帝都櫻大戰⑰〜勝 て ば よ か ろ う な の だ~
●今回は文字通り生命がかかっているのであり
――アスリートアース、古代バトリンピア遺跡。
「流石はフォーミュラ、凄まじい強さだ」
エンシェント・レヰスが一柱「神王サンサーラ」は淡々とした表情で目の前のベースボール・フォーミュラを見つめる。
「だが……悲しいかな、私には届かない」
サンサーラは無限の力を持っている。
オブリビオンも摂理のひとつと考え、不殺を貫き。
彼らが生命と出逢わぬよう|広大無辺の仏国土《サンサーラディーヴァ》を作り上げ、それを広げていた。
その|過ち《・・》を犯したことにより、サンサーラのユーベルコードは「骸の海を無限に広げる能力」に変わり果ててしまったのだ。
生命が尽きるまで時は絶えず。サンサーラが望むまいと彼自身ではどうにもできない。
故に幾許かでも食い止める手立てを求め、こうして眼前にいるアスリートアース最強のダークリーガーと対峙した。
しかし、やはりフォーミュラであっても自らにそう届きはしないようだ。
半ば残念そうに呟いているようにも見えるサンサーラに、ベースボール・フォーミュラ「Mr.ホームラン」はバッター用ヘルメットを被り直す。
「そうだな。流石の俺でもお前程強力なオブリビオンを相手にするのは中々骨が折れそうだ。
お前は強い。強すぎる。だが、|それ故に僅かな傷すらつくことも許されない《・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・》。それなら、幾らかは勝機があるさ」
それに、とMr.ホームランはにか、と笑う。
「……大体のスポーツは『チーム』でやるものだからな!」
「……チーム、だと?」
「ああ。しかも今回はバトル・オブ・オリンピアとはワケが違う正真正銘の世界の危機、生命の危機だ。
|あらゆる手を尽くしてでも勝ちに行く奴《・・・・・・・・・・・・・・・・・・》も、当然出てくるだろうよ!」
●猟兵が正々堂々だけとは誰も一言も言ってなくってですね
「――というワケでだ。
|あらゆる手を尽くして《・・・・・・・・・・》サンサーラのご尊顔に一発くれてやれ」
フィルバー・セラ(|霧の標《ロードレスロード》・f35726)がそれはもう、悪い笑みを浮かべて猟兵たちに告げる。
帝都櫻大戦、その戦火はサクラミラージュのみにとどまらず十二の世界にまで広がった。
各世界を骸の海に沈めんと襲い来るエンシェント・レヰス、その一柱たる骸の海を無限に拡大するユーベルコードを持つ「神王サンサーラ」。
はっきり言って、サンサーラは今やとてつもなく強力なオブリビオンである。
しかし予兆でMr.ホームランが告げた通り、あまりにも強力であるが故に無傷でなければならない。
少しでも傷をつければすぐに具現化が解かれ、骸の海に戻される。
故にどんな手段を用いようと最終的に軽いかすり傷でもよいから傷をつけることができればればこちらの勝ちに繋がり、他世界への侵蝕は阻止できる見込みだ。
「まあ俺たちの行っていることはまあ、だいたいの人から見たら正義に該当するっちゃあすることが多いが。
だからって一切憚られるような手段を使うな、なんてルールが別に作られてるワケじゃあねえ。
Mr.ホームランも言ってたが文字通りの世界の危機、生命の危機に瀕した状況だ。
……ぶっちゃけよ。手段を選んでいられると思うか???????そんな状況で」
それは確かにそうなんだけどもそうではないのでは???
……という視線はフィルバーがシャラップ、と言いたげに視線で刺し返す。
「これはスポーツじゃなくて戦争だ。負ければ文字通り世界が滅びそこに存在する生命が全て骸の海に沈む。
骸の海を無限にでかくするような奴に情けも容赦もいらねえ。本人も望んじゃいねえだろうからな。
世界の存続とお前らの生存――それが何よりも最優先事項であることを忘れんなよ」
御巫咲絢
当シナリオは公序良俗諸々に反しない範囲であらゆるカオスを許容致します。
繰り返します、当シナリオは公序良俗諸々に反しない範囲であらゆるカオスを許容致します。
どうもMSの|御巫咲絢《みかなぎさーや》です。
シナリオ閲覧ありがとうございます!!御巫のシナリオが始めましての方はMSページもお目通し頂けますととっても助かります。
というワケでたまには卑劣になりたい時ってあると思うんですよ。と思い第二戦線はVSサンサーラwithMr.ホームランでお届け致します。
大事なことなので3回申し上げますが当シナリオは公序良俗諸々に反しない範囲であらゆるカオスを許容致します。
ぼくのかんがえたさいきょうでひれつなさくせんプレイングお待ち申し上げております。
これはスポーツの試合ではなく文字通りの戦争なので、Mr.ホームランも見なかった振りをしてくれるそうです(?)。
普通に真っ当に戦いたい人は是非Mr.ホームランと一緒に立ち向かって頂ければと思います。
●シナリオについて
当シナリオは『戦争シナリオ』です。1章で完結する特殊なシナリオとなります。
当シナリオには以下のプレイングボーナスが存在しています。
●プレイングボーナス
姑息で泥臭い手段でサンサーラの不意を打つ/Mr.ホームランと協力して戦う。
●プレイングについて
『9/12(木)8:31』より受付を開始致します。本業の都合で時間に合わせて受付開始タグはつけられないので時間がきていれば遠慮なくご投函ください。
受付開始前に投げられたプレイングに関しましては全て一度失効を以てご返却致しますので、受付開始後にお気持ち変わらなければ再度ご投函頂けますと幸いです。
戦線システムにMSが間に合わせる為の都合でたいへん申し訳ないんですが、締め切りが長いと伸ばすクセがあるのでオーバーロードは非推奨です。
それでもええから書けや!!って人はご利用ください。
受付締切は「シナリオクリアに必要な🔵が集まったら」、また執筆は『先着順ではなく』かつ『判定が成功・大成功のプレイングのみ』となります。
あらかじめご了承の程を頂けますよう何卒よろしくお願い致します。
それでは長くなりましたが、皆様のプレイングお待ち致しております!
