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帝都櫻大戰⑫〜誰がために戦禍を征くか・Side『5』

#サクラミラージュ #クロムキャバリア #帝都櫻大戰 #第二戦線 #イザナミ #アダム・カドモン #ACE戦記 #グリプ5

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●幻朧桜
 小国家『グリプ5』のプラントから警告音すらかき消すように無数の幻朧桜が溢れ出す。
 それは驚異的な速度で膨れ上がり、見事な大樹へと成長したのだ。
「……」
 静かに見つめる翡翠の瞳があった。
 彼は、それを知っている。
「幻朧桜。この地にまで波及するか」
 かつて『サクラ』と呼ばれた魂人『パッセンジャー』は赤い二人羽織のような装甲を持つキャバリア『熾盛・改』のコクピットの中でつぶやく。
 その言葉に呼応するように羽織となっていたもう一騎のキャバリアが分離する。
「起きたか」
「……うん」
『パッセンジャー』の言葉に瞼の開かれた奥にあった黒い瞳に光灯したのは『フュンフ・ラーズグリーズ』とかつて呼ばれていた『サツキ・ラーズグリーズ』だった。
 分離した二騎のキャバリアが見るのは、小国家『グリプ5』に迫る無数のオブリビオンマシン『オプシディアンMk4』だった。

「小国家『フルーⅦ』の主力キャバリア、だったものだ」
「そうか。だが、違うな。あれは」
「僕にはわからない。けれど、きっとあれはよくないものだ。僕の故郷……『グリプ5』を襲おうとしている」
「どうする」
「決まってる。助けるさ。そのために僕は戻ってきたんだ。助けを求める人を放ってはおけない。僕の手が届くのなら、伸ばすさ」
『サツキ・ラーズグリーズ』の言葉に『パッセンジャー』は頷く。
 目の前にはオブリビオンマシンの大群。
 それは蛆獣と呼ばれるものであり、戦いの記憶が刻まれた大地より破壊されたかつてのキャバリアを引きずり出しているのだ。
 すでに大群たる『オプシディアンMk4』の出現に『グリプ5』の市街地は混乱している。

 どうして、という声が聞こえるようだった。
 多くの脅威が『グリプ5』を襲い続けていた。それ故に疲弊しきった人々の心はやせ衰えている。
 誰もが平和を渇望しながら、しかし、それとは程遠い状況が連続している。
 此度もそうだ。
『ザ・スター』と呼ばれる超常の存在の来襲。
 そして、突如として現れた不気味な過去の戦いの亡霊とも言うべきオブリビオンマシンの大挙。
 あまりにも理不尽だ。
 だが、混乱に泣くことは許されない。

「だが、手の届かない場所は必ずある。そして、救われなかった者たちは、敵ではなく己を救わんとしたものに刃を向けるものだ。言葉という刃を」
 わかっている。
 例え、言葉の刃が心をえぐるのだとしても。
 それでも『サツキ・ラーズグリーズ』は、もう生命を見捨てない。
 かつての戦いで己の手の内からこぼれ落ちた|『希望』《H.O.P.E》があった。生命の温もりが失われていく感触は今でも心に残っている。

「だからこそだ」
 通信に割って入るようにして『グリプ5』に現れたのは、体高5m級の人型戦術兵器『セラフィム』であった。
 それは人が乗り込むものではなく、|『決戦配備』《ポジション》である。
 胸部の砲口が展開し、内蔵されたスピーカーから声が響く。
「市民よ聞け」
 その声は理知的であり、また同時に平坦なる声であった。
 だが、同時に人々の混乱する心を鎮めるような不思議な安定感を持つものでもあった。
 スピーカーより響いた声は特務機関DIVIDE長官『アダム・カドモン』の声だった。

「諸君には間もなく猟兵という救い手が現れるだろう」
 それは希望にも似た事実であった。
 だが、と『アダム・カドモン』は告げる。
 迫りくるオブリビオンマシンの大群。
 確かに耐えれば希望は訪れるだろう。
「だが、それで本当によいのか? その鉄塊は何のためにある?」
 彼の言葉は人々の心に熾火を灯した。そう、彼等の前には作業用のキャバリアがある。多くの戦乱によって傷ついた小国家を立て直す日々にて使うものであるが、戦術兵器であることに違いはない。
 確かに、現れた二騎の赤いキャバリア『熾盛・改』は大挙とするオブリビオンマシンを抑えることができるだろう。

 だが。
 それは果たして本当に希望か。
「『待て、しかして希望せよ』……それが出来るの者は多くない」
「待てない。もう僕らは救うことをためらわない!」
「戦う意志ある者は私に続け! 私もキャバリアで出る!」
「その道行き、その声、届けるお手伝いをさせていただきます!」
 グリモア猟兵、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)はグリモアベースより猟兵たちを転移させるために降り立つ。
 次々に転移の光が戦場に生み出され、猟兵たちが戦場へと現れ始める。
 その光景に『アダム・カドモン』は『グリプ5』にて生産されていた拠点防衛用キャバリア『セラフィム・ゼクス』へと乗り込む。
 それは量産されたキャバリア。
 異世界から神隠しによって迷い込んだ少女と、この世界の技術者たちが作り上げた守るためのキャバリア。
 多重シールドをフレキシブルアームが懸架し、敵の攻撃をいなす、受け止めることを主眼に置いた機体。
『アダム・カドモン』は告げるのだ。

「希望を胸に抱いたのならば、手を伸ばせるはずだ。恐怖と絶望の底にありながらも、勇気の源たる熾火へと――!」


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『帝都櫻大戦』の戦争シナリオとなります。

 突如としてクロムキャバリアのプラントから無数の幻朧桜が溢れ出し、エンシャント・レヰス『イザナミ』が出現しました。
 彼女を蝕む『冥府の蛆獣』は小国家『グリプ5』を巻き込んだ戦乱に散ったキャバリアを引きずり出し、市街地へと大挙しています。
 これによって市街地はパニック状態になっています。

 この状況に二騎の赤いキャバリアが即座に対応に出現しています。
 ですが、未だ市街地は混乱が続いており、このままではパニックに寄る大惨事は免れません。
 ですが、『キャンピーくん』が送り込んだ特務機関DIVIDE長官『アダム・カドモン』が民衆を落ち着けるための演説を行っています。

 このシナリオでは『アダム・カドモン』の演説に協力して民衆を落ち着かせ、人々を避難させるか、または共にキャバリアを駆り戦うことになるでしょう。

 プレイングボーナス……アダム・カドモンと協力して民衆を落ち着かせる/アダム・カドモンや市民達のキャバリアと連携して戦う。

 それでは、幻朧櫻舞い散る帝都にて戦う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 集団戦 『オブシディアンMk4』

POW   :    ホークナパーム
【油脂焼夷弾】が命中した対象を燃やす。放たれた【高温の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    ピアシングショット
【スコープ照準】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【RSキャバリアライフル】で攻撃する。
WIZ   :    マイクロミサイルポッド
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【誘導ミサイル】で包囲攻撃する。

イラスト:逢須 かた丸

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊だけれど、今回は…

陰海月「ぷっきゅ!」

…陰海月語を翻訳します…

ぼくも量産型のを借りていくよ!
皆、よろしくね!操縦は…大丈夫!手数多いし!

ぼくの纏う光は、たしかにおじーちゃんたち由来の呪詛だけど。
同時に、希望の光でありたいんだ!
だから、そのミサイル…全部、この光珠で消してみせるから!たーまやー!
そして、そのまま光珠を敵にぽいぽいし続けちゃうよ!

知ってるよ、皆が皆、立ち向かう強さを持っているか、と問われたら『否』だって。
でもね、避難することだって、悪いことじゃない。玉福や夏夢のように、迎える人が必要なんだもん。
だから…ぼくは、守るために戦うんだ!



 大挙として大地より引きずり出されたおブリオンマシン『オプシディアンMk4』は、不気味な振動と共に行軍を開始する。
 土煙を上げて迫る姿は、さながら幽鬼の軍勢。
 冥府より蘇りし嘗ての敵が小国家『グリプ5』へと迫らんとしていた。
 その光景を見た人々は思うだろう。
 怪しく煌めくアイセンサー。
 その赤き瞳が己達を見ている。恨めしげに、憎しみと共に、射抜くように。
 誰もが悪意に敏感だ。
 なぜなら、悪意は生命を脅かす。
 それ故に逃げなければならない。けれど、恐怖に駆られた心は混乱しか招き入れない。

 普段であれば落ち着いて行動することもできただろう。
 けれど、恐怖と悪意とに晒された人々は逃げ惑うことしかできない。
 我先にと逃げ道を探す人々。

 その戦場に降り立つのは量産型キャバリア『セラフィム・ゼクス』を駆る馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)と合体した『陰海月』であった。
 ゲーミングカラーのような光り。
 機体より発露する光は、正しく1680万色。
 目がチカチカするほどの輝きに、人々は見上げることしかできなかっただろう。
 混乱に満ちた心は、その強烈な光にこそ意識を引っ張られて島う。
「な……なんだよ、あれは」
 物言わぬ機体。
 そのコクピットの中で義透たちと合体を果たした『陰海月』は思う。

 己の身より発する光は、確かに義透たちに由来する呪詛である。
 けれど、同時に希望でありたいとも思うのだ。
 生命奪われた呪い。憎しみ。
 そうしたものの煮凝りが悪霊である。
 けれど、悪霊とて光を放つことはできないのか。
「ぷきゅ!」
 できる。
 自分がそうしてみせると言わんばかりに『陰海月』は機体に装備された射出口を開く。

 迫るは『オプシディアンMk4』のマイクロミサイルポッドより放たれた誘導型ミサイル。
 それは火線を引きながら小国家『グリプ5』の市街地へと飛来する。
 あれが着弾すれば市街地は焔に包まれるだろう。
「ぷきゅ!!」
 そんなことはさせないとユーベルコードの強烈な輝きと共に発射口から1680万色に輝く光珠が放たれる。
 それは迫る誘導型ミサイルを目指して飛び、激突して相殺していくのだ。

 爆発に照らされる人々の悲鳴が聞こえる。
 知っている。
 皆が皆、立向う強さを持っているものではない。
 誰もがそれを持ち得ることができるとは言えない。
 逃げることが悪いことでない。
 戦えぬ者は、戦いに傷ついた者たちが戦い終えた先にて迎える者たちでもあるのだ。
 自分にとって、そういう者たちがいるのと同じように。
 今逃げ惑う者たちにだってきっと役割はあるのだ。

 迎える人のいない者がどれだけ寂しい者かを『陰海月』は知っている。
 だからこそ、『陰海月』は思うのだ。
 己は何のために戦うのか、と。
 それは守るために戦うのだ。
 炸裂する爆風から『セラフィム・ゼクス』の多重シールドが人々を守る。
 守る。守る。守る!
 その意思を籠めた『陰海月』の放つ輝きは、悪意放つ光に負けじと人の心を照らすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バルタン・ノーヴェ
アドリブ歓迎

オブリビオンの暴威を見過ごさぬ人々の覚悟! グッド!
サツキ殿、パッセンジャー殿、そして多くのエブリワン!
加勢いたしマース!

