●秘密海賊船より
六番目の猟兵達よ、幻朧桜の暴走が見えているか?
これはすなわち、桜の下に埋められた『不死の帝』が、全ての準備を整えた証左である。
此方は引き続き無差別テロルを続行する。
大戦によりサクラミラージュを引き剥がし……。
世界滅びし後も咲き誇るであろう幻朧桜を、女神オーシャンに捧げてみせようぞ。
●王笏を討て
幻朧戦線将校、カルロス・グリード。
帝都櫻大戰が幕開けた今、彼はサクラミラージュの各地に潜ませていた海賊船型秘密基地『カルロスの錨』を一斉に出港させた。船は飛翔能力を持ち、空中から帝都に侵入しようとしている。
「カルロスは絶対に何かを企んでいるから、放ってはおけない」
イスルギ・アイゼン(灰雨・f38910)はカルロスが無差別にサクラミラージュの大地を破壊しようとしているのだと語った。おそらく破壊だけが彼の目的のすべてではないだろう。
「幻朧帝の復活がカルロスにどんな利を与えるのかは不明だよ。だけど、好き勝手やらせるのも癪だ」
艦隊は空中を飛んでいるが、今ならカルロスの前に向かうこともできる。
戦いを挑んで勝ち、その目論見を砕くこと。
「つまり今こそ艦隊を率いるカルロス・グリードとの決戦の時ってことさ」
もちろん簡単に倒せるような相手ではないが、猟兵の力をもってすれば対抗できる。
名前の通り、幻朧戦線将校となったカルロスはサクラミラージュの力を具現化しているようだ。彼は呼び寄せた改良型の影朧甲冑である『王笏甲冑』を操り、超高速戦を仕掛けてくるだろう。
「相手がどれほど強くとも、皆がそれぞれに全力を揮えば問題ない。そうだろ?」
確かめるように問いかけ、イスルギは静かに双眸を細めた。
進んでいく先に勝利が待っていることを信じて――そして、|カルロスの錨《カルロス・アンカー》への道がひらかれてゆく。
犬塚ひなこ
こちらは『帝都櫻大戰』
⑥カルロスの錨〜『幻朧戦線将校』カルロス・グリードの戦場です。
●👿『カルロス・グリード』
グリードオーシャンのオブリビオン・フォーミュラの分身体。
幻朧戦線の将校として、身体に負担がないよう改良した影朧甲冑「王笏甲冑」を自在に操る上、悪魔人間デモノイド等も動員して猟兵を迎え撃ちます。
●プレイングボーナス
『敵の先制攻撃ユーベルコードと「王笏甲冑」による戦闘力強化に対処する』
第1章 ボス戦
『カルロス・グリード』
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POW : 王笏光線銃
【影朧甲冑「王笏甲冑」の持つ光線銃】に【デモノイド細胞】を注ぎ込み変形させる。変形後の[影朧甲冑「王笏甲冑」の持つ光線銃]による攻撃は、【肉体変異】の状態異常を追加で与える。
SPD : 幻朧戦線のエースパイロット
自身が操縦する【影朧甲冑「王笏甲冑」】の【回避力】と【命中力】を増強する。
WIZ : 影朧甲冑軍団
【海賊船型秘密基地『カルロスの錨』】からレベル×6体の【影朧甲冑】を召喚する。[影朧甲冑]は弱いが、破壊されるまで敵を自動追尾・自動攻撃する。
イラスト:hoi
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アルマ・アルカレイト
チーム錬金術士
属性攻撃…刹那の無限回転発動
錬金術と結界術…マヒ攻撃と凍結攻撃の錬成弾と結界を展開する錬成弾を錬成
クイックドロウ…素早く弾丸を放つ
念動力と結界術…緋智が使用する技能
行くわよ!ヒサ!慶喜!
『うん、任せて!』
ヒサと一緒に戦闘開始
この時に結界術を展開
危なっ!
