エクソダスは照らす、エースの行方
●星写す瞳
少年は見た。
それは力への憧憬ではない。
強大な力を求める眼差しでもなかった。
すでに『それ』は持っている。
人は己の欠けたるもの――即ち、己が持ち得ぬものに対して憧れを抱く。
なら、少年『フュンフ』は何に対して憧憬を見る。
星写す黒い瞳はプロレス・フォーミュラ『デスリング総統』を見つめていた。
彼の体躯は四つ腕。
巨大な体躯。
何より覆面で覆われし表情は不敵そのものであった。
かの鉄人に相対するのは、ファーストヒーローと呼ばれる世界最初のスーパーヒーローが一人『ザ・スター』である。
組み合う二人。
ただそれだけで凄まじいまでの衝撃が風となって吹き荒ぶ。
「何故ッ、邪魔をする!」
「グロロロロ! 貴様が強いからよ! その強さ、力だけでいうのならばワガハイをも凌駕しているであろう! であるのならば、ワガハイの掲げる『プロレスによる世界征服』の障害となる貴様をここで始末せんとするのは必定である!」
ただ組み合うだけで二人の間には力が荒れ狂うようであった。
「世界征服だと!? 馬鹿なことを! 我が旅路の終着を邪魔立てするだけでなく、世界征服などと!」
「グロロロロ! なんだかんだと言いながら地上におりてワガハイとがっぷり四つを組んでいる時点でなんと言おうと説得力などないのである!」
しかし、『デスリング総統』は『ザ・スター』に僅かに圧され始めている。
「グロロロロ! こちらは四つ腕であるというのに、たかが二本腕が生意気な!」
「腕の本数で勝負が決まるものかッ!」
「それもそうである! しかし、ワガハイの四次元殺法を封じるとはやるものである!」
「黙れ! 貴様さえいなければ、あの小国家のプラントは破壊できたというものの!」
『ザ・スター』の視線の先にあるのは、小国家『グリプ5』であった。
大いなる戦い『帝都櫻大戰』においてエンシャント・レイス『イザナミ』が現れ、冥府の蛆獣たちによって取り込まれたオブリビオンマシンに襲われた『グリプ5』を猟兵たちは『デスリング総統』、そしてもうひとりの共闘者である『アダム・カドモン』と共に守りきった。
本来ならば、キャンプ・フォーミュラ『キャンピーくん』の世界移動能力に寄って『デスリング総統』はアスリートアースに帰還するはずだったのだ。
だが、『キャンピーくん』が今はどこかへと姿を消してしまったのだ。
故に『デスリング総統』もまた己の世界に帰還することができずにいる。
それが幸いしたのだ。
『イザナミ』の襲来によって疲弊した『グリプ5』へとファーストヒーロー『ザ・スター』は再び襲撃し、プラントを破壊せんと迫っていたのだ。
すでに『グリプ5』に空中空母もなくキャバリア戦力も心許ない。
そんな折に現れたのが『デスリング総統』だったのだ。
「グロロロロ! 乗ってきたのは貴様である! ならば、この真剣勝負、負けるわけにはいかないのである! 例え、貴様がヒーロー、ベビーフェイスであろうと! ときにはヒールが勝利する試合だってあるのである!」
闘気満ちる『デスリング総統』。
彼の背に少年『フュンフ』は声を張り上げる。
けれど、その声は二人の戦いの衝撃にかき消されて届かない。
「――っ!!」
自分に出せる大きな声をいっぱいに張り上げても、やはり届かない。
荒ぶ衝撃はそれほどまでに凄まじいのだ。
そんな彼の肩に手を添えたのは、リモア猟兵、ノイン・シルレル(第九の悪魔・f44454)だった。
彼女は薄紅色の瞳で少年『フュンフ』に何事かを呟いた。
だが、彼は首を横に振った。
きっと彼の望みを叶えようとしたのだろう。
「そうですか。では、あなたはあなたの声を張り上げ続けるのですね。ならば、私は」
ノインは薄紅色の瞳を輝かせる。
彼女の周囲には次々と転移してくる猟兵たちの姿があった。
「皆さん、敵はファーストヒーロー『ザ・スター』です。一度戦った方々もいらっしゃることでしょう。説明不要の超強敵です」
そう、ノインの言葉通り『ザ・スター』は凄まじい戦闘力を持つ生きながらにしてオブリビオンとなってしまったファーストヒーローなのだ。
そして、あろうことか彼はクロムキャバリア世界の『プラント』を全て破壊せんとしている。
プラントが破壊されれば、プラントに依存している小国家の人々の生活は破綻し、文明が滅びて島う。
故に止めねばならない。
そして何より、『ザ・スター』と戦う『デスリング総統』と共に戦うことは有意義であるはずだ。
「今再び、戦いましょう。『星』は天に在りてこそ輝くもの。地上の『星』は勇気に燦然と輝くもの。であるのならば」
ノインは、いつのまにか取り出したゴングを打ち鳴らす。
そう、これが決戦のゴング。
リングは小国家『グリプ5』!
「それでは皆さん、ご一緒に。キャバリアファイト……」
その言葉に少年『フュンフ』は声を張り上げる。
「れでぃー! ご――!!」
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回はクロムキャバリア、帝都櫻大戰において『キャンピーくん』によってアスリートアースからやってきた『デスリング総統』とプラントを破壊せんとしているファーストヒーロー『ザ・スター』が小国家『グリプ5』を舞台に熾烈な争いを続けています。
シナリオでは、この二人の戦いに介入し、『ザ・スター』を退けつつ、『デスリング総統』の帰還を助けることになります。
キャバリアをジョブやアイテムで持っていないキャラクターでも、キャバリアを借りて乗ることができます。ユーベルコードはキャバリアの武器から放つこともできます。
ただし、暴走衛星『殲禍炎剣』が存在しているため、空は自由に行き来できません。
●第一章
ボス戦です。
ファーストヒーロー『ザ・スター』は自由に超高高度に至る事のできる飛翔能力と暴走衛生『殲禍炎剣』の無差別砲撃を無効化できますが、今は『デスリング総統』と戦うために地上におりています。
ほぼ互角の拮抗した戦いですが、わずかに『ザ・スター』が上回っています。
『デスリング総統』に加勢してもいいですし、何らかの手段……熱い実況、観客になってエールやブーイングを投げかけることで『デスリング総統』の『プロレス魂』を燃え上がらせるなどして、『ザ・スター』との戦いを有利に勧めましょう。
●第二章
ボス戦です。
『ザ・スター』を追い詰めましたが、しかし、彼は黄金のオブリビオンマシン『レミニセンス・エニグマ』を召喚し、それに乗り込んで戦いを仕切り直します。
引き続き、加勢するなり、熱い実況、エール、ブーイングで『デスリング総統』をパワーアップさせ援護しましょう。
●第三章
集団戦です。
ついにプロレスパワーでねじ伏せましたが、上空に開いた『エナジーゲート』から大量のオブリビオンマシンが小国家『グリプ5』に振ってきます。
これを全て撃破し、小国家を救いましょう。
それでは再び現れた『ザ・スター』。そして『デスリング総統』の帰還を手助けする皆さんの物語の一片となれますように、いっぱいがんばります!
第1章 ボス戦
『ファーストヒーロー『ザ・スター』』
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POW : バスター・ナックル
【拳】を構えて【エナジー・ゲートから降り注ぐ光】を纏い、発動前後が無防備となる代わりに、超威力・超高速・防護破壊の一撃を放つ。
SPD : スーパー・ノヴァ
自身の【装備】を【輝く「超新星モード」】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
WIZ : レミニセンス・ザ・ワールド
常識的な行動を囁く【「ザ・スターの心」の幻影】と、非常識な行動を囁く【「ザ・スターの肉体」の幻影】が現れる。[「ザ・スターの肉体」の幻影]に従うと行動成功率が8倍になる。
イラスト:もりさわともひろ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「グロロロロ! なかなかやるではないか! このワガハイが圧されているのである!」
『デスリング総統』は僅かに己の力を上回る『ザ・スター』の膂力に驚愕する。
組み合った掌と四つ腕を押しのける力のほとばしりは、それ自体がユーベルコードのようであった。
弾かれるようにして『デスリング総統』は吹き飛ばされ、『ザ・スター』はユーベルコードの輝きを解き放ちながら告げる。
「黙れ、不快な笑い声を上げる悪しき者よ! 貴様にはわからないのか! あのプラントこそが邪神の複製体『レディ』の製造工場なのだぞ! それを破壊することこそ、我らが聖なる使命なのだ! それを!」
「グロロロロ! 使命であるとかなんとかなど関係ないのである! 貴様のやっていることは弱きを苛め抜くだけのことである! 貴様が言う聖なる使命であるというのならば、万全の強者を討ち倒してこそ実現されるべきものである!」
「万全の強者だと? 世迷言を! そのような時間があるものか!」
「知らぬのだな、ヒーロー。この地には強者がいる。『悪魔』とも『救世主』とも呼ばれた『エース』の再来が! そのような強者との戦いを望まぬか!」
「馬鹿馬鹿しい!『エース』であろうとなかろうと、我が使命の前には!」
互いの額と額とが激突する。
鮮血が舞う。
『デスリング総統』の額が割れたのだ。
血潮が流れ落ちながらも、その『ジュース』を『デスリング総統』は舌で受け止めて笑う。
「使命、結構である! だがしかし、強者との戦いに挑まずして何がプロレスか! ワガハイは、ワガハイの『プロレス魂』を燃やして、貴様を討ち倒して見せよう! 我が『プロレスによる世界征服』、その再び踏み出す最初の一歩にしてくれるわ――!」
蒋・飛燕
●POW
キャバリアファイト…ロボ要素皆無なのにキャバリアファイトなのアル?
正義のご当地ヒーロー「緋天娘娘」としてはザ・スターを応援したいアルけど、捻じ曲がった正義には全く共感の欠片もないネ!
けど、ヒールのデスリング総統を応援するのも…ぐぬぬ
乱入するのもプロレスファンとして避けたいアルから…こうするネ!
デスリング総統、なに押し負けているアル!
お前を倒すのは…この緋天娘娘ヨ!
そんなヒーローの風上にも置けない奴に負けたら承知しないアル!
力で競わず自分の持ち味を活かすアル!
ヒールレスラーなら凶器攻撃してなんぼネ!
敵に塩を送るのは小癪だけど、『レーヴァテイン』を使いこなせるもんなら使いこなしてみろアル!
キャバリアファイト?
蒋・飛燕(武蔵境駅前商店街ご当地ヒーロー『緋天娘娘』・f43981)は首を傾げた。
なぜなら、眼の前で繰り広げられている凄まじい衝撃波を撒き散らす二人のオブリビオンの戦いはキャバリアを活用するものではなかったからだ。
生身でぶつかり合う二人の闘士。
プロレスフォーミュラ『デスリング総統』とファーストヒーロー『ザ・スター』。
二人が組み合うだけで周囲には強烈な突風が荒ぶ。
だが、あの少年『フュンフ』は『ギャバリアファイト』と言った。
ついでにレディ・ゴー! とも叫んでいた。
「ロボ要素皆無なのにキャバリアファイトなのアル?」
そう、飛燕はまだ知らない。
『ザ・スター』もまたオブリビオンマシンを有していることを。
即ち、未だ『ザ・スター』は全ての力を発露していないのだ。だというのに、この状況である。
「ヒーローとしては『ザ・スター』を応援したくなるアルネ」
確かにご当地ヒーローである飛燕にとって、ファーストヒーロー『ザ・スター』を応援したくなる気持ちが湧き上がるのも無理はない。
だが、『ザ・スター』はプラントを破壊しようとしている。
このクロムキャバリアの文明に深く根ざしている生活の根幹とも言うべきプラントをだ。それを一つ残らず破壊されてしまえば、人々の生活は立ち行かなくなる。
例え、それが聖なる使命であったとしても、人々に仇名すというのならば、それは飛燕にとって捻じ曲がった正義であるという外ない。
そこに共感は欠片もないのだ。
かといって。
「ヒールの『デスリング総統』を応援するのも……ぐぬぬ。乱入するのもプロレスファンとして避けたいアルから……」
ならばどうする。
どうすればいいのか。
飛燕は頭を捻った。ひねってひねって、ひねり出したのは!
「『デスリング総統』! なに押し負けてるアル!」
「グロロロロ! 外野がうるさいのである! グッ……!」
強烈な拳の一撃を受けて『デスリング総統』が吹き飛ばされる。
「無駄だ。このバスター・ナックルは何物にも防げぬ。エナジーゲートより降り注ぐ膨大なエネルギーを集約した必殺の拳は!」
血反吐を撒き散らす『デスリング総統』。
だが、飛燕は助けに入らなかった。
「お前を倒すのは……この緋天娘娘ヨ! そんなヒーローの風上にもおけないやつに負けたら承知しないアル!」
「グロロロロ! 言うではないか! ワガハイが必殺程度で倒れるとでも思っているのかである!」
「な、なに……!?」
立ち上がる『デスリング総統』。
確かに致命打。
そのはずだったのだ。だが、彼は立つ。そう、例えヒールであろうとも、その前に一人のプロレスラー。
敵の攻撃は全て受け止める。
受け止めた上で立ち上がる。
それがプロレスラーってもんなのである。
「その通りアル! 力で競わず自分の持ち味を活かすアル! ヒールレスラーなら凶器攻撃してなんぼネ!」
彼のあふれる血潮がレーヴァテインの剣へと変貌する。
それが飛燕のユーベルコード。
敵に、ヒールに塩を送るようで癪である。
だが!
「その剣を使いこなせるもんな使いこなしてみろアル!」
「グロロロロ! 言うまでもないわ!」
その雄たけびとともに炎の剣を『デスリング総統』はぶん投げ、『ザ・スター』の周囲を炎でもって包み込み、リングロープへと変貌させるのでった――。
大成功
🔵🔵🔵
戒道・蔵乃祐
やれやれ…どうにも闖入者の多い世界だな此処は
或いは根拠が有るわけでもないんだが、
嘗ての|サクラエリュシオンたるグリードオーシャン《四番目の猟兵、多世界侵略船団コンキスタドール》
|『猟書家』《三番目の猟兵》にとっての橋頭堡だったアリスラビリンス
『|アーカイブ《二番目の猟兵》』が本拠地とするUDCアース
それら各世界の様に、クロムキャバリアにも本来のフォーミュラとは異なるオビリビオンの意思が介在しているとでも?
◆破戒僧捕物帖
合わせろデスリング総統!!
早業+グラップルで鎖分銅を投擲し、破魔+念動力でザ・スターの幻影を金縛りにする
怪力で動きを封じてデスリングラリアットへの絶好のチャンスメイクをします
ファーストヒーロー『ザ・スター』は嘗てヒーローズアースにて世界最初のスーパーヒーローチームの一人として世界の理の外へと踏み出した者である。
あまりに強大すぎるがゆえに生きながらにしてオブリビオンとなってしまった存在であり、このクロムキャバリアに邪神の複製体『レディ』の残滓を感じ取り、その生産工場と目するプラントの破壊を掲げる者である。
一度は猟兵に退けられたが、しかし再び小国家『グリプ5』へと迫っている。
それを止めたのは、他ならぬオブリビオンにしてプロレス・フォーミュラ『デスリング総統』であった。
「グロロロロ! 強敵との戦いはいついかなる時でも心躍るものである!」
「戦闘狂が! 聖なる使命を阻むのなら!」
『違う。これはただいたずらに混乱を巻き起こすだけの行いだ』
「黙れ!」
『ザ・スター』の心の声に彼自身は頭を振る。
肉体の幻影が生み出され、『デスリング総統』を打ちのめす。
血潮が飛び、炎がリングロープとなった大地に落ちることなく蒸発していく。
その様を見やり、戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)は溜息を吐き出す。
「やれやれ……どうにも闖入者の多い世界だな此処は」
彼の知るだけでも3つの世界がクロムキャバリアに入り込んでいる。
一つは、サクラエリュシオン。
イザナミが帝都櫻大戰にて出現した世界の一つがクロムキャバリアであった。
そして、サクラエリュシオンを水没させた後の世界が、他世界侵略船団コンキスタドールのグリードオーシャン。
そして、このクロムキャバリアにて存在したであろう等身大オブリビオンマシン『鉤爪の男』がアリスラビリンスを介している。
「いくつかの前例を鑑みれば……そう、例えば『アーカイヴ』が本拠地とするUDCアースのように、クロムキャバリアにも本来のフォーミュラとは異なるオブリビオンの意思が介在しているとでも?」
思考は考察へと変わる。
だが、その考察が正しいのか、それとも正しくないのか。
その答えは未だ出せない。
そして何よりも、その答えを見いだすためには、この戦いを制しなければならないのだ。
「グロロロロ! なんとも重たい打撃であるな! だが、それら全てを受け止めきってこそのプロレスラーである!」
血反吐撒き散らしながらも『デスリング総統』は立ち上がる。
何度打ちのめされても、真っ向から攻撃を受け止めているのだ。
躱す、という概念が欠落しているかのような通り一辺倒な前進。
「愚かな!」
愚直気回る前進に『ザ・スター』は己が拳を叩きつける。
鮮血が飛ぶが同時に『ザ・スター』は気がついただろう。己の幻影に巻き付く鎖分銅。
それによって幻影の動きが止まったのだ。
「合わせろ『デスリング総統』!!」
蔵乃祐がが放ったユーベルコード破戒僧捕物帖(ハカイソウトリモノチョウ)によって『ザ・スター』の幻影の動きが止まる。
「幻影を止めたところで!」
幻影自体もまた強敵たる力を有する。
蔵乃祐の肉体が引き寄せられ、そこに『ザ・スター』の拳が叩き込まれる。
鋼鉄の肉体を持ち得るのだとしても、その衝撃は全身に走り抜ける。だが、彼は倒れない。己は楔である。
己が肉体と鎖とでもって『ザ・スター』の動きを制限し、作り上げたのだ。
何を?
