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帝都櫻大戰⑪〜神と勇者と猟兵ブレード

作者：にゃあら

●矛盾
　黄金大迷宮――6thKINGビームスプリッターが建設した、超危険なトラップも超高価なお宝も満載な総黄金造りの迷宮――を起点として、突如、大量の幻朧桜が溢れ出した。ピンク色と共に出現した護国鉄神零號は悪魔達を魅了し、いや、本人にその気はないのだが、配下にしてしまった。猟兵達の活躍によって｜悪魔《サキュバス》達は正気を取り戻したが、さて、再びの問題発生である。そう、純粋に『護国鉄神零號』は強いのだ。その一撃一撃が『世界を破壊するほどの威力』を誇っており、これを受け止める事など不可能に近い。
　すごくいた～い。でも勇者なのでほれこのように元気です（ぶんぶん）。キャンピーくんの世界移動の能力によって現れたのは5thKING『勇者リリリリ』だった。護国鉄神零號のロケット・パンチをモロに受けても傷つかない強靭さ。それは勇者の『フィジカル』と『盾パワー』が成せる埒外とも謂えた。馬鹿な、我の拳の直撃を受けて、無傷だと……！？　しかし、強き者よ、これは先程も見た気がするのだが、目を回していないか……？　剣は刺さりそうにないからな～。ガチデビルに憑かれていた時みたいに、ちょっと、独楽みたいになってみたんだ。そうしたらほれこのようにフラフラです（おめめぐるぐる）。説明しよう！　猟兵ブレードとは！　オマエが独楽になるんだよ！！！
　……強き者よ、猟兵の盾になるつもりだろうが、そのような状態で何が出来ると謂うのか。シュートしてくれたらいい感じに『相殺』できると思うよ～。だから、だれかかわりに攻撃して～。極まった防御型VS極まったバランス型、勝つのはどっちだ！！！

●グリモアベース
「猟兵ブレードの時間よ！！！」
　また始まった。
「護国鉄神零號についてはもう説明しなくていいわよね？？？　勇者リリリリと共闘して彼を止めるのよ！　あ、勇者さんの攻撃は通じないらしいから、防御型って思いなさい。防御型ってなに？　あれだよ。猟兵ブレードのタイプってやつ」
　つまり、防御型であるリリリリをぶん回して相手のユーベルコードを相殺するのだ。これが勇者の凄まじい『埒外性』である。
「え？　勇者の攻撃が通じない理由って、それ、フラフラで命中しないからでは、ですって？　いえ、護国鉄神零號の装甲は世界的よ。やっぱり猟兵でなくちゃ壊せないってワケね。それじゃあレッツ・ゴー・サイクロン！！！」
　グリモアが輝いて。

第1章 ボス戦 『護国鉄神零號』

POW   :    零式噴進飛翔拳 かつて喰らった「【鋼鉄共栄圏の人々】」の魂を纏い、2倍ダメージ・2回攻撃・自動反撃を有した【ロケットパンチ】を装備する。 SPD   :    八岐大蛇機関砲 【自在に射角調整が可能な蛇型四連機関砲】を最大レベル秒間連射し続け、攻撃範囲にダメージと制圧効果（脱出・侵入を困難にする）を与える。 WIZ   :    護国熱血破壊砲 装備武器から【護国英霊波導砲】を発射する。自身の【放熱装置】削減量に応じ、威力・速度・発射数が増加する。 イラスト：柿坂八鹿 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

　もう少し詳しく説明しよう！
　猟兵ブレードとは――オマエが独楽になるんだよ！！！
　巨大なリングの上で回転する独楽となり、相手をリングアウトさせるか、止めるかしたらオマエの勝利となる。独楽のタイプは幾つかあるが詳細は省き、とりあえず『防御型』ついての説明だけをしておこう。そう、防御型は所謂『耐久性能』に優れた独楽である。相手の攻撃の威力を削ぎ、回転力を弱める事に特化したものだ。
　勇者リリリリは『防御型』の中でも『トップクラスの性能』を誇る。相手の攻撃を喰らってもビクともしないのだ！　故に、勇者自身が目を回してぶっ倒れでもしない限り『無敵』に等しい！　そんな勇者で神のユーベルコードを相殺するのだ！
　あとは猟兵よ、オマエの埒外性で八億の魂の歪を正すと宜しい。
　すごくめがまわる、でも、だれかが攻撃してくれるなら、もうちょっとがんばるよ（あたまくらくら）。


