飛空少女冒険譚・外伝~超音速の来訪者
●グリモアベースにて
「やあやあ猟兵諸君。くるるちゃんの召集に集まってくれて感謝するねっ」
グリモアベースに集まった猟兵達を前に腕を広げ、鏡繰・くるる(属性過積載型バーチャル男の娘・f00144)は愛らしい笑顔と共に元気よく切り出した。
「先月の『帝都櫻大戰』はお疲れ様。話はもう聞いてると思うけど、第二戦線で手を貸してくれたみんなの帰還作戦が始まっているよ」
イティハーサによって復活させられ、十二の世界へと侵略を行った、三柱のエンシェント・レヰス。彼らを止めるため他世界の多くの者達が、猟兵達に手を貸してくれた。
それによって、猟兵達は第二戦線に勝利し、見事世界を守る事ができた……のは良いのだが。
自身の能力によって彼らの世界移動を行ったアスリートアースのキャンプ・フォーミュラ『キャンピーくん』は困った事に、戦後どこかに姿を消してしまったと言う。
世界移動を行った共闘者達は当然、自力で世界移動を行えない。つまりこのままでは、元の世界に帰れないと言う訳だ。
「そこで猟兵のみんなによって彼ら共闘者の帰還作戦の実行が開始された、というのが今の状況でね。で、今回みんなには『ブルーアルカディア』に転移したアスリートアースのレース・フォーミュラ、『ウィリアム・ローグ』の帰還作戦に協力して欲しい!」
さて、レース・フォーミュラの称号の通り、ウィリアム・ローグはひたすらに速度を追求したグランプリレーサーである。
そんな彼の愛車である『ローグ・インターセプター』はなんと、骸の海を振り切り、強引にアスリートアースへマシンを走らせることができると言う。
「なかなかに規格外な能力だけど、まあフォーミュラだからねぇ。そのくらいの能力はむしろ、有って当然なのかもしれない。……けどその世界移動には、一つ問題があってね」
インターセプターに世界移動可能なほどの速度を出させるためには、どうやら『特殊な燃料』が必要らしい。そしてその燃料とは、ブルーアルカディアの魔獣の心臓。『天使核』だと言う。
「なんでアスリートアースのレース・フォーミュラが、ブルーアルカディアの天使核を燃料にするかは……まあ、普段からアルカディア・エフェクトがどうのって言ってるしね。ウィリアムに聞いても答えてくれないとは思うけども」
ともかく、燃料として必要な天使核は膨大だ。ウィリアムも独自に天使核を収集しているようだが、彼一人ではいつまで経っても集まるまい。
と言う事で、ウィリアムに協力して帰還のための天使核収集……つまり魔獣退治を行おう、というのが今回の趣旨である。
「で、とりあえず大量の魔獣がいる『巣』に向かってもらう訳だけど。今回は移動の足として、現地の少女達……パメラとクラウの2人が協力してくれるよ」
かつて猟兵達と大きな冒険をして、戦争を共に戦い抜いた2人の少女。ガレオノイドの少女クラウと、そのパートナー兼パイロットであるパメラ。
彼女達と猟兵達との交流は、今も絶えてはいない。猟兵達がブルーアルカディアで大きな活動をすると聞きつけて、協力を申し出てくれたと言う。
「と言う事で魔獣の巣へは、飛空艇形態のクラウに乗って移動する事になるよ。まあもちろん、自分で移動手段を用意しても良いけどね」
道中は特に危険はない、ごく普通の空旅になるだろう。ウィリアムと会話したり、パメラ達と親交を深めても良い。
ただしウィリアムは、自身については多くを語る事はないようだ。例えば『アルカディア・エフェクトとは何なのか』といった問いには、沈黙を貫く。
一方で例えばレースについて、速さについてと言った事については、拒まず語ってくれる。また猟兵達がこちらから話を聞かせる分には、興味を示すようだ。
特に彼が興味を持つ『魂の輝き』を示したエピソードがあれば、喜んで聞いてくれるだろう。
パメラ達は猟兵との付き合いも長いので、友人として、あるいは友人の友人として話せば特に問題はないだろう。この前の戦いの事は気になっているようなので、それについて語るのも良いかも知れない。
あるいは3人との会話に興味がなければ、のんびり空の旅を楽しむのも良いだろう。
「で、島についたら魔獣を狩って、天使核を集める事になるよ」
島に巣食っているのは『雲渡り』と呼ばれる鳥型魔獣だ。雲を固めたり、天候を操作したりといった能力を持っている。
なお、その羽は防寒性能が高く汚れにくいので、高級素材として重宝されている。特に頭の飾り羽は個体毎に色が異なり、高い魔力を秘めていると言う。
今回ウィリアムに提供すべきは天使核のみなので、その他の素材は自由に持ち帰って構わない。狙って狩って見るのも良いだろう。
「ただ、雲渡りをある程度駆ると、島の主である『大天魔怪獣アーク』が出現するから気をつけて」
このアークは、元々所有する超音波や破壊光弾を放つ能力の他に、超音速の飛翔能力を得ている特殊な個体だ。戦いは激しい空中戦となる。
もし自分で飛べない場合は、ウィリアムのマシンに乗せてもらったり、クラウの甲板上から対空戦闘を行ったりすると良いだろう。
「まあ、今回は普通の魔獣狩りって感じで、特に難しい依頼じゃないけど。戦争で世話になった人達を置き去りにする訳にはいかないよね。みんなの力を貸して欲しい!」
くるるはそう言うと、わざとらしい可愛らしくポーズを取って猟兵達を見渡す。
「それじゃ、ばっちり解決してきてね。良い知らせを待ってるよ!」
●少女達とレーサーと
「ふむ……良い使い込まれ方をしている……」
「そうですか? 本職の人に言われるとなんだか照れますね」
ガレオノイド・クラウの甲板上。試乗していたガンシップから降りたウィリアム・ローグの言葉に、クラウのパートナーであり、このガンシップのパイロットでもあるパメラ・エッカートは、嬉しそうに微笑んだ。
「確かにあらゆる乗り物に乗っては来たが……船は本職とは言えないな」
「でも、レースを生業としてる人なんですよね? それにさっきの乗りこなし、凄かったです!」
パメラはウィリアムの操縦テクニックにすっかり感心したようで、その目を輝かせている。そんなパートナーを微笑ましげに見守っていたクラウ――本体は飛空艇形態なので、その立体映像――は、ふと気づいてこちらに振り向き、頭を下げた。
『挨拶。今日もよろしくおねがいしますね、皆さん』
一二三四五六
戦争はカオドラさん出したけど戦後はウィリアム。
ごきげんよう。だってシナリオのネタが。一二三四五六です。
と言う訳でサクラミラージュの戦後シナリオでブルーアルカディアです。帝都櫻大戰は大変でしたね。
本シナリオに登場するキャラクターであるパメラとクラウは、一二三が2021年~2022年末にかけて展開した連作シナリオ「飛空少女冒険譚」に登場したNPCです。
もし今回初参加で興味がある方は、タグの方から追ってみてください。まあ「昔、猟兵達と冒険を繰り広げた2人の少女である」と言う事だけ知っておけば、大体は問題ないです。2人の容姿は、『https://tw6.jp/gallery/?id=150531』を参照。
ウィリアムはアスリートアースのレース・フォーミュラです。この前の戦争、もしくは1月の『バトル・オブ・オリンピア』を参照してください。
3名とも、2章および3章の戦闘には参加します。パメラはガンシップによる機動戦闘、クラウは飛空艇として対空砲火や援護射撃を行います。猟兵達よりは弱いですが、少数の集団戦敵ぐらいなら2人でなんとかなる程度の強さはあります。
ウィリアムは戦争ボスなのでまあ普通に猟兵より強いですが、『燃料を集めるための戦いで、燃料をたくさん消費する』のは本末転倒も良い所なので、今回は本気では戦えません。ローグ・インターセプターで空を走って戦ったり、猟兵達の援護をしたりします。
なお、特に彼ら彼女らと絡む事が必須と言う訳ではないので、単独で空の旅をしたり魔獣狩りして頂いても構いません。
この依頼とは関係ないですが、今回の1章のリプレイが上がる前に、大分お待たせしている既存依頼のオーバーロードをお返しする予定です。がんばる。
それでは、皆様のプレイングを楽しみにお待ちしています。
第1章 冒険
『猟兵、空を征く』
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POW : 気合を入れて進路を見張る。
SPD : 細々とした雑用に汗を流す。
WIZ : 知恵や機転でトラブルを回避する。
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
「オブリビオン」の筈のウィリアムさんでも、「世界間移動には骸の海を振り切る必要が有る」のです?
