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帝都櫻大戰⑦〜カネがあるからなんでもできてしまった

#サクラミラージュ #帝都櫻大戰 #第一戦線

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●本当にカネの力かはさだかではないが
 千代田区の城郭前にて。
『ふはははははは!』
 なんかついさっき倒されたばかりの成金影朧がまーた出てきたぞ。
『金持ちに不可能はない!閻魔にワイロをたんまり渡して戻ってきたぞ!』
 まあ影朧なので本当にそんな事があったのかははなはだ疑問だし、そも本当に先日のと同一個体かすら定かではない。ただまあ強力な影朧が現れたという事態には変わりはないのである。
『もはや渾沌などには頼らん!今度こそワシの本気を見せてやろう!恐怖するがよい貧乏人ども!ふはははははは』

「よし殺せ」
 アイクル・エフジェイコペン(クロスオーバー三代目・f36327)のあまりにストレートな物言い。やめなさい。
「だってにゃあ。そも幻朧帝……だっけ?それに力をもらってる影朧って時点でやっつけなきゃいけない上に、あれに゛ゃよ?あんな●●●●野郎は殺す以外にないわけにゃ」
 相変わらず年頃の女の子が言わない方がいいんじゃないかなーな言葉を交えて説明するアイクル。ただまあ倒さなきゃならない相手なのは確かだ。ウエメセの極みだし情けをかける余地もまあないであろう。まあ、生前は結局落ちぶれて悲惨な最期だったとかで、その怨念が強いとかで。そのあたりはちょっと同情の余地なくもないけど……。
「でもやっぱり気に入らないからぶっ殺すしかないにゃ」
 まあね。

 今回の敵【成金影朧】の能力は以下の3種類だ。
 【其れが欲しいなら呉れて遣るぞ?】は自分のカネを相手に投げつけ、命中した相手に命令を強制するというものだ。むろんろくな命令ではないだろうから聞き入れたくはないが、怨念強い影朧の技がゆえ、拒否した場合のダメージは馬鹿にならないだろう。
 【ほうら、拾え!拾え!】はカネをバラまいて広範囲の対象にダメージを与えるという資本主義の力をこれ以上なく見せつけるものだ。ただでさえカネは強い上に、怨念強い影朧の技がゆえ(2回目)、回避困難な上に相当なダメージが予想されるだろう。
 【どうだ明るくなったろう?】は札束に火をつける……ではなく札束を投げて命中した相手を燃やすというものだ。周囲を明るくするほどの炎はそれだけで非常に強いものである事が予想される上に、怨念強い影朧の技がゆえ(3回目)まさに地獄の炎にも等しいだろう。
 そして今回の舞台は常に桜の花びらが吹雪のように舞い散り、成金はそれによって超強化されているというのだ。それをどうにかしなければ見た目に反して超強敵となってしまうとか。
「しかし桜の花びらはほぼほぼ常時降ってるらしいから、これを止めるとなると……まあちょっとの間だけならどうにかなるんかにゃ?あたしだったら……」
 頭をひねるアイクル。小康ののち……。
「……わかんにゃいにゃ!でもたぶんみんなならどうにかなるはずにゃんで、どうにかしてほしいにゃ!」
 おいおい。ともあれ猟兵たちはサクラミラージュへと向かうのだった。


らあめそまそ
 使いやすそうな奴は使い倒す。らあめそまそです。
 戦争シナリオをお送りいたします。このシナリオにはプレイングボーナスがあり、以下をプレイングに取り入れる事で判定が有利になります。

 プレイングボーナス:幻朧桜の花弁に対処する。

 桜吹雪は常に降り注いでおり、おそらく幻朧帝をどうにかしなければこれを完全に打ち消すのは不可能でしょう。ただ一時的に止めるならどうにかなるかもしれません。どうにか手段を考えてください。
 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『成金影朧』

POW   :    其れが欲しいなら呉れて遣るぞ?
【自身が所有物と認識する金品】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    ほうら、拾え!拾え!
【高額紙幣のばら撒き】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    どうだ明るくなったろう?
【懐から取り出した札束】が命中した対象を燃やす。放たれた【大尽の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。

イラスト:すねいる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は八乙女・櫻子です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
或る意味凄い根性ですねぇ。
さて、何とかしましょうかぁ。

『FAS』により飛行し、『FMS』で錘状のバリアをに上方に展開、花弁が降らない様『傘』にしますねぇ。
更に『FLS』で『FDS』を召喚後空間歪曲障壁を展開、『FDS』による[爆撃]の爆風で、既に積もっている分の花弁を吹き散らしましょう。
そして【飈宸】を発動し『結界の楼閣』を構えれば、【金品】が投擲であれば無効化可能、仮にダメージが入っても『反動』に置換して打ち消すことが可能ですぅ。
十分な時間の『準備』を終えれば、超広範囲を包む『万象切断の竜巻』による[範囲攻撃]が可能ですので、これで残った花弁ごと一気に切裂きますねぇ。



