#サイキックハーツ
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東京都武蔵野市、武蔵坂学園。
かつて、サイキックハーツ世界をダークネスの支配より解放せし者達――|灼滅者《スレイヤー》達の集う学び舎であった学園。今は灼滅者ならぬ生徒も多く抱えてこそ居れど、世界を文字通り変革してみせた者達の拠点であった地として、その存在は今なお大きな意味を持っている。
――故にこそ。灼滅者へ恨みを抱く者にとって、学園と其の在る街は、格好の標的と言えるのである。
夕暮れ時の吉祥寺駅前。轟く爆音、上がる悲鳴。帰宅ラッシュの最中において突如巻き起こる戦闘――否、殺戮。
逃げようとする市民の背に刃が振り下ろされ、その命が刈り取られる。
崩れ落ちる市民、その背後から現れたのは、メイド服の上から軍用マントを羽織った緑髪の女。己の行為に何の感慨も持たぬかの如く、刀を振るって血を払う。
「状況継続。灼滅者ないし猟兵の襲来まで、破壊行動を継続する」
淡々と事務的に呟いた女の腕が手首から折れ、その下から現れたるは鈍く輝く砲口。手近なビルへと狙い定めれば直後、その砲口より榴弾が放たれる。其は狙い違わずビルを直撃し、盛大なる爆発を以てこれを倒壊せしめてゆく――。
一方、駅から程近く、井の頭公園においては。
「瑠架ちゃん……嗚呼、愛しい瑠架ちゃん……」
薄暗い木々の合間、譫言めいた呟き声を漏らすのは、比喩でなく丸々とした肥満体の男。その身に首は殆ど無く、身体と頭が殆ど一体化して見えるという有様。
「瑠架ちゃん、君は未だ戻ってこれないんだね。僕はオブリビオンとして蘇ってこれたけど、瑠架ちゃんは今も骸の海の何処かを彷徨っているのかな」
その語り口はまさしく、愛しい者に愛を囁くが如し。些かならず一方的ではあれど、些かなりとも迷いなき愛。
「それなら僕は君に捧げるよ。優しい君を無残に殺した灼滅者達と、君を差し置いてサイキックハーツになったとかいう人間達の、血と、悲鳴と、屍を」
語る言葉には熱が籠る。其は愛情であり、狂気であり、或いは。
「君の怨みも憎しみも、僕が全て晴らしてあげる。だから、どうか、また逢えたなら――」
夢見るように呟くと共に落とした視線の下。男の手には、波打つ赤紫の髪の少女を写した写真があった――。
●
「――来たわね」
グリモアベースに集った猟兵達を迎えるは、背丈と顔立ちこそ幼くも、何処か大人びた佇まいを持つ娘。タシュラフェル・メーベルナッハ(夜闇の万華鏡・f43850)、通称タシェ。この度猟兵達が到達せし世界『サイキックハーツ』出身のグリモア猟兵である。
「早速だけど、サイキックハーツで事件よ。東京の武蔵野――吉祥寺で、オブリビオンとして蘇ったダークネスが無差別殺戮事件を起こそうとしているわ」
ダークネス。かつてこの世界を裏から支配し、人類に苦しみや悲しみを強いてきた怪物達。かつての灼滅者達の戦いの末、彼らの支配は完全に崩壊し、人類は全ての苦しみから解き放たれた。
だが、そのダークネスが今、オブリビオンとして蘇り、かつての在り方に沿った事件を引き起こしている。其を止められるのは無論、猟兵をおいて他に無し。
参戦の意志を示す猟兵達にタシェは頷くと、己の予知に基づく任務の説明に入る。
「まず、皆にはは吉祥寺駅へ向かって欲しいの。此処でオブリビオンが虐殺を行おうとしているから、これを阻止して欲しいのよ」
現れるオブリビオンは単独だが、その分強力な存在である。如何なオブリビオンかと言えば。
「ただ、このオブリビオン――昔いたダークネスとは別の存在なのよ。名前は『バルタン・ノーヴェ』――曰く雇われバトルサイボーグメイド、らしいわ」
その名、その肩書、そしてその容姿。全てが一致する猟兵がいる存在だが、その猟兵とは完全に別個の存在であるとタシェは語る。
「サイキックハーツのオブリビオンには、猟兵の真の姿と同じ姿をしたものもいるのよ。でも本人とは全く無関係の存在だから、倒しても本人には全く影響は無いわ」
何故そのようなオブリビオンが現れるのかは分からないが、いずれにせよ捨て置けば人々に禍齎す存在だ。躊躇なく倒すべきである。
「ただ、事件が起きるのは帰宅ラッシュの真っ最中だから、現場には大量の一般市民がいるわ。彼らにできるだけ被害が出ないように気を付けて頂戴ね」
無論、敵はこれら一般市民も躊躇なく己の攻撃に巻き込んでくる。何とか彼らを守りながら戦う必要があるだろう。
「幸い現場は武蔵坂学園のすぐ傍。学園に在籍してる灼滅者の子達が援護に来てくれるから、避難誘導はそっちに任せても大丈夫よ」
彼らならば多少流れ弾を受けても作戦行動の継続は可能。必要なら頼ってくれて構わない、とタシェは請け負う。
だが、この敵を倒してもまだ終わりではない。更なる敵の襲ってくる予知が見えているという。
「『ナイトメアスパイダー』っていうシャドウの群れが皆に襲い掛かって来るんだけど……このシャドウ、蝙蝠に変身して空を飛び回る能力もあるのよ」
それはかつてのダークネス――シャドウとしての其が有する筈のない能力。どういうことかといえば。
「この事件には黒幕がいるの。『黒翼卿メイヨール』――ヴァンパイアの上位個体『爵位級ヴァンパイア』の一体よ」
その名の通り、力量に応じた爵位を持つヴァンパイアであり、全ての個体が戦略級の強大なる存在。メイヨールはその中で中堅に当たる『子爵級』である。
「見た目は冗談みたいな奴だけど、その実力は本物よ。特に脅威なのが『タトゥーバット』っていう蝙蝠型の眷属を大量に展開する能力ね」
かつてもその能力を駆使して灼滅者達を苦しめてきた存在だ。それ故に、どうやらオブリビオンとなった彼には配下に蝙蝠変身能力を与える力が備わったらしい、とタシェは見ている。
「――で、何故メイヨールが吉祥寺で事件を起こしたかって言えば」
一通りの説明の後、一つ息を吐くタシェ。かの爵位級ヴァンパイアの行動目的もまた、予知に垣間見えたらしい。
「ずばり言って『復讐』よ。彼自身じゃない、彼が愛していたヴァンパイアの子――『朱雀門・瑠架』を殺した灼滅者に対する、ね」
朱雀門・瑠架。ヴァンパイア勢力の下部組織『朱雀門高校』に属していたヴァンパイアであり、ダークネスと人類と灼滅者の共存を望んでいた少女。彼女の理想に共感する灼滅者も少なくはなかったが、紆余曲折の末に灼滅せざるを得なかった相手。
尤も、瑠架としては、誰一人として犠牲を出したくないが為に『彼女から見れば敗北を避け得ぬ道』を選んだ灼滅者達に対し、サイキックハーツに到達して尚も他より劣る己の力を捧げた――というべきものではあったが。メイヨールは其を認めも信じもしないだろう。
「メイヨールの瑠架への愛は、彼女自身の気持ちなど一切考えない身勝手なもの。けれど、何処までも一途ではあった」
なればこそ、その復讐心は大変強いものであるだろう。そういう意味でも、彼との戦いでは心して当たって欲しい、と。タシェは語る。
「私からはこんな処ね。それじゃ、転送を始めるわ」
説明を終え、タシェはその掌にグリモアを展開する。光の中から闇が溢れ、その向こうへ広がるは、サイキックハーツ世界の吉祥寺の街並みであった。
五条新一郎
今再び、己の闇と向かい合う。
五条です。
やって参りました新たな世界はサイキックハーツ、かつて闇に支配されていた世界。
蘇りしダークネスと、その尖兵として現れたる真の姿のオブリビオンの討伐をお願いします。
●目的
全てのオブリビオンの殲滅。
●戦場
サイキックハーツ、東京都武蔵野市吉祥寺。時刻は夕方~夜。
章ごとに戦場を移動します。
●第一章
吉祥寺駅にて『バルタン・ノーヴェ』との「ボス戦」です。
周囲には多数の一般人がいます。彼らは全員エスパーなので、ユーベルコードを伴う攻撃以外では傷つきません。
●第二章
吉祥寺市街にて『ナイトメアスパイダー』との「集団戦」です。
敵はユーベルコードに加え「蝙蝠に変身する能力」を持ちます。
●第三章
井の頭公園にて『黒翼卿メイヨール』との「ボス戦」です。
●援護戦力
『武蔵坂学園の灼滅者』
今も学園に在籍する灼滅者達。戦闘力は集団敵なら何とかなりますがボス敵相手は厳しいというところ。
第一章・第二章で共闘できます。彼らへの指示あらばプレイングにて。
●プレイングについて
第一章はOP公開直後から、第二章以降は章移行後に断章を投稿しますのでそれ以後からプレイングを受け付けます。
それでは、皆様のプレイングお待ちしております。
第1章 ボス戦
『バルタン・ノーヴェ』
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POW : フルバースト・マキシマム
【全武装の一斉発射】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 剣刃一閃
【近接斬撃武器】が命中した対象を切断する。
WIZ : ヴァリアブル・ウェポン
【内蔵兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
イラスト:L
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠バルタン・ノーヴェ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
確かに、少々やり辛い容姿ですが。
参りましょう。
『FAS』により飛行、『FLS』で必要に応じ|各『祭器』《未装備含》召喚出来る様備えまして。
灼滅者の方々に避難誘導を願い、『FMS』のバリアを周囲への被害を防ぐ防壁に用いて避難を支援しますねぇ。
『刀』を指定し【繃炗】を発動、『FES』の対物結界を内側に重ねた『障壁』を纏い『光波霊』に変化しましょう。
この状態であれば【フルバースト】の射撃も『FPS』による探査と重ねることで回避も出来ますし、回避可能なだけの隙間が無くても1/100に軽減後『結界』に当たる為ほぼ無効化が可能ですぅ。
後は『超光速』のヒット&アウェイで斬りますねぇ。
夕刻の吉祥寺駅。都心からの電車が到着するたびホームには多くの乗客が溢れ出し、構内は家路につかんとする人々でごった返している。
そんな人波の合間、鋭い視線を巡らす、緑髪の女が一人。夏の盛りを迎えんとする時季にありながら、メイド服の上に軍用マントを羽織る異様な姿。なれど人々は彼女へ奇異の視線の一つすら寄越すことがない。
『バルタン・ノーヴェ』、とある猟兵と同じ名と、その真の姿と同一の容姿を持つオブリビオン。駅構内の時計を、感情の見えぬ瞳で一瞥すると。
「――予定時刻に到達」
淡々と呟くと共に、両腕を大きく広げる。直後、メイド服の袖ごとその両腕が瞬時に変形し、長大なるガトリングガンがその姿を現す。
「作戦行動を開始する」
続けて呟くが早いか、ガトリングガンの砲身が回転を開始。直後に吐き出される機関銃弾が駅の構内へとばら撒かれ、行き交う人々を引き裂かんと――
「そうはさせませんよぉ」
だが其処へ割り込む声。直後にバルタンは見る。己の放った銃弾が、何も無い空間で弾かれ地へ落ちてゆくのを。よく見れば、空間に乳白色の煌めきが張り巡らされている。これはバリアであろうか。
そしてその上方、駅構内の天井に近い位置に、オーラの翼を広げ滞空する女性の姿。先の声の主は彼女か。
「あ、あれは何……?」
「人が空を飛んでる……?」
突如起こった異変に、通りがかった人々も困惑の表情で女性を見上げる。一体何が起こっているのか――
「皆さん! 此処から逃げてください!」
「オブリビオンだ! 此処は俺達に任せて安全な処へ!」
其処へ更に飛び込んでくる声。その先には学生服姿の少年少女が複数名。その意匠が示す彼らの所属――そして彼らが何者であるかは、人々の誰もが知っている。
武蔵坂学園の|灼滅者《スレイヤー》。かつて世界を見えざる圧政から解放し、今も尚世界の脅威と戦い続ける者達。
(避難は彼らに任せて大丈夫そうですねぇ)
灼滅者達の言葉に従い、人々がその場を離れ始める。その様を視界の端に見遣り、空中の女性――夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は心中で安堵の声を漏らす。人々は整然とはいかずとも、パニックを起こすことなく避難している。彼らの背は祭器のバリアで守っている、オブリビオンとてそう簡単には破れぬ筈だ。
(然し、それにしても――)
視線を改めてオブリビオンへ向け、るこるの眉が困惑げに撓められる。何故かといえば。
(確かに、少々やり辛い容姿ではありますねぇ……)
相対したオブリビオン――その元となったであろう猟兵のことは、るこるも知っている。知己の猟兵と同じ名と姿のオブリビオンが相手となれば、困惑を隠し得ないのも無理なき話である。
「障壁の形成、及びその発生源と思しき猟兵を確認。これの殲滅を試みる」
だが当の本人はるこるに対し、あくまでも己の目的の障害物としか認めていないらしく。その腕からガトリングガンに加え、更なる火器――グレネードをも展開、彼女を撃ち滅ぼさんとこれらを一斉発射にかかる。
(そう言ってる場合ではありませんねぇ……!)