決まっている。
絶好のチャンスメイク。それが蔵乃祐がなしたことだった。
「グロロロロ! 任せるのである!」
彼の動きに気を取られた『ザ・スター』は己に迫る『デスリング総統』の剛腕ラリアットの一打を、まるで轢き潰されるようにして叩き込まれ、その肉体が大地を跳ねるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
…勝手に戦え!
と、言ってしまうのは簡単だけど言いたくなるのも道理
画面が…画面がむさ苦しい…!
頑張る総統を前に我々は何が出来るか!
そう!楽しむ!
ショーにしてしまうだけ!
【Code:M.C】起動
マシン展開、作るのは余波が来てもある程度防げる観客席
そう!折角だから小遣い稼ぎをしようとか思ってないんだからね!!!
という訳で、安心安全?
むさ苦しい奴等をツマミに、バカ騒ぎといこう
こんな奴等の事、正面から受け止めんな…!
入場無料!ポップコーンにお菓子、ジュースに各種お酒もついでに建造した購買で|お祭り《ボッタクリ》価格で販売中!
販売許可?
私が販売許可だ!
でも賭け事はNGな!
だって賭けになんないし…
プロレス・フォーミュラ『デスリング総統』とファーストヒーロー『ザ・スター』によるオブリビオンの対決の余波は凄まじいものであった。
炎のリングロープの中でおこなれているのは流血夥しいプロレス。
ショーではない。
まごうことなき生命のやり取りである。
「邪魔をするなッ!!」
振るわれる『ザ・スター』の拳は、そのユーベルコードの性質上、隙を多く含むものであったが、あくまでプロレスでの対決を臨む『デスリング総統』とは相性が良すぎた。
彼は躱さない。
ただ敵の攻撃を受け止める。
いや、受け止めきってみせるのだ。
そのために彼の体躯からは常に血が流れ続けているのだ。
「いや、本当にさ」
その光景を見やり、月夜・玲(頂の探究者・f01605)は思わず言ってしまいそうになっていた。
そう、『勝手に戦え!』である。
オブリビオン同士の戦いであるので、他に迷惑がかからぬのならば、特別何かをしなくてもいいのではないかと思ってしまうのだ。
そう言うことは簡単なことである。
それに絵面があまりにもむさ苦しい。
どちらも筋骨隆々たる肉体を持つオブリビオン。
「暑苦しい」
「でも、がんばっているんだよ」
少年『フュンフ』の言葉に玲は確かに、と思う。
頑張る姿は感動を生む。
なら、自分たちは何が出来るのか。
ふむ、と玲は頷く。
「私達に出来ること」
「何が出来るんだろう」
「簡単なこと! そう! 楽しむ! ショーにしてしまえばいい!」
玲の瞳がユーベルコードに輝く。
召喚された多目的小型マシンは、次々と炎のリングロープに囲われた大地に観客席を作り上げていくのだ。
それも戦いの余波が及ばぬようにシールドを発生させたり、衝撃を吸収する機構や素材をふんだんに使って闘技場を生み出すのだ。
「わあ……リングの回りにいっぱい……ドームみたい」
「その通り。これが新しいキャバリアファイト・ドーム・イン・グリプ5!」
折角だから小遣い稼ぎをしようとか思ってない。
思ってないったら思ってないのだ。
「というわけで、安心安全? むさ苦しい奴らをツマミにしたいやつらは、来なさいよ!」
玲は『グリプ5』に声を届ける。
そう、玲にとって二人のオブリビオンの戦いはまともに受け止めていいものではないのだ。
「正面から受け止めるのは真面目な人たちばっかりでいいんだよ。っていうか、こんな超常人類みたいな連中、受け止めたら怪我じゃすまない! いいかい、入場料無料! ポップコーンにお菓子、ジュースに各種お酒も!」
ついでのようにキャバリアファイト・ドームに備え付けられている。
多目的小型マシンたちが忙しなく、入場整理を行い、さらには観客席に『グリプ5』の人々がぞろぞろと入ってくるではないか。
「お祭り価格だよ~やすいよ~」
玲もしれっとビアガールみたいなことをしている。
お祭り価格即ち、ボッタクリ価格であるが、こういうのは感覚なのである。
後から『グリプ5』の首相を努めている『ツヴァイ・ラーズグリーズ』から無法のように諸々を販売していたことにつて玲は問われることになるだろうが……今はまだその時ではないのだ。
「あ、そこ、トトカルチョしちゃだめだってば!」
「なんで。こんな時こそ賭けじゃないのか。張る時はやるぜ、俺達は!」
「威勢の良いこと言ってんじゃないよ!」
『グリプ5』の住人たちの言葉に玲は頭を振る。
賭けが悪いのではない。
そう、この試合、プロレスなのだ。あくまで。なら、賭けは成立しない!
「いいから! ほら、応援!」
玲は『デスリング総統』と『ザ・スター』の戦いをあくまで興行へと型に嵌めて、自分は闘技場の利益でウハウハになるべく、その初動を完璧に掴み取るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
アルカ・スィエラ
総統もそうなんだけど…(イヤそうにザ・スターを見て)あっちの方もまだ居座ってたのね……いい加減、去ってほしいのだけど
『アルカレクス・ドラグソリス』へと合身して出る
総統はどうせまた勝手にやるでしょ?ならこっちも勝手にやらせてもらうわ
(……とはいえ、あまり外から手出しをできる状況でもないわね…だったら)……相手の動きに合わせて【Gプレッシャー】!
超重力で敵の動きを鈍らせるてやるわ。
……総統は対象外で。一応先の戦いで助力してもらった借りがあるからよ。
……自分の正しさも、どう思われるかも関係ない。
例え元が何処かの英雄だろうと、「この世界を破滅させようとするオブリビオン」を打ち滅ぼすだけよ
炎のリングロープ。
それを取り囲むようにして形成されたドーム状の闘技場。
それは猟兵たちのユーベルコードによってプロレスフォーミュラ『デスリング総統』とファーストヒーロー『ザ・スター』との戦いを興行へと変えるものであった。
実力伯仲。
されど僅かに『ザ・スター』が優位であることは見ていればわかる。
流血夥しい『デスリング総統』の体がぐらつく。
わかっている。
どちらもオブリビオンだ。
その同士討ちとも言うべき光景が、まさに目の前の戦いなのだ。
「……いい加減去ってほしいのだけど」
アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は明らかに嫌悪の感情を顔に浮かべていた。
『デスリング総統』もそうであるし、強靭すぎるがゆえに肉体がオブリビオン化してしまったファーストヒーロー『ザ・スター』。
どちらも彼女にとってはオブリビオンに変わらない。
どのような出自、事情があったのだとしても、だ。
故に彼女は観客席から飛び出し、己のキャバリアである『アルカレクス・ドラグソリス』と共に炎のリングへと飛び込むのだ。
「グロロロロ! 飛び込みとはやるではないか!」
「新手か!」
二人のオブリビオンを前にしてアルカはため息を付く。
『ザ・スター』の反応は理解できるが、『デスリング総統』の反応だけは心底わからない。
猟兵である自分と『デスリング総統』は滅ぼし、滅ぼされる間柄でしかない。
なのに流血しながらも『デスリング総統』は不敵に笑む。
そうなのだ。
彼は強者との戦いを望んでいる。
例え、それが猟兵であろうとなかろうとも、だ。
「あなたはどうせまた勝手にやるでしょ? なら、こっちも勝手にやらせてもらうだけよ」
「グロロロロ! なるほどな! ならば好きにするがいい! ワガハイもまた強者との戦いに集中させてもらおう!」
「二対一……! だが! モード・スーパーノヴァ!!」
煌めくは『ザ・スター』の体躯。
超新星モードへと変貌した彼の速度が上がる。
「そう来ると思ったわよ! 対象設定、フィールド構築、重力制御開始……!押しつぶしなさい、Gプレッシャー!!」
アルカは即座に『アルカレクス・ドラグソリス』より重力を解き放つ。
それは一瞬で『ザ・スター』を襲い、その体を大地に縫い留める。
「重力フィールドだと……!?」
「いくらモードを変えようとも、高重力下でなら自由に動けないでしょう」
「小癪な真似をしてくれる! だが、舐めるな!」
高重力に押しつぶされながらも『ザ・スター』は動いている。
超新星モードによって彼の速度が上がっているのだ。それによって通常の彼の速度まで落ち込んではいるが、それでも十分だった。
だが、それは『デスリング総統』も同様だったのだ。
「グロロロロ! ワガハイの出番であるな!」
「何……!? 何故貴様、この重力下で動ける!?」
組み合う二人にアルカは息を吐きだす。
「『デスリング総統』は対象外にしている。先の戦いで助けてもらった借りがあるからよ」
「貴様……! わかっているのか。この世界のプラントは邪神の複製体『レディ』の生産工場なのだぞ! 正しきことを為すのなら!」
「……自分の正しさも、どう思われるかも関係ない」
アルカの瞳はユーベルコードに輝く。
「例え元が何処かの英雄だろうと、『この世界を破滅させようとするオブリビオン』を討ち滅ぼすだけよ」
広がる重力。
アルカは、ただそれだけを告げる。
そうなのだ。
彼女にとって大切なのは、この世界を守ること。そして、世界に破滅をもたらすオブリビオンを滅ぼすことなのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
ユーリー・ザルティア
【心境】
「ごめん。ボクの理解力ではこの状況がカオスすぎて理解できない…。」
ヒーローは…まあ百歩…千歩譲っていいとして…なんでプロレスラーがクロムキャバリアにいるのよ…。
あと、キャバリアファイトって何さ…(混乱中)
【行動】
ああ、うん。いつものオブビリオンの理不尽と同じと思えば…うん…大丈夫。
プラントに手を出す方が敵ってことで…
ヒーローが敵なのでヒーローっぽいUC…。
<キャバリア・フュージョン>でジャイアントキャバリアに変身(注:やけくそ)
『瞬間思考力』と『読心術』でザ・スターの拳を『見切り』『残像』で回避…からぁの『カウンター』で無防備のその面に『限界突破』した『捨て身の一撃』パンチ!!
「ごめん」
ユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)は猟兵たちのユーベルコードによって生み出された炎のリングロープにて戦う『デスリング総統』と『ザ・スター』の対決、その経緯をどのように説明したのかわからなかった。
さらに猟兵が作り上げたドーム状の闘技場には小国家『グリプ5』の市民たちが観客として詰めかけていた。
これは一体どういうことなのかと問われても、ユーリー自体どう説明するのが適切なのかわからなかったのだ。
瞬間思考があるのだとしても、それでもわからないものはわからないし、説明できないものは説明できないのだ。
はっきり言って、思考力よりも理解力が求められる状況であったことだろう。
というか、完全に状況はカオスだ。
どちらもオブリビオンである。
なのに争っている。というか、『デスリング総統』に至っては、大いなる戦い、帝都櫻大戰のおりにエンシャント・レイスである『イザナミ』がクロムキャバリア『グリプ5』に襲来した時に助けてくれたことがある。
ユーリーは、そのような経緯をしらなかったのだ。
というか、端から見れば、なんか四つ腕の巨漢レスラーがヒーローである『ザ・スター』と死闘を繰り広げているようにしか見えない。
「あと、キャバリアファイトって何さ……」
「闘技場でやってるところもあるらしいじゃん」
ユーリーの混乱に助け舟を出すように『ゼクス・ラーズグリーズ』が告げる。
そう、キャバリアによる闘技場。
それは確かに過去、小国家『ビバ・テルメ』の前進、小国家『ファン・リィウ共和国』にて行われていたものである。
興行と言えば興行である。
だが、オブリビオン同士のプロレスが突然クロムキャバリアで始まる意義というものについてユーリーは理解が追いつかないのだ。
「ああ、うん」
漸くそれだけ呟く。
いつものオブリビオンの理不尽を思えば、同じ、大丈夫とユーリーは自分い言い聞かせた。
となれば、どちらかに加勢しなければならない。
いや、まあ、普通に考えればプラントを破壊しようとしている『ザ・スター』を倒さねばならない。でも、ヒーロー然としているのだ。
ちょっと躊躇う。
けれど。
「ああもう! 考えているだけ無駄じゃん!!」
ユーリーは頭をかきむしりながら、自分の胸元から取り出した三枚のメダルを掲げる。
「変幻自在、神秘の光…!―レスヴァント!―パールバーティ!!―シビリアンジョー・イェーガーカスタム!!!ボクに戦う力をッ!!!!」
ユールコードの光と共にユーリーはジャイアントキャバリアへと変身する。
もうヤケクソだった。
理屈や道理はもうどうでもいい。
単純なことなのだ。踏み込んだリングへとジャイアントキャバリアと化したユーリーが躍り出れば、『ザ・スター』がいち早く反応する。
「また新手か! だが! 我が拳の砕けぬものなどない!」
「だまらっしゃい!」
ユーリーの拳が『ザ・スター』の拳と激突する。
光が明滅する。
「グロロロロ! 巨大化するとは生意気な、である!」
「生意気も意気のうちでしょうが!」
身を翻し、ユーリーは『ザ・スター』の拳を受け流す。
そして、その巨体から振り下ろす捨て身の如き肘鉄の一撃は鉄槌のように『ザ・スター』の脳天へと直撃するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
薄翅・静漓
白熱した戦いを前に私のアスリート魂も熱くなる
勝負の行方から目が離せない
あれは……(と解説をするわね)
『ザ・スター』の、あの輝きは『スーパー・ノヴァ』
以前戦った時に見た事がある
『超新星モード』に装備を変形させることにより
自分の能力の内、一つを5倍に、一つを半分にする技
あれが決まれば形勢逆転もありえてしまうわ
吠えることもできない私の声は、彼等の耳には届かないかもしれない
けれど……目には見えない意志が、心の声が
勝利を掴めと、その背を押す事だってある
負けないで『デスリング総統』
がんばって
白熱していくプロレス。
炎のリング、ドーム状の闘技場。
それらは猟兵たちのユーベルコードに寄って作り上げられ、その中央では『デスリング総統』と『ザ・スター』の死闘が繰り広げられている。
時には猟兵の乱入もある。
ユーベルコードの輝きが満ちるたびに小国家『グリプ5』の市民たち観客の歓声が上がる。
大盛りあがりだと薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は思っただろう。
そして、己の胸の奥が熱くなるのを感じた。
アスリート魂。
それは死闘を前にして燃え上がるものであった。
何より、静漓は勝負の行方から目が離せなかった。彼女の青色の瞳が揺れる。
「すごいよね」
観客席に傍らに少年『フュンフ』は星写す黒い瞳でもって静漓を見上げていた。
青い瞳と黒い瞳が交錯する。
何事か言葉をかわそうとするより早く、『デスリング総統』が『ザ・スター』の一撃を受け止めてなお立っていることに対して観客たちの歓声があがり、かき消される。
そうね、と静漓は唇の形を変えて頷く。
『デスリング総統』のラリアットの一撃が炸裂し『ザ・スター』が吹き飛びながら、しかし黄金の輝きを解き放ち、宙に浮かぶ。
「力任せの一撃など、この体が砕けると思ったか!」
「あれは……」
「知っているの?」
「ええ、『ザ・スター』の、あの輝きは『スーパー・ノヴァ』」
そう、静漓はいつの間にか解説役に回っていた。
少年『フュンフ』に手を引かれて、闘技場の解説席に座らされていたのだ。
ふんふんと『フュンフ』は静漓の解説に頷く。
他の観客たちも頷いているようだった。
「以前戦った時に見たことがある。『超新星モード』に至ることで、自身の能力の打、一つを五倍に、一つを半分にする技よ」
つまり、と静漓はいつもと変わらない口調であったが解説を続ける。
どうしてこんなことになってしまったのかと思う。
少年『フュンフ』はどこか、こういう強引さがあるように思えた。
それが幼さからくる無邪気さなのか、それとも物事の本質を正しく見ているからなのかはわからない。
けれど、現に静漓は『フュンフ』に連れられて解説席についているのだ。
なら、やるしかない。
「あれが決まれば形勢逆転もありえてしまうわ。切り札と言ってもいいわね」
「でも、『デスリング総統』は負けないよ。だって、何度やられても立ち上がってくるもの」
「そうね。だから……」
応援するのだ。
己の声は彼等に届かないかもしれない。
静漓は吠えたけるような激情を持ち得ない。いや、燃え上がるものはあるのだ。けれど、『デスリング総統』や『ザ・スター』、観客たちのように激情を表に出せない。出すことができないのではなく、ただそのやり方が上手くできないだけなのだ。
だから、己の胸に湧き上がるアスリート魂、そして、この意志が、心の声が勝利を掴めと彼等の背中を押すことがあるのだ。
「わかるよ。負けないでって気持ち。それは絶対届いているから」
『フュンフ』の言葉と共に『デスリング総統』の背に光に翼が生える。
それは応援の翼。
静漓の意志が声に代わり、彼の背を押すという力の証明。
「だから、どんなに小さくても言わなくちゃ」
「ええ、そうね。負けないで『デスリング総統』……がんばって」
その声は届く。
想いは時と距離を凌駕するというのならば、光の翼こそが証明だった――。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィンデ・ノインテザルグ
観客が被弾せぬよう群衆内で静観。
デスリング総統がダウンしかけた場合
付近に居たフュンフの表情に僅かに歯噛した後
所謂リングサイドにて挙手。
…一時交代だ。貴殿は回復に努めろ。
舞台上ではWandervogelを戦闘形態へ。
…キャバリアファイト?
