2
渾沌の凶獣、幽谷に座す

#封神武侠界 #サムライエンパイア #斎藤・福

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#封神武侠界
🔒
#サムライエンパイア
🔒
#斎藤・福


0




●行きはよいよい帰りはこわい
 先だっての帝都櫻大戦は、無事に猟兵陣営の勝利をもって終結した。
 この結果は、しかし、決して猟兵らだけの尽力によってもたらされたものではない。キャンプ・フォーミュラの『キャンピーくん』の世界移動能力により、各世界に強力な共闘者たちが送り込まれていたからこそのものだ。
「で、だ。今度は当然、彼らは元の世界に戻らなきゃいけないわけだが……」
 言いながら、大宝寺・朱毘(スウィートロッカー・f02172)は肩をすくめた。
「てっきり、それもキャンピーくんが面倒見てくれるモンだとアテにしてたんだが……何かまたどっか行っちゃったんだよなぁ」
 キャンピーくんレベルの世界移動能力などというものは、そうそう誰にでも扱えるものではない。共闘者たちを元の世界に戻そうと思えば、必然、第六猟兵の助力が求められることになる。
「今回、皆に助けてもらいたいのは『首塚の一族』だ」
 斎藤・福を筆頭とする首塚の一族は、現在は封神武侠界にて足止めされている状態である。
 彼らほどの大人数を、安全かつ確実にサムライエンパイアへ送り届ける手段となると、一筋縄では見出せるはずもない。ゆえに、長らく模索の日々が続いていた――のだが、その手段についての目処が立ったのだという。
「知っている人も多いだろうけど、封神武侠界には異世界から物が人が流れ着きやすい『楽浪郡』って地域がある。帰り道をこじ開けるとすりゃ、ここしかないって立地だな。ついでに、そこに発生するオブリビオンの中には、一定確率で『渾沌化』したモノが混じってることがある」
 渾沌化――即ち、肉体の一部が異形化しており、グリモア猟兵の予知でも判然としない別個の攻撃ユーベルコードを繰り出すという性質だ。当然、通常のオブリビオンを一段以上超越した力を有している。
 この渾沌化オブリビオンを首塚の一族の『鎖』で捕縛すると、桁外れのオブリビオンのエネルギーの働きを利用することで、鎖がサムライエンパイアへと通じるのだという。
 この、一種の儀式を安全にこなそうと思えば、鎖はざっと十本ほども必要になるだろうか。
「……前置きが長くなったな」
 コホン、と一つ咳払いをしてから、朱毘は続けた。
「その待望の渾沌化したオブリビオンが、とある山間部に出現するっぽいってのが予知でわかった……今の時季だと、雪がかなり積もってるだろうな。皆には、首塚の一族と一緒にそこに行ってもらう」
 標的となる渾沌化オブリビオンは、気に入った敵の体の部位を蒐集して己に取り込むという癖のある、異形の獣の如き竜であるという。渾沌由来のユーベルコードは、この異形の身体を利して繰り出されるらしい――具体的なところは不明であるが。
 また留意せねばならないのは、目標はあくまで『捕縛』であって『討伐』ではないことだ。首塚の一族の鎖で縛れる程度にまで弱らせる必要はあるものの、命を奪うまでに至ってしまっては意味がない。敗北は論外であるにせよ、繊細な力加減が要求されもする。
「ついでに、標的の周囲には渾沌化してない集団オブリビオンの群れも確認できてるから、まずはそいつを蹴散らしてからってことになる。こっちはいくらでも加減なしで吹っ飛ばしてくれていい」
 こちらは巨体の猛禽の群れといった見た目で、まあ決して弱くはないとはいえ、特筆するような異能を持つわけでもなく、特殊な勝利条件があるわけでもない。普通に戦えば、問題なく勝てるだろう。
「……あ。あと、ホントについでなんだけど、時期的に近くの集落で『凍み餅』の食べ納め会みたいのが催されてるはずなんだよな。首尾良くコトが終わったら、立ち寄ってみても良いんじゃないか?」
 言って、朱毘は微笑を浮かべた。


大神登良
 オープニングをご覧いただき、ありがとうございます。大神登良です。

 戦場は雪の深い山間部ですが、特別な装備がなくとも猟兵であれば問題なく戦闘できることでしょう。
 なお、斎藤・福をはじめとした首塚の一族も同行していますが、直接的に戦闘の役に立つことはないと思ってください。

 第一章は、集団オブリビオンとの戦いです。これというギミックはありません。

 第二章は、渾沌化したボスオブリビオンとの戦いです。オープニングでも述べられていますが、殺すのではなく弱らせて捕縛することが目的なので、上手に力加減を図ったプレイングをお願いします。
 また、渾沌化によってP、S、Wいずれの場合でも、追加で「リプレイ執筆時まで内容を明かさない、秘密のユーベルコード(既存いずれかをアレンジ)」を使ってきます。対策がなければ必ず詰むというほど強力ではありませんが、注意しておいて損はしないでしょう。

 第三章は、凍み餅パーティーです。首塚の一族とともに近くの村へ寄って、一仕事終えた疲れを癒やしましょう。餅の食べ方についてですが、よほど特殊な調理法以外は可能だし、調味料や他の食材もおおよそは揃えられるものと思ってください。

 それでは、皆様のご参加を心よりお待ちしております。
54




第1章 集団戦 『蠱雕』

POW   :    人喰い
戦闘中に食べた【人肉】の量と質に応じて【さらに狂暴化し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    強襲
【角】か【牙】か【爪】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    飢餓増大
【飢餓】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。

イラスト:滄。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

風祭・悠華
クロムキャバリア世界出身、キャバリアを持たず銃器等で戦場を生き延びてきた傭兵少女。
普段の口調は「私、あなた、~さん、だ、だね、だろう、だよね?)」

性格は明るいが、戦場になれば敵には容赦しない仕事人
主な使用武器はアサルトライフル

UCは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
又、例え依頼の成功の為でも、公序良俗に反する行動はしません
後はお任せ
宜しくお願いします!



