帝都櫻大戰⑪~オレらの方がワルくてヤバい
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「……其の……」
|超古代種族《エンシェント・レヰス》、護国鉄神零號は困惑していた。
「わあ~、すごいねえ」
「ワルそうだねえ、かっこいいねえ」
此処はデビルキングワールド。ワルさとヤバさ、そして勤勉さと優しさもこっそり評価される奇妙な世界である。
この世界に護国鉄神零號が現れたのは、破壊目的以外の何物でもない……のだが……
「カチンカチンの身体、ワルそう~」
「さっきビルを壊したの、すっごいパワフルだった~! ぼく、ファンになっちゃいそう~」
「待て、ファンとはなんだ……我はこの世界を破壊しにだな」
きらきらきらきら。
周囲の悪魔――なぜかおくるみに入った赤ちゃんみたいなんだよな――がつぶらな瞳を輝かせる。
「ぼく、この人のファンになる~!」
「ぼくも、ぼくも」
「ええ……?」
「……どうしてこうも、いつもいつも……」
おくるみに囲まれて戸惑う護国鉄神零號。そんな風景を観察しながら、妖狐七星将『破軍』は頭を片手で押さえるのだった。
●
「やー、文化が違うと此処まで面白い事になるんだねぇ」
何故か一頻り笑ってから、瞳に浮かんだ涙を拭いメニ・シュガハニ(甘甘蕩蕩・f04470)は言った。
「今回あなた達に行って貰いたいのはデビルキングワールドなんだ。幻朧桜がね、沢山咲いてしまっている。サクラミラージュでの戦の影響は、他の世界にも出ているという事だね。其れで、敵は……ふふ、敵はねえ、デビルキングワールドの|一般人《・・・》なんだ」
あはは、とまたメニは笑いだす。
事態が呑み込めていない猟兵たちに、ほら、あそこってワルい奴ほどかっこいいでしょ? と。
「破壊の為に護国鉄神零號が降り立ったんだけど、ファンが出来ちゃったんだって。だから、今回は――猟兵へ彼等を再び振り向かせるための戦いになるのかな。デビルキングワールドの人達に、『猟兵の方がもっと強くてかっこいいんだぞ!』って判らせてきて欲しいんだ」
簡単でしょ? とメニは言う。
そうしてグリモアを発動させて、面白い話だよね、とメニは笑う。
「あ、現地には助っ人として、妖狐七星将の“破軍”が来てくれてるよ。彼女はユーベルコード使いには及ばないけど、必ず力になってくれる筈」
其れじゃ、がんばってねえ~。
気の抜けたメニの声とともに、猟兵は再びデビルキングワールドへの境界をくぐる。
key
こんにちは、keyです。
これだからデビキンはよお
●目的
「わからせてやろう」
●戦争シナリオ
今回のシナリオは1章で終わる「戦争シナリオ」です。
お誘い合わせの方以外は、基本的にお一人ずつの描写になります。
●プレイングボーナス!
「悪魔たちに猟兵のパワーとカッコよさを分からせる」
「破軍と協力して悪魔を蹴散らす」
●味方
(keyはシルバーレイン未履修なので、破軍の性格が少々異なるかもしれません)
妖狐七星将の実力者、『破軍』が味方をしてくれます。
ユーベルコード使いではありませんが、ひけをとらぬ一騎当千の実力者です。
良い人なので色々と協力してくれます。演舞の相手とか、一緒にちぎっては投げたりとか。
●戦場、敵
なんとまさか、デビルキングワールドの“一般人”が相手です。
サクラミラージュの事などなーんにも知らない彼等はサクラと共に現れ、破壊を始めた護国鉄神零號の強さとカッコよさに魅入られ、味方に付こうとしています。
猟兵の強さ、カッコよさを改めて教えてあげる(優しい表現)必要があるでしょう。
●プレイング受付
オープニング公開後からプレイング受付開始です。
物理的に送れなくなるまで受け付けております。第二戦線、書きたいところが多いのでちょっと〆切が早いかもしれません。
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此処まで読んで下さりありがとうございました。
皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『ゆるゆるギフト・ブギモンズ』
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POW : この着方、もう直せないんだ……
【あわれみ】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【ちっちゃくて俊敏な自分の分身達】から、高命中力の【でっかくて強靭な対象を包む布】を飛ばす。
SPD : ゆくぞ、おくるみダッシュ!