ならば私は広義の意味でのキャバリアだ、問題ない。
真顔で裾を翻しUCを起動。
スピードを武器にパルクールを応用した蹴技で立ち回ろう。
先の観戦時に観察し得た情報から、どの能力が半減になっているか推測。
そこを狙い不意打ちを試みる。
或いは敵が油断した隙にシャドウパリィを発動。
重めの一撃を与えた後、総統に再度バトンを繋ぎたい。
私は只の神父だ。この場の華は貴殿にこそ相応しい。
ドーム状の闘技場。
いつのまにか猟兵たちのユーベルコードに寄って形成されたキャバリアファイトの観客席の一つでヴィンデ・ノインテザルグ(Glühwurm・f41646)は『デスリング総統』と『ザ・スター』の死闘を静観していた。
この闘技場のシステムは思った以上に堅牢であるように思えた。
あの二人の戦いは超常の戦いである。
組み合うことで生まれる衝撃波ですら、それは凄まじいものであった。
人が簡単に吹き飛びそうなほどの衝撃なのだ。
これを闘技場の保全システムが完全に観客席に及ばぬように防いでいるのだ。
とは言え、である。
ヴィンデは不測の事態に備えていた。あくまで、である。
観客席の中にある実況席、解説席とも言う場所には猟兵とともに少年『フュンフ』がいる。
眼の前の死闘に……いや、あの瞳の先にあるのは『デスリング総統』であった。
憧憬にも似た感情が宿る瞳。
それは強さへの憧れではないことをヴィンデは感じ取っていた。
あの少年は強さに憧れない。
彼が憧れているものをヴィンデは知るだろう。
「グロロロロ……!」
「ヒールはヒールらしく、我が聖なる使命の前に立ちふさがる愚かさを知りながら退場するがいい……!」
纏うは黄金。
『ザ・スター』のユーベルコードに寄って彼の速度は増し、猟兵の乱入あれど、これを退けながら『デスリング総統』を大地に叩きつけていた。
砕け散る地面。
散る鮮血。
その光景に少年『フュンフ』の瞳が僅かに潤んだのをヴィンデは見ただろう。
歯噛みする。
そして、ヴィンデは己が思うより早く挙手しながら炎のリングロープの内側へと飛び込んでいた。
「む……なんだ、貴様は。乱入者であるというのなら」
「選手交代だ」
「グロロロロ……猟兵、何を」
「貴殿は回復に努めろ」
「余計なお世話なのである! ワガハイを見縊る……」
「――少年が貴殿を見ている。貴殿の強さではなく、全てを受け止め、なお立ち上がる姿を望んでいる。そこに憧れを持っている。のならば」
ヴィンデは指を鳴らす。
ユーベルコードの輝きと共に有無を言わさずに己の戦闘義体の出力を上げ、高速戦闘モードへと移行する。
「私は、戦おう」
広義の意味で己はキャバリアである。
であるのならば、この闘技場で行われるファイトにも参加資格があるのだ。
「減らず口を!」
互いに速度は圧倒的だった。炎のリングにて交錯し、火花を散らす。
なるほど、と理解する。
移動力を増強している。そう、『デスリング総統』の攻撃力を警戒しているのだ。故に移動力を強化して距離を取っていたのだ。
「ならば、半減すべきは装甲、そうだな」
「貴様、この短時間で……我が超新星モードの弱点を!?」
「見ていれば分かる」
ヴィンデは高速戦闘でもって『ザ・スター』と交錯し、己が拳の一撃を叩き込む。
地面へと叩き落とした『ザ・スター』から離れ、ヴィンデは己の背後に立ち上がった『デスリング総統』を振り返る。
「グロロロロ! 余計なお世話だと言ったのである!」
「ふ、私は只の神父だ。神父とはお節介焼きなものだ」
「グロロロロ! ヒールはヒールらしく、礼はいわんのである!」
それが礼そのものだと言わんばかりにヴィンデは解説席の少年の瞳を見る。
やはり、と思うのだ。
「この場の華は貴殿にこそ相応しい」
再び立ち上がった『デスリング総統』への声援にヴィンデは頷くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ステラ・タタリクス
|エイル様《主人様》の!!
香りがしまぁぁぁぁぁーーーーすっ!!
ひとりの為、普段より強めに叫びましたが
ええ、私ごとき(?)の叫びなどこの戦いの前では些末な事
というわけでフュンフ様、もっと応援しましょう!
声を届けることが大事なのではなく、応援をすることが大事なのです
エイル様に捧げた忠誠からほんのちょこっとだけ
本日はデスリング総統の応援に声を張り上げましょう
使命で言うならば私もまた
猟兵として人ではなく世界を救うべきなのでしょう
ですが私は猟兵の前にメイド
ゆえにエイル様を追い続ける事を辞めることはありません
形は違えど自身の芯に従うこと
すなわちプロレス!!(?)
というわけでデスリング総統、ファイトー!!
声援の合間に【アウクシリウム・グロウバス】で
ザ・スターを銃撃
はい?プロレスですよ?
場外から攻撃が来たとて何が悪いのでしょう?
よそ見している暇あるんですか
デスリング総統、そこですー!!いけー!!
熱狂渦巻く闘技場。
観客である小国家『グリプ5』の市民たちの声援が飛び交う中、それを貫くようにして発せられた声援があった。
声援?
声援かな?
この流れで既に察せられると思うが。
「|『エイル』様《主人様》の!! 香りがしまぁぁぁぁぁ――すっ!!」
それは強烈な叫びであった。
雄叫びであった。
いつものであった。
耳がキーンってなるほどの叫びを上げたのは、ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)。
ある特定の界隈にあっては、メイドと言えば雄叫びなのである。
本当にそうか? そうなのである。
「一人の為、普段より強めに叫びましたが……すごい声援ですね」
ステラは『デスリング総統』と『ザ・スター』の死闘に上がる歓声の凄まじさに頷く。
いや、どう聞いてもステラの雄叫びの方がすごかったような気がする。
解説席にいる少年『フュンフ』を目ざとく見つけたステラは、瞬間移動かな? と思える速度で彼の傍に来ていた。
ビクッとするほどの速度であったが少年『フュンフ』は首を傾げていた。
あの速さを認識できてるのだ。
「どうしたの?」
「……ええ、私ごときの叫びなどこの戦いの前で些末なこと。いえ、なんでもございませんよ。さあ『フュンフ』様、もっと応援しましょう!」
「でも、届かない。声が小さいから……」
「良いですか、『フュンフ』様。声を届けることが大事なのではなく、応援することが大事なのです」
「そうなの?」
「どんなにか細い声であっても聞き届けるものがいるように、あの方の体が大きいのは、その一身に多くの方々の思いを受け止めるためにあるのですから」
だから、とステラは『フュンフ』と共にリングの『デスリング総統』を見やる。
そう、応援は誰かの心に届くものである。
誰かの背中を押すこともあれば、支えることもあるのだ。
「此度は、『エイル』様に捧げた忠誠からほんのちょこっとだけ『デスリング総統』の応援に声を張り上げましょう」
さあ、ご一緒に、とステラは『フュンフ』を促す。
「がんばれー!」
その声と共にステラは満足げに頷き、己が使命を全うせんとリングサイドの近くの観客席に立つ。
「使命で言うならばワタシもまた猟兵として、人ではなく世界を救うべきなのでしょう」
ステラの紫の髪が揺れる。
ドームの中なのに風を感じるのは、人々の熱狂と『デスリング総統』、『ザ・スター』の激闘が熱波を生み出しているからに違いない。
故に彼女は言い切る。
「ですが私は猟兵の前にメイド。ゆえに『エイル』様を追い続けることを辞めるつもりはありません。形は違えど自身の芯に従うこと」
彼女の瞳が激闘を見据える。
そう、己がやらねばならないことは唯一つ。
それを為すために多くを振り切っていく。
使命があれど、それさえも己の心に据えたものに勝るものではないのだ。
「即ち、これプロレス!!」
強引が過ぎないか。
だが、『デスリング総統』はその言葉に笑う。
「グロロロロ!! その通りである! 一本芯を通すこと! 貫き通すこと! 例え、痛み苦しみがあろうとも、それを曲げぬこと退かぬこと! それこそがプロレスなのである!!」
熱い。
熱いが、そうなのか? 本当に?
「馬鹿な世迷言を! 貴様たちの言うそれは、ただの身勝手だ! エゴで世界を破滅させるつもりか!」
『ザ・スター』の拳が『デスリング総統』に叩き込まれる。
だが、これまでのように吹き飛ばされないのだ。
「何……!?」
「グロロロロ、わからぬか」
「な、何が」
「ワガハイの背を押す声援。これこそが!」
「『デスリング総統』、ファイトー!!」
銃声が響き渡る。
それはステラが観客席から撃ち込んだユーベルコードの一撃であった。
ありなのか?
ありなのである。ヒールのファンもまたヒール。
観客席からの横槍の銃撃なんて日常茶飯事なのである。
「汚い真似を……!」
「はい? プロレスですよ? 場外から攻撃が来たとて何が悪いのでしょう?」
「減らず口を!」
「よそ見している暇あるんですか?」
ステラの言葉に『ザ・スター』は振り返る。そこにいたのは四つ腕の巨漢。
そう、我らが『デスリング総統』である。
流血おびただしくも、しかし、その背に声援を受けてパワーアップした巨腕の一撃、スレッジハンマーが『ザ・スター』に叩き込まれる。
「『デスリング総統』、そこですー!! いけー!!」
ステラは観客席から銃撃を叩き込みながら、卑怯ヒール悪逆無道上等と言わんばかりに場外からの妨害に徹しまくるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
さぁ始まりました世紀の一戦!いやもう始まっている!?ゴングはどうしたのゴングは!
まずは東軍!彗星のごとく現れし(中略)ファーストヒーロー『ザ・スター』!
対する西軍は!四つ腕の怪人!ボクらの大総統にして(中略)プロレスフォーミュラー『デスリング総統』!
この二人が観客のいない場所で戦っていいはずがない!
やれーもっとやれーっ!
UC『神知』を使った【大声】で【実況】と応援をしてこう!
そして拡張されたボクの力であれば世界中に【声を届かせる】こともできる!
あらゆるコンピュータを【ハッキング】し強制全世界放送だよーっ!
さぁこれで魅せられなきゃレスラーじゃない!やっちゃえーーーっ!!
「さぁはじまりました世紀の一戦! いやもう始まっている!?」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)はカメラの前でピースしながらマイクを握りしめていた。
そう、ロニは己のユーベルコードによって大声を張り上げていた。
今の彼は実況者。
マイクパフォーマンスなんていくらでもやってのけるだけの力があるのである。
今の彼が見ているのは小国家『グリプ5』の郊外にて激突する二人のオブリビオン……『デスリング総統』と『ザ・スター』を取り囲むドーム状の闘技場にて行われている死闘である。
ドーム状の闘技場は猟兵のユーベルコードに寄って作り上げられたものであった。
加えて炎のリングロープもまたユーベルコードである。
猟兵たちの力は、今まさに二人の戦いを興行に変えてしまったのである。
であれば、こんな楽しげなことにロニが首を突っ込まないわけがないのである。
「ゴングはどうしたのゴングは!」
すでにゴングは打ち鳴らされている。
「ボク聞いてない! だからゴングなってないし! でもまあ、いっか! まずは東軍! 彗星のごとく現れし、中略! ファーストヒーロー『ザ・スター』! あーっと、超新星モードだー!」
眼の前では『ザ・スター』が超新星モードへと移行し、その黄金の光と共に『デスリング総統』を吹き飛ばしている。
凄まじい力である。
だが、『デスリング総統』は何度でも立ち上がるのだ。
「対する西軍は! 四つ腕の怪人! ボクらの大総統にして、中略! プロレス・フォーミュラ『デスリング総統』!」
「グロロロロ! この程度屁でもないのである! 受けよ、ワガハイのフォース・ラリアットを!」
炸裂する四つ腕のラリアットというなの乱打。
彼はすでに多くの流血に塗れている。
だが、それでも動きに精彩を欠くということはなかったのだ。むしろ、傷が増えるたびに加速してくようであった。
「やれーもっとやれーっ!」
ロニは大興奮であった。
実況席なのに、いつのまにかポップコーンやらコーラやらを持ち込んで、観客気分である。
実況の仕事は?
「そういうのはいいの! とにかくボクの声をあらゆる世界に届けてあげようよ! だって、こんな熱闘を見れないなんて人生損してるっていっても過言じゃあないもの!」
ロニはそう言って己の実況を大声でもって物理的に届けるのだ。
恐るべき声量である。
『グリプ5』周辺の小国家に届くほどの声。
それによって人々は知るだろう。
「いーからいーから! 声だけでもいーから! ここで戦いがあって、それが互いを滅ぼすだけじゃあない、エンターテイメントだって理解できるだけでもいいんだよ!」
なんか世界の片隅でいつのまにか世界の存亡を賭けた戦いが始まっていることを。
そして、それを見るためにはあまりにも距離が離れている。
加えて、この世界にネットワークはない。
暴走衛生のせいで長距離通信ができないのだ。けれど、ロニは己の大声の実況で持って、今まさに世界の片隅で世紀の一戦がおこなれていることを叫び倒すのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
バルタン・ノーヴェ
アドリブ連携歓迎
転移したらこっそりと滑走靴で空高く上昇しマシテ。
狙いすまして急降下アタックを狙いマース。
セットアップOK、それでは参りマース!
ヒャッハー!
正規の大決戦に飛び入り乱入エントリー!
バルタン・ノーヴェが参上デース!
威勢よく上空から堂々たるアンブッシュ!
「六式武装展開、鉄の番!」
ターゲットはもちろん、ザ・スター!
デスリング総統! 勝手に助太刀入りマース!
がっぷり四つ組んでいる状態なら回避は困難デショー!
バスター・ナックルを構えるなら無防備になる発動前の隙を、邪悪なヒールである総統が見逃すはずもない!
とてもヒールな連携攻撃をプレゼント!
強者を相手に力を合わせるのもまたプロレスであります!
ヒールをヒールたらしめるのは何か。
その問いかけに対しての答えは千差万別であろう。
卑怯な手段を使えばヒールか?
否である。
それは時に賭け引きとも言える戦いに対しての戦法手段の一つに過ぎないからだ。
では、心根が性悪であることか。
否である。
それもまた心の在りようの一つの形でしかないからだ。
であるのならば、ヒールとは如何なるものか。
卑怯、無法、悪逆。
あらゆるものを飲み込んだ者をヒールと呼ぶのである。
故にバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は無法に手を出すのだ。
彼女はクロムキャバリア世界に転移して後、すぐさま他の猟兵が作り上げたドーム状の闘技場の天井に降り立つ。
そして内部で行われている熱戦と歓声を聞く。
「セットアップOK、場内は温まりまくっておりマース!」
ならば、とバルタンはドーム状の天井をぶち抜いて、ダイレクトエントリーを果たすのだ。
「ヒャッハー!」
「何……!?」
「グロロロロ!?」
突如として天井をぶち抜いて現れたバルタンの姿に二人のオブリビオン『デスリング総統』と『ザ・スター』のみならず観客たちも度肝を抜かれていた。
「え、何、なに!?」
「世紀の大決戦に飛び入りで乱入エントリーデース! バルタン・ノーヴェが参上デース!」
それだけではない。
バルタンはシレッと勢いよく降り立つのと同時に『ザ・スター』の背後に回り込み、己の手にしたチェインハンマーの一撃を叩き込む
「六式武装展開、鉄の番! これぞ鉄拳制裁(アイアンフィスト)デース!」
「ぐっ……卑怯な!」
組み合っていた『ザ・スター』は躱すこともできなかっただろう。
卑怯?
