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亡霊は雷鳴に舞う

#スペースシップワールド #戦後

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#戦後


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●数日前、旧エンペラーズマインド宙域にて
 先日の戦争でも有数の激戦地となった銀河帝国の宇宙要塞、その近辺宙域を解放軍のパトロール艦隊が航行している。
 銀河皇帝が斃れ、帝国という体制そのものが崩壊したといえど銀河帝国軍の少なくない戦力があの日あの決戦宙域から撤退し、残党と化して付近を航行する船団の脅威と化しているのは解放軍にとっても既知の、そして頭の痛い問題だった。
 特にかつて敵の重要拠点が存在した宙域は残党の目撃報告も多く、それ故に現地司令部直轄のパトロール艦隊――残党狩り部隊が編成された。
 彼らは帝国残党を駆逐するために選抜されたエリートだ。戦争中、華々しい戦果を挙げたエースや優秀な指揮官、クルーを集めた精鋭部隊である。
 旗艦たる巡洋艦モスカーに加えてリガ、ヴィリニュス、タリンの三隻の駆逐艦を擁し、さらに各艦合わせて四部隊もの大規模な鎧装騎兵を抱えたパトロール艦隊は、数時間前に識別信号を発さない、所属不明の艦艇を捕捉。
 臨検の要求を無視して逃走するそれに対し、全鎧装騎兵を展開して強行制圧を実施していた。
 揃いのダークグレーに塗装された大型の重装甲アームドフォートに身を包んだ数十人の鎧装騎兵が発艦し、不明艦へとまっすぐに飛翔する。
「……帝国軍残党の抵抗も予想される、各鎧装騎兵部隊には敵の反撃に注意させろ」
「アイ・サー。司令、その場合の発砲許可は?」
「各隊指揮官の判断に任せる。抵抗が想像以上に強固ならば即時離脱させろ、艦隊の艦砲射撃で不明艦を撃沈――」
 旗艦モスカーのブリッジで指揮を執る艦隊司令と艦長は、その時輸送艦の艦尾ハッチから何かが飛び立つのを見た。
「何だ? 索敵手、確認しろ」
「――大型の機影1、不明艦より現出……デルタ・ファイタータイプの三倍の速度です! そんな……第一部隊、隊長騎シグナルロスト! 二番騎、四番騎、三番騎――全騎信号消失! 第二部隊も駄目です!!」
「続けて戦闘機多数続出、第三第四部隊はこれと交戦を開始! ――駆逐艦ヴィリニュス、通信途絶! リガより救難信号を受信、タリン――反応消失! そんな!?」
 次々とレーダー上から消えていく鎧装騎兵達の信号。それだけではない、輸送艦を包囲するように展開した駆逐艦隊も瞬く間に連絡を絶っていく。
「何だと……!? 一体何が起こって――」
 不明瞭な状況を確認すべく、ブリッジの窓に貼り付いた司令官は見た。
 いずれも艦橋を破壊されて燃え上がる三隻の僚艦。
 宇宙を漂うダークグレーに塗装された、手足のようにも見える鉄屑。
 それらの間を縫うように旗艦モスカー目掛けて奔る、蒼い稲妻を。
「――蒼」
 司令官が呆然と呟いた次の瞬間には、旗艦に肉薄し視界いっぱいに広がるその姿。
「対空防――」
 艦長が怒声を発すると同時に、それは盾裏にマウントされたフォースセイバーを右手で掴み、その刃をブリッジへと突き刺した。

●ゴースト・ハント
「ミッションを発令します」
 アレクサンドラは猟兵たちの手元に資料が行き渡ったのを確認し、手元のホロディスプレイを示して口を開く。
「数日前、旧エンペラーズマインド周辺宙域を哨戒中の解放軍モスカー艦隊が消息を絶ちました」
 モスカー艦隊は先日の戦争で頭角を表したエースや、解放軍再編以前から帝国と戦い続けていたベテランたちを多く擁する精鋭部隊だ。それが揃って消息不明となる事態は、猟兵たちに決して明るいとは言えない想像をさせた。
「ええ。彼らはすでに、何らかの敵と接触し壊滅しています」
 やはりか、という納得と、まさか、という衝撃。
 帝国残党の脅威に対抗する為に専門として編成されたモスカー艦隊の戦力は決して少なくはない。多少の敵にやられるとは到底思えないほどに。
 それが壊滅したならば、敵の戦力はどれほどのものなのだろうか。少なくとも単艦の防衛部隊程度では太刀打ちできないレベルであろう。
「そこで皆さんへの出撃要請です。現地に赴き、モスカー艦隊を壊滅せしめた脅威を捜索、撃破してください」
 なるほど、と頷く猟兵達。だが、現地に赴くにしてもいきなり宇宙空間に放り出されては行き帰りが大変ではなかろうか。
「問題ありません。当該宙域までは解放軍輸送船デン・ハーグが皆さんをお送りします。ただ、先日の要塞攻略戦時に撃破された艦隊の残骸がデブリ化しているらしく、道中皆さんに船外作業をお願いするかもしれないとの事です」
 ともかく、危険な帝国残党が存在する宙域を放置は出来ない。今後の復興の妨げになるだけでなく、彼らがもし海賊化でもしようものなら民間船にまで被害が拡大するだろう。つまり、彼らはここで倒しておくべき敵だ。
 ご武運を、と敬礼で、アレクサンドラはキミ達を送り出した。


紅星ざーりゃ
 こんにちは、紅星ざーりゃです。
 今回は銀河帝国の残党を駆逐するミッションを提案します。
 解放軍の精鋭を瞬く間に壊滅させた帝国残党の戦力は、決して残党と侮ることは出来ません。
 とはいえ、敗残の兵であることに変わりはありません。銀河帝国の終焉を、今一度皆様から直接彼らに教えてあげてください。

 第一章は現地に向かうまでのデブリ排除となります。
 先日の戦争で多くのデブリが新たに生まれました。本来ならば弔う所ですが、今回は最低限輸送船の航路を確保できれば良しとします。
 勿論、時間に余裕があるようならば個人的に戦没者を弔うことは決して悪いことではないでしょう。

 第二章では集団戦、第三章では敵のトップエースとの戦闘となります。
 一筋縄ではいかない敵でしょう。どうぞ、お気をつけて。

 皆様の熱いプレイングをお待ちしています。
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第1章 日常 『宇宙の掃除人』

POW   :    力強く回収する

SPD   :    素早く回収する

WIZ   :    魔法で回収する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

虻須・志郎
アドリブ連携歓迎

宇宙の掃除か。航路確保は大変だもんな……何だよ、俺がいちゃまずいか?
たまにはいいじゃねえか里帰りしたって

内臓無限紡績兵装を攻撃回数重視で発動。ロープワークで大量に網を張ってガンガン回収するぜ。死ぬ気で片付けりゃさっさと終わるだろうよ

地形を見切って適切に動けば、酸素の残量だって早々減らないもんさ
しっかし随分と散らかったな……まあ、それだけ激しい戦いだったって事か

今回も解放軍のエースがやられたんだって?
昔からそんな話ばっかり聞かされてたし、見て来たからな。キリがない
死んだらエースも何も無くなっちまう。だから生き残るんだ、絶対に
それがエースの第一条件だって……死んだ仲間が言ってたよ


トルメンタ・アンゲルス
戦火の残渣がこんなにも残ってますか。
……残存勢力も早い所叩き潰したいですが、先ずは進路の確保からですね。


さぁNoChaser!仕事の時間ですよ!
変身!
『MaximumEngine――Mode:HotHatch』(ベルトの音声)

一緒に乗り付けてきた相棒を、防御力重視の装甲として変身合体。
これなら、急激な衝突があっても傷一つ負わないでしょう!

……と、作業の前に。
戦って散った兵の方々、力及ばず散っていった非戦闘員の方々に、
敬礼と鎮魂の祈りを。
ここからの平和は、俺たちが必ず。

さぁ、お仕事だ!
自慢の機動力と怪力を発揮して、力強く素早く進路上のデブリを回収しましょう!
……何か使えそうな物、無いですかね?




 輸送船デン・ハーグの推進器が放つ炎の揺らめきが、遠く後方に瞬いている。
 漆黒の宇宙で、彼方の星の輝きに照らされながら漂う戦争の記憶――ついこの間、一月と経っていないあの日、ここで多くの人々が未来を願い、自由を望み、正義を掲げて戦い、そして散っていった残滓を前に、猟兵達の胸に様々な想いが湧き上がる。
 あの戦いは、戦争だったのだ。
 猟兵とオブリビオンの戦いというだけではない。この宇宙を支配する銀河帝国と、それに抗う遍く星の海に生きる人々との戦い。
 だから、犠牲もある。わかっていたことだろう。知っていたことだろう。けれど、その証拠を突きつけるように眼前に現れた朽ちた船々は、まるで墓標のように重く厳かな、それでいて悲しみに満ちた姿を晒していた。

「戦火の残渣がこんなにも残ってますか。……残存勢力も早いところ叩き潰したいですが、まずは進路の確保から、ですね」
「ああ。航路確保は大変だもんな。死ぬ気でさっさと片付けようぜ」
 乗り付けたバイクと合体し、重装甲のパワードスーツを纏うトルメンタと、作業用の宇宙服に身を包んだ志郎は早速デブリの回収に取り掛かる。
「……と、その前に。志郎さん、ちょっと待ってください」
 ん、と立ち止まる志郎に小さく頭を下げ、トルメンタは一際目立つ大型戦艦の残骸に向き直る。
 ――戦い、散っていった兵士たちに。
 ――力及ばず、それでも抗い死んでいった、非戦闘員たちに。
 トルメンタは敬礼し、静かに目を閉じて黙祷を捧ぐ。願わくば彼らの魂に安らぎがありますよう。
 彼らの望んだ平和は、自分たちがきっと守り、繋いでみせる、と。
「平和、か……そいつを守るために戦ったエースがやられちまったんだよな」
 要塞攻防戦で死んでいった彼らを乗り越えた先には、きっとモスカー艦隊が眠っている。
 平和維持を掲げた残党狩りの精鋭部隊。それに限らずとも大層な看板を掲げた鳴り物入りが全滅した、そんな話は昔からよくあることだ。人づてに聞いたこともあるし、目の前で飛び立っていった部隊が二度と還らなかった所に立ち会ったこともある。
 数えればキリがないほどに繰り返されてきた悲劇。だが、平和になった今それが引き起こされる必要は無いはずだ。
「……死んだ仲間が言ってたよ。死んじまったらエースも何も無くなっちまう、だから生き残るんだ、絶対に。それがエースの第一条件だ、ってな」
 ここで眠る者たちがそうでなかっただとか、全滅したモスカー艦隊の力量が足りていないだとか、そういう意味ではなく。
 彼らも須らく、生き残ることを何よりも大切に立ち回れば、きっと心強い文字通りの最精鋭となることが出来たのだ。
 その機会が永遠に奪われてしまったのが、口惜しい。
「…………さぁ、お仕事だ! 何か使えそうなもの、無いですかね?」
 重く物悲しい空気を切り替えるように溌剌と飛び出していくトルメンタ。
「あ、おい最初からそんなに飛ばすなっての。酸素残量とか考えてコンパクトに動くのが船外作業のコツだろ!」
「大丈夫ですよ、俺、速いんでヤバそうなら母艦に一回帰りますから」
 そういうことじゃないんだがなあ、と苦笑して、小さな破片を撥ね飛ばして中型デブリを引っ張っていく彼女を見守りながら、デブリを受け止めるための網を編む志郎。
 いち早く道を切り開き、帰るべき所に彼らの魂を連れ帰るために。
 今なお悲劇を生む、帝国軍の残滓を今度こそ倒すために。二人は速やかに自らの仕事をこなしていく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

霧島・クロト
掃除なー。かといってデブリのサイズも分からねェってのが正直なトコか。

【氷戒装法『貪狼の裁鎧』】で機械鎧に搭乗、デブリ掃除なら大きい躯体の方があんまり手間掛けさせないで済むんじゃねーかなァ。……たぶん、きっと。
大きめのデブリを可能な限り先に片付けるのが吉と見た。
大きすぎて予め破壊しなきゃなんねェ場合だけ【鎧砕き】の要領で。
本当言うと使えそうな機械鎧の残骸とかあったら個人的に回収してーんだけど、どうなんだろうなァ。普通に怒られる気もしてらァ。

「ココらへんでちょうど俺も『蒼い稲妻』とかとやり合ったんだよなァ」
「……そういう残骸もあったりしねーかな。無いか?」


東郷・三笠
ふむ、白黒騎士ほどではないにせよ
まだ、有力な敵が活動しているようだな
戦後処理に難航するのはどこも一緒か
どれ、我も手伝うとするか
ささっと終わらせよう
こんなところを襲われても面白くないしな

空中戦14、ダッシュ7、ジャンプ6を用いて三次元軌道しながら
怪力14で大きめのデブリから優先的に素早く回収し処理します
回収が難しいほどの大きなデブリがあったら迷惑にならない方法で砕いてから回収します

アドリブで他の方との絡み歓迎




「デブリのサイズとか分からねェし、持ってきてよかったなァ……」
 身に纏う魔導式の機械鎧を操って、クロトは大破した戦闘機の残骸をそっと航路の外に押し出した。
 艦砲が不運にも直撃したのだろうか、コックピットブロックがまるごと溶け落ちたそれから回収した機体番号とエンブレムが描かれた尾翼の欠片を、持ち帰るためのカーゴにそっと仕舞い込んで一息吐く。
 被弾し、砕けた破片は生身の猟兵でも対処は出来るだろうが、ああいった原型を比較的留めている兵器の残骸まで回収するとなると、やはりパワフルな機械があったほうがいい。
ただ、そういった重機を持ってしても、全ての残骸を今日回収して行くというのは不可能だ。デン・ハーグに詰め込める量にも限りは在る。
 遺族に遺品として渡せるものをなるべく最低限のサイズで回収する。それ以外はひとまず邪魔にならないよう航路から退けるか、ひとまず集めておいて貨物室の余り容量と相談して決める。それが、猟兵達の決めたルール。
「…………本当言うとこういう使えそうな機械鎧の残骸とか、個人的に回収してーんだけどなァ」
 限り在る貨物室の容積を個人的に使いたい、という現実的な点でも、そして戦没者の遺したものを浚っていくというモラルの面でも、怒られるだろうか。
 いくつめかの残骸、大破した人型機から識別番号の刻まれた装甲を丁寧に外し、最後にもう一度遺体や遺品がないか確認をしてからそっと航路の外の戦艦の残骸に横たえるように安置して、クロトはようやくたどり着いた難敵――航路を塞ぐように沈む、重巡洋艦の残骸に視線を移す。

「ふむ、白騎士や黒騎士ほどではないにせよ有力な敵がまだ活動している、か」
 終戦を迎えて、その日からはい平和、と行かないのはどこも一緒だな、と三笠はひとりごちる。
 国家そのものがオブリビオンとして蘇った銀河帝国。
 その中心たる銀河皇帝を討ってもなお、その残党たちは闘争を続けている。
 敗北を認められないもの。皇帝の仇討ちに燃えるもの。自らを追いやった解放軍への復讐を誓うもの。追撃の手からただ生き残るために銃を捨てられないもの。
 理由は多々あろう。あろうが、オブリビオンとして骸の海から舞い戻った彼らに、投降や恭順の選択肢はありはしない。
 この"戦後"がいつまで続くのか、高級将校としての三笠にとってもそれは重い懸念だ。
 運搬の難しそうな大型の装甲片を一刀に断ち斬り、運びやすい大きさに変えて回収ネットへと放る。
 その単純な作業を繰り返すうちに、三笠もまた沈んだ重巡洋艦へとたどり着く。

「これは流石に……そのままじゃァ無理だろうなァ」
 近寄ってみれば、その大きさはやはり圧巻だ。クロトは死に絶えた船の威容に圧倒されつつも、それをどうにか撤去する方策を考える。
「流石に、砕くしかないよなァ……」
「どれ、そういうことならば我も手伝おう。手間取って作業中に奇襲されても面白くない、ささっと終わらせるとしようか」
 どこから手を付けたものか、と悩むクロトに、艦艇の専門家たる三笠が追いつき残骸を検分する。
 船体の構造を、被弾した痕跡を、撃沈に至る損害を。全て加味して、三笠は最も船体に損傷を与えること無く幾つかのブロックに切り分けるために、船上を飛び回ってマーカーで印を付けていく。
「……よし、こんなところだろう。マーカーに沿って切れ込みを入れれば、後はそう力を入れんでも分解できるはずだ。我が艦尾側から、霧島君は艦首側から作業に入るぞ、いいか?」
「ん、了解で。――クルーの人らには申し訳ないけど、船に刃ァ入れますよ」
 三笠の刀と、クロトの氷剣が巡洋艦を貫き、その死せる巨体をゆっくりと解体していく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フィーナ・ステラガーデン
【PPP開発室にて参加】
デブリって宇宙ゴミのことよね?
なんか鉄くずみたいな!
それを回収って私そんな器用なこと出来ないわよ!
そもそも最近宇宙を覚えたばかりだもの!

そうねえ!アイテムの「魔法的メガネ」を付けて
技能「視力」「暗視」で位置を知らせる役でもしようかしら!
私の適切なナビが火を吹くわ!!(必ずしも適切ではない)

そういえばどこかで聞いたけれど
デブリの中にはお宝が眠ってることがあるらしいわね!
何か面白いものとか無いかしら?
鉄を掘ってみれば何か見つかるかしら!

(アドリブ、アレンジなどなど大歓迎)


イデアール・モラクス
【PPP開発室で参加】

クク…手強いヤツがいるんだろ?
滾る、滾るじゃないか!なぁ!
アーハッハッハ!