何か、他の条件も有りそうですぅ。
まずは御三方にご挨拶しまして。
パメラさんに「島と魔獣の情報」をお尋ねしますねぇ。
「羽」に価値がある以外に「食べられる魔獣なのか」によっても、戦い方は変わってきそうですし。
後は近況等を尋ねつつ、到着までゆっくりしましょうかぁ。
『魂の輝き』も、『豊饒の使徒』の場合「『魂』や『精神』を供物として女神に捧げ、フィードバックした分が表に出る(=『肉体の内には破片しか無く【UC】等で自在に書き換えられる存在』が『本質』)」形ですから、話しようも有りませんし。
ツォーナ・ロチェアーダ
パメラさんとクラウさんは初めましてなので挨拶しておきましょう!
今回はよろしくお願いしますね!
さて、お二人との挨拶や会話もほどほどに…ウィリアムさんには是非ともお話を聞きたいところ!
ボクが興味あるのは…ローグ・インターセプターについてです!
世界を移動する程の速度とは、一体どれだけの速度がでるのでしょうか?
時速…いえ、なんなら秒速辺り光年クラスの速度が出たりするのでしょうか!?
単純にそれらを生み出すローグ・インターセプターの機構にも興味がありますね、ボクはガジェッティアなので!
もしかしたらマシンの秘密に関わるので話してくれないかもしれませんが…とにかく色々と聞いてみましょう!
「お久しぶりですぅ」
「はじめまして! 今回はよろしくお願いしますね!」
甲板上でパメラやクラウと挨拶をかわす、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)とツォーナ・ロチェアーダ(世界を渡る大海の剣・f01913)。パメラ達も、明るく挨拶を返す。
「はいっ、今回はよろしくお願いします!」
「歓迎。責任持って、魔獣の巣まで送らせてもらいますね」
そしてマシンの様子を見ていたウィリアムもこちらに気づき、近づいてきた。猟兵達に対して、軽く頭を下げて。
「すまないな……今回は、力を貸してもらうとしよう……」
「いえいえ、元々はこちらが手伝って頂いた訳ですしぃ」
るこるの言葉とおり、彼がこの世界に来たのは帝都櫻大戰の援軍によるもの。帰還を手伝うのは、猟兵の責務とも言えるだろう。
その上でなお猟兵に謝意を示すウィリアムに、キラキラとした視線を向けるツォーナ。
「ウィリアムさん、よければお話して頂いても?」
「構わない……まあ、話せる事ならば、だが」
彼女が興味を示すのは、ウィリアムのローグ・インターセプターについてだ。世界を越えるほどの速度を示すマシン。それがどのような物か、興味は尽きない。
「その機構とか興味はありますね、ボクはガジェッティアなので!」
「ふむ……」
だがそう問われたウィリアムは、若干言い淀む素振りを見せる。それを感じ取ると首を傾げ、問いかけるツォーナ。
「やっぱりマシンの秘密とかに関わりますか?」
「いや……だが、これは死者のマシンだ。君達が触れるべき物ではない」
考えながらあくまで真摯な態度で、答えられる範囲で精一杯に応じるウィリアム。ヘルメットの向こうの視線が、ツォーナをじっと見据える。
「このマシンに触れずとも、いずれ君達もアルカディア・エフェクトを継ぐだろう」
「なるほど……」
その言葉の意味は、まだ分からないが。帝都櫻大戰においてウィリアムと共に戦った猟兵達は、数瞬のみとはいえ『アルカディア・エフェクトの後継者』の力を纏って戦った。
いずれあの力の本当の意味を、知る時も来るのだろうか。
「では……一体どれだけの速度がでるのでしょうか? 音速、いえ、光速とか!?」
「そうした数値の果てに、真の速さがある……私はそう思っている」
速度の数字ではなく、ただ『速い』と言う概念を突き詰める。それこそがスピードの向こう側。そう告げたあとウィリアムは、軽く首を横に振った。
「具体的でなくて、すまないな……」
「いえ。参考になりました!」
確かに技術的な物は何も分からなかったが、これも彼にとっての真摯な回答だろう。ともあれそんな会話を聞いていたるこるも、首を傾げて問いかけて。
「オブリビオンの筈のウィリアムさんでも、骸の海を振り切る必要が有るのです?」
「ああ。オブリビオンと言えど、世界の壁を自由に越えられる訳ではない……」
その問いかけに、頷きを返すウィリアム。確かに世界を移動出来るオブリビオンは、ごく一部の強力な者か、特殊な能力の影響下にある者に限られている。獣人戦線のように、例外的に他世界からの強い干渉を受ける世界もあるが。
オブリビオンを生み出す、骸の海。それにはまだ、猟兵が知らぬ真実が隠されているのだろう。
「なるほどぉ……ああ、ところで、島と魔獣についても、お聞きしてもぉ?」
「えーと、島については私達もよくは分からないですけど」
続いてパメラ達の方にも質問を投げると、こちらも困ったように首を傾げる。そもそも魔獣の巣は、グリモア猟兵の予知によって見つかった物。パメラ達も訪れた事はない。
「では、魔獣の方はどうでしょう? 『食べられる魔獣なのか』は大事ですぅ」
「ああ、そうですよね、るこるさんは」
納得したように頷かれた。なんだかんだ付き合いも長い。クラウがこめかみに指を当てて、首を傾げながら回答する。
「情報――『雲渡り』は通常の鳥型ですので食用可能です。『大天魔怪獣』はわかりませんが……天使が素体らしいと言う噂があるので、あまり食べたくはないですね」
「なるほどぉ。ありがとうございますぅ」
ともあれ、これで聞くべき情報はだいたい聞いた。あとは雑談に興じながら、島への航路を進んでいく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
試作機・庚
いやーだいぶ久しぶりに来たデスねブルーアルカディア
例の二人も元気にしてるみたいデスし顔見るついでに仕事するデスかね(伸びながら)
んで返す方法なんデスけど〜……
英雄の帰還とかの住処に返すUCは使えない?使えない。そう……
じゃあ素直に天使核あつめるデスかね
二人には私からも依頼という形で援護頼むデスかね……報酬は羽を使った加工品でいいデスかね?