第1章 ボス戦
『神王サンサーラ』
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POW : サンサーラディーヴァ
自身の【眼前】を【広大無辺の仏国土】化して攻撃し、ダメージと【神王サンサーラへの到達不能】の状態異常を与える。
SPD : サンサーラノヴァ
【かざした両掌の間】から、詠唱時間に応じて範囲が拡大する、【五感封じ】の状態異常を与える【神王光】を放つ。
WIZ : 強制転生光
レベル秒間、毎秒1回づつ、着弾地点から半径1m以内の全てを消滅させる【サンサーラの光】を放つ。発動後は中止不能。
イラスト:ぽんち
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
黒木・摩那
あの飛ばす技術に関しては随一のMr.ホームランでも届かないとは。
サンサーラの領域はすごいですね。
しかし、Mr.ホームランがこのままスタンドインできずに終わるとも思えません。
いや、まだ何かが足りてない。爆発的な熱量が必要です。
ならば、ここは唐辛子の出番。これを食せば体の奥から熱がほとばしりますよ。
世界中から収集したコレクションの中から逸品を提供します。
Mr.ホームランの真なる力を発揮して、サンサーラに白球をぶつけましょう。
まっすぐ飛ばすと、簡単にサンサーラに捕球(迎撃)されるでしょうから、UC【矢印渦流】を発動して、打球をピンボール。
死角から一撃当たるように軌道を操作します。
紫・藍
あや~!
サンサーラノヴァが迫ってきて大ピンチなのでっす!
かくなる上は!
合体なのでっすよー!
神王さんも流石に唖然とするかもでっすねー。
なんせ藍ちゃんくん、ホームランのおにいさんに足を握られダンピールバットと化してますので!
ちなみにパンツルックなので色々ご安心を!
姑息というのは間に合わせの一時のという意味もありまっすからねー!
ではではそのまま大回転暗黒竜巻打法でサンサーラノヴァをピッチャー返しなのでっす!
藍ちゃんくん回転慣れしてますので遠慮なく!
強すぎる力、利用させていただくのでっす!
藍ちゃんくんによる反射に危機に瀕しての攻撃力と吹き飛ばし力9倍を上乗せしたサンサーラノヴァ!
いっけーなのでっす!
ワルルーナ・ティアーメル
くくく……この我、魔王ワルルーナに掛かればそのようなさいきょうでひれつなさくせんなど……ま、まるで浮かばん……ええいどうすぎょばー!
(相手の攻撃が迫ってるのを見てオーラで防御態勢を取るけどぶっ飛ばされて頭を打つ)
(で、UCを使用、意識がトンだまま半透明の堕天使の姿の欲望具現術の化身となって味方猟兵、又はMrホームランに憑依し、「|無制限《・・・》に対象の望む任意の能力・形態・装備」を生やし対象を強化します。
使いようによってはヤバ過ぎる代物ですけどMrも他の猟兵も自分の欲望を程々で律することができる人だと信じてますのできっと大丈夫!解除したら元に戻ります)
※アドリブ連携等歓迎です
●これぞ本当の悪魔合体
「あの飛ばす技術に関しては随一のMr.ホームランでも届かないとは……」
黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)は純粋に驚きを隠せない様子だ。
Mr.ホームランは仮にもフィールド・オブ・ナインが一柱のベースボール・フォーミュラ。
そもそもとしてフィールド・オブ・ナインはアポカリプスヘルのオブリビオン・フォーミュラであった存在だ――たまたまアポカリプス・ランページの際に復活することはなかったが為にこうも猟兵たちに対して友好的だったのは想定外だが――。
単騎で挑んでいたとはいえ拮抗……否、不利に持ち込まれているということ事態がとてつもない状況であると言わざるを得ない。
「まあ、そもそも俺はベースボール・フォーミュラ、野球はチームでやるもんだ。俺だけじゃあこういう状況になるのは仕方ないところがあるさ」
「ふむ、確かに一理あります。貴方がこのままスタンドインできずに終わるとも思えませんし……何かがまだ足りてないということでしょうね」
Mr.ホームランはこの状況下にもかかわらず余裕を崩していない。チームのリーダーが意気消沈する姿を見せればチーム全体の士気に関わる故にそれは最適解であろう。
そもそも、それ以前に彼は|負けると思っていない《・・・・・・・・・・》のだ。猟兵という最強のチームメンバーが駆けつけてきてくれたのだから。
「摩那のおねえさんの言う通りなのでっす!ホームランのおにいさんならここから逆転ホームランをキメられるハズなのでっす!」
紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)も場に駆けつけ、変わらずの藍ドルスマイルで鼓舞。
……何故か自慢のロングヘアーをお団子にしてスポーティにパンツスタイルを取っているが。
「何かが足りないのであれば、それを今から補えば良いのでっすよ!藍ちゃんくんたちならすぐに見つけられるハズなのでっす!」
「――そんな時間を我が与えるとでも?」
与えてやりたいのはやまやまであるが――と、サンサーラが静かに口を開く。
「――!皆さん、下がって!」
摩那の指示により3人が現在位置から素早く距離を取った刹那、|広大無辺の仏国土《サンサーラディーヴァ》の大地が勢いよくせり上がる。
あと数秒でもその場から離れるのが遅ければ危うくもう奴に近づけなくなるところであった。
サンサーラの領域に染め上げられたが最後、彼に辿り着くことはできなくなり、それは即ち敗北を意味する。
「あやー、危なかったのでっす!」
「流石猟兵、危機察知能力も抜群だな。流石俺の撃ったボールをキャッチできるだけある」
「とはいえ、あちらの言う通り時間はなさそうです。足りないもの……ああ、そうだ!爆発的な熱量です!」
ぽむ、と摩那が手を叩いた。
そう、この場はスポーツの競技場ではなく文字通り生命をかけた戦場。当然ながらベースボールでよくあるスタジアム特有の熱量とは無縁だ。
しかし、その熱量こそがアスリートの力になるものの一つであることも確かだった。
「ならば、ここは……唐辛子の出番ですね!」
\テンテレッテーッテッテーン♪/
どこかで聞いたことのあるジングルと共に摩那が愛用の調味料ポーチから取り出したのは唐辛子。
そう、摩那と唐辛子は切って切り離すことが決してできない間柄なのだ。
大の辛党である彼女は辛味の大元たるカプサイシンの包含量にもかなりこだわっている。
その彼女が選んだ逸材たる唐辛子は当然ながらカプサイシンの量も彼女の基準で間違いなく満足なラインに到達した逸品だ。
……まあそれが彼女以外が普通に食えるかはさて置き。
「これは封神武侠界でかの秦の皇帝司馬炎様も太鼓判を押したと言われる逸品でして、非常に強い滋養強壮の効果もあるとされています」
「すっごく赤々しいのでっす!藍ちゃんくんが食べたら口からファイヤーブレスが吐けそうなのでっすよ!」
「さあどうぞ、これを食せば体の奥から熱が迸りますよ……!」
「…………流石に唐辛子そのままで食うのはキツいからハンバーガーに挟んでもいいか?」
「もちろん」
「ちょぉおおおおおおおおおおおおおおっと待てえええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!」
とそこで飛び出してきたのはワルルーナ・ティアーメル(百胎堕天竜魔王(自称)・f31435)。
一瞬手にハリセン持ってるかと思いかねない超声量でツッコミをしながら影から飛び出してきた!