そんなのヒールにとっては標準装備である。
「『デスリング総統』! 勝手に助太刀入りマース!」
「余計な真似を。ワガハイであれば、コヤツ程度なぞ!」
夥しい流血。
けれど、『デスリング総統』は不敵に笑う。いつもの独特な笑い声と共に崩れ落ちた『ザ・スター』を掴み上げる。
だが、その瞬間、『ザ・スター』の拳の一撃が叩き込まれるのだ。
「グハァッ!? である!?」
「隙を見せたな!」
「それは『ザ・スター』も同じデース!」
そこへバルタンの鉄球が飛ぶ。
一人が引き付け、一人が打ち込む。二対一。それ故に生み出された隙は、単純な隙以上の意味を持って『ザ・スター』の腹部に鉄球のヒールらしい一撃をプレゼントするのだ。
「くっ……! この私をよくもここまで……!」
「強者を相手に力を合わせるのもまたプロレスであります! くらえ、我輩と!」
「ワガハイの!」
「ツープラトン攻撃デース!」
その言葉とともにバルタンは『デスリング総統』と共にチェインハンマーの鎖とラリアットのクロスアップ攻撃を叩き込むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ファーストヒーロー『ザ・スター』』
|
POW : バスター・ナックル
【拳】を構えて【エナジー・ゲートから降り注ぐ光】を纏い、発動前後が無防備となる代わりに、超威力・超高速・防護破壊の一撃を放つ。
SPD : スーパー・ノヴァ
自身の【装備】を【輝く「超新星モード」】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
WIZ : レミニセンス・ザ・ワールド
常識的な行動を囁く【「ザ・スターの心」の幻影】と、非常識な行動を囁く【「ザ・スターの肉体」の幻影】が現れる。[「ザ・スターの肉体」の幻影]に従うと行動成功率が8倍になる。
イラスト:もりさわともひろ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
小国家『グリプ5』郊外にて建設されてしまったドーム状の闘技場。
その中心で二人の勇士が激突する。
オブリビオンであるが、『デスリング総統』は観客と猟兵たちの声援を受けて、その身を際限なくパワーアップさせていく。恐るべきことに流血夥しいにもかかわらず、ますます動きにキレがでてきているようである。
「グロロロロ! この程度の『ジュース』など! 端から問題にもならぬのである! そして!」
追い詰めた『ザ・スター』を前にして『デスリング総統』は攻撃を仕掛けるでもなく、指差す。
「貴様、まだ奥の手を隠しているな……?」
「……」
その言葉に『ザ・スター』は膝をつきながらも、立ち上がる。
その通りであった。
シン……と静まり返る闘技場。
緊迫した空気が流れ出す。あれだけの力を持ちながら、なお『ザ・スター』は奥の手を持っている、というのかと。
だが、猟兵たちは知っている。
――『レミニセンス・エニグマ』。
『ザ・スター』のオブリビオンマシンである。
彼を如何にかしなければならないというのならば、あのオブリビオンマシンを出す前に決着をつけねばならなかったのだ。
けれど、『デスリング総統』は言い放つ。
「ワガハイと戦うからには、持てる力、手段を出し惜しみせずに使うがいい……!」
あろうことか、猶予を与えてしまったのだ。
ともすれば、挑発的。ともすれば、慢心。
否。否である!
これが『デスリング総統』! これが『プロレスラー』!
敵の全力を全て受け止めてから反撃する。
この不撓不屈の闘志こそが、『ザ・プロレス』なのだ。
「……よかろう。ならば後悔などするなよ。『レミニセンス・ザ・ワールド』!!」
瞬間、空中に浮かぶエナジーゲートより現れるのは黄金のオブリビオンマシン『レミニセンス・エニグマ』であった。
その黄金のオブリビオンマシンに乗り込んだ『ザ・スター』は告げる。
「ここからは全力だ。我が全力を持って聖なる使命を妨げる障害を……排除する――!」
蒋・飛燕
●WIZ
アイヤー!?
リングにオブリビオンマシンが降り立ったアルよ!?
もうこれはプロレスじゃないアル…キャバリアファイトネ!
だとすれば…デスリング総統の応援はここまでアル!
デスリング総統!
もうリングにベビーフェイスは居なくなったから、代わりに緋天娘娘が上がって加勢するアルヨ!
周囲は炎のリング、空を飛べば暴走衛星の砲撃…緋天娘娘の十八番空中殺法が封じられるハンデは丁度良いネ
こんな物で弱気を吐いたら隣で笑われてしまうヨ!
だったら…真っ向勝負ネ!
ザ・スターだか何だか知らないアルけど、そんな物に頼った時点で負けアルヨ!
『殲術執刀法』で視えた弱点をデスリング総統に教えて息の合った同時攻撃を仕掛けるアル!
エナジーゲートより現れたるは黄金のオブリビオンマシン『レミニセンス・エニグマ』。
言うまでもなく『ザ・スター』専用のオブリビオンマシンである。
その力を体感したことのある猟兵は、その性能を知っているだろう。
『ザ・スター』のユーベルコードを増幅させるオブリビオンマシン。
体高5m級の戦術兵器から繰り出される彼のユーベルコードがどれほどの威力を持ち得るのかなど、言うまでもないだろう。
『故に、この力は……!』
幻影、それも『ザ・スター』の心の幻影が『ザ・スター』を止めようとする。
だが、強靭故に肉体がオブリビオン化してしまった『ザ・スター』は止まらない。
「全力だ。我が全力を持って、プラントを破壊し、この世界を殲滅する!」
「アイヤー!?」
その光景を見やり、蒋・飛燕(武蔵境駅前商店街ご当地ヒーロー『緋天娘娘』・f43981)は目を見開く。
これまで等身大の、生身同士の激突であったプロレスは、もはや見る影もない。
体高5m級の戦術兵器『レミニセンス・エニグマ』に乗り込んだ『ザ・スター』との体格差はもはや言うまでもない。
だが、『デスリング総統』は、そんな鋼鉄の巨人とも組み合うのだ。
「もうこれはプロレスじゃないアル……キャバリアファイトネ!」
「否! ワガハイがいる限り、これはプロレスなのである!」
「言うてる場合アルかね!?『デスリング総統』! もうリングにベビーフェイスはいなくなった。なら!」
「新たなるベビーフェイスが乱入すればいいのである! 誰がなんと言おうと、これはプロレスであるのだからな! グロロロロ!!」
「なら、遠慮なく! この緋天娘娘が降臨アルネ!」
飛燕はリングに飛び込み、炎のリングロープの中央へと降り立つ。
如何に此処がドーム上の闘技場とは言え、飛べば暴走衛生『殲禍炎剣』に感知されてしまうかもしれない。
空を飛ぶことを封じられたのは飛燕にとってハンデであった。
だが、彼女は不敵に笑む。
「空が封じられようとも、十八番を封じられるハンでくらい丁度いいネ! むしろ、この程度で弱音吐いたら笑われてしまうヨ!」
「グロロロロ! その意気である! プロレスであるというのならば、苦痛は笑い飛ばすものである! 苦境もまた笑い飛ばすものである!」
『デスリング総統』の言葉に飛燕は笑う。
そうだ。
どんな逆境であろうと笑い飛ばすのが、プロレスラー。
あらゆる攻撃を受けきって攻撃を繰り出す不撓不屈なる闘志があるからこそ、プロレスラーは人の心を震わせるのだ。
「だったら……真っ向勝負ネ!」
「来るか、この『レミニセンス・エニグマ』に!」
黄金のオブリビオンマシンの拳は体格差以上の痛烈なる一撃となって飛燕に叩き込まれる。
だが、飛燕は見ていた。
そう、死の永劫点――ホロウ・デス・ポイントを。
それは回復不能なるダメージ。
「これぞ、殲術執刀法アル! ハイヤー!!」
繰り出されるは手刀。
その一撃は斬撃にも勝る鋭さでもって『レミニセンス・エニグマ』の黄金の装甲を切り裂いていた。
「我が『レミニセンス・エニグマ』の装甲を斬り裂く……だと!?」
「そうアル! ワタシの眼に映るのは、その鋼鉄の巨人の死の永劫点アル! これを突けば!」
「なるほどな。だが!」
『デスリング総統』は己が全力の一撃を叩き込む。
飛燕に刻んだ斬撃の痕に、ではない。
「何してるアルね!?」
「グロロロロ! まだまだ強者との戦いは終わらせぬのである!」
「あーもー! こいつそういうやつだったアル!」
そう、一時でも長く強者との戦いを。
それを望む『デスリング総統』は、回復不能なるダメージを与えられる死の永劫点を教えられても、はいそうですかと攻撃しないものだったのだ。
飛燕は、そこだけが誤算であったというように己が手刀でもって『ザ・スター』を追い込んでいくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ユーリー・ザルティア
【心境】
「これがプロレス…」
いやいや…ボクの知ってるプロレスとは多分違う。
少なくともキャバリアと戦ってない(遠ひ目)
ええっと、あとほらリングもゴングも審判もない!!(注:それ以前の話である)
【行動】
うん。あれだ。
全部オブビリオン…オブビリオンが全部悪い
ボク達の地球史を取り戻そう(注:多分違う)
<コードジャックインザボックス>発動
行くよレスヴァント!!
うん?壁ノ工房から通信…新兵器?この状況に有効な新兵器って何さ…
『瞬間思考力』で説明書を瞬時に読んで理解
同時に機体を『操縦』し『見切り』攻撃を『残像』で回避
くたばれヒーロー!
新兵器で『捨て身の一撃』だぁぁ!
ユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)は思い知ったかもしれない。
眼の前で繰り広げられている戦い。
その死闘の名をプロレスと呼ぶ。
己に不利なる行いでしかない敵の攻撃を受け止め続ける行為。
避けることもない。
痛みをあえて得るような戦い方。
「これがプロレス……」
だが、ユーリーは頭を振る。
いや、と。
「いやいや……ボクの知ってるプロレスとは多分違う。少なくともキャバリアと戦ってない!」
遠い目になりそうになる。
何せ『デスリング総統』は生身単身で黄金のオブリビオンマシン『レミニセンス・エニグマ』に乗り込んだ『ザ・スター』と戦っているのだ。
血に塗れながらも、傷を得ても、体格差など関係ない。
依然、『デスリング総統』は『レミニセンス・エニグマ』から放たれる痛烈なる一撃を躱すこともなく受け止めているのだ。
正気の沙汰ではない。
はっきり言って体格差はイコール、力である。
質量差が有りすぎる。
なのに彼はよけようとしない。
「これがプロレスである! グロロロロ!!」
「いやいやいや! リング……は即席だし、ゴングも、あるけど……審判、審判がいないよ!?」
「敵とワガハイがいるのなら、もうそこがリングなのである!」
「めちゃくちゃ言うな!? ボクの知っているプロレスじゃないよ、やっぱり!」
ジャイアントキャバリアの姿から元の姿に戻ったユーリーは『レスヴァントMk-2』に乗り込む。
コクピットに通信が入る。
「ん? 壁ノ工房から通信……? え、何、新兵器? この状況に有効だから送る? え、何さ、この状況に役立つっていうか、有効な装備ってなに!?」
そう、この状況に最も適した武器。
敵がオブリビオンマシンであるというのならば!
闘技場のドームが開いていく。
空より舞い降りる……いや、放射状を描いて飛び込んできたのはカプセル……いや、違う。
これは!
「特殊合金のリングローブ!? え、支柱!?」
ユーリーは目を見開いた。
そう、新兵器とはリングの支柱と特殊合金のローブ。
「これでどうしろって……え、まさか!」
「その通りである! このローブの弾性を使って!」
たわむローブ。『レスヴァントMk-2』の重量であっても難なく受け止め、たわみ、そして弾き飛ばす。
さながらスリングショットの弾丸となった『レスヴァントMk-2』は『デスリング総統』と共にリングの中を弾き飛びながら『レミニセンス・エニグマ』を囲う。
「この『レミニセンス・エニグマ』の超新星モードを凌ぐ機動だと……!?」
「そうだよ! そして……!」
『レスヴァントMk-2』がリングの支柱を引っこ抜きながら上段に振りかぶる。
まさか。
「これが捨て身の一撃! くたばれヒーロー!」
振るうのはキャバリアサイズの物体をも支えることのできる強靭な支柱。
それをフルスウィングするように振りかぶった『レスヴァントMk-2』が『レミニセンス・エニグマ』へと強烈な一撃を叩き込み、吹き飛ばすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
バルタン・ノーヴェ
アドリブ連携歓迎
HAHAHA! ついに出マシタナ、レミニセンス・エニグマ!
But,我輩とデスリング総統は堂々とその脅威に立ち向かいマース!
実質的に2機対2人! いざ尋常にファイト!
以前総統と交戦した際の争の番を繰り出そうかと思ってマシタガ……ここはガタイを合わせるために、こちらをチョイスしマース!
「骸式兵装展開、岩の番!」
およそ5mの岩鎧を装備して、サイズアップ。
純粋なパワーファイトに適応したスタイルで挑ませていただくであります。
岩翼と岩腕を駆使すれば、奇しくも総統と同じ四つ腕を模す形でありますな。
さて……ここからは純然たるプロレス勝負であります。
怒涛の連携攻撃を叩き込むでありますよ、総統殿。
「HAHAHA! ついに出シマシタナ『レミニセンス・エニグマ』!」
バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)はドーム状の闘技場、そのリングに出現した黄金のオブリビオンマシン『レミニセンス・エニグマ』を見据える。
見るだけでわかる。
その性能。
その力。
強大な力を秘めたるオブリビオンマシンに乗り込んだ『ザ・スター』のユーベルコードは『レミニセンス・エニグマ』を介してキャバリア大にまで引き上げられる。
体高5m級。
即ち、人の三倍はあろうかという巨体から繰り出されるユーベルコードは『ザ・スター』のユーベルコードをも三倍に出力させるということである。
「全力だ。もとより、この世界を殲滅するつもりであったのだ。早いか遅いかだけの違いでしかない!」
「But、我輩と『デスリング総統』であれば!」
「グロロロロ! それが貴様の全力であれば!」
二人の声が重なる。
『デスリング総統』とバルタンは互いに顔を見合わせる。
言わんとしていることが同じであると感じ取ったからかもしれない。
「実質的に二機対二人! いざ尋常に! キャバリアファイト!」
「レディー・ゴー!! なのである!!」
瞬間、バルタンの瞳がユーベルコードに輝く。
「骸式兵装展開、岩の番!」
模倣様式・絶対岩腕(イミテーションスタイル・ブラキエル)によってバルタンの姿が変容する。
ブラキオンの鎧に似た岩鎧。
破壊不能と言われたブラキオンの鎧に、バルタンはもう一対の岩腕を生やし、『デスリング総統』と共に『レミニセンス・エニグマ』へと飛び込む。
「腕を生やした程度!」
「純粋なパワーファイトのためには、これが一番でありマース!」
「グロロロロ! ワガハイをリスペクトし過ぎなのである! グロロロロ!!」
奇しくもバルタンのユーベルコードは『デスリング総統』と同じ四つ腕を保つに至る。
これがパワーファイトの極地というのならば、正しくその通りであったことだろう。
「ここからは純然たるプロレス勝負であります!」
「わが拳に砕けぬものなどない! 受けろ、バスター・ナックル!」
炸裂する拳。
その黄金の輝きを放つ拳をバルタンは岩腕でもって受け止める。
だが、砕けない。
そう、バルタンの岩鎧は鉄壁なのである。
砕けぬ巨腕に『ザ・スター』は呻く。
「馬鹿な……!」
「いくでアリマス!『デスリング総統』!」
「グロロロロ! 指図するではないわ! だが、この場合は、無論! と言わせていただっくのである!」
『レミニセンス・エニグマ』の隙を突いて『デスリング総統』が、そのアンダーフレーム、脚部を掴み上げ、ドームの空中へと、その巨体を投げ放つのだ。
「合わせるのである!」
「お任せあれ! 総統殿!」
投げはなった『レミニセンス・エニグマ』へと『デスリング総統』の四つ腕をカタパルトにしてバルタンが投げ放たれる。
巨大な岩腕が組み合わさり、それは巨大な鉄槌へと変貌する。
これがバルタンと『デスリング総統』の連携攻撃。
息をつかせぬコンビネーションアタック。
振り下ろした岩腕の一撃は、見事に『レミニセンス・エニグマ』をリングマットへと叩きつけるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
アルカ・スィエラ
……何というか……まあ、そういう奴よね(諦めのきもち)
引き続きアルカレクスのままいくわ
ドラグカプトとスケイルを展開し砲撃と防御の準備の後、【陽皇剣エクス・ドラグキャリバー】を!
再度超重力で敵の動きを鈍らせ、竜の紅炎と砲撃で仕掛ける!
