Plamotion Newyear's gift
●君が思い描き、君が作って、君が戦う
『プラモーション・アクト』――通称『プラクト』。
それはプラスチックホビーを作り上げ、自身の動きをトレースさせ、時に内部に再現されたコンソールを操作して競うホビースポーツである。
思い描いた理想の形を作り上げるというのならば、たしかに『プラクト』は心・技・体を兼ね備えたスポーツ。
プラスチックホビーを作り上げ、フィールドに投入し自分自身で動かす。
想像を育む心、想像を形にする技術と、想像を動かす体。
そのいずれもが欠けてはならない。どれか一つでも欠けたのならば、きっと勝利は得られないだろうから。
●第18世代
それは技術の頂点にして終焉の谷へと落ちていくだけの零落の兆し。
『セラフィム・ヴィクシィ』が技術の円熟際回る第18世代に一つ欠けるものであるがゆえに、過去、現在、未来において最強の『セラフィム』だというのならば、無理なからぬ道理であった。
栄華を極めれば必ず、盛者必衰の理がつきまとうように。
『熾盛』する火は必ずや消えゆくであろう。
第18世代『セラフィム』は名を変える。
嘗て在りし名を名乗る。
悪あがきであった。
名が示すものが必滅を宿すのならば、名を変えればと浅はかにも思ったのだろう。
故に『バイスタンダー』と名を変える。
『救命者』か『傍観者』か。
いずれにせよ、それは。
「あれがそうだっていうのか」
「そうだ。アレが『バイスタンダー』。技術円熟、その頂点。人の形より発して、人ではない形を成し、それが無意味であったと悟るだけの存在」
『フュンフ・ラーズグリーズ』――いや、今は『サツキ・ラーズグリーズ』は、同乗者である『サクラ』――『パッセンジャー』の言葉に振り返った。
『熾盛・改』に搭載されたAIである『エイル』は何も言わないのではなく、答えを持ち得ないが故に押し黙るしかなかった。
「お前は知っていたのか、こうなるってことを」
「いいや。僕は知らない。何せ、僕は第五世代。未来を知りようはずがない。僕が知り得るのは、過去のみ。なら」
『エイル』は『バイスタンダー』と名を変えた人型戦術兵器『バイスタンダー』を前にして『熾盛・改』の戦術データリンクを起動する。
「これが僕の往く道なのか? こんなものが?」
「だとしても」
「そうだ。アレをどうにかしなければ、俺もアンタたちにも道はない」
二人羽織のキャバリアが分離し、二騎へと姿を変え、そのアイセンサーを輝かせた――。
●正月商戦
ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)は一枚のチラシを広げ、グリモアベースでウンウン唸っていた。
いや、なんか見たことのある光景だな、と幾人かの猟兵達は思ったかもしれない。
「……プラブレードX……いえ、『憂国学徒兵』新シリーズの『Seraaaaaaphim』にすべきでしょうか……あああっ! 待って、待ってください! まだ決めてないんです!」
ナイアルテの前からチラシが奪われる。
猟兵達は、どっちかを選ぼうとするから迷い続けてしまうのだと思っただろう。
ほしいのなら、どっちも手に入れるべきだ。
大人なら、みんなそうする。
できないのは子供だけだ。
これが大人ってもんであるってことを子供に示さなければならない。大人って最高だぞ! って笑ってやらねば、子供らに将来を示せない。
そう、ナイアルテが手にしていたのは年始商戦のチラシであった。
主に玩具店のチラシである。
「……お小遣いは有限なのです。であれば」
であれば、じゃない。
「……わかりました。わかりました。事件をお伝えしますね。今回もとある商店街の片隅に居を構える『五月雨模型店』にダークリーガーがダーク化アスリートを従えて未公式競技『プラクト』の試合を申込みに来ているのです」
いつものやつね、と猟兵達は思った。
毎回大変だな、とも思った。
「ですが、今回は一味違います! 今回はお正月特別フィールドでの勝負となります。リングの設けられた、すり鉢状のフィールドなのです! つまり、リングの中心部に向かって窪んでいるのです! しかも!」
見てください、とナイアルテが示したのはチラシであった。
そこにあったのは、なんかすり鉢状になったリングの外縁に歯車のようなギザギザが設けられているのだ。
なにこれ。
「ふっ、これこそがプラブレードXの真骨頂。クロッシングギア!」
なんて?
「この歯車の歯のような形状にプラブレードXの機体が接触することによって、必殺クロッシングアタックが可能となるのです。ダークリーガーは、このクロッシングギアを活用して、ダーク化アスリートとの凄まじい連携攻撃を放ってくるのです! ヤバいです!」
猟兵達は思った。
ナイアルテの語気が強すぎて、なんか説明が頭に入ってこない、と。
「見えるものばかり見ているから、何も見えなくなるのです」
なにそれ、決め台詞?
「ギクッ!」
今、ギクッて言ったな。
「……と、とにかく! この特別フィールド、『クロッシングギアフィールド』の販売促進……ならぬ、正月商戦に乗り遅れてはなりません。『レッツ・アクト』です――!」
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回はアスリートアースにある未だ公式競技化されていないスポーツ『プラクト』のチーム『五月雨模型店』にダーク化アスリートを従えたダークリーガーが年末年始の商戦を掛けた初荷に合わせた新商品である特別フィールド『クロッシングギア』にて試合を申し込んできています。
なれないフィールドでの戦いは『五月雨模型店』のメンバーたちでも苦戦するでしょう。
これに助太刀するシナリオになります。
※『プラクト』は正式には『プラモーション・アクト』と呼ばれるホビースポーツです。
フィールド内に自作したプラスチックホビーを投入し、アスリートの動きをトレースする『モーション』タイプと、操縦席を作り込んで操作する『マニューバ』タイプが存在しています。
主に『モーション』タイプはロボットや美少女プラモデル。『マニューバ』タイプは、カーモデルやミリタリーモデルとなっております。
●第一章
特別フィールドの使用感を試したり、自分の自作ホビーを作り上げたりしましょう。
『五月雨模型店』のメンバーたちも、新しいフィールドに四苦八苦しているようです。
練習相手になってもいいですし、あくまで自分のホビーとフィールドになれるための練習に費やしてもいいでしょう。
『クロッシングギア』はフィールド外縁に配された歯車の歯で、これにホビーが接触すると凄まじい加速力を得ることができます。
回転系のホビーなら、さらに加速力が増していきます。
●第二章
ボス戦です。
いよいよ試合当日です!
ダーク化アスリートを従えたダークリーガーがチームのエースとしてフィールドを駆け抜けます。
ダーク化アスリートたちとの『クロッシングギア』を利用した連携による必殺技『クロッシングアタック』の猛威は凄まじいものです。
ですが、これを打ち破らねば勝利を得ることはできないでしょう。
それではお正月明けのお年玉を握りしめ、またお年玉を上げてほっそりしたお財布に肩を落としながらも、『プラクト』の試合に挑む皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 冒険
『その他スポーツを練習しよう』
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POW : 体当たりで果敢にチャレンジする
SPD : 器用にコツを掴みながら練習する
WIZ : ルールや戦術の理解を深める
イラスト:十姉妹
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「いきなりクライマックスかよ!」
『アイン』と呼ばれた少女は、『五月雨模型店』のモニターに映る新作アニメーション、『憂国学徒兵』シリーズの『Seraaaaaaphim』の第一話を見て声を上げていた。
そう、シリーズのいくつかを視聴していたのなら、あまりにも唐突な内容だったからだ。
「伏線、謎、一話目から散りばめるのは常套と言えば、そうなのでしょうが。過去シリーズの登場人物? と思わせるキャラクターが出るのは面白い試みですね」
「うむ!『パッセンジャー』なんて、あれだけ分かり易いキャラクターもいないのに、どうしてか違うキャラクターのように思えてしまえる造形は、妙手だな!」
『ツヴァイ』と呼ばれた少女も、『ドライ』と呼ばれた少年も一話目の内容に満足しているようだった。
これからどのように物語が展開していくのか楽しみなのだろう。
だが、『フィーア』と呼ばれた少女だけは違った。
「そ、そそそれより、新フィールドですよ!く、く『クロッシングギア』……チームメイトとの連携を前提としたすり鉢状のフィールド……主戦場がフィールド中心なのは変わらないですけど……外縁部にホビーに及ぼすバフがある、というのが新しい要素なんです。これに慣れないと……!」
彼女の心配も尤もであった。
そう、ダークリーガーからすでに、この新フィールドによる試合を申し込まれているのだ。
世界大会で優勝したチームである『五月雨模型店』が、このエキシビションマッチとも言える試合でフィールドに手間取って敗北することは許されな。
もし、そうなれば『プラクト』は瞬く間にダークリーガーたちに席巻されてしまうだろう。
とは言え、ダークリーガーたちはすでに年末前からこのフィールドで練習に明け暮れているようだったのだ。振りは承知。
だが!
世界王者チームとしても、絶対に負けられない戦いなのだ!
そんな『五月雨模型店』のメンバーたちに店長である『皐月』は、店の入口を示す。
「まさか!」
「頼もしいチームメイトたちが来てくれているようだよ――」
菫宮・理緒
【理ジェ】
あけましておめふぃーあ!
(→↓↑→からのABボタン連打)
これぞ新年必殺スライディング土下座お年玉!
さぁフィーアさん、わたしからのお年玉を受け取って!
そして噛んで!すぐ噛んで!わたしのために今年も噛んで!
(だきだきすりすりりおりおりお)
あ、五月雨のみんなにもお年玉はあるからね!
どこかのグリモア猟兵みたいに、どっちを買うかで悩まなくていいよ!
え?
ずいぶん余裕?
それはもちろん。もう対策できてるしね。
店長、店長ー。ちょっと借りたいものあるんだけどいいかな? いいよね?
答えは聞いてない!(あるものを強奪)
なにかって?それは次回のお楽しみ!
あ、サージェさん、いくらすり鉢状だからって、
トラメちゃんであんまりまわるとバターになっちゃうから気をつけてね。
フィーアさんと五月雨のみんなも。
今回は足の底にスパイクとかつけておいた方がいいと思うよ。
わたしは『マニューバ』タイプの重装甲・重火砲の機体を選択。
砲台にユーベルコード発生装置を仕込みつつ、
足下もアイゼンつきでしっかり固定できるようにしていくよ!
サージェ・ライト
【理ジェ】
まさかの開幕・超必殺ー?!
今年のりおりおは新たなステージに進化するのでしょうか!?
あっ、私としたことが口上を忘れておりました
お呼びとあらば参じました!!
私はクノイチ、理緒さんより目立ってるとかそれは無いもん!!
いやーもうフィーアさんには
理緒さんだけで十分ですね(何が
あ、ツヴァイさんお元気ですか?
何か良いことありましたか?
あと、さりげなく理緒さんは店長さんから何を奪ってるのか……!
私、もしかして浦島?
ともあれ、クロッシングギアに慣れる必要がありますね
トラメちゃん久々に出番です!
回りすぎてバターになんて!
あふれるにくきゅう力ですり鉢など簡単に克服……あっるぇ……(ずりずり落ちていく
あ、これダメですね
爪でいくしかないかー
野生動物最高(爪でがっしりキープ)
なんか一人くらいなら乗せて移動できそうな感じなのですが
この場合はアインさんとかツヴァイさんが良いんでしょうか?
フィーアさんは理緒さんに任せないと私が葬られる……
幻影とも相性悪いですしね
じゃあちょっとコンビネーション試してみますかー!!
「あけましておめふぃーあ!」
それは新年の挨拶。
乗りと勢いとによって生み出される新たなる挨拶。
新年一発目にして気合の入りまくった菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)の見事なスライディング土下座であった。
その見事な滑りっぷり。
いや、空気的な意味でも物理的な意味でも見事に滑っていた。
滑走というのならば、その通りであったことだろう。
故に理緒は火花を散らすように『五月雨模型店』の床に謎の火花を散らすエフェクトと共に『フィーア』と呼ばれた少女の足元へと滑り込んでいた。
なんでそんなことをするのか。
「何故って? そこに『フィーア』さんがいるからだよ!」
くわっ!
