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帝都櫻大戰⑥〜誰がために鎧纏て戦うか

#サクラミラージュ #帝都櫻大戰 #第一戦線 #カルロス・グリード

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●唯一にして無二
 求めるものは、いつだって価値あるものだ。
 価値のないものなど求めない。
 故に己が手を伸ばし、求めるものは全て価値あるものだ。
 人の持ちうる才覚、才能、創造性。
 それはあまりにもまばゆく、時にあらゆる力を凌駕していくだろう。だが、感情というものは、あまりにも無価値だ。
 一時の気の迷いという言葉が端的にそれを示している。

 感情とは、強烈な力だ。
 意思も矜持も、全てをかなぐり捨てるに値すると、その瞬間だけは思えてしまうほどの力を秘めたものだ。
 本来の目的も、いつしか手段に成り果てさせる。
 感情とは劇薬そのもの。
 欲する時は正しく唯一無二の宝に思えるものであるが、しかして手に入れれば身を侵す毒であることに気がつく。
「故に見えているな。六番目の猟兵達よ」
 幻朧戦線将校『カルロス・グリード』は告げる。

 サクラミラージュに存在した秘密海賊船|『カルロスの錨』《カルロス・アンカー》が飛翔し、帝都を睥睨する。
 眼下にあるのは幻朧桜が乱れ咲き、狂うように花弁を散らす光景である。
 これなるは幻朧桜の暴走である。
 何故、このようなことが起こっているのか。
「これはすなわち、桜の下に埋められた『不死の帝』が全ての準備を整えた証左である」
 そう、『不死の帝』――『幻朧帝イティハーサ』。
 諸悪の根源。
 準備を整えたということは、すなわち、この桜の大地を破壊し復活するということ。

「六番目の猟兵達よ。お前たちは獣人戦線の乱を完全制圧したことで幻朧帝国はこれより始まる大戦に介入できぬ」
 それは恐るべき猟兵の力の成さしめるところであった。
 しかし、と『カルロス・グリード』は告げる。
「だがそれでも尚、イティハーサの力はお前たちを凌駕する。我も引き続き無差別テロルを続行する。大戦により桜ミラージュを引き剥がし……」
 執着が手段を目的としてしまう。
 脳裏に浮かぶのは、いかなる存在であっただろうか。
 利用し、利用されるだけの合理的な利害関係。
 有用であるから求めているだけに過ぎない。

「世界滅びし後も咲き誇るであろう幻朧桜を、女神オーシャンに捧げて見せようぞ」
 ただ、それだけのこと――。

●帝都櫻大戦
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのは黒い学生服に身を包んだ少女とも言うべき猟兵、ノイン・シルレル(第九の悪魔・f44454)であった。
 彼女は黒髪を揺らし、薄紅色の瞳で猟兵たちを見つめる。
「空を飛ぶあれは一体何か。誰ぞ知る者はおらぬかと人々の声が響き渡る先にあるのは海賊船型秘密基地|『カルロスの錨』《カルロス・アンカー》。かの空中戦団は、げに恐ろしく空を埋めるのです」
 ノインは芝居がかった口調であったが、これが素である。
 思わせぶりな事を言っておいて、特別何も考えていないのだ。
 こういう思わせぶりな敵か味方かわかんない悪役ムーブっていいよね、と彼女は本心で思っていたので、こういう喋り方になっていた。
『幻朧帝イティハーサ』が諸悪の根源であるのなら、お前が事の発端なんじゃない? と思わせぶりな態度を取るのが彼女の中で流行っていた。

 今やサクラミラージュにおいては、大いなる戦い、帝都櫻大戦が勃発している。
 悠長に彼女の素であるとか芝居がかったとか、思わせぶりな、とかそんなのかまっている暇ないのである。説明はよ。
「がっつきますね。ですが、既に皆様ご存知のはず。嘗て、グリードオーシャンにて七大海嘯『王笏』として名を馳せた『カルロス・グリード』。彼は幻朧戦線将校としてサクラミラージュにて暗躍を続けておりました。暗躍ムーブ……私もやりたいです」
 いいから。
「こほん。彼はサクラミラージュ各地に潜ませていた『カルロスの錨』を一斉に出向させ、空中から帝都に侵入しています。皆様には、この飛行する『カルロスの錨』の戦場にて『カルロス・グリード』と対決していただくことになります」
 一度倒した敵である。
 今更怖気づくことなどない。
 けれど、ノインは薄紅色の瞳で猟兵たちを見ていた。

「彼はサクラミラージュのちからを具現化しております。嘗てもそうでありましたが。此度は、改良型の影朧甲冑『王笏甲冑』をまとい、超高速戦を仕掛けてくるのです。めっちゃ速い上に光線銃に青き怪物『デモノイド』の細胞を注ぎ込んで変形させてビームしてきます。ビームです。ごんぶとビームです」
 加えて、『カルロス・グリード』は幻朧戦線のエースパイロットたる『王笏甲冑』の操縦に長けている。
 生半可な攻撃は躱され、こちらへの攻撃は確実に命中させてくる。
「チートですチート。チートなのはチートデイだけでよいですのに。あと、当たり前ですが『カルロス・アンカー』は敵の真っ只中。モブ『影朧甲冑』がわんさか溢れてきますので、こちらもご注意を」
 帝都桜大戦、その序盤でありながら強大な敵との決戦である。
 当然、身構えるものであるだろう。
 けれど、ノインの説明はどこか軽い。
 別に軽んじているわけではない。なんというか、彼女はこういう悪魔なのだ。

「では、いってらっしゃいませ。私は前回同様、後方で転移を維持しております。それが望まれたことですから」
 彼女はそう言って敵の真っ只中である『カルロス・アンカー』へと転移させるのであった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『帝都櫻大戦』の戦争シナリオとなります。

 帝都桜大戦勃発により、幻朧戦線将校『カルロス・グリード』は各地に潜ませていた海賊船型秘密基地『カルロスの錨』を一斉に出向させました。
 飛翔能力を持ち、帝都を空から脅かそうというのでしょう。
 無差別テロルの脅威を許すわけにはいきません。転移によって『カルロスの錨』の船上へと転移することができます。

『カルロス・グリード』との決戦、直接対決となります。
 ですが、彼は改良型影朧甲冑『王笏甲冑』を操り、超高速戦闘を仕掛けてきます。
 言うまでもなく強敵です。
 疾さだけでなく、攻撃力も高いです。また『カルロスの錨』の船上ということもあって、幻朧戦線の構成員たちが駆る影朧甲冑も存在しています。

 プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードと「王笏甲冑」による戦闘力強化に対処する。

 それでは、幻朧櫻舞い散る帝都にて戦う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 ボス戦 『カルロス・グリード』

POW   :    王笏光線銃
【影朧甲冑「王笏甲冑」の持つ光線銃】に【デモノイド細胞】を注ぎ込み変形させる。変形後の[影朧甲冑「王笏甲冑」の持つ光線銃]による攻撃は、【肉体変異】の状態異常を追加で与える。
SPD   :    幻朧戦線のエースパイロット
自身が操縦する【影朧甲冑「王笏甲冑」】の【回避力】と【命中力】を増強する。
WIZ   :    影朧甲冑軍団
【海賊船型秘密基地『カルロスの錨』】からレベル×6体の【影朧甲冑】を召喚する。[影朧甲冑]は弱いが、破壊されるまで敵を自動追尾・自動攻撃する。

イラスト:hoi

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リリスフィア・スターライト
アドリブ、連携歓迎

呼び名は変わっても懲りずに悪巧みを止めないなら
何度でも撃ち滅ぼさせてもらうよ。
量産型のキャバリア『ワイルド・サンダー』に搭乗して参戦だね。
王笏甲冑の先制攻撃は武装転移による装甲強化で防御または回避するよ。
ビームによる肉体変化を受けたなら、
その個所の装甲をパージして機体を破壊を防ぐよ。
防御を固めた分、攻撃回数が犠牲になるけれどしっかりと
ライフルで狙いを付けて確実にカルロスが操縦する
王笏甲冑に着弾させていくよ。

邪魔して来る他の王笏甲冑を迎撃しつつカルロスの撃墜を狙うよ。
逃げ回るようならこちらも機動戦に持ち込んで逃がしはしない。
足が止まったなら近づいてブレードで接近戦に持ち込むよ。



 嘗てグリードオーシャンにて七大海嘯と呼ばれるオブリビオンがいた。
『王笏』と呼ばれた『カルロス・グリード』。
 彼は世界をまたぎ、今まさに帝都櫻大戦勃発せしめるサクラミラージュにて、暗躍より表舞台へと躍り出た。
 帝都の空に迫るは海賊船型秘密基地『カルロスの錨』である。
 その船上にて、彼は待ち受けていた。
「呼び名は変わっても、懲りずに悪巧みを止めないなら何度でも討ち滅ぼさせてもらうよ」
 船上へと転移したリリスフィア・スターライト(プリズムジョーカー・f02074)は、量産型キャバリア『ワイルド・サンダー』を駆り、一気に幻朧戦線将校『カルロス・グリード』へと迫る。

「何度でも、だと? それは我の台詞でもある」
 彼の体躯を包み込むのは影朧甲冑であった。
 いや、違う。
 彼が纏うは改良されし影朧甲冑『王笏甲冑』であった。
 体への負担を減らし、加えて超高速戦闘をも可能とした甲冑をまとった『カルロス・グリード』は転移直後という不意をついたりりスフィアの『ワイルド・サンダー』へと一気に肉薄する。
 凄まじい踏み込みの速度。
 これが改良された影朧甲冑であるというのならば、正しく脅威である。

