帝都櫻大戰⑮〜IZANAMI Rising
●Phantom Moonlit face
アメリカ東海岸の都市、イースタン。
ヒーローズアースに珍しく桜が乱れ、咲く。
桜の名は幻朧桜。
伴う闇は影朧。
そして戦う者の名は――ヒーロー。
トレンチコートを纏ったヴィジランテが棒術を駆使して将校姿の影朧の軍刀をいなしている。
「What? 私の知っているニホンにはこんなヴィランはいなかったぞ」
軽口と共にヒーローは棒を将校の喉元に撃ちこみ、大きく宙返りしながら距離を取る。
「頼んだぞ、マニトゥ」
「精霊は言っている。オブリビオンに無力なヒーローはもう居ないと」
呟きと共にマニトゥと呼ばれたネイティブが駆るV型エンジンのスポーツカーが影朧を跳ね飛ばした。
「そう、質量こそは正義と」
「酷いもんだ」
トレンチコートのヴィジランテが苦笑した。
「これからどうする、ハンド?」
車のボンネットに飛び乗ったヒーローに問いかけるネイティブ。
「決まっているさ」
地に足をつけたヒーローは答える。
「時間を稼ぐのさ。猟兵という名の友人の来訪に供えて」
光り輝く拳が愛と死の女神たるイザナミに叩き込まれ、その身を大きく揺らがせた。
「|蛆獣《そじゅう》の力が弱まっている! これは、骸の海との接続が遮断されたのですか……!?」
「どうやら私のエナジー・ゲートが通用したようだな」
神の前に立つのは一人の男――ジャスティス・ワン。
イザナミの頭部より生命を貪る蛆獣の卵が放たれるがそれすらも輝ける光によって消し飛ばされる。
(いつまでも持つわけではないが……)
女神に対峙するヒーローの中で思考が回る。
英雄だとしても人間だ。
リスクを頭に入れる勇気だって持っている。
そして……。
「だが、今なら彼女を倒せる筈だ!」
信じて、立ち向かう勇気も持っている。
そう、来るべき者のために!!
●グリモアベース
「諸々の案件を片付けて、かけつけたら世界をまたぐ規模になっていたね」
グリモア猟兵、氏家・禄郎(探偵屋・f22632)が溜息と共にタイプライターを打鍵する。
「私の事情は置いといて早速仕事と行こう。現在ヒーローズアースに幻朧桜が舞い、エンシェント・レヰスが一人『イザナミ』が現れている。彼女自身は冥府の|蛆獣《そじゅう》に蝕まれオブリビオンとして敵対している。そして、今相打っているのが――ジャスティス・ワン。此処までは分かるね?」
グリモア猟兵が状況を確認した。
「あとは簡単だ、直接乗り込んでイザナミを倒すのが今回の仕事だ。勿論、強敵だ。だから今回は二つの方法を使うのをお勧めするよ」
出力した用紙を渡しつつ探偵屋は説明する。
「一つはイザナミと冥府が切り離された短時間の隙を狙う。これはジャスティス・ワンがタイミングを計ってくれるから、そこまで耐えてからの攻撃になるだろうね」
タイプライターのベルを鳴らしつつ禄郎は話を続けた。
「もう一つはジャスティス・ワンとの共闘。こっちは時間との勝負だ。彼もいつまでもエナジーゲートで抑え込めるか分からないからね」
既に道は開かれ、桜が舞う。
「どちらにしても戦いは始まっている。神様だって眠る時間は必要だ。それじゃ――行ってきて」
幻朧桜が舞う戦いは世界をまたぎ始めた。
だからこそ必要なのだ――猟兵という存在が。
みなさわ
世界を守るものが居る。
だが世界中が君を待っている。
お世話になっております、みなさわです。
今回は桜舞い散るヒーローズアースでの一幕です。
●戦場
アメリカ東海岸の街、イースタン。
それなりの都市ではありますが、今回は戦いの規模が大きいので細かい事は気にしなくて大丈夫です。
●ジャスティス・ワン
ジャスティス・ウォーの時代の最強ヒーローです。
ユーベルコード『エナジーゲート』の他に色々と能力を持っています。
●その他
マスターページやタグも見ていただけると幸いです。
それでは、皆様。
世界をまたぐサクラミラージュの戦いをよろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『イザナミ』
|
POW : 幻櫻死界
指定地点からレベルm半径内を【サクラエリュシオン】に変える。内部にいる者は活力(体温・燃料等)を激しく消耗する。
SPD : 黄泉変異卵
【冥府の蛆獣】から無限に供給される【生命を貪る蛆獣の卵】を、最大レベル体の対象に一瞬で投擲できる。
WIZ : 火雷大神
自身に刻まれた【オブリビオン化の烙印である腐敗した肉体】を引き裂き、【8体の火雷大神(ほのいかづちのおおかみ)】を召喚する。[8体の火雷大神(ほのいかづちのおおかみ)]は死ぬまで敵を追跡し、【雷】で攻撃し続ける。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
フィーナ・シェフィールド
アドリブ連携歓迎!