●これは僕が飛ぶくらいの強さ
「ある意味すごい根性ですねえ」
 成金影朧の前回の出現の時に交戦している夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)がそう言うのも当然であった……まあむろん同一個体ならばという話ではあるが、この際どちらでも関係はないだろう。言えるのは、前回の相手と同じようで、微妙に能力が変わっているという事である。微妙と呼ぶにはちょっと大きすぎる気もしなくもないが。
「さて、何とかしましょうかぁ」
 いつものように背中にエネルギーの翼を生やし、まるでちょっとしたお使いでもするかのようなあまりに気軽な様子でるこるは戦場に飛んでいった。

『来おったな猟兵!』
 桜舞い散る戦場では既に成金影朧が仁王立ちしていた。遠目からでも桜の花びらによって成金が強化されているのが良く分かった。手にした札束はおそらく多少の防御は突き抜けて飛んでいくだろうし、命中した時の命令の強制力や断った時のペナルティも大幅に強化されている事が容易に予測できた。まずはこの桜をどうにかしなくてはならない。
『ワシのカネの力を恐れぬならかかって来るが良いわ貧乏人ども!』
 るこるを覚えているかは不明だが敵を前に昂る様子の成金に対し、むろんるこるは即座に突っ込む事はしない。
「FMS発動ですぅ!」
 るこるの指令で浮遊する複数の円盤が成金の上空でバリアを張り、傘のように頭上を覆った。これで花びらを一時的に遮断する事に成功した。さらに空間歪曲障壁を張った上で猛烈な爆撃を開始した。
『ふん!そんなものはカネの力の前にはそよ風も同然よ!』
 おそらく成金が爆撃に動じないのはカネではなくいまもまだ残っている花びらのおかげだとは思うが、むろんるこるとてはそれは判っている。爆撃は成金本人へのダメージではなく、念押しのために遮断しきれていない分、あるいは地面に積もった分の花弁を全て吹き飛ばすためだったのである。あらかた花弁の影響がなくなったと思われた時点で、るこるもユーベルコードを抜いた。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その颶風の楼閣をここに」
 その名は【飈宸】といった。『飈』はつむじ風、『宸』は巨大な家屋だ。すなわち読みの『キョウヒョウノロウカン』は『狂飈の楼観(館?)』であろう。その効果は……るこるの呼びかけに応じ、宝玉が回転を開始した。
『なんだそれは?所詮貧乏人の持ち物だ、水晶玉ですらないガラス玉であろう!』
 完全になめてかかった成金は札束を投擲した。だがそこには期待された勢いはない。花弁が完全に効力を失っていたのだ。それでも影朧としての身体能力は上空のるこるにまで札束を届かせる勢いを生み出した……が。
『ふはははは!ワシのハウスメイドにしてくれよう!』
「無駄ですよぉ」
 宝玉が生み出した結界の楼閣の力で札束はあっさり勢いを失い四散した。楼閣は高い建物だからやはり楼観が正しいのかもしれない。
「なんだと?おのれワシのカネを!」
 思わぬ防御に激怒した成金は札束を連続投擲したが、やはり結界に防がれる。ちなみに万が一通してしまった場合は前回同様ルール拒絶のダメージを『反動』に変換することで対処するつもりのようであった。
『くっ、だがまだカネならいくらでもある!いずれはそのガラス玉を貫いてくれよう!』
 時間をかければどうにかなる。成金はそう踏んでいた……が。
「……さて、そろそろ時間ですかねぇ」
 実はそれはるこるも一緒であった。実は飈宸は二段構えのユーベルコードだったのだ。その一段階である楼閣は既に出たわけだが、とすると当然二段階目は、狂飈となる。
『な、なんだこれは!』
「これではおカネも意味ありませんよねえ」
『ちょ、ちょっと待って、のおおおおおおお』
 突如巻き起こったは万象切断の竜巻。さすがにこれには成金といえどもどうする事もできず、ズタズタに斬り裂かれた挙句吹っ飛んでいったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
こいつは少し前に倒した筈……。いや、影朧だからそういう事があるのは承知の上だけど。それにしても、だ
もしかして幻朧帝がこいつを気に入ってたり……?まさかな

神刀の封印を解除。神気を纏う事で身体能力を強化
まずは札束を斬撃波で弾いたりしながらダッシュで走り回り。地面の各所に斬撃痕を刻んでいく
強化中は相手の方が強いので回避・防御を優先する

十分な範囲を囲うように斬撃痕を刻んだら廻・肆の秘剣【黒衝閃】を発動
地面から吹き出す黒い神気で敵を攻撃すると同時に、桜を纏めて吹き飛ばす
一撃で倒れるって事はないにせよ、桜がなくなった事で敵は弱体化する……ならばここからだ
相手が体勢を整える前に、一気に叩こう



