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帝都櫻大戰⑪〜喜悦タイム

作者：にゃあら

●魔性のイタズラ
　地獄のいたずら地獄についての詳細は何処かの世界から引っ張ってくると宜しい。あらゆる災難を一気に受け止めねばならない、その、運の悪さには同情すらも向けられないのだ。手を変え、品を変え、悪戯は新たなる領域にへと這入り込み、その凄惨さはエスカレートしていく。ピンク色の脳内を侵さんとしたものは果たして如何様な邪悪を知る事になるのか。
　いや――デビルキングワールドの悪魔達は根本的には『良い子』なのだ。デビルキング法に則って、全力で『ワル』を行っているにすぎない。染まりに染まった悪魔達はこの日、嗚呼、めちゃくちゃパワフルでカッコいいワルと邂逅した。見よ、あの聳え立つ『ワル』の化身を！　彼こそがオブリビオンと化したエンシェント・レヰス『護国鉄神零號』である。
　悪魔達は――悪戯が大好きなサキュバス達は――大いに『これ』を歓迎した。あんなのもワルそうな存在は魔王くらいしかいない。違う、魔王も確かに悪かったが、こんなにも『カッコいい』存在ではなかった。いつか、あの強大な『神』に悪戯を仕掛け、自分達の価値を理解してもらいたい。そして――配下となって『ワル』の限りを尽くすのだ。
　……もの凄く強いのにバカな奴の相手はうんざりしているのですが。
　まあ――片っ端からぶっ飛ばせば、正気に戻ってくれるでしょう。

●グリモアベース
「護国鉄神零號――もう、説明する必要もなさそうだけど、エンシェント・レヰスの一体よ。今はオブリビオン化していて、八億の魂と共に世界を脅かしているんだけど」
　グリモア猟兵、隣人は溜息を吐く。
　まさか、未だに騒いでいる悪魔達が居るなんてね。
「悪魔達は愚かな事に『護国鉄神零號』を『パワフルでカッコいいワル』と認識してるらしいわ。彼女達をぶん殴って『こっちの方がワル』だってわからせてやりなさい。あ、味方として破軍もいるわよ。キャンピーくん様々ね」
　グリモアが輝いて。
「……あと、実はもう一個抜け道が在るのよね。今回の悪魔ちゃん、イタズラが大好きらしいわ。いい感じのリアクションしたら満足してこっちについてくれるかも。うん、それは猟兵次第なんだけど、よろしくね」

第1章 集団戦 『イタズラ好きな小悪魔』

POW   :    催眠魔法 【指先】を向けた対象に、【催眠状態にする魔法】でダメージを与える。命中率が高い。 SPD   :    変化魔法 【指先】を向けた対象に、【恥ずかしい姿に変える魔法】でダメージを与える。命中率が高い。 WIZ   :    拘束魔法 【指先】を向けた対象に、【動きを封じる魔法】でダメージを与える。命中率が高い。 イラスト：花芽 橙色 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

　護国鉄神零號と破軍はひどく頭を痛める事となった。
　何故ならば、やってきた悪魔達は『いたずら』に執心していたが故だ。
　成程、悪魔達のいたずら心と謂うものは『なんでも』よく、あらゆる『癖』とやらに対応できるらしい。つまり、そういう沙汰なのだ。狂気の沙汰と謂うべきものだ。待っていてください、パワフルで、カッコよくて、ワルそうなご主人様。貴方様の為に、あの｜猟兵《KING》とやらを存分に苛め倒してあげましょう。それと、出来れば貴方様にも悪戯をしたいですね。そう、莫迦なのだ！　悪魔達はひどく強いと謂うのに、その強さを『いたずら』にしか使わないのである！　まあ、私達も？　もしかしたら満足出来るかもしれませんし？　まあ、それなら其方側についても良いのですが！
　地獄のいたずら地獄を味わうといい！！！