理緒の瞳が見開く。迫真の瞳であった。誰も何も言えなかった。
「え、ええええっ!?」
「これぞ新年必殺スライディング土下座お年玉!」
「お年玉要素あったか?」
「お年玉は、わ・た・し! さぁ『フィーア』さん、わたしからのお年玉を受けとって! そして噛んで! すぐ噛んで! わたしのために今年も噛んで!」
しゅば、と理緒はスライディングからの流れるような立ち上がりで『フィーア』に抱きついていた。
だきだきすりすりりおりおりおってやつである。
まさかの開幕土下座からの抱きつきである。
「まさかの、でしたね!? 今年のりおりおは新たなステージに進化するのでしょうか!?」
そんな理緒のダイナミック入店にサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は目が回るような思いであった。
「いや、進化、なのか? あれ」
「あ、あわわわわ」
「あっ、私としたことが口上を忘れておりました」
「いつもじゃね?」
「いつもじゃあないです! こほんっ! 改めまして! お呼びとあらば参じました! 私はクノイチ、理緒さんより目立ってるとかそれはないもん!!」
サージェはクノイチであることを忘れたように胸を張った。
それでクノイチは無理だよ。
「あ、みんなにもお年玉はあるからね!」
理緒の言葉に『五月雨模型店』のメンバーたちは、コロッと態度を変えた。
お年玉。
それはこの年頃の子どもたちにとっては魅惑なワードであった。
「どこかのグリモア猟兵みたいに、どっちを買うかで悩まなくていいんだからね!」
唐突な弄り!
どこかでグリモア猟兵がガーンとした顔をしていたが、気にするな。
「いやーもう『フィーア』さんには理緒さんだけで十分ですね」
何が?
「あ、『ツヴァイ』さんお元気ですか? なにか良いこと在りましたか?」
「え、あ、はい」
はいって言った! とサージェは『ツヴァイ』と呼ばれた少女の面持ちに青春の香りを感じ取ったかもしれない。
「それはそれとして理緒さん、お財布の方は大丈夫なんでしょうか?」
「それはもちろん」
理緒はむふんと胸を張る。
余裕の顔であった。なにか対策ができているのだろうか?
理緒は『五月雨模型店』の店長を呼び寄せる。
「店長、店長ー。ちょっと借りたいものがあるんだけど、いいかな? いいよね? 答えは聞いてない!」
理緒はそう言って店長である『皐月』からあるものを強奪していた。
追い剥ぎかなにか?
「なんかさりげなく店長さんからなにか奪ってますね……私、もしかして浦島?」
「何かは次回のお楽しみ!」
「ともあれ、理緒さん。新フィールドのクロッシングギアというものに慣れておかないと試合もおぼつかなくなってしまうのでは?」
そう、今回は『プラクト』の新フィールドのお披露目でもあるのだ。
今までのフィールドは外縁部に飛び出すと場外で失格になっていた。だが、今回の新フィールドはクロッシングギアと呼ばれる歯が備わっている。
これにプラスチックホビーが噛み合うことで、超加速などのバフを得ることができるようになるのだ。
そして、すり鉢状になっているため、必然中央で激戦が予想される。
「ふふん、これが噂の新フィールドですか。ならば、『トラメちゃん』! 久々に出番です!」
早速とサージェは己の虎型というか猫型というか、しなやかな動きを見せる四脚ホビーをフィールドに投入する。
「あ、サージェさん、いくらすり鉢状だからって『トラメちゃん』であんまり回るとバターになっちゃうから気をつけてね」
「パンケーキ食べたくなっちゃうじゃあないですかぁ1」
回りすぎてバターになるとなれば、あとは蜂蜜も欲しい所である。
色合い的にサージェがパンケーキになってもおかしくない。おかしさしかないな。
「ふっ、ですが、このあふれるにくきゅう力ですり鉢など簡単に克服……」
そう、グリップが聞けばフィールドを噛むようにして四脚の『トラメちゃん』が有利! だが、予想に反してすり鉢状の中央フィールドに『トラメちゃん』がずり落ちていくのだ。
「あっるぇ!?」
「ほら、やっぱり。今回はフィールドにグリップするためにスパイクとか付けておいた方が良いと思うよ」
理緒の言葉に確かに、とサージェは頷く。
だが、『トラメちゃん』を侮ってもらっては困る!
にくきゅうがあるのなら、あるのだ、爪も!
ぎゅ、と爪でフィールドを踏みしめて『トラメちゃん』が疾駆する。
「これが野生動物最高ってことです!」
「なんか乗れそうだよな」
『アイン』と呼ばれた少女の言葉にサージェは、それもありかも、と思っていた。
「理緒さんはどうするんですか?」
「わたしは、『マニューバ』タイプかな? 重装甲、重火砲の機体にするよ」
「砲台にユーベルコード発生装置を仕込むのか!」
「そう! そして、アイゼンつきの脚部をあわせれば!」
フィールドに食いつくアイゼン。
ガッチリと固定された理緒の機体が振りかぶった超大な砲身が唸りを上げるようにして砲撃を行う。
直接ユーベルコード発生装置を歯根であるために出力が段違いであった。
「おっと、これは威力すごい。ちょっとコンビネーションを試しつつ、がんばりましょー!」
サージェは、その火砲の威力を目の当たりにしつつ新たなるフィールドでの戦いの習熟を行うのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
んうー。んうー。(ごろごろごろごろ
生店長にステラさんのテンションが爆上がってますね。
わたしも犬化している場合ではなさそうです。
このままだとまた店長さんにどんなことがおきるの……(ぱくっ
いえ、ちがいますそうじゃないんです!店長さんがですね(ぱくっ
ステラさん!
ちょこちょこ餌付けするのやめてください!
ツッコミにくいじゃないですか!美味しいですけど!美味しいですけど!
(大事なことなので2回
それにしても、『Seraaaaaaphim』で第五世代ってことは、
18世代だと『Seraaaaaaaaaaaaaaaaaaaphim』になるんです?
『a』多すぎないです?
って、ステラさん!
なんで先にインターセプトしちゃうんですか!
このフィールドだと、ステラさんのケルーベイムも強いですけど、
正直言いましてわたしと【ソナーレ】の独壇場ですよ!
縁のトゲトゲとかどうでもいいです。
相手がなにでこようと、わたしはどんぶりの底で待っていればいいんですから。
うふふふふふ。【ソナーレ】の力を存分に魅せちゃいますよー!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の!!
香りがしまァァァァァァァァァすっ!!
久しぶりに生の濃厚な香りッー!!
サツキ様とパッセンジャー様は今どちらにいらっしゃるのでしょう!!(ルクス様の喉をごろごろしながら)
というか、エイル様!!
キング・ブレイン様との戦いの後の会話で
なんとなくセラフィムとエイル様の関係見えていましたが
また謎深まった???
(ルクス様の口元にスイーツ差し出しながら)
ところで『Seraaaaaaphim』って第五世代ですか?
ともあれツヴァイお嬢様の
恋(もがぁ)
いえ、応援してますので!
プラクトも頑張ります!
(ルクス様の楽器を奪いながら)
また演奏しようとしてる……
ソナーレの操縦方法変えません??
さて
ケルーベイムを使えば普通に飛べるわけですが
それも何か味気ないというか
ルクス様が拗ねそう
クリムゾンリッパーでいきますか
ルクス様も準備して
クロッシングギアの仕組みに慣れる必要がありますね
何回でも試して
うまく連続波状攻撃とか出来れば
この加速とセラフィムリッパーの突撃合わせるとどうなりますかね?
「|『エイル』様《主人様》の!! 香りがしまァァァァァァァァスッ!!」
「うるさっ!」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の雄叫びに『五月雨模型店』のガラスというガラスがビリビリと振動していた。
それほどまでの声量。
一体どこから出してんだと言うように『アイン』と呼ばれた少女は耳をふさぎながら叫んだ。
マジでうるさい。
「久しぶりに生の濃厚な香りッー!!」
いや、どう考えても有機溶剤とかの匂いではないだろうか。
模型店だけに。
だが、ステラにとっては些細な問題であった。
彼女ほどのメイドとなれば、主人の匂いを嗅ぎ分けることなど造作もないのである。
それはそれで怖いし、他のメイド界隈に大変な迷惑がかかることこの上ない風評被害であったことだろう。
こういうときのためにストッパーが仕事をしなければならないのだが、ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は喉をごろごろされっぱなしであった。
どっちかというと彼女のほうが犬っぽかった。
「んうー。んうー」
じゃあないが。
「御子息の『サツキ・ラーズグリーズ』様となんか急に同伴者っぽいポジを獲得している『パッセンジャー』様は今どちらにいらっしゃるのでしょう!!」
クロムキャバリアじゃない?
「というか、『エイル』様!!『キング・ブレイン』様との戦いの後の会話で、なんとなく『セラフィム』と『エイル』様の関係見えてましたが、また謎深まった???」
「生店長にステラさんのテンションが爆上がってますね。わたしも犬化している場合ではなさそうです。このままだとまた店長さんにどんなことがおきるの……」
「はい、スイーツ」
ステラは間髪入れずにルクスの口元にスイーツを差し出す。
ぱくつくルクス。
「いえ、違いますそうじゃないんです! 店長さんがですね」
ぱく。
「食べるか喋るかどっちかにしたら?」
『アイン』の言葉も尤もであった。
「ステラさん! ちょこちょこ餌付けするのやめてください! ツッコミにくいじゃないですか! 美味しいですけど! 美味しいですけど!」
大事なことなので二回言う。
美味しいよって言うのは大切なことである。
「ところで、『Seraaaaaaphim』ってどういうお話なのです?」
「まだわっかんない!」
「えぇ……『Seraaaaaaphim』で第五世代ってことは、18世代だと『Seraaaaaaaaaaaaaaaaaaaphim』になるんです?『a』多すぎないです?」
多分、そういうことじゃあないと思うんだけどなぁ、と『五月雨模型店』のメンバーたちは思っているようだった。
むしろ、新シリーズなので、今からあれやこれやと考察が捗っていく所でもあるのだろう。
第一話のシーンから見ても、今後に期待大ってやつなのである。
「ともあれ、『ツヴァイ』お嬢様の恋もがぁ」
「って、ステラさん! それはあまりにも野暮ですよ!」
スイーツをステラは口にぶち込まれつつ、黙るしかなかった。
『ツヴァイ』と呼ばれた少女は、何かを察したのか、ふいっと視線を逸らしていた。あれま、甘酸っぱい感じ! とステラはもがもがしていたのが台無しであった。
ごくん、とぶち込まれたスイーツを飲み込んでステラは頭を振る。
「いえ、応援してますので!」
「マジで野暮ですってば!」
「わかっております。ですが、この楽器は没収しておきますね」
「なんでですか!『プラクト』の『ソナーレ』はマニューバタイプなんですよ! 実機と同じような操作方法なんですから、演奏やむなし、しかたなしですよ!」
ステラに没収された楽器を取り返そうとルクスはぴょんこと跳ねている。
いや、今回のフィールドは新フィールドなのだ。
今までの『プラクト』フィールドとは勝手が違う。
すり鉢状のフィールドに加えて、外縁部にはギザギザの歯車の歯のような形状が備わっている。
これに接触することでプラスチックホビーが超加速することができるのだ。
「まあ、『ケルーベイム』を使えば普通に飛べるわけですが。それもなにか味気ないと言うか。ルクス様が拗ねそうです」
「いえ、普通に演奏させてくださいよ! 正直言いましてわたしと『ソナーレ』の独壇場ですよ!」
「『クリムゾンリッパー』でいきますか」
「楽器返してくだしよぅ!」
「わかりましたから、ルクス様も準備して。クロッシングギアの仕組みになれる必要がありますから」
「縁の棘々とかどうでもいいです!」
いや、どうでもよくはないだろ、と『五月雨模型店』のメンバーは思った。
