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大帰還の章~四天王は何人いてもよいものとする

#アリスラビリンス #西のラスボス『アイスエイジクイーン』

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#西のラスボス『アイスエイジクイーン』


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 貴方がた、四天王というものに憧れた事はあって?

 わたくしは憧れるというより、『四天王になりたい』と憧れられる側でしたが――四天王にも様々なタイプがありますのよ。
 例えば『こんなの俺一人で十分だぜ!』と挑み三行で斃されてしまう先鋒タイプ。
 そして『あいつと一緒にされては困る』と前髪をかき上げながら敵を迎え撃つ中堅タイプ。戦術の先鋒タイプとタッグ、或いは犬猿の仲ですとより良いですわ。
 更に『二人減りましたか……まあ良いでしょう。全ては私の計算通り』と扇などを口元に当てて呟く高みの見物タイプ。
 『ねえねえ、アイツらと遊んじゃっていい? ふふ、きっと楽しいよ!』と笑う無邪気高火力タイプ。
 『全ては|女王《クイーン》の仰せのままだ、大人しくしていろ』と無邪気高火力タイプを抑え込む知将タイプも良いですわ。――え? 既に5人来た? 良いではありませんの、四天王は何人いても良いものなのですわ!

 ――こほん。
 このように、四天王には様々なタイプがあります。わたくしがこのアリスラビリンス……『雪と氷の国』からデビルキングワールドへ安全に帰還するには、四天王たちの存在は不可欠。四天王たちが|四天王らしく振る舞いながら《・・・・・・・・・・・・・》敵を斃す事で、わたくしのインク壺にはインクが溜まっていきますの。
 わたくしが帰還するための『悪魔契約書』を作る為にはこのインクが必要なのですわ。なので……

「クロッケーをしながら四天王を募集ですわ~~!」
『ふ、あいつは所詮四天王の中でも割と泥のついた雪だるま……』
『同じ人参鼻としての名折れよ』
『ねえ、ボク、……えっと、なんだっけ』
『ちょっと待ちなさいよ、アタシの事を忘れてもらっちゃ困るわ!』



「クロッケーという競技がある」
 ヴィズ・フレアイデア(ニガヨモギ・f28146)は片手に赤色と黄色、もう片手に青色と黒のボールを持って示した。
「説明すると結構に複雑なのだが、ざっくり言ってしまうとゲートボールのようなものだ。用意された|門《ゲート》に自分のボールを通せばポイントが入り、12回あるチャンスでより多く門へボールを通した方が勝ち……というスポーツだな。何で今回こんな説明をしているのかというと、アイスエイジクイーンをデビルキングワールドに帰す算段の上で重要になるからだ」
 アイスエイジクイーンは、キャンピーくんの力によってアリスラビリンスの『雪と氷の国』に今も滞在している状況だ。キャンピーくんはふわっと何処かへ行ってしまったので、彼の力を借りることは今回は叶わない。つまり、猟兵とアイスエイジクイーン自身の力でどうにかして帰らなければならないのだ。
 だが、手段はない訳ではない。悪魔を別の世界へ召喚する『悪魔契約書』があれば、アイスエイジクイーンがデビルキングワールドに帰れるかもしれないのだ。
「悪魔契約書はな、猟兵には書けぬ。魔界の悪魔――この場合はアイスエイジクイーン自身にしか書けぬのだ。そして抜けのない完璧な契約書を書くためには、悪魔エネルギーを絞って作る『悪魔インク』が必須なのだ。集める方法は悪魔によって様々。アイスエイジクイーンの場合は……“四天王が四天王しぐさで敵を斃す”事だ」

 ――猟兵の脳裏によぎる記憶。
 そういえば彼女、デビルキングワールドでも100人の四天王を従えていたような。

「まあ敵を斃すという点においては、アリスラビリンスにうようよいるオウガがいるので良い。問題は四天王でな、なかなか集まらないそうなのだ。なので、今回は|猟兵《おまえたち》に四天王になって貰いたいのだ。超簡易クロッケーで」
 超簡易クロッケー?
 猟兵は様々な方向に首を傾げた。
「いちいち12回玉を通していたら日が暮れてしまうであろ? 其処でアイスエイジクイーンは門を1つとし、四天王しぐさをしながら玉を通した者を四天王として認めるというお触れを出した。雪だるまが幾つか――失礼。愉快な仲間たちが何人か四天王になったようだが、これでは戦力的に不安。というわけで猟兵にヘルプが来た訳。お前達は四天王しぐさをしながら……」
 ヴィズは片手に持っていた青と黒のボールを示す。
「この二つの玉のどちらかを門に通す必要がある。そしてキメてやるのだ! 四天王しぐさをな! あたし見てるからな、頑張るのだぞ!」
 こいつ絶対見て笑う気だ。
 猟兵たちは確信したものの、アイスエイジクイーンには共に戦ってくれた恩がある。行くしかないかぁ、と白磁の門を見詰めるのだった。


key
 こんにちは、keyです。
 フラミンゴで……じゃなく、フラミンゴがクロッケーでカコーン! 有罪! 死刑!
 そんなお話。

●目的
「アイスエイジクイーンをデビルキングワールドに帰そう」

●備考
 アイスエイジクイーンが契約書を使って帰還を試みた場合に死なずに済む確率は「シナリオの成功本数x10%」です。頑張りましょう!

●各章
 第一章ではアリスラビリンスの『雪と氷の国』にてアイスエイジクイーンと面接です。といってもただの面接ではありません。アイスエイジクイーンと其の虜になった愉快な雪だるまたちと共に超簡易クロッケーをしながら四天王しぐさをアピールしなければならないのです。
 超簡易クロッケーはヴィズが説明した通り、青と黒のどちらかの玉が門を通ればOKというもの(勿論アイスエイジクイーン側も玉を打ちますが)重要なのは其処で行う『四天王しぐさ』です。頑張れ!

 第二章・第三章は戦闘です。
 何処から異邦人の噂を聞きつけたのやら、オウガの群れが押し寄せて来ます。四天王しぐさを各所に取り入れながら、オウガを斃してインクにしてしまいましょう。

●プレイング受付
 受付、〆切はタグ・マスターページにて適宜お知らせ致します。

●注意事項(宜しければマスターページも併せてご覧下さい)
 迷子防止のため、同行者様がいればその方のお名前(ID)、或いは合言葉を添えて下さい。
 また、(独り言や会話において特に)アドリブが多くなる傾向になります。


 此処まで読んで下さりありがとうございました。
 皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『おかしな奴らのおかしな『裏』茶会』

POW   :    私にもお茶をいただけますかしら?(お客として参加する)

SPD   :    こっそりこっそり、見つからない様に…。(密かに潜入)

WIZ   :    良い『茶葉』が入ったよ、おひとついかが?(商人に偽装して紛れ込み)

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「お~っほっほっほっほ! 来ましたわね!」
 猟兵たちが白磁の門をくぐり、訪れたのは『雪と氷の国』。其処には戦禍の跡はもうなく、あるのは無数の雪だるまと――其の中にあって一際際立つ氷の白、アイスエイジクイーンの姿であった。
「グリモア猟兵から既に説明は受けましたわね? わたくしとわたくしの四天王は、超簡易クロッケーにて貴方がたに勝負を挑みますわ!」
『女王に気安く触れるな、無礼者』
『わー、遊び相手が一杯だ!』
 雪だるまがそれぞれ四天王っぽい仕草をしている。これが『四天王しぐさ』なのだろう。
「……と、宣戦布告はしましたものの……勝敗は関係ありません。重要なのは『四天王しぐさ』……いかに幹部らしい言動が出来るか! 其の為ならクロッケーのマレットを投げ捨てても構いませんわ!」

 アイスエイジクイーン と してんのう が しょうぶをしかけてきた!

