「サムライエンパイアのある神社で、奉納相撲が行われます」
グリモア猟兵、ユージ・スペンサー(f14224)が告げた。
「奉納相撲とは、神仏への奉納として寺社の境内で行われる神事としての相撲です。と言っても、堅苦しい儀式ではなく、力自慢大会のようなものと考えていいでしょう。当日は境内に露店も並び、縁日のように賑わいます。飛び入り参加も可能ですから、腕試しをされてはいかがでしょうか」
要はお祭りということだ。サムライエンパイアの庶民の娯楽のひとつであろう。
しかし、ユージはただ遊んでこいと言っているわけでもないようだ。
「なお……、当該地域では、奉納相撲の数日以内に、オブリビオンと見られるもののけの群れが出現し、人々に被害をもたらすとの予知情報があります。出現する状況や、どのようなもののけかといった詳細は不明です。そのため、奉納相撲の日に現地に赴く猟兵のみなさんは、情報収集を行っていただけましたらさいわいです」
つまり、奉納相撲が行われる神社で、この催しを楽しむ。
その過程で、なにか気になる出来事や、あやしげな噂などがあれば、情報を集める。そうすることで、数日以内に出現するという、もののけの群れの所在があきらかになるだろうというのだ。
「来るべき災厄を未然に防いでいただくことが期待されます。……が、まずは、サムライエンパイアのお祭りをお楽しみください」
墜落星
サムライエンパイアの冒険をご案内します。
第1章は日常パートですので、ふつうに楽しんでいただいて構いません。このパートだけのご参加もお気軽に!
第2章は、得られた情報にもとづいて、もののけの所在に迫ります。
第3章では、もののけとの戦いになることでしょう。
みなさんのご参加をお待ちしております。よろしくお願いします!
第1章 日常
『奉納相撲』
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POW : 飛び入り力士として土俵に上がる。
SPD : 露店を手伝う。あるいは自分で店を出す。
WIZ : 飲み食いしながら相撲を見物する。
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
劉・涼鈴
おまつりだー!
ご馳走もおいしそうだけど、今回は相撲で楽しもう!
いつものチャイナ服は脱いで置いといて、さらしにまわしで参加するよ!
身長は小さいけど腕力(【怪力】【グラップル】)には自信あるよ!
足の裏以外が地面に付いたらと、土俵から出たら負けだね!
ルールもおっけー!
はっけよーいのこったー!
真っ正面から突っ張りでガンガン攻める!
おりゃおりゃー!
村の人が相手ならふつーにやるけど、もし猟兵が相手なら遠慮はなしだ!
【灰燼拳】を拳じゃなくて平手でやって灰燼突っ張りだ!
わっしょーい!
終わったらやっぱりご馳走食べよ!
チャンコっていうスモウフードがあるんでしょ!
カナ・リーアス
【WIZ】お相撲面白そうだけど、女子が参加できるかわかんないし多分私がやったら相手に怪我じゃ済まないだろうからなんか食べつつ見物するんだよー。よっしゃー!どっちもがんばるんだよー!おっと一応聞き込みもするんだよー
【聞き込み】相撲が一段落した所に近くの人に質問。「ねーねー、最近なんかこの周辺で変わったこととかないんだよ?」
雷田・龍子
【POW】
龍子はサムライエンパイアの相撲に以前から興味を持っていた。
状況によっては武器を持たない肉弾戦も猟兵には必要だろう。
「力自慢か。腕試しさせてもらおう。」
龍子の一際大きな胸に目が行きがちだが、人間の10倍はある脚力を誇る太く長い脚を持っている。
「女だからと甘く見るなよ。さあ勝負だ。」
空雷・闘真
「相撲と言う格闘技に興味がある」
闘真は廻しを締め、飛び入り力士として参加することにした。
とは言え相手は所詮素人、猟兵たる自分の敵にもならないだろう。
勿論加減はするが、さりとて手を抜き過ぎるのも詰まらないし何より相手に失礼だ。
「と言うわけで奥義を使わせてもらうぜ」
闘真は脱力したまま、相手の攻撃を待つ。
組み付いた瞬間【グラップル】≪神如き握力≫で相手の廻しを握り、【空雷流奥義・龍】で片足を軸に回転、それに己の【怪力】を加えて【カウンター】気味に相手を【投擲】する。
これが本来の流れだが、本気でやると相手が死ぬ為、闘真は1/20程の力で迎え撃つつもりだった。
「いつか本物の力士と相撲を取りたいもんだな」
アニカ・エドフェルト
この世界に来るのは、初めて、です…。
また他の世界と、全然違って、ちょっと変わった、雰囲気も…
っとと、お仕事、しませんと。
周りの人に、最近変わったこととか、変な話がないかどうか、聞いてみて周り、ます。
相撲も見ながら、オリジナルUC《転投天使》の、バリエーションの参考に、してみたり、変な倒れ方して、痛んだ力士さんには《生まれながらの光》、してみたり、です。(同時に聞き込みも)
…腕試し、です?
もし、わたしも参加して、いいのであれば、やってみたい、です。
わたしと似た体格の、一般の方相手なら、技能は封印して、正々堂々、ですっ
(相手が大きいなら〈怪力〉のみ使う)
(UCの疲れでぎり負けそう?)
