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デヴァーリムは繋ぐ手を望むか

#クロムキャバリア #アダム・カドモン #『此処』 #古代プラント #ACE戦記外典 #エルネイジェ王国 #プラナスリー #ACE戦記

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●古代プラント
『此処』と呼ばれる未開地に存在する集落は、火の手が上がっていた。
 穏やかな空気は戦火に煙りゆく。
 遥か遠くに見えるのは、巨大なの如き黒き要塞――超巨大巨竜型要塞『ベヘモット』であることを彼らは知らない。
 そう『此処』と呼ばれる未開地に住まい、古代プラントによって細々とながら平和な生活を送っていた『メリサ』と呼ばれる全てが同じ髪、同じ瞳、同じ顔をした亜麻色の髪の少年たちは、知らない。

 彼らはあまりにも純粋無垢だった。
『此処』以外の世界は常に戦火に晒されていることも知らなかった。
 嘗て『シーヴァスリー』……『第三帝国シーヴァスリー』の前身となった小国家の脅威に晒されて尚、自分と同一でなくても言葉を尽くせば理解し合えると信じていたのだ。
「なんで……どうしてこんなことができるんだ!」
「それは『此処』が、それだけ魅惑的だからです。あなた達は自分の価値というものを理解していない。『此処』がどれだけ宝の山なのかを」
 超巨大巨竜型要塞『ベヘモット』から声が響く。
 女性の声だった。
 彼女は『ノイン』と名乗る存在であった。

 小国家『ビバ・テルメ』を襲ったあと、『ベヘモット』の所在は知られていなかった。
 だが、ここに来て『ベヘモット』――小国家『第三帝国シーヴァスリー』の本土そのものと言っていい巨大要塞は未開地の『此処』へと迫っていたのだ。
 以前、猟兵たちが残してくれていた防衛用のキャバリアは、圧倒的な戦力の前に尽く破壊されていた。
 それは『黒騎士』と呼ぶに相応しい一騎のオブリビオンマシンの手に寄るものだった。
 破壊されたキャバリアから投げ出された『メリサ』たちは雪原にて、『黒騎士』の如きオブリビオンマシン『スカルモルド』を見上げる。
「誰一人殺していないでしょうね、『黒騎士』」
「……言われた通りにしてるじゃあねぇか」
『スカルモルド』のコクピットに座すパイロットが舌打ちする。
「ならばいいのです」
「俺の仕事はもう終わりでいいだろうが。こんな弱者をいたぶるような趣味はねぇぞ」
「……ハハハッ! タイプ『メリサ』を弱者呼ばわりできるのも、貴方くらいなものでしょうね。なにせ貴方は、『エル……」
「黙りやがれよ」
『スカルモルド』のガンサイトが『ベヘモット』の管制室の一点を狙う。
 ロックオンアラートに『ノイン』は肩を竦め頷く。

「いいでしょう。任を解きます。後続の『クレイシザー』を向かわせます」
「次、俺の手を煩わせたら……わかっているんだろうなぁ? いくらテメェでも食い千切ってやるから覚悟しやがれよ」
 獰猛な狂犬を思わせる語気。
『スカルモルド』のパイロットの身よりほとばしる重圧は凄まじいものだった。そんな剣呑な空気の中、未開地の集落『此処』に真紅の装甲を持つ無数のオブリビオンマシン『クレイシザー』たちが集結する。
 黒いオブリビオンマシン『スカルモルド』は、それを見届けることなく背を向け一気に戦場から離脱していく。

「……まったく。取り込む因子を間違えた、とは言いませんが……あの凶暴性。まるで狂戦士か何かですか。いずれ処分する手立てを考えておかねばなりませんね」
『ノイン』は小さくつぶやき、未開地『此処』の制圧を後続の『クレイシザー』と、『疑似脳』を搭載した『スカルモルド』に任せ、『ベヘモット』を移動させるのだった――。

●特務機関DIVIDE長官
「……まさか、このような未開地に小国家……いや、集落があろうとはな」
 特務機関DIVIDE長官『アダム・カドモン』は、雪原を走る。
 彼の瞳に映るのは、黒煙が上がる未開地であった。彼がどうして、『此処』と呼ばれる未開地の場所を知ることができたのかはわからない。
 だが、彼自身が元いた世界に戻りたいという意志を見せながらも、それ以上にこの戦乱の世界を見捨てることができなかったのと同じように、この邂逅は約束されたものであったのだろう。
 オブリビオンマシンによって狂乱し、理不尽な侵略を持って他者を苦しめる。
 そのような悲劇を彼は是としなかった。
 今回のように彼はいくつもの小国家を助けて回っていた。

 未開地『此処』の噂も、彼が助けて回っていた小国家の人々から噂程度に聞いていたのだ。
 だからこそ、間に合ったとも言える。
「いや、間に合ったとは言えないか」
『アダム・カドモン』は黒煙が上がる未開地『此処』を目の当たりにする。
「『第三帝国シーヴァスリー』と言ったか。オブリビオンマシンの狂気に当てられているとは言え……見過ごすことはできない」
 加速し、彼は『此処』へと踏み込む。
 戦場となった『此処』はオブリビオンマシン『クレイシザー』が蠢動するようにして、防衛用のキャバリアを撃破されて雪原に投げ出されている少年たちを回収しようとしていた。
 しかも、『此処』に安置されていた『古代プラント』まで奪おうとしているのだ。
「人もプラントも見境なしか!」
「戦いに勝利したのだ。奪って何が悪い」
「そうだ。我らは勝ち得たのだ。ならば、得るのが当然」
「いいや、義務だ。敗者は勝者に全て差し出さねばならない!」
 オブリビオンマシン『クレイシザー』のパイロットのたちの言葉に『アダム・カドモン』は理解する。

 すでに『第三帝国シーヴァスリー』の人々はオブリビオンマシンのもたらす狂気に染まっている。
 ひしめくようにして『クレイシザー』が『アダム・カドモン』を睨めつけ、その恐るべき威容を誇るようだった。
 許されるものではない。
 彼らの行いはあまりにも理不尽だった。
 弱者を虐げることに何一つ疑念を抱いていない。
 それはあまりにも非道。
「そうか。ならば、私は私がケルベロスたちや市民たちの前に帰還するために、諸君らを止めよう。私は、私の心が叫んでいるのを知っている」
 煌めくは瞳。
 そこには決然たる意志があった。
「無辜の民の為に戦おう。それが、私の心の叫びだ!」

 その言葉に応えるようにしてグリモアの輝きが空に奔る。
 それはグリモア猟兵、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)が維持する転移の力だった。
 次々と空より舞い降りるようにして出現する猟兵達。
 彼らの姿を認め『アダム・カドモン』は頷く。
「彼らも来てくれた。その狂気に冒された心を、正すのみ」
 未開地『此処』の戦いは、斯くして始まる――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はクロムキャバリアにて、帝都櫻大戰の折にキャンプ・フォーミュラ『キャンピーくん』の世界移動能力によって送り込まれ、そして共闘してくれた特務機関DIVIDE長官『アダム・カドモン』の戦いに助太刀するシナリオになっております。

 彼は『キャンピーくん』が何処かに姿を消してしまったこともあり、未だクロムキャバリアに残っています。
 元の世界に戻る意志はあるのですが、しかし、この戦乱の世界を見捨てることが彼にはできなかったようです。
 そのため、理不尽な侵略に苦しめられる人々を助けて回っています。
 そんな彼が救援に向かった先が、嘗て『古代プラント』があった未開地『此処』です。

 すでに『第三帝国シーヴァスリー』によって襲撃された『此処』は防衛力はなく、『此処』に済んでいた『メリサ』と呼ばれる全て同一の顔と姿をした少年たちと『古代プラント』をオブリビオンマシンたちは運び出そうとしています。

●第一章
 集団戦です。
 未開地『此処』にて戦う『アダム・カドモン』の元に転移し、颯爽と助太刀しましょう。
 ひしめくオブリビオンマシンを蹴散らしましょう。

●第二章
 ボス戦です。
 オブリビオンマシンを率いている一際強力な指揮官機オブリビオンマシンとの対決になります。
 どうやら『疑似脳』をコクピットに搭載されたタイプのオブリビオンマシンですが強敵です。
 撃破すると『アダム・カドモン』の体が一瞬だけ光に包まれ、何かの力を宿すことでしょう。
 それ以上のことは起きませんが、内包され続ける力を貯めることで何かが起こるのかもしれません。

●第三章
 日常です。
 未開地『此処』の危機は無事に退けることができました。
『アダム・カドモン』はしばらくこの地に逗留するようです。
 そんなみなさんに『メリサ』たちは、猟兵から教わった音楽でもって皆さんに感謝の意を示したいようです。
 音楽を楽しんだり、『メリサ』たちと交流するのもいいかもしれません。

 それでは戦乱続く世界に差し込む善意が、戦禍の火種を吹き消すのか。皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 集団戦 『クレイシザー』

POW   :    クレイハイド
自身の【地中潜行能力】を籠めた【超振動破砕クロー】を用い、通常移動と同速度で地中を掘り進む事ができる。装甲破壊にも使用可能。
SPD   :    クレイアダプテイション
自身の【戦闘能力】を【環境に適応した形】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
WIZ   :    クレイシューター
【複合センサーで索敵を行い、照準】を向けた対象に、【魚雷またはミサイル】でダメージを与える。命中率が高い。

イラスト:柿坂八鹿

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


――――――
※『第三帝国シーヴァスリー』は『プラナスリー』の誤りでした。
 置き換えて読んでいただけれたと思います。
――――――

「奪い尽くしてやる! 全て! 奪われないために奪い続けなければ!」
「全て俺達のものだ! 何もかも!」
 オブリビオンマシン『クレイシザー』たちが戦場となった未開地『此処』にてひしめきながらも蠢く。
 彼らは雪原に投げ出された亜麻色の髪の少年たち……全てが同じ顔と姿をしている『メリサ』たちを回収しようとしていた。
 そして『古代プラント』もまた同様であった。
 彼らは根こそぎ奪っていくつもりなのだ。
 小国家『プラナスリー』が何をなそうとしているのかはわからない。
 だが、オブリビオンマシンのもたらす狂気に染まりきった彼らが成すことが世界の危機を呼び込むことは、言うまでもないことだろう。
 故に。
 いや、違う。
 そうではないのだ。
 特務機関DIVIDE長官『アダム・カドモン』は、生身単身で『クレイシザー』の超振動破砕クローを寸断し、亜麻色の髪の少年『メリサ』を奪い返す。

「邪魔を……!」
「一方的に他者を虐げる者を私は許しはしない。それは平和には程遠い行いだからだ。許してはおけない。私の心が、そう叫んでいる」
『アダム・カドモン』はためらわない。
 戦うことを。
 虐げられる者がいて、苦しめられる者がいる。
 ならば、虐げる者を退けることでしか、この負の連鎖は断ち切れないと知るのだ――。
ウィル・グラマン
●POW

性懲りもなく出て来やがったな、プラスナリー!
ノイン、テメェの悪巧みも今度ここまでだ!
首を洗って待っていろよ!

つい啖呵を切っちまったけど、どうどっかに隠れてるベヘモットの中でふんぞり返ってるんだろうけどな
だったらプラスナリーの連中をぎったんぎったんにぶちのめして、引きずり出してやろうぜベア!

長官、待たせたな!
今からオレの電脳魔術で援護してやるぜ…『アローライン・スクリーム』!
矢印の向きで相手の行動を阻害、こっちは加速のバフだ!
いくら地面の中から出て来ようとも、出てくる速さが遅くなれば速くなったこっちに利があるからな、ニャハハ!

いけぇ、ベア!
お前の鉄拳でザリガニ叩きゲームの時間だ!!



「性懲りもなく出てきやがったな、『プラナスリー』!」
 ウィル・グラマン(電脳モンスターテイマー・f30811)は漆黒のスーパーロボット『ベアキャット』と共に雪原に舞い降りる。
 その黒鉄の駆体は大地に降り立つだけで激震を走らせ、オブリビオンマシン『クレイシザー』たちの体躯を揺するようであった。
 それほどまでの圧倒的な存在感。
『ガ、ォォォン!!』
 さらに咆哮すれば、『クレイシザー』を駆るパイロットたちは狂気に冒されながらも、しかし、わずかにたじろぐだろう。

「な、なんだ、あのキャバリアは……!」
「ハッ! 聞いて驚くなよ。これが漆黒のスーパーロボット『ベアキャット』だ! 今もどうせどっかで隠れてみてるんだろうがよ、『ノイン』! テメェの悪巧みも今度ここまでだ! 首洗って待っていろよ!」
 そう啖呵を切るウィルは『ベアキャット』の肩に捕まって『クレイシザー』を指差す。
「援軍……猟兵の諸君か」
 特務機関DIVIDE長官『アダム・カドモン』は戦場にあって轟く咆哮に視線を向ける。
 漆黒のスーパーロボット『ベアキャット』の威容はよくも悪くも目立つものであった。

「長官、またかせたな!」
「心強い。だが、敵の数が多い。それに……この未開地の人々が囚われようとしている。彼らを救出してくれ」
「おうよ! だったら……『プラナスリー』の連中をぎったんぎったんにブチのめしてやらぁ!」
 そうすれば『ノイン』も引きずり出せる。
 ウィルはそう信じて『ベアキャット』と共に戦場に躍り出る。
 しかし、そうは行かぬと立ち塞がるのが『クレイシザー』たちであった。その腕部……超振動破砕クローによって一気に地中に潜航し、視覚外からの攻撃を可能としているのだ。
「臆するな! たかだか一騎キャバリアが増えただけだ! 地中から取り囲んで一気に、その装甲を粉砕してくれる!」
 地面が鳴動する。
『クレイシザー』が地中を潜航し『ベアキャット』を取り囲んでいるからだ。
 何処から来るかわからない攻撃。
 それは『アダム・カドモン』に対しても同様であったことだろう。

「彼らは地中からの攻撃を得意としている。どうする、猟兵」
「まあ、任せておくなって! オレの電脳魔術は!」
 ユーベルコードに輝くウィルの瞳。
 戦場を包み込むのは電脳空間。
 そして、包みこんだ戦場においてウィルのアローライン・スクリームと呼ばれるユーベルコードは、空間をレースゲームそのものへと変貌させる。
 あらゆる物質に生み出される矢印マーク。
 それによって『アダム・カドモン』と『ベアキャット』は加速し、逆に地中の『クレイシザー』は減速してしまう。

「な、潜航速度が落ちる……何故だ、何故こうも……!」
「そして……矢印があるってことは、地中であっても地上から敵の位置が丸わかりってわけだ!」
 ウィルの言葉通りだった。
 地中を潜航し、攻撃の機会を伺っていた『クレイシザー』たちの位置が、地上からは簡単に判別できてしまう。
「ニャハハハ! こっちは速くなって敵は遅くなる。なら、捉えられるのも簡単ってわけだ! いけぇ、ベア! お前の鉄拳でザリガニ叩きゲームの時間だ!!」
『ガォン!!』
 その言葉に応えるようにして『ベアキャット』が咆哮し、その拳を地中にある矢印に向けて叩きつけ、引きずり出すようにして『クレイシザー』を持ち上げ地面に叩きつけ粉砕するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリー・マイヤー
自らのために戦い、奪う。
誰かのために戦い、守る。
文明があってもなくても、人のやることは変わりませんね。
つまり、私のやることも変わらないということ。
略奪者は、私の敵です。

そんなわけで、お仕事の時間です。
適当な物陰に潜み、【念動サーチ】により周辺の状況を確認。
🦞とメリサさん達の位置を割り出します。
感知した🦞は、念動力で✂️を捥いで無力化です。
メリサさんの方は、危機的な状況なら念動力でサポートしましょう。
瓦礫に挟まれたとか、目の前に🦞がいるとか。
脳の処理がどこまで追いつくか次第ですが、できる限り。
…そういえば、地中の敵の探知ってしたことないですね。
まぁ、穴を辿れば見つかるでしょう。
たぶん。



 人の営みは変わらない。
 それは他世界を知る猟兵の瞳から見ても事実であった。
 自らのために戦い、奪う。
 誰かのために戦い、守る。
 いずれもが戦うことであり、そこに文明や文化は微々たる差異でしかない。
「文明があってもなくても、人のやることは変わりませんね」
 エリー・マイヤー(被造物・f29376)は未開地にて広がる雪原、そしてその空気を吸う。
 清潔な空気。
 フラスコチャイルドたる彼女にとっては毒そのものであるが。

 しかし、彼女は今まさに清浄なる空気を汚す戦火を見る。
 オブリビオンマシン『クレイシザー』と猟兵の戦い。
 黒煙を上げ擱座したオブリビオンマシンの残骸から漏れ出す燃料やオイル。そうしたものに引火しては、有害な毒素を撒き散らしている。
 むしろ、そのような毒素を含む汚染された大気の中でこそフラスコチャイルドは生きるもの。
 戦場に生きなければならない。
 うばい、うばわれるという連鎖の中でこそフラスコチャイルドは生まれたのだから。
「つまり、私のやることも変わらないということ」
 そう、常にそうだったのだ。
 戦いとは略奪者を退けること。
 未開地『此処』と呼ばれた場所を守ること。
 それがエリーの中にある戦いそのもの。
「略奪者は、私の敵です」
 ユーベルコードに輝く瞳。

 彼女の念動力の波が戦場に広がっていく。
 その波は地中であっても関係なく広がっていき、今もなお地中を潜航する『クレイシザー』の位置を特定せしめていた。
「いましたね」
 彼女の念動力は凄まじいものである。
 こうして敵の位置を探るだけではなく、念動力に寄る追撃すらも可能としているのだ。
 どれだけ地中を速く動けるのだとしても、位置が割れていて、なおかつ念動力という障害物に左右されぬ力を打ち出すことができるのならば、『クレイシザー』の優位性はすでに何処にも存在しない。

「な、なんだ? 機体が何か見えない力に……掴まれてッ!?」
 瞬間、エリーの放った念動力が地中から『クレイシザー』を引きずり出す。
「!? な、なにが! 地上!? 何が起こったんだ!?」
「逃がしはしません。確か『メリサ』さん、でしたか……彼らを何処に連れ去ろうというのかはわかりませんが、私の眼の前から奪っていく、というのならば話は別です」
 略奪者に得物を持ち出させる暇すら与えない。
 彼女の念動力は網目のように、そして波のように扇状に広がっている。
『メリサ』と呼ばれる亜麻色の髪の少年たちを『クレイシザー』たちは何処かに運び去ろうとしていた。
 それが重要なものであるかどうかは関係ない。
 彼女の眼の前から奪っていく、ということが重要なのだ。

「返してもらいます」
 念動力が『クレイシザー』の駆体をサバ折りのようにへし折り、その内部コンテナに収められた亜麻色の髪の少年『メリサ』たちを奪い返す。
「奪還、完了です」
 エリーは微笑むでもなく、ただ怒るでもなく。
 冷静に念動力をたぐり、『メリサ』たちを救出し、更に迫る『クレイシザー』たちを念動力で持って叩き、へし折り爆発の中を悠然と佇み、息を吸い込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
『プラナスリー』が性懲りも無く。今度こそ、その移動要塞も破壊してあげるわ!

まずはザリガニ退治ね。
「全力魔法」地震の「属性攻撃」「範囲攻撃」「衝撃波」「竜脈使い」「仙術」で地烈陣。攻撃回数重視。

周囲の大地を粉々に砕いてあげるわ。そうしたら、地底にいるとどうなるかしらね?
あたしが敵集団を抑えているうちに、アダム・カドモン長官は避難を進めて。
使えるようなら、黒鴉の式も飛ばしましょう。安全な場所を探させる。

もちろん、戦闘に気は抜かないわ。地の底でぐちゃぐちゃになるといい。
地底なら手出しできないと思ったら大間違いってね。
例によって地形が変わってるけど、どうせ攻め込まれた時点で地形は破壊されてただろうし。



 小国家『プラナスリー』は神出鬼没なる小国家である。
 それもそのはずであろう。
 国土は超巨大巨竜型要塞そのものであり、移動し続けているのだから。
 そんな『プラナスリー』が戦乱を巻き起こす理由は理解しがたいものである。オブリビオンマシンを多数擁するが故に、すでに小国家全体が狂気に包まれている。
 オブリビオンマシン『クレイシザー』を駆るパイロットたちも同様だ。
 彼らは奪うことだけを考えている。
 奪い続けることこそが生きることであると信じているし、奪い続けなければ死んでいるのも同然だと思っている。
 だからこそ、こんな破滅的な行いをすることもできるのだ。
「地中潜航後に敵を討ち滅ぼせ! どんな手品かは知らぬが『クレイシザー』は!」
 超振動粉砕クローは地中を潜航を行うのに必須な装備だ。
 震える鋏状のオーバーフレームは、地中に出れば敵キャバリアの装甲を容易く粉砕することができるだろう。

 移動と攻撃。
 その両方を備えている。
 だが、そんな『クレイシザー』を食い物にする例外もまた存在しているのだ。
「『プラナスリー』が性懲りもなく。今度こそ、その移動要塞も破壊してあげるわ!」
 村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は転移直後に飛び出し、地上に降り立つ。
「まずはザリガニ退治といきましょうか! 古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。竜脈宿せし大地よ。永劫の微睡みから目覚め、汝を忘れ去った者共に相応の報いを与えよ。疾!」
 ユーベルコードによって戦場全域に満ちるのは、異常なる振動であった。
「大地が震えている……これは」
「そう、あたしのユーベルコード、地烈陣(チレツジン)。『アダム・カドモン』長官は保護した『メリサ』たちの避難を進めてちょうだい」
「しかし、敵の数は未だ健在だ。それをどうする」
「簡単な話しよ。敵が地中にある、というのなら……このユーベルコードは!」
 大地の振動が広がっていく。

 異常なる振動。
 それは大地を揺らし、地底を掘り進む『クレイシザー』たちにも伝わることだろう。
「ええい、こんな時に地震だと!?」
「超振動クローを止めろ、一度地上にでて……!」
 だが、間に合わない。
 地表の崩落。
 地上に飛び出そうとしても、そこはすでに崩れ果てた大地である。
 そして、崩れた大地は土塊となって『クレイシザー』を押しつぶし、その凄まじき圧力でもって機体の装甲は圧壊するだろう。
「馬鹿な……! こんな、偶然で!」
「偶然じゃあないわよ。地中なら手出しできないと驕ったのが大間違いね」
 ゆかりは大地を変えるほどのユーベルコードでもって敵を粉砕し、その崩れ果てた地表の上からひしゃげた真紅の装甲を持つ『クレイシザー』たちを見下ろす。

「地の底でぐちゃぐちゃになるといいわ。『アダム・カドモン』長官、彼らの保護は任せたわよ!」
「君はどうする」
「決まってるわ。この後に出てくる面倒な敵を討滅するのよ」
 ゆかりはそう言って『アダム・カドモン』に攫われんとしていた『メリサ』たちの保護を頼み、現れるであろう脅威に備えるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》とメリサ様の!
香りがしまァァァすッ!!
香りに誘われてメイド参上です
黒い機体……スカルモルド
アハト様と何か関係が?
というかまたノイン様ですか!!
そんなにエイル様因子が欲しい……ですよねえ、あの方なら

いえ、何よりも『此処』は
メリサ様の故郷
袂を分かったとて無くなっていいものではないでしょう
つまり!正妻の!出番!
誰がやべーメイドですか
やべーは交代制だとルクス様にも刻まないと

最近思ったんですが
天使のセラフィムは赤なのですよね
無い部分を想像で補ってしまうのが人の性質
セラフィムとはいったい、どれを示す言葉なのでしょうね?
私のケルーベイムは私のパーソナルカラーに染めてしまいましたが
ケルビムもまた謎の存在
そろそろ私ですらこの長い|物語《喜劇》の全容が読めなくなってきました

というわけでシリアスアレルギーでルクス様が死ぬ前に倒すとしましょう
ケルーベイム!
『此処』を守る番人として
【クーストース】!!
武器の調整が終わってませんので
殴りますけども!!
ルクス様、支援お願いします!


