帝都櫻大戰⑯〜いざ尋常に、この身を賭して
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サイバーザナドゥのサイバースペース。
極彩色のネオンライトに照らされた世界が少しづつ、しかし確実に。桜の花びらと共に一色の光に塗りつぶされていく。
光の中心に坐するは少年にも見れるひとりの青年。名を|超古代種族《エンシェント・レース》『神王サンサーラ』という。
「私の放つ骸の海は無限に広がりゆく。それを阻む術は無い……」
彼の力――かつて|広大無辺の仏国土《サンサーラディーヴァ》を広げるのに用いられた輝きが侵され、今や骸の海を満たす力へと歪められた光を誰にも止められない。
|巨大企業《メガコーポ》も、猟兵も、|神王《彼自身》でさえも。
世界が白む境目に、一人の青年が立ち塞がった。
「あ〜、なるほど。だから山本親分は俺をここに……」
目の前に光景をなぜ山本五郎左衛門がこの地へ自分を誘ったのか得心がいった青年――竜神親分『碎輝』は、すぐさま全身に雷を纏い槍を構えた。
「退け、私は無限の力を手にしてしまった。生半可な行動で止める事は不可能だ」
「忠告どーも! だが悪いが俺は、世界最弱の『お前を止められる男』なんだ!」
碎輝の能力――無限に成長し続ける力。
『無限に』骸の海を広げる能力に対抗するには『無限に』成長続ける力を――彼にしかできない事だ。
「ならば私を止めてみよ、最も弱き竜神よ」
神王が目を閉じた瞬間世界の色彩が失われ、滅びの光球が瞬く。
「さぁて大口叩いたが元に戻れるかな……」
碎輝が有するのは最弱から無限に成長する力。だが、強くなれば今の姿に戻れなくなる危険性もある。
どこまで強くなると今の姿を、心はいつまで忘れずにいられるのだろうか?
――危険を分かりつつも、碎輝は不敵な笑みを浮かべて槍の穂先を目の前の神へと向ける。
「だが……やるしかないか!」
その瞳には不安の影など何一つ見当たらなかった。
なぜならば――彼には猟兵という心強い友を信じているからだ。
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「みんなお疲れさまだぞー!」
エスクルール・ラカーユが集まった猟兵ににこっと笑いかける。
「今回向かってほしいのはサイバーザナドゥ。目的はここに出現した神王『サンサーラ』の足止めだ!」
『神王サンサーラ』。|超古代種族《エンシェント・レース》の彼は命を賭して封印したイティハーサによってオブリビオン化させられ、現在数多の世界を侵略している。
「簡単に言うとこの人はイティハーサに操られていてな、彼の持つ力が悪用されてサイバーザナドゥのサイバースペース、そして現実世界も破壊しようとしてるんだ。
すんごい強力なオブリビオンだけど、そんな力を持つからか『完全に無傷の状態』じゃないとその姿を維持できないんだって。だからちょっとでも傷を負わせることができれば彼はサイバーザナドゥから一時撤退をするんだ!」
撃破は難しくとも諸悪の根源を倒すまでの時間を稼ぐことができれば、あるいは――。
糸口を掴んだ猟兵だが、今度はどうやって傷を負わせるかに頭を悩ませる。
|広大無辺の仏国土《サンサーラディーヴァ》を展開しており彼に近づくことはほぼ不可能。他にも五感を封じ、最悪滅せられる力を有する超強大なオブリビオンに、僅かでも傷をつけられるか――。
難しい顔をする猟兵にエスクルールは力強く頷いた。
「皆の悩みは分かるぞ。でも、今回はカクリヨファンタズムの竜神親分の碎輝さんが来てくれているんだ。
自分で最弱って言ってるけど彼は無限に成長する力を持っている。つまり戦闘が長引けば長引くほど強くなるんだ。だから碎輝さんがサンサーラにダメージを与える位強くなるまで彼を守って、強くなったら協力して戦ってほしいんだぞ!」
強くなるまで彼を守り、そして強くなったら協力してサンサーラと戦う。これが今回の戦いの鍵となるだろう。
「とっても大変な戦いになる事は分かってる。でも、みんななら碎輝さんと一緒に乗り越えられるって信じているんだぞ!」
遭去
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遭去です。世界の危機に今まで出会った人たちが駆けつけてくれる熱い展開にテンションマックスです。
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今回も👑達成最低数だけ完結させる予定です。プレイングに一切の不備が無くても不採用になる可能性もあるのでご了承ください。
プレイングに下記の条件を満たす内容が記載されている場合、プレイングボーナスを得られます。
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プレイングボーナス:弱い状態の碎輝を守って戦う/強力に成長した碎輝と協力して戦う。
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第1章 ボス戦
『神王サンサーラ』
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POW : サンサーラディーヴァ
自身の【眼前】を【広大無辺の仏国土】化して攻撃し、ダメージと【神王サンサーラへの到達不能】の状態異常を与える。
SPD : サンサーラノヴァ
【かざした両掌の間】から、詠唱時間に応じて範囲が拡大する、【五感封じ】の状態異常を与える【神王光】を放つ。
WIZ : 強制転生光
レベル秒間、毎秒1回づつ、着弾地点から半径1m以内の全てを消滅させる【サンサーラの光】を放つ。発動後は中止不能。
イラスト:ぽんち
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
エドゥアルト・ルーデル
なるほど領域を広げる相手から碎輝氏を守れと…この勝負、自身の領域の押し合いに強い奴が勝つ!