軽妙なお囃子の音が、境内に流れている。
早春の空の下、立ち並ぶ屋台から旨そうな匂いが立ちのぼり、集まってきた人々の活気に、神社は賑わっていた。
カナ・リーアス(f04987)が境内を行く。
串団子に、べっこう飴、香ばしいイカ焼きに、蕎麦や寿司まで。多種多様な食べ物の露店を物色し、食べ物を仕入れると、広場の中央につくられた土俵の傍ら、見物人の桟敷に腰を下ろす。
土俵のまわりには廻し姿の男たちの姿が見える。ちらほらと……猟兵たちも潜り込んでいるようだ。
やがて、奉納相撲の開始が告げられる。
「よっしゃー! どっちもがんばるんだよー!」
団子片手に、カナが声援を送った。
「足の裏以外が地面に付いたらと、土俵から出たら負けだね! おっけー!」
「ふむ、興味深い。武器なしの肉弾戦とうことだな。腕試しさせてもらおう」
劉・涼鈴(f08865)と雷田・龍子(f14251)が相撲に挑戦するようだ。
どちらも、自身の世界にはない「相撲」に興味津々といった様子である。
「女だからと甘く見るなよ。さあ勝負だ」
まずは龍子が土俵へ上がる。
いかにも大柄な、力自慢といった様子の力士が相手だ。
はっけよい!の合図でぶつかりあう。
そのままがっぷり、組み合う形になった。女性としてはやや長身の龍子であったから、ぼふん、と衝撃を胸で受け止める格好になる。相手はそのやわらかさを感じたかもしれない。思わず、頬がゆるんだが――それは奉納相撲にあって罰当たりというものだ。まして、龍子はいたって真面目、本気である。
相手はぐいぐいと押されてゆく。雪深い国で育った竜騎士の脚力は並ではなかった。
相手はなんとか龍子を投げようとするが、それより早く、土俵際から押し出されてしまうのだった。
決まり手――寄り切り。
続いて、涼鈴。
「のこったー!」
龍子に比べればずっと小兵な涼鈴だ。相手も油断していたかもしれないが、しょっぱなからの激しい突っ張りに驚いたことだろう。
真正面から、何を恐れることもなく、攻めて、攻めて、攻めてゆく。
「このっ」
相手も一方的にやられるのは癪だと見え、必死に反撃を試みる。なんとか涼鈴をとらえて、組み合って投げるなり押し出すなりしたいところだろう。だが、まずは涼鈴の勢いを削がねば何もできない。相手も負けじと突っ張りを返す。
激しい突っ張り合いに、見物人は沸いた。
「おりゃおりゃー!」
涼鈴は一歩も引かない。むしろ押してゆく。
このまま灰燼拳を食らわせば、一気に決着がついただろうが、一般人相手にユーベルコードはさすがに自粛する。もっとも、使うまでもなく、相手はもう土俵際だ。
「わっしょーい!」
最後の突っ張りに、相手はどすん、としりもちをついてしまった。
決まり手――突き倒し。
「おー、すごいすごい」
迫力ある取り組みに、カナが拍手する。
……と、ここまで、相撲を見物して、ものを食べてばかりだな、と思ったのか、そっと、傍にいる見物人に話しかけた。
「ねーねー、最近なんかこの周辺で変わったこととかないんだよ?」
「変わったこと? そうさなぁ……そりゃあ、やっぱり、天助(てんすけ)のことかねぇ」
「天助って?」
「見ろ、あいつだよ」
土俵には、ひとりの少年が上がるところだった。
はっけよい、と行司の声に、少年は、自分よりはるかに体格に優れた大人の男にぶつかってゆく。
あっ――、と思う間もなく、相手の男は投げられていた。
おお、と人々がどよめく。相手が特別弱かったわけではなさそうだ。少年は、ふん、と不敵な笑みを見せると、さっさと土俵を降りて行ってしまった。
幾人か、いかにも相撲慣れした風体の男たちが彼に話しかけているが、気にも留めていない様子である。
奇妙な一幕だった。
「大丈夫、ですか……?」
「いててて、天助のヤツ、いい気になりやがって……」
アニカ・エドフェルト(f04762)は、投げ飛ばされた男に手当を施す。彼女の「生まれながらの光」によって、男の打撲もやわらいだようだ。
「今の、方。強いん、ですね……」
「天助な。アイツ、このまえまでさっぱりだったのに、急に強くなりやがってよぉ」
「そう、なんですか?」
「みんなウワサしてるんだ。ありゃあ普通じゃねぇってな」
「……」
アニカは思案する。もしかすると、これが予知に関係するのかもしれない。
と、顔を上げると、次に挑もうとしているのは、小さな子どものようだ。大人と組むわけにはいかないから、対戦相手を募っている様子である。
「はいっ、わたしが、やります!」
アニカが挙手する。アニカも、相撲をやってみてかったのだ。ユーベルコードを使えば大人とやれるが、どうせなら、同じくらいの年恰好・体格の、一般人とやってみたい。
かくして始まった取り組みは、本人たちは真剣ながら、見物人たちには微笑ましく、場を和ませるものだった。
アニカは相手が一般人なので、ユーベルコードは封印して挑む。
