プロジェクトKDS
●クソダサセーター
それは名前の通り、『クソダサいセーター』の事である。
どんなモデルを起用しても、どれだけ真剣な表情をしても、ポージングをしても。10人中だいたい10人が「一周回ってカッコイイにならない」「紛う事なくダサい」とジャッジする。
けれど、そこがいい。
だからこそ、いい。
ダサいのが何よりも魅力になる不思議な愛されファッションをよく目にするのは、クリスマスシーズンだろう。
そのクソダサセーターを、クリスマス以外でもウキウキで新作発表するブランドがあった。
時に愛嬌や親しみを感じさせるが、絶妙にダサく。
時に「ひょっとしたらイケてるかも」と思わすが、やはりダサく。
時に「どう育って何を食ったら思いつくんだ」と人を唸らす方面で、ダサい。
クソダサセーターに欠かせない魅力を備えたセーターは毎シーズン人気で、新作が出れば「またやってくれたぜ!」とSNSが盛り上がり、発売されれば早速着てとっておきショットを載せるユーザーが有名人一般人問わずSNSにわんさか現れる。
そのクソダサセーターに情熱を燃やすブランドが次シーズンに向け行動を開始し、会議室で何やかんやあってからこうなった。
「猟兵の皆さんと一緒に作りたい」
「わかる」
●プロジェクトKDS
「という事で、あの『ジャスティス・セーター』から、2025年クソダサセーターを猟兵とタイアップしたいっていう熱烈なオファーが来たぞ!」
そう知らせたネライダ・サマーズ(アイギス・f17011)は、そりゃあもうニッコニコだった。近所のショッピングモールにヒーローが来ると知った子供みたいに、目がキラキラしていた。
『ジャスティス・セーター』とは。
元ヒーローが創設したファッションブランドのひとつ、セーター特化ブランドであり、ヒーローズアースで「クソダサセーターといえば?」と尋ねればだいたいの人が名前を挙げる、名実どちらも備えた人気ブランドだ。
そして犯罪者や元ヴィランの社会復帰にも力を入れている。
ファッション方面でも、社会貢献面でも、なかかに眩しいブランドなのだ。
「向こうは俺達猟兵と一緒に、来年のクソダサセーターのデザインと、クソダサセーターの宣材写真撮影を希望していてな。デザインに自信がある奴は勿論、思いついたものを気軽に提案するだけでも、向こうにはいい刺激になって歓迎されると思うぞ」
何より社員一同猟兵のファンだ。一緒に仕事が出来る喜びは、彼らのインスピレーションにポジティブな影響をどっさりもたらすだろう。
場所はニューヨークにある『ジャスティス・セーター』本社にて。社員が日々の英気を養う専用食堂やカフェで、料理やスイーツ、コーヒーを楽しみながら案を出し合ったり、会議室でじっくり話し合う事も出来る。
社内の歴代セーターとデザイナー紹介がされている展示エリアでは、実物を前に名案がぴかりと浮かぶかもしれない。
「ジャスティス・セーター・オフィシャルショップも使えるぞ。そこで案を練るのも手だろうな」
ブランドロゴが入ったセーターは人用もペット用も取り揃えられており、サイズ展開も非常に豊富だ。ぬいぐるみに着せられるものまである。
グッズなら、時にファッショナブル、時にクソダサなセーターのマグネットやキーホルダー、ボールペンにシールといった文房具から、最近流行りのアクリルスタンドやセーター柄マグまで。パッケージがセーター形のクッキーや、セーターをプリントしたセーター形キャンディといったお菓子もバッチリだ。ふわふわマシュマロも大人気らしい。
「それとだ。当日はオブリビオン残党が『ジャスティス・セーター』本社前で事件を起こす。そっちは遠慮なく倒してきてくれ」
ネライダがいい笑顔でグッッッと拳を作った。
今も残るオブリビオンの脅威。人々とクソダサセーターの未来が傷付けられる事がないよう――煌めく水のグリモアが、猟兵達をヒーローズアースのニューヨークへと繋いでいく。
東間
KDSと書いてクソダサセーター。
|東間《あずま》です。
●受付期間
タグと個人ページ、X(https://twitter.com/azu_ma_tw)にてお知らせ。
オーバーロードは受付前送信OKです。
●1章
2025年のX'masをメインとしたクソダサセーターのデザインやCM案を、色々楽しみつつ考えましょう。
猟兵のみで考えるか、ブランド側のスタッフと一緒に考えるかはご自由にどうぞ。どこで行うか、場所も自由に選んで下さい。X'mas以外の季節に向けたデザインも大歓迎されます。
●2章
オブリビオン残党戦。
ブランド側が邪魔にならないようカメラをちゃっかり回します。リアルバトルをCMに!の精神。
良かったら、カメラを意識しながら立ち回ったり、イイ感じの表情をキメてあげて下さい。スタッフからド黄色い悲鳴が上がります。
●グループ参加:3人まで、オーバーロードは人数制限なし
プレイング冒頭に【グループ名】をお願いします(【】は不要)
送信タイミングは同日であれば別々で大丈夫です。
日付を跨ぎそうな場合は翌8:31以降だと失効日が延びてお得。
グループ内でオーバーロード使用が揃っていない場合、届いたプレイング総数によっては採用が難しい場合があります。ご注意下さい。
以上です。
全体的に明るくコミカルなものになる予定です。
皆様のご参加、お待ちしております。
第1章 日常
『エピローグはほのぼのと。』
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POW : 食事で楽しむ!
SPD : ショッピングして楽しむ!
WIZ : 観光して楽しむ!
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●共に編むプロジェクト
シックなセーターとレトロ感あるクソダサセーターを2着、トーテムポールのように縦に続けて着た白亜のビル――壁をたっぷり使って描かれたウォールアートが『ジャスティス・セーター』本社の目印だ。
本社前には、セーターを来たグループがずらり。キリリと待っていた女性の目が、猟兵を見た瞬間にぱっと嬉しさを灯して輝いた。
「ようこそお越し下さいました。今回のプロジェクトリーダーを務めます、サラ・ウォーカーです。よろしくお願い致します。彼らはプロジェクトのメンバーで――……」
ちなみにサラが着ているセーターのデザインは、バッチリとクソダサだ。
サメが尾びれでサーフボードの上に「OH!YEAH!」のセリフ付きで立っており、けれど乗っているのは青い波ではなく赤とオレンジを巧みに使ったマグマ。そして背景は明るい青。黄色い線が四方に伸びていた。
「ああ、この部分ですか? 夏の空と太陽です。では中へどうぞ。ご案内します」
ビルが着ていた2つのセーターを、左右半分ずつ。「Welcome!」吹き出し付きで笑う初老の人物。オフィシャルショップ手前に立つ等身大パネルの女性が、ブランド創設者である元ヒーローの『ジュリア・バートン』だ。
「現役当時は、大きなパワースーツを着て戦っていたんですよ」
そんなジュリアが始めたブランドの歴史がわかる展示エリアは、オフィシャルショップと同じ1階にある。中には休憩用の椅子とテーブルがある為、そこを使いながらアレコレ考えるのもいい。
腹を美味しく満たしながら行きたい時は、2階がピッタリだ。
「食堂はこのフロアの左側、カフェは右側です。食堂で何か食べてからスイーツをチョイスする事も出来ますよ。どちらも全メニュー持ち帰りが可能で、今回用意しました会議室でも飲食可能です」
食堂メニューは、アメリカといえばのハンバーガーやホットドッグ、ピザに始まり、ベーグルサンドや中華料理もある。最近登場した日本風カレーも大人気だ。
カフェの方は食堂よりも軽めのメニューが多い。
アップルパイやレモンメレンゲのパイに、チェリーパイ、ピーチパイ。警察ドラマでお馴染みのドーナツは大きめでカラフルだ。カレーと同時期に始まった日本風唐揚げはカップ入りで、屋台飯感がある。
それから、フルーツ添えかベーコン&目玉焼き添えかが選べる、少し大きい気がするパンケーキ。掌くらいはある薄めのザクザクビスケット各種。チョコレートをしっかり使ったブラウニーは基本カットされている――が、社員の中にはカット前を丸ごと買う人もいるのだとか。
セーターだらけのグッズ。
ブランドの始まりと、これまで。
社員達を日々支える食。
『ジャスティス・セーター』に触れながら、パッションのままに熱く練るか、リラックスしてラフに気ままに挑むか。それは自由であり――どちらを選んでも、サラ達プロジェクトメンバーは喜んでくれるだろう。
朱酉・逢真
【白蛇衆】
心情)坊に誘われて俺参上。ほうほう。ほほう。イイねェ、好いセンスだぜ雲珠坊。|ハイカラ《クソダサ》といやァ俺におまかせよ。なァ旦那。(満面の笑み)
行動)俺は異教とかあンま気にしない系の神なので、ここはノリノリで行く。楽しけりゃイイだろ。なるほど赤色ね。(デザイン紙に大胆に赤を入れる) 赤だけだと地味だよな。(大胆に黄色とか水色とか蛍光グリーンとかいれる) そォいやショップあンだっけ。宣伝ついでに入れよう。(キーホルダーを編み込むと書き入れ)(せっかくなのでゴッドパワーで光らせる)(サンタのぬいぐるみも追加) 旦那は何追加するゥ? 出来たら皆で着て写真な。(自分は《服》で編む)
雨野・雲珠
【白蛇衆】
ふふふ、おれは『とれんど』にも詳しい桜。
クソダサが何かはわかりませんが、
多分ハイカラみたいなものでしょう!