あの勇者、どうあっても演奏したいんだな、と演奏に対する執着心にちょっと引いた。
「相手が何でこようと、わたしはどんぶりの底で待っていればいいんですから!」
「それはそうかもしれませんが、新フィールドの特性を利用することは大切なのでは? うまく連続波状攻撃とかできれば、この加速と『クリムゾンリッパー』の突撃を合わせて、凄まじい攻撃力を生み出せるのでは?」
「それよりも演奏です! うふふふふふ。『ソナーレ』の力を存分に魅せちゃいますよー!」
こんなに噛み合わないことってあるのかなと思わないでもない二人。
だが、いざ試合が始まれば見事な連携を見せるのだから、人って不思議なものだなぁ、と二人の様子を見て『五月雨模型店』の面々は深いため息を吐き出すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
迅瀬・ナクタ
「なるほど、プラブレードXが有利になるスタジアムだが……上手く使えば、回転するユーベルコードの威力が上がるかもな。すまない、誰か練習相手になってくれないか?」
|プラクト機体『ナタク』《もう一機の相棒》を改造。足裏から歯車を横にした様なギアパーツが飛び出るようにします。
試運転でUC【サークルストリームシールド】を使用。片足で回転し、どの位置にギアを取り付けるかトライ&エラーで改造を調整します。
アドリブ・連携は歓迎です。
『プラクト』のフィールドはこれまで、巨大なジオラマのような様相を呈していた。
だが、それ故にフィールド事態に大きな変化はなく、あくまで遮蔽物としてフィールド内のジオラマを利用することぐらいにしか活用方法はなかった。
だが、年末年始の商戦に合わせて発売された新フィールド、クロッシングギアフィールドは外縁部に歯車の歯のようなパーツが配されており、そのクロッシングギアにプラスチックホビーが接触することによって超加速のバフを得ることができるようになっているのだ。
これまでフィールドの外縁部は、バトルのエントリー時のスタート地点としての役割しかなかった。
だが、このクロッシングギアの登場によって、一気に試合の戦術性というものが変化したのは言うまでもないだろう。
「なるほど」
迅瀬・ナクタ(闇を抱くトイロボバトラー・f37811)は、そうしたクロッシングギアの特性を聞き、呟く。
これならば、確かにすり鉢状となったフィールド中央部……これまでの『プラクト』の主戦場に駆けつけるまでの時間を短縮することもできるし、また同時に逃げていると思わせて外縁部のクロッシングギアに接触して反転強襲を仕掛けることもできるようになるだろう。
これまでの戦術が一変する予感を彼は感じていたのだ。
加えて言うのならば、新たなるプラスチックホビー、プラブレードX。
以前にも発売されていたプラブレードから更に進化したプラスチックホビーということであったが、この新フィールドの特性に合わせたようなホビーとしての遊び方もできる。
「プラブレードXに有利になるスタジアムフィールドというわけか……が、うまく使えば、回転するユーベルコードの威力も上がるかもな」
ナクタの言葉に『アイン』と呼ばれた少女が頷く。
「回転力と加速力が合わされば、超スピードってわけだよな!」
「ああ。だが、威力が上がる分、制動が難しくなりそうだ。スピードに振り回されていては、本末転倒だろう?」
「だから、練習しよーって話なんだろ? いいぜ、相手になってやる!」
『アイン』は大張り切りである。
どう考えても新フィールドで遊びたいだけな気がしないでもないが、ナクタにとっては新フィールドの感触を確かめるうえでも彼女の申し出はありがたかった。
「なら、少し待ってくれ」
「あん? なんで?」
「プラクト機体『ナタク』を改造したいんだ」
そう言ってナクタは制作スペースを借り受けて、もう一騎の相棒に改造を施す。
足裏から歯車を展開するギミックを備え付けているのだ。
これによって横倒しになった歯車が、外縁部のクロッシングギアに噛み合い、さらに加速力を増す、という寸法なのだ。
「これに加えてユーベルコードを使用できれば……」
「いーから、早くやろーぜ!」
急かす『アイン』に背中を圧されてナクタは、新フィールドに己の機体を投入する。
操縦パーティションの中で周囲の状況を確認する。
パーティションの中は以前とあまり変わらないようだ。これなら、と外縁部のクロッシングギアを見やり、己の機体の足裏から飛び出した歯車パーツと接触させる。
瞬間、機体が回転するのと同時に自分も回転したような感覚を覚える。
凄まじい遠心力。
脚部、それも足底に配置したパーツのおかげか、加速力は申し分ない。
「が……これは……! 重心が上のせいかッ! 上半身が振り回されてしまう!」
加えてユーベルコードに寄る回転力も加わっているのだ。
これは上半身の体勢を考えなければ、機体事態がバラバラになってしまうだろう。
「機体の体勢……回転する、のなら……身をかがめたほうが良いのか?」
「あとは自分が砲弾になっちまう、とかな!」
『アイン』の言葉にナクタは、ふむ、と頷く。
トライ&エラーは望むところだ。
調整と改造。
これを何度も繰り返すことは、ナクタにとっては問題ではない。むしろ、心が踊るものだった――。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
今まで、興味はありつつもキャバリアに似たプラクトとという競技とは距離を置いておりました……ですが!これからは少し違います!
ダイダラに『擬化騎兵』|3人の少女達《モー、スナオ、アズ》を引き連れ、保護者の姉として彼女達とホビー製作に取り掛かります!
モー『モー、ダイダラ作ってみたーい!良いでしょ?ね!?』
スナオ『でも、材質はプラスチックでしょ?ダイダラの装甲を再現するのは難しいだろうし……高機動にしてみる?』
アズ『クロッシングギアを利用するなら、その方が良いでしょうね、じゃあ、ブレードトンファーを主力に据えて考えましょう。装甲は、樹脂とかで補強って、できるのかしら?』
モー『あー、拠点防衛用だから、重いもんね。サエコが無理矢理ダイダラを走らせた時はびっくりしたなぁ』
ダイダラ砲は如何しま『『『要る(ね)(わ)』』』
はい!では小型化して、回点号の様に抱えて撃てるようにしましょう!
これなら機動力をそこまで損ねない筈!
ホビー製作には疎いので五月雨模型店の方々に助言を頂きつつ、
4人で相談しながら作ります!
朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は今まで『プラクト』という競技に興味があった。
だが、どうにもキャバリアに似たプラスチックホビーを持って競い合うという行為が彼女の中にある闘争心と相性が悪いように思えて距離を老いていたのだ。
「ですが! これからは少し違います!」
目深に被ったキャップ。
見るからに一般人!
そして、『ダイダラ』を擬化騎兵(キャバリアヒューマン)として三人の少女に変え、彼女は保護者として、姉として彼女たちのホビー制作の付き合いだという体を醸し出していた。
あくまで保護者!
そう、保護者なのだ! なので、セーフ!
そう言わんばかりに小枝子は三人の少女たちと連れ立って『五月雨模型店』へとやってきていた。
「モー、ダイダラ作ってみたーい! 良いでしょ? ね!?」
「でも、材質はプラスチックでしょ? ダイダラの装甲を再現するのは難しいだろうし……高機動にしてみる?」
「クロッシングギアを利用するなら、そのほうが良いでしょうね。じゃあ、ブレードトンファーを主力に据えて考えてみましょう」
三人の少女たちの言葉を聞きながら、小枝子はうんうんと頷いていた。
さっぱりわからん!
いや、彼女たちが乗騎である『ダイダラ』をプラスチックホビーで再現しようとしているのは、わかる。
だが、この『五月雨模型店』の店内を見れば、『ダイダラ』そのものなプラスチックホビーはないように思えた。いや、そもそもあるはずがないのだ。
「なにか困りごと?」
三人の少女たちの喧々諤々な話し合いを見て取ったのか、『五月雨模型店』のメンバーたちが集まってくる。
こういう所が、コミュニケーション能力の高さと物怖じしない子供らしさの強みであるな、と小枝子は思っただろう。
それは三人の少女たちも同様だった。
「あのね、装甲をどうにかしたいって思っているんだけど樹脂で補強って可能なの?」
「そうですね。できないことはないです。ですが、重さが増してしまいます。そうなると、操縦方法を選ばないといけません。マニューバタイプなら問題はありませんが、操縦席と駆動系を再現しないといけないので、作る難易度が高くなります」
「かと言って、モーションタイプにすると直接自分の動きがトレースされんだろ? 重たすぎたら、それだけ動きが鈍っちまうし、動きのタイムラグが生まれちまう」
『ツヴァイ』、『アイン』と呼ばれた少女たちの言葉に小枝子は頷く。。
なるほど、確かに言うことは最もだ。
「でも、拠点防衛用だから、重たくていーんじゃない? サエコが無理矢理走らせたりしてたけど、普通はできないよねぇ」
「むっ……なら、固定要塞のようにいっそ、フィールド中央で鎮座するのはいかがですか」
「それはいいな! 戦法として立派なことだ。だが、中央に陣取るということは、それだけ敵の攻撃を集中的に受けてしまう可能性がある、ということだ!」
『ドライ』と呼ばれた少年の言葉に小枝子は確かにと頷く。
となると、より強固な装甲が必要になるだろう。
あ、と小枝子は『ダイダラ』のスペックを思い出したようにクtにする。
「ダイダラ砲は如何にしま」
「要る!!!」
三人の少女たちの言葉が重なる。
びっくりした。
「ですが、大きいですよ。作る時間も考えないといけませんし……」
「うーん」
ならどうするのか。
小枝子は彼女たちのプラスチックホビー作成を見守るだけのつもりだったのだ。
だが、こうなってくると俄然やる気がでてきてしまうのが小枝子であった。
「であれば、小型化しましょう。回天号のように抱えて撃てるようにしては? それなら機動力を其処まで損ねないはずです!」
「サエコのほうが力入ってない?」
「うん、入ってる」
「むしろ、乗り気」
「こ、これは余念がないと言っていただきたいであります!」
照れたように小枝子はキャップを目深に被り直し、けれど、三人の少女たち、そして『五月雨模型店』のメンバー達に手伝ってもらいながら、『プラクト』のフォーマットに落とし込んだ『ダイダラ』を作成し、試合までに間に合わせるように連日連夜のプラスチックホビー作成に勤しむのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
このフィールド…原型はコマで対決するやつですかねー?いかにもお正月。
さて、陰海月は…ウキウキしてますねー。
今回は、陰海月に任せてますがー。はて、どうなることやら。
※
陰海月「ぷきゅ♪」
今年のお正月はのんびりできたー♪
今年のお年玉で『プラブレードX』買って、作ってあった。なので、『マニューバ』タイプにしてノリノリで練習相手になる陰海月。
ちなみに去年までのは貯金されてたりするお年玉。
霹靂「クエ…」
友って、本当に器用なんだよなぁ…。
全身出すと邪魔になりそうなので、影から顔だけ見せて、観戦している。
お正月には凧上げて、独楽を回す。
それは旧き良き、という時代の遺物であったのかもしれない。
だが、どんなに時が流れても、移ろい往くのだとしても、変わらないものだってあるのだ。
それを思えば、『プラクト』の新フィールド、クロッシングギアフィールドは新しい試みながら、その旧き良きというものを内在させるものであるように馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は思えたのだ。
「このフィールド……原型はコマで対決するホビーなねすかねー? いかにもお正月」
『疾き者』は新しいフィールドを見やり、そう分析する。
隣りにいた店長『皐月』が頷く。
「プラブレード事態がそもそもコマを模したホビーだったからね。その正統進化ホビーであるプラブレードXなら、当然このフィールドをうまく使うことができるのもある意味当然の帰結なのかもしれない」
「そうですかー。いやはや、懐かしいと思いますよ。それに……」