それでもうまく立ち回り、相手を掴んで投げるかと、見えた。
わっと人々が歓声をあげたところで、先ほど「生まれながらの光」を使用した疲れがたたってしまった。そのまま投げようとした相手の体重を支え切れずに崩れてしまう。
決まり手――浴びせ倒し。
勝負には負けてしまったが、相撲体験は有意義だった。自身のユーベルコードにも活かせるかもしれない、とアニカは生真面目にも思う。
奉納相撲は、次々と取り組みを終えていく。
ふいに、人々のあいだに、緊張とも畏怖ともつかぬ空気が広がった。
土俵際に立ったのは、筋骨隆々、いかにも腕に覚えのありそうな廻し姿の大男だったのだ。
「あのたたずまい。本物の力士と見た」
そう言って、彼に挑んだのは、空雷・闘真(f06727)である。闘真も肉体では負けていない。全身に剣呑な、闘うものの気配をまとい、本格的に廻しも用意してきた。
「俺は空雷闘真。名を聞こう」
「力王丸だ」
希代の取り組みが始まった。
ぶつかった瞬間、闘真は歓びにふるえた。一般人では相手にならぬと、手加減するつもりだったのだ。しかし、相手は、少なくとも素人ではないようだ。これなら多少は楽しめる。この男に対しては、手を抜き過ぎるのも非礼であろう。
そうと決まれば、力を尽くすのみである。
土俵は、ふたりの巨漢の力の応酬となった。
ふたりともどっしりと重心を低く保ち、たやすく投げられるようなことはない。廻しに力を込められても、全身に力をみなぎらせてそれを食い止める。かといって、押し出すには、土俵を踏みしめる脚があまりに頑健だ。
しばし、ふたりは勝機を奪い合うように、組み合ったまま、土俵のなかを行きつ戻りつする。
ふいに、闘真がどん、と相手を突き飛ばした。
ふたりの体が離れる。力王丸は、かすかに眉を寄せる。相撲の動きとしては怪訝なものだったからだ。しかし、好機であるのも事実。闘真が脱力して見えたので、猛然と襲いかかる。だが、それが闘真の罠であった。
ぶつかってきた力王丸の勢いを全身で殺しながら一歩も引くことなく、瞬時に、上手から彼の後ろ廻しを掴む。しまった、と相手が思ったときにはもう、その身体が宙に浮いていた。
「奥義を使わせてもらうぜ」
ユーベルコード「空雷流奥義・龍」。受け止めた相手の力をおのれのものとして排出する技。それを軸足から放ち、素早い回転と圧倒的な膂力でもって、力王丸の巨体を投げた。
決まり手――つかみ投げ。
ひときわ大きな歓声が、春の空へ散ってゆく――。
●
「待ってくれ、あんたたち」
奉納相撲は滞りなく終わり、縁日も終わりかと見えた頃、猟兵たちに声をかけてきたのは、あの力王丸だった。
「俺はこの近くで道場を開き、相撲を教えているものだ。今日の奉納相撲をすべて見ていたが、あんたたちはとても強いし……なにか不思議なちからのようなものを感じる。俺の頼みを聞いてくれないか」
彼が語ったのは、こういうことだ。
彼が教えている弟子に、天助という少年がいる。身寄りのない子どもだったので、内弟子として道場に住まわせているが、体が小さいせいもあって、相撲は強いとは言えない。それが、ここ最近、急激に強くなった。それだけならよいが、むしろ普段の稽古はさぼるようになり、師匠にも反抗的で、すっかり人が変わったようだという。そして、夜な夜な寝床を抜け出しては、どこかに出かけているようなのだ。
「噂では……天助は『天狗に稽古をつけてもらっている』らしいのだ。この神社の裏手、鎮守の森の奥に、打ち捨てられた寂れた末社がある。天助は毎晩、そこに出かけているようなのだが……。情けないことだが、もし本当に天狗がいたらと思うと、俺たちは近づくのははばかられる。だが、このままには、なにか恐ろしいことが起きそうな気がしていてな。あんたたち、様子を見てきてくれないだろうか?」
猟兵たちは顔を見合わせる。これこそ、予知にあった、もののけの……いや、オブリビオンの手掛かりではないだろうか。
大成功
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第2章 冒険
『天狗の業、いかなるものぞ』
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POW : 魔道に堕ちかけている弟子の心を、ちょっと荒療治をしてでも改めさせねば。
SPD : 弟子はその師匠が妖怪変化の類と知らないのだろう、説得できるかもしれん。
WIZ : 過去に現れた天狗であれば記録が残っているはず、調べれば役に立つだろう。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
カナ・リーアス
天狗って相撲するんだよー?河童なら相撲するの聞いたことあるけど天狗はそんなイメージないんだよー。まあいっかー。今度は私も相撲やるんだよー!