というわけで…かみさまー!深山さーん!
ご覧ください、この有名セーター屋さんの企画
毎冬大流行なんですって!
帝都の戦も終わったことだし、ウキウキでお誘いです。
どうでしょう、早めの冬支度といきませんか?
大真面目に図案とにらめっこ
ぬしさま(※主祭神)もかみさまもいる身として、
さんたさんは俺にとって異教では…?
…そうですよね!それでは、ご寛容に甘えて
やっぱり赤は入れたいです!
明るい色は元気がでますもの。
やや、かみさま。絵、お上手ですね…
あ、猫はお洗濯の時に取り外せるようにしてください!
深山・鴇
【白蛇衆】
(あっこれ|いつもの《トンチキ》だなぁっていう優しい顔をしている、諦めているともいう)
クソダサとハイカラは違うと伝えるべきか、もういっそそのまま突き進ませるべきか、言うタイミングを逃したな…まぁいずれ雲珠君も真実を知って大人になる日がくるか!(彼は成人しています)
で、なんだっけ、|ハイカラ《クソダサ》セーターだったかな?そうだね、クソダサなら逢真君だね(優しい以下略)
八百万の神がいる世界だ、いいんじゃないかい?ほら、|かみさま《逢真君》もそう言ってることだし
ゲーミングセーターかな?
そこに追加するのかぁ…猫とかどうかな、猫
すごく長い猫のぬいぐるみを縫い付けてみたらいいと思うよ
“猟兵と、クソダサセーターでタイアップを望むブランドあり”。
その報せと詳細をグリモアベースで聞いた雨野・雲珠(慚愧・f22865)は、大きな目をぱちぱちさせた後、その目も表情も、誇らしげに輝かせた。
「ふふふ、おれは『とれんど』にも詳しい桜」
クソダサが何かはわからないけれど。
多分ハイカラみたいなものでしょう! という具合に捉えた雲珠の心は弾むよう。
そうして「かみさまー! 深山さーん!」と、馴染みの1柱と1人を誘いに行ったのが少し前の事。
「ご覧ください、この有名セーター屋さんの企画。毎冬大流行なんですって!」
帝都の戦を猟兵達の勝利で終えた事もあり、ジャスティス・セーターの紹介パンフレットを手にした雲珠はどこからどう見てもウキウキだ。
ブランド名。クソダサの4文字。これまでに作られたクソダサセーターの写真。雲珠に誘われ参上した朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)の視線が、パンフレットにあるセーターや文字をゆるりぬるりとなぞって笑う。
「ほうほう。ほほう。イイねェ、好いセンスだぜ雲珠坊」
ぱあっと目を輝かせた雲珠の目が深山・鴇(黒花鳥・f22925)に向く。真っ直ぐな視線を鴇は黙って優しく受け止め、頷いた。うん。うんうん。成る程ね。
(「あっこれ|いつもの《トンチキ》だなぁ」)
諦め度100%だったがそれを表には出さない。
クソダサとハイカラは違うよと伝えるべきか、もういっそそのまま突き進ませるべきか――心ウキウキ瞳キラキラな雲珠へ言うタイミングを逃した為、どうしたものかなという悩みもあるけれど。
(「まぁいずれ雲珠君も真実を知って大人になる日がくるか!」)
ふ――と微笑んだ鴇の頭から“雨野・雲珠、21歳”の事実が華麗にすっぽ抜けた瞬間である。
「で、なんだっけ、|ハイカラ《クソダサ》セーターだったかな?」
「|ハイカラ《クソダサ》といやァ俺におまかせよ。なァ旦那」
「そうだね、クソダサなら逢真君だね」
にっこり満面の笑み。にこ、と|優しい《以下略》笑顔。
大人2人から漂うやる気と笑みに、雲珠の心は明るくきゅっと引き締まる。図案とにらめっこするその表情は大真面目で、どんなクソダサデザインを見ても、その真面目さが崩れる事はない。――のだけれど。
「ぬしさまもかみさまもいる身として、さんたさんは俺にとって異教では……?」
図案に載っていた、赤い洋装に身を包んだ白ひげの老人・サンタクロース。彼はどう見ても仏教系ではなかった。鹿を従えている所は仏陀とお揃いではあるけれど。
不安そうにする雲珠に鴇は一度きょとりとして、けれどすぐにまた優しい顔になった。
「八百万の神がいる世界だ、いいんじゃないかい?」
ね?