まぁそう言うことは追々にして
そこのレーサーは…今は下手に燃料使わせるわけにもいかないデスし適当に話でもするデスかね
まぁ私あまり戦争に関わってないので話せることほとんど無いんデスけどね
使用UCは【到達点】
なんか物語的に便利に使えそうなのがあれば適当に使うデスよ
四王天・燦
《華組》
ガンシップ「マグナ・フライト」でシホと相乗りだぜ
しっかり掴まってなよ
背中に当たる胸の感触にデレデレ💕
シホも操縦してみる?
初めてと思えないくらい上手いじゃん
クラウ艇に連絡、ハッチ開けてください
ウィリアムのマシンの隣に着艦
この車をシホと乗り回したい
触ったら殺されそうだから控えるけど
ちょりーっすとご挨拶
お土産は古事記です
伊邪那美様のことも書いてるよ!
フォックステイル号はイザナミ様に特攻した為に修理中です…ガンシップで来た理由だとお喋りする
シホのボルシチ作りを手伝う
ウィリアムが食事中にヘルメット取るか見てます、熱視線
徹底減量とか言わんよね…
霊食(?)だから大丈夫よ
で、パメ×クラの進展どない?
シホ・エーデルワイス
《華組》
先の戦争ではパメラさんとクラウさんも加勢してくれたのね
元気そうで良かったです
久しぶりに逢いたくなりましたので
燦と一緒に向かいます
こうして空を二人でドライブするのも良いですね
燦の背後から腰に腕を回しています
操縦ですか?ガンシップは初めてですが
ルノの技能を借りればできると思います
異世界同位体でもあるルノとは魂レベルで繋がりがあり
ハンドルを握れば自然な感覚で丁寧に操縦
クラウさん、パメラさんお久しぶりです
食事作り手伝いますよ
他の猟兵さん達も含めて全員にボルシチを料理し振舞う
燦のアイディアでウィリアムさんも味わえるようアスリート食に基づいた
霊的ボルシチに挑戦
良ければ一口でもいかがでしょうか?
「しっかり掴まってなよ、シホ」
「はい……!」
ガンシップを操縦して空を舞う四王天・燦(|月夜の翼《ルナ・ウォーカー》・f04448)と、その背に抱きついて相乗りするシホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)。仲睦まじいカップル同士、空の旅を存分に楽しんでいく。
「こうして空を二人でドライブするのも良いですね。……燦?」
「ん、いや、そうだな! シホも操縦してみる?」」
燦の方は、背中に当たるシホの感触に鼻の下を伸ばしていたりもするが。怪訝そうに視線を向けられると、話題を変えて誤魔化す。
まあシホは怒らないだろうが、こういうのは格好付けたかったりするし。
「良いんですか? そうですね、でしたら……」
一瞬目を閉じてから開いたシホは、狭いガンシップの上でも慣れた様子で動く。するりと操縦士を交代し、自然な感覚で操縦して。
「すげぇ、初めてと思えないくらい上手いじゃん!」
「ええ、まあ少しズルはしていますけどね?」
この技術は、魂の繋がりによって借りた物だ。少し悪戯めいて微笑みつつも、しばし2人だけの空旅を楽しんでいく。
「いやーだいぶ久しぶりに来たデスね、ブルーアルカディア」
久々の雲の上の空気を感じて目を細め、クラウの甲板上で大きく伸びをする試作機・庚(|盾いらず《フォートレス》・f30104)。
仕事前に軽く寛ぎながら、ウィリアムへと問いかける。
「ところで返す方法なんデスけど~、『住処に返す』系のユーベルコードとかは無理?」
「……まあ、無理だな」
ダメ元の質問は、当然のように否定された。まあオブリビオンがそんな気軽に世界間を移動出来たら、大変な事になる。むしろ出来なくて良かったと言うべきだろう。
「そう……じゃあ、素直に天使核あつめるデスかね。二人には私からも依頼と言う形で」
「いえ、今回は私達から協力を申し出た事ですから!」
パメラ達は今回、特に依頼料を取るつもりはないらしい。あくまで善意からの協力、と言う事のようだ。
「恩義。むしろこちらに貸しが山程ある訳ですし、それに――」
「おーい、クラウー。ハッチ開けてー」
その会話の最中、ガンシップから燦の声が響く。操縦士を改めて変わった上で、着艦の許可を求めているようだ。
「否定。そういうのはないです、甲板に着艦してください」
「ちぇ、なんだ~」
まあこの世界の飛空艇は基本的に帆船ベースである。軽く残念がりながら、指示通り、パメラのガンシップや、ウィリアムのローグ・インターセプターに並べるように着艦させていく。
(「うーん、この車をシホと乗り回したい。殺されそうだから言わんけど」)
「お久しぶりですね。元気そうで良かったです」
邪な事を考えている間に、シホがにこやかに挨拶する。燦も慌ててちょりーっすと軽くい朝つし、旧交を温めて。
「先の戦争ではお二人も加勢してくれたんですね」
「いえ、むしろこっちがまた助けてもらった感じですね」
シホの言葉に首を、横に振るパメラ。イザナミがあのまま暴れていれば、この世界はとんでもない事になっていた筈だ。その恩を感じてパメラ達が猟兵やウィリアムに協力を申し出るのは、なるほど自然な事だろう。
「なので、庚さんも気にしなくて良いですよ」
「そうデスか? ま、私はあまり戦争に関わってないんデスけど」
なので感謝されてもなぁ、と微妙な気分になったりするが、パメラ達からすれば一つでも依頼に関わっていれば、それだけで十分すぎるほど恩人である。
何しろ猟兵達の力なくば、ブルーアルカディアはカタストロフに見舞われていただろうから。
「まあ、そう言うことは追々にして。まずは仕事の準備デスかねー」
「じゃあ、良かったら先に腹ごしらえはどうでしょう。キッチンをお借り出来ますか?」
腹が減っては戦はできぬと、そう申し出るシホ。もちろん燦も協力を願い出て……その前に、と一冊の本を差し出す。
「そうだ、これ、お土産。うちの世界の伊邪那美様のことも書いてるよ!」
「ありがとうございます。……むむ、なかなか難しそうな本ですね」
それを受け取り感想を述べつつ、キッチンへと向かう。シホが中心となってボルシチを作ると、他の猟兵達にも振る舞って。
「良ければ一口でもいかがでしょうか?」
「感謝する……だが、気遣いは結構だ」
ウィリアムにも食べられるようにと用意したが、それは断られてしまった。……燦がヘルメットの中身を一目みようと見ようと熱視線を送っていたのが原因だった気もする。
「もう、燦ったら。失礼ですよ?」
「悪い悪い。……ところで、パメ×クラの進捗どない?」
その燦に突然問われ、ボルシチが変な所に入ったのか思わず咳き込むパメラ。クラウが慌ててその背をさすり……どちらも少し顔が赤かったりはする。
「平和デスねー」
これから魔獣狩りに行くとは思えない、のんびりとした空気。だがそれは、今更魔獣狩り程度で気負うような者がいない、と言う事でもあるだろう。
甲板の上から雲海を見つつのんびりと庚もまた、ゆったりと寛ぐのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『雲渡り』
