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祠デストロイ

作者：夕陽

●祟り
「あー……あの祠壊しちゃったの？」
　無精髭を生やした中年の男が、タバコを吸いながら気だるそうにそう呟く。
　それを聞いたもう一人の男は、寒気を感じて身震いした。
「それじゃもうダメだね。君、たぶん死ぬ」
　ふぅ、と紫煙を吐いて。タバコの火を躙り消す。
「まあ、そう気落ちするなよ。まだたぶん、ってだけさ。新月の夜は気ぃつけな」
　ポケットに手を入れて去っていく男の背を見つめながら――取り返しのつかないことをした男は、へたり、とその場に崩れ落ちた。

　（な～～～～～～に壊してくれちゃってんのこいつよおおおおおおおおお！！！！）

●そこに祠があるじゃろ？
「邪神復活儀式が行われているらしいんだよね」
　こたつでおせんべいを食べながらみたいなノリで、グリモア猟兵であるアイン・セラフィナイト（全智の蒐集者・f15171）がグリモアベース内でそう呟いた。
「儀式場所はとある山の山頂付近でね。こう、すっごいたくさんの祠が道中にあってさ。もう数歩歩けばそこに祠があるレベルでさ」
　へーふーんそーなんだーと頷く猟兵たち。
「まあその祠、邪神復活儀式のために用意された仮の祠なんだよね。要するに、壊すと邪神教団がとても困るやつなんだ。だから壊した人をイラッとして殺しに行くみたいなんだよね。物理的に」
　祟り（物理）。
「だからみんなにはまず、山頂に辿り着くまでの道中にある祠片っ端から破壊して欲しくて」
　猟兵以外の皆さんは真似しないで下さい。
「その後は祠壊しまくってすごく怒った邪神教団と戦って、最終的に不完全復活した邪神を討伐すれば事件は解決！　ね、簡単でしょ？」
　簡単だけどお地蔵さんが助走を付けて『２回攻撃』『貫通攻撃』『仏罰』『グラップル』を叩きつけてくるレベルである。
　転移先はとある山の麓。一歩踏み出せばあらもうすぐそこに祠。見渡す限りの祠。
「それじゃみんな、邪神復活阻止よろしくね！」
　何度でも言うが、猟兵以外は真似しないで下さい。

第1章 冒険 『山頂を目指す』

POW   :    力ずくで罠を突破する。 SPD   :    素早い動きで罠を切り抜ける。 WIZ   :    罠を解除しながら進む 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●祠破壊RTA Any%
　猟兵たちが山の麓に転移完了。
　静まり返った周辺は薄い霧が立ち込めており、若干見通しが悪い……のだが。
　目を向けた先にはもう祠。
　右を向けば祠。
　左を向けば祠。
　京都のマス目状地形に負けない程のたくさんの祠。
　山に続く道からもうすでに試練は始まっているんじゃないかってぐらいの祠の数。
　むしろ、こんなに祠があるのに誰も不思議に思っていないところがUDCアースの狂気。これは仕方ない。

　というわけで。

　猟兵たちが武器を――なんか一部バールのようなものだったりスコップとか鍬とか持ってる猟兵もいるが、全力の祠破壊開始である。

　そこ、どこの百姓一揆だ、とか言わない。


　猟兵たちによる祠破壊作戦が決行される数時間前。
　突然現れた謎の人物に、死を宣告された男が目をぱちくりさせていた。
「祠の壊したお方、嗚呼、貴方はなんて羨ましい。その先にどんな苦しみが待ち受けているのか」
「お、俺は死にたくない……！」
「へっ？　死にたくない？　ならばその呪い、全て私に下さりませんか」

　と言った具合で。

　先行した猟兵たちが山でばっこんばっこんしている中、カネリ・カルティエ（ブラックタールの探索者・f10978）はほう、と思案に耽る。
「邪教による神罰（物理）ですか、大変興味深いですね。どんな死や苦しみを与えて下さるのでしょうか」
　数多の呪具を集めているカネリにとって、邪教の呪いもそれはそれで欲しかったりする。……猟兵のお仕事は多岐に渡る。
「さて、どなたが呼び掛けに応えてくださるでしょうか」
　【UDC召喚】によって呼び出されたUDCはニ体。
　一つは、人魂のように中空をゆらりと揺蕩う炎の塊。
　そしてもう一つは、人間の身長の3倍はある、巨大ゴーレムだった。
「では、折角ですから、盛大に行きましょう。……おっと、その前に」
　カネリが地縛り鎖を用いた結界を展開する。山を覆うほどの結界になったので、爆音だの破壊音だの炎上音だの色々と聞こえなくなったようだ。
　ずばり、今回の作戦で一番のMVPである。（本当に）

　祠が炎上し、ゴーレムの鉄腕が祠を爆散させる。
　揺蕩う炎と巨人が山中を駆け回る。
　燃えて、砕かれて、炎上し、木っ端微塵に。
　そんな砕け散った祠の欠片を手にとって、カネリはふむ、と小さく呟いた。
「邪神……欲望……大蜘蛛……断片的ですが、実に興味深いですね」
　――一体私に、どのような死を魅せてくれるのか。是非とも凄惨な死を魅せて頂きたい。
　紙の面の奥、微かに哄笑の如き小さな声音を発して、カネリは山の中をゆっくりと歩くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　とある山の麓にて、集まった猟兵たちが話し出す。
「…罰当たりロックだねぇ。だけど、嫌いじゃないぜ」
　デモノイドヒューマンの多々良・緋輝（ロード・ヒイロタマハガネ・f44126）が、目の前に広がる光景を見てにっ、と笑った。
「んー…祀ることで知名度、神性、畏れを集めようとしたのかな。何かを神にでも仕立て復活させようとしてたのかな？」
　そんな祠の軍勢（？）を見て、ふむ、と思案しているのは尾守・夜野（一応生前は成人済な物で。・f05352）だった。
　……なぜか、丸太を担いでいる。
「ですねぇ。最近は人為的に壊されることが多い気がしますが、元々は『天災で壊れて何かが復活する』流れが多かった気がしますねぇ。それにしても、この数の『祠』が必要とは、一体どのような儀式を？」
　ふむ、と同じく唸るのは夢ヶ枝・るこる（豊饒の使徒・夢・f10980）である。
「まあ、何であれ妨害するわけですが」
「壊されたら困るものを何で壊せるようにしといたのか……。……まあ、邪神教団はどれだけ困らせてもいいので思いっきりやらせてもらうっすね」
　USCエージェントである黒沼・藍亜（に■げ■のUDCエージェント・f26067）も、やれやれとため息。
　そもそも、普通の人は祠壊しません。
「あ、日本の神仏はガチで祟られたら終わりだから過失で壊しちゃったなら素直に謝って儀礼を行おうな！」
　緋輝がびしぃ、と指を突きつけてしっかり警告。そこに誰もいません。グリモアベースへの警告ということにしておく。
「そして…邪神は消毒だぜ！」
「そんじゃ、どんどん壊していくか」
「ええ、それでは、参りましょう」
「こっちはとりあえず｜沼《UDC》を呼び出しておくっすよ」

　というわけで、破壊開始です。

　まず先陣を切ったのは夜野だった。
　担いでいた丸太を、力いっぱいに邪教の祠のひとつへ振り下ろす。
　丸太は持ったな、いくぞ、とはならないが、これだけでも結構な光景である。
　【｜常報囚集《スベテヲアカス》】の力によって、瞬く間に破壊された祠の構造を理解。二撃目の丸太は祠を木っ端微塵に爆散させた。
「…コレ邪魔ぁ！！」
　別人格が降臨。解析要員として『僕』は優秀。
　夜野たちにとって、神は嫌悪の対象である。それが邪神の祠となれば尚更だ。
　……心の内側で、他の人格がめちゃくちゃ騒いでいる。
「うるさい！　この後の事考えて僕が出ると決まっただろ！」
　内側からがやがや騒ぎ出す『俺様』を抑えつけながら、夜野が夕闇に呑まれんとする野山を駆け回る――！

　ばっこん、どっこんと音が響く中、他の猟兵たちも行動を開始する。

　るこるの｜祭器《FAS》が活性化する。飛翔したるこるが、ユーベルコード【豊乳女神の加護・虚籃】を発動させる、と。
　戦場全体を覆う『威』と共に、山へ放たれる『局地的超振動』。
　その超振動を、祠と限定して発動させればあら不思議。山の一部の祠全てが共振して崩壊する――！
「上手く行ったようですねぇ」
「よっしゃ！　ガトリングガン斉射だぜ！」
　で、緋輝に至っては凄まじい爆音を伴ってガトリングガンを連射。【｜DDSW・竜殺しは鋼となり肉体となる《デモノイド・ドラゴン・スレイヤー・ウェポン》】のユーベルコードから放たれる殺竜武器……竜を殺す武器で何の変哲もない邪神の祠を爆散させる所業。
　邪神の祠だからセーフ。本物は本当にダメゼッタイ。誤って壊したらしっかりと謝りましょう。
　そんなガトリングガンの連射が行われている横で、藍亜が自らの『沼』から生み出したのは……。
「行くっすよパン子！　祠を爆破するっす！」
　(っ'-')╮=͟͟͞͞💣️ﾌﾞｫﾝするのはパンジャンドラム落とし子。山村付近でとんでもないことをする猟兵たちの鑑。
　真っ黒なパンジャンドラムがころころころころ
　
　超絶爆破。

　森林から火の手が上がる！！

「邪神教団か…そう言ったダークネスはいなかったし、外の世界では色んな敵がいるもんだ」
　デモノイドヒューマンの肉体で邪神の祠をバカスカ破壊。
「腐っても自分たちが崇める神を呼ぶための儀式がこの有様で、その教団この先やっていけるんすかねー？」
　電磁木刀でばっさばっさしながら他の猟兵たちと歓談中。
「どうでしょうかぁ。こんなあからさまな祠を作っておいて、見逃すのもあり得ませんよねぇ」
　超振動で祠が次々と爆散中。
「ってちょっと待って！　この祠正真正銘のちゃんとした神様の祠だよ！　破壊するところだった危なっ！？」
　丸太で壊そうとして静止。猟兵たちがせっせと本物の祠をユーベルコードで補強、保護完了。

