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帝都櫻大戰㉒〜インフィニティ・エレメント

#サクラミラージュ #帝都櫻大戰 #第三戦線 #幻朧帝イティハーサ #カルロス・グリード

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●強欲の海に涯は無く
「さて皆さん。ついに幻朧帝イティハーサと決着を付けるべき時がやって参りましたわ」
 そう告げるミレイユ・ダーエ(永遠の森の歌乙女・f01590)の表情は硬い。それもそのはず、敵は幻朧帝だけではないのだ。
「カルロス・グリード――グリードオーシャンのオブリビオン・フォーミュラがイティハーサと協力しておりますの。彼らは文字通りひとつとなって、途方もない戦闘力をもって皆さんを迎え撃つでしょう」
 古よりの盟約によって共同し合一した敵――カルロス・グリード幻朧態と呼ぼう――は過去の断片から紡ぎ出した侵略新世界のひとつ「グリードオーシャン・アルゴ」を根城に、三十六の世界全てに牙を剥かんとしている。
「けれど、今なら。そう、今であれば、彼らが征路の第一歩を踏み出す前にその野望を挫くことができますわ」
 グリードオーシャン・アルゴへと突入し、広大無辺の大洋に浮かぶ島のひとつを戦場としてカルロス・グリード、そして幻朧帝イティハーサを討ち破るのだ。

●エコーズ・オブ・ユニヴァース
 ミレイユによれば、グリードオーシャン・アルゴは陸地の大部分が水没したサクラミラージュの|もしも《if》の姿であるという。そして、それらの島々には幻朧桜を通じて呼びこまれた「他の世界の遺物」が存在する。
「私が皆さんを送り出す先にも『遺物』がありますの。名前はそう――『|大精霊の祭壇《オーバーソウルズ・アルター》』とでもしておきましょうか」
 その祭壇は、幹の僅かな部分を残して砕け折れた大樹だ。かつてどこかの世界に存在した世界樹の残骸。
「その樹には、もう僅かな力しか残されていません。それでも、天地万象を支え育んだその樹の力は、きっと皆さんの助けになってくれるはずですわ」
『大精霊の祭壇』は、猟兵が操る「一種類の属性」の力を極限まで高めることができる。火水風土の四元素、木火土金水の五行、あるいはもっと他の。これを利用すれば、例えば火の属性で太陽の如き大灼熱を生み出し、氷属性ならば絶対零度の静寂を創り上げることが叶うだろう。
「祭壇の助けをどう活用するかは皆さんにお任せしますわ。ご自身の攻撃を極みへと高めるのか、あるいはカルロス・グリードのユーベルコードに対抗するために使うのか」
「ご注意頂きたいのは、増幅できる属性は一度にひとつだけ、ということ。もちろん、使い手が異なれば同時に別の属性を増幅することもできますが……」
 もしそれを実行するならば、属性の重複が起こらないよう同時に仕掛ける者同士での綿密な連携が必要となる。困難ではあるが、成功すればより大きな成果を得られるだろう。
「様々な属性の攻撃が次々とカルロス・グリードに浴びせられる様を見てみたくはありますわね。きっととても痛快でしょうから。……こほん。ともあれ、決戦の時は今ですわ。皆さんの戦場に、虹と追い風の祝福がありますように」


中村一梟
 猟兵の皆様ごきげんよう、中村一梟でございます。
 サクラミラージュの戦争シナリオをお送りいたします。今回の舞台は侵略新世界のひとつ、グリードオーシャン・アルゴとなっております。

●フラグメント
 戦争シナリオのため「ボス戦」のフラグメント1つのみのシナリオとなっています。

●ボーナス条件
 本シナリオでは下記の行動を含むプレイングに対してボーナスが与えられます。
 1.他世界文明の遺物『|大精霊の祭壇《オーバーソウルズ・アルター》』を利用して戦う。

●補足
『大精霊の祭壇』の利用方法は、プレイングに「増幅したい属性の種類と、その属性を活用した戦闘方法」を書いて頂くだけとなっております。
 また、「複数の猟兵が」「それぞれ異なる属性を」指定した協力プレイングを送って頂きますと人数(属性の種類)に応じてボーナスが増加します。その場合、協力者のIDをお忘れにならないようご注意ください。

 それでは、今回も皆様と良い物語を作れることを楽しみにしております。
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第1章 ボス戦 『カルロス・グリード幻朧態』