　蛇も神もお陀仏だ、ついでに勇者の三半規管もお亡くなりである。
　この世でもあの世でも骸の海でも、一番『運が無かった』のは｜魔王《ガチデビル》だろう。では、この世でもあの世でも骸の海でも、二番目に『運が無かった』のは何者か。それは魔王に憑かれてしまった勇者に違いない。魔王の憑依から解放されても、尚、彼女は、眩暈がするほどには泥沼だった。ふむ……リリリリ殿を飛ばして相殺するのですね！　自分で言っておいて、口にしておいて、猟兵よ、数秒ほどの思考を有したのは何故か。それほどに混乱するのも無理はないが、果たして、煙が出そうなほどの沙汰だろうか。え……なんと……？　おめめぐるぐるに対してのおめめぐるぐる、恥ずかしさにやられたのではないが、取り敢えず呼吸を整えると宜しい。いえ……そうせねばならぬなら！　やりましょう！！！　そう、低コストのカンタン脳で良いのだ、たとえ皺がないと罵られても、ピンとはっていた方が楽である。あ、リリリリ殿、｜これ《騎兵刀》持ってください。オープニング時点でフラッフラな勇者に得物を渡すとは如何なることか。よし……！　猟兵ブレード！！　3、2、1！！！　ごー！！！！！　その掛け声は色々と危ういのではないか。せめて「よいではないか」にしておくと宜しい。あ～れ～（ぎゅるるるるるる）。
　説明しよう――勇者リリリリは確かに防御型だが、それは盾パワーに埒外性を注いでいるが故だ。其処に別のパワーを加えたのなら、逆転、いいや、逆回転、刹那の内に超バランス型へと変化する。リリリリ殿と騎兵刀に念動力を載せて、掴み、天を回して点と壊す。八岐大蛇だろうと護国鉄神零號だろうと、超高速回転を実現した勇者リリリリの前では発泡スチロールも同然。その身に刻みつけろください！！！
　我の装甲に、八億の魂に、痛みを齎すほどの破壊力……成程、この力であれば……！
　リリリリの悲鳴が聞こえる。あらゆる強化防護を粉砕する『独楽』が爆誕したのだ、弾幕も装甲も愈々ビスケットめいてサクサクだ。おっと、軌道がズレたであります！　再びの念動力だ。無理やり修正を行った後、そのまま、怪物的な｜独楽《リリリリ》を神の胴体にぶつける！！！　最早、世界を掘削する兵器だ！　刀によって削り続けるそのサマは魔界に咲いた🌈だろう！！！　これでもう装甲は使い物にならないであります！！！
　ようやく回転が止まった。
　棒のようにぶっ倒れた勇者はピクリとも動かない。

