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円もユーカリもないけれど

#獣人戦線 #戦後 #幻朧帝国 #【Q】 #コアラ #オセアニア戦線

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 獣人戦線世界の南半球に位置する大陸———オセアニア大陸丸々一つを領土とする地、オーストラリア。現地時間で50年程前に見つかった金山の開発が主な産業となっている、クロックワーク・ヴィクトリアの支配地域の1つである。
 |本領《イギリス》から来た船にくっついて流入したUDC怪物による被害は多く報告されているものの、他の植民地よりも文化的で余裕のある暮らしが送られているという。
 なぜならクロックワーク・ヴィクトリアの首都があるグレートブリテン島とオーストラリアは地球儀で見ればわかる通り、ほぼ真逆の位置にあるからだ。
 開発が進めば莫大な富を得られる可能性はあるもののここに配属されるということは出世コースから外れたと同義。
 中央で発言権を有している高官がわざわざ口や手を出してくることなんてなく、送られてきた者も総じて死んだ目で目の前に出された書類に流れ作業で判を押すばかりで暴政を振るおうとすることもないため、元来からの原住民族である「コアラ」の一族がだいたいの街でまとめ役となっているという。
「我々の知るコアラは繊維質で毒素が強いユーカリの葉を常食し、それらを消化するのに必要なエネルギーを作り出すために一日の大半を寝て過ごしているのですが、毒のない糧食が広く流通している獣人戦線ではそうする必要がないために他の獣人と同じように生活している方が多いです。昔ながらのユーカリを主とした食生活を続けようという活動をされる団体もありますが、糧食があったからこそクロックワーク・ヴィクトリアの介入が最小限に済んでしまうほどの行政を回せているのもまた事実であります」
 ルウ・アイゼルネ(滑り込む仲介役・f11945)はそう言いながらオーストラリアのガイドブックをぺらぺらとめくり、不意にその手を止める。
「そんなオーストラリアに『幻朧帝国』のエージェントが密入国したという情報が入りました」
 日本列島を支配する、知られざる「幻朧帝」を主君とする邪悪な侵略国家「幻朧帝国」。先の獣人世界大戦では幻朧帝の直属軍令暗殺部隊であるとされる「黯党」が動いただけで、その全容は未だ明らかになっていない。
「現在我々は世界各地に潜入していたエージェントが暴れる前に見つけ出してはタコ殴りにしていますが幻朧帝国に直接繋がる情報を掴み切ることが出来ずいたちごっこが続いている……という状況でございます」
 エージェントの目的は総じて街の重要地点に影朧兵器『逢魔弾道弾』を設置し、それを爆破させる事で街全てを逢魔が辻……オブリビオン溢れる異形の都に変えることだ。
「オセアニア大陸を落とされたとしてもクロックワーク・ヴィクトリア本隊による反抗がそこまで苛烈な物にはならないだろうと見越して、今回の侵攻に踏み切ったと考えられます。皆様には逢魔弾道弾が設置される、または爆破される前にオーストラリアに入国していただき、パトロールをしていただきます」
 相手が行動を起こしてくるのはおそらく辺りが夜の帳に包まれて暗くなり、人々が眠気と酒気に襲われる夜だろう。
「オーストラリアの主要都市はコアラ族の方々が過ごしやすいようにデザインされており、街には休憩スペースとして大量の柱が材質問わずあちこちにあると聞きます。こうした街の光景や住民達との交流を楽しみながら網を張って、幻朧帝国のエージェントを待ち受けましょう。皆様、よろしくお願いします」


平岡祐樹
 お疲れ様です、平岡祐樹です。

 おサメな方々が来たので何十回と侵攻計画を阻止されていることが確実なのに、未だに尻尾が掴めていない幻朧帝国のシナリオでございます。

 第一章で街の獣人達と仲良くなっていると、第二章で獣人達が種族特性を活用してエージェントへ勇敢に立ち向かってくれます(シナリオボーナスがつきます)。
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第1章 日常 『兵士達の酒宴』

POW   :    どこか懐かしい料理を食べよう。こいつはおふくろの味さ…!

SPD   :    どこか懐かしい酒を呑もう。生まれ故郷で作った酒だ…!

WIZ   :    どこか懐かしい歌を歌おう。遠い故郷を思い出す歌を…!

