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誰がために欲望の炎は昌盛す

#キマイラフューチャー #アスリートアース #黒教の教祖 #テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』

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#テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』


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●帰還プログラム
「嫌です!! 私は一生ここに住みます!! 絶対に帰りません!!!」
 それはキマイラフューチャー、『システム・フラワーズ』にて響き渡った。
 女性の声だった。
 あまりにも強烈な声量であったために、黒い学生服に身を包んだ少女とも言うべき猟兵、ノイン・シルレル(第九の悪魔・f44454)の黒髪が揺れる。
 鼓膜がキーンッ、となりながらも彼女は薄紅色の瞳を開く。
「『キャンピーくん』がいないので、世界移動能力に頼ることができないのです。あなたが猟兵であったのならばグリモアベースに転移させて元いた世界に帰還させることもできるのですが」
 ノインは少し困った顔をした。
 彼女は声の主、『黒教の教祖』。
『帝都櫻大戰』の折、『山本五郎左衛門』と『キャンピーくん』の助力によってゴッドゲームオンラインから世界を移動してきた存在なのだ。

 彼女には彼女の世界がある。
 故に彼女を帰還させてほしいという願いを受けてノインは彼女の元にやってきていた。
 だがしかし。
「嫌です!!」
 間髪入れずに彼女は帰還を拒否するのだ。
 何故って?
 答えは簡単である。
「『システム・フラワーズ』……とても素晴らしいシステムです。『コンコンコン』すれば、あらゆる欲望が満たされる。欲望に寄る進化こそが世界を加速させていくのです。そう、人の欲望! それこそが時を前に進ませていくのです!!」
 だから、と彼女はキマイラフューチャーから帰還することを拒否しているのである。

「しかしながら、である。お主にも元いた世界に家族がいるであろう。そうしたものは切り捨てて往くというのか?」
 傍らにいた帝都櫻大戰のもう一人の功労者、テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』が言う。
 尤もである。
 しかし、『黒教の教祖』は頑なであった。
「嫌です!!」
 拒否である。
 これには『宮本・武蔵』も肩を竦めるしかない。
 確かに『宮本・武蔵』ならば『システム・フラワーズ』から放たれた膨大かつ野放図なるプログラムをテニスでもって制御できるだろう。
 しかし、肝心要の『黒教の教祖』が……。

「絶対絶対、ここに一生住みます! 嫌です嫌です嫌です!!!」
「気持ちはわかりかねますが」
 ノインならば気持ちがわかると言いそうなところであったが、彼女は頭を振る。
「何でも叶えられる、何でも思いのままにできる、何から何まで揃っている。それは飽きますよ。生命である限り」
「それはあなたが恐れているからです。進化することがもたらす事柄を受け止めきれないからです。ですが、私は違います。私はあらゆる欲望を受け止めます。生きる価値とは! 絶え間ない変化を飲み干すこと! これこそが生命の持つ絶対進化の力なのです!!」
 ノインは、その言葉に反論することができないようだった。
 言葉に詰まったようであったし、それを見ていた『宮本・武蔵』は頷く。
「これはやはり力ずくでなければならないのではないか?」
「……できれば、手荒なことは」
「嫌です!! どんなに力ずくでも私は! 絶対に! ここに住みます! 永住です、永住!!」
 瞬間、『黒教の教祖』の瞳がユーベルコードに輝く。
 放たれるは黒光線。
 それが『システム・フラワーズ』に打ち込まれ、そのシステムを掌握していく。

「コンコンコン、これさえあれば、私の『絶対に帰りたくない』という欲望も満たしてくれます!」
 彼女の言葉と共に出現するのは、無数の鋼鉄の巨人たちであった。
 キャバリアと同じ体高の自律戦術兵器たちが彼女と猟兵たちを隔てるようにして無数に立ちふさがっているのだ。
「欲望を悪性と呼ぶのならば、それもまた人の心ってものでしょう! そして、際限なき欲望が照らすのが人の善性! 己のためだけの欲望ではなく、誰がためにという欲望もまた生まれるのです!!」
 だから! と彼女は叫ぶ。
 一斉に動き出す無数の鋼鉄の巨人たち。
「絶っっっ対に帰りません!!!」

「我欲にて『コンコンコン』を使うことも辞さぬか」
「そのようですね。どうやら彼女を大人しくさせるのが先決のようです」
 ノインは、そう言って共に転移していた猟兵たちに目配せをする。
「皆様、よろしくです。彼女を無理矢理押さえつけるなり、根気強く説き伏せるなりして、大人しくさせてください」
 よろです、とノインは人差し指で、ピッと『黒教の教祖』を示す。
 ノインは?
「私は後方転移面してますので。なんかこう、あの方とは相性激ワルです。おや、ワル……むしろよいのでは?」
 にこりともせずにノインは猟兵たちに、どうにか『黒教の教祖』と『宮本・武蔵』の帰還を果たさせるためにいつものように気楽な表情をして丸投げするのだった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。
 今回はサクラミラージュの大いなる戦い『帝都櫻大戰』にて、キマイラフューチャーに現れた『神王サンサーラ』に対抗すべく『キャンピーくん』によって世界を移動してきた『宮本・武蔵』と『黒教の教祖』を帰還プログラムによって元いた世界に帰還させるシナリオになります。

●第一章
 冒険です。
『黒教の教祖』は絶対に帰りたくない! と駄々をこねています。
 しかも『システム・フラワーズ』の『コンコンコン』を我欲にて利用して、体高5m級の人型自律戦術兵器を無数に引っ張り出して、抵抗しています。
 システム・フラワーズを利用した帰還プログラムの制作は彼女の力なくては為しえません。
 なんとかして彼女を押さえつけるなり、説き伏せるなりして彼女を大人しくさせましょう。
 ですが、人型自律戦術兵器は彼女の『絶対に帰りたくない』という欲望によって際限なく『コンコンコン』されまくっています。
 数が多いので気をつけましょう。

●第二章
 日常です。
 なんとかして『黒強の教祖』を説得なり、押さえつけるなりした皆さんですが、しかし彼女はまだ、ぶっすーとしています。
 なんとか帰還プログラムの制作には同意してくれたのですが、ご機嫌斜めです。
 そのため、彼女の期限をなおすためにケーキバイキングに挑みましょう。
 ケーキのみならず、スイーツなどもあります。
 ありったけのおもてなしでもって『黒教の教祖』のご機嫌を甘味でなおしてあげましょう。
 普通に皆さんも食べてもいいでしょう。皆で食べるスイーツ美味しいですからね。

●第三章
 ボス戦です。
『黒教の教祖』の『コンコンコン』によって稼働した『システム・フラワーズ』。
 ですが、溢れ出す無秩序な超プログラムを制御して組み直す手段は、もちろん、『宮本・武蔵』とのテニス勝負です。
 テニスったらテニスです。

 それでは、帰還を渋りまくる『黒教の教祖』、そして『宮本・武蔵』を元いた世界に戻すために駆け回る皆さんの物語の一片となれますように、いっぱいがんばります!
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第1章 冒険 『絶対に帰りません!!!』

POW   :    暴れる教祖を力ずくで抑える

SPD   :    逃げる教祖を追い詰める

WIZ   :    ゴッドゲームオンラインの話題で説得する

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「どんなことを言われても、どんなに無理矢理でも、絶対帰りませんからね!!」
 岩にかじりついてでも! と言わんばかりに『黒教の教祖』は宣言する。
『システム・フラワーズ』に放った謎の黒の光線。
 これによって彼女は『コンコンコン』を我欲のために利用し、無数の体高5m級の自律人型戦術兵器を引っ張り出していた。
 膨大な数となって鋼鉄の巨人たちは猟兵たちを阻む壁となるだろう。
 引き抜かれたプラズマブレイドと、胸部砲口から放たれる熱線が猟兵たちを襲う。
 そして、空に舞うのは無数の水晶体であった。
 まるで満天の星のように降り注ぐ弾幕兵器。
 はっきり言って、『黒教の教祖』の欲望は底が知れない。
 彼女が、キマイラフューチャーから絶対に帰らない! という意志を受けて、その底なしの欲望が『コンコンコン』から無数の鋼鉄の巨人たちを引っ張り出し続けているのだ。
 厄介すぎる。

 だが、やらなければならないのだ。
 彼女がいなければ『システム・フラワーズ』を完全開放できない。
 となれば帰還プログラムも組むことができないのだ。
「私の欲望はどこまでも! そして、この世界であれば私は絶対に負ける気がしないのです!」
 故に、と彼女は己の欲望をフルオープンにして、『コンコンコン』から次々と鋼鉄の巨人だけでなく、あらゆる食事、あらゆる娯楽を溢れさせるのであった――。
戒道・蔵乃祐
(´・ω・`)
いやまあ|教祖ではあるの《 そういうロールなの 》でしょうけど年相応の一般ゲーマーでもあるからしょうがないところではありますな

招致に応じて死地に赴いてくれた時の凛々しさは何処に行ったのだ…?(欲で本性が出ちゃうタイプだったか)

◆怪力乱神を語らず
ゲーム性の違いは如何ともし難いですね
ほれびたーんびたーん(怪力)
カスタマイズのセンスは兎も角としても、黒教を率いるカリスマと|CPU《数合わせ》を効率運用するストラテジーとでは毛色が違いすぎる
(生物やオブリビオンは本来世界に帰属し、元の世界を離れると骸の海に稀釈されてしまうらしいので)
命の危機感が無いと、知らないというのは怖いことですね



「絶対に帰らないですからね!!」
 響き渡る決意。
 それは『黒教の教祖』の言葉であった。
 大気を震わせ、世界を震わせ、心を震わせることによって発せられた真の言葉。
 それを受けた戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)は、なんとも言えない表情をしていた。いや、アスキーアートにしたら簡単に表現できる類のものであったが、此処はあえて言わせてもらおう。
 しょんぼりしていた!
「いやまあ|教祖ではあるの《 そういうロールなの 》でしょうけど年相応の一般えーまーでもあるからしょうがないところではありますな」
 蔵乃祐の中にある教祖っていうのは、もっとこう、高尚で崇高で誇り高い感じのするものであったのかもしれない。
 だからこそ、『黒教の教祖』の発したものは、人のそれであると思えたことだろう。

 とは言え、である。
「招致に応じて死地に赴いてくれた時の凛々しさは何処に行ったのだ……?」
「それはそれ! これはこれ! 時と場合に寄るのです! タイム・オケイション・プレイス!!」
「確かにそうでありましょうが、なんとも」
 欲で本性がでちゃうタイプかぁ、と蔵乃祐は迫る鋼鉄の巨人たちを前にして、手を伸ばす。
「欲が人を悪くするのではありません。人のあかんところを暴き出すものなのです。そして、それを肯定するのもまた欲なのです。欲、欲求、欲望。これこそが人の進化をもたらす原動力! ならば!」
 迫る鋼鉄の巨人とがっぷり四つな蔵乃祐。 
 されど、怪力乱神を語らず(カイリョクランシンヲカタラズ)。

 彼が掴み上げた鋼鉄の巨人は容易く投げられる。
 否、投げるというよりは掴んだ者を叩きつける、というのが正しいだろう。
 彼の怪力は問答無用である。
 掴んだ、と認識したものを持ち上げ、振り回し、叩きつけるユーベルコード。
「ほれびたーんびたーん。ゲーム性の違いはいかんともし難いですね」
「あー!?」
「どんなものであれ、それがユーベルコードであるというのならば、ほれこの通り」
 びたんびたん。
 なんとも軽々と蔵乃祐は鋼鉄の巨人たちを掴んでは投げ、掴んでは投げの暴虐の限りを尽くすのだ。

「カスタマイズのセンスはともかくとしても、黒教を率いるカリスマと|CPU《数合わせ》を効率運用するストラテジーとでは毛色が違いすぎる」
「それでも! 叶えたい欲があるんです! ここなら全部叶うじゃあないですか!」
「いえ、普通に生命の危機なんですよ」
「それがなんです! そんな危機なんて乗り越えられる欲望が人にはあるんですよ! これが無限の可能性っていうものでしょう!?」
 言ってることは熱いなぁ、と蔵乃祐は思ったかも知れない。
 けれど、生物というものは本来世界に帰属し、元の世界を離れると躯の世界に希釈されてしまうというのならば。
「知らないというのは怖いことですね」
 それがどんな末路へと至るのか。
 故に蔵乃祐は憎まれ役になろうとも、彼女を元いた世界に戻さねばならぬと『黒教の教祖』にとっての暴威としての力を振るうのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カタリナ・ヴィッカース
●WIZ

嗚呼、お労しや…
黒教の教義とは、己の内に秘めたる欲望の開放
こうやってコンコンすれば何でも望んだ物が手に入るこの世界は、黒教に取っても望ましき世界であるのは違いありません

ですが、|黒教の教祖様《最推し》が居ないGGOに何の価値があるというのでしょう
教祖様の|礼拝《ミサ》を待ち遠しくお待ちしています信徒の為にも、
黒教の司祭でもあります私が心を鬼にしてお連れ戻ししなければですが…こうなってしまったらテコを入れても動かないのが教祖様なのですのよね

ここは貯め込んだ私財を投じた『ダンジョンマスター・プロトコル』を作動させまして…教祖様の性癖どスイライクな性癖破壊ダンジョンで秋イベを興じてみましょう



「わーん! 私の作り出したつよつよロボット軍団がー!!」
 猟兵のユーベルコードが煌き、びったんびったんと鋼鉄の巨人たちが投げ飛ばされていく姿を『黒教の教祖』は涙目になって見ていた。
 が、それは嘘泣きである。
 手元に目薬があった。それもまた『システム・フラワーズ』の『コンコンコン』によって出現させたものである。
 この場合、彼女が求めたのは泣き落としであった。
 涙に強いものはあんまりいない。
 なら、泣き落としでもなんでも使って猟兵たちを退けようという不退転の決意が彼女にはあったのだ。無駄に強烈である。

「嗚呼、お労しや……」
 しかし、そんな彼女を見るのは、カタリナ・ヴィッカース(新人PL狩り黒教ダンジョンマスター・f42043)である。
 見た目はあらあらうふふのおっとりお姉さん。
 されど、その正体はドラゴンプロトコルの組合員にして、黒聖者。
 そう、『黒教の教祖』を崇める教徒でもあるのだ。
「黒教の競技とは、己の内に秘めたる欲望の解放。こうやって『コンコンコン』すれば何でも望んだものが手に入るこの世界は、黒教にとっても望ましき世界であるのは違いありません」
「でしょう!? なんて素晴らしい世界なんでしょう。ここなら、何でも手に入ります。なんでも望めます!」
 その言葉には同意しかない。
 けれど、カタリナは頭を振る。
「ですが、|『黒教の教祖』様《最推し》がいないゴッドゲームオンラインに何の価値があるというのでしょう」
 カタリナはさめざめと泣く。
 泣いてる?
 泣いてるかなぁ、これ?

 ちょっと怪しいが、しかしカタリナのしょげた雰囲気は本物っぽかった。
 そう、彼女にとっての教祖とは、最推しである。
 彼女がドラゴンプロトコルでありながら黒教徒となったのは、彼女の掲げた教義に感銘を受けたからに違いあるまい。
 故に、彼女の言葉に偽りはないのである。
「教祖様の|礼拝《ミサ》を待ち遠しくお待ちしている信徒の為にも、黒教の司祭でもあります私が心を鬼にしてお連れ戻ししなければならないのです」
「うっ、でもダメです! 絶対帰りませんからね! そんな泣き落としが通じると思っていますか!? 私が誰なのか解っておいででしょ!? そう、『黒教の教祖』ですよ!!」
「確かに」
 こうなってしまっては、テコでも動かない。
 地球は動かせても、彼女の心は動かない。
 そして、どんなに説得しても、彼女の絶対に帰らないという意志は硬いのだ。

 ならばこそ!
「それが教祖様たる所以。そして! 御覧ください!」
 広がるはユーベルコード。
 溜め込んだトリリオンを消費させ、ダンジョンマスター・プロトコルをカタリナは発動させるのだ。
「これぞ、私の私財を投じた教祖様の性癖どストライク性癖破壊ダンジョンです!」
「性癖どストライクなのに性癖破壊するんです!?」
 植え付けるでなく!?
 尤もである。
 だがしかし、カタリナは止まらない。

「教祖様。そろそろゴッドゲームオンラインでは秋イベが開催されます。浴衣装備にハロウィンコスプレ装備……それはそれはたくさんございましょう」
「うっ、まさか……!」
 にこり。
 カタリナは笑む。
 そう、そうなのだ! これからゴッドゲームオンラインはイベント目白押し。秋イベが終わればクリスマスイベント。クリスマスが終わればお正月イベント! お正月が終われば……そう! 望むと望まざると流し込まれる圧倒的な欲望を刺激するイベントがあるのだと示すように、カタリナは己のダンジョンを示し、その圧倒的な誘惑をもって『黒教の教祖』の心を揺さぶるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フェアリィハート
アドリブ連携歓迎

黒教の教祖さん…

元の世界に
帰して差し上げたいですけど

まずは
兵器さん達を
何とかしないと…

自身のキャバリア
【フノス】に搭乗

光翼で飛翔
【空中機動】
【空中戦】で
立体的に立回り

【第六感】【心眼】【残像】
【結界術】【オーラ防御】で
防御・回避し

UC発動
【フノス】ちゃんに
氷晶のドレス装甲を
重ね着させる様に
強化しつつ
吹雪を発生

クイーンオブハートキーや
【ハートのA】達を
【武器巨大化】させ

UCとも組合せ
【全力魔法】や
【誘導弾】の【一斉発射】【弾幕】で
戦術兵器さん達や
弾幕兵器に対処

何とか兵器を
抑えたら

教祖さんを
根気強く説得

『武蔵さんの仰います様に…元の世界のご家族も、心配していらっしゃるでしょうに…』



『黒教の教祖』を元いた世界、ゴッドゲームオンラインに帰還させようとする猟兵たちの行動を前にしても彼女は強い拒否を持って、これを退ける。
 膨大な数が『コンコンコン』によって鋼鉄の巨人たちを出現させ、猟兵たちとの間に壁となってそそりたつのだ。
「『黒教の教祖』さん……元の世界に帰して差し上げたいですけど」
 アリス・フェアリィハート(不思議の国の天司神姫アリス・f01939)は眼の前の自律人型戦術兵器である鋼鉄の巨人たちに攻めあぐねるようであった。
 まずは、この鋼鉄の巨人たちをどうにかしなければならない。
 体高5mはあろうかという戦術兵器。
 これに対抗するためには、己もまたキャバリアに乗り込まねばならないと彼女は『フノス』のコクピットに収まる。

 背にある光の翼が噴出するようにして推力を得てアリスは空中を飛ぶ。
 あくまで敵がキャバリアであるというのならば、空化の攻撃に弱いはずである。
「絶対に帰りませんからね!!」
『黒教の教祖』は相変わらずであった。
 もう絶対に帰らないという鋼鉄の意志を示すように彼女の瞳がユーベルコードに輝き、『システム・フラワーズ』を掌握するように黒の光線を解き放っているのだ。
 鋼鉄の巨人たちは、その胸部から熱線を放ち『フノス』に迫る。
 はっきり言って乱戦であった。
「『フノス』ちゃん」
 アリスの瞳がユーベルコードに輝き、全てを凍らせる寒波を呼び起こし、己の機体の装甲に吹雪でもって強固なる防御を纏う。
 熱線の一撃に耐えうる装甲を得た『フノス』が戦場の空を飛び回り、巨大化した鍵の一撃を鋼鉄の巨人に叩き込むのだ。

 砕け散る装甲。
 ひしゃげた機体が崩れ落ちても、さらに湧き出す。
『黒教の教祖』の欲望に比例するようにして鋼鉄の巨人は生み出されているようだった。
「帰りましょう、『黒教の教祖』さん。元いた世界に」
「嫌です!」
「どうして、そんなに……」
「だってここなら全部欲望が叶えられます! 私の中にある欲望の全てを! それは幸せでしょう。幸せを追求するのが人だというのなら、私はこの世界で生きるのです!」
 その言葉と共に湧き上がる鋼鉄の巨人たち。
 アリスはこれを【太古の氷姫の古代氷雪領界】(エンシェントプリンセス・アイスエイジレルム)にて覆う。
 吹雪が荒ぶ。

 その中を彼女は『フノス』と共に飛び込み、根気強く彼女を説得し続ける。
「武蔵さんのおっしゃいますように……元の世界のご家族も、心配していらっしゃるでしょうに……」
 彼女にも住まう世界がある。
 そして、そこには家族だっているはずだ。
 そうしたものを振り切ってこの世界で生きるという鋼鉄の意志を捻じ曲げなければならない。
 アリスは乱舞する吹雪よりも、己の言葉で彼女を説得しようと言葉を紡ぎながら吹き荒れる兵器の熱線を躱すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

まぁ私の信条が汝が為したいように為すがよい。なので表向きは肯定しちゃうわね、これ。
でもでも、欲望を肯とする黒教の教祖様、あちらに推しキャラの10や100はいてもおかしくはないわね、こちらで責めてみましょう。
コンコンコンだとアイテムは出ても推しはでないわよね。いいの教祖様、あのNPCとのあーんなイベントとかかのNPCとのこーんなイベントがもう体験できなくなっても。もうすぐクリスマスだし、その手のイベント目白押し!!でもでもここに残ったら参加できません!!!!
アイテムなら作れても今年の推しとのイベントは今回だけ!さぁ教祖様いかがなさいます?



 アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の混沌魔術師艶魔少女・f05202)にとって『黒教の教祖』の行動は肯定すべきことであった。
 汝が為したいように為すがよい。
 それが彼女の信条である。
 故に、他者の為すこともまた許容しなければならない。
 だが、己のと他者との為したいことが衝突する時、これを解決するにはどうしたらいいのだろうか。
「うんうん。わかるわ。やりたいようにやるのが一番よね」
「そのとおりです!」
「ここならあなたの欲望の全てを叶えてくれる。そして、それは底が抜けているのだから、『システム・フラワーズ』はあなたの欲望を受けて完全稼働し続ける」
「だから絶対に帰りません!」
『黒教の教祖』の意志は固い。
 まるで鋼鉄のようであった。
 それほどまでに彼女にとって『システム・フラワーズ』、その『コンコンコン』によって何でも生み出される世界、キマイラフューチャーは望ましいものであったのだ。

 わからないでもない。
 彼女が生きるゴッドゲームオンライン……ひいては、統制機構によって支配された灰色の現実と比べても、このキマイラフューチャーはとびっきりの未来であるし、世界だ。
 生きるのに苦労はない。
 あるのは面白おかしく生きるべき、ということだけだ。
「でもでも、欲望を肯とする『黒教の教祖』様、あちらに推しキャラの10や100はいてもおかしくないわよね?」
「そりゃそうですよ。私の欲望は108どころじゃあないですよ!」
 煩悩の数より多い推し。
 それは『黒教の教祖』の欲深さ、欲望の果てしなさを感じさせるものであったことだろう。
 だからこそ、アリスは笑む。

 確かに彼女をちからづくで押さえつけることはできるだろう。
 けれど、それではダメなのだ。
 彼女が帰りたいと思わなければ、とアリスは己が掲げる『汝が為したいように為すがよい』という標榜するポリシーに反する。
「確かにコンコンコンは便利よね。でも、アイテムは出ても、推しはでないわよね」
 それはそうである。
 多くの食料や物品は出てくる。 
 が、コンコンコンで出てくる生命はない。
 なら、とアリスは笑む。

『黒教の教祖』が推しているのがゴッドゲームオンラインというゲームなのならば。
「でもいいのかしら。あのNPCとあーんなイベントとか、かのNPCとこーんなイベントとかもう体験できなくなっても」
「……!」
 確かにそうである。
 欲望の対象がアイテムや食べ物だけであるわけがない。
 己という存在以外、他者という存在に対しても欲望が生まれるのならば。
「もうすぐクリスマスだし、その手のイベント目白押し!! ハロウィンも来るわよ! でも此処に残ったら参加できません!!!」
「……!!!」
 た、確かに! と『黒教の教祖』の心が揺らぐ。
 そうなのだ。
 アイテムはどれだけあってもいい。だが、イベントもまたそうなのだ。
 こじつけでもなんでもいい。
 とにかくイベントがやりたい。
 走りたい。
 解っている。これが罠だとしても。
 罠だっていい! と思わせるのがゴッドゲームオンラインの魅力的な所なのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルナ・キャロット
うう確かにキマフュは好きな物だせるし好きなことできるし…ケモいるしケモいるしケモがいる最強世界なので帰りたくない気持ちはわかります。説得無理です

でも中の人餓死しちゃうかもですし…GGOに帰ってきて欲しいという私の欲望を押し付けにいきます

正体バレたら100%怒られるので適当に拾ったハロウィンコスで正体隠し
真正面から突撃して脅し行きます

範囲殲滅は聖剣士の得意分野です!群がられるけど小さい体とパリィを駆使して突き進み
全ての巨人の首を落としながら迫って最後は本人の首も…!(寸止めしますよ!

ううごめんなさい教祖様
この世界は何が起こるかわからなくて危険ですからね!人権どうなっちゃうかわかりませんからね!!



『黒教の教祖』の言う所はよくわかる。
 ルナ・キャロット(†月光の聖剣士†・f41791)は深く頷いた。
 だって、自分もそうだ。
 ここキマイラフューチャーはキマイラと呼ばれる獣人たちが面白おかしく暮らしている世界である。
 コンコンコンによって食事の心配はない。
 心配事はいつだって娯楽ばかりなのである。
 故に、ここにいれば毎日がハッピー。
 故にルナは『黒教の教祖』が絶対に帰りたくない! という言葉にも頷けるところであった。
「うう、確かにキマフュは好きなもの出せるし好きなこと出来るし……ケモいるしケモいるしケモがいる最強世界なので帰りたくない気持ちはわかります」
 だから、説得なんて無理だと彼女はしょんぼりしてしまっていた。
 自分では無理なのだ。
 だって、こんな素敵世界を知ってしまったら、あの灰色の世界になんて戻れっこない。
 かくいうルナも帰りたくないかもしれない。

 だが、自分たちはゴッドゲームオンラインを介して、この世界に着ている。
 現実世界では自分の真の姿、現実の肉体があるのだ。
 ルナだって同じだ。
 こんな最強かわいいケモアバターであるが、現実の自分は……と思う。
「中の人餓死しちゃうかもですし……ゴッドゲームオンラインに戻ってきて欲しいという私の欲望だって否定できないし、できるものではないです!」
 だから! とルナは『黒教の教祖』を抑えに向かおうとして、足を止める。
 自分の姿を見る。
「……正体バレたら100%怒られるですよね」
 これ。

 自分のアバターはどれもがSSRアイテムでばっちり固められている。
 日頃のチヤホヤのために頑張った。
 だが、それが今回裏目にでてしまっている。
 なら、とそこらへんを、あそれコンコンコン。
 するとでてくるのは適当なハロウィン衣装。かぼちゃ頭とフード。なんてやる気のない! けれど、ルナは構わなかった。
 此処は実利を取る所である!
「絶対に帰りません! どんなに魅力的な事言われても!!」
「ううごめんなさい教祖様ごめんなさい!」
 迫りくる鋼鉄の巨人をルナは手にしたSSR武装宝剣の二振りを奮って、膾切りにしてしまう。
 その武装を使っている時点で正体バレバレなのだが、『黒教の教祖』は自分の欲望のために、あんまり見ていなかった。
「でかいかぼちゃ頭! 私の欲望を止められるのなら!」
「止めてみせます。この世界は何が起こるかわからなくて危険ですからね! 人権どうなっちゃうかわかりませんからね!!」
 この場合、人権というのは、強力なアイテムのことではない。あしからず。
 本当の意味での人権である。

 ゴッドゲームオンラインに参加しているゲームプレイヤーたちは、常に遺伝子番号焼却の憂き目に晒されている。
 故にルナは己の振るう宝剣でもって鋼鉄の巨人たちの首を刈り取る。
「ヴォーパルソウル!」
 そのスキルは! と一瞬ルナは身バレしそうになる。
 が、ごまかすように彼女はご自慢の宝剣双剣を『黒教の教祖』の首元へと寸止めするのだ。
「もどりましょう。うう名残惜しいのはわかります。ケモ、ケモがいっぱいの素敵世界なのに……」
 半分私情入ってない――?

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヌグエン・トラングタン
…俺様が黒聖者なのは、俺様の在り方(欲望竜)に一番近いからなんだけどな。
まさか、教祖がここにいるとはな…。

でな、少し気になってるんだが。教祖サマってのは、一介の『ゲームプレイヤー』なんだよな?俺様みたいにドラゴンプロトコルだったり、妻たちみたいなノンプレイヤーキャラクターとかじゃなくて。

…ならなぁ。居続けるとマズイことが起こる。
何かって?プレイヤー自身の生命危機な。あと、いろんな意味での尊厳(かなりぼかした言い方)。
キャラクターはよくてもな、本体がな…人間の生理現象はな…うん。

まあ、欲望はいいものだ。俺様は本来肯定する側だ。
でもなあ…生命と尊厳かかってたらな?GMとして考えるぞ?



「まさか、教祖がここにいるとはな……」
 帝都櫻大戰の勃発によってキマイラフューチャーに『キャンピーくん』の世界移動能力を利用した共闘する者たちが転移したことは聞き及んでいる。 
 だが、ゴッドゲームオンラインの『黒教の教祖』が、この世界にいるとはヌグエン・トラングタン(欲望城主・f42331)は露とも思わなかったのかもしれない。
 己自身も黒聖者である。
 サブジョブであるが、己の在り方に一番近しいからというのは言う前もない。

 しかし、と思う。
 彼女はあくまで『黒教の教祖』と名乗っている。
 気になっているのは、一介のゲームプレイヤーなのか、ということなのだ。
 ドラゴンプロトコルの己のように、妻のようなノンプレイヤーキャラクターでもなく。
 しかも、どうやら猟兵でもないような気がしないでもない。
「何を言われようとも帰りませんからね! 絶対に!」
「いや、その欲望は肯定してやりてぇんだけどよ」
「嫌です!!」
「核心を言う前に食い気味で拒否せんでくれよ」
「嫌です!!!」
 何を言おうとも、『黒教の教祖』は帰還を拒否するようであった。
 確かに他の猟兵たちの言葉によって揺らいではいるようだが、それでも今だ強固なる意志は、絶対にこのキマイラフューチャーに骨を埋めるのだという決意に溢れているように思えた。

「でもよ、ここに居続けると拙いことが起こる。プレイヤー自身の生命危機な。あといろんな意味での尊厳」
「そんなもの知ったことではないですよ! 此処が私の現実! リアル! 世界! この世界ならば何でも叶います。どんな欲望だって!!」
「いや、キャラクターはよくてもな、本体がな……人間の生理現象はな……うん」
「知りません!!」
 どんなに言われても彼女は意固地になっているようにも思えた。
『システム・フラワーズ』はそれほどまでに魅力的なものなのだ。

 灰色の現実に生きているからこそ、彼女はこの世界がきらめいて見えたのだろう。
 まるで万華鏡のようだ。
 それほどまでにきらびやかなのだ。
「まあ、欲望はいいものだ。俺様も本来は肯定する側だ」
 けど、とヌグエンの瞳がユーベルコードに輝く。
 己の溜め込んだトリリオンを持って、生み出すのはトラップ、モンスターである。
「でもなあ……生命と尊厳がかかってたらな? GMとしては考えなくちゃならん」
「何をです!」
「言わずとしれたゲームプレイヤーたちの保護だよ。俺達は確かにプログラムだが、ゲームを楽しんでくれるプレイヤーがいなけりゃ、存在意義ってものがなくなるんだよ」
 なら、とヌグエンはダンジョンマスター・プロトコルによって生み出したモンスターたちをもって、鋼鉄の巨人たちを押さえつける。

 説得が無理なら力ずくである。
「だったら、これも俺様の欲望ってものだろう。ゲームプレイヤーにはいつまでも楽しくゲームをしてほしいって言うな――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

御形・菘
真面目な話、本人がどうこうではなく悪い奴らに利用される懸念がのう
妾だって舌先三寸だけで、教祖ちゃんを自在に操れる自信があるしな

てなわけで!
はっはっは、キマフュにおいて絶対に負ける気がないとは、よくぞ言ってのけた!
その言葉を真にするための最大最高の壁! 妾、推っ参!

右手で、眼前の空間をコンコンコンっと
はーっはっはっは! ようこそ妾の統べる世界へ!
お主にとってはただの劣化版かもしれんが、妾にとっては最強無敵の奥義だよ
さあ妾の生配信高評価という欲望のためにお主を全力でボコる! 敗北を教えてやろう!

まあ実際には教祖ちゃんに手は出さんがな
真正面から突っ込み、巨人どもを全て左腕で粉砕していってくれよう!



「嫌です!! 絶対に帰りません! 何を男と言われようとも!!」
『黒教の教祖』は断固拒否していた。
 帰還を、である。
 本来、彼女がいる世界はゴッドゲームオンラインである。そして、此処はキマイラフューチャー。
 灰色の現実がゲームの外に広がっている世界に戻りたいとは思わないだろう。
 それは当然の帰結であった。
 誰が好き好んで苦々しいまでの現実に戻りたいと思うだろうか。
 この世界ならば飢えとは無縁であるし、欲しいものはなんでも『システム・フラワーズ』から『コンコンコン』すればいい。

 こんなに素敵なことなんてあるわけがない。
 まあ、確かに、と御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は腕組して思う。
 彼女の欲望を否定するものではない。
 だがしかしである。
「真面目な話、本人がどうこうではなく悪い奴らに利用される懸念がのう」
 古今東西、欲望に駆られた者が力を手にすればどうなるのかなど言うまでもない。
 自制できているつもりであるし、コントロールできているつもりなのが、人の欲望である。そして、その強い欲望の力を手繰ろうとするのは、いつだって悪心を心に抱く者たちである。
 故に、菘の懸念は尤もであった。
 なぜなら、自分だって舌先三寸だけで、『黒教の教祖』を自在に操れる自信がある。

「てなわけで! はっはっは、キマフュにおいて絶対に負ける気がないとは、よくぞ言ってのけた! その言葉を真にするためにの最大最高の壁! 妾、推っ参!」
 とびっきりのロールプレイを見せるときである。
 どんな物事にも障害というのはつきもの。
 故に菘は己を壁として主張し、その瞳をユーベルコードに輝かせる。

「『歓迎するぞ、妾に挑む勇気あるモノよ! 妾の動画高評価の糧となる栄誉を与えよう!」
「私だって負けるつもりはありません! あなたに勝利して、この世界でずっとずっと欲望を叶え続けて暮らすんですから!」
「意気や良し! だがな!」
 あそれ、と菘は『システム・フラワーズ』の力を一時的に拝借して、戦場を花々が咲き乱れるエモ空間へと変容させる。
「こ、これは……!」
「はーっはっはっは! ようこそ妾の統べる世界、落花狼藉・散華世界(イキナリクライマックスバトル)へ!」
「私の掌握した『システム・フラワーズ』の権利を一時的にでも奪われたと!?」
「そのとおりよ! お主にとってはただの劣化版かもしれんが、妾にとっては最強無敵の奥義だよ」
「まさか、あなたは!」
 そう、菘にとって最大の欲望とはなにか。
 単純な話である。

 菘が求めるのは、視聴者からの高評価!
 それこそが最大にして最高の欲望なのだ。そして、この世界において彼女の欲望こそが至上にして最高。
 ならばこそ、菘は調子にノリまくる。
 戦いとは!
「ノリのよい方が勝つ! あと勢いある方が勝つ! そういうものなのだ! この動画配信で妾は高評価を得るためだけにお主を全力でボコる! 敗北を教えてやろう!」
 おっらぁ! と迫る鋼鉄の巨人たちをちぎっては投げ、ぶん殴っては粉砕して、菘はド派手な演出と共に『黒教の教祖』へと迫る。
 唸る左腕。
 それはどんな障害だろうとただの壁にしかならないと示すように、菘はぶち抜いていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイ・ノルマレイス
むー、帰ってもらわないと報酬がもらえなくなってボクが困るですー
ボクみたいな弱小NPCは一つの依頼の失敗が命取りなんですー

むー、ボク自身は気が付いた時からこの職業だったですから
黒聖者だからって言われても困るですー、そもそもメインは魔喰者ですし

それじゃお仕事の時間ですー、きょーせーしっこーですー!
【指定UC】で姿を隠して近寄るですー!
もしかしたら何かで気付かれるかもしれないですけど、それならそれでボクに触った時点でその姿と能力をもらっちゃうですー

大人しくしてくれれば手荒な真似はしないですよー
それでも抵抗するのなら……出てきたもの全部を、取り上げて食べちゃうだけですー!えーと、こんくらーべですー!



 モンスターの肉を渡すことで支援効果を与えるNPC。
 それがアイ・ノルマレイス(知らない記憶、胸に空いた奈落・f41788)である。でもまあ、微妙に利用者は少ないというか、ほとんどいない。
 毎日暇しているし、暇なら働かないと食うべからずなので、こうやって他世界にまで出張してくるのがお助けNPC、アイなのだ。
「むー、帰ってもらわないと報酬がもらえなくなってボクが困るのですー」
「確かにそうかもしれませんが、嫌です!」
 にべにもない。
『黒教の教祖』は、アイの訴えに即答する。
 もうちょっと揺らいでくれてもいいのではないか。
 少なくとも他の猟兵たちの説得によって彼女はゴッドゲームオンラインへの郷愁めいた感情が湧き上がっているようであった。
 
 いや、嘘である。
 あれは期間限定アイテムやイベント、そうしたものへと己のが欲望が反応しているだけに過ぎないのである。
 単純にキマイラフューチャーは望んだものを望んだだけ出現させることができるが、他者との交流という欲求だけは満たすことが難しい。
 故にイベントごとに誰かとクエストに挑戦したり、騒いだりといった己の欲望だけでは為し得ぬ事柄に関しては未だ未練のようなものがあったのかもしれない。
「ボクみたいな弱小NPCは依頼一つの失敗が命取りなんですー」
「ぐ、それを言われるとなんだか弱りますが、それはそれ、これはこれ!」
「むー」
 アイは手強いと思ったかも知れない。
 確かに彼女のサブジョブも黒聖者である。

 だからといって『黒教の教祖』に手加減なんてできない。
 そもそもメインジョブは魔喰者なのだ。
「それなら、きょーせーしっこーなのですー!」
 アイの瞳がユーベルコードに輝く。
 同時に彼女の体躯が黒いノイズに覆われていく。アイの姿が見えなくなり、視聴嗅覚での感知ができなくなってしまう。
 何処にも居ない「私」(アビム・ファントム)。
 それがアイのユーベルコード。

 姿が失せたアイに『黒教の教祖』はたじろぐ。
「見えなく……!? でも、関係ありません! 私の欲望は!!」
 生み出される鋼鉄の巨人たちがぐるりと守るように壁になる。
 だが、姿の見えないアイは、するっと鋼鉄の巨人たちの合間を抜けて『黒教の教祖』へと接近するのだ。
「――ボク、こういうこともできるんですよー」
 黒いノイズ纏うアイの掌が『黒教の教祖』の体に触れる。
 瞬間、その姿と能力、さらにはレベルを奪うのだ。

「レベルドレイン!」
「大人しくしてくれれば手荒な真似はしないですよー」
「もうすでに手荒じゃないですか、レベルドレインなんて!」
「そう、かなー? あ、でも」
「『システム・フラワーズ』!」
 出現する鋼鉄の巨人たち。それをアイは丸呑みするように黒いノイズで奪っていく。
「……あくまで抵抗するというのならー……でてきたものは全部、取り上げて食べちゃうだけですー!」
 えーと、こういうのって何ていうんだっけ、とアイは首をかしげる。
 そうだ! と思い出す。
「こんくらーべですー!」
 そう言ってアイは己の黒いノイズでもって生み出され続ける鋼鉄の巨人たちを取り込んでいくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティルライト・ナハトギフト
何してるのよ教祖様(汗)
というかなんでそんなにシステム・フラワーズ、完全に使いこなしてるのよ?
猟兵でもないのに
唐突に転移させられた世界に馴染みすぎでしょ教祖様

まぁ自分の欲望に忠実という意味では
黒教を体現しているとも言える……のかしら?
ちょっとこの体たらくをみて自信無くなるわ……

まぁ言ってても仕方ないから
ほら、帰りましょ?

って邪魔ねこの鋼鉄の巨人
【リュッケンスティッチ】ですぱすぱっと仕留めましょうか

そりゃ確かに黒教においては
欲望って大事だけれども
私も自分の欲望のままに動いているけども
こんな簡単に欲望がカタチになって大丈夫?
たまには実現しないから欲望って強くなるし
それで進化も進むと思うんだけど?



「何してるのよ教祖様」
 ティルライト・ナハトギフト(ブルーゲイル/ゲッカビジン・f41944)は黒聖者のゲームプレイヤーである。
 無論、黒教の教義、欲望こそが進化を促すということは彼女にも頷けるところであった。
 現実世界よりもゴッドゲームオンライン、ゲーム世界のほうが欲望を発露しやすい。
 そういう意味では、ティルライトもまた、『黒教の教祖』の言う所のことをよく理解できるものであった。
 しかし、だ。
「というか、なんでそんなに『システム・フラワーズ』、完全に使いこなしてるのよ?」
 猟兵でもないでしょうに、とティルライトは驚愕というより動揺していた。
 唐突に世界を跨ぐ。
 そんなの普通ならば動揺しまくってまともに行動すらできないはずだ。

 なのに『黒教の教祖』はキマイラフューチャーに馴染みすぎている。
 いや、問題なのは馴染みすぎて、帰りたくなくなっているという点にあるのだ。
「だって、こんな素晴らしい世界にさよならするなんてできるわけないじゃないですか! 絶対帰りません! 帰りませんったら帰りませんからね!!」
 その姿を見て、教祖としてのカリスマは何処かに飛んでいったように思える。
 けれどまあ、とティルライトは思う。
 自分の欲望に忠実という意味では黒教を体現している姿なのかもしれない。
 言えるか? 
 それ、まっすぐに顔を見ていえるか?
「ちょっと自信ない」
 ティルライトは、ため息を付く。

「まぁ言ってても仕方ないけど、ほら、帰りましょ?」
「嫌です!!」
「そう来ると思ったわ」
 その言葉と共に迫るは鋼鉄の巨人。
 彼女は我欲のままに『システム・フラワーズ』を使うことを辞さない。それによって生み出された鋼鉄の巨人を持って、ティルライトの伸ばした手を払わんとしているのだ。
「邪魔ね、この鋼鉄の巨人」
 ユーベルコードに輝くティルライトの瞳。
 だが、その輝きがきらめいた瞬間、すでに攻撃は終わっているのだ。

 そう、彼女のユーベルコードは背後に回り込んでからの致死の一撃。
 それによってどんなにタフネスを持つエネミーであってもティルライトは一撃で撃破してしまうのだ。
 崩れ落ちる鋼鉄の巨人たち。
「そりゃ確かに黒教においては、欲望って大事だけれども」
「そうでしょう!? だったら、こんな素敵世界から帰るなんて選択肢ありえなくないですか!!」
「うんまあ。でもこんな簡単に欲望がカタチになって大丈夫? たまには実現しないから欲望って強くなるし、それで進化も進むと思うんだけど?」
 黒教が現実で抑制された心によって育まれたものだというのならば、ティルライトの言葉も正しいものであったことだろう。
 だからこそ、ティルライトは手を伸ばす。
 進化とは進むこと。
 なら、停滞とは悪なのだろう。
 けれど、その停滞があるからこそ反動で勢いよくブレイクするーすることだってあるのだ。

 なら、今一度あの灰色の現実を含む世界に戻るのもまた必要なことではないのかとティルライトは『黒教の教祖』を説得する言葉を紡ぐのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

ステラさん、どうどーう。
雄叫び体質はステラさんの固有スキルですからね?

