●深海人からのお願い
「あら、こんにちは。ね、どう? 私たちの島の花咲く海庭はお気に召していただけたかしら?」
珊瑚と同じ色の瞳をキラキラと輝かせ、チャイナローズ・アイランドに住む深海人の少女は猟兵たちに気づくと楽しそうに話し始める。
曰く、この島よりもずっとずっと西へと進んだ先にも同じように花に彩られた島があるという。
「んー……でも、その島は深海島ではないのよ。普通の島。でも、その島の周りの海はちょっと変わった海でね――花が降るの」
花が降る時期は決まっている。島の守り神のための祭が開かれる時だけだ。
突然、空から花が降り始め、碧い海が花に彩られると祭が始まる合図。守り神様たちが島へとやってくるのだという。
「ちょうど、今頃の季節じゃないかしら。もしも時間があるなら――ダメもとで行ってみるのはどう?」
●花降る海の守り神
花降る海を越えてやってくる神を祀るというその島の名前は、誰も知らない。
「お伽話として噂されている島らしいんだけど、でも、本当にあるなら見てみたいのね~」
ユニ・エクスマキナ(ハローワールド・f04544)はうっとりと目を細めて花が降る様に思いを馳せた。
碧い海に空から花が降り始めたら、神様たちがやってくる合図。すると、島人たちは花を集めて神様に捧げるための花冠を作るのだという。なぜか、この花冠を持っていないと島に辿り着くことが出来ないらしい――お伽話なので、正否は定かではないとユニは言っていたが。
「島の人たちも花冠を作るために海に出ているみたいだから。上手にできる自信がないなら作り方を聞いたり、代わりに作って貰っても大丈夫なのね!」
もちろん海で泳いだり遊ぶことも出来る。一年中ほんのりと温かいこの辺りの海ではサンゴ礁が広がっておリ、熱帯魚たちが多く生息しているという。
「そういえば……守り神様ってどんな姿をしているんだろうね? 花冠、喜んでくれるといいけど」
守り神様に会えたらよろしくね、と笑顔でひらひらと手を振り、猟兵たち見送るユニの手元では、グリモアが虹色に輝いていた。
春風わかな
はじめまして、またはこんにちは。春風わかなと申します。
オープニングをご覧いただきありがとうございます。
●プレイング受付について
タグにて、受付期間をお知らせします。
成功度に達しなかった場合は延長、もしくは追加募集します。
受付期間外にいただいたプレイングは余力があれば採用します。
●シナリオの流れ
第1章:伝説の島を目指せ(冒険)
第2章:不思議な生き物とともに(日常)
●第1章について
花降る海で守り神様に捧げるための花冠を作ってください。
花はたくさんありますので花冠作りに不足することはありません。
花の種類や色に関する指定がありましたら、プレイングでご指定ください。
他、島に上陸する前に海で遊ぶことも出来ます。
水着のご指定がありましたら、こちらもプレイングでご指定お願いします。
POW/SPD/WIZの行動・判定例は気にせず、ご自由に楽しく過ごしてください。
●第2章について
島に上陸し、守り神様たちとの交流をお楽しみください。
章開始時に詳細を追加し、タグを更新いたします。
●共同プレイングについて
ご一緒される方のID(グループ名も可)を記載ください。
また、失効日が同じになるように送信していただけると大変助かります。
●その他
受付期間内にいただいたプレイングは全て採用したいと考えております。
そのため、再送が発生する可能性があること、また再送日程に関するお知らせはタグにてお知らせすることを御承知いただければ幸いです。
以上、皆さまのご参加を心よりお待ちしております。
第1章 冒険
『伝説の島を目指せ』
|
POW : 目の前の問題を力任せに解決します。満載された積荷が崩れそうな場合などは、全力で支えたりします
SPD : 敵が想定しない速度で鉄甲船を操ったり、類まれな操船技術によって困難を乗り切ります
WIZ : 伝説の島の謎を解いたり、策略を逆手にとって利用する事で、島を目指します
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
波一つ見えない穏やかな青い海に、空から花が降り注ぐ。
ヒマワリ、ハイビスカス、ユリ、トレニア、ニチニチソウ、ポーチュラカ、ブーゲンビリア、ダリア、百日草。
花の色も赤、黄色、紫、ピンク、白、オレンジ色など、濃い色は薄い色もあり、海上を華やかに彩っていた。
あちらこちらに浮かぶ小舟から人々は手を伸ばし、各々気に入った花を集めている。
大きな浮き輪やフロートに乗って、のんびり花冠を作っている者もいるようだ。
「守り神様のための花冠を作りたいのかい?」
島民が乗った小舟が近づき、人好きのする笑みを浮かべて話しかける。
花冠の作り方は簡単だ。ワイヤーに好きな花を紐で固定していくだけ。
ここで使う紐には蜜蝋を染み込ませてあるので、綺麗に崩すことなく花を纏めることができるのだ。
仕上げに好きな色のリボンを結べば出来上がり。
「私らも花冠を作るから、わからないところは教えてあげるよ」
もちろん、頼めば島民が作った花冠を譲ってもらうことも可能だろう。
自分で作るのが難しいのであれば、思い切って頼んでみてもよいかもしれない。
――どの花を使って、花冠を作ろうか。
真心を込めて作った花冠は、きっと守り神様も喜んでくれるに違いない。
クレバ・クルーガー
花降る海を越える神
その神を祀る島
信仰が生きている土地なのですね
実に興味深い
何事かを解き明かす類の案件ではありませんが
好奇心が尽きぬ話です
是非とも島に向かいましょう
まずは島民の流儀に倣い
花冠を調達しましょうか
余所者ながらのせめてもの礼儀です
とはいえ、フクロウ一匹の身体で
どうにかできるものではありません
島民に声掛け、助力を願いましょう
花言葉に関する知識はありますから
選んだ花で編んでくださいますか?
神に己の在り方を伝える意味ですみれを基調に
さらに歓迎の意を込めてラベンダーを組み合わせましょう
おや、あなた。花冠作りが大変お上手
よろしければお礼に花選びを手伝いますよ
私も神を歓迎する気持ちは同じですから
●
花降る海を越えてやって来るという神と、その神を祀る島。
穏やかな海の上に浮かぶ小舟の上でクレバ・クルーガー(賢梟・f44380)は前方に見える島をじっと見つめる。
信仰が生きている土地はどのような場所なのだろうか。
(「是非とも島へ向かいたい――」)
そのためにも、まずは島民たちの流儀に倣い、花冠を調達しなくては。
クレバは金色のまんまるな瞳で空を見つめ、花冠に使うための花を探し始めた。ゆっくりと降る花に視線を向け、どんな花を使おうかと思いを巡らせる。やはり、神に歓迎している気持ちを伝えることが良いか――。
思案すること暫し、クレバは、花言葉の知識を生かして冠に使う花を決めた。
神に己の在り方を伝えるという意味で『謙虚』『誠実』という花言葉を持つスミレと、『あなたを待っています』という花言葉を持つラベンダー。
空から降る花の中から欲しい花を見逃さぬように、クレバはぐるりと視線を動かした。そして、探していた花を見つけると、素早く飛んで行って足の爪でキャッチする。
花を集めた後は、いよいよ花冠を編む作業が待っているわけなのだが……ここでクレバは思わず溜息を漏らした。残念ながら、フクロウ一匹の身体でどうにかできるものではない。故に、彼は島民に助力を願うことにする。
「もしもし、其処の御方」
ちょっとよろしいでしょうか? とクレバが丁寧に話しかけると、一瞬、島民は驚いたように目を丸くするも、すぐに花冠を作りたいんだね、と笑顔を浮かべた。
「花はここに集めておりますので、この花で冠を編んでくださいますか?」
いいよ、と愛想よくクレバの頼みを引き受けると、彼女は慣れた手付きで花冠を編み始める。クレバは興味深そうに、花冠の編む手元をじっと観察していると、あっという間に花冠が仕上がった。淡い紫色の花冠を見て、クレバは満足そうに何度も頷き、島民へと礼を告げる。
「あなた、花冠作りが大変お上手ですね。よろしければお礼に花選びを手伝いますよ」
「いいの? そうしたら、私、神様に感謝の気持ちを伝えたいんだけど、どの花がいいかな?」
神を歓迎する気持ちは、皆、同じ。
神様に花冠を渡すという楽しみを胸に、クレバは花降る空を見上げたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
オヴィリア・リンフォース
【WIZ】
島の守り神様に会いたいのです。
その為に花冠を頑張って作るのです。
ヒマワリを中心に他の花も綺麗に
見えるようなイメージで作るのです。
リボンは赤色を選ぶのです。
神様だけじゃなくてご主人様用にも作りたいのです。
でも猫の手だけだと難しそうだから、
島民の人達にも手伝って欲しいのです。
守り神様も喜んでくれるよう、
丁寧に教わりながら作るのです。
完成したら手伝ってくれたお礼に好きなだけ
撫でたりモフモフしていいと島民達に伝えるのです。
こう見えても毛並みには自信はあるのです。
(尻尾を元気よく振り回しながら)
少しだけ花冠を頭に付けて似合うかも確認してみるのです。
何だかちょっとだけ偉くなった気分なのです。
●
島の守り神様に会ってみたい――。
オヴィリア・リンフォース(銀色の魔女猫・f25140)は銀色の耳をぴょこっと揺らし、空から降る花々へと視線を向けた。
守り神様に喜んでもらえるような花冠を作ろうと、オヴィリアはゆっくりと舞い散る花を見つめ、花を選ぶ。
夏のお日さまみたいに輝くオヴィリアの金色の瞳とお揃いのヒマワリの花を中心に、白いトレニアとニチニチソウを使ったら綺麗ではないだろうか。
(「神様の分だけでなく、ご主人様の分も作りたいのです」)
神様の分は赤いリボン、ご主人様の分は青いリボンと決めたまではよかったが、花を並べる順番はどうしよう。
花が一番綺麗に見える並びを考え、花を右へ、左へと動かしながら、オヴィリアは花の配置を決めると、早速、花冠を作り始める。
しかし、猫の手では思うように作ることは難しそうで。オヴィリアは、迷うことなく島の人々へと助けを求めることにした。
親切な島民たちは、作り方を教えることにも慣れている様子で、オヴィリアは少し手伝って貰っただけで、あっという間に花冠が出来上がった。そして、最後に赤いリボンをキュッと結んで、神様のための花冠が完成だ。
こんなに簡単にできるのであれば、ご主人様の分を作ることも造作もない。
オヴィリアはご主人様の笑顔を思い浮かべながら、二つ目の花冠を作り始めた。
無事に2つの花冠を作り終えたオヴィリアは、尻尾をパタパタと元気良く振り回しながら、嬉しそうに口を開く。
「ありがとうなのです。お礼に好きなだけ撫でたりモフモフしていいのです」
スッと自慢の毛並を向ければ、島民たちもその魅力には抗えない。お言葉に甘えて、とゆっくりオヴィリアの背中を撫でた。
モフモフを堪能した島民に改めてお礼を告げ、オヴィリアは自身の頭に花冠をちょこんと載せてみる。
(「何だかちょっとだけ、偉くなった気分なのです」)
青い海に映った姿を見て、オヴィリアは得意気にクルリと周り、花降る空を見上げた。
――きっと、守り神様も喜んでくれるに違いない。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
ディフさん(f05200)と
※今年の水着着用(真の姿要素(足の花含む)不要)
ほんとだよね
人工的な花の雨なら知ってるけど…
これも神様の力かな
僕も魔法主体だけど、不思議なものは不思議だよ
知識外の事象が見れると嬉しいよね
勿論、僕の助言で良ければ喜んで
花冠作り、結構得意なんだよね
こういう事言うと、あんまり男の子らしくないかもしれないけど
僕お花好きだからさ
以前から結構作ってて
種類…悩むなぁ
組み合わせるのもいいよね
青色のニゲラとシノグロッサム
後は…オレンジのマリーゴールド
僕達の色だよ
捧げ物って点も少しは意識したけど
基本は色合い重視だから…
申し訳程度の神聖要素に
お互いの花冠が完成したら祈り(破魔)を捧げます
ディフ・クライン
友人の澪(f03165)と
2021水着で
海に花が降るなんて不思議だね。魔法みたいだ
なんて、魔法に親しむ自分が不思議がるのは少しおかしいかな
ふふ、そうだね。神様の力かもしれない
ともあれこんなにも花が降るなら、花に困ることはなさそうだ
リースなら編んだことはあるから、その経験が活かせるといいんだけど
もしわからなかったら、アドバイスをくれるかい?