●テリトリー
 雪に覆われた地面を踏みしめる度に、ギュ、ギュ、と音が鳴る。
 空気は冷たい――が、風はそれほど強くない。猟兵たる者にとっては寒さなど敵にもならないが、吹雪けば視界を邪魔されるのを気にしなければならないところ、その心配がないのはありがたい。
 風祭・悠華(静灰の傭兵少女・f32278)は、視線を上空へと移ろわせた。
 見上げた空は、雪帽子を被った針葉樹の枝葉によって寸断されてはいる。しかし、グリモアベースで告げられたような集団オブリビオン――巨鳥の群れがあるならば、気付かぬはずはない。
「そろそろだと思うけど……」
 悠華のつぶやきが、白い吐息とともに霧散する。
 それとほぼ同時だろう。視界の一角、針葉樹の枝がガサリと揺れて、雪が落ちた。
 いた!
 ――という悠華の叫びは、口から出ることなく胸中でのみ響く。
 その叫びより先に悠華は肩に吊っていたアサルトライフルを構えていた。
 雪を落とした枝の中ほど。一瞬、何かしら目の錯覚を疑ってしまいそうになるほど大きな影が認められる。紛れようもない。情報にあったオブリビオン――蠱雕の一羽だ。
 足を止めた悠華が、精密に銃口を蠱雕に向けつつ、一拍、二拍。
 間を置くのは【永壊の兵眼(アブソリュートアイ)】のためだ。狙うべき致命の一点を見極めるには、ど数秒の観察時間を要する。
 距離は十二分に離れているし、蠱雕がこちらに気付いた様子はない――と思われたが、不意に蠱雕の眼がギョロリと向けられた。
「っ!」
 悠華がトリガーを引くのと蠱雕が枝から飛び立つのとは、同時。
 悠華の手にある『騎士殺し』の銘を冠するライフルは、その名に違わずキャバリアの装甲さえ貫く威力を誇る。いかに超常存在オブリビオンといえど、悠華の手からなる弾丸を受ければ肉を裂かれ、骨を砕かれる。
 ばっ! と花火のように鮮血が散ったのは、蠱雕の右翼の付け根あたり。それでも巨躯の重さを感じさせぬ挙動で身を翻し、蠱雕は悠華目がけて飛来する。
 速い。が、悠華に捉えられないでもない。
 双角を備えた蠱雕の頭が迫り来る刹那、その脳天に一点を見出した悠華は続けざまの銃撃を見舞った。
 炸裂音が重なり、火薬と鋼鉄が弾ける。鉄火は蠱雕の角を砕き、頭を貫く。
「ピイィィ!」
 甲高い絶叫を上げつつ、蠱雕が墜落した。
 同時、周囲の空気が泡立つように震えた。空の向こうから発された超常の殺気ゆえ、あるいは物理的に巨躯の猛禽らが身を震わせたゆえに。
 慌てず、悠華は銃を構え直す。やはりこの場は、オブリビオンの縄張りの内。正念場は、ここからだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天玲寺・夢彩(サポート)
「よーし、夢彩頑張るよ!」

名前で呼ぶ時は「さん」とか「くん」みたいに呼ぶよ。

軽業みたいなアクロバティックな動きが得意だから、翔んだり跳ねたりよく動き回るよ!
足場が無いなら結界術で作るかな。
UCや技能はその時に使えそうな物を使用だよう。
道徳違反はしないもん。
あとはお任せ!

[基本]
一言でいうなら春の大嵐。
でも暖かな春を感じさせる子でもあり、天真爛漫なムードメーカーで無自覚トラブルメーカー(ギャグ仕様)※空気はよめる。
メンタルは凄くタフ/桜の精として影朧の転生は積極的かつ大事にしている

[真の姿]
エレメンタルな精霊でお姉さんな雰囲気。
でもやはり性格は極端に変わらない

《連携アドリブok.ギャグ系大歓迎》


ミーヤ・ロロルド(サポート)
『ご飯をくれる人には、悪い人はいないのにゃ!』
楽しいお祭りやイベント、面白そうな所に野生の勘発動させてくるのにゃ!
UCは、ショータイムの方が使うのが多いのにゃ。でもおやつのUCも使ってみたいのにゃ。
戦いの時は得意のSPDで、ジャンプや早業で、相手を翻弄させる戦い方が好きなのにゃよ。

口調だけど、基本は文末に「にゃ」が多いのにゃ。たまににゃよとか、にゃんねとかを使うのにゃ。

食べるの大好きにゃ! 食べるシナリオなら、大食い使って、沢山食べたいのにゃ♪ でも、極端に辛すぎたり、見るからに虫とかゲテモノは……泣いちゃうのにゃ。
皆と楽しく参加できると嬉しいのにゃ☆

