無垢姿の花嫁さんにブーケトスをしてほしいなんて、おねがいの子も居たね。
確かに其の願い聞き届けたよ。(ニィ~ッ)
どこから入ったのか蝶々が寄ってきて、少女の声で『けっこんってなに?』って聞いてくるよ。
他人同士が縁を結ぶこと。特別を誓うこと。かな?
愛と信頼と絆があれば、元が他人同士でも家族に成れるよ。
愛と信頼と絆がない、血の繋がった家族をどうするかは、あなた自身が決めれば良いことなんだよ。
覚悟が決まることが在ったらまたおいで☆
その時は、あちきが断ち切ってあげるよ。もう二度と結ばれることがないように。
ここは|希《こいねがい》|島《じま》にある縁結びの神社。この神社には『断ち切り様』と呼ばれるゴーストさんが住んでいた。
神としての格はあまり高くないらしいのだけれど、神主さんから敬われてそれなりに大事にされている。
そんな断ち切り様こと|連理《れんり》にとって、今回の結婚式はとても喜ばしいことだった。
(神社での結婚式も最近は増えたらしいね☆ あちきも新郎新婦の始まりの日に立ち会えて嬉しいよ)
そう思って鏡から覗いてみると、その新郎新婦はなんと|南瓜祭《ハロウィン》で縁を結び直したヘレナとパトリックではないか。
ニィ~と笑ってご機嫌になる連理であったが、祝詞奏上には微妙な気持ちが胸にわく。
(二人を認めるのはあちきじゃなくて、幼い現人神の役目だけどね♪)
より格の高い現人神サマが関わって今回の縁が成ったのだから、この結婚は連理に報告するまでもないのだ。
そしてさらに、連理は巫女装束の黒い子狐を見つける。
(どうやらこの二人もうまく出会えたようだね♪)
ここで手伝っているということは、染物屋の主と上手く出会えたのだろう。これでブーケトスは間違いなく行われるはずだ。
(集まった氏子さんの中には、白無垢姿の花嫁さんにブーケトスをして欲しい、なんておねがいの子も居たからね。確かに其の願い聞き届けたよ)
これも連理の神様としての仕事である。
さて式が終わり、仕事を終えた連理がだらけていると一羽の蝶々が寄ってきた。
そして蝶は少女の声で『けっこんってなに?』と聞いてくる。
突然の訪問は神社にはよくあること。連理はこの問いにこう返す。
「他人同士が縁を結ぶこと。特別を誓うこと。かな? 愛と信頼と絆があれば、元が他人同士でも家族に成れるよ」
けれど|この質問者《・・・・・》には、この答えだけでは足りないだろう。
だから連理はさらにこう言葉を加える。
「愛と信頼と絆がない、血の繋がった家族をどうするかは、あなた自身が決めれば良いことなんだよ。だからさ、覚悟が決まることが在ったらまたおいで☆ その時は、あちきが断ち切ってあげるよ。もう二度と結ばれることがないように」
蝶が消えると、連理はようやく肩の荷が下りた気がした。
これで20年前の参拝から続いた仕事もひと段落という訳だ。
そしてふたたび連理はごろりとだらけだす。
これは次の仕事の前の休憩。こう見えて、『断ち切り様』も忙しいのだ。
成功
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