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|旅行者《ワンダー・フォーゲル》の灯火

#サイキックハーツ #旅行者 #プロメテウス

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●リベンジ・マッチ
「攻撃には意思が宿る。敵意であれ、殺意であれ。自然界において圧倒的弱者である人間が生きながらえて進化し続けてきたのには意味があると俺は思うんだよ。つまり、圧倒的に人間っていうのは意思がある」
「何が言いたいのかしら。回りくどい言い回しで賢くなったつもり?」
「そう云うなよ、『38位ローズマリー・クメール』。俺は別に講釈をたれたいわけじゃあない。今や、位階は意味をなさない数字であるが、それでもなお、俺達が階位たる1位を目指してしまうのは、そういした意思有りきだとは思わないか?
「別にどうだっていいわよ『21位ゴリアテ殺し』。オブリビオンとして復活した私達にあるのは、私達の殺人技巧の向上を止めた灼滅者たちに対する苛立ちと憎しみ……あら、あなたの語るところの意思とやらにも通じることになるわね。余計に腹立たしいわ」
『21位ゴリアテ殺し』と呼ばれた男は笑った。
 彼女――『38位ローズマリー・クメール』がしてやられたと思ったのならば、それでいいとさえ言えるような表情だった。

 彼らは闇の中で蠢くようにして笑いあった。
「いいわ。あなたの案に乗りましょう。どのみち、私達がやりたいと思うことは灼滅者にとっては見過ごせないものですもの。嘗てのように阻止するに決まっているわ」
「ああ、まずは『38位ローズマリー・クメール』、お前の毒でもって毒をばらまこう。お前を倒さねば止められぬ毒を。きっとお前の毒は世界にさえ届く毒だ。まあ、一瞬で殺すのではなくて、敢えて時間をゆっくり掛けて猛毒超生物に変えていく拷問的殺人技巧は欠点も多いが」
「そうね。でも、仕方ないじゃあない。だって、一瞬で咲いて美しいのは花火だけよ。死ぬほど苦しいのに死ぬに死ねない時間こそ万華鏡のように煌めいて美しいの。私はそれをみんなに味わってほしいし、世界を満たしたいの」
 彼女の言葉に『21位ゴリアテ殺し』は、そういうものかね、と足元にあった石を蹴り上げて手に取る。
「そして、お前の改造した猛毒性を持った『量産型殺人鬼』でもって連中の気を引き付ける。緊張ってやつだな。そして、これを制した灼滅者たちは緩和……つまりは、隙を生み出す」
「そこであなたの投石というわけ。それも無差別投石による|一般人《エスパー》たちを巻き込んだ一斉攻撃。なるほど。確かに灼滅者が嫌がりそうな三段構えの作戦。これならたしかに彼らを殺せる」
「だが、問題だってある」
「つまりは私達がオブリビオンになったように、新たなる敵対者も現れたということ」
「猟兵というらしい。灼滅者と何が違うんだって話だが、厄介なことに俺達が存在しているだけで世界は破滅に向かうらしい。つまり、俺達が何か行動すれば、必ず猟兵が来るってことだ。意志持てば、秘密にはしておけない。だから」
「派手にやりましょう。それこそスターマインのようにね――」

●サイキックハーツ
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。新たなる世界サイキックハーツ……この世界にて嘗て支配者として人々を苦しめていた存在、ダークネスがオブリビオンとして復活し事件を起こそうとしています」
 ナイアルテの言葉に猟兵達は頷く。
 復活ダークネスと呼ばれるオブリビオンは、嘗てこの世界にて起こった大いなる戦いによって灼滅者たちによって打倒された者たちである。
 彼らが舞い戻ることによって引き起こされる事件は、嘗てのそれを彷彿とさせるものであったかもしれない。

「六六六人衆と呼ばれる嘗てのダークネス『38位ローズマリー・クメール』は、白昼堂々現れ市街地に現れ、拷問的特殊毒ユーベルコードによって一般人を猛毒超生物へと変生させようとしています」
 振りまく猛毒はユーベルコード故にエスパーへと変貌した一般人たちに影響を及ぼす。
 幸いであったの即死性の毒ではないということだろう。
 あくまで遅効的な猛毒なのだ。
 しかし、時間が経てば人々は猛毒超生物へと変生させられてしまうだろう。
 故に見過ごしてはおけない。

「加えて、この事件を起こした彼らの作戦は三段構え。皆さんが第一の毒である『38位ローズマリー・クメール』を打倒しても、さらに彼女の毒で変生された『量産型殺人鬼』たちが皆さんを一斉に襲うでしょう」
 此処までくれば猟兵たちも理解できる。
 さらに第三の矢が迫っているのだと。
「はい。この事件を画策したオブリビオン『21位ゴリアテ殺し』は、投石による無差別攻撃を仕掛けてきます。彼の投石はユーベルコード。しかも無差別であるため一般人にも累を及ぼすでしょう」
 猟兵達は守るべきものが多い。
 故に『21位ゴリアテ殺し』は、その全ての攻撃において猟兵と一般人を無差別に投石するだろう。

 予測できない無差別攻撃から一般人を守りつつ『21位ゴリアテ殺し』を打倒するのは難しいだろう。
 だが、この場に駆けつけるのは猟兵だけではない。
 新たなる仲間とも言える灼滅者たちもいるのだ。
 復活したダークネスによる凶悪な事件を退け、これを阻止しなければならない。
「どうかお願いいたします。彼らの策動、その凶悪なる殺人衝動を止めて下さい」
 ナイアルテは、頭を下げ猟兵達を送り出すのであった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 新たなる世界サイキックハーツにて引き起こされる凶悪事件、猛毒と殺人鬼、そして投石による三段構えの殺意に満ちた策動が過去より舞い戻り、皆さんを殺さんとしています。
 復活ダークネスと呼ばれる彼らはオブリビオンです。
 一般人は『エスパー』と呼ばれており、通常攻撃がまったく効きません。ですが、ユーベルコードに対しては無力であるため、ユーベルコード由来である毒や投石は危険です。

●第一章
 ボス戦です。
 白昼堂々現れた『38位ローズマリー・クメール』は、拷問的猛毒ユーベルコードによって、一般人を猛毒超生物へと変貌させようとしています。
 このユーベルコード由来の猛毒に一般人は無力です。
 猛毒に侵され始めている一般人たちを助けつつ、猛毒振りまき続ける『38位ローズマリー・クメール』を制しましょう。
 その場に居合わせた灼滅者も手伝ってくれます。

●第二章
 集団戦です。
『38位ローズマリー・クメール』を制した皆さんですが、間髪入れず大量の猛毒性を有した『量産型殺人鬼』が包囲するように出現します。
 おそらく、皆さんを消耗させるのが目的なのでしょう。
 攻撃に猛毒性能が追加されています。

●第三章
 ボス戦です。
 この事件を画策した復活ダークネス『21位ゴリアテ殺し』による無差別投石攻撃が開始されます。
 恐るべきことに彼の姿は市街地に存在するランドマーク、電波塔の天頂という圧倒的な射程より繰り出される投石攻撃を可能としています。
 加えて、無差別故に放たれるまで、そのユーベルコード投石が一般人を狙ったものなのか、それとも猟兵を狙ったものなのかわかりません。
 これに対処する必要があるでしょう。

 それでは新たなる敵対者、復活ダークネス――オブリビオンの憎しみと怒りに塗れた策動を打ち砕くために戦う皆さんの物語の一片となれますよ、いっぱいがんばります!
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第1章 ボス戦 『38位ローズマリー・クメール』

POW   :    第一の毒
肉体の一部もしくは全部を【猛毒の霧】に変異させ、猛毒の霧の持つ特性と、狭い隙間に入り込む能力を得る。
SPD   :    第ニの毒
フラスコ生命体「【ローズマリーの毒アゲハ】」を外界に解き放つ。猛毒・爆発・捕食・俊敏・治癒・増殖の内ふたつの特性を持つ。
WIZ   :    最後の毒
【調合した毒薬】から、対象の【「もっと世界を毒で汚したい!」】という願いを叶える【猛毒超生物】を創造する。[猛毒超生物]をうまく使わないと願いは叶わない。

イラスト:merino

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「全ては毒に汚れるべきなの。苦悶の表情はいいわ。とても生を実感できるでしょう? 生きてるって思えるでしょうし、生きたいって渇望するでしょう? それってとても素晴らしいことだと思うの。死を克服なんてさせない。死は生命に保証されたたった一つのことなのだもの」
『38位ローズマリー・クメール』は白昼堂々と姿を表し、喝采を浴びるように一般人たちのうめき声に耳を傾けていた。
 まるで上質はメロディーを聞くようにうっとりとした表情だった。
 いつだってそうだ。
 彼女の殺人衝動は、他者のうめき声を聞くことで満たされていく。
 だが、まだ、と思った。
 もっと聞きたい。
 他者の生命に対する執着が強ければ強いほどに、それを失う瞬間の煌きは輝かしいものだ。
 生命の輝きは宝石のよう。
 だからこそ、長く、長く輝いていて欲しい。故に彼女の放つ猛毒は遅効性だった。ゆっくりと、ゆっくりと生命を失いながら猛毒超生物へと変生していく。

「よくもまあ、そんなにつらつら語れるものッスね! 他人の苦しみを理解しながら、どうしてそれを押し付けられるんです。苦しみや痛みなんてものは、誰かから与えられるものじゃないッス! そんなものから解き放たれたのが、私達でしょう!」
 青い瞳の灼滅者の女性が猛毒に苦しむ一般人を抱えて叫んでいる。
 彼女の瞳には怒りがあった。
 サイキックハーツ大戦が終結し、多くの苦しみや痛みから人類は解き放たれた。
 なのに、またこうしてダークネスたちは復活し、オブリビオンとしてまた人々を苦しみに追い立てている。
「そんなの許せないッス。生きるってことは、苦しみを得るためだけのものじゃないんです」
 青い瞳の灼滅者『あいん』は苦しみにあえぐ一般人の口元を抑え、また己も毒に侵されながらも立ち上がる。
 そんな姿を見て『38位ローズマリー・クメール』は唇の端を釣り上げて嗤った。
 あまりにも滑稽だったからだ。
「そう。でも、そんなの知らないわ。だって、私はもっと見たいの。その欲望は止められない。きっとあなたたちならば見過ごせずに着てくれるって解っていたわ。だから、踊りましょう? この猛毒満ちる中で、弱者を助けながら戦えるのならね――?」
蒋・飛燕
●POW

そこまでネ!ダークネス!!
天が呼ぶ、地が呼ぶ、ご当地が呼ぶ!
悪を倒せとワタシを呼ぶ!
遠からんものは音に聞け、近くば寄って目にも見よネ!
武蔵坂駅前商店街ご当地ヒーロー『緋天娘娘』参上アルヨ!!

…決まったネ
商店街の危機じゃないアルけど、オブリビオンの事件なら管轄外でも対応するのが猟兵ヨ
名乗りが済んだら、上空から急降下アルネ
毒の霧で満たすなら『飛天業炎脚』で炎の闘気を纏って消毒してやるだけヨ
猛毒の霧になって逃げようとしても、その濃さが命取りアル!
炎の闘気の熱で毒の霧を灼きつつ追跡、痺れを切らして姿を見せたら必殺のキックをお見舞いするアルネ!



 満ちるは毒。
 遅効性の猛毒は言うまでもなくユーベルコードだった。
 オブリビオン『38位ローズマリー・クメール』は微笑んでいた。周囲に満ちる猛毒は、多くの生命を侵すだろう。
 一気に殺すことはない。
 彼女の殺人技巧は、ゆっくりと命を奪っていく遅効性。
 できるだけ長く。できるだけ生命を謳歌できるように。それは彼女にとっての慈しみであり、親しみであった。
 殺す対象をよく知るなど必要ない。
 ただ、無為に死するなんてもったいないと言わんばかりに、長く、長く苦しんで死ぬことを共用するのだ。
「それって、とても喜ばしいことだとは思わない? 死は一瞬で訪れては、己が生命の意味も理解できないでしょう。苦しむ為に生まれてきたのだって自覚しながら死ぬのならば、それは、ああ……めくるめく官能的にさえ思えてしまう濃密な時間ではなくて?」
 彼女の言葉は独善につきる。

 故に、その独善を切り裂く声があった。
「そこまでネ! ダークネス!! 天が呼ぶ、地が呼ぶ、ご当地が呼ぶ! 悪を倒せとワタシを呼ぶ!」
 響く声。
 その声に誰もが面を上げただろう。
 ただ一人『38位ローズマリー・クメール』だけが帽子の縁をつかみ、目深に被り直した。忌々しいと思ったからだ。
「遠からんものは音に聞け、近くば寄って目にもの見よネ! 武蔵坂駅前商店街ご当地ヒーロー『緋天娘娘』参上アルヨ!!」
 炸裂する炎の闘気と共に現れたのは、蒋・飛燕(武蔵坂駅前商店街ご当地ヒーロー『緋天娘娘』・f43981)であった。
 彼女は決めポーズを持って『38位ローズマリー・クメール』に相対する。

「暑苦しいわね。どうしてこうも今も昔も灼滅者というものは」
「トゥッ! アル!」
 飛燕はその名が示すように炎の闘気と共に猛毒の渦中たる『38位ローズマリー・クメール』の眼前に飛び込む。
 迫る猛毒。
 それはあらゆる隙間を縫って飛燕へと迫るだろう。
 満たされる毒は周囲の一般人たちにも影響を及ぼしている。
「飛天業炎脚アル!」
 まとった炎の闘気により放たれる蹴撃。
 それが猛毒の霧を振り払いながら、『38位ローズマリー・クメール』へと迫る。猛毒へと変貌した体躯は、その炎の蹴撃を躱すが、しかし炎に寄る滅却が彼女の体躯を焼くだろう。
「猛毒の霧になって逃げようとしても、その濃さが命取りアル!」
「威勢がよいことね、お嬢さん。でも、経験が足りていないみたい。どうやら……あなた、新米の灼滅者……それも、ああ、そう、人造灼滅者なのね。どうりで」
 哀れ、と笑む『38位ローズマリー・クメール』。
 そう、それは飛燕を含めた人造灼滅者たちを嘲笑う言葉だった。

「醜いわけだわ」
 その生き方を、その覚悟を否定する言葉だった。
 だからこそ飛燕は己が瞳をユーベルコードに輝かせる。
「どんな言葉で謗られようとも、ご当地ヒーローであるワタシの矜持は汚せないアル!」
 故に、と飛燕の炎の蹴撃が迸る。
 吹き荒れる炎は舞いあがるようにして『38位ローズマリー・クメール』の猛毒の霧へと変じた肉体へと叩き込まれ、これを焼き切るように打ち込まれるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

戒道・蔵乃祐
東池袋のグラン・ギニョール戦争、武蔵野市のサイキックハーツ大戦で確認された毒使いか

殺人階位が消滅したとは言え、六六六人衆の本質が変わるわけでも無いのは勿論のことでしょうけど
オブリビオン・ダークネスがどれ程のものか、先ずは身を以て知る他ありますまいな

かばう+武器受けで灼滅者と38位の間に割って入り、金剛身の武器受け+ジャストガード

◆大戦輪轢殺暴風圏
巨大化させた|戦輪《チャクラム》を早業+怪力でジャイアントスイングすることにより強風を巻き上げ、猛毒のアゲハ蝶を散り散りに吹き飛ばす
吹けよ神風!

野生の勘と切り込みで懐に飛び込み、大戦輪の重量攻撃をジャンプ+投擲で頭上から叩き付ける



 サイキックハーツ世界における大いなる戦い。
 東池袋のグラン・ギニョール戦争。武蔵野市のサイキックハーツ大戦。
 そのいずれにおいても確認されていたの六六六人衆が『38位ローズマリー・クメール』であった。
 彼女の力は猛毒。
 それも遅効性の毒によって生物を拷問的に猛毒超生物へと変生させる。
 殺人技巧としては欠点も持ち得る存在だった。
 あくまで即効性のない毒を用いるがゆえに、勝負を一瞬で決することがない。猛毒に苦しみながらも踏み出す灼滅者たちにの意志があれば、これを打ち倒すこともできたはずだ。
 炎の蹴撃を躱しながら彼女は笑む。
「まったく、本当に何処にいても現れるというのは正しいみたいね? あなたは猟兵という存在なのでしょう?」
 炎巻き起こる最中にあって、彼女は戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)を見つめていた。

「殺人階位が消滅したとは言え、六六六人衆の本質が変わるわけでもないのは語るものでもない、という証明でしょうね」
 彼の言葉に『38位ローズマリー・クメール』は笑む。
 そう、殺すことに代わりはない。
 仮定が異なるだけだ。
 一瞬で殺すか、徒に苦しみを長引かせるだけなのか。 
 どちらにせよ、死に向かうことは止められない。そう云うかのように『38位ローズマリー・クメール』は、手にフラスコを取り出し投げ放つ。

 放たれるはローズマリーの毒アゲハ。
 一気に増殖するように分裂して、群れを形成して蔵之祐へと迫る。
 彼女の毒アゲハが持つ特性は2つ。
 増殖、そしてもう一つは――。
「爆発ですか」
 炸裂する毒アゲハたち。爆発は連鎖反応のように巻き起こり、蔵之祐を巻き込むようにして爆風が荒ぶ。
 その爆発を腕を交錯させて蔵之祐は受け止めた。
 躱すのではなく、受け止める。
 彼の背にあったのは猛毒で動けなくなっていた一般人の姿。
 そう、彼は一般人に類が及ばぬように己が身を盾にしたのだ。
「涙ぐましいわね、猟兵。とっても!」
「……オブリビオン・ダークネス、どれほどのものかと思いましたが」
 蔵之祐は爆発を耐えきって笑う。
 確かに強敵であろう。殺人位階は666を数える。
 その中において、二桁代というのは、その力の強大さを示すにほかならなかった。だが、耐えられた。

「ならば」
 彼の瞳がユーベルコードに輝く。
「荒れ狂い、砕き、挽き千切れ!!」
 手にした戦輪が巨大化し、投げ放たれる。
 彼の鍛え上げられた膂力により放たれる戦輪の一撃は、大戦輪轢殺暴風圏(タービュラント・エイジ・オブ・チャクラム)となって『38位ローズマリー・クメール』へと走る。
 再び迫る毒アゲハの群れを巻き上げるような凄まじい猛風となって戦輪ば宙を駆け抜けていく。
 爆風が荒ぶ。
 だが、蔵之祐は獰猛に嗤ったのだ。
「吹けよ神風!」
 回転する戦輪は爆風を押し留め、周囲への被害を押さえつける。 
 その爆風の中を切り裂くようにして蔵之祐は飛び込み、戦輪に指をかける。
「その身に受けるが良い。この一撃を!!」
 炸裂する戦輪の一撃が『38位ローズマリー・クメール』の脳天めがけて投げ放たれ、その暴風と爆風が空を染め上げるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鷹神・豊
生憎俺は親切ではないのでな
奴が一般人へ御託を述べている隙に
先制で致命傷を負わせる事を狙う

物音を立てず敵の背面方向に回り
一気に距離を詰めながら念動力を使用
強制的に敵の態勢を崩させUCを使う
霧散されると今の俺では少々分が悪い
俺の存在すら認知させず頭部の破壊を狙う

この程度で倒せるとは思わんが
そのまま原型を留めない程度まで殴り続ける
毒霧化した際も念動力である程度散らせれば
一般人には手振りで逃げろと指示

全くだ
貴様らは常にそうだったが
戦場での喋り過ぎは命取りになるぞ
かつての俺は貴様らの滑稽な主張に対し
鼻で笑うか悪態を吐くのが精々だったが
今はもう手加減無用だ
救出も戦闘も完了した
聞く耳が残っているか判らんがな



 爆風と暴風が吹き荒れる戦場とかした白昼堂々たる市街地。
 周囲には猛毒に侵された一般人たち。
 居合わせた灼滅者『あいん』の姿を認め、鷹神・豊(蒼天の鷹・f43985)は踏み出す。
 復活ダークネス――オブリビオン『38位ローズマリー・クメール』。
 彼女の特性は恐るべき猛毒である。
 しかし、欠点がある。
 そう、彼女の猛毒は遅効性なのだ。即効性であったのならば、彼女がこの市街地に姿を現した時点で一般人たちの犠牲は計り知れないものだった。

「生憎、俺は親切ではないのでな」
 豊はためらわなかった。
 例え、遅効性とは言え、猛毒超生物へと変貌せしめる力を持つユーベルコード。
 これは灼滅者であっても、通常攻撃無効を獲得したエスパーであっても防ぎようのないものであった。
 加えて、『38位ローズマリー・クメール』は、己が体躯を猛毒の霧へと変貌させている。
 此方の攻撃が無効化される可能性さえあったのだ。
 故に彼は先んじた猟兵のユーベルコードの輝きに紛れるようにして彼女の背後を取った。
 一気に距離を詰める。

 ためらいはない。
 即断即決。それは己が掲げる二本の柱だった。
 踏み出した一歩が凄まじい音を立てた瞬間、彼の拳は一撃必殺たるものへと変貌する。
 例え、猛毒の霧に変貌していようが構わない。
 先んじた猟兵のユーベルコードで『38位ローズマリー・クメール』の耐性は崩れている。致命的な箇所はどこだ、と判断する暇はなかった。
 だが、直感的に理解している。
「レディの後ろを取るとは、あまりにも姑息ではなくって?」
 ぐるり、と『38位ローズマリー・クメール』の首が百八十度回転する。
 まるでフクロウだな、と豊は思ったかもしれない。
 だが、驚愕に値しない。

 それくらいのことはするだろうとさえ思えた。体を猛毒の霧に変貌せしめるような存在なのだ。
 今更に過ぎる。
 故に、豊は、本来の目的を切り替えた。
 この程度で倒せるとは思っていない。
 一撃で殺せるとは思ってない。ならばこそ、此処に『38位ローズマリー・クメール』の驕りがあった。
 彼女が猛毒の霧に体躯を変容させられるのはわかっていた。だが、もしも、己を相手に油断も驕りもなければ、その頭部こそを霧へと変貌させていたはずなのだ。
 なのに、己の顔を見るために。驚愕に染まるであろう表情を堪能するために彼女は敢えて首を猛毒の霧に変えて振り返って見せたのだ。
「驕ったな」
 短くつぶやく。
 握りしめた拳の殴打が『38位ローズマリー・クメール』の顔面へと叩き込まれる。