それに|歓喜の悪魔《やべーメイド》って言う感じに同類項なんですから。
責任問題追及すると藪からスティックでてきちゃいますよ?

ほら、コンコンコンしたら『エイル』さん出てくるみたいなこと言ってますし、
しかもよこせって……略奪ってことになると現所有権が『ノイン』さ……。
アッハイ!ゴメンナサイ!(流れるような土下座

はい!元気です!
いろいろ解放されて、勇者の力が鯉のぼりですよ!

そんな感じで、説得はもちろん演奏です。
故郷に帰りたくなるような一曲をお届けしちゃいますよー!
武蔵さんと『ノイン』さんも、聴いていってくださいね!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の!
香りがしませーーんっ!!
ふっ、ノイン様のせいで叫んでしまう体質になってしまいました
この責任はどう取ってくれるのでしょうか歓喜の悪魔様!!
具体的にはエイル様ください!!よこせ!!
誰がやべーメイドですか!

ルクス様、今日は元気ですね?
やはりルクス様にはキマフューの空気が良く似合う……
勇者ってなんでしたっけ?

欲望が人の悪性ならば、際限なき欲望が照らすのが人の善性
ふむ確かに
どのように揺れるとしても欲望無き場所に未来は無いのかもしれません
欲望に貴賤は無いのかもしれません

ですが他力本願な欲望の叶え方は黒教の教義的に大丈夫ですか?
それって進化どころか自堕落しているだけでは?



「|『エイル』様《主人様》の! 香りがしませ――んっ!!」
 その叫びは悲痛だったかもしれない。
 いや、悲痛でもなんでもなかった。
 なんかとりあえず、癖で叫んでいるだけであった。
「ふっ、こんな体質になってしまいました。この責任はどう取ってくれるのでしょうか!!」
 いや、誰も責任は取らないし、強いて言うのならば、雄叫びの主ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)に責任の所在があるのではないかと思うのだ。
 というか、どう責任を取れっていうのだろうか。
「具体的には『エイル』様ください!! よこせ!!」
 言ってることがめちゃくちゃである。
 それこそ『システム・フラワーズ』でコンコンコンしたら出てくるんじゃあないのだろうか? 知らんけど。

「ステラさん、どうどーう」
 そんなやべーメイドをたしなめるようにルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は背中をさする。
 シリアスでなければこの勇者は、こういうこともできるのである。
「雄叫び体質はステラさんの固有スキルですからね? ただのやべーメイドっていうジョブなんですから、仕方ないですよ」
「誰がやべーメイドですか!」
「いえ、どちらにしたって同類項なんですから。責任問題追求すると藪からスティック出てきちゃいますよ?」
 つまり、コンコンコン。
 唐突に生える『エイル』ということだろうか。

「いいえ、『エイル』様を寄越してくだされば問題はまるっと解決するのです。それができるでしょ!」
 コンコンコンなら!
 できないもんはできないのである。そこになければないですね、というのと同じ理屈であるし、論調であった。
「略奪ってことになると……現在所有権はどこに?」
 だからない。
 そんなもんはないのである。
「ルクス様、今日は元気ですね?」
 にこりとするやべーメイドにルクスは即座に流れるような土下座を見せた。
 あまりにも流麗出会ったために、それが土下座である、ということを感じさせない程度には美しい所作であった。
「はい! 元気です! 色々開放されて、勇者の力がうなぎのぼりですよ!」
「よろしい」
 勇者ってなんだっけ?
 普通、シリアスな雰囲気でこそ勇者って輝くものでは?

「それはともかく帰りませんからね! 絶対に!」
『黒教の教祖』はどんな説得にも応じないとばかりに、揺らぎながらも己が強固なる意志を保ち続けているようだった。
 そんな彼女を見て、ステラは頷く。
「欲望が人の悪性ならば、際限なき欲望を照らすのが人の善性……ふむ、確かに」
 揺れ動くのは良心。
 ならば、どのように揺れ動くのだとしても、欲望なきところに未来はない。
 そして、欲望に貴賤はない。
 主人を求める欲望もまた同様である。同様かなぁってルクスは思ったが口を紡ぐ。
 此処で余計なことを言うと、それこそ藪から棒に自分が巻き込まれるって解っているからである。

「ですが、他力本願な欲望の叶え方は、黒教の教義的に大丈夫ですか? それって進化どころか自堕落しているだけでは?」
「それはそれ、これはこれ、時と場合よるのです! そして、今は! 全部叶えられる『システム・フラワーズ』があるのです!!」
 なるほど、とステラは指をパッチンとさせる。
「演奏ですね! お任せください! 故郷に帰りたくなるユナ一曲をお届けしちゃいますよー!」
 ルクスがバイオリンを構える。
 その意味を知っているのものは、この場にはステラだけである。
 もう勘弁してほしいと『黒教の教祖』が泣くまで、ルクスは演奏を! やめない――!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

明和・那樹
●SPD

帰りたくない気持ちはよく分かる
統治機構とは間逆な自由な世界だし、衣食住に困ることもない
本当は黒教にあまり関わりたくないけど…彼女も僕と同じGGOのゲームプレイヤーだしね
現実世界ではどんな環境なのかは知らないけど、彼女の帰りを待ち望んでいる人は必ず居るだろうし…知り合いの黒教徒にこれ以上泣き付かれると鬱陶しいしね

知り合いの黒教徒はこの世界にないGGOイベント情報で揺さぶり掛けているけど、それでも駄々をこねているのなら…その後ろ盾になっている力を排除するだけだ
人型自律戦術兵器の装甲は強固でも関節の装甲は薄い
『スキルクロス・リユニオン』で無力化して、これ以上の抵抗は無駄だと分からせてやるさ



 ゴッドゲームオンラインはゲーム世界だ。
 灰色の現実世界とは異なる綺羅びやかな世界が広がっているし、自分じゃない自分を演じることもできる。
 それはともすれば、自分の望むことができる世界でもあるのだ。
 だからこそ統制機構の管理する現実ではなく、ゲーム世界であるゴッドゲームオンラインに熱中するのもまた人の性であると言えただろう。

 だからこそ、他世界。
 キマイラフューチャーの面白おかしく日々を生きるキマイラたちに憧れる気持ちはわかる。そして、『黒教の教祖』が帰りたくないという気持ちも。
「真逆だよな。ここは」
 明和・那樹(閃光のシデン・f41777)は頷く。
 キマイラたちの関心事はいつだって娯楽だ。
 衣食住に苦労することはない。
 ただ楽しいことを求めて、キマイラたちは自由気ままに生きている。管理されている自分たちと重ねると、これほどまでに違うのかと絶望することもあるだろう。

 だが、那樹は思うのだ。
 どんなに灰色の現実でも、ゲームプレイヤーである以上、現実の世界がある。
 彼女の境遇がどんなものであるのかを自分は知らない。
「それでもきみの帰りを待ち望んでいる人は必ずいるはずだ」
「でも、帰りません!!」
 頑なである。
 ここまで頑なであると、逆に那樹は簡単ではないからと投げ出そうとも思えた。
 けれど、ここで投げては黒教徒の知り合いがまた泣きついてくるかもしれない。それはちょっと鬱陶しい。
 っていうか、結構彼女の心はすでに揺らいでいるのではないだろうか?

「ハロウィンイベントも近いよ」
「ぐっ!」
 そう、ハロウィン。 
 それは陽キャのイベント。だがしかし、ゲーム世界では異なる。仮装コスプレ、なんでもござれ。アイデアがあれば、陽キャなんて目じゃねーぜと言わんばかりに大騒ぎが出来るイベントでもあるのだ。
 だからこそ、キマイラフューチャーにとどまっていては、体験することができない。
 如何なる欲望も叶える『システム・フラワーズ』とは言えど、ゴッドゲームオンラインのイベントに参加することまでは叶えられないだろう。
「でも、嫌です! 絶対に帰りません」
 その駄々を裏付けるするように鋼鉄の巨人たちが那樹へと襲いかかる。

「なるほど。その力が君の後ろ盾になっている、というわけか。なら、その後ろ盾を!」
 瞳がユーベルコードに輝く。
 そのユーベルコードはカウンターと捨身の一撃を組み合わせた独自の技能『マキシマムカウンター』を発露させる。
 一瞬であった。
 交錯する那樹と鋼鉄の巨人。
 刹那にあって、那樹の振るう双剣の一撃が鋼鉄の巨人の装甲ではなく、関節部を寸断させ、無力化させるのだ。
「んなっ!?」
「これ以上の抵抗は無意味だよ。無駄に時間だけ消費して、イベントに間に合わなくなってしまって知らないよ――?」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

じゃあこっちもコンコンコンだー!
コンコンコン!コンコンコン!
と【第六感】に任せていい感じのコンコンコンしまくってなんかいいの出ろー!(お任せ)

えーでもさー
ここって、もう人いないよー?
あ、しまったー!この発言だけ切り取られてSNSに投稿されちゃうー!
ま、いっか!
ここが何年このままか知ってるー?(ボク知らない!)
みんな楽しく暮らしてるしそれはそれで天国的楽園でいーと思うけれど多分もうしばらくはずーーっと今のままだよー?
それってキミの言う進化とか、進歩とか、そういうのからはちょっと遠くない?

そこで動揺させ(られなくても会話の途中で不意打ちに)UC『神撃』でドーーンッ!!



 あふれるようにして生み出され続ける鋼鉄の巨人。
 それは『黒教の教祖』の帰りたくないという強固なる意志の現れであったのかもしれない。
 それほどまでに帰りたくないのか。
 あふれる鋼鉄の巨人は壁のようにそそり立ち、猟兵たちを遠ざけるようであった。
 圧倒的な物量。
 それを実現しているのは底しれぬ『黒教の教祖』の欲望であったのだ。
「絶対に帰りませんからね! この世界こそが私の生きる世界なんですからー!!」
 その言葉に偽りはないようであった。
 真に彼女はこの世界に骨を埋める覚悟であったのだ。

 だがしかし、ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は、そうした慟哭にあんまり興味がないようであった。
「じゃあこっちもコンコンコンだー! コンコンコン! コンコンコン!」
 あっちこっちをロニはコンコンコンしまくる。
 この機会に好き放題やってしまおうという魂胆であったのかもしれない。
 そういう点に置いては、ロニもまた『黒教の教祖』に負けず劣らずの欲望を持つものであったのかも知れない。
 しかも、なんか特別役立つものを一発で引き当てるというよりコンコンコンするのが目的となっているような気がしないでもない。
 すでに目的と手段がすり替わっている。

 あふれる品物。
 あらゆる食物やアイテム、娯楽。そういうものがわんさかと溢れ出した山の上にロニは腰掛けて、満足したようなしていないような微妙な顔のまま『黒教の教祖』を見下ろす。
「でもさー、ここってもう人いないよー?」
「どういうことです?」
 そう、キマイラフューチャーは人類が滅びた世界。
 人類の代わりにキマイラたちが面白おかしく日々を過ごしているだけの世界なのだ。
 欲望が人を進化させるというのならば、この世界は欲望を叶え続けているだけで、人の進化は望めない。

「あ、しまったー! この発言だけ切り取られてSNSに投稿されちゃうー! ま、いっか! それにさ、ここが何年このままか知ってるー?」
 ボク走らないけど! とロニはあっけらかんといい放つ。
 ここは欲望を叶える世界かもしれない。
 けれど、黒教の教義である進化のための欲望は叶えられない。
 欲望そのものが進化を促すのではない。
 欲望受け入れる渇望たる器があってこそ、進化は認められるものであるのだ。

 故にロニはコンコンコンされた大山の頂きから見下ろして言うのだ。
「キミの言う進化とか、進歩とか、そういうのとはちょっと遠い世界だよ、ここ」
「そんな! だって、此処はこんなにも多くの欲望を受け入れるだけのシステムがあるんですよ!」
「そうだね。でもほら、キマイラの子たち見てみなよ」
 ただ面白おかしく日々を消費することしか考えてない。
 進化、進歩?
 そんなことを考えているキマイラがいるだろうか?

 いないのだ。
 故にロニは大山の頂きから飛び降り、己の拳にユーベルコードを宿す。
「ま、どっちでもいいけどね! 進化とか進歩とか。そんなのは人間であるキミたちが自分自身で歩むことで決められるものだからさ!」
 問答無用というように神撃(ゴッドブロー)の一撃が彼女を守る鋼鉄の巨人たちを吹き飛ばし、その鋼鉄の意思ごと砕くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
お前の苦労をずっと見ていたぞ
本当によく頑張ったな
遂に我慢が報われ、莫大な自由を得る
しかしこの話を聞き流してしまえば、これまでの苦労は水の泡だ
以下中略
世界中が君を|否定《帰れと促し》ても、私だけは君を認めてあげよう
元の世界でも苦労し、こっちの世界でも戦争の為に頑張ったんだもう楽になれ
自由を望んでいるならやることがある
まず人型自立戦術兵器を制御、綺麗に横一列に並べる
きちんと制御し直立不動にするのだ
これで自由への清算がはじまる、私は決して無理強いはしない

よし、綺麗に並んだな
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
【Code:T.S】起動
『なぎ払い』で並んだ起動兵器をぶった切りじゃい!



 ドカンと一発強烈なユーベルコードが炸裂し、『黒教の教祖』の絶対に帰りたくないという気持ちに裏付けされた強固な意志を示すような鋼鉄の巨人たちの壁が瓦解する。
 けれど、また再び『システム・フラワーズ』から鋼鉄の巨人たちが生み出され、彼女に拒絶の意志を固めさせるのだ。
「やだやだやだ! なんでこんなによい世界なのに! 最高の世界なのに! 帰らないといけないんですかー!!」
 駄々をこねる彼女。
 けれど、月夜・玲(頂の探究者・f01605)はうんうんと黄金のオーラをほとばしらせながら、深く深く頷いていた。

「お前の苦労をずっと見ていたぞ。本当によく頑張ったな」
 なんか合成音声みたいな声なのは気のせいか?
「遂に我慢が報われ、膨大な自由を得る」
 所々、虎の唸り声みたいなのが聞こえる気がする。え、気の所為?
「しかし、この話を聞き流してしまえば、これまでの苦労は水の泡だ」
 いや怖い!
 何この黄金のオーラ! 薄っすらと玲の背後に虎が見える気がする!
「以下略!」
「なんで略したんですか!?」
『黒教の教祖』の困惑を無視して玲は合成音声みたいな声を発する。いや、本当に話聞いて!?

「世界中が君を|否定《帰れと促し》ても、私だけは君を認めてあげよう。元の世界でも苦労し、こっちの世界でも戦争のために頑張ったんだ。もう楽になれ」
 なんかちょっといい感じのことを言い出す玲。
「自由を望んでいるならやることがある」
「あの、えっと?」
「まず人型自律戦術兵器を制御、きれいに横一列に並べる」
「え、あの」
「きちんと制御し直立不動にするのだ」
 わけがわからない。
 けれど、奇妙な説得力があった。有無を言わさないとでも言うかのような玲の言葉。
 それに不思議なことに『黒教の教祖』は従ってしまうのだ。
 これまでの猟兵たちの説得の言葉もあったせいかもしれない。なんだか言う事聞かないと、あの二振りの模造神器でベシンと叩かれそうな気配があったからかもしれない。

「よし、並べたね。これで自由への精算がはじまる、私は決して無理強いはしない」
 いや、二振りの模造神器の時点でなんか威圧感あったよ。
「出力上昇、雷刃形成」
 ユーベルコードに煌めく玲の瞳。
「何をするんですか……? あの、え、あの、その目がちょっと怖いっていうか!」
「Code:T.S(コード・サンダーソード)! ぶった切りじゃい!」
 二振りの模造神器の刀身が雷刃によって形成され、まるでハサミのように横一列に並べ立てられた鋼鉄の巨人たちを両断っていうか、裁断するように真っ二つに断ち切ってしまうのだ。

「えっ、えー!?」
「これで君を守るものはないよ。ほら、帰ろう。さっさと帰ろう。『システム・フラワーズ』を起動して、プログラム作ろう。ほら、早く。ハリー、ハリーはりーあっぷ!」
 べしん、と模造神器の刀身の腹で玲は『黒教の教祖』の頭をポコポコし続け、帰還プログラムの作成を急かさせるのだ。
「なるはやでよろ」
「やだ――!!!」
『黒教の教祖』の悲鳴が鳴り響いた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

白山・仁瑚
アドリブ連携可

キマフュ初めてくるけどマジでコンコン叩いたら出るの?
欲しい物が手に入るとめっちゃ嬉しいし、それがすぐ手に入るともっと嬉しいよね。密林でぽちったのが数時間で届くのと似てんなー!

と、いかん遊び過ぎたぜ
巨人たちに向けてUC発動
巨人の動きを止めた後にあの子姿をぱしゃー!駄々こねてるかわいい姿をパパラーッチ!ひゃっほう、これをGGCの世界でばら撒くぜい!

残るなら残るで良いけどさーその前にパパママ友ち、あと信者?に一回自分の口でちゃーんと言っといた方がいいって
ビデオ撮ってあーしらが渡す方法だと改竄疑われたら反論できんし?

コンコンコンで自分の欲しい物は手に入るけど周り人の心配は解決できんよ



 初めて訪れる世界は、いつだってシャッターチャンスに溢れていた。
 未知なるものは、それだけで白山・仁瑚(今をきらめくフォトグラファー!・f42936)のカメラを向ける理由になったし、シャッターを切る指だって止まらないものである。
 アスリートアースのフォトグラファー、つまり写真家である彼女は『システム・フラワーズ』によって『コンコンコン』すれば望んだものが出てくるというキマイラフューチャー独自の法則に目を見開いていた。
「マジでコンコンコンするだけで欲しいものが出てくるとか……!」
 驚愕するばかりである。
 彼女の世界で言うところの大手流通通販会社、密林からぽちった物がノータイムでシームレスに出てくるっていうことである。
 これがどんなにすごいことなのかは言うまでもない。

 コンコンコン。
 コンコンコン。
 コンコンコン。
 仁瑚は検証と言う名のコンコンコンの連続で、うーんと唸る。
「欲しいものが手に入るとめっちゃ嬉しい、しかもそれがすぐ手に入るともっと嬉しいよね」
「本当ですよ! 絶対帰りたくないっていう気持ち、わかりますよね!?」
 猟兵達によって説得されながらも、しかし絶対に帰らないという鋼鉄の意志を持つ『黒教の教祖』は仁瑚のコンコンコンする傍にて深く頷いて、彼女の言う言葉に頷いていた。
「わかるーでもさ、帰らなきゃ」
「嫌です! やだやだやだ! 絶対に帰りません!」
 地団駄を踏むような子供っぽい仕草で『黒教の教祖』はダダをこねまくっている。

 気持ちはわからんでもない。
 けど、仁瑚はパチっと鋼鉄の巨人をカメラのレンズに写し込む。
「駄々こねてるのかわいーねー?」
 そう、仁瑚は激エモパララッチ!(ゲキエモパララッチ)である。
 彼女のフォトグラファーとしての才覚。
 それによって映し出された写真はきっと高値で取引されるだろう。ゴッドゲームオンラインのスクショとは違う、本物の写真。
 これは『黒教の教祖』というカリスマにおいては、ちょっと見せられない姿であったことだろう。
「そ、それを一体どうするつもりなのですか!」
「そんなの決まってんじゃん」
 にこ、と仁瑚は笑む。

 パパラッチが写真撮ったら、次に何をするのかなんて言われなくてもわかっていることだ。
 そう!
「これをゴッドゲームオンライン世界でばら撒くぜい!」
「なんでそんなことするんですか!?」
「いやだって、説得聞いてくれない感じだし?」
「だって帰りたくないです!」
「だよねーでもさ、残るなら残るでいいけどさー、その前にパパママ友ち、あと信者? に一回自分の口でちゃーんと言っといた方がいいって」
 確かに彼女の言う通りだった。
 家出するにしたって、自分の安否が解っていたほうがいい。
 それはもう家出じゃなくって、自分探しの旅みたいなもんだからだ。

「じゃあ、そのカメラで動画を」
「あーしらが改ざん疑われちゃうじゃん。反論できる?」
「できません」
「ならほら」
 仁瑚は笑って手を差し伸ばす。
「コンコンコンで自分の欲しいものは手に入るけど、周りの人の心配は解決できんよ」
 だから、一度帰ってからでも遅くはないんだよ、と仁瑚は『黒教の教祖』に手を差し伸べるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『あまい甘い休日』