【ごろごろ転がるorどしどし跳ねる】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【仲間】の協力があれば威力が倍増する。
WIZ : ホントウノスガタヲミタイカ?
【知恵の布】を脱ぎ、【外見からは想像もつかないオソロシイ怪物】に変身する。武器「【なんだか物騒なもの】」と戦闘力増加を得るが、解除するまで毎秒理性を喪失する。
イラスト:なかゆびはてな
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アルテミシア・アガメムノン
ほほほ、デビルキング法に忠実とは言え困った子達ですわねえ!
ワルに憧れるのには花丸をあげましょう。
ですが、オブリビオンについているのはNGです。
わたくし自らおしおきして分からせてあげましょう!
悪のカリスマ輝かせて猟兵の強さ、カッコよさを再教育の方向で……
【黄金の暴嵐】を発動!
戦場全体に颶嵐を吹き荒ばせて神雷を無尽蔵にピカピカ直撃!
その後は
「ワルに憧れるのは良い事です。貴方達は見込みがありますわね!
わたくしの国にいらっしゃい。立派なワルにしてあげますわ!」
と国民増加に勤しんでおきましょう。
『破軍』さんには挨拶しておきましょう。
|うち《魔界》までお疲れ様です。助太刀の意思、感謝いたしますわ!
●
「ほほほほ!」
其の聞き覚えある声に、ブギモンズたちは顔を向けた。
「デビルキング法に忠実とはいえ、困った子たちですわねえ!」
そう、彼女こそ! 7thKING WARを制した猟兵、7thKING、アルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)である!
「わー、キングさまだ!」
「キングさまだ、キングさまだ~」
おくるみちゃんたちは雲の上の存在だと思っていたデビルキングが現れた事にきゃっきゃとはしゃぐ。其の間にも破軍さんは護国鉄神零號に近付きすぎているおくるみちゃん達を引き剥がしている。
「ワルに憧れる、其の心には花丸をあげましょう。ですが、オブリビオン側についているのはNGですわ! わたくし自らおしおきして、判らせてあげましょう!」
扇子を広げたアルテミシアはまさに悪の華、カリスマ感が漂っている! おくるみちゃん達は其れに夢中で、自分達がお仕置きされることに気付いていない!
「ちゃんと見ておく事です! |黄金の暴嵐《ルドラ》!」
戦場全体に風が吹き荒ぶ。颶嵐吹き荒れ、神雷があちこちにぴしゃん、と落ちる。さながら其の音は獣を躾ける鞭のようである。
「わ~~~~」
雷に撃たれるおくるみちゃん。
風に吹かれ転がるおくるみちゃん。
破軍は彼等を回収し、しっかりとアルテミシアの前に連れて来る。
一頻り嵐が吹き終えると、いかがかしら、とアルテミシアはおくるみちゃん達を見た。つぶらな瞳がきらきらと彼女を見ている。うむ、しっかり人心を再掌握出来たようだ。
「ワルに憧れるのは良い事です。あなた達は見込みがありますわね! わたくしの国にいらっしゃい、立派なワルにして差し上げますわ!」
「わ~~、ほんと? キング様の国に招待されるなんてすごいなあ~~」
「ぼく、やっぱりキング様のファン続ける~!」
きゃっきゃと喜ぶおくるみちゃんたちを尻目に、アルテミシアは破軍へと顔を向けた。破軍は拱手にて其の目線に応える。
「|魔界《うち》までお疲れ様です。助太刀の意思、感謝致しますわ!」
「猟兵様をお助けする、其れが私の役目ですので。……しかし、ワルとは?」
「……言葉にするのは少々難しいかもしれませんわね」
破軍に“ワル”を説明するには、この世界の在り方から話さねばならないだろう。
アルテミシアは苦笑を浮かべた。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
こんな可愛いファンがいるとか鉄神さんずるぅい
破軍さん、今回もよろしくね
翼の空中戦で距離を取り
自身と破軍さんにオーラ防御
僕が準備できるまで引き付けお願い
