2

カオス・ブルースカイ

作者：黒代朝希

「よう、お前ら……この間の戦いはお疲れさんだな」
　男性的な口調で語り掛けるのは、デモノイドヒューマンの少女……しかしその実態はデモノイドヒューマン化した際に女体化した男性のエスパー、多々良・緋輝（ロード・ヒイロタマハガネ・f44126）。
　緋輝はグリモア猟兵として、ブルーアルカディアの依頼を紹介していく。
「今回は東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』の依頼だ」
　モニターに映るのは、緑色の光を迸らせるドラゴン型のラスボス。
　何でも2年前からスーパーカオスドラゴンは悪魔契約書の作り方を知っている為、今までもその気になればいつでもデビルキングワールドに自力で帰還できる筈だった。
　其れをしなかったのは――
『ギャハハ、オレサマの悪魔インクは『極大のカオスを引き起こす』ことでしか作れないんだゼぇ！？　確かにオレサマなら混沌魔法で浮遊大陸のひとつふたつ丸ごとカオスにするくらいは容易いが、そんなものを残して帰ったら、どうしたってこの世界の皆様にご迷惑だろうがァ！』
「底抜けに善良な奴だな……という訳で、ここはいっちょオレら『六番目の猟兵』が担ってやろうじゃねぇか」
　スーパーカオスドラゴンが本気で大暴れすれば、全てが崩壊を続ける「カオスの混沌領域」が発生します。ここに現れるオブリビオンは、踏み込んだ者の「内心の脅威」……すなわち、かつての強敵の姿をオーラとしてまとい……憑装して、襲いかかって来るとの事。
「だが、これを「一切合切全て」倒し尽くすことができれば、大地を覆う混沌領域は消滅することが予知によって判明したって訳だ……スーパーカオスドラゴンと戦い『かつての強敵』と下せば、後腐れなく東のラスボスはデビルキングワールドに帰還できるという事だな」
　だが、少ないインクで内容に抜けのある契約書を書いた場合、召喚されようとした悪魔本人が契約の穴をすり抜けて殺されてしまうという。
　10回くらいこの工程を繰り返して確保したインクの量ならば、問題なく確実に安全に帰還できるとの事。
「それじゃあ、お前ら……カオスに挑めよ？」

第1章 ボス戦 『東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』禍』

POW   :    ハイパーカオスチャージ 【カオスで予測不能な軌道を描く】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【他のスーパーカオスドラゴン】の協力があれば威力が倍増する。 SPD   :    アンリミテッドカオスファング 【三つの頭の牙による連続噛みつき】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。 WIZ   :    マッドカオスフレイム 自身が【混沌魔法「カオスヘッダー」を発動して】いる間、レベルｍ半径内の対象全てに【属性を変え続ける混沌の炎】によるダメージか【肉体を癒やす混沌物質】による治癒を与え続ける。 イラスト：カツハシ 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

「綿狸忍者の衣更着、参上っす！　スーパーカオスドラゴンさん、さすがの気遣いっすね！――そんな混沌は猟兵にはなんてことないって示すっすよ！」
「ギャァ～ハハハ！　流石は7th KING様！――なら、手加減は無用だよなァ！？」
　家綿・衣更着（綿狸忍者・f28451）はどろんと妖怪煙を大量放出して煙幕にしつつ、そのまま煙に紛れる様に立ち回っていく。
　どろんバケラーとしての化術の腕前……並みのユーベルコードを遥かに凌駕する技巧を以て、残像を作りだしながら『スーパーカオスドラゴン』のユーベルコード『アンリミテッドカオスファング』の『三つの頭の牙による連続噛みつき』に対応し、そのまま反撃に移っていく。
「めっちゃ強い攻撃だけど、当たらなければどうという事はないっす！……うぉっ、アブねっす！――『｜崩連撃拳《ポン・ポコポコ・パンチ》』！」
　そのユーベルコードは綿ストールを多腕とした手数の多さと変幻自在の化術でおどろかし体勢を崩させ、｜崩拳《ポン・パンチ》による見切り急所突きと貫通攻撃を百数十回の連続攻撃として繰り出す拳術系ユーベルコード。
　相手が『アンリミテッドカオスファング』の『空打ちで中止出来ない』特性で隙だらけな間に殴り、衣更着はダメージを重ねていく――
「変幻自在さで負けるつもりはないっすよ！」
「オレサマも、意地ってもんがあるゼェ～！」
　そうしてぶつかり合う化術と渾沌。
　相克の果てに、やがて悪魔インクを生み出す『カオス』を生み出す事だろう――