微笑む視線が示したそこにいた神が、ああ、と緩やかに目を細める。
「俺は異教とかあンま気にしない系の神だぞ、雲珠坊? 楽しけりゃイイだろ」
「ほら、|かみさま《逢真君》もそう言ってることだし」
「……そうですよね! それでは、ご寛容に甘えて」
1人と1柱からのお墨付きを得た雲珠の心に、もう不安はない。彼らを誘った時のように晴れやかな心は、自由という翼を得てデザインの世界へとノリノリではばたいていくのである。
「やっぱり赤は入れたいです! 明るい色は元気がでますもの」
「なるほど赤色ね。そンじゃまァ、赤色をこう入れるとするか」
「わあ……!」
自分の提案から生まれた赤色の展開は大胆で、目を輝かす雲珠の視線は逢真とデザイン紙を、ウキウキワクワクで行ったり来たり。
「赤だけだと地味だよな」
「す、すごい! そこに黄色や水色を入れる発想はなかったです! えっ蛍光グリーンも?」
はわわと感心する雲珠の横で、そうだね大胆だねと鴇も本日何度目かの優しい顔をして見守るばかりで――ん? キーホルダー? 急に横からインしてきた単語に優しい顔のまま目を瞬かせていると、逢真のにやりとした視線が、開いたまま置かれていたパンフレットを指した。
「ショップあンだろ。宣伝ついでだ」
「ああ、成る程」
宣伝したっておかしくないセーターがある。
そう。クソダサセーターならね。
「あとそうだな、せっかくだ光らせてやろう」
そしてサンタのぬいぐるみも追加して――と、大胆赤色から始まったクソダサセーター図案は、カラーリングと合わせてクリスマス感抜群だ。それと同時に。
「やや、かみさま。絵、お上手ですね……」
逢真の画力に雲珠は両目いっぱいに感心を浮かべ、逢真のデザインが光るそこに、鴇も新たな発見を得ていた。
(「ゲーミングセーターかな?」)
カラーリングといい、ゴッドパワーによって光るところといい。
何かしらのご加護がありそうな唯一無二のクソダサセーターが生まれそうな中、神の視線が鴇へと向いた。
「旦那は何追加するゥ?」
「え。そこに追加するのかぁ……」
優しさに遠い目がちょっぴり加わりかけていた鴇は、|ハイカラ《クソダサ》ゲーミングセーターのデザイン画を見つめる。逢真からの笑みと雲珠からの真っ直ぐな視線を、鴇は暫し無言で受け止めて――。
「……猫とかどうかな、猫。すごく長い猫のぬいぐるみを縫い付けてみたらいいと思うよ」
それを聞いた途端、雲珠の目がぱああっと輝いた。
「あ、猫はお洗濯の時に取り外せるようにしてください!」
「いいんじゃないかな。洗濯で傷む心配がなくなるし」
「雲珠坊のそいつも書いておくか」
取り外せる、の一言も添えられたクソダサセーター図案は完璧の一言だろう。
勿論、クソダサ的な意味で。
そして。
「出来たら皆で着て写真な」
「えっ」
「え!」
皆で。
着て。
写真。
クソダサセーターは誰かが着てこそ輝くもの。
逢真の言葉通りの未来が訪れた時、3人で考えた|ハイカラ《クソダサ》セーターは、より完璧でより最高な|ハイカラ《クソダサ》セーターとなって、世界中に羽ばたくだろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふえ?アヒルさんもこのイケてるセーターを着るですか?
あの、どこからツッコみますか?
ふええ、アヒルさん怒らないでください。
そのセーターのどこがイケてるんですか?
ラグランジュポイントを飛ぶアヒルのイラストですか。
……どこがイケてるのでしょうか?
アヒルさんのセンスはよくわかりません。
ふええ!?私もお揃いにしようって、嫌ですよ。
ここを何処だと思ってるんだって、それは……。
ふええ、私もアヒルさんとお揃いにして、イケてるセーターのアピールを手伝わされるんですね。
『ジャスティス・セーター』本社のオフィシャルショップは、様々な種族で賑わっていた。セーターを探しに来たひと、ここを訪れた記念に文房具でもと見て回るひと。その中に、フリル・インレアン(大きな|帽子の物語《👒 🦆 》はまだ終わらない・f19557)とアヒルさんもいた。
「ふえ……色々ありますね……」
『グワ! グワワッ』
セーター。セーターモチーフグッズ。お菓子。数あるアイテムの中からアヒルさんが選んだものに、フリルは目をぱちぱちさせる。
「ふえ? “このイケてるセーターを着る”ですか?」
『ガア!』
「あの、どこからツッコみますか?」
尋ねた途端、アヒルさんのクチバシがフリルの手をつついた。手加減はしてくれたものの、抗議の意もアヒルさんが選んだセーターにも、フリルの頭はワカラナイでいっぱいになる。
「ふええ、アヒルさん怒らないでください。そのセーターのどこがイケてるんですか?」
何だか宇宙な事はわかる。
そこに白くてクチバシの黄色い鳥が翼を広げている事もわかる。
――ええと。それで?
『ガア』
「あ、この鳥さんアヒルなんですね」
ラグランジュポイントを飛ぶアヒルセーターだと、アヒルさんからのガアガア解説にフリルは頷き――首を傾げた。
(「……どこがイケてるのでしょうか?」)
糸で何が描かれているかはわかっても、このセーターの良さはわからなかった。アヒルさんのセンスもよくわからない。けれどアヒルさんがほしいならと、フリルは小型犬サイズのセーターを手に取った。すると。
『グワ』
「ふええ!? 私もお揃いにしようって、嫌ですよ」
『グワッ?』
「ここを何処だと思ってるんだって、それは……場所くらいわかりますよ? でも」
『ガアガア』
「ふえ、で、でも……」
フリルは、頑張った。
抵抗した。
けれど勝利の軍配はまたもアヒルさんに上がるワケで――結果。
「ふええ、アヒルさんとお揃いにされました……」
イケてるセーターのアピールを手伝わされる。そんな予感でいっぱいのフリルの胸元では、宇宙で羽ばたくアヒルが何だかとても誇らしげだった。
大成功
🔵🔵🔵
御魂・神治
クソダサニットか
クソダサTなら幾つか持って...いや、無いわ、そんなもん持ってへんで
部屋着やいうてもそこまで気を抜いたモノなんかあらへんで
天将『発言の矛盾を察知、訂正を要求します』
余計な事言うなや天将
ああ、さっきのは無視してや
こいつ(天将)はAIみたいなもんや、時々学習してへん事を勝手に
天将『クソダサニットに適切な案として、神治の所有するクソダサTを参考資料として提出』
※「ホールケーキに頭から突き刺さった人」「肉球から電撃を放ちクリスマスの街を破壊する猫」「大阪で買った虎の顔が全面プリントされたもの」等の画像がずらり
お前何時撮ったんや!クッソ!削除出来へんやないかい!
『ジャスティス・セーター』本社の外観。
出迎えてくれたサラ達が着ていたもの。
中で見た、このブランドの歴史。
これがクソダサ。まあ知らないものでもない。
御魂・神治(|除霊師《ドケチ宮司(仮)》・f28925)は持っている夏物を思い出す。夏の暑さ湿度に耐える為の標準装備、半袖で通気性抜群の――。
「クソダサTなら幾つか持って……」
「Tシャツですか」
「いや、無いわ、そんなもん持ってへんで。部屋着やいうてもそこまで気を抜いたモノなんかあらへんで」
クソダサ繋がりでちょっと目を輝かせたサラへ、神治は隙をついて生えかけた存在しない記憶とセットでスパッと否定した。だが。
『発言の矛盾を察知、訂正を要求します』
「余計な事言うなや天将」
「てん……?」
神治の傍らにエフェクトを纏って現れた青き女人。凛とした様とその見目に惹かれたのか、サラの表情は、ふいに現れた存在に驚きながらも好意的だ。しかし神治は、人口式神の主として天将の発言を正さなければならない。
「ああ、さっきのは無視してや。こいつはAIみたいなもんや、時々学習してへん事を勝手に……」
「AIなんですか!?」
苦労が滲む笑みと一緒に片手をひらひらさせて言うと、サラがぎょっとした様子で天将を見る。手が届く距離にいる存在を見る目は驚きに染まりきっていた。
「以前から思っていましたが、猟兵の皆さんは存在そのものが刺激的でインスピレーションが高まりますね。『勝手に』という事は、度々?」
「あー、例えば……」
『クソダサニットに適切な案として、神治の所有するクソダサTを参考資料として提出』
「そうそうこういう風に――ってお前何時撮ったんや!」
ホールケーキに頭から突き刺さった人、肉球から電撃を放ちクリスマスの街を破壊する猫、大阪で買った虎の顔が全面プリントされたもの――ズラララと目の前に表示されたホログラムはまさにクソダサパラダイスだったが、こういうものを保存しておけとは一言も伝えていない。
「こ、これは素晴らしい資料ですね!?」
「そこ感動するとこじゃな――クッソ! 削除出来へんやないかい!」
まさかの理由でまさかな緊急事態発生。
それはオブリビオン戦とはまた違う味わいで、神治を手こずらせるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
佐東・充
【🍯🐰】
くそださ……?