こちらもブギちゃん達の攻撃はダンスの様に
優雅に、またはアクロバティックに回避
彩音発動
歌唱に誘惑と催眠を乗せる事で意識をかき乱し、動きを鈍らせながら
奏でたメロディは五線譜のロープとして
縛り上げたり転がって来る個体を跳ね返すのに使用
歌詞は物理的な文字として実体化させ
飛べない破軍さんの足場や盾にしたり
視界を遮る事で死角を取るフェイント用に使用
後ろを取ったら破魔を乗せた手(と物理文字)でぺちんと(ゴンっと)お仕置き
あんなのに付いたらメッ、だぞ(はぁと
●
「むー、こんな可愛いファンがいるとか鉄神さんずるぅい」
「えっ……」
護国鉄神零號は困惑した。
おくるみちゃん達にやいのやいのと囲まれて、しかし命ある者だし……と無碍に出来ない様はまるで保父さんである。
「とまあ、冗談は置いておいて。破軍さん、今回も宜しくね」
「此方こそ、宜しくお願い致します。澪殿」
破軍は拱手で応え、そして朱雀拳の構えを取る。ユーベルコード使いではない破軍の存在は、こと此処での戦いでなら寧ろ有利といえるだろう。
ふわり、と澪が宙に舞う。翼で距離を取り、自身と破軍に防御のオーラを纏わせる。
「僕が準備できるまで、引き付けて貰えると嬉しいな」
「承知! 必ずや成し遂げましょう!」
「わー、戦いだ~~~」
「戦うぞ~~~」
「ワルになるぞ~~~」
もっちもっちもっち。
おくるみちゃん達が一生懸命転がったり跳ねたりしながら破軍へと殺到する。数では圧倒的に振りながら、破軍は其の表情を崩す事はない。
「私はユーベルコード使いでない点では、この愛らしい存在達にも及びませんが……この朱雀拳による集団殲滅力では決して後れを取らぬと自負しております!」
一気に破軍は踏み込み、大地を揺らす。いわゆる震脚である。
わあ、と飛び跳ねたおくるみちゃん達を、破軍は受け止めると後方へ投げ返す。そう、転がったり跳ねて来るのなら、後ろへ投げ返してしまえばいいのである。
「わあ、凄く和む光景……だけど、僕も油断してられないな」
「わ~~~」
「突撃突撃~~~」
おくるみちゃんたちは澪にも迫って来る。其れを澪は宙を踊るように回避する。
「わあ、すご~~い」
「きれ~~い」
一部のおくるみちゃん達が、澪のそんな姿につぶらな瞳を煌めかせていた。
「綺麗だと思っていると……痛い目みちゃうよ?」
澪はぱちん、とウィンクして、歌を周囲に響かせる。清廉な歌声とメロディが、おくるみちゃんたちの意識をかき乱し、眠りへと誘う。
「わ~~、……ねむい……」
「う~~ん、なんだか頭がぐるぐるするよ~~」
「破軍さん! 足場に使って!」
澪のユーベルコード“彩音”は、メロディや言葉を|実体化《・・・》させる。五線譜が円を描き、音符が足場となって破軍の傍へと降り立つ。おくるみちゃんに囲まれそうになっていた破軍は其れを足場に跳びあがり、飛び上がると踵を大地に叩き付けた。
「わ~~」
飛び上がるおくるみちゃんたち。危ないと思うかもしれないが大丈夫、彼等はデビルキングワールドの存在なので。
澪もまた、歌声を響かせながら実体化した『音』を操る。五線譜のロープでおくるみちゃんを縛り付け、音符のゴルフクラブでおくるみちゃんを撃ち返す。
更に歌詞まで実体化させ、おくるみちゃんたちの視界を遮ると――
「あれ~~?」
「みんなどこ? 見えないよ?」
「こーこだよ」
おくるみちゃんたちの背後を取った澪は、破魔の力を乗せた手と物理文字で、ぺちっとおくるみちゃん達の頭をはたいた。ゴンとかいったけど気にしない。
「あんなのについたらメッ、だぞ❤」
「はぁい~~」
「強いね、かっこいいね~~」
ワルさは澪にはないものの、其の力を誇示する事でおくるみちゃん達の支持を得られたようだ。
大成功
🔵🔵🔵
国栖ヶ谷・鈴鹿
【押し返せ!】
わわ!転がってきたよ!
ムシュマフ!援護お願い!
ペンギン🐧カムパニー大集合!
運搬パワーで押し返すよ!
ゴロゴロ転がってくる悪魔(?)をちぎっては投げちぎっては投げしつつ、破軍さんにも協力を仰いでちぎっては投げてわからせる。
どうだい?これでわかったかな?
