雨の日の夜にだけ、明かりが燈される店。
急な雨に降られても、どうぞ止むまで雨宿りしていってくださいと。
冷たい雨の夜に、穏やかであたたかな時間を提供いたしますと。
雨の匂いが漂えば――雨宿りカフェ『花傘館』の看板がくるり、OPENにかわる。
花の洋館を思わせる店の扉を潜れば、贅沢でレトロな空間が。
仄かに店中に灯るのは、数え切れぬほどの多種多彩なアンティークランプ。
クラシックなソファーの座り心地は、つい長居したくなるほどふわふわな心地で。
窓から見える庭には今の季節、雨の日にぴったりな紫陽花が咲き誇っている。
そんな『花傘館』で雨宿りする時間は、他の客に迷惑にならなければ、何でも自由。
メニューを開けば、雨や傘や花をモチーフにした飲み物やスイーツ、軽食が沢山。
たとえば、傘をさした花いっぱいの雨色ブーケパフェ、エディブルフラワーに飾られた花かき氷や花畑パンケーキ、魔法の雨を降らせると色が変わる紫陽花炭酸クラッシュゼリーなどの雨の日スイーツや。レインドロップケーキと呼ばれている雨の雫のようなぷるぷるの水信玄餅、和傘をさした紫陽花あんみつ、ゆるかわなカエルさん焼きまんじゅうなどの、雨をイメージした和スイーツも。花に彩られたナポリタンやグラタンやオムライス、フルーツサンドなどの軽食も用意されている。
飲み物も、色が変わるバタフライピーのハーブティーやバタフライピーラテ、しゅわり弾ける雨色サイダー、傘のラテアートが施された珈琲やココアなどの、雨を思わせるドリンクも豊富で。勿論、普通の珈琲紅茶や抹茶や日本茶などもある。
また、『花傘館』は喫茶店ではなく雨宿りカフェであるので、成人している客に限るが、雨をイメージした酒類も楽しめる。雨の日カクテルやサワーに、雨の日に呑みたい味わいのブレンデッドウイスキー、天泣という名の日本酒など……甘い物は勿論、甘くない紫陽花揚げ海老団子などの肴もあるので、雨音を聞きながら晩酌も良いのではないか。
雨音をBGMに、読書をしたり、編み物をしたり、ただ何もせず過ごすのも良いし。
会話を楽しんだり、お喋り好きなマスターに話しかけてみてもいいかもしれない。
もしも雨が止む迄の時間、手持無沙汰になったのならば、暇潰しも用意されている。
好きなチャームや天然石が組み合わせられるアンブレラマーカーや、ステンドグラス風のしおり、フリルレースで作るお洒落なてるてる坊主作りなどが楽しめるというし。
雨は降っているが、広い紫陽花咲く庭を傘をさして散策などもできるようだ。
だが――『花傘館』に灯された明かりのひとつが今、不思議な現象を引き起こす。
様々な人々が語る『話』を、メガリス『|御伽灯籠《 おとぎ とうろう 》』は欲する。
話の内容は何だっていい、ランプがただ欲するのは、語り部自身の『自分語り』。
百の燈火が周囲に灯れば、もう特殊空間から出ることはできない。
貴方の話をひとつ、灯籠に聞かせるまでは。
●雨宿りカフェと御伽灯籠
「皆は、雨の日は何をして過ごすのだろうか。雨の日こそ好きなことをして、ゆるりと楽しく過ごしたいところだな」
筧・清史郎(桜の君・f00502)はそう微笑んだ後、予知した案件について語る。
「今回向かって貰うのは、シルバーレインの世界だ。メガリスのひとつが一般人の手に渡ってしまっていることが予知された。既にその周囲では、メガリスの影響で不可思議な事件が起き始めている。なので、事がこれ以上大きくならないうちに、メガリスの回収をお願いしたい」
このたび見つかったメガリスは『|御伽灯籠《 おとぎ とうろう 》』という、見た目アンティークランプのような灯籠型のメガリスで。それが、趣味でランプ収集をしているカフェのマスターの手に渡ってしまったようだ。