大成功 🔵​🔵​🔵​

「さ！　妖狐七星将達の帰還にもつながるし、頑張って帰還依頼を進めますか！」
　シルバーレインの除霊建築士であるティエン・ファン（除霊建築学フィールドワーカー・f36098）はイグニッションカードを『起動』……
　カードから詠唱定規である『T定規』……かつての異形と生命の存続をかけた大戦の頃から使い続けた愛用の一品を取り出し、スーパーカオスドラゴンに向かって攻撃していく。
「飛翔自体は、道術と仙術を活用して飛翔用の術式を組んでいるんだよ！」
「成程ナァ、技能がユーベルコードの域を超えているならその位は出来るだろうナァ！」
　混沌魔法「カオスヘッダー」を発動し、属性を変え続ける混沌の炎を放射していくスーパーカオスドラゴンは納得。
　しかしこのユーベルコード『マッドカオスフレイム』はどう攻略する、と訪ねる様な一撃に対し――
「この一撃は迅雷の如く！――『潘家詠唱定規術・雷』！」
　――混沌には簡潔を。
　ただ『詠唱定規を向けた対象に、目にも留まらぬ詠唱定規での一撃』を繰り出すユーベルコードを応用し『目にも留まらぬ詠唱定規での一撃』を『移動と回避』に用いて『マッドカオスフレイム』をティエンは回避。
　そのまま、愛用の詠唱定規を振るっていくのであった――

成功 🔵​🔵​🔴​

「お？　詠唱定規かぁ……懐かしいものを見たな」
　同じく銀誓館学園のOG……『死と隣り合わせの青春』を送った銀誓館学園の能力者にしてサッカー選手の六番目の猟兵であるウルスラ・ロザーノ（鈴振り燕・f35438）はユーベルコード『スカイステッパー』を発動。
　ただ空を蹴って空中を飛び回る……シンプルなユーベルコードであるが、サッカー選手にしてかつてのシルバーレインでの大戦を生き残った能力者であるウルスラが使えば――
「いくで……『歓喜の歌』！」
　本場アスリートアース製の最高級サッカーボールが、覇気を纏った空中スライディングを触媒としてスーパーカオスドラゴンに襲い掛かる。
　サッカー選手……六番目の猟兵であるアスリートがサッカーボールを用いればこの通り『必殺技』となる。
「ボクはヒット&ウェイ型……飛び回って隙を見計らい、一撃を入れるのは大の得意なんや」
　蹴撃によって飛翔体となった『歓喜の歌』は、スーパーカオスドラゴンに着弾すると同時……強烈な衝撃波をかのラスボスに叩き込むのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

「ご安心くだサーイ！　ワタシが来マシタ！」
　瞬間、バルタン・ノーヴェ（雇われバトルサイボーグメイド・f30809）はユーベルコード『｜模倣様式《イミテーションスタイル》・｜樹天使息吹《エンケロニエル》』を発動。
　かつて屍人帝国『コルディリネ』を率いていた『大天使』エンケロニエル……デビルキングワールドの3rd KINGであった存在の力を模倣したユーベルコードは、錬金術師の衣装を身に纏ったバルタンが無味無臭の｜瓦斯＜ガス》を放出し、敵を『超高濃度酸素の空間』に包み込む異能。
　バルタン自身は『エンケロニエルを模したガスマスク』を着用する事で超高濃度酸素を耐え忍んでいく。
「懐かしいナァ～！　あれから既に2年経っているとはナァ！」
「いずれ、二年ぶりのデビルキングワールド……そこに帰還させて差し上げましょう」
　骸の海からエンケロニエルのデータを抽出して再現する事で、口調もエンケロニエルに引っ張られながらもバルタンは超高濃度酸素を用いてスーパーカオスドラゴンを追い詰めていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