成功 🔵​🔵​🔴​

　最強の弾丸とは何か。それは不老不死に近しい永遠の『課題』であった。ある人物は威力こそを正義とし、ある人物は数を正義とし、ある人物は命中率を正義としていた。だが。とある『博士』は別のベクトルから『こたえ』を導き出したのだ。そう、自分自身を弾丸と見做してしまえば、それこそ最強の｜一撃《わざ》と成るのではないか。そうして『博士』はひとつの埒外性を世に落とした――バルタン・ノーヴェである。
　ヒャッハー！！！　まるで｜終末《カタストロフ》めいた叫び声であった。目を回してぶっ倒れている勇者は置いておいて、この混沌とした在り方には護国鉄神零號も呆然とする始末。ワタシが弾丸になることデース！　違いますデスネ！　ワタシが独楽になることデース！！！　お……可笑しな者よ、こう訊くのはなんだが、まさか、我の想像している通りではないだろうな……？　OK、ご想像通り、レッツ攻撃型ブレードたる我輩が回りマース！　残念ながら護国鉄神零號のイメージ通りだ。いや、イメージ通りには『ならない』だろう。何せこのバトルサイボーグメイドは何処ぞの誰かに誘われてぐるぐるした女である。余所で披露した超級バルタン荷電粒子弾の再登壇であります！！！　おっと、如何やら既に暴れ散らかしていたらしい。これには何処ぞの誰かさんも頭を痛めたか。
　説明しよう！　超級バルタン荷電粒子弾とは！　マジ卍である！！！　全身を迸る電撃で覆い、そのまま、両手両足をグイと曲げ『卍』の形状を生成するのだ。何をやっているのだ可笑しな者よ……いや……我も機械仕掛けではあるが、それは、大丈夫なのか？　まさに独楽の形状、過言はまったくないデショー！！！　溌溂とした発声と共に胴体が、卍が、マジに回転を始める。渦巻きの中心の頭は最早凶器、狂気の儘に体当たりを仕掛けると宜しい。｜センシティブ・万字・アングリフ《英語・漢字・独語》！！！
　結論――小細工も作戦も何もない。威風堂々、唯我独尊な突進突撃吶喊デース！　さあ、リリリリ殿！！！　リリリリ殿？？？　目が回って立ち上がれないのデショウカ？？？　ここはミニ・バルタンの出番デスネ！　さあ、リリリリ殿を紐でぐるぐる巻きにしてぐるぐるするのデース！　そしたら一緒に大回転して零式噴進飛翔拳を防いでくだサーイ！　りょ、りょうへい……これ以上はもう、なにも｜🌈《で》ません（ギャルルル）。よっし今デース！　これでも喰らいなサーイ！！！
　これがプロの業である。
　神が困惑し、ひび割れ、傷ついた現実は消えやしない！

成功 🔵​🔵​🔴​

　堕ちた天使の姿は仮初のものか。
　オマエこそがルシファーに囁いた『ワル』のひとつに違いない。
　王笏の類を――黄金色の竜を――アスリートアースに持ち込んだなら『バット』か何かだと勘違いされても仕方がない。相手が『ぐるぐるバット』の選手だったなら、きっと竜は回転の神か何かだと崇められるだろうか。頭の中が余所にすっ飛んで0.1秒、現実に戻ってきたのなら超速で何もかもを咀嚼すると宜しい。たくさん浮かんだ？？？も掌の上。つまり『防御型』のリリリリさんを護国鉄神零號さんにぶつけて相殺したところを『超攻撃型』のわたくしがぶっとばして｜フィニッシュ《バースト》すれば良い感じですわね！　流石は魔王国の｜女帝《エンプレス》と謂ったところか、黄金色の脳髄は困惑を即座に払い除ける。パチン――何が鳴ったのかと謂えばオマエの指だ、何が成されたのかと謂えば『召喚』だ。おお、視よ、目に毒なほどの輝きを。あれこそがオマエのキャバリア、荘厳なる『フリズスキャルヴ』。カタストロフの前にラグナレクがやってきた。この力は運命そのもの、この力は終末そのもの、滅びを受け入れなさい――オブリビオン。
　強き者よ、我の拳は最早、届きそうにない。
　だが……勇者の平衡感覚、いつまで『もつ』か。
　坐して待つのは何方だったか。
　誑かしが『本意』であろうと、なかろうと、悪魔を狂わせたのは事実だ。ならば、盾パワーとぐるぐるパワーの悉くを『おどらせて』やると好い。大きく、大きく進化した『機体』の周囲をグルグルと｜螺旋《まりょく》が渦描く。リリリリさん、あなたが『我慢すれば我慢するほど』機神は強くなりますの。なるべく耐えてくれると嬉しいですわ。そ、そんなこといわれたって、勇者にも限界はあります（お目目グルグルグルグル）。これで何度目の｜進化《ユーベルコード》だろうか。よく頑張ってくれましたわ。あとはわたくしにお任せを。そうですわ、この戦争が終わったらお口直しにスイーツでも食べますの。返事はない、あと食欲もないだろう。
　超極級魔王電影弾です――！！
　吹き飛んだ｜世界《たましい》の数知れず、神は仰天した。

