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お星さまに願いを込めて

作者：雷紋寺音弥

●狙われた七夕まつり
「『はじまりの猟兵』さんの話を聞いてから、なんだか色々な世界の壁を越えて、オブリビオンが暴れ出しているね」
　だが、当然のことながら、世界の危機はそれだけではない。ここ、ケルベロスディバイドの世界においては、デウスエクスによる侵略行為も未だ人々の脅威であると、成谷・理奈（ウェアライダーの鹵獲術士・f40874）は猟兵達に告げた。
「七夕様のお祭りが近いからかな？　そのお祭りに集まる『季節の魔力』を狙って、攻性植物の軍団の侵略が予想されているんだ」
　『季節の魔力』とは、特定の行事によって集まる力のことで、それとグラビティ・チェインを合わせて発動できるのが『季節の魔法』と呼ばれる極大魔術。これを発動されてしまうと、世界はオブリビオンの事件に関係なくカタストロフ待ったなしの状態になるため、絶対に阻止しなければならないのだ。
「襲撃が予想されているのは、神奈川県平塚市で行われる『湘南ひらつか七夕まつり』だよ。すっごい豪華な七夕飾りが用意されて、パレードなんかもあるんだって！」
　七夕まつりといえば仙台の祭りが有名だが、平塚市の祭りも日本三大七夕まつりに数えられる程に有名なもの。特に七夕飾りの豪華さは目を引くものがあり、大型飾りのサイズは10ｍを超える。動物やキャラクター……ケルベロスディバイドの世界では、主にナノナノを模した飾りも多く、バラエティーに富んだ飾りが楽しめる。
　勿論、祭りに合わせて屋台も設けられ、訪れる人々を飽きさせない。故に、季節の魔力を効率よく集めるために、デウスエクスに狙われてしまったのだろう。
「とりあえず、敵が現れるまでは、お祭りを楽しめばいいんじゃないかな？　みんながお祭りを楽しめば、それだけ『季節の魔力』が高まって、敵は猟兵の方を狙ってくるはずだからね」
　反対に、祭りを中止などさせてしまうと、敵は襲撃を諦める代わりに別の場所を襲撃し兼ねない。後の憂いを断つためにも、ここで誘き寄せて一網打尽にしてしまった方が後腐れもない。
「七夕まつりに現れるのは、『七夕の魔草少女』｜青柳・笹《あおやぎ・ささ》っていうデウスエクスだよ。他にもたくさんの魔草少女を連れて、七夕まつりを楽しむ人達からグラビティ・チェインと『季節の魔力』を奪おうとするんだ！」
　ちなみに、魔草少女というのは人間の少女が何らかの形で契約を行い、デウスエクスと化した存在である。契約初期段階であれば元の人間に戻すことも可能なようだが、今現在確認されている魔草少女達は、もはや人間には戻せない。
　また、今回は｜青柳・笹《あおやぎ・ささ》だけでなく、多数の魔草少女の出現が予知されている。彼女達は正確には魔草少女ではなくマソウショウジョモドキ……魔草少女の姿と能力を、攻性植物が模倣したものだ。
「魔草少女って見た目は可愛いけど、厄介な魔法を使ってくるから気をつけないといけないよ。その気になればボク達のユーベルコードをコピーして使ったり、現実を改変してどんな願いでも叶える魔法を使ったりできるんだ」
　力業や技量だけで制圧しようとすれば、それを逆手に取られ、手痛い反撃を食らってしまうことだろう。状況次第では詰み状態に陥ってしまう可能性もあるので、いかにして敵の搦め手や魔法へ対処するのかが鍵となる。
「デウスエクスが現れたら、街は決戦モードに入るからね。DIVIDEの人達に要請すれば、｜決戦配備《ポジション》の支援を受けることもできるはずだよ」
　今回は七夕まつりだけに、｜決戦配備《ポジション》も七夕仕様になっている。まあ、見た目が七夕っぽいというだけで、効果としては通常の｜決戦配備《ポジション》と大差はないのだが、それはそれ。
「ディバイドの世界にもオブリビオンが現れ始めて大変なことになってるけど、デウスエクスの攻撃から街を守るのも大事だからね。みんなのお願いを横取りしようとする悪いやつらを、バシっとやっつけちゃおう！」
　どうせなら、この機会にビッグなお願いを短冊に書いてみるのも良いかもしれない。それが叶うかどうかは分からないが、まずはお祭りを存分に楽しんで来て欲しい。
　そう言って、理奈は猟兵達を、ケルベロスディバイドの世界にある平塚市へと転送した。

第1章 日常 『お祭りへ行こう』

POW   :    食べ物屋台巡りをしてみる SPD   :    金魚すくいや射的に挑戦 WIZ   :    祭囃子を見守る 👑5