「メガリスの存在が確認されたのは、雨宿りカフェ『花傘館』という、雨の日の夜にしか営業しないカフェだという。今は丁度梅雨時ゆえに、営業している機会も多そうだ。そしてメガリスは、この『花傘館』の二階にあり、二階の客席に座れば不思議な現象が起こるようだ」
この店にメガリスがあるのはわかっているのだが。
店には沢山のランプが並んでいるため、どれが該当のメガリスなのかは、ぱっと見ただけでは分からない。
だが、不思議な現象が起これば、件の灯籠の姿かたちが確認できるので。
あとは特殊空間を抜け、メガリスを回収し撤収すれば、任務完了というわけだ。
「メガリスの影響で不思議な現象が起これば、百の燈火が灯る特殊空間内に引き込まれるのだという。そしてそれを抜ける方法は、『自分語り』をひとつすること、のようだ。話の内容は何でも良いらしい。様々な話を収集するメガリスのようだからな」
自己紹介でもいいし、武勇伝や自慢話でも、恋の話でも惚気話でも、自分の好きなものや趣味の話でも、最近の出来事でも、自分が日々思うことや、自分が考えた渾身の物語でも……とにかく、何でもいいらしい。『自分に関する話』をひとつ、灯籠に聞かせればいいのだという。
「そして特殊空間を抜ければ、どれがメガリスかは判明しているので。あとは、マスターや店員に怪しまれぬようカフェでゆるりと過ごしつつ、帰り際に、件のメガリスを回収してほしい」
そこまで説明を終えた後、清史郎は改めて皆に頭を下げて。
「皆は、灯籠にどんな話をするのだろうか。俺ならば、好きな甘味やもふもふの事を語りたいところだな。雨の夜しか営業しないカフェで過ごすひとときも、折角だから楽しんできてくれ」
そう雅に微笑みながらも掌に満開桜のグリモアを咲かせ、猟兵の皆を導く。
雨が降り始めた、夜のシルバーレインの世界へと。
志稲愛海
志稲愛海です。
よろしくお願い致します!
※ご連絡※ 受付開始日等はシナリオタグやMSページで連絡いたします。
各章詳細を記載した断章を受付開始前に各々掲載予定です。
今回の内容は以下です。
第1章:百物語(冒険)
第2章:雨と唄えば(日常)
日常章はPOW/SPD/WIZは気にせずOKです。
どの章からでも、気になった章のみでも歓迎です。
ありそうなもの、できそうな事は大抵OKです、お好きな様に!
第1章は、『花傘館』で起こる不思議な現象を体験していただきます。
現象を引き起こし、メガリスを確認して、特殊空間から抜けだしてください。
詳細はオープニングにある通りです。
自分に関することであれば、話す内容は何でも構いません。作り話でもOKです。
複数人で参加の場合は、自分の話を聞かれたり相手の話を聞けたりする状態でも。
各人別々で話をする状態でも、どちらでも構いません。ご指定いただければと。
第2章は、雨宿りカフェ『花傘館』でのひとときを楽しめます。
メガリスの回収は最後きっちり行いますので、遊びに全振りの行動で構いません。
内容はオープニングの通りですが、出来る事などの詳細は断章に記載します。
各章、公序良俗に反する事、他人への迷惑行為、未成年の飲酒喫煙は厳禁です。
締切等はMS個別ページやTwitterでお知らせします。
●お願い
同行者がいる場合は【相手の名前(呼称推奨)と、fからはじまるID】又は【グループ名】のご記入をお忘れなくお願いします。
グループ参加の人数制限はありません、お一人様~何人ででもどうぞ!
ですが、ご指定の同行者が参加していない場合は返金となる可能性もあります。
第2章のみ、当方のグリモア猟兵も皆おります。
お声掛けていただいた場合のみ、喜んでご一緒させていただきます。
これまで面識なくても全く構いません、お相手をお探しの際など、お気軽にと!