 すべてを猛毒の霧として霧散させられたのならば、打つ手はなかった。
 だが、豊の拳は彼女の顔面を捉え撃ち抜く。
 一撃で無理なら何度でも叩き込む。
「全くだ。貴様らは常にそうだったが、戦場での喋りすぎは命取りになるぞ」
 豊は思い出す。
 滑稽なる主張。殺人技巧を向上させることだけを旨とし、その力を他者にふるい続ける悪辣さ。
 そんな存在に対して己が出来たことは鼻で笑うか、悪態をつくことが精々であった。
 それしかできなかった。
 無力である。だが、反骨の心があった。己が他者を支えられていたのは、そうした気骨があったからだ。
 故に豊かは己が拳を握りしめる。
「あら、そうかしら? 結局、命のやり取りなんて主義主張のぶつけ合いじゃあないの。それを命取り? ええ、そうね。取り合いなのだから、むしろそうであるべきではなくって?」
「なら手加減無用だ」
 振るう拳が叩き落される。
 豊は視界の端で青い瞳をした灼滅者が人々を戦いの場から遠ざけていく姿を見やる。
 それでいい。

 これが己の選んだ道だ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

八木・仰河
六六六人衆の二桁か!
灼滅者はこんなんまでやったんだな。やるもんだねえ。
しっかし今も昔も変わらず傍迷惑な連中だ、天下の往来で好き放題なんてとんでもない悪党どもサ。

そこらの地面やら何やらから造り出した複数の眷属を差し向けてやろうじゃないの。
尋常な毒は効かねだろうし、一般人が離れる時間は稼げるだろ。
他の連中が既に戦い始めてんだ、眷属が支援くらいにはなると思いたいねぇ。



 六六六人衆。
 それはダークネスの勢力の一つであった。
 殺人技巧を高めた666人によって構成されるダークネス。
 彼らの位階はそのまま実力に直結している。
 此度、市街地にて猛威を振るう毒を生み出しているオブリビオンの名は『38位ローズマリー・クメール』である。
 彼女の位階は二桁。
 666人いるダークネスの中に置いて、過去、相当な上位であった。
「灼滅者はこんなんまでやってたんだな。やるもんだねえ」
 八木・仰河(羅刹の戦場傭兵・f05454)はダークネスである。
 羅刹としては、位階高き六六六人衆を打倒したという灼滅者に興味は尽きない。
 だが、今は猟兵としての戦いがある。

「しっかし、今も昔も変わらずはた迷惑な連中だ」
 仰河は頭を振る。
 市街地には猛毒が蔓延っている。
「はた迷惑とは随分な物言いじゃないの。私はね、この世界を毒で汚したいの。多くの苦しみが満ちて、その生命のきらめきが多く満ちる世界を見たいと思っているの。確かにあなたたちにとっては、苦しみしかないのでしょうけれど、それが生命ってものでしょう?」
『38位ローズマリー・クメール』ノ言葉に仰河は手にした鉱物を投げつける。
 投擲――ではない。
 彼女の瞳がユーベルコードに輝く。

「天下の往来で隙法だなんてとんでもない悪党どもサね。そういう語りってのは、もうちょっと語れる連中とやりなよ」
 眷属儀式・鉱晶式(ケンゾクギシキ・コウショウシキ)によって投げつけた鉱物が眷属へと変貌する。
 元は鉱物。
 それは猛毒に対して耐性を持ち得るだろう。 
 そもそも眷属とは言っても生命ではない。彼女の差し向けた眷属たちは、まるでゴーレムのように『38位ローズマリー・クメール』へと迫る。
「あら、遊んではいかないのね?」
「まあな。今のアタシは猟兵っていう立場なんでね。猟兵と共に戦うっていうのなら、少しばかり手伝いをしてもいいんじゃあないかと思うんだよ」
「どういうつもり?」
「ちょっと眷属共と遊んどきなって話さ!」
 仰河は猛毒に倒れた一般人たちを担ぎ上げ、『38位ローズマリー・クメール』から離れていく。

「まだ動けるやつは走りな。何、背中を気にするこたぁない。アタシの眷属が守ってくれる!」
 そう、彼女が優先したのは一般人たちの避難であった。
『38位ローズマリー・クメール』は、あっけにとられたように仰河を見ていた。
「呆れた。まさか、そんなふうに動くなんて。羅刹の行動はまるでわからないとは思っていたけれど、そんなことをするなんて猟兵というのは千差万別ね」
「そういうことだ。でもまあ、眷属と遊ぶのも悪くはないだろ!」
「もう殴られるのはさっきで懲り懲りなの!」
 迫る鉱物から仰河の眷属へと変貌したゴーレムめいた人型が『38位ローズマリー・クメール』を組み伏せようとする。
 けれど、それをたやすく振り払いながら、彼女は世界をもっと毒に汚したいと叫んだ。
「ハッ、まあ、他の連中だっているんだ。アタシはアタシのやりたいようにやるさ。別にアタシが羅刹だからじゃあない。アタシがアタシだから」
 そう言って彼女は動けぬ一般人たちの退避を急ぐように猛毒から離れるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

摩津崎・灰闢
灼滅者の介入を楽しめる余裕に心から尊敬します
流石は序列二桁台という事でしょうか
面倒な手合いですが、救う為に行動するのが猟兵ならば喜んで加勢しますよ

猟兵…灼滅者といえば人命救助でしょう
その為にも初手は敵を牽制
UC発動、敵に傷痕を残すべく行動
接敵し刀で攻撃、回避されたらナイフ投擲、更に回避された先こそ本命、影業にて敵足元から攻撃
私に近付くと面倒が起きますよ?

彼女の相手は他猟兵に任せ、私は一般人対応へ
耐毒と浄化を込めた護符を披毒の一般人に貼り、安全圏へ運ぶ
ここまで苦しんでいるのなら、いっそ楽にしてあげたくなりますが…
気を取り直して、邪魔な超生物を影業で排除しつつ行動継続

あの灼滅者の女性…健気な事です



 灼滅者を引き付けるために白昼堂々市街地にて行動を開始した復活ダークネス、オブリビオン『38位ローズマリー・クメール』の姿に摩津崎・灰闢(済度無相・f43898)は尊敬の念を禁じ得なかった。
 彼女らは己たちの殺人技巧を磨くためだけに人を殺す。
 殺す理由なんて後からくっつければいいくらいに思っている連中だった。
 何はともなく殺す。
 そこにいたから殺す。
 息をしているから殺す。
 そんな些細な理由で彼らはヒトを殺す。そして、必ずやってくるであろう猟兵、灼滅者たちの介入を前にして歯噛みするのではなく、楽しげに彼女たちは嗤っているのだ。

「さすがは序列二桁台ということでしょうか」
 その二桁の序列の中にあっても上位。
 迫る猛毒は凄まじいものであるといえるだろう。面倒な手合だ。
 遅効性の毒を敢えて使用しているのは、他ならぬ彼女自身の性質によるものだ。即効性のある毒を使うこともできるのだろうが、それを敢えてしない。
 なぜなら。
「苦しみこそが生命の輝きを強烈なものにしてくれるのよ? 私はそれを手伝っているだけに過ぎないのだけれど。理解を拒まれるっていうのは悲しいことよね?」
 何も悲しいことなどないと言わんばかりに彼女は笑む。
 理解なんて端から求めていない。
「……救うために行動するのが猟兵ですから」
 笑む。
 同じように笑むが、言葉はまるで真逆だった。笑む理由は同じであっても、言葉は全く異なる。
 そう、己は演じている。
 猟兵という存在を。灼滅者を模倣し、人命を優先するという行動でもって己という外殻を作り上げていく。
 故に、彼はその瞳をユーベルコードに輝かせる。

 猛毒に飛び込み、振るう刃が『38位ローズマリー・クメール』へと振るわれる。
 かすめるようにして彼女はステップを踏む。
「あら、そんな玩具のような刃で私を殺せるとでも?」
「いやぁ、そうは思っていませんよ」
 放たれるナイフの投擲。それさえも躱される。如何に猛毒を使う六六六人衆とは言え、最低限の身体能力を持っているということだ。
 接近できれば、などという考えは甘すぎたのかもしれない。
 笑う。
 そう、嗤ってしまう。
 きっと、そんなふうに己のことを理解しているのあろう。
 あまりにも筋違い。お門違い。やはり、と思った。笑いがこみ上げる。
 復活ダークネスですら、己のことを猟兵側と認識している。
 なら、きっと。

「こうするからです」
『38位ローズマリー・クメール』の足元から影が棘となって飛び出す。
 その一撃さえもかすめる程度にしか届かない。
 けれど、構わなかった。
 連鎖する呪いが彼女を次々と発生する不慮の事故によって、その行動を制限していくのだ。
「ん、うん? どういうことかしら、これは。タイルが砕けて、私の足を躓かせる? これは……」
 時間稼ぎ。
 そう、己は手にした護符に浄化と耐毒の力を込め、倒れた一般人に貼って安全圏へと運ぼうとしているのだ。
「こっちッス! あの猛毒はユーベルコードです! できるだけ吸わないでくださいッス!」
 青い瞳と視線が交錯する。
 あちらはこちらを覚えているだろうか。
 いつかの闇夜にて邂逅した女性の灼滅者。『あいん』という名を知らないが、しかし、己の存在を認識しているかしていないか。
 いや、それよりも。
「ここまで苦しんでいるのなら、いっそ……ああ、いえ。きっとだいじょうぶですよ」
 笑む。
 彼女は此方に気に留めることなく、猛毒に侵された一般人たちを救うために奔走している。
「健気なことです……」
 だがまあ、己には関係ない。
 これは己が猟兵として活動するための下準備に過ぎないのだ。懸命に一般人を助ける猟兵、その外殻を補強するための――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャムロック・ダンタリオン
ふむ、ここが例の灼滅者とやらの世界か(いつぞやのカットスローターズの一件を思い出しつつ(【世界知識・戦闘知識】))。
で、貴様らがダークネス――ああ、今はオブリビオンか――まあいい、やることは大して変わらぬか(【威厳・威圧・存在感・悪のカリスマ】)。

まずは「解毒」の「霧雨」で、くたばってる一般人を助けてやるか(本人は【毒耐性・オーラ防御】で身を守る)。そして「あいん」とやらとともに、現場から逃げ去るまでの【時間稼ぎ】でもしてやるか。
あとは現れた超生物諸共、「【破魔】」の「雷撃」で仕留めてやろうか(【属性攻撃・全力魔法・蹂躙】)。

※アドリブ・連携歓迎



 いくつかの言葉がある。
 灼滅者、ダークネス、サイキックハーツ。
 そのいずれもが新たに見つかった世界、サイキックハーツのものである。
 この世界において嘗てダークネスと灼滅者という存在が相争ったことをシャムロック・ダンタリオン(図書館の悪魔・f28206)は知っている。
「ふむ、ここが例の灼滅者とやらの世界か」
『カットスローターズ』と呼ばれるオブリビオンがUDCアースにて引き起こした事件を思い出す。
 彼らもまたどうしようもない殺人者たちであった。
 カッターナイフを用いたユーベルコード、加えてすべてを封鎖し縫い留めるユーベルコードを駆使して邪神の蠱毒を成さんとしていた。
「で、貴様らがダークネス――ああ、今はオブリビオンか」
「そうね。そう呼ばれているし、そうであると私も理解しているわ。そういうあなたは猟兵よね? 見るだけでわかるなんて、とっても便利なこと。でも同時にとってもつまらないわ。あまりにもロマンチシズムに欠けるとは思わなくて?」
 眼の前の女性、『38位ローズマリー・クメール』は笑む。
 猛毒を操り、世界を汚したいと願う彼女によって超猛毒生物が出現する。

 すべてが猛毒の粘液めいた存在であり、霧のように噴出し続けている。
 この世界の一般人たちは通常攻撃を無効することができる。そういう意味では、もっと死や苦しみから解放されている存在とも言えるだろう。
 だが、そんな彼さえも侵す猛毒。
 これが彼女のユーベルコードなのだ。
「まあいいい」
 シャムロックは余り興味がなかった。
 確かにあの猛毒のユーベルコードは脅威であろう。
 通常攻撃を無効にする力を持っていたとしても、これを無力と笑うように遅効性の毒でもって人々を苦しめている。
 当然己にも効果がある。が、それでもシャムロックは興味をそそられなかった。

「解毒の豪雨」
 ユーベルコードに輝く瞳。
 生み出されるは属性と自然現象を合成した現象であった。
 そう、この場を塗りつぶす。
 シャムロックによって生み出された解毒の豪雨は、すぐさまに霧状になった猛毒を洗い流していく。
「大してやることは変わらぬか」
「あら、お優しいのね? てっきり、無視するものとばかり思っていたのだけれど。その御大層な態度は、見せかけだったのかしら?」
 猛毒から一般人たちを救うためのユーベルコード。
 この場に居合わせた青い瞳の灼滅者『あいん』が戦場となった市街地を駆けずり回って、一般人たちを確保し続けている。

「いや、ただの時間稼ぎであるし。唯の気まぐれに過ぎない」
「気まぐれにしては細やかなこと。ああ、でも、そのユーベルコードは面倒ね。私の猛毒を解毒して洗い流していく。豪雨であれば、濡れずに走ることなんてできないものね」
『38位ローズマリー・クメール』は、面倒なことになったと己の生み出した猛毒が解毒されていく様を見やる。
「だったらなんだ。貴様のそうした下らん語りに付き合う筋合いはない」
 そう言ってシャムロックは豪雨を切り裂くようにして迸る雷撃と共に『38位ローズマリー・クメール』の笑みを白く塗りつぶさんとするのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

蓬・白羽
うーん、悪趣味
でも悪趣味で拘りが強いから対処も出来るね
最初から即効性の毒とか撒かれたら話にならなかったから
今はその悪趣味に感謝しとこうか

正直一般人の救助までは手が回らなさそうだ
でも灼滅者さんがついてくれてるから大丈夫かな
僕は彼女が動きやすいよう敵の攻撃に集中するよ

相手は身体を毒霧に変えられるんだね
じゃあ僕もUCを使用
相手の身体が霧になって拡散しやすい分、こちらのオーラにも触れやすくなるはず
お互いジリジリの削り合いになっちゃうけど、ここは頑張ろう
苦しくて漏れる声はわざと聞かせる
近くに弱ってるやつがいたら、彼女も気を取られるだろうし

あとは相手に接近し、日本刀による切断狙い
霧になってない部分を斬ろう



 一言で言えば悪趣味だった。
 猛毒を振りまく復活ダークネス、オブリビオン『38位ローズマリー・クメール』が白昼堂々、市街地にて嗤っている。
 人々の苦悶の声が心地よいと言わんばかりだった。
 確かに彼女の毒は猛毒の類。
 だが、遅効性であった。確実に死に至る毒であったが、即効性はなかった。
 ただ、苦しんで欲しい。
「生命は苦しむことで輝くの。万華鏡の如き苦しみの声を聞かせてちょうだい? 必ず、あなたたちの生命は終わりに導いてあげるのだから」
 彼女は笑う。
 駆けつけた猟兵たちの攻勢を受けながら、しかし、それでも笑っていた。

 この状況になれば、退くのが定石なのだろう。
 けれど、彼女は退かない。
 約定があるからとか、そんなことは関係ない。己が殺したいように殺す。
 ただそれだけのことなのだ。
「悪趣味だけど、拘りが強いんだね」
 蓬・白羽(夜雨飛ぶ鳩・f43861)は、もしも、この猛毒が即効性であったのならば、話にもならなかっただろう。
 一般人たちを救うことすらできなかった。
 皮肉なことだ。
 彼女が多く苦しんでほしいと願ったことが、己たちにとっては幸いだったのだ。

「早く、こっちッス! 動ける人はここから離れて下さい!」
 居合わせた青い瞳の灼滅者『あいん』の声が響く。
「正直、手が回らない……なら!」
 白羽は走り出す。
 一般人を助けるためには『38位ローズマリー・クメール』がどうしたって邪魔だった。彼女を排斥しないことには根本的に解決されない。
 なら、あの灼滅者の女性が動きやすいように此方も動くだけだった。
「踊ってくださる? 皆さん、そうやって一般人にばかり構うのだもの。私だってかまって欲しいと思うのが乙女の心だとは思わなくて?」
 白羽へと迫るは体躯を毒霧へと変貌させた『38位ローズマリー・クメール』であった。
 はっきりって実力差が凄まじいものだった。
 霧の粒子一つ一つに殺気が乗るようであった。
 悍ましい。
 こんな存在がいて良いのかと思う。

 己の心に思う平和を脅かすものだ。
 どうしたってこんな存在が、無為に多くの生命を奪っていく。
 他者の生命なんて自分のための消費物であるとしか考えていないのだ。独り善がりが過ぎる。
 こんな敵を。
「許せないという顔をしているわね。混じり物。ああ、人造灼滅者というやつね。そんなになってまで私達をどうにかしたいなんて、少し感心してしまうわね?」
「……そうかな。いつだってそうだ。僕の心のなかには、がんばろうっていう思いが溢れている。少しでも人が苦しみから、悲しみから解放されますようにがんばろうって、そう思う。苦しくたって」
「掲げる言葉は大層なものかもしれないけれど、どうしたって力が足りないわよねぇ!」
 毒霧が迫る。
 ジリジリと白羽のユーベルコードを削るように囲うのだ。
 闇のオーラが押しやられていく。
 苦しみに滲む声が溢れる。けれど、それは敢えて、だ。
 己の苦悶は『38位ローズマリー・クメール』にとって喜ばしいことだ。
「あらあらぁ、苦しそう。生きてるって、感じるでしょう? 生を謳歌しているって思うでしょう? 死ぬために生きるのが人間というものだもの。まがい物でも、それを感じられてよかったわよね?」
「一番……」
「何よ、聞こえないわ? 聞かせて、今際の声を」
「一番いいのは、ただのんびり生きることだ。何も心配しなくても、いいような、そんななんでもない日々が!」
 白羽は近づいてきた『38位ローズマリー・クメール』へと隠し持っていた刀を振るう。
 黒影剣の一閃が、不用意に近づいてきた彼女の体躯を切り裂いた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

蒼月・碧
人の命を遊びに使っちゃだめだよ。
苦しむ姿を見て楽しむだなんて…。
そんなこと、止めさせてもらうからねっ!

ボクのできること…。
それをするだけっ!

魔法の箒に乗って箒飛行を行いつつ、降魔の光刃を構えるよ。
滑空してすれ違いざまに光刃で斬りつけるよ。

う、うーん…。
毒の間合いが広いからこれはこうするかな?

碧星の闇刃を発動。
射程5,命中2、攻撃回数2、受け力1に分配して、遠距離攻撃を仕掛けるね。
前とは違って、こういう戦い方もできるのが強みだね。

人を苦しませるなら、苦しむ覚悟もできているってことですよね?
他人に与えた苦しみを、その身でしっかり受け止めなさいっ!

闇に溺れるなんてね…。
だから、ダークネスなのかな?



 斬撃の一撃がオブリビオン『38位ローズマリー・クメール』の体躯を切り裂く。
 血潮が噴出する。
 だが、その血の一滴さえも毒へと変生して周囲に撒き散らされる。
 世界を汚す毒。
 すべて、すべて己の毒で作り変えてしまいたい。
 その欲求が彼女の原動力だった。
 生み出された猛毒超生物が粘性もつ、ぶよぶよとした異形となって猛毒を振りまく。

 ただそれだけで一般人達は、遅効性の毒に侵されていく。
 手が足りない。
 一般人たちを退避させるために猟兵や居合わせた灼滅者が駆け抜けた。
「人の生命を遊びに使っちゃだめだよ。苦しむ姿を見て楽しむだなんて……そんなこと、止めさせてもらうからねっ!」
 蒼月・碧(碧星の残光・f43907)は魔法の箒にまたがって空を飛ぶ。
 眼下に見えるは猛毒の霧。
『38位ローズマリー・クメール』は、猛毒による殺人技巧を突き詰めたものだ。
 本来なら、即効性の毒で他者を瞬時に死に至らしめるだろう。けれど、今の彼女は遅効性の毒を持って人を苦しめるだけ苦しめた上で殺すという手段を取っている。
 そこに生前の……六六六人衆の性質があったのかもしれない。
「ボクのできること……それをするだけっ!」
 碧星の闇刃(ヘキセイノアンジン)が煌めくようにして、空から『38位ローズマリー・クメール』へと迫る。

 その一撃を猛毒超生物が受け止めた。
「人の生命は死ぬことで完成するのよ。どんなものだって未完成であることは辛いでしょう? 自分がどんな意味を持って世界に生まれてきたのかを知りたいって願っているじゃない。何も意味なんてないのに。意味があるって信じているじゃない。だったら、私が教えてあげようというのよ。苦しむ為に生まれてきたのだって。そうやって苦しみの中で、煌めく生命を私に見せるために生まれてきたのだって、そう知りながら死ねばいいじゃない!」
 切り裂かれた体躯、その傷を抑えながら彼女は言う。
「人を苦しませるだけなら、苦しむ覚悟もできているってことですよね?」
 碧は言う。
 他者に苦しみを強いるのならば、己もまたそれを得る覚悟があるはずだ、と。
 それはただの言葉遊びに過ぎなかったのかもしれない。

 その理屈は『38位ローズマリー・クメール』にしか通用しない。
 だからこそ、覚悟と言ったのだ。
 覚悟のできていないものは、自覚しない。
 自分がどの立場に立っているのかを。
 正しいのか、それとも正しくないのか。
 なぜ、自分がこうして阻まれる側にいるのかさえ自覚しない。そうやって世界を滅ぼしていく。
 誰かの生命を弄ぶ。
 いつだってそうだ。今までもそうだった。理不尽に人を苦しめるダークネスと己達は戦ってきたのだ。
 故に、ユーベルコードの輝きが瞳に宿る。
「他人に与えた苦しみを、その身でしっかり受け止めなさいっ!」
 振るう一撃が『38位ローズマリー・クメール』へと叩き込まれる。
 長大に伸びた刀身による一撃。それは本来の射程外からも放つことができる斬撃であった。
 その一撃が彼女の体躯に猛毒超生物ごと叩きつけられる。
 衝撃がほとばしり、その風邪が碧の頬を撫でる。
「闇に溺れるなんてね……だから、ダークネスなのかな――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の、香りがします??
ん~~なんか微弱過ぎてよくわからないのですが
何やら予感だけします

それに『あいん』様……はおそらく『連なる』者でしょうし
今のうちに縁を作っておいて損は無さげです

というわけでルクス様
準備はいいですか?
ええ、今回もシリアス……そんな顔しないでください
ほら、美味しいケーキ作ってきましたから、はい、あーん
後でコンサート開いていいですから

ともあれ
物理攻撃が多い私にとっては毒は相性が悪い
ここはルクス様を盾……じゃなかった、頼りにさせて頂きましょう
私は後方から支援&攻撃を
【アウルム・ラエティティア】
生きているなら恐怖させてみせましょう
私たちを侮らないことです


ルクス・アルブス
【ステルク】

あれ?めずらしく疑問形ですね。
香りは微弱なんで……って、予感!?

