|旅行者《パッセンジャー・ピジョン》の弾丸
●超機械
かつての時代、ダークネス蔓延る迷宮化建造物は『ブレイズゲート』と呼ばれていた。
もしくは、巨大な白い炎の柱に遮られた場所であるとも言われていただろう。
これらの『ブレイズゲート』はやがて全てが消滅すると予測されていた。
だが、それはこれから二度と『ブレイズゲート』が生まれないということを意味していたものではない。
新たに生まれるものがある。
例え、必滅の定めであろうとも、生まれることにこそ意義がある。
そんな一つの『ブレイズゲート』……『天空の螺旋階段』にて復活ダークネス――オブリビオン『無限貴婦人エリザベート』はいた。
彼女の身より発せられるのは霧。
その霧は彼女の周囲から手足のように伸びていき、あっという間に周囲を覆い尽くしていった。
「私の魔霧は『生命力とサイキックエナジーを奪う』能力。この魔霧の及ぶ範囲こそが私の領地。嘗ては灼滅者たちによって灼滅された私だけれど……この力を応用すれば」
彼女は『無限貴婦人』の名に恥じぬ力を持っていた。
嘗ては伯爵級ヴァンパイアとして猛威をふるった力であるが、此度彼女はある種の指向性を持ち得ていた。
それは無限の可能性の一つである。
「灼滅者……彼らは|『殲術再生弾』《キリングリヴァイヴァー》と呼ばれるサイキックエナジーの弾丸を持っていた。装填されていたのは、超機械『サイキックアブソーバー』……ならば、私も『できる』のではないかしら?」
『無限貴婦人エリザベート』は魔霧に触れた者の『生命力とサイキックエナジーを奪う』ことができる。
ならば、後は何が必要なのか。
そう、超機械『サイキックアブソーバー』である。
「とは言え、あの『殺竜卿ヴラド』、『魔女バーバ・ヤーガ』、『絞首卿ボスコウ』たちでさえ強奪できなかった超機械……」
今もなお、『灼滅者』たちによって厳重に護られているのだろう。
なら、どうするか。
彼女は『無限貴婦人』であり、同時に彼女が領地としているのは超常迷宮『ブレイズゲート』。
幸いに彼女には時間がある。
「ならば、時間をかけて作り上げましょう。この魔霧によって領地たる『ブレイズゲート』が護られているのならば、そう簡単に『灼滅者』や猟兵が私に近づくことはできないはず」
笑む唇の端がつり上がっていく。
「私達は忌まわしき『サイキックアブソーバー』によって活動時間の限界と弱体化を得た……しかし、今はオブリビオンの身。活動に限界はなく、弱体化もない。ふふ……なら、今度は私が作り上げましょう。オブリビオンのための|『殲術再生弾』《キリングリヴァイヴァー》を――」
●サイキックハーツ
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まりいただきありがとうございます。サイキックハーツ世界において、新たな事件が予知されました」
彼女の言葉に猟兵たちは頷く。
サイキックハーツ世界は過去、ダークネスと呼ばれる存在が多くの人々を影より苦しめてきた世界である。しかし、『灼滅者』たちによって一度救われた世界でもあるのだ。
そして、ダークネスたちは再びオブリビオンとして世界に舞い戻っている。
そのうちの一体。
嘗ては爵位級ヴァンパイアと呼ばれた伯爵級『無限貴婦人エリザベート』が活動を開始したことをナイアルテは予知したのだ。
「ですが、巨大な白い炎の柱に遮られて『無限貴婦人エリザベート』の所在である『天空の螺旋階段』と呼ばれる電波塔の内部がどのような状況になっているのか、一切予知できないのです」
もともと、『ブレイズゲート』とはそうした性質を持っていた。
しかし、厄介なことである。
ナイアルテの予知が及ばぬということは、先んじた対策ができない、ということだ。
「確かなことは二つだけ。『無限貴婦人エリザベート』は良からぬ企みをなそうとしているということと、彼女を打倒すれば『ブレイズゲート』が消滅するということだけなのです」
彼女の言葉に猟兵たちは頷く。
元よりオブリビオンを放置していては、世界の破滅に至ってしまう。
ならば、例え予知で『ブレイズゲート』内部の状況がわからなくても、果敢にも立ち向かわねばならないのだ。
「『天空の螺旋階段』と呼ばれる電波塔は、以前私が予知した復活ダークネス事件にて一度唐竹割りに両断されており、それが『ブレイズゲート』化したことによって捻れ、螺旋状になっているのです」
恐らく、内部は無数のオブリビオンたちがはびこっていることだろう。
これを倒しながら頂上へと向かわねばならない。
敵の数が多いことは予測できるが、どのような敵が存在しているかはわからない。
ともかく、『無限貴婦人エリザベート』を放置していてはろくなことにはならないだろう。
ナイアルテは、己の予知が役に立たないことを詫びるように一礼し、困難な戦いに赴く猟兵たちを見送るのだった――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
サイキックハーツにて生まれた『ブレイズゲート』。予知を遮る白い炎の柱立ち上がる頂上迷宮を駆け上がり、恐るべき企みを成し遂げようとするオブリビオン『無限貴婦人エリザベート』を討ち果たしましょう。
復活ダークネスとも呼ばれるオブリビオンである『無限貴婦人エリザベート』は戦略級とも呼ばれる極めて強い存在です。
そんな彼女が『ブレイズゲート』にて目論見を果たそうとしていること自体が脅威でしょう。
●第一章
集団戦です。
一度唐竹割りにされた電波塔が捻れて螺旋状になった『ブレイズゲート』、『天空の螺旋階段』の迷宮へと踏み込みます。
すると何処からともなく無数のオブリビオンの群れが溢れ出し、皆さんを襲ってきます。
まずはこのオブリビオン『ガルガンチェア』を打倒し、恐らく頂点に座す『無限貴婦人エリザベート』を目指しましょう。
●第二章
冒険です。
『天空の螺旋階段』を昇っていくと、徐々にフロアに薄い霧が立ち込めてきます。
上に向かえば向かうほど色濃くなっていく霧。
これは皆さんの『生命力とサイキックエナジー』を奪い続ける『無限貴婦人エリザベート』の罠です。
さらには彼女の眷属たるオブリビオン『ガルガンチェア』もはびこっています。
危険極まりない状況ですが、これを切り抜けねばなりません。
●第三章
ボス戦です。
『天空の螺旋階段』の天頂に座すのは、『ブレイズゲート』を発生させた『無限貴婦人エリザベート』です。
彼女を倒せば『ブレイズゲート』は消滅します。
ですが、周囲には更に色濃い『生命力とサイキックエナジーを奪う魔霧』が立ち込めています。
これに対処しながら極めて強大なオブリビオンである彼女を打倒しなければなりません。
新たに生まれた『ブレイズゲート』。その白炎の頂点に座す戦略級オブリビオン『無限貴婦人エリザベート』の目論見を打破すべく踏破する皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 集団戦
『ガルガンチュア』
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POW : 蹂躙突撃
【形態変化したガルガンチュア式装甲】に乗り、レベル×5km/hで飛翔する。飛翔突撃も可能。
SPD : 連装魔導衝撃砲
【魔導衝撃砲】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 呪式魔法弾
【ガルガンチュア式装甲】から無限に供給される【呪式魔法弾】を、レベル分間射撃し続ける。足を止めて撃つと攻撃速度3倍。
イラスト:タヌギモ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『無限貴婦人エリザベート』は僅かに眉根を寄せる。
彼女の身より放たれている魔霧に反応があったのだ。
すでに魔霧は『ブレイズゲート』、『天空の螺旋階段』に満ちている低所ほど薄いが、僅かなゆらぎによって彼女は己が領地に侵入するものを見逃さない。
「どうやら嗅ぎつけられたようね。なんと目ざといことなのでしょう。ですが……」
此処は超常迷宮『ブレイズゲート』。
己が天頂に座す限り、猟兵や灼滅者は駆け上がることしか許されない。
ならば、己はじっくりと腰を据えるのみ。
「任せましたよ、『ガルガンチェア』。そいの優れたる肉体、改造に改造を重ねた駆体の力を証明してみせなさい」
その言葉に巨大な戦闘機械そのものたる体躯を揺らし、『ガルガンチェア』たちは最後に残された生身、その頭部でもって首肯する。
「おまかせを。あなた様の手を煩わせることなく侵入者を排除してみせましょう」
「侮るのはおやめなさい。敵は灼滅者。かつては確かにたやすき相手でありましたが、違うということをあなた達も理解しているでしょう。油断も慢心もいらないの」
「……脳に記憶します」
「それでいいの。さあ、行きなさい。例え滅ぼされるのだとしても、私の目論見さえ達成できれば……そう、何も恐れるものはないのだから」
その言葉と共に『ガルガンチェア』たちは階下へと降っていく。
この『ブレイズゲート』、『天空の螺旋階段』へと侵入した者たちを屠るために――。
戒道・蔵乃祐
局所的なサイキックエナジーの高まりに呼応しましたか
禿鷹みたいな習性ですね
極論かもしれませんが…過去のダークネスは邪悪であるため、根源的に『他者と信頼を繋ぐ』事ができない
種族が同じであろうと、違おうとも全ては同じこと
目的を果たしさえすれば、エリザベートを裏切るつもりなのでしょうがそうはいきません
何もかも御破算にして差し上げましょう
◆RSGレール・キャノン
※キャバリア騎乗戦闘
魔導衝撃砲の一斉射撃を見切り+フェイントのブーストダッシュで振り切り、ジャストガード+武器受けのシールド防御で直撃弾は受け流す
限界突破の乱れ撃ちでキャノンの砲身を取り回し、1体ずつ確実に早業+クイックドロウで撃ち抜いていきます
それは捻れた二重の塔。
一度は復活ダークネス――オブリビオンと猟兵たちの戦いで唐竹割りのように両断された電波塔であったが、しかし今は超常迷宮たる『ブレイズゲート』と化し、二重らせん構造の塔へと変貌していた。
内部に踏み入れた瞬間に理解する。
ここはあまりにも危険な場所であると。
通常の場所ではない。
日常において踏み入れてはならない場所であることが肌で感じられる。
「局所的なサイキックエナジーの高まりに呼応しましたか。禿鷹みたいな習性ですね」
戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)は、二重らせん構造の電波塔、『天空の螺旋階段』の内部を見回す。
ダンジョン、と呼ぶのならばきっとこんな場所なのだろうと思う。
薄っすらと煙る視界。
これが恐らく、この場所『ブレイズゲート』の主であるオブリビオン『無限貴婦人エリザベート』の能力なのだろう。
僅かに体が鈍る。
生命力とサイキックエナジーを奪う魔霧。
これによって『無限貴婦人エリザベート』は、何かを企んでいる。
「……猟兵、確認」
オブリビオン『ガルガンチェア』たちが次々と侵入者である蔵乃祐を排除せんと集まってくる。湧き出すようであったのは、ここが『ブレイズゲート』である証明であろう。
「『ブレイズゲート』の主は天頂……なるほど。上ですか。魔霧の能力を考えるのならば、確かに合理的だ……ですが」
迫る『ガルガンチェア』の背部に備わった魔導衝撃砲がうなりを上げ、蔵之祐に襲いかかる。
凄まじい砲撃であった。
連携している。
ダークネス。
過去のダークネスの情報を得ても、蔵乃祐は『ガルガンチェア』たちと『無限貴婦人エリザベート』の共闘、共同戦線が一時的なものであると理解していた。
極論、と彼は思う。
ダークネスは邪悪。故に根源的に『他者と信頼をつなぐ』ことができない。
種族が同じであろうと、違うのだとしても全てはおなじこと。
目的を果たしさえすれば『ガルガンチェア』たちは『エリザベート』を裏切るのかもしれない。そのくらいの算段はあるように思えた。
「我らの目的遂行のための邪魔立てはさせぬ」
迫る砲火を蔵乃祐は体高5m級の戦術兵器キャバリアを駆り、『ブレイズゲート』内を疾駆する。
シールドで受け止めた衝撃は期待フレームをきしませる。
「ですが……! 出力最大。弾頭装填……その目論見、何もかも御破算にして差し上げましょう」
RSGレール・キャノン(グラビトロンレール・キャノン)が重力制御と電磁誘導を併用した砲撃を行う。
放たれた弾丸は『ガルガンチェア』の巨躯を穿ち、さらには砲身を振り回して蔵乃祐は迫る『ガルガンチェア』たちを打ちのめす。
まだ戦いは始まったばかりだ。
こんなところで躓いてはいられない。
放たれる弾丸と砲身。
確実に敵を穿つ砲撃を持って蔵乃祐は『ブレイズゲート』への突入、その突破口を開くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
ブレイズゲートか。ゴーストタウン現象と違って閉鎖的なのね。
だけど、どこの世界も過去が蘇って、現在を襲うオブリビオンになるのは同じか。オブリビオンがいるなら、あたしたち『第六の猟兵』の出番と決まってる。
この辺りはまだ、霧が薄いわね。そして機械仕掛けの巨人が見えてきた。一見、オブリビオンマシンみたい。
あまり時間はかけられないから、速攻で行く。
「全力魔法」光の「属性攻撃」「範囲攻撃」「法力攻撃」「破魔」「浄化」で仏頂尊勝陀羅尼経。
あなたたちの負の心を、洗いざらい清めてあげる。そのまま大人しく成仏なさいな。これも灼滅って言うのかな?