「おや、どうされましたか?」
「どうされましたじゃないぞ!!!!!!野球選手という非常に肉体調整が求められる立場でありながら堂々とハンバーガーを食すとは何事だ!!!
あまりにも素晴らしいワルすぎて思わず飛び出しちゃったじゃないか!!!どうしてくれるんだ!!!!!!」
「怒るんじゃなくて褒めるのか?デビルキングワールドの悪魔はマジでよくわからんな……」
苦笑するMr.ホームラン。ガチデビルが胃痛になるだけはあるのかもしれない。色々な意味で。
「いやっ褒め……いや、そうだけどそうじゃなくて!せっかくこの我がさいきょうでひれつなさくせんをしてサンサーラを倒してやろうと思ったのに!!!」
「だから隠れてたんでっすねー!でも今からでも全然できると思うのでっすよ!藍ちゃんくんたちも協力するので教えてほしいのでっす!」
「くくく……それはな…………………」
ワルルーナ、沈黙。
「…………ま、まるで浮かばんのだ……っ!!!!」
「あやややや」
「うーん、流石デビルキングワールドの住人」
「……いやマジでよくわからんな、悪魔」
あらまあと手に口を当てる藍、いつものお決まりの光景を見るかのような摩那、ますます苦笑いするMr.ホームラン。三者三様の反応である。
「こ、こんなハズが……我は魔王ワルルーナ、最高にワルワルな魔王だというのに……ええいどうす――」
「我を放っておくのは別に構わないとしてもその空気は色々とどうかと思うのだが!!!!」
「ぎょば――――――――っっ!?!?!?」
ついにサンサーラからツッコミと共に|五感封じの神王光《サンサーラノヴァ》が飛んだ。
とっさにワルルーナは防御体勢を取ったが派手にぶっ飛び頭をごちーん、とぶつけてその場にダウン。
「ああっ、ワルルーナのおねーさんが!」
「これはもう猶予がないですね。さあ、Mr.ホームラン!」
「よく噛んで食べる暇もありゃせんな全く……!」
一刻も早く反撃に出なければやられてしまうだろう。摩那から唐辛子を受け取りハンバーガーに挟んだMr.ホームラン。一気に頬張りスポーツドリンクで喉に流し込んでいく。
体内に取り込まれた大量のカプサイシンがMr.ホームランに強烈な滋養強壮効果、そして迸る熱力を与える……!!
「おお……この熱は……バトル・オブ・オリンピアでお前達と野球をした時の熱を彷彿とさせる……!これならいけるか……!」
「やはり私の推測に間違いはなかったようですね……さあ、サンサーラに白球をぶつけてやりましょう!」
「悪いが、次はない」
再び放たれるサンサーラノヴァ。
「あや~!?流石にこれは避けられそうにないのでっす!大ピンチなのでっす!?かくなる上は……!」
――合☆体!なのでっす!
「……!?」
サンサーラは眼前の光景を疑った。
疑うしかないだろう。
これは避けられまいと悟った結果何が起きたか。藍ドルが直立不動でMr.ホームランに脚を握らせてバットとなったのだから――!
流石にMr.ホームランもちょっと動揺している。
「ホームランのおにいさん!このまま大回転暗黒竜巻打法をお見舞いしてくださいでっす!藍ちゃんくんを信じて欲しいのでっす!」
「このたった数十秒の流れが濃すぎて流石に把握が追いつかんがまあ猟兵だしな!そろそろピッチャー返しといこうかッ!!」
Mr.ホームランは覚悟を決め、ダンピールバットをしっかりと握りしめ回転に入る――!
当然ながら藍ドルは回転慣れしているのでこれぐらい平気である。
さらにそこにすっかり気絶していて動けないハズのワルルーナが半透明の堕天使姿となって駆けつけた。
意識が飛んだと同時に発動したユーベルコードにより、欲望具現術の化身と化しMr.ホームランに憑依。
彼の中の|無限の夢幻《オール・イン・ワン》を呼び覚まし、Mr.ホームランの能力をさらに極限まで引き出していく――!
「(これは……今なら撃てる!最高の一打が――!!)」
「(姑息というのは間に合わせの一時の、という意味もありまっすからねー!このまま強すぎる力、利用させていただくのでっす!)」
サンサーラのサンサーラノヴァは五感を封じる力を持つ。
それ即ち、状態の異常を意味する。ましてや視力や聴力が封じられることにより行動が縛られるのは行動制限の一種だ。
つまりこの攻撃は、藍のユーベルコードの発動条件を満たす一撃なのである。
そう、例え神王の威光を受けようとも【藍はとまらない】――!