●こいつを気に入ったのは幻朧帝ではなく
「こいつは少し前に倒した筈……いや、影朧だからそういう事があるのは承知の上だけど」
 先の猟兵と同様、成金影朧の前回の出撃で交戦している夜刀神・鏡介(道を貫く一刀・f28122)としては、さすがにいろいろ考えずにはいられなかった。
「それにしても、だ」
 なんで同じ奴が復活してきたのか。いや本当に同一人物かはわからない。外見似ているけど別人かもしれないし、それもまたオブリビオンではよくある話だ。ただどうやら使ってくる能力は同じなようで。ブーストの仕方には差異はあるようだが。
「もしかして幻朧帝がこいつを気に入ってたり……?まさかな」
 それはなかなか良い着眼点ではあったが実のところ……いずれにせよ、何度来られようともそのたびごとに倒さねばならない相手だ。
『なんだ貴様!刀なんか構えおって!国家権力の犬のつもりか!』
 神気をまとわせ、神刀を抜いた鏡介を前に成金が見せた反応を見るに、どうやら鏡介の事は覚えていないらしい。それもまたオブリビオンあるあるなのでこれだけでは同一影朧か他人の空似なのかはちょっと判断できない。ちなみに鏡介は軍服に似たコートをまとってはいるが軍人ではなく便利屋のような稼業であるらしい。
『犬は犬らしく炎におびえているがよいわ!』
「好き勝手言いやがるな」
 成金は札束を連続で投擲した。前回相対した時にも見た攻撃だが、命中した者を炎に包む札束は桜吹雪の影響でその投擲速度が格段に上がっている。投げられる前に懐に飛び込むのは無理なようだ。ましてや命中した時のダメージは恐ろしい事になるに違いない。ならばと鏡介は走った。神気で強化された身体能力で逃げに徹すれば、弾速が上がっていてもそう簡単に当てられるつもりはない。
『おのれ!ワシがカネに火をつけるのは良いが貴様がワシのカネを無駄にする事は許さん!』
「むちゃくちゃ言うなあ」
 回避されて怒る成金はさらに札束を連続投擲するが、鏡介はあるいは回避しあるいは斬撃波で撃ち落とし、とにかく逃げに徹した。ああ見えても桜の花弁で強化された状態ではむこうの方が実力が上と考えるべきなのだ。逃げ回りつつも今後の布石にと鏡介は地面に斬りつけ、戦場のいたる所に斬撃痕を残していった。
『逃げてばかりとは所詮は負け犬根性がしみついた貧乏人か!』
「……ま、そろそろかな」
 気が付いた時には斬撃痕は成金を取り囲むほどの範囲になっていた。今こそ攻め時だ。鏡介は足を止めると、大地に神刀を突き立てた。
「神刀解放。砕き散らせ、黒の剛撃」
 そして『廻・肆の秘剣【黒衝閃】』が発動する。次の瞬間驚くべき事が起きた。成金の周囲から漆黒の暴風が噴き出したのである。読者の皆さんの中に猟兵視力をお持ちの者がいれば、その『黒の神気』は鏡介がこれまで地面に刻んだ斬撃痕から吹き出ている事がわかるだろう。
『な、なんだこれは!ええいこんなものこうしてくれる!』
 それでもカネの力でどうにかすると成金は黒の神気に札束を投げつけるが、さすがに燃え盛る炎とて暴風を止める事はできない。たちまちのうちに成金は黒に飲み込まれていった。やがて神気がおさまると強烈な神気にさんざん翻弄されて地をなめる羽目となり倒れ伏す成金の姿。
『……お、おのれあじなまねを!』
 桜の強化のためか、成金はまだ健在だった。なんとか体を起こすとまた札束を取り出そうとする。だが鏡介の動きの方が早かった。
「おっと、それを許すわけにはいかないな」
 神気で敵にとどめを刺し切れるとは思っていなかった。本命は花弁を吹き飛ばす事にあったのだ。そして強化が解けた成金ではもはや鏡介の動きについていく事はできなかった。
「じゃ、もう戻って来るなよ」
『お、おのれ貧乏人の分際で!』
 鏡介の一閃が成金の体を両断した。これでもまだ戦闘継続できるのは影朧だからか成金パワーによるものなのだか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィーナ・シェフィールド
アドリブ連携歓迎

成金が悪いとはいいませんが、この影朧には悪意しかありませんね。
性根を叩きなおして転生してきてもらいましょう。

札束はシュッツエンゲルを突っ込ませて弾きながら、敵に接近。
飛び散った炎はモーントシャインで防ぎます。

「舞い散る桜よ!」
接近しながら【戦場に描くは彼岸の桜】を発動。
わたしの彼岸桜で幻朧桜の花びらを相殺。敵がこれ以上強化されないようにします。
「ワイロだか何だか知りませんが、お金で何でもできると思わないことです!」
(わたしもお金に困ってないから言えることかもしれませんけど…)

