●春告げ
ぬくもり感じる風と、陽射しが降り注ぐ視界に広がるのは、淡桜色。
風が吹き、はらはらと零れる花弁が淡い色合いの空を舞う。
春を感じる甘い香りが鼻をくすぐれば。
――ピィ、ピィ。
風に乗って。春を告げる鳥の声が、聞こえてくる。
●桜日和
「皆様に今回ご対処お願いしたいのは、物の怪の群れですの」
背筋を正し、杠葉・花凛(華蝶・f14592)は猟兵達へと言葉を零した。
最近サムライエンパイアで見られる、物の怪――オブリビオンの群れによる大災害。それはあくまで予知の段階で、実害はまだ見られない。けれど、近い未来に起こる悲劇。
「現状はあくまで噂がある程度。皆様には、現地でそのお話を調べて頂きたいのですわ」
丁度人の集まる、美味しいと噂のお茶屋があるから。是非そこで、と花凛は微笑んだ。
町の入り口に位置するお茶屋『花折』は、大人数が入れる立派な平屋。
室内にカウンター席やテーブル席の他、外には緋毛氈を敷いた縁台もある。ゆったりとした作りのため、のんびりとした時間を楽しむ事が出来るだろう。
「今ですと丁度周囲の桜が見頃のようですわ。桜景色を眺めながらのお茶のひと時など、とても風流ではございません?」
視界に広がる淡桜色を眺めながら。
甘いお菓子とお茶を楽しむ時間は、心に彩を与える幸せな時間になる事だろう。
提供される和菓子は、今ならば桜餅が店のお勧め。けれど羊羹やお団子、美しい桜の形をした練りきりなど。様々な和菓子を用意しているようだ。
「皆様に、サムライエンパイアの春を楽しんで頂ければ。私も嬉しいですわ」
楽しそうに笑みながら、花凛は猟兵へとそう語る。――物の怪の群れの討伐は忘れずに、と一言を添えながら。
凍て付く冬を越え、温かな春を迎えたこの瞬間の軽やかな心地は今だけのもの。
だから少しだけ心を緩やかにして。楽しいひと時を楽しんでも罰は当たらないだろう。
公塚杏
こんにちは、公塚杏(きみづか・あんず)です。
『サムライエンパイア』でのお話をお届け致します。
●シナリオの流れ
・1章 日常(茶屋にて一服いかがでしょう?)
・2章 冒険(春告げ鳥を捜せ)
・3章 集団戦(まっしろピヨすけ)
『POW/SPD/WIZ』は一例です。各々お好きなように行動して頂けると嬉しいです。
●1章について
お茶屋『花折』
美味しいお茶とお菓子を扱っているお茶屋さんです。
お茶の種類は煎茶にほうじ茶、抹茶。
甘味は、今のお勧めは桜餅。道明寺と長命寺の2種類あります。その他あんみつなど、茶屋にありそうなものなら色々とあります。
今回の舞台では、抹茶パフェなどの洋風を混ぜたお菓子は存在しませんのでお気をつけ下さい。
噂の調査は強制ではありません。
お茶だけを楽しんで頂いても問題ありません。
●2章について
お茶屋付近の桜並木を抜けると、遅咲きの梅林があります。
梅林の中、一応の目的は『鳴き声の正体である敵を探す事』です。
ウグイスやメジロなど。春の鳥の鳴き声の主が居る他。梅によく似た色の鳥を見つけると幸せになれるというジンクスもあるようです。
こちらも調査は気にせずに。
お好きに散策して頂いても問題ありません。
●3章について
掌サイズのまっしろピヨすけがたくさん。
甘いものが大好きで腹ぺこです。
ぽこっと殴るだけで倒せます。
●その他
・お茶。散策。もふもふして討伐。と交流重視のゆるーい感じのシナリオです。
・同伴者がいる場合、プレイング内に【お相手の名前とID】を。グループの場合は【グループ名】をそれぞれお書きください。記載無い場合ご一緒出来ない可能性があります。
・途中からの参加も大丈夫です。
・許容量を超えた場合は早めに締め切る、又は不採用の場合があります事をご了承下さい。
・締め切り等の連絡は、マスターページにて随時行います。
以上。
皆様のご参加、心よりお待ちしております。
第1章 日常
『茶屋にて一服いかがでしょう?』
|
POW : お茶の味を楽しみながらまったりとする。
SPD : 和菓子の味に舌打ちながらまったりとする。
WIZ : 茶屋からの景色を眺めてまったりとする。
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●桜香る甘味
淡桜色の花弁が、はらはらと零れる。
此処、お茶屋『花折』は名前の通り、季節を大切にする店。
四季を感じることの出来る、美しい自然を前に。上品な甘味に舌鼓を打てると町は勿論、外からも多くの客が訪れると云う。
町の入り口にある立地も相まって、店の中には様々な人が集っていた。
野点傘の下で、お抹茶を飲む上品な老夫婦。
今年最後かもしれない、おしるこを口にする小さな子連れの家族。
あんみつを前に、幸せそうな恋人。
皆それぞれ、今年の春の訪れを感じながら幸せなひと時を過ごしているようだ。
『花折』が自信を持っているのは、やはり和菓子に欠かせないあんこ。上品な甘味と、なめらかな口当たりは特にこしあんがお勧め。
四季を感じるお菓子と共に。
どんな時間を過ごそうか――。
伊織・あやめ
【SPD】
お煎茶と道明寺の桜餅をいただけますか
できれば、桜の見える席を独り占め
桜も甘い物も大好きだもの、笑顔が自然にこぼれちゃう
注文の品を持ってきてくださった店員さんに
それとなく噂を聞いてみるね
花折人は罪じゃないなんて言うけれど
これだけ見事な桜を手折るようなものがいたら大変だよね
なんて雑談みたいに話を振ってみるね
なにか話が聞ければ嬉しいけど、なくても甘い物で満足しちゃう
この餡のなめらかな舌触りとほどよい甘さ
幸せだなあ
ほんのり甘みも感じる煎茶に桜の花びらが入れば
「綺麗」と思える心があることを喜ぶの
●
視界に広がる、桜色。
零れる花弁に無意識に息を零しながら、伊織・あやめ(うつせみの・f15726)は嬉しそうに微笑んだ。
風に流れるふたつの漆黒の髪を押さえながら、彼女はお菓子を運んできた店員へ口を開く。――物の怪の話が聞ければ、良いと思って。
「花折人は罪じゃないなんて言うけれど、これだけ見事な桜を手折るようなものがいたら大変だよね」
目の前に広がる見事な桜並木を眺めながら語るあやめに、店員はそうですねと零す。
「この町の桜は大切なものですから。そんな人はいないと信じたいですけれど」
この町には、桜を傷つけた人には罰が当たると噂もあるとか。
勿論、花を傷つけない戒めのようなものだと。ただの雑談のように笑って語る店員が下がるまで笑みを浮かべていたあやめは、その噂を頭で繰り返す。
今の話は、今回の事件に関係するのだろうか――。
考えても、これ以上は何も結果は出ないだろう。改めて目の前の、煎茶と道明寺を見つめる彼女。桜色のもち米に黒文字を刺して一欠けら、口にすれば。広がるなめらかな舌触りとほどよい甘さに、思わず頬を押さえてしまう。
「幸せだなあ」
ついつい零れた言葉に乗せるように。
はらり、零れ落ちた桜の花弁が煎茶へと舞い降りた。
――綺麗。
そう想えるのも、今人の形を成しているからなのだ。
百数年、大事に使われたその想いに感謝するように。あやめは微笑み煎茶を口にした。
大成功
🔵🔵🔵
ロザリント・フレイニール
物の怪?ってモンスターみたいな悪い子みたいなやつ?
倒してっていわれたからきっと悪い子なのね。
【SPD】
和菓子?というのはお菓子みたいなものかな…。
どれがどういうものかわからないから、お店の人におすすめをきくわ。
「和菓子というのをたべたことがないの。できるだけ甘いのがほしいわ」
お茶?というのは紅茶と似たようなものかしら。
え、少し苦いの?どうしようかしら…。
わたしはこういうところに来たことがないから、初めてがいっぱいね…。
あまりお店の人を困らせてはいけないし、邪魔にならないようにしておこうかしら。
【アドリブ歓迎】
●
小さな身体で、文字が並ぶお品書きをロザリント・フレイニール(MystiCagE・f15139)は見つめる。桜餅、みたらし団子、あんみつ――それは呪文のような言葉たち。
だってロザリントは、和菓子を食べた事も見たことも無いから。
だから和菓子と聞いて、言葉の通りお菓子だと云う事しか分からない。
「和菓子というのをたべたことがないの。できるだけ甘いのがほしいわ」
注文に耳を傾ける、着物を纏う店員にそう語ればかしこまりました、と笑顔で返ってくる言葉に満足そうに頷く。合わせてお茶はいかがですか? そう語り掛けられ改めてお品書きを見つめるロザリント。
紅茶なら知っているけれど、並んでいる名前からどうやら違うようだと察する。
文字を見つめ、小首を傾げるロザリント。一番頭に書いてある抹茶はどんな味かと尋ねれば、苦味があるけれどお茶の風味を感じると説明が。
「え、少し苦いの? どうしようかしら……」
「でしたら煎茶は如何でしょう? 抹茶より飲みやすくて、少し甘いですよ」
よく分からないから、言われるがままに頷くロザリント。店員の背中を見送って、改めて店内を見渡せば見たことの無い景色に少し緊張が。
あまり自由ではない、森の中で育った彼女にとって。このような場での経験は初めてばかり。その顔に表情は無いように見えるが、内心はぐるぐると様々な感情が渦巻く。
緊張で背の透き通る翅を揺らし、無意識に店の隅で縮こまる。
まだまだ知らない事ばかりだけれど――運ばれてきた羊羹と、香る煎茶を前にすれば。ロザリントはその柔らかな頬を桃色に染めた。
大成功
🔵🔵🔵
月藤・紫衣
とても綺麗な景色の見える茶屋ですね。
それにお菓子もとても美味しそうです。
そうですね…桜餅は道明寺と長命寺両方を一つずつに桜形の練りきり、あと抹茶を。
すあまもあるんですか?
では、それも一つお願いいたします。
…思わず頬が弛んでしまうくらい、美味しいですね。
ああ、でも甘味片手に【情報収集】もしておきましょうか。
店員さんにそれとなく最近変わったことがないか、不思議な噂はないかなど問いかけてみましょう。
何も得られずとも、これだけの桜と美味しい甘味という収穫はありますから。
それだけでも満足です。
(アレンジetc歓迎)
●
桜の葉が巻かれた道明寺に長命寺。桜型の練り切り。紅白のすあま。それに抹茶を合わせれば、華やかな春の茶会の時間。
変わら表情に、どこか嬉しさを纏わせ月藤・紫衣(悠々自適な花旅人・f03940)は藤色の瞳を細めた。――桜の咲き誇る綺麗な景色を眺めながら、甘味を味わう。
それはとても幸せな時間で、思わず頬も緩んでしまう。
もちっとしたすあまは、甘さが控えめ。シンプルながら滑らかで丁寧な仕事振りが分かるその味わいに、紫衣は満足そうに息を零す。
甘いお菓子と、深みのある抹茶。
その組み合わせを前にして、うっかり忘れてしまいそうになるけれど。本来の目的を思い出し、彼は通り掛った店員に向け片手を上げると。
「すみません、最近変わったことや不思議な噂はありませんか?」
「……そういえば、不思議な鳴き声を聞いたと云うお客様の声がございますね」
声――その単語に少し瞳に真剣な色を宿しつつ、感謝の言葉を述べる。
その正体が何かは明確ではないようだ。けれど、怪しいのは確か。
考えながら、口直しに抹茶を一口。
次は何を口にしようか――目の前に並ぶ華やかなお菓子達を見て、悩む紫衣。
悩みながら、ゆっくりとお茶を楽しむのが良いだろう。
だって時間は、まだまだあるのだから。
零れる桜は変わらず美しく。まるで時間が止まっているかのようにも思えた。
大成功
🔵🔵🔵
神々廻・朏
縁台の方の一角に腰かけて、景色を眺めながらお茶をいただくよ
いつもお酒飲み過ぎだって言われるから
たまには休んで、まったりお茶する時間があってもいいよね
と、注文したのは煎茶とオススメだと聞いた桜餅
満開の桜を見ながら食べられるなんてなんて贅沢なんだろう
なんて思いつつ桜餅を口にはこぶ
優しい甘味に表情が綻びつつも、このお菓子はお持ち帰りできるかな?なんて頭の隅に過る
酒場を手伝ってくれる友人達にも食べさせてあげたいな
後でお店の人に聞いてみようかな
まったり景色を眺め、煎茶も飲み干せば
体も心もゆっくり休憩も出来たし
「さーてと!頑張りますか!」
お店の人に、ごちそうさま!と告げて次の場所へ向かうよ
●
春の風が吹き、神々廻・朏(三日月・f02894)の白い髪と藤花の髪飾りを揺らす。
普段はお酒を飲み過ぎと言われる程飲んでいるから、たまには休んでまったりとお茶の時間を――と彼女は想い訪れた。
美しい黄緑色の煎茶に、春らしい桜餅を添えて。
(「満開の桜を見ながら食べられるなんてなんて贅沢なんだろう」)
物静かな顔立ちに浮かぶのは、嬉しそうな笑み。
黒文字を桜餅に入れ、一口運べば広がるのは優しい甘味と春の香り。滑らかなあんこが上品で、大人の味わいを感じ自然と朏の表情も綻ぶ。
春を感じながら、ゆったりとした時間を過ごせる事が嬉しい。けれど、彼女の役割は物の怪の退治。その任務がある為、あまりのんびりもしていられないと思い。
「さーてと! 頑張りますか!」
味わい終わると直ぐに立ち上がり。ひとつ伸びをした後、歩を進める。
ごちそうさま! ――笑みを浮かべ店員へと声を掛ければ、嬉しそうな笑顔が返ってきた。朏の笑顔と弾んだ声は、とても満足したと相手に伝わったのだろう。
軽い足取りで店を出て、桜並木へと足を向ける朏。
片手には、先ほど味わった桜餅を持って。
友人達と改めて、今日この日の思い出を語るのも楽しいだろう。
花咲き誇る袂が揺れる様子も、どこか嬉しそうに見えた。
大成功
🔵🔵🔵
瑞枝・咲耶
ご友人のゆすら(f13614)様と
向かう前から浮かれ立つ心と緊張を隠せません
初めてのご友人とのお花見……粗相しないかしら?
でも、辿り着いてしまえば余りに見事な桜を前にそんな不安などとけてしまいます
ええ、本当に。此処の桜は皆とても楽しげに咲いているように感じますね
場所取りはお任せして、ゆすら様の半歩後ろを歩みます
桜餅は余り馴染みがなくて食べた記憶も遙か彼方
今まで食べたのはどちらかしら?
