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宇宙の海でリア充を倒せ(返り討ちも可)

#スペースシップワールド #【Q】 #戦後 #無間のサイビア

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#スペースシップワールド
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#【Q】
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#戦後
#無間のサイビア


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●たぶん返り討ち
 改めて説明するまでもないが、スペースシップワールドにおいて世界とは巨大宇宙船の事である。現在ではスペースオペラワールドなる所で居住可能な惑星が無数にある事は周知の事実であるが、それでもそこに到達できる強者ばかりではない現状、宇宙船はいまだに世界であり続けている。
 そんな巨大宇宙船の中にはリゾート専門に作られ、レジャーを主な収入源としている所が多々存在する。そんな宇宙船に海の光景を再現したものがあった。青い空、白い砂浜、青い海。太陽さんさん。365日マリンリゾートが楽しめるということでかなりの人気を博している所のようだ。そういえば水着コンテストの第1回が行われたのはそんな感じのビーチリゾート船のひとつだっけ。
 で、そんな宇宙船を破壊せんと狙っている者が……。

 一方グリモアベース。
「どーせリゾート船なんてリア充の巣窟だろーし、見捨てていいんじゃね?」
「!!??」

(しばらくお待ちください)

「……と、いうことで」
 どういうわけか不破・静武(人間の非モテの味方・f37639)は始まる前からボロボロになっていた。なんかとんでもない発言をして周囲から総ツッコミを受けた時のダメージに見えなくもないが真相は定かではない。
「スペースシップワールドの宇宙船がオブリビオンに狙われているからどーしてもっていうんなら止めてもいいんじゃないかと」
 ぎろり。厳しい視線が集中する。あわてて静武は訂正した。
「……是非止めてください」
 静武が説明する事には、基本的に宇宙船を破壊せんとするオブリビオンは船内に侵入し、コアマシンを破壊する事でそれを成し遂げようとするが、今回のオブリビオンは超強力なので外部から普通に破壊しようとするらしいのだ。対抗するためには船外に出る必要があるため、宇宙戦の準備は必須だろう。

「で、それが終わったら、宇宙船内のリア充を掃討……ちょ、ちょっと待って武器はやめて武器は」
 まあ普段からリア充死ねとか爆発しろとか言ってはいるものの、静武とて本当にそれをやったらいろいろまずい事ぐらいの分別はある……はずだ。たぶん。では掃討とは?
「ズバリこれだ」
 静武が手にしたのは光線銃……によく似た水鉄砲だ。むろん破壊力は皆無だが、水には色が付いているらしく、当たったらカラフルな感じに染まってしまうだろう。ただ何も知らないリア充をいきなり撃っては立派な迷惑行為になってしまう。なんでも水鉄砲を撃ちあうゲームがあるらしいとかで、それで遊ぶという形式をとれば合法的にリア充を撃てるだろうと、そういう事らしい。
「こいつでリア充どもを原色まみれにしてやってくれ!よもやリア充側として参戦するような不届きな奴はいないよなあ?いないよなあ!?ボクは君たちを信じてるぞ!」
 ……まあ、そういう事なら穏当だしいいか。水鉄砲での撃ちあいならなかなかおもしろそうだし、それ以前の話としてリゾート船が破壊されようとしているのを見過ごすわけにはいかない。猟兵たちはスペースシップワールドへと向かうのだった。


らあめそまそ
 なにもなければ非リア側が返り討ちにあいます。らあめそまそです。
 夏なので涼し気なスペースシップワールドシナリオをお送りいたします。第1章で敵オブリビオンを倒した後、第2章で水鉄砲の撃ち合いをお楽しみください。
 第1章における敵の能力、ならびにプレイングボーナス的なものはOP公開後の断章で書きますのでご参考いただければと。第2章では特に指定がない場合はリア充側と非リア側に分かれての撃ち合いになり、なにもなければ非リア側が返り討ちにあいます(2回目)。それ以外のマッチングならびに結末をご希望でしたらプレイングに書いていただければ検討いたします。
 それでは改めまして皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『無間のサイビア』

POW   :    侵略蔵書『宇宙侵略史』
戦闘用の、自身と同じ強さの【侵略宇宙人軍団 】と【宇宙怪獣軍団】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD   :    スーパー超次元殺法
【短距離テレポートを駆使した近接格闘術 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【超高速連続攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    スーパープラズマ光弾
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【両腕 】から【100,000,000,000℃の光弾】を放つ。

イラスト:カス

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠九条・救助です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●グリモア猟兵的にはオブリビオンは全てリア充らしい
『この世界も久しいな』
 単身、生身で宇宙を駆るは【無間のサイビア】と呼ばれるオブリビオンだ。かつては侵略宇宙人としてスペースシップワールド全体に破壊と死をまき散らして皆から恐れられたものだ。オブリビオンとなった後は幹部猟書家として猟兵たちと激戦を繰り広げてきた。今や猟書家のトップであったブックドミネーターも、この世界におけるオウガ・フォーミュラであったプリンセス・エメラルドも倒れ、サイビアの存在理由も消滅したと言って過言ではないだろう。だがそのような事情はサイビアには関係ないようであった。
『余はただ眼前にある全てを破壊し尽くすのみよ』
 その視線の先にはリゾート船。敵襲を察知し、船内からは鎧装騎兵たちが迎撃のため次々出撃してきたが、そのようなものをサイビアが気に掛ける様子すらない。
『木っ端ごときがわざわざ先に潰されるために来たか、まあほんの少し死が早まるだけよ』

 元幹部猟書家【無間のサイビア】の能力は以下の3種類だ。
【侵略蔵書『宇宙侵略史』】は無数の侵略宇宙人軍団と宇宙怪獣軍団を召喚するというものだ。その全てがサイビア、すなわち強大なオブリビオンと同程度の実力だというから恐ろしいというレベルではない。サイビア自身が傷を負えば解除されるらしいが、質量ともに充実した敵集団がそれをそうやすやすと許してくれるはずもあるまい。それでも本体一点狙いで行くか、それとも敵の物量に対抗するか。悩ましいところだ。
【スーパー超次元殺法】は短距離テレポートの連続で敵の隙を突いた一撃を与え、続けざまに超高速連続攻撃を食らわせるというものだ。サイビアほどの強力なオブリビオンが使う超高速連続攻撃をまともにくらったら歴戦の猟兵とて一撃で即グリモアベース強制送還、あるいはそれに近い状況になる事が予想される。最初の攻撃を回避できれば良いらしいが、いかなる手段を使えば良いのだろうか。悩ましいところだ(2回目)。
【スーパープラズマ光弾】は……100,000,000,000℃の光弾!?1千億度!?こんなものをまともにくらったら即グリモアベース強制送還はまぬがれまい。さりとて回避しようとも敵は超高速で飛翔しているため逃げ切るのもなかなか難しいだろう。回避するか耐えるか、いずれを選ぶにせよ、悩ましいところだ(3回目)。

 以上、さすがは単機で巨大宇宙船を破壊できると豪語する元侵略宇宙人、元幹部猟書家なだけあって恐るべき能力を誇るすさまじき強敵だ。だがこいつをなんとかしなければ巨大宇宙船と乗組員の生命が失われる事は避けられまい。そういえばサイビアが幹部猟書家だった頃、宇宙船から出撃している鎧装騎兵たちと協力して戦う事が猟兵にとって良い効果を発揮したらしい。むろん鎧装騎兵たちの力は猟兵と比べれば劣るが船外活動に習熟しているため適切に支持を与えればいい働きをしてくれるかもしれない。頭の片隅に置いておくと良いだろう。
 ともあれ。よくわからないがシナリオのタイトルからすればサイビアもリア充なんだろうたぶん。少なくともあのグリモア猟兵なら無根拠ではあるがそう断言するはずだ。なので、その、なんだ。こいつをなんとかしてください。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
大変な相手ですが、やってみますぅ。