ルクス・アルブス
【ステルク】

えっ。だぶる?だぶるすめる?
ステラさんそれまで嗅ぎ分けちゃうんですか!?

って、機体とかはいいんですけど、
そこはノインさんのこと肯定しちゃうんですか!?

『エイルさん因子』とか丸く言ってますけど、それってアレですよね?
アレ、ですよね?
やーん、ステラさんのえちえちー。
しかたありませんはいぼくめいどしりーず作りましょう(ぽぽぽぽ

え?今なにとなにが繋がって出番になりました!?
いやその前に、いつの間に『正妻』になったんですか!?
さっきから発言がいろいろやべーですよ!

交代制もなにも、終身名誉やべーのステラさんと交代なんて、誰もできないですから。

あ、そろそろシリアスタイム終わります?
ツッコミしてないと持たないんですから、短めでお願いしますよう。

そいえば『ケルーベイム』って、ステラさんのパーソナルカラーなんですね。
てっきり『赤と青もわたしの! 紫なら総取り!』だと思ってました。

えー!?
そこまでいろいろ広げて『物理で殴る』ですか!?

ま、まぁいいですけど。
しっかり支援はさせていただきますね!



 その違いは明白であったのかもしれない。
 香り。
 それはステラ・タタリクス(紫苑・f33899)にしか知覚できない何かであったのかもしれない。
 人の歩みは荒野を往くが如く。
 であるのならば、身に染み付く匂いというものもまた変わるのかもしれない。
 多くが濯ぐべき穢れであるのかもしれないし、また身よりにじみ出るもの。それでも人は穢れを己が身より滲ませながら、潔斎たる道を歩む。
 正道というのならば、穢れを濯ぐために生きることなのだろう。
「|『エイル』様《主人様》と『メリサ』様の! 香りがしまァァァすッ!!」
 まあ、そんなことはステラには関係ないようであった。
「えっ」
 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)はいつもの雄叫びを耳にして驚いた。
 いつもならば、ステラの言う所の『主人様』のみを雄叫びに乗せる。
 が、ステラは今回『メリサ』と言った。
 彼女が正妻たる立場を表明して止まぬ人物のことである。なお、認知はしていない模様である。

「だぶる? だぶるすめる? ステラさん、それまで嗅ぎ分けちゃうんですか!?」
「香りに誘われて参上するメイドにとって、この程度造作もないスキルです」
「スキルで片付けられます!?」
「黒い機体……『スカルモルド』……『アハト』様と何か関係が?」
「いえ、機体とかはいんですけど、嗅ぎ分けられるんですか?」
「というか、また『ノイン』様ですか!! そんなに『エイル因子』が欲しい……ですよねぇ、あの方なら」
「そこは肯定しちゃうんですね」
 ルクスはちょっと引いた。
 ステラが敵に対してこうも理解を示すところがなんていうか、ちょっとその、と思っている。
 むしろあれである。
『エイル因子』ってぇ、そのぉつまりぃ、とルクスは何故かもじもじしている。
 お、どうした?
「やーん、ステラさんのえちえちー」
「言いがかりですね。しかも藪から棒に」
「だって、『エイル因子』とか丸く言ってますけど、それってアレですよね? アレ、ですよね?」
 アレとは。
「しかたありません。はいぼくめいどしりーず作りましょう」
 ルクスは頬を赤らめて、頭からぽしぽしと音を立てるように湯気を立てる。
 うーん。乙女心。
「いえ、そんなことよりも『此処』は『メリサ』様の故郷。袂を分かったとてなくなっていいものではないでしょう。つまり! 正妻の! 出番!」
 認知はしていない。
 何度も言うが、認知はしていない。

「え? 何と何が繋がって出番になりました? いや、その前にいつの間に『正妻』になったんですか!?  さっきから発言が色々やべーですよ!」
 ずっとやばい。
「誰がやべーメイドですか。やべーはターン制バトルだとルクス様、その身に刻んでいただきたいところです」
「交代制もなにも、就寝名誉やべーはステラさんなので、交代なんて、誰もできないですか」
「ふ……」
 なんでそこで意味深な笑みを浮かべられるのかな、とルクスは思った。
 なんかシリアスな雰囲気になっているが、もう色々手遅れだと思う。

 しかし、ステラは構わない。
 シリアスな雰囲気は作れる。かわいいが作れるのと同じように、だ。
「最近思ったんですが、天使の『セラフィム』は赤なのですよね。ない部分を想像で補ってしまうのが人の性質……であるのならば」
 ステラは己の乗騎『ケルーベイム』の装甲を見る。
 自身のパーソナルカラーに染まった紫を基調とした機体。
『ケルビム』と、この雛形を作ったものは語っていた。
 未だ如何なる存在かを彼女は知らない。
 だが、この物語が喜劇なのか、それとも悲劇なのか。それさえもわからない。全容がわからないと言っていい。
 だからこそ、確かめねばならないのだ。

「シリアスタイム終わります? そろそろ終わりますよね? なんか思考の彼方に飛んでいかれると、私困っちゃうんですが!」
「ルクス様がシリアスアレルギーで死ぬ前に倒すとしましょう。故に、『ケルーベイム』!」
『ケルーベイム』のアイセンサーが煌めく。
 ユーベルコードに満ちた光を解き放ち、紫と白の機体が構える。
 迫るはオブリビオンマシン『クレイシザー』。
 その特性は言うまでもなく、環境適応能力である。
 例え、地中であろうとも『クレイシザー』は行動することができる。
「クーストース! ルクス様、武器の調整が終わっておりません! 支援を!」
「え、そこまで色々広げて結局『物理で殴る』ですか!?」
「仕方ないでしょう!」
 まあ、いいけど、とルクスは頷く。

 なんていうか、彼女の機体のパーソナルカラー……紫は決意の現れだと思っていたのだ。
 そう、赤も青もわたしの! 紫なら総取り! とかそんな理屈をこねるものだとばかり。
 そうではないのかな? そうかもしれない、と思いながらもルクスは支援と称して、しれっと楽器を構える。
「魂の演奏は、全てを貫きます!」
「支援とはいいましたが、演奏していいとは言ってませんけど?!」
「悪魔のトリル(アクマノトリル)を聴けー!」
 あらゆる耳栓、遮音物を貫く音の洪水が響き渡る。
 それは衝撃波と共に三半規管を打ち据え、『クレイシザー』のパイロットたちを混乱させるだろう。

「音が、反響し続けている……今、オレは上にいるのか? 下にいるのか? どっちなんだ!?」
「さあ、ステラさん今です! みなさんが混乱している隙に……ってあれ?」
「……だから演奏はやめて、と」
 おかしい、とルクスは首を傾げる。
 彼女のユーベルコードは演奏に寄る士気上昇をもたらす。
 なのに、ステラは耳を抑えている。
「……今です!」
「それでごまかせると思わないで頂きたいのですが!」
 そんないつもの二人のやりとりと共に未開地『此処』を巡る戦いは続くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルマ・フィーリア
……そんな所業…!黙って見過ごすわけにはいかないよ…!
アルマ・フィーリア、乗騎『ドラグリヴァーレ』……出るよ

味方の前に立ち、装甲より『ドラグヘッド・バレト』を攻撃態勢にし、【■■■-07D 竜騎咆哮】を。…その機体を捨てて退くというのならそれ以上はしない。
けれど…どうしてもその鉄騎に縋り、その行為を是とするなら……容赦はしない

向かってくる敵にはそのまま全てのドラグヘッド・バレトから魔法砲撃を。
操り手が逃げたり、動けない状態の鉄騎は竜の首で噛付き、そのまま魔法の刃を出して引き裂いて破壊する。

オブリビオンマシンは…ボク達の敵だから。
(徐々にハイライトさん不在に。言動もどこか機械的になっていきます)



 未開地『此処』を巡る戦いは、特務機関DIVIDE長官『アダム・カドモン』の介入によって、小国家『プラナスリー』のオブリビオンマシン『クレイシザー』との戦端を開くことになった。
 しかし、未開地『此処』に国家である『プラナスリー』の戦力を退けるだけの力はない。いや、あったのかもしれないが、しかし、猟兵たちが駆けつける前にすでに亜麻色の髪の少年たち『メリサ』を無力化した存在はすでに此処にはない。
 後に残るのは略奪だけだ。
「……そんな所業……! 黙って見過ごすわけにはいかないよ!」
 グリモアの力による転移によってアルマ・フィーリア(鋼竜石の妖精・f44795)は、鋼鉄の人造竜騎『ドラグリヴァーレ』と共に戦場に降り立つ。

 激震する大地。
「アルマ・フィーリア、乗騎『ドラグリヴァーレ』……お相手仕るよ!」
 異形の人造竜騎の首がもたげ、オブリビオンマシン『クレイシザー』が迫る。
「たかが一騎増えた程度で!」
 超振動クローを振り上げながら『クレイシザー』が迫る。
 それを前にしてアルマは思う。
 宿るのは狂気。
 彼らは狂気に突き動かされている。なら、とアルマはその瞳をユーベルコードに輝かせる。
「吼えて!『ドラグリヴァーレ』!」
 ■■■-07D 竜騎咆哮(ドラゴニックロアー)を携えた竜の首が衝撃波を解き放つ。
 如何に超振動クローを持つ『クレイシザー』であろうとも、その一撃を前に駆体が吹き飛ぶ。
 重たい音を立てて地面に叩きつけられた機体であったが、すぐにまた動き出す。

 鎮圧の魔力を籠めた咆哮。
 だが、オブリビオンマシンのもたらす狂気によって『クレイシザー』のパイロットたちは破滅的な行動に出る。
 敵の排除。
 それを成すのは自身の持てる最大火力。
 つまり、特攻である。
「俺達は奪うんだ! 生命も、何もかも! 己のいのちをかけて!」
「……その鉄騎に縋っている限り、その行動は是としない。してはならないんだ。なら、容赦はしない!」
『ドラグリヴァーレ』の上半身を形成する無数の竜の首が迫る『クレイシザー』に巻き付き、その装甲をひしゃげさせる。

 その音に、そして放たれる衝撃波を至近で受け止めてパイロットたちはようやくにして己が置かれている状況を理解しただろう。
「ひっ……!」
「怖いだろう。死ぬのは。生命を失うのは。それがキミたちが誰かにしようとしたことだ。そして、それは本当は」
 キミたちの本意ではないのだろう、とアルマは思う。
 それを成しているのはオブリビオンマシンだ。
 この鉄騎が人に狂気をもたらしている。

「オブリビオンマシンは……ボクたちの敵だから」
 アルマの瞳から光が消えていく。
 絡みついた駆体を魔法の刃で切り裂きコクピットハッチを開く。パイロットを振り落として、残骸を投げ捨てアルマは新たなるオブリビオンマシンを求めて機械的な動きで戦場を疾駆するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
奔れ、壊せ、鉄を裂き鋼を砕け

『悪騎兵』ユーベルコードをディスポーザブルに籠め、『禍戦・恐喜歩』『眼倍』を発動。
此処を襲った全ての敵を壊さんとする【闘争心】を燃やし、【視力】眼倍効果範囲内の敵機、地中に潜む敵機、メリサ達、ついでにまだ範囲内に居るかもしれない『ベヘモット』も【|第六感《勝負勘》】で補足認識。
黒輪光展開追尾灼熱線【範囲攻撃】ミサイル弾幕を落ち落とし、クレイシザーを撃ちメガスラスター【推力移動】直近の敵機へと肉薄、その機動を【瞬間思考力】で処理し|【怪力】雷架《ブラストナックル》で【属性攻撃】熱光電撃の殴打を叩き込み破壊しまた次へ接近し殴打を繰り返し敵機を沈める。
【早業】機体から戦塵髪を展開し【念動力】で操り伸ばし高速で地面へ突き立て地中に潜む敵機を【急所突き】複数本で貫く。

壊れろ

【エネルギー充填】|闘争心《怨念》によって火力を引き上げた断叫で、
周囲のクレイシザーを電磁音波で【なぎ払い吹き飛ばしマヒ攻撃】
【追撃】地中を進む無数の戦塵髪で下から串刺しにして破壊する。

壊れろ…!!!



「奔れ」
 それは小さなつぶやきであったが、戦場を支配する力ある言葉だった。
 ユーベルコードが明滅する。
 戦場に幽鬼のように突如として現れた黒鉄のキャバリア。
 名を『ディスポーザブル』と言う。
 ユーベルコードの明滅が機体の内側に灯されていく。
 それは炉心に焚べられた炎のようであった。
 そう、朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)の瞳――人口魔眼には炎が灯っている。
 未開地『此処』を巡る戦場。
 すでに特務機関DIVIDE長官『アダム・カドモン』に寄る介入が始まっている。だが、小枝子には関係のないことだった。

 眼の前に敵がいる。
 オブリビオンマシンがいる。
 狂気をもたらし、人々を戦いに駆り立てる鋼鉄の化身がいる。
 ならば、小枝子の行動原理は単純であり、至極真っ当でありながら、明快であった。
「破棄する」
 そう、壊す。
 未開地を、戦う力を保たぬものから全てを奪っていこうとする存在を許してはおけない。そんな存在は破壊しなければならない。
 壊す。
 いや、壊れろと念じる彼女の心から発露する闘争心が燃えるように駆体から溢れ出し、単眼のアイセンサーが捉えた『クレイシザー』を襲う。

「壊れろ」
 瞬間、『クレイシザー』の駆体は『ディスポーザブル』にロックオンされ、背に浮かぶ黒輪光から放たれる灼熱線によって貫かれる。
「おおおっ!?」
「な、なんだ……なぜ、我らの位置がわかった!? こっちは地中なんだぞ!?」
「く、来る……! なんだ、あの黒いキャバリアは!」
『クレイシザー』のパイロットたちは見ただろう。
 応戦にと放ったミサイルの尽くを熱線が撃ち落とし、凄まじい爆風が巻き起こる中をためらうことなく直進してくる黒鉄のキャバリアの姿を。

 その威容は恐怖の象徴だった。
 いや、破壊の権化であったことだろう。
 全てのミサイルを叩き潰しながら小枝子は『ディスポーザブル』を前進させる。
 ブラストナックルの一撃を大地に叩き込み、亀裂奔る地中から『クレイシザー』を引きずり出しては、駆体を叩きつける。
「うわぁっ!?」
「壊れろ」
「なんだ、こいつは……! なんなんだ……!」
「壊れろ」
「た、助けて……!」
 狂気すら吹き飛ばすかのような破壊の嵐。
 その中で小枝子は、ただ己のユーベルコードを溜め込み、悪騎兵(ユーベルキャバリア)の如き威容でもって戦場を支配する。

「壊れろ……!!」
 充填されたエネルギーと共に炸裂するのは電磁音波。
 それは周囲に迫る『クレイシザー』の尽くを吹き飛ばし、薙ぎ払う。
 地中を進む敵ですら、音波の反響によって位置を察知し、無数の赤い体毛を思わせるコードで貫き、地中から引きずり出す。
 ただ譫言のように小枝子は叫び続ける。
 壊れろ、と。
 人を、ではない。
 人に狂気をもたらすオブリビオンマシン、その鋼鉄の駆体こそ壊れろと叫び、周囲に破壊を撒き散らしながら戦場を闊歩するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
助けを呼ぶ声がしたのなら
『セラフィム・クレセント』と共に駆けつけるわ
サイキックウイングを広げ『オーラ防御、結界術』で少年たちを守る

『クレセント』、あなたは生まれたばかりの無垢な存在
されどあなたは知っているでしょう
破壊と略奪の先にあるもの
悲しみと憎しみの連鎖が生むもの
背負う罪過の重さを

宿る想いが『月光の導べ』輝かせる
狂気を鎮め、心を照らしたなら
彼らも気づくはずよ
狂気のまま歩むことが全てではない
人には無限の可能性があるのだと



 戦場の空に浮かぶは光の渦――サイキックロード。
 その内側から現れるのは光の翼を広げた鋼鉄の巨人だった。
 白銀に青が奔る駆体。
 アイセンサーが煌めく。
 戦場となった未開地『此処』の雪原に舞い降りた白銀の巨人は身の内に薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)を収め、その力を発露する。
 視線が捉えるのは、亜麻色の髪の少年『メリサ』達であった。
 全てが同じ顔をしている。
 彼らを狙ってのことなのか、それとも未開地『此処』に存在する古代プラントを狙ってのことなのか、小国家『プラナスリー』が略奪を行おうとしていた。

 彼らの助けを求める声を聞き、静漓は戦場に舞い降りた。
「『クレセント』」
 静漓は己が乗騎に語りかける。
 白銀の鋼鉄の巨人『セラフィム・クレセント』は、サイキックウィングを今一度広げ、雪原に投げ出された『メリサ』たちをオーラと結界でもって守りながら視線を真紅の装甲を持つオブリビオンマシン『クレイシザー』へと向ける。
「あなたは生まれたばかりの無垢な存在。されど、あなたは知っているでしょう」
 静漓は、己が乗騎が生まれた経緯を思い返す。
 破壊と略奪。
 それはこの駆体に残滓として残っているはずだ。
 人の感情は強烈にして激烈である。
 周囲のみならず、自身をも破壊してしまうほどの力。

 だからこそ、そこにはいつだって悲しみと憎しみの連鎖がある。
 何かを壊すということ、何かを奪うということは、罪過となって背に追わねばならないもの。
「もう二度と思うでしょう。けれど、それでも人は繰り返してしまう。愚かだからではないの。人の感情がそれほどまでに強いということ。だから」
「奪うのを邪魔するな!」
『クレイシザー』が迫る。
 静漓は己の瞳に宿るユーベルコードの輝きと共に一瞥する。
「オブリビオンマシンは狂気をもたらす。人の心にある感情という撃鉄を引き起こす。それは」
 悲しみと憎しみを増長させるだけのものだと彼女は言う。
 なら、示さねばならない。

「選びなさい」
 月光の導べ(ゲッコウノシルベ)たる光が『セラフィム・クレセント』から解き放たれ、『クレイシザー』のパイロットたちに降り注ぐ。
 心を鎮める光は、『クレイシザー』たちのパイロットに告げる。
 いや、二択を迫る。
「狂気のままに歩むことが全てではない。あなた達は、帰ることだってできる。あなた達の家に」
「う、ううう……!?」
『クレイシザー』のパイロットたちは戸惑った。
 どうしても帰りたいと思ってしまったのだ。
 誰だってそうだ。
 争いばかりをしたいなんてものはいない。戦争というものがどれだけ愚かしく、嘆かわしい行為なのかを人は知っている。
 狂気に染まってなお、帰りたいという思いばかりが膨れ上がり、サイキックロードが開かれる。

 それは『セラフィム・クレセント』の掲げた掌から放たれ、そして『クレイシザー』のパイロットたちを彼らの家へと転移させる。
「そう、人には無限の可能性がある。戦いを始めるのが人なら、終わらせられるのもまた人。だから、おかえりなさい。私ではなく、あなたを待つ人に、そう言ってもらえるように――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
またあいつら……より面倒な敵も増える一方っていうのに。
アルカ・スィエラ、プロトミレス(コルヴィルクス装備)…!出るッ!!

コルヴィルクスで少しばかり滞空、低空を維持して上から『ステララディウス』と『ルーナグラディウス』『ツインGランチャー』での銃撃、砲撃を狙うわ
ミサイル相手にはステララディウスでの弾幕で迎撃し、こっちも【RS-BR 背部搭載型マルチホーミングミサイル】を!電磁ミサイルでその機体機能を鈍らせ、そのまま続けて砲撃を叩き込んで仕留めていくわ…!

いい加減、あの黒幕気取りも、それにいいように使われている自覚もないまま調子に乗ってる馬鹿達も何とかしたいところよね……本当にッ!



 小国家『プラナスリー』は多くの小国家と戦端を一方的に開く存在である。
 本来であれば国土を守らねばならぬものであるが、しかし『プラナスリー』は多方面において、その勢力を出現させている。
 どう考えても補給線などを考えれば不可能な所業であろう。
 しかし、彼らの国土は超巨大巨竜型要塞『ベヘモット』そのものである。それ故に神出鬼没に多方面において戦端を開くことが可能なのだ。
「またあいつら……より面倒な敵も増える一方だっていうのに」
 アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は息を吐き出す。
 転移した戦場は、未開地『此処』である。
 嘗て『古代プラント』を狙って争いが起こった場所でもある。

 ある意味因縁なのかもしれないとアルカは思いながら、己の乗騎『プロトミレス』と共に戦場に飛び出した。
「『クレイシザー』……今度は地中を潜航しようっていうの。なら……!」
 漆黒の大出力目がスラスターユニットを装備した『プロトミレス』からアルカは『クレイシザー』を睥睨する。
 携えたユニット、大型グラビティガンの砲口を向け、砲撃を敢行する。
 打ち込まれた砲撃を巧みに『クレイシザー』は躱しながら、地中と地上とを器用に往復する。
 機動力、という意味であれば『クレイシザー』は脅威であったことだろう。
 なにせ戦場を選ばない。
 地中であろうと水中であろうと彼らは機体性能、その特性を利用して戦っているのだ。

「邪魔立てを!」
 放たれるミサイルの嵐。
『プロトミレス』を取り囲む敵の数は多い。けれど、アルカは恐れることはなかった。
「弾頭調整……よし、ロックオン……確認!」
 瞬間、アルカは迫るミサイルの嵐を前にして『プロトミレス』と共に雪原を滑走するように飛びながら、そのユニットに配されたRS-BR 背部搭載型マルチホーミングミサイル(マルチホーミングミサイル)を展開する。
 開放されたハッチから居並ぶのは、ミサイルサイロ。
 飛び出すようにして放たれたミサイルが嵐のようなミサイル群と激突し、爆風を巻き起こす。
 だが、それだけにとどまらない。
 アルカの放ったマルチホーミングミサイルは、周囲に電磁場を生み出し、『クレイシザー』の動きを鈍らせたのだ。

「電磁場……!? ジャミングか! だが!」
「その程度で、と思ったでしょう。でもね、ジャミングだけが全てじゃあない。多目的弾頭っていうのは、こう使うのよ!」
 アルカの言葉と共に更に放たれるミサイル。
 その一撃がジャミングで動きを鈍らせた『クレイシザー』の装甲を打ち破り、爆発に巻き込む。
「う、おおおっ!?」
「コクピットは外しているわ。機体を捨てて逃げなさい」
 アルカはそう告げ、さらなる敵を求めて雪原を滑走する。
 そう、敵の目的は戦火を広げること。
 ここでパイロットを殺してしまえば、拭えない憎悪の連鎖が繋がることになる。
 これも『ノイン』の目論見の一つであるとさえアルカには思えた。
「いい加減、あの黒幕気取りも、それにいいように使われている自覚もないまま調子に乗ってる馬鹿達もなんとかしたいところよね……本当にッ!」
 オブリビオンマシンがある限り、それは終わらないだろう。
 だからこそ、アルカは苛立ちながらも目に付くオブリビオンマシンの尽くを破壊するために戦場を疾駆するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イリス・ホワイトラトリア
【イリス】
●聖竜騎士団
人を誘拐してどうするつもりなんでしょう?
よくない事をするつもりなのは何となく分かりますけど…
彼らをお救いするため、ベヒーモス様、力をお貸しください

ベヒーモス様の胸部ウェルドックを解放します!
戦えない方々はベヒーモス様の中へ!
外にいたままでは流れ弾が当たってしまいますし、味方も思うように動けなくなってしまいます
クレイシザーは私とソフィア殿下が止めます!