悩んでる時間も何だか惜しいのでゆすら様とは逆の道明寺に致しましょう
見た目にもきっと、楽しいはず
あら? なんだか、ゆすら様が微笑んで楽しげなご様子
ふふ、楽しんでいただけて…よかった
ホッとして自然に微笑みが零れます
桜橋・ゆすら
お友達の咲耶さん(f02335)と
流石はサムライエンパイアの世界…こんなに見事な桜が、咲くなんて
とっても、素敵ですね
と、咲耶さんへ微笑みかけます
折角ですから、桜景色がよく見える縁台を選びたいところ
桜餅は、道明寺、長命寺…嗚呼、西か東かの違い、なのですね
ゆすらは、東の長命寺が馴染み深いので此方を選ぼうかと
咲耶さんが選んだ道明寺と並べて、楽しげな見た目に思わずほっこり
視界に広がる、淡桜の園
お向かいには、春めく容貌の咲耶さん
…うふふ、なんだか両手に花の気分
照れ笑いを誤魔化すように、お抹茶を啜りましょう
―見られていたかしら?それならちょっぴり、恥ずかしいかも
アドリブ歓迎
●
サムライエンパイア――その世界に咲き誇る桜に、桜橋・ゆすら(きみがため・f13614)は心を奪われた。
「とっても、素敵ですね」
瞳を細め、笑む友人の姿を見て。瑞枝・咲耶(名残の桜・f02335)も同じように笑みを零す。それは、少し安堵も含んでいるのだろう。
初めての友人との桜と、お茶を楽しむ事。
向かう前から、浮かれ立つ心と緊張が咲耶にはあった。何か粗相をしてしまわないかと心配していたが、桜を目の前にしてしまえば――。
「ええ、本当に。此処の桜は皆とても楽しげに咲いているように感じますね」
美しく咲き誇る桜に、そんな不安は解けてしまい温かな心地が胸に宿る。
二つに纏めた黒檀の髪を揺らしながら。目当ての縁台へと進むゆすらの半歩後ろを歩む咲耶。此処を選んだ理由は、桜景色がよく見えるから。
折角だから、桜と共に春の味覚を味わおう。
2種類の桜餅を前に、どちらを選ぼうか思案する咲耶。あまり馴染みのない甘味。今まで食べたのはどちらだろうと――するとゆすらは、お品書きの一点を指差して微笑んだ。
「ゆすらは、東の長命寺が馴染み深いので此方を選ぼうかと」
その指差した先は、彼女の語るとおり長命寺。
馴染んだその味を楽しみたいと友が語れば、自ずと咲耶の答えも出る。ゆすらとは違う、道明寺だ。
同じ和菓子の種類なのに異なる桜餅が並ぶ様はどこか風流で。楽しげで自然と笑みも零れてしまう。その姿を見て、咲耶も笑みを浮かべると。
「ふふ、楽しんでいただけて……よかった」
揺れる桜色の髪を押さえながらそんな事を零す。――浮かべてくれている笑みは、この時間が楽しいという証だから。その笑顔だけで、事前に抱いていた緊張は嘘のよう。
そんな咲耶の様子には気づかずに。ゆすらは視界に広がる淡桜の園を見て。向かいに座る春めく容貌の友人を見る。
「………うふふ、なんだか両手に花の気分」
真白の頬を微かに桜色に染めながら小さく零せば、誤魔化すようにお抹茶を口にする。
じっとこちらを見る咲耶の視線に、ゆすらはむずむずと恥ずかしそう。けれど友の零れるような笑みを見れば、その感情も消えてしまう。
瞳を交わし笑い合えば、互いに映るのは仄かに違う桜色。
咲き誇る桜と同じか、それ以上に――その光は美しく感じた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
月雪・千沙子
依世凪波(f14773)と同行
お茶屋さんで一服しても良いとのことなので、早速行ってみることにした
景色もよくて美味しいものもあるなんて心が躍る…と思いながらも
しずしずと歩き、店の前で足を止める
足を止めたのは、狐耳と尻尾の男の子がいたからなのだけど
…思わず目が合ってしまった
無言でいるのも…思い、話をする
こんにちは。あなたもお菓子を食べに…?
あ…邪魔だなんて思ってないから大丈夫
気遣ってくれてありがとう
ん、どれも美味しそう…
私はあんこが好きだから、とても迷う
迷うけれど…あんみつを頼んでみる
そして二種類の桜餅はお土産に包んでもらえないかきいてみる
おいなりさんは私も好き
味のしみたお揚げが入った蕎麦も大好き
依世・凪波
月雪千沙子( f15751)と同行
ぽかぽか陽気でいい天気だな~と足取り軽く
貰った報酬で何か食べよっかと茶屋に立ち寄り
美味しそうな甘味を前に尻尾をパタパタさせながら
お勧めの桜の葉っぱの粒々した桜餅に視線奪われつつ
好物のいなり寿司ともどっちも食いたいなーって悩んでたら
視線を感じ女の子ににぱっと笑いかける
こーんちはー!
あ、あんたもお店入るとこだった?
俺邪魔だったかなって横にずれてみる
どれもうまそーだよな♪
何が好き?俺はねーおいなりさん!
千沙子と一緒に店に入りお茶をする
味の染みたお揚げ想像し目を輝かせて大きく頷く
周りの噂話に耳をピクピクさせて
お客にそれってどんな話なんだー?と興味津々な様子で聞いてみる
●
美しい桜に見惚れながら、お茶屋に思いを馳せ心が躍る月雪・千沙子(ヤドリガミの陰陽師・f15751)。しずしずと歩くが、その足取りはどこか軽い。
心地良い春の陽気に、嬉しそうに先に白混じる尾を揺らしながら。依世・凪波(ギンギツネの妖狐少年・f14773)は桜餅と稲荷寿司を食べる客をじっと見つめている。
――そんな2人が出会ったのは、茶屋『花折』の前だった。
好物から偶然視線を上げた凪波の視界に止まった、真白の少女。恐らく同じ位の年頃であろう、自身より少し背の高い少女を見て。凪波は琥珀色の瞳をぱちぱちと瞬いた。
同じように、長い前髪から覗く銀色の瞳を瞬かせ――ふい、と視線を逸らすが。
「こんにちは、あなたもお菓子を食べに……?」
黙っているのもどうかと思い、少し戸惑いがちに千沙子が口を開く。
「こーんちはー! あ、あんたもお店入るとこだった?」
屈託の無い笑顔で凪波は返すと、店に入るのに邪魔かと思い一歩横にずれる。その様子に、邪魔だとは思っていないから大丈夫と零しながら千沙子は礼を述べた。
――気付けば2人は、一緒にすぐ傍の縁台に座っていた。
じっと1つのお品書きを見つめる、琥珀と銀の双眸。
どれも美味しそうとどちらからともなく零れる声に、頷き合う2人。何が好きか。互いの好物を尋ねれば、千沙子はあんこ。凪波は稲荷寿司。
「迷うけど……あんみつを」
注文を聞きに来た店員に、最後まで迷いつつも千沙子が注文を告げ。添えるように2種類の桜餅をお土産に出来るかと問い、頷きが返る。
ほっと、嬉しそうに表情を和らげる少女に気付いているのかいないのか。凪波は元気良く手を挙げながら。
「俺はいなり寿司!」
そう、告げていた。
あどけない顔に浮かぶ琥珀色の瞳を嬉しそうに輝かせながら、尾をはたはたと嬉しそうに揺らす少年。そんな彼を見て、千沙子はくすりと笑いながら。
「おいなりさんは私も好き。味のしみたお揚げが入った蕎麦も大好き」
ぽつり、立ち去る店員を見送りながらそう零していた。
稲荷寿司好きの仲間に、嬉しそうに瞳を見開き大きく頷く凪波。
好きが集まれば、なんだか嬉しくなってしまうもの。嬉しい心地を共有するように2人は注文の品が届くまで語り合う。
初めて会ったにもかかわらず、和やかなのは好きな物を共有しているからだろうか。
――語りながらも、凪波は黒い狐耳をぴくぴくと動かし、周りの様子を探るけれど。
いざ目の前に注文の品が運ばれてくれば、2人の意識はそちらへと移っていた。
いただきます。
その言葉の後、2人は同時に大好きな物を口にする。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リティ・オールドヴァルト
春は大好きなのですっ
緋毛氈の縁台に腰掛け
道明寺の桜餅、おねがいしますっ
あと……ぼくでも、おまっちゃのめるでしょうか?
お茶屋さんでさくらを見ながらおかしを食べれるなんてふうりゅうなのですー
この街はいいところですねっ
待ってる間に【情報収集】
変わったところはないかそれとなく聞きます
ほわぁ…
桜餅、いいにおいなのですっ
ピンクのおもちとみどりのまっちゃ、春そのものなのですっ
いただきますっ
もちもちしてておいしい
ほっこり
リリィにもわけたげますね
食べてる間も【聞き耳】で街の噂に耳をそばだて
はじめての、まっちゃなのです…っ
……にがいのです……っ
でもおいしい
なんだか、くせになります
桜、きれいなのです
見上げにっこり
●
緋毛氈の敷かれた縁台に腰掛けたリティ・オールドヴァルト(天上の蒼・f11245)は、地に着かない小さな足を揺らしながら注文を尋ねる店員へ語り掛ける。
「道明寺の桜餅、おねがいしますっ。あと……ぼくでも、おまっちゃのめるでしょうか?」
嬉しそうに跳ねる声で語った後、心配そうに藍色の瞳を輝かせながらリティが問い掛ければ。店員はくすりと笑いながら、試してみて下さいと語る。駄目だったら、その時は違うお茶をお持ちしますと言葉を添えて。
はらりはらり、零れる桜の花弁はとても美しく。
温もり含む風がリティの青い毛並みを揺らした。大好きな春の心地よさを感じながら、彼女は変わったことは無いかと周辺の人に尋ねてみるけれど。周りからは春が気持ち良いと云った声や、ここの桜餅の味が更に美味しくなったと云った。幸せなものばかり。
聞きたかった話とは違うかもしれないけれど。幸せが募り、リティの心も幸せが満ちていく。ぽかぽか、温かな心地はまるで春のようで。
思わず笑みを零していると、そんな彼女を微笑ましく眺める店員が桜餅と抹茶を持ってきた。傍に置いただけで香る桜。美しく泡立つ抹茶はなんだか大人な気分。
「ピンクのおもちとみどりのまっちゃ、春そのものなのですっ」
嬉しそうに尻尾を立て、手を合わせた後一口ぱくり。
もちもちの感触と上品なあんこの味に、思わずその身を震わせてしまう。――じっと、羨ましそうな視線を向ける親友のリリィに気付き。桜餅を分けてあげようと思うと同時。
ぴくり、彼女の耳が動いた
――梅林に、聞いたことの無い音が響いているらしいよ。
それは密やかに語る客の声。耳を澄ましていた彼女だから、聞こえたその言葉を、心のメモに書き留めるように小さく頷く。
噂は気になる。けれど今は、目の前の初めての抹茶に興味津々なリティ。
大きな茶碗を小さな手で持って、一口含んでみれば。
「……にがいのです……っ」
予想外に広がる苦味に、思わず大きな瞳に涙を溜めてしまう。――けれど、口に広がる香りと深みのある味わいは魅力的。なんだか癖になるその味に、少し大人の階段を上った気がする。
零れる桜と共に、味わう春の味にリティは笑みを浮かべこう零す。
「桜、きれいなのです」
大成功
🔵🔵🔵
華切・ウカ
ユニちゃん(f04544)と一緒に!
春の、気配!
えへへ、こうしてお茶が一緒にできるのは嬉しいですねユニちゃん!
お菓子はやっぱり桜餅ですよね!
あっ、でも…道明寺と長命寺……迷う……
はっ、ユニちゃん。ここは、半分こしましょう!!そうすれば二度おいしい…!
それにウカは抹茶を。
ユニちゃんと初めてお会いしたのも抹茶の席でしたよね。
お作法は大丈夫です?
……ちょっとあやしさが。こうして、こう。二度まわして、美味しいと笑いあう!
笑いあうのはお作法としてはちょっと、かもですが。
でも今はそういう気持ちですし!
えへへ、こうして女の子同士で過ごすの、楽しいです!
ユニ・エクスマキナ
ウカちゃん(f07517)と
わーい、桜キレイなのねー!
また一緒にお茶できてユニも嬉しいのね♪
うんうん、お店の一押しだしね!
でも…ユニもどっちにすればいいのか決められない…
はっ!?半分こ、その手が!!
ウカちゃん、頭良い…!(尊敬の眼差し
ユニもお抹茶!
そうそう、ウカちゃんにこっそり教えてもらったのね(くす
大丈夫、覚えてるのねー!
えーっと、こっち?あれ?逆??
と、とにかく1回、じゃなくて2回回して…
(危なげな手付きでなんとなくぐるぐる
そうそう!えへへ、また助けてもらっちゃったのね
苦いけど、美味しいのね♪
え…笑うのダメなの!?お茶の世界は厳しいのね…っ!
これって女子会?
楽しいっ、また女子会しよーねっ!
●
視界一杯に広がる淡い色合いに、華切・ウカ(空鋏・f07517)が嬉しそうに笑えば。
腰の羽を揺らすユニ・エクスマキナ(ハローワールド・f04544)も、波打つストロベリーブロンドの髪が春の風揺れるのを押さえつつ、美しい桜に見惚れていた。
「えへへ、こうしてお茶が一緒にできるのは嬉しいですねユニちゃん!」
「また一緒にお茶できてユニも嬉しいのね♪」
にっこりと、笑みを交し合う2人の少女。春色のユニと和装のウカは、春のサムライエンパイアにすっかり溶け込んでいる。
2人のお目当ては、やっぱりお店お勧めの桜餅。
けれど2種類ある一押しに、2人はなかなか決断出来ずに。むむむ、お品書きを目の前に、顔を突き合わせて真剣に悩む少女達。
「はっ、ユニちゃん」
良い事に気付いたと、ウカが顔を上げその金色の瞳でユニを見つめれば。苺色の真剣な眼差しが見返してくる。
「ここは、半分こしましょう!! そうすれば二度おいしい……!」
「はっ!? 半分こ、その手が!! ウカちゃん、頭良い……!」
大きな瞳をきらり輝かせ、羨望の眼差しで見つめられれば。どこかくすぐったいけれど悪い気持ちはしない。手馴れた物言いで2種類の桜餅と、お抹茶をウカは注文した。
美しく泡立つ抹茶を手に、2人が思い出すのは――出会った新年のお茶席のこと。
「お作法は大丈夫ですか?」
あの時、助け舟を出したことを思い出して。ウカが小首を傾げ尋ねれば、大丈夫! とユニは少し胸を張って答える。
「えーっと、こっち? あれ? 逆??」
茶碗に手を添え、まわす事は覚えている。けれどその向きはどっちだったか――とにかくまわそう。1回、いや2回? ぐるぐると考えながら行う手付きはどこか危なげで。
ユニの様子にくすりと笑み、ウカは今回も同じように。横で彼女に見せるように、慣れた所作で茶碗を右に2回まわし口元に運び――笑い合う。
それは抹茶の美味しさからか。それとも、再び教え紡いだ絆にかは分からない。
「笑いあうのはお作法としてはちょっと、かもですが。でも今はそういう気持ちですし!」
「え……笑うのダメなの!? お茶の世界は厳しいのね……っ!」
苦笑の後、変わらぬウカの零れるような笑み。けれど彼女の言葉に、ユニは大きな瞳を見開いて、少し身体を反らせて驚きを身体で表現する。
けれど、幸せだと想う心地に自然と2人には笑みが零れてしまう。
今回はお茶席ではなく、喫茶でのひと時なのだからお目溢し――と信じよう。
「楽しいっ、また女子会しよーねっ!」
にっこり満面の笑みでユニが零せば、ウカも楽しいと微笑んだ。
花咲く春の温もりのように、2人の心もふわふわと夢心地になってしまう程の幸せが。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ウトラ・ブルーメトレネ
トトリちゃん(f13948)と!
緋毛氈の縁台に並んで座るも、目は道明寺と長命寺に釘付け
どっちが美味しいのかな?
美味しい方はやさしいトトリちゃんにたべてほしい、けどわたしも食べたい…
え?
ふたつたのんでいいの?
でもたべすぎたら、お仕事できなくなっちゃうよ
葛藤するも、トトリちゃんを見上げる目には「両方食べたい」が溢れてる
半分この提案に、はっとして、破顔
トトリちゃん、両方おいしいね!
とりさんたちもこの美味しいによばれるのかな?
食べ終えても、まだお腹は大丈夫そう
もう少し、なにかたべる?
さんしょくだんご?
さくら色のお団子を差し出されたら、雛鳥みたいに口を開けてぱく
トトリちゃん、これもとってもおいしいの!