☆--------------------------------☆
『超簡易クロッケーとは』

 本来ならクロッケーは12のフープを通さなければならないのですが、今回はフープは1つとなります。青と黒のボールを使い、相手が使う赤と黄色のボールを妨害しながら自分のボールをフープに通しましょう。
 重ねて言いますが重要なのはショットの際の『四天王しぐさ』です。其の為なら負けても構わないし、ルールなんて判らなくても構わないのです。
☆--------------------------------☆
アリス・フェアリィハート
アドリブ連携歓迎

私達に
ご助力下さった
アイスエイジクイーンさんが
ご無事に帰れる様に…ですね

『私にクロッケーで勝負とは…雪だるまさん達の無謀さに、もの言う花達も失笑なのです☆』

(生意気な事を言ってしまって…ごめんなさい…><)

心の中で
クイーンさんや「四天王」さん達にひたすら謝り

試合に臨み

試合運びをするたびに
四天王しぐさを見せ

シュートを打つ際には
UCを発動し
氷晶の
エプロンドレスを身に纏い
氷雪魔法をマレットと
ボールに纏わせ
シュート

『では…魅せてあげます…!』

(ダイヤモンドダストを纏ったボールが雪煙あげつつ
ド派手に疾走していきフープへ)

『ふふ…如何ですか女王様…私の方がより四天王に相応しいと思いますが』




 私たちにご助力下さったアイスエイジクイーンさんが、ご無事に帰れるように。
 頑張るぞ、と胸元で拳を握ったアリス・フェアリィハート(不思議の国の天司神姫アリス・f01939)。『雪と氷の国』に綺麗に配置されたクロッケー場に着き、アイスエイジクイーンと雪だるまを見据える。
「私にクロッケーで勝負とは……雪だるまさん達の無謀さに、もの言う花達も失笑なのです☆」
 ――ごめんなさい、ごめんなさい……! 生意気な事を言ってしまって、ごめんなさい……!
 心中で謝りながらも、アリスは見事に四天王しぐさで高飛車を演じてみせる。
「なかなか宜しいですわね。初手で相手の気概を削ぐのは四天王しぐさとしてお見事ですわ!」
『ぐぬぬぬ……其の言葉、マレットで涙を拭きながら後悔すると良い!』
「マレットで涙を拭くのは貴方達の方なのです。今なら降参を受け入れても良いのですよ?」
『ふっ……敵を前にして背を向けるなど、アイスエイジクイーン様の前で出来るものか! まずは貴様のボールを場外に弾き飛ばしてくれるわ!』
 ちょっと熱血系の四天王がアリスの御相手にと前に出た。
 そうしてじゃんけんで先攻後攻を決め、交互にボールを打ち……超簡易クロッケーが始まった!

「この程度、お花の茎を捻るようなものなのです☆」
 アリスはかこん、と優しくマレットでボールを叩き、フープの傍にあった黄色のボールを弾く。入れ替わるようにフープの傍に青いボールが鎮座して、どうです、とアリスは胸を張った。
『なかなかやるな……だが、俺は全力の30%も出していないぜ?』
 かこん。
 雪だるまが木の枝の腕でマレットを振るい、青のボールを……おっと! 少し軌道がずれて、黒のボールは青のボールを弾けずに通り過ぎてしまった!
 これはチャンスなのです。アリスは確信した。ならば今こそ、四天王にふさわしいとアイスエイジクイーンにアピールするチャンス!

『魅せてあげるのです……!』

 ユーベルコードを発動すると、アリスの金色の髪が氷雪の白色に変化していく。髪を飾るのはスノードロップの花、そして氷晶のエプロンドレスを纏う其の様はまさに『氷の国のアリス』といったところだろうか。
 マレットを振りかぶり、きらきらと氷晶を纏いながらマレットがボールを打つ。ダイヤモンドダストを其の軌道に残しながらボールは雪煙を挙げつつ、ド派手に疾走してフープを通り抜けた!
「ふふ……どうですか、女王様。私の方がより四天王に相応しいと思いますが」
 アリスは超簡易クロッケーで勝った自信を纏ってアイスエイジクイーンを見る。ええ、と氷の女王は頷いて。
「貴方の四天王しぐさとクロッケーの腕、お見事でしたわ! 四天王リストに貴方のお名前も加えて差し上げましょう! お~っほっほっほっほ! 先程のマレット捌き、美しかったですわ!」
「光栄です、女王様」
 アリスは美しき氷晶のドレスを摘まむと、軽く膝を折って淑女の礼をしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

インディゴ・クロワッサン
僕の言動ってさ…割と無邪気なパワー型四天王寄りっぽいよね…
あそこまで脳筋じゃないハズだけど、ちょっとぐらいは…ね(笑

「ふーん。これをあそこに通せば良いんだね?」
壊しちゃっても良い予備の玉を幾つか借りたら、表情を変えずに自前の怪力でごしゃっと握り潰して
「こんな脆い玉、僕の力に耐えられるのかなぁ?」
って不思議そうに言っておこーっと
「まぁいいや、勝負だ勝負ー!」

ちゃんと礼儀正しく挨拶してから力を溜めて…打つ時に部位破壊しかねない程の怪力でシューッ!
凄い音を立ててマレットが壊れちゃったら
「あーあ、こっちも壊れちゃった」
ってつまんなさそーに言えば、それっぽいかな…

UCは何か起きたら面白いかなって!(笑




 ――僕の言動ってさ……

 心中でインディゴ・クロワッサン(藍染め三日月・f07157)は呟く。僕の言動って、割と無邪気なパワー型四天王寄りだよね。あそこまで脳筋じゃないはずなんだけど、……まぁ、ちょっとくらいは……ね!
 という訳で四天王としての方針は決まった。あとは其れらしく振る舞い続けるだけだ。
「ふーん。これをあそこに通せば良いんだね? なんだ、簡単じゃん」
 あらかじめ多めに予備の玉は借りておいた。そうして一つボールを手に取ると、怪力でごしゃっ、と握り潰してしまう。
「……こんな脆い玉、僕の力に耐えられるのかなぁ?」
 しんぱーい、なんて首を傾げてインディゴは言う。だが雪だるま四天王も負けてはいない。木の枝の腕でまるで眼鏡をクイッと挙げるように仕草すると。
『超簡易クロッケーは駆け引きのゲーム……ただ力任せなだけでは、無様を晒すだけですよ』
「へぇ? 僕に向かってそういう口きくんだ?」
『私とてアイスエイジクイーン様の四天王。ただ知力だけではない事をお見せしましょう』
「よーし、じゃあ勝負だ勝負! あ、宜しくお願いします」
 デビルキングワールドらしく、其の辺りの礼儀はきちんとしておかないとね。ぺこり、とインディゴが頭を下げると、こちらこそ、と雪だるまもぎこちなく礼をした。どうやら彼等にも、デビルキングワールド流の教育は行き渡っているらしい。