……総統も回復してる?それは勝手に回復してるだけよ。
第一、こっちがどう動こうと、そっちは己を曲げる気はない…そうよね?
……何度でも言うわ、ヒーロー。
私は、「この世界に破滅を齎すオブリビオンを討つ」
…それが正しくなかろうと、誰にどう思われようと関係なく。
聖なる使命だの正義だの、自分の心にさえ己の行為の言い訳を重ね続けるあなたには……覚悟が!!足りてないのよ…ッ!!!
ファーストヒーロー『ザ・スター』のオブリビオンマシン『レミニセンス・エニグマ』の力は圧倒的であった。
そもそもの出力が違う。
桁違いであると言っていいだろう。
機体は限界を越えないかもしれないが、その出力のもととなっている『ザ・スター』の出力は限界を越えていく。
その猛攻に『デスリング総統』は圧されていた。
いや、圧されているのではない。
受けきっているのだ。
これが戦いであるというのならば、躱すなりなんなりと攻撃を防ぐこともできただろう。
だが、彼はそれをしない。
「プロレスとは! 相手の全力を引き出し、受け止め、なお、立ち上がる者のことを言うのである! どれだけの傷を受けようとも、何度ダウンしようとも! 最後に立っていればいいのである! グロロロロ!!」
盛大に笑いながら『レミニセンス・エニグマ』の一撃を『デスリング総統』は受け止めていた。
「……なんというか……まあ、そういうやつよね」
アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は最早諦めの境地であった。
どれだけ危険を説いた所で『デスリング総統』は戦うのをやめないだろう。
であれば、己がすべきことは一つである。
「そういうやつだからこそ、みんな熱狂しているのでしょうから!」
『アルカレクス・ドラグソリス』と共に彼女は砲撃と『レミニセンス・エニグマ』へと叩き込む。
「砲撃……! だが!」
幻影が現れ、その砲撃を受け止める。
だが、その一撃は超重力の一撃。
『レミニセンス・エニグマ』の足を止めさせるためのものであったのだ。
竜の紅炎が巻き起こり、『ザ・スター』は周囲を見合わす。
「目眩ましだというのなら、そんなものなど!」
「そう」
炎を斬り裂くようにしてアルカは『アルカレクス・ドラグソリス』と共に『レミニセンス・エニグマ』へと剣を振りかぶる。
「……何度でも言うわ、ヒーロー」
「何を!」
「私は『この世界に破滅をもたらすオブリビオンを討つ』……それが正しくなかろうと、誰にどう思われようとも関係なく」
振りかぶった剣、陽皇剣エクス・ドラグキャリバー(エクス・ドラグキャリバー)がユーベルコードに輝く。
勇気をもたらす光だった。
そう、己はオブリビオンを打ち倒す。
己の祖国を内側から蝕み、滅ぼした敵を、仇を討ち続ける。
過去からにじみ出て来る存在であるというのならば、それは永劫の戦いにも似た戦いになるだろうことは言うまでもない。
終わりのない戦いなのかもしれない。
けれど、アルカは負けるつもりはなかった。
例え、ファーストヒーローのように肉体と心が乖離するのだとしても。
「聖なる使命だの正義だの、自分の心にさえ己の行為の言い訳を重ね続けるあなたには……」
己は立ち止まらない。
そう決めたのだ。
ならばこそ、後は突き進む。
一心不乱に。何もかも切り裂いて進むように。
「覚悟が!! 足りてないのよ……ッ!!!」
振り下ろしたドラグキャリバーの一閃が『レミニセンス・エニグマ』の黄金の装甲を切り裂いた――。
大成功
🔵🔵🔵
戒道・蔵乃祐
『フィールド・オブ・ナイン』のプロレス・フォーミュラとファーストヒーロー『ザ・スター』
どちらもオブリビオンである以上は、そこまで違いを感じないのが本音ではある
世界の始まりから善と悪の闘争を繰り返してきたヒーローズアースとアスリートアース
結局のところ、骸の海が齎す破滅的な衝動を御し得る何かを見付けない限り、『過去』が蘇ってくる現象との戦いを終わらせることは出来ないのかもしれない
◆罪深き刃
限界突破の武器受け+グラップルで渾身のバスター・ナックルを真っ向からジャストガードで防ぐ
怪力と激痛耐性とで大地を踏み締めて衝撃に耐え切り、心眼と見切りで黄金のマシンごと重量攻撃で地面に投げ飛ばして叩き付ける
一本!
新生『フィールド・オブ・ナイン』のプロレス・フォーミュラ『デスリング総統』とファーストヒーロー『ザ・スター』。
この二人はオブリビオンである。
猟兵以外にはわからぬことであるが、しかし、猟兵たちと一度は矛を交えた敵であることは言うまでもない。
確かに『デスリング総統』は帝都櫻大戰の折に猟兵と共闘を果した。
だが、本音で言うのならば、戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)はあまり両者の間に違いを感じなかった。
「結局のところ、躯の海がもたらす破滅的な衝動を御し得る何かを見つけない限り、『過去』が蘇ってくる現象との戦いを終わらせることはできないのかもしれない」
それは飽くなき戦いの連続である。
現在がある限り、未来に進むことを宿命漬けられている。
そして、時が未来に進むためには過去を排出し続けるしかない。躯の海は、そうした過去の集積地である。
その過去の体積が歪み、オブリビオンという過去の化身が今に滲み出す。
時間質量論というものがある。
過去の体積で過去に在りし者たちは歪み、同一存在に思えて、それ自体がすでに変容し、同じ存在であることはない。
それがオブリビオンである。
質量とは即ち、過去を歪める圧力を時が保つ、ということにほかならないのではないだろうか。
「思索に耽れど」
やらねばならないことがある。
猟兵と『デスリング総統』の連携攻撃に寄って『ザ・スター』が呼び出し乗り込んだオブリビオンマシン『レミニセンス・エニグマ』がリングに叩きつけられている。
再び立ち上がろうとしていることは言うまでもない。
だからこそ、畳み掛ける。
蔵乃祐は踏み込み、己が拳を握りしめる。
「この世界を殲滅しなければ、プラントは破壊できない。邪神の複製体の生産工場はプラントなのだ。それを! 邪魔するというのならば!」
振るい挙げられる巨腕。
その拳には黄金の輝きが宿っている。
強烈なる輝き。
その一撃が強大な力そのものであることを蔵乃祐は悟る。
だが、真正面から己が拳と『レミニセンス・エニグマ』の拳が激突する。
絶好のタイミングで打ち合った。
それでも拳が砕け、血潮が飛ぶ。骨身の真芯に走る痛み。
「なんのこれしき!」
踏み怺える。
衝撃は大地を砕く。
力の差は歴然だった。だが、己には罪深き刃(ユーベルコード)がある。
助けを求める声に応える力がある。
己が拳を覆うのは手甲であった。
如何に絶望的な力の差が在るのだとしても、決して絶望に沈まない。その絶望を斬り裂くだけの刃が己にはあるのだ。
故に、如何に強大な一撃であっても。
「何故砕けない……!」
「無論、救けを求める声があるからこそ!」
黄金の拳を掴み上げる。
圧倒的な重量差もあるだろう。だが、蔵乃祐は類稀なる膂力でもって『レミニセンス・エニグマ』を持ち上げる。
否!
投げ飛ばすのだ。
「一本! いただく!」
リング激震。
蔵乃祐は見事な一本背負いでもって『レミニセンス・エニグマ』を大地へと叩きつけるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
薄翅・静漓
解説席からお送りするわ
『レミニセンス・エニグマ』に乗った全力の『ザ・スター』
その猛襲は留まるところを知らず
『デスリング総統』に攻撃を叩き込む
けれど、彼の心は叫んでいるのでしょう
優しさを忘れた正義では、世界を救えても人は救えないと
迷える拳で倒れる『デスリング総統』ではないわ
彼は人々の持つ強さを信じ、戦っている
そうよ、だから私達も諦めない
息を吸い、声を上げるわ
さあ、闘技場に巻き起こる嵐は追い風となるかしら
四本の腕が激しい竜巻を巻き起こす
鋼鉄の巨人に放たれるのは『デスリングラリアット』――!
「何故、この聖なる使命を阻む! 邪神の複製体は!」
世界を滅ぼす。
邪悪なる存在を滅するため。
それが聖なる使命であるというのならば、『ザ・スター』は生きながらにして躯の海を越えて世界を移動し続ける。
漸くにしてたどり着いたのは、クロムキャバリア。
鋼鉄の巨人が闊歩する戦乱の世界。
この世界の根幹を支えるものこそがプラントである。
遺失技術によって作られた生産機構。クロムキャバリアに生きる人々全ての生活の基盤となっているものである。
これを失えば、クロムキャバリアはたちまちに文明が崩壊するだろう。
故に『ザ・スター』の心が叫ぶ。
『止すのだ。この世界の人々を犠牲にして良い理由などない。プラントは、この世界の人々の生活を、文明を、営みを支えているものだ。それを犠牲にしてまで果たさねばならないのか。そうせねば、果たせぬのか』
心と肉体が乖離している。
「離れ離れで、心がシクシクしているんだね」
少年『フュンフ』の言葉に解説席の薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は頷いた。
黄金のオブリビオンマシン『レミニセンス・エニグマ』に乗り込んだ『ザ・スター』は肉体が強靭すぎるがゆえに生きながらにしてオブリビオンとなってしまったファーストヒーローである。
だが、『レミニセンス・エニグマ』を駆る彼の力は圧倒的だった。
黄金の輝きから繰り出される猛襲は『デスリング総統』であっても痛烈であった。血しぶきがリングの外にまで届いているのだ。
苛烈。
そう呼ぶに相応しいラッシュ。。
「けれど、彼の心は叫んでいるのでしょう。どれだけ心が痛むのだとしても」
静漓は見ただろう。
肉体と心が乖離した存在。
悲しき心の叫びを。
「『強いだけの力に価値など無い。その優しさが世界には必要だ。もしも、それが弱さだというの者がいるのだとすれば――」
「――『その者は本当の強さを知らない』、だよね」
少年『フュンフ』の言葉に静漓は頷く。
「優しさを忘れた正義では、世界を救えても人は救えない。あなたの心はそう叫んでいるのが聞こえない……?」
「黙れ黙れ! 永きにわたる彷徨はこの時の為にあったのだ! それを今更!」
叩きつけられ続ける拳。
『デスリング総統』の四つ腕のガードすら衝撃は貫通しているだろう。
血潮が舞う。
あまりにも痛烈。もはや立っているのが不思議なくらいだった。
だが、静漓は解説席から告げる。
「迷える拳で倒れる『デスリング総統』ではないわ」
「迷える、だと? この私が、迷うだと!?」
「ええ。迷っている。だから、『デスリング総統』は倒れない」
その言葉にガードを解いた『デスリング総統』が不敵に笑む
「グロロロロ! その通りである! ワガハイはプロレスラーよ。全ての攻撃、全力を受け止めるまでは決して倒れぬのである1」
静漓は知る。
彼の強さを信じている者たちがいる。
その不撓不屈たる精神。絶対はなくとも、己の心が折れぬ限り、その力は絶対に至ることを信じる者がいる。
己の隣りにいる幼き少年ですら、それを信じている。
なら、己も諦める理由はない。
息を吸う。
己の声は届かない。張り上げる事ができないからだ。
けれど、それでもユーベルコードは輝く。
不屈。
どんな絶望にも膝折らぬ意志を宿した者こそ、最後に立つ者。即ち、勝者である。
「さあ、闘技場に巻き起こる嵐は追い風となるかしら。四本の腕が激しい竜巻を巻き起こす」
彼女の言葉とともに『デスリング総統』の四つ腕がローリングラリアットによって竜巻を生み出す。
そう、その名を彼女は知っている。
そして、告げるのだ。
張り上げた声は、嵐さえも貫いて。
「鋼鉄の巨人に放たれるのは『デスリングラリアット』――!」
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
うーん迷う…
こういう時、VIPなルームでワインをくるくるしたり高そうな猫を撫でてたりする方か
それともとりあえず音を立てて盛り上げる方が良いのか…
やはり此処は、盛り上げるか…
【Call[Unit01]】起動
ブブゼラ隊出撃!
普通にブブゼラ吹いて盛り上げてて!
私もブブゼラを装備
|ブブブブー《ブブゼラー》|ブブブブブブブーブブ《ブブゼラはいらんかねー》
|ブブブブブブブ、ブブブブブーブブ《煩いだけで何が楽しいか良くわからんけど》
|ブブブブブブブブーブブブー《何か応援した感はでるブブゼラだよー》
第二のシノギはブブゼラ売り
熱気に当てられ買ってみたものの、持って帰ると使い道が無さすぎる奴を売り付ける!
白熱するリングの戦い。
死闘、熱闘、激闘。
いずれの言葉にしてもお釣りが来るくらいの熱狂がドーム状の闘技場に渦巻いていた。
竜巻のようなラリアットが『ザ・スター』の駆る黄金のオブリビオンマシン『レミニセンス・エニグマ』を打ち据える。
血潮が飛ぶ。
血風荒ぶ、とはこのことだろう。
『デスリング総統』は全ての攻撃を避けない。ただひたすらに受け止め続ける。
それがプロレスラーだからという理由だけでは通用しないほどのタフネスでもって彼は『レミニセンス・エニグマ』の攻撃を受け止め続けていたのだ。
その不撓不屈たる様に観客たちは熱狂するのだ。
しかし、月夜・玲(頂の探究者・f01605)はその熱狂の渦の中にありながら、難しい顔をしていた。
「うーん迷う……」
何を?
「こういう時、VIPなルームでワインをくるくるしたり、高そうな猫を撫でたりする方か、それともとりあえず音を立てて盛り上げる方が良いのか……」
何その二択。
というか、闘技場を建築するドサクサでVIPルームなんか作っていたのだろうか?
いや、古今東西、こういう催しを行う施設にあってVIPルームは必須である。
観客席にだってクラスがあるのだ。
当然快適さを売りにして、付加価値を付けたチケットも存在して然るべきである。
関係者席だってあるしね。関係者?
「やはり此処は、盛り上げるか……」
うん、と玲は頷く。
この熱狂を利用しない手などないのだ。
「Call[Unit01](コール・ユニットゼロワン)!!」
瞬間、玲の周にはブブゼラを吹くおじさんたちが集結する。
なんで?
ブブゼラ、またはレパタタとも呼ばれる、大雑把に言えば金管楽器にカテゴリされる楽器である。
そこまではいい。
だが、このおじさんたち誰!?
「細かいことはいいから! ブブゼラ吹いて盛り上げて!」
ブブブブブー。
けたたましい音が響き渡る。
おじさんたちも特に文句言うことなく玲の号令にしたがってブブゼラを吹き鳴らす。
ともすれば、象の鳴き声のようでもあった。
その音を聞いた観客たちは振り返る。
「な、なんかいる!?」
「あ、あのおじさんたちなに!? ていうか、この音、なに!?」
誰もが驚愕していた。
下手したら『デスリング総統』と『ザ・スター』の戦い以上の衝撃が、そこにあったのだ。
「|ブブブブー《ブブゼラー》、|ブブブブブブブーブブ《ブブゼラいらんかねー》」
なんて!?
玲はブブゼラを吹き鳴らしながら観客席を練り歩く。
その背にはブブゼラが背負われていた。
まさか。
そう、そのまさかである。
「|ブブブブブブブ、ブブブブブーブブ《煩いだけで何が楽しいかよくわからんけど》、|ブブブブブブブブーブブブー《何か応援した感は出るブブゼラだよー》」
商魂たくましい玲。
そう、これこそ商機。第二の商機なのである。
聡い玲である。
このブブゼラが次使われることはないだろう。けれど、この熱狂である。
なんかよくわからんテンションのまま、なんか楽しそうにしていれば、人は皆それを欲するものである。
一体感という名の同調圧力。
それを感じてしまったのならば。
「な、なんか知らんけど、ひとつくれ!」
「|ブブブブー《はいよー》」
まいどありー、位は言えばいいのに。
一人手を上げれば、雪崩のように人々はブブゼラを求めるだろう。熱気に当てられて買ってみたものの、持って買えると使い道が成さすぎるアイテム。
それがブブゼラなのだ!
語弊があるけど――!
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
聞こえますか?
全ての生命よ…
今あなたの脳(ないしそれっぽい器官)内に直接語りかけています
私は神です
日々に楽しみ、娯楽が欲しいとは思いませんか?
思いなさい
思って?
思え!
よしよしその願いかなえてあげるよ!
●願われまいがUC『神心』による強制脳内ハイビジョン実況
さぁ始まりました!
一方はレスリングで世界を支配するため世界を護ると豪語する四つ腕の怪人!プロレスフォーミュラーにしてボクらの大総統!『デスリング総統』!
対するは世界全体を救うために人々から糧であるプラントを破壊し、奪い滅ぼすことも辞さない冷徹なるヒーロー『ザ・スター!』
世紀の一戦!その第二ラウンドはじまるよーっ!