「疾く散れ。六番目の猟兵よ。汝らに我はかまっている暇などないのだ」
 蒼き細胞が甲冑を変貌させ、強烈なる光線を解き放つ。
 この時代にそぐわぬ光線の一撃。
 それはデモノイド細胞を組み込むことによって寄り強力な光条となってりりスフィアを襲う。
「そっちはそのつもりでも、こっちはそうじゃないんだから!」
 リリスフィアは光条の一撃を『ワイルド・サンダー』の装甲で受け止める。
 融解する装甲と共にデモノイド細胞が機体を侵食してくるのだ。
「パージ!」
 瞬間、侵食された細胞を即座にリリスフィアは切り離し、侵食を防ぐ。
 しかし、失った装甲は補填されない。
「守りを捨てるか」
「ううん、これは武装転移(ウエポンマスタリー)。その甲冑の動きが素早すぎるっていうのなら、守りを固めるまでだよ!」
 リリスフィアは、『ワイルド・サンダー』の装甲をユーベルコードによって戦況に最適な形へと変貌させる。

 確かに『カルロス・グリード』の『王笏甲冑』は恐るべき力だ。
 加えて、デモノイド細胞による侵食。
 これもまた脅威。
 けれど、リリスフィアは落ち着いていた。攻撃回数を犠牲にしてでも、敵の先制攻撃で倒されることを防ぎたかったのだ。
「だが、それだけでは勝てぬ」
「だよね。わかっているよ。けどさ、忘れてないかな『王笏』、『カルロス・グリード』。私達は一人で戦っているんじゃないんだよ」
 リリスフィアは守り固めた装甲のまま、どっしりと構える。
 敵が高速戦闘をするというのならば、足場を固め一撃をしっかり当てる。
 そうすれば、共に戦う猟兵たちが必ず『カルロス・グリード』を倒してくれる。リリスフィアは、己が『カルロス・グリード』を逃さぬように引き付けることで、他の猟兵たちが攻撃を打ち込む隙を作り出していたのだ。

 故に叩き込まれるデモノイド細胞を注がれた光条を装甲で受け止めてはパージする。
 それも限度がある。
「でもね、身軽になったのなら!」
「踏み込むか」
「そうだよ。でも逃がしはしないよ!」
 飛び込むことができる。リリスフィアは『ワイルド・サンダー』と共に装甲を廃し、そして身軽になった機体と共にブレードを持って『カルロス・グリード』の駆る『王笏甲冑』へと飛び込み、その斬撃の一撃を叩き込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミルドレッド・フェアリー
●WIZ

飛翔能力がある海賊船型秘密基地とは、またコズミックな
ですが、グリードオーシャンの海賊となればスペースシップワールドやスペースオペラワールドに接続すればですので、宙空海万能海賊船と見て間違いはありません
アレがスペースシップなりオペラなりにやって来られると面倒極まりないので、ここで会ったが百年目で破壊するに越したことはないでしょう

さて、迎撃機である飛行型影朧甲冑がバンバン出ましたけど、X-Gladiusの機動性と私の宇宙サーフィンを舐めて貰っては困りますね

それでも自動追尾機能が鬱陶しいに変わりありませんので、太陽に向かって急上昇して背を取っての【ミゼリコルディア・スパータ】を全剣射出です!



 海賊船型秘密基地『カルロスの錨』は、恐るべきものであった。
 それ自体が飛翔する能力を有し、帝都の空へと迫っている。
 彼等の目的は無論、帝都の転覆。
 そして、幻朧帝が目論む世界の破滅である。
『王笏甲冑』に身を包んだ『カルロス・グリード』を補助するように船上には無数の影朧甲冑に身を包んだ幻朧戦線の構成員たちが溢れ出していた。
「『カルロス・グリード』様!」
「良い。大事ない」
 猟兵の一撃を受けて装甲を一部切断された『王笏甲冑』。
 だが、傷はまだ浅い。

 彼を倒すにはまだ足りないのだ。
 けれど、飛翔する『カルロスの錨』よりも遙か頭上より声が響き渡る。
「ここで会ったが百年目! その厄介極まりない海賊船、破壊させて頂きましょう!!」
 見上げれば、空より飛来するミルドレッド・フェアリー(宇宙風来坊・f38692)。
 宇宙サーフボードを天頂の太陽にかざしながら、彼女は一気に『カルロスの錨』の船上へと飛び込む。
「何奴!」
 幻朧戦線の構成員たちが叫ぶ声に答えるようにしてミルドレッドは深く頷く。
 そして張り上げるは口上。
 それは宇宙風来坊にして騎士たる彼女の信条であり、また同時に世界に仇為す敵への宣戦布告でもあったのだ。
「どこか星の陰で誰かが泣いている。星空に谺する悪の笑い声を、赤き流星が切り裂く。耳を澄ませた奴は誰ぞ、泣き声目指して走る宇宙サーフボードを駆るは宇宙の風来坊。お呼びとあれば、即参上!! 宇宙騎士が一人、ミルドレッド推参です!!」
「銀河の海、銀河の歌劇響き渡る世界の猟兵か。されど、汝らを打ち倒さぬことには」

『カルロス・グリード』の号令と共に一気に幻朧戦線の影朧甲冑たちがミルドレッドに襲いかかる。
 それは数という暴威であり、ミルドレッドを取り囲み打ち倒すものであった。
 しかし、ミルドレッドは再び急上昇し太陽を背にする。
「うっ! 此奴、太陽を背に!」
「ええ、数は鬱陶しいこと近衛有りませんので! というか、私の宇宙サーフィンの腕前、舐めてもらっては困りますね!」
 ミルドレッドは空中でターンし、一気に太陽の光によって目をくらませた影朧甲冑たちを躱して、戦場の『王笏甲冑』纏う『カルロス・グリード』へと一直線に進む。

「ミゼリコルディア・スパーダ!」
 きらめくユーベルコードと共に放たれる魔法剣。
 それ千を超える圧倒的な数。
「数ばかりで圧倒できるとは思わぬことです!」
 放たれる魔法剣は複雑に軌道を描きながら、己を追ってきていた幻朧戦線の影朧甲冑すらも貫きながら、『カルロス・グリード』を包囲する。
 如何に圧倒的な加速を得るであろう『カルロス・グリード』とて、千を超える魔法剣の飽和攻撃をかわし切るものではない。
「くっ……、なんと面倒な!」
「これが宇宙騎士の力です! あなたがスペースオペラワールドに向かえば、それこそ、その海賊船型基地は厄介そのもの。なればこそ、此処で破壊してみせましょう!」
 ミルドレッドはそう語り、己の手繰る魔法剣と共に『カルロスの錨』の甲板を破壊しながら、『カルロス・グリード』との激戦を繰り広げるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミュー・ティフィア
無差別テロルなんてされたら一体どれだけの人が犠牲になるかわからない。そんなこと、許すわけにはいきません!

船上で敵に囲まれながら戦うのは危険だからスピリトーゾで空中戦!
感情の昂りに合わせて空中機動力が限界突破するこの翼でカルロスのスピードに食らいつきます!
さらにポリフォニーとリチェルカーレで結界を展開しオーラ防御、合わせてアドリビトゥムで盾受けもして高威力の高速攻撃もなんとか凌げるくらい防御を固めます!

影朧甲冑軍団は属性魔法での攻撃とパルティータの自動射撃で撃退します!

カルロスが速くて捉えきれなくても絆歌・歌姫の言霊なら戦場全体に因果を超えて攻撃が届く。
ついでに自己強化もできて一石二鳥です!



 海賊船型秘密基地『カルロスの錨』より飛び立つのは、無数の『影朧甲冑』であった。
 無論、『カルロスの錨』は幻朧戦線の拠点である。
 構成員たちは、一度身にまとえば二度と脱着できぬ甲冑をまとい、猟兵へと迫る。
「幻朧戦線は我らが支えるのだ!」
「将校たる『カルロス・グリード』様には近づけさせはせぬ!」
 猟兵のユーベルコードに蹴散らされて尚、幻朧戦線の構成員たちは船上に転移してくる猟兵に立ち向かう。

 彼等という戦力がもしも、帝都に侵入し無差別テロルを行えばどうなるか。
 言うまでもない。
 壊滅的な、それでいて取り返しのつかない破壊が行われるに違いない。
「無差別テロルなんて許しません!」
 ミュー・ティフィア(絆の歌姫・f07712)は船上に転移し、己が魔力によって広げられた光の翼を広げる。
 彼女のテロルを許さぬという感情の高ぶりに応えるようにして光翼は大きく広がり、『カルロスの錨』の直上を凄まじい速度で飛翔する。
「速度だけではな。とりわけ、戦場を空とするのならば!」
『カルロス・グリード』の言葉と共に『影朧甲冑』がミューに迫る。
 空中戦。
 それはミューの望むところであった。

 彼女は感情の高ぶりを抑えない。
 許せないという感情は、きっと彼女の助けになるだろう。それ故に彼女は迫る『影朧甲冑』を手にした杖と魔導書の力を発露し、その一撃を結界で受け取る。
 オーラで強化された結界が軋む。
「突撃してきているんですか……!」
 そう、結界に飛び込んで来るのは『影朧甲冑』そのものであった。
 我が身を弾丸、砲弾するように彼等はミューに飛び込み、爆散していくのだ。
「……なっ! なんていうことを!」
「彼等は彼等の信条に従って行動しているに過ぎぬ。『王笏』たる我の為にな!」
 迫るは『王笏甲冑』纏う『カルロス・グリード』。
 凄まじい速度である上に、きしんだ結界すらも砕きながらミューへと迫るのだ。

「これで終わりだ、猟兵!」
「……させません!」
 ミューの瞳がユーベルコードに輝く。
 戦場に満ちるのは歌声と波動であった。
 因果を無視する力。
 そこにあるのは結果だけである。
 如何なる状況にあるとしても、歌声が響いたという結果だけが、そこに生まれる。
 光があるのならば闇がある。
 その波動は、絆歌・歌姫の言霊(ソング・オブ・ボンド)。

「いつか悲しみの夜が明けたら もう一度この手を繋ごう 約束だよ 明日は誰にも わからないから 一緒に行こう 歌いながら……♪」
「歌だと!?」
「そうです。この歌ならば、あなたがどれだけ疾く動くのだとしても届く。そして!」
 ミューは己が紡いできた絆を歌に込める。
 多くの出会いがある。
 別れもあるだろう。
 それ故に彼女の心に中にはかけがえのないものが光り輝いている。
 ユーベルコードの輝きとともに彼女は放つ歌声は、対する『王笏甲冑』の装甲をきしませる。
 絆によってさらなる強化を得たミューは、己の喉が張り裂けるのだとしても歌い続けるだろう。
 多くの生命を奪うテロル。
 それを許さぬという心のままに、彼女の歌声は戦場に響き渡るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

百鬼・甚九郎
ひょえー、最近の船は空も飛ぶんか。すごいのー
そんで先制攻撃な、転送されてすぐ一発くるんじゃな。よいぞよいぞ、先にわかっておれば出来ることもある
先制攻撃には多少詳しいからのー。タイミングくらいはつかめるっちゅーもんよ

ほい来た、まずはあえて隙を作り敵をおびき寄せ!
イバラ伸ばして影朧甲冑をつかみ!
多少の攻撃は無視しつつ、致命傷になりそうな一撃を影朧甲冑を盾にして受け流す!