No 藍ちゃんくん No Life、藍ドル魂が燃え上がりバット状態で繰り出されるファンサービスは神王の威光すらも跳ね返す力となり、Mr.ホームランの大回転暗黒竜巻打法の威力をより高めるのだ――!
「―――おおおおおぁッ!!!!」
裂帛の気合と共に放たれるMr.ホームランの一撃がサンサーラノヴァを跳ね返す!
「何と……!斯様に我のユーベルコードを反射するとは。だが無意味――」
「それはどうでしょう?」
摩那の不敵な笑みと共に、跳ね返されたサンサーラノヴァが突如現れた矢印により別方向へと曲がりくねる。
ユーベルコード|【矢印過流】《ベクトル・ボーテックス》により弾道を変えたのだ。
矢印の方向に曲がりくねるサンサーラノヴァは、まるでピンボールのように不規則な軌道で加速し、サンサーラへと迫る――!
「く……っ!」
どこから迫りくるかわからない跳ね返された自らの威光を、咄嗟に|広大無辺の仏国土《サンサーラディーヴァ》の大地を隆起させて防ぐ。
自らへの到達不能の状態異常を付与する大地の障壁がサンサーラノヴァを相殺しかき消し、傷をつけることは残念ながら不発に終わった。
しかし、サンサーラに猟兵という存在の脅威を知らしめるという点については間違いなく成果となったことは確実だろう。
「……見事だ、六番目の猟兵たちよ。先ほどの光が我を貫いてくれなかったことを心から残念に思う」
「大丈夫なのでっすよ!藍ちゃんくんたちはチームでっすからね!」
「ええ、私たちは一人で戦っているワケではありませんから。私たちがダメなら、次の方にバトンタッチするだけです。
猟兵の人海戦術を侮らないでくださいね」
そう、猟兵は彼らだけではない。
Mr.ホームランが言ったチームのメンバーは、まだここからさきぞろぞろと現れるのだから。
「……はっ!我はいったい……」
「よう魔王さんよ。お前のサポート、中々に良いキラーパスだったぜ!」
「??……よくわからんが、我のワルワルなパワーにより奴に脅威を知らしめられたのだな!くくく、重畳ではないか!!流石我!」
自身が意識を失っている間のことをべた褒めされたワルルーナ。
自慢げに胸を張り悪魔らしく笑い、摩那たちより少し遅れてグリモアベースへと帰投した。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
八秦・頼典
●WIZ
世界の存亡を賭けた戦いとなれば…なりふり構わないのはよく分かる
現にアヤカシエンパイアで日夜、平安結界を維持するのも同じ事だ…が、守るべき美学という物もある
Mr.ホームラン殿も同じ考えであるそうだけど…ここはひとつ、神王サンサーラとの知恵比べと参ろう
傷ひとつ付けるだけならば『形代招来』で展開した形代がひとつでも辿り着き、指をスパッと斬る感じで傷を与えれば良いのだけど…サンサーラの光でそう簡単に到達はできない
しかしだ、お忘れかな?
ボクが作り出す形代の嵐の後ろでMr.ホームラン殿が打つ球もキミを狙っている事を…
さて、ここから共同戦線がてらな競争だよ
どちらが神王サンサーラへ先に中てるかをね!
●さりとて譲れぬものがあり
「世界の存亡を懸けた戦い――となれば……」
なる程確かに、なりふり構わないのはよく分かる。
八秦・頼典(平安探偵陰陽師ライデン・f42896)にはよく覚えがあった。
アヤカシエンパイアでは、平安結界を維持する為に彼ら平安貴族は日夜戦い続けている。
死した大地と妖魔の存在を、平穏を与えられて然るべき庶民らに決して見せない為に。
「六番目の猟兵たちよ――汝らが我を止める為にあらゆる非道すら厭わぬ覚悟か」
「有り体に言えばそうなるのだろう――が、守るべき美学という物もある」
頼典はMr.ホームランを見やる。
視線に気づいたのか否か、わざとらしくバッターヘルメットを被り直すMr.ホームラン。
彼はベースボール・フォーミュラであると同時に一介のアスリート。
スポーツマンシップに則った戦いこそ至上なれば、世界の危機であろう共なりふり構わない真似に至るのは厳しい。
しかし猟兵はその限りではないし、ここは野球スタジアムではないのだ。
故に自らは真っ向から立ち向かい、後ろから忍び寄る因子は敢えて見逃すのが、Mr.ホームランなりに自身のアスリートの誇りと両立させる為の妥協ラインといったところか。
その高潔な有り様こそ心を震わせる。アスリートとはそういう存在だ。
そして頼典は彼と同じ考えであり、なれば彼と同じく前に立って戦うことこそ今すべき務めだろう。
「神王サンサーラよ。ここは一つ知恵比べと参ろうではないか?」
「いいだろう……その覚悟、称賛と敬意を抱くに値する。どうかその高潔なる意志が我に一つでも傷つけんことを――」
祈るように語るサンサーラの背後に光が集う。
全てを飲み込み消滅させる転生の光、それが放たれる前に頼典が動く。
式神召喚の術式を持って形代を呼び寄せたのだ。
まるで目くらましのように頼典とMr.ホームランを囲う形代の嵐、しかしサンサーラは迷わず転生光の一撃を放つ。
着弾と同時に半径1mを確実に消滅せしめる一撃が形代の群れを一部呑み込むが、当の頼典とMr.ホームランは場所を移し回避に成功していた。
そして頼典が号令のように手を下せば、形代が鋭い針のようにサンサーラに傷を与えんと飛びかかる。
「(傷ひとつつけるだけならば、形代が一つでもたどり着き指をスパっと斬ってしまえば良いのだが――)」
当然そう簡単に行く話ではない。
元々この形代は数にこそ優れども耐久性は見た目通りなく、たったの一撃で消滅する程度しか持ち合わせていない。
785体もいるのだからそう簡単に全部やられこそはせずとも、サンサーラの光に容易に呑み込まれ数は減る一方だ。
「悲しいかな、数での攻めは悪手ならず、しかして我には届かない」
「だろうね、そう簡単に到達できたらキミはここまで強いとは言われていない。……しかしだ。お忘れかな?」
「何――?」
刹那、サンサーラの真横を剛速球が駆け抜ける。Mr.ホームランだ。
形代の嵐を隠れ蓑に最適なタイミングでサンサーラに一発中てようとしたのである。
「残念、ファールか。だが今のは中々手応えがあった」
不敵な笑みを浮かべ、Mr.ホームランは再びボールを取り出しバットを構える。
「さて、Mr.ホームラン殿。共同戦線がてら競争といこうではないか?どちらが神王サンサーラへ先に中てるかをね!」
「OK、世界を守る為に全力で戦いつつの|競争《スポーツ》、中々どうして悪くないじゃないか!」
「我を競争の種目と見立てるか。その豪胆さもまた、称賛に値する」
サンサーラは頼典たちに強い魂の輝きを見た。
先程一線交えた猟兵たちからもだが、彼らの魂の輝きは本当に眩く、強いものだと。
彼らならば本当に可能かもしれないと、漠然と思わせるだけの強い輝き。
ああ、骸の海に沈んでからもずっと願い続けてきたことを、彼らならば、きっと――
「どうか我を――私を止めてくれ、六番目の猟兵たちよ」
成功
🔵🔵🔴
バルタン・ノーヴェ
アドリブ連携歓迎
オーダー了解!