おや、いいじゃないか
好きなことに性別は関係ないだろう?
じゃあ頼りにさせてもらうね
神様に捧げる花冠なら……そうだな、夏の花がいいね
ノウゼンカズラで編んでみようかな
澪は花、決まった?
いいね、今日の記念にもなる
島で神様に逢えるかな
喜んでもらえるといいね、この花冠
●
ふわり、ふわりと舞うように、色とりどりの花が空から海へと降ってくる。ゆっくりと空から落ちてきた花は、手を伸ばせば簡単に捕まえることが出来て。ディフ・クライン(雪月夜・f05200)は手にした花をじっと見つめ、怪訝な面持ちでポツリと呟いた。
「海に花が降るなんて不思議だね」
――魔法みたいだ。
ディフの言葉に栗花落・澪(泡沫の花・f03165)も「ほんとだよね」と頷き、口元に指を添えて記憶を辿る。
「人工的な花の雨なら知ってるけど……」
でも、今回とは少し勝手が違うようで。初めて見る光景を前に、珍しそうにパチパチと瞬きを繰り返す澪の傍らで、ディフは小さく肩をすくめて独り言ちた。
「……なんて、魔法に親しむ自分が不思議がるのは少しおかしいかな」
「僕も魔法主体だけど、不思議なものは不思議だよ」
間髪入れず、澪はディフの言葉に首を横に振る。
それに、と花に負けないような笑顔をふんわりと浮かべ、澪は楽しそうに口を開いた。
「知識外の事象が見れると嬉しいよね」
そんな澪の言葉に、ディフも柔らかく目を細め、口元を緩ませて肯定の意を示す。
二人顔を見合わせて空を見上げ――ハッと何かに気づいたように澪は慌ててディフに視線を向けた。
「もしかして――これも神様の力かな」
澪の言葉にディフは改めてチラと空に視線を向け――確かに、と小さく呟いた。
こんな不思議なことも、神様の力ならば出来ると言われても不思議ではない。
「そうだね。神様の力かもしれない」
青い海を埋め尽くすかのように、空から降る花は止む気配はない。こんなに花が降るなら、冠作りの花に困ることはなさそうだとディフはホッと胸を撫で下ろす。
とはいえ、ディフに花冠を作った経験はない。リースならば編んだことがあるので、その経験を生かすことが出来ればよいが――。 だが、ディフの隣には、頼りになる人物がいる。
「もしわからなかったら、アドバイスをくれるかい?」
「勿論、僕の助言で良ければ喜んで」
にっこり笑顔で澪はディフの頼みに二つ返事で頷いた。元々澪は花が好きということもあり、以前から花冠を作る機会は多い方だったと思う。だが、それは少し珍しいことだということも、認識していた。
「こういう事言うと、あんまり男の子らしくないかもしれないけど、花冠作り、結構得意なんだよね」
遠慮がちに、言葉を選びながら告げる澪に、ディフは「おや」と意外そうな表情を浮かべた。
「いいじゃないか、好きなことに性別は関係ないだろう?」
ディフの言葉にほんのりと胸の奥が温かくなったように感じ、澪は嬉しそうに顔を綻ばせる。
綺麗な花冠を作りたい――。
そんな想いを密かに抱いた澪は、海上に浮かぶ花を前に、ムムッと難しそうに眉をひそめた。
「種類……悩むなぁ」
この花冠は、神様への捧げものではあるが、やはり色合いは重視したい。そうすると、一種類だけでなく、幾つかの花を組み合わせる方がよいか……。
花を集め、あれやこれやと入れ替えながら、花選びに悩む澪の姿にクスリと笑みを浮かべ、ディフも花々が浮かぶ海へと手を伸ばした。
黒い手袋をはめた指先に振れる花を手繰り寄せ、花冠を作る花を選ぶ。
「神様に捧げる花冠なら……そうだな、夏の花がいいね」
今の季節にぴったりな花――例えば、と彼が手を伸ばした花はノウゼンカズラの花だった。無意識のうちにオレンジ色の花へと手を伸ばしていたことに気づき、ディフは思わず口元を緩める。でも、やはり愛おしい色の花を選びたい。
「澪は花、決まった?」
ディフに問われ、澪は「よし」と選んだ花を掲げて見せた。
「青色のニゲラとシノグロッサム。後は……オレンジのマリーゴールド」
花を見たディフはおや、と目を見開いた。この色の組み合わせは――……。
ディフの顔を見て、彼の言いたいことを悟った澪は「正解」と笑顔で口を開く。
「僕達の色だよ」
青い花の色は、ディフの瞳の色と同じ色の鉱石が輝くループタイの色と同じ。澪の髪に揺れる花と同じ色のマリーゴールドを添えて。眩しそうに花を見つめ、ディフは大きく頷いた。
「いいね、今日の記念にもなる」
澪が作った花冠と、ディフが作った花冠。出来上がった二つを並べ、澪は静かに祈りを捧げる。
(「悪を打ち砕き、聖なるものの力となりますように……」)
目を瞑って真剣に祈る澪の姿を見守りながら、ディフはこれから会えるであろう島の守り神に思いを巡らせていた。
島に着いたら、神様に逢えるのだろうか。
その時に、この花冠を渡して、喜んで貰えたら、いいね。
祈りを終えた澪と共に、ディフは守り神が来るという島を静かに見つめるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふわぁ、お花が降る島ですって素敵ですね、アヒルさん。
それじゃあ、さっそく花冠を作りましょうね。
私は青いリボンに合わせて青いお花で花冠を作りますけど、アヒルさんはどうしますか?
アヒルさんの花冠にするお花は決まっているんですか。
どのお花ですか?
……あのアヒルさん。
それで花冠を作るのは無理がありませんか?
勇敢なアヒルさんに相応しいお花なのは分かりますよ。
でも……そのヒマワリはアヒルさんより大きいから、冠にするのは無理じゃないですか?
どうしましょう?このままですと、アヒルさんが不機嫌になってしまいます。
そうです、ヒマワリの周りの花びらを集めて小さなヒマワリを作ればいいんです。
●
「ふわぁ、お花が降る島ですって」
素敵ですね、とフリル・インレアン(大きな|帽子の物語《👒 🦆 》はまだ終わらない・f19557)は、声を弾ませて|相棒《アヒルさん》の名前を呼んだ。心なしかはしゃぐフリルとは裏腹に、アヒルさんはいつもの調子。だが、フリルは慣れた様子で「それじゃあ」とポンと両手を合わせてぐるりと辺りを見回す。早速、花冠作りをしようと思うが、どの花を使おうか……。
リボンの色を青にしようと思うから、これにあわせて青い花にしようか。星に似た形の花が咲くカンパニュラ メリーベルがいいかな……。
青い花を抱え、フリルはアヒルさんに話しかける。
「私は青いリボンに合わせて青いお花で花冠を作りますけど、アヒルさんはどうしますか?」
だが、アヒルさんからの返事はない。
不思議に思ったフリルは、アヒルさんに再び問いかけた。
「アヒルさんの花冠にするお花は決まっているんですか」
意外にも、アヒルさんは既に花冠にする花を決めていた。どの花かと尋ねるフリルに、アヒルさんは選んだ花を指差して伝える。すると、フリルは吃驚した面持ちで、花とアヒルさんの顔を交互に見た後に遠慮がちに口を開いた。
「……あのアヒルさん。それで花冠を作るのは無理がありませんか?」
わかっていないフリルを前に、アヒルさんは、やれやれと大袈裟に肩をすくめる。あの花以外、どの花を使って花冠を作れというのだろうか。
だが、フリルとしても今回ばかりはアヒルさんが無茶を言っているように思う。確かに、あの花は勇敢なアヒルさんに相応しいお花だということは、よくわかっている。でも……。
「そのヒマワリはアヒルさんより大きいから、冠にするのは無理じゃないですか?」
慌ててフリルが「あ」と、口を手で押さえた時には遅かった。思わず、本音を口にしてしまったことをフリルが後悔しても、時すでに遅し。アヒルさんの不機嫌メーターがどんどん上がっていることに気づいたフリルは、何とかせねばと必死に考えを巡らせた。そして、閃いた案が――。
「そうです、ヒマワリの周りの花びらを集めて小さなヒマワリを作ればいいんです」
これならば、きっとうまく出来るはず。
フリルは、アヒルさんにご機嫌を直してもらうべく、懸命に小さなヒマワリの花冠を作るのだった。
大成功
🔵🔵🔵
海藤・ミモザ
【海鍵】
昨年7/17公開のJC姿
小舟に2人乗り
作るの久しぶりだなー
…って、ドルデンザってば褒めすぎ…(真っ赤
ふふ、簡単だからドルデンザもすぐできるよ
UCで【宝探し】100Lvの妖精さん達喚んで
一緒にお花集め手伝って貰いつつレクチャーを
サイザナで生きてきた彼には
天然のものにもっと触れさせたくて
花飾りにはくすくす笑い
…一緒に来られて良かった
慣れた手つきで編んで…完成ー!
白百合に赤や橙のダリア合わせ
神様にお似合いのゴージャスな冠に
手の甲へのキスにどきどきして
…決まってるでしょ?――ありがとう…!
あっ、私もドルデンザへの花冠――ひゃっ!
不意打ちのキスで落としかけた
白と赤で編んだ百日草の花冠を慌てて掴む
ドルデンザ・ガラリエグス
【海鍵】
小舟に二人、花降る海に感動してしまう
碧い海に花とは―…ミモザ、まるで貴女のようだ。おや、事実でしょう?
ところでミモザ、花冠とはどんな風に作ったらいいのでしょう?
天然の物の良き環境を楽しみながらミモザの髪に花を飾り
愛する人をを飾る喜びを噛み締める
神にミモザは捧げられない…なら、花冠は二つ作らねば
ミモザに習い花冠を作り
慣例に習い神へ捧ぐのは色取り取りのガーベラの花冠
ミモザへの花冠はヤグルマギクをベースに青い蝶のようなブルーエルフィンを飾る
貴女の瞳彩の冠を私の妖精さんに捧ぐため恭しく手を取り口付け
この花冠は、私の貴女に捧げても?