 そうして始まった超簡易クロッケー。インディゴはボールは勿論、マレットのスペアも幾つか用意して貰っているので……
「あ。あーあ、こっちも壊れちゃった。なんでもかんでも直ぐに壊れちゃって、つまんないなぁ」
 ボールを勢いよく打つと、マレットが音を立てて折れてしまった。つまらなそうにポイ、と後ろへ投げ捨てながらインディゴは無邪気高火力タイプを演じる。
『力押しだけでは決まらないという事、教えて差し上げましょう。……其の青いボールに何を仕込んでいるかは知りませんが、ね』
「えー、何の事? 僕わかんなーい」
 そう、さっきからインディゴが打っているのは黒のボールのみ。青のボールは傍に置いたままだ。
 まあ良いでしょう、と知将タイプの雪だるま四天王がマレットでボールを打つ。フープの直前で止まった其れに、フ、と笑みを零した。
『チェックメイト。貴方の黒いボールは此処からでは届かない』
「ふふ、本当にそうかな? 例えば僕がこの青ボールでキミのボールを壊しちゃったら……」
 まあ、ルール違反になりかねないからしないんだけどね。
 ぺろり、と青ボールに舌を這わせながらインディゴは言う。そうして其の青ボールを地面に置くと、マレットを構えた。

 ――“猫のけづくろい”。

 舌を這わせた事でユーベルコードの対象となった青ボールは――摩擦抵抗が極限まで減らされている。つまり!
「そー、れっ!」
 かこーん! とインディゴが打った青ボールは、大地を滑るように奔るとあっという間にフープをくぐったのである。
『な……!? 今のショットは一体!?』
「ふふ、教えてあげなーい」
「其処まで! 双方ともお見事でしたわ。四天王同士の戦い、手に汗を握るものがありました。貴方も四天王の仲間入りですわ!」
「わーい、やった~☆」
 インディゴは両手をあげて無邪気に喜ぶ。やっぱりそのままでも、無邪気高火力型のムーブなんだよな。

大成功 🔵​🔵​🔵​

城野・いばら
ええ、参りましたのよ
貴女に会いに
故郷の危機を救ってくださって本当にありがとう
次は私がお力に成りたいの
だから全力しょうぶー!

勿論、失礼は無いように
勝負でも礼儀作法は大事にしつつ
不思議の国に入らしたのだもの
楽しんでもらえたら良いな
…と言うコトで、皆起きてー!
雪の国に咲くバラは如何かしら

バラ達に手伝ってもらい
葉や枝で押してボールを運搬しフープへカッコーン!
赤と黄色さんは茨で捕縛したりお邪魔虫
ふふ、私は茨の魔女ですもの
通せんぼは得意なの
王女さんが無事に帰れますようにと
願うキモチは負けないのだから
同族でもね手は抜きません

四天王さんらしさは存じ上げないのだけど
クロッケーさんを通じて私のコトを知って頂けたら




「ええ、参りましたのよ。貴女に会いに」
「まあ」
 城野・いばら(白夜の魔女・f20406)の言葉に、アイスエイジクイーンは僅かに目を丸くした。故郷の危機を救って下さったんですもの、といばらは瞳を細めて笑う。
「次は私がお力になりたいの。だから……全力しょうぶー!」
「成る程……良いでしょう。ではおいでなさい! 四天王!」
『俺の掌の上で踊るが良い』
 いばらの相手となったのは、知将系四天王だ!

 勿論勝負にも礼儀作法はある。
 宜しくお願いします、といばらが頭を下げると、いえこちらこそ、と雪だるまも頭(?)を下げた。
「折角不思議の国にいらしたんですもの、楽しんで貰えれば幸いだわ。――さあ、皆起きて!」
 荊が雪に挿し木を差してぱちんと手を鳴らすと、地形にあっという間に薔薇が芽吹く。茨が意志を持つように蠢き、アイスエイジクイーンはまあ、と嬉しそうに表情を綻ばせた。
「この雪と氷ばかりの国で、何か植物を見る事になるとは思いませんでしたわ! デビルキングワールドも決して植物が多いとは言えませんが、矢張り良いものですわね」
「そう言って下さると光栄だわ。さあ、私がクロッケーで勝てるように手伝ってちょうだい」
 いばらがそういうと、薔薇は咲き誇り、茨は了解とばかりにうねうね動く。雪だるま四天王の打ったボールをぱちーん! と跳ね返し、いばらの打ったボールを葉や枝で押してボールを運搬!
『き、貴様……! 其れはずるくないか!?』
「ずるくないわ? だって私は茨の魔女ですもの。通せんぼは得意なの。其れに、女王さんが無事に帰れますようにと願う気持ちは負けないのだから、同族でもね、手は抜きません」
『ぐ、ぐぬぬ……!』
 薔薇咲き誇るクロッケー場は見目は美しい。氷雪の中に咲き誇る薔薇たちが、やーい、と四天王雪だるまをからかうように揺れた。
「でも困ったわ、四天王さんらしさは存じ上げないのだけど……でも、クロッケーさんを通じて私の事を知って頂けたらいいなって思うわ」
 よいしょ、よいしょ。
 薔薇たちが一生懸命青いボールを運搬して、カコーン! フープに見事に通した!
「其処まで! ええ、お見事ですわ! そしてご存知かしら。四天王には“遠慮系四天王”というものがあるのを」
「……遠慮系?」
「ええ! 『自分なんかが四天王で良いのか』と思いつつも、四天王の力を発揮する隠れ火力系四天王ですわ。そしてわたくし、貴方には十分に其の素養があると見ました! 貴方を四天王の一人として迎えたいのですけれど、いかがかしら?」
「……ええと……よくは存じ上げないのだけど……でも、其れで良いのでしたら、やってみたいわ」
「ふふ、では契約成立ですわね! 大丈夫、貴方は貴方のままで十分四天王しぐさになっていてよ?」
 いうとアイスエイジクイーンはぱちり、と片目を閉じた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ネックラック・フラミンゴ』

POW   :    滅多刺しクロッケー
【全身が針で覆われたハリネズミ型のオウガ】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
SPD   :    気まぐれギロチン
【刃物状に変化させた羽根を飛ばし、その羽根】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    女王様のローズガーデン
戦場全体に、【赤く塗られた花と鋭いトゲを持つ薔薇の木】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。

イラスト:まつもとけーた

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 カコー――――ン……

 何かを打つ音がする。
 クロッケーの敗者が、ボールを打つ音だ。もうフープはないのに、もう勝負する相手もいないのに、彼等は只管に針だらけのボールを打ち続けている。

 カコー――――ン……

 ころころと転がって来るそいつは、ほら、よく見て御覧。針だらけのハリネズミ。ぎょろぎょろと血走った眼で視線をあちこちに巡らせると、一団を見付け声を上げる。

「こっちだ、こっちだ、こっちだよ!! 違法クロッケーをしている奴らはこっちだよ! こっちだ、こっちだ、こっちだよ!」

「まあ、違法クロッケー?」
 どういう事かしら、と首を傾げるは氷の女王。そう、彼女は異邦人だから知らない。いや、例え此処に数十年生きていた者であってもきっと知らない。其れはだって、彼等だけが知っているルール。
 だってさ、|自分達以外はクロッケーをするな《・・・・・・・・・・・・・・》なんてルール、一体誰が知るっていうんだい?