『FLS』により各『祭器』を召喚、空間歪曲障壁に『FMS』のバリアと『FKS』の操速結界を併せ多重防御を形成しまして。
【廑傎】を発動、『宇宙船襲撃禁止』の『法則』を制定し命じますねぇ。
当然断るでしょうが、此方は逆らう者に『対象者の人数%』の能力低下を与えるもの、召喚された『無数の軍団』全員の全能力に『-無数%』の低下が適用される以上、元の能力がどれ程強力でもほぼ無力な状態に出来ますぅ。
後は『FPS』の探査でサイビアさんの位置を把握、『FIS』の転移で狙える位置に移動し、低下が有効な『人数の多い一撃目』に全『祭器』を集中させ叩きますねぇ。



●あとは戦闘力減少を物量だけで無理やりカバーするとか
 やはり今回も一番槍は夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)がつとめるようだ。単騎で巨大宇宙船を破壊できる戦力の持ち主である元幹部猟書家という事もあり、うまい事立ち回らねば苦戦は免れないであろう強敵だが、それでもるこるはただひとこと。
「大変な相手ですが、やってみますぅ」
 内面はともかく見た目にはいつもと変わらぬ様子でそう言ってのけたわけだから、これは一般人からすれば非常に頼もしい事この上ないだろう。どっかの艦隊では司令官の作戦立案に巨漢の男がただひとこと「なるほど」と言っただけで周囲の士気は嫌がおうに上がったらしいが、それと同じ効果があるような気はした。
 ともあれるこるは宇宙に飛び出した。祭器を探してみたが宇宙での活動に使えそうな物はちょっと見当たらなかった(見落としだったらごめんなさい)ので、おそらく宇宙服はリゾート船が用意してくれたのだろうか。さすがは宇宙の本場だけあって、るこるのかなり特異な体格にもマッチするサイズのものがちゃんと用意されていたようだ。るこるのジョブはサブが鎧装騎兵なのでもともと宇宙戦にも容易に適応するだけの力はある……と言いたい所だったが鎧装騎兵はスペースシップワールドだけではなくケルベロスディバイドにもいるのか。どっちかはわからない。まあ気にしないでもいいか。いつものようにアイテム所持制限の12個をオーバーして使用できる祭器で防御用祭器や攻撃用祭器をフルに展開して戦場に現れたるこるに対し、無間のサイビアは鼻で笑った。
『ふん、猟兵がきたようだが、小虫が数を頼りに来た所で所詮小虫よ』
 サイビアにとって眼前に立つ者は全て下郎であり踏みつぶす対象でしかない。それは相手が一般兵だろうが猟兵だろうが変わりはないのだ。そしてその言葉を証明するかのように、サイビアは侵略蔵書を開いた。
『来るが良い、余のしもべたちよ』
 たちまち現れたのは侵略宇宙人軍団に宇宙怪獣軍団。おそらくその1体1体が全て章ボス級の力を持っているのだろう。それが集団戦を思わせるように雲霞の如く現れたのだからたまったものではない。物量攻撃とはこうやるんだと言わんばかりの圧倒的な攻勢はまさに無間の名に相応しいものであった。
「来ましたねえ」
 圧倒的すぎる戦力から来る凄まじい圧力を前にしても普段とまったく変わらない様子を見せていたあたりはさすがにるこるは歴戦の猟兵であった。さりとてこれらとまともに戦うわけではない。そんな事の愚ぐらいは十分にわかっている。代わりに、数を頼みに来る相手に対しての備えを万全に整えていたのだ。早速力ある言葉を紡ぎ出し、自らの信じる女神へと祈った。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『聖令の加護』をお与え下さいませ」
 そのユーベルコードの名は【廑傎】といった。廑=勤、傎は転がる事だ。すなわち読みの『ホントウセシジュンジョウ』は『翻倒せし準縄』……いずれもIMEの変換では出てこなかった単語なのでちょっと自信はない。その効果はこの戦場全てにおける準縄すなわち規則を変換する事にあった。そして新たに加わった法則とは。
「この空域にて宇宙船を襲撃する事は能わず!」
『小虫が生意気な!』
 むろんそれを聞き入れる事はサイビアの存在意義とプライドの両方に関わって来る事だ。当然そのような事が受け入れられるはずは無い。答えは拒絶であった。
『余の戦力を前にそのような戯言を吐いた事を後悔しながら地獄に逝くがよい!』
「まあ、そうなるとは思ってましたけどねえ」
『行け!宇宙船の前にあの忌々しい虫を潰すのだ』
 サイビアが応じない以上、その部下である宇宙人や宇宙怪獣の大軍団もまた拒絶を選ぶ事になる。この法則自体には強制力がないため、こうなるのは当然の流れだ。だがこのユーベルコードの効果はここからが本番であった。
『……む?』
 サイビアはすぐに異変に気が付いた。その全員が自分と同程度の力を持っているはずの宇宙人軍団怪獣軍団の動きが鈍い。存在するだけで周囲を恐怖に陥れる程の圧が完全に消えていたのだ。むろん、その原因はひとつしか考えられない。
『おのれ小虫めが!わけのわからぬ策を使いおったか!』
 そう。【廑傎】の法則に従う事自体に強制力はないが、従う者の数に応じてるこるの戦闘力を上げ、従わぬ者には全能力低下というペナルティが与えられるのだ。その減少度は……『総数%』!?100人いれば100%減すなわちゼロだ。なんとえぐい数値なのだ。ただこういうのを聞くと逆にいかにして破るかというのを考えたくなるのが世の常というやつで。ただの逆張りかもしれないが。
『ええい!曲がりなりにも我が部下であるならそのような法則自体破ってみせよ!』
 で、サイビアが選んだのは武闘派に相応しい力押しであった。精神力をもってペナルティを無理やり破るという、確かに他にはなさそうであるがなんともむちゃくちゃな方法である。でもサイビアだったらもしかしてやらかしかねないかもしれないが……。
「さすがにそれまで待ってさしあげるわけにはいきませんねえ」
『!!??』
 敵軍が復活する前にとるこるはサイビアの位置を察知しその背後に転移した。今こそ敵軍はカカシであったが、その数を削るとペナルティが削れてしまう恐れもある。ならば本体を叩くのが一番だ。そしてるこるの戦闘力はこれ以上ない程に上昇していた。法則に同意した鎧装騎兵たちや宇宙船の乗組員たちによって。
「全祭器集中砲火ですぅ!!」
『お、おのれえええええええ』
 他の敵軍同様に戦闘力が極限まで落ちていた上に移動もできない状態なサイビアに強烈な攻撃が襲い掛かった。これで一瞬で宇宙の塵と化さなかったのは、さすが武闘派、さすが元幹部猟書家、としか言いようがないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル
そうかリア充のサイビアでござるか
もう殺すしかなくなっちゃったでござるよ

キサマは惨たらしく殺す
サンデヴィスタ発動!スピーダッ!ビビッドカラーな残像が出る勢いで拙者も超高速行動でござる
突発的なテレポートからの攻撃も比較的スロウリィに見える世界…そして見てから対応できる世界だ!仮に拙者の攻撃が回避されてもUCはあくまで効果、行動自体は阻害されないでござる!つまり貴様を確実に処刑する世界を兼ねた!