『疾き者』が視線を向けた先にいたのは、フィールドを覗き込む『陰海月』の姿であった。
「ぷきゅ♪」
これは楽しそう、と言わんばかりである。
ワクワクしている、というのもの正しいだろう。
どう戦うのか、どんなホビーを扱うのか。それに『疾き者』は口出しをしようとは思っていなかった。
あくまで『陰海月』に任せるつもりだったのだ。
「ぷきゅ!」
レジの前に持ち込んでいたのは、『プラブレードX』であった。
新商品故に品薄であったが、その中から『陰海月』は己のプラスチックホビーをお年玉で買って作ったのだ。
「新しいホビーだけど大丈夫かい?」
「きゅ!」
大丈夫、と言わんばかりに『陰海月』は頷き、自分が作った『プラブレードX』をフィールドに投入する。
クラゲを模したホビーだ。
回転するたびに光るものだから、その機動の描く軌跡は残光が生み出され、フィールドを綺羅びやかに彩っていく。
「きゅ♪きゅ♪」
ノリノリである。
そして、『五月雨模型店』のメンバーたちからすれば、次なる試合で対戦するダークリーガーたちが使用するホビーと同じである。
つまり、仮想敵としての役割を『陰海月』は買って出たのだ。
回転し、クロッシングギアに激突して再加速する回転。
その速度は凄まじく、広いフィールドを所狭しと駆け抜けていく。
「早い! しかも、これ一体じゃあなく敵は複数体で連携してくるってわけだ……! 厄介だぜ、これ!」
「事前に練習できてよかったです。初見では、この速度……!」
「ああ! 対応できなかったかも知れない! 流石は新商品だ!!」
「でも……これなら、な、なんとか、できそうです!」
メンバーたちと『陰海月』たちは練習に勤しむ。
少しでも試合までに『プラブレードX』とクロッシングギアフィールドの特性に慣れておかねばならない。
そんな練習風景を『霹靂』は覗き込み、器用だなぁと感染するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
薄翅・静漓
今回は新しいフィールドで戦うのね
『クロッシングギア』……面白い仕掛けだけど
回転との組み合わせで生まれるスピードは脅威ね
新しい要素に慣れるためにも、一戦お願いできるかしら
『アイン』、私はあなた達の強さを見たい
この気持ちは初めて会った時から変わらないけれど
前よりずっと、知りたいと思うようになった
使用するホビーは、私の『セラフィム』――『セラフィム・クレセント』
これは練習試合、だけど真剣勝負のつもりでいくわ
クロッシングギアフィールド。
すり鉢状のフィールドは言うに及ばず、外縁に配された歯車の歯のようなパーツに触れることで超加速のバフを得ることができる『プラクト』フィールドだ。
ダークリーガーは、この新しいフィールドを習熟してる。
『プラブレード』の正統進化ホビーである『プラブレードX』をも携えているのだから、その本気度というものが知れるであろう。
故に猟兵たちの助太刀が必要なのだ。
「クロッシングギア……面白い仕掛けだけど、回転との組み合わせで生まれるスピードは脅威ね」
薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は、新しいフィールドで遊ぶ『五月雨模型店』のメンバーたちの姿を認めて、僅かに微笑んだ。
確かにダークリーガーとの戦いが迫っているのは事件である。
しかし、彼女たちにとっては試合であり、遊びなのだ。だからこそ、あんなに屈託のない笑顔で楽しむことができるのだ。
静漓は、そんな彼女たちの姿を認めて敵だの味方だの、というものが、この『プラクト』においては一時的な物に過ぎないのだと知る。
試合中は敵同士でも、戦いが終われば敵味方ない。
共に手を取り合うことができる。
その可能性というものに彼女は心動かされるかもしれない。
「お、静漓ねーちゃんじゃん! 見て見て、これ新しいフィールド! すんごいぜ!」
『アイン』と呼ばれた少女の言葉に静漓は頷く。
「ええ、新しい要素ね。慣れるためにも、一戦お願いできるかしら」
「もっちろん!」
にこっと無邪気な笑顔だ。
それを見て、静漓は操縦パーティションに踏み込む。
己が持ち込んだホビー。
その形を見たら、あの子はなんて言うだろうか。
楽しみでもある。
「『アイン』、私はあなた達の強さを見たい。この気持ちは初めて会った時から変わらないけれど」
そう、この世界にやってきた時、初めて出会ったのが『アイン』と呼ばれた少女だった。
彼女と出会ったからこそ、こうして今がある。
出会いとはいつだって化学反応だ。
何がどうなるのか、法則性すらも見いだせない不思議な現象。
行く末がどうなるのかなんてわからない。
けれど、静漓は以前よりもずっと。
「前よりずっと、知りたいと思うようになったわ」
「見損なってもらっちゃあ、困るな。静漓ねーちゃん! 私はまだまだ発展途上だぜ! これからだよ、これから! もっともっと驚かせてやんぜ!」
「そう……なら」
静漓は小さく頷き、己のホビーをフィールドに投入する。
その姿は白銀。
そして、走る青。
「な、なんだそれ……!? せ、『セラフィム』!?」
見たことのない『セラフィム』タイプに『アイン』は驚愕する。
「静漓ねーちゃんオリジナルってこと? ミキシングで? いつのまに、そんな……やっぱすげーぜ!」
ワクワクしたような顔を見せる『アイン』に静漓は頷く。
「『セラフィム・クレセント』よ。これは練習試合、だけど真剣勝負よ」
「上等!」
新たなる静漓のプラスチックホビーに『アイン』は胸を躍らせ、両者のホビーがフィールド中央にて激突する。
互いに笑っていたかも知れない。
何処まで言ってもこれは遊びなのだ。
生死をかけたものではない。だからこそ、何の気兼ねなく楽しむことができる。
「やっぱり、すごいわ『アイン』」
「静漓ねーちゃんだって!」
静漓は『アイン』の健全なる精神が育つのを実感し、互いに弾かれるようにして再び加速しては激突を繰り返すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
お正月と言えば何か?
この時期買うべきプラモデル製品とは何か?
そんなものは決まっている、そうこの時期特有の特別商品
|福袋《在庫処分品》!
1万円くらいの金額だったら。損はしないから…
定価で換算したら損はしないから…
そう、この時期だけは定価で考える事が大事
決してワゴンな値段を考えてはいけない!
という訳で、五月雨模型店も用意してるんでしょ
とっておきの|福袋《闇鍋》を!
さあ、一番高いのを持ってきて!
これが大人のおみくじじゃい!
…福袋ってさ、自分じゃ絶対買わない物が出た時が面白くて
買ってる物が出た時はちょっとしょんぼりするよね…
まあとりあえず、何かバトルに使えそうなの今から組むか…
そっか…この内容か…
月夜・玲(頂の探究者・f01605)は『五月雨模型店』のカウンターの前にて仁王立ちしていた。
それは見事な仁王立ちであり、尋常ならざる雰囲気を放っていた。
気迫が違うと言えばそうなのであろう。
店長である『皐月』は、その気迫にちょっと圧されていた。
「えっと……」
何がご所望なのかな、と聞こうとして玲の口が開く。
「お正月といえば何か?」
いきなりの問答である。
え、と『皐月』は困惑する。
「この時期買うべきプラモデル製品とはなにか?」
再びの問いかけ。
さらに『皐月』は困惑してしまう。何をどう返しても、怒られそうな雰囲気があったからだ。
「は、初荷の商品、とか、かな?」
「そんなものは決まっている、そうこの時期特有の特別商品、|福袋《在庫処分品》!」
今、ルビですごいこと言ったが、まあそれはある程度は事実なので仕方ないところである。
そう、福袋。
それは日本独自の文化。
むしろ、日本以外では根ざすことがない文化であるようにも思えた。
もとを辿れば、呉服問屋の年末年始の布生地を福袋として販売した所好評を博したとされる所まで遡ることができただろう。
いやまあ、福袋の成り立ちについてはこの際おいておく。
そう、玲はホビー福袋を所望なのだ!
「というわけで、『五月雨模型店』も容易してるんでしょ。とっておきの|福袋《闇鍋》を!」
「よ、用意はしているけれど……」
さっきからルビが気になる。
「なら、はよ! さあ、一番高いのを持ってきて!」
玲は、ピッ! と一枚のお札を指に挟んで示してみせた。
それは一万円札!
燦然と輝く紙幣の王様!
これが嫌いなヤツなんていない! いてたまるか! それくらいの意気込みでもって玲は一万円札を提示してみせたのだ。
だが、その意気込みとは裏腹に玲の中には算段があった。
そう、糸満円くらいの金額だったのならば、損はない。
なんなら上振れることだってある。
期待値っていうのは、いつだってハードルが高いものである。なら、そこで最高額を提示すれば? なるほど。
確かに一万円札は踏み台としては最高に下駄をはかせた上体であろう。
内容物によっては定価で計算したら購入者に損はない。はず、である。そう、こに時期だけは定価で模型は見なければならない。
常時一割引されてるよなぁとか、そんなことは考えてはならない。
消費税分はポイントになるから、ネット通販のほうがよくない? とか、そんなことも考えてはダメなのだ。
さらに言えば、ワゴン価格も考えてはならない!
店長『皐月』は、玲の目の前に3つの福袋を置く。いずれかから選べ、ということなのだろう。上等である。
「これが大人のおみくじじゃい!」
玲は威勢よく指差す。
この福袋、君に決めた!!
しばらくして、玲は『五月雨模型店』の制作スペースにいた。
なんか薄暗い感じがするのは照明の不備ではない。
「……福袋ってさ、自分じゃ絶対買わないものが出た時が面白くて買ってる物が出た時は、ちょっとしょんぼりするよね……」
その言葉が全てを物語っていた。
新商品発表時にテンションが上がって複数買いしたものに限って、生産数が馬鹿みたいに多くて、結果欲しい人に行き渡って余った状態になってしまうとか、普通にあるあるである。
玲が掴んだ福袋は、正しくそうした商品。
いや、商品が悪いのではない。
ましてや、複数買いした玲でもない。
悪者は誰もいないのである。だが、なんていうか、その、ね。
「まあとりあえず、なにかバトルに使えそうなの今から組むか……そっか……この内容か……」
同じ商品が複数。
それも家に帰れば、積んだ同じ商品が複数。
たちの悪い夢でも見ているような気分になったが、玲は制作スペースにて、同じ商品を複数使った、ザ・ミキシング暴力めいた、元商品の影も形もない、それこそ巳年にちなんだ一大傑作をしょんぼりしながらも作り出したとか出してないとか――!
大成功
🔵🔵🔵
ソニア・コーンフィールド
はーいあけましておめでとーございまーす!
プラクト…話には聞いてたけど実際見るのは初めて!
新しい年ってことで挑戦してみたいなって、先輩方に色々教えてもらいたいなー…そんな訳で五月雨模型店の皆さんよろしくお願いしまーす!
モーションタイプのロボットに挑戦してみるね!
まずは選定から…翼付きのとかあるのかな?
こう、クロッシングギアに噛ませて一気に加速したり方向転換したり色々できそうだけど。
選ぶ時は五月雨模型店の人にアドバイスお願いしたいかも!
親切…これはずぶずぶ沼に沈められていく…?
選んだら練習へ!
感覚結構難しいけど慣れれば…でもクロッシングギア扱い難しいね!
でも体得しなくちゃ…!
※アドリブ絡み等お任せ
新年早々、ダークリーガーとの試合というのはアスリートたちにとっては災難であったかもしれない。
けれど、ソニア・コーンフィールド(西へ東へ・f40904)はちょっと浮足立っていた。
新年の雰囲気に当てられたのかもしれないし、単純に『プラクト』という未公式競技に興味が惹かれたからかもしれない。
「はーい、あけましておめでとーございまーす!」
元気よく『五月雨模型店』に入店したソニアは、そのワクワクした気分のまま店内を見回す。
独特な雰囲気がある。
壁一面に棚が設けられ、そこにはいくつもの模型のパッケージが平積みにされている。
言ってしまえば、本棚に並んだ背表紙のような雰囲気さえあったことだろう。
どれを見ても、心が踊る。
一体どんな模型があるのだろう。
あれは? これは? 何?