ハイパーレールガン全門起動!
照準合わせ!
目標は潜航中のクレイシザー!
偉大なる巨竜の一撃で潜っている地形ごと破壊します!
命中しなくても地形を壊せば足止めできますし、地上に出てくればソフィア殿下が攻撃できるようになります


ソフィア・エルネイジェ
【ソフィア】
●聖竜騎士団
ベヘモットが来ているならベヒーモスを出さない訳にはいきませんが、もう既に去った後ですか…
アダム・カドモン長官とお会いするのはロータス・プラントの一件以来ですね
再び共に成すべきところを成すとしましょう

インドラ・ナイトオブリージュで参ります

しかし非戦闘員と敵が入り乱れていては…
イリス!彼らをベヒーモスに収容しなさい!
こちらで援護します!

ベヒーモスの前面に立ち、守護聖域を展開
障壁で敵の進路を阻みます
クレイシザーは厄介な事に地中潜航能力を有していますが、ベヒーモスの砲撃で地上に引き摺り出しましょう
突破を試みる敵機は順次迎撃します
クローの間合いに警戒しつつナイトランスで貫きます



 超巨大巨竜型要塞『ベヘモット』は、小国家『プラナスリー』の拠点というよりは国土そのものであった。
 国土そのものが動く、という恐るべき脅威。
 これに対抗することのできる戦力というのは、そう多くはない。
 それ故に『ベヘモット』が出現したという報を受けて聖竜騎士団の団長であるソフィア・エルネイジェ(聖竜皇女・f40112)は即断即決を持って巨竜型キャバリア『ベヒーモス』を動かした。
 だが、すでに『ベヘモット』は未開地『此処』より後退しているようだった。
 国土そのものたる巨大要塞が姿を消している、ということは、すでに戦線を離脱していると考えていいだろう。
「……『ベヘモット』が来ているなら『ベヒーモス』を出さないわけにはいきませんが、すでに去った後ですか……」
 ソフィアは己の行動が遅かったことを悔いたが、しかし、それは彼女の失策ではない。

「敵の行動がそれだけ速かったということだ。もしかすると、諸君らが来ることを見越しての後退行動であったのかもしれないな」
 特務機関DIVIDE長官『アダム・カドモン』の言葉にソフィアは己が乗騎『ヴリトラ』のコクピットで息を吐き出し、気持ちを切り替える。
「先日の『ロータス・プラント』の件でのご助力感謝しております、『アダム・カドモン』長官。再び、共に成すべき所を成すとしましょう」
「それが人々のためになる。救いを求めるものに手を差し伸べる……それが私の使命だと心が言っているのだ。共に戦ってくれること、心強く思う」
 そう告げる『アダム・カドモン』の頼もしさを感じながらソフィアは己が乗騎『ヴリトラ』の装備を『ベヒーモス』のウェルドック似て換装する。

「イリス、私は『インドラ・ナイトオブリージュ』で出ます。後は任せてよろしいですね」
「は、はい……! ですが、人を誘拐してどうするつもりなんでしょう? よくないことをするつもりなのはなんとなくわかりますが……」
「今は、人命優先です」
「はい、彼らをお救いするため、『ベヒーモス』様、御力をお貸しください」
 イリス・ホワイトラトリア(白き祈りの治癒神官・f42563)は、『ベヒーモス』のメインブリッジにて祈りを捧げるように掌を組み、開放されたウェルドッグから『ヴリトラ』が飛び出すのを見送る。
「私は、私のできることを……戦えない方々は『ベヒーモス』様の中へ!」
 オープン回線と外部回線でもってイリスは雪原にてオブリビオンマシン『クレイシザー』から放り出されたパイロットをも呼び込む。

 敵対していたものにさえ、そう呼びかける声にパイロットたちは困惑しただろう。
 だが、それでもイリスは続ける。
「外にいたままでは流れ弾が当たってしまいます! 生命を落とすべき場所ではないでしょう! だから!」
 呼びかける声にパイロットたちは次々と『ベヒーモス』の開放されたドッグへと向かっていく。
「逃げるな! 逃げるやつは奪われても仕方のないやつだ! なら、俺が奪ってやるってんだよ!!」
 だが、それを見逃す『クレイシザー』ではない。
 彼らにとって、オブリビオンマシンのもたらす狂気から開放されたとは言え、もはや敵も味方もないのだ。
 自分以外の全てが奪うべき対象でしかない。

 その暴威は言うまでもないだろう。
「非戦闘員をも狙いますか……! イリス、収容を急ぎなさい! こちらで援護します!」
 ソフィアは即座に雪原を駆け抜け、『ベヒーモス』に向かう正気を取り戻したパイロットたちを守るべく『クレイシザー』との間に割って入る。
「邪魔をするなぁぁぁ!!」
「護りの盾よ!」
 ソフィアのユーベルコードが瞳に輝き、構えたラウンドシールドから非実態防護障壁が出現し、振るわれた超振動クローを受け止める。
 鈍い音が響き渡り、しかし、超振動クローは『ヴリトラ』の構えたラウンドシールドを傷つけることはできなかった。
「チィッ!」
 舌打ちして『クレイシザー』が地中へと一気に潜り込む。
 槍の一撃を放つよりも速く地中へと逃げおおせた『クレイシザー』にソフィアは歯噛みする。

「厄介なことです……ですが!」
「ハイパーレールガン、全門起動!」
 イリスの言葉と共に『ベヒーモス』の砲門が駆動する。
「照準合わせ! 目標確認! 偉大なる巨竜の一撃(ベヒーモス・アーティレリ)を此処に……!」
 放たれるレールガンの一撃。
 それは大地を抉り、地中に潜航していた『クレイシザー』の尽くを地上へとあぶり出す。
 まるでのたうつように『クレイシザー』がはじき出された瞬間、イリスは叫ぶ。
「ソフィア殿下!」
「地中に逃げられないのであれば!」
 瞬間、『ヴリトラ』が神速の如き踏み込みで持って『クレイシザー』へと迫り、その携えたナイトランスの一撃でもって『クレイシザー』の装甲を穿つ。
 さらに一つ、二つ、三つ……瞬く間に無数の『クレイシザー』を仕留めたソフィアは、『ヴリトラ』と共に駆体の活動を停止させパイロットを放り出させる。
「生きたくば、『ベヒーモス』を目指しなさい」
 そう告げ、ソフィアは後詰として来るであろう脅威に備えるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
「ご主人サマー☆メリサ君だよ☆メリサ君がいっぱいだよ☆」
……今度はメリサな上に一杯いるのかよ!?
……若しかして此奴らが…あのメリサが離れた…群体の一つ…なのか?

何より…黒騎士…エルネイジェで好き勝手やってる奴らの一角か…上等だ

【情報収集・視力・戦闘知識】
敵機達の構造と動きを解析
コックピットの位置を補足
アダムの乗ってる機体と性能も解析

【空中戦・属性攻撃・念動力・弾幕・電撃】
高速で飛び回りながら念動光弾を乱射して動きを止めつつ
今回はこっちが本命だ
UC発動
氷属性の弾丸を乱射して武装を凍結させ無力化させて
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
鎌剣で切り刻み武装を強奪しつつ乗り手は回収もとい救出する



 未開地『此処』に広がる雪原。
 そこには焼け出されたように亜麻色の髪の少年たちがいた。
 いずれもが同じ髪の色、瞳、顔をしたものたちだった。明らかに兄弟とは言い難いほどにそっくりな容貌。
 その姿を認め、『メルクリウス』――『メルシー』は何故か喜ぶような声を上げた。
「ご主人サマー☆『メリサ』君だよ☆『メリサ』君がいっぱいだよ☆」
「……今度は『メリサ』な上に一杯いるのかよ!?」
 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)はコクピットの中から見える亜麻色の髪の少年たちの姿を認めて驚愕する。
 誰もが同じ顔をしていた。
 しかし、彼らは少年である。
 カシムの知るところである『メリサ』とは青年……いや成人していると言ってもいい年の頃合いであった。

 確かに彼と容貌はにているが、年齢的な差異がある以上、同一であるとは言い難いとも言えるだろう。
 だが、もしかして、とカシムは思う。
 彼の知る『メリサ』は離れた、と言った。
 群体から分かたれた、というのならば、彼は如何なる存在なのか。
 いや、考えても今はわからないだろう。
 そして、カシムには目的がある。
「何より……『黒騎士』……エルネイジェで好き勝手やってる奴らの一角か……それも一騎だけじゃねぇだと? 上等だ」
 カシムは敵の思惑がどのようなものであれ、これを打ち砕かずにはいられない。

 オブリビオンマシン『クレイシザー』が大地に蠢動し、迫っている。
「そんなもんで僕たちを止められるものかよ!」
 ユーベルコードに輝く瞳。
 敵オブリビオンマシンの構造を見やる。
 言うまでもないが、オブリビオンマシンとてキャバリアである。
 キャバリアであるというのならば、オーバーフレームとアンダーフレームにてコクピットを挟み込む構造であることは変わりない。
 だからこそ、汎用性があるとも言えるのだろう。
 カシムは一瞬で『クレイシザー』の駆体を認め、念動光弾でもって迫るミサイルを撃ち落とす。

「弾幕だと……!? やつは何処に!?」
『クレイシザー』のパイロットたちが驚愕する。
 ミサイルをありったけ打ったというのに、『メルクリウス』を撃墜出来た形跡が無いのだ。それもあの光の弾によって阻まれたのだということは理解できる。
 だからこそ、敵影を見失ったことに歯噛みするのだ。
「本命はこっちだ」
 瞬間、爆炎の中からユーベルコードの輝きが解き放たれる。

「『万物の根源よ…帝竜眼よ…魔弾となりて我が敵を討て! 竜眼魔弾(リュウガンマダン)!」
 ユーベルコードによって生み出された超高速で飛ぶ魔法のミサイル。
 それがカシムのユーベルコードであり、『クレイシザー』たちを瞬く間に撃ち抜いていく。
 爆発が巻き起こり、傾ぐ駆体に踏み込んだ『メルクリウス』が鎌剣を構えていた。
 放たれる剣閃の一撃が『クレイシザー』の装甲を切り刻み、コクピットブロックだけをえぐり取るようにして『メルクリウス』が掴み上げる。
「殺しやしねぇよ。オブリビオンマシンさえなければ、狂気に奔ることもねーだろ」
 そう言ってカシムは不殺を徹底し、『クレイシザー』のみを無力化し続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

皇・絶華
神機の主発動中

おお
さっちゃん
アダム・カドモンがいるぞ
あの超神機と共闘とは中々に面白いな
「主様の居た世界にもいたんでしたっけ?あっちはラスボスだったとか?」


「おおお!!亜麻色の美少年がいっぱいいるではないか!このような美少年達をお持ち帰りとはとんでもないショタコンめ!朕がお持ち帰りしたいぞ!」(ライオン着ぐるみ幼女こところちゃん

【戦闘知識】
敵機の動きと戦い方を解析

【空中機動・念動力・第六感・弾幕・貫通攻撃】
UC発動
超高速で飛び回りながら念動光弾を乱射

ころちゃんも敵機に拳を叩き込んで武装を粉砕

【二回攻撃・切断・医術】
鎌剣で切り刻
動きを止めて乗り手を引きずり出し保護
ぜっちゃんチョコを食わせ(超不味い



「おお、さっちゃん。『アダム・カドモン』がいるぞ」
 戦場たる未開地『此処』にてオブリビオンマシン『クレイシザー』と交戦している特務機関DIVIDE長官『アダム・カドモン』の姿を認め、皇・絶華(影月・f40792)は己が乗騎である『サートゥルヌス』へと告げる。
「あの超神機と共闘とは中々に面白いな」
 彼にとって『アダム・カドモン』とは嘗ての敵である。
 出身世界が違えば、こうも認識が異なるのか、もしくは運命というものが異なるのかを絶華は理解したのかもしれない。
「主様のいた世界にもいたんでしたっけ?」
「あっちはラスボスだったが」
 なるほどなーと頷く声に絶華は頷く。

 思い返せば、それはそれでなかなかに面白い経験ではあったように思える。
 運命とは数奇なものであるとも思えたことだろう。
「おおおお!! 亜麻色の美少年がいっぱいるではないか! このような美少年達をお持ち帰りとは、とんでもないショタコンめ!」
 園となりでライオンの気ぐるみを来た幼女が騒ぎ立てている。
 なんとも騒々しいことだと『アダム・カドモン』は思ったかもしれない。
 だが、彼らもまた猟兵である。
 なら、ともに戦うべき戦友だ。

「援軍、感謝する。だが、状況は未だ余談を許さぬものだ」
「わかっているとも。だからこそ、私がいる」
「そのとおりだ! 主様にやれねーことはねーんだぞ!」
「いや、朕がお持ち帰りするぞ!」
 何を、と幼女の騒ぎ立てる言葉に絶華は思ったが、まあ、それはそれである。というか、そんな余裕はないように思えた。
 なにせ、地中にて潜航する無数のオブリビオンマシン『クレイシザー』がまだ残っているからだ。
 これらを排除しなければ、彼女の語る所のお持ち帰り、とやらもできないだろう。
 そもそも持ち帰れるものでもない。
「まあ、そういうわけだ。真面目にお仕事といこうじゃないか――四門開門・凶(シキョウモンカイモン)」

 ユーベルコードによって開放されるは邪気。
 駆体全身を覆う力は、絶華の秘められた闘争心を持って膨れ上がっていく。
「さあ、行こうか!」
 瞬間、爆発的な加速と共に『サートゥルヌス』が鎌剣を構えて、地中を切り刻む。
 真四角に切り裂かれた大地が、まるでサイコロステーキのように砕け散り、地中を潜航していた『クレイシザー』を掘り返すのだ。
「なっ!?」
「なんだ……!? 土が、えぐれて……!?」
「ハッハー! 地中に隠れた程度で隠れたつもりになってんなら、考えが甘いってもんだ! 逃げられるものかよ!」
 その言葉と共に放たれる鎌剣の一撃が『クレイシザー』を両断する。
 さらにコクピットブロックをえぐり出し、ハッチをこじ開けてパイロットを引きずり出すのだ。

「ひ、ひぃ……!」
「なに、怖がることはない。オブリビオンマシンによって狂気に走らされているだけなのだよな。わかっているとも。さあ、これを食べるといい」
 そう言って絶華は引きずり出したパイロットたちに『ぜっちゃんチョコ』を食べさせる。いや、無理矢理にねじ込み、別の意味での悲鳴を戦場に轟かせるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
海老だー!
未開の地に海老の化け物襲来!
クソ映画かな?
そんな事言ってる場合じゃないのは、それはそう

アダカドじゃん、水戸の御老公様みたいな行動してんねー
そろそろ帰んないと、実家に帰ったら年賀状とかめっちゃ溜まってて、忘れた頃に返すようになるよ?
そういう訳で?助太刀だー!
Blue Birdと《RE》Incarnationを抜刀
海老の活け造り!〜雷を添えて〜
的な!
【Code:T.S】起動
雷刃展開、先ずは首、次は背から開いて背ワタを取る!
あとはよく分からんから、一刀両断!
私海老食べないし…
調理方法とかよく知らんかったわ…
まあいいや、食べるものでもないしね!
アムモンさん食べていいよ



 未開地『此処』の雪原に蠢動するのはオブリビオンマシン『クレイシザー』であった。
 真紅の装甲は強靭であり、その超振動クローによって地中すら自在に潜航して行動することが可能なる機体である。
 しかし、そんな小国家『プラナスリー』の軍勢も猟兵たちの勢いに圧され始めていた。
「クソッ、なんだってこんな連中が、こんな辺境にいやがるんだよ!」
『クレイシザー』のパイロットたちは毒づく。
 だが、まだ負けたわけではない。
 加えて彼らはオブリビオンマシンのもたらす狂気に冒されている。どれだけ劣勢であっても退却するつもりなどないのだ。
 自ら破滅に飛び込む意志。
 それが彼らに宿った狂気そのものなのだ。

「海老だー!」
 そんな彼らの頭上から響くのは、月夜・玲(頂の探究者・f01605)の素っ頓狂な声だった。
 そう、戦場に似つかわしくない声。
「未開の地に海老の化け物襲来! クソ映画かな?」
 せめてB級映画と言って差し上げて頂きたい。
 それにそんなこと言っている場合ではない。
「それはそう」
「君も猟兵か。援軍ありがたい」
「おっと、アダカドじゃん」
 玲の出現に特務機関DIVIDE長官『アダム・カドモン』は心強く思っていた。
 だが、なんとも玲の緊張感のない様子に違和感も覚えている様子だった。

「水戸の御老公様みたいな行動してんねー。そろそろ帰んないと、実家に帰ったら年賀状とかめっちゃ溜まってて忘れた頃に返すようになるよ?」
「それは一体どういう喩えなのだ?」
「つまり、ケルベロスディバイドもヤバいってことだよ! まあ、そいうわけでさ。助太刀させてもらうよ!」
 玲は二振りの模造神器を抜刀し、その瞳をユーベルコードに輝かせる。

 ほとばしるは雷。
 彼女のユーベルコードによって出力された雷は、手にした模造神器の刀身へとまとわりつくようにして刃を形成し、頂戴なる刃を生み出す。
「Code:T.S(コード・サンダーソード)、海老の活造りを!~雷を添えて~ 的な!!」
 どこかのシェフの気まぐれ。
 そんな謎の、それこそお高いレストランのメニューみたいな文言を玲は唱え、『アダム・カドモン』は更に困惑する。
 玲の行動はわかるが、言動がさっぱりわからないのだろう。
 いや、理解しようと努めているところが彼の生真面目さの顕れなのかもしれないが、今子時において、こと、玲を相手にするのならばちょっと意味がなかった。

「まずは首!」
 振るう雷刃が『クレイシザー』の頭部を寸断する。いや、もうほとんどオーバーフレームじゃん、とか思わないでもない。
 そして、さらに振るわれる二刀がアンダーフレームのテールユニットの装甲を切り裂く。
「背から開いてワタを取る!」
 ワタ?
 ワタっていうか、エネルギーインゴットだと思うのだが、それを爆発させながら玲は『クレイシザー』の駆体へと走る。
「あとはよくわからんから、一刀両断!」
「よくわからないのに一刀両断とは……」
「いやだって私海老食べないし……」
 じゃあ、なんで活造りとか言い出したの、と誰も突っ込まなかった。いや、突っ込む体質の者がいなかった、というのもある。

「調理方法とかよく知らんかったわ……」
 玲は爆散する『クレイシザー』を背にうーん、と難しい顔をする。
「まあいいや! 食べるものでもないしね! アムモンさん食べていいよ!」
「アムモンとは」
「あだな!」
 そんな玲と困惑する『アダム・カドモン』。
 距離感間違えてない? けれど、玲は気にした様子もなく、自由気ままに戦場を闊歩し、『クレイシザー』を次々と討ち取るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『スカルモルド』

POW   :    バイ・スタンダーⅧ
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【クリスタルビット・コンテナ】で包囲攻撃する。
SPD   :    インフニティ・エイト・ガンサイト
【アサルトライフル】を向けた対象に、【銃撃】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    水地比
対象のユーベルコードに対し【プラズマブレイドの斬撃】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:落葉

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ナイアルテ・ブーゾヴァです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「敵部隊の大半は撃退したか」
 特務機関DIVIDE長官『アダム・カドモン』は周囲の状況を認識した。
 だが、まだだ、とも思っていた。
 敵がこうして全てを奪い尽くすつもりだったというのならば、確実に後詰がいる。そして、それを指揮する存在も。
 だからこそ、彼は気を抜かなかったのだ。
「――! あれか。あれが指揮官機……」
 戦況が猟兵によって一手で覆されたのを理解したのか、黒いオブリビオンマシンが戦場に飛び込んでくる。
 それは『黒騎士』と呼ぶに相応しい機体であった。
 漆黒の装甲。
 アンダーフレームの獣脚が圧倒的な機動性を以て『アダム・カドモン』に迫る。

 だが、その『黒騎士』と呼ばれたオブリビオンマシンは、背後から放たれた銃撃の一撃でコクピットを撃ち抜かれて爆散する。
「何……?」
 猟兵ではない。
 今の一撃は確実に背後から打ち込まれていた。
 そして『黒騎士』の如きオブリビオンマシンは、簡単に背後を取れるような存在ではない。だというのに、それを容易く仕留めたのは……。

「まさかと思って戻ってきてみれば、いるじゃあねぇか……!」
 獰猛なる獣。
 正しくそう表現するしかないほどの重圧を放ちながら、爆炎の向こうに立つのは一騎……今しがた爆散した『黒騎士』と同じ型のオブリビオンマシン『スカルモルド』であった。
 そのコクピットから獰猛なる男性の声が響く。
「これも運命ってやつなのかねぇ? いや、小難しい理屈はどうだっていい。俺が求める者があるってんなら、遠慮なんてする必要はねぇ」
 みなぎる重圧。
 黒きオブリビオンマシン『スカルモルド』より放たれる殺気は、気を抜けば一瞬で生命ごと牙にて噛み砕かれるものであると猟兵達は知るだろう。
「さあ、やろうか! これが生命と生命を掛けた本当の闘争ってやつだよなあ! ええ、おい!」
『スカルモルド』のアイセンサーが煌き、その力の一端が猟兵たちに迫る――。
ウィル・グラマン
●WIZ

…ッ!?
アイツは…間違いねぇ
ベアの特殊装甲を簡単に破壊したブリュンヒルドと似てやがる
…へっ、白騎士だろうが黒騎士だろが、オレとベアは誰にも負けねぇんだ
そうだろ…ベア!