先は長いから、さっさと進みましょう。雑魚の相手なんてしていらない。
超常迷宮たる『ブレイズゲート』。
その形、あり方は様々である。
戦いの跡が復活ダークネス――オブリビオンの巣窟となるのは、業腹であるが、しかし捨て置くことはできない。
元々、この『ブレイズゲート』はただの電波塔だったのだ。
だが、オブリビオンとの戦いにおいて電波塔は唐竹割りのように両断され、結果、二重らせん構造のような建造物へと変貌したのは『ブレイズゲート』の特性であるとも言えた。
その『天空の螺旋階段』と名付けられた電波塔のフロアに村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は一歩を踏み出す。
内部は外からみただけではわからないほどに迷宮化している。
そして、敵の気配も当然ながらしているのだ。
「『ブレイズゲート』か。ゴーストタウン原初うと違って閉鎖的なのね」
ゆかりはシルバーレイン世界において似たような現象を覚えていた。
だが、この『ブレイズゲート』はグリモア猟兵の予知を通さない。
内部でどのようなことが行われ、どのような脅威が迫るのかを猟兵たちはまだ知らないのだ。
「でも、何処の世界も過去が蘇って、現在を襲うオブリビオンになるのは同じか。オブリビオンがいるなら、あたしたち『第六の猟兵』の出番と決まってる」
ゆかりは『天空の螺旋階段』の天頂を目指す。
フロアを駆け上がると、周囲の霧が一階よりも濃くなっているように思える。
とは言え、まだこのフロアは魔霧の影響が薄いように思えるのだ。
「……侵入者たる猟兵の排除」
瞬間、『ガルガンチュア』と呼ばれるオブリビオンが飛行形態に変形し、ゆかりへと襲いかかってくる。
人間ではない。
いや、人間である部位などすでにないのかもしれない。かろうじて頭部だけが人の形をしていたが、『ガルガンチュア』は体躯を包む装甲を変形させ、フロア内を飛翔し、ゆかりへと迫っているのだ。
「何よ、オブリビオンマシンみたいなナリをして、飛ぶっていうの!?」
ゆかりは手にした薙刀で『ガルガンチュア』の突進を受け止める。
地面が砕ける。
それほどまでに凄まじい突進能力であった。
「……排除」
「させないっ!」
薙刀で受け止めた『ガルガンチュア』の巨体を、ゆかりは薙ぎ払うようにして地面へと叩きつけ、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
「あまり時間は掛けられないから、速攻で行かせてもらうわ! オン ボロン ソワカ オン アミリタ アユダディ ソワカ。いと尊き御仏の御慈悲を此処に示さん。弱き衆生を守り業を背負いし者を討つ」
仏頂尊勝陀羅尼経(ブッチョウソンショウダラニキョウ)。
それは尊勝仏頂仏母への崇敬を込めた法力。
ゆかりのユーベルコードは、周囲に満ちる霧を阻むように煌めく霧の如き法力でもって『ガルガンチュア』へと浸透していく。
「あなたたちの負の心を、その業を洗いざらい清めてあげる」
ゆかりは、『ガルガンチュア』の屈強なる駆体を破壊するのではなく、その肉体に宿る業――即ちカルマを清め払うのだ。
「……我らが心が求める逃走が浄化されていく……」
「戦うために、最も優れたるものになるために得てきた機械の肉体なんでしょうが、その力の使い道が支配だっていうのなら、そのまま大人しく成仏なさいな」
ゆかりの法力が広がっていく。
その光の前に『ガルガンチュア』たちは次々と、その体躯に宿る業を浄化され駆体は膝をついたように動かなくなるのだ。
「先は長いわ。さっさと進みましょう。これも灼滅っていうのかしら?」
まあ、いいわ、とゆかりは頭を振り、魔霧がこぼれるようにして上階より色濃くなるフロアへと踏み出していくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
鷹神・豊
唐竹割りにされた電波塔…先日の事件のものだな
ブレイズゲートはかつて俺達エクスブレインには視えなかった場所だ
やはりグリモアの予知も通用せんか
あの白い炎の内部がこのようになっていたとは
多数を相手取る戦いは得手ではないが
囲まれないように機動力を駆使しながら
地道に各個撃破していく他あるまい
敵の動きを視力で捉えつつ
エアシューズを用いた悪路走破やジャンプで
迷宮内を縦横無尽と駆け相手を誘導
その速度で突撃してはブレーキも効かんだろう
敵同士が衝突するよう仕向けられれば御の字か
隙が生じたらすかさずUCを使用
狙い目は妙に目立つ頭部か
比較的装甲が薄そうな腰辺りか
一撃必殺を狙っていく
装甲より己自身を鍛える事だな
先に行く
その現場に見覚えがあった。
というよりも、強烈な印象が与えられていたからこそ即座に理解する。
唐竹割りされた電波塔。
傾いで歪んでいたが、それが二重らせん構造になったのは、一体いつの頃なのか。それは定かではない。
だが、現実として眼の前に唐竹割りにされた電波塔は二重らせんを描き、天へと駆け上がっていくようであった。
曰く、『天空の螺旋階段』。
過去においても『ブレイズゲート』は名がつけられていた。
それに倣うように『天空の螺旋階段』は『ブレイズゲート』へと成り果てた。
恐るべきことに『ブレイズゲート』はグリモア猟兵の予知を通さない。内部は見通せず、猟兵たちは予期せぬ戦いを強いられるだろう。
「先日の事件の折に戦いの余波で……とは違うな、これは」
鷹神・豊(蒼天の鷹・f43985)は、先日の戦いの当事者であった。
彼が最後にみた電波塔は唐竹割りにされて傾いでいただけだった。間違っても、このようないびつな建造物ではなかったはずだ。
「……やはり、見通せないか」
嘗て、エクスブレインであった豊は、それが従来通りの意味での『ブレイズゲート』であるという真にたどり着く。
「あの白い炎の内部はこうなっていたのだな」
『灼滅者』たちは、このような超常迷宮に挑み、戦っていたのだ。
それを知れたことは喜ばしいことであるかもしれないが、しかし豊は今まさに己に迫る脅威を見据える。
巨大な鋼鉄の駆体。
飛翔する巨人『ガルガンチュア』。
「……排除」
オブリビオンとなってなお、その鋼鉄の駆体にただ一つ生身の部分が残された頭部が豊を見下ろして睨めつける。
狙いをつけたのだと入り回した瞬間、豊は駆け出す。
『天空の螺旋階段』のフロアには戦いの跡が残されている。すでに先行した猟兵なり、灼滅者がいる、ということだ。
彼らが敵を討ち漏らしたとは考え難い。
ならば、これは。
「やはり無限に復活ダークネス、オブリビオンが湧き出すということか」
踏みつけた地面がエアシューズの反発を受けて豊の体躯を宙へと跳ね上げる。
敵の突撃は確かに恐るべきものであったが、その挙動は読みやすいものだった。即ち、まっすぐ飛んで激突する、ということだ。
ならばこそ、豊は己の足が二本あることに感謝した。
エアシューズならば空中を足場にできる。
空を蹴って豊は迫る『ガルガンチュア』の突進を交わし、地面へと着地する。
見上げれば、『ガルガンチュア』が変形し、フロアを所狭しと飛び交っている。
「この状況では正面衝突するやもと思ったが……それはうまくいきすぎか。ならば」
そうなっていたら御の字であったが、そうでないというのならば己のすべきことは簡単だった。
敵の挙動は比較的単調。
なら、一撃を躱した後に隙が生まれる。
ユーベルコードに輝く瞳。
敵を睨めつける。
嘗てはできなかったことが、今はできる。歯噛みしたことも、口惜しいと思うことも、ただ送り出すことしかできなかったあのときも、全てはこの時にこそ報われるものであった。
腰だめに構えた拳。
エアシューズが己の体躯を宙へと舞い上げる。
「腰部……即ち、体の要。それはどんなに鋼鉄の駆体に己が身を改造しようとも変わらぬ部位」
豊の一撃必殺たる拳の一撃が『ガルガンチュア』の腰を粉砕する。
「……損傷軽微。まだ戦える」
「いいや、戦えないさ。言っただろう。腰は体の要。要を破壊されて動ける体などあるまい。あくまで人の延長線上に肉体を改造したことが仇となったな」
そして、と豊は失墜する『ガルガンチュア』の体躯に乗ったまま墜落した地面と己が拳を挟み込むようにして叩き込む。
粉砕される頭部。
「装甲より己自身を鍛えることだな」
豊は粉砕した『ガルガンチュア』の頭部を見ることなくフロアの先を見やる。
ここに己の目的はもうない。
「先に行く」
そう、目指すは天頂。これが螺旋階段だというのならば、必ずや『ブレイズゲート』の主は天頂に存在しているのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
此原・コノネ
ブレイズゲート!昔は、分裂存在になっちゃうから、近づけなかった場所!
でも、今回は違うのね。あたしでも近づいて遊んでも大丈夫な素敵な場所!
武蔵坂のおにーさんおねーさんから、危ないから気をつけなさい、とは聞いてる!
じゃ、遊ぶね!まずはここを突破するのね?
あら、機械な敵が沢山!遊びがいのある相手!
UC使って、餓血ナイフで隙間を狙うように。そう、斬るときには燃やすのも含めて!
でね、靴を脱いで、さらに加速!切り刻みながら突破するのよ。
その攻撃、中止できないのね、もったいない。
あたし、楽しく遊べればいいんだけれど、奥のを倒しなさいって言われてるから。
程々にして奥にいくね!
ダークネス種族にとって『ブレイズゲート』とは如何なるものであっただろうか。
強すぎるが故にサイキックエナジーを膨大に必要とするダークネスは、強ければ強いほど、嘗ては行動を制限されていた。
それが『サイキックアブソーバー』と呼ばれる超機械。
そして、『ブレイズゲート』は分解存在へと堕す一因であった。
故に此原・コノネ(精神殺人遊び・f43838)は積極的に近づこうとは思っていなかった。
いや、近づけなかった、というのが正しいのだろう。
「でも、今は違うのね」
コノネは、二重らせん構造の電波塔にして『ブレイズゲート』と化した『天空の螺旋階段』へと踏み込む。
それだけでわかる。
濃密な気配。
いる、と理解できる。
己と同じでありながら、違う存在。
復活ダークネス――オブリビオン。
この『天空の螺旋階段』の天頂に存在するオブリビオンを倒せ、と言われている。
命ぜられたわけではない。
ただ、往くのならば、と条件をつけられただけだ。
本来ならば危ないからと近づくことさえ許されなかっただろう。
コノネはけれど踏み出す
『遊んで』みたい。
「今はあたしが近づいても大丈夫な素敵な場所。遊び場よね。武蔵坂のおにーさんやおねーさんたちは危ないからというけれど」
胸の高鳴りを抑えられない。
フロアに踏み出せば、オブリビオン『ガルガンチュア』の巨大な鋼鉄の体躯がひしめくようだった。
あれも分裂存在というやつだろう。
背面からせり出した魔導砲が衝撃を解き放ち、コノネへと放ってくる。
凄まじい衝撃だ。
「じゃ、遊ぶね!」
コノネは笑った。
とても良い笑顔だった。楽しくて楽しくてしようがないと言わんばかりの表情を浮かべて彼女は魔導衝撃砲から放たれる衝撃の合間を縫うようにして駆け抜ける。
「あら、素敵な機械ね。それもたくさん!」
「……排除する。袂を分かつのならば、容赦はしない」
コノネのダークネス種族としてのあり方を『ガルガンチュア』は察したようだった。
だが、元よりオブリビオンと猟兵である。
なら、なんの呵責もない。
眼の前にいるのが敵であるのならば、滅ぼすのみ。
コノネのナイフが翻って『ガルガンチュア』の鋼鉄の体躯を切り裂く。
「ううん、硬いね。でも、遊びがいがある相手!」
ナイフが切り裂いた装甲が散る中、コノネはさらに靴を脱ぎ捨て、裸足でフロアを駆け抜ける。
「これはさばけるかな! この一撃は、早いんだよ!(ハヤインダヨ)」
ただ靴を脱ぎ捨てただけだ。
なのにコノネの速度は、さらに加速する。
ユーベルコード。
彼女の瞳に灯る光が、その力の発露を知らしめる。
手にしたナイフは、速度を得て『ガルガンチュア』の体躯を切り裂いていく。
「うん、楽しいね。上へ、上へ向かえばいいのね。そこに『ブレイズゲート』の主がいるのね?」
コノネはもっと『ガルガンチュア』と遊びたいと思った。
だが、程々にしようとも思ったのだ。
武蔵坂のおにーさん、おねーさんたちとの約束もある。
「じゃあね」
また遊ぼうね、と口約束するみたいにしてコノネは『ガルガンチュア』を躱し、『天空の螺旋階段』の天頂を目指して上階へと駆け上がっていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
(身構えていたのに雄叫びか来ず)
ステラさんどうしたんです?
仄かに香る?
そうなんですか?
さすがステラノーズ、わたしにはぜんっぜん解りませんー。
って、キリン、と、バンブー……動物園?動物園なんですか!
あ、その、えーっとステラさん?
今回『エイル』さんいないんですよね?
なら少しは構ってくださいよう。
そ、そんないつも甘い物で懐柔されたりしないですからね!
美味ひいれすけろ!(もぐもぐ
ん、練乳スイーツ補充したら、漲ってきましたよー!
あいかわらずステラさんの呟きはよくわかりませんが、
あの不気味なゴーレム倒せばいいんですよね!
それではいきます【悪魔のトリル】!
え?美人……?
紫くねくねのほうでは……?
ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の!!
香りがあんまりしない……?
うーん、仄かに香っているような
いえ、これはクロキャの香り?
そういえば|殲術再生弾《キリングリヴァイヴァー》に聞き覚えがありますね?
確か|セラフィム・エイル《ヴィー》様が使っていたような
バンブーク第二帝国、古代の地下帝国に眠っていた秘術
しかしサイキックに超機械と聞くと
パッセンジャー様が頭をよぎるのですが
まぁともあれ
おや?ルクス様?なにいじけて……アッハイスミマセン
仕方ありませんね
練乳ムースに練乳ブッセ、他にもまだあります!
メイドの全能力を以て甘やかしましょう!
え?戦い?
【いかなる時もメイドたるもの】
美人メイドにお任せくださいませ!
心構えというものは必要なものである。
どんなものにしたって、必要なものである。
それがあるのとないのとでは、受ける衝撃が違うとも言えるだろう。肉体にせよ心にせよ、だ。
故にルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は事件が起こる度に身構えていた。
いつまたそれが起こっても大丈夫なように。
そろそろ耳栓というものが自分に必要になるのではないか、とさえ彼女は思い始めていた。
「|『エイル』様《主人様》の!!」
ほれきた、とルクスは思った。
けれど、ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)のいつも雄叫びは、それ以上響いてこなかった。
「香りがあんまりしない……?」
ルクスが構えていた原因であるステラは首をかしげていた。
鼻をスンスン鳴らしても、彼女のいつもの叫びはそれ以上聞こえてはこなかった。
「うーん、ほのかに香っているような。いえ、これは?」
「ステラさん、どしたんです?」
「いえ、この香りは嗅いだことがあるようなないような……?」
「そうなんですか? さすがステラノーズ、わたしにはぜんっぜん解りませんー」
ルクスも真似をして鼻をスンスンさせるがよくわからない。
というより、やばい雰囲気がある、ということしかわからない。
彼女たちは今、『天空の螺旋階段』と呼ばれる二重らせん構造の電波塔のフロアにいる。
何故か、と問われたら此処でオブリビオンが何事かを企んでいるらしい。
グリモア猟兵の予知ですら、この『ブレイズゲート』の中を見通すことができないのだという。
「そういえば、|『殲術再生弾』《キリングリヴァイヴァー》に聞き覚えがありますね?」
「キリン?」
「キリングリヴァイヴァー、です。『バンブーク第二帝国』にて|『セラフィム・エイル』《ヴィー》様が使っていたような」
思い出す。
クロムキャバリアの地下帝国『バンブーク第二帝国』にて埋没していた超機械より放たれ、瞬く間に機体を修復して見せたサイキックエナジーの弾丸である。
超機械。
その単語にステラはひっかかりを覚える。
謎の超機械をまとい、周囲の生命力を吸い上げ続けていた超人皇帝『パッセンジャー』が頭をよぎった。
「バンブー……動物園?動物園なんですか!」
「違います」
ステラはさらりと躱した。
しかし、とステラは考え続ける。
その様子にルクスは不満であった。
今回どうやらステラ執心の『エイル』の存在が感じられないらしい。なら、少しは自分にかまってくれたっていいのに。
なのにステラはかまってくれない。
いじいじ。
「少しはかまってくだいよう」
「ふーんだ、いつも甘いもので懐柔されたりなんかしないんですからね!」
「アッハイスミマセン」
はぁ、とステラは息を吐き出す。こんなことをしている暇はないのだが。
まあいいや、と練乳ムースに練乳ブッセをルクスの口にぶち込む。
「甘やかすのならばメイドの全能力を開放するのもやぶさかではございません」
「美味ひいですけろ!」
だが、こんなものでは、とルクスは憤慨している。かまってもらえなかった分だけステラに甘えてやろうという算段なのである。
しかし、そんな二人に襲いかかるはオブリビオン『ガルガンチェア』であった。
魔導衝撃砲が二人に降り注ぐ。
そんな最中にあってステラは給仕というか給餌を行い続けている。
はっきり言って、ふざけているとしか思えない。
「いかなる時もメイドたるもの(ダレガヤベーメイドデスカ)、戦いの最中であってもこのようなことは造作もございません。全ては美人メイドにお任せくださいませ!」
キリッとしても、絵面はなんていうか、その。
「え、美人……? 紫くねくねのほうでは……?」
ルクスはステラの言葉に首をひねりながら悪魔のトリル(アクマノトリル)たる爆音を迸らせる。
ステラのツッコミは、爆音の濁流に押し流されてかき消され、また同時に『ガルガンチェア』たちも同様の運命を辿るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
メリー・スペルティナ
ダークネス…はっ!これは「闇の種族」と何か関係があるのでは!?
それに、ヴァンパイアが敵というならやはりわたくしの出番ですわね!
敵が何か目論んでいる以上、足踏みしてはいられませんわ、それにあれほど大型の敵ならば、むしろ懐に飛び込む方が良いですわね!