トトリ・トートリド
非毛氈の上、陽射しももう、春の熱
うとうとしたい陽気だけど、しないのは
情報収集の仕事と
となりに小さなウトラ(f14228)がいるから
見慣れない群れを見た、とか、聞いたことない声、聴いたとか
噂話に耳欹てながら
つい、ウトラの眉間を指先で、ちょん
…このこ、いつも一生懸命だ
ウトラ。別に、両方食べても、いい。平気
元気が出ないと、仕事も、できない
ちゃんと、食べて
残ったら、トトリが食べてやる
桜餅かたほう、はんぶんこ
…ウトラのほっぺたと、同じ色だ
この世界のお菓子、甘くて、すごくきれいだ
惚れ惚れ眺める横で、物足りなさそうな顔
頼んだお茶のおかわりは、トトリに
三色団子のさくら色は、ウトラにあげる
口元に差し出して
●
温かな陽射しを浴びる野点傘の下。緋毛氈の上に腰掛けたウトラ・ブルーメトレネ(花迷竜・f14228)は、素足をぶらぶらと揺らしながら真剣な眼差しを向けていた。
春の空のような、淡い水色の瞳がじっと見つめるのは、2種類の桜餅。
――見慣れない群を見た。聞いたことの無い声を聞いた。
そんな辺りの人々の噂話に耳を傾けていたトトリ・トートリド(みどりのまもり・f13948)へと視線を向け、こてりと首を傾げながらウトラは問い掛ける。
「どっちが美味しいのかな?」
美味しいほうは、優しいトトリに食べて欲しい。けれど自分も食べたい……そんな葛藤にむむむ、と眉を寄せていると。その皺の寄った部分にトトリの尖った指先がちょん。
「ウトラ。別に、両方食べても、いい。平気」
いつでも一生懸命な小さな少女。微笑ましいその様子に、思わずトトリもどこか空気を和らげる。そんな彼の指先が触れた部分を撫でつつ、ウトラは瞳を瞬いた。
「ふたつたのんでいいの? でもたべすぎたら、お仕事できなくなっちゃうよ」
そう、まだ2人には情報収集後の敵の討伐が残っている。
だから精一杯の葛藤で、ウトラはそう零すけれど。大きな瞳には本音が零れている。――両方食べたい、と云う想いが。
その想いを感じ取り、トトリは首を振りつつちゃんと食べて、と言葉を紡ぐ。
「残ったら、トトリが食べてやる」
青年が紡いだ言葉に、ウトラの瞳が輝き笑顔が零れた。
2つの桜餅を半分こにすれば、どっちも2人で味わえる幸せに気付き。嬉しそうに足をぱたぱた揺らしながら、ウトラは道明寺からぱくり。
そんな少女の様子が愛らしくて――トトリは手にしていた長命寺を、ふくふくとした彼女の頬へと近付ける。
「……ウトラのほっぺたと、同じ色だ」
口をもぐもぐと動かしながら、首を傾げるウトラ。よく分からないけれど、えへへと笑みを返していた。そんな彼女を眺めながら、トトリも桜餅を口にする。
「この世界のお菓子、甘くて、すごくきれいだ」
洋菓子とは違う甘みと香りに、甘党な彼も大満足。けれど2人で分けた桜餅は小さくなってしまい。まだまだ満足していない少女に気付いた彼は、追加を注文する。
手元に届いたのは、愛らしい薄紅色、白色、緑色が連なる三色団子。
その可愛らしさにわあ……! とウトラの瞳がまた輝く。彼女をちらりと見て、大きな手でトトリはお団子を手に取ると、先端の薄紅色のお団子を少女へ差し出した。
間を開けず、ほとんど習性のようにぱくりと口を開けるウトラ。その様子はまるで雛鳥のようで、思わずトトリもくすりと笑みを零してしまう。
「トトリちゃん、これもとってもおいしいの!」
嬉しそうに笑う彼女に満足そうに頷くと、トトリは花弁浮かぶお茶を一口。
ぽかぽか、春の陽気はうとうととうたた寝したくなってしまうけれど。
大切な任務の情報収集。そして甘いお菓子と隣に座る人がいるから、大丈夫。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
蘭・七結
スズさん(f02317)と
愛しの和国へと舞い降りて
あなたと一緒だなんて、夢のようだわ
美しい薄紅の景色を眺めながら
あの日の、お茶会の続きをしましょうか
注文は抹茶と、お勧めの桜餅をふたつ
スズさんからの問いに、同じものを勧めて
道明寺と、長命寺。ふたつの桜餅
一緒に食べ比べてみましょうか
ひとりよりも、ふたり
きっと、美味しく感じるわ
スズさんは、夏ような
鮮明な色のお花が、似合うわね
彼女の言葉に同調するように笑んで
悠久のようで、一瞬のひと時を思い出す
こうして、また出逢えたわ
何度だって出逢って、その時はお茶をしましょう
彼女の手を取って、次の仕事へと
色鮮やかな色彩に溢れたあなた
新たな美しい色を、見つけた気がしたわ
コイスル・スズリズム
友達の七結(f00421)さん
お茶といえば七結さん。なイメージで、誘わせてもらったよ
ここって、あなたの故郷なんだよね
物珍しそうに周囲を眺めながら
実はね、この世界あんまりよく知らないの。とこそっと
ねえ、おすすめはどれどれ?
食べ比べといわれ
半分こしよ~!と渡す
お茶を飲みながら、桜の花をうつせば
桜ってあなたによく似合っているね
実をいうと
七結さんとお茶をのむのはこないだが最後の様な気がしてた
それくらいはしゃぎすぎちゃったんだ
帰りたくない言い訳を用意しながら。
桜っていうのもひとときの様なものってきくよ
でも、
ひとときがこうやって続くのも悪くないものだね
彼女に引かれ
華やかな和の酔いに誘われるよに次のお仕事へ
●
愛しの和国――この地の土を踏みしめている事を感じ、蘭・七結(恋一華・f00421)は嬉しそうに瞳を細め微笑んだ。
あなたと一緒だなんて、夢のよう。
七結の視線の先には、二つに結んだ金の髪を跳ねさせながら、首を傾げる少女が。
「ここって、あなたの故郷なんだよね」
じっと澄み渡る空のような瞳を向け、語り掛けるコイスル・スズリズム(人間のシンフォニア・f02317)。お茶と云えば、で連想したのもその辺りが関係しているのだろうか。この世界の事はあまり知らないと、長い袖で口元を隠して内緒話を零せば。優しく頷く友の姿が頼もしい。
――あの日の、お茶会の続きをしよう。
分からないと語る通り、コイスルはお品書きを見ても首を傾げてしまう。だから彼女の視線は真っ直ぐ七結に向かい、おすすめは何かと問い掛ける。
「一緒に食べ比べてみましょうか。ひとりよりも、ふたり。きっと、美味しく感じるわ」
くすりと笑んだ後、七結の細い指先が示すのは桜餅の文字。道明寺と長命寺、ふたつを指で追った後零した言葉に、きらりとコイスルの瞳が輝く。
「半分こしよ~!」
――その言葉の通り、同じものが手元に渡れば。まずは抹茶に手を伸ばした。
ゆらり抹茶の水面を揺らしながら、コイスルの視界に映るのは春の花。
「桜ってあなたによく似合っているね」
ぽつり、それは無意識に口から零れていた言葉。
その言葉に七結は瞳を瞬かせる。それは淡く色付く灰色の髪のせいだろうか、紫に輝く瞳だろうか。それとも、彼女が愛する『あか』か――それは語らないけれど、コイスルは目の前の少女を見て素直な印象を語っている。
そんな彼女の輝く瞳を見つめながら、七結は笑みを浮かべこう返す。
「スズさんは、夏ような。鮮明な色のお花が、似合うわね」
淡い瞳と髪色、そして輝く笑顔によく似合うだろう。
彼女の言葉にコイスルは少し照れたような、けれど嬉しさを表す満面の笑みを。
照れ隠しをするように、ぱくりと口にしたのは半分にした道明寺。つぶつぶの道明寺粉の感触と、滑らかなあんこの味わいにコイスルは更に笑顔を花咲かせた。
こんな幸せも、七結と一緒にいるから。
「実をいうと。七結さんとお茶をのむのはこないだが最後の様な気がしてた。それくらいはしゃぎすぎちゃったんだ」
それは不意に零れた本音――帰りたくない、そんな意味を含めた言葉。
だから七結は、同調するように微笑んだ。思い出すのは、悠久のように一瞬のひと時。
けれど――。
「こうして、また出逢えたわ。何度だって出逢って、その時はお茶をしましょう」
手元の抹茶をくるり回しながら、静かに語る七結。その言葉に、コイスルは嬉しそうに笑う。――桜は、ひと時のようなものだけれど。そのひとときが続くのも悪くない。
甘い時間を堪能すれば、次なる仕事が待っている。
色鮮やかな色彩を持つ友と。
新たな美しい色を探しに行こう。手に伝わる温もりを感じながら。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
石籠・むぎ
もふもふ…ワルいコじゃなさそうだけどタイジしなきゃなのね
むぎは和食は色々食べたことあるから、フツウのじゃまんぞくしないのよ?
……どれもおいしそうなのよ
(5分くらい悩み)道明寺と長命寺を一つずつ。あとほうじ茶をください、なの!
あと、お持ち帰りで練りきりも注文しておくの
テーブル席で食べるの
まずは道明寺から…(モグモグ
おいしい♪なの
長命寺の方も(モグモグ)またちがった味わいで(モグモグ)
……(ゴクン)幸せなのよ
桜もちを味わってからお茶を飲み、まったりしながらウワサが聞こえないか耳をピコピコさせるのよ
日差しが当たるトコだとねむくなっちゃうかも…(尻尾抱えて丸くなる
●
「むぎは和食は色々食べたことあるから、フツウのじゃまんぞくしないのよ?」
ちょっと自信満々に石籠・むぎ(白銀稲荷・f02944)は呟くと、じっとお品書きを凝視する。――並ぶ品物はどれも食べた事ある馴染み深いもの。だからこそ悩んでしまう。
ぐるぐる、琥珀色の瞳をあっちへこっちへ動かしながら。彼女が出した答えは桜餅を2種類と、香ばしいほうじ茶。あと、お土産に桜型の練りきりも忘れずに。
テーブルの上に並ぶ春色の中、まず手を伸ばしたのつぶつぶの道明寺。
「おいしい♪ なの」
もぐもぐ。小さな口を開けて、少しずつ食べ進めて次は長命寺。違った味わいだと知っていても、いざ食べ比べてみるとまた違いが明確になって幸せになる。
ぱたぱたと嬉しそうに尾を揺らしながら、ほうじ茶を飲めば一心地。
幸せに浸りながら。傍に座る町人達の話に耳を澄ませたむぎの、真白の狐耳がぴこりぴこりと揺れ動く。
――変な声を聞いたやつが追いかけたら、そのまま戻って来なかったらしい。
――神隠しか?
そんな噂話を耳にして、忘れないようにとこくこく頷く少女。
人の並ぶ大きなテーブルを敢えて選んだのには、訳がある。此処が一番、人々の声が聞こえやすいと思ったから。――けれど、ぽかぽかの陽射しが差し込んでくるとは思わなかった。日向でお昼寝をする習慣があるむぎにとって、その陽射しには抗えない。
「ふわあ……」
大きな欠伸をひとつ零し。尻尾を丸めて少女は、春の微睡みへ落ちていく――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『春告げ鳥を捜せ』
|
POW : 城下町でお茶を楽しみつつ聞き込みをする。
SPD : 梅林で梅の花を愛でつつ手掛かりを探す。
WIZ : 罠を仕掛けたり、他の方法でヒントを探す。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●紅梅に響くさえずり
視界に広がるのは、先ほどの淡桜色とは違う色とりどりの紅色。
白色、様々な淡紅、緋色まで咲き誇る此処は立派な梅林。
甘味と桜を満喫した後。猟兵達は本来の目的である捜索を行うことにした。――物の怪の群れの討伐の為に、その対象の住処とやらを。
――町の外れにある、梅林から不思議な音がするらしい。
――音の正体を探しに行った町人が帰って来ずに、どうやら神隠しにあったようだ。
そんな噂話を元にして、探すのは町の入り口の桜並木を抜けた先にある、広大な梅林。
様々な春の鳥が生息するその林は、町でも有名な名所のようだ。今年は此処一帯は遅咲きで、偶然にも桜と開花が被ったのがまた神秘的。
耳に届くのは、心地良い春鳥の鳴き声。
その他、梅に紛れる様々な『あか』色の鳥が生息し。見つけることが出来ると幸せになるとか――そんなジンクスを信じて、多くの人々が訪れる場所。
観光が出来るよう、整備された道のりもあるのだが。道すらない奥まって箇所も怪しいとなっては、探すのは相当難しいだろう。
だからこそ、頼りになるのは己の聴覚。
耳を澄ませばほら――聞えてくる。
ピィ、ピィ。
春の音色とは違う、甲高くどこか手招きをするような。不思議な音が。
神々廻・朏
【SPD】
のんびり梅林の下を散歩しながら春告げ鳥を探すね
梅林を見上げ花を楽しみながらも、木々にとまってる鳥を見つけたら凝視
梅によく似た色の鳥を見つけると幸せになれるっていうジンクスもあるって聞いたから
出来れば僕もその鳥見てみたい!
と気合いも充分に
見つけられたら、両手を合わせて何故か拝む
可愛い鳥達を見つけながら表情が緩みっぱなしだけど
しっかり音も聞いてるよ
確かに鳴き声が違うんだよね?
甲高い音が聞こえたらそちらの方へ
しっかり辺りは見渡すけど、目視出来なかったら
友人用に買ったけど…甘いものが好きらしいから
匂いにつられて寄ってきてくれないかな?
とさっきの茶屋で買った桜餅を手の平に乗せて待ち構えてみるよ
●
零れる梅花の花弁――さらりと揺れる白い髪をかき上げながら、神々廻・朏は天を見上げた。青い空の下、咲き誇る梅花はとても美しい。
花咲く枝の間を藤色の瞳で眺めれば、所々に緑色の鳥が止まっている事に気付く。その愛らしさに、朏の表情が思わす緩んでしまう。
咲き誇る梅花が視界を防ぐ為、それはしっかり見なければ分からない存在。
だからこそ、町の中には噂があるのだろう。
――梅花によく似た色の鳥を見つけると、幸せになれる。
そんな、噂だけで心が温かになるようなジンクスが。
「出来れば僕もその鳥見てみたい!」
花々が覆い被さる景色から、その鳥を見つける事は確かに難しいのだろう。だからこそ、朏は興味を惹かれ上空を見つめる。
――儚げな見た目とは打って変わり、意気揚々と梅林の中を歩む朏。
「あ!」
通り過ぎようとした時――揺れる梅花に気付き振り返れば、そこには緋色の花弁とよく似た色合いの小さな鳥が居た。
「……っ」
何故か両手を合わせ拝む朏。
幸せになれるということは、きっとご利益があるに違いない。そんな考えかは分からないけれど、瞳を開いた彼女はどこか満足気で。改めて、捜索を行おうと歩むを進める。
耳を澄ませば、確かに噂に聞いた甲高い音が聞こえる。
出所はどこだろう――もっと林の中だろうかと、整備された道から朏は逸れて行く。
「匂いにつられて寄ってきてくれないかな?」
足場の悪い道を歩みながら、彼女は先ほど花折で購入した桜餅を取り出して。
梅花の中、香る桜を手にすれば――お腹を空かせた彼等が、寄って来るかもしれない。
大成功
🔵🔵🔵
月藤・紫衣
ここが噂の梅林ですか…。
先程の桜もとても素晴らしい景色でしたが、梅咲き乱れるここも素晴らしいですね。
さて、あまりにも広大ではありますが、とりあえず鳴き声を頼りに探してみましょうか。
梅の花で花見をしつつ、ですが。
ああ、そうだ、金平糖があるんです。
それでもつまみながら、散歩でもするように歩き回ろうかと。
そういえば、梅にも色々と種類があるんでしたね。
ここにはいったい何種あるのでしょうか?