　こーれもう山終わりです。
　ちなみに、この山の神様の祠は後ほどUDCエージェントと猟兵たちがしっかりと補強、劣化を修繕しました。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「皆様ァァァァァ！！！　新鮮な祠ですわあああああああ！！！」
　山の麓で猟兵絶叫。
　前の猟兵が防音結界を敷いていなければとても近所迷惑。先手猟兵さん、本当にGJです。
　南六条・ヴィクトリア三世（株式会社UAI最高経営責任者(現職)・f30664）が、大きく手を開いて宣言する。
「ご覧くださいましそこら中にある祠の数々！　壊してくれと言っているようなものですわ！」
『・ω・）　祠デストロイ。まさか実在したとは』
「祠の破壊ですか！！　しかもレギュはAny%！！　やるしかありませんね！！」
　行間を読む猟兵二人。猟兵怖い。
　ラスク・パークス（｜最後の死神《『パクス・ザナドゥ』》・f36616）がバイザーに文字を写しながらハッスル中。
　イヴ・イングス（RTA走者の受付嬢・Any%・f41801）に至っては頭身がまんじゅうになっている。いや、たぶん幻影。
「祠デストロイ！　それはつまり……！」
『－ω－）　いや、今はまだ語るべき時ではない』
「Oh！　今日は祠を壊していいのデスカ！　（ああ、いいぞ、どんどん壊せ）ヒャッハー！」
　声音の変化がとても器用。バルタン・ノーヴェ（雇われバトルサイボーグメイド・f30809）も参戦。
「実弾演習に最適なミッションではないですね。ご一緒しましょう」
「どうやら、俺の……いや、俺達の出番のようだな」
　そこへジェイミィ・ブラッディバック（脱サラの傭兵/Mechanized Michael・f29697）とアレクセイ・マキシモフ（歴戦の｜もふもふ傭兵《ファーリー・ラット》・f36415）も参戦。めちゃくちゃです。
「ご覧くださいましそこら中にある祠の数々！　壊してくれと言っているようなものですわ！」
　普通は祠を壊すっていう思考にはならない。普通なら奉る。
「そしてこの物量……これはこちらも相応の力でぶっ壊さなければ……無作法というもの……！」
『０ω０）つ　そんなことより破壊工作だ！』
「不謹慎も邪神相手なら問題ナッシング！　全武装展開して蹂躙殲滅焦土作戦、開始デース！」
「では私はクレイシザー隊を出しますね」
「ファーリー・ラットよりラットミリタリーサービスへ。目標地点に到達。これより祠破壊ミッションを開始する。支援を頼む、OVER」
「私は山の中を駆け巡りますよ！　バルタンさん、行きましょう！！」
「OK！　突撃デース！」


「ではまず……わたくしのパンジャンから行きますわ！　レッツゴーパンジャン！！　山を爆走して祠を爆破するのですわ！！　ネビル・シュート様！！　見ていてくださいまし！！　貴方のパンジャンはここまで超絶進化しましてよー！！」
　ヴィクトリア三世のユーベルコード【｜嗚呼偉大なる先祖伝来のパンジャンドラム《ザ・グレート・パンジャンドラム》】が発動。
　近接範囲から味方が撤退。出現するのは光子推進式航宙型パンジャンドラム。本日、二回目のパンジャンドラムです。
　猟兵の皆さん、パンジャンドラムが好きすぎる。
　ころころころころころころころころころころ
　
　爆砕音。

　山の一区画から火の手が上がる！

「爆撃開始だ」
　アレクセイの一言で、【｜緊急支援要請《リクエスト・フォー・サポート》】が発動！
　AC-130ガンシップからの対地爆撃が、山を蹂躙する――！
　凄まじい爆撃音の中、イヴとバルタン、ラスクが山中を駆け回る！
「この爆撃の中でも、私のRTAは止まりません！　なにしろAny%ですからね！」
　【｜急降下キックキャンセルダッシュ《ムッムッホァイ》】で自在に空中をダッシュ。現実世界でバグ技を使用するゴッドゲームオンラインプレイヤーの鑑。
「ヒャッハー！　汚物は消毒デース！」
「そこに祠があるなら、破壊する」
『＞▽＜）ノ　速射連射掃射高射乱射ー！　弾ある限り撃ちまくる！　それが猟兵の生き様よ！』
　バルタンが銃火器を携えて山を疾走！　バルタンとラスクの【フルバースト・マキシマム】によって、手持ちの銃火器全てが解放される。
　爆撃、焦熱、斬撃。様々な武器たちが火を吹いて、約300m範囲全てを焦土と化す！
　そこから火炎を切り裂くようにジェイミィが突出。
　クローアームとテールキャノンの一撃によって邪神の祠が爆砕。なにこの光景。
「セラフィムリッパー隊、命令があるまで待機です」
　【｜SERAPHIM LEGION《セラフィムレギオン》】に至ってはジェイミィの命令で待機状態。待って、なにするつもり。

「何やってんだお前らああああああああああああああああああああッ！！！！」

　当然のツッコミ。流石です、ベルゼ・アール（怪盗"R"/Infected Lucifer・f32590）さん。
「おいお前らここの祠……どころかこの山ごと更地にする気か！！　地元の祭りみたいなノリで火薬を投入するんじゃない！！」
「爆撃が足りませんね」
「そうですわね、イヴはそろそろ終わりそうですの？」
「連絡待ちだ」
「お前ら聞きなさいよ！！！？」
　誰もベルゼの話を聞いていない。
「というかどこの紛争地帯よここは！！　日本！！」
　と、そんな感じにツッコミの嵐が吹き荒れる中で、遅れて猟兵が登場。
「……これは、山が燃えていますわね」
　エドワルダ・ウッドストック（金雀枝の黒太子・f39970）登場。あまりの光景にちょっと引き気味。
「……こんな……なんて酷いことを。許せませんわ」
「そう思うでしょ！？　なんなのあり得ないわよ本当に！！」
「ええ、許せませんわ……邪神教団……！！」
「そうそう、邪神教だ……へ？」
　あるぇー？とばかりにベルゼの首が90度ぐらい回転。
「まさか山に火を放つなど……！！　この世界でも、非道なことをする者がいますのね」
「いやあの、あれをやってるの私たち猟兵――」
「祠を破壊すると聞いて耳を疑ったのですが……なるほど、邪神の祠ですのね。……前任者たちが暴徒と化すのも分かりますわ」
「ちょっと待って。違う、待って良識人かと思ったらそうじゃないの！？　私だけなの！？」
「わたくしもぶち壊しに参じます」
「ツッコミ担当ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ！！！！！！！！！」
　この領域内ではツッコミ役はあなただけですベルゼさん。
「邪神の祠ともなれば、跳んだり跳ねたりしても不思議ではありませんわ」
「嘘でしょ。祠は祠でしょ？　壊しちゃダメなやつよ？　動かないわよ！？」
　この猟兵（たち）、全く話を聞いていない。（主にグリモア猟兵からの話とベルゼの話）
　ライフルを構えて祠を捕捉。ナイスヘッドショット。
　からの【フルバースト・マキシマム】。バルタンから譲り受けていたガトリングガンの斉射。弾丸の嵐が吹き荒れる！
　あんぐりと口を開いていたベルゼの傍らで、アレクセイへと通信が入る。
「設置完了しました！」
「了解だイヴ、C4起爆する！　一気に爆破するぞ、総員爆破の衝撃に備えろ！！」
　山を飛び回っていた猟兵たちが一斉に撤退する。アレクセイは片手にスイッチ。

「｜見祠必壊《サーチアンドデストロイ》、全て壊すぞ」
「セラフィム・リッパー部隊、行動開始。クレイシザー隊、ロケット砲弾一斉射。良いですか、｜見祠必壊《サーチアンドデストロイ》が本作戦の基本骨子ですよ。ひとつも残してはなりません」

　ぽちっとな。

　瞬間、山が爆発した。

　いや、もうその、山が爆発した。

「HAHAHA！　見てくだサーイ、祠がゴミのようデース！」
「ブラボー！　完璧ですわね！」
「おわー！　山に火柱が上がったァー！！　どんなやべぇ怪異が襲ってきても私は一切感知しないからな！！！！　日本の山村上空でガンシップ堂々と飛ばして空爆して、地上からはロケット砲団とパンジャンをアホほど撃ち込むとか世紀末すぎるんだわ！！　何やってんのよ！！？　だいたい山の所有者が黙っちゃ……うん？」
　ベルゼのスマホに入電です。
「……何？　登記情報を確認しろ？」
　と電話の先の同僚に言われて確認。
「げぇーっいつの間にかこの一帯丸ごと社長の私有地になってるゥー！！　これで税金関連と公共の土地での火薬使用問題は解決ねってやかましいわ！！」
　ふぅ、とヴィクトリア三世が息を吐く。
「実に見事……見事ですわ。ああ、それより、今回使用した銃火器の予算を算出しないといけませんわね。それと今回山を購入した時の書類整理も必要ですわ」
「部隊ごとのメンテナンス費用もお願いします」
　ヴィクトリアとジェイミィが話し合い。
「ええ、ではわたくしたちは続きを。各種手続きは優秀な秘書に任せますわ！　おーっほっほっほっほっ！」
　もっとベルゼの仕事が増えました。

　あ、ベルゼさん倒れた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

　と、山が炎上する中、その反対側では。
　転移によって現れたのは、セイレーンの澄清・あくあ（ふたりぼっちの【原初の一】・f40747）だ。
「『うわ』」
　初手であくあとあるまが驚き＆ドン引きの声。それはそうなる。目の前を埋め尽くすほどの大量の祠が存在していれば当然だ。
　とはいえ、これを壊さないといけないわけであるが。
「ああいうのって壊したらダメって言われるはずなんですが」
『あれです。中から出てくるのも倒したらいいんですよ多分』
　邪神教団の邪神の祠であるが故に、まあいずれ中からなんか出てきそうな気配もあったりなかったり。 壊せばOKです。
　周辺には霧が満ち、不気味な気配が漂っている……のだが、他の場所で破壊行動をしている猟兵たちの凄まじい音のせいでそれほどでもない。
「日中なのに暗い山道、やっぱり全部まとめてすっきりしたいですね」
『やってしまいましょう』
　とりあえず、空気は澄んでるし呼吸もしっかりできる。
　のであれば。
「『いくらでも爆破して大丈夫そう』」
　猟兵、やっぱり爆破が定番。