ついにニュータイプ的ななにかに目覚めちゃいました!?
いや確かに『時空を超えた非言語コミュニケーション』とか言われますけども!

……って。
ボケてもボケてもステラさんがツッコんでくれません……・。
さいきんシリアスが致死量なんですよ?(おサイフ的に)

え?あーん?はむっ!?
はわぁ……ステラさん、練乳が甘いです。練乳ケーキですー♪

それにコンサートまで!?
な、なんですか、どうしたんですか? わたし明日交通事故ですか!?

や、もう事故でもいいですね!
なんか盾とか聞こえましたけど、いいかなって思いましたので、
このまま演奏しちゃいましょう!



「|『エイル』様《主人様》の、香りがします??」
 首をかしげた。
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は己の鼻腔に感じるものに疑問を抱いているようだった。
 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は珍しいこともあるものだと思った。
 疑問形。
 確信が持てていないのだろう。香りが微弱なのかな? そんなふうにルクスは思った。いつもなら、暑苦しいくらいに叫び倒してドン引きさせるのがステラである。
 なのに今日はおとなしい。
 というか、なんかこう、確信が持てないせいで微妙なテンションになっているのかもしれない。
「何やら予感だけはします」
「予感ってなんですか? ついにニュータイプ的ななにかに目覚めちゃいました? ニューイェーガー的な?」
 それを言えば、ステラはもうすでにそんな感じじゃないかなぁってルクスは思った。
 主に『主人様』関連に大してのニューエイジ的な。
 新しい風潮来てるよ! ヨッ! とルクスはいつものようにボケ倒していた。
 ステラのツッコミが後頭部から襲い来るであろうことも覚悟していたのだ。
 けれど、何時まで立ってもツッコミが来ない。
 ボケてもボケても。
 一人で大喜利をやらされているような気分になってしまう。
 このままではシリアスの空気がやってきてしまう。

「それに『あいん』様……音だけが同じなのでしょうか。それとも……いえ、今のうちに縁を作っておいて損はなさげです」
 ステラはうん、と一人で納得していた。
 戦場となった市街地には青い瞳の灼滅者『あいん』が猛毒に侵された人々を救出している。奔走していると言ってもいいだろう。
「というわけでルクス様、準備はよろしいですか?」
「最近シリアスが致死量なんですけど。主におサイフ的に」
「そんな顔をしないで下さい。ほら、美味しいケーキを作って来ましたから、はい、あーん」
「あら、美味しそう」
 そんな言葉と共に降りかかるは殺意だった。

『38位ローズマリー・クメール』であった。
 彼女は斬撃に見舞われながら、笑っていた。
 生み出された毒アゲハと共にステラとルクスに迫っていたのだ。
 炸裂する爆発。
 その爆発の中から、さらに増殖した毒アゲハが連鎖反応的に爆発してステラたちを取り囲んでいくのだ。
「ルクス様!」
「あむっ、もがもが」
 ステラの言葉にルクスが頷く。
 迫る爆発を前にルクスは、ユーフォニアムを構える。
 ユーベルコードに輝いた彼女の瞳と共に低音が発せられ、音の洪水となって爆風を押し留めていくのだ。
 いや、それだけではない。
 爆発さえも貫いて『38位ローズマリー・クメール』へと殺到するのだ。

「なに、この酷い音は。なんて不協和音……爆発よりも耳障りだわ!」
「私達を侮らないことです」
 ステラは一気に爆発の中を走る。
 ルクスの演奏によって切り開かれた爆発は、そこに路を作る。踏み出す度に、急かされるようにしてステラは、息を吸い込む。
「ごっくん! 目と目で通じ合っちゃいました! コンサートまでしていいなんて、明日わたし交通事故にあうんですかね?!」
 盾にしようというステラの意志も伝わっていたが、まあ、いいかって気持ちになってしまうから演奏っていうものは恐ろしい。
 禁止されすぎてバグってしまったのかもしれない。
 けどまあ、ルクスにとっては些細なことだ。

 低音がステラの旋律をさらに増幅させる。
「いま、此処に在れる喜びを歌に」
 ステラのシャウトが爆風すら吹き飛ばし、『38位ローズマリー・クメール』へと叩き込まれた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
灼滅者のあなた、勇敢なのね
私も結界を張って毒を浄化し手助けをするわ
被害を抑える為に力を尽くしましょう

私の持つ『水精の剣』はエンドブレイカーの戦いにおいて11の怪物『バシュム』の毒に対抗するために鍛えられた物
毒を用いる相手にこそ、真価を発揮する
人の営みを脅かすものを退ける剣

襲ってくる毒アゲハを切り払い、ダッシュ
一気に距離を詰めて、早業の一撃を見舞うわ

生命の輝きは美しい
それを人に苦しみを与えることでしか感じられないなんて
可哀想ね



 青い瞳の灼滅者の女性『あいん』は懸命だった。
 命を助けるために己の身が危険にさらされようとも構わないようだった。
 オブリビオン『38位ローズマリー・クメール』の生み出した猛毒に苦しみ、倒れ伏す一般人に肩を貸しながら、戦いから遠ざけようとしていた。
「灼滅者のあなた、勇敢なのね」
 そんな彼女に薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は寄り添うように手を貸しながら告げる。
「そんなことないッス。私は生命が助けられるのなら、そうしたいって思っただけです」
 誰かが生命の危機に瀕しているのならば、助けようとするのが人の真理だと彼女は信じて疑わないようだった。
 助けるためならば己の生命すら厭わぬという意志を静漓は見たかもしれない。
「なら、私も手助けをするわ。あなたの勇敢さを」
 静漓は『水精の剣』を掲げる。
 刀身にユーベルコードの輝きが満ちていく。
 それは嘗て、世界を殺す毒――エンドブレイカーの戦いにおいて猛威をふるった『11の怪物』が一柱『バシュム』の毒に対抗するたために鍛えられた刀身だった。
 月と水の力を持って毒を制する。

 そして、彼女のユーベルコード、クリスタル・ムーンシールドによって市街地に張り巡らされるのは浄化と毒に耐性を持つ結界だった。
「水精の剣よ、その力を解き放て」
 清浄なる空気が結界の中に満ちていく。
『38位ローズマリー・クメール』の猛毒は凄まじかった。
 けれど、遅効性であったことが幸いしたとも言えるだろう。即死に至ることがないゆえに、助かる可能性があるのだ。
 故に静漓は『あいん』にこの結界内に人々を匿うように告げる。
「ありがとうございますッス! 助かりました!」
「余計なことをしてくれるわね、猟兵」
 忌々しげに静漓の張り巡らせた結界を見下ろす者がいた。

 無数の毒アゲハに腰掛けるようにして飛びながら睥睨する存在。
『38位ローズマリー・クメール』であった。
「せっかく、苦しみの中に輝く死に至る生命がこんなにもあるというのに、それを取り除くだなんて。生命の輝きの美しさを知らないのかしら」
 彼女の言葉に静漓は、静かにその青い瞳でもって見上げた。
「命の輝きは美しい」
「そうね。なら、どうして苦しみを取り除こうとするのかしら? 苦しみこそが生命を最も輝かせるものだとは思わないかしら? 生きたいって思うのは苦しいってことでしょう? なら、苦しみを与えれば生命は輝く。漫然と生きるのではなく、苦しみの中でこそ人の本質は輝くものではなくて?」
「――可哀想ね」
 静漓は、手にした『水精の剣』を構える。

 迫る毒アゲハは炸裂しながら増殖し、静漓を取り囲む。
 爆発が彼女を覆い間断なき毒アゲハの攻勢を静漓に強いるのだ。
 けれど、静漓は己が剣でこれを切り払う。
「人に苦しみを与えることでしか感じられないなんて」
 何度も見てきた。人の生命の輝きは、苦しみだけの中に輝くものではない。
 楽しさの中にも煌めく生命を見てきた。
 だからこそ、静漓は己が剣に月光宿して『38位ローズマリー・クメール』の体躯を切り裂くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
六六六人衆は本質的に邪悪でありながら、殺すべき一般人が居なければ成り立たない難儀な種族
識っているよ、教えて貰ったからね
それがオブリビオンになれば、今度は見境なしか
この世界に残った同族に、迷惑をかけるんじゃあないよみっともない!

《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
先ずは剣で自分の腕を軽く斬り、流血
【断章・焔ノ血】起動
蒼炎によるダメージフィールド、及び紅き炎による治癒フィールドを展開
他の人を治癒しながらローズマリー・クメールへ接近戦を仕掛けよう
ユーベルコードでのダメージと、此処から先はお互いの技巧勝負といこうじゃない
『なぎ払い』や『串刺し』といった剣戟を放ち攻撃していこう



 六六六人衆は、殺人技巧を向上させるためだけに他者を害する。
 人を殺すという衝動を抑えず、相対するものを殺す。
 そこには一種の拘りがそれぞれにあるように思えた。素早く殺す、特定の得物で殺す、状況にこだわって殺す、そして、如何にして殺すか。
 多くの事柄に大して彼らは真摯であった。
 そうしなければならないと思っていたし、それを変えようともしない。
 どれだけ、その拘りが己達を窮地に追い込むのだとしても変えられないものがあるのだ。
 故に本質的に邪悪でありながら、被害者たるものがいなければ、何も成り立たないダークネスであった。
「難儀だよね。識っているよ。教えてもらったからね」
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は、白昼堂々、市街地にて猛毒を振りまく『38位ローズマリー・クメール』の姿を認める。
 見境がない。

 彼女は見境などなかった。
 一般人であろうがなんであろうが、とにかく毒殺する。
 即効性ではなく、遅効性の毒でもって殺す。とにかく苦しめるだけ苦しめて殺したいと思っていた。
「私のことをご存知? 私は存じ上げないのだけれど。でも、かまわないわよね、どうせあなたも死ぬのだし」
 笑む表情は柔らかだった。
 斬撃にに回れて尚、彼女は笑っているのだ。
 痛みがあるはずだ。苦しみがあるはずだ。なのに、笑っている。
「苦しんでね。あなたもどうぞ、生命の煌きを私に見せてちょうだい。苦しみこそが人の生命の本質。苦しみばかりが人生なのよ。そうやって人は輝いて死んでいくの。ああ、世界は万華鏡のようだわ。こんなにも命の輝きが明滅しているもの!」
「迷惑をかけるんじゃあないよ、みっともない!」
 玲は二振りの模造神器を抜き払い、己が腕に裂傷を生み出す。
 血潮が腕を伝い、地に落ちる――よりも早く彼女は踏み出していた。

 確かに『38位ローズマリー・クメール』の能力は厄介だった。
 彼女の猛毒は物理攻撃を無効化する一般人ですら、無力にした。すなわち、それは猟兵にも効果を及ぼす猛毒である、ということだ。
 恐るべきことに彼女の生み出した猛毒超生物は、ユーベルコードそのものなのだ。
 周囲に猛毒を振りまき、その力で持って被害を拡大させている。
「ならさ! 偽書・焔神起動。断章・焔ノ血読み込み開始!」
 玲の瞳がユーベルコードに輝き、その流れ出した血潮と共に蒼き炎が噴出する。それは、猛毒に侵された市街地を一気に走り抜け、『38位ローズマリー・クメール』を襲い、その視界を埋め尽くす。

 そして、同時に玲は紅き炎でもって周囲にて猛毒に侵された一般人たちの体躯を包み込む。
「熱…っくないッス!? なんですか、これは!? この炎は!」
 青い瞳の灼滅者『あいん』は己の中に入り込んだ猛毒が紅き炎で浄化されていくのを感じ取って驚愕する。
「悪いけど、説明は後!」
 玲は一気に踏み込む。
 敵はこれまで猟兵たちの攻勢によって消耗している。ならばこそ、己は彼女を倒さなければならない。
 周囲の一般人たちは動けるようになれば勝手に逃げ出すだろう。
 もはや彼はただ怯えるだけの、助けを待つだけのものではないのだ。
 故に彼女は二振りの模造神器を振り抜く。

「此処から先は、お互いの技巧勝負といこうじゃない」
「素敵ね。でも、あなた、それはずるいわ。私の猛毒を焼き滅ぼしてしまうなんて」
「知らない。そっちのクソ条件を鵜呑みにするほど!」
 悠長なことはできないのだと言うように玲は立ちふさがる猛毒超生物を薙ぎ払い、己が刀身で『38位ローズマリー・クメール』の体躯を貫くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

どく?ちりょう…?
いやーそういうのボクちょっとわかんない…
うん考え方を変えよう
つまり社会の暗部を治療するみたいなやり方をすればいいんだね!
ザッツ迅速なる暴力!

●結界
[白昼の霊球]くんにボクとみんなの対猛毒結界をしてもらいながら戦おう!
透明なバリアで守りながら突っ切る感じだね!
後は【第六感】に任せて突っ走ってUC『神撃』でドーーーンッ!!

そう世界の危機となればボクたちはどこにでも現れる!
一人見えたらそれはもう百人は沸いて出る!
んもー花火が好きなら花火を打ち上げればいいじゃない
ドーーーンッ!て派手にさ!



 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は難しい顔をしていた。
 市街地には猛毒が巡っている。
 それも復活ダークネス――オブリビオン『38位ローズマリー・クメール』のもたらした猛毒が。
 如何にサイキックハーツ世界の一般人が通常攻撃を無効化することができるのだとしても、ユーベルコードによる猛毒は防げない。
 故に被害が拡大しているのだが、猟兵や居合わせた灼滅者が対処に当たっている。
 それを見やって、ロニは相変わらず難しい顔をしていた。
「どく? ちりょう……?」
 そういうのはわからない。
 というか、どうすればできるのかもわからない。
 なにもわからないのだ。

「うん考え方を変えよう。つまり社会の暗部を治療するみたいなやり方をすればいいんだね!」
 ロニは開き直った。
 できないことを嘆いていてもしようがない。
 なら、できることを精一杯殺ればいいのだ。
 故に、ロニは一つ頷いて結論を出した。
「ザッツ迅速なる暴力!」
 単純明快であった。
 力とは、そういうものだ。強大な力があれば、簡単にどんなものも捻じ曲げられる。
 道理だって理屈だって単純な力の前には無意味である。
 故にロニは踏み出す。

 猟兵たちが『38位ローズマリー・クメール』を追い詰めていた。
 猛毒の血潮を流しながら彼女は笑う。
「本当に猟兵というのは灼滅者そっくりなのね。自分たちの利益でもなんでもなく、こうして他者を助けるために奔走する。なんて滑稽で優しい人たちなのかしら!」
 体躯が猛毒の霧へと変貌していく。
 彼女は笑っていた。
 刻まれた傷は致命傷に近いものであった。放っておいても霧となって消えゆくのみであろう。
 だが、ロニは突っ込む。
 その僅かな時間であっても、彼女は一人でも多くの生命を奪おうとするだろう。
 だからこそ、ロニは猛毒を防ぐ結界を貼りながら、その侵食される様を見やる。
 でもまあ、構わない。

 猛毒に侵されたからって、死ぬわけじゃないし。
「そう世界の危機となればボクたちはどこでも現れる!」
「本当に厄介だわ。でも」
「一人見えたらならそれはもう百人は湧いて出る!」
「花火のようにユーベルコードの輝きが明滅するのは、美しいと思ったわ。それだけで十分ね」
「んもー、花火が好きなら花火を打ち上げればいいじゃない」
 ドーンってさ、とロニは己が拳を振り上げる。
 これが彼女が見た最後の花火。
 ユーベルコードの光。
 夜空に咲く華のように美しい輝きを宿した神撃(ゴッドブロー)は、『38位ローズマリー・クメール』の消えゆく体躯を討ち滅ぼし、猛毒が散っていく様に神々しささえ感じさせる光のが焼きを灯すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『量産型殺人鬼』

POW   :    量産型マシンガン
レベル分の1秒で【量産型マシンガン】を発射できる。
SPD   :    量産型ネイルアート
【ありがちなネイルアート】からレベル×1個の【殺人マスコット】を召喚する。[殺人マスコット]に触れた対象は【魅了】の状態異常を受ける。
WIZ   :    量産型地雷系
【デコったスマホ】を使い、予め設置しておいた【地雷】を起爆する。同時に何個でも、どんな遠距離からでも起爆可能。

イラスト:雑草サキ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ああ、消えゆく。私が消えていく。ふふ、でも、きれいね。まるでユーベルコードの輝きは、花火のよう。罪深きものであればこそ、その輝きは美しく。私という消えゆくものを彩ってくれる……なんて、うふふ、お楽しみはこれからよねぇ? 後は任せるわ。どうか楽しんで――」
『38位ローズマリー・クメール』は、その身を霧散させる。
 その様子に青い瞳の灼滅者『あいん』は胸をなでおろす。
 ともあれ、こうして猛毒の主は打倒出来たのだ。後は、猛毒に侵された一般人達を介抱するだけでいい。
 だが、そうではなかったのだ。

 猟兵達だけが知ることのできた事柄。
 予知。
 そう、『38位ローズマリー・クメール』を倒すだけでは、この猛毒の宴は終わらない。
「本当に灼滅者って嫌。みんなみんな特別だって顔をしている。特別でない人のことなんて少しも考えていないもの。自分たちだけが命を助けられるって思ってる。許せない。そんなの。特別じゃなくしてやりたい。ありふれた死に貶めてやりたい。悲壮感漂う最後も、誰かに何かを託すような綺麗な最後も、吹っ切れたように憑き物が落ちるような死に様も」
 何もかも平凡なありきたりで、どこにでも転がっている死に方であると貶めたいと、『38位ローズマリー・クメール』の猛毒が蔓延っていた市街地を取り囲むようにして大量の『量産型殺人鬼』が迫りくる。
 
 彼女たちの瞳は虚ろ。
 されど、明確な意志があった。
 誰も彼もを非業の死にさらさない。特別なんて許さない。平々凡々な死に塗り替える。
 まるですれ違うように死がそこにあると知らしめるように、彼女たちはその瞳をユーベルコードの輝きに満たし、さらに一般人ごと猟兵達になんてことのない、理由なき死に追い込もうと、ぐるりと取り囲み、誰も逃げられぬのだと迫るのだった――。
蒋・飛燕
●POW

今までのは前座で、ここからが本番ヨ!
安心するのはまだまだ早いアル、『あいん』!

相手はマシンガンを持ってるネ
空を飛んでも狙い撃ちされるなら…懐に飛び込んでマシンガンごと破壊するだけヨ!
あとは各個撃破するだけだけど…まさか味方めがけて撃ってくるなんてどうにかしているネ!

うっ…掠めた銃弾に毒が仕込まれていたアル…?
胸が苦しくなって、力が入らなくなって、視界も…けど、聞こえるアル
ワタシが『|人造灼熱者《紛い物》だと…ネ!
確かにワタシは人造灼熱者アル
けど、それが何アルヨ
ワタシは人造灼熱者になって命が救われたネ
だから…人の命を助けるのに本物かどうか、関係無いヨ!

ファイアブラッドの力で体中の毒を灼いて無毒化してやるネ!
行くアルヨ!『レヴァーティン』!!
醜いだのキモいだの言ってくれたネ!
ご当地ヒーロー、緋天娘娘の底力…舐めるなアルヨ!



 息をつく暇すら与えぬ間断なき襲撃。
 復活ダークネス、オブリビオンたちの策はまさしくそれであった。
 猟兵の介入があることは承知の上。
 であれば、その介入を想定するのは当然。
 殺すことに執念を燃やすのではない。
 これは執念ですらない。
 ただの衝動でしかないのだ。突き動かされた衝動はいつしか執念と呼ばれるだろう。
 如何にして殺すかではない。
 如何にしてでも殺すのだ。
 それが彼ら六六六人衆である。
「平凡な死に変えてあげる。特別なんて許さない。特別なんて許されるわけがない。みんなみんな同じ平々凡々な当たり前の死にしてあげる。悲劇なんていらない。喜劇もいらない。ただ平坦な道が続くただの日常のように死んでしまえばいいのよ」
『量産型殺人鬼』たちが量産型マシンガンを構える。

 包囲は隙間がない。
 そして、己達猟兵は守るべきものがある。
 一般人たち。確かに彼らは通常攻撃が効かない。けれど、これはユーベルコードだ。
「今までのは前座で、ここからが本番ヨ!」
「安心なんてできるわけないッスね! なら、守るまでです! 行くッスよ!」
「当然ネ、『あいん』!」
 蒋・飛燕(武蔵境駅前商店街ご当地ヒーロー『緋天娘娘』・f43981)の瞳がユーベルコードに輝く。

 敵の得物はマシンガン。
 量産型であれど油断はできない。いや、量産型である、ということが彼女たちのユーベルコードの起点であるのだろう。
 ならば油断などできゆはずもない。
 空を飛んでも狙い撃ちにされる。
 そして、弾丸はおそらく無差別に叩き込まれる。
「なら、懐に飛び込んでマシンガンごと破壊するだけヨ!」
 噴出するように飛燕は『量産型殺人鬼』へと蹴撃を見舞う。振るう一撃はたやすく彼女らを吹き飛ばす。
 けれど、彼女たちは構わず弾丸を叩き込んでくるのだ。
「味方ごと……!? どうかしてるネ! なんでこんなことをできるアルか!」
「だって、それが一番平凡だもの。巻き込まれて死ぬなんて、当たり前のことだって、代わり映え市内当たり前の死に方だって教えてあげないといけないもの。特別なんて許さない。死ぬなら、みんな均一に死ななきゃ」
 飛燕は走る。
 だが、がくり、と膝が崩れ落ちる。

 なんで? と飛燕は己が太ももをかすめた弾丸の跡を見る。
「毒……!」
「そう、私達は『38位ローズマリー・クメール』に毒性を付与された。特別みたいに見えるけれど、特別じゃない。みんな同じ。だから」
 飛燕は頭が揺れるような思いだった。
 毒が回る。
 視界が回る。
 胸が苦しい。力が入らない。
 だが、飛燕の瞳は死んでいなかった。

 己のことを|『人造灼滅者』《まがい物》だと言った言葉が聞こえる。
 そう、己は人造灼滅者である。
 肉体をダークネスにしても戦うことを選んだものたち。
 醜い、と言われただろう。
 そこまでしなくてもとも言われた。
 戦うことは灼滅者に任せれば良い、と。
 だが、それでも彼女たちは止まらなかったのだ。
「けど、それが何アルヨ。ワタシは人造灼滅者になって命が救われたネ。だから……人の生命を助けるのに本物カどうか、関係ないヨ!」
 己が血は燃える血。
 燃え盛る体温によって炎が噴出し、その傷口から炎の剣が生まれる。
「行くアルヨ! レーヴァテイン!!」
 掲げた炎の剣が大気を歪ませる。凄まじい熱量と共に飛燕は飛ぶ。

「醜いだのキモいだの言ってられないアルヨ!」
「それも特別なこと。そんな特別許せない。みんな同じじゃなきゃ!」
 放たれる弾丸さえも燃やし尽くしながら飛燕の振るう炎の剣が『量産型殺人鬼』を両断する。
「ご当地ヒーロ、緋天娘娘の底力……舐めるなアルヨ!」
 爆炎と共に飛燕は迫る銃弾から一般人を守るように、炎熱の剣をふるい続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

此原・コノネ
出遅れちゃった!
じゃ、おねーさんたち。あーそびーましょ!