敢えて確認
花冠を飾る際“愛しています”と囁き愛らしい耳にもキスを
●
波のない穏やかな海の上に浮かべられた小舟に乗り、海藤・ミモザ(millefiori・f34789)は碧い海へと手を伸ばす。
指先に触れる花を気の向くままに拾い集めて作った即席の花束を手に、傍らのドルデンザ・ガラリエグス(拳盤・f36930)へと視線を向けると、彼は天を仰いで何やら感動に打ち震えている様子だった。
澄んだ碧に浮かぶ色とりどりの花々ををじっと見つめていたドルデンザだったが、おもむろにミモザの方へと向き直ると、黄色いミモザの花が咲く緑色の髪へと手を伸ばして口を開く。
「碧い海に花とは―……ミモザ、まるで貴女のようだ」
思わぬ不意打ちにミモザは頬を紅く染め、慌てて花束に顔をうずめた。そして、バクバクと大きな音を立てる心臓を必死に落ち着かせながら、絞り出すように声を出す。
「……って、ドルデンザってば褒めすぎ……」
だが、ドルデンザはきょとんとした顔で小さく首を傾げた。ただ事実を告げたつもりだが、何か変なことを言っただろうか。
そして、はたと気づいた彼は、慌ててミモザの名を呼び、気になっていたことを尋ねた。
「ところで、花冠とはどんな風に作ったらいいのでしょう?」
不安そうに尋ねるドルデンザだったが、ミモザは彼を安心させようと、にっこりと笑顔を浮かべて「大丈夫」と告げる。
「簡単だからドルデンザもすぐできるよ」
そして、ミモザはすぐに妖精さんたちを喚び出すと、小船の近くに浮かぶお花集めを手伝ってくれるように頼んだ。
妖精さんたちと一緒に集めた花を使い、ドルデンザに花冠の作り方を説明する。
(「作るの久しぶりだなー」)
いざ作り始めてみると、手順は覚えているもので、あっという間にミモザの手元では花冠が出来上がっていた。
慣れた手付きで花冠を編むミモザに尊敬の眼差しを向け、ドルデンザは海上に浮かぶ黄色いハイビスカスへと手を伸ばす。
触れた花は彼が知っている造り物の花とは違う触感で、これが天然の花なのかという思いともに、|故郷《サイバーザナドゥ》とは異なる世界に楽しみも覚えた。
「ミモザ」
愛しい人の名を呼び、ドルデンザは彼女の麦わら帽子の位置をずらし、緑色の髪にハイビスカスの花を飾る。
少し眩しそうに目を細めたミモザだったが、くすくすっと笑みを零すと、安心した様子でドルデンザの肩にポスっと身を預けた。
彼にはもっと天然のものに触れてもらいたくて。だから、こうして海や花に触れて貰えることが嬉しくて。ミモザは心の中で思っていたことを、素直に言葉にする。
「……一緒に来られて良かった」
ミモザの零した呟きに、ドルデンザは何も言わず。ただ、気づかれぬように、彼女の髪に結ばれた白いリボンにそっと唇を寄せた。
花冠作りに使うための花は、さっき妖精さんたちと一緒にたくさん集めたので、この中から神様に捧げる花冠に使う花を選べばよいだろう。
どの花にしようかと、ミモザは頭の中で出来上がりをイメージしながらあれやこれやと花の組み合わせを考える。
(「神様に似合いそうなゴージャスな雰囲気のがいいなぁ」)
ミモザは白百合を手に取り、幾つかの花と合わせながら冠に使う花を選ぶ。結果、赤や橙のダリアを合わせ、イメージ通り華やかな雰囲気の花冠を慣れた手付きで編み上げた。
「ドルデンザ、どう?」
ひょいっとドルデンザの手元を見たミモザは、色とりどりのガーベラをあしらった花冠が完成しているのを見て、「わぁっ」と嬉しそうな声をあげる。……だが、彼の手にはヤグルマギクの花が握られていた。
「ドルデンザ、それは……?」
「神にミモザは捧げられない……なら、花冠は二つ作らねばならないだろう?」
真面目な顔で答えたドルデンザはヤグルマギクをベースにした冠にブルーエルフィンの花を飾る。青い蝶が舞っているような冠を片手に持ち、ドルデンザはそっとミモザの手を取った。そして、恭しくその手に静かに口づけると、花冠と同じ瞳彩をじっと見つめて口を開く。
「この花冠は、私の貴女に捧げても?」
「……決まってるでしょ? ――ありがとう……!」
どきどきが気づかれないように、手でギュっとおさえ、ミモザはコクリと頷いた。
頭に花冠が載せられた瞬間、思わずキュッと瞑った目をゆっくりと開けると、ミモザの目の前にドルデンザの顔がある。思わずパッと顔を横に向けた瞬間、ドルデンザは口元に小さく笑みを浮かべ、ミモザの耳元に顔を近づけた。
「愛しています」
ドルデンザの囁きと同時に赤く色づいた耳が愛おしくて、思わずドルデンザはキスを零す。
「――ひゃっ!」
予想だにしていない不意打ちのキス。思わずミモザは手に持っていた花冠を落としそうになるも、慌ててギュッと掴んだ。
ドルデンザに渡そうと思って作った、白と赤の百日草で編んだ花冠。
ミモザが、この冠を無事、彼に渡せるかどうかは、神のみぞ知る。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
月白・雪音
【白彩】
服装は今年に納品された水着を着用しての参加にて
…空より花が降り注ぎ、海を彩る花々を用いた花冠を捧げる。面妖ながら美しい祭りです。
或いは高き空の先にはこの花々を育て愛でられた庭園が存在するのでしょうか。
私は月下美人を結い花冠を作りましょう。
白く月の名を持ち夜に咲き、赤い果実を実らせる花…、美人の名を負うは少々烏滸がましくありますが、
私の用いる色としては適しているやもしれませんね。
…果実も浮かんでいないものでしょうか。水面を泳ぎ探しましょう。
…鈴蘭の毒は恐れられど、同時に生薬とも用いられ人を救うにも役立てられた花。
刃は殺しの道具なれど、使い手の心あらば人を救う手ともなる…。
妖の力と刃を駆りて今を生きるヒトを護りたる涙切。夕凪様の在り様に通ずる美しい花と言えましょう。
花冠が完成すれば夕凪様と互いの花冠を送り交換致しましょう。
この花冠は島の神に捧げる供物、少しの後に手放すものではありますが…、
共に花を結い、互いを表した冠を送り合った縁は、我らが紡ぐべき未来に繋ぐ善き記憶となりましょう。
山吹・夕凪
【白彩】
【雪音(f29413)さんと】
水着姿は綺麗系でお任せ
降り注ぐ花も、縁あって届くもの
海の世界へと辿り着き、神を祝う為にと人の手で花冠へと編まれる
ならと意味を込め、願いを込め、編んで参りましょう
私も雪音さんも共に白い色彩を纏う者
選ぶ花も白き色をと、私は鈴蘭で花冠を作っていきましょう
海水に揺蕩い、泳ぎながら、波の狭間にある鈴蘭の花を集めて結い上げましょう
「花言葉は、再びの幸せ。『さいわい』なる旅路を願う私にはぴったりですね」
毒を持つという話も、妖刀を以て悲しみを断つ私の姿に似るものですね
夏に浮かぶ、白雪の如くと海に揺蕩いながら
雪音さんの選ぶ月下美人の神秘的に美しい姿も
静かに、凛と佇む
確かに自らの想いを以て、ひとの心へと届く雪音さんの心らしい情と存じます
ええ、それに救われた身ですので余計に思うのです
過去に在るものであれ、今に生きるものであれ、静かなる白き情と共に見つめる姿は……月下美人の姿のようだ、と
結い編み上げた花冠は供物と捧げる前に互いに渡して、飾りあいましょう
縁は此処にも咲くのだと
●
澄み渡った蒼い空より色鮮やかな花が降り注ぎ、碧い海を彩る花々を用いた花冠を神に捧げる祭り。
面妖ながら美しい祭りを喜び、楽しみにする島民たちの姿を視界の先に映し、月白・雪音(|月輪氷華《月影の獣》・f29413)はゆるりと空を見上げた。
「高き空の先にはこの花々を育て愛でられた庭園が存在するのでしょうか」
そんな雪音の言葉に、どこまでも果てなく続く遠い空の先に広がる、無数の美しい色とりどりの花たちが咲き誇る神の庭園を思い描きながら、山吹・夕凪(雪色の吐息・f43325))も目を細めて空を見つめ、ゆっくりと口を開く。
「降り注ぐ花も、縁あって届くもの。海の世界へと辿り着き、神を祝う為にと人の手で花冠へと編まれるのですね」
それならば、と夕凪は目の前に落ちてきたアネモネの花に手を伸ばした。選んだ花々に意味を込め、願いを込めて。神に捧げる花冠を編もうと、夕凪は雪音と共にぐるりと辺りを見回す。色とりどりの花々が降る中で、二人とも心惹かれる花は白い花。共に白い色を纏う二人故、自身と同じ彩にはやはり手が伸びると、交わる視線にどちらともなく笑みを零した。
「雪音さん、花冠を作る花は決まりましたでしょうか」
「はい、私はこの花にしようと思います」
そう言って、雪音が掲げた花は月下美人。透けるように白く大きく咲く花は、夜に咲き、闇夜に映えるその姿はまさに月の様。
白く月の名を持ち、夜に咲き、赤い果実を実らせる花……雪音を表すのに適した花ではないかと思う。
「美人の名を負うは少々烏滸がましくありますが、私の用いる彩としては適しているやもしれない、と」
雪音は愛おしそうに月下美人の花をそっと一撫でし、夕凪はどんな花を選んだのかと好奇に満ちた視線を彼女に向けた。
同じ白い色の花を手にする夕凪が選んだ花は、小さく可憐な花を咲かせる鈴蘭だった。
「鈴蘭の花言葉は、再びの幸せ。『さいわい』なる旅路を願う私にはぴったりかと思いまして」
柔らかな笑みを浮かべる夕凪に、雪音も賛同の意を示すべく、こくりと首を縦に振る。
花冠に使う花が決まれば、次にすべきことは花を集めること。
静かにそっと海へ身を投じると、白無垢を思わせるような羽織共に、雪音の長く柔らかな白い髪がふんわりと水面に広がった。海の水はほんのりと温かで、その心地良さに雪音の表情がふにゃりと崩れる。
気持ち良さそうにゆっくりと泳ぐ雪音の傍らで、夕凪もまた、鈴蘭の花を求めて波の狭間に手を伸ばした。夕凪が泳ぐたびに、白い水着に合わせた揃いのパレオの裾がふわりと広がり、その姿は魚がゆうらりと泳いでいる様のよう。思わず雪音は波間に揺蕩う夕凪の青いリボンを目で追いかける。
「雪音さん、何かをお探しでしょうか」
鈴蘭の花を抱えた夕凪に問われ、雪音は何かを探すように遠くの水面に視線を向けながら口を開いた。
「……月下美人の果実も浮かんでいないものかと思いまして」
赤い実なので、青い海の上では見つけやすいかと思ったが、花に比べると小さいので探すのは難しいだろうか。
残念そうな様子の雪音を見て、夕凪も一緒に探すと申し出た。探し物は、一人よりも二人で探す方が、きっと見つかる。
ゆらゆらと水に揺られながら、花や果実を探す雪音と夕凪の姿は、まるで夏に浮かぶ白雪のようで、静かに、穏やかな一時を過ごしていた。
そうして、目当ての花や果実を見つけた二人は、海遊びの時間を終えて小舟へと戻り、早速、花冠を編み始める。
鈴蘭の花を用いて白い花冠を結う夕凪の手元を見つめ、雪音は夕凪の名を呼んだ。夕凪は冠を結う手を止め、青い瞳を雪音へと向ける。夕凪は言葉を選びながら、心に浮かんだ言葉を紡ぎ始めた。
「……鈴蘭の毒は恐れられど、同時に生薬とも用いられ人を救うにも役立てられた花。刃は殺しの道具なれど、使い手の心あらば人を救う手ともなる……」
それは、妖の力と刃を駆りて今を生きるヒトを護りたる涙切。故に、鈴蘭は、夕凪の在り様に通ずる美しい花と言えるのではないか――。
雪音の言葉に、「なるほど」と夕凪は感心したように大きく頷いた。
「毒を持つという話も、妖刀を以て悲しみを断つ私の姿に似るものですね」
雪音の言葉を聞きながら、夕凪は、彼女の花冠に咲き誇る月下美人に視線を向けた。
月下美人の神秘的に美しい姿も、静かに、凛と佇むその様も、確かに雪音の心らしい情だと夕凪は思う。
自らの想いを以て、ひとの心へと届く――そんな雪音の心に救われた身である夕凪だからこそ、強く抱く想いなのかもしれない。
「私も思うのです。過去に在るものであれ、今に生きるものであれ、静かなる白き情と共に見つめる雪音さんの姿は……月下美人の姿のようだ、と」
そして、夕凪は完成したばかりの鈴蘭の花冠をそっと雪音の頭に載せた。
雪音は思わず驚いたように目を丸くしたが、すぐに手に持っていた月下美人の花冠を、同じように夕凪の頭に載せる。
互いに同じことをしようと考えていたことに、二人は視線を交わし、口元を綻ばせた。
この花冠は、島の神に捧げる供物である。
少しの後に手放すことにはなるのだが、共に花を集め、花を結い、互いを表した冠を送り合った縁は、雪音と夕凪、二人が紡ぐべき未来に繋ぐ、善い記憶となるに違いない。
青い海に振る色とりどりの花に彩られ、二人の笑みが、今、此処に咲いたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
冴島・類
【白夜】
守り神様達のためのお祭り
花冠が道を開いてくれるなんて
敬う気持ちが鍵ってことかな
海を彩る花達やそれを好きなかみさまに会いに
小舟をお借りしてリティと出発進行!
