2
めしませ悪魔的レストラン
やあやあ
猟兵共おまえたち 、こんな噂をご存知か。
デビルキングワールド、何処とも知れぬ場所にゃ壮大な迷宮が出来ておいでで。そこに行けば『しっかりと盛り付けされた美味いもん』ってのがたらふく食えるって話だ。そこの主の名を魔王ビストログルメ……ああ、今じゃ亡くなって久しいが、とんでもなく悪魔的に美味いもんをそこでたぁくさん作り続けてたらしいが、あの迷宮自身もそうなったってのが誰かの口コミだったようなそうでもないような、まあ兎に角だ、迷宮自体がシェフとなってるのも悪い噂じゃあないと思うのさ。行ってみるかい、食べてみるかい。焼きそばから超高級の逸品まで、全部が全部美味なようだ。
但し気をつけな。噂ってのは風なんだ、今じゃ既に数多の過去が棲みついてたらふく食ってるのだよ……。
そんな風の噂、誰が短く噛み砕く?
「……お腹が空いた」
黒髪に桜の枝花を戴いた桜の精が噛み砕く。
くぅ。腹が減っては戦は出来ぬ。
「……?」
But she must carry out the mission of grimoire, for now!
「ぁ」
猟兵共おまえたち に見られていたのだ料理を食べたがるような空白。
何事もなかったかのように向き直って。
「……ええと。
デビルキングワールドの迷宮の一つ『リストランテ・ハロウィーン』に向かってくださいね」
簡単に、短く噛み砕くのだ。
「そこに巣食うオブリビオンを倒していけば、全世界を巡るハロウィンパーティを安全に開催できるはずです」
ハロウィンを護る為でもあったのだよ。
「ただ数が多い上……其処の料理をこれでもかと食べまくった後です、力を相当増すでしょう。よって倒すのは一人に絞ります。勇者リリリリの力もお借りします」
彼女もそこに既にいるみたいですからね、と。また悪魔的に大暴れすることになりそうな機運の高まり方、食欲をそそるったら。
「こちらも料理を楽しむことで準備を終えましょうね。相応しい食べ方が必要です……それこそガツガツ思いっきり食べられるようなハンバーガーや、テーブルマナーを必要とするような高級料理まで出てくるものですから」
品揃えが無限大、楽しみもそそられるったら。
「長く居すぎるとラスボスがこちらに気づいて迫ってくるでしょうが……焦ることはありません。正しく食べて、デビルパワーで以て過去を鎮めましょうね」
期待高まってしょうがない。左手くるり。
「どうぞ、良い食事を」
これまでのお話
川内主将
お世話になっております。
料理をいっぱい食べられるんですねやったー!
全2章構成になります。第1章で料理を楽しみ、第2章で思いっきりオブリビオンのラスボスをぶっ倒しましょう。
第1章の料理、それぞれの料理に相応しい食べ方で食べることが出来たのならデビルパワーマシマシ、第2章において自動的にプレイングボーナスを得ることが出来ます。大事に食べよう。
後第2章は勇者リリリリも居ります。一緒に戦おう(流石にフォーミュラ程の強さではありませんが、相当に強いです)!