「聞こえますか?」
それは突如として観客の人々のみならず、周辺の小国家の人々の頭に響いた。
「全ての生命よ……今、あなたの脳内に直接語りかけています」
なんか反響するような声。
えらく荘厳な雰囲気が出ているようにも思えた。
というか、この声の主は一体何なのか。
「私は神です」
神!
人々は目を見開いただろう。
神の存在を知らずとも、神という高次の存在を認識させるような現象が己たちに降り掛かったことに人々は心を乱すだろう。
もしくは、祈りを捧げたかもしれない。
その在り方はひとそれぞれであった。
ある種の荘厳さの前には、人間というものはひれ伏すものである。誰もが思っただろう。これが神託というものなのか、と。
「日々に楽しみ、娯楽が欲しいとは思いませんか?」
だが、急に俗っぽくなったな!
誰もが、え、と止まった。
「思いなさい」
急に強制してきた。
何だこの声、と皆思っただろう。
「思って?」
なんで疑問形?
「思え!」
強烈な意志の奔流に人々は混乱しきりであった。
そう、こんなことをする猟兵など一人しかいないかもしんない。
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)の仕業であった。
「よしよし、その願い叶えてあげるよ!」
ユーベルコードの輝き。
神心(ゴッドウィル)によってロニは、荒唐無稽なる全世界の生命の意識と無意識とに呼びかけていたのだ。
願い事の強制とも言えるかもしれないが、ロニにとっては大した違いではなかった。
「さあ、いくよ! 世紀の一戦! その第二ラウンドだよー!」
あ、とロニは全世界に呼びかけながら思い直す。
もしかしたら、今からこの戦いを知る者もいるかもしれない。
なら、と彼は説明をし直す。
「一報はレスリングで世界を支配するため世界を護ると豪語する四つ腕の怪人! プロレスフォーミュラにしてボクらの大総統『デスリング総統』!」
「グロロロロ! あくまでプロレスである! プロレスに寄る世界征服であるからな! グロロロロ!!」
「うーん、細かい!」
ロニは頷く。
そんでもって、と黄金のオブリビオンマシンに乗る『ザ・スター』を示す。
「対するは世界全体をすくために人々から糧であるプラントを破壊し、奪い滅ぼすことも辞さない冷徹なるヒーロー『ザ・スター』!」
「プラントは邪神の複製体の生産工場なのだ。これを破壊しなければ、我が聖なる使命は終わらないのだ! 一つ残らず、破壊する!」
「そうみたい! ま、どっちにしたって第二ラウンドも佳境! チャンネルはそのままでお願いね!」
ロニは適当の実況しながら、またポップコーンとコーラを流し込み、クライマックスにひた走る試合を実況席から眺めるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ステラ・タタリクス
なるほど
そうきましたか
ならば私も乱入させていただきましょう
フォル!いらっしゃい!(鳥型キャバリアを呼び寄せ)
たとえ|赤《悪性》を宿す力とて
乗り手の|良心《善と悪に揺らぐ心》があるならば!
人では無く世界を救うには十分すぎる力です!
フォル!【ル・ディアーブル・ヴィアン】で!
敵キャバリアの動きを止めます!
空中殺法、というか
ただ空から攻撃するだけですが
デスリング総統の邪魔にはならないでしょう
というか死地に突っ込む気がしないでは無いですが
その場合は気合いでかわすか受け止めてくださいませ!
ええ、いかなる強大な力とて
善なる使命とて
揺らぐ心が
他人を思いやる心が無くば
プロレスですらなくただの暴力と知りなさい!!
黄金のオブリビオンマシン『レミニセンス・エニグマ』。
それこそが『ザ・スター』の全力であった。
体高5m級の戦術兵器。
それは彼の力を増幅させる。
もとより超常の人の如き力を振るう『ザ・スター』の黄金のパワーは、『レミニセンス・エニグマ』を介することによって、さらに膨れ上がっていくのだ。
「なるほど、そうきましたか」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は、今こそクライマックスであると理解するだろう。
ここで『ザ・スター』を抑え込まなければ、世界の命運が決してしまう。
故に彼女は手を天に掲げる。
「ならば、私も乱入させていただきましょう。フォル! いらっしゃい!」
ドーム状のぶち抜かれた天蓋、空より舞い降りるのは鳥型キャバリア『フォルティス・フォルトゥーナ』であった。
「例え|赤《悪性》を宿す力とて、乗り手の|良心《悪に揺らぐ心》があるならば!」
「人の善性を信じられずに、何が良心か! なんのための心か!」
「人ではなく、世界を救うには十分すぎる力だというのです!」
『フォルティス・フォルトゥーナ』の全射撃武装が一斉に火を吹き、『レミニセンス・エニグマ』の周囲に叩き込まれる。
動きが止まる。
そこに『デスリング総統』が踏み込む。
巨体とは思えぬ圧倒的な速度である。
「グロロロロ! 悪性そのものであるのが人である。そして、善性は悪性から生まれるのである! 人の心に影を落とすのが不屈の闘志、炎であるのならば、それもまた然りなのである。だからこそ、人は己の心を照らすものに憧れる、焦がれるのである! 己の心が悪しきものであったとしても、それに負けてはならぬと思う心こそが!」
『デスリング総統』はプロレスによる世界征服を目論むヒールである。
悪役がいるのならばヒーロー役だっている。
それはいつだって自分以外の誰かであればいいと彼は思うのだ。
故にヒール。
それに徹するように笑うのだ。
そして、不撓不屈なる闘志を燃やし、全ての攻撃を受け止める。
どんな悪性をも受け止める器なくば人は、善性の揺らぎを得ることはできない。
ともすれば、それはすでに人が得ているものであるとも言えただろう。
だからこそ。
「流石に危なくありませんか!」
己のキャバリアの全武装による射撃。
弾丸の雨の中を恐れなく『デスリング総統』は踏み込んでいた。なんか弾丸が当たっていたような気がしないでもない。
だが、彼はそんなものなど気にも止めていなかった。
「気合である!!」
「気合!?」
「己が定めた真芯は、他の誰にも曲げられぬものである! グロロロロ! 故にワガハイは告げるのである!『戦いに際しては心に平和を』と!!」
組み付いた『レミニセンス・エニグマ』と『デスリング総統』。
「くっ……離せ……! 我が聖なる使命は……!」
「ええ、いかなる強大な力とて、善なる使命とて、揺らぐ心が、他人を思いやる心がなくば!」
そう、『戦いに際しては心に平和を』。
その言葉は、誰かを思いやる心があればこそ。揺らぎ、怒りと憎しみに塗れてなお、その真芯にあるものを思えばこそ、生まれるものがある。
「プロレスですらなく、ただの暴力と知りなさい!!」
その言葉とともステラは『フォルティス・フォルトゥーナ』を急降下させる。
その鉤爪が狙うのは『レミニセンス・エニグマ』。そして『デスリング総統』である。
彼ごと『フォルティス・フォルトゥーナ』は鉤爪でもってリングに抑え込む。
そう! これは!
「フォール! です! これがプロレスだというのならば!」
スリー!
観客たちの声が聞こえる。
ツー!
戦いであれど、戦いではない。
誰も死なせはしない。
その想いが、願いが、祈りに。
ワン!!
ゴングが鳴り響く。
「これにて決着、です――!」
大成功
🔵🔵🔵
第3章 集団戦
『グレイル』
|
POW : シールドストライク
【シールドを使用した格闘攻撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【パイルバンカー】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : バレッジ
【友軍と共に繰り出す一斉掃射】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を制圧し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ : グレネードショット
単純で重い【榴弾】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
イラスト:イプシロン
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ついに猟兵と『デスリング総統』は『ザ・スター』をプロレスパワーでもってねじ伏せた。
フォールによるスリーカウント。
これによってプロレスとしての決着はついた。
だが、『ザ・スター』は『レミニセンス・エニグマ』より飛び出し、天に手を掲げる。
「まだだ……まだ、我が使命は終わっていない。ここで今までの旅路が水泡に帰すことなどあってはならない!!」
天にあるのは『エナジーゲート』。
光り輝く、その力の奔流より現れるのは、無数のオブリビオンマシンであった。
『グレイル』と呼ばれる量産型オブリビオンマシン。
乗り手なく、ただひたすらに破壊をもたらさんとするもの。そして、乗り手……即ち、このリング、闘技場に集まった『グリプ5』の一般市民を、そのコクピットに取り込まんと巨大な腕を伸ばすのだ。
だが、その腕部を斬り裂くものがあった。
それは赤い閃光。
二人羽織のキャバリア『熾盛・改』のプラズマブレイドの一閃が『グレイル』が一般市民を取り込まんとしたのを阻み、その二人羽織が分離するようにして二騎のキャバリアへと変じる。
「……あれが『エナジーゲート』か」
「本来のあれは城壁のような役割なんだろう? それがなんで」
二騎のキャバリアに乗る『パッセンジャー』と『サツキ・ラーズグリーズ』。
加勢に入った二騎のキャバリアであるが、エナジーゲートからは次々とオブリビオンマシンが降り注ぐようにして降り立つのだ。
「……理解を深めるより先にやるべきことがある。いつだってそうだ。戦いというものは」
そう、見上げた先にあるエナジーゲートから湧き出すオブリビオンマシンを全て撃破しなければ、この戦いは終わらないのだ――。
蒋・飛燕
●POW
見苦しいアルよ、ザ・スター!
スリーカウントのフォールで勝負は決着したネ!
それが不服なら、とことん戦ってやるだけアル!
キャバリアファイト…レディー、ゴー!!
エナジーゲートのおかげで暴走衛星の砲撃は阻止されてるアル
展開されてる間なら、私の十八番の空中殺法が火を噴くアルネ!
デスリング総統、連戦続きでへばってる暇はないアル!
空中は私が担当するから、目の前のオブリビオンマシンを相手にするのに集中するネ!
こっちに放り投げられたら…ツープラトンを決めるヨ!
飛天業炎脚をコックピットめがけて蹴り付けて、ザ・スターにお返しアル!
それはそうと…もし元の世界に無事に戻れたらサイン…頼んでも良いアル?
約束ヨ!
ドーム状の闘技場、その天蓋砕かれし先にあるのは『エナジーゲート』。
次々と降り立つオブリビオンマシンはパイロットを擁してはいなかったが、しかし自律稼働し、観客である一般市民たちを襲う。
殺すためではなく、己のコクピットに取り込み狂気に侵さんとしているのだ。
故に戦場であるリングに飛び込んできたのは二人羽織の赤いキャバリア。
そのキャバリアは二騎に分かたれ、迫るオブリビオンマシン『グレイル』と市民たちの間に立ちふさがる。
だが、敵は数という猛威でもって迫る。
「見苦しいアルよ、『ザ・スター』!」
蒋・飛燕(武蔵境駅前商店街ご当地ヒーロー『緋天娘娘』・f43981)は、最後のあがきと言わんばかりに『ザ・スター』が『エナジーゲート』からオブリビオンマシンを大量に降り注がせたのを見て息巻く。
「スリーカウントのフォールで勝負は決着したネ!」
「黙れ! 我が聖なる使命の前に真似事の争いに勝利したからと!」
「不服! なら、とことん戦ってやるだけアル!」
飛燕の瞳がユーベルコードに輝く。
そう、戦うだけだ。
どんなに戦いが決着を迎えようとも、まだ戦う意志があるというのならば、その意志を徹底的にくじかねばならない。
故に彼女は声を張り上げる。
「キャバリアファイト……レディー、ゴー!!」
炎を撒き散らしながら飛燕は飛翔する。
天にあるのは『エナジーゲート』。
これによって暴走衛生に寄る砲撃は阻まれてる。のならば、彼女は己の十八番たる空中殺法でもって『グレイル』へと襲いかかる。
シールドを構えた『グレイル』は、それを防御ではなく攻撃に使う。
振り上げた一撃。
本命は質量攻撃ではなく、そのシールドに備わったパイルバンカーの一撃だ。
鉄杭の切っ先が剣呑に輝き飛燕を狙う。
しかし、彼女は身を翻して、その一撃を躱す。
空中から失速して大地を駆け、彼女は血まみれの『デスリング総統』に言葉を投げかける。
「へばってる暇ないアル!」
「グロロロロ! インターバルよ、これはな! ワガハイが連戦でヘバるなどありないのである!!」
「いや、どう見ても……いや、それはもういいアル! 絶対へばった、へばってないの言い合いになるだけアル! 堂々巡りアル!」
「グロロロロ! わかっているではないか! ならば!」
「ワタシが空中を!」
「ワガハイは地上を! であるな!」
「そういうことアル!」
飛燕は再び炎の闘気を纏って空中高くへと舞い上がる。
眼下に見えるは、『グレイル』たちに組み合う『デスリング総統』。血まみれのその姿は、痛々しい。
だが、市民を間接的であれ護る形になっている。
「グロロロロ! 我が四次元殺法、その初歩を思い知るがいい!」
四つ腕が『グレイル』の巨体を掴み上げ、空中へと投げつける。それは飛燕に投げつけたようにも思えたし、事実飛燕はそれを待っていたのだ。
「『ザ・スター』! その往生際の悪さはいうまでもないアルが、諦めないというのなら、何度でもぶちのめしてやるだけアル! これは! お返しアル!」
飛天業炎脚の一撃が投げ込まれた『グレイル』の無人のコクピットへと叩き込まれ、鋼鉄の巨人の巨体が『ザ・スター』へと叩き込まれる。
「グロロロロ! 良いツープラトンではないか!
「『デスリング総統』!」
「なんであるか!」
「その、もし、元の世界に無事に戻れたら……」
「何? もっと大きな声ではっきりと言うのである!」
「サイン! 頼んでも良いアル?」
「グロロロロ! それはこの戦いを無事に切り抜けてからよ!」
「約束ヨ!」
すっかり飛燕はプロレスファンになってしまったようである。
熱き戦い。
それを見せられて滾らぬわけがないのだ。飛燕は、その約束を胸に、己が炎の闘気を立ち上らせ、『グレイル』を次々と蹴りぬくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
戒道・蔵乃祐
独立傭兵?いや…小国家の防衛部隊か…?まあいい、よろしく頼むよ
※キャバリア騎乗戦闘
◆人機融合・イリーガルサーキット
発動。念動力で作動する副腕を展開
怪力+グラップルで敵性キャバリアを鷲掴みにし、四肢を引き千切り操縦席を抉り取る
デスリング総統も大体同じ様な事をしているだろう。乗っている人間は利用されているだけなんだ。頼むぞ?
一斉掃射は早業+ジャンプで軽々と躱して翔び、切り込み+見切りで敵陣に飛び込んで次々と八つ裂きにします(手加減攻撃)
コラッ!コクピットを無造作に投げるなっ!
荒々しい頼もしさだがやはりこの世界にとっては部外者か
イザナミも蛆獣も既に消え去ったのだ
頼むから、帰ってくれデスリング総統…
空に浮かぶエナジーゲートより降り注ぐようにして降り立つのは無人のオブリビオン『グレイル』らであった。
その機体に人は乗っていない。
だが、その無人のコクピットに小国家『グリプ5』の市民たちを取り込み、狂気に侵さんとしているのは明白。
事実、逃げ遅れてしまった市民たちが『グレイル』のコクピットに少数ながら取り込まれてしまっている。
それを認め、戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)は呻く。
「人を取り込む……以前、似たような事件があったと聞くが……まあいい。君らは独立傭兵? いや、小国家の防衛部隊か……?」
二人羽織の赤いキャバリアが二騎に分かたれたのを見て、蔵乃祐は己のキャバリアに乗り込み呼びかける。
「似たようなものです。今は」
「……このキャバリアを叩くのみ」
二騎からの返答に蔵乃祐は頷く。
「よろしく頼むよ。さあ、行こうか。裏コード実行。666!」
人機融合・イリーガルサーキット(ジンキユウゴウ・イリーガルサーキット)。
それは蔵乃祐のユーベルコードである。
副腕を出現させ、四つ腕の機体へと変貌した乗機は、まるで『デスリング総統』に寄せた形となったことだろう。
その強大な出力でもって副腕と腕部が『グレイル』の一斉射をかいくぐり、掴みかかる。
オーバーフレームとアンダーフレームに挟み込まれているのがコクピットブロックだ。
取り込まれた人々がいるのならば、ここからは大胆にして精緻樽操作が必要となる。
「が、その武器を手繰るフレームは砕かせてもらう!」
砕く、というよりもぎ取りるようにして蔵乃祐の瞳が輝く。
念動力に寄って副腕が唸りを上げ、『グレイル』の腕部と脚部をねじり切るのだ。
「グロロロロ! ワガハイと似たようなことを!」
「乗っている人間は利用されているだけなんだ。頼むぞ?」
「グロロロロ! この程度でどうにかなるほどこの世界の人間は柔くはないであろうに! 我がアスリートアースの超人アスリートより、少しばかし脆い程度であろう!」
「いや、それはだいぶ語弊があるし、認識の齟齬がある!」
蔵乃祐は慌てるしかなかった。
「コラッ! コクピットを無造作に投げるなっ!」
「この程度お手玉をしたようなものではないか」
「そのお手玉程度でも、この世界の人間は三半規管がどうにかなってしまうんですよ!」
「グロロロロ、鍛え方が足りないのである!」
荒々しい動きで『デスリング総統』は次々と『グレイル』を千切っては投げ、千切っては投げを繰り返していくのだ。
その姿はあまりにも大雑把にすぎる。
だが、頼もしいとも思えたことだろう。
「いや、やっぱりよせ! 荒々しすぎる!」
「グロロロロ!!」
笑ってごまかされたような気がしないでもない。
「くっ、荒々しい頼もしさだが、やはりこの世界にとっては部外者か。というか、アスリートアースの超人アスリートたちと比べるんじゃない!」
エンシャント・レイス『イザナミ』も冥府の蛆獣も消え去った。
ならばもう『デスリング総統』がこの世界に居座る理由などないはずなのだ。
頼むから、と蔵乃祐はげんなりしてしまう。
帰ってくれ、『デスリング総統』。
真にぐったりとした心持ちになりながら、『グレイル』を破壊し続ける『デスリング総統』の大雑把な戦い方を蔵乃祐はフォローし続けるため、奔走することになるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ユーリー・ザルティア
【心境】
「やっと見慣れたクロムキャバリアの光景だよ。」
見慣れたら絶対いけないんだろうけど…
ヒーロー…その最後っ屁不発だよ。
なぜならここにエースがいるのだからッ!!!