バタバタとその場で近接格闘するしかできなくなったら至近距離から銃撃でござる
拙者のリア充への怒り分叩きこむぞ!とどのつまりマガジン全弾でござるが

でもいいでござるよな?後で別のリア充も一緒に殺してあげるから



●高みを目指して派手にくたばれ
「そうかリア充のサイビアでござるか」
 相手がリア充と聞いてはエドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)は黙って見過ごすわけにはいかなかった。
「もう殺すしかなくなっちゃったでござるよ」
 うん。グリモア猟兵ならたしかに無間のサイビアはリア充だと認めるだろう。筆者の別の依頼で、特定の相手がいるわけではないが戦いの中で充実しているからある意味リア充だと言っていた猟兵がいたなそういえば。そういう観点からすれば破壊活動している時のサイビアはむちゃくちゃ充実しているように見えるし、そういう意味でのリア充とは呼べるかもしれない。ただ狭義の意味のリア充すなわち恋人持ちという観点からいけば、サイビアに伴侶に相当する相手がいるのかという点についてはあまりに情報量が少なすぎるのでなんとも言えないが。
「侵略宇宙人なら侵略した所の美女だけハーレムに入れて男とガキと年寄りは全殺しとかするに決まっているでござるよ!」
 うーん老若男女問わずに全殺しにも見えなくはないが、まあそういう可能性もまるきりなくはないか。まあいずれにせよ倒さなきゃならない敵ならば、倒すべき理由があった方がいいじゃないか。すなわちリア充である事。いや本来なら元幹部猟書家の侵略宇宙人という時点で倒す理由としては十分すぎるはずではあるのだが、まあそこはそれ。
 ともあれ。いつもの軍服の上に宇宙服を着こんで戦場へと出たエドゥアルトを早速サイビアが迎え撃った。
「キサマは惨たらしく殺す」
 サイビアが何か言おうとする前に強烈極まる宣戦布告だ。むろんそれを黙って聞き流せるようなサイビアではない。
『羽虫が何を言っても余には響かぬが煩わしい事この上ない、褒美に余自らに滅ぼされる栄誉を与えよう』
 そして両者は同時にユーベルコードを発動させた。
「サンデヴィスタ発動!スピーダッ!」
『見せてやろう、余のスーパー超次元殺法!』
 瞬間、両者の姿が宇宙から消え失せた……と、一般鎧装騎兵たちの目にはそう見えた。しかし実際に両者が消えたわけではない。両者とも超高速で動いているから鍛錬が足りない者では視界にとらえることができないのだ。これをとある著名な格闘家にしてプロ野球選手の名を取って俗にヤムチャ視点などと呼ばれるようだが、実際にヤムチャなる者がこの状況に陥った事はないのでとんだ風評被害と言える。
『まあもっともお前ごときに見えはしないだろうがな!』
 最初に手を出したのはサイビアの方だった。短距離テレポートでエドゥアルトの死角に回り、必殺の拳を叩きつけようとした。これで牽制した後に本命の超高速連続攻撃を叩き込んで一気に息の根を止めるのが狙いだった……が。
「比較的スロウリィに見える世界……」
『む?』
「そして見てから対応できる世界だ!」
 妙にビビッドカラーな残像を後に残しながら、サイビアのテレポートに素早く反応したエドゥアルトは見事に回避しづらい一撃を避けてみせたのだ。次に来る致命の連続攻撃も容易に回避される。エドゥアルトに攻撃回避を可能にした能力向上、ならびに回避困難な攻撃の見切りを可能にした体感時間遅延を与えたユーベルコードの名は【|高速ネットワーク端末《Storage Area Network device》】と言った。それがエドゥアルトに|聖なる視界《San de vista》をもたらしたのであった。
「冬のナマズみたいにOとなしくさせてやる!」
 逆襲とばかりに今度はエドゥアルトも超高速連続攻撃を開始した。
『馬鹿め!一度ぐらい余の攻撃をまぐれで避けられた程度で調子に乗るな!』
 しかしサイビアも短距離テレポートでエドゥアルトの攻撃を回避した。しかしエドゥアルトの攻撃は止まらない。いや、一度始めてしまったら中止ができないのだ。
「回避されてもUCはあくまで効果、行動自体は阻害されないでござる!」
 中止できないなら攻撃続行すればよいとエドゥアルトはそのままの勢いでサイビアの転移先に殴りに行った。テレポート先に繰り出された攻撃にはさしものサイビアも防御を余儀なくされた。
『ぬう、まぐれ当たりの分際で!』
「つまり貴様を確実に処刑する世界を兼ねた!」
 どういうわけかエドゥアルトの顔は黒人のような色になっていた……ように見えたような気がしたがたぶん気のせいであろう。決して何か流行りに便乗したというわけではあるまい。
「拙者を流行らせろでござる!」
 だが流行らないし流行らせない。そうこうしているうちに両者の戦いはいつしか至近距離での近接格闘に移行していた。こうなったらサイビアは近距離テレポートを行う暇はないし、エドゥアルトの知覚上昇は有効ではあるが遠距離戦ほど効果的には使えない。あとは本当に互いの実力同士が真っ向からぶつかり合う戦いだ。
『貴様ごとき下郎にこの余がまともに白兵戦をしてやるのだからな、有難く思いながら地獄に行くがよい』
「別に頼んだわけではないでござるよ」
 軽口を叩きつつも、エドゥアルトとしては正直避けたかった事態ではあった。エドゥアルトの本業は銃による戦闘や電脳魔術であり、ステゴロはどちらかというと専門外なのだ。一方のサイビアは遠近両方の戦いに熟練しており、テレポートを封じられたとしても格闘戦の力はきわめて高いだろう。エドゥアルト危うし……だが。
「こうなったら拙者のリア充への怒り分叩き込むぞ!」
 パンがなければケーキを食べればいいじゃない。距離がなければ至近距離で銃を使えばいいじゃない。エドゥアルトは覚悟を決めた。超高速で接近して拳を叩きつけにくるサイピアの動きを体感時間の差で見切り、全力で回避すると銃口を押し付けた。
「リア充への怒り分……とどのつまりマガジン全弾でござるが!」
『!!??ぐっ、おのれ!』
 無慈悲にも至近距離から弾丸を叩きつけられてはさすがのサイビアもたまったものではない。やむなく一時撤退を余儀なくされたサイビアを追撃しようにもマガジンは空だし、これ以上サンデヴァイスを使い続けたらサイバーサイコシスを発症しかねない。
「でもいいでござるよな?後で別のリア充も一緒に殺してあげるから」
 敵の背を見送りつつ、十分な戦果を上げたエドゥアルトは次の猟兵に任せる事にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

高崎・カント
もきゅうう、きゅいぴぴっ! 船を壊すなんて駄目なのです!
絶対絶対守るのですー!

巨神『ALA』さんに乗って宇宙に出るのです
きゅっ! 宇宙なのです! すごいのです!
お星様がいっぱいあるのですー!
もきゅう、すっごく遠くに来ちゃったのです!

回避はALAさんにお願いして、攻撃はカントにおまかせなのです!
もーきゅ? 敵の動きが速いのです?
体当たりや銃撃は当たりにくそうなのです

それならパチパチなのです!
モーラットコロイド散布! 電気の通り道を作るのです!
ALAさんの牽制射撃で相手の動きを妨害し、フルパワーのモラスパークなのです!

電気は光と同じ速さなのです!
もっきゅうううっ! 当たれーなのです!!