マシンガンかぁ。ねえ、当たり前の死ってさ、そういう銃?でやるよりかは、こっちのナイフとかでした方がいいと思うんだよねー。
一番手軽に手に入れられるから、刃物類って。
UCで近づいて、ナイフの一つ、餓血ナイフでぐっさり!ほーら、こっちのほうが日常的!

弾丸のほとんどは、ダイダロスベルトが自動防御してくれるからいいけれど。
たまにはかすめちゃうかな?だからなんだって感じだけれど。
毒が回っても、それはそれで楽しいんだから!

ね、目一杯遊びましょう!あたしにとっては、それがいつものことだから!



 オブリビオン『量産型殺人鬼』たちの包囲は狭まっていく。
 彼女たちは、ただ殺す。
 無為に殺す。
 意味なく殺す。
 そこに意味をもたせることは許されない。意味ある死なんて一つもない。自分たちが死んだところで何一つ世界は変わらない。
 変えられない。
 特別な生命なんてないのと同じように特別な死なんてものもありはしないと示すように彼女たちはデコレートされたスマホを指でなぞる。
「そう、舗装された地面に下には地雷がいつだって埋まっているのと同じくらい」
 タップ。
 瞬間、炸裂する爆風。

 彼女たちのユーベルコードは予め仕掛けていた地雷を炸裂させる。
 理不尽だった。
 そんなものいつ仕掛けたのだと思うほどであった、だが、事実地雷は爆発し、粉塵を撒き散らしている。
 その中を此原・コノネ(精神殺人遊び・f43838)は楽しげに走っていた。
 楽しい! 
 嬉しい!
「おねーさんたち。あーそびーましょ!」
 笑っていた。コノネは笑っていた。
 一般人は確かに通常攻撃では殺せない。けれど、ユーベルコードならば別だ。そんな彼らが窮地に陥っている。
 なら、とコノネは今こそ己が褒められる時だと嬉しくなっていた。
「ねえ、当たり前の死ってさ、そういう銃? でやるよりかは、こっちのナイフとかでしたほうがいいと思うんだよねー」
 コノネは、殺意の切っ先(サツイノキッサキ)を『量産型殺人鬼』へと向ける。

 瞬間、その切っ先は『量産型殺人鬼』の腹部へと突き立てられていた。
 一瞬であった。
 あまりにも速かった。
『量産型殺人鬼』がコノネを認識した瞬間にはもう腹部にナイフが突き立てられていたのだ。
「ね?」
「な、ごぶっ――」
 鮮血が迸る。
 それをコノネは笑って見上げていた。
 地雷の爆発の中を駆け抜けてきたコノネ。それまではいい。だが、どうして己は今、この少女の手にしたナイフに貫かれているのかがわからない。
 どう見ても距離があったはずだ。
 なのに、どうして。

「ぐっさり日常的。刃物ってどこでも手に入るし。うん、日常で使うようなもので殺される方が、地雷なんかよりよほど日常的だって思うな! あたし、そうおもうの」
 同意を求めるように首を傾げるのと同時に突き立てたナイフが拗られる。
 くぐもった声を上げて『量産型殺人鬼』がコノネの足元に倒れ伏す。
 うん、とコノネは笑む。
 周囲に浮かぶダイダロスベルトが炸裂し続ける地雷の爆発を防ぎながら、その瞳を『量産型殺人鬼』へと向ける。
 にこ、と笑った瞬間、彼女たち知ることになる。
 どうあってもコノネのユーベルコードから逃れることはできないのだと。
 そして、己たちの猛毒さえも彼女をかすらせることができない。
「うーん、毒って回ればそれはそれで楽しいんだけれど」
 彼女は殺意を持って笑む。
 そこにあるのは、ただ『遊ぶ』ことだけだった。

 それ以外はない。
「ね、目一杯遊びましょう! あなた達がいつものことだって思っていることと同じように、あたしにとっては、それがいつものことだから!」
 コノネは笑う。
 天真爛漫な殺意は、その切っ先鋭く突き立てられる。
 皮膚を破る音が手から伝わって鼓膜を揺らす。血潮の流れる音だって聞こえる。臓腑をえぐる音も、そしてこぼれるくぐもった声も。
 うん。
 やっぱり。
「楽しいね――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

八木・仰河
うお!こいつら分割存在か?
揃いも揃って同じ面してやがるが。
それともクローンってやつか?
まあいいや、3桁連中や数字もねえ奴に後れを取るほどにゃ鈍ってないさ。

毒をばら撒く前にさっさとたたっ切っちまうのが一番さね。
こいつは…眷属(殺人マスコット)か?
直接触れなきゃいいんだろ、纏めて膾切りさ。

毒女の次には数打ち女共、んでまだ石遊びの野郎がいるときた。
さっさと片付けて終いにしたいもんだねぇ。



『量産型殺人鬼』はすべて同じ顔をしていた。
 同じ顔、同じ服装、同じ装備。
 いずれもが同じ。
 みんな同じ。
 違う個体であるはずなのに、すべてがおんなじだった。
 判を押した押したような姿。
 もしくは、たい焼きのようだった。どんなに作っても同じ形になる。
「うお! こいつら分割存在か? 揃いも揃って同じ面してやがる」
 八木・仰河(羅刹の戦場傭兵・f05454)は首を傾げる。
 現状において分割存在の意義はない。
 あれは強力すぐりダークネスがサイキックアブソーバーの影響を免れるために講じた策の一つだ。
 オブリビオンとなった復活ダークネスたちにとって、サイキックが枯渇した状態はあまり意味がないのかもしれない。

「それともクローンってやつか?」
「私達は違う。全部違う。違って当たり前なのだから、違うに決まっているでしょう」
 仰河の言葉に苛立つ『量産型殺人鬼』たち。
 爪噛む歯が、そのネイルチップを引き剥がす。すると、そのネイルチップはありふれたものながら、奇妙な殺人マスコットを生み出し、仰河へと迫るのだ。
「ったく、そんな苛立つなって。三桁連中や数字もねぇ奴に遅れを取るほどにゃ鈍ってないさ」
 仰河は、手にした太刀を構える。
 連中の厄介さはわかっている。すべてのユーベルコードに『38位ローズマリー・クメール』の猛毒が乗ってくる。
 うければ、己であっても猛毒に侵されてしまうだろう。
 そうなれば、まともに戦うどころではない。
 故に彼女が取れる選択は多くはなかった。

「毒をばらまく前にたたっ切っちまうのが一番さね!」
 迫る殺人マスコットたちを見やり、仰河は己が太刀を振るう。
 飛翔する斬撃。
 恐るべきことに彼女の斬撃は飛ぶ。
 太刀とはすなわち、その刀身こそが間合いである。だというのに、彼女の斬撃は距離を無意味なものとしたのだ。
 振るわれた太刀の一閃はまさしくユーベルコード。
「膾斬りってやつさ。どんな猛毒だって触れなきゃいいのさ!」
 名付けて、参理刀斬衝(サンリトウザンショウ)。
 それは殺人マスコットを両断しながら『量産型殺人鬼』へと飛来し、彼女たちの体躯を切り裂く。

「ったく、毒女の次は数打ち女共、んで、まだもう一体、六六六人衆がいると来た。まったく、グリモアの予知ってのは精度が高い。アタシだったら……」
 まあ、のらりくらりと躱すかもしれない。
 もしかしたら、真っ向から勝負を挑むかもしれない。
 ともあれ、今の己は猟兵である。
 待ち受ける最後の六六六人衆もまた二桁台。
 そして、その位階は『38位ローズマリー・クメール』よりも上である。
 仰河は獰猛に笑う。
 あれよりも強敵。
「笑っちまうね、これは」
 胸踊ると言っても良い。戦いとはこうでなくてはならない。
 強き敵を打ち倒してこそ。
 羅刹としての血が騒ぐのか、仰河は太刀を振るいながら迫りくるであろう、さらなる三の矢を待ち構えるように戦い続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

戒道・蔵乃祐
或いは…序列番外の六六六人衆ですかね?
ローズマリーが斃れた今、手負いの猟兵を殺せば繰り上がりの実績にもまあ申し分無いといったところか
舐められたものですね?

◆毘紐天動輪
ジャンプ+空中戦で地雷原に飛び込み。フェイント+切り込みの猪突猛進
心眼+早業のパルクール回避で爆破の直撃を躱しつつ、宙を舞う
見切り+乱れ撃ちの投擲で|起爆装置《 スマホ 》を切り落として追撃を封じ、返す刀の念動力+クイックドロウでトドメを刺す

毒性が返り血にまで回っているとは…
死して尚、消滅までの間に猛毒で汚染する仕組みなのでしょう
嫌がらせにしても趣味が悪すぎる
巻き込まれたエスパーと灼滅者に医術+浄化で応急手当も施しておきましょうか



 これは第二の矢だ。
 灼滅者を、猟兵を待ち受けていた二の矢。
 猛毒を操る六六六人衆『38位ローズマリー・クメール』の能力は『量産型殺人鬼』達を猛毒調製物へと変貌させていた。
 身に宿した毒。
 それによってあらゆる攻撃が毒性を帯びる。
「私達は誰もが特別ではない。だからこそ、特別を堕する者たち。どんな生命だって尊いというのならば、どんな死だって見過ごせぬもののはずだ。特別な者がいて、その死を悼む心がありながら、見知らぬ誰かのために祈りを捧げることはしない。そんないびつなこの世がそもそもの間違いだ」
 彼女たちの言葉に戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)は頭を振る。

『量産型殺人鬼』たちは、デコレートされたスマホの画面を叩く。
 ひび割れた画面。
 そこから召喚される殺人マスコットたちが溢れ出し、蔵之祐を毒でもって殺さんと迫る。
「舐められたものですね?」
 確かに彼女たちは六六六人衆に至らぬ番外なのかもしれない。
 序列に列せられることなき存在なのかもしれない。
 特別な力は何もなく、故に彼女らは『38位ローズマリー・クメール』の手駒として毒性生物という手駒にされたのだ。
 それを哀れとは言わない。
 オブリビオンにとなった彼女たちにとって序列は意味をなさないものであったことだろう。
 死すら特別ではなくなってしまっているのだから。
 蔵之祐は、迫る殺人マスコットたちを躱すように大地を蹴って飛び、地雷原へと飛び込む。

 炸裂する爆発。
 吹きすさぶ爆風にすら毒性が付与されているのだろう。彼の動きは猪突猛進であった。
「だから舐められたものだと言ったのです」
 爆発ごときで怯むことはない。
 如何に恐るべき猛毒があるのだとしても、彼は止まるつもりはない。
 宙を舞うようにして身を捩り、地面を跳ねるようにして飛ぶ。
「法輪駆動。即ちクンダーラヴァルティン」
 放つ戦輪が『量産型殺人鬼』たちの手元からスマホを弾き飛ばす。
 仕掛けた地雷を起動するためにはスマホが必要なのだ。ならばこそ、反撃を封じる。そして、返す刃で蔵之祐は戦輪を投げ放つ。

 宙を回転しながら飛ぶ戦輪は、『量産型殺人鬼』の胴を薙ぎ払う。
 血潮が飛ぶ。
 それは鮮血の毒霧であった。
「なるほど。血すらも毒性に変える……恐るべきは『38位ローズマリー・クメール』と言ったところでしょうか……」
 彼女たちは倒されて尚、その血でもって他者を苦しめるものだった。
 嫌がらせにしても趣味が悪すぎる。
 生命をなんとも思っていない。
 消費するためだけの存在でしかないということなのだろう。そして、それは灼滅者を始め、猟兵たちに効くやり方であった。
 他者を巻き込む戦いこそが猟兵たちのウィークポイント。
 捨て置いても構わないはずだ、勝つだけならば。

 けれど、猟兵達は克つために戦っている。
 それは弱き者の考えだ。悪しき者の考え方だ。ならばこそ蔵之祐は巻き込まれた一般人たちに医術と浄化を持って応急処置を施しながら迫りくる『量産型殺人鬼』たちと戦う。
 難しい戦いだということはわかっている。
「これを見捨てて勝利などなんの価値もない」
 故に彼は戦輪と己が持てる力を持って守り、克つことを主題として、脅威である火の粉に対峙するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

蓬・白羽
言葉を交わすつもりはないよ
あなた達が多くを殺そうとしている
戦う理由はそれで十分だから

先の戦いと同じUCを使うけど、目的は真逆だ
今度は相手から身を隠すことを目的に使うよ
相手の武器はサブマシンガン
つまりどうしても大きな音のなる武器
足音はできるだけ潜めて、銃声に紛れ込ませてしまおう

あとは敵の背後に回り、ひたすら日本刀で切断していく
進む際は周囲のものを遮蔽物にしていきたいね
優先して狙うのは一般人を狙ってる個体だよ
誰も殺させない

ありふれた死を迎えるのはあなた達のほうだ
……死に「ありふれた」も「特別」もないと思うけどね
他人の死に意味を見出すのは残された側の仕事だと思う
あなた達の踏み入れる領域じゃないよ



 この戦いに言葉は要らないと思った。
 言葉で止まるのならば、こんな争いは起きないからだ。
 ダークネスと灼滅者がそうであったように、オブリビオンと猟兵もまた滅ぼし、滅ぼされる間柄でしかない。
 彼女たちが復活ダークネスとして蘇った時点で、それはもう決まっていたことだ。
 覆しようのないことだったのだ。
 故に、蓬・白羽(夜雨飛ぶ鳩・f43861)の瞳はユーベルコードに輝く。
「死なんてどこにでもあるもの。誰も彼もが死ぬ。なら、それは特別なことなんてない。悲劇的な死なんてない。非業の死もない。だって、それは当たり前のことだから。普通のことだから。何も悲しくないし、胸も傷まない!」
 手にした量産型マシンガンの引き金が引かれ、猛毒の特性を持った弾丸が迸る。
 
 白羽は闇のオーラによって彼女たちの視聴嗅覚から消え失せていた。
 言葉を交わすつもりなんてもとよりない。
 彼女たちは多くを殺そうとしている。
 戦う理由なんて、それだけで十分だった。
 ユーベルコードは、『38位ローズマリー・クメール』に放ったものと同じだった。けれど、目的が真逆だった。
 己に意識を向けさせるのではなく、敵から身を隠す事を目的としていた。
 息を潜めるようにして白羽は、マシンガンが銃弾を放つ音に紛れて走る。

 敵の背後をつく。
 彼女たちは弾丸をばら撒き、周囲に意味のない死を撒き散らさんとしている。
「そんなことはさせない。ありふれた死を迎えるのは、あなたたちの方だ」
 手にした日本刀から放たれた斬撃が『量産型殺人鬼』を背中から斬りつける。突如として放たれた不意打ちの一撃に彼女たちは目を白黒させる。
 何が起こったのかわからないのだろう。
 そして、斬撃の痕からは生命力が吸い上げられていく。
「誰も殺させない」
 ただそれだけ。
 白羽にとって、重要なのはそこだ。

「……死に『ありふれた』も『特別』もないとは思うけどね」
 白羽にとって、それはもう意味のないことだ。
『特別』になりえる者たちはもういない。
 戦う理由がすべてを物語っている。
 世界平和のために。
 ただそれだけのために身をダークネスに変えてもなお、戦う力が弱くても、それでも戦うと決めた心がある。
「他人の死に意味を見出すのは遺された側の仕事だと思う」
 だから、他者の死を貶める者も、それを過剰に祭り上げる者もいるのだ。
 けれど、白羽は思うのだ。
 復活したダークネス。
『量産型殺人鬼』たちがしていいことじゃない。

 彼女たちはもう生命のサイクルから外れている。
「もう殺さなくてもいいはずなんだ。誰かを羨むことも、嫉むこともしなくていいはずなんだ。だから、此処から先は」
 白羽は立ちふさがる。
 彼女たちが死を撒き散らすのならば、己はそれを止めるものだ。
「あなた達の踏み入れる領域じゃないよ」
 そのために誰も殺させない。
 死を無意味に堕さんとする者たちを許さぬと白羽の日本刀はユーベルコードの輝きを受けて閃くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

摩津崎・灰闢
戦場を見渡し、救助か戦闘か思考を一瞬巡らせる
弾幕や物量で押してくる敵が相手ならば、敵数を減らした方が最善か

貴女の灼滅者を論った点が私にとって好ましい所ではあるのですがね
まあ、趣味は人それぞれ。好きなだけ主張して下さい
相容れないなら殺し合うだけです

それにしても召喚物が邪魔ですね…
魅了されたら如何に心動かされるのか興味はありますが、存在自体が好みではないので虜はお断りです
UC発動、魅了を塗り潰すかのように殺意を高める
と、同時に手近な1体へ距離を詰めて刀で攻撃
攻撃の気配があれば影業で防御
邪魔な召喚物は爆破の力を込めた護符を放って一掃

…ああ、失念していました
一般人を狙う個体がいれば優先的に排除しますよ



 状況を理解する。
 どう動くのが最善か、ではない。
 摩津崎・灰闢(済度無相・f43898)は、この状況で何をすべきことが尤もらしいのかを考えていた。
 思考で動く。
 だが、彼の知る灼滅者とは思考ではなく感覚で動く。
 言葉で示すこともできたし、そのような教えもまた請うたこともある。
 故に一瞬巡るのは、迫る『量産型殺人鬼』たちか、それとも未だに取り残されている一般人か。
 自分は最善を考えない。
 だが、灼滅者ならば最善を考える。

「救助か戦闘か」
 二者択一が頭に浮かぶ時点で灼滅者ではない。だが、踏み出す。
 欲求が後押ししたのかもしれないし、それほほ供する理屈も頭の中に叩き込まれている。
 敵は物量で迫っている。
 攻撃の全てに毒性を宿しているのならば、時間が経てば経つほどに事態が悪化するだろう。それを防ぐ、という手前がある。
 唇の端の筋肉が動く。
 釣り上がろうとしているのを掌で抑えながら踏み出す。

「貴女の灼滅者を論った点が私にとって好ましい所ではあるのですがね」
「なら、当たり前の死を受け入れてもらうわ。どんな存在だっていつかは死ぬのよ。平々凡々に!」
「まあ、趣味は人それぞれ。好きなだけ主張して下さい」
 好ましいと思えど己には相容れない。
 なら、後はどうするのか。
 簡単なことだ。
「後は殺し合うだけっです」
 殺人マスコットたちが飛び出す。『量産型殺人鬼』より召喚された彼らは、猛毒を宿した体躯でもって迫っている。

 厄介なことだ。
『38位ローズマリー・クメール』
 彼女の毒は『量産型殺人鬼』にも及んでいる。
 ただかすめるだけで猛毒が体内へと流入してくるだろう。
 邪魔だな、と思った。
 己の道行きには不要なものだった。確かに己は長く楽しみたいと思った。けれど、それはダラダラと長引くようなものではないのだ。
 愉悦が、長く続いて欲しいのだ。

 故に瞳がユーベルコードに輝く。
「そのような小細工で、私の衝動が止められるとでも? ……浅はか。私の衝動を測る物差しとしては、あまりに脆弱」
 衝動が魅了を遮る。
 塗りつぶされる視界。
 殺意こそが己の衝動の源泉。
 故に、彼は全身から放出された黒濁の殺気でもってすべてを跳ね返す。

 どんなに魅力的な言葉も、すべてが無意味。
 刀の一撃が『量産型殺人鬼』の肉と骨を一緒くたに両断する。
 手に伝わる感触。手首を伝わる感触。肩を駆け上がり、己の脳天に伝わる、その感触に。
 ぶるぶると震えるほどの歓喜を覚えたかもしれない。
 けれど、まがい物だとわかる。
 こうではない。これではない。それではない。
 求めているのは、終わったものではなくて、今もあるものだ。
 故に迫る『量産型殺人鬼』たちを寄せ付けぬように影業が彼女たちを遮る壁となって、その中から護符を放ち爆発を巻き起こす。

「……ああ、失念していました」
 そうだ。
 求めたのはこんなのではない。故に己が走るのは、行動を示すためだ。
 そう、一つでも多くの無為なる死をもたらさんとする『量産型殺人鬼』を留め置くように殺気を解き放ち、倒れ伏した一般人を守るように己は戦うのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

蒼月・碧
量産型って…。
確か、ブレイズゲートだったら、いっぱい分裂していた記憶もあるけど。
何はともあれ、皆さんを守るためにも、もうひと踏ん張りだね。

遠距離からマシンガンの連射はちょっと潜り抜けるのが大変だけど、でも、こういうのはどうかな?
箒飛行で上空へ舞い上がってから急下降。
下降しながら、降魔の光刃で腕を切りつけて血をだしてから、レーヴァテイン発動っ!