「こっちだ、こっちだ、こっちだよ!」
「どこだ、どこだ、マレットが来たよ。お前を滅多打ちしに、マレットを持ってきたよ」

 首無しフラミンゴのご登場だ。彼はまるで人間のような“何か”を胸元から生やし――そうして其の“何か”でもって、カコーン! と! 君たち向けて針だらけハリネズミを打ってきた!
東・御星(サポート)
御星「さあ、美結行こうか!遅れないでついてきて!」
「今日を明日に変える事さえ欲望だよ?」
美結「はい、御星さん!ふふ、大好きです。」
「空間把握と電脳であれば私の分野です」
御星と美結、2人で1人の猟兵です。婚約しています。
元々美結は統制機構の一般人でしたが御星によって猟兵となりました。
欲望は生きるエネルギーと概ね肯定する姿勢を持ち、強敵に対し窮鼠即ち猫を噛むという戦闘スタンスです.
基本は全射撃装備による三次元一斉射撃が主戦術で、近接戦もこなせます。電装と名のついた等身大でも使用できる装備にデータ化して2人で乗り込みます。
UCは選択したものを使用します。
あとはおまかせです。




「成る程、違法クロッケーだって?」
 東・御星(破断創炎の閃鋼・f41665)はふむふむ、と判ったようなフリをして頷いた。
 勿論フリだ。理解出来る訳がない。そもそもクロッケーに違法も合法もないのだし、其れをオウガに罰せられるなど思いのほか。
 隣に立つ相棒にして妻の美結がどうします? と御星を見る。勿論決まってる、と御星は自信満々に頷いた。
「私たちは二人で一人。つまり、アイスエイジクイーンの言葉を借りるなら……“ニコイチ四天王”とでも言おうか! そう言う動きが意識しなくても出来るという事だね!」
「そっちを考えてたんですか!? ……まぁ……そうですね。御星さんと私なら、コンビネーションはいつもの事、ですから……」
「なら話は早いね、美結」
 すっ、と御星が美結の腰に手を当てて抱き寄せる。まるで社交ダンスを躍るみたいに二人は見つめ合い。
「私達のコンビネーションに敵う者なんていないって教えてやろう」
「……ええ、御星さん。私達二人なら、きっと何者にも打ち克つ事が出来ます」

「ムキーーーーーッ!!」

 これに異を唱えたのはフラミンゴたちである! 美結と御星が羨ましいのか、単に結果として無視されているのが気に食わなかったのか、高らかに鳴いた。
「有罪! 有罪! 有罪だ! 違法クロッケーに加えて“見つめ合い”の罪! 裁判長が見たらなんというだろうね!」
「有罪だ! 有罪だよ! 罪人の首はどうするべきか、裁判長曰く!」

「ギロチンで首を刎ねろ!」

 フラミンゴたちが翼を広げると、ほろり、と幾枚かの薄紅の羽が舞い落ちる。そうして其の羽根はまるで見えない誰かが操っているかのようにくるりと御星たちの方を向いて、真っ直ぐに飛んで向かって来た!
「大丈夫、御星さんは私が護ります」
 其れに立ち向かったのは、意外にも美結だった。――いや? 案外意外でもないかもしれない。空間把握という分野においては、彼女は御星よりも優れているのだから。
「私が“ふたり”になっても――御星さんならどちらが本物かなんて直ぐに判るはずだから」

 ――データベース照合。疑似技能装填。
 ――人格転写。デッドコピーアライアンス接続。
 ――エラーコード、オールクリア。
 ――ポッド展開。

 ――偽装人格、錬成!

 美結が展開したユーベルコードによって、人造生命が生まれる。一時だけの僅かな間、自分達を助けてくれる儚い命。
 其れは……|美結の姿をしていた《・・・・・・・・・》。
「行きましょう、私」
『ええ、私』
「まあ! 三つ子四天王とはなかなかに珍しいですわ! 新しい分野を開拓する……其れもまた四天王の美学!」
 よくってよ、というアイスエイジクイーンの応援を受けて、美結は呼び出した|GRAND《グラン》ビットでフラミンゴの羽を伏せぐ。受けるのではなく其の曲線で受け流すようにすれば、切断される事はない。例え切断されたとしても、ビットであるなら痛くも痒くもない。
「行こう――美結!」
「ええ」
『御星さん!』
 三人は手に手を取り合い、全射撃装備を惜しみなく解放する。そうして美結と人造生命によって指定された座標に、御星は躊躇いなく|銃爪《トリガー》を引いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

鳶沢・成美(サポート)
『え、これが魔導書? まあどうしよう?』
『まあどうでもいいや、オブリビオンなら倒すだけですよ』

故郷UDCアースの下町の古書店でたまたま見つけた魔導書を読んで覚醒した自称なんちゃって陰陽師

昨今でいう陽キャラ? みたいな行動は正直よくわからないのでマイペースに行動
でも集団での行動も嫌いじゃないですよ
元ボランティア同好会でつい気合い入れて掃除しちゃったりしなかったり
一応木工好きでゲートボール好きキャラのはず……たぶん

例え好みの容姿だろうと、事情があろうと敵ならスパッと倒すだけですよ

実はシルバーレイン世界の同位体である自分と融合していたことが判明
三角定規型詠唱定規の二刀流で戦う様に

アドリブ・絡み・可




「ええ? 違法? そんな、突然言われても……」
 正直、鳶沢・成美(三角定規の除霊建築士・f03142)は困惑していた。
 四天王しぐさをしろだとか、違法クロッケーだ! とか。猟兵として様々な事態に慣れたつもりではあったが、其れでも突然の事態には困惑してしまうもので。
「いやでも、オウガって事はオブリビオンだよな。なら倒してしまってもいいのか……」
「勿論ですわ! 何より命を狙われていますから、命を護るために倒す系の四天王しぐさというのもやってみては如何かしら!」
 アイスエイジクイーンさんの有難いお言葉である。が、命を護るために倒す系四天王とは? 成美は訝しんだ。
 真相を得るためにアマゾンの奥地へ……なんて行く事はなく、なら、と持っていた魔導書をめくる。
「違法! 違法だから有罪だよ! 有罪の奴らは、裁判長曰く?」
「迷路に閉じ込めてしまえ!」
 奇異なフラミンゴたちがはばたくと、ぞるり、と雪をかき分けて茨が生まれる。あっという間に茨たちは絡み合い、壁を築き――赤い薔薇咲き誇る迷路が成美とアイスエイジクイーン達を分断してしまった。
「わ! 大丈夫ですか?」
「あらあら。こちらは大丈夫でしてよ! 貴方もどうか油断なさらぬように!」
 そう言うアイスエイジクイーンの声は少しだけ遠い。合流するには時間がかかりそうだし、なにより今の成美の役目は露払い――オウガたちの殲滅だ。
 なら、と成美はフラミンゴたちを見ていた方向に向き直ると、魔導書を再びめくり、手を天に掲げた。
「下町の古書店でたまたま見付けた魔導書に記された秘法! という訳で道真さん、宜しく頼みます!」
 さて、引き受けたと彼が言ったのかどうかは定かではないが……いや、きっと引き受けてくれたのだろう。雪雲が凶悪なまでに黒く染まったかと思うと、ばぢばぢと雲の中でいなづまが駆け巡る。そうして成美が見上げた空から降り落ちてきたのは、雷纏う光速の礫。
 まさに隕石か何かのように降り注ぐ礫たちからは、フラミンゴが見えているのだろう。幾度かの悲鳴が上がり、成美は見えないなりに確かな手ごたえを得た。
「よし……! アイスエイジクイーンさん、やりましたよ!」
「まあ……! お~っほっほっほ! なかなかやりますわね! 謙虚系四天王と呼び方を変えましょうかしら! 其のまま全員屠って差し上げなさいな!」
 そう笑うアイスエイジクイーンの声は、やっぱりちょっと遠かった。
 合流には時間がかかりそうだと、成美は雷雲と変わった空を見上げて溜息を一つ吐いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