空から降ってくるお花さんたちに
ご覧、話に聞いてはいたがこんな沢山
視線が降る一輪追って手を伸ばし
すごく華やいでる
浮かぶ小舟で島民さん達も
のんびり思い思いの花を集めてる
ふふ、長閑で良いな
僕らも作ってみよう
例えば君にや友に…みたいに
誰かを想像してならまだしも
自由に、だと結構悩む
リティはどんなお花さんで作る?
沢山の子を、に喜ばせてあげたい君のこころが滲むのを感じて
暖かい気持ちになる
なら僕は…元気が出るような明るい色で歓迎を示したい
小ぶりなお花で、にしてみようかな
舟の近くで見つけた
ポーラチュカの橙や黄の子中心に
白も入れたいなと探し
手が届かぬ位置の子は
りりに力借り花の雲で道を作り集めよう
泳がずとも、2人で楽しめるのが嬉しい
纏めるのに手こずったら
リティの手元参考にさせて
完成品を並べると、個性が出るなぁ
そうだ、仕上げのりぼんはお揃いにしないかい
城野・いばら
【白夜】
愛称:リティ
お花が降る海の神さんってどんなコ達かしらね
今は想像しかできないけど
きっとお花さんがお好きなのね
うん。花冠さん、喜んでもらえると良いねぇ
花冠さんを二人で作りたいから、小舟をお借りして
出発えいおー!
…わぁ、ほんとうにお花さん達が泳いでいるわ
こんなに沢山……類が示す方を見れば
わぁぁ…!
ええ、とっても…ふしぎで綺麗ね
旦那さんの柔らかな視線に
彼がお社にいた頃はこうやって見守っていらしたのかなと
そっと咲って
お舟からお花さんへ手を伸ばす
そうね、そうね
大振りの花のコ達で豪華に
逆に小振りなコ達や色を統一してみたりもできそう
沢山のお花さんが集っているから
リティはね、出来るだけ沢山のコを飾りたいな
神さんが見た事ないコもいるかもしれないもの
だからリリのお力を借りて
色んなお花さんを探すの
種族柄、私達夫婦は海水を浴びるのは良くないけれど
こうやって過ごすのも楽しい
大振りのコから位置を決めると纏め易いのよ
完成したら見せ合いっこして
まぁ良いアイデア!
それならと新緑色のリボンを
瑞々しい葉みたいでしょう
●
島の守り神様達のためのお祭りを控え、その準備に張り切る島民たちは海に小さな舟を出し、空から降る花を集めて、神様のための花冠作りに勤しんでいる。そんな地元の人々の姿を見て、冴島・類(公孫樹・f13398)は、ふむと考え込んだ。
「花冠が道を開いてくれるなんて、敬う気持ちが鍵ってことかな」
類の言葉に何か気づいたのか、ハッとした表情を浮かべ、大きく頷いた城野・いばら(白夜の魔女・f20406)は、島民たちが次々と作り上げていく花冠を見つめニコニコ笑顔で口を開く。
「花冠さん、喜んでもらえると良いねぇ」
皆、神様たちのことを想って作っている花冠だ。きっと喜んでくれるに違いない。
類といばらは、共に視線を交わして大きく頷きあう。これは是非とも一緒に作らねば――二人同じことを考えていたと知って共に頬を緩ませ、小舟に乗り込むと、花降る海へと漕ぎ出した。
「出発進行!」
「出発えいおー!」
ゆっくりと小舟が海を進めば、水面に浮かんだ花たちも一緒に進んでいるかのようで。その姿はまさに『泳いでいる』という表現がピッタリに思える。
いばらは嬉しそうに小舟の縁から身を乗り出し、泳ぐ花を目で追いかけた。どんな花がいるのだろう。すれ違う花の種類を確認することに夢中になっていたいばらだったが、類の声にその思考が止まる。
「リティ、ほら」
名を呼ばれ、何気なくいばらが顔をあげたその視線の先には、青い海に降り注ぐ色鮮やかな花々が飛び込んできた。
「わぁぁ……!」
思わず感嘆の声を漏らし、いばらはパチパチと目を瞬かせる。
とても不思議で、そして綺麗。
類も櫂を漕ぐ手を止め、ゆっくりと空を見上げる。話には聞いていたが、こんな沢山の花が降っているのだとは思っていなかった。
思わず、類は目で追っていた一輪に思わず手を伸ばす。その指先が捉えた花は、赤いニチニチソウ――この花の花言葉は『楽しい思い出』。今、二人で目にしたこの光景もまた、大切な、楽しい思い出の一つになるという確信とともに、類は口元を緩めた。
ふっと視線を巡らせれば、ぷかぷかと小舟に揺られながら、島民たちもあれやこれやと花を選び、のんびり思い思いの花冠を作っている。のんびりとした穏やかな時間は、懐かしくもあり、居心地がよく、類は目を細めて長閑な時間を見守っていた。
そんな類の柔らかな視線を見つめ、いばらは遠い過去のことに想いを馳せる。
(「お社にいた頃はこうやって見守っていらしたのかな……」)
その姿がとても自然に思え、いばらはふふっと小さな笑みを口元に咲かせた。と、同時にそういえば……と小さな疑問が生まれる。
「お花が降る海の神さんってどんなコ達かしらね」
今は想像しかできないが、きっとお花さんがお好きに違いない――。早く逢ってみたい。思わず零れた呟きに「そうだね」と返された言葉に頷き、いばらはそっと水面を揺蕩う花へ手を伸ばした。
いばらに並んで類も花に手を伸ばしかけたが、どの花を選ぼうか迷い、思わずそのまま手を引っ込める。例えば、大切な妻や友人に贈る……などと誰かを想像して花を選ぶのであればまだしも、『自由に』と言われてしまうと正直なところ手が止まってしまうのだ。
「リティはどんなお花さんで作る?」
「そうね、そうね……」
類に問われ、いばらは頭の中でいくつか花冠をイメージしながらゆっくりと話し始めた。
「大振りの花のコ達で豪華に、逆に小振りなコ達や色を統一してみたりもできそうかな」
ふむふむと頷きながら、類はいばらの次の言葉を待つ。想像を膨らませ、逡巡し、いばらは思いを一つ一つ確認するように言葉を紡いだ。
「沢山のお花さんが集っているから、リティはね、出来るだけ沢山のコを飾りたいな」
――だって、神さんが見た事ないコもいるかもしれないもの。
いばららしい答えに、類は思わず顔を綻ばせる。神様を喜ばせたいという彼女のこころが滲むのを感じ、類の心もぽかぽかと温かい気持ちで満たされていった。それならば、自分は元気が出るような明るい色で、守り神様を歓迎する気持ちを示したい。
「なら僕は……小ぶりなお花で、にしてみようかな」
舟の近くで見つけた橙色や黄色のポーチュラカを中心にしようと決め、類は花を集め始めた。
手を伸ばせば届く花は、身を乗り出して慎重に掴まえる。だが、手が届かない位置にある遠い花は少し困る。なぜなら、類も、いばらも、塩水には弱い身なのだ。故に、自ら海に飛び込み、泳いで花を取る、ということはちょっと難しい。
少し離れた場所に気になる花を見つけたのか、どうしようか迷っている素振りを見せるいばらに気づき、類は「それなら」と笑って口を開く。
「りりに力借りよう」
類の名案に、いばらはパァッと顔を輝かせて、こくこくと頷いた。風魔法の力で召喚された花の雲で道を作れば、濡れずに欲しい花を集めることができる。
「白いポーチュラカも入れたいんだけどな……」
「確か、あっちの方にあったよ」
青い海を彩る沢山のお花さんたちに迎えられながら、類といばらは花の雲の道を仲良く歩く。
泳がずとも、二人で海を楽しめるのが嬉しくて、類はニコニコ笑顔でいばらを見つめた。いばらもまた、にっこりと笑顔で頷き、口を開いた。
「こうやって過ごすのも楽しい」
海の上をお散歩することなんてなかなか出来ないから、とても貴重な体験で――すごく、嬉しい。
二人はにっこり笑顔を交わすと、まだ見ぬ花を探して思いのままに足を進めるのだった。
神様に捧げる花冠を作るため、両手に抱えきれないほどの花を集め、類といばらは小舟へと戻って来た。
花の並びを考えながら、花冠を編むのは思っていたよりも難しい。類は花を編む手を止めて、じっといばらの花冠を見つめる。
そんな彼の視線に気づいたのか、いばらはちょこんと首を傾げて類を見た。
「リティの手元、参考にさせて」
「大振りのコから位置を決めると纏め易いのよ」
ほら、といばらが見せてくれた花冠を見て、類はなるほど、と独り言ちた。少し大きめな橙色のポーチュラカを軸にして、白や黄色の花を添えて。わからないところや迷うところはいばらに聞きながら、類はゆっくりと花冠を編む。ゆぅらりと小舟に揺られながら、夫婦水入らずで花冠作りに励む時間というのも悪くはない。
最初こそは難しいと思っていたが、慣れてくると、どんどんと手が進むようになる。
花冠を編み上げ、満足そうに顔をあげた類に、いばらはにこりと笑みを浮かべて「お疲れ様」と声をかけた。
そして、互いに作った花冠を「せーの」と掛け声合わせて見せあうと、それぞれ個性が出ていて面白い。
類が作った花冠は、太陽のような明るい色で纏められ、彼の優しさをそのまま形にしたようだといばらは思う。
一方、いばらの作った花冠は、全て違う花で編まれており、花が好きな神様ならば大喜びすること間違いないと類は確信した。
後は、仕上げのリボンを結ぶだけ――そこで、ふと類の頭にアイディアが浮かぶ。
「そうだ、仕上げのりぼんはお揃いにしないかい」
――まぁ良いアイデア!
