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黄金闘技場の死闘

#サイキックハーツ

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#サイキックハーツ


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「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「サイキックハーツ某所にて、オブリビオンとして復活したダークネスの『巣』を発見しました」
 全人類がエスパーへと進化し、平和な新時代が到来したはずのサイキックハーツ世界では、かつて人類を支配していた邪悪な「ダークネス」が骸の海から蘇り、新たな脅威となっている。そして復活したダークネスの中にはすぐに事件を起こすのではなく、人目に付かない場所に拠点を築き、密かに戦力を蓄えようとする者もいるようだ。

「発見されたオブリビオンの拠点は、巨大な『黄金の闘技場』の形状をしています。そこにいるボスの名はアンブレイカブルの『ジークフリート大老』。最強の武を求めるダークネス種族の中でも、大老と呼ばれる有力者の一角です」
 この『黄金闘技場』には周囲にいる弱いオブリビオンを呼び寄せる性質があり、ジークフリート大老はそうして集めた者たちに戦いを強要している。ただの訓練や修行ではない、殺し合いも辞さない本気の死闘を行わせ、生き残る強者を選別しているようだ。
「現地関係者からの情報提供によると、過去にもジークフリート大老は類似した事件を起こしたことがあるそうです。強者たちを戦わせ、最終的に勝ち抜いた者と戦いサイキックエナジーを奪う、それがジークフリート大老の目的です」
 勝者が敗者の力を奪う、その繰り返しでジークフリート大老の配下は洗練され、大老自身も強化されていくわけだ。
 これを放置すれば強大なアンブレイカブルを頂点とした一大勢力が誕生しかねない。討伐に向かうなら今のうちだ。

「黄金闘技場の内部や周辺には幾つもの『黄金円盤リング』がジークフリート大老の能力で設置されており、この中で集められたオブリビオンたちが戦いを繰り広げています」
 ジークフリート大老に会うためには、猟兵も黄金闘技場のルールに従わなくてはならない。つまりは自らもリングに上がり、オブリビオンとの死闘を勝ち抜くのだ。全ての敵を打ち倒して実力を証明すれば、闘技場は自ずと大老の元に猟兵を導くだろう。
「これも大老の意思かは分かりませんが、闘技場には一般エスパーの格闘家や武芸者も、少数ながら引き寄せられてしまっているようです」
 病気や災害などの「通常攻撃」ではダメージを受けないエスパーも、ユーベルコードを操るオブリビオンと戦えば死は免れない。闘技場の強制力により逃げることもできない彼らを見つけた時は、穏便に「敗北」させて脱落してもらうのが良いだろう。

「試合に勝ち続ければ、対戦相手となるオブリビオンも徐々に強くなっていくでしょう。そして最後に待ち構えるジークフリート大老は、黄金闘技場にいる全オブリビオンのはるか高みにいる強者です」
 オブリビオンとして復活した現在でも、その危険度は文句なしの「戦略級」。かつて|灼滅者《スレイヤー》の組織『武蔵坂学園』も、激闘のすえ辛くも灼滅を成し遂げた相手だ。それでも黄金闘技場の死闘という儀式がすでに始まっている以上、無視しても状況は悪化の一途を辿る。

「手の付けようがなくなる前に、ここでジークフリート大老の討伐を。皆様ならできると信じています」
 説明を終えたリミティアは手のひらにグリモアを浮かべ、サイキックハーツの『黄金闘技場』へと猟兵を送り出す。
 最強の頂を目指すダークネスによる、果てしなき死闘の連鎖。それが大いなる災厄となる前に、終止符を打てるか。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 今回のシナリオは新世界サイキックハーツにて、『黄金闘技場』に集うオブリビオンを撃破する依頼です。

 1章は闘技場に引き寄せられた弱いオブリビオンたちの戦いに乱入します。
 ここではユーベルコード製の『黄金円盤リング』の中で戦い、勝ち上がった者が最終的に『ジークフリート大老』に挑戦できるルールになっているので、まずは猟兵もここでの勝ち抜きを目指してください。
 中には一般エスパーの格闘家なども巻き込まれて戦いを強制されているので、見つけた時は穏便に負かして逃がすのが良いでしょう。

 2章は前章での戦いを勝ち上がった先にいる、より強力なオブリビオンとの戦闘。
 3章は黄金闘技場のトップである『ジークフリート大老』との決戦です。
 大老を討伐すれば闘技場は崩壊し、オブリビオンが集うこともなくなります。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『殺戮闘技場』

POW   :    闘士として殺戮試合に乱入する

SPD   :    選手控室に忍び込み、有力そうな闘士の情報を盗み聞く

WIZ   :    望まぬ戦いを強いられているエスパーを密かに逃がす

イラスト:kokuzu

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

茂多・静穂
※連携アドリブ歓迎

灼滅者しててからの久しぶりのお仕事ですね!
しかしいきなりあの大老の関連依頼とかとんでもないですね。
まあ復帰初陣としては悪くないでしょう

今回はレスラーではなく生徒としてお相手しましょう。◆18歳変身してトラウメンヴァッフェを触手や鞭の形で操作。
おー、初めての武器ですがこんな感じなんですね。扱いやすくていいです。

防御重視で戦いつつ、シャドウペルソナを発動。
対戦相手の精神世界にシャドウペルソナを放ち
相手がエスパーなら精神を弱気にさせるくらいに加減して攻撃させ戦意喪失して貰い
オブリビオンなら肉体と精神を容赦なく破壊させ
現実世界でトドメ

ふむ、ユーベルコードとやらの試運転もいい感じですね



「灼滅者しててからの久しぶりのお仕事ですね!」
 灼滅者としての戦いを終え、平穏な日々を送っていた茂多・静穂(千荊万棘・f43967)は、オブリビオンの出現を受けて再び戦場に立つことを選んだ。倒したはずの敵たちが復活してかつてのような事件を起こしていると聞いて、放っておけるわけがない。
「しかしいきなりあの大老の関連依頼とかとんでもないですね。まあ復帰初陣としては悪くないでしょう」
 眼前にそびえ立つのは黄金闘技場。アンブレイカブルの重鎮『ジークフリート大老』の拠点には、すでに多くの弱小オブリビオンが集結しつつあるという。彼らが一大勢力として人類を脅かし始める前に、大老を再び灼滅する――なかなかの依頼だが彼女には自信があるようだ。

「今回はレスラーではなく生徒としてお相手しましょう」
 あの当時の気持ちを思い出すためか、18歳の姿に変身して「黄金円盤リング」に上がった静穂は、新装備「トラウメンヴァッフェ」を手に勝負に挑む。悪夢の「影」を宿して漆黒に染め上げたその武器は、彼女の意志に応じて触手や鞭となり自在に動く。
「おー、初めての武器ですがこんな感じなんですね。扱いやすくていいです」
「フン! 使い慣れていない武器で戦いに臨むなど、笑止!」
 慣らし運転も兼ねた静穂の様子を、対戦相手のオブリビオンは鼻で笑う。向こうは元アンブレイカブルだったのか、格闘家として隙のないファイティングポーズを取っている。この黄金闘技場での戦いはジークフリート大老への挑戦権を得るためのもの――勝者が敗者の力を奪い高みに立つ、本気の死闘だ。

「さて、どんなものでしょうか」
「死ねッ!」
 殺意全開で殴りかかって来るオブリビオンに対し、静穂は防御重視の立ち回りを見せる。プロレスラーとして鍛えた「受け」の技術とタフネスは、本人のドM気質と合わさって鉄壁の耐久力を誇り。影の触手で巧みに攻撃を捌きつつ、彼女は【シャドウペルソナ】を発動した。
「うッ?! な、なんだこれはッ!!」
 精神世界に|分身精神体《シャドウペルソナ》を放たれたオブリビオンは、突如白昼夢を見たように動きを止める。相手がただ巻き込まれただけのエスパーだったら、精神を弱気にさせるくらいに加減して戦意喪失して貰う予定だったが、オブリビオン相手なら遠慮はいらない。容赦なく肉体と精神を破壊させて貰う。

「ぐ、ぐおおぉぉッ?! や、やめ……」
「隙だらけですよ」
 精神世界を蹂躙され悶絶するオブリビオンに、静穂は現実世界でトドメを刺す。果たしてどんな悪夢を見たのやら、ぴしゃりと鞭打たれた敵は恐怖の形相のまま骸の海に還っていった。両者を囲っていた黄金円盤リングは消え、次のリングが勝者を次の戦いに導く。
「ふむ、ユーベルコードとやらの試運転もいい感じですね」
 昔のサイキックとはだいぶ使い勝手が違うが、これなら使いこなせそうだと手応えを感じた静穂は、笑みを浮かべて次のリングへ。ジークフリート大老に挑むまでにはまだまだ連勝を重ねる必要がありそうだが、その表情に憂いは全くなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ブリュンヒルデ・ブラウアメル
巻き込まれたエスパー……そしてオブリビオンでないエスパーとの共存を選んだダークネスを優先的に保護
アンブレイカブルや六六六人衆等は、乗ってきてしまうかもしれないからな
UCを用いない技能による先制攻撃と我の翼を使い飛翔する事による空中戦で効率的にエスパーと共存ダークネスを一撃で負かして保護していくぞ

共存ダークネスとエスパーを保護し終わったら、オブリビオンダークネスとの闘技で各個撃破
UCを駆使し、我の敗北という終焉を否定して勝利という終焉を以て撃破していくぞ

共存を選んだダークネスは、よくやっている
お前達は弱いと言わざるを得ない――殺戮を楽しむその心が



(巻き込まれたエスパー……そしてオブリビオンでないエスパーとの共存を選んだダークネスを優先的に保護しよう)
 黄金闘技場に向かったブリュンヒルデ・ブラウアメル(蒼翼羽剣ブラウグラムの元首『剣帝』・f38903)はまず、オブリビオン以外の者が死闘に巻き込まれ命を落とすのを防ぐために行動を開始した。ユーベルコードに対抗手段のない一般エスパーはもちろん、かつての戦いを生き延び人類との共存を選んだダークネスもその対象だ。
「アンブレイカブルや六六六人衆等は、乗ってきてしまうかもしれないからな」
 人類支配に携わったダークネスのほとんどは滅び、現在残っているのは穏健派とはいえ、その本性が突然変わるわけでもない。戦闘用のサイキックを使えるぶんエスパーより扱いが難しい連中だ。別世界からやって来たブリュンヒルデから見れば、どちらも保護すべき対象だが。

「長引かせるつもりはない。一撃で決めるぞ」
「えっ……!?」
 黄金円盤リングに入ったブリュンヒルデは、蒼きヴァルキリーウイングで飛翔し、対戦相手に先制攻撃を仕掛ける。
 華麗にして俊敏なる空中殺法を受けたエスパー格闘家は、反応する間もなく一撃でノックアウト。必要最小限のダメージに留めたため、命に別状はない。
(この調子で負かして保護していくぞ)
 ジークフリート大老の能力がある限り、黄金闘技場の戦いから自発的に逃げることはできない。退場できるのは最後の勝者と、敗者だけだ。だからこそ勝負する必要があった――敗れた弱者には誰も目もくれないからこそ、彼は無事にここを出られるだろう。

「こんなところか?」
「グハッ……強えな……」
 歴戦の猟兵であるブリュンヒルデにかかれば、共存派ダークネスもさしたる脅威ではない。エスパー同様に負かして退場を促しつつ、順調に勝ち星を重ねていく。黄金闘技場のルールを考えれば、そろそろ「次の段階」の敵が出てくる頃合か。
「フン。俺をさっきまでの雑魚どもと一緒にするなよ」
 リングに上がってきた相手は、これまでのエスパーやダークネスとは異質であり、ブリュンヒルデにとっては慣れた雰囲気。かつての邪悪さをそのままに復活したオブリビオンダークネスは、血に飢えた形相でニヤリと嘲笑っている。

「共存を選んだダークネスは、よくやっている。お前達は弱いと言わざるを得ない――殺戮を楽しむその心が」
「ハァ? 心が弱い? なにを寝ぼけたコトを……」
 オブリビオンの言葉は最後まで続かなかった。試合開始の合図もなく、ブリュンヒルデの姿が視界から消えたから。
 先程までの「保護」する戦いではどれだけ彼女が力を抜いていたのか。ユーベルコード【蒼翼の終焉破壊・戦の世界そのものを変える我が翼】を駆使した彼女の本気のスピードは、あんなものではない。
「終焉を破壊せよ、我が蒼き翼!」
「……ッ!!!」
 自らの敗北という終焉を否定し、勝利という終焉に改変した戦乙女の一撃は、刹那にしてオブリビオンを撃破した。
 ここからは討つべき敵を各個撃破する時間だ。黄金闘技場にのさばる邪悪な過去を、力しか誇るもののない非道な殺戮者を、蒼き翼が圧倒する――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

桂・真志
弟分の凶月・所在(f43975)と

大きな戦以外は余り動けなかったが
「今更跋扈するのは許さん」
灼滅者の努力でやっと手に入れた平穏を
失う訳にはいかない

「大丈夫か?所在」
緊張しているらしい弟分に声を掛けたが
強く否定された
が、わたわたしているのは分っているぞ
まぁ初陣だから俺も緊張はしているが
引き返すはあり得んしな
「いくぞ!」

相手は決まっている
元一般人のエスパーだ
「不慣れな俺達でも倒せるだろう」

遮二無二くる連中を当て落としていく

思ったより素軽く動けるな
必要ならレーヴァテインを使う
幸い初期レベルだからこそ
単に戦闘不能にすることができるだろう

所在と連携しどれだけ居ても勝たせない
「帰る家があるなら帰ってくれ」


凶月・所在
兄貴分のまさにー(f43974)と

前はそんなに戦えなかったんだ
でも宿敵を倒して、世界を渡って
まだ困ってる人達は沢山いるんだ
「だから、僕は此処でも戦うよ」

「こ、怖くなんかないよー!」
ちょーっと久しぶりの戦いで
肩に力入っちゃってただけ!
新しい力にも慣れないとだし
何より困ってる人達はいるんだから
「うん!いこう、まさにー!」

相手は元一般人のエスパーさん
こんな事に巻き込まれちゃって
困ってるみたい
「逃がす為にも、だもんね」

攻撃はしっかり捌いて避けて
「ちょっとだけ痛いかも、ごめんね?」
鏖殺の気で足を取って転ばせたり
上手く操って縛ったりするよ

まさにーと連携して皆捌いちゃう
「僕たちの勝ち!ちゃんと帰ってねー!」



「大きな戦以外は余り動けなかったが、今更跋扈するのは許さん」
 黄金闘技場に集う復活ダークネス――オブリビオンの集団に対して、そう宣言するのは桂・真志(新世界に光望む者・f43974)。かつては武蔵坂学園の灼滅者として、今は猟兵として、再び始まった戦いから逃げる気はない。灼滅者の努力でやっと手に入れた平穏を、失う訳にはいかない。
「前はそんなに戦えなかったんだ。でも宿敵を倒して、世界を渡って、まだ困ってる人達は沢山いるんだ」
 彼の隣で意気込みを語るのは凶月・所在(優しい殺人鬼・f43975)。世界が変革され全人類が進化しても、悲劇が根絶される日はまだ遠い。誰かが立ち向かわなければならないと分かっているから、彼は歩みを止めたりしない。猟兵の力に目覚めたのも、きっと意味があることだから。

「大丈夫か? 所在」
「こ、怖くなんかないよー! ちょーっと久しぶりの戦いで、肩に力入っちゃってただけ!」
 緊張している弟分に真志が声を掛けると、所在は強く否定する。が、わたわたしているのは兄貴分にはお見通しだ。
 しかし、なんと言われようが退く気はないだろう。ユーベルコードという新しい力にも慣れなければいけないし、何よりここにはオブリビオンの策謀に巻き込まれ、困ってる人達がいる。
「だから、僕は此処でも戦うよ」
「そうか。まぁ初陣だから俺も緊張はしているが、引き返すはあり得んしな」
 真志にとっても猟兵としてはこれが初めての戦いである。かつての戦いとは勝手の違うところも多いが、少なくとも一人、信頼できる仲間が一緒にいるのは心強い。言葉にこそ出さないが、所在も気持ちは同じだろう。二人とも緊張はあっても気後れはない様子だ。

「いくぞ!」
「うん! いこう、まさにー!」
 二人が最初に戦う相手は決まっている。黄金闘技場の力にあてられて迷い込んでしまった、元一般人のエスパーだ。
 通常攻撃が効かないだけでオブリビオンに対抗手段のない彼らが戦えば、悲惨な末路を迎えるのは目に見えている。本人らも勝ち目がないと分かっているのに逃げられず、こんなことに巻き込まれて困っている様子だ。
「不慣れな俺達でも倒せるだろう」
「逃がす為にも、だもんね」
 真志と所在としては、本命のオブリビオンと戦う前に少しでも肩を鳴らしておく意味があった。いかにも怪物然とした連中の中に紛れたエスパーを見つけると、二人で黄金円盤リングに入る。一度上がれば勝敗が付くまで出られない、『ジークフリート大老』の用意した舞台だ。

「くっ、俺だって結構鍛えてるんだ! いくぞ!」
 どう足掻いても棄権はできないと悟ったエスパーは、ヤケっぱち気味で遮二無二殴りかかって来る。確かに一般人としてはレベルの高い動きだが、言ってしまえばスポーツ格闘技の範疇だ。本物の死闘を知っている連中には通じない。
「思ったより素軽く動けるな」
「ぐふっ?!」
 真志は肉体の感覚を確かめるようにフットワークを刻みながら、エスパーの攻撃を捌き切り、カウンターを当てる。
 殺すつもりはまったくない、いわゆる「手加減攻撃」だが、一般人相手ならこれで十分だろう。軽めの拳打でも相手の身体はくの字に曲がった。

「ちょっとだけ痛いかも、ごめんね?」
「うっ?! な、なんだ、この気迫……!」
 一方の所在も、エスパーの攻撃をしっかり捌いて避けて、鮮やかに反撃を決めていた。どす黒く可視化された「鏖殺の気」は、殺意に耐性のない一般人の足をすくう。優しい心に秘めた殺人鬼としての衝動、それが彼の灼滅者としての武器だ。
「やあっ!」
「ぐはっ!?」
 転倒したところにかる~く追い打ちをかければ、相手はあっけなくノックアウト。まだ猟兵の力に不慣れとはいえ、やはり一般人程度では敵にならないか。一人目を倒してもまだまだ余裕のある様子で、彼はリングの中から「次!」と叫んだ。

「少々熱いぞ」
「うぁ、あっちぃ?!」
 なおも出てくるエスパーの対戦相手を、真志は【レーヴァテイン】で一閃。幸いにもまだレベルの低い現状ならば、致命傷を与えずに戦闘不能にできる丁度いい火力だ。ファイアブラッドを象徴する炎の剣が、黄金円盤リングで火の粉を散らす。
「捕まえた!」
「ぐえっ! う、動けねえ……」
 所在も気を糸状にして対戦相手を縛り上げるなど、能力を巧みに操って戦い方を模索している様子だ。ここでの経験は間違いなく彼らを成長させ、次なる強敵に挑むための準備になる――皮肉にも黄金闘技場の目的通りだが、せいぜいこの環境を利用させてもらおう。

「まさにー、お願い!」
「ああ、任せろ」
 それから何人ものエスパーが所在と真志に挑んだが、彼らが土をつけられることは一度もなかった。一蓮托生の連携で全てを制した二人は、敗北によって闘技場の強制力から解放されたエスパーたちを黄金円盤リングの外へ送り出す。
「僕たちの勝ち! ちゃんと帰ってねー!」
「帰る家があるなら帰ってくれ」
 格闘家としてのプライドはちょっと傷ついたかもしれないが、流石に相手が悪すぎたと言わざるを得ないし、命があるだけ儲けものだ。ほっとしたような表情で去っていくエスパーを見送ってから、二人はまた戦いを再開するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

宙音・ナナシ
pow

こういう闘技場みたいな雰囲気は好きだけど戦いたくない人たちも巻き込まれているのは良くないね。

とりあえず巻き込まれた市民を襲っているオブリビオンに優先してタイマンを挑み注意を引き付けよう。

と言っても乱戦になるだろうから流れ弾や不意打ちで攻撃を食らう事にもなるだろうね。

基本的には【電撃】や【グラップル】による格闘で戦っていくよ。

防御は【受け流し】である程度いなしつつ、乱戦で攻撃を防ぎきれなかったら体質による頑丈さ(【硬化】や【通常攻撃無効】)で攻撃を凌ぐよ。軽傷なら【回復力】でなんとかなる。

また乱戦に乗じて不意打ちしてくる輩にはあえて食らって上で強化されたUCを叩き込んでやろうかな。。



「こういう闘技場みたいな雰囲気は好きだけど戦いたくない人たちも巻き込まれているのは良くないね」
 格闘戦特化の強化人間として改造され、現在は便利屋を営む宙音・ナナシ(進化する拳・f42852)から見て、猛者たちが強さを追い求めて戦いに明け暮れる黄金闘技場の空気は悪いものではなかった。しかし実力が伯仲していれば良いのだが、オブリビオンの闘志の中に一般エスパーが紛れ込んでも虐殺にしかならない。
「とりあえず、キミの相手はわたしだよ」
「ほほう? いい度胸だ!」「骨のありそうなヤツが来たじゃねえか!」
 巻き込まれた市民を襲っているオブリビオンを優先してタイマンを挑んでみると、向こうも強敵に飢えていたらしく受けて立つ構え。とはいえ闘技場に引き寄せられたオブリビオンの数は思ったよりも多く、リングの中は必然的に乱戦の様相を呈していた。

(流れ弾や不意打ちで攻撃を食らう事にもなるだろうね)
 正面にいる対戦相手だけでなく周囲の動きにも警戒しながら、ナナシは拳に電撃を纏う。筋力、頑強性、俊敏性、再生力いずれも人間離れした身体能力と、グラップルを中心にした格闘技術が彼女の武器だ。その腕前はオブリビオン化したダークネスにも劣らない。
「ブッ飛びやがれ! ……なにッ?!」
「甘いよ」
 対戦相手の攻撃を受け流していなし、防ぎきれない流れ弾は体質による頑丈さで凌ぐ。銃弾や爆発にも耐える彼女の肉体は傷ひとつなく、可憐な少女の容姿からは想像もできない耐久力だ。相手が驚愕に目を見開いているうちに、反撃の拳を叩き込んでやる。

「ぐふっ……やるじゃねえか……」
「はい次」
 一人をリングに沈めても、すぐさま次の敵が出てくる。終わりなき闘争の輪廻に囚われた黄金闘技場のオブリビオンたちは、ここを勝ち上がり『ジークフリート大老』に挑むため、さらなる戦いを求めていた。そしてここに居るのは、勝つために正攻法のにみに拘る者だけとも限らない。
「オラァ!」
 ナナシが他のオブリビオンと戦っているところに、不意に後頭部に炸裂する衝撃。乱戦に乗じて不意打ちを仕掛けてくる輩も、当然彼女は想定していたが、だからといって全てに対処できるわけではない。死角からのダメージに身体がよろける。

「ヘヘッ、どう、だ……?」
「今のは痛かったよ。少しだけね」
 だが、これでもナナシにとっては軽傷の範疇。脳を揺らす衝撃も持ち前の回復力ですぐに立ち直り、ダウンを取ることさえできない。卑劣な輩の表情が笑みから驚愕に変わるうちに、彼女は【ボルトレイジング・C・C】の構えを取り――。
「痛みを返してあげる……!」
「ごッはァッ!!?!!」
 大岩を粉砕するほどの強烈な正拳突きが刺さり、電撃が身体を貫通する。カウンター気味に入ったユーベルコードの一撃は通常よりもダメージが強化されており、喰らった相手はリングの外まで吹っ飛んでピクリとも動かなくなった。
 優れたフィジカルと高度な技術、そして不意打ちなど通用しない豊富な実戦経験。凡百のオブリビオンとの格の違いを見せつけたナナシは「さあ、次は?」と、残る対戦相手を手招きするのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
この空気、この気配、この殺意……懐かしき黄金闘技場
私は、この世界を知っている
かつての戦いを、魂が覚えている
ここは私が護るべき世界だ

シスター服でリングに上がる
手足には白銀に輝くガントレットとグリーブ
エスパーでもダークネスでもない闖入者は【注目を集める】筈
掌を上に向けて差し出し、指をクイっと手招き――まとめて、かかって来い
アンブレイカブルには、この手の【挑発】がよく効く

ぉおおおおお!!!
【気合い】の雄叫びを上げ、燃え盛る炎(属性攻撃・焼却)と化した【覇気】を四肢に纏う
【怪力】の拳打で打ちのめし、蹴撃で【吹き飛ばし】
【ダッシュ】で勢いをつけてからの【ジャンプ】で――【熾天流星脚】!!