ハッハー、乱戦は得意じゃ!
こちとら鬼じゃ、いつだって敵は複数じゃい!

甲冑を盾にしつつ、かるろすの動きを調べ学習し隙を見つけて鎧ごと貫き急所に一発じゃ!
隙が無ければケガ覚悟!
再生力には自信があるでな、死ななきゃ安いってやつじゃい!



 帝都の空に浮かぶは海賊船型秘密基地『カルロスの錨』であった。
「ひょえー」
 その光景を物珍しげに見上げていたのは百鬼・甚九郎(茨鬼童子・f17079)。
 彼は驚嘆の声を上げていた。
 最近の船とは空を飛ぶものであるのだろうか、と彼は多くの世界を知る猟兵でありながら、感嘆せずにはいられなかったのだ。
 空を飛ぶ機械は知っている。
 けれど、空飛ぶ船というものは彼にとっては驚きのほうが勝るものであったのだろう。
「では、転移の方を頼むぞ」
 甚九郎はグリモアの力で『カルロスの錨』の船上へと一気に飛ぶ。

 それは迂闊なる行いであったかもしれない。
 猟兵に対して幻朧戦線将校『カルロス・グリード』は必ずや先制攻撃を放ってくる。
 ユーベルコードの一撃。
 加えて今の『カルロス・グリード』は改良された影朧甲冑『王笏甲冑』を身にまとっている。
「驕ったな、猟兵」
 転移直後の甚九郎へと迫る甲冑の一撃。
 それは当然わかっていたことだった。
「なるほどの。やはり転移直後を狙ってきおったか」
「なに?」
 圧倒的な高速戦闘。
 甚九郎は笑う。
 そう、転移した猟兵に先制攻撃を放つということは、必ずや転移直後の隙をついてくるということでもあったのだ。
 故に甚九郎は笑う。

「来るとわかっておれば、先制攻撃など対処可能よ」
「抜かせ。例え理解していたとしても」
 迫る甲冑の一撃。
 無防備なる甚九郎。打ち込まれた斬撃は彼の肉体を切り裂くだろう。
 血飛沫が舞う。
 けれど、構わない。
「致命傷でないのならばな!」
 イバラが伸び、甲冑を掴み上げる。
「動きを止めるつもりか。させぬ!」
 高速戦闘を可能とした『王笏甲冑』が船上にて駆け抜ける。けれど、それと同時に甚九郎も股かける。

 己のユーベルコードは、武鬼道(ムキドウ)。
 情報収集と学習力。
 この二つを己のが高性能たる肉体によって戦術の極みへと到達させるのだ。
「ハッハー、乱戦は得意じゃ!」
「でたらめな動きをする」
「それはお互い様じゃろ! それにの、こちとら鬼じゃ。いつだって敵は複数じゃい!」
 船上にある影朧甲冑を盾にしながら甚九郎は『カルロス・グリード』へと迫る。
 拳が、蹴撃が『王笏甲冑』へと走る。
 初撃は躱されても徐々に数をこなすうちに掠めるようになる。
 それこそが戦術の極み。

「こちらの動きを……」
「そうさな! 学んでおるんじゃい! ほれほれ、この程度の斬撃えは儂を止められはせんぞ! なぁに、死ななきゃ安いってやつじゃい!」
 甚九郎は踏み込み、極みに到達した戦術でもって己の拳を『カルロス・グリード』の『王笏甲冑』に叩き込み、その装甲をひしゃげさせながら吹き飛ばすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マリン・フィニス
鮫牙と同じ言葉を送るぞ、王笏
……“貴様の船出、ここで阻止させてもらう”

メガリスの力で雨を降らせ、電撃と凍結のバブルを撒く。加えて雨そのものや、雨により濡れたその体への「凍結攻撃」を狙う。
『サメット』、騎鮫と鉄騎では重量差で不利だろう、故に『アクアシールド』を使っての盾受けは試みるが完全に受け「止め」ようとはせず受けた衝撃を逃がしてその勢いで距離を放し、【レテの波濤】を放つ!

……確かに貴様は異界の力を奪い、それを扱う事に特に長けた男だ。
だが、だからこそ、このメガリスはその効力を発揮する……!
忘却の波動で奴の動きを鈍らせ、周囲への雨ごと凍結させてからの『バスタードソード』による一撃を狙うぞ!



 猟兵の拳に吹き飛ばされた『王笏甲冑』纏う『カルロス・グリード』は立ち上がる。
 未だ甲冑の機能は損なわれていない。
 装甲がひしゃげただけだ。
「まだ戦える。そして、六番目の猟兵よ。我を止めること能わずと知るがいい」
「いいや」
 その言葉に海賊船型秘密基地『カルロスの錨』の船上へと転移してきたマリン・フィニス(蒼海の騎士・f26997)は蒼き鎧を煌めかせながら告げる。
「『鮫牙』と同じ言葉を送るぞ、『王笏』」
 彼女は全身鎧に隠された素顔の奥で瞳をユーベルコードに輝かせる。

「……“貴様の船出、ここで阻止させてもらう”」
「ほざいたな」
 凄まじい速度で『王笏甲冑』がマリンへと踏み込む。
 恐るべき踏み込みであった。
 改良された甲冑は、『カルロス・グリード』の力を得て……否、彼の他世界の力を奪う能力によって、さらなる強化を施されているのだ。
 そこに雨が降りしきる。
 マリンのメガリスによる力であった。

 降りしきる雨の中に電撃と凍結の力を宿した泡が飛ぶ。
 触れれば、電撃と凍結が襲うだろう。
 だが、それを『カルロス・グリード』は恐るべき速度で躱していた。
「メガリスを一つ二つ扱える程度で、我に勝ったつもりか」
「だろうな」
 マリンは手にした盾で吹き飛ばされる。
 彼女の乗騎である『サメット」では甲冑着込んだ『カルロス・グリード』の一撃に踏ん張りが効かないのだろう。
 だが、マリンにとって、それは計算のうちだった。
 派手に吹き飛ばされた様に見えて彼女は計算づくだった。受けた盾は衝撃を逃がすように後方へと跳ね飛ばされている。

 マリンの体躯もまた同様だ。
 止めようとするのではない。受け流すようにして距離を取り、彼女の兜の奥でユーベルコードが発露する。
 その輝きは眼光にように鋭く甲冑を着込む『カルロス・グリード」へと迫る。
「……己が武器の扱い方も、そもそも自分が何を持っているのかも、全て、忘れてしまえ」
 放つは、レテの波濤(ロストメモリー・ウェイブ)。
 忘却の波動。
 それは僅かな時、『カルロス・グリード』を忘却へといざなう。
 空白の時間。
「……我は、何を。これは一体……」
「わからぬだろうな。確かに貴様は異界の力を奪い、それを扱うことに長けた男だ。だが、だからこそ!」
 忘却の力は、甲冑を彼の守りではなく足枷へと変える。

 踏み込んだマリンは裂帛の気合と共にバスタードソードを振るい上げる。
 周囲に浮かんでいた泡が雨と共に甲冑へと当たり、瞬時に凍結させる。
 二重で動きを止めた『カルロス・グリード』に迫るのは、マリンの一撃。
「この一撃、受けてもらうぞ!」
 振り下ろされた斬撃は確かに『王笏甲冑』を切り裂き、その奥に存在する『カルロス・グリード』の姿を白日のもとに晒すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

山吹・夕凪
思いこそが毒
だというのなら、あなたはもう桜花の甘やかな毒なしでは生きていけないというでしょうに
決して認めないからこその『王笏』

世界に覇を唱えて、あらゆるに手を伸ばすはまさに王の姿
されど、世から見れば破滅もたらす禍々しき星の如く

故に、此処で斬らせて頂きます

如何に高速の機体とはいえ、それを操縦するのはカルロス自身
ましてや先手で決するのだと煮え立つ殺意を纏えば、心眼でその挙動を捉えるのは容易いこと
加えるならば心の眼で捉えるは動き出す前の気、感情の流れ

先制攻撃で見切り、黒刀『涙切』の刀身で受け流して、操る風に乗せるは破邪と妖魔殺しの力
甲冑の原動力は影朧
ならこの風を受けて、力は減ずる筈
隙をついてUC一閃



 忘却のユーベルコードによって、一時的とは言え『カルロス・グリード』は記憶を押し流された。
 忘却の波動。
 それは彼の中に一点の記憶を際立たせるものであった。
 忘れてはならないもの。
 忘れることのできないもの。
 それが彼の中に一点のみ残されていた。濁流の如き忘却の波動であっても、彼には縁とするものがあった。