敵の先制UCに対しては視力で見ながら刹那無限回転による推力移動で回避しながらマヒ攻撃と凍結攻撃の錬成弾を敵やデモノイドに素早く放つ
緋智も斬撃波でデモノイドを攻撃
駄目ならさっき張った結界で防御
くらいなさい!
指定UCを発動して敵に弾丸を放つのと同時にUC錬金術士奥義・アルゾブ・アナコンダを発動して敵を拘束した後指定UCの弾丸で撃ち抜く
東・慶喜
チーム錬金術士
属性攻撃…刹那無限回転発動
錬金術と薬品調合…マヒ攻撃と凍結攻撃の錬成弾を錬成
高速詠唱と結界術…素早く結界を展開する
クイックドロウ…素早く弾丸を放つ
推力移動…素早く回避したり攻撃にも使用
ホーミング…弾丸に対して使用する
おう!やるで…アルマ、ヒサ!
二人を呼びながら戦闘開始
これは全力で避けるしかないなぁ!
敵の先制UCに対しては高速詠唱で結界術を展開する為に視力で見ながら推力移動で回避する
行け!アルマ!
その後アルマの攻撃チャンスを作る為にデモノイド達に素早く錬成弾を放ち攻撃する
UCの発動する為にチャージもします
これで全員凍って痺れろや!
UCを発動して雷と氷でデモノイドと敵にも攻撃した
●錬金術と幻朧甲冑
幻朧戦線将校、カルロス・グリードが操る海賊船型秘密基地『|カルロスの錨《カルロス・アンカー》』。
サクラミラージュの大地を破壊せんとする凶行を止めるため、猟兵たちが立ち上がる。
「行くわよ! ヒサ! 慶喜!」
『うん、任せて!』
「おう! やるで……アルマ、ヒサ!」
カルロス・グリードとの決戦を行う戦場。其処に凛と響く声は、アルマ・アルカレイト(異世界からの来訪者『無能の錬金術士』・f39594)と東・慶喜(無能の錬金術士の相棒・f40772)の声。
狙うはカルロスの錨を操る此度の首魁。
されど猟兵の動きを察知し、待ち受けていたカルロスは必ず先制攻撃を仕掛けてくるだろう。
「蹴散らしてやろう、猟兵」
カルロスはアルマと慶喜たちを見据え、戦闘態勢に入った。
刹那、彼が操縦する影朧甲冑の力が放たれる。即座にアルマが結界術を展開し、耐えに掛かっていく。
「危なっ!」
「これは全力で避けるしかないなぁ!」
高速詠唱で結界術を展開したのは慶喜も同じ。避けるために動きながら結界を張るという二重の行動で以て、アルマと慶喜は敵の攻撃に何とか耐えた。だが、少し掠っただけでもかなりの痛みが走る。
「目で見て、気配を感じていかないといけないわね!」
「どこまで対抗できるかの勝負だな」
視力での対応も加え、更にアルマは刹那無限回転による推力移動を行っていく。可能な限り回避しながら反撃として放っていくのは麻痺と凍結の力を乗せた錬成弾。
その際に緋智も動き、斬撃波で以てカルロスを攻撃していった。
更に慶喜がライトニング・ブリザード・フォーミュラを解き放っていく。それは次元の力と生体電流と周りを凍結させる力だ。ホーミングする雷と氷の防御貫通のレーザーが敵を貫き、徐々に力を削った。
そして、慶喜はアルマのためにカルロスを引き付けていく。
「行け! アルマ!」
「このまま押し切るわ!」
慶喜の後押しを受け、アルマは重力と星の自転の力を再び巡らせた。慶喜も更なる氷と雷を紡ぎ出し、カルロス・グリードの周囲に現れた影朧甲冑もろとも穿ちに掛かる。
「これで全員凍って痺れろや!」
「くらいなさい!」
アルマは敵に弾丸を放つと同時に敵を拘束しにかかった。其処へもう一度弾丸が放たれていく。
銃弾と雷氷撃を受けたことでカルロスは僅かに後ろに下がった。手応えがあったことでアルマと慶喜は此処からも戦い続けることを決める。だが――。
「その程度か?」
カルロスは未だ余裕を見せている。それが虚勢なのか、それとも本気なのかは判別がつかない。
