このビルは全力で熱暴走しました
#サイバーザナドゥ
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●全ては夏のせい
サイバーザナドゥの一角に建つ、このとあるビルは、元々IT労働社畜さん専用の巨大休憩施設だった。
下層には、疲れを癒やす酒の一杯を飲む為の、バラエティ溢れるメニューを揃えた居酒屋の数々。
中層には、ストレス発散の為の、カジノや酒を飲みながら遊べるレトロゲーム、最新機能を備えた多種多様なバーチャル体験ゲームの数々などなどエトセトラ。
上層には、社畜たちの疲れを癒やす為の、スパに始まり、バーチャルにエレガントな夜を再現しつつもスライダーまで付いているはっちゃけたナイトプール。もちろんビーチサイドバーなども併設されている。
――というような。就業後は、それらをヴァーチャル・リアリティ(VR)で彩った、ビル内施設が遊びたい放題となっているIT企業――。
それは一見、楽園に思えるのだが。そこはちゃんとサイバーザナドゥ。
一度入社したら、すべての施設が使い放題の代わりに、労働社畜の皆さんは、一歩も会社から出ることは許されない。
入社したら、ずっとこのビルと地下につながる本社ビルの往復するだけの人生が待っている。
給料、あるいは待遇に騙された人も多くおり、そこには涙なしには語れない物語が山ほどあった――のだが。
今年の夏。サイバーザナドゥは、ある日、記録的な猛暑日があった。
日照りのような暑い夏。そこに若干の機械老朽化も交えて、このビルの制御機器は簡単に暴走した。
それは、社畜さんが二度と出られないと嘆いた、隠され封印されていた扉をフルオープンしたのである。
その異変には、誰もが気付いた――それはもう。いきなり隠されていた出入り口が現れたどころか、自分達の着ているくたびれたスーツが『VR機能でいきなり水着着用状態』に陥っては。
●全ては暑いせい
「まあ、という訳で――社員さんが殆ど逃げ出しちゃったから、修理が完了するまでの間。ちょーっと金で買収――もとい、お借りしたのよね」
買収と言った。もはや予知ですらない。
そう告げた、アリスティア・クラティス(歪な舞台で希望を謳う踊り子・f27405)は、しばし思考を巡らすように視線を上に向けてから、自信満々に頷いた。
「ええ、猟兵にも休みは必要でしょう? この機会に是非遊びに行ってくるのが良いと思うわっ。ただ内部の人はどんなに厚着にしても、VRのシステムバグで問答無用で水着になるから気をつけて」
何やら、さらりと呼吸するようにトンデモな情報を交えながら猟兵は続ける。
「でも、ナイトプールの水とかは本物だから、全力で遊びたい人とかは物理で水着か身軽な服で行ったいいかもしれないわねっ――ちなみにVRな水着だけれども、全裸だとビルの防錆システムで叩き出されるから気をつけて」
人を強制的に水着にする割には、やけに公序良俗には厳しいビルヂングである。
そうして、猟兵は未成年の飲酒は禁止だの、タバコは決められた場所でだの、まるで本当に夏の遠足にも似た事を並べつつ。
「それでは、気軽にどうか宜しくお願いするわねっ」
一区切りついたところでそう告げると、ひとつ満足げに頷いた。
春待ち猫
せっかくの夏。水着がある方も無い方も好きにバカンスを楽しむにはどうしたらいいのか――「そうだ【全員、水着にしよう】」という、本気だけれども少し頭は熱いかも知れないことを考えてみました、春待ち猫と申します。どうか宜しくお願い致します!
●シナリオについて
3章編成の全章『日常』シナリオです。プレイングによりますが、大体オープニング程度に軽めのものを想定しております。
◯第1章は、ビル下層部。居酒屋による食べ歩きです。基本、リーズナブルなお得感がウリです。しかしバラエティが豊富で、デザートから何から注文すれば大体何でも出てきます。
時折、ストレスを溜め込んだままに残った社員が暴れているかも知れませんが、登場は任意です。スルーも殴るもご自由に。
◯第2章は、ビル中層部。レトロゲームからカジノ、博打にミニカーレース、カードゲームまで。娯楽場として、ありとあらゆるものが取り揃えられております。フリーダムに遊んでいただければ幸いです。
◯第3章、夜空を思わせる屋内スパとウォータースライダー付きの大きなナイトプール。大きなバーも併設されております。ご自由にお寛ぎ下さい。
(※公序良俗に露骨に触れるもの、未成年の飲酒描写等のプレイングは流させて戴きますので、予めご容赦下さい)
今回はシナリオ上【皆様、全員水着】になります。
空気を読むVRなので、元から水着お着替え済みの方は、VRでもそのまま再現されます。
(水着コンテストご参加済みなど、イラストをお持ちでプレイング文頭に参照にしてほしい水着が御座いましたらご指定下さい。是非参考にさせて戴きます)
水着を持っておられない方は、プレイングに【描写不要】の記載、もしくは【着てみたい水着】をご記載下さい。
(※【着てみたい水着】につきましては、アドリブ・アレンジ要素が高くなります。アドリブしか無くてもイメージと違っても大丈夫、という猛者様は【おまかせ】とご記載いただければ、似合いそうな水着を当方が勝手に妄想して描写致します。【描写不要】は水着には触れません)
●進行について
公開後より、プレイングを受け付けております。特定の章のみのご参加も大歓迎です。
参加人数様によりましては、サポート様のお力をお借りしてクリアしていきたいと考えております(サポート様の水着描写は致しません)
以上となります。それではどうか宜しくお願い致します!
第1章 日常
『サイバー居酒屋の夕暮れ』
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POW : 好きなメニューを好きなように飲み食いする
SPD : 店主や他の客のオススメを頼む
WIZ : 他の客との世間話を楽しむ
イラスト:del
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ルナ・フィネル
『ここがそのビルディング?』
今だけ(正確にはバグが直る間だけ)遊び放題なのでぜひ遊んでいらっしゃい、と説明を受けたビルの入り口の前に立ち仰ぎ見る。VRは聞いたことはあるけれど試したことはなかったので、興味本位で来てみた次第だ。流石に最初から水着で街中を歩くなんて度胸はないから、今は普通にタンクトップにショートパンツ、サンダルのいで立ちだけれども。
中に入れば若干の小さな電子音に続いて黒のビキニに変わった。わーお、VRゴーグルもなしでいけるとは凄い技術だ、と感心しながらまずは下層にあるという居酒屋へ。注文すれば大抵のものは出てくるという話だ、軍資金もそこそこ持ってきてある。
『シュラスコあるかしら、あれにかぶりついてみたかったのよね、バーベキューの串焼きみたいに野菜も間に挟んであると良いのだけど』
それからラムチョップも欲しいし、箸休めにガーリックトーストにカプレーゼ!締めはジェラートがあると良いのだけど!