・行動
「人も機械も終わりを迎えればタダのゴミだ、そこには何もない、意味もない」
UC【ウィザード・ミサイル】を『全力魔法・属性攻撃』で炎の矢を何もかも滅する魔力の焔へと昇華、全てを焼き尽くすほど火力を極限まで増し『範囲攻撃』で広範囲へ向けて『高速詠唱』を用いて連射、漂うデブリを全て跡形も無く滅し焼き尽くす。
「命は華!輝きは刹那!その鮮烈な記憶と燃やした魂は永劫に世界へ刻まれた!
残滓はこのイデアールが鎮魂の炎で慰めよう、敵も味方も善も悪も全ては記憶の中で煌めく光となるがいい!」

※アドリブ大歓迎




「でぶり……って、宇宙ゴミのことよね。なんか鉄屑みたいな」
 一時的に停泊している輸送船デン・ハーグの甲板に立ち、眼前を漂う艦隊の成れ果てを見つつ宇宙のことも幾分詳しくなったのだと知的に眼鏡の位置を直そうと――した手が宇宙服のヘルメットをつるりと撫でたのを無言で誤魔化し、フィーナはしかしどうしたものかと思案する。
 戦争を経て宇宙の飛び方は少しは覚えただろう。だが、今から船外作業をやれと言われてはい分かりましたと飛び立てるかというと、些かに疑問も残る。フィーナは自信家だが、こと未知の環境で自惚れるほど愚かではないのだ。
「悩むわね……何もしないでサボるのもなんだか申し訳ないし」
 広げた右手の中指がつるりとヘルメットの真ん中を下から上に撫でる。
「……こほん。いや、そうね。このメガネがあるじゃない」
 適材適所、そもそも魔女は肉体労働担当ではないのだ。頭脳と道具で作業員をフォローすればいいと結論に至る。――それに。
「人も機械も終わりを迎えればタダのゴミだ、そこには何もない、意味もない」
 傍らでそんなセリフを宣いながら、明らかに過剰な火力の焼却魔法を練り上げている相方、イデアール。
 彼女がうっかり沈んだ船の弾薬庫に火を付け――そう、それこそ先日の戦いで彼女たちが帝国軍の戦艦を沈めたときのように――大爆発でもさせようものなら大惨事だ。
 あるいは、回収の見込みのある遺体や遺品を灰も残さず焼き尽くしてしまったりしたらきっと、彼らの無事を半ば信じ、半ば諦めて生きる遺族たちの苦しみが長引いてしまうかもしれない。それは、可哀想だ。
 それに、それにだ。どこかで聞いた話だが、こういうデブリにはお宝が眠っているとも言う。それまで吹き飛ぶのは少し、いや結構、うんかなり勿体無い気がする。
 本当にあるかどうかは知らないけれど。
「イデアール、私が適切にナビするわ。指示した所に魔法を飛ばしなさいよ」
「うん? フッ、いいだろうフィーナ。我が鎮魂の炎を導くがいい、寸分違わずそこに術式を放って見せよう!」
 掌に早速魔力を燃やす火球を生じさせたイデアール。その熱量に少しだけ距離を離して、フィーナは漂うデブリの中から、人の存在を感じられないもの――装甲板であったり、武器であったり、あるいは戦艦や航宙機のエンジンであったり――そういったものをメガネを通して探し出してはイデアールにその座標を伝える。
 あっち、こっち、ちょっとやあの辺など、多分に抽象的なワードを含むフィーナのナビゲートを受けて、イデアールは魔法を放つ。
 正確にフィーナの示した残骸に着弾するのは、同じ鉄火場をくぐり抜けてきたが故の連携だろうか。
 宇宙の墓場に、まばゆい焔の華が咲く。
「このイデアールが鎮魂の炎で慰めよう、敵も味方も善も悪も全ては記憶の中で煌めく光となるがいい!」
 命の華が、刹那の輝きが、確かに其処にあったという証。
 エンペラーズマインドを巡る戦いに魂を燃やして挑んだ者たちの鮮烈な記憶が、炎に焼き尽くされていく。
 けれども、術者の激しい言い様とは異なって、
 その炎は散っていった者たちの命を優しく慰め、死後の安らかな世界へと導くような優しく暖かな光を放っていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

メイスン・ドットハック
【WIZ】
戦争の結果とはいえ、大量にあるものじゃのー
じゃけど、ごみ処理はマナーでもあるからのー

ユーベルコード「隠れ家への小道」を使用してデブリ掃除に取り掛かる
その際、電脳空間の広さをかなり大きめに設定しておく
進路上にあるデブリを発見したら、特に邪魔と思われるものに電脳窓を設置
そのデブリを電脳空間に収納して、デブリ排除を敢行していく
28個ほど設置できるので、主な浮遊エリアに設置していけば、自動的に吸いこんでくれる見込み
ただし電脳空間の中のデブリは後日、しかるべきところに持っていく




「戦争の結果とはいえ、大量にあるものじゃのー」
 激戦区だった――あの戦争で、そうでなかった宙域のほうが珍しいが――そんなこの宙域に、デブリが多いのは仕方がないことだ。
 だが、安らかに眠る彼らの亡骸が生者の邪魔になるならば。
「それはもうごみじゃ。ごみ処理はマナーでもあるからのー」
 デン・ハーグの展望室から、燃えゆくデブリを、その合間を飛び交う猟兵達のスラスターの光を見つめて、メイスンは想う。
 死者を偲ぶ気持ちは大変だろうが、それも生者あってこそ。
 帝国残党という生者を脅かす脅威への道を阻むそれらを、丁寧に丁重に弔いながら進むだけの余裕は、残念ながら今日この日の猟兵たちには無いだろう。
「そういうのはまた後日でいいんじゃよー。生きていれば、何度だって偲ぶことはできるからのー」
 メイスンが窓に手をかざせば、デブリの周囲に電脳空間の入り口が発生する。
 ひとつ、ふたつ、みっつ――最後には、30に届くかという数の電脳空間が、宇宙にぽっかりと口を開けた。
 そこに猟兵たちの退かしたデブリが、漂っていた残骸が、吸い込まれていく。
 データへと変換された残骸は、物理的な容積を必要としない。デン・ハーグに積み込めなかった、やむを得ず残していくよう判断された残骸も、持ち帰ることができる。
 それをしかるべき所へ、彼らの帰りを待つ人々の元へ届けるために、メイスンはしきりに出入り口を開いては閉じ、場所を調整しながらデブリを集めていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アイ・リスパー
「銀河帝国の残党……
精鋭部隊を全滅させるほどの戦力がいるとなると放置できませんね」

私は帝国との戦いには参加していませんが、平和になった世界にこれ以上の争いは不要です。
私たちが過去の亡霊を倒しましょう!

「とはいえ、まずはデブリ地帯の掃除からですね」

『小型宇宙戦艦』に乗り、『バラックスクラップ』で作ったロボットアームで、デン・ハーグの進路上のスペースデブリを丁寧に掃除していきます。

「要塞攻略でこれだけの被害が……」

目の前のデブリになった宇宙船の残骸を見て、犠牲者に黙祷を捧げながら、戦争の激しさを想像します。

「この犠牲を無駄にしないためにも、平和は守らなくては」

決意を新たにするのでした。


アリシア・マクリントック
プラウドウルフ2世で回収作業を行いましょう。コンテナを牽引していって、再利用できそうなものとそうでないものをある程度分別もしてしまいましょう。
対象の大きさなどで作業のしやすさも変わってくるでしょうから他の方と分担したり、降りて作業をしたり臨機応変に。
もしもドッグタグのような故人の遺品と識別できるようなものがあれば個別に回収して弔います。作戦中ですし、こちらの世界の様式に詳しくはないので私なりのやり方で簡単にとはなってしまいますけれど。

進入が困難な場所、ということは敵が潜んでいるかもしれませんね。念のため周囲の警戒も怠らないようにしましょう。




「精鋭部隊を全滅させるほどの残党……放置は、出来ませんね」
 あの日の戦いに、アイは参加していなかった。
 どれだけの人間が、どんな覚悟を胸に、どんな決意を刻んで戦い、散っていったのか。
 それは、伝聞でしかしらないことだ。でも、それでも、アイにも分かることがある。
 彼らが命と引き換えにしても掴みたかった今日の平和に、再び争いの種を蒔こうという帝国軍の残党はこの世界に不要な存在なのだ。
「私達が過去の亡霊を倒しましょう」
 操縦する小型艦に取り付けたロボットアームが、丁寧に、丁寧にその過去の亡霊と戦った勇敢な兵士たちの墓標を抱きとめる。
「ええ、きっと私達でこの宇宙に平和を。人々が安心できる日々を、取り戻しましょう」
 アイの船に寄り添うように飛ぶ宇宙艇、プラウドウルフ2世。そのコックピットでアリシアもまた、彼女の決意に頷く。
 牽引したコンテナのハッチを開き、アイの回収した残骸をその中に収めて二隻でデブリの海を征く。
 再利用できそうなものはコンテナに、それも難しいほどに壊れてしまったものは、回収ネットに収めて、二人は静かに漂うデブリを選別していった。
「…………要塞攻略でこれだけの被害が……」
 宙域で最も目立つ重厚かつ巨大な宇宙戦艦の残骸。幸いにも航路の外にあるそれは、今回無理に処理する必要のないものだ。だが、視界に入ればやはりどうしても気になってしまう。
 あの中には何人が乗っていて、うち何人が無事に対艦出来たのだろう。
 要塞砲の集中砲火を受けたのだろう、艦のいたるところに大きな穴を開けて、しかし一歩も退かず最後まで抵抗したのだろう、全ての被弾痕が艦の片舷に集中したその亡骸に、アイは黙祷を捧げる。
 きっと、艦首なり艦尾を要塞に向けていれば、いくらかの砲撃は躱せていたはずだ。
 それをせず、全ての砲を要塞に向けたまま沈んだこの船は、いったいどれほどの覚悟を抱えて此処に至ったのか。
「あの戦いで、解放軍艦隊の役割は陽動でした。……私達猟兵が要塞に突入し、コアマシンを破壊するまで敵の目を惹きつけるための」
 エンペラーズマインドのコアマシンは強力無比だった。損傷は生じた側から修復され、どれだけの火力を注いでも無意味なのではないかと絶望してしまいそうなほどに堅固だった要塞。
 突入した猟兵たちは、そのコアマシンを守る強敵、デストロイウォーマシンと死闘を演じた。誰かが欠けていてもおかしくはないほどの、強力な敵との壮絶な戦いは記憶に新しい。
しかし、その外側でも陽動、無意味な牽制攻撃と知ってなお命を懸けた人々が居たのだ。
 その事実は、アリシアの胸を敬意と悲しみで満たす。
「……そう、なんですね。彼らの犠牲を無駄にしないためにも、平和は守らなくては」
 決意を胸に、この後に控えた戦いに身構えるアイ。アリシアも、迫る戦いに操縦桿を握る手に力が籠もる。
 ふと、目の前を流れていく小さな鉄片にきらめくチェーンを見たアリシアは、コックピットから飛び出しそのデブリを、ドッグタグをそっと掌に包む。
 解放軍の誰かの遺品なのだろう。文字は煤けて読めないが、それを大切に胸に抱いて持ち主を弔う。
「しっかりとした弔いは、また後ほど。今はこれで許してください」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

チトセ・シロガネ
【WIZ】
祭りの後の後始末……物悲しいネ。
というセリフは置いといてオーダーはしっかりこなすネ。

とりあえずは【念動力】と「空間アンカー」の【地形の利用】を使って一括りにして回収していくネ。
再利用できそうなものは分けておくといいカナ?
オッケー、それもサービスしちゃうネ。
【見切り・第六感】でそれっぽいものを分けちゃうヨ。

フォースナイトならこれくらいイージーミッションだヨ。
タダで乗せてもらってるからそれくらいはオマカセ、ネ。




「祭りの後の後始末……物悲しいネ」
 そう呟きながら、念動力で引き寄せたデブリに空間アンカーを結わえて括るチトセ。
 かつて威容を誇った艦隊も、今は死と静寂に包まれたデブリ帯だ。
 思うところはある。だが、チトセはその思いに囚われることなく与えられた仕事を手際よくこなしていく。
「こっちのエンジンは焼け付いてるから屑鉄行きネ」
 限界を超えた機動で焼き付いてしまったのだろう、宇宙戦闘機のロケットエンジンを光刃で分解し、アンカーの鎖で括り付けて次のデブリへ。
「お、この砲はまだ使えそうだネ、こっちは再利用できそうだから回収カナ?」
 比較的損傷が少ないまま船体から脱落したのであろう艦砲は、修理すればまだ使えそうだ。
 あの帝国総旗艦に至るまでの激戦で特に戦闘艦の多くが傷ついている今、こういった装備は回収するに越したことは無いだろう。
「タダで乗せてもらってるからこれくらいはオマカセ、サービスしちゃうネ」
 直感めいた目利きで使えるもの、使えないものを選び集めていくチトセ。
 悲しみの漂う宙域で、彼女の割り切った明るさは一際に輝き、戦没者を偲んで悲しみに曇ってしまいそうなデン・ハーグ乗員たちの心をまばゆく照らしていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ネヴィス・マキヤーベイ
POW

操縦で最適な場所へ
8mの機体の質量と推力を活かして大きめのデブリを移動させる

まだ血が流れたばっかりか、この宙域
平和の為とはいえ、私にできるのは血を流すことくらい……っと

慌てて取りこぼした2mほどの半壊したポッドを掴む
ポッドから流れてくるのは文字メッセージ
自分は恐らく助からない事
家族を愛していた事
どうか幸せになってほしいというメッセージ
出来る限り確実に残せるよう音声ではなく文字の転送に絞った決断に下唇を噛む

最期の声を残したかったろうに

軍人だった自分に死は日常だけれど
本当に其れが目の前に来た時
この人のように最善をとれるだろうか

ネヴィスよりデン・ハーグ
英雄を一人帰還させる
とびきりの歓待を望む


月宮・ユイ
戦争は終われどまだまだ平穏は遠いようですね…
とはいえ一つ一つ解決していくしかありません。まずは航路確保です

”騎乗、操縦”
宇宙バイクでもある[コメット]に乗って移動力を確保
”掃除、早業、世界知識、優しさ、祈り”【楽園箱庭】
UCを使いデブリを取り込み回収していく
これだけのデブリ、一体どれだけの人命も失われたのでしょうね
と、いけません。今は先を急がなければ。望みは薄いかもしれませんが生存者がいる可能性もありますから
「安らかな眠りがありましょうように…」
回収された遺体は、後でより分け再生修復されたものを弔いましょう
どのような弔い方が良いか知識だけでなく確認しておきましょう

アレンジアドリブ・絡み協力歓迎




 予定の航路を半分ほど拓いた猟兵たちは、引き続き漂う残骸を回収し、あるいは撤去していく。
 奥に進むに連れて、デブリにも比較的原型を留めたものが増えてきた。
 そんな中を、宇宙バイク"コメット"と大型の人型機"ゼファー"が翔ぶ。
「まだ血が流れたばっかりか、この宙域」
「戦争は終われど、まだまだ平穏は遠いようですね……」
 敵と銃火を交える、その意味での戦争は確かに終わったのだろう。これからは帝国軍の陰に怯えることのない日々がある。
 だが一方で、あの戦いで友を、恋人を、家族を失った人々の心に平穏が訪れる日はまだ先だろう。
 猟兵たちに出来ることは、その日が少しでも早く訪れるために、問題を一つ一つ丁寧に解決し、そして必要であれば彼らに代わって血を流すこと。
ゼファーのコックピットでネヴィスが呟き、コメットを駆るユイもこの世界を想う。
「これだけのデブリ、一体どれだけの人命が失われたのでしょう」
 つい作業の手を止めて考えてしまいそうになるのを、首を振って振り払い、ユイはアクセルを踏む。
 この宙域を抜けた先で、モスカー艦隊が消息を絶ってまだ数日だ。
 もしかしたらそちらには生存者がいるかもしれない。望みは薄いが、ゼロではないのだ。
「……おっと」
 ゼファーが、小さな脱出ポッドを掴む。
 艦艇に搭載されていたタイプのそれは、僅かに脱出のタイミングが遅かったのだろう。
 船の爆発に巻き込まれたように底面が焼け焦げ、引き裂かれていた。
 どう見ても、中の人間が無事だとは思えない。ネヴィスの表情が哀しみに歪む。
 その時、ネヴィスはポッドが救難信号を発する為のストロボが、見慣れないパターンで点滅していることに気がついた。
 救助を求めるそれではない。では、なんだろうか。……その答えはすぐに分かった。
 通常の通信が著しく制限されるECM環境下で、軍人たちが目視で意思疎通をするための光信号だ。

『ワタシハ モウダメダ ホカヲ タスケテクレ』
『リョウシント ツマニ アイシテイルト』
『オヤフコウナ ムスコデ スマナイ』
『キミヲ シアワセニデキナイ オットデ スマナイ』
『ワタシヲ ワスレ シアワセニナッテ ホシイ』

 暫しの時間を経て読み解けたメッセージ。単純だからこそ、音声やテキストのデータより長く残るようストロボのプログラムに刻まれた最期の言葉。
 こんな冷たい光の明滅ではなく、直接言葉で伝えたかっただろう。
 最低限の文字列ではなく、もっと言いたいことはたくさんあっただろう。
 それでもなお、確実に届けてほしいと、来るかも分からない誰かに託した想いにネヴィスは下唇を噛んで呻く。
 自分に、彼のように覚悟を決めた最期を迎えることが出来るだろうか。

 ――ゼファーがストロボの信号を解析している間、ユイはその脱出ポッドのハッチをなんとかこじ開けていた。
 破損しているとはいえ脱出ポッドだ。中で無事に生存している可能性は、周囲を漂う残骸の中より遥かに高い。
 もし駄目でも、遺族の元へ還すなり、解放軍のやり方で弔うなり、遺体を回収してあげたいと、そう思ったのだ。
 がこん、ががごんと引っかかるような異音を伴って開くハッチ。
 真っ暗なポッドの中では、一人の男が眠るように息絶えていた。
「安らかな眠りがありましょうように……」
 彼の遺体をそっと箱に触れさせ、ユイはその遺体を楽園箱庭へと送る。
 生前に負った負傷を癒やし、少しでも綺麗な姿で葬られるために。
「――デン・ハーグ、英雄を一人帰還させる。とびきりの歓待を頼む」
「丁重に弔ってください。きっと苦しかったでしょうに、静かに亡くなっていた勇気ある方です……」
 二人はデブリの回収を切り上げ、母艦へと帰投していく。
 最善を尽くして死んでいった、一人の兵士を連れて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
宇宙を守るため、宙に散っていった戦友達とも呼べる方々の船
その残骸が航路を妨げることなど、彼らも望まないことでしょう
敬意をもってデブリ除去作業を行わせていただきます

機械馬に「騎乗」してUCの隠し腕を使いデブリを牽引し、輸送船の航路を確保します。
大きすぎたりするデブリは「怪力」で振るう槍で「鎧砕き」の要領で砕いて小さくしたり、「破壊工作」で設置した爆弾で破砕するのもよいでしょう。

宙域を輸送船が通過する際に、弔砲替わりの信号弾を撃ってくれないかとデン・ハーグの船長に掛け合ってみましょう。
許可が下りたら信号弾の光の下、剣と盾を構え、死者に敬意を表します