※アドリブ、絡み大歓迎♪ エッチはNGで。



●盾となり、刃となり
「何とまあ」
 優美な仕草で頬に指を触れさせつつ、斎藤・福はつぶやいた。
 彼女の眼差しは、空へと向いていた。ほんの先刻まで、微風の中をまばらな淡雪が舞い降りてくるといった、静かな光景があったところだ。
 しかし今は、いくつもの巨影がバサバサとけたたましく音を立てつつ飛び回っていた。
 頭部に野牛めいた双角を備えた、それこそ牛のような巨躯の猛禽――蠱雕。それが群れを成して、上空を旋回しているのである。オブリビオンの強さは必ずしも外見に左右されるものではないが、いかにも屈強で獰猛といった気配が感じられた。
「これは……如何したものでしょう?」
 福を始めとする首塚の一族はユーベルコードユーザーではあるが、瞬間的な戦闘に向くものは扱えない。ゆえに、この場で蠱雕たちと渡り合えるような力はない。
 そんな福へ向かって、天玲寺・夢彩(春の大嵐少女・f22531)が怒鳴るように呼び掛ける。
「えーと――と、とにかく避難して!」
 夢彩の全身は桜色のオーラに包まれ、右手には愛用の桜霊刀――退魔の力に満ちた日本刀が握られ、戦闘態勢は万全である。
 目立って蠱雕らの注意を惹きつけようという意図もあるのだろう。それはおおむね上手くできているようだが、さりとて、首塚の一族へのヘイトを全くのゼロにできるわけではない。
 と。
「こっち! こっちだにゃ!」
 数十メートルほども離れたところで、ミーヤ・ロロルド(にゃんにゃん元気っ娘・f13185)が手を大きく振り回していた。
 ミーヤのいる場所は、地面が大きくくぼんでいるような形になっていた。上空からの蠱雕の目から隠れられるわけではないが、簡易塹壕としてはギリギリ機能しなくはないだろうか。
「皆、急いで参りましょう!」
「はい!」
 福の号令一下、福の周囲に集っていた首塚の一族たちは、一斉にミーヤのいる方に駆けていった。
 積もった雪が蹴散らされ、白煙が噴き上がるような様相を見せる。
 それが目を惹いたということか、上空を旋回していた蠱雕の一羽が不意に鋭く翼を叩き、急降下してきた。その双角の向く先は、集団の先頭を切って走る福だ。
「ま……まずいにゃ!」
 ミーヤの手が素速く腰の裏のポーチへと伸び、翻って前方に突き出された時にはハンドキャノン型のガジェットが握られている。
 どうっ! と炸裂音を響かせ、ガジェットから野球ボールほどの砲弾が発射される。ゆるりとした速度で蠱雕の眼前に飛び、一弾指の後に八方へ激烈な閃光と爆風をまき散らした。
「――キィッ!?」
 爆撃を受けた蠱雕は宙で身をよじらせ、進行方向をねじ曲げた。急降下から、急上昇へと。
 しかし刹那、刀を八相に構えた夢彩が蠱雕目がけて地を蹴っていた。
「たぁーっ!」
 蠱雕が完全に上昇の姿勢になるより先に夢彩の袈裟斬りが閃き、蠱雕の背から尾に掛けて一条の傷を刻んだ。傷といって羽ばかり斬ったか肉まで至ったか判然としない程度の浅いものではあったが、蠱雕が仰け反るようにして体勢を崩すには充分だった。
 そして次の刹那には、桜吹雪を纏った刃が切り返された。昇り竜がごとき猛威が蠱雕を包み、呑み込み、天の彼方へ向かって吹き飛ばす。
「よーし、まずは一体!」
 そうやってできた猶予の間に、首塚の一族はミーヤの背後の窪地へと滑り落ちるようにして駆けていく。
 と、一カ所に固まった彼らを狙うように、再び蠱雕の群れの中から二、三羽が別れて身を翻し、後背を突くように突撃してくる。
「あわわっ!? け、けど……」
 ミーヤは慌てている――ようで、それでも経験豊かな猟兵たるは伊達でなく、揺るがずガジェットを構える。
「これで守るのにゃ!」
 ぽぽぽん! と、妙に軽やかな音を伴って銃口から吐き出されたのは、様々なお菓子であった。ポテトチップスの袋、板チョコの箱、クッキーの缶――銃口から吐き出されるにしては明らかにオーバーサイズで、しかもとんでもない量である。それらのお菓子は整然と空間を占めていき、ミーヤと首塚の一族をすっぽり覆い隠すドーム状の壁を生み出した。
 その壁に、蠱雕らは角を激突させた。だが、見目には単なるお菓子の山にしか見えないそれは、獰猛そのものな蠱雕の双角を弾き返す。
「!?」
 蠱雕らは戸惑うように首を傾げ、ついで嘴をガンガンと叩きつけるが、やはり破れない。【お菓子でガードなのにゃ!】の超常なる防壁は、お菓子だからといって食い破れるわけではない。
 その防壁を駆け上がるようにして、夢彩が蠱雕らへと迫る。
「こらー! 好き勝手なんかさせないんだから!」
「――!」
 壁より夢彩を脅威と見なしたのか、一斉に角を向けて戦闘態勢を取る蠱雕たち――だが、遅い。
 横殴りに振るわれた桜霊刀の太刀筋に沿って桜色の竜巻が吹き荒れ、蠱雕の翼といわず面といわず叩きのめす。お菓子の袋に爪を突き立てて踏ん張ろうとする、あるいは逆に角を頼みに突撃を敢行しようとするような構えは見せたものの、抗し得ずにやはり次々に吹き飛ばされた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
うへー、寒いのはあんまり好きじゃないんだけどなあ。
まあこの前の戦いを手伝ってもらった恩はちゃんと返さないとねえ。
それじゃあさくっと邪魔なやつらを片付けようか。

さて、相手は特に変わったところのない鳥型か。
攻撃も近接攻撃だけだし、あたしにとってはやりやすい手合いだね。
近寄ってきた相手を斧で叩き落しながら、【襲迅雷駆】のチャージをするよ。
一斉に襲い掛かってきたときは斧を振った衝撃波で雪を巻き上げて目くらましにしたらいいかな。
十分生体電流のチャージが終わったら片っ端から体当たりで蹴散らしていこう。

よし、運動と生体電流のチャージでだいぶ体が温まってきたかな。
本命の前の準備運動にはちょうどいいね。


鈴乃宮・影華(サポート)
「どうも、銀誓館の方から助っ人に来ました」
銀誓館学園所属の能力者……もとい、猟兵の鈴乃宮です

かつての様にイグニッションカードを掲げ
「――|起動《イグニッション》!」で各種装備を展開
友人から教わった剣術や
体内に棲む黒燐蟲を使役するユーベルコードを主に使用

TPO次第では
キャバリアの制御AIである『E.N.M.A』が主体となるユーベルコードを使用したり
『轟蘭華』や乗り物に搭載した重火器をブッ放したり
「|神機召喚《アクセス》――|起動《イグニッション》!」からのキャバリア召喚で暴れます