●無限に広がる大宇宙と古人も言った
「もきゅー!」
 高崎・カント(夢見るモーラット・f42195)は思わず叫んでいた。
(きゅっ!宇宙なのです!すごいのです!)
 カントがスペースシップワールドを訪れたのはこれが2回目だ。前回は宇宙船の中で戦ったため、こうして宇宙に出るのは初めての事であった。そして眼前に広がるのはどこまで続くかわからぬほどの広大な、あまりに広大すぎる空間。しかしそれは全くの空虚ではなく、視界に広がるいくつもの光、自然のものだったり人工のものだったりするそれらは、全てカントの目に新しいもので。
(お星様がいっぱいあるのですー!)
『宇宙は初めて?』
 カントが乗り込む『巨神』【ALA】が語り掛けてきた。本来クロムキャバリア世界の巨大兵器は飛行は一応可能だが、宇宙に出る程の速度を出す能力や、宇宙空間の環境に耐えうる能力を持っていても、あの忌々しい|殲禍炎剣《ホーリー・グレイル》が存在する以上それを発揮する機会が与えられる事はあるまい。だがALAは違う。カントの願い……すなわち『新しい景色を見たい』という事。それに応えたALAはクロムキャバリア世界を出てカントと共にある事を自ら選び、そして今こうしてスペースシップワールドに共にいるのだ。
(はじめてなのですー!)
『偶然ですね、私も初めてです』
(もきゅう、すっごく遠くに来ちゃったのです!)
 まさにカントはALAとともに新しい景色を見る事ができている。その喜びにずーっと浸っていたかった……が、残念ながら状況がそれを許してくれそうになかった。カントの視界に入ってきた侵略宇宙人、無間のサイビアの存在が、カントの意識を現実に引き戻した。
「もきゅうう、きゅいぴぴっ!」
 カントは気合を入れた。一応、あのグリモア猟兵が言うところのリア充側に含まれるカントであるが、そのような事はいっさい関係なく、眼前のサイビアを放置する事などできなかった。
(船を壊すなんて駄目なのです!絶対絶対守るのですー!)
 それはまさに猟兵が本来あるべき姿と言えただろう。聞いているかねグリモア猟兵くん。
『人を模した木偶か』
 サイビアは既に戦闘態勢に入ってきた。この戦場で既に数度猟兵と交戦し、首尾よく状況が動いたとは言い難い。ここで新たに出現した巨大な敵手を葬り去って気勢を上げようとしているようで、やる気は十分だ。そして相手を確実に葬るべく、ついに禁断の必殺技の封印を解く事にしたのである。
『貴様ごときに用いるは不本意だが、余の光弾を受けられる栄誉をくれてやろう、有難く思いながら塵と化すがよい』
 サイビアは両腕を前に出すと、必殺のスーパープラズマ光弾を発射した。その温度一千億℃である。一説によればビッグバンを起こした瞬間の宇宙が一千億℃だった瞬間があるらしいとかどうとかで。そんなものをまともにくらってはさすがのALAとてひとたまりもあるまい。
(きます!ALAさん!)
『ウィルコ』
 むろんカントは対策をとっていた……というよりは適材適所当てはめる事にしたのである。今カントはALAに乗っているのだから、回避はALA自身にやってもらうのが一番良い。そして実際ALAはカントの要請に応じ、危険極まりない光弾を見事回避してみせた。
(回避は頼んだのです!攻撃はカントにおまかせなのです!)
 自分は攻撃を、回避はおまかせ。カントのとった分業は実際効率の良い手段と言えるだろう。両方をひとりでやるよりははるかに負担が少ないし、眼前の事に集中できる。ただし、裏を返せば自らの分担に全精力を注ぎ込み、確実に成功させる義務を負ったとも言えるのだ。ともあれカントはALAの武装でサイビアを攻撃しようとしたが。
(もーきゅ?敵の動きが速いのです?)
 そう。サイビアの能力は光弾だけではない。自らも高速移動ができるのだ。これにはカントも困った。今でこそALAは敵の強烈極まりない攻撃を回避してくれているが、高速移動をする宇宙人からはたしていつまで回避を続けられるだろうか。一発でもくらったらおしまいだ。そうなる前になんとか相手に有効打を与えねばならないが……。
『どうした逃げるだけか、余の前に立っておいてその体たらくか』
(い、言わせておけばなのです!)
 嘲笑うサイビアになんとか反撃をくらわせたいと思いつつも、なかなかその手段が思いつかないカント。
(体当たりや銃撃は当たりにくそうなのです、困ったのです……)
 高速で動く相手に当てるならそれよりも速い攻撃を。口で言うだけなら簡単だが、果たしてそのような手段があるのだろうか?ALAが回避してくれている間になんとか思いつかなければ……。
(……!!そうなのです!)
 あった。カントにできる手段で、高速の相手にも当たる攻撃が。早速カントはALAに搭載されたシステムのひとつを発動した。
(モーラットコロイド散布!)
『なんだこれは?』
 敵からよくわからぬ微粒子が放たれ、戦場を覆い、それが自分をも包み込む様子をサイビアはたしかに見た。警戒したサイビアであるが、それがサイビアになにやら悪影響を与える様子はない。どうやら毒や呪いといったたぐいではなさそうだ。とはいえ放置して良いものではなさそうだが。
『まあ良いわ、何を企んでいるかは知らぬが、つまらぬ策略を弄される前に叩き潰せば良いだけのことよ』
(発射なのです!)
 攻撃を再開しようとしたサイビアの機先を制するように、カントの操作でALAに搭載された『天の小銃』より聖属性の銃弾が撃ち込まれた。が、サイビアはそれをやすやすと回避する。
『何か策があるのかと思いきや、つまらぬ攻撃だけか。もはや終わりにするべきか』
(今なのです!)
 だがこの攻撃は牽制だ。一瞬とはいえ相手の動きは阻害できた。あとはカントが溜めてきた必殺のモラスパークを放つだけだ。電気の速度は光と同じ。いかな高速であっても回避できるものではない。そして散布されたモーラットコロイドの効果はカントのパチパチ静電気を増幅変換するものであった。これにより静電気は必殺の威力となってサイビアに襲い掛かる。
(もっきゅうううっ!当たれーなのです!!)
『ぬうっ!こ、これは……ぐわああああッッッ』
 思わぬ攻撃を、サイビアは防御も回避もできずにまともに受けた。さすがのサイビアもこれにはたまらず一時撤退を余儀なくされるのだった。
(や、やったのです……)
 戦いはまだ終わっていない。それでもこの広大な宇宙の片隅の平和を守る事に間違いなく貢献できた。その事にカントは安堵の溜息をついたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レイヴァ・エレウネラ
色恋に興味なさそうな見た目なのにリア充なんだ!
まあそれでも宇宙船は破壊させないよ?

てことで、ボクも戦わないとね!
遠距離から異界の波動による【エネルギー弾】攻撃で牽制しつつ近づき近接格闘で殴り合いに持ち込むよ!
頑強な身体(【通常攻撃無効】、【硬化】)を活かせる近接での殴り合いのほうが戦いやすそうだしね!

スーパー超次元殺法を食らっちゃったらボクも攻撃の間に割り込んでUCを使うよ!
このUCで広範囲に消滅のオーラを放ち続ければどこから現れようと避けられないし、防御力上昇効果で攻撃にも耐えられるし、直ぐに本体を傷つけられるから仲間も呼べないしね!

そしたら反撃開始!
怯んでる間に拳のラッシュを叩き込むよ!



