ブレイズ・ハートのハロウィン
グラン・ボーン
【ブレイズ・ハート】
舞台:ハロウィンの夜にヒーロー達が開いている野外パーティ会場に
ブレイズ・ハートの面々と参加者と交流している
よう、仮装してお菓子を配るイベントだそうだな
グランはあずきバーを持ってきていたのだが、それはあずきバーというにはあまりに大きすぎた
大きく
分厚く
重く
そして大雑把すぎた。
あとキャンディを持ってきてるのだがこれもデカい
ソフトボール位ある
これをくす玉にいっぱい入れたピニャータを天井に吊り下げてるのだが、危険な重量がある
ん?
その時お菓子を盗む人影が見えた
おい
と掴もうとすると、すり抜ける
どうやらオブリビオンだ
腕はすり抜けたが、お菓子は手に持って盗んでいる
なら、お菓子ならいける
グランは手に持ったあずきバーでオブリビオンを殴り倒した
さらにとどめとばかりにピタ―ニャを落とす
よし
あとは、交流するか
カラキリとエドは知ってるが、ほかのやつらはあんまり知らないからな
え~と、シカの角のねーちゃん
シカの子なんちゃらってやつのコスプレだな
俺はグランだ
(デカいキャンディを渡して笑顔を見せる)
アーマーバロンっぽいコスプレしてるのがいるな
ようマニアックだな
(顔が分からんが多分知らないやつだろう、飴を渡しておこう)
有名な幕末の漫画じゃなくて、すぐ打ち切りになった西部劇の方とはなかなか粋だな
あとはデュエルしてるのがいるな
バンデット何とかか
よう、アズキバーをやろう
ふう、これで交流完了だな
馬神・レイト
時間帯:夜
場所:屋外
【ブレイズ・ハート】
舞台:ハロウィンの夜にヒーロー達が開いている野外パーティ会場に
ブレイズ・ハートの面々と参加者と交流
デュエルトルーパーを装備、相棒のシーグウルムと共に出る
チョコやクッキーなどのお菓子を用意して、準備を整える
「さすがはリーダー、こういうイベント、慣れてるな・・・・」
写真などを受ける空桐のリーダーにちょっとだけ憧れる。まるで特撮ヒーローの握手会みたいって、盛り上がているな~
やっぱすげぇよ、リーダーは。こういうカリスマ性のあるって。俺は出来ないな
グランさんの所も大人気みたい、その巨大な体、安全感あるな~
ジャクリーンさんは騎士コスプレか、いいね。こういうの憧れっちゃうな~
いっぱい楽しんでね!
レヴィアさんは魔女か、なんだろ
・・・・ちょっと、どこを目をむけばいいの分からないので、一旦スルーしよう
そしてエドさん、なんだろ、普通に綺麗だな。めっちゃ似合ってますよ、その服
今更だけど、美人多くない?
「まあそんな事より、そして一番大事なのは、これよ!」
『なんなんだこの数のカードデュエルグッズは!!?』
いい質問だシーグウルム、これはつまり布教活動、このヒーローの世界でも、カードデュエリストを生み出すぜ!
あとこういう物、子供の間に流行しやすいし、きっとなんとかなるだろ
『もしダメだったら?』
その時はまだ考える!さあ子供たち、デュエルマスクの出番だぜ!デュエルに勝ったら、ボーナスがもらうので、全力全開で来い!
「おっすリーダー。だが手加減っというのもほどがあるってね。」
『お前が大人げないのだけだろ!?』
…反論できない。
「おっと、怪人か?じゃここで見せてやるぜーー!行くぞシーグウルム!」
ユーベルコード起動、さぁ真の姿を現せ、シーグウルム!
『おおっ!行くぞレイト!!』
小さいドラゴンから大きいドラゴンに大変身!
『我が名はシーグウルム・ドラゴソウル・ザ・ファーストッ!史上最強の雷のドラゴンだ!我が怒り!とくと知れ!!』
周りを破壊するとか、しないでね!