 死者の宇宙を、白馬を駆る騎士が駆ける。
 手綱を握る手とは別に、鎧の内から伸ばした隠し腕で残骸を掴み、スパイクで固定して曳いてゆく騎士、トリテレイアはやむを得ず砕かざるをえなかった幾つかの残骸を振り返り、その乗員たちに胸中で謝罪する。
(宇宙を守るため、宙に散っていった戦友たちと呼べる方々の船――)
(その残骸が航路を妨げることなど貴方達は望まないと信じます)
(最大の敬意を貴方達に。申し訳ありません、貴方達の愛した船を、デブリとして撤去させていただきます)
幾つめかの小型艦、駆逐艦よりやや小さなそれに爆薬を仕掛け、分解したブロックを更に槍で砕いて隠し腕で掴む。
 全ての手がいっぱいになれば、デン・ハーグとその周囲に漂う回収ネットへと戻り、デブリを手放してから再び残りを回収する。
 単調で疲れる作業だが、トリテレイアはそれをおくびにも出さずに黙々と作業に励む。
「たとえどんな形であれ、貴方達がこの宙域にただ漂い朽ちゆくのを待つだけだというのは哀しいのです」
 世界のために命を捨てた人々であっても、満足に弔えないほど情勢は不安定だ。平和と言っても、敗戦を認めない帝国残党は未だに蔓延っている。
 しかし、だからといって"弔わない"というのは、あまりにも哀しすぎる。
「……船長、これは私の我儘です。エンペラーズマインドの戦い、その勝利に命を捧げた彼らの為に――」


 宙域に、まばゆい光が爆ぜる。
 弔砲代わりに間隔を開けて放たれた六発の信号弾が、帝国残党に気付かれる危険を少しでも減らすべく通常より遥かに低い位置で輝いたのだ。
 トリテレイアはその光の下で、剣と盾を捧げるように構えて死者に敬意を表す。
 作戦宙域で行われた、ほんのささやかな葬送儀礼。
 けれど、きっと死んでいった人々には、その光に込められた想いが伝わったことだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レッグ・ワート
先ずは道中掃除か。オーケイ、さくさく行きたいトコだわな。

俺は宇宙バイクで出る。艦が捌けるくらい細くするか除けりゃいいんだろ。ブレードエピダミスで斬り割ってくか、編んだ糸ひっかけたり単純に押して進路外に放る。デブリの強度や大きさで使い分けるぜ。仲間に一括始末の手があるなら、そいつの範囲に纏めるのが早そうだ。
そんな具合に進めるが、生存者の痕跡探しはさせてくれ。潜めそうな物ならドローンやセンサ類使って手早く済ませる。救助活動といければいいが、モスカー側の人員の装備でもありゃ回収、纏めて直かドローンで艦まで送るわ。

伸された帝国機にはお疲れとしか言えねえな。用途の為にやりきって壊されたならある種金星だ。


ミハエラ・ジェシンスカ
帝国が2度目の滅びを迎えてなお戦いを止められんとはな
亡霊どもも難儀な事だ
……いや、私とて奴らを笑えん、か

しかしデブリ掃除か
そういう戦闘以外の作業は得意ではないんだがな、私は
ああ、悪いな
なにもこの作業に不満があるわけじゃない
ただ……少しばかり新鮮だっただけだ

フォースレーダーによる[地形の利用][情報収集]を応用し、周辺宙域を測量
観測したデブリをサイコキネシスによる[念動力]で力強く誘導し、回収ないしは処理していく
弔いはする者がいればその者に任せ、私は作業に従事する

この作業中も敵襲への警戒は怠らん
幸いにしてレーダーはフル稼働中だ
あのようなプレッシャー、否応なしに気が付くだろうさ




 デン・ハーグがゆっくりとデブリ帯を抜けていく。
 巨大な戦艦の亡骸が見守る中、それに比べれば小さく見える船体が、どうにか通れるほどに拓かれた航路を進む。
 レグは宇宙バイクに跨り、その安全な航路を無事に通り抜けられるようデン・ハーグを先導していた。
 猟兵たちの活躍でかなりの数を撤去されたデブリだが、それでも全てとはいかない。航路の外から流れてくる分もあれば、取りこぼしが漂っていることもある。
 それらを見つけ次第編んだカーボン糸に引っ掛け他の猟兵が作った回収ポイントへと放るが、それでも航路の全体をカバーすることは難しい。
「道中掃除も楽じゃねぇな……」
 航路外から漂ってきたデルタ・ファイターの残骸を、演算によって最適な角度で滑り込ませた外殻で切り裂いて押し返してレグはぼやく。
「お疲れさん、最期まで戦って壊されたならある種金星だ、頑張ったな」
 たとえ帝国軍機であっても、壊れた機械となってしまえば敵も味方もあるまい。
「二度目の滅びを迎えてなお戦いを止められんとはな。亡霊共も難儀なことだ」
 レグが押し返したデルタ・ファイターを見送って、ミハエラはサイコキネシスで小さなデブリを押し出していく。
 一度の滅びが我慢ならなかったのは理解出来よう。何故勝てぬ、どうすれば勝てる、あそこでああしていれば。そんな後悔は誰しもが抱くものだ。
 だが、オブリビオンとして蘇り、二度目に臨みそしてまた破れたのだ。あのデルタ・ファイターのように、帝国は既に戦い抜いた残骸だろう。
 それでもなお、残党は諦めきれないのだろうか。――自分も似たようなものではないかと自嘲するように苦笑し、ミハエラは不慣れな作業に戻っていく。
 騙し、斬り捨て、破壊する。悪心を刻まれ生まれたミハエラにとって、戦闘行為ではないこの作業は、なんとも言い難い新鮮さを伴っていたのだろう。

 そうしてゆっくりと時間をかけ、デン・ハーグにデブリ帯を突破させた猟兵たち。
 ほんのひと時、残骸の無い透明な宇宙を船が往く。
 そんな中、レグとミハエラはそのまま周辺警戒に付いて周囲に気を巡らせていた。
「よぉ、そっちでは何か見えるか? こっちは何も見えねえけどな」
「こちらも似たようなものだ。――いや、この先に何かあるな。デブリ……いや、艦影か? 中型が1、小型が3……なるほど、これがモスカー艦隊だろう。方位は11時、天頂方向に仰角3度ほど取れば見えるだろう」
 ミハエラの言うように視線を上げたレグにも、確かに光の消えた艦艇の影が見えた。
「……私が船の直掩に付こう、異常があれば呼び戻す」
 言外に行け、と言うミハエラ。レーダーをフル稼働させて周囲を見張るのだから、レグの目までは要らないと乱暴に言い放ちながらも、その真意はきっとそういうことだ。
「悪い、恩に着るぜ」
 持てる全てのセンサをモスカー艦隊に向け、バイクに搭載したドローンをすべて放って一気に残骸に迫るレグ。
 生存者がいれば、一刻も早く助け出したい。
 もし居なくても、彼らの装備は今の解放軍には貴重なものだ。持ち帰り、次に戦う誰かの為になれば彼らも浮かばれるだろう。
 四隻の間を飛び回ったレグは、十数分の限られた探索で二人の生存者を見つけ出した。
 ――たった二人、されど、二人も生き残ってくれた。
 旗艦のコアマシンルームでじっと救助を待っていた二人の兵士を後ろに乗せ、デン・ハーグへと帰還しようとしたレグ。その聴覚に、ミハエラの声が飛び込む。
「おう、朗報だ。生存者を発見――」
「――いいから急いで戻れ、艦隊は撒き餌だ! 敵影多数、すぐに来るぞ!!」
 マジかよ。後方、艦隊の向こう側から迫る幾つもの光点から逃れるべく、レグはアクセルを踏み込んだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『デルタ・ファイター』

POW   :    増援要請
自身が戦闘で瀕死になると【増援飛行隊 】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD   :    帝国軍の栄光のために!
【制御不能の高速航行モード 】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
WIZ   :    対宙銃撃
レベル×5本の【貫通 】属性の【機銃弾】を放つ。

イラスト:へるにゃー

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



『――敵影多数、艦艇1、その他小型の混成部隊多数接近』
『――艦種識別、反乱軍標準型輸送船と同定。対象をボギーと認定、IFFレッド』
 遥か彼方の宙域で息を潜めていた帝国軍輸送艦ウェルキンスの艦橋で、彼らはじっと自らが沈めた解放軍モスカー艦隊の亡骸を見つめていた。
『まさか本当に現れるとは。少佐の勘もいよいよ恐ろしくなってきましたな』
 やれやれと肩を竦める艦長に、"少佐"と呼ばれた男は苦笑する。
『あまり煽てるものではないよ艦長、偶々が続いているだけだ。それより作戦の準備は整っているかな?』
 作戦、という言葉に艦長は僅かに視線を泳がせ逡巡した後、頷く。
『少佐、本当にそれでよろしいのですね? 本艦の指揮官は私ですが、兵たちが最も信頼を置くのは貴方だ。貴方が必要だと説きやると決めたからには皆付いていきますが、私はもっと最善と言える策があるように思えてならんのです』
 苦言とも取れる艦長の言葉。ブリッジクルーたちも、それに無言の同意を添えるように振り向き、少佐をじっと見上げる。
『……ふむ。最善を求めるのは贅沢というものだ艦長。我々が今や敗残の艦隊、いやもはや艦隊ですら無い敗残兵でしかないことを忘れてはならない。すべてを望むままに出来たあの頃とは、情勢も何もかもが違うのだ』
『…………は。では本艦は作戦通り行動を開始します。どうか、ご無事で』
 彼と、共に出撃するパイロットたちを心配するような言葉に少佐は笑う。
『無事で、とはまた奇妙なことを言う。私がこれまで一度とて作戦を違え無事に帰らなかったことがあったかね』
 颯爽とブリッジを飛び出す少佐。しばらくして、輸送艦のハッチから次々と戦闘機が出撃していく。
『サンダーボール、ライトニング、ブリッツフォーゲル隊全機発艦!』
『――各隊戦闘宙域に突入します!』
『続けてブラウエルフォーゲル……格納庫より連絡、カタパルトの異常により少佐の出撃は遅れるとのこと! 復旧まで10分ほしいと!』
『サンダーボール隊より入電、"10分でカタを付ける、ウェルキンスは作戦通りに行動されたし"!』
『各飛行隊エンゲージ、敵部隊と交戦を開始!!』
 ――そういうことか、馬鹿者どもめ。艦長は瞑目し、静かに息を吸って部下たちに命令を下す。
『航空隊がそう言っているのだ、整備班にはカタパルト復旧はゆっくりでいいと伝えておけ! 偶には航空隊にも戦果を譲ってやらんとな、少佐殿ばかり撃墜数を増やしてはあいつらも臍を曲げるだろう』
 ハハハ、と冗談を笑い飛ばしながら、モニターの中でどんどん遠ざかっていく航空隊の背中に艦長は顔を顰めるのだった。
トルメンタ・アンゲルス
さぁ、会敵だ!
Let's dance with an angel!(さあ、俺と踊ろうぜ!)

船外活動していたアクセルユニゾンの状態のまま、最高速度でダッシュ!
奴らのレーダーが俺を捉えるよりも速く突っ込み、俺自身を砲弾と化したかのような勢いで飛び蹴りして先制攻撃!
そのまま蹴り穿って開戦の花火としましょうか!

トップスピードをどんどん上げながら、物理法則を無視した軌道で駆けまわり、
残像を残したりして妨害しながら、味方が攻撃する隙と時間稼ぎをしましょう!
隙を見せたなら、ブレードやブラスターで各個撃破します!

纏まって向かってきたら儲け物!
瞬間的に猛加速し、襲撃のブリッツシュピーゲルで一気に墜とします!


ミスタリア・ミスタニア
ハッ、所謂スナイパーがやるようなわざと殺さず助けに来させて戦果を稼ぐ、常套手段ちゃ常套手段だな。
だが、そう上手くいくと思うなよ?

ヘッ、デルタファイターか。こいつらは本命じゃねぇな。
大体、戦闘機でオレら鎧装騎兵に勝とうなんざ甘いんだよ!宙間戦闘の主役は鎧装騎兵だと教えてやるぜ!

ビットを展開して『一斉発射、援護射撃』で少しでも連携を崩して、『捨て身の一撃』で突っ込むぜ!
攻撃は『第六感、見切り、空中戦』避けて、避けきれないのはビームシールドで『盾受け』だ!
孤立した奴の懐に潜り込んでパイルバンカーで『鎧砕き』だ!そのまま『2回攻撃、零距離射撃』の大型熱線砲(ブラスター・ランチャー)をぶっ放すぜ!




『――敵艦まで距離1500! 全機対艦戦闘用意!』
『ライトニングよりサンダーボール、ブリッツフォーゲルへ。敵の直掩部隊は我々が受け持つ。そちらは突破を優先してくれ』
『了解、ライトニング隊の健闘を祈る』
 宇宙空間を疾駆する幾多もの蒼い光。トライコーン状の主翼をくるりと回転させ、その後方に尾を引く青白い噴射炎を靡かせて飛翔するのは帝国軍De 108航宙戦闘機、デルタ・ファイターの名を冠するその傑作機は、満足な補給を受けられない状況にあってもなお十全の状態で稼働するだけの運用ノウハウと耐久性を誇っていた。
 帝国が健在であった頃には誰も知り得なかった、新たなデルタ・ファイターの長所。それを遺憾なく発揮したウェルキンス艦載機動部隊が餌に食いついた獲物――猟兵たちと母艦デン・ハーグへと襲いかかる。
 三個編隊のうち二隊が進路を外れ離脱していく中、中央を飛ぶ一隊は真っ直ぐに突撃を敢行。
 そこに猟兵の迎撃が突き刺さった。飛来した"何か"によって、編隊長機の横を飛ぶ二番機が一瞬のうちに貫徹され、潰れた機体の各所から炎を吹き出しながら脱落していく。
『――02がやられた! 敵艦からの砲撃か!?』
『いや……02の信号が消失する直前、一瞬ですがアンノウンの反応が――』
「Let's dance with an angel!」
 困惑しながらも墜とされた二番機を顧みることなく前進するライトニング隊は、今しがた撃破された残骸から青い流星が飛び出すのを見た。
 ――NoChaserを身に纏ったトルメンタだ。
『敵騎出現! クソ、砲撃どころか白兵戦だと!? 全機ブレイク! ブレイク!!』
 編隊を解き、二機編成で散開する戦闘機。そのうちの一組が降り注ぐ光の雨に同時に主翼を撃ち抜かれて制御を失い、衝突して爆散する。
『――04、05ロスト!! 新手だ!!』
 撃墜された二機の航路を見上げた八番機パイロットは、展開したビットを再び装甲に戻しながら真っ直ぐに駆け抜ける翠に戦慄する。
「戦闘機でオレら鎧装騎兵に勝とうなんざ甘いんだよ!」
 狙撃手が取るような、救助を誘って伏撃するなどと小賢しい策を弄したとて、最後に機動戦を行うのであれば、鎧装騎兵が有利であるとミスタリアは獰猛に牙を剥いて笑う。
 狼狽した八番機に直上から猛禽のように襲いかかるミスタリア。だが、その急襲は側面からの機銃掃射で中断させられる。咄嗟にビームシールドで防いだものの、その一瞬で八番機は既に攻撃範囲から離脱してしまった。
『――03、私とお前でこちらの翠をやる。06、07、08は離脱して再突入、青を叩け』
『了解、残りは?』
『――私達が来るまで他の牽制だ、攻撃開始!!』
 そのまま機銃掃射を浴びせかけた編隊がミスタリアの後ろに回り込み、ぴたりと貼り付いて執拗に射撃する。
「ちっ、戦闘機でこっちとマトモにやり合うかよ、腕利きは間違いなさそうだな……!」
 ひらりひらりと回避しながら、どうしても躱しきれないものだけを盾で弾いて凌ぐミスタリア。一方で、トルメンタも攻めるにあぐねていた。
「向こうの攻撃も当たりはしませんが……こっちの攻撃も良く躱してくれますねぇ……!」
 既にトルメンタの加速は頂点に達している。物理法則すら無視した機動は、並の戦闘機では到底至ることの出来ない域に在る。
 だというのに、トルメンタの攻撃は当たらない。散開した三機の敵は、それぞれ単独のようで居てよく連携の取れた機動で隙を見せないのだ。
『――少佐殿の色を反乱軍風情が使うとは気に食わないな、青色!!』
「知ったこっちゃあありませんよ!!」
 デルタ・ファイターへ襲いかかろうという所で死角から放たれる攻撃。それも残像を撃ち抜くだけで、双方に決め手を欠く。
 そんな互角の戦いを演じていたトルメンタとミスタリアは、ふと互いの存在に気づく。青と翠、二騎の騎兵はそれぞれの敵をこそ与しやすいと、その一瞬の視線の交錯で理解した。
「――任せますよ!」
「そっちこそしくじるなよ!」
 2つの機動が交錯し、トルメンタの前にミスタリアを追う01、03が。ミスタリアの前にトルメンタを囲む06、07、08が飛び出した。
「――纏めていくぜぇ!」
「ダガービット全放出! 捉えた、これで……いっちまえよやァ!!」
 01と03の間をすり抜けるように飛ぶ青い流星が、すれ違いざまにビームを放つ。
 翠の彗星から分離した刃が06と08を針鼠にし、同時に07に取り付いたミスタリアがバンカーでこれを貫き、続けざまのブラスターでこれを粉砕する。

 ほぼ同時に、宇宙に五つの炎が瞬いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
モスカー艦隊の残骸は撒き餌……。完全に待ち伏せされていましたね。
これは今確認できている敵以外に伏兵がどこかに隠れている可能性も十分考えられます。

機械馬に「騎乗」
デン・ハーグの護衛に付き、接近するファイターを格納銃を使った「スナイパー」技能で迎撃しつつ「盾受け」「武器受け」で「かばい」いながら、輸送船周囲のデブリにUCの発振器をあらかじめ撃ち込みます。

別方向から迫る輸送船への攻撃へは、壁状に展開したUCの障壁で「かばい」、そのまま箱状に展開して敵部隊を閉じ込めます。
そのまま電磁波による「ハッキング」「破壊工作」で弱体化させつつ、「怪力」で振るう槍の「鎧砕き」で撃墜させてもらいましょう。


ミハエラ・ジェシンスカ
連中の動き、些か妙だな
死兵である事は疑いようがないが、追い詰められた敗残兵のそれではない
何を企んでいる?