【POW】
そこのしょうねーん!私と相撲とろー!私が勝ったら師匠紹介してー!って挑んでみるんだよー。
もし断ったら「えー?もしかして私に負けるの怖いんだよー?こんな臆病な子を弟子にするなんて師匠も大したことなさそうなんだよー(くすくす)」と【挑発】してみるんだよー。
相撲になったら極力UCは使わず【だまし討ち】を使って猫だまししつつ足持って相手の背中をつかせる作戦でいくんだよー。もしもの時はヒップドロップなんだよー!「使いたくなかったけど仕方ないんだよー!」
空雷・闘真
【POW選択】
「今度の相手は天狗か?もしそうなら面白い。昼の相撲といい、今回の依頼は中々楽しめそうだな。とは言えその前にだ」
楽しい勝負を提供してくれたあの力王丸という男に、闘真は少なからず敬意を抱いていた。
その強さもさることながら、自分の弱さを認め恥を忍んで猟兵に頭を下げたその潔い精神。
そんな強者の弟子とあらば、放っておくわけにはいかないだろう。
「さて。のぼせ上った小僧に灸をすえるには…やはり相撲だな」
天助に真っ向から相撲で勝負を挑み、勝利する。
それが天助の心を立ち直らせるのに一番手っ取り早いだろうと、闘真は考えていた。
「文字通り天狗になってるその鼻っ柱…ポキリとへし折らせてもらうぜ」
雷田・龍子
【POW】
「稽古をさぼるような甘い奴は実践で実力を十分に発揮できないぞ。」
【先制攻撃】【目潰し】【見切り】【グラップル】【怪力】【2回攻撃】【言いくるめ】などを使い、状況によってはUCを使い、奉納相撲にはない「実践」でねじ伏せようと試みる。
※UCドラゴンコイルは、武器が無い場合は素手を帯電させる。
「なるほど、話は承知した」
空雷・闘真(f06727)は、力王丸の話に、力強く頷いた。
奉納相撲の勝負は楽しいものだった。力王丸は実力者だが、負けたとあればそれを認め、猟兵に頭を下げて依頼してくる姿は敬意に値する。闘真はそう考えた。
「天狗? 天狗って相撲するんだよー? 河童なら相撲するの聞いたことあるけど天狗はそんなイメージないんだよー」
と、カナ・リーアス(f04987)が首を傾げたが、闘真は、
「今度の相手が天狗なら面白い。昼の相撲といい、今回の依頼はなかなか楽しめそうだな」
と笑うばかりだ。
「グリモア猟兵の予知情報と合わせれば、あの少年がオブリビオンと関係している可能性があるのでは」
雷田・龍子(f14251)の意見に、ほかの猟兵たちも異存はない。
ならば確かめる必要があるだろうが、それすなわち、件の弟子、天助とやらの性根を見極めることに等しいのだった。
その夜――。
サムライエンパイアの暗い夜を、ただ月光だけが照らす時刻だ。
道場の戸をそっと開け、忍び出てきたのは、誰であろう、天助である。提灯を片手に歩き始めたその行く手に、猟兵たちが立ちはだかった。
「……なんだ、おまえたち」
恐れる様子もなく、相手をにらみつける。
「そこのしょうねーん! 私と相撲とろー!」
口火を切ったのはカナだった。
昼間、奉納相撲の観戦を堪能して、今度は自分でやってみたい気持ちにあふれている。
「なんだと?」
「そのかわり、私が勝ったら師匠紹介してー!」
「力王丸親方のことか?」
「違うよー、そっちの師匠じゃなくて……天狗の師匠!」
はっ、と少年は息を呑む。
「な、なにを言ってるんだ」
そして、そのまま歩き過ぎようとするのだが。
「えー? もしかして私に負けるの怖いんだよー? こんな臆病な子を弟子にするなんて、その天狗師匠も大したことなさそうなんだよー」
と、カナは笑った。
「おまえ……っ、そんなことを言うとバチがあたるぞっ!」
気色ばむ天助に対して、カナはにやりと笑って、はっけよいの姿勢をとった。
少年も覚悟を決めたように、提灯を置き、カナに相対する。
そして、立ち合い!
がっぷり組むつもりで前へ出た天助の眼前で、カナの両手が激しく打ち合わされた。猫だましだ。気を削がれた瞬間、姿勢を低く間合いに滑り込んだカナは、天助の脚に組み付くと、一息に持ち上げて彼を転ばせてしまう。
「やったー!」
「っ! ひ、卑怯な! こんな相撲があるかっ!」
天助はわめいたが、実際のところ、これは「足取り」という正式な決まり手なのである。
「ならば俺とやるか。真っ向勝負だ。来い」
カナにかわって、闘真が進み出る。その圧倒的な巨躯に、天助はやや気おくれしたかに見えたが、すぐに不敵な表情にかわった。
月下の相撲、二番目の勝負だ。
見合って……組み付く。
「どんな天狗に師事しているのか知らんが、文字通り天狗になってるその鼻っ柱……ポキリとへし折らせてもらうぜ」
「どうかな!」
天助の表情が、凶悪なものになった。
まともな相撲なら(カナとの一番がまともでない、ということはなかったのだが)負けはしない、という自信があるようだ。
天助と闘真は、かなりの体格差がある。
普通なら、瞬時に投げ飛ばされてもいいはずだ。しかし……天助はぐっと踏みとどまり、組み合ったままだ。
むろん闘真は一般人の子ども相手にユーベルコードを使用するようなことはない。それにしたって、彼の膂力に、この小さな少年が対抗できるものだろうか?
「たしかに、少しはやるようだ。この力……ほんとうにおまえ自身のものなのか……?」
「だ、黙れ……っ」
「こんなもの!」
闘真はぐい、と踏み込み、渾身の力で天助を投げた。上手投げだ。
したたかに地面に背をうち、痛みに息を吐く。
「この程度で思いあがるとはな!」
闘真は言った。
しかし、この少年が、ここまで応戦できたこと自体、考えられないことではあった。なにか異常な力が宿っているのは間違いない。いわば、ユーベルコードのようなもので、一時的に強化されていたのだとしたら……?