ジャスティス・ワン。
世界を守るため、イザナミ様を眠りにつかせるため。
「一緒に戦いましょう、ヒーロー!」
シュッツエンゲルにオーラを纏わせて防御結界を形成しつつ、イーリスを手に歌唱準備。
「さぁ、いきますよ!」
【もう一度、この世界で生まれ変われたら】を発動。
戦場に無数のスクリーンを投影します。
そこに映すは、悪に敢然と立ち向かうヒーローの姿。
「みんなで応援してます!あとちょっと、がんばってください!」
もちろん、応援するだけではありません!
「あるべき場所へ還って!」
イザナミ様も、こんなことしたくないと思っているはず。
破魔の歌声をイザナミ様に向けて放ち、その存在を浄化していきます!
雪華・風月
はい、本当まさかの世界をまたぐ大事になろうとは…
異世界にこのまま迷惑をかけるわけにはいきません
イザナミ、この世界から退いて頂きます
雪解雫の霊力を纏いて…【霊的防護】備えに
敵の攻撃を観察…『見切り』『受け流し』【武器受け】
でダメージを最小に耐えます…
雷…『ダッシュ』でなんとかなりませんかね…『ナイフ投げ』で咄嗟の避雷針代わりなど
冥府が切り離された今!
霊力を『浄化』の力と変え『居合』一閃…幻朧桜の桜花の竜巻と合わせて『斬撃波』を…
そのまま元の躯の海に拒否するならどの道、竜巻と斬撃にて退場してもらいます!
●ソング ウィズ チェリーブロッサム
|マルチプレートドローン《Schutz Engel》に光を纏わせオラトリオが、學徒兵が飛ぶ。
「さぁ、いきますよ!」
フィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)の言葉に雪華・風月(若輩侍少女・f22820)が頷く。
「はい、本当まさかの世界をまたぐ大事になろうとは……ですが異世界にこのまま迷惑をかけるわけにはいきません」
視線の先に居るのはエンシェント・レヰス。
名をイザナミ。
「イザナミ、この世界から退いて頂きます」
風月が飛ぶ、神へ向かって。
それに続くのは別の光、そしてフィーナ。
(ジャスティス・ワン)
翼ある歌い手の視線の先に居るのはヒーロー。
(世界を守るため、イザナミ様を眠りにつかせるため)
フィーナもまた決意は変わらない。
「一緒に戦いましょう、ヒーロー!」
戦いの歌が今、始まった。
マイクを片手に翼ある女が歌う。
|もう一度、この世界で生まれ変われたら《Starting Over》
戦場に浮かぶ無数のスクリーン。
そこに映るのはこの地で戦う英雄たち。
トレンチコートのヴィジランテがナイフを投げ。
ネイティブが斧を振るう。
錫杖を持った魔術師がゼンにて敵を封じれば、黒いコートの男がオブリビオンの銃で殺しにかかる。
そのスクリーンを突き破るように飛ぶのはジャスティス・ワン!