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POW : 雲海装
自身と武装を【固めた雲海の雲】で覆い、視聴嗅覚での感知を不可能にする。また、[固めた雲海の雲]を飛ばして遠距離攻撃も可能。
SPD : 災害招き
自身の【魔力による天候操作能力が数倍】になり、【敵を妨害する雷や嵐、豪雪を操る】事で回避率が10倍になり、レベル×5km/hの飛翔能力を得る。
WIZ : 巣を作る
戦場全体に、【雲渡り以外の侵入した生物に有害な雲】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
イラスト:十姉妹
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『魔獣の巣付近に到着しました。戦闘準備をお願いします』
クラウの声が、甲板上に響く。その言葉通りにほどなくして飛空艇は、古びた廃墟のみが残る浮島へと到着した。
その島の周囲を飛び回るのは、事前情報の通り、雲を纏った鳥型魔獣。
「雲渡りだね。雲を操る能力には十分気をつけて!」
軽く警告を飛ばしつつ、ガンシップで飛び立つパメラ。ウィリアムは落ち着いた様子で、ローグ・インターセプターの運転席につく。
「では、手間をかけるがよろしく頼む。私は援護に回る、何かあれば言ってくれ……」
まずはこの雲渡りから、天使核を回収する事になる。強敵と言うほどではないが、なるべく、数を集めたい所だ。
もちろん、天使核を取らずに雲海に落としてしまっては元も子もないので、その辺りを気をつけて戦うとしよう。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
さて、無事到着ですねぇ。
始めましょう。
『FAS』により飛行、全『祭器』を展開して【紘器】を発動、全『祭器』を大量複製しますねぇ。
『FPS』の探査を『生命探知』や『レーダー』に使えば、視聴嗅覚の何れでも無い為居場所の把握は可能ですぅ。
『FMS』のバリアを下方に敷き詰め天使核の落下を防ぎ、『FLS』の空間歪曲と『FES』の結界全てを私と船の周囲に多重展開、遠距離攻撃を防ぎましょう。
討伐された個体の天使核と素材は『FTS』で回収すれば良いですぅ。
残る全攻撃用『祭器』各種の[範囲攻撃]で飽和攻撃を仕掛けますねぇ。
ウィリアムさんは消耗回避を重視、緊急時にお二方を防護頂けましたら。
試作機・庚
さーて久しぶりの空、久しぶりの攻撃機運用デスね
(【辛】【K-7L】とともに甲板で軽く準備運動と運転前点検しながら)
鈍ってないといいんデスけど…
【辛】には私達より低空飛行してもらって落とした敵の回収をお願いするデスよー
私は普通に【K-7L】に搭乗して備え付けのリニアライフルやらレーザーやら波動砲やらで適当に落としていくデスかね
被弾しそう、被弾したタイミング(その他必要時)でボムを切って敵を殲滅
素材の回収を行うデス
それなりの数を取れるといいんデスけど…流石に初見だとパターン組めてないデスから落としきれるか怪しいデスね
……一応大丈夫だと思うデスけどボムの爆風とかが味方にいかないよう気をつけるデスよ
ツォーナ・ロチェアーダ
パメラさん、ウィリアムさん、援護よろしくお願いしますね!
|翠玉瞳の虹光龍《エメラルドアイズ・プリズムドラゴン》を呼び出し、その背に乗って…いざ!
UCで呼び出した瞬間に迷宮を展開されるかもしれませんが…そうはさせません、光速で一気に近づいて翼で切り裂いてやります!
もし捕らえられても、光速で一瞬で脱出してあげます!
ボクはヤドリガミ、最悪身体は作り直せるので有害な雲は【覚悟】を持って耐えます!
それに一度発動するところを見れば、次からは予兆を【見切り】やすくなるはず!
二度以上は捕まりませんよ!
次々と雲渡り達を切り裂いちゃいます!
皆さんは天使核の回収を!
取り切れなかった分は…ボクも回収に向かいますね!
「さーて久しぶりの空、久しぶりの攻撃機運用デスね」
甲板上で準備運動とばかり、軽く身体をほぐす試作機・庚(|盾いらず《フォートレス》・f30104)。その後ろで大小2機のオブリビオンマシンも、点検代わりと主同様に身体を動かしていく。
「鈍ってないといいんデスけど……そんじゃ、辛はよろしくデスよー」
問題がない事を確認すると、大きい方――白と青の機体を持つ『K-7L』に飛び乗る庚。発艦して高度を取ると、雲渡り達を見下ろしていく。
『ま、適当に落として行くデスね』
機体備え付けのリニアライフルを構えると、そこから弾丸を射出する。纏われた雲を貫通する一撃に、血を流して甲高い悲鳴を上げる雲渡り。
猟兵からの攻撃を察知した彼らは、その身体から大量の雲を溢れさせていく。
『うぉっ、一気に湧いたデスね。これはちょっと厄介デス』
「そうはさせません。パメラさん、ウィリアムさん、援護よろしくお願いしますね!」
雲の迷路を作ろうとするその兆候を察すると、甲板上のツォーナ・ロチェアーダ(世界を渡る大海の剣・f01913)はバングルを天に掲げた。
「出でよ、|翠玉瞳の虹光龍《エメラルドアイズ・プリズムドラゴン》!」
それに呼応して、彼女の背後に広がる次元の穴。そこから首をもたげ現れるのは、眩いプリズムの巨体を持つガジェットの竜だ。
その背に飛び乗ったツォーナは、雲渡りの一体をじっと見据え。
「――いざっ!!」
瞬間、まさに光の如き速さをもって、その雲渡りとすれ違う。すれ違いざまの翼が、斬撃となって首を刈り取った。
断末魔の悲鳴もなく、雲海へと落ちていく雲渡り。
「皆さんは天使核の回収を!」
「わかりましたっ!」
鋭角を連続で描く軌道ですぐに方向転換しながら、パメラ達に向けて叫ぶツォーナ。今回の目的はあくまで、天使核の回収だ。
倒すのも重要な過程とはいえ、回収速度を上回っては意味がない。そちらの様子を伺いつつも、再び次の雲渡りへと突き進む。
「摘出は後にしてクラウの甲板に運べば良いかな……ウィリアムさんもお願いします!」
「ああ、分かっている……」
パメラのガンシップとウィリアムのローグ・インターセプターが、雲海すれすれを飛びながら、落ちてくる雲渡りを回収していく。
それに加えて庚の小型オブリビオンマシン、『辛』もまた、自立軌道で回収を図っている。
『そっちは順調のようデスね。こっちもバンバン落とすデスよ……っとぉっ!』
それを確認した庚は、波動砲の狙いを定め……と、そこで横合いから雲渡りに強襲されると、とっさにカウンターボムを射出する。
その爆炎に雲渡りを巻き込みつつ、機体を素早く離脱させて。
『流石に初見だとパターン組めてないデスから、厄介デスねー』
「敵の行動パターンをしっかりと掴みましょう。まあいざとなれば――」
有毒な雲の塊へと、真っ直ぐに突き進む虹光龍。その背のツォーナは毒に身体を蝕まれながらも、雲を噴き出している雲渡りを斬り裂いて。
「――ボクはヤドリガミ、最悪身体は作り直せるので、我慢です!」