戦闘機相手の機動戦闘など上手いやり方ではないな
幸いと言うべきかデブリは完全に掃除できたわけでもない
追い込まれた風を装ってそちらへと誘う
敵とて警戒はするだろうが、そこは上手く[だまし討ち]するさ

誘い込んだら[念動力][地形の利用]で敵機をデブリへ直撃させる
強引に軌道を捻じ曲げる必要はない
相手の慣性と推力には逆らわず、一瞬の隙を突いて少しばかり意図しない方向へと向けてやればいい

増援を呼ぶ、という事はそれだけこの狩場へと誘い込まれてくれるという事だ
ならばそれを利用するまでだ。悪く思うな




「モスカー艦隊の残骸は撒き餌……完全に待ち伏せされていましたね」
「だが連中の動き、些か妙だな。死兵であることは疑いようがないが、追い詰められた敗残兵のそれではない」
「つまり、今見えている三個飛行隊以外に伏兵なりが居ると?」
 そこまではわからんさ、とトリテレイアの問いに皮肉な笑みを返して、ミハエラはデン・ハーグの甲板から飛び立った。
 ウォーマシン単機、それも特段空間機動戦闘に特化した機体でもない彼女が単身戦闘機に挑むのは無謀に思えた。
 トリテレイアもそれを止めるべきかと一瞬手を伸ばしかけ、しかし彼女がそこまで愚かな機体ではないように見えた自身の感覚を信じて機械馬の手綱を取って艦の防御に向かう。
 漂うデブリに腕部に格納された銃からバリアフィールドの発振装置を撃ち込み、攻撃を防ぐ壁を築き上げるトリテレイア。
 だが、その壁が完成する前に敵機が隙間をすり抜けて肉薄する。
『射撃武装はバリアに使い、残る武装は槍! ならば射撃戦はできまい!!』
 このままカタを付ける。勝利の確信にほくそ笑むパイロットは、厚いキャノピー越しに騎士と目が合ったような気がした。
 その顔面、バイザーが跳ね上がるように開き――
 穴だらけになったデルタ・ファイターが空中で爆発四散し、飛来する破片が新たに展開されたバリアによって弾かれる。
 斉射を終え冷めた銃口をそっと収め、バイザーを閉じたトリテレイアは、輸送船の安全を再び確認して、バリアの檻に捕らえた敵機に向けて馬を走らせる。
 囚われた機体は強力な電磁波を浴びて電子機器が沈黙している。復旧し、再度飛び立つまでに肉薄してしまえば、この手に構えた槍による白兵戦でも撃墜は易いだろう。

 ミハエラは苦戦していた。本来艦内戦闘を是とする近接型ウォーマシンだ、空間での射撃戦闘など考慮していようはずもない。
 この苦戦は必定のものであり、それをデルタ・ファイターのパイロットたちも、他ならぬミハエラ自身も理解していた。
『――母艦を守るため飛び出してきた覚悟は結構、だが肝心の性能がそれではな!』
「ちぃッ、前に出ておいて逃げの一手とは我ながら情けのないことだ!!」
 機銃弾が直ぐ側を掠めていくのを、念動力で体を動かし回避するミハエラ。
 だがそれも長くは続かない。速度で勝るデルタ・ファイター相手にいつまでも逃げ続けられるものではない。
『時間稼ぎという意味では見事だったが、ここまでだ』
「……そうだな」
 真っ向から迫るデルタ・ファイター。その機銃が今度は逃さぬとミハエラを捉え、彼女は諦めたように肩の力を抜く。
「ここまでだ。まったくその通りだな」
 そして、悪意に満ちた笑みを投げかけた。ミハエラは逃げながらデルタ・ファイターを誘い込んだのだ。その事に気づいたパイロットたちは、しかしそれがどうしたとその事実を撥ねつける。
 逃げるミハエラはデブリ帯へと飛び込み、デルタ・ファイター達もそれに続いた。
 だが、ベテランである彼らパイロットにとってこの程度のデブリは障害たり得ず、そして近接白兵戦型のミハエラにその機動を妨害し、攻撃を直撃させうる――あるいは、デブリへの衝突を誘発させるような武装は搭載されていないように見えた。
「悪く思うな」
 飛来するデルタ・ファイターの一機が、ほんの少しだけ念動力で進路をズラされる。
 ほんの数センチのズレだが、デブリの中で速度を落とさず飛行できる熟練の腕が仇となった。
 僅かなズレは高速で飛行する中で一瞬のうちに拡大され、その機体はデブリに激突する。
 爆散するデルタ・ファイター。そしてその衝突を受け、動き出したデブリはより容易に扱える。
 ミハエラはそのデブリを操り、デブリ同士を衝突させ続けながら逃げ回る。
 デブリ帯を彼女が抜ける頃には、死角から飛来したデブリに押しつぶされたデルタ・ファイターの残骸が幾つか、新たなデブリとして漂っていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

虻須・志郎
連携アドリブOK

デルタ型か。この身になる前じゃあ存外苦労した相手だが、今は違うぜ

内臓無限紡績兵装で着艦用ワイヤー同等の拘束ワイヤーを形成
こっちが人の身だと舐めて突っ込んできた所をロープワークで引っ掛ける

一機でも捕まえたらアムネジアフラッシュの催眠術で中身のパイロットは
気絶して貰って宇宙へ放り出すぞ。よっしゃ、久しぶりにやるか

デルタ型をハッキングして操縦系統を奪う。こいつ動く……よね?
インセイン経由でファルシオンとアクセス、遠隔制御で動かしてもらうぜ
俺が操縦する訳ねえだろ。IFFそのままで敵機に近付いたら特攻だ
俺は逃げるがね。しばらくはそれで戦場を攪乱だ

万が一正面から来られたら捨て身でブン殴る!


メイスン・ドットハック
【SPD】
ようやくお出ましのようじゃのー
自身もデブリとなる覚悟はできておるかのー?

小型船で出撃
操縦はユーベルコード「井の中の蛙、大海を知らず」の電脳AI「ノーキン」くんにお任せする
敵の高速航行モードに対応し、回避に専念させる

その間に自身はデルタ・ファイターの管制システムにハッキングを仕掛ける(ハッキング、鍵開け)
ハッキングに成功したら、デルタ・ファイターの認識システムを改変し、デルタ・ファイター機が最も速く動く物と設定を変更(ハッキング、暗号作成)
それによって、高速に動く機体達の同士討ちを狙う

一度ハッキング成功したら、電脳ウィルスも作成
敵の通信回路からウィルスを拡散させる

アドリブ絡み可




「デルタ型か。懐かしいな」
 この身体になる前は手を焼いた相手だが、今は違う。志郎は身の内に滾る邪神の力を確かめるように拳を握りしめ、迫るライトニング隊の残存機に視線を向ける。
『さすがは猟兵、戦闘機とやり合う能力はあるか! だが……!』
 飛来したデルタ・ファイターは、くるりと主翼を一回転させて姿勢を制御して志郎に機首を向けた。
「正面から突っ込んできやがるなら好都合! さあ、来いよ!」
 対する志郎は空母が艦載機を受け止めるための着艦用ワイヤーを編み上げ、それを迫るデルタ・ファイターに引っ掛ける。
「くォっ!?」
『取り付かれたか!!』
 急激な加速に呻く志郎。だが、ここからはスピード勝負となる。
 敵機がこちらを振り落とす前にワイヤーを手繰りコックピットにたどり着かねばならない。
 手の感覚が痺れるような急激な機動をどうにか凌ぎきった志郎は、キャノピーの強制開放レバーを無理やり引いてファイターのコックピットをこじ開けた。飛行中に開くことなど想定していないそれがいきなり全開になったことに驚いたパイロットが咄嗟に拳銃を手に取るが、それより早く志郎の催眠閃光がパイロットの意識を刈り取った。

『――ライトニング11、大丈夫か? 敵の小型通信船を発見した、これより攻撃を開始する。貴機も参加されたし』
「……あー、こちらライトニング11、問題なし。猟兵を撥ねた時に若干のトラブルが発生したが、もう解決した。そちらに合流する、どうぞ」
『了解、急げよ。長引けば我々の"悪巧み"が水泡に帰する』
 ――悪巧み、だ?
 パイロットを蹴り出し、デルタ・ファイターの座席に収まった志郎は自らの母艦ファルシオンとの通信を確立し、ファイターの制御をそちらに任せて飛び立った。


「ようやくおでましのようじゃのー、自分もデブリになる覚悟はできておるかのー?」
 小型の通信船を呼び出し、その運用を"ノーキンくん"に一任したメイスンは、敵機の高速機動に対して無茶な機動で対抗する小型船の内部でテキパキとキーボードを叩いていた。
 敵が高度な機械であれば、そこにデジタルは必ずと言っていいほど介在する。
 ならば、それに介入して掌握すれば無力化は容易――メイスンのすさまじいハッキング能力は、デルタ・ファイターの電子防壁を瞬く間に解体してその火器管制システムに侵入してみせた。
 狙うは敵味方識別機構とそれに連動した射撃統制システム。パイロットの限界に迫る高速飛行はデルタ・ファイターの強力な武器だが、それをすべてのパイロットが扱えるとは限らない。然るにあの兵器は大凡の場合、システム側が高速飛行時の攻撃を補助している。
 パイロットが高速飛行モードを選択せざるを得ないほど機動性が高く、敵味方識別機構に登録されていない敵機。
 この2つの条件を満たした存在を、半自動的に照準、攻撃するシステム。それをメイスンは破壊した。
 機動性さえ一定の水準より高ければ、敵味方関係なく――それどころか、識別情報の登録されている味方機から優先して――攻撃するうえに、その情報をコックピットに表示しないことでパイロットはいざ撃つまでは気付かないという悪辣なトラップを仕込むメイスン。
 そんなものが仕込まれているとは知らず、小型船を追う編隊の最後尾が引き金を引いたその射撃は、狙いを過たず吸い込まれるように"前を飛ぶ僚機"をズタズタに引き裂いて爆散させる。
『――なっ……同士討ち……?』
『違う! こちらに味方撃ちの意図は無い!』
 混乱する敵機編隊。そこに加わった新たな一機。
『ライトニング11、こちらは電子的手段による攻撃を受けている、射撃統制システムの復旧まで攻撃ができない! そちらであの小型船を叩いてくれ!』
 一瞬で状況を把握したその機体のパイロットは、しかし接近するライトニング11のキャノピーが開いたままになっていることと、そのパイロットがつい今しがた飛び出したことに気づく。
『――まさか!!』
「ほらよ、お待ちかねの増援だ。受け取りな」
 デルタ・ファイター同士が衝突し、爆散する。さらに二機の衝突で生じた破片が後続に突き刺さり、次々と連鎖する爆発。
 志郎の乱入でメイスンを追う編隊は全滅し、危機は去った。
「――まだ作ったウィルスプログラムが広がる前だったんじゃけどのー?」
「……ま、まあ先に数をごっそり減らしたからヨシにしようぜ、な?」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

イデアール・モラクス
【PPP開発室で参加】
クク…来たか、帝国の戦闘機部隊!
その勇気と無謀に敬意を評し、我が魔力の真髄にて屠り尽くしてやろう!

・戦術
「行くぞフィーナ!この宇宙に我らの魔術を轟かせるのだ!」
フィーナの箒に二人乗りしながらUC【鏖殺魔剣陣】を『全力魔法』で威力を増し、『範囲攻撃』で空を埋め尽くすほどの数に増やした上で『高速詠唱』を用いて連射、固定砲台と化す。
「耐えられると思うな、帝国の蚊トンボ!」
魔剣は命中したら敵を壁か地面に『串刺し』にして『属性攻撃』で刀身に雷撃を通して『傷口を抉る』ように機体の内部機関を焼き切り、パイロットを貫いた剣から血を『吸血』させ『生命力を奪い』屠り尽くす。

※アドリブ大歓迎


フィーナ・ステラガーデン
【PPP開発室にて参加】
もう戦い(戦争)が終わったのならどっかで大人しくしてなさいよ!
まったくしつこい奴らね!

杖にアイテム「魔力の篭ったルビー」をはめ込んで
イデアールと二人乗りで宇宙を飛ぶわ!
私は運転メインね!空飛ぶ杖はだいたい私の魔力に反応して
速度が上がったり落ちたりするわ!
私の魔力は私の気分に大きく左右されるのでテンションが上がると
異常な速度になる感じね!
すごいわね宇宙空間!普段より速度だせるわ!

敵が攻撃を仕掛けてきたら「高速詠唱」でUCを使うわよ!
炎が煙幕代わりにもなるはずよ!

あ、あと私騎乗技能なんて無いわ!
覚悟することね!!

(アレンジ、アドリブ、なんか色々大歓迎!)




「行くぞフィーナ! この宇宙に我らの魔術を轟かせるのだ!」
「任せなさい! まったく、もう戦いは終わったのにしつこい奴らね!!」
 猟兵たちの主力が真っ直ぐ飛来したライトニング隊と激突していたその時、二人は迂回路を選んだ二個飛行隊のうちブリッツフォーゲル隊と交戦していた。
 ルビーの輝きが眩しい魔法の杖に二人で跨がり、空間機動戦闘にハイテンションになったフィーナに呼応するように魔力を吸った杖は速度を上げていく。
 戦闘機にも比肩する速度に達した魔法の杖は、デルタ・ファイターとのドッグファイトをすら可能にする。
『敵要撃機上がります!』
『構うな、突破して母艦を狙え!』
 杖とすれ違うように進路を取って突進する戦闘機に、フィーナの後ろに座るイデアールがほくそ笑む。
「クク、来たか……帝国の戦闘機部隊! その勇気と無謀に敬意を評し、我が魔力の真髄にて屠り尽くしてや」
 びしぃ、と前を指差すイデアール。
 そのときには既に交錯し、後方へ飛び去っていったデルタ・ファイター。
「……何をやってる、追うんだフィーナ!!」
 口上の途中で無視して抜けるとは許されまじ。イデアールはすぐさま前に座るフィーナの背を軽く叩いて追撃を指示する。
「言われなくてもわかってるわよ…………ってわひゃぁ!?」
 杖を反転させ、すれ違った敵機を追うべく魔力を込めたフィーナは、ふと自分が騎乗経験を持たないことを思い出した。思い出してしまった。
 馬やバイクは言わずもがな。箒や杖にも十分な経験を積むほど乗ったことはない。
 飛び立つ前にはイデアールに「覚悟することね!」などと言ったものだが、その要覚悟事象は忘れた頃にやってきた。
 敵機との高機動戦闘に興奮したフィーナに呼応するように暴走してぐりぐりと蛇行しながら飛翔する杖。
 なんだかんだその空間戦闘教本を無視した変態機動に後ろを取られるデルタ・ファイター。
「ちょちょちょちょちょっととまま、止まりなさいよぉーっ!!」
 自らの杖に振り回されるフィーナ。
『援護要請、援護要請! 謎の飛行物体に追尾されている! 誰か援護してくれ、早く!』
 よくわからない棒に跨った女二人にエースパイロットでもやれるか疑問なほど気持ち悪いくらいの機動で追尾されるパイロット。
「フフフフ、アーッハッハッハッハ! 素晴らしいじゃないか! やれば出来るなフィーナ! 褒めてやろう!!」
 ただ一人、テンションが臨界点にあるイデアール。
「行け、我に仇なす尽くを串刺しにしろ!」
 魔力で練り上げた刀剣が、魔力のカタパルトレールから射出されていく。
『な、なんなんだこいつらは一体!! わけがわからないが……この攻撃なら躱せ、嘘だろ!?』
 くるくると剣を回避したデルタ・ファイターは、その退路に炎の壁が広がるのを見て絶望した。
 もはや逃げ道はない。ならばせめてこの機体をぶつけてでも。ぴたりと後ろに張り付く敵機に覚悟を決め、逆噴射制動で真後ろから迫る杖に機体をぶつけようとするパイロット。
 そこに突っ込んだフィーナとイデアールは、イデアールの練り上げた剣を撃ち出してその機体を串刺しにする。
 貫かれ、機能停止したデルタ・ファイターに更にフィーナの爆裂魔法が直撃し、戦闘機は塵も残さず消滅した。
「やったわね……! 少し酔った気もするけどこれで解決だわ!」
「うむ! 私の攻撃力とフィーナの機動力があれば向かうところ敵なしというものだ!」
 ふん、と胸を張る二人の魔女。しかし、イデアールの「この調子でもっと落とすぞ、行けフィーナ!」などという再出撃の要求に、フィーナは顔を真っ青にするのだった。
 制御できない飛行ほど怖いものはない。しかも初心者でかつ見晴らしの悪い暗礁宙域など、もはや死亡フラグ以外の何物でもないとこの場での固定砲台を告げるフィーナに、イデアールは少し考えて仕方ないと頷くのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



『……ライトニング隊、全機ロスト』
 戦場に飛び込んでいった戦闘機部隊の一つが全滅した、その報告にウェルキンスの艦長は視線を伏せてただ頷いた。
 彼らは一機として退こうとはしなかった。そして、サンダーボール隊もブリッツフォーゲル隊も同じだろう。果たして一機とて生存できるだろうか。
 否、彼らがもし仮に猟兵を殲滅し生き残ったとして――
『彼らが時間を稼いでいる今を無駄にするな。本艦は転進、インペリウム方面の残存友軍艦隊との合流を目指す』
 解放軍の残党狩り部隊を叩き潰すのは、近隣宙域を漂う帝国軍艦でも戦力に恵まれたウェルキンス隊の請け負うべき役目だ。
 それを果たし、あとはいつでも撤退できる――そこで少佐が待ったをかけた。
 あのパトロール艦隊を潰した以上、有力な追撃隊が編成され差し向けられるだろう。
 我々はそれをも撃破し、あるいはそれが出来なかったとしても戦力を失い潰走せねばならない。
 この宙域の帝国軍が手出し無用の強力な部隊である、あるいはもはや掃討する必要もないほど無力化された――いずれかの結果を与え、逃走する味方から解放軍の視線を惹きつける必要がある、と。
『敵にこちらの意図を気付かれるな。それと、少佐にもな。彼もここに残るつもりのようだが、そうはさせるものか。これからの帝国軍には一人でも多くの将校が必要なのだから……』
 光芒瞬く宙域から、ウェルキンスがゆっくりと後退を開始する。
霧島・クロト
たーく。なーんか調子に乗ってる気配しかしねェなコイツら。
『少佐』にお灸据えられた方が万倍マシなお灸を据えてやるかァ。

継続して【氷戒装法『貪狼の裁鎧』】に搭乗する形で。
誰かを足場的に乗せる必要があれば活用はして貰おうかァ……
無論、機動の邪魔にならん範疇でなァ!?