マグラ・ユメノミヤ(サポート)
「木戸銭は結構――貴方がたの苦痛と骸さえ頂ければ、十分ですから」
◆口調
・一人称は私、二人称は貴方。持って回ったような物言いで、敵にさえ敬語を用いるものの内容は悪辣
◆癖・習性
・コワモテに反してぬいぐるみや人形を好む
・苦痛を受ける度に気分が高まる性癖
◆行動傾向
・妻と部下をオブリビオンに殺された経験から生命の埒外に到達した悲しみの猟兵。胸中に渦巻くのは、復讐心と愛する者を護れなかった罪悪感……
・見えざる魔力のからくり糸で、凶器を仕込んだ球体関節人形を自在に操ってあらゆる試練に挑む。ダークセイヴァーを出自とするだけあって、そのスタイルは冷徹で老獪
・死霊術士であることから、魔導にもいちおう通暁している




 敢えてアイスエイジクイーンの言う『四天王例え』を使うならば。
 マグラ・ユメノミヤ(堂巡魔眩の人形師・f35119)は『自罰的独断専行系四天王』と言えるだろう。

「さあ――ルーチェ。私の可愛いルーチェ」

 今日もマグラは人形を操る。戦線を共にした部下たちと、愛する家族をかき集めて作った《ルーチェ》。小さな少女人形は、まずは、とカーテシーで愛らしくお辞儀をした。
「違法クロッケーなんて有罪だ!」
「はて……違法クロッケーとは覚えのない。我々はルールを……多少簡易にしてはおりましたが、ルール通りに遊んで楽しんでおりましたとも」
「違う違う! 此処で裁判長の令状を抜きにしてクロッケーをやるのが違法なんだ! 知らないのか!」
「おや、そうだったのですか? 何分、私はアリスラビリンスの法には疎い。其の裁判長殿に我々の無実を直訴しなければなりませんな」
「直訴したって無駄無駄! もう違法なんだから! 裁判長はね、きっと言うよ!」

「首を刎ねてしまえってね!」

 異形のフラミンゴたちが羽撃いて、其の羽根の数枚をマグラとルーチェに向かって飛ばす。
 其れは羽根が当たってしまえば切断せしめるという怖ろしい技だが……マグラはおやおやと其れを見遣り、しかし|何もしなかった《・・・・・・・》。

 ――さくり。
 ――さくり。

 羽根がマグラに突き立つ。
 だが……其れきりだった。切断は起きず、マグラの望んだ苦痛は訪れない。ほんの少しの寂寥がマグラの心に澱んだが、老紳士は其れに蓋をして、ルーチェを再び手繰る。
「さあ……たっぷりと『自見』させて頂きましたのでね……」
「何を、何をするんだい!」
 ルーチェが踊るように焦らすようにステップを踏む。そうして……ぱかり、と。|胎が開いた《・・・・・》。
 其処から飛び出したのは、先程飛来した薄紅の羽根。模倣された其れは真っ直ぐにフラミンゴたちへと襲い掛かり、其の頸を、脚を、或いは異形部分を斬り落とされていく。
「ルーチェ、御覧。フラミンゴだ……あの世界では見ない鳥だ、可愛いだろう……?」
 老紳士は愛する“娘”に語り掛ける。
 其の姿は四天王というには禍々しく、そして寂しい。……しかし四天王らしい仕草だとアイスエイジクイーンが頷いたため、オウガたちは彼女のインクとなった。

 敢えてアイスエイジクイーンの言う『四天王例え』を使うならば、マグラは『自罰的独断専行系四天王』と言えるだろう。
 いつだって彼は苦痛を求め、自分を罰する痛みを求め、そして、いつだって己の判断で、敵と認めた者を冷徹に老獪に仕留めるのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリス・フェアリィハート
アドリブ連携歓迎

【WIZ】

相変わらず
心の中では
謝りつつ…

『わざわざ女王様が、お出になられるまでもありません…ここは、私達四天王に、おまかせを…です』

(万が一…クイーンさんに、もしもの事がありましたら…たいへんですし…)

『四天王しぐさ』も交えて

敵の攻撃等を
【第六感】【心眼】【残像】
【結界術】【オーラ防御】で
防御・回避し

クイーンオブハートキーを手に
【ハートのA】も展開
【凍結攻撃】を込めた
【全力魔法】や
【誘導弾】の【一斉発射】や【弾幕】で
敵群を攻撃

敵のUCには
こちらもUCで
戦場全体に
猛吹雪を発生
迷路を吹き抜けさせる
様に攻撃

『お兄様やお姉様達(他の四天王の猟兵の方)は…私よりも、もっと強いのです…☆』




 ごめんなさい。
 ごめんなさい。

 アリスは変わらず、心の中で謝っていた。誰にって? 今回はアイスエイジクイーンや雪だるまではなく、オウガ達にである。
「わざわざ女王様がお出になられるまでもありません……此処は、私達四天王にお任せを、です」
「ふふ、よく言いましたわアリスさん。では貴方のお手並み、見せて頂こうかしら!」
「はい……! さあ、オウガの皆さん。覚悟は宜しいですか?」

 ――また生意気な事を言ってしまう……! ごめんなさい、オウガの皆さん、ごめんなさい……!

 アリスは心の中で平謝りだった。
 だが仕方ない。アリス達とオウガは相容れない。雪だるまとクロッケーをしていた時とは訳が違うのだ。
 アイスエイジクイーンに万が一があってはいけないと、脚を踏み出したのは――アリス。君なのだから。
「ここだよ! ここにいるよ! 違法クロッケーをした不敬者はこっちだよ!」
「違法だなんて心外なのです。私達はちゃんとルールを守ってクロッケーをしていたのです。……あ、もしかしてフラミンゴさんはクロッケーが下手なのですか?」
「……」
「……」