『なかなか覚悟が決まってるデスね。まあそこまではしなくて平気だと良いデスが!』
庚も改めて波動砲で戦場を薙ぎ払い、複数の雲渡りを落としていく。そして夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)もまた、女神の加護を得た祭器によって上空へと飛び上がる。
「さて、始めましょうかぁ」
それらの祭器を複製し、雲渡りめがけて降り注がせる攻撃の雨。飛輪による斬撃や数多の砲撃が、雲渡りへと降り注ぐ。
対する雲渡りもまた激しく羽ばたきながら、自身の周囲へ雲を展開して。その雲が魔力によって黒く濁ると、激しい雷となって反撃してくる。
「それは、防がせて貰いますぅ」
その反撃は多重展開した結界によって防ぎ、空間を捻じ曲げて反らしていく。同時にバリアを戦場下方に敷き詰める事で、天使核の回収もサポートしていく。
まんべんなく戦場全体に目を行き渡らせる事で、各方面の戦力を底上げしていって。なんでもやろうとすると当然、その分一つひとつは手薄になりやすいが……そこは探査系の祭器も生かし、うまくバランスを取っていく。
「なるべく無駄なく回収したい所ですからねぇ」
天使核の摘出は当然として、羽根や肉の方も、可能な限り確保しておきたい。討ち取った雲渡りの回収にも、力を割いていく。攻撃の方は飽和攻撃を仕掛ける事で、狙いを付ける手間を省いていって。
それに対して残る雲渡りは固まって飛びながら、大量の雲を噴き出していく。
「流石にこうも数が多いと、全部防ぎ切るのは無理ですかね……!」
『ともかく、なるべく妨害していくデスよ』
徐々に形を為していく雲の迷宮の完成を、なるべく遅らせるように動いていく猟兵達。雲の隙間を縫うように虹光龍が飛び、広がった隙間をK-7Lのレーザーが射貫いていって。
「まあ、なかなかいい具合だと思いますがぁ。そちらは如何でしょうかぁ」
「問題ない。この調子で頼む……」
そうやって次々と落ちていく雲渡りを、ウィリアムやパメラ達が次々と回収していく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ノエル・カンナビス
とりあえず遠巻きに付いて来ましたけれど、火力はあんまり要らなそうですね……。
今のエイストラは双発戦闘機型に改装したガンシップに跨っていますから、滞空時間は何日でも延ばせますし、機械力の強みで透明化も問題にならないとしても。
大量捕獲に向いた装備は、さすがに持っていません。
とりあえずレーダーを電位スキャナモードでパッシブ作動させて居場所を確定し、スタンナー中ててブレイドで解体したらいいですかね。
――電位スキャナの有効距離が短過ぎて手間ですねぇ。
対応力は追い付きますけれども作業効率は期待できないと申しますか。
半分くらいは護衛のつもりで警戒しながら、ちまちま働きましょうか。
四王天・燦
《華組》
ねえ、シホ
眼科行くべきかなぁ…ウィリアムのF1カーが空を飛んでるように見えるんだ
F1何でもありだなっ!?
マグナ・フライトで出るぜ
シホと相乗り
シホが撃ち易い所へと飛んで天使核を回収する算段だ
これで数を稼ぐぞい
シホが羽根を集めているのを察して『夢匣』に舞い散る羽根を略奪で回収していくぜ。ハイパワー吸引!
雲渡りが接近戦してきたら神鳴抜いて斬り落としてやる
回収はウィリアムに任せた
必要なら燃料の足しにしてくれや
シホの迷杜で上書きしきれなかった巣は、稲荷符を出して【氷華艶舞】で雲ごと凍らせる
これで物理攻撃が通るだろ
パメクラに入電。愛の砲弾で凍った雲の迷宮を粉砕してくれってな
パメラの顔が目に浮かぶぜ
シホ・エーデルワイス
《華組》
いえ
大丈夫ですよ燦
私にも空飛ぶF1カーが見えます
そうですね
もっとも私達猟兵も何でもありですから
燦のガンシップに相乗りして対空中戦機動戦闘
魔獣知識を元に天使核を避けて
急所部位を追跡誘導弾でスナイパー貫通破壊攻撃
また
天使核を回収しやすいように天候操作で風の流れに干渉し
念動力も使って天使核を『聖鞄』の中におびき寄せます
接近戦は燦に任せます
敵が巣を展開したら【迷社】で上書きして有害な雲を浄化
燦の氷華艶舞とも合わせて効率良く有利に状況をコントロールします
あと余裕があれば羽根も集めてみます
ジャケットとか作ってみるのも良いかもしれませんね
「ねえ、シホ。眼科行くべきかなぁ……」
クラウの甲板の上で戦闘の様子を見つめながら、目を擦りつつパートナーへと問いかける四王天・燦(|月夜の翼《ルナ・ウォーカー》・f04448)。
「ウィリアムのF1カーが空を飛んでるように見えるんだ」
「いえ、大丈夫ですよ燦。私にも空飛ぶF1カーが見えます」
シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)はそれに対して冷静に同意し、頷きかける。その回答を聞いた燦は、うん、と一つ頷いて。
「F1何でもありだなっ!?」
「そうですね。もっとも私達猟兵も何でもありですから」
思わず叫ぶ燦と、あくまで冷静に頷くシホ。まあ実際、猟兵だってなんでも飛ばすし、世界によっては猟兵でなくてもいろんなものが飛ぶ。
実際、飛空艇やガンシップだって、世界によっては常識を疑われる物だろう。
「……そっか。……うん、とにかく、行くぜ!」
「はい、ご一緒しますね」
でもなんとなく納得いかないのはまあ、慣れのせいだろうか。とにかく気持ちを切り替えてガンシップに飛び乗り、その背にシホがしがみつく。
「しっかり捕まっててくれよっ!」
そのまま一気に飛び立つと、雲渡りの雲をかわしながら、距離を保って周囲を飛ぶ。雲で身を守ろうとする相手に対し、こちらは角度を調整して。
「……そこですっ!」
片腕で燦にしがみついたまま、シホがもう片方の手に握るのは聖なる自動拳銃。その銃口から放たれる追跡の魔力を籠めた魔法弾は、天使核を避けつつ、雲渡りの急所を撃ち抜いた。
「流石シホだぜ!」
「いえ、燦の操縦にも助けられていますよ」
撃ち落とした雲渡りは、風を操る事で墜落の軌道を操作する。念動力も使って操り、異空間に繋がる小さなトランクの中に収めていって。
「はい、回収完了です」
「よぉし、アタシも荒稼ぎだ!」
燦もまた、シホから魔法の小箱を広げると、その中に飛び散った羽根を吸引していく。それを繰り返しながら、天使核と素材を集めていく2人。
『とりあえず遠巻きに付いて来ましたけれど、火力はあんまり要らなそうですね……』
そんな順調に進む戦場を、クロムキャバリア・エイストラのコクピットで見つめるノエル・カンナビス(キャバリア傭兵・f33081)。
双発戦闘機型の空戦用ガンシップに跨って航続距離と滞空時間を伸ばしているため、自力による長距離航行にも何の問題もない。
『……ですが、大量捕獲に向いた装備は、流石に持っていませんからね』
群れを殲滅するだけならやりようは有るのだが、今回はそれでは意味がない。こういうのはいまいち向いていない……とは思うのだが、天使核の数が要る以上、倒せば倒すだけ意味のある状況ではある。