「収縮、増幅展開…！」

　結晶翼を展開、エネルギーを極限にまで増幅、そして展開――！

「ぱゃーー！！」

　光波の渦、発生。
　それは、まるで極光の如き魔力爆発。
　【｜解放識・海緑色の臨界疾走《ライトオーシャングリーン・オーバードライブ》】。莫大なエネルギーを増幅させて放たれたそれは、祠はもちろん、色々なものを吹き飛ばす。それはもう、色々と。
「なんという事をしてくれたのでしょう。石垣（祠跡）と残った木々がちょうどいい木漏れ日を出す山道へ…」
『開放感がすばらしいですね』
　というモノローグがあと数十回行われました。猟兵の匠はここに。
　これもう山めちゃくちゃです。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「祠かー…本来は弄るもんじゃねーんだが」
「でもご主人サマはメルシーの祠壊したよね☆」
　過去の凶行を掘り返してくる相棒のメルシーにはぁ！？と声を上げるカシム・ディーン（小さな竜眼・f12217）。
　ちなみに、至る所で爆音が響いている。猟兵の本気。
「あれ祠かよー！」
「神様奉るなら祠だぞ☆」
「うっがー！」
　祠、壊してはダメゼッタイ。今回は邪神の祠。だからOK。OKかこれ。
　そこでカシム、ちょっとした疑問を呟く。
「…ふと思ったんだがこういう祠って人が壊すと呪われたりとか色々あるけど自然とかだとどうなるんだ？後は熊とか野生動物が壊したら？」
　疑問は尤も。
　とはいえ、試す手段は――。
「よし、試してみるか！」
　やっちゃうんですか。

「万物の根源よ…帝竜眼よ…文明を構成せしめし竜の力を示せ…！　ダイウルゴス！」
　ユーベルコード【｜帝竜眼「ダイウルゴス」《文明侵略し融合する者》】で召喚したのは小型のダイウルゴス。
　文明を破壊するやべー竜を祠破壊のために喚んでくる所業。
「わーい☆」
　というわけで、喚び出したダイウルゴスの一匹に騎乗。計159体の小型ダイウルゴスが天空を舞う！
「というわけで取り敢えずぶちこわせー！」
　ダイウルゴスの咆哮と共に、水と氷のブレスが山中に叩きつけられた。
　一瞬で凍りつき、水圧によって砕かれる祠。これは天災。
　そしてその英断のおかげで、他の猟兵たちがバコンバコンやっていた故の山火事が消えました。GJです。
「つか多すぎだろこれ！　ワケわからねーわ！　もういいや粉砕！！　どんどん粉砕だ！！」
「壮観だねー☆」
　こーれはもう山 is Dead。
　というわけで、ダイウルゴスによって壊された場合祟りはどうなる。邪神教団が気付くまであとどれぐらいかで決まりそうであるが。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「木々も色づく今日この頃。いやぁすっかり秋めいて、久しぶりに来たでござるよUDCアース」
　本日ぶらりとやってきましたのは、ケットシーの祓月・清十郎（異邦ねこ・f16538）。
　紅葉、紅葉狩り、食欲の秋ととても有意義な時間を過ごせそうな山林に歩を進めて――。

　山がめっちゃ炎上しとる。

　ふふふ、とにっこりと微笑む清十郎。
「そんなわけで本日は、ルンルン気分でハイキング…って何でござるかこの祠の数！」
　そこじゃない。気になるところはもうそこじゃなかったりする。
「うむむ多いとは聞いていたけれど、まさかここまで多いとは。…これ植える方も大変だったのでは？」
　とはいえ、清十郎が転移した先にはまだたくさんの祠。祠農家さんの汗と涙の結晶です。
　祠を壊せば祟りに合うのは至極当然の事。
　清十郎悩む。それはもう悩む。5秒ぐらい。
「ここは世の為人の為、断腸の思いで万能ネギを振るうしかないのでござる」
　ファイッ！
「おお何と言う。我が蛮行を許してくだされ祠農家の皆様方」
　祠農家 is 邪神教団なのでもうお好きにどうぞ感。万能ネギの一撃ウ゛ゥ゛ァ゛ーッ！！
「そういえば、グリモア猟兵殿が祠壊したら殺されると言ってたでござるな」
　【心此処に在らず】でばこーん、と祠を一つ破壊してから一瞬思案。
　祠一つ壊すだけでも邪神教団からの祟り（物理）があるとなると、先行した猟兵たちの破壊状況から見ればもう怒るとかそんなレベルではないことは明白である。
「ならもう後に引けないので目につく祠全部ぶっ壊してそのまま邪神ぶん殴りに行くでござるよー」
　いい笑顔でばっこんばっこん万能ネギによる破壊音。そのネギ本当にネギですかね。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「おお、祠だ…祠が一杯だぞさっちゃん！」
「いや多すぎだろこれ！？　寧ろ壊せって言ってるようなもんじゃねーかこれ！？」
　眼前にある祠の数の多さに、螺旋忍者の皇・絶華（影月・f40792）と下僕たる神機、さっちゃんが驚愕に声を荒げる。
「おいおい…何が何でも祠が多すぎんだろ。アレか？　伏見の稲荷様みてぇに信者らがどんどん寄贈してぶっ建て続けたとかか、オイ」
　と、やはり祠の数の多さに圧倒されているのは一人だけではなかった。
　東方妖怪、鬼河原・桔華（仏恥義理獄卒無頼・f29487）がやれやれ、と髪をかきあげる。
「すっごいたくさんのほこらなのだー！　これを壊せばいいのだ？」
　トラの獣人であるティグリ・ブリヤジール（トラの戦闘猟兵・f40385）が、祠の数を見てにぱっ、と笑う。
　そして遅れて転移の光から現れたのは。
「じゃじゃーん！　正義の美少女エルフルエリラちゃん様参上！　それにしても祠かー…祠を壊すなんてそんな罰当たりな事…当然やるやるー！！」
　とてもすごいやる気。
　エルフのルエリラ・ルエラ（芋煮ハンター・f01185）が元気よくレッツゴーである。

　ちなみに、皆さん祠の数におおーっ、となってるようですが。

　先行した猟兵たちによって、山、局地的に炎上中です。

「まぁ、壊すと困るのが邪教の連中だけなら気兼ねなく撤去できるわな。早速壊すか」
「わかったのだー！　ティグ、行くのだー！」
「私もどんどん壊しちゃうよー」
　とってもやる気に満ちている猟兵の皆さん。
　皆さん見て。山が炎上してます。お願い、見て。気付いて。（主に色々と不味い光景に）
　だっ、と駆けていく猟兵の背中を見つめていた絶華が、傍らにいたさっちゃんへ口を開く。
「祠とは神を祭る場所でもある。つまり随分と気合を入れて祭っているようだが…知っているかさっちゃん、UDCアースの邪神は滋養豊富！　栄養価が高いのだ！」
　な、なんだってー！？
「つまり教団は邪神を材料にぜっちゃんチョコを作ろうとしているのだな！」
「ぜ、ぜったい違う…！」
　なんかすごそうなチョコを作ろうとしている。QED。
「しかし、私へのお伺いを立てないのは許されん！　という訳でアインの言う通り壊すぞ！」
　絶対に違うと思いますそれ。グリモア猟兵はグリモアベースでこたつでおせんべい食べてます、たぶん。
「わ、分かったぜ！」
　……イイノカナー。

「早速行くぜ！　やっちまいな、野郎共！」
　ユーベルコード【あやかし百鬼夜行捕物帖】が発動。巻物を開けば、そこから物語に記された妖怪たちが溢れ出す。
「スッゾコラー！」
「ドッソイオラー！」
「テマッシャラオラー！」
　牛鬼と河童、天狗が――君たち、出身サイバーザナドゥだったりしません？
「おう、テメェら。中途半端に残して建て直されるのは癪だ。地上げ屋も真っ青な打ち壊しで、祠を残らずバラバラにしちまいな！」
「「「ヤッテミンゾー！」」」
　これ土地の権利奪おうとしてますこの妖怪。（ちなみに先行した猟兵がすでに山の所有権買い取ってます）
「俺に続けッ！　奴らに目にもの見せてやるぞぉ！」
　というわけで、鬼棍棒がぶおんぶおんと唸りを上げる。
　そこら中にある祠がどったんばったんと大騒ぎ。（破壊音）
「ふむふむ、妖怪と……。であれば、私はこれ。山道ならやっぱりサメに限るよね！」
　陸上ですここ。
　ユーベルコード【鹿でした】が発動――シカじゃねーか！
　とてつもない自己欺瞞を纏って、ルエリラのキャバリア〈サメタンク〉が山道を征く！
「ふははーサメにキャタピラはさいきょーなんだよ！」
　ポーチから溢れ出す量産型サメタンク。シカじゃないです、サメですね。
「ゆけーキャタピラで踏みつぶしてしまえー」
　ぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりと音を立てながら、サメタンク軍団が祠を轢殺！！
　ひしゃげていく祠を見ながら、ルエリラが高笑い。
「ふはは、つよいぞーかっこいいぞー！　エルフの森が燃えるぐらい簡単だぞー！」
　エルフ自身でエルフの森を燃やす例えをする所業。エルフの森、気軽に燃えがち。
「そして……ボタンをぽちっとな」
　あれ、なんか量産型サメタンクが赤く明滅して――。

　山が爆発した。（本日二回目）

　あーこれいけません。山終わりですこれ。やーま終わりですよこれは。

「いやっほー！」

　……と、そんな中で、ユーベルコード【｜対人戦術機構『刻の神』《さっちゃん魔法少女モード》】を発動した絶華がさっちゃんと一緒に祠を薙ぎ倒す！！
　しかもキャバリア兵装と次元切断！！　しかも念動弾連射で山にある祠が爆発四散！　というかそもそも空間から消え去ってる！！
「よし！　チョコの恨みは怖いんだ！」
「……絶対に違うと思うんだが」
　ぼそぼそ、と呟く傍らで、祠が時空間に呑まれていく。
　猟兵、そこまでやりますか、の光景。

　と。

「なるほどー、これを全部壊せばいいのだなー！　よーし、早速行くのだー！」
　軍用シャベル「白雪」片手にティグリが祠をべっしべし叩いて砕く。それはもう叩く。親の仇かってぐらいにめっちゃ叩く。
「……がるるるー、一個一個壊してたら時間がかかりそうなのだー……」
　しょんぼり、とティグリの耳がちょっと垂れている。そこで何かを思いついたのか、耳がぴーん。
「そうだ！　だったらどーんと行けばいいのだー！　えーと、部隊のみんなに連絡を取るのだー！」
　ん？　あれ？　この流れは。
「……あー、あー！　部隊のみんなー、これからもくひょーざひょーをおくるから、そこに向かって｜りゅーだんほー《榴弾砲》を【どーんとおねがいするのだー！】」
　あーこれ。もうダメなヤツです。分かりますこれ。もう山は完全に終わります。
「みんな避難なのだー！　りゅーだんほーの雨が降るのだ！」