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

クーナ・セラフィン
本当幻朧帝国懲りないよね。
いい加減工作員できる人材も少なく…畑から採れるレベルで補充されてるとかは流石にない、よね?
ともかく悲劇は避けないと。

南半球だから今は真冬…北側はそこまで寒くないらしいけど。
街をパトロール、妖精猫の身軽さとUCであちこち回り怪しいヤツがいないか探したりコアラ達に聞き込みするね。
一通り回ったら大通りのカフェに入り紅茶とか注文。
コアラの店員等に世間話する形で、最近町を直接狙ってくる物騒な事件起きてるらしいよって感じで話を振ってみようかな。
怪しいひとには注意しないとねーと警戒促す感じで。
あとは逢魔弾道弾設置してきそうな重要拠点に目星付けられたらいいけど。

※アドリブ絡み等お任せ



「本当幻朧帝国懲りないよね」
 これまで幾度となく幻朧帝国の工作員と対峙してきたクーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)は嘆息する。
「いい加減工作員できる人材も少なく……畑から採れるレベルで補充されてるとかは流石にない、よね?」
 ある国の最高権力者が言ったとされる文言が脳裏を過ぎる。しかし過去がある限り補充され続けるという骸の海から幻朧帝国が工作員を引っ張ってきているのであれば。
「ともかく悲劇は避けないと」
 南半球にあるオセアニア大陸は今、真冬の真っ只中。しかし赤道に近い北側に位置するこの町はそこまで寒くない。
 クーナは妖精猫の身軽さと【スカイステッパー】で街をパトロールし始めた。
「おお〜別嬪さんこんにちは、元気だねぇ」
 何も無いところを蹴って登ってきた様子が柱のあちこちに生えた突起に隠れて見えなかったのか、それともそういうことを気にしない大らかな性格なのか、のんびり日向ぼっこをしていたコアラが手を振ってきた。
「こんにちは! 最近この辺りに怪しいヤツはいない?」
「怪しいヤツ……って言われても、ここはしょっちゅう外の人が出入りするからねぇ〜。正直家内と職場の連中と行きつけの店の店員さん以外はぶっちゃけよく分からないかなぁ」
「そう、ありがと!」
 どうやらここは人の出入りが激しい地域らしい。だからこそ幻朧帝国もテロを起こす舞台に選んだのかもしれない。
 一通り町を回り終えたクーナは一旦着地すると、大通りのカフェに入った。
 いろんな種族に対応するために大小様々なテーブルや椅子が始めから備え付けられている店内でも一際小さな席に通されたクーナはそこまで混んでないことを確認してから、頼んだ紅茶を持ってきた店員に世間話する|体《てい》で話しかけた。
「最近世界各地で町を直接狙ってくる物騒な事件起きてるらしいよ」
「へー、そうなんですか」
「私はあちこちを回ってるからね、耳に色々と入ってくるのさ」
 生返事をする獣人の前で、クーナは実際に幻朧帝国の工作員と対峙した町の名前を指折り数えながら言う。地理に疎くても外国の客が話していた場所と一致したのか、長い毛に覆われた顔の筋肉がピクリと動いたのをクーナは見逃さなかった。
「お互い、怪しい|獣人《ひと》には注意しないとねー」
「そうですね。……ではごゆっくりどうぞ」
 店員はお辞儀をして踵を返す。
 この話をバックヤードで同僚に広げてくれれば万々歳。自分の胸の内に留めたとしても有事が起きた時にすぐに我に返って逃げ出してくれればいい。
「ごちそうさま!」
 ミルクをたっぷり入れた紅茶を飲み終えて店を出たクーナは逢魔弾道弾が設置出来て、より被害を大きく出来そうな重要拠点への目星を付けるべくまた軽い足取りで空へ駆け出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルー・カンガ
再びコアラさん所の町が狙われているか。
これは、由々しき事態だな。
だったら、もう一回阻止しないとな。