成功 🔵​🔵​🔴​

　胃袋は四つもない、溜め込む事は不可能だ。
　復活の為の文句は要らない、灰も嗤い出す始末だ。
　ルシファーからの感謝の言の葉、裏切り者の楽園よりやってきた『ワル』の手本と思うべきか。高座より降りたオマエの姿は果たして『八億の魂』すらも眩ませる｜無限光《アイン・ソフ・オウル》に近しい。我が身こそが神意なのだと、我が身こそが悪なのだと、さあ、界外からの怪物にも叩きつけてやると宜しい。あれを喰らってまだ原形を保っているとは、あれを受けて尚、立ち上がってくるとは、まったく頑丈ですこと！　では――真の螺旋と謂うものを、真の回転と謂うものをお見せしましょう！　嗚呼、見るが好い。見て、知るが好い。あの六対十二枚の黒い翼こそが｜女帝《エンプレス》の羽化した姿。凄惨なまでの晩餐を味わい尽くさんとする｜魔王《ダイモーン＝スルタン》の光輝か。……あ、リリリリさんはもうちょっとだけ頑張ってくださいね！　おに……あくま……。わたくし堕天使ですの！　大丈夫大丈夫、勇者に不可能はなしです！　勇者の辞書には不可能が載っていた筈だ、知らず知らずの内に、無意識の内に、猟兵が黒く塗り潰してしまったに違いない。
　ひどくハッキリとした、実に矛盾とした『霧』の発生であった。｜地母神《ティアマト》の息吹が、｜大母神《マグナ・マーテル》の科白が途轍もないエネルギーとやらを世にこぼす。とりあえずリリリリさん、癒しの風で完全回復を図りますわ！　異常を正常に戻す埒外性。さて、このぬくもりは勇者にとって『救い』なのか否か。すっごいげんき、でも、ぐるぐるするのは嫌です（首ぶんぶん）。そんなこと謂ってる場合ではありませんわ！　このチャンスを逃したなんて知られたら魔界中の笑い者になりますの！　回復と喝を入れられてしまった勇者は、もう、背水の陣だ。何度目かのぐるぐるへと身投げを試みる――強き者よ、ここで倒れておれば、これ以上の不調を味わう事などなかったと謂うのに――容赦のない八岐大蛇も愕然だ。この勇者は何処まで『勇者』をしたいのか！
　リリリリは想像していなかった。いや、想像しようにも、頭の中がぐちゃぐちゃ（物理）で何が何やらわからなかった。金色の｜神炎《ひ》が迷宮内部を溶かしていき新たな『カタチ』を与えられる。加速に加速を重ねられた『それ』は魔王の肉体由来の『無限』を知る。嗚々、独楽だ。独楽は永劫を付与され、業々と黄金色の｜大竜巻《メイルシュトローム》へと進化した。
　――完成するは超螺旋回転黄金独楽！！！
　神も勇者もひっくり返る｜欲望具現術《ウィッチクラフト》か。
　……あ、黄金大迷宮は後で責任をもって直しておきますのでご心配なく。
　うわぁすごーい、ぜんぶぐるぐる壊れていきます（お目目グルグル）。