　ひどく純真な悪魔はまるで雛だ、ノックした後ひび割れて、貌を晒して最初に視たのが『神』だった。あのボディもあの発言も、秘められし圧倒的なパワーも、隠せる代物ではないのだから、ヒョコヒョコ付いていくのも仕方がない。護国鉄神零號さんがパワフルでカッコいいワルなのは間違いないのでは？　まったく無辜ではないか、無辜的な『ワル』なのではないか。いいや、過去として復活を遂げたのならば『無辜』も死んだが同然である。まあ、ワルは彼の本意ではありませんし、オブリビオンにつくのはダメなので教育いたしますが。そうとも猟兵、オマエこそが魔王なのだから、｜魔王《ダイモーン＝スルタン》なのだから、確りと小悪魔どもに魅せつけてやると宜しい。ほほほ、わたくしを苛める？　わたくしを分からせる？？？　それは天地開闢をやり直すよりも難しいですわねえ！　天地がひっくり返っても無理な事ですわ！　どんな魔法だろうと、どんな罠だろうと、魔王にとっては小細工でしかない。小細工に引っ掛かったとしても、それは、別に痛くも痒くもない沙汰か。ロリータですの！　ほほほ、甘いですわ。わたくしはどんな服装でも似合ってしまいますの。高笑いと共にやってきたのは悪魔的な暴力だ、無尽蔵の魔力から放たれる黄金の輝き――ええ、分からせてあげますわ。わたくしが如何にパワフルでカッコよくて、強いのかを――ようこそミキサーの世界へ、あらゆる『もの』は破滅へと誘われる。
　最初に砕かれたのは悪魔ではなく『天地』だった。神の怒り、神の雷によって魔界の一部が塵芥と化した。巻き込まれた悪魔達は、ああ、グチャグチャになって、更なる暴威に晒される。颶嵐だ。天へと、宙へと攫われた悪魔達の悲鳴が聞こえる。ちょっと嬉しそうなのは流石といったところか。反省するまでぐるぐるの刑です。それこそ、何処かの勇者みたいに、腐った葡萄みたいな顔色になるまで――まだまだですわね！　とはいえ、オブリビオンが絡まなければどんな悪戯もOKです。精進なさい！　もっとも、わたくしに悪戯を仕掛けても面白い反応はできそうにありませんが。
　――天より落ちた小悪魔の一人が反吐を出すように呟いた。
　い、いつか、わからせてやる……その為なら……貴女様の、配下に。
　いい気概ですわね！

成功 🔵​🔵​🔴​

　我は……我は……！
　……もの凄く強いのにバカな奴が一匹増えましたね？
　リビドーに塗れた現世において、これを完全に抑制する事は不可能に等しい。何故なのかと問われたら、そう、玩具の類があまりにも『多い』のだ。たとえ量を減らしたとしても人類の想像力は神すらも冒す。危険にぶち当たっても這い進んでいくこのサマは途轍もない埒外性への一本道に違いない。…………イタズラをしたい？　ピンク色の髪＝淫乱だと何者が決めつけたのか、だが、少なくとも、神の目の前に在る『このピンク』には当て嵌まるか。別の神だって保証しているのだし、最早、訂正する為の隙間もない。……それならあの零號ちゃんとかどうかしら。おっと、随分と話のレベルが高くなってきたのではないか。いや、そもそも悪魔達は『彼』も悪戯の対象として見てはいる。成程、説得してしまえば頼もしい味方になってくれる筈――パワフルでカッコよくてワルそうな人を、美少年とかに変えて、ひん剥いて、いろんなところを弄り倒して、恥ずかしさで真っ赤になった顔を見てみたいって思わない？　待て、ちょっと待て、可笑しな者よ、我にそのような趣味はないのだが？？？　割り込んできたのは本人だ。おお、パワフルでカッコいいワルがツッコミを入れている。これは、もしや、冒涜的で最もワルい悪戯なのではないか。思うでしょ、私も思う。あっ破軍さんでもいいわ。猟兵？？？　飛び火した。違う。総ては予定調和なのだ。可愛らしいシマエナガからの唆しなのだ。護国鉄神零號と破軍はかるい眩暈にやられる。私も協力するから二人を滅茶苦茶にしてみない？　二つ返事だ。小悪魔達が発狂し、絶叫し、喜悦する。あ、私にイタズラしてもいいけど、それはそれであの二人は絶対に……。小悪魔達の視線はもうあっちだ。お互いの意見を尊重して無謀をするとよろしい。何処ぞの鳥さんも吃驚な文化である。
　返り討ち？　襤褸雑巾にされる？　知った事か。いや、知らない事だ。そんな未来は微塵も頭にないし、脳内はいつだってピンク色だ。そう、どいつもこいつも莫迦なのである！！！　不意を打たれた護国鉄神零號と破軍は、さて、いったい如何様な美少年、美少女と成り果てたのか。それこそ、シュレディンガーと描写した方が悦ばしい！
　あなたも可愛くしてあげるわ！　してあげたのよ！　キャッキャと燥いでいる小悪魔諸共に、猟兵、ロケットパンチその他で吹っ飛ばされる。小悪魔も巻き込まれていたので成功にしておこう。よしっ！！！