「私はスーパーカオスドラゴンさんと初対面ですが、律義さに好感が持てます」
「どうもォ～。確か灼滅者だよナァ？」
「いえ……私は人造灼滅者ですね」
　最後に、人造灼滅者の玄羽・レン（『元』対歯車のコッペリア・f44108）が参上。
　自身の六番目の猟兵と化した際に獲得した『錬金術』の『生命体の埒外』を駆動させ、レンは宣言する。
「でも躊躇いはなし、全力の模擬戦のような形ですしね」
「その通り！」
　スーパーカオスドラゴンの方も容赦は無しだ。
　ユーベルコード『アンリミテッドカオスファング』を発動させ、レンに向かって『三つの頭の牙による連続噛みつき』を繰り出していく。
「こちらは『混沌を司る方』かつ俊敏というのが分かっていますので……万物は今ひととき姿を変え、｜偉大なる三位《トリスメギストス》の神威を喚ぶ。懸けまくも畏き其れなるは、果たして人世の真理を護り賜う」
　｜詠唱《のりと》を唱え、発動するユーベルコードの名は『輪護の神威』。
　最大144本生成される『永遠物質製の高速追尾捕縛鎖』を用い、戦闘演算と通常攻撃無効の特性をも活用してレンは嚙みつきを封縛する事で回避。
　そこから『十字架型複合錬金銃〔スワニルダ(SND)〕』を媒介として『混沌概念』への特効弾を錬成。
　完全に動きを止めたスーパーカオスドラゴンへともう一つのユーベルコード『悠久の幻夢』をレンは仕掛ける。
「万物は一時姿を変え、我が夢の欠片として現を貪る――今こそ〔｜凍結時間錬成《ブルー》〕と〔｜事象歪曲環《リング》〕の切り時ですか……！」
　〔事象歪曲環〕9基による無限ループで強化特効弾を加速させ、レールガン化した一撃が更に超音速まで到達……
　レン自身を錬金術製のアンカーで地面に呪縛し固定――そのまま、決着の一撃を食らわせる！
「ループを解除して……一撃で撃ち貫きます！」
　瞬間、渾沌をも貫き……決着の時は訪れたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

第2章 冒険 『カオスより来る敵』

POW   :    気合とパワーで正面からぶっ飛ばす。 SPD   :    過去より成長した自分の技を振るい、強敵に打ち勝つ。 WIZ   :    強敵の憑装を何らかの手段で弱め、その隙を突く。 イラスト：fossil 👑7 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

　――混沌魔法の残滓が、それらを呼び寄せる
　その名は『カオスより来る敵』……全てが崩壊を続ける「カオスの混沌領域」が、踏み込んだ者の「内心の脅威」……かつての六番目の猟兵が相対した『かつての強敵』の姿をオーラとしてまとい……憑装して、襲いかかって来る。
　六番目の猟兵はその特性を理解し、鮮明なイメージと対応策を以て『カオスより来る敵』を打ち倒さなければならない――