アダム殿の演説で落ち着いた民衆の中で、戦う意志を見せた市民の方々!
共に立ち向かいマショー!
一人一機では敵の攻撃に倒れるかもしれマセン。
しかし! 力を合わせれば強くなるのデース!
「骸式兵装展開、械の番!」

グリプ5の量産型キャバリア『セラフィム・ゼクス』たちを、我輩を軸にして合体!
最上位の位階を冠する機体が乗算されれば、黒曜石も打ち砕けるはずデース!

ワタシ自身は連結制御や防衛に専念して、バトルは市民に任せマース!
自らの手で抗い戦う、その経験は必ず糧となるはずデース!



 オブリビオンマシン『オプシディアンMk4』は未だに大地から湧き上がるようであった。
 エンシャント・レヰス『イザナミ』の身より湧き上がる『冥府の蛆獣』によって引きずりさだれた『オプシディアンMk4』は、大挙として迫り、油脂焼夷弾を小国家『グリプ5』の市街地へと放つ。
 炎が巻きおこる。
 人々の悲鳴が上がり、混乱が広がっていく。
 次々と叩き込まれる焼夷弾であったが、それは空中で爆散した。
 爆炎が広がる最中に戦場を駆け抜けていったのは、赤い二騎のキャバリアであった。
「敵の数が多い!」
「それはわかっていたことだ」
 二騎のキャバリアを駆る『サツキ・ラーズグリーズ』と『パッセンジャー』は降り注ぐような焼夷弾を次々とライフルで撃ち落としていく。
 空中で爆散すれば、まだ市街地への被害は避けられる。

 が、それでも数が多かった。
 彼等が如何に卓越した能力を持つのだとしても、数の暴威は大波のように市街地へと迫ってくるのだ。
「その覚悟! グッド! 故に加勢いたしマース!」
 その声とと共に転移してきたのは、バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)だった。
 彼女の転移は爆炎を斬り裂くようであったし、また同時に彼女の瞳に宿ったユーベルコードは、周囲に展開していた戦う覚悟をした一般人たちのキャバリアに光をつなぐ。
「な、なんだ!?」
「戦う意志を見せた市民の方々! 共にこの困難に立ち向かいマショー!」
「だ、だが敵の数が……! それにこちらは防衛用の機体ばかりで……!」
「構いまセーン! 一人一騎では敵の攻撃に倒れるかもしれマセン。しかし! 力を合わせれば強くなるのデース!」
 瞬間、バルタンの瞳から発せられた輝きが『セラフィム・ゼクス』を中心にして人々の乗るキャバリアへとつながる。

「この光はなんだ!?」
「骸式兵装展開、械の番!」
 それはバルタンのユーベルコード、模倣様式・戦闘機械都市(イミテーションスタイル・マザー・コンピュータ)の輝きであった。
 彼女の周囲にあった機体が、バルタンを中心にして合体していく。
 それはもともと合体機構などないキャバリアを無理矢理に取り込むように巨大化させていくのだ。
「な、なあ――!?」
「我輩の力があれば、皆様の力を合わせることで、最も強い力を得ることができるのデース! そう、例え敵が|『黒曜石』《オプシディアン》の名を持つのだとしても、打ち砕けるはずデース!」
 その言葉と共にバルタンは巨大化したキャバリアの拳を『オプシディアンMk4』へと叩き込む。

 巨拳粉砕。
 その一撃『グリプ5』にて『アダム・カドモン』の演説を聞いた者たちに宿った戦う意志というものが集約された鉄拳であった。
 粉砕されるオブリビオンマシン。
 しかし、まだ止まらない。
「ここは我輩たちに任せるのデース! 市民のエブリワン! その戦う覚悟! それは今日限りではないはず! 自らの手で抗い戦う、その経験は必ずこれからの道筋、人生というものの糧に必ずなるはずデース!」
 ですから、とバルタンは笑って合体した鋼鉄の巨人と共に笑うのだ。
「HAHAHA!! 世界の破滅を目論むオブリビオンマシンに、人は弱くはないのだと示してやるのデース――!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
全く、あの二人は来たいときだけ来るんだから。
少しくらいは手伝わせてもらうわよ。

いつでも対比出来るよう、脇に『GPD-331迦利』を待機させて。
先陣を叩く。
「全力魔法」炎の「属性攻撃」「範囲攻撃」「呪詛」「竜脈使い」で烈焔陣。
地表を割り砕いて吹き上がる呪いの炎。キャバリアは排熱出来ないとまずいんでしょ? 弾薬に誘爆もするかもね。さあ、炎にまかれ屑鉄となりなさい。

防御は、「火炎耐性」の「結界術」で炎を防ぐ。
一人で護りきれる範囲なんてしれてるわ。それでも、『迦利』に乗って、各所で絶陣を展開して、敵機を炎に沈めていく。

アダム・カドモン長官、初めましてかしら? 手を貸すわ。巻き込まれないように。



「六番目の猟兵が来たか」
「あの人達が……来てくれた!」
 二騎の赤いキャバリア『熾盛・改』は戦場に転移してきた光、希望の光とも言うべき猟兵たちの姿を認め、大地より溢れ出すオブリビオンマシン『オプシディアンMk4』を撃破する
 この二騎のキャバリアの能力は申し分ない。
 だが、彼等とて大地より際限なく溢れ出すオブリビオンマシンを前に決定打を持ち得なかった。
 故に、徐々に圧されていく。
 大地より溢れる大波のようなオブリビオンマシンに圧倒される運命だったのだ。

 それを覆すのが猟兵である。
 二騎の赤いキャバリアの軌跡を認め、村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は息を吐き出す。
「まったく、あの二人は来たい時だけ来るんだから」
 彼女の言葉は小言のように聞こえたかもしれない。
 けれど、彼女もまた二騎のキャバリアの能力を知っている。別に小言ばかりが言いたいわけではない。
 ただ、時にはこういう憎まれ口を言える程度には付き合いが長いとも言えるのだ。
「少しくらいは手伝わせてもらうわよ」
 ゆかりは生身単身で戦場に飛ぶ。

 オブリビオンマシン『オプシディアンMk4』の焼夷弾が市街地へと叩き込まれる。
 けれど、その多くが二騎のキャバリアによって撃ち落とされているが、しかし爆炎は同仕様もなく市街地に広がっていく。
「『熾盛・改』の二騎! 敵を市街地より引き離しなさいな!」
 その言葉と共にゆかりは、己が式である『GPD-331迦利』を宙に走らせ、『オプシディアンMk4』の注意を惹きつける。
「何か考えが?」
「今は言う通りにしたほうがいいだろう」
 ゆかりの言葉に二騎のキャバリアが『オプシディアンMk4』を惹きつけるように移動していく。

 その一団を見やり、ゆかりは頷く。
「合図をしたら退避なさい。後はあたしがやる!」
 その言葉と共にゆかりの瞳がユーベルコードに輝く。
 己が式と二騎のキャバリア。
 それに誘引されたオブリビオンマシンたちを、ゆかりは『迦利』の上に立ち、見下ろす。
「乗り手がいなければ、こんなにも簡単に惹きつけられるのね……なら、簡単よ! 古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。汚濁に染まりし三昧真火よ。天帝の赦しを持って封印より解き放たれ、地上を劫火の海と為せ。疾!」
 その声と共に『オプシディアンMk4』たちの下……地面から吹き上がる無数の火柱が、その機体を燃やす。
 炸裂する熱波が風を生み、ゆかりの頬をなで、髪をなびかせる。
 怨念に満ちた呪詛の炎は、『オプシディアンMk4』を捉えて離さない。
 これこそが、烈焔陣(レツエンジン)である。

「生身でこれほどの熱量を生み出すか。流石だな」
 ゆかりに通信が入る。
 その平坦ながらも理知的な声の主をゆかりは知っている。
「『アダム・カドモン』長官、はじめましてかしら? あまり近づきすぎないことね」
「了解した。なるほどオブリビオンマシンとて機械……排熱を許さぬ熱で囲い込めば、敵はこもった熱で自壊するほかない、か」
 崩れ行くオブリビオンマシンを見やり、『アダム・カドモン』は頷く。
 これはヘタに近づかぬ方がよいと判断したのだろう。
「そういうこと。手を貸す以上は徹底させてもらうわ。まだ戦いは始まったばかり、あなたの声が必要よ」
 そう言ってゆかりは、『アダム・カドモン』の乗るキャバリアを見送るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

一童・優吏
戦うだけじゃなく、戦場でも力になれる技を色々考えて来た。
今こそそれを使う時だね。

主に避難誘導に力を注ぐよ。

【天使人形達の癒し】を使って、避難中に怪我をした人達を癒して、負傷した戦ってる人達が再起できるように助けるよ。
可愛い子たちだろう? 私達も力になるから、みんなでがんばろう?
これで少しでも和んで落ち着いてくれるといいな

敵のミサイルは、【結界術】を使ってミサイル軌道上に張った結界で防御するよ。絶対に、他の人達に当てさせたりなんかするもんか。

大丈夫。私達が皆を守るから。
安心して、避難できる人達は避難してね。



 クロムキャバリアは戦乱の世界だ。
 今日もどこかで傷つく者がいる。それが日常であるというのならば、人の業の深さ、人の愚かさを示すものであたtかもしれない。
 戦いばかりが満ちている。
 戦うために生み出され、戦いの中に死んでいく。
 そんな運命こそが常であっても、人は戦いの中に破壊や殺し合い以外のものを見出す。
「戦うだけじゃなく、戦場でも力になれる技を色々考えてきた」
 一童・優吏(布越し傷フェチ野郎・f39717)は思う。
 戦いの中にあっても、傷つけ合う以外の力が欲しいと。

「痛いよ……!」
「ママ、パパ……ぁ!!」
「急げ、こっちだ! 急ぐんだ!」
 戦禍に惑う人々がいる。
 自分が救いたいと思ったのは、まさに彼等だった。
 幼き者も、老いた者もいる。
 救わねばならぬものたちに順序などない。優吏は全て救いたいと思った。