成功 🔵​🔵​🔴​

　一緒に遊びましょ、私、そんなに怯えなくてもいいんだよ。
　これが私の望みだもん、それとも、気持ち良くなりたくないのかな？
　頭痛の種と呼ばれる代物は、いつしか、強烈なまでの憧れを天地に満たした。恐れ知らずな悪魔どもは喜悦に身を震わせ、恍惚に脳を溶かし、神の如くだと、魔王の如くだと崇拝を始めた。護国鉄神零號さんは、望まぬ、破壊活動を、世界の破滅を、強いられて、苦しんでいるのに――まるで画面の中の偶像に対しての仕打ちではないか。復活を期待された四文字へと訴えではないか。それを、パワフルでカッコいいワル、だなんて……。莫迦げている。そう、破軍の言の葉の通り、これは莫迦げた事態なのだ。小悪魔さん達の目を、覚まして差し上げないと……。かわいらしいアリスにも、オラトリオにも『やるべき』事は解っている。わからせてやるのだ。その為には内気な自分では、純粋な自分では難しいともう一人の『自分』を招く。お願い……分身ちゃん、私と違ってまっすぐに意見ができる分身ちゃんなら、きっと小悪魔さん達を正気に戻せるはずだから……？　自分との会話を試みようとした瞬間の筆舌に尽くし難い違和感。なんだろうか、こう、にょきりと『萌えた』ような異質。ふと顔を横に向けると其処には『指を指している』小悪魔が一匹。
　小悪魔の『指』が下へ下へと向けられる。それと同時に見えてくる違和感の正体。ああ、そうだ。ふにりと、柔らかったものがちょっとだけ硬めになる。……？　股あたりに『ありえない』膨らみ。いや、そんな、まさか……。思考が追いついた頃には手遅れだ。これは仏陀を唆した部位である。そう、魔羅だ。しかも、けっこうな太さと長さをしている。開いた口が塞がらないし、ついでに、まったく治まる気配もない。あ……あ……？　悪夢に飛び込んだのはオマエだけではない。分身ちゃんも巻き添えである。
　ずい、と、混乱した脳味噌へと圧し掛かってくる肉のようなもの。小悪魔が自分を押し倒した事に気付くのは数秒後だったか。服の上からゆっくりと、円を描くように弄ばれる。形容し難い心地に囚われて、何か、おぞましいものが迫ってきた。ほんのり汚れた布一枚。剥ぎ取られてしまったらもう後には引けない――。
　振盪のように侵蝕してくる、騎乗されてしまったらおしまいだ。だめ、いや、なんて口にしても大嘘のように聞こえてしまう。いっそお隣の分身みたく欲しがりになれたら良かったのか。これ以上激しくされたら耐えられそうにない。ねえ、もっと正直になったっていいじゃない。我慢する必要なんてどこにあるの？　わからされちゃえ、ほら、ほら……！　声が漏れる、汁気と共に脳漿もはじけたか。
　凶悪な臭いではないか、こんなもの、如何やって処理すればいい。