沢山の居酒屋が並んでいるのか、それとも1件が全てを受け持っている?わくわくしながら向かった
柳・依月
【水着コンテスト参加済、ステシトップ参照】
なんだかサイバーザナドゥらしい?とんでもない話が始まったと思ったら……制御機器が熱暴走した結果全員水着強制ってどういうこっちゃ。
まあいいや、そういうことなら存分に楽しませてもらおう。俺も今年は水着を新調してもらったしな、ふふ。
居酒屋か。こういうのは食事はもちろんのこと、会話を嗜むのが醍醐味だと思うぜ。(WIZ)
アドリブ・連携歓迎!
●女神の胃について小一時間
「ここがそのビルディング? っていうか、世界も凄いけれども――」
猟兵が転移を促した先。
煌めきながら光透ける澄んだ金の髪を揺らし、近未来の地球サイバーザナドゥの地に降り立ったルナ・フィネル(三叉路の紅い月・f44133)は、しばし受けた軽度のカルチャーショックに、驚きとも途方に暮れるにも近い表情で、ビルと自身の周囲を見渡した。
ギラギラしている。窓には昼夜問わず明かりが灯り、ビルも大地も、いっそ人までメカニカしい。そうしなければ人類は存在できないのだという、人間に混じって生きてきた女神にしてみれば、それはかなりのデッドラインのような気もしなくはないが。
それにしても、今回の依頼――もとい休暇は、原因こそ若干ほの暗いが平和そのものである。
「わー……」
今、目の前に建つビルもかなりの高層。構造的に吹き抜け階もあるのだろうが、とにかく『派手なビル』というのが印象的だ。
VRというものも、聞いたことはあるが今回の話にあるほど大規模なものは試したことがない。そういう意味ではとても興味が湧くというもの。
水着の持ち込みオッケーとは言われたが、流石に転移先の勝手が分からない以上、初手から水着は躊躇われる。その為、今はスマートな黒のタンクトップにデニムのショートパンツ、シンプルな白のサンダルという出で立ちだ。
「さっそく入ってみましょう。楽しみねっ」
だが、沸き立つ好奇心を前に躊躇いというものはない。ルナは早速、ビル内に足を踏み入れた。
ほぼ同時刻――
「……なんというか、サイバーザナドゥらしいというか、とんでもない話が始まったと思ったら……」
ルナがビルの中に消えたのち、入れ違いにその前に立った柳・依月(ただのオカルト好きの大学生・f43523)はグリモアベースの話を反芻していた。
サイバーザナドゥには、仕事場である本社ビルとリフレッシュスペースのビルを往復するだけの人生――『一度入社し足を踏み入れたら、二度と外には出られない会社』がある――と聞けば、それはもう依月の得手とする都市伝説の七不思議のベースとしては十分であろう。
社会等のこのような人間の集合体の中から、SNSや電子掲示板と通じて『|自分のような話《ネットロア》』は生まれ、派生していく――それなのに。
制御機器が熱暴走した結果――『全員水着』が強制イベントになりました。
「は?」
本当に、『は?』である。普通、近年のデジタルオカルトを交えても、ここまで突拍子のない話にはならなかったであろう。
実在しているとなれば、それはそれで非常に厄介なのだが――根底の話題としては悪くなかったものが、どうしてこんなにもホラー要素台無しなものになってしまったのか。
「まあいいや、そういうことなら存分に楽しませてもらおう」
持ち込みの水着をしっかり反映させてくれる空気の読めるVR――もしかしたらこれが一番のホラーかも知れないが――そのおかげで、ビル内施設を水着で堪能できるという。依月も今年はUDC組織の支援もあり新しい水着を新調してもらったばかり。しかも、それが満足行くものとなれば思わず小さな笑いも零れるというものだ。
いざ、とビル内に立ち入れば僅かに聞こえる入場者探知の機械音。同時にピッと音を立てて、依月の姿が一瞬で切り替わった。
まず目に入るのは、艷やかかつ肌触りの良さそうな薄手の黒の生地。それで仕立てられた、水の滴をなめらかに流れ弾くのが目にするだけでも想像出来そうな、見るだけで上質であると分かる羽織物。上半身の胸を露わに依月の細い腕をうっすらと透かしたそれは、夏場でも色合いに反して玲瓏な涼しさを浮かび上がらせている。
また、水着の腰にはベルトで留められた黒に桔梗麻の葉に近い文様の巻きものと、そのインナーの裾部分には籠目が誂えられているなど――水着は、要所に浮かぶそれらが依月の在りようと好みセンスをそのまま顕にしている素晴らしい一揃だった。
「ふむ」
依月は自分の体をひとしきり見渡すと、よしとひとつ頷いてみる。瞬間、ふと。
「あ、他にも人がいるー。このビルにいるって事は猟兵の人?」
少し離れた所で声が聞こえた。
依月が顔を上げれば、同じ黒でも二の腕から何から惜しみなく曝したビキニ姿をした同年代のと思わしき女性――先にこのビルに入った猟兵のルナがいた。
こちらは、黒のタイサイドビキニ――両端が細いリボンの結び止めとなっているボトムは、リボンのファンシーさと、結び目近くにつけられたキラリと光る金のアクセサリーが対照的に大人びたアクセントとなって、とても良く目を惹いている。
トップの布面積は胸全体まで覆わないセクシースタイル。胸下は黒の紐がアクセントとして交差しつつ、きちんと胸元などの要所をアクセで押さえながら最終的に後ろ背に結ぶスタイルだ。
色白の澄んだ肌色が大胆に露わになっているものの、それが下品に見えないのは一重に、外見年齢二十歳という若さと健康的なスタイル美人という、種族『女神』の造形美の特権とも言えるであろう。