「我は、我の姫君を」
「その思いこそが毒」
 山吹・夕凪(雪色の吐息・f43325)は猟兵の一撃によって切り裂かれた甲冑の奥にある『カルロス・グリード』の顔を見ただろう。
 茫然自失。
 忘れてしまったからではない。
 ユーベルコードの効果が切れたことによって忘却から復帰したことによる、忘我の棄却。
 さらけ出された一点は、夕凪の語るところの毒。
「だというのなら、あなたはもう桜花の甘やかな毒なしでは生きていけないということでしょうに」
「黙れ」
 短く。
 されど、怒気を満たした声が震えるようだった。
「汝らに何がわかるか。この王たる我の執着が。否! 我の執着を、六番目の猟兵。汝が語ることを許さぬ!」

『王笏甲冑』が走る。
 凄まじき速度で迫る『カルロス・グリード』に夕凪は瞳を見開く。
 決して彼は彼女の言葉を認めないだろう。
『王』を測るなど許されることではない。
 王たる器を測ることが許されたのは、同じく王のみ。故に、夕凪は思う。
 それこそが世界に覇を唱え、あらゆるものに己が手を伸ばす姿。
 されど、それは世から見れば破滅もたらす禍々しき星の如し。
 故に、斬る。

「心乱れて、敵が討てますか」
 夕凪の瞳が閉ざされる。
 見る必要はない。
 如何に素早く動くのだとしても、『王笏甲冑』を操るのは『カルロス・グリード』自身。
 加えて、猟兵のユーベルコード、夕凪の言葉によって怒り心頭たる殺気を発していれば、それを察知することなどたやすきこと。
 無念無想に至る構え。
 それは、一瞬で気の流れを紐解き、手繰り寄せる。

 火花が散る。
 それは『王笏甲冑』の太刀と夕凪の『涙切』が交錯したがゆえである。
「――!」
「思いて願い、求める心を澄み渡る剣として――これなるは、白夜の無想剣(ビャクヤノムソウケン)」
 繰り出されるは超音速の白夜の如き剣気をまとった一閃。
 そう、彼女の刃は風に乗ってカウンターの一撃を『王笏甲冑』へと叩き込むのだ。
 斬撃は、甲冑の装甲をまるで無いが如く切り裂く。
 宙を舞う甲冑の装甲が船上に落ち、夕凪は刀を収めた。
「その毒、人は愛と呼ぶのですよ――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
あやー、空を埋め尽くす程に影朧甲冑さんが召喚されちゃったのでっしてー!
これはもう丸ごとファンになっていただくしか無いのでは!?
藍ドルオーラの防御で時間を稼ぎつつ、愛の歌で甲冑軍団さん達を藍ちゃんくんファンクラブにしちゃうのでっす!
カルロスのおにいさんからすれば取るに足りない軍団さん達でしょうが。
おにいさんの影朧甲冑、火力と速度はすごいそうでっすが、硬さはどうでっすかー?
わざわざかわしてくる以上、数に追尾されるのは結構きついのではー?
ワンミスが命取りかもでっすし、追尾をかわしたり攻撃したりしていると藍ちゃんくんを狙ってる暇が無いでしょうからねー。
ところで一つ、お聞きしたいのでっすがー。
おにいさん、藍ちゃんくんに心、奪われてませんよね?
それ、果たしておにいさんが強いからなのでしょうか?
心に決めた誰かが既にいらっしゃるからじゃないのでっすかー?

戦場で目をそらすのは命取りなのでっす。
ご自身の想いから目を逸らし続けてらっしゃるおにーさんは、きっと、一瞬隙だらけなのでっす。



「この執着が愛だと? 嘯くな、六番目の猟兵よ」
 これは、と『カルロス・グリード』は切り裂かれた『王笏甲冑』の奥にて告げる。
 これは愛ではない。
 これは執着でしかない。
 そんなものではないと彼は言う。それこそ、嘯くようだった。
「我の姫君は、利用するに値するがゆえである。これは、この執着は――」
「藍ちゃんくんでっすよー!」
 船上に直接転移してきたのは、紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)であった。
 即座に『カルロス・グリード』は、『カルロスの錨』より幻朧戦線の影朧甲冑を呼び寄せ、走らせる。

「不敬なる者を滅ぼせ」
 その号令と共に藍色は即座に影朧甲冑たちに取り囲まれていた。
「あやー! あんまりにも数が多すぎやしませんかね!」
 藍は己を囲む影朧甲冑の多さに目を見開く。
 尋常ならざる数である。ユーベルコードとは言え、あまりにも多すぎる。
 けれど、藍はたじろがなかった。
 敵が多いなら?
 逃げる? ノンノン。
「これはもう丸ごとファンになっていただくしかないのでは!?」
「抜かせ!」
 影朧甲冑たちが藍へと迫る。

 斬撃をオーラで受け止めながら、藍は船上を逃げ惑う。
 ともかく時間を稼がなければならない。
「藍ちゃんくんでっすよー! 皆々様を藍ちゃんくんのファンにしちゃうのでっす!」
 星の瞳(アイクルスイート)が光を走らせる。
 藍の瞳に射抜かれ、藍の歌やダンスが影朧甲冑たちに届く度に、彼等は無意識に藍に有効的な行動を取ってしまう。
 次々と武器を手放すことはせずとも、動きを止めてしまうのだ。
「何故動かぬ。王の勅命ぞ」
「いいえ、動きませんよー! 皆々様は、もうすでに藍ちゃんくんのファンになってしまったのでっす!」
 藍の歌は、止められない。
 響くことを止められない。

 故に『カルロス・グリード』は脅威だと感じたが、しかし藍に敵対行動が取れない。
 完全に無意識だった。
 恐るべきことに彼さえも藍は魅了して見せたのだ。
「ところで一つ、お聞きしたいのでっすがー」
「許す」
「おにいさん、藍ちゃんくんに心奪われてませんよね? それ、果たして」
「我が王故よ。このような児戯に我が凡百の徒と同じく動かされとでも思うたか!」
 振るわれる斬撃が藍の脳天に落ちる。
 いや、落ちない。
 既のところで斬撃が止まってしまっている。
 むしろ、と思う。藍の歌を聞いて、ここまで抗う事ができた事自体が恐るべきことであった。

「そうですかね? 本当におにいさんが強いからなのでしょうか? もしかして、もしかして、それって心に決めた誰かが既にいらっしゃるからじゃないのでっすかー?」
 首を傾げて藍は笑む。
 その言葉に『カルロス・グリード』は呻く。
 事実、斬撃を振り下ろせていなかった。
「ご自身の想いから目をそらし続けてらっしゃるおにーさんは、きっと隙だらけなのでっす」
 藍は笑む。
 けれど、歌う以上のことはしない。
 だって、自分は藍ドルだ。
 それ以上でも以下でもない。故に藍は笑い、歌う。
 それだけでいい。
 見て見ぬふりをする想いは、きっと誰にも届かない。
 けれど、それは悲しいことだ。だからこそ、藍はこの戦いの後も続くであろう『カルロス・グリード』を歌でもって送り出すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

国栖ヶ谷・鈴鹿
【adapt】

先制対策はキャバリア阿穹羅の装甲に増設の剥離強化装甲(防具改造)、きこやんの結界術|神気《オーラ防御》でいなすよ!

災龍召喚&テクニカル・トレヰス!

ムシュマフに取り巻きを払ってもらったらぼくはカルロスの王笏甲冑と対峙、速度と技巧をトレヰス、榴弾の置きの爆撃で動線を封じて、弾道を計算、弱レーザーを回避先におき、本命を敵本体に降らせる!

時間で徐々にスピードは加速して行く、だから弾幕で一気に削り取る!

サクラミラージュを帝都を好きにはさせない!
黯党を利用してデモノイドを放った、コンキスタドール、カルロス・グリード!
ここで黯党との因縁を終わらせる!



 海賊船型秘密基地『カルロスの錨』の戦場が大きくたわむようにして揺れた。
 その衝撃に『カルロス・グリード』は装甲の一部が脱落した『王笏甲冑』の内部で舌打ちした。
 猟兵の苛烈なる攻勢は今に始まったことではない。
 だが十分な戦力を『カルロスの錨』には用意していたはずだ。
「であるが」
「登場! ぼくのおでましさ!」
 転移してきたのは国栖ヶ谷・鈴鹿(命短し恋せよ乙女・f23254)の駆るキャバリア『阿穹羅』であった。
 超人型決戦機たる『阿穹羅』は、その全面に装甲を増設していた。
 そう、『カルロス・グリード』の先制攻撃を受け止めるためだ。

 事実、『カルロス・グリード』の『王笏甲冑』の斬撃は凄まじいものであった。
 切り裂かれる装甲。
 まるでバタァか何かを切り分けるように鈴鹿の配した装甲が切り裂かれて脱落していく。
「例えどれだけ装甲を用いるのだとしてもな。我の斬撃を止めるに能わず」
「かもね。でもさ、このジィニアスたるぼくがなんの備えもしていないと思ったかい? 違うよね!」
 鈴鹿に宿る稲荷狐の神気がオーラとなって機体に迫る斬撃を受け止めるのではなく、いなす。
 斬撃が機体の一部を切り裂いたが鈴鹿は構わず、己の瞳をユーベルコードに輝かせる。
「災龍召喚(ムシュマフアシスト)! アンド! 超弩級操縦適応技巧(テクニカル・トレヰス)!!」
「友の軍場、存分に支えてくるでござるよ」
 龍脈を伝い現れたムシュマフの首が周囲に迫る影朧甲冑を寄せ付けない。
 火炎放射の一撃が戦場に吹き荒れ、『王笏甲冑』との連携を阻害するのだ。