POW   :    ひたすらスイーツを食べまくる

SPD   :    シェフの代わりにスイーツを作る

WIZ   :    豊かな語彙力で食レポする

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「むっすー」
『黒教の教祖』はぶーたれていた。
 まあ、それもそのはずである。彼女は猟兵たちの説得と力業によって、帰還プログラムの制作に同意はしたものの、ご機嫌斜めであった。
 この世界と分かれる事の名残惜しさもあったのだろうが、それ以上にこうやってご機嫌斜めな姿を見せなければ気が晴れないのかもしれない。
 こういう時にどうすればいいのかなんて猟兵たちにはわかっている。
 そう、甘いものである。
 不機嫌を治すのは、いつだって甘いものと相場が決まっているのだ。
 なら!
 簡単な話である。
 幸いにして此処は『システム・フラワーズ』。
 コンコンコンすれば、スイーツ、ケーキなんでもござれなのだ。
 彼女のご機嫌を治すため、挑め、ケーキバイキング――!!
戒道・蔵乃祐
まだGGOって行ったこと無いからよくわかってないんですけど、|統制機構《コントロール》はもっとよくわからないけどろくでもないことは確かなんでしょうね…
誰かを愛する自由も、好きなことに没頭する自由も、食事を楽しむ自由も制限されているのは馬鹿げている。だから、何もかもが真逆なキマイラフューチャーでの生活に憧れてしまうのも理解できることではあります
まあこっちはこっちでブレーキが効かずに一回生人類滅んじゃってるんですけどね
逆にあっちは滅ぼさないために締め付けているみたいですけど限度というものはある
何とかしたいですね…

パサチキパサチキペーストブロッコリー豆豆
パサチキパサチキペーストブロッコリー豆豆…😩



 統制機構の管理する社会。
 それを戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)はまだ訪れたことがない。
 いや、他の猟兵たちもまた、その灰色の現実の如き世界に往くことはできない。ゴッドゲームオンラインにログインするゲームプレイヤーたちは、その真の姿を現実世界に置くものであるが、多くを知ることはできていない。
 なぜなら、統制機構のもたらす管理社会は、人生設計図によって多くが制約されているからだ。
「わかっているのは、きっと碌でもないってことだけですね」
 むっすーとしている『黒教の教祖』の姿を見て、蔵乃祐は嘆息するしかなかった。

 そう、ゴッドゲームオンライン――統制機構の管理する世界に生きるゲームプレイヤーたちは遺伝子番号によって予め人生が決められている。
 大きく逸脱する者は人権を剥奪される。
 加えて、ゴッドゲームオンライン上でバグプロトコルに遺伝子番号を焼却されてもまた陰険を剥奪され、強制労働の日々が舞っているのだ。
「誰かを愛する自由も、好きなことに没頭する自由も、食事を楽しむ自由も制限されているのは馬鹿げている」
「だからですよ」
『黒教の教祖』は、まだぶっすーとしていた。
 プンプンしていると言ってもいい。
 蔵乃祐は理解する。

 だからこそ、このキマイラフューチャーという世界が、キマイラたちが勝手気ままに生きているのを見て、自由だと思ってしまう。
 この生活にあこがれてしまうのも理解できなくはない。
 とは言え、キマイラフューチャーはどうにも欲望のブレーキが効かずに一度人類が滅びているのだから、いたし痒しといところなのだろう。 
 となれば、統制機構は滅びぬために締め付けている、とも考えられる。
 限度ってものがあるのは理解できるのだ。
「なんとかしたいですね……」
 ふむ、と蔵乃祐は、考える。
 確かに彼女たちの世界、統制機構にて供される食事は味気ないものばかりであろう。

 創作の管理社会というのは、えてして食事から制限していくきらいがある。
「パサパサのチキンにブロッコリーを得体の知れない謎のペーストにしちゃうんですよ。アンナの食事じゃないです! この世界の食事見ました!? キラキラしてますよ!?」
「わかりますが」
「あと、なんかわからない汁物! あとサプリメント! そんなの食事じゃないってこの世界見たらわかっちゃいますよ!!」
「うーん」
 わからんでもない。
 というか、管理社会っていうか、どこかのアイドル学園みたいな。
 いや、それは一部の学生アイドルだけっていうか。
 パサチキ。ペースト。ブロッコリー豆。あとサプリ。
 ちょっとしたディストピア飯。

 管理する側からすれば、食事に彩りやバリエーションなど必要ない。
 必要な栄養素が取れればいいのだから。
 だが、人が生きる上で欲望が必要不可欠であるというのならば、そうした変化こそ望ましいのだ。
「まあ、ここでならいくらでもできますから。パサパサチキチキのペーストブロッコリーに豆と豆、みたいなことはないはずです」
「此処でそんなの知ったら余計に帰りたくないです」
 あの灰色の日々何かに戻りたくない。
 うーん、と蔵乃祐はまいったなぁ、という顔をしてコンコンコンから溢れ出すスイーツを『黒教の教祖』の口に運ぶ。
「これではまるで小鳥ですね」
「いえ、普通に介護職についている気分です――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フェアリィハート
アドリブ
絡み歓迎

ともあれ
教祖さんが
元の世界に
帰る気になって
下さって
よかったです…☆

(ぶーたれてる教祖さんを見て、些か苦笑いしつつも)

『教祖さん…私達と、お茶会をしませんか…?』

傍らの
『|人間大の、翼の少女《人化》』の姿になった
フノスちゃんと共に

教祖さんの
ご機嫌直しに…

【お茶会】で
お茶を淹れてさしあげ
ご一緒にケーキバイキングを
楽しみ

教祖さんと
お話し♪

『私…特にタルトやミルフイユとかが好きなんです♪…教祖さんは、どんなスイーツが、お好きですか…?』

フノス『フノスは…ショートケーキが好きなのです♪』

『そういえば…私、GGO世界って、あんまり行った事が無いんです…』

(何気に
元の世界への
帰還欲を刺激?)



『黒教の教祖』はなんやかんやあって猟兵たちにシバかれたり、説得されたりして前向きに帰還を検討するに至った。
 だが、まだぶっすーとしていた。
 それはもう見事なふくれっ面であった。
 なんていうか、不承不承が表情筋を形作っているようであった。
「教祖さんが元の世界に帰る気になってくださってよかったです……☆」
 アリス・フェアリィハート(不思議の国の天司神姫アリス・f01939)は、そんな『黒教の教組』のぶーたれた顔を見て苦笑いしてしまった。
 まだご機嫌斜めであるようだ。

「帰りたくないっていう気持ちはまだありますからね! こんなに素晴らしい世界なのに去らねばならないなんて……」
 まだ未練があるようだった。
 それは当然と言えば当然であっただろう。
 彼女は本当にこのキマイラフューチャーの『システム・フラワーズ』を際限なき欲望で完全に掌握していたのだ。
 言葉通り、彼女は思いのままにこの世界に欲望を叶え続けることができるのだ。
 それでも猟兵たちにシバかれたり説得されたりして、帰還を前向きに検討……それってつまり、まだ隙あらばこの世界に居残ろうとする気満々ということではないのか?
 アリスはそう思って彼女に提案する。

「教組さん……私達と、お茶会をしませんか……?」
 キャバリア『フノス』が不思議なことに幼い人間大へと変じる。
 フノス・プチエンジェリックモードである。
「きっと甘くて美味しいものをたくさん食べれば元気がでますよ」
「元気が出ても、この世界とさよならする悲しさは!」
「わかっています。でも、それでも美味しいものは心を慰めてくれますから……」
『フノス』が用意したお茶会セット。
 テーブルに椅子。
 ティーセットが並び、さあさあとアリスは『黒教の教組』を座らせる。
「私……特にタルトやミルフィユとかが好きなんです♪ ……教組さんは、どんなスイーツが、お好きですか……?」
「……好きなスイーツ……」
「フノスは……ショートケーキが好きなのです♪」
 コンコンコンと叩くと出てくるタルトやミルフィユ、ショートケーキ。
 本当に何でも出てくる。

『黒教の教組』は少し考えているようだった。
 彼女はゴッドゲームオンライン世界の人間である。とは言え、現実世界では統制機構によって食べるものから生活の全てが管理されている。
 そこに好物というものを考えるには、少し世界が手狭であったと言えるだろう。
「プリンが好きです。カラメルたっぷりの」
 でも、それは現実世界ではめったに食べれるものではないだろう。
 管理社会において、食事など真っ先に規制されるものであるからだ。
 故に『黒教の教組』は頷く。
「ええ、プリンを!」
 コンコンコン。
 飛び出すプリンに少しだけ頬を緩めて彼女は笑む。

「そういえば……私、ゴッドゲームオンライン世界って、あんまり行ったことがないんです……」
 アリスの言葉に『黒教の教組』は笑う。
「いつでもログインできるのがゴッドゲームオンラインの良いところですから。あなたの欲望をきっと叶えてくれますよ」
 そう言って彼女の不機嫌は緩やかにお茶会の時間に溶けて行くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

……はい、すんません……(正座で反省中)
いやー、失敗失敗、ついいつもの癖でしあげに人造生命の創造使って作ったケーキを萌擬人化させてしまったわ、2回も。でも次は大丈夫!なぜなら作るのはこの萌擬人化ケーキたん達だから。
まぁ、無意識に読心術で教祖様の好みを読み取って容姿に反映させてたから、教祖様もそこまでお怒りでなくてよかったわ。
後は、おいしくなぁれ❤とかあーんとかでご機嫌をとれたらいいわね。萌擬人化ケーキたんに教祖様からリクエストがあればそれをさせるけど



「……はい、すんません……」
 アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の混沌魔術師艶魔少女・f05202)はなぜか正座で反省していた。
 なんで反省しているのかと言われたら、彼女は人造生命の創造を使って作ったケーキを萌え擬人化させてしまったのだ。
 二回も。
 この僅かな幕間に、二度もやらかせるというのはある意味才能であった。
 厄介な意味での才能であるが。
 しかし、アリスは正座から立ち上がる。
 反省から立ち直るのも早い。

「でも次は大丈夫!」
「何が大丈夫なんですかね」
『黒教の教組』は、その無根拠なる自信を前にして首を傾げていた。
 止めないのかと問われれば、止める理由がないというわけである。アリスの欲望は、黒教の教義的に言えば、別に止めるべきものではなかったからだ。
 欲望の解放と発露。
 それによる実利と被害というものは、全てアリス自身が背負うべきものである。
 欲望への責任というのもまた黒教の一つの教義であったことだろう。

 故に、アリスが大丈夫! と自信を持つのならば、それを止める理由がない。
 それによって被害を被っても、アリスの責任の内というわけである。
 でもまあ、心配はするってもんである。
 火に手を突っ込もうとしている幼子を止めるのと同じようなものだ。
「なぜなら、作るのはこの萌え擬人化ケーキたん達だから!」
 アリスの周囲にはケーキを擬人化させた人造生命たちがずらりと居並ぶ。
 アシスタントってこと?
「ケーキがケーキを作るのだから、美味しくなるのは当然じゃあないかしら?」
 ケーキはケーキを知る、ということだろうか。

 それはそうかもしれない。
「おいしくなぁれ!」
「おいしくなぁれ!」
 ケーキの擬人たちは皆、一様にコンコンコンから材料を出現させて思い思いにケーキやスイーツを作り出している。
 まあ、それをしなくてもコンコンコンならばなんかいい感じのスイーツが際限なく出てくるものである。
 しかし、アリスは思うのだ。

 真心こもった手料理ほど美味しいものはない。
 それも擬人化によって萌えキャラと化したケーキたちが作り上げるのならば尚更殊更である。
「さあ、『黒教の教組』様、はいあーん!」
「もがぁっ!?」
 いきなりの歓待である。
 生クリームにべっとりした『黒教の教組』の頬を拭いながらアリスは笑む。
「ご機嫌治ったかしら?」
「治ったとは言いませんけど、でも」
「帰る気にはなった?」
「やっぱり帰りたくないです!!」
 振り出しに戻る。
 アリスは、これはスイーツで徹底的に帰る気になるまでご機嫌取りをしなければならないのだと理解し、擬人化ケーキ達と共にスイーツを作り続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルナ・キャロット
仮装解除して1匹の黒教信者としてチヤホヤしにいきます崇めにいきます!実際ファンですしきっとこれが一番ききますからね!

さすが我らが教祖様!キマイラ世界を救うだけでなくGGOも救いに戻る決意をしてくれるなんて!更に尊敬です!崇めます!推しです!
欲望のままに美味しいものを食べて嫌な事考えれないようにしましょう!

食べやすいように小さくカットしてあげて色んな味を楽しめるようにします。グリードサインの形に切って黒教信者アピールしたりもしたいですね。

……武器とか体格とかでさっき脅したヤツだとバレそうになったらお口にお菓子をぶちこんでごまかします!
美味しいお菓子バフ時間がカンストするまで食べてきましょう!



 あんまりSSRっぽくないかぼちゃ頭の仮装をパージしてルナ・キャロット(†月光の聖剣士†・f41791)はごますり手、揉み手でもって、未だにぶーたれている『黒教の教組』の元へとたったか駆け出す。
「さすが我らが教組様!」
 へっへっへ、となんかこうちょっと三下ムーヴが過ぎないかと思わないでもない。
 普段はSSR装備に身を固めてチヤホヤされる側であるルナ。
 しかし、今彼女はチヤホヤする側に回ろうというのである。
 いや、できるのだろうか?

 心配ご無用である。
 チヤホヤされる者は、チヤホヤされて嬉しいポイントを最もよく知る者でもあるのだ。
 ならばこそ、ルナは『黒教の教組』のご機嫌を直そうと揉み手のまま近づくのだ。
 誤解しないで頂きたいのだが、ルナも黒教信者である。
 なら、教組たる彼女のファンであることは言うまでもない。
 むしろ、こういうときにこそチヤホヤするのが、ささくれてご機嫌斜めな心に一番効くのである。
「キマイラ世界を救うだけでなくゴッドゲームオンライン世界も救いに戻る決意をしてくれるなんて!」
「え、いえ、私は」
 この世界にまだ残りたいと思っていると言おうとする彼女の言葉をルナは遮った。凄まじいインターセプツ。ルナでなきゃ見逃しちゃうね。

「更に尊敬です! 崇めます! 推しです!」
 畳み掛けるルナ。
 その勢いは凄まじいものであった。
 問答無用であるとも言えるだろう。それほどまでに彼女のチヤホヤは烈火怒涛の如く。
「欲望のままに美味しいものを食べてましょう! あ、あのスイーツはどうでしょうか? シャインマスカットを贅沢に使ったヨーグルトクリームのケーキみたいですよ!」
 ささっとルナは稀に見る俊敏性でもって『黒教の教組』に献上するかのようにスイーツの皿を手渡す。
「はい、フォークです。あ、お手を煩わせるまでもありませんよね! わかってます、はいあーん」
「もが」
 ルナはしっかり小さく切り分けて、たくさんの味を楽しめるようしていた。
 こういう心遣いからして、偉い人に気に入られるテクニックなのである。
 むしろ、ルナがこうしてもらえたら嬉しいなっていうポイントを抑えた接待! またの名をヨイショとも言う。

「あの、あなたってさっきの双剣の聖剣士……もが」
「あー! こっちは季節の限定モンブランじゃあないですかぁ! そぉい!!」
 ルナは正体バレしそうになって、その口を塞ぐようにモンブランをぶち込む。
 力技である。
 信者なのに教組と戦ったとか、それはそれはで誉っていうか、自慢できそうなもんであるが、此処ではちょっとまずい。
 なので、ホールケーキをグリードサインに切り分けて『黒教の教組』の前に差し出す。
 こういうアピも大切な推し事なのである。
「美味しいお菓子バフ時間がカンストするまで食べていきましょう!」
 んね! とルナは『黒教の教組』が何か言いかける度にケーキをぶち込んで、追求を逃れるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

教祖さま解ってます!
いろんなものを乗り越えるにはやっぱり甘いものですよね!

コンコンコンで出てくるならなおさらです。
いまのうちに練乳確保しておきたいところですね!

コンコンコンコンコンコンコンコンコン……。
練乳練乳練乳練乳練乳……でない。

って!
なんですかその餌付けっぷり!

ひどいですずるいですひいきです浮気ですー!
わたしにもくださいよう(ひなどりむーぶ)

捨てなくても、他の子も囲うんでしょう!?

むー……。
教祖さま、ステラさんに囲われるなら相当な覚悟が必要なんですよ!
そして!
練乳山盛りメニューになれなくてはいけないんです!

マフィンにチューブ一本はいきますよ!
って完全版!?
練乳、練乳をー!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
なるほど、甘いもの
確かに女子にスイーツは向かう所敵なしのコンボですね

ではさっそくコンコンコン、と
おや、ホイップクリームたっぷりのパンプキンマフィンですね
季節柄とても美味しそうです
はい、教祖様どうぞ、あーん

…………何かルクス様を餌付けしている時と変わりませんね??
つまり、私はいつもの感じで教祖様を餌付けしまくれば……
ええい、そこで張り合わないでくださいませルクス様
あと、浮気じゃないです
エイル様に言われるならわかりますが
ルクス様を捨てるわけじゃありませんから!

かくなる上は完全版コンコンコンを駆使して
ルクス様と教祖様の望むがままに餌付けするしか!
メイドに不可能はありませんので!



 猟兵たちはご機嫌斜めな『黒教の教組』をなんとかしてなだめるためにコンコンコンを利用して膨大なスイーツバイキングでもって包囲する。
 ここまで来て彼女をのがして元の木阿弥なんて洒落にならんのである。
 故にステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は理解する。
 甘いもの。
 それは女子の好きなもの。
 どんな年齢層であっても、女子はいつまでも甘いものに目が無いのである。
 つまり。
「向かう所敵なしのコンボですね」
 コンコンコンと適当な場所をステラは叩く。
 すると、どさどさと排出されるのはホイップクリームたっぷりのパンプキンマフィンである。
 なるほど、季節限定コンコンコンというわけであろうか。

 このハロウィン間近な季節にはうってつけと言えばうってつけなスイーツである。
「季節柄ですね。はい、教組様どうぞ、あーん」
「もが」
 さっきからずっと『黒教の教組』は猟兵達からなるスイーツ包囲網に包囲されっぱなしであった。
 抵抗するより早く、口にスイーツをぶち込まれている。
「もが」
「教組さま、わかってます! いろんなものを乗り越えるにはやっぱり甘いものですよね!」
 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)はこれまで多くの理不尽という名のシリアス展開に苦しめられてきた。
 いや、それを理不尽と呼ぶにはあまりにも無体がすぎる気がしないでもないが、ルクスにとっては、シリアスのほうが悪いのである。
 故にルクスは『黒教の教組』の境遇にちょっと理解を示していた。

 だって素晴らしい世界である。
 適当にコンコンコンすると食べ物が出てくる。
 衣食住にまるで頓着しなくてよくて、娯楽にだけ興味を持っていればいい世界なんて最高でしかない。
 ルクスもまた同感であった。
 だが、悲しいかな。
「なんで練乳だけでないんですか!!」
「はい、あーん」
「もが」
 そんなルクスの背後でステラは『黒教の教組』の口にスイーツをぶち込んで……運んでいた。

「……何かルクス様を餌付けしているときと変わりませんね?」
「なんですかその餌付けっぷり!」
 ルクスは涙目であった。
 練乳はでてこないし、ステラは自分以外の人に餌付けしている。
 ステラが餌付けしていいのは自分だけなのだ。
「ひどいですずるいですひいきです浮気ですー!」
 そうだそうだ。
「わたしにもくださいよう」
「ええい、そこで張り合わないでくださいませ、ルクス様。あと浮気じゃないです」
 ぴしゃりとステラはルクスの言葉をシャットアウトするようにスイーツをぶち込む。
「『エイル』様に言われるならわかりますが、ルクス様を捨てるわけじゃありませんから!」
 いやまあ、『エイル』はそんなこと言わないと思うが、ステラはステラでこじらせているよう見えただろう。
「捨てなくても、他の子も囲うんでしょう?!」
 人聞きが悪すぎる。

「いいですか、教組さま、ステラさんに囲われるなら相当な覚悟が必要なんですよ! そして、練乳山盛りメニューになれなくてはいけないんです!」
「もが」
 いや、それはどう考えてもルクスだけではないだろうか?
 普通の人間は練乳チューブを直で行くことはないのだ。
「ええい、かくなる上は!」
 ステラの瞳がユーベルコードに輝く。
 ちょっと面倒になってきたというのは嘘である、と言えば嘘になる。
 この状況をどうにかするにはメイドとしてのユーベルコードを使うしかない。奉仕を求めるものがいれば与えなければならない。
 それがメイドってもんである。

「マフィンにチューブ一本はいきますよ! 練乳くださーい!」
「もが」
「メイドに不可能はありません!」
 餌付けしなければならないものが二人になろうとメイドならばできるのだと言わんばかりにステラはルクスと『黒教の教組』をまとめてお世話するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティルライト・ナハトギフト
なるほど、スイーツで餌付け
教祖様ちょろすぎない?大丈夫?
『うそ……黒教の教祖様、ちょろすぎ……』とかCM作られない?

ともあれ不機嫌な時に甘いものというのは正義ね
たまに『こんなもので誤魔化されると思うなぁぁぁぁ!!!』って反撃してくる人いるけど
まぁそんな人は稀でしょ
……教祖様そんなことしないわよね??

カロリーは敵
でも敵なら殺せるわ(たぶん)
そんなわけで食べまくりましょう
アバターだから太らないでしょたぶん
一気に行くわよー!