しかしだ
今回は有人機であっても乗り手の腕前次第では白騎士並か、それ以上なのは目に見えていやがる
長官の手助けがあっても実力は五分五分…となりゃ、オレが何とかして勝ち筋を引き出さねぇといかねぇな…へへ、腕が鳴るじゃねぇか!

決めたぜ、ベア!
小細工はいらねぇ…そのまま格闘戦だ!
冬らしく【氷雪地獄】で猛吹雪を起こしてやっから、センサーを頼りにぶん殴れ!

(相手も相応のセンサーを搭載しているはずで、雪だるまアーマーを見破るか…賭けだ!)



 もしも、と仮定するのならば。
 ウィル・グラマン(電脳モンスターテイマー・f30811)は気がついていた。
 状況は確かに猟兵が覆した。
 大群とも言えるオブリビオンマシン『クレイシザー』を片付け、戦局は一気に傾いた。 
 現れる指揮官機、『黒騎士』の如き黒いオブリビオンマシンは確かに強敵であったことだろう。だが、そんなオブリビオンマシンを背後からの一撃で破壊した新たなる『黒騎士』『スカルモルド』の放つ重圧は、ウィルを戦慄させた。
「アイツは……間違いねぇ」
 嘗て漆黒のスーパーロボット『ベアキャット』の特殊装甲を容易く破壊せしめた『白騎士』、『ブリュンヒルド』と酷似している。
 装備や機体のことではない。
 放つ重圧というものが似通っているのだ。

 身に走る戦慄を押し殺すようにしてウィルは笑う。
「……へっ、『白騎士』だろうが『黒騎士』だろうが、オレとベアは誰にも負けねぇんあ。そうだろ、ベア!」
『ガオォン!!』
 頼もしき咆哮である。
 その姿を認め、『スカルモルド』を駆るパイロットは獰猛に笑っただろう。
 それこそ狂犬じみた笑みであったはずだ。
「ハッ、逃げねぇのは嬉しいぜ? 大抵のやつは逃げていくからな……だが、それが嘘偽りでねぇことを証明してもらおうかぁ!!」
 笑いながら『スカルモルド』が迫る。
 手にしたプラズマブレイドは小ぶりであったが、取り回しがよい。
 放たれるアサルトライフルからの弾丸を『ベアキャット』は受け止め、肉薄するプラズマブレイドの一撃を受け止める。

「ハッハ! 良いじゃあねぇかよ! 刻み甲斐がある!」
「くっ……!」
 ウィルは気づいていた。
 敵は有人機。
『疑似脳』と違って人間が乗っている。だが、それは不足ではない。
 むしろ、乗り手によって性能が跳ね上がることもある。あの『白騎士』以上の力を発揮する『スカルモルド』に『ベアキャット』が圧されている。
「猟兵よ、私が切り拓く!」
 特務機関DIVIDE長官『アダム・カドモン』の声が響き、『スカルモルド』を押し込むようにして弾き飛ばす。

「……此処まで来て五分五分……いやもっと悪いのかよ。だが、オレがなんとかして勝ち筋を引き出してやらぁ!」
 腕がなる。
 ウィルはそう笑ったのだ。
「小細工はいらねぇ……そのまま格闘戦だ!」
「ハッ! そう来るかよ、やけっぱちでなけりゃあなぁ!!」
 激突する瞬間、『ベアキャット』の駆体は黒ではなく白に変わる。
「衣替えかよ!」
「いいや、これは!」
 戦場に猛烈な吹雪が吹き荒れ、瞬間、『スカルモルド』の視界を塞ぐ。
 敵は相応のセンサーを有しているだろう。だからこそ、賭ける。
 敵がこのユーベルコードを一度見ていない……つまり、初見である可能性に。

「ベア! ぶん殴れ!」
『ガ、オオオン!!』
 ウィルの言葉に猛烈な吹雪の中、『ベアキャット』のアイセンサーが煌めく。
 白く駆体が染まったのは、雪だるまアーマーをまとったがゆえ。
 底上げされた攻撃力は、白き雪塊の如き鉄拳となって『スカルモルド』へと叩き込まれる。
「う、おおおっ!!」
「振り抜け、ベア!!」
 交錯する叫び。
 その最中に『ベアキャット』は競り勝つようにして『スカルモルド』を吹き飛ばすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
『スカルモルド』か。『8』番と何か因縁が?

考えるのは後。さすがに指揮官機は格が違う。確実に仕留めなきゃ。

「全力魔法」光と影の「属性攻撃」「呪詛」で金光陣。黄金の光を放って生み出したあなたの影が、あなたを襲うわ。
術者であるあたしを先に片付けようとしたら、漆黒の影はもっと激しくあなたを傷つけるでしょうね。

あたしは「オーラ防御」を張った上で、「式神使い」で『鎧装豪腕』を顕現。銃撃を「盾受け」して、銃弾を防いでちょうだい。

ほら、よそ見してるから影に喰らいつかれるわよ?
両肩のパーツが何だか怪しいから、そこ狙ってもらおうかしら。

生身だからって舐めないでよね。あなたを破壊するのにキャバリアなんていらないわ。



 その重圧は本物だった。
 身を縛るような圧力。生身単身であればなおのことであったことだろう。
 オブリビオンマシン『スカルモルド』は、猟兵との戦いにおいても、その技量を如何なく発揮している。
 例え、相手が生身の人間であっても『スカルモルド』を駆るパイロットには関係のないことだった。
 立ち塞がるから排除する。
 ただそれだけのことだった。
「『スカルモルド』か。『8』番と何か因縁が?」
「知るかよ! そりゃ、機体の方だろうが!」
 村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)の言葉に『スカルモルド』のパイロットは返す。

「あら、返してくれるなんて思ってもいなかったけれど」
 ゆかりは意外だと思った。
 オブリビオンマシンは狂気をパイロットにもたらす。
 どんな清廉潔白なる者であっても、時間をかければ確実に狂気に落とすのがオブリビオンマシンなのだ。

 なのに、なんだ?
 違和感名たものを感じる。
 元より狂っているのならば、狂わされるまでもないと言うかのような、そんな違和感。
「考えるのは後にしましょう」
 指揮官機であるがゆえでもなく、眼の前の『スカルモルド』は強敵だ。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。光り輝くほどに影はより深く。濁気に沈む愚人の影よ、克己せよ。汝らの現し身に牙を剥け。疾!」
「させるかよ!」
 放たれるアサルトライフルの弾丸。
 その弾丸は速射性能に優れているが、しかし一発一発が確実にゆかりを吹き飛ばさんと精密な狙いを付けている。
 生身の人間に対して対キャバリア兵器を打ち込む理性が、そもそも『スカルモルド』のパイロットにはないのかもしれない。

 だが、そんな弾丸の前に立ち上がるのは体高5mほどもあろうかという影。
 その影が弾丸を受け止めて『スカルモルド』と切り結ぶ。
「あぁっ!?」
「ふっ……そうよ。これが金光陣(キンコウジン)。生み出された影はあなた自身。そして、その影が受けた傷は、あなたにも返る」
 その言葉が示す通りに『スカルモルド』の装甲の一部に弾丸の痕が生まれる。
 これこそが敵の影を生み出し、その傷を敵に移し返すユーベルコード。
「だったらなんだよ! 知ったことか。テメェをどうにかすりゃ、それでいいんだろうが!」
 放たれる弾丸。
 しかし、影がこれを抑え込もうとし、そして振り払われる。

「……なんて技量。いえ、獰猛さと言えばいいのかしら。獣でももうちょっとためらったりするものでしょ!」
「俺は俺だろうが!」
「よそ見してるから影に喰らいつかれるわよ?」
「うざってぇなぁ!!」
 組み付く影を更に『スカルモルド』は足蹴にするようにして引き剥がす。
 だが、その度に『スカルモルド』の装甲がひしゃげていく。
 理性がないのか?
 ゆかりは、『スカルモルド』の戦い方に野生の獣を見ただろう。

 だからこそ、油断ならなかった。
 不意の一撃。
 放たれる弾丸を『鎧装剛腕』で受け止めるも、しかし一度や二度ではなかった。
 数度に渡って弾丸が『鎧装剛腕』を打ちのめし、砕く。
「生身だからって舐めないでよね」
「舐めちゃいねぇよ! だから鉛玉ぶち込んでんだろうが!」
「大げさな……あなたを破壊するのにキャバリアなんていらないわ! さあ、影に飲み込まれなさい!」
 その言葉と共にゆかりは己がユーベルコードでもって『スカルモルド』を押さえつけるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリー・マイヤー
|キャバリア《アレクサンドラさん》を召喚して【念動アーツ】を発動。
高濃度のサイキックエナジーで機体を補強します。
そのままサイキックウィングで低空飛行して、敵に向けて突撃です。
ビットの攻撃は念動力で干渉して妨害。
浮いてるわけですし、軽く小突くだけでも狙いが逸れるでしょう。
銃撃も同様に念動力で対処して、敵の攻撃を防ぎまして…
接近したら、すれ違いざまフォースセイバーで敵を斬りつけます。
そのまま角度を変えて再突入し、ヒット&アウェイを繰り返す感じで。

しかし、黒騎士ですか。
それならこちらは銀
『私を騎士と呼ぶのは冗談でもやめてください』
あ、はい。
すみません。
アナタは騎士とか嫌いなキャバリアでしたね。



 抑えつけられた黒いオブリビオンマシン『スカルモルド』。
 しかし、機体を抑えつけていた影を振り払いながら肩部コンテナが分離し、宙に飛ぶ。
 開かれたハッチから飛び出すのは子機のようなコンテナであり、その内部から飛び出すのは水晶体であった。
 クリスタルビット。
 それはクロムキャバリアにおいては自律的に浮遊する弾幕兵器。
『スカルモルド』から放たれたクリスタルビットは、全天を覆うほどの圧倒的な数を有していた。

 煌めくクリスタルビットは、全てが猟兵達を狙う。
 この戦場において逃げる場所はないというように水晶の輝きが満ちるのだ。
「邪魔すんじゃあねぇ!!」
『スカルモルド』の咆哮と共に一斉にクリスタルビットが飛ぶ。
「『アレクサンドラ』さん」
 エリー・マイヤー(被造物・f29376)の掲げた手に導かれるようにして光の渦が彼女の頭上に開かれる。
 サイキックロードより出現した銀色のキャバリア『アレクサンドラ』がコクピットにエリーを収め、その背面から青く輝く光翼を噴出する。
 サイキックエナジーに呼応するようにして出力を上げていくのがわかるようだった。
「ハッ、サイキックエナジーで浮遊するかよ! だが、それでクリスタルビットの弾幕を逃れられると思うなぁ!」
 狂犬じみた声だとエリーは思っただろう。
 男性の声。
 それを聞きながら、エリーの瞳がユーベルコードに輝く。

「では、殴ります」
 瞬間、機体から溢れるのは高濃度のサイキックエナジーであった。
 膨れ上がっていく念動力。
 エリーの力を『アレクサンドラ』が増幅しているのだ。
 恐るべき練度にまで到達したエリーの念動力は、それだけで『アレクサンドラ』の装甲を強固にするものであったことだろう。
 それだけではない。
 地上を舐めるようにして一気に『アレクサンドラ』が飛ぶ。
 滑空とも言える飛翔に加えた速度にクリスタルビットが振り切られるのだ。
「振り切るつもりか? だが!」
「そうですね。弾幕兵器ですからね。ですが……浮いているのならば」
 エリーが念動力を振るう。
 宙を飛ぶクリスタルビットに干渉し、かすかに小突く。

 それだけで『アレクサンドラ』を追うクリスタルビット同士が衝突を起こし、連鎖反応的に砕けていくのだ。
「なんだぁ!? 何が……」
「小突くだけでも狙いが逸れる。密集して私を狙うのなら、なおのこと……」
「チッ!」
「しかし、『黒騎士』ですか。それならこちらは銀」
『私を騎士と呼ぶのは冗談でもやめてください』
「あ、はい。すみません」
「ごちゃごちゃと誰と喋っていやがる! てめぇは俺と戦ってんだろうが!!」
 迫る『スカルモルド』にエリーは意識を向けながらも、己がキャバリアに軽く頭を下げる。
「そうでしたね。アナタは騎士とか嫌いなキャバリアでしたね」
 その言葉とともに『アレクサンドラ』は引き抜いたフォースセイバーで『スカルモルド』と唾競り合う。
 力の奔流が周囲に吹き荒れ、互いに弾き合う。
 空中で体勢を整えた『アレクサンドラ』と再び激突する『スカルモルド』を弾きながら、エリーは一進一退の戦いを繰り広げるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

なんだかバトルジャンキーな方が出てきましたね。
って思いましたら、『スカルモルド』さんでしたか。
あの方、あんな感じでしたでしょうか……?

って、悩んでる時間はなさそうです!?
かもん、【ソナーレ】!

本物の闘争、とか言ってる時点でどうなのかなーって思いますよね。
これって本気で闘ってないことがあるってことですもん。

本気にもなれずに闘うとか、勇者的にはちょっと許せないです。
そんな風に闘うならどこかで模擬戦でもやっててください。
それなら誰も傷つきませんから(ぷんすこ)

ステラさん、あんなのサクッとやっちゃいますよ!
いまこそ不思議機体【ケルーベイム】のエキセントリックな攻撃のみせどころです!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
出てきましたか、黒騎士!
しかし、あの|疑似脳が取り込んだ因子《性格》は……?
伝え聞くハイランダーナインのどなたかとは思えないのですが
この凶暴性、さながら怪物のよう……プロメテウスが関係している?
エル……?エルネイジェ王国?

あの機体がスカルモルド様の名を抱くならば……ん??
そういえばバハキャにもアハト様がいたような
ああもう情報が多すぎる!

ともあれ、ルクス様の言う通りですね
闘争が目的の輩に負けてやる道理はありません
ケルーベイム!
不思議機体という呼称に納得いきませんが
ケルーベイムの速さはこの局面では有利!
手数よりは威力を重視です
【ヘレヴ】!
速さですら武器になることを教えて差し上げます!



 最初に感じたのは違和感だった。
「この程度で俺がやれるものかよッ!」
 黒いオブリビオンマシン『スカルモルド』を駆るパイロットは咆哮する。
 まるで狂犬じみた咆哮であった。
 それに嵐の如き戦いぶり。
 少なくともステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は『黒騎士』と呼ばれたオブリビオンマシンを駆るパイロットが『憂国学徒兵』――『ハイランダー・ナイン』と呼ばれた者たちのいずれにも当てはまらないように思えてならなかった。
 最初は『疑似脳』が取り込んだ因子のせいかと思ったのだが、この動きは生身特有のゆらぎがあるように思えた。
 ならば、あの『スカルモルド』には『疑似脳』が搭載されていないのか?

「この凶暴性、さながら怪物のよう……『プロメテウス』が関係している?」
 判然としない。
 だが、いかなる要因が絡んでいるのか。
 わからない。が、わからないなりにやらねばならないことはわかっているのだ。
「あの機体が『スカルモルド』様の名を抱くならば……ん? そういえば、バハムートキャバリアにも『アハト』様がいたような……ああもう!」
 情報が錯綜としているとステラは頭を抱える。
 そんな彼女をよそにルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は、猟兵を相手取って戦う『スカルモルド』の動きを見ていた。

「なんだかバトルジャンキーな方がでてきましたね。『スカルモルド』さんってあんな方でしたっけ?」
 彼女の知る所の『スカルモルド』は、騎士であった。
 だからこそ、首を傾げざるを得ない。
「って、悩んでる時間はなそうです!?」
 彼女の眼前には全天を覆うクリスタルビットの輝きがあった。
 凄まじい物量である。
 戦場の一帯を包み込むかのような物量は弾幕兵器としての真骨頂であろう。これだけの物量で圧されたらいくらなんでも圧倒されてしまう。

「かもん、『ソナーレ』! 本物の闘争、とか言ってる時点でどうなのかなーって思いますよね。これって本気で戦ってないことがあるってことですもん」
「ルクス様の言う通りですね」
「ハッ、笑わせやがる! 俺を本気にさせる連中がいないのが悪いんだろうが! だが……てめぇらは悪くはねぇ……歯ごたえがある! 噛み砕き甲斐がある! やりがいがある! 戦いっていうのはそういうもんだろうが!」
 迫る黒いオブリビオンマシン『スカルモルド』。
 獣脚のアンダーフレームが大地を蹴り、凄まじい踏み込みを生み出しながらルクスとステラに迫るのだ。

 クリスタルビットが、その動きに追従し、ステラの『ケルーベイム』へと襲いかかる。
「本気にもなれず戦うとか、勇者的にはちょっと寄るせないです。そんなふうに戦うなら、どこかで模擬戦でもやっててください」
「命のやり取りのねぇ戦いなんざ御免被るってんだよぉ!」
「そうやって誰かを傷つけ付けるのなら! ステラさん、あんなのサクッとやっちゃいましょう! 今こそ不思議機体のエクセントリックな攻撃の見せ所です!」
 ルクスの『ソナーレ』から増幅されて放たれる演奏。
 それはユーベルコードであり、音楽の可能性・そのに(オンガクノカノウセイソノニ)であった。
 演奏聞く者を強化し、演奏を聞きたくないと思う物を弱体化する。
「な……んだぁ!? この音は! 戦場の音じゃねぇもんを垂れ流すんじゃあねぇよ!」
 だが、踏み込みの速度が落ちている。
 その認識が追いつかないままに『スカルモルド』は『ケルーベイム』の眼前に来てしまっていた。
「不思議機体という呼称に納得いきませんが、闘争が目的の輩に負けてやる道理はありません、『ケルーベイム』!」
 展開されるスラスター。
 噴射する光と共に『ケルーベイム』は『スカルモルド』へと飛び込む。
 肩部の装甲が砕け、弾ける。
 吹き飛ぶようにして『スカルモルド』が地面に着地した瞬間、その頭上に輝くものがあった。
「コール! プロメテウスバーン!」
 そう、『ケルーベイム』の胸部に備えられた砲口。
 超大な熱線の一撃が『スカルモルド』へと走り、密集したクリスタルビットを打ち砕きながら凄まじい熱波を戦場に吹き荒れさせるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
先の『悪騎兵』により操縦するディスポーザブルから『禍戦・恐喜歩』継続発動。眼倍停止。3つ目のUC『凝視眼倍』発動。
【視力】先の眼倍による事前調査から敵機性能状態、搭乗者、関連情報をより引き出しつつ【鉄壁継戦能力】上昇している身体硬度に任せ銃撃に構わず【推力移動】破壊呪詛物質放つRBX騎兵刀で破壊【属性攻撃】躱すか受けるかそれとも、何れにせよ。
此処を襲った奴等への怒りも、此処が戦場となってしまった哀しみも何もかも全て|【闘争心】《破壊衝動》に置き換えて

叫び上げろ!!!

【フェイント】『雷霆架台』全身に蒼い光子線を帯び【追撃】電撃熱光放射【範囲攻撃】クリスタルビット・コンテナを焼き溶かし、スカルモルドへ【マヒ攻撃】RBX騎兵刀でプラズマブレイドの斬撃を【受け流し】
【早業】怨霊機體の変形機能を使い敵機全身に組み付き【怪力】で締め上げ、無数の戦塵髪と霊障怨念結界の【呪詛念動力】で更に拘束。

壊れろ、壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ……!!!!

全身から破壊光線の零距離レーザー射撃弾幕を放ち解体破壊する。



 黒いオブリビオンマシン『スカルモルド』を睨めつけるは、赤いアイセンサーであった。
『ディスポーザブル』は、肩部を破壊された様を見やりながら、しかし、機体の内部情報を引きずり出す。
 しかし、駆る者……朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)にとっては、あまり重要なことではなかった。
 戦うこと。
 破壊すること。
 いずれもが同義である。
 あの『スカルモルド』には『疑似脳』ではなく生身の人間が乗っている。
 それはわかっている。だが、だから何だというのだと小枝子は思う。
 どれだけあの『スカルモルド』が強大な力を持ちえるのだとしても、彼女には些細な問題だった。

 戦って壊す。
 それだけなのだ。
 故に崩壊霊物質によって構成された騎兵刀を構える。
「一丁前に睨めつけてんじゃあねぇよ! ガンくれてる暇があんならぁ!!」
 全天を覆うは無数のクリスタルビット。
 それは躱すことすら許されぬ包囲攻撃であり、弾幕であった。
 空が煌めいた、と認識した瞬間『ディスポーザブル』へと殺到するクリスタルビットは苛烈そのものであった。
 構えた騎兵刀を振るい、猛威の如きクリスタルビットの波状攻撃を切り払う。
 だが、あまりにも数が多すぎる。
 装甲が砕け、フレームにさえ到達するクリスタルビットの突撃。

「動けねぇかよ、木偶の坊! そのまま擦り潰れろやぁ!!」
「……」
 小枝子は己が怒りが身のうちから湧き上がるのを感じていた。
 尽きることのない怒り。
 身が震える。
 未開地『此処』を襲った者たちへの怒り、戦場になってしまった哀しみ。
 それら全てが闘争心へと代わっていく。
 破壊衝動と言ってもいい。
 この現状を破壊する。
 ただそれだけのために小枝子は己が心が軋むようにして音を立てるのを聞いただろう。

「叫び上げろ!!!『ディスポーザブル』!!!」
 煌めくアイセンサー。
 頭部もクリスタルビットによってフェイスガードが粉砕されている。
 だが、眼球の如きアイセンサーは、ぎょろりと蠢き、その輝きを解き放ちながら踏み出す。弾幕の中を躊躇なく、だ。
「踏み出すかよ! 馬鹿が!」
 謗る声。
 だが、関係ない。
 意味がない。
 今の己には、そんな言葉など何処にも響かない。
 機体の全身を覆う蒼い光子線。
 踏み出し続ける。クリスタルビットが、その青い光子線にふれる度に破壊されていく。

「やつの装甲に触れただけで、クリスタルビットが消失……!? なんだってんだテメェは!」
「叫び上げろ!! 雷霆架台(ライカ・ブラスター)!!」
 砲口と共に破壊光線がクリスタルビットコンテナを焼き溶かす。
「やるじゃあねぇかよ、だが!」
 プラズマブレイドの一閃が騎兵刀と激突し、火花を散らす。
 
『ディスポーザブル』の駆体が『スカルモルド』に組み付こうとする。 
 だが、それをプラズマブレイドが返す刃で切り裂く。
 それでも執拗に『スカルモルド』を狙う変形機能によって生み出された腕部が念動結界に敵を捉えるのだ。
 いや、捉えたのではない。
「こいつ……!」
「壊れろ」
 そう、結界によって圧砕しようとしているのだ。
 なんたる力技であろうか。
『スカルモルド』は結界をクリスタルビットで破砕しようする。
 砕ける結界。

「壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ……!!!!」
 すでに時は満ちた。
 破壊光線の零距離射撃。
 その一撃はクリスタリビットごと『スカルモルド』を打ち据え、その駆体を吹き飛ばすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
【鋼竜】
……|金属細胞《ドラクティス》の反応……!?それにあの機体の姿…一体どういう…?
いえ、今はそれよりあの黒い奴を……!
『アルカレクス・ドラグソリス』へと融合合身、敵機体の攻撃にはEフィールドと自己修復で耐える!
……何故かは判らないけど、あのキャバリアの動きはこっちの邪魔になってない、それに……その手、「無数のクリスタルビット」は……一度見ているのよ…!『スカルモルド』!!