「どうだ、これが俺たちの力、カードとの力だ!」
『いや、そこはカードと関係ねぇだろ。』
ジャクリーン・メドゥシアナ
【ブレイズ・ハート】
舞台:ハロウィンの夜にヒーロー達が開いている野外パーティ会場に
ブレイズ・ハートの面々と参加者と交流している
「ロケットエンジンを背負った騎士」のコスプレで参加。コスチュームは『ヒーローズアース』のコスプレ店で購入したもの。
「ウッドストックさんの教えてくれたアイデア表でなんとなく決めたコスプレだったけど、これも悪くないわね。私の顔と髪はヒーローというより、ヴィランのようだもの。これで顔を隠さないと、子ども達が驚いて帰ってしまうかもしれないわ」
ウッドストックさんに対して
「ありがとう。私もいつか、自信を持って子供達の前にこの姿を晒せたら良いと思うわ」
子供達へのお菓子は和菓子を用意。
「あら、和菓子は嫌い? ならこっちもあるわよ」
と、和菓子が嫌いな子達には、『サクラミラージュ』から大正時代っぽいお菓子(大正仕様のミルクキャラメルやドロップ)を差し出すわ。
空桐所長に声をかけられれば応じる。
「ありがとう所長。私、ヒーローを名乗ってはいるけど、腕っぷしを振るう仕事ばかりしてきたから、こういう仕事は新鮮だわ。これから、慣れていかないといけないわね。|『サクラミラージュ』《元の世界》でも、頑張ってみるわ」
お菓子怪人が乱入してきたら、《祟り縄》を取り出して、【呪詛】で攻撃。
「効かない!?」
と最初に攻撃して、敵が普通の攻撃が効かないことを読者に示す役目。
ボーンさんや空桐所長達の攻撃を見て、理解した私は、キャンディケインを取り出して近接攻撃に出るわ。
子供達が逃げる時間を作るには、やっぱり、近接攻撃が一番よね。幸い私の衣装は(コスプレだけど)甲冑。相手の攻撃を受け止めるのにも向いているわ。
「なんとかなったわね。よかったわ」
安堵の息を吐いて、他の人のパーティの手伝いでもしようかしら。
●
ハロウィン。毎年10月31日に行われる行事である。
仮装を楽しむ日や子供達にお菓子をあげる日とイメージをする人も多く、それはだいたいあってる。
この行事、不思議と骸の海に浮かぶ各世界に普及しており、英雄達の世界であるヒーローズアースでもそれは変わりない。世界のあちらこちらでハロウィンを楽しむ人々がおり、その一ヵ所がここ野外パーティー会場であった。
地元のヒーロー達が共同主宰して開かれているパーティーは盛況だ。
|仮装《コスプレ》した人々が食事を楽しみ、子供達が「トリック・オア・トリート」の掛け声と共にお菓子を貰っている姿があちらこちらで見られる。
そんな会場にヒーロー事務所『ブレイズ・ハート』の面々の姿もあった。
『ブレイズ・ハート』は有力なヒーロー、真紅の英雄ブレイザインたる空桐・清導(ブレイザイン・f28542)がトップを務める事務所でこの世界では有名だ。普段であれば彼を目当てに人だかりが出来ていたかもしれないが、今日は違う。清導を始め、ブレイズ・ハートの者達は全員コスプレをしていたからだ。
清導はいつもの|超鋼真紅の鎧《ブレイザイン》を纏った姿ではなく翼の生えた美しい魔獣、グリフォンの様な姿をしていた。まあ、流石に四足歩行をする訳にもいかないので直立二足歩行の為にライトな仮装といった感じだ。清導自身は「かっこいいから良いだろう!」と満足している。
トリック・オア・トリートと言いながら近づいて来た子供達に屈んで目線を合わせてお菓子を渡し、頭を撫でてから見送った清導は立ち上がって一緒に来ている仲間に声を掛ける。
「エドはどうだい。楽しんでいるか?
仮装は大正時代の服装っぽいな。いつもの軍服とは違うから印象も変わるなあ。よく似合っているよ。
レヴィアはカボチャドレスの魔女かな?
流石はレヴィア。ドレスがよく似合っているな。二人ともこんなお祭りは初めてなんじゃないか?