食べる→コンコンコン→食べるの繰り返し
いくらでもいけそうね?
やっぱりケーキとかプリンとかタルトとかが美味しくて良い
あんこも捨てがたいけれども
教祖様は欲望のままにたべてそうね?



「もが」
 それは『黒教の教組』が上げる声であった。
 なんでそんな感じなのかと言えば、猟兵達によって不機嫌な彼女を囲われているからである。 
 次々に迫るスイーツ。
 なんかこう不機嫌な声だとか、やっぱり居残りたいという声をスイーツをぶち込むことで封殺してるのだ。
 そんでもって『黒教の教組』と言えど、女子である。
 スイーツと女子。
 それは切っても切れぬ縁なのである。
 言い換えるならコンボってやつでもある。

 故に『黒教の教組』はスイーツに封殺されっぱなしであったのだ。
 その様子を見たティルライト・ナハトギフト(ブルーゲイル/ゲッカビジン・f41944)は、まるで餌付けだな、と思った。
 むしろ、スイーツ程度で懐柔されようとしているのが、信者としては複雑な肝tいであった。
「教組様、ちょろすぎない? 大丈夫?」
「もがもが」
 何か言っているようだがわからん。
「『うそ……黒教の教組様、ちょろすぎ……』とかCM作られない?」
 それはどこに向けたコマーシャルなのだろうか。
 ちょっと疑問に思うところである。
「もがー」
 それは『黒教の教組』も同じ気持ちなのだろう。ちょっと抗議の色が見える。
 でもまあ、とティルライトは頷く。

「ともあれ不機嫌な時に甘いものというのは正義ね。なんだかんだで、ちょっと教組様、表情が柔らかくなっているように見えるもの」
 ときには『こんなものでごまかされると思うなぁぁぁぁぁ!!!』と反撃して来るものもいるが、稀である。
『黒教の教組』でも、そんなことは……。
「ないと言い切れますかね?」
 にやり。
 不敵な表情である。
 だがしかし、ティルライトは冷静であった。

「でも、眼の前にスイーツがあるのなら食べないっていう選択肢はないわよね。欲望を肯定するのならば、私は大敵カロリーだって、敵ならば殺せるわ」
 そう、私ならね、とティルライトは笑む。
 だって、これはアバターだからね。
 太っても、現実世界の自分がちょっと涙するだけである。
 とは言え、ゴッドゲームオンラインを介して他世界に着ているのだ。大丈夫でしょ。へいきへーき。
「一気に行くわよー!」
「もがもが」
 二人は競うようにしてコンコンコンしまくる。

 まるでコンコンコンのわんこそば。わんこそばがコンコンコンなのか。
 どちらにしても、今の二人は火力発電所みたいに甘いものを口に放り込んでいく。
 ただ食べるだけではない。
「うん、タルトとかフルーツたっぷりでいいわね。あんこも捨てがたいけれども」
「プリン大好きです。カラメル最高と言いなさい」
「カラメル最高」
 二人は欲望のままにスイーツバイキングを堪能する。
 一人で食べ続けるのも楽しいかも知れない。けれど、姦しいぐらいが、一番楽しいのがスイーツバイキングなのだ。
 きゃいきゃいした雰囲気は、きっと二人の間だけではなく、この場に広がっていくだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御形・菘
はっはっは、まあ許せ! 世の中には理解不能な欲望を持つ者もいるという怖~い話だ!

で、物は相談なのだが、お主のコンコンコン、マジで何でも出せるのだな?(小声)
だったら、妾の携帯端末に写ってる沢山のスイーツも完全再現できるのかのう
なんとキマフュ中の有名極上スイーツ類の数々だ!

今だけは撮影や配信はストップしておくぞ、著作権とか普通にヤバいし、バレたら本当にマズいのでな
だがせっかくなら、そんじょそこらのではなくキマフュの頂点に君臨するような凄く美味いスイーツを知ってもらいたいわけだ

…もちろん、私利私欲でここぞとばかりに興味のあるメニューを食べてやろうとかは考えてないぞ?
舌先三寸? 何のことやら…



 御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は舌先三寸でもって『黒教の教組』を転がせる自信があると言った。
 それは偽りではない。
 あれだけの大暴れを見せた菘であったが『黒教の教組』は特別に気にしていたわけではない。
 彼女には彼女の欲望がある。 
 それを『黒教の教組』が否定するわけがないのである。
 たとえ、理解できない欲望であってもだ。
 理解不能なる欲望さえも肯定して受け入れるのが黒教故に、ゴッドゲームオンランでは多くの黒聖者たちが存在しているのだ。
「はっはっは、まあ許せ!」
「もがもが」
 いいですよ、とスイーツを口にぶち込まれながら『黒教の教組』は頷く。
 なんとも太っ腹であろうか。

 うんうんと菘は頷いて彼女に顔を寄せ、耳打ちする。
 しっかり動画撮影のボタンは切ってあるところからして確信犯である。
「で、ものは相談なのだが」
「もが?」
「お主、『システム・フラワーズ』を完全に掌握できているのであるよな? お主のコンコンコン、マジで何でも出せるのだな?」
 小声である。
 これは後ろ暗い相談のやつであることは言うまでもない。
 だって撮影してないからね。
「だったら、妾の携帯端末を見てはもらえぬだろうか」
 菘が示すのは画像アプリ。
 そこには彼女がキマイラフューチャー中で撮影してきた有名極上スイーツの数々であった。

 本来、コンコンコンはある時間、ある場所、特定の感覚でコンコンコンすることによって食べ物やらが出てくる。
 それをコントロールできぬがゆえに、キマイラたちは世界中のあちこちをコンコンコンしまくっているのだ。
 だが、今なら。
『黒教の教組』がいるのならば、これを完璧にコントロールし、望むものを出すことができるのだ。
「どうだろうか」
「あなたもなかなかのワルですね」
「できるのか、できないのか。勘付かれれば、著作権とか普通にヤバい。バレたら本当にマズいのだぞ」
 それに、と菘は思う。
 せっかくのスイーツバイキングだというのならば、そんじょそこらのではなくキマイラフューチャーの頂点に君臨するような美味しいスイーツを味わってもらいたいのだ。
 言い訳するわけではないが、私利私欲で此処ぞとばかりに興味のあるメニューを食べてやろうとか考えてないのだ。本当かな?

 しかし、そんな菘の思惑とは別に『黒教の教組』は不敵に笑む。
「私は『黒教の教組』ですよ?」
 つまり?
「できないわけがないのです」
「おお!」
 がっしり握手をする二人。
 ここに動画には撮影されていない密約が締結された。
 そして、二人は己の欲望の赴くままに絶品極上スイーツをコンコンコンしまくって、甘味の海に溺れるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイ・ノルマレイス
【POW】
それじゃあとにかくスタックするまでスイーツを出すですー
もし128万色に光るケーキとか蛍光ブルーのプリンとか防御力65535のクッキーとか出てもボクが貰うですからだいじょぶですー。平気平気、ゴブリンとかよりはおいしく食べられるですー
魔喰者を甘く見ちゃダメですー

確かにボクもここは日々のご飯に困らない良い所と思うですけど、
それでも本能も理性も関係なく、もっと奥底の何かが求める、「この胸の空虚を埋める」という欲求は捨てられないし、それはここでは叶わないんですー

というか、そんなに名残惜しいならあっちで再現しちゃうのはどうですー?
「求めてもくれないからいっそ自作します」ってよくいうですよー?



 コンコンコン。
 コンコンコン。
 コンコンコン。
 それは際限なく湧き出すかのようなスイーツの泉を生み出していた。
 あちこちコンコンコンしまくっているのは、アイ・ノルマレイス(知らない記憶、胸に空いた奈落・f41788)であった。
 確かにスイーツバイキングで、不機嫌丸出しな『黒教の教組』のご機嫌を直そうとは言った。
 だが、これはやりすぎである。
 スイーツでコンコンコンがスタックしているではないか。
 詰まっているので、コンコンコンしてもこれ以上でてこない。
 というか、出した以上消費しなければならないのだ。けれど、アイは、とりあえずまあ、生一丁みたいな感じでコンコンコンしまくっていたのだ。

「これくらいですー?」
 やりすぎである。
 だが、周囲にはよくわからないスイーツが散在している。
 128万色に光るケーキだとか蛍光ブルーのプリンとか防御65535のクッキーとか、なんかこう明らかに問題ありそうな感じのスイーツが湧き出しているのである。
「こ、これは……」
 流石に『黒教の教組』もこれにはドン引き……。
「なんですかこれ!? おもしろーい!」
 あ、大丈夫そうである。
「食べられなさそうなものはボクがもらうです」
「お腹壊しません?」
「だいじょうぶですー。平気平気。ゴブリンとかよりはおいしく食べられるですー」
 そう、アイは魔喰者である。
 大抵のゲテモノは受け入れられるだけの胃袋もあれば、噛み砕く顎もあるのである。

「魔喰者を甘く見ちゃダメですー」
 パクパクとアイが食べているのを見ると、『黒教の教組』も食欲がワイてくるというものである。
 あれだけスイーツを猟兵たちにぶち込まれたというのに、まだ入る気がするのだ。
 それもゲテモノみたいなスイーツであっても、チャレンジ精神というものが湧き上がってくる。
「でも、これだけ食べちゃったら元の世界に戻るのが悲しくなりますね」
 いや、本当にそれだと思う。
 だが、アイは頭を振る。
「確かにボクもここは日々のご飯に困らない良い所と思うですけど、それでも本能も理性も関係なく、もっと奥底の何かが求める……『この空虚を埋める』という欲求は捨てられないですし、それはここでは叶わないんですー」
 アイ自身、それがなんであるのかわからない。
 けれど、それでもアイは思うのだ。

 この世界では決して己の中にある空虚は埋められないし、埋まらない。
 どんなに食べても、食べても。
 埋まらないと知っているからこそ、この世界にとどまってはいられない。
 そして、それは『黒教の教組』にもまた言えることであっただろう。
「というか、そんなに名残惜しいなら、あっちで再現しちゃうのはどうですー?」
「つまり?」
「『求めても与えてくれないから、いっそ自作します』ってよくいうですよー?」
 ないなら作ればいい。
 己の欲望が示す、楽園がないなら作ればいい。
 それができるのがゴッドゲームオンラインという世界だと言うようにアイは、『黒教の教組』に、その底なしの欲望の行く先を示すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヌグエン・トラングタン
甘い物なぁ。そういうの、俺様は得意じゃないんだよな…。
だから、ここは妻たちの力を借りるか。秋イベントの参考にもなるだろうし…。

あー、妻たちも張り切ってんなぁ。料理人のホアと商人のトアいたら、こうなるか。
ケーキってのは、彩り豊かなもんなん だな。あと、その時期の味覚を反映しやすい面もある、と。
栗やさつまいもならモンブランとかか。

教祖サマなら、元の世界に戻ったって、ここで味わった物を忘れないだろ?
なら、この見た目や味の感想…感じたことを、素直に広めちまえ。
『もう一度、食べたい』『それを食べてみたい』も立派な欲望になるだろ。



 スイーツ。
 まあ、デザートである。
 食後に食べるものであるし、食事の間……即ち間食に食べるものである。
 広義であるのならば、甘い食べ物であるとも言えるだろう。
 まあ、そんな杓子定規な定義などどうでもいいのだ。
 兎にも角にも甘いもの。
 それがどうにもヌグエン・トラングタン(欲望城主・f42331)は得意ではないようであった。
 男性であるから、というのもあるのかもしれない。
 そもそも甘いものが、そこまで大好物! というわけではなかったのかもしれない。
 こういうものに関しては、てんで不得意なのだ。
「そういうわけだからよ」
 まあ、一つよろしく、とヌグエンはユーベルコードで呼び出したNPCの妻たちに手を上げて、此処だと示すようにして呼びつけていた。

 ハーレムの使い方・一(ツマタチダッテキョウリョクシタイ)とは言うが、こういうのはちょっと違うんじゃないかなと思わないでもない。
 だがしかし、現れた12人のNPCの妻たちは大張り切りである。
「もちろん、任せておいてよ」
「むしろ、秋イベントの参考になるよね。え、なにこれ」
「コンコンコンってするだけで材料が出てくる……?」
「まって、それ以前に完成品で出てくるんだけど」
「わ、これ美味しい!」
「味見してばっかじゃダメでしょ」
 そんなふうに一気に場が姦しいことになってしまう。
 ヌグエンは、こうなっては自分の出来ることは殆どないな、と静観する。

「いわゆる、見に回る、というやつですね」
 うんうんと『黒教の教組』が頷いている。
 後方彼氏面ならぬ、後方旦那面をしているヌグエンの隣にスイーツをモグモグしながら立っているのである。
 こわ。
 いつのまに俺の横を!? とヌグエンは思った。
 腐っても不機嫌でも『黒教の教組』ということであろうか。
「あー」
 確かに、と思う。
 自分に出来ることはもうないが、妻たちが大張り切りであるのを見ているのは、悪くはない時間だと思うのだ。
 妻たちはNPCとして多くの役割を持っている。
 料理人であったり、商人であったりと様々だ。そういう意味では、確かに彩りがよいとも言えただろう。

 あのへんの感覚というものは自分にはないものだ。
「やっぱり秋はモンブランでしょ。プレイヤーの人たちも言ってたし!」
「でも手間よね、これ。皮剥くの」
「そういうときのためのイベントでしょ」
「なるほどね」
 そんなふうにして妻たちがあれやこれやとやっている姿を見て頷く。
「教組サマなら、元の世界に戻ったって、ここで味わったものを忘れないだろ?」
「それはそうですね。もぐ」
「なら、この見た目や味の感想……感じたことを素直に広めちまえ」
「伝えられますかね。もぐ」
「『もう一度食べたい』も『それを食べてみたい』も立派な欲望になるだろ」
「でも、叶えられない望みは渇望でしかないですよ?」
 だからこそだろ、とヌグエンは笑う。

 それがきっと進化の秘訣なんだ、と――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

白山・仁瑚
アドリブ連携可
やたーケーキバイキング!
コンコンコンで出せる…出せるお菓子ってコンコンコンした人の想像の範囲内でしかでないのか、全然そういうのじゃないのか…なんにしてもまだ見たことない映えるスイーツ出るって可能性もあるぢゃん!?めちゃ楽しまんと!

くろちー(黒教の教祖)はスマホ持ってる?あるなら動画とデータを、ないなら現像した写真あげっからあっちでも楽しんじゃおうぜ
誰かと共有するのもいいしーGGOの世界で再現するのもぜったいおもろいんじゃね?
という事でくろちー、好きなケーキと一緒にポーズポーズ!
せっかくだしはっちゃけようぜー!



 むすーっと不機嫌面な『黒教の教組』とは裏腹に白山・仁瑚(今をきらめくフォトグラファー!・f42936)はご機嫌であった。
 なんでかって言われたら、彼女が女子だからである。
 それも華やぐJK。
 なら、スイーツは分離不可能なほどに彼女の生活に密接していたものであったことだろう。
 味もさることながら、映えもまたスイーツには欠かせない要素。
 そして、そういしたスイーツをカメラに収めるのもまた彼女の生きがいの一つであるとも言えたはずだ。
「やたーケーキバイキング!」
 仁瑚はテンションの高まりを感じて、思わず飛び跳ねていた。

 ぴょんこと飛んだ彼女に『黒教の教組』は、もがもがと猟兵たちからスイーツを口にぶち込まれつつ、まだちょっと不機嫌であった。
 だって、まだゴッドゲームオンラインに帰りたくないのだ。
 ともすれば、このままスイーツバイキングに紛れて居残れやしないかとさえ考えているような節がある。
「コンコンコンで出せる……出せるお菓子ってコンコンコンした人の想像の範囲でしかないのかな。いや、全然そういうんじゃないのかも……」
 仁瑚は、まだシステム・フラワーズ、コンコンコンの仕様をよく理解していなかった。
 とは言え、完全に理解し、掌握できる者は多くはない。

『黒教の教組』がそもそも例外であるとも言えただろう。
 彼女の底抜けの欲望があるからこそ、システム・フラワーズは十全に稼働するようでもあった。
 でもまあ、と仁瑚は頷く。
「まだ見たことない映えるスイーツ出る可能性もあるぢゃん!? そんならめちゃ楽しまんと損ぢゃん! ね! くろちー!」
「くろちー?」
 え、それっともしかして自分のことだろうか、と『黒教の教組』は思ったかもしれない。
 教組サマとかそういうふうに言われることはあったかもしれないが、仁瑚のように気安く渾名で呼ばれることはこれまでなかったのかもしれない。
 故に彼女はちょっときょとんとしていた。

「スマホ持ってる?」
「え、ないですけど……くろちー?」
「黒教の教組、っしょ? だから、くろちー……えー! てかさ、ゴッドゲームオンラインのアカウントに紐づけたした端末あるっしょ。そっちに動画とかデータを、なんなら現像した写真あげっから、あっちでも楽しんじゃおうぜ!」
 仁瑚は首から下げた愛用のカメラを掲げて見せる。
 でも、それは何処まで言っても写真であるし、画像のデータでしかない。
 今此処で味わうことのできる味わいや感触というものは、この世界でなければ感じることはできないのだ。
 だからこそ、彼女は帰還を渋っていた。

 でも、仁瑚はお構いなしだった。
「誰かと共有するのもいいしーゴッドゲームオンライン世界で再現するのもぜったいおもろいんじゃね?」
 そう、構わなかった。
 だって、楽しいことは世界にいっぱい広がっている。
 自分でそれを見つけるのが楽しいのだ。
 そして、それをみんなで楽しいねって笑い逢えるからこそ、世界はもっとよいものになっていくのだと彼女は思う。
「ということで、くろちー。好きなケーキと一緒にポーズポーズ! 食べるだけがスイーツじゃないんよ。せっかくだし、はっちゃけようぜー!」
 仁瑚は『黒教の教組』と友達感覚でスイーツバイキングを楽しむ。
 食べるだけじゃない。
 こうやって笑い合うこともまたスイーツの醍醐味だと教えるように、唯ひたすらに彼女は笑顔を持って『黒教の教組』に食欲以外の歓びを分かつのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

🍰🎂🍰🎂🍰🎂🍰🎂🍰🎂🍰🎂 🍽 🍴 
😀😁😀😁😀😁😀😁😀😁😀😁
🍹🍹🍹🍹🍹🍹🍹🍹🍹🍹🍹🍹🍹🍹🍹

パクパクパクパク
モグモグモグモグ
ゴクゴクゴクゴク

ぷはー…♪

モグモグモグモグ
パクパクパクパク
ゴクゴクゴクゴク

ぷはー…❤

あれ?食べないのー?
キマフュー特選スイーツだよ!
しかもシスフラ近くじゃないと出ないやつ!
コンコンコン!
そうこれかなりのレアモノだよー
食べないなんてもったいないなー
しょうがない!じゃあキミの分までボクが食べてあげるよー!

パクパクパク
モグモグモグ
ゴクゴクゴク

はーおなかがしあわせー☺



 眼の前にスイーツが山のように盛り上がっている。
 それはコンコンコンによって生み出されたものであり、際限なき欲望の再現であるとも言えたことだろう。
 パクパクパク。
 モグモグモグ。
 ゴクゴクゴク。
 それはオノマトペみたいなものであったし、同時にロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)の欲望の発露でもあった。
「ぷはー……♪」
 一息つく。
 そうしたら、また始まるオノマトペ。

 これの繰り返しである。
 特に何かを語るべくもない。
 単純な動作の繰り返しである。果たしてそれは、ちゃんと味わっているのかと疑問に思いたくなるような同じ動作の繰り返しであった。
「あれ? 食べないのー?」
 ロニは『黒教の教組』にそう問いかける。
 彼女はちょっとむすーっとしていた。
 ロニの欲望の赴くままに振る舞う行動は、彼女にとっては現実では許されない行為だ。

 管理された社会。
 あらゆる行動も、食事も、何もかもが変化を嫌うように画一的に決められている。
 日中のスケジュールだってそうだ。
 何もかも決められていて、代わり映えのない毎日ばかりが広がっている。
 そんな世界に生きていれば、このキマイラフューチャーのように、はちゃめちゃでおもしろおかしく生きられる世界は、とんでもなく魅力的な世界に映ったことだろう。
 わからないでもない。
 だが、ロニには理解し難いものであったかもしれない。
 何せ、彼は彼女の生きる世界とはほとんど真逆な世界で生きている。

 天上天下唯我独尊ではないが、概ねそんな感じに好きに生きている。
「キマフュー特選スイーツだよ! しまこ、シスフラ近くじゃないとでないやつ!」
 ほら、とロニはコンコンコンとそこら辺を叩くと出てくる限定スイーツ。
 何が出てくるのかわからない。
 それが本来のシステム・フラワーズである。
『黒教の教組』はこれを完全に掌握することが出来るがゆえに、あらゆる欲望を叶えようとしていた。
 帰りたくない、と思うのも無理な駆らぬことである。
 人の欲望は弾性を保つ。
 押さえつければたわみ、歪むが、その押さえつけられていたものがなくなれば、一気に跳ね上がってしまう。

「食べないなんてもったいないなー。しょうがない! じゃあキミの分までボクが食べてあげるよー!」
「食べないとは言ってませんけど!?」
 いや本当にそう。
 だが、ロニは構わない。
 誰かの不幸せを思うことは正しいことだ。
 けれど、それで己もまた同じように不幸せになろうというのは過ちだ。

 幸せな者は幸せなままでいい。
 幸せなものができることは、己の幸せを誰かに分けることだけ。
 分かち合うことが人間の進化、その欲望を正しい道へと進路を取ってくれる舵取りなのだ。
 ならばこそ。
「はーおなかがしあわせー」
 誰かに何かをしてもらわなくても、人は一人で幸せになれるのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
ええい!
いい大人?が拗ねるんじゃあない!
こんだけ甘い物食べたら、体重激増になるよ!
まあアバターだから良いのか…?