多少の無茶は承知の上!ブルートヴァッフェを携え、攻撃は第六感とかで見切り、思い切り踏み込ん(ガッ)…あ、何かに躓いt
(盛大にすっ転びそのままの勢いで675㎞/hで飛び回ります。あと触れた物品や装備は負の運命とかいう謎の力で破壊されます。正直当人も制御できてない感がすごいけど頑張って軌道修正し、その水晶髑髏みたいな頭部にブルートヴァッフェを叩き込みます)
ダークネス。
それは嘗てサイキックハーツ世界において歴史の影から人々を支配してきた邪悪である。
一度は『灼滅者』たちによって打倒された存在でもある。
しかしまた、復活ダークネス――オブリビオンとして、この世界に舞い戻り、事件を巻き起こすのだ。
その目的は往々にして千差万別である。
いずれものオブリビオンたちも、その目的が異なっている。
しかし共通することがある。
それはこの世界を尽く滅ぼすものであるということだ。
今回の事件、『ブレイズゲート』と化した二重らせん構造の鉄塔『天空の螺旋階段』の天頂に座すは、『無限婦人エリザベート』。
「ダークネス……はっ! これは『闇の種族』となにか関係があるのでは!?」
メリー・スペルティナ(暗澹たる慈雨の淑女(自称)・f26478)は、己の気づきが正しいのか、誤っているのかを判別する術を保たない。
だからこそ、事件に踏み込む。
彼女の故郷である世界、ダークセイヴァーは確かに強大な闇の種族によって支配されていた。
大いなる戦いでこれを退けたが、未だその脅威は残っていると言っていいだろう。
もしも、他世界とのつながりがあるのならば、このサイキックハーツ世界にて存在したダークネスと呼ばれる者たちの蠢動は見過ごせなかった。
「それに、ヴァンパイアが敵というならやはり、わたくしの出番ですわね!」
メリーは一気にフロアへと踏み出す。
目指すは天頂。
ならば、一気に駆け上がるのみ。
すでに先んじた猟兵たちのユーベルコードによって電波塔のフロア、その階数の少ない箇所は踏破されている。
「足踏みしている暇なんてありまえんわ! って、これまたでっかいですわね!?」
「……脅威、排除」
メリーの行く手を阻むのは、鋼鉄の巨人とも見紛うほどのオブリビオン『ガルガンチェア』たちであった。
背部から生み出された魔導衝撃砲の砲火は凄まじいものであった。
強烈な衝撃がメリーを襲う。
「なら、懐に飛び込むまで!」
呪血によって形成された刃を構えてメリーは踏み出す。
距離を詰めれば、あの魔導衝撃砲も十全に扱えないだろうと目算したのだ。だが、悲しいかな。
メリーは、跳梁する呪い(ポンコツヒショウ)に苛まれている。
「あっ、なにかに躓い……」
た、とは言えなかった。
次の瞬間、メリーは盛大にすっ転び、そのままの勢いでフロアの周囲を飛び回る。そう、飛び回っているのだ。
負の運命。
その連鎖に引寄されるようにしてメリーは、フロアの角から角、床、天井所狭しと跳ね回るのだ。
それを『ガルガンチェア』は目で追うこともできなかった。
「……対象予測、不能」
「……きゃあああああぁぁぁぁ――!?」
メリーはそれどころではない。
しかも、メリーの身にまとった負の運命に触れた『ガルガンチェア』何故か破壊されるのだ。どういう理屈なのかメリーにもわからない。
わからないが、メリーが飛び跳ねるままに破壊が『ガルガンチェア』たちを襲うのである。
メリー自身も制御できていないものを『ガルガンチェア』がどうにかできるわけもない。がんばって制御を試みようとするメリーであったが、まるで制御できていない。デタラメにふるった呪血の剣が『ガルガンチェア』の頭部を叩き切る。
「と、止まらないのですわ~!?」
そのまま激しく回転したままメリーは、さらなる階上へと駆け上がっていく。
まるで暴風のように――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
ブレイズゲート
ダークネスが、無限に分割され存在する場所
まあ何にせよ籠ってよからぬ企みを成就させるなら、うってつけの隠れ家だね
しかしまあ、それにしたって
こんないかにもダンジョンでーすな所を利用しなくても…
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀し、警戒しながらブレイズゲートを進んでいこう
ガルガンチュアが出て来たら戦闘を開始して対処しよう
【偽書・焔神】起動
『なぎ払い』による斬撃と、同時に蒼炎を放ちガルガンチュア達を『焼却』
連続して攻撃していき敵を倒し、ブレイズゲートを進んでいこうか
無限に残機があるからって、簡単に足止め出来ると思わない事だね
それに灼滅者じゃなくて、猟兵だよ
覚えときな
白い炎の柱が立ち上る場所。
それが『ブレイズゲート』と呼ばれる超常迷宮であった。
眼の前にある二重らせん構造の電波塔に月夜・玲(頂の探究者・f01605)は見覚えがなかった。
しかし、どこかみたことがある、という既視感があるのは、きっと以前サイキックハーツ世界にて起こった事件を解決した折に、オブリビオンとの最後の対決の舞台になった電波塔を想起させたからだろう。
事実、この電波塔は以前の事件の戦いの余波によって唐竹割りされ、その後『ブレイズゲート』化したようである。
「ダークネスが無限に分割され存在する場所、か。まあ何にせよ籠もって良からぬ企みを成就させるなら、うってつけの隠れ家ってわけだね」
それにしたって、と玲は二重らせん構造の電波塔『天空の螺旋階段』を見上げて息を漏らす。
「こんないかにもダンジョンでーす、な所を利用しなくても……」
いや、と違和感を玲は覚える。
二重らせん構造。
それはともすれば、ライフリングのような形を形成しているようにも思える。
まるで天にそびえる銃身のようにも思えたことだろう。
「……『灼滅者』確認。脅威の排除を行う」
瞬間、玲を襲うのはフロアに満ちるようにして現れたオブリビオン『ガルガンチェア』であった。
鋼鉄の巨人を思わせる姿。
推奨の如き頭部だけが生身であり、それ以外の全てを鋼鉄の駆体に改造した存在。
その装甲に覆われた体躯が一気に玲へと迫っているのだ。
抜刀した二振りの模造神器の刀身が蒼く煌めく。
「システム切替、偽書・焔神起動」
偽書・焔神(ギショ・ホムラカミ)によって玲の二振りの模造神器、その刀身が浄化の蒼き炎を宿し、迫る『ガルガンチェア』へと叩き込まれる。
「猛り、狂い、燃やし尽くせ」
その言葉と共に『ガルガンチェア』の装甲が切り裂かれ、その内部から蒼い炎が噴出し唯一の生身たる頭部を焼き尽くすのだ。
だが、それで『ガルガンチェア』の猛攻は終わらない。
フロアのあちこちから這い出すようにして次々と『ガルガンチェア』が現れ続けるのだ。
無限に分割され続けるとは言っても、ここまで数が多いものなのか。
自分たちが目指すは天頂。
そのフロアまでこんな戦いが続くとあっては、流石に辟易してしまう。
「排除」
「排除、脅威の排除を」
「……無限に残機があるからって、簡単に足止めできると思わないことだね」
「『灼滅者』の排除を」
「ああ、あと、言っておくけど。『灼滅者』じゃなくて、猟兵だよ。覚えときな」
玲の手にした模造神器が振るわれる。
蒼い斬撃は炎と共に『ガルガンチェア』の鋼鉄の駆体を切り裂くと同時に燃やし尽くす。
この『ブレイズゲート』の主が何を目論んでいるのかはわからない。
けれど、どうせろくでもないことであるのは間違いないだろう。
故に玲は止まらない。
立ち止まってる暇などないのだ。
蒼い炎がフロアを埋め尽くし、目指す上階へと玲は脇目も振らず駆け上がっていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ユーフィ・バウム
《蒼翼の闘魂》を発動。
真の姿:蒼き鷹として参戦しますわ。
8人の爵位級吸血鬼は武蔵坂学園最大の敵でした
そして無限貴婦人はサイキックハーツに至った
黒の王と同格の伯爵級の難敵
かつては本来の力を発揮させることなく灼滅したものの、
今回は――
まずはそこまでたどり着くことが大事ですわね!
ガルガンチュア達に真向から飛び込み、
怪力を生かした鎧砕きのラリアットで粉砕!
さぁ、多人数が相手であればどんどん倒していきますわよ
グラップルで抑え、投げっぱなしで放り投げ
別な個体を直撃させ、動きを封殺します
そして飛び込んでからのドロップキックで砕きます
相手が少なくなってきたら見栄えのよい投げで決めましょう
これで、KOですわっ!
『ブレイズゲート』、『天空の螺旋階段』にて巻き起こるは、蒼翼の闘魂(ソウヨクノトウコン)であった。
吹き荒れるような気合。
ユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)の身に宿るのは、まさしく闘魂そのものであった。
人々を守り抜く。
その誓いこそがユーフィの戦う理由であった。
真の姿を自ら晒す。
蒼き髪が風に揺れる。
「八人の爵位級吸血鬼は武蔵坂学園最大の敵でした。そして、『無限婦人エリザベート』はサイキックハーツに至った黒の王と同格の伯爵級の難敵。かつては、本来の力を発揮させることなく灼滅したものの、今回は――」
違うのだとユーフィは感じる。
かつてのサイキックハーツ世界のダークネスは強大そのものたる存在であった。
しかし、稼働した超機械『サイキックアブソーバー』によって、強大であることが仇となって行動を制限されていたのだ。
そう、ダークネスは強大であればあるほどに膨大なサイキックエナジーを必要とする。
超機械『サイキックアブソーバー』が存在している限り、彼ら強大なダークネスは弱体化の憂き目にあっていたのだ。
しかし、オブリビオンとなった復活ダークネスたちにとってサイキックエナジーはさしたる問題ではないのかもしれない。
故に『無限婦人エリザベート』は『ブレイズゲート』の主として何事かを企んでいる。
「まずは、そこまでたどり着くことが大事ですわね!」
ユーフィは踏み込む。
すでに先行した猟兵達によって階数の低いフロアは制圧されていると言ってもいい。
天頂に続くフロアまで一気に駆け上がるようにしてユーフィは踏み込む。だが、ここは『ブレイズゲート』である。
無限に分割されたダークネス、オブリビオン『ガルガンチェア』が湧き出してくるのだ。
それも装甲に覆われた鋼鉄の巨人めいた体躯でもって、だ。
そのさまはあまりにも圧倒的。
まるで鋼鉄の大波がユーフィを押しつぶさんとするかのようでもあった。
「お相手いたしますわ。この『蒼き鷹』が!」
ユーフィの裂帛の気合と共に『ガルガンチェア』と組み合う。
軋む骨身。
だが、その軋む音は『ガルガンチェア』から発せられていた。
凄まじい膂力。怪力によって組み合った『ガルガンチェア』の鋼鉄の駆体が砕けるのだ。
「……計測不能」
「そうでしょうとも!」
抑え込んだ『ガルガンチェア』をユーフィは投げ放ち、フロアの地面に叩きつける。
砕けた駆体。
そこにユーフィは飛び込むようにして頭部にドロップキックをぶち込むのだ。
強烈極まりない衝撃と共にユーフィは、さらに宙に飛び上がり、さらにラリアットで『ガルガンチェア』を打ちのめす。
組み付き、投げ放つ。
あらゆる組付もユーフィを前にしては意味を成さなかった。
全てを受け止め、人々を守り抜く。
その誓いを宿した五体に一部の隙もない。鋼鉄のごとき体躯は鍛え上げられた肉体によって粉砕されるのだというように、ユーフィーは『ガルガンチェア』を尽く打倒するのだ。
「これで、KOですわっ――!」
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
●正解はこちら
みんなは右手法というのを知ってるかい?
そう迷路では右の壁に手を付きながら進み続ければ必ずゴールにたどり着けるんだよ!
ラクショーだね!
あーでもこっちに行った方が正解な気がする~と【第六感】に任せて右往左往しながらゴールを目指そう
そうやって迷路をそそーーーっと移動して彼らの後ろに回り込んだりしながらUC『神撃』でドーーーンッ!!
迷宮の奥で待ち構えるモンスターやボスお倒すのは冒険の醍醐味だよね!
さーどんどんいくよーっ!
『ブレイズゲート』は迷宮である。
それも超常迷宮。
無限に湧き出すは復活ダークネス。それすらも無限に分割されるのだという。
恐るべきことである。
嘗ての『灼滅者』たちは、こうした『ブレイズゲート』をいくつも発見し、これを踏破してきたのだという。
「みんなは右手法というのを知ってるかい?」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は、唐突に『ブレイズゲート』、『天空の螺旋階段』のフロアにて解説を始める。
どうした、と思わないでもない。
だが、眼の前に広がるフロアは迷宮のようであった。必ず迷いそうなものである。
故にロニは右手を掲げていた。
「急に迷宮踏破しなければならない、そんな時ってあるよね」
何かの通販番組か?
「そんあときはこれ! そう、迷路では右の壁に手をつきながら進み続ければ必ずゴールにたどり着けるんだよ! ラクショーだね!」
それは通常の迷宮であればの話である。
ここは超常迷宮。
確かに迷宮の法則は通用するかもしれないが……。
「脅威、排除」
ロニの眼の前に聳えるようにして存在しているのが復活ダークネス、オブリビオン『ガルガンチェア』であった。
鋼鉄の巨人めいた体躯。
そして、その装甲に覆われた体躯。
いずれもがロニを補足し、これを打倒さんとしていることがわかるものであった。
「うーん、でもこっちのほうが正解な気がする~」
右手法よりも自分の勘を優先したロニはくる、と踵を返した瞬間、そこに『ガルガンチェア』の一撃が叩き込まれる。
間一髪であった。
「わお、敵だね! はい、どーんっ!」
あ、それ、と気軽な雰囲気でロニは神撃(ゴッドブロー)の一撃を叩き込む。
痛烈なる拳の一撃はフロアをぶち壊しながら『ガルガンチェア』を吹き飛ばすのだ。
さらにぐるぐるとロニは迷宮の中を駆け回っては、『ガルガンチェア』たちの背後を付いては拳で度付き回し続けていた。
ドーン、ドーンと炸裂する拳の音がフロアに響き渡り、ロニは額に汗をかく。
「ふうっ、迷宮の奥で待ち構えるもんすたーやボスを倒すのは冒険の醍醐味だよね!」
同じフロアをぐるぐるしているが、ロニにとっては関係ないことであった。
そう、敵が入ればぶちのめす。
単純なことであった。
「さーどんどんいくよーっ!」
どんなにこれが回り道だって構わない。
どんな道だって歩み続ければ必ずゴールにたどり着く。
そういうものだとロニは理解しているからこそ、右手法のことはさっぱり頭の中から蹴っ飛ばして、己の足で迷宮たるフロアを踏破し、己の拳で立ちふさがるオブリビオンをぶっ飛ばしながら、上階を目指していくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『跋扈する眷属』
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POW : 力ずくで実行犯を止める
SPD : 罠を仕掛け、眷属を捕縛・無力化する
WIZ : 事件の内容から、黒幕の思惑や弱点を推測する
イラスト:みささぎ かなめ
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵たちは『天空の螺旋階段』のフロア、その階数を順調に駆け上がっていった。
しかし、徐々に周囲に満ちる霧が色濃くなっていることに気がつくだろう。
体が重い。
フロアに湧出するオブリビオンの数が多いがための疲弊か、とも思われた。しかし、違う。
この霧だ。
フロアに満ちる霧が己たちの生命力や活力というものを奪い取っているのだ。
しかも、フロアを踏破するためには『無限婦人エリザベート』の眷属たる『ガルガンチェア』たちが立ちふさがっている。
これが『生命力とサイキックエナジー』を奪いつ受ける『無限婦人エリザベート』の罠であり、能力なのだろう。
しかも、フロアは天頂に向かえば向かうほどに狭くなっていく。
眷属をやり過ごすのも難しくなっていくだろう。加えて、伸し掛る魔霧。
危険極まりない状況であるが、これを乗り越えねば天頂にはたどり着けない。
如何にかして、この状況を打破しなければならないのだ――。
村崎・ゆかり
結構面倒な手を使ってくれるわね、『無限婦人』。
それじゃ、「オーラ防御」「霊的防護」「環境耐性」「毒耐性」の摩利支天隠形法で。姿を消して、接触したガルガンチェアからは判断力を奪って。
霧に対しても、十分耐えられるはず。
通路が狭くなってきたら、ガルガンチェアに積極的に接触していく。判断力を奪っていけば、十分にやり過ごせる隙が出来るでしょ。
こいつらの灼滅はまた別の機会に。今は『無限婦人エリザベート』を灼滅するのが先決。
はぁ、先は長いわ。術式を切らさないよう「集中力」で緊張感を維持。
とにかく、戦闘状態に入らないのが最優先よ。
それにしても長い道のり。この苛立ちは『無限婦人』にぶつけましょうか。
魔霧。
それは『生命力とサイキックエナジーを奪う』能力の発露であった。
オブリビオン『無限婦人エリザベート』は、その能力で持って『天空の螺旋階段』の天頂に座し、滾々と魔霧を階下へと垂れ流し続けている。
『ブレイズゲート』という超常に対して、彼女の目論見は秘するところであっただろうが、その能力故に目立つ場所に潜伏してなおメリットが勝つ。
「結構面倒な手を使ってくれるわね、『無限婦人』」
村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は歯噛みする思いであった。
いまだ天頂には届かず。
されど、フロアを駆け上がる度に身が重たくなっていく。
それだけ魔霧が上階へと上がるにつれて濃くなっているのだろう。厄介極まりない能力である。
「……減衰させても、徐々に奪われるのね」
身を護るオーラ、霊的防護、環境への耐性。
多くの力を発露してなお、ゆかりの生命力を奪っていく魔霧。
さらに上に上がれば、この能力はゆかりの肩に重くのしかかってくることであろう。
「この状況で眷属である『ガルガンチェア』とまともにやりあうのは得策じゃあないわね」
ゆかりは己がユーベルコードでもって、自身を揺らめく陽炎に覆う。
視聴嗅覚での感知を不可能にするユーベルコード、摩利支天隠形法(マリシテンオンギョウホウ)にて身を隠す。
だが、このユーベルコードには欠点がある。
如何に視覚、聴覚、嗅覚に引っかからぬのだとしても、熱までは隠せない。
故に、『ガルガンチェア』は鋼鉄の駆体故に熱源を感知する機能を携えている可能性があった。
「……熱源感知」
『ガルガンチェア』が案の定、ゆかりの姿を熱源でもって察知して攻撃を加えてくる。
衝撃が走る。
だが、フロアに迸る衝撃の中をゆかりは、悠然と歩んでいた。
確かに『ガルガンチェア』たちの攻撃はゆかりを認識して放たれている。だが、彼女の身にまとう揺らめく陽炎は、『ガルガンチェア』たちの正常な判断力を奪うのだ。
「たしかに厄介。でもね、あなたたちの灼滅はまた別の機会にいしましょ。今は『無限婦人エリザベート』を灼滅するのが先決なの」
悠然と歩む彼女に魔導衝撃砲は当たらない。
正常な判断力を失った『ガルガンチェア』はゆかりを認識していながらも、狙いを定められない。
まったくデタラメな咆哮に魔導衝撃砲を放ち、ゆかりは己に当たることのない砲撃の中を歩むだけでいいのだ。
「はぁ……とは言っても先は長いわ」
ゆかりは息を吐き出す。
天頂に行くに連れて己の生命力が奪われていく。
術式、ユーベルコードを切らさぬように集中力を高め、戦うことよりも天頂に至ることを優先する。
徒に力を消耗するよりも、このほうが余程よい。
「そにしても……何よ、この螺旋階段……まるで銃身みたい」
二重らせん構造の電波塔。
嘗ての姿はなく、まるで改造されたかのような有り様。
ゆかりが感じたように、まるで天を狙う銃身だ。
「何を考えて、こんなところに陣取っているのかしら」
苛立つ。
その思いはまだ発露させない。これは、『ブレイズゲート』の主である『無限婦人エリザベート』にぶつけるべきだとゆかりは思い直し、胸に沸き立つ苛立ちをしまい込みながら、上へ、上へと目指して踏み出すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
此原・コノネ
んんん、疲れちゃった。おかしいなぁ、まだそんなに遊んでないよ?