無限大にデカかろうとも負の数を掛けて|性質を変えて《負の無限大にして》しまえばよいのでござる
という訳で戦場にバグを降らせて拙者の領域展開!!
どうだいいろんなものがふわふわしてきたでござろう?認識や目的…攻撃力…ここはヌルついた日常アニメの如く争い無き世界…ついでに拙者とサンサーラ氏と碎輝氏はいつも適当に駄弁っている高校生でござろう?(言いくるめ)
碎輝氏は話を合わせてね、後早めに成長しな
最悪認識を捻じ曲げられなくても肝心の攻撃の効果がふわっとする世界でござるからな!時間が稼げればなんでもいいんでござるよ!
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「なるほど領域を広げる相手から碎輝氏を守れと……」
――骸の海を展開するサンサーラ。それに対抗すべく無限に成長する碎輝の力を借りてサンサーラを撤退させる。説明を聞いたエドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)が策を講じる。
「つまり……この勝負、自身の領域の押し合いに強い奴が勝つ!」
エドゥアルトは思いついた。無限にデカくても、そこに負の要素を掛ければその性質を変えることができるのではないかと! そして、その負の要素を加える力が自分にある事をわかっていた。
ならばこちらも展開せねば無作法というもの……。
エドゥアルトは顔の前で中指と人差し指を交差させイケボで呟いた。
「領域展開」
なんということでしょう。
先ほどまで仏国土を照らす白い光がなんかぽかぽかお日様になり、極色のネオンライトがなんかにこにこお花畑になっているではないか。
そう、なんか、全体的な世界観がふわっとぼやけていた。72dpi画像データをそのまま紙に印刷しちゃったくらいに。
『『なんだこの空間……』』
無限の力を持つ者の声が綺麗にハモッた。
ちなみに二人の服もブレザータイプの学生服に代わってる。サンサーラはハイカラさんレベルに後光を背負うお兄ちゃんです。
「さいきぃ~サンサーラ~! ごめーんまったぁ!?」
そして学ランのエドゥアルトがフレンドリーに駆け寄ってくるのに碎輝がぎょっとする。
『エドゥアルト!? なんだそのかっこう……』
「ばっか話し合わせろよ。どうだいいろんなものがふわふわしてきたでござろう?」
へらへらと碎輝に肩を組むと彼にだけ聞こえる様に呟く。
「碎輝氏どう?」
『どうって……何が』
「いいから早めに成長しな」
『……恩に着る!』
『……滅せよ』
「ぐわー暴力! でもいいの! 攻撃がふわっとすれば!」
サンサーラは光球――じゃなくて野球の硬球をぶん投げて二人を攻撃すれば一発はエドゥアルトにクリーンヒット。
『大丈夫か、本当に……』
碎輝はボールを避けながらエドゥアルトの身を案じる。
確かに先ほどに比べてたら致死率は段違いだがそれでも痛そうだが……。
その後もサンラーラによる攻撃――改変された結果バレーボールが飛んできたり鬼ごっこが開催されることになったが――なんだかんだしっかり時間を稼いだのだった。
成功
🔵🔵🔴
仇死原・アンナ
アドリブ歓迎
…時は来たれり!聖なる神を討ち倒す為に!
この世界を救う為に…さぁ行くぞ!私は…処刑人だッ!
竜神親分碎輝!助太刀致す!
遍く全てを滅する聖なる光…ならばこそ…我が地獄の炎が遍く焼き尽す!
碎輝を庇うように鉄塊剣を地に突き刺し彼の身を隠し、全身に地獄の炎纏いて【カムイフチ】を発動
呪詛纏う地獄の劫火を聖なる光に目掛け放ち範囲攻撃と焼却で光を相殺してみせよう
回復力と魔力供給による瞬間強化で炎を強化し、レベル秒間の間命を懸けて碎輝を庇おう…!