「これで一対一だね!」
「だとして!」
 そう、『王笏甲冑』は凄まじい速度を持つ。
 超高速戦闘に加え、凄まじい回避能力を有している。だが、鈴鹿は語るとおりジィニアス。
 彼女の瞳に輝くユーベルコードが『王笏甲冑』の動きをトレヰスするのだ。
「この動き……我の『王笏甲冑』と同じ……まさか」
「そうさ、君の速度と技巧をトレヰスしたんだ!」
 だが、それだけではない。
 鈴鹿の速度は徐々に『カルロス・グリード』を超えていく。
 時間が経つほどに鈴鹿の速度は『カルロス・グリード』を凌駕し、彼女を止められなくなる。
「サクラミラージュを、帝都を好きにはさせない!」
 踏み込み鈴鹿は弾道を計算したレーザーを『カルロス・グリード』の動く先へと『置く』。
 躱されるというのならば、逆に行動を予測して、あらかじめ攻撃して置けばいい。
 簡単な話だ。
 故に鈴鹿は『阿穹羅』より本命のレーザーを放つ。

『置いた』レーザーに激突した『カルロス・グリード』の動きが鈍る。
「ぐっ!」
「黯党を利用してデモノイドを放った、コンキスタドール、『カルロス・グリード』! ここで黯党との因縁を終わらせる!」
 鈴鹿の一撃は吸い込まれるようにして『王笏甲冑』へと吸い込まれ、凄まじい爆発を船上に巻き起こすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

空桐・清導
POW
アドリブ連携歓迎

「誰がために鎧纏て戦うか?
決まっている!笑顔を浮かべる無辜の民のためだ!
そのためにヒーローは雄々しく立つんだよ!」
真紅の鎧を纏い、[オーラ防御]を展開して宣誓
「お前がどんな姿で立ち塞がろうと、
悉くを打ち砕いてみせるぞ!カルロス!!」
[勇気]を滾らせて光線銃の攻撃を[根性]で殴り潰し、
迫る王笏甲冑の攻撃を[気合い]で蹴り砕く
肉体変異は肉体でねじ伏せる

先制を捌いた後はUC発動
両手に巨大な炎剣を創造して周囲の空中戦団ごとカルロスを切り崩す
どれだけ速かろうが単純な物量と大熱波の前には無意味だ
「超必殺!フルバーン・スラッシュ!」
天空を覆い尽くすほどの火焔でもって全てを一刀両断する!



 問いかける言葉がある。
 誰のために、と。
 誰のために。
 その問いかけは、ある者にとっては命題であったし、ある者にとっては語るべくもない明確なものであったに違いない。
 故に空桐・清導(ブレイザイン・f28542)は赤い鎧を纏て、船上にて巻き起こった爆発の中から飛び出してくる『王笏甲冑』を纏う『カルロス・グリード』を見つめる。
「誰がために鎧纏て戦うか?」
 迫る一撃。
 デモノイド細胞によって変容した甲冑の一撃。
 光条の一撃は清導の鎧へと走った。

「決まっている! 笑顔を浮かべる無辜の民のためだ! そのためにヒーローは雄々しく立つんだよ!」
 オーラの防御を貫いてくる光条。
 凄まじい熱量である。
 恐るべき力だ。まるで己の生命を削るかのような一撃に清導はのけぞりそうになる。
「お前がどんな姿で立ち塞がろうと、悉くを打ち砕いて見せるぞ!『カルロス・グリード』!」
「ほざけ。王の前に立つな」
 光を握りつぶしながら、清導は己の鎧がデモノイド細胞に侵食されていくのを感じただろう。
 肉体変異によるダメージが彼の肉体を侵す。
 痛みが、激痛に変わる。
 耐え難いまでの痛みに清導はためらうこと無く踏み出す。

 敵の先制攻撃に彼ができたのは耐えることだけだった。
「よく耐えたと言おう。だが、王の前だ。頭を垂れよ」
 振り下ろされる斬撃。
 その一撃を清導はデモノイド細胞に侵食された腕で受け止める。
「ブレイザイン・バーニングモード!! さあ、いつもより燃えていくぜぇええ!!!」
 ユーベルコードに瞳が輝く。
 斬撃を弾き飛ばす炎。
 腕部に収束された炎は巨大な炎剣へと変貌し、振りかぶる。
「どれだけ早かろうが! 超必殺! フルバーン・スラッシュ!」
 空を覆うような巨大な炎の刀身。
 その一撃が振るわれる。
 圧倒的な熱量。その炎は『王笏甲冑』の速度を上回る勢いで迫り、その装甲を溶解させていく。

「単純な物量と大熱波を前には無意味だ!」
「炎程度でこの、我を!」
「バーニング・クリエイション! 燃えろぉぉ!!」
 振り抜かれた炎の斬撃が海賊船型秘密基地『カルロスの錨』の船上に吹き荒れ、その高度を落とす。
 清導は、己の生み出した炎によって腕を侵食していたデモノイド細胞を焼き尽くし、立つ。
 そう、立たねばならない。
 どんな痛みににも、どんな強敵にも、決して膝を折らぬのがヒーローなのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

綾倉・吉野
な、何はともあれ、まずは相手の攻撃への対処を…!
意識を集中して…光線銃なら霊力による結界術と退魔刀の刀身で「弾く」様に受けることに集中するでありますが……!

(…悪いですが吉野、少しでしゃばらせてもらいますよ?)

……さて。では元帝都軍人としての務めを果たしましょうか。

戦法は変わりません。霊力結界、意識を集中し気配を読んでの見切り、退魔刀による武器受け、
後は霊力弾幕をけん制に、こちらも速度を上げての斬撃戦です。

肉体変異などと、させませんよ?
この体を、生命を、綾倉吉野の全てを、好きにしてよいのは…
…私だけなのですから。

さあ、来なさい?貴方達の罪の報い、この「マステマ」がその身に刻んであげましょう



 敵の拠点である『カルロスの錨』への直接転移。
 船上の戦いは、正しく激烈であった。
 炎が吹き荒れ、飛行する秘密基地は僅かに高度を落とした。
 眼下には帝都の街並み。
「な、なにはともあれ、まずは相手の攻撃への対処を……!」
 綾倉・吉野(桜の精の學徒兵・f28002)は學徒兵の制服を風に煽られながら、船上に飛び込む。
 如何に『カルロス・グリード』が猟兵たちによって消耗していても、未だ油断はならない。
 彼には猟兵に先制するだけの力があるのだ。

「意識を集中して……!」
「わらわらと集まってくる。我の道行きを阻む六番目の猟兵共」
『王笏甲冑』が変形し、砲へと姿を変え放たれるは光条。
 しかもデモノイド細胞が注がれている。
 受ければ、たちまちのうちにデモノイド細胞による侵食によって肉体が変容されてしまう。故に吉野は受けるのではなく、弾くことに集中しようとしたのだ。
 
 放たれる光条。
 結界と退魔刀の刀身がデモノイド細胞注がれし一撃を弾く。散る光に吉野は目がくらむ思いであった。
「遅い!」
 そこに『カルロス・グリード』が踏み込む。
 光条の一撃は囮。
 吉野が、そう理解した瞬間、そこに『マステマ』が介入する。
「悪いですが吉野、少し出しゃばらせてもらいますよ?」
 マステマの手助け(ワタシガオアイテシマショウ)は、即座に吉野の体を支配する。
「……さて。では元帝都軍人としての務めを果たしましょうか」
 退魔刀で振り下ろされた『王笏甲冑』の一撃を受け止める。
 重量を乗せた一撃に骨身が軋む。

「受けたか。だが」
「ええ、力押しで負けるでしょう。故に」
 霊力弾幕をマステマは解き放つ。
 吹き荒れる弾幕の最中、マステマは打ち込まれた斬撃を受け流しながら、飛ぶ。
「しゃらくさい」
 放たれる光条。
 それらを躱しながら、マステマは笑む。
「肉体変異などと、させませんよ? この体を、生命を、綾倉・吉野の全てを、好きにしてよいのは……私だけなのですから」
 周囲に明滅する光条と霊力の激突。

 そのさなかにマステマは退魔刀を構え、告げる。
「さあ、来なさい? 貴方達の罪の報い、この『マステマ』がその身に刻んであげましょう」
 閃くは斬撃の応酬。
 それは船上に走る疾風のようであり、また同時に互いに一歩も譲らぬ苛烈なる剣戟を響かせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・タタリクス
【ステルク】
ルクス様の、|破壊音波《悪を許さない波動》をかんじまーす(ゆるっ
いえ、叫びが無いと寂しいって言うから
それよりもノイン様ですよノイン様
暗躍ムーブする前に倒さねば!(?)
誰がやべーメイドですか
ツッコミは天の声様の役目ですね

影朧甲冑にはオーバーキル気味ですが
大群を制するには空からは定石!
フォル!いらっしゃい!(鳥型キャバリア呼び寄せ
ルクス様、周りの動きを止めます
その隙に突っ込んでください助けません!
【ヴォワ・アンジェリク】
天使の歌声に留まりなさい!

そういえばカルロス様はコンキスタドールのはずですが
どうにもカタストロフのような動きをしているように見えます
その謎、叩きつけてみましょうか!


ルクス・アルブス
【ステルク】

そんなわたしなんて(照れっ

はいいとしまして、
『ノイン』さんのキャラがどんどん濃くなっていってる気がします。
このままだと『やべーグリモア猟兵』とか言われる日も近いですね。

あ、でもステラさんのライバルなら、やばくないと務まらないですね。。

天の声さん、ツッコまれる前に言っておきますけど、
わたしはステラさんのストッパーですからね!
可憐で常識人の演奏家ですからね!からね!

っと、そうでした。
カルロスさんなんとかしないとでした。

わっかりまし……って。扱い酷くないです!?
ま、まぁいいです。カルロスさんを狙っていきましょう!

ここはバランスブレイカーが良さそうですね。
転けたところをピアノでごん!です!