第2章のラスボスオブリビオンは『ワルの遊園地』を裏から操り運営していたとのことですが、今回も超絶にワルなことを考えていると思われます。
以上、よろしくお願いいたします。
第1章 日常
『リストランテ・ハロウィーン!』
POW : ボリュームのある料理を豪快に食べる
SPD : 気軽な軽食をライトに食べる
WIZ : 洗練されたマナーで高級料理を食べる
降りてみな、降りてみな。
おっと、登りもいけるのか。
地上100階地下100階、構造としてもとんでもない造り方であったことよリストランテ。建築基準法は如何した……その世の常識が悪魔的だからとうに飛び越したに違いない、兎も角かの魔王ビストログルメの手腕、“つくる”ことに於いては凄まじいものであったと言えよう。美味しい匂いが漂って、漂って。行けば行く程に景色に悪魔たち、ああ全部オブリビオンなのが厄介だな、「話が何もかもちげえんだよ」だの「こんなの食ってないとやってらんないよ」だの「あの勇者め何故生きて」だの全てもぐもぐに消えるが運命、誰も彼もが魔王の施しに預かろうとしているものだから必死だったのだよ。
しかし、焦ることなぞあるまい。
誰もいない階層があったんだ、幾つなのかは最早どうだって宜しい……見よ。
広大なテーブルだ、複数人なんて規模では無え、宴会までできるんじゃないかって疑う程の豪勢な……嗚呼セッティングだけでも豪勢だってのに、無限に
出現ポップ するようなその光景、まさに美味の二文字を目に焼き付けるような料理の数々。
猟兵共おまえたち も望むが宜しい……本当に何でもあるのだよ。とても温かくチーズとろけるハンバーガーに、肉汁たっぷり火加減自在の絶品レアステーキ、果てはテーブルを幾ら埋め尽くしても足りないフルコースetc, etc…
強欲であれ、
悪ただ しく食べるのだ。
フィフィ・ファルクス
なるほど、美味しそうな料理が山盛りですね。ですが私はクールでビューティーなサイボーグなので節度を弁えた食事を……いやめっちゃ美味しそうですねUC発動。
悪魔「こういう時こそ品性を忘れずに節制するのが大切だぞ…」
天使「いいじゃないですかいっぱい食べましょうその方が絶対気持ちいいし幸せですよ…」
うーんこれはどう見ても天使が正しい。では悪食開始です、美味な品々をいっぱい味わうとしましょうひゃっほう。
「まあ私は感情のないサイボーグなのでこんなもの食べたところで別になにも感じま美味しーい!!」(台詞
唯一分かるのが自分の名前だ、
「なるほど、美味しそうな料理が山盛りですね」
唯一から繋がって多くが分かるんだ。今だってほら、見よ、テーブル、
猟兵おまえ の席の其処彼処、綺麗に盛り付けられし様々な
料理ゆうわく 。今日の品揃えはがっつりジューシーなやつだ、焼き立てアツアツのハンバーグステーキを初めとしてボリューム満点の肉料理いっぱい。
しかしこういう時確かに節度は大事だな、だって
猟兵おまえ はフィフィ・ファルクス、今日という今日を迎え続け図太く生きるサイボーグ。幾度でも情報を常に更新していけ。そうらクールでビューティーに、それこそバーバリアンに仕上がって……、
絶品の香り。
「いやめっちゃ美味しそうですね」
訊いてみてAIに。天使と悪魔――Which one?
「こういう時こそ品性を忘れずに節制するのが大切だぞ…」
OMG it’s so
diabolicあくまらしい .
「いいじゃないですかいっぱい食べましょうその方が絶対気持ちいいし幸せですよ…」
促す天使、全く以って悪い誘惑。逆なんだ悉く、デビルキングワールドじゃあ悪魔が善良なのが世の常なのだから仕方ない。だが正しさを見てみるがいい、
「うーんこれはどう見ても天使が正しい」
清く正しくかっ喰らうしかあるまいよ。
有言実行、ナイフとフォークがあるもんだが持ったらばハンバーグをば豪快に切り分けて思いっきりぱくり。途端に広がるジューシー肉汁、とんでもなく悪魔的な食べ応えが襲ってきたんだ甘んじて受け入れてひゃっほう。
「まあわたしは感情のないサイボーグなのでこんなもの食べたところで別になにも感じま美味しーい!!」
大渋滞だ、噛んで飲み込め
欲望singularity 。ハンバーグを食べたくらいじゃ足りないな、次もその次もと尽きることの無い美味を、そんな欲しがりな今日を生き抜いてみせるがいい。あらまあ、その次がこんがり焼け色のついた骨付き肉か。じゃあ骨をば手に持って喰らいつけ。骨ごといくかのように……なんたる悪食、これまた凄まじい食べ応えで止まる気がしないんだ!