「この空気、この気配、この殺意……懐かしき黄金闘技場」
 記憶には無いはずなのに、五感で感じる全てから、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は既視感を抱いていた。己の出自や過去の記憶を知らず、物心ついた頃には破邪の聖槍を手に都市の闇を駆けていた――そんな彼女が、他のどの世界でも感じなかった懐かしさを、ここサイキックハーツで感じている。
「私は、この世界を知っている。かつての戦いを、魂が覚えている」
 それは理屈ではない確信だった。まだはっきりと記憶が戻ったわけではないが、それでも自然に身体が動くのだ。
 かつてこの世界はダークネスに支配され、人類は終わりなき苦難を強いられていた。そして今、オブリビオンとして復活したダークネスが「見えざる圧政」を再開しようとしているなら、自分が為すべきことはひとつ。

「ここは私が護るべき世界だ」
 確固たる決意を魂に宿し、シスター服でリングに上がるオリヴィア。手足には白銀に輝くガントレットとグリーブを着け、並々ならぬ闘志を全身に漲らせている。エスパーでもダークネスでもない闖入者が、これほどの気迫を発していれば、他の参加者からも注目を集めるのは当然だろう。
「――まとめて、かかって来い」
 闘技場にいるオブリビオンに向かって、彼女は掌を上に向けて差し出し、指をクイっと手招き。武と闘争の権化たるダークネス種族「アンブレイカブル」には、この手の挑発がよく効く。案の定、触発された武人たちが次々とリングに上がってきた。

「俺達を全員相手にするつもりか?」「面白い。どの程度の実力か見せてもらおうか!」
 黄金闘技場に引き寄せられた者はオブリビオンとしては弱小なれども、ひとかどの格闘家や武芸者ばかりだ。最強を目指して死闘に励む血塗られた求道者たちが、一斉にオリヴィアの元に殺到する。彼女にこれを迎え打てるだけの力量があることを期待して。
「ぉおおおおお!!!」
 対するオリヴィアの返答は、咆哮。気合を籠めた雄叫びと共に、燃え盛る炎と化した覇気を四肢に纏う。五体に宿る怪力は超人の域にあり、繰り出す拳は鉄槌の如く敵を打ちのめし、蹴撃を放てば敵はリングの外まで吹き飛んでいく。半端な武威では拳を交えることさえ叶わない、実戦にて鍛え上げられた破邪の武闘だ。

「なんと!」「これほどとは……!」
 予想以上、あるいは期待以上の戦いぶりを見せる闖入者に、アンブレイカブルたちも驚嘆を禁じ得ない。だが、この程度でまだ底を見せたつもりはないと、オリヴィアはおもむろにダッシュで勢いをつけ、ジャンプで空に跳び上がる。
「猛き炎よ、我が脚に集い、破邪の流星となれ――【熾天流星脚】!!」
 聖なる炎を纏った跳び蹴りが、着弾と同時にリングを灼熱に包む。その火力、その破壊力、たとえ直撃を受けずとも決着を付けるには十分すぎた。五体を砕かれ、あるいは焼き尽くされ、リングに立っているのはただ一人の拳士のみ。

「見事だ……」「お主なら或いは、あの大老をも……」
 黄金円盤リングにて力尽きたアンブレイカブルたちは、勝者オリヴィアへの賛辞と激励の言葉を遺して散っていく。
 この闘技場を築き上げた主、最強のアンブレイカブルの一角たる『ジークフリート大老』は、この戦いの果てで待っている――懐かしき感覚に身を委ねながら、オリヴィアの激闘は続くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鏡島・嵐
うーん、負かした相手から力を奪うとかおっかねえ奴だなあ。
しかも問答無用とか……おれみたいに戦うのが嫌いな人まで巻き込まれてちゃあ、他人事には思えねーな。
そういうことなら、頑張らなくちゃな。

ともかく、まずは巻き込まれた人を逃がさねえと。
リングの中で、明らかに戦闘意欲が無さそうな人を〈第六感〉で見分けつつ探してみる。
……形の上だけでも戦っているってことにした方がいい気がするから、《二十五番目の錫の兵隊》に峰打ちさせて、こっそり外へ送り出す。
中には自棄を起こして突っかかってくる人もいるかもだけど、そこは〈武器落とし〉とか〈マヒ攻撃〉を当てて戦意を喪失させて、同じように逃がしてみる。



「うーん、負かした相手から力を奪うとかおっかねえ奴だなあ。しかも問答無用とか……おれみたいに戦うのが嫌いな人まで巻き込まれてちゃあ、他人事には思えねーな」
 あまり好戦的ではないどころか、戦いに恐怖感を抱いている鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)にとって、この黄金闘技場は居心地のいい場所とは言えないだろう。強さを求めるためなら死闘も辞さない輩がうじゃうじゃいる中で、紛れ込んだ一般人の気持ちがよく分かる。
「そういうことなら、頑張らなくちゃな」
 闘技場のボスの企みを阻止するのは勿論、無関係な一般人の血も流させない。怖がりな彼がそれでも逃げないのは、逃げればもっと悲惨なことになると分かっているからだ。脚が震えそうになるのを堪え、壮絶な戦いの舞台に上がる。

「ともかく、まずは巻き込まれた人を逃がさねえと」
 リングの中で嵐はまず、明らかに戦闘意欲が無さそうな人を第六感で見分ける。割合としては闘志に満ち溢れた連中のほうが多いぶん、そうでない者を探すのは難しいことではなかった。他のオブリビオンに絡まれる前に、こちらから勝負を挑む。
(……形の上だけでも戦っているってことにした方がいい気がするな)
 このリングも戦いを強制するユーベルコードの産物なら、きちんと勝敗を付けなければ脱出できない可能性が高い。
 幸い、戦い方には制限がないようなので、嵐は【二十五番目の錫の兵隊】を召喚し、手加減しつつ攻撃を指示する。

「痛かったらごめんな」
「ぐふっ……!」
 通常攻撃無効のエスパーとはいえ、ESP以外の能力は他世界の人間と大差ない。錫の兵隊から峰打ちを食らうと、相手はあっさり倒れた。勝敗さえ決まれば敗者の生死は問われないようで、【黄金円盤リング】の効果はこれで消滅した。
「ほら、今のうちだ」
「で、出られるのか……ありがとう、助かったよ……」
 また血気盛んな連中に目をつけられる前に、嵐は倒した一般人をこっそり闘技場の外へ送り出す。相手も彼が手加減してくれたのは分かったようで、心底ほっとした表情で何度もお礼を言いながら去っていった。表社会ではそれなりに腕のたつ格闘家でも、流石に生きた心地がしなかったようだ。

「ちくしょう、やってやるッ!」
 同じように巻き込まれた一般人の中には、自棄を起こして突っかかってくる者もいる。が、嵐も戦闘は怖いなりに場数を踏んでおり、そこは素早く制圧にかかる。お手製のスリングショットから放たれた弾丸は対戦相手の武器を正確に撃ち落とし、関節や腱に命中して一時的なマヒを引き起こす。
「大丈夫だ。おれはアンタを殺す気はないから」
「いてて……ほ、本当か? よかった……」
 相手が戦意を喪失して戦うのを止めてくれたら、あとは同じだ。無事に闘技場の外まで出ていくのを見届けてから、嵐はまた次の対戦相手を探す。一般人を救出しながら勝ち星を重ねれば、黄金闘技場はさらなる戦いへ彼を誘うだろう――望むところとは言い難いかもしれないが、この状況を根本的に解決するには避けられぬことだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

皐・芽衣
ふむ、この闘技場自体が蠱毒の壺みたいなものか。
このオブリビオンらも、戦闘を強要されておるんじゃな。
可哀想な気もするが、滅するべき相手であることには変わりない。
来い! まとめて相手してやろう!

戦場の流れを[見切り、功夫]での攻撃で
【神羊拳・雷掌】による内部破壊と[電撃]での[マヒ攻撃]。
マヒや内部破壊で動きが悪くなった[敵を盾にし]たり
[怪力でぶん回し、吹き飛ばし]てぶつけて数を減らしていこうかの。

攻撃を捌ききれないときは[オーラ防御で受け流し、カウンター]。
一般エスパーは攻撃を[受け流し、武器落とし]して
[優しさ・電撃・マヒ攻撃]で気絶させる。すまんの、待っとってくれ。

さぁ、次はどいつじゃ!



「ふむ、この闘技場自体が蠱毒の壺みたいなものか。このオブリビオンらも、戦闘を強要されておるんじゃな」
 死をも辞さぬ戦いを繰り返し、最終的に勝者が敗者の力を総取りする「黄金闘技場」というシステム。それに巻き込まれたオブリビオンには元々好戦的な者もいるが、そうでない者もいる。望む望まぬに関わらず、ここに引き寄せられてしまった時点で拒否権はないのだ。
「可哀想な気もするが、滅するべき相手であることには変わりない」
 今は巻き込まれた立場でも、この世界のオブリビオンは邪悪なダークネス。いずれ違う形で人々を脅かしていただろうと考えると、皐・芽衣(金色一角のメイメイ・f35724)も容赦する気はない。これもまた猟兵の務めのうちである。

「来い! まとめて相手してやろう!」
「ぶち殺してやるぜ!」「うおおおおッ!!」
 芽衣が黄金円盤リングに入って挑発すると、同じリングにいたオブリビオンが襲い掛かってくる。いずれも腕に覚えのあるダークネスばかりだが、彼女も格闘術から刀剣術、槍術に至るまで武芸に精通した達人であり、力比べなら望むところだった。
「ちびすけが、そんな小せえ拳が効くかよ!」
「触れられれば充分じゃ!」
 戦場の流れを見切り、リングの間合いを掌握した彼女は、鍛え上げた功夫で敵を打つ。格闘では不利に見られがちな小柄な体躯ではあるが、接触の瞬間流れ込む闘気は敵を内部から破壊し、拳に帯びた電撃が筋肉と神経をマヒさせる。

「これぞ【神羊拳・雷掌】じゃ」
「ぐはぁっ!?」
 相手をチビと侮ったばかりに痛い目を見たオブリビオンは、吐血しながらフラフラとよろめく。倒れなかった根性だけは大したものだが、満足に戦える状態ではあるまい。動きの悪くなったそいつを盾にして、芽衣は他の連中からの攻撃を捌く。
「ちと数が多いの、ならばこうじゃ」
「「ぐおおぉぉぉっ?!!」」
 よろめく敵をがしりと掴み、怪力任せにぶん回し、ふっ飛ばして他の敵にぶつける。見た目によらぬ豪快な戦法で、なぎ倒されたオブリビオンたちの悲鳴がリングに木霊した。この闘技場に集められた者の中でも、彼女が別格の強者だとこれで示されただろう。

「やるじゃねえか……こいつはどうだっ!」
「甘いわ!」
 それでも勝負を挑んでくるオブリビオンは絶えず、攻撃を捌ききれなくなることもある。そんな時でも芽衣は落ち着いてオーラで受け流しを行い、懐に潜り込んで拳を突き入れる。綺麗なカウンターを喰らった相手は「ぐふっ!」と呻いて地面に突っ伏し――同じリングに残っているのはあと一人だけになる。
「む? そういえば一般人もおるのだったな」
「ど、どうしてこんな事に……でも、やるしか!」
 他とは明らかに気迫の違う、闘技場の力に引き寄せられてしまった一般エスパーは、強制された戦いから逃げることも許されず、やむなく襲いかかって来る。それなりに鍛えてはいるのだろうが、人外のオブリビオンに比べれば緩慢な動きだ。

「すまんの、待っとってくれ」
「はぐっ……」
 芽衣は一般エスパーの攻撃を軽く受け流して武器を落とさせ、優しく威力を調整した電撃で気絶させる。強者を選別するこの闘技場において敗者は顧みられもしないが、戦いで命を落とさなければそれ以上の危害は加えられない。穏便に敗北を与えたのち、彼女は拳を握り直した。
「さぁ、次はどいつじゃ!」
 ひとつのリングを攻略しても、次のリングと強敵が勝者を待つ。勝ち星を重ねた先に待つのは、黄金闘技場の主たる『ジークフリート大老』。どんな猛者が現れようと全て打ち倒してみせようと、天を突くように伸びた一本角が、彼女の自信と気迫を示していた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネフラ・ノーヴァ
黄金のリングとは、宝石(クリスタリアン)を引き立てるのにお誂え向きじゃないか。
そして生死を賭けた戦いを経て強者となる。宜しい、此方も血を奪って力を得る身、存分に戦おう。
リングをカツンとハイヒールで鳴らせば開戦の合図。
刺剣での技を披露し次々に相手を赤く染め上げる。
一般エスパーとやらからは手足から少しばかりの血と儚い戦意を拝借してお引き取り願おう。



「黄金のリングとは、|宝石《クリスタリアン》を引き立てるのにお誂え向きじゃないか」
 猛者たちのために『ジークフリート大老』が用意した黄金円盤リングを見て、愉快そうに笑うのはネフラ・ノーヴァ(羊脂玉のクリスタリアン・f04313)。このリングを含めた闘技場は全て、引き寄せられた者たちに命惜しまぬ死闘を強要するためにある。
「そして生死を賭けた戦いを経て強者となる。宜しい、此方も血を奪って力を得る身、存分に戦おう」
 儚げで穏やかな羊脂玉種のクリスタリアンでありながら、血と闘争を求める異端として知られる彼女にとって、この環境はまさにお誂え向きだった。集った連中も大半はそのためにリングに上がったのなら遠慮はいらない。心ゆくまま興じるとしよう。

「では始めようか」
「うおおぉッ!」
 リングをカツンとハイヒールで鳴らせば、それが開戦の合図になる。雄叫びと共に突っ込んできたのは、筋骨隆々とした武人のオブリビオン。腕力ではネフラを大きく上回りそうだが、勝敗とは単純な暴力のみで決するものではない。
「血の花を咲かせるがいい……!」
 血棘の刺剣にて披露するは流麗なる武技。突き刺さった刃は出血を強い、まるで赤い花のように鮮血が吹き上がる。
 目にも止まらぬ【染血散花】の連続攻撃を受けたオブリビオンは、断末魔を口にする暇もなく、自らが咲かせた花の中に斃れた。

「まだ来るのだろう?」
「応ッ! 次は俺だ!」
 敗者がリングから退場すれば、次の対戦相手がリングに上がってくる。強者と分かれば萎縮するのではなく、むしろ勇んで掛かってくる連中が多いのは好ましい。ネフラもそうした挑戦者を快く迎え撃ち、次々に赤く染め上げていく。
「ふふ、悪くないな」
 敵の返り血を浴びてネフラの剣と肢体も赤く濡れ、口元には愉悦の笑みが浮かぶ。むせ返るほどの鉄錆の匂いこそ、彼女にとっては素晴らしき香水であろう。咲き乱れる血花と凛と立つその姿は、背筋が凍るような異端の美であった。

「こ、こんなの勝てっこない……けど、やるしかっ!」
「ふむ、貴殿は一般エスパーとやらか」
 次いで戦いを挑んできたのは、これまでのオブリビオンとは毛色の違う輩だった。話には聞いていたが、望まずして闘技場に引き寄せられた一般人がいるというのは事実だったらしい。「通常攻撃無効」と微弱な超能力だけで、普通の人間がここで戦うのは荷が重かろう。
「お引き取り願おう」
「うっ……!」
 ネフラは一般エスパーの手足から少しばかりの血と、儚い戦意を拝借して敗退させる。弱者をいたぶる趣味はなし、それは闘技場の主も同じであろう。求めるのは死闘を勝ち残った強者のみ――さらなる猛者との邂逅を求めて、彼女はリングに立ち続けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リュール・ディールーク
幸運と第六感は常に発動

邪龍二人

行きますよ!いざ勝負!
オブリビオン達の戦いに乱入する

よっ!はあっ!
雑魚のオブリビオンの攻撃は心眼で見ながらリベラシオンによる斬撃波を放ち倒す

属性誓約!氷水神龍!
UCを発動して氷刃を周りの敵に放ち殲滅する

…ごめんなさい
水は一般エスパーや格闘家の人達に放ち気絶させる程度の威力で放つ


『ああ…嫌な事思い出しました』
UCUC蘇りし勇者の剣の精霊で人として顕現したルアンは概念斬でオブリビオン達を瞬殺する(どういうやらリュール達を助けた恩人よりも前の持ち主の事らしい…)

『ふん!筋トレして出直して来なさい』
挑んで来た一般エスパーは起源変化の力で通常攻撃無効化を書き換えて殴り飛ばす


ヴェイル・ディールーク
怪力は常に使用

邪龍二人

行くよ!お姉ちゃん!
姉と自身に結界術を高速詠唱で展開する

吹き飛べ!やあ!
心眼で敵の動きを見ながら推力移動で相手の懐に飛び込んで棍棒で殴り飛ばす

邪龍流星煌!
UCを発動して敵を殲滅する

あっ…一般エスパーさん、ごめんなさい
一般エスパーの攻撃は結界術で防ぎながらUC面影宿しを発動して気絶させる
(指定UCの効果で発動して手加減している)


遅い!
敵には素早く呪殺弾を放ち倒していく

お姉ちゃんとルアンの結界を展開し直さなきゃ!
と二人と自身に展開した結界術を高速詠唱で再び展開した

ルアンは何か嫌そうな顔してるけど何かあったのかな?
ルアンの心配をしつつ再び戦闘を開始したのだった。



「行きますよ! いざ勝負!」
 黄金闘技場にて繰り広げられるオブリビオンたちの戦いに、颯爽と乱入するのはリュール・ディールーク(時を駆ける邪龍〜皆の止まった時間を動かす為に〜・f42338)。ここでは猟兵も闘技場のルールに従わねばならぬと言うのなら是非もない、真っ向から全員討ち倒すまでだ。
「行くよ! お姉ちゃん!」
 後に続いて妹のヴェイル・ディールーク(邪龍の少女〜理不尽が蔓延る世界に挑む〜・f42495)もリングに上がり、自分と姉の身を守る結界を高速詠唱で展開する。ここに集まっているオブリビオンの大半は弱小とのことだが、それでも気は抜けない。死闘を重ねることで思わぬ猛者が育っているかもしれないのだから。

「お前らダークネスか? 灼滅者か?」「なんでもいい、勝負だ!」
 血と闘争に飢えたオブリビオンたちは、新たな参加者を見るなり戦いを挑んでくる。生前はアンブレイカブルと呼ばれていた、狂える武人のダークネスのようだ。ただ強さのみを追求して鍛え上げた武技は人外の領域に達しているが、オブリビオンとしてはまだ弱い。
「よっ! はあっ!」
「がはッ?!」
 リュールは心眼で攻撃を見切ると、神剣「リベラシオン」を一閃。放たれた斬撃波は一撃で相手を真っ二つにした。
 彼女は世界を渡る冒険者にして、神にも匹敵する力を持つ邪龍。見た目は人間の少女でも、これしきの雑魚に遅れを取ることはない。