種族はさておき、目に入るのは同年代の美女。色よりも造形的な面で、依月は軽く「おお」と感銘を呟くものの、すぐに何事もなく相手に向き直り、軽い形で会話へと流れを定める。
「まあな――君も、夏の休暇と云うところか?」
「そうそう、これから居酒屋にいこうかなって。一人で居酒屋のハシゴもどうかなーって思ってたのよね。もし、あなたも一人なら一緒とかどう? 一人で物を食べるのって結構わびしいのよね……」
「それは願ったり叶ったりだな。食事はもちろん、こういうところでは会話を嗜むのが醍醐味だと思う」
「決まりねっ、せっかくの『何でも出てくる料理!』楽しんでいきましょう!」
「それにしても、VRゴーグルも無しにこれは凄い技術よねー。うんっ、イケメン!」
ルナが無邪気に好奇心溢れる目で隣に並ぶ依月の水着姿を見ながら、本人的には全く他意はないであろう事が伝わる、純粋な褒め言葉をぶつけてくる。
「いや、照れるな……」
臆面、という物を知らなさそうな無邪気な存在に褒められれば、本来『固定の姿を持たない』依月も、自分が作り上げた外見について触れられれば悪い気はしないものだ。誤魔化しはしたものの『ちょっと嬉しい』――そんな感情を一瞬だけ、こそりと滲ませながら、依月とルナが歩いた先。
そこには、ずらりとテナントに入った飲食店――居酒屋が所狭しと並んでいた。
「ほとんど逃げ出したって聞いていたけれども、思った以上に働いている人がいるのねぇ」
「そうだな、もっと活気まばらみたいなのを想像してたが――」
「あ、この居酒屋テイクアウト受け付けてるって! 見ながら歩くには丁度いいかも」
ふたりとも財布はそれなり。札束ビンタをすれば人がひれ伏す――そんなサイバーザナドゥにとっては、お金を持っているだけでも十分なお客様だ。早速、最初のお店でルナは少しスモールサイズになると聞きながらもお店でテイクアウトをしているという、ガッツリとした肉の塊――シェラスコを注文する。
「いきなり重たいもの食うなっ? 君!」
「これ、前々からかぶりついて見たかったのよねー! 間に野菜が挟んであると健康的……あ、これパイナップルかしら。凄い、野菜とはほんとに無縁」
「いきなりボリューミーな肉料理……俺も一本行っとくとするか」
いきなり自分より小柄な女性に冒頭から食事量負けしているというのも、会話をする上ではどこか肩身が狭いというもの。食べ歩くには相応に、と試しに同じものを注文したが――食べ終えた頃に見つけた、ひとつ大きな目を引く居酒屋に入って腰を落ち着けた時、依月はそれを後悔する事になる――。
「確か、頼めば大体のものは出てくるのよね。じゃあラムチョップも食べたいかも」
「本気か!? さっき肉食ったばかりじゃないか!」
ルナは早速出てきた、骨付きの肉のラム肉の塊を、がっつく様子が無いのが却って恐ろしいほどに、ぺろりと平らげて満足そうに頷いた。
そうして、ようやく胃を落ち着けたのかと思いきや。
「うんっ、箸休めしましょう。ガーリックトーストとカプレーゼ!」
「まだ食うのか! あ、カプレーゼは俺も欲しい。料理はどれも美味そうなんだよな……」
もう注文を待ち焦がれていたかのように、頼めばあっという間に出て来たものはふんわりと香ばしい匂いを漂わせるトーストと、トマトにチーズ、バジルの組み合わせ。それは胃にそこそこ重量があっても、今までと比較すればまるで清涼剤のように軽く美味しく見えてくる。
そちらは、依月もきちんと食べ切って。満足感に脳からほっと息をついた、矢先。
「締めはジェラートがあると良いのだけど! アイス山盛りタワーパフェとか乙女の夢よねっ」
「もう、見てる方が胸焼け起こしそうだな――! 俺はそろそろ日本茶があれば……」
段々、本気でルナの胃のキャパシティについての不安が湧き上がってくる。しかし流石に締めと言っている所で、これ以上は――
「見た限り、他にも居酒屋が並んでいるようね。何でも出てくるけれども、専門は違うとかありそうだし、ちょっと他にも覗いてみましょ! 見ただけでも、あと五店舗はありそうだから試しに全部入って――」
「待てーっ!!」
ビルディング下層――。
こうして、食事はもちろん人と接して会話を嗜むという点において、依月の目的は確かに達成された。
――の、だが。
「あー、食べた! ごちそうさまでした!」
「………………」
歩き進むルナが、お腹いっぱいと満足いっぱいに微笑む頃には――隣りにいた依月が食傷を負って若干グロッキーとなっていたというのは、少しばかり避けられなかった悲劇なのかも知れない――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 日常
『サイバー遊技場』
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POW : とにかく全力で遊びまくる
SPD : 自分の得意な分野で勝負する
WIZ : 策を巡らせ、一瞬の勝負を狙う
イラスト:del
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ウォルター・デイビッド
アドリブ・連携歓迎
■いかにもな眼鏡のデータキャラ。眼鏡をクイッとしたり口癖は「こんなの僕のデータにないぞ!」という感じの眼鏡です
水着はお任せいたします!