彼が成長するまで…一撃を放てる力を身に着けるまで炎を放ち続けよう…!
竜神親分碎輝…後は任せる…!!!
エリー・マイヤー
無限とか阻む術はないとか気軽に言いますよね。
これだから神とか悪魔の類は困ります。
神ならぬ身としては、絶望を禁じえませんが…
まぁ、抗えるだけ抗いますか。
念動力で宙に浮かびつつ上下左右にランダム移動。
飛んでくるやば気な光を回避します。
碎輝さんの方も、念動力で動きを補助してできる限り回避させます。
無理な分は【念動キャンセラー】で相殺で。
そうして守りを固めつつ、敵に念動力を叩きつけて攻撃です。
…まぁ、通用しませんよね。
仕方ありません、私は回避と防御に専念します。
攻撃は成長した碎輝さんに期待で。
ん?元に戻れるかわからない?
そうなったら、戻れるようになるまで成長すればいいんです。
大丈夫、なせばなります。
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「無限とか阻む術がないとか気軽に言いますよね」
「しかし事実それを成せるのだから、そうなのだろう。それは神ゆえか」
エリー・マイヤー(被造物・f29376)が紫煙を吐き出すと一緒に言葉を紡げば、ちらと目の前の光景を目を向け、そして背ける。
「神とか悪魔とか仏とか……スケールが違うんですよ」
人より上位存在ともいえる神や仏はぞっとするような恐怖もあるが、エリーとて、ここで絶望するつもりはない。
「……まぁ、抗えるだけ抗いますか」
決意を固めると同時にタバコの火を消した。
「……時は来たれり! 聖なる神を討ち倒す為に!」
エリーとは対照的に、アンナはサンラーラに向けて獰猛な感情を剥き出しに剣を構える。
「この世界を救う為に……さぁ行くぞ! 私は……処刑人だッ!」
誓いと共に抜かれた鉄塊剣は聖なる光を吸い取り、無骨な光を映し出していた。
攻撃を回避していたギリギリのところで回避していた碎輝を守る様にアンナが炎を纏った斬撃で光球を切り伏せる。
「竜神親分碎輝! 助太刀致す!」
『猟兵、来てくれたのか!……ってうおっ!?』
「喋ると舌を噛むかもなので」
碎輝の首根っこを念動力を使って後ろに引っ張れば、光弾が一拍おいて着弾する。
『サンキュー!』
舗装されたコンクリートが抉れるのを尻目にエリーは自身も念動力で浮遊し、光球を回避していく。
『――』
サンサーラは攻撃を緩めることはない。
碎輝と猟兵をこの世から滅ぼすべく、エリーと碎輝を囲う様に光球を展開する!
「光球が囲んで空中移動しても回避できない……絶体絶命というものでは?」
「遍く全てを滅する聖なる光……ならばこそ……我が地獄の炎が遍く焼き尽す!」
アンナが獰猛な表情を隠さずに鉄の処女を模した鉄塊剣を地面に突き刺せば、地獄の炎が沸き起こる。
仏土と遍くものを照らす光そのものの光球を暗く、昏い地獄の炎が食らい尽くしていく。
炎は光の球だけではなく猟兵と碎輝をも飲み込もうとするが……。
『凄いなこの炎! 一度やり合いたいもんだ!』
「おっと、それはダメですよ」
戦う気満々の碎輝にエリーが諫めながら、炎に対して指をさすと自身のサイキックを展開。全てをねじ伏せるその力により炎は聞き分けた様に二人を回避し、光球のみを焼き尽くしていく!
エリーの念動力とアンナの炎が、神の王の猛攻を一つ二つと確実に撃ち落としてどの位経ったか。
ふたりがちらと碎輝を見やれば体に纏う雷が、青白く展開されているのを見て二人は己が成した事に内心達成感と喜びを感じながら、碎輝を先に進むように促した。
「さぁ道は開いた……竜神親分碎輝……後は任せる……!!!」
「長くは持ちません、お早めにどうぞ」
『恩に着る! これで元に戻れなくてもアイツを……』
「そうなったら戻れるようになるまで成長すればいいんですよ」
戻れなくなると思い込んでいた碎輝にとってエリーの提案は目からうろこで。
『そっか、戻れなるまで成長できれば……できるのか?』
「大丈夫、成せばなります」
「できなくても、猟兵が元に戻そう」
『……へへっ、そうだな。サンキュ!』
二人に背中を押させながら、青年は神王の元へ駆けていく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
空桐・清導
POW
「碎輝!戻れない心配は無用だぜ!