コンコンすると甘味が出てくるのは、実質クッキーをクリックするゲーム…
熱中しちゃうよねカチカチもといコンコンコン…
クッキーなら、トッピングで味変出来てお得!
クリーム!チョコ!ずんだ!あんこ!
味噌!タバスコ!キムチ!七味唐辛子!
甘いだけがスイーツじゃねえぜ!
私は食べんけど
だっておもてなしじゃん、ホストが食べたらね
まあうん、半分は冗談だからさ
それでも味変したいなら止めないけど…

というか口をさっぱりさせたいなら、紅茶でよかったな…
あとGGO ってディストピア飯とかありそう
コンコンして出してよ



「やっぱり帰りたくないんですけど!」
 スイーツバイキングであっても、『黒教の教組』の帰りたくない! という感情を抑えるには足らないようであった。
 それほどまでにキマイラフューチャーは彼女にとって魅力的な世界であったのだろう。
 いやまあ、統制機構によって管理された現実を思えば、他の世界はどれもが羨むような世界であったことだろう。
 だからこそ、彼女の駄々も解る……。
「ええい! いい大人? が拗ねるんじゃあない! こんだけ甘いもの食べたら体重激増になるよ!」
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は、ピシャリと言い放つ。
 なんていうか、ちょっとオカン味があるような気がしたが気の所為である。

「でもでもでも!」
「でもじゃないってば! いや本当にこんだけのカロリーどうやって消化……いや、アバターだから良いのか?」
 玲はちょっと考えた。
 確かにゴッドゲームオンラインのゲームプレイヤーは、ゲーム世界を通して他世界に移動してきている。
『黒教の教組』もまた現実世界の真の姿ではなくて、ゲームのアバターとしてキマイラフューチャーにやってきているのだ。
 なら、別にここでたくさん食べたからって現実世界の彼女の体が激重大変なことになるということではないのかもしれない。

 ならまあ、好きなだけ食べさせて満足して帰らせた方がいいのかも知れないと思ったのだ。
「まあいいか」
「いいの!?」
「考えても仕方ないし、君が帰りたくなるまで! 私はコンコンコンを止めない!」
 玲が宙をコンコンコンとすると溢れ出すのはクッキーであった。
 チョコチップクッキー。
 それは見るからにオーソドックスなクッキーであった。
「これって実質クッキーをクリックするゲームだよね……」
 そうかな?
 そうかも!
「熱中しちゃうよね。カチカチもといコンコンコン……」
「でも本当にクッキーしかでてこないんですけど」
 その通り。
 玲のコンコンコンはマジでクッキーしかでてこない。
 なんかこうプレーンなクッキーとかチョコチップだとかなんかそういうバリエがあればいいものの、見事にクッキーだけ!

「これじゃあ……」
「人の欲望はなんのためにあるんだよ! 当然! トッピングするためでしょうが!」
 くわっ!
 玲の瞳が見開かれた瞬間、コンコンコンより飛び出したのは、クリーム! チョコ! ずんだ! あんこ! 味噌!
 味噌!?
 そんでもってタバスコ! キムチ! 七味唐辛子!
「なんか途中からおかしくありません!?」
「甘いだけがスイーツじゃねえぜ! 私は食べんけど」
「たべてくださいよ! これじゃあただの罰ゲームじゃないですか!」
「だってこれおもてなしじゃん。ホストが食べるものかな? 食とは文化の交流以上に、前哨戦なんだよ。トチったら腹を切れって言われる具合のやつなんだよ! それを!」
「いやもう、後半遊んでるでしょう!? 味変って言えば許されると思っていませんか!」
「思った以上にガチで反論するじゃん。まあうん、半分は冗談だからさ。それでも味変したいなら……」
「チラチラ見てもしませんからね!」

 そんな『黒教の教組』を見やり玲は、えーと思う。
 でもクッキーばっかで口がパサパサになってしまうから、さっぱりさせるには紅茶が欲しいところ。
 でもでもでも?
「そう、コンコンコンならね! あ、でもゴッドゲームオンラインってディストピア飯とかありそう。謎のペーストとサプリ、あとなんかサクシャキなやつ!」
「なんで此処でそれ出さないといけないんですか!?」
 だって興味あるもん、と玲はもてなすよりもてなされる才能の方があることを示すように『黒教の教組』から統制機構から配給されるであろうディストピア飯をコンコンコンしてもらうのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カタリナ・ヴィッカース
【蛇と少年】

コンコンコン…まぁ、教祖様御覧ください
黒教に相応しいチョコレートケーキが出てきましたわ
…などとご機嫌を取ろうとしていますが、教祖様はほっぺを膨らませて御冠なご様子
教祖様と同じ統制機構育ちのシデンさんに緊急クエストを依頼しましたが、私の相槌を打ってばかり…

…これはもうプランB発動あるしかありませんね?
ああ!手が滑ってシデンさんに『ステータスオープン!』を!(棒
何故詳細な個人情報が開示されてるのかと申されますと、ノインさんがバラ撒いたナマモノ同人誌がこちらの手に
私が教祖様に読み上げても良いのですが、是非ともエイルさんとの恋バナをシデンさん…いえ、那樹さんの口から語って頂ければ(ニヤニヤ


明和・那樹
【蛇と少年】

ようやく交渉の席を設けれたけど…こうもご機嫌斜めだとね
ああ言えばこう言うし、こう言えばああ言う
学校のクラスメイトと自由に会話出来ないからどう言ってあげれば良いのかよく分からないけど、まずはご機嫌を取ろうと頑張ってるカタリナに相槌を打つ形で話を進めていこうか

けど、話は平行線を辿ってる
何とか彼女の興味を|GGO《こっち側》に向かせる話題を出さないと…って、なにやってるんだよ!?
だーかーらー、エイルとはそんな仲じゃないって…黒教の教祖も欲望剥き出しな目でこっち見るなよ!

はぁ…緊急クエストの報酬がやけに良いと思ったらこうだ
アレを読み上げられるくらいなら僕が喋るよ
エイルと初めて出会ったのは…



 明和・那樹(閃光のシデン・f41777)は少しばかり悩んでいた。
 いや、悩むほどのことではなかったのかもしれないけれど、なんていうか上手くできているのだろうかという疑問が自分の中でうずまき始めていたのだ。
 それはなぜなのかというと『黒教の教組』のご機嫌取りのためのクエストをカタリナ・ヴィッカース(新人PL狩り黒教ダンジョンマスター・f42043)が発注し、那樹が受注したにもかかわらず、なんとも芳しくないからである。
「まぁ、教組様御覧ください。黒教にふさわしいチョコレートケーキがでてきましたわ」
 カタリナはなんとも重たい空気の中、なんとかして『黒教の教祖』の機嫌を取ろうと必死だったのだ。
 だが、彼女は、むっすーとしていた。
 多くの猟兵達によってほぐされてきているはずなのだが、やっぱり土壇場になれば帰りたくないと思ってしまうのだろう。

 全く持って困った人である。
 だが、那樹もまた困った者の一人であった。
「そうだね」
 いや、そうだね、じゃない。
 カタリナは心中で拳を握りしめた。
『黒教の教祖』と同じ統制機構育ちの彼であれば、彼女の心に寄り添って帰還を促すことができるだろうと思ってクエストを発注したのだ。
 クエスト内容を彼は見ているはず。
 でなければ受注などしないはずだ。
 なのに那樹はただ相槌を打つばかりであった。
 それも会話の主導はカタリナ任せ! これで話が違うではないか!

 とは言え、那樹も那樹でちょっと焦っていた。
 会話をして『黒教の教祖』に帰還を促すなんてことは簡単だと思っていたのだが、考えてみれば、自分は学校のクラスメイトとでさえ、自由に会話できない管理を受けている。
 こういう時になんと言ってあげればいいのかなんてよくわからないのだ。
 会話のプリセットが貧弱すぎる。
 なので、下手なことは言わずにカタリナに会話の主導を任せていたのだが、カタリナの思惑と噛み合っていないのだ。
 話は平行線である。
「やっぱり帰りたくないんですけど!」
 またこれである。
「わかる」
「くっ……!」
 この、とカタリナは握り拳を作ったが収めた。
 怒っても仕方ない。

 ここで怒ってしまっては全てがご破算である。
 これはもうプランB発動しかないのだ。
 恨まないでくださいね、とカタリナは不気味な笑みを浮かべ、ユーベルコードを発露する。
「ああ! 手が滑ってシデンさんにステータスオープン! してしまいました!」
 棒読みである。
 手が滑ってユーベルコードが発動することなんて有り得るのか? 普通に考えてない。
 だが、カタリナのユーベルコードは那樹にぶち当たり、何故か詳細な個人情報が開示される。
「って、なにやってるんだよ!?」
「いえ、なんか手が滑りまして」
「これってなんですか?」
『黒教の教祖』が手にしていたのは、帝都櫻大戰にてばら撒かれたナマモノ同人誌である。
 なんでそんなもんがここにあるのか。
 言わずともよいだろう。 
 全部カタリナってやつの仕業なんだ。いや、元凶は別のグリモア猟兵であるが、大目に見て欲しい。カタリナは罰してくれていいです。

「わー!? なんでそんなもんが!」
 しゅばっと奪い返して那樹はしどろもどろである。
「なんかタイトルが……?」
「『閃光のシデンとNPC組合員エイル』とかなんとか」
 ニヤニヤしているカタリナである。
 こいつ、と那樹は思っただろう。嵌められた。まさかと思うが、『黒教の教祖は……。
「これってもしかして、そういう?」
「そうなんですよねー」
「だーかーらー、『エイル』とはそんな仲じゃないって……うぉい! そんな欲望むき出しな目で見るな!」
「これは知的好奇心の眼差しです!」
 カタリナはニヤニヤしている。
 このナマモノ同人誌の内容が正しくても正しくなくても、カタリナにとってこれは好機。
『黒教の教祖』とて女性。
 であるのならば、甘いものと色恋沙汰は大好物に違いあるまい。
 故に那樹は格好の餌食。

 そう、続きが聴きたければゴッドゲームオンライン!
 その導線を生み出してカタリナはしたり顔でニヤニヤとどうもうする那樹を見つめるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『宮本・武蔵』

POW   :    二天一流「燕返し殺し」
【ふたつのラケットの間に生じる超魔力球】が命中した敵をレベル×10m吹き飛ばす。
SPD   :    二天一流「ホーミングファントム」
【二振りのテニスラケット】から発射した【無数のテニスボール】を、レベル回まで跳弾できる。跳弾回数に比例して命中率・致死率が向上。
WIZ   :    二天一流「五輪の極み」
【刺青型ユーベルコード「五輪書」】に封じた【地水火空風の5属性の都市破壊級魔術】と合体し、あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になる。ただし解除時にダメージを全て受ける。

イラスト:紙乙

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「腹は膨れたか。であるのならば、早速始めよう」
 スイーツバイキングを終えて、なんとか『黒教の教祖』は機嫌を直して帰還を承諾したようだった。
 なんかこう、言ったり着たりの平行線のような気がしないでもなかったが、まあ時間を置けばまた気が変わって帰りたくないと騒ぎそうだった。
 そういう意味ではテニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』の言葉はありがたかった。
「せっかち過ぎませんか。でもまあ、仕方ないです。では、『システム・フラワーズ』フルオープン!」
 その言葉と共に広がるのは野放図かつ未整理、無秩序なる超プログラムの数々。
 どう足掻いてもこれを整理することどできそうもないし、加えて制御するなど考えられなかった。
 だが、できるのだ。
「誰が呼んだかテニス・フォーミュラ。刀をラケットに変え、我が五体に刻まれし『五輪書』、そして『二天一流』。いずれも究極の大魔術詠唱儀式……即ちテニスにて完成を迎えしもの!」
 いざ、と『宮本・武蔵』はラケットを構える。

「例え世界変動規模のコンピューター・プログラムだろうと、高度に構築されたそれはもはや儀式魔術と大差はない……ならば、テニスに操れぬ魔術なし!」
 猟兵たちは思った。
 これってたしかに大魔術儀式なのかもしんない。
 けれど、スイーツバイキングでお腹いっぱい食べたあとには、ただの腹ごなしの運動にしか思えないのだった――。
戒道・蔵乃祐
ふん。あんたか。
この間はそれきりだったから、お疲れ様と言わせてもらう
帰る帰らないの話なら、あんたが帰るべきはサムライエンパイアではないかと思うんだがね…

聞いたところによると、飛んだ先で義憤に駆られて更なる戦いに赴く勇士も居るらしい
あんたは|剣術家《 決闘者 》でも|殺戮者《 人斬り 》でもなく、|求道者《スポーツマン》としての側面が色濃いオブリビオンだから、気持ちは汲むが
どうにも俺のモヤモヤが晴れるわけでもないんだわ
ならばこそ、スポーツで発散するしか無いということか…

◆龍顎龍尾龍撃乱舞
見切り+心眼でボールを追い、クイックドロウ+早業の乱れ撃ちで手数に任せる
精彩を欠くのは…心乱れているか…許せ。



 互いに相まみえるのはテニスコートという名の膨大なプログラムの奔流の中であった。
『黒教の教祖』によって『システム・フラワーズ』より放出された野放図なる混沌の如きプログラム。
 どう見ても処理できるものではない。
 だが、たった一つこれを如何にかすることのできるものがいる。
 それがテニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』なのである。
 彼の手繰る『二天一流』は刀をラケットに置き換えても健在。
 いや、むしろ、サムライエンパイアにて隆盛極めたる剣術よりもさらなる高次へと至っているのだ。
「テニスに操れぬ魔術なし」
「ふん。あんたか」
 そんな『宮本・武蔵』の前に立つのは戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)であった。

 そう、如何にテニス・フォーミュラと言えど、唯一人でテニスはできない。
 対戦相手がいなければ、それはただの壁打ちであってテニスにあらず。
 故に蔵乃祐は一番手として名乗りを上げたのだ。
「帰る帰らないの話なら、あんたが帰るべきはサムライエンパイアではないかと思うんだがね……」
「然り。されど、戦国の世ではなく、天下泰平たる世にて刀はラケットへと姿を変えるのと同じように、今の我はアスリートアースのテニス・フォーミュラ。なれば」
 放たれるは一打にして数百を超えるテニスボール。
 そう、これこそが 二天一流「ホーミングファントム」!

 出鱈目にも程がある。
 放たれるテニスボールは一気に蔵乃祐に襲いかかる。
 天網恢恢疎にして漏らさず。
 そう言わしめるかのようなテニスボールの跳弾の網目。
 これを蔵乃祐は如何にするのか。
「聞いたところに寄ると、飛んだ先で義憤にかられてさらなる戦いに赴く勇士もいるらしい。あんたは|剣術家《決闘者》でも|殺戮者《人斬り》でもなく、|求道者《スポーツマン》としての側面が色濃いオブリビオンだから、気持ちは汲むが」
 蔵乃祐は、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
 繰り出すは蹴撃。
 龍顎龍尾龍撃乱舞は、彼の蹴撃によって無数のテニスボールを違わず打ち返す。
 だが、テニスボールの数は、その蹴撃よりも多く蔵乃祐の肉体を打ち据える。

「ぐっ……」
「集中せよ、猟兵。乱れているぞ」
「わかっているとも。どうにも俺のモヤモヤが晴れないんだわ。だからこそ、スポーツで発散するしかないと……」
「然り。汝の言うところの義憤もまた正しきこと。されど、道求めしものは一点にたどりつくのだ。それこそ、収束されるように。我の歩みは何時には遠回りに見えるであろうし、道が異なる場所につながっているようにも思えるのだろう。だが!」
 さらに打ち込まれる無数のテニスボール。
 それは蔵乃祐の迷いを晴らすように、その心の乱れを矯正するように放たれる。

「我が求めるものは、どんなときでも他者の思う頂点につながっていく。今は彼女……『黒教の教祖』を元いた世界に帰還させ、我もまたアスリートアースに帰還することこそが、求道の先につながることと知る!」
 蔵乃祐は迫るテニスボールを打ち返しながら、魔術を織りなしていく。
 己の動きが精彩を欠いていることは重々承知。
 だからこそ、『宮本・武蔵』の言葉に頷く。

 己の心の乱れこそが求道者として過ちであると。
 故に。
「……許せ」
「不要! 一心不乱に打ち返すがいい!」
 それこそが、己が心の乱れを正すものであると互いにボールの応酬が続くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フェアリィハート
アドリブ連携歓迎

教祖さん…そして
武蔵さんを
ご無事にお帰しする為に
テニスですね…

可愛い
テニスウェアと
アンダースコート姿に
着替え

『武蔵さん…宜しくお願いします』

【第六感】【心眼】【早業】等駆使
UC発動
【第六感】【心眼】【残像】
【結界術】【オーラ防御】等や
UCで自身やラケット等
強化し
敵の攻撃や
ボール群等に
対処
ボール群は
【凍結攻撃】込めた
UCの吹雪で
凍結又は
少しでも動き等
反らしたり
速度等鈍らせ

【第六感】【心眼】【フェイント】等
使い
武蔵さんを
直接攻撃するのではなく
武蔵さんのコートめがけ
【全力魔法】と
UCの吹雪纏わせた
スマッシュ!

『目的は…貴方自身にダメージを与えるのではなく…貴方とのテニス、ですから…』



 ふわりと揺れるスコート。
 束ねられた金色の髪もまた風に揺れる。
 アリス・フェアリィハート(不思議の国の天司神姫アリス・f01939)の眼の前に広がるのは、膨大な……それでいて野放図のような情報の数々であった。
 そう、これこそが未整理なる情報、プログラムである。
 これらを整理し、組み合わせることで帰還プログラムが生み出されるのだが、その手法は唯一つ。
 アリスが着替えたテニスウェアからも理解できるだろう。
「テニス、ですね……」
「その通りだ」
 テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』の言葉にアリスはラケットを構える。

 しっかりテニスウェアに着替えてきた所が彼女らしいといえば彼女らしいだろう。
「『宮本・武蔵』さん……よろしくお願いします」
「無論。だが、加減はできぬゆえ……」
「……はい」
 見据える。
『宮本・武蔵』のサーブは、それ自体が都市破壊級の大魔術である。
 一撃、否、一打放たれるたびに吹き荒れる力の奔流が風を巻き起こし、アリスを吹き飛ばさんとするほどであった。
 けれど、彼女も負けてはいられない。
 その瞳にユーベルコードの輝きを宿し、アリスはスノードロップの花を金色の髪に咲かせながら、全てを凍らせる寒波と氷結現象でもってラケットを強化し、『宮本・武蔵』の放った都市破壊級のサーブの一打をなんとかラケットに当てたのだ。
 
 だが、重い。
「……!」
 尋常ではないサーブの重さだ。
 これ、本当にテニス!? と思わないでもないが、まごうことなきテニスである。ラリーを続けることでプログラムが整理されていく。
 つまり、帰還プログラムを完成させるためには多くラリーを行わねばならぬということ。
 故にアリスは、その手に力を込める。
「これが私の全力です……!」
 ユーベルコードによって強化されたラケットと己の体躯。
 それによって振り絞られた一打が『宮本・武蔵』のコートへと飛ぶ。
 炸裂するスマッシュ。
 大地を凍てつかせるほどの氷雪を纏うアリスの一打は、しかし『宮本・武蔵』によって打ち返される。

「幼子と見ていたが、やる!」
「ありがとう、ございます……! でも、まだ!」
「その意気や良し!」
 互いのスマッシュの応酬。
 それは凄まじき氷雪と風を生み出し、テニスコートを包みこんでいく。だが、アリスは履き違えていない。
 これはテニス。
 あくまでテニス。
『宮本・武蔵』を痛めつけるのが目的ではないのだ。
「善きスマッシュだ。これならば!」
 放たれる都市破壊級魔術の一打。これをアリスはなんとか打ち返す。
 さらに返された弾をアリスは見据える。

「はい、これは……貴方とのテニス、ですから……!」
 散る汗。
 それはキラキラと輝き、スポーツの清々しさをもたらしながら組み上げられたプログラムは更に整理されていく。
 混沌の如きプログラムであっても、こうして編み上げられていく。
 その実感をラリーにて覚えながらアリスは爽やかな汗を散らせ、笑むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

おっけおっけ、全力でテニヌもといテニスすりゃいいのね。
調息し|体感時間を引き伸ばす《瞬間思考力、戦闘演算》ほどの深い集中力で自身の|才能《パフォーマンス、高性能を駆使する》を|最大限に引き出す《リミッター解除、限界突破》|神憑り《降霊》……いわゆるゾーンに入るわ。
|イレギュラーバウンド《化術》しやすいショットで翻弄したいけど、普通に対処してきそうねぇ。
ってボールが分裂したやっぱテニヌじゃん、でも鉄壁の|防御技術《継戦能力》で一球たりとものがさない……つもりではある心構えだけは



 状況は理解している。
 そう、帰還プログラムを組み上げるために必要なのはテニス。
 なんで?
 いや、本当になんで?
 誰もがそう思ったかも知れない。
 だが、テニスとは大儀式魔術なのである。少なくともアスリートアースではそうなのだ。
「おっけおっけ。全力でテニヌもといテニスすりゃいいのね」
 今、ヌって言った?
「テニスでしょ。わかっているってば」
 アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の混沌魔術師艶魔少女・f05202)は言ってない言ってないと手を降る。

「然り。テニスとはボールに籠めた魔力を打ち返し続け、増幅し続ける力を持って織りなす儀式。我がテニスに生み出せぬプログラムなどなし!」
「その自信の凄さは理解しているつもりだけど、改めて言われると何言ってるのか全然わからないわね」
 アリスはちょっと冷静になった。
 いやまあ、わからんでもない。
 魔力籠められしボールが描く軌跡は0と1。
 つまり、プログラムの基礎とも言える。その応酬でもって進んでいくのだから、まあ、魔術もプログラムって言えばプログラムの一種なのかもしれない。

 果たしてそうなのか? と冷静な頭の部分が首を傾げているような気がしないでもないが、今はそれどころではない。
 見た目はテニス。 
 だが、その実、放たれるのは都市破壊級の一打なのだ。
「ふぅー……」
 アリスは息を吐き出し、整える。
 迫る一打は強烈無比。
 はっきり言ってテニスの枠組みをとっくに越えているものである。
 瞬間思考、戦闘演算。
 そして、己の才能、パフォーマンス、駆体の性能を引き出し駆使するための予備動作。
 最大限のパフォーマンスを引き出すには、いつだって完璧なる体の駆動が求められる。
 即ち、それはゾーンとも呼ばれる領域に到達する極限の集中状態。
 故に神憑り。

 アリスは目を見開く。
「今よ」
 見開かれた瞳が捉えたボールを打ち返す。
 イレギュラーバウンドしやすい横回転を加えたスマッシュ。
 だが、アリスは、その一打すらも『宮本・武蔵』の『二天一流』はさばくだろうと理解していた。いや、『二天一流』ってそういうものだっけ? と流れる思考の中でアリスは思ったが、ちょっと今それどころではない。
 横っ飛びのボールに苦も無く追いついた『宮本・武蔵』のスマッシュがアリスを再び襲う。
「甘い! その程度ではなかろう!」
「ええ、そうね! だからこそ……って、ボール分裂してるじゃないの! やっぱテニヌじゃないの!」
 そう、眼の前でボールが分裂してアリスに襲いかかっているのだ。

「でも、わたしだってね?」
 ユーベルコードに輝く瞳。
 アリスは全ての分裂したボールを一気に見定める。
 まるでマルチロック。
 瞬時に思考が走り、如何にして動き、如何にしてラケットを振れば、全てのぼーるが打ち返せるのかを理解する。
「アリスと遊びましょ♡(アリストアソビマショ)」
 極限の集中。
 それによってアリスが振るうラケット捌きは、まるで千手観音のごとく。
「腕が千本……だと!」
「そう見えてるだけだってば!」
 アリスは凄まじい速度でラケットを振り、分裂したボールの悉くを打ち返し、『宮本・武蔵』とのすさまじいラリーを余すことなく繰り広げるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルナ・キャロット
な、なんでテニス……?とは聞いちゃだめな空気ですね

よろしくお願いします武蔵様!
教祖様もみててくださいねー!がんばりますからね!