類の提案に、いばらは嬉しそうに手を合わせ、一も二もなく頷いた。
それなら、と新緑色のリボンはどう? と今度はいばらが提案する。瑞々しい葉っぱの色を添えられた花冠を手に、類といばらは視線を交わして笑みを零した。
神様が、この花冠を喜んでくれますように――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 日常
『不思議な生き物とともに』
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POW : 大型の水生生物に乗って海へ
SPD : 翼をもつ生き物に乗って空へ
WIZ : 小柄な生き物と一休み
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
思い思いの願いを込めて作った花冠を手に持って、島民たちの案内を受けながら初めて訪れた島を見て回る。
島中どこもかしこも、守り神様を歓迎し、お祭り前の賑やかな雰囲気に包まれていた。
守り神様たちがやってくるのは、島の西側の浜辺から。
浜辺に近い広場には、祭りの時だけ出る屋台が並んでいる。
海の幸がたっぷり入ったスープやリゾット、ひんやり冷たくて甘いかき氷のお店。他にも、キラキラと輝く鉱石や、鮮やかな珊瑚や美しい真珠を使ったアクセサリーやお守りの店が目に飛び込んできた。
近くにあるテーブルに座って、美味しい料理に舌鼓を打つもよし、今日の記念のお土産を選ぶのもよいだろう。
――いよいよ、守り神様たちがやってくる。
そんな気配を感じ、そわそわと落ち着かない島民と共に、島の西側の浜辺に向かい、守り神様を出迎える。
「あ、神様、来たっ!」
島の子供の声に、パッと顔を向けて指差す先へと視線を向ければ、島へと近づいてくる一行の姿がそこにあった。
魚に似た姿の神様を先頭に、ペンギン、イルカ、エビ、タコ、イカ、タツノオトシゴ、シャチ、クジラといった海に住む生き物のような姿をした神様たちがやってくる。
神様たちは、海を渡って島へと向かっているようだが、中には翼を持っていて空を飛んでいる神様もいるようだ。
色々な姿の神様がいるものだ、と驚く島外の人に、島の子供たちが「あのね」とこっそり囁いた。
「神さまはね、みんな好きな生き物の姿を借りて島にやってくるんだよ」
それゆえ、皆姿はバラバラだし、本来だったら持っていないはずの翼を持っていたり、空を飛べたりするのか、と合点がいく。姿は魚であっても宙を泳ぐことが出来るし、水の外であっても呼吸に支障はない。本来なら深海に住む生き物であっても、明るい場所に出ても何も問題はないのだ。
神様が島についたら、花冠を渡し、その後は人々と交流しながら自由に過ごすのだという。
早速、島にやって来た神様に花冠を渡し、交流を始めている人々もいるようで、島民から贈られた花冠を頭に載せたり、首に掛けたりして、神様も何だか嬉しそうに見える。
一緒に海で遊んだり、島で普段食べないものを食べたり、買い物につきあったり……人と触れ合うことが好きな神様たちと、共に楽しい時間を過ごすことが一番のおもてなしになるだろう。
――さぁ、守り神様と一緒に何をして過ごそうか?
ディフ・クライン
友人の澪(f03165)と
2021水着で
これが全部守り神様? 壮観だねえ
ふふ、まるで海の中に遊びに来たみたいだ
海は好きだ
海に居る生き物たちもそう
頭を垂れ、恭しく神様に花冠を贈ったなら
嬉しそうにする姿に頬が綻ぶ
ふふ、そうだね。折角だから
ペンギンはあまり見た事がなかったから、興味深げに後を追ったり
イルカに乗る澪を見て、その軽やかさに目を細め
クジラの神様の優しく穏やかな目に絆されて
神様が許すなら、その背へと
悠々と泳ぐくじらの背に乗って眺める海は花と陽光に煌めいて
綺麗な光景だね
それから、一足早いけれど
誕生日おめでとう、澪
この光景や一日が、成人する友への誕生日プレゼントになればいい
神様たちと共に祝おうか
栗花落・澪
ディフさん(f05200)と
衣装は1章と同様
守り神様達可愛いー!
見てディフさん、海の生き物いっぱいだよ!
可愛い姿に目を輝かせ
ディフさんの真似をして頭を垂れつつ
神様に花冠を身に着けてもらったら(可愛い)
折角だし触りた…じゃなくて、一緒に遊びたいよね
ペンギンさんと一緒によちよち追いかけっこしたり
大きい神様には背中に乗せてもらったりできるかな
イルカさんの背に乗せてもらったら
誘うようにディフさんに手を振り
ふふ、ほんと綺麗
泳ぐのも気持ちいいね
感謝を示すようにイルカさんの頭部を撫で
えっ…あ、ありがとう…!
えへへ、お祝い嬉しい
思い出や祝福もだけど
ディフさんが一緒に過ごして言葉をくれた事が
一番のプレゼントだよ
●
遠い西の果ての海からやって来たという守り神様たちは、続々と島へとあがってくる。
青や黄色で鮮やかに彩られた熱帯魚に似た姿をした神様たちに続き、ペンギンの姿をした神様がポテポテと身体を左右に揺らしながらのんびりと歩いてきた。
「守り神様達可愛いー!」
思わず声をあげた栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、傍らに佇む黒髪の青年を見上げてはしゃぐ心を抑えきれずにキラキラと輝く笑顔を零す。
「見てディフさん、海の生き物いっぱいだよ!」
「これが全部守り神様?」
驚きを隠せず、パチパチと瞬きを数度して、ディフ・クライン(雪月夜・f05200)は「壮観だねえ」と何度も頷きながら独り言ちた。
今、彼らの目の前を通り過ぎていった神様の姿は大きなタコ、次にやって来たのは立派なエビと長い足を持ったカニの姿をしており、その後を追うように来た神様はエイの姿で、ひらりひらりと空を泳ぐように澪とディフの頭上を超えていく。
(「――まるで、海の中に遊びに来たみたいだ」)
海は好きだし、もちろん、海に居る生き物たちも、そう。
ふふっと笑みを零し、ディフは澪へと視線を向けた。ディフの視線には気づいた様子はなく、澪は守り神様の可愛い姿に目を奪われている。
「おっ、と――」
ディフの目に、橙色の花冠が飛び込んできた。この花冠を、守り神様に捧げるのだった――。
どの神様に花冠を渡そうか、迷いながら、きょろりとディフは視線を動かす。ぱちっと視線があった神様は、穏やかな碧い瞳を持ったクジラの神様。
――この神様に、花冠を贈りたい。
ディフはそっと頭を垂れ、恭しくクジラの神様へと花冠を贈る。花冠を受け取って貰えた気配を感じて顔をあげると、嬉しそうに頭にノウゼンカズラの花冠を乗せた神様の姿を見て、ゆるりとディフの頬も綻んだ。
「あ、じゃぁ僕も――」
慌てて澪もディフの真似をして頭を垂れる。そして、神様へと花冠を差し出すと、ペンギンの神様が澪の花冠を受け取ってくれた。 首にかけた青とオレンジで彩られた花冠を嬉しそうに見つめる神様の姿が可愛らしく、澪は嬉しくなってニコニコと笑顔で神様を見守っていたが、だんだんと欲が生まれてくるのも無理はない。
「折角だし触りた……じゃなくて、一緒に遊びたいよね」
「ふふ、そうだね。折角だから」
澪とディフは、こそりと言葉を交わし、顔を見合わせ、コクリと大きく頷き合う。
早速、澪はペンギンの神様の元へと駆けて行った。澪が贈った花冠を付けた神様と一緒によちよちと歩きながら追いかけっこをする二人の姿が愛らしい。
神様を追いかける澪の白いパレオがひらひらと舞うたびに、海によく似た深い青色が顔を覗かせる。
身体を左右に揺らしながら器用に歩くペンギンの神様の姿に感心しつつ、ディフは二人の後を興味深そうな面持ちで追いかけた。
ひとしきりペンギンの神様との触れ合いを楽しんだ後、ふと、澪は思いついたように口を開く。
「大きい神様には背中に乗せてもらったりできるかな」
呟く澪の視線の先にいるのは、白いイルカの神様。確かに、神様の大きさにも澪ならばその背に乗せて貰うことも叶うように思える。
神様との交渉は無事成立したようで、イルカの神様の背に乗せてもらうと、澪は誘うようにディフに向かって手を振った。
澪の意図に気づいたディフがどうしようかと思案していると、先程、花冠を捧げたクジラの神様と再び視線が合う。その優しく穏やかな目に絆され、神様に誘われるままにディフはそっとその体に足をかけた。
神様に誘われ、澪とディフは白い波しぶきをあげながら、ゆっくりと花々が浮かぶ海を泳ぎ行く。
澪を背に乗せ、ひょいっとジャンプをするイルカの神様の身のこなしは、軽やかで。その器用さに感心しながら目を細めるディフに向かって、澪はにっこりと笑顔を浮かべて大きく手を振った。
悠々と泳ぐクジラの神様の背に揺られ、ディフはぐるりと辺りを見回す。降り注ぐ太陽の光に照らされて飛沫がキラキラと輝き、波間に浮かぶ花もまた煌めている。
ディフたちの隣へと泳いで来た澪たちと笑顔を交わし、二人はどちらからともなく口を開いた。
「綺麗な光景だね」
「ふふ、ほんと綺麗。――泳ぐのも気持ちいいね」
ありがとう、と感謝の気持ちを込めてイルカの神様の頭をそっと撫でる澪へ、ディフは伝えたかったことを思い出す。
「一足早いけれど、誕生日おめでとう」
「えっ……あ、ありがとう……!」
予想だにしていなかったディフの言葉に思わず頬を赤らめる澪だったが、お祝いは嬉しくて、「えへへ」と頬を緩ませた。
この美しい海や、神様と過ごした一日が、成人を迎えるともへの誕生日プレゼントになることを願いながら、ディフはそっとクジラの神様の背を一撫でする。
「神様たちと共に祝おうか」
勿論、ディフの言葉に神様も異論はない。澪への祝いの気持ちを込め、クジラの神様は白く大きな潮を吹きあげた。
その立派な姿に思わず感動する澪を背に乗せ、イルカの神様も、今日一番の大ジャンプで澪を祝福する。
「思い出や祝福もだけど、ディフさんが一緒に過ごして言葉をくれた事が一番のプレゼントだよ」
にっこりと幸せそうに微笑む澪へ、もう一度、ディフは祝いの言葉を贈った。
――20歳の誕生日、おめでとう、澪。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふわぁ、神様がいらっしゃいました。
お星様みたいな神様です、ヒトデさんでしょうか?