可能な限り皆様全員書かせて頂きたく思っています。
ご参加お待ちしております!
第1章 冒険
『百物語』
|
POW : 実体験を語る
SPD : 聞いた話を元に語る
WIZ : 思考を語る
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ぽつぽつと、降り出した雨。
予報で事前に告げられていたのか、今の時期だからと用心して携えていたのか。
雨の夜空に次々と道行く人が咲かせ始めるのは、傘の花。
けれど、うっかり傘を持たぬ人達は、慌てて駆け足で視線を巡らせる。
どこか雨が凌げそうな場所を求めて。
そんな時――洋館の明かりが燈り、看板がOPENへとかわって。
雨宿りにどうぞ、雨の日の夜も是非楽しい時間に、と。
雨の日の夜にだけ開く、雨宿りカフェ『花傘館』は、訪れる客を歓迎する。
「いらっしゃいませ」
季節の花と開かれた傘のオブジェが咲くアーチを潜った先の扉を開けば。
迎えてくれるのは、店のマスターらしき、柔和な空気纏うロマンスグレーの男性の声。
そして――仄かな輝きを放つ、たくさんのアンティークランプの灯火。
そして猟兵達は、接客するウェイトレスに告げる。
二階の席を希望することを。
まだ雨も降り始めたばかりで、一般客は殆どいないし。
大抵の客は一階席に通されるだろう。
二階席を希望する客はそう、きっと猟兵だけ。
案内された二階には、広いフロアに、長居するに最適なふかふかのソファー席が沢山。
雨宿りがコンセプトであるため、一人でも複数人でも、勿論何人でも利用できるし。
席と席との間隔も、ゆったりと取られている。
そして――やはり二階にも、沢山のアンティークランプが。
その灯火をくるりと見回していれば。
「ランプの明かりって、何だか見ていると落ち着きますよね。マスターの趣味が、アンティークランプを収集することで、日々増えちゃうんです」
そうウェイトレスは言いつつ席へと案内した後、メニューを置いて一旦下がっていく。
沢山あるランプのうちのひとつが――メガリス『御伽灯籠』だとは知らずに。
それから改めて席へと腰を下ろせば、沈み込むような良い座り心地。
同時に――ゆうらり、ゆらり。揺蕩うような不思議な感覚を覚えて。
そしてふと視界が一瞬暗くなったかと思えば、ぽつりぽつりと。
燈る灯火の数は、そう……百に及んで。
ふと見れば、その中心に、ひときわ目を惹く灯があった。
古めかしいが、面ごとに施された見事な文様透かしで、春夏秋冬の花が咲いた灯籠。
きっとこれが例の『御伽灯籠』であるのだろうと、猟兵達は確信する。
だがまずは、この特殊空間を抜け出さねばならない。
そして改めて『御伽灯籠』を見つめれば、こう欲していると何故か不思議と感じる。
さぁ――貴方の話をひとつ、聞かせよ、と。
八坂・詩織
私の話をご所望ですか?でしたら私の、大切な思い出…学生時代の天文部のお話を。
私、高校生になったら天文部に入りたいと漠然と思ってまして。転入前の学校は進学校で部活なんてやってる雰囲気じゃなかったですし、当時銀誓館にそのものズバリ天文部という名前の結社はなかったので。ないなら自分で作っちゃおうと…
手探りの結社運営ではありましたが、そんな中入団してくれた部員達は本当に…最高の仲間でした。屋上での天体観察、学園祭の結社企画の手作りプラネタリウム、皆で観た皆既月食や金環日食…全ての思い出が宝物。
思い出すだけで胸がいっぱいで、涙が零れそうになるけれど。
どうか今の天文部も、そんな場所になれますようにと。
雨の音も、いつの間にか聞こえなくなっていて。
周囲に灯っているのは、百の灯火。
先程までのカフェの風景から一変、がらりと様変わりした空間に誘われたのだけれど。
慌てる様子もなく、八坂・詩織(銀誓館学園中学理科教師・f37720)が見つめるのは――中心にある灯火を燈した『御伽灯籠』。
このメガリスは欲し、収集するのだという。人々の『自分語り』を。