「吹き飛べ! やあ!」
「ぐわーーーッ!?」
 姉と同じ邪龍の一族であるヴェイルも、心眼を研ぎ澄ませながら推力で移動し、敵の懐に飛び込むと棍棒を振るう。
 片手で振り回すにしてはやけに丈夫で頑丈な「ドラ棍棒」で殴られたオブリビオンは、野球ボールのように場外へと吹っ飛んでいった。
「遅い!」
「ぐうッ!」「ハハッ、やるな!」
 なおも近付いてくる連中には、素早く呪殺弾を放って応戦。邪龍の集落の長を務めていた彼女の実力も並ではない。
 しかしオブリビオンたちは怯むどころか逆に奮起する。強者との死闘こそ彼らの望みであり、最強への道程なのだ。『ジークフリート大老』がこんな連中ばかりを集めたのか、こんな連中しか生き残らなかったのかは定かではない。

「属性誓約! 氷水神龍!」
「邪龍流星煌!」
 リングに敵の数が増えてくれば、二人の邪龍はユーベルコードを発動。氷の龍角と水の翼を出現させたリュールは、万物を断つ超神速の氷刃を放ち、魔杖「ブラックドラゴンロッド」を掲げたヴェイルは、次元を越える大量の黒流星を呼び出し、オブリビオンを殲滅する。
「「ぐわぁぁあぁぁっ!!!!」」
 まさにレベルの違う猛攻に晒されたオブリビオンたちは、骨どころか灰の一片すらも残らず消滅する。一人一人でも強大だが、姉妹二人揃ったパワーは群を抜いている。もはやこの辺りのリングに彼女らの敵になりそうな相手はいないだろう。

「な……なにあれ、強すぎでしょ」「勝てっこないってのに~!」
 そんな二人を唖然とした表情で見ている者たちがいる。黄金闘技場に誤って引き寄せられてしまった、オブリビオンではない一般エスパーだ。人間基準ではそれなりに腕のたつ格闘家でも、死闘を勝ち抜けるほどの実力や覚悟はなく、さりとて逃げることもできない彼らは、やむなく殴りかかって来た。
「あっ……一般エスパーさん、ごめんなさい」
「……ごめんなさい」
 戦いを強要されているだけの人間にはヴェイルもリュールも本気は出さず、結界で攻撃を受け止めつつ、手加減した水撃や【面影宿し】の術で気絶させる。災害や飢餓などの「通常攻撃」を無効化するエスパーもユーベルコードの前では無力で、あっさりと敗退を喫することになった。

『ああ……嫌な事思い出しました』
 その様子を見て露骨に不機嫌な態度になるのは、【蘇りし勇者の剣の精霊】により人として顕現したリュールの愛剣「ルアン・メイ」だった。どうやら彼女のかつての所有者――リュール達を助けた恩人よりも、さらに前の持ち主の事を思い出したらしいが、その詳細を彼女が口にすることはない。
『ふん! 筋トレして出直して来なさい』
「ぎゃあっ!?」「ぐはっ!!」
 鬱憤を晴らすように、ルアンは概念斬で近くにいたオブリビオンたちを瞬殺すると、挑んで来た一般エスパーを殴り飛ばす。起源変化の力で「通常攻撃無効」のESPを書き換えてしまえば、ただのパンチも有効打だ。無論、後者は殺さないように加減しているが。

「ルアンは何か嫌そうな顔してるけど何かあったのかな?」
 いつもと様子が違うのに気付き、ルアンの心配をするヴェイルだが、今はまだ落ち着いて話を聞ける状況ではない。
 一体どれだけのオブリビオンがこの黄金闘技場集まっていたのか、リングに上がってくる敵は未だに途切れない。
「お姉ちゃんとルアンの結界を展開し直さなきゃ!」
 二人と自身に展開した結界術を、高速詠唱で再び展開し、再び戦闘を開始するヴェイル。まずはここを切り抜けた後で、様子を尋ねることもできるだろう。邪龍と剣霊の三者はいずれ劣らぬ実力をもって、闘技場の死闘を勝ち上がっていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

星詠・黄泉
判断が遅い
心眼と気配感知で周りのオブリビオンの位置を感じ取り電撃を周りに放つ

それも読めている
オーラ防御でオブリビオンの攻撃を防ぎながら反撃の斬撃波を放つ

…眠れ
UCを発動して推力移動で一般エスパーの背後に回り込み生成した通常攻撃無効貫通の性質の宝石で殴って気絶させた

数が多いならそれを上回る手数で押し切るまでだ
巨大な宝石を生成してそれに乗りオブリビオン達を電撃と斬撃波で攻撃していく

しかし闘技場とは懐かしいな…レントと初めた会った時を思い出すよ
と今は戦闘中なので爆発する宝石を背後から攻撃しようとしてきたオブリビオンに当てた

…ジークフリート大老よ、私のUCの正体を見抜けるか?
とその先の敵を見据えていた



「次の相手はテメェか! どんな腕前か見せてもらお……」
「判断が遅い」
 戦いのリングに上がってもべらべらと喋っている粗忽者に、星詠・黄泉(星を駆ける剣豪・f43659)は容赦しない。
 すでに心眼と気配で周りのオブリビオンの位置を感じ取っていた彼女は、挨拶と言うには強烈な電撃を解き放った。
「「ぐわぁぁぁっ?!」」
 迂闊にも対戦相手を侮ったオブリビオンは一瞬にして黒焦げとなる。ここを訪れた時点から黄泉はもう臨戦態勢だ。
 戦い、勝利し、高みを目指すのが黄金闘技場のルールだと言うのなら、今はそれに従おう。この闘技場を築き上げた『ジークフリート大老』に挑むために。

「やるじゃねえかッ!」
 初撃で実力を示した黄泉の元には、闘技場に集まったオブリビオンの中でも腕に自信のある連中が挑戦してくる。
 おそらくこいつもアンブレイカブル――最強を求める闘技者のダークネスだったのだろう。フィジカルも技のキレもなかなかのレベルではある、が。
「それも読めている」
「ぐはぁッ!!」
 黄泉はオーラでオブリビオンの攻撃を防ぎながら「雷鳴刀」を鞘走り、反撃の斬撃波を放つ。その名の通り、稲妻のような鍔鳴りの音が響き渡ったかと思えば、すでに相手は斬り伏せられていた。一体どれほどの時を鍛錬に費やしたのか、凡百にはたどり着けない剣技の冴えだ。

「……眠れ」
「へっ?」
 次に黄泉が狙ったのは、闘技場に巻き込まれてしまった一般エスパーだった。【偽りのMUC オーガ5】を発動して鬼の姿に変身した彼女は、神速の推進力で背後に回り込み。相手が目を丸くしているうちに宝石を生成して殴りつける。
「はぐっ!」
 この世界の人類は全員「通常攻撃無効」だが、黄泉の宝石はそれを貫通する性質が付与されている。もちろん手加減しているので重傷にはならないが、気絶させるには十分だった。この戦いが終わるまで、しばらく敗者として伸びていてもらおう。

「数が多いならそれを上回る手数で押し切るまでだ」
「ッ、こいつ強え!!」「敵わねえか……がはッ!」
 なおも闘技場には大勢の敵が残っているのを見た黄泉は、一般エスパーを殴り倒したものよりも巨大な宝石を生成。
 その上に乗ってリングを飛び回りながら、オブリビオンどもを電撃と斬撃波で攻撃していく。閃く雷光と斬撃の軌跡にそって、ばたばたと敵が倒れていくさまは圧倒的だ。
「しかし闘技場とは懐かしいな……レントと初めた会った時を思い出すよ」
「なにを考え事してやが……ぶほァッ!?」
 昔の記憶にふと思いを馳せながら、爆発する宝石を背中越しに放る。背後から襲いかかろうとしたオブリビオンが、それに当たって吹っ飛んだ。今が戦闘中なのは黄泉も承知のことだ、隙があるように見えても油断は一切していない。

「……ジークフリート大老よ、私のユーベルコードの正体を見抜けるか?」
 弱小オブリビオンどもを蹴散らしながら、黄泉はその先の敵を見据えていた。まだ姿は見えずとも、黄金闘技場の主がここで起こった戦いを把握していない、などということは無いだろう――挑戦的な物言いで相手の力量を推し量りながら、彼女はまた新たな宝石を生成するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

戒道・蔵乃祐
蠱毒か
|意図が《エスパーに》伝わっているにしろ、関知していないにしろ、暴力を持て余す血気盛んな輩というものは何処の世界にでも居るのでしょう

そしてアンブレイカブル達の習性は強くなること、それ以外の目的は元々有って無きが如し
勢力や派閥として群れることが有ったとしても、それは結果的なもの
頭を潰せば瓦解するはずです

◆来迎会
聞き耳+読心術でダークネスに襲われているエスパーの元へと駆け付け、かばう+ジャストガードで助け出す

下がっていなさい
電撃+念動力でエスパーには防御の加護を与え、切り込み+グラップルの乱れ撃ちで雑兵を纏めて蹴散らします
勝ち抜ける猟兵以外の闘士が居なくなれば不戦敗でしょう
それまでは守ります



「蠱毒か。|意図が《エスパーに》伝わっているにしろ、関知していないにしろ、暴力を持て余す血気盛んな輩というものは何処の世界にでも居るのでしょう」
 オブリビオンではない一般エスパーがジークフリート大老の「黄金闘技場」に引き寄せられたのは、やはりそういう事なのだろうと戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)は推察する。強さへの欲求はダークネスでなくてもヒトなら普遍的に持ちうるものであり、新時代が到来してもそうすぐには変われまい。
「そしてアンブレイカブル達の習性は強くなること、それ以外の目的は元々有って無きが如し。勢力や派閥として群れることが有ったとしても、それは結果的なもの」
 中には弟子を取ったり弱者を鍛えたりする変わり者もいるが、強者との死闘を経て己自身の「最強」を目指すのが、アンブレイカブルというダークネスである。ここ黄金闘技場に多くのオブリビオンが集まっているのも、「大老」と号される旧時代最強格のアンブレイカブルの本拠地だからであり――。

「頭を潰せば瓦解するはずです」
 倒すべき相手はたった一人。だが、その一人と会うには幾多の死闘を突破しなければならない状況。ジークフリート大老への挑戦権を得られるのは、実力を示した強者だけだ。ここに集められたオブリビオンの大半は、そのために黄金円盤リングで争っている。
「さあ勝負だ! お前も俺の糧となれ!」
「う、うわっ……やるしかないのか!」
 その対戦相手に選ばれるのは、同じオブリビオンとは限らない。聞き耳を立てる蔵乃祐のもとに届いたのは、襲われている一般エスパーの悲鳴と(どうしてこんな事に!)という心の叫びだった。通常攻撃は無効でもユーベルコードに対抗手段のない一般人がダークネスと戦えばどうなるか、彼らもよくよく理解しているはずだ。

「オラァッ……なにッ?!」
「死合が望みなら、自分が相手を務めましょう」
 今まさに叩きつけられる無慈悲な暴力から、間一髪エスパーをかばう蔵乃祐。完璧にタイミングを合わせたガードでアンブレイカブルの拳を受け止め、完璧にダメージを殺しきる。これだけでも彼の武闘家としての実力は推し量れた。
「下がっていなさい」
「へ? は、ははいっ」
 命拾いしたエスパーに電撃と念動力で防御の加護を与え、後ろに下がらせる。自分程度が割り込めるレベルではないと悟っただろう、言われたほうも素直に言う通りにした。とはいえ決着が付くまでリングから下りられない黄金闘技場のルールがある以上、逃げ出すことはできないのだが。

「勝ち抜ける猟兵以外の闘士が居なくなれば不戦敗でしょう。それまでは守ります」
「フン、貴様も弱者のために拳を握る程度の者か」「闘争に不純物を持ち込む者は不要! せめて我らの糧となれ!」
 一般人を護らんとする姿勢はダークネスには惰弱と映ったか、リングにいた敵が一斉に蔵乃祐に襲い掛かってくる。
 オブリビオンとして復活してもなお、最強の頂きを追い求め続けるアンブレイカブルたち――だが、此奴らの実力ではまだジークフリート大老にも、猟兵にも及ばない。
「|観音《かんのん》、|勢至《せいし》、無数の化佛、百千の比丘声聞大衆、無量の諸天、七宝の宮殿と共に行者の前に至る」
 蔵乃祐は【来迎会】でプラズマストームを発生させながら、敵陣に切り込みグラップルを乱れ撃ち。磁界結合により自身とエスパーへの加護をより強固なものとしながら、荒々しくも洗練された技でリング内の雑兵を蹴散らしていく。

「なッ……!」「つ、強い……ぐわぁっ!!」
 相手を軟弱者と侮ったオブリビオンどもは、了見違いを恥じる間もなく叩きのめされ、骸の海まで送り返される。
 この程度の実力では蔵乃祐の敵にはならず。ここを勝ち抜きジークフリート大老に挑戦するのは自分たち猟兵だと、彼はその後も現れる敵をことごとく返り討ちにするのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーフィ・バウム
思い出しますね、『黄金闘技場』
アンブレイカブルの三大老には其々思い出がありますが
まずはジークフリート大老を倒すべく、
勝ち進みましょう

入場する際には
《蒼翼の闘魂》使用にて真の姿へ
やはりこの世界ではこの姿ですわ!さぁ試合開始ですっ

私は受けてから勝つレスラースタイル
激痛耐性の持つ体で覚悟を決めて
オブリビオンの攻撃を受けきりますわ

貴方の力はその程度なのでしょうか?
それでは此方の番ですわね!

攻撃が止まったところで功夫を生かした蹴りを入れ、
ホールドからの必殺の投げを叩き込み
グロッキーとなったところを
怪力を生かしたラリアットで粉砕!

ダメ押しにオーラを込めたヒップドロップを落とし、
勝利を掴みますわね。失礼っ!



「思い出しますね、『黄金闘技場』」
 リングに吹き荒れる闘士達の気迫、燃え上がるような熱気と死闘の匂いに、懐かしそうに目を細めるのはユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)。或いは、ここでは「蒼き鷹」と呼んだほうが良いだろうか。かつてこの世界であったダークネスと|灼滅者《スレイヤー》の戦いを、彼女は当事者として記憶していた。
「アンブレイカブルの三大老には其々思い出がありますが、まずはジークフリート大老を倒すべく、勝ち進みましょう」
 入場する際に【蒼翼の闘魂】を発動すると、日焼けした肌は白く、銀色のロングヘアは青いショートヘアに。口調や性格も変化して、まるで別人のような真の姿へ変身を遂げる。もしも武蔵坂学園の関係者がここに居れば、その姿に覚えのある者もいたかもしれない。

「やはりこの世界ではこの姿ですわ! さぁ試合開始ですっ」
「ガッカリさせてくれるなよ。勝負だッ!」
 自信に満ち溢れた態度とお嬢様口調で挑発する「蒼き鷹」に、オブリビオンの闘士が襲い掛かる。かつてはアンブレイカブルと呼ばれたダークネスの武闘家は、最強を至上目的として己を鍛え上げる。その強さは彼女もよく知っているだろう。
「どこからでも打ってきなさい!」
「うおぉぉぉッ!」
 しかし「蒼き鷹」は受けてから勝つレスラースタイル。避けるという選択肢ははなから存在せず、ノーガードで敵の攻撃を食らう。普通はただの自殺行為だが、鍛錬と実戦で鍛え上げた鋼の肉体と、「悪しき攻撃全てを受け切り、人々を守り抜く」というレスラーの覚悟が道理を捻じ曲げる。

「貴方の力はその程度なのでしょうか?」
「な、なにィッ!? 耐えただと!!」
 猛攻を見事に受けきった「蒼き鷹」は、にやりと不敵に微笑んで対戦相手を驚愕させる。この世界にいた頃も、猟兵になった後も、もっと強い攻撃を幾らでも食らってきた。この程度では何十発当てたところで彼女からダウンを取ることすらできまい。
「それでは此方の番ですわね!」
「ぐッ?!」
 攻撃が止まったところで彼女は功夫を活かした蹴りを入れ、相手の体勢を崩してホールドに持ち込む。至近距離でのグラップルはレスラーの得意分野、一度組まれれば脱出は困難だ。もがくオブリビオンを押さえ込んで、必殺の投げを叩き込む。

「喰らいなさいませっ!」
「がふぁッ?!」
 リングに投げ落とされたオブリビオンが血反吐を吐く。なんとか立ち上がりはするが、一発で完全にグロッキーだ。
 レスラー、いや武闘家としての技術、パワー、全てにおいて格が違う。動揺を抑えて呼吸を整える間もなく、追撃がやって来た。
「粉砕!」
「ぐはぁッ!!」
 持ち前の怪力を生かした「蒼き鷹」のラリアットは、さながら断頭台の処刑斧の如し。首を刈られたオブリビオンがもんどり打って倒れたところに、ダメ押しのヒップドロップが落ちてくる。闘志のオーラを込め全体重を乗せた一撃、耐えられようはずもなく。

「失礼っ!」
「げはぁッ! お、俺の負けだ……」
 押し潰されたオブリビオンはついに敗北を認め、それきりピクリとも動かなくなった。見事勝利を掴んだ「蒼き鷹」はサッと土埃を払って立ち上がると、天高く拳を突き上げる。それは黄金闘技場にいる他のオブリビオン、そして頂点にて待つジークフリート大老への挑戦だった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『九龍槍師』

POW   :    九龍紋身
空中あるいは地形に【九龍】の紋章を描く。紋章の前にいる任意の対象に【九龍の幻影】を放ち【闘気による戦闘力向上】効果を与える。
SPD   :    九龍槍
【貫通攻撃】【薙ぎ払い】【振り回し】を組み合わせた、レベル回の連続攻撃を放つ。一撃は軽いが手数が多い。
WIZ   :    九龍招来
自身に刻まれた【九龍の刺青】を引き裂き、【闘気でできた九匹の龍】を召喚する。[闘気でできた九匹の龍]は死ぬまで敵を追跡し、【闘気の火炎】で攻撃し続ける。

イラスト:赤信号

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「どうやらまた、骨のある輩が来たようだな」「ここからは我らがお相手致そう」

 黄金闘技場に集ったオブリビオンとの死闘を制し、順調に勝ち星を積み上げていく猟兵達。
 もはや彼らに敵う者はいないかと思われたところで、これまでとは雰囲気の違うオブリビオンの集団が姿を現す。

「『竜種』を屠り、血肉を喰らうことで手に入れたこの力。貴殿らであれば相手に不足はあるまい」

 まるで古代中国の武人のような格好をしたそのオブリビオン達は、自らを『九龍槍師』と名乗った。
 彼らの肉体に浮かび上がる龍の刺青は、強敵に勝利しその力を取り込んだ証であり、実力も練度もそこらの有象無象とは別格だと窺える。
 現時点の黄金闘技場において『ジークフリート大老』への挑戦権に最も近いオブリビオンは、彼らだろう。

 逆に言えば、彼らに勝利すれば猟兵の実力に異を唱える者は誰もいなくなる。
 同様に九龍槍師達も、ここで猟兵を下せればより高みに到れる確信がある。
 大老に挑むまでの道程の、ここが事実上の決勝戦となるだろう。

「さあ征くぞ強者たちよ!」「我が絶技、とくと見よ!」

 槍を構え、龍のオーラを発する九龍槍師達。対する猟兵達も戦闘態勢に入る。
 黄金闘技場の頂点は、もうすぐそこだ――。
茂多・静穂
※連携・アドリブ歓迎

なるほど、刺青持ちですか
ならそろそろ本領発揮といきましょう

◆武装召喚で巨大メイガス「ハートバインド」を召喚
首から下を一体化する事で装着
全身動けない感覚で私の楽しみを満たしながら手足のように動かせる
異世界で見つけた私に似合う新たな装備です!

連続攻撃をレスラー時代に鍛えた近接格闘術(◆グラップル)でメイガスや盾型トラウメンヴァッフェ、時々私の鋼の肉体で防御
武に賭ける想いが伝わる中々いい攻撃でした。なら次はこちらの番!
メイガスでパワフルに格闘戦をし
トドメに触手型に分裂したトラウメンヴァッフェからUCを戦場全体に発射
倒しきれなくてもデバフはかかるので十分
敵は私だけじゃないですからね



「なるほど、刺青持ちですか」
 所持者の力を強化する刺青なら、静穂は過去にも似たようなものを見ている。この『九龍槍師』達の刺青がまったく同じかは分からないが、警戒する理由にはなった。ただでさえここは黄金闘技場、力は敗者から強者に受け継がれていくのだから。
「ならそろそろ本領発揮といきましょう」
 そう言って静穂はシャドウハンター専用サイキックメイガス『ハートバインド』を召喚。虚空より出没した巨大兵器は、彼女の首から下を拘束し、半ば一体化するような形で自身に搭乗させる。こうやって乗り手から感情エネルギーを搾り取ることで、このメイガスは稼働するのだ。

「うおッ。なんだそれは!」
「全身動けない感覚で私の楽しみを満たしながら手足のように動かせる。異世界で見つけた私に似合う新たな装備です!」
 傍目にはけったいな状態でロボットに拘束された静穂を見て、九龍槍師は驚きと疑問の声を上げるが、ドMな本人は全然気にしないどころか嬉しそうだ。事実、彼女を乗せた『ハートバインド』は意のままに動き、高い戦闘力を誇る。
「なるほど、それが貴殿の切り札ということか……」「ならば我らも全力でいこう!」
 当初は面食らった九龍槍師たちもすぐに気を取り直し、得意の【九龍槍】を繰り出してくる。突き、薙ぎ、振り回しを自在に操れる彼らの槍もまた手足の延長が如く。組み合わされる技のパターンは一撃こそ軽いものの、手数の豊富さは膨大だ。

「どうぞ存分に来て下さい! 全て耐えてみせましょう!」
 静穂は九龍槍師たちの連続攻撃をレスラー時代に鍛えた近接格闘術でいなし、メイガスの装甲や盾型の「トラウメンヴァッフェ」、そして時々は自分の鋼の肉体で防御する。敵の槍技はいずれも鋭いが、手数を重視した軽い攻撃では、何十発でも彼女のタフネスを削りきれない。
「ほう、耐えたか……!」
「武に賭ける想いが伝わる中々いい攻撃でした。なら次はこちらの番!」
 全ての攻撃をきっちりと受けきってから、メイガスによるパワフルな格闘戦で反撃。昂る感情エネルギーをパワーに変えて、繰り出す拳は大地を割る。喰らった数発分を一発でチャラにするような破壊力だ。九龍槍師たちも巧みな槍さばきでこれをいなすが――。

「トドメです!」
「「なにぃッ?!」」
 敵の体勢が崩れたところで、静穂は触手型に分裂したトラウメンヴァッフェから【我が心の漆黒弾丸一斉放射】を戦場全体に発射。彼女の|精神世界《ソウルボード》の深淵より汲み出された、暗き願望を込めた漆黒の弾丸の弾幕が、九龍槍師たちに降り注ぐ。
「倒しきれなくてもデバフはかかるので十分。敵は私だけじゃないですからね」
「ぐ、ぐおおぉぉぉ……!」「な、なんという暗き情念か……!」
 己が精神力を武器とするのはシャドウハンターの得意技だが、槍師たちの武にかける執念に勝るほど強烈な感情は、毒、拘束、部位封印に回避率低下など様々な状態異常を引き起こす。たまらず膝を屈する者、槍を支えに耐える者など対応に差はあれ、無事な者は一人もおらず――敵は万全でなない状態で次なる猟兵との戦いに挑まざるを得なかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鏡島・嵐
おれに骨とか期待されてもな。戦うんはヤだし、別に相手を打ち負かす力とか欲しくねーし。
そりゃあ、こんな状況で負けちまうわけにもいかねえけど。
……怖ぇけど、やるしかねえよな。力を貸してくれ、クゥ!