噛めば噛む程に、食らえば喰らうほどに満たされるそうだそれが現実を生きるということ。
「ふぅ……完食です。やはりわたしの中の天使に従って正解でしたね」
漲って居る。
大成功
🔵🔵🔵
弓落・高寿
わあい美味いもん。我、美味いもん大好き。
『食べ物に見合った作法』とやらがよく分からんが…余程の事がなければ大丈夫だろう。
所望するのは故郷では食べられぬもの。あぁ、さくらみらーじゅで食した洋食とやらが美味しかったので、そのような類いの…まずはおむらいすをとって─食す前には忘れずに「いただきます」と。
一通り食べ終えたら次は
甘いものでざーと に
甘いものすいーつ 、
甘いものかんみるい 。
いやほら、食えば食うほど強くなるのだろ。だから仕方ない、仕方ないのだ…あ、おかわり。次。
鼻腔を擽ることだ、其処彼処。
「わあい美味いもん。我、美味いもん大好き」
オブリビオンたちが相応しい食に夢中なもんだから本当にそうなのだよ、故郷じゃ食べられぬものを食べたいとやってきた弓落・高寿、平安京異邦人であるからして『食べ物に見合った作法』とやらがよく分からん、となっていたものだけど。
(余程の事がなければ大丈夫だろう)
さあさ空いている席に、オブリビオンたちの気付かぬような席にお着きなされ。そして思い出せ、どんな物が印象に残ったか……おお、そうそう、桜咲き乱れる大正の世、洋食がとても美味しかったのだと記憶して居る。
願ってもみればほら、眼前にその洋食。兎も角作法よく食べれば良いと理解せよ、オムライスの盛り付けられたお皿をとっては……
「いただきます」
この一言だけでも実に良いもんです、何かが変わったと感じる前にスプーンで一掬いして、それでほら、口に運んでみると分かるのさ。
「……んん。美味い」
堪能しているな、熱々だな、炊き立てご飯に熱々卵にケチャップの絡み合う素敵な美味しさが身に染み渡るのだよ。一口食べればその度に手が止まらない、そうして『見合った作法』の実現の為に一口一口を確実に、丁寧に。繰り返し繰り返すサイクル、とても満足度が高いように感じることが出来ればその調子。
ああ、食べ終えてしまったな。まだ欲しいと感じるな、小腹さえも埋めなくては。
大丈夫、デザートがありますよ。餡子入りのおまんじゅうに……なんと桜プリンなるものまで。世界が世界を学ぶようだ、それとも魔王ビストログルメの遊び心か、流石に桜の花びらまでは乗らぬが、淡い桜の色合いが実に食欲を誘うもんだから本当に
あまくてでざーと 、
あまくてすいーつ 、
あまくてかんみるい 。
止まることを知らぬのだその身、だって仕方ないのだよ。もちもち食感に和溢れる餡の甘さが口の中を占拠する度に、プリンのぷるぷる感、口に入れた瞬間蕩け出す味わいを感じる度に、体の奥底へ、隅々へ何か悪魔的な力が流れていくのを感じるのだ、いっそ壮絶なくらいの悪魔的な奔流とでも言ったらいいのか、相応しいようだったからこそ強くなる、強くなる、そうしてまだまだ、
「…あ、おかわり。次」
強くなるFor the next step. 。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『『真のラスボス』総支配人・オーレリア嬢』
POW : 【崩壊】ハートブレイク・エンド
【滴る毒腺から瘴気を、瞳に灯した邪悪な光 】から、戦場全体に「敵味方を識別する【肉体と精神を侵蝕する瘴気の渦と邪気の光】」を放ち、ダメージと【行動不能、精神異常、傀儡化、自我喪失】の状態異常を与える。
SPD : 【死棘】スーサイド・ステップ
【伸縮自在の刺胞と幻影を纏ったステップ 】で敵の間合いに踏み込み、【触れた領域を毒に変える結界を形成する魔術】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。
WIZ : 【禁断】エクリプス・オーレリア
自身の【捨てる事で、太陽の光を遮断する海月の傘 】を捨て【存在感が正気を奪う、底知れない昏い海の月】に変身する。防御力10倍と欠損部位再生力を得るが、太陽光でダメージを受ける。
つくてーん※Silent 。
「リリリリだ」
悪魔的な勇者です。
「お腹がいっぱい」
唇の端のクリームを舌がさらって。
「元気もいっぱい」
漲り過ぎたその力。
「ご馳走を食べたリリリリは、」
是非是非使ってくださいませ――
「ちょっぴり運動がしたいかも」
「な、何がちょっぴりだというのですか!」
――What’s up, lady?