例え依頼の成功の為でも、他の猟兵に迷惑をかけるような行為はしません
不明な点はお任せします



●哭風、轟雷
 中国の奇書・山海経に、蠱雕という名の怪物についての記述が認められる。鷹のような翼と長い尾、鋭利な嘴に角を持ち、気性は獰猛にして酷薄。また、人間の赤子のような声で鳴き、おびき寄せられた人間の肉を喰らうともいう。
 まばらに雪の舞う寒空の中を、同じ名を持つ怪物の群れが殺気立ちつつ飛び回っている。
 巨躯を誇る猛禽。あるいは、鳥にしては肉の付き方が凄まじすぎる様から、翼の生えた獣のように見えなくもない。
 それらを観察しつつ、ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)は目を細めた。奇書にせよその内容にせよペトの知ったところではないが、彼女自身の目と経験は、蠱雕の性質を教えてくれた。
「特に変わったところはなさそうだねぇ」
 淡くつぶやく。
 オブリビオンたる蠱雕は超常存在には違いないが、鋭い角、嘴、爪、そして体格に見合った膂力と飛行能力が武器という、見た目からさほど逸脱した能力のない敵。それがペトの見立てだった。
 その気になれば己の体の部位を様々な獣のそれに変容させられるペトは、敵によって、戦場の性質によって、最適な『形』になれる。今は防寒のために体中をモコモコの羊毛で覆っているが、単純なる蠱雕との戦いに際しては改めて変身する必要はなさそうだった。
 ざっ! と。
 不意にペトの耳朶を叩いたのは、強くなった風の音か、あるいは蠱雕の翼が空を叩いた音か。
 何にせよ、蠱雕の群れがペトを取り囲むようにして急降下してきた。
 一瞬早く、ペトは前へと踏み出した。大きな骨の斧を水平に振り回し、正面を塞ぐ蠱雕へ叩きつける。
 蠱雕の角と斧の刃が正面衝突し、火花が散った。
 押し返せたわけではなく、進行方向が逸れたのみ。それでも包囲を破るには充分で、ペトは速度を落とさず駆けた。その背後の地面に、次々に蠱雕らが爪を突き立てていく――ペトを捉えることができずに。
 蠱雕は再び飛び上がるでなく、そのまま地面を駆けてペトを狙いに掛かる。飛ぶよりは遅いが、それでも獣のような剛脚は充分な速度を生み出す。
 ペトはちらりと後方に目をやった。一対一ならどうとでもなるが、敵には数がある。
 ただ、ペトの方も一人ではない。
 地面を蹴る音と金属同士のこすれ合う音が鳴った、と思えたか否か。その微かな時間に割り込むように、鉄紺色の人型ロボットめいた全身甲冑が出現した。といって空間跳躍の類ではなく、一定距離を超速度をもって駆けて突進してきただけの話ではある。
 甲冑姿のそれは、鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)だった。突進の勢いそのままに左右の手に握られた刀を振るって、蠱雕に十字の斬撃を放つ。
 どっ! と胴と翼の付け根に刃が喰らい付き、鈍い音が鳴る。一拍の後、刃は蠱雕の肉と骨とを断ち斬った。
「……何と頑丈な体。しかし、斬れないほどではありませんね」
 パワーアシスト付きの外部装甲フォルティストラ、さらに【新生・黒燐奏甲(イマジンドレス)】をもって限界以上に活性化した影華の身体の能力も相まって、斬撃の威力は平時の比ではない。それでも瞬時の両断が不可能だったのは、それだけ蠱雕の肉の硬さが並外れていたからだ。ついでに、羽毛もまた見た目にそぐわぬ強度を持っているようだ。
 それでも、斬れぬほどではないということは斬れるということで、殺せるということで、そして勝てるということだ。
「――よし」
 きゅ、とペトが踵を返す。ペトの全身の羊毛は電気を含んで、白色のイガグリよろしく逆立っていた。
「チャージはこんなもんか」
 刹那、羊毛の先端が雷撃の膜に覆われ、輝きを放つ。同じ刹那にペトは弾かれたように跳んだ。
 急激なペトの体当たりに対して、蠱雕が爪を突き立てんとする――が、爪の先が雷の膜に触れた途端に、焦臭い轟音が迸って蠱雕の全身を駆け巡り、後方に吹き飛ばされた。
 【襲迅雷駆(ライトニング・チャージ)】によるペトの全身は、今や雷撃の爆弾とでも称すべき代物となっている。その体当たりが強力無比なのはもちろんだが、下手に近接攻撃を仕掛けた敵にもあべこべに痛手を喰らわせられる。
 性質を理解したのか、残った蠱雕が一瞬怯んだような様子を見せてから、ペトから離れようとする。
 と、動きの鈍ったところを逃さずして、影華が超絶の速度をもって刀を振るった。
「世界を包め――集いし生命よ!」
 影華の声に応じるように、その右手にある『鈍』の刀身が黒々とした輝きを閃かせる。鈍の使い道はコスプレ用の模造刀――だが、刀身を構成するのは詠唱銀を纏った黒燐蟲の群れである。畢竟、黒燐蟲を活性化させた今は威力が跳ね上がる。
 ど! と、刃に触れた蠱雕は斬り伏せられた。

「片付いたみたいだね……や、助かったよ」
「そう言われると、助っ人に来た甲斐がありました」
 ペトの言葉に、影華は微笑を返した。
「けど、一番面倒な戦いはこれからですよね」
「ああ、そうだねぇ」
 逆立ちの収まった羊毛を撫でつつ、ペトは軽く肩をすくめる。
「ま、本命の前に体が温まって、ちょうど良かったと思おう」
 道と呼べるのかも微妙な雪道の先。
 標的の渾沌化オブリビオンまでは、もう目と鼻の先の距離しかない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『🌗尊喰い』

POW   :    蒐集者
自身の【簒奪の証、身を飾る羽】から、自身の技能どれかひとつを「100レベル」で使用できる、9体の【自身のコピー】を召喚する。
SPD   :    簒奪者
自身と武装を【光を捻じ曲げる大気】で覆い、視聴嗅覚での感知を不可能にする。また、[光を捻じ曲げる大気]に触れた敵からは【生命力と共に、五感の精度】を奪う。
WIZ   :    悪辣竜
【自身に向けられてきた怨讐】を込めた武器で対象を貫く。対象が何らかの強化を得ていた場合、追加で【強化から弱体化へ反転】の状態異常を与える。