光刃に炎の刃を纏わせて炎剣にしますね。
後は、急降下と同時に焼き切り裂きます!

その後は、箒から降りてサイドステップなどを使って、走り回っては斬りつけるを繰り返していきますね。

死ぬための理由なんていらないよ。
ボクが欲しいのは、生き残る為の理由だからっ!



『量産型殺人鬼』たちは手にしたありふれたマシンガンを構えて、弾丸を放つ。
 いずれもが猛毒の特性を宿している。
 彼女たちは『38位ローズマリー・クメール』によって猛毒超生物へと変生しているのだ。
「量産型って……」
 空飛ぶ箒にまたがった蒼月・碧(碧星の残光・f43907)は、己達を包囲するようにして現れたオブリビオン『量産型殺人鬼』たちの姿を見て目を見開く。
 誰もが同一だった。
 全く同じ用に見える。
 ところどころ細部が違うように見えるが、ぱっと見た時、区別はまったくつかない。
 ブレイズゲートと呼ばれる場所でなれば、このように同一存在が多く分裂していた記憶はある。

 けれど、彼女たちは違うように見えた。
 それぞれが個体であると同時に、ただ似通っている。
 文字通り量産型なのだ。
 故に彼女たちは、特別を忌み嫌う。
 己達の存在を堕する特別を、特別ではないものにするために殺す。それが彼女たちの拘りなのだろう。
「何はともあれ、皆さんを守るためにも、もう一踏ん張りだね」
 碧は空飛ぶ箒と共に急上昇して、一気に急降下する。
 瞳に輝くユーベルコードが流星のように空より『量産型殺人鬼』へと迫る。
 そして、己の手を切り裂く。

 赤い血潮が噴出する。
 痛みはある。
 けれど、それでも他者を助けるために己は『量産型殺人鬼』たちを打倒しなければならない。
「レーヴァテイン!」
 光の刃に炎が纏う。
 ユーベルコードによって切りつけた腕から血潮の代わりに噴出するのは炎だった。
 それがユーベルコード。
 彼女の手にした炎纏う光刃が一気に空から『量産型殺人鬼』を両断する。
「――……私ッ!?」
 一撃のもとに切り裂かれた『量産型殺人鬼』が驚愕に目を見開く。
 空よりの強襲もそうだが、碧の迅速果断なる一撃が彼女たちの連携を断ち切る。剥けられたマシンガンの銃口を碧は見る。
 放たれる弾丸。
 その弾丸の一つ一つを認め、碧は箒から飛び退くようにして躱し、さらに大地を蹴って『量産型殺人鬼』の懐に飛び込む。

 炎まとった刃が彼女たちを断ち切る。
「なんで、死ぬだけなのに。どんな特別な存在だって死ねば骸の海にいくのに、どうして」
「死ぬための理由なんていらないよ」
 碧は火花散るようにマシンガンの銃身を切り裂きながら『量産型殺人鬼』に応える。
 そう、理由なんていらない。
 けれど、生きている。
「ボクが欲しいのは、生き残るための理由だからっ!」
 何度もそうやって戦ってきたのだ。
 自分の青春は戦いばかりだった。けれど、そればかりでもなかったと言える。それが己が生き残って今も此処にいる理由なのだと、振り抜いた一撃と共に己の手元に戻ってきた箒を掴み碧は言い放つのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

しりあs……。
練乳と小豆、お願いします!

あーんとかしてもいいんですか?おかわりもありですか?
はわ……甘さで手の震えが治まっていきます。

わん♪(懐く
ステラさん、もう1個、アイスもう1個ー(ぱたぱた

えー。もうおしまいです?
でも、練乳入りなおかげでちょっと元気になりました!

死は生きている以上、どうしてもすぐ側にあるものです。
死も自然のうちですからね。

いつかくる死のときに、なるべく後悔しないために、
しっかり生きるのが正しい生の在り方です!

そしてわたしは、そんな風にみんなが生きられるために世界を調える勇者なんです。

いきますよー【道化師のギャロップ】!
ステラさんのナイフを、さらに高速化です!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
これは……ルクス様が死にそうな予感
まさかの敵が超絶シリアスでした
ルクス様大丈夫ですか?
ジェラートいります?
練乳とあずきのアイスもありますけども?
さぁ太りましょう?

とまぁ日常生活はこの辺で
ええ、言いたい事はわかります
確かに死は遠ざけたいものです
ですがいずれ来たると分かっているから
生命の熾火もまた燃え盛る
『自然な死』が無くなった世界は……きっと時が止まったかのように平和なのでしょうね

ですがだからといって死を肯定するわけにはいかないのです
生を駆け抜けてこそ

【シーカ・サギッタ】で仕掛けます!
地雷は面倒ですが……近づかなくていいなら!
一度爆発した箇所にはないでしょう?
ナイフの雨に打たれなさい



 周囲を取り巻くようにして出現した『量産型殺人鬼』たち。
 彼女たちは手にした量産型マシンガンでもって猛毒の弾丸を撒き散らしていた。
 そう、彼女たちはすでに『38位ローズマリー・クメール』によって猛毒超生物へと変生していたのだ。
 二段構え。
 例え『38位ローズマリー・クメール』が倒されても、彼女の策は続いている。
 此処には多くの一般人たちがいる。
 彼らは猟兵にとっての足かせも同然だった。
 一般人を見捨てて戦えば、楽に彼女たちも倒せるだろう。
 けれど、そうはしないという理解があった。悪辣なことである。
 だからこそ、ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は窮地に陥っていた。
「しりあす……」
 いや、勝手に窮地という窪地にはまり込んでいた。

「……ルクス様が死にそうな予感がしておりましたが、超絶シリアスでした」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は思う。
 けれど、この程度のシリアスで一々反応していたら、身が持たないだろう。
 そのためにステラはたまにはメイドらしいことをする。
 ささと、今にも蕁麻疹が出て全身痒くてたまらなくなりそうなルクスの眼の前にジェラートを差し出すのだ。
 所作だけなら、完璧メイドであった。
「練乳と小豆、お願いします!」
「注文が多いですね」
「あーんとかしてもらってもいいですか、いいんですか? おかわりもありですか?」
 ブルブル震えるルクスの手。
 完璧に症状の出ているあれである。はっきり言って見た目からしてヤバい。むしろ、悠長に構えている暇はないはずなのだが、それは二人の空間と言う名の独自結界的なあれであろう。
 この間に挟まる勇気はない。

「さぁ太りましょう?」
「わぁん!? なんでそんなこというんですかぁ!?」
「構わないというのならば、おかわりもありますが、きっと後悔されるでしょうから」
「くぅん! 構いません! と言いたいところですが、練乳入りのおかげでちょっと元気になりましたよ!」
「ならばよろしいでしょう」
 ステラはさっと食器をかたして頷く。
 そろそろ敵もしびれを切らしている頃合いであろう。普通なら、ここでぶっこんでくるところであるが。

「貴方がたのおっしゃりたいこともわかります。確かに死は遠ざけたいものです。ですが、いずれ来たると解っているから、生命の熾火もまた燃え盛る」
「特別は存在してはならない。誰も彼もがたった一つの生命で、特別なんだなんて、そんなこまっしゃくれた言葉なんていらない。私達は!」
『量産型殺人鬼』たちは一斉にステラたちに襲いかかる。
「死は生きている以上、どうしても直ぐ側にあるものです。死も自然の内ですからね」
 ルクスは、演奏する。
 ユーベルコードによって強化された音楽の可能性を示すように、奏でるのだ。
 そうでなくてはならない。
 どんなものにだって終わりは来る。
 だから、懸命に生きることを人は選ぶのだ。

「しっかり生きるのが正しい生の在り方です! そしてわたしは、そんなふうにみんなが生きられる世界のために世界を調える勇者なんです!」
 旋律に乗ってステラのはなった投げナイフが加速する。
 それは弾丸よりも疾い。
「ですが、だからといって死を肯定するわけにはいかないのです」
 例え、『自然な死』がなくなった世界の中で時が止まったような平和を得るのだとしても。
 それでも生は駆け抜けてこそなのだとステラは言う。
 己のユーベルコードの輝きを宿した投げナイフの一打はルクスに加速されて『量産型殺人鬼』たちを貫く。
 防御は意味がない。
 このユーベルコードの前では、あらゆるものが壁になり得ない。
 壁がそこにあるのならば、穿ってでも進む。
 ステラの瞳はそういうように、『量産型殺人鬼』たちを貫くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
たとえここで死を迎えようとも
私を貶めることは出来ないわ
私は心を手に入れたから
どんな死に方をしても、きっと後悔しない

毒と魅了の使い方がやっかいだけど
悪魔の加護が私を守ってくれる
加速して一般人への攻撃を優先して対処
近づかせないわ
怪我人がいれば治療の矢を
マスコットや敵は、攻撃の矢で撃ち抜くわ

……手強い敵ばかり
一瞬も気が抜けないわね



 例え、次の一瞬で己の生命の命脈が絶たれるのだとしても。
 懸命に生きた、といえる。
 胸に抱くは、それまでの思い出だった。
 記憶というにはあまりにも甘美であったし、走馬灯と呼ぶにはあまりにも短いものだった。
 だから、すべてを覚えている。
「特別なものはなにもない。死にさえ、特別な意味はない。私達は、みんな違う。けれど、そんなのは許せない。そんな不平等は許されてはならない。画一的で、均一的で、平坦な死こそが、私達の望むもの。特別なものを特別ではないものに貶めることこそが!」
 己たちのやるべきことだと言わんばかりに『量産型殺人鬼』たちは、そのネイルより殺人マスコットたちを召喚する。
 さらに物量で猟兵達を圧倒しようというのだろう。

 その大群を前にして尚、薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は静かに青い瞳で前を向いた。
「たとえ、ここで死を迎えようとも、私を貶めることはできないわ」
「そんなことはないもの! みんな特別でなくすれば、特別なあなたを普通に貶めることができる!」
「いいえ」
 静漓はきっぱりと言い放つ。
 その瞳にはユーベルコードが輝く。
 身に宿すは悪魔の加護。
 魅も何もかも、彼女には届かなかった。それは彼女が特別だからだろう。少なくとも『量産型殺人鬼』たちにはそう写った。
 許せない。
 そう、許せなかった。まるで、己たちの平々凡々たるを突きつけられているようだった。
「なんでそんなこと言えるのよ! 自分が特別だって!」
「違うわ。私が特別だから、貶めることができないのではないわ。私は心を手に入れたから」
 だから、と静漓の瞳は、しるべ(シルベ)を見つめる。
 あの背中を幻視した。

 追いつけたと思うかもしれないし、隣に立っていると思うかもしれない。もしかしたら、己が背中を見せるかもしれない。
 いずれにしたって、己は止まらない。
 迫る殺人マスコットたちを静漓は軽やかに舞うようにして躱す。
『量産型殺人鬼』たちには、彼女の姿を捉えることはできなかった。
 いつのまにか彼女が宙を舞っているようにさえ思えただろう。
「どんな死に方をしても、きっと後悔しない」
 悪魔の加護が身を包みこんで、一気に『量産型殺人鬼』へと空より光の矢を射掛ける。
 その一撃が彼女たちを貫き、殺人マスコットさえも地面に縫い留めるのだ。

 誰も近づけさせない。
 あの敵は猛毒を身に宿している。
 血潮の一滴すら猛毒に変えられているのだ。
「……手強い敵ばかり」
 一瞬も気が抜けない。けれど、静漓は止まらない。
 止まってなんていられない。
 助けなればならないものたちがいて、戦わなければならないというのならば、立ち止まってなんていられないのだ。
 どんな理由があろうとも静漓はもう止まらないだろう。
 それがこれまでの道程で彼女が手に入れたものの正体だ。
 光の矢と共に舞う静漓は、その姿を示す。
 怯えることも、恐れることもないのだと。そういうように彼女は真昼の月のように空より、確かな存在感を放ちながら『量産型殺人鬼』たちを下すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャムロック・ダンタリオン
ふん、あの猛毒女の置き土産というわけか。
で、たいそうな御託を並べているようだが、生憎こちらも、貴様らの思うようにさせるつもりはないからな(【威厳・威圧・恐怖を与える・傷口をえぐる・悪のカリスマ】)。

さて、一つ面白い技を身に着けてきたのでな。早速これで弱体化されてもらおうか(【精神攻撃・生命力吸収・全力魔法】)。
あとは虫の息になった連中や、ついでに現れたマスコットどもを狙い撃ちしてやるか(【スナイパー・呪殺弾】)。

※アドリブ・連携歓迎



 猛毒超生物へと変生した『量産型殺人鬼』たちは、猟兵たちに対する二の矢であった。
 確かに『38位ローズマリー・クメール』は強敵であった。
 掛け値なしに。
 けれど、倒せぬ敵ではなかったのだ。
 猟兵と灼滅者。
 世界は違えど、その脅威に大して共に並び立つことができる。それを証明する一戦だった。
 しかし、それでも『38位ローズマリー・クメール』は『量産型殺人鬼』を伏せていた。
 己が倒されても更に被害を拡充させるために。
「ふん、あの猛毒女の置き土産というわけか」
 シャムロック・ダンタリオン(図書館の悪魔・f28206)は息を吐き出す。
 確かに脅威である。
 が、それだけである。
 脅威であることの真は、それが全容しれぬほどに圧倒的であるということだ。だが、全容が知れるのならば対処することができる。
 それが知的生命体の強みだ。

 理解し、それをほどいていくことができる。
 ほどかれた力は、細分化し取るに足らないものとなる。
 例え、猛毒を宿した敵がいるのだとしても、シャムロックはためらわなかった。
「大層な御託を並べているようだが、生憎こちらも貴様らの思うようにさせるつもりはないからな」
 瞳がユーベルコードに輝く。
 指差す一点。
 そこから広がるは、死の悪魔の遊技場。
 サバト・オブ・フリージングデス。
 シャムロックのユーベルコードでもって、世界を塗り替える。
「知らない。そんなものなど。あなたがどんな存在でどれだけ特別であっても、私達は、あなたの死をただのありふれたものへと変えて見せる。そうすることが私達の殺す理由なのだから」
 彼女たちは遊技場を殺人マスコットたちと共に走る。
 目指すはシャムロックであった。

 彼が如何に強大な存在であって、特別な存在であったとしても、構うことはなかった。
 殺して、平凡な存在に堕落させる。
 それだけが目的だったのだ。
 なんてことない。どんな強者だって死ねば骸の海に行くのだ。例外なんてない。どんな尊き存在も過去に歪む。
「……足が、重い。寒い……これは」
「ああ、面白いだろう。己が身から活力が奪われていくのは。此処に存在しているだけで、貴様らは力を失っていく」
 シャムロックは次々と足を止める殺人マスコットたちを足蹴にし『量産型殺人鬼』たちを見据える。

 死の悪魔の遊技場に足を踏み入れることはなかった。
 そこで遊戯に興じるのは己が敵だけだ。
 ただ徒に消耗し続けるしかない『量産型殺人鬼』を前にしてシャムロックはつまらなそうに指先を向ける。
 射的にしたって、もう少しまともにできるだろうよ、と彼はつぶやく。
「どんな存在も死に至る。真であろうが、しかし、知るがいい。強者は弱者よりも、そこに至るには時間がかかる。皮肉なことだがな。そこに特別なものなど何一つない。ただ、時間の差があるだけだ」
 放たれた呪殺弾が『量産型殺人鬼』の体躯を貫く。
 崩れていく体躯。
 その最中に彼女たちは見ただろう。
 己たちの手が届かない生命の埒外たる存在の姿を――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鷹神・豊
俺は多少喧嘩が強いだけの凡人だぞ
かつて得た力も全く向いた役ではなかったし
相応の振舞いをする為に死に物狂いで努力した

幾ら邪悪でも敵を傷つけるのが辛いと
涙を流す灼滅者達を何人も見てきた
俺が代わりに殴れたらどれ程良いかと悩んだ
貴様らこそ選ばれる苦しみを慮った事はあるか?
彼らを愚弄する発言は許さん

マスコットには触れず拳銃で狙撃
威嚇射撃を交えながらダッシュで接敵し
UCを使用した単純な暴力で
術の出所である爪を指ごとへし折る
遠方に居る敵の急所や隙のある行動も
俺の視力ならある程度見られる筈だ
今と見たら躊躇わず発砲し急所を狙う

一撃で止めを刺す必要は無い
初撃で心を折ればもう逆らえまい

黙れその他大勢
努力家ですまんな



『量産型殺人鬼』達は、己のことを特別な存在だと言った。
 故に許せないと言った。
 特別であるがゆえに、死に方も特別であろうと。
 こんな状況にあってなお、死を思う。いつだってそうだ。彼女たちは、殺し方にこだわっていた。
 いくつものダークネス事件を見てきた。
 歯がゆい想いがあった。
 思い出すだけで、彼らの、彼女たちの想いを受け止める。重たすぎる思いはいつしか己の両腕を隆起させていた。
「俺は多少喧嘩が強いだけの凡人だぞ」
 ただそれだけだった。
 嘗て得た力は戦うためのものではなかった。
 己の胸に抱いたものと体躯が噛み合わぬ日々であった。戦えたのならば、どんなによかっただろう。

 邪悪なる存在を前にしても、傷つける事を厭うものたちがいた。
 彼らが流した涙を見た。
 いくつも、いくにんも、いくども。
 俺が、と思った。
 代わりに戦えるのならば、彼らの流した涙に贖うことができただろうかと。だが、それは悩んでも仕方ないことだった。
 己が悩み、それで解決するようなことではなかった。
 いつだってそうだ。
 彼らの懊悩の決着は彼ら自身がつけてきたのだ。
「貴様らこそ、選ばれる苦しみをおもんばかったことはあるか? ないだろう。特別に憧れる余り、そこにいるものが、そもそも人であることを忘れたお前たちには」
 構えた拳銃から弾丸が放たれ、迫る殺人マスコットたちを撃ち抜く。

 最初は歩みながら。
 最後には走りながら。
 鷹神・豊(蒼天の鷹・f43985)は、以前とは違って駆け出していた。
 送り出すのではなく、己が前に踏み出す。
「彼らを愚弄する発言は許さん」
 ただ、それだけだった。
「そんなのやめられるわけがないじゃない。私達は、特別を堕落させるものだもの。そうでなければ、私達はただの量産型。どこにでもいるような、ただの殺人鬼になってしまう。そんなの許せない。みんな特別。みんなたった一人の特別な人と言いながら、私達の死に様には誰も見向きしないじゃない!」
 そんなのは許せないと『量産型殺人鬼』が迫る。

 迫る手。
 その爪を見やる。付け爪から殺人マスコットが出現しているというのならば、豊は拳銃から手を離して、その指を掴んだ。
 間髪入れずへし折った。
 ためらいなんてなかった。単純な思考と単純な動作。
 難しいことは何一つしていない。特別だとも思わなかった。
 豊にとって、それは至極単純な行為だったのだ。
「悔い改めろ」
 骨の折れる音など聞いても居ない。ただへし折る。悲鳴も聞こえない。
 突きつけた銃口が『量産型殺人鬼』の眉間へと突きつけられる。
「なんで! 私達は、平凡な死しか得られないなんて、そんなこと!」
「この距離なら外さない。特別なことはしていない。何一つ。近づいて、引き金を引く。ただそれだけだ」
 勧告(カンコク)はたった今した。
 聞き入れるとは思っていない。引き金は軽かった。
 銃声が響き、豊は握りしめていた指を離す。
「お前たちは特別な死さえ得られないと言った。けれど」
 豊は思う。
 崩れ落ちた体躯。

 誰かに最後に触れてもらえるのなら、それは平凡でも、穏やかな死だ。
「そんなもの、私達は受け入れない!」
「黙れその他大勢」
 豊はユーベルコードに輝く瞳で睨めつける。
 己ができることはただ一つだったのだ。特別な才能もなければ、戦うこともできなかった日々は終わりを告げた。
 なら、後は。
 努力だけだったのだ。必要なのはそれだけ。なら、後は進むだけだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
量産型殺人鬼とかいうパワーワード
そういうもんじゃないっしょ!
オブリビオン化したら、こういう事になるのは厄介だね
ただ…数で攻めて来るって言うなら、こっちも数で対処させて貰おうか

一端距離を取り、敵の攻撃に巻き込まれない様に『オーラ防御』でしっかり地面方向へシールド展開
地雷に巻き込まれない様に注意しておこう
【Overdrive I.S.T】起動
剣を100振り×2召喚!
それぞれ組ませて、100体の私(剣だけ)展開!
さあゆけー!量産型如きに負ける私(剣)では無いわー!
と、高みの見物をしつつ指揮して行こう
周囲に被害が及ばない様に、集団を包囲するように展開し物量で方位を狭め剣戟で攻めて各個撃破の殲滅じゃい!