ソニアは見上げるようにして棚に陳列された商品を眺めては、胸が高鳴るのを感じていた。
「お、こういうのって初めてか?」
声を掛けられて顔を向ければ、『アイン』と呼ばれた少女がソニアの様子を見て声をかけてくる。
「そうなの。話には聞いていたのだけれど、実際に見るのもやるのも初めて! 新しい年ってことで挑戦してみたいなって。先輩方に色々教えてもらいたなー……って」
「せ、せんぱい……!」
幼い少女である『アイン』にとって、その言葉は魔性の魅力を持っていた。
「しゃ、しゃーねーな! 特別だぞ!」
「本当? ありがとう! よろしくお願いしまーす!」
ソニアは人の懐に入るのが上手なのだろう。
早速彼女は『アイン』と共に制作スペースにて、プラスチックホビーを組み立てる。
『プラクト』は自分で作ったホビーを自分で動かして行う競技だ。
二つの操縦方法があるが、直感的に操作ができるのはモーションタイプと呼ばれる己の体の動きをトレースする操縦方法だ。
「だから、最初は自分の体型にあったホビーを使うと操縦しやすいぜ」
ドラゴニアンであるソニアは、巨大な怪獣王めいたプラスチックホビーを手にとって、これがいいのかな? と首を傾げる。
「ぴったりじゃないか? これ、骨格モデルと外皮が別々に飾られるやつだから、内部をちょっといじってやるだけで、『プラクト』でも動かしやすいぜ」
「そうなんだ。ならこれにしようかな?」
そう言ってソニアが作り上げたのは、バースモンスターシリーズと呼ばれるプラスチックホビーの花形とも言える怪獣王。
色はソニアの色と合わせて、ゴールドに塗装も決まっている。
広げた翼で飛ぶこともできるようだった。
「そうそう、うまい。あとは、今回から出た新フィールドのクロッシングギアを利用してみようぜ! 背中の突起がちょうどギアに噛み合うんじゃないか?」
「そうかな? ちょっとやってみる……ってわあぁ!?」
ソニアは己のホビーを外縁部の歯車の歯めいたパーツに接触させる。瞬間、ゴールドの怪獣王が凄まじい加速で持ってすり鉢状のフィールド中央部へと飛ぶのだ。
その速度は凄まじく、操縦しているというのに、迫力満点だった。
巨体の重量と相まってフィールドの中心が凄まじ土煙を上げるほどだったの衝撃が広がっていく。
「すげぇな……加速すると、こんな質量弾みたいな攻撃ができるのかよ……」
「び、っくりしたぁ!」
「いや、マジですごいぜ? よく制動できたな!」
ソニアは『アイン』たちが初心者相手でもいやがることなく付き合ってくれていることが嬉しかった。
もしや、これが沼、というやつなのかもしれない。
制作のときも色の選択や道具の使い方も丁寧に教えてくれた。
「これ、ハマっちゃうかもしれない……でも、楽しい!」
「それが一番だぜ!」
そう言って『アイン』は笑う。
勝ち負けの前に楽しむ。
その言葉にソニアも笑むだろう。どんなこともそうだが、楽しんだものが勝つ、いつだってそうなのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ラ・カルラ』
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POW : ブランチャ・ガルーダ
自身の【スタミナ】を代償に、【加速力、跳躍力】を高め、【空中から勢い】を籠めた一撃を放つ。自分にとってスタミナを失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD : 迦楼羅烈風撃
自身が【疾走して】いる間、レベルm半径内の対象全てに【熱風や旋風】によるダメージか【疾風による移動補助及び癒しの風】による治癒を与え続ける。
WIZ : アラブルスコビル
戦闘中に食べた【激辛料理】の量と質に応じて【その身に情熱と炎を宿し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
イラスト:蛭野摩耶
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠リカルド・マスケラス」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「それでは、やっちゃいましょウ!」
猟兵達は年始の挨拶もそこそこに、『プラクト』の新フィールドであるクロッシングギアフィールドを用いたダークリーガー『ラ・カルラ』率いるダーク化アスリートたちとの試合に挑むことになった。
なんていうか、ダークリーガーではあるが、礼儀正しい『ラ・カルラ』。
もっとハチャメチャな相手を想定していたのだが、スポーツマンシップに溢れている。
むしろ、気持ちの良い相手であるとさえ思えただろう。
「ふっ、試合というものは正面から正々堂々とぶつかってなんぼですかラ!」
「めっちゃ爽やか!」
「ですが、我々も負けるつもりは毛頭ありませーン! この日のために新フィールドでの特訓を重ね、そして『プラブレードX』を用いた練習をも重ねてきたのでース! これで負けるなんてありえませーン!」
シュバ、と一斉にダーク化アスリートたちもまた、回転するコマ型プラスチックホビー『プラブレードX』を構える。
「見えるものばかり見ているから、何も見えなくなる、のでース!」
あ、今の決め台詞?
「そうでース! さあ、楽しいバトルにしましょう!『レッツ』――」
「『アクト』!」
フィールドに一斉に飛び出すプラスチックホビーたち。
開幕より放たれるクロッシングギアによる超加速。
『プラブレードX』を駆るダーク化アスリートたちのホビーと連携するようにダークリーガー『ラ・カルラ』は、情熱的な衣装を模した機体と共にすり鉢状のフィールドに舞うのだった――。
中條・晶一
連携アドリブ歓迎
学校があったんで、出遅れた! けど、ダークリーガーが来るのには間に合ったな!
さぁ、ダークリーガー! この俺と勝負だ!
……お、おお、なんか想像してたより礼儀正しいな。
《セイレーン型美少女プラモデル「エウレカ」》でエントリー!
学校から急いで来たから、装備が不十分だ。徒手空拳で戦うしかない。今度からは装備も持ち歩いた方がいいな!
ユーベルコードを発動して、能力値上昇!
敵の加速攻撃を上手く回避して、攻撃後の隙を伺うぜ。
高められた勝負勘で隙を掴んだらチャンス! クロッシングギアで加速して一気にタックル、そのままマウント取ってタコ殴りにしてやる!
ごめんよ、可愛くない勝ち方で
学業とは大切なことである。
確かに学生時代において学業とはどうしたって二の次にしたくなるものだ。後回しにしたいと思うし、勉強以外のことに目が行きがちだ。
それは仕方ない。
なぜなら、世界には少年少女たちの興味を唆るもので溢れているからだ。
こればかりは仕方ない。
大人にならなければ見えない世界があるのと同じように、子供にしか視えぬ世界というものがある。
しかしながら、大人っていうのはいつもわかっちゃくれない。
子供だったのに子供のことを理解しようとしてくれないのだ。
あの頃の自分を見ているようで、どうしたって失敗を許そうとはしないのだ。
「ホームルームが長すぎるんだよな!」
中條・晶一(セイレーン型少女と共に・f45046)は胸を弾ませながらとある商店街、その片隅にある『五月雨模型店』の扉を開いた。
学校はダークリーガーの事情なんて待っちゃくれない。
「けど、間に合ったな!」
「ほう、遅れて登場とは……期待させてくれるではないですカ!」
そんな彼を待ち受けていたのは、ダークリーガー『ラ・カルラ』であった。
彼女のプラスチックホビーはすでに、新フィールド『クロッシングギアフィールド』に投入されている。
外縁に配された歯車の歯。
そしてすり鉢状となったフィールド。
それらによって『ラ・カルラ』の操るプラスチックホビー『プラブレードX』は凄まじい加速で持ってフィールドを縦横無尽に駆け回っているのだ。
「主役は遅れて登場するもんだからな! さぁ、ダークリーガー! この俺と勝負だ!」
「ふ、良いでしょウ! ならば、この『ラ・カルラ』、さらなるスコビル値を上げて、あなたを迎え撃ちましょウ! さあ、どうゾ!」
さあさあ、と『ラ・カルラ』は晶一の操縦パーティションを開けてくれる。
なんか親切である。
罠か? いや違う。普通にこのダークリーガー……。
「……想像してたより礼儀正しいな!」
「試合に勝利は絶対条件ですガ、それ以外ではノーコンテストでス! であれば!」
燃え上がるようにして彼女の体躯が発熱する。
その熱量は『プラブレードX』にも伝播し、回転とともに凄まじい熱波を噴出させるのだ。
「……お、おお……だけどビビってなんてられない!行くぜ、『エウレカ』!」
胸元に忍ばせていたケースより飛び出してフィールドに降り立ったのはセイレーン型美少女プラモデル『エウレカ』。
所謂、美少女プラモデルというカテゴリーである。
ピンクのツインテールが揺れ、女性のフォルムを崩さず、可動域を最大限にまで広げた『エウレカ』は靭やかにフィールドに降り立った。
「でも、武装ないぜ!?」
『五月雨模型店』のメンバーである『アイン』と呼ばれた少女の言葉に晶一は頷く。
「学校から急いで来たから、装備が不十分だ。けど!」
やれる、と晶一は構える。
呼吸を整え、己と『エウレカ』の心を一つにする。
それは、彼にとって容易いことだった。
学校がある日も休みの日も、寝る時も、何をする時でもずっといっしょにいるからこそ、『エウレカ』のことがわかるのだ。
「なんという熱きパッション! ならば、我らがコンビネーション、受けてみるでース!」
瞬間『ラ・カルラ』と共に配下であるダーク化アスリートたちが一斉にクロッシングギアを利用して四方八方から『エウレカ』に迫る。
だが、晶一はそれを呼んでいた。
彼らの『プラブレードX』は加速と連携に優れている。
あれだけの速度でぶつかれば、エウレカの柔肌ならぬ美プラスチックに傷がつくだけではすまないだろう。
だが、晶一は目を見開く。
オリジナル・スタイル。
ユーベルコードの煌きを受けた『エウレカ』はプラブレードの突進に弾かれながらも、その反動を利用してクロッシングギアに触れる。
瞬間、クロッシングギアから流れ込むエネルギーで最高加速に至った『エウレカ』が『ラ・カルラ』の『プラブレードX』へと突進するのだ。
「なっ、なんですトー!?」
「これが『エウレカ』の力だ! ごめんよ、可愛くない勝ち方で! でも!『エウレカ』の可愛さは世界一だから!」
晶一は『エウレカ』でもって『プラブレードX』に馬乗りになって、ポコス化タコ殴りする。
やってることはマウントポジションからのスレッジハンマー。
けれど、美少女の雰囲気に流されて、それはさながら昭和の喧嘩じみたコミカルな様相であった――!
大成功
🔵🔵🔵
迅瀬・ナクタ
「ふん、礼儀には礼儀で答えねばな。対戦、よろしく頼む。
さて、武器を構えたままクロッシングギアでさらに加速した高速回転は難しい……ならば、武器を構えずに回転する!」
練習に続けてプラクト機体『ナタク』で参戦
練習したようにナタクで回転を開始、加速してきたらあえて、中心の低い位置に移動し、相手のプラブレードX達の攻撃を機体上部の上部で受け止められるようにします。
UC【ダブル×ダブルラリアット】を使用
ナタクに取り付けた|EP-Lセカンドペアアーム《もう一対の腕》で攻撃を受け止め、回転ダブルラリアットで攻撃を仕掛けます。
「なに、倒れても、回転が止まっても、また回ればいい。これはプラブレードではなくプラクトなんだからな!」
場合によっては転倒も覚悟でバランスをわざと崩し上半身をぶつけに行きます。
アドリブ・連携は歓迎です。
ダークリーガー『ラ・カルラ』含め、ダーク化アスリートたちは礼儀正しかった。
彼女たちは新フィールド『クロッシングギアフィールド』を事前に手に入れ、フィールド最適解とも言えるプラスチックホビーを繰り出してきていたが、しかし、それも事前に相当な練習を重ねてきたのだろう。
凄まじい回転と加速。
これを操るには、付け焼き刃ではどうにもならない難易度を感じさせるものだった。
そう、ダークリーガーは確かに勝利にこだわる。
が、試合は正々堂々と行う。
盤外戦術などもってのほか。
全ては勝利のために行うものであって、それ以上でもそれ以下でもないのだ。
故に迅瀬・ナクタ(闇を抱くトイロボバトラー・f37811)は、鼻を鳴らして笑う。
「ふん、礼儀には礼儀で答えねばな。対戦、よろしく頼む」
態度とは裏腹。
けれど、ホビー・スポーツとは言え、スポーツ。
これに真摯に向き合う心があればこそだろう。
「はい、よろしくでース! ですが、負けるつもりはもうとうもありませーン!」
『ラ・カルラ』の『プラブレードX』が凄まじい回転と加速を見せる。
さらに外縁部のクロッシングギアと激突することで反発したエネルギーが、急加速を見せてナタクの操る『ナタク』に迫るのだ。
圧倒的な速度。
目にもとならぬ速度は、その『プラブレードX』に配されたブレードを回転させて『ナタク』の構えた武器を弾き飛ばす。
「くっ……凄まじい突撃だな!」
「今の一撃を凌ぎますカ! ですが、クロッシングギアの力はこれで終わりじゃあなりませーン!」
その言葉を証明するように、ダーク化アスリートたちの『プラブレードX』が『ナタク』へと次々と突撃を仕掛けてくるのだ。
「武器は……いいさ。どのみちクロッシングギアで加速したのならば、邪魔になるだけだ!」
ナクタは弾き飛ばされた武器を追うことはなかった。
そう、徒手空拳。
今の『ナタク』は空の手一つ、五体一つでもって迫る『プラブレードX』と対峙していたのだ。