獣人戦線ではなかなか味わえない空気だと思うから、楽しんでいこうぜ!」
「ええ、楽しませてもらっていますわ。平時の催しは、心が安らぎますわね」
「ええ、獣人戦線でもハロウィン自体はあると思うけど……わたくしは、軍事で忙しかったからね。こんなハロウィンのお祭りに参加するのは初めてよ」
清導に声を掛けられたエド、エドワルダ・ウッドストック(金雀枝の黒太子・f39970)とレヴィア・イエローローズ(亡国の黄薔薇姫・f39891)が答える。清導が言った通り、二人とも獣人戦線出身であり、奇しくも同じシカの獣人だ。
二人の仮装だがエドワルダは大正のモダンガールといった装いである。帝都櫻大戰の直後というタイミングもあって仮装と聞いて思いついた姿だった。レヴィアはシカの獣人であり、その自前の角を活かしたカボチャドレスの魔女に仮装している。二人とも獣人世界大戦を経て情勢は好転しているもののまだ戦乱の止まない故郷を想い、早く自分達の世界も心穏やかにこういう行事を行えるようになればいいと願っていた。
それはそれとして、二人ともに用意をしたお菓子を子供達に配ったり、こちょこちょくすぐる悪戯をして楽しんでいる。ちなみに悪戯しているのはエドワルダだが主客が転倒している。まあやられている子供は喜んでいるので問題ないんだろう。
「ジャクリーンもすっかりヒーローだな。仮装もクールでイカしているぜ!
やっぱりロケットエンジンは良いものだ……」
エドワルダとレヴィアの様子に満足そうに頷くと清導はさらに仲間に声を掛ける。
掛けられたのはジャクリーン・メドゥシアナ(メドゥシアナ・ガーディアン・f42789)。サクラミラージュ出身の蛇の髪の毛を石化の力を持つ邪眼を持った怪奇人間である彼女は現在、『ロケットエンジンを背負った騎士』のコスプレをしている。
「ウッドストックさんの教えてくれたアイデア表でなんとなく決めたコスプレだったけど、これも悪くないわね。私の顔と髪はヒーローというより、ヴィランのようだもの。これで顔を隠さないと、子ども達が驚いて帰ってしまうかもしれないわ」
「そんなことはないと思います、けれど安心できるのならそれも良いですわね」
やや自嘲気味なジャクリーンの台詞にエドワルダは即座にそんな事はないと言葉をかける。
ただ、ジャクリーンの台詞は彼女のこれまでの人生から来たものだろうから完全な否定ではなく寄り添う形だ。
「ありがとう。私もいつか、自信を持って子供達の前にこの姿を晒せたら良いと思うわ」
そんなエドワルダの心遣いはジャクリーンにしっかりと通じている。少し微笑みながら前向きな言葉を返す。
「しかし、今更だけど、美人多くない?」
そんな女性陣を見て素の感想を漏らしたのは馬神・レイト(通りすがりのカードデュエリスト・f43310)。
レヴィアの魔女姿はレイト的にはちょっと直視が難しいレベルで輝いて見えるし、エドワルダの大正モダンガール姿もめっちゃ似合っていて普通に綺麗だと思う。ジャクリーンも今は騎士のコスプレで顔を隠しているが、造形自体は端正だ。『ブレイズ・ハート』の女性陣のレベルは非常に高いと言えるだろう。
「ハハ、そうだな。さて! 一度ばらけるか。こういう交流会もヒーローの大事な活動だからな。
交流を持つことでヒーローを身近に感じてもらって安心してもらう!」
ハロウィンパーティーを客として楽しむだけではなく主体的に来場者を楽しませる事でヒーローを身近に感じてもらいたいという清導に皆、賛成する。特に張り切ったのはレイトだ。彼にはある野望があった。
ちなみにレイトの姿はデュエルトルーパー、決闘者のためのアーマードバトルスーツを着用した姿だ。
コスプレとも言えるし日常的な姿とも言える。傍らには相棒の赤い龍、シーグウルムも小さな姿で具現化している。なぜレイトがこの格好を選んだかというとそれは彼の野望の為だ。では野望とは何か。
「それじゃ、始めようか! 今日一番大事なのは、これよ!」
『なんなんだこの数のカードデュエルグッズは!!?』
個々の活動開始として真っ先に行動に移したのはレイト。彼は何処からか膨大な量のカードデュエルグッズを取り出して並べ始める。これに驚きの声をあげるシーグウルム。
「いい質問だシーグウルム、これはつまり布教活動、このヒーローの世界でも、カードデュエリストを生み出すぜ!」