そしてこの特殊空間から出るには、ひとつ。
「私の話をご所望ですか?」
自分のことを話さなければいけないというから、詩織は御伽灯籠へと語り始める。
――でしたら私の、大切な思い出……学生時代の天文部のお話を、と。
「私、高校生になったら天文部に入りたいと漠然と思ってまして。転入前の学校は進学校で部活なんてやってる雰囲気じゃなかったですし、当時銀誓館にそのものズバリ天文部という名前の結社はなかったので。ないなら自分で作っちゃおうと……」
銀誓館学園がかなり自由ということもあったが、詩織は自分の手でやりたいと思っていたことを叶えて。
そして、そんな天文部に集まってくれたのだ。
「手探りの結社運営ではありましたが、そんな中入団してくれた部員達は本当に……最高の仲間でした」
最高だと胸を張っていえる、かけがえのない仲間達が。
能力者として、死と隣り合わせの青春を送りながらも。
充実した学生生活を過ごせたのは、天文部があったからで。
今でも思い出せる、楽しい皆とのひととき。
「屋上での天体観察、学園祭の結社企画の手作りプラネタリウム、皆で観た皆既月食や金環日食……全ての思い出が宝物です」
それは星のようにたくさん、キラキラとひとつひとつがそれぞれの色に輝いていて。
思い出すだけで胸がいっぱいになって、涙が零れそうになるけれど。
でも、銀誓館学園の教師に……理科の教師になった今でも、詩織にとっては天文部は大切な場所で。
だからそんな宝物である思い出とともに、詩織は御伽灯籠へとこう告げて話を締めくくる。
――どうか今の天文部も、そんな場所になれますようにと。
そして刹那、話を確と聞いたと告げるかのように……空間が解けるような感覚の中、ふっと灯火がひとつ、消えるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
夜鳥・藍
アンティークランプって雰囲気がまた良いですよね。
二階に案内されふかふかのソファに腰掛ければ、座り心地に家にも欲しいと思うけれどそこで寝てしまうと即座に却下。
そんな思考に入っていた間に、ああこれが件のメガリスの空間ですか。
確かにこれは見事な灯籠です。四面それぞれに四季を描かれて思わず触れたくなるぐらい。
お話しは職業柄聞き方に回る事になるのですが……ではその占いの時に感じる見える光景を。
タロットカードをシャフルする時ですが時折周りが星々の空間になる時があります。
正しくは占う相手の背後に扉が現れそれが開くと星々の海がある感じです。
なんとなくその星の光の導きでカードの内容を読んでいる感じです。
窓の外を見れば、微か音を鳴らす雨が降る風景。
本格的に降ってきたようであるが、カフェの扉を既に潜っている今となっては、止むのをのんびりと待つだけ。
そして店内に足を踏み入れれば迎えてくれる仄かな灯火たちは、それぞれ意匠が異なっていて。
それを眺めているだけでも、どのような経緯や思いでこの模様や形のものになったのか、考えてみるのも楽しいし。
(「アンティークランプって雰囲気がまた良いですよね」)
見つめる宙色の瞳にもその柔い光を灯しながら、夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)が向かうのは、所望したカフェの二階。
それから案内されたふかふかのソファへと腰掛ければ、もふりずぶずぶと沈むような至福の座り心地。
つい、家にも欲しいと思うけれど……そこで寝てしまうと即座に却下して。
そんな思考に入っていた間に――ふと、気が付けば。
(「ああこれが件のメガリスの空間ですか」)
アンティークランプ照らす店内の風景ではなく、いつの間にか、百程度の数はありそうな、蝋燭のような灯火が揺らめく風景に変わっていて。
藍が見つめるのは、中央に鎮座している灯火。
「確かにこれは見事な灯籠です」
四面それぞれに四季が描かれているそれは、思わず触れたくなる程に惹かれる意匠で。