って事で、今回も遊びに来たわけで、町を歩きながら散歩するし、気軽に話しかけて置く感じで。
もしくは、食堂で糧食喰いながら色々見てくる感じで楽しんでおくかなと。



 ルー・カンガ(カンガルーボクサー・f16514)は潮風香る大通りを飛び跳ねていた。
 前回訪れた別の街は共同訓練を行うとあってちょっとだけ緊張感があったが、この街はのどかな雰囲気が漂っていた。
 しかしこの街を幻朧帝国が虎視眈々と狙っている。確かに港町を落とせれば安全に上陸するための起点を作ることが出来る。戦術的には何らおかしくない選択ではあろう。
「再びコアラさん所の町が狙われているか。これは、由々しき事態だな。だったら、もう一回阻止しないとな」
 変に緊張や混乱をさせないよう、誰にも聞こえないくらい小さな声でぽつりと呟く。
「そこのカンガルーの兄ちゃん、道にでも迷ったのかい?」
 しばらく立ち止まっていた姿を偶然見つけたのか、上の方から声がする。見上げれば星型のサングラスをかけたコアラが柱の突起に脚を組んで座っていた。
「いや、良い街だなと思って眺めてたんだよ」
「おっそうか、この街の良さが分かってくれるか兄ちゃん! じゃあこの街で生まれ育ってうん十年の俺のオススメの店を教えてやろう!」
 そう言って投げ渡された地図に従っていけば、年季の入っているカフェがあった。
 ちょっと気後れしてしまうがこれもまた経験だと扉を開ける。すると軽いベルの音が鳴り、奥から店員が足音を立てずにこちらへ来た。
「いらっしゃいませ、何名様ですか?」
「あ、1人です」
 ジャズの音楽が流れる店内を通り抜け、テラス席へ案内されたルーは注文を取り終えた店員が厨房に消えたところで外の砂浜に視線を移す。
 世界は違えど、同じオセアニア。ここに来てからルーと瓜二つな、階梯0から階梯2のカンガルーの獣人の姿は何十人と見た。だけど一番見かけるのはやっぱりコアラだった。
「お待たせしました、ハーブティーでございます」
 クロックワーク・ヴィクトリアは紅茶を外国から輸入しているが、ここではティーツリーという木から取った葉でお茶をするようだ。
 ルーのよく知るコアラはユーカリだけでなく、ティーツリーの新芽を食べることがあるという。だからティーツリーのお茶を提供しているのか、と思ったが別のテーブルに座る、大きな口を開けてハンバーガーの見た目をした糧食を美味しそうに頬張っていたコアラが炭酸飲料を飲んでいるのを見ると必ずしもそうではなさそうである。
「……ふぅ」
 喉の奥にハーブティーを注ぎ込み、一息ついた。今はまだ、ゆっくりしてても許される。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『告死の生物科学兵』

POW   :    告死病菌核弾頭装填!!!
レベルm半径内の対象全員を、装備した【告死病菌を搭載した兵器】で自動的に攻撃し続ける。装備部位を他の目的に使うと解除。
SPD   :    告死病爆弾射出!
【感染すると肉体が壊死し黒く変色し】【やがて腐り落ちる告死病菌を】【周囲に無差別にばら撒く爆弾レベル×10個】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    告死病ミサイルランチャー発射!!
攻撃が命中した対象に【告死病菌による黒い病傷】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【次々と周囲に感染する告死病】による追加攻撃を与え続ける。

イラスト:nitaka

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠銀山・昭平です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「この深さなら十分大和型も停泊できるな」
 遊覧船が出る港に棒を突っ込んでいたネズミの獣人はそう満足気に頷いた。
「こんな優秀な港を無駄にしているからクロックワーク・ヴィクトリアにしてやられたのだよ。代わりに我々———幻朧帝国が有効活用してやろうではないか」
 ネズミの獣人の脳裏には懐に忍ばせた爆弾と、隠れ拠点に置いてある逢魔弾道弾の姿が過っていた。
 どちらを使おうとこの地に巣食う原住民を一掃することは出来るし、それぞれデメリットが存在する。しかし上層部から何を使えという指示は出ていない。———つまり、自分は全権を委ねられたとネズミの獣人は捉えていた。
「体を黒くしながら溶けるように死んでいく様を見るか、オブリビオンに無惨に食い散らかされる様を見るか……どっちにしようかなぁ、チーチッチッチ!」
 周囲に誰もいないからとネズミの獣人は込み上げてきた笑いを隠そうとも堪えようともせず、高らかに解放した。
カミラ・オンミラージュ
アース世界に馴染んで機関銃の扱いに長けたドラゴンプロトコルのカミラだ。
GGOか獣人戦線かバトモンワールドの戦闘での採用を希望するよ。