彼女がその気なら己も躊躇は不要。バルタンに対しそう判じたるこるはその手を合わせ、奉ずる女神へ祈りを捧げる。己が身へと『玉光の加護』を授け給えと。
直後、るこるの身は光と化して、その場から一瞬にして消失――否。そう紛う程の超速度にて動き、銃弾も榴弾も躱してみせた。
「敵は超光速機動が可能な存在と推測。広域散布による行動牽制と並行し結界突破を試みる」
なれどバルタンは構うことなく斉射を続行。己と周囲とを隔てるバリアを破らんと執拗なる攻撃を重ねる。銃弾を受け続けるバリアから、ぴしりと割れるような音が響いてきた。
(私自身は平気ですけどぉ……)
光と化して銃弾の間を飛翔し攻撃を躱しながらも、るこるは眉根を寄せる。ユーベルコードによるダメージの低減効果が、どうやらバリアには適用されていないらしい。
(もしや、私自身以外には低減効果が作用しないのでしょうかぁ)
であるならば、悠長にやっている場合ではない。意を決し、光と化したその身が飛翔。向かいたる先は。
「――ぐっ!」
斉射を続けていたバルタンの口から漏れるは、苦悶げな声。堪らず、火砲の斉射が止まる。背より走りたる痛みを堪え、振り返り見れば。
「迅速に、斬らせて頂きますねぇ」
相対せるは祭器の刀を構えたるるこるの姿。敵の背後へと超光速で回り込み、即座に実体化して斬りかかったのだ。
反撃にと繰り出されたガトリングの銃撃に対して再び光波霊化すれば、超光速での飛翔で以て回避しつつ敵の背後を取り、斬りかかる。
防御が長く持たぬなら攻めるのみ。力強く頷き、るこるは変則的なるヒット&アウェイを重ねてゆく。
成功
🔵🔵🔴
由利・智鶴
「苦しみから、解放された、平和な、世界…悪意から、守らなければ…私は、そのために、戦っている…」
大切だったはずの誰かから受け継いだ想い。それだけがオブリビオンとして蘇った彼女が戦う理由。
「遅い…撃ち抜く…」
剣を装備した敵を速やかに滅ぼすためには一点集中の銃撃が重要であると考えから、UCは【扇撃ち】を選択。
「外しは、しない…」
周囲に一般人がいる状況であっても生前から鍛え続けてきたクイックドロウの技術であれば敵のみを撃ち抜けると判断し攻撃を行う。
「アナタ達には、避難を、任せる…敵は、私が、引き受ける…」
援護に来た灼滅者という人達には犠牲者を出さないためにも住民の避難に集中してもらう。
帰宅ラッシュ真っ只中の吉祥寺駅構内、其処で突如始まった戦闘。居合わせた人々は騒然となって逃げだすが、然しパニックという程の状態ではない。
「大丈夫、皆のことは私達が守る!」
「こっちまで来れば安全だ、焦ることはない!」
戦闘開始から程なくして構内へ駆けこんできた少年少女達。身に纏う制服が彼らの所属、ひいてはその立場を明らかとする。武蔵坂学園の|灼滅者《スレイヤー》、かつての解放の英雄達。彼らの存在故にこそ、人々は我を忘れずに避難を行えているのだ。
「避難は、任せる……。敵は、私が、引き受ける……」
「うん、こっちは任せて! オブリビオンの方はお願い!」
そんな中、武蔵坂学園の中等部生徒と思しき|灼滅者《スレイヤー》の少女に声をかけつつ、一人の女性が人の流れに逆らい歩みだす。視線の先には、先行した猟兵と交戦するオブリビオン――バルタン・ノーヴェの姿。
(苦しみから、解放された、平和な、世界……悪意から、守らなければ……)
その光景を前として、女性――由利・智鶴(ビハインドのガンスリンガー・f43304)は心中のその想いを新たとする。己もまた|オブリビオン《ビハインド》であれど、唯一覚えている生前の記憶――隣に在った筈の、大切だった筈の、誰かの想い。それがあらばこそ、彼女は世界の敵と堕することなく、戦場に立てるのだ。
構えるは何の変哲も無きリボルバー銃、なれど使い込まれてきたことが明白なそのフォルムは練達の風格も滲む。片手で腰だめに銃を構え、もう一方の手は撃鉄へ掌を添えるように。
「敵猟兵の戦域離脱を確認、非戦闘員の殲滅行動を――」
狙いをつける先、先に交戦していた猟兵が撤退するのを見届けたバルタンが動く。逃げゆく人々を虐殺せんと、その手の剣を構え直し――表情に、僅かな変化。己へ向けられた攻撃意志に気付いたか。だが。
「遅い……撃ち抜く……」
既に智鶴はリボルバーの引き金を引いていた。同時、撃鉄に添えられた手が霞む。銃弾を撃ち出した撃鉄が即座に起こされ、次の銃弾を撃ち出し。100分の1にすら満たぬ速度で、装填された六発の弾丸が全て、バルタン目掛け放たれる。
「――ッ!!」
回避行動すら間に合わず、脇腹を抑えてバルタンはよろめく。放たれた六発の弾丸は全て、かの敵の脇腹へと寸分の狂いもなく叩き込まれていた。
それでも態勢を立て直し、反撃に出ようとするオブリビオンだが。その時には既に、智鶴のリボルバーはリロードを終え再び構えられていた。
「やらせは、しない……」
この敵を速やかに滅ぼすには、一点集中の銃撃が重要である。そう考えたが故の|扇撃ち《ファニング・ショット》。絶え間なく銃撃を叩き込み続けることで一気呵成に攻めきる。その判断のもと、智鶴は再度引鉄を引く。
殆ど一つに重なった発砲音。周囲には避難中の人々が少なからず在る中でも銃撃動作に迷いは無く、無論それら人々に銃弾を当ててしまうことも、掠めてしまうことすらも無い。
其は生前に――智鶴自身は覚えてなくとも彼女の身体が覚え込んだ、鍛錬の賜物。正確な|狙い《エイミング》、迅速な|早撃ち《クイックドロウ》。鍛えに鍛えたそれらの技が、このような状況でも十全な射撃戦闘を実現せしめているのだ。
「総て、撃ち込む……」
放たれた六発の弾丸は、再びバルタンを捉える。其を確かめながらも、智鶴の手は既に銃弾の再装填動作に入っていた。まだまだ敵を殲滅しきるには遠い、速やかなる殲滅の為には手を止めている暇など無いのだから。
成功
🔵🔵🔴
尾守・夜野
?え?バルタン?
実際に見ても困惑
だがまぁ別人だってんならうん
ちょっとその見た目での凶行はご遠慮頂くために躯の海に帰ってもらおうか
その為にも場を整えるぜ
戦う気がねぇ奴には離れてもらい戦える奴だけ残れば問題ねぇだろ
ん?同名の誰かこの世界いた?
多分別人だから気にするな
とりあえず武装は黒纏で弾く
無理なら着弾地点手前にずらすことで威力減衰を狙いその間に本体は避ける
ただ普段ドンパチできないのを全力で出来るってので破壊大好きな俺様が途中でしゃしゃり出てきてテンション上がって途中で人格変わるぞ
何せ中にいるのは戦うことを同意してる暴れてぇやつだけ
喧嘩のバーゲンセール状態
思い切り暴れるぜ!
…多分途中で目的忘れてる
武蔵坂学園からやって来た|灼滅者《スレイヤー》達の避難誘導により、パニックに至ることなく戦場となった駅を離れてゆく人々。だが駅にいた市民の人数は極めて多く、全員が迅速な避難を果たせる訳ではなかった。
「あっちだ! あっちに武蔵坂の人達が……!」
「待って、待ってよ……! あ、足が、うまく走れないの……!」
何らかの理由によってか、取り残され逃げ遅れた数名の人々。何とか駅を出ることには成功したが、其を見逃すオブリビオンではない。
「非戦闘員の殲滅行動を再開する」
駅より外へ飛び出してきたオブリビオン――バルタン・ノーヴェが、その身に内蔵した火器を展開。双門のガトリングガンが、逃げようとする人々の背を狙って火を噴かんとし――
「『檻の中で敵が戦えなくなるまで戦い続けろ!』」
其処へ響き渡る声。直後、逃げる人々の姿が消失し、代わってその場には鉄格子めいた檻が形成され。バルタンと――一人の猟兵を閉じ込めるように展開される。
「って訳で、その見た目での凶行はご遠慮頂こうか」
振り向いたバルタンの前には、黒衣を纏いリボンで目隠しを施した青年の姿。尾守・夜野(自称バブ悪霊な犬神と金蚕蠱モドキ混合物・f05352)。口元に不敵な笑みを浮かべつつ、メイド姿の殺戮者を見据える――首元に半ば融合した犬の視界によって。
(――にしても、本当にバルタンだな)
然しその心中には僅かながらに困惑を覚える。眼前のオブリビオンの姿も名前も、己の友人たる猟兵と全く同じであるが故に。グリモア猟兵から其が如何なる存在か聞き及んでいても、見れば見るほど知己と同一のその姿、困惑を感じずにはおれぬ。
(だがまぁ、別人だってんなら、うん)
グリモア猟兵の話では、大元の猟兵とは完全に別個の存在であるという。其を思い起こし、困惑を振り払う。何よりも、友人と同じ姿で虐殺を為すなど見逃せぬのだ。
「こっから先は、どっちかが死ぬか諦めるまで……な!」
拳を握り、対決の意志を固めれば。友人と同じ姿のオブリビオンを目掛け走りだす。その機先を制さんとばかり、バルタンが展開した火器を一斉発射するが。
「効くかよ!」
纏う衣が生き物じみてうねり翻れば、機関銃弾が其に巻き込まれて弾かれる。全ては弾けずその身を掠め、血が滲み出て来るが。そのたび衣は血を啜って動きを活発化させる。以て飛び来る銃弾を弾き逸らし、夜野の身を守る。
肉薄を果たすや否や、夜野は何処からか一振りの刀を引き抜き。抜き打ちの一撃をバルタン目掛けて振るい抜く。バルタンは退き躱すが、切先がその身を捉えて浅く裂く。下から覗くはサイボーグたる身の内部機関だ。
なれどその間にバルタンも火器を格納、代わって此方も刀を抜けば、踏み込まんとする夜野の身を薙ぎ払わんとばかり振るう。
「それぐらいなら……!」
本物の彼女を思い起こす鋭い太刀筋、なれど凌ぐ術はある。衣が硬化し装甲じみて夜野の身を鎧い、その上で刃を滑らすことで切断の結果を回避する。
「もらっ――」
反撃を凌ぎ、更なる攻撃をと袈裟懸けに刀を振るう夜野、だが直後に気付く、バルタンのもう一方の腕に構えた『それ』――パイルバンカーに。
(ちぃっ! 間に合うか……!)
攻撃は止められぬ。ならば攻撃動作は続行しつつ、身の捻りと衣の変形を利用し直撃は避ける。振り抜いた刃がバルタンの身を裂く感触を感じつつも、視界は構わず反撃行動に入る敵の姿を確と捉える。
果たして繰り出された左腕、直後に爆音。左腕から猛烈なる勢いで射出された鉄杭が、夜野の胸を狙って放たれる。
「……ぐぅっ!」
衣が先と同じく受け流しを目的とした装甲と化すが、その速度と勢いは完全には殺せず。脇腹を抉られるという、小さからぬ傷がその身に刻まれる。
「――は、ハハハ……」
だが夜野は笑う。あたかも、その戦いを愉しむかのように。それまでとは別人と化したかのように――否、其は比喩ではない。
「ハハハハハ! こんな戦いは久しぶりだなァ! まさに俺様向けの戦いじゃぁねぇかオイ!」
続いて上げた哄笑は完全な別人。事実として別人。多重人格者故にその身へ宿す別人格、その一つ。闘争と破壊を好む『俺様』。
「さぁ喧嘩だ破壊だ! 付き合ってもらうぜ、バルタンと同じ顔のテメェになァ!」
負傷も気にせぬかのように、高揚した声を上げながら。夜野は刀を振るい、バルタンへと斬りかかる。パイルバンカーの反動が未だ抜けぬらしいバルタンの身を確と捉え、深い斬痕を刻み込む。
「ハハハハ! 思い切り暴れるぜ!!」
そうして夜野はそのままバルタン目掛け怒涛の攻撃を仕掛けてゆく。其によってオブリビオンへと与えたダメージは、最終的にかなりのものになったらしいが。
(……多分、目的忘れてるなコイツ……)
意識の内側へ引っ込んだ本来の人格の夜野は、『俺様』の戦いぶりからそんな印象を抱いたらしいとか。
成功
🔵🔵🔴
オリヴィア・ローゼンタール
この空、この街並み、この――武蔵坂学園
どれだけの時が流れ、世界を異にしても、忘れ難き我が魂の故郷
ここは、私が護るべき世界だ
身に纏うのは、往時とは少々異なるがセーラー服
手に携えしは、魔人――アンブレイカブルが鍛えし銘刀、金剛不壊
この姿では魔法を使えないが、【気合い】は充分、いざ参る!