過去の記憶を持たない彼はカードデュエルに情熱を傾けている。現在はUDCアースが主戦場だが様々な世界に赴けるのが猟兵だ。カードデュエル文化を普及したいという思いがあった。
ハロウィンパーティーには子供が大勢集まっている。
もともとカードゲームは子供に流行しやすいものであるし、何とかなるだろうとレイトは考えていた。
●
さて、清導が分散してのヒーロー活動を提案する前から既に単独で動いているメンバーがいた。
グラン・ボーン(巨人の巨人拳伝承者・f34134)。身長5mを超える巨人である。マイペースな彼はハロウィンパーティーに誘われたのは良いが、『仮装してお菓子を配るイベント』という理解の下、来場と同時に単独で配り始めていたのだ。ただし、この巨人、非常に大雑把である。どれくらい大雑把かというと彼が配るために用意したお菓子を見れば分かる。
あずきバーは持っているのだが、何と言うか……。
デカイ。
とにかく大きい。
しかも分厚い。
なので当然の如く重い。
それはあずきバーというにはあまりに大きすぎた、とか言っちゃいそうになる感じだ。
流石にこれを子供が渡されても困る。というか多分持てない。潰れる。
それはグランも理解しているのか、子供達に配っているのはキャンディだ。
と言ってもソフトボールくらいある巨大なキャンディだが……これ絶対に子供の口に入らない。
しかし、意外な事に子供達には人気の様で巨大なキャンディの噂を聞いた子供達が次から次へとグランの許へと集まっている。巨人大人気である。
そんな様子を遠目に見ているのは清導。
誘った手前、グランの巨大すぎるお菓子が大丈夫か様子を見ていたのだ。
まあ、グランは大雑把ではあるが手加減はお手のものであるし、大丈夫だとは思っていたが念のため。
何はともあれ人気を博している様で一安心である。
「しかし、あのキャンディ、子供達食べきれるのか? 一個で一ヶ月以上持ちそうなサイズだが……」
巨大過ぎるキャンディに逆に一個食べてみたいな、後で余っていたら貰おうかな等と考えながら他の仲間の様子を窺いに行く。
その中で一際、大盛況となっていたのはレイトの即席カードゲーム大会だ。
子供達、特に男の子が集まっている。
レイトはデュエルトルーパーの姿で決闘している様だ。見ると白熱した戦いをしている様に見える。
対戦相手は小学生高学年か中学生になりたてくらいか。
「デュエルトルーパーだったか? イカした装備だな!」
そんな風に声を掛けながら「お前に言うのもあれだが、手加減はしてやれよ?」などとレイトだけに聞こえる声で囁く。
「おっすリーダー。だが手加減っというのもほどがあるってね」
だが、レイトの反論を受ける。デュエルは真剣勝負だからこそ熱く燃える!
それに今決闘している相手は確かに子供だがレイトに食い下がって来ていた。こういう子供に接待は無用だ。
そう熱く語るレイトに「そうは言っても大人げないのでは」という思いと「確かに子供だからと手加減するのも良くないか」などと相反する思いを抱く清導。まあ、餅は餅屋、カードゲームのことだ。レイトの思う様にすれば良いだろうと結論する。
そんな感じでハロウィンパーティーは大いに賑わっている最中に事件が起こる。
●
「あ~僕のお菓子!!」
「返してよ~」
子供たちの悲鳴の様な声が会場のあちらこちらから聞こえて来る。
どうやら子供達からお菓子を盗む者がいる様だ。
「ん?」
それを最初に発見したのはグラン。素早い動きで子供達からお菓子を盗む人影を見つける。
その影はあろうことかグランに近づいてくる。
「おい」
お菓子が欲しいなら配っている奴等はこの会場には幾らでもいる。
子供達から盗むもんじゃないと掴んで捕まえようとして……
「何?」
「ケケケ!」
グランの確かに掴んだと思った手が擦り抜ける。しかも、グランの手からキャンディを奪っているではないか。
擦り抜けられたと察した瞬間、グランは流れる様な動きでもう一度掴もうとするがそれもやはり同様に擦り抜ける。もはや尋常な存在でない事に間違いはない。
「オブリビオンか」
●
正体がばれたと思ったのかお菓子泥棒の動きが活発になる。
予測通りその正体はオブリビオン、お菓子怪人である。やってることはお菓子泥棒とショボいがハロウィンの時に最盛の力を得て、あらゆる攻撃を無効化してしまう強敵であった。グランの補足を避けられたのも『あらゆる攻撃を無効化』の為だ。