機械鎧の武装による攻撃に、
氷の【属性攻撃】【マヒ攻撃】を乗せて相手の機動力を落としたら
【2回攻撃】を重ね、【鎧砕き】で装甲をぶち抜く。
機械兵器なら【メカニック】の分野だァ。……的確にバラしてやる

防御面は【オーラ防御】を軸に氷の壁で受け流していくように。

「――その他大勢の分際で良い気になってんな?」
「足元救われるどころか……凍死すんぞォ?」


月宮・ユイ
負傷者を囮に敵を呼び込む…確かに有効ね、この心に宿る憤りも含め
(ふっと一息)ダメ、心の乱れは隙を生む
心は熱くされど冷静に、全ての想いを冷徹なる戦意へ…さ、いきましょ

”騎乗、操縦、空中戦、メカニック”
[コメット]ブースター等機動戦用に換装
”視力、暗視、聞き耳、第六感”
感覚を研ぎ敵の動きを”見切り、情報収集”戦闘中も”学習力を基に戦闘知識”を蓄積更新
”高速詠唱、早業、誘導弾、2回・範囲攻撃、スナイパー”
【終ノ槍剣】
高速戦闘。UCの知覚強化も使い敵を補足、剣と見紛う程の刃を持つ槍を撃つ

この練度と戦意確かに強い…けれど全滅させるには足りない?まだ他にも何か…警戒が必要ね

絡み連携歓迎アレンジアドリブ可




『――ハハッ、ライトニングの奴ら……盛大に死に花を咲かせて逝きやがって!』
『――二階級特進ですよ。僕らより上官になったんですから敬わなくちゃ』
 わははは、と笑いながら翔ぶブリッツフォーゲル隊のデルタ・ファイター。
 笑う余裕がある。まだ、彼らにはその余力がある。自らを捨て駒として投げ出した男たちは、だが未だ諦めはしていない。

「たく……なーんか調子に乗ってる気配がしやがるなコイツら」
 その心の余裕を、怒りではなく笑いで戦場に赴く彼らの機動を調子に乗っているとクロトは評した。
 まさにその通りだろう。彼らは未だに"銀河最強の帝国軍"、その航空隊なのだ。
 敗北の現実を知らぬ存ぜぬと振る舞うその在り方を調子に乗っていると呼ぶ他になんと呼ぼう。
「負傷者を囮に敵を呼び込む……確かに有効ね」
 沈められたモスカー艦隊を餌に猟兵達を待ち伏せした敵の策に憤るユイは、小さく息を吐いて呼吸を整える。
 怒りを静かに押さえ込み、激情を平静に整える。
「心は熱くされど冷静に、すべての想いを冷徹なる戦意へ……さ、いきましょ」
「いいね、その口上はクールで気に入ったよ。さ、行こうぜ!」
 戦闘用のユニットを装着したコメットと魔導機械鎧が宇宙へと飛び立つ。

『――アンノウン、数2! 急速に近づく、要撃機!』
『こちらも目視で確認した、スターライダーとあの人型は鎧装騎兵タイプ、か? 相手にとって不足はない。ブリッツ06、俺とお前で叩くぞ』
『了解。ブリッツ05、救援要請は?』
『必要だと?』
 まさか、と笑い飛ばし、二機のデルタ・ファイターは一気に加速して二人の前に躍り出る。
「来た……」
 最初に反応したのはユイだ。二機のデルタ・ファイターからの交錯する火線をするりとすり抜け、コメットの各所に追加されたスラスターで機首を跳ね上げ急減速。そのまま天地を逆さに前後を入れ替え、敵機の後ろに付く。
『05、後ろ!』
『わかってるよ、いいからお前はそのまま人型を叩け! 俺のケツについてくるのがやっとのヒヨコでも時間稼ぎくらいは出来るだろうよ!』
「はっ、一騎打ちたァ本当に調子にのってんな、その他大勢の分際で!」
 二機の戦闘機がそれぞれユイとクロトに狙いを定めたのを感じ取り、クロトは獰猛に笑う。
 機械鎧の構えた巨大な拳銃が吼え、氷結の魔力を込めた弾丸が機体を掠めていく。
『掠っただけで着氷……デタラメな……! だが人型が機動戦で戦闘機に勝てるものか!』
 蒼氷の騎士と三本角の戦闘機が捻じ曲がった軌跡を描いてぶつかり合う中、ユイとブリッツ05も激しいドッグファイトを繰り広げていた。
『獲ったぞ、後ろだ!!』
 何度目かの前後の入れ替え。後方に回り込んだデルタ・ファイターが三本角に内蔵された機関砲を斉射してコメットを狙うのを、ユイは後ろを振り向かずに直感と此れまでの経験からくる見切りでくるりと横へロールして潜り抜ける。
 そのまま真横を突き抜けていったデルタ・ファイターの後ろに滑り込み、蓄積した戦闘記録から敵パイロットの機動の癖を導き出したユイは一気に攻勢に出た。
(システム起動。知覚能力強化…多重ロックオンシステム起動。標的マーカー、目標設定完了――)
「槍剣生成…射出。穿ち斬り裂け……!」
 放たれた槍剣が逃げる敵機を追う。誘導性を伴った猛攻がデルタ・ファイターに追いつき、次々と装甲を貫いて戦闘機を破壊していく。
『――06、先に抜ける。後でお前も来い……!』
 焔の花が宇宙を照らした。

「もう飛べねえだろうが!」
 クロトが叫ぶ。三基のエンジンのうち一基が破壊され、二基は凍結して使い物にならない。
 コックピットすら凍りかけているそのデルタ・ファイターは、もはや飛べるものではない。
 メカニックであるクロトにはよく分かる。あれはもはや慣性で漂うだけの、デブリとなんら変わりのない鉄の塊にすぎないと。
 だというのに。
『――おぉ……ッ!!』
 僅かに生き残った姿勢制御スラスターだけで軌道を修正し、真っ直ぐにクロトへと直進するデルタ・ファイター。
 クロトの猛攻がその生き残ったスラスターすら凍りつかせていくが、十分に勢いのついたその残骸はもう止まらない。
『――帝国、万歳』
 デルタ・ファイターが衝突し、爆散する。


「……クロトさん、無事ですか?」
「まァな。しっかし後味悪いぜ」
 デルタ・ファイターを受け止め、爆風を包み込んだ氷の壁を溶かしてクロトはぼやく。
「連中、死ぬのをなんとも思っちゃいねェ」
「ええ……練度も戦意も高かったですけれど、何かが足りない……まだ警戒が必要ですね」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

東郷・三笠
……?
戦闘機部隊だけか
いや、戦闘機部隊も舐めてかかれる相手ではないが
精鋭部隊が壊滅するほどの相手ではないはず
後続がいると考えるべきだが……戦力の逐次投入とは
精鋭を壊滅させたという実力と戦術の乖離に疑問を浮かべつつ戦闘開始

空中戦14、ジャンプ7、ダッシュ6で三次元移動を行い敵陣に突っ込む
攻撃はシールドフィールドで盾受け10防御
先制攻撃12、一斉発射11、範囲攻撃10、鎧砕き7を用いて『タケミカヅチ』を使ってUC発動
纏めて叩き落としくれる!
貴君らも決して弱くはないが……我らの敵ではない!
こう言っていますが油断せずに全力で相手をしています

アドリブで他の方との絡み歓迎




「戦闘機部隊だけを展開した……?」
 猟兵たちと交戦している彼らの練度は決して悪くはない。補給の限られた残党軍という組織において、十全の性能を発揮できないながらによくやっている……と三笠は思う。
 だが同時に、十分な支援を受けて出撃したはずの解放軍モスカー艦隊を殲滅できるほどではない、とも。
 そうなればまだ敵には隠された後続部隊があると考えるのが自然だが、では精鋭を為す術もなく全滅させた敵が戦力を逐次投入するなどという初歩的なミスを犯すだろうか?
「敵部隊の中でも何かあるな。戦闘機部隊の暴走か、出ていない戦力には出られない理由があるのか、あるいは彼らを捨て駒にする気か……」
 防御フィールドで機銃弾を弾き、戦闘機には届かないにしても鎧装騎兵としては破格の機動で敵編隊に飛び込んだ三笠。すぐさま反応した敵は散開し、距離を取って彼女を包囲する。
『敵騎と接触、見たところ重砲戦型のようですが――』
『なるほど、ただの砲戦騎と侮るにはいい機動をする』
 三笠の動きに警戒を強めるデルタ・ファイター。
『大型砲の射撃の間隙を縫って攻撃を仕掛ける、我に続け!』
「させるか!」
 その編隊が連続して襲いかかるのを、三笠は先んじての砲撃で阻む。
 先頭を行く一番機が落ちた。それを理解してすばやく転舵し、再び集結するデルタ・ファイター。
 散開と集結を繰り返す彼らを捉えることは並のパイロットには困難だろうが、三笠は場数を踏んだベテランだ。
「よくぞ集まってくれた。纏めて叩き落としてくれる!!」
 アームドフォート、タケミカヅチから放たれた無数のビームがデルタ・ファイターを射抜いていく。爆散するその機体を見送り、三笠は呟いた。
「諸君らも決して弱兵ではなかったが……我らの敵ではない」
 油断を許さない敵だったが、その技量を三笠の経験が上回ったまでのこと。
 この先に控えるであろう戦いに備え、その騎兵は気を抜くことなく宙を駆けゆく。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリシア・マクリントック
以前の艦内戦闘とは立場が逆になりましたね……今度は敵が本領を発揮できる戦場。こちらは適さない無重力、と。

できるだけプラウドウルフ2世で相手をしましょう。あれから練習もしたんです!実戦はこれで二度目ですけど……最悪、仲間が戦いやすいようサポートができれば構いません。
多目的機だから作業用アームで格闘戦もできるはず!

いざとなれば降りて戦います!……とは言ってもどうしましょうか?無重力では八艘翔びは使いにくいですし、宇宙での集団戦ではセイバーフィニッシュで突出するのも普段以上に危険そうです。
こういう状況に備えて剣以外の武器の扱い方も身に着けた方がよさそうですね……とにかく!今はやれるだけやりましょう!


アイ・リスパー
「敵部隊の襲撃!
戦闘準備に入ります!」

一人乗りの宇宙戦艦のコックピットで、ホロディスプレイとキーボードを叩いて制御コンピュータに戦闘機動の指示を出します。

「初めての宇宙戦闘……
けれど、やるしかありません!」

電脳空間のプログラム【ラプラスの悪魔】を起動。
敵味方の座標値、速度、加速度などの情報から、戦場の状況を予測。
戦艦の大型荷電粒子砲をチャージします。

「敵機の機動が速い……ですが、動きが読めていれば!」

高速機動を行ないながら、敵機の行動を読んで主砲を発射します。

「あとは味方の援護も……」

敵味方の動きを読み、適切な場所に援護射撃。
サポートをおこないます。

「これが宇宙空間での戦闘……」




「以前の艦内戦闘とは立場が逆になりましたね」
 アリシアは戦争の緒戦、解放軍に参加しようとする艦を守るため敵空母に突入した日のことを想起する。
 あのときは戦闘機の機動に制限のある低重力環境の閉鎖空間での戦いだった。
 だが、今度は敵こそが自在に飛び回れる広い宇宙空間、対して剣術を得意とするアリシアにとって無重力空間は不得手だ。
 可能な限りはプラウドウルフ2世を用いた機動戦で決着を付けたいが、果たして軍用機相手にどこまで通用するだろうか。
「敵部隊の襲撃! 戦闘準備に入ります!」
 その傍らに艦を進出させたアイも、空間戦闘は初めてであった。上下の概念なく360度全方位から敵が襲い来る宇宙戦闘は、不慣れな者にとっては精神的なストレスも大きいだろう。それを瞑目して集中することで振り払い、アイは敵編隊の接敵時の機動と猟兵達の迎撃パターンから現在の戦況を導き出す。
 その結果は――
「敵機直上、数4! 来ますっ!!」
 荷電粒子砲のチャージは間に合わない。迎撃用の機関砲で牽制しつつ、演算の結果導き出された"その時"に備えて充填は続行。
「前進します、援護はおまかせします!」
 その弾幕を背に飛び出すプラウドウルフ2世。作業用アームで掴んだデブリを剣のように振り回し、デルタ・ファイターに挑みかかる。
「作業艇と侮らないことです!」
 まさかの小型艇による白兵戦に、対処の遅れた一機がまともに殴打を食らって姿勢を崩し、アイの展開する弾幕に投げ出されて爆散する。
 だが、奇策は二度は通じない。プラウドウルフの射撃武装はさほど脅威でないと見て取った敵部隊は、徹底した射撃戦でアリシアを封じ込める。
「くっ……脱出するにしても剣でどこまでやれるか……」
 こういうときのために、剣術以外も身に着けておくべきだったか。後悔は先に立たず、しかし次回への課題にはなる。
 此処を凌いだ先でどうにかしよう、そうアリシアは胸に誓った。
 だが、次に活かすと誓った所でこの現状が打開されるわけではないことも事実だ。
 アイの弾幕はプラウドウルフへの致命的な攻撃を防いではいるが、敵も巧妙な機動でアイの射界からは逃れている。
 互角の千日手――いや、練度の分で猟兵がやや不利か。二人の額を嫌な汗が伝ったその時、救いの手は意外なところから現れた。
「――こちらデン・ハーグ、これより10秒間の支援砲撃を開始する。巻き込まれてくれるなよ!」
 殆ど非武装だったはずの輸送船からの通信。見れば、スクラップ同然の回収された艦砲をカーゴのハッチから覗かせたその船がゆっくりと回頭し――
 ビームの光条が、プラウドウルフとアイを狙い急降下した敵機の進路を塞いだ。
 無理な回避でバランスを崩した機体、その隙を逃すアリシアではない。急加速でその機体に体当りしたプラウドウルフは、作業用アームでそれをがっちりと掴んで離さない。
「今です、アイさん!!」
「は、はい! いくら動きの速い敵でも、機動が読めていれば……」
 そして不確定要素だった機体も、幸運にもアリシアが捕獲して封じ込めている。
「…………荷電粒子砲、発射!!」
 宇宙を強力な荷電粒子ビームが薙ぎ、デン・ハーグの支援砲撃とプラウドウルフの体当たりで動きを止めた敵機を薙ぎ払っていく。
 アリシアもまた、ビームが迫り飲み込まれる寸前でその中へ敵機を放り込み、緊急離脱する。
 プラウドウルフの装甲スレスレをビームが掠めていくのにごくりと唾を飲み込み、なんとか無事に生還できたことにほぅと安堵の息を吐いて。
「なんとか、切り抜けたようですね」
「はい……これが宇宙空間での戦闘、なんですね……敵の行動予測が地上より難しいです」
 二人の猟兵はそれぞれの課題を感じながらも、互いの無事を称えるのだった。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ネヴィス・マキヤーベイ
アドリブ
絡み歓迎

さて客を捉えたが、一般的の範疇の編隊だな
この宙域をこの速度という時点で高い練度だが
艦隊をやれる程か?

操縦空中戦でヘッドオン
交差時にサーベルで攻撃を試みる

交差後即反転
UC使用
一斉射撃で上乗せを狙う
弾数>命中>威力の順の重視
ランチャーから4基の多弾頭ミサイルで立体制圧を試みる

人型の利点、味わいな

爆圧で姿勢を崩した機体を狙えるなら
スナイパーで荷電粒子砲による狙撃

妙に若い気配
練度はあるのに気配は新兵のようにはしゃいで
機動に熱が見える
純粋な士気より、勝ち気や負けん気…

つまり
こいつらに火をつけた奴が…
艦隊を単独でやれる「先生」が居るな?

ネヴィスより各機
大物ノ魚影ヲ見ユ 腹ヲ空カセテオク事


レッグ・ワート
2人をデン・ハーグに送る間に艦隊がどんな編成にやられたかきく。あと艦はデブリ用の遠隔小型爆弾あったらくれ、くっつくやつ。……俺があちらさんなら逃げるし逃がすが、どうしたもんかね。

デブリ気にせず逆に地形を利用するのはお互い様だろうな。敵の連携や攻撃はゴッドスピードライドで速度と反応上げて、見切れたら向こうが慣れない程度に緩急フェイントかけつつ逃げ足で躱したい。でカーボン糸の早業ロープワークで連中は引っ掛かる幅の罠使い。デブリに潰されてくれれば上等だ。デブリ警戒し始めたら糸結んどいた爆弾を、追跡される最中やデブリが壊される間に紛れて引っ掛ける用の糸絡めてトス。張り付くように誘導してからカチッとな。




「さて客を捉えはしたが……」
 練度は高いが、やはり精鋭艦隊をああも一方的に叩ける程とは思えない。
 デブリを切り抜け向かってくる数機の戦闘機は、見回せば敵編隊の最後の生き残りでもあるようだった。
 彼らが追うのは、一機のスターライダー。今しがたモスカー艦隊の残骸から生存者を救い出したレグだ。
「随分しつこいもんだ、そんなにあんたらを逃したくないのか? おい、モスカー艦隊ってのは何をやらかしたんだよ」
 後ろの積荷に問うレグ。二人の兵士のうち一人はどうにも要領を得ない返事で使い物にならない――敗戦のショックがよほど大きかったのか――が、もうひとりは気丈に拳銃型のブラスターで後方から迫るデルタ・ファイターを撃ちながら応える。
「何もやらかしてないさ。連中の船を見つけ、臨検しようとして奇襲を受けた。一瞬で四隻が沈んで鎧装騎兵部隊も全滅、わけがわからん」
 あれ相手にか? とデブリをくるりひらりと躱して迫りくる戦闘機を示す。腕は良いが、数でも装備でも勝る艦隊が負けるだろうか。
「いや、あれじゃない。もっと――」
 いいかけたその時、レグのバイクとすれ違うように巨大な人型が躍り出る。
 通り過ぎるその瞬間、レグたちに敬礼して迫りくる戦闘機に真正面からサーベルを突き立てたその機体は、ネヴィスのゼファーだ。
「――そう、ああいうヤツにやられた」
 その鬼気迫る戦術機動を指さして兵士は言う。
 貫いた戦闘機を蹴って離脱し、ランチャーからミサイルを放って後続を牽制する機体。
 四発のミサイルはあっけなく回避されるかに見えたが、空中で炸裂して無数の子弾を撒き散らし、更に何機かの戦闘機を撃ち落とした。
「ひゅぅ、そいつぁ恐ろしいな……」
 確かにあれクラスの機体相手ならばエースの駆るアームドフォート相手でも互角にやれるかもしれない。
 艦隊のような鈍重な相手ならば、狙撃なりなんなりでいいように料理できるようにも思える。
 だが――
「ヤツ"ら"じゃなくてヤツってこた単機だろ。それにやられっぱなしってのは……」
 爆風を突っ切って出現した生き残りを誘導するように視線に一瞬だけ飛び出し再びデブリに潜るレグ。思い通りに追撃に入った戦闘機は、張られた糸に絡め取られ、その先に結わえられた爆弾をぶつけられて爆散した。
「よっぽどの化け物が出たか、それともモスカー艦隊が」
 精鋭とは名ばかりの飾りだったか、とは後ろにそのモスカー艦隊のクルーを乗せては口には出せまい。
「それにしても艦の動きが気になるね。俺が帝国軍なら母艦は逃がすし、艦長ならやっぱり逃げるが――」
 適当な宙域で兵士たちを降ろし、デン・ハーグの方を示して合流を促したレグは再び戦闘宙域に舞い戻る。
 ――居た。やはり、敵の輸送艦は撤退しようとしている。だが、今からではレグの足でも撤退阻止は難しいかもしれない。
「なるほど、彼らの妙に熱っぽい気配はあれが由来か」
「お。嬢ちゃんも来たのか。戦闘機は?」
 全部で六つ、これで私もエースですかな、と嘯くネヴィスに口笛で応えるレグ。
「あの船に、さっきの戦闘機部隊に火を付けた……艦隊を単独でやれる"先生"が居る、と」
「だろうな、俺もそう思うが、どうやら連中逃げるようだぜ。どうする、見送るのも手だが」
 見送ってしまえば、ひとまずこの宙域の安全は確保できるだろう。敵を討ち漏らすだろうが、短期的に安定を得るに当たってはあながち捨てた選択肢ではない。
 撤退を阻止すれば――できるとすれば、だが――おそらくモスカー艦隊を葬ったエースが顔を出すだろう。苦戦は必至だが、ここで敵の戦闘力を完全に奪えば長期的にも帝国残党の弱体化を狙える。
「愚問ですな。私達はあれを狩りに来たのですから」
「なる。つってこっからじゃあ走っても間に合わんだろうが……」
 突き出されたネヴィス――ゼファーの腕には、大仰な砲がある。
 艦砲に比肩する荷電粒子砲。これならば、ここから敵艦に打撃を与えることも可能だろう。
 ……当たるのであれば。
「走らずともやる手段はありましょうよ。腕っこきの観測手がいればなおよし。三発以内で当てますが?」
 不敵に笑うネヴィスに、レグも応じて敵艦目掛けて飛びたった。
 宇宙に閃光が二度輝き、そして――