クゥを呼び出して騎乗したら、人獣一体で攻撃を仕掛ける。
連続攻撃を喰らい続けるとか、ぞっとしねえな。〈第六感〉を活かして、少しでも相手の攻撃の筋を〈見切る〉ように努める。
躱しきれないなら〈オーラ防御〉で耐える。一撃が軽いんなら、全部当たらねえ限りは耐えられそうだ。
勿論隙があるなら〈武器落とし〉や〈マヒ攻撃〉で攻撃の出鼻を挫いてやる。

凌ぎきれたら反撃開始だ。隙を見て〈スナイパー〉ばりの一撃を叩き込むぞ。



「おれに骨とか期待されてもな。戦うんはヤだし、別に相手を打ち負かす力とか欲しくねーし」
 どちらかと言えば常識人寄りな嵐の感想は、ここ黄金闘技場においては逆に異端であった。戦い続け、打ち負かし、最強の座を求めてひたすらに力を高める。そういうイカれたオブリビオンのためのリングであり、修行ならざる死闘の舞台なのだから。
「そりゃあ、こんな状況で負けちまうわけにもいかねえけど」
 過酷な環境だからこそ、それを生き延びたオブリビオンは強敵となる。目の前にいる『九龍槍師』がまさにそうだ。
 彼らの武が同族ではなく一般エスパーや灼滅者に向けられない保障はどこにもない以上、みすみす放置するのは論外だった。

「……怖ぇけど、やるしかねえよな。力を貸してくれ、クゥ!」
 今一度己を奮い立たせ、嵐は【我が涅槃に到れ獣】を発動。基底形態の仔ライオンから焔を纏った黄金のライオンに変身した「ア・バオ・ア・クゥ」に騎乗し、人獣一体で攻撃を仕掛ける。互いの戦闘力を強化しながら生命力を共有する彼らは、まさに一心同体の関係だ。
「焔獅子の乗り手とは。相手にとって不足なし」「参る!」
 放たれるスリングショットの弾丸や獅子の爪牙を、九龍槍師は【九龍槍】で捌きつつ反撃してくる。攻撃のパターンは大きく分ければ突き、薙ぎ払い、振り回しの三種だが型は様々であり、組み合わせれば無限の選択が生まれる。これが竜種を屠ったという彼らの槍技だ。

「連続攻撃を喰らい続けるとか、ぞっとしねえな」
 嵐は持ち前の第六感を活かして、少しでも相手の攻撃の筋を見切るように努める。ヤバい奴らの攻撃ならこれまでにも散々見てきたつもりだ――恐怖心は危険に対する反応を敏感にし、焔の獅子はそんな乗り手の意思を察知して回避を行う。
(一撃が軽いんなら、全部当たらねえ限りは耐えられそうだ)
 全てを躱しきれなくても、獣と乗り手を包む灼熱のオーラは防具としても機能し【九龍槍】の威力を削ぐ。痛いのは嫌だが、まだ倒れるほどのダメージでもなかった。無限に思える槍師たちの技にも、いつかは終わりが訪れるだろう。

「隙ありだ」
「うッ!」「やられた……!」
 もちろん回避と防御一辺倒ではなく、嵐は隙があるなら敵の武器落としやマヒを狙って、攻撃の出鼻を挫いてやる。
 狙い済ました妨害で九龍槍師たちの攻勢は鈍り、ユーベルコードの連続攻撃が終わる。全てを凌ぎきってなお、嵐とクゥは健在であった。
「反撃開始だ」
 攻撃後の隙を見て、嵐はスリングショットの紐をぐっと引き絞り、スナイパーばりの一撃を叩き込む。駆ける獅子の背中に跨っていてもブレない照準は、熟練の弓騎兵のようでもあり。戦うのは苦手と言いつつも優れた技能が窺える。

「グッ……見事……」「我が道、ここで潰えたり、か……」
「ああ、おしまいだ」
 急所へと正確に弾丸を喰らった九龍槍師たちは、勝者を称え、無念を零しながら骸の海に還っていく。『ジークフリート大老』への挑戦まであと一歩というところで敗れる悔しさは、武人ならば相当だろう。その感情を嵐が共有することはないが、受け渡されてしまった戦いのバトンから、ここで逃げ出すつもりもなかった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

戒道・蔵乃祐
竜種イフリートのサイキックハーツ|垓王牙《ガイオウガ》は、猿から進化した人類よりも1世代前に繁栄した知的生命体を|絶滅《全て闇堕ち》させて誕生した
故に|根源たる力《魂》の総量は膨大であったが
現世代は|竜種《最大勢力》を切り崩し、その生命力を養分に旧世代を越えるダークネス種族に成長しなければならない必然性があった
その周期は灼滅者に破壊されましたが
成長することに余念が無いアンブレイカブルは、最もその傾向が顕著だったと言える
面白い

◆酔八仙ドランクマスタリー
限界突破+ドーピングで自己強化
槍術に対抗しグラップルの早業でジャストガード+乱れ撃ち
肉を切らせて骨を断つ、見切り+フェイントと怪力の拳打脚踢で反撃



「竜種イフリートのサイキックハーツ|垓王牙《ガイオウガ》は、猿から進化した人類よりも1世代前に繁栄した知的生命体を|絶滅《全て闇堕ち》させて誕生した」
 この世界を訪れて学んだ過去の真実を、滔々と語るのは蔵乃祐。知的生命体の進化と闇堕ちによるダークネスの発生、サイキックハーツへの到達というサイクルをこの世界は何度も繰り返してきた。イフリートは現生人類とは異なる起源を持ち、現存する中では最古のダークネス種族である。
「故に|根源たる力《魂》の総量は膨大であったが、現世代は|竜種《最大勢力》を切り崩し、その生命力を養分に旧世代を越えるダークネス種族に成長しなければならない必然性があった」
 今ここにいる『九龍槍師』たちが屠ったという「竜種」も、垓王牙から分かれたイフリートの一部であり、大地に根ざしたその力はガイアパワーや龍脈とも呼ばれてきた。それが他種族にパワーソースとして利用されていたのも、次のサイキックハーツに代替わりするためのサイクルの一部だったのだろう。

「その周期は灼滅者に破壊されましたが、成長することに余念が無いアンブレイカブルは、最もその傾向が顕著だったと言える」
「歴史の講釈はその程度で十分であろう」
 面白い、と呟く蔵乃祐に対して、九龍槍師たちは槍を向けるのみ。貪欲に力と戦いのみを求める彼らには、竜という強敵に挑み、力を奪ったことに特別なものを感じてはいないのだろう。そして過去の敗者よりも現在の対戦者、未来の強者に彼らの意識は向いている。
「我らはすでに過去ゆえに」「されどまだ戦えるのであれば、ただ頂点を目指すのみ!」
 気迫と共に浮かび上がった【九龍紋身】は、槍師たちに九龍の幻影を纏わせ、闘気による戦闘力の向上をもたらす。
 黄金闘技場の戦いを勝ち上がった猛者だけあり、竜種の力も使いこなしている。猟兵とて油断すれば喰われそうだ。

「これの出番ですね」
 対する蔵乃祐は用意してきた酒をあおり【酔八仙ドランクマスタリー】を発動。接種したアルコールの量と質に応じて肉体のリミッターを解除し、戦闘力を強化して九龍槍師を迎え撃つ。大陸生まれの武人に大陸由来の武術で応戦だ。
「酔えば、酔う、、程に、」
「ぬぅッ……こやつ、出来る!」
 泥酔中のようにフラフラした蔵乃祐の動きは読みづらく、しかし独自の合理に適っており。龍の闘気を帯びた槍術を巧みな早業でガードする。その合間合間にも酒を飲むたびキレが良くなっていく彼の武術に、槍師たちも舌を巻いた。

「肉を切らせて骨を断つ」
 アルコールの摂取量が十分に達したところで、蔵乃祐は反撃に移行する。敵の技を見切ったうえで多少のダメージは覚悟し、踏み込みや目線のフェイントを織り交ぜた拳打脚踢を叩き込む。限界突破した筋肉の鎧と怪力にものを言わせた攻勢だ。
「ぐ、おおぉぉッ……!!」「見事……過去の敗者は、敗者として散るのみ、か……」
 技と力の融合を受けた九龍槍師は、自慢の槍でも貫けぬ肉体に押し潰されるようにリングに沈む。この世のサイクルの外側にいる、猟兵という来訪者の力を存分に味わった彼らは、無念ながらもどこか満足そうな表情を浮かべて骸の海に還っていった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ブリュンヒルデ・ブラウアメル
良いだろう
ここからは我も本気だ……
瞬間、地水火空風の五大属性の戦略破壊級魔導剣を振るう事で合計同時に5回の斬撃を放つ

貫通攻撃、薙ぎ払い、振り回し……それらが殺到する前に、魔導剣で一蹴する
翼を広げ、飛翔しながら距離や位置を取って再び同時5発斬撃を
竜種を喰らう、か……竜の形を取ったエリクシルや、悪しき竜神等六番目の猟兵になる前に、両手の指の数以上屠ってきた
ドラゴンスレイヤーの権能と実績は、自身だけの専売特許ではないぞ?

また魔導剣を一閃し、アンブレイカブル達を蹴散らしていくのであった



「良いだろう。ここからは我も本気だ……」
 ブリュンヒルデがそう言った瞬間、地水火空風の五大属性の「戦略破壊級魔導剣」が手元に現れる。【蒼翼の終焉破壊・戦の理を破壊する五輪なる魔法剣】は、これまでの戦果に応じて高まる力を利用したユーベルコード。弱小オブリビオンとの戦いを経て、すでに身体は温まっている。
「終焉を破壊せよ、我が蒼き翼! 遍く戦略、戦術を破壊する魔法の剣を振るう事を以て、その終焉に終焉を!」
「ぐあッ!!?」
 自慢の蒼きヴァルキリーウィングで羽ばたき、振るう斬撃は同時に合計5回。対戦相手の『九龍槍師』に【九龍槍】を振るう間を与えない速攻戦術だ。貫通攻撃、薙ぎ払い、振り回し――それらが殺到する前に、魔導剣が敵を一蹴する。

「やるな!」「そう来なくては!」
 歯応えのある戦いに飢えていた九龍槍師たちからすれば、強者の登場は望むところだ。斃れた同志には目もくれず、一気呵成に突きかかる。しかしブリュンヒルデは翼を広げ、ユーベルコードにより強化されたスピードで飛翔しながら距離や位置を取った。翼を持たず、遠距離攻撃の手段がない連中からすれば、空を舞う者の相手はやり辛かろう。
「竜種を喰らう、か……竜の形を取ったエリクシルや、悪しき竜神等六番目の猟兵になる前に、両手の指の数以上屠ってきた」
 この世界の竜と彼女の故郷の竜は同種ではなかろうが、力では比肩しうる怪物は様々な世界に存在する。ゆえに竜種の力を我が物にしたという九龍槍師も、彼女にとっては驚嘆に値するほどのものではない。遅れを取る理由は皆無だ。

「ドラゴンスレイヤーの権能と実績は、自身だけの専売特許ではないぞ?」
 ブリュンヒルデがまた魔導剣を一閃すれば、五大属性の斬撃が九龍槍師を蹴散らしていく。飛行能力による機動的な有利とユーベルコードの攻撃力を活かして、彼女はより多勢かつ手数の多い相手を凌駕していた。空を我が物とし頭上より斬り掛かる戦乙女は、かつて槍師が屠った竜種よりも余程恐ろしい。
「これが異界の竜殺しか……」「世界は広いな……どうやら我らも修行不足だったようだ……」
「良い戦いだったぞ。さらばだ」
 討ち倒された九龍槍師たちは、その業前に感嘆しながら果てていく。こうも実力を見せつけられては恨み言のひとつも出まい。潔く骸の海に還る敗者たちを見下ろしながら、ブリュンヒルデは剣を掲げ武人への敬意を表するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
槍の遣い手か
ならばこちらも槍にて仕る

そこが例え異界であろうと、宇宙であろうと
我が声に必ず応える――槍よ、来い!(念動力)

力強く踏み込み、聖槍で縦横無尽に振り回し、斬り打ち穿ち【なぎ払い】、遠心力を利用した体捌き(功夫)で蹴撃
向こうの手数は多いが、一撃一撃は軽い……【怪力】を以って防御の上から叩き潰す!

力尽くで包囲を【こじ開け】れば、槍さえ届かないほど高く高く跳躍(ジャンプ・軽業)
漲る【覇気】を聖槍に凝縮(武器に魔法を纏う)
これぞ、影の国の女王よりクー・フーリンへ伝授されたという絶技――【|爆殲魔槍《ゲイボルグ》】ッ!!
分裂した槍が降り注ぎ、闘技場を【蹂躙】する



「槍の遣い手か。ならばこちらも槍にて仕る」
 大陸の武人然とした姿の『九龍槍師』を前にして、オリヴィアはすっと手を上に掲げる。ここまで徒手空拳で黄金闘技場を勝ち上がってきた彼女だが、本来のメインウェポンは槍。使うに値する相手がいよいよ出てきたと判断したか。
「――槍よ、来い!」
 そこが例え異界であろうと、宇宙であろうと、「破邪の聖槍」はオリヴィアの声に必ず応える。流星の如く飛来した白銀の柄と黄金の穂先が、彼女の手に収まった。一目で尋常の装備ではないと分かる気配に、敵の表情に緊張が走る。

「なるほど、その槍……我らの【九龍槍】にも劣らぬ」「いざ、お相手願おう!」
 同じ槍使いということもあって闘志を燃え上がらせた九龍槍師たちは、一気呵成に攻め掛かってくる。竜種を屠ったという腕前は虚飾に非ず、突き、薙ぎ、振り、どれも洗練されている。それらを組み合わせた連撃が彼らの得意技だ。
(向こうの手数は多いが、一撃一撃は軽い……怪力を以って防御の上から叩き潰す!)
 対するオリヴィアは守勢に回るのではなく攻勢で対抗。力強く踏み込み、縦横無尽に聖槍を振り回し、迫りくる敵を斬り、打ち、穿ち、薙ぎ払う。重さで勝る攻撃が【九龍槍】とかち合えば、あまりの衝撃に槍師たちの身体が揺れた。

「おおッ……なんという剛槍か!」
「そこだッ!」
 敵の体勢が崩れたところで、オリヴィアは槍を振るう遠心力を利用して蹴撃を繰り出す。槍技だけでなく功夫の練度も先程披露した通り、鉄槌の如き打撃が「ぐおッ?!」と九龍槍師を吹き飛ばす。まだ生きていたとしても即座に立ち上がれはすまい。
「爆ぜ穿ち、蹂躙せよ――!」
 力尽くで包囲をこじ開ければ、オリヴィアは両足に力を込めて地面を蹴り、槍さえ届かないほど高く高く跳躍する。
 戦乙女の如く太陽を背にした彼女を、驚嘆の表情で槍師たちが仰ぎ――漲る覇気を聖槍に凝縮されていくのを、彼らは見た。

「これぞ、影の国の女王よりクー・フーリンへ伝授されたという絶技――」
 聖槍と己の技量をもって伝説の秘技を再現したものが、オリヴィアのユーベルコードには幾つかあるが、これもその一つだ。畏怖すら感じるほどの気迫をこの一撃に集約させ、彼女は天から地へと槍を投げ放つと同時、その技名を高らかに叫んだ。
「【|爆殲魔槍《ゲイボルグ》】ッ!!」
 瞬間、投じられた聖槍は穂先から枝分かれするように分裂し、闘技場全域へと降り注ぐ。増えたからといって一本の重みが軽くなったという訳でもなく、全てが必殺級の威力。まさに人の域を超えた神業を前にして、竜を屠る武人とて抗う術はない。

「……見事なりッ!」「斯様な絶技を最期に見れた事、武人の誇りよッ!」
 最期までアンブレイカブルの信念の元、九龍槍師たちは闘技場を蹂躙する【爆殲魔槍】に挑み、そして果てていく。
 跳躍を終えリングに降り立ち、槍を回収したオリヴィアの前に、もはや立ちはだかる者はなく、武威に異を唱える声もまた存在しなかった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネフラ・ノーヴァ
ほう、竜を屠るか、それは誉れであるという。なれば貴公らにとって宝石人はトロフィーとなるだろうか。フフ。
まずは戯れに剣を打ち合わせよう。相手が素早い連続攻撃を仕掛けてくれば
残像を残しながら踊るように見切り挑発的な笑顔で応じる。
息が荒くなって来た頃を見計らい、UCの反射結晶で不規則な動きで接近、とどめを狙う。
竜を屠る技がそれ以外にも通用するとは限らないものだが、数多世界の血を吸った剣は貴公に死を与えよう。



「ほう、竜を屠るか、それは誉れであるという。なれば貴公らにとって宝石人はトロフィーとなるだろうか。フフ」
 どこか蠱惑的とさえ感じられる優美な笑みに、隠しきれぬ闘志を秘め。再びリングに上がったネフラは『九龍槍師』に刺剣の切っ先を突きつける。やすやすと褒賞として捧げてくれる命ではないのは、先の戦いを見ていれば明らかだ。
「強者と戦い、勝利し、糧とする」「そうして得た全てが我らの宝よ」
 この美しき宝石の剣士を屠れば、武人としてさらなる高みに到達できようと、九龍槍師も闘志を漲らせる。これ以上は言葉を交わす必要もないだろう。どちらからともなく間合いに踏み込めば、張り詰めた空気は一気に熱戦に転じた。

「さあ、魅せてくれ」
「参る!」
 まずは戯れに剣を打ち合わせるネフラ。相手が素早い連続攻撃を仕掛けてくれば、残像を残して踊るように見切る。
 突き、薙ぎ、振りを組み合わせた【九龍槍】は、一撃こそ軽いが手数に秀でている。それを尽く捌ききれるのは経験と練度のなせる業だろう。
「フフ、どうした?」
「まだまだッ!」
 挑発的な笑顔で応じる余裕さえあるネフラに、さらなる追撃を行う九龍槍師。一つ一つの技の型は見切れても、組み合わせのパターンは何百通りにもなる。並の武人であれば途中で読みきれなくなるものだが――相手が尋常の達人ではないことを、彼は身を以て理解することとなる。

「ふぅっ、ふぅっ……!」
 突きを躱され、薙ぎを流され、振りを逸らされ。有効打を一つも与えられぬまま、九龍槍師の息が荒くなってくる。
 いかに【九龍槍】でも永遠に攻撃を継続できる訳ではない。使い手の疲労、技と技の間に生まれる隙。その頃合いを見計らってネフラは【閃血惨花】を発動させた。
「さあ、美しく散る花となれ……!」
 空中に忽然と出現する反射結晶。それを足場にして不規則に戦場を跳躍しながら、槍の間合いの内側まで接近する。
 思わず「なんと!」と目を見張った敵に、手向けるは刺突の4連撃。鋭利な殺意を秘めた血棘の刺剣が、美しき直線の軌跡を描く。

「竜を屠る技がそれ以外にも通用するとは限らないものだが、数多世界の血を吸った剣は貴公に死を与えよう」
「……見事……だ……我如きの手に収まる、宝ではなかったか……」
 軽やかに剣風が吹き抜けていった直後、九龍槍師の全身から花のように鮮血が吹き出す。最期の瞬間、返り血を受けたネフラ――誰よりも白を赤く染め上げながら、未だ誰にも傷つけられぬ宝石人の微笑を目に焼き付けて、彼は闘技場に斃れたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星詠・黄泉
来たか、行くぞ
刀を構えて戦闘態勢をとる(オーラ防御を展開しておく)
(貫通攻撃は払えるか分からない、薙ぎ払いも分からないならば…)
敵のUCに対しては心眼で槍の動きを見ながら推力移動で回避する

このタイミングで崩せば…
振り回しをしたタイミングで刀でシャドウパリィして弾いた瞬間電撃を放ち反撃する

今だ、五感よ…失え
指定UCを発動して周りの敵に攻撃する

オーガ5…
指定UCの効果でUC偽りのMUC オーガ5を発動する
攻撃を食らわなかった敵には電撃の性質を付与した宝石を投げて攻撃した

よし、後は速度で圧倒するのみだ
加速する性質巨大な宝石を生成して敵に電撃を放つ

…ジークフリート大老よ、このUCの正体が分かったか?