「オブリビオン化したら、こういうことになるのかー」
 厄介だ、と月夜・玲(頂の探究者・f01605)は己達を取り囲むようにして出現した『量産型殺人鬼』たちを見やる。
『38位ローズマリー・クメール』によって彼女たちは猛毒超生物へと変生している。
 攻撃のすべてが猛毒の特性を持つが……それよりも玲は『量産型殺人鬼』という言葉の強さになんとも言えない顔をしていた。
 そういうものじゃない、とも思っていた。
 だが、まあ、わからないでもないのかもしれない。
 判を押したような姿格好と揶揄される量産型。眼の前の『量産型殺人鬼』たちも同様だった。
 細部箱となれど、どれもが似たようなファッション、色の選び方、ネイルやアクセサリーのコーデもすべてが何処かで見たような均一さ。
「私達はただの平凡な存在。視界に写っても雑多に紛れるもの。認められないし、見咎められることもない。ただの平坦な存在。だから、特別さが許せない。オンリーワンが許せない。すべての生命が尊くて、大切だって言いながら、特別さを求める在り方が許せない」
 彼女たちは手にしたスマホに指をかける。

 玲は瞬時に己がユーベルコードを発現させる。
「Overdrive I.S.T(オーバードライブ・アイエスティー)システム、多重起動」
 瞬間、彼女の手にしていた模造神器が複製される。
 左には雷をまとった百振りの剣。
 右には蒼炎をまとった百振りの剣。
 総じて二百を超える複製が一瞬で並び、彼女の眼前に突き立てられ炸裂した地雷の爆風から玲を守るのだ。
「負荷は完全無視。さあ、暴れ狂え!」
 その言葉と共に爆風を防ぎきった剣たちが空を舞う。

「それゆけー!」
 放たれる剣が一瞬にして『量産型殺人鬼』を貫く。
 一撃で倒れないのならば、さらに数撃を叩き込む。
「ぐっ、ふっ……! こんな死に方、許せない!」
 己の血潮さえも猛毒に変わり果てた。死ぬのならば、多くを巻き添えにして死にたい。劇的な死なんていらない。
 だから、誰かの死を貶めたい。
 マイナスにまでしなくても、誰かのための死であったというプラスにさえならなければいい。
 だから。
「量産型ごときに負ける私ではないわー!」
 だが、圧倒的な存在は高みから見下ろすばかりである。

 玲の手繰る剣は、見事な操作でもってあらゆる爆風を防ぎきっていた。彼女だけではない、周囲にいた一般人すらも剣が飛翔し、張り巡らせたオーラでもって防いでいく。
 被害は何一つ許さない。
 そういうように玲の圧倒的な物量で持って『量産型殺人鬼』たちは己たちの目論見が何一つ叶わないという絶望を見上げるほかなかった。
「なん、で……届かない……の」
「そりゃそうでしょ。誰かの足引っ張りたいって後ろ向きで、前向きに走ってる連中の足を掴むことなんて、ましてや追いつけるなんてあるわけ、ないでしょ!」
 玲の掌に導かれるように、集合した剣が束ねられ、その一撃が『量産型殺人鬼』たちの体躯を貫き、霧散させていくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

んもー特別だとか普通だとかー
すぐそういうの気にするんだからー
いやボクもけっこー気にするかもー?
だってボクが一番で特別だからね!キミたちも崇めてもいいんだよ!
でもね、大事なのは…


もうちょっとお願いね!と[白昼の霊球]くんに諸々防御して持ちこたえてもらってる間に【第六感】に任せて弾丸の雨の中をウヒャッホーーッ!っと駆け抜けよう!
そして最適なアタックポジションにたどり着いたら後は…
UC『神パンチ』で弾丸も彼・彼女らもまとめてドーーーーンッ!!

そう大事なのは…大事なのは…
(いろいろ頭に浮かぶ)
大事なのは…大事なものっていっぱいあるねー
だからそれを全部ぐるっと守ってあげるのさ



 人はどうして特別であることを望むのだろうか。
 ありきたりであることを憂うのだろうか。
 そんなことを気にしても生きることに代わりはないというのに。
 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)はヒトの愚かさをどうしようもないものだと思ったが、自分が特別であるという自負がある分、他に何もない者にとっては、それもまた懊悩の種であるのではないかと思うのだ。
「んもー」
 自分もそう気にするところがあるのかもしれない。
 でもまあ、悩む必要もない。
 気にする必要はあるけれど。
「だってボクが一番で特別だからね! キミたちも崇めていいんだよ!」
 その言葉に『量産型殺人鬼』たちは量産型マシンガンの銃口を一気にロニへと向ける。

 集約されるように弾丸が放たれ、ロニを襲う。
「わっ、っと! まだお話は終わっていないんだけどー!?」
 球体がロニを守るように全面に立ちふさがる。
 ガンガンを弾きながらロニは笑う。
 せっかちさんたちめ、と。
「もう、少し話を聞こうよ。これから大切なことを言うつもりなのに!」
「そんなもの必要ない!」
「お前が特別だっていうのなら、それは私達の敵だ。打ち倒すべき存在だ。いや、零落させるべきもの!」
 彼女たちの銃口は常にロニを狙い続けている。
 弾丸が雨のように降り注ぐ中、彼は走る。走って、走って、走って、奇声を上げるように笑う。
「ウヒャッホーッ! まとめて神パンチ(カミパンチ)!」
 放たれる無限回の拳。
 それはどんな特別も平凡もひとまとめにする拳の乱打だった。

「そう、大事なのは……大事なのは……」
 ロニは『量産型殺人鬼』たちを打ち倒して、その山のように折り重なった上に立つ。
 そう、大事なことを伝えなければならない。
 頭に浮かぶのは様々なことだった。
 大事なことは一つだけとは限らない。
 多くの大事なことが世界にはあるのだ。故にロニは、その多くをひとまとめにする言葉を持ち得なかったのだ。
「大事なのは……大事なものっていっぱいあるねー」
 他の誰かが聞いていたのならば、ずっこけるところであった。
 結局何もないのと一緒ではないか、と。
 けれど、ロニは笑う。
「だから、それを全部ぐるっと守ってあげるのさ」
 そこから自分の大事なものを決めればいい。一つを選んだっていいし、いくつかを抱えてもいい。

 人の生きる、ということはそういうことだ。
 誰が決めるわけでもない。
 誰かの特別は誰かの特別ではないものだ。
 だから、尊い。
 自分だけの物を見つけられたことを誇るべきだ。だからこそ、そこに至れなかった者たちが、誰かの特別を傷つけることで貶めようとする。
 そんなものに価値はないとうそぶく。
 自らが手に入れられなかったという事実を受け入れられないのならば、他のどんな言葉だって受け入れられないだろう。 
「きっとキミたちも変わらないんだろうけれどね」
 でもそれでも、いつか選べる時が来るかもしれない。
 そう思ってロニは『量産型殺人鬼』たちの上で、深く頷くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『21位ゴリアテ殺し』

POW   :    ストーンタイフーン
【スリング(手持ち式の投石器)】を高速回転し続ける事で、威力増加・回転武器受け・レベル×5km/hでの飛翔を可能とする。
SPD   :    ラピッドストーン
レベル分の1秒で【殺意を具現化した石の弾丸】を発射できる。
WIZ   :    念動投石
【殺人衝動】を宿した【石弾】を射出する。[石弾]は合計レベル回まで、加速・減速・軌道変更する。

イラスト:けわい

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 復活ダークネス、オブリビオンの放った第二の矢を猟兵、灼滅者たちは防いだ。
 それを遠く見守るようにして見つめていた存在は笑む。
 緊張と弛緩。
 今まさに猟兵達は一般人たちを守りきったという弛緩を得ている。
「わかるぜ。何かをやり遂げたって思ったときほど、肩の荷が下りた思いをするものだ。そういう時っていうのは満ち足りているよな。もう十分やったって思えるよな。だが、だからこそ、だよ」
『21位ゴリアテ殺し』は、足元に転がしていた多くの石を手に取った。
 彼が居たのは電波塔の天頂。
 ここからならば、市街地の様子がよく見える。だが、市街地からはこの天頂を認めるのは難しかっただろう。
 あまりにも攻撃するには距離が離れていた。

 だが、『21位ゴリアテ殺し』にはできる。
「加えて、一般人。無差別攻撃の中に守るべき者がいるっていうのは、なかなかにストレスだろう――な!」
 放たれる投石。
 それは攻撃の意思を宿さぬ攻撃。
 もしも、彼が剣や槍といった攻撃の意思を伝達する武具を使っていたのならば、その瞬間を予見することができただろう。
 だが、彼が手にしていたのは石だった。
 攻撃の意思は一瞬宿れど、距離が離れすぎているがゆえに、ただ飛来する石となって市街地へと降り注ぐ。

 青い瞳の灼滅者『あいん』がそれに気がつけたのは単なる偶然だった。
 飛来する石。
 それが一般人の頭蓋へと迫らんとした瞬間、手にしていたバベルブレイカーの杭が投石を打ち砕く。
 破片が飛び散る中、『あいん』は己の心臓が跳ねるのを感じた。
 間一髪だった。
 これは偶然だ。二度目はない。
「投石攻撃ッス! 狙われています! 方角は、あっちッス! それだけしかわからないです!」
 声を張り上げる。
 彼女の言葉に市街地は一瞬で窮地を脱した弛緩から緊張を取り戻す。

「チッ、運と勘がいいのが居たか。だが、俺のやることは変わらない。やってみろよ、猟兵、灼滅者。高所を得て、距離を得た俺の投石をかいくぐりながら迫れるのならばな」
『21位ゴリアテ殺し』は、電波塔の天頂にて次撃のために石を手に取り再び投石を開始するのだった――。
アルテミシア・ルッシュリア
さて、相性の良いUCを先に作っておいてよかったよ

そう言いながら灼滅者と協力関係にある知性体の精神世界から無限に供給されるサイキックエナジーを結晶化したトランプを10枚投擲
9枚をエスパーに向けられた投石に
1枚をゴリアテ殺しに攻撃する為に放ちながら投石の撃墜と遠距離攻撃を放っていく

こちらはエスパーの精神世界から幾らでもトランプを補充できる
そっちもあらゆる場所から投擲用の石を補給できるみたいだけど……ならば、補充という意味では条件は同じ!

六番目の猟兵に至ったシャドウと六六六人衆のハンドレッドナンバー、その実力をぶつけ合おうじゃないか――!



 それは刹那と刹那の間に繰り広げられた攻防だった。
 目に止まらぬ攻防は、そこで何が行われているのかを知り得ないものであったし、知り得たのは攻防の主たちだけであったことだろう。
 空中で砕け散る石とサイキックエナジー。
 いや、サイキックエナジーであることはしれたが、それが1枚のカードの形をしていたことを知っていたのは、アルテミシア・ルッシュリア(月を示す影・f44022)だけだった。
「『月よ示せ。全ての人々は運命を覆した者達の正義から切り札を作り出す。異能の力を形作る切り札を以て、黄泉帰りし闇を祓え」
 アルテミシアはユーベルコードによって無限供給されるサイキックエナジーを結晶化したトランプのカードを投げ放ち、電波塔の天頂から飛来する投石の一撃にぶつけていた。
 だが、手数が足りない。

「相殺するのが狙いかい。まさか、この俺に対してそんな手を使うやつがいるとは思わなかった」
『21位ゴリアテ殺し』は笑った。
 天頂にありながら、彼は即座にスリングに石を載せ投げ放つ。
 球数は気にしなくていい。
 ただ、彼は投げ放つだけでよかったのだ。
 灼滅者及び猟兵。
 彼らは一般人の犠牲を嫌う。
 ならばこその無差別攻撃だった。誰を狙うかわからないのではない。ただ、標的としてしか見ていない彼の投石は距離が離れていることと、高所を抑えられているという致命的な二点でもって攻めあぐねさせるものであった。

 故にアルテミシアは己がユーベルコードが瞬時に投擲することのできる力であったことに安堵する。
 とは言え、やはり手数が足りない。
 今の己にできることは手札が10枚。
 ただそれだけ。しかし、次々と飛来してくる石はそれを越えている。
 完全に防ぎ切る事はできない。
「どうした、猟兵。いや、この気配はダークネスか。そうか、やはりダークネスからも猟兵に覚醒する者がいる……なんとも」
「補充という意味では条件は互角。なのに押し切られるんだね」
 アルテミシアは状況を理解していた。
 己ができるのは無差別に飛来する投石を防ぐことだけ。
 此方も弾数という名の札を消耗し切る心配はない。なにせ、己に供給されるサイキックエナジーは無限とも言えるのだ。

 すぐさま結晶化したトランプを投げ放つ。
 空に砕けて散った石とサイキックエナジーが煌き、まるで雪の結晶のように降り注ぐ。
 戦いの趨勢は覆っては居ない。
 だが、それでも一般人にも及ぶ無差別投石は防げているのだ。
 なら、やれないことはない。
 アルテミシアは、ユーベルコードに輝く瞳と共に投石を砕き続ける。
 諦めはそこにない。
 できることを為す。
 ただそれだけでいいのだという衝動が胸にあることを覚えながら、彼女は結晶化されたカードを握りしめる。
「六番目の猟兵に至ったシャドウと六六六人衆のハンドレッドナンバー、その実力をぶつけ合おうじゃないか――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

此原・コノネ
なるほど、あんなに遠いところから!
『あいん』さんって凄いんだね!
『あいん』さんに防衛任せて、あたしは遊びにいってくるね!
だいじょーぶ!あたしに来るのは、ダイダロスベルトが弾いてくれるし!
なんなら、伸ばした影業で他の投石も砕いちゃってもいいかも?
どれだけ遠くても、あたしの【殺意の切っ先】からは逃げられないよ。

うふふ、楽しいな!
こうして投石を潜り抜けていくの、ほんっとうに難しくて楽しいんだから!
帰ったら、オレンジジュース飲もうっと。ご褒美ご褒美!
おにーさん、おねーさん達からも、褒められるよね…!



 此原・コノネ(精神殺人遊び・f43838)は飛来した投石の一撃をバベルブレイカーで砕いた青い瞳の灼滅者『あいん』の手腕を見事だと思った。
「『あいん』さんってすごいんだね!」
 素直な称賛であったが、彼女は頭を振る。
 あれは完璧な偶然だ。
 運がよかった、と言う他ない。
「次は無理ッス! 二度三度もできることじゃあないです! だから、頼んだッスよ! 多分、後輩さん!」
 その言葉にコノネは笑う。
「うん、まかせておいて。あたし、『遊び』にいってくるね!」
「ちょ、遊び!?」
 この状況において、まだそんな言葉が出てくることに『あいん』は目を見開いていた。制止する声が届くより早く、コノネは走り出していた。

「あっち、っていっていたものね!」
 飛来する投石。
 殺人衝動が乗っている。
 あ、とコノネは気がついた。
 先程の投石は無差別であったがゆえに認識できなかった。けれど、己に迫っている投石は違う。
 確実に己を狙ったものだった。
 自分もそうだ。
『遊ぶ』相手には、己が衝動を乗せる。
 それは位階の高い六六六人衆であっても変わらない。故にコノネは己に向けられた投石がただの投石ではないと知る。

 空中で軌道を変える石。
 おそらく一度の軌道変更だけではない。己を付け狙うように通常ではありえない曲がり方をするだろう。
「わっ! すっごいことするのね!」
 ダイダロスベルトで弾こうとしても、すぐさま起動を変えられてしまう。
 恐るべきことに、勢いが削がれていない。
 軌道が変わる度に本来ならば速度も威力も減ぜられるはずだ。なのに、一つも勢いが殺されていない。
「なら、砕いてもいいよね!」
 コノネの足元から走る影業が一瞬で迫る投石を砕く。
 もしも、この投石が別のものであったのならば、砕くことは容易ではなかっただろう。けれど、どこにでもある石であるからこそ『21位ゴリアテ殺し』は無限とも言える投石を行うことができたのだ。

 それが裏目に出た瞬間だった。
「だからといって、投石しない理由にはなっていないんだよな」
 再び放たれる石。
 それをコノネは見やる。一撃目は防いだ。だが、もうわかっている。
 方角も、どこから放っているのかも。
「そこだよね! あそぼ?」
 瞬間、コノネの瞳がユーベルコードに輝く。
 見つけた、と己がナイフの切っ先を電波塔の天頂へと向ける。
 殺意の切っ先(サツイノキッサキ)は一瞬で彼我の距離をゼロにする。
「……! この距離を!」
「うふふ、たのしいね!」
 投石をかいくぐるのは大変だった。
 あれだけ軌道を変えられては、防ぐので手一杯だった。

 だからこそ、彼女は踏み込む。
 楽しい。
 そう、やっぱり楽しい。難しいことは嫌なことじゃあない。難しいことを成し遂げたら、いっぱい褒めてもらえる。
 おにーさん、おねーさんたち。
 きっと褒めてもらえるよね。
 だから、と彼女は己がナイフを一瞬にして『21位ゴリアテ殺し』へと届かせる。
「ハハハッ、そうだよなぁ! 楽しいよなぁ! 生命のやり合いっていうのは!」
 放たれた一撃は鮮血をほとばしらせ、コノネは電波塔の天頂にて笑む。
「コレが終わったら、ご褒美ご褒美!」
 殺人衝動を塗り替える衝動がある。
 あの果実の甘さ。特別なもの。そのためにこそコノネは己がナイフを振るい、『21位ゴリアテ殺し』の頬を切り裂くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

蒋・飛燕
●WIZ

とうとう黒幕が姿を見せたようネ!
馬鹿と煙は高いところに登るというけど、電波塔の上なんかに登れば逃げ場なんてないアル
下に溜まった毒霧から逃れつつ狙い撃ちする腹積もりだったアルかもだけど、ワタシのように自在に空を飛べるご当地ヒーローなら問題ないネ
投石されても軌道を見極めれば…アイヤー!?
あの石ころ、ずっとワタシを追いかけて来るヨ!
フェイントを掛けても追尾ミサイルみたいにクイックターンするし、ふたつみっつ増えるとオールレンジ攻撃みたいになって躱すのが精一杯ネ

こうなれば一撃の元で壊すしかないアル
『殲術執刀法』で石弾から逃げつつ、|死の永劫点《ホロウ・デス・ポイント》…硬いダイヤモンドでも一番弱い箇所に衝撃を与えるだけで粉々にできるプルッツフォン・ポイントを見極めるネ!
根拠は|ジャン軒《うち》に置いてあるお客さんが読む漫画に載ってた…ええっと、…なんとか書房だったアルか?
それを信じて…チョイヤー!
つま先蹴りで死の永劫点に命中ネ!
次の石弾を投げられる前に急接近して、一気に畳みかけるアルよ!



 砕けた投石。
 その破片が飛び散る最中、蒋・飛燕(武蔵境駅前商店街ご当地ヒーロー『緋天娘娘』・f43981)は知る。
 ついにこの事件の黒幕とも言うべき存在が己たちに攻撃を仕掛けてきた。
 単なる石。
 しかし、その石は確かに物理無効たる一般人たちを殺せるものであった。
 ユーベルコードに寄る投石は、ただそれだけで『21位ゴリアテ殺し』の優位性を示すものであった。
 銃や砲のように弾数の制限もなければ、銃声のような大きな音を立てるものでもない。
 古来より人は何かを投げることに特化した生物である。
 そこに知性が加わることによって、文明を築き上げてきたのだ。

 己より巨大なものを打ち倒すという特性。

 これをまさしく『21位ゴリアテ殺し』は有していた。
「チッ! まったくやってられねぇぜ。これだけ有利な場所に陣取って起きながら接近を許すたぁな!」
 彼は忌々しげに己の切りつけられた頬より滴る血を見る。
 猟兵たちの動きは速かった。
 ここまで迅速に判断して動けるとは思っても居なかったのかもしれない。
「馬鹿と煙は高いところに昇るというけど、電波塔の上何かに登れば、逃げ場なんてないアル!」
 飛燕は己の血に流れる爆血を持って飛翔しようとして目を見開く。
『21位ゴリアテ殺し』は高所と加えて猛毒の霧によって此方を一方的に、それも無差別に投石し封殺する腹づもりだったのだろう。

 だからこそ、なのだ。
 この状況は『21位ゴリアテ殺し』にとっても都合の良い状況とは言えない。
 飛燕のように飛翔することのできる存在が猟兵にはいるからだ。
 加えて。
「投石と言っても軌道を読めば楽勝ネ!」
「言うじゃあねぇか! だがよ!」
 殺人衝動が膨れ上がる。
『21位』という位階が示す実力は偽りなきものであった。
 投げ放たれた石。
 それが空中で軌道を変え、飛燕へと迫るのだ。ありえない軌跡だった。直角に曲がっているのに勢いもスピードも削がれていない。
「アイヤー!? これどういう理屈アルネ!?」
 飛燕は己を追い続ける石に戸惑う。

 音もなく、弾数制限もなく、しかも軌道を自在に変えるミサイルめいた石。
 コストも何もかからない。
 だが、当たれば確実に死に至らしめる力だった。
「こうなれば!」
 迫るは無数の投石。
 もしも、あのすべてが『21位ゴリアテ殺し』のコントロール下にあるというのならば、飛燕に逃げ場などない。
 故に彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
「一撃で壊すアル!」
 きらめくユーベルコードとともに彼女の拳が投石と激突する。
 それは彼女の拳を破壊するものであったが、しかし、彼女の拳は砕けない。
「なんだ……!? なんでお前の拳は砕けない!」
「ワタシの拳はダイヤモンドより硬いアル! 嘘アル!」
 そう、飛燕は見極めていた。
 投石の軌道は読み切れない。ならば、彼女が読み切ったのは、投石の死の永劫点――ホロウ・デス・ポイント。

 破壊できぬものを破壊しうる一点。
 そこを彼女は拳で砕いたのだ。
「あ、あれは……!」
 青い瞳の灼滅者『あいん』が目を見開く。
 知っているのか! うむ、みたいな流れはなかった。だが、わかる。なんとか書房出版の書物からでているなんかそれっぽいやつの第何巻かわからない何頁目かにホロウ・デス・ポイントが記されているのだ! 多分!
 飛燕は己の務める町中華に置かれている漫画に記載されていたことを信じ切っていたのだ。
「チョイヤー!」
 彼女の拳は投石を砕き、勢いそのままに『21位ゴリアテ殺し』へと迫る。

「ワタシの一撃は回復不能なる一打アル! 受けるがいいアル! これが、これこそが、殲術執刀法! あなたたちダークネスに打ち勝つために我が身を擲ってでも追い求めた力アル!」
 彼女の蹴撃の一撃が『21位ゴリアテ殺し』のみぞおちへと叩き込まれる。
 くの字に折れ曲がった体躯。
 撒き散らされる血反吐。
 それらを飛燕は躱し、その翼でもって羽ばたくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

蓬・白羽
あいんがエスパーを守ってくれてるのは勿論、大事な情報を教えてくれたから助かった
ありがとう、その情報は大事に活かすよ
お互い無事に帰ろう!