大丈夫だ、とナクタは自身に言い聞かせる。
そう、大丈夫だ。
あれだけ練習したのだ。付き合ってくれた『五月雨模型店』のメンバーたちの助けもある。
重心を低くするように腰だめに構え、脚部の底から出現したギアでもって『ナタク』は回転する。
「その場で回転ヲ?!」
すり鉢状のフィールドの中心に移動し、『プラブレードX』の突撃を躱すのではなく、あえて受け止める。
機体上部で受け止め、弾かれるようにして更に回転する。
敵の攻撃を利用し、更に加速した回転と共に『ナタク』のアイセンサーがユーベルコードに輝く。
「この腕は飾りなんかじゃあない! 見せてやれ!!」
その言葉と共にダブル×ダブルラリアット(クアドラプルラリアット)の一撃が、セカンドアームによって放たれ、激突したダーク化アスリートの『プラブレードX』を上空に跳ね上げさせるのだ。
その衝撃で空中にて激突した『プラブレードX』同士が爆散し、その衝撃の中を『ナタク』は回転しながら飛ぶ。
凄まじい回転の負荷が操縦しているナクタの三半規管にのしかかるだろう。
だが、関係ない。
ふらついて倒れても。
回転が削がれて止まっても。
「また立ち上がればいい。また回ればいい。これは……プラブレードではなく、プラクトなんだからな!」
ナクタの意志に応えるように『ナタク』のアイセンサーが再び煌めく。
空には爆風の中を切り裂くようにして『ラ・カルラ』の『プラブレードX』が迫る。
「その意気やヨシでース!」
「回れ、『ナタク』!」
セカンドペアアームが『ラ・カルラ』の一撃を受け止めひしゃげる。
だが、それでも敵の回転を吸収した『ナタク』の機体が回転を加速させ、上半身ごと『プラブレードX』を弾き飛ばすのだ。
「なっ!? なんですトー!?」
「これが練習の成果だ。何も練習していたのは、お前たちだけじゃあない。これが、オレの……プラクトだ!」
ナクタの言葉と共に『ナタク』は回転し、竜巻のような勢いで持って『ラ・カルラ』の『プラブレードX』を追い詰めるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
薄翅・静漓
鮮やかで見事な連携プレーね
楽しいバトルに心が沸き立ってくる
『セラフィム・クレセント』のスピードと弓矢で対抗し
フィールドを駆け回るわ
練習で解ったのは、これは激突を利用する戦いだということ
私にも、頼りになるチームメイトがいる
彼らを信じて、無茶をさせてもらいましょう
――次の激突で大技を出すわ
すこしだけ無防備になるから、カバーをお願い
狙うのは、飛び出す『ラ・カルラ』
激突する瞬間の刹那に
腕の弓型ユニットを剣のように振い一撃を繰り出す
接近戦用に編み出した戦法、決めてみせるわ
互いのアスリート魂をぶつけましょう
吹き飛ばされた『ラ・カルラ』の『プラブレードX』の機体をダーク化アスリートたちの機体が受け止め、まるでジャイアントスウィングのようにフィールド外縁部に投げ飛ばした。
何を、と思ったかも知れない。
敵味方を間違えているのではないかと思うような行動だった。
だが、『ラ・カルラ』は笑む。
「サンキュー、リカバー! でース!」
その言葉通り、彼女の機体は外縁部のクロッシングギアに激突し、更に加速エネルギーを得てフィールド中央に砲弾のように舞い戻ってきたのだ。
「なんつー、力技だよ……!」
『アイン』と呼ばれた少女が呻く。
それほどまでに敵は『クロッシングギアフィールド』と『プラブレードX』を用いた戦法を熟知していたのだ。
回転力が失われれば、それを立て直す時間が必要になる。
だが、クロッシングギアがあれば、即座に加速力を得て回転をトップスピードに戻すことができるのだ。
それを成すために多くの練習が必要であったことは言うまでもない。
「鮮やかで見事な連携プレーね」
薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は、ダークリーガー『ラ・カルラ』たちの連携を見て、むしろ心が沸き立つのを感じた。
強敵に違いはあるまい。
だが、そんな強敵を前に怖気づくことはなかった。
彼女は胸を躍らせていたし、それはきっと『アイン』たちも同じだと思っていたのだ。
「だよな。楽しいよな!」
「ええ、なら」
静漓と『アイン』は目配せする。何をどうするかなんて、もう散々に練習して掴んでいた。
これはフィールドを最大限に利用した方が勝つ戦いだ。
ならばこそ静漓は『セラフィム・クレセント』の速度に付いてこれるのは『アイン』しかいないと思っていた。
赤と青の『セラフィム』が『閃光』のように戦場を駆け抜ける。
同時に『セラフィム・クレセント』もまたフィールドを駆け抜け、互いに交錯する。
機体と機体とがかすめるようなギリギリ。
だが、速度は落とさない。
もしかしたら、正面から激突するかもしれない。
けれど、そんな心配は何一つしていなかった。
たしかに敵は強敵だ。
けれど、静漓には頼りになるチームメイトがいる。
『プラクト』はチーム競技だ。
一人で戦い抜くことばかりではないのだ。だからこそ、無茶ができる。
「なんというスピードでース! ですが、交差してばかりでハ!」
「ええ、そうね。だから――」
「ああ、次だ!」
瞬間、互いの機体が交差し、『ラ・カルラ』の『プラブレードX』を中心に捉えてフィールドの外縁部へと二騎の『セラフィム』が飛ぶ。
「大技を出すわ」
その言葉に他の『五月雨模型店』のメンバーたちが頷く。カバーは任せろ、といわんばかりであった。
「何を狙っているのかわかりませんガ! それを真っ向から潰すのミ!」
飛翔するように『ラ・カルラ』が回転の速度を増す。
同時に『セラフィム・クレセント』が加速するも、『アイン』の『セラフィム』より速度が遅い。タイミングがズレた、と思った瞬間、交差した『セラフィム』同士が手を繋ぐ。
タイミングがズレたが故にその場で回転が起こり、静漓の『セラフィム・クレセント』が遠心力を得て『ラ・カルラ』の機体へと砲弾のように放たれるのだ。
「なっ!?」
「あなたも早く力強い。だから」
「いっけぇー!!」
力強い声援を受けて、せつな(セツナ)にきらめく『セラフィム・クレセント』の腕部に展開した弓形ユニットが剣のように鋭い一撃を『ラ・カルラ』の遺体へと叩き込む。
それは互いのアスリート魂の激突の煌きそのものであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
自分が今、何を見ているのか……あるいは何が見えているのか!
そう。わたしにはもう演奏している自分の姿しか見えません!
さー、いきますよー♪
今回はもう、新春大サービスにコンサートです!
え?
なんで、って。
せっかくこんなすり鉢型のフィールドなんですよ?
すり鉢型って、フィールドの隅々にまで音が響く設計なんですよ?
大昔のコロシアムとかホールとか、すっごく音がいいんですから!
そんなステージで演奏しないなんて、音楽家の名が廃ります!
すり鉢の底で全力全開で演奏すれば、隅々まで音が響き渡りますからね。
【悪魔のトリル】で相手の行動阻害しながら、ステラさんのテンション上げていきますよー♪
ステラ・タタリクス
【ステルク】
(ラ・カルラの決め台詞を聞いて)
いえ、違いますね
『見たいもの』ばかりを見ようとするから
『それしか見えなくなる』のです
自分が今、何を見ているのか……あるいは何が見えているのか
それを理解すれば自ずと『見えないもの』も輪郭がつかめましょう
つまり……エイル様の全容がわからな過ぎて
とりあえず見えるものにはぁはぁするしかない!!
メイド悪くない!
いきますよルクス様!
クリムゾンリッパーは元々高機動型ですし
こういうピーキーな戦いは得意なのです!
クロッシングギアの加速を利用してから
【クリムゾンウイング突撃】いきます!
不本意ながら広範囲攻撃はルクス様の方が得意だと思いますので
ボスは私がいただきましょう!
「見えるものばかり見ているから、何も見えなくなる……確かに言葉通りでース! 流石は王者チーム! そして、猟兵さんたちでース!」
痛烈な一撃を受けてダークリーガー『ラ・カルラ』の『プラブレードX』の機体が傾ぐ。
空中で回転を弱められながらも、しかし未だ闘志の炎は立ち消えるどころか、一層強烈に吹き荒れるようだった。
「だからこそ、燃え上がるのでース!」
「ふ、違いますね」
その言葉にステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は赤き機体『クリムゾンリッパー』を駆り、告げる。
「『見たいもの』ばかり見ようとするから『それしか見えなくなる』のです。自分が今、何を見ているのか……あるいは、何が見えているのか。それを理解すれば自ずと『見えないもの』の輪郭が掴めましょう」
ステラは、非常にシリアスに呟いていた。
それはもう今までの展開を自分でひっくり返すような、びっくりシリアスムードであった。
本当にびっくりである。
とってもまともに見える!
「もとよりまともですが?」
そうかな。そうかも!
「まあ、つまるところ……『エイル』様の全容が解らなすぎて、とりあえず見るものにはぁはぁするしかない!! のです!!」
あ、やっぱダメだわ。
違ったわ。
シリアスのシの字すらないわ。
こんなメイドの暴走状態を前にして、勇者は何処に?
どこ? あそこ?
カメラがパンしてフレームにインした先にあったのは、ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)が駆る『ソナーレ』であった。
操縦パーティションでは、ルクスがトリップしていた。
「自分が今、何を見ているのか……あるいは何が見えているのか! そう。わたしにはもう演奏している自分の姿しか見えません!」
こっちもこっちでヤバイ。
「いや、演奏じゃなくて、試合してほしいんだけど」
そんなメンバーたちの言葉なんてルクスには届いていない。
「さー、いきますよー♪ 今回はもう新春大サービスにコンサートです!」
「こういう時、メイドが止めるもんじゃないの? 攻守交代じゃないの?」
その『アイン』たちの言葉にステラは荒い息を何故か整えながら頷く。
「メイド悪くない!」
「いや、そうじゃなくって! なんで演奏なのかって話なんだけど。いつもなら止めるだろ!」
その言葉にルクスは不敵に笑む。
「なんでって。せっかくこんなすり鉢状のフィールドなんですよ? いいですか? すり鉢型って、フィールドの隅々にまで音が響く設計なんですよ? 音響スタジアムとかってそうじゃないですか。大昔のコロシアムとかホールとか、すっごく音がいいんですから!」
「そこまで理解しているのに、なんであんな破壊的な音しか出せないんだ?」
最もなツッコミである。
だが、ルクスは知らんぷりしていた。聞いてない振りなのか、都合の悪い言葉は聞こえないのか。どちらにしたって、ルクスはにっこり笑顔であった。
「そんなステージで演奏しないなんて、音楽家の名が廃ります!」
「勇者じゃないの!?」
「それもそれ! これもこれ! です! さあ、行きますよ、ステラさん! テンションあげていきますよー!」
響くは、悪魔のトリル(アクマノトリル)。
音の洪水が、回転している『ラ・カルラ』の三半規管を直撃する。
悔しいが、ルクスの独壇場であった。
そんな音の濁流の中をステラの『クリムゾンリッパー』が飛ぶ。
「不本意ながら……『セラフィム』!!」
ステラの瞳がユーベルコードに輝く。
瞬間、背に展開した真紅の光の翼が音の濁流を受けて更に加速する。
「クロッシングギアなしで、そんな加速ヲ!?」
「クリムゾンウィング、フルブースト!!」
その言葉と共に真紅のエネルギーをふんしゅつさせながら、ビームを『ラ・カルラ』の『プラブレードX』へと叩き込み、ステラは耳栓を引っこ抜くのだ。
「あ、まだ早かったですね?」
「まだ終わりませんよ、演奏はー♪」
ごきげんな音の濁流が、フィールドの何処にいても、それこそ外でも盛大に響き渡り、みんなの鼓膜を打ち据えるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【理ジェ】
うわ怖っ。
見えないものが見えてるの?お化けとか妖怪かそういう?
なんていうのは置いておいて『レッツアクト!』ということで、
開幕一撃行かせてもらっちゃうよー!
これこそ店長から強引に奪った【グリース】で作った、特製【グリース砲】!
クロッシングギアでどれだけ超加速しても、
すり鉢中にグリース塗れにしちゃえばもう落ちるだけ!
みんなー。ちゃんとアイゼンとかスパイクとかつけてるよね?
え?フィーアさんはいいの。
わたしのとなりにいればいいから。なんなら幻影で増えてもいいよ。
ぜんぶわたしのだから!
それはそれとして、すり鉢の底に落っこちたプラブレードなんて、ただの的。
最大火力ですり潰すよー!すり鉢だけに!
サージェ・ライト
【理ジェ】
よーし、本番ですよー!
トラメちゃん、毛づくろいです!(寝転がるトラメちゃん
見えるものばかり見ているから、何も見えなくなる、とは……
見えずとも読めるものもあります
そう、空気とか!
あっるぇ?!なんですかその視線は!!
ともあれ、このフィールドでは野生動物なトラメちゃんが
グリースナンデ!?
どうしてそちらに振り切りました!?
いかにトラメちゃんが可愛いといっても爪では限界が……
ええい、どうせ滑るなら突っ込むまで!
そう、【電光石火】で駆け抜けましょう!
アインさんを道連れにします!!さぁ乗って!
ついでにクロッシングギアで加速して超突っ込みいきますよー!