 だが、目の前には炎が荒ぶ。
 小国家『グリプ5』の市街地は、大地より引きずり出されたオブリビオンマシン『オプシディアンMk4』の放つマイクロミサイルによる爆炎がそこかしこで上がっている。
 二騎の赤いキャバリア、そして戦うことを決意した市民たち、『アダム・カドモン』によってなんとか逃げ惑う人々は命からがらなれど生き延びている。
 けれど、多くが傷を負っている。 
 血を流す者だっているだろう。
「今こそ、それを使う時だね」
 優吏の瞳がユーベルコードに輝く。

「天使人形達の癒し(テンシニンギョウタチノイヤシ)を!」
 彼が解き放ったのは天使人形型人造生物達だった。
 それらは皆、治癒の光を発生させ、優吏の周囲に存在する人々の傷を癒やしていく。
「傷が塞がっていく……!?」
「痛く……ない?」
「さあ、立ち上がっって」
 優吏は人々の手を取る。同時に彼が生み出した天使人形型人造生物たちも、人々の身を起こす手伝いをする。

「可愛い子たちだろう?」
「うん!」
「そうか、いい返事だ。元気だね。さあ、みんな。私達も力になるから、みんなでがんばろう?」
 優吏の笑みは戦場にあっても人々の荒んだ心を癒やすようだった。
 迫る『オプシディアンMk4』のマイクロミサイルを結界術で防ぎながら、優吏は力を込める。
「絶対に、みんなに当てさせたりするもんか。だいじょうぶ」
 優吏は、背にかばった人々にもう一度、だいじょうぶだと言った。
 それは強がりではない。
「私達が皆を守るから。安心して」
 その言葉に赤い二騎のキャバリアが飛来し、『オプシディアンMk4』をプラズマブレイドの一閃で斬り裂く。
「今のうちです!」
「ありがとう! さあ、みんな行くよ!」
 優吏は人々を連れてその場を脱する。
 敵を打ちのめすばかりが戦いではない。それを示すように優吏は己を助けてくれた赤い二騎のキャバリアに手を振りながら人々の避難誘導に務めるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
自慢のキャバリア、藍ゼン・シュテルン、出撃なのでっす!
言葉は時に刃となり、心を抉る。
そうでっすねー。
藍ちゃんくんにも覚えのあることなのでっす。
ですが言葉は刃だけでなく、歌にもなるのでっす!
心を抉るだけでなく、心を救う力もあるのでっす!
皆々様、藍ちゃんくんと歌おうなのでっす!
キャバリア乗りの皆様だけでなく、避難する皆様もどうかご一緒に!
それは勇気を奮い立たせる歌。
それは心を落ち着かせる歌。
それは戦士たちを応援する歌。
それは希望へと繋がる歌!
皆様との合唱が藍ちゃんくん達の力となり、ライフルによる傷を癒やし、オブリビオンマシンという絶望を吹き飛ばすのでっす!



 爆炎と悲鳴が巻き上がる小国家『グリプ5』の市街地。
 人々は逃げ惑う。
 だが、それを追うようにオブリビオンマシン『オプシディアンMk4』は大挙して迫っている。これを阻むのは二騎の赤いキャバリアと『アダム・カドモン』の駆る量産型『セラフィム・ゼクス』、加えて彼の言葉に寄って立ち上がった人々の動かす作業用キャバリアだった。
 戦力としては心もとない。
 けれど彼等の瞳に絶望はなかった。
 例え、『冥府の蛆獣』が大地よりオブリビオンマシンを引きずり出すのだとしても、それでも彼等は絶望しなかった。
「持ち堪えるのだ。誰かを護るために立ち上がったのならば、己の生命も守れるはずだ」
『アダム・カドモン』の言葉に人々は奮い立つ。

 そして、その言葉を後押しするようにして『藍色の灯火』は戦場に灯される。
 それは歌を届けるキャバリアの登場であった。
「藍ちゃんくんでっすよー!」
 コクピットから響く声。
 それはいつもの藍の声であったし、また同時に拡声されるものでもあった。
「自慢のキャバリア『藍ゼン・シュルテン』、出撃なのでっす!」
 藍の言葉に人の目を模したアイセンサーが煌めく。

「来てくれたか、猟兵」
「はい、藍ちゃんくんが来ましたっよー!」
 藍は知っている。
 覚えがある。
 言葉はときに刃となり、心を抉る。
 だが、言葉は刃だけになるものではない。言葉は詩に変わり、歌へと昇華する。
 心を抉るだけではなく、心を救う力にもなるのだ。
 それ故に、藍は己がクロムキャバリアのコクピットの中から言葉を市街地へと響かせる。

「皆々様、藍色ちゃんくんと歌おうなのでっす! キャバリア乗りの皆様だけでなく、避難する皆様もどうかご一緒に!」
「歌!?」
『サツキ・ラーズグリーズ』は目を見開く。
 それは驚愕であったが、しかし忌避しているわけではないようだった。
「何の歌を歌う」
『パッセンジャー』と呼ばれた魂人の青年が言う。
 赤い二騎のキャバリアに守られながら藍は頷く。

「それは勇気を奮い立たせる歌。それは心を落ち着かせる歌。それは戦士たちを応援する歌。それは希望へとつながる歌!」
 藍の歌声が戦場となった市街地に響き渡る。
 それは合唱だった。
 誰もが平和を願いながら、平和とは程遠い日常を送っているのがクロムキャバリアだ。
 その影でオブリビオンマシンは蠢動する。
 彼等は平和を望む心さえ歪めるのだ。
 けれど、藍は人々の声を聞く。
 声を束ねれば、それは合唱となる。

 心から望む言葉は歌へと代わり、魂の歌へと変貌する。
「涙色の空に笑顔の虹をかけるのでっす!(リーアー・アイリス)」
 響く歌声は『オプシディアンMk4』を打ち据え、後退させる。
 そして、藍たちは人々の平和を願う心より生まれたエールによって、その機体の傷を塞いでいくのだ。
「皆々様の歌声が、オブリビオンマシンという絶望を吹き飛ばすのでっす!」 
 これが自分だと言うように藍は人々の合唱と共に戦場を席巻するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ノエル・ラーズグリーズ
えっ……長官!?なんで長官が此処に…いやいや、今はそれより!
ケルベロス、ノエル・ラーズグリーズ…『白銀』出ます!

前線は多分長官が支える筈、なら…!
……異界共振……響界深度……規定値突破…!
界を超え響け【簡易構築:幻想決戦都市】!!

幻想の決戦配備を起動して前線部隊の攻撃支援や都市障壁でミサイルへの遮蔽を展開、更に『ドヴェルグ』を撒きながら『白銀』で各地を駆け回って支援を!

はいそこ!銃を取るだけが戦いじゃない!
偵察、救護準備、避難誘導、応援、避難民の不安を除く、なにより、
自分の身を守り生き延びて前線に出てる人たちに「お帰り」を言うのも「戦い」だから!
分かったら非力を嘆くより「できる事」をやる!



 小国家『グリプ5』が作り上げた量産型キャバリア『セラフィム・ゼクス』。
 それは拠点防衛用のキャバリアであり、装備も守りを固める多重シールドを搭載したものであった。
 特務機関DIVIDEの長官『アダム・カドモン』は、その『セラフィム・ゼクス』に乗り込み、迫るマイクロミサイルの爆風を多重シールドでもって受け止めて市街地への被害を軽減しようとしていた。
 揺れる機体。
「なるほど。防衛特化。多重シールドは一部が欠損しても組替えてシールドを維持するための機構ということか」
 落ち着き払った声。
 理知的な声であり、その声は不思議と人々の心を落ち着かせるものであった。

 彼がこの世界にやってきたのは、偶然ではない。
 また神隠しでもない。
『アダム・カドモン』は『キャンピーくん』によって、この世界へと移動してきたのだ。
 その役目はただ一つ。
 大地より『冥府の蛆獣』によって引きずり出されたオブリビオンマシンがもたらす恐怖を脅威に晒された人々と共に乗り越えること。
 猟兵という希望は、確かにケルベロスディバイド世界にも光明をもたらした。
 だが、それは座して待つだけでは決してつかめぬ希望。
「故に、このままでいいわけがない」

 その声を聞いたノエル・ラーズグリーズ(楽園の追放者。・f40853)は己の変式魔導戦闘車両の中で目を見開いた。
「えっ……長官!? なんで長官が此処に……いやいや、今はそれより!」
 ノエルは頭を振る。
 そうだ。
 今はそれよりもやらねばならないことがある。
 人々を救うこと。
 そのためにできることは!
「ケルベロス、ノエル・ラーズグリーズ……『白銀』でます!」
「魔導戦闘車両……ケルベロスか」
「はいっ、戦線は……!」
「私が支える。君は君の役目を果たせ、ケルベロス」
「いきます! ……異界共振……響界深度……規定値突破……! 界を超え響け、簡易構築:幻想決戦都市(ディバイドフィールド)!!」
 ノエルの瞳がユーベルコードに輝く。
 それは周囲をケルベロスディバイド世界の『決戦都市』にて包み込む幻を生み出すものであった。

 だが、ただの幻ではない。
 例えオブリビオンマシン『オプシディアンMk4』がマイクロミサイルでもってこれらを破壊しようとも破壊できるものではない。
 あらゆる爆風を遮蔽し、さらには決戦都市そのものとも言うべき迎撃兵器でもって『オプシディアンMk4』へと反撃を開始するのだ。
「オブリビオンマシンと言っても、パイロットもなしなら……私より知恵がないってことでしょう!」
 そう、敵はオブリビオンマシン。
 知性宿さぬ破壊をもたらす者。
 ならば、ノエルの生み出した決戦都市は決して破壊することはできない。

「長官……此処は頼みました!」
「ああ、任された。市街地を頼む」
 ノエルは『白銀』と共に市街地を疾駆する。
 それは人々を己が生み出した決戦都市へと誘導するためだ。
 他の猟兵の一部も人々を避難誘導させている。なら、皆まとめて守るのがいいだろう。
「こっちに! はいそこ! 銃を取るだけが戦いじゃない!」
「え、あっ……でも!」
「わかってる……戦っている人をみて、自分もって思ったんでしょう」
 少年たちが銃を手にしている。
 だが、ここは鋼鉄の巨人が戦場の花形たる世界。
 銃を手にとっても、まともに戦えるわけがない。だからこそ、ノエルは告げるのだ。
「でもね、偵察、救護準備、避難誘導、応援、避難民の不安を取り除く……色々あるわ。でもね、何より、自分の身を守り生き延びて前線にでている人たちに『おかえり』を言うのも『戦い』だから! わかったら!」
 ノエルは我が家を思う。

 それは温かいものだ。
「わかったら非力を嘆くより、捨て鉢になるより、『出来ること』をやる!」
 きっとそれだけでいいのだ。
 そうすることが誰かの明日を、誰かのいつもを守ることだろうから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シリルーン・アーンスランド
他世界へ浸食したいらげようなどと言語道断にて
この仕儀は到底許せませぬ
参ります!