それでもアルマは次の攻撃に移っていく。
「まだまだよ!」
「その通りや。俺らは絶対に負けん……!」
慶喜も真剣な声を向け、身構え直す。
其処から巡る猟兵とカルロスの攻防は激しく、幾度も重ねられていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
西恩寺・久恩
瞬間思考力と第六感と怪力を常に発動する
…仕方ないですね
カルロスとの先制UC対策は敵の動きを心眼で見ながら甲冑からの光線を払い棒でシャドウパリィする
無理そうなら推力移動で回避
デモノイドは結界術で防御するかシャドウパリィしながらフラウディとカモカモが光線を放ち相手をします
無限天理陰陽術式…仙才鬼才
ここで指定UCの効果でUC無限天理陰陽術式『仙才鬼才』の発動の為に鬼の手を解放する
その後は反射無視拳波動を敵に放つ
仮に避けられても指定UCを使用する為のブラフなので当たらなくても大丈夫
当たればラッキーという感覚
無限天理陰陽術式…飛龍乗雲!
敵が自身の攻撃でバランスを崩したら指定UCを発動して敵を殴り飛ばした
シビュラ・ヴェルムリープ
正直、このサクラミラージュは故郷を思わせて無視できないのよね……
わたくしが救うのだわ!
何故ならわたくしはエンドブレイカー!
終焉を終焉させる者なのだから!
星の輪・空間の術で星辰を操作して空間を制御
次元断層を作り出し、そのまま『凍てつくは時の彼方』で時間凍結――先制攻撃UCの影朧甲冑による連携攻撃に対し時空間ごと凍結粉砕して対応するのだわ!
先制UCを凌いだなら、わたくしのUC
――終焉聖杯天啓槍を所有する『聖杯槍』に変身
オラクルとしての終焉を破壊する天啓の心を絶やす事無く『祈る』事で注ぎ、カルロスを撃滅するわ
さぁ、サクラミラージュは守り抜くわ!
オーシャンに首を洗いなさいと伝えなさい!
●救いへの一歩
迫るのは影朧甲冑の力。
幻朧戦線将校たる、カルロス・グリードとの決戦が行われる戦場では鋭い火花が散っていた。
「――仕方ないですね」
西恩寺・久恩(妖怪陰陽師(物理)ここに見参!・f42881)は瞬間思考力と第六感を働かせ、カルロスが率いる影朧甲冑に対抗していった。相手の先制ユーベルコードが防げないのならば、真正面から対峙して対抗するだけ。
久恩は敵の動きを心眼で見ながら、甲冑からの光線を払ってゆく。
同時にシビュラ・ヴェルムリープ(光桜天樹スプリールの聖女・f39562)も影朧甲冑軍団の攻撃を受け止めながら、果敢に耐えていった。
「この……厄介ですわね!」
二人にかなりのダメージが巡ったが、まだ倒れるわけにはいかない。
久恩は推力移動で衝撃の分散を行っていき、シビュラは気合いと強い思いで耐久した。
「正直、このサクラミラージュは故郷を思わせて無視できないのよね……。わたくしが救うのだわ!」
こんなところで負けたくはない。敗北などしない。
何故なら――。
「わたくしはエンドブレイカー! 終焉を終焉させる者なのだから!」
顔を上げ、反撃に移ったシビュラは星の輪・空間の術で星辰を操作して空間を制御していく。これ以上の攻撃を受けないために次元断層を作り出し、そのまま時間を凍結させにかかった。
影朧甲冑による連携攻撃に対して時空間ごと凍結粉砕して対応していく狙いだ。
シビュラの動きに合わせて久恩も攻撃体勢に入った。少女式神フラウディと鴨式神のカモカモに光線を放って欲しいと願い、久恩はカルロスを見つめる。
「お返しです。――無限天理陰陽術式……仙才鬼才」
発動させたのは鬼の手を解放する力。