知人と似た姿だが……そういうシェイプシフターとでも思えばいい、容赦はしない
【ダッシュ】で距離を詰め、剣戟の間合いで戦う
サイボーグであろうと片手の膂力で受けられるほど、私の剣は軽くない(怪力)
人々を巻き込む射撃・砲撃は使わせない
【心眼】で【急所を見抜き】、斬れば斬るほどに鋭くなる【鏖殺の魔剣】
叩っ斬る!
リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【SPD】
※愛機搭乗
※バルタンさんは『バルたん』呼び
コッチに大型機甲戦力は少なかったとか?
ならキャバリアのデビューも華々しくイコうかぁ♪
バルたんの実力を知ればこそ偽物に怯える道理もないしね
背と腰の【アシュヴィン】2種4基で高機動大推力確保
中央線上空から降下しつつ颯爽と【B・エフェクト】開始
【D・バレル】が機関砲以上の高効率で狙撃
【カイルス】の未来予知で一般人&灼滅者を避けつつ
【D・バレット】で偽バルたんの内蔵火器クラック
刀と体術で打開を図る気なら高度速度を乱高下さ
生体電脳と〈瞬間思考力/応用力〉の精緻な思考〈操縦〉
ユベコ故どれだけ白兵を躱しても狙いは外れない
【S・マイン】も併せて一気に蜂の巣っ
「な、何だありゃ!?」
「ロボット……!?」
吉祥寺駅構内から脱出してきた市民らは、駅前広場に鎮座する蒼い鋼鉄の人型を見て驚愕の声を上げる。構内で暴れる存在もまた|機械仕掛け《サイボーグ》であることから、あれも敵かと怯えを見せる者もいるが。
「大丈夫、あのロボットは味方だよ!」
「あれの後ろまで行けばもう大丈夫! だからもうひと頑張りね!」
彼らの避難誘導に当たる武蔵坂学園の|灼滅者《スレイヤー》達の声を聞けば、ならばと頷き再び走りだす。そんな彼らを守らんとばかり、ロボット――魔改造量産キャバリア『ナインス・ライン』は一歩前に出て駅の入口を正面に捉える。
『コッチに大型機甲戦力は少なかったって聞いてたけど、どうやら本当みたいだねぇ』
ナインス・ラインの外部スピーカーから響きだすのは、リーゼロッテ・ローデンヴァルト(|KKS《かわいくかしこくセクシー》なリリー先生・f30386)の納得げな声。何しろ今の市民達だけではない、世界の裏側をも知っている筈の灼滅者達もまた、この機体に驚きや興味の視線を向けてきていたのだ。正しく、漫画やゲームなどの中でしかこうした搭乗型ロボットを見たことがないのだろうと窺えた。
「ええ。ガルガンチュア、人甲兵――類似の存在は幾つか在りましたが、キャバリアのような代物は存在していませんでした」
応える声は足元から。オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)はリーゼロッテに言葉を返した後、周囲へと視線を巡らせる。茜さす空、駅前の街並み、そして武蔵坂学園の灼滅者達。オリヴィアにとって、それらは初めて見る光景――ではない。
(――どれだけの時が流れ、世界を異にしても。忘れ難き、我が魂の故郷)
サイキックハーツ世界への到達を果たしたことで、オリヴィアは思い出した。己の起源はこの世界にこそ在る、ということを。かつてのダークネスの知識も少しずつ思い出しつつあるが故に、其を踏まえた情報を示すこともまた可能なのだ。
(――此処は、私が護るべき世界だ)
そして、その認識もまた。無力なる人々を闇の齎す悲劇より守るべく戦ってきた、かつてのオリヴィア。武蔵坂学園に籍を置いていた折とは異なるセーラー服に身を包んでいようと、その在り方は、今の己もまた変わらないのだと。
鋭い視線を駅入口へと向ければ、其処から飛び出してくる影が認められる。バルタン・ノーヴェ、ある猟兵と同じ名と姿を持つオブリビオン。
『おー、本当にバルたんそのまんまだね。どう戦ったものかな』
己の友人たる件の猟兵と寸分変わらぬその姿。納得げにリーゼロッテは呟く。だがその本質は全く逆というその存在、如何なる故に生じ得たのか。
「そういうシェイプシフターだと思えば良いでしょう。何にせよオブリビオンに容赦は不要です」
なれどオリヴィアは迷いなく答える。彼女も件の猟兵とは面識があるが、オブリビオンなれば何にせよ打ち倒すのみとの認識もまた持ち合わせる。
『それもそうか。ま、何にしても――』
リーゼロッテもまたオリヴィアの言に賛意を示しつつ。かの猟兵は猟兵全体でもかなりの実力者だが、何にせよ本人でないならば躊躇も怯懦も必要無い。
『ここで華々しくキャバリアデビューとイクとしようか♪』
などと宣ってみせつつ、リーゼロッテはコンソールを操作。其に応えた機体の背部と腰部から、各々二門一対ずつ計四門のブースタが展開、炎を噴いて蒼き巨躯を上空へと飛び上がらせる。
対するバルタンは上昇してゆくナインス・ラインを目で追いそうになるが、すぐさま視線を正面へと向け直す。何故なら。
「――いざ、参る!」
真正面より日本刀を構えたオリヴィアが、飛翔じみた勢いで突っ込んできたからだ。突撃の勢いを乗せて振り下ろされた刀を、バルタンもまた刀で受ける。
「―――!」
片手で掲げた刀が押し込まれつつあるのを見て取り、バルタンは飛び退き距離を取らんとする。即座に追いかけるオリヴィアに対し、迎撃の刃を横薙ぎに振るう。
「疾い――だが!」
常人ならば斬撃動作さえ捉え得ぬ程の超速の斬撃を、然しオリヴィアは見切り、反応し、刀を掲げて防ぎ止める。両腕で構える刀は鋭さと重さを兼ね備える斬撃をも確と食い止め、且つ刃には些かの欠けも生じ得ぬ。
とある魔人が鍛えたと聞いていたこの刀だが、この世界へと至ったことで魔人の正体がアンブレイカブルであったことを知るに至った。成程、それ故の銘――『|金剛不壊《アンブレイカブル》』か、と納得もある。その銘に恥じぬ頑強さは、成程、この戦場に在っては有難い。
加え、今現在纏うセーラー服。魔術的事象への適性が最低域まで落ち込むことと引き換えに、剣術への適性を得る装い。以てこそ、彼女は眼前のバトルサイボーグへと真っ向から剣戟戦を挑めるに至っているのだ。
「っ!」
対するバルタン、剣戟戦では不利を悟ったのだろうか。徐に前蹴りを放ってオリヴィアを蹴り飛ばさんとする。自らも脚を掲げて防ぐオリヴィアだが、その脚を踏み付けるように押し出され、僅かに身が傾ぐ。見据える正面、バルタンが大きく跳躍して距離を取りにかかる。刀持たぬ左腕が展開し、機関銃がせり出してくる様もまた認識される。
唸るオリヴィア。敵が射撃戦を仕掛けて来ようとも対応できる自信はあるが、其はあくまで純粋な戦闘でのこと。守るべき人が、街がある現状では、敵の射撃や砲撃は使用自体を封じたい。故にこそ剣戟戦を挑まんとしたのだ。
このままでは、ある程度の掃射は許さざるを得ない。其が人々に被害を齎さぬことを祈るばかり――とは、然しならなかった。
『おおっと、一方的な射撃戦っていうのは些か無粋だねぇ?』
リーゼロッテの声が届くのと、バルタンの身を数発の大口径弾が貫いていったのはほぼ同時。無論、その発射元は上空で滞空しながら待ち構えていたナインス・ライン。構えたる実体ライフルと、ユーベルコードを以て実現した超高精度の狙撃術が、華麗な翻身を見せたオブリビオンを狙い違わず撃ち抜いたのである。
『ついでに内蔵火器は纏めて潰させてもらうよ……っと!』
その弾丸もまた、尋常のものではない。かつてアポカリプスヘルで見出した『侵食プログラム弾』だ。
「……! 左腕機関砲及びパイルバンカー使用不能……!」
発動せし侵食プログラム弾の効果により、内蔵火器類が機能停止を遂げたことをバルタンは悟る。ならば最早、接近戦を以て戦う他にないのだとも。
「逃がしはしない……!」
其処へオリヴィアも再度間合いを詰めつつ刀を振るう。再び防ぎ止めるバルタンだが、侵食プログラム弾による変調が躯体そのものにも及んだか、刃を防ぎきれず弾き飛ばされ。
『其処、狙い撃たせてもらうよ』
間合いが開けば、即座にリーゼロッテ操るナインス・ラインが銃撃を撃ち込んでくる。その射撃タイミングの見切りは実に適切、あたかも未来が見えているかの如く。
躱しきれぬバルタンの身を、キャバリアサイズの銃弾が撃ち抜き、抉り貫く。よろめくバルタン、その隙を逃さんとばかりオリヴィアが斬り込む。
「――叩っ斬る!!」
そして振るわれたる剣。その太刀筋は戦闘開始時点よりも明らかに鋭く疾い。ユーベルコードを以て把握した敵の弱点と挙動に対し、最適解の斬撃が繰り出されているのだ。
「………!」
絶妙のタイミングと斬撃速度。バルタンは回避機動を取る間も無く、その身に幾度目かの深い斬痕を刻まれる。
剣戟戦のオリヴィアと、射撃戦のリーゼロッテ。間合いを詰めるも開けるも、どちらかとの不利な戦闘を強いられる状況。罠に捉えた敵を確実に追い詰めるが如く、二人は猟兵の姿偽りしオブリビオンへと次々に攻撃を繰り出してゆく。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
宮比神・うずめ
◎WIZ
わぁー!あれが真の姿なんだぁ?
猟兵さんと模擬戦するみたいなんよぉ
模擬戦って言っても命をかけた模擬戦だけどね
まずはユーベルコードを起動して、魔神化したら攻撃で押しまくるんよぉ
相手の攻撃回数が増えたら、押しきれないから警戒しながら相手をよく見て押していこう
あとはそうだなぁ
同じ学園の生徒に危険な攻撃が来たら、それは(剣刃一閃)防ぎきれないから避けて!とか警告もしておこうかな
他には、相手がヴァリアブル・ウェポン使用時に武器の形状とかどう変化するのか確認したりどう対応しようか考えようかなぁ…。
「……損傷増大」
全身至る処を斬られ抉られ、サイボーグ故の内部構造も垣間見える程の深い傷を負ったバルタン・ノーヴェ。同じ名の猟兵より借りたその姿は、見目にも瀕死と分かる散々な状態であった。
「……内蔵火器類の動作に支障無し。任務を続行する」
だが、それでも尚、彼女に撤退の意志は無いと見え。右腕を振るえば、その腕が即座に変形を遂げガトリングガンの砲身を形作る。直後に跳躍したバルタンの眼に、一刻も早く駅前を離れんとしている人々の姿が映る。
「殲滅対象確認、攻撃開始」
一人でも多くの一般人を殲滅する。その意志のもと、ガトリングガンの砲身が回転を始め――
「そうはさせないんよぉ!」
「が……っ!?」
横合いから繰り出された跳び蹴りをまともに受け、バルタンの身が吹き飛ばされる。その行方を見据えながら地上へと着地するは、褐色の豊満な肢体を惜しげもなく晒した白髪の女性。
「猟兵さんの真の姿、まるで模擬戦みたいなんよぉ」
何処かのんびりとした声音で呟く彼女の名は宮比神・うずめ(舞うは鬼の娘・f43833)。武蔵坂学園大学部に籍を置く|灼滅者《スレイヤー》の一人であり、猟兵の力に目覚めたのはつい先日。故に猟兵という存在そのものに強い興味を示しているようであった。
「――っても、命を賭けた模擬戦だけどね!」
なれど、対峙する相手が倒すべき敵であることは無論確と認識している。力強く地を蹴れば、腕部ガトリングガンを格納し体勢を立て直しつつあるバルタンへと一気に肉薄。鋭い回し蹴りを繰り出す。
「!」
対するバルタン、其を身を屈めて紙一重で回避。そのままうずめの軸足目掛けて刀を振り抜き、これを斬り飛ばさんとする。
「わっとぉ!」
然しうずめは回し蹴りの勢いを乗せて跳躍し斬撃を躱すと、そのまま繰り出した前蹴りがオブリビオンの顎を捉え、見事に蹴り飛ばした。
「まだまだ……っとぉ?」
追撃を繰り出さんとするうずめだが、其処でバルタン側の動きに気付き踏み止まる。バルタンの左腕が展開され、その内側からグレネードランチャーの銃口が顔を出したではないか。
(ほー、ああなっとるんだべなぁ)
其を見て取り、先のガトリングガンの変形の様子も思い起こし。内心で興味深げに呟く。サイボーグという存在自体、サイキックハーツでは見られなかった存在故に、ユーベルコードまで交えたその変化のパターンというものに興味を惹かれている様子。
(けど、何であれ基本は接近戦だべ!)
