【敵の姿】戦場のヤケアト・二
「先日の奇怪絡繰の暴走の件でありますが、やはり外部からのジャミングを喰らっていたようでありますな」
詳しい調査はこのあとになるのでありますが――ハラナキはそう告げる。
「犯人も概ね目星はついているであります。国粋革新会が一人、儀間鷲・誉麗! 元奇怪党員であるからして、彼女がなんからかの妨害をしてきている……までは分かっているのでありますが、具体的にどう、というのはこれからであります。次いで、虎屋・獅鉛も噛んでいる可能性が高いであります。何せ――彼は人心を操る面妖な術を扱うのだとか」
儀間鷲本人がなんらかの装置を使わずとも、虎屋が操る人員が一斉に装置を使えば――どうなるかは想像がつくことだろう。
「そういうわけで、調査、であります! 儀間鷲と虎屋、どちらもトラブルの元なのは確か。とはいえ、他に居る『四天王』の二人も見過ごすことはできないでありますな。どうにかこうにか調べは尽くしているでありますが、狙いを定めるのにはまずは相手を知る必要がある。……よろしく頼み申し上げます」
●
「そういうわけで、声がかかった次第だ」
区切・終(飢餓文学・f42796)はそう言いながら、手配書のようになっている四人の写真を見る。それぞれがトラブルをアナグラに持ち込んでいる面々だ、しかし打破するにも順序というものが要る。彼らを捕縛するために、相応の準備と順序を決めることは必要だろう。
「とはいえ、誰から捕縛するかはフクロウの中で意見が多かったものにしようと思う。連中も先細っていければいいんだが」
そういうと、儀間鷲は奇怪党に接近することはなく、ジャミングを繰り返していること、虎屋とは会話が可能なレベルに接近することが可能なことを述べる。また、残る黒武者・徹、軒・ミヂカについても調査は進めてほしいとのことだ。
「虎屋が一番こっちに友好的なんだがな……どうにか丸め込めればいいが、匙部長も駄目だった相手だ。ただ、会話から何か聞き出せるかもしれねぇ」
終はそう述べたのち、目を閉じる。
――うまいこと収拾がつくといいんだが、な。
tk
tkです。ボス決めのシナリオとなります!
このシナリオにおいては【1】【2】【3】【4】のすべてが集計対象になります。
プレイングにて相手にしたい対象を数字にて記載してください!
皆様の自由な発想のプレイングをお待ちしております。
第1章 日常
『プレイング』
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POW : 肉体や気合で挑戦できる行動
SPD : 速さや技量で挑戦できる行動
WIZ : 魔力や賢さで挑戦できる行動
イラスト:ヒトリデデキルモン
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
心深・逸楽
【選択】3:儀間鷲・誉麗
ふーむ、とりあえず、虎屋は話せるとこに居るし一番友好的なんだよな?
なら俺は一度儀間鷲・誉麗を調べたいね
ずっとジャミングしているのも気になるし…何より、女性らしいじゃないか!
女性なら、一度顔を拝んでじっくり話し合いがしたいって思うのが男の性ってもんじゃないかい?(楽し気)
なぁにが悲しくてこんなつまらん事してるのか知らないが
酒でも持参して一度ゆっくり話したいもんだ!
さて、とんだ美人と出るか蛇と出るか
顔を合わせるのが楽しみになってきたぜー!
【PLより】
虎屋が友好的なら、理由が分からないけどジャミングばっかしてる儀間鷲を調べたいなと
…虎屋との会話がここで途切れるとかないよね?
心深・逸楽(刹那の享楽に殉ずる男・f43647)は、さてどんな別嬪さんが居るだろうと考えながら、儀間鷲・誉麗の調査を開始する。
とはいえ、彼女自身がどこかを目立つところをたまり場にしていることはないらしい。
情報の伝手はどこからが良いだろうか――と考えていると、見知ったの人相がある。
――虎屋・獅鉛だった、屋台でおでんをつついている。
「大将、隣いいかい?」
「うん? フクロウさんか?」
虎屋は隣に座った心深の方を見て目を細める。どこか楽しそうでありながら、油断ならぬ気配がする。……しかし、会話は普通に可能なようだ。
「ちょっとあんた……じゃなくて、そちらに居る別嬪さんの話を聞きたくてさ。――儀間鷲・誉麗さんさ」
「ああ、彼女か! 元奇怪党員、今や自由な開発環境で大暴れの新進気鋭のメカニックってなぁ」
「……自由な開発環境」
ふむ、察するに国粋革新会は彼女に奇怪党よりも良い環境を与えて囲っているというところか――。
「いいのか? こんなこと俺に話しちまってよ」
「勿論、別にいずれ知られることや。最近はアナグラの奥の方にこもってオイルまみれになっとる」
美人さんなのに勿体ない、肩をすくめてみせる。
「下手に近づこうとすれば、奇怪絡繰で粉砕されるから気ィつけな」
「そりゃおっかない」
心深もまた肩をすくめる。どうやら相当なじゃじゃ馬のようだ。
「時に、何で奇怪党の奇怪絡繰をいじくりまわしているんだ?」