理緒さんにすり潰されないようにだけ注意!
見えるものばかり見ているから、何も見えなくなる。
それはなにかのキャッチフレーズであったのだろうし、事実アニメ作品のセリフでもあったことだろう。
だが、そういう事情を知らぬ菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)からすれば、それは心霊現象的なあれな感じのことなのかと誤解してしまうのは無理なからぬことであった。
「うわ怖っ」
そういう素の反応というのは、時に人の心の柔らかい部分を、ぶっすり刺すようなものであった。
「え、なに。見えないものが見えてるの? お化けとか妖怪とかそういう?」
「え、あ、いや、そのですネ」
「わたし、そういう話はやめてほしいなーって思うんだけど。あ、それよりも「レッツ・アクト」、だよー!」
素の反応に困惑するダークリーガー『ラ・カルラ』を他所に理緒は初撃にすべてを掛けていた。
彼女の操る機体が長大な砲身を掲げる。
腰だめに構えた長距離砲。
その火砲に込められた弾丸が炸裂する。
放たれた一撃は、しかし『ラ・カルラ』たちダークリーガー、ダーク化アスリートたちを捉えることはなかった。
「ハッ、どこを狙っているのですカー?」
「ふふ、違うよ。狙い通りだよ」
「なんですトー!? 一体どういう……ま、まさか!」
『ラ・カルラ』は気がついた。
理解はできなかったが、理緒が無駄に弾を一発消費するはずがないということはわかっていた。なら、あの砲撃には狙いがある。
自分たちを狙う以上のメリットが、あの一撃には込められていたのだ。
外縁部に激突する一撃。
だが、破壊するわけではない。
歯車の歯めいたクロッシングギアにぶち撒けられたのは、グリースであった。
そう、本来ならばギアを持つホビーに使われる潤滑剤!
それを弾丸にして理緒はクロッシングギア部分に放ったのだ。
「これこそ特性グリース砲、だよー! ふふん、これで」
「……ギアに噛み合っているのに! 加速しても……制動できない!?」
「ふふん、そうだよ。どんなに加速しても、最初だけ! 後はグリースまみれになった機体がすり鉢状の中央に集まっていっちゃう! もがいても登ることはできないよ!」
理緒の言葉に『五月雨模型店』のメンバーは頷く。
このために彼らの機体の脚部にはアイゼンやスパイクを展開するギミックが追加されていたのだ。
「流石は、理緒さんですね」
「え、ええ、ほ、ほんとうです! 作戦、ば、バッチリです!」
「あ、『フィーア』さんはわたしのとなりにいればいいから。なんなら幻影で増えてもいいよ。ぜんぶわたしのだから!」
理緒は折角生み出した好機なのに攻撃することなく『フィーア』の『セラフィム』に抱きつく。
え、なんで?
「だって、『フィーア』さんをあんなグリースまみれにするわけにはいかないよ! 後は、サージェさん!」
「んえ? あ、よーし、本番ですよー!」
サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は、その言葉に漸く面を上げる。
今の今まで何をしていたのかって?
『トラメちゃん』の毛づくろいである。
フィールドに寝っ転がって、さながら猫! そのもの! に擬態していたのだ! 擬態?
「ふ、見えるものばかり見ているから、何も見えなくなる、とは……いいですか。おとなになればわかることですが、見えずとも読めるものがあります。そう、空気とか!」
胸を張るサージェに刺さる視線。
ちょっとチクチクしている。
「アンタがそれ言うのか」
「むしろ、ダメな側ですよね」
「流石にな!」
「い、言ってる人によって、せ、説得力って、か、代わりますよね」
「あっるぇ!? なんですかその言いぐさと視線は!? なんかこう……って、あっるぇ!? なんで滑るんです!? グリース? ナンデ? グリースナンデ!?」
サージェは今の今まで毛づくろいしていたので、ことの推移というものを理解していなかった。
空気は読めます、みたいな事を言っていてこの体たらくである。
「どうしてそちらに振り切りました!?」
「グリース塗れプロレスからヒントを得て」
「そんなわけないですよね!?」
「まあまあ、サージェさん。今ならすり鉢状の中央にダーク化アスリートたちの『プラブレードX』が集まっているから、ね? ただの的だよ? 最大火力ですり潰そ? すり鉢だけに!」
「うまいこと言われたような気がしますが……ええい、どうせ滑るなら電光石火(イカズチノゴトキスルドイザンゲキ)で!」
「あ、ちょっとまって」
「な、なんです!?」
「グリースまみれ嫌だから、乗っけて」
「私を、トラメちゃんを乗り物に!? まあ、良いでしょう! 最初で最後のクロッシングギアに寄る超加速!」
その言葉と共に『トラメちゃん』は『アイン』の機体を載せてフィールドを疾駆する。
それは正しく電光石火。
閃光の如き一閃は、グリースまみれの『プラブレードX』たちをすり潰すというよりは、両断し大爆発を巻き起こして粉砕するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
……モー達の頑張り、その結実を以て、敵を破壊します!!
高機動型ダイダラ:マニューバタイプを【操縦】
戦場中央に陣取り『骸炭装甲』を発動防御力10倍!
【残像】プラブレードXの回転突撃を躱し【レーザー射撃】
また【鉄壁】の防御力を発揮、見せつける様に【怪力】で殴り壊す!
『ラ・カルラ』!全身全霊、全力で来い!!
スタミナを多量に消費する様に挑発し、クロッシングギアへ跳び、ラ・カルラのホビー目掛け【推力移動】
【動体視力】と【念動力】でダイダラ【空中機動】姿勢安定!
【瞬間思考力】相手の全力の一撃に合わせ加速の勢いを載せた【早業切断】攻撃!!ブレードトンファーを振るう!!!
ダァアアアイダラァアアアアアア!!!!
ダーク化アスリートたちの多くを猟兵達は蹴散らしていた。
このクロッシングギアフィールドが、チームメイトとの連携を持って最大の力を発揮するようにできているのならば、ダークリーガー『ラ・カルラ』の力は削がれ始めていると言っても過言ではないだろう。
それに加えて、これまでの試合経過を見るに『ラ・カルラ』の無尽蔵とも言えるスタミナにも陰りが見えている。
「くっ……ですガ!」
彼女は己の闘志を燃やす。
アスリート魂を持つが故に、行き過ぎた勝利への執念が彼女のダークリーガーとしての本質なのだとすれば、敗北など認められない。
スタミナ切れなど許されない。
ならばこそ、彼女は己がスタミナを絞り出すように咆哮するのだ。
「負けませン!!」
「その魂……確かに強敵なのだろう。だが……モーたちの頑張り、その結実を以て、貴様を破壊します!!」
朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)の機体、『ダイダラ』がフィールドに飛び込み、そのあまりの重量にフィールドが激震する。
フィールド内の機体が全て浮かび上がるほどの衝撃だった。
「『ラ・カルラ』! 全身全霊、全力で来い!」
「言われるまでもありませーン! 私のスタミナが尽きようとも! チームメイトたちが倒れようとも! それでモ!」
そう、『プラクト』はチームの最後の一人が倒れるまで決着しない。
故に『ラ・カルラ』は追い込まれようとも勝負を決して投げない。
その心意気は、アスリートとして敬意に値するものであったことだろう。故に小枝子は咆哮する。
それが例え挑発であっても、あえて飛び込む敵に小枝子は真っ向から突撃するのだ。
「この一撃で、そのホビーを破壊させていただきまース! 受けていただきましょウ! これが単独クロッシングギアアタックでース!!」
迫る『プラブレードX』。
回転と加速。
その両方を合わせた一撃が『ダイダラ』の装甲を切り裂く。
骸炭装甲(ヘキサゴナルコークス)によって装甲を増強してなお、ブレードが食い込むほどの一撃だったのだ。
「なんト!」
「受け止めきってみせたぞ、なら! 壊すのは自分だ!!」
小枝子の瞳がユーベルコードの輝きに満ちている。
巨体を推し進める推進力。
押し負けてはなるものかと噴射する光と共に小枝子は腕部に携えたブレードトンファーを振りかぶる。
「くっ! 再回転デ!」
逆回転に回転して食い込んだ装甲から脱する『ラ・カルラ』。
だが、それを見逃す小枝子ではなかった。
「逃がすかッ! ダァアアアイダラァアアアアアア!!!!」
小枝子は吠えた。
その咆哮こそが重たい駆体を突き動かし、念動力で重たい機体を空中に飛ばす。
そして、巨大な質量となった機体共々、ブレードトンファーの一撃を『ラ・カルラ』の機体へと叩き込むのだ。
フィールドがひしゃげ、砕ける中、小枝子は己のホビーが最重量であることを示すように砕けたジオラマの中で聳える巨躯の威圧感を放つように咆哮するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
陰海月「ぷ!」
…陰海月語を翻訳します…
せっかくだから、『プラブレードX』(クラゲエディション)で!よろしくお願いします!
同じ機体。でも、経験は向こうが上だよね。
でも、ぼくも負けないもん!
回転とともに光って光珠をピシピシ飛ばして…綺麗でしょー?
そっちがどれだけ情熱の炎を宿そうが…ぼくだって!
止まらないこと、それと弾き出されないこと。それがコマでの対決における、勝ち方でもあるっておじーちゃんたち言ってたからね!クロッシングギアでの回転数加速も充分に利用していくもん!
光の軌跡を追っちゃうと、纏ってる光(呪詛)で押されるから、自然と回転数が少なくなるんだ。
そこを狙って、ぼくの方から突撃!
凄まじい衝撃が土煙を上げている。
フィールドに走る激震。
それは猟兵のプラスチックホビーとダークリーガー『ラ・カルラ』の『プラブレードX』とが激突した衝撃であった。
すごい戦いだ、と馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)と合体した『陰海月』は思っただろう。
『プラクト』は此処までできるのか、とも思ったはずだ。
「ぷ!」
自分も、と思った。
あんなふうに楽しく戦いたい。
己の鍛えた体躯、磨いた技術、そして思い描く心。
それらを合わせて一つにするからこそ『プラクト』はホビー・スポーツでありながら、心技体を兼ね備えた競技に昇華しているのだ。
だからこそ、同じ土俵で戦いたいとも思えた。
「ぷっきゅ!」
「ムッ! 私と同じ『プラブレードX』で挑むとハ!」
猟兵の凄まじい一撃から逃れた『ラ・カルラ』は、フィールドを凄まじい加速でもって疾駆する『陰海月』の『プラブレードX』を認め、迎え撃つ。
互いに激突し、火花を散らす。
「ほウ! クラゲエディションとは、洒落ていますナ!」
「きゅ!」
負けない!
確かに『ラ・カルラ』が全てにおいて此方より上なのはわかっている。
フィジカル、経験、スキル。
多くの点において及ばないことは理解しているのだ。
だが、それでも負けん気だけは譲れない。
回転する機体と共に放たれる光珠が『ラ・カルラ』の『プラブレードX』を打ち据える。
「綺麗ではありますガ! これで勝てるのならば、苦労はしないのです!」
燃え上がる情熱の炎。
炎熱すら感じさせる風がフィールドから操縦パーティションに吹き込む。
その風を感じながら『陰海月』は頷く。
そうだ。
気持ちだけで勝てるのならば、誰だって勝利者だ。
けれど、そうはならない。
勝ちたいという想いが、今の『陰海月』をつ動かしている。
弾かれた機体が外縁部に激突する。
止まらないこと、はじき出されないこと。
それがコマとしての戦い方だと教わったのだ。
「ぷきゅ!」
唸るようなエネルギーを受けて『プラブレードX』が再加速する。
「こちらの攻撃を利用して!」
光が煌きながら『陰海月』の『プラブレードX』が煌めく軌跡を描きながら『ラ・カルラ』の機体へと激突する。
互いに同じホビー。
故に激突による回転数がどうしても落ちてしまう。そこを一瞬の隙と捉えて『陰海月』は飛び込んだのだ。
「ま、まさカ! この私が、圧されル!?」
「ぷ~きゅ~!!!」
渾身の力を込めた突撃。
その一撃は、見事に『ラ・カルラ』の機体を弾き飛ばし、フィールドを光で満たすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
ナイアルテの奴どうしたんだ?