●リア充ってことにしておけ
 レイヴァ・エレウネラ(恐れ知らずな外界の女神・f44350)は称号が示す通りの神、もっと言うなら龍神である。そしてあちこちの世界を回って見聞を広めてきたようであるが、そんなレイヴァからしても今回の敵はかなり特異な相手だったようで。
「色恋に興味なさそうな見た目なのにリア充なんだ!」
 やはりレイヴァにとってもリア充とは恋人持ちを意味する言葉なようで、そういう点でいけばたしかに破壊のみにしか興味なさそうな無間のサイビアがリア充だというのはちょっと驚くべき事であったようだ。ただ実を言うと、これは筆者もこのシナリオを出した後で知った事なのだが、サイビアの行動理念って破壊なわけだけど、その根底にあるのはただの戦闘狂というだけではないらしいのだ。かつてサイビアがまだオブリビオンではないただの侵略宇宙人だった頃、やはり破壊と死をばらまき全宇宙から恐れられたもののルトラの騎士なる者たちによって滅ぼされたという過去があったらしい。で、その事に対する怨念こそ、今サイビアを突き動かしている要素であるらしいのだ。なのでたぶん配偶者はいなさそうだし、一部の人が言うような戦闘狂なら戦ってさえいればリアルが充実しているというわけでもないらしい。リア充でないから戦い、勝利してもその飢えが満たされる事なく永遠にリア充になりえぬ存在。無間のサイビアというのはそういう意味でも無間であった……の、かもしれない。まあそれでもあのグリモア猟兵ならば無理やりにでも理屈つけてサイビアをリア充と呼ぶのだろうが。ただ結局のところ、このあたりの事はこだわりを持つ一部の者たち以外にとってはそれほど重要な事ではなくて。
「まあそれでも宇宙船は破壊させないよ?」
 結局はこれなのだ。いかなる理由があろうと、相手が宇宙船を破壊して大規模な死をばら撒く存在である以上倒さなくてはならない。それが猟兵としての正しい在り方であろう。

『新手が来たようだな』
 これまでの戦いでサイビアの負ったダメージは決して少なくない。それでもサイビアの怨念は尽きる気配すら見せず、新たに立ちふさがらんとするレイヴァを見据えた。
「行っくよー!」
 異界の波動で牽制しながらレイヴァは真正面からサイビアに突っ込んでいった。自らの剛力や防御力に自信を持つレイヴァとしては近接戦に持ち込んで一気にカタをつけるのが狙いだった。
『無礼者が、そう簡単に余の足元を拝む事ができると思うな』
 サイビアとしても遠近両方ハイレベルでこなせるため近接戦を受けて立っても良かったが、その前に先制のユーベルコードを発動する事を選んだ。ステゴロを受ける代わりに侵略蔵書を開くと大量の宇宙怪獣軍団や侵略宇宙人軍団がレイヴァの前に立ちふさがった。その全てがサイビアと同程度の力を持つとされる。これを解除するためにはサイビアに攻撃を当てる必要があるが、そう簡単にそれを許してくれる状況ではなさそうだ。
「うーん、ちょっと予定が狂ったかな、けど関係ないよ!」
 レイヴァとしては接近した後だったら相手が怪獣軍団を呼び出してもサイビア本人を殴れば良いと考えていたようだったが、こうなってはそうもいかない。ならば対抗する手段はこちらもユーベルコードを発動する事だ。
「ボクの異界の空を味あわせてあげるよ!」
 ユーベルコード【異界神星域・虚界】は広範囲を異界のエネルギーで充満させるものだ。エネルギーにはレイヴァの身体能力を強化し、さらに強力な特殊能力の使用をも可能にする効果があった。それは。
「いくら多くても、まとめて片づけちゃえば問題なし!」
 異界のエネルギーを全身に受け、パワーアップしたレイヴァは全身からオーラを放った。それは力無き者であれば一瞬で消滅させるほどの力を持っている。さすがにサイビアの配下には一撃で消し飛ぶほどのやわな者は存在しないようだが、それでもダメージは決して少なくないようだ。
「へえ、さすがにやるってことかな?でもそんな事でボクを止められるかな?」
『その程度の策略で怯むな!余の配下たる力を見せてやれ!』
 そしてレイヴァは敵の大軍の真っただ中に突っ込んでいった。その体はキャバリアの銃撃掃射やミサイル武装の爆撃にすら傷つかない力を持っているとのことだが、サイビアと同程度の力を持っている大軍ならば集中攻撃でその防御力を貫く事も可能だったかもしれない。だが異界のエネルギーで防御力を上昇させていた事、オーラが侵略軍団を弱らせていた事、そして猟兵として鍛え上げてきた実力がレイヴァを守った。雲霞の如く襲い来る大軍を殴り、蹴り倒し、ぶちのめしながら、レイヴァは一直線にサイビアを目指し突き進んだ。ユーベルコード使用中はサイビアは動けないはず。そしてサイビアを殴りさえすればユーベルコードは効果を失い、敵の大軍は消滅するはずなのだ。そして激戦を潜り抜け、ついにレイヴァの拳がサイビアをとらえる寸前まできた、その時。
「……え?」
 レイヴァを包囲していた敵の大軍が突然、消滅した。そして眼前にいたはずのサイビアまで。そして背後に生じた、強烈な殺気。振り向くと同時に防御態勢を取ったレイヴァに触れる拳。
『ほう、余に気付くとはな』
 侵略蔵書を解除し、スーパー超次元殺法を解禁したサイビアは感心したような声を出した。
『気付かぬままに宇宙の塵とするはずだったが、まあ結果は同じ事よ』
「くうっ……お、オーラ全開だ!」
 そして開始される怒涛の超高速連続攻撃をレイヴァは必死で耐える。消滅のオーラを強めてサイビアの勢いを弱め、さらに異界のエネルギーで超絶強化された防御力をさらに高めるべく気合を込める。無敵を誇っていた装甲には着実にダメージが蓄積され、痛みが伝わって来る。
「ボ、ボクは負けない、こんな所で……!!」
『……むう、なぜだ、なぜ滅びぬ』
 思わぬ、あまりにも思わぬ抵抗に猛烈極まりないサイビアの動きがわずかに弱まった……ようにレイヴァには感じられた。そしてそれこそレイヴァの待ちに待った瞬間だった。レイヴァは防御を解くと、相手の攻撃に構う事なく、逆襲の拳をサイビアの顔面に叩き込んだのだ。
『き、貴様……!!』
「今度はボクの番だよ!全部そっくり返してやるよ!!」
 耐えに耐えてきたフラストレーションを全て発散させるとばかりに拳のラッシュをサイビアに叩き込むレイヴァ。勢いは完全に逆転していた。
『ば、馬鹿な、こんな事が……この余が……』
「こいつで、とどめだぁ!!」
 最後に全力のストレートがサイビアを貫き、サイビアはスローモーションで倒れた後、大爆発を起こして四散したのであった。無間のサイビアの、今回の最期であった。

(……だ、だが余は必ず戻って来るぞ……この恨み忘れぬぞ猟兵ども……)

「……結局本当にリア充だったのかな?」
 レイヴァの疑問に回答を出せる者は、たぶんおるまい。あのグリモア猟兵を含め。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『カラフルウォーター★サバイバルゲーム』

POW   :    気合いだ!

SPD   :    スピードを生かす!

WIZ   :    戦略的行動!

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●残念ながら返り討ちにあいます
 なにはともあれ宇宙船の危機は去った。
 そしてリゾート船内の青い海に面した砂浜を模した空間では改めて大水鉄砲大会が開催される事になったのだ。

 大勢の参加者を2チームに分けて水鉄砲で撃ちあうという、きわめてシンプルなゲームである。水鉄砲に殺傷能力はないが、水には色がついており、くらってしまったら原色まみれとなる事だろう。サバゲーと同じで一発くらったら即アウトとなる。で、どちらかのチームが全滅するまで続けるらしい。
 参加する猟兵はどちらかのチーム……仮にAチームとBチームとしよう。そのどちらかに参加する事になる。偶然にも、あのグリモア猟兵がリア充と呼ぶ連中はどちらかに偏っているとか。

 参加する猟兵の方には所属チームを選んでください。選び方はいくつかありますが、いずれにせよ以下に述べる一文字をプレイングの冒頭あるいは末尾に明記してください。『』は不要です。
 まず、非リアチームに参加してリア充を倒したいなら『非』、リア充チームに参加して返り討ちにしたいなら『充』。
 自分がリア充が非リアかわからない場合、勝ちたいか負けたいかで選ぶ手はあります。勝ち組に回りたいなら『勝』、負け組の美学を味わいたいなら『負』。
 それも決まらない場合、AチームとBチームどちらに参加するか選んでください。これは『A』『B』でいいでしょう。どちらがリア充チームでどちらか非リアチームかは既に決まっております。
 それすらも思いつかないなら、何も書かなければ少ない方に入れるか、こちらでダイス振って決めるかします。