反射無視拳波動を敵に放った久恩の眼差しは、倒すべき敵であるカルロスに向けられ続けた。無論、相手も避けてくることが予想されるが、この行動は久恩が仕込んだブラフでもある。当たらなくても問題はない。寧ろ当たればラッキーというものだ。
其処から久恩は本命の攻撃を繰り出す。
「そして、無限天理陰陽術式……飛龍乗雲!」
「おっと」
それによってカルロスが均衡を崩した。それをチャンスだと感じた久恩は一気に地面を蹴り、その勢いでカルロスを殴り飛ばした。そうなれば次はシビュラの番だ。
「終焉を破壊せよ、我が星の輪!」
――終焉を根絶する天啓を以て聖杯槍へ至り、手に握る終焉聖杯天啓槍を以て、その終焉に終焉を。
シビュラは終焉聖杯天啓槍を所有する『聖杯槍』に変身した。
オラクルとしての終焉を破壊する天啓の心を絶やすこと無く、祈りを捧げて注ぐ。それはすべてカルロスを撃滅するための力となり大きく迸っていく。
「く……!」
カルロスの声に焦りが滲みはじめた。
シビュラが抱く、終焉を破壊する天啓の心が薄れることなど決してない。
「さぁ、サクラミラージュは守り抜くわ! オーシャンに首を洗いなさいと伝えなさい!」
「何度でもぶっ飛ばします」
凛と響くシビュラの声と共に眩い力が広がっていき、久恩が繰り出す千乗ずつ増える拳が敵を貫く。
このまま戦い続ければ勝てる。
確信を抱いた猟兵たちはこの戦いの終わりを目指し、全力を振るっていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
仇死原・アンナ
アドリブ歓迎
…時は来たれり!まだ生きていたか強欲なる王め!
この世界を救う為に…さぁ行くぞ!私は…処刑人だッ!
地獄の炎を全身に纏い戦場を行こう
鎖の鞭のロープワークで海賊船に引っ掛け地形を利用し空中を飛翔
鉄塊剣を鉄壁の如く盾代わりにして敵の放つ光線を武器受けで防御
拷問具をばら撒き誘導弾で敵を追跡、鎧無視攻撃を仕掛けて行動を阻害しよう
貴様を屠るまで追い続けてやる…私は…処刑人だ!!!
【スキルクロス・モンストルム】を発動
バーサークと化し怪物の如き怪力で鉄塊剣と妖刀を振るい敵を攻撃し続けよう
負傷しても地獄の炎の回復力で修復、殺気を放ち恐怖を与えて追い詰めてやろう…!
その首…狩り落としてやるッ!
夜刀神・鏡介
カルロス、コンキスタドール、女神オーシャン……
幻朧桜がどう結びつくかは分からんが、阻止すれば関係ないのは道理だ
神刀の封印を解除。神気によって身体能力を強化
敵の動きは相当速いし、他の影朧甲冑もいるとかなり面倒な状態
だが、敵の狙いは結局のところ俺。狙いが分かれば対応策は見いだせる
冷静に気配と動きを読んで、紙一重で攻撃を躱し、刀で弾いていく
第一波を凌いだら機を見て一度納刀。そして澪式・弐の秘剣【翠鳴閃】
居合い抜刀の勢いで斬撃波を放って周辺一帯を攻撃……カルロスに避けられたとしても、まずは周囲の影朧甲冑を減らせばよし
攻撃して納刀、そして回避から再度の居合いで速度と精度を上げてカルロスを追い詰めよう
シュタルク・ゴットフリート
この世界の空に、斯様な兵器は似つかわしくないのでな。
全て撃ち落としてくれよう。
シュトゥルム・ラケーテンの【推力移動】にて飛翔、此方も空戦を挑むとする。
敵の光線銃を受ければ、威力以上に変異が脅威と成り得る。何としても回避せねばならない。
ラケーテンの推進方向を不規則に変化させ、狙いを定めさせぬよう努める。
最悪、手か脚で受けて凌ぐとする。四肢ならば変異の影響は【激痛耐性】で耐えられる範囲で収まると見る。
凌いだらUCを発動し更に加速。
光線を紙一重で躱しつつ、そのまま最高速度での体当たり(【重量攻撃】)を叩き込んでくれよう。
野望と共に、砕け落ちるが良い!