　――で。

　避難した猟兵たちが、山の麓でそれを見上げる。
　山に降り注ぐ無数の榴弾。圧倒的な広範囲攻撃で焼き払われる山。
　超高速連続攻撃。回避されても中止できないが、そもそも山は逃げないし祠はそこにある。

　山、終了のお知らせ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

第2章 集団戦 『邪教の戦場傭兵』

POW   :    サーチ・アンド・デストロイ 【アサルトライフルによる精密な銃撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。 SPD   :    ブービートラップ 【予め設置しておいたトラバサミやくくり罠】が命中した対象に対し、高威力高命中の【グレネードランチャー】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。 WIZ   :    フルファイア・アタック 【アサルトライフル】【ハンドガン】【銃剣】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。 イラスト：ボーアゲラ 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●山「なんで」
　一応。
　一応ちょっとグリモア猟兵の考えではあるが。
　祠一つだけ壊した人間を祟り（物理）で本気に殺しに行く邪神教団だから、数十ぐらいの祠が壊されればまあ怒って出てくるよね、みたいな考えだったのである。
　山頂に着くまでの山道の祠をある程度壊してもらえれば、流石に邪神教団も怒るだろうな、っていう考えである。

　それが。

　山、地面が露出。

　山林が全て焼き払われて山の斜面が露出。
　所々で木々が延焼。
　氷結のブレスによって一部の木々が凍結。
　パンジャンドラムの連続攻撃で焼け焦げた倒木の数々。

　これ、なんて紛争地帯。

「何やってんだお前らはよおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ！！！！？？？」
　邪神教団、登場、
　はい邪神教団の人登場です。
「なにやってんの！？　なんで山こんなにしてんの！？　俺達が作った祠全部木っ端微塵じゃん！？　なにやってくれてんの！？」
　えー、とばかりに猟兵たちがしらっとした表情。
　そこに祠あったし、と呟いた猟兵に邪神教団――『邪教の戦場傭兵』たちが地団駄を踏みまくる。
「祠あったら普通は壊さないの！！　むしろ崇めるしお供え物もしたりするの！！　山ごと破壊しないの普通は！！　祟りに遭うから祠キレイにするの！！！」
　そうですね。その通りだと思います。
「儀式の邪魔しやがってよぉ！！　もーいい、はーもーいいわ。殺すわ。絶対に殺すわ」
　戦場傭兵たちが戦闘態勢。

　……ちなみに、戦場傭兵たちが予め設置しておいたトラバサミとくくり罠は猟兵たちの連続爆撃によって消え去りました。
　しかも隠れる場所も全部（焼かれて）消え失せたので、不意打ちの心配もないです。

　はい、猟兵に無条件プレイングボーナス。


「故郷ーーーー！」
　ウサギ追いしかの山、消失。
　尾守・夜野（一応生前は成人済な物で。・f05352）の絶叫に邪教の戦場傭兵たちがビクゥ！ってなる。
「何か山が吹き飛んでるんだけど？！　どうして…」
「お前たちだよ！？　お前たちがやったんだよ！？」
「いや本当にこれ危ないな？！　長雨とかあると麓とか土砂崩れに巻き込まれたりするよ？！　おのれ邪神め…！！！」
「俺たちなんもしてないんだけど！？」
　全部邪神が悪い。
「くそっ！　邪神相手に武器使って縁繋がりたくないから丸太抱えてたけどこんな事してる場合じゃない！」
「話聞けよ！？」
「今忙しいんだ！　邪魔しないでくれたまえ！」
　夜野、焼失前の植生と生息動物について深く思案中。戦場傭兵とかに構ってる暇はないのである！
「外来種を排除ついでに杉・ブタクサも無し……」
　花粉症の人にとっては僥倖かもしれないが、なにぶん山が焼けている。
　周囲が超常の光に輝く。夜野のユーベルコード【｜【襲】穫祭《ハーヴェスト》】が発動したのだ。
　無機物から数多の植物を創り出す超常によって傍らから生えてきた竹の束を引っこ抜く。
「動物とか虫逃げてくれてたらいいけど…それはそれで街に被害が…ああもうそこ邪魔！」
「ってぐわあああああああああああ！！」
　無論、邪教の戦場傭兵たちがその植生に呑まれる。地面から生えてきた木々に体を覆われ、更に営利な竹の先端でぐさぐさされればもう何も抵抗できない。
「UDCエージェントとも協力しないとな……とりあえず動物たちを山に戻さないと……」
　完璧に本来の目的を喪失しているが、しっかりと邪神教団たちを掃討している。流石猟兵。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　焼失した山を見渡して、ポリポリと頭を掻いていたのは、多々良・緋輝（ロード・ヒイロタマハガネ・f44126）である。
「ありゃりゃ…あの土着の祠は無事だといいけど」
　しっかりとUDCエージェントが保護したので大丈夫、だと思いたい。しっかりと無敵城塞なりなんなりしてる猟兵もいるかもしれない。
「ま、次は優位に戦えるんだ。心置きなくやらせてもらうぜ！」
　ユーベルコードの輝きが全身を覆う。
　緋輝が変異したのは、アックス＆ウィザーズにて猟兵たちを苦しめた帝竜の姿。
　そしてそれは、帝竜の姿を真似する力だけではない。数多の能力をその身に宿した、正真正銘の｜帝竜《プラチナ》となる力だ。
「これがデモノイドの局地…ならばデモノイドヒューマンもそこに辿り着ける筈だ」
「な……り、竜だと……！？」
　【｜DRDB・希少金属の吐息を司る金属竜《デモノイド・レアメタル・ドラゴン・ブレス》】の力が発散する。
　デモノイドのレアメタルの能力に応じた吐息が――また山が焼かれているが――邪教の戦場傭兵たちを薙ぎ払う。
　次いで、帝竜へと変異した緋輝が吼えた。
　竜と化した巨躯をひねり、取り囲んでいた戦場傭兵たちを超硬の爪牙で蹂躙する――！
「こ、こんな……！　あり得ねぇ！」
「これがデモノイドヒューマンドラゴンの戦い方さ」
　巨躯で押し潰し、爪牙で切り裂き、尻尾を薙ぎ、ブレスで焼き尽くす。
　焦熱の大地の中倒れ伏していく戦場傭兵を見つめた後、遥か遠くの景色へ視線を移して、緋輝は呟く。
「プラチナの様に戦うのも、乙なものだろう？」

大成功 🔵​🔵​🔵​

　そんな邪神教団からの糾弾に対して、え？みたいな顔をしている猟兵もいるわけで。
「一般的には正しいことを仰っているのですが。猟兵に「一般基準」を求められましても？」
「この手の依頼で「猟兵が」爆発を起こすのはボクの経験上普通っすけど…？」
　夢ヶ枝・るこる（豊饒の使徒・夢・f10980）と黒沼・藍亜（に■げ■のUDCエージェント・f26067）がさも当然というように反論である。
　実際、それはそう。
「というかさ、ネットに蔓延するいくら消してもすぐ再表示される空気読めない広告みたいに祠乱造して余所様の信仰を掠め取ろうとか本物の神格に失礼と思わないんすか？」
　邪神教団、ド正論にド正論で返されて数名倒れた。本当にそれはそう。
「他所様が所有しておられる山の中に、勝手に祠を立てるのもどうかと思いますねぇ」
「……まあ、今回は山の持ち主が辻褄合わせとか何とかするでしょ多分。本物の祠の安否は気になるけど」
　まあ山の所有権は、焼却前に猟兵の一連の事務作業で猟兵の一人に移ったのだが。
　更にド正論追撃で戦場傭兵の数名が地面に倒れた。主にストレスで。
「うおおおおおおおおお！！！！　サーチ・アンド・デストロイ！！！」
「口で勝てないと分かって暴力で解決しようとしてくるようですねぇ」
「や、もういいっす……。さっさと倒すっすよ」
　ごぼり、と藍亜の足元からUDCの触腕を沸き立つ。アサルトライフルの精密射撃がUDCの触腕に直撃するが、その粘性によって無力化された。
「では、いきますねぇ」
　祭器『FAS』の翼によってるこるが飛び立った。周囲の空間を歪ませる祭器『FLS』の力が発現し、襲い来る銃弾が捻れた空間に重なって別方向へと飛んでいく。
「この状況、もう一押ししても宜しいです？」
「どんどんやっちゃうのが正解っすよ」
　それでは、と。るこるがユーベルコードの超常を解き放った。
　【豊乳女神の加護・霈熌】。戦場上空を覆い尽くすは『聖豊印』。そこから放たれるのは、『乳白色の雷』。
　浄化を宿した雷の束が、邪教の戦場傭兵たちを蹂躙する。
　叫びながら右往左往する戦場傭兵たちに、藍亜もまた静かに告げた。
「さて。アンタらはいつまで…耐えられるっすかね」
　UDCが変質、全てを侵蝕するような、黒い風が周囲を覆う。
　【光り絶え、果てに沈め】――戦場傭兵たちが垣間見るのは絶望と悪夢の光景。
　そう、その……山が完全に焼失して、祠も全部壊されている光景。（2回目）
「これで、祟りもなさそうですねぇ」
　そうっすね、と短く呟いた藍亜が、倒れ伏した傭兵の一人に歩み寄る。
「まあ、祟るならどうぞ？　アンタらも、アンタらの「神」も、全部殺処分してやるから」
　オブリビオンとして骸の海へと還っていった残滓に手を触れながら――藍亜はその嫌悪と敵視を緩めることはなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「えー？」
　こてん、と首を傾げて。
「今回の作戦もくひょーは祠の破壊だから仕方ないのだー！　｜作戦指揮官《グリモア猟兵》さんの言うことは絶対だってたいちょーも言ってるのだー！」
　その通り。偉い。
　ティグリ・ブリヤジール（トラの戦闘猟兵・f40385）の朗らかな（ド正論の）反撃に邪教の戦場傭兵たちがあぁ……と静かに頷く。
「サーチ・アンド・デストロイ！」
　もう何も言うまい、という判断。戦場傭兵の皆さん、即臨戦態勢。
「よーし、それじゃーこーせん、開始なのだー！」
　そこで、ティグリが用意したのは歩兵用対戦車機械火殲槍イェジェロノーク――でっかい火砲を歩兵用に改造した対戦車火砲である。
　これには戦場傭兵の皆さんもギョッとする。
　なにしろ、周辺の地形は遮蔽物なし。身を隠すなんて以ての外。
　がしゃん、がしゃん、と準備完了。
「【ほーげきかいしなのだー！】」
　攻撃は最大の防御。
　砲撃専念モードと化した『イェジェロノーク』から、激烈な砲撃音。そして地面に穿たれる砲撃。