【BS-BXステラ・プルウィア】!!領域内のそのクリスタルビット、降り注ぐレーザーの雨で本体ごと攻撃し、全機叩き落してやるわ…!!

そしてできた隙に、右腕をドリル化して肩でも腰でも、パンチをぶち込んでぶち抜いてやる…!!


アルマ・フィーリア
【鋼竜】
……。鉄騎…オブリビオンマシンは…敵……
敵機…確認……戦闘システム……起動……融合合身……!

(相手が百獣族でない上に対象の言動から、「騎士の規範」が適用されず、結果鋼竜石…「ドラクティス」の「オブリビオンマシンへの敵意」に影響されます。
クロムキャバリアの戦闘兵器のような有様のまま、乗騎と融合し『鋼竜殲騎アルマリヴァーレ・ドラグスキア』へと「融合合身」し損傷を自己修復でごまかしつつ、味方よりも前に出て竜の首で交戦し、極力多くの敵を巻き込むようにUCを発動します。

アルカ・スィエラ…というよりドラグレクスとは
「息は合うが気が合わない」…「高度に連携できるが、優先事項がかみ合わない」感じです)



 破壊光線が戦場の空を切り裂く。
 全天を覆うクリスタルビットを融解させながら刻まれた一撃の最中に黒いオブリビオンマシン『スカルモルド』は弾かれながらも体勢を整えた。
「ハッ、ハハハ! 笑いが止まらねぇぜ! これが戦い! 魂がひりつくような戦い! これを俺は求めていたんだ! そうでなくちゃあなぁ!!」
 笑う『スカルモルド』のパイロット。
 戦いを楽しんでいる。
 生命のやり合いを笑っている。
 狂犬じみた声。
 誰彼構わず噛みつくような、そんな無軌道さがあった。

 そんな『スカルモルド』の姿を認め、アルマ・フィーリア(鋼竜石の妖精・f44795)は己の中の何か、枷が外れる音を聞いたように思えた。
「……。鉄騎……オブリビオンマシンは……敵……」
 光の消えた瞳は、黒いオブリビオンマシンを捉えて離さなかった。
「敵機……確認……戦闘システム……起動……」
 アルマの駆る『ドラグリヴァーレ』の機体を構成している鋼竜石が変容していく。
 その反応に共に戦場にあったアルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は振り返る。
「……|金属細胞《ドラクティス》反応……!?」
 それは予感だった。
 嘗て、己がもたらした金属細胞に寄るキャバリアの変容。
 それはオブリビオンマシンにさえ作用し、甚大な被害をもたらしたこともある。
 だからこそ、その反応にアルカは目を見開く。

 その視線の先にあったのは、変容した『ドラグリヴァーレ』であり、もはやそう呼ぶに相応しくない威容であった。
 名を示すならば『鋼竜殲騎アルマリヴァーレ・ドラグスキア』。
 まさにクロムキャバリアの戦術兵器めいた姿であった。
「あの機体の姿……一体どういう……? いえ、今はそれよりあの黒いやつを……!」
 アルカには驚愕する時間すらゆるされなかった。
 敵は『スカルモルド』である。
 猟兵たちの攻撃を受けているとは言え、まるで油断のならぬ敵であることは言うまでもない。
 漸く肩部を破壊した程度の損壊しか目立っていないのだ。
『プロトミレス』が『アルカレクス・ドラグソリス』へと変貌し、エネルギーフィールドでもってクリスタルビットの弾幕攻撃を受け止める。
 苛烈な、それこそ嵐のような暴威を前にしてアルカは歯を食いしばる。
 逆に『アルマリヴァーレ・ドラグスキア』は装甲でもって受け止めていた。
 クリスタルビットの勢いに圧され、砕けていく装甲を自己修復で強引に誤魔化しているのだ。

 ほとばしるようにして竜の首がうねり、クリスタルビットを噛み砕きながら『スカルモルド』へと迫っている。
「向こう見ずがすぎるわよ、あの竜騎!」
「ハッ、自分の心配をしろよ!」
「クッ……!」
 エネルギーフィールドに激突するプラズマブレイド。
 その一撃にきしみながらアルカは、しかし、己の背後から『アルマリヴァーレ・ドラグスキア』の竜の首が走り、『スカルモルド』を弾き飛ばすのを見ただろう。
 此度、初めてともにする機体。
 だが、邪魔だとは思わなかった。
 むしろ、連携できている。言葉もなく、目配せ一つもないのに、動きが自然と合うのだ。
 一体どういうことか。
 わからない。
 けれど、構わないのだ。
 これが戦場で、敵がオブリビオンマシンだというのなら。

「似た者同士、ここで破壊されろ!」
 空を覆うクリスタルビットが一斉に降り注ぐ。
 だが、アルカは頭を振る。
「その手の、『無数のクリスタルビット』は……一度見ているのよ……!『スカルモルド』!! 全敵ロック……天より降り注げ、星の雨」
 機体の結晶装甲から放たれるレーザー。
 それは、BS-BXステラ・プルウィア(ステラ・プルウィア)。
 無数のレーザーは迫るクリスタルビットを尽く撃ち落とし、『スカルモルド』を爆発に巻き込む。

「今よ!」
「……!」
 その言葉に『アルマリヴァーレ・ドラグスキア』が動く。
 一瞬で『スカルモルド』との距離を詰め、肉薄する。
 放たれるは虚無の斬撃波――殲剣ドラグキャリバー(ドラグキャリバー・フラガラッハ)。
 忌むべき敵を断裂させる一撃。
 弾け飛ぶ『スカルモルド』の頭部アイセンサー。
「あの一撃も躱す……!?」
「やられるものかよ……っ!?」
「ぶち抜く!」
 アルカは踏み込んでいた。
 自然と連携ができるからこその一撃。腕部を衝角と化して放たれた一撃が『スカルモルド』を打ち据えた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
あの黒いキャバリアは……見覚えがある
でも、パイロットが違うだけでこうも違うのね
味方ですら躊躇なく撃つ危険な男
こちらも迎え撃つしかない

光の矢を乱れ撃ちながらダッシュ
まるで食らいつくような攻撃をするのね
躱しきれないなら、サイキックウイングで受けるわ
何者かは知らないけれど、強い
けれど私達も簡単に食い千切られるつもりはないわ

弾丸より『はやく』
駆け抜けましょう『クレッセント』



 ひと目見てわかった。
 あれは危険な存在だと。
 黒いオブリビオンマシン『スカルモルド』。
 その戦いぶりは、まるで狂犬か黒い嵐のようであった。戦えば、周囲の全てを傷つけ続ける。
 自らの我欲のためだけに戦い続ける権化。
 争いを生み出し続けるために存在しているとしか思えない。
 少なくとも、薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)にはそう思えてならなかった。
「……危険な男」
 あの『スカルモルド』は味方であるはずの『黒騎士』タイプのオブリビオンマシンすらも、己の邪魔だと認識すれば躊躇いなく撃つ。
 言葉は通じても、理解しあえない存在がいるのだと静漓は知っただろう。

「こちらも迎え撃つしかない」
「似たような機体だなぁ、オイ!」
 肩部を破壊され、頭部のブレードアンテナを寸断されてなお『スカルモルド』を駆るパイロットは笑っていた。
 戦いの高揚。
 それに突き動かされるようにして静漓の駆る『セラフィム・クレセント』を認め、突っ込んでくるのだ。
 アサルトライフルの弾丸の速射性能は高い。
 加えて、その狙いはあまりにも正確過ぎた。
 装甲の一点を狙って引き剥がすように弾丸が収束してくるのだ。

「『クレッセント』!」
 その言葉に呼応するように静漓の駆る白銀のキャバリア『セラフィム・クレセント』の最センサーが煌めく。
 腕部の装甲が展開し、弓状に変化する。
 番えられた光の矢は炎をまといて、凄まじい連射速度でもって放たれたアサルトライフルの弾丸と激突する。
 衝突した銃弾と矢が光を撒き散らし、戦場を明滅させる。
 疾駆する『セラフィム・クレセント』に、さらに『スカルモルド』は追従する。
 まるで此方に喰らいつくまで諦めぬというゆな猟犬さながらであった。
「何者か知らないけれど、強い」
「だったら、覚えろよ! この俺をッ!! 覚えられねぇってんなら、食い千切ってやるからよぉ!!」
「私達も簡単に食いちぎられるつもりは、ないわ」
『スカルモルド』に光の矢を放つ。

 だが、その一撃を躱し、『スカルモルド』のアンダーフレームの獣脚が『セラフィム・クレセント』を蹴り飛ばす。
 体勢を崩して大地に転がる『セラフィム・クレセント』にアサルトライフルの銃撃が飛ぶ。
 それをさらに弾丸よりも『はやく(ハヤク)』光の矢が撃ち抜く。
「ハハハハハッ!! 楽しいな! これが闘争ってもんだ! こんなに楽しいのは久しぶりだ! 弱者じゃねぇ! 強者との戦い! 胸踊るぜ!!」
 笑い声が戦場に響いている。
 やはり、危険な男だと静漓は理解しただろう。
 ならばこそ、ここでこの男は倒さねばならない。己が仕留めきれなくてもいい。
 この場にいる猟兵の誰かが止められるのならば、その道筋を付けねばならぬと静漓の瞳がユーベルコードに輝く。

「駆け抜けましょう『クレッセント』」
 静漓の声に呼応するようにして『セラフィム・クレセント』は両腕の装甲を弓状に変化させ、番えられた光の矢を解き放つ。
 それはアサルトライフルの速射を上回る速度でもって放たれ『スカルモルド』の足を止め続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
…散々暴れ回ってた黒騎士を一撃とか…おめーはあれか…豪〇気取りかこのやろー
「それじゃ負けちゃう?」
冗談じゃねー
絶対に勝てるとは言わねーが易々とやられる気もねーよ
取り合えず話せる相手だ
ぶちのめして引きずり出してやる

つかなんだお前?闘いこそ全てとか中二病か?
かっこつけてんじゃねーぞボケが

【情報収集・視力・戦闘知識】
敵の能力と動き
立ち回り
そして…今迄見た敵と類似点が無いかを探る

【属性攻撃・迷彩】
光水属性を機体に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で熱源隠蔽


【念動力・弾幕・空中戦・見切り・武器受け】
UC発動
超絶速度で飛び回り念動光弾を乱射
それでも向こうが銃撃を放つなら鎌剣で防御
「こういうのカッコいいぞ☆」
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
鎌剣での連続斬撃から武装の強奪

つくづくどの世界も生命を大切にしねー馬鹿が多いよなぁ!
頭おかしいんじゃねーかてめー!

どうせ命を懸けるならエロい事をしたい時にでもしやがれぼけぇ!
「可愛い女の子のお礼の為に命を懸けるとかカッコいいよね☆」
よしてめーをぶちのめして歓待だ!



『黒騎士』と呼ばれた正体不明のキャバリアが存在していることをカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は知っていた。
 多くは『エルネイジェ王国』で確認されていた。
 だが、眼の前の『スカルモルド』はどう考えても異質だった。
「散々暴れまわっていた『黒騎士』を一撃とか……気取ってんじゃねーだろうな」
「強いよ、ご主人サマ☆」
『メルシー』の言葉にカシムは頷く。
 これだけの猟兵たちに攻撃を仕掛けられてなお、未だ目立った損壊は肩部と頭部のブレードアンテナのみ。
 細かい傷は装甲についてはいるが、しかし、寸前でダメージコントロールが成されているのだろう。

 それが意識してのことなのか、パイロットの技術なのかはわからない。
 が、まるで野生の動物じみた……直感でもって成されたものであるのかもしれない。加えて、狂犬の如き攻撃性。
 恐るべきパイロットであるところは言うまでもない。
「冗談じゃねー。絶対に勝てるとは言わねーが、易易とやられる気もねーよ」
「ハッ、そいつはいいじゃあねぇか! そうしてくれ! 容易く噛み砕ける敵なんてもんは、歯ごたえがねぇ! せっかくの闘争なんだ。楽しもうぜ、お互いよぉ!!」
『スカルモルド』のパイロットの声が響く。
 瞬間、放たれるアサルトライフルの弾丸が『メルクリウス』の装甲を撃ち抜く。

「あいったー☆」
「んな!? 当てた!?」
「撃ちゃ当たるだろうが、こんなもんはよぉ!」
 神速を誇る『メルクリウス』に銃撃を当てたのみならず、その装甲を撃ち抜く技量。
『スカルモルド』は、そのパイロットの凶暴性に裏付けされた凶悪さをもって『メルクリウス』を追い立てる。
「つかなんだお前? 戦いこそが全てとか厨二病か? カッコつけてんじゃねーぞボケが」
「その通りだろうがよ。戦うことに全てが直結してんだ! 生きることも死ぬことも全てな。飯食うのだって、戦わなければ得られない! そういうもんだろうが!」
 互いの速度は恐るべき領域に到達していた。
『スカルモルド』のアンダーフレームは、雪原の悪路を容易く踏破する獣脚。
『メルクリウス』は速度を誇る。
 技量で速度を埋めてきているのだ。

「つかなんだ、こいつ……!」
 カシムは気がついていた。
 これまで戦ってきたパイロットの癖、そのどれもに類似点が見受けられない。
 まるで狂犬か黒い嵐のように『スカルモルド』は『メルクリウス』に追従しているのだ。
「いや、まさか!」
 獣脚。
 アンダーフレームの形状を見て思い至る。
 嘗て、『インドラ』と呼ばれるキャバリアを模したオブリビオンマシンがいた。
 それらを『白騎士』、『黒騎士』と呼称していたことは『エルネイジェ王国』近隣にて頻発していた事件において知られるところである。
『白騎士』、『ブリュンヒルド』は『インドラ』から変形していた。
 なら、これは。

「『ヴリトラ』ってことか……?」
「でもでも、なんか戦い方が似てるだけで、もっと違う……大きな、何かじゃないかなー☆」
「結局、よくわからんってことかよ!」
「ごちゃごちゃとくっちゃべってねぇーで、俺に集中しろよなぁ!!」
 アサルトライフルの弾丸を光弾で迎え撃つ。
 だが、その間隙を縫うほどに弾丸が『メルクリウス』の装甲を撃ち抜く。
 フレームまで到達していないが、この勢いでは直に抜かれる。
「ちっ……やるぞ、メルシー! つくづくどの世界も生命を大切にしねー馬鹿が多いよなぁ!」
 ユーベルコードに輝くアイセンサー。
 さらに加速する『メルクリウス』。
 神速戦闘機構『速足で駆ける者』(ブーツオブヘルメース)によって、超高速機動攻撃の鎌剣の斬撃が嵐のように『スカルモルド』を襲う。。
「してんだろうが、生命は、戦うために使ってこそだ! そうじゃあなければ! 何も手に入らねぇ! 生命は燃やしてこそだろうがよぉ!!」
「頭おかしいんじゃねーかてめー!」
「どっちがだよ! オラァ!!」
 蹴撃が『メルクリウス』を蹴り飛ばすが、すぐさま空中で反転して鎌剣の斬撃が『スカルモルド』を襲う。

「どうせ命かけるなら、エロイことをしたいときでもしやがれぼけぇ!」
「かわいい女の子の御礼の為に命をかけるとかカッコイイよね☆」
「てめーをぶちのめして歓待だ!」
「どの口がいいやがる!」
 激突する鎌剣とプラズマブレイド。
 その力の奔流が、さらに戦場を加熱していくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

皇・絶華
うん?さっちゃん、あれが噂の黒騎士のようだぞ
「確かエルネイジェとかで散々暴れてた奴らしいんだが!同じのが出てきて撃墜されたぞ!?出落ちかよ!?」
しかし闘争を楽しむとは…弟を思い出してほっこりするな(のほほん)

【戦闘知識】
敵の動きと構造を把握
【念動力・空中機動・弾幕・切断・2回攻撃・貫通攻撃】
UC発動
超高速で飛び回りながら念動光弾を乱射して反撃されたところで次元転移
敵の空間ごと連続で切刻

名乗りが遅れたな?私は絶華。フレンドリーにぜっちゃんと呼ぶがいい!お前も名乗っておけ!
「このタイミングで!?」

お前がそのように暴れるのはパワーが足りないからだろう?
私が圧倒的なパワーを与えよう!(チョコねじ込み)



 猟兵と黒いオブリビオンマシン『スカルモルド』の激突は苛烈に極まるものであった。
 恐るべきは機体性能よりもパイロットの技量であったことだろう。
 これだけの猟兵を相手取りながら未だ目立った損壊は肩部とブレードアンテナのみ。
「うん? さっちゃん、あれが噂の『黒騎士』なのか?」
「確かエルネイジェとかで散々暴れてたやつらしいんだが!」
 皇・絶華(影月・f40792)の駆る『サートゥルヌス』は問いかけに頷く。
 だが、どう考えても先に現れた『黒騎士』を破壊した『スカルモルド』の方が強敵であるように思えた。
 同士討ち?
『サートゥルヌス』は訝しむ。
 どう考えても同型である。
 それに同じ小国家に所属しているようにも思える。
 あれが出落ちというのならば、なんとも締まらないことである。

「しかし、闘争を楽しむとは……弟を思い出してほっこりするな」
「主様よ、なんていうか、のほほんとしている暇は内容に思えるんだが!」
「そういうこった! 次はアンタだろうが! 相手をしてくれるんだろう!」
 まるで狂犬だな、と絶華は思っただろう。
 誰彼構わず喧嘩をふっかけて回る。
 強いと見れば戦わずにいられないし、挑まずにはいられない。
 そこに道理や理屈というものは一切ない。
 純粋な暴力の気配を感じて絶華は思わず笑ってしまった。

「懐かしいな。だが」
 迫るアサルトライフルの銃撃。
 狙いは正確な上に速射性能も高い。
 此方を捉えているのは、パイロットの技量があってことそだろう。
「この俺に当てるとはな! だが、見せてやるよお前に! 時空を統べる俺こそが最強ってことをよぉ!」
「やるのか、さっちゃん」
「やってやりますよ、主様!」
 亜空間戦術級制圧機構『巨神の王』(キョジンゾクノオウ)が発露する。

 アサルトライフルの銃弾が機体に激突する瞬間、『サートゥルヌス』の姿が虚空に消える。
「……ッ!? どこ行きやがった!」
「遅ぇッ!!」
『サートゥルヌス』は次元転移による特殊機動を行う事のできる機体である。
 瞬間的に亜空間を切り開き、己が駆体を飛び込ませアサルトライフルの銃撃を逃れたのだ。
 そして、それだけではない。
 亜空間を切断できるということは、即ち、それ自体が攻撃に転用できる、ということである。
「名乗りが遅れたな? 私は絶華。フレンドリーにぜっちゃんと呼ぶがいい!」
「このタイミングで!?」
「お前も名乗っておけ!」
「うるっせぇんだよ! 兄貴面してるテメェが気に食わねぇ、俺を抑えつけて問答しよってのか? 百年はえーんだよ!」
 迫る亜空切断すらも『スカルモルド』は獣脚の瞬発性でもって躱してみせた。
 その光景を絶華は思わず笑って手を叩いて喜んでしまった。

「ハハハッ、良いな。お前、その暴れたりないっていうところ、気に入った。そんなに怒りん坊なのは、パワーが足りないからだ。私が圧倒的なパワーを与えよう!」
「上からが鬱陶しいつってんだろうが! いらねーよ!」
 まるでじゃれるように『サートゥルヌス』と『スカルモルド』は戦場を疾駆する。
 狂犬であろうとも犬であることは変わりないというように、絶華は楽しげに笑い続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

皇・銀静
「主ー☆黒騎士だよ☆色んな猟兵の手を焼かせた黒騎士がいるよ☆」
機神搭乗

は…上等だ
何より闘争とかイキってる奴をしめるのも悪くない
「主だって同じなくせにー☆」

【戦闘知識】
敵の能力…実力や戦いの癖を解析

【属性攻撃・空中戦・念動力・オーラ防御・切断・2回攻撃・功夫・リミットブレイク】
UC発動
槍の神同時発動

超高速飛び絶対必中の火炎弾と念動障壁展開
覇気を強化

覇気を槍に纏わせて刃となして無限射程の斬撃を叩き込む
「グリムちゃんの槍からは逃れられないよ☆」

おい…楽しめよ
やはりこの世界は健全だ
命のやりとりなんぞに興味はないがお前のような奴と戦りあうのは悪くない

後は全霊で己の力の限りぶつかり合う
あらゆる技を尽くし



「主ー☆『黒騎士』だよ☆ いろんな猟兵の手を焼かせた『黒騎士』がいるよ☆」
 皇・銀静(陰月・f43999)は絶対神機『グリームニル』のコクピットに座し、言葉の示す所の戦場にて疾駆する黒いオブリビオンマシン『スカルモルド』を睥睨する。
 確かに『黒騎士』と呼ぶに相応しいオブリビオンマシンである。
 しかし、先んじて現れた同型の『黒騎士』を後から襲来した『スカルモルド』は撃ち抜いていた。
 恐らく同型であり、そして所属も同じであろう。
 だというのに、やったことは同士討ちである。
 普通に考えればありえないことであるし、敵の敵は味方、という理屈も通じるだろう。
 しかし、『スカルモルド』は猟兵に仕掛けてきた。
 そのあり方は狂犬じみているように思えてならなかった。

「は……上等だ」
 銀静は笑むでもなく、ただ『スカルモルド』を見つめるのみであった。
「何より闘争とかイキってるやつをしめるのも悪くない」
「主だって同じなくせにー☆」
「どいつもこいつもくっちゃべってばっかだなぁ? おい! さっさと来いよ。相手してやっからよぉ!!」
『スカルモルド』のパイロットらしく男の声が響く。
 銀静は息を吐き出す。
 笑ったのかも知れないし、嘲笑したのかもしれない。どちらにせよ、それが合図だった。

 一瞬で全天を覆い尽くすクリスタルビット。
 多くの猟兵が撃ち落としてなお、まだ数は健在だった。
 満ちる輝きとともに降り注ぐクリスタルビットの襲来に銀静は、己が全身から発露する覇気でもって『グリームニル』を覆う。
 大地を蹴った瞬間、砕けた破片さえも時が止まったかのような錯覚を覚える速度でもって『スカルモルド』に肉薄する。
 だが、それを阻むのがクリスタルビットだった。

「邪魔だ」
 短く告げた瞬間、蒼き光の次元切断の一撃がクリスタルビットを寸断する。 
 直線上の全てを切断貫通する一撃。
 強烈な一撃であったし、またその一撃は『スカルモルド』を巻き込むものであった。
 だが、その一撃を『スカルモルド』は予測……いや、動物的な直感でもって躱していた。
「またかよ! わけの分からねぇ攻撃してきやがって!」
「グリムちゃんの槍からは逃れられないよ☆」
『グリームニル』の構えた槍の穂先とプラズマブレイドが激突し、切り結ぶ。
 念動障壁に火花が散り、明滅する。

「逃げる? 戦ってるのになんで逃げるんだよ!」
「楽しんでるな、お前」
「あぁ!? 当然だろうが!」
 その言葉に銀静は笑む。
 だろうな、と。
 己達を前にして恐れを抱くでもなく、楽しむような者なのだ、『スカルモルド』のパイロットは。

「やはりこの世界は健全だ。生命のやりとりなんぞに興味はないが、お前のようなやつと戦りあうのは悪くない」
「だったら、テメェも笑えよ! これが闘争だってな、人間が誰も逃れられぬ歓びだと!」
「四門解放……二度も避けられると思うなよ!」
 極・戦艦斬り(ゴクセンカンギリ)の一撃が炸裂する。
 互いに振るう一撃はぶつかり合って、力の奔流が周囲を破壊していく。
 そこには歓びしかなかった。
 仄暗い、人の性。
 明滅するユーベルコード同士の激突は、その仄暗い人の性を塗りつぶすようだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
白だの黒だの!
後から来た黒いのが先に居た黒いのを倒しても、結局黒いのと戦うのには変わらないじゃないですかやだー!
何かこう…分かり易い差別化してないと商品化した時に違うんだよカーチャン!って言えないでしょ!