●討つべき敵
「……時は来たれり!」
空に浮かぶ船、『|カルロスの錨《カルロス・アンカー》』。
その様子を見上げた仇死原・アンナ(処刑人、獄炎の花嫁、焔の魔女、恐怖の騎士・f09978)は、強い戦意をあらわにしていた。猟兵とカルロスはこれまで幾度も戦いを繰り広げていた間柄だ。
「まだ生きていたか強欲なる王め!」
グリードの名の如く、数多の世界を渡る敵に対してアンナは必滅の思いを抱いている。
この桜幻想の世界まで滅びへと導こうとしているのならば容赦など絶対にできない。
「この世界を救う為に……さぁ行くぞ! 私は……処刑人だッ!」
アンナは地獄の炎を全身に纏い、戦場を駆け抜けていく。
されど敵は空の上。アンナは素早く鎖の鞭を天上に向けて投げ、ロープワークの技術で海賊船に引っ掛けた。そのまま一気に地面を蹴り上げれば空中を飛翔するように敵地へと飛び込めるわけだ。
其処に続いたのは夜刀神・鏡介(道を貫く一刀・f28122)。
「カルロス、コンキスタドール、女神オーシャン……」
これまでに得てきたパズルのピースを組み合わせるように、鏡介は考えを巡らせていった。
其処に幻朧桜がどう結びつくのか。
「今は推察するのみで真相は分からんが、阻止すれば関係ないのは道理だ」
鏡介は息を整え、神刀の封印を解除してゆく。
身に纏う神気によって身体能力を強化した鏡介は、敵に必ず先制されるだろうことを念頭に置いた。だが、それが何だというのか。鏡介は気を引き締め、カルロスの元へ進む。
シュタルク・ゴットフリート(不滅なる鋼鉄の咆哮・f33990)もシュトゥルム・ラケーテンを用い、推力移動の力でひといきに飛翔してゆく。此方も空戦を挑み、勝利を得に向かう。
それがシュタルクの思いだ。
「この世界の空に、斯様な兵器は似つかわしくないのでな。全て撃ち落としてくれよう」
空に舞うのは美しき桜だけでいい。
シュタルクは高く飛び、仲間と共にカルロスが待ち受ける海賊船型秘密基地へと乗り込んだ。其処で最初に感じたのはカルロスの視線。言葉こそなかったが、よく来た、とでも言わんばかりの眼差しが猟兵たちを貫く。
迎え撃つカルロスは王笏甲冑の力で先制攻撃を放ってきた。
「これに耐えられるかな」
「試すつもりか……!」
アンナは鉄塊剣を鉄壁の如く構え、盾代わりにすることで防御に入った。激しい衝撃がアンナを襲い、かなりの痛みが身体中に走る。だが、たったそれだけで倒れるようなアンナではない。
鏡介の方には影朧甲冑が召喚されている。
かなり面倒な状態だが――。
「敵の狙いは結局のところ俺だ。それは間違いない」
狙いが分かれば対応策は見出せるとして、鏡介は冷静に敵を見据えた。気配と動きを読んで、紙一重で攻撃を躱せばいい。それは簡単なことではないのだが、熟練の鏡介にならば可能なこと。
それに相手がカルロス本人ではないという時点で、若干ではあるが此方に利がある。攻撃を刀で弾いていく鏡介はその攻撃を凌ぎ続け、反撃の機会を窺っていった。
同じくして、シュタルクには王笏甲冑の持つ光線銃が向けられていた。
「……!!」
あの光線銃を受ければあまりの威力に仰け反ってしまうだろう。だが、それ以上に齎される変異が脅威と成り得る。何としても回避せねばならないと察したシュタルクは避けることに注力した。
ラケーテンの推進方向を不規則に変化させることで、狙いを定めさせぬよう動き回る。或いは最悪、手か脚で受けて凌ぐのがいいはずだ。しかし、シュタルクは見事に先制攻撃に対抗してみせた。