『まあ、とりあえず作業しますか』
言っておもむろに機体を動かすと、その外部スピーカーから超音波を発生させる。何もない、雲だけだと思われた空間に、悲鳴と共に出現する雲渡り。
『電位スキャナを作動すれば、隠れていても発見出来ますが』
そのまま接近してビームブレイドで切り裂き、羽根と天使核を回収する。そしてしばらく移動すると、スキャナに引っかかった相手に再び超音波をぶつけていって。
『……電位スキャナの有効範囲が短すぎて、手間ですねぇ』
地味で地道な作業は、あまり効率が良いとは言えない。それでも、特に群れから逃げようとする雲渡りを逃さず倒すのは、キャバリアであるエイストラの探査能力あってのことだ。
『半ば護衛のつもりで、ちまちま働きましょうか……』
センサーで周囲に警戒を広げつつ、回収作業に耽っていく。
「この羽根で、ジャケットとか作ってみるのも良いかもしれませんね」
「へぇ、楽しみだな……っと?」
一方戦場の中央では、シホの言葉に微笑んだ燦が、咄嗟にガンシップを上昇させた。数を減らした雲渡りが、強い生存本能によって雲の迷路を一気に広げていく。
「危ない危ない。巻き込まれたらまずいよな」
「ええ。ここで浄化します……!」
すぐさまシホは懐から護符を取り出し、その巨大な雲へと投げ放った。雲海の力を浄化する事で、形を失わせ、無害化していく。
「燦、後はよろしくお願いします!」
「任せとけっ、と……!」
さらに霧散しつつも留まる雲は、燦の符術によって凍らせていく。迷宮が完全に凍りつくと、燦が大声を張り上げて。
「さあ、パメクラ。愛の砲弾で凍った雲の迷宮を粉砕してくれ!」
「愛の砲弾ってなんですか、からかってますよねっ!? ……もう、クラウ!」
ともあれ、その声に応じたクラウの砲撃が凍った迷路を打ち砕く。身の守りを失った雲渡りは甲高くいななき、妨害する2人を落とそうと突撃してきて。
「燦、任せますっ!」
「ああ、やらせるかっ!」
燦はシホを守るように素早く刀を抜き放ち、すれ違い様の斬撃で斬り捨てていく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『大天魔怪獣アーク』
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POW : エアリアルクラッシュ
【飛行しながら横回転し翼】から、戦場全体に「敵味方を識別する【強烈な爆風と衝撃波】」を放ち、ダメージと【飛行能力弱体化】の状態異常を与える。
SPD : ウルトラサウンドハウル
【何処からか物体と共振させ破壊する超音波】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : ギガアークブラスト
【羽】から【膨大な破壊力を込めた複数の破壊光弾】を放ち、【急速に拡大する破壊エネルギー】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:滄。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ビードット・ワイワイ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『――――――――!!』
多くの雲渡り達を倒し、天使核や素材を回収していく猟兵達。だが、その群れのほとんどを狩り取った頃、突然浮島に甲高い声が響く。
聞きようによっては、鳴き声にも聞こえる超音波。それと共に浮島が大きく揺れると、中央の遺跡が崩れていく。
『――――――――!!』
中から現れたのは、全長60mを越えようかと言う巨大怪獣だ。その腕の翼をはためかせて飛び上がると、猟兵達を睥睨してくる。
『大天魔怪獣アーク』――それがこの魔獣の名前だ。古の天使戦争の際に、天使を素体にして作られた、と言う伝承も伝えられている。
それが真実であるかどうかを知る方法は、もはや存在しないが。
「話には聞いてたけど、おっきい……!」
「……ああ、大物だ。だが、あれの天使核を採れれば、良い燃料になる――」
パメラが目を丸くし、ウィリアムがヘルメットの中からじっと値踏みする。その視線に気づいたのかどうか、アークはその翼を広げて――。
『――――――!』
『超音速を確認……気を付けてください……!』
巨体からは信じられないスピードで飛翔する怪獣の姿に、クラウからも警告が飛ぶ。厄介な相手だが、猟兵達なら倒せぬ相手ではない。
ウィリアムをアスリートアースに送り返すためにも、ここで天使核を狩らなければ。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
巨大ですが、丁度先日の戦争に|遥かに巨大な方《ビームスプリッター》がいましたから、インパクト的には?
守りと支援をメインに担当しましょう。
クラウさんの船上に配置し『FPS』による探査を開始、『FMS』のバリアと『FLS』の空間歪曲、『FGS』の重力結界を重ねて船ごと守りますねぇ。
【エアリエルC】には【毉螫】を発動、『飛行弱体』は『状態異常』の明記が有りますから『状態異常付与』の吸収浄化で防げますし、ダメージは一撃で沈みさえしなければ、船もクラウさんである以上、味方全体共々『継続治癒』で治療出来ますぅ。
後は『概念毒』で竜を侵食、逆に『飛行弱体』を付与して動きを抑えますねぇ。
試作機・庚
(レーダーに捉えた超巨大な影を確認しながら)全長60m…でっかいデスねー……。
このサイズに抵抗するとなると……。
"アレ"を出すしかないデスね。
さーてパイロットは姉妹を出すのもいいデスけど……。(3人を見ながら)
巨大兵器出す予定デスけど……操縦するデス?
(足りない人数は姉妹か周りの人と操縦する予定デスよ)
さて、これでも体格は相手のが有利…
まぁ自分より少しでかい程度の相手ならむしろカモデスけどね!
ってことで普通に合体ロボ呼んで(武器が変形して合体)殴り合いと行くデスよ
合体ロボができそうなことならスーパー系だろうとリアル系だろうと出来るデスからねアドリブかまして好きに戦うデスよ!
ツォーナ・ロチェアーダ
出て来ましたね、大天魔怪獣アークさん!
このまま|翠玉瞳の虹光龍《エメラルドアイズ・プリズムドラゴン》で突撃…と言いたい所でしたが、制限時間みたいですね!
ならば飛行していた勢いを利用して"跳"び立ち、生身のまま突撃です!
空中でも繋命爪を使えば一度ぐらいなら【空中機動】で飛んでくる爆風や衝撃波は躱せるはず、ですが相手のユーベルコードは戦場全体に放つモノ…一度躱したぐらいで凌げるともう程甘くは見ていません!
残りは【武器受け】や【盾受けで】防ぎつつ多少のダメージは【覚悟】です!
今のボクはすっ飛んでるだけで飛行はしていない、弱体化の影響は無いはず!
そのまま繋命爪の射程に入れば、アークさんの身体に直接爪を引っかけますよ!