【断章・機神召喚】起動
機械の腕を召喚、『念動力』で浮かし右腕とリンク
巨大版《RE》Incarnationを振るい、『なぎ払い』で牽制
振り抜きそのまま弧を描く様に剣を直上に、一息に振り下ろす!
小細工無用、質量を乗せた斬撃で叩き斬る!

敵のビットを左手の剣で『斬撃波』を放って迎撃
『オーラ防御』で防御もしつつ凌ぐ

そっちが不意打ちで黒騎士倒したんなら、こっちは正面から力押しで倒すだけ!
さあさあ、根競べだ



 激突するユーベルコードの明滅。
 その光が雪原を破壊し、周囲に衝撃波を放ち続けていた。
 凄まじい、と呼ぶに相応しい戦いであったことだろう。
 その光景を見やりながら、月夜・玲(頂の探究者・f01605)は堪えかねたように叫んだ。
「白だの黒だの!」
 彼女は激昂していた。
 なんでそんなに怒っているのか。
「後から来た黒いのが先にいた黒いのを倒しても、結局黒いのと戦うことには変わらないじゃないですかやだー!」
 どういうことなのか。
 玲は雪原を踏みしめて、地団駄を踏む。

 確かにちょっとびっくりする展開であったかもしれない。
 だが、代わり映えしないのだ。
 絵面が変わらない。つまんない!
 インパクトはあったが、よく見ても違いがわからないってやつである。
 先に破壊された『黒騎士』と『スカルモルド』は同型である。
 装備も違いが、ちょっとそのわからないのだ。
「何かこう……分かり易い差別化してないと商品化した時に違うんだよカーチャン! って言えないでしょ!」
 商品化?
 そうなのである。
 玲は商魂たくましいサブカルマニアである。
 もうお母さんに、あんたまた同じの買って! どうするのこんな黒いの一杯買って! 黒い三連星だって三つまででしょ! とかなんとか言われる可能性を幻視したのかもしれない。

「わけのわけんねぇことばっかり言いやがるなぁ!」
『スカルモルド』のパイロットの声が聞こえる。
 男、とわかるのは声変わりしたてのような声であったからだろうか。
 全天を埋め尽くすクリスタルビット。
 その矩形に玲の瞳がユーベルコードに輝く。
「そっちが不意打ちで『黒騎士』を倒したんなら、こっちは正面から力押しで倒すだけ!」
「上等だよ! 生身単身だろうがなんだろうが! 擦り潰れろ!!」
 嵐のようなクリスタルビットが玲に迫る。
 だが、玲は笑む。

「偽書・焔神起動。断章・機神召喚の章(フラグメント・マキナアーム)の閲覧を許可。術式起動……さあさあ、根比べだ!」
 念動力で接続した鋼鉄の機械腕が玲の右腕とリンクする。
 彼女の動きをトレースする機械腕が巨大な蒼き刀身を持つ模造神器を構え、薙ぎ払う。
 その一閃でクリスタルビットが切り落とされ、爆発四散する。
「ハッ! 面白ぇ! 何だよ、その玩具はぁ!!」
「玩具じゃないってば! っていうか、玩具呼ばわりはどうかと思う!」
「ぶっ壊れちまえば、玩具以下だろうが!」
 振り下ろされるプラズマブレイド。
 玲が生身単身であろうと『スカルモルド』のパイロットはお構いなしだった。

 生身の人間にキャバリアの武装を叩きつけるということに躊躇がない。
 理性の箍が外れているのか、それとも、そもそもまともな倫理観がないのか。いずれにせよ、真正面からプラズマブレイドが振り下ろされるのを玲は見ただろう。
「なんだかんだで、真正面から来る潔さは嫌いじゃあないんだけどね……どんだけ技量があるのだとしても! 小細工無用だってんならさ!」
 直上に振り上げた機械腕の握りしめた模造神器がプラズマブレイドを押しのけながら一閃を描く。
 それは正しく力押しであった。
 機体性能を支えるのがパイロットの技量であったのならば、それが勝る相手に取れる選択肢は一つしかない。
「押し込んで、断ち切る!」
「お、おおおおっ!?」
 そう、スペックでの圧倒である。
 玲の生み出した機械腕はオーバースペックであった。
 それをユーベルコードで無理矢理にうごかすことで質量を乗せた一撃でもってプラズマブレイドを寸断し、『スカルモルド』の装甲を、そのコクピットハッチに一文字の傷跡を刻み込むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソフィア・エルネイジェ
●聖竜騎士団
黒いブリュンヒルドが味方を撃った…?
以前にベヘモスコーストに出現した黒騎士との関連性が気掛かりではありますが…
この獣の如き重圧からして、正体を問い質している猶予などなさそうですね

ベヒーモスの援護砲撃を起点に、雷光強襲で攻めに転じます
速度の優位を得て積極的に攻勢を仕掛けましょう
銃弾はラウンドシールドと聖竜装甲で防御し突撃を強行
ショットガンを交互に連射しながら相対距離を詰めます
命中時の衝撃で動きを鈍らせる事が叶えば、次なる攻撃にも繋げられましょう
加速が相乗したナイトランスで打突
クラッシャークローの追撃で捕えます
超接近戦に持ち込んでエグゼキューションバイトファングで噛砕しましょう


イリス・ホワイトラトリア
●聖竜騎士団
新手の黒いキャバリア…ベヘモスコーストで見たキャバリアに似てる…?
あの時は逃げることしかできませんでしたけど、今は違います!

敵のアサルトライフルはアダマンチウムの装甲、そしてベヒーモス様の巨大で重い体で防ぎましょう
収容した皆様は傷付けさせません!

ソフィア殿下の突撃を援護します!
敵の動きが速過ぎて砲じゃ狙えない…
ここはミサイルで!
レーダーセンサーで目標を重複ロックオン
ベヒーモス様!20連装中型誘導弾を一斉発射してください!
続けて各対空機関砲を黒騎士に向けます
それを触媒に聖雷の光跡を放ちます
ミサイルとレーザーの追尾に対して回避を強いれば、ソフィア殿下が接近しやすくなるはずです!



「新手の黒いキャバリア……」
 イリス・ホワイトラトリア(白き祈りの治癒神官・f42563)は、『ベヒーモス』のメインブリッジのモニターに映し出された『黒騎士』を見て、嘗て『ベヘモスコースト』に現れたキャバリアをすぐさまに想起していた。
 だが、その『黒騎士』の如きオブリビオンマシンは、コクピットを一撃で撃ち抜かれ爆散してしまった。
「な……!」
 あの時は逃げることしかできなかったし、戸惑うばかりだった。
 それでも今は違う。
 そう決然たる意志を持っていたのだ。
 だが、その意思を見せるべき相手を射抜いた者がいる。

「黒い『ブリュンヒルド』が味方を撃った……?」
 何故、とソフィア・エルネイジェ(聖竜皇女・f40112)は、己が胸に嫌な予感を覚えた。
 ざわつくような、焦がれるような、どうしようもない炎めいた何かが己が胸の内に湧き上がる。
 言いようのない感情に、しかしソフィアは己が成すべきことを定める。
『黒騎士』を一撃で仕留めた黒いオブリビオンマシン『スカルモルド』は猟兵たちと交戦を繰り返しながら、しかし未だ健在であった。
 目立った損壊は肩部と頭部ブレードアンテナ、そして今しがた打ち込まれた剣閃によってコクピットハッチが一文字にえぐれている。
 内部には『疑似脳』が収められていると予測していたが、違う。
 そこには人がいる。
 パイロットがいるのだとソフィアは認め、さらに嫌な予感が走り抜ける。

「この獣の如き重圧……正体を問いただしている猶予などなさそうですね」
「ソフィア殿下! 援護いたします!」
 イリスの言葉にソフィアは我に返る。
 そうだ。猶予はない。
 あのオブリビオンマシンを破壊せねば、道は開かれぬ。
 だからこそソフィアは『インドラ』と共に雪原を疾駆する。
「……来たかよ、漸く! 待ちくたびれたぜ、ソフィア・エルネイジェ!!」
 咆哮が轟く。
 声変わりしたてのような声。
 男、と呼ぶには未だ幼さが残るような、未発達さを感じさせる声。
 まるで狂犬のように周囲に破壊をもたらし、戦い挑む姿は恐るべきものであった。
 同時に、戦いぶりじたいが黒い嵐のようでもあった。

『スカルモルド』が戦った後は、雪原の跡形すらない。
 それほどまでに『スカルモルド』のパイロットの戦いぶりは凄まじいものだったのだ。
「敵の動きが速すぎます……砲では狙えない……なら、こkは!」
 イリスは即座に思考を切り替える。
 レーダーセンサーで目標を重複ロックオンする。敵の動きは確かに疾い。だからこそ、ロックオンも振り切られてしまうだろう。
 だが、己の攻撃が振り切られたとしても、ソフィアの援護にはなる。
「『ベヒーモス』様! 20連装中型誘導弾、一斉発射! 続けて対空機関砲を!」
「しゃらくせぇな! その程度で俺がやられるとでも思ってんのかよ!」
 放たれる砲火。
 そのさなかを損壊受けながらも『スカルモルド』はアンダーフレームの獣脚たる特性を活かしてかいくぐる。
 恐るべき瞬発性能。
 本当に人間なのかと疑うほどの動きを見せる『スカルモルド』は、野生動物の如き獰猛さで『ベヒーモス』へと肉薄する。

「デカブツは動きが鈍い! ならよぉ!!」
 プラズマブレイドの一閃が『ベヒーモス』へと迫る。
 だが、瞬間、イリスの瞳が見開かれる。
 そこにあったのはユーベルコードの輝く。
「わかっていました。あなたが強いということは。だからこそ私は! 今こそ、断罪の竜帝よ、神の教えの元、悪しき者に聖なる雷の裁きをお与えください」
 ほとばしるは聖なる雷。
 聖雷の光跡(ライトニングセイント)が戦場を走り抜け、放たれた爆風の如き機銃の弾丸を触媒として一気に『スカルモルド』へと迫るのだ。

 だが、これでも仕留めきれないことはイリスにはわかっていた。
 出来てせいぜい敵の動きを止めることのみ。
 そして、此方に攻勢を仕掛けていた姿勢を崩し、回避に専念させることが関の山だった。
「チッ! 面倒なことを! やってくれるじゃあねぇかよ、おい!」
 振るわれるプラズマブレイドが雷を切り裂き、しかし『スカルモルド』は押しのけられるようにして後退する。
 雪原にて舞う雪の結晶。
 その粉塵じみた中にて煌めくは、『インドラ』のアイセンサー。

「翔け抜けさせて頂きます!」
『ベヒーモス』の援護砲撃をきっかけに『インドラ』が戦場を疾駆する。
 一直線に、それこそ雷光の如き速さでもってソフィアは一気に『スカルモルド』へと迫る。
 放たれるアサルトライフルの弾丸。
 その狙いは正確無比。
 収束された弾丸の機動は確実にラウンドシールドの一点を撃ち抜く。そればかりか、ラウンドシールドを構えていたサブアームの懸架クローを狙い過たず打ち抜き、トリオとさせたのだ。
「シールドが……! ソフィア殿下!」
「守りを固めたところでなぁッ!!」
 しかし、ソフィアもさるものである。
 シールドが脱落したと見た瞬間にショットガンを放ち、距離を詰める踏み込みをためらわせる。
 動きが鈍る。
 だが、それは互いに、であった。
 アサルトライフルの銃弾から駆体を守るシールドは脱落。
 そして、散弾は『スカルモルド』の接近を許さない。
 互いのアンダーフレーム、獣脚こそが頼みの綱であった。
 大地を蹴る脚部。
 雪原に舞う雪塊。
 受けるユーベルコードの輝きによって、結晶が煌めく。

 まるで、それは。
「踊っているよう……」
 イリスはその光景を見て、場違いな感想だと思ってしまったかもしれない。
「なんという急制動……この技量……ッ!」
 ソフィアは己の技量を『スカルモルド』のパイロットが上回っている事を知るだろう。
 そして、一文字に引き裂かれたコクピットハッチの向こうに、赤い瞳を見た。
 黒髪が揺れ、赤い瞳が此方を見ている。
 ハッチの装甲はこちらは無事だ。
 なのに、見られていると自覚してソフィアは瞳を見開く。

「ああ、これがそうか。世界が、ばーっと明るくなってやがる……まるで花畑みたいによ」
 それは放心したような声色だった。
 瞬間、ソフィアは雷光強襲(ライトニングアサルト)たる連撃を叩き込む。
 見逃すことはできなかった。 
 ナイトランスの打突が『スカルモルド』の獣脚を貫き、動きを止める。そして、クラッシャークローの一撃が両腕を抑えつけ砕く。
 超接近戦。
『インドラ』の顎部による喰らいつく一撃が『スカルモルド』を破砕し、爆発を巻き起こした――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『戦場の音楽隊』

POW   :    明るい歌や演奏を楽しむ

SPD   :    技巧を凝らした歌や演奏を楽しむ

WIZ   :    しっとりした歌や演奏を楽しむ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ついに破壊されたオブリビオンマシン。
 瞬間、その駆体より放たれた光が特務機関DIVIDE長官『アダム・カドモン』へと飛び込み、力として内包されるのを猟兵達は見ただろう。
 そして、『スカルモルド』と呼ばれた機体が爆散する。
 機密保持のためか、元より仕掛けられていたのかはわからない。
 だが、駆体は散々に破壊され、コクピットブロックもどのようになっているのか判別もできない。
 それでも猟兵達は未開地『此処』を守り切ることができたのだ。

 保護されていた『此処』の住人『メリサ』と呼ばれる全てが同じ顔と姿を持つ少年たちは猟兵たちに深く頭を下げた。
「ありがとう。強き人たち。また貴方たちに救われた」
「感謝の言葉だけでは足りないとはわかっている。だから、せめてみんなに歌を」
「食事も用意しよう。お腹が空いては大変だ」
「もしよければ、聞いていって欲しい」
 彼らは口々に同じ顔、同じ声で、そう猟兵たちに語りかける。
『アダム・カドモン』に対しても同様だった。

「……確かに彼らの暮らしは質素なもののようだ。しばらく、私は此処で様子を見るために逗留しよう。だが、今はしばしの休息の時。猟兵たちよ、彼らの歓待を受けるのもいいのではないか」
 そう言って『アダム・カドモン』は笑む。
 戦いが終わったことは喜ばしい。
 だが、猟兵達は未だ戦いの気配があることを知っている。
 ここはクロムキャバリア。
 一時の平穏の後に訪れるのは、いつだって争いなのだから。
 ならば、その時が訪れるまで、出来うる限りのことをしなければならない――。
ウィル・グラマン
にひひ、良いって事さ
当然の事をしたまでだもんな

それにしても長官には驚いたぜ
キャバリアの操縦が得意って聞いてたのに、まさかそのまま戦った上にぶっ壊したオブリビオンマシンの力まで取り込みやがったなもんな
まるでGIGA MANのゲームみてぇだし、オレのベアもそうできたらなぁ…お、始まったようだな

…にしても、本当に顔だけじゃなくて声も身振り手振りも同じだな
オレも元はクロムキャバリア生まれのレプリカントだったみてぇだし、あんな感じに居るって考えると…何か微妙だな

そういや長官はまだここに滞在するんだろ?
元居た世界の情勢が気になるかもしんねぇけど、オレ達が守ってやっから大船に乗った積もりで居てくれよな!



 感謝の言葉というものは、いつ聞いても良いものだとウィル・グラマン(電脳モンスターテイマー・f30811)は思っただろう。
 ありがとう。
 たったその一言で激しくも厳しい戦いの疲れが吹き飛ぶようだった。
「本当にありがとう」
『メリサ』と呼ばれる亜麻色の髪の少年たちが頭を下げるのをウィルは、いいってと手で制した。
「にひひ、良いってことさ。当然のことをしたまでだもんな」
「それでもありがとうと僕……俺たちは伝えたい」
「お前たちが無事でよかったよ」
 それだけで充分だとウィルは頷いた。

「ああ、私も安心している」
 その背後で特務機関DIVIDE長官『アダム・カドモン』も同意を示すようだった。
「それにしても長官には驚いたぜ。キャバリアの操縦が得意って聞いてたのに、まさかそのまま戦った上にぶっ壊したオブリビオンマシンの力まで取り込みやがったもんな。一体どういう理屈なんだ?」
 ウィルは彼に振り返って尋ねる。
「私にもわからない。だが、力が内包されて溜め込まれているのを感じる。これは一度や二度ではないが、恐らく帰還のために必要なエネルギー、のようなものなのだろう」
「はー、なるほどなー。まるでゲームみてぇだな」
 ウィルは『アダム・カドモン』の言葉に頷くしかなかった。
 倒した敵のエネルギーを内包することができる機構のようなものが『アダム・カドモン』には備わっているのかも知れない。

 自分のスーパーロボット『ベアキャット』にも同じような機構があればいいのにな、と思っていると『メリサ』たちが各々の楽器を手にとって演奏を始める。
 それが彼らの感謝の意なのだろう。
 楽器と言っても、廃材であったりを加工したものであった。
 だが、不思議と悪くない。
 手で打ち鳴らし、揺らし、息を吹き込む。
 単純なことなのに、それが旋律となって、未開地に響いていくのだ。

「……にしても、本当に顔だけじゃなくて声も身振り手振りも同じだな」
『メリサ』と呼ばれる少年たちをウィルは見やる。
 彼らレプリカントなのか? いや、どうやらそうではないようだが、しかし、ウィル自身のことを想起させるものであった。
 彼自身、この世界の出身なのだ。
 レプリカント。
 そうであったらしい、ということしか意識にはない。
 もしかしたら、己と同じような姿形をしたものがいるのかもしれない。
 そう考えると、なんだか微妙な気持ちになってしまう。

「そういや、長官はまだ此処に滞在するんだろ?」
「ああ、逗留し、しばし様子を見るつもりだ」
「元いた世界の事は気になるだろ?」
「たしかにそうだ。だが、ケルベロスたちもいる。それに君たち猟兵も。私がいなくとも立派に努めを果たしてくれているだろうし、このような現場を見捨てて戻るなど、彼らに胸を張って帰還を果たすことはできない」
「真面目だなー」
 でも、とウィルは笑う。
 にひひ、といつものように笑いながら、『メリサ』たちの奏でる旋律を背に告げるのだ。
「ま、オレたちが守ってやっから大船に乗ったつもりでいてくれよな!」
「ああ、頼もしいかぎりだ。頼んだぞ、猟兵」
 そう言って『アダム・カドモン』が手を差し伸べる。
 ウィルは一瞬目を見開くが、しかし、すぐに察して差し伸べた手を握りしめる。
 今日という日の共闘が、いつの日かまた得難き縁を繋ぐかもしれない。
 その時まで戦い続ける。
 ウィルは、そう決心し『メリサ』たちの演奏に耳を傾けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
みんな無事か、よかったわ。あの移動要塞は、いつか潰さなきゃ。

アダム・カドモン長官は真面目ねぇ。もう少し肩の力抜いた方がいいよ。
戦場じゃ、そうもいってられないだろうけどさ。

さてと、皆のお礼に返礼しなくちゃね。
「式神使い」で霊符から白描召喚。
白猫の式神を、宴席の真ん中で演奏に合わせて踊らせましょう。
どうかしら? 皆、楽しんでくれてる?

式神を踊らせつつ、あたしは料理やお酒を楽しみましょ。
素朴な味わいね。心が温まる。
それにしても本当にみんな同じ顔かたちをしてるのね。経験共有とか思考同調とか、そういうのもあるの?