主な戦法は機関銃のBlankを使った弾丸の連射攻撃。
ボムネジのボンバーバを手榴弾のように使い、時にSightで命中率、Silencerで気づかれにくさを上げようとするぞ。
後は、そびえ立つ壁を防壁に使ってもいいかもしれない。
普段は翼は透明化して収納しているので目立たないか見えないかもな。

UCは活性化されていればどれを使ってもOK。

NGは男性として扱う事(女なので間違えないでね)
それ以外はアドリブアレンジ連携何でも歓迎だよ。



「ふうん、中々に悪趣味なこと考えてるじゃないか」
 突然背後から聞こえた声にネズミの獣人の動きが止まる。そして全身ごと振り返れば、カミラ・オンミラージュ(神隠しの蛟・f45393)の姿があった。
 ネズミの耳は決して悪くない。微かに波音が聞こえるだけのこの静寂に包まれた岸辺で、足音も羽ばたきの音も立たずどうやってここまで近づいてきたのだと、ネズミの獣人は混乱する。
「ハハッ、今度やる舞台の練習ですよ?」
 だが今から全速力で街に引き返され、大声で騒ぎ立てられれば計画はめちゃくちゃになってしまう。だからネズミの獣人は顔を引き攣らせながら演劇の台詞だと誤魔化しつつ、足元の鞄の中に隠し持っていたミサイルランチャーを取り出すべくしゃがんだ。
 だがその手がチャックにかかる前に、数発の弾丸が鞄を貫いた。
「わざわざ長い棒を持ち込んで海に突き刺して、その水深を調べながら演劇の練習? 中々に面白い趣味をお持ちだな。……本気で誤魔化すならこの場で口止めしようとしないで笑って去るのが賢明だったと思うぞ?」
 嘲笑しながら告げたカミラは機関銃のモードを散弾ガトリングに切り替え、適した弾丸を込める。
 その隙をついてネズミの獣人はガスマスクを被ると、懐の告死病爆弾に手をかけた。
「この私に気づかれないように動ける相手から目線を切れと? 愚かなことを仰る! そんなこと出来るわけがないだろう!」
 ピンを抜いて投げつければ、すかさずカミラは散弾で撃ち抜いて爆破させる。だがその中身は燃え尽きることなく空気中に散布された。
 思い通りいったことにネズミの獣人はガスマスクの下で口角を上げる。これでこの招かざる客は近いうちに体が黒く染まってドロドロに腐り落ちていくだろうと。
 だがネズミの獣人は知らなかった。カミラはドラゴンプロトコルと呼ばれる異世界のゲームのNPCであることを。万が一感染してしまったとしても普通の獣人と違って簡単に直せてしまうことを。
 だがその風貌から異界の住民に気づけ察せというのは酷なことである。
 カミラは状態異常に自分がなったかどうかを確認せず、ネズミの獣人の次の手に備えて即席のバリケードをその場に設置した。

成功 🔵​🔵​🔴​

クーナ・セラフィン
うーん怪しいネズミ…なんか高笑いしてるしアレだよね?
どっちの爆弾爆発させられても大変だ。
誰もいないここで、周りに被害が出る前にきっちり仕留めないね。

そんな訳であの邪悪なオブリビオンは確実に始末しなきゃならない…その固い決意を胸にUC起動。
できるなら港の建物とかコンテナとかの影に隠れておいて奇襲、先制攻撃で仕掛けたいね。
さあネズミ狩りの時間だ。
獣人サイズでも大型の猛獣の引き裂きに耐えられるかな?
反撃のランチャーは瞬間思考力で軌道計算、陽だまりのオーラで全身覆い余波を防御しつつダッシュで回避するね。
もし黒い病傷ついたら符に浄化の魔力通し癒やしつつ一旦距離取って連鎖感染防ぐよ。