えっと、私の作った花冠をどうぞ。
ほら、アヒルさんも神様に花冠を渡してください。
ふえ?ヤダって、なんでですか?
この花冠はアヒルのだから神様にもあげないって、アヒルどこに行くんですか!!
すみません、神様。
私の花冠だけで許してもらえませんか?
アヒルさん、待ってくださーい。
●
次々と島へやってくる守り神様たちを前に、フリル・インレアン(大きな|帽子の物語《👒 🦆 》はまだ終わらない・f19557)は、思わず「ふわぁ」と声を漏らす。
フリルの前にやって来た守り神様は、お星様によく似た姿をしていて――これは、ヒトデの姿をした神様だろうか?
腕を使って器用に歩く神様を感心した様子で見つめていたフリルだったが、慌てて神様を追いかけた。
「えっと、よろしければ私の作った花冠をどうぞ」
フリルは、青いカンパニュラメリーベルで作った花冠を差し出し、ヒトデの神様の腕にそっとかける。同じ星の形の花を見て、神様もなんだか嬉しそうな素振りを見せてくれた気がして、フリルは嬉しくなった。
……そして、この後は、アヒルさんが花冠を渡すものと思っていたのだが、フリルの頭の上から降りてくる様子がない。
フリルは怪訝に思いながら、アヒルさんに囁いた。
「ほら、アヒルさんも神様に花冠を渡してください」
だが、アヒルさんの返事はない。慌てて再度、フリルがアヒルさんの名前を呼ぶも――アヒルさんの返事は否。
「ふえ? ヤダって、なんでですか?」
守り神様を前に、まさかのアヒルさんの発言にフリルはさぁーっと顔から血の気が引いていくのを感じた。
幸い、守り神様は特に機嫌を損ねた様子は感じられない。むしろ、哀れみの視線を向けられているような気がするのは気のせいか……。
神様の視線には気づかなかったことにして、フリルはアヒルさんの説得を続ける。
「この花冠はアヒルのだから神様にもあげないって……あ、アヒルさん、どこに行くんですか!!」
思わず大きな声をあげるフリルにも構わず、アヒルさんはひょいっとフリルの頭の上から降りると、ヒマワリの花冠を首に掛けたまま、トコトコと島の中心へ向かって歩いて行ってしまった。
暫し、茫然とした様子でアヒルさんの背を見つめていたフリルだったが、ハッとした様子でヒトデの神様へと向き直ると、慌てた様子で何度も頭を下げる。
「すみません、神様。私の花冠だけで許してもらえませんか?」
もちろん、神様もこのようなことで怒るような、小さな器の持ち主ではない。
気にするなとばかりに鷹揚に頷くと、すぐにアヒルさんを追いかけるようフリルを促した。
「あ、ありがとうございます」
ペコペコと頭を下げ、フリルは急いでアヒルさんの後を追いかける。
「アヒルさん、待ってくださーい」
二人が無事に仲直りできることを願いつつ、ヒトデの神様はひらひらと腕を振って、フリルを見送るのだった。
大成功
🔵🔵🔵
山吹・夕凪
【白彩】
神もまた心を持つもの
姿を変える計らいがあるならば、私達も相応に真心をもって接するべきなのでしょうね
心に触れるは、何処までいっても心なのですから
成る程、ふたつを捧げるに相応しい体躯とあれば、あちらの|海象《セイウチ》の姿をされた神様でしょうね
では私は失礼をして頭の上にと
遠い海の向こうまで、私達の願いや祈りを乗せた花冠を
或いは『さいわい』なる未来までと届けて頂けることを託して、一礼を
甘味であれば私もまた興味深いものです
楽しむことも、幸せの記憶もまた神へと捧げる供物ですので
ええ、真心からの笑顔を見て、微笑み返されるのが神というもの
ならと甘い果物を添えたかき氷を
雪の色をしたふたりで頂きましょう
月白・雪音
【白彩】
…なんと、海の生物の姿を取ってお越しになられようとは。
これもまたヒトに親しみある形でとの神の計らいという事でしょうか。
私達の持つ花冠は夕凪様と合わせて2つ。であればいくらか体躯に恵まれた生物の姿を持つ神に捧げるのが良いでしょうか。
…あちらの海象の方などは丁度良いのでは?
頭と首に1つずつ…、首の方は頭からでは牙に掛かってしまいますので、失礼ながら牙の下から。
我らの縁と共に紡いだ花冠。この逞しい体躯なれば遠い海の先まで届けて下さる事でしょう。
そうですね、海での遊泳に興じるも一興ですが…、私はこの島で味わえる甘味に興味があります。
甘味もまた神に捧げる供物…、という言い訳はいかがでしょう?
●
「……なんと、海の生物の姿を取ってお越しになられようとは」
海を渡る守り神様達の姿を見つめ、月白・雪音(|月輪氷華《月影の獣》・f29413)は意外そうに数度瞬きを繰り返す。どんな守り神様なのだろうか、とは気になっていたが、まさかこのような姿でやってくるとは想像だにしていなかった。
だが、島へと到着した神様と、人々が仲睦まじく花冠を交わす様は微笑ましく、少し羨ましい気持ちもする。ペンギンの姿をした神様に花冠を渡す女性を見つめ、雪音は心の奥が温かくなったように感じ、ふわりと口元を緩ませた。
「これもまた、ヒトに親しみある形でとの神の計らいという事でしょうか」
雪音の言葉に、山吹・夕凪(雪色の吐息・f43325)も大きく深く頷くと、人々との触れ合いを楽しんでいる様子の守り神様たちを、愛おしそうに見つめる。
「神もまた心を持つもの。姿を変える計らいがあるならば、私達も相応に真心をもって接するべきなのでしょうね」
心に触れるは、何処までいっても心なのだから――。
ゆっくりと紡ぐ夕凪の言葉に、もちろん雪音の異論はない。
コクコクと何度も頷く雪音を見遣り、夕凪はふふっと柔らかな笑みを零した。
さて、雪音と夕凪が作った花冠を、どの守り神様に渡そうか。
想像していた以上に多くの神様が島を訪れているようで、渡す神様には困らなさそうに思える。だが、せっかくならば……と視線を巡らせる夕凪に、何やら考え込んでいた雪音が遠慮がちに口を開いた。
「私達の持つ花冠は夕凪様と合わせて2つ。であればいくらか体躯に恵まれた生物の姿を持つ神に捧げるのが良いでしょうか」
雪音の言葉に、成る程と夕凪は頷いた。
確かに、雪音の視点はもっともだ。夕凪も異論はない。それならば……。
改めて、夕凪はじっと目を凝らして神様たち一同を見遣る。ふっと夕凪の目に飛び込んできた姿は、大きな体躯と立派な牙を持った|海象《セイウチ》の姿をした神様だった。
「雪音さん、あちらの海象の神様にお渡しするのはいかがでしょう?」
「私も、あの方が良いなと思っていました」
夕凪と雪音、二人とも同じ神様に惹かれていたと知り、互いに顔を見合わせて嬉しそうに頷き合うと、海象の神様の元へと足を向ける。そして、神様に向き合い、二人は尊敬の気持ちを持って頭を下げてから、神様に花冠を差し出した。
海象の神様は、嬉しそうに笑みを浮かべるも、すぐに雪音の方へと身体を向け、キリリと姿勢を正す。
では、と最初に雪音が神様の前に一歩進み出た。神様の首に花冠をかけようとしたが、頭からかけると牙に掛かってしまう。
「牙の下から、失礼しますね」
雪音が花冠を首にかけやすいように神様が首を伸ばしてくれたおかげで、牙にかからず花冠を神様の首にかけることが出来た。
誇らしそうに月下美人の花冠を首に掛けた神様を見つめ、雪音は嬉しそうに目を細める。
(「我らの縁と共に紡いだ花冠。この逞しい体躯なれば遠い海の先まで届けて下さることでしょう……」)
続いて、夕凪が前に進み出ると、神様は彼女が花冠を乗せやすいようにすっと頭を下げた。
神様の心遣いに感謝をしながら、夕凪は『さいわい』を願い、そっと神様の頭の上に鈴蘭の花冠を乗せる。
夕凪や雪音、二人の願いや祈りを乗せたこの花冠を、遠い海の向こうまで、或いは『さいわい』なる未来まで、この神様ならば、きっと届けてくださる――。
白い花に包まれた神様は、芳しい花冠の匂いを感じながら、嬉しそうに目を閉じた。そして、二人の願いを受け取ったとでも言いたげに、鷹揚に右手をあげ、ゆっくり大きく頷いてみせる。
夕凪と雪音は、二人並んで一歩後ろに下がると、神様への感謝と敬いの気持ちを込めて深く頭を下げた。
無事に神様へと花冠を捧げ、二人は何をして過ごそうかと言葉を交わす。
海での遊泳に興じるも一興だが、雪音の興味は別のところにあった。
「私はこの島で味わえる甘味に興味がありますが、夕凪様は?」
遠慮がちに問いかけた雪音に、夕凪はパッと顔を輝かせて一も二もなく頷く。ちょうど、夕凪も甘味に興味があったのだ。二人の想いが同じであったことに、どちらともなく頬が緩む。
「甘味もまた神に捧げる供物……、という言い訳はいかがでしょう?」
「ええ、真心からの笑顔を見て、微笑み返されるのが神というもの」
楽しむことも、幸せの記憶もまた、神へと捧げる供物となる。
では、と夕凪は嬉しそうに手を合わせて口を開いた。
「それならば、甘い果物を添えたかき氷をふたりで頂きましょう」
雪の色をした二人が味わう白雪のようなかき氷は、きっと格別でこれもまた幸せな記憶となるに違いない。
夕凪は雪音を誘い、軽やかな足取りで、屋台街へと向かって歩き出すのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
オヴィリア・リンフォース
子供たちと花冠を持って守り神様に会いに行くのです
本当に神様は色々な姿をしているのでびっくりなのです
でもやっぱり海の生き物さんの姿ばかりなのです…
と思っていたら翼を生えた白猫さんの姿をした
守り神様が目の前に現れるのです
神様も気をつかってくれたのですと
感謝しながら花冠を贈るのです
喜んでもらえると嬉しいのです
それから一緒にかき氷を食べるのです
食べ過ぎてしまうと危ないからと
普段はご主人様に控えめにされているけれど
今回は大丈夫なはずなのです
猫でも大丈夫そうなシロップをかけて
守り神様と島の人達と一緒に食べるのです
頭がき~んとしてしまうのです
もてなす役目も忘れずに
すり寄ってもふもふし合うのです
アドリブ歓迎
●
守り神様の到着を待っている間、オヴィリア・リンフォース(銀色の魔女猫・f25140)は島の子供たちとの親睦を深めていた。
オヴィリアのモフモフな毛並みの虜となった子供たちと一緒に、浜辺で守り神様を出迎える。
その神様が、まさか色々な姿をしているなんて――!