これも立派な【空中機動】!
例え超音速で飛行しようと、捕まえてしまえば!
絶対に放しませんよ!
引き続き【武器受け】や【盾受け】で凌ぎつつ繋命爪を手繰って密着出来ればUCを叩き込んでやります!
散々攻撃を受けましたからね、威力7倍の条件はバッチリ!
渾身の【カウンター】を叩き込んであげます!
ノエル・カンナビス
これはまた面倒な敵ですねぇ。
かなり際どい勝負ですけれど、互いに似通ったUCを使うならば、見切り/咄嗟の一撃/カウンターでの相殺も間に合うでしょう。
超音波は音速でしか飛びませんが、こちらのHSF(指定UC)は超音速。
威力も同等なれば、影響範囲に入る前に迎撃できる計算です――いちおう。理論上は。
傍迷惑同士が衝突するのは御免なさいするしかありませんけれども。
とはいえ、互いの射程距離を考えれば、UC同士がぶつかる機会もそうそうないでしょう。
しかも今回は、天使核ファンロケット双発の追加推力もあります。
ライフルもキャノンも有効射程は十倍以上ありますから、近付かなければ良いだけです。理論上は。
面倒ですが。
四王天・燦
《華組》
大きいければ良いのはシホのお胸だけだぜ!てへ☆
いやパメクラもアリだな
冗談かましてから愛の成せる業を見せるってことで【想誕】を発露させっぜ
シホの意識が攻防専念するときはアタシの意識でガンシップを操作。逆も然り
アークの光弾が出たらエネルギーを稲荷符で結界張って受け流す
ウィリアムに|時限爆弾《カウントダウン》を託す
アークの体表を爆走するときにスイッチを入れて仕掛けてくれってね
爆撃が決まったら、羽根の矢を全発射しながら突撃&神鳴でバッサリだ
トドメにパメクラに何か必殺技を頼んでみる(超大雑把!)
冥福の祈りを捧げて天使核を回収するぜ
ウィリアム、大事に使ってあげてよ
パメクラも想誕みたいな技を磨きなよ
シホ・エーデルワイス
《華組》
燦の軽口に対して恥ずかしそうに
…ばか…
と呟きます
【想誕】で燦と合体し燦穂になり
攻撃と操縦を交互に交代しながら戦います
まずは敵に幸せな白昼夢を見せることで攻撃の狙いを逸らさせつつ
尻尾から放つ狐火で破壊光弾を撃墜します
燦が攻撃する時はマグナフライトを風のオーラ結界術で包んで防御しつつ
対空中戦機動戦闘で操縦
燦が刀を使う時は念動力で操縦桿を動かします
魔獣知識を元に天使核の位置を特定し仲間に伝えます
天使核に当てては元も子もないですからね
すみませんが
貴方の天使核を頂きます!
戦後
どうか安らかな眠りを…
祈りを捧げた後
集めた天使核をウィリアムさんに渡します
これで足りるでしょうか?
「全長60m……でっかいデスねー……」
『ですが、先日の戦争に遥かに巨大な方がいましたから、インパクト的には?』
アークの巨体に目を剥く試作機・庚(|盾いらず《フォートレス》・f30104)と、首を傾げる夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。
まあ確かに戦争のボスクラスともなれば、もっと規格外な相手は数知れない。が、野生の|魔獣《オブリビオン》でこのサイズは、それなりに珍しくはあるだろう――それが超音速で飛び回るとなれば、なおの事である。
『――――――!!』
『接近警戒――!』
回転して爆風と衝撃波を放ちながら、クラウの船体へと突撃してくるアーク。咄嗟にるこるが結界を張り巡らせ、その突撃から船体を庇う。
『損傷……軽微。ありがとうございます!』
「いえいえ。私は守りと支援をメインに担当しますねぇ」
そのまま船の護衛に入ると、さらに厚く結界を張り巡らせていく。女神の加護を広げる事で船体の損傷を修復しながら、接近を阻むように毒の概念を広げていって。
一方で突撃を阻まれたアークは、方向転換して距離を取る。そして大きく翼を広げ、もう一度突撃体勢をとっていって。
「出て来ましたね、大天魔怪獣アークさん……っとっ!」
それを迎え撃つべく、ツォーナ・ロチェアーダ(世界を渡る大海の剣・f01913)が龍の首をアークへと向ける――が、ユーベルコードが制限時間を迎え、送還され始める。
ならばと消えゆく龍の背を蹴って、勢いよく跳躍していき。取り出したフックショットからロープを放つと、何もない『空間』に爪がひっかかる。
「さあ、こっちですよっ!」
『――――――!!』
その動きで気を引いた事で、アークは狙いをこちらに変える。再びの超音速で突撃してくるアークに対し、バンクルを突き出し、そこから盾を展開して。
「……っくぅぅぅっっ!」
「っ、ツォーナさんっ!?」
相手の突進が着弾する寸前に、ロープを巻き取る事で直撃を回避する。が、その爆風までは回避しきれず、空中に弾き飛ばされてしまうツォーナ。パメラから心配の声が飛ぶ一方で、アークはそのまま速度を殺さず通過し、そして遠くで方向転換して突撃体勢を取っていく。
この、巨体と超音速による突撃をなんとかしない事には、反撃もままならない。
「大きければ良いのはシホのお胸だけだぜ!」
「……ばか……」
だがそんな状況でもさしたる緊張感はなく、ガンシップ上でてへっと笑いながら軽口を叩く四王天・燦(|月夜の翼《ルナ・ウォーカー》・f04448)。シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)が顔を赤くして照れる一方、パメラも自身のガンシップの上から冷たい目を向ける。
「そんな事言ってる場合ですかっ……!」
「ああ、確かにパメクラのが大きいもアリだな! ……いやいや冗談」
このままだと本気で呆れられそうだったのと、そろそろアークが突っ込んできそうなので、真面目にやる事にする。背に抱きつくシホと意識を合わせると、2人の身体が溶けて重なり合う。
そうして新たに現れるのは、金の左目と青い右目、狐耳と尻尾とアセビの聖痕――2人の容姿が混じり合った、神霊体の姿だ。
『愛の成せる業を見せてやるぜ!』
『いきましょう、燦っ!』
同じ口から2人の意識が交互に声を発し、そして2人の意識が同じ身体を動かす。燦の意識がガンシップを操縦する一方で、シホは自身の意識を研ぎ澄ませ、尻尾から狐火を放ち。
『――――――!!』
『どうか、幸せな夢を――』
突撃して来たアークは、その狐火を視界に収めた瞬間、困惑したように軌道を変えた。シホの意識が操る術は、相手の幸せな白昼夢を見せる。
完全に眠らせる事は出来ずとも、相手を混乱させるには十分。さらに速度を落とした相手へと、狐火を放って燃やしていく。
『おっと……シホ、変わってくれっ!』
『はいっ……』
アークはその苦痛に激しく身体を揺らすと、破壊の光弾を辺りにばら撒き始めた。それを見ると今度は燦の意識が前に出て、稲荷符の結界で妨害を図る。
その間はシホが風の結界で、ガンシップを制御して。同じ身体を2人で使う、息のあった連携を見せていく。
『――――――!』
『これはまた面倒な敵ですねぇ……』