※アドリブ絡み等お任せ



 海の方から聞こえてきた炸裂音を頼りに空を駆けていたクーナは埠頭の先で火花が新たに散ったのを見つけた。
「うーん怪しいネズミ……なんか高笑いしてるしアレだよね?」
 手前の角が生えた重装備の人影と天秤にかけ、状況証拠から海側にいるネズミの獣人が怪しいと睨む。するとネズミの獣人は懐から新たな手榴弾を取り出し、少女に投げつけた。
 撃ち落とされ、爆発音と共に中身が飛び散る。
「今はまだ発症してないから平気でしょうが、このバイオ兵器には告死病の菌が詰まっている! 近い将来あなたの体は真っ黒に染まってぐちゃぐちゃに溶けていく! 病院に搬送された暁には逢魔弾道弾で発生したオブリビオンに無惨に食い散らかされることだろう!」
 その言葉で確信を抱いたクーナは港に置いてあったコンテナの裏に着地すると符を何枚か取り出して浄化の魔力を染み込ませた。
「これ以上どっちの爆弾爆発させられても大変だ。誰もいないここで、周りに被害が出る前にきっちり仕留めないとね」
 あの邪悪なオブリビオンは確実に始末しなきゃならない……その固い決意を胸にユーベルコードが起動する。
「さあネズミ狩りの時間だ」
 召喚された大型の猫型魔獣が先んじて飛び出し、バリケードを飛び越えてネズミの獣人に襲いかかる。
 息を飲んだネズミの獣人は身を捩らせて鋭利な爪の引っ掻きによる致命傷を避ける。そうして勢い余った一撃は地面に置かれていた鞄を抉り中身———隠されていた大量の武器をぶちまけさせた。
「獣人サイズでも大型の猛獣の引き裂きに耐えられるかな?」
 後に続くクーナは符をまるで旗のように振るって、風に流された病原菌に侵された空気を祓いながら近づいていく。
 魔獣の追撃を首の皮一枚で避け続けるネズミの獣人は足を使ってロケットランチャーを蹴り上げてキャッチすると、退路を作りつつ少女と魔獣を一度に殺すべくその引き金を引く。
 だが狙いをつけず咄嗟に撃ったミサイルはバリケードの上を通り越し、クーナのいる方へ飛んできた。
 クーナは陽だまりのオーラで全身を覆うと、瞬間思考力で軌道を計算する。そして導き出した着弾地点からダッシュで飛び出すと、背中に浴びた爆風を受けて加速しつつ符を投げる。
 黒い輪を作り出し、広がろうとしていた病魔は符が中央に触れた途端に霧散して消えた。
 その収縮を見届けることなくクーナは白雪と白百合の銀槍を片手にバリケードを跳び越える。
 そして魔獣の爪から放たれた衝撃波に足元を掬われたネズミの獣人の体に深々と突き刺した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルー・カンガ
どこにでもよく出てくるネズミじゃねぇか。
まぁ、ともかく、奴が何かしでかす前に、一気に突っ走って、蹴りをかまして吹き飛ばせばいいんだ。
まぁ、速度いっぱいにダッシュして、カンガルーキックをネズミに食らわせておく。
そうは行かせないな。



『これでも食らっておけよ』
 全速力の助走をつけた上で放たれた、後ろ脚の跳躍力を存分に活かした体全体を使った飛び蹴りがネズミの獣人の顔面に直撃する。
 走り出しからバリケードを飛び越える蹴りを放つまでの一部始終がバリケードで隠されていたゆえに、ネズミの獣人は避けることも受け止める構えを取ることも出来なかったのだ。
 全体重がかけられたことによるあまりの威力にネズミの獣人のガスマスクは粉砕され、その場に倒されてのしかかられる格好になった。
「おいおい、どこにでもよく出てくるネズミじゃねぇか」
 ガスマスクの下から出てきた素顔はルー自身が会ったのは初めてだが、幻朧帝国絡みの報告書をパラパラ見ている中で覚えがある顔だったのだ。
 あれだけ倒されてたのにまだ出てくるか、といううんざりとした気持ちと、ネズミの獣人が持っている武器の全容への忌避感がごちゃ混ぜになったことをルーは嫌そうな顔を浮かべることで表現した。
「ぐっ……どけ原住民が!」
 カンガルーという見た目だけで判断したネズミの獣人の口から血で赤く染まった歯がこぼれ落ちる。口を開くたびに顔を顰めさせているため、骨にヒビも入っているかもしれない。
 しかしネズミの獣人は火事場の馬鹿力を発揮して自分と同じまたはそれより少し重いルーの体を押し除けて飛び起きると、すぐに新しい爆弾に手をかけようとした。
「そうは行かせないな」
 しかしピンを抜かれる前に両脚の発達した筋肉から放たれたドロップキックがネズミの獣人の腹部に直撃し、海に叩き込んだ。
 巨大戦艦が停泊できる海抜ではネズミの獣人の足がつくわけがなく、ネズミの獣人は何とか浮き続けようと手足をばたつかせる。
 当然、海水を吸ってどんどん重くなる服の中にある爆弾を投げつけようなんて余裕ははるかかなたに吹っ飛んでいた。
「うーん、このミサイルランチャーとか海に放り込んだら使えなくなったりしないかな。でも海が汚染されるのも嫌だし」
 この中に病原菌が詰まっている砲弾があることは分かっていても、その菌の詳しい生態をルーは知らないし、調べようと思ったこともない。海水で確実に無力化出来るなら容赦なくネズミの獣人に投げつけるついでに沈めるところだが、逆効果になる可能性がある限りはそういうことはすべきでない。
 とりあえず上がってこられた時にすぐに手に取られないところに持っていこうか、とルーは両手で担ぎ上げたロケットランチャーが暴発しないように気をつけつつ建物の方へ跳んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イングリット・イングラム
告死病爆弾に逢魔弾道弾。
いずれもこの世界を汚し、さらには多くの人々から未来を奪うもの。
汚染がこれ以上広がる前にこの世界より抹消します。