 えっ、当たり?
 アリスが心中で汗を流す。

「ムギーーーーーーーッ!!! 懲役刑!!」
 フラミンゴたちはいっせいに羽撃いて怒り始めた!
 そうしてだんだん! と彼等が脚で雪を叩くと、なんと摩訶不思議、大地から薔薇の木が生えてきたではないか!
「ふっ……小賢しい真似を……なのです」
 魔鍵『クイーンオブハートキー』を手にしたアリス。周囲を護るように舞うジュエル『ハートのA』たちを纏いながら魔鍵を天にかざすと、迷路が生まれるまでの数瞬を利用して凍結の魔術をフラミンゴたちにお見舞いする。
 更に『ハートのA』から誘導弾の弾幕を展開し、迷路が生まれるまでの数瞬でフラミンゴの群れの一角を消し飛ばした。
 ――しかし、薔薇の迷路は生まれる事を辞めない。あっという間にアリスの周囲には棘を持つ薔薇の木がそびえ、真っ赤な薔薇が咲き茂る迷路が完成した。
「……大丈夫、大丈夫」
 アリスは誰もいないのが好機と己に言い聞かせる。相手はオウガだから、戦わなきゃいけない。四天王しぐさをする事で、アイスエイジクイーンは無事にデビルキングワールドへと帰る事が出来る。だから、やらなきゃ。大丈夫、大丈夫だよ、アリス。
「……よし! やるのです! この程度で私を止められると思ったら間違いなのですよ♪」
 其れは初めて口にした、アリスの本音だったのかもしれない。
 こんな薔薇の迷路如きに足止めをされる訳にはいかない。違法クロッケーだなんて冤罪を突き付けられて罰せられるなんてとんでもない!
 アリスはユーベルコードを発動する。『クイーンオブハートキー』を掲げ、猛吹雪を生み出す……其の頭髪は氷雪の白色へと変わり、髪にはスノードロップの花が愛らしく咲いた。ひらり、と氷を思わせる白色のエプロンドレスを纏い、氷の国のアリスとなった少女は吹雪の支配者となる。
 見えなくても判る。オウガ達は確実にこの吹雪で凍え、消え去っているかダメージを負っている筈だ。渦巻くような吹雪はアリスがフラミンゴを視認していた辺りを違えなく直撃していた。

「私の攻撃で凍えているようではまだまだなのです。他のお兄様やお姉様たちは、私よりももっともーっと、強いのです……☆」

 ほんの少しだけ、四天王しぐさが楽しくって。
 アリスはそう呟くと、愛らしいかんばせでうふふ、と笑うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

城野・いばら
遠慮系四天王…!
ご拝命うれしいわ
ええ、素質があると言ってもらえるななら
私らしくクイーンさんをおもてなしさせて頂くの

あら、クロッケーを楽しむのは自由だと思うのだけれど…
『違法』と言われた方がワルっぽいかしら

ハリネズミさんを打ち返すのは忍びないけど
クイーンをお守りするのだもの
向かってくるならば、ごめんなさい
UCの風の糸を不思議な薔薇の挿し木に紡いで…カコーン!
風の属性攻撃で攻撃しつつ吹き飛ばして距離を図るわ
四天王の皆への時間稼ぎや、
針からかばうバラになれたら嬉しい

ワルいのはクイーンの故郷では
良き事なのよマレットさん
今回の試合はお仕舞いと、茨で捕縛して生命力吸収
…私も少しはワルさんの波に乗れたかしら




「まあ、“遠慮系四天王”……! ご拝命嬉しいわ」
 いばらはカーテシーでゆるりとアイスエイジクイーンに礼をする。
「素質があると言って貰えるなら、私らしくクイーンさんをおもてなしさせて頂くの。……其れで……」
 ちらり、と翠色の視線が薄紅色の集団へと向く。違法だ、有罪だ、とフラミンゴのオウガはギイギイ鳴いている。
「ねえ、マレットさん達。クロッケーを楽しむのは、違法も合法もなくて自由だと思うのだけれど」
「知らないね! だって此処では違法なんだから、きみたちのは違法クロッケーだ!」
「でも私達、ここの法律を聞いていないわ?」
「聴きに来なかったきみたちが悪い! だから違法なんだ!」
「まぁ……うぅん、でも……違法クロッケー、の方がワルっぽいのかしら」
「そうですわね。違法という響きには魅力を感じますわ。ですが相手はオウガ。彼等の中ではもう|わたくし達そのものが違法《・・・・・・・・・・・・》なのでしょう」
「成る程……」
 つまり、何を言っても弁明しても無駄だという事。クイーンの言葉にいばらは頷くと、不思議な薔薇の挿し木に風の糸を繋ぐ。最初はふうわり、とそよ風のようだった風が、徐々に挿し木に力を与えていく。
「打ち返すのは忍びないけど、クイーンをお守りするのが四天王の役目なの。ごめんなさいね」
「うるさいな! 犯罪者め! そんな違法な奴らには」
「ハリネズミの弾をくれてやれ!」

 まるで示し合わせたかのように声を上げたフラミンゴたちが、カコー―――――ン! と己をマレットにしてハリネズミ型オウガの玉を打ってくる。
 其の頃にはいばらの持つ挿し木には十全に魔力と風が宿っていた。いばらはハリネズミ型オウガ目掛けて間合いを測ると、
「これもクイーンさんのため。えいっ!」
 マレットというより野球じゃないかしら? なんてちょっぴり疑問に思いながら、挿し木を思いっきり振るう。見事に挿し木はオウガにヒット! 打ち返されたハリネズミたちはフラミンゴに刺さって、もう大わらわだ。
「痛い! 痛い!」
「有罪だ! 反抗したぞ!」
「ええ。だって私達、ワルだもの。ワルいのはね、クイーンの故郷では良い事なのよ。マレットさん。さあ、今回の試合はおしまいにしましょう」
 まとまっている今がチャンスと、いばらは|茨《じぶん》を解放する。くるりと纏めて巻いてしまって、生命力を吸ってしまえばほら、青黒い塵になってオウガは儚く散ってしまう。
「さいばん……ちょう……」
 ぽつり、と最後にオウガが一言呟いた。
 いばらは其れを見届けて、どうかしら、と仲間の四天王を振り返る。
「私も、少しはワルさんの波に乗れたかしら?」
 そんなの、答えなんて決まっている。

 ――ばっちり!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『死と再生の裁判長『エオストレ』』

POW   :    死ね! 死ね! 私から女神様を奪う奴は死ね!!
【ツギハギエッグ】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    判決は死刑。速やかに執行します。
自身の【マゼンタとシアンの瞳】が輝く間、【無数のイースターエッグ】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    審議中です。静粛に!
全身を【ダークバイオレットリボン】で覆い、自身が敵から受けた【ダメージ】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。

イラスト:koharia

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はミランダ・モニカです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 さて、マレットは片付けた。
 猟兵たちが一息ついていると、穏やかそうな声が聞こえてきた。

「あら? おや? おかしいですね」

 其の声は小さいながらも良く通る。
 ささやかに降る雪の中、顔を向けると一匹の兎……のような何かが、不思議そうに周囲を見回していた。
「罪を犯した者がいると通報があったので駆け付けたのですが、此処で間違いありませんか? 違法クロッケーを行っていると……」
 そう言ってきょろきょろ周囲を見回す兎のような何かは、ふと雪だるまたちが持っているボールとマレットを見付けると、よもや。其の身の毛を逆立てたではないか。
「ああ! ああ! ああ! 貴方達! 何ですか其の青と黒のボールに! 黄と赤のボール!! 私が一番いま見たくないもの!!」
 穏やかだった兎は一変し、ぎゃんぎゃんと騒ぎ立てると脚を大地に叩き付け始めた。更には卵を持って雪に叩き付けている。卵は割れないのだろうか、と雪だるま四天王の一人が心配したが、大丈夫。丈夫なので。
「私が誰だと知って其れを見せつけているのですか!? 私はこの国の裁判長ですよ!! 違法クロッケーなんて許さない!! どうせマレットでボールをフープに押し込んでいたのでしょう!! 私に令状の許可も求めずに!! そして通報した|善良なオウガ《・・・・・・》に害を及ぼしたのですね!? 許せない、許せない!! そんなのは有罪です、当たり前です! 審議なんてする余地も与えません!!」
 つぎはぎの卵に、紫色の美しいリボン。大層大事に其れを持ちながら、裁判長ウサギ『エオストレ』は其の優美な姿に似合わぬ高らかな声を上げた。

「死刑です! 違法クロッケーどころか、通報者を害するなんて! 速やかに! 速やかに刑を執行します!!」
仲佐・衣吹(サポート)
キレイなもの、カワイイもの、ぶち壊そうなんて許さないんだから
バトルだって芸術よ。美しく戦いなさい!