イラスト:たけの こたろー

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はクロト・ラトキエです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●渾沌なる獣竜
 粉のような雪だったのが、綿雪ほどにも大きくなったように見える。
 ついで、厚みを増した雲が光を遮って周囲を暗くし、風も気持ち強くなった気がする。
 そんな空のただ中に、たった一匹、威容をもってその竜はたたずんでいた。
 竜――なのだろう、恐らく。だが、でたらめな数の翼で身が飾られているそれは、一見をもって竜と断じるには、恐ろしく歪なシルエットを持っている。
 周囲には他のオブリビオンはなく、もっといえば鳥の一羽、虫一匹の影さえもない。恐れ戦いて逃げ散ったのか、あるいは居合わせたことごとくが翼を奪われて殺されたのかもしれない。
 何にせよ、それが標的なのは間違いようがなかった。誰が呼んだか『尊喰い』――風を斬る翼を備えた、渾沌の竜。
 物凄まじきそれを、猟兵たちは殺さずに捕らえなければならない。

~~~~~
飛刃羽(【宿星天剣戟】アレンジ)
レベル×5km/hで飛翔しながら、【羽ばたきによって生まれる風の刃】で「🔵取得数+2回」攻撃する。
水心子・真峰(サポート)
水心子真峰、推参
さて、真剣勝負といこうか

太刀のヤドリガミだ
本体は佩いているが抜刀することはない
戦うときは錬成カミヤドリの一振りか
脇差静柄(抜かない/鞘が超硬質)や茶室刀を使うぞ

正面きっての勝負が好みだが、試合ではないからな
乱舞させた複製刀で撹乱、目や足を斬り付け隙ができたところを死角から貫く、束にしたものを周囲で高速回転させ近付いてきた者から殴りつける
相手の頭上や後ろに密かに回り込ませた複製刀で奇襲、残像で目眩まし背後から斬る、なんて手を使う
まあ最後は大体直接斬るがな

それと外来語が苦手だ
氏名や猟兵用語以外は大体平仮名表記になってしまうらしい
なうでやんぐな最近の文化も勉強中だ



●百刃の交錯
「……うん?」
 『見えにくい』――そう感じた水心子・真峰(ヤドリガミの剣豪・f05970)は、半ば無意識に目を細めた。
 降る雪の量が増えた。風も強さを増し、積もった雪を巻き上げるようになった。必然、視界は悪くなる。
 だが、目の前にある尊喰いの姿が見えにくくなったのは、それだけが原因ではない。
 尊喰いの【簒奪者】によって、光と大気が錯乱している。集光のでたらめになった空間はそこにあるべき尊喰いの像を結ばず、狂った大気はそこにあるべき尊喰いの羽ばたきの音を伝えない。
「これは……」
 『まずい』――そう思ったか思わないか、半ば反射的に真峰の体は動いていた。
 あるべき音が真峰の耳には届いていなかったが、それは確かにあった。尊喰いの体からいくつも生えていた翼より生み出された、無数の風の刃だ。真峰が地を蹴って横っ跳びにした際に舞い上がった雪煙を、それら風刃がズタズタに斬り散らした。
 真峰を捉え損ねたのは、尊喰いもすぐにわかったはずだ。真峰は速度を落とさずに駆けた。駆けた端から、風刃が真峰の足跡を追うように次々に炸裂していき、地面を裂く。一瞬でも真峰が足を止めれば、その一瞬の間に彼女の体が斬り刻まれるだろう。
 そのくせ、真峰の目には尊喰いの姿は見えない。
「姿を見せぬとは卑怯なり……とは、言うまい。試合ではないのだからな」
 気丈に言い放ちつつ高速で駆ける真峰の背後に、キラキラと光る何かが置き去りにされていく。一つ、二つ……どころではなく、数十にも及ぶほど。
 雪煙の中にあってなお美しい輝きを放つそれらは、【錬成カミヤドリ】によってこしらえられた刀である。複製の元は、銘を彼女自身の名と同じくする水心子真峰――無類の業物だ。
 宙に浮く刀の複製が、風刃に叩かれて甲高い音を鳴らした。
「その辺だな!」
 真峰は刀の複製を一斉に操り、ブーメランよろしく旋回させながら滑空させる。
 それらの向かう先は、見た目には何もない空間でしかない。しかし、風刃と刀が激突した衝撃の感触からして、およそそのあたりに風刃の出所――尊喰いがいるはずだ。
 音はない。血しぶきも見えない。
 だが、ねじ曲げられた大気がそれらを伝えなかったとしても、操った刀を通じて手応えがわかる。間違いなく、真峰の繰り出した刃は尊喰いに突き立った。
「――『びんご』と言うのだったかな、こういうのは?」
 言いつつ、真峰は口の端を笑みの形に吊り上げた。

成功 🔵​🔵​🔴​

バルタン・ノーヴェ
全員リクエストによる、各シナリオへの救援プレイングです。
長らく滞っていたり人手が足りてない時など、ご自由にご利用ください。
台詞のアレンジ、行動のアドリブ、他猟兵との連携歓迎。自作PBWも採用歓迎です。 
ユーベルコードも指定外の、公開中から適当なものを使用してもらって構いません。

HAHAHA!
グリモア猟兵殿の要請に応じて参上デース!
お困りのようデスネー? ドントウォーリー! ワタシが手伝いマスヨー!
アタック、ディフェンス、他の方への支援! おまかせくだサーイ!

白兵戦、射撃戦、集団戦もボス戦もオーライ!
冒険の踏破や日常への奉仕活動も得意であります!
臨機応変に対処可能デース、よろしくお願いしマース!



●歪な飛翔
 尊喰いは、体のあちこちにいくつもの翼を生やしていた。それらは尊喰いが元々備えていたものではなく、尊喰いが喰らって殺した他の生き物なり妖獣なりから奪ったものである。
 ゆえに……というのか、その生え方は明らかに「そこに生えていても翼として機能しようがないだろう」と言いたくなるデタラメ具合で、大小まちまちの翼が胴やら背中やらにバランス悪く配されているという、歪なシルエットを成すものだ。尊喰いが見込んで蒐集しただけあって、翼の一枚一枚はそれなりに美しいものばかりだが、乱雑な配置がその美しさを台無しにしている。
「……何と申しまショーカ」
 うっすら渋面になったバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)が、首を傾げる。
「かえって翼のない姿の方が、美しい気がしマスネー」
 その台詞が聞こえたかどうか。
 尊喰いは己の蒐集物を誇示するように、全身の翼を大きく広げた。同時に、綿雪に混じって羽が散る。雪に混ざり合って、周囲の空間一帯が白一色に染め上げられるほどに。
 その空間に、計九つの渦が生まれる。渦はその周囲の白を呑み込み、さらに隙間なく、濃くしていく。濃すぎる白は白を保てず、夜陰のような黒が染み出し、よじれ、さらに一呼吸の後には渦の芯から蛇身の獣めいたモノを捻り出す。