あいんの教えてくれた方向を凝視
敵は……電波塔の上から動くつもりはないのかな
それなら遠慮なくUCで観察させてもらうよ
観察を続けつつ電波塔を目指し、到着すれば登っていく

迫る石は日本刀で叩き落としていきたいけど
ある程度は身体で受ける覚悟をしよう
身体の一部を肉体変異でダークネス化、硬化
特に頭部などの急所はしっかり守れるようにしておこう
痛みは激痛耐性で堪える
エスパー達にぶつけられるよりはマシだからね

死の永劫点が分かれば仲間に共有
僕もそこを目掛けて攻撃
その衝動を終わらせよう



 戦いには役割というものがある。
 戦うもの、助けるもの。
 人は一人では生きていけない。だから支え合うし、助け合う。
 そういう意味では、この戦場は、そうした人間の性質が集約されているようにも思えた。
 復活ダークネス――オブリビオンたちは結託し、訪れるであろう猟兵と灼滅者へと復讐を果たすために己たちの役割を果たした。
 猛毒による一般人への加害を『28位ローズマリー・クメール』が。
 さらに猟兵と灼滅者をこの場に縫い留めるために囲いこむことを『量産型殺人鬼』たちが。
 そして、最後たる第三の矢『21位ゴリアテ殺し』が、遠距離からの無差別攻撃を行う。これによって猟兵や灼滅者は一方的に狙撃される運命にあったはず、だった。

「任せていいかい!」
「むしろ、そちらをお任せッス! 一般人の方々は私たちが避難誘導を開始します。必ず守りきってみせるッス!」
 青い瞳の灼滅者『あいん』の言葉に蓬・白羽(夜雨飛ぶ鳩・f43861)は頷く。
「ありがとう。必ず! お互い無事に帰ろう!」
 その言葉と共に白羽は駆け出す。
 偶然とはいえ、『21位ゴリアテ殺し』の驚異的な一撃から一般人を彼女は守っていた。だからこそ、電波塔の天頂という高所からの長距離射撃の起点を見抜くことができたのだ。
 白羽は、駆け出しながら戦場の空に明滅するユーベルコードの輝きを見た。
 猟兵たちと『21位ゴリアテ殺し』の攻防は凄まじい。
 空中で砕ける投石。
 ユーベルコードがこれを成しているのだ。

「見ろ……しっかり見ろ……必ずあるはずだ!」
「ちぃ! 本当厄介なことばっかりしてくれるぜ!」
 声が聞こえた。
 猟兵のユーベルコードの一撃が『21位ゴリアテ殺し』の胴へと叩き込まれていた。
 そこに死の永劫点――ホロウ・デス・ポイントがある。
 回復不能ダメージたる一撃は『21位ゴリアテ殺し』の腹部に刻まれている。
「そこか!」
 己が狙っていたことと全く同じことをした猟兵がいる。
 白羽は、その情報を受取、迫る投石を己がダークネスの体躯で受け止める。
 額にぶつかり、血が噴出する。
 けれど止まらない。
 電波塔を駆け上がっていく。痛みは無視する。そんなものどうってことはない。急所を守る。額への一撃は痛かった。

「それでも!」
 白羽はさらに迫る投石を弾きながら駆け上っていく。
 いいのだ。
 これでいい。自分に投石が向けられているということは一般人たちには攻撃が向けられていない、ということだ。
 ユーベルコードに輝く瞳。
 繋がる点と点。
 己にも見えている。先んじた猟兵の叩き込んだ一撃は、殲術執刀法。
 自分と同じ人造灼滅者がいる。心強いと思う。己も他の戦うものたちの標とならなかえればならない。
「正気かよ。電波塔を駆け上がってきやがるとは!」
「その衝動は此処で終わらせるよ。そんなもの他人に向けちゃあダメだってことは!」
「百も承知の上よ!」
『21位ゴリアテ殺し』の声が聞こえる。

 あの衝動は他者を殺すもの。だからこそ、白羽は日本刀を振りかぶる。
 もう見えている。
 その一点。
 死の永劫点。仲間が紡いできたものを引き継ぐように白羽は、その斬撃を『21位ゴリアテ殺し』に叩き込み、その腹部へとさらない癒えることのない斬撃の痕を刻むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

八木・仰河
飛んでくる石も既に落ちたやつも片っ端から眷属に変えちまうぜ。
粗造品だが逃げ遅れたり、逃げてる奴らの盾くらいにはなるだろ。

さて一段落したら、今の段階で出せるサイキックエナジー全部つぎ込んだ眷属を石遊び野郎の下に向かわせるぜ。
この眷属はそんじょそこいらのダークネスよりも強いくらいだが、下手に暴れさすと人様の家やら店やら壊しちまいかねん、さっさと畳んじまいたいもんだ。
流石に力を使い過ぎたんでアタシ自身は後ろに控えて前衛は任せるとしようじゃないか。



 確かに『21位ゴリアテ殺し』の投石は厄介極まりないものだった。
 彼が投擲すれば、ただの石もユーベルコードに変容する。加えて、石ころはそこら中にころがっている。
 補充は容易。
 さらに電波塔の天頂という高所。
 狙撃するにはあまりにも好都合であり、猟兵達は攻めあぐねる。
 敵を倒そうとすれば、近づかなければならない。
 故に、その間に狙撃されてしまうのだ。
「だが、これは相性の問題だ。アンタの得物が石だったのが運の尽きさね!」
 飛来する投石を真っ向から八木・仰河(羅刹の戦場傭兵・f05454)は見つめる。

 彼女は避けようとさえしなかった。
 代わりに彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
「眷属儀式・鉱晶式(ケンゾクギシキ・コウショウシキ)! 石遊びに金細工はアタシの得意とする所さね!」
 きらめくユーベルコードと共に彼女に迫った投石が変化する。
 そう、それは知性のない鉱物を眷属へと変貌させるユーベルコード。
 恐るべきことである。
 攻撃がそのまま仰河の手数へと変貌するのだ。
 眼の前に迫った投石が突如として仰河の眷属へと変貌し、くるりと反転して駆け出し、電波塔へと駆け上がっていくのだ。

「な、に!? どうなっている! 俺の投石が、化けた!?」
「ハハハッ、わかっていたがサイキックエナジーを食うねぇ! だが! 石遊び仲間っていえば、仲間。同族と言えば同族! アンタが投げれば投げる程アタシは、それを眷属化すればいい」
 だが、それは仰河のサイキックエナジーが尽きなければの話である。
 そう、このユーベルコードは相性において最高であるが、問題点はそこだけなのだ。仰河は己がサイキックエナジーが消費されていくのを感じる。
「チッ、大飯喰らいが」
 舌打ちする。
 早く勝負を決しなければ、此方がやられる。
 敵の手数は脅威。
 だからこそ、仰河は他の猟兵と眷属たちが『21位ゴリアテ殺し』を打倒することを頼みにしなければならないのだ。

「なら、物量で押し切るまでだ!」
「攻撃はアタシが引き受ける。眷属では間に合わないかもしれない……」
 たった一人で戦うのならば、仰河は『21位ゴリアテ殺し』の物量に押し切られてしまったかもしれない。
 だが、今の彼女はたった一人で戦うものではない。
 猟兵という枠組みの中ではあるが、共に戦うものたちがいるのだ。
 なら、と仰河は笑う。
「流石にこの物量はしんどいがね。アタシは知ってるのさ。猟兵は確かにオブリビオンに個体としての力は劣る。だがね」
 共に戦い、己たちより勝るものに勝利してきた要因は、唯一つ。
 ただ一人で戦わぬこと。
 つなぎ、紡ぐことでもって猟兵達は己たちより強大な存在を打ち倒してきたのだ。
 それを示すように仰河は投石の尽くを眷属へと変貌させ、防ぎきって見せたのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
弾丸のような投石を結界術で防ぐのも限界がある
けれど、一般人まで狙われているなら
この場をなるべく離れたくない

ここから狙い撃つしかないわね
猟兵の活躍によって大体の位置は把握できた
アスリート魂『心』から月光の矢を放つわ
遠距離からの攻撃……刹那の読み合いが明暗を分ける戦いね
顔も見えないけれど、駆け引きに長けた相手だとわかる
試合で鍛えられた自分の勘を信じるしかない

どんな強敵が相手だろうと
私は今まで積み上げてきたもので挑むだけのこと
それを知ったから、怯まずに踏み込むような一撃を出せる



 猟兵の一人が多くの投石を無力化していた。
 だが、圧倒的な物量で放たれ続ける『21位ゴリアテ殺し』の投石は、未だ止まない。
 やはり恐るべき敵である。
 これだけの三段構えの策をもって灼滅者たちに復讐を端さんとしているだけのことはある。
「限界があるのね」
 薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は共に戦うものたちの戦いぶりを見やる。
 だが、彼女は離れられない。
 これもまた敵の策の内であるというのならば、やはり恐ろしいことだ。

 投石は猟兵たちばかりをねらったものではない。
 未だ市街地に残されている一般人たちも標的になっているのだ。無差別攻撃。これによって猟兵達は離れるに離れられない。
 そして『21位ゴリアテ殺し』は高所より自分たちを一方的に狙えるのだ。
「ここから狙い撃つしかないわね」
 静漓は即座に決断する。
 何も迷うことはない。
 敵が高所より動かず、自分もまた動けないというのならば、ここから攻撃を叩き込むしかない。
 確かに自らの攻撃の精度は『21位ゴリアテ殺し』に及ぶまい。
 わかっている。

 けれど、やらなければ可能性はゼロだ。
「位置は……そこね」
 静漓は一点を見定める。はるか先、電波塔の天頂を狙うには、あまりにも遠すぎる。まさに針の糸を通すようなコントロールが必要とされるだろう。
 だが、彼女は見た。
 猟兵たちのユーベルコードの輝く様を。
 静漓は一つ頷いて、月光の矢を番える。
「顔も見えない。姿も見えない。わかるのはユーベルコードの煌きのみ」
 刹那の判断一つで明暗を分かつ。
『21位ゴリアテ殺し』もさるものである。遠距離攻撃に精通したものは、己が狙撃される可能性もまた同時に認識してるものであろう。

 己の攻撃の意思に反応して投石を放ってくるかもしれない。
「どんな強敵が相手だろうと、私は今まで積み上げてきたもので挑むだけのこと」
 多くの経験があった。
 強敵との戦いもあったし、ライバルとも言えるものたちとの戦いもあった。
 戦友とも言うべきチームメイトたちと競い合ったこともあった。
 全ては己の路だ。
 振り返れば、そこにいる。
 だからこそ、静漓は振り返らない。
「それを知ったから、怯まずに踏み込むことができる。この思いが、言葉で伝わらないなら」
 静漓の瞳がユーベルコードに輝く。
 月光が青い瞳に宿り、つがえた光の矢が放たれる。
 距離を無にするかのような一射。
 空を切り裂くように走る光が『21位ゴリアテ殺し』へと迫る。

 投石を砕きながら、それでも勢い殺さずに迫り、そのユーベルコードの輝きの痕をなぞるようにして、吸い込まれた光の矢が『21位ゴリアテ殺し』の体躯を貫く。
「この距離で、俺に当てる、だと……!?」
「私は怯まない。何も恐れない。だって、私はもう知っているもの」
 それは静漓の意思だった。
 強固な意思。
 それによって彼女は、この距離……市街地から電波塔の天頂という超長距離射撃を成功させ、『21位ゴリアテ殺し』の腹部を穿つのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

摩津崎・灰闢
安全圏からの投石殺し、凄いですねえ
私の手には負えない相手です
とはいえ依頼完遂の為、微力ながら貢献しますか

敵の相手は他猟兵に任せるとしても、この状況では衆人を避難させる余裕はない
ならば分相応に手の届く範囲を守り、撃破まで持ち堪えてみましょう
…ふふ、こういう時に己を顧みず全てを守ろうと堕ちるのがかつての灼滅者でしたね

人を守る立ち位置にて、WOKシールドを構え最大出力で展開
腰を落とし、受けた衝撃で吹き飛ばされないよう身構え耐える
同時に、周囲と声を掛け合い守りを確実にします
投石を捌ききれない状況となればUC発動
足元の影を幕のように目前に広げ、石を受け止め敵方向へ発動

守る立場は中々やり甲斐がありますよ?



 投石が雨のように降り注ぐ。
 無差別に放たれた石は、それ自体がユーベルコードであった。
『21位ゴリアテ殺し』の放った投石は、それだけで一般人を殺すにたり得る威力を持ち得ていた。
「凄いですねえ」
 摩津崎・灰闢(済度無相・f43898)は電波塔の天頂から放つ投石の一撃を見て、感嘆の声を上げる。
 超長距離射撃めいた投石。
 銃でもなければ、弓矢でもない。
 ただの石塊が必殺の威力を伴って遥か向こうから飛来するのだ。
「私の手には負えない相手です」
 果たしてその言葉は真実か偽りか。
 できれば、と思う。できれば己の言葉が誰かに真実のように響けばいい、と。

「とは言え、微力ながら貢献しますか」
 己は行動でもって己を守る外殻を作り出す。
 行動が己という存在の正しさを証明してくれる。
 しかしながら、『21位ゴリアテ殺し』のユーベルコードは凄まじい。本体とも言うべき敵を打倒するのは他の呂兵に任せても、しかしこの状況では一般人を避難させる余裕はない。
「……ふふ」
 思わず笑みがこぼれる。
 この状況。人々を守るために己の手の届く範囲で戦う。
 仲間に敵を任せ、己ができることを為す。
 時にそれは己を顧みることのない行為であったことだろう。誰かを守るために己の中の闇を解き放つ。
 それが闇堕ちというものである。
 嘗ての灼滅者たちの多くが、闇を恐れども力を恐れることなく選択したことを彼は思い出した。

 腰を落とす。
 飛来する投石は必殺。
 ならばこそ耐え切らねばならない。シールドが最大出力で展開する。敵は無差別に攻撃している。ならばこそ、己の背に人々をかばうのだ。
「下手に動かぬように。私の後ろならば、投石はきません」
 そう告げる。
 絶対はない。そう、絶対はないのだ。けれど、そう言葉を紡ぐのが灼滅者だとも思っていた。
 投石の一撃がシールドを貫通する。
 砕けた。
 ダメだ、とも思った。ならば、瞬時に瞳をユーベルコードに輝かせる。

 因果応報(インガオウホウ)という言葉がある。
 己の足元から出現した影業がシールドを砕きながら迫る投石と激突する。防げないだろう。わかっている。
 けれど、同時に灰闢は笑む。
「その技、お返しします」
 瞬間、彼の瞳はさらにユーベルコードに輝く。
 悪辣な輝きだった。
 影業で受け止めた投石はユーベルコード。ならば、己は、それを受け止めたのだ。そして、それを己は同様に放つことができる。
 遠く存在する『21位ゴリアテ殺し』には届かない言葉であったかもしれないけれど、それでも灰闢は笑って、その場にあった瓦礫を掴み上げる。
 影業すら貫通した投石。
 己の足をかすめたとは言え、その衝撃と痛みは尋常ではない。
 だが、それでも。
「守る立場はなかなかやり甲斐がありますよ?」
 放つ投石の一撃が一直線に電波塔へと走り、その一撃が『21位ゴリアテ殺し』を射抜くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

蒼月・碧
超遠距離からの攻撃は厄介だよね。
しかも上を取っているから余計に…。

それなら、相手のアドバンテージを無くしてあげたらっ!
箒飛行で敵の方へ飛行していくね。
もちろんこのまま接近できればいいけど、そんなことはないよね。
思いっ切り、意表を突く攻撃をしてあげるよっ!

碧星の闇刃で
射程:8、回数:1、命中:1、受け:0にモードチェンジ。
これで攻撃しても当たりにくいけど…。
もっといい攻撃対象があるよね?
将を射る前に馬を射るだけ。

つまり、敵の登っている電波塔をざっくりと真っ二つに切断っ!
その後は思いっきり箒飛行で接近してから、降魔の光刃で切り裂いていくよ。

アドバンテージがなくなったらただの遠距離攻撃だよね?



『21位ゴリアテ殺し』の能力は厄介極まりないものだった。
 弾数制限のない投石による超長距離射撃。
 加えて高所という圧倒的な地の利。
 そして、猟兵、灼滅者たちは一般人を守らねばならないという状況。
 いずれもが彼らに不利に働くものばかりであった。
「でも、それなら相手のアドバンテージをなくしてあげる!」
 蒼月・碧(碧星の残光・f43907)は、またがった魔法の箒と共に飛翔する。
 敵の利、その一つである高所から低所への攻撃は飛翔で解決できる。だが、飛翔する、ということは他とは違う行動を取る、ということでもある。
 地上であれば遮蔽物といった身を隠すものがあるが、しかし、飛翔すれば空に遮蔽物は存在しない。

 故に『21位ゴリアテ殺し』は瞬時に狙いを碧へと切り替える。
「飛ぶ奴もいるのかよ。まったく、埒外にも程がある」
 放たれる投石。
 殺人衝動を載せた投石は、加速し、如何に碧が空中機動を行おうとも自在に軌道を変えて彼女へと追いすがる。
「わわっ! それって曲げることができるの!?」
 空中でまるで追尾するミサイルかのようにただの石が碧を追う。
 恐るべきことである。
 投石は安価にして、そこら中に存在するものだ。
 単純に投げるだけでも脅威であるが、そこに『21位ゴリアテ殺し』の力によって軌道と加速を自在に変えられるのならば話が変わってくる。
 碧は魔法の箒にまたがりながら、せまる石から逃げるように飛ぶ。

「意表を突く攻撃をしてくれるよね! なら!」
 碧の瞳がユーベルコードに輝く。
「闇を越えて、新しい朝の為に……闇よ、すべてを切り裂けっ!」
 碧星の闇刃(ヘキセイノアンジン)が長大な刀身を形勢していく。
 天を貫くような刀身。
 その振りかぶった斬撃の一撃は電波塔の天頂に座す『21位ゴリアテ殺し』へと振り降ろされる。
「将を射る前に馬を射るだけ!」
 振るわれた斬撃は長大な刀身と共に電波塔を唐竹割りのように両断する。
 衝撃が荒び、そのさなかを碧は飛ぶ。
「馬鹿かよ! こんなことを!」
『21位ゴリアテ殺し』は一撃で両断された電波塔の天頂に手をかけて、その一撃を見やる。足場が不安定になれば、当然此方への対処も疎かになる。

 碧は間髪入れず箒と共に『21位ゴリアテ殺し』へと飛び込み、光刃を叩き込む。
「アドバンテージがなくなったら、ただの遠距離攻撃だよね?」
 積み重ねていく。
 どんな強敵だってただ一人で倒せることはない。
 だから、灼滅者だって猟兵だって共に戦っているのだ。一人ではどんな時だって辛く厳しい道しか待っていない。
「みんながいる。それだけで、ボクたちは立ち向かっていけるんだ――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

(膝を抱えて空の練乳チューブをくわえてフリーズ)

……練乳……バナナ。
つめた……あま……(瞳に光戻って)

きらりん☆
光の勇者ルクスちゃん、ふっかーつ♪

とりあえずあの投石はヤバイで……。
あ、ヤバイっていっても、ステラさんのとは違いますからね!
本質的に違うっていうか、ステラさんは物理ヤバイより精神ヤバイですから!

いえ、もちろん物理がヤバくないわけではないんですけども!

そういえば、なんかさっきから、名前に順位がついてる方がいますけど、
あれってなんなんでしょう?
ヤバさの順位ですか? それならステラさんがぶっちぎrタタカイマス!

【ラデツキー行進曲】で、
石をふっとばしつつの、演奏コンボいきまーす!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の! 香りが……しない?
あれ?センサー鈍りましたか私?
いえ、待ってください
『青い』瞳……?
まさか、貴女がこの世界の|希望の熾火《プロメテウス》?
いえ、セラフィムは?
それに女性のプロメテウスは……

ええい、情報が足りません
とりあえずは
ルクス様ーこういう時は理不尽なまでに強いルクス様ー
でば……し、しんでる!?
いえ、まだ間に合います!
冷やした練乳バナナの甘さで戻ってきてください!?
ふぅ……さて

距離があるなら薙ぎ倒しましょう
フォル!いらっしゃい!
からの【ファム・ファタール】で!
ええ、何もかもまとめて吹っ飛ばせば距離も位置も関係ありません!
追撃はルクス様にお任せしましょう



 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は困惑していた。
 自分が感じ取れるはずものが感じ取れない。それは彼女にとって己の存在意義が歪むほどの衝撃であった。
 鼻がひん曲がってしまったとも言えるかもしれない。
 事実がどうであれ、ステラは己のセンサーが鈍ってしまったのかと頭をふる。
 いや、そんなことはない。
 自分のセンサーは完璧である。
 どんな些細なことでも逃すつもりはない。
 故に彼女は己の鼻を最大限にひく付かせる。
「『青』い瞳……?」
「え、なに、なんスか? なにか私の顔についてます?」
 青い瞳の灼滅者『あいん』をステラは見た。
 じっとみた。
「まさか、貴女がこの世界の|希望の熾火《プロメテウス》? いえ、『セラフィム』?」
 その言葉に『あいん』は首を傾げた。
「どうしたッスか? いえ、っていうか、お連れさん、目がなんか死んでる感じですけど!」
『あいん』の言葉にステラは振り返る。
 そこにいたのは膝を抱えて空の練乳チューブをくわえているルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)の姿があった。

「……練乳……バナナ。つめた……あま……」
 徐々に糖分摂取によって瞳に光が戻って来る。
 それでいいのか、と思う。だが、それでルクスが復活するのならば、安い買い物であるとも言えるだろう。
「きらりん☆ 光の勇者ルクスちゃん、ふっかーつ♪」
「……どういう理屈ッスか? よくわからないんですけど、やれるってことですよね!?」
「ええ、まあ、ええ、ええと……情報が足りません!」
 いや、どう見ても情報の大混雑で大渋滞である。
 ゴチャゴチャしすぎてよくわからなくなるのは、当事者にとっては有り得ることである。
 だからこそ、ステラは迫りくる投石に身を翻す。

「とりあえず、あの投石はヤバ……あ、ヤバいっていっても、ステラさんのヤバさとは違いますからね! 本質的に違うっていうかステラさんは物理ヤバいより精神ヤバいですから!」
 ルクスはそんなことを言いながら練乳チューブをぽいっとゴミ箱に投げ入れた。
 そのさなかにも投石が飛来しているが、あたっていない。なんで?
「いえ、もちろん物理がヤバくないわけではないんですけれども!」
「その話は後にしていただけません!? 先ほど練乳バナナの冷たさと甘さで戻ってきたではないですか! こういう時は理不尽なまでに強いルクス様ー! さっきまでは死にかけていたのに、復活したルクス様ー!」
 ステラの言葉にルクスはバッチリ、サムズアップで応える。
 この勇者にお任せあれ! くらいの感じであった。
「そういえば、さっきから、名前に順位が憑いている方がいますけど、あれってなんなんでしょう?」
「六六六人衆の位階ッス! 当然、順位の桁数が小さければ小さいほど……強いということです!」
『あいん』の言葉にステラとルクスは、なるほどなーと頷く。
 なんかここだけ空気が違う気がする。
 緊迫していないというか、いつも通りというべきか。

「つまり、ヤバさの順位ってことですね。それならステラさんがぶっちぎり、タタカイマス!」
 ルクスはステラの眼光がユーベルコードに輝いたのを見た。
 ヤバい、と思った。
 これはまさか。
「『フォル』、いらっしゃい!」
 出現する鳥型キャバリア『フォルティス・フォルトゥーナ』がルクスの体を、むんず、と嘴でくわえ込む。
「いやー! またじゃないですかー!」
「追撃はルクス様にお任せ致します! それでは、ファム・ファタール! スタートッ!
 その言葉と共に『フォルティス・フォルトゥーナ』はルクスを嘴に加えたまま飛翔する。
 何もかもぶっ飛ばせば、距離も位置も関係ない。
 電波塔は他の猟兵の一撃で唐竹割りのように両断されている。
 敵は不安定な立ち位置で身動きが取れない。
 ならば、投石さえ吹き飛ばせば!