帰りの時間が来るまでは、歓待されておくわ。
アダム・カドモン長官も、帰る目処が付けばいいわね。



 戦い終わって息を吐き出す。
 戦火煙る空気は肉体にも心にもよくないものだ。
 だから、息を吐き出す。
 そうすれば、息を吸い込むことができる。簡単なことだ。けれど、その簡単なことがどれだけ尊いことなのかを知るのならば、吐き出した息と共に放たれる言葉は。
「みんな無事か。よかったわ」
 村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は、戦い終えて頷く。
 しかし、派手にやったものである。
 地表を砕き、オブリビオンマシンを破壊しつくした。
 小国家『プラナスリー』は、本土そのものたる巨竜型超巨大要塞『ベヘモット』と共に後退している。

 あの移動要塞を如何にかしなければ、『プラナスリー』の暗躍は終わらないだろう。
 いつか潰さなければならないと、ゆかりは思いながら、しかしの決定打がいつ訪れるのかを想像して暗澹たる気持ちにもなろうというものであった。
「猟兵、助力感謝する」
「『アダム・カドモン』長官は真面目ねぇ。もう少し肩の力を抜いた方がいいよ」
 特務機関DIVIDE長官『アダム・カドモン』の言葉にゆかりは肩をすくめて見せた。
 彼は元の世界に返る方法を探るよりも、この戦乱に満ちた世界を如何にかしたいと願う者だった。そういう者だからこそ、人々は彼についていくのだろう。
「戦場じゃ、そうもいっていられないだろうけれどさ」
「戦いの場というのは常にそういうものだ。だからこそ、助けを求める者たちの声を聴き逃してはならない。救われなかった者たちは、救われた者たちに怨嗟を向ける。そうなっては、我々の働きも無意味なものになってしまう」
「そういうところよ」
 だから肩の力を抜けばいいのにとゆかりは嘆息する。

「彼らのように単純でいいんじゃないかしら」
 ゆかりの視線の先には同じ顔をした亜麻色の髪の少年たち『メリサ』たちの姿がある。
 彼らは皆一様に猟兵から教わった音楽を奏でている。
 何かしてもらったからお礼をする。
 単純なことだ。
 ありがとうと伝わる言葉だけで人の心は繋がっていく。
「そうなのかもしれんな」
「さて、御礼の返礼しなくちゃ」
 ゆかりは猫に似た式神を召喚し、『メリサ』たちの演奏に乗せて踊らせる。
 その姿は可愛らしくも『メリサ』たちの目を引くものだった。
「これは……?」
「猫よ、知らない? とはいっても式神だけれど」
「これがそうなんだね」
「そうそう、音楽は楽しむものだから。御礼だとか考えないで楽しみましょう」
 ゆかりの言葉に『メリサ』たちは頷く。

 古代プラントから生み出された食料も音楽と共に猟兵たちに届けられる。
 彼らにはこうしたことしか御礼ができないと思っているのだろう。
 けれど、それで充分だと思った。
 確かに自分たちは食うには困っていない。けれど、心は常に栄養不足だ。
 だから、誰かに何かをしてほしいと思う。
 何かをしてもらったら嬉しいと思う。
 単純だけれど、それが最も心に染み渡るものであるとも知っているのだ。
「それにしてもみんな本当に同じ顔貌しているのね。経験共有とか思考共有とか、そういうのもあるの?」
「みんな同じなのだから、違うと感じることはないよ。僕……俺達はそうだけれど。あなた達は皆違うから、わからないのかもしれないけれど」
『メリサ』たちの言葉にゆかりは頷く。
 形も違う。
 思うことも違う。
 だから、争いも起きれば、解り合う事もできる。

「『アダム・カドモン』長官も、帰還の目処が立てばいいわね」
「そう願う。その時はきっと遠くはないだろうが」
 そう言って二人は『此処』の穏やかな空気を吸い込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリー・マイヤー
さて、後片付けの時間ですね。
メリサさん達の歌をBGMに、念動力でいろいろと処理します。
掘り返された穴を埋めて整地する。
崩された家屋を掘り起こして物資や貴重品を回収する。
瓦礫や敵機の残骸等の道を塞ぐゴミを撤去する。
そんな感じで、帰るまでにやれることをやっておきましょう。
重い物でも【念動グローブ】を使えばどうとでもなります。
ああ、食べ物はパンとか適当に摘まめるものを頂ければそれでいいです。
私のことは気にせず、楽しんでてください。

まぁ、ちょっとした感傷です。
まるで鋳型に入れて作ったかのように、同じ顔を持つ子供達。
私はそれを、他人事として処理できそうにありません。
端的に言うなら…
ただの自己満足です。



「さて、後片付けの時間ですね」
 エリー・マイヤー(被造物・f29376)は戦火煙るような雪原を見回す。
 亜麻色の髪の少年『メリサ』たちの奏でる音楽とともに、周囲には穏やかな空気が流れ込んできているがエリーは其処に加わる気にはなれなかった。
 彼女の言う通り、戦場の後片付けを行わなければならない。
 破壊されたオブリビオンマシンの残骸は勿論のことであるが、猟兵たちのユーベルコードによって派手に雪原が荒れているのだ。
 雪が積雪すれば全てを覆い隠すだろう。
 だが、砕けたり亀裂の走った大地を雪が覆えば、其処に何があったのかもわからなくなってしまう。
 そうなっては危険な場所になってしまう。
 だから、エリーは己のユーベルコードを瞳に輝かせる。

「それにしても本当に派手にやりましたね」
 小国家『プラナスリー』の襲撃もひどいものだった。
 未開地『此処』は、文明的とは遠い場所だ。
 ともすれば、アポカリプスヘルのような文明の残滓を用いて生活しているようにさえ思える。
 破壊された家屋を掘り起こして物資や貴重品めいたものをエリーは念動グローブ(サイ・グローブ)でつかみ上げて回収していく。
 瓦礫やオブリビオンマシンの残骸などは端に避ければ瓦礫の山となっていく。
「これは一苦労ですね……」
「あの、あなたも休んで?」
 声に振り返れば、そこにいるのは亜麻色の髪の少年『メリサ』の一人だった。
『古代プラント』によって産出された携帯食料をエリーの元に届けに来たのだろう。
「いえ、帰るまでにやれることはやっておこうと思いまして」
「でも、食べなければ」
 生きているのだから、と『メリサ』の一人は言う。

 エリーはその言葉に頷いて携帯食料を一つつまみ上げる。
「私はこれで充分です。私のことは気にせず、楽しんでてください」
「でも」
「あなたたちが無事でいつもどおりにしていることで充分だと思う者もいる、ということです」
 それ以上は、とエリーは頭を振る。
 その瞳に何を見たのかはわからない。
 けれど、『メリサ』は頷いて音楽を奏でる『メリサ』たちのもとに駆けていく。その姿を見送ってエリーはもう一度息を吐き出す。

 これはきっと感傷なのだろうと思う。
 亜麻色の髪の少年『メリサ』たち。
 彼らはこの『此処』と呼ばれる未開地に取り残されたものたちなのだろう。
 鋳型に入れて作った蚊のように同じ顔を持つ子供たち。
 その姿にフラスコチャイルドであるエリーは感じるところがあったのだ。
 彼らは確かに他人だ。
 関係も何も無い。
 けれど、他人事として処理できるかと言われた、エリーはできない。
 その生まれも、目的も、何もかもが違うのかも知れない。
「……同じ顔の子供たち」
 彼らの道行きに幸があればいい。
 誰かの幸いを願うなんておこがましいのかもしれない。けれど、そう思うのだ。
 そして、そのことを誰かに問われたのならばエリーはこう応えるだろう。
「ただの自己満足です」
 そう、いつもの表情で端的に――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
UCとフローリアを出して後始末と…杞憂だと思うけど、周囲の警戒をするわ。
最も、援軍を送る気なら遅いし、そもそも…機体もパイロットも回収する気もないみたいだから、「一応」だけど。

別に礼はいいわ、こっちが勝手にやった事よ
(と言いつつ無下にはできない)
それだとそっちの気が済まないというなら、勝手にすればいいわ。
……拒否はしないから。

(あの|機体《キャバリア》は……いない、か。
|金属細胞《EP-Xドラクティス》を持つ、私もドラグレクスも知らない「鋼竜殲騎」……。あの反応からすると、機界新生を使った量産型のレーギャルンやカルハリアスよりも、アルカレクスに近い存在みたいだけれど……、あれは、一体……)



 戦い終わってなお、アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は周囲を警戒していた。
 小国家『プラナスリー』は油断ならぬ存在である。
 どこに此方の戦いの経過を観察しているものがあるかわからない。
 だからこそ、アルカはユーベルコードによって観測用自律機械ARC-05 フェルム・アニマリア(フェルム・アニマリア)を召喚し、周囲を警戒していた。
「尤も、援軍を送る気なら遅いし、そもそも……機体もパイロットも回収する気もないようね」
 オブリビオンマシンが破壊されても、パイロットは残っている。
 けれど『プラナスリー』は人的資源すらも使い潰すようにして他国を侵略している。
 時に今回のように大雑把に。時に潜り込むように巧妙に。
 そういう神出鬼没なる行動ができるところが『プラナスリー』の恐ろしいところであった。
「一応、だったけれど、杞憂に終わってよかったわ」
「ありがとう。気にかけてくれて」
 アルカのそばに『メリサ』と呼ばれる亜麻色の髪の少年たちが御礼のつもりなのだおる、『古代プラント』から産出された携帯食料を持ってきている。
 アルカに礼のつもりで渡しに来ていたのだ。
「別に礼はいいわ。こっちが勝手にやったことよ」
「でも……」
 受け取ってほしい、と言うのだろう。

 ぐ、とアルカは思わず呻くようだった。
 無下にできない。
 いらない、とは言いつつも、そのような顔で見上げられて無下にできようはずもない情というものが彼女にもあるのだ。
「気がすまない?」
「多分、そういうものだと思う」
「なら、勝手にすればいいわ……拒否はしないから」
「よかった! それじゃあ、これも持っていってね!」
 表情が明るくなった『メリサ』たちにあれもこれもと押し付けられてアルカは携帯食料の山に埋まるようだった。

「拒否はしないとは言ったけど……これはやり過ぎでしょう」
 まったく、とアルカは山の中で息を吐き出す。
 観測用自律機械からの情報を受け取りながら、アルカは共に戦った機体……竜騎の姿が見えないことに気がつく。
 あれは不思議な体験だった。
 初めて見た機体。
 連携など取れるはずもない。
 なのに、自然と体が動いていた。

 金属細胞。
 思い当たるのならば、その筋だろうか。だが、自分も『ドラグレクス』も知らぬ『鋼竜殲騎』。
 あの反応から見ても、己のユーベルコードによって変性した量産型『レーギャルン』や『カルハリアス』とも違う。
 どちらかと言えば、『アルカレクス』に近い存在に思えたのだ。
 いや、だからなのか?
 だから己と連携が取れたのか。
 だが、あれは連携というにはあまりにも。
「あれは……一体」
 思考は巡る。どこまでも続く迷路のような思考。
 答えはでない。だが、それでもいつの日か戦い続ければ巡り合うこともあるのだろう。
 何故なら。
「オブリビオンマシンは敵だから」
 その一点のみにて、あの竜騎は共に戦う存在なのだと理解できるのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イリス・ホワイトラトリア
黒い機体のパイロットがソフィア殿下の名前を呼んでいたように聞こえたんですけど、あの機体はやっぱりベヘモスコーストの時の機体だったんでしょうか?
殿下は考え込んでいるみたいですし…

敵はいなくなりましたし、アダム・カドモン様もいらっしゃられるので、もう大丈夫そうですね
わたしは皆様の手当てをします
ベヒーモス様には水や食料も積んでありますので、こちらもお分けしましょう
怪我は聖癒の光輝で治療します
とはいっても傷を癒やすだけですので、怪我が酷い人はちゃんとお医者様に診てもらってくださいね?

戦ってる最中は夢中で気付かなかったんですけど、ここの人々は皆そっくりなんですね
ご兄弟というわけじゃなさそうですけど…



 黒いオブリビオンマシン。
『黒騎士』と呼称されている機体。
 脅威なる性能を発揮し、幾度となく『エルネイジェ王国』の境界線を侵害してきた存在である。
 イリス・ホワイトラトリア(白き祈りの治癒神官・f42563)も、その存在を認識していた。
『ベヘモスコート』にて彼女が相対した時、『黒騎士』は恐るべき敵であった。
 今回もそれは変わらない。
 けれど、倒したのだ。それは彼女の自信になったことだろう。
 自分でも皇女殿下の役に立つことができたのだ、と。
「でも……あのパイロット……ソフィア殿下の名前を呼んでいたように聞こえました」
『ベヘモスコート』の際には、あんなことはなかった。
 あの時の機体とは違うのか?
 そう、問いただしたい気持ちもあれど、しかし皇女殿下は何か考え込んでいるようだった。

 彼女が何も言わないのならば、自分からおいそれ問うことはできないだろう。
「すまない。此方で救護を行っていると聞いたのだが」
 その言葉に振り返れば、そこにたのは特務機関DIVIDE長官『アダム・カドモン』であった。
 彼はイリスが『ベヒーモス』にて保護した『プラナスリー』のパイロットたちを訪ねてきていたのだ。
 戦いにて負傷したパイロットたちをイリスはユーベルコードで治療しているのだ。
「あ、は、はい。此方で治療を行ってから、未開地より離れた遠方で開放することになっております」
「何か侵略国の情報を持っているのでは?」
「オブリビオンマシンの狂気に当てられていただけなので……それに、あの小国家の本土は『ベヘモット』そのものなのです。移動し続ける本土の場所を彼らが知っているとは」
 思えない。
 元より『プラナスリー』は物的だけではなく人的資源も使い潰すようにして他国に戦火を広げる小国家である。

「そうか……その慈悲の心に感謝を。彼らもオブリビオンマシンの狂気がなくなれば、生きる人々だ。彼らをどこか生活圏まで送り届けるのは私が行おう」
「はい。治療を終えたのなら、お願いいたします」
 イリスの言葉に『アダム・カドモン』が頷くと亜麻色の髪の少年たちがイリスの元にやってくる。
「なら、携帯食料を。僕……俺達にできることはこれくらいだけれど」
「ありがとうございます」
 イリスは微笑んで『メリサ』たちに礼を告げる。
 そこで気がつく。
 戦いの中では夢中で気が付かなかったが、彼らの容姿は皆そっくりなのだ。
「あの、御兄弟、なのですか?」
 そう思うのも無理なからぬことだった。
 だが、そうではない。
「僕……俺たちはみんな一緒なんだ。誰も彼もが。だから、兄弟、というのは不適切だと思う」
「そ、そうなんですね……」
 兄弟、という言葉にイリスは過去を思い出す。

 古傷のような痛みが胸に走るかもしれない。
 父も、母も。姉も。
 己の前で死んだ。兄も死んだのだという。その事実を思い出して、顔が歪むのを『メリサ』は見上げ、携帯食料をイリスに手渡す。
「元気出して」
「はい……」
 その言葉だけで充分だとイリスは気丈に微笑んで、負傷者たちを聖癒の光輝(セイントヒール)で癒やし続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソフィア・エルネイジェ
あの目、あの髪、そして直接槍を交えた時に一層鮮明に感じた獣の如き重圧
まるで…
しかしあり得ないことです
父とはロータス工業地帯での一件から顔を合わせていませんが、現在もエルネイジェ領内で軍務に当たっているはず
自由気ままが過ぎれども、国を脱してプラナスリーに与するようなことは突飛が過ぎます
それにコクピットハッチの向こうに垣間見た眼差しは、父のそれと比較して若いように思えました
兄弟の有無についての話しは聞き覚えがありませんが…他人と断ずるには似すぎていたようにも思えます
それに、私を待っていたと確かに言っていた
加えて最後のあの言葉は…幼い頃、父から聞かされた母の話しと同じ…
ですがそれを尋ねる相手はもう…



 巨竜型キャバリアの側にて待機モードに入った『インドラ』のアンダーフレーム、その獣脚の元にて、ソフィア・エルネイジェ(聖竜皇女・f40112)は一人思い返していた。
 戦いの感触がまだ掌に残っている。
 激しくも厳しい戦いだった。
 己一人が、あの『スカルモルド』と対峙していた場合、果たして勝利を収める事ができただろうか。
 他の猟兵達、そして『ベヒーモス』の援護がなければ、恐らく敗北を喫していたのは己であるとソフィアは自覚していた。
 肩をかき抱く。

 あの目、あの髪、そして、交えた槍。
 一層鮮明に思い出すことのできる獣如き重圧。
「まるで……」
 しかし、あり得ないことである。
 あれは。彼女が感じた敵パイロットからの重圧は、父である『グレイグ・エルネイジェ』そのものであった。
 だが、それはあり得ない。
 強く思う。父は特務機関DIVIDE長官『アダム・カドモン』も関与していた戦いの一件から顔を合わせていない。
 今現在も『エルネイジェ王国』での軍務に当たっている。
 そのはずだ。

 なのに、それと同じ重圧を敵パイロットからソフィアは感じていたのだ。
 確かに『グレイグ・エルネイジェ』は自由気ままに戦場を求める。だが、国内から他国……それも『プラナスリー』に与する、というのはあまりにも突飛がすぎる。
 それに、とソフィアはあの赤い瞳の眼差しを思い出して胸の奥がざわめくのを感じた。
 猟兵の一撃で引き裂かれたコクピットハッチ。
 もしも、あの傷がなければ自分は気づくことはなかっただろうか?
 いや、例え目視できなくても自分は感じていたのではないか。
 同じ髪の色、同じ瞳の色。
 どうしても父親と比較してしまう。
「父上より、年若い……もしや」
 兄弟。
 浮上する可能性を捨てる。
 それはない。

 もとより父は身一つで武功を立てて母と共になった男である。
 親兄弟、親類縁者はいないと言っていた。
「それでも他人と断じるにはにすぎているようにも……それに」
 そう、それに、とソフィアは、あの獣如き双眸、視線を思い出す。
 あれは己を求めていた。
 敵としてか、それとも。
「私を待っていたと確かに言っていました」
 加えるのならば、最期の言葉。
 幼き頃に寝物語に聞いた、父と母の馴れ初め。
 同じ言葉。

 だが、問いただしたいと思っても、その相手はいない。
『インドラ』の顎の一撃によって『スカルモルド』は爆散した。手心を加えられる相手ではなかったことは承知の上である。
 それほどの敵だったのだ。
「あなたの名前も私は知らない」
 もしも。もしも、あの爆発の中でも生きているのならば。
 次があるのか。
 この出会いは、まだ運命と呼ぶには遠く。されど、偶然と呼ぶにはあまりにも――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
いい演奏ね『クレセント』
やさしい気持ちが伝わって
私の心も明るくなるような気がするわ

彼らの顔をつい見つめてしまうかもしれない
『メリサ』、あなた達は
ハロウィンの時に会った彼を思い出させる
反抗期のような兎の子
別世界の人だけど、彼も『メリサ』だったのかしら

亜麻色の髪と黒い瞳は『フェンフ』もそうだった
前回は無差別に人を攫おうとしているのだと思ったけれど
同じ特徴を持つ人物を『プラナスリー』は狙っている……?
『サツキ』は……大丈夫、かしら
いえ、今は心配しても仕方ないわね



 未開地『此処』には穏やかな空気が流れている。
 戦火の匂いは、奏でられる旋律に押しやられるようにして薄まっていくような気がした。
 少なくとも、亜麻色の髪の少年たち『メリサ』たちの演奏を聞いて薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は、そう思ったのだ。
「いい演奏ね『クレセント』」
 そう告げて静漓は傍らに鎮座する白銀のキャバリア『セラフィム・クレセント』を見上げる。
 物言わぬ鋼鉄の巨人である。
 だが、そのアイセンサーがかすかに煌めいたようにも静漓には思えてならなかった。
「やさしい気持ちが伝わって、私の心も明るくなるような気がするわ」
 それは気の所為ではないのだと静漓は思った。
 響く旋律には、心を勇ましくするものもあれば、穏やかにさせるものもある。
 音楽、と書くのだと知っている。
 音を楽しむことは、人の原始たる感情に訴えるものがあるのかもしれない。

 ならば未開地『此処』で暮らす『メリサ』たちも同様なのかもしれない。
 彼らの奏でる音は穏やかであるが、楽器と呼ぶにはあまりにもお粗末なものだった。けれど、それでも良い、と思えるのが不思議だった。
「……『メリサ』、あなた達は」
「僕……俺達がどうかしたの?」
 つい、彼らの顔を見つめてしまう。
 面影がある、と静漓は思った。
 あのハロウィンの夜に出会った彼――亜麻色の髪の青年を想起させる。
 彼らがもし、成長したのならば、きっと彼と同じような顔姿になるのではないかと思ったのだ。
 静漓は心のなかで呟いて、頭を振る。
 もしかしたら、彼の名も『メリサ』だったのかもしれない。
 他世界を知る猟兵ならではの邂逅でもあったのだろう。

「いいえ。知っている子に似ていたの」
「それはもしかしたら、『此処』からでていった『彼』なのかもしれない。『彼』はどんな様子だった?」
「反抗期のような兎の子」
「……?」
『メリサ』にはよくわからないようだった。
 けれど、それが静漓にとっての印象だったのだ。

 そして、亜麻色の髪と黒い瞳。
 それは『フュンフ』もそうだった。
 小国家『グリプ5』にいた少年。前回は無差別に、と思っていたが、今回のことも合わせると『プラナスリー』は同じ特徴を持つ人物を狙っているのかも知れない。
 ならば、と静漓はもう一人の亜麻色の髪の青年を思い出す。
 他世界で出会い、また別の世界にて再び出会った人物。
『サツキ』……『サツキ・ラーズグリーズ』。
 彼はしあわせなゆめの中で、少年の心のまま泣いていた。
 彼の出身世界がクロムキャバリアであったのならば、この戦乱の中で幼き頃に泣き続けていたのかもしれない。

 そう思えば静漓は胸が締め付けられるように思えたかもしれない。
「『サツキ』は……大丈夫、かしら」
 彼にとってのしあわせなゆめはもう醒めたのだ。
「いえ、今は心配しても仕方ないわね」
 静漓は『セラフィム・クレセント』を見上げ、寄り添うように『メリサ』たちの奏でる旋律にて、同じ亜麻色の髪を持つ青年のことを思うのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

このシチュエーション。
これはわたしのための大いなる舞台ということですね!

解りました!解りすぎました!
I! under!stood!

わたしはやりますよ。
この地にひとときの癒やしを吹き荒れさせて見せましょう!
(バイオリンちゃきっ)

あ、ステラさん。わたしこれから演奏で忙しいですけど、
いっぱいるからって『メリサ』さんお持ち帰りはダメですよ?

ステラさんもしっかり聴いて……なにするんですかー!?
弓、弓返してください!それないと弾けないですから!

……むう、ならいいです。
バイオリンがダメならピアnいたいです!?

なんでダメなんですか!
『戦場の音楽隊』なんて、ズバリわたしのことじゃないですかー!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
いつの間にかノイン様も撤退……毎度ながら見事ですね
それにしてもあのパイロット
黒髪に赤い瞳……どこかで見た気がするのですが……ええい記憶が怪しい
ですがまずはルクス様を止めないと(取り上げ
ふっ、身長では私の方が高いのです諦めなさい

さて、いい機会です
タイプ『メリサ』について聞いておきましょう
まぁ、メリサ様の言葉、『蜂だからな、群れるさ』からすると……
『此処』に居る全員でひとつの存在
エイル様因子を絡めるならば……フュンフ・エイル様の再現、でしょうか
ひとつで間に合わないなら、間に合う数で並列処理をするといった
ええ、私は『はぐれ蜂』の番ですので
これくらいは!
というかルクス様ステイ!(すぱーん)



「いつの間にか撤退していたようですね、『ベヘモット』は」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)はオブリビオンマシンとの戦いを終え、小国家『プラナ』の本土とも言うべき巨竜型超巨大要塞がすでに捕捉できぬ距離にまで後退していることを知る。
「毎度ながら見事ですね」
 敵ながら、とステラは息を吐き出す。
 戦いを終えて、彼女は思い返す。漸くにして、というのが正しいのかも知れない。
 彼女たちが交戦したオブリビオンマシン『スカルモルド』を駆るパイロットの技量は恐るべきものであった。
 無数の猟兵達を相手取ってなお、損壊は最期まで最小限に抑えられていた。
 まるで野生動物が直感のみを頼りに生きているかのようであり、またそれだけの能力があるのだと示すような戦いぶりでもあったのだ。

「黒髪に赤い瞳……」
 どこかで見たような、とも思わないでもなかったが、記憶が怪しい。
 そもそも初見であったのかもしれない。
 だが、ステラはそれどころではないことに気がつく。
 この未開地『此処』にて亜麻色の髪の少年たち『メリサ』は助けてくれた猟兵と特務機関DIVIDE長官『アダム・カドモン』に謝意を示すように演奏を始めたのだ。
 とは言っても、楽器がというにはお粗末な……それこそ残骸などを加工したり、掌で打ち鳴らしたりするだけのものであった。
 だが、それでも演奏は演奏である。
 演奏と言えば?