「来たか、行くぞ」
 次の対戦相手がリングに上がってくると、黄泉はオーラの防御膜を展開し、刀を構えて戦闘態勢を取る。これまでとはレベルの違う相手だと一目で分かったが、やる事が変わるわけでもない。『ジークフリート大老』への挑戦権を得るまで、ひたすら勝ち続けるのみだ。
「相手にとって不足なし」「いざ、参る!」
 すでに黄金闘技場で幾多の勝ち星を積み上げてきた『九龍槍師』は、自信とそれに見合うだけの実力を携えて勝負を挑んでくる。【九龍槍】を自らの四肢の延長であるかのように自在に操り、目にも留まらぬ連続攻撃を繰り出す――一撃の重さこそ無いものの、受け損なえば致命傷もあり得る。

(貫通攻撃は払えるか分からない、薙ぎ払いも分からないならば……)
 心眼で槍の動きを見ながら、推力移動で攻撃を回避する黄泉。【九龍槍】は幾つもの技の型が組み合わさっており、見切るのも難しいが隙も少ない。それでも観察に徹すれば、どの技に付け入る隙があるかが視えてくる。これは彼女の武人としての直感だった。
「このタイミングで崩せば……」
「ぬうッ!」
 敵が槍を振り回したタイミングで「雷鳴刀」の太刀筋を合わせ、シャドウパリィ。矛先を弾いた瞬間に電撃を放ち、反撃に転じる。体勢を崩されたところに至近距離の紫電を浴びた九龍槍師は呻き、感電による痺れが動きを鈍らせた。

「今だ、五感よ……失え」
「「……ッ?!」」
 間髪入れず黄泉は【紅葉雷閃】を発動。彼女が前世で会得した能力の中では最強のユーベルコードであるこの技は、鮮烈なる雷閃をもって周囲の敵の五感を破壊する。何も視えず、聴こえず、感じない、無音の暗闇に陥った九龍槍師たちの動揺は如何ばかりか。
「オーガ5……」
「がはッ!」
 さらに黄泉は【偽りのMUC オーガ5】によって光り輝く鬼の姿に変身。電撃の性質を付与した宝石を生成して【紅葉雷閃】の範囲外にいた敵に投げつける。強烈な電位を帯びた宝石をぶつけられた九龍槍師もまた、十全に槍を振るえる状態ではなくなった。

「よし、後は速度で圧倒するのみだ」
 五感喪失や感電による不調から敵が復帰する前に、黄泉は勝負を決めにかかる。「加速」の性質を付与した巨大宝石を生成し、刀の切っ先から突くように電撃を放てば、さながらレールガンのように射出された宝石が敵陣を薙ぎ払う。
「ぐ、ぐあぁぁッ!!!」「わ、我らの負けだ……」
 実力の差を見せつけられ、立ち上がれなくなった九龍槍師たちは潔く敗北を認め、骸の海に還っていく。これでもう黄金闘技場で彼女に勝負を挑む者はいない――残された相手はただ一人。この戦いの主催にして頂点たる大老のみだ。

「……ジークフリート大老よ、このユーベルコードの正体が分かったか?」
 間近に迫る決戦を予感しながら、黄泉は今一度問いかける。同じユーベルコードを二度も戦いで見せたのは、大老に挑戦する意図あっての事か。まだ相手は姿を見せないものの、闘技場の奥から発せられる凄まじい闘気を、彼女は感じていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

凶月・所在
兄貴分のまさにー(f43974)と

準備運動は此処まで!
でもこの強そうな人達も
まだまだ前座だもんね

「僕たちの力、見せてあげるね」
命を奪う為に研ぎ澄まされた
世界を守る力

【殺戮流儀】で生み出したナイフを握り
左手にはまさにーに貰った月鋼糸を構えて
今の僕は不死、それなら
「何があっても負けないからね」
武器は何があっても手放さないから
あとは敵を殺すまでだけど
「僕たちの力は、生かすも殺すも自在なんだよ」
追跡力の上がった鋼糸は指先の動き一つで
敵を切りつけながら縛り上げられるから
「君達は此処で御終い」

音も無く敵の死角に回って
重さもなく思うままに指を振る度に敵を縛り上げて
「まさにー。この糸、すっごい手に馴染むよー」


桂・真志
弟分の凶月・所在(f43975)と

これも前座か
強そうだが俺達ならやりようがある

「折角殺人鬼が二人いるんだからな」
殺しの技巧は負けんさ

『殺戮・極』を使おう
所在が寄越した斬艦刀の初陣だ

使うと俺は絶対に死ぬ事はない
その上猟兵は命の外側にいると聞いた
「どうあがいても貴様らに勝機は無いぞ」
死から遠く在るのは公平ではないかもだが
「いや」
だからこそ人に仇為すモノを人の為に殺せる
喜ばずに居られようか

俺が攻撃し躱し引き付ける間に死角から所在が忍び寄る
相変わらず鮮やかな糸舞だな
無骨すぎる俺にはあの戦いは決して出来ない

その代わり糸にやられたのを撫で斬るのは俺の役目だ
次次、その次
「所在、お前の刀の調子は良いようだぞ」



「準備運動は此処まで! でもこの強そうな人達も、まだまだ前座だもんね
 一般エスパーの救出を済ませた所在は、新たにリングに上がってきた『九龍槍師』を見やる。これまでの弱小オブリビオンとはレベルの違う連中だが『ジークフリート大老』と比べれば格下。頂点を目指すなら通過点とすべき相手だ。
「これも前座か。強そうだが俺達ならやりようがある」
 真志も弟分と考えは同じらしく、相手を強豪と認めつつも瞳に恐れの色はない。灼滅者時代はあまり動けなかったと言っても、相応の場数や修羅場は経験している。背負う過去の重さが力となり、使命が前に進むための後押しとなる。

「折角殺人鬼が二人いるんだからな」
「僕たちの力、見せてあげるね」
 殺しの技巧は負けんさと嘯く真志と、まっすぐな視線で相手を見据える所在。命を奪う為に研ぎ澄まされた、世界を守る力――携えるのはそんな矛盾を孕んだ力だ。されど彼らの心に迷いはなく、為すべき事のために目の前の敵を全力で屠る所存だ。
「我らを前座呼ばわりとはな」「そう来なくては。面白くなってきた!」
 二人の人間離れした殺気を感じ取ったのだろう、九龍槍師の闘志も奮い立つ。いかに実直な武人然とした振る舞いを見せても、アンブレイカブルの本質とは最強の座のために強者との戦いに明け暮れる狂戦士の類だ。格下扱いを受けたのであれば、武威をもって評価を覆すまで。

「所在が寄越した斬艦刀の初陣だ」
「じゃあ僕はまさにーに貰った鋼糸にする!」
 身の丈を超えるほど巨大な「斬艦刀闇断」を抜いて、真志は【殺戮・極】を発動。同時に所在は【殺戮流儀】で生み出したナイフを握り、左手には「月鋼糸」を構える。この二人のユーベルコードはどちらも狙った対象を殺害するか、武器を手放すまで使用者を不死にするものだ。
「今の僕らは不死、それなら何があっても負けないからね」
「その上猟兵は命の外側にいると聞いた。どうあがいても貴様らに勝機は無いぞ」
「フッ。完全無欠の不死身などあり得ぬ」「いざ、不死殺しと行こうではないか!」
 揺るぎない自信のもと勝利宣言をする二人だが、戦わずして負けを認める相手でもない。どんな強者であれ滅びゆく定めにあるとは、皮肉にも過去の灼滅者が証明したことだ。龍の刺青から闘気のオーラを浮かび上がらせ、槍師たちの【九龍槍】が牙を剥く。

「死から遠く在るのは公平ではないかもだが……いや」
 だからこそ人に仇為すモノを人の為に殺せる。喜ばずに居られようかと、静かに心昂らせながら立ち向かうは真志。
 死なないからと言って驕ることもなく、襲い掛かる槍の連撃を斬艦刀で受け流し、躱す。奴らにも指摘された通り、武器を手放せば消えるかりそめの不死だ。刀を落とされないようには注意せねば。
「僕たちの力は、生かすも殺すも自在なんだよ」
「ぬうッ?!」「いつの間に背後をッ?!」
 真志が敵の攻撃を引き付ける間に、死角から忍び寄るのは所在。【殺戮流儀】により追跡力の上がった鋼糸は、指先の動き一つで敵を切りつけながら縛り上げる。身動きを封じられた九龍槍師は力任せに引き千切ろうとするが、余計に糸が食い込んで傷つくだけだ。

「君達は此処で御終い」
「「ぐおあぁぁぁーーーッ!!」」
 重さもなく思うままに指を振るたびに、縛られた敵の悲鳴が闘技場に響き渡る。殺人鬼は各自得意とするスタイルや流儀のある者が多いが、所在の場合は糸を愛用している。殺人技巧としてのレベルで言えば、九龍槍師の【九龍槍】を凌駕するものだ。
「相変わらず鮮やかな糸舞だな。無骨すぎる俺にはあの戦いは決して出来ない」
 弟分の業前に感服しながらも、真志とて負けてはいない。鋼糸にやられて動けない連中を撫で斬るのは彼の役目だ。
 所在とは対照的に無骨に技と力を磨いた彼の斬艦刀は、ひと振りで槍ごと敵を真っ二つにする。血飛沫を巻き込んだ剣風が吹き荒れるたびに、オブリビオンの屍がリングに横たわった。

「がはぁッ!!」「なんと凄まじい……!」
 次から次へ、その次へと、流れ作業の如く敵を斬り伏せていく真志の戦いぶりは、恐れ知らずのアンブレイカブルも心胆を寒からしめる。武でははく、あくまで命を奪うために洗練された殺人鬼の技は、良質な武器を用いることで更に威力を増していた。
「所在、お前の刀の調子は良いようだぞ」
「ほんと? 良かったー」
 贈り物の使い心地を聞かされると、所在は嬉しそうに破顔しつつ、音もなく敵の死角に回る。糸を操り拘束するまでの一連の流れを含めて、もはや呼吸に等しいほど身体に染み付いた動きだ。使い手の意を指先から正確に伝えられる、新しい糸の使用感も良好である。

「まさにー。この糸も、すっごい手に馴染むよー」
「そうか。では存分に活かしてくれ」
 付き合いが長く深いからこそ、実力を発揮できる装備がお互いに分かるのだろう。スタイルの異なる殺人鬼二人は、本当の兄弟のように息のあった連携で敵を抹殺していく。これには九龍槍師たちも「見事なり……!」と言う他なく、自らが前座であったことを認めて骸の海に還っていった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リュール・ディールーク
邪龍二人

幸運と第六感と瞬間思考力は常に使用する

もうすぐですね、行きますよヴェイル!
妹に声をかける

槍は攻撃範囲が広いけど隙が大きいですね…
敵のUCは心眼でしっかり見て回避します

今です!
貫通攻撃は確実に避けて薙ぎ払いのタイミングで推力移動で槍の範囲から離れてクイックドロウの要領で凍結攻撃のエネルギー弾を放ち攻撃


属性誓約!轟雷神龍!
UCを発動して雷化次元移動で敵達の背後に回り込んだ後、轟雷を連射して敵に攻撃

『さっさと片付けましょう』
UCの効果でUC蘇りし勇者の剣の精霊で現れたルアンは敵を概念斬で消し飛ばした後UC花濡雫払を私達に使って回復してくれる

ルアンはとても強いですね!
『…ありがとうございます』


ヴェイル・ディールーク
邪龍二人

そうだね、焦っちゃ駄目だよ!お姉ちゃん!
と姉に呼びかけた

よし、念の為展開しておこう…!
敵のUCを発動する前に高速詠唱で結界術を展開しておく

結界術を貫通攻撃で破壊しようとする筈だよね…なら
敵のUCは心眼で見ながら推力移動で回避する。避けきれないなら結界術で防御する(絶対に貫通攻撃を回避する)
それを待っていたよ!
結界術を破壊しようとする敵の貫通攻撃をするタイミングで素早く凍結攻撃の呪殺弾を放つ


邪龍流星煌!
UCを発動して敵達に反撃する

…本当にごめんなさい
そして、倒した敵に指定UCの効果でUC邪龍魔法『死霊兵顕現』を発動して復活させて攻撃させる

ありがとう!ルアン!
とルアンにお礼を言うのだった



「もうすぐですね、行きますよヴェイル!」
「そうだね、焦っちゃ駄目だよ!お姉ちゃん!」
 意気揚々と声をかける姉のリュールと、慎重な呼びかけを返す妹のヴェイル。黄金闘技場の戦いを順調に勝ち上がってきた邪龍二人は、新たなリングで『九龍槍師』と対峙していた。ジークフリート大老その人を除けば、この者達こそ現状の闘技場トップクラスとなる。
「よし、念の為展開しておこう……!」
「ありがとうヴェイル!」
 敵が技を仕掛けてくる前に、ヴェイルは高速詠唱で結界を張っておく。どんな相手でも絶対に油断しない慎重さは、過酷な半生と集落の長としての経験で培われたものか。そして自由奔放な姉は妹の援護を受け、第六感と瞬間思考力を加速させるのだった。

「姉妹とも、相当な腕前とお見受けする」「我が【九龍槍】の勲に不足なし! いざ!」
 二人が戦闘態勢を整えるのを待ってから、九龍槍師は一気呵成に踏み込んでくる。彼らの技は一撃の威力よりも手数を重視したもの。突き、薙ぎ、振りを組み合わせた連撃はまさに九頭の龍のように変幻自在であり、油断すれば一瞬で食い破られよう。
(結界術を貫通攻撃で破壊しようとする筈だよね……なら)
 ヴェイルは心眼で【九龍槍】を見つつ、身体から推力を放出して回避。避けきれない攻撃は結界術で防ぐが、貫通力の高い突きだけは絶対に避けるように注意する。今はまだ敵の動きを見極める時――反撃のチャンスに備えて、彼女は力を溜めていた。

「槍は攻撃範囲が広いけど隙が大きいですね……」
 一方のリュールも妹同様、心眼でしっかりと相手の動きを見て回避する戦法を取っていた。貫通攻撃は特に警戒して確実に避けるのも同じ。そして大振りな薙ぎ払いが来るタイミングを狙って、推力移動で一気に敵と距離を引き離す。
「今です!」
「ぐうッ!? あ、足が……!」
 クイックドロウの要領で放たれたエネルギー弾が、九龍槍師の利き足を凍結させる。まだ戦闘不能にはならないが、機動力の低下は白兵戦において不利となる。リュールは休まず追撃を続け、有利な間合いをキープしながら敵を次々に凍らせていった。

「あちらの姉君はなかなかやるな。ではこちらの妹君の実力も、そろそろ見せて貰おうか!」
 戦況が動きつつあるのを見て、九龍槍師も攻勢を強める。目の前にいる邪龍の妹を仕留めるには、ただ手数を増やすだけでは効かず、結界を貫通できる技を当てる必要があると彼らも理解していた。故に【九龍槍】の連撃は刺突を多様するものに変化していく。
「それを待っていたよ!」
「なにぃ……ッ!!」
 しかしヴェイルも、敵が結界を破壊しようと貫通攻撃をするタイミングを見計らっていたのだ。素早く放たれた呪殺弾が、突きを放つ寸前で九龍槍師を凍結させる。状況を動かすための一手を逆手に取られ、敵は一気に窮地に陥った。

「邪龍流星煌!」「属性誓約! 轟雷神龍!」
「なッ、拙い……」「ぐぁぁぁぁッ!!!」
 この機を逃さず姉妹はユーベルコードを同時発動。正面からはヴェイルが黒い流星を放ち、背後からは雷化次元移動で回り込んだリュールが轟雷を連射する。最初から示し合わせたような挟撃を受け、九龍槍師は次々に力尽きていく。
「……本当にごめんなさい」
 そして、倒れた敵にはヴェイルが【邪龍魔法『死霊兵顕現』】を使用し、自身に服従する死霊兵として復活させる。
 昔はあまり好きではなかったが、今の彼女は正義の為に邪龍の能力を行使する。蘇った九龍槍師は虚ろな表情で生前と変わらぬ構えを取り、主の命令を待った。

「……お願いします!」
「ぬぅ、死者を操るとは……まるでノーライフキングのようだな!」
 ヴェイルの意を受けて死霊兵はかつての同胞に槍を向け、まだ生きている九龍槍師も応戦する。アンブレイカブルは元々仲間意識が薄く、武勇を競って同族で殺し合うことも珍しくない種族だが、元々実力の拮抗していた者が同士討ちすれば、双方被害は甚大なものとなる。
『さっさと片付けましょう』
「ぐ、がはッ!!」
 【蘇りし勇者の剣の精霊】で顕現したルアンも、追い打ちの概念斬で敵を消し飛ばし、戦局の流れを決定的にする。
 さらに彼女はユーベルコード【花濡雫払】を使って、リュールとヴェイルの体力も回復してくれた。ここまでの連戦で二人とも疲労が溜まりつつあるのを見越しての判断だろう。

「ありがとう! ルアン!」
「ルアンはとても強いですね!」
『……ありがとうございます』
 攻撃から回復までサポートしてくれる剣の精霊に、心からの感謝を伝えるヴェイルとリュール。こうも素直に気持ちをぶつけられるとルアンも多少照れくさいものがあるのか、ふいと顔をそむけつつ戦闘に戻る。敵はすでに駆逐されつつあるが、まだ『ジークフリート大老』という最強のボスが残っている以上、気を抜くのは早いだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

皐・芽衣
その落ち着き、佇まい。お主らもやるようじゃのぅ。
さて、槍使いなら、わしも長物でお相手するか。
偃月刀「鉅角」、受けてみると良い!

「鉅角」に飾られた宝貝「雷公羊毛」も、
先の戦闘でわしの闘気を吸って充電バッチリじゃ。
【神羊拳・器械套路『雷霆万鈞』】の威力を味わってもらおうかの!
長物のなぎ払い、ぶん回し、串刺しと
お互いの狙いはそう変わらんじゃろうが、
雷公羊毛からの電撃・マヒ・範囲攻撃の分、
こちらの攻撃の方がリーチが長いのぅ。
手数の少なさは電撃でカバーじゃ。そして、一撃はわしのほうが重い!
攻撃を[見切り・武器受け]し、
[怪力]と[功夫]を活かした武器さばきで
[雷霆万鈞・鎧無視攻撃・体勢を崩す]!

磨き上げた我が功夫、土産にすると良い。
わしも、お主らのことは覚えておくからの!



「その落ち着き、佇まい。お主らもやるようじゃのぅ」
 連戦の末に現れた『九龍槍師』たちの実力の程を、芽衣は一目で見抜く。これまでに倒してきたオブリビオンよりも明らかに練度が高く、なにより強者との死闘を求める意欲に飢えている。世界も種族も違えど、一角の武人はここにも居たようだ。
「さて、槍使いなら、わしも長物でお相手するか。偃月刀『鉅角』、受けてみると良い!」
「望む所。我らが『九龍槍』の冴え、刮目せよ!」
 身の丈を超える長柄の武器を軽々と操り、構えを取る。それだけで相手の方も彼女の力量をしかと察したであろう。
 相手にとって不足はなしと、愛槍の矛先を向け返す。黄金闘技場の主『ジークフリート大老』への挑戦権、何よりも武人の矜持を賭けた一戦が幕を開けた。

「『雷公羊毛』も、先の戦闘でわしの闘気を吸って充電バッチリじゃ。【神羊拳・器械套路『雷霆万鈞』】の威力を味わってもらおうかの!」
 偃月刀「鉅角」に飾られた羊毛は、蓄電と放電を行う宝貝の一品である。これと武術を組み合わせた芽衣独自の技能こそ、神羊拳伝承者の真髄と言える。稲妻を帯びた偃月刀を自由自在に振り回して、彼女はリングの中央で大立ち回りを魅せる。
「これが猟兵の武術か……まさに雷神の如し!」
 素晴らしき業前に感服しながらも、九龍槍師たちとて遅れは取らぬ。竜種を屠った【九龍槍】の戦技は偉業に値するもので、長物のなぎ払い、ぶん回し、串刺しと、お互いの狙いはそう変わらないぶん、それぞれの特性が如実に出る。

「す、すごい……」「どっちも人間業じゃねえや……」
 黄金円盤リングに無数の火花と稲光が散り、刃を交わす音が遅れて聴こえてくるが、両者共一歩も引く気配はない。
 すでに敗退した一般エスパーの格闘家までもが、見惚れて言葉を失うほどの戦いだ。すでに試合全体も終盤に入り、闘技場中の注目が集まっていると言っても良い。そんな中でも、闘士たちの目に映るのは対戦相手の姿だけだ。

「雷公羊毛からの電撃の分、こちらの攻撃の方がリーチが長いのぅ」
「然れども、手数は我らが勝る。捌き切れるか、雷獣よ!」
 芽衣が宝貝に蓄積した電気は、雷のように広範囲に放射することもできる。対して、それを掻い潜り迫るオブリビオンたちの槍は、九つの首を持つ龍のように千変万化の攻めを披露する。成る程、尋常の使い手であれば捌き切れず食い散らかされていたやもしれない。だが。
「手数の少なさは電撃でカバーじゃ。そして、一撃はわしのほうが重い!」
「ぬうッ……!!」
 十合、二十合と矛を交わすうちに、芽衣は相手の技を徐々に見切り始めていた。迸る稲妻で小刻みに牽制をかけつつ、小柄な体躯に漲る怪力と功夫を以って、攻撃をしっかりと受けては見事な武器捌きで切り返す。得物を弾かれた九龍槍師は体勢を崩し、上体に僅かな隙ができる――そこを見逃す彼女ではなかった。