ちぎっては投げた山にして、ムシュマフとペンギン🐧カムパニーで縛って一山にして、ヨナを呼んでゴロゴロ詰め込んで、悪さしないように余所に送り返すよ。
なんか後ろで凄い勢いで呆れられていそうだけど、まぁ被害は出てないから良いよね!
また憧れてくるのが出てこないか、次に行くよー!
●
「わわわわ! 転がって来た!」
いけー、などと言いながら転がったり跳ねたりして突撃してくるおくるみちゃん達に、国栖ヶ谷・鈴鹿(命短し恋せよ|乙女《ハイカラさん》・f23254)は少々慌てた。
いやしかし、パーラーメイドなるもの臨機応変に“接客”しなくては! と深呼吸。
「ムシュマフ! 援護お願い!」
其の声に応えて大地が隆起する。
現れた炎竜ムシュマフの首がぱくり、とおくるみちゃんを咥えると、ぽーい、と千切っては投げした。更にふー、ふーと吐息をかけてやると、あついあついとおくるみちゃん達はじたばたして進軍を停止する。
「更にペンギンカムパニーも大集合! 運搬パワーで押し返して!」
🐧<らじゃーよ
何処からともなく現れたペンギンたちが、真正面からおくるみちゃんの群れとぶつかる。
「ぬぬぬ~~負けないぞ~~」
「ペンギンなんかに~~」
君たちおくるみだから、ある意味ペンギン以下なんだよな。
「破軍さんも! 大丈夫、ぶつかられてもきっと痛くない!」
「あ、ああ……」
どうぶつ大集合かな? みたいな光景に気圧されていた破軍さん、これはツッコみきれない。かわいそう。
だが彼女も妖狐七星将が一。しっかりダメージが入るように持ち上げながらおくるみちゃんを千切っては投げ~する。
そして暫くすると――なんと! 其処にはおくるみちゃんの山が!
「負けた~~」
「いいえ~~世間に~~負けた~~」
「どうだい? これでぼく達の方が強くてワルだって判ったかな? じゃ、取り敢えずキミたちは撤収という事で」
ムシュマフとペンギンカムパニーでキュッと縛ってしまうと、何処からか鯨型巡洋艇を呼び、其の紐を艇に結び付ける鈴鹿。そのままおくるみちゃんたち(団体)を宙ぶらりんにして巡洋艇『ヨナ』で近場の街へと送り返していった。
後ろで其れを見ていた破軍と護国鉄神零號は、なんかすごかったな……みたいな顔をしていた。そんな気配を感じるも、鈴鹿はなんのその!
「よーし! また憧れて来るのが出て来ないか、次にいくよー!」
🐧<おー!
ムシュマフとペンギンカムパニーたちは、あくまでノリノリなのであった。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
敵の味方をするのならば!我らが暴威を見よ!!
これなるは抗体兵器!第二次聖杯戦争で勝ち得た生命を殺す武器だ!!!
『霊障鉄拳』ブラストナックル型抗体兵器を装着し、破軍と協力して悪魔を達を蹴散らす!
生命を呪う夥しい【呪詛】を纏い、豪風や津波の霊障を放って悪魔たちを吹き飛ばす!
あわれみも、憐憫も、何もあるものか!
自分にあるのは敵を壊さんとする【闘争心】のみ、
故に、悪においても護国鉄神零號に敗北する訳にはいかない!!!
敗北はせぬと、抗体兵器に己が闘争心を注ぎ込み、
その攻撃力と吹き飛ばし力、呪いの力を最大まで引き上げ、更に悪魔たちを吹き飛ばし、彼らを【威圧】、力を見せつける!!
●
例え相手がおくるみに包まれた愛らしい存在であっても、朱鷺透・小枝子(|亡国の戦塵《ジカクナキアクリョウ》・f29924)は一切の容赦をしない。
「敵の味方をするのならば、我らが暴威を見よ!」
す、と取り出したのは『霊障鉄拳』にて召喚したブラストナックル型抗体兵器。それなに~? と興味津々なおくるみちゃん達に、小枝子はしゃがんで説明する。ちょっと優しい。
「これなるは抗体兵器! 第二次聖杯戦争で勝ちえた、生命を殺す武器だ!」
「わ~、こわいね~」
「せいめいをころすってなんかワルでかっこいい~」
「そうだろう。そして貴様らはこの武器にて吹き飛ばされることになるのだ!」
立ち上がった小枝子は命を呪った。生命を呪った。夥しい呪詛を纏い、業風、津波――様々な霊障を放って悪魔たちを吹き飛ばす。
破軍は一目見て其の呪いを看破した。
「猟兵殿、」
「心配には及ばない。この世界の住民たちは皆頑丈だ。ゆえに……あわれみも憐憫もない。自分にあるのは、敵を壊さんとする闘争心のみ! 故に、ワルにおいても護国鉄神零號に敗北する訳にはいかないのだ!」
まさに闘争心の塊といっていい状態の小枝子に、成る程、と破軍は納得する。おくるみちゃんだからといって加減をする必要はないようだ。
「ならば私も、本気を出して御覧に入れよう!」
破軍は構え、朱雀拳――其の掌底で衝撃波を放ち、近くにいたおくるみちゃんたちを吹き飛ばす!