「なぜ負けたと思う? 稽古をしないからだ」
ダメ押しとばかりに、龍子が進み出る。
猟兵たちはなかなか容赦がない。完膚なきまでに、彼の自信は叩き割られようとしている――そんな事の運びであった。
「稽古をさぼるような甘い奴は実践で実力を十分に発揮できないぞ」
龍子の言葉は至って正論。彼女はなにも挑発のつもりはないようだが、天助の顔は真っ赤だ。女相手なら勝てる、と考えたのだろうか。
声をあげてかかってくる。
その攻撃を、龍子は巧みに身を引いてかわす。これは試合ではなく実践だ、と龍子は考える。相撲なら組み合って力比べをするのもよいが、実践――いや、実戦なら、違う戦う方があった。
「逃げるかっ」
「……」
龍子の目は戦士の冷徹さで天助の動きを見切る。
少年が、苛立ったように、荒々しい突っ張りを仕掛けてきた。
その手が龍子に触れた――と見えた瞬間。
龍子が身をひるがえす。突っ張りの衝撃を受けたかにも見えたが、その拳には、紫電が閃いていた。ユーベルコード「ドラゴンコイル」。受けた衝撃を電気に変えて自身を帯電させたのだ。電撃をまとう拳が、天助の腹に埋まり、身を折ったところを文字通りねじ伏せる。制圧完了!
「ち、ちくしょう……っ」
地面に膝と手をつき、天助は咳き込む。
そのときだった。
ぶわり、と、彼の身から黒い煙のようなものが立ち昇り、闇夜に散ってゆくのを、猟兵たちは見た。
今のは一体……? だが、それをたしかめる暇もなく、天助は提灯をひっつかむと、夜の向こうへと脱兎のごとく駆けてゆくのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
劉・涼鈴
天狗の仕業! ってやつだね!
夜にこっそりあとを追って、現場を押さえよう!
見つかっちゃったら……そーだなー、お祭りで強かったの見たから、手合わせしたい、って言っとこうかな!
実際、どんくらい強いのか興味あるし、丸っきりウソってワケじゃないしね!
まずはふつーに相撲をしてみる!(【怪力】【グラップル】)
昼にやった突っ張りとか、あと投げとかも試してみようかな!
もしオブリビオンが関わってそうな感じがしたら、【気合い】入れてユーベルコードも解禁で本気モードだよ!
【灰燼拳】突っ張りでぶっ飛ばす!
ねー、そんな技どこで覚えたの?
あのおっちゃんも強そうだけど、そんなの教えられる感じじゃないよね?
ホントに天狗?
「ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう」
天助は走った。
なんだあいつら。どうして勝てなかった。俺は、天狗さまに力をもらったのに。天狗さまは俺に力をくれたのに……!
「天狗さま! 天狗さま!」
膝をつき、頭を下げた。
「お助けください。俺にもっと、力を……」
そこは、神社の裏手に広がる鎮守の森だ。
力王丸の話のとおり、打ち棄てられ、誰も参拝するものがいないと見える、荒れ果てた社があった。
ほかに人の気配はなく、ただ、深い深い闇だけがあたりを包んでいた。
「……誰だ」
しばし、無人の社を伏し拝んでいた天助だが、ふと顔をあげて、振り返った。
灯火すら入っていない石灯篭の陰から姿を見せたのは、劉・涼鈴(f08865)である。
「お祭りであなたを見たよ」
くったくなく、涼鈴は言った。
「とっても強かったね。私と手合わせしない?」
それはあながちウソではない。純粋に、彼の力を試してみたかったのだ。
天助は胡乱な目を返したが、やがては頷いた。
彼女に勝てば、自信が取り戻せる。俺はたしかに強いのだと確かめられる。そんなふうに思ったのだろうか。
「はっけよい、のこったー!」
奉納相撲で相手を圧倒した涼鈴の突っ張りだ。
天助はそれを喰らったが、踏みとどまった。そして、涼鈴に組み付いてきたのである。
なるほどこれは尋常ではない。涼鈴は怪力を発揮し、そこから投げへと持っていった。
天助の体が宙を舞い、地面へと叩きつけられる。
相撲としては、涼鈴の勝ちだ。
「ぐっ……おまえたち……なんなんだよぉおおおっ」
天助は、かんしゃくを起こした子どものように叫んだ。
彼を、黒い靄のようなエネルギーが包んだように見えた。そして、突っ張りのように突き出された手から、目に見えない衝撃が繰り出され、涼鈴にぶつかってきたのである。
「!」
反射的に、彼女は反撃していた。
ユーベルコード「灰燼拳」の攻撃を、天助は――いや、彼を包んだ黒い靄が弾いたのである。
「ねー……」
涼鈴は聞いた。
「そんな技どこで覚えたの? あのおっちゃんも強そうだけど、そんなの教えられる感じじゃないよね? ……ホントに天狗?」
ざ、ざ、ざ、ざ、ざ――。
夜風が、鎮守の森の木々をざわめかせる。
大成功
🔵🔵🔵
アニカ・エドフェルト
人のいない社…なんだか、相撲のトレーニング、って感じは、しませんが…。
力王丸さんに、社の大体の位置を訊いて、空を飛んで向かって、空中で、待ちます。
あら、あの黒い霧…。変な力でも、受け取って、しまいました…?
そんなことを、考えながら、社の前に、降り立ち、ます。
天狗と、間違えて、くれれば、やりやすい、かもしれません、が…?