　プレイングボーナス：『六番目の猟兵の思う「強敵」の姿を憑装』を行うオブリビオンに対応する。


「カオスって渾沌、つまり骸の海の力なんすかね……？」
　全てを内包する無秩序……即ち『全ての過去が許容される』という性質の世界、概念。
　つまりは｜渾沌《カオス》とは『骸の海』そのものではないか……家綿・衣更着（綿狸忍者・f28451）はそう推察しながら『カオスより来たる敵』への準備を進めていた。
「さあ、憑装されるかつての強敵は……神王サンサーラっすか！」
　先月のサクラミラージュの命運をかけた『帝都櫻大戰』にて交戦したエンシェント・レヰスが一柱。
　サンサーラディーヴァの調律者である『神王サンサーラ』……オブリビオン化した際、その権能は『骸の海を無限に開闢する』という埒外のユーベルコードへと昇華、或いは堕天した。
「あの時と違って宮本武蔵さんの援護がないのはきついっすけど！――なら、一撃入れればいいはずっす！」
　しかしサンサーラの強大過ぎる力は、世界に存在するなら『一つのかすり傷でも現出に問題が出る』という弱点を孕む。
　故に一撃さえ入れれば、文字通り必殺……どろんバケラーの六番目の猟兵はそこに活路を見出した。
　結界を円錐状に展開し、化術を用いる事で結界の表面を鏡に変換して神王光に対処――
「劒さん、その力借り受けるっす！」
　そこに自身のユーベルコードを発動。
　自身に使用している魔剣の妖力をまとい、高速移動と『神』属性特攻の「全てを切り裂く妖力」を放射するユーベルコードは『神王』を名乗る存在に対して非常に相性が良い。
「神王サンサーラは時間を与えるほどやばいから速攻対処っすよ！」
　勿論どろんバケラーとして化術で相手を驚かせて隙を作り出し、そこに妖力放射を叩き込む事も忘れない。
　直接敵が見えないのは第六感に任せ――衣更着は斬撃となる妖力を叩き込んでいくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「僕の経験した強敵、かぁ……」
　印旛院・ラビニア（エタらない人（仮）・f42058）……ゴッドゲームオンラインのゲームプレイヤーにして｜遺伝子番号《ジーンアカウント》が焼却されるも、グリモア猟兵に助けてもらい、別ゲームの自キャラデータ達をゴッドゲームオンラインに移植する事で｜統制機構《コントロール》から逃れた六番目の猟兵は、『バトル・オブ・オリンピア』、『獣人世界大戦』、『帝都櫻大戰』の三つのオブリビオンとの世界の命運をかけた大戦を経験している。
　そのなかで、ラビニアが最も印象に残った敵とは――
「……『プロフェッサー・モリアーティ』、か」
　自身の所有するオブリビオンマシン『劫禍』が嫌悪する存在にして、クロックワーク・ヴィクトリア最高司令官のオブリビオン。
　ポーシュボス・フェノメノンを宿しアウルム・アンティーカ装置を肉体とする敵を憑装備した『カオスより来たる敵』を前に、ラビニアはユーベルコード『｜ザナドゥシティの部下達《ストラテジーケイソシャゲノブカタチ》』を発動。
　クリーピングコインを『ヤクザやニンジャの集団』に変身させ、憑装によって力を得た敵を叩きのめしていくのであった――