「フフフ…物珍しいゲームも見えますが所詮はお遊び…この僕の頭脳にかかれば児戯の様なもの…」
自信満々、手始めに近場にあったゲームに向かうとまずは軽く一敗
フフフ今のは様子を見ただけですからね?ルール把握などもありますからね?そして一敗。フフフご安心を今のプレイで完全にこのゲームをマスターしましたよ…一敗。こ…こんなの僕のデータにないぞ!…一敗
いつの間にか発動したUCで外部からの声もシャットアウト。これは最早男の維持。勝利まで止まらない…一敗
●VR人生ゲーム「社畜でGO!」~苦戦は続くよどこまでも~
ビルディング中階層――薄暗く青い照明の中で、無数の階層に渡り、幾重にも重なるように表示されるVRモニターと数多の筐体が並ぶ空間に一人の青年が現れた。
出で立ちは、ビルに立ち入った際に『問答無用!』と言わんばかりにVRで重ねられた水着――少し柔らかなシルエットを形どった手触りの良い淡いブルーグレーの長袖パーカー。ボトムはアイボリーを更に薄くした厚手のオフホワイト生地をもちいて、型通りではなく少々ゆったりした幅を持たせた、太ももまでの丈があるボクサーショーツ。そこに、墨色のトーンで刷られたシックかつ繊細なタッチで描かれたヴィンテージアロハのデザイン。通常、無駄にゴテゴテしくなるアロハの葉花がモチーフながら、そこに下品さがまるでないのは、そのデザインと精密さからなるもの故であろう。
それらは――彼、ウォルター・デイビッド(世界は理不尽に出来ている・f44256)の姿を見る万人が、『見るからに後衛ですね!』『明らかに後方支援職ですね! 分かります!』と疑わない【外見は、内面の一番外側】を地で全力疾走するウォルターの印象を、覆すも否定するでもなくやんわりと穏やかにするものとなっている――
の、だが、
「フフフ……物珍しいゲームも見えますが所詮はお遊び……この僕の頭脳にかかれば児戯の様なもの……」
ここで、掛けたメガネをクイッとする。クイッと。
そう――これだけで、名実共に【インテリ眼鏡】の座を不動のものとするだけの存在感は、もはや絶賛に値する。
眼鏡ひとつ光らせれば、空気を読む強制水着VRも自我があった日には、こちらが場違いであったのでは、とタジタジであったに違いない。
早速、ウォルターは全ての電子ゲームは自分の手の内にあるという余裕を伴い、目についたひとつの広い箱型筐体に踏み込んだ。電子ゲームの種類など、この場のゲームを全制覇してしまえばその中のひとつでしかなく、当然ウォルターも呼吸するようにそれをクリアして通り過ぎるつもりであった。
筐体内の巨大なVRモニターに文字が浮かび上がる。タイトルは【VRライフ双六ゲーム「社畜でGO!」】――。
どうやらルーレットを回して、サイバーザナドゥの平社員人生から大富豪に成り上がれるかという、ここの社員にしては夢のような――少し悪夢かも知れない、人気ゲームであるらしい。
「フッ、デジタルルーレット形式ならば、必要なものは目押しとズレから発生する乱数計算のみ……余裕ですね」
そうして余裕綽々、ウォルターはこれが少々のプレイ時間の長さと、1プレイヤー毎に箱筐体を用意する程の大規模ゲームな為もあってか、若干他のゲームよりお値段のする小銭を入れると、早速ゲームを開始した。
プレイ時間は短めの十分ほどであるが、非常に奥深いゲームである――そしてまずは、少しの借金を残しつつ平社員のまま人生を終えて一敗。
しかし、ウォルターの口端には笑みが浮かんでいる。その自信は揺らぐことはないと言うように。
「フフフ、今のは様子を見ただけですからね? データ収集こそが全て。ルール把握などもありますからね? もうルーレットの目については完全なる把握をしましたから――」
そして、チャリーンとお金を入れて再び再スタート。
今度は、どうやらまだ遊び呆けている社員が残っているのであろう、そちらの『人間を交えてのゲーム』に、相手からボコボコに所持金やら土地を奪い取られての一敗――。
「何故だ!!? 人間の乱入などデータに無――い、いや、逆に感謝しましょう。これで完全にこのゲームの勝ち筋をマスターしましたよ……」
チャリーン。
今度こそは順風満帆――しかし、
【あなたは、気立ての良い清楚な女性から真摯なプロポーズを受けて結婚しました】
「け、結婚!? し、しかも、僕に真摯なプロポーズ……っ!?」
VRに映し出されたたおやかで可愛らしい女性が微笑みかける。
――これはバーチャルでしかない。分かってはいるのだが――
【あなた一筋の彼女は、郊外に移り住んであなたと慎ましくも幸せな人生を送りたいようです。__Yes or No__
(※ここでYesを選ぶと、出世街道からドロップアウトします!)】
「こ……こんなの、僕のデータにないぞっ!!」
――一敗。
「こ、これは油断だ、ほんの少し油断しただけで……! マス目さえ把握できればこんな事故は――! 次、次こそは! 次! 次!!」
そんなウォルターに迫りくる、株暴落、子供がグレた損害賠償、車事故による大破! MAPの目は覚えていても、流石サイバーザナドゥのゲーム機。ルーレットの出目による乱数変化はスパコン並であり、そこにウォルターの起こす性質である『三回に一回は発生する【想定外】』とが、ものの見事に重なってしまったのである。
「き、聞いてない! こんなの僕のデータにないものばかりじゃないか!! 次ー!!!」
流石に筐体から聞こえる阿鼻叫喚。
この場を管理するビル内に残って仕事をしていた稀少なスタッフが、筐体外から心配そうに制止の声を掛けるが――夢中集中のあまりに発動したユーベルコードによるオーラによって声から何から完全シャットアウト。
ここまでくれば、最早勝利するまでが男の意地。
次こそは、と重ねる金額と、受けるメンタルダメージこそが勝利への軌跡であり勲章だ。
チャリーン。そして、次の小銭の音が鳴る――ウォルターが勝利を勝ち取る、その瞬間まで――。
成功
🔵🔵🔴
ルナ・フィネル
「お腹も一杯で満足満足!」
下層でしこたま食事を堪能した肉食女神は次なる戦場へ。聞けば中層部はゲーム場なのだという。今までプレイングゲームは兄相手にお遊び程度のポーカーぐらいしかやったことが無いけれども、さてはて。
「なにか腹ごなしにもなって私にもできるものはあるかしら?」
流していた髪を纏め、若干位置高めのポニーテールへ。やる気は十分、ぐるりとフロアを見渡しながら、確かめるようにゆっくり歩きだした。コインゲームは見たことはある。でもこれって確か出目が操作されてるんじゃなかったかな? カジノ…は今日はやめておこう、すってんてんになったら目も当てられない。ポーカーだって勝てるかわからないし。サイコロを使った博打も単純そうだけれど、こういうものこそ危なかったりする。しかもこれらのゲームは腹ごなしにはならない!(ここ大切)
そうしてフロアの一角、いわゆるレトロゲームエリアで一つのゲームを見つけて目を輝かせた。
「これ!ちょうど良さそうね!」
そこには、エアホッケーの台があった――
アドリブ・連携歓迎です。
●食べたら運動しなくっちゃ
「お腹もいっぱいで満足満足! さて――それにしても、これは凄いわね」
サイバーザナドゥ、ビルディング中階層――遊戯場。
足を踏み入れたルナ・フィネル(三叉路の紅い月・f44133)はVRにより華やかに外見がモデルアップされライトアップまで施された、その一画を眺め見ていた。