とはいえ変化先が銃火器であるならば。何であれ、懐に飛び込むが最良の対策であろう。何より。
「猟兵さん! 避難完了しました!」
「駅周辺にもう一般人はいません!」
後輩達――武蔵坂学園の灼滅者達が、避難の完了と己らも加勢するべく集まってきたためだ。このままバルタンを自由にすれば、彼ら目掛けてあのグレネードランチャーが火を噴くことだろう。
「そんなら散らばって! 敵が銃撃ってくるからぁ!」
故に警告の声を上げつつ、敵の意識を己へ引き付けるべく間合いを詰める。敵もそれを誘っていたか、グレネードランチャーが即座に変形を開始。腕から鋭く太い鉄杭が展開され、パイルバンカーとして構えられる。
(こいつはヤベぇっぺな……! けど!)
その様に驚嘆しつつも、うずめはあくまで冷静に。仕掛けてくるなら、其処に最大の隙が生じる。元より損傷の大きい敵、仕留めきるならば此処が好機と。
(てか、ちぃと血の減りがヤベえ気もするべな……)
加えて、現状の己が発動しているユーベルコード。その身に『カミ』――肉体なきダークネスを降ろした状態たるが故、戦闘力の代償として毎秒毎血液を失っている。長引けば命にも関わる。決着は早急に――此処まで攻めの姿勢を貫いてきた理由でもある。
果たして、バルタンが仕掛けてきた。接近してきたうずめを目掛けて左の拳を繰り出すと共に、その腕から鉄杭が撃ち出される。うずめの身体の中央を撃ち抜き砕かんとする、轟然の一撃。
「なんのぉ!」
だがうずめは更に加速。バルタンの身へと密着せんばかりの距離にまで肉薄し、破壊の鉄杭を躱す。直後、見る間に眩く輝き始めるうずめの身体。その輝きは、天地開闢を思わせるような、神々しき光――
「これで、決めるんよぉ!」
光は猛烈なるエネルギーを伴って、うずめの身から激しく放出される。超至近距離からまともに光を浴びたバルタンは全身を焼かれ、砕かれ、吹き飛ばされ――誰が見ても致命傷と分かる程の傷を負わされ、アスファルトを転がってゆく。
「――損傷、危険域を突破。生命維持は不可能と判断」
然しバルタンはそれでも尚、淡々と己の状況を分析する。間もなく、己が死を迎えることさえも冷静に。
「任務目標は一部達成、以て|依頼主《クライアント》へ報告――」
だが彼女は語る。己の目的は一部果たされたと。語る言葉は、己の雇い主への進言にも似て――
「――作戦第二段階への移行は妥当……直ぐにでも、状況開始……可……」
其を皆までは言えず、然し意味する処は伝えきり。猟兵と同じ姿持つそのオブリビオンは機能を停止、そして骸の海へと消えていった。
――だが、その直後。
けたたましき無数の羽音が、吉祥寺駅前へと響き渡り始めた……!
成功
🔵🔵🔴
第2章 集団戦
『ナイトメアスパイダー』
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POW : インビジブルウェブ
見えない【蜘蛛の巣】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD : 黒脚連撃
【蜘蛛足を用いた連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : ヒーティングダイヤ
【赤い眼】を向けた対象に、【虚空より現れるダイヤ型の炎】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:オリヤ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
吉祥寺駅前に響き渡る無数の羽音。其を伴って、建物の隙間や屋根の上から次々と飛び出してくるのは、一匹一匹が人間の赤子程の大きさがあろうかという巨大な蝙蝠。よく見れば、その翼膜には呪術的な文様が描かれているのが認められる。
「あれは……タトゥーバット!?」
「ヴァンパイアは絶滅した筈じゃ……いえ、あれもオブリビオン……?」
避難誘導を終え、猟兵達のもとへ合流を果たした武蔵坂学園の|灼滅者《スレイヤー》達が驚きの声を上げる。かの蝙蝠達は『タトゥーバット』といい、かつてこの世界に在ったダークネス種族『ヴァンパイア』の眷属だ。数の攻勢が脅威ではあるが、個々の戦闘力は然程でもないので、先ずは数を減らすことが肝要――彼らはそう語るが。
直後、更なる事態の変化が起こる。
「……え!? あ、あれは……!?」
タトゥーバットの群れから飛び出した群れが、次々と地上へ降りてゆく。その身体は見る間に黒く肥大化し、翼と脚は八本の節足へと変化。其が地に降り立つ時には、体長3メートルはあろうかという巨大な黒き蜘蛛へと変貌を遂げたのだ。
「……シャドウ!?」
変化を果たしたその姿に、灼滅者の一人が驚愕の声を上げる。蜘蛛の体表に燃える、ダイヤのスートを象った紋様を見て、その蜘蛛の正体を悟り。同時に、それが本来有り得ない変化であると気付いたからだ。
この蜘蛛は『ナイトメアスパイダー』、|精神世界《ソウルボード》に潜むダークネス種族『シャドウ』の一種であり、ヴァンパイアではない。何故ヴァンパイアの眷属がシャドウに変化するのか――然し、状況はそうした思考の暇を与えない。
「っ!? こいつ、こっちを狙ってくる!?」
「狙いは|私達《スレイヤー》だっていうの!?」
変化を遂げたナイトメアスパイダー達は地を走り、灼滅者達を目掛けて一直線に迫りゆく。まるで、彼らを狙い殺すよう命じられているかのように。
――否、実際に灼滅者を狙うことを命じられているのだろう。黒幕の目的が『復讐』であるならば。
上空からはタトゥーバット達が次々に地上へと降り立ち、新たな蜘蛛となって灼滅者を襲う。彼らもまた戦う力を有する者達だが、あの数に押されてはひとたまりもあるまい。これを救助し、然る後に黒幕を討ちに行くべし。
※ナイトメアスパイダーは「タトゥーバットへの変身能力」を持ちます。空中からタトゥーバット、地上からナイトメアスパイダーが襲い掛かる作戦のようです。
※彼らは|灼滅者《スレイヤー》達を優先的に狙ってきます。
※灼滅者達の戦闘力は、ナイトメアスパイダーと一対一なら有利だが数的不利があれば不利になる、というくらいです。
フェル・オオヤマ
・心境
近々武蔵坂学園にも籍を置く身でもある以上狼藉は許さないよ!
・攻撃
[銀の星]を構えて[我竜・月光氷嵐]を発動!数で攻めてくるなら…まとめて凍らせる!そして生徒や他のの味方の強化もするよ!【高速詠唱/魔力制御/凍結攻撃/風を操る】の技能を使用
・援護戦力への指示
とにかく命を大切に!楽しい夏休みを迎えたいなら無茶はしないでね。
負傷した人がいるなら救護を!弱った敵を討ち漏らさないように!
危なくなったら撤退してね。
・防御
基本回避
回避が難しいor負傷者や生徒が対象になった時は【カウンター/かばう/受け流し/挑発/盾受け/火炎耐性】の技能を使用
誰一人傷つけさせるものか!
他キャラとの連携・アドリブ歓迎
夢ヶ枝・るこる
■方針
・『祭器』召喚継続
・アド/絡◎
■行動
一般の方々を狙いに行かないのは、或る意味助かりますねぇ。
灼滅者の方々に声をかけ【弻㫄】を発動、皆さんに全『祭器』の複製を貸与、多数を相手に戦える様にしますねぇ。
私が『宿巫』に変異、其々に憑依し助言出来ますので「『祭器』の扱い方」等も問題ありません。
基本は『FPS』で情報把握、実体の有る『蜘蛛糸』は『FLS』の空間歪曲で逸らすか『FBS』の[カウンター]で[切断]、緊急時は『FIS』の転移で回避を。
飛行個体は『FAS』で飛行するか『FGS』の重力操作で落として頂ければ。
後は個々の戦い方に『FRS』『FSS』の[砲撃]で[追撃]を加えて頂けば良いでしょう。
アリス・フェアリィハート
アドリブ連携歓迎
【SPD】
遅れちゃいましたけど
私も
お手伝いに…!
自身の翼で飛翔
【空中機動】等駆使し
【空中戦】も行い
立体的に立回り
【第六感】【心眼】【残像】
【通常攻撃無効】
【結界術】【オーラ防御】等で
防御行動や
「武蔵坂学園の灼滅者」さん達を防護しつつ
共闘
クイーンオブハートキーを手に
【ハートのA】も展開
【破魔】を込めての
【全力魔法】や【誘導弾】の
【一斉発射】【弾幕】と
共に
UC発動
『蜘蛛糸には…蜘蛛糸です…!』
味方や灼滅者の方を
癒しの蜘蛛糸の露で
回復しつつ
焔の蜘蛛糸で
敵群を攻撃し
灼き尽くし
『この|世界《サイキックハーツ》…私は…「知らない」はず…なのに…?』
(何か心に引っ掛かる様なものを感じるも戦い
吉祥寺駅前の路上。アスファルトを踏み鳴らし|灼滅者《スレイヤー》達に迫る、黒き蜘蛛――ナイトメアスパイダーの群れ。裂けた口から鋭い牙を覗かせ、少年少女達へ食らいつかんとする。
「くそっ、こいつら……!」
「これじゃあっちの敵が……!」
迎撃を試みようとする灼滅者達だが、そうはさせじとばかりに頭上から大きな蝙蝠――タトゥーバットの群れが襲い掛かってその構えを乱しにかかる。執拗に頭上へ群がってくるそれらへの対処に追われ、彼らは迫り来る黒蜘蛛達に備えられぬ。
『Syyyyyyyyy……!』
唸るような、嘲るような声を発しながら。ナイトメアスパイダーが灼滅者達へ食らいつかんとした、その時。
「風よ! 氷よ舞え! 氷嵐を以て我らの障害たる敵を打ち倒す!」
高らかなる詠唱が響き渡った、その直後。戦場たる駅前一帯に、真夏に有り得ぬ吹雪が吹き荒れる。青白く煌めく氷雪が蝙蝠達を斬り裂き、蜘蛛達を怯ませ。
「な、何だ、この雪……!?」
「この光……何だろう、力が湧いて来る……?」
灼滅者達には一切の害を生じることなく。寧ろ、その身に力が漲る感覚を齎していた。この力は一体?
「みんな、無事かな!?」
其処へ駆けてくるは一人の少女。背に赤き竜の翼を負い、同色の尾を有するその少女の名はフェル・オオヤマ(氷焔操る紅の竜姫士・f40802)。彼女こそが先の詠唱の主であると、その声音から灼滅者達は悟る。
「あ、ああ。助かった……!」
「そっか、良かった……」
深い傷を負った者はここまで無し。灼滅者の少年の答えに、フェルは安堵の笑みを浮かべる。
『Gyyyyyyy……!』
其処に頭上から甲高い悲鳴。直後、上空を舞っていたタトゥーバットが次々に墜落、地に落ちてそのまま消滅していった。
「遅くなりましたが……私も、お手伝いに……!」
その後から、一人の幼い少女がふわり、と上空から降りてきた。小さな身体には些か大きな、剣めいた形状の鍵を携え、周囲に宝石様のハートを従えた姿は、再度灼滅者へと迫らんとする蜘蛛達と種の類似性を感じさせる。
なれど彼女はシャドウではない。アリス・フェアリィハート(不思議の国の天司神姫アリス・f01939)、神級オラトリオの猟兵である。
(――やっぱり……|この世界《サイキックハーツ》、私は……知らないはず……なのに……?)