派手に動き出したお菓子怪人。こうなると当然、『ブレイズ・ハート』の他のメンバーも気づく。
その心は一つ、楽しいハロウィンパーティーを台無しにする訳にはいけない、だ。
「なっ……! こんな怪人まで出てくるのですね。ええ、子どもたちを怯えさせる訳にはいきません。
かっこよく退治して、ハロウィンを続けますわよ!」
「その通りだわ」
エドワルダが気勢をあげるとそれに同意すると同時にジャクリーンが動く。
災厄の呪いが籠められた『祟り縄』を取り出すと呪詛の力を発動。お菓子怪人へと放つ。呪詛により倒す、そこまで行かなくても動きを鈍らせられればすぐに取り押さえる事ができるだろうという考えだ。
「効かない!?」
「な、なんですってー!?」
しかし、手応えがない。躱された、耐えられた、というのではなく擦り抜けられたという感覚。
エドワルダがややオーバー気味な驚きの声を上げる中、お菓子怪人はジャクリーン達の方を見て「ケケケ」と嗤う。この一連の騒ぎで怪人の出現に一般人の参加者達も気づき、混乱が広がって行く。
「まずは一般人の避難を優先だ!」
ジャクリーンの呪詛を擦り抜けたお菓子怪人の正体不明な力を見て清導は一般人の避難を優先する様に指示を飛ばす。見たところ怪人は直接一般人を死傷させる様子は見えないが混乱の中、転倒などすれば大怪我を負う可能性もある。せっかくの楽しいイベントを悲しい思い出にさせる訳には行かない。
清導が手慣れた様子で会場に来ていた一般(?)ヒーローを指揮して一般人の避難の流れを作ろうとするのを見て『ブレイズ・ハート』の面々はそれでは避難誘導が無事に終わるまで怪人の足止めをするべきただと阿吽の呼吸でお菓子怪人の方へと前に出る。
レヴィアが魔道リボルバー銃を抜いて威嚇の射撃を開始すれば、エドワルダが牽制の為にサバイバルナイフを構えて前衛を務める。
「ケケケ!」
「全く効いていない!?」
銃弾は躱されるまでもなく怪人の体を擦り抜ける。ダメージを与えられずとも着弾時の衝撃で足止めは可能と見ていたレヴィアにこれは計算外だ。霊体の様に実体がないとしても自分の銃弾は魔弾、魔法を秘めている。完全無効化はあり得ないはずであった。
銃弾による攻撃と言う明確な敵対行動に怪人もレヴィアを敵として襲い掛かろうとしてくる。その前に立つエドワルダ。怪人の攻撃をナイフで捌くが攻撃自体は捌けるもののやはりカウンターの攻撃は擦り抜ける。
厄介な敵だ。
「おっと、怪人か? じゃここで見せてやるぜーー! 行くぞシーグウルム!」
『おおっ! 行くぞレイト!!』
二人のピンチと見てレイトが加勢に加わる。ユーベルコードを起動させてシーグウルムが真の姿を顕現。
そうカードゲーム大会の際にマスコットの様にレイトの傍にいた小さなドラゴンの姿は仮の姿。
真の姿は雷霆を操る強大な赤い龍である。
『我が名はシーグウルム・ドラゴソウル・ザ・ファーストッ!
史上最強の雷のドラゴンだ! 我が怒り! とくと知れ!!』
赤い龍から放たれた激しい雷撃がお菓子怪人を襲う。
「ちょっと! 周囲を考えて!」
「子どもたちは大丈夫!?」
雷光のあまりの激しさにレヴィアとエドワルダが危惧するが、そこはレイトもシーグウルムも冷静だ。
ノリノリで攻撃した様に見えて清導の誘導により範囲内に被害が及ばない事を確認している。
「やったか?」
誰かがお約束の言葉を放った後、雷の光の収まったその場所には――
「ケケケケケ!!」
無傷のお菓子怪人がいた。
「あれを喰らって無傷だと!?」
シーグウルムの一撃は会場に被害が及ばない様に加減されたとは言え間違いなく強力無比な一撃であった。
並みのオブリビオンなら影も形も残らなかったであろう。
それが完全に効かないとなれば。
「絡繰りがありますわね」
「ええ」
一見、完全無欠な防御能力。
しかし、歴戦の猟兵としての経験がそんなものはあり得ないという事を告げてくる。突破口は必ずある筈だと。
「お菓子だ」
そんな二人に端的な言葉がかけられる。振り返れば見上げるなければ顔が見えない巨人、グランだ。
彼は言葉を続ける。
「腕はすり抜けたが、お菓子は手に持って盗んでいる。なら、お菓子ならいける」
そんな言葉と同時に手に持ったあずきバー(超巨大なやつ)を振りかぶる。
「ケケッ!?」
初めて焦った声を上げたお菓子怪人は振り抜かれたあずきバーにより吹っ飛ばされていく!