そんなこと夢にも思っていなかったオヴィリアは、ふよふよと目の前を通り過ぎていくタツノオトシゴの姿をした神様の姿を吃驚した面持ちで見送った。
カジキマグロや、フグ等、魚の姿をした神様の他、シャチやウミガメの姿をした神様たちも通り過ぎていく。
神様の姿は多様ではあるが、やはり海の生き物の姿ばかり……。
思わず溜息をつくオヴィリアだったが、それでも「もしかしたら……」という想いを諦めきれずに、神様たちをじっと見つめる。
「僕、さっきウミガメの神様にあげたよ!」
「オヴィリアはどの神様に花冠を渡すの?」
子供たちに問われ、オヴィリアはまだ決めていないのです、と静かに首を横に振った。
「海の生き物さんの姿ではない、神様はいないのです……」
何気なく零したオヴィリアの呟きに、一人の子供が「あっ!」と空を指差す。
「あの神様、オヴィリアみたい!」
慌ててオヴィリアも空へと視線を向けると、そこにいたのは翼のはえた白猫の姿をした神様だった。
神様はパチっと目が合うと、静かにオヴィリアの前に降りてくる。
神様に気遣って貰えたことに感謝をしながら、オヴィリアはヒマワリが中央に来るようにして花冠を神様の頭に載せた。嬉しそうな神様の表情を見て、オヴィリアも嬉しくて、花が咲いたように顔が綻んだ。
神様のおもてなしにオヴィリアが選んだものは、かき氷。
島で作られた花の蜜を使った特製シロップは、毎年神様たちにも大好評なのだという。
ふわふわの雪のようなかき氷に、たっぷりのシロップを添えてもらい、オヴィリアは美味しそうにかき氷を頬張った。
いつもは食べすぎてしまうと危ないから、とご主人様に控えめにされているオヴィリアだったが、今日はご主人様もいないので大丈夫。好きなだけ食べても問題ない。
シャリシャリと口の中で溶ける氷のひんやりとした食感を楽しみながら、パクパク食べていたオヴィリアだったが。
「うっ……!?」
キーンと痛む頭を押さえ、かき氷を食べる手が止まる。
チラッと視線を向ければ、神様もまた、かき氷を食べる手が止まっていた。
「大丈夫です?」
オヴィリアは神様の隣に行くと、そっと身体をすり寄せる。
モフモフの毛並でもふもふしているうちに、痛みも治まっていくだろう。
美味しいかき氷に舌鼓をうちつつ、もふもふでのおもてなしも忘れない、大忙しのオヴィリアを、猫の姿をした神様は優しい眼差しで見守っていたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
海藤・ミモザ
【海鍵】
ふぅ…彼への花冠
何とか落とさずに済んだ…
あっ、ねぇドルデンザ!
あのペアのペンギンの神様に花冠渡すのどうかな?
こんにちは!お会いできて光栄です
私達の花冠、貰って頂けますか?
…って私が先…!?
膝つく彼に胸高鳴りながらも
不意打ちで彼へと花冠乗せ
ふふ、驚いた顔が可愛い―なんて思ったのは内緒
神様達へも花冠を乗せ
凄くお似合いですよ♪
じゃあ、みんなで屋台にレッツゴー!
神様
彼とペアのアクセが欲しいんだけど、お勧めありませんか?
折角だし、天然素材の良さそうなのがあると良いな
わ…綺麗!ね、ドルデンザ。これ、どうかな?
照れる彼は少年みたいで
買ったら彼のは私が付けちゃおう
勿論私も付けて
嬉しくて顔がにやけちゃう
ドルデンザ・ガラリエグス
【海鍵】
花冠を被ったミモザこそ、私の妖精で無神論者である私の神のようなひと
…―などと言っては訝しまれそうだ
ミモザの言葉にきょとんとしつつ視線を辿れば
番らしいペンギンの姿
もちろん、と微笑みミモザと共に神の元へ
なんだか不思議なものに出会った気分でつい見つめるも
ミモザに促され、恭しく膝をつきご挨拶
一番目はミモザに
二番目はこの島の神へ
思っていれば頭上から甘い香り
にこにこといたずらを成功させたような顔のミモザにつられて微笑み
いざ屋台へ
ミモザの言葉につい二度見
え、あ、そ、そうですね…!
いい歳をして恥ずかしい
…日常的な幸福が、いつだって眩しい
植物を花で染めた風合いのある色が
指先まで繊細なミモザによく似合う
●
ポンポンのように丸く可愛らしい花で飾られた花冠を持つ手に力を込め、海藤・ミモザ(millefiori・f34789)は、人知れずに小さく息を吐いた。
先程は不意打ちに思わず慌ててしまったが、今は、もう大丈夫。赤と白で彩られた花冠を愛おしそうに見つめ、曲がったり、崩れてしまったところをササっと手早く直して、完璧。
そんな満足そうなミモザの姿を、ドルデンザ・ガラリエグス(拳盤・f36930)は、人知れず熱い視線を向け、飽きることなく見つめている。
(「花冠を被ったミモザこそ、私の妖精で無神論者である私の神のようなひと……――」)
心に浮かんだ言葉をそのまま口にしたら、彼女に訝しまれてしまうだろうな、ということは、想像に難くない。これはドルデンザの本意ではないので、己の心の内に閉まっておくことにしようと決めた彼の想いには気づく素振りもなく。ミモザは、嬉しそうにドルデンザの名を呼んだ。
「あのペアのペンギンの神様に花冠渡すのどうかな?」
――神様?
ミモザの言葉にドルデンザはきょとんとした顔を向けるも、すぐに現況を思い出す。そうだ、島の守り神様に花冠を捧げるのだった。
ミモザに言われるまで、すっかり忘れていたなどとはおくびにも出さず、ドルデンザは、彼女が指差した先へと視線を辿る。そこには、番らしく仲良く寄り添うペンギンの神様の姿があった。
二人の声が聞こえたのだろうか。ペンギンの神様たちが、ミモザたちの方へと視線を向ける。
「こんにちは!」
にこりと笑顔を浮かべ、ミモザは守り神様のために作った花冠を手に、ペンギンの神様の元へ駆け寄った。そして、ぺこりと会釈をしてから神様と目線を近づけると、人好きのする笑顔を浮かべて口を開く。
「お会いできて光栄です。……あの、私達の花冠、貰って頂けますか?」
勿論、と嬉しそうに頷き、すっと頭を下げた神様へ、ミモザはそっと花冠を贈った。神様の頭上で咲き誇る大振りのダリアや白百合が、パッと周囲を華やかに染める。
続いて、ドルデンザも……と、ミモザは彼に視線を送る。だが、ドルデンザは不思議なものに出会ったかのようにじっと神様を見つめたまま動かない。
「ドルデンザ?」
ミモザに呼ばれ、ハッと我に返ったドルデンザは、恭しく膝をつき、ミモザに倣って神様へ挨拶をする――かと思えば、くるりとミモザの方へ向き直った。
「……って私が先……!?」
眼の前で膝をつくドルデンザの姿に、ドキドキと高鳴る胸を押さえるミモザだったが、なんとか平静を装うことに成功する。そして、ドルデンザが神様に挨拶をし、花冠を贈っている隙に、彼の背後にそっと近づくと、その頭に花冠をぽすっと乗せた。
「ふふ、不意打ち成功ー」
なんてね、と笑うミモザの声に、ドルデンザは慌てて振り返る。
ふわっと頭上から漂う花の甘い香りに、何が起きたのかを理解した彼は、いたずらを成功させて満足そうな笑みを浮かべるミモザに釣られて口元を緩めた。
二人の微笑ましいやりとりに神様たちも相好を崩して見守っている。そんな神様の視線に気づいたミモザは、照れくさそうにしながら、神様の花冠の位置を手早く直し、満足そうに何度も頷いた。
「凄くお似合いですよ♪」
よし、っと気合を入れ、花冠を頭に載せた一行は、屋台が並ぶ方へ歩き出す。
屋台街は、神様と人で大賑わい。呼び込みをする店の人々を適当にあしらいながら進むミモザの後ろでは、ドルデンザと神様が物珍しそうに、屋台に並ぶ品々に視線を向けていた。
「神様、あの……」
ミモザはドルデンザに聞こえないように注意しながら、ダリアの花冠を被った神様にこそっと話しかけた。ミモザの視線の先にあるのは、天然石を使ったアクセサリーを取り扱う店。
「彼とペアのアクセが欲しいんだけど、お勧めありませんか?」
『いいわね、素敵!』
どれがいいかしら……と神様はよちよちと歩き、さっそく店先に並ぶアクセサリーを吟味する。この店では、島で採れた石や、海で採れた真珠や珊瑚を使ったアクセサリーを扱っているそうだ。せっかくだし、天然素材の良さそうなものがあればよいのだが……。
きゃっきゃと楽しく品を選ぶミモザと神様だったが、神様が『これはどうかしら?』と指差した品を見て、ミモザはパッと顔を輝かせた。
「わ……綺麗!」
それは、小粒の真珠をあしらったお揃いのイヤーカフ。真珠の色は一見皆同じ白い色だが、光りにかざした時に現れる彩は、個々に違う。どの色がいいだろうか、とあれこれ手に取るミモザだったが、光にかざすと虹色に輝く真珠を見つけ、迷わず手に取った。
「ね、ドルデンザ。これ、どうかな?」
イヤーカフを耳にあて、ミモザはドルデンザの顔をじっと見る。
眩しい太陽の光を受け、ミモザの耳元で真珠がキラリと柔らかな光を放つ。緩くカーブを描いた華奢なデザインは、繊細なミモザにピッタリだと思う。
感想を待つミモザの姿が愛らしく、褒めたい言葉は多数浮かぶのに、なぜか、ドルデンザは、想いを上手く言葉にすることができない。
「え、あ、そ、そうですね……!」
いい歳をして、恥ずかしい。
照れ臭そうに視線を逸らすドルデンザが、まるで年下の少年のようで、ミモザはくすりと笑みを零した。
そして、イヤーカフを二つ買うと、早速、ミモザは背伸びをしながらドルデンザの耳にイヤーカフをつける。驚きの表情を見せるドルデンザを愛おしそうに見つめ、ミモザは手早く自分の耳にもイヤーカフをつけた。お揃いに緩む頬をおさえきれず、満面の笑みを浮かべる。
『二人とも、お似合いよ』
神様のお墨付きをもらい、ドルデンザとミモザは笑顔を浮かべて目を細めた。二人の耳元で揃いの真珠が小さく揺れる。
日常的な幸福に感謝を抱きながら、ドルデンザは眩しそうにミモザを見つめ、彼女の耳元で輝く小さな真珠をそっと撫でるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
冴島・類
【白夜】
守り神様達は色んな姿なんだねえ
好きな生き物のかたちを借りて、か
親しみを持ってくれるようにってことかな
羽が生えたいるかさんなどを見ると不思議な感覚
近寄りがたい、より
可愛い子達が多い気がするね
岸にお迎えに行こう
緊張しないで大丈夫
花冠に込めた気持ちのままにと
ぺたぺた、歩く様やふっくら姿
大きなぺんぎんさんの姿な神様が気になりご挨拶
膝突き、視線合わせ花冠を差し出し
はじめまして、お会いできて嬉しいです
と頭か首…?にかけ
ん、和むよね
僕らこの島に来たのは初めてで
屋台で美味しいもの探ししようかなと思うんですが
ご一緒にいかがでしょう
リティはりぞっと気になる?