成功 🔵​🔵​🔴​

　大げさなくらいが丁度良い。
　リアクションは完璧だ。
　トロンとしたおめめも実にリアリティがあった。
　ちょっとお見せ出来そうにないお隣さんについては、ちらりと、楽しそうだなぁとボンヤリ思ってやると宜しい。悪戯が大好きな小悪魔どもが『あの程度』で満足するのか否かと謂ったら、そう、猟兵のイメージしていた通りだ。彼女等の『ワル』さは留まるところを知らない。知っていたとしても、痴れているのだから、最早、盲目の域と描写しても問題ない。可愛い子達を攻撃するのは気が咎めるし、むしろ、いたずら『されたい』のが本音だよね★　覚悟はとっくに決まっているし、決まっていなくても関係ない。オマエの演技は神を騙す域に到達しており、成程、それにリビドーが絡まってくるならば倍々と謳うべきか。クローネちゃんは催眠にも耐性があるからね♪　そう簡単に引っ掛かってあげないよ★　そんなフウに口にするやつはだいたい『よわよわ』だと小悪魔達は理解していた。方法はなんだっていい。たとえば、催眠魔眼、たとえば、五円玉ゆらゆら、たとえば、最新のアプリ……小悪魔達は一斉に猟兵へとそれぞれの｜催眠《とくい》を畳みかけた！　因みに、催眠を掛ける方法は好みでしかない。実際には指差し確認の後のダメ押しである。
　それだけ？　それだけなのかな？　クローネちゃんには効果なかったみたいだね★　云々と宣いながらちょっと恥ずかしいポーズを決める。小悪魔達は口元を押さえ、プルプルと笑いをこらえていた。かかっている。かかっていないと言いながらかかっている。種明かしをしてしまうと『何もかもは演技』なのだが、イタズラが成功したと有頂天な彼女等は欠片も気付きそうにない！　恥ずかしい科白を謂いながら、そうね、私のお尻にキスしなさい。正気の儘で『やる』には無茶な命令にもしっかりと応えてやれ。はい……クローネちゃんは小悪魔ちゃんの桃が食べたくて食べたくて、しょうがないんだよ♪　じゃあ、あとは……そうだ。ちょっとこの場で宙に浮いてくれないかしら！　クローネちゃん、宙に浮きます★　ぷかぷか、宙に浮くなど催眠状態でも本来、不可能なのではないか。いや、其処は猟兵である。きっと何かしらの埒外性を働かせたに違いない。
　愛用品のおかげでバッチリだ。
　典型的こそ喜悦を満たす花とせよ。

成功 🔵​🔵​🔴​

　操作性に関しては抜群だ、機械仕掛けとの違いを教えてくれ。
　パーツだ。パーツの大きさや、柔らかさ程度の差だ。
　サキュバスめ、プロを名乗るには数百年早い。
　神に従うと宣言した時点で、神に屈すると示した時点で、ああ、最早悪魔は敵となった。イタズラされるのも、弄ばれるのも『正気』の内であったのならば受け入れていたのかもしれない。だが、脳髄とは想定していた以上に嫌悪や憎悪を孕むものだ。莫迦にするな、莫迦にするなよ。たとえ、臓腑の一欠片までグチャグチャにされようと――問答無用戦血に沈め！！！　反吐よりも反吐な、穢れよりも穢れな、闘争に次ぐ闘争によって生じた｜紅蓮《ヘル》とやらを顕現させると宜しい。おお、何が溢れたのかと頭を垂れれば、血だ。あらゆる｜禍戦争《ゲヘナ》であふれたカーペットの化身。それは愈々奔流となって、パワフルに、圧倒的にワルく、小悪魔達をもみくちゃにする。溺死だ！　死なないが、溺死するかのような想いだ！　想いと共に潤った咽喉は果たして如何様な地獄の悪戯に触れてと謂うのか――ぐるぐるの刑再び！　この渦巻きは深淵よりも、遥かに、狂っているかのように濃厚か。全員血を飲んだな。じゃあ、まずは貴様だ！　視界が赫々と晒される。
　一体の小悪魔が見ていたのは猟兵の姿だった。ユーベルコードの発動に失敗した『猟兵の姿』だった。猟兵に向かって、嘲笑うかの如くに指を差したなら、おかしい。猟兵も此方に指差しを『してきた』ではないか。埒外性の模倣？　いいや、違う。気付こうと、気付かなかろうと、混乱からは逃れられない。次はお前だ！　その次は貴様だ！　そしてその次は貴様だ！！！　催眠、或いは拘束の等活、目を回すのは連中だけでいい！
　残念だったな！　悪戯するのも、破壊するのも、自分の方だ！！！
　より悪を為すのは自分達猟兵だ！　ロケット・パンチも波動砲も、このワルさに掛かれば霞んで見えるだろう。分かったか！！！　分からない？　もう一度だ、貴様！！！
　オマエの叫びは届かない、小悪魔達は催眠によって正体を失くしていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