あ、霧のせいなのね?ふふ、つまりは遊びの一部なんだ!
防御はダイダロスベルトに任せちゃおっと。
あたしはね、ひたすら前へと進むの!
だって、グリモア猟兵のおねーさんにも、『エリザベート』を倒してほしいって言われてるから!
あとで美味しい食べ物のご褒美貰えるかな?
長いなぁ。でも、それだけ避ける遊びができるっていうことよね!
それに、あたしはまだ身体が小さいから、間を縫うようにしていきやすいと思うの!認識阻害も合わせて、ひょいひょい避けていくね!
疲れちゃうけど…まだまだ遊び足りないのよ!
体が重い、と最初にそう感じたのは僅かな違和感からであった。
此原・コノネ(精神殺人遊び・f43838)は、自身の体力というものを過信していたわけではない。まだこの程度では、という自負もあった。
だが、それでも体が重い。
これは疲労感から来る体の重さ。
目一杯『遊んだ』後に来る疲労感。
「んんん、疲れちゃった。おかしいなぁ、まだそんなに遊んでないよ?」
自らの足が重たく、一歩進むのもなんだか窮屈に感じる。
何故。
理由を探す。
こういう時は、自分の不調の原因をそのままにしておいてはいけない。
「……もしかして、この霧のせい?」
『ブレイズゲート』、『天空の螺旋階段』に存在する主『無限婦人エリザベート』の能力は『生命力とサイキックエナジーを奪う』能力である。
なら、これはその一つなのだろう。
コノネは、己の不調の一因を突き止めて安堵する。
何一つ安堵するところのものはない。
けれど、彼女はこれが『遊び』の一部なのだと理解する。
「なぁんだ。あたしの体がおかしいんじゃあないのね。なら、いいわ。ときにはこうしたルールも必要よね!」
コノネは上階に登るにつれて狭くなっていくフロアにもかかわらず、とにかく前進あるのみだと言わんばかりに突っ切っていく。
眷属である『ガルガンチェア』たちが迫っても構わない。
防御は『ダイダロスベルト』に任せ、自分はひたすらに殺意の切っ先(サツイノキッサキ)を天頂へと突きつけ続けるのだ。
手にしたナイフを振るう。
そうする理由はシンプルだった。
そうして欲しいと願われたからだ。なら、自分はそれをする。
この『ブレイズゲート』の主である『無限婦人エリザベート』を倒す。『遊ぶ』という認識だけれど、そこは変わらないだろう。
「もしかしたら、後で美味しい食べ物のご褒美がもらえるかな?」
期待に胸が膨らむようであった。
コノネは己の胸に湧き上がる感情と共に走る。
「でも、長いなぁ……でも、それだけ長く遊べるってことだよね!」
迫る『ガルガンチェア』たちの猛追を躱しながら、コノネは走る。
素早く近づき刺突。一気に踏み込んで切り裂く。
この二つだけだ。
けれど、コノネのナイフは『ガルガンチェア』たちの体躯を切り裂き、さらに前にすs無。
「疲れちゃうけど……まだまだ遊び足りないのよ!」
もっと。
これは鬼ごっこみたいなものなのだろう。
コノネは笑いながら『ガルガンチェア』たちの放つ魔導衝撃砲の一撃に圧されるようにしてフロアを駆け抜けていく。
「ご褒美、ご褒美♪ もらえるかな? もらえるとうれしなっ」
歌うように軽やかに。
コノネは、ひらりひらりと上階へと駆け上がっていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
戒道・蔵乃祐
やれやれ…
思っていたよりもこれは、飛ばしすぎは命取りになりかねないか?
若しもサイキック・キャバリアだったら、あわや行動不能になっていたかもしれない
偶然も偶然、なれど僥倖の極み
此処からは慎重に
未だ先は長いのだから
◆ 闘法黄金律
※キャバリア騎乗戦闘
暗視+視力でセンサーと目視を頼りに霧の中を移動
闇に紛れる+聞き耳でノーライフキングの奇襲を警戒し、心眼+念動力で気配を察知した場合は先手を取る
というか、コイツ等も魔霧にサイキックエナジーを奪われて弱体化してないか?
隙あらば、裏切る
こういうやり方は好かないな
RSライフルの早業+スナイパーでクイックドロウを放ち、正確に、確実にヘッドショットで急所を破壊します
『ブレイズゲート』、『天空の螺旋階段』。
それは天頂へと階を増す事にフロアが狭くなっていく銃身の如き構造体であった。
フロアが狭くなるということは『ブレイズゲート』の主である『無限婦人エリザベート』の眷属『ガルガンチェア』に発見されやすくなるということである。
それは消耗を避けたい猟兵たちにとっては、有利とは言えない状況だった。
加えて、魔霧である。
上階へと駆け上がる度に魔霧の濃度が増していく。
「やれやれ……思っていたよりもこれは、飛ばし過ぎは命取りになりかねないか?」
戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)は己が駆るキャバリアのコクピットの中で呻く。
そう、『無限婦人エリザベート』の能力は『生命力とサイキックエナジーを奪う』魔霧である。
これによって天頂に座していた意味がはっきりとする。
上階に上がれば上がるほどに魔霧の濃度が増しているのは、それだけ彼女が生命力とサイキックエナジーを集積している証拠でもあった。
もしも、と蔵乃祐は考える。
もしも、自分の駆るキャバリアがサイキックキャバリア……即ち、サイキックエナジーで駆動する戦術兵器であったのならば、相性は最悪であったことだろう。
偶然と言えば偶然である。
しかし、蔵乃祐の考え方は違った。
「これも僥倖の極み。敵の能力の種は割れた。なら、此処からは慎重に。未だ先は長いのだから。されど、疾きこと風の如く。 そして蝶のように舞い、蜂のように刺すのみ!」
ユーベルコードに輝くキャバリアのアイセンサー。
脚部アンダーフレームが駆動し、フロアを一気にキャバリアが駆け抜ける。それに呼応するようにして眷属『ガルガンチェア』が襲いかかる。
魔導衝撃砲や、装甲に任せた突進。
これらを蔵之祐は、闘法黄金律(ファイトスタイル・ゴールドスタンダード)を持って制する。
疾駆し、武装の一撃を受け止める。
加えて、その動きを見切ってキャバリアのライフルでもって早撃ちを行う。
弾丸は『ガルガンチェア』の魔導衝撃砲の砲口へと叩き込まれ、内部で炸裂して爆発を巻き起こす。
「動きが鈍い? やはり、コイツ等も魔霧にサイキックエナジーを奪われて弱体化しているのか……?」
蔵乃祐は先程の階下で交戦した『ガルガンチェア』よりも、上階の『ガルガンチェア』が倒しやすいことに気がつく。
それは即ち『無限婦人エリザベート』が魔霧の能力によって『ガルガンチェア』たちの有しているサイキックエナジーをも吸い上げていることを意味している。
「隙あらば、裏切る。こういうやり方は好かないな」
ダークネスは邪悪。
真に邪悪であるからこそ、そこに義理や仁の心というものは持ち得ないのかもしれない。
それは蔵乃祐にとっては相容れないものであったのかも知れない。
『無限婦人エリザベート』が何を画策しているのかはわからない。だが、サイキックエナジーを集め続けるのならば、碌なことではないだろう。
故に駆るキャバリアの駆動音を耳に刻みながら蔵乃祐は『ガルガンチェア』の頭部を打ち抜きながら崩れ落ちる鋼鉄の体躯に見向きもせずに、上階たるフロアへと駆け上がっていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
鷹神・豊
疲労にも快不快がある
…この疲労感は単なる肉体疲労とは明確に異なるな
考えを巡らせるより先を急いだ方が良かろう
日頃の鍛錬で培った継戦能力と精神力を頼りに
疲労感をある程度堪えて身体を動かす
最速で駆け抜ける事のみを考え
エアシューズの駆動力を駆使してフロアをダッシュ
眷属は助走分の勢いを乗せたジャンプで飛び越え
着地位置付近に居るなら蹴る事で踏み台にし更に先へ
躱して通れる限界がくるまで基本交戦は避ける方針
通路が狭くなれば視力で霧の中をよく見通し
敵影が視えたらUCで頭部付近を先んじて銃で狙撃
これで斃れんなら退くかくたばるまで
只管暴力で叩きのめすのみ
貴様も瓦礫になるか?
急いでいる、道をあけろ
眼光で威圧し押し通る
ある一定の階数を駆け上がり、その身に蓄積した疲労が肩に伸し掛ることは、ままあることであった。
エスパーと言えど、不眠不休で動くことはできるが身に蓄積した疲労というものを考えずに行動することはできない。
死なない、というだけで傷を受ければ苦痛を感じるのと同じように疲労も感じる。
それゆえに鷹神・豊(蒼天の鷹・f43985)は、己が身を苛む疲労が自然なものではないことを感じ取っていた。
明確に不快な疲労感。
肉体が感じ取っている疲労はまさしく、と彼は考えを巡らせるよりも早く体を動かすことを優先した。
思考すれば脳が疲労する。
この疲労が行動によって引き起こされたもの以上であると仮定するのならば、身を苛む疲労は時間が経てば経つほどに回復不能なまでに己が体躯に重石をつけるものであると知る。
「先を急ごう」
短く呟く。
疲労の蓄積は言うまでもない。
だがしかし、日頃の鍛錬。これが豊の地力を支えていた。
フロアは上階へと登るにつれて狭ばまっていく。ある種必然であった。
この『ブレイズゲート』の構造を考えれば、天頂に向かえば向かうほどに捻れて狭くなっていく。
超常迷宮であるから、法則性はない。
けれど、恐らく、とまた仮定をつなぐ。
上階へと駆け上がる度に、眼の前を遮る魔霧が色濃くなっていく。
「まずいな」
思考してはならない。そう思いながらも、思考が巡る。
エアシューズの反発でもってフロアを疾駆する。眷属と遭遇する確率が上がってきている。今はまだ躱せていても、いずれ捕まることは想像に容易い。
「無理か。いや、そもそもが」
無理難題だったのだ。
全ての眷属『ガルガンチュア』を躱すことなどできるはずもない。
故に豊は即座に切り替える。
これまで眷属の影を見れば、戦闘を避けようとしていた。だが、今は違う。
「見敵必殺というやつだ。悔い改めろ」
勧告(カンコク)と手にした銃の引き金が引かれるのは、ほぼ同時であった。
発砲にためらいはない。
放たれた弾丸は『ガルガンチュア』の頭部を打ち据える。倒せるとは思っていない。だが、豊の瞳はユーベルコードに輝いている。
そう、彼の弾丸は傷跡のみならず恐怖をも『ガルガンチュア』に刻み込むのだ。
怯えるように後退りする『ガルガンチュア』の顔面をエアシューズで蹴りつけて豊は前に進む。
「貴様も瓦礫になりたくはないだろう。急いでいる、道を開けろ」
豊の眼光は鋭く、『ガルガンチュア』たちは刻み込まれた恐怖心によって後ずさりするしかなかった。
押し通る。
敵の数は多く、フロアも狭まってきているというのならば、かまってはいられない。
後退りした『ガルガンチュア』たちをかき分けるようにして豊は上階に続く階段へと踏み込む。
また一層、魔霧が色濃くなった気がした。
だが、止まらない。
立ち止まれば、それだけ事件解決が遠のく。
なら、今は考える必要はないと矢のように彼は走るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
メリー・スペルティナ
ふ、ふふ……これがわたくしの、実力…、ですわ…!
(しばらくお待ちください)
……ふぅ(深呼吸)、さて…嫌な霧ですわね(キリッ)
あの警備兵も命あるもののようにも見えにくいですが、
どのみちオブリビオンですし、死の側に属す者な訳ですから関係ないという事ですわね
やはりここは……強行突破しかありませんわ
タイキックとか何とかは知りませんが、生命力を奪うというのならこうですわ!
【冥想血界:果てなき永劫の戦】!
無理やりの不死化による生命力補填と、おまけで敵の捕縛を仕掛け、鈍った敵からブルートヴァッフェで斬りつけ、おまけで生命力を奪いながら正面突破!一気に駆け上がってしまいますわ!
……こ、今度は転びませんわよ!?