あなたが、どれくらいの力になったか、見せて、もらいます。
(間違われないなら普通に「変な力に手を出すな、そんな力に意味はない」と)
そんな感じで、手合わせをしようと、します。
〈怪力〉〈グラップル〉を使って、持ち上げてから、優しく地面に、倒そうと、します。
…さて、元凶を、断ちませんとっ
そのとき、ひときわ大きなざわめきが、梢を揺らした。
はっと振り返った天助のまえに、翼のある少女がふわりと降り立つ。
「!?」
天狗だ――、と知らぬものが見れば思ったかもしれない。
実際はオラトリオの天使の翼だ。すなわち、あらわれたのはアニカ・エドフェルト(f04762)だったのである。アニカは社に先回りし、天助を待ち構えていた。
「なっ……、誰だっ……!」
天助は狼狽した声をあげた。
アニカは青い瞳で、きょとりと見返す。空からあらわれて「天狗だ」と思わせられるかと思ったが……、ひょっとすると、天助の会った「天狗」は、いわゆる天狗の姿をしていなかったのかもしれない。ただなにかの超常的な存在を、サムライエンパイアの人々の感性が「天狗」ととらえただけだったということはあり得るだろう。
「おかしな、ちからに、手を出さないほうが、いいですよ。そんな、ちからに、意味はありません」
アニカは告げた。
「俺は強くなったんだ! 強くなりたかったんだから、これでいいんだよ!」
天助がアニカに迫る。アニカは子どもだ。まさか負けるはずはない、と天助は思う。
ところが。
天助の手は空を掻いた。アニカが避けたのだ。
「あっ!?」
組み付くことが許されない。天助の動きを、アニカはやすやすと掻い潜ったのである。
そして、一息に、懐に飛び込んでくる。ユーベルコード「転投天使(スロゥイングエンジェル)」が、魔法のように天助を投げた。鞠を放るように軽々と、それでいて、猫を抱くようにやさしい動きだった。
「うわああっ!?」
投げられた、というよりは、浮かされたとでもいうような感覚に、天助は情けない声をあげた。
ふんわり、と背から着地したあとも、ばたばたともがくばかり。動きを封じられたようだ。
先ほどまでと同様に……またも、天助の身体から黒い靄が抜け出してゆく。
それとともに、天助の動きが鈍くなっていった。
「そんな……力が抜けて……天狗さま……」
アニカは、黒い靄が、古い社のなかに吸い込まれてゆくのを見る。
ガタガタと、建物が揺れ始めた。
「いるの、ですね……。出てきて、ください。……元凶を、断ちませんとっ」
その声に応えたかのように、ばん、と大きな音を立てて、社の戸がほとんど弾け飛ぶように開いた。
あふれだす黒い靄が、アニカの――そして、駆け付けた猟兵たちのまえで、次第に形をなしてゆく。
成功
🔵🔵🔴
第3章 集団戦
『暴走する式』
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POW : 魔弾呪式
【幾つもの呪力弾】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 分裂呪式
レベル×1体の、【一つ目の中】に1と刻印された戦闘用【自身と同じ姿の暴力する式】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ : 憑依呪式
無機物と合体し、自身の身長の2倍のロボに変形する。特に【武器や殺傷力のあるもの】と合体した時に最大の効果を発揮する。
イラスト:灰色月夜
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
夜の社で、稽古をつけてくれる天狗がいる。そういう噂だったはずだ。
だが、これが天狗だろうか。
まして、相撲の稽古をつけてくれるとは思えない。
「ツヨク」「ツヨク」「ナリタイ」「モット」「ツヨク」
耳障りに、細切れの言葉が繰り返されたが、それに知性があるかさえ、あやしいものだった。
なんらかの事情で、社に封印されていたもののけが目覚め、天助の声に応えたのだろう。だがそれは「自動的な反応」だった。誰もいない末社の境内で独り鍛錬に励む少年の独り言を聞き、機械的に力を分け与えたに過ぎない。そこには意思などなかったのだから。
ぎょろり、と真っ赤な一ツ眼をそなえたもののけの群れが、鎮守の森の夜空をぞろぞろと飛び回る。
そして、一度は力を分け与えた先の天助へ向かって、ガラス玉のような眼を向けると、いっせいに襲いかかったのだった。
劉・涼鈴
うぇー、これが天狗~?
マンガではもっとこう、人型で鼻が長くて、羽が生えてて……
なんの妖怪だろー……わっかんないや、ぶっ潰そ
なんかいっぱい撃ってきた!
【野生の勘】と【気合い】で避ける!
あっちからもこっちからも! むわー! 弾幕ゲーみたいだ!
むーん、言葉通じないなー
まねっこばっかり、オウムみたい
こいつ的には悪さしてるつもりもないんだろうなぁ
天助の力の大元なら、もっと強いハズだし、手加減はなしだ!
【ダッシュ】で至近距離まで詰めて【怪力】全開!
【灰燼拳】突っ張りでどかーん!
どんどん増殖してるし、ぶっ飛ばして他のヤツにブチ当てて数を減らす!
わっしょーい!