ネタにできない強者オーラを感じますが!私も双剣スタイルは得意なのです!勝つつもりでいきますよ!
リアルでゲーミングなドリンクものんで集中して…いざ!

やることはパリィです!ひたすらジャストパリィで返しますラリーします!
パリィさえできればどんな最強攻撃も無敵で返せるんですよ!多分
ミスったら死にそうです全集中です。
跳弾させまくって武蔵様でも見たことないような威力を目指しましょう

集中しすぎて鼻血とかいろいろでそうですがー!私の勇姿を見てくれてますか教祖様!



「な、なんでテニス……?」
 ルナ・キャロット(†月光の聖剣士†・f41791)は驚愕した。
 事情を知らぬのならば致し方のない反応であったことだろう。誰もルナを責めることはできない。
 普通大抵のものたちは、いきなり帰還プログラムを組み上げるために始まるテニスに困惑するものである。
「とは聞いちゃダメな空気ですね。よろしくお願いします、武蔵様!」
 だが、ルナは空気も読めるゲームプレイヤーであった。
 自分が疑問に思ったからって全部口に出していい訳では無い、ということはすでにオンラインゲームの所作として習得済みなのである。
 わからないことがあれば、自分で調べる。
 それがルナには徹底されていたのだ。
 故に彼女は躊躇うことなく、謎の大魔術詠唱儀式テニスへと踏み込むのだ。

「意気やよし!」
「教祖様もみててくださいねー! がんばりますからね!」
 手をフリフリしている『黒教の教祖』は、システム・フラワーズを全開放して、野放図なプログラムを放出し続けている。
 それをテニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』はテニスのラリーを続けることで整理し、組み上げていくのだ。
 なるほど、とルナは理解する。
 要はテニスのラリーを続けることで混沌の如きプログラムを編み上げているのだ。
 これがテニス!
 絶対自分の知ってるテニスと違うけど!

 でも、とルナは思う。
『宮本・武蔵』の纏う強者オーラは本物である。
 なんかネタにできない。
 笑い話にできな真剣な空気がでているのだ。
 故にルナはリアルでゲーミングカラーの謎のドリンクをぐいっと一発飲み干す。
 本気も本気モードである。
 集中!
「いざ!」
「受けよ、二天一流「ホーミングファントム」!」
 放たれるは無数のテニスボール。 
 それは散弾銃の如き……いや、本当にボールが分裂しているのだ。

「やることはパリィです! ……って、その数なんです!?」
 どれもが実体を持ったボールである。
 正直に行って手に負えるものではない。だが、ルナは諦めなかった。
 どんなゲームにも難易度というものがある。高難易度を越えた廃人難易度だって。
 なら、自分はどうする?
 そう、ルナは諦めないことをするのだ。
 あの日、レアドロするまでずっとひたすら周回し続けた自分。
 あの日、レアエネミーをひたすら求めて駆りまくった自分。
 あの日、SSR装備が排出されるまでトリリオンが尽きるまでガチャした自分。

 そんな自分に恥じぬためには!
「周回廃人モード(ハイジンモード)! ひたすらジャストパリィ!」
 それは凄まじいまでの速度。
 そして何より反応速度であった。
 爆発的に向上したスピードは分裂したボールに即座に飛びつきルナは双剣を振るう。
 刀身の腹でボールを受け止め、打ち返す。
 更に別のボールに飛びつき打ち返す!
「……見事! 全てのボールを打ち返すばかりか、空間自体に跳弾させるとは!」
「これがジャストパリィのちからです! どんな最強攻撃もパリィさえできれば!」
 ルナは自分の鼻から血の匂いがするのを感じただろう。
 だが、構わない。
 自分の勇姿を見てくれているものがいるのだ。
「見ててくださいね、私の勇姿! 教祖様!」
 推しにチヤホヤされたい! その一念が天井突破したルナの承認欲求は、二天一流のテニスすらも凌駕するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイ・ノルマレイス
これちゃんと「テニス」をしないとまずいやつですよねー?
よーし、いくですー(ぶんぶん)
とにかくボールを打ちかえ……そのままじゃどう考えても勝てないですよー

えーとえーと……何か使えそうな|情報《データ》は……
これといって特にないですー!こうなったら……もう短期決戦ですー!【黒喰受浸】ですー!
ラケットを『黒蝕の欠落』で一時的に呑み込んで能力三倍ですー!
さらに!飛んできた魔力球だって……物体を『黒蝕の欠落』で「触れた」んだったら…そっちも侵食・融合してお返しするですー!物体扱いされなくても『黒蝕の欠落』がちょっと吹っ飛ばされるだけですむですー!

つよさ:ややよわいのNPCの意地を見せてやるですー!



 アイ・ノルマレイス(知らない記憶、胸に空いた奈落・f41788)はテニスのなんたるかを知っている。
 そう、テニス。
 それは大魔術詠唱儀式である。
 魔力を籠めたボールを打ち返し続けることでもって、その総量は膨れ上がっていく。
 魔力はボールに質量となって籠もり、その重さをましていく。
 打ち返すことができなくなれば、それは魔力の爆発を伴うだろう。
 故に、あまりにも危険。
 超人アスリートたちでなければ挑むことすらできぬ魔境。
 それがテニスコートなのだ!

「よーし、いくですー」
 ぶんぶんとラケットをアイは振るってテニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』と相対する。
 すでに猟兵達とのラリーによってボールに籠められた魔力は膨大な物となっている。
 そればかりではない。
 このテニスコートに満ち溢れる『システム・フラワーズ』より放出した野放図の如き膨大なプログラムが整理され始めているのだ。
 そう、帰還プログラムを作り上げるのに、このテニスのラリーは途絶えせてはならない。
 だが、手を抜くこともできない。
 帰還プログラムを作るのは、繊細でありながら大胆な手法が必要なのだ。
 故に、炸裂するは二天一流「燕返し殺し」!
「我が魔球を受け止められるか!」
「とにかく打ちかえ……」
 迫る剛速球。
 なんかこう、ここが海面であったのならば、海をぶった切るかのような強烈なサーブ。
 その凄まじさは言うまでもない。

 アイは思った。
 これ、このままじゃどう考えても勝てないやつである、と。
 アイは自分の中にある使えそうな|情報《データ》をひっくり返す。
 あれでもない、これでもない。
 しっちゃかめっちゃかであったが、これといって特にない。そう、あるわけがないのである。
 だが、アイの瞳はユーベルコードに輝く。
 自分にできることは多くはない。
「こうなったら……!」
 黒喰受浸(バプテスマ)。
 それは己の手にしたラケットを侵食し、ラケットの性能を三倍に引き上げるユーベルコード。
 そう、あの豪速球にラケットが振れてもあまりの重さに砕けてしまうだけだ。
 なら、ラケット自体を強化すればいいのだ。
「あたった、ですー!」
 だが、ミシミシと嫌な音をラケットが立てている。
 嫌な汗が流れる。
 だが、アイの瞳はユーベルコードに輝き続けている。そう、ラケットを飲み込んだのが己の『黒蝕の欠落』だというのならば。
 ラケットもまたすでに延長線上。
 ボールに籠められた魔力を食らったアイの膂力は、さらに倍増で底上げされていく。

「お返しするですー!」
「これを返すか。なんという……!」
「ややよわいNPCの意地ですー!」
 炸裂する必殺レシーヴ。
 回転と重さ。 
 それを両立したアイのいち撃破テニスコートを穿ちながら強烈なる返球として『宮本・武蔵』へと叩き返されるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

白山・仁瑚
アドリブ連携可
ケーキマジおいしかったけど食べすぎぴえん…(へんなポーズをとりつつ)
でもあーしもだらけちゃあいられないよね?
対戦よろしくでーす!(ラケットを取りコートの中へ)

普通なら武蔵さんの|テニスボール《都市破壊級魔術》受けられんけど、いまのあーしは一味違う!身体能力とかが色々ダンチ!
さっきの構えは…そう、UC発動の上に必要な動作!決してぽんぽこフルをどうにかするだけじゃなかったんよ!

あと今回はたぶんテニスのラリーをひたすら続けて魔術編むのが一番大事なんなんだろうけどー?
…取っちゃっていい?勝利って奴!
相手のスキを突いてスマッシュ決めちゃる!
いくぜー!


あと終わったら一枚とらせてちょーだい!



 ケーキバイキングは罪の味である。
 甘さとは即ち、カロリー。
 カロリーとは乙女の大敵。
 そう、食べたら食べただけエネルギーが生み出される。消費されぬエネルギーはどうなるのか。
 言うまでもない。
 つくのである。
 何がってそれを乙女に言わせるのは酷なので、あえて此処で言わせていただこう。
 贅の肉である!!

「ぴえん」
 白山・仁瑚(今をきらめくフォトグラファー!・f42936)は思わず呟いていた。
 がっくりというよりは、頬に青筋が立つようであった。
 明らかに調子こいて食べすぎたって顔であった。
 いや、ケーキはおいしかったのだ。これはマのガチである。
 しかしながら美味しいということは、カロリーということなのである。『黒教の教祖』とのケーキバイキングが楽しすぎたのがいけなかった。
 テンションがテンアゲでパクパクいってしまったのだ。
 がっくりしすぎて前衛的なポーズを取っていたが、それはあれだろうか、エクササイズ的なやつだろうか?

 確かにカロリーの取りすぎで落ち込むのも無理なからぬことである。 
 立ち直れないのもまあ、仕方ない。
 けれど!
「あーしだけ、へこんでなんかいられないよね? 対戦よろでーす!」
 ラケットを取って仁瑚はテニスコートに踏み出すも、そこは魔球飛び交う魔境であった。
 おおよそテニスコートという概念を履き違えたようなユーベルコード煌き、人外魔境であった。

 それこそ、ぴえんな状況である。
 何せ、テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』のサーブは都市破壊級なのである。
 普通のJKに受け止められるわけがない。
 そう、普通の、ならば!
「今のあーしは一味違う!」
 そう、エクササイズと思われていた変なポーズ。それは彼女のオリジナル・スタイル!
 独自の構えと呼吸法によって彼女は身体能力を向上させていたのだ。
 あえて言おう、ダンチであると!
「あえて言わせてもらうと、決してぼんぽこフルをどうにかするだけじゃなかったんよ!」
「よくわからぬが、相手にとって不足なし。だが、言わせてもらおう。我が魔球を受けられるか!」
 放たれる豪速球。

 二天一流。
 それは『宮本・武蔵』が到達したテニスの極地。
 二刀流ラケットから繰り出される弾丸みたいな速度のテニスボールが仁瑚を襲う。
 だが、彼女は有り余る身体能力をもって己がお腹に溜め込んだカロリーを燃焼させて、これを打ち返すのだ。
 あれだけの剛速球に対応できるという時点で驚きであったが、ラリーによって増大した魔力による質量変化を得たボールすら彼女は打ち返したのだ。
 女性の腕力ではない。
「……取っちゃっていい? 勝利ってやつ!」
「できるものならば」
「よーし、ならスマッシュ決めちゃる!」
 返球にも即座に仁瑚は対応して宙へと飛び立つ。
 反り返った彼女の体はバネのように強烈なる反動を得てラケットに伝導させる。
 伝わった力は、彼女のカロリーを……しつこいようだが凄まじい速度で燃焼させ、火の玉スマッシュとなって叩き込まれる。

 そして、最後に彼女は言うのだ。
 これが一番大事!
「あと終わったら一枚撮らせてちょーだい!」
「無論、いいとも!」
 二人のラリーは苛烈なる熱量でもって白熱していくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

|練乳バイキング《餌付け》の次はテニスですか。
っていうか、武蔵さん帰りたくないって言ってましたっけ?

なんか相手がいないから、ここでテニスしたいだけなんじゃ……?
あ、いや。テニスが嫌ってわけじゃないんですけどね?

なんかこう、駄々こねたら言うこと聞いてもらえるって、
教祖さまが前例作っちゃった感がですね?

とりあえずわたしはお昼寝……えっ!?カロリー!?
世界なんてどーでもいいです!わたしがあるべき姿にならないと!

武蔵さんも二ラケット流なんですし、
こっちはステラさんとのダブルスでもいいですよね♪

あ、わたしラケットじゃなくて【ルジェッリ】で打ちますね。
ステラさん、フォローはお願いしまーす!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
ふむ、テニス
今更ながらですが、アスアスとキマフューの親和性は何なのでしょう?
でもテニス=大魔術儀式と言われたら納得せざるを得ないパワーも確かに感じます
そういえばテニスの戦術もボールタッチや狙いも緻密ですものね

ともあれルクス様元気になってきたルクス様
そのまま寝ると女の子的に大変なことになります
ここはひとつ、腹ごしらえ……じゃなかったカロリーを消費する行動を!
世界があるべき姿に戻るにはテニスが必要です
ですからルクス様の実力……楽器ナンデ!!
壊れても知りませんからね!!

ラケットの扱いは心得がありませんが
二刀流なら私も使い手の端くれ
【スクロペトゥム・フォルマ】にてお相手しましょう!



「|練乳バイキング《餌付け》の次はテニスですか」
「ふむ、テニス」
「知っているんですか、ステラさん!」
「ええ、大魔術詠唱儀式。それがテニスです。ラリーすることで増大するボールの魔力。その膨大な魔力の重さに耐えながらボールを打ち返し続けるのです。それによって魔術儀式となって、ボールの一打は都市をも破壊しうるのです」
「ちょっと意味分かんないです」
「ですが、テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』様を見ていれば、納得せざるを得ないパワーを感じませんか?」
「確かに」
 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)とステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は、猟兵とラリーを続けている『宮本・武蔵』を見て納得する。
 刀はテニスラケットに。
 二天一流はテニスと融合して極地へと至っているのだ。
『システム・フラワーズ』から放出され続ける野放図の如き膨大なプログラムも儀式と言い換えれば、テニスで操れぬことはない。
 それを証明するように、彼の二天一流は次々とプログラム整理し組み上げていくのだ。

 そのためにはこのテニスのラリーが必要不可欠。
 結構ラリーが続いているが、まだ足りない。
「でも、なんていうか。なんか相手がいないから、ここでテニスしたいだけなんじゃ……?」
「そうとも言えるがな。テニスとは結局一人ではできぬスポーツ故。そして、力量伯仲でなくては面白くはない」
『宮本・武蔵』は額に汗しながら、その飛散る汗の爽やかさ故に、その言葉を流してしまいそうになる。
「なんあこう駄々こねたら言う事聞いてもらえるって、教祖さまが前例作っちゃった感がですね?」
 どうにも乗せられているような気分になってしまうのだとルクスは頷く。
 というかちょっと眠い。
 お腹いっぱいに糖分を取ったので当然である。
 血糖値爆上がりどころではないレベルでルクスは眠気に襲われていたのだ。

「後はステラさんにお任せしますー」
「ダメですよ、ルクス様。そのままに寝ると女の子的に大変なことになります」
「なんでですかー?」
「カロリー、お忘れですか?」
 ピクっとルクスは反応する。そう、ケーキバイキング。それによって今日のルクスの摂取カロリーは恐ろしいことになっていた。
 このまま寝るのは最高に気持ちよかろうが、明日の自分が大変なことになるのは目に見えている。いや、確実に後悔する。
 海よりも深い絶望に叩き落されることは間違いないのだ。
 故にステラは止めたのだ。
 同じ女性として。
「世界があるべき姿に戻るにはテニスが必要です。ですから……」
「世界なんてどーでもいいです! わたしがあるべき姿にならないと!」

 ラケットの代わりに構えたのはヴァイオリンであった。
 なんで?
「楽器ナンデ!?」
「ラケット代わりです」
「そんな理屈が通るとお思いですか!?」
「構わぬ」
 うん、と『宮本・武蔵』は頷く。
「ラケットが刀になったようなものですよ!?」
「打ち返せるのならば、その手に馴染むもののほうが良かろう。そこな勇者も、力を十全に発揮できるはず」
「あーもー!」
 ステラは頭を抱えた。
 どうして自分の周りには、こうもマイペースな人しかいないのか。いや、ステラも大概である。

「壊れても知りませんからね!!」
 とは言えステラも二刀流ならぬ、二丁拳銃の使い手。
 ラケットを二本持っている所で大概である。もう一度言う。大概である。
「それでは、腹ごなしと参りましょう」
「はい! 今日のカロリーは今日のうちに!」
 すっかり目的がすり替わっているが、まあ、乙女のピンチなのだ。
 こればかりは仕方ない。
 白熱するテニスで体中のカロリーを絞り出すようにルクスは、キラキラと散る汗とともに大量に摂取した練乳カロリーを必死に消費するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御形・菘
お主の真剣なプレイは、あらゆる者をまるで魔法のように興奮させ感動させるのだろう
だからその意味で、お主は最高の魔術師なのは間違いない!
はっはっは、そして妾も感動の求道者だ、一手お相手願おう!

そして! このバトルを皆が見逃すことなど許しはせん!
右手を上げ、指を鳴らし、スクリーン! カモン!
はーっはっはっは! さあ観客の諸君よ、妾にも、そして最強のサムライにもありったけの応援を頼むぞ!

ぶっちゃけ妾はそこまでテニスは得意ではない!
が、妾は本番で輝く邪神! 今この瞬間、最高のプレーができる!
都市を破壊できる程度のパワーの球など、いくらでも返してくれよう
妾は惑星すらも破壊するスマッシュを叩き込む!