 猟兵以外の参加者は一般人で猟兵より戦闘力は落ちますが、彼らと協力し合う事で判定が有利になるようなならないような。うまい事やればなんかうまい事になるかもしれません、たぶん。
 果たしてグリモア猟兵が望むように、非リアチームがリア充チームを打ち破る事ができるのか?それらは全て皆様の行動にかかっているような、運命は既に決まっているような……汝の欲するところを為すが良い。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・充?
・アド/絡◎

■行動
一先ず無事終了、ですねぇ。
変わったイベントですが、やってみましょう。

「リア充」というのはよくわかりませんが、グリモア猟兵さんの情報を聞く限り此方の方が戦術が組み立て易そうですからねぇ。
「あれを撃退した猟兵に勝った」→「自分達はオブリビオンにも勝てるくらい強い」等と勘違いされても困りますし、遠慮なく叩きに参りますぅ。

何でも、相手方の一部(全部?)は「友軍側の特定の方々」を狙い撃ちにしてくる可能性が高い様ですから、そこで周囲への知覚に隙が出来るでしょう。
遮蔽を取った上で相手方を観察、場合により相手方戦力を遮蔽に使いつつ、注意の逸れた相手から狙い撃ちにして参りますねぇ。


ニコリネ・ユーリカ
非!!!

商売はぼちぼち儲かってるけど
「恋人が居ない」
唯それだけで非リアとなるのがこの世のならわし
喜んでリア充を倒しにいきましょう

ヒャッハー!イチャイチャしたい不潔どもめ
消毒の時間だぜー!(水鉄砲がしょがしょ)

非リア班と全力で相談&連携し
オタク味溢れる陣形、ガチサバ戦術を駆使して戦う
同胞のリア充抹殺命令を受けて特命コスチューム(おまかせ)に着替え
全技能100という鬼ステでチームに貢献する
燃え上がれ嫉妬の炎!

ええ、わかってる
ここまでしても勝てないのが非リアの運命
敵の色に染められ、波打ち際を力なく漂うワカメの如くなりながら
せめて私と共闘してくれたお仲間さんの幸運を祈るわ
素敵な思い出をありがと…(ぱた


高崎・カント

「もきゅぴっ! もっきゅーう!」
水遊び仕様のマントと大きな水鉄砲で参加【2024水着】

水鉄砲なら当たっても平気なのです
バンバン撃っちゃうのです! 撃ちまくりなのです!
もっきゅ、カラフルで楽しいのです!

モーラットは小さいので当たりにくいのです
相手の射撃はころころ転がって避けちゃうのです

きゅ!?
うっかり深入りし過ぎちゃったのです!
もきゅうううっ!? 集中攻撃はダメなのですーっ!!

(飛んできたビーチボールが攻撃を防ぐ)
……もきゅ? ゆーいっちゃんが援護してくれたのです!
わーいなのです! カントも負けてられないのです!

ゆーいっちゃんの応援で元気いっぱい!
いっぱいいっぱいがんばるのですー!


フェリチェ・リーリエ

赤いオフショルビキニな24年水着姿。

静武(f37639)誘って非リアチームで参加。
待たせたべな!おら参上!
…あ、男女ペアだども間違ってもおら達アベックでねえからそこは誤解せんように!←

飛ぶのはダメとか言わねえべ?おらは空から狙撃すっから静武は地上でのスナイプ任せた!
『ウィング・オブ・フリーダム』で飛翔、非リアチームに希望と戦闘力強化を与えながらスピードを活かして飛び回りリア充(特に男の方)目掛けて水鉄砲発射!

ド派手なブルーに染めて(二重の意味で)ブルーにしてくれるわ!
やっちまえ野郎ども!返り討ちエンドなどエンドブレイカーのおらがブレイクしてやんべ!

(でも結局エンディングは変わらない気がする)


エドゥアルト・ルーデル


連中に恐怖の味を思い出させてやる
連中に我々の怒りを味わわせてやる

まず非リア充共を三つの集団に分ける
内二つの集団で射線の交差点を作り出し浮かれたリア充共を殲滅する殺し間とする!
そして残りの一集団が浮足立ち逃げようとする輩共を横合いから強襲、リア充共に活躍させる事もなく一息に飲み干すでござるよ!
そして拙者は確実に殺し間まで誘い出す遊撃役でござる

複雑な動きをさせるが…怒りに燃える諸君らはこれに耐えうる一騎当千の|古強者《モテなき者》であると拙者は信仰している
さぁ、諸君
地獄を作るぞ

オブリビオンフォーミュラ相手にした時よりマジでござるからな!
後は|イレギュラーさえなければ《フラグ》我々の勝利だ!


レイヴァ・エレウネラ

(水着着用)

リア充の定義というか、カップルの有無っていう話なら確かにいないんだけど、結構「リアル」は楽しんでるんだよね。

水鉄砲は使ったことないから撃ち手としてはボクは特筆して優れているわけではないからね…
ボクはみんなより少し前に出て攻撃の的になろうかな。
それを【見切り】で把握して相手チームからの狙撃を回避してしぶとく生き残り、隙を見て一人一人脱落させていくよ!
ボクが生き残ってる間に周りのみんなが数を減らしておいてくれればチームの勝ちに貢献できそうかな?



●答え合わせ
 リゾート船の中は既に凄まじい熱気に満ちていた。当然だろう。観客の多くが参加するあまりに大規模すぎる水鉄砲大会だ。こんな大人数で撃ち合うなどほぼほぼ実際の戦争にも似た規模であろう。ちなみにAチームとBチームの振り分けは完全なるランダムで行われたようなのだが、なんという偶然か。どういうわけだかあのグリモア猟兵言う所の『リア充』はBチームに集中しているようであった。そして両チームに猟兵たちの姿もあった。

 Aチームに参加するのはニコリネ・ユーリカ(花屋・f02123)とフェリチェ・リーリエ(嫉妬戦士さんじゅうきゅうさい・f39205)、そしてエドゥアルト・ルーデルであった。さらにはフェリチェが呼んだグリモア猟兵の不破・静武の姿もあった。
「待たせたべな!おら参上!」
 リア充への怒りを具現化したような赤のオフショルダー型水着に身を固めて気合十分のフェリチェはシン・嫉妬旅団なるいかにもな旅団に所属するフェリチェは当然非モテの非リアだ。一応男な静武を連れてはいるのだが。
「……あ、男女ペアだども間違ってもおら達アベックでねえからそこは誤解せんように!」
 という事らしい。しかしその気配もなさそうなニコリネがこっち側なのはちょっと意外に思った者もいるかもしれない。
「商売はぼちぼち儲かってるけど……『恋人が居ない』唯それだけで非リアとなるのがこの世のならわし」
 ということらしい。忙しすぎてそれどころではないという事であろうか。まあ見た目で判断するならフェリチェも多分に非リアに見えない側に該当しそうなのだが。静武は……まあ各自ご判断を。
「喜んでリア充を倒しにいきましょう!」
「諸君、拙者は戦争が好きだ」
 そしてエドゥアルトもどうやら非リアなようであった。その瞳はリア充打倒への闘志に燃えていた。
「連中に恐怖の味を思い出させてやる 連中に我らの怒りを味合わせてやる」
 エドゥアルトの演説めいた事呼びかけにAチームの参加者たちはおおいに燃え上がった。さて天と地のはざまにはリア充の哲学では思いもよらない事がある事を思い出させる事はできるだろうか。