降り立てば既に戦が
キャバリアの皆様も奮い立つご様子
ですが致し方無き事ですが苦戦にて

なれば…いざ!
抱きしさまよえる舵輪に希います

おいで下さったロボさまにいつも通り優雅に一礼を
そして
「どうかこの勇敢な皆様にご助力を下さいませ!」

わたくしも戦いロボさまもご奮戦願いますが
凡てをわたくしたちが成し遂げるは良くありませぬ

ゆえに、あくまでご助勢を
ロボさまの巨体は迫りくるオブリビオンマシンに抗う
盾にもなりましょう

攻勢が弱まればロボさまと皆様と共に一歩ずつ前へ
アドム・カドモンさまとも呼応致します
可能な限り鼓舞もし勝利の道を歩みましょう



 エンシャント・レヰス『イザナミ』は、クロムキャバリアにて、その腐敗した身を引き裂いて湧き出す蛆の如き『冥府の蛆獣』によって大地よりオブリビオンマシンを引きずり出して戦力として取り込んでいる。
 それが彼女の望んだものではないことは理解している。
 けれど、それでも悪意が他世界へと侵食し平らげようとしているのだ。
 それは言語道断である。
 故に、シリルーン・アーンスランド(最強笑顔の護り風・f35374)の瞳はユーベルコードに輝く。
「この仕儀は到底許せませぬ。参ります!」
 転移により、シリルーンは飛び出す。

 彼女の瞳に映るのは爆炎に包まれる小国家『グリプ5』の市街地であった。
 多くの猟兵たちが降り立っているが、未だ大地より現れるオブリビオンマシンの数が圧倒的に多いのだ。
 赤い二騎のキャバリアを筆頭にして、『アダム・カドモン』の言葉により立ち上がった市民たちも作業用キャバリアで立ち向かっている。
 その奮い立つ勇姿に彼女は心が沸き立つようであった。
「くっ……! 後退をしてください! その機体じゃ無理だ!」
 赤い二騎の内、一騎を駆る『サツキ・ラーズグリーズ』が作業用キャバリアを動かす人々に叫ぶ。
 武装を失って、立ち往生するような作業用キャバリア。
 それを見逃さず『オプシディアンMk4』はマイクロミサイルを放つ。

「や、やられる……!」
「いいえ、やらせはいたしません! キャプテンさま……! ハナさま! 皆様! どうか御力を犯しくださいませ!」
 その声と共に現れるのは、巨大なメガリスロボットであった。
 マイクロミサイルの一撃を巨体で受け止め、撃破されそうになっていた作業用キャバリアを救ったのだ。
「な、なんだ……あれは」
「どうかこの勇敢な皆様にご助力をくださいませ!」
 シリルーンはメガリス・さまよえる舵輪(メガリス・サマヨエルダリン)の輝きを手に、叫ぶ。
 彼女の声に呼応するようにメガリスロボットが『オプシディアンMk4』をホーミングレーザーによって撃ち抜く。

 まるで嵐のような光条の乱舞に戦場は閃光に包まれるだろう。
 圧倒的な火力。
 されど、シリルーンは自重するように歩みを他のキャバリアと揃える。
 確かに彼女の呼び寄せたメガリスロボットであれば、圧倒的な火力でオブリビオンマシンを殲滅できるだろう。
 けれど、彼女は理解していたのだ。
「凡てをわたくしたちが成し遂げるのはよくありませぬ」
「すまないな猟兵。だが、その言葉のとおりだ」
『アダム・カドモン』の同意する言葉にシリルーンは頷く。
 そう、これはあくまでこの世界の人々のための戦い。
 救うこともできるが、しかし、奮い立つ彼等の力を無碍にはできない。彼等は彼等自身の意志で立ち上がったのだ。

 ならば、救われるのを待つばかりの者たちではない。
「さあ、共に征きましょう。一歩ずつ前へ」
 シリルーンは告げる。
 誰かの背に隠れて進むのではなく、共に並び立つこと。
 それが最も敵にとって恐るべきことであると示すように彼女は、煌めく瞳に意志を宿し、戦い意志を見せた人々を守りながら、しかして共に歩むことを選ぶのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サク・ベルンカステル
罪無き無辜の民を襲おうとは、、、オブリビオンは何処の世界でも同じだな、、、

発動するUCは剣鬼顕現、己の忌むべき血を解放し四本腕の巨大な剣鬼となる。
剣鬼と成るやいなや随行大剣を伴いオブリビオンマシンの大群に突撃をする。
一機でも多く闘い慣れない市民に近づけぬ為に



 炎が戦乱の匂いを運び込む。
 それはどの世界であっても変わることのないものであるように思えた。
 いずれの世界にあっても、恒久的な平和は存在しないのかもしれない。
 己と他が存在する限り、限りなく近くなろうが同じ存在は、存在し得ない。それ故に他者と違うことを認めきれない。
 争いとは即ち、相違の拒絶である。
 同じでないことに忌避を憶え、同じであることにも同様に忌避を示す。
 その矛盾こそが争いの火種である。

 だが、人は理性でそれを克服しようとするだろう。
 例え、それが一時的なものであるにせよ、だ。
「罪なき無辜の民を襲おうとは……オブリビオンとはどこの世界でも同じだな……」
 サク・ベルンカステル(幾本もの刃を背負いし剣鬼・f40103)は大地より引きずり出された無数の鋼鉄の巨人を見やる。
 オブリビオンマシン『オプシディアンMk4』と呼ばれた鋼鉄の巨人は、恐るべき力を持っている。
 体高5m。
 それは巨人と相対しているのと同じであった。

 サクの瞳にユーベルコードの輝きが宿る。
 己の体躯に流れるは闇の種族の血。
 暴走の危険性など最早言うまでもない。
 だが、罪なき無辜の民のために戦うというのならば、暴走に寄って己が身が傷つくことを厭わない。
「貴様たちはここで叩き斬る」
 意志宿した瞳とモノアイの赤いアイセンサー。
 相対するは激熱たる血潮と熱宿せど、冷たき鋼鉄の駆体。

 言葉はいらなかった。
 もとより、鋼鉄の巨人である『オプシディアンMk4』には人が乗っていない。
 ただ過去より引きずり出されて『冥府の蛆獣』によって戦いへと繰り出されているだけなのだ。
 暴走したサクの身に宿った闇の種族の血液が超硬度の装甲へと変じて、迫るナパームの炎を受けとめる。
 その血の装甲はサクを巨神のごとき剣鬼へと変貌させる。
「此処より先は一騎足りとて先に行けると思うな」
 サクは血の装甲によって変じた巨躯でもって大剣を振るい、周囲に飛ぶ大剣を伴いながら『オプシディアンMk4』の大群へと突撃する。
 苛烈なる戦いであった。

 炎が荒ぶ。
 大剣が鋼鉄を切り裂き、その破片が舞い散る中、赤き血潮の如き装甲を持った剣鬼は戦場を分断するように己が大剣を振るう。
 背には市街地。
 声が響いている。
 それは人々を奮い立たせるものであった。
「物言わぬ鋼鉄が、あの生きようとする意志に満ちた生命を蹂躙することなど許せぬ」
 サクは、その身に宿る意志が生きようとする者たちのためにあることを知る。
 故に、意志宿らぬオブリビオンマシンに負ける理由などない。
 ふるった斬撃が『オプシディアンMk4』を唐竹割りのように両断し、その瞳を輝かせるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
確かにこの状況、少しでも戦力は欲しいし、その志は立派だけど……
問題は操縦技術よりも戦意の維持ね。私達は例え負傷しても戦意を維持できる。
けど普通は傷つき、己の死が見えれば逃げ出したくもなるし、
それは味方や市民の感情にも影響してくるわ。

だから少しでも劣勢に陥る前に、可能な限り敵を叩く…!
ルーナエ装備のプロトミレスで出て推力移動で移動しながら敵を引き付け、更にUC【XXX-04γ フィールドディバイダー】!
猟兵とその敵以外には攻撃が当たらない領域を2分ほど構築、その間に仕掛けさせる!
…そしてこっちも『Gランチャー』全砲門、各種兵装、ミサイルポッド……全装備の一斉放火で集団ごと焼き払ってやるわ!!



 戦況をアルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は見据える。
 小国家『グリプ5』を襲うは、エンシャント・レヰス『イザナミ』。
 彼女にその意志はなくとも、オブリビオン化した体躯より溢れる『冥府の蛆獣』は大地を侵食し、オブリビオンマシンを引きずり出す。
 鋼鉄の巨人たちは、全てがオブリビオンマシンであり、パイロットを必要としていないようだった。
 それは『冥府の蛆獣』たちがパイロットの代わりをしているということだろう。
 敵の数は無尽蔵。
 逆に自分たちは多くを守らねばならない。
 消耗戦だ。

「確かにこの状況、少しでも戦力はほしい……志は立派だけど」
 アルカの駆る『プロトミレス』のモニターに映るのは、作業用キャバリアを動かす一般人たちの姿だった。
 元より戦いに向いていない機体。
 加えて、一般人だ。
 彼等は迫るオブリビオンマシン『オプシディアンMk4』の猛攻に劣勢を強いられている。
 助けられるだけではない。
 己たちが戦わなければという意志は見上げたものだ。
 だが、爆風に煽られた機体が倒れる。

 また一騎、また一騎とキャバリアが倒れ伏す。
「問題は戦意の維持……!」
 アルカは己たちと一般人の差異に気がつく。
 猟兵であるからというわけではない。
 傷を追っても戦意をみなぎらせることができる者は多くはない。
 多くのものは傷つけば、それだけ戦意を損なう。そういうものなのだ。
 傷つき、己の死が近づければ逃げ出したくもなるだろう。それを否定はしない。けれど、それでも、その恐れが人に伝播していく。
 そうなれば多くに影響をお呼びし、大勢は決する。
 戦いとはそういうものだ。
 故にアルカは『プロトミレス』のメガスラスターユニットでもって一気に加速し、『オプシディアンMk4』と作業用キャバリアの間に割って入り、推力に任せて吹き飛ばす。

「ここは『プロトミレス』が引き受けるわ。あなたは後退を」
「……まだ、やれる!」
「いいえ、機体状況をみて。あなたの死はあなたが思う以上に周囲に影響を及ぼす。まずは、あなたが無事であることが最優先」
 アルカの言葉に作業キャバリアのコクピットから一般人が這い出す。
 確かに機体は限界だ。
 よくぞ此処まで戦ったと言えるだろう。
 ならば、彼等がしなければならない戦いは。
「生きることもまた戦いでしょう――フィールドデバイダー!!」
 アルカの瞳がユーベルコードに輝く。