 それは、ちょうど翼を一対しか持たぬ尊喰いのような竜だった。それが渦と同じ数だけ現われた。
「オー、団体様デスナ。ならば、しかるべくおもてなししマショー!」
 がしゃ! と、バルタンは右手にガトリングガン、左手にグレネードランチャーを構える。
 一弾指を置いて、それらの銃口がけたたましく轟音を吐いた。鋼弾の雨と榴弾の霰が鉄火の嵐を生み出し、尊喰いをその分身らもろともに叩き伏せにかかる。
 だが、尊喰いとその分身らの飛翔速度も凄まじい。隙間などなさげな弾幕の中を雲間を縫う雷光よろしく潜り抜け、牙を剥き出して突撃してくる。
「やはりシンプルな姿の方が本領発揮できるのデハ?」
 バルタンは突撃をやり過ごすべく素速く後退しつつ、両肩からウェポンラック接続式のキャノン砲をせり出させた。
 そして、今まさに彼女にかじりつこうと尊喰いの分身が大口を開けたところ、その口内に砲弾を叩き込む。至近距離からのカウンターファイアは回避を許さず、分身は一瞬で粉微塵に吹っ飛ばされた。
「ハッハー! まだまだデスヨー!」
 バルタンの一斉射撃はなお続き、砲火にさらされた分身らを粉砕していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

中村・裕美(サポート)
副人格のシルヴァーナで行動します
『すぐに終わってしまってはもったいないですわね』
多重人格者の殺人鬼× 竜騎士
外見 赤の瞳 白の髪
口調 (わたくし、~さん、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)

裕美のもう一つの人格で近接戦闘特化。性格は享楽的な戦闘狂
戦闘では【残像】が残るような優雅ステップで敵に近づき、惨殺ナイフによる【切断】を【早業】で繰り出す
ドラゴンランスを使うことがあれば、相手を【串刺し】にするか、竜に変えて【ブレス攻撃】
【瞬きの殺人鬼】使用後の昏睡状態はもう一つの人格に切り替えカバー
電脳魔術が使えないので裕美の能力が必要な場合は【オルタナティブ・ダブル】で呼び出します

あと、虫が苦手


仲佐・衣吹(サポート)
キレイなもの、カワイイもの、ぶち壊そうなんて許さないんだから
バトルだって芸術よ。美しく戦いなさい!

お相手するはアタシことネイル
美術好きな女性人格よ

口調はいわゆる女言葉かしら
身のこなしが一番軽いみたいで
接近戦より距離をとってダガーで戦うのが好きよ

よく使う手は
外套を投げつけて囮や目暗ましからの一撃
ルーンソードで戦ってる途中で手放して虚を突き、袖口から隠し武器としてダガー
光属性を付けたルーンカルテを落としといて、タイミングを見て目潰しフラッシュ
こんなところかしらね

アイテムやユーベルコードはお好きに選んでくれていいわ
使えるものは全部使って、華麗に美しく戦いましょ!



●エレガント・ビューティフル・アーティスティック・マルチプル・パーソナリティ
 一帯の空気がおかしい。
 寒い、という意味ではない。雪と風が強くなってきているのは事実だが、それとは別次元の異変が起きている。
 その空気の立役者は、中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)である。より正しくは、彼女の別人格であるシルヴァーナというべきなのだろうが。
「……これ、本当に大丈夫なのですか?」
 胡乱げな眼差しで裕美をチラ見しつつ、斎藤・福は言った。
 福及び彼女に同道する首塚の一族は、尊喰いと猟兵らの戦闘が始まってからこっち、雪まみれの窪地に身を潜めていた。それが、なぜか今はどこからともなく持ち出された中世ヨーロッパ風のテーブルを囲み、プチサイズのシュークリームやらエクレアやらをお茶請けにミルクティーを愉しんでいるのである。
「もちろんですとも、福様」
 しゃらしゃら~、と妙なエフェクトに後追いさせつつ、瀟洒な所作でもって紅茶やお菓子をサーブしつつ、裕美は言った。
「今、この場において最も重要なことは『優雅なる振る舞い』なのです。わたくしがそう決めましたゆえに。というわけで、皆様はなるべく優雅な所作でもってお茶を堪能していてくださいませ」
「はあ……まあ、そういうことなら」
 それと知らぬ者からすれば奇っ怪に思うのは自然だが、実際【シルヴァーナによる紳士淑女の作法(シルヴァーナニヨルヴィクトリアン・ルール)】の空間に及ぼす作用とは、そんなようなものだった。
 そして、福にせよこの場にいる首塚の一族にせよ、元はサムライエンパイアにて将軍家のごく近くに仕えていた人々である。必然、行儀作法については厳格に身に付いているし、優雅な立ち居振る舞いなんぞは呼吸の次くらいに自然にこなせることだろう。
 ゆえに首塚の一族は、この空間の中でもどうということもなく動き回れている。
 しかし一方、尊喰いはどうか。超常存在とはいえ、本質的にはおおよそ獣と変わらない。獣といっても、たとえば獅子のような威風だとか、白鳥のような気品だとか、そういう性質を持つことはあるだろう――が、それは人間社会の物差しで測れる優雅さとは異なるし、そもそも我欲に忠実な尊喰いにはそれでさえも縁遠いものである。
 必然、尊喰いの動きは目に見えて鈍い。
「おーっほっほっほ! やっぱりアナタには優雅さが足りていないようね!」
 手の甲を口元に当て、仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)は哄笑した。
 衣吹もまた、衣吹本人ではない人格が表出している。女性人格のネイルである。
「どうぞお気を付けて」
 給仕の手を止めずに、裕美は衣吹に声を掛ける。
「優雅さを欠いた振る舞いをすれば、我々猟兵の行動も狂いますよ」
「ええ、もちろん承知しているわ」
 衣吹は虹色に輝くルーンソードを振り回し、演劇の騎士役よろしく大仰な構えを取った。
「優雅に、芸術的に、美しく戦う! 当然よね!」
 その外連味のある所作を指して『優雅』と呼んで良いのかは少々怪しさはあるものの、少なくとも美しさや芸術性はある。
 ついで、普段のネイル人格の衣吹ならば、目くらましからのダガー投擲といった類の搦め手をふんだんに盛り込んだ戦法を好むのだが、あくまで優雅にという縛りを課されるならば「それは何か違うかもしれない」という思いもあった。
 そこで衣吹が選んだのは、優雅な動作を意識しつつ剣を繰り出し、堂々と近接戦を挑むという戦法である。ただし、元の気質は完全に抜けるものでもなく、選んだユーベルコードは闇のオーラを用いて気配を消し去る【黒影剣】だった。
 ギギギギ……!