「磨き上げた我が功夫、土産にすると良い。わしも、お主らのことは覚えておくからの!」
 轟く稲妻、閃く雷光。雷霆の仙法に練り上げた武威を乗せた一撃は、万鈞の重みとなって九龍槍師らを刺し貫いた。
 相手は非道の輩なれど、その矛先に悪意や怨恨はない。死出の手向けを受け取った槍師も、ただ心の臓を穿つ感触をもって、ただ己の敗北を認めるのみ。
「……見事。斯様な達人から再び死を賜るとは、武人の誉よ」「我らの屍を超え、かの大老に挑むがいい。貴殿らの勝利を期待しているぞ……」
 感謝と賞賛、そして激励の言葉を遺して、修羅の道に生きたオブリビオンたちは骸の海に還っていった。芽衣が得物を下ろせば、黄金闘技場に束の間の静寂が訪れる。だが、それは来る決戦へのインターバルに過ぎないことを、もはや誰もが理解していた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ジークフリート大老』

POW   :    殺竜剣バルムンク
【自身の血より呼び覚ました真紅の剣】からレベルmまでの直線上に「神殺しの【真紅の波動】」を放つ。自身よりレベルが高い敵には2倍ダメージ。
SPD   :    黄金円盤リング
戦場内に「ルール:【勝者のみが戦場より出られる】」を宣言し、違反者を【その場に出現した黄金闘技場】に閉じ込める。敵味方に公平なルールなら威力強化。
WIZ   :    邪竜の血
自身の【帯びる邪竜の血】を代償に、1〜12体の【竜種イフリート】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。

イラスト:シャル

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「よくぞ来た、|強者《つわもの》達よ」

 黄金闘技場に集められたオブリビオンや一般エスパーと戦い、その全てに勝利した猟兵たち。
 名実ともにトップに立った彼らの前に現れたのは、全身を生々しい返り血に塗れた金髪の偉丈夫であった。

「その必要も無かろうが、強者への礼儀として名乗らせて貰う。我が名はジークフリート……この黄金闘技場の主にして、此度の大会の主催者である」

 そう告げた男の覇気こそが、正真正銘の『ジークフリート大老』である証明だった。
 最強の頂を目指すアンブレイカブルの武人の中でも、指折りの強者である「大老」の一人。
 その実力は純粋な武威で戦略級に位置づけられた、伝説的なダークネスである。

「我はかつて武蔵坂学園の灼滅者達と戦い、そして敗れた。然れどもこうして再び現世に蘇ったからには、敗者としてより一層の精進を重ね、さらなる高みを目指すのみ」

 ジークフリート大老の行動目的は、オブリビオンとなる以前からほとんど変わっていない。
 今よりも強くなるために、強者との命懸けの闘争を求める。アンブレイカブルらしいシンプルな理由で、黄金闘技場にオブリビオンを集めて戦わせていたのも全てはそのためだ。
 或いは、オブリビオンを追って猟兵や灼滅者がここに来る事すら――彼には望む所だったのかもしれない。

「強者達よ、他のオブリビオンと同様、我も非道なる殺戮者である。『黄金の戦い』を勝ち抜いたお前達と我の間に、もはや言葉は不要だろう」

 ただ戦いのみが我らの言語となる。静かに拳を握ったジークフリート大老の覇気が、さらに一段と凄みを増す。
 この男が強さを希求する意思に歯止めはない。生ある限り己の闘争に周囲を巻き込み、やがて凄惨な事態を引き起こすだろう。故に、双方に和解の可能性はない。

「さあ、往くぞ」

 これが黄金闘技場の最終戦。全身全霊を尽くし、ただ純粋に勝者を決めるだけの戦い。
 立ちはだかる伝説のダークネスを前に、猟兵達は戦闘態勢に入る――。、
星詠・黄泉
さあ、行くぞ
早速、指定UCの効果でUC偽りのMUCオーガ5を発動した

…正解だ、やはり2度見せればバレるか
敵のUCは私は元々逃げるつもりは無いのでそのまま勝負する
(偽りのMUCオーガ5の正体は仮面が発動したUCである事)

やはり避けられるか…
爆破する性質の宝石を敵に投げつけるが回避され剣で反撃されそうになる
心眼と気配感知で攻撃を見ながら刀でシャドウパリィする

流石に二度目は間に合わないか
パリィした剣は素早く戻って来たのでオーラ防御で攻撃を防ぎながらも推力移動で敵の方へ加速してから蹴り飛ばして距離を離す

来い、絶命星!
UCを発動して絶命星を飛ばして敵を切り裂いた

これが大老か、レントにも劣らない実力だな…



「さあ、行くぞ」
 対峙する『ジークフリート大老』と同様、戦いが始まれば黄泉も口数の多い方ではない。早速【偽りのMUC オーガ5】を発動し、宝石の羽衣をまとった鬼に変身を遂げた彼女は、武器となる宝石の生成を行いながら、愛刀を手に切り込んでいく。
「……なるほど、やはりか」
 すでに黄金闘技場では二度披露したユーベルコード。それを直接確認したジークフリートは、なにかを確信したようにぽつりと呟きながら【黄金円盤リング】を展開。勝者のみが戦場より出られるルールを互いに強いるが、元々逃げるつもりのない猟兵には関係のないことか。

「その術の源となっているのは、仮面か」
「……正解だ、やはり2度見せればバレるか」
 【偽りのMUC オーガ5】の正体は、変身時に装着する仮面が発動したユーベルコードであること。ジークフリートがそれに気付いたのは、歴戦の闘士としての経験と勘によるものだろう。バレてしまったからには誤魔化そうとはせず、黄泉はそのまま爆破する性質の宝石を投げつける、が。
「やはり避けられるか……」
 ただの爆弾投擲が当たるような相手ではなく、そのまま踏み込んできたジークフリートの手には、血から呼び覚まされた真紅の剣があった。伝説に語られる同名の英雄のように、その太刀筋は豪快で。受け損なえば仮面ごと真っ二つになるのが容易に想像できる。

「これで終わってくれるなよ、強者よ」
「もちろんだ」
 黄泉は心眼と気配感知でジークフリートの攻撃を見ながら、刀でシャドウパリィを行う。精密な技によって斬撃の軌道を変えられた剣は、剣圧のみで黄金闘技場を破壊するが――両断するはずだった相手は無傷、やるな、と言わんばかりに大老の口元が緩む。
(流石に二度目は間に合わないか)
 パリィした剣が間髪入れずに戻って来ると、黄泉はオーラで二度目の斬撃を防ぎながらも、推力移動で敵の方へ加速する。この状況、迂闊に下がればそのほうが命取りになる。気迫と刃がしのぎを削る刹那、死中に活を見出すつもりで肉薄する。

「私の技は剣術だけではない」
「知っているとも」
 至近距離から蹴りを食らわせると、足から伝わってきたのは鋼よりも硬い感触。鍛え上げた生物の肉体とはここまで強靭になるものなのか。それでも黄泉渾身の蹴撃はジークフリートをいくらか後退させ、距離を離すことに成功する。
「来い、絶命星!」
 この間隙を活かして黄泉はもう一つのユーベルコードを発動。雷の力で召喚した【因果剣『絶命星』】を射出する。
 紫電を帯びて飛翔する魔剣は流星の如く、その速度は神速を超越し。またたく間に切り裂かれたジークフリートの体躯から、ぱっと一筋の血が流れる。

「これが大老か、レントにも劣らない実力だな……」
 ここまでしても斬った手応えは致命傷には程遠い。「壊されざる者」の名を冠したアンブレイカブルの中でも、最強の座に君臨してきた大老の強さを実感した黄泉は、過去の知人たちと比較してもトップクラスの猛者という認識で刀を構え直した。
「この身に傷を負ったのは、蘇ってから初めてだ。流石だな」
 一方のジークフリートも猟兵の実力を肌で感じ、彼女らを強者と見込んだ自分の目が誤りではなかったことを知る。
 黄金闘技場の最終戦はまだ始まったばかり。このリングの外に出るのがどちらの陣営となるかは、まだ誰にも予想が付かなかった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ブリュンヒルデ・ブラウアメル
良いだろう
我も名乗ろうか……エンドブレイカー、蒼翼羽剣ブラウグラムの元首『剣帝』……ブリュンヒルデ・ブラウアメル!
ヴァルキリーのエンドブレイカーとして、貴様という『|終焉《エンディング》』、討ち果たす!

ヴァルキリーの翼を広げて飛翔
殺竜剣バルムンクから放出される『真紅の波動』に対し、黄金闘技場内に存在する全ての存在が辿り得る『終焉』を変更
勝利するのは……我だ!

空中浮遊と対空防御、空中戦を用いてジークフリート大老に剣戟を仕掛け、袈裟斬りに
ブラウグラム・白き翼と黒き翼で、時間軸を破却しながら戦っていくぞ



「良いだろう。我も名乗ろうか……エンドブレイカー、蒼翼羽剣ブラウグラムの元首『剣帝』……ブリュンヒルデ・ブラウアメル!」
 こちらもまた強者への返礼として、ブリュンヒルデは『ジークフリート大老』に自らの名と称号を告げる。叩き上げの騎士として武勲を上げ、15歳にして都市国家の元首の座まで上り詰めた実力は、決してハリボテの肩書きではない。
「ヴァルキリーのエンドブレイカーとして、貴様という『|終焉《エンディング》』、討ち果たす!」
「その意気や良し」
 ジークフリートは相手の戦う理由の是非善悪を問わない。ただ純然たる力の求道者として、強者を迎え撃つのみだ。
 男の全身を彩る血から【殺竜剣バルムンク】が呼び覚まされるのを見て、ブリュンヒルデはヴァルキリーウイングを広げた。

「行くぞ!」
「来い」
 蒼いエネルギーの翼で飛翔するブリュンヒルデに向けて、殺竜剣バルムンクから『真紅の波動』が放出される。より強大なる者を葬るためにジークフリートが編み出した神殺しの一撃は、戦乙女を天より失墜させるには十分な破壊力。
「勝利するのは……我だ!」
 それでもブリュンヒルデは吠え、黄金闘技場内に存在する全ての存在が辿り得る『終焉』を【蒼翼の終焉破壊・戦の世界そのものを変える我が翼】によって変更する。これにより彼女の翼はさらなる加速を遂げ、真紅の波動を紙一重で躱す。己が敗北を、大老の勝利を、悲劇の終焉を破壊し理想のエンディングに到達する、それがエンドブレイカーだ。

「終焉を破壊せよ、我が蒼き翼!」
 得意とする空中戦技能を活かし、上空から舞い降りるように剣戟を仕掛けるブリュンヒルデ。巨大な羽のような刀身を持つ「蒼翼羽剣ブラウグラム」が、ジークフリートを袈裟斬りにする。なれど鋼の如き――否、鋼などよりも遥かに強靭な大老の肉体は、終焉破壊の力をもってしても僅かに傷ついたのみ。
「悪くない。期待以上だ」
 表情はまんじりともせぬジークフリートだが、その肉体は闘争の歓喜に打ち震えていた。命を賭けて戦うべき者と、全力をぶつけ合える喜び。それが己をさらなる高みに成長させると期待しての反応だ。高揚のままに振るわれる殺竜剣の斬撃は重く、そして鋭い。

「翼を広げ、戦場に蔓延る全ての悲劇の終焉を打ち砕き改変する事を以て、その終焉に終焉を!」
 対するブリュンヒルデの対応は変わらない。終焉を破壊する力と「白き翼」「黒き翼」に変化するブラウブラムの力で時間軸を破却し、少しでも己に有利な可能性を引き込みながら戦っていく。それでも無傷とはいかず幾度かの斬撃を浴びるが、死という終焉さえ破壊するエンドブレイカーはそう簡単には死なない。
「面白い。我の知らぬ強者がこれほど存在したとは」
 傍目には超人的な耐久力で向かってくる蒼い剣士に、ジークフリートもまた全力で応じる。黄金闘技場に響く剣戟の音色は、時に高く、時に低く、リズムを刻む。そのフィナーレがどんな形となるか、終焉を見通す瞳をもってしても、まだ識る人はいなかった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

茂多・静穂
あの大老と対峙できるとは思いませんでしたね…私も昔戦ったアンブレイカブルレスラーに感化されて数年はプロレスに身を置いていました
ならば!

メイガスを分離し体にボディスーツの形にしたトラウメンヴァッフェを纏い
紫の覆面マスクを被る
私はマスクドM!闘技場での戦いなら
レスラースタイルで挑ませて貰います!

とはいえ
6年のレスラー歴では技量は相手が圧倒的に上
きつい一撃を食らい倒れます
それでも鋼の肉体とトラウメンスーツで耐えUC発動

シャドウの力で無理矢理肉体を再生
何をしてでも受けて返すのが私のレスラー道!
拳や蹴りの連打をスライム状にした体により引き戻しを早め目にも止まらぬ連打で繰り出し
最後は全力を込めたラリアット



「あの大老と対峙できるとは思いませんでしたね……私も昔戦ったアンブレイカブルレスラーに感化されて数年はプロレスに身を置いていました」
 ただひたすらに己の武を鍛え上げ、殺戮や破壊そのものを目的とはせず、強者との死闘や最強の頂を求めるアンブレイカブルは、ダークネスとはいえ一部共感する灼滅者もいた。静穂もその一人だったようで、過去の時代で戦う機会がなかった『ジークフリート大老』と、オブリビオンとはいえ相見えたことには感じるものがあるようだ。
「ならば!」
 九龍槍師との戦いで装着したメイガスを分離し、ボディスーツの形にした「トラウメンヴァッフェ」を纏い、紫の覆面マスクを被る。この世界のプロレスファンであれば、そのコスチュームを知っている者もいたかもしれない。オブリビオン出現以降は猟兵として活動再開していたが、今ひとときはプロレスラーとして復帰だ。

「私はマスクドM! 闘技場での戦いなら、レスラースタイルで挑ませて貰います!」
「肉体のみで我に立ち向かうか。面白い、では我もこの拳をもって語ろう」
 リングネームを高らかに叫び、堂々と【黄金円盤リング】に入場してきた静穂に、ジークフリートは全力で応じる。
 ひとたび戦場に立ってしまえば、ここから出られるのは勝者のみ。たったひとつのシンプルなルールの下で、二人の闘士が拳をぶつけ合った。
(とはいえ6年のレスラー歴では技量は相手が圧倒的に上)
 相手は何百年――あるいはそれ以上の歳月を鍛錬に費やした不死身の大老だ。その武はおよそ人間が到達できる域を超えており、細かな技術や体捌きのひとつひとつが洗練されている。静穂も素人ではないからこそ、戦うことで相手と自分の「厚み」の差をはっきりと感じてしまった。

「うっ……!」
 幾度かの応酬のすえ、静穂はきつい一撃を食らってしまい、倒れる。ここでジークフリートが即座に追撃を仕掛けていれば、あるいは死んでいたかもしれない。だが大老はかつての戦いと同じように相手の命を積極的に奪おうとせず、ただ一言問いかける。
「もう終わりか?」
「まだです!」
 灼滅者としてレスラーとして鍛えた鋼の肉体と、トラウメンスーツの防御力が静穂を救った。超々硬度の拳の一撃に耐えた彼女は【掲げるは偽りの闇たる証】を発動し、無理矢理肉体を再生させる。これは灼滅者の魂に眠るダークネスとしてのルーツ――シャドウの力だ。

「何をしてでも受けて返すのが私のレスラー道!」
 偽物のシャドウスートである紫のハートが闘技場上空に浮かび、静穂の肉体がヒトの原型から外れていく。一時的にシャドウに近付いたその体は固体と液体の中間であるスライム状となり、物理的損傷からの修復を早める他、ヒトにはできない動作を可能にする。
「動きが変わった……これは……!」
 スライムの性質を活かして拳や蹴りの引き戻しを早め、目にも止まらぬ連打を繰り出す。それはジークフリートにも捌き切れないほどの手数だ。シャドウの肉体に人間の技術を融合させた未知の格闘戦術は、古豪の大老さえ瞠目させ。

「これで、フィニッシュです!」
 最後は全力を込めたラリアット。静穂――いや、マスクドMの全身全霊をぶつけられたジークフリートの体が揺れ、ついに地面に膝を突く。ぽたぽたと滴り落ちる血は彼自身のもの。敢えて貫き通したレスラー道が、かの大老にも通用した証明であった。
「……見事。だが我もまだ倒れる訳にはいかんな」
 期待を遥かに超える強者と立ち会えた喜びに、ジークフリートの魂は打ち震えていた。此方も培った技の全てを出し尽くさねば礼儀に反すると、より強大な覇気を纏って立ち上がる。黄金闘技場の死闘はまだ終わらないばかりか、さらに熱を増しつつあった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リュール・ディールーク
邪龍二人

第六感と瞬間思考力と幸運を発動


行きますよ!勝負です!
リベラシオンを抜き構える

UCについては戦場から逃げなければ発動しない筈

行きますよ!
敵の動きを心眼で見ながら素早く矢弾の雨を放ち攻撃

属性誓約!鎧山毒神龍!大丈夫ですか?ヴェイル!
指定UCの効果でUC属性誓約 鎧山毒神龍を発動して反射と吸収の壁を展開してヴェイルを守る

解放する真実の剣!
竜種イフリートを蹴散らしながらルアンを引き抜きUCを発動して周りの敵の時間を消し飛ばした

『…何で知っているんですか』
ジークフリートがルアンの剣の形状は元々あんな形ではなかったと言っているのを聞いて露骨に嫌そうな声を出していた(ルアンはかなり噂になってるそう)


ヴェイル・ディールーク
邪龍二人

凄く強そう…気を付けて戦おうね、お姉ちゃん!
姉に警戒を促しながら高速詠唱で結界術を展開します


?!沢山出てきた!
敵のUCで竜種イフリートが最大数出てきたので心眼で動きを見つつ推力移動で距離をとる


これで!
高速詠唱で電撃の魔法を放ち竜種イフリートに攻撃する
捌ききるのは難しく結界術もボロボロになってきた

あっ…お姉ちゃんありがとう!
UCを発動していた姉が自分を庇い敵の攻撃を反射しつつ守ってくれた


よし、私も行くよ!テティス!
UCを発動して素早く爆破のエネルギー弾を放つ
テティスのUCヴォイド・アサルトによって過程は無視され敵にヒットする

次は貴方だよ!
ジークフリートには凍結攻撃のエネルギー弾を放った



「行きますよ! 勝負です!」
 ついに現れた『ジークフリート大老』を前に、神剣リベラシオンを抜き構え、堂々と戦いを挑むのはリュール。はなから敵を倒すまで逃げるつもりのない彼女にとっては、勝者のみが戦場から出られる【黄金円盤リング】のルールも、発動していないも同然だろう。
「凄く強そう……気を付けて戦おうね、お姉ちゃん!」
 そんな姉に警戒を促しながら、妹のヴェイルも退く気はない。高速詠唱で結界術を展開し、再び護りを固めた上で敵が何をしてくるか注視する。相手は戦略級と評価されるほどのオブリビオン、紛れもなく黄金闘技場で最強の存在だ。

「二人同時か。退屈させる訳にはいかんな」
 並んで身構える姉妹を見たジークフリートは、自身の帯びる【邪竜の血】を代償にして12体の「竜種イフリート」を召喚する。自身の力を割いた眷属に近いが、その戦闘力は1体だけでもこれまで戦ってきた闘士達に匹敵するのではないか、と思うほど強大だ。
「?! 沢山出てきた!」
 これもジークフリートから強者への礼儀のつもりだろうか。同時に召喚できる最大数で湧いてきた竜種の群れから、ヴェイルは慌てて推力移動で距離を取る。それぞれの動きを心眼で見つつ、結界を維持しつつ攻撃魔法の詠唱も始め、思考をフル回転させての迎撃モードだ。

「これで!」
「行きますよ!」
 ヴェイルが電撃の魔法を放つのに合わせて、リュールも素早く矢弾の雨を降らせる。姉妹の同時攻撃はイフリートの群れに相応のダメージを与えるが、やはり竜種のタフネスは尋常ではなく。報復とばかりに全力の攻撃が返ってくる。
「「ガオオオォォーーーッ!!!」」
 巨体から繰り出される爪牙と灼熱のブレス。全てを捌ききるのは難しく、ヴェイルの結界がボロボロになっていく。
 このままでは大老本人とぶつかる前に押し潰される――少女の額に冷や汗が浮かぶなか、窮地を救うべく動いたのは姉だった。

「属性誓約! 鎧山毒神龍!」
「「ギャオォッ!!?」」
 リュールが展開したユーベルコードの壁は、吸収と反射の特性を持つ。そうとは知らず牙を剥いたイフリート達は、自らの攻撃を跳ね返されダメージを負った。姉の目の前で妹を傷つけようとする者を、彼女が許しておくはずがない。
「大丈夫ですか? ヴェイル!」
「あっ……お姉ちゃんありがとう!」
 危ないところを庇ってくれたリュールに、ヴェイルは笑顔で感謝を伝える。普段は自由気ままでいても、いざという時は頼れるお姉ちゃんだ。自分も守られるばかりではいられないと、杖を握りしめてユーベルコードの詠唱を始める。

「よし、私も行くよ! テティス!」
 ヴェイルから立ち上る「邪龍流星覇気」が実体を持ち、黒いウィッチハットを被った【虚空の魔女『テティス』】が顕現する。彼女が両手の魔法銃から放つユーベルコード【ボイド・アサルト】は、射線や弾道といった全ての過程を無視して標的にヒットした。
「追撃するよ!」
「解放する真実の剣!」
 テティスの攻撃着弾を確認してヴェイル本人も爆破のエネルギー弾を放ち、イフリートの群れを追い詰めたところでリュールが蹴散らす。神剣を振るいながらもう一本の愛剣――勇者の剣『ルアン・メイ』を引き抜き発動したユーベルコードは、周囲の敵の時間さえも消し飛ばした。

「「ウオォォォォォォ……ッ!!!!」」
 邪龍姉妹の猛反撃によって12体の竜種イフリートは1体残らず撃破され、わずかな血痕だけを残して消滅する。それを見たジークフリートは「ほう」と感嘆の一言。彼の視線は武勇を示した強者だけでなく、眷属らを斬った武器にも注がれていた。
「その剣。元々はそのような形では無かったのではないか?」
『……何で知っているんですか』
 その発言を聞いて露骨に嫌そうな声を出したのは、当のルアン自身だった。強大なダークネスは総じて長い年月を生きているとはいえ、どこで彼女の本来の形状など知ったのだろうか。どこかで噂になっているのか、もしくはこの世界の「竜種」と「邪龍」になんらかの関連性があるのか――大老はそれ以上の言葉を尽くさない。