【行動】
引き続きレスヴァントでいくよ。
新兵器は…ああ、もう使えないみたいだね。
なら、アマテラスを射出
敵機を『索敵』し『情報収集』
『瞬間思考力』で瞬時に理解。
≪三式波導爆縮弾≫をダークマンティスに装填
『エネルギー充填』を120%まで『限界突破』チャージさせるよ
それまで攻撃を『見切り』回避。ボクの『操縦』テクを甘く見てもらっては困るね。
ダークマンティスの『レーザー射撃』を『範囲攻撃』モードで敵機をまとめて薙ぎ払うよ。
慣れというものは恐ろしいものである。
戦いが常なる世界であるクロムキャバリアにおいて、『デスリング総統』と『ザ・スター』の戦いはある種非日常であった。
それ故に戦いでありながら、非現実的な熱狂が生まれたとも言える。
だが、ドーム状の闘技場の天蓋、その打ち破られた空に浮かぶエナジーゲートから降り注ぐようにして出現したオブリビオンマシン『グレイル』は、クロムキャバリアに生きる市民たちにとっては日常であり、また同時に争いの象徴でもあったのだ。
「これもまた見慣れたクロムキャバリアの光景だよ」
ユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)は、むしろ今までおかしかったのだと思う。
常人ではないにせよ、生身単身の闘士たちが組み合う姿はキャバリアが戦場の花形であるクロムキャバリアにおいては特異。
「見慣れたら絶対にいけないんだろうけど……でも、それでも見慣れてしまうほどには、この世界は戦乱に満ちている。どうしようもないほどにね! だから」
ユーリーは『ザ・スター』を睨めつける。
「ヒーロー……その最後っ屁不発だよ」
「必ず、この世界を殲滅してみせる……! 我が聖なる使命に誓って!」
「決意を新たにしたってね! どうやったって、その望みは叶わない。なぜなら、ここに『エース』がいるのだからッ!!!」
ユーリーの機体、『レスヴァントMk-2』が駆ける。
射出されたアマテラスからコクピットのモニターに情報が次々と送られてくる。
オブリビオンマシン『グレイル』。
汎用性の高い機体である。
また同時に無人で動くものと、市民をコクピットの取り込んで狂気に侵した機体とが混在している。
「ちょこざいなことをしてくれんじゃん!」
新兵器はもう使えない。
それでもやりようがある。
「索敵完了! なら行くよ!」
一気に機体を走らせ、『グレイル』たちによる一斉射を躱す。
敵の動きは無人機であればあるほどに画一的な動きを見せる。ならば、ユーリーは戦場を駆け抜け、こちらに接近戦で対応しようとする機体を引き離して、隊列を組むようにして攻撃を仕掛けてくる『グレイル』の一団に目をつける。
「動きが悪い……なら、こいつらが無人機ってことでしょ。人が乗ってないってんなら、遠慮なんかいらないわよね!」
超大な砲身が背より展開し、その咆哮を『グレイル』の一団へと向ける。
「三式波導爆縮弾(サンシキハドウバクシュクダン)装填。ダークマンティス、リミッター解除! とっておきの高い弾丸……受けて皆よ!」
放たれる弾丸は一気に『グレイル』の一団を吹き飛ばし、さらに有人機へとレーザー射撃でもって無力化する。
「この程度、やれないとでも思ってんの? 市民は助ける。オブリビオンマシンは撃破する。それができないで『エース』なんか名乗ってなんかられないってば!」
ユーリーは戦場をさらに疾駆する。
敵を撹乱し、隊列を乱し、自律稼働するオブリビオンマシン『グレイル』を次々と撃破していく。
「これじゃ、ただスコアを伸ばしてくれるありがたい敵でしかないよ。ま、ありがたがってなんてられないけれどね――!」
大成功
🔵🔵🔵
アルカ・スィエラ
まあ、確かにああは言ったけれどね……けど、その行為をこっちが許すとでも思った?
「殲滅の…」いや、上から仕掛けても防がれる。それに、民間人の避難もまだ終わっていない……なら!
再度ドラグカプトとスケイルを展開!そのまま【陽皇剣エクス・ドラグキャリバー】!!
周囲へと超重力と紅炎での攻撃と拘束、味方と逃げ遅れた民間人へと光の加護を!
ドラグカプトでは無人機攻撃と榴弾迎撃を優先、有人機は…(3人いる「味方」を一瞥して)拘束を優先するわ
今いるあの面子の性格的に、無闇に犠牲を出すタイプでもないでしょ
……違うとしてもその時は「敵」としてみるだけよ。
行きましょう、ドラグレクス。私の、私達の敵を、討つ為に…!!
エナジゲートより降り立つ無数のオブリビオンマシン『グレイル』たち。
無人機でありながら、自律行動を行い、そのコクピットにパイロットを求めてドーム状の闘技場に降り立つ。
彼等の目的は言うまでもない。
オブリビオンマシンがもたらす狂気によって小国家『グリプ5』の市民たちを凶徒へと変貌せしめることである。
「それを許すとでも思った?」
突き立てられる陽皇剣エクス・ドラグキャリバー(エクス・ドラグキャリバー)。
それはアルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)の駆るキャバリア『アルカレクス・ドラグソリス』より放たれたユーベルコードであった。
勇気もたらす光は、迫る榴弾の爆風を阻む。
誰一人として犠牲にはさせない。
アルカにとってやらねばならないことであり、優先されることであった。
「敵は此方の頭上を取っている。それに民間人の避難は完了していない……加えて、こいつらは市民を取り込もうとしている……なら!」
機体よりドラグカプトと紅炎が噴出する。
護る。
それが己に課せられた使命ではないのだとしても、今ここに在る己がしなければないと感じ、またそうすることを望んでいるのならば、アルカのユーベルコードは正しく勇気と共に煌めくのだ。
「紅の炎……! これは、みんなを守ってくれているのか」
二騎のキャバリアに分かたれた赤い『熾盛・改』を駆る『サツキ・ラーズグリーズ』は炎の中を疾駆し、榴弾の炎を掻い潜り『グレイル』へと一撃を叩き込む。
「……結果的にそうなっているのだとしても、構わない。俺達のやるべきことと、あの機体のやることが重なっているのなら」
『パッセンジャー』は分かたれたもう一騎と共に逃げ惑う市民たちをマニュピレータに抱えて炎から逃れている。
その様をアルカは見ただろう。
「グロロロロ! 弱いものから狙うなど言語道断である! 来るならワガハイを打ちのめすがいい! 遠慮はいらないのである!」
四つ腕の怪人『デスリング総統』が手を広げて『グレイル』の前に立ちふさがっている。
彼等ならば犠牲を是とはしないだろう。
アルカはそう確信しているからこそ、二騎の一人を信用するのだ。
もしも、彼等が無闇に犠牲を出すことを肯定する者たちであったというのだとしても構わなかった。
「その時は『敵』として見るだけよ」
護る。
やはり己は、この感情が湧き上がっている方が良いとアルカは思ったかも知れない。
敵を討つことで守られるものがある。
「なら、行きましょう。ドラグレクス。私の、私達の敵を、討つ為に……!!」
祖国に破滅をもたらしたオブリビオンマシン。
その影は今も彼女の心に落ちる。
だが、それでも照らすものがある。
それはオブリビオンマシンがもたらさんとする破滅を振り払う力が己にあるということ。
敵を討つための力。
「あの時といつまでも同じだと思わないことね……! それを今此処に示す!!」
その言葉と共にアルカは突き立てた剣と共に不動の構えでもって迫る『グレイル』たちの放つ榴弾の炎を防ぎ続け、人々を守るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
薄翅・静漓
『サツキ』と『パッセンジャー』
あの二人はダークリーガーでもあったわね
彼等もこの戦いを見守っていたのかしら
私も戦うわ
ここにいる人達を守るために
『結界領域』を展開し
鋼鉄の腕が観客に迫るより先に
試合の熱気で昂ぶったこの想いを込めて
アスリート魂を矢に変えて放ち、『グレイル』を撃つ
攻撃されたら加速して躱すわ
攫われないように『フェンフ』にも目を配っておきましょう
彼が何者だろうと
幼い子を酷い目に合わせたくはないの
二騎の赤いキャバリア。
元は一騎であったが、今は二騎に分かたれている。
「あの二人羽織のキャバリア……」
薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は、その二騎に乗っている者たちを知っている。
『サツキ・ラーズグリーズ』と『パッセンジャー』と名乗るパイロットたち。
彼等は彼女の知るところのアスリートアースにおけるダークリーガーであった。
『フィールド・オブ・ナイン』によって選出された『プラクト』のアスリート……のはずであったが、声変わりを果したのだろうか。
彼等の声が少し違うことに静漓は気がつく。
アスリートアースにいた彼等とは違うのか?
それともあの世界が『しあわせなゆめ』であったというのなら。
「……目が覚めた、だけ?」
静漓は頭を振る。
迫るはエネジー・ゲートより湧き出すオブリビオンマシン『グレイル』たち。
彼等は小国家『グリプ5』の市民たちを狙っている。
未だ無人機であるがゆえにコクピットに取り込み、狂気に侵そうというのだろう。
「私も戦うわ。ここにいる人たちを守るために」
それはさせない。
誰もが平和を願っている。
誰もが明日を求めている。
それを狂気で壊そうとしているのなら、静漓の瞳はユーベルコードに輝く。
「勝負しましょう。その狂気と私の熱気とで」
結界領域(ケッカイリョウイキ)が広がっていく。
それは真剣勝負に相応しいフィールドであった。
奇しくも、ここはリング。
ならば、これより繰り広げられるのは鋼鉄の巨人と天女のごとき静漓の戦いである。
『グレイル』たちは、そんな静漓のアスリート魂など気に留めた様子もなく、シールドに備わったパイルバンカーの鉄杭の一撃を彼女へと叩き込まんと振り上げる。
強烈なる衝撃が走り、静漓がいた場所に鉄杭が叩き込まれ、リングが砕ける。
だが、そこに静漓はもういなかった。
「遅いわ」
そう、遅い。
彼女がこれまで戦ってきたものたちは、競ってきたものたちは、『グレイル』たちよりもずっと速かったのだ。
そして何より、彼女はこれまで行われていた『デスリング総統』と『ザ・スター』の戦いを見ていた。
その熱気に昂った想いは、彼女を加速させる。
放たれる矢は、まさしくアスリート魂の発露であった。
「すごい!」
その姿に少年『フュンフ』が声を上げる。
静漓は目を見開く。
まだ避難していないのか、と。
「『フュンフ』、どうしてまだこんなところに」
「だって」
だって、と言う彼の瞳は静漓を見つめていた。
まさか、と静漓は思っただろう。まさか自分が戦っているから、逃げていないのかと。
彼にとって静漓は解説席の隣にいたお姉さん、くらいの認識なのか? まさか、と静漓は思ったかも知れない。
頭を振る。
彼が何者だろうと関係ない。
「危ないから、私の後ろに」
そう幼子さえも『グレイル』は関係なく取り込もうとする。
取り込まれればどのような未来が訪れるかなど言うまでもない。
「あなたをひどい目に合わせたくないの」
だから、守る。
そう言うように静漓は迫る『グレイル』たちから『フュンフ』をかばって、これを退けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィンデ・ノインテザルグ
Fireflyに搭乗し参戦。
敵機の特性上、万一にでもフュンフを取り込ませる訳にはいかないな。
即座にUCを起動し、自身と機体を連結。
…Cavalier Fight, Ready Set GO.
民衆に近い敵機から順にBelphegorで狙撃し足止めを。
パイル使いの私にとって予備動作を見抜くなど易きこと。
Evangeliumを機敏に操作し
わざと放たせた一撃の回避を試みる。
カウンターの要領でLeviathanをコクピット付近に斬り入れ
必要に応じて囚われた民間人の救出を行いたい。
総統に向け背面から攻撃があればLuciferで相殺を図る。
神父はお節介なものだと言ったろう。
貴殿には最後まで立っていて貰うぞ。
ヴィンデ・ノインテザルグ(・f41646)の決断は速かった。
少年『フュンフ』。
彼はまだ避難していない。
幼き身でありながら、彼は他の人々の避難を優先しているようだった。自分よりも他者を思う心は正しきものであるが、危ういものであった。
だからこそ、他の猟兵も目を光らせていたのかもしれない。
猟兵の背に庇われる彼をヴィンデは見つめる。
「万が一にでも彼を取り込ませるわけにはいかないな」
闘技場のピットに収まっていた己のキャバリアが背後から飛び出し、膝をつく。
コクピットに乗り込み、ヴィンデは後部にある連結装置を起動させる。
連結することによって機体と合一する。
非人道的な装置ではあるが、ヴィンデは機体こそが己の駆体であると認識する。
「父と子と聖霊の御名に於いて――Cavalier Fight, Ready Set GO.」
短く告げた瞬間、機体が跳ねるようにして闘技場のリングへと飛び込む。
エナジーゲートより降り注ぐようにして降り立つオブリビオンマシン『グレイル』たち。
センサーが捉えた機体はすでに位置情報と共にヴィンデの脳に流れ込む。
市民たちが逃げるまでの時間は他の猟兵たちも稼いでくれている。
なら、後は己がこれらを打ちのめすまでである。
「敵武装確認……パイルバンカーとはな」
ヴィンデは笑むでもなく、端的な事実を確認する。
『グレイル』のシールドに配されたパイルバンカー。
それはヴィンデの機体に装備されたものと機構を同じくするものであった。その威力もまた然りである。
だからこそ、ヴィンデは『グレイル』の挙動が如何なる者かを知る。
「見知った動きだ。だからこそ、容易」
振り下ろされた一撃をヴィンデはわざと打ち込ませた。そう、己の挙動はパイルバンカーを打ち込むには隙だらけだったのだ。
だが、彼は機体と一心同体。
瞬時の反応はダイレクトに機体に反映され、身を翻すようにしてスラスターの噴射でもってステップを踏むようにして鉄杭の一撃を大地にめり込ませた。
機体の体勢が崩れるのもまたパイルバンカーの挙動の一つ。
カウンターのようにビームダガーの一撃を『グレイル』のコクピットへと叩き込む。
センサーから無人機であることはわかっている。
「グロロロロ! なかなかやるではない!」
血まみれの『デスリング総統』が笑う。
その背後に迫る『グレイル』をヴィンデは一息に展開したクリスタルビットの光条でもって貫く。
爆散する機体に『デスリング総統』は振り向かずともまた笑う。
「お節介焼きであるな! 背後のからの不意打ちなど、躱す必要もないのである!」
「神父はお節介なものだと言ったろう」
それに、とヴィンデは機体から『デスリング総統』を見やる。
血まみれ。
傷がない場所などない。
それほどまでに彼は『ザ・スター』との苛烈なる戦いを繰り広げていたのだ。
少年『フュンフ』が憧れるのも頷ける。
その不撓不屈なる精神性。
ならば、少年が憧れる存在は倒れてはならない。
「貴殿には最後まで立っていてもらうぞ」
「グロロロロ! 無論である!」
「言うまでもなかったか。なら」
ヴィンデは疾くオブリビオンマシンを片付けるべく、一心同体となった機体と共に戦場を駆け抜けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
うーん、むう…
何とかこの状況から入れる保険
ではなく、この状況から働かなくて済む方法は無いものか
いや、なんかさ
こう体を動かす気分じゃ無い時って誰だってあるじゃん?