視界がぐるぐるりと回る。
メリー・スペルティナ(暗澹たる慈雨の淑女(自称)・f26478)は、そんな己が視界の中で不敵に笑む。
「ふ、ふふ……これがわたくしの、実力……ですわ……!」
ゆらゆらと揺れる体。
キメキメのセリフであるが顔は青ざめている。
ここまで来るに至って、彼女は盛大に躓いたまま大回転を起こしていた。
それが敵であるオブリビオンにとっては予想不可能たる攻勢であったことは言うまでもない。しかし、同時にそれはメリーの三半規管に甚大なるダメージをもたらしていた。
揺れる視界はそのためである。
ふらふらと体が揺れているのは、きっと気のせいではない。
しばらくお待ち下さい。
「……ふぅ」
深呼吸をする。
しかし、メリーは一向に己の体力というものが回復しない事態に気がつく。
周囲には魔霧。
これが『ブレイズゲート』の主である『無限婦人エリザベート』の能力である。
生命力とサイキックエナジーを奪う魔霧。
この『ブレイズゲート』、『天空の螺旋階段』は上階に行くにつれてフロアが狭まっていく。まるで銃身のようだった。
そして、同時にそれは上階に迫れば迫るほどに魔霧が色濃くなっていく。
『無限婦人エリザベート』に近づいているという証左でもあるが、メリーの体から生命力が奪われていく。
「まったく……嫌な霧ですわね」
キリっと表情を作り直す。べつに霧とキリッを掛けたわけではないことは断っておこう。
「眷属……先程の『ガルガンチュア』たちもまだいる、と。やはりここは……強行突破しかありませんわね」
狭まったフロアには未だ『ガルガンチュア』たちが屯している。
「タイキックとか何とかは知りませんが、生命力を奪う魔霧というのならば、こうするまでですわ!」
サイキックね。
「冥想血界:果てなき永劫の戦(ヴェルトート・ヴァルハラ)! ふふん、見せてやりますわよ、今を生きる者の強さ、その想いを。……さあ、死んでる暇なんかありませんわよ!」
塗りつぶすは世界。
一時的とは言え、世界というテクスチャを塗り替える紅い雨。
降りしきる雨は、魔霧さえも塗り替え、同時に『ガルガンチュア』の体躯を縛り上げる。
「……!?」
『ガルガンチュア』たちは己の体躯を縛り上げる鎖を引きちぎろうともがく。
しかし、そのもがく隙こそ、メリーの踏み込みを必殺へと変えるのだ。
如何に生命力とサイキックエナジーを奪う魔霧とはいえ、世界を書き換えるユーベルコードによって効果を失う。
メリーは一気に踏み出した。
一抹の不安がある。
また何カに躓くのではないか、と。
「……こ、今度は転びませんわよ!」
メリーの手にした呪血の剣が翻り、『ガルガンチュア』たちの体躯を切り裂く。
賦活される生命力と共にメリーは一気にフロアを突っ切る。
今度は転ばなかった。
フリではなかった。恐らく。
「フリで転ぶ人がいますか!」
メリーはそう叫び、上階へと急ぐのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
ステラさん、ぜんっぜん関係ないですけど、
螺旋階段って、下見たら目が回りそうですよね。
ここはフロア状でいいんですけど、
ほんとに階段だったらと思うとちょっと怖いです。
でも怖い物見たさとかもありますし、見ちゃいそうですよね!
って、少しは聞いてくださいよー。
【皇帝賛歌】の結界で魔霧は防げますし、
ガルガンチュアも弾き飛ばして安全なんですから。
演奏?
そんなのお話ししながらでもできますよ♪
音楽はわたしの細胞に染みついてますからね!
あ、通路が狭くなってガルガンチュアが押しつぶされて……。
相手は機械とはいえ、ちょっとエグいです。
こんなときこそ|メイドスキル《妖怪紫くねくね》でなんとかならないですか?
ステラ・タタリクス
【ステルク】
さて、ルクス様はやる気を出したところで……
シリアスと言うか肉体労働と言うか
ルクス様の心を折りに来ているのですか?ブレイズゲート?
あ、だいじょうぶだった(下から見上げているルクス様を見て)
いえいえ、ちゃんと聞いていますよ
さぁ参りましょう
こういう時のルクス様は|頼りになります《メタ張れてえらい》
安心して進めそうなので、私は支援に徹しましょう
【アウクシリウム・グロウバス】でルクス様の結界に弾かれた障害を
叩き落していきましょう、下に
視覚的にえぐいのは仕方ない気が
私のメイドスキルはエイル様に特化しているので
誰が|やべー《紫くねくね》メイドですか
というか話しながら演奏できる方がヤバいのでは?
アレルギーとは悲しいものである。
殆ど理不尽であると言ってもいい。ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)はシリアスアレルギーである。
そんなアレルギーあるの?
疑問はつきない。だが、現実的にルクスがアレルギー反応を起こしているのだから仕方ない。勇者としてそれはどうなんだと思わないこともないが。
「ステラさん、ぜんっぜん関係ないですけど、螺旋階段って下見たら目が回りそうですよね」
まあ、ここはフロア状だからいいんですけど、とルクスは『ブレイズゲート』、『天空の螺旋階段』にてそんなことを呟いた。
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は、いつもならばルクスがシリアスアレルギーを発症している頃合いだと思っていた。
だが、まだ大丈夫そうだった。
練乳スイーツが効いているのだろう。
「シリアスというか、肉体労働というか。ルクス様の心を折りに来ているのではないですか、『ブレイズゲート』とは」
「そんなわたしピンポイントで狙ってくる『ブレイズゲート』があるんだったら、見てみたいですよ。ドシリアスな! いえ、そうではなくって、怖いもの見たさで下を見たくなりません? 見ちゃいそうですよね!」
「そうですね」
「少しは聞いて下さいよー」
「このような状況で関係ない話のできるルクス様の胆力には感心しきりでございます。ちゃんと聞いてはおりますよ」
それよりも、とステラは己の体躯から生命力が奪われていることに気がつく。
これが『ブレイズゲート』の主である『無限婦人エリザベート』の能力である。
上階に迫るにつれて魔霧が濃くなっている。
それは天頂に彼女が座していることの証明であるが、同時に近づけば近づくほどに彼女の魔霧の餌食になるという巧妙な罠であった。
「この霧は厄介でございますね」
「霧? ああ、霧なら皇帝讃歌(コウテイサンカ)でぶっ飛ばしちゃいましょう!」
ルクスは楽器演奏とオーラ防御を組み合わせた全く新しい技能、奏響結界によって迫る魔霧を防いでいた。
「こういうときのルクス様は|頼りになります《メタ張れてえらい》」
「素直に言ってくださいよ! ルビ見えてますからね!」
見えてるの!?
「いえ、これで安心して進めそうでございます。こうなれば、私は支援に徹して良さそうでございますね」
ステラは己の銃でもってルクスの結界に弾かれた『ガルガンチュア』を撃ち抜いていく。
「それにしても、演奏しながらよくもまあ……」
「演奏しながらお話なんていくらでもできますよ♪ 音楽はわたしの細胞に染み付いてますからね!」
ルクスが、ぐっ、とポーズを取っている。
その状態でも演奏できるというのが脅威なのだが。
「結界に押し出された敵さんが下に落ちていくのは、視覚的にお腹にギュンギュンきますね……こんなときこそ|メイドスキル《妖怪紫くねくね》でなんとかならないですか?」
「メイドスキルをなんだと思っておられるのでしょうか。それに私のメイドスキルは『エイル』様に特化しているので……いえ、というか誰が|やべー《紫くねくね》メイドですか」
「紫くねくねは言いましたけど、やべーとは言ってないです」
言外に言ったようなもんであるが。
「ヤバさで言えば、話しながら演奏できるルクス様の方が余程だと思うのです」
「そんなことないです!」
二人は危機的状況でもいつも通りを崩さず、和気あいあいと『ブレイズゲート』を踏破していく。
『ブレイズゲート』探索ッテ、こんなものだっけと思わないでもなかったが、このふたり組に関してはいつも通りであることが強さの秘訣なのかもしれない。
断じて、単純に二人共やばいというわけではない。
たぶん――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ユーフィ・バウム
なるほど、伸し掛る魔霧の影響を
受けたままに突破するは至難ですわね
ならば、やり過ごす――
ことはありませんわ、《不屈の蒼翼》を発動
最後真の姿となりて、最短距離を突破いたします!
生命力や活力を斬りが奪い取る?
いいえ、今の私はUCの恩恵で負傷も疲労も先送りにしています
したがって、脚が鈍ることもない!
効果終了後に致命傷とならないよう
身に厚いオーラ防御を纏いつつ、ダッシュで天頂まで駆け上がり、
進行方向に現れるガルガンチュアのみを投げ飛ばし、
怪力のラリアットで粉砕し、突破していきますわ
最短で突破すれば受けるダメージも結果的には低く収まるのです
無限婦人に宣戦布告をするかのように、
力強く天頂へリングインですわ!
上階から滾々と溢れ出しているのは魔霧であった。
ただの霧ではないことは明白。
なぜなら、此処は超常迷宮たる『ブレイズゲート』。如何なる状況が迫ってもおかしくはないのである。
故にユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)は己の身に伸し掛る魔霧の影響を肌で感じ取る。
「なるほど。これが『無限婦人エリザベート』の能力……生命力とサイキックエナジーを奪う魔霧ですか。この影響を受けたまま突破するのは至難ですわね」
ただその場に座しているだけで生命力が奪われていく。
恐るべき能力である。
言うまでもなく、奪われた生命力、サイキックエナジーは『無限婦人エリザベート』のものとなるだろう。
自分たちが此処に存在するだけで敵に利するところになるのだ。
「ならば、やり過ごす――」
懸命な判断をしなければならない。
「ことはありませんわ! それがレスラーというものですわ!」
ユーフィの瞳がユーベルえコードに輝く。
闘魂燃える瞳。
体躯より迸るはユーベルコードの輝き。そして、迸る光より現れるのは『蒼き鷹』のリングコスチュームをまとった真の姿。
「最速最短で突破いたします!」
不屈の蒼翼(フクツノソウヨク)を広げたユーフィは一気にフロアを走る。
「生命力や活力を霧が奪い取る?」
これに対処するには魔霧を避けねばならない。しかし、上階に登れば登るほどにフロアは狭まり、色濃くなっていく。
「いいえ、そのような障害の全てを振り切ってこそレスラーですわ!」
「障害を排除する」
「邪魔ですわね! この程度の数で私の最速最短を邪魔立てできるとでも!」
あらゆる負傷や疲労、致命傷をレスラーたるユーフィは先送りにする。
迫る眷属『ガルガンチュア』たちの猛攻すらも今のユーフィには影響を及ぼさない。振り抜かれた拳は鋼鉄の駆体を砕き、掴み上げた体躯は豪快に階下へと投げ捨てられる。
千切っては投げ、という言葉がしっくりくるほどの獅子奮迅たる戦いぶり。
ユーフィは構わず天頂を目指す。
障害があれば躱す、避けるのではない。
すべて踏み超える。もしくはなぎ倒す。これがユーフィというレスラーのあり方であった。
「……ッ!!」
「突破させていただきますわ!」
剛腕たるラリアットの一撃が『ガルガンチュア』の頭部を打ちのめし、その駆体をフロアに叩きつける。
身に受ける疲労は、戦いが終わった後に味わえばいい。
ただひたすらに天頂を目指す。
必然、それは最速にして最短。
なれば、影響を受けることも最小限に抑えられるだろう。
「待っていなさい、『無限婦人エリザベート』! 天頂にあなたが座すというのならば、リングインして名乗らせていただきますわ!」
ユーフィは力強く叫び、さらなる上階、色濃くなっていく魔霧の先にある『ブレイズゲート』の主へと己が指を突きつけ、宣戦布告するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
みぎ~ひだり~みぎ~ひだり~♪
ひだり~ひだり~とみせかけてうえ~♪
んもー
視界不良の迷路なんて難易度無駄にあげっちゃって~
と【第六感】で感じるままにコース選定しつつ
つまり触れなければいいんだね!
と[白昼の霊球]くんに霧にだけ干渉するようにしてもらって霧だけ押し退けながら進もう!
ふむふむステージが狭いってことは向こうも除けられないってことだよね!
と彼らを見つけたら通路一杯に転がる殺人トラップのように通路一杯のサイズの[球体]くんをごろごろ~っと転がしてこう!
ドッカーーンッ!とぶつけてまだ足りないならUC【神撃】で球体くんを押すようにドーーーンッ!!
さあラストステージだよ!
超常迷宮の内部は複雑怪奇であった。
しかし、一つの法則性がある。上階へと上がれば上がるほどにフロアが狭まってくるのだ。それは探索の手間が僅かに少なくなるということを意味していた。
「みぎ~ひだり~みぎ~ひだり~♪」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は愉快に歌いながらフロアを進んでいく。
順調であったのは勘の冴えわたる所があったからである。
「ひだり~ひだりとみせかけてうえ~♪」
どもまで言っても順調。
しかし、魔霧が色濃くなってくれば、そうもいかない。
「んもー。なにこれぇ?」
まとわりつくような魔霧は生命力とサイキックエナジーを奪う『無限婦人エリザベート』の能力である。
これによって彼女は多くの生命力とサイキックエナジーを奪い続けているのだ。
「視界不良の迷路なんて難易度無駄にあげちゃって~」
とは言え、感じるままに走破するロニには関係ななかった。
霧を押しのけながら進む。
同時にフロアが狭いといういことは『無限婦人エリザベート』の眷属と遭遇する確率も高くなる、といううことだ。
「脅威の排除を実行」
『ガルガンチュア』たちが迫っている。
ロニは放たれる魔導衝撃砲を球体で受け止めて笑う。
「まったくも~性も凝りもなくさ~でも、これだけ通路が狭くなっているんなら」
球体を通路いっぱいに巨大化させてロニは、軽く手で押す。
「よく迷宮で見る通路いっぱいに広がる殺人トラップのやつ!」
ごろごろと通路を転がって球体が『ガルガンチュア』たちの体躯へと殺到する。
だが、『ガルガンチュア』たちは逃げ惑うことをしない。
真っ向から球体を受け止めているのだ。
伊達にオブリビオンではないということだろう。
それどころか、魔導衝撃砲によって球体を押し戻そうとさえしているのだ。
「んも~往生際が悪いってば~!」
ロニの瞳がユーベルコードに輝く。
振りかぶった拳は、球体に叩きつけられる。勢いを増した球体は、神撃(ゴッドブロー)の圧力を受けて、さらなる突進力を得て『ガルガンチュア』たちを押し戻し、階下へと押し出すのだ。
相当、上階へとやってきていたのだ。
ここから階下まで一直線に落ちれば、ただではすまないだろう。
ロニは、階下から響き渡る『ガルガンチュア』がひしゃげる音を聞く。
「うん、これにて一件落着! さあ、ラストステージだよ!」
フロアの敵を一層して、さらなる上のフロアを目指す。
きっと天頂には『無限婦人エリザベート』が座しているだろう。これを倒せば『ブレイズゲート』は消滅する。
「迷宮探索は楽しいけれど、無駄に難易度上げるのはナシだよねぇ~何にせよ、楽しんでクリアできる位が何事もいいんだよ」
そう言ってロニは、悠々と上階へと足を伸ばすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
うお、霧濃い!
湿気ておるのう!
デカい除湿機でも持ってきて!
更に敵まで居るんだから、嫌になるよね
と言う訳で、ちょっと楽しながら進もう
腕をちょーっと切りつけて流血
そして【断章・焔ノ血】起動
見通しが悪いなら、範囲攻撃で焼いていこう
蒼炎で周囲の敵を攻撃しつつ、炎で自身を回復
霧で視界が悪いなら、とりあえず脅威になりそうな敵を蒼炎でマーキングがてら攻撃しながら進んでいこう!
蒼炎で焼けている敵が見えたら、剣を抜刀し『串刺し』にしてトドメ!
照明にもなってお得だね!
いやさーこんなジメッた所に籠もってないで、塔の天辺でやあやあ我こそはー!
くらいの威勢を見せてほしいよね
環境もやってる事も湿気てるよ!