「次は貴方だよ!」
 問答を続けるつもりはないと、攻撃を再開したのはヴェイルだった。彼女の放った凍結攻撃のエネルギー弾は、まだジークフリートの体に残る血を凍らせ、ダメージを与えつつ動きを鈍らせる。これでコンマ数秒でも反応が遅れれば、その時間を活かして姉がやってくれると信じて。
「支配から解放する剣、ドミネイトフォース!」
 再度放たれた【解放する真実の剣】が、時空もろとも敵を切り裂く。鋼鉄以上に鍛え抜かれた肉体にまた新たな傷が刻まれれば、ジークフリートは「見事だ」と賞賛し。されどまだまだ強者との死闘に興じるつもりで、拳を握りしめるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鏡島・嵐
別におれは強くなんてねえよ。
おれが弱いんはおれ自身が一番よくわかってる。今だって体はがたがた震えてるしな。
それでも……逃げたら後悔する。それがヤだから、弱くても怖くてもアンタに挑む。ただそれだけだ。

どういう攻撃が来るんかはわからねえけど、まともに貰ったらマズいよな。
攻撃のタイミングを〈第六感〉を活かして見計らいつつ《忘れられし十三番目の贈り物》でクリーンヒットを避けるよう丁寧に防御していく。
先読みができそうなら、出鼻を挫くために〈目潰し〉や〈マヒ攻撃〉を狙った攻撃を撃ち込む。当たらなくてもいい。決定的なタイミングさえずらせれば。

相手が隙を見せたら〈限界突破〉した〈スナイパー〉ばりの一撃を。



「別におれは強くなんてねえよ。おれが弱いんはおれ自身が一番よくわかってる。今だって体はがたがた震えてるしな」
 強者よと呼びかける『ジークフリート大老』に対して、嵐はそう答えた。それは謙遜でもなんでもなく、強敵を前に感じるのはいつだって恐怖だ。戦う事、強くなる事を至上目的とするアンブレイカブルとは、最も遠い精神性だろう。
「それでも……逃げたら後悔する。それがヤだから、弱くても怖くてもアンタに挑む。ただそれだけだ」
「そうか」
 弱者を謳いながらも視線だけは決して逸らさない、そんな青年にジークフリートがなにを思ったかは定かではない。
 ただ、握り締めた拳の力が一切緩まなかったのは確かだ。勝者のみが出ることを許された【黄金円盤リング】に入ってきた以上、手加減などはあり得ないか。

(どういう攻撃が来るんかはわからねえけど、まともに貰ったらマズいよな)
 嵐は持ち前の第六感を活かして、敵の攻撃のタイミングを見計らう。見た目からして得意なスタイルは肉弾戦だと思われるが、ただの格闘家の枠に留まる相手ではないのは明らか。思考と直感をフル回転させて危機察知に努める――。
「……ッ、何だコレ……ってヤベぇッ!」
 その刹那【忘れられし十三番目の贈り物】で彼が予想したのは、ジークフリートの拳が自分をバラバラにする未来だった。全身の毛が泡立つ感覚を味わいながら、身体能力・思考演算能力を瞬間的に引き上げ、クリーンヒットを避けるよう丁寧に防御する。必殺の威力を秘めた一撃は、辛くも彼のもとを逸れていった。

「ただの弱者に、我の拳は防げん」
 事実のみを告げながらジークフリートは追撃を放つ。拳打、蹴撃、肘打ち、体当たり、どれでも当たればヤバいのが大老と呼ばれる由縁だ。嵐の脳内から生存本能の警鐘は鳴り止まず、一撃一撃の回避に全力を注がなければならない。
(当たらなくてもいい。決定的なタイミングさえずらせれば)
 それでも防御に徹しているうちに、嵐はだんだん敵の先読みができるようになっていた。少しでも攻撃の出鼻を挫くために、目潰しやマヒを狙った攻撃をスリングショットで撃ち込む。恐怖に駆られていても冷静で的確な対応が、彼を死から遠ざけていた。

「……面白い」
 ただの石礫がジークフリートの脅威になることは無いが、この男のそれは話が別だ。完全に呼吸を読まれた抵抗に、攻撃の機を潰される。阿修羅の如き猛攻のなかで初めて見せた隙は、ほんのひと呼吸の、されど決定的なものだった。
「ッ、そこだ……!」
 この間隙に嵐が放った一撃は、彼自身の限界を突破したものだった。スナイパーばりの精度で撃ち出された弾丸が、標的の右目に吸い込まれるようにクリーンヒットする。「ぐッ」と微かなうめきと共に、ジークフリートの動きが一瞬止まり――その目からは血の涙が流れ出る。

「汝は不本意だろうが、こう言わせて貰おう……強者よ、この傷は忘れぬぞ」
「……そうかよ」
 片目の視力を奪われながら、ジークフリートはそう言って笑った。強者との戦いで負った傷は、誇りであるが故に。
 どうせならばもう少し侮ってくれたほうが楽だったのにな、と考えながら嵐は引き続き集中力を張り詰める。痛手を与えた手応えはあるが、黄金闘技場の死闘はまだ終わらない――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

宙音・ナナシ
一筋縄ではいかなそうだね…。

攻撃手段は中距離からは牽制用の【電撃】の発射、至近距離では【電撃】を纏った拳で格闘攻撃(【怪力】【グラップル】【吹き飛ばし】【地形破壊】)で戦っていくよ。

相手の攻撃はなるべく【見切り】でガードするけど防ぎきれない部分は得意体質の体の頑丈さでカバー。
【通常攻撃無効】も有るから簡単に大ダメージは喰らわないはず。
それでもどうしてもダメージを受けたら【回復力】で傷を癒す。
兎に角あらゆる手段を尽くして殴り合いに応じつつ隙を見てUCを叩き込むよ。



「一筋縄ではいかなそうだね……」
 自分も格闘技を修めているからこそ一目で分かる、目の前にいる相手の圧倒的な練度。黄金闘技場の主こと『ジークフリート大老』が放つ覇気は、ナナシの警戒レベルを数段引き上げた。格闘戦特化の彼女でも、まともに殴り合って勝ち目はあるかどうか。
「お互い様だな。手合わせ願おう」
 対するジークフリートにもナナシの力量は読めているだろう。黄金闘技場の戦いをここまで勝ち上がってきた以上、本気を出すのに相応しい強者だということは確定だ。己を高めてくれる死闘を求めて、彼は全力で打ちかかってきた。

「いくよ!」
 間合いに踏み込まれる前に、ナナシは中距離から牽制用の電撃を発射。紫電の矢がジークフリートに突き刺さるが、やはりその程度では止められない。鍛え上げられた肉体の強度のみで痺れを振り払い、そのまま拳を打ち込んでくる。
「まずは挨拶代わりだ」
「くうっ……!」
 爆発や銃弾の嵐にも耐える強化人間のボディでも、これは危険だと直感する。辛うじてガードは間に合ったものの、それでも防ぎきれない衝撃が骨の芯まで響いた。常時「通常攻撃無効」状態の特異体質のおかげで簡単に大ダメージは喰らわないが、それでも何発も食らったらまずい。

「汝の技も見せてもらおう」
「言われなくても」
 殴られっぱなしではいられないと、ナナシは電撃を纏った拳で反撃を仕掛ける。特殊細胞と身体強化オーラで向上した筋力に格闘技術、科学の力が生み出した超人の一撃は鋼鉄の壁をも粉砕する。ここまで戦ってきたオブリビオンなら卒倒していたであろう威力。
「いいぞ。そう来なくてはな」
 その一撃に当然の如く耐え、闘気をさらに昂らせたジークフリートは、その身に帯びた血より【殺竜剣バルムンク】を呼び覚ますと、今度は大上段から切り下ろす。その刀身より放たれる真紅の波動は、神さえ殺す絶命の一撃。流石にこれはまずいと、ナナシも全力でガードするが――直後、彼女の身体から血飛沫が上がった。

「強いね……でも負けない」
「応とも。まだ終わらぬぞ」
 特異体質の頑丈さでもカバーしきれないダメージを、特殊細胞とナノマシンの再生機能で癒やし。兎に角あらゆる手段を尽くして、ナナシはジークフリートとの殴り合いに応じる。技の練度ではどうしても向こうが上だが、タフさなら負けてはいない。何度も拳や蹴りを交わしながら、渾身の一発を叩き込む隙を窺う――。
(ここだ)
 そして、そのチャンスはふいに訪れた。呼吸を整えるために相手の攻撃が緩んだところに、ナナシは踏み込んで拳を握りしめ。単純にして重い、ただ全身全霊を込めて殴り抜くだけの一撃を、【インフィニティフォートブレイカー】を叩き込んだ。

「……空の果てまで……吹っ飛んで!」
「ぐッ!!!」
 衝撃波を伴うほどの拳を打ち付けられ、ジークフリートの体躯が宙に浮く。同時に周辺地形は破壊され、闘技場にはクレーターのような陥没痕が刻まれた。かつては不死身と言われたアンブレイカブルの大老も、これには流石に堪えたようで――骨が折れ臓腑が潰れる感触を、ナナシはしかと感じ取っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネフラ・ノーヴァ
唯ひたすらに最強を目指す姿は美しいものだ。
敬意を示し辞儀と名乗りを返す。
赤い瞳を開き、UCで自らの腹に刺剣を突き立て血の刃を生じ、同じ血の剣に応じる。
打ち合い続けるも恐らく膂力に勝る奴に押されるだろうが、肩鎧弾かれ身が切れるも構わず踏み込んで、捨て身の刃を見舞う。
黄金の血はさぞ甘美。返り血を浴びればさらなる高揚に至れよう。
フフ、血に酔い歓喜しようではないか。



「唯ひたすらに最強を目指す姿は美しいものだ」
 善も悪も正道も邪道も関係なく、オブリビオンとなっても変わらない、求道者としてはどこまでも純粋な『ジークフリート大老』の信条は、ネフラにも共感するところがあった。その在り方に敬意を示し、彼女は辞儀と名乗りを返す。
「羊脂玉のネフラ・ノーヴァがお相手しよう」
 赤く染まった「血の瞳」を開き、自らの腹に得物を突き立てる。すると溢れ出した血が刃を生じ、血棘の刺剣を赤刃の長剣に変化させる。これぞユーベルコード【瀉血剣晶】、我が血の代償をもって武器の殺傷力を引き上げる秘術だ。

「我が血の刃、受けるがいい……」
「ならば我も、相応の武器で応えねばならんな」
 ジークフリート大老もユーベルコードを発動し、自身の血から【殺竜剣バルムンク】を呼び覚ます。ともに血の剣を武器とした両者は、示し合わせたように同時に踏み込んだ。打ち合わされた刃から真紅の波動が放たれ、闘技場の空気がビリビリと震える。
「やるな」
「貴殿こそ」
 仮に武器の性能を同等だとすれば、体格と筋力ではジークフリートの優勢だ。されどネフラも心技体の限りを尽くして拮抗する。開かれた「血の瞳」は敵の体内を流れる血の動きまで視認し、血の香りは精神を高揚させる。間違いなく今日一番と言えるほど彼女の技は冴え渡っていた。

「これほどの剣士に相見えたのは久方ぶりだ」
 それでも打ち合いを続けるうちに、押しているのは膂力に勝るジークフリートのほうだった。長い年月をかけて鍛え抜かれたアンブレイカブルの剛力が、羊脂玉のクリスタリアンを追い詰める――だが、そこでネフラは窮して下がるのではなく、前に出た。
「黄金の血はさぞ甘美。返り血を浴びればさらなる高揚に至れよう」
「……!」
 真紅の魔剣に肩鎧を弾かれ、身を切られるも構わず踏み込んで、捨て身の刃を見舞う。驚嘆するジークフリートの胸を、赤刃の長剣が深々と切り裂いた。ぱっと噴き出した鮮血の飛沫が、滑らかで真っ白な羊脂玉の肌を濡らしていく。

「フフ、甘美ではないか」
「……どうやら汝とは気が合うようだ」
 血に酔い歓喜するネフラの笑みは、陶然たる高揚感に満ちており。それを見たジークフリートは淡々と所感を述べながら剣を構え直す。よもや悍ましいなどと言うはずもなく、この男もまた打ち倒してきた強者共の血で我が身を覆ってきたのだ――果たして此度はどちらの血が勝者を彩ることになるのか。戦いはより激しく、血腥いものとなっていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

桂・真志
弟分の凶月・所在(f43975)と

戦争も飛び飛びだったせいか印象は薄い
「だが逆に今戦えるなら良かった」
こいつが蘇った事自体が
灼滅者の勝利を意味するのだから
「そうだ、勝利の否定と非道の再演は許さない」
真っ向勝負は望むところだ

「所在、全力で往こう」
敵の言葉をそのまま使い闘志を

俺自身が囮だ
ロクな攻撃も出来まいと潰しにきたらそれが罠
「かかったな!」
所在の糸で血飛沫があがる
こいつからも自分の傷からも生み出せたレーヴァテインを
刀に添わせ薙ぎ払おう

「お前の闘技場で俺達もまた力を得た」
今の俺達は灼滅者時代をとうに超えているぞ

所在に向かう事は許さんよ
庇い肉薄し戦い抜く
あの頃叶わなかった勝ち名乗りを今こそ上げよう


凶月・所在
兄貴分のまさにー(f43974)と

これがアンブレイカブルの大老なんだね
存在感に一瞬体が強張っちゃうけど
「うん、まさにーの言う通り」
過去に皆が勝ってくれた
だから此処でも絶対に、勝つんだ!

「勿論!往くよ!」
独りだったら絶対に勝てないけど
僕は二人だから戦えるから

まさにーの狙いは解ってる
何時も無茶するからちょっと心配だけど
【殺戮流儀】で敵を縛るように攻撃しながら
数本をまさに―の方へ
「僕たちの連携、見せてあげるね!」

敵はでっかくってとっても怖い
だけど立ち止まってたら、昔と変わらないから
「僕達は灼滅者で、猟兵だから」
まさに―が庇ってくれるけど
庇われるだけじゃダメだから、全力で攻撃
「僕達の、勝ちなんだよ!」



「これがアンブレイカブルの大老なんだね」
 実物を見るのはこれが初めてだが、武蔵坂学園の灼滅者として名前は以前から聞き及んでいる。黄金闘技場の主こと『ジークフリート大老』、伝説の名に恥じぬ存在感に、所在は一瞬身体が強張ってしまう。果たして自分が勝てるのかという不安が、少しだけ脳裏をかすめた。
「戦争も飛び飛びだったせいか印象は薄い。だが逆に今戦えるなら良かった」
 所在の緊張を和らげてくれたのは、兄貴分である真志の落ち着いた声音だった。彼もジークフリートと関係があった訳ではなく、ダークネス時代に奴が起こした事件も伝聞程度。しかしオブリビオンとして復活した奴を目前にしても、動揺する様子はまるで無かった。

「こいつが蘇った事自体が、灼滅者の勝利を意味するのだから」
「うん、まさにーの言う通り」
 真志の言葉に所在がこくりと頷く。かつての黄金闘技場強襲作戦にて、武蔵坂学園がジークフリートを灼滅できていなければ、歴史の流れは大きく変わっていただろう。積み重ねた無数の勝利の果てに現在の平和があり、それは全ての灼滅者にとっての誇りだった。
「過去に皆が勝ってくれた。だから此処でも絶対に、勝つんだ!」
「そうだ、勝利の否定と非道の再演は許さない」
 猟兵に覚醒し、戦いのバトンを受け継いだ彼らの使命は、この世界を守ること。どんなに強大なダークネスが復活しようが、絶対に勝たねばならぬ理由を背負っているのだ。それは決して重荷ではなく、彼らの心を奮わせる礎だった。

「所在、全力で往こう」
「勿論! 往くよ!」
 敵の言葉をそのまま使い、闘志を呼び起こす真志。独りだったら絶対に勝てないと思っていた所在も、こんなに頼もしい兄貴分と二人でなら戦える。かたや斬艦刀闇断を、かたや月鋼糸を構えると、それぞれが最も得意とするスタイルでジークフリートに挑む。
「二人同時か。構わん」
 連携やコンビネーションもまた強者の妙技。真っ向勝負はお互いに望むところだと、ジークフリートは自らの血から【殺竜剣バルムンク】を呼び覚まし、渾身の力で振り下ろした。かつての戦いでも武蔵坂学園の灼滅者を苦しめたその技は、直線上に伸びる真紅の波動によって、神々さえも両断する。

(俺自身が囮だ)
 弟分に声を掛けるまでもなく、真志は率先して前に出た。斬艦刀の強度と厚みを盾にして波動を受け止め、耐える。
 さらにはジークフリートが直接殴り掛かってきても、正面きって切り結ぶ構えだ。とはいえ相手は流石の「大老」、防御するだけでも精一杯だ。
「まさにー、援護するよ!」
 至近距離で交戦する二人から若干の距離を開けて、【殺戮流儀】を発動した所在が真志を援護する。兄貴分の狙いはちゃんと彼に伝わっており、糸で敵を縛り上げるように攻撃しながらも、そのうち数本を真志のほうにも張っておく。あとは、この布石を使うタイミングを見極めるのが肝心だ。

「どうした。この程度ではあるまい」
 二対一の戦闘でも、優勢はジークフリートの方だった。殺竜剣で糸を切り払いながら、一打一打に必殺の威力を込めて繰り出す。囮を買って出た真志はロクな反撃をする余裕もなく、防戦一方の状態だ。何もしないのであればこのまま潰すのみだと、大老はますます攻勢を強める――。
「かかったな!」
「僕たちの連携、見せてあげるね!」
 これこそ二人の仕掛けた罠だった。見えないように張られていた所在の糸が、真志の身体から血飛沫を上げさせる。
 まさかの同士討ち――だが、これでいいのだ。今の真志は昔とは違い、敵からも自分の傷からも【レーヴァテイン】を生み出せる。召喚された炎の剣を斬艦刀に添わせ、彼は眼前の敵を力任せに薙ぎ払った。

「ぐッ……! これが狙いだったのか、灼滅者よ」
「お前の闘技場で俺達もまた力を得た」
 不意をつかれ焼き斬られたジークフリートが、表情を歪めながら後退する。並の刃物では傷ひとつ付かないアンブレイカブルの肉体に、深々と刻まれた火傷と刀傷。それは召喚元のレベルに比例した【レーヴァテイン】の威力、ひいてはジークフリートと真志の実力を証明していた。
「今の俺達は灼滅者時代をとうに超えているぞ」
「僕達は灼滅者で、猟兵だから」
 サイキックハーツ大戦終結から6年。ダークネスがオブリビオンとして復活するまでの期間、灼滅者も歩みを止めていた訳ではない。研鑽した技術とサイキックはユーベルコードに進化し、彼ら自身も大きくレベルアップを果たした。それを示すように所在も月鋼糸で追撃を仕掛ける。

(敵はでっかくってとっても怖い。だけど立ち止まってたら、昔と変わらないから)
 何かを守るために敵を殺す。それが殺人鬼のルーツを背負う者として所在が至った信念。それを貫き通すために彼が振るう糸は、変幻自在の軌跡でジークフリートを切り刻んでいく。一本一本の傷はけして深いものではないが、重なる出血は消耗を強い、新たな炎の剣を生む源となる。
「このままでは拙いか……ならば」
「所在に向かう事は許さんよ」
 ジークフリートが攻撃の矛先を変えようとすれば、その前に真志が立ちはだかる。彼自身の消耗も激しいはずだが、残された力の全てを振り絞って弟分を庇い、敵と肉薄し、戦い抜く。その身に燃え滾る炎の血が、冷める気配はない。

「ありがとう、まさにー」
 敵の攻撃は真志が庇ってくれるけれど、庇われるだけじゃダメだからと、所在は彼のぶんまで全力で攻撃を続ける。
 炎の剣に照らされ、月光の煌めきを発する鋼の糸。二つの共演が敵にもたらすのは、より深く致命的な爪痕だった。
「見事、だ……たった数年のうちに、これほどの強者が育っていようとはな……」
 火傷、束縛、そして多量の出血により、ついにジークフリートはリングに膝をつく。荒い呼吸から紡ぎ出したのは、強者達に送る賞賛。それを受けた武蔵坂学園の灼滅者にして猟兵は、あの頃叶わなかった勝ち名乗りを今こそ上げた。

「俺達の、勝ちだ」
「僕達の、勝ちなんだよ!」
 変わりゆく時代の証明、新たなる守護者の勝鬨が、黄金闘技場に響き渡る。現代においても依然として戦略級の脅威となるジークフリート大老にも、十全に対抗できる力を示したということは、今後どのような強敵がまた復活しても、必ず使命を果たしてみせる――そう彼らは証明したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

戒道・蔵乃祐
強者との死合いを求めて汎ゆる策を労した業大老
灼滅者組織に損なわれた秩序を正すため、日本列島を焦土にせしめんとした建御雷大老

ジークフリートはそれなりに理性的で会話も通じる
バベルの鎖による情報阻害の歴史に於いて伝説が『英雄』側で残ったのは
荒ぶる数多の竜種を殺戮した大老が人間からすれば都合が良かったのか

アンブレイカブルがサイキックハーツに届かなかったのは、欲求以外の些事には無関心な根本的な習性が原因というところか

◆大獄殿
金丹仙薬によるドーピング+限界突破の造血
ガチデビルの欠片で殺竜剣をジャストガード
見切り+心眼で切り込み、怪力+武器受けで距離を詰め
グラップル+重量攻撃の乱れ撃ちで真っ向から殴り合う