「彼女のコンプレックスみたいなもんやな。なんでも戦時中地上に居た頃戦火で機械を壊されまくったらしくてな? だったら自分が壊す側になればいいってなってもうたんやと思う。知らんけど」
思わずずっこけるものの、貴重な証言だ、聞き逃しはしない。
「コンプレックス、か……」
「ま、大なり小なり皆この時代を生きる人間は、そういう『焼け跡』を抱えているようなもんやろ。……ほな、せっかくやし、乾杯するか?」
グラスを向けられる。
促されるまま、乾杯、とかちんとグラスが鳴った。
大成功
🔵🔵🔵
鳶沢・ギンコ
【1】黒武者・徹について調べる
【内容】
馴染みのあるスラムや裏町の孤児などにこっそり情報を聞き周り
相手の行動パターン、徘徊する時間やルートを調べる
そのうえで対策室で今までの報告書などから追加情報を仕入れる
その後、立ち寄りそうな場所の物陰から盗み見て
相手にUCを発動してからその場を離脱する
(技能「情報収集、隠れる、目立たない、生活の知恵、瞬間記憶」など)
【心情】
「戦場帰りの亡霊」なぁー
ウチなんかは今生きているならそれでええやんって思うけどな
死に場所を求めてるいうんやったら
案外果し状や決闘みたいなもんに引っかかるかもしれんし
他の四天王と組まれる前にコイツだけでも除いといたほうが
良いんと違うかな
「……で、どうだ。『戦場帰りの亡霊』ってやつは」
「ちげえねえ……。――ガキには、甘い」
その報告にずっこけそうになりながら鳶沢・ギンコ(アナグラネズミ・f43549)は次の言葉を待つ。
「いや、大人だとめっぽう警戒してるんだけど、オレみたいなガキ相手だと飯までくれるんだよ。難しいことはわかんねぇだろってんで、口はあんまり滑らせないんだけどさ」
「ふぅん……他には?」
「うーん、ほとんど話してくれやしないからさ。でも、また会おうって言ったら『生きてたらな』って言うあたり、死にたがりって話はホントなのかもなぁ……」
●
鳶沢は対策部の報告書を広げ、睨みつけながら情報を整頓する。
多様な術を使用する攻撃性の高さ、それが復員してから自爆も辞さないために威力は更に増しているという。『四天王』の警護役であるからして、崩すのであれば黒武者・徹からというのは手である、他の四天王と組まれたら厄介という点は、違いがないはずだ。
「難儀やなー……あんまり相手したくないわ」
ぼやきつつ、しかし相手取らねばいけない時も来るのだろう。今生きているだけでそれでいいじゃないか――そう思うのに、大人というものは、どうにも分からない。
「……だから難しいことはわからんって思われるんかな」
――子供は存外、敏いものだ。
その死にたがりの向こうに、栄誉なんてものは、無いだろうに。
それは黒武者自身が無意識に一番感じていた、鳶沢もまた、それを想像して、資料を閉じた。
大成功
🔵🔵🔵
三途・彩絵
投票は【4】軒・ミヂカさん!
勤め先のパアラアで、帝都の街中で、人さらいの噂をきく。
「人さらいなんて、ぜったい、ずぇったい、許せません!」
パアラアのお客様の噂話を起点に、人さらいの情報を集めていく。
荒事の経験もなければ計画性もない、動機だけで突っ走る無鉄砲さに周りをはらはらさせる。
人さらい現場(下っ端)を目撃したり、口封じのための襲撃(下っ端)を受けたときに、破れかぶれでお化けの絵を描いて敵に付き出したらユーベルコード発動、初めて自分の能力を知る展開希望
そして、今回行動の最後に、やっと、ミヂカさんの名を知り、絶対止める、と使命感に燃える展開希望
「人さらいなんて、ぜったい、ずぇったい、許せません!」
勤め先のパアラアで、三途・彩絵(三途組の家出娘・f43678)は開口一番そうはっきりと告げた。
「そうだそうだ、人さらいなんて時代錯誤もいいこった」
客のひとりがそう言うと、賛同の声があれよあれよと集まっていく。
「そういうわけで、噂の方知りません? あたし、フクロウとして対策部に協力しているのよ。アナグラから人さらいが出てるっていうから、調べたくって」
なるほどなぁ、うーんそういう話はちらほら聞くが、アナグラかぁ行ったことがないなぁ、など複数のざわめきが聞こえてくる。その中で、そろそろと挙手するひとりの女性客。
「……実は私、さらわれかけたことがあるの」
「えっ!? それは大変じゃないですか……!?」
「警察が近くに居たから助かりましたが……ひとりの人間をよく狙っているようです。複数人で囲むようにしようとしてきたので、大の男の人でも連れ去られちゃうかも……」
「なるほどなるほど……」
それは大変だ……と眉間にシワを寄せながら、三途は考える。どうしたものか……。
「おとり捜査、とか一番かしら?」
「おいおい、そうしたらあんたがさらわれちまうよ」
●
こうなれば張り込みしかあるまい、もしくは……おとり捜査。
しかしおのれがさらわれてしまっては元も子もないことも理解している、それほど無謀ではない……と思う。
だから人ごみの中で怪しい動きがないか、見ている。そうしていると、道から外れて路地裏に向かう女の子が居る。
――大丈夫かしら?