なぜかって?オレが来た!」
大見得きって雄々しく笑う
同じく無限成長を宿すヒーローの登場だ!
碎輝の手を取ってUC発動
互いの力を加算していく黄金の機械鎧を2人に纏わせる
「ダブルヒーロー爆誕!!
コイツでオレ達は互いを強化出来る!
成長とはまた別の強化だぜ!」
最初は清導の地力が加算されて碎輝を守り、成長後は碎輝の強さが清導に加算されていく
「その成長具合なら、まだ戻れるな!
さあ、ケリをつけるぞ!」
足に力を込めてエネルギーを収束
そのまま跳躍してサンサーラ目掛けてキック!
無限の距離があろうとオレ達は止められない!
「超必殺!マキシマム・ツインパクト!」
黄金の流星が神王を討つ!
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猟兵達の尽力により力をサンサーラの展開する光に触れた瞬間碎輝の動きが鈍くなった。
(『力が、入らない……!?』)
まず襲ってきたのは虚脱感。無限の力によって成長を続け、先ほどまで満ち溢れていた力が抜けていく。
そしてもう一つ与えられたのはいつまでも歩いても到達ができないような感覚。
サンラーラは遠いはずなのに自分の目の前にいるような気がして、でも手を伸ばせば遠くへ行ってしまうそんな錯覚に。
『――っ』
ほとぼしる電流が穏やかになり、足が止まりかけた。
「碎輝!」
斃れかけた碎輝の体を空桐・清導(ブレイザイン・f28542)が立て直すと、黄金の機械鎧を自身と碎輝に纏わせる。
発動者の願いを反映した光焔を纏う鎧は、あらゆる困難に打ち勝つ力を与える。その恩恵を得た碎輝の瞳に無くしかけていた光が灯った。
『すげぇ、力が湧いてくる……!』
今までに無かった力が沸き上がる感覚に碎輝は輝く手を固く握る。
「コイツでオレ達は互いを強化出来る! 成長とはまた別の強化だぜ!」
『なるほど、じゃあ俺とアンタは一心同体って事か?』
「ああっ、ダブルヒーローだ!」
『か、かっけぇ……!』
目を輝かせた碎輝を清導が真っ直ぐに見やる。
「碎輝、元に戻れないかもしれないんだな?」
『ああ……』
「戻れない心配は無用だぜ」
『え?』
首を傾げた碎輝に、清導はにっとわらう。
「なぜかって? オレが来たからな!」
『――! へへっ。だな!』
戻れないなら戻れるまで成長すればいい。
もし彼の力だけで戻れなくても、目の前の猟兵が戻る導となるだろう。
『――昨日より、今日。今日より明日!』
碎輝が槍を高く掲げると、呼応するように雷が彼を貫き、土煙を上げる。
青年の姿はなく電流を纏う黄金竜が姿を現すと、戦場を鼓舞すべく咆哮する!
『行こう、清導。猟兵! お前たちの力を、明日を見せてくれ!』
清導が雷竜の背に乗ったことを確認すると、サンサーラの元まで一気に駆け抜けた。
『――』
極楽の果て、あるいは中心。サンサーラの姿を認めた清導は碎輝の背中から勢いよく飛び出す!
「無限の距離があろうと、オレ達は止められない!」
足に持ちうる力全てを収束し、サンサーラの元へ!
「超必殺! マキシマム・ツインパクト!」
『俺は、どこまでも強くなる!! もっと強く、どこまでも強く……!』
炎纏う超速のキックと、無限に成長するドラゴンブレスが、仏国土の主の元へ放たれた!
大成功
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必殺の一撃を受けたサンサーラを中心に辺りは濛々と煙が立ち込め、礫が雨あられと降り注いだ。
『――猟兵、そして最弱なる竜神よ。それが全力か』
煙が晴れる。そこにいたのは――
『悲しいかな、私には傷一つつかない』
――輝く神王サンサーラの姿。
だが、その顔には僅かに口角が上がっていた。
『しかし、見事である。よくぞ私を喰い止めた』
言葉と共にサンサーラの体が薄くなっていく。
彼の体には傷は無い。
だが、彼の足元には――焦げ付いた一房の髪の毛が落ちていた。
『しかし努々忘れぬ事だ。仮にイティハーサを倒せても、私を倒すことはできぬだろう』
完全に止める手立ては無い事を言外に付すると、サンサーラの姿が輝き――。
光が止んだ時、そこには最初からいなかったように彼の存在は消えていたのだった。
サンサーラが消えた後。
上空を飛ぶ雷竜の咆哮が、サイバーザナドゥの夜明けを告げるように轟いたのだった。