だが彼女は感じていた。この世界には初めて来るにも関わらず生ずる既視感を。これは一体なんだろうか。
(いえ……今は、そんなこと……考えてる場合では……)
だが今は其を考えている余力など無し。灼滅者達を狙い迫り来る蜘蛛の群れを見据え――
「っ!? これは……!」
轟く爆発音。見れば、上空から降り落ちた爆撃砲撃が蜘蛛の群れを纏めて吹き飛ばした処であった。凄まじい火力である。
「皆さん無事ですねぇ」
続いて歩み寄る者――灼滅者達を見渡し安堵の笑みを浮かべるは、豊満の極みたる体格の女性。夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。
「とはいえこの数。万が一、ということもあるでしょうかぁ」
視線を巡らせれば、既に更なるタトゥーバットの一団が飛来してくるのが見える。その数はかなりのもの。纏まった数の討ち漏らしが生ずることも懸念される。故にるこるは其への回答を此処に示す。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その誓言の理をここに――」
徐に祈りの言葉を発するや否や、るこるの姿がその場より消失。代わって、大きな変化が其処に生ずる。
「――ん、何、この感じ……?」
「って、これは……!?」
驚きの声を上げる灼滅者達。彼ら彼女らの周囲に、るこるの武装である浮遊兵器群が突如出現したためだ。そして心中に声が響く。
『私の武装でである祭器を皆さんにお貸ししますぅ。使い方はお教えしますねぇ』
それはるこるの声。彼女はその身を彼ら全員に宿る憑依体――『宿巫』へと変じせしめていたのだ。攻防に高い力を発揮する浮遊兵器群、これを以てすれば――
『まず、飛んでくる敵は重力操作で落としてしまいましょう』
るこるの助言に従い、灼滅者達はそのイメージを浮かべる。応えて錫型の祭器が飛び立つと、上空一帯に重力場を形成。タトゥーバット達を捉えてこれを地へ落としめる。
『Syyyyyyyyy!』
その間に蜘蛛の姿へと変じた一団が、糸を吐きかけんと顎を開く。対処せんと各々得物を構えるフェルとアリスだが。
『大丈夫ですよぉ。空間歪曲結界で防ぎましょう』
るこるの助言を受けた灼滅者達が祭器の力で空間を歪め、放たれた意図を逸らしてみせる。不可視の糸ではあるが、その存在位置は探査祭器で容易に把握が叶う。
『それでは反撃と参りましょうかぁ』
敵の攻勢にはこれで一通りの対処が叶う。後は攻撃だ。るこるに応え、灼滅者達は各々祭器による攻撃を脳内でイメージ。其に応え、戦輪型祭器が飛翔しては蝙蝠を斬り刻み、砲台型祭器から放たれる砲撃が蜘蛛を吹き飛ばしてゆく。
「……いける!」
「ちょっと情報量が多いけど、これくらいなら!」
一通りの攻防を成し、灼滅者達は手応えに頷く。流石にるこる本人ほど巧みではなく、脳内での情報処理が大変なようで移動はできなくなってしまったが、フェルの齎した加護もあり攻撃・防御性能は十全。自衛は十分にこなし得るだろう。
「充分に身を守れそうなら何よりだよ、でも!」
湧き立つ灼滅者達、なれど其に釘を刺さんとばかりフェルは声を張る。
「とにかく命を大切に! 楽しい夏休みを迎えたいなら無茶はしないでね!」
負傷した者には救護を、弱った敵には確実なトドメを。そして危険を感じれば撤退を。そんな戦いの注意事項を改めて伝える。
「私達が、皆さんのこと、絶対に護り切りますので……!」
だから皆で無事に帰ろう、と。アリスが呼びかけるに、灼滅者達は一様に頷く。フェルの言う通りもうすぐ夏休みなのだ、其を前に大怪我する事態は避けたい。
「よし、それじゃいくよ!」
るこるのおかげで守りは十分。ならば己らは攻めてゆくべし。判じてフェルは杖を掲げる。先端に頂いた銀色の宝石が煌めくと共に戦場には再び吹雪が吹き荒れ、タトゥーバット達を叩き落としナイトメアスパイダー達の動きを鈍らす。
「誰一人、あの子達には近づけさせないんだから!」
そんな気迫を以てフェルは吼える。何しろ、彼女も近々武蔵坂学園に入学しようとしている身なのだ。先輩或いは学友となるだろう灼滅者達に、このような処で被害を受けさせる訳にはいかぬ。
「はい……! 私も、やります……!」
そしてその一点において、フェルとアリスの意志は一致していた。応えると共にアリスが大きな鍵を掲げれば、戦場に迸るは星の焔を帯びた無数の蜘蛛糸。敵が蜘蛛ならば己も蜘蛛の如き力で対抗する。それがアリスの選んだ戦術。
燃える蜘蛛糸は単なる牽制ではない。確たる攻撃意志を伴って黒蜘蛛達の身へと奔れば、その身は忽ちに焔へ包まれ焼き焦がされてゆく。
『ggggggggg……!!』
焼き尽くされた蜘蛛達は苦悶と共に消滅してゆく。万一灼滅者達の方へ攻撃が向かっても、その上方へ張り巡らせた蜘蛛糸から滴り落ちる露が癒しを齎す筈だ。
「知らないはずの世界……ですけど……今は……!」
心の引っ掛かりの意味を、今は分からないまま。なれども守るべきもの、討つべき敵があるならば。アリスは戦い、敵を打ち倒してゆく。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
オリヴィア・ローゼンタール
蜘蛛……というか、虫全般が苦手なんですが……
こう、小さくカサカサしてる動きとか、ブヨブヨした芋虫とか……
ここまで巨大だと逆に恐怖感は薄れますね
聖槍を携えたシスター服の姿で【覚悟】を決める
学園の灼滅者たちが狙われる前に聖槍で殴り、突き、意識をこちらに向けさせる(挑発)
ガサガサと走って迫るさまが気持ち悪いが我慢して、距離を取りつつ【おびき寄せる】
空中からの蝙蝠の突撃を【見切って】躱し、蜘蛛の連撃を【受け流し】……敵がひとところに集まるように誘導
射程内に集団を収めたら、身に宿る聖なる力(神聖攻撃・破魔・破邪)を爆発的に解放(全力魔法)
【極超神星爆発】で地空まとめて【蹂躙】【焼却】する
八の節足をがさがさと蠢かせ地を這い駆ける黒き蜘蛛の群れ。先のセーラー服から常の装いたるシスター服へと着替えたオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)、巨蜘蛛の群れを前とした彼女の表情は険しい。其が|灼滅者《スレイヤー》達を狙い襲わんとする、憎むべきオブリビオンであるが故――だけではない。
(……此処まで巨大ならば、まあ我慢はできるでしょうか)
思わず冷や汗すら頬を流れる。実はオリヴィア、虫が大の苦手。曰く、小さくカサカサしている動きや、芋虫等のブヨブヨした見目などが恐怖感を煽るのだという。
だが、迫り来るナイトメアスパイダーは人間以上の巨体の持ち主。恐怖感の原因の一つが対象の小ささであるが故に、これほど巨大な虫であれば逆に恐怖は薄れる。少なくとも、真っ向から立ち向かうことは可能だ。
日本刀から持ち替えた常の得物――破邪の聖槍を握りしめ、迫る黒蜘蛛共の動きを見据える。正面の敵はオリヴィアへ向けて顎を広げ迫るが、他は彼女を迂回して先へ進まんとする。やはり、オリヴィアより灼滅者達を狙っているか。
「――そうはさせん」
これだけの群れに襲われては一廉の戦士達である彼ら彼女らとて危ない。其を食い止められるのは己をおいて他に無し。オリヴィアは覚悟を決め、走りだす。
「貴様らの相手は、私だ!」
聖槍を振るう先は己を迂回せんとした黒蜘蛛達。柄で殴り、穂先で突き穿つ。それらの攻撃は鋭くも、致命傷へ至らしめるには明らかに不足。だがその攻撃の目的は殲滅ではない。
『Syyyyyyyyyyyyy!!』
攻撃を受けたナイトメアスパイダーは怒りに猛るかのような声を上げ、オリヴィアへとその牙を向ける。其を確かめたオリヴィア、群れの間を突っ切りながら更に蜘蛛達へと攻撃を叩き込み――やがて群れを抜け出せば。
「こっちだ! 追いつけるものならば追い付いてみるが良い!」
更に挑発の声を上げて呼ばわれば、元より人語を解することの可能なモノ達なのか、一斉に彼女の後を追いかけ走りだす。
(やはりこの音……! ええい、忌々しい……!)
小さい虫よりはマシとはいえ、八本の足を蠢かせ地を這う様相には嫌悪感が募る。今すぐこの場で突き殺したくなる衝動を堪え、付近の巨蜘蛛達の狙いを己へ引き付けるべく走り回る。
「邪魔だ!」
群がり動きを止めんとするタトゥーバット達、その一団が突撃を仕掛けてきた。なれどその速度、歴戦の猟兵たるオリヴィアなれば見切り躱すは難しくない。槍を横薙ぎに振るい抜けば、引き裂かれた蝙蝠達が鮮血を散らしながら墜落してゆく。
其を皆まで見届けることなく、オリヴィアは更に駆ける。やがて一帯の蜘蛛と蝙蝠達の全てが彼女を幾重にも取り囲んだ状態へと至った、その時。。
「――今こそ、この一撃を叩き込むのみ……」
聖槍を掲げ、高らかに宣言したその直後。オリヴィアの身より湧き立つ膨大なる魔力。其は一種にて周囲一帯を呑み込まんばかり膨張、巻き込んだ蜘蛛も蝙蝠も諸共に呑み込んで。
「……顕現せよ、灼滅の星!!」
そして爆発。オリヴィア以外の全てを呑み込み打ち砕かん極大の爆発が、蜘蛛も蝙蝠も全てを引き裂き焼き焦がし、消し飛ばしていった。
成功
🔵🔵🔴
尾守・夜野
くっそ…体共通だってぇのに好き勝手しやがって…
…いや、バルタン相手にしたって考えるなら軽い方の怪我か
「っ!一対一ならいけんだな?!
ならコレ使うから目の前のだけ近接距離で相手に!
協力させなくするがこっちもできねぇ!注意しろ!健闘を祈る!」
叫んで確認し、応えあるならば傷の治療より先にUC起動
「…糞、傷にしみる…」
上空だろうと道の範囲に入れば影響を受ける…はず!
状況有利なうちに…っ!?
って敵か!
俺がやられてUCとければまた数で攻められるんで
俺は逃げることと出口を防ぐことを優先で動くぞ
傷治療早くしたい
流石に深いのはまずい
走り回りながら髪結い紐とか包帯の余りで止血はしとくぞ
…所で死んでるけど血でるのな
猟兵達とナイトメアスパイダーの群れの戦闘が始まった吉祥寺市内。蜘蛛達が変じた|蝙蝠《タトゥーバット》達の飛び交う様を見渡しつつ、尾守・夜野(自称バブ悪霊な犬神と金蚕蠱モドキ混合物・f05352)は表情を顰める。
「くっそ……身体共通だってぇのに好き勝手しやがって……」
全身至る処に負った傷。先のオブリビオンとの交戦において別人格が散々に暴れ回った結果の重傷である。何しろかの人格は、己の負傷を全く意に介することなく攻撃を繰り返していたが故に。その結果の負傷だけ押し付けられた今の人格としては迷惑この上ない。
(……まあ、バルタン相手にしたって考えるなら軽い方の怪我か)
かのオブリビオンの大元たる猟兵の力量を思えば、この程度で済んだと言うべきかもしれない――そうも考えるが。いずれにせよ、この傷で戦うのは厳しい。
「だ、大丈夫!?」
「ど、何処か安全そうな場所に……!」
そんな夜野の様子を見た武蔵坂学園の|灼滅者《スレイヤー》達が、心配そうに声をかけてくる。何とか安全な後方へ送り治療を施そうとしているようだが。
「いや待て、それより……っ!」
状況が、その厚意に甘えることを許さない。既に敵が追い付き、その牙を、炎帯びる視線を向けようとしている処だったからだ。
「……お前達、一対一ならこいつら相手もいけるんだったな?」
戦闘態勢に入った灼滅者達へ、確認じみて夜野は問う。ならば如何だと言えば。
「これ使うから、目の前のだけ近接距離で相手にしな……!」
応えると共にユーベルコードを発動。駅前の大通りが、一瞬にして歪な四辻へと変貌してゆく。だがその四辻の異様さは見目だけではない。
「協力も遠距離攻撃もできなくするが、こっちもできねぇ! 注意しろ……!」
一変した風景を見回し驚く灼滅者達にそう説明すると、「健闘を祈る」とだけ呟いて、灼滅者達の集団の奥の方へと歩んでゆく。
其を追うように殺到する蜘蛛達だが、その動きは不自然。まるで、一体ずつが狭い路地を順番に通り抜けてゆくかのような。そして、その途上で遭遇した灼滅者に、そのまま攻撃を仕掛けにいくような――数を利して多方向から攻めるのではなく。
「……! なるほど、そういうことか……!」
「よし、やるよみんな……!」
更には上空の蝙蝠達も、やや離れた高さから様子を窺ってくるのみ。そんな敵の動きから、この空間の性質を察した灼滅者達、各々に近接戦用の武装を構え。己へと向かってきた蜘蛛達へと其々に攻めかかってゆく。
(……よし、どうやら大丈夫そうだな)
そんな彼らの戦いぶりは危なげなく、一対一の繰り返しなら暫く問題は無さそうと見えた。其を確かめ、夜野はビルの壁際へと腰を下ろす。
「早く傷の治療をしたいな……」
包帯の余りと、髪の結い紐まで使って応急処置はしたが、本格的な治療は未だ叶わぬ。少なくとも現状は我慢する他無さそうだ。
深く溜息を一つ。だが、其処で気付く。
「……俺、死んでるけど血ぃ出るのな」
死した肉体なれど、どうやら己には温かい血が流れているらしい。思わず苦笑する夜野であったとか。
成功
🔵🔵🔴
リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【POW】
ややこしいナマモノだねえ
前途あるコ達は喰わせないよ?
【スケイプ・セル】全数投入で簡易城壁構築
更に【ツィユィ】の粒子防壁&空間爆破で灼滅者自衛補助
その間に愛機は離陸
【アシュヴィン】2種4基の高機動大推力で
中央線上空を陣取りクモ糸から離れつつ俯瞰視点から
【カイルス】を〈瞬間思考力〉でブン回して敵多数捕捉
後はキャバリア用破魔機関砲状態の【万姫】を構え
オペ108番【プレアデス・スターマイン】開始
さぁ、真夏の花火をブチアゲとイクよーっ♪
※万姫自身もひたすらハイテンション
爆発や火災旋風も駆使して徹底的に害虫駆除ね
でも灼滅者・建物・線路等の被害抑制は要るし
UCによる消火逐次実施、ソレも兼ねた俯瞰さ
宮比神・うずめ
◎WIZ/アドリブお任せ
ふーんっ、ご主人様への点数稼ぎって訳。
ウチら(灼滅者達)を狙うなら話は速いんよ
こっちこっちとお尻ペンペンあっかんべーで挑発して、灼滅者以外の人が狙いやすい様に動くんよぉ
てっ!熱ぃっ!