「強者との死合いを求めて汎ゆる策を労した業大老。灼滅者組織に損なわれた秩序を正すため、日本列島を焦土にせしめんとした建御雷大老」
 目の前にいる『ジークフリート大老』と並んで、かつて大老と呼ばれたアンブレイカブルの知識を振り返る蔵乃祐。
 両名とも旧時代のダークネスでは指折りの強者であり、大規模な戦争を引き起こしたすえ武蔵坂学園に灼滅された。人類に対する直接的な危険度で言えばジークフリート以上かもしれない。
「ジークフリートはそれなりに理性的で会話も通じる。バベルの鎖による情報阻害の歴史に於いて伝説が『英雄』側で残ったのは、荒ぶる数多の竜種を殺戮した大老が人間からすれば都合が良かったのか」
 ヨーロッパの伝説に登場する英雄ジークフリートと、ダークネスのジークフリート大老の関連性は不明である。ただダークネスに関する情報は過剰に伝播しない、という法則が存在した旧時代において、彼の行動が歪んだ形で記録に残されたのはあり得る仮説だった。

「アンブレイカブルがサイキックハーツに届かなかったのは、欲求以外の些事には無関心な根本的な習性が原因というところか」
「それこそ些事だ。今の我にとって重要なのは、この闘争をおいて他になし」
 自分の過去や世界観の考察など、ジークフリートにとっては何の興味もない事だろう。自己研鑽と強者との戦いのみに重きを置く彼は、蔵乃祐が話を終えて身構えるのを待ってから、自らの血より呼び覚ました【殺竜剣バルムンク】を振り下ろす。闘技場ごと真っ二つにする勢いで、真紅の波動が解き放たれた。
「最も強く! 最も邪悪なる悪魔王! 極悪非道の大悪事!」
 対する蔵乃祐は【大獄殿】を発動。魔界の1stKINGこと『魔王ガチデビル』の欠片を憑依させ、戦闘力を増強する。
 このユーベルコードは魔王の強大な力と引き換えに血液を消費するが、錬丹術の奥義である「金丹仙薬」を飲むことでそれを補っている。毎秒失なう血にも勝る造血作用が、彼の体内で働いていた。

「真っ向勝負がお望みとあらば、そうしましょう」
 ガチデビルの欠片と限定的な不老不死を得た蔵乃祐は、大連珠を握りしめバルムンクの波動をジャストガードする。
 衝突音が響き渡り、闘技場を縦断するはずだった斬撃痕が彼の所で止まる。ダメージはゼロではないものの、仙薬のお陰で戦闘継続に支障はない。
「いざ!」
「来い」
 追撃までの間隙を心眼で見切った彼は、一気に敵の元まで切り込んでいく。ジークフリートも当然迎え撃つ構えだ。
 直接叩きつけられる殺竜剣の一撃を数珠で受け止め、さらに一歩距離を詰めれば打撃の間合い。ここからは殴り合いの時間だと、蔵乃祐は拳を繰り出した。

「良い一撃だ」
 ここに至ればジークフリートも剣を捨て、拳と拳をぶつけ合う。鉄塊同士が衝突したような音と共に、衝撃波が闘技場を吹き荒れる。両者とも血の滲むような鍛錬の果てに得た、筋骨隆々の肉体同士の激突だ。研鑽された技による重量のある打撃が、互いの筋肉の鎧を打つ。
「あなたを倒せば黄金闘技場の勢力は瓦解する。押し通させてもらいます」
 金丹仙薬の効果が切れるまでの数分間、蔵乃祐はひたすらに拳を乱れ打ち、敵にダメージを与えることに専念する。
 伝説上では不死身と謳われる英雄も、現実はあくまで強大なダークネスであり、今はオブリビオンに過ぎない。必ず滅ぼせるという彼の確信を、ここまでの激闘でジークフリートに刻まれた無数の傷が証明していた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

皐・芽衣
我も非道なる殺戮者、か。行動を理解はしておるのじゃな。
精進するのは結構じゃが、非道は裁かねばならん。
かつて灼滅者に裁かれたように、再びここで断罪してやろう!

【断獄】。ここからは裁きの場じゃ。
戦いの中での嘘……フェイク・フェイントを禁止した上で
裁くわしを強化し、裁かれるお主や召喚対象を弱体化させる。
お互い真っ直ぐ攻撃するしかない状況じゃ、
弱体化した技は[見切り・受け流し]で対応できる。
無論、こちらの[功夫]や[なぎ払い・串刺し]もフェイントなしじゃ。
強化しても対応されるじゃろうが……
宝貝「雷公羊毛」からの[電撃・マヒ攻撃]は[範囲攻撃]じゃ、
近距離で撃てば避けきれまい?
マヒで動きが鈍った隙に、[功夫・足払い・部位破壊・体勢を崩]して
偃月刀「鉅角」での、次の攻めにつなげていく。

わしは、お主を裁くために強くあらねばならん。
お主の力を押さえ込んででも、裁かねばならん。
お主が「非道なる殺戮者」でなければ、
対等に拳を交わすこともできたんじゃろうが……
手段を問わず力を求めた故に、お主はここまでじゃ!



「我も非道なる殺戮者、か。行動を理解はしておるのじゃな」
 相手が悪を悪とも思わぬ外道ではなかったのを、潔しと受け取る芽衣。果てしなき最強の頂点を目指して鍛錬する、アンブレイカブルの『ジークフリート大老』。かの男、己の為すことを理解した上で、なおも止まる気は毛頭なしか。
「精進するのは結構じゃが、非道は裁かねばならん。かつて灼滅者に裁かれたように、再びここで断罪してやろう!」
「我が裁かれるのであれば、その時は汝が強かったという事。いざ手合わせ願おうか」
 断罪の執行を宣告する芽衣に対して、ジークフリートは迎え撃つ構え。素直に首を差し出す気はないが、結果は結果として受け入れるということか。結局この男を前に我を通そうとするならば、勝者となり力を証明せねばならぬ。それが黄金闘技場のシンプルな鉄則だった。

「ここからは裁きの場じゃ」
 芽衣が【断獄】を発動すると、周辺にいる全ての者の「嘘」が禁止される。戦いの中での嘘――フェイク・フェイントも禁じた上で、裁く己を強化し、裁かれる敵を弱体化する。自身に有利なフィールドを形成するユーベルコードだ。
「あくまで己の規律を通すか。それも良し」
 いかに制約を課せられようと、力で全てを粉砕するのがジークフリートの流儀だ。その身に帯びた【邪竜の血】が、禍々しい真紅のドラゴンに変化する。おそらくは大老から力を分けた眷属の一種か。とはいえその「竜種イフリート」は、並のオブリビオンの力を凌駕する。

「我を裁くと言うなら、この程度は凌いで貰わなければな」
 召喚したイフリートと共に、二体掛かりで攻撃を仕掛けるジークフリート。嘘を禁じられたが故の単純な力攻めだが破壊力は語るまでもなし。竜種の爪牙、修羅の拳、いずれを食らっても重傷は間違いなし――それでも、まだ与し易くなっているのは確か。
(お互い真っ直ぐ攻撃するしかない状況じゃ、弱体化した技は対応できる)
 五感を総動員して敵の動きを見切り、「鉅角」で受け流す芽衣。そのまま刺突やなぎ払いでカウンターに移行する。
 無論、彼女の功夫や武技もフェイントはなしだ。裁きを行う者に嘘が許されていては、断罪から正当性が失われる。

「見事だ。だが、まだ足りんな」
「流石にやるのう!」
 ジークフリートは百戦錬磨の達人。【断獄】の強化・弱体化の相対差を加味しても、虚を突かぬ攻撃は対応される。
 お互いにフェイントを禁じられたまま、武技と功夫の正面衝突が火花を散らす。数十合の攻防を重ねても、有効打はいまだに無いままだ。
「じゃが、これは避けきれまい?」
 闘気と闘気のぶつかり合いで、再び十分に蓄電された「雷公羊毛」。その宝貝より放たれる雷撃は範囲攻撃であり、近距離から撃てば回避困難。黄金闘技場に炸裂する金色の稲光が、ジークフリートとイフリートの身体をマヒさせた。

「ぬうッ……!」
「そこじゃ!」
 マヒで動きが鈍った隙に、さっと足払いをかけて相手の体勢を崩す。戦いの均衡を破る好機を得た芽衣は「鉅角」で次の攻めに繋げていく。金剛石の如く鍛え上げられたジークフリートの肉体に、断罪の偃月刀がついに突き刺さった。
「わしは、お主を裁くために強くあらねばならん。お主の力を押さえ込んででも、裁かねばならん」
 ユーベルコードでこちらのルールを強制している以上、武人として対等の戦いとは言えぬかもしれない。それでも、勝たねばならぬ理由が彼女にはある。彼奴の求道は血塗られた修羅の道――流される血が同族に留まらぬ以上、ここで止めねばならぬのだ。

「お主が『非道なる殺戮者』でなければ、対等に拳を交わすこともできたんじゃろうが……手段を問わず力を求めた故に、お主はここまでじゃ!」
 断固たる裁きの決意をもって、一気呵成に攻勢をかける芽衣。より鋭さを増した斬撃や刺突が、歴戦の大老に新たな傷を刻み、邪血の竜種をなぎ倒す。追い込まれたジークフリートはガクリと膝をつき――されど、その瞳の奥はいまだ燃えている。
「汝らのような強者と戦い力尽きるなら、武人としては最高の終着点だろう。だが……まだ終わるつもりはないぞ!」
 この命尽きる瞬間まで、飽くなき闘争を。最期まで己の生き様を貫き通さんとする、意志の強さは猟兵にも劣らぬ。
 黄金闘技場の死闘はなおも激しさを増し続けながら、いよいよ決着に向かって加速していく。終わりの時は、近い。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
然り、ジークフリート大老
我らの間に言葉は不要
かつてのように、互いの血を以って決するより他になし

決死の【覚悟】を胸に、総身に【覇気】を漲らせ
――いざ、勝負!!

闘技場の床を踏み砕かんばかりの勢いで【ダッシュ】
挨拶代わりに【怪力】の拳をぶちかます

かつてを識っているからといって、アドバンテージになるとは限らない
アンブレイカブルは止まらない、大老と呼ばれる彼ならば尚更
たかが死んだくらいで、最強を目指す意思が挫ける道理がない
過去の知識で今を見誤れば、即ち死だ

全力で――いや、常に【限界を突破】しながら、拳打、蹴撃、聖槍を打ち振るう
【闘争心】を劫火の如く燃やし、【根性】を【振り絞り】、大老の武威に喰らいつく
極限の【集中力】で殺竜剣の波動を【見切り】、【功夫】の体捌きで身を躱し、至近距離まで踏み込む!
これが正真正銘、全身全霊――【極煌閃烈脚】ッ!!
サイキックの閃光百裂拳を蹴撃へと応用、ユーベルコードへと昇華させた閃光の如き百連撃
低下する命中率は距離を詰めることと、【気合い】で補う!
打ち、砕く――!!



「然り、ジークフリート大老。我らの間に言葉は不要。かつてのように、互いの血を以って決するより他になし」
 生前と変わらぬ在り方を、オブリビオンとなっても貫き続ける『ジークフリート大老』。オリヴィアも魂に刻まれた記憶のままに、決死の覚悟を胸に、総身に覇気を漲らせる。両名がこうして対峙するのは、これが初めてではない。忘れもしない黄金闘技場の決戦、時を越えた第二ラウンドだ。
「――いざ、勝負!!」
「応!」
 闘技場の床を踏み砕かんばかりの勢いでダッシュするオリヴィア。床を踏みしめ、迎え撃つ構えのジークフリート。
 得物は聖槍と魔剣、そして己の肉体そのもの。鍛錬と死闘により研鑽された技と力の全てをぶつける真っ向勝負だ。

「破ッ!!」
「オオッ!」
 オリヴィアが挨拶代わりに怪力の拳をぶちかますと、ジークフリートは胸板で受け止め、すぐさま殴り返してくる。
 ぶつかる拳からビリビリと伝わる衝撃。猟兵として経験を積んだ今のオリヴィアとも、ジークフリートは互角以上。かつてを識っているからといって、アドバンテージになるとは限らない。
(アンブレイカブルは止まらない、大老と呼ばれる彼ならば尚更。たかが死んだくらいで、最強を目指す意思が挫ける道理がない)
 7年前の戦死からオブリビオンとして復活するまで、奴の時間が停まっていたとはオリヴィアは考えていなかった。
 より強靭に、より豪壮に。ヴァルハラにて精進を重ねた男の武技は、あの頃よりもさらなる高みへと到達していた。

(過去の知識で今を見誤れば、即ち死だ)
 全力で――いや、常に限界を突破しながら、拳打、蹴撃、聖槍を打ち振るうオリヴィア。そうでなければ到底勝ち目のない相手だと悟ったのだ。闘争心を劫火の如く燃やし、根性を振り絞り、大老の武威に喰らいつく。この時、彼女の思考と運動の全ては目の前の相手を倒すことだけに集中していた。
「あの頃よりも腕を増したのは、我だけではないか。嬉しいぞ!」
 極上の強者と戦える歓喜に打ち震えながら、ジークフリートは切り札の【殺竜剣バルムンク】を抜いた。竜を屠り、神をも殺す、真紅の波動を纏いし魔剣。かつてオリヴィアが見たサイキックにも似たようなものがあったが、破壊力と射程はさらに増していると考えていいだろう。

「さあ、凌げるか!」
「凌いで……みせる!」
 振り下ろされる必殺の一撃。オリヴィアは極限の集中力を以て殺竜剣の波動を見切り、功夫の体捌きで身を躱した。
 まさに紙一重。わずか数ミクロン差の生と死の境界をすり抜けた彼女は、ジークフリートに至近距離まで踏み込む。
「これが正真正銘、全身全霊――【極煌閃烈脚】ッ!!」
 繰り出したのはサイキックの「閃光百裂拳」を蹴撃へと応用、ユーベルコードへと昇華させた、閃光の如き百連撃。
 一撃毎に命中率の低下する弱点のある技だが、限界ギリギリまで距離を詰め、それでも足りない分は気合いで補う。この瞬間に、己の全てを出し尽くす覚悟で。

「打ち、砕く――!!」
 わずか1秒のうちに完遂される神速の百連撃。アンブレイカブルの大老はこれにすら反応し、防御体勢を取るが――全てを受け止めることは不可能だった。闘気の煌めきと共に叩きつけられた蹴撃が、ジークフリートに膝をつかせる。
「百裂拳を、ここまで昇華させるとは……見事だ……!!」
 尋常ならざる鍛錬の成果に、大老は賞賛を惜しまない。その強靭な肉体をもってしても、すぐには立ち上がれぬほどのダメージを受けたのだから。猟兵とオブリビオン、かつてとは在り方の変わった両者の戦いは、世界を守る為に戦う者に軍配が上がった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーフィ・バウム
2006人の灼滅者が作戦に参加した黄金闘技場強襲
そして決戦に挑んだ30人
確かにそこに私はいました

戦略級――懐かしいこの気配に、死力を尽くしましょう
オーバーロード!【真の姿:蒼き鷹】となりて
真向勝負を挑みますわ

かつて学園の総力で破った貴方の不死
二度目は必然として

言葉は不要
ならば己の培った全てで以て貴方に勝ちます!
殺竜剣がある相手です。遠間は不利
元より肉弾戦で戦うはレスラーの本懐
功夫を生かしたラリアット等のプロレス式打撃で飛び込み、
反撃を覚悟を以て受け、耐えたなら
グラップルを生かし投げを打ちます

共に戦う仲間が窮地であれば、かばうことで道を拓きます
ですが7年前と違い、私自身も倒れません
受け切って、必ず勝ってますともっ!

限界が近いとなれば挑発し必殺の一撃を呼び
野性の勘を生かし致命打を避けつつ受け――
きゃあああっ!

悲鳴を上げ、倒れ込みそうになっても限界突破で立つ!
そして見舞うは《トランス・コンビネーション》
拳技で肉体を撃ち抜き、必殺の投げで地面に叩き込み、
オーラ全開のヒップドロップで仕留めますわ!



「2006人の灼滅者が作戦に参加した黄金闘技場強襲、そして決戦に挑んだ30人。確かにそこに私はいました」
 忘れもしない決戦の舞台。仲間の期待を背負い、圧倒的強者との負けられぬ戦いに挑む、あの時の感覚を「蒼き鷹」は思い出していた。目の前には7年前と変わらぬ姿の『ジークフリート大老』。感じる闘気はあの頃と同じどころか、それ以上だ。
「戦略級――懐かしいこの気配に、死力を尽くしましょう」
 オーバーロードに至った彼女は「蒼き鷹」として真の姿のまま真向勝負を挑む。一度は勝った相手だからと言って、慢心する気持ちは微塵もない。あの頃より彼女も強くなったが、相手の格が落ちたとはまるで感じないし――なにより状況が違う。前回は二千人超の灼滅者で挑んだ黄金闘技場に、今回はたった十数名の猟兵で挑んだのだから。

「かつて学園の総力で破った貴方の不死。二度目は必然として」
「大した自信だ。それでこそよ」
 ジークフリートからすれば、この戦いはリベンジマッチとも言えるだろう。新たな挑戦者も、過去の因縁も、全ての強者を倒して頂点に立った時、彼は真の意味でダークネス時代の己を超えたことになる。見据える先は勝利のみ、より強き者が勝利するという"必然"だけが結果となる。
「言葉は不要。ならば己の培った全てで以て貴方に勝ちます!」
「受けて立とう。我もまた全力で!」
 黄金闘技場の熱気は最高潮に達し、双方の気迫と闘志がぶつかり合う。後はただ、心ゆくまで拳で語り合うのみだ。
 先手を取ったのは「蒼き鷹」。功夫を活かした得意のプロレス式打撃で飛び込み、豪快なラリアットを食らわせる。

(元より肉弾戦で戦うはレスラーの本懐)
 必殺の【殺竜剣バルムンク】がある相手に遠間は不利とみて、己が得意とする土俵に踏み込んだ「蒼き鷹」。だが、そこはジークフリートの間合いでもある。鍛錬を積み重ねた肉体は恐るべき凶器と化し、繰り出される反撃は一撃必倒の威力を誇る。
「ふっ……!」
 その一撃を「蒼き鷹」は覚悟を以て受け、耐えればグラップルを活かした投げを打つ。体格で勝る偉丈夫がレスラーの怪力に持ち上げられ、黄金闘技場のリングに叩きつけられる。地面が陥没するほどの衝撃に、流石のジークフリートも血を吐いた。

「ガハッ……そうだ、我はこのような戦いを求めていた!」
 血に塗れた修羅の形相で、ジークフリートは即座に起き上がると反撃に転ずる。その拳圧はもはや、衝撃の余波だけで黄金闘技場を自ら破壊してしまいかねないほどだ。逃げ遅れた者や、共に戦う仲間が窮地に陥る可能性も考慮して、「蒼き鷹」は正面から敢えて攻撃を受け止める。
(ですが7年前と違い、私自身も倒れません)
 過去の作戦において「蒼き鷹」は戦闘中盤で重傷を負い、ジークフリートとの決着は他の仲間に託すことになった。
 ディフェンダーとして役割を全うした結果なのだから、それ自体に後悔はない。だが一人のレスラーとして、あの時と同じ終わり方にはしないというプライドがあった。

「受け切って、必ず勝ってみますともっ!」
「その意気や……よし!」
 文字通りに血で血を洗う闘争、命と誇りを賭けた殴り合いを繰り広げる「蒼き鷹」とジークフリート。殴り、蹴り、投げ、極め、持てる技術と力の全てを尽くしても、なかなか決着はつかない。だが並外れてタフな両名でも、そろそろ限界は近いはずだ。
「どうしました……もう終わりですの……?」
「いいや……これからだ!」
 荒い息を吐きながら挑発をかます「蒼き鷹」に、ジークフリートは全身全霊で応じた。次に繰り出すのが正真正銘、必殺の一撃となる。これまでになく明瞭に死の気配を感じた「蒼き鷹」は、野生の勘で致命打を避けつつ受ける、が。

「きゃあああっ!」
 覚悟を決めていてもなお、たまらず悲鳴を上げてしまうほどの衝撃。とうに限界を迎えていた肉体を支えていた気力の糸が切れ、ゆっくりと地面に倒れ込んでいく「蒼き鷹」――これで終わりなのか? 他ならぬ自分の中から聞こえた声に、彼女はありったけの想いで答えた。
「まだっ、ですわぁっ!!!」
 肉体を凌駕する魂の力で、己の限界を突破する。これは灼滅者の底力なんて小綺麗なものではない、ただの意地だ。
 最後の気力を振り絞って膝を屈することを拒み、そして見舞うは【トランス・コンビネーション】。7年前からの因縁を終わらせる、真のフィニッシュホールドだ。

「トランスバスター! ドライバーッ!」
「ぐッ! おおぉッ!!?」
 鍛え上げた拳技で肉体を撃ち抜き、ホールドから上空高く舞い上がったかと思えば、必殺の投げで地面に叩き込む。
 華麗にして豪快なる技の祭典。たまらずダウンを取られたジークフリートに、全開のオーラを纏ったヒップドロップが叩きつけられる――。
「クラッシュですわっ!」
 単純にして強烈。自重に膂力に闘気に落下速度、あらゆる要素を威力に変換した一撃が、大地を割り、天を震わす。
 押し潰されたジークフリートは、それでも彼女を押しのけようともがき、手を伸ばし――だが、届きはしなかった。

「見事……嗚呼、素晴らしき死闘だった……強者達よ、いつかまた、ヴァルハラにて拳を交えようぞ……」

 完膚なきまでに敗北した男の口元には、満足げな笑みが浮かんでおり。
 黄金闘技場の崩壊と共に、伝説のアンブレイカブル『ジークフリート大老』は、血塗られた求道に再び幕を引いた。



 かくして猟兵達は、復活したダークネスの拠点を制圧し、将来起こり得る危機を未然に阻止してみせた。
 黄金の戦いを制し、勝者としてリングを去る一同の勇姿を、燦然たる夏の日差しが祝福していた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年08月01日


挿絵イラスト