それにしても、あか色の鳥とは…どのような見目なのでしょうね。
(アレンジetc歓迎)
●
「ここが噂の梅林ですか……」
視界に広がる色とりどりの紅梅に、月藤・紫衣は思わず溜息を零していた。
先程の、茶屋から一望出来る桜。そして今まで歩んできた桜並木の景色も素晴らしかったが、様々な紅が咲き乱れる此の場も美しいと心から彼は想う。
しかし広大な梅林。無策で進んでは、何も見つける事は出来ないだろう。
だから首元の温もりを少しずらして、紫衣は耳を澄ます。
情報では、唯一の手掛かりは鳴き声のようだ。だから微かな音も逃さないようにと、藤色の瞳を細め音を探る。
すぐ傍で聞こえるのは、メジロの鳴き声。さえずる音色は心地よく、春が訪れたのだと実感する。彼等もまた、春を喜んでいるような声色だ。
少し遠くで聞こえるのは、ウグイスだろう。馴染んだ声は、聞き取りやすい。
「ふむ……」
残念ながら不思議な音色は、聞こえない。
ならばゆっくりと、梅花の花見をしながら――持参した梅花のような色とりどりの金平糖を片手に、散策でも行おうか。
「おや」
辺りに注意しつつ歩んでいると、違和感に気付き歩を止める紫衣。
色濃い緋色の梅花咲き誇る木の前。何か違和感が――なんだろうと探るように、瞳を左右へと動かせば。違和感の正体に気付き、彼はひとつ頷く。
「あか色の鳥、ですか」
どのような見目か気になっていた鳥が、彼をじっと見て小首を傾げた。
身体からクチバシまで緋色の鳥は、確かに梅花に紛れてしまえば分かりにくい。
気になっていた幸せになれる鳥を見つけ、紫衣は満足そうに瞳を細めた。
大成功
🔵🔵🔵
ロザリント・フレイニール
【SPD】
今度は鳥さんを探せばいいのね、わかったわ。
わたしは人の多いところは少し苦手だし、梅林の方で手掛かりがないか探してみようかしら。
鳥さんだから、きっと地上よりは木の枝とかお空とかの方が可能性は高いのかしらね。
なんてことを考えながら、梅の木の枝とか樹上のほうを気にしながら探してみるわ。
近くにいた鳥さんに「春告げ鳥さんを探しているの。見てないかしら?」と聞いてみるけど、わからないわよね。
少し梅の木々を眺めながら休憩しつつ、耳を澄ませてみたりもして。
「あの子かしら?」景色を楽しみながらもあちこち飛び回ってみるのもいいものね。
●
ふわりと春風が吹けば、色とりどりの梅花が揺れ動く
緑色の髪を揺らしながら、小さな身体でロザリント・フレイニールは梅林の中を飛び回っていた。――人の多いところは苦手だから、木々立ち並ぶ辺りを中心に。
耳に届く異質な鳴き声は、おそらく鳥のもの。
だったら、地上よりは木の枝や空といった高い位置に居るだろうと考えたロザリントは、透き通る背の翅を羽ばたかせ木々の合間を捜索する。こういう時には、小さくても飛べるという事は便利だと感じる。木の枝が密集する部分にも、難なく入れるのだから。
「春告げ鳥さんを探しているの。見てないかしら?」
春を告げる鳴き声を梅林に響かせるウグイス。彼の傍へと舞い降り、光の粒を散らしながら問い掛ければ――彼の鳥はこくりと首を傾げる。
それは意思の疎通が取れているのか、取れていないのか。それは分からない。
わからないわよね……表情を変えぬまま、少し残念そうに翅を揺らすロザリント。
ひらり、飛び回りながら足首のリボンを揺らせば。何かが惹かれたりしないだろうか。
「あの子かしら?」
チィチィ、小鳥の鳴き声が聞こえればそちらへ行き。
別の鳴き声が聞こえればまた移動する。
薄紅から緋色へ。
色とりどりの梅の間を捜索する彼女の姿は、まるで梅花の妖精のよう。
捜索がてら、花々を眺めるこの時間も悪くない。
大成功
🔵🔵🔵
●
物の怪が見つかるか――。
そんな不安を胸に、梅林に足を踏み込んだ伊織・あやめ。最初のうちはその青い瞳に不安の色が宿っていたけれど、暫し歩めば梅花の美しさに心配も吹き飛んでしまう。
春風に運ばれて、香るのは梅の花。
白、薄紅、緋の色合いはかさねの色目。
立ち止まり耳を澄ませば、聞こえるのは春告げる鳥の声。
「春鳥や物の怪はどこにいるのかな」
きょろりと辺りを見回せば、彼女の結ったふたつの髪が揺れ動く。
ゆらゆら、漆黒の髪に惹かれたのか。チチチ、と鳴く声が耳に届いた。
その鳴き声はどこからだろう?
音の在り処を探すように、あやめは梅林の中へと入っていく。道すらない、梅の迷路へと。さくり、草を分ける音を響かせて。
「鳥は花の蜜を吸うなんてことも聞いたことがあるけれど」
そんな春鳥も見られるだろうか。そう、例えば梅が好きと有名なメジロとか――そんな楽しみを胸に、深い深い梅林の奥へと進んでいくあやめ。
迷路の奥でも不思議と恐れは無い。
だって、こんなにも美しい景色と――耳に届く音色が心地良いから。
自身に猟兵としての経験がまだ浅いのは歯がゆい。けれど、此の場に訪れた幸福を思えば、その気持ちも晴れてしまう。
――世界を見る。その目的の為訪れた外は、こんなにも美しい。
「さあ、鳥さん、顔を見せて」
瞳を閉じ、耳を澄ませていたあやめ。瞼で塞いでいた双眸を開けば、視界に広がるのは緋色の梅花。その花弁が揺れるのを見て、彼女は青瞳を揺らす。
花を揺らすその正体は――噂に聞くあか色の鳥だった。
伊織・あやめ
【SPD】
物の怪の情報は得られなかったけれど、見つかるかな
不安に思いながら梅林を歩くけれども、その美しさに心配も吹き飛んじゃう!
甘い香りは梅の香 白、淡紅、緋色の色は襲の色目
思わず、立ち止まって耳をすまして
ここを訪れた幸せを噛み締めて
春鳥や物の怪はどこにいるのかな
さえずる声に惹かれて、道すらない梅の迷路へ
でもこんな美しい梅の中でなく鳥なんて幻想的
鳥は花の蜜を吸うなんてことも聞いたことがあるけれど
そんな春鳥も見られるのかな
時折、立ち止まって、耳をすませて
自分に猟兵としての経験がまだ浅いのが歯がゆいけれど
それでも、こんな美しい場所に来られたのはやっぱり幸せ
さあ、鳥さん、顔を見せて
(アドリブ歓迎)
●
物の怪が見つかるか――。
そんな不安を胸に、梅林に足を踏み込んだ伊織・あやめ。最初のうちはその青い瞳に不安の色が宿っていたけれど、暫し歩めば梅花の美しさに心配も吹き飛んでしまう。
春風に運ばれて、香るのは梅の花。
白、薄紅、緋の色合いはかさねの色目。
立ち止まり耳を澄ませば、聞こえるのは春告げる鳥の声。
「春鳥や物の怪はどこにいるのかな」
きょろりと辺りを見回せば、彼女の結ったふたつの髪が揺れ動く。
ゆらゆら、漆黒の髪に惹かれたのか。チチチ、と鳴く声が耳に届いた。
その鳴き声はどこからだろう?
音の在り処を探すように、あやめは梅林の中へと入っていく。道すらない、梅の迷路へと。さくり、草を分ける音を響かせて。
「鳥は花の蜜を吸うなんてことも聞いたことがあるけれど」
そんな春鳥も見られるだろうか。そう、例えば梅が好きと有名なメジロとか――そんな楽しみを胸に、深い深い梅林の奥へと進んでいくあやめ。
迷路の奥でも不思議と恐れは無い。
だって、こんなにも美しい景色と――耳に届く音色が心地良いから。
自身に猟兵としての経験がまだ浅いのは歯がゆい。けれど、此の場に訪れた幸福を思えば、その気持ちも晴れてしまう。
――世界を見る。その目的の為訪れた外は、こんなにも美しい。
「さあ、鳥さん、顔を見せて」
瞳を閉じ、耳を澄ませていたあやめ。瞼で塞いでいた双眸を開けば、視界に広がるのは緋色の梅花。その花弁が揺れるのを見て、彼女は青瞳を揺らす。
花を揺らすその正体は――噂に聞くあか色の鳥だった。
大成功
🔵🔵🔵
リティ・オールドヴァルト
お茶屋さんで聞いた梅林の聞いたことの無い音を
調べに行くのですー
おなかもいっぱいになりましたし
桜のつぎは梅
とってもふうりゅうなのですっ
嬉しそうに梅を眺めつつも
【聞き耳】で音を聞くのも忘れずに
リリィも手伝ってくださいね?
この声は…
あっうぐいすなのですっ
かわいいのですっ
春なのですー
幸せそうにほこほこ
めじろもいますっ
リリィ、あか色のとりさん、見つけたら教えてくださいねっ
むーおしごととはかんけいないですけどっ
見つかったら、うれしいし
何より見てみたいのですっ
とりさん好きなのですっ
気合い入れ
もう少し…
奥の方も探してみるのです?
首傾げ
道を外れ奥の方へ
少し木にもたれ
目を閉じて
春の匂い
春の音
…見つかるでしょうか?
●
桜餅と抹茶を味わって、お腹もいっぱい。
やる気に満ちたリティ・オールドヴァルトは、小さな足を動かしながら梅林を進んで行く。桜見の後の梅林は、とても風流で心も踊るほどに嬉しくなってしまう。
けれど、今回の目的は和やかな梅見ではない。
「リリィも手伝ってくださいね?」
ぴくり、人よりも大きなその耳を澄ませるように動かしつつリティが零せば。彼女の傍を飛ぶ小さな白いドラゴンも辺りをきょろりと見る。
耳を澄ませば、聞こえてくる春告げの音。
「あっうぐいすなのですっ。かわいいのですっ。春なのですー」
人に隠れる習性があるウグイスを、運よく見付ける事が出来てリティは嬉しそう。その幸福に胸が温かくなるが――やはり気になるのは、噂の幸福の鳥。
「リリィ、あか色のとりさん、見つけたら教えてくださいねっ」
くるり、後ろの小竜へと声を掛ければ。リリィはお仕事をしろと、訴えてくるようにじっと見つめ返してくる。その瞳に、迷うように尻尾を緩やかに動かすリティ。
あかい鳥は仕事ではないけれど、気になるし見つけたら嬉しい。何より見てみたいと素直に零せば、リリィは仕方が無いと言うように少し俯いた後、辺りを捜索する。
しばし、整備された道周辺を探してみるけれど。
聞こえる音は変わらず、見える鳥達も変わらない。
「もう少し……奥の方も探してみるのです?」
小首を傾げリリィへ問い掛ければ、こくりと頷きが返る。奥の方に入っていくのは迷子になりそうで少し怖いけれど、リリィと一緒ならば大丈夫。
勇気を出して踏み出そう。
小さな手をきゅっと握り、奥に進めば立ち並ぶ木々の景色が変わる。
一際大きな幹に小さな身体を預け、瞳を閉じるリティ。
――春の匂い。春の音。
その身で感じていると、くいっと少年の装いを引っ張る感覚が。
「あっ! あか色のとりさんなのです!」
瞳を開けると、視界の先には捜し求めていた幸せが。教えてくれたリリィの頭を撫で、リティは嬉しそうに微笑んだ。
大成功
🔵🔵🔵
コイスル・スズリズム
七結さん(f00421)
とそれから鳥に誘われ
あなたといるとこっちが誘ったのにまるで誘われてるようになるね。どうしてだろう?
この世界のサクラとウメは、もちろんはじめて
花について真剣に考えたことはあまりないから
難しいことはわからない、でも、好きだよ
続いてく時間に身を漂わせる
薄紅色がこんなに綺麗だなんて知らなかった
七結さんがこの世界を気に入る理由が、なんとなくわかる様な気がするよ
『あか』を、指さす彼女の頬に視線がうつる
彼女の声色が少し変わった様に感じたから
もちろん、鳥は、見えるけど
私の視線は、ずっと彼女から離れない
ねえ、あなたにとって、それは、特別な色なの?
和の酔い継いでに
ふとした疑問が唇を離れる、
蘭・七結
スズさん(f02317)と
奥へ、奥へと誘う囀りを耳にして
ナユ達を呼ぶ、あなたはだれ?
薄紅のサクラの花、紅のウメの花
そして、幸せを呼ぶ『あか』い鳥
無意識に引き寄せられる色を追って
サクラとウメを眺むのは、はじめてかしら
桜餅を食みながら。春に触れた和のお茶会
この世界を知らないと。零れた声を思い出して
ゆっくりと。眺めながら進みましょう
こんなにも、美しく咲くのだもの
囀りを標に歩を寄せて
まるで、隠れんぼのようね
薄紅と紅の花時雨をいっぱいに浴びながら
一際鮮明な色を宿す、『幸せ』を指差して
ねえ、スズさん。見えるかしら
彼女から溢れ出た疑の言葉
唯、静かに。緩やかに。唇に弧を描いて
酔いからはまだ、覚めなくていい
●
――ピィ、ピィ。
耳に届くのは、まるで奥へ奥へと。誘うようなさえずり声。
「ナユ達を呼ぶ、あなたはだれ?」
無意識のように零れていた、蘭・七結のその言葉は本音の証。
薄紅の桜。紅の梅。そして幸せを呼ぶ『あか』い鳥。無意識に引き寄せられる色合いに、思わず彼女の足取りは導かれるように梅林の奥へと。
そんな夢中になる七結の姿を見て、コイスル・スズリズムは誘ったのは自分なのに、まるで彼女に誘われているように感じると。
それは此の世界が初めてだからか。先程見た桜の花が初めてならば、今目の前の広がる様々な紅を持つ梅の花も初めてで。
花について、真剣に考えた事が無ければ。難しい事も分からない。
けれど素直に好きだと思う――そうコイスルが零せば。七結はぱちぱちと瞳を瞬く。
そういえば、先程の春のお茶会で此の世界を知らないと友が語っていた事を思い出す。桜と梅、見るのが初めてならば。
「ゆっくりと。眺めながら進みましょう。こんなにも、美しく咲くのだもの」
視界に広がる梅花をコイスルに見せるかのように、彼女は両の手を広げてみせる。
さわりと風が吹けば、春の温もりが花弁を宙へと舞わせる。はらり、はらり――零れる様々な色合いのあか色が混ざり合い、美しく幻想的な景色が広がった。
その光景に、ふわりと嬉しそうに笑みを零すコイスル。
――薄紅色が、こんなに綺麗だなんて知らなかったから。
「七結さんがこの世界を気に入る理由が、なんとなくわかる様な気がするよ」
コイスルが溜息混じりに言葉を零せば、七結もどこか嬉しそうに。軽い足取りで梅林の奥へと更に足を向けた。耳に聞こえるさえずりを頼りに。
零れる花弁はまるで花時雨。はらはら、金と灰の髪に絶え間なく零れ落ちる。
ふと、視界に映るのは一際鮮明な色。
「ねえ、スズさん。見えるかしら」
その『幸せ』を指差して、七結が零せば。その指の先へと倣うようにコイスルも視線を向ける。彼女の透き通る瞳に映るのは、緋色の小鳥。梅花を啄ばむ姿が見えた。
「もちろん、鳥は、見えるけど」
けれど視線は、小鳥よりも七結の頬へと移ってしまう。だって、彼女の声色が少し変わったように感じだから。――だからコイスルは、視線を七結から逸らさず問い掛けた。
「ねえ、あなたにとって、それは、特別な色なの?」
その疑問の声に、今度は七結が彼女を見返す番。
疑問をしっかりと心に落とし込むように、瞬きの後鳥を見て、改めてコイスルを見ると彼女は――緩やかに、その唇を和らげ笑みを零した。
言葉にはしなくていい。
けれど伝えたい事は、これで伝わると想うから。
――酔いからはまだ、覚めなくていい。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ウトラ・ブルーメトレネ
トトリちゃん(f13948)と!
ことりさんいっぱい、あかいこどこかな?
トトリちゃんはやくはやく
手を引っ張ってぐいぐい
足音に逃げられたらしょぼん
翼で飛べばいいんだ! となるも、落ち着きない羽搏きの結果はきっと同じで、またしょぼん
目を、とじればいいの?
おずおずトトリちゃんの真似っこ
これだとお歌がよく聞えるね
え、あっちにいくの?
今度は手を引いてもらって、そぉっとそぉっと
ねぇねぇことりさん
あかいこ、みなかった?
【動物と話す】で語り掛ける
トトリちゃんにあかいこ、みせてあげたいの
ううん、トトリちゃんとあかいこ一緒にみたいの
お話してるだけで、嬉しくなって尻尾ぴこぴこ
トトリちゃん、お花さんもきれいだね
トトリ・トートリド
ウトラ(f14228)と
梅色の、小鳥…会えるといいな
意気込んで、林へ向かうけど
…あ、ウトラ
小鳥は臆病、だから、小さい声で…あ
(逃げた小鳥とウトラ、交互に)
…ウトラ、ウトラ
大きな音、立てないように…あ
(しょんぼりぶりに、少しおろおろ)
…だ、大丈夫
逃げた中には赤い鳥、いなかった…
耳澄ませ口を覆って
…小鳥を探すときは、目、閉じると、いい
どこで鳴いてるか、わかるから
声がした方角に、鳴き声を真似て返す
駆け出さないよう手を引いて
奥、行ってみよう
交わすなら、鳥のことばで
近くでは交わせなくても
もしかしたら、応えてくれるかも、だ
機嫌いい尻尾に安心しつつ
一緒にの願いには、…うん
トトリも、ウトラと見れたら、いい
●
あかいこどこかな――?