雷田・龍子
【POW】UCドラゴンフィストを発動。天助へ駆け寄る。
「これが私の全力だ!」
もののけの群れが襲う瞬間に帯電した拳を天空へ向けて打ち込むと、それは瞬間的にレベルm半径のプラズマバリア(雷属性攻撃)となる。
「うぇー、これが天狗~?」
劉・涼鈴(f08865)は、あらわれた不気味なものどもを、戸惑いの目で眺めた。
「天狗って、マンガではもっとこう、人型で鼻が長くて、羽が生えてて……」
こいつらはおよそ似ても似つかない。もっとも無機的な何かだった。
それが今、死肉をついばもうとするハゲタカのように、鋭く舞い降りてくる。
「これが私の全力だ!」
寸前、凛とした声が、夜の末社に響き渡った。
雷田・龍子(f14251)の拳が天を衝く。
雷光が、真昼のようにあたりを照らした。ユーベルコード「ドラゴンフィスト」により放たれた雷撃は、瞬時に空中に拡散し、ドーム状のプラズマのバリアを形成した。
飛来するもののけたちが、そのバリアに触れるや、激しい電撃が閃き、弾かれてゆく。力の弱いものは、それだけで消し飛んだものもいたようだ。
パリパリ、と音を立てて、周囲の空気そのものが帯電している。
天助は、助かったことに息を吐きつつ、自分の髪の毛が逆立っているのに気が付く。
もののけの群れは態勢を立て直すかのように旋回する。
そして、赤い単眼で地上を睥睨すると、そこから黒い靄がかたまったようなものを、ばらまくように発射してきた。
「むわー!」
涼鈴は鋭い野性の勘で、撃ち出された弾を避けた。彼女のいた場所の、敷石が被弾し、じゅっと焦げる。高エネルギーの、呪いが凝縮したもののようだ。
むろんそれだけで終わらず、呪いの魔弾は雨のように降り注ぐ。無数の群れが四方から撃ってくるのだから当然だ。
「あっちからもこっちからも! 弾幕ゲーみたいだ!」
それを巧みにかわし、掻い潜る涼鈴」
「アッチ」「コッチ」「アッチ」「ダンマクゲー」「ダンマクゲー」
壊れた録音機のように、もののけたちが繰り返す。
やはり意思や知性は感じられない。
(こいつ的には悪さしてるつもりもないんだろうなぁ)
いわば質の悪い自然現象のようなものだろう。
涼鈴は、天助が龍子にかばわれているのを横目に確認すると、自身は力を込めて駆け出す。
地面から石灯篭を蹴って、三角跳びの要領へ空中へ!
もののけたちに迫ると、そのまま渾身の灰燼拳を叩き込む。
「わっしょーい!」
さながら突っ張りだ。
まとめて数体を張り飛ばし、ぶっとばされた個体が別の個体にぶつかって、一気に何体もの敵を消し飛ばす。
「ワッショイ」「ワッショイ」「ワッショイ……」
断末魔さえもオウム返しで、もののけたちは夜の空気に溶けていった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
カナ・リーアス
【心情】おっしゃー!かかってこい天g…じゃなーい!!こいつらなんなんだよー!?不気味なんだよー!!
【作戦】仲間と連携。さすがに数が多すぎるんだよー!ここは巨人を呼ぶんだよー!せっかくだし相撲らしく戦うんだよー!どすこいどすこーい!(つっぱりの動きを巨人にさせる)
【戦闘終了後】天狗かと思ったらなんか怖い奴らで残念だったんだよー…でも相撲取ってて分かったけど相撲ってやっぱりおもしろいんだよー!力だけじゃ勝てないし奥が深いんだよー!そう思わない?しょうねーん!
空雷・闘真
「強さとは力ばかりが全てではない。こういう戦い方もある」
天助を【かばい】ながら、闘真は両手をだらりと広げ脱力する。
彼の師である力王丸との取組で使った【空雷流奥義・龍】。
敵の攻撃を躱すでも防ぐでもなく「受け流し」、それに【カウンター】で増幅させた己の力を加えて反撃するつもりなのだ。
「もののけすら使役させる程に強い、お前の『強さへの執念』。それをこの先も決して忘れるな。そうすればお前はもっと強くなれる」
自分の背後にいる天助に、闘真は凶暴な笑みを浮かべる。
「強くなったら俺に挑みに来い。そしてお前の師匠のように俺を楽しませろ。その時を楽しみに待っていてやる」
アニカ・エドフェルト
元凶、出て、きましたね。覚悟して、くださいっ
いえ、あなたには、意思も何も、ありません、か…?
(〈かばう〉使用で天助さんを守りつつ)
天助さん、逃げ…いえ、離れちゃうと、守り切れなく、なるかもしれません。
ですから、あちらの、木の陰に、隠れていて、ください。
大丈夫、わたしたちが、守り、ますっ
とはいえ、実体がないと、わたしでは、攻撃できるか、どうか…?