まるでせがむかのように、眼前のメガリス――『御伽灯籠』の明かりがゆらゆらと揺れれば。
藍は灯籠が欲するものを与えるべく、語り始める。
「お話しは職業柄聞き方に回る事になるのですが……ではその占いの時に感じる見える光景を」
帝都の片隅で占い師をしている藍にとっては、普段は話を聞く側の方が多いのだけれど。
今日は、御伽灯籠へと話をしてあげる。
今の自分が生業としている占いのことを、そしてその際に生じる感覚や光景を。
「タロットカードをシャフルする時ですが時折周りが星々の空間になる時があります」
その星々は少しだけ、百近くもあるこの空間の光に似ているかもしれない、なんて気もしながらも。
普段は余り自分から積極的に語らない藍だけれど。
「正しくは占う相手の背後に扉が現れそれが開くと星々の海がある感じです。なんとなくその星の光の導きでカードの内容を読んでいる感じです」
やはり好きなことの話題になれば、少しだけ夢中に、饒舌になる気がして。
楽しく語り終えれば、空間が不意に解けて――ひとつ、灯火が消えたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
八重咲・風鈴
俺の話かぁ。
んー、といってもなぁ……そうだ、この間なぁ、お父さん(守護龍)とカレーを作ったんだけどなぁ
ルーだけのカレーも、スパイス入れるだけで色々変わるんだって驚いたなぁ
なんてゆるゆる笑いながら、守護龍を優しく撫でる。
のんびりと穏やかに、ありふれた話をしよう。
今いるのは、先程までのカフェの風景とは大きく変わっている、百の灯火が揺らめく空間。
けれど相変わらず、ゆるゆる呑気な様子で。
八重咲・風鈴(旅する羽衣人・f43372)は、眼前のメガリス『御伽灯籠』について聞いたことを思い返す。
この灯籠は、人々の『自分語り』を欲しており、この空間から出るためにはひとつ、自分の話をしなければいけないというが。
「俺の話かぁ。んー、といってもなぁ……」
いざ自分の話と言われれば、何を話せばいいか考えてしまうけれど。
風鈴がふと思い出したのは、先日のこと。
「……そうだ、この間なぁ、お父さんとカレーを作ったんだけどなぁ。ルーだけのカレーも、スパイス入れるだけで色々変わるんだって驚いたなぁ」
何故かウラル山脈の山岳地帯で、父親ではないのだけれど守護龍のお父さんとカレーを作った時の話をすることに。
そのスパイスは確か、ガラムマサラとか言う名前のものだった気がするけれど。
やはりそのあたりはゆるゆると、やはり呑気にマイペースに話す風鈴。
「甘口のカレーにいい感じに辛味が加わって、美味しかったなぁ」
いえ、温め不要なレトルトカレーに、見つけたガラムマサラをぱらりと振りかけてみたカレーであったのだけれど。
でもその時、風鈴は思ったのだ――レトルトカレーは偉大なのだ、と。
隠し財宝扱いされていた最高級のスパイスの方ではなく、レトルトカレーの方を絶賛しているなんてこともまたご愛敬。
そしてゆるゆる笑いながら、相槌を打つかのようにぱたりと尾を揺らす守護龍を優しく撫でつつも。
のんびりと穏やかに、風鈴がゆるりと御伽灯籠に語るのは、ありふれた話。
それから一通り、風鈴が話をし終われば――刹那、特殊空間が解けはじめて。
まるで話を聞いて満足したかのように、またひとつ、灯火が消えたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
紺郷・文目
……いいでしょう。
私の実体験を語りましょう。
述懐します。私は、人の子が好きです。
UDCアースで出会った様々な人の子達が好きです。確かUDC職員、と言いましたか。
彼らは時に懸命に、時には命を懸けて平和の為に尽力しています。本当は命など捨てて欲しくないのですが、そういったところもいじらしくて好きです。
それに、自身が危険にさらされているのに私の身を案じてくれる方もいました。