「――ふん!」
ビル街から砂漠へと吹き飛ばす一撃を女神はなす術もなく喰らい戦場が移り変わる。
「みんなで応援してます!あとちょっと、がんばってください!」
歌こそが力。
歌こそが対話。
歌こそが心を震わす。
イザナミに悔恨の意志を与える浄化の歌声が冥府の蛆獣の侵食を押さえつけているのだ。
それでも放たれる火雷大神。
むしろ支配が弱まったからこそ無意識に腐った肉を引き剥がし、それを蛆獣が操るのだろう。
雷が風月を襲う。
|火雷大神《HonoIkazuchi-OOKAMI》
学徒兵が走る。
黒塗の短刀を投げ、避雷針代わりにダッシュしつつ女神の前へ。
それでも降り注ぐ雷。
受け止めるはこの地の英雄。
「雷なら電位差が生じるはず! ならばー」
ジャスティス・ワンの吹き付けたブレスが空間を凍結させ、氷塊を発生させる。
雷が氷に阻まれている間、英雄は片目を光らせた。
「今だ、猟兵! エナジーゲートが冥府とのリンクを断った」
「――はい」
風月の呼吸が霊力を引き出し、意志が浄化を望む。
居合の一刀を以って放たれたそれは桜花の竜巻。
|瞬風退刀《Repatriation of Whirlwind》
骸の海へ帰さんとする竜巻。
そこへ重なる破魔の歌声。
「あるべき場所へ還って!」
フィーナの歌声が竜巻に乗り、斬撃を伴った風月の一撃はイザナミに叩き込まれた。
閃光。
光が場を覆い。
戦場からはじき出された女神は市街地を超え、海へと飛ばされた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
高天原・光明
ジャスティス・ワン、あなたのタイミングに俺が合わせよう。何、俺は狩人だ。機会を狙う事には慣れてるさ。この世界と俺の世界の為、共に彼の女神を打ち倒そう。
投擲される蛆獣を〈対空戦闘〉で射落としながら〈軽業〉で距離をとって機会を伺おう。ジャスティス・ワンが冥府の門を閉じたら【UC:千里より飛来せし黒死】(SPD)を発動だ。ありったけの霊力を〈振り絞り〉編み上げた〈浄化〉の一矢、俺の|狙撃《スナイパー》でイザナミの急所へと届けよう。
機会を待つのは得意だが……それ以上に、機会を逃さないのはもっと得意だ。門は閉ざされ、活路は拓いた。今こそ、この一射にて終わらせよう。この一矢、女神イザナミに奉る――!
アヴァロマリア・イーシュヴァリエ
アドリブ歓迎
選ぶのは共闘
ジャスティスおじさんが力を貸してくれるなら、イザナミのお姉さんもやっつけられるね!
これ以上悪いことを無理やりさせられることがないように、マリア達で助けてあげよう……本当の意味で、救ってあげることはできないけど……!
冥府の蛆獣っていうのが無限に供給されるなら……無限にお腹を空かせた子達を呼んじゃうからね!
ジャスティスおじさんのゲートで力が弱まっている間なら、一気に食べ尽くしてイザナミのそばに近寄るまでの道を開けるはず。
そうしたらあとはマリアの祈りの剣と、ジャスティスおじさんのパワーで、思いっきりぶつかるだけだよ!
●ローカスト スティング ア レイ オブ ホープ
太平洋上空。
猟兵によって吹き飛ばされた女神は再び冥府の蛆獣による侵食を受ける。
「……くっ」
苦悶と共に抗おうにも猟兵が刻んだ悔恨の意志を糧にしようとも死んだ身ではなす術もない。
蛆獣が卵を生み出す中、ジャスティス・ワンが光と――猟兵を伴ってその場へと現れた。
「……イザナミ」
ヒーローとて人間だ。
神の中にある苦悶も理解はでき、伝えんとすることも分かる。
拳を握りしめる事しかないジャスティス・ワンにアヴァロマリア・イーシュヴァリエ(涯てに輝く・f13378)が声をかけた。
「これ以上悪いことを無理やりさせられることがないように、マリア達で助けてあげよう……本当の意味で、救ってあげることはできないけど……!」
マリアの言葉にも若干の迷いと悔恨がある。
だが、それ以上に。
「だから! ジャスティスおじさんが力を貸してくれるなら、イザナミのお姉さんも|やっつけられるね《return home》!」