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『少佐専用の青の突撃騎士』

POW   :    見せてもらおうか、新しい相手の実力とやらを!
【全武装の一斉発射】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    …ついてこれるかな、蒼い稲妻と呼ばれたこの私に!
【新人類とも呼べる胸囲的な感応能力】に覚醒して【リミッターを解除した高機動モード】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    これ以上はやらせんと言っている!
【自身の強い意志】から【感応波】を放ち、【戦慄するプレッシャー】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:最古青

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は春日・釉乃です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



『――損害報告!!』
『第二エンジンに直撃弾! 第三エンジンにも被害が及んでいる模様!』
『艦体にも異常発生、フレームが歪んで一部の機能がオフラインになっています!』
 ウェルキンスの艦長は、隠すことなく舌打ちを吐き捨てた。
 漸く撤退準備が整った。出撃した全機が未帰還という甚大な犠牲を払って、ウェルキンスとクルー、そして今や希少なエースパイロットである少佐を味方に合流させる準備が整ったというのに、そこに猟兵の横槍が突き刺さったのだ。
『修復急がせろ、攻撃を受ける前に今度こそ離脱する!』
 それが出来なければ、船ごと自爆して一人でも道連れにする。皇帝陛下をすら倒したという猟兵は危険な存在だ。戦いを選ばざるを得ないならば、帝国軍同胞のためにも一人でも多くを葬らねばなるまい。
 艦長が覚悟を決めたそのとき、クルーの一人がそれに気づいた。
『ま、待ってください! 2番ハッチが解放されています! 先程の被弾の衝撃で開閉装置が故障した模様!』
 2番ハッチ――
『今すぐ通信を繋げ、あの馬鹿共の犠牲が無駄になる前に!!』
 艦橋のメインモニターに、2番ハッチに通じる格納庫が映る。負傷した整備班が応急処置を受けながら漂う痛々しい光景の奥で、ゆっくりと歩み出る蒼い巨人。
『少佐! 駄目です戻ってください、本艦はもう間もなく撤退を――』
『――わかっているさ。だから行くのだよ。ウェルキンス撤退までの残り数分、彼らが稼ぎきれなかったその数分を得る為に誰かが行かねばなるまい』
 ……正論だ。正論ではあるが、それは彼を永らえさせるために命を捨てた航空隊の覚悟を――
『彼らが私に生き延びてほしいというのも、そのために整備班と色々と謀ったのも気づいたさ。だが、こと此処に至っては一人のエースより一隻の輸送艦のほうが重要なのだ』
 安全に傷ついた兵を移送できる。欲する所に戦力を移動させられる。拠点を喪失した帝国軍にとっては、輸送艦こそが希望の星。エースパイロットを捨て石にしてでも持ち帰るべき宝だと。
『大丈夫、"私"はいずれまた君達と出会うだろう。その"私"によろしく頼む』
 ――ブラウエルフォーゲル、出るぞ。

 蒼い鳥が雷光を引いて宇宙に躍り出る。
 その後姿を目に焼き付け、唇を噛み締めて敬礼を送り、ウェルキンスは再び宙域を離脱するべく動き出す。
ネヴィス・マキヤーベイ
アドリブ等大歓迎

やはり居たか心躍らせる奴!

初手UC使用
全能力を底上げして追い縋らんと

多勢に無勢は最早卑怯ではない
精鋭艦隊に倍する戦力を前に最早問答は無用!

血涙を零し獰猛な笑みで機体を駆る

操縦空戦ダッシュでエースの機動に負けまいと

激しい機動に揉まれながらスナイパーで荷電粒子砲を放つ
外れて当然
当てて当然

第六感で回避補助
頭の中がチリつく
それが貴方の殺意か
広い宇宙では間抜けセンサよりこっちのほうが役に立つ

手を選べる相手ではないが故に砲もミサイルもサーベルも
何だって使ってみせる

トップエース!若輩に教授願おう!さあ、私は合格か!落第か!?
私は貴官を満たせているか!?
私は!楽しいか!?

刃金の箒星は狂乱に舞う


レッグ・ワート
逃がさないとなったからにはそのように、だ。意趣返し嫌なんでデン・ハーグはちょい離れて。

自由に飛ばれると辛いし、交戦ライン上げて蒼いのに敵艦守らせたい。追撃や重荷感上げるのに艦兵装間引くのは俺には無理なんで、フェイント込みの逃げ足で緩急つけて攻撃見切りながら敵艦の情報収集狙うぜ。拙くなったら要る間だけ無敵城塞でやり過ごす。とまれバイク固定したドローンで、敵艦砲種の生き死にや設置間隔に各性能、損傷箇所と推進器への有効部あたりの詳細値送るわ。鳥が寄ったら怖いんで迷わず距離取る。一段落で回収や移動手伝いに回るが、無策で艦に寄りすぎるなよ。

……なまじっか、1機で1艦逃がし得るくらい強いのも考えもんだな。




「おいおい、大物とは思ったが何だよあの機動は……」
 思わず声が漏れるレグ。
 それほどまでに、飛び立った人型機の機動は凄まじい。まさに稲妻、解放軍がそう呼んで恐れるのも頷けるほどの人外の機動。
 辺りを漂うデブリを蹴りつけ、鋭角に軌跡を切り返して加速していくその姿が、一瞬の内にレグの眼前に現れる。
「――デタラメだな、オイ!!」
 機動の柔軟性には優れていようと、速力では人型機はどうしてもバイクや戦闘機には劣る。推進機を手足に分配する都合、加速の方向を一方に集約することがどうしても難しいのだ。
 それが、人型との交戦経験のある大抵の人間が思い描く兵器間の性能差。
 だが、その機体はそんな固定観念を嘲笑うかのような速度で――それも直線ではなく複雑にデブリ帯をすり抜ける神業すらやってのけながら――現れた。
 振り翳された左腕、盾裏にマウントされたフォースセイバーが青白く光る。このまま刀身を生成し、腕を振り下ろせば彼はそれだけで一人の猟兵を脱落させられるだろう。
 だが、そうはならなかった。
「やはり居たか、心躍らせる奴ッ!!」
 横合いから蒼に激突する白。雷鳴に疾風が割り込み打撃を与えようとするが、蒼い稲妻はすんでのところでそれを盾で受け止めバックブーストで距離を取る。
『ほう、腕のいいパイロットが居るようだ。だが――!』
 ビームライフルの連射がレグのバイクと割り込んだ機体――ゼファーを掠め、宇宙を焼く。
「サンキュ、助かったぜ……ネヴィス、応援が来るまで戦線を支えきれるか?」
 仮にあの機体が勝手に翔び回る状況になれば、間違いなく敵はこちらの母艦たるデン・ハーグを沈めに来るだろう。母艦を無くした戦力はもはや脅威ではない。宇宙空間で補給もなく彷徨うものなど、いくら猟兵であってもいいカモでしかない。
 そうさせないためにも、敵の目をこの最前線に釘付けにする必要がある。
「無論……と言いたいですが、増援の到着次第ですな。エース相手にどこまで保たせられるか、自分にも確固たる保証は出来かねます」
 降り注ぐビームを回避しながら頷き合う二人。
「出来るなら俺も直接当たりたかったが、装備がな。こっちは敵の母艦に貼り付いて牽制する、護衛頼めるか?」
「さて。護衛にまで気を割けるかはやってみなければ!」
 急加速で稲妻へと肉薄し、フォースセイバー『婚星』で果敢に斬りかかるゼファー。それをブラウエルフォーゲルも盾からパージして左腕で掴んだフォースセイバーで受け止め鍔迫り合いとなる。が、すぐさまゼファーの腹を蹴り飛ばして離脱し、ライフルにマウントされたグレネードランチャーをその白い機体に打ち込む。
 だが、ゼファーが稼いだその一瞬でレグは蒼い稲妻を突破した。すり抜けるように駆け抜け、撤退を試みる敵艦に肉薄する宇宙バイク。
「なるほど輸送艦、武装は最低限、か。そいつも今は死にかけてるみたいだが……」
 艦の表面を舐めるように低空飛行するレグは、輸送艦には申し訳程度の小口径砲と機銃しかないこと、そしてその半数以上が無傷だが機能停止状態にあることを確認した。
 ついでに推進機の損傷状況と、さらなる攻撃を試みるに当たって優先して叩くべき場所も見ておくか、とハンドルを切ったその時、レグのバイクをビームの閃光が飲み込んだ。
「はぁぁぁぁぁぁッ!!」
 僚機を撃ち抜いた蒼い機体の背後、拡散ミサイルをばら撒きながら迫る白い機体。
 グレネードの直撃を受け満身創痍、それでもなお婚星を握りしめて飛翔する疾風。
『まだ闘志は折れていないか。ならば――付いてきたまえ、この私、蒼い稲妻が相手をしてやろう』
「上等!! さあ帝国のトップエース、若輩に戦闘を教授願おうか!」
 蒼と白が複雑な軌跡を描いて宙域を駆け、幾度も激突する。
 ビームと荷電粒子がふたつの流星の間を架け、爆発の光が何度も瞬く。
 人体の限界を超えた負荷を、蒼は超常の精神力と鍛え上げられた肉体で、白は機械と薬剤の力で捻じ伏せて衝突する。
『やるな、解放軍の白い機体!』
「私は貴官を満たせているか!? 私は、楽しいか!?」
『――戦場に楽を持ち込むか、このパイロットは!』


「……時間切れだ、一旦引くぞネヴィス」
「…………私は、私は合格か、落第か……」
「一人であんだけやりゃあ合格だよ、ほら見ろ、お前の稼いだ時間で皆間に合ったぜ」
 無敵城塞で攻撃を耐え抜いていたレグが、満身創痍の大破したゼファーからネヴィスを引っ張り出して退く。
 その退路を守るように、駆けつけた猟兵達の援護が蒼い機体を抑え込んでいた。 

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

トルメンタ・アンゲルス
覚えてないかもしれませんが、また会いましたね、青(エース)!
さぁ、また踊りましょうか!
速さの果てまで!

第一リミッター解除!
俺のコアマシンの出力、更に上昇!ブースター全開!
今までよりも更に最高速を上げてダッシュ!
極超音速を超え、物理法則を無視した軌道で追い詰めていくぞ!

早業や第六感、見切りに残像などを生かし、
ブラスターやブレード、格闘で超高速戦闘を挑む!

速さが拮抗してしまうのなら、仕方ありません!
――OverClock
現実時間に換算して約十秒。
周囲の時間が止まったと感じるほど自身を超加速!
ブレードで青に武器落としを仕掛けて守りを崩し、追撃のブリッツランツェで蹴り穿つ!

悪いが、俺達は「先」へ行く!




「覚えてないかも知れませんが、また会いましたね、蒼!」
 蒼い稲妻へと、蒼い閃光が奔る。
 彼女にとっては三度目の邂逅、彼にとっては初めての接敵。自らに匹敵する"速度"の怪物に、少佐は驚愕と共に僅かな高揚を得た。
「さぁ、また踊りましょうか! 速さの果てまで!!」
 リミッターを解除したトルメンタは、これまで以上の速度を得ている。音を超え、まさに光の速さへと。物質存在が辿り着きうる速度の終着点に彼女は在る。
 後方からの支援攻撃を追い抜き、自ら放ったブラスターの熱線をすら置き去りにして、トルメンタは戦場へと乱入した。
『さすがは本国を陥としただけはある。解放軍、随分と力をつけたようだな。……いや、猟兵が、か? まあいい。次の相手は君か!』
 四肢に搭載されたプラズマブレード、その光を人外の直感で躱し、続く熱線をもくるりと旋回して回避してのけた少佐は、すれ違い駆け抜けていったトルメンタへと続いてその背の巨大なブースターに炎を滾らせる。
『結構な速度だが、私も稲妻と呼ばれた男だ。その程度の速度に追随できんと舐めてもらっては困る!!』
 爆発するような速度でトルメンタに追いついたブラウエルフォーゲルが、ビームライフルの速射でその背を狙う。
「へぇ、俺に付いてきますか……やっぱりあなたはエースですよ、紛れもなく!」
『お褒めに預かり恐悦だが、だからといって攻め手を緩めるつもりはないよ!』
 追いすがるビームをすり抜け、軌道を切り換えるその一瞬にブラスターを放つ。
 少佐もまた、その一瞬を経験と直感で先読みし、引き金が引かれる前に既に回避機動を取っている。
 二人の速度の怪物による応酬は、激しく永く、それでいて時間にして一瞬の出来事だ。
「ここまで拮抗して埒が開かないなら仕方ありません……!」
 数十秒にも満たない激戦の末、トルメンタは決断する。さらなる加速を、たった十秒の、限界すら置き去りにした加速を。
 周囲の時が停まったような錯覚。思考が冴え渡り、トルメンタは空中で身を捩り、スラスターを噴かして振り返る。――十。
「――嘘でしょう!」
 果たして振り返った先のブラウエルフォーゲルは、既に防御と反撃の動作に入りつつあった。――九。
 流石に超加速状態のトルメンタには及ぶまいが、それでもその銃口はひたと彼女を捉え、盾はその進路を塞ぐようにしっかりとその機体を護っている。――八。
 ――だが。だが、それすらトルメンタは承知の上だ。彼女は速度以外には傲慢ではない。速さで勝ろうが相手はエース、それ以外はすべて敵が上だと仮定することができる。――七。
 だからこそ、敵が既にこちらに対応していると仮定して彼女は動いていた。――六。
 ブレードが振るわれ、盾を叩く。――五。
 二度、三度、四度、五度。盾を持つブラウエルフォーゲルの左腕が跳ね上げられる。――五。
 剥き出しになったその蒼い機体に、トルメンタの視線が固定される。――四。
「決して逃さん――!」
 全身のスラスターから放射されたプラズマジェットが、トルメンタをブラウエルフォーゲルから引き離す。――三。
 そして、負荷や物理法則を無視した加速。推力をすべて一方向に、トルメンタの蒼い装甲が撃ち出されるように駆ける。――ニ。
 激突。―― 一。

「悪いが、俺たちは"先"へ行く!」

 ――零。
 超加速を終えたトルメンタが振り返る。
 一瞬の内に防御を崩され、被弾したブラウエルフォーゲルは。
 それでもなお、エースパイロットの意地か執念か、殆ど停止した時の中で致命傷を避けていた。
 蹴り抜かれた肩部装甲をパージし、宙域を離脱していくブラウエルフォーゲル。
『いい腕をしている。出来ることならばどちらかが倒れるまで競っていたい相手だが、今の私にはそうも言ってはいられないのだよ。さらばだ、またどこかの戦場で会おう!』

成功 🔵​🔵​🔴​

ミスタリア・ミスタニア
こいつは、確か蒼い稲妻だったな。
なるほど、こいつが精鋭部隊を全滅させたわけだ。
戦闘機と一緒に出てこなかった理由は分からんが、マシントラブルでもあったか?
まぁ戦力の逐次投入はこっちにはありがたいから文句はないがな!

ビットの『一斉発射、援護射撃』で僅かでも動きを止めたら『空中戦、ダッシュ、捨て身の一撃』で突貫だ!
『見切り、盾受け、激痛耐性』でビームシールドで致命傷だけ防いで『カウンター』で懐に潜り込んで【グリュンシュトゥルム】!
【対艦用パイルバンカー】で『鎧砕き』で装甲突破して、そのまま大型熱線砲(ブラスター・ランチャー)の『2回攻撃、零距離射撃』をぶっ放す!
ハッ、翠の疾風を舐めんな!

アドリブ歓迎


霧島・クロト
……ああ、『アンタ』と逢うのも何度目かな。
安心しろ。アンタの機体っていう『技術』は、後に残して使わせて貰う。
……今はアンタを墜とす為に使うンだがなァ。

引き続き【氷戒装法『貪狼の裁鎧』】にて。
アンタの機体見て思い立って造っちまった一品だがなァ……アンタにも、試させてくれよ?

【メカニック】相手に機械は危険だぜェ?
【フェイント】絡めつつ、弱所を【属性攻撃】【マヒ攻撃】【鎧砕き】。
巧く差し込めたなら【全力魔法】を注ぎ込んで機体ごと凍らせてやる。

防御は【オーラ防御】を軸に受け流し重点でなァ?