 吹き飛ばした『オプシディアンMk4』が立ち上がり迫っているのだ。
『プロトミレス』のアイセンサーの輝きに誘導された機龍『ドラグレクス』が上空に転移し、黒き光の柱を『オプシディアンMk4』へと叩き落とす。
 その一撃は強烈な熱量となってオブリビオンマシンを灼く。 
 だが、不可思議なことに、その光の柱はオブリビオンマシンだけを焼いているのだ。
 周囲に吹き荒れる熱波はアルカたちを打つはずだ。
 だがが、それがない。
「非戦闘員を巻き込めばこっちが躊躇すると思ったのなら……それが間違い!」
 アルカの瞳が意志に煌めく。
 もう誰ひとりとして生命は、この戦場では失わせない。
 彼女のユーベルコードによって、一般人への攻撃はすり抜けてしまう。それがフィールドディバイダーなのだ。
「Gランチャー、シュート!!」
 放たれる砲撃。
 装備の火力の全てを『オプシディアンMk4』の迫る大群に叩きつけ、アルカは人々を護るために己が力を発露するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ハル・エーヴィヒカイト
アドリブ連携○
私も猟兵である前にケルベロスだ。長官には思うところがないではないがこの世界では頼れる味方、共に剣を振るおう
巨神キャリブルヌスに[騎乗]
私自身は演説のようなものは得意ではないが、長官の言葉に合わせキャバリアの堂々たる立ち姿と手にした剣で力強さを示そう

そしてそれが虚勢ではないことを示すように、戦いが始まれば長官や部隊の皆と連携して剣を振るう
UCを発動し、敵集団をこの一帯に閉じ込める。進ませもしないし引かせもしない。蹂躙の時間だ
閉じ込めた相手を[念動力]で操った無数の刀剣の[乱れ撃ち]で撃墜していく
敵のナパームはその軌道を[見切り]こちらに届く前に刀剣で撃ち落とす



「立ち上がるのだ。希望は確かに諸君らを照らすだろう。だが、その輝きに縋るばかりでは己の生命も守れない。自身が大切に思う生命もまた同様だ。故に、護るために生きるのだ」
 その声は平坦なものであった。
 抑揚のない機械的な声。
 けれど、どこか人々の心に響くものであった。
 そう、『アダム・カドモン』の言葉は、まさしく人々の混乱を落ち着かせるものであったのだ。
 彼の言葉は人々の中に勇気という灯火を宿した。
 それ故に猟兵たちが転移してくるまで、『冥府の蛆獣』によって引きずり出されたオブリビオンマシンの大群の猛攻をしのぎ、市街地をなんとか守りきっていたのだ。

 その姿を見やり、ハル・エーヴィヒカイト(閃花の剣聖・f40781)は複雑な気分であった。
「私も猟兵だ。だが、それ以前にケルベロスだ」
『アダム・カドモン』。
 ケルベロスである彼にとって、その名は二重の意味で重要な名であったことだろう。
 ケルベロスディバイド。
 彼が元いた世界とは異なる世界。
 元の世界では敵であった。だが、今は違う。思うところがないと言えば嘘になるだろう。
 だが、それでもこの世界では頼れる味方であることは、彼の声を聞けばわかる。
「共に剣を振るおう」
 ハルは、巨神『キャリブルヌス』に乗り込み、声を張り上げる。

「立ち上がる者がいるのならば、この剣に続け」
『アダム・カドモン』ほどではないが、しかし、ハルの声に人々が賛同するように声を張り上げる。
 作業用キャバリアであろうとも戦えるのだというように一般人たちは戦意の息を吹き返すようだった。
「この剣が証明してみせよう。今日立ち上がったことは何一つ間違いではなかったと」
 ハルは『キャリブルヌス』と共に戦場を疾駆する。
 迫るナパームの炎すら切り裂きながら、一気に肉薄してオブリビオンマシン『オプシディアンMk4』を両断する。
 だが、それを大群のオブリビオンマシンが取り囲むのだ。

 次に迫る攻撃をハルは理解していただろう。
 包囲した敵を逃さぬためにはどうするか。飽和攻撃。ナパームの炎が四方から迫る。
 取り囲むような熱波にハルと『キャリブルヌス』のアイセンサーが煌めく。
「斬り伏せろ、祓魔の徒花。耐え抜いて見せろとは言わぬよ。これなるは、絶技・桜花百景(ゼツギ・オウカヒャッケイ)」
 ユーベルコードの輝きと共に放たれるのは、真紅の刃。
 絶え間ない斬撃は、ナパームの炎すらも切り裂きながら、周囲を吹き飛ばす。
 だが、それで終わりではない。
 真紅の刃によって形作られた空間は、大群たる『オプシディアンMk4』を取り囲み逃さないのだ。
 斬撃は散る桜花の花弁のようであり、また切り裂かれた鋼鉄は真紅の花弁の中に散り散りとなって消える運命であった。

「これより先に進むことは許さない。ましてや後退させることもしない」
 ハルの瞳が煌めく。
 如何に敵が大群であろうとも敵ではない。
 それを示すように掲げた剣に輝きを宿し、ハルは告げるのだ。
「蹂躙の時間だ――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

フェル・オオヤマ
・心境
クロムキャバリアでの戦闘も、キャバリアに乗っての戦闘も初めてだけど…
私も猟兵でもありケルベロス!戦い抜くのみ!


・戦闘
[竜騎キャバリア]に乗っていざ出撃!
武装は…シールドを借ります
アダム・カドモン長官!私も援護に来ました!
市民に攻撃が飛んできそうなときは積極的に庇います
戦う意思のある者は私と共に戦って欲しい!
と【勇者のカリスマ/声を届かせる/鼓舞】で共闘を呼びかけます

[我竜・氷竜飛剣]を発動して氷の剣を展開 うち1本は自分の格闘武器として装備!
敵は長官や市民と協力・連携しながら戦います!
【操縦/空中戦/連携攻撃/魔力制御】を使用します

他キャラとの連携・アドリブ歓迎



 クロムキャバリア、それは戦乱の世界である。
 平和に程遠く。戦乱の火種はそこかしこにくすぶっている。
 例え、平和に一歩近づいたとしてもオブリビオンマシンの蠢動がそれを許さぬ。
 如何なる平和も芽吹くことを許さぬと炎が常に巻き起こる世界。
 そんな世界にフェル・オオヤマ(氷焔操る紅の竜姫士・f40802)は己が竜人型ジャイアントキャバリアを駆り、降り立つ。
 己の意志がみなぎるのを彼女は感じただろう。
 キャバリアでの戦闘は、今回が初めてだった。
 心もとないという感情が湧き上がるかもしれない。だが、それをフェルは振り払う。
 なぜなら。
「私も領へでありケルベロス! なら、戦い抜くのみ!」

 その意志に呼応するようにして竜騎キャバリアのアイセンサーが輝く。
「シールドお借りしますね!」
 フェルは大群のオブリビオンマシン『オプシディアンMk4』の猛攻に晒されたであろう遺棄された作業用キャバリアが手にしていたシールドを掴み上げ、一気に戦列に加わる。
 敵の数は多い。
 加えて、『オプシディアンMk4』は豊富な火力武装を持つオブリビオンマシンだ。
 マイクロミサイルが火線を引いて雨のように降り注ぐ。
 その爆風をフェルは手にしたシールドで受け止め、なんとか持ち堪える。

「『アダム・カドモン』長官! 私も援軍に来ました!」
「すまない、ケルベロス。敵の火力支援が凄まじい。頼まれてくれるか」
「勿論です。市民を護るのですね」
「そのとおりだ。彼等は守られるだけの者たちではない。この鋼鉄の巨人が闊歩する戦場そのものたる世界にあって生きる意思を持つたくましき人々だ」
「なら、彼等に呼びかけましょう!」
 その言葉にフェルは『アダム・カドモン』の言わんとしていることを理解する。

 彼等は希望を座して待つだけの者ではない。
 救われるだけでもない。
 ともに戦うことのできる者たち。
 故にフェルは、遺棄された作業キャバリアから借り受けたシールドを掲げ、叫ぶ。
「戦う意志のあるものは私と共に戦って欲しい! 恐れることはないのです」
 フェルの瞳がユーベルコードに輝く。
 共に戦うのならば、その意志を見せなければならない。
 己がキャバリアの手が天を衝く。

「風よ! 氷剣よ舞え! そして我が意志を届かせろ! アイシクルエッジ!」
 我竜・氷竜飛剣(ラーニングアーツ・アイシクルエッジ)。
 それはただ手を動かす挙動より生み出される氷の剣であった。
 宙を舞う氷剣はフェルの意志を反映するように『オプシディアンMk4』へと殺到する。
 斬撃は『オプシディアンMk4』の武装を切り裂き、誘爆によって生み出された爆発さえも貫くようにして飛翔する。

「征きましょう。戦う意志さえあるのならば!」
 負けることはない。
 人は、いつだってそうだ。
 例え、生命を奪われようとも負けるようにはできていない。そこに意志というものがあるからこそ、人々はつないでいくことができる。紡ぐことができる。
 それを証明するようにフェルは先陣を切るようにして氷剣を手にしたキャバリアと共にオブリビオンマシンの赤いモノアイセンサーを貫く。
 そのまま両断するように氷剣を振り抜き、爆炎に照らされる。
「きっと私達は、共に並び立つ資格があるのですから!」
 それが生きるということだと示すようにフェルは、己が氷剣を掲げて見せたのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
身長数百メートルの幼女や2000メートルの電波塔とやり合った過去を思い返すと、最早キャバリアも小さく見えてくる……比較って大切だな
いやもちろん、油断できる相手じゃないのだが

バイク『八咫烏』に騎乗して敵機の元へと駆けていく
複数の敵から一斉に狙われると近付くのは困難だが、そうは言っても此方はただの歩兵
相手をすべきキャバリアがいる以上、優先して狙ってくる事はあるまい……
まあ、俺を狙ってくるならキャバリア部隊が動きやすくなるのでそれはそれで良し

接近したらバイクのアクセルを固定してサドルの上に立ち、大刀【冷光霽月】を抜き放ち
剛式・肆の型【鎧断】
足関節あたりを狙って大太刀を叩き込み、敵の動きを止めて回ろう



 猟兵とオブリビオンとの戦いは驚異と驚愕の連続であった。
 少なくとも、夜刀神・鏡介(道を貫く一刀・f28122)にとってはそうだった。
 山脈をまたぐような幼女や、世界最大級の電波塔。
 そうしたオブリビオンたちとの戦いを思い返す。
 目の前に立ちふさがるのは、オブリビオンマシン『オプシディアンMk4』の大群。
 体高5m級の戦術兵器。
 それが、クロムキャバリアのオブリビオン。
「最早キャバリアも小さく見えてくる……比較って大切だな」
 鏡介は呼気を漏らす。