POW   :    海王の矢
【無限に広がりゆく大海】から無限に供給される【『死の海水』の矢】を、レベル分間射撃し続ける。足を止めて撃つと攻撃速度3倍。
SPD   :    王錫海巨人
全長=年齢mの【『海水の巨人鎧』を纏った姿】に変身し、レベル×100km/hの飛翔、年齢×1人の運搬、【生命を蝕む呪いの海水拳】による攻撃を可能にする。
WIZ   :    インヴェイジョン・オーシャン
全身を【数万トンに及ぶ海水】で覆い、自身の【侵略への欲望】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。

イラスト:炭水化物

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エミリィ・ジゼル
なんと都合のいい遺物でしょう。サメ属性を操る鮫魔術師であるわたくしにとって、特定の属性を強化できる遺物はベストマッチ。
これで最強最悪のサメンタル・ファンタジアを起こせるというものです。

今回起こすのは、サメ属性の天変地異。
天から降り注ぐ無数のサメ属性の流星群、海に突如発生するサメ属性の大渦、海水を巻き上げて襲い掛かるサメ属性の竜巻、そしてすべてを海の藻屑へと変えるサメ属性の大津波。

それらの天変地異を次々とカルロスに浴びせ、ぎゃふんと言わせてやります。

グリードオーシャン最古の魔術体系である鮫魔術こそが最強の魔術
そのことを七つの海にしらしめてやりましょう。



「なんと都合のいい遺物でしょう」
 エミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)は、カルロス・グリード幻朧態を尻目に楽し気な声を上げた。
 既に『|大精霊の祭壇《オーバーソウルズ・アルター》』は起動し、エミリィと大精霊とを|最適に同調《ベストマッチ》させている。
「――グリードオーシャン最古の魔術体系である鮫魔術こそが最強の魔術。そのことを七つの海にしらしめてやりましょう」
 あらゆるサメの始祖にして頂点たる精霊。すなわち『シャーク・フォーミュラ』。彼とつながることで湧き上がってくる力に、エミリィは身を震わせた。
「これで最強最悪のサメンタル・ファンタジアを起こせるというものです」
「何をするつもりだ、お前」
 カルロスの問いに、エミリィは笑った。それは鮫のような笑みだった。
「もしやグリードオーシャン最古の魔術体系である鮫魔術をご存じない?」
 はっと跳び退いたカルロスがユーベルコード『インヴェイジョン・オーシャン』を発動。膨大な海水を従えつつ祭壇の島付近の海上へと移動する。
「まずはこちら。――|サメ属性の流星群《サメテオ》」
 告げるや、空からサメの群れが降ってきた。それらは次々とカルロスに襲いかかり、ユーベルコードによって彼の第二の肉体となった海水を食い千切っていく。
「続いて、|サメ属性の大渦《サメイルシュトローム》と|サメ属性の竜巻《シャーク・タツマキ》」
 海中と海上に二つの渦が現れ、叩きつけられる。それらはカルロスの欲望にも匹敵する勢いで、水塊を沖合へと押し出していく。
「これで最後です。――|サメ属性の大津波《SAMETSUNAMI》」
 天を洗うような大海嘯。その大波の内に潜む巨大な影。|大海獣《レヴィアタン》の如き巨大サメの顎が、まとった海水の上からカルロス・グリード幻朧態に食らいつく。
 噛み裂かれた海水が飛び散り、大波に流されていく。なんとか牙の隙間から抜け出したカルロスは、祭壇の島に再び降り立つと忌々し気に舌打ちした。

成功 🔵​🔵​🔴​

終夜・日明
【アドリブ連携歓迎】
生命を蝕む呪いの海水、か。皮肉をぶつけられているような気分だ。
僕に対してその力を向けたこと、後悔するなよ?

遺物はありがたく使用させて頂きます。
増幅する属性は雷、僕自身の雷をこれで増幅させ奴の海水鎧であろうと問題なく通せるようになりましょう。

攻撃は【見切り】と【地形の利用】で回避か『セラフィア・シルレード』で【盾受け】、被弾しても【継戦能力】で戦闘続行
【指定UC】を絡め雷【属性攻撃】を【乱れ撃ち】、【弾幕】を貼る
その巨体であれば回避はできるまい。
水は電気を通す、通せば後は勝手に『蠱毒』がその生命を削る。