　冷静になって考えてみたら、いいや、冷静にならなくとも、一歩踏み外していたのではないか。いっそ足場を欠片もなくしてしまえば、彼女等も奈落の味と謂うものを愉しめるのではないか。ひどく冷たい裏切りの園において悪魔は重要な役割を与えられる。
　現実と幻想の狭間にて小悪魔達は眩暈した、何度も何度も重ね掛けされた、重ね掛けしてしまった催眠は彼女等の正気を掻っ攫うのに『十分』である。故に、これは失態だ。問答無用に呑み込ませてしまったが為の誤りだ。しまった……！　混乱させたのでは、正気を失わせたのでは、我らの暴威を示しつけられない！　ひどい失念ではないか、ひどい盲目ではないか。いや、盲目的なのには反論し難いが、だとしても、この『しでかし』は大きいものである。では、自分はいったい、猟兵として、破壊兵器として、どうすべきか……？　護国鉄神零號のパワーとカッコよさを上回るには、どうする！！！　答えは前頭葉を抉るよりも。大脳を切除するよりも容易なものだ。こうだ！！！　こうするのだ！！！　自分はどこまでいっても猟兵で、敵を破壊する為の道具である。おお、天地を裂くかの如くに大蛇は｜蜷局《わら》った。夜こそを剣とし、身を得物とし、あの混乱とやらを穿ち貫くと良い。このタイミングで正気に戻ってしまうとは可哀想な小悪魔達だ。
　圧倒――宙を埋め尽くすかの如くに飛翔し、超がつくほどの巨大化に成功したキャバリアを視よ。滝ではなく竜巻を登り『進化』したかの如く『まつろわぬ大魔』は鳴き出した。あの回転を知れ。あらゆる物質を、あらゆる精神を蹂躙する、冒涜的なまでの威圧――ドリルと回転刃こそ埒外性の象徴と言の葉にしておこう。指先向けられようと、恥辱を望まれようと、一切を拒絶してやると宜しい。これが奴等に対しての攻撃の技術である。どろりと溢れたスケープゴートからの涎は、果たして、何処の神に注いだ葡萄酒であったか。魔に連なるものならばわかるだろう！　悪魔の名を語る貴様らならばわかるだろう！　そして、貴様らは今、神に服従するものだ！　故に――故に！　夜剣の暴威を刻み付け征する！　いけ！　夜剣！！！　泥だらけの大渦巻きだ、最早、ユダだけが彼女等の名であった！　千切れたパンを唾棄せよ、これは神聖なものだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