成功 🔵​🔵​🔴​

　反転した神の名を、逆回転した神の名を、誰が唱えられよう。
　オイル塗れでフラッフラなオマエ、滑らないように注意しておけ。
　アスリートの勝負魂、その熱量については、エネルギー量については、最早、常識とやらでは量れやしない。明確にしようと試みれば試みるほどに神秘性が発揮されるとは、成程、人間の可能性は怪物よりも怪物らしい。……普通に、リリリリさんに守ってもらいながら『攻撃型』のブレードとして頑張ろうと思ってたけど、相手が『世界』だって言ってるねぇ。世界とは何か。世界とは時間や空間を繭とする、中身とする、ひとつの枠組みでしかない。ならば、其処にはきっと『人間が這入り込む隙間』くらいは残されている筈なのだ。世界なら中に入れるな。兎にも角にも勇者は僥倖に出会った。ほんの少しのぐるぐるしない時間である。強き者よ――我にも解せない事柄はあるのだ。強き者はいったい『なに』と接触したのだ。我すらも畏れる他にない、その、筆舌に尽くし難き『輪郭』は――それはわたしにもわからないし、何が正解かなんてのも、やってみなくちゃいけないんだ。護国鉄神零號は猟兵を、ぐるぐるアスリートを見失った。何処だ、何処に消えた……いや、強き者よ、まさか、我の中に｜存在《い》ると謂うのか……？　八億の魂が、歪が、ジューサーの底へと落ちていく。この経路は猟兵だけの『もの』だ。道は無数に拓かれ、匂いだけでは物足りない。
　内部からバースト目指そうねぇ。世界と表現されたのだ、八億が『住んで』いるのだ。成程、想定していた以上に、異常なまでに護国鉄神零號の体内は｜膨大《ひろ》かった。だが、構うものか。隙も反動も🌈も顧みず、今までぐるぐるし続けてきたのだ。故に、この程度の眩暈でぐぅと鳴けるほどの正体などない。わからなくてもいいんだよねぇ。わからないなりに、わたしは、お腹のあたりから脱出するだけだから。ぶち破れ神の腸、魔界屈指の『独楽』として🌈を散らかすと宜しい。
　いやぁ、ロボットで良かったねぇ……これが生物だったら大惨事だよぉ。

成功 🔵​🔵​🔴​

　ラスト・グルグルだ。
　桜の美しさよりも、合法阿片の馥郁よりも、
　この眼球振盪がいとおしいか。
　真っ暗いソファに包まれて、長々と、永々と、虚空とやらを漂っている気分の悪さか。上下左右の認識も出来ずに、狂った時計の針が如く、ぐるぐると嗤われるこのザマはいったい自分にとっての如何様な娯楽であったか。正気なのかも狂気なのかも不明な儘、デビルキングワールドの一地点に着地する。そう、着地したのだ。足元はちゃんとしているのだ。ならば――まだだっ！　まだ舞えるっぽい！　いやまだ回れるっぽい！！！　僕のぐるぐる魂はまだまだいけると言っている！　酔っていないとまだいけるは『ダメ』の合図なのではないか。その線を超えてしまった結果、🌈の海に沈んでいるのがぶっ倒れている其処の勇者だ。それが問題でも？　そうさ、ちょっと休んだし、僕は勇者とは違うんだからイケルイケル！！！　地獄への片道切符を舐り尽くせ、如何なる反動もオマエの脳には刺激的なスパイスか。黄金色に輝くオーラを纏うと宜しい。メイドさんの姿を幻視したのならば、今度こそ『神』の輪郭だけを確りと認めてやるが好い――突撃するっぽーい！！！
　強き者よ、勇者も脱落したのだ。ここで我を倒せなくとも、次の強き者に交代すれば『我を止める事』くらいは出来るかもしれん。いいや、ここで決めるのですよ。これが今回の戦いで、戦争で『最後』のぐるぐるになる……はず……。だからこそ、僕は全力全開のぐるぐるで護国鉄神零號さんに挑まなければいけない。すべてを捧げるのですよ。捧げて、出し尽くして、🌈の彼方で嗤ってやるのです。言い直すならば、うん、全力全回の｜黄金の螺旋疾走《ユーベルコード》。勇者ちゃんを信じて突撃するっぽーい！！！
　レッツ・ゴー・サイクロン！！！
　な……！　馬鹿な、勇者はそこで倒れていると謂うのに、我が拳の直撃を受けても、尚、止まらないだと……！？　勇者の盾パワーは『付与』する事も可能なのだ。たとえ本人がおめめぐるぐるで、虹色の彼方に飛んでいってしまっても、その埒外性だけは生きている。ぎゅんぎゅんと大回転せよ、黄金長方形と共に｜戦槌《ハンマー》で顎をぶっ叩け！