 無論、油断ができるとは思っていない。
 鋼鉄の巨人であるオブリビオンマシンは、それだけで戦術兵器たる所以を示すようであった。
 兵器が人型をしている理由は多くはない。
 巨大であること。
 他者を圧っすることが出来る巨躯。
 そして何よりも、人間の形をした巨人が人間と同じく戦術を手繰るということ。それは巨大であることで人間の可能性を拡大させるものであった。
 機動力ですら人に大きく水を開けるだろう。
 故に鏡介は機動力を補うためにバイク『八咫烏』を駆り、戦場を駆け抜ける。
 ナパームの炎が吹き荒れる最中をタイヤ斬りつけるように疾駆する。
 猛烈な炎が肌を焼く。

 二騎の赤いキャバリアの交錯するプラズマブレイドの斬撃が『オプシディアンMk4』の駆体を斬り裂く。
 その爆風の中を鏡介は疾駆し、飛び込む。
「やはりキャバリアを狙ってくるか。だが!」
 鏡介はバイクのアクセルを固定し、サドルの上に立つ。
 手にした太刀にユーベルコードの輝きが宿る。
「俺を狙わなかった、ということは機動戦力を自由にさせるということだ。遊撃とは即ち!」
 疾駆するバイクの加速と共に鏡介は携えた太刀を己が全身を使って振りかぶる。
 大太刀は、体の筋力を全て効率的に駆動させることによって十全たる斬撃を放つことができる。

「斬り壊す――剛式・肆の型【鎧断】」
 振るわれる一撃。
 それは如何なる装甲をも切り裂き、両断する。
 そう彼の斬撃を防げる装甲などない。
 鏡介は振り抜いた太刀の軌跡に敵をみない。なぜなら、すでに己が太刀を振るうということは両断した、ということだからだ。
 彼の背後で爆発が巻き起こる。
「例え、鋼鉄の巨人だろうが叩き斬って見せる。生命奪う鋼鉄の巨人よ――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

トラスト・レッドライダー
アダム・カドモンと、市民達のキャバリアと連携して戦う。

そうだ、人々が自らの力で立って抗う勇気がなければ、
猟兵達が、彼らがどれほど血を流そうと世界は変わらない……!!

『巨神顕現』亡国の主と融合し、巨大化!
【怪力早業】でアンガーブレードのプラズマ刃で油脂焼夷弾を【なぎ払い】
メガスラスター【推力移動】オブシディアンMk4を【切断】前へ出る!

人よ、『戦えるとそう思うなら、己が限界を突破していけ』
情熱を燃やせ!思考を、意志を手放すな!心に平和を求めるならば!!

巨体化武装で敵機を破り、巨体で以て敵の攻撃を受け、注意を引き、
【戦闘知識】民衆たちの攻撃が通りやすく立ち回り、彼らが、己を無力ではないと示させる!



 特務機関DIVIDEの長官『アダム・カドモン』の声が響く。
 それは人々の自立を促すものであった。
 確かにオブリビオンマシンの驚異は凄まじいものであっただろう。誰もが戦禍に怯えるのは無理なからぬことであったし、この状況では助けを求めるのもまた当然であった。
 しかし。
 そう、しかし、である。
 助けられるのを待つだけのものに明日はやってこない。
 助けられるのではなく、助かるために意志を示す者にこそ明日はやってくるのだ。

 それは即ち、戦うということである。
「そうだ、人々が自らの力で立って抗う勇気がなければ、猟兵たちが、彼等がどれほど血を流そうと世界は変わらない……!!」
 トラスト・レッドライダー(レプリカントのデスブリンガー・f43307)は、『アダム・カドモン』の言葉に同意を示しながら、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
 戦う意志。
 抗う意志。
 それがあるからこそ、人々は理性を宿す。
 獣性の如き狂気にさえ抗うことができるのだ。
 世界を変えたいというのならば、平和を求めるのならば、これまで流れた血潮に贖うために戦う意思を示さなければならない。

 巨神顕現(メカニカル・タイタン)。
「変身」
 トラストの姿が変貌する。
 己をユミルの子と融合させ、赤き装甲纏う巨人へと変身するのだ。
「そのとおりだ、猟兵。誰かに戦いを任せるばかりでは、何一つ救われない。故に、私達は」
「戦う意志を示さなければならない。そうだろう。いつだって己の限界を突破していけるのが、人の意志だ!」
 トラストは『アダム・カドモン』の駆る量産型キャバリア『セラフィム・ゼクス』の前面に飛び出し、アンガーブレードのプラズマ刃を振るう。
 宙に飛来する焼夷弾を薙ぎ払いながら、爆風を巻き起こし飛び込む。
 メガスラスターの噴射光が明滅し、一気に『オプシディアンMk4』に肉薄するのだ。

 モノアイセンサーに映るのは、巨人と化したトラストの赤い姿であった。
 次の瞬間、『オプシディアンMk4』は一刀の元に両断され、爆散する。
「人よ、戦えるとそう思うなら、己が限界を突破していけ」
 トラストは告げる。
「情熱を燃やせ! 思考を、意志を手放すな! 心に平和を求めるのならば!!」
 戦いに際してこそ、その意志は輝く。
 その言葉の意味を小国家『グリプ5』の人々は知っているはずだ。
 これまで多くの脅威に晒されてきた。
 どうして平和にならないのかと嘆いただろう。
 いつまで戦乱が続くのだと不安が心を傷つけただろう。

 誰よりも平和の意味を問いかけ続けてきた人々だからこそ、その意志は練磨されている。
「戦え! 平和を心に抱き、それでもなお求めることをやめるな。その足を止めることこそが、お前たちの敵を喜ばせるだけだ!!」
 トラストは猛烈な勢いで『オプシディアンMk4』の大群へと飛び込んでいく。
 戦うことしかできないのではない。
 戦うことでしか示すことのできないものが在るのだ。
 それゆえにトラストは戦う。
 人々は決して無力ではないのだ。意志さえ持てば、それはきっと平和を是としない者に突き立てられる刃となる。

 それを示すようにトラストは己が変じた巨神と共に咆哮するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の!香りがしまーすっ!!
はいっ、表情は壊れてますが
真面目に行くとしましょう
サクラ様……じゃなかったパッセンジャー様はやはり幻朧桜と関係があるのでしょうか
とかいうのも今後にしましょう
民衆の先導はルクス様にお任せを
軽く別行動になりますがまぁこれでも相方ですので
ご期待には沿えましょう!

量産型……セラフィム・ゼクス
ツヴァイ様とツヴァイお嬢様は壮健のようで安心しました
ならば、私は|セラフィム《勇気の源たる熾火》を連れ行く導となりましょう!

フォル、いらっしゃい!
そして加速&【ヴォワ・アンジェリク】】で仕掛けます!
進路上の敵機の動きを止めてみせましょう
後はセラフィムの皆様で!


ルクス・アルブス
【ステルク】

ステラさん、顔、顔が。
今度お顔にモザイクの魔法研究しましょう。

それはいいとして、
その心意気、わたしの勇者魂にがっつん来ますね!
わっかりました!
『グリプ5』のみなさまのことは任せてください!

【協奏曲1番】でいきますよー。
わたしの演奏でみなさまを静めて、さらにお守りしちゃいます!

だれですか『気絶させる』とか言ったの!
回復による鎮静作用ですからね!?

あ、もちろんステラさんや『フュンフ』……、
いえいまは『サツキ』さんでしたっけ?それと『サクラ』さん。
そちらにまで響く名演でお届けしますから、安心してくださいね!

24時間いつでも安心サポートの光の勇者です!

ステラさん、前線はお任せしましたよー!



 クロムキャバリア、小国家『グリプ5』。
 そこはステラ・タタリクス(紫苑・f33899)にとって特別な場所であった。
 なぜなら。
「|『エイル』様《主人様》の! 香りがしまーすっ!!」
 そう。これである。
 完全に表情が描写するのもためらわれるほどにくずれている。
 ヤバイアレな感じの何かがあるのではないかと思わせるほどの顔であった。
「ステラさん、顔。顔が」
 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は、ちょいちょいとステラの肩を叩く。
 ルクスがドン引きするのは常なることであるが、今回は格別であったように思える。
 それほどまでに禁断症状がでていたのかもしれない。
 どっちにしても碌な状態ではないだろう。

「はいっ、表情は壊れてますが、真面目に行くとしましょう!」
「そこは認めるところなんですね」
「ふっ……『サクラ』様……じゃなかった『パッセンジャー』様はやはり幻朧桜と関係があるのでしょうか、とかいうのも後にしましょう!」
「いやまあ、それはそうなですけど、この状況、心意気、わたしの勇者魂にがっつん来ますね!」
 ステラは頷く。
『アダム・カドモン』の演説によって『グリプ5』の人々の心には意志が宿っている。
 救われるのを待つのではない。
 自らでもって救われようとする意志がある。
 そんな人々がいるかぎり、猟兵はオブリビオンマシンの大群であろうと負ける気はしなかったのだ。

「民衆の先導をお任せ致します」
「はい、わっかりました!『グリプ5』の皆様のことは任せてください!」
 ルクスの瞳がユーベルコードに煌めく。
 いや、演奏できることに喜んでいるだけではないのか? という疑問は尽きねど、ステラは速攻で呼び寄せた『フォルティス・フォルトゥーナ』と共に戦場を低空で飛ぶ。
 彼女の視界に映るのは、『アダム・カドモン』の駆る『セラフィム・ゼクス』である。
 その名にステラは笑む。

 きっと、その機体は『ツヴァイ』と呼ばれた少女が作り上げたものであろう。
 その名から何かボーイ・ミーツ・ガール的な雰囲気を感じて微笑ましく思えたかもしれない。
「ならば、私は|『セラフィム』《勇気の源たる熾火》を連れゆく導となりましょう!」
「わたしはみなさまを御守しちゃいますよ!」
 気絶させる、ではなく? とステラも天地の声も思った。
 口には出さなかったけど。
「誰か今、気絶させるの間違いではないかとか言いませんでした!? ちがいますから! 鎮静作用ですから!」
「何も言ってませんが」
 ステラはしれっとしていたが、赤い二騎のキャバリアを駆る『サツキ・ラーズグリーズ』は苦笑いするしかないようだった。
『パッセンジャー』は無言であったし、それが肯定を意味することをルクスは感じとっただろう。