「なるほど!そういうことか!やるぞ!ブレイズ・ハート!」
それを見て感嘆の声を上げるのは避難誘導を終えてやってきた清導。
彼はグランの言葉と攻撃によりお菓子怪人の無敵の正体を察していた。察したのは清導だけではない。
ブレイズ・ハートの面々もだ。
「駄菓子兵器……大祓百鬼夜行で使われた兵装。成程、お菓子怪人が一切の『攻撃』を無効化するのは『お菓子を与えない』からって事ね」
レヴィアがそう察した横でエドワルダは即座に手近なわたあめを装備する。
「|雷光放つ裁きの馴鹿《ジャッジメント・レインディア》!」
何故か自然階梯のトナカイに姿を変えた(※UCの効果です)エドワルダは手にしたわたあめを介して電撃を放つ。こうすれば電撃わたあめである。お菓子属性となるはずだ。
ちょっと苦しくないかとも思われるが……。
「ケ”ケ”ケ”」
お菓子怪人はしっかりと感電して痺れている。割とお菓子判定はガバガバの様だ。
「さあ、皆、今ですわ!」
感電で動きを止めたお菓子怪人。その隙を見逃す『ブレイズ・ハート』ではない。
近くにあった駄菓子のホーム○ンバットにオーラを纏わせて強化して振りかぶる清導。
キャンディケインを取り出して構えるジャクリーン。
全属性対応の弾丸の属性を器用に『お菓子』に変えるレヴィア。
グランからソフトボール大のキャンディを受け取ってそれに雷を纏わせるレイト。
再びあずきバーを振りかぶるグラン。
「ケ”――――!!!」
|猟兵《ヒーロー》達の連携攻撃が炸裂して、お菓子怪人は爆発して倒される。
正義の勝利であった。
●
「ブレイズ・ハートの勝利です! さあ皆さん、ハロウィンはまだ始まったばかりですわよ」
「ええ、これで鎮圧は終了ね……パーティーを再開しましょう!」
「その通りだ! ヴィランは撃退した! パーティを続けよう!」
「どうだ、これが俺たちの力、カードとの力だ!」
『いや、そこはカードと関係ねぇだろ。』
エドワルダとレヴィア、清導が事態の収束とパーティーの続行を宣言する隣でレイトとシーグウルムがボケとツッコミの様な会話をしている。
「なんとかなったわね。よかったわ」
「ようマニアックだな。有名な幕末の漫画じゃなくて、すぐ打ち切りになった西部劇の方とはなかなか粋だな」
「えっ、ありがとう」
安堵の息を吐くジャクリーンにグランがなかなか通じ難いことを言いながら飴を渡す。
ちょっと驚きながら御礼をいうジャクリーン。グラン的にはとりあえず交流をしておこうという感じだ。
お菓子怪人の乱入により混乱したハロウィンパーティーであったが、迅速で的確な避難誘導の為に負傷者もでなかった。元々、ヒーローやヴィランが広く認知されている世界である。この程度の事件であれば一般の人々も慣れていると言って良い。『ブレイズ・ハート』の宣言もあり、急速に混乱は収まり、パーティーは続行される事となる。
怪人襲来のハプニングは良い刺激になったのかもしれない。襲来前にも増してパーティーは賑やかになる。
この再開されたパーティーにおいての主役は当然、お菓子怪人を撃破した『ブレイズ・ハート』だ。
それぞれに人だかりが出来る。
レイトはド派手なドラゴンと雷の組み合わせが子供たちの心を掴んだようで、彼の配布するカードは大人気だ。
レイトの希望通り、カードデュエリストが生まれるかもしれない。
グランはまた巨大なお菓子配りを再開している。
レヴィアもパンプキンパイをエドワルダは普通のお菓子を集まってきた人々に配る。
ジャクリーンもその手伝いで忙しい。全員、それぞれに楽しんでいた。
清導はそんな皆の楽し気な様子を見て満足気に頷き、自分もまた集まって来たファンへ対応する。
ハロウィンの夜は更けていく。パーティーは大成功で終わったのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