攻撃がこっちに向かって来たら、間合いに気をつけてながら、踊るように背面を取るように素早く回りこんでっ!
そのまま「天地開闢光」を撃ち込んでやるんよぉ!あ、お口に打ち込むのも悪くないかもね
ダイヤ型の炎には注意しながらバシッバシッ天地開闢光を撃ち込んであげよう
シャドウなら光で文字通り照らしてやるんよぉーっ!
猟兵達と|灼滅者《スレイヤー》達の奮闘もあり、徐々にその数を減らしてゆく黒蜘蛛と蝙蝠の群れ。なれどその攻勢に陰りは見えず。
『Syyyyyyyyy……!』
鋭い鳴き声を発しながらナイトメアスパイダー達が向かう先は、灼滅者達の一団が集まる一角。これを包囲し殲滅しようとしているようだが。
「狙い通りやねぇ。やっぱり|灼滅者《ウチら》を狙うなら話が早いんよ」
その途中の道路上。立ち塞がるように宮比神・うずめ(舞うは鬼の娘・f43833)が仁王立ちしていた。敵が灼滅者を狙っているというなら、己も灼滅者である以上は囮役を担える可能性があるし敵の動向も把握しやすい。そう判じてのうずめの動きは、まさしく狙い通りの結果を導き出すに至った。
対峙する蜘蛛の群れ。この場で戦っても良いが、今ならばより効率良い殲滅手段が存在することをうずめは知っている。ならば。
「ご主人様への点数稼ぎがしたいんだったら、ウチを捕まえてみればいいんよぉ?」
徐に背を向けて尻を突き出し、其を自ら打ち叩いてはその様を見せつけ。振り向いた顔は舌を突き出した小生意気極まりなき顔。思わず追いかけて叩き伏せたくなる程に。
『Syaaaaaaaaaaaaaaaaa!!』
どうやらその挑発は蜘蛛達に効果覿面だったらしい。蜘蛛も其が変じた蝙蝠も、一際力強く声を発しながらうずめ目掛けて殺到する。
「ふふん、数は多いけどそれでウチらに勝ったつもりで……ってっ!」
それでも尚余裕を崩さぬうずめだが、露な素肌に生じた感覚に思わず苦鳴を漏らす。どうやら、ナイトメアスパイダー達の一部がユーベルコードを行使してきたらしい。
「これ何回も喰らったら流石にちょっとピンチなんよ……けど!」
流石にユーベルコードは脅威となる。故にこそ、この策が活きるのである。そう――
『敵集団捕捉。万姫ちゃん、準備オーケイ?』
『おけまるー! ウチらの花火アゲアゲでやったるしー☆』
うずめの到達地点、その上空に滞空するは蒼き鋼鉄の巨人。重装甲の体躯に比しても巨大なビームガトリングガンを構えたキャバリア『ナインス・ライン』である。
その搭乗席にてリーゼロッテ・ローデンヴァルト(|KKS《かわいくかしこくセクシー》なリリー先生・f30386)が呼びかければ、応えはその構えたるビームガトリングから。ギャル口調のサイバー仙女『|万姫《ワンジェン》』がテンション高く宣言するや否や、放たれるのは色とりどりに煌めく仙術ビームの弾幕。其はまるで意志を持つかのように、うずめを追っていた蜘蛛や蝙蝠の群れへと襲いかかり――爆発。
着弾した浄光弾が次々と爆発し炎を起こせば、爆風と爆風とが相乗して局所的な火災旋風が巻き起こる。其はうずめを追って集まっていたオブリビオン達を瞬く間に呑み込み、弾幕の直撃を避けた者達までをも容赦なく焼き払ってゆく。
凄まじい火力ではあれど、周辺の建物等への影響はほぼ皆無。上空から俯瞰するリーゼロッテが、被害拡大を予め防ぐべく適宜消火している為だ。
「うわぁ……」
自分が此処まで敵を引き付けてきたとはいえ、凄まじい殲滅力だ。思わず唖然としかけるうずめだが。
「って、ウチもボケっとしとる場合じゃないんよ!」
敵を引き付けてきたらそこまで、という訳にはいかない。再び己の身へ『カミ』を降ろし、魔神へと変ずる。
「カミ様の御力で、全部残らずやっつけてやるんよぉ!」
そして放つは天地開闢の力を宿す光。戦場を迸る其は空を裂き、火災旋風を逃れたオブリビオン達を次々と撃ち抜き消し飛ばしてゆく。
『ん、敵の殲滅は順調に進行中。撃ち漏らしも無い……かな』
電脳をフル回転させて戦場内の情報を把握するリーゼロッテ。其が捉えた敵影は確実に仕留められつつある。他の猟兵達からの連絡と合わせて考えれば、纏まった集団はこれで最後だ。
『なら、最後は盛大にパーっとブチアゲてイっちゃおうか♪』
『り! センセもマジあげみー☆』
楽しげに高揚した調子で呼びかければ万姫がまたテンション高く応え。七色の仙術ビームが夕暮れの空に爆裂し、少しだけ気の早い花火の如く一帯を彩ってゆくのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 ボス戦
『黒翼卿メイヨール』
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POW : メイヨール大回転
【まるで球体のような肉体】を高速回転し続ける事で、威力増加・回転武器受け・レベル×5km/hでの飛翔を可能とする。
SPD : タトゥーバットストーム
レベルm半径内に【眷属「タトゥーバット」の群れ】を放ち、命中した敵から【血液】を奪う。範囲内が暗闇なら威力3倍。
WIZ : 瑠架ちゃん瑠架ちゃん瑠架ちゃん瑠架ちゃん
自身が愛する【朱雀門・瑠架の生写真】を止まる事なく使役もしくは使用し続けている限り、決して死ぬ事はない。
イラスト:カス
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
武蔵坂学園の|灼滅者《スレイヤー》達を狙ったナイトメアスパイダーの軍勢は、猟兵達によってほぼ全滅へと至らしめられた。未だ撃ち漏らしはあるやも知れぬが、それは灼滅者達だけでも充分に対処は可能であろう。
故に其方の対処は彼らに任せ、猟兵達は吉祥寺駅より南へ向かう。グリモア猟兵の予知により判明した、黒幕の在る地――井の頭公園へ。
そうして踏み入った井の頭公園には、無数のタトゥーバットが飛び交っていた。なれどそれらは猟兵達へ攻撃を仕掛けることはなく、集い飛び交う様は寧ろ猟兵達を導くよう。即ち、彼らの主――
「――来たよ、瑠架ちゃん」
林の中、日が落ちて夜の帳に覆われた其処に佇む、文字通りに丸々とした肥満体の男。この男こそ『黒翼卿メイヨール』、此度の事件の黒幕たる、爵位級ヴァンパイアのオブリビオンだ。
殆ど球状に近いその身体の上部、小さな両の眼が猟兵達を睥睨する――が。
「優しい君を無残に殺した灼滅者達。奴らに味方する猟兵とかいう連中。こんな奴らがのさばっているなんて、僕には耐えられないんだ」
語る言葉は猟兵達にではなく、瑠架――彼が愛したヴァンパイアの少女へ向けられたもの。その様は猟兵達の在り方を一顧だにせぬという態度を示すが如く。
「でも、もう大丈夫。僕がこの手で、こいつらを皆殺しにしてみせるから。その死に様と、生き血の全てと、その首を、君へと捧げる為に」
なれど敵対者としては確と認識しているようで。その殺意を露とするに応ずるかの如く、周囲の蝙蝠達が一斉に鳴き喚きだす。主の意思に応えるかの如く。その様は、この群れの全てが主とひとつであるかの如く――
否、其は比喩ではない。この蝙蝠達はその全てがメイヨールの一部。これ程の眷属の群れをその身一つに取り込んだ存在、故にこその『黒翼卿』。現在猟兵達の在る場所は、彼の腹の中にさえ等しいとも言える。
「だから泣かないで瑠架ちゃん、君を悲しませるすべてを、僕が滅ぼしてみせるから――!」
メイヨールは既に臨戦態勢。この危険極まりなき吸血鬼を殲滅し、吉祥寺の街に平和を取り戻すべし。
※『黒翼卿メイヨール』とのボス戦です。
※戦場は井の頭公園の一角の林。密度は高くないですが木があちこち生えてます。
※時間帯は夜になったところ。視界に影響があるほど暗くはありませんが、メイヨールのSPDユーベルコードの強化条件を満たす程度の暗さです。
※周囲には無数のタトゥーバットが飛翔しており、これも攻撃を仕掛けてきます。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・『祭器』召喚継続
・アド/絡◎
■行動
私はその女性を知らない為、何とも言えませんが。
降りかかる火の粉は払わせて頂きますねぇ。
【炳輦】を発動し防御結界を形成、『FMS』のバリア&『FLS』の空間歪曲と重ねて守りを固め飛行しますねぇ。
【大回転】相手でも基本速度の差から此方が速度は上のはず、威力増加が有っても『FPS』で時機を測り転移回避で対応は可能でしょう。
周囲の蝙蝠達は『時空切断の嵐』による[範囲攻撃]で払い対処、『武器受け』は『FIS』による転移を『FES』の『聖属性の魔力矢』に用い、吸血鬼相手なら『受け流しても触れた際にダメージが入る』状態にするか、体内に直接転移させて叩き込みますねぇ。
瑠架――『朱雀門・瑠架』。対峙せし敵――黒翼卿メイヨールが偏愛せしヴァンパイアの少女、であったか。夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は彼女についてグリモア猟兵が説明していた内容を思い返す。
(とはいえ、私は彼女を知り得ませんからねえ)
るこるはサイキックハーツ世界の出身ではなく、かつてこの世界で起きた戦いについても多くは知らぬ。瑠架という吸血鬼についての知識も、先のグリモア猟兵の説明が全てだ。ならば、かの吸血鬼の在り方については何とも言えぬ、というのが正直な処ではあった。
「大丈夫だよ瑠架ちゃん、こんな猟兵に僕は負けないよ。ぷちっと潰してやっつけつちゃうからね」
然し、当のメイヨールにとってはそんなことは関係ないとばかり。その丸々とした巨体を高速で回転させながら、るこるを目掛けて迫ってくる。宣言通り、猟兵――灼滅者の仲間であるなら同じということだろう。
「そういう訳には参りませんよぉ」
ならば、降りかかる火の粉は払うのみ。その手を合わせて祈りを捧げ、以て|女神の加護《ユーベルコード》を発現せんとする。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その衣を纏いて典礼を捧げましょう」
ユーベルコードの発現と共に、るこるの装いは神々しき意匠を持つ祭器の衣へと変化する。次いで展開されるは、乳白色に煌めく防御結界――だが。
(……あ。林の中だとちょっと具合が悪かったですねぇ)
其処でるこる、ちょっとしたミスに気付く。ユーベルコードを以て展開した防御結界の長さは実に19m。幾つもの木々が並ぶ林の中で取り回すには、少々大きすぎるのだ。発動させたユーベルコードには高速飛翔の力もあるが、うっかりすれば結界で木々を薙ぎ倒してしまいそうである。
(ですが、何とかなるでしょう)
然し、るこるは状況への対処を幾つも備えて此度の戦いに臨んでいる。飛翔高速機動が駄目なら別の手を使うまでだ。
「何かあるけど、こんなものは僕の体当たりで一発だよ」
思考している間にメイヨールの姿が目の前まで迫ってきていた。独楽じみて回転しながら空を飛ぶその姿は滑稽ではあるが、同時に紛い無き脅威でもある。その回転はあらゆる攻撃を弾き飛ばし、あらゆる守りを突き破る――まさに攻防一体の代物だ。
そんなメイヨールを前に、機動力の落ちたるこるがどうしたかと言えば――その答えは極めてシンプルであった。
「――あれ!?」
いよいよ、るこる目掛けて体当たりを敢行したメイヨールだが。巨体がるこるの豊満なる肢体へ激突しようとしたその瞬間、るこるの姿はその場から消え去っていた。
「何とかなりましたねぇ」
林の一角から声。見れば、るこるの姿がいつの間にか其方に移動していた。瞬間移動か。メイヨールがそう察するのと、るこるが反撃に動くはほぼ同時。
「次は私の番ですよぉ」
メイヨールに先んじて群れなし迫っていたタトゥーバットの大群、己を目掛けて襲い掛かって来るこれらが、るこるの柔肌に触れるより早く突如斬り裂かれ、真っ二つとなって消えてゆく。ユーベルコードのもう一つの恩恵、空間に生ずる無数の見えざる刃で、雑兵の群れを次々と薙ぎ払っていった。
無論、メイヨール本人への対策も抜かりなし。高速回転で以てあらゆる攻撃を弾き逸らさんとするかの敵、これへ対抗するには――
「これを受けて頂きますねぇ」
るこるの周囲に、何本もの魔力の矢が形成され。その全てがメイヨール目掛けて撃ち込まれてゆく。直後に響くは、全身随所を引き裂かれ、よろけながら墜落してゆくメイヨールの呻き。るこるの放った矢は、付与された特性によって高速回転する標的にも命中するようになっていたのだ。
よろけながらも立ち上がるメイヨール。るこるは其を見据えると共に、更なる攻勢をかけんとばかり、得物たる祭器群を展開し攻撃を仕掛けてゆく。
成功
🔵🔵🔴
尾守・夜野
憎いし殺しても殺し足りねぇし確実に殺しに行きてぇよな
だがそれを通すわけにゃいかんのよ
今の状態だと発動するか分からんので真の姿をとるぞ
死んでるから生身の部分どこって話だし
その人物にとっての指標となる目的っていう灯りを奪う訳だからまぁもしかすると攻撃苛烈化するだろうが…
腰の鳥籠中に光源あるしトントンくらいでねぇかな
これ何だか俺も知らんけど
(…俺も復讐果たしたし、それを止めるのもなぁ
でも一般人にも被害出るのは…
執着対象多分それを望まないし…
でも多分それは皆もだろう)
で内心ぐちゃぐちゃよ
まぁ俺は皆の為にで仇は討ってねぇし自分の為にでやってるので
理由を押し付けるのは好かねぇ
だからボコす
フェル・オオヤマ
・心境
さっさとこいつを灼滅して私も夏休みを迎えようか
お前のつまらない復讐に巻き込まれた人達の怒りを思い知れ!