これが、本当の|生命を蝕む呪い《・・・・・・・》だ。カルロス・グリード。



 カルロス・グリード幻朧態の下に、再び莫大な量の海水が集まっていく。それはユーベルコードによって『海水の巨人鎧』へと変じた。
 立ち上がった王錫海巨人が、両手を高く掲げた。天を衝く巨人の拳――生命を蝕む呪いの海水拳は、世界樹の亡骸を完全に破壊し、さらにはカルロスに牙を剥く猟兵達をも海の藻屑と化さしめるはずだ。
「皮肉をぶつけられているような気分だ」
 ふ、と息を吐いて、終夜・日明(終わりの夜明けの先導者・f28722)は呟いた。クロムキャバリア『【Code-Week】Mk-Third《オルトロス》』のコックピット内。黒い騎士のような機影はしかし、王錫海巨人の十分の一の大きさもない。
「僕に対してその力を向けたこと、後悔するなよ?」
 だが、日明はその場を動かなかった。決戦兵装『セラフィア・シルレード』を盾へと変形させ、振り下ろされる海水拳を真っ向から受け止める。
 轟音と共に、祭壇の島を中心に海嘯が広がっていく。破城槌ならぬ破島槌の一撃はしかし、盾を掲げた騎兵の頭上でぴたりと静止していた。
 紫電の閃き。|大精霊の祭壇《オーバーソウルズ・アルター》を通じて、雷の大精霊が己に力を貸してくれているのを日明は感じていた。
「これが、本当の|生命を蝕む呪い《・・・・・・・》だ。カルロス・グリード」
 |機体《クロムキャアバリア》を通じて日明が雷を操り、放つ。それらはユーベルコード『《蠱毒》顕現・見えざる死の鎌(サイレンス・グリムリーパー)』によって変容し、光り輝く稲妻の毒蛇と化す。
 大精霊との共鳴によって増幅加速された稲妻は瞬く間に海水の巨人鎧を貫き、オブリビオン・フォーミュラへと致命の牙を突き立てた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
サクラミラージュの成り立ちからして、幻朧帝がいなければ俺は存在しなかったのだろう
尤も、奴のせいで多くの悲劇が生まれたであろう事を考えれば感謝する理由はない
……例えばグリードオーシャンとなったサクラエリュシオンの事とかな

大精霊の祭壇によって強化してもらうのは「斬撃」だ。俺が使えるのはこれくらいだからな
神刀を掲げ、力を高めて貰ったのならば封印を解除
溢れる神気を纏う事で身体能力を強化して、海巨人と化したカルロスと相対

刃を振るうは一度のみ――終の型【無仭】

神刀はもとより「森羅万象を断つ刃」。今は祭壇の力もある分、普段よりも少ない代償でその力を使える
故にカルロスを、奴がいるその空間ごと叩き切る



 王錫海巨人が崩壊し、崩れていく。滝のように流れ落ちる海水の中にカルロス・グリード――幻朧帝イティハーサの姿を認めた夜刀神・鏡介(道を貫く一刀・f28122)の胸中に、ひとつの感慨が訪れた。
(幻朧帝がいなければ俺は存在しなかったのだろう)
 イティハーサを葬り封じるための墓標――それが彼の故郷の真実の姿であった。だがその真実は、鏡介に幻朧帝への崇敬や感謝の念を抱かせる理由には到底なりえない。
(奴のせいで多くの悲劇が生まれたんだろう……例えばグリードオーシャンとなったサクラエリュシオン)
 それだけではない。鏡介達が今立っているこの場所――グリードオーシャン・アルゴはサクラミラージュの成れの果てなのだという。であるならば、帝都の人々の数だけ新たな悲劇が生み出されることは明白だ。
「そうはさせない」
 決意と共に、鏡介は「神刀【無仭】」の鞘を払った。柄を両手で握り、捧げるように掲げる。
「この一刀で総てを断つ」
 |大精霊の祭壇《オーバーソウルズ・アルター》から、異界の精霊の力が神刀へと注ぎこまれる。本来であれば鏡介の命を捧げることでしか解けないはずの封印が、高まる神威に押されて自ずから解かれていく。
 危機を察知したカルロスが再びユーベルコードを発動し、『海水の巨人鎧』を再生させた。だが、それでも鏡介の構えは微動だにしない。
(これなら、斬れる)
 確信と共に、鏡介は刃を振り下ろす。
「――終の型【無仭】」
 左肩から斜めに、一直線。両断された海水巨人は今度こそ完全に形を失い、崩れ去った。

成功 🔵​🔵​🔴​

サハリエ・ステーロ
天変地異が如く最大限まで属性を強化できると来たか、面白い。僕の流星を強化するのも楽しそうだが、ここはそうだな。
ビームスプリッター、君の【通信】属性を強化しよう。元々、1つの世界を遅延なく繋ぐことが出来る規格外の通信属性をさらにパワーアップさせるのだ。