入り乱れる桜の花びらの中、描いたエンブレム内に破魔の歌声を響かせ、影朧を浄化、味方には回復を行います。



●あくまで個人の感想です
 一般論と言えるかどうかも疑問なかなり偏見まみれの話ではあるが、芸術芸能で身を立てようとする者は実家がよほど太いか、逆に余程困窮しているかのどちらかに割れるらしい。で、フィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)は両親が高名な音楽家ということでどうやら前者寄りのようであった。ただ生まれついてお金にそれほど苦労していない者と、成り上がってきた者とでは考え方は違うようで。
「成金が悪いとはいいませんが、この影朧には悪意しかありませんね」
 まあ確かに。残念ながら世の中衣食足りて礼節を知るとはいかず、苦しんだ者が衣食足りるようになってもむしろコンプレックスを増幅させて不善を為す者のあまりに多い事よ。残念ながらこの成金影朧はそういう類の者のようであった。
「性根を叩きなおして転生してきてもらいましょう」
『なんだ?昨今流行のストリヰトミュウジシャンというやつか?』
 一方で成金はフィーナの姿を見て、実家が細い側がよくなる方の芸能人を想定したようだ。何を見てそう判断したのかは謎だが、おそらく成金的な思考によるものであろう。
『なんならワシがパトロンになってやろうか?ん?』
 札束を見せびらかせつつ挑発する成金。よもやフィーナが実家が太い上にその実家に頼る事なく音楽だけで生活できるぐらいに成功している事など気付く由もないようだ。
「結構です、もう十分足りてますから」
 月光のようなオーラに身を包み、フィーナは成金に向けて走り出した。早速札束が飛んでくるがフィーナは守護天使の名を冠したブーメラン状の金属板でこれを撃ち落とす。札束が当たったシュッツエンゲルが燃えて火花が飛び散るが、フィーナの周囲に張り巡らされたオーラがこれを防ぐ。しかし桜の花びらで強化された炎は完全に防ぎきれるものではなく、燃え盛る炎はオーラの外から高熱を浴びせ、あるいはオーラを突き抜け、確実にフィーナの体力を削っていった。
(やっぱりきついですね……ですが!)
 それでもなおフィーナは前進する。そして……ついに射程距離に成金をとらえた。
「舞い散る桜よ!」
 敵を強化するのが幻朧桜ならば、桜には桜とばかりにフィーナは【|戦場に描くは彼岸の桜《emblem of spring blossom》】を発動させる。彼岸桜の花びらが舞い上がり、フィーナを中心に直系157mのエンブレムが出現した。
『な、なんだこの力は!』
「これであなたを浄化いたします!」
 そしてフィーナの歌声が戦場に響き渡った。歌声はエンブレムに共鳴し、さらに桜が舞い上がり、沸き起こる力によってフィーナの負ったダメージはたちまちのうちに消えていき、そして悪しき力を込めた幻朧桜の花弁を吹き飛ばしていった。
『お、おのれ!このようなワシのカネで!』
 それでも成金はひるまず札束を投げつけるが、幻朧桜の影響が弱まった事でその力や勢いは確実に弱まっていた。それはフィーナに届く事なく空中で浄化され消滅する。そして浄化の力は成金にも及んでいた。
『ば、馬鹿な!わしのカネが通じないとはッッッ』
「ワイロだか何だか知りませんが、お金で何でもできると思わないことです!」
 きっぱりと言い放ったフィーナだったが、実際は自分もカネにはそんなに困っていないからこそ言える事かもしれない、という疑念はちょっとだけあったかもしれない。それはともかくとして、さらに戦場には破魔の歌声が響き渡る。もはやここは戦場ではなく、フィーナのためのステージであったと言っても過言ではあるまい。
『まだカネが足りんというのかッッッ今はここまでかッッッ』
 あくまでわかろうとしない成金は逃走を選んだ。成金に芸術を聞く耳があればあるいは歌に感動して浄化されここで決着という事もあったかもしれないが、やはり成金だという事であろうか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フェリチェ・リーリエ
リア充…って感じではねえけどもこれはこれで何かめっちゃ腹立つ奴だべな!お前さんが食ってたであろう豪華な飯も元はといえば働く農家が作った米やら小麦やらでできてんだべ!もっと農夫敬えや!

あー、鬱陶しいべなこの花びら!農夫的には基本植物は味方なんだども…奴につくなら仕方ねえ、爆破だ!
『ディスコード』発動、音色を【音響弾】に変え幻朧桜の花弁や札束もろとも成金影朧を攻撃。
花弁は有機物だども、札束は無機物だからよりダメージいくはず。燃やされる前に消してやらぁ! 札束なんかよりおらの嫉妬魂のが燃えてるべ!