いえ、やるだけ、やって、みましょうっ。〈ジャンプ〉で跳んで、飛び蹴り、ですっ
当たらない、場合でも、《サウンド・オブ・パワー》での強化役に、回ります。
(可能なら最後天助さんに)
大丈夫、でしたか? さぁ、みなさんの元に、帰りましょうっ
(説教的なことはしない)
「天助さん、こっちへっ」
アニカ・エドフェルト(f04762)の声に、腰を抜かしていた天助は我に返る。
「木の陰に、隠れていて、ください。大丈夫、わたしたちが、守り、ますっ」
言われるがままに走ったが、その頭上を、もののけたちが飛び交うのに、思わず身がすくみ、足がもつれる。
そこへ、すい、といくつかのもののけが群れを離れて下降してくる。
「う、うわっ」
そこへ飛び込んできたのは、空雷・闘真(f06727)とカナ・リーアス(f04987)である。
ふたりが襲ってくるもののけの相手をしている間に、アニカに伴われてなんとか退避できた。
「そこで見ておくんだな」
闘真が声をかけた。
「強さとは力ばかりがすべてではない。こういう戦い方もある」
と、立った闘真はまるで無防備だ。天助ともののけたちの間に割って立ってはいるが、両手をだらりと広げ脱力しているように見える。昼間の奉納相撲を見ていたものなら、それが、力王丸との立ち合いで彼が用いた「空雷流奥義・龍」と気づいたかもしれない。
上空ではもののけが、同じ姿をしたおのれの分身を増殖させていた。それが次々に飛来して闘真に襲い掛かる。それを避けるのでもなく、叩き落すのでもなく、あえてその身に受けているように見える。しかし、瞬間、闘真の体はしなやかに敵の勢いを殺し、逃がしているのだ。そのため深刻なダメージを受けることはなく、攻撃を受ければ受けるほど、その背には気迫のようなものがみなぎってゆくように感じられる――。
なにを察したかのように、アニカが進み出た。
夜の森に、彼女の澄んだ歌声が流れはじめる。ユーベルコード「サウンド・オブ・パワー」が、その場にいる猟兵たちに力を与えてゆくのみならず、じっとりと湿った夜の空気が、清浄になっていくように感じられた。
アニカのユーベルコードによる強化は、むろん、闘真にも影響する。ためこんだ力が限界まで膨れがっているのが、天助にもなぜだか感じられた。
もののけが呼び出した分身は、空中でどんどん合体していく。そのたびに、目のなかの数字が大きくなってゆき、そのものの大きさ自体も増してゆく。
すべての分身が合一した巨大なもののけが、ごう、と夜気をふるわせながら闘真に迫る。それを迎えるのは、気合の一声だ。
真っ向からぶつかったカウンターに、ためこんだ力のすべてが流れ込み、もののけは蒸発するかのように吹き飛んでしまう。
「すげぇ……」
放心したようにそれを見る天助、闘真は背中越しに語った。
「こいつらはおまえの思いに応えた。おまえの思いは強かった。もののけすら使役させるほどに強い、お前の『強さへの執念』。それをこの先も決して忘れるな。そうすればお前はもっと強くなれる」
「……」
わずかに振り向いた闘真の横顔は、たしかに笑っていた。傷のある、こわもてだ。優しい笑みには見えないかもしれない。それでも彼の伝えようとしたことが確かに伝わったのは、天助が表情を引き締めたことで明らかだった。
「さすがに数が多すぎるんだよー!」
その間も、カナは地道にもののけを叩き落し続けていたが、いよいよ堪忍袋の緒が切れそうだ。天狗と戦えると思っていたのに、わけのわからない不気味な妖怪だっただけでも残念なのだ。それが数で攻めてくるので面倒で仕方がない。
だがそれは、もしかすると相手もそうだったのかもしれない。
数が減ってくると、もののけは、手近な石灯篭や、そのあたりの岩、倒木、放置された手桶や箒といったものに吸い込まれるように憑依していった。そしてそれらの品々が寄り集まると、大きな人型となって立ち上がる……。
「巨人出てこーい!!」
巨人には巨人だ。
カナのユーベルコード「アースジャイアント」により、地面からむくむくと3メートルほどの巨人があらわれた。
「ここもやっぱり、相撲でいくんだよー!」
カナが四股を踏むと、アースジャイアントもまったく同じ動きをなぞる。巨人の四股踏みに、どしん、どしん、と地面が揺れた。
もののけの巨人が抑え込もうとしてくるが、カナの操るアースジャイアントが、強烈な張り手で応戦した。
「どすこーい!」
もののけの巨人は、がらくたの寄せ集めだ。アースジャイアントの攻撃を受けるたびに、憑依したもののけごと崩れ、部位がちぎれ飛んでゆく。
「どすこーい!」
アースジャイアント自身が立てる土煙に、もののけの巨人からばらばらと崩れるがらくたに、夜の末社は時ならぬ大騒動の巷となったが、カナはおかまいなしに攻めてゆく。ここで手心を加える必要もあるまい。
アニカの歌声による強化も受けて、いよいよ敵を追い詰める。
もののけの巨人はここまでに突っ張りで体の大半を削られ、ほとんど立っているだけの、カカシ同然だ。それでも、反撃を行ってくる。一瞬の隙を突いてアースジャイアントが掴まれた。相手が圧してくる。しかし、アースジャイアントは腰を落として、相手の勢いを利用し、もののけの巨人を後方へと投げた。
決まり手――うっちゃり。
地面に叩きつけられた巨人はもとの品物に戻ってバラバラになって散らばり、そこからすうっと抜け出た黒い靄は、薄くなって消えてゆく。もののけを構成する呪力が失われたのであろう。
すなわち、猟兵たちの勝利である。
「おっしゃー!」
カナがガッツポーズをとる。役目を終えたアースジャイアントが消えていくなか、振り返ったカナは満面の笑みだ。
「相撲ってやっぱりおもしろいんだよー! 力だけじゃ勝てないし奥が深いんだよー! そう思わない? しょうねーん!」
「あ……」
その笑みの相手は、むろん天助である。
「大丈夫、でしたか?」
アニカが気遣うのに、天助は頷くと、カナに笑い返した。
「そう、だな……。俺……帰らなきゃ。明日から、稽古しないといけないから……」
その言葉に、猟兵たちはあるものは満足げに頷き、あるものは笑みを返した。
「さぁ、みなさんの元に、帰りましょうっ」
アニカに優しく促されて、天助は立ち上がり、新たな一歩を歩み始める。
鎮守の森に静けさが戻ってきたようだ。
どこか遠くで、フクロウが一声、ほーぅ、と鳴いた。
大成功
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