そういうのは元々センスのある人が
敢えて外すからいいのではないだろうか
元々服飾に疎い私では役に立てない気もするが
ラビオくんが楽しそうだから、いいか
濃い目のコーヒーとサンドイッチをつまみながら
兎と蛸の柄なんてどうだろうか
きみとお兄さんを知らない人からしたら意味不明だろうし
とはいってもお兄さんはこの世界では
既に名を知られたヒーローではあるけれど――……
ああ、そうか
ここは元ヒーローが創設したブランドだった
元ヴィランや犯罪者、一度道を踏み外した者にも等しく手を差し伸べていると
ラビオくんが乗り気なのはそういう理由か
それなら私も誠心誠意、出来る事をしよう
ラビオ・ブラフマン
【🍯🐰】
そ、クソダサ。
カフェからテイクアウトした
ブラウニー(ストロベリーアイス乗せ)をひょいひょい摘まみつつ
会議室でクロッキー帳にスケッチを。
暫く描き続けて案が尽きた頃に
充がぽんと出してくれたアイディアにぱちくり瞬いて。
最初にみーちゃんが着てくれるなら考えてあげなくもないよォ?
元ヴィランのDJニルヴァーナが考えたデザインなんて
誰も喜ばないかもなんて…一抹の不安も今なら鼻で笑い飛ばせそう。
袖部分にこっそり
寄り添った時にハート型になる触手のデザインを取り入れながら。
夢中になり過ぎて
アイスはとっくに蕩けてソースになっちゃったけど。
不格好でも美味いしイイじゃんって
大らかになれるのは全部、充のお陰。
猟兵へ、タイアップのオファー。
ヒーローズアースでは人気俳優やスポーツ選手、インフルエンサーと並んでも遜色ない存在である為、そういった事が度々ある事に疑問はない。ただ。
「くそださ……?」
「そ、クソダサ」
不思議そうな佐東・充(オルタナティブ・f21611)に対し、ラビオ・ブラフマン(Abyssal fish・f36870)は静かな微笑を浮かべながらクロッキー帳へとペンを走らせている。
(「そういうのは、元々センスのある人が敢えて外すからいいのでは……」)
渡された『ジャスティス・セーター』の資料を捲れば、初期から現在に至るまで販売された王道系セーターの中に、元々こういったものに疎い自分でも「何となくいいな」と思うものが幾つもあった。
(「私では役に立てない気がする」)
育った故郷は最先端ファッションとは縁遠い土地柄だったし、ファッションに興味を抱けるような|余裕《日常》もなかった。充は黙ってページを捲り――けれど向かいに座るラビオを見て、表情をかすかに和らげる。
片手はクロッキー帳へさらさらとスケッチを続け、時折|もう片方の手《フォーク》でストロベリーアイスでお洒落をしたブラウニーをぷすり。頭を使う時には欠かせない糖分と好物をひょいひょいと摘みながら、クソダサセーターの案を増やしている。
(「ラビオくんが楽しそうだから、いいか」)
唇に浮かんだ笑みは、ラビオが気付く前にコーヒーカップで隠れた。中身は濃いめのコーヒーで香りも素晴らしい。ラビオがつまみ続けているブラウニーと同じく、カフェでサンドイッチと一緒にテイクアウトした1杯はサンドイッチとの相性もいい。
そんなひとときに、ラビオのスケッチ音はBGMのように寄り添っていた。紙の上をペンが擦って立てるかすかな音が、さらさら、さらさら。けれど段々と途切れて、そして止まってしまう。
「んー……」
唇に少し力が入って、あ、と開いたそこにフォークがブラウニーを運ぶ。もぐもぐと味わいながら、目線はクロッキー帳の空いているスペースへ注がれて、けれどペン先はひらひらと指で遊ばれ空中をなぞっていた。
(「ちょーっと案が尽きてきたかなァ」)
どうしよっか。考えながらブラウニーを一口齧る。大好きなストロベリーアイスも付いていたけれど、名案は浮かんでくれなくて。けれど。
「兎と蛸の柄なんてどうだろうか」
ぽんと出されたアイデアがラビオの目を瞬かせる。ぱちくり。1回。
「兎と、蛸?」
「ああ。きみとお兄さんを知らない人からしたら意味不明だろうし、とはいってもお兄さんはこの世界では、既に名を知られたヒーローではあるけれど――……」
服飾に疎いながらも出したアイデアは、目の前の彼にどう受け止められるだろう。
言葉を切らした充に、ぱちくりとしていた目が静かにふわりと笑いかけた。
「最初にみーちゃんが着てくれるなら考えてあげなくもないよォ?」
「え、私が?」
「そ」
楽しそうに笑って、頷いて。そうして再び紡がれ始めたペンの音は水を得た魚のように軽やかで、途切れない。クロッキー帳の上を泳ぎ、時々コメントも綴って、白かったそこを埋めていく。
(「元ヴィランのDJニルヴァーナが考えたデザインなんて、誰も喜ばないかも――なんて、思ったけど」)
一抹の不安も、今なら鼻で笑い飛ばせそう。
ぽんと目の前に出されたアイデアから生まれたデザイン画には、袖にちょっとした秘密も仕込む事にした。寄り添った時だけ、触手が作るハートが見られる仕様だ。
(「ふふ。……あ。そうだ、ブラウニー」)
まだ食べ途中だったと、一度置いていたフォークを掴んで気付いた。けれどアイスはとっくに蕩けてソースになっていて、まだあったブラウニーをピンク色の海に浮かぶ小島へと変えていた。
夢中になり過ぎる前は小洒落たビジュアルで。
アイスも冷たくて美味しくて。
けれど残るブラウニーへフォークを刺し、ソースと化した元アイスを付けて食べれば――うん、と笑みが生まれる。
「不格好でも美味いしイイじゃん」
そう呟いてまた一口食べる姿に、充はすとんと納得した。
(「ああ、そうか」)
元ヒーローが創設したこのブランドは、セーターというアイテムで人々を温め、笑わせるだけでなく、元ヴィランや犯罪者、一度道を踏み外した者にも等しく手を差し伸べている。
(「ラビオくんが乗り気なのはそういう理由か。それなら私も誠心誠意、出来る事をしよう」)
疎くてもアイデアは出せる。
蕩けてしまったアイスは元に戻せないけれど、カフェで追加注文出来るし――。
「ありがと、みーちゃん」
少しの不安でこんがらがりそうな気持ちも、こうして大らかになれる。
全部全部、アナタのお陰。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
スミス・ガランティア
前にも衣装の提案を別の会社にしに行ったし、
今回も人の子達が困っているのならば参戦しに行くよ!
カフェのようなカジュアルな場所で会議と行こうか。ああ、最近は寒くなってきてるから飲み物暖かいだろうし飲み物は遠慮しとくよ。我、氷の神であるからね。代わりにブラウニーだけ貰おうか。丸ごと買われる程の味、気になるね。
さて、クソダサセーターか。いまいち概念がわかってないんだけど、我は雪合戦をしてる雪だるまの絵なんかがいいと思ったよ。絵心がないから図案にはできないけども……
え、もっと派手に? ならキラキラさせて……いやいやいや雪の色まで変えたらさすがにダメじゃないかな雪として! いいの?!
あ、あと投げてる雪玉を立体的にしたら可愛らしさも出……背景をネオンブルーに?! 確かに我、青は好きだけども!
大胆だね?!