「トトリちゃんはやくはやく」
ぺたぺたと足音を響かせながら、ウトラ・ブルーメトレネはシャーマンズゴーストの手を引き梅林の中を進んで行く。
濃淡様々な紅色に埋め尽くされた梅林には、数多の鳥が居てウトラの心も弾んで、その足取りも軽くなってしまう。そんな彼女の様子は愛らしいと思うけれど。
「……あ、ウトラ。小鳥は臆病、だから、小さい声で……あ」
鳥好きなトトリ・トートリドは、自身の知識を口にする。――その言葉を零したとほぼ同時、目の前の枝に留まっていた2匹の鳥が。さえずりながら飛び去ってしまった。
「……あ!」
逃げる小鳥を追うように、ウトラは背の羽を羽ばたかせてみるけれど――落ち着き無いその物音に、周辺の鳥達が飛び去っていく音が響き渡った。
「……ウトラ、ウトラ。大きな音、立てないように……あ」
自身の手を引く力が弱まったとトトリは思い、少女を見やる。視界に映るその姿は、真紅の尻尾も含めて見るからにしょんぼりと悲しそう。そんなウトラの姿に、トトリはどうしたらいいのかと、おろおろまごまご。
けれどきゅっと、緩んだ手を握り直し。
琥珀色の小さな瞳で、小さな少女を真っ直ぐとトトリは見る。
「……だ、大丈夫。逃げた中には赤い鳥、いなかった……」
だから、大丈夫。精一杯の勇気付ける言葉に、仄かに瞳に涙を浮かべていたウトラに笑顔が戻る。うん! 花咲く笑顔で頷く彼女に頷き返し、トトリはアドバイスを。
小鳥を探す時は、目を閉じるといい。
「どこで鳴いてるか、わかるから」
耳を澄ませて、口を覆って――瞳を閉じてそう語るトトリに倣うように、ウトラも自身の手で口元を覆いつつその春空の瞳を瞼で隠す。
「これだとお歌がよく聞えるね」
耳に確かに響いた小鳥の鳴き声に、ウトラはぱっと目開き嬉しそうに笑い掛けたが――不思議な音色の方角を定めたトトリは、きゅっとウトラの小さな手を握る力を強める。
「奥、行ってみよう」
鳴き声真似て返した後。迷うことなく進む彼に、素直に着いて行く少女。
道の無い梅林の奥は、更に美しい花々が咲き誇り。先程までの道より多くの鳥達が憩いのひと時を過ごしていた。
「ねぇねぇことりさん。あかいこ、みなかった?」
こくり、梅花の蜜を食べていたメジロが首を傾げる。
トトリに赤い鳥を見せてあげたい。――否、トトリと一緒に見たいと云うウトラの願いを乗せて、彼女は語り掛けていた。
彼等との距離はあるけれど、トトリも一緒に問い掛ける。
トトリだって、ウトラと一緒に見れたら良いと思う。
楽しそうに鳥と話す彼女の小さな尻尾は、ぴこぴこと嬉しそうに揺れている。そんな彼女を微笑ましいと思いつつ、繋ぐ手をウトラの尻尾に合わせてゆらゆらと揺らせば。
――チチチチ。
小鳥が、語り掛けるように鳴く。
後ろを振り向けば――幸運の色がかくれんぼ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
華切・ウカ
ユニちゃん(f04544)と
物の怪の群れ、その住処を探す、と
意気込みつつも、この立派な梅林…!
すごい…白、紅もグラデーションで…
そういえば、見つけることができると幸せになるっていう『あか』色の鳥がいるとききましたけど……
うぅん、上手にかくれんぼしてるのかもしれませんね!
でもどんな『あか』なんでしょうね。
薄い色? それとも……ユニちゃんの瞳と似た色かも!そんな鳥ならウカはあってみたいです。
――あっ、今、鳴き声きこえましたよ。
あっちの方からですね、行ってみましょう!
住処探しのはずが楽しい散策みたいになっちゃってますが…
ちょっとくらい、良いですよね!
鳥さんがくれた幸せ?ふふ、確かに!
ユニ・エクスマキナ
ウカちゃん(f07517)と
わぁー!キレイな梅林なのねー!
白梅と紅梅のグラデーションがステキ
え?物の怪?住処?
やだなぁ~こんなキレイな梅林に
物の怪がいるわけないのねー!
え?!あかい色の鳥?
ユニ絶対に見つけたいのねーー!
鳥さんとのかくれんぼだって、絶対に負けない!
鳥さん、どこー??
出ておいでー!!
ユニはね、イチゴみたいな赤だと思うの!
きっと可愛い鳥さんだと思うから
え?どんな鳴き声??
ユニは聞こえない…
ウカちゃんが頼り!ユニはついていきます!
住処探し?
あ、ユニそんなことすっかり忘れてたのね…ていうか、知らなかった…
でも楽しいから、いいよね!
ふふっ、これも鳥さんがくれた幸せかもなのね
●
「わぁー! キレイな梅林なのねー!」
長い髪を風に揺らしながら、ユニ・エクスマキナは大きな瞳をきらきらと輝かせた。
濃淡のグラデーションが美しい梅花を前にして、華切・ウカも思わず見惚れてしまうが。景色を堪能してばかりもいられない。
「物の怪の群れ、その住処を探す、と」
改めて目的を確認するようにウカが呟けば、その言葉にユニは瞳をぱちくりと瞬く。
「やだなぁ~こんなキレイな梅林に、物の怪がいるわけないのねー!」
ころころと笑いながら、彼女はそんな事を零す。幻想的な光景は、完成された絵画のように見事なもので。ここに邪な存在が居るとは想えない。
だって此処には――幸せになる『あか』い鳥が居るという噂があるくらいなのだから。物の怪の噂も気にはなるけれど、ウカの心を満たす好奇心もあかい鳥へ。
「うぅん、上手にかくれんぼしてるのかもしれませんね!」
辺りを見渡しても、それらしい存在は見つからない。ならばきっと、そうなのだと零せば。ユニは楽しそうにその場で跳ね、鳥のような腰羽を揺らして笑う。
「鳥さんとのかくれんぼだって、絶対に負けない! 鳥さん、どこー?? 出ておいでー!!」
やる気満々、梅林を進む少女の姿に笑みを零すと。ウカも追うように駆け出した。ひらひら零れる花弁の色は、濃淡様々。
梅花に潜む噂の鳥は、どんな色をしているのだろう――?
噂に聞くには『あか』と云う抽象的な表現のみ。それならば、どんなあか色だろう。薄い色か、それとも――。
「ユニちゃんの瞳と似た色かも! そんな鳥ならウカはあってみたいです」
目の前で笑う少女のきらきらとした瞳。その瞳のような鮮やかな色の鳥と出会えたら、きっときっと幸せになれるから。だからウカも、好奇心を詰め込んだ胸を落ち着かせるよう深呼吸をすると。瞳を瞼で隠し、耳を澄ませる。
「――あっ、今、鳴き声きこえましたよ」
「え? どんな鳴き声?? ユニは聞こえない……」
再び開かれる金の瞳をきょとんと見つめた後、難しい顔でユニは辺りをきょろきょろと。こっちだとウカが白い袖を揺らし迷い無く進む様子に、ユニは素直に着いて行く。
進む先は道すらない、梅の花が立ち並ぶ林の奥深く。
こっちだよ。そう手招くような声が段々と近付いているのを感じ、ウカの眼差しは真剣な色を宿す。2人が辿り着いたのは、鮮やかな紅い花が咲く一帯。
「住処探しのはずが楽しい散策みたいになっちゃってますが……ちょっとくらい、良いですよね!」
ぐるり景色を眺めながら、楽しそうに笑うウカ。彼女の言葉に、ユニは改めて今日の目的を思い出す。そんなお話もあったような、無かったような。
「でも楽しいから、いいよね! ふふっ、これも鳥さんがくれた幸せかもなのね」
どうであれ、結末は幸せ。だから良いのだと、少女達が笑えば。
――チィ。
笑い声に反応するように聞こえた鳴き声は、今度はユニの耳にも届いた。
2人で顔を見合わせ、声の出所を振り返ってみれば。そこには思い描いていた、鮮やかな赤色の鳥が梅花に隠れながら、こちらを覗いていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
石籠・むぎ
ふわぁ…まだねむいのよ
でもオシゴトガンバらなきゃなの(尻尾の寝癖に気づいてない
梅の林をサンサクするのよ
いい景色…天気と相まって気持ちいいの…(ウトウト
ハッ!このままじゃまた眠ってしまうのね
ちょっと人気のないわき道を借りて「楽器演奏」するの
篠笛でゆったりした曲を吹いて鳥さんを呼んでみるのよ
あるテイドあつまったら、吹くの止めて鳥さんにアイサツ
ついでに赤いコもいたらいいな
ナデナデしたいの
鳥さん以外も来ちゃったら…どうしよう
えーと、とりあえず(ペコリとお辞儀
●
ふわぁ……。
大きな欠伸を零して。石籠・むぎは寝ぼけ眼を擦りながら、梅林を歩いている。
ゆらゆら、揺れる身体はまだ夢見心地のリズム。先程抱きしめていたからか、自慢の尻尾に不思議な癖がついている。けれど気付くことなく、少女は尻尾をゆらりゆらり。
「でもオシゴトガンバらなきゃなの」
眠い中――自分に言い聞かせるように零すけれど。ぽかぽかの春の陽射し。温かな風がそよげば、甘い梅の香りが運ばれてくる。
心地良いこの光景に、むぎはまた眠りへと誘われそうに。
「ハッ! このままじゃまた眠ってしまうのね」
銀の髪を揺らしながら、眠気を覚ますように首を振り。人気の無い脇道に座り、少女が取り出したのは篠笛。
奏でる音色が、梅林の中に響き渡る。
その音色に惹かれたのか、寄ってるくる鳥が何羽か。まるで音色に合わせるようにさえずる小鳥達。音色と溶け合い、美しいハーモニーが生まれ。むぎは嬉しそうに微笑んだ。
緑の子、茶色の子。そして幸せ呼ぶ赤い子。
警戒心の強い彼等は、普通ならば近づけばすぐに飛び去ってしまう。――けれど、動物と意思疎通の出来るむぎが手を伸ばせば、心地良さそうに瞳を細め撫でられている。
平和な時が流れる中――カサリと物音がして、尻尾を立てながらむぎが振り返れば。
視界の先に、大きな鹿の姿が見えた。
じっとむぎを見つめる眼差し。それはどこか神聖で、凛々しい。
「えーと……」
どうしようかと考え、思わずお辞儀を返せば。ぶるりと身体を震わせ、彼はまた自然の中へと帰って行った。
大成功
🔵🔵🔵
依世・凪波
月雪千沙子(f15751)と同行
【SPD】
茶屋の花見団子を沢山買って腰に下げ
更に両手にも1本ずつ持って桜並木で食べ歩き
お日様ぽかぽかで桜も綺麗だし団子もおいしいし幸せ
千沙子も食べるか?
団子を堪能しながら桜を抜け梅林へ
桜の花も綺麗だったけど梅の花もいいよなぁ
いい匂い
目を閉じて自然の恵みを感じ鳥達の声を聞く
不思議な音を聞き取って『野生の勘』が怪しみ
俺もあの声が気になる!何か呼んでるみたいな
行ってみよう!
ん、どーしたんだ?
呼び出された雀に目を輝かせて
千沙子の雀の後を追っていく
音が近付いてきたら『目立たない』ように『忍び足』
素早くて追いつけない場合は【シーブズ・ギャンビット】で
上着を脱いで加速して追う
月雪・千沙子
依世凪波(f14773)と同行
【WIZ】
噂では不思議な音を探しに行って神隠しにあったなんて話も出ているようだし
そろそろ物の怪の調査に向かった方が良さそう…
凪波がお団子を差し出してくれたので
お団子、ありがとうと言って受け取り
桜並木を抜けて梅林へ
そしてそっと耳を澄ましてみる
…ん、春に聞いたことがある鳥の鳴き声とは別に
ピィ、ピィという甲高い不思議な音が聞こえる
この音を辿れば良いと思うのだけど…
多分この感じは鳥の鳴き声よね
それなら私の力が少し役に立つかも
凪波、少し待って…と伝えてから霊符を手に取り
【跡追い雀】を呼び出して、音のする方へ追跡を行う
高い位置から声が聞こえるなら、雀を上空へ向かわせ調べてみる
●
腰には沢山の三色の花見団子。両手にも団子を持ち、歩む依世・凪波は幸せそう。
温かな陽射しに、美しい花々。美味しい団子を手にすれば、それはもう笑みが零れてしまう。梅林を目の前に、凪波は幸せのお裾分けをするように言葉を零す。
「千沙子も食べるか?」
片手に持っている三色団子を差し出され、月雪・千沙子は前髪で隠れた銀の瞳を瞬くが。ありがとう、お礼を述べて1本受け取る。
「桜の花も綺麗だったけど梅の花もいいよなぁ。いい匂い」
もぐもぐと口を動かしながら、凪波がのんきにそう零せば千沙子も頷きを返す。――けれど、彼等の目的は不思議な音探し。真面目に、千沙子が耳を澄ませれば様々な鳥の音色が聞こえてくる。倣うように、凪波も大きな狐耳を澄ませてみる。
届く鳥の声の中に違和感は――。
「……ん、春に聞いたことがある鳥の鳴き声とは別に。ピィ、ピィという甲高い不思議な音が聞こえる」
閉じていた瞼を開き、真剣な面持ちで語る千沙子。ぴくりと耳を動かせば、確かに不思議な声が聞こえる事に凪波も気付いた。
「俺もあの声が気になる! 何か呼んでるみたいな。行ってみよう!」
瞳を交わし、頷き合う2人。そのまま声のほうへと耳を澄ませながら、距離を詰めるよう急ぎ足で――彼等が足を踏み入れていくのは、道すら無い梅林の奥。
さくりと響くのは、茂る雑草。立ち並ぶ梅花の数も多く、絶え間なく雨粒のように花弁が2人へと降り注ぐ。
この奥を探すのは、少し難しいかもしれない――。
「凪波、少し待って……」
どうしようかと一瞬考える少年へ、千沙子はどこか芯ある声でそう告げる。
彼女の手の中にあるのは、1枚の霊符。自身の力が役立つかも――そう零すと、霊符はシキガミのスズメへと変身する。
「おお……!」
現れたシキガミの姿に、琥珀色の瞳を宝石のように輝かせる凪波。対象を追跡する――音だけのそれを、彼は探すことが出来るだろうか。
くるり木々を抜け、高い位置へと移動するけれど。梅花に覆われてはなかなか見つけることは出来ない。
けれど小さな2人より、視界が通ることは確か。
スズメと感覚を共有している千沙子を頼りに、2人は足早に梅林の中を進んでいく。
――手招くような鳴き声が。確かに近付いている事を感じながら。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
桜橋・ゆすら
お友達の咲耶さん(f02335)と
立派な梅林ですこと…!
桜の見頃と重なるなんて、贅沢な瞬間ですね
――あ、鳥の鳴き声
もし気配がしたなら
お喋りの最中でも人差し指を立て、そっと耳を澄ませましょう
これはウグイスかしら、それともメジロ?
咲耶さんは、好きな鳥っているのでしょうか
ゆすらはついつい、鮮やかな黄緑色のメジロを目で追ってしまいます
温かい春風に釣られて、ゆすらもなんだか神隠しに遭ってしまいそう
嗚呼けれど、咲耶さんのことは、護らなくてはなりませんね
…だって彼女、季節外れの雪融けみたいに、ふっと消えてしまいそうですもの
憂いはそっと胸に仕舞い込んで
梅林を抜けて、鳥たちが誘うその先へ参りましょう
アドリブ歓迎
瑞枝・咲耶
ご友人のゆすら(f13614)様と
先程の桜も見事でしたが、梅林も本当に綺麗
これだけ手入れされた木々
きっと人々に愛され大切にされているのでしょうね
鳥を探して散策しましょうか
此方はメジロですね、ウグイスは人を警戒して中々姿を見せないのです
私は人の形を得る前も、得た後も山に居りましたから鳥は馴染みが深いのです
私が好きな鳥でしょうか?