通常の病原菌ならばこの身には効かないと思いますが、念のために6層の法力を防護と浄化に配分。
残りの法力を用いて飛翔し、敵が海中に落ちている内に、又は海中から上がってきたところに向かう。
敵の攻撃は見切って躱し、又は剣で受け流しつつ接近し、UCを込めた剣でその身体を斬り払いましょう。

敵を倒すことができたなら、法力をもって撒かれてしまった告死病菌を浄化します。
また、体調に異変を感じる方がいたなら、治癒を試みましょう。



 溺れるネズミの獣人に冷たい視線が注がれる。
 その視線の主はイングリット・イングラム(教団の使徒・f35779)。世界を次代に引き継ぐことを教義とする教団ノルトで「不純物」と位置付ける存在を「浄化」する任務を担う「使徒」であった。
「告死病爆弾に逢魔弾道弾。いずれもこの世界を汚し、さらには多くの人々から未来を奪うもの。汚染がこれ以上広がる前にこの世界より抹消します」
 教団の秘儀と自身の法力によって普通の病原菌ならばイングリットには効かない。しかし念には念を置いて6層の法力を防護と浄化に配分する。
 そして残り3つの法力を用いて飛び立つと、溺れるネズミの獣人に向かって真っ直ぐ落ちていった。
 一度は助けが来たと思ったネズミの獣人であったが、イングリットの手の内に煌めく物体に気づくとその衝撃でパニック状態が解けた体を翻して沖合へ逃げようとする。しかし濡れて体にまとわりついた服は自由な身動きを許さず、むしろ無防備な体を晒け出すことになった。
 馬乗りになる格好になったイングリットはその重さで軽く沈んだネズミの獣人の体へ直剣の刃を突き刺す。
 何の土台もないのに硬い軍服や皮は貫かれ、ネズミの獣人の周囲に赤い液体が噴き出すが夜の海に溶けてイングリットの視界には映らない。
 無言で繰り返し抜いて刺す、抜いて刺す、抜いて刺す。それを繰り返すたびに口から吐き出される泡の量と足掻く動きは減っていく。そしてイングリットが股で挟む力を緩ませると、痙攣すらしなくなったネズミの獣人の体は告死病菌を含んだ爆弾ごと終着点が見えない海底へ沈んでいった。
 一仕事を終えたイングリットは一息つく間もなく立ち泳ぎの体勢から宙に浮かび上がり、雫を滴らせながら埠頭に着地する。
 街中でも聞こえてきた爆音があったということは、すでに告死病菌はばら撒かれてしまっているということ。
 海風に運ばれてパンデミックが起きてしまう前に、イングリットは法力を展開して告死病菌が頒布されたと思われた周辺の空気ごと浄化した。
 しかしすでに空気に乗って広がった物が獣体に取り込まれてしまった可能性は否定できない。
「即効性の病ではないと聞きました。体調に異変を感じる方が出てからが勝負でしょう」
 無闇に「病原菌がばら撒かれた」ことを知らせるのは悪手。罹患してない人でも「かもしれない」という混乱と不安から別種の症状が出てしまうことがあるからだ。だからここは慌てず騒がずじっと待つ。
 経過観察のために何日滞在すればいいかの大体の予測を立てつつ、イングリットは水に濡れた身を夏特有のぬるい空気に晒しながら市街へ歩き出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年08月03日


挿絵イラスト