「うお、霧濃い! 湿気ておるのう!」
第一声はそれであった。
月夜・玲(頂の探究者・f01605)は、げんなりしていた。
フロアを埋め尽くす霧。
これはただの霧ではない。『無限婦人エリザベート』の能力による魔霧である。
生命力とサイキックエナジーを奪う魔霧が上階に向かうに連れて色濃くなっていくのだ。
「デカい除湿機でももってきて! それこそアブソーバーみたいなのがないと無理なのか? さらに敵まえいるんだから、嫌になるよね。そんな時ってあるよね!」
あるかもしれない。
通販番組みたいなノリで玲は、さくっと己の腕をちょっぴり斬りつける。
鮮血が腕を伝って落ちていく。
「そんな時はこれ。断章・焔ノ血(フラグメント・ファイアブラッド)~」
イントネーションが著作権に引っかかりそうである。
色々危うい雰囲気の中、玲の瞳がユーベルコードに輝く。
彼女の血潮が流れる限り、周囲に生まれる蒼き炎は一気に膨れ上がり、『ブレイズゲート』内部へと駆け抜けていく。
蒼炎は眷属『ガルガンチュア』を焼く。
焼け出された『ガルガンチュア』が飛び出せば、玲は模造神器の一撃でもって、これを串刺しにして打倒する。
しかし、さらに魔霧は色濃くなっていく。
加えて魔霧による生命力とサイキックエナジーの簒奪。体が僅かに重い。紅き炎で身を癒やしてはいるが、それが追いつかないほどに魔霧が濃くなってきているのだ。
「全く視界が悪いったらありゃしないよ」
身にかかる疲労感は、蒼炎に対なる紅き炎によって癒やきれなくても突き進んでいくしかないのだ。
それでも玲はいつもの調子をやめない。
いつもの自分を保てないということは、敵に己をコントロールされているということだ。
そんなことはない。
いつだって自分は自分なのだ。
故に玲は、調子を変えない。どれだけ生命力とサイキックエナジーを奪われ続けても、それでも彼女は自分自身の矜持を忘れない。
故に。
「照明にもなってお得! 今ならなんと……」
ショッピングチャンネルが始まりそうな勢いであった。
しかし、玲は自身が『天空の螺旋階段』の天頂付近まで駆け上がってきていることに気がつく。
周囲にある魔霧の濃さから見ても、ここが天頂で間違いないだろう。
「いやさー、こんなジメった所に籠もっていないで、塔のてっぺんでやあやあ我こそはー! くらいの威勢を見せてほしいよね」
玲は天頂に座す『無限婦人エリザベート』の姿を認めて、模造神器の切っ先を向ける。
倒すべき敵。
この『ブレイズゲート』の主。
銃身のように捻じ曲げられた二重らせん構造の電波塔。
この電波塔にて座す彼女が何をなそうとしているのかはわからない。
だが、玲は鼻で笑う。
「環境もやってることも湿気てるよ!」
どのみち、オブリビオンの企みは全て打破する。
それが猟兵というものである――!
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『無限婦人エリザベート』
|
POW : 奪命血霧
戦場全体に【紅い血霧】を発生させる。レベル分後まで、敵は【血霧を通じた生命力吸収】の攻撃を、味方は【血の癒やし】の回復を受け続ける。
SPD : 無限黒霧
戦場全体に【漆黒の血霧】を発生させる。レベル分後まで、敵は【霧から生まれるヴァンパイア】の攻撃を、味方は【霧による肉体修復】の回復を受け続ける。
WIZ : 死毒緑霧
【自身の肉体を物理攻撃無効の霧に変えて】から、戦場全体に「敵味方を識別する【緑色の毒霧】」を放ち、ダメージと【致死毒】の状態異常を与える。
イラスト:ろま
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『無限婦人エリザベート』は、天頂に座して集積した『生命力とサイキックエナジー』をたぐり、階下より飛び込んできた猟兵たちを一瞥する。
「あら……思ったよりも早かったですね」
彼女の瞳に焦りはなかった。
猟兵が迫ってきていようとも、己の企みが看破されたのだとしても余裕たる態度を崩さなかった。
手元に存在するサイキックエナジーをもって彼女は何事かの儀式を執り行っているようであった。
「これですか? これは集めたサイキックエナジーを凝縮しているのです。嘗て、『灼滅者』たちの恐るべきところは、倒してもまた瞬く間に戦場に舞い戻ってくるしぶとさでありました。まるで不死の軍勢かと見紛うほど。死してもなお、私達を灼滅せんとする意志。それを支えていたのは、『サイキックアブソーバー』に装填されていた|『殲術再生弾』《キリングリヴァイヴァー》……」
なら、とか彼女は手繰り寄せたサイキックエナジーの凝縮されたものを天頂にありて、取りこぼすようにして『天空の螺旋階段』の階下へと放り捨てた。
「この『ブレイズゲート』は銃身。螺旋は弾丸を加速させ、直進させる。きっと時の流れだって抗うことができるかもしれない。なら、この弾丸は、きっと『いつかのだれか』に届くことでしょう。それがどの世界の破滅を齎すのかはわかりませんが……」
でも、と『無限婦人エリザベート』は笑む。
これは実験なのだ、と。
無限の名に恥じぬほどの時間を彼女はオブリビオンとなって得た。
滅ぼし切ることのできぬ存在。
故に彼女は己が身より魔霧を噴出させる。
『生命力とサイキックエナジーを奪う魔霧』は、この天頂にあって、その濃度を最高潮のものとしている。
加えて、彼女は嘗て伯爵級と呼ばれた実力の持ち主。
「踊りましょう。とびきり優雅に、とびきり愉快に。時の流れは残酷ではありますが、美しいものです。停滞した時の彼方より、時間の濁流に翻弄されるあなた達を見るのもまた一興」
故に、と彼女は立ち込める魔霧と共に猟兵達へと襲いかかるのだった――。
村崎・ゆかり
いってることは聞き心地がいいけど、望むのは結局世界の破滅なのね。それなら、あなたはここで止める、“無限婦人”エリザベート!
事前にSSWの極薄の宇宙服を着込んで、「オーラ防御」「霊的防護」「呪詛耐性」「環境耐性」。これで全く無意味じゃないことは分かってる。
それじゃあ、相対を始めましょうか、“無限婦人”。
「全力魔法」「精神攻撃」「範囲攻撃」「レーザー射撃」「破魔」「仙術」で落魂陣を展開。
宙に浮かべた多数の、大判呪符からの乱射攻撃、見切れるかしら? それに、その回復、精神までは及ばないでしょう?
後は互いに、泥沼の消耗戦よ。どっちが先に斃れるか、試してみようじゃない。負ける気はない!
その声は美しく麗しいものであった。
オブリビオン『無限婦人エリザベート』の言葉は、きっと聞く者の耳にそのように響いただろう。
「言ってることは危機心地がいいけど、望むのは結局、世界の破滅なのね」
村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)の言葉に彼女は頷いた。
「ええ、その通りです。私が望むのは世界の破滅。炎の破滅はきっと美しいことでしょう。美しいものを多くの者は好むでしょう。なら、それを観たいと思うのもまた自然の摂理。どんな命にだって、破滅願望はあるのだから」
笑むと同時に魔霧が噴出する。
それは真っ赤な血のような霧であった。
「それなら、あなたはここで止める『無限婦人エリザベート』!」
ゆかりは宇宙服を着込んでいたが、しかし、『無限婦人エリザベート』の放つ魔霧の前には全く無意味であった。
これまで自身のオーラやそうした守りが無意味でなかったのは、彼女の能力の範囲の中でも遠く放たれていたからだ。
こうして目視できる範囲にあっては、最早、魔霧は強烈に過ぎる能力だった。
これが戦略級とも言われるオブリビオン。
『無限婦人エリザベート』はたおやかに笑む。
「どうしました。来ないのですか?」
ゆかりを苛むのは、血霧を通じた生命力吸収。
肉体を苛む血霧の力は苛烈。
「いいえ、相対を始めましょうか『無限婦人』」
ゆかりの瞳がユーベルコードに輝く。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。心身支える三魂七魄の悉くを解きほぐし、天上天下へと帰らしめん。疾!」
魂魄を吹き飛ばす呪詛を込められた呪符。
戦場に舞い散るようにして放たれたそれらは、一気に『天空の螺旋階段』の天頂にあって符に描かれた文様を輝かせて『無限婦人エリザベート』を照らす。
光線が解き放たれ、落魂陣(ラッコンジン)が此処に完成する。
雨のように降り注ぐ光線を『無限婦人エリザベート』は受け止めながら、笑むばかりであった。
躱すことはできないほどの物量。
加えて肉体ではなく魂魄のみを攻撃するゆかりのユーベルコードは、確かに『無限婦人エリザベート』の生命力というものを吹き飛ばすものであった。
「見きれないでしょう! それに、その回復、精神にまでは及ばないでしょう?」
「ええ、そうですね。これを見切って躱す、というのは骨が折れます。だから、躱さないのです」
彼女はあくまで笑む。
そう、彼女にとって生命力とは奪うもの。
これまでも奪ってきた。
これからも奪うだけだ。
故に彼女は笑む。
どれだけ生命力を吹き飛ばされようとも、この魔霧がある限り、ゆかりは消耗戦の泥濘に引きずり込まれているのだ。
「あなたと私、どちらが生命力の総量が多いかなど言うまでもありません。なら、先に倒れるのはあなたではないですか?」
「泥沼の消耗戦は望むところよ! どっちが先に斃れるか、試してみようじゃない」
ゆかりは歯を食いしばる。
確かに生命力の総量で『無限婦人エリザベート』に勝てる見込みはない。
けれど、それは己が一人であったのならばの話だ。
此処には自分だけではない。
他の猟兵たちもいる。
なら。
「負ける気はない!」
炸裂する光の雨と共に、ゆかりは『無限婦人エリザベート』を消耗戦へと引きずり込むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
此原・コノネ
あなたが今回の相手なのね!うふふ、遊びましょ!
んんん、霧ばっかり!でも、それがここでの|約束事《ルール》なのね!
あ、『エリザベート』おねーさんが遊ぶ相手は、あたしだけじゃないもんね。
じゃ、あたしの番は早めに終わらせないと!
【殺意の切っ先】!ええ、おねーさんは物理無効にしてくるでしょ?
でもね、このナイフ…灼熱の血で出来てるから、燃やすのもできるの。
さらにね!鋼糸での追加薙ぎ払い!この鋼糸、概念も切れるから、エリザベートおねーさんにも届くんだよ!
んん、毒は燃やしてるけどキツイから、タイミングみて撤退だね。
遊びは面白かったよ!
膨大な生命力が渦巻いている。
『ブレイズゲート』、『天空の螺旋階段』の天頂に座す『無限婦人エリザベート』は、この天頂にありて多くの生命力とサイキックエナジーを簒奪していた。
サイキックエナジーは塊となって凝縮され、階下へと落ちていった。
そして、渦巻く生命力は『無限婦人エリザベート』の力となって渦巻いている。
猟兵のユーベルコードが明滅し、その生命力を吹き飛ばしても滾々と湧き上がる泉のように『無限婦人エリザベート』を取り巻いていく。
これが戦略級とも呼ばれたオブリビオン。
「あなたが今回の相手なのね! うふふ、遊びましょ!」
だが、此原・コノネ(精神殺人遊び・f43838)は構わなかった。
どんなに強大な敵であっても、彼女にとっては『遊ぶ』ことと同義であったからだ。
「お嬢さん、楽しそうですね。楽しそうな子を見ると、私も楽しくなります。さあ、踊りましょう」
「うん!」
瞬間、『無限婦人エリザベート』の体が霧へと変貌する。
コノネが一瞬で踏み込んで突き出したナイフの一撃は空を切る。
いや、霧に突き立てられたが『無限婦人エリザベート』の身を傷つけるには至らなかった。
「んんん、霧ばっかり!」
「ええ、私の体は無限たる霧。お嬢さん、あなたのナイフは私には届かない」
「そんなのずるい! でもそれがここでの|約束事《ルール》なのね!」
「そのとおりです、お嬢さん。あなたが此処で死に値する苦痛を得るということも、ね」
噴出する緑の霧。
毒の霧だとコノネは直感的に理解した。
吸ってはダメだ。
ナイフを振るう。
刀身は血で構成されている。灼熱の血。
黒炎を立ち上らせる刀身が霧を払う。
殺意の切っ先(サツイノキッサキ)を向けてなお、『無限婦人エリザベート』は笑むばかりであった。
「そのナイフ、お嬢さんの血でできているのですね。燃やすこともできる黒い炎。それであなたの殺意は、私に向けられている、と。でも、それはきっと……もっと大勢の者に向けられていいものではないですか?」
「どういうこと?」
「私一人に、それこそオブリビオンだけに向けられるのは勿体ないとは思いませんか?」
「だって、オブリビオンと『遊ぶ』と褒められるんだもの。他の人に向けたら、きっとおにーさんやおねーさんが悲しむ。それは嫌だなって思うから」
張り巡らせた鋼糸が霧へと変じた『無限婦人エリザベート』へと殺到する。
概念を切り裂く鋼糸は、『無限婦人エリザベート』の周囲にあった生命力を切り裂く。
「一歩、届かないですね。お嬢さん、ステップをお勉強した方がいいでしょう」
「お勉強、やー!」
コノネは、ナイフの切っ先を『無限婦人エリザベート』へと向ける。
生命力を奪われながら、致死たる毒を噴出する彼女との戦いは分が悪すぎる。
如何に己の血が黒炎となって毒持つ霧を焼くのだとしても、あまりにも形勢が悪い。コノネは、そう判断して己がナイフの刀身から噴出する黒炎に紛れるようにしてフロアから飛び出す。
「遊びは面白かったよ! でもね」
きっとがんばったって、武蔵坂のおにーさんやおねーさんは褒めてくれる。
なら、今一番コノネがしないといけないことは、無事に戻ること。
コノネは迷わない。
己が黒炎を持って毒霧を燃やし尽くしながら、天頂のフロアを飛び出し、階下へと飛び出し、撤退するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ギュスターヴ・ベルトラン
いぇーい、霧で気付いてた?来ちゃった❤
…ってやってる場合じゃねえわ、やべえ感じの霧だらけだ
つまり敵の姿を認識しにくいということだから、大ボス相手取る前に死にに行くのと変わりねえ
だからまずはこれをどうにかする
グラサン外して、今日のおやつの飴を噛み砕く
環境耐性と第六感を強めて、強く祈るのみ
|灼滅者《スレイヤー》…もとい、|猟兵《イェーガー》のオレが言うのもおこがましいが
――光あれ
清浄で光に満ちた世界に、毒霧なんて存在を赦してなるものか
攻撃、というより…毒霧の塊を更に小さく分断するために、浄化に満ちた光をHYMNEに纏わせて投げる
おらっ、散れ散れ!
ついでにてめえが集めたサイキックエナジー諸々も散れ!
『ブレイズゲート』、『天空の螺旋階段』――その先日の事件で唐竹割りにされた電波塔がねじれるようにして生み出された超常迷宮。
その天頂にてユーベルコードが明滅する。
猟兵と『灼滅者』たちによる復活ダークネス、オブリビオン『無限婦人エリザベート』の企みを打破するための戦いが続いている。
超常迷宮に満ちるは霧。
生命力とサイキックエナジーを奪う魔霧である。
「そこにいらっしゃるのでしょう、灼滅者」
『無限婦人エリザベート』は、天頂にいたりし猟兵たちの中に灼滅者を認め、たおやかに笑む。
「いえーい、霧で気づいてた? 来ちゃった❤……ってやってる場合じゃねぇわ、これ」
陽気な調子でギュスターヴ・ベルトラン(我が信仰、依然揺るぎなく・f44004)はずれたサングラスを元にもどしながら『天空の螺旋階段』の天頂にて座す『無限婦人エリザベート』の姿を認める。
この魔霧は正直に言ってやばいものであると理解する。
敵の姿を認識もしがたい。
なにせ、『無限婦人エリザベート』は肉体を霧に変えた上、部鶴的な攻撃は殆ど無意味なものとしているのだ。
はっきり言って脅威である。
戦略級と分類されるだけのことはある難敵であった。
「ったく……やべえなこいつは」
ずれたサングラスを外し、ギュスターヴは今日のおやつである飴を噛み砕く。
飴を噛み砕いた音は、彼の脳を冴え渡らせる。
あの霧はやばい。
致死性の毒を含んでいる。環境耐性でどうにかなるものではない。
如何に死を克服した灼滅者であっても、毒が身を苛む痛みはどうしようもない。なら、強く祈るしかないのだ。
「|灼滅者《スレイヤー》……もとい、|猟兵《イェーガー》のオレが言うのもおこがましいが――光あれ(オールド・テスタメント)」
それは即ち、愛であった。
祈りとは誰かを思ってのもの。
自己ではなく、他者を思うもの。
それ故に祈りは、生命の。知性持ち得るものの悪性と善性とに由来するもの。
「光など、私には必要ないものです」
『無限婦人エリザベート』は言う。
彼女の放つ毒霧がフロアを埋め尽くしていく。
だが、ギュスターヴの放ったユーベルコードの光は、世界を置換する。
毒霧と生命、サイキックエナジーを奪う魔霧満ちる戦場は、光と清浄な空気に満ちた世界へと置い変わる。
「いいや、必要なのさ。お前がダークネスだっていうのなら、その闇は照らされなければならないし、光なくば存在しえないものだからだ。だからこそ、その毒霧は」
光、即ち愛。
その愛を遮るものを否定する。
「……私の霧を」
「おらっ、散れ散れ!」
放たれるリングスラッシャー。
刃は裁断し、散り散りに切り裂く。愛を否定するものを否定する光。
ユーベルコードの光を舞った戦輪は一気に『無限婦人エリザベート』の周囲に漂う生命力を切り裂き、霧散させる。
如何に『無限婦人エリザベート』の体躯が物理的な干渉を無効化するのだとしても、ギュスターヴの放つ光の輪は集めた生命力を切り裂く。
「お前は一番やったらダメなことをした。ただそれだけだ。奪われた命に冥福を、踏み躙られた祈りに救いを」
それだけのために己は戦う刃を振るうのだと示すようにギュスターヴは、その手に集まる光を輝かせ、『天空の螺旋階段』の天頂にて力を発露するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
戒道・蔵乃祐
いや…正直な話、
普通に面白いアプローチの|仕方《発想》なんじゃないですかね?