そうですね、ルリビタキでしょうか
とても美しい瑠璃色で綺麗に囀るのですよ
神隠しに遭いそうなんて、冗談なのでしょうけれどゆすら様が少し恐いことを仰るから
けれども、彼女はふわりと桜の花びらのように風にふかれて本当に何処かに行ってしまいそうで
見失わないように懸命についていきます
●
視界に広がる、濃淡様々な梅の花。はらり零れた花弁が、春色の少女達に舞い落ちる。
「立派な梅林ですこと……!」
美しい光景に、桜橋・ゆすらは溜息混じりに言葉を零した。
通常梅の開花は早く、桜と時期が被ることは無い。
だからこそ、同じ見頃を迎えた今年は奇跡のようで。とても贅沢な瞬間だと――春の薄紅色の瞳を細めながら、ゆすらは想う。
美しさに目と心を奪われるのは、瑞枝・咲耶も同じ。
「これだけ手入れされた木々。きっと人々に愛され大切にされているのでしょうね」
口元に小さな笑みを浮かべ、そう零したところで――耳に届くさえずり声に、ゆすらは口元に人差し指を当てて咲耶を見た。慌てて、手袋覆う指先を口に当てる咲耶。
ぱちり、ぱちり。
お互いが視線を交わしながら瞳を瞬き、耳を澄ませば聞こえる音色。
「これはウグイスかしら、それともメジロ?」
「此方はメジロですね、ウグイスは人を警戒して中々姿を見せないのです」
ないしょ話をするように。ゆすらが疑問を零せば、咲耶からの返答が。驚く友に、長い間山に居たので鳥は馴染み深いとヤドリガミの少女は柔らかく笑む。世間の事には疎いけれど、育った環境の事は自然と知識が身につくものだから。
「咲耶さんは、好きな鳥っているのでしょうか」
知識深い彼女への、素朴な疑問をゆすらは零す。自身は鮮やかな黄緑色が印象的なメジロを目で追ってしまうと、目の前の枝に止まるメジロへ視線を向けながら。
その疑問に、春花宿す瞳を瞬いた後。口元に手を当て考えた咲耶の結果はルリビタキ。
「とても美しい瑠璃色で綺麗に囀るのですよ」
――温もり感じるようになった今は、見ることは難しいかもしれないけれど。出会えた時には、美しい瑠璃はお互いの心に残るだろう。
彼女が嬉しそうな笑みを浮かべなが語れば、ふわりと温かな春風が吹く。
黒檀と花色の髪が宙を舞い、零れる花弁がくるくると円を描くように舞い踊る。
「温かい春風に釣られて、ゆすらもなんだか神隠しに遭ってしまいそう」
どこか遠いところを見つめるように、ゆすらがそう零せば。普段は穏やかな咲耶も驚き、その瞳を見開いた。――けれど咲耶のことは、護らなくては。そう付け足した言葉に安堵の息を零すけれど。言葉にするだけでも恐ろしいと咲耶は想う。
彼女は桜の花びらのように。ふわり、風に吹かれて何処かへ行ってしまいそうで。だから、見失ってはいけない。
不思議なさえずり誘う場へと、歩みを進める彼女を見失わないよう。長い着物の裾を揺らしながら、懸命に着いて行く咲耶。そんな彼女の様子に――ゆすらも想うのだ。
(「……だって彼女、季節外れの雪融けみたいに、ふっと消えてしまいそうですもの」)
春を纏う友は、咲き誇る春の中に溶けていきそうで。
ついついそんな憂いを心に宿すけれど、その気持ちは胸に仕舞い込む。
今はこうして、共に音色を探しているのだ。
手招きするような音色を追っている間は、きっと大丈夫――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 集団戦
『まっしろピヨすけ』
|
POW : 超もふもふもーど
全身を【膨らませてめちゃくちゃモフモフな状態】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : もふもふあたっく
【もふもふ体当たり】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : もふもふソルジャーズ
レベル×1体の、【額】に1と刻印された戦闘用【ミニまっしろピヨすけ】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
イラスト:Miyu
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●紅と白
美しく咲く濃淡の梅花の景色は変わらない。
絶え間なく花弁の雫をその身で受け止めながら、猟兵達は梅林の一角へと辿り着いた。
手招くような、甲高い不思議なさえずり。
何処か遠くから聞こえていたその声は、今は目の前から奏でられていた。
『ピィ』
『ピッ! ピィ』
――視界を埋め尽くすのは、真白の大群。
何故か積み重なりバランスを取るようにぐらぐら揺れてみたり。穴に入って落ち着いたのが寝ていたり。土にじゃれるように身を擦り付けたり。
思い思いの行動を取る、真っ白な小鳥達の姿がそこにはあった。
春風がふわりと吹き、真白の毛を撫で揺れる様はとても心地が良さそう。黒いくちばしはどうやら鋭いようだけれど、ゴマ粒のような黒い瞳が愛らしく見えてしまう。
ただ、愛らしいだけならば問題は無いのかもしれない。
けれど彼等が、話に聞いていた物の怪の群れ――オブリビオンの群れであると、猟兵達には分かっている。そして彼等が、近い未来世界を滅亡へと導く事も。
だから今、此の場で退治しなくてはならない。
『ピィ?』
じっと見つめる円らな瞳が、可愛らしくても。
甘い香りに誘われたように、てんてんっと跳ねて近付いて来る姿が愛らしくても。
――だって彼等は。腹ぺこだと凶暴になってしまうようだから。
月藤・紫衣
まっしろぴよすけ…!
また遭遇出来るとは思っていませんでした。
もふもふで愛らしくて…飼いたいくらいに可愛いのにオブリビオンとは、世は無情というやつでしょうか。
ともかく、今回の景色にも合いますから【三色梅花】の白梅で防御力を上げておきましょう。
ちょっと刺激して超もふもふもーどになったところで、そのもふもふを堪能させていただきましょうか。
ああ、そうだ、ついでになりますがお饅頭がありますから、超もふもふもーどのぴよすけにあげましょう。
空腹のまま、なんてダメですから。
名残惜しいですが超もふもふもーどが解けた頃合いには倒さねばなりませんね。
(アレンジetc歓迎)
●
「まっしろぴよすけ……!」
以前出会った事のある白い鳥達の姿を前にして、月藤・紫衣は感情の表れにくいその顔に、仄かに嬉しそうな色を宿す。
『ピッ?』
彼の声に気付いたのか。じっと紫衣を円らな瞳で見つめ、小首を傾げるピヨすけ。その姿と仕草に、紫衣の心は撃たれる。
「……飼いたいくらいに可愛いのにオブリビオンとは、世は無情というやつでしょうか」
彼の呟きは、まるで自分に言い聞かせるかのように。
いくら可愛くても、倒さなくてはいけないと云う事は分かっている。それが猟兵である彼の仕事だ。――けれど、暫しの間は楽しんでも良いだろう。
紫衣は藤色の瞳を細めると、三色の梅花による魔力を作り出す。魔力を帯び、輝く色は赤に白、桃色を纏い。まるで辺りの梅林が、彼に力を与えているかのよう。
魔力が自身を包んだ事を確認すると、紫衣は足元に近付いてきたピヨすけに向け――ちょいっと指先で、つついてみる。
『ピヨーッ!』
びっくりしてころん、と転がるピヨすけ。彼は攻撃されたと思ったのだろうか? 起き上がるとぷるぷると身体を震わせた後、真白の毛を膨張させる。
その姿は、先程よりももっとふわふわで。まるで白い毛玉のよう。
さあ、来い。そう言うかのように、その場でぴょんぴょん跳ねるピヨすけ。そんな彼を、今度は攻撃ではなく紫衣はその手で優しく包み込んだ。
指先でつついた時よりもふわふわとした手触り。そして温もりが心地よくて、口元を緩める紫衣。その心地を堪能していると、「ああ、そうだ」と彼は思い出したように自身の荷物に手を伸ばす。
「食べますか?」
彼が差し出したのは小さなお饅頭。甘いものが大好きで、腹ぺこだと云うピヨすけの為に用意した、黒糖混ざったそのお饅頭を見て。ピヨすけは甲高い声を上げ啄ばみ始める。
「空腹のまま、なんてダメですから」
優しげな眼差しで見つめる紫衣。――手の中のもふもふが和らいだ時には、覚悟を決めないといけないと分かっている。
けれど今は、もう少し堪能しても良いだろう。
大成功
🔵🔵🔵
ロザリント・フレイニール
【WIZ】
あれがうわさの悪い子たちね…。
い、意外とおっきいわね…。(※自身が20.5cm)
どうやらおなかをすかせてしまうと危ないみたいだから、さっき少しもらってきた羊羹?といってた和菓子を置いて様子をみようと思うわ。
(羊羹を汚れないように紙の上に置いて、少し離れてみる)
これで無事誘い出せたら後ろから失礼して、倒す前に触らせてもらっちゃおうかしら…。
んん…、ふかふかでいい気持ち…。
これでわたしよりもっと小さければ可愛くてよいのだけど。
でも、やっぱり悪い子はちゃんと倒さないといけないし。
もっと触っていたかったけど、最後は頭をぽこぽこ叩いてお仕置きね。
帰ったらまた、和菓子いただきたいわ。
●
噂に聞いていた、手招く悪い子。
「い、意外とおっきいわね……」
真白の大群を目の前にして、ロザリント・フレイニールは戸惑うように翅を揺らした。
普通の人にとっては掌サイズの可愛い小鳥なのだが、彼女は小さなフェアリー。自身の半分くらいの大きさの大群となれば、かなりの威圧感を感じる。
けれど、怯んでもいられない。これも立派なお仕事だから。
「おなかをすかせてしまうと危ないみたいね」
しばし考え、先程茶屋で頂いてきた。黒くて四角いお菓子――羊羹を紙の上に置くロザリント。お菓子が見える範囲で、少し離れて様子を伺ってみる。
『ピ』
『ピィ!』
甘い香りに惹かれて、てんっと跳ねてくる白い鳥が。わらわらと、羊羹を囲むように白いもふが集えば。ぎゅうぎゅうと、まるでおしくらまんじゅうのように。夢中で羊羹を啄ばんでいる。
短い尾がふりふりと。
揺れる様が愛らしくて――沢山集っているのが少し怖いけれど、ロザリントをその透き通る翅を羽ばたかせ、1匹のピヨすけへと近付いた。
後ろから、もふ。
身体全体を使って抱きついてみる。しかし、甘いものに夢中なピヨすけ達は誰も気付いていない様子。だから思う存分、触れてみる。
「んん……、ふかふかでいい気持ち……」
瞳を閉じ、息を吸い込めばおひさまの香り。ロザリントより小さければ、もっと可愛くて良いのに……と少し残念に思うけれど。抱き付けるのは、彼女だからこその楽しみ方。
『ピ~ッ!』
何か乗っている事に気付いたのか。身を震わせるピヨすけ。けれど羊羹を食べることは止めずに、そのまままたクチバシを動かしている。
今の様子は、無害に見える。けれど、悪い子は倒さなくてはいけない。
だからロザリントは、小さな手を彼の頭へ向ける。
――全て終わったら、また和菓子を食べに行こう。今日初めて食べたあの甘みを。
大成功
🔵🔵🔵
リティ・オールドヴァルト
まっしろなのですー
もふもふなのですーっ
興味津々でじーっと見つめ
もふもふ、さわってもいいです?
つんつんしようとしてびくっ
わっ!
めちゃくちゃ、ふくらみましたっ
思い切ってあたーっく!
飛び込もうと
もふもふ堪能し
はっ
おなかっすいてないのです?
じゃーんっ
懐から取り出した桜餅掲げ
いいにおい、でしょう?
それともこっちのほうがいいでしょうかっ
ポケットからポン菓子出して
ってふえたっ!
ふえたのですっ
この子も…
こんなにかわいいのに…
やっぱりオブリビオンなのですね
ため息ついて
つみなやつなのです…っ
いたくないように、しますねっ
リリィ、おねがい
ドラゴニック・エンド
今度はおともだちになれる生き物になれるといいですね
空見上げ
●
真っ白もふもふな身体を震わせながら、じっと見つめる黒くて円らな瞳を前にして。
「もふもふ、さわってもいいです?」
興味津々、藍色のくりくりとした瞳で見つめながら問い掛ければ。『ピィ!』と返ってきた声は同意なのか違うのか。それが分からなくて、リティ・オールドヴァルトは恐る恐ると、小さな肉球のついた手を伸ばしてみる。
『ピィ~ッ』
ふるり、ピヨすけは身を震わせたかと思えば。
「わっ! めちゃくちゃ、ふくらみましたっ」
その身がもふんと膨らみ、丸い毛玉のようになる。一瞬の出来事にリティも自身の尻尾を膨張させて、瞳をびっくり広げると。傍で様子を見守っていたミニドラゴンのリリィも驚きを隠せず、尻尾を丸めて動きを止めた。
「わあ、わあ……!」
驚きを振り払い、ずっと見つめてみれば。そのもふもふはより魅惑的に変化していて――ふわふわしたものが大好きなリティは、気付けば全身でピヨすけに飛び込んでいた。
ピィ、ピィ。
聞こえる声に、数多のピヨすけが膨らみふわふわもふもふと。身体を揺すり彼女の身を包むそれは至福のひと時だが――。
「はっ、おなかっすいてないのです?」
慌てて起き上がり、荷物からじゃーん! と取り出したのは桜餅。甘くて春らしい桜の香りに、ピヨすけが近付いてくる。
「いいにおい、でしょう? それともこっちのほうがいいでしょうかっ」
そういって桜餅とは違う左手に取り出したのは、米を膨化した駄菓子。
『ピピ!』
きらり、瞳を輝かせて狙いを定めるピヨすけ。その数は――。
「ってふえた! ふえたのですっ」
甘くて美味しいものが沢山あると気付いたピヨすけ達は。こぞってリティの周りに集まってくる。ピィピィ、鳴きながらそのもふもふの身体を、柔らかな毛並みのリティに押し付けて。我が我がとお菓子を食べている。――どうやら好みがあるようで、桜餅と駄菓子とそれぞれ分かれて、啄ばんでいる。
そんな姿はとても可愛い。あと、囲まれたもふもふが心地良い。
けれど、彼等はオブリビオン。倒さなくてはいけない、敵なのだ。
「つみなやつなのです……っ」
深い深い溜息の後、仄かに宝石のような大きな瞳に涙を浮かべたリティは。傍でじっと待っていたリリィを見て、ひとつ声を掛ける。
呼び掛けに反応して、ドラゴンは純白の槍へとなり小さな白へと攻撃を放つ。
「今度はおともだちになれる生き物になれるといいですね」
消え果るのは一瞬の出来事――はらり、何も無い空間に零れる梅花の花弁を見た後。淡い水色の空を、見上げながらリティは寂しそうに呟いた。
大成功
🔵🔵🔵
神々廻・朏
可愛い…すごく可愛いっ!
けどこれはオブリビオンだ…退治しなければ…!
そう自分に言い聞かせて
近づいてくる子鳥達に自分からも歩みより
お腹空かせてるんだね?食べる?
とさっきの桜餅を少し差し出す
小鳥って餅食べるのかな?
でもオブリビオンだし関係ないか…でも小さいから喉につまらせるかな?
なんて少し心配しながらも、食べてくれたら嬉しそうに
少し撫でても大丈夫かな?
もふもふしててさわり心地良さそう
まだお腹空いてる?残りの桜餅はお土産用だから…
あ、携帯してる金平糖もあるよ
小鳥の愛らしい様子に表情が緩みっぱなし
最後は結構名残惜しいけど
ごめんね?と、言ってポコッと殴って退治するね
●
真っ白の小鳥の群がじっと神々廻・朏を見ている。
「可愛い……すごく可愛いっ!」
そのキラキラとした瞳を見つめながら、朏は思わず言葉を零していた。掌サイズのふわふわは、とても心地良さそうで、災魔だとは思えない。
けれど、確かに相手は敵。退治をしなくてはいけない――そう自分に言い聞かせつつ、興味津々近付いて来た1羽に自身から距離を詰める朏。
「お腹空かせてるんだね? 食べる?」
小首を傾げる朏の、揺れる藤花の髪飾りを視線で追った後。その手の中にある桜餅を見て『ピ!』と嬉しそうな鳴き声を上げるピヨすけ。
てんっと警戒心無く近付いて来たかと思うと、その小さいけれど鋭いクチバシを使って、器用に啄ばみ始めた。
見た目は小鳥だけれど、相手はオブリビオン。大丈夫かと心配していた朏の考えは杞憂だったようだ。甘い物が大好きな彼は、夢中になって桜餅を食べている。
「少し撫でても大丈夫かな?」
もくもく食べる動きと同時に、揺れる身体はとてもふわふわそう。思わず、朏の細い手がピヨすけへと伸びる。
まずは指先で恐る恐る。
ふかりとした心地が指先に伝わる。しばらく様子を見てみるけれど、ピヨすけは特に気にした様子も無く、桜餅を夢中で食べている。ならばもう少し、しっかり触っても大丈夫だろう。そう思い、朏はそっと小さな身体を撫でる。
もふもふ。
生き物の温もりを帯びたその白い身体はとても心地が良く、撫でているだけで幸せな心地に。相変わらず嫌がる様子が無いので、この時間を堪能しても問題ないだろう。
『ピッ』
『ピー!!』
気付けばピヨすけが何羽か集まってきていて。小鳥と同じくらいのサイズだった桜餅が、綺麗に無くなっていた。お代わりをおねだりするように、甲高い鳴き声を上げながらばさばさと、小さな翼を動かしてアピールをするピヨすけたち。
「まだお腹空いてる? 残りの桜餅はお土産用だから……」
いくつか桜餅は買ったけれど、これをあげるわけにはいかない。けれど、キラキラと期待したような小さな黒い瞳を見ると、何かあげたくなる。
「あ、携帯してる金平糖もあるよ」
そういえば、と思い出したのは美しい色とりどりの金平糖。まるで藤花の花弁を集めたかのような色合いの、甘い星々を目の前にして。ピヨすけ達は嬉しそうに鳴く。
彼等の愛らしさに、朏の頬が緩みっぱなしなのも仕方が無いこと。
倒さなければ――それは理解しているけれど。この金平糖が無くなるまでは、まだ。
大成功
🔵🔵🔵
伊織・あやめ
幸せの『あか』色の鳥を見つけた嬉しさで、足取りも軽くなっちゃう
聞こえた鳴き声にふとそちらを見やれば
真っ白な鳥の群れ!