「そう、このわたし! これはわたしのための大いなる舞台ということですね! 解りました! 解りすぎました! I! Under!stood!」
 無駄に気合の入ったルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)である。
 いや、演奏と言えば? というのは語弊がある。
 だが、ルクスの熱意は燃え上がるようであった。
「わたしはやりますよ。この場にひとときの癒しを吹き荒れさせてみせましょう!」
 吹き荒れさせてどうすんの、と思わないでもない。
「あ、ステラさん。わたしこれから演奏で忙しいですけど、いっぱいいるからって『メリサ』さんお持ち帰りはダメですよ?」
 いやむしろ、とルクスは胸を張る。
「ステラさんもしっかり聴いて……」
「いいえ、まずはルクス様を止めます」
 さとステラはルクスからヴァイオリンの弓を取り上げる。

「あっ! なにするんですかー!? 弓、弓返してください!」
「お断りいたします」
「なんでですか! それないと弾けないんですから!」
「承知しております。ですから、取り上げております!」
 ぴょんこぴょんことルクスはステラの掲げた弓を取り返そうと飛び跳ねる。だが、手が届かない。
 身長差というのは残酷なものである。
「ふっ、身長では私の方が高いのです。諦めなさい」
「むぅ……」
 ステラの言葉にルクスは思わず唸る。

 そんなルクスをよそにステラは『メリサ』の一人に尋ねる。
 良い機会だと思ったのだろう。
「タイプ『メリサ』という単語について何かご存知ですか?」
「僕……俺たちのことを示している単語だと思う」
「なるほど」
 まあ、と予測はできていた。
『メリサ』……ステラが正妻と言い張って止まぬ者の言葉を借りるのならば『蜂だからな、群れるさ』というところからして、『此処』にいる全ての『メリサ』のことを示すことあだということは用意に想像ができる。
 もし、『エイル因子』と絡めるのならば、彼らを求める理由は『フュンフ・エイル』の再現なのか。
 だが、彼らが『フュンフ・エイル』のクローンである、というのならば、今更ではないのかと思わないこともない。

 もし、彼らが一人で足りぬのならば、間に合う数で並列処理をおこなうとか……とステラは考える。
 だが、そんな彼女の思考を断ち切る声が聞こえる。
「バイオリンがダメなら、ピアノ……痛いです!?」
 スリッパがルクスの頭を一閃する。
「ルクス様ステイ!」
「なんでダメなんですか!『戦場の音楽隊』なんてズバリわたしのことじゃないですかー!」
「演奏したいなら、一緒にやろう」
「駄目です。『メリサ』様」
「いいから」
 そう言ってルクスの手を引いて『メリサ』たちは、わーっと駆け出していく。
 ルクスにとっては楽器でもなんでもない、ただオブリビオンマシンの残骸の装甲を掌で叩くだけのものであったが、しかし、それでも楽しげな雰囲気は、ルクスの心を癒やし、また叩かれた頭の痛みを忘れさせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルマ・フィーリア
(戦場から少し離れた位置で目を覚まします。
ドラグリヴァーレはいったん姿を消しています)

……う……?
あれ……ボクは一体……
っ!あの人たちは無事!?……よかった。
お礼はいいですよ!これも騎士道にの……えーと「のっとった」行為だから!でも、そこまでしてくれてるのに、お礼をむげに断るのもよくないよね……じゃ、じゃあ、ありがたく……
ところで…えーと……みなさん兄弟…なんですか?
(おとなしく歓待を受けます)

……
……あの時ボクの奥底から浮かんできた、「おぶりびおんましん」に対する騎士らしからぬ「敵意」と、それと同時に聞こえてきた誰かの声。
「あるか」だっけ……知らない筈なのに、どこか、懐かしいような……



「……う……?」
 呻くようにしてアルマ・フィーリア(鋼竜石の妖精・f44795)は覚醒する。
 戦場から離れた位置。
 敵機の存在は感知されず、されどアルマは目を見開く。
 確かオブリビオンマシンと戦っていたはずだ。
「あれ……ボクは一体……」
 周囲を見回す。
 けれど、敵の存在は感知されず、されど雪原ばかりが広がっている。
 確か、未開地『此処』を巡る戦いに参じていたはずだ。
 戦いはどうなったのだと、周囲から伝わる精霊力によって状況を察知する。

「……あの人達は無事!? ……よかった」
 響く旋律。
 それは亜麻色の髪の少年たちが奏でているようだ。
 他の猟兵たちもいる。ならば、戦いには勝利したのだろう。よかった、と本当に胸を撫で下ろす。
 だが、どうして自分は此処に一人いるのだろうか。
『ドラグリヴァーレ』の姿がない。
 途方にくれていると『メリサ』の一人がアルマに気がついて駆け寄ってくる。
「君も戦ってくれた人だよね。ぜひとも御礼がしたい」
「えっ、御礼はいいですよ! これも騎士道にの……えーと『のっとった』行為だから!」
「でも、御礼はしたい」
「だから御礼はいいって……」
 押し問答である。
 どうしても御礼のしたい『メリサ』に、遠慮してしまうアルマ。
 綱引きみたいなやり取りをしたあと、アルマは『メリサ』の熱心な言葉に無下に断ることもできなくなってしまう。

 バハムートキャバリアに生きる者だからかもしれないが、どうしたって情というものが湧いてくるのだ。
「じゃ、じゃあ……ありがたく……」
「よかった。こんなものしかないけれど、受け取って」
 そう言って渡されるのは携帯食料だった。
 それも尋常な数ではない。次から次に『メリサ』たちが運んでくるものだから、アルマは携帯食料の山に埋まってしまう。
「いくらなんでも多すぎでしょ……」
「これくらい感謝してるってこと」
「いや、そうなのかもだけど……ところで、えーと……皆さん兄弟……なんですか?」
「違う。兄弟、という認識はないけれど、みんな同じだから」
「みんな同じ?」
「そう、同じ。違いはない」
 その言葉にアルマは違和感を覚える。

 そう、あの時、戦いのときに自分の胸に湧いたのも同じような思いだったのかも知れない。
 オブリビオンマシンに対する騎士らしからぬ敵意。
 そして、聞こえてきた誰かの声。
「あるか」
 そう呟いて、それが誰かのかも解らずにアルマは首を傾げる。
 どこか懐かしいと思えるのに、それでも思い出せない誰かの名前。名前だと認識できているのだから、きっと知っている誰かのことだとは思うのだけれど。
 それでも思い出せない。
「誰なんだろう」
 携帯食料の山に埋もれながら、アルマは小さくつぶやき空を見上げ、響く旋律に耳を傾けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
神機
おい彼奴普通にくたばるとかありえねーだろうが

という訳で爆散したスカルモルドの残骸を調査
乗ってたわんわん野郎の痕跡を探すぞ

簡単にぽっくり逝けると思ったら大間違いだ馬鹿野郎
ぜっちゃんと蘇生を行うぞ
蘇生が成功したらその素性諸々根こそぎ尋問で吐かせてやる

後はメリサ達について…歌も素直に聞く
此奴らの歌も何か意味がある気がするからな

詩を聞き終えた後はメリサ達について詳しく聞くぞ
その素性
どのような存在なのか
何故狙われたのか心当たりがあるか

何より素性について細かく聞くぞ
何せ…あの色々気取り屋のメリサと同じ名前だ
無関係とかありえねーからな

なので彼らの歴史について細々と聞かせて貰うぞ
この村の経緯と共にな


皇・絶華
神機
神機の主発動中
何という事だ…奴は瀕死なのか?
「いやどう考えても殺られたっぽいですが」
奴は少し弟を思い出す
よしカシム
私も彼を助けるのを手伝おう
なので爆散したスカルモルドを調べるぞ
その上でコックピットらしき残骸が無いかを調べるぞ
例え死んだとしても肉片のひと欠片さえあれば我がぜっちゃんチョコで救って見せる!
「わ、わぁ…」
「あ、朕は助けられたメリサとかいう美少年達を愛でに往くぞぉおおお!!」(ばびゅーん

我がぜっちゃんチョコは細胞の日と欠片からでも再生できる!なら彼に命の素晴らしさを伝えよう!
という訳でチョコドリンクで再生試み

後は兄弟姉妹についているのか聞いてみよう

この後はメリサ達について聞いてみる



「なんということだ……」
「おい、彼奴、普通にくたばるとかありえねーだろうが!」
 爆散した『スカルモルド』の最期を認め、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)と皇・絶華(影月・f40792)は目見開く。
 最後の一撃。
 それで、あのような爆発が起こるはずもない。 
 ということは、はじめから機体の損壊がある程度越えると機密保持のために爆散するように仕向けられていたとしか考えられない。
「いやどう考えても殺られたっぽいですが」
『サートゥルヌス』の言葉に絶華は頷く。
 あの『スカルモルド』のパイロットは少しではあるが、弟のことを思い出してしまう。

「よし、カシム。彼を助けるために手伝わせてもらおう」
「おうよ。つーわけだ、いくぞ」
 カシムはそう言って絶華と共に爆散した『スカルモルド』の残骸の元へと走る。
「簡単にぽっくり逝けると思ったら大間違いだ馬鹿野郎。ぜっちゃん、蘇生の準備よろしくな!」
「ああ、任せておけ。我がぜっちゃんチョコは細胞の一欠片からでも再生できる! なら彼に生命の素晴らしさを伝えようではないか!」
 そう言って絶華はチョコドリンクを手にしている。
 狂気じみた高濃度カカオ汁でしかないが、チョコドリンクと言い張る気概は認めるところであおる。

 しかし、二人が見たのは無惨にも破壊され尽くした機体の残骸ばかりであった。
 損壊が激しすぎる。
 だが、コクピットブロックはずたずたにされながらも、内部の状況が見える。
 黒焦げの遺体があるのだとしても、カシムと絶華は蘇生する気満々であった。
 むしろ、蘇生して情報を引き出そうとさえ思っていたのだ。
 だが、彼らの行動に反して、その焼け焦げたコクピットブロックには遺骸がなかった。
 まさか、爆発でパイロットが霧散したのか?
「いや、それは考えがたいな」
「つーことは」
「ああ、パイロットの彼は恐らく、脱出している。無事、と喜んでいいのかはわからないが」
「彼奴が生きてるっていうのなら、素性もろとも根こそぎ尋問で吐かせてやるつもりだったんだが」
 逃げられているというのが正しいだろう。
 行方を走査仕様にも、痕跡がない。
 爆発の衝撃で、それすらも吹き飛んでいるのだろう。
 加えて言えば、あれだけのパイロットなのだ。こちらの追跡をも振り切るだろう。
 であれば、二人は息を吐き出す。

「骨折り損、ということだ」
「仕方ない。これはさっちゃんに飲んでもらおう!」
「わ、わぁ……」
 泣いちゃった。
「ま、それはともかくとして」
「朕は助けられた『メリサ』とかいう美少年達を愛でに往くぞぉおおお!!」
 もうしっちゃかめっちゃかである。

 そんな彼らの珍道中と亜麻色の髪の少年たち『メリサ』たちの演奏は続いている。
 彼らの演奏はどれもが原始的なものだった。
 手を叩く、打ち据える、そんなものであり、演奏と呼ぶにはまだまだであったことだろう。
 だが、カシムは彼らの素性が気になっていた。
「おめーら、なんで狙われたのかくらいはわかるのか?」
「わからない。僕……俺達はみんな同じだから」
「名前もか?」
「そうだよ。みんな同じ。なら、名前も同じ」
『メリサ』――その名前にカシムは心当たりがあった。
 サイバーザナドゥという世界に存在する気取った亜麻色の髪の青年。
 あながち無関係とは思えない。

 なら、この村の経緯を、と思ったが彼らは歴史、というほどに積み重ねたものがあるわけではなかった。
「目覚めたときから『此処』から移動したことはない。ずっと此処でみんなと暮らしていただけ」
「それだけか?」
「そう。食べるものはプラントが出してくれる。不自由もない」
 だから、と『此処』で穏やかに暮らしているのだと彼らは言う。
 だが、なら何故とカシムと絶華は思う。
 彼らが狙われなければならないのか。
 その理由さえも定かではないままに、演奏は続いていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
『此処』を襲った全ての敵を壊さんと【闘争心】は燃え続けている。
|ただ只管に敵を壊す為狂化している小枝子はメリサ達と接触する事を拒否。《今の自分がメリサ達と接触して、彼らに悪影響を及ぼしたくはない》

戦場に残り、黒輪光より霊物質生成【継戦能力】
『悪騎兵』によりディスポーザブルから『禍戦・恐喜歩』を継続発動。
『眼倍』再稼働。加えて自身から『久遠害征』発動。
クレイシザーの敵パイロット達を戦塵髪で捕えつつ、
強化した眼倍で更なる脅威が潜んでいないか、敵『ベヘモット』が完全に離脱したのかを探知。
更に発現した過去視で探知範囲内でのベヘモットの移動経路を確認、追跡は可能か?

可能ならば、敵パイロットを捕らえてある戦塵髪を切り離し追跡開始。
高めに高めた断叫からの灼熱光で『天空の螺旋階段』を、
戦闘能力を壊し、航行能力を削ぐ。

不可能なら、先の戦いで得た情報も含め情報を整理する。
敵パイロット共からも情報を吐き出させる。
敵を知る事は戦いを有利にする。
故に、知っている事を全て吐け、自分が貴様らを絞め壊さぬうちに。



 くすぶっている。
 いや、燃え続けているというのが正しいのだろう。
 今まさに鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は、己の闘争心が自身のためではなく、他者のために燃えていることを自覚している。
 消えない。
 己の中にある怒りと憎しみとがないまぜになった感情が消えない。
 雪原にありて『ディスポーザブル』から小枝子は降りる気がしなかった。
 眼下では亜麻色の髪の少年たち『メリサ』が何事か声を上げている。
 わかっている。
 きっと彼らは己にも演奏に加わってほしいのだろう。

 だが、それでも小枝子は彼らを見なかった。
 耳に旋律が届いてなお、その輪の中に己という存在があってはならないと思っていた。
 ただ敵を壊す存在とかしている己が、彼らと接触する事は許されないと自らを縛り上げる。
 己の存在が、己の狂気が、己の闘争心が、彼らに悪影響を及ぼすと思わずにはいられないのだ。
 だからこそ、小枝子は物言わぬ鉄騎と化して雪原を駆け抜ける。
 旋律に背を向ける。
 彼らに背を向ける。
 できれば、己の背中など見ないで欲しい。
 浮かぶ黒輪光によってユーベルコードの光が明滅していく。
 オブリビオンマシン『クレイシザー』のパイロットをコードで捉え、周囲に脅威が残っていないかを走査する。

 痕跡はない。

 だが、あの『ベヘモット』は小国家一つの国土そのもの。
 簡単に離脱できるわけがない。
 それに痕跡が残っているはずだ。であるのならば逃すつもりはない。
 いつまでも戦いの火種を撒き散らすばかりの存在を小枝子は許しておけなかったのだ。
「知っていることを全て吐け」
「し、知らない……何も知らない! 俺達はただ……!」
「ただ、なんだ。言われるがままに攻め入って奪おうとしたのだろう。だったら……」
『クレイシザー』のパイロットを締め上げるコードに力がこもる。
 奪うつもりだったのならば、奪われても仕方がないだろう、と。
 そう告げるように小枝子は『ディスポーザブル』の単眼を揺らめかせて、コードにて捉えたパイロットに近づく。

「ヒッ……!」
「やめとけよ。そいつらに何言っても知らねぇよ」
 その言葉にコードが走る。
 だが、そのコードが声の主を捉えることはなかった。生身でありながら、コードを躱すのは、黒髪の青年だった。
 赤い瞳が『ディスポーザブル』の単眼のアイセンサーと衝突する。
 小枝子は理解する。
 コイツだ、と。
 コイツが『スカルモルド』のパイロットである、と。
「そいつを絞め壊したところで、なんの意味もねぇ。わかってんだろ。テメェは今、ただ苛ついてるだけだ。いつまでも近くにやってこねぇ獲物にじれてるだけだ、そうだろ?」
『スカルモルド』のパイロットらしき青年を前に小枝子は、己がコードが彼を捉えることはないだろうと理解する。

「貴様は」
「名乗るなって言われてはいるが、まあ、いいか。そうじゃあねぇと、いつまでもテメェは追いかけてきそうだ。つーか、あれだ。テメェらみてぇなのを相手にするのに、あの『ノイン』が下手打つわけがねぇ。俺もそいつらもみーんな、あの『ベヘモット』の所在はしらねーよ」
「全て吐け」
「吐き出すもんがねーつってんだよ。だから、無駄だって言ってんだよ。だが、俺を見逃せば、ほころびもできる。『ノイン』にとって人間は全部コマでしかねぇし、消費する程度のもんでしかない。使い潰すのが目的なんだから、そうだろうよ」
「ならば、何故貴様を逃がす理由になる」
「使い潰して使う予定のないもんが戻れば、そりゃ持て余すだろ。そうすりゃ、計画が綿密であればあるほどに予定が狂った時の軌道は、大きく逸れるもんだろうが」
「……」
 小枝子はコードを解き、短く告げる。

「行け。だが、次に姿を現した時は」
「決まってんだろ。殺り合うに。そういう運命だ、俺とテメェは」
 剣呑なる空気が流れ、小枝子は立ち止まる。
 とめどない闘争心は未だ炉心に燻り続けている。だが、それも次なる戦いがあるというのならば。
「そういうわけだ。まあ、せいぜい焦れてろよ、破壊の権化」
「名乗れ」
「話聞いてねぇな」
 まあ、いいか、と『スカルモルド』のパイロットは笑う。
 獰猛な獣のような笑みだった。

「『フュンフツィヒ』……そう呼ばれている――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
え、この地に逗留すんのアダム・カドモン略してアンさん!?
じゃあ…はい、年賀状
どうせ年内はケルディバ帰れないでしょ、出しといてあげる
はい、筆ペン
宛名は手書きの方が心が篭ってるらしいよ、知らんけど
裏は適当に元気にやってますてきな写真撮ってプリントしとくね
これ写真対応のやつだから!
大丈夫、良い感じに加工もしてパリピっぽくしておくから

ほら、現地住民との心温まる交流風景とかも撮っとこう撮っとこう
旅の思い出は多い方が良いし

あ、葉書沢山あるから沢山宛名書いといてね
便りが無いのは元気の印とはいうけど、それも限度があるからね
あちこち配っといたげる
ビデオレター取る?
イエーい、ケルディバの皆さん!とかそんなやつ



●REC
『イエーい、ケルディバの皆さん、みてるー?』
 そんな謎のビデオレターがケルベロスディバイド世界の特務機関DIVIDEに届いたかどうかは定かではないが、しかし、月夜・玲(頂の探究者・f01605)の陽気な声が響く。
 とある湾岸の決戦都市。
 そのモニターには彼女と特務機関DIVIDE長官『アダム・カドモン』の姿が映し出されていた。
 彼は今日に至るまで他世界に転移していた。
 いや、正確に言うなら今も逗留し続けている。
「すまない。こちらの世界に転移したが、この世界では戦乱が満ちている。私は、この世界を捨て置くことができない。いや、救いを求める人々の声を無視して戻ることなどできない。この事は、ケルベロス諸君にも理解できるところであると思うのだ」
 その言葉は真摯なる想いが籠められていた。
 決して、なぞのビデオレター風味の映像に引っ張られて話なんにも頭に入ってこないとかそんなことはないはずだ。多分。

「諸君らに胸を張って再び会うことができるように、私はこの世界の諸国を巡ることにした。しばしの間であるが、諸君らに世界の命運を託すことになる。だが、私は諸君らならばきっとやり遂げることができると信じている。また会うその時まで、人々の為に戦い続けることを期待する」
 その言葉と共に『アダム・カドモン』の声と映像がぷつりと切れるのだった。

「はいおっけー! はいカーッ! みたいな」
「すまないな、猟兵。こんなことを頼んでしまって」
「いーのいーの。年賀状、出すの面倒だもんね……わかる。一発送信で済むならそっちのほうがいいもんね」
 玲は構えていたカメラをおろしてウンウンと頷く。
 彼女は『アダム・カドモン』が暫く、この世界、未開地『此処』に逗留すると聞いて、もう師走なんだけど!? と驚愕した。
 そう、師走。
 年末。
 年末進行。
 新年のご挨拶。
 社会に生きる人間にとって、年末というのはとにかく忙しい。忙殺される。文字通り殺されるくらいの忙しさなのだ。

 そんな中で年賀状作成というのは、本当に面倒なことなのだ。 
 だが、おざなりにしてはおけない。
 そういうものなのだ。
 宛名を書くにしたって手書きが良いとされている。なぜなら、心がこもっているから、らしい。しらんけど! と言って突っぱねることができたのならば、どんなによかっただろう。
 最近では年賀状にも写真を使っておしまい! という力技もできるし、プリンターも充実している。そういう意味では、はるか昔に比べれば楽になったもんだ。
「年賀状もねー。いい感じにパリピっぽく加工すると楽しんだけど。まあ、一応ほら、素材として?」
「必要なことなのか?」
「そりゃそうでしょー。ほら、はい笑って笑って、はいチーズ」
 ぱしゃ、と玲は『アダム・カドモン』と『メリサ』たちをフレームに収めた写真を撮っていく。
 なんていうか手慣れているなぁって思わないでもない。

「旅の思い出は多いほうが良いし。便りがないのは元気の印とは言うけど、それも限度があるからね。ましてや、長官でしょ! 役目でしょ!」
 そう言って玲は素材となる写真を撮りながら頷く。
「ほら、あちこち配っといたげるから。感謝してよね」
「ああ。助かる。しかし……なんだ、この小道具は」
「ぐるぐる瓶底の鼻ヒゲメガネ? いるでしょ! こういう真面目一辺倒な堅物がたまにおちゃらけてる感じのやつ! パリピには必須でしょ! 役目でしょ!」
「そ、そうか……」
 そうなのかーと『メリサ』たちも同じように玲が用意したぐるぐる瓶底の鼻ヒゲメガネをかけて、写真を撮る。
 その様子を見て、玲は満足げに頷き……。

「なんだこれ、意味わかんない写真だな」
 やらせた人がいうんだ、という思いを彼らに与え、まあいいかと素材として得た写真を年賀状印刷してあちこちに配達するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年12月08日


挿絵イラスト