　途端、爆裂。

　圧倒的な炎熱と衝撃波が迸る。アサルトライフル？なにそれおいしいの？ってレベルの超攻撃力。しかもこれで射程が3倍。生身で受けたらどうなるか――というかその周辺にいた戦場傭兵が消し飛んでいる。
「回避は捨てて、先に撃滅しちゃうのだー！」
　悲鳴を上げながら逃げ惑う戦場傭兵の皆さん。アサルトライフルで勝てたら苦労しない。

　第二砲撃。火炎、衝撃波、爆風、撃滅。
　ふぃーと額を拭ってティグリがにぱっと笑う。
「作戦かんりょーなのだ！」
　サーチ・アンド・デストロイの極致を見た気がする。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「すみませーん！　僕壊してませんよ！　祠が壊れたのは自然災害ですよ！」
　ビシィ！と片腕をしっかり上げて物申す猟兵、カシム・ディーン（小さな竜眼・f12217）。
「つまりこれはあくまで自然災害なので誰も悪くありません！！」
「どの口が言ってる？」
「ほら！　あれがやったんですよ！」
「こ、怖いよー☆」
「お前らさっき普通に『とりあえずぶちこわせ』って言ってたよね？」
「言ってません！」
「問答無用！！！」
　邪教の戦場傭兵の皆さん、とても地獄耳であった。
　とはいえ。
　とはいえである。
　さっき祠を壊しまくっていたダイウルゴス。上空を旋回中。
　くーるくる回っているダイウルゴスたちへと、カシムが念話。
（この傭兵共を殲滅しろ。食べてもいいぞ？）
（保留159…お好み焼き（関西）50お好み焼き（広島）50もんじゃ焼き49）
（お前ら無茶言うんじゃねーよ！）
　ダイウルゴスの皆さん、粉物をご所望である。
（ご主人サマ！　鎌倉でお好み焼き食べ放題のお店あるらしいよ！）
　そこでナイスフォローな相棒のメルシー。小型ダイウルゴスとはいえ、結構な大きさであるが……UDCアースの皆さんが許してくれるかどうかは定かではない。
　あ、軽快なBGMが流れ始めた。
　ダイウルゴスたちが、戦場傭兵さんたちへ猛烈アタック！
　これなんて鳥葬ならぬ竜葬？みたいな構図。マジのホラーである。
　そこからしっかりと金目のものを爪で盗んでいくあたり抜け目がない。
「よし、金目の物ゲットだな！」
（焼きそば50たこ焼き30チヂミ20）
「後から増やすなよ！？」

大成功 🔵​🔵​🔵​

「あの、はい。ええ、その通りでございます」
　邪教の戦場傭兵たちが言ってることはまあ、そう。
　ワイナモイネン・シディエス（恋に恋する鉄腕メイド・f23089）は、邪神教団の物言いについて深く頷く。
「本来祠は信仰のあり方、土着なり宗教における道徳観を示す聖域ですわ。不審なほどに敷き詰められた祠でも、大事にする方もいらっしゃるかもしれません」
　うんうん、と頷く戦場傭兵たち。
「ただそれが、霊長とそれに類する方々の意識にあり……この瓦礫をそうと認識していれば、の話でございますが」
　とってもすごい顔をしている戦場傭兵たち。
　ド正論にド正論で返されて泡を吹いている者が少数。
　とん、とワイナモイネンが跳んだ。
「それでは、邪神を崇める恐れ知らずの皆さんの信仰を試すと致しましょう」
　とん、とん、と空中に登っていくワイナモイネンを唖然とした表情で見つめる邪神教団たち。
　とん、と再び跳んで、邪教の戦場傭兵たちの中心に降り立つ。

「では――お掃除ですわ」

　ワイナモイネンの周囲を飛び交うのは、『丈夫な箒』――それも、139本の箒たちだ。
　さっさっ、と踊るように、しかしてゴミは一つ残さない所作で。
　アサルトライフルを向けようとした戦場傭兵の一人が、殺到した箒たちによって妨害される。
　傭兵の目の前に立ったワイナモイネンが箒を一振りすれば、たちまちに邪教たちが倒れ伏していく。
「ああ……なんと嘆かわしい。このように祠が全て破壊されてしまうなんて……！」
　……と言いながらとても嬉しそうに――楽しそうにしているのは、ツッコんではいけないことなのだろう。おそらく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　追い詰められていく邪教の戦場傭兵たちに立ちはだかるは――サメ。
「終わったと思った？　残念！　私のターンは続くよ！」
　ルエリラ・ルエラ（芋煮ハンター・f01185）が飛び出す。サメタンクが迫りくる状況の中、戦場傭兵たちが後ずさりしている――！
「ふっふっふ、邪神はホラー！　ホラーといえばサメ！　…あれ？　ホラーだよね？　まぁいいか」
　なにしろ地上に上がってきたり竜巻になったりするのがサメである。パニックホラーものでサメは最大の恐怖の対象だ。
「今から始まるのはクトゥルフではなくサメ映画で私こそが恐怖の対象なんだよ！！」
　私がサメだ、を証明していくスタイル。
　それに、とルエリラが続けた。
「ホラーもので「はーもいーいいわ。殺すわ。絶対に殺すわ」なんて言う人達がどうなるかなんてわかりきってるよね！」
　こんなところにいられるか、だったりとか、乗り越えたら結婚しよう、的なもの全てはフラグである。
　そもそも、こんな祠立てまくってる時点で色々とアレであるが。
　ルエリラのユーベルコードが発動！
　【リミッター解除】されたメカ・シャーク号とサメタンクが、侵攻を開始する――！
「サメ度が上がると怖いぞー！」
「くっ……！」
　とうとうアサルトライフルの引き金を引いた邪教の戦場傭兵たちだが、メカ・シャーク号の圧倒的な装甲に阻まれてなんにも効いていない。
　というわけで、ビーストタイプのメカ・シャーク号に乗ったルエリラもまた突撃。
　とても不安を煽るような例のBGMが鳴り響く（ような気がする）。
　邪神教団たち、潰走中。あーいけませんこの逃げ方はダメです死亡フラグです。
「さぁさぁ逃げまとえー！　邪神よりサメを称えるんだよぉ！」
　ヒャッハー！とばかりにサメ爆走中。凄まじい速度で戦場傭兵たちを襲っている。
　サメと和解せよ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　ほぼほぼ壊滅状態の邪教の戦場傭兵たち。
　流石に撤退か、というところで、頭上から落ちてくる巨大な影を見て硬直。
「骸式兵装展開、争の番！」
　ユーベルコード【｜模倣様式・鉤爪之男《イミテーションスタイル・プラズマクロウ》】によって20m超のキャバリアに変身したバルタン・ノーヴェ（雇われバトルサイボーグメイド・f30809）が、マイク音声で山に響くような爆音で告げる。
「ひと様の私有地に勝手に祠を作り！　清廉な祠のイメージを悪用し！　邪教の儀式を行おうとする不届き千万！　月に代わってオシオキならぬ、仏に代わってジェノサイド！」
　正直、かなりのオーバーキル。アサルトライフルの精密射撃？　なにそれ？
「……あ、キャバリアって偶像崇拝的にイメージが合いそうデスカナ？　HAHAHA！」
　戦場傭兵側にとってはただの破壊神である。
　というわけで、超速で飛翔して（元）山上空付近でコンニチハ。
　鈎爪から迸る超電撃と真空波が邪教の戦場傭兵に襲いかかる。おまけにグレネードランチャーの爆撃もプレゼント。更に山再起不能。
「炎、雷、風の三種の特盛セット、ヘイオマチデース！」
　もちろん邪教を倒すのはとても大事であるが、結局のところ山が泣き声を上げている気がする。
　雷撃が幾多にも迸り、風隙が大地を抉る。そして山がまためっちゃ燃える。焼畑か？とかそんなチャチなもんじゃ断じてない。
　土着の神様大丈夫？ってレベルでまた燃えている。他の猟兵たちも爆破してたりサメしてたりするので、まあこれもあり。

　……ありなのかどうか。一人残らず邪神教団は殲滅されました。

　邪神とかそういう話以前に、UDCエージェントたちが頭を抱えるレベル。

大成功 🔵​🔵​🔵​

第3章 ボス戦 『欲食獣『アメイモンの大蜘蛛』』

POW   :    邪神は知覚に成功した生物の欲望を奪い捕食する 対象への質問と共に、【人形の収まった社】から【無機物を透過しつつ広がる陽炎状の物質】を召喚する。満足な答えを得るまで、無機物を透過しつつ広がる陽炎状の物質は対象を【包み、あらゆる記憶諸とも欲望を奪いとる事】で攻撃する。 SPD   :    邪神は生物の体を様々な物品に変える力を行使する 【邪神の体を視認した対象か邪神が視線】を向けた対象に、【捕食した欲望の解消に最適な物品にする事】でダメージを与える。命中率が高い。 WIZ   :    邪神は生物を物品にする事で捕食した欲望を消化する 自身の【捕食した生物の欲望】を代償に、【無生物を透過しつつ拡がる陽炎状の物質】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【代償にした欲望の解消に有効な道具にする技】で戦う。 イラスト：霧島一樹 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●それでも祠はそこにある
　邪神教団たちを殲滅した猟兵たちが、ふぅ、と息を吐く。
　山がでこぼこ。爆心地みたいなクレーターあり。延焼で木々が焦げまくってる。悲しいけどこれ邪神教団じゃなくて猟兵の仕業です。
　と、そんな悲しい風景の中、爆撃から逃れた祠が――というより、社があった。
　その社は、なんと動いている。というより蠢いていた。
　背中に社を乗せた巨大な蜘蛛、のような生き物だ。
　蜘蛛の頭は狐の如き様相で、しかし蜘蛛の眼がそこにある。
　これは――邪神だ。
　邪神教団が目論んだ邪神復活儀式はそれはもう完全に完璧に失敗したが、邪神は不完全な復活を遂げている。
　邪神、欲食獣『アメイモンの大蜘蛛』は、生物の持つ欲望を喰らう邪神である。
　社に奉納されているのは異界の人形だ。呪詛の媒体となってそこに鎮座しており、明らかな異質が猟兵を蝕むだろう。
　生物の欲望を叶えるために、その対象を最適な道具へと変えることで欲望を消化する邪神だ。
　山が消し飛んでもうこれオーバーキルじゃない？という感じだが、邪神のユーベルコードも不完全な復活により弱体化している。今が好機だ。
　猟兵たちがバールやらなんやらの武器を――やっぱりこれ百姓一揆ですか。