皆がそれぞれに攻撃に対処していく中、最初に動いたのはアンナだ。拷問具をばら撒いていったアンナは敵を追跡しながら、ユーベルコードを発動した。
――スキルクロス・モンストルム。
それは恐るべき怪力を持つ怪物の力を呼び寄せるもの。カルロスの行動を阻害することを狙いつつ、アンナは強い意思を言葉に変えていく。
「貴様を屠るまで追い続けてやる……私は……処刑人だ!!!」
「出来るものならやってみるといい」
バーサーク状態となったアンナは、怪物の如き怪力で鉄塊剣と妖刀を振るっていった。それは王笏甲冑をも凌ぐ勢いであり、その攻撃は止まることがない。無論、カルロスからの攻撃はアンナの身を削っていた。
されど、アンナは地獄の炎を燃やし続ける。
絶え間ない殺気を放ち、あのカルロスに恐怖を与えんとしてアンナは戦い続けた。
「何処までも追い詰めてやろう……!」
吼えるような勢いのある声と同時に、アンナは鉄塊剣を一気に振り下ろす。その瞬間に激しい衝撃音が響いた。
それはアンナがカルロスに致命的な一撃を与えた証でもあった。
同様に影朧甲冑の猛攻を凌ぎきった鏡介は一度納刀する。
そして、其処から発動するのは――澪式・弐の秘剣【翠鳴閃】。鏡介は居合い抜刀の勢いで斬撃波を放ち、周辺の甲冑を薙ぎ払う。そのままの勢いで鏡介はカルロスに迫った。
「カルロス……!」
「あれを退けてきたか、面白い」
翠色の斬撃波がカルロスにも向けられる。たとえ避けられたとしても、もう一度。再び影朧甲冑が召喚されても減らせばいいだけのことだ。決して退くことはないと決め、鏡介は斬撃を放った。
攻撃しては納刀し、そうして回避する。
居合いの速度と精度は戦う度に上がり、カルロスを追い詰めていくものになるだろう。
其処へシュタルクの突撃が加わる。
ロケット噴射で以て更に加速したシュタルクは光線を紙一重で躱し続けていた。その反面、これまで反撃には移れていなかったがそれも計算ずくだった。仲間に攻撃を任せ、光線を引き付けることもまた戦いにおいての役割だ。
「ここまで追い詰めてくるとは、猟兵……!」
「今までも勝ってきたのだ。此度も負けるはずがない!」
猟兵たちの攻撃によって、よろめくカルロス。其処にシュタルクの声が響く。
反撃の機は仲間が作ってくれた。そのように感じたシュタルクは重量に乗せた攻撃を叩き込むべく、そのまま最高速度に達していく。そして――。
「野望と共に、砕け落ちるが良い!」
「俺達はただ前へと進む。カルロス、お前を倒して――!」
「その首……狩り落としてやるッ!」
激しい突撃を行ったシュタルクの声に応じる形で、鏡介とアンナが猛攻に入った。
全力の突撃、居合の翠鳴閃、地獄の炎を纏った怪物の一撃。そのすべての力が巡り、重なった刹那。
カルロス・グリードはその場に崩れ落ちた。
「幻朧桜を……女神オーシャンに、捧げ……世界が滅びし、後も……あぁ――」
譫言のように何かを語ったカルロス。
その視線は一瞬だけ猟兵たちに向けられたが、彼は別の何かを見ているかのようだった。
だが、この場における勝利は此方のものになった。力なく消えていくだけとなったカルロス・グリードを見送りながら、猟兵たちは誓う。
この世界を救うこと。そして、此処から必ず新たな未来を繋げていくことを――。
大成功
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