 一方、Bチームに参加したのは夢ヶ枝・るこると高崎・カント、そしてレイヴァ・エレウネラであった。
「もきゅぴっ!もっきゅーう!」
 なにげに今回参加した猟兵の中で唯一狭義におけるリア充の定義に当てはまるカントは今年の水着コンテストで仕立てたばかりの水色のマントを羽織り、モーラットである自分の体よりも大きい水鉄砲を構えてやる気十分だ。
(水鉄砲なら当たっても平気なのです!バンバン撃っちゃうのです!)
「リア充の定義というか、カップルの有無っていう話なら確かにいないんだけど」
 かく語るレイヴァであったが、リア充側を選ぶ理由はあったようだ。
「結構『リアル』は楽しんでるんだよね」
 レイヴァの脳裏にはつい先刻戦ったサイビアの姿があっただろうか。リアルを楽しむどころか、徹頭徹尾リアルにある全てを憎みまくったあの元猟書家は、間違いなくレイヴァと対極にあったと言えるだろう……で、るこるも他ふたりと同様リア充チームへの参加を希望していたようだが、それは決してるこる本人がリア充だからという理由ではないらしい。
「『リア充』というのはよくわかりませんが、グリモア猟兵さんの情報を聞く限り此方の方が戦術が組み立て易そうですからねえ」
 敵がリア充を狙うなら、その動きを利用して敵を撃破しようとそんな事を考えたらしい。繰り返すがチーム分けは完全なランダムなので、るこるがBチーム所属となったのは純粋な幸運の産物である。そしてるこるには勝たねばならない理由があった。
「オブリビオンを倒した猟兵に勝ったんだから自分たちはオブリビオンより強い等と勘違いされても困りますからねえ」

 ともあれ。本当に偶然にも、希望する陣営に割り振られた猟兵たち。互いに勝つべき理由は十分だ。それを実現させるために、挨拶もそこそこに両チームでは早速作戦会議が行われた。その中心となったのはやはり猟兵たちであった。
「ここはひとつ、オタク味溢れる陣形というか、ガチサバ戦術でいきたいわ」
「拙者にいい考えがあるでござる!」
 Aチームの作戦会議にて、なにげないニコリネの一言にエドゥアルトが素早く反応した。
「フラグみたいな言い方だべな」
 訝しげなフェリチェではあったが、ともあれエドゥアルトの作戦立案にのっとって会議は進んでいった。
「複雑な動きをさせるが…怒りに燃える諸君らはこれに耐えうる一騎当千の|古強者《モテなき者》であると拙者は信仰している」

 そしていよいよ戦いが始まる。果たして勝利の女神はどちらに微笑むのだろうか。

●釣り野伏
「ヒャッハー!イチャイチャしたい不潔どもめ!消毒の時間だぜー!」
 Bチームの前に現れたAチームメンバーはただのふたりだけであった。水鉄砲をがしゃがしゃしながら特命コスチュームに身を包んだニコリネ……やはり今回水着の参加者多いからニコリネも以前仕立てたビキニでありましょう。おそらく……と、エドゥアルト。
「お前らなんか拙者たちふたりで十分でござるよ!かかってくるでござる!」
「出てきたのは猟兵がふたりだけ、ですかぁ」
 Bチームの後方に控えていたるこるのみならず、誰もがこの様子はおかしいと思った事だろう。
「……確実に他の皆様はどこかに隠れているでしょうねえ」
 あれだけいた一般人が消えるはずがない。間違いなく伏兵を潜ませているだろう。とはいえ攻撃をしないわけにもいくまい。状況が動かないのはおもしろくないし、うまいこと猟兵を序盤で討ち取る事ができれば間違いなくBチームが圧倒的に有利になるだろう。
「それでは行って下さぁい」
(もきゅー!やってやるです!)
「ボクも行くよ!」
 なし崩し的に指揮官的な立場になったるこるの指示で、カントとレイヴァに率いられた一団が猟兵ふたりに襲いかかった。リア充たちはある者はパートナーにいい所を見せたいという欲求があり、別の者はゲームでなら猟兵にも勝てるんじゃないかという気持ちがあったりと、ゲームとはいえ戦意は結構高いようだ。
「燃え上がれ嫉妬の炎!」
 とはいえさすがにニコリネもエドゥアルトも歴戦の猟兵である。迫りくる一般人たちに的確に水鉄砲を命中させて次々に脱落させていった。が、相手も猟兵となればまた話は変わって来る。
(もっきゅ、カラフルで楽しいのです!)
 カントはモーラット特有の小ささでころころ転がりながら猟兵ふたりの水鉄砲を華麗に回避しつつ反撃の射撃を撃ち込んでいった。一方でレイヴァは。
「うーん、やっぱり撃つ方はあんまり得意じゃないなあ」
 普段から遠距離攻撃よりも肉弾戦主体なレイヴァは慣れない水鉄砲に苦戦している様子だった。ただでさえ猟兵相手に当てるのは困難である。なのでレイヴァは敵の攻撃を引き受ける事にした。むろんリアル防御力があっても全く関係ないルールのため回避に専念する事になるのだが。
「攻撃は任せたよ!」
(もっきゅ!さっきのALAさんなのです!)
 いつの間にか猟兵タッグの様相を呈していた。さすがにこれにはニコリネもエドゥアルトも手こずると思われた……が、そもふたりの狙いは最前線で粘る事ではなかったのだ。
「そろそろ頃合いでござる!味方方向に転進でござるよ」
「はーい、ウィルコー」
 Aチームのふたりはきびすを返して逃走に転じた。それを追うBチーム猟兵たち。
「待て~!逃げるとは卑怯だぞー!」
(逃がさないのですー!)
 後に残されたるこるはその背中につぶやくのであった。
「どうかご無事で……」