クロムキャバリアの地下帝国にも『|殲術再生弾《キリングリヴァイヴァー》』…嘗ての武蔵坂学園と同じ切り札が存在する理由…『何故?』ではなく
『何のために?』必要としたのかを着目するべきか
結局は人類の存亡と種の存続を天秤に掛けた生存競争
灼滅者と人間は未来へ生きていくために力を必要とし、ダークネスもまた過去から続く自らの|存在意義《レゾンデートル》を滅ぼさせない為に殺し合う
|か《鉄》の世界、決戦兵器の意味とは一体何か…は、貴女を倒してから考えますか
◆火界呪
念動力+破魔と焼却のグラップルで接近戦
毒霧は浄化+激痛耐性で無力化します
オブリビオン『無限婦人エリザベート』が目論んだのは|『殲術再生弾』《キリングリヴァイヴァー》の獲得。
彼女の能力を考えれば『サイキックアブソーバー』ほどの出力は得られずとも劣化、下位互換のような真似事はできるのかもしれない。
嘗ての灼滅者とダークネスの戦い。
灼滅者はダークネスに劣る能力を『サイキックアブソーバー』と『殲術再生弾』でもって覆してきた。
「敵の持つ技術を、能力を真似る、利用する。それは人の歴史において繰り返されてきたことでしょう。私達復活ダークネスが、それをしないとでも?」
『無限婦人エリザベート』の言葉に対峙する戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)は頭を振る。
「いや……正直な話、普通に面白いアプローチの|仕方《発想》なんじゃないですかね?」
蔵乃祐は思い出す。
他の世界。
クロムキャバリアのいくつかの地下帝国にも『殲術再生弾』は存在していた。
武蔵坂学園、灼滅者たちの持つ切り札と同じもの。
それが存在する理由。
蔵乃祐が思ったのは『何故』なのではなく『何のために?』であった。
あの『殲術再生弾』はサイキックアブソーバーに装填されていたものではない。オブリビオンマシンに向かって照射された光は、オブリビオンマシンを再生させていた。
「結局行き着くところは同じだということです」
吹き荒れるようにして『無限婦人エリザベート』から霧が放出される。
致死の毒霧。
それが蔵乃祐に迫る。
もしも、キャバリアに搭乗していなかったのならば、その猛毒によって彼は文字通り死に至っていたことだろう。
これもまた不可思議なつながりである。
地下帝国のオブリビオンマシン、キャバリアはいずれもが『有毒装甲』を有していた。そして、キャバリアはその『有毒装甲』から放たれる猛毒を防ぐことができた。
「結局は、人類の存亡と種の存続を天秤に掛けた生存競争。灼滅者と人間hあ未来へ生きていくために力を必要とし、ダークネスもまた過去から続く自らの|存在意義《レゾンテートル》を滅ぼさせないために殺し合う」
「人の歴史は争いの歴史。それはどのような世界にあっても当然存在するものでしょう? 猟兵。あなたの見た世界の中で争い一つない世界などなかったはず。規模の大小あれど、必ず人がいるかぎり争いがあった」
「|か《鉄》の世界、決戦兵器の意味とは一体何か……は、貴女を倒してから考えますか――ノウマク サンマンダ バザラダン カン」
火界呪(カカイジュ)が蔵乃祐から放たれる。
不動明王の炎は『無限婦人エリザベート』へと迫る。霧へと変貌した彼女の体を燃やす炎は、すぐさまに周囲に漂っていた生命力によって打ち消される。
踏み込み、炎をまとった拳が『無限婦人エリザベート』へと打ち付けられる。
「その程度では、私の体は、集めた生命力はまだ底を尽きませんよ」
「僕一人でどうこうしようなどとは思っていませんよ。強大であるがゆえに、強者としての孤独を持つ貴女にはわからぬことでしょうが」
この場に駆けつけた仲間たちがいる。
なら、と蔵乃祐は己がキャバリアの拳に宿る炎と共に『ブレイズゲート』の主である『無限婦人エリザベート』の魔霧を打ち据えるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
鷹神・豊
己が眼で見る事すら能わぬ
何の因縁も無い世界の破滅
それが今の貴様の望みか
堕ちる所まで堕ちたな爵位級
停滞した過去の中はさぞ退屈だろうな
抗おうという気概は悪くない
だが利害が対立するならば戦争だ
俺達は常にそう在ったろう
短期決戦狙いで特攻
奴のUCの致命的な弱点を突く
血霧が発生し続けている間
俺は常に攻撃を受けている状態だ
UCでのカウンターの威力を念頭に置き
近接格闘術での連続コンボを畳みかける
実力者とはいえ武闘派でない事は明確
崩れた瞬間を見逃さず咄嗟の一撃を入れ
防御が崩れた所へ追い討ちで渾身の蹴りを見舞う
例え限界が近くとも勇気で立ち向う
灼滅者の幻覚が見えるか
運命に抗うなら
貴様もそのせこい能力で対抗してみせろ
生命力とサイキックエナジーを奪う魔霧。
それこそが『無限婦人エリザベート』の能力。霧を媒介とした生命力の簒奪は、血の如き色をした霧を介して行われ、集められた生命力を打ち払っても、敵対者がいるかぎり彼女の身を癒やすのだ。
「世界の破滅。炎の破滅。その光景はどのようなものでしょうか。無限にある可能性の中の一つ。けれど、徹底的に道の閉ざされた先。そこに何があるのでしょうか? この欲求は私がオブリビオンとなったからなのか、それはわかりませんが」
彼女がサイキックエナジーを収奪していたのは、サイキックエナジーの弾丸……即ち、|『殲術再生弾』《キリングリヴァイヴァー》を生み出すため。
「己が眼で見ることすら能わぬ、何の因果もない世界の破滅。それが今の貴様の望みか」
鷹神・豊(蒼天の鷹・f43985)の言葉に『無限婦人エリザベート』は笑む。
その通りだと。
「私達ダークネスですら永遠ではなかったのです。なら、滅びという可能性の一つを知りたい。自身の破滅は知れども、世界の破滅は知らない。知りたいと思うのはある種の必然ではないですか?」」
「堕ちる所まで堕ちたな爵位級」
「今更、階級などにこだわる必要がありまして?」
吹き荒れる血の霧。
豊は、これまでの魔霧の比ではない生命力を簒奪する力に顔をしかめる。
体が重い。
だが踏み込む。もとより己にできることは多くはない。今も、昔も。
なら、迷うだけ無駄だだ。
「停滞した過去の中は、さぞ退屈だろうな」
「いいえ、無限は私の領分。停滞が必定なのならば、抗うのもまた一つの手段でしょう?」
「抗おうという気概は悪くない。だが、利害が対立するならば戦争だ。俺達は常にそう在ったろう」
相容れない。
己の闇を恐れよ。されど恐れるな、その力。
いつだって、その言葉は自分たちの傍らにあった。
誰が言ったのかはわからない。
だが、言葉は言葉だ。その言葉に感じるところがあるからこそ、力となって邁進することができるのだ。
単純なことだ。
「滅ぼし、滅ぼされる。名前が変わっただけのことです」
猟兵とオブリビオン。
灼滅者とダークネス。
ただそれだけのことだ。
豊は踏み込み、己が鍛え上げた格闘術でもって『無限婦人エリザベート』へと肉薄する。
振るわれる殴打。
霧に変じた体躯は、血の霧を放出することで人の五体を形勢している。
眼の前にいるのが五体のある人体でるのならば、格闘術は、これを効率的に打ちのめす人の技術の粋である。
「なら、詰めが甘い」
振り抜いた一撃は『無限婦人エリザベート』の一瞬の隙を突いた拳だった。
彼女の防御――防御とも言えぬ霧の装甲を一撃で粉砕する。
己が体からは生命力が奪われている。
「限界のはずの、体のどこに……そんな力が」
「お前は知らないのだろうな、『無限婦人エリザベート』。俺は知っているぞ。俺は見てきたぞ」
嘗ての灼滅者たちが限界を迎えようとも、たった一つ。
勇気で立ち向かう。
それが、己の見てきた背中だ。
「――……あなたは」
「灼滅者の幻覚が見えるか、『無限婦人エリザベート』。運命に抗うとのたまうのなら。貴様のそのせこい能力で対抗してみせろ」
振り抜いた一撃は『無限婦人エリザベート』の真芯を捉え、その周囲に満たされた生命力を吹き飛ばすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
メリー・スペルティナ
確かに強き想いは時に死すらも超え、世界へと証を遺すもの
わたくしは死者の遺した声を聴く者、よーく知っていますわ
ですが、そうして遺されるのが呪いとなるのなら、見過ごすわけには行きませんわね!
……実は霧とやらの対抗策はとくにありませんのよね
ならそれはそれで!UCを使用、同時に手首を切ってそっから流れた「呪血」も使いますわ!
(傷や痛みは不死化と我慢の力技でなんとかしますわ!)
この血は「想い」…残留思念とも、「祈り」や「呪い」とも呼ぶそれを喰らいため込むもの、不用意に触れればため込まれた「呪い」に蝕まれ、想いを喰われますのよ!
後はブルートヴァッフェで切り結ぶだけですわ!幸い、そういう戦いは得意ですわ!
撃ち抜かれた拳が『無限婦人エリザベート』の周囲に漂っていた生命力を霧散させる。
これまで猟兵たちのユーベルコードは、圧倒的なまでに収奪され続けていた生命力を打ち払うものであった。
しかし、その体躯を覆う生命力がようやく霧散して消えていった。
ここに来て地力の勝負である。
『無限婦人エリザベート』は恐るべき力を持っている。
戦略級と呼ばれるだけのことはあるのだと理解しただろう。
「確かに強き想いは時に死すらも超え、世界へと証を遺すもの」
メリー・スペルティナ(暗澹たる慈雨の淑女(自称)・f26478)は、『無限婦人エリザベート』へと対峙する。
共に戦う猟兵たちのユーベルコードの輝き。
そのさなかに『無限婦人エリザベート』は膨大な生命力を失っていた。
彼女を突き動かすものは、確かに世界を破滅させるほどのものなのあろう。
「わたくしは死者の遺した声を聞く者、よーく知っていますわ」
「それで、あなたは何を為すというのです。聞くだけならば、耳を澄ませばいいだけのこと。時にそれは、怨嗟。呪いというものになりましょう」
死者の嘆きはいつだって恨めしいものである。
故に死者の声を聞く者は、その心を苛まれることを覚悟しなければならない。
けれど、メリーは違う。
「ええ、ですが、そうして残されるのが呪いとなるのなら、見過ごすわけには行きませんわね!」
実際の所、メリーには『無限婦人エリザベート』の魔霧に対処する術を持ち得ない。
けれど、メリーは構わなかった。
対処する術がないから何だというのだ。
己のがユーベルコードは世界を書き換える。
「見せてやりますわよ、今を生きる者の強さ、その想いを」
冥想血界:果てなき永劫の戦(ヴェルトート・ヴァルハラ)。
かき切った手首から噴出する血潮は、呪血。
形成される鎖が『無限婦人エリザベート』の体躯を縛り付ける。
過去の存在、オブリビオンを捕らえ、骸の海へと引き戻す紅き鎖。
同時に『無限婦人エリザベート』から噴出するは黒い血の霧。
生み出されるはヴァンパイア怪物たち。
「呪いの血に満たされた杯。あなたは、それを、その呪いをもってなお」
「ええ、この血は『想い』……残留思念とも、『祈り』や『呪い』とも呼ぶそれを喰らい貯め込むもの。ええ、杯とは言いえて妙!」
走る紅き鎖がヴァンパイアたちを引きずり込む。
一体たりとてメリーにたどり着くことはできなかった。
後は踏み出すだけだった。
手首から噴出する血潮は熱い。そして、重たい。
想いが乗せられているからだろう。
「死者の想いは全て、このメリー・スペルティナが運びましょう」
振るう呪血の剣が『無限婦人エリザベート』の体躯を切り裂く。
霧へと変じても、呪血の刃は呪いによって『無限婦人エリザベート』を蝕む。想いに食われる、想いを喰らう。
呪いとは、そんなものだ。
故にメリーは己が身に宿る血潮の意味を知るだろう。
死者の想いを世界に示す。
死すれど世界の破滅を望まぬからこそ、量へ至るメリーの力となっているのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
いつかのだれか……。
実験でいつかのだれかの世界を怖そうとしてるんですか?
それは勇者として見過ごせないですね。
え?ステラさん、なんですか?
もちろん蕁麻疹出てますよ!でもこれでも勇者ですからね。
こういうのは許せないんです。
……あ、でもあとで練乳スイーツもらえると嬉しいです!
いまは痒いの我慢していきますよー!
螺旋階段が銃身っていうなら、途中で詰まらせちゃえばいいですよね。
【魔弾の射手】で音符爆弾を設置しちゃいましょう。
撃てるものなら撃ってみるといいですよ。
弾丸が触れたとたんに大爆発です。
そうすれば、弾丸も銃身も木っ端微塵ですからね!
わたしたち?
それはステラさんがなんとかしてくれますよね!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
|上《空》へと飛び立ち、時の流れに抗う……
まるでどこぞの白鳥のプリマみたいですね?
いえ、時の流れが定まってない事を既に私は知っています
皐月店長様のおかげですね
ならばその弾丸はどこかの世界の|プロメテウス《戦いの火種》の元に届くでしょう
……もしかしたらもう届いた後かもしれませんが
ルクス様が|真面目なことを《自分の首を締めに》……
シリアス大丈夫ですか?
あ、ダメですか
では終わらせましょう
練乳スイーツはお任せ
違う、攻撃はお任せください
ダンスがご所望ならお相手します!
【スクロペトゥム・フォルマ】で仕掛けます!
というかここが崩壊したら流石にヤバいのでは!?
ええい、メイドの本領お見せしましょう!