あ、演奏届く範囲全部にダメージいくんで他の猟兵が範囲内にいたら…ごめんってことで←



●一揆
 フェリチェ・リーリエ(嫉妬戦士さんじゅうきゅうさい・f39205)はリア充を憎む嫉妬戦士として活躍してきたわけだが、今回の相手は表立ってリア充を主張しているわけではなかった。しかし。
「リア充…って感じではねえけどもこれはこれで何かめっちゃ腹立つ奴だべな!」
 成金影朧に対してどうしてもフェリチェはひとこと言いたくて仕方ないのであった。というのもフェリチェは自由農夫だ。で、基本的に成金にとって農業従事者というのは。
『なんだ?下賤な貧乏百姓ごときがワシの前に立とうというのかね?」
 とか札束をチラつかせて思い切りウエメセで言いやがったのである。たしかにリアル大正時代における農民の詳細についてはここで語る事はないが、基本的には決して裕福とは言えない者たちで構成されていたような気はするわけで。なのでカネの量がすなわち戦闘力という価値観に染まっている成金からすれば格下もいいトコだったのだろう。
『お駄賃でもくれてやるからおうちに帰って畑でも耕してろ!』
「なにを言うかこんバチあたりが!」
 そんな事言われたら第一次産業の担い手としてフェリチェも黙っているわけにはいかない。
「お前さんが食ってたであろう豪華な飯も元はといえば働く農家が作った米やら小麦やらでできてんだべ!もっと農夫敬えや!」
 フェリチェはソードハープを取り出した。猟兵ではない一介のエンドブレイカーだった頃から使っていた愛用の武器だ。あたりには幻朧桜の花弁が舞い散り、その中で音楽を奏でるとかなかなか優雅な光景に見えてくるが、実際はそんな牧歌的な状況ではない。
『ふん!ならばワシのカネの力を見せて平伏するがよいわ!』
 なにせ相手は桜舞う光景にはあんまり相応しくない、札束を振りかざす下品な成金。さらによりにもよってこの桜が成金に力を与えているというから質が悪い。
「あー、鬱陶しいべなこの花びら!」
 本来自由農夫的には基本植物は味方だ。だが敵に回るなら倒さねばならない。ましてやただの桜ではない。サクラミラージュの象徴と思わせておいて、実は悪の元凶である幻朧帝の力による幻朧桜なのだ。
「仕方ねえ、爆破だ!」
『何を言うか!きさまを爆破してくれる!』
 成金が札束を投げた。それと同時にフェリチェもソードハープをかき鳴らした。ハープが奏でるのは優雅な音楽……ではなくすさまじい雑音であった。雑音は|不協和音《discord》を生み出し、それが強烈な音波攻撃と化して周囲のものを破壊していく。余談ではあるが本来のエンドブレイカー世界ではディスコードはロックギター専用技でありソードハープでは使えないが、猟兵世界では関係ない話だ。ついでにこの不協和音は出そうとして出しているのではなく、腕前のため勝手にそうなってしまうらしい。
「悪かったべな!演奏下手くそで!」
 それでも攻撃は攻撃だ。フェリチェの演奏は幻朧桜の花弁を吹き飛ばし、無機物のためより衝撃波の影響を受ける札束は吹き飛ぶ以前に消滅していく。近くに別の猟兵が見当たらなかったのは幸いだっただろう。そして桜の影響が消えて強化が解けた成金にも容赦なく破壊音波は襲い掛かる。
『な、なんだこのひどい音は!おのれこれだから芸術に縁のなさそうな貧乏人は嫌なのだ!』
 カネはあるけどたぶん音楽には縁のなさそうな成金は両耳をおさえつつ理不尽な抗議を行った。だがむろんフェリチェは攻撃の手を止める事はない。
「札束なんかよりおらの嫉妬魂のが燃えてるべ!」
 第一次産業を軽視する者には天罰を。そも確かに狭義のリア充には見えないが広義のリア充ぽい感じだし、いやカネの力で無理やり狭義のリア充行為を行っている可能性も否定できないいいや絶対やってるに違いない。いずれにせよ、ひとまず嫉妬魂はカネの力よりも上である事は見事に証明されたと言っても過言ではあるまい。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天玲寺・夢彩
辺り一面全部(花びら+お金+影朧)燃やしちゃえばよくないかな?
まあ、夢彩は桜の精だけどしょうがないね!だって今の夢彩たちには障害だもん!