「わあ~~」
「ああ~~~~」
成る程、確かに。朱雀拳ならまだしも、小枝子のユーベルコードを喰らってものんびりしている処を見るに、この世界の住人は一般人であっても相当の猛者であるらしい。なんでワルにこだわるのかは知らないが。
「敗北はせぬ! 撤退もせぬ! ただ、ただ前に進むのみ!! 応えろ抗体兵器!!」
小枝子は拳に装着した抗体兵器に力を注ぎこむ。攻撃力、吹き飛ばし力、呪いの力を最大限にまで引き上げ、大気を叩き付けるように殴れば竜巻がたちまちおくるみちゃんたちを巻き込んで立ち上る。
――……憐れみはしないと言ったが、流石に殺意が高すぎるのでは……
破軍は小枝子が次々と霊障を放つ様を見ながら、とても冷静にそう思った。
大成功
🔵🔵🔵
有坂・紗良
アドリブ絡み諸々歓迎
なるほど、パワフルでド派手なトコを見せればいいんスね?
なら派手さを演出するぐらいなら出来るっスよ?
派手と言えば爆発!爆発と言えば派手!これに惹かれないヒトは居ないでしょ!
そうと決まればUC発動!
登場と同時にボクの背後に突っ込ませて大爆発!ハリウッド映画並みの特殊効果を見せてやるっス!
巻き添えでうっかり巻き込んじゃうかもしんないけどご愛敬ってコトで
爆破が足りないなら『グレネードポーチ』の爆薬も大放出!楽しい事になるっスねぇ!
一緒にいる人は…いい感じにワルっぽく立っててもらえれば爆破で演出するっスよ
やあやあ悪魔の諸君!このワルい爆発が目に入らないんスか!
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「ふむふむ、成る程? パワフルでド派手なトコをみせればいいんスね?」
破軍から簡単な説明を受け、頷くのは有坂・紗良(天性のトリガーハッピー人間・f42661)だ。
そうして粗方解釈すると、任せて下さい、と朗らかに笑う。
「派手さを演出するくらいなら出来るっスよ」
「ほう……というと?」
「此処はやっぱり、派手といえば爆発でしょう! 爆発といえば派手! これに惹かれない人はいないっス! よし、決まり! 取り敢えず派手に登場かましますか!」
紗良はそうと決まれば、とおくるみちゃん達の前へ向かって跳躍した。
同時にユーベルコードを発動、自爆機能を備えた自立ドローン部隊を召喚――相互衝突により爆発を引き起こし、ド派手な爆発を背景に着地する!
「わあ~~」
あっ、何人か巻き込まれている。
まあご愛嬌って事で。
「やあやあやあ! このボク、猟兵の有坂・紗良さんが登場っスよ! このワルい爆発が目に入らないんスか!」
「か、」
「か」
「「「かっこい~~……!!」」
おくるみちゃんたち、まるでスーパー戦隊みたいな登場に瞳を輝かせるの巻。
しかしまだ紗良の仕込みは続く。ちっちっちっ、と人差し指を振って。
「まだ此処で驚いちゃ駄目っスよ。さあ破軍さん! 今こそワルの新境地、見せてやるっス!」
「心得た……!」
紗良が指差した先におくるみちゃんが視線を送ると、いっぱい投げ飛ばしてくれる良い人(という認識)が武道の構えを取っていた。
そして其の背後で起こる、凄まじいドローンたちの爆発!