　明らかなオーバーキルであるが、邪神の力もそれはそれでとても凶悪なため、しっかりと撃破しておかなければならない。
「さて、終曲と行こうか」
　なので、ユーベルコードもそれ相応に強力なものを。
　多々良・緋輝（ロード・ヒイロタマハガネ・f44126）のデモノイドの力が活性化する。
　【｜DHF・魔の鋼宿す人間の方程式《デモノイドヒューマン・フォーミュラ》】は、自身の力をフォーミュラに近づける――否、フォーミュラとなる力である。
　あらゆる能力が超強化された緋輝の双眸が燦々と輝く。
「――■■■、■■」
　対して邪神の力は奇怪な声を上げて、あらゆる無機物を透過する陽炎状の物質を召喚する。それは、記憶と欲望を奪取する呪詛の技だ。
　だが、緋輝は不敵に笑う。
「なにをしようとも関係ないぜ」
　デモノイドヒューマンのフォーミュラは、フォーミュラと同義の力を得る。
　骸の海から世界へと滲み出させるオブリビオンフォーミュラと同じように、デモノイドを無尽蔵に生み出す。
　召喚されたデモノイドは軍勢とも呼ぶべき数だ。それが壁になれば、いかに物質を透過しようとも無意味となる。
　それは例えば、津波に立ち向かう小人。

　自身の技が完全に遮断されたことに気付いたアメイモンの大蜘蛛は、更に奇怪な声を上げてデモノイドをその呪詛と異形の脚の爪で対抗する。
　――が、それもやがては終息する。
　これは、緋輝による圧倒的な封殺だ。
　フォーミュラとして。デモノイドの軍勢を掻き分けて叩きつけられた神殺の金属刃が、邪神の胴体を薙ぎ払ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　猟兵の一撃にぐらりと揺らぐ。
　だが、邪神としてそこに存在している以上、アメイモンの大蜘蛛はとてつもない生命力の持ち主だ。
「成程、これが『祠』の本体ですねぇ。しっかりと破壊しましょう」
　祠とついでに山もほぼ終わっている感じであるが。
　夢ヶ枝・るこる（豊饒の使徒・夢・f10980）が祭器の力を解き放つ。
　『FAS』の翼によって滑るように飛翔したるこるが、｜祭器召喚・制御札《FLS》の力によって『｜水晶《FPS》』を召喚する。
　亜空間障壁を召喚すれば、すべての準備が整った。
「さあ、いきますよぉ」
　FPSで探査した後、ユーベルコード【豊乳女神の加護・彁閠】の力が解き放たれる。
「――■■■、■■」
　邪神から奇怪な言葉が紡がれれば、陽炎状の物質がるこるへと襲いかかる。
　しかし――その異変はすぐに収まった。
　なぜならば。
「『陽炎状の物質』は『対象への質問』で発動するもの、「対象に選択出来ない『摂理』」を纏ってしまえば私へ効果を及ぼすことは出来ません」
　この瞬間、るこるは世界に存在する法則そのものに干渉した。これが、特定の力から自身が干渉されなくなる『摂理』だ。
　それは邪神の力も例外ではない。陽炎状の物質は、質問に答えなければならない者を見失い、即座に四散した。
「では、一気に叩きますねぇ」
　『衛星祭器』から迸った爆撃が、祭器の砲門が、邪神本体に向けられる。
　折り重なる連続爆撃に、邪神の生命力がたちまちに削り取られていったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「なんと悍ましいのでしょう。霊長とそれに類する方々の信仰への冒涜、道徳の汚辱」
　様々な生き物が混じり合ったかのような邪神の姿に、ワイナモイネン・シディエス（恋に恋する鉄腕メイド・f23089）が小さく言葉を紡ぐ。
「例えそれが邪神を祀るものであったとしても、祀る神などないとしても。破壊し、その役割を全うする事もなく朽ちさせるのは偲びありません…が」
　箒たちがワイナモイネンの周囲をくるり、と廻った。
　ユーベルコードの超常が発現し、ワイナモイネンの背後から、無数の艦砲が姿を現した。
　【近接時における艦砲射撃の利用法】――邪神を討滅するために生み出された宇宙戦艦の如き装備は、邪神の全てを蹂躙するだろう。
　銃座の銃身が動き出す。レーザー砲身が火を噴いて、邪神を焼き尽くす一撃と化す。
　邪神がユーベルコードを発動し、陽炎状の物質が放たれる、のだが。
「その攻撃はすでに予見しておりました。バーチャルキャラクターとして、お答えしましょう」
「――■■■、■■」
　邪神の奇怪な問いが飛べば。

　突如

　アメイモンの大蜘蛛の脳内（あるかわからない）に溢れ出した

｜存在しない《・・・・・》記憶ーーー

『マジかよ、あの祠壊したんか』
『かわいそう』
『1S100で祠壊しとこ』
『ネットでは祠壊し放題だもんな。わかるー』


「グギャアアアアアァァァァ！！！」
　アメイモンの大蜘蛛、めっちゃ叫んでる。なんか色々と琴線に触れるところがあったらしい。
　数々の砲撃を浴びながら、絶賛絶叫中。痛みによる絶叫なのか、祠に対してめっちゃ辛辣な｜投稿《まとめスレ》に苦しんでいるのかは定かではない。
「どうやら、ご満足いただけたようですね」
　優雅に微笑み――いえあの、多分めっちゃ苦しんでます目の前の邪神。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　絶叫中の邪神がスンッという感じで落ち着く。
　流石に祠スレは堪えたようだ。
「気が付けば山が酷いことに…おのれ邪神教団！　邪神を潰す！」
　全部邪神が悪い。ルエリラ・ルエラ（芋煮ハンター・f01185）が拳を握り徹底抗戦である。サメタンクとかのことは全部忘れている。
（こう言っておけば、全部邪神教団と邪神が悪いから私達はセーフ）
　ただの確信犯。
　汝は鹿。だからセーフ。
　邪神がユーベルコードの力を発動しようと身構える。
「欲望を消化かー」
　ルエリラの脳裏をよぎる、世界征服。イケメンメガネ男子ハーレム。それも多分邪神は叶える。至極間違った方法で。
　とはいえ、流石に欲望の解消に最適な物品にされるのは困る。
「こんな私のささやかすぎる欲望は一体どんな物品になるか興味はあるけど……」
　くるり、と身を翻すルエリラ。あれ、俺と戦わないの？みたいな動作でかさかさ追いかけようとするアメイモンの大蜘蛛、だったが。