印象、やっぱり『ギラギラしている』これに尽きた。
立ち並ぶゲーム機器はどれもが眩い光を放っており、それが数十台と並んでいればその光が目に障る感覚は想像に難くない。
カウンターには有人にて、コインを賭けての幾つかゲーム――カジノも行われている。
やはり会社を逃げ出した人間も多いが、逃亡イコール失業の恐怖からそのまま残っている人も一定数いるようだ。
「こういうプレイングゲームは、兄相手にお遊び程度のポーカーぐらいしかやったことが無いけれども……なにか腹ごなしにもなって私にもできるものはあるかしら?」
暑い夏でありながらキューティクルも完璧、ベタつきもない金髪をさらりと掻き上げ、ハイポニーテールに近い形で一つに結びあげる。隠れていたうなじから背筋へのラインが流れるように露わになり、健康的な雰囲気ながらも透けるような色白の肌が浮かび上がった。
そして、サンダルからVRで浮かび上がった藁の編み上げミュールで一歩足を前へと向ける。
ぐるりと見渡した先――広がる世界は、時折見える人間がただ小さな異物に思える程の、途方もないデジタルの海だった。
「よしっ」
下層では限界までの肉三昧であったルナは、さっそく気合と共にフロアを巡る。
今いるエリアはやはり賭博が主であるらしく、現金で買ったコインを入れて遊ぶ一人用のコインゲーム筐体が並んでいる。
「これは見たことがあるけれども……確か、こういうのはカードもルーレットも出目が左右されているんじゃなかったかな?」
もちろん、そうなれば有人のゲームフロアも然り。ルナもポーカーには多少なりとも心得はあるが、相手はカードの達人であり。かつ、熱中する万人から金を巻き上げるプロである。
ふと、傍らで軽やかにダイスを振る音が響き渡ったが、あれこそポーカー以上に単純故に熱中しやすく、我に返った時には綺麗に一文無しにされている可能性が高い類のものだ。
その辺りは、ルナは特に遊ぶ理由もなくスルーする。
同時に特筆すべき事があるとするならば、
『テーブルゲームでは、腹ごなしにはならない!』――これである。
ルナの中では、現状これに上回るものは最早何も存在しない。『ここはテストに出ます』このくらいには最重要優先事項なのである。
「んー。何か楽しくて、運動になりながら遊べるゲームとかあると良いわよね……あ、あれは!」
ルナが歩き進めた先、そこには現金硬貨によるワンコインゲーム――モグラを叩いたりバスケットゲームのシュートを決めるなど――オーソドックスかつレトロな王道娯楽ゲームの筐体が無数に並んでいる一画。
その中でルナが目に留めたもの、それは、
「エアホッケー!」
小走りに駆け寄るそこには、台面は滑る氷を思わせる既に遊び尽くされあちこち擦れた青白のアクリル板。ルナの立つ反対側には狙うべき得点ゲートが見え、手元にはタレットと呼ばれる弾となるパックを弾く道具が、今か今かと待ち焦がれるように置かれていた。
「楽しそう――でも、これ二人用なのよね? 相手がいなくちゃ出来ないし……」
「お、見ない顔だな。新入社員かい? ……ひっく!」
そこにふと。VR効果で海パン一丁のベロンベロンになりながら、ルナに声を掛けてきた存在がいた。
労働社畜の、オッサンである。
「うわ、お酒臭い!」
「懐かしいなぁ……昔は、俺も同僚と夜通し上司への鬱憤をパックにぶつけてエアホッケーしたもんだよ。なのに……」
ぶわぁっと、目から涙を吹き上げてみせるオッサン――もといおじさん。
ルナは、根底にあるこの会社の社畜システムから何があってもおかしくないと、並々ならぬ事情の気配を察し判断して、ただ頷く――
「――皆揃って、今後生活出来る金とお嫁さん捕まえた瞬間、会社辞めやがってぇ!!」
杞憂だった。この会社、どうやら辞めるのは自由であるらしい。
「もう自棄だ! 新入社員! この入社歴25年のベテランに負けたら酒の一杯でもおごりやがれぇ!」
「嫌よ、酔っぱらいに払うお金なんかないんだから。でも、いきなりタカるなんていい度胸ね。丁度良かった、相手がいなくて困ってたのよ――勝てばいいのよね!」
こうして――勝負の幕は切って落とされた。
光り輝くエアホッケー台。ピコーンというレトロな音と共に、台上へ射出された射出されたパックを、先攻の酔っ払いが酒に酔っているとは思えない勢いでマレットを滑らせ、文字通り瞬きの間もなくルナのポイントコーナーに叩き込んだ。
「がはははは、酒が一歩近づいた!」
「速い……っ! これは本気を出すしか……!!」
その後の試合は、音速を超えた。
弾けるパック、手先の一切見えない互いが動かすマレットの残影。無駄な動き一つ許されない中、得点は両者一歩も譲らない。
しかし、
「うりゃぁあああ!!!」
ルナの気合を込めた光速の一撃が、文字通り光りながら、最後、相手のポイントコーナーに爆発音と錯覚しそうな音を立てながら突き刺さる――否。錯覚どころか、実際にルナのシュートの激しさに、物理で筐体が衝撃に小さいながらも圧のある爆発音を立て、煙を上げ始めたではないか。
「きゃぁあ! ど、どうしよう!」
酔っ払いは小さいながらもど迫力の爆発の衝撃で完全に伸びている――ルナが慌ててフロアスタッフを呼ぶと、スタッフは『ああ、この筐体も大分ガタが来てましたからね』と冷静に対処してくれた。
どうやら老朽化の結果として、修理代は払わなくても気にしなくても良いとのこと。
しっかりと腹ごなしをしながらも、心身ともに汗を搔きつつルナがほっと胸を撫で下ろしたのは言うまでもない――。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『二次会パーリナイ!』
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POW : 思いっきり夜更かししてあれこれ楽しむ
SPD : 面白そうな店やイベントに顔を出してみる
WIZ : 飲み物と会話を楽しみながらのんびり過ごす
イラスト:del
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ビルディング上層――。
そこは『華やぎ』その様な言葉が本当に似合う場所だった。
VRにて作成された、実在しているかのように瞬く星空からは、本物と錯覚する流れ星が零れ流れる。
吹き抜けの上階層から設置された、高所から滑り落ちる事が可能なジェット水流のウォータースライダーは圧巻の一言。着地点であるプールにも、十分な深さと見渡して清々しいと思える程の広さが兼ね備えられている。
面積の半分以上が、ライトで色とりどりの光を差し込まれているキラキラ輝くプールの水面。
そこに張り出すように設置されたラグジュアリーなバーでは、プールの水音を聞きながらフローズンデザートを食したりカクテルが飲めるのだと。それは、ずっと閉ざされた門戸が開いても気にせず遊んでいる社員の弁によれば、なかなかの評判であるらしい。
曰く『住めば都、むしろ|楽園《エデン》』とまで言わしめるそれは、逃げ出したという人の残りが殆ど此処に集まっていると考えれば、今閑散としていないこの場の活気にも納得が行くというものだ。
無人よりは、その賑やかさはむしろ心地よくもある。存分に全力で羽を伸ばすのにはとても良い時間であると言えるだろう。
ベルト・ラムバルド(サポート)
ハイカラさんのクロムキャバリア ×今は 宇宙騎士!