クソダサって……なんなんだろう……(遠い目をする神様であった
(存分に振り回してくださいBy中の人)
スミス・ガランティア(春望む氷雪のおうさま・f17217)は氷と虚像の神だ。
美や芸術は特に司っていない。
しかし『猟兵とクソダサセーター・タイアップ・プロジェクト』メンバーの1人、ジェイクと名乗った青年の案内で『ジャスティス・セーター』本社を歩く姿は堂々としており、纏う空気も明るい。
(「前にも衣装の提案を別の会社にしに行ったし、今回も人の子達が困っているのならば、やはり参戦しに行くよね! うん!」)
会議の場にと選んだカフェを訪れれば、カフェの空気とメニューのカジュアルさで、気持ちがより軽快に綻ぶようだった。ジェイクの人懐こさ滲む笑顔も好ましい。
「スミス様、飲み物はどうされますか?」
「ああ、最近は寒くなってきてるから飲み物暖かいだろうし遠慮しとくよ。我、氷の神であるからね。代わりにブラウニーだけ貰おうか。……丸ごと買われると聞いたけど」
声量を落とす。ジェイクがキリリと真顔になった。
「一度食べたらハマります」
「ほほう。気になるね」
けれど丸ごとチャレンジはまた今度。今回はカットされたものを必要分。
会議のお供を手にテーブル席に着くと、向かいに座ったジェイクのクソダサセーターを正面から見る事になった。
「さて、クソダサセーターか」
「ええ。良ければこちらのタブレットをご参照下さい。我が社が販売してきた歴代クソダサセーターです。ちなみに僕が着用しているものは4年前に販売された秋物です」
ブラウンのセーターにオレンジ色のボーダー柄――と見せかけた細かな『I♥Autumn』の文字。胸から腰にかけて大きく描かれているのは、松ぼっくりをハグしてニッコリなカートゥーンタッチのリスだった。
(「そういえば、背中側がちゃんとリスの後ろ姿になっていた……」)
目の前には秋のクソダサセーター。
タブレットには歴代のクソダサセーター。
目から入ってくる情報をスミスは素直に受け取りつつ、うーん、と腕を組む。
「いまいち概念がわかってないんだけど、我は雪合戦をしてる雪だるまの絵なんかがいいと思ったよ。絵心がないから図案にはできないけども……」
「どちらも冬の楽しいシンボルですよね。よければ図案は僕が描きましょうか?」
「よろしくお願いするよ」
「では……」
スケッチブックにペンが走る。まず描かれたのはそれぞれタッチが違う雪だるまだ。リアル寄り、シンプル、くっきり強弱ある主線のカートゥーンなどなど。自社工場のマシンは優秀らしく、どんなタッチのものも編めるらしい。
「我はこの雪だるまが好きだな」
「では雪合戦はこの子にピッタリのものを……ところでスミス様。思い切ってもっと派手にしてみませんか?」
「え?」
ブラウニーおいし――じゃなくて。ぱくついた瞬間だったスミスは、そのまま固まった。絵心がないと自覚している心は「そうだね派手にしよう」とは言えず、不安がくるくる回りだす。けれどこちらを見るジェイクの顔はワクワクとしていて、その表情を見ているうちに不安はどこかへと消えていた。
「ならキラキラさせて……」
「いいですね。ラメ入りの毛糸でキラキライエローの雪を降らせたり……」
「いやいやいや雪の色まで変えたらさすがにダメじゃないかな雪として!」
「あはは大丈夫ですよ」
「いいの?!」
いやでも雪って白いものでは――?
びっくり仰天のスミスだが、ジェイクがあっさりと肯定するし全く問題ないという顔をしているものだから、脳内の『いやいやダメだよ』勢力が『大丈夫』勢力にぐいぐい押されている。
とりあえずブラウニーをまた一口食べる事にした。
おいしい。チョコレートがしっかりと香っていて、けれどしつこくない上に舌触りもいい。これはぱくぱくと食べられるなあと、丸ごと購入理由に納得しているスミスにジェイクが誇らしげに笑った。
「スミス様。現実に存在しないものをちょっとくらい創造しても問題ありません。クソダサセーターは楽しくて、自由なんです」
「そ、そうか、うん」
なら大丈夫だな我は安心したぞ。スミスはまた一口ブラウニーを食べ、ジェイクが描いてくれた図案を見ながら考えた。
「あ、あと投げてる雪玉を立体的にしたら可愛らしさも出……」
「いいですね! そして背景をスミスさんがお好きだと言っていたネオンブルーに」
「えええ?! 確かに我、青は好きだけども!」
「しましょうネオンブルーの背景に!」
「大胆だね?!」
「クソダサセーターは大胆さも受け入れます、あはは」
「へ、へえ……」
これがクソダサ。あれもクソダサ。こうしてもクソダサ。
そして多分、まだ見ぬクソダサもある。――どんなものか全く想像がつかない。
(「クソダサって……なんなんだろう……」)
スミスは窓の外を見る。
遠い目に映るのは、気持ちのいい秋晴れだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『万能派遣ヴィラン隊』
|
POW : これより業務に移ります
【民衆もしくは敵に対して一礼と共に宣言する】事で【機能性を重視した業務用メイド服】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD : 業務の邪魔は許しません
【超高速移動からの目にも留まらぬ打撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : あらゆるニーズにお答えします
技能名「【全技能】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
イラスト:すねいる
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●正義の名のもとに
クソダサセーターをデザインする。見る。触れる。知る。
猟兵達と『ジャスティス・セーター』のタイアップ、その第一歩は一部であれこれ起きつつも、なかなかそれなりにいい感じで纏まった。
「皆さんありがとうございます。2025年度も、間違いなく素晴らしいクソダサセーターが生まれます。この後の流れですが……」
まずは各クソダサセーターの試作品を。サラの言葉と溌剌とした明るさを、突如響いた警報が遮った。オブリビオン集団の出現を報せるアナウンスは、一般人と社員はセキュリティの避難指示に従うよう続けて語った。同じ内容が緊迫感と共に繰り返される中、サラ達が真剣な表情で顔を見合わせ、猟兵達を見る。
「私達なら大丈夫です。自分達も、皆さんから頂いたものも、必ず守り抜きます」
スケッチブック。タブレット。メモを書き込んだ紙の資料。ヒーローとヴィラン、そしてオブリビオンの戦いが当たり前の世界で生きる彼らは、再びメンバー同士で視線を交え、しっかりと頷きあう。更に。
「そして皆さんの勇姿も、最高最新のカメラとドローンで収めてみせます」
「勿論しっかり距離を取って安全な場所からです。何事も命あってこそですからね!」
「大丈夫です自分いけます、やれます。なんと弊社使用のカメラ、でっかい山一つ挟んだ先の浜辺のおじさんもピンポイントで撮れるハイパー高倍率カメラでして」
「そしてドローンは米軍御用達の会社作」
「さあ、急いで屋上まで行くわよ! 階段で!」
「任せて下さいよサラ! こんな事もあろうかと毎日階段ダッシュで鍛えてた僕です」
「それでは皆さん、また後ほど!」
タイアップを最後までやり抜く決意。オブリビオン襲撃では引っ込まないタフさ。
企業勤めの一般人集団(クソダサセーター着用)が階段を駆け上がる中、日常を脅かすべく現れた者達も自分達の目的を遂行すべく動き出していた。
「クライアントの要望は、各企業のセキュリティ情報及び、社員と顧客のデータです」
「了解。我ら万能派遣ヴィラン隊、隅から隅まで白昼堂々強奪と行きましょう」
「その心意気です。では、業務開始!」
高所からひらりと飛び降りた姿が一瞬でメイドに変わり、着地と同時に風の如く駆けていく。 ターゲットの選別へと移るクールな青い目は、セーターを着た白亜のビルもしっかりと映していた。
朱酉・逢真
【白蛇衆】
心情)あー、トンチキはいいねェ。不条理・不合理こそ陰極の味よ。ン? オヤ襲撃。クソダサを舐めた輩のご来場かね。よし、坊、旦那ァ、やっつけるかァ。(助さん格さんのノリ)
行動)じゃアコレ着て。奮発したスタッフサンらが即造ってくれたよ3着。さァ着て。俺ァふつうのじゃ着られンから…《服》をそのカタチに編み変えたよ。ひとりだけ逃げるよな真似はしねェさ。(いい話風) ホラホラ宣伝写真に使うからポーズも決めてな。(ジ◯ジョ立ち) 顔は隠してくれるってさァ。招かれざる客には仕置だぜェ。(後衛として疫病の業魔で獣系の眷属で襲わせつつ防御力100分の1に) 残りの1着? 坊のぬしサンのだよ。
雨野・雲珠
【白蛇衆】
UDCアースとかを夜歩いていると、
たまに首元が七色に光るお犬さんがお散歩してるんです。
あれ、眩しくないのかなってずっとふしぎで…
しかし俺は今、新たな知見を得た桜!