だがこちらの攻撃を受けても、アークは再び立て直し、高度を取り始める。ダメージはちゃんと蓄積しているようだが、体格に見合っただけの体力があるようだ。
その様子を見たノエル・カンナビス(キャバリア傭兵・f33081)も、エイストラのコクピット内で軽く眉を寄せて。モニターの向こうではアークが大きな翼を広げており、そしてクラウの鋭い警告が飛ぶ。
『警告。大きな攻撃が来ます……!』
『ふむ。互いに似通った攻撃。理論上はこれでなんとかなるはずですが――』
その言葉通りにアークの全身から放たれようとするのは、破壊をもたらす超音波。対してノエルは冷静に、武装のスイッチを入れた。
『|放射《ラディエイション》』
『――――――!!?』
エイストラの全身から全方位へと放たれるのは、超音速の高硬度衝撃波。音と衝撃とが正面から激突する事によって相殺されるが、余波で強烈な爆音が周囲に響き渡る。
「~~~~~っ、みみが……」
『それはまあ、御免なさいするしかありませんが』
はた迷惑な攻撃同士ですしね、と耳を両手で抑えるパメラに謝罪を口にするノエル。とはいえアークの方も、苦しげにのたうっている。
『――――――!!』
「今度は、近づかないようにしましょう。それで大丈夫な筈です、理論上は」
そんな相手へとライフルなどの火器攻撃を集中する事で、さらなる追撃をかけるエイストラ。遠距離からの牽制によって、超音波の発生を阻害していく。
ダメージはさらに蓄積している筈だが、やはりその巨体は、簡単には揺らがない。やはり面倒だ、とため息を零すノエル。
『このサイズに抵抗するとなると……。“アレ”を出すしかないデスね』
『疑問提示。アレですか?』
そんなアークに対して、辛のコクピット内でそう口にする庚。クラウの疑問の声に応えるように頷いた彼女は、ユーベルコードを発動し――呼び出されるのは、複数の機械鎧装だ。
「……操縦するデス?」
『……不可能。私は今、船なので』
クラウに視線を向けると、首を横に振られた。なので一機には、パメラに乗ってもらう事にする。
「じゃ、よろしくデス!」
「えっ、ちょっと、なんですかこれっ……ああ、もうっ!?」
そして呼び出されたキャバリアは合体し――完成するのは、機械鎧装『十干』。庚の奥の手とも言える、合体ロボットである。
「……ふむ。こういう物に乗る機会は流石に珍しい」
「割とノリノリですね!?」
いつの間にか乗り込んでいたウィリアムにパメラが突っ込みを入れつつ、パイロットの不足分は|同型機《きょうだい》で補って、アークと真っ向からぶつかり合う。
こちらの全長は45m、これでもアークのほうが大きいが。
「まぁ、自分より少しでかい程度の相手ならむしろカモデス!」
『――――――!』
その突撃を真正面から受け止め、押されつつも、ぶん投げていく。突如として始まったスーパーロボットと大怪獣の激突に、神霊体の燦の意識が快哉を上げる。
『おおー、凄いな! よし、今だパメクラ、必殺技だ!』
「必殺技ってなんですかっ! ……なんか出たぁっ!?」
応じて十干から放たれる巨大ビームが、アークの巨体を打ち据え、揺らがせる。それを見てガンシップの船首をアークに向けた神霊体は、一気に間合いを詰めていって。
『シホは操縦を。ウィリアムも援護を頼んだぜ!』
『はいっ、任せてくださいっ!』
両手で刀を握る間、シホの意識が風で操縦桿を操る。元々はウィリアムに時限爆弾を渡すつもりだったが、合体ロボで攻撃出来るならそれでも良い。
初見のロボでも見事に操り、アークの体表にミサイルでの爆撃を加えるウィリアム。衝撃に隙が出来た所で、天使の羽根から矢を放ちながらも、一気に間合いを詰めての、神刀一閃。
『これはどうだっ!?』
『――――――!!』
巨体にも目立つほどの大きな刀傷が刻まれ、その身体から鮮血を噴き上げるアーク。だが、それでもなお落ちる事はなく、しぶとさを見せる。
一旦距離を取る事で、再び高速の突撃体勢を整えて――。
「ふぅっ……ようやく、取り付きましたよっ」
『――――――!?』
だが、その首筋にしがみつくのはツォーナ。最初にあっさりと吹き飛ばされたと思いきや、フックショットの爪を引っ掛けていたのだ。
「絶対に、離しませんからね……!」
戦闘の余波はアークの巨体を盾にして凌ぎ、余波と引き回される苦痛は、覚悟を決めて耐え切り――何よりオーバーロードの力によって、意地でも離れずにしがみつき続け。
「散々振り回してくれましたからね……こっちの力は十分に溜まってますよっ……」
先ほど盾に変えたガジェットには、これまで受けた衝撃が蓄積している。それを相手の首筋へ、グッと押し付けるツォーナ。
蓄積された衝撃を魔力に変える、カウンター機能を発動させて。
「これで……吹き飛んでくださいっ!!」
『――――――!!?』
魔力の衝撃波が凄まじい爆発を生み、相手の首筋を吹き飛ばす。急所に大きな致命傷を負ったアークは、力を失い、落下していき。
『確保……天使核を回収しないと』
「では、あちらに誘導しましょうかぁ」
その落下先にクラウが先回りし、るこるが空間歪曲によって落下軌道を操作する。ズズン……と重い地響きを立てて、アークの巨体は浮島へと墜落した――。
「流石にしんどかったですねぇ……」
アークに引っ掛けたフックを外し、深く息を吐き出すツォーナ。単身で巨体にしがみつくのは流石に相当な負担であり、久しぶりの地面の上に座り込む。
「いやぁ、流石デスね! このままロボットのパイロットになったらどうデスか!」
「貴重な経験ではあったが……私にはやはり車の方が性に合うな」
十干から降りた庚は、ウィリアムに対して親しげにそんな声をかけ。一方でパメラの方は若干疲れた様子であり……そこに燦が声をかける。
「パメクラも、想誕みたいな技を磨きなよ」
「ああいう不思議な技は、流石に難しいですかねぇ……」
ともあれ、今回は倒して終わりではない。エイストラのブレイドなども利用し、アークの巨体を切り広げていく。
その死骸に祈りを捧げた後、天使核を抜き取って、ウィリアムに渡すシホ。
「これで足りるでしょうか?」
「大事に使ってあげてよ」
燦も同じように祈りを捧げてから言葉を続けると、頷いてそれを受け取るウィリアム。それをローグ・インターセプターの燃料として焚べると、メーターを確認する。
「足りはしないが、足しにはなる、と言う所だな……助かった、感謝する……」
何しろ骸の海を越えようというのだ。この程度ではまだ、燃料としては足りないようである。それでも同じように依頼をこなしていけば、いつかは彼も、アスリートアースへ帰還出来るはずだ。
それまではもうしばらく、彼の魔獣狩りに付き合う必要があるだろう。
「今日は、久しぶりに一緒に戦えて楽しかったです。またいつか!」
ともあれパメラ達とも別れを告げると、猟兵達はグリモアベースに帰還するのだった。
大成功
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