技(UC)使う前にお金があったり邪魔されたら嫌だから油断せずに回避!(軽業+念動力+ジャストガード)回避が無理なら切っちゃう。
よし、アスモくん全力でやっちゃって!(UC)

おじさんの使う炎なんかよりアスモくんの炎の方が強い上に綺麗なんだから!
それに自分のお金に火をつけて無駄にするなら夢彩たちが全部燃やしてなくしても問題ないんだよう。
それに…おじさん(戦い方が)格好悪い。



●燃やせばよろしい解決ですな
『ふはははは!ワシの前に立ちはだかる貧乏人は全て灯りの焚き付けにしてくれるわ!』
 猟兵たちとの戦いで後れを取りつつも、いまだに成金影朧は意気軒昂だ。そんな前に現れたのは天玲寺・夢彩(春の大嵐少女・f22531)。舞い上がり舞い散る桜吹雪に強化されながら札束をバラまき命中した相手を燃やす成金を見て、思った事は。
「辺り一面全部燃やしちゃえばよくないかな?」
 もっともシンプルな解決方法だった。成金も、札束も、幻朧桜も、全て燃やしてしまおうという。まあどうせ全部リサイクルのできない燃えるゴミだと考えればたしかにそれはシンプルにして強力な考え方であろう。ただ懸念があるとすれば、夢彩は頭の桜が示す通りの桜の精だ。幻朧桜から生まれたとされる桜の精がその幻朧桜を燃やす事についてはどうかといえば。
「まあしょうがないね!だって今の夢彩たちには障害だもん!」
 意外にあっさりしたものであった。
『なんだ?書生如きがワシの前に立とうというのか?家に帰って鉛筆でも握っておれ!』
「何言ってるの!おじさんの使う炎なんかよりアスモくんの炎の方が強い上に綺麗なんだから!」
 アスモくんというのは悪魔召喚士である夢彩が使役する悪魔の事らしい。正式名称はアスモデウスでありユダヤ教やキリスト教の悪魔らしい。世間のアスモデウスは炎を使う事が多いが原典では炎を操る力は表記されていないようである。その元となったゾロアスター教の悪神アエーシュマが狂暴を司るということでそこからの連想であろうか。
『ふん!悪魔だろうとカネで動かしてくれるわ!』
 むしろ悪魔の方がカネの力で人々を誘惑しそうなものであるが、ともあれ成金は杖を振って悪魔アスモデウスを召喚しようとした夢彩の機先を制して札束を投げつけた。夢彩は油断なくそれを回避する。
「んもう!邪魔!」
『ええい避けるでないわ!』
 続けざまに連続投擲された札束を夢彩は身軽な動きで次々に回避していった。ただ全てよけ切れるものではなく、やむなく札束のひとつを刀で斬り落としたが、その刀に炎が燃え上がり、夢彩に襲いかかって来る。
「あっつ!よくもやったわね!アスモくん!」
『我を喚んだか』
 ともあれ召喚の時間はできた。早速現れたアスモデウスに夢彩は命令を下した。ちなみに本来は命令するためには交渉が必要とのことだが、アスモくん曰く夢彩は“悪魔より悪魔らしい”とのことで、なんだかんだで命令は聞いてくれるらしい。いろいろあったのだろうか。
「あのおじさんを全力でやっちゃって!」
『何があったというのだ貴様』
「だってあのおじさん……格好悪い」
『!!??』
 格好悪い。若い子から最も言われたくない言葉のひとつに、さすがに成金は激しく反応した。ちなみに夢彩が格好悪いと言ったのは戦い方の事であり外見ではないようだが、まあ外見については触れていないので実際どうなのかはここで語るのはさすがに野暮というものだろう。
『ええい悪魔がなんだ!ワシの力を思い知らせてくれるわ!』
「自分のお金に火をつけて無駄にするなら夢彩たちが全部燃やしてなくしても問題ないんだよう。アスモくん」
『……承知した』
 アスモデウスが獄炎の力を開放するのと、成金が札束を投げるのはほぼ同時であった。両者の中央で炎の力がぶつかり合うが、幻朧桜の力を得ている成金は炎に熟達するアスモデウスと比べても拮抗……いや、むしろ押していた。
「アスモくん!おじさんの周りの桜も全部燃やして!」
 ならばとアスモデウスは炎を広範囲に広げた。成金の札束もそこまでは迎撃しきれない。花弁が次々と炎に包まれ、それに伴い成金の力も徐々に減少し、たちまち劣勢に追い込まれていった。そして。
『あ、あぢあぢあぢー!!』
 アスモデウスの炎に全身を包まれて成金は逃げ去っていった。その背中を見送りつつ、夢彩は。
「残念、もうちょっとで全部燃えたんだけど」
『……』

大成功 🔵​🔵​🔵​

臥待・月紬
あんなに金満でも影朧になってしまうとは。
お金さえあれば幸せとは限らない、ってやつッスか?
それはともかく、生者に怨念振りまくなら倒すまで!

UCでどろんと変化!ドラゴンフォーム!
ハイそこ突っ込まない。これはドラゴン。誰がなんと言おうとドラゴンです。
紙幣攻撃は巨体と無敵のドラゴンスケイル(モフモフ毛皮)で防御。だいぶ痛いけど我慢!
上空に向けて拡散炎ブレスを放って桜吹雪を焼却し、一時的に敵の弱体化を試みる。
その隙に熱線ブレスに切り替えて直撃を狙う!
周りの紙幣ごと炎上して明るくなったろう?
流石に転生先にお金は持ってけないでしょうし、ここできっぱり未練を断ち切るがよろしい!