 と、凍った空気に軋むような音が鳴り響きき、尊喰いの周囲に分身が出現していく。
「ふふふ、動きが鈍った分を頭数で補おうというのかしら?」
 闇のオーラを纏いつつバレリーナめいたポーズで大ジャンプを決めつつ、衣吹は剣を振りかぶった。真っ直ぐ、尊喰いの本体目がけて。
 あるいは十全な速度ではないかもしれない……が、それでも尊喰いよりも、その分身らよりも圧倒的に速い。
 尊喰いと分身らがぎこちない動きで翼をはためかせ、【飛刃羽】の刃の弾幕を成して衣吹を押し包む――いや、押し包もうとするが、それよりも衣吹の方が早い。弾幕の範囲を突っ切り、密着距離に至る。
 次の刹那、闇のオーラに包まれて気配の消えた、横薙ぎの一太刀。
 およそ感知できぬはずのそれに、しかし勘が働きでもしたのか、尊喰いは巨翼を叩きつけた。翼に備わった大爪が剣の刃を弾き、押し返す。
「……やるわね」
 口の端に舌をチロリと這わせ、衣吹は宙で体を捻らせる。
 押し返された剣を切り返し、体勢を崩しつつも唐竹割りの一閃を見舞う。
 尊喰いは寸前に身をよじろうとするが、やはり動作のキレはない。首回りに雑に生えていた翼が、根元から断ち斬られた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
さて、あれが殺さずに捕まえなきゃいけない獲物か。
ま、殺さない戦い方もそれなりに心得はあるし、何とかしようか。

相手の攻撃は風の刃と視聴嗅覚の感知を効かなくする大気ね。
両方空気によるものなら、触角髪で気流を感じ取れば感知はできるね。
斧で風の刃を打ち払っていれば、生命力と五感の精度を奪いに寄ってくるはず。
五感の精度が落ちてもあたしには第六感があるからね。
跳んで殴れる距離まで寄ってきたら第六感でおおよその位置を把握して、
竜の肺腑のブレスで相手を覆ってる大気を吹き飛ばすよ。
相手の姿が見えたら【蛮震揺打】を叩き込んで黙らせようか。

さて、これで捕まえられるかな?



●終の震揺
 軽い吹雪となって視界が悪くなったところに紛れて、連戦で重傷を負った尊喰いは逃げ去った――わけでは、ない。
 尊喰いの【簒奪者】は、光と空気をねじ曲げて己の姿を包み隠す。姿を見ることも、羽音を聞くこともできなくする。感知しにくくなっただけで『そこにいる』には違いない。
「ふっ!」
 ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)の首回りが、獅子のたてがみのごとくにぐるりと剛毛に覆われる――と見えるや否や、その毛が八方へと伸びて周囲を埋めんばかりになる。
 見えず聞こえず、しかし触れることはできるはず。ゆえに、手当たり次第ならぬ『毛』当たり次第に触角髪を伸ばしたのである。
 途端、どことも知れぬところから放たれる【飛刃羽】の風刃が、伸び放題となった触角髪を斬り裂いた。
 明らかに嫌がってる。ということは、こちらの狙いは間違っていないという証左だろう。
「――っ!」
 数発の風刃がペト自身を狙って飛来するのを、骨の巨斧を盾代わりにして防ぐ。その段にもなれば、触覚髪に伝わる気流から、ペトは尊喰いのいる大体の位置を把握できていた。
 触れれば五感の鈍る、捻れた大気。だからといって感覚が皆無になるわけでもなければ、触覚髪や手足そのものがちぎれるわけでもない。ゆえにそれと決めれば、あとは肝要なるは思い切りであり、瞬間の爆発力だ。
「ひとつ!」
 全身を竜のごとき姿に変えたペトが己の吐息で体を包み、彼女自身を烈風と化さしめる。吹雪を押し退け、歪な大気に斬り込むようにして跳躍したペトは、竜巻よろしく旋回しながら蹴りを放った。
 逆巻く旋風が大気を吹き飛ばす。同時、ねじ曲げられた光が元の向きを取り戻し、尊喰いの姿が露わとなる。
 刹那、尊喰いが何をするよりも早く、ペトは身を捻りつつ尊喰いに掌打を放った。
「ふたつ!」
 どしん! と衝撃が尊喰いの腹から全身へと走り、動きが止まる。その隙を逃さず、ペトはさらに身を捻って竜尾をしならせる。
「みっつ!」
 鞭めいてしなった竜尾は尊喰いの顎に炸裂し、大きく仰け反った尊喰いは全身からガクンと力を失わせる。羽ばたきすることもなくなったそれは、そのままゆるりとした放物線を描いて地面へと落下した。
「死んじゃいないよね……捕まえられるかな?」
 ペトが尊喰いを見送っているところに、窪地に隠れていた首塚の一族が一斉に飛び出す。
「今です!」
 福の号令と同時にユーベルコードの鎖が放たれ、目を回していた尊喰いは抵抗もできずぐるぐる巻きに縛られた。
 機を見るに敏なる様に、ペトは思わず感嘆の吐息をもらす。
「……何とかなったみたいだね」
 そう。これにて、首塚の一族の帰還へ向けた一手が、無事に成就したのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『お餅の季節』

POW   :    沢山食べよう

SPD   :    味付けに工夫を

WIZ   :    お供えし飾ってみよう

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●凍み餅
 『凍み餅』とは、餅を寒風にさらして凍結、乾燥させることで作られる保存食である。
 多くの場合、適当な大きさに切り分けた餅を縄で縛ってすだれのような形にし、軒先にずらりと吊すというような製法が採られる。また乾いた寒風が必須なので、作られる地域は冬の寒さ厳しき地域に限られるといって良かろう。
 通常の餅は放置することおよそ一週間弱で傷んで食べられなくなるが、凍み餅はざっと半年から一年程度の保存が利く。日常の小腹を満たす役にも立つし、いざという時の非常食にもなる。
 この雪深き山間部、戦場になっていた場所から数十分ほど歩いたところにある集落でも、凍み餅は作られている。
 そして厳寒期の一、二月を通じて新しい凍み餅が作られると、昨年に作られて非常食として蓄えられていながら、ついぞ食べられることのなかった凍み餅を、一気に処分――つまり、残らず食べてしまおうという、ちょっとした祭りが催されるのである。
 まあ、一年通じて食べた残りであるからして、山ほど在庫があるというわけではない。知れている。
 それでも、フラリと立ち寄った首塚の一族と猟兵たちがささやかに楽しむ分の余裕はあるし、村人たちも歓迎してくれることだろう。
ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
ふう、殺さないよう戦うってのは少しばかり肩がこるね。
とりあえず今回はこれでおしまいだし、あとはのんびり過ごすとしようか。

ふーむ、凍み餅ねえ。