「ついでにこれも追加っス! いや~~楽しいっスねこれ」
こそっとポーチを探り、グレネードを放る紗良。ほーら、追い爆発だよ~。
「わああ……!」
「お姉さん、とってもかっこいいね……!」
「お姉さんって、唐揚げに勝手にレモン汁かけちゃうタイプ?」
「私は朱雀拳の使い手、破軍……唐揚げは塩胡椒派ですのでレモン汁は許しません」
「かっこい~~!」
なんか段々ノリノリになってきたな、この妖狐七星将……
「どうっスか! 其の場に現れるだけで爆破が起きる、これが真のワルっス!」
「ぼく推し変しよう~~っと」
「でっかいロボットもいいけど、爆発はやっぱり浪漫~~」
「……」
そう言って次々と紗良や破軍の方へよちよち転がっていくおくるみちゃん達。
当初は困惑していた護国鉄神零號だが、いま、明確に思っていることがあった。
流石に推し変されるとちょっと寂しいな……
大成功
🔵🔵🔵
ワルルーナ・ティアーメル
ふむ……零號とやらの方はあまり気乗りしておらんようだな
くく、願いを叶えるのが我が魔王軍の使命、ならば叶えてやるとしよう!あ、悪いがブギモンの願いは次回以降だぞ
という訳でいでよ我が『機動魔王城ワルルンガーΣ』!
どーんと登場しどーんと蹴っ飛ばすがよい!
更にオマケだ、我が魔王軍第1の軍勢の誇る【魔王軍第1冠所属:天空魔王城塞】も呼んでやろう!
後は我の催眠効果ブレスで「理想のワルになった気分」の夢を見せ、あるいはワルルンガーが突進を受け止めてから蹴っ飛ばし、
落雷や堕天使隊長率いるアンデッド部隊で各個撃破する!
倒され捕獲されたブギモンは衛生兵がやさしく介抱して懐柔して精神面でも屈服させるぞ!
●
ふうむ、とワルルーナ・ティアーメル(百胎堕天竜魔王(自称)・f31435)は考えていた。一緒に竜の頭たちも難しい顔をしていた。
――零號とやらの方はあまり気乗りしておらぬようだ。そうであろうな、破壊しに来たら幼子に懐かれたようなもの。
「ふ……ならば願いを叶えるのが我が魔王軍の使命! 其の願い叶えよう、零號とやら! あ、悪いがブギモンの願いは次回以降だぞ」
「え~~」
「ロボットさんだけずるい~~」
「ずるいではない! 次回までに願い事を考えておくのだ! いでよ、我が『機動魔王城ワルルンガーΣ』!
ワルルーナが其れらしきポーズをとると、ずん、と足音がした。
其れは巨大な悪魔であった。いや、悪魔ではない。悪魔の形をした城塞だ。
「そして更に、サービスしてやろう!」
ワルルーナの言葉と共に、たちまちデビルキングワールドに暗雲立ち込めたり。おくるみちゃんたちが何ぞ何ぞと騒ぎ立てるも、其の正体直ぐに見えたり。即ち、上空に漂う禍々しい浮遊城塞である。
「さあ、ワルルンガーΣ! どーんと登場し、どーんと蹴っ飛ばすがよい!」
ぎぎぎ、ごごご。
そんな音を立てて魔王型城塞『ワルルンガーΣ』が片足を上げる。そして……どすーん!!と思いっきり足を振り下ろし、おくるみちゃん達を吹き飛ばす!
「わあ~~」
「ぼくらも負けないぞ~~! ここまでロボットさんを推してきた力をなめるな、とつげき~~」
そう、彼等はいわば精鋭である。これまで様々なパフォーマンスをしてきた猟兵にグラつかず、最後まで護国鉄神零號を推し続けていたおくるみちゃんたちなのだ!
よちよちと転がったり這ったりして突撃を敢行するおくるみちゃんたちに、甘いわ、とワルルーナは笑った。
そうして、ふう、と吐息を吐く。ただの吐息ではない、其れは催眠効果のある竜の吐息!
「はわ……?」
無色透明の催眠に包まれたおくるみちゃんたちは、夢を見る。
自分が理想的なワルになって、色んな人に憧れられる夢を。
「わあ~~、ぼく、ワルでいいの? なんだか照れちゃうな、えへ、えへ……」
と、其処へ浮遊城塞から降りて来た堕天使隊長、及びアンデッド部隊が到着。催眠でほわほわしているおくるみちゃんたちをぶっ飛ばす。
――|幻想《ユメ》じゃ、ねえよな……!?