●ドラゴンです
 今更の説明ではあるが、サクラミラージュにおいて影朧とは傷つき虐げられた者達の過去から生まれたオブリビオンの一種だと言われている。んなわけで。
「あんなに金満でも影朧になってしまうとは」
 臥待・月紬(超級新兵(自称)化け狸・f40122)がこのような疑問を抱くのは当然であった。
「お金さえあれば幸せとは限らない、ってやつッスか?」
 そうかもしれない。ただ別の説もあるようで、実は今でこそあんな風に札束見せびらかせているが、生前はおごれる者は久しからずの言葉通りに栄華が長続きせずに落ちぶれて困窮の中で悲惨な最期だったという話も聞かないでもない。ただまあ、いずれにせよ結論は。
「それはともかく、生者に怨念振りまくなら倒すまで!」
 これだ。結局倒してあげる事こそ怨念から解放して転生に導くための早道なのだ……なんかさっきやられたのがまた出てきたような気もしたが、まあささいな事であろう。たぶん。
『なんだ?狸か?』
 早速戦場に現れた月紬に成金は胡散臭げな眼を向けた。
『狸なら葉っぱを術で変えたニセ金がせいぜいであろう!本物のカネを持つワシにかなうはずがないわ!』
「じ、自分はそんな事しないっすよ!」
 月紬はたしかに東方妖怪、それも称号が示す通りの化け狸ではあるが、出身は獣人戦線だ。そんなわけで他世界の同族のような他人にいたずらを仕掛けてからかうような真似はしない。ただどろんバケラーではあるのでやろうと思えばやれなくはないはずだが、代わりに。
「化術はそんなつまんない事じゃなくってこう使うものっす!ドラゴンフォーム!」
 頭に葉っぱを乗せるとどろんと煙。そして現れたのは全長50mもの巨大な……
『……なんだこれは?』
「ドラゴン」
『え?』
「誰がなんと言おうとドラゴンです。突っ込み不要」
 ……うん、そうだね。ドラゴンフォームと言って変身したんだからドラゴンであろう。たとえそれがタヌキ、それも戯画化されたようなまんまる体型でゆるい顔のタヌキに角と翼が生えたようにしか見えなくても、ドラゴンと言ったらドラゴンなのです。ええ。
『ええい!それならそれで良いわ!ドラゴンなど所詮は動物をロマンで飾っただけの存在よ!年収はゼロ也!』
 他世界の事情など知らない成金はドラゴン(?)とてカネの力には勝てんと周囲に紙幣の紙吹雪を舞わせた。さすがに幻朧桜の力を得た高額紙幣だけあって一枚一枚が切断力と質量の双方をもって目標を斬り裂くに十分な威力を有しているし、それが無数に襲い掛かって来るのではたまったものじゃない。
「だ、だいぶ痛いけど我慢!」
 それでもドラゴンの巨体と竜鱗(には見えないがあくまでウロコなのです)の力でなんとかこれに耐える月紬。それでもどうにか顔を上げた。
「拡散炎ブレス!ファイヤー!」
 広範囲を薙ぎ払うブレスは成金の頭上に向けて飛んでいった。むろん成金に当たるはずがない。
『貧乏人め!目測すら計れぬか!』
「いいえ、狙い通りですよ」
 そう。空に舞っていたのは幻朧桜の花弁。月紬の狙いは桜吹雪を焼き払う事にあったのだ。おかげで一時的に桜吹雪はやみ、成金の力もおそらくは現象した事だろう。
「というわけで今度こそ狙って差し上げます!」
 月紬は今度は顔を真正面の成金に向けると、思いっきり口を開けた。
「ドラゴニックファイナルフレア!ファイヤー!」
 今度は一点を貫く熱線ブレスだ。ブレスは桜吹雪のように舞う紙幣を燃やしながら進み、狙い違わず成金に直撃した。
『あぢぢぢぢぢぢ!』
「どうだ、明るくなったろう?」
 真夜中でも明るくなりそうな程に燃え上がる成金に紙幣を見ながらの月紬の言葉は、成金にとっては一番言われたくない言葉であっただろう。
「流石に転生先にお金は持ってけないでしょうし、ここできっぱり未練を断ち切るがよろしい!」
 ……さて、今度こそ成金はちゃんと転生できるのであろうか。決着の時は、近い。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ワルルーナ・ティアーメル
よーし、とりあえずあの金ぴかを倒せばよいのだな!分かった!
…金?いや我は好きなだけ黄金出せるし別に……

【わるるん領紀行5:強欲百貨公司】!8割ぐらいでの出血大サービス(直球)だ!
戦場自体を超大型魔界デパート(迷宮)に変えてしまえば迷宮の中は上から降る花びらなぞは無視できるだろうからな!
くくく……後は「セール会場の猛者おばちゃんオーク」とか「手癖の悪いクソガキゴブリン」(デビキン悪魔並みの身体能力だぞ)とかが血眼になって徘徊するこの|戦場《セール会場》で、何時までその余裕が維持できるかな!?
奴の炎は我自身のオーラで防ぎ、ついでにブレスを吹きかけてお返ししてやるとしよう!