 転進に転じていたエドゥアルトとニコリネが、足を止めた。当然たちまちBチームの軍勢に追いつかれる事になる。
「もう追いかけっこは終わりかい?」
「ああ」
 先頭を走っていたレイヴァの問いに対し、余裕をもって応じるエドゥアルト。その顔はいつの間にか歌舞伎を思わせる化粧が施されていた。
「もうその必要もなくなったでござるよ」
「!!」
 周囲から沸き上がった殺気に気付いたレイヴァは一歩後ろに下がった……間一髪である。つい先刻までレイヴァがいた空間に、色付きの水が交差したのである。そう、交差。エドゥアルトはほくそ笑んだ。
「ようこそ殺し間へ」
 エドゥアルトはAチームメンバーを2集団に分けたのだ。その2つを伏兵として潜ませ、エドゥアルト自らはニコリネとともに遊撃役として相手をここまで誘い込んだ。そして十字砲火で確実に葬るという算段だったのだ。
「確かにオタク味溢れる陣形ね」
 これにはニコリネもにっこり。逆にカントやレイヴァは慌てふためく事になった。
(きゅ!?うっかり深入りし過ぎちゃったのです!)
「これは……ちょっとまずいかな?」
「さぁ、諸君 地獄を作るぞ」
 かくして猛烈な砲撃が開始された。さすがに十字攻撃には一般人は回避する事もできずにばたばたと倒れていく。さすがにカントやレイヴァは歴戦の猟兵だけあってどうにかこの苛烈な攻撃を回避していたが。
(もきゅうううっ!?集中攻撃はダメなのですーっ!!)
 カントはすっかり泣きが入っていた。さすがにモーラットの小柄な体躯であっても全てよけきるのは困難なようだ。戦死も時間の問題だろう。
「みんな!ここはボクに任せて逃げるんだ!」
 レイヴァは覚悟を決めた。ここで単騎で踏みとどまり、味方が撤退する時間を稼ぐのだ。自分が倒れても味方を活かす事ができれば勝利に貢献できたと言えるだろう。
「ふん!しぶといでござるな!ならばこれでとどめでござる!」
「やっと出番だべか!」
 合図とともに現れたのはフェリチェが率いる一軍だった。エドゥアルトは部隊を2組ではなく3組に分けていたのだ。
「この時を待っていたべ!ド派手なブルーに染めてブルーにしてくれるわ!」
 翼を広げて宙を舞うフェリチェは味方に希望と戦闘力強化を与えながら次々にリア充勢に水鉄砲を撃ち込んでいく。リア充の男の方ばっかり狙っているのはやはり個人的ないろいろがあるのだろう。ともあれリア充たちは次々と青く染まって精神的にもブルーになっていった。ちなみに静武は十字砲火部隊の中にいたようだ。素人の一般参加者がエドゥアルトの難しい指示を実行できたのはフェリチェや静武の指揮も大きかったかもしれない。
「なかなかやるわね!私も負けていられないわ!」
 特命コスチュームで技能を超絶的に上昇させていたニコリネもまた水鉄砲で次々と敵をリタイアさせていく。そんな中にあってもカントにレイヴァはまだ生き残っていた……が。
「むう!そこにいるのはリア充モーラット!こないだは見逃してやったべが今回は容赦しないべ!」
「そろそろ決着をつけましょう!」
(こ、これはさすがにまずいのです!)
「……ボクも、ここまでかな……」
 味方はあらかた倒れるか逃げ出すかしたようで、戦場に残ったBチームは猟兵ふたりのみ。猟兵を含めた大軍に囲まれていては、いよいよ終わりか……。
「ふっ、オブリビオンフォーミュラ相手にした時よりマジでござるからな!」
 勝利を確信たエドゥアルト。そう、イレギュラーでもなければ逆転される状況ではないのだ。そう、|イレギュラーさえなければ《フラグ》……。

●必ず最後に愛は勝ってしまうらしい
「撃て!」
 エドゥアルトが、フェリチェが、静武が、同時に命令を下す。そしてニコリネが、Aチームの嫉妬戦士が、カントとレイヴァ目掛けて水鉄砲を発射した。必死で回避しようとした猟兵ふたりであったが、これだけの飽和攻撃を回避できるはずがない……が。
(うわーつめた……もきゅ?)
「……え?」
 ふたりに当たるはずの色水は、だが猟兵に届く事がなかった。どこからともなく転がってきたビーチボールが盾となり、水鉄砲を防いだのだ。カントは何が起きたかすぐに理解した。
(……ゆーいっちゃんが援護してくれたのです!)
「そうなの?」
「むう!偶然に助けられたでござるか!でもそう何度も起きる事じゃないでござるよ!」
 偶然。カント以外の者にとってはそうだっただろう。だが少なくともカントにとってはそれが真実だったのだ。
(わーいなのです!カントも負けてられないのです!)
「……キミがそう言うのなら、ボクだって!」
 元気百倍とばかりはりきるカントを見て、レイヴァもまた戦意を復活させた。倒れるまでは戦い抜く。決意を込めつつ、萎えかけた体に喝を入れて立ち上がる。
「だがこの一撃で終わりでござる!」
 エドゥアルトが再度の攻撃を命じようとした、その時であった。

 突如沸き起こった鬨の声。そして殺し間を形成する1部隊の横から飛んできた水鉄砲の集中砲火。
「おそくなりましたー」
 そしてるこるの声。
「ここから反撃ですぅ」
 どういうわけか、普段からしてむちゃくちゃ大きいるこるの胸囲が、さらになんかすごい事になっていた。
「……え?何が起こったの?」
「まさか本当にイレギュラーだというのか!?」
「こ、これは……」
 ニコリネやエドゥアルトが状況がつかめないでいる中で、空を飛んでいたフェリチェはいち早く状況を把握した。
「おらたち囲まれてるべ!」
「な!なんだってー!!」
 メンバーを分ける事を考えたのはエドゥアルトだけではなかったのである。るこるはAチームがリア充を重点的に狙う事を利用し、それを利用して相手の動きをコントロールする事を考えたのだ。そして一軍をいわば囮に使ってAチームの動きを把握し、そして囮軍が包囲されてやられている間に別動隊でAチームを逆に包囲してしまったのだ。
「……それってボクたちが囮にされたって事?」
「もぎゅー!」
 カントやレイヴァはちょっと不満げであったが、それでも戦況がBチームに有利になったのは確かだ。今や殺し間も機能せず、また勢いにも差がある。本当に偶然だが、るこるが体型変化の副作用を厭わずに使用したユーベルコードの効果は行動の成功率上昇であり、それはエドゥアルトが使用したものと同種だった。だが残念ながら両者の成功率にはちょっと差があったらしいのだ。
「ええ、わかってる……ここまでしても勝てないのが非リアの運命……」
「まだ負けたわけではないべ!」
 折れかけたニコリネだったが、それでもフェリチェは皆を叱咤した。
「やっちまえ野郎ども!返り討ちエンドなどエンドブレイカーのおらがブレイクしてやんべ!」
「その通りでござる!神も十字軍もイスラムも 我が軍の意気知らざるなり!」
 エドゥアルトもまだ折れていない。その様子にニコリネも気合を入れなおす。
「そう、そうよね!私の嫉妬の炎はまだ消えてないわ!」
 ちなみに静武は既に真っ赤に染まってリタイア済みだったらしい。
「では、攻撃開始してくださぁい」
 そしてるこるの合図とともに、最後の総力戦が始まった。完全に包囲されながらも、Aチームの非リア達はがんばった。だが逃げられない状況、1発受けたらアウトというルールでは抗しようもなく、ひとり、またひとりと倒れていった。それは猟兵といえど例外ではない。全技能100のニコリネも、宙を舞うフェリチェも、そしてエドゥアルトも。さすが猟兵と称賛されるほどには敵の水鉄砲を回避し、次々に反撃を命中させてはいった。が、つい先刻自分たちがやろうとしていた集中砲火の前にはそれも限界だった。

「……せめて私と共闘してくれたお仲間さんの幸運を祈るわ」
 ニコリネは真っ赤に染められ、波打ち際を力なく漂うワカメのようになっていた。そしてそのまま砂浜に倒れ込んだ。
「……素敵な思い出をありがと……」

 宙を舞っていたフェリチェも撃墜され、真っ逆さまに落下した。
「……無念……結局エンディングは変わらなかったべ……」
 そのまま海に突き刺さり、どっかの探偵ものの印象的なシーンのようになったのだった。

 そしてエドゥアルト。味方はもはや自分ひとり。敵は……がんばった。かなり削った。それでもまだ残っている。何より相手には猟兵3人が無傷で残っている。
「月さびよ ルーデルが妻の 咄せむ……下の句など蛇足でござる」
 次の瞬間、その全身が真紅に染まる。
「ああ これは良い 良い戦争だった」
 それが最期の言葉であった。

 かくして戦いはBチームの勝利に終わった。
 リア充側も非リア側もみんなそれぞれ全力出しただろうから悔いはないだろう、たぶん。そしてるこるの思惑通り、勝っても負けても猟兵強しを皆に知らしめる事もできただろう。
(もきゅー!楽しかったー!)
「チームに貢献できて何よりだよ!」
「勝てて良かったですぅ」
「ん~、負けたのはちょっと悔しかったけど、楽しかったわ」
「静武~!オラたちの嫉妬魂まだ足りなかったんだべか……」
「良くねえ!ぜんっぜん良い戦争じゃねえでござるよ!!」

 ……ちょっと悔いが残る人もいるようだけど、まあ、次がんばれ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年08月28日


挿絵イラスト