前に進む意志があった。
「ああ……そうだな」
かつての自分を見るかのようにジャスティス・ワンが応えた。
「ジャスティス・ワン、あなたのタイミングに俺が合わせよう」
状況を現実に戻さんとばかりに高天原・光明(彼方より禍を射貫くもの・f29734)が進言した。
こういう場面で口を挟まんと敢えて振舞っているのか、それとも性分であるかは分からないが自らの役割を理解する者は誰よりも助かる。
故にヒーローも聖女も光明の言葉に耳を傾けるのだ。
「何、俺は狩人だ。機会を狙う事には慣れてるさ。この世界と俺の世界の為、共に彼の女神を打ち倒そう」
「分かった。君の目に賭けよう」
ジャスティス・ワンが頷くとマリアが声を上げる。
「みんな、来たよ!」
三人が構えた時、蛆獣の卵が飛来した。
先に疾るのは光明の矢。
ユーベルコードを紡ぐより速く矢が卵を射抜く。
「この場を任せた」
第一波を凌いだ功労者である狩人は後を任せると身を翻し、場を変える。
同じ場所で狩りをする者など居ない――その鉄則を光明は守っているに過ぎない。
「うん!!」
マリアが頷き、戦場を掌握する。
聖なる者が故に聖女は場を浄化できる。
聖なるが故に少女は災いすらも武器と変える。
「冥府の蛆獣っていうのが無限に供給されるなら……無限にお腹を空かせた子達を呼んじゃうからね!」
翅が鳴る。
顎が鳴る。
それは災い、それは黙示録の始まり。
現れるのはイナゴ。
|五つ目の喇叭、九つ目の災い《On Albe Svaha》
蝗害が卵を喰らう。
どんなに強い蛆獣と言えど、生命を貪る卵と言えど、群生相たる蟲に圧倒される。
食物連鎖の絶対なる階層が相性となりイザナミの力を封じていくのだ。
その間に走るマリア、続くジャスティス・ワン。
道は拓かれた。
後は一撃の為に力を叩き込むのみ。
聖女の祈りの剣とヒーローの拳が叩き込まれた時、冥府への繋がり途絶え、一条の光が走る!
「機会を待つのは得意だが……それ以上に、機会を逃さないのはもっと得意だ」
番えた矢を持つ手には霊力を練り上げ。
「門は閉ざされ、活路は拓いた。今こそ、この一射にて終わらせよう」
編み上げた浄化の一矢を今――。
「この一矢、女神イザナミに奉る――!」
女神へと奉納した!!
|千里より飛来せし黒死《Tootentanza》
祈りの狙撃は蟲をかき分け光となりてイザナミを天へと撃ちあげた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
国栖ヶ谷・鈴鹿
【超合一神、来たれり】
ジャスティス・ワン!
共闘出来ること、光栄です!
貴方が奥義を尽くすのであれば、ぼくも行きます。
ユーベルコヲド、超合一神・トリムールティ!
サクラエリシュオンへの改変。
改変ならぼくも得意でね。
エナジーゲートの異界放逐能力を応用させてもらいます!
発射まで、サクラエリシュオンを抑えてもらえますか?
超機械、超空転移波動砲!
簡単にいえば、空間を切り裂き、あるべき世界に押し返す超能力の転移嵐。
拒絶すれば、二つの螺旋する嵐から削り取られる、小暗黒星!
(サイキックロードに近い)
サクラエリシュオンごと、この世界から放逐します……!
御桜・八重
「サクラ・コメット、セットアーップ!」
桜色に輝くアーマー。これが|ここ《ヒーローズアース》での晴れ姿!
両肩のブースター兼オーラ砲のホウキングで蛆獣を撃破しながら
ジャスティス・ワンの元へ。
「わたしが隙を作るよ!」
超機動でイザナミの攻撃を躱しながら接近。
チェリーワッパーをかけて力を弱める。
「ジャスティス・ワン!」
エナジー・ゲートで冥府から切り離された瞬間、
ブースター全開、全速でイザナミに突っ込む。
「サクラ・コメット、いざ突貫ーっ!!」
ヤングアームズのみんな、ディテクティブ・ウイッチ、
デッドマンズ・ハンド、レイジくん、カピタンさん。
みんな頑張ってるかな。頑張ってるよね。
だから、わたしも頑張るよーっ!
●Welcome back to Sakura Echelion!