「私は自らの行いに恐怖した…」

　静かに呟いて。

「いけ、芋煮！　…忌まわしき欲望とともに…！」

　途端に空が暗くなった。
　あれ？みたいな感じで狐の顔が上空を向く。

　なんか、空を覆い尽くすレベルの、芋煮。
　【芋煮ィッシュ作戦】。スペースメテオ芋煮が山丸ごと覆うように邪神に振りかかる……！
　ふふふ、と得意げに微笑むルエリラが、大声で邪神に告げる。
「山に降り注ぐ芋煮の中身は栄養満点！　数日後には地面に吸収されて、緑生い茂る元の山にきっと戻るはずだよ。芋煮は万能！」
　塩害とかは気にしない。なにしろユーベルコードなので。
　なお、到底お見せできない状況になったため、UDCエージェントの後始末が後でヤバいことになりました。
　邪神は芋煮に勝てない。これ真理。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「わァ…あ…」
　泣いちゃった。
　尾守・夜野（一応生前は成人済な物で。・f05352）、邪神を目の前に結構なガクブル具合であった。
　もしかしたら、この邪神そうなのでは？みたいな思考がぐるぐるしまくる。
　というわけで、黒纏で隠蔽。しっかりと邪神への対策になっているのはナイス判断。
　――でもやっぱり、他の人格には逆らえない訳で。
「ひゃはは！　もう一度壊し合えるたぁな！　途中の祠も誰かだったのか？　いいご身分で！」
　『俺様』の人格が颯爽と登場。ユーベルコード【鏡花【酔】月】が発動、周囲に咲き乱れる花々。山が潤う。色々な意味で。
　邪神が捕食しようと夜野に迫るが、それを回避してまたどこから取り出したのかダイナミック丸太攻撃。社がみしっ、ってなる。
「ひゃははははは！　やっぱりつべこべ言わず破壊するのが一番だなぁ！」
　ばっこばっこと丸太連続攻撃。邪神が丸太で悲しいことになりつつある光景がとてもシュールである。
　しかも先ほど使っていたユーベルコードの効果で破壊効率が段違い。邪神泣いてそう。
　やはり破壊。破壊は全てを解決する……！
　その後、丸太でびしばし叩かれ続けたアメイモンの大蜘蛛は、追いかけてくる夜野から全速力で逃げ惑うことになっていた。
　猟兵ヤバいの認識が邪神にも刻まれ始めた瞬間である。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「……これ焼かれるのが嫌で逃げ出そうとしてるんじゃ……？」
　焼かれる、というかどうあがいても破壊されることに恐怖を感じている気がする。
　猟兵の丸太攻撃から逃げ惑っていた邪神に対して呆れ声を発しているのは、黒沼・藍亜（に■げ■のUDCエージェント・f26067）だった。
「まあ、逃がさないんすけどね」
　少なくとも、邪神かつヤバい力の持ち主であることには変わりない。
　ごぼり、と地面に落ちた『沼』が肥大化する。邪神の視線が藍亜を捉えようとした瞬間、触腕の壁がそれを遮った。
　沼が広がり、世界を包む。
　それは、異界となって現実を上書きした。
　【｜どこでもないどこにもない、どこにもいけない《世界を塗り潰すもの》】。
　UDCの力が発現し、漆黒の粘性の海と白亜の空が周囲を包む――！
　丸太攻撃から逃亡していた邪神が、漆黒の海から沸く触腕の群れに絡め取られていく。
　更に、海から生み出されるのは『暗く昏い黒き虚兵』だ。UDCがメイガス用の装甲を纏い、それはもう邪神を殴る。めっちゃ殴る。
　光景的にはやめてあげて、みたいなやつ。
　降りしきる白の雨が、邪神が発していた呪詛そのものさえも無力化し――これもう完封。
　しかし、一番大事なのは。
「これで効果中の二時間ほどは他の人が爆撃しようが全く「元の山には」影響は出ないっす。これでもう安全っすね！」
　とてもグッジョブです。
　なぜなら、本当に（これから爆撃が）控えているから。
　邪神の瞳がちらちらと明滅する。
　……これ、もうやめて、って言ってませんか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　というわけで、猟兵の力によって山が保護されました。
「また祠です…」
『祠って生えるのです？』
　澄清・あくあ（ふたりぼっちの【原初の一】・f40747）と澄清あるまがひそひそと話し合う。祠は生えないしそもそも動かない。あしからず。
「今回の任務は後あれを撃破するだけだけど……うーっ！　いやな感じがビンビンするのだー！」
　ティグリ・ブリヤジール（トラの戦闘猟兵・f40385）が身を震わせた。
　邪神の力は生物の欲望を喰らう。弱体化しているとはいえ、油断は禁物である。
　と、それを見据えたのか邪神の瞳がきらりと光る。
　あくあへ向けられた視線は、欲望の解消に最適な物品にする力となってあくあを塗り替える――はずだった。
　しかし、それ以上は何も起こらない。
　アメイモンの大蜘蛛の動揺が、微かに伝わってくる。
「気持ちはうれしいんだけど…」
『｜ご主人様《ますたー》に怒られちゃうから、受け取れないや』
　彼女たちの願いは、決して邪神の力によって解消されるものではない。故に、アメイモンの大蜘蛛の力は、絶対的な拒絶によって阻まれたのだ。
「あなたの力はすべて結果。だからいらない」
　とそこで、ティグリが行動に移る。
「先手を取られたけど……見ても見られてもだめだっていうのなら……こうするのだー！」
　取り出したのは特殊グレネード。投げつけた瞬間、強烈な閃光と爆音が周囲を覆う――！
　邪神の目が完全に潰れ、爆音によって周囲の状況もほとんど掴めなくなっているだろう。
「でも油断はしないのだー！」
　ぴっ、と通信機ON。これはもう、あれですね。
「【どーんとおねがいするのだー！】」
　ヒュルルルーとばかりに飛来する榴弾。降りしきる破壊の雨。絶えることない爆撃音。
　もし猟兵が世界を隔絶していなければ、また山が悲鳴を上げていた。山セーフ。
「こうなったらもう邪神だろうとなんだろうともう止められないのだー！　ティグにも無理なのだー！」
　もうどうにでもなれ状態。
「わぁ、すごい」
『わたしたちもいこう』
　頭上から降りしきる爆撃と。
　あくあとあるまの全身から波動が迸る。
　深く息を整えて、ユーベルコードは発現する――！
「ごめんなさい、」
『もう会う事はないでしょう』
【｜解放識・海緑色の臨界疾走《ライトオーシャングリーン・オーバードライブ》】の光波の渦が、邪神を呑み込んだ。
　眩い輝きと爆撃の蹂躙が、邪神の力を削り取っていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「あれが邪神か…！」
　背面に社を備えている邪神、アメイモンの大蜘蛛を見たカシム・ディーン（小さな竜眼・f12217）が戦闘態勢。
　……邪神、若干逃げ腰。
「……ただまぁ…その…流石にちょっとやりすぎた気がするが…」
　山が悲鳴を上げているというか、もう悲鳴を上げる体力もないレベルである。全部邪神が悪い。
「後でちゃんと再生するか」
「回復魔法もあるんだぞ☆」
　しっかりと修復していかないと土着の神様も色々と悲しむことになる。偉い。
「其の前にまずはこの祠の元凶ぶっ飛ばすか」
　邪神の視線がカシムを射抜く――瞬間に、すでにカシムは光と水の属性を自身に付与することによって光学迷彩を獲得していた。
　水の障壁によって匂いや熱探知も隠蔽し、準備は完了だ。
「よし、いくぞメルシー！」
「ラジャったよご主人サマ♪　祠をじゃんじゃん破壊しよ♪」
　まだ祠を破壊し足りない猟兵の皆さんはまだまだ控えている模様。
　ユーベルコード【メルシー＆カシム『ロバーズランペイジ』】が発動。光学迷彩のまま飛翔したカシムとメルシーが、まるで包囲攻撃かと思うぐらいの念動光弾の雨を叩き込む――！
　アメイモンの大蜘蛛は、居場所は特定できず――というより、あまりの高機動によりカシムたちを認識できずにされるがままであった。
「とどめだっ！」
　鎌剣と打刀が空間に二つの軌跡を生み出した。
　四肢と胴体を切り裂かれて、アメイモンの大蜘蛛から苦痛の叫び声が響き渡ったのだった。

　――と、まだまだ生命力の衰えない邪神は置いておいて。
「まあ、流石にやりすぎたし、そもそもちょいと寝覚め悪いんでな？」
「ご主人サマ、さっすがー☆」
　ユーベルコードの力で治癒型ナノマシン散布。山の修復は続く。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「皆さん大変です！　まだ祠の生き残りがいました！」
　さっき山を焦土にした者の一人、イヴ・イングス（RTA走者の受付嬢・Any%・f41801）が発見してしまいました。
「おのれあの爆撃をまだ耐えていた祠がいたというのですか！　他の猟兵の方々が邪神教団を相手にしている最中も、我々は血眼になって山を爆撃しながら山狩りして生存祠を確実に破壊して回っておりましたのに！」
「いやはや私としたことがあの祠の存在を見落とすとは……っ！？」
「あの爆撃の中を生き残っていたとは根性ある祠だな」
　ぞろぞろと集まってくる南六条・ヴィクトリア三世（株式会社UAI最高経営責任者(現職)・f30664）とジェイミィ・ブラッディバック（脱サラの傭兵/Mechanized Michael・f29697）、そしてアレクセイ・マキシモフ（歴戦の｜もふもふ傭兵《ファーリー・ラット》・f36415）。
　探検シリーズ的なアトモスフィアよろしく、祠を見つけてめっちゃ良いリアクションを取る猟兵の皆さん。
「なんで邪神教団そっちのけで祠爆撃続けてんだこいつら！！　祠に親でも殺されたの！？　違うよね！？」
　遅れてツッコミ役登場――ではなくて、ベルゼ・アール（怪盗"R"/Infected Lucifer・f32590）登場。
　いつもお疲れ様です。
「こいつmobじゃ無さそうですね！」
　そこでアレクセイ、気付く。
「む……いや、違うぞ社長！　あの祠、備え付けられた脚部で歩行している！　呪詛人形搭載多足歩行型祠……「ホコラギア」だ！！」
　ホコラギアとは。
「ほ、ホコラギア！　やべーやつじゃないですか！　確実に息の根を止めましょう！」
　だからホコラギアとは。
「なるほど自立歩行可能だったんですのね！　ホコラギア……確実に破壊しなくてはなりませんわ！」
「ホコラギアって何だよ！！　新概念がさらっと爆誕しちゃったよ！！」
「ほ、ホコラギア……！？　完成していたというのですか！？　DARPAとCIAが共同で計画していたと聞いていますが……！？」
　知っているのかジェイミィ！？
「ジェイミィも乗っかるな！　DARPAとCIAをこんなトンチキに巻き込むんじゃない！　なんでみんなシリアスな雰囲気になってんだよ！」

　一方その頃。

「いやーみんなハッスルしているでござるね。もうこれどう足掻いてもこっちの勝ちでござるでしょ」
　焦土と化した山にて、キッチンカー襲来。
　せっせとモンブランケーキやらスイートポテトやらを作っているのは祓月・清十郎（異邦ねこ・f16538）である。
「なんということデショー。劇的ビフォーアフター！　たった一人の祠を壊した男性を狙ったばっかりに、罪もない山が平地にジョブチェンジ！　これも全て邪神のせいデスネ、許すまじ！　それはそれとして……Oh、ナイスな旬スイーツデスナ！」
　そこでバルタン・ノーヴェ（雇われバトルサイボーグメイド・f30809）がのんびりスイーツ堪能中。
　料理技能170の言う事なのでスイーツとても美味しいは真実です。
「ね、あの祠って生き物だよね」
「そうでござろうなぁ」
「意思とかもありそうだよね」
「HAHAHA！　ワタシたちにそれはもうビビってマース！」
「なら恐怖も感じるよね」
　うんうんと頷く猟兵たちを見渡すダークネス「シャドウ」のアズロ・ヴォルティチェ（『紺碧のヴォルティチェ』・f44735）。
「スイーツで恐怖を与えるのもいいかもしれんでござるな」
「事後は近所のお地蔵様に供え物スイーツを捧げてお礼参りデスナ！」
「よし、それじゃあやってしまおうか。ホラー映画同士とか怪獣映画同士とかのコラボでよく見る〇〇対〇〇勝手に戦えっていう作戦でいこう」
　とりあえず、こっちも準備万端。

　一方その頃。

「欲食獣。これが邪神の正体ですわね」
「ドーモ、アメイモン＝サン。イェーガーです。サップーケイな山に殺戮者のエントリー。あなたの邪まなソウル、ここで祓い清める」
　エドワルダ・ウッドストック（金雀枝の黒太子・f39970）とラスク・パークス（｜最後の死神《『パクス・ザナドゥ』》・f36616）が合流。
　ビクゥ！という感じでアメイモンの大蜘蛛が飛び上がる。もう欲望の吸収とか良いから早く帰りたい感が出ている。
「質問されたり視認されると欲望を奪われると……厄介ですわね。それに……やっぱり祠が跳んだり跳ねたりしてますわ！」
　祠は多脚。QED。
「今度こそ逃がしませんわよ！」
『・∀・）ゴーゴー！』
　というわけで先陣を切りますは二名の猟兵。
　ラスクが視界をバイザーで覆いシャットアウト。後はアメイモンの視線に対処するのみ、だが。
　【｜ザナドゥの闇鏡《ミラー・ザナドゥ》】。それは、あらゆる状態異常を受けると漆黒の闇がその効果を反射するユーベルコード。
　視線を受けたラスクはしかし、瞬時に漆黒の闇へと転換し反射する。
『・Д・）つ　お前が物品になるんだYO！』
　闇はアメイモンの大蜘蛛を包み込み――。