成功 🔵​🔵​🔴​

　――2023年の十月、ケルベロスディバイドで｜十二剣神《グラディウス・トウェルブ》が一柱『大祭祀ハロウィン』が地球に降臨。
　ケルベロスディバイドの地球をハロウィン化しようとしたが、あと一歩の所でケルベロスと六番目の猟兵に阻止されたのは有名な話だ。
「オー！　懐かしきフェイスが現れマシタナ！　なるほど、かの御仁が出現したのはこの季節！　ハロウィンもまたカオスの一例であります！」
　だからこそバルタン・ノーヴェ（雇われバトルサイボーグメイド・f30809）の印象には強く残っているのだろう。
　パレードに向かう前に『｜カオスより来たる敵《憑装・大祭祀ハロウィン》』を撃破するべく、バルタンはユーベルコードを輝かせる。
『カオスメモリ、ロゴスイグニッション！』
「ならばこそ、パレード前に思う存分パーティタイム！――『｜模倣様式《イミテーションスタイル》・｜混沌魔法《スーパーカオスマジシャン》』、であります！」
　それは『カオスを具現させる混沌魔術師の姿』に変身するユーベルコード。
　変身の度に自身の使用できる混沌魔法の数と身長が2倍になり、負傷が回復していくという異能だ。
「混沌魔法の残滓に混沌魔法をぶつけるカオス！――ヒャッハー！」
　ハイテンションで混沌魔法を『｜カオスより来たる敵《憑装・大祭祀ハロウィン》』にぶつけ、カオスヘッダー経由のマッドカオスフレイムで戦場を盛り上げていく……だけではない。
　変身を繰り返す事で、分裂体たちと一緒にバルタンは無限増殖と身長拡大を繰り返していくのだ。
「そして増えたワタシたちが、憑装ハロウィンに向けてハイパーカオスチャージを叩き込みマース！――メリークリスマス！」
　最後に、12月のお祭りを思い返して合図し、分裂体が一斉に混沌魔法を掃射していくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「今や人造灼滅者の私とて『第六の猟兵』です……ならば『サイキックハーツ大戦』で相対した彼も『強敵』の範疇の筈」
　かつてのダークネスと霊長の座を争っていた灼滅者達の最後の戦い……現行の知的生命体の存続か絶滅かをかけた『サイキックハーツ大戦』の事を思い返しながら、人造灼滅者の六番目の猟兵たる玄羽・レン（『元』対歯車のコッペリア・f44108）はあるダークネスの存在……ラグナロクダークネスを想起する。
　その存在を忘れる事は、当時の戦いに関与していた灼滅者は誰一人としてできないだろう。
　レンも如何程かと言えば――模倣にして対策用のユーベルコードを真っ先に編み出した程の存在。
　その名は――
「……勝負です、剣樹卿アラベスク！」
　ヴァンパイア――『吸血鬼は吸血した相手を同族に変える』という伝承を、唯一偽りにしない能力の持ち主……
　――『アラベスク・ソード・カタストロフ』……『全ての生命体を『アラベスクに変える』一撃を放つ』サイキックの持ち主が、憑装された。
「万象をアラベスクへ変える災厄の幻――ですが彼の本来振るう力は混沌と反対の『画一化』……！」
　ならばこそ『混沌』を司るこの状況では逆に相性が悪い。
　真逆の理で象った憑装ならば乗っ取り返せる筈――そのレンの推測は正しかった。
「万象は瞬きの時に姿を変え、我が魂の原罪として栄え得る……正直、悍ましくて使いたくはないのです。せめて痛みに震えて頂きましょう……！――『偽の禍刃郷』！」
　錬金術のユーベルコードで『アラベスク・ソード・カタストロフ』を模倣したユーベルコードを用い、アラベスク化した周囲の万象がレンの刃へと強制再錬成されていく事で対応。
　幻の剣樹卿を『偽のアラベスク・ソード・カタストロフ』……画一化概念の剣化事象ごと『レンの刃』で滅していく――！
「144秒が刃化のリミットですが……これなら！」
　やがてユーベルコード発動から二分丁度。
　現れた幻の剣樹卿は消え去っていくのであった――あの七夕の翌日の夕方の様に。

大成功 🔵​🔵​🔵​

第3章 日常 『空の湯でひと息』

POW   :    ゆっくりお湯に浸かり、身体を温める SPD   :    打たせ湯で身体をほぐす WIZ   :    雄大な景色を眺めて楽しむ イラスト：真夜中二時過ぎ 👑5 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

　――眼下に雲海を一望できる、浮遊大陸の温泉。
　蒼穹が広がる絶景も見物だが、やはり真打は温泉であろう。
　その泉質は素晴らしく、美肌にも肩こり等にも効く効能の様だ。

　ここで、ゆっくりと湯につかって疲れを癒すのが良いだろう――


「はえー、ブルーアルカディアあまり来たことなかったけどすっごい景色っすね……」
　湯につかりながら、蒼穹が見渡す限りに広がるブルーアルカディアの光景に感嘆の息を漏らす家綿・衣更着（綿狸忍者・f28451）。
　彼はこのスーパーカオスドラゴンの帰還事案に関わるまでブルーアルカディアに来た事は無かったが、改めてこの浮遊大陸と飛空艇の世界に来ると次々と疑問が沸き起こる。
「浮遊大陸でどうやって温泉出来るんすかね？……天使核技術の応用っす？」
　他にもどうして大陸が浮いてるのか、天使核とはなんなのか、オブリビオンがいないと成り立たない仕組みの世界ではないのか、と……
　様々な疑問は浮かぶが――
「いろいろ気になるけど、今は温泉で思考もとろけさせとくっす……はふぅ」
　泉質の良いお湯に身を委ね、スーパーカオスドラゴンと『カオスより来たる敵』との猛攻で疲労が蓄積した肉体を癒していく衣更着。
　湯あたりしない適切な時間でお湯から上がり、狸の妖怪として出る際に体毛の掃除をしていく。
「ユーベルコード『オール・ワークス！』で念のために、っすね」
　適切なケアを施し、残るは水分補給……見ると｜牛乳《ミルク》だけではなく果実を絞ったジュースも販売されているではないか。
「入浴後は牛乳っすね！　水分補給も大事っす」
　ごきゅごきゅと牛乳を飲み干し、入浴で失われた水分を衣更着はチャージ。
「ところで、温泉卓球とかあるっすか？　さすがにゲーム筐体はないと思うっすけど」
　代わりに、各地の浮遊大陸の御伽噺や勇士達の冒険譚を纏めた羊皮紙等が沢山置いてある。
　其れを後で読もうと思いながら、どろんバケラーの東方妖怪は卓球台を目指していく――
「……スーパーカオスドラゴンさん、無事に元の世界に戻れるといいっすね」