「ルクス様の、|破壊音波《悪を許さない波動》をかんじまーすっ」
 その声は海賊船型秘密基地『カルロスの錨』にて響いた。
 飛行する海賊船。
 帝都を眼下に据える空の戦いにあって、ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)はゆるっとした感じで言葉を発していた。
 叫びが無いと寂しいと言われたから、こんな感じのことを言ってみたまでなのである。
 というか、ステラには気になることがあった。
「そんなわたしなんて」
 てれてれ。
 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は、あ、それでいいんだ……? みたいな具合に、くねくねしていた。
 それでいいんだ? 本当に?

 いいんじゃないですか、みたいな顔をしているステラ。
 彼女にとっての関心事はそこではなかった。
 そう、ここは『カルロスの錨』である。敵の拠点真っ只中なのである。
 いきなり敵拠点に転移とは、予断を許さぬ状況が続いていると言ってもいい。
 しかし、彼女はそういうんじゃなくて、別のことが気になっていた。
「なんかどんどんキャラが濃くなっていってる気がします。このままだとやべーの称号が奪われてしまいますよ、ステラさん!」
 誰のことを言っているのだろう。
 多分、グリモア猟兵のこと。
「あ、でもステラさんのライバルなら、やばくないと務まらないですね」
「誰がやべーメイドですか。暗躍ムーブをされる前に倒さねばなりません!!」
 一応味方である。

「何をごちゃごちゃと言っている。王の御前で!」
『王笏甲冑』纏う『カルロス・グリード』は、猟兵たちの攻勢を受けて、その装甲を切り裂かれ、溶解されている。
 消耗していることが見て取れただろう。
 そして、彼の号令に従うようにして『カルロスの錨』より無数の幻朧戦線の構成員であろう影朧甲冑が飛び込んでくる。
 それも尋常ではない数である。
「大群で圧しますか。ですが、大群を制するには空からは定石! フォル! ヴォワ・アンジェリク!!」
 ステラの掲げた手に導かれるようにして『フォルティス・フォルトゥーナ』が飛来する。
 その嘴の奥より放たれるのは、衝撃波。
「天使の声は透明で美しく。知らぬ間に心を奪うと心得なさい!」
 吹き荒れる衝撃波に影朧甲冑は容易く吹き飛ばされていく。

「やはり、一撃で消える! ということは!」
「はい、あとはこのわたし、ステラさんのストッパーで、可憐で常識人の演奏家ですからね! からね!」
 んね!
 一応乗っておくが。勇者であることはアピールせんでよかったのであろうか。あと、今、それよりもやることがあるのである。
 天の声っていうか、地の声とやりあっている暇はないのである。

「っと、そうでした。カルロスさんをなんとかしないとでしたね」
「お早くしてください。この隙に突っ込んでください助けません!」
「助けてくれないんですか!? 思わずず、わっかりましたぁ! って意気揚々と突っ込むところでした!」
「いいからお早く!」
「はぁい! 悪魔のトリル(アクマノトリル)いっきまーす!」
 ルクスの瞳がユーベルコードに輝く。
 放たれるは爆音。
 爆音は音の波。それ故に、如何に『カルロス・グリード』が素早く動くのだとしても音からは逃れられない。
 そして。

「……!? めまい? この我が?」
「ふっふーん、これがわたしの演奏です! あらゆる耳栓、遮蔽物を貫く音の洪水をあじわってくださいね!」
 そう、彼女の演奏からは誰も逃げられない。
 耳栓さえもぶち抜いてくる。
 強制的に演奏を聞かせる。絶対にだ! という強固な意志を感じさせるルクスの演奏は『カルロス・グリード』の三半規管の感覚を奪い、その動きを止めるのだ。

 だが、代償は大きい。
「ぐっ、謎を叩きつけてみようと思っていたのに、ルクス様の演奏にやられるとは……!」
「んえ!? 味方には士気上昇と回復波で回復しているはずなんですけど!?」
「耳栓が、意味をなしていませんでした……」
 ガクリ、とステラが膝をつくのをルクスは慌てて支えるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
貴様が9人目だ、カルロスグリード!!

デモニック・ララバイ【操縦】メガスラスター【推力移動】に、
【早業ダンス】舞うような独特の動きで回避機動で敵軍団を翻弄、
サイキックシールド展開、光線銃を【オーラ防御】
躯体全身から殺戮音叉を発生させ【斬撃波】を伴う【なぎ払い】
カルロス、影朧甲冑軍団を【切断】攻撃
更に【衝撃波】で音叉棘を飛ばし【串刺し】攻撃
発振し、発射し、周囲に音叉をばらまき

九度、壊れろぉおおおおおお!!!

【楽器演奏】『レゾナンスワールド』
周囲に放った音叉と共鳴させ、広範囲に演奏を響き渡らせる!
海賊船も、王笏甲冑も、影朧甲冑もまとめて振動【貫通攻撃】

世界を揺るがし、破壊を齎せ!!!



 海賊船型秘密基地『カルロスの錨』における空の戦いは、影朧甲冑乱舞する乱戦の様相を呈していた。
 これだけの数を用意できるということは、それだけ幻朧戦線の戦力の多さを示すものであったし、脅威でもあったのだ。
 故に今だ『カルロス・グリード』は『王笏甲冑』をひしゃげさせながらも立ち上がり、船上に溢れる影朧甲冑へと指示を飛ばす。
「六番目の猟兵を近づけさせるな」
 だが、そんな言葉を吹き飛ばすような怒号が響き渡る。
「貴様が9人目だ、『カルロス・グリード』!!」

 見上げる先にあったのは、『デモニック・ララバイ』――体高5m級のサイキックキャバリア。
 駆るは朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)だった。
 彼女の怒号に『カルロス・グリード』は眉根をひそめる。
 その表情が切り裂かれた甲冑の面の奥にあるのを小枝子は認識し、メガスラスターの噴射とともに一気に肉薄線とする。
 舞うような独自の動き。
 それによって影朧甲冑たちを翻弄し、さらにサイキックシールドでもって放たれた光線銃を防御する。
 出力が落ちている。
「チッ……六番目の猟兵共との戦いでエネルギーが消耗したか」
「そこだぁぁぁぁっ!!!」
「邪魔立てを」
 裂帛の気合と共に小枝子は『デモニック・ララバイ』の前進から発生させた殺戮音叉より放つ斬撃波を解き放つ。

 乱舞する斬撃波は一気に影朧甲冑を一撃のもとに殲滅し、『カルロス・グリード』への道を切り開く。
 発振、発射、乱射。
 彼女の攻撃は正しくそれであった。
 目に付く敵を全て滅ぼさねば気がすまぬというような乱打によって、しかし彼女は『カルロス・グリード』へと肉薄しているのだ。
「叫んでばかりで不敬である」
「黙れッ! 九度、壊れろぉおおおおおお!!!」
「王の前でよくぞ吠えた!」
 咆哮とともに放たれるのは世界を揺るがす真理。
 演奏と呼ぶにはあまりにも破壊的な音が響き渡り、共鳴振動による『王笏甲冑』に刻まれた傷跡を広げさせるように破壊をもたらすのだ。
 しかし、それを押しのけるようにして『王笏甲冑』の一撃が『デモニック・ララバイ』へと叩きつけられる。
 それでも小枝子は構わず咆哮し続ける。
 ユーベルコードのきらめきが、彼女の瞳に灯っている限り、其の咆哮は収まる所を知らないのだ。

「世界を揺るがし、破壊を齎せ!!! レゾナンスワールド!!!」
「くっ……厄介な攻撃ばかりを!」
「貴様が躱せるのは弾丸斬撃その程度だろう! この破壊の音は! お前には壊せない! 躱せない! なら! お前を待つのは破壊の運命のみだ!!」
 その叫びと共に小枝子は己が放つ咆哮を演奏とし、機体より解き放ち、『カルロス・グリード』の駆る『王笏甲冑』に走る数多の傷跡を広げるようにして打ち据えるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
(飛行式箒【リントブルム】に搭乗)
王笏甲冑に先制ユーベルコード…まあまあ厄介だけどやりようはあるか…
…影朧甲冑をだしてきたら1度急上昇or急降下…追ってくる影朧甲冑を1カ所に固めて…爆破術式でまとめて爆破…
…この爆炎に身を隠して【彼の身に宿すは失墜の落暉】を発動…
避けよりも甲冑での「受け」を誘うように空中戦をしかけて…
そして貫通術式を宿した黎明剣【アウローラ】で甲冑を貫くよ…
…少しでもダメージを与えれば王笏甲冑の効果は反転される…即ち強化は反転して弱体効果となる…
…あとはうってかわって距離を取りつつ重奏強化術式【エコー】で強化した魔力の矢を浴びせてダメージを与えていくとしようか…



 メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は、『カルロス・グリード』の駆る『王笏甲冑』が厄介なものであるという認識を改めることはなかった。
 猟兵のユーベルコードを数多受けて尚、損壊すれど動きに精彩を欠く、ということはなかった。
 そもそも影朧甲冑とは、一度着込めば脱着できぬもの。
 つまりは、まとえば一生影朧甲冑の中に囚われる不退転たる兵器。
 あまりに非人道的であると言わしめられた兵器ゆえに、禁じられてきたのだ。だが、それを改良した『王笏甲冑』を纏う『カルロス・グリード』の動きは脅威なるものであった。
「……しかも、影朧甲冑をこんなにも用意するとはね……」
 メンカルは呆れ果てるほかなかった。
 それほどまでに恐ろしい兵器であるというのに、幻朧戦線の構成員たちは、誰もがためらうことがなかったのだろう。

 彼女の周囲を囲む影朧甲冑は凄まじい数である。
 多くが排除されて尚、この数を誇るということ自体が脅威であったし、メンカルはこれらを如何にして出し抜くかを考えていた。
「よもや逃れられるとは思うてはおるまいな」
「……ん、普通に逃げる」
 メンカルは飛行式箒『リンドブルム』で急上昇する。
「無駄よ! 如何に空に逃げようとも!」
 そう、影朧甲冑は飛翔しメンカルを追う。
 わかっている。だからこそ、メンカルは急上昇したのだ。
 横に逃げれば際限なく追われる。だが、急上昇すれば重力が味方してくれる。横に逃げるよりも上に逃げれば、それだけ『影朧甲冑』は推力を捻出するだろう。
 故に彼女は上昇し、そして反転して急降下する。