心配になって追ってみれば、何人かの男が、女の子の方へついていくように――そしてそれはとうてい、彼女と付き合いがあるようには見えない――足早に、次第に駆け足になっていって。
「きゃ……!」
女の子が男に手を掴まれている。
「お待ちなさい……!」
思わず声をかけて、でも、どうすれば? 自分自身もさらおうと手を伸ばす男達へ、破れかぶれに何かちらつくものがあって、咄嗟に何かを『描いた』。お化けの絵、どうしてこんなものを描いたものか自分でもわからない。ただそれは、男達をあっという間に気絶させていく――こんな力が自分にあるとは思わなかった、ただ、今はそれよりも。
「の、軒サン……こんなの、聞いてな……」
「……! どなたですの、そちらは!」
――軒。確か対策部からその名は聞いている。軒・ミヂカ!
「こんなこと、絶対に、止めさせないと。――大丈夫、ですか?」
へたりこんでいる少女へ手を差し伸べながら、決意を新たにした――必ず、アナグラの闇を照らしてみせると。
大成功
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鈴生・ナナキ
【1】「はじめてのおしごと!がんばるぞー!」
でもでも誰がいいかなあ、うんうん首をひねって悩みます。出てくる前に、だれかに相談してくればよかったナア
「そういえば、くろむしゃ?って人をつかまえるって聞いたなー」
なにかお話聞けたら褒めてもらえるかな?
もしつかまえるのに役に立ちそうなお話だったら、みんなも楽になるはず!
かくれんぼしながら人探し
こっちに気づかない人たちにくすくす。楽しいな、楽しいな
隠れながら、目当ての人がどこにいるか聞いて、探しにいきます
目当ての人に見つかっても怖くありません。なんたってとっくに死んだ身です
逆にお話が聞けるかも?おしゃべりしに行きましょう
「われたち、ナナキ!」
「はじめてのおしごと! がんばるぞー!」
ふんす! と両の手を握って、鈴生・ナナキ(七宿し・f44279)は気合を入れる。悪霊という身ながらフクロウとして対策部に身を置く彼は、七歳という極めて若年ながらもそのやる気は充分であった。
――でもでも、誰がいいかなぁ……。
四天王? を調べてるって聞いた。四天王、つまり四人の人で、どれもこれも厄介らしくて、それぞれ強くて……。
これは難題だぞ、出てくる前に、だれかに相談してくればよかったナア。
「……そういえば、くろむしゃ? って人をつかまえるって聞いたなー」
くろむしゃ――黒武者・徹。フクロウ達にとっては、他の三人の護衛や補助を務める非常に厄介な存在である。『戦場帰りの亡霊』、という異名もあるんだったか。
「ぼーれー……亡霊……『われたち』と同じなのか~!?」
一気に興味が湧いて、『彼ら』は弾けるように対策部から飛び出た。
●
かくれんぼしながら人探し!
こちらに気づかない人々へくすくすと笑う、楽しいな、楽しいな。
「ねえ! くろむしゃって知ってる!?」
ぴょ! と人の前に顔を出せば驚かれて、その様子にまたくすくすと笑う。
「黒武者……黒武者・徹のことか?」
「うん! 知ってるのか~?」
「知ってるも何も、スラムで時々幽霊みたいにうろついてるから怖いったらありゃしないよ。あれでショバ代取りや人さらいの護衛しているんだもの」
●
「ね、なんで悪いことのお手伝いするの?」
「……」
探してみれば、黒武者・徹は居た。子供の幽霊、の姿に、痛ましそうな顔をしている。
「あ、つらそうな顔。……われたちのこと、かわいそうに見える?」
「……子供の幽霊は、あわれだ」
「そうなのかー? そうなのかー」
あまりにもつらそうな顔をしているものだから、別に平気だぞー? と言うと顔を背けられる。……この人は、本当に悪いことをしているんだろうか?
「大丈夫だぞ! われたち、ナナキ! 魂ななつ、さみしくない! ……さあ、さっきの質問に答えるのだー!」
「……」
黒武者は小さくため息をつく。そして。
「死ぬためだ。悪いことをしていれば、捕まえてきたり、攻撃してくる人間がいる。それに国粋革新会の目的も、無謀で嫌いじゃない。……その戦いの中で死にたい」
「死ぬために悪いこと? 戦いの中で死にたい? ……変な話なのだ……平和な今で、わざわざそんなこと……?」
率直な幼子の疑問に、黒武者は目を伏せ、そして何かを鈴生に渡した。
「あ! 飴!」
「今日のところはこれで勘弁してくれ。……お前のらような子供は……苦手だ」
●
「悪い人に見えなかったのだー」
もらった飴を舌で転がしながら鈴生は考える。
悪い人には、見えなかったのだ。
……何かに置き去りにされたような、そんな人に見えた。
大成功
🔵🔵🔵