Mr.ホームランと協力する方々の裏から、堂々と!
公序良俗に反しない範囲で、あらゆる手段を講じマース!
ツッコミはサンサーラによろしくデース!
サンサーラディーヴァを展開されると正面からの到達は不能でありますからな!
眼前にならない、背後からの強襲で対処!
「六式武装展開、雷の番!」
テンションを上げつつ、我輩、変形!
両手と両足を駆使して、卍の形状(中心に頭部)を生成!
センシティブ・スワスティカ・アッソー!(英語・梵字・仏語)
ぐるぐると胴体が渦巻き回転しつつ! 頭から体当たりを仕掛ける!
超級バルタン荷電粒子弾!
我輩が、ワタシたちが! 骸の海をも貫くミサイルとなりマース!
●その名はガn……いえ、バルタンデース!
――一方、その裏で。
「(公序良俗に反しなければ何でもオーケーということですので、あらゆる手段を講じマース!)」
バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)が影から影へと移動するように、気取られぬことを意識してサンサーラの背後を突かんとしていた。
グリモア猟兵からのオーダーを忠実に護り、メイドではなく一介の傭兵としての歴戦の知恵をフル動員して奴に与える一撃を模索する。
「(サンサーラディーヴァを展開されると正面からの到達は不可能。であれば、月並みデスガ背後からの奇襲はきっと効果覿面デース!)」
形代ストームの影響もありサンサーラがバルタンに気づくことはなさそうだ。
Mr.ホームランのボールがさっきからかすめてはバルタンの真上やら真横を過ぎ去っていくが、HAHAHAとバルタンは笑い飛ばす。
「(流石Mr.ホームラン殿、素晴らしいバッティングデスネー……この球速、ワタシもこれぐらいは出したいものデース。いっちょやってしまいまショウ!)」
丁度サンサーラの真後ろにたどり着いたバルタン。ここからは全力であらゆる手段を講じるだけの簡単な仕事だ。
「――"六式武装展開、雷の番"!!」
バルタンの迸る気合に呼応するかのように電流が走り、稲妻が光る!
「……何、いつの間に……!?!?」
背後を取られていたことに気づいたサンサーラ。
即座に反撃に出ようとして――固まる。
「我輩、変形ッッ!!」
何故なら眼の前の電流を纏ったサイボーグバトルメイドがどう考えてもどうやっても人間の駆体じゃ再現しようもない卍ポーズを構えていたのだから!!
「……いや、そうはならぬだろう……??」
「HAHAHA、ナイスツッコミ!ですがなってるでありマース!センシティブ・スワスティカ・アッソー!!」
「ええい、まるで意味がわからんぞ!?繊細で幸福な……な、何だ!?」
英語と梵字はわかったが最後がわからなかったようだが多分問題は確実にそこではない。
しかし完全にバルタンの勢いに呑まれたサンサーラはご丁寧に彼女のペースに合わせてくれていた!
これがノリと勢いの真なる力ということだろうか。真相は誰にもわからない。
「……いやアレはサイボーグならでき……る、のか……???」
流石にMr.ホームランも凝視している。それほどまでに卍バルタンのインパクトが何もかも持っていっていた。
しかも胴体だけが高速回転をするものだから余計に凝視せざるを得ない!
「超級バルタン!荷電ッ!!!粒ゥゥゥゥゥゥ子弾ッッ!!!!!」
そしてそのまま超高速回転でバルタンが頭からサンサーラに突っ込んでいくッ!!
「な、ん……っ!?」
「我輩が、ワタシたちが!骸の海をも貫くミサイルとなりマース!!!」
まさに紫電一閃が如く一直線にサンサーラそのものを貫かんとする勢い。
とっさの行動が間に合ったのか、再び|広大無辺の仏国土《サンサーラディーヴァ》の地を障壁代わりに展開するが、バルタンはそれも構わず一直線!
神王の戒めすらもこの超級バルタン荷電粒子弾の前には届かない――!
「莫迦な、我に到達できぬ戒めを与えるこの地を貫く、だと……くぅっ!」
大地が砕ける衝撃、それに伴う突風にサンサーラは立つのがままならず地に伏せざるを得ない。
だがそれが功を奏したのか、超高速回転するバルタンの雷がギリギリかすめるかかすめないかのラインを通り過ぎる。
「Oh,あと少し届きませんデシタカー。流石神王と呼ばれるだけあって運の風向きも良いみたいデスネー!HAHAHA!」
「……汝のような者は見たことがない。流石に肝が冷えた……これが六番目の猟兵の力か……!」
こんなツッコミばかりしていたら間違いなく胃が保たない。
ストマックエイクで骸の海に沈みかけるという決して二度と味わうことはできないだろう経験をしたサンサーラであった。
恐るべし、サイボーグバトルメイド……!!