 それだけではない。
 上昇するということは敵が一直線に並ぶ、ということだ。
 故にメンカルは爆破術式で影朧甲冑を吹き飛ばしながら、爆煙の中に飛び込む。
「彼の術式よ、狂え、惑え。汝は叛逆、汝は反転。魔女が望むは栄光堕つる変魔の理」
 ユーベルコードが爆煙の中よりほとばしる。
 それは、『カルロス・グリード』に向けられたものであった。
 彼の身に宿すは失墜の落暉(リバース・エフェクト)。
 そう、それは『カルロス・グリード』の『王笏甲冑』という強化、その硬化を反転させる力。
 強化を得ていれば、弱体化の硬化を与える反転術式。
 それによって『カルロス・グリード』は己が甲冑が動きを強化するものではなく、重石のように己の足を止める足かせになることを知る。

「貴様、何をした!」
「……簡単なこと。強化されているのなら、それを反転させればいい。なまじ強化する力を持っているから、その反転の振れ幅は凄まじい。その落差に……耐えられる……?」
「舐めるな。この王を、『カルロス・グリード』をなんと心得る!」
 重石たる甲冑をまとってもなお、『カルロス・グリード』はメンカルへと迫る。
「……バカ正直に真っ向勝負するわけないでしょ」
 貫通術式を宿した黎明剣『アウローラ』が輝く。
『リンドブルム』にまたがった彼女の速度に『カルロス・グリード』は対応できない。

 その斬撃を持って装甲を切り裂きながら、さらにメンカルは宙へと翻り、魔力の矢を雨のように降り注がせ『カルロスの錨』、その船体ごと彼を穿つのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
武器:漆黒風

何度目ですかねぇ、カルロス。
まあ、此度も倒しますけどー。陰海月もコンキスタドール嫌いですし。

ええ、集団呼ばれますよね。しばらくは間を縫うようにして避けつつ。戦闘知識からくる第六感で見切っていけたら、と。

そして…UCが使えるようになったら、わざと被弾しましょうかー。
そう、これからは強化にしかなりませんよ。全ては、カルロスを倒すためですからねー。
四天霊障による押し潰しも追加しましょうかね?



『王笏』、『カルロス・グリード』。
 その邂逅はグリードオーシャンと呼ばれる海の世界であった。
 かの七大海嘯が一つ『王笏』。
 そして、コンキスタドールの首魁。
 それが『カルロス・グリード』であったが、彼は幻朧戦線将校としてサクラミラージュに出没していた。
 時に幻朧戦線として、時に黯党に与するように。
 彼は他世界を渡る術を持ち得た者。
「何度目ですかねぇ、カルロス」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』の言葉に『カルロス・グリード』は軋む『王笏甲冑』を揺らしながら睨めつける。
「気安いな、六番目の猟兵」
「まあ、此度も倒しますけどー」
「ハッ、それは結構なことだ。だが忘れるな、六番目の猟兵よ。我がこの程度で終わることはない」

 その言葉と共にあふれかえるのは影朧甲冑であった。
 今だ船体より溢れる無数の影朧甲冑は、それだけで幻朧戦線の戦力の多さを示すものであったことだろう。
 未だ底が見えない。
 この帝都櫻大戦にて撃滅することができるのか。それさえも定かではない。
 だが、それでもやらねばならぬのだ。
 此処で己たちが『カルロス・グリード』、そして幻朧戦線を逃せば、無差別テロルによって帝都は混乱に見舞われる。
 そうなれば失われる生命はより多くなるだろう。
 それ故に『疾き者』は見逃すつもりはなかったのだ。
「コンキスタドールを率いる首魁……ええ、逃すつもりはありませんよ」
「大口を叩くか」
 圧倒的な物量。
 それをなんとか躱しながら『疾き者』は進む。

 先制なる攻撃。
 それは圧倒的な力量差あればこそ。だが、これまでの猟兵たちの攻勢によって『カルロス・グリード』は消耗している。
 指揮の冴えにも直結するだろう。
 それ故になんとか攻撃を躱すことができたのだ。
「だが、それでもこの数よ」
 特攻めいた突撃に見舞われながら『疾き者』は、己が全身を呪詛で覆い再構築する。
 その一撃を受けて強化された体躯が、四悪霊・『回』(シアクリョウ・マワル)によって、さらなる生命力吸収の力を以て『カルロス・グリード』へと迫る。

「貴様、わざと」
「ええ、このユーベルコードは因果を巡るもの。それゆえに攻撃と認識したものを受けることで強化されるもの。それは……」
 ええ、と『疾き者』は笑む。
「どこまでも追いかけて見せますとも」
 その言葉と共に『疾き者』は己が霊障を開放する。
 物理的な招聘ではない、呪詛に寄る霊障。それは影朧甲冑を押しつぶしながら、さらに戦場にある『王笏甲冑』の装甲さえもひしゃげさせるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーフィ・バウム
第四の猟兵の指導者『王笏』!
新しい姿で現れようとも、私たちは負けませんよっ

勇気全開にダッシュで駆けます
先制攻撃で光線銃に状態異常が追加されていようと、
射撃自体は先制ではないのなら!

野生の勘を生かして見切り、
肉体に届きそうなものはオーラ防御で弾き飛ばします
間合いを詰めて武器をなぎ払っての衝撃波をお見舞いです!
王笏甲冑を纏めて吹き飛ばし、王笏への道を開く!

肉弾戦の間合いまで詰め寄り、
気功法と功夫を生かした鎧無視攻撃の打撃を
何度も入れていきますよっ!

何度貴方に相まみえようと、勝利を掴んでみせますとも
いずれ骸の女神オーシャンも滅ぼしてっ!
最大まで力溜めた《トランスクラッシュ》を
直撃させ勝利を掴みますっ



「第四の猟兵の指導者『王笏』!」
 その言葉に『カルロス・グリード』は霊障の一撃を受けながら、身を翻した。
 新たなる敵。
 その出現に反応し、甲冑にデモノイド細胞を注ぎ込む。
 偉業へと変じた砲を構えた彼の瞳が捉えたのは、ユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)の姿であった。
「新しい姿で現れようとも、私達は負けませんよっ」
「そうか。では、去れ」
 放たれる光条。
 その一撃は、苛烈なものであった。

 光条自体にデモノイド細胞が注がれてしまう。
 その一射を受ければ、肉体を変様させられてしまう。デモノイド細胞による侵食である。その激痛は言うまでもない。
 故にユーフィは船上をダッシュで走る。
 身を翻すでもなくい、躱すのでもなく。
 ただ真正面に走る。
 それは野生の勘にも似たものであった。
 己が肉体を変様させる恐るべき光線。けれど、それは肉体で受ければ、の話だ。そして、『カルロス・グリード』は消耗している。

 これまで猟兵たちが紡いできたものがある。
 ただ彼等は攻撃を叩き込んできたばかりではないのだ。如何に『王笏甲冑』が改良されているのだとしても、それを操るのは『カルロス・グリード』本人。
 その本人が度重なる激戦によって消耗しているのであれば、付け入る隙というものはいくら絵もあるのだ。
「弾き飛ばします!」
 光条の一撃をユーフィはオーラ纏う拳で捻じ曲げるように弾き、さらに突き進む。

 狙うは肉弾戦の間合い。
 気功と功夫。
 これらをかけ合わせた彼女の打撃は、如何に甲冑を纏うのだとしても、その打撃の衝撃を内部に通す事ができる。
 痛打とも言うべき衝撃に『カルロス・グリード』は血反吐を撒き散らしながら呻く。
「貴様っ!」
「何度でも打ち込みますよ!」
「じゃれつくのならば!」
 振るわれる斬撃にユーフィの体が吹き飛ぶ。
 けれど、彼女は即座に立ち上がり、空中へと飛ぶ。
「何度貴方に相見えようと、勝利を掴んでみせますとも。いずれ骸の女神オーシャンをも滅ぼしてっ!」
「吼えるな! それができるという傲慢をこそ!」
「やりますとも!」
 放たれるはトランスクラッシュ。
 闘気纏うヒップアタックの一撃が『カルロス・グリード』の纏う『王笏甲冑』の装甲をひしゃげさせながら、その体躯を吹き飛ばす。

 ユーフィは己の臀部を払い、船上にて立つ。
 そして、宣言するのだ。
「何度だって勝利を掴んでみせます――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

んもー
熱心なんだからー
これが人に迷惑かからなことだったらほめてあげるとこだよ!

●解き放つ
船に乗り込んだら邪魔をされないように[球体]くんたちをじゃんじゃんばらまいて船が傾くくらい押し付けてこう!
しずめよ~しずめ~!

●光線防御
【第六感】で察して[影]から瞬時に透明状態の[白昼の霊球]くんを出して防御!
見えないバリアってやつだね!
そうしたら次は…
ばらまいておいた[球体]くんたちをぎゅっと一か所に集めるように集中させて彼の動きを阻害してもらったところでUC『神撃』でドーーンッ!!