自分が光っていても、案外まぶしくないと知りました!
あっあっお二人が光ってるのは普通にまぶしいです
すごい光る
はい、かみさま、深山さん!
俺はスタッフさんの安全第一に…やや、撮影しておられる
防壁を作っても乗り越えてきちゃいそう…
なら俺はぬしさま(UC:大多恵主)(同セーター着用済)です!
問いは…
「着心地も見た目も抜群!
皆さまもジャスティスセーターいかがでしょう?」
返答がどうでもまず目的がいけません
お客様になって出直してください!
深山・鴇
【白蛇衆】
襲撃?狙いは社員と顧客のデータ諸々?
…クソダサセーターを作る&買う人のデータを狙って?
KDS詐欺でもするのかね、知らないが
勿論不埒な輩は退治といこう
え?着るのかい?それ?今?っていうかいつの間に用意したんだい?ひとつクソデカくないかい?雲珠君のぬし様用?というかさっきまでデザイン画だったじゃ、あ、あー
(あっという間に着せられた)
仕方ないな…宣伝用にポーズも決めればいいんだね?
(やけくそ気味にポーズを決め)
君達の蛮行もここまでだ!行くぞ、逢真君、雲珠君!
(UC使用、半ば八つ当たり気味にヴィラン隊と交戦)
いやしっかし…絵面が酷いな、絵面が
(クソダサセータVSメイドという図に遠い目をした)
2人と1柱のセンスと思いつきで、|ハイカラ《クソダサ》でゲーミングなセーターのデザインは完成した。あれが世に出るまで1年以上待つ事になるものの、己の画力とセンスを遺憾なく発揮した逢真は満足気な笑みをうすらと浮かべている。
「あー、トンチキはいいねェ。不条理・不合理こそ陰極の味よ」
「……深山さん、かみさま楽しそうですね」
「……そうだね」
無邪気に喜ぶ雲珠に対し、鴇の笑みは優しさの中に生温さもひとつまみ。
(「来年の冬、あれを着るのか」)
対象的な2人の様子に逢真がゆるりと目を細める。クソダサセーターなるトンチキ服。実に美味なり。――と。
「ン? オヤ襲撃」
「襲撃?」
ささやか程度の疑問符が添うのみだった逢真に対し、鴇は襲撃者である集団を確認した後、ぽぽぽぽんと複数のハテナを頭上に浮かべた。あちらの狙いは社員と顧客のデータ諸々らしい。――クソダサセーターを作る・買う人のデータが?
「KDS詐欺でもするのかね、知らないが」
「クソダサを舐めた輩のご来場かね。よし、坊、旦那ァ、やっつけるかァ」
「わ、何だか時代劇みたいですね」
「わかるか雲珠坊」
にこり。にやり。そんな2人に鴇が「やっておしまいなさいってやつかい」と言えば、2人の笑顔は更によいものになる。それを見て笑った鴇の笑みに、先程までの生温さはなかった。
「そうだね、勿論不埒な輩は退治といこう」
「じゃアコレ着て。奮発したスタッフサンらが即造ってくれたよ3着」
「え?」
僅か数秒で生温さが帰還した。
逢真がほらよと示す3着は、さっき自分達が考えた|ハイカラ《クソダサ》ゲーミングなセーターだ。奮発し過ぎでは??? というか。
「着るのかい? それ? 今?」
「おうよ」
「っていうかいつの間に用意したんだい? ひとつクソデカくないかい?」
「坊のぬしサンのだよ」
「うわあ、ぬしさまの分ですか!?」
「というかさっきまでデザイン画だったじゃ、」
「さァ着て」
「あ、あー」
抵抗は無意味だった。あっという間に着せられれば、秋空の下にセンスと芸術が大爆発し発光もするセーター姿の成人男性が誕生するのである。――そう。成人男性だ。
「UDCアースとかを夜歩いていると、たまに首元が七色に光るお犬さんがお散歩してるんです。あれ、眩しくないのかなってずっとふしぎで……」
自分の胸元に手を添え、柔和な笑みを浮かべていた雲珠はそれを凛としたものに変えた。
「しかし俺は今、新たな知見を得た桜! 自分が光っていても、案外まぶしくないと知りました!」
だからあの時見かけたお犬さんもまぶしくなかったんですね。尻尾ぶんぶん笑顔満点、夜道をぴかぴか行く姿を思い出した雲珠は、自身の成長をしっかりと感じながら逢真と鴇の方を見て、きゅむっと目を瞑った。
「あっあっお二人が光ってるのは普通にまぶしいです。すごい光る」
あれ? でもかみさまは確か? 目を庇う両手の奥、ぱちくりとした雲珠に逢真はゆるりと頷いた。
「そうさ坊。俺ァふつうのじゃ着られンから……そのカタチに編み変えたよ。ひとりだけ逃げるよな真似はしねェさ」
「かみさま……!」
(「いい話風に纏めてるけど、僕らは有無を言わさず着せられた側なんだよねぇ)
グリモアの力を持ってしても、まさか来年冬ではなく今日着る事になるとは予知出来なかったろう。この神様はそういうものを軽々超えてくる。スタッフ一同の本気も凄い。
「ホラホラ宣伝写真に使うからポーズも決めてな」
「え。逢真君がしてるような、その、無駄に無駄のないカッコイイポーズみたいなのを?」
「すごいですね。ええと、手首の角度はこうで……足は、こ、こう……?」
簡単なようでなかなか繊細さも要求される。見様見真似でやってみた雲珠のハッとした表情に、逢真は緩やかに二度頷いて――にやり。鴇を映した目は至極愉快そうだ。
「顔は隠してくれるってさァ」
「仕方ないな……宣伝用にポーズも決めればいいんだね?」
外も、段々と騒がしくなっている。
覚悟を決めた鴇に、かみさまはそれはそれは満足した笑みを返した。
「あれはジャスティス・セーター……! 全米だけでなくアジアや欧米にも高い人気を誇るブランドです、セキュリティ情報の宝庫に違いありません」
「根こそぎ頂きましょう。クライアントも両手を叩いて大喜びの筈」
ロックオンされた白亜のビルへと迫る、銀と黒。容赦なく吹き込む疾風のような集団に、空へ掛かる雲も払うような声が響いた。
「君達の蛮行もここまでだ!」
「何者!? えっ本当に何者ですか」
やけくそ気味にポーズを決めた鴇は、メイドなヴィラン達の度肝を抜き過ぎたと悟った。だが既に|ハイカラ《クソダサ》ゲーミングなセーターを着せられ、やると決め、ポージングをした後。ここでやけくそが1つ増えようが2つ増えようが同じ事!