成功
🔵🔵🔴
東・よるは
◎
頭痛が痛い。
ですが成る程、それはいけませんね。
骸の海を広げるのであれば桜の世を穢す癌も同じ。自分で止められないならばその先は。
しかし|消す《・・》程にも及ばない。
わたくしはここでは、勝てば良いらしいですから。
それに――広がることを望むか望まざるかにもよる。
その答えを聞く為にもUCで隠密性を高めます。
色は碧空、深き森なる戦の色――低く斜めに閃夜を構え、気を引くのをMr.ホームランに任せつつサンサーラの背後まで回る。
そして静かに刀を振り抜いて切断を試みる。
状態異常が起きる前に妨害するのです。
叶ったならその後はMr.ホームランの隣に立ちましょうか。
さあ、お聞かせ願いましょうその答え。
君は、どちら?
エアリーネ・シルベンスタイン
まあそうですよね…「以前の猟兵」もそうですが、案外選ばれる基準は曖昧ですしね……
扱う技術にも死霊術とかいろいろありますし…
まずは折角他に目立つ人がいますし、こちらは目立たないよう隠れていますね…
どうみてもあの人の方が打たれ強いし目立つのも好きそうでしょう…?適材適所というものですよ…
確かに距離を延ばされ続けるのは厄介ですね…ならコレです…【アースストライク】
相手の「周囲の地面」を岩石の巨腕に変え、掴んで、持ち上げて、叩きつけて、投げます…だってこれ、別に射程限界は決まってませんし…
見づらくて多少操作が甘くなっても少しでも掠らせれば十分ですので…
※アドリブや連携などは歓迎ですよ…
●その宣言に偽りはなく
「……頭痛が痛い」
「う、うーん……」
ここまで繰り広げられた半ばトンチキじみた光景に東・よるは(風なるよるは・f36266)とエアリーネ・シルベンスタイン(びんぼうエルフ・f26709)はどうコメントしたものか困っていた。
一番困っているのはサンサーラなんじゃないのかと言われればそれも是である。
「六番目の猟兵よ、実に的確な表現を用いるな。私はここまで頭が混乱せざるを得ない光景を見たのは初めてだ……」
「……ご、ご愁傷様です……?」
本気で頭を抱えていたサンサーラ、流石に同情を禁じ得ないエアリーネ。
その一方でMr.ホームランはもう大分慣れてきたようだ。まあアスリートアースにいたら首かしげたくなるようなスポーツもあるからなんだろう、多分。
「まあとりあえず、仕切り直しといこうか。さっきから中々良い線はいくんだが、最後の一発が当たらん状況と言ったところだな」
「なる程……いけませんね。骸の海を広げるのであれば桜の世を穢す癌も同じ。自分で止められないならばその先は――」
「それに距離を延ばされ続けるんですよね?厄介です……」
「とはいえ、消す程にも及ばない。ここでは勝てば良いらしいですから。それに――」
広がることを望むか、望まざるかにもよる。
サンサーラは止めて欲しいと取れる発言をしているが、オブリビオンはどこかしら正気を喪失する存在。
まともに話が通じるように見せかけこちらを欺いている可能性を完全に否定しきるのは危険なのではないかとよるはは考える。
とはいえ、極限が迫りでもしなければ人の本性が見えないように、狂気に呑まれているのであれば少しでも抑え込む必要はありそうだ。
「ですので、表はお任せ致します」
「私も目立たないように隠れますね……」
「OK。レディたちに矢面に立たせて後方に座するのはスポーツマンじゃあないからな。任せてくれ」
再びMr.ホームランがバットを握り、構えに入る。
かれこれずっと戦い続けているが流石フォーミュラなだけはあり、疲れを見せる様子が一つもない。
サンサーラが姿を消したよるはとエアリーネに狙いをつけようとしたタイミングですかさず一発撃ち込み、彼女たちに目を向ける暇を与えぬようにMr.ホームランは立ち回る。
「レディファースト、とやらか?その姿勢は称賛に値するが――汝がどれだけこちらの気を引こうとも、我が|広大無辺の仏国土《サンサーラディーヴァ》には何人たりとも立ち入ることはできな――」
そう、サンサーラが告げようとした矢先のこと。
眼前の仏国土が突如巨人の如き腕の形を取ち、サンサーラを掴み上げようと手を伸ばしてきた。
即座に転生光では弾いて距離を取るが、今度は背後の地面が巨腕と化して襲いかかる。
掠めそうで掠めないギリギリのラインで転生光を腕めがけて放ち、ブースター代わりにして距離を取るもまた地面が腕となり――と、応酬が繰り返される。
「掠らせれば十分なら、操作が粗雑でも何とかなりそうと思ったんですが、中々ですね……」
むう、とエアリーネは眉間に皺を寄せながらユーベルコードを行使し続ける。
【アースストライク】はおおよそ126t相当の地面を巨腕に変化させて攻撃するユーベルコードだ。
重量こそ条件があるものの、射程の限界による影響を受けない為、サンサーラがどこにいようが術式を以て追い詰めることが可能だ。
回避すれば一本、もう一度回避されたらまた1本、徐々に増やしていくことでエアリーネはサンサーラの逃げ道を塞がんとする。
そうして出来上がった巨腕たちは川の氾濫が起きた時のように次々せり上がってはサンサーラに傷を与えんと振り下ろされていき、
やがては周囲は|広大無辺の仏国土《サンサーラディーヴァ》の大地から作られた巨腕を木に見立てて森を作ったかのような状態と化した。
「物理的に汝らと我の位置を縮めようとするか……なる程、我のユーベルコードによる無限拡大を逆手に取るとは。だがしかし、これもまた届かない」
「そうですね……私だけなら無理かもですけど、私だけではないので……」
「何……?」
ふとサンサーラが何かを感じ取る。
しかし既に時遅し、死角から明細を用いて姿を消したよるはが迫っていた。
「色は碧空、深き森なる戦の色――例え広大無辺な仏国土であっても、他世界の森羅万象を簡単には否定できませんでしょう?」