UCで召喚した他の配下たちの様々な属性攻撃を通信によってカルロスに送ろう。危なくなったら別の島にビームスプリッターごと転送してもらおう。
相手はただでさえ強いオブリビオンフォーミュラが強化された存在だ、慢心せず地味だろうと確実にダメージを与えていこうじゃないか。



 |大精霊の祭壇《オーバーソウルズ・アルター》から放出された力が渦を巻き、己の内を満たしていくのをサハリエ・ステーロ(悪魔王を獲得せし者・f37256)は感じていた。
「フフフ」
 天変地異さえ引き起こせるほどのエネルギーに、思わず笑声がこぼれる。この力をどのように使うべきか――。
(面白い。僕の流星を強化するのも楽しそうだが、ここはそうだな)
 微笑を浮かべたまま、サハリエは右手をまっすぐに掲げた。掌を天に向け、招くように指を動かす。
「フーハッハッハッ、さぁこの兎魔王サハリエ様に続け! ビームスプリッター!!」
 祭壇がもたらすエネルギーがひとつの属性へと集束していく。
 極大化された通信力によって、今彼女が立つ|グリードオーシャン・アルゴ《ifのサクラミラージュ》と、|帝都電波塔《ビームスプリッター》が立つ現在のサクラミラージュとがつながった。いや、それだけではない。可能性によって無限に分化する|総てのサクラミラージュ《世界線》が、|悪魔王を獲得せし者《マスター・オブ・ビームスプリッター》の名の下に束ねられる。
「さぁ、僕の元に集え! 我が自慢の配下達よ!」
 故に、そのユーベルコードによって召喚される配下たちもまた、限りなく無限に近い軍勢であった。カルロス・グリードが無限の海から生み出し放つ『死の海水』と真っ向から激突し、拮抗してみせる。
(慢心せず確実に――)
 その一念を胸に、サハリエは采配を揮った。いずれ限界は来るだろう。だがそれは、カルロスにとっても同じことだ。その瞬間が訪れるまで、奴を釘付けにできればそれでいい。
 無限と無限の消耗戦が、果てしなく続く。

成功 🔵​🔵​🔴​

シノギ・リンダリンダリンダ
ふふふ。カルロス・グリード
新しいグリードオーシャンを作ってくれただけでなく、こんな素敵なお宝にまで出会えるようにしてくれるなんて
本当にお前は、私思いの最高の|玩具《しゅくてき》ですね?

【死霊の海賊】を纏う
増幅する属性は、死
数多の殺してきたオブリビオンたちからの呪詛を、怨嗟を、死そのものを増幅する
死霊海賊の王のマントが広がり、溢れる呪詛が死そのものになるほどに強まる
今の私は死そのもの。呪詛を戦場に広げ、その身を腐らせ焼き呪う
そして過剰なほどに向上した身体能力で、カルロスを殴りつける

お前が死んだら、この世界は消えるのでしょう
なら、お前からの怨嗟を以て、この世界最高の財宝略奪とさせていただきます



 無限と無限の消耗戦が、果てしなく続いている。
 陸と海との激突の陰で、シノギ・リンダリンダリンダ(|強欲の溟海《グリードオーシャン》・f03214)はじっとその瞬間を待ち受けていた。
(ふふふ。カルロス・グリード。本当にお前は――)
 湧き上がってくる思いと笑みを嚙み殺す。彼女の胸中を焦がす狂喜は、|大精霊の祭壇《オーバーソウルズ・アルター》が喚起する属性といささか相性がよろしくない。
 この感情を発露させる時は、奴を討ち果たした後だ。

 そして、ついにその瞬間が訪れた。
『死の海水』の掃射が途絶える。いかなオブリビオン・フォーミュラといえども逃れえない、ユーベルコードの限界。三倍速の射撃を続けていたカルロス・グリード幻朧態は、この時完全に動きを止めていた。
「憎らしければ憎みなさい。そうなったお前を倒す事で、私はまた一つ強くなります」
 祭壇を蹴って跳躍しつつ、シノギはユーベルコードを発動。ばさり、と漆黒に変じた外套が翻る。
 呪詛纏う死霊海賊の王。屠ったオブリビオンの遺したものさえ取りこんで己の力とする、シノギの切り札。大精霊との感応によって拡大し増幅されたそれは、彼女を死そのものと呼んでも過言ではない存在へと変化させていた。
 迫り来る終焉の手を、カルロスは海水を纏うことで遮ろうとした。だが、極大化した死の属性は命持たぬもでさえも死に至らしめる。ユーベルコード『インヴェイジョン・オーシャン』によってかき集めた海水が、何の変哲もない海水へと|変わって《死んで》いく。
「お前が死んだら、この世界は消えるのでしょう」
 砂を踏んで歩みながら、シノギは言った。
「なら、お前からの怨嗟を以て、この世界最高の財宝略奪とさせていただきます」
 繰り出した拳は速やかに、逃れえぬ|結末《死》をカルロス・グリード幻朧態へともたらした。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2024年09月28日


挿絵イラスト