お相手するはアタシことネイル
美術好きな女性人格よ

口調はいわゆる女言葉かしら
身のこなしが一番軽いみたいで
接近戦より距離をとってダガーで戦うのが好きよ

よく使う手は
外套を投げつけて囮や目暗ましからの一撃
ルーンソードで戦ってる途中で手放して虚を突き、袖口から隠し武器としてダガー
光属性を付けたルーンカルテを落としといて、タイミングを見て目潰しフラッシュ
こんなところかしらね

アイテムやユーベルコードはお好きに選んでくれていいわ
使えるものは全部使って、華麗に美しく戦いましょ!




「あら、マレットでボールをフープに押し込むって、ちゃんとしたクロッケーのルールじゃない。違法もなにもないと思うんだけど」
 仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)――正確には其の内の一人格『ネイル』が頬に手を当てて呟く。
 全然違います、と眼前の見た目だけは愛らしい兎はまくしたてた。曰く、『己に届けを出さずに行われるクロッケーは全て違法である』。『にも関わらず此処まで公然とやるとは何事か?』、更には『通報者をも傷付けたのは万死に値する』……実に頭の痛くなる主張である。
「まあ百歩譲って其の主張を呑むとしてもねぇ……違法クロッケーしたら即死刑ってのは流石にやりすぎよ、ウサちゃん」
「うるさい、うるさいうるさい! 私は裁判長です、私が白と言ったら白! 黒と言ったら黒なのです! 邪魔をするなら裁判長の公務を妨害した容疑で死刑にしますよ!」
 ひゅる、と鮮やかな紫色をしたリボンが舞う。衣吹は其の動きを美しいとは思ったが、同時に警戒すべきである事も判っていた。だから彼もまた、ユーベルコードを発動する。
「悪いわね、ウサちゃん。そういう激情に任せた戦い方は素敵だとは思うけれど……キレイだとは思わないのよね」
 嘆くように|衣吹《ネイル》は言う。そうしてゆっくりと意識して呼吸すると、其の姿が徐々に薄れていく。
「……! 姿くらまし……ッ!?」
不意を衝くつもりか? 無駄です。と、エオストレがリボンで己を護ろうとした瞬間、其れは起こった。なんとリボンが其の美しい端から、透明になって行くのである。

「――悪いわね。道連れには其のコを選ばせて貰ったわよ?」

 するり、とネイルの手に握られるのはダガー。投擲にも刺突にも斬撃にだって使える優れモノ。ネイルはお気に入りの刃を投擲すると、エオストレが驚愕して無防備になった隙を其の肉体ごと貫いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

佐藤・和鏡子
四天王しぐさがどのような物かは正直よくわかりませんが、とりあえず救急車の車体に『4』と大きく書いてアピールしてみます。
『四天王、ドライバー担当・佐藤和鏡子』という所でしょうか。
4は死に通じると言いますし、救急車という死を齎すマシンに相応しいですから。
クロッケーのルールに則って救急車(轢殺のユーベルコード)で撥ね飛ばしてボールと一緒に試合終了(相手が死ぬ)までフープに叩き込みます。
こちらの速い動きを感知するようなので、ゆっくり近づいて救急車の射程に入った瞬間にフル加速して轢きます。
(運転の技能でコントロール、ダッシュで加速力アップ、重量攻撃と吹き飛ばしで威力を更にアップします)



 さて、佐藤・和鏡子(リトルナース・f12005)は四天王しぐさを知らぬ。当たり前の話だ、寧ろ四天王しぐさが常識であってたまるか、という話である。
 しかし和鏡子は生真面目な性質なので、四天王しぐさに悩んだ末に、呼び出した救急車にスプレーで『4』と書きつけた。レトロな車体になんとも文字が映える。
 折角だから、と付けたして、『四天王 ドライバー担当・佐藤和鏡子』と。
「うん、こんな処でしょうか。4は死に通じると言いますし」

 ――救急車という|死を齎す《・・・・》マシンにはこの上なく相応しいだろう。

「死ね……死ね……! 違法マレットも! 客人も! 私の国を侵す者は、猟兵だろうとも皆みんな死ね……!!」
「過激ですね……メンタルケアの施設をご紹介しますよ」
 じり、と和鏡子はゆっくり距離を詰める。ツギハギエッグと化したエオストレは、何やら喚きながら吹き荒ぶ雪粒に攻撃をしている。そう、此処は雪と氷の国、……雪よりも遅く動いてしまえば、エオストレには認識されないも同然!
「――確か、クロッケーが違法だとか」
 おもむろに和鏡子はマレットを握ると、軽く救急車の身体を叩いた。するとどうだろう? エオストレ(たまごのすがた)に狙いを定めた救急車が真っ直ぐにたまごへと突っ込んでいったではないか。
「ではどのようなクロッケーなら合法なのかは気になりますね。手当てが済んだ後にでもお聞かせ頂いて宜しいですか?」
 和鏡子の言葉は救急車の容赦ないアクセル音の中に消えた。どかん、と重いものを跳ね飛ばすような音がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神臣・薙人
せ、盛大に出遅れましたが
今から四天王と言い張っても許されるでしょうか…
四天王が足りないと聞いて急ぎ馳せ参じました
お花っぽい感じの四天王です
お邪魔します

オウガを倒して死刑されてはたまりませんね
まず掌を切って血を流し
エオストレに接近します
手が届く距離になったら
なるべく広範囲に血が付くよう掌を押し付けて広げます
その後、夢幻桜花使用
これで貴方はもう何も見えません
見たくないものも