オブリビオンのくせにかわいいなんてずるい!
でも
どんなに可愛くてもいつか人にとって「悪」になるのなら
あたしは持ち主さまの望んだ世界のために頑張らなくちゃ
あたしに愛を教えてくれた、世界を見せてくれた持ち主さまは
きっと悲しい世界は見たくないだろうから
とは言え、大立ち回りは可愛すぎてできないや
符「花散里」で鳥さんの頭を軽く叩いていきます
うわあ、ふわっふわだー
でも、この符にはちゃんと【破魔】の力が宿ってるから
お腹のすいている子には、お茶屋さんの道明寺をあげるね
残しておいてよかった
●
幸せを見つけたことで、伊織・あやめの心は軽やか。
ふわふわとした足取りで訪れたのは、真白の大群が積み重なる一角だった。
「オブリビオンのくせにかわいいなんてずるい!」
ピィ、ピィ。
耳に届く甲高い鳴き声も、不思議な声色だがどこか愛らしく。その見た目もまた、悪い存在とは思えない程可愛い小鳥達。
けれど――どんなに可愛くても。いつか人にとっての『悪』になるのなら。
「あたしは持ち主さまの望んだ世界のために頑張らなくちゃ」
ヤドリガミであるあやめに愛を教えてくれた、世界を見せてくれたかつての持ち主。あやめと同じ外見――否、あやめが姿を借りている彼女は。きっと悲しい世界は見たくないと、そう思うから。
だからあやめは、決意を込めて。きゅっと唇を引き結び、胸の前で手を握る。
花咲き誇る符を片手に。あやめは意を決してピヨすけ達へと近付いた。
『ピィ?』
なあに? まるでそう語っているかのように、小首を傾げじっとあやめを見る敵。その姿はやはり可愛くて、倒すにも大きな立ち回りは出来ない。
『ピィ……』
へにょん。その場で座り込んでしまうピヨすけを見て、お腹が空いているかと思ったあやめは。先程茶屋で仕入れていた、道明寺を手に乗せ近付けてみる。
『ピィ……!』
バサリと小さな翼を羽ばたかせ、食い付くピヨすけ。わらわらと、腹ペコの大群がやってくる。ピィピィ。鳴き声を上げながら食べる様子に、あやめはふわりと笑みを浮かべ。
「残しておいてよかった」
そう零した。
空腹のままよりも、満足した後で送り出してあげたほうが。きっとお互い幸せだから。
彼女は既に誓っている。きちんと、討伐をすると。
すっと手にした、破魔の力宿る花型の符を構えると。ピヨすけの頭めがけてぺしんと。
「うわあ、ふわっふわだー」
微かに手に触れた感触は幸せな心地で、思わず心までふわふわと。
けれどその感覚も一瞬で。愛らしいピヨすけの姿は、もうそこには無かった。
次へ、次へ――覚悟を決めて、符を放とう。
大成功
🔵🔵🔵
石籠・むぎ
もふもふがいっぱいなのね~
カワイイ…けど、人にメイワクなことになっちゃうからタイジしないとなの
お店でお持ち帰りした「練り切り」をイッショに食べるのよ
おいでおいで~、なの
(モグモグ)…うん、やはりこのお店のおかしはゼッピンなのよ
ね?と、オブリビオンの鳥さんに話しかけるの
大人しいならもふもふをタンノウするのよ
キョウボウなコは仕方ないからメッ(武器で叩く)するの
かわいそうだけど……むぎはイェーガーだから…
コウゲキされてケガしたら「癒しの翠緑」をつかってカイフクするのよ
サイゴまで仲良くしてくれるコがいたら、ナデナデしておわかれを告げてからポコンとたたいてサヨナラするのよ
バイバイ…なの
●
もふもふがいっぱい――掌サイズの小さなもふもふが、ぎゅうぎゅう集っている様子に。石籠・むぎは自身の白銀の尾をふわり、揺らす。
「カワイイ……けど、人にメイワクなことになっちゃうからタイジしないとなの」
遊びたいと云う気持ちはあるけれど、まだまだ幼いむぎにも猟兵としての自覚がある。
ぱたりと草履の音を立てながら、白いもふもふに彼女は近付く。
「おいでおいで~、なの」
ピヨすけ達に手招きする彼女の手に持たれているのは――美しい桜の形をした練り切り。先程、茶屋で購入したものを誘き出すために用いるようだ。
ちらちら、練り切りを見せながら。
むぎは一欠けらをぱくりと食べてみる。
「……うん、やはりこのお店のおかしはゼッピンなのよ」
もぐもぐ、口を動かしながらそう呟いて。――ね? と問い掛けるのは、傍にやってきたオブリビオンであるピヨすけ。話し掛けられた事に気付いたのか、ピヨすけは『ピ?』と鳴いて首を傾げるけれど。すぐに甘い物へと近付いていく。
やはり食欲には勝てない。だって、彼等は腹ペコだととても凶暴になってしまう性質を持っているくらい、食べる事が大好き。
『ピィ』
『ピィ~』
練り切りは上品な和菓子なので、サイズはあまり大きくない。けれど、掌サイズのピヨすけ達にはそれなりの大きさ。集まって、お菓子を囲って。鳴きながら嬉しそうに啄ばむ彼等を、むぎがそっと小さな手を伸ばして撫でていると。
『ピィー!!』
コツン。何かが足に当たった衝撃に、なんだろうと視線を下に移してみれば。
ちょっと怒った目をしたピヨすけが1羽。むぎ目掛けて、鋭いクチバシを向けていた。
「メッ」
手にしていた薙刀の柄の部分で、コツンと軽く叩いてみれば。先程むぎを突いた白い小鳥は影も形も無くなっていた。
微かな傷を癒しながら、仲良く出来る子とは仲良くしたいけれど――やはり、猟兵としての仕事があるから。
「バイバイ……なの」
お別れの言葉をぽつり零して、むぎはきちんとお仕事をした。
大成功
🔵🔵🔵
華切・ウカ
ユニちゃん(f04544)と一緒に
まっしろ!もふもふ!しかも、ちっちゃくて、かわいい…!
わわわ……でも、でもオブリビオン……ユニちゃん…!ウカ達はとてもつらい戦いをしなければならないのです…!
でも、でもその前にちょっとだけならー…!
ユニちゃんの手からあっという間にチョコが!
ウカはですね……ちょっとだけクッキーを持っているのです。
けど、さっきのを見るとあっという間に持っていかれそうですね…
タイミングあわせて、その間にもふりましょう!
はい、これはユニちゃんの分!
ピヨすけ…!どうぞ…!
わっ、掌の上に、わわ!もふもふー!
うう、この幸せなさわり心地…
最後は、悲しいけれど…
去ってくれないピヨすけに攻撃を。
ユニ・エクスマキナ
ウカちゃん(f07517)と
きゃぁぁぁ!かわいいー!
まっしろもふもふな鳥さん!
だ、大丈夫…(視線逸らし)
ちゃんとわかってるのね…っ
でも、この子が悪さをするなんて信じたくないのねー!
鳥さん、腹ペコなの?
じゃぁ、ユニがなんかご飯あげようかなー
チョコ食べる?って鳥さんに差し出し
うわぁぁ!
と、取られた…!
え?もっと?しょうがないから残りも…って
まだ食べるの!?
ユニはもう何も持ってません!探しても無駄なのねー!
ウカちゃん、何か鳥さんにあげてー!
ウカちゃんからクッキー貰って
二人一緒にせーのっ!で鳥さんにどうぞ!って差し出し
掌に載せてもふもふ満喫
はぁーふわふわ幸せいっぱい
最後はごめんねって目を瞑ってゴツン!
●
「きゃぁぁぁ! かわいいー!」
視界を埋め尽くすほどの真っ白の大群を見て、黄色い声を上げるユニ・エクスマキナ。彼女の横に立つ華切・ウカも、まっしろでもふもふで、ちっちゃくて可愛いピヨすけに釘付けになりつつ。ふるふるとその身体を震わせた。
「ユニちゃん……! ウカ達はとてもつらい戦いをしなければならないのです……!」
「だ、大丈夫……。ちゃんとわかってるのね……っ」
ウカの悲痛の叫びに、ピヨすけから視線を逸らしつつ語るユニ。それはまるで、自分に言い聞かせるように、自分に嘘を吐いているかのように。――だって、こんなに可愛いこの子達が。悪さをするなんて信じたくない。
だからちょっと、様子を見てみよう。
大丈夫、少しくらいそのふわふわ具合を確認しても誰も怒らない。きっと。
「鳥さん、腹ペコなの?」
『ピ?』
近付き、しゃがみこんで覗き込むようにピヨすけを見れば。彼等は一斉に首を傾げてじっとユニを見つめ返す。キラキラ、何かを期待されている眼差しを受けて。ユニは自身の持つ、お気に入りの苺パフェ味のチョコを取り出した。
どこから取り出したのか分からないその早業に、ウカはわ! と小さく声を上げつつ。じっと少女と小鳥の様子を見守っている。
チョコ食べる? その言葉と共にユニが差し出してみれば――。
『ピィ!』
『ピッ!!』
キラリ、目標を定めて目の色を変えるピヨすけ達。一斉にユニとの距離を詰めると、とても素早い動作でしゅぱっと、チョコを一欠けら奪っていった。
「うわぁぁ! と、取られた…! え? もっと?」
まだまだ足りない。訴えるようにピィピィ鳴く小鳥達。じっと、固唾を飲んで見守るウカ。ごそごそ、ユニが残りの様々な味のチョコを差し出してみれば。またもピヨすけ達は、素早い動きでチョコを口にする。
『ピィィ!』
足りない! そう言いたいかのように、翼を広げてアピールしてみるピヨすけ。
「ユニはもう何も持ってません! 探しても無駄なのねー!」
その食い意地に驚きながら。両手を挙げて何も持っていないアピールをするユニ。けれどピヨすけ達には言葉が通じず、ピィピィと期待するような声が響き渡る。
ウカちゃん……! 助け舟を求めるように、ユニが振り向けば。ウカは実は持っていたクッキーの小瓶を取り出す。
けれど、普通にあげたのでは先程の二の舞だ。
暫し思考を巡らせた後。ウカはぱっと顔を上げユニを見る。
「タイミングあわせて、その間にもふりましょう! はい、これはユニちゃんの分!」
そう、だって彼女達はまだ。ピヨすけに触れることすら出来ていない。
ありがとう! お礼を言って受け取ると。2人の少女は視線を交わして頷き合う。
せーの! タイミングを合わせて、2人は大きな手作り風クッキーを。
「どうぞ……!」
ピヨすけ達へと差し出せば。ピィピィ嬉しそうな声を上げながら、小さな羽で羽ばたいてクッキーの乗る掌の上にぽすん。
「わわ! もふもふー!」
きらり瞳を輝かせ、頬を緩ませるウカ。クッキーを啄ばむ度、身体が揺れれば掌に感じるふわふわ感。――それはぷにぷにとは違う、魅惑の感触。
「はぁーふわふわ幸せいっぱい」
ユニもすっかり頬を緩ませて、掌のふわふわを堪能。小動物の温もりが合わさり、更に魅力を増している。ピィピィ、鳴きながら食欲を満たしていたピヨすけだが、彼女の帽子から垂れる緋乙女の花飾りが気になる様子で、食べながらじっと見つめている。
掌だけでなく、彼女達の足元にはいつの間にやら沢山のピヨすけが集まっていた。
もふっと積み重なって、何やら美味しい物が貰えると期待をしている様子。足元で揺れるふわふわ、靴伝いでもほんのり伝わってくるようなふわふわ感。
2人は視線を合わせ、覚悟を決めて――ピヨすけとお別れをしなければならない。
どちらからともなく溜息を零し、彼女達は少し涙を浮かべて向き合った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ウトラ・ブルーメトレネ
トトリちゃん(f13948)と!
ことりさん、ぷくぷくでかわいい…っ!
おなか空いてちゃダメなの?
何も持っていない自分に気付き、お隣を期待の眼差しでじぃっと見上げる
わぁい、トトリちゃんありがとう!
ぷくぷくのことりさん、これトトリちゃんからのおすそわけなの
おいしいよ!
驚かせないよう、そぉっと近付き、餌付けからのモフ
お花のにおいがするみたい
両手で掬い上げられたら、トトリちゃんの元へ
みてみて、タンポポみたい!
ふぅってしたら飛んでいっちゃうかな?
トトリちゃん?
お別れの時間に、武器(マリー)をぱかっとしようとするも、トトリのUCに見惚れて
やさしいあめだね、不思議できれい
ことりさんたち、バイバイ
笑顔で手を振る
トトリ・トートリド
白い小鳥とも、きっと。…遊びたいって、思うだろうな
想像通りのウトラ(f14228)がちょっと心配、だけど
小鳥たちもまだ、悪いこと、していないなら
もうしばらく、このままで
…腹ぺこだと、凶暴になる、のか
鞄の中には菓子パンと鳥餌
仲良くなったら、よけい、ウトラがつらくなる、だろうか
覗き込むまっすぐな目に
…だいじょうぶ、とパンを差し出す
一緒に、食べて
うん、ウトラなら大丈夫
迷って何もしないより、した方が、いい
ウトラもトトリも、後で後悔しないように
…そろそろ、お別れしよう
この子たちが人を傷つける前に
その為に、ここに来たから
青い雨で、さよならだ
ウトラと遊んだ楽しい時間、美味しいごはん
満足したまま、眠りの中へ
●
「ことりさん、ぷくぷくでかわいい……っ!」
真っ白の小鳥達を見て、真紅の尻尾と羽をぱたぱた楽しそうに揺らしながら。ウトラ・ブルーメトレネが瞳を輝かせれば。想像通りの彼女の反応に、トトリ・トートリドは心配そうな眼差しを向ける。
ピヨすけ達は、確かに災魔で悪い子達。
けれど、まだ人に被害は出していない。――このまま放って置くと、一帯の梅花の蜜を味わった後に町へと向かって行くだろうけれど。まだ、大丈夫。
だから。
「……腹ぺこだと、凶暴になる、のか」
自身のクチバシ部分に尖った指先を当て、考えるトトリ。彼の言葉に、おなか空いてちゃダメなの? と首を傾げるウトラは。そのまま自身の身体をぱたぱたと触る。
それは何かを探しているかのように――けれど、何も持っていないと気付いた彼女は。じいっと、隣に立つ大好きで頼りになるトトリに、期待の眼差しを向ける。
きらきら。純粋で真っ直ぐなその眼差しに、トトリは少したじろぐ。
鞄の中には、鳥好きな彼が持ち歩いている鳥の餌と。甘い物が大好きだと云うピヨすけ達が気に入るであろう、菓子パンが入っている。
けれど、仲良くなってしまったら。ウトラがつらくなるのではないか――そう想うと、渡しても良いのだろうかと迷いが生じる。
けれどウトラは、眼差しを向けたまま。くいっとおねだりするように、彼の裾を引っ張った。そんな彼女の姿を見ては、もうトトリは折れるしかない。
「……だいじょうぶ」
きっと杞憂。彼女だって、猟兵の一員なのだから。
差し出された菓子パンを受け取って、ありがとうと笑う彼女の姿を見れば温かな気持ちが満ち、こちらが幸せになる。ウトラはぺたぺたそおっと、ピヨすけへ近付くと。
「ぷくぷくのことりさん、これトトリちゃんからのおすそわけなの。おいしいよ!」
にこにこ、笑顔を浮かべてパンを差し出した。甘いチョコレートがいっぱい掛かった、ナッツとチョコのパンにピィ! っと彼等は反応する。
ピィ、ピィ。小さな羽を羽ばたかせながら、集まってくるピヨすけたち。もふもふの山を作りながら、小さなクチバシで一生懸命食べる姿が可愛らしくて――そんな彼等に、ウトラは自身の柔らかな手を伸ばす。
ふわっ。
手に伝わる温もりともふもふに、嬉しそうに笑う少女。持ち上げて顔の近くに持ってくれば、梅花の中にいたせいか花の香りがする気がする。
ピヨすけと視線を交わせば、お互いにこてりと小首を傾げた。
迷って何もしないより、したほうが良い。ウトラも、トトリも。後悔しないように。
だって、目の前の少女はこんなにも幸せそうなのだ。
琥珀色の瞳を細め、嬉しそうにウトラを眺めるトトリ。そんな彼に、ウトラは両手に乗せた、小さなピヨすけをみて! と駆け寄ってくる。
「みてみて、タンポポみたい! ふぅってしたら飛んでいっちゃうかな?」
あまりに純粋な彼女の言葉に――自然とトトリも笑みが零れていた。
――その時間も、永遠には続かない。
「……そろそろ、お別れしよう」
幸せそうなウトラにそう語り掛けるのは辛いけれど、トトリは意を決して言葉を紡ぐ。
この子達が、人を傷つける前に。その為に、ここに来たのだから。
ウトラだけでなく、鳥好きの彼の心が痛まない訳は無い。けれど彼は、鮮やかなマリーゴールドの花咲く拷問具に触れた少女を、手を伸ばして制すと。すっと、青い絵具の戦化粧をなぞった後、その指先を小さな鳥へと向け――青い雨を、降らせた。
零れる濃淡の紅の花びらに混じる、優しい青。
その雫が小鳥に弾けると、一瞬でその姿は消えてしまう。
――少女と遊んで、美味しい物を食べて。きっと幸せなまま、消える事が出来るだろう。
「ことりさんたち、バイバイ」
仄かに涙を浮かべながら。けれど笑顔で、ウトラはピヨすけ達にお別れを述べた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
桜橋・ゆすら
咲耶さん(f02335)と
梅林のその先で、小鳥の群れと出くわしたならときめいてしまいます
…嗚呼、なんて可愛らしい
けれどこの子達も、物の怪なのですね
…咲耶さん、どうかはぐれないで
許して下さるのならゆすらは、彼女のか細い手を握りましょう
はぐれぬように、離さぬように
空いた右手で本体の萬年筆を取り出し、【花燭の爪】として花弁に還しましょう
『吸血』で回復しながら、小鳥の群れを花弁で切り裂きます
あら、あなた達もお腹が空いてるの? それは――“私”も同じ
(ふ、と瞳の桜色が曇る。戦闘の際の本性。)
けれど、咲耶さんを啄んではいけないわ
小鳥さんなら分かるでしょ?