　虹色の彼方は時に不意を打ってくる。
　神の降臨と悪魔の囁き、両者が同じならば世も末か。
　暴力――それは、あらゆる問題を解決する為の『ひとつ』の簡単な手段である。対象を倒してしまえば、滅ぼしてしまえば、報復なども怖くはないと謂うワケだ。されど、本当に『それだけ』が答えなのだろうか。ある種の問答に、悟りのような何かに、オマエは縋るようにして呼吸をした。戦わなくても何とかなるです？？？　悪戯をされる、可愛い可愛い小悪魔達からのちょっかいならば、むしろ、ご褒美の内に入るのではないか。それに加えて……ちょっとぐるぐるしすぎて色々とやばいので助かるですよ。いやほんと、マジで助かる！　余裕なさげな叫びと共に構えてみせた。とゆーことで……どっからでも、受けて立つですよ。こういうお遊び的な『もの』に不可欠なのは高度な柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処すること。だって、新鮮なリアクションが大切だからね。なので、あえて予想したりなんか――するつもりはない。だが、新鮮なリアクションと聞いて『なに』を想起するのかと謂えば。ああ、それこそ『神』のみぞ知る。ぐ……ぐるぐるバット……いやいや、そんなまさか。とーぜん事前準備もしていない。していないので、指差されての硬直もされるが儘と。
　ねえねえ、私、ワルな行為を教えてもらったんだ。へえ、どこで？　なんでもどっかの国では縛った捕虜を引ん剝くんだってさ。どうやって？　えっと、確か……よいではないか？？？　ちょっと待つのですよ。それは、ワルっぽくない行為と謂うか、あれだよね。神聖な行為な気がしてこないかな。新鮮なリアクションではなく使い古されたリアクションが『良い』時もある。腹をくくってのあーれーだ。これ以上のぐるぐるはまずいっぽい。
　そうしてやってきたのは『偶然』だ。蛇腹の脅威については、最早、描写する必要もないだろう。羅刹は旋風を巻き起こし、紅蓮を咲かせ、只管に悪魔を裂いていった。戦うつもりはなかったけど、まあ、結果オーライですよ。僕が限界を迎えたくらいだよね。

成功 🔵​🔵​🔴​

　動けない。動ける筈がない。
　異様さだけで評価したなら、オマエこそがバッドエンドの奴隷と謂えよう。
　――つるりと、腹部を舐られた。
　嘘吐きは泥棒の始まり、そんな言の葉を、口の中が蹂躙されるくらいには子供の頃に聞いた気がした。泥棒と悪魔が＝なのだとしたら、ああ、彼女等はきっと大怪盗に違いない。予告もなしに、登場シーンもなしに、コソコソと『獲物』を狙う連中とは違うのだ。……大理石の剣で仕掛けてやるよ、石化の呪詛でKOしたなら、可愛い子を2～3日お持ち帰りの刑だ。何処かの魔王サマによるぐるぐるの刑よりはマシかもしれない。兎も角、猟兵の埒外性を存分に揮ってやるとよろしい。可憐な剣舞はまさしく姫騎士が如く。触れ、薙ぎ払われた小悪魔達は瞬く間に｜石像《うご》かなくなった。これなら破軍も安心して余所への援護に行けるっしょ。バカの相手は任せましたよ、私は、やられた猟兵の救助に向かいますので。
　嫌な予感と謂うものは遅れてやってくる。失態の二文字と謂うものは手遅れであるが故に響くのだ。……で、何でこんなに小悪魔多いの？　想像出来なかったのか猟兵よ。護国鉄神零號の『パワフルでカッコいいワル』な外見は魔界中の小悪魔を呼び寄せたのだ。多勢に無勢となってしまえば、ああ、幾ら猟兵でも敵いそうにない。アッという間に囲まれて、指を差されての拘束だ。お、おい……アタシをどうするつもりだ……？　五芒星の魔法陣、その強靭さについては説明の必要もない。俎板の上の鯉は、大の字のオマエは、もう、イタズラ『される』以外に道がない――だ、大理石にするだって？　因果であった。
　狂気なのだろうか。正気だからこその『エスカレート』だろうか。小悪魔達の『意見』は纏まらず、徐々に徐々に、嗜好だけが固まっていく。マネキンなんてどうかしら。私は蝋人形がいいと思うわよ。ここは女王様を称える為に氷漬けなんて……。それなら水晶に封印するのは？　もっとワルい方法があるわよ。ねえ、貴女はどう思う？　やめろ、やめてくれ、アタシはまだ……。あら、知ってる？　嘘吐きは勇者の始まりなのよ。貴女、さっきから笑っているじゃない……。そんな、莫迦な、こと……。
　邪魔な布切れとのサヨウナラだ。ねちねちと、足元から『指差され』の悪戯が幕開ける。爪先からゆっくりと冷たく、重くなっていく。アタシの身体はいったい『なに』にされているのか。決まっているじゃない、あの、ワルそうな人と『おんなじ』ようにするの。ぐい、と、目の玉を動かしたならちらりと覚える銀の光。金属だ。アタシは『金属』になっている。ようやくなのか、もう、なのか、臍あたりを撫でられ、流し込まれるイタズラ地獄な魔法――背徳芸術に終わりなどない。それは、オマエの脳髄に蓄えられた鉛のようなものだ。感想？　そうねぇ、なんだか、こういうの嫌いじゃないわね。いつもの有り様だ、よくある無様だ、永劫こそが友であれ。
　妖しく、艶やかに、塗りたくられた光の中。
　呼吸をしている脳髄は何をイメージするのか。