「いーやー、でーす-!」
 一気に空を飛翔する『フォルティス・フォルトゥーナ』は、そのソニックブームを生み出すほどの速度で持って『21位ゴリアテ殺し』の体勢を更に崩しながら、ルクスを届けるのだ。
「やけっぱち、ラデツキー行進曲(ラデツキーコウシンキョク)!」
 ルクスは加速を受けた体で『21位ゴリアテ殺し』へと飛び込む。
「な――!?」
「ええーい! バイオリンからのグランドピアノ! そんでもってさいごはー!」
 ユーフォニアムによる炸裂する破壊音波。
 吹き荒れる音の洪水が『21位ゴリアテ殺し』へと叩き込まれるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シャムロック・ダンタリオン
ふん、わざわざ目立つところに陣取りおって。それで有利な状況になってるつもりか。
(呼び出したアスモダイXを【操縦】し、【推力移動・空中機動】で電波塔に向かう)

それにしても、六六六人衆…奴らにとって殺人は呼吸と同義か。
それに「ゴリアテ殺し」か、ダビデ王を気取ってるつもりか?(【世界知識・戦闘知識】)

敵の【殺気】を読みつつ、飛んでくる石礫を【切断】したり、【衝撃波】で弾き飛ばしながら接近。
そしてUCの射程距離に近づいたところで、魔法剣で【串刺し】にしてやろうか(【全力魔法】込みで)。

※アドリブ・連携歓迎



 凄まじい音の洪水と巨大な斬撃。
 それによって『21位ゴリアテ殺し』が座していた電波塔は天頂から歪むように傾いでいた。
 不安定な足場にて猟兵のユーベルコードを受けた彼は血反吐を撒き散らしながらも笑う。
「参ったね。ここまでメチャクチャな連中がいるとは」
 彼の言葉に偽りはない。
 嘗て戦い、敗れた灼滅者たちだけではない。
 他世界からの侵入者とも言うべき猟兵達。彼らのユーベルコードは格段に己たちの想定を上回っていた。
 三段構えの攻勢。
 それさえも猟兵達は乗り越えてくる。
 ならば、当然追い込まれることも織り込み済みでなければならなかったのだ。

「ふん、わざわざ目立つところに陣取りおって。その程度の有利、覆せぬ猟兵であると思ったか」
 シャムロック・ダンタリオン(図書館の悪魔・f28206)は己がキャバリア『アスモダイX』を召喚し、飛翔する。
 敵との距離を詰めるためには、こうする他なかった。
 迫る投石は機体の装甲をたやすく打ち砕く。
 石の礫程度のものであっても、それ自体がユーベルコード。
 加えて、『21位ゴリアテ殺し』の力によって加速も軌道も自由自在なのだ。
 空にて『アスモダイX』と共にシャムロックは、そのアイセンサーをユーベルコードに輝かせる。
「六六六人衆……奴らにとって殺人とは呼吸と同義か」
 見下ろす先の『21位ゴリアテ殺し』は不敵に笑った。
 血に塗れながらも、しかし笑ったのだ。

「ただの衝動だよ。殺さずにはいられない。殺さなければならないでも、殺すしかないでもない。ただ、そうすると己が決めて、如何にして殺すか、だ。殺意の源なんて俺達が生命である以上、どうしようもないことだろうが!」
 放たれる投石。
 まるで追尾ミサイルのように『アスモダイX』を付け狙う石。
「ふん、その名前。ダビデ王を気取ってるつもりか?」
 巨人殺し。
 投石によって体躯の差を容易く埋め、これを打倒するもの。

 ならば、今の状況はそれと重なるだろう。
 鋼鉄の巨人を駆るシャムロックと、それに立ち向かう『21位ゴリアテ殺し』。
 その姿は嘗て在りし日の何かを想起させる。
 アイセンサー煌めく『アスモダイX』の周囲に魔法剣が現れ、迫る投石を切り裂き、砕く。
「過去在りし結果が未来においても同様の結果を生み出すと過信するのならば」
 飛翔する魔法剣が一斉に『21位ゴリアテ殺し』を包囲する。
 防ぐことなどさせない。
 放たれる投石と激突する魔法剣。
 いずれもが必殺の威力を持ち得るからこそ、魔法剣は砕ける。それでも生み出した魔法剣の数はシャムロックの技量に後押しされて宙を舞う。
「その身、切り刻んでくれる」
 煌めくユーベルコードの輝きと共に放たれた魔法剣が、その体躯を貫くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

戒道・蔵乃祐
嘗てのサイキックハーツ世界では、バベルの鎖による隠蔽と欺瞞でダークネスが関わった歴史的転換点は闇に葬られてきた

しかし実際の事件を基にした二次創作物を物理的に処分することは出来なかった故に、事実とは異なる神話や逸話が現在にも伝わっているのだろう
ペリシテのゴライアスと羊飼いダビデの一騎討ちも恐らくはその内のひとつであったのでしょうね

◆置行堀
投石の射角と軌道を心眼+野生の勘で見切り、乱れ撃ち+投擲の指弾で撃ち落としながらゴリアテ殺しまで接近

早撃ち勝負を申し込みましょう
限界突破のクイックドロウ+早業でメダルを撃ち込み、投石の直撃弾はジャンプ+ジャストガードで蹴り砕く

技比べでは僕が負けていたか
お見事



 戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)はサイキックハーツにおける戦いの歴史を紐解くものであったのかもしれない。
「嘗て、バベルの鎖による隠蔽と欺瞞によってダークネスが関わった歴史的転換点は闇に葬られてきた」
 それがこの世界の歴史である。
 多くの歴史がダークネスによる支配の結果でしかない。
『21位ゴリアテ殺し』
 その名はダークネス。
 六六六人衆。その位階に存在する彼の歴史的意味が真に正しいものであるのかを検証する術は、今ここにはない。
「ならば、ペリシテのゴライアスと羊飼いダビデの一騎打ちもおそらくはそのうちの一つであったのでしょうね」
 憶測だ。
 けれど、それが正しい歴史の一つの解釈であったのかもしれない。

 今、この戦場となった市街地を狙う超長距離射撃。
 投石による殺人技巧。
 無差別にによる猟兵と灼滅者たちへの択を迫る行為。いずれもが悪辣にして賢さのなせる業であったことだろう。
 故に、蔵之祐は踏み出す。
 己の一歩がなければ、敵を打ち倒すという結果も得られまい。
 どれだけ傷つくのだと知っていても、その一歩がなければ何も始まらないのだ。
「だったらどうしたよ。俺は俺が殺したいように殺す。こうやって殺す、と決めたんだよ。それを実行するだけだ」
 血反吐撒き散らすのは、すでにその身に回復不能なるダメージが叩き込まれているからである。
 猟兵と灼滅者。
 彼らのユーベルコードは、確かに強大なオブリビオンである『21位ゴリアテ殺し』を追い詰めていたのだ。

 迫る投石をかいくぐるように蔵之祐は指弾による投石の相殺を狙いながら、唐竹割りのように割れた電波塔へとひた走る。
 すべてを撃ち落とすことはできなかった。
 勢いを殺せず、その投石の破片でもって腕が切り裂かれ、血潮が飛ぶ。
 それでも構わない。
 早撃ち勝負はおそらく『21位ゴリアテ殺し』の独壇場であろう。
「技比べでは僕が負けていたか。お見事」
 確かに己の技量は『21位ゴリアテ殺し』に届かないだろう。
 けれど、己達はただ一人で戦っているわけではない。

 無数の投石をかいくぐり、電波塔を駆け上がる蔵之祐。
 その天頂に飛び込み彼は妖怪『のっぺらぼう』の描かれたメダルを『21位ゴリアテ殺し』へと叩き込む。
「――、これは!」
「ええ、置行堀(オイテケボリ)……すでにあなたは灼滅者に敗れた。その事実は変わらない。故に、ここにあなたは置いていかれるのです」
 蔵之祐のユーベルコードが輝く。
 その妖怪メダルは、『21位ゴリアテ殺し』のユーベルコードを強制停止させる力を持つ。
 この一手を叩き込むために蔵之祐は己が身を顧みなかったのだ。

 これですべてが覆るわけではない。
 だが、確かに一助になることだけは確か。それを為した蔵之祐は見事、と『21位ゴリアテ殺し』の技量を讃えながらも、勝利を得るのは己達であると示すように彼の策動の一つを潰したのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
遠距離からチマチマと嫌がらせをするのが、そっちの殺人技巧かな?
それなら、前に出てきたローズマリーの方が張り合いがある

けど電波塔ごと一刀両断…したら、後の処理がね…
うーん…よし!
【断章・不死鳥召喚〈超越進化〉】起動
不死鳥召喚
全部でゴリアテ殺しへ突撃だ
翼で斬り裂き、体当たりして蒼炎で『焼却』

ほら、電波塔とか高い所には大概鳥の巣があるもんでしょ
その場所は殺人鬼には勿体ないってね

私は不死鳥に攻撃させている間は、投石への対象をしていよう
『斬撃波』を飛ばして石を迎撃
数が多いようなら、『念動力』で斬撃波の波を拡張し衝撃範囲を拡張し『吹き飛ばし』て時間を稼ごう
私も剣で切り払って被害が出ないようお仕事しよう



「うーん……後処理」
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は、猟兵の斬撃の一撃が電波塔を唐竹割りのように両断したのを見て、思わず唸った。
 確かに地の利はあちらにあった。
『21位ゴリアテ殺し』は、電波塔の天頂という高所を確保し、弾数無制限の投石による超長距離射撃によって此方を一方的に打倒しようとしていた。
 しかし、猟兵たちの活躍によって、それは阻まれている。
 無差別なる攻撃も猟兵達は守りに専念する者と攻勢に打って出る者に分かれて行動していた。
 打ち合わせもなにもないだろう。
 ただ、その場に居合わせた、という偶然。
 駆けつけたという延長線での連携。
 それが見事にハマった形になっていた。だからこそ、玲は息を吐き出す。

「だからってこれ以上壊しても大変だからね! よし!」
 断章・不死鳥召喚〈超越進化〉(フラグメント・フェニックスドライブ・エクステンド)によって、蒼炎で構成された不死鳥を召喚し、その蒼炎の翼でもって不死鳥達を飛び立たせる。
「まったく、遠距離からチマチマと嫌がらせするのが、そっちの殺人技巧なのかな。それなら、まだ『38位ローズマリー・クメール』の方が張り合いがあったよ」
 彼女が召喚した蒼炎纏う不死鳥たちが一気に空を駆ける。
 羽ばたく炎は熱波となって一気に電波塔へと殺到し、『21位ゴリアテ殺し』を包囲する。
「ほら、電波塔とか高いところには大概鳥の巣があるもんでしょ。その場所は殺人鬼にはもったいないってね」
「むちゃくちゃしといてよく言うぜ。こんな状況で!」
『21位ゴリアテ殺し』のスリングが投石を放つ。
 不死鳥の突撃を受けながら、それでもなお、躱す。
 足場の悪さなど意に介してないのは、さすがは位階が二桁台である、ということだろう。

 故に玲は己の抜き払った模造神器でもって、投石された石を切り裂く。
「まったく本当、チマチマと」
 周囲への被害を抑える。
 且つ、敵をも打倒する。
 それを同時にこなさなければならないのが猟兵としての役目だ。確かに戦いづらい。復活ダークネス、オブリビオンの策動は三段構えで見事であった。
 此処まで戦いづらい状況に追い込まれる。
 だが、それでも玲は飄々と笑う。
「まったくよく笑っていられるな、猟兵!」
「そりゃ、笑うしかないでしょ。こんなお仕事大変なんだもの。笑ってやらなきゃ、それだけでそっちに付け入る隙を与えることになるでしょ!」
『21位ゴリアテ殺し』の放つ投石が扇のように広がる。

 来た、と玲は思っただろう。
 無差別攻撃とは言っても、スリングより投石されるのならば、どうあっても射角というものが制限される。
 だからこそ、敵の攻撃は読みやすかった。
 けれど、ここに来て広範囲に投石をばらまく方向に舵取りをしたのだ。
 如何に投石が『21位ゴリアテ殺し』によって軌道も加速も自在であったとしても、そこには限度というものがある。
 対する己は違う。
 如何に扇状に広がった投石であっても。
「私の剣は切り払えーる!」
 念動力で拡張された斬撃波。
 迸るように放たれた斬撃が扇状の投石を尽く撃ち落とすのだ。

「何……!」
「こっちの隙をこじ開けようってんなら、逆にこじ開けられるってもんでしょ!」
 その衝撃の最中に飛ぶは、不死鳥。
 蒼炎の炎纏う翼が一気に『21位ゴリアテ殺し』の体を切り裂き、その血潮を蒼炎が焼き切るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

んもー
いい感じで終わったと思ったとこによこやりするー
なんとなく分かってきたよキミたちのやりかた
本当に困ったちゃんだね!

●罪の無い者だけが石を投げよ
って知ってる?ダメだよーキミが投げちゃー
ボク?ボクはもちろん投げていい側だよ!(ブンッ!ブンッ!)
と【第六感】で探して感知した投摘と射点に対してUC『神罰』で巨大化させた[球体]をシューーッ!してドーーーーンッ!!
飛んでくる石を相殺しつつ射点を粉砕していくよー!

やれやれーこっちの世界もなかなか楽しそ…大変そうだね!
でも大丈夫!ボクたちはみんなの味方だよ!
大船に乗ったつもりでいてよねー!



 これは横槍だった。
 結局のところ、復活ダークネス、特に六六六人衆たちは、個人的に行動する者たちが多かった。そんな者たちが結託するという状況こそが猟兵たちにとっては脅威だったのだ。
 一の矢は『38位ローズマリー・クメール』による猛毒と一般人たちへの襲撃。
 二の矢は、そうした状況を囲い込む『量産型殺人鬼』たちであった。
 そして、迫る三の矢は『21位ゴリアテ殺し』による無差別射撃による選択。
「んもー、いい感じで終わったと思ったとこによこやりするー」
 なんとなくわかっていたことだ。
 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は憤慨する。
 憤慨するが、それで状況がどうなるということはない。
「君たちのやり方、こういうことなんだね。本当に困ったちゃんだね!」

 ロニは唐竹割りのように両断された電波塔にて戦う『21位ゴリアテ殺し』の姿を認める。
 この状況にあってなお、彼はスリングを手にして投石を行う。
 血潮流れ、圧倒的に状況は猟兵たちに傾いで尚、彼はそれをやめない。
 まるで呼吸と同じだと言わんばかりであった。
 呼吸を止めたら死ぬ。
 だから、呼吸する。
 それと同じように彼らにとって殺人とは、呼吸と同じなのだ。
 殺さなければ己という存在を定義できない。

 故に投石する。
「罪のないものだけが石を投げよって知ってる? ダメだよーキミが投げちゃー!」
「ハッ、生まれた時点で罪ありきの生命が言うことかよ」
「ボクはもちろん投げていい側だよ!」
 ロニは己が球体を拡大させ、投げ放つ。
 飛来する投石を粉砕しながら、宙を飛ぶ球体は両断された電波塔すら拉げさせながら『21位ゴリアテ殺し』へと迫るのだ。
 砕ける電波塔の鉄骨。
 軋みあげる塔。
 それでもなお、『21位ゴリアテ殺し』は高所に陣取る。
 己はまだ負けていないし、殺しきれているわけでもないと言わんばかりだった。
「やれやれーこっちの世界もなかなか楽しそ……大変そうだね!」
 でも、とロニは笑う。

「だいじょうぶ! ボクたちはみんなの味方だよ! 大船に乗ったつもりでいてよねー!」
 そんなふうに一般人たちにロニは笑いかける。
 神罰(ゴッドパニッシュメント)の如き一撃。
 これほどの一撃が何を齎すかなど言うまでもない。
 圧倒的な破壊。
 それによって電波塔は傾いでいる。
「……まあ、だいじょうぶだいじょうぶ!」
 何を根拠に、と誰かが思ったかもしれないがロニは深く深く頷いた。
 深く考えないようにしようとしているのかもしれないが、しかし、現実からは目を逸らせない。
 そして、ロニは球体を収め、その破壊を見なかったことにするのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鷹神・豊
ち…厄介だな
だが奴に出来て俺には不可能とは考えない

飛来する投石は咄嗟の一撃で粉砕する他ない
防戦一方では打開できん
対処不能な分は味方を信頼して任せ
あいん君の示した方角に目を凝らす

無差別攻撃しか出来んなら
奴より俺の方が視力は良いだろう
悦に浸っている隙にダッシュで人混みを駆け
踏み台に使えそうな物を足場にジャンプ
迅速に電波塔の元へ
これに登りたがる阿呆は一般人でも稀にいる
つまり俺にも可能という訳だ

普通に登ってくるとは思わなかったか?
これが俺のUCなのでな
死にゆく貴様には教えてやるが
あまりこの社会の警察を舐めない事だ
量産型共見ていろ

射撃なり下へ蹴落すなりで排除する
単なる不法侵入者として
平々凡々に散っていけ



 道は示されている。
 煌めくような道だ。誰か一人ではか細い光でしかない。点のような、線のような、そんなものだ。
 けれど、より合わされることによって点は線に代わり、線は糸へと変わる。
 糸は紡がれ、運命に至る。
 確かに『21位ゴリアテ殺し』の能力は厄介極まりないものだった。
『38位ローズマリー・クメール』の猛毒と『量産型殺人鬼』たちによる猟兵たちの戦場への縫い止めは、こと投石による長距離射撃と相性が良すぎた。
 すべての敵の行動が此方に選択を強いるものばかりであった。
 敵を打倒するか、それとも一般人を守るか。

 灼滅者たちにとって、それは酷なる選択であっただろう。
 できるだけ多くを救いたいと願うのが彼だ。より多くを幸いに導きたいと思い、そのために己が身を掛ける者たちだと知っている。
 だからこそ、『21位ゴリアテ殺し』の悪辣さが浮き彫りになる。
 走る。
 一刻も早く、あの唐竹割りのように両断され、拉げた電波塔の天頂に未だ座す『21位ゴリアテ殺し』を打倒しなければならない。
 判断する。
 この場に居合わせた者たちのすべてを信頼する他ない。
 一般人たちの救助、護衛。
 そして、これまで積み重ねてきた猟兵たちの攻勢。

 これを無に帰さぬために鷹神・豊(蒼天の鷹・f43985)は走る。
「奴にできて俺には不可能などと考えるものか」
 目を凝らす。
 いる。まだ生きている。存在している。
『21位ゴリアテ殺し』は、投石のフォームに入っている。
 手にしたスリングが回転している。
 殺傷能力を高めるためだろう。
 走る。走る。走れ!
 大地を蹴って、豊はユーベルコードの明滅する空を見上げる。
 猟兵たちのユーベルコードが『21位ゴリアテ殺し』を追い詰めている。
「両断され、拉げてなお、この高さカ。だが……これに登りたがる阿呆は一般人でも稀にいる。怖いもの見たさ、落ちてもまあ、助かるだろうという呑気さ。なら」
 己にできない理由がない。
 駆け上がる。

 手をかけ、足をかけ、超常たる力を宿した体躯が天稟(テンピン)たる素養の結実を発露する。
 投石の軌跡も己が視神経が電流のように火花をちらしながら知らせる。
 ただ、単純なことだった。
 動作の繰り返し。
 その工程が尋常ではない、と言うだけの話だ。
 加えて『21位ゴリアテ殺し』は唯一人。
 もはや味方はおらず、策動の尽くが打ち砕かれてきた。そして今、彼は回復不能なるダメージを身に負っている。
「そんな状態でまともの戦えると思うなよ」
「こんな状況で昇ってくるかよ、普通」
「だろうな。だが、これが俺だ」
 豊は駆け上がり、『21位ゴリアテ殺し』を認識する。
 深手を負っている。だからこそ、告げる。己が本分を。

「死にゆく貴様に教えてやるが、あまりこの社会の警察を舐めない事だ」
「馬鹿げたことを! それが何の役に立った。そうした機構すらも俺達ダークネスが!」
「根本から違う」
 豊は放たれた投石を躱し、踏み出す。
 己が触れた指を思う。
 平凡なる死を受け入れられなかった者たちの末路を思う。
 そして、今を生きる者たちを思う。
 一つとして簡単なことはない。簡単に見えるもののすべてが、いくつもの工程を経てここに結実している。

「貴様は単なる不法侵入者だ。その名が如何に特別であっても、関係ない」
 豊の襲撃が、これまで蓄積されてきた回復不能なるダメージ、その一点を捉える。
 打ち込まれ血反吐を撒き散らしながら拉げた電波塔から『21位ゴリアテ殺し』は落下していく。
「平々凡々に散っていけ」
 もはや断末魔すら聞こえない。
 それが嘗てありし六六六人衆の最期であると言うように、遥か下、その眼下にて拉げる音を響かせる。
 見上げる先には天。
 されど、未だ道の頂きは遠い。
 多くの苦しみからすべて解放されるその時まで、未だ己が瞳は見上げ続けている――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年07月06日


挿絵イラスト