・戦闘
どうしてアンタや瑠架って人を灼滅した灼滅者に復讐すればいいのに
関係ない灼滅者の学生を狙うの?でっけぇ図体のワリにちっちゃいのね
と【挑発】して攻撃を誘発
回転攻撃を敢えて左腕で受けつつ【衝撃吸収/怪力】で掴んで…捕まえた!
事前に[紅炎の剣]に地獄の炎を纏わせておいて[我竜・紅焔竜斬]発動
【焼却/カウンター/属性攻撃】切り裂いてから斬撃の軌跡を地獄の炎が追従しメイヨールを焼き尽くす!
そんなにでっかい図体ならさぞ景気よく燃えるだろうね!
他キャラとの連携・アドリブ歓迎
「うう、ちょっと痛かったな」
態勢を立て直した黒翼卿メイヨール。その巨体に比して随分と小さな眼が、新たに現れ来た猟兵達の姿を捉える。
「――ずっと疑問なんだけどさ」
そのうちの一人、フェル・オオヤマ(氷焔操る紅の竜姫士・f40802)は問う。元々この世界の出身でなく、かつての学園の戦いを知らぬが故の疑問を。
「どうしてアンタや瑠架って人を灼滅した灼滅者に復讐すればいい処を、関係ない灼滅者の学生を狙うの?」
問いかけるその言葉には、でっけぇ図体の割にちっちゃいのね、との挑発も込めて。丸々とした巨体を真っ直ぐに睨み据える。
「嗚呼、辛かったよね瑠架ちゃん。君は灼滅者達の為を思って説得しようとしたのに、奴らは聞く耳持たず君を容赦なく|灼滅《ころ》したんだもの」
メイヨールの返答は、瑠架への語りかけという形であるが故に分かりにくいが。詰まる処、瑠架を灼滅することが当時の武蔵坂学園の総意であった以上、学園の灼滅者であるという時点で復讐相手としての要件は満たす――ということらしい。
「――まあ、憎いし殺しても殺し足りねぇし……確実に殺しに行きてぇよな」
一方、もう一人のこの場へ至った猟兵である尾守・夜野(自称バブ悪霊な犬神と金蚕蠱モドキ混合物・f05352)はメイヨールのその在り方に理解を示す。彼自身も復讐者として在った時期がある以上、復讐を一概には否定できぬが故に。
(俺も復讐果たしたしそれを止めるのもなあ……でも一般人に被害出るのは……執着対象多分それを望まないし……でも多分それは皆もだろうしなあ……)
然し内心は様々な考えが渦巻き纏まらない。復讐は否定できないが肯定する訳にもいかない。それでも。
「だが、それを通すわけにゃいかんのよ」
猟兵として此処に来た以上、この吸血鬼の目的は確と阻止する。その意志を示すと共に、首に巻き付いていた犬らしきものが夜野の肉体へ一体化。その身に犬の耳と尻尾とが生じ、眼を覆っていた目隠しも外す。以て真の姿を発現する――が、その直後。
「……が……っ」
「っ!? ちょ、だ、大丈夫!?」
呻くと共に、脇腹に抉り取られたような傷が発生。血を流してよろめく夜野の姿に、フェルが驚いたように声を上げるが。
「心配要らねぇ……。それより、気をつけろ……あいつ、何してくるか分かんねぇぞ……!」
警告にも似た夜野の告げるに、改めてメイヨールを見れば。彼は何やらわなわなと震えて。
「ぼ、僕は……ああ、僕は、僕はぁぁぁ……!」
困惑と絶望が綯い交ぜとなったような表情で、譫言めいて何か叫んでいる。先程までの瑠架への執着めいた偏愛ぶりも、今は見えず。代わってその心中に在るのは虚無、即ち。
「僕は、僕はぁぁぁぁぁ!!」
錯乱したかのように叫ぶが早いか、周囲で舞い飛んでいた蝙蝠の群れに明瞭な変化が生じる。ギャアギャアと喚き叫びながら無秩序に飛び回り、時には蝙蝠達同士で食らいつきあう、まさに混乱と言って良い状態。ある種群れ全体が一個の生物となっていた普段の状態とはかけ離れた、混沌そのものの有様だ。
「僕は! 僕はぁぁぁぁ!! あああああ!!」
更にはメイヨール自身も、回転しながら空を飛ぶという異様な姿で以て攻撃に来た。その動きは単純なれど、迫る速度と質量は無視できない。だが。
「なんだかよく分からないけど……!」
目まぐるしく変わる状況、なれども分かることは一つだけある。そしてそれさえ分かれば戦うには充分。
身構え、左腕は身を守るように前方へ。無秩序な動きで迫り来る子爵を、真っ直ぐに睨み据えて――激突。
「ぐぅ……っ!」
凄まじい衝撃、踏み止まったが故に全身を苛むそれは、無視しきれぬ程のダメージをフェルの身へ齎す。衝撃を殺す術を学んでいなければ、意識自体を刈り取られていたか。流石に子爵級のヴァンパイア、その力は侮れるものではない。
だが、それでも。
「お前のつまらない復讐に、どれだけの人達が巻き込まれたか……!」
その怒りを以て踏み止まり、引き抜くは紅炎の剣。傷口から噴出する地獄の炎を刃に纏い、掲げれば。
「皆の怒り、その身を以て思い知れ! 紅焔竜斬ッ!!」
叫ぶが早いか一気に振り抜き。眼前のメイヨールの巨体を力強く斬り裂く。斬り裂いた軌跡に沿って燃え上がる炎が、メイヨールへと引火しその身を炎の中へ呑み込んでゆく。
(……やっぱ攻撃は激しくなるか。苛烈って言うほど苛烈でもねぇが……)
そんな一連の流れを見て取り、夜野は腰に提げた鳥籠へと手を這わす。鳥籠の中には朧な光を放つ球体が浮かび、心臓の脈動じみた明滅を繰り返している。
数瞬、傍らに控える狼の姿へと視線を泳がし、また戻す。メイヨールの状態の変化は、彼のユーベルコード発動が原因で引き起こされたもの。傍らの翼狼が、灯――対象の記憶や感情を一時的に奪い取り、腰の鳥籠に集積するという力である。
生きる指標たる記憶を奪われれば、錯乱するはやむなしといったところか。それでも攻撃はしっかりと行う辺り、意志が強いと言うべきなのか。
「まぁ、俺の復讐はあくまで自分の為。皆の為なんてご大層な信念は持っちゃいねぇ」
ならば追撃を仕掛けるべきだろう。翼持つ狼と共に駆け出す夜野、炎に包まれ文字通り転がるメイヨールへと迫る。
「だが、理由を押し付けるようなやり方は好かねぇ」
復讐は否定しない、だがそのやり方は否定する。それが己の心に出した答え。そして答えを出せば最早迷うことはない。
「だから――ボコす」
宣言するが早いか、己の拳を叩きつけ、翼狼が爪牙を振るい。炎に焼かれ続けるメイヨールへと、容赦なき追撃を浴びせていった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アリス・フェアリィハート
アドリブ連携歓迎
【SPD】
「瑠架…さん?……それにしても…メイヨールさん…その…とっても…個性的な体格の方です…☆』
メイヨールさん本人と
彼の云う
「瑠架」さんに
やはり既視感を
拭いきれずも
戦闘
翼で飛翔
【空中機動】等駆使し
【空中戦】も行い
立体的に
立回り
【第六感】【心眼】【残像】
【通常攻撃無効】
【結界術】【オーラ防御】で
防御行動し
【破魔】と【浄化】を込め
UC発動
味方や自身を回復しつつ
タトゥーバットさんの群れに
対処し
クイーンオブハートキーの
【全力魔法】や
展開した【ハートのA】からの
【誘導弾】の【一斉発射】【弾幕】とも組合せ
メイヨールさんを攻撃
『…私も…よくは解りません…けど…愛情の押し付けというのは…』
宮比神・うずめ
●WIZ/アドリブお任せ
メイン(メイヨール)を引きずり出せたのは良いけどさ
タトゥーバットが鬱陶しいなぁ!
ユーベルコードを発動させてっと…
あー…ちょっとクラクラしてきた
あと少しだ!踏ん張れウチ!
タトゥーバットは浄化射撃の天地開闢光で撃ち落としながら数を減らしていくんよぉ
無駄だと感じたら、消耗戦は不利だからメイヨールに近づいて零距離、浄化射撃の天地開闢光をぶち込むんよォッ!
もっと遊んで(戦って)たいけどウチの血液も無尽蔵じゃないからなぁ!とっとクタバレっ!
他の人が攻撃しているときにタトゥーバットが他の人を邪魔しようとするなら浄化射撃
メイヨールのWIZには可愛そうだけど、写真を破壊できるか試すんよぉ
全身に傷を負い、着衣は至る処が焼け焦げ。そんな状態でありつつも――否、それ故にこそか。メイヨールはその手に一枚の写真を取り出し、其処に写る少女へ視線を注ぐ。朱雀門・瑠架――彼が|偏愛《あい》してやまないヴァンパイアの少女へ。
「ああ、猟兵達は思ってたよりずっと強いね。でも大丈夫だよ瑠架ちゃん、僕だって|生前《むかし》よりずっと強くなったんだから」
まるでそれが生身の瑠架であるかのように愛しげに、親しげに語りかける姿は異様。それが戦場の只中、それも無数の蝙蝠型眷属が渦巻くように飛び交う中心という事実が異様さを更に引き立てる。
「瑠架……さん?」
その名、此度の任務で初めて聞いた筈なのに。アリス・フェアリィハート(不思議の国の天司神姫アリス・f01939)は既視感を抱かずにはいられなかった。まるで遠い昔、あの写真に写る少女と言葉を交わしさえしたような気がする程に。
「それに……メイヨールさんも……」
極めて個性的な体格をしている、だけではない。かの爵位級吸血鬼に対しても、その存在の脅威の程、身を以て知っているかのような錯覚を覚える。一体これは――
「あーもう! このコウモリ鬱陶しいなぁ!」
然し其処へ聞こえてきた宮比神・うずめ(舞うは鬼の娘・f43833)の叫びがアリスの思考を目の前の状況へ引き戻す。襲い来る蝙蝠の大群は夜の闇の力も借りて、より騒がしくより狂暴に猟兵達へ牙を剥いて来る。
「ここはカミ様の御力で……!」
状況を打開するべく、うずめは三度『カミ』の力をその身に降ろす。以て放つ天地開闢の光が、蝙蝠達を薙ぎ払い消し飛ばしていくが。
「……ぁっ。ちょっと、頭くらくらするぅ……」
ふらり、と危うくバランスを崩しかける。その身に『カミ』を降ろすユーベルコードは、強力である代わりに毎秒血液を消耗するリスクがある。これまでの戦いも『カミ』の力で乗り越えてきたが故、うずめの血液は随分と減ってしまってきているのだ。
「……あと少しだ! 踏ん張れウチ……!」
なれども両の脚は確と地を踏ん張り、蝙蝠の大群の向こう、写真を夢中で眺める吸血鬼を睨み据える。
そんなうずめに対し、タトゥーバット達が次々と襲い掛かる。何とか踏み止まりながら再度光を撃ち放たんとするうずめだが、その時。
「やらせは……しません……!」
駆け抜ける風には神聖な雰囲気も伴い、心身が浄められるかの如き感覚を見る者に感じさせるとか。
「私も……お力、お貸しします……!」
なれども敵はまだまだ多い。故にアリスもまた力を――ユーベルコードを行使する。戦場全体至る処に神なる桃が咲き誇り、神聖にして清浄なる神気が戦場を包む。アリスがその身に宿す『光と生』の側面の力は、ユーベルコードを通し彼女へ更なる力を齎していた。
戦場を満たす神気は、蝙蝠達を灼き滅ぼすかの如く濃度を増し。共に戦う猟兵には癒しを齎す。無論、うずめにも。
「……あ。ちょっと気分が楽になってきた感じがするよぉ」
血液不足に対してもこの魔力は力を発揮するのか。そんな驚きを感じつつも、動きやすくなったからには。
「なら後は……みんなまとめて消し飛ばすんよぉ!」
その意志も露わに、うずめは身体から光を撃ち放つ。迸る光で蝙蝠達を薙ぎ払い消し飛ばし、いよいよメイヨールの姿を捉えることに成功し――
「その写真も消し飛んじゃえ!」
「わ!?」
再び迸った光。其はメイヨールの手元を抉り断つように駆け抜けて――その手の、瑠架の姿を捉えた写真もまた灰も残さず消し飛ばした。
「……………」
写真を失い、呆然とした様子のメイヨール。どうやら写真を失ったことが、余程にショックだったらしい。
「どれほど……強い想いとはいっても……」
其処をアリスもまた捉える。その手に大きな鍵を携え、周囲には幾つもの宝石型のハートを展開する。宝石は穏やかながら強い光を帯びて、其処に宿る魔力の膨大さを感じさせる。
「愛情の押し付けというのは……良くはありません、から……」
未だ立ち直れない様子のメイヨールへ向け、鍵を突きつければ。宝石群から無数の魔力弾幕がメイヨール目掛けて浴びせかけられ。その丸い巨体を削り落とさんばかり、メイヨールが我を取り戻すまでに。そんな意志を持って、攻撃が重ねられていった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【SPD】
瑠架ちゃんがどんだけカワイイか興味はあるけども
寝てる娘の横で騒ぐ様なノンデリは嫌われるよ?