「んもー! 皆さんに響く名演をお聞きください! 24時間いつでも安心サポートの光の勇者です!」
 響き渡るは協奏曲第1番(キョウソウキョクイチバン)。
 それは迫る大群のオブリビオンマシン『オプシディアンMk4』のマイクロミサイルを不協和音で吹き飛ばし、柔らかく包み込むような旋律でもって人々の心を和らげるのだ。
 その演奏の分け方ができるのならば、いつもそれをやってくんないかな、とステラは思ったかもしれない。
「ともあれ、仕留めます! 皆様!」
 ステラは『フォルティス・フォルトゥーナ』と共に、ヴォワ・アンジェリクと呼ばれる透明な衝撃波でもって『オプシディアンMk4』の動きを止める。
 身動きを封じられた機体を打倒することなど容易い。
 人々との動かす作業用キャバリア、そして『熾盛・改』、『セラフィム・ゼクス』による一斉射が動きを止めたオブリビオンマシンを破壊し尽くす。
 例え、大群が大地より引きずり出されたとしても。

 ここに熾火は潰えない。
 煌々と灯されたのは、人々の心。
 それは例え、生命を奪うのだとしても連綿と紡がれていくもの。
 故にオブリビオンマシンの目論見は、その熾火に寄って灰燼に帰す運命となるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジェラルド・エルネイジェ
啖呵はアダム・カドモンが切った
後は力の実践だ
民を煽るには下手な芝居の一つも打って見せてやらねばなるまい
火を点けるぞ、サラマンダー

敵群に対して突出しよう
集中砲火を受けるのが目的だ
無視されては芝居が打てんからな

ナパームはさぞや燃えるだろう
周囲諸共に炎で埋め尽くすほどにな
その炎を炎竜焼滅波で吸収し、ブレイズティスチャージャーで増幅する
そしてバーニングバスターを介して放つ熱波で敵群を焼却するのだ

あたかも炎の中から復活したように見せ、逆に敵を炎で飲み込んでやれば、恐れも灰燼と吹き消えよう
その戦う意志の熾火を炎となすがいい
恐怖と絶望をも焼き尽くす闘志の炎に

ところで…あの桜は燃やしてしまって構わんのか?



「見事だ、『アダム・カドモン』。その言葉、まさしく人の心、その真芯を捉えるものであった。大義である」
 ジェラルド・エルネイジェ(炎竜皇子・f42257)は『サラマンダー』のコクピットの中で、然りと頷く。
 彼は『アダム・カドモン』による人々の心を叱咤激励する言葉に瞳を伏せ深く同意するようだった。
 だが、それだけで戦局が覆るわけもなし。
 言葉だけでは勝利は得られない。
 ましてや、勝利の先にあるものを求めるのならば、なおのことである。
 故に力が居る。
 武威とは即ち、恣意行為。

 言葉だけでも勝ち取れぬのならば、力を示すほかない。
 故にジェラルドの瞳が見開かれる。
「民を煽るには下手な芝居の一つも打って見せてやらねばなるまい。火を点けるぞ、『サラマンダー』」
 例え、一つ一つが小さな火であろうとも、集い熾火となる。
 煌々となる意志を宿した民衆こそが最も脅威である。一つの意志に向かう人々は、いずれは世界すらも巻き込むうねりとなるだろう。
 故にジェラルドは確信と共に敵軍……大地より引きずり出されたオブリビオンマシン『オプシディアンMk4』とへと突進するように戦場を駆け抜ける。
 その『サラマンダー』に向けて放たれる砲火。
 ナパームの炎が『サラマンダー』へと叩き込まれていく。
 装甲に炎が触れ、その表面を融解させるほどの熱量が生み出されていく。だが、ジェラルドはコクピットの中で涼やかな顔をしていた。

「だろうな。さぞや、その炎は苛烈であろう。だが、炎とは我が『サラマンダー』が支配するもの」
 その言葉と共にジェラルドの瞳がユーベルコードに輝く。
「全ての炎よ、我が身に集え……」
 それは炎を支配する力。
 周囲に撒き散らされた炎を手繰り寄せるようにして『サラマンダー』を中心にして炎が渦巻く。
 装甲は融解などしていなかった。
 それどころか、炎は機体に溜め込まれていく。
 まさに炎の化身。

 その威容を持ってジェラルドは『サラマンダー』に蓄積された炎をバーニングバスターより迸る炎竜焼滅波(サラマンダーウェイブ)として解き放つのだ。
「……赤き炎の機神か」
 その光景を赤い二騎のキャバリア『熾盛・改』のコクピットで『パッセンジャー』は見ていた。
「王の器を持ちながら、王たる武威を示さぬか。示すのは」
「そう。民の心に灯された熾火よ。恐れは、その熾火で灰燼と吹き消すがよい。ああ、世界の声が聞こえる。これこそが、俺の宿命。炎の宿命を同じくする者よ。『パッセンジャー』を名乗る者よ。お前もそうなのだろう」
「……理由になってない」
 互いに交錯する視線。
 ジェラルドが先に息を漏らすようにして笑う。

「よい。今は、民の心、その戦う意思の熾火を炎と為すために戦うのだ。恐怖も絶望をも焼き尽くす闘志の炎に変えるためにな」
 ジェラルドは溢れ出る熱波と共に『オプシディアンMk4』の装甲を容易く融解させ、爆発四散させる。
 その豪炎立ち上る中にありて、悠然と『サラマンダー』は立ち、プラントより溢れ出る幻朧桜を見やる。
「ところで……あの桜は燃やしてしまって構わんのか?」
 吹きすさぶ熱波と共にジェラルドは炎の化身として迫るオブリビオンマシンの大群を悉く融解させていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
(試作試作型術式騎兵【ツィルニトラ】に搭乗)
……アダムが演説をしている……けどまだパニックは続いているか…
…スピーカー使ってても市内が広いからか声が届いてない地域があるな…
操音作寂術式【メレテー】を使って爆音を抑えた上でアダムの声を市内全域へと届けるとしよう…

…後はあの敵の集団だね…アダムの演説で落ち着いた市民もキャバリアで出撃してるみたいだから…
…【夜空を別つ月閃の翼】を発動…高速飛行でオブシディアンMk4達の中に飛び込むよ…
…そして高速飛行からのすれ違い様の光翼による斬撃で敵を攪乱…市民へ攻撃しようとする敵を優先撃破して市民達のキャバリアがフリーになるように立ち回るとしよう…



 特務機関DIVIDE長官『アダム・カドモン』の声は、人々の混乱を鎮めるものであった。
 とは言え、それは一時的なものであったことだろう。
 どれだけ火をくべても強烈な風が吹き込めば、火は吹き消される。
 そういうものだ。
 いつだって人の意志とは流されやすいものだ。
 状況に即した行動を、適応しようとする人間の本能的なものであったのかもしれない。
 だからこそ、迫る脅威……オブリビオンマシン『オプシディアンMk4』の黒鉄の如き軍容に人々は再び恐怖を掻き立てられるのだ。
「……まだパニックは続くか……」
 メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は試作型術式騎兵『ツィルニトラ』のコクピットで小国家『グリプ5』の現状を見定める。

 スピーカーを使っても、小国家の市街地は広い。
 ましてや戦闘の音が響いているのだ。
 爆発や砲撃。
 そうした戦いの音が、人々の心を鎮めようとする声をかき消しているのだ。
「……『アダム・カドモン』の声が届いていない地域は……最前線か」
 それだけではない。
 やはり人は本能的に大きな音に恐怖を覚えるのだ。
 故にメンカルは己が術式を手繰り寄せる。
 機体によって増幅された術式は、操音作寂術式『メレテー』を拡大させていく。
 それでも戦いの音は完全に消すことはできない。
 けれど、『アダム・カドモン』の声が響く。
「懸命に生きる者よ。それは己が生命だけを活かすために生み出された意志ではない。他者を、隣に居る誰かを思うからこそ紡がれてきたものだ。人の歴史とは、そういうものだろう」
 彼の声にメンカルは頷く。

 連綿と紡がれてきたものがある。
 技術もそうだ。歴史だってそうだ。
 次につなぐものがいるからこそ、そうしたものは積み重ねられ、洗練されていくのだ。
 豊かなるは一世代で築けるものではない。
 続くことこそが肝要なのだ。
「……だから、私もそろそろ行くとしよう……」
 メンカルは人々の心が『アダム・カドモン』の声によって落ち着きを取り戻したのを確認して、戦線へと飛び出す。

「メンカルさん、此処は!」
「……『フュンフ・ラーズグリーズ』……いや、今は『サツキ・ラーズグリーズ』、だね。任せて、いい?」
「はい!」
 赤いキャバリア『熾盛・改』が最前線を支えている。
 迫る『オプシディアンMk4』は、その尋常ならざる数を擁している。
 大地より引きずり出されているのは、『冥府の蛆獣』による力であろう。
 故にメンカルは、瞳をユーベルコードに輝かせる。

「満ち欠ける光よ、放て、羽ばたけ。汝は月晄、汝は照翼。魔女が望むは闇夜に輝く月灯
り」
 夜空を別つ月閃の翼(アルテミス・ウイング)が『ツィルニトラ』の背より噴出し、高密度の月の魔力が迸る。
 全ての機体性能が向上し、光翼より幅たれた羽根が光の弾丸となって『オプシディアンMk4』を次々と射抜いていくのだ。
 そして、一気に踏み込む。
 圧倒的な加速で持って噴出した光の翼は大鉈を振るうようにして『オプシディアンMk4』の胴を両断するのだ。
「……戦線を押し上げる。市街地にはもう近づけさせない……」
 メンカルは機体の向上した性能と共に一気に戦場を横断し、敵の連携を断ち切って、その光の翼を羽ばたかせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
知ってる!
これあれ、USA!USA!とかなる展開!
グリプ5バンザーイ!とかそんなノリになって最後に敵の弱点に特攻する人が出て来る万歳映画のノリ!
…この状況から落ち着かせる方が難易度高くない?
やや難じゃない?
…まあ、士気が高いならヨシ!

数が多いなら、こっちも数で!
【Load[Summon Data]】起動
雷龍、不死鳥、機神召喚!
攻撃力全振り!
数がいるなら、狙いたい放題
先ずは不死鳥に突撃!
蒼炎で敵キャバリアに放火だー!
お次は雷龍、雷の『ブレス攻撃』で広域攻撃
弱った敵は随時市民の皆様どうぞ…して士気アップ!
私も召喚した右腕を『念動力』で操作して拳骨!
頭部目掛けてぶん殴る!

よし!楽しく強力出来たな!