「……!!」
【色彩剣〜碧空】により獣人戦線の森羅万象を帯びたよるはは、一時的に神王に勝るとも劣らぬだけの強化を得ていた。
声はすれどもサンサーラの黄金の大地と極めて近しい色である光学迷彩で姿を消したよるは。
流石のサンサーラも回避や反撃に出るのが間に合わず、既のところでギリギリ回避という形になり、
同時に彼のユーベルコードが与える悪影響すらも一刃の下に斬り捨てたよるは。
仕事は十分と判断したのか、Mr.ホームランの隣に立って静かに口を開く。
「さあ、お聞かせ願いましょう。貴方の答えを」
「答え、だと」
「君は、どちら?」
「…………」
サンサーラはエンシェント・レヰスである。
例え自我をほとんどオブリビオンに呑まれてしまったとしても、骸の海によって自らのユーベルコードが捻じ曲げられようとも。
その生命と引き換えにしてまで幻朧帝イティハーサを封じた魂の輝きに一切の偽りはなかった。
「……案ずるな、六番目の猟兵よ。私はオブリビヲンの世界を滅ぼすという本能に呑まれてはいない。
そして、私に対する情けも不要だ。汝らの全力を以て、我を――私を、幾許かの間でだけでも構わない。どうか、止めて欲しい」
これまで彼自身の持ち得る神王としての権能か、元より幸運に溢れていたのか。どちらにせよサンサーラに一撃は届かずじまいに終わっていたが、
それも段々と功を奏することは無くなりつつあった。
確実に、その時は訪れようとしている――
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
武器:漆黒風
勝てば良いならば、まあ忍びの出番でしょう。
…サンサーラ殿とて、やりたくないはずですから。
というわけで、気配を消してひっそりと…なんか陰海月と霹靂が、向こうで張り切ってますが。
だから…そのまま、私は漆黒風を投げるのですよー。
忍びとは、忍んでこそ。
※
陰海月「ぷきゅ!」
霹靂「クエ!」
Mr.ホームランの方に行って、わざと目立つように!触腕ふりふり、翼バサバサ。あと多分、オーラ防御で光る。
海色&雷結界で身を守るから、心配無用!第六感でも動くもん!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
猟兵の戦い方も様々ですので?
転移時に他の方の陰に隠れ見つかり辛い様にした上で、転移と同時に【匸勹】を発動、『祭礼の女神紋』により『祭器』共々『認識出来ない状態』になりますねぇ。
そして『FLS』により『FPS』『FIS』を召喚、『FIS』で『視界と逆方向の遠い位置』に瞬間移動、『FPS』の探査で戦場の情報を探っておきますぅ。
神王さんの【仏国土】は『眼前』に作用するもの、視界に入らずとも位置が合致すれば影響は受けるでしょうが、『眼前』から外れた位置に待機すれば問題ありません。
Mr.(+他の方)に気を取られた隙を狙い『FIS』で背後に転移し腰だめに構えた『刀』で刺しますねぇ。
ティオレンシア・シーディア
卑怯卑劣推奨ってのは逆に珍しいわねぇ…
ま、あたしは元々特別な力とかなぁんにもないし。ただの人間らしく、精々悪辣に立ち回りましょうか。
距離を詰めても勝ち目がない上に、あっちの妨害が通ったらその時点でアウト。…なら、思いっきり距離を離しましょ。
スノーフレークに○騎乗して|ラグ《幻影》と|摩利支天印《陽炎》で光学迷彩を展開、●射殺・解識を起動。最大射程の約24km地点から煙幕やら閃光弾やらも織り交ぜて射撃爆撃の釣瓶撃ち。
――を、全て足止めの囮にして本命は生物最大の死角「直上」からの曲射によるピンポイント狙撃。
掠り傷でいいって前提がなければ費用対効果が悪すぎてまずこんなことできないわねぇ…
●
「ぷきゅ!」
「クエ!」
確実にサンサーラへの一手は近づいているが、結果としては膠着状態となっている中に突如響き渡る鳴き声。
「……お?」
Mr.ホームランがふと見上げると、そこにはでっかい一匹のミズクラゲとヒポグリフ。
ぷきゅぷきゅクエクエ、触腕をぶんぶん振り、翼をばっさばっさと広げて何故かぺかー、と光っている。
彼らの名は陰海月と|霹靂《かむとけ》。馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)が自らの影に潜ませているペッ……いや、相棒だ。
この二匹はご主人様よりめちゃくちゃ目立つ……それはもう、凄く目立つ。
陰海月に至っては何ならゲーミングカラーに光る程度には目立てる程度の技能を持ち合わせていた。
主である義透の命によるものなのか、当人(?)らの意志によるものかはわからないが、Mr.ホームランの加勢と気配を殺し場に忍ぶ義透や他の猟兵たちの存在を気取られぬよう囮を買って出たようである。
「……何だ、その、珍妙な生き物は」
「さあな。俺もわからん」
サンサーラは再び困惑し、Mr.ホームランは肩をすくめて苦笑する。
「だが、心強い応援団なのは確かだな!」
再びMr.ホームランがバットを握り、サンサーラと何度目になるかわからない打ち合いを再開している一方。
「……何かやったら張り切ってる子たちねぇ」
「何か張り切ってますねー。まあ、だからこそ私たちはひっそりと事を運べるワケですが」
「まあ、猟兵の戦い方も様々ですので?馬県さんの可愛いペットさんたちに感謝して、私たちは私たちにできることをやりましょうかぁ」
三者三様、それぞれの位置から臨戦態勢を取っているのは義透とキャバリア「スノーフレーク」に騎乗したティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)、
そしてユーベルコードにより祭器を強化して気配感知から逃れた夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の3人であった。