花は愛でるものなのだと
アドリブ歓迎
瑞枝・咲耶
ゆすら(f13614)様と
なんと愛らしい小鳥達なのでしょう
これが物の怪でなければと思うのですが
ゆすら様……?
手を握られて少し驚くものの悪い気は致しません
わかりました、違いの手を離さぬよう参りましょう
なんだか小鳥達から狙われているような気がします、何故でしょう?
あ、そういえば袂に落雁を入れた小箱があったことを思い出して取り出します
「……いかがですか?」
落雁目掛けて近寄ってきたところをゆすら様に倒して頂きましょう
そのまま、落雁を目がけて小鳥達が集まってくるのであれば私も【花流】を
心は痛みますが、物の怪ですもの
仕方がありませんね
ゆすら様に手を引かれてばかり
戦いだって頼もしい
彼女ようになれたら、なんて
●
音色に導かれ、美しい梅林を彷徨った先で。待っていたのは純白の小鳥の群。
「なんと愛らしい小鳥達なのでしょう」
ふわり、春色の瞳を和らげ笑う瑞枝・咲耶に。桜橋・ゆすらは同意の頷きを返した。
けれど――彼等は物の怪、倒さなくてはいけない敵だ。だから彼女達は、対峙しなくてはならない。それが猟兵としての、使命だから。
「……咲耶さん、どうかはぐれないで」
「ゆすら様……?」
並んでいた距離を詰め、遠慮がちにゆすらは細い指を辿り彼女の手を握る。
その行動に、咲耶は瞳を瞬き驚きを露にするけれど――口元に笑みを浮かべ、彼女の手を握り返す。瞳を伏せ、握る手をじっと見つめながら。
「わかりました、違いの手を離さぬよう参りましょう」
柔らかく、温かな声で。咲耶が語れば、ゆすらは先導するように敵へと近付いた。
彼女の空いた右手に握られるのは、刻印彫られた萬年筆。――曰く付と語られるその萬年筆は、ゆすらの正体。
きらり、輝く軸を見て。
大人しかったピヨすけ達が反応した。ピィピィ鳴き声を上げながら近付いたかと思うと、ごま粒のような小さな瞳をきらり。
「なんだか小鳥達から狙われているような気がします、何故でしょう?」
繋いだ右手に少し力を込め、伺うように隣の友人を見る咲耶。彼女の言うとおり、小鳥の大群は何故か咲耶の足元に集い、ピィピィと何かをアピールしている。
もふっ。もふっ。と柔らかな身体を震わせながら。傍で鳴く鳥達に少し困ったような表情を、咲耶は浮かべるけれど。ふと、落雁を所持している事を思い出す。
彼女は白い着物の袂から箱を取り出すと。薄紅色の落雁をひとつ、手に取り。
「……いかがですか?」
かがみ、さらりと髪を揺らしながらピヨすけに桜型の落雁を差し出した。
『ピピィ!』
すぐさま反応し、彼等は咲耶の周りにわらわらと。先程は集まってもちょっと距離があったが、今は食べ物を前にして我が我がと咲耶に近付いて来る。
そんな小鳥達の様子を見て、ゆすらは。
「あら、あなた達もお腹が空いてるの? それは――"私"も同じ」
いつも通りの丁寧な物言い。――けれど、その桜色の瞳が一瞬曇った。咲耶に向けていた、温かな春のような眼差しとは違う、ゆすらの戦闘時の眼差し。
手にした萬年筆へと念じれば、文具は一瞬で花へと還る。
「けれど、咲耶さんを啄んではいけないわ」
ひらり、はらり――散りゆく花弁に伸ばした手を引っ込め、ピヨすけへと視線を移しゆすらは言葉を紡ぐ。確かに、花の蜜を甘いけれど。
「小鳥さんなら分かるでしょ? 花は愛でるものなのだと」
はらり零れた花弁がピヨすけの真白の身体に触れれば、瞬時にその身が消えていく。
囲まれていた咲耶は、消えた事により隙間が出来てほっと胸を撫で下ろした。右手の温もりを確かめながら、彼女はしっかりと災魔へと向き合う。
可愛らしいから心は痛む――けれど、仕方が無いと思うから。
零れる花弁で次々と敵を倒していくゆすらを、心から頼もしいと思う。彼女のようになれたら――そう想い、瞳を伏せながら静かに咲耶は微笑み、彼女も桜色の神楽笛を桜に変え、視界を埋め尽くす程の花弁を舞わせた。
大成功
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月雪・千沙子
依世凪波(f14773)と同行
WIZ
とても可愛らしい小鳥達がこんなにたくさん…
だけど流石にこれは多すぎる
行方不明の人の事も気掛かりだし早く退治を…
…!小鳥が私のお土産の方へ視線を向けているような気がする
これはお仕事が終わった後、凪波と半分こして食べようと思っていたおやつ
あげるわけには…
くっ。小鳥の額に刻印が出てきている
嫌な予感するので意を決して桜餅をあげて隙を作り
【七星七縛符】で技を封じてみる
食べ尽くされていく桜餅が視界に入ったら
少し呻き声を漏らすかもしれないけれど、すぐに霊符を構える
今の内に倒し…
と途中まで言った後、凪波が攻撃を躊躇っているに気付き悩む
連れて帰ってもいいか、確認してみる…?
依世・凪波
月雪千沙子(f15751)と同行
POW
まっしろなもふもふがすげぇ、いっぱい!
興奮したように耳と尻尾をピンとさせて目を輝かせ
あれ退治しないとダメ…なのか…?
この団子美味いんだぞ~っ
花見団子をチラつかせて『誘惑』
団子に誘われ近寄ってきた小鳥をじっと見つめ
腰の荷を解いて団子の1つを分け与えてみる
襲い掛かりそうな鳥には足元へクナイのように団子を『投擲』
警戒しめちゃくちゃモフモフな状態の小鳥に近付いてぽふと抱きついてみる
もふもふだ
千沙子の様子を見つつ小鳥の数を減らす為に鉤縄でごめんなと言いつつ攻撃
沢山はダメでも一匹くらいは残すのダメかな…?
ここに置いておくのがダメなら連れて帰って俺が世話するから…
ダメ?
●
「まっしろなもふもふがすげぇ、いっぱい!」
目の前に広がる白の大群に、依世・凪波は黒い狐耳と尻尾をピンとさせた。その琥珀色の瞳はキラキラと輝いていて、今にも駆け出していきそう。
そんな彼の様子を見ながら、月雪・千沙子は小さな溜息を零していた。確かに、可愛い。可愛いのだが、あまりにも数が多い。
「行方不明の人の事も気掛かりだし早く退治を……」
ぽつり、彼女が零せば凪波が驚いたように尻尾を立てる。――倒さないとダメ……なのか……? 心なしか涙滲む瞳で見つめられ、千沙子は続きの言葉を飲み込んでしまう。
――そんな2人の気持ちは、ピヨすけ達には伝わっていない。
「この団子美味いんだぞ~っ」
まだちょっと、戦うには覚悟が足りない。とりあえず凪波は、手にしていた三食団子をピヨすけ達へと見せると。小さな羽を羽ばたかせどうやら興奮している様子。
『ピィピィ』
『ピッ!』
言葉は分からないけれど、それは頂戴頂戴とねだっているように聞こえる。だから凪波は嬉しそうに笑い、1つ団子を地面に置いてみれば。自身の身体の半分ほどの大きさの団子に、沢山のピヨすけが集まってくる。
『ピィ~……』
ごま粒のような瞳が見つめる先は、千沙子の持つ袋。その視線に気付き、彼女はさっと荷物を小さな背中に隠した。
「これはお仕事が終わった後、凪波と半分こして食べようと思っていたおやつ。あげるわけには……」
じー……、訴えるような眼差し。腹ペコの彼は、食べたいものの為ならば容赦はしない。もふもふの額に数字を刻印していく姿に気付き、千沙子ははっとする。
――嫌な予感を感じ、残念そうに溜息を零しながら桜餅を差し出せば。戦闘モードだった彼はすっかり機嫌を直したようで、勢いよく飛びついた。
夢中で桜餅と三色団子を食べているピヨすけ。
彼等にとって、お菓子はそこそこの大きさがあるように見えるが。なにせ数が多い。あまり時間はもたないだろう。だからこの隙に、討伐を――。
「……凪波?」
霊符を構え、ピヨすけへと放とうと千沙子が思ったところで。彼女は、躊躇している様子の凪波に気付き声を掛ける。
「沢山はダメでも一匹くらいは残すのダメかな……?」
やはり、凪波の迷いは消えなかった。連れて帰りたい。その気持ちは強いし、凪波の意思を千沙子は尊重したい。
けれど、彼等はれっきとした物の怪――オブリビオンだ。残さず退治しなくては、問題の解決にはならない。しっかりと、全て倒す必要がある。
諦めて、深い深い溜息を零す凪波。千沙子は彼の様子に胸を痛めながらも、護符を放ち小さな物の怪の姿を1羽1羽確実に減らしていく。
消えゆく前に。せめてその白い身体に触れておこうと、少年は手を伸ばした。
大成功
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コイスル・スズリズム
七結さん(f00421)
たどり着いた先には物の怪
酔いは途端に他人の様な現実へ
仕事、
反射的に袖から冊を取り出そうとするが
彼女の柔らかさを保った仕草を見て動きをとめる
このところ、日常と仕事の境界線が意味をなくしつつある街の中で
七結さんと敵
その可憐な曖昧と白は物語性があって
この世界によく似合ってて見入る
そうしていると、なんだか誰かの妹の様な少女の様だね、七結さん
って、あ、
彼女の出した衝撃に言葉を選びつつ苦笑する
シロってアカがよく似合ってしまうね…
流れで取り出す冊は彼女に合わせて赤い冊
武器受+テクノブルースで敵集団の攻撃の無効化を
この色の向こうがあるなら
最後まで付き合って欲しい
そんなことをただ思ったよ
蘭・七結
スズさん(f02317)と
不思議な囀りに導かれた先
薄紅と紅の中に、しろを観る
――あら。なんて愛らしいこと
倒すべき物の怪の群れ、だけれど
殺めてしまうのは、少し気が引けるわ
あなたたちは、お腹を空かせているのかしら
甘い香りに誘われたしろを見遣り
茶屋で購入した桜餅を差し出す
見て、スズさん。とても可愛らしいわ
殺到するしろを、彼女と眺めて
少しは、お腹が満たされたかしら
愛らし子たち。悪さをしては、ダメよ
柔らかな体当たりは見切り躱しましょう
指先で弾く様に、軽い衝撃を与えて
紅に解けてゆく様子をじいと見つめる
しろとあか、薄紅と紅
そして――煌めく様な色彩のあなた
美しい色の続きを知りたいわ
酔いの続きを、はじめましょう
●
ピィピィ。
梅林の中響き渡っていた、不思議なさえずりに導かれて。零れる花びらの中、少女が辿り着いたのは物の怪の群。
その光景に、酔いは途端に他人のような現実へ。
ぱちり、目が覚めたように大きな瞳をコイスル・スズリズムは瞬くと。反射的に自身の手を隠すほどに長い袖に触れるが――彼女の横から、一歩踏み出る影に手を止める。
「あら。なんて愛らしいこと」
薄紅と紅の景色の中。此処に集うしろを観て、ふわりと柔らかな笑みを蘭・七結は浮かべた。その愛らしさに、殺めてしまうのは、少し気が引ける。
だから彼女は少しの間だけ――愛らしい彼等との交流を試みる。
「あなたたちは、お腹を空かせているのかしら」
『ピィ!』
言葉が通じているのかは分からない。けれど、穏やかな声で語る七結の言葉に、ピヨすけ達は一斉に元気よく返事をした。その様子がまた愛らしくて、笑みを零しながら七結は取り出す。先程、茶屋で購入した桜餅を。
『ピ!』
『ピ、ピィ!』
どうぞ、そう言って差し出してみれば。小さな身体を懸命に動かし、素早く集う小鳥達の姿が。ピィピィ、不思議な鳴き声を上げながら桜餅を夢中で啄ばむ。
「見て、スズさん。とても可愛らしいわ」
白くて小さい小鳥が集っている――そんな光景を眺めながら、後ろで七結の様子をじっと見つめていたコイスルへと語り掛ければ。彼女は現実に引き戻されたように、はっと身体を反応させる。
いや、戦うのが現実ならば。小鳥と戯れる七結の姿は酔いの中なのだろうか。
けれど、彼女と敵。
可憐な曖昧と白は物語性があって、この日常と仕事の境界線が意味をなくしつつある街と云う世界に、よく似合っていると思う。
だから、ついつい静かに――見入ってしまうのだろう。
零れる花弁が七結に降り注ぎ、その曖昧さを強調するかのよう。
「そうしていると、なんだか誰かの妹の様な少女の様だね、七結さん」
ぽつり、コイスルの口から零れた言葉。その言葉は、じっとピヨすけ達を見守る彼女の耳に届いたのだろうか。
ちらり、様子を見てみれば。桜餅を食べ終わったピヨすけへと語り掛ける七結の姿が。
「愛らし子たち。悪さをしては、ダメよ」
お腹が満たされて満足気な彼等に、お小言を述べてみれば。ピィ! と鳴いてそのもふもふの小さな身体で、体当たりをしようと飛んでくる。ひらり、優雅にかわしながら。七結はピヨすけの額を細い指先でちょんっと、いたずらをするように弾いてみせた。
『ピィ……』
「って、あ」
悲しそうな声を一声残し、姿が消えゆく真白――紅の中に、解けてしまったかのよう。
そんな一連の流れに、静かに見守っていたコイスルも思わず言葉を零していて。長い髪を揺らし振り返る七結に向け、彼女は瞳を揺らし言葉を捜した後苦笑を返す。
これからの時間は、猟兵としてのお仕事。
コイスルは袖から、今度こそ本当に冊を取り出す。リボンの巻かれた、赤い冊を。
「シロってアカがよく似合ってしまうね……」
ふと、コイスルの口から零れた言葉。それは白の存在に降り注ぐ花弁のことか。はたまた華やかな色の友のことか。七結は小さく笑むと辺りを見回した。
しろとあか、薄紅と紅。そして――煌くような色彩のコイスル。
「美しい色の続きを知りたいわ」
瞳を伏せ、語る七結に。冊を捲りながらコイスルは思う。この色の向こうがあるなら、最後まで付き合って欲しい、と。
――酔いの続きを、はじめましょう。
大成功
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