夢なんだなあこれが。
ころころと転がったおくるみちゃんたちを、そっと抱き上げる手があった。
「まあ、こんなに傷だらけで……可哀想でしゅ」
「治してあげるのでしゅ」
「|衛生兵《メディコ》! |衛生兵《メディーコ》! あっ、私でしゅ」
何故か幼い外見をした堕天使衛生兵たちが、甲斐甲斐しくおくるみちゃんたちの傷を癒していく。
「はわ……」
「アフターケアも完璧だなんて……」
「かっこい~~~~」
こうして護国鉄神零號を推してきた精鋭たちも、ワルルーナの見事なワルい策にハマったのであった。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
キャンピーくんがなんと説明したかは分からないが
わざわざ異世界から来てやる事がこれだもんな。破軍氏の心情は察するに余りある……
とはいえこれも重要な役目だろう
この悪魔たち相手に手加減は不要……とはいえ外見が外見だけに、切った張ったをするのはいささか躊躇われる
という事で敢えて無手――无の型【旋渦】の構えにて
いや、怪物化するんだったら刀を抜いても良かったか?などと思いつつ
此方に向かってくる悪魔の武器を弾いて捻って武器を叩き落とし、体勢を崩した所で身体を掴んで、思い切り投げ飛ばす
この悪魔たちにとってはお遊び程度だろうが、寧ろ丁度良いんじゃないかな
破軍氏も得意なやり方で、敵をちぎっては投げてもらおうか
●
さて、破軍にキャンピーくんがなんと説明したのかは闇の中だ。或いはキャンピーくんは説明していない可能性すらある。
「異世界から来てやる事がこれだもんな……」
そう、夜刀神・鏡介(道を貫く一刀・f28122)は破軍の心情を察し、遠い目をした。おくるみちゃんの相手をひたすらしてきた彼女には敬意を贈りたい。
とはいえ、これも重要な役目である事に変わりはない。敵は少ない方が良いし、平和的に……平和的に? 解決できるなら、其れに越した事はないのだ。
「手加減は不要とはいってもなあ」
「彼等は見た目より頑丈だが、……よく考えれば幼子に武器で殴りかかるようなもの……」
私も少々やりづらい、とは破軍の言。
うーん、と鏡介は考えて、ならばと素手で構えた。
「刀は抜かないのか?」
「素手でもある程度は対処できるからな」
「よ~~し、ぼくらの本当の力を見せてやるぞ~~」
「お~~」
いつも通りゆるゆると言ったおくるみちゃん。だが、今回は少々違った。彼等は知恵の布を脱ぎ捨てると……名状しがたい怪物へと身体を変異させ、様々な武器を持って鏡介たちに襲い掛かって来たのである。
「なっ……!?」
「油断するな、武器さえ落とせばなんとかなる」
まさかの光景にさしもの破軍も動揺するが、鏡介は冷静に飛び掛かって来たブギモンズを捕まえると装備していた武器を奪い、真後ろへと放り投げて、ブギモンを思い切り前へ投げ飛ばす。
「うわ~~」
名状しがたいんだけど、悲鳴はいつも通りユルい。
「怪物化するんだったら、刀を抜いても良かったな……」
「いや、素手の方が対処はしやすいだろう。私はの、話、だが!!」
破軍も負けてはいられない。飛び掛かって来た怪物をむんずと掴むと、其の武器を奪い、武器で怪物を撃ち返す。
「……声は同じ故にやりにくいのは変わらないが、この姿の方が……聊か、やりやすいな」
「はは、同感だ」
とはいえ、この悪魔たちにとっては殴るも投げるもお遊び程度だろう。だが、こうして“布を取っても敵わない”と経験することは、猟兵へと其の心を引き戻すのに十分なはずだ。
「あっ、理性が~~。ぼく布かぶって降参します」
知恵の布を外せば、其の代償に理性がすり減っていく。怪物は其れを察すると、素早く布を纏って簡易おくるみちゃんになった。つまり彼等も、本気で戦っている訳ではないという事だ。
そうして鏡介と破軍は怪物たちが降参するまで千切っては投げ、千切っては投げを繰り返した。
最後まで護国鉄神零號を推してきた彼等だったが、流石に真の姿を晒してまで敵わなければ従うほかない。
其れで良い、と護国鉄神零號は静かに頷いた。そうしてゆっくりと青黒い塵となって、デビルキングワールドから去って行ったのだった。
大成功
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