雲を、成層圏を、オゾン層をも突き抜けて女神イザナミは宇宙へと撃ちあげられる。
空気無き深淵の海にも桜は舞っていた。
それほどまでに女神の力は強い。
だが同じように太陽の光も強く差し込んでいた――。
「終わりよ、女神イザナミ!」
桜色に輝くアーマーを纏った御桜・八重(桜巫女・f23090)が
「ここにキミの居場所はないんだ……超合一神!」
超機械を核とした機械神に乗った国栖ヶ谷・鈴鹿(命短し恋せよ乙女ハイカラさん・f23254)が
ジャスティス・ワンと共に太陽を背にして、その場にいた。
全てを終わらすために。
「ジャスティス・ワン!」
鈴鹿の声が英雄の耳朶を打つ。
「共闘出来ること、光栄です! 貴方が奥義を尽くすのであれば、ぼくも行きます!」
|先覚者《ハイカラ》が共闘の意志を伝えヒーローもそれに頷く。
だがヒーローズアースの宇宙はイザナミによって既に命無き世界の残骸――
|幻櫻死界《サクラエシュリオン》
へと姿を変えていた。
「サクラ・コメット、セットアーップ!」
その滅びゆく世界の中を八重が飛ぶ。
「わたしが隙を作るよ!」
両肩のホウキングが火を噴き、蛆獣へ叩き込まれるとジャスティス・ワンの横を通り過ぎ、螺旋起動を描きながらイザナミへ。
「サクラエリシュオンへの改変」
機体のトグルスイッチを指で弾き、鈴鹿が情況を分析する。
「改変ならぼくも得意でね」
左手でレバアを倒し押し込んだ時、紅路夢が光り歯車が鳴くように回転数を上げていく。
「エナジーゲートの異界放逐能力を応用させてもらいます!」
「うむ、任せた! 能力方程式を伝える」
ジャスティス・ワンが頷き、テレパシーで力の使い方を伝達する。
「八重、発射まで、サクラエリシュオンを抑えて」
「任せて、鈴鹿さん!」
鈴鹿の言葉に応え、装甲纏いし巫女がイザナギへと迫った。
そうはさせんと、雷が異界となりし宇宙へと伝播する。
強烈なGに耐えながら八重は回避し。直後、英雄の視線が光線となりて女神の動きに牽制をかける。
牽制に反応し、召喚されし火雷大神の動きが止まる。
勝機が生まれた。
「チェリーワッパー!」
八重のアーマーから射出された超合金製の手錠がイザナギの手首を捕え、鎖を通して力を排出される。
「ジャスティス・ワン!」
巫女の言葉に応え、英雄はその身を輝かせる。
滅んだ世界が消え、宇宙が輝きを見せた。
「超機械、超空転移波動砲!」
トリムールティの両胸の装甲が展開し、内蔵されていたファンが高速回転する。
それは空間を切り裂き、あるべき世界に押し返す超能力の転移嵐。
そして拒めば……。
「二つの螺旋する嵐から削り取られる、小暗黒星!」
これこそが超機械の奇跡!
|超合一機神・トリムールティ《Deus evx machina・Trimourtie》
続いて桜色のオーラが星となる。
「サクラ・コメット、いざ突貫ーっ!!」
御桜・八重が星となり、彗星となり、そして光と――なる!
|桜彗星《SAKURA・COMET》
「ヤングアームズのみんな、ディテクティブ・ウイッチ、デッドマンズ・ハンド、レイジくん、カピタンさん」
脳裏に移るのはかつて戦ったヒーローたち。
彼らは空を見ていた。
「みんな頑張ってるかな。頑張ってるよね」
彗星と二つの嵐を。
「だから、わたしも頑張るよーっ!」
彗星が……女神を……イザナミを嵐の中へ押し込んだ時。
世界が割れるような音がした。
「サクラエリシュオンごと、この世界から放逐します……!」
鈴鹿がもう一つのレバアを押し込む。
だが感触が固く抵抗が強い。
それでも強き意志を以って、先覚者は握った手を前へ、前へと。
生まれ育った国を守るため。
誰かが生きる世界を守るため。
レバアがこれ以上動かないくらいに押し込まれた時、宇宙は静かな海となり。
英雄と桜色の彗星が機内の硝子に映りこんでいた。
大成功
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