「ああ、楽しいよなァ……アンタみたいな乗り手と俺の『技術』が撃ち合えンだ。これ程滾ることはねェ」

※アドリブ・連携可




「来やがったか。ああ、アンタと逢うのも何度目かな」
 魔導を根幹としつつもブラウエルフォーゲルから得た技術も多分に用いられた人型機、貪狼の裁鎧を纏うクロトが笑う。
 安心しろ、アンタの機体って技術は後に残させてもらう。――それが帝国の味方とはならないが、と。
「なるほど、こいつが精鋭部隊を全滅させたわけだ」
 一方で、伝統的な鎧装騎兵の装備を身に纏うミスタリアはその機動に驚嘆すると同時に違和感を覚えていた。
 戦闘機と同時に出撃しなかった理由は何だ? と。考えられる線ではマシントラブルだろうが、大暴れぶりを見るにその線は無いか、あるいはもう解決済みだろう。
「まあ戦力の逐次投入はこっちにはありがたいから文句はないがな!」
 単独のエースならば御しきれる。隙をフォローする航空隊が先んじて全滅した以上、裸の王様を仕留める苦はそう大きくないはずだ。
 獰猛に笑う二人の猟兵と、蒼い稲妻の軌跡が交錯する。

『鎧装騎兵に――また人型機動兵器か。良くも取り揃えてみせる、解放軍!』
「ああ、楽しいよなァ……アンタみたいな乗り手と俺の『技術』が撃ち合えンだ。これ程滾ることはねェ。行くぜ!」
 最初に動いたのは少佐だ。連続で放ったビームを、ミスタリアは回避しクロトは魔導障壁で受け流す。
 その攻防で二人の機動特性を見抜いた少佐は、狙いをクロトに絞る。次いで放たれたグレネードが障壁の表面で爆ぜ、広がる爆炎がその視界を遮った。
『反応が遅いな、まだ未完成の機体と見た!』
 その炎を切り裂いて激突する蒼。盾を構えて体当たりしたブラウエルフォーゲルに、貪狼が僅かに傾ぐ。
「チッ、乗り手の性能が反則じゃねェか!」
 一瞬のうちに肉薄した少佐の機体がフォースセイバーを抜刀する。形成された刀身が青白く揺らめき、爆発の煙を灼いてバチバチと瞬いた。
『機体性能の優劣だけで戦闘を語れると思わないことだ、技術屋の悪いクセが出たな!』
 その刃が振り下ろされる刹那、ミスタリアのビットが二人の間を割り裂くように援護に入る。
「そっちばっかり見てると背後が疎かだぜ、蒼い稲妻!」
『来ると判っていて見る必要があるかね!』
 貪狼の腹部を蹴って離脱するブラウエルフォーゲル。その蹴脚を腕で防いで、クロトは後退する。
「仕切り直しか……すまん、助かったぜ」
「言ってる場合か、来るぞ!」
 天頂方向へと急上昇し、くるりとロールしながらビームとグレネードをばらまくブラウエルフォーゲル。
 その機動は派手で示威的でいて、しかし人間がその生物としての構造上注意を向けがたい頭上から、迎撃を回避しながら襲いかかる猛禽として理に適った動き。
 咄嗟放たれたミスタリアのビットがビームに射抜かれ、あるいはグレネードの近接信管を作動させ爆発に呑まれて数を減らしていく。
 さらにビットを抜けて降り注いだ攻撃は、ミスタリアのビームシールドを、クロトの魔導障壁をも損傷させダメージを蓄積させた。
「手も足も出ねェってのか……なんてなァ!」
 だが、猟兵たちは諦めない。クロトの機体がたまらず弾幕から逃げ出す――と見せかけ、肉薄するブラウエルフォーゲルに凍結魔法を放つ。急激な温度低下が装甲を霜付かせ、関節を凍らせ蒼い稲妻の機動を僅かに鈍らせる。
『――これが異界の猟兵の力というものか!』
「言ってろ、翠の疾風を舐めんな!!」
 すぐさまバーニアを最大出力で噴かして氷を吹き飛ばそうとするブラウエルフォーゲル。その一瞬さえあれば、ミスタリアが動くには十分。
 戦艦すら串刺しにする巨大なパイルバンカーが唸り――
『大技を見せるには急いたな!』
 差し込まれた盾の表面を滑るように受け流される。だが、
「誰が一撃だって言ったかよ!!」
 続く二撃目、大口径ブラスターの熱線がシールドに刻まれた傷をなぞるように放たれる。
 蒼い大盾が融解し、どろりとその構造材の成れ果てを宇宙に飛沫かせる。
『……ちィィ!』
 すぐさま盾をパージし、熱線の効果範囲から離脱するブラウエルフォーゲル。
 だが、そこにも既に猟兵達の包囲網が築かれつつあった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アリシア・マクリントック
来ましたね……!
エースが相手とあっては私の技術では敵うべくもありません……ですが。
無視できない程度には邪魔をさせてもらいましょう。仲間のサポートに徹します。
王道すぎる手ではありますが……プラウドウルフを盾にして仲間の接近の支援をしましょう。バイクのようなシルエットの小さなものであれば影に隠して数をごまかしたりもできるはず。撃破した戦闘機の装甲片でもあれば盾がわりにして少しでも耐えられるようにしましょう。
接近した後は適当なものを手に取って殴りかかります。人型機は繊細ですから素直に受けるのは避けたいはず……!
機体が撃墜されたら脱出。そのついでに一太刀浴びせられれば御の字、といったところですね。


アイ・リスパー
「あれが敵のエースの蒼い稲妻……!
人型兵器相手ならばこちらも人型形態で対抗です!」

【ビルドロボット】により『小型宇宙戦艦』に人型形態への変形を指示。
電脳空間で制御コンピュータと直結することで機体を手足のように操ります。

「演算能力も最大解放です!」

【チューリングの神託機械】で万能コンピュータと接続し情報処理能力を向上させつつ
【ラプラスの悪魔】で敵の動きを予測します。

「先程の戦いで宇宙戦闘へのパラメータチューニングは完了しています。
この一撃、受けてください!」

敵機の動きを読み、最適なタイミングで『大型荷電粒子砲』を発射。
たとえ相手がどれだけ高速で動いても、その先を予測しきってみせます!




『ほう……悪くない狙いだ。だが艦砲で機動兵器を止めようというその考えが』
 甘い。盾を捨て、肩部装甲をも捨て身軽になった左腕がフォースセイバーを振るい飛来するミサイルを切り払う。
 無用な回避機動を強行し、却って被弾リスクを高める愚を少佐は犯さない。並のパイロットであれば恐怖し、デタラメに逃げ惑うことしか考えられないような艦砲弾雨の中で泰然と命中コースのものだけを撃ち落とし、それを発射した存在――アイの小型艦を見る。
「あれが敵のエース、蒼い稲妻……!」
 その艦橋でアイは驚愕したように呟く。到底回避出来るとは思えない弾幕を、回避すらせず無傷で潜り抜けるその胆力に。あれが銀河規模の宇宙戦争で名を馳せたエースの戦闘か、と。
「駄目、どう演算しても対空砲撃戦で撃墜できる結果には到達できません……!」
 数度目の斉射をすり抜けられ、距離を詰めてくる蒼い機影に、アイの頬を冷や汗が伝う。このまま接近戦となれば、小回りに難のある艦艇の行く末は――
 視界の端に漂うモスカー艦隊の駆逐艦リガ。艦橋を破壊され、さらに的確に武装を潰された残骸は、ともすれば数十秒後のアイの姿かもしれない。
 だが、彼らとアイとでは決定的な違いがある。
「人型兵器相手の接近戦ならば、こちらも人型形態で対抗です!」
 アイの駆る小型戦艦がゆっくりと唸り声を上げてその姿を変えていく。
 ――人型戦艦。艦艇の火力と人型機の柔軟性の双方を追い求めた、一つの理想論の結実したものが、ゆっくりと漆黒の宇宙にその姿を――
『可変戦艦とは大仰なものを持ち出してくるが、やらせはせんよ!』
 だが、変形の瞬間は無防備となる。人型に移行するまでの間、砲の射角は著しく制限される。姿勢によっては撃てば敵どころか自身を撃沈しかねない程に複雑なトランスフォーメーションの隙を、少佐は見逃すことはない。
 ビームライフルの銃口が、ぴったりと艦橋に合わせられ――
「させません!」
 割り込んだプラウドウルフが、作業用アームに掴んだデルタ・ファイターの残骸を盾に放たれたビームを受け止める。
「くっ! やはり即席の盾では……!」
 ビームを受け止めた装甲板は一瞬で赤熱して溶解し、貫通した高熱の閃光がプラウドウルフの左腕マニピュレータを破壊する。
『ほう、勇敢だな……見たところ戦闘用ではない機体で良い無茶をする』
「アイさん、私が時間を稼ぎます、変形したらすぐに攻撃の準備を!」
 細長い板状の残骸を剣のように振り回し、ブラウエルフォーゲルに白兵戦を挑むアリシア。その斬撃をフォースセイバーで受け止め弾き返し、少佐は勇敢なパイロットを称賛する。
『太刀筋はいい。度胸もいい。惜しむらくは機体が戦闘用ではなかったことだな。機体性能の優劣だけが戦闘ではないが、だからといって性能のすべてを蔑ろにして勝てる戦いなど無いのだよ!』
 振り下ろされた残骸を頭上で迎え撃つように構えられた青白い刀身が溶断する。すぐさま手を離し、フォースセイバーを逆手に握ったブラウエルフォーゲルの左腕が振り下ろされ、プラウドウルフ2世のエンジンブロックを貫いた。
「やはりエースが相手とあっては私の技量では敵うべくもありませんか……ですが!」
 足を止め斬り結ぶ、その僅かな時間は奪い取った。もとより機動兵器同士の戦闘で勝てるつもりはない。アリシアの狙いは、
「トランスフォーメーション完了、大型荷電粒子砲へのエネルギーライン接続確認、粒子加速装置正常……演算能力も最大解放です!」
 後方で変形を終え、最大火力を誇る主砲を構える人型戦艦、その一撃へとつなぐこと。
「撃ってください、アイさん!!」
 プラウドウルフ2世が、最後の余力を振り絞り残骸を捨て、残された右腕でブラウエルフォーゲルに組み付いた。
 すぐさま脱出し、レイピアで装甲の隙間、関節部に一撃を加えて離脱するアリシア。
「先程の戦いで宇宙戦闘へのパラメータチューニングは完了しています。あなたの機動データも、皆さんのおかげで十分とは行かないまでも集まりました」
 煌々と輝く砲口。それがブラウエルフォーゲルを捉え――
「この一撃、受けてくださいっ!!」
 荷電粒子の奔流が宇宙を灼いた。

『――直撃でなくともこれか。危ういところだったが……直撃でなければ何ということもない。機体がまだ動くのであれば!』
 荷電粒子が駆け抜けたそのすぐ側を、プラウドウルフを盾に直撃コースから離脱したブラウエルフォーゲルが漂う。
 すんでのところで射線から退避した少佐によって、二機とも直撃は受けていない。それだと言うのに盾にされたプラウドウルフは余波で装甲の所々が焦げ、融解していた。
 少佐をして直撃コースからの退避が限界という捨て身の連携攻撃を受けたブラウエルフォーゲルも無事ではなかった。各部の関節から火花を散らし、センサーの一部も駄目になっている。だが蒼い鳥はまだ死んではいない。
 雷鳴のような嘶きと共に、蒼い機体が再び宇宙へと飛び立った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

イデアール・モラクス
【PPP開発室で参加】

クク…エースのお出ましか!
さぁ見せてみろ、銀河帝国の意地を!この宇宙に煌めく命の光を!

・行動
「練り上げた技量、強固な意志、神速と呼べる速さ、確かに見事…だがなぁ!」
フィーナが敵を撹乱した刹那の隙を突きUC【絶殺武刀】を『全力魔法』と『属性攻撃』で威力を増した上で『高速詠唱』を用い一瞬で行使、絶対不可避の自動命中する刀で『串刺し』にして。
「私の魔法には『速さ』では避けられないものもあるのだよ!」
刀身に『属性攻撃』にて電撃を通し『傷口を抉り』ながら『吸血』で機体エネルギーや魂ごと『生命力吸収』で完全に搾り殺す。
「骸の海で記憶せよ、貴様を屠った紅い2人の悪魔を!」

※アドリブ歓迎


フィーナ・ステラガーデン
【PPP開発室にて参加】
何こいつちょっと格好良いわね!
どっかの破滅ロボよりスマートだわ!今度ダイエットさせようかしら。

にしても動きが前のやつより早いわねえ。
ここは私が囮になるわ!
引き続き杖に乗って飛び回りつつ「属性攻撃」で火球を飛ばして引きつけるわよ!
私の運転じゃ絶対攻撃避けれないわね!
それに当ててくる腕もってんでしょ?わかってるわよ!
攻撃に合わせて「先制攻撃、高速詠唱、覚悟、勇気、火炎耐性、ガード防御」を使って
自分の近くでUCを爆発させて
爆風で無理矢理軌道をかえるわ!
(爆風で吹き飛ばされるだけ)
これで少しでも私の方に気をそらせれば
私の勝ちよ!!

(アレンジアドリブ大歓迎)




 猟兵たちが幾重にも敷いた防衛ライン。その尽くを、傷を受けながらも蒼い雷鳴が打ち貫いて駆け抜ける。
 デン・ハーグを襲撃されるリスクを鑑みブラウエルフォーゲルを無視できない以上、猟兵たちが敵艦を狩るためには一刻も早くこの機体を撃墜するしか無い。
 だが一方のブラウエルフォーゲル、少佐の勝利条件は猟兵の殲滅でも、ましてデン・ハーグの撃沈でもない。
 ただ数分、母艦ウェルキンスがこの宙域を離脱するその時間を稼ぎ出す、それだけが目的だ。
 デン・ハーグを狙うことで猟兵の目を惹きつけられるならばそうするが、無理に撃沈に拘る必要もない。無論、敵の頭数を減らせるならば減らすがそれも主目標ではなく副次的な目標だ。
 そんな蒼い稲妻がいくつめかの防衛ラインを突破した時、迎え撃ったのはフィーナとイデアールのPPP開発室が誇る二人の魔女だった。
「クク……ついにここまでお出ましたか、エース! さぁ見せてみろ、銀河帝国の意地を。この宇宙に煌めく命の光を!」
『見たことのないスターライダー……いや、君達もこの宇宙の理の外にある存在か!』
 飛翔する杖に跨った二人の魔女が、ブラウエルフォーゲルとは異なる法則によって物理的な事象を無視した軌跡を描く。
 流麗な機動の箒星と、鋭い機動の稲妻。ふたつが絡み合うように宇宙を駆けた。
「前のやつより速いわね……! ここは私が囮になるわ!」
 機動戦では不利だと判断したフィーナが告げ、後ろに乗ったイデアールは無言で頷き杖から飛び降りる。
「さあ行くわよ、私の運転じゃ絶対攻撃避けきれないし、外すようなへっぽこじゃ無いんでしょ! わかってるわよ!!」
 炸裂する火球をばら撒き飛翔するフィーナに対し、ブラウエルフォーゲルはひらりひらりとその爆発の隙間を駆け抜ける。
 その上でビームライフルの熱線がフィーナを捉え襲いかかった。
『見せてもらおうか、理の外の理とやらを!』
「見たけりゃ邪魔なんてしないで好きなだけ眺めてなさいよ!」
 躱しきれない、フィーナはそう判断して回避を捨てる。回避はしないが、当たってやるつもりもない。
 ならばどうするか。答えは単純だ。放った魔法を至近距離で炸裂させれば、爆発の衝撃で杖は煽られ無理矢理にでも軌道は変わる。
『そう来るか、面白いライダーだ!』
 だがそれは奇策。二度は通用すまい。事実、少佐は射撃戦を捨ててフォースセイバーを抜き、吹き飛ばされ姿勢を立て直すフィーナに一瞬で距離を詰める。
 蒼い機体のセンサーアイがジジ、と明滅してフィーナを捉えた。
「何こいつ、ちょっと格好いいじゃない……」
 思い浮かぶのは、ここには居ない戦友。破滅を謳い、苦境では頼もしく手助けしてくれた彼の顔。
 今度ダイエットでもさせてみようかしら、と気楽に想うフィーナは、恐怖など感じていない。
「躯の海で記憶せよ、貴様を屠った二人の紅き悪魔を!!」
 ――彼女はこういう、どうしようもなく格好つけられるタイミングを絶対に逃しはしないと知っているから。
 飛来した刀がブラウエルフォーゲルの腕を跳ね上げた。セイバーを持つその腕が、命中の衝撃で高く掲げられる。
『――馬鹿な、攻撃速度と着弾のタイミングが……』
「私の魔法には「速さ」で避けられないものもあるのだ!」
 撃てば"当たった"という結果を齎す妖刀。それがフィーナの危機を救った。
 放ったイデアールは高笑いを響かせ、さらなる追撃の構えを取る。
『躱せんのならば、それ以上はやらせはせん!!』
 そのイデアールの呪文を紡ぐ唇が止まった。
 少佐の執念、意地、信念、そして忠誠。少佐の持つ強い意思が、その精神を感応波としてイデアールへと叩きつける。
 自身のものではない、強烈な意思思考が無理矢理に頭蓋骨を割り開いて脳に染み込んでくる不快感に、イデアールは呻き、額に汗を浮かべ――だが、それに屈さない。
 彼女もまた、少佐に匹敵する、いやともすれば上回るほどの意思の力を持っている。あるいは自我が強い、と言うべきか。
「練り上げた技量、強固な意思、神速と呼べる速さ……たしかに見事。だがなぁ!!」
 私の魔法はそのすべてを上回るという、根拠のない傲慢な確信が感応波を捻じ伏せた。
 ――妖刀が星屑を切り裂き突き刺さる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

月宮・ユイ
彼の機体がエースね…彼らは艦と彼を逃がす為の死兵か
艦を逃がすことを重視…その勇猛さ悪いけど利用させて貰うわ

”視力、暗視、聞き耳、第六感、スナイパー”
継戦中:環境や敵を”見切り、情報収集。学習力にて知識”を蓄積更新
仲間達を信じ
先の【終ノ槍剣】の照準機能と知覚強化、可能なら”地形の利用”【不可視化】も使用し、”目立たない”よう潜み弾道計算と”力溜め”

”メカニック”
知識と蓄積情報も基に”全力魔法”【召喚兵装】
”誘導弾”対艦ミサイル
敵と艦が射線に並ぶ様”おびき寄せ”出来れば最善
”高速詠唱、2回攻撃”追撃
自立型対艦砲広域召喚、斉射。
私を止められようと召喚後なら[マキナ]にも制御可

協力連携大歓迎アドリブ可


東郷・三笠
真打ちの登場か
速い―――まさに蒼い稲妻か
面白い!
相手にとって不足はない
我の雷剣神の技とどちらが速いか試してみるとしよう!