成功 🔵​🔵​🔴​

　女性らしく、美しく、何よりも『魅せる』事については自信があった。その所以は自らの肉体にあり、それと同時に知識にあった。人を殺す為にはまず人の『カタチ』を把握しなければならない。その結果の副産物だとしても、その結果の影だとしても活かせるのであれば御の字か。ふふ……わたしのとっておきのイタズラで、悪魔を味方につけちゃうわよ♪　成程、殺人めいた小悪魔な嗤いだ。いったい、猟兵の頭の中には如何様な未来が見えていると謂うのか。兎にも角にも下準備から始めると宜しい。フィーナさんにはこの衣装を着てもらいます。悪魔の尻尾に悪魔の角、シンプルな黒をベースとしたちょっとへっちな代物だ。むむむ……なんて、恥ずかしそうにお人形さんは唸っていたが、これも世界の為、カタストロフを回避する為なのだから、ぐっとこらえて着替えてくれた。似合ってるわよ、フィーナさん。舞台は整った。あとは悪魔達を熱狂させるだけか。
　皆さんを味方につけて、世界を守りましょう！　とにかく、こっちのが強そうに、ワルそうに見せればいいのね。響華さんの用意した――ちょっともにゃもにゃな――衣装を纏って、堂々と、悪魔達の前に身を投げる。両手でインストルメントを構えたならば『偶像』のはじまりだ。これがサウンドソルジャーの、国民的スタァの実力である。イェーイ！　耳かっぽじってよく聞け―！！！　この音で痺れろー！！！　デスメタル！　可愛らしいオラトリオの咽喉から出たとは思えない狂乱だ。心臓を破るかの如くに、さあ、双子の月と共に沸かせるが好い――ノリと勢いこそ大事な要素。この調子なら、イタズラなしでも大丈夫ですよね！　何かしらのフラグが立った。誰の所為でもない。
　きゃー、かっこいいー♪　ド派手な衣装とド迫力な歌声、このふたつが揃ったのならば悪魔達は『本来の目的』を忘れそうになる。視線を集めてくれているスタァの為に埒外性を巡らせるなら、それこそ、嘆きの壁とするべきだ。演奏中にウズウズ、乱入を試みる悪魔が数体いたが大切なものには触れる事すら赦されない。ええ、触れるのはわたし『だけ』。わたしのイタズラはここからなのよ。如何やら演奏は終わりのようだ。悪魔の熱は未だ冷めず、押し寄せようとした瞬間――「えい♪」手を振っているあの子は災難だ。
　悪魔の衣装の仕掛けこそ悪魔的だった。紐をかるく引っ張るだけで、力を加えるだけで神のようにバラバラになる。数秒程度の停滞に、泥沼に、浸っていた次の瞬間、魔界に喜悦が蔓延する。きゃーーーーっ！！！　飛び上がった。びっくりとはずかしいの混在、これには悪魔も目を剥くか。もぅ……変な事しないで！！！　真っ赤なリンゴは拳をあげて『悪魔の中の悪魔』を追いかけまわす。こんなことしてないで、早くみんなで護国鉄神零號を撃退しましょう！！！　あはは！　逃げ往く君の満面だ。悪魔達にVサインでアピールしたのならご馳走様と謂わせると宜しい。こんなサービス、めったにしないんだからね☆
　ああ、やはり、猟兵ってもの凄いワルなのですね。
　私達、そちらに寝返る事にしますわ。
　こうして悪魔達は如何にかなった。

　それで響華さん、着替えは持っているのでしょうか？
　……響華さん？？？　あの、響華さん？？？
　持ってるよ、｜悪魔の衣装《二着目》だけどね♪
　響華さん！！！！！

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2024年09月17日