大成功 🔵​🔵​🔵​

「……『偽の禍刃郷』の副作用は心配でしたけど、幸い所々痛みがある程度ですね」
　玄羽・レン（『元』対歯車のコッペリア・f44108）はサイキックハーツ大戦後、生身の肉体を原則維持している。
　故に裸身の状態で湯船に入り、温泉の効能を堪能している。
「万一想い人に肌を見られる時が来たら、傷だらけで刃まみれの姿よりは美しい方がいいですからね……特に」
　と、レンは自身の肉体――そこに刻まれたデコルテ。
「……ただでさえ私の肉体には『コレ』があるのですしね」
　古い刀傷痕を見下ろしながら、レンは6年前に集結したかつての戦いを思う。
　絶望的な戦いであったが、それでも6年間に渡る旅路は無駄ではなかった。
　寧ろ、最善を超えた真実に辿り着いた……それだからこそ、未来をレンは見据えている。
「図らずも過去を乗り越え自信に繋がった今回の一戦……スーパーカオスドラゴンさんにも「何か吹っ切れたか嬢ちゃん？」と言われましたしね」
　自立したヒトとして想われる引け目にも、より打ち勝ち易くなる筈――大戦時は球体関節人形の体と錬金術の産物で戦う人造灼滅者として生き、そして現在は『人形』ではなく『人間』として生きるレンにとって、これは無視できない命題であったが故に……想い人の笑顔を想起しつつ、美肌作りに専念していく。
「誰かに突っ込まれたら多分照れるでしょうけど、ね」
　そう言って湯舟の中ではにかむレン。
　その姿は決して『人形』ではない――ただのどこにでもいる『恋する少女』……一人の『人間』であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「しかし結局、今年のハロウィンに『大祭祀』は復活しませんでしたな……マ、切り替えマショー！」
　ぐつぐつと温度70度で煮られる卵を見据えるバルタン・ノーヴェ（雇われバトルサイボーグメイド・f30809）……カオスになった浮遊島の温泉を活かして、温泉卵を料理しているのだ。
「スーパーカオスドラゴン殿や緋輝殿、他の猟兵のエブリワンへのお裾分け＆お土産デスナ！　英気を養い、次に備えマショー！」
　実際、温泉卵は英気を養うには良い料理だ。
　トロッとした卵という面白い食感に加え、卵の豊富な栄養を最大効率で吸収できる上に消化率が良いのだ。
　そこにご飯に乗せて醤油をかければ……幾らでも、ご飯をお代わりできる事だろう。
「HAHAHAー！　絶品デース！」
　サラサラと温泉卵を乗せた卵かけごはんを書き込みすきっ腹を埋めたバルタン。
　次に温泉そのものへと入り……滝の様に温泉が降り注ぐ『撃たせ湯』に赴く。
「あとは撃たせ湯で修行僧サムシングのアクションをして、インク集めが上手く成功するように祈願しマース！」
　そうして温泉での滝行でスーパーカオスドラゴンのインク集めに関しての成功率が高まる様に祈っていくバルタン。
　勿論一通り終わった後は、ゆっくりと熱い温泉に入って疲れを癒しながら、だ。

　こうしてブルーアルカディアにおけるスーパーカオスドラゴンのインク集め事業の一つは終わった。
　この積み重ねが、いずれ安全に彼をデビルキングワールドへと帰還させる事であろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2024年11月04日