「行くぞ、逢真君、雲珠君!」
「招かれざる客には仕置だぜェ」
「はい、かみさま、深山さん!」
逢真も雲珠も決めポーズをびしりと決めたなら、ゴッドパワーの輝きも何だか増した気がしなくもない。きらきらぴかぴかのチカチカだ。
3人が動いた瞬間、突然現れた|ハイカラ《クソダサ》ゲーミングセーター・トリオにぽかんとしていたヴィラン達が素早く反応する。
「イレギュラーが起きようと計画に変更ありません! クライアントの全ニーズに応えるのです、業務開始!」
「イエス!」
声を上げたメイド達の速度が目に見えて上昇した。風が暴風になり、圧も増した勢いは衝撃波のよう。――しかし進行方向へ見るからに触れるな危険という獣がざぶんと現れれば、アスファルトを砕くほどの方向転換を余儀なくされる。
「くっ! トンチキファッション以外もあるなんて!」
「おうおう、言うねェ。なら褒美にもひとつ、くれてやろうかね。そゥら」
うすら笑った逢真の指先がメイド達をなぞるように示す。たったそれだけでメイド達の言う業務遂行に適した服は脆弱になり、獣の牙と爪に対し防御力の『ぼ』の字すら無くなった。
けれど人間相手なら安心かというとそんな事はなく。やけくその4文字が加わった鴇の斬撃が、どれだけ離れていようが狙った相手をバッタバッタと斬るものだから、メイド達は命がけの業務を強いられていた。
(「自業自得ではありますが……」)
彼女達の目がスタッフ達へ向かないよう、雲珠は世話になった彼らの安全を第一を胸に――おや、と目を瞬かせる。虫とは違う羽音。反射的に顔を上げると、遥か頭上にドローンがいた。
「……やや、撮影しておられる」
という事は、はいぱあ高倍率かめらも駆使しているに違いない。どうしましょう。考える脳裏に、きらりと解決の一手が差し込んだ。
「着心地も見た目も抜群! 皆さまもジャスティスセーターいかがでしょう?」
真っ直ぐな声で尋ねた雲珠の背負う箱宮から、芽吹くような軽やかさで神鹿が跳ぶ。神々しい存在の登場にメイド達は一瞬目を丸くし――神々しさでも誤魔化せないセーターのクソダサっぷりにギョッとした。
「いえいえ結構です欲しいのはセキュリティ等の情報ですので!」
「ずっと光るのは我々の業務的にNOです! あっでも猫のぬいぐるみは正直言って好き」
「馬鹿ねアンタ黙ってなさいよ!」
「そこっ、自我を出さな――きゃあっ!」
神鹿を満足させるには、メイド達の返答はあまりにも色々と不足していた。そもそも目的が良くない。雲珠の眉がきゅっと上がる。
「お客様になって出直してください!」
「……お。あっちもやってるねえ」
響く悲鳴と、神鹿の容赦ない蹴りの音。振り返った鴇は笑みと共にまた1人斬り伏せて――すんっ。遠い目をした。
「いやしっかし……」
企業のあらゆる情報を奪いに来たヴィラン達。
ジャスティス・セーター新商品と人々の未来の為に戦う猟兵。
その構図が、どこをどう頑張ってもクソダサセーター VS メイドになっている。
「絵面が酷いな、絵面が」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
御魂・神治
(太陽の塔クリスマス仕様クソダサセーター)
...これ着て戦えって事かいな
天将「普段着と何ら変わりませんが」
アカン、普段クソみたいな服着ているのバレてまうやろ
は?しかも無駄に高画質やて?
天将!【ハッキング】や【ジャミング】でクソダサセーターの絵柄を無地に――
天将「契約違反なので嫌です」
ストレートに拒否ったな?!
もうええ、爆破で誤魔化すで!
ハリウッドは爆破オチで〆てナンボやろ!
【破魔】で威力上乗せした『探湯』ぶちかますでオラァ!
天将「爆発を背にして物凄く良い余裕の表情で去るポーズにして下さい」
一仕事終えたアカンやつみたいやないか
天将「何を言いますか、何時もの事じゃないですか」
平和を脅かすヴィラン達の襲撃という緊急事態発生に、神治は素早く行動を開始した。人工式神『天将』も、1秒の遅れもなく動いていたりした――のだが。
「……これ着て戦えって事かいな」
『普段着と何ら変わりませんが』
「アカン、普段クソみたいな服着ているのバレてまうやろ」
口を限界までへの字にして遺憾の意を示していた神治は、即座に身を低くし前へと跳んだ。ついさっきまでいたそこで何かがボゴォと砕ける音がしたが、それよりもビルのガラスに映ったものの方が重要だった。
「は?」
着ているのは、大阪の某有名公園に聳え立つあの塔をクリスマス仕様にしたクソダサセーターだ。あの塔のずば抜けたデザインが、クソダサセーターという属性を得て、存在感の塊と化した服だ。しかも。
「無駄に高画質やて?」
まずい。このままでは普段着がこういう感じだという事がヒーローズアース中に知れ渡ってしまう。神治は跳躍した。街灯の支柱を片手で掴み、勢いをつけ遠くへと着地する。今度はバゴォンという音がしたが、神治はそちらを一向に構わず自身の式神へと訴えた。
「天将! ハッキングやジャミングでクソダサセーターの絵柄を無地に」
『契約違反なので嫌です』
「ストレートに拒否ったな?!」
「このっ、いつまでもちょこまかと……!」
「 や か ま し わ ! 」
さっきから人のおったとこ破壊して誰がそこ直すと思っとんのやと、腹から出した声で怒鳴られ、メイドヴィラン達が目を点にして固まる。だが神治は構わず符を放った。『膨大』という言葉を軽々凌駕する数は、神治の心をこれでもかと表すよう。凄まじい勢いで舞う爆龍符と紫電符は、メイド達の姿をかき消して――。
「もうええ、ハリウッドは爆破オチで〆てナンボやろ! ぶちかますでオラァ!」
「いやーっ!」
「爆発オチなんてサイテー!」
響く悲鳴。爆破の衝撃。舞う煙。悪を木っ端微塵綺麗サッパリふっ飛ばせば、残るのは「何でこんな疲れなあかんのや」とこぼす神治と。
『爆発を背にして物凄く良い余裕の表情で去るポーズにして下さい」
天将からの指定に神治はうげっという顔をした。何でや。
「一仕事終えたアカンやつみたいやないか」
『何を言いますか、何時もの事じゃないですか』
「あーあーあー! 何の話かさっぱりわからーん!!」
大成功
🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふええ!?敵襲って、私まだ着替えてませんよ。
イケてるアヒルセーター、略してイケアヒセーターのアピールチャンスって、私もこのセーターで行かないといけないんですか?
ふええ!?まずは私がイケアヒセーターをアピールしながら戦うって、アヒルさん何を持っているんですか?
私の戦績表って、アヒルさんが評価するんですか?
イケアヒルセーターをアピールしてると高評価って、絶対ムリですよ。
全技能を強化している人達に敵う訳ないんですよ。
ふえ?アヒルさんがお手本を見せるって、最初からそっちの方がよかったんじゃないですか?
突然響いた警報にフリルは肩をびくっと跳ねさせ、ヴィラン襲撃を報せる声に悲鳴も上げた。極度の人見知りであるフリルが、こういった事態に驚かないわけがない。けれど今回は、アヒルさんからの無茶振りも大いに影響していた。
「ふええ!? 敵襲って、私まだ着替えてませんよ」
『グワッ。ガアガア、グワ』
「イケてるアヒルセーター、略してイケアヒセーターのアピールチャンス? ……って、私もこのセーターで行かないといけないんですか?」
という事で。
「ふええ!?」
「むむっ、新手ですね!?」
ヴィラン達の前に押し出され、つい声が出たフリルにメイド達の目が一斉に向く。
アヒルさんどうして! フリルの心臓はバクバクと大騒ぎだ。いつも以上にまん丸な目でアヒルさんを見る姿は、セーターを着ているのに寒いのかと思われそうなほど震えていた。
「うっ、我々が可哀想な気分になる新手ですね。どうします?」
「クライアントの要望に応じるならやはり排除を……」
「ではグラップやお掃除技能で……」
向こうがひそひそしている今がチャンス! アヒルさんはフリルの肩に飛び乗り素早く耳打ちした――ら、フリルの顔は更に青くなったり赤くなったりと感情大忙しモードに突入した。まずは自分がイケアヒセーターをアピールしながら戦うらしい。
「ってアヒルさん何を持って……ふえっ、私の戦績表?」
という事は使うユーベルコードはアレしかない。けれど評価するのはアヒルさんで、イケアヒルセーターをアピールすると高評価らしいが、フリルは思い切り首を振って全力で拒否した。
「絶対ムリですよ、あの人達に敵う訳ないんですよ」
だってどう見ても全技能を強化している。色んな地でおどおどふええしながらも頑張ってきたフリルにはわかる。だからここは大人しく――アヒルさんが手本を見せる?