 小国家『グリプ5』の人々は、『アダム・カドモン』の演説に寄って平静を取り戻していた。
 戦う意志は常にあるのだ。
 ただ、恐怖が心を縛り上げていただけ。
 故に彼等は各々が作業用キャバリアに乗り込み、しかして無謀な戦いに身を投じる。
 倒れる者あれど、それは次に託されたものがある。
 懸命に戦う者にこそ希望は舞い降りるのだ。
「知ってる! これあれ、USA! USA! とかなる展開!」
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)はサブカルマニアである。
 それ故に、『グリプ5』を取り巻く状況がまさしく、彼女の知る映画の一幕とダブって見えたのだ。

「このあと『グリプ5』バンザーイ! とかそんなノリになって最後に敵の弱点に特攻する人が出てくる万歳映画のノリ!」
 玲はむしろ、この熱狂的な状況、高揚というものを落ち着かせる方が難易度高いな、と思わなくもなかった。
 難易度:やや難というやつである。
 だがしかし、迫る大群のオブリビオンマシン『オプシディアンMk4』を退けるのは、この士気の高さが必要不可欠だった。
「でもなー」
「ためらっている時間はない。思っている以上にな」
「うわ、したり顔」!」
 
 玲は目の前を征く赤いキャバリアの片割れ『熾盛・改』を駆る『パッセンジャー』の言葉に舌を出した。

 そういうしたり顔訳知り顔ってうんざりなんだよね、と玲は肩を竦める。
 とは言え、彼の言う通りでもあった。
『グリプ5』を取り巻く状況はさほど好転していない。
 未だにエンシャント・レヰス『イザナミ』は健在であるし、大地からは『冥府の蛆獣』がオブリビオンマシンを引きずり出されている。
 圧倒的な物量さというものが歴然としているのだ。
「数が多いならさ、こっちも数でいこうじゃないの! 読み込み制限解除。さあお祭りといこう! ――Load[Summon Data](ロード・サモンデータ)」
 瞬間、玲の瞳がユーベルコードに輝く。
 そして、彼女を起点として出現するのは、12体の雷で構成された龍。百を超える蒼炎の不死鳥。彼女の傍に控える巨大な機械腕。

「攻撃力全振り! 一気に押しつぶす!」
 その声と共に蒼炎の不死鳥が戦場を埋め尽くすようにして飛翔する。
 扇のように広がり飛ぶ不死鳥たちの炎が『オプシディアンMk4』の放つナパームの炎を飲み込みながら一気に機体をもやし、爆散させる。
 さらに雷の龍がさらに戦列を押し上げるようにブレスを解き放つ。
 苛烈なる構成。
 まるで世界を塗りつぶすかのような炎と雷の共演は、戦場を市街地から押し出していくのだ。
 強烈。
 まさしく数の暴威とも言うべき力をたぐりながら玲は巨腕たる機械腕を振るう。
 念動力に寄って吹き飛ばした『オプシディアンMk4』を市民の駆るキャバリアが仕留めていく。

「自分たちもやれるってことは、少しは気持ちいでしょ!」
 玲の言葉に機体のマニュピレーターがサムズ・アップする。
 そんな器用な真似ができるのなら、十分かと玲は笑い頷く。
「よし! 楽しく協力できたな!」
 きっとこれがゲームであったのならば、PERFECT・Communicationとでも表示されたことだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
共にキャバリアで戦う
機神搭乗

ケルディバの局長って戦えたんだな?
「そうだよー?寧ろフォーミュラ並に強そうだよ?」
そ、そうなのか

【戦闘知識・情報収集・視力】
アダムが乗ってる機体や他の味方の戦力把握
敵の陣形と効率的な殲滅方法を分析してアダム達と情報共有

【念動力・空中戦・属性攻撃・弾幕】
高速で飛び回りながら超高熱熱線を乱射
アダム達に念動障壁を展開して防御強化

敵集団を捕捉すればUC発動
スライムをけしかけて纏めて自爆させての殲滅開始
本当は色々盗みたいところだけどよー
「流石に余裕がなさそうだね☆」
後で給料請求だこのやろー!
「ひゃっはー☆」
何よりプラントどうにか止めないとうちの竜眼号も大変なんだよ!!



 ケルベロスディバイド世界の特務DIVIDEの長官『アダム・カドモン』の声は小国家『グリプ5』の人々の混乱に満ちる心を落ち着かせる。
 彼等の戦意は疑うべくもない。
 その様子に十分んと見た『アダム・カドモン』は量産型キャバリア『セラフィム・ゼクス』に乗り込み、戦場を疾駆している。
 その姿を見やり、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は、ほう、と首を傾げる。
「あの局長って戦えたんだな?」
『そうだよー? 寧ろフォーミュラ並に強そうだよ?』
 カシムは己が駆る『メルクリウス』の言葉にたじろぐ。
「そ、そうなのか」
『アダム・カドモン』の動きは悪くない。
 それともあの量産型キャバリアの性能が高いのか。

 どちらにせよ、頼もしい味方であることに変わりはない。
「とは言え、拠点防衛用か。攻撃能力が高いってわけじゃねーんだな。ならよ!」
 カシムは帝竜眼「ガルシェン」(セカイノテキニナッテナオセカイヲアイシタモノ)によって召喚した巨大スライムを放出する。
 そのスライムは全てが虫を思わせる薄羽を持っており、飛翔しながらオブリビオンマシン『オプシディアンMk4』へと殺到する。

 ただ組み付くだけでは、マイクロミサイルの餌食になるだけだった。
 けれど、巨大スライムは組み付くだけで終わりではない。
「はっ! 吹っ飛ばせた、と思っただろ! けどよ!」
 炸裂するのは巨大スライムの自爆。
 百を超えるスライムたちは、ただひたすらに『オプシディアンMk4』に組み付き、自爆して敵を撃破していくのだ。
「爆風には気をつけな!」
「問題ない。こちらの多重シールドの防御は完璧だ」
「そうかよ、なら遠慮なく!」
 カシムは『アダム・カドモン』が駆る『セラフィム・ゼクス』の棒業性能に舌を巻く。

 あれを設計したのは誰だろうか。
 多重シールドは思った以上に戦いが続行しても破損部分を廃棄し、組み替えることで盾をいつまでも十全に性能を発揮させる機能を持っているらしい。
 なるほど、拠点防衛用と呼ぶに相応しい性能であるように思えた。
「本当は色々盗みたいところだけどよー」
『流石にこの数、余裕がなさそうだね☆』
「後で給料請求だこのやろー! ケルベロスディバイド世界でなら給与も出るだろ! 頼んだぜ、『アダム・カドモン』さんよ!」
『ひゃっはー☆』
 その言葉と共に『カシム』は戦場に飛び出す。
 目指すは、プラントより溢れ出す幻朧桜。

 あれをなんとかしないことには、敵のオブリビオンマシンを引きずり出す『冥府の蛆獣』は止められない。
 ならばこそ、カシムは『メルクリウス』と、己が呼び寄せた巨大スライムによってオブリビオンマシンを一層し、その奥に存在するであろう敵の中枢へと飛び込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
この地の人々は戦うことを選んだのね
『アダム・カドモン』の言葉が胸を打ち
勝利への意志が炎のように熱く灯ったなら
あなた達の背に、光の翼があるはずよ
自分の決断を信じ、羽ばたいて

身軽に単身で立ち回る
戦場に遮蔽物があれば利用し
捉えられるよりも疾く、ダッシュ
心はオーラとなって体に宿り、武器となる
オーラを矢に変えて放ち敵を狙撃するわ

猟兵は世界しか救わない……
胸に重く残ったあの言葉
今なら少しだけ意味を理解できる気がするわ



 戦場に炎が燃え上がる。
 それは戦禍であり、また戦禍あるところに巻き込まれる生命がある。
 生命は容易く散るもの。
 儚くもあり、また悲哀を感じさせるものであった。
 争いがなくなればいいと願いながらも、しかして平和とは争いの後先にしか存在し得ぬもの。故に、人々はつかの間の平和すら認識できずに新たなる争いの渦に飲み込まれていく。
 その事実に絶望するしかないのならば、クロムキャバリア、小国家『グリプ5』に住まう人々は、諦観にまみれていたことだろう。

 だが、彼等は違った。
『アダム・カドモン』の言葉に奮い立たされるだけであったのならば、ここまで長引く戦いを続けることはできなかっただろう。
『戦いに際しては心に平和を』という言葉が彼等の心にはあった。
 この『グリプ5』の国父たる『フュンフ・エイル』が遺したと言われる言葉。
 それによって彼等は戦いながらも平和を思う。
 己の心の中にある平和ではなく、誰かの平和を思う。
 故に戦えているのだ。
「この地の人々は戦うことを選んだのね」
 薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は、自分ではない誰かを思う。

『アダム・カドモン』の言葉は確かに人々の胸をうち、勝利への意志が炎のように熱く灯ったのだろう。
 ならばこそ、静漓は伏せた瞳を開く。
 そこにはユーベルコードの輝きがあった。
「なら、あなた達の背に、光の翼があるはずよ」
 応援の翼。
 それは静漓が持ち得たもの。
 誰かを思う心があるからこそ、発露するユーベルコードは、この戦場に集った戦いもの立ち全てに宿るものであったことだろう。
 光の翼は機体を加速させる。
 作業用キャバリアであっても関係ない。
 傷つき倒れそうになっている誰かのもとに疾く駆けつけることのできる翼によって、静漓は広がる翼の大きさに目を見開く。

 巨大すぎるのだ。
「自分の決断を信じ、羽撃いているのね」
 静漓は生身単身でオブリビオンマシン『オプシディアンMk4』へと立ち向かう。
 捉えられるよりも早く、速く、疾く駆け抜け、己が心より膨れ上がるオーラを身に宿して手を敵へと差し向ける。

 掌から広がるのは弓。
 番えるは、心のオーラ。
 矢となって放たれた一撃は、光の翼を介して力をまして一気に『オプシディアンMk4』の胴を穿つ。
 飛び散る破片を弾きながら静漓は共に戦場を駆け抜けていく赤い二騎のキャバリア『熾盛・改』の背を見送る。
「猟兵は世界しか救わない……」
 なら、今此処に立っている自分はなんなのだろうか。

 あの日、あの時、己が胸に重く残った言葉。
 その意味を彼女はずっと考えてきた。
 確かに猟兵は世界の悲鳴を聞き届け、世界の破滅を防ぐ。
 けれど、人は救わない。結果的に人を救うのだとしても、人を救うためだけに駆けつけることはない。
 なら、今は?
 世界のためという大きな枠組みの中に、猟兵として以外の自分がいることを静漓は自覚するだろう。
 それは時に誰かと楽しさを共有するものであったし、悲しみを分かつことでもあった。
 なら、それを人はなんと呼ぶだろう。

「心あるものとしての、命あるものとしての、私がいる」
 今なら、あの言葉の意味を少しだけ理解出来る気がする。
 今此処にいるのは自分だ。
 難のために力を振るうのか。
 その意味を見出す静漓は、大地より溢れかえったオブリビオンマシンの残骸を見つめ、人々の勝鬨の声を聞く――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年09月12日


挿絵イラスト