どうしてもリリリリが邪魔だったのだよ。
「折角ここで料理をたくさん食べて、悪いことが出来ると思ったのに」
具体性を持ってみたならばマジに悪魔的。
「このリストランテを大きな遊園地に作り替えて、傘下に置けると思ったのに!」
凄まじいことを考えるものだが駄々が些か強いらしい。
「勇者などいたら、お仕舞いではないですかああああ!」
なので躾けてやるが宜しい。
「そう――猟兵も一緒なのでパワーがもりもり」
「っい!? まさか猟兵、勇者と一緒
……!?」
食後の運動こそ、きちんとしなされ。
「ほれこのようにパワーも爆発します」
「そ、そんなことがあああああ!!」
アラタマ・ミコト
極楽浄土にて習得せし御業で皆様方を「ひーる」致します!
完全回復でございます。
さあ、妖共との戦いももう一踏ん張りと参りましょう。
……皆様方が極楽浄土で相まみえた「もんすたー」というものになっております。
これはばぐではないのです!
極楽浄土でで言うちーとというものなのです!……多分なのです!!
止めることが叶うのだよ――用意は宜しいか。
「むむ! これは妖……あくまなるものなのですか!」
そうなのだ
荒魂鎮神命あらたましずむるのかみのみこと 、此度は
ラスボスオーレリア嬢 が悪さをしようというものだからしかと止めてみせるが
猟兵おまえ の使命。
「一緒にたくさん頑張るといいことあるかも〜!」
「はい、頑張るのです!」
そう言ったならば位置でも変えようか、リリリリのみを視界に収めることにした、ヒールすべきはきっと猛威を振るうべき悪魔にあるのか――否勇者が運動を頑張ると知れるからこその励ましであるか――香気が極楽つれて漂ってくるぞほうらゆらり、すまない嬢よ香気は今勇者のみのもの。
「ほああ、これ、とってもいい匂い――!」
勇者が悪魔的にも、
「いっぱい頑張っちゃえるかもーーー!!」
「ひいいいい!!?」
反射で
悪魔つき が
海月かさ を捨ててやがる、昏い海の月そのものが最後の刺客なのだと知るがよろしい、しかしなんだ、それすら圧し通してみせるような覇気を勇者に呼び込んだのは何を隠そうこの神なのだ、
「なんだか極楽浄土で相まみえた『もんすたー』というものですけど――」
「もんすたー的に強いのも、すごくいいかも!」
では極楽浄土よ二人歩きをしなされ、伝説鍛冶師ウサギの鍛造せし刀をば手に、立ち所にミコトが袈裟懸けで嬢を真っ二つに斬り裂きますならば。
「う!?」
その深手、あっという間に治りかけるところなのだけど。
「なんの、負けるものですk」
「ほれこのように剣で!」
刺し貫くぞざくり――こじ開けることも出来ます! の言葉が響くならば悪魔的料理の齎す
力バフ に合わせ徐々に実現していく深い傷なのだ、抉れ抉れと世界が命令するかのようだ、嗚呼この世とはなんとも無情なものよ、ラスボスが必ず負けを刻むように出来ていくのが殊更に世の常らしくあることなのだよ!
事実大きくよろめくオーレリア嬢、さすがは料理の力だ、同じく食っているはずだが猟兵か最期かという運命なのか、もう跳ね上がる防御力と欠損の回復力が完全に意味を為していらっしゃらない、深々と腹に出来た傷がなんと食後に悪いことやら。
「おのれ悪魔に、猟兵!! 海の月が、負けるはずは――」
「これが極楽浄土でで言うちーとというものなのです! ……多分なのです!!」
誠に美しくあるのだよ――ぱちぱち拍手するリリリリだ。
大成功
🔵🔵🔵