　邪神の六脚の先にジェット付きローラースケートが顕現。

　……あっ、この邪神、全力で逃亡しようとしている！

『； ･`д･´) に、逃げたい欲望ですと！？』
「逃さないと言ったはずですわ！」
　エドワルダのユーベルコード【｜鋼鉄弾雨《フルメタルバレット・ストリーム》】が発動。
　傍らに立つのは、白の長髪をなびかせた猟兵の幻影だ。
　ライフルと｜ライフル《グリムリーパー》の弾幕が折り重なり、凄まじい銃弾の嵐を形成する――！
「質問の答え……はどうやらいらないようですが、この鉛玉が返答ですわ！　お釣りは結構。たらふくお賽銭を受け取りなさいな！」
　ローラースケートでビュンビュンしていた邪神だったが、流石にこの弾幕を逃れる術はない。
　脚を撃ち抜かれてそのまま跳んだ。
　着地した先にはしかし、すでに猟兵が待ち構えている。
「祟りには呪いを、恐怖には恐怖を。それがセオリーってものだよね？」
　邪神の後ろに這い寄る影。
　邪神が振り向いた先にいたのは、怪物に変貌したアズロだ。
　ユーベルコード【｜紺碧の影《シャドウ・ヴォルティチェ》】が発動し、紺碧の絵の具の体と無数の腕を持つ怪物の姿となったアズロを垣間見たアメイモンの大蜘蛛は、圧倒的な恐怖によってその身をたちまちに竦ませた。
「怖がられる側だと思った？残念！　――お前は怖がる側だ」
「ヒャッハー！　今が好機デース！」
　そこでバルタンがパイルバンカー片手に特攻する――！
「六式武装展開、煙の番！」
　【｜粉塵纏・破城槌《ヴァニッシング・バトリングラム》】の一撃。煙による隠蔽効果から放たれた一撃は、アメイモンの大蜘蛛を数十メートル弾き飛ばす。
「ところでワタシの欲望とはいったい？」
　ぼう、と近くの枯れ木が邪神の影響を受けて変わる。

　なんか、見覚えのあるサメ着ぐるみができた。たぶん、それが真理。


　……と、なにかそこで聞き覚えのあるBGMが発生。
「＼ごまだれー♪／」
　正直結構ギリギリラインですのでセリフにてお送りしております。
　イヴのユーベルコード【悪知恵の借り物】で生み出されたのは、
「2トループくらいの竜牙兵！　あの生き残りの祠を囲んで棒で殴るのです！　爆撃のタイミングで散開してください！」
　なにその浦島太郎の亀を虐める子どもたちみたいな。
　あーいけませんねこれは。いけません。到底お見せできない構図ですこれ。
　お見せしたら間違いなく猟兵が悪者になってしまいます。
　社がメキメキいっている。
「なにやってんの！？　なにこの構図！？」
「ファーリーラットより｜AC-130《ガンシップ》、聞こえるか！　爆撃は継続しろ！　ただし爆撃範囲はホコラギアに一点集中だ！　それと指定するポイントにアナコンダを投下してくれ！　OVER！」
「TYPE[JM-E]を出します！」
「ちょっと待って！？　過剰戦力すぎるでしょ！？」
　えー……。
　アレクセイの【ダイナミック・エントリー】によってスタングレネードが投下。眩い閃光の中、次いで投下されたアナコンダで邪神の脚を狙い撃ち。
　すっごい音が出て邪神の脚の数本が吹っ飛んだ。
「21世紀を導く悪魔の祠……ホコラギアを排除せねば！」
　ホコラギアとは一体。
　と、そんなことを言っている間にジェイミィの【TRINITY:Mod.DARK SLAYER】が発動。
　上空から急降下してきたTYPE[JM-E]が過去喰らいの剣を以て邪神を三連続攻撃。アメイモンの大蜘蛛のユーベルコードなんて知ったことじゃない、というレベルの三回攻撃によって完全に邪神のユーベルコードが沈黙した。
「もっとも今の我々は祠絶対ぶっ壊す軍団ですから、祠破壊以外の欲望は捨てていますが」
「冷静に解説しなくて良いのよ！？　どんだけ祠に恨みがあるのよ！？」
　そこで、ざん、と前に出る猟兵、ヴィクトリア三世。
「祠……いえ、｜社《やしろ》を名乗りますのね。社長の前で」
「いや、ちょっ……社長まっ――」
「ならばこちらも現代の社……UAI本「社」ビルをぶっ建てますわ！！　最強の社は我が方にあり！　あの社もどき、いえホコラギアは取り壊しですわ！」
「いやいやいや社長！　祠と張り合ってどうすんだアンタ！！　現代の社……あっおい馬鹿やめろ今通勤中の社員いたらどうｓ「さぁ崇めなさい！　弊社を！！　本社ビーム各砲口展開、目標はあの風情のないホコラギア！てーっ！！」ギャー！！」
　はい、ユーベルコード【株式会社UAI本社ビルディング(可動式)】が発動してUAI本社が山に建ちました。
　からの本社ビーム。邪神、圧倒的な熱線に焼かれる。
「やりやがったー！！　地面から弊社ァー！！」
「これで全て解決ですわね！」
「HAHAHA！　大団円デスナ！」
「任務完了」
『￣ー￣)ｂやったぜ』
「これであの可動式祠も見納めですわ。……少し寂しい気がするのはなぜでしょう」
「ああ、任務完了だ」
「流石は本社ビルですね」
「ホコラギア抹消完了だ」
「もうちょっとタイム縮められたかもしれませんねぇ。完走した感想はまあ、祠でしたね」
「邪神って怖がるんだね。やっぱり化け物には化け物ぶつけるのが一番みたいだ」
「なんなの……？　ねぇ嘘でしょ……私だけ……？　ツッコミ役私だけ……？」
　そこで、ベルゼの肩を叩く音。
　振り返れば、清十郎がベルゼへ（胃に優しい）かぼちゃプリンを差し出している。
「お疲れ様でござるよ。さあ、遠慮せずに食べていくでござる。あっ、ゴミとかはこっちで片づけておくので心配無用でござるよ～」
「え……ああ、うん……ありがとう」
　というわけで、ベルゼがプリンをもぐもぐ。優しい味わいのかぼちゃプリンが心に（というか胃に）しみる。
　そこで、全員の猟兵が気付く。
　邪神――アメイモンの大蜘蛛が、再び邪悪なオーラを湛えて起き上がったことを。
「！？　あの連続攻撃でまだ息があるのか……！」
　アズロが驚いたように口を開き、続けて猟兵たちが驚愕の表情を浮かべた。
「そんな……！　我が社のビームは完璧だったはずですわ……！」
「腐っても邪神、ということか……！」
「なんですってー！？　再走じゃないですか！？」
「UDCアースの邪神、恐るべし、ですね……」
「Oh……これは最後の猟兵にバトンタッチするしかなさそうデース……」
「惜しい」
『´・ω・｀)まさかまだ戦う力があるなんて』
「恐ろしい生命力ですわ……」
「むむぅ、なかなかに曲者でござるな。まあまあ、みんなもスイーツと栗料理を食べていくでござるよ」
　なんて言葉が飛び交う中、今まで奇声しか発してこなかった邪神の怨嗟が木霊する。

『ユルサン……ゼッタイニ　ユルサン……』

　そりゃ邪神も怒る。
　これだけ好き勝手に（色々と）されればそれはもう怒る。

『ユルサンゾ……ベルゼ・アール……』

　ベルゼがプリン噴き出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「おおさっちゃんにころちゃん。邪神だ…」
　絶賛満身創痍邪神ですが。
　もう全速力で逃げようとしているみたいだが、いかんせん、もう脚とか社の一部とか色々と吹っ飛んでるので上手く歩けていない。
　傍らに｜連環神機『サートゥルヌス』《さっちゃん》と｜輝光神機『ロクシアス・コロニス』《ころちゃん》を連れて、皇・絶華（影月・f40792）がおお、と声を上げる。
　少女と幼女がぷるぷる震えている気がするが、気にしてはいけないのだろう。
「しかも割と栄養価が高そうな蜘蛛型とは…やはりあの教団は邪神を材料にチョコを作ろうとしていたようだな！」
「「！？」」
　えっ！？とばかりに神機二人が即顔見合せ。とんでもないことになってきた。
「だが阻止出来て何より…アインにもチョコを与えよう」
「「ぴぇぇ…！」」
　待って。グリモア猟兵に危機を伝播しないで。
　絶華がユーベルコードを発動するべく準備に取り掛かる。
　湧き上がるチョコレートの怒濤の中、神機たちが邪神へと攻め込んでいく――！
「俺の願いは自由な神々の王に返り咲く事だ！」
　さっちゃんが空中を飛び回りながら、念動光弾を飽和攻撃の如く撃ちまくる。
「朕は今度こそ美少年ハーレムを作るのだぁ！」
　そしてころちゃんがその拳を震わせて、邪神に鋭い連撃を叩き込む。
　あばー、となっている邪神、ユーベルコードを使おうにももう欲望を隠すつもりもない三名に成す術なしである。
　そして、三分弱の静寂を経て、絶華のユーベルコードは大成した――！
「私はぜっちゃんチョコで世界を救うのだ！」
　絶華、アメイモンの大蜘蛛さんの部位もちょちょいっと素材回収。数多の猟兵の連続攻撃によって身動きとれない邪神にこれはキツイ。色々と。
「邪神よ！　お前があんなにいっぱい祠を立てた理由は判っている！　それはパワーが足りないからだろう！」
　否。そうじゃない。むしろ祠を立てたのは邪神教団だし、むしろなんか無理やり呼び出されて良い迷惑してる説が濃厚。チョコだけに。
「だが安心しろ。我がチョコを食す事により圧倒的なパワーを得る事が出来るだろう！」
　正直に言うと、アメイモンの大蜘蛛の口ってどこよ？みたいな感じになるが、まあ多分狐の頭のところでしょう。たぶん。
「さぁ！　圧倒的なパワーに喜びの叫びをあげるがいい！」
　きぃん、と甲高い音。
　瞬間、溢れ出す触手の如き植物の蔓。
　ユーベルコード【ぜっちゃんとチョコの神々】が発動。お前もチョコになるんだよ、な植物の触手の怒濤が沸き上がる。
　それはうねるように全てを覆い――。

　ぽいっ、と邪神のお口にシューッ！！

　途端、爆裂！！！

　あまりの栄養価（たぶん違う）にアメイモンの大蜘蛛が一瞬にして爆発四散！！！

　サヨナラ！！

「ふぅ……なんとも厳しい戦いだったな……」
　神機たちがめっちゃ震えてる。大丈夫でしょうか、そしてグリモア猟兵はこれから生きていけますか。

　その後、山の自然がUDCエージェントとバレンタインチョコドリンクの力で順次再生していったらしい。
　絶華によれば、我が故郷では茶飯事だったとのこと。
　本当でござるか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2024年11月11日