空中戦14、ジャンプ7、ダッシュ6で残像3を作りながら三次元移動を行い敵に肉薄
一斉発射11、範囲攻撃10で全武装を一斉発射して相手のUCを迎撃し
撃ち漏らしはシールドフィールドで盾受け10防御
UC後の隙を狙って怪力14、先制攻撃12、捨て身の一撃4でUCを使用
ふ、我は片手間に墜とせるほど柔ではない!
雷剣神の妙技を見よ!東郷流電磁抜刀術―――『閃雷』

戦闘後
敵ではあったが勇気あるその姿に敬礼を送ろう

アドリブで他の方との絡み歓迎




「彼の機体がエースね……」
 迫る蒼い機体。満身創痍のその姿に、ユイは悟った。
 先程壊滅した戦闘機部隊は、彼と母艦を逃がすために死兵となったのだろう。
 そしてそれが叶わなかった今、彼自らが母艦を撤退させるための捨て石を買って出た、というところか。
「……その勇猛さ、悪いけど利用させてもらうわ」
 とはいえ、ユイは前に出てエースと渡り合えるほどの武闘派ではない。一対一でやりあえば、まともな戦闘にすらならないかも知れない。
「ならば前衛は我が受け持とう!」
 少佐と同じく、デブリを蹴って加速した三笠が前に出る。推進機の数だけ少佐に速度では劣るが、熟達の剣豪は体捌きでその速度の優劣を補うほどに柔軟な機動を見せる。
『損傷した機体とはいえ単機で私に挑むというのか、この鎧装騎兵は!』
 三笠が着地しようとしたデブリをグレネードが粉砕する。爆炎と飛散する破片をシールドフィールドで受け止め、足場から障害へと転じたその成れの果てをアームドフォートの一斉射で打ち砕いて突破する三笠の背後に、ブラウエルフォーゲルが一瞬で肉薄し舞い降りた。
「速い――まさに蒼い稲妻、か……!」
 振り返り、刀を振り払う三笠。その斬撃をブラウエルフォーゲルはフォースセイバーで受け止め、鍔迫り合いに持ち込みながら右手に保持したビームライフルを突きつける。
 閃光が放たれ、三笠は間一髪で身体を捻ってその一撃を躱す。
「『面白い、相手にとって不足はない!』」
 二人の猛者の声が重なる。ブラウエルフォーゲルの巨大な足が剣に代わって振り払われ、その蹴脚をフィールドで受け止めながら敢えて吹き飛びアームドフォートの斉射を浴びせる三笠。
 降り注ぐ無数のビームを最小限の動作で回避し、反撃とばかりにビームライフルを連射しながら再度距離を詰める少佐。
「なるほど無駄のない動きだが、我の雷神剣とどちらが速いか試してみるとしよう!」
 刀を鞘に収め、迫る青い稲妻を真っ直ぐ見据えた三笠。その目が見開かれ、銀の閃光が閃いた。


 その派手な応酬を宙域に潜むもうひとりの猟兵――ユイはじっと見つめていた。
 三笠の戦闘は遠近織り交ぜられた柔軟なもので、与えられるデータは短時間の交戦ながら質の良い戦闘記録となる。
 それを受け取り、時に三笠が窮地に陥ろうとも信じてデータ蓄積に集中していたユイが遂に動き出す。
(保管庫へ接続。共鳴接続機能正常。対象選択・サイズ設定完了……保管庫の情報を基に指定対象を生成・具現――)
 音ならぬ詠唱を脳内で終え、召喚されずらりと並ぶミサイルランチャーのトリガーを"共有"したユイは、静かに獲物を照準に捉える。
 三笠の一撃を受け、お返しとばかりに強烈な斬撃を放った直後のブラウエルフォーゲル。
 撤退中の敵艦は、もはやこのラインからは狙えまい。だがそれでも、僅かに照準をその移動したであろう宙域に振っておく。
 そして全基が獲物を捉え、思考制御によるトリガーを絞ろうというまさにその時。
『こそこそと隠れて何をするかと思えば、ここに来てウェルキンスをやらせるわけにはいかん!』
 少佐のブラウエルフォーゲルが、ひび割れたカメラアイでユイを見た。
 吹き出す冷や汗、強烈なプレッシャー。思考制御に割り込む凄まじい圧力が、トリガーを引くという単純なコマンドすら止めてのける。
 だが、ユイはトリガーを一人握りしめているわけではない。
「マスターの不調により、ミサイルランチャーの制御権をマキナが掌握します――対艦ミサイル、全弾斉射」
 トリガーを共有していたAI、マキナが自己の判断で引き金を引いた。
 橙い炎を噴き上げて飛翔するミサイルがブラウエルフォーゲルに食らいつき、近接信管で盛大に爆裂する。
『――くおっ、直撃ではないといえど、損傷した機体にこの衝撃は……!』
 そして炎に煽られ後退を余儀なくされたブラウエルフォーゲルに迫る、もう一つの稲妻。それは、
「………東郷流電磁抜刀術――閃雷!」
 三笠だ。彼女の放つただ一撃の居合いが、盾代わりに差し出されたブラウエルフォーゲルのライフルを両断した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

虻須・志郎
アドリブ連携可

あの青い奴、随分と動きがいい……エースのお出ましか!

これ以上やらせんだと? 馬鹿野郎こっちのセリフだ
真の姿――精悍な蜘蛛の怪物
真っ赤な二つの複眼
牙の様な咢
逞しくも引き締まった四肢と無限の縫製が紡ぎ上げた漆黒の装甲服
表出した邪神の意志が重圧に拮抗する

ファルシオン、データリンク――光子魚雷発射スタンバイ
目標青、2本ずつ予測軌道上にぶっ放せ!
インセインで解析した情報を共有し魚雷発射

初弾は相手に当てるつもりでだまし討ち
残りは相手を包囲する様に邪神空間で包み込み
空間に蜘蛛の毒を流し込んで動きを鈍らせる

そしたら捨て身で突っ込んでハッキング
制御プログラムの鍵を開け自爆プログラムに書き換えてやる


ミハエラ・ジェシンスカ
あれが蒼い稲妻か
武名は聞いていたが、こうしてお目に掛かるのは初めてだな
我が邪道の剣、どこまで通じるものか

フォースレーダーで敵を捉え[念動力]で攻撃を試みる、が
早いな。それになんだこのプレッシャーは!?
気圧されているとでも言うのか、この私が!

距離を詰めたいところだがこの動きではな
[武器受け][見切り]でダメージは最小限に抑える
あれだけのエースだ
無防備に近付くような愚を犯してはくれまい

それでも決定打がないとなれば僅かにでも距離を詰める瞬間がある筈だ
その瞬間に悪心回路を起動
プレッシャーを跳ね除けて動きを取り戻し
[念動力]の力場をカタパルトに自身を射出
[だまし討ち]めいた[カウンター]の一撃を叩き込む




 銃を失い、盾を失い、左腕の装甲を失い、視界も十全とは言えず。
 全身いたるところの関節から火花を散らしながらも五体満足をかろうじて維持しているブラウエルフォーゲルのコックピットで、少佐は静かに笑う。
 先の猟兵が放ったミサイル。あれは、あれが着弾したのは、私のもとだけだ。
 つまりは逃がすべき船、ウェルキンスはきっと、私と彼らの願った通り無事に退いたのだ、と。
 ならば戦う意味などとうに無い。
 戦略的には、帝国が亡びたあの日あの時に。
 戦術的には、母艦が逃げ延びた今この時に。
 少佐をこの死地に戒めるものは、既に消え去った。
 だからこそ、彼は今、自らの自由な意思で此処にある。
『此処からは私の……蒼い稲妻の意地の張り合いに付き合ってもらおうか、猟兵!!』
 強烈なGの負荷に、これまで一度とて文句の一つも言わなかったブラウエルフォーゲルが悲鳴を上げるように軋み、少佐はさらに敵地奥深くへと進んでいく。

 ――あれが蒼い稲妻か。
「武名は聞いていたが、こうしてお目に掛かるのは初めてだな。我が邪道の剣、どこまで通じるものか」
 ミハエラは紅く輝くフォースセイバーを手に駆け出す。
「随分と動きがいい……とうとう此処までエースがお出ましか!」
 志郎は静かに、その身に秘めた異形なるものの意思を解き放つ。
 ヒトと蜘蛛を混ぜ合わせたような、不気味な姿。赤い複眼が揺らめき、牙がギチギチと顎門を鳴らす。
 装甲服によってかろうじてヒトに擬態した蜘蛛――とでもいうべきか。ヒトならざるヒトは、その邪神の思考を以て母艦を呼び出す。
「ファルシオン、データリンク――光子魚雷発射スタンバイ」
 雷鳴とともに迫る蒼い稲妻を捉え、その機動を幾通りも予測し、その結果を収束させていく。
「目標蒼、二本ずつ予測軌道上にぶっ放せ!」
 宇宙を魚雷が滑り、ブラウエルフォーゲル目掛けて飛翔した。
 そのうちの一組が正面からブラウエルフォーゲルに迫るが、少佐は魚雷とすれ違うように加速し、その弾頭を切り離し蹴り捨てる。
 弾頭のぶつかった別の魚雷が爆発し、宇宙に巨大な閃光がいくつも瞬いた。
 その閃光を背に受け、光の中に自らを隠して飛びかかる影がある。
「拝むほどの価値もない邪道の剣だ、知らぬまま死んでゆけ!」
 真紅のフォースセイバーを振りかざし、念動の力場をカタパルトに自らを撃ち出したミハエラがブラウエルフォーゲルに挑みかかる。
 光に溶けたその姿を視覚で捉えることは不可能、故に必殺の剣となるその一撃。
『――生憎だが、そうも殺気を放たれては拝むなと言うほうが難しいのだよ!』
 それを少佐は振り向きざまのフォースセイバーの斬撃で相殺する。
 蒼と赤のふたつの刃がぶつかり合い、粒子の火花を散らす。
 膂力では中破したといえどブラウエルフォーゲルが優勢、少佐が操縦桿を押し込む度にミハエラの剣が押さえつけられていく。
 そのまま鍔迫り合いを続ければ、ミハエラは斬り捨てられるだろう。
 もっともそれは、一対一ならば、だ。
「――目くらましが邪剣だと言った覚えは無いのだがな!」
 獲物を喰らう捕食者のように大きく広げられたミハエラの隠し腕に、さらに一対のフォースセイバーが展開される。
『隠し腕……君のその機体は、帝国軍の……なるほど、忠義ご苦労! 互いに難儀なものだな!』
 突き立てられた赤い刃がブラウエルフォーゲルの右肩を貫く。もう一本の隠し腕がコックピットに狙いを定めた所で、少佐はその殺意に殺意をぶつけてミハエラを振りほどいた。
 吹き飛ばされたミハエラに追撃すべく追い縋る蒼、そのコックピットが突如アラートに包まれる。
『何……有毒物質を検知だと? エアフィルターは……ええい、濾過できんか!』
 突然出現した強毒性の物質の雲を突き抜ける直進コースではミハエラを追撃できない。そう判断し、切り返した少佐の前に、巣を張った蜘蛛が現れる。
『また猟兵か、よくも次から次へと楽しませてくれる。だが――』
「――これ以上やらせん、か? 馬鹿野郎こっちのセリフだ」
 ミハエラの強襲から有毒空間の展開、それを以て少佐を追い込んだ志郎がブラウエルフォーゲルに喰らいつく。
 防ごうとした蒼い機体の右腕に、強靭な邪神の四肢で組み付きシステムをハック。
 あわよくば自爆を強要しようとするが、しかし少佐もただでそれを許すはずもない。
 フォースセイバーが振り下ろされ――

「――チッ、やってくれるじゃねえか!」
「そう言うな、あれの腕一本は大戦果だろう」
 肩口から溶断されたブラウエルフォーゲルの右腕。その残骸に腰掛け、志郎とミハエラはデン・ハーグへと猛追撃を挑む蒼い機影を見送った。
 二人は特段速度特化型ではない以上、もはや追撃は間に合うまい。あとは、艦の直掩に付いた二人の猟兵を信じるまで、だ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
母艦を逃がすために死兵となり突っ込む気ですか!?
命と引き換えにこちらの母艦を狙うかもしれません
格上相手、此方も宇宙を駆ける騎士として死力を尽くします

機動力に劣る私は合体ロボ『ブローディア』を操縦、輸送船の護衛に付きます
防具改造で増設燃料タンクを装備、稼働時間を延長

艦や味方への攻撃は巨体と「盾受け」「武器受け」でかばいます

格納銃器や剣でのなぎ払いで攻撃したいですが、速度で翻弄されそうですね
限界と判断したらタイミングを見切りブローディアを放棄し機械馬に騎乗、爆炎を目潰しに少佐機に突撃、組みつきます

接触回線で破壊工作・ハッキングし動きを一瞬止め怪力での伸縮機構の貫手で鎧砕き、中の少佐を串刺しにします


メイスン・ドットハック
【WIZ】
自らが殿となるとはのー
大駒に拘らんというのも立派じゃけど、ならしっかりと狩るのも仕事じゃのー

ユーベルコード「鏡の国のアリス」を発動しながら接近
さらに電脳魔術によるバーチャルミサイルを展開しておく(誘導弾)
敵の感応波が来ても、しっかりと防御
予め、電脳ジャミングによる防御網も張っておく

喰らって動きが止まり銃口を向けた瞬間に、「鏡の国のアリス」の時計兎を召喚
敵の感応波を29秒封印し、逆に感応波のユーベルコードを掛ける
動きを取れない場合は、自動化攻撃プログラミングによるミサイル攻撃を敢行

ユーベルコード封印と動き封じの間に味方の連携もできればしておく

アドリブ絡みOK




「て、敵機急速接近……は、速い!」
「対空防御……駄目です、自動火器制御システムが目標を捕捉できません!」
 猟兵達を突破して迫る青い稲妻に、デン・ハーグの艦橋は恐慌状態に陥りつつあった。
 殆ど非武装の輸送船だ。取り付かれれば抵抗の余地などありはしない。
 だが、その危地にあって船長は冷静だった。
 彼は知っている。最後に勝つのは、いつだって――

「自ら殿になるとはのー」
 大駒たるエースを躊躇なく捨て駒にして母艦を逃したその覚悟を、デン・ハーグの展望室に佇むメイスンは称賛する。
 だが、だからといって彼に手放しでデン・ハーグを沈めさせる理由にはならない。
「しっかり狩るのも仕事じゃからのー」
 ECM展開、電脳魔術式仮想誘導弾射出。
 迎撃の準備を整えたメイスンは、それも時間稼ぎにすらならないと知っている。
 電子装備を無効化するECMがどれほど役に立とうか。原始的な索敵装備たる光学センサが死にかけた今でさえ、十全のときと違わぬ機動を見せるブラウエルフォーゲルが尋常の索敵能力に依存しているとは思えない。
 ミサイルがどこまで有効であろうか。これまでの戦いで、猟兵たちが幾度も放ったミサイル攻撃。それがただの一度も直撃弾となったことがあっただろうか。
 それでも、その抵抗が僅かにでも少佐の足を止め、コンマ一秒でも彼の攻撃を止められれば。
「――僕の勝ち、じゃからのー」

「母艦が退いた今、死兵となる意味も無いというのに――」
 迫る稲妻からデン・ハーグを守るべく、その進路に割り込まんと駆けるトリテレイアの大型機、ブローディア。
 機動性でも速力でもブラウエルフォーゲルには劣るが、その分の防御力は絶大だ。尤も、その防衛エリアを迂回されてしまった今、全力で急行するこの一瞬一秒を引き伸ばすこの鈍重さが口惜しい。
「それでも命と引き換えにこちらの母艦を沈めようと言うのですか、貴方は……!」
 増設されたプロペラントから推進剤を湯水のように消費して駆ける白い巨大騎士。
 その到着より速く、デン・ハーグから放たれたミサイルや機銃による迎撃を回避し尽くした蒼い機体が距離を詰めきった。

「来た、のー」
 展望室の窓からはよく見える。その機体に刻まれたマーキングの一つまで鮮明に見える至近距離に迫ったブラウエルフォーゲルに、メイスンは真っ直ぐに視線を向ける。
 凄まじい圧力だ。覚悟を決めたエースの最期とはこういうものか。
 蒼い隻腕の巨人が、フォースセイバーの蒼い刀身を翻して突撃の構えを取る。
『――此処までだ、解放軍、そして猟兵の諸君。キミ達は優秀な戦士だったが、今日のところは私が勝ちを貰っていこう』
 放たれた殺気がメイスンやクルーたちに重圧を課し、その身動きに重くのしかかって迎撃の手を抑え込む。
 しかし、メイスンはこの時を待っていた。
「……それじゃその能力、借りていくのー」
 展望室のベンチに腰掛けていた、小さなウサギ。彼が首から提げた懐中時計を開き、頷く。
 ――船を押さえつける重圧がふわりと和らいだ。
「いまから29秒間。こっちへの感応波は防いで、そっちにお返ししてやるからのー」
『くっ、ええい……たかだか小動物が何だというのだ、このプレッシャーは!』
 しかし、少佐は精神力でそのプレッシャーをはねのけようとしている。
 否、重圧の中にあってなお、執念で操縦桿を握り、フットペダルを踏み込んで、最後の突撃を敢行する。
『私が自ら沈めようというのだ、この程度の邪魔で!』
 蒼白く揺らぐ刀身が、展望室の窓を貫く――否。
 視界いっぱいの蒼が、視界いっぱいの白へと。割り込んだブローディアの背中が、頼もしくブラウエルフォーゲルを受け止める。
「間に合いましたか……!」
 船の中から援護を掛けてくれた猟兵が居なければどうなっていたことか。盾でフォースセイバーを防ぎ、機体各所に内蔵された火器で射撃を行うブローディア。
『ちぃぃ、護衛機が間に合ったか!』
 たまらず離脱したブラウエルフォーゲル。同時に、時計ウサギの魔法が解ける。
 精神への負荷から解き放たれた少佐の機動は凄まじい。デン・ハーグ、メイスン、そしてブローディアの迎撃をすり抜けて、まずは邪魔な護衛機であるブローディアを幾度も反復攻撃で傷つけていく。
「くっ……こうも速くては防ぐにも限界がありますね……!」
 盾を構えればその死角から斬撃を放つ蒼い稲妻に劣勢を強いられるブローディアの中で、トリテレイアは決断する。
 迫るブラウエルフォーゲルが、盾の死角から遂にブローディアに致命傷を与えた。その瞬間、トリテレイアはブローディアを放棄したのだ。
 白い機体が力なく斃れ、爆散する。だが、そのときにはトリテレイアは次の攻撃に移っていた。
 爆発の炎を突き抜けてブラウエルフォーゲルに取り付いた白騎士。
『――いい度胸のパイロットだ! いや、まさか君はウォーマシンか。……ふっ、機械が機械を操る時代が来ようとはな……面白いこともあるものだ、いい土産話になる』
「――お褒めに預かり光栄です、少佐。私も宇宙を駆ける騎士として、貴方と死力を尽くして戦えたことを誇りに思います」
 接触回線で短く言葉を交わし合う二人の騎士。
 そして、トリテレイアの鋼の貫手がコックピットハッチを貫いた。




 戦闘を終え、回収されたブラウエルフォーゲルの残骸は、解放軍のメカニック曰くなぜ動いていたのか不思議なほどに損傷していたという。
 あるいは執念……妄執の為せる業か。ともあれ、帝国軍の誇るエースパイロットは墜ちた。
 蒼い稲妻もオブリビオンである以上、どこかでまた"別の同一人物"が現れることもあるかもしれない。だが、少なくとも今この宙域で脅威になっていた、精鋭艦隊を葬り去るほどの実力を持ったパイロットは、もういない。
 母艦こそ取り逃がしたが、艦載戦力はほぼ全て奪ったと言える。猟兵と解放軍の勝利と言って過言ではあるまい。
 そんな風に今回の戦いを締めくくり、改めて漂流するモスカー艦隊の残骸にビーコンを取り付け、後続で現れるだろう解放軍艦隊に彼らの遺体の回収と残骸の処理を引き継ぎ宙域を離れるデン・ハーグ。
 その艦内で猟兵たちは、戦争の後に来る新たな戦いを予感するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月22日


挿絵イラスト