「ですねー。彼らが頑張ってくれている内に行くとしましょう……サンサーラ殿とて、これ以上やりたくないでしょうから」
「とはいえ、卑怯卑劣推奨ってのは珍しいけどねぇ……ま、あたしは元々特別な力とかなぁんにもないし、せいぜい悪辣に立ち回りましょうか」
「『祭器』で常に探査して相手の仏国土の出現位置や射撃に最適な座標は算出していますから、適宜ご連絡しますねぇ」
「助かるわぁ。そのデータできればもらいたいんだけど」
「了解です、転送するように設定しておきますねぇ」
「では、参りましょうかー」
かくして3人は散開。
義透は引き続き闇に溶け、るこるは祭器による演算と探査を再開し、ティオレンシアは光学迷彩を展開した上で距離を取る。
『祭器』|フローティング《F》リンケージ《L》システム《S》で祭器を追加で呼び寄せたるこるはフローティング|インタディクト《I》システムでサンサーラの視界から限りなく遠い位置に転移し
フローティング|プロープ《P》システムで引き続き探査と演算を行う。
先ほどから義透のペッ――相棒二匹とMr.ホームランと激しい応酬をくり広げているサンサーラ、その展開する仏国土の広がる範囲から死角になりうる逆の位置を取った後、上空に飛び俯瞰することでより確実にデータを取る。
「(神王さんの仏国土は|眼前《・・》に作用するもの――視界に入らずとも位置が合致すれば影響は受けるでしょうが――)」
逆に言えば、眼前から外れた位置にいれば、例え彼の領域内に足を踏み入れたとしてもすぐに状態に変化が起きることはないだろう。
「先ほどまで挙げられた報告書のデータを見るに、神王さんの攻撃事自体は眼前や自身を中心に特化するものが強いようですねぇ……」
「距離を取られれば取られる程逆に不利になる、ということねぇ……なら思い切り距離を離してまずは牽制しましょうか」
「では私もそのようにー。表はMr.ホームラン殿と陰海月、霹靂が抑えてくれているようですので……」
ちらりと前線を見やると、Mr.ホームランが義透のp……相棒と言葉が通じないながらもきちんと連携し、サンサーラの視線を自分たちに完全に引きつけていた。
Mr.ホームランの攻撃にサンサーラが追いついていないようにも見える。
先ほどからちょくちょく展開されるトンチキ展開に頭が鈍ってしまったのかもしれないが、それはそれとして敵を引き付けるという役割を立派に果たしていることに代わりはない。
「今なら不意打ちを入れると効果がより高いかと」
「そうねぇ、データもらったけどマルガリータもデータ的に有効を示してるしそろそろ投げちゃいましょう」
ティオレンシアがユーベルコードを機動する。
現在彼女は極めて離れた位置に陣取っていた。目標との距離にしておよそ24km程。
その距離から撃ち込むは煙幕、閃光弾――戦争においての常套手段と言われるそれらを、自身の直感とAI『マルガリータ』の演算を照らし合わせ、最適なタイミングで釣瓶撃ちしていく。
「――!」
先程まであまりにも濃い最前線組の様子がまるで意味がわからず動揺しながらも応酬していたサンサーラ。
気づいて思わず身構えて神王光を放つが陽炎のようにかき消される。
さらに回避しようとしても――動かない。
いや、"動けない”のだ。
「体が、動かない……何故……これ、は!?」
ふとサンサーラが足元を見れば、そこには何の変哲もない棒手裏剣が突き刺さり、影縛りの術のように動きを封じていた。
義透の持つ漆黒風が影縛りの針の役割を担っていたのだ。
「(忍びとは、忍んでこそ。陰海月たちが張り切っていますので、そのまま私はこうして投げるだけです)」
歴戦の忍であった義透の人格の一つ『疾き者』にとって、ほぼその場から不動の相手の陰のみを捕らえて素早く投げて動きを止めることなど造作もなかった。
ここで仮に漆黒風をサンサーラが砕いたとしても、すぐに次が縫い付けられ、さらにティオレンシアによる牽制弾幕の嵐が飛び視界を狭めてサンサーラ側の選択肢を奪った。
避ける為の手段・選択肢は尽く彼の手からはたき落とされてなす術もない。
「るこるさん、いっちゃう?マルガリータも合図してきてるわ」
「行きましょう。馬県さんのおかげで神王さんは今避ける術がないようですから」
「了解。こういうサポートがなけりゃ費用対効果が悪すぎてこんなことできないしねぇ。じゃあそろそろ始めるわね」
ティオレンシアがAI『マルガリータ』と自らの直感を信じ、弾幕の合間にスナイプを撃ち込んだ。
その起動はまさに曲射。
まっすぐ天に飛んだと思わせる非常に大きなカーブを描くように曲射することで確実に当てようという試みだ。
しかし本人の言った通り費用対効果があまりにも悪く、今回のような戦いでなければ使うことはない。
『マルガリータ』もだが、るこるのサポートと義透の牽制のおかげでこれがより現実性・確実性の高いものとなる。
煙幕や閃光弾で視界を奪われながらMr.ホームランの飛ばす魔球に対応するサンサーラがソレに気づくことは当然なく、曲射した一撃が髪の毛を掠める。
「――!」
たかが髪の毛、されど髪の毛。
少しでも傷を与えれば良いのであれば、勢い等によるもので髪の毛一本がちぎれたりしても同等だろう。
だが、より確実にする為に。
「神王さん、お覚悟を――」
FISで背後に転移したるこるの霊刀がサンサーラの胸を貫いた。
仏国土と化した大地に真っ赤な雫が滴り落ちる。
後ろから突き刺した為にるこるに彼の表情はわからない。だが。
「……礼を言う、六番目の猟兵たち、そしてフォーミュラよ。汝らの魂を、心より称賛しよう」
存在を保てなくなったサンサーラの最後の言葉。
その声はとても穏やかな、まるで今から寝に入るかのような、声だった。
大成功
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