普段の口調は私、君、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?
騎士道精神を胸にキャバリア《パロメデス》に乗って戦うぞ
弱きを助け強きを挫く誇り高き光明の暗黒騎士だ!
でも実はお調子者でおっちょこちょいな奴だ!いわゆる残念なイケメンだ!
生身でも戦えるけどあんまし強くないかも…?でもタフな奴!
基本はキャバリアの乗って戦うぞ!
キャバリアに乗れない時は…なんとか生身で頑張って戦うぞ!
時々コミュ力で知り合った異世界の人やモノ?を召喚したりするんだ!
仲の良い想い人がいるけどぞんざいな扱い方をされてるけどめげないぞ!頑張れ!
●ビーチに美形が現れた!
「ふむ、ここがサイバーザナドゥ最上階吹き抜けプール」
ザッ、と人工の白浜に足跡が付く。足跡からも既に感じる高貴な気配――ベルト・ラムバルド(自称、光明の暗黒騎士・f36452)は、ビルの最上階にあるビーチへと足を踏み入れていた。
無銭飲食により留置所に叩き込まれた記憶が蘇るサイバーザナドゥだが、今回は財布もそれなりで一晩遊ぶ分には十分すぎるほど。
VRによる夜の雰囲気を漂わせる中、ベルトは早速優雅ながらにしっかりとした歩幅でビーチに張り出したバーの方へと訪れた。
足元から響く波音が非常に心地よく耳を打つ。夏の空気を漂わせるも、必要以上の湿度を感じないよう温度調整されたこのフロアはプールの上でも快適の一言だ。
気品漂う佇まいに、今回ビルから逃げ出していなかった接客に慣れたボーイも小さく感嘆の息を呑む。
店内を案内されれば、そのセンスの良い姿は人の目を惜しみなく惹いた。
そのまま、バーカウンターのスツールに腰を掛ければ、ハイパーカリスマオーラと重ねモデルも出来るスタイルを以て、もはや視線を送らない人はいない程。
そう、それはまさしく『イケメン』――ただし『黙っていれば』に限定されるのが非常に惜しい程の美男がそこにいた。
「すまない……君にお願いがあるんだが……」
などと――正面に立つ、余り見ることのない女性のバーテンダーに注文しながら、ついでに自分を中心に周囲を流し目でざっと見渡せば、その視線はもう同僚の姿しか見ないで久しい女性たちの心を刃のように切り裂いた。その後には、黄色い声まじりの喜色の声やざわめきなどが聞こえ始める。
「(お……? 今の注文の仕方……! 今の私カッコよくないか…!?)」
自分でそう思ってしまう、それがベルト・ラムバルドという男である。
「格好良い……! モデルさんですか? お名前伺ってもっ?」
カウンターの隣りに座っていた、まだ入社下手なのであろう、うら若き女性がベルトに声を掛けてくる。
騎士は名乗らば男の恥である――少々調子、もといテンションを高めつつも静かな口調で、ベルトは応えた。
「私はベルト・ラムバルド……騎士とでも名乗っておきましょう……以後お見知りおきを……!」
そこに、吹き抜ける風のような爽やかな雰囲気と香りを乗せて――柔らかな後光と共に輝いて見え始めたベルトに、ついに女性の黄色い声は隠すことのない胸キュン状態の喜びに変わり、ついでに男性までも安心感と信頼感を伴わせて魅了する事に成功した。もう、ベルト的にはこの世の春を謳歌せんと言わんばかりの出来事だ。
しかし、サイバーザナドゥのこのビル。
元から、社畜しか集まっていない――そこで『この男ならできる……! という期待と安心』等などの魅力が集まると、どうなるか。
「君! 今日から、一緒に働かないか! 人手が、人手が足りないんだ! 君になら出来る!!」
「――へ?」
「こら、第三課のくせに! こんな素敵な人を捕まえて、自分の所だけ楽しようだなんてムシが良すぎるぞ! ――君! 君こそ我が部署に相応しい存在だ。即戦力として是非うちに――!」
「いや~、それは――わーっ!」
そうして。その場で物理強制拉致まがいの有能ヘッドハンティングを受けながらベルトは全力でもみくちゃにされた、というのはまた別の話となる――。
成功
🔵🔵🔴
ウォルター・デイビッド
「はぁ…はぁ…フッ、たかがVRとみくびっていたが随分と楽しませてくれるじゃないか…!」
ゲームで(ひとり)盛り上がり(勝手に)財布共々満身創痍になりながらたどり着いたのは眩いフロア。
「ナイトプール」フフフ知識としてはありますよ…「オシャレなバー」フフフオシャレですね…「パリピ」まさか実在したとは…!
そんなインドア派には全てが未体験のまばゆい世界。ひとまず疲れを癒すのに何かエナドリ的飲み物でも…メニューがオシャレすぎて解読不能だ!こんなもの、僕のデータにはないぞ!