 テニスコートに乱舞するのは膨大なプログラムと魔球の応酬であった。
 凄まじい剛速球。 
 それらを全て打ち返し続けるのはテニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』と猟兵達である。
 その光景はカメラを通して見ても、素人目に見ても驚天動地であると言わざるを得ない。
 これは帰還プログラムを組み上げるために必要な大魔術詠唱儀式だ。
 だが、テニスでもある。
 ちょーっとキマイラフューチャーにて知られているテニスとは、桁が違うというか、規模が違うというか、根底から間違っているように思えたかも知れないが、キマイラフューチャーの住人、キマイラたちにとっては関係のないことであった。
 彼らにとって重要なのは映えること。
 そして、以下に面白いかである。

 はっきり言って、『宮本・武蔵』と猟兵たちのテニス動画は大バズしている。
「なるほどな。真剣なプレイは、あらゆる者をまるで魔法のように興奮させ感動させるのだな」
 御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は深く頷く。
『宮本・武蔵』は確かにすごい。
 魔術師であるということに違いはないのだろう。
 感動さえする。
 だからこそ、菘は己の心に打ち震える衝動を隠そうともしなかった。
「はっはっは、妾も感動の求道者! 一手お相手願おう!」
 我慢なんてできない。

 魔球吹き荒れるテニスコートへと菘は飛び込む。
 巨腕、怪腕、剛腕とも称される右手を掲げ、指を鳴らした瞬間、スクリーンが空中に出現する。
「喝采よ、妾に降り注げ(エール・スクリーンズ)、お主にも見えるであろう、聞こえるであろう?」
 響き渡るのは生配信視聴者からのコメントと、その顔である。
 そう、菘のユーベルコードである。
「願ってもないことよ。来るがいい」
「はーっはっはっは! よかろう! ならば、観客の諸君よ! 妾にも、そして最強のサムライにもありったけの応援を頼むぞ!」
 その言葉と共に菘は豪速球魔球を打ち返す。

 即座に返球が飛んでくる。
 なんとも気が抜けぬ試合運びである。
 まあ、そもそも菘はテニスが得意ではない。はっきり言って、練習でもあんまりであった。力量差ははっきりしている。
 だが!
 菘は本番で輝く邪神である。
 やるときゃやる邪神なのである。かっこ自称、という言葉が後ろか前につくが、そんなこと関係ない。
 できるかできないかではない。
 やるのだ!
「彼らが見ている。今、この瞬間こそが最高なのだ! 故に!」
 迫る都市を破壊するかのような魔力の塊。
 そのボールを菘は打ち返す。

「お主が都市破壊級ならば! 妾は!」
 跳ね上がったボールを捉えるラケット。
 輝くは、その巨腕の力の発露。
「惑星すらも破壊するスマッシュよ!!」
 炸裂する必殺スマッシュ!
 モニターのコメント欄が花吹雪のように流れ、菘は己の渾身を込めて『宮本・武蔵』とのラリーを盛り上げるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

●お口まわり拭き拭き
いやー機嫌が直ってくれてよかった!
ボクもがんばって接待した甲斐があった!

●こういうこと言うとフラグが立つんだけれど言わずにはいられない
それじゃお腹ごなしに相手になってあげるよ!
超威力のスマッシュだって!じゃあこっちは手数で対抗だー!
【第六感】で感じた最高のミートタイミングでUC『神パンチ』による無限スマッシュ返し!
0秒で放たれる無限発のスマッシュ…キミに返すことができるかな!!
ドーーーンッ!!

●いいかい教祖
『コンコンコン』は実は一部持ち帰れる!
再現もできる!そうUCを使えばね!
『コンコンコン』実現を目指してがんばる
それがキミのあるべき姿じゃないか!



 ケーキバイキングは大変けっこうなお点前であった。
 いや、コンコンコンするだけで食事ができるというのは素晴らしいことだった。
 他の世界にもコンコンコンが実装されないかしらとロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は口元を拭いながら思う。
「いやー機嫌がなおってくれてよかった! ボクもがんばって接待した甲斐があった!」
 いや、ひたすらに食ってただけである。
 バカスカ食べていただけである。
 別に何かしたわけではない。
 けれど、ロニは働いた働いたと言わんばかりに息を吐き出している。

 そして今は激闘繰り広げられているテニスコートを見やる。
「なんで彼らってあんなことしてるんだっけ?」
 はてな。
 ロニは首を傾げる。
 食べ終わった後の腹ごなし? いや、こういう時はすぐにゴロンと寝っ転がって惰眠をむさぼるのが最高に気持ちいいものである。
 だが、炸裂する魔球剛速球スマッシュ、レシーヴの応酬を見ていると体がムズムズしてくるのもまた事実である。
「こういう事言うとフラグが立つんだけれど、言わずにはいられないから言うね! それじゃ、お腹ごなしに相手になってあげるよ!」
「望むところ」
 テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』は笑む。

 猟兵たちのとのラリーでもってテニスボールには膨大な魔力が蓄積されている。
 一打一打が凄まじい重さ、質量になっているのだ。
 打ち返すだけでも相当な体力を消費されることだろう。
「故に、この一打、受け止められるか!」
 放たれるは 二天一流「燕返し殺し」!
 その一打、二本のラケットより繰り出される必殺の一撃!
 テニスなのに必殺ってなんだって思わないでもない。
 だが、ロニは笑む。
「そっちが超威力のスマッシュだっていうんなら、こっちは手数で対抗だー!」
 ジャストミートなタイミングで拳を振るう。
 ラケット?
 そんなもんいらないのである。
 0秒で打ち込まれる拳。
 それは無限の如き殴打。如何に質量増すボールであろうとも、無限に叩き込まれる拳を前には、打化されるさだめなのだ。

 いわゆる、秘剣燕返し返しインフィニティ1!
 ちょっと何を言っているのかわからないが、そういうことである!「
「ド――ンっ!!」
 炸裂し、打ち返されるボール。
 だが、それを『宮本・武蔵』は打ち返すのだ。
「なんの! 燕返し殺しが破られても、さらにそれを上回ればよいこと」
「いいね、そういうの!」
 ラリーの応酬は人外魔境のようだった。
 荒れ狂うラリー。
 帰還プログラムはさらに組み上がっていく。これで帰還プログラムが編み込まれていくのだ。
 その光景を見てロニは『黒教の教祖』へとサムズアップして見せるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
やっと帰る準備が始まる段階までこれたか…
今回、ワガママ教祖の接待しかしてなくない!?
反省しろよ!ネット弁慶黒教の教祖!!
なんだよ黒教って!
ちょっとアレだぞ、見た目がアレだからってアレな名前付けるとセンシティブなアレなんだぞ!!
反省しろ!!

えーっと、テニス!
そうテニス!テニスをしなくちゃいけない
テニスのさあ、ポイントの数え方
本当に非合理的だと思うんだよね
まあ此処で文句言っても仕方ないけど
【Duplicate Myself】起動
一人じゃプロ?相手は辛いからね
シングルス対ダブルスにさせて貰うよ
分身は後衛!
私は前衛!
ロブで後ろまで走らせて、返ってきた弾をネットギリギリに落としていこう!



 やっとこさ、である。
 帰還プログラムは『システム・フラワーズ』を完全起動させたことによって放たれた膨大なプログラムを組み合わせることによって作り上げられる。
 言葉にすれば簡単なことだった。
 だが、放出されるプログラムは膨大にして野放図。
 正しく混沌の如き量であったのだ。
 これを正確に処理し、帰還プログラムを編み上げるのは至難の業。
 だが、これを可能にするものが一人だけいる。
 そう、テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』である。

「やっと帰る準備まで来れたか……今回さぁ、ワガママ教祖の接待しかしてなくない!?」
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は思い返してみてそう思った。
『黒教の教祖』が帰りたくないと駄々をこねて、押さえつけたら今度はケーキバイキングである。
 いや、玲はコンコンコンしまくってクッキーをひたすら出していただけである。
「反省しろよ! ネット弁慶『黒教の教祖』!!」
「ね、ネット弁慶……!?」
「そうだよ! それになんだよ黒教って! ちょっとアレだぞ、見た目がアレだからってアレな名前つけるとセンシティヴなアレなんだぞ!!」
「い、いいじゃないですか! このアバターは欲望の発露に最適なんですう! と言うか、ネット弁慶なんて、そんな侮辱初めてなんですけどお!!」
『黒教の教祖』は、憤慨していた。
 いや、それ以上に玲も憤慨していた。
 サクッと帰るって言えば、サクッと終わっていたことなのだ。

 しかも、最後にテニスである。
「反省しろ!!」
「絶対しません!!」
 互いは平行線上に立っている。
 水と油である。
 でもまあ、これが猟兵の仕事だってんなら、テニスをするのもやぶさかではないのが玲の良いところであった。
「えーとテニス! そうテニス! テニスをしなくちゃいけない」
「ネット弁慶は取り消してもらえます!?」
「テニスのさあ、ポイントの数え方本当に非合理的だと思うんだよね」
 わかる。
 なんだよ、15、30、40って。
 まだ15、30まではわかる。1ポイントが15ね。じゃあ、2ポイント目で30。うん、倍だからね。まだわかる。理解できる法則性である。
 なら、3ポイント目は45でしょうが! もしくは、60でもいい! なんで40!?

「諸説あるが、六分儀が由来とも言われている」
『宮本・武蔵』がラリーしながら告げる。
「じゃあ、余計に40が異質でしょうが!」 
 玲は己の思いの丈をラケットにした模造神器で叩き返す。だが、流石に相手は『宮本・武蔵』である。
 分が悪い。
 玲はテニスプレイヤーではない。プロにアマチュアは勝てねェのである。だって習ってないからね。
 ならどうする?

「人格エミュレイト……分身生成開始、Duplicate Myself(デュプリケイト・マイセルフ)!」
 そう、増やしちまえばいいのである!
 分身を召喚した玲はダブルスでもって『宮本・武蔵』に相対するのである。
「後衛よろしくね!」
「私、前衛よろしく! 卑怯とは言わないよね! だってダブルスもシングルスもテニスだもんね!」
 とんでもない論調である。
 だがしかし、『宮本・武蔵』は不敵に笑む。
「論ずるに値せず。これはテニス。ならばこそ、一対二であろうと不足なし!」
 繰り広げられるラリー。
 ギリギリも届かぬと思える距離も、全て拾い上げながら『宮本・武蔵』と玲は凄まじい超人テニスを繰り広げるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カタリナ・ヴィッカース
●SPD
【蛇と少年】

シデンさんのお陰で教祖様もGGOへ御帰還なされる決意をされましたし、これでクエスト達成条件1は完了となりました
残るクエスト達成条件2…システム・フラワーズ稼働によって溢れ出す無秩序な超プログラムを宮本・武蔵さんのご協力の元で組み直すテニス勝負です
クエストクリア出来ましたら、この|同人誌《データ》はお返ししますのでご安心を♪

その前に…えいっ
クエスト管理者権限でシデンさんの双剣グラフィックをテニスラケットに置き換えました
同じ二刀流使い同士、思う存分プレイしちゃってください

私は後方コーチ面をしながら応援に徹しますが、危ないと感じましたら『魔弾の射手』による難易度下方修正をしますね


明和・那樹
●SPD
【蛇と少年】

(喋らされる前に助け舟を出して貰えて助かった…)
兎も角、黒教の教祖の気が変わる前にこのプログラムコードを修正しなければならないけど…なんでテニスなの?
…テニスって一体…

考えても仕方ない
二振一具の刀をラケットに変えられても、素人と達人の差はそう簡単に埋められやしない
ノーバウンドやツーバウンドで打ち返す失点しないよう心がけながら基本に忠実のプレイを続けるけど…何れ勝負が来る

|クエスト主《カタリナ》も|手心《サポート》で無数のテニスボールが減速したら…こちらも勝負だ
『ソード・ミラージュ』が作り出した残像分身、『ミレナリオ・リフレクション』で真似た球を3倍の運動エネルギーでお返しだ



「いやぁ、よかったです。おかげさまで教祖様もゴッドゲームオンランへ御帰還なされる決意をされましたし、これでクエスト達成条件1は完了となりました」
 カタリナ・ヴィッカース(新人PL狩り黒教ダンジョンマスター・f42043)はよかったよかったと満面の笑みである。
 此処だけ見たら普通のギルド組合員である。
 気の良いご近所のお姉さんである。癖が壊されそうである。
 明和・那樹(閃光のシデン・f41777)は、じゃあ、とカタリナが所有しているナマモノ同人誌のデータの削除を求めたが、カタリナは頭を振る。
「まだですよ。クエスト達成条件1って言ったじゃあないですか。もう一つ達成条件があるのをお忘れですか?」
 にっこりしている。
「わかってるよ。『システム・フラワーズ』からでてるプログラムコードの修正の協力だろう? でもさ、俺はこんなのちょっと無理だって思うんだけど」
 那樹が見るのは『黒教の教祖』が完全開放した『システム・フラワーズ』から放出され続けている野放図のプログラムである。

 はっきり言って混沌めいた膨大な量である。
 これを組み上げろと?
「ええ、わかっております。ですから、テニス・フォーミュラさんのご協力の元で組み直すテニス勝負です」
「なんで?」
「なんででもです」
「……テニスって一体……」
 那樹にとってテニスとはスポーツである。
 だが、アスリートアースでは違う。
 アスリートアースにおいてテニスとは大魔術詠唱儀式である。
 何を言っているのかわからないと思うが、やらねばナマモノ同人誌のデータは削除されないのである。
 とんでもない置き土産である。

「ご安心ください。クエストクリアできましたら、このデータはお返ししますからご安心を♪」
 じゃあ、カタリナがやればいいのに、と那樹は思った。
 ご近所お姉さんのテニスウェアとか、そういうのは役目でしょ!
「考えても仕方ない」
「あ、ちょっとお待ちを。えいっ♪」
 びびびっとなんか出されたと思ったら那樹の双剣がテニスラケットに変わっている。
「ちょ、何してんだよ!」
「いえ、ちょいちょいとグラフィックをいじっただけです。同じ二刀流使い同士、思う存分どうぞ」
 ニコニコしている。
 普通、こういうのはお姉さんが優しく手取り足取り腰取り教えてくれるもんでしょう。
 那樹は特にそんなこと思っていなかったが、外野はそう思っていたかもしれない。
 そういうのがお約束のハズである。

 だが、カタリナは後方コーチ面している。
「なんでそんな自分が育てました顔できるんだよ……まあ、いいけど」
「来るか、童」
『宮本・武蔵』はラリーを続けながら笑む。
 年齢差など関係ない。
 やるべきことは唯一つ。
「もちろん。こっちだって伊達に『閃光』の、なんて名乗ってないんだ」
 やれるさ、と那樹はラケットに置き換えた二刀流でもって放たれる魔球スマッシュに立ち向かう。
 無数に分裂するボール。
 それを前にして那樹のソード・ミラージュによって生み出された残像分身が一気に打ち返す。
「あ、それ」
 カタリナは後方からユーベルコードを発動する。
 場外戦術ならぬ、妨害行為というか、サポートである。
 サポーターも選手の内である。それはサッカーとかの話ではないだろうかと思ったが、まあ、いいのである。
 厳密なルールがなくても成り立つのが、テニスである!
 暴論がすぎるかもしれないが、そうなのである。
 カタリナが生み出したユーベルコードの魔法陣を通ったボールが一気に減速する。これならば、那樹にも全て捉える事ができる。
 分身たち共に那樹は必殺のクロススマッシュを叩き込み、凄まじいラリーの応酬は帰還プログラムを更に推し進めるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティルライト・ナハトギフト
ふー満足したわ
教祖様も機嫌直し……いえ、まだ不満が奥底に燻ってる?(汗)
早く事を為してしまいましょ

それにしても『システム・フラワーズ』とんでもないわね
この超人二人がふたりがかりで処理してなんとか届く範囲だなんて
作った人はどんな『てんさい』だったやら

まぁともかくテニスね
テニス?なんで??テニスでなんで魔術儀式をコントロールできるの??
……深く考えないほうがいいかあ……
感じる方が大事そう

手数を担当しましょう
ラリーが続いた方が良いのでしょう?
【ソニックブロウA】でボールのラリーに対応
別にラケットじゃなくてもルール守ってたら大丈夫でしょ
|フットワーク《AGI》には自信あるの
終わるまで付き合うわよ?



 ティルライト・ナハトギフト(ブルーゲイル/ゲッカビジン・f41944)はケーキバイキングを堪能して息を吐きだす。
 いささか食べすぎたかもしれない。
 ちょっとカロリーが気になるが、まあ、『黒教の教祖』が機嫌を直してくれたのでヨシとするべきところであろう。
「……」 
 だが、ティルライトは見てしまった。
『システム・フラワーズ』を起動した『黒教の教祖』の若干、不承不承っぽい顔を。
 あれはまだ不満が奥底に溜まっているようにも、くすぶっているようにも思えたのだ。
 なんていうか、底がない。
 まるで底なしの器のようであった。
 帰還プログラムの完成が遅れれば、また不満が噴出して駄々をこねられるかもしれない。
 そうなってしまったら、またケーキバイキングなのだろうか?
 いや、流石にお腹の許容量的にアウトな気がしてならない。

 とんでもない『システム・フラワーズ』の膨大な情報、プログラムは、未だに『宮本・武蔵』と『黒教の教祖』という二人の超人をしてもまだ全てを掌握しきれていないようだった。
 一体どれだけのプログラムが内包されているのだろうか。
「作った人はどんな『てんさい』だったのやら」
「それよりもテニスであろう?」
『宮本・武蔵』は猟兵たちとラリーを続けている。
「まあ、そうね。テニスね」
 うん、とティルライトは頷く。
 だが、ちょっとまって、とも思った。
 テニス? なんでテニス?
 自分の知っているテニスと違うのは彼らが超人だからであろうか? いや、それはいい。肉体的超人などもう今更である。

 だが、なんでプログラムとテニスが?
「テニスに操れぬ魔術なし!」
「余計にわからない! けど深く考えないほうがいいかあ……」
「その通り。体感せよ。肌の感覚で捉えるのが、最もよい。さあ、ラケットを取るがいい」
「そうだけど……」
 なんか釈然としない、と思いながらティルライトはラケットを手に取る。
 放たれるサーブをラケットで受け止める。

「……重ッ!?」
「然り。これまで猟兵たちと共にラリーを続けてきたボールだ。宿る魔力によって質量が増すのは必然」
「そんな必然ってある!?」
 だが、なんとか打ち返す。
 理屈で考えるなら、ラリーを続けた方がよいのだろう。
 何せ、未整理のプログラムを整理するのだから、ボールの軌跡が網目のようになってプログラムを編み上げていると考えるほうが納得できる。
 っていうか!
「ソニックブロウ!!」
 ユーベルコードを乗せないと打ち返せない。それほどまでにボールに増大した魔力が尋常ではないのだ。

「ほう、なかなか良い切り返しだ。だが、これは受けられるか!」
 放たれるは必殺スマッシュ。
 ボールが分裂してティルライトへと襲いかかる。
「もうルールなんてあってもないようなものでしょう、これは! けど!」
 彼女だってフットワークには自信があるのだ。
 己の領域にボールがあるのならば、即座に追いつき何度でも連続レシーヴを繰り出すことができるのだ。
「ボールが分裂するからなんだっていうのよ! 終わるまで付き合うわよ!」
 そう、『黒教の教祖』を無事に帰還させるまで、自分はこのラリーを続ける。
 その意志を宿してティルライトの瞳は輝き、渾身のスマッシュを叩き込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヌグエン・トラングタン
妻たちは「先に秋イベの用意しておくね!」と帰っていった。
俺様、ドロップ品に迷ってたからなぁ…。

で、元が魔術儀式なんだっけか?アスリートアースのテニスって。
…だからって、最後までこうなるとはなぁ…。
大魔術儀式(テニス)関連がほぼ全部今年中ってどういうことだ。

だが、必要ならやるしかねぇだろ!(GMゆえの生真面目さ)
無数のテニスボールだってなぁ、この鉄壁の前で通すわけねぇだろ!
で、打ち返す時に、さりげなくプログラミングに徹甲攻撃加えて、整理の手伝いってな。
いらんところ消すなら、徹甲攻撃プログラミングがいいと思ってな?



 NPCの妻たちは、そさくさとケーキバイキングが終わったらゴッドゲームオンラインに戻っていった。
 薄情だとヌグエン・トラングタン(欲望城主・f42331)は思わなかった。
 彼女たちには彼女たちの役割があるし、あれは己のユーベルコード由来である。いつまでも連れ回していいものではない。
 それに彼女たちは彼女たちで秋イベントの用意に忙しいのである。
 今回はたまたまよいアイデアをもらえた、程度にとどめておくのがいいだろう。

 まあ、その前に自分がドロップアイテムを何にするのかに迷っていたから、というのもあるのだが。
 こうしてアイデアが湧いてきたのならば不幸中の幸いというやつであろうか。
「まあ、まだ終わっちゃいねぇんだけどな」
 見やるはテニスコート。
 テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』と猟兵たちのラリーによって帰還プログラムはあと一歩という所まで着ている。
 あとは仕上げをするだけであろう。
「だが、テニスか。他の世界のテニスとは随分と、こう……」
 違う。
 そう、アスリートアースのテニスは大魔術詠唱儀式なのである。
 ボールに宿った魔力をラリーにて増幅させていく。
 その一打は都市破壊級の一撃ともなるのだ。

「だからって、最後までこうなるとはなぁ……」
「決着に生命のやり取りなく、敗北しても前に進める。喜ばしいことだとは思わぬか?」
「そりゃそうだが」
『宮本・武蔵』の言葉にヌグエンは頷く。
「まあ、必要ならやるしかねぇだろうしな!」
 ヌグエンは最後の仕上げと言わんばかりに放たれるボールを打ち返す。

 重たい。
 それも尋常じゃないくらいに重たいのだ。
 そう、すでに多くの猟兵達とのラリーでボールには尋常ではない魔力とプログラムが乗っているのだ。
 軋む骨身。
 なんか思っていたのと違う! とヌグエンは思ったかも知れないが、最初からずっとこんな調子である、今回!
「ぐっ! だがよ!」
 ユーベルコードに輝く瞳。
 ラケットを保つ手首を痛めるほどの重さのボール。
 だが、打ち返せぬほどではない。

「よいレシーヴだ! ならば、この一打こそ最後。受けきれるか!」
 炸裂する必殺スマッシュ。
 分裂するボール。
 だが、これを受け切らねば帰還プログラムの完成はない。
 あれだけ重たかったボールが無数に迫る。
「やってやるよ!!」
 だが、やらねばならない。ドラゴンプロトコル生来故の生真面目さ。それによってヌグエンはラケットを振るう。
 あらゆる障害を撃ち抜く徹甲攻撃。
 その独自の技能によって打ち返されたボールは帰還プログラムの不要なる部分を穿ち、一気に仕上げを施すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年10月12日


挿絵イラスト