※アドリブ等は歓迎だぞ!




「よーし、とりあえずあの金ぴかを倒せばよいのだな!分かった!」
 ワルルーナ・ティアーメル(百胎堕天竜魔王(自称)・f31435)はラスボスである。その威容はまさしくラスボスに相応しいものがあるが、これでもサクラミラージュ世界の人々に違和感なく受け入れられるのはまさしく猟兵特性の為せる技であろう。並みの者がワルルーナを目の当りにしたらびびって戦うどころではないだろうが、成金影朧はそうでもないようだ。
『ふん!どうせ化け物にカネなどあるわけなかろう!ワシはこの通りカネをたんまり持っているぞ!』
 あくまでカネを基準に判断する成金だったが、実はワルルーナもその点については。
「……金?いや我は好きなだけ黄金出せるし別に……」
『……え゛?』
 確認しました。ワルルーナはそういう用途に使えるユーベルコードを確かに持っていたようだ。やはりカネではなくキンは良いのである。昔から安定した財産を溜めておくなら金に限ると言われている。貨幣は所詮銀行券、その価値は国のあれやこれやに左右されるのに対し、いつの時代でも金は安定しているからねえ。
『てか黄金を好きなだけ出すとか!貨幣経済の破壊者めー!許さんぞー!』
 それでも黄金より紙幣の方が上なのだと言わんばかりに成金は札束を取り出した。幻朧桜で強化された札束ならデビルキングワールド出身の悪魔であってもなかなか馬鹿にならないほどのダメージを与える事もできるかもしれない。それに対しワルルーナは。
「今より此処を我が第5の軍勢の支配地とする!」
 そして手首を切った。流れるおびただしい流血がやがて何かの形を作る。それは戦場を覆い尽くすほどに巨大となり、ついには何やら建造物めいたものが創造されていた。
『な、なんだこれは!?』
「これぞ強欲百貨公司!ついでに大出血セールを行うのだ!」
 ちなみに大出血の名は大げさではなく、ワルルーナは80%の血液を捧げたそうな。一般に人間は血液の20%を失ったら生命が危険にさらされるようだが、そこはさすがにラスボスである。
『いや出血大サービスってそういうものではないのでは……ともあれデパートメントストーアというやつか!』
 アース世界に百貨店が入ってきたのは1904年。明治37年である。当然成金だってその存在は知っているだろう。
『まあ良いわ!ワシのカネの力で火災対策の為されていない違法建築である事を暴いてくれるわ!』
 改めて札束を投げようとした成金だったが、そこに突進してくる一団が。
『な、なんだこいつら!?ぐわッッッ』
 それはおばちゃんオークの一団であった。成金を跳ね飛ばすと、そのままバーゲンセール会場という名の戦場に突入していった。今も昔も安売りを前にしたオバチャンは強いのである。
『お、おのれおばはんどもめ!ならば一緒に焼き尽くして……なっ!?』
 それでも成金は札束を投擲しようとしたが、今度はクソガキゴブリンに横から奪われてしまった。まったく百貨店は地獄だぜ。んでオークもゴブリンもワルルーナが呼び出した第5の軍勢である。強欲そのものといえる成金の相手としてぶつけるのは一種の諧謔あるいは皮肉も含まれていただろうか?
「くくく……この|戦場《セール会場》で、何時までその余裕が維持できるかな?」
『ええい!全部燃やしてしまえば解決ですな!』
 余裕なんかとっくになくなっていた成金はそれでもどうにか札束を投げつけた。が、それはワルルーナのオーラにあっさり防がれる。戦場を百貨店にしたのは伊達ではない。屋根のある戦場は幻朧桜の花弁を防ぐ効果もあったのだ。
「ではこちらからも行くぞ!」
 お返しのブレスが成金に直撃した。もはや成金にはそれを耐えるだけの体力は残っていなかった。
『ば、馬鹿な、このワシが炎に破れるとは……だがワシはカネの力で必ず戻って来るぞッッッ』
 前のめりに倒れ、大爆発。成金影朧の最期であった。
「やれやれ、なかなかしぶとい奴だったな!」
 せっかくなのでもうしばらくバーゲンセールは継続しようかな。そんな事をワルルーナは考えていたとか。

 ともあれ。ひとつの戦場のカタはついた。
 次の戦場にすぐさま向かうか、それとも一度休息を入れるか。いずれを選ぶにせよ、猟兵たちは新たな道に足を踏み出すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年09月12日


挿絵イラスト