●エナドリはパリピにも大人気です
「はぁ……はぁ……。フッ、たかがVRとみくびっていたが随分と楽しませてくれるじゃないか……!」
ビルディング中階層遊戯場フロア――『VRライフ双六ゲーム「社畜でGO!」』にメンタルを総叩きにされながらも、ウォルター・デイビッド(世界は理不尽に出来ている・f44256)は、何とかその場から這い上がり、上層のエスカレーターにてここまで到着した。
体に支障こそはないが、精神は満身創痍という言葉が極めて相応しいボロボロっぷりである。それでもあのゲームをクリアし、ここまで辿り着いた事は称賛以外の何物でもないであろう。
そして、到着に合わせてエスカレーターを降り、ズレかけていた愛用のメガネをクイッと持ち上げて辿り着いた先――その目に映し出されたメガネ越しの景色は、まさしく異世界そのものだった。
まず、目に入るのは吹き抜けとなっている上層階フロアのプールの広さ。その水面は様々な色にキラキラと光り、鮮やかさと共にウォルターの目へとカルチャーショックとして突き刺さる。
しかし同時に、圧倒的な湿度が生まれるであろうその場には、不思議と肌に快適な常夏とも呼べる体感を示していた。
この大規模プールに於いて、尚ウォルターの脳内に不快指数という言葉を浮かばせないというのは、背後にどれだけの調整機器が動いているかは想像に難くない。
その様な光景の中で、完全に『生活に不自由しないし、ここでいっか』と最早、終活と定めて逃げ出さなかった社員の人々が、プールのジェットウォータースライダーで華やかに遊んでいる――。
「こ、これが『ナイトプール』……フフフ知識としてはありますよ……」
圧倒的な存在感に圧されつつも、一歩足を踏み出し歩き始めるウォルター――知識としてしかないのか、と云うツッコミは不要であろう。事実である。
そして、目に入るプールの一角、水面に張り出した場所にあるのは、ハイソサエティの気配すら感じ、既に人の気配の集まりを感じる、見るからにオシャレなバーが。
「これが時折情報に見かける『オシャレなバー』――っ、フフフオシャレですね……」
――情報と共に過ごし、情報と共に生きる|ウォルター《インドア派》に、当然向こうからお洒落なバーが歩いて来る事はなく、実物を体感するのはこれが初めてだ。
そして、極めつきは、
「ウェーイ!!」
そこで、仕事のウサを晴らすかのごとく大きな声を上げて掛け声を合わせ、ビールのジョッキが割れん勢いで乾杯している、強制水着でその苛烈さを増したパーリィーピープルな人々の姿――。
「『パリピ』だと! まさか世界に実在したとは……!!」
思わず、ウォルターには目を見開かずにはいられなかった――まさしくインドア派の彼にとって、ここは全ては未知未体験であり、全く知らない情報の波に流されかねない眩さ全開の世界だったのである。
「み、見ているだけでクラクラする……いかん、情報過多だ。少し休んで――」
華やかなビーチは目が疲れる。パリピの群れというのも『ついていけない』という意味では疲れるが、見ている分には少し気になる――と、ウォルターは恐る恐るバーに足を踏み入れ、こちらに気づいたボーイの存在にビクリとしつつも、その案内によってカウンターの片隅に腰掛けた。
「お客様、何になさいますか?」
「そ、そうですね……では、疲れを癒やすのに何かエナドリ的な飲み物でもいただきましょうか……」
「畏まりました。では他にご注文がございましたら、是非」
と、静かな雰囲気でメニューが差し出される。ウォルターがそれを見つめれば、
「ブルー・ハワイアン……? ま、まあこの辺りは……ラベンダー・ムーン――? ベルベット・ハンマー!? どんな飲み物だ、オシャレすぎて解読不能だ!」
カクテルの名前は、レシピ考案者の思いが込められているものも多く、名前から見た目をイメージするのは至難の技である。
しかも、ここでも情報過多に陥りながら頭を抱える事になったウォルターに、ダメ押し的に出されたものは『ロンググラスに注がれた炭酸のエナジードリンクと、赤い液体の注がれたショットグラス』――。
「イェーガーボムと言います。泡立った所で飲むのが愉快だとあちらの方々からも人気の一品ですね」
言われるままに視線を向ければ、パリピの人々が一斉にこちらを見ていた。
どうやらこれはパリピの人々にも、愛好される一品であるらしい。それを飲むこちらを嬉々とした眼差しで見つめては、無言の圧で『もっとテンション上げて!』と無茶極まりない期待を込めてくるではないか。
見れば、あちらの飲み物には、ロンググラスの中にショットグラスが綺麗に沈んでいた。それを目に、飲み方は理解をしたが――。
「……」
これでは、気分は崖に追い詰められた犯人の心持ちである。
緊張がプレッシャーとなり汗のように追い詰められる中、
「イェイイェイー!!」
「飲み干せ、ボーイィッ!!」
ついにパリピがこちらを巻き込むべく声を上げ始めた!
それはもう大合唱、引きこもり気味インドア派をパリピに呑み込もうと迫る波。
「……っ、えい! 侭よ!」
言われるままに、ウォルターは逃げ出したい気持ちを抑え、ロンググラスにショートグラスを落として、瞬間、泡立ったものを一気に飲み干した。
「――!!」
この赤い液体――イエーガーマイスターと呼ばれる酒のアルコール度数は35度――聞いてない、この焼けるような喉の熱さに怒鳴ることも出来ないが、これはもう言わずにはいられない。
脳処理は完全にパンク状態だ――それでも、小さくひぃひぃ声を上げながら、ウォルターはただひたすら、あらん限りの力で叫んだ。
「こ、こんなもの、僕のデータにはないぞ――っ!!」
大成功
🔵🔵🔵
ルナ・フィネル
『エアホッケーは楽しかったけど流石に疲れたわ…燃えたけど。物質的にも』
中層で良い感じに運動を終えて、上層へと足を踏み入れる。確かエレガントな感じのナイトプールがウリだと言っていたか。美しい夜空に光きらめくプールの水面、確かにね、とほほ笑んだ。
向こうに歓声が上がるウォータースライダーが見えたが、流石に今回は見送って、プールサイドのデッキチェアでフローズンカクテルを飲みながら休むのがよさそう。
幸い、反対側に静かに過ごせそうなプールがある。先にバーで注文を。
『フローズンダイキリと…そうね、ここのオリジナルカクテルと一つ。カラフルなのがいいわ、多少強くても問題なし』