愛機に血液なんかないから多少掠っても平気だけど
物理損耗に備えて【S・セル】で接近個体を焼却
更に上空へ顕現させた【コジマ(装備)】の
機関砲・誘導弾や爪・嘴で徹底的にコウモリを狩る
だってPC化のガワに採用した猛禽類はコウモリの天敵
超感覚と【カイルス】予知の連携で夜闇も無問題さ♪
後は【アシュヴィン】2種の延長四肢で肉団子を上回る巨躯ゲット
世界単位で不慣れな|機甲戦力《ロボ》の特性やパワーも活用
おーいメイヨール、サッカーしよ♪
アンタがボールね♡
オペ95番【LI・トライアル】開始
【M・メモリ】の『ワープ発生源』で大樹を潜り抜けつつ
力場と光爪を鎧った延長下肢で13回以上の超音速ドリブル
キャバリアが1550倍速で繰り出すボレー…避けられる?
※〈応用力〉で飛び蹴り以外のキックも繰り出す
他方〈瞬間思考力〉と生体電脳を活かした
思考〈操縦〉でアタシ自身は余裕で制御可能
10秒経過時のラストはオーバーヘッドキック♡
オリヴィア・ローゼンタール
これが黒翼卿メイヨール……
私が武蔵坂学園に入学していた時にはすでに灼滅されていたが……なるほど、聞きしに勝る醜悪さだ
瑠架、瑠架、瑠架と……随分とご執心だな、吸血鬼
目の前の相手が誰か、分かっているのか?
識らぬならば教えてやろう
私はあの大戦の折、瑠架の提案を蹴り、灼滅に票を投じたひとり……つまるところ、「瑠架ちゃん」の死の一因だ
は、は、は
はははははははは!!!
【大声】で【挑発】すれば、元からありやなしやの冷静さなど微塵も残さず消し飛ぶだろう
怒りと憎悪のまま暴走する吸血鬼……初めて意見が一致したなァ?
殺してやるぞ、吸血鬼ッ!!
身に纏うは聖なる力――ではない
【天魔変生・魔性狂乱】によって鮮血の闘気と殺戮の波動を纏うこの身は、まさに吸血鬼そのもの
絶大な膂力(怪力)を以って拳打、蹴撃、頭突き
タトゥーバットなど近付くだけで【生命力吸収】で塵と化す
技も策もない、殺意に衝き動かされる極めて原始的な闘争を繰り広げる
万象燼滅の嵐の中で、ただの写真が原形を留めていられる道理もなし
諸共に引き裂いてくれる!
「――大丈夫、大丈夫だよ瑠架ちゃん」
丸々とした巨躯を血に塗れさせつつも、メイヨールは尚も立ち上がる。濁りきった小さな瞳は、その手に握りしめた一枚の写真――先程別の猟兵に焼かれたそれとは別物――其処に映る朱雀門・瑠架の姿を見つめて。
「君の笑顔を取り戻す為なら、僕はどれだけ傷つこうとも頑張れるんだ。そしてその為なら、僕はどんな事だって――」
「随分とご執心だな、吸血鬼」
譫言めいた呟きを漏らし続ける吸血鬼へと浴びせられるは、嘲り詰るが如き声。メイヨールが視線を上げれば、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)の冷たく鋭い貌。
『へぇ、これが瑠架ちゃん。なかなかカワイイじゃない』
オリヴィアの背後に聳える蒼き重装キャバリア『ナインス・ライン』からリーゼロッテ・ローデンヴァルト(|KKS《かわいくかしこくセクシー》なリリー先生・f30386)の興味深げな声が響く。どうやら写真の中の瑠架の姿を何らかの手段で知覚したらしい。
『でも、寝てる娘の隣で騒ぐようなノンデリは嫌われるよ?』
骸の海で眠る彼女を無理矢理起こす、そのような真似は|節度《デリカシー》に欠ける。断ずる声音は呆れ気味。
「そんなことはないよね瑠架ちゃん。君だって本当は|現世《こっち》に戻ってきたい筈さ。あんな形での死なんて、望んでいたはずが――」
「目の前の相手が誰か、分かっておらぬようだからな、教えてやろう」
なれどメイヨールの方は平然と。瑠架に対する都合良い認識に基づいた言葉を吐く。その死に様に言及したところで、割り込むようにオリヴィアが口を開いた。
かつて武蔵坂学園の生徒であったオリヴィアだが、彼女が編入したのはメイヨールが灼滅されてより後。故に、この爵位級吸血鬼との対面は此度が初めてである。
然し、それでも己には、彼との大きな接点が存在するとオリヴィアは考える。何故ならば。
「私はあの大戦の折、瑠架の提案を蹴り、灼滅に票を投じたひとり――」
サイキックハーツ大戦の勃発直後。武蔵坂学園の灼滅者達に、彼らの勝利の可能性を少しでも高めるべく提案を持ちかけた瑠架。なれど彼らは提案を拒絶し、結果として瑠架の灼滅に至った。無論、其は灼滅者其々の決断による総意であったのだが、其処には敢えて触れず。此度重要なのは、即ち――
「貴様の大事な『瑠架ちゃん』の死の一因、というわけだ……はははははは!!」
いっそ大袈裟なぐらいの大声で言い放ち、そして嗤ってみせる。それさえ気づかぬ吸血鬼の有様を嘲るかの如く、其を以て彼の怒りを煽るべく。
「――ああ、ああ! 見つけた! 見つけたよ瑠架ちゃん……!」
其を受けてか、否か。いずれにせよメイヨールはオリヴィアへと視線を注ぐ。憎悪と殺意に満ち満ちた視線を。
「君の優しさを踏み躙った、悪い灼滅者! 今ここで僕がやっつけてあげる! その血を一滴残らず吸い尽くして、君に捧げるよ……!」
主の叫びに応えるかの如く、その身と、周囲から、夥しい数のタトゥーバットが殺到し。暴風じみた無数の羽音が、井の頭公園に響き渡る。
「初めて意見が一致したなァ――」
憎悪と狂気のままに荒れ狂う、爵位級吸血鬼の有様。其を前としてオリヴィアは口角を吊り上げる。己の中に渦巻く感情も、また其に類似する――世界は異なれど衰えることなき、吸血鬼に対しての。
「――殺してやるぞ、吸血鬼ッ!」
その感情を叫ぶが早いか、前傾姿勢から地を蹴って飛び出してゆく。雲霞が如きタトゥーバットの大群を斬り裂き、その先の吸血鬼を引き裂かんとばかりに。
『おーおー、オリヴィアさんてば激しいねぇ』
其を背後から見守っていたリーゼロッテは機体周辺に攻性防壁を展開。己へ迫る蝙蝠達を其で防ぎ、焼き払ってゆく。キャバリアに乗る身なれば吸血を受ける恐れは少ないが、物理的に破壊される危険は十分故に。
『そんじゃ、アタシも一つ手伝わせて貰おうか♪』
更に上空へは、猛禽類じみた鳥型の機械兵器が出現する。白鴉の魂宿せしパンツァーキャバリア『コジマ』である。其が武装せし火器を斉射すれば、タトゥーバットの群れは悉く吹き飛ばされ血煙と化して消し飛んでゆく。更には高速飛翔からの爪や嘴が蝙蝠達を千切り飛ばしてゆく。猛禽類は蝙蝠の天敵という実生物の関係性をそのまま反映したかの如き暴れぶりだ。
「血風よ、吹き荒べ……!!」
それでも、真っ向突撃するオリヴィアを迎え撃つタトゥーバットの数は相当なものだが。オリヴィアが腕を、脚を振るうたび、溢れ出る闘気と波動とが渦を巻いて蝙蝠達を薙ぎ払い、千切り飛ばしてゆく。
其処に常の纏いである聖なる力は欠片と見えず、在るのは只々禍々しき殺意の力。ダンピールたる身に宿る吸血鬼の力を前面に押し出した有様。『闇堕ち』――己の心身をダークネスに差し出すことで圧倒的な力を得る灼滅者の奥の手、其を思わす様相は然し、全きオリヴィアの意志によって御せられしものだ。
『オリヴィアさん、右前方! 来るよ!』
故にリーゼロッテの警告も理解し身構える。振り抜いた腕が蝙蝠の帳を裂いた先から飛び込んでくる血塗れの肉弾。
「潰しちゃうよ!」
巨躯を以てオリヴィアの身を押し潰しにかかるメイヨール、なれど警告を受けたオリヴィアは浮足立つことなく、然し猛然と応ずる。
「おおおおお!!」
更なる力の励起。周囲を包囲するタトゥーバット達が一斉に萎れて落ちてゆく。活性化したオリヴィアの力によって、生命力を瞬時に吸い尽くされたのだ。
以て高まった力で、真正面からメイヨールへと殴りかかる。身体を高速回転させて応ずるメイヨールとの間に、熾烈な力のぶつかり合いを生じ、拮抗する。
其は何らの技も策も無い、只々殺意に衝き動かされるままに四肢を繰り出し続ける、極めて原始的な闘争。獣じみた応酬は然し、不意に終わりを迎える。
「………!!」
不意に何かを感じたオリヴィアがメイヨールの腹で吹き飛ばされる。なれど空中で姿勢を立て直し見返す視線は、それが敢えてのものであったことを示す。何故ならば。
『おーい、メイヨールー! サッカーしよー♪』
「へ!?」
いつの間にかメイヨールの背後へ移動――転移していたナインス・ラインが、増加パーツで延長された四肢でメイヨールの身を蹴り上げようとしていたからだ。そしてその直後。
『ま、ボールはアンタなんだけどね♡』
反応の遅れたメイヨールの身を思い切り蹴り飛ばし。すぐさま飛ばした先へと再転移するや脚で|受け止め《トラップ》、そのまま林の中を球状体躯の子爵級を蹴り転がしながら駆け出した。まるで、パイロンの間を走り抜けるドリブル練習中のサッカー選手のように。
「あ、あががが……!!」
蹴られ転がされメイヨールの身は瞬く間に傷つき裂けてダメージが重なってゆく。不規則に回転や衝撃が襲って来る中では反撃も侭ならず、転がされるままに蹴られ続けること暫し。
『さぁて、締めとイこうじゃないか』
メイヨールの身を蹴り上げたナインス・ラインがその場で後方一回転。それは即ち――オーバーヘッドキック。
『オリヴィアさん、トドメは任せた!』
半回転の勢いを乗せた脚が吸血鬼の身を捉えれば、まさにボールが如き体躯がシュートの勢いで蹴り飛ばされる。撃ち出された其の飛翔する先には。
「任された……! おおおおお……!!」
其処に待ち構えていたオリヴィアが、大きく腕を振りかぶる。指を鉤爪めいて強張らせた其を、飛び来たる爵位級吸血鬼目掛けて振り下ろせば。
「万象……燼滅ッ!!」
伴って巻き起こる局所竜巻じみた赤き暴風が、その巨体をズタズタに引き裂いて。鉤爪じみた指が、致命的なまでにかの敵を抉り抜いてみせた。
「あ……あ……瑠架ちゃん、瑠架……ちゃ、ん……」
致命的な傷を全身に負いながら、メイヨールは見る。瑠架の写真もまた、巻き起こる嵐に引き裂かれ、千切れ飛んでいった様を。
「どうか……どうか、泣かないで……笑っ……て……。それが、それだけが……僕……の……」
呆然と其を見届けながら、漏らす声音は譫言のように。なれど其も皆まで言えず、異形の巨躯は塵と化して崩れ落ち、そして消え去ってゆく。
『黒翼卿メイヨール』、蘇りし爵位級ヴァンパイアの、最期であった。
●
以て、猟兵達は吉祥寺を襲ったオブリビオン達の殲滅に成功。街の人々や灼滅者達にもある程度の負傷者は出たものの、死者は一人とてなし。完全勝利と言える結果であった。
なれど、かつて滅びたダークネスと、何より猟兵の真の姿がオブリビオンとして蘇り現れるという事態。サイキックハーツ世界の新たな戦いもまた、長い戦いとなりそうだ――。
大成功
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