僕そちらにしようかなぁ
ふふ、ならすーぷと分けっこしよう
熱々気をつけてねと君に声かけしてたら
もしや…
神様はひれで上手く掴めないかなと気付き
もしそうならお口まで運んであげた方がよいか
彼らのすぷーん借りて運んで…
奥さんが並んでるのが可愛くって笑い
リティ雛さんには僕のでね
りぞっとも、もらったすーぷも
塩味と海の幸の旨みが染み入る
他のも見に、散歩しにいこうか
城野・いばら
【白夜】
愛称:リティ
島に到着した神さんと
花冠を渡している島のアリス達
この島の不思議に、瞬きしている私達だけれど
親しみ…
素敵な羽さんを見るとついじーっと見てしまうわ
失礼かしらとそっとご様子を見守るけれど
…うん、そうね
お花さん沢山って、笑顔を見たくて頑張ったもの
頼もしい旦那さんの言葉と先導
彼の礼に倣ってカーテシーでご挨拶を
歩く時揺れるおてて、ふくふくぼでぃー
近くでペンギンさんを拝見するのが無いから…
やっぱり、じっとみちゃう…かぁわいい…!
冠が良いけれど、歩き難そうなら首飾りに
初めてに頷き
お勧めの屋台さんご存じなら教えて頂きたいわ
夫は宿り神さんなのだけど
お魚さんとお酒さんが好きなのですわと、こそこそ話
うん、リゾットさんとスープさん美味しそう…!
それじゃあ、リティはスープさんにしようかな
シェアすると両方楽しめるの
スープをふーふーしていたら
お口あーんのお話に
ペンギン神さん達と並んであーん
…うぅん、しみしみで美味しいね
次はスープさんも如何?とあーん交代して
ふふっ、次はどんな美味しいさんに会えるかしら
●
続々と島へやってくる守り神様たちの姿は千差万別。
鮮やかな色が青空に映える小さな熱帯魚の姿の神様もいれば、大きくどっしりと構えたクジラの姿の神様もいる。その奥でふわふわと浮いているのはクラゲの神様だろうか。硝子のように透き通った体が太陽の光を受けてキラキラと光り、とても綺麗。
「守り神様達は色んな姿なんだねえ」
――好きな生き物のかたちを借りて、か。
海を渡ってやってくる神様たちを見つめ、冴島・類(公孫樹・f13398)はしみじみと呟いた。
類の言う通り、神様たちの姿は様々で、この生き物がそれぞれ神様の好きな生き物なのかと思って見てみるとまた趣深い。
一方で、島の人々はというと、皆笑顔で神様たちを出迎え、花冠を差し出している。神様に会えたことを喜んでいるということが手に取るようにわかると共に、それは受け取っている神様たちにもちゃんと想いが伝わっているのだろう。どの神様も皆、とても嬉しそうだ。
城野・いばら(白夜の魔女・f20406)は、この島の不思議を目の当たりにして、パチパチと何度も瞬きを繰り返していた。そんな彼女を見て、類は小さく笑みを零して、口を開く。
「親しみを持ってくれるようにっていう、神様の気遣いかな」
「親しみ……」
類の言葉を口の中で繰り返し、いばらは神様達へと視線を向けた。確かに、|宿り神さん《旦那さん》のいう言葉には一理あると思える。厳かとか、凛としたとか、神聖とか、近寄りがたいとか。そんな雰囲気をこの守り神さまたちにはあまり感じない気がするのだ。
じぃーっと真剣な面持ちで神様を見つめるいばらの視線の先にいるのが、白くてモフモフの翼を持ったイルカの姿をした神様だと気づき、思わず類も、ふわりと口元を緩める。
――この島の守り神様たちは、可愛い子たちが多い気がする。
神様の素敵な羽に暫し視線を奪われていたいばらだったが、はたと気づいて慌てて顔を逸らすと、類にだけ聞こえる声で囁いた。
「今の、失礼だったかしら……」
心配そうにチラリとイルカの神様の様子を伺うと、どうやらいばらの熱い視線には気づいていなかった様子。大丈夫そうだとホッと胸を撫で下ろすいばらの頭をポンと叩き、類は神様たちを見遣る。
「僕らも神様のお迎えに行こう」
その言葉に思わず身体を固くしたいばらを見て、類は笑顔を浮かべて手を差し出した。
「緊張しないで大丈夫。――花冠に込めた気持ちのままに」
「……うん、そうね。お花さん沢山って、笑顔を見たくて頑張ったもの」
目の前に差し出された類の手にそっと自分の手を重ね、いばらは彼に導かれるままに神様たちが待つ砂浜へと歩き出す。
砂浜は、神様と島の人々とで賑わいを見せていた。
今しがた島へやって来た神様、島民の歓迎を受けている神様、島民たちを海で遊び、交流を深めている神様――。
大勢の神様たちを前にして、思わず圧倒されているいばらの傍らで、類は一匹の神様に目を奪われていた。
ふっくらとした体躯、ペタペタと身体を左右に揺らしながら、両手で上手にバランスをとって歩く様子や、ふとした拍子にこてんと首を傾げる姿。その、大きなペンギンの姿をした神様たちが気になり、思わず類は声をかける。
「こんにちは」
類に気づいた神様が、つぶらな瞳でじぃっと類といばらの顔を交互に見遣る。
歩く時に揺れるおてて、ふくふくとした立派なボディ。
(「近くでペンギンさんを拝見するのが無いから……やっぱり、じっとみちゃう……!」)
かぁわいい……! とキュンキュンする胸をぎゅっと押さえるいばらだったが、神様に向かって礼儀正しく頭を下げる類の姿に倣い、慌ててふんわりカーテシーでご挨拶。
類は、ちらといばらを見つめ、にこやかな笑みを浮かべると、再び神様へと向き直る。そして、膝をつき、視線を神様に合わせると、手に持っていた花冠を静かに差し出した。
「はじめまして、お会いできて嬉しいです」
類の意図を察した神様がすっと頭を下げてくれたのを合意と判断し、類はそっと神様の頭に花冠を乗せる。――が、花冠はストンと落ち、神様の首に掛かった。思わず、「あ」と声が出かかった類だったが、貰ったばかりの花冠を見つめ、嬉しそうな素振りを見せる神様の姿に和み、口元に安堵の笑みが浮かぶ。
続いて、いばらも――と思ったのだが、彼女がなかなか前に出てこない。
「リティ?」
「ちょっと、待って……!」
先程、類の花冠が神様の首に掛かったのを見て、急いで花冠のサイズを調整していたのだ。
花冠を整えて、改めて、いばらも類を真似て神様の前に膝をつき、視線を合わせた後、そっと神様の頭に花冠を乗せた。いばらの花冠は、神様の頭にピッタリで、良かったといばらの顔にもパッと笑顔の花が咲く。
頭と首元に色とりどりの花を咲かせた神様たちの華やかな姿に、類もいばらも満足そうに顔を見合わせ、二人同時に大きく頷いた。
「この後ですが、僕らこの島に来たのは初めてで。屋台で美味しいもの探ししようかなと思うんですがご一緒にいかがでしょう」
類の誘いに神様たちは顔を見合わせ、スッと首を伸ばして屋台が並ぶ広場へと視線を向ける。神様につられ、思わずいばらも屋台へと顔を向けた。そして、神様に顔を近づけると、類に聞こえないようにコッソリ話しかける。
「夫は宿り神さんなのだけど、お魚さんとお酒さんが好きなのですわ」
――お勧めの屋台さん、ご存知ならば教えて頂きたいわ。
いばらの頼みに神様は得意気に胸を張り、二人を連れて広場へと向かった。
花冠をつけた神様と人とで賑わう通りをひょいひょいっと器用に歩く神様の後を追い、二人が着いたお店は、海の香りが漂うスープが並ぶ店だった。
白い湯気が立ち昇る大きな鍋を覗き込むと、中から顔を覗かせていたのはふわっふわのつみれがたっぷり入った白身魚のスープ。魚介の出汁と塩で味付けし、爽やかなレモンを添えたシンプルなこのスープが神様たちのお気に入りのスープらしい。
また、他にリゾットも大人気ということで、店主が指差す先に視線を向けると、そこにはエビやイカ、貝といった海の幸がたっぷり入ったトマト味のリゾットがあった。チーズの芳醇な香りが食欲をそそる。
じぃっとリゾットに視線が釘付けになっているいばらを見て、類は柔らかな笑みを浮かべて話しかけた。
「リティはりぞっと気になる?」
「うん、リゾットさんもスープさんも美味しそう……!」
どちらもとっても美味しそうで、うーんうーんと迷いながら、いばらは、類はどうするのか、と視線で問う。
類はスープとリゾットを見比べて、ちょっとだけ考え込むと、リゾットを指差した。
「僕こちらにしようかなぁ」
「それじゃあ、リティはスープさんにしようかな。シェアすると両方楽しめるの」
「ふふ、ならすーぷと分けっこしよう」
いばらの言葉に、類も笑顔で頷き、早速、類は店主にリゾットとスープを一つずつ注文する。神様たちは? と尋ねると、揃ってスープの方を指したので、あわせて神様の分も店主に頼んだ。
屋台近くのベンチに腰掛け、早速、みんな揃ってスープとリゾットに舌鼓を打つ。
魚介の旨味をじっくりと味わう類だったが、そろそろと慎重にスプーンを口に運ぶいばらを見て、思わず声をかけた。
「熱々気をつけてね」
コクリと頷くいばらの傍らで、神様たちもゆっくりとスープを飲んでいる。と、ここで、ふと類はあることに気が付いた。
神様の手はペンギンの手。スプーンを使うのはちょっと難しそうだ。それならば、お口まで運んであげた方が良いか……。
類は神様たちのスプーンを借り、あーん、と口元までスープを運んでやる。つみれを食べて嬉しそうに満面の笑みを浮かべる神様たちの隣で、もう一人、あーんとお口を開けて待っているいばらの姿に思わず類は声をあげて笑った。
「リティ雛さんには、僕のね」
類にあーんして貰ったリゾットをぱくっと頬張り、いばらはその美味しさにきゅぅっと目を細める。口いっぱいに広がった魚介と程よいトマトの酸味を味わいながらゴクリと飲み込むと、お礼とばかりにスープのカップを掲げた。
「次はスープさんも如何?」
あーんと口を開けた類に、いばらはスープをお裾分け。ふんわりと柔らかな食感のつみれは魚の味がギュッと詰まっていて、爽やかなレモン風味のスープとの相性の良さに、思わず目を瞬かせた。
リゾットも、スープも、どちらもとても美味しくて、海の幸の味を満喫した一行は、「ご馳走様」と手を合わせ、ゆっくりと立ち上がる。
「他のも見に、散歩しにいこうか」
類の誘いに、真っ先に手をあげたのは、神様だった。何でも、是非二人にも食べてほしい氷菓があるというのだ。またとない神様からの申し出に、二人は、パッと顔を輝かせ、同時に大きく頷く。甘くひんやりとした氷菓を想像し、わくわくが止まらない。
この後に出会える、次の『美味しいさん』を楽しみに、いばらと類、二人どちらからともなく手を繋ぎ、神様たちと共に歩いて行くのだった。
大成功
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