向こうのデッキチェアにいるから持ってきて頂戴、と残して、お目当ての場所へ。腰を落ち着ければ周りを通り過ぎたり向こうで遊んでいる人々に目をやり、それぞれの社畜人生に思いを馳せてみたり。思えば自分もこちらの世界に来てから、日々の雑事に気を取られて心豊かにする時間を取るのはいつぶりか。
さぁのんびりとした時間を楽しもう。
アドリブ・絡み大歓迎
●Elegant Beachside
中階層で煙が上がった――とある女神の所業により発生した煙も、消火装置発動前に無事対処が間に合い、損害賠償を免れたルナ・フィネル(三叉路の紅い月・f44133)は、ほっと胸を撫で下ろしつつも良い運動として心地よい――否、ちょっと過酷な疲労感を残しつつエスカレーターで上層階へと上がってきた。
「確か、こちらはエレガントなエレガントな感じのナイトプールがウリだと言っていたけれども……」
トン、と軽やかな足取りで、ビーチ用のミュールが上層階の床を叩く。
顔を上げれば、ロングポニーテールの首筋を抜けていく、ざぁっと常夏の世界を思わせる風の色。そして、そこには端を探すのに一瞬目を迷わせる程のプールの広さと、それを覆い包むかのようにVRで彩られた、現実の夜天と見まごうばかりに広がる星の輝き。
「……確かにね」
どうやら、売り言葉に嘘偽りは無いようだ。
ルナはその自信を水面に湛えて見せているような上階層の姿に、微笑みながら頷いた。
残った社畜の皆が遊んでいるウォータースライダーから歓声が聞こえるが、流石に先程はっちゃけ過ぎた手前、今回はそちらで遊ぶのは見送って、ふと視線をプールサイドに滑らせた先にあったデッキチェアに目を向ける。
揺れる水音が柔和に穏やかに耳へと届く。この様な空間もあるのならば、飲み物を片手に寛ぐのも悪くない。
ここに来る途中に見たプールへ張り出しているバーではビーチサイドにも飲み物を運んできてくれるとあった。注文して、取りに行ってと考えていたが、そう考えれば一際優雅な時間を過ごせるだろうか。
ひとつ、ここから少し離れた所に場に溶け込みながらも、静寂を湛えたプールがひとつ。あの場の側でならばゆっくりできそうだ。
遠くは賑やかだが、だからこそ人はそういう場に集中する。そう考えれば、こちらは席を取る必要もなさそうであろう。
ルナは迷子にならないように、場の目星だけ気に留めてから、バーの方へと足を向けて恭しくお辞儀をするバーの店員にさらりとメニューを気にする事もなく注文をした。
「フローズンダイキリと……そうね、ここのオリジナルカクテルと一つ。カラフルなのがいいわ、多少強くても問題なし――無効のデッキチェアにいるから持ってきて頂戴」
「畏まりました。それではごゆっくりお寛ぎください」
注文を店員はさらさらとメモに控え、流すような目でそれを一目すると、再びルナに厳かに頭を下げカウンターの方へと向かっていった。
目をつけていたビーチサイドのチェアに戻ると、その付近は、フロアの遠くまで一望することが可能でありながらも、まるでうっすらと結界でも貼られているのではないかと錯覚するかのように、とても静かなものだった。
デッキチェアに優雅に身を横たえれば、遠くで遊んでいる人々の声と、恐らく中身まで水着に着替えているのであろう、その人々が全力で水遊びに耽っている様が伝わってくる。
「……社畜、ねぇ……」
ああして遊んでいる人々を見る限り、一見では中々IT企業ビルに生涯単位で閉じ込められていた社畜の方々には到底見えない。
とはいえ、ビルが復旧すればここから出ることは再び不可能になるであろう。それをあの人々は理解して遊んでいるのか。
――しかし、骸の雨が降るこの世界に安全な地域など何処にも存在しない事も事実なのである。
それならば、生活基盤が安全であり金が入り、そして人生に必要な娯楽移設が揃ったこの狭い空間を生涯として選ぶことが、人間の選択肢として間違っていると、気軽に言い切れるのは猟兵だけなのも確かなのである。
どの選択肢も間違いではない。世界とは住む人間にとって最強の強制力であり、それから離れたのは猟兵という存在だけだと思えば、世界に住む普通の人々がどのような選択を取るかは、最早こちらの問題ではないのであろう。
「思えば……」
そこまで考えて、ルナも猟兵となってからは依頼から日々の雑事までを振り返る。
その何もかもが、いくら時間があっても足りない程に慌ただしく過ぎていくものだ。
世界への懸念も、自分の環境からも意識を手放してしばらく。
綺麗な水音が響く中、このように充足の時間を得たのは果たしてどのくらい振りとなるであろうか――。
「お待たせ致しました。フローズン・ダイキリと――こちら、ココナッツクリームとブルーキュラソー。ピーチリキュール、パイナップルとライムジュースを使ったカクテルとなります」
ゆったりとした時間の中で、そっとこちらを驚かせることのないように配慮された声が聞こえてきた。見れば、バーの店員が注文の品を持ってきたらしい。
運ばれてきた黒銀のトレイの上には、純白のしっとりとしたかき氷を思わせるものが大きめのソーサー型のグラスに盛り付けられている。
しかし、かき氷と呼ぶにはその小ささと、フローズンカクテルの上に乗せられた小さくもはっきりしたアクセントのミントが、それが大人の氷菓と呼ぶべきであろう、フローズン・ダイキリであることを存在感から示し出しているのが伝わって来た。
「えっともう片方は、と――」
それはフローズン・ダイキリのシックさとは裏腹に、大きな南国植物を思わせる大振りの一輪の花で飾られたカクテルだった。
ココナッツクリームを最下層に、ピーチリキュール、パイナップルとライムジュースの層、そして最上部にブルーキュラソーの層でそれぞれに色目が異なるカクテル――全体的に色目は淡く、飲むためにかき混ぜることがあったとしてもそれは非常に綺麗な青水色に染まることであろう。
鼻をくすぐる南国のフルーツを盛り合わせたかのような香りからは、既に華やかすぎるほどの味が想像出来た。これこそ、まさに『夏』を代名するかのような鮮やかなカクテルかも知れない。
「なるほど、こんな感じ」
ルナはバーの店員に礼を言うと下がらせ、まずは溶けては台無しになってしまうフローズン・ダイキリに手を伸ばす事にした。
一口食せば、冷たさにアルコールの刺激が重なり、ルナの頭を一際にしてキーンっとした刺激が直撃した。
「……うん――すっごく美味しいっ」
そうして――各々が全力で遊んだ、サイバーザナドゥでの時間もあっという間に過ぎていく。
だが、猟兵達の暑い夏はまだまだこれからだ。
その思い出はきっと、これからもっと増えていくことだろう――。
大成功
🔵🔵🔵