『いつかのだれか』
それが誰なのかはわからない。
けれど、その『いつかのだれか』は世界の破滅を望んでいるのだろう。
そのための弾丸が、今ここで生み出された。
『無限婦人エリザベート』の手からこぼれたサイキックエナジーの濃縮されたものは、銃身たる『天空の螺旋階段』の階下へと落ちていった。
「『いつかのだれか』……」
「ええ、それが誰かなのかは私には知る由もないものですが、それでも誰かに届くことでしょう。これはそういうものですから」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)の言葉に身を切り裂かれながら『無限婦人エリザベート』は笑む。
余裕がある、というのか。
それともすでに己がオブリビオンとして滅ぼし得ぬ過去の化身へとなり得たことへの自負か。
「それが世界を怖そうというのなら、それは勇者として見過ごせないですね」
「見過ごしてもらうつもりはありませんよ。あなたは猟兵。私はオブリビオン。相反するもの。相いれぬもの。なら、後は、私はあなたたちという障害に抗うのみ」
「まるで時の流れに抗う、どこぞの白鳥のプリマのような口ぶりですね?」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は言う。
彼女は知っている。
「ならば、その弾丸はどこかの世界の|『プロメテウス』《怪物》の元に届くのでしょう」
もしかしたら、もう届いた後なのかもしれない。
彼女たちは他世界を知っている。
そして|『殲術再生弾』《キリングリヴァイヴァー》も。
見たことがある。
クロムキャバリア――戦乱と鋼鉄の世界。
その地下帝国にてオブリビオンマシンに照射された光。それこそが『殲術再生弾』であった。
「私はあなたの『敵』の手助けをしたのかもしれませんね? ですが……」
今語るところは意味のないことだというように血の霧が噴出する。
此処まで追い詰めてなお、彼女は劣勢を覆す能力を有している。
生命力を散らされたのならば、また収奪するのみ。
吹き荒れる血霧がルクスとステラに砂糖する。
「ルクス様、シリアス大丈夫でうか?」
「もちろん! 蕁麻疹でてますよ! でもこれでも勇者ですからね。こういうのは許せないんです」
いつになくやる気である。
ステラは、そんなルクスが成長していることを感じ取った。
シリアスであろうと克服する。
これが勇者の力!
「……あ、でもあとで練乳スイーツもらえると嬉しいです! 今は痒いの我慢してますから!」
「やはりダメですね。では、早めに終わらせるといたしましょう。練乳スイーツはお任せを。違う、攻撃はお任せください!」
「ツンデレメイドさんなんです!?」
「姦しいことこの上ないですね」
血の霧がステラに迫る。
手にした二丁拳銃から銃撃が放たれ、ステラは『無限婦人エリザベート』へと踏み込む。血の霧はステラから生命力を簒奪する。
「この螺旋階段が銃身だっていうんなら、途中で詰まらせてあげましょう!」
『魔弾の射手』序曲(マダンノシャシュ・ジョキョク)がルクスによって奏でられる。
音符の爆弾が周囲に浮かぶ。
魔霧に触れた瞬間、炸裂する音の濁流。
それは『無限婦人エリザベート』の五感を奪う。そこにステラは踏み込む。
「ルクス様、ここが崩落したら流石にヤバいのですが!」
「そこはほら、ステラさんがなんとかしてくれますよね!」
「ええい、他力本願!」
揺れる『天空の螺旋階段』。
ステラはルクスを抱えて、揺れる螺旋階段の天頂にて、魔霧と踊るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
月夜・玲
全く、やる事がこっすいんだから
そんなんだから、勧誘に出て来た折に氷漬けにされて倒されるんだよ
ま、顛末を識ってるだけだけどね
あと本当に、復活ダークネス達は覚えが悪いね
君達の敵はもう、灼滅者だけじゃない
私たち、六番目の猟兵だよ
祈り此処に在らずとも
願い此処に在らずとも
誓い此処に在らずとも
希望此処に在らずとも
超克の意思、此処に在り!
超克、オーバーロード!
外装展開、模造神器全抜刀!
さあ、君の識らない力で叩きのめしてあげよう!
【剣技・蒼嵐剣】起動
敵の動きを『見切り』、移動先に先制して攻撃を放つ!
全剣を最速で振り、高速の風の刃+竜巻でエリザベート連続して斬り裂くこう
竜巻はそのまま維持し、エリザベートが血煙を発生させたら竜巻に吸い込み『吹き飛ばし』!
霧から生まれるヴァンパイアの数を減らし、残りの攻撃は私が剣で受けて『武器受け』
外装と4つの腕全てを駆使し、完全に防ぎきりエリザベートに魅せつけてやろう!
悪いけど、私達は灼滅者達ほど行儀は良くないよ!
猟兵はルール無用だからね!
「全く、やることがこっすいんだから。そんなんだから、勧誘に出てきた折に氷漬けにされて倒されるんだよ」
月夜・玲(頂の探究者・f01605)はオブリビオン『無限婦人エリザベート』の黒い魔霧より出現し続けるヴァンパイアたちを見据え、告げた。
オブリビオンとなった経緯。
滅びた――灼滅されあた顛末を玲は識っているのだろう。故に彼女は言い放つ。
「過去は過去。失敗したという可能性を得た私にとって、過去のことはただの事象でしかありませんから。だから、嘗ての灼滅者と同じように物量ですりつぶすのみ」
ヴァンパイアたちが疾駆する。
膨大な数であった。
しかし、玲の瞳に映るのは恐怖でもなければ、絶望でもなかった。
そこにあったのは超克の輝き。
「まったく復活ダークネスたちは覚えが悪いね。君たちの敵はもう、灼滅者だけじゃない。私達、六番目の猟兵も、なんだよ」
煌めく輝き。
猟兵とは生命の埒外にして、世界に選ばれた戦士。
世界の破滅、世界の悲鳴に応える者。
故に、例え。
「祈り此処に在らずとも。願い此処に在らずとも」
「超克の輝き……それは」
「誓い此処に在らずとも。希望此処に在らずとも」
「意志だけで時空さえ歪めることができるという証左!」
「超克、オーバーロード! 外装展開、模造神器全抜刀!」
玲の呼び寄せた外装腕部が四振りの模造神器、その刀身を励起させ、蒼き輝きを解き放つ。
「さあ、君の識らない力で叩きのめして上げよう!」
迫るはヴァンパイア。
黒い霧によって生み出された『無限婦人エリザベート』のちからの発露を、音速を超えた斬撃が切り裂く。
風が吹いていた。
それは嵐の先触れのようであり、また同時にあらゆるものを切り裂く刃であった。
「剣技・蒼嵐剣(プログラム・ストームソード)、起動!」
斬撃は風の刃。
同時に足場となる竜巻を巻き起こし、玲の体を天頂よりも高く舞い上がらせる。
「私の霧を吹き飛ばすとは……」
「全部の能力の起点が霧になっている時点で、対処はできるものなんだよ。随一を求めるが故に、他がおろそかになるなんてね!」
これまでは、そのたった一つで力押しができたのだろう。
だが、此処にいるのは生命の埒外。
無法の極みたるユーベルコードを手繰る者。
超克の輝きによって発露する真の姿。玲の蒼き風の斬撃が『無限婦人エリザベート』の霧を巻き込むようにして吹き飛ばしていく。
ヴァンパイアたちは、その嵐のような斬撃を前にして、形状を維持できない。
『無限婦人エリザベート』のように力ある吸血鬼であったのならば、その嵐の中でも形を保つことができたかもしれない。
だが、そうではないのだ。
「……力押しに力押しで対抗するなど、優雅ではありませんね」
「なんとでも言えばいいよ。悪いけど、私達は灼滅者たちほど行儀はよくないよ!」
振りかぶった模造神器の斬撃の一撃が『無限婦人エリザベート』の体躯を切り裂く。
消耗した生命力で傷を補填する暇を与えない。
蒼き竜巻は、ヴァンパイアの発生すら許さない。
足場となった竜巻によって加速した玲は、さらなる斬撃を副腕と共に放ち、その二連十字を『無限婦人エリザベート』の体躯に刻み込む。
「猟兵はルール無用だからね!」
どんな力にだって対処する。
無法には無法を。
ユーベルコードとは、即ち、そうした力。
世界を破滅させる敵がいるのならば、それを排除するための力が此処に在るのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
とうちゃーっく!
へえー過去に!あるいは未来にも?
それはなかなかおもしろい発想だね
まあ時間は未来にばかり進むとは限らないもんね
●おーいちょっと来てー
でもそれは時間ってものの可能性を軽視しちゃいないかい?
その『いつかのだれか』と繋がるということの意味を、その可能性を本当に理解してるー?
ねえ、キミ!そこの彼女から見れば可能性世界の存在であるキミは彼女の事どう思う?
と『いつかどこか』でボクたちと仲良くなった彼女を呼び出して手伝ってもらおう!
ありえないだって?キミも言ったでしょ?時の流れは残酷で…でも美しいって!
あボクも引き続き[白昼の霊球]くんで霧を押し退けて援護するよー!
「とうちゃーっく!」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は、『ブレイズゲート』、『天空の螺旋階段』の天頂に駆け上がり、猟兵たちのユーベルコードの明滅によって収奪した生命力を霧散させた『無限婦人エリザベート』の姿を見た。
胸に刻まれた二連十字。
その身より溢れるは血潮ではなくて、霧であった。
真っ黒な霧より溢れるのは、彼女の魔霧によって構成されたヴァンパイアたち。
「意志、やはり……意志こそが、時を超える……」
「へえー過去に! あるいは未来にも? それはなかなかおもしろい発想だね? まあ、時間は未来にばかり進むとは限らないもんね」
ヴァンパイアたちがロニに襲いかかる。
その一撃を躱しながら、ロニは考える。
時は過去を排出しながら未来に進んでいく。
だが、もしも、未来に進むのに速度があるのだとしたら、それは果たして一定だろうか。
どの世界も同じ速度で未来に進んでいるだろうか。
過去が行き着く先は骸の海。
堆積された過去は歪み、にじみ出るのが過去の化身オブリビオン。
どんな存在も過去になる。
逃れ得ぬ運命であるからこそ、ロニは神門(ゴッドゲート)を開く。
「おーい、ちょっと来てー」
ロニが平行世界へと通じる門から『無限婦人エリザベート』の平行世界同位体を召喚する。
「何の御用でしょう」
「いやね、時間てものの可能性について聞きたいんだけれど。『いつかのだれか』と繋がるということの可能性を、その可能性をキミは本当に理解してるー?」
「誰もが理解して、理解していないものでしょう」
「キミは、彼女からみたら可能性世界の存在であるキミは、この彼女のことをどう思う?」
「泡沫そのものでありましょう」
答えは簡潔であった。
論ずるに値しないと言わんばかりの『無限婦人エリザベート』同士の力は打ち消し合う。
『いつかのだれか』は、きっとどこにでもいるし、どこにでもいない。
可能性は泡沫。
選ばれなかった可能性の多くは過去にすらなりえない。
だからこそ、平行世界という可能性は、可能性のままに消えゆく定めである。
それがそうであるという認識すら意味を成さない。
「ありえないことなんてないのです。だからこそ、私の名は『無限』を冠する」
「でも、キミの言う通り時の流れは残酷で……でも美しいんでしょう?」
「ええ、この世の理。理はすべてが美しいものです。無駄に見えることも、無駄とは思えぬことも、全てが計算されているようにさえ思えてならない」
だから、とロニの問いかけに『無限婦人エリザベート』は笑む。
この問答は可能性である。
だが、同時に否定されるべきものでもある。
例え、平行世界であってもダークネスであることに代わりはない。そして、復活ダークネスはオブリビオンである。
猟兵とオブリビオンという立場。
それを違える可能性が存在しえないのならば、きっと、彼女が笑む理由も其処にあったのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
ユーフィ・バウム
倒してもまた瞬く間に戦場に舞い戻ってくる
私達をほぼ不死の軍勢とさせた
『殲術再生弾』こそが私達の強さでしょうか?
いいえ、そんなことはありません
オーバーロード!《真の姿:蒼き鷹》として
答えは拳の中に。さぁ無限婦人、試合開始ですわ!
野性の勘で魔霧の中でも相手の位置を把握
オーラ防御を肉体より放出させ紅い血霧を堪え、散らしつつ
功夫を生かしたラリアット等のプロレス式打撃で飛び込み、
反撃を覚悟を以て受け、耐えたなら
グラップルを生かし投げを打ちます
近づいたならそのまま近接戦を維持し
怪力を生かして鎧砕きの打撃を
鎧無視攻撃の投げを叩き込んでいきますとも!
霧を突破しても、伯爵級の基礎戦闘能力はケタ違いでしょう
悲鳴を上げ、倒れ込みそうになっても限界突破で立つ!
私達の強さは、肉体の強さではなく心の強さ
人々を護る大義がある、絆を紡いだ友がいる
それが限界を超え尚立つ力をくれるのですわ
決着と見舞うは《トランス・コンビネーション》
拳技で肉体を撃ち抜き、必殺の投げで地面に叩き込み、
オーラ全開のヒップドロップで仕留めますわ!
|『殲術再生弾』《キリングリヴァイヴァー》――それは武蔵坂学園の灼滅者たちの切り札であった。
強大な敵、ダークネスに立ち向かうには、『サイキックアブソーバー』のちからを持ってしても難しいものだった。故に灼滅者たちは切り札を切ってきた。
相対するダークネスにとって、彼らは不死の軍勢のように思えてならなかっただろう。
一度倒しても戦場にすぐさま舞い戻ってくる。
「それこそが私達の強さでしょうか?」
ユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)の問いかけに『無限婦人エリザベート』は首肯する。
もしも、『殲術再生弾』が灼滅者になければ、サイキックハーツ世界の結末は異なるものであったことだろう。
逆に言えば、もしもそれがなければダークネスの隆盛は今もなお続いていたはずだ。
「そうでなければなんだというのです」
「答えは拳の中にあります」
ユーフィの瞳が超克に輝く。
真の姿たる蒼き鷹として彼女はみなぎる力を拳に込める。
そう、確かに切り札たる力は強大だった。けれど、それだけではなかったのだ。
いつだって戦う意志がなければ、戦いにすらならない。
己の闇を恐れよ。されど恐るな、その力。
いつだって傍らにあった言葉だ。
その言葉に感じるところがあったからこそ、灼滅者たちは青春の日々を戦いに駆け抜けてきたのだ。
「オーバーロード! さぁ、『無限婦人エリザベート』、試合開始ですわ!」
踏み出す。
血の魔霧がユーフィへと迫る。
生命力を奪う魔霧の力は健在であり、これまで猟兵たちが刻んできた消耗の跡を補填しようと彼女の生命力を簒奪するのだ。
オーラの防御も意味をなさない。
だからこそ、ユーフィは踏み込む。
痛みを恐れては前に進めない。ラリアットの一撃が『無限婦人エリザベート』の霧の体躯を貫く。
さらに重くのしかかる魔霧。
膝が笑う。
だが、それでもユーフィは愚直にも接近戦を選んだ。
怪力を生かした拳。
それも霧を抜けていくばかりであった。
「無駄だとは思わないのですか」
「思いません」
「肉体が悲鳴を上げ、その魂が削れてもなお、戦う意味は」
「あるのです。私達の強さは、肉体の強さではなく心の強さ。人々を護る大義がある、絆を紡いだ友がいる」
それが、己に力を与えてくれる。
限界を超えて尚立つ力をくれる。
故にユーフィの瞳がユーベルコードに輝く。
鍛え上げられた肉体から放たれる拳の殴打。それによって霧が吹き飛ばされ、生命力を散らしていく。
『無限婦人エリザベート』の体躯が霧を集約して形勢された瞬間、ユーフィは踏み込んで、その体躯を二本の腕で締め上げて地面を蹴った。
天頂を超える高さ。
そこまで飛んだユーフィと『無限婦人エリザベート』は二重らせん構造の中空たるシャフトを眼下に捉える。
「何を……まさか、あなたは」
「ええ、今こそ仕留めます。ここまで仲間たちがあなたの収奪した生命力を吹き飛ばしてくれた。あなたは言った。この塔は銃身である、と。なら!」
ユーフィは締め上げた『無限婦人エリザベート』の体躯と共に眼下の暗闇へと共に墜落するように我が身を投げ出す。
オーラ纏うは蒼き流星のような姿。
一直線に銃身の底へと飛び込み、全開になったオーラとともにユーフィは『無限婦人エリザベート』を叩きつける。
直下へと叩きつけられた『無限婦人エリザベート』の体躯がひしゃげる。
「トランス・コンビネーション(トランス・トリプルアタック)は伊達ではないのです!」
強烈無比なる一撃。
流れるような連続攻撃。
これによって『無限婦人エリザベート』は『天空の螺旋階段』より失墜し、その目論見を打破すべく集った猟兵たちに討たれたのだった――。
大成功
🔵🔵🔵