あたしにはあんまり馴染みのない食べ物だけど、どんな食べ方があるのかな。
まあ、集落の人たちに聞けばいいか。

なるほど、基本的には普通の餅と同じような味付けが多いのかな。
きな粉をまぶしたり醤油つけて海苔で巻いたり、
餡子と合わせたり揚げたりもする、と。
ちょっとずつ色んな味を食べてみようか。

斎藤さんと首塚の一族の人たちも楽しめてるかな?
あとどれくらいで帰れるかは知らないけど、縁があればまた手伝うとしようか。



●餅は餅屋
「ふーむ?」
 ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)は首を傾げた。
 凍み餅。見た目には、何やら歪な楕円形の物体である。色は、やや黒みがかった緑色といったところか。ペトにとっては、恐らく初見の代物である。
 ただそんな彼女にも、これがこのまま直で食べるような代物ではないのは、わかる。まずひたすらに硬く、さらに何やらサラサラと粉っぽく、食べ物らしからぬ手触りをしている。
 どう食べるのだろう――と思ったものの、考えてみれば作るのにも食べるのにも慣れた集落の人がいるのだから、尋ねれば一発だと気付く。
 というわけで、早速ペトは近くにいた気さくげなおばさんを捕まえた。
「ああ。そりゃ、そのまんま食べてもうまくないよ」
 おばさんは印象そのままの温和な口調で、言う。
「一度、水に漬けて戻すのさ。あとは、炭火で焼いて砂糖醤油塗ったり、餡子餅にしたりね」
「なるほど」
 水で戻してしまえば、あとは普通の餅と大差ないらしい。
「自分でこさえる自信ないんなら、あっちに出来合いのもんがあるから、行ってみな」
「そうさせてもらうよ」
 言われた通りに行ってみると、そこには簡易な屋台がいくつかあった。小皿に調理された凍み餅を載せて提供しているらしい。
 せっかくなので、少量ずつ色々な味を試してみたい。そう考えつつ、ペトはまずは餡子がまぶされた餅に手を伸ばした。
「いただきます」
 一口食べてみる――と、さきほど触れたときの硬質ぶりが嘘のようなモチモチの食感が歯に伝わった。
 味としては、草団子が近いだろうか。ただ、団子よりは舌触りに残る粘り気が強い印象がある。凍み餅は乾燥させる際にボロボロにならないよう、ツナギとしてある種の山菜を混ぜ込むそうだが、見た目の緑と青っぽい風味はそれのためだろう。
「なかなか……」
 癖になりそうな味だ。そう思いながらペトは、次にきな粉をまぶされた餅を食べてみた。無地のきな粉餅の味に独特の風味が割り込んでくるようなものだが、思った以上に喧嘩をしない。
「楽しんでおられるようで」
 不意に声を掛けられてペトが振り向くと、そこには斎藤・福の姿があった。その手には、何やら赤茶色の塊がいくつか入った紙袋がある。
「それは?」
「凍み餅から作った、醤油味のおかきだそうです。おいしいですよ」
 微笑しつつ、福は言った。やんごとなきご身分の方なはずだが、庶民の食べ物を腐すようなケチな性根はしていないらしい。
「楽しんでいるのは、お互いのようだね」
 ペトもまた、淡く笑みを浮かべた。
 福たち首塚の一族の帰還には、渾沌化オブリビオン一匹や二匹では済まない。あとどれくらい必要なのかはわからないが、縁があればまた力を貸してもいい。ペトは、そんな風に思った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マチルダ・バレンタイン(サポート)
ケルブレ世界から来たヴァルキュリアの鎧装騎兵
普段着がメイド服
外見から想像出来ないが大食い
戦闘前に余裕が有れば事前に【情報収集】をする
戦闘時はバスターグレイブと23式複合兵装ユニットの【エネルギー弾、誘導弾】の【一斉発射、砲撃】で攻撃。接近戦になったらゲシュタルトグレイブの【なぎ払い】で攻撃
敵の攻撃は【ジャストガード】で受けるか回避する。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●雪解けを待つ温もり
 ぐるりと周囲を眺めやってから、マチルダ・バレンタイン(ヴァルキュリアの鎧装騎兵・f40886)は一瞬、迷った。自分は、餅料理を振る舞う側に立つべきか、食べる側に立つべきか。
 細い見た目からは意外に思われることが多いが、実はマチルダは食べる量が人一倍だったりする。ただ、同時にメイド服ユーザーでもある。こういった会が催される場では、料理をサーブする側に回ることも多いのだ。
「おや、どうしたんだい、猟兵さん?」
 近場にいた気さくげなおばさんが、マチルダに声を掛けてくる。
「あんたらはお客さんなんだから、遠慮しないで食べてくれたらいいんだよ」
「え、ええと」
 マチルダが何と反応するより早く、彼女はどやどやと運ばれていってしまった。
 集落の人々からすれば、猟兵たちは周辺に巣くっていた凶猛な妖獣の群れを討伐してくれた恩人であって、もてなすべき者である。まさか、給仕の仕事をしてほしいなどとは考えてもいないだろう。
 マチルダが運ばれた先は、屋台の前のテーブル席である。屋台からは何やら、塩気と出汁の良い香りがただよってきていた。
 何だろう、とマチルダ思っている間に眼前に置かれたのは、ほかほかと湯気を上げる丼だった。
「これは……?」
「まあ、お雑煮だよ。川魚の干物と、漬け物で作ったのさ」
 なるほど、と思う。言われてみれば、そんなような見た目であり、香りだ。具材は刻まれているため、魚の種類や野菜の種類などは判然としないが、器の中心にある餅だけは主張も強く居座っている。
「い、いただきます」
 ずず、と。
 まずは汁をすする。香りの印象そのままの、素朴ながら芯の強い味わいが感じられた。余分な味付けはしない――恐らく、塩を少々足したくらいだろうか――で、素材から溶け出した塩味と旨味で、十二分に説得力のある美味っぷりを発揮している。
 そして、その味わいにじっくりと浸された餅もまた、うまい。ついでにいえば、熱もたっぷり蓄えていたので、味より先に熱さに面食らう羽目にはなったが。それでもハフハフ言いつつ腹に収めると、体の奥からじわりと広がる温かさが心地良い。一時、肌の寒さを忘れてしまうほどだ。
「おいしいです!」
「そりゃよかった」
 マチルダも、集落の人々も、笑顔になる。
「おかわりもあるけど、いるかね?」
「ええ、ぜひとも」
 提案に、マチルダはすぐさま食いついた。健啖なる彼女はもちろん、一杯では腹の八分にも遠い。
 会が終わるまで、まだまだ食べる腹づもりを決めていた。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2025年03月08日


挿絵イラスト