UC使用後は蟲笛で白燐蟲を呼び出し攻撃
リボンを剥がすように食い付かせます
余裕があれば更に掌を押し付けて
血の付着面積の拡大を

私は四天王の中では最弱なので
この程度でへこたれていては身がもちませんよ
…少しはワルい感じに出来たでしょうか




「も、申し訳ありません……出遅れました……!」
 雪と氷の国は寒い。神臣・薙人(落花幻夢・f35429)は其の鼻と頬をかっかと赤く染めながら、息を切らして現場に到着した。
「何ですか貴方は! 次から次へと! 鬱陶しい、鬱陶しい! どうせまた違法クロッケーだとか、違法お茶会だとか、違法雪だるまとかする気なのでしょう!?」
「い、違法雪だるま……?」
「お~っほっほっほ! 気にせずとも宜しくてよ! この世界特有のよく判らないルールでしょう!」
 戸惑う薙人に答えるのは、この世界にとっての“客人”……アイスエイジクイーンであった。
 麗人は一頻り高笑いを上げると、其れで、と首を傾げて見せた。
「こちらに加勢して下さるという事は、四天王として振舞うという事ですが宜しいですの?」
「は、はい。構いません。……ええと、お花っぽい四天王を目指そうかな、と、……思って、います……」
 氷色の麗人に向かって話しているうちに、恥ずかしいのではないか? と目を伏せる薙人。其の様を愛らしいとアイスエイジクイーンは笑い、「宜しくてよ」と一言落とした。
「ならばお花四天王! 疾くあの邪魔者ウサギを始末しておしまいなさい!」
「は、はいっ!」
 答えこそぎこちなかったが、既に立派な歴戦の猟兵である薙人の行動は早かった。
 エオストレがくるり、と紫色のリボンを取り回すのに気付くと、美しい意匠の短剣を取り出し……躊躇いなく己の掌を、すぱ、と一直線に切った。つう、と真っ赤な血が流れる。寒い国だからだろうか、薙人は其れを酷く暖かいと思った。
「応援にかけつけておいて何をと思われるかも知れませんが、私は四天王の中でも恐らく最弱」
「は?」
 下手に攻撃すればダメージと生命力を吸われる。薙人はそう判断し、ゆっくりとエオストレに近付き……リボンで覆った其の小さい身体に、傷付いた掌で触れた。にち、と真っ赤な血液を塗り広げていく。
「な、何を……うっ……!?」
 エオストレの声が苦悶に歪む。視界が桜色に埋め尽くされる。花の薫りがして、聴覚をさらさらと葉擦れのような音が支配する。まるで春が来たかと錯覚するかのような五感への刺激に、護りに入っていた裁判長はたまらず苦し気にする。
「――最弱なので、私程度に手こずるようでは身が持ちませんよ? “裁判長殿”」
 ぴぃりりり、笛が鳴る。
 薙人の相棒を、うつくしい白燐蟲を呼ぶ音色がする。白燐蟲の狙いは薄紫に紅が滲んだリボンと、其の中身。
 容赦なく牙を向く白燐蟲を見詰めながら、薙人は『最弱らしくない』冷静さでもって戦況を見ていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フェアリィハート
アドリブ歓迎

【SPD】

あの兎さんが
この国の裁判長さん…

でも
あの方…
もう
何をいっても
聞く耳持たないっていう
ご様子です…

こうなったら
こちらも

クイーンさんに
ご無事にご帰還頂く為にも…!

翼で飛翔
【空中機動】【空中戦】で
立体的に立回り

敵の攻撃等
【第六感】【心眼】【残像】
【結界術】【オーラ防御】で
防御行動しつつ

クイーンさんや
味方に
私自身の攻撃が及ばぬ所まで
飛行して移動し
敵を引き付け
(UCが
敵味方を区別しない攻撃の為)

『そんなに怒らなくても…あちらでお相手して差し上げます…☆』
(四天王しぐさも忘れずに

展開した【ハートのA】達での
【誘導弾】の【一斉発射】【弾幕】と共に
UC発動
敵の攻撃に合わせ
3回に分けて
UCで
イースターエッグごと
なぎ払う様に攻撃

『女王様の、ご無事のご帰還の為…なのですっ…!』

――戦いの後…

ロドレイアのお花を
クイーンさんにお渡しし

『女王様…クイーンさん…私を、四天王に加えて頂いて…有難うございました…ロドレイアの花言葉は…「無事を祈ります」です…ご無事にご帰還されます事を…祈っています…』




「あの兎さんが、この国の裁判長さん……」
 アリスはぽつり、と呟いた。だむだむ、と血塗れの兎の脚が雪を叩いている。これはどう見ても、何を言っても聞く耳は持ってくれないだろう。
「――こうなったら、こちらも……何より、クイーンさんにご無事にご帰還頂くためにも……!」
「最早問答は無用! 死刑! 死刑です! 卵に滅多打ちにされて無様に死ぬが良い!」
 エオストレが華やかなイースターエッグを撃ち出す。アリスは背に生やした翼で、素早く降り続く雪の間を掻い潜りながらイースターエッグを避け続ける。しかし数が多いうえに、攻撃回数が10倍近くにまで跳ねあがっているたまごたちだ。時にオーラで弾き返し、引き付けて残像を残してターン。アリスもぎりぎりのところでイースターエッグたちを躱し続ける。

「(クイーンさんや味方に、攻撃が及ばないように……!)」

 空を踊りながら、ちらりとアリスは眼下を見下ろす。アイスエイジクイーンは泰然としてアリスを見ていた。雪だるまたちは口々に、『がんばれお嬢ちゃん!』『そこだ! いけー!』と応援の声を投げている。
 ……彼等を裏切るような、傷付けるような事があってはならない。アリスは少しずつ、戦場を|ズラしていく《・・・・・・》。
 幸いにして、裁判長エオストレは怒りで我を忘れている。戦場をいきなり変えるならまだしも、少しずつズラす程度では全く気付けないようだ。
「……そんなに、違法クロッケーって、悪い事なんでしょうか……?」
「悪いに決まっているでしょう! こら、ひょいひょいと逃げるんじゃない!」
 イースターエッグの猛攻を躱しながら、アリスは何とかアイスエイジクイーン達を戦場外と認識できるところまで来た。
 此処なら大丈夫。撃てる。
「そんなに怒らなくても、御相手して差し上げましょう。……大事な女王様に傷を付けるような事、あってはなりませんからね……☆」
 もちろん四天王しぐさも忘れない。これはあれかな、忠臣系ちょっと病み四天王かな。
 アリスは言葉通り、一気に戦局を打破しにかかる。【ハートのA】……色とりどりのハート型ジュエルを展開して弾幕を張る。
 愛らしいカタチをした弾丸が雪に突き刺さっていく。其れはまさに、エオストレ「周辺」を狙った飽和射撃ともいえるもの。
「こっ、この……! 裁判長に楯突くなど……!」
「裁判長とか、実はどうでも良いのです。女王様がちゃんと、お家に帰れるように……ご無事にご帰還できるように、私は……!!」
 弾幕の合間を縫って、砕けかけたイースターエッグが追いすがって来る。アリスは、『妖精の心』の名を冠した少女は、手にしたヴォーパルソードを巨大化させると、一気に周囲を薙ぎ払った。




「あの、女王様。私を四天王に加えて頂いて、ありがとうございました」
「あら! 良いんですのよ。貴方の四天王しぐさ、なかなかに素晴らしいものでしたわ! もしこちらの世界に遊びに来ることがありましたら、是非声を掛けて下さいまし。今度は故郷の四天王と一緒に、新たな四天王をお迎えいたしますわ!」
 ほっほっほ、と麗人の高笑いが雪原に響き渡る。
 アリスは其れを聞いて恥ずかしそうに笑うと、おずおずと小さな花束を差し出した。シャクナゲにも似た其の花に、あらあら、とアイスエイジクイーンは瞬きをする。
「構いませんの?」
「はい……! これはロドレイアと言って、花言葉は『無事を祈ります』というものです。……ご無事のご帰還を、心から祈っております」

「ずるーーーーい!」

 思わず表情を緩めたアイスエイジクイーンとアリスの耳をつんざく、現地四天王……もとい雪だるまの声。
「オレ達だってお花とか用意したかった!! クイーン帰っちゃうんですかー!! 寂しいよー!!」
「また来てくださいね、絶対ですからね! 其れまで頑張って四天王らしさを学んでおきますから!!!」
「まあまあ……お~っほっほっほ! わたくしのカリスマ、矢張り留まる処を知りませんわね! 他世界の住人までも虜にしてしまうだなんて!」

 ――なら。
 ――何としても、無事に元の世界に帰らねば女王としての矜持に関わりますわね?

 そう言って笑ったクイーンの顔は、四天王を率いる高飛車な女王の顔ではなかった。アリスは直感する。時折この人がこういう顔を見せるから、人々はラスボスに惹かれずにはいられないのだと。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年02月01日


挿絵イラスト