「お正月テンションだぞ☆」
何時ものメルクリウスを使用
【情報収集・戦闘知識・視力】
クロッシングギアの効果と能力を冷徹に把握
UC発動
【念動力・空中戦・弾幕】
UC発動
高速で飛び回り念動光弾を叩き込みつつ
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
クロッシングギアを利用しての鎌剣による超速斬撃を叩き込み
切断した武装や諸々は容赦なく強奪して動きを妨害する
とりあえずこういうギミックが出たとしても…戦いの基本は変わらねぇ
相手のやりたい事を妨害して此方がやりたい事を押し通すって奴だ
中々便利だが拘り過ぎれば足元をすくわれるってな
元々の超絶速度にクロッシングギアを利用して更に加速しての蹂躙!!
年末年始というのは、どうしたってワクワクするものである。
子供であるのならば、なおさらだ。
けれど、大人にとっては憂鬱な時期でもある。
年末進行、お年玉、帰省。
どれをとっても煩雑さからは逃れられない。
それでもやらねばならないことである。
「お正月テンションで乗り切るんだぞ☆」
その声を聞いて、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は、まあ、そりゃあな、と嘆息してみせた。
フィールドに投入した『メルクリウス』のプラスチックホビーにて、彼は新フィールドであるクロッシングギアフィールドを観察する。
「ぶっつけ本番の勝負になっちまったが、行けるだろ?」
「もっちろん☆」
軽いノリであるが、概ね状況は理解できた。
あの外縁部に配された歯車型の歯がプラスチックホビーに超加速を与えるのだ。それが回転するプラスチックホビーであれば、さらに効果は倍増するだろう。
だからこそ、このフィールドを駆け抜けるプラスチックホビーの速度は『メルクリウス』に匹敵するものであった。
「ハッハー! まだまだ負けませんよ! 止まっても踏み出せば良い。回転すれば良いのでース!」
ダークリーガー『ラ・カルラ』の『プラブレードX』は猟兵たちの猛攻を受けて傷ついてはいるが、それでも止まっていなかった。
再加速によって回転を得た彼女のホビーは、さらなる速度を持ってフィールドを駆け抜けているのだ。
「ハッ、やるじゃあねぇか! けどよぉ! 加速装置起動…メルクリウス…お前の力を見せてみろ…!」
「らじゃ、だよ☆」
その言葉に応えるように『メルクリウス』のアイセンサーがユーベルコードに煌めく。
確かにクロッシングギアによる仮想は脅威だ。
だが、今の『メルクリウス』は通常の速度の三倍を誇る力を得ている。
加えて、クロッシングギアを利用するのならば、それをさらに倍増させる。
本来の機体に生身で乗っているのならば、加速度Gによって多大なる肉体への負荷を得ているところだろう。
だが、これは『プラクト』なのだ。
であるのならば、肉体的負荷は最低限。
むしろ、制限がないと言ってもいい。
「なんという速サ!」
「悪いな、これがこっちの十八番なんでね! そらぁ!!」
放たれう鎌剣の一閃が『ラ・カルラ』の機体の装甲を引き剥がすように叩き込まれる。
「確かに便利なギミックだが、戦いの基本は変わらねぇ! 相手のやりたいことを妨害して、こちらがやりたいことを押し通すってやつだ!」
速度で上回るからこそ、封殺することができる。
仮に『ラ・カルラ』に敗因があるとしたのならば。
「ギミックに頼りすぎ、こだわりすぎだ! それが破られたのならば、何もできなくなるってんなら!」
再加速に次ぐ再加速。
『メルクリウス』はフィールド状を疾駆し、外縁部のクロッシングギアを利用して恐るべき速度に到達しながら『ラ・カルラ』の『プラブレードX』を斬撃で切り刻み、ボロボロにするのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
…被りが多いという事は、躊躇なく改造に使えるという事!
外周ギアに嚙合わせる部品は無いけど、無いならないで別の戦術を取るだけ!
折角のこのフィールド、変形機構で軸先を出して見立てコマモードを搭載!
ちょっと無理くりな見立てだけど、ここは雰囲気で!
そしてウィングを展開
翼と剣を角度を付けて四方に伸ばし、空力制御ウィングに!
そう、強力なダウンフォースがここに発生して凄い防御力が理論上は出たり出なかったり…
小さいからダウンフォースが発生しないって?
【剣技・嵐流剣】起動
ダウンフォースあるもん!
|ダウンフォース《蒼嵐》を纏ってフィールド内を疾走
回転する剣と翼で敵の機体を吹っ飛ばして、連携を乱していこう
月夜・玲(頂の探究者・f01605)の大人おみくじの結果は、その言うまでもないというか、残念なことになっていた。
だが、大人っていうのは涙を見せないものである。
零れそうになる涙を上向きにして溜め込むことで流さない強がりを見せるのもまた大人ってもんである。
そういうもんなのかな、と『五月雨模型店』の子どもたちは思ったが、玲は在庫処理というなの福袋の中身を潤沢に使って巳型ホビーを作り上げていた。
「被りが多いということは、躊躇なく改造に使えるということ! これも大人の力!」
そう、子供では絶対にできない。
まーたあんたは同じもの買って! 違うんだよかーちゃん! というやり取りを大人はしなくていいのだ。
大人の凝り固まった固定観念の犠牲になるのが常に子供なのだ。
だが、それを拭えるのもまた大人。
皮肉でしかない。
けれど、玲は構うことなくダブりにダブったホビーを組み合わせて全く別のホビーを作り出したのだ。
想像力で固定観念をぶち壊す!
それも大人のパワーにて!
「外周ギアに噛み合わせる部品がなかったけど……ないならないで別の戦術を取るだけ!」
巳型ホビーがトグロを巻く。
それは蛇らしい姿であっただろう。
そして!
「尻尾の先を軸に! 後は遠くから薄目でぼんやり眺めれば、見立て完了! 巳型コマモード!!」
言ったもん勝ちである。
こういう見立てっていうのは、ノリと勢いが大切なのだ。
冷静になったらダメ出し、此処と此処が物理的にあり得ないとか、そういう洒落せぇ理屈はノーセンキューなのだ。
コマって言ったらコマなのだ。
誰がなんと言おうと、今、玲が操っているホビーはコマモードになっているのだ!
「ウィング展開!」
その言葉と共に伸ばされた翼と剣。
角度をつけることによって生み出される空力。
本当にあるのか? そんなことが?
「ある! 強力なダウンフォースの高まりを感じるでしょ! スゴイ防御力が理論上はでたりでなかったり!」
「どっち!」
「どちらもでまかいませーン! その熱き回転を前に激突しないわけにはまいりませーン!」
ダークリーガー『ラ・カルラ』はボロボロになりながらも玲の巳型コマモードへと『プラブレードX』の回転と共に迫る。
その一撃は強烈だった。
なんちゃって見立てコマモードではどうしようもないものであった。
だが、激突の瞬間、玲の瞳がユーベルコードに輝く。
「小さいからダウンフォースが発生しないって? なら、生み出しちゃえばいいじゃん! だって、嵐はただ、全てを乱す! んだからさぁ!!」
そう、巳型なのに剣パーツが沢山付いていたのはこのときのため。
剣技・嵐流剣(プログラム・ストームエッジ)によって、蒼嵐をまとった巳型コマは、『プラブレードX』と激突する。
互いが互いを削るような凄まじい衝突だった。
「ダウンフォースあるもん!」
「嵐じゃなくて?」
「ダウンフォースなの!」
凄まじい剣圧。それが回転が加わることによって、苛烈なる一撃を生み出し、アッパー攻撃のように『ラ・カルラ』の『プラブレードX』を弾き飛ばすのだ。
まさしく嵐。
嵐を呼ぶ巳型コマ! それが玲の見出した年末年始商戦、福袋の惨憺たる結果を逆転させるワイルドカードだったのだ――!
大成功
🔵🔵🔵
ソニア・コーンフィールド
色々教わったけど実戦はやっぱり緊張するね…!
熾天怪獣王と一緒に正々堂々頑張っていくよ!
あ、こちらこそよろしくお願いしまーす!(礼儀正しくね!)
決め技は練習したアレ、でも相手速いから簡単には当たってくれなさそう…!
こういう時はまず崩しからだよねー…よし!
フィールド外縁付近で身を低くしつつ風に吹き飛ばされないよう堪え戦う。
熱はきついけど我慢!UC起動、召喚ガジェットは磁力系!
プラブレードXに張り付く磁性帯びたボールとそれを引き寄せる電磁石のセット、近づいて来た時にボール付けて磁力で力かけて体勢崩し、クロッシングギア利用した加速でどーんとぶちかます!
上手くいくかなー…楽しみ!
※アドリブ絡み等お任せ
『プラモーション・アクト』――通称『プラクト』。
それは己が思い描いたホビーを己で作り、己で動かして競うもの。
ソニア・コーンフィールド(西へ東へ・f40904)は、確かに初心者であった。だが、『五月雨模型店』のメンバーたちに教わり、練習し、付け焼き刃ではあるけれど、経験を積んできた。
楽しかったか楽しくなかったかと言われたら、楽しかった。
どれもが新鮮で、心躍る経験だった。
自らが苦心して作ったホビーが、フィールドを駆け抜けている時の感動と言ったらなかっただろう。
けれど、実践となれば、やはり緊張してしまう。
そんなソニアの緊張を見透かしたのか『アイン』たちは笑う。
操縦パーティションから、にこーと笑っている。
「そっか……そうだよね。楽しまないとね!」
「おうよ! 笑ってこーぜ!」
「うん!」
「なんたるスポーツマンシップ! であるからこそ、勝利がほしいのでース!」
ソニアたちのやり取りにダークリーガー『ラ・カルラ』は感激していた。
今や彼女の機体も猟兵との激突によってボロボロになっている。
だが、それでもまだ戦うつもりなのだ。
ダーク化アスリートたちも多く撃破されている。
最後の一人である『ラ・カルラ』を倒せば試合は終わる。終わってしまう。
「こちらこそよろしくお願いしまーす!」
礼儀正しくソニアは一礼し、己が作成したホビー『熾天怪獣王』をフィールドに投入する。
何度も練習した。
試合は最終局面だ。
でも、相手は己よりも経験も練習量も多い。うまくできるかわからない。けれど、うまく行かなくても失敗してもいいのだとソニアは理解した。
だって、そのためのチームメイトなのだ。
自分が失敗しても、みんなが助けてくれる。それがスポーツなのだ。
「待ち構えますカ! ならば、受けていただきましょう!」
凄まじ回転と共に外縁部に触れた『プラブレードX』が今日の試合一番の加速力を見せて『熾天怪獣王』へと飛び込む。
「崩し!」
「……よし!」
『アイン』の言葉にソニアは頷く。
迫る一撃。
機体そのものをぶつける一撃は、その重量と硬さを以て凄まじい衝撃を生み出すだろう。
けれど、ソニアは臆することはなかった、
身を低くし、飛ばされぬように踏ん張り『プラブレードX』の一撃を受け止めたのだ。
さらに噴出する熱。
『熾天怪獣王』の外皮が歪む。
けれど、内部フレームがしっかり組んであるから大丈夫だと、ソニアは頷く。
みんなが手伝ってくれた。
みんなが助けてくれた。
なら、とソニアは思い切ってユーベルコードを発露する。
「とっておき、見せてあげるね!」
その言葉と共に『熾天怪獣王』の瞳が煌めく。
外皮が一部展開し、内部から射出されたのは磁性帯びたボール。そして、それを引き寄せる電磁石。
『プラブレードX』のブレード部分に吸着した磁石を掴んで、その体制を崩す。
回転しているから体勢をジャイロ効果で戻そうとしてくるのを、さらに押し込むのだ。
「次です!」
「うん! いっけー!」
電磁石を解除し、敵の回転力から吹き飛ばされる『熾天怪獣王』。
その機体が外縁部に強烈に激突した瞬間、膨大なエネルギーが流れ込み超加速を生み出す。
それは外周部をぐるりと一回転し、加速に加速を重ねた砲弾のような一撃。
うまくいくかな、とずっと思っていた。
本番と練習は違う。
けれど、練習は礎なのだ。
本番という場において己を飛ばす射出台。重ねた分だけの力を必ず発揮してくれる。
その一撃が『ラ・カルラ』の『プラブレードX』へと放たれ、苛烈なる一撃をもって粉砕するのだ。
「これが、ドラゴンガジェット・イグニッション!」
砲弾のような一撃がフィールドを粉砕し、『プラブレードX』を破壊する。
それは試合が決着したことを示す轟音。
ソニアは飛び上がり、『五月雨模型店』の子供らとともに勝利を喜ぶように抱き合うのだった――。
大成功
🔵🔵🔵