アガリを数えたい時とか、アガリを数えたい時とか…
よし、【Overdrive I.S.T】起動
雷と炎の剣をそれぞれ召喚
組ませて二対百組の剣として運用
グレイルに対して攻撃を仕掛けていこう
1体のグレイルに対して複数組で斬り掛かり、袋叩きの刑!
『なぎ払い』で牽制し、隙を突いて次々と『串刺し』
内部に電流と蒼炎を流し込んで内側から処分していこう!
自身は戦えないという事は、自身は戦わなくて良いという事とも言える!
金庫の締めをしていこう
儲けた儲けた!
エナジーゲートより降り注ぐようにして降り立つオブリビオンマシン『グレイル』たち。
逃げ惑う市民たち。
混乱と悲鳴。
その渦中にあって月夜・玲(頂の探究者・f01605)は思案していた。
この状況にあって考えることは多くあるだろうが、しかし、仁王立ちしていた。
周囲には投げ捨てられたブブゼラ。
いやまあ、わからんでもない。
いきなりオブリビオンマシンが降ってくるのだから、かまっていられないのかもしれない。
まあ、持って帰っても使い所に困るから、仕方ないと言えば仕方ないのかも知れない。
いや、それよりもである。
「うーん、む……なんとかこの叙情っから入れる保険。ではなく、この状況から働かなくて済む方法はないものか」
不労所得を得る怠惰に慣れてしまっていた。
そう、自分が働かなくてもなんかいい感じに稼ぎを得ることができる。
この闘技場ならそれが出来ると思ったのだ。
何せ、この闘技場、キャバリアが戦っても十分なくらいの広さがあるし、客席もある。
となれば、この施設を作り上げた玲は『グリプ5』に売却するなり、利権を得るなりと考えていたのだ。
そんなことばかり考えていたものだから、戦うために体を動かす気分じゃないのだ。
「だって仕方ないじゃん。こんな気分になる時って誰にだってあるじゃん? アガリを数えたい時とか、アガリを数えたい時とか……」
札束を枕にして寝たい時だってある。
もしくは、札束風呂にダイブしたい時だってある。
「よし」
こうくっちゃべっていても事態は一向に良くならない。
やらないといけないことなら、サクッと片付ける。
手にした模造神器が煌めく。
無論、ユーベルコードである。
「Overdrive I.S.T(オーバードライブ・アイエスティー)システム、多重起動。負荷は完全無視。さあ、暴れ狂え!」
雷を纏う剣、蒼炎を纏う剣が百振りづつ彼女の周囲に浮かぶ。
システムに対する負荷など考えない。
展開した剣は一斉に『グレイル』へと襲いかかる。
面ではなく、点で確実に撃破していく。数に数で相対しても結局力押しになるだけのはなしなのだ。
それに、此方は一人ではない。
「なら、袋叩きにしちゃえばいいじゃんって話だしね!」
空を乱舞する二百の剣は次々と『グレイル』を取り囲み、一斉に装甲を切り裂き、その駆体を残骸へと変貌させていく。
炎と雷が機体の内側から噴出する。
「らくしょう!」
玲はシステムへの負荷で動けない。
動けないのだ。
仕方ない。動けないのなら、VIPシートに座っていても仕方ないのである。
「うんうん楽勝楽勝」
玲は二百の剣が乱舞する中、電卓を弾く。
闘技場の席は今回、無料だ。それだけでは無論赤字である。というか、ユーベルコードで作り上げたので、実質タダ!
そこに場内での飲食は全て此方が握っている。
ポップコーンにポテト、ドリンク。
仕入れ値を考えても、イベント価格という名のボッタクリ価格でも熱気に当てられた観客たちは購入していた。
「うん、ざっとこんなものかな。金庫の締めをしてこう。儲けた儲けた!」
ガッポガッポじゃん! と玲は上機嫌でVIPシートにて札束で己を仰ぐのだった。
まさに左団扇である――!
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
出たー!『デスリング総統』のダブルライトアームによる片腕ダブルラリアットだーっ!痛烈ーッ!
『ザ・スター』これは今度こそ立てないか!?いや立った!立ったぞー!まだやる気だー!
おっとこっちは実況席と観客席だよ!
とボクや市民に迫るオブビリオンマシンたちにパイプ椅子をぺいぺいと投げつけるノリで[超重鉄球]くんたちを武器として【武器を投げつけたり】【武器受け】したりしながら【実況】を続けよう!
おーっとついに出るか!デスリング総統のフェイバリット!
|FACDLS《フォー・アームズ・クラッチ・デス・ロール・スープレックス!》だー!!
やっちゃえーーーッ!!
キャー!総統かっこいー!!
場内の乱闘は凄まじいことになっていた。
オブリビオンマシンが降り立ち、市民をコクピットに取り込まんとしている。
それは無人機であれば当然であったかもしれない。
オブリビオンマシンはパイロットの思想を狂気に染め上げる。
そのためには搭乗させなければならないのだ。
故にオブリビオンマシン『グレイル』たちは逃げ惑う市民たちを追う。それを猟兵たちのユーベルコードが退け、また『デスリング総統』と『ザ・スター』の戦いを見ていたロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は興奮冷めやらぬ様子であった。
録画していたハイライト。
その解説に勤しんでいた。
「でたー!『デスリング総統』のダブルライトアームによる片腕ダブルラリアットだーっ! 痛烈ーッ!!」
ハイライトは切り抜きである。
言ってしまえば、時に冗長となってしまう試合展開も美味しいところだけを見せることができる。
編集力が試されているとも言えただろう。
「『ザ・スター』、これは今度こそ立てないか!? いや立った! 立ったぞー! まだまだやる気だー!」
マイクを握りしめてロニはハイライト映像に解説を加えていく。
全世界に向けて発信しているのだ。
むしろ、これくらい熱が入っていないと興味のないものはすぐにスキップされてしまう。
入り10秒で視聴者の心を掴まねば、最後まで見てもらえないのだ。
そして、冗長な試合はいつだって視聴者の心を離れさせてしまうもの。
そんなロニの背後ではオブリビオンマシン『グレイル』の一斉射が続いている。
凄まじいまでの一斉射。
まるで嵐のようだった。
けれど、ロニはパイプ椅子を投げるようなノリで球体たちを投げはなっていた。
ハイライト実況は続いている。
「あーっと! ここでまた『デスリング総統』、ダウーン!! 立てるか、立てるか、立ったー!! ……ん? なに? んもー、邪魔しないでよー」
ロニは『グレイル』たちの一斉者の轟音に己の実況が遮られていることに気がついて憤慨する。
投げつけた球体たちをもっと増やすようにポイポイと後ろに投げ放つ。
あまりにも雑。
だが、ロニにとって重要なのはハイライト実況である。
これを届けるために自分は今頑張っているのである。
「おーっとついに出るか!『デスリング総統』のフェイバリット! |FACDLS《フォー・アームズ・クラッチ・デス・ロール・スープレックス》だー!!」
もう専門用語が飛び交ってわけわからないことになっている。
だが、ロニは構わない。
自分が楽しいと思えることをしなければ、世界にはもっともっと熱気に溢れた楽しい事があることを伝えられない。
まず、自分が楽しまなければならないのだ。
「やっちゃえ――ッ!!」
決まる大技。
ハイライトらしい派手な編集でもって届けられる映像は、ロニを介して世界へと発信されていく。
「キャー! 総統かっこいー!!」
大げさでもなんでもいい。
この熱気よ届けとロニはいつもと変わらぬ様子で実況を続けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ステラ・タタリクス
|エイル様《主人様》の!!
香りがしまぁぁぁぁぁーーーーすっ!!(フォルに乗ったまま)
ええ、空から失礼しますメイドです!
サツキ様とパッセンジャー様におかれましてはごきげんうるわしゅう!
いえ、メイドはわかっておりますよ
男の真剣勝負を邪魔することなく!
自身の役目と今出てきたお二人の勇姿を!
戦闘中じゃなかったら誘拐するところでした
誰がやべーメイドですか!
さて、なんか全体的に周りが引き気味ですが
やることはやってしまいましょう!
地上の人々はサツキ様とパッセンジャー様にお任せすれば問題ないはず
ならばその手間を……敵が空から地上に降りる、僅かな間を狙います!
フォル!【ファム・ファタール】!
あなたの速さで空を掻き回しなさい!
敵が人々に手を伸ばす、その前に!
ついでに空に残った三日月形の鎌が後続を断ち切り
あるいはサツキ様とパッセンジャー様の足場になる
この場の支援はメイドにお任せください!!
『戦いに際しては心に平和を』
例え私たち猟兵の戦いが人々を守り切れないとて
この戦いをしないという選択肢にはならないのです!
混乱満ちる闘技場。
エナジーゲートより降り注ぐようにして降り立つオブリビオンマシン『グレイル』たちに人々は逃げ惑うしかなかっただろう。
だが、そんな彼等を守るようにして飛び込んできたのは、赤い二人羽織のキャバリア『熾盛・改』であった。
二人羽織の装甲がもう一騎のキャバリアへと変貌する。
二騎を駆るのは『サツキ・ラーズグリーズ』と『パッセンジャー』であった。
彼等はこのような事態のために控えていたのかもしれない。
だが、そんな二人を見やり、ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は息を吸い込んだ。
あ、と思う暇もなかった。
「|『エイル』様《主人様》の!! 香りがしまぁぁぁぁぁ――すっ!!」
鳥型キャバリア『フォルティス・フォルトゥーナ』のコクピットからでも声がぶち抜いて響き渡る。
「……あれはお前の担当だろう?」
「違うけど!?」
『パッセンジャー』の言葉に『サツキ・ラーズグリーズ』は頭を振る。
違う違う、と戸惑う『サツキ・ラーズグリーズ』にステラは笑む。
「ええ、空から失礼しますメイドです。『サツキ・ラーズグリーズ』様と『パッセンジャー』様におかれましてはごきげんうるわしゅう!」
「ほら、僕だけじゃない」
「……」
「いえ、メイドはわかっておりますよ。男の真剣勝負を邪魔することなく! 自身の役目と出てこられたお二人の勇姿を! 戦闘中じゃなかったら融解するところでした」
ステラは欲望ダダ漏れであった。
ストッパーがいないとこうなるんだな、と誰もが思ったかも知れない。
「誰がやべーメイドですか!」
くわ!
誰も何も言っていないが、言われような気がしてステラは目を見開く。
「……どう考えてもヤバいだろう。これがヤバくなくて何がヤバいのだ?」
『パッセンジャー』の冷ややかな声にステラは頷く。
相変わらずの塩である。
「ヤバくともヤバくなくともやることはやっていきいましょう。地上はお二方にお任せいたします。あのエナジーゲートより出現する機体はお任せを!」
ステラは『フォルティス・フォルトゥーナ』と共に飛翔する。
あのエナジーゲートがオブリビオンマシンの出現する大本であるというのならば、己は機体の持ち得る全速力で持って敵陣をかき乱す。
地上にある機体は二騎の赤いキャバリアを駆る二人に任せれば良い。
数に遅れを取るような者たちではないことは言うまでもない。
「フォル! あなたの速度で空を掻き回しなさい! 敵が人々に手を伸ばす、その前に!」
ユーベルコードに輝く『フォルティス・フォルトゥーナ』のアイセンサー。
飛翔に寄るソニックブームが三日月を描きオブリビオンマシン『グレイル』を両断していく。
さらに軌跡に残った三日月の斬撃の跡を蹴って『フォルティス・フォルトゥーナ』は3次元的な軌道を描いて『グレイル』たちを断ち切る。
「……足場は利用させてもらう」
『パッセンジャー』の駆る赤い機体が遺された三日月型の鎌を蹴ってプラズマブレイドの一撃を『グレイル』へと叩き込んでいく。
凄まじい攻撃速度である。
「存分に! この場の支援はメイドにお任せください!!」
なんだかんだ言って、自分の支援を利用している『パッセンジャー』にステラはちょっとご満悦であった。
メイドとは奉仕するもの。
なら、その奉仕を受け取ってくれることこそが無情の喜びであると言えるのかもしれない。言い過ぎかもしんない。
「『戦いに際しては心に平和を』。例え、私達猟兵の戦いが人々を守りきれないとて、この戦いをしないという選択肢にはならないのです!」
急にどうした、と『サツキ・ラーズグリーズ』は思った。
けれど同感だった。
自分の手が全てを救えるものであるとは思えない。
何処まで言っても、己の手は二本しかない。
あまねく全てを救う六腕はないのだ。けれど、彼女の言う通りだとも思ったのだ。
「僕はもう、生命を見捨てない。救えぬと知っても、その手を伸ばすことを諦めたりはしない!」
煌めく赤い機体の軌跡が戦場を駆け抜け、その戦いが続く。
例え、エナジゲートが消滅するまでの時間が永きにわたるものであったとしても。
決して諦めぬという意志が在る限り、人々を救うためにと伸ばされる手が失われることなどないのだと示していた――。
大成功
🔵🔵🔵
バルタン・ノーヴェ
アドリブ歓迎
真の姿を解除して普段のメイド姿に戻ります。
お疲れ様デス、デスリング総統!
プロレスの後はサバイバル! バトルロイヤルの時間デース!
パッセンジャー殿とサツキ殿も、ナイスタイミング!
それでは残敵掃討に入りマショー!
ガトリングガン、展開! 鉛玉の嵐で制圧しマース!
ヒャッハー! 速射連射掃射高射乱射!
弾幕でグレイルの集団を制圧! 接近しての格闘攻撃はさせマセーン!
その隙に熾盛・改の二機や総統殿が敵機を撃破する散弾(算段)デース!
ザ・スター殿! レミニセンス・ザ・ワールド!
民間人を犠牲にすることが平和に繋がるのか、よく考えてくだサーイ!
……と葛藤させるので、今のうちにグレイルを殲滅しマショー!
翻るはメイド服。
混乱満ちる闘技場の中似合って、その姿は異質であったかもしれない。
けれど、バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は構わなかった。
「おつかれ様デス、『デスリング総統』!」
「グロロロロ! この程度。まだまだワガハイは余力があるのである!」
「それは頼もしい限りデース! それに『パッセンジャー』殿と『サツキ』殿も、ナイスタイミング!」
バルタンは、二騎に分かたれた赤いキャバリアを見上げる。
彼等はエナジーゲートが出現した瞬間に闘技場に踏み込んできていた。
こうなることを予見していたのかもしれないし、万が一に備えていたのかも知れない。
いずれにしても、こうして力が合わさることで敵の目的をくじくことができたのであれば、幸いというほかない。
「プロレスの後はサバイバル! バトルロイヤルの時間デース! それでは、残敵掃討に入りマショー!」
バルタンの掛け声と共に闘技場に降り立つオブリビオンマシン『グレイル』たちが迫る光景が視界に映る。
確かに敵の数は多い。
けれど、数を頼みにした時点で、此処に立つ一騎当千の猟兵たちに敗北を認めたも同然であった。
「数には数デース! ガトリングガン、展開! 鉛玉の嵐で制圧しマース!」
バルタンの瞳がユーベルコードに輝く。
ガトリングガンの銃身が回転をはじめ、その勢いと共に放たれる弾丸が一気に『グレイル』たちを打ち据える。
シールドを構えている『グレイル』はなんとかバルタンの猛攻を耐えきっていたが、そのシールドに配されたパイルバンカー機構が歪む。
それほどまでの嵐のような銃撃だったのだ。
「そんな物騒な武器を持っている相手を接近させマセーン! 御三方!」
その言葉に二騎の赤いキャバリアと『デスリング総統』が駆け抜ける。
次々と破壊されていくオブリビオンマシン。
残骸が積み上がっていく。
その光景を前にして手負いの『ザ・スター』は呻く。
「我が使命を邪魔立てし続けるとは……!」
「『ザ・スター』殿!」
バルタンは、一時撤退を覚悟した『ザ・スター』へと呼びかける。
視線が交錯する。
「レミニセンス・ザ・ワールド! 民間人を犠牲にすることが平和につながるのか、よく考えてくだサーイ!」
「プラントを破壊しなければ、邪神の複製体は常に生み出され続けるのだ。それを!」
「ですが、プラントがなければ人々の生活は立ち行かぬものデース! それでもまだ、プラントを一つ残らず破壊しなければならないと思うのデスか!」
その言葉は、『ザ・スター』の乖離した肉体と心とを刺激させるものであったことだろう。
「黙れ! 我が使命は……!」
『そのとおりだ。人々の生命を危険にさらしてまで全うしなければならないのなら……!』
「よく考えてくだサーイ!」
バルタンは呻く『ザ・スター』がよろめくままに闘技場から飛び立つのを見送るしかなかった。
その葛藤はいつか、その身を滅ぼすかもしれない。
けれど、とバルタンはエナジーゲートが消失し、遺されたオブリビオンマシンを一騎残らず破壊して呟く。
その輝かしい英雄の軌跡が、いつか失墜するしかないのだとしても。
それでも燦然と輝く星は、今も瞬いているのだ――。
大成功
🔵🔵🔵