「だったら最初からそっちの方がよかったんじゃないですか?」
この時のフリルはまだ、登場時からここまでの流れが全てユーベルコード大成功の鍵を凄まじく担っていた事に気付いていなかった。それに気付けたのは、自分をめいっぱい振り回したアヒルさんが上機嫌になり、そこへ飛びかかってきたメイドを咄嗟に突き飛ばした時。
相手がビル4つ分は吹っ飛んだのを見て、それはもう目を丸くしたフリルであった。
大成功
🔵🔵🔵
佐東・充
【🍯🐰】
予知されていたオブリビオンの到来か
迅速に対応し…ん?
(視界に入ってきたのはにっこり笑顔のミツバチが目に痛いほどの青空と原色の花畑を飛び回っているクソダサセーター)
(と、期待に満ちた目配せをしてくるラビオくん)
…確かに製品を着用したほうがプロモーションとしては役に立つだろうけれど
……わかった、腹を括ろう
その代わり君も道連れだ
銃を構え放つのは【プログラムド・ジェノサイド】の連撃
相手が多数なら多少躱されようとリスクは減らせる
接近してきた相手にはPolyspermaでの蹴りを
カメラを意識して派手めのアクションで叩き込もう
…おかしい
珍妙なセンスの筈のセーターが
ラビオくんが着ると妙に洒落ている
ラビオ・ブラフマン
【🍯🐰】
すっごい量の機材運んでたねェ…やる気満々ってカンジィ?
首を傾げれば視界の先に、KDS着用トルソーを発見。
にっこりと満面の笑みを充に向ければ
ちょっとした絶望の表情が返ってくる。可愛い。
…なァに?みーちゃんは甘えん坊だなァ。
お揃い柄のKDSを萌え袖で纏いながら―…UC発動ォ。
銃火器がちょうど羽のように広がるよう配置したら
座して脚を組んだまま発砲。
主に充のアクションを引き立てるように援護射撃を。
カメラが寄ってきたら
注射器銃の先端にキスしたり、サービスしてあげるねェ。
ヒーローも元ヴィランも。誰が着たってKDS。
タイセツな相手と一緒の柄って
照れ臭さごと共有してるみたいで、なんだか嬉しいかも。
予めオブリビオンの襲撃を知っていた自分達とは違い、ジャスティス・セーターのスタッフ達は、ついさっきそれを知った。けれど彼らは、襲撃に驚きはしても恐れた様子はなく、それどころか『猟兵の戦う姿を、安全を確保しつつ撮るぞ!』という気概に溢れながら階段へとダッシュした事は記憶に新しい。
「すっごい量の機材運んでたねェ……やる気満々ってカンジィ?」
今頃は屋上に到着しているかもしれない。色々な意味でタフな彼らの姿を思い出したラビオは首を傾げ――視界の先にあったものに、目をぱちりと丸くした。
その傍らで、充は予知されていた通りの展開を前に猟兵の顔へと変わっていたのだが。
「……ん?」
ミツバチが視界に入り込んだ。しかもにっこり笑顔だ。
「……」
迅速に対応すべく心身共に構えていた充の視界をさらったミツバチは、視界へのダイレクトアタックを決める青空と花畑を飛び回っていた。――どう見ても立派なクソダサセーターである。
そんなニコニコバチなクソダサセーターから、隣へと視線を移してみた。
――愛するパートナーから、期待に満ちた目配せをされていた。にっこり満面の笑みだった。
「……確かに製品を着用したほうがプロモーションとしては役に立つだろうけれど」
ちょっとした絶望の表情に、ラビオは更にニッコリとする。
『可愛い』と思った事は内緒だ。多分バレていない。
「…………わかった、腹を括ろう」
「ん」
ニッコリ。
「その代わり」
「……なァに?」
「君も道連れだ」
「みーちゃんは甘えん坊だなァ」
あたたかい。スマイルバチのクソダサセーターを着てすぐに覚えた心地よさは、冬が近付きつつある空気に撫でられても薄れず、戦場へと出た充を程よいぽかぽか加減で身を包んでくれた。きっと、良い糸を使い、最適の編み方をしているのだろう。
「新手のクソダサセーターです!」
「ペアルックよ!」
セーターのダサさに向けられたギョッとした視線には、一瞬だけ何かしら感じなくもないけれど。その後の『ペアルック』で目元を僅かにぴくりとさせた充は、銃を構え終えていた。
銃声が連続して響く。高く真っ直ぐとした発砲音は途切れない上に速い。
掌底を叩き込もうと目論んでいたメイド達は高速のまま逃げ回る羽目になっていた。それは蜂に追われる哀れな誰かのようであり、逃げ回る魚群のようでもあった。
充が降らす銃弾のラインは、自分の意志では止められない超高速の連続攻撃だ。これなら相手が多数で攻めようと超高速移動で多少躱されようと、リスクは減らせる。それに。
(「きみがいる」)
「そうだよォ、ペアルック。よくできました。――ま、逃さないんだケド」
柄はお揃いでも、袖から覗く手の範囲は充より控えめ。本格的に冷えてきたら丁度よさそうな、いわゆる『萌え袖』で着こなしながらベンチに座って足を組み、うすらと笑むラビオの背後で、解き放たれた88の銃器ひとつひとつが羽となって鋼鉄の翼を作り上げた。
「奈落へヨーコソォ」
綺麗な微笑に合わせ翼が広がり、銃声を何重にも響かせる。
充の銃弾から辛うじて逃れていたメイドは次々宣言通りの場所へと連れて行かれる。全方位隙なしの銃翼は、平穏を奪いに来たヴィランには冷徹だ。勿論、パートナーには別である。
「――!」
充が銃を構えたままぐるんと跳び、速さとパワーを乗せた回し蹴りで接近してきたメイドに一撃を叩き込む。蹴り飛ばされたメイドは地面に転がってすぐ身を起こしたが、そこにラビオが熱烈な援護射撃を贈った為、また更に転がされていた。
そして銃翼の例外は、もうひとつ。ぶーんと音を響かせ上空から熱い視線をくれるドローンには、注射器銃先端へのキスとウインクのサービスを。
すると上の方から「フゥー!」と歓喜の声が響いた。ドローンがぶうんとスピードを上げ、頭上をびゅんびゅん飛び回る。
目に見えて大はしゃぎな様に、くすりと笑みをこぼしたタイミングはスマイルバチセーターのように同じで――けれど同じものを着ていてもそうでもないものがある、と充は気付いた。
(「……おかしい」)
「なァに、情熱的な視線くれるじゃん」
「いや、その……珍妙なセンスの筈のセーターが、ラビオくんが着ると妙に洒落ているな……と」
やはり着ている人がいいと珍妙セーターも洒落たものに――と移りかけた思考を、「みーちゃん」と呼ぶ声が止めた。ラビオがの指がガラスの壁を示す。
そこに映る自分達はペアルックで、ヒーローと元ヴィランで。
「お揃いだよ」
タイセツな相手と一緒の柄は、照れ臭さごと共有しているみたいだ。
誰が着たってKDSで、愉快で、個性的。
着ると覚えるあたたかさは多分、『嬉しい』という言葉で表せる。
大成功
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