成功 🔵​🔵​🔴​

　超攻撃的な｜武器《パーツ》を装備させた結果、勇者の三半規管は蛞蝓に成り果てた。とある猟兵のおかげで一時的に治まってはいたが、嗚呼、その猟兵の所為でぐちゃどろへと逆戻りである。泥よりも泥みたいに、棒よりも棒みたいに、ぶっ倒れて沈黙している彼女は、最早『強き者』ではなくなったか。うう……リリリリ殿ー！！！　致し方なき事とはいえ、申し訳ございませぬ！　護国鉄神零號から距離を取り、ロケットパンチや八岐大蛇、波動砲の『範囲』から逃れた場所、死に体な勇者を寝かしつけた。いや、実際に死んでいるわけではないし、むしろ、意識を失う事が出来ないのが地獄的なのかもしれないが。……かくなる上は、自分も、超攻撃型のブレードとして回ります！　いえ、本来自分が回らなければならなかった！！！　それを、その振盪を、その気分の悪さを貴殿に負わせてしまった！　回り回って、そしてあのものを、世界を、護国鉄神零號を、穿たなければ貴殿への手向けとはなりません！！！　ぎゅっと勇者の身体を、🌈に塗れた肉体を抱き寄せる。血と汗と涙と🌈の感動的なシーンだ。ほんとに？　ほんとに。……廻れ、廻れ、朱鷺透小枝子。何があっても、何にあっても、｜朱鷺透小枝子《じぶん》を止めてはならない――！
　まるで孵化だ、まるで羽化だ、あらゆる生誕を、あらゆる再誕を、脱したかの如くに現したか。ぬぞりと、肉や骨や血を顧みぬ、形容に尽くし難い生え揃いだ。ぼんやりとしていた額部分は、いつしか、明白なまでの『三つ眼』を世界に報せる。この身は何をするものか！　この頭は何をするものか！　破壊を為すものだ！　いくら廻ろうと、いくら吐き散らかそうと、この身は神ならず。唯、破壊を為す権化であれば良い！　強き者よ……我が装甲を破壊せし、強き者よ。わかるぞ。強き者の『在り方』が如何な遠方でも『よく』視える……！　いけ！　いけ！！　いけ！！！　三眼六臂の｜悪霊《フリークス》が疾狗めいて嗤う。勇者リリリリの意志を継いで駆けずり回る。何を放とうとしているのか。何を纏おうとしているのか。ああ、佛も神もオブリビオンも、この｜豪風《かぜ》を退ける事は不可能か。
　ガ――ガ――禍――。
　禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍！！！！！
　災害だ。途轍もない霊障だ。
　脳髄など不要だ、三半規管も不要だ、躊躇するな。必要なのは『力』だけなのだ。この世界にも怨念がある。今ここに、歪んだ八億の魂が醸す｜世界を壊す怨念《闘争心》がある。啜れ、啜れ、時間を掛けずとも十分だ。章を跨がずとも、この身この｜脳《痴》は――あのマシンを敵だと認識している。破壊しろ！！！！！
　加速し、廻り――異常なまでの振盪を望め。
　八億の怨念が割れる勢いで――護国鉄神零號に――目が回るほどの頭突きをしてやれ！　な……ば、馬鹿、な……我の頭部を……凹ませ……砕く……とは……！
　吠えろ！　吼えろ！
　狂った兵だけが勝者であれ。
　禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍！！！！！

　……う、う～ん……あ、あれ？　ここはどこ？？？　なんだか、すごくめがまわる（おめめくるくる）。おお、リリリリ殿！　自分達の勝利であります！！！　え？　お、終わったの？？？　これで、もう、ぐるぐるしないですみます（ぶんぶん）。

成功 🔵​🔵​🔴​

最終結果：成功 完成日:2024年09月18日