さぁ彼女のところへ行くといいよ!
いや行けないんだっけ?
まあそうなるようにボクらもがんばるからさ



「んもー熱心なんだからー」
 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は憤慨する。
 というか、呆れ半分であった。
『王笏』、『カルロス・グリード』は他世界においても略奪を持って侵略するコンキスタドールの首魁。
 それ故に彼の出現は猟兵にとっては、これが最初ではない。
「これが人に迷惑がかからないことだったら褒めてあげるとこだよ!」
「神というのは気まぐれだな。そして身勝手でもある」
 ロニの言葉に『カルロス・グリード』は傷ついた『王笏甲冑』をきしませながらも立ち上がる。

 満身創痍である。
 とは言え、その力は凄まじいの一言。
 注ぎ込まれたデモノイド細胞の力、それは明らかに脅威であったからだ。
「おっと、そういうのはいらないかな!」
 放たれる光条。
 それをロニは船上にばら撒いた球体たちによって受け止める。
 変様する球体たちにロニは目を見開く。
「わお、そんなこともできるんだ? でもまあ、一緒くたにしちゃえば一緒だよね。お腹の中に入れば一緒、みたいな理屈?」
 多分違うな、とロニは思っただろう。
 そして、船体へと球体たちを押し付ける。
「しずめよ~しずめ~!」
 眼下にあるのは帝都である。

 このまま海賊船型秘密基地が落下すればどうなるかなど言うまでもない。
「正気か?」
「あ、そっか。そうなんだ。でもまあ、いいよね。どうせさ!」
 壊すんだから、落とすのと変わりないじゃない、とロニは笑って大雑把な挙動でまとめた球体の上を蹴って『王笏甲冑』纏う『カルロス・グリード』へと迫る。
「これだから神というものは!」
「そう言わないで。まあまあ、球体君たちと戯れなよ」
 そういってロニは球体を操作して『カルロス・グリード』の動きを阻害する。
 高速戦闘を可能とする彼の動きは厄介だ。
 捉えられないわけではないが、速いか遅いかどちらがよいかと言われたら、やっぱり遅い方が良い。
 ならどうするかなんて簡単な話だ。

 そう、動く場所を小さくすれば、どんなに疾く動けても狙いは逸れない。
「さぁ彼女の所へいくといいよ!」
「それができぬからこそ、この大地を引き剥がそうというのだ!」
「あ、そうなんだ? まあ、そうなるようにボクらもがんばるからさ。とりあえず」
 ロニの拳が煌めく。
「ド――ンッ!!」
 神撃(ゴッドブロー)の一撃は空より降り落ちる鉄槌のように『カルロス・グリード』の甲冑へと叩き落される。
 その衝撃は凄まじく、『カルロスの錨』は更に高度を落とすように衝撃と共に、その船体をきしませるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
機神搭乗
ようおかっぱ野郎
此処でもコスプレかますとは思わなかったぞこら

「ご主人サマ!これあれだよ!サ◎ラ大戦だよ!あれ霊◎甲冑だよ!」
んなわけねーだろ!というかおめー乗るならデュ◎ルガン◎ムに乗れよ!イ◎ークみてーな頭してんだからよ!
「クロキャバに来たらデュエルセラフィム(仮称)に乗るんじゃない?」

対先制
【情報収集・視力・戦闘知識】
敵機の性能と動きの把握
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を機体に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で熱源隠蔽
【念動力・弾幕・空中戦】
UC発動
高速戦闘は実は慣れてるんでな
念動光弾を乱射して叩き込み
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
鎌剣で襲いかかり切り刻み金目の物強奪強奪強奪強奪!



 軋む船体。
『カルロスの錨』は猟兵との戦いで明らかに高度を落としていた。
 しかし、それでもまだ『カルロス・グリード』は抵抗と呼ぶには苛烈なる戦いを繰り広げていた。
 圧倒的な速度。
 それは幻朧戦線のエースパイロットと呼ぶに相応しい力であった。
「ようおかっぱ野郎。此処でもコスプレかますとは思わなかったぞこら」
 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は、『王笏甲冑』纏う『カルロス・グリード』を『メルクリウス』のコクピットから見下ろす。

「我を見下ろして語るか」
「高いところからすいませんねって言うかよ。僕が。そういう柄かってんだ」
「ご主人サマ! これあれだよ、あの――! ――! ――!」
「なんて?」
「だから、――!」
 伏せ字みたいな音が響いている。
「んなわけねーだろ、というか、あいつが乗るなら――だろ! ――みてーな頭してんだからよ!」
「クロムキャバリアにきたらデュエルセラフィムに乗るんじゃない?」
「ごちゃごちゃと訳のわからぬことを」
 わかんねーんならほっとけよ、とカシムは言わんばかりに迫る『王笏甲冑』の動きに対応する。

 その性能は改良されている、という言葉通りであった。
 此処までの戦いで消耗してなお、その動きに精彩を欠く、ということはなかったのだ。
 それほどまでに『カルロス・グリード』の能力は飛躍していた。
 いや、飛躍、というわけではないのだろう。
 他者から奪った力による能力。
 それによって凄まじい挙動で持ってカシムは機体を隠しても尚、己に迫ってきていることを知る。
「光学迷彩も熱源感知もさせねーってのに、何が見えてやがる」
「我が打倒すべき敵よ!」
 振るわれた斬撃を鎌剣で受け止め、カシムは瞳をユーベルコードに輝かせる。

「はっ、高速戦闘には実は慣れてるんでな!」
 念動光弾を放ちながら、カシムは『メルクリウス』と共に疾駆する。
 船上を駆け抜け、空にて激突する両者。
 火花をちらしながら交錯する度に、互いの装甲が剥離していく。
「こっからが本番だぞ、神速戦闘機構『速足で駆ける者』(ブーツオブヘルメース)!!」
 加速する機体。
 その速度は『カルロス・グリード』を圧倒し、さらなる超高速機動攻撃を乱打する。
 斬撃は止める間もなく『王笏甲冑』の装甲引き剥がしながら、『カルロス・グリード』を追い詰め、船上へと押し込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

高天原・光明
 貴様にこの世界を渡すものか、カルロス・グリード。今こそ貴様の企みを完全に終わらせよう。

 現れた影朧甲冑へ〈早業〉で狙いをつけ、小銃の〈制圧射撃〉を浴びせていこう。此度はカルロスの方が早い、受けた攻撃には〈咄嗟の一撃〉を重ねて致命傷は避けよう。雑兵を仕留めたら【UC:天空より飛来せし雷霆】(WIZ)を発動だ。〈破魔〉の霊力を帯びた百を超える〈貫通攻撃〉の雨あられ、いくら王笏甲冑とはいえ無傷では済むまいな。

 貴様のような影朧テロルの輩から平和を守るため、敵がどれほど強大だろうと、|學徒兵《おれたち》は戦い抜く。影朧を灼く雷が如き破魔の力、その身で存分に受けるが良い。

(アドリブ負傷連携等々歓迎)



「再び押し込まれるか、この我が」
『カルロス・グリード』は『王笏甲冑』きしませながら、しかして立ち上がる。
 彼が目論むのは帝都での無差別テロル。
 世界破滅、即ち、サクラミラージュの大地を引き剥がし、世界滅びて尚咲き誇るであろう幻朧桜を女神オーシャンへと捧げる。
 それを為し、己が姫君を探し出すこと。
 身勝手、というのならばそうなのだろう。
 だが、それが世界を滅ぼすというのならば、立ちはだかるものがいる。

「貴様にこの世界を渡すものか、『カルロス・グリード』」
 高天原・光明(彼方より禍を射貫くもの・f29734)は、この大地を思う。
 世界の成り立ち。
 それは古の超古代種族が身を挺して生み出した諸悪の根源を封ぜる重石。
 されど、己が生きてきた大地は彼にとって何一つ変わっていないものであった。
 守らねばならない。
 護りたいと思う。
 故に彼は敵へと弓引く猟兵なのだ。
「今こそ貴様の企みを完全に終わらせよう」
「できるか、六番目の猟兵。それが貴様に!」
「やれるかどうかなどではない。やるのだ」
「ならば、示してみせよ!」
 その言葉と共に『カルロスの錨』より湧き出すのは、無数の影朧甲冑であった。

 これが最後。
 故に光明を取り囲む影朧甲冑は膨大なものであった。
 凄まじい攻勢。
 それ故に徹底的な抵抗が見て取れるだろう。故に彼は走る。
 こちらの小銃よりも疾く『カルロス・グリード』が指揮する影朧甲冑たちの攻撃が早い。
 とっさの一撃を叩き込み、それでもなお数が減らない。
 圧倒的が過ぎるほどの物量であった。
「……!」
「逃げてばかりではな!」
 身を撃つ一撃に呻く。
 されど光明は立ち止まらなかった。
 痛みに喘ぐ暇があるのならば、走らねばならない。それ故に彼の瞳にはユーベルコードが輝く。

「そうだな。ならば、盛大に行こう」
 発露するは、天空より飛来せし雷霆(ヘルトラム・ブリッツ)であった。
 破魔の霊力を籠めた矢弾は、一気に駆虫に炸裂する稲妻の如き機動でもって、飛来する影朧甲冑たちを貫き、一撃のもとに破壊せしめる。
「……やるようだが!」
 迫る『王笏甲冑』。
 その強烈なる踏み込みに光明は動けなかった。
 否、動かなかったのだ。

 彼は護る者。
 守護するべきものがあるからこそ、帝都の空にて『カルロス・グリード』と相対する。
「貴様のような影朧テロルの輩から平和を護るため、敵がどれほど強大だろうと」
 その瞳には不屈の輝きがあった。
 どれだけ手痛い一撃を受けようとも、彼は退くことはない。
「|學徒兵《おれたち》は戦い抜く。影朧を灼く雷が如き破魔の力、その身で存分に受けるが良い」
 光明は、その身寄り雷霆を解き放つ。
 炸裂する稲妻は『王笏甲冑』を捉え、その内部をずたずたに引き裂く。
「これがお前への一射だ」
 そう、これは狩りではない。
 護るための戦いであるがゆえに、光明は己が矢弾によって『カルロスの錨』ごと『カルロス・グリード』を射抜き、その飛行能力を奪うように爆散させながら船上より飛び出す。

「誰が為に戦う、か。そうさ。俺たちは」
 平和のために戦うのだ。
 そう告げるように光明は、空より守った帝都に降り立つのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年09月06日


挿絵イラスト