心が温かくなりました。(少し微笑み
宣誓します。だからこそ私は、そんな人の子達を守りたい、とおもうのです。
勿論、世界は問いません。
どこであろうときっと、彼らも懸命に生きているのでしょうから。
元々、|雨乞い《 要請 》を受けて雨を降らしていたから、雨宿りという概念はないようなものだけれど。
聴こえていた雨音もいつの間にか消え、かわりに誘われた空間に揺らめいているのは、百の灯火。
けれど、紺郷・文目(癒し雨の竜・f39664)は知っているから。
「……いいでしょう。私の実体験を語りましょう」
この空間を生み出したメガリス『御伽灯籠』の欲するままに。
「述懐します。私は、人の子が好きです」
語るのはそう――己の好きな存在達のこと。
「UDCアースで出会った様々な人の子達が好きです。確かUDC職員、と言いましたか」
その存在を知ったのは、カクリヨから現代地球に赴いた時。
苦戦していた人と協力して怪物を倒した後、こう訊ねたのだ――質問します。貴方達は? と。
そして文目は知った。UDC組織というものがある事を。
それこそ、それまでは、竜神として人々の話や願いを聞く立場であった。
人は自分に願いをするだけの存在であったのに……でも、UDC職員の彼等は違ったのだ。
「彼らは時に懸命に、時には命を懸けて平和の為に尽力しています。本当は命など捨てて欲しくないのですが、そういったところもいじらしくて好きです。それに、自身が危険にさらされているのに私の身を案じてくれる方もいました」
……心が温かくなりました、と。
その口調は、やはり機械的っぽくはあるものの。
刹那、ふわりと中性的な印象の容姿に宿るのは微かな微笑み。
それから、文目は話を続ける。
「宣誓します。だからこそ私は、そんな人の子達を守りたい、とおもうのです。勿論、世界は問いません」
切欠は、UDC職員達との出会いであったのだけれど。
だが猟兵となって様々な世界を渡り、文目は見て知ったのだから。
「どこであろうときっと、彼らも懸命に生きているのでしょうから」
そしてそんな人の子が、賑やかな人々の生活の営みが、懸命な人という存在が、文目は好きなのである。たとえ彼等が自分を忘れていっても。
それを御伽灯籠へと語りつつも、改めて文目は認識する。
表情や口調こそ変わらないけれど、でも人の子のことを愛しいと思う心を。
解除され始めた特殊空間と、またひとつ、消えた灯火を見つめながら。
大成功
🔵🔵🔵
オニバス・ビロウ
求めている、というのならば
そうだな…我が故郷の話をしようか
俺の故郷は南海にある島だ
九州と琉球の間くらいに場所にある島で少々、行き来することが難しい
…潮の流れが速い上に、巨大海獣が彷徨する海域故に
そのせいか我が故郷は隠れ里扱いなのだと猟兵になって初めて知った
…うむ、潜んで生きてるというつもりは全くなかった
どの位巨大か…そうだな、宮本武蔵の鯨退治の浮世絵があろう
どの生物もあれ位の大きさだ
魚、蟹、鮫も海蛇も例外なくでかく、人を襲う性質を持つものが多い
故郷の名?
そうか、言ってなかったな
天の海と書いて『あまみ』と呼ぶ
天の如く何物をも寄せ付けぬ海だから、だそうだ
…改めて考えると確かに隠れ里のような島だな
ゆうらりと、いつの間にか周囲を照らしているのは、百の灯火。
そしてそんな数多の灯火が燈る光景――メガリス『御伽灯籠』が生み出した特殊空間の中心で。
ひときわ目を惹く輝きを宿す灯籠を見れば、向けた藍の瞳にも淡い光が灯って。
オニバス・ビロウ(花冠・f19687)は不思議と感じるのだった。
「求めている、というのならば。そうだな……我が故郷の話をしようか」
自分の話を、その灯籠が欲し求めていると。
そしてオニバスは語り始める。己の故郷についての話を。
「俺の故郷は南海にある島だ。九州と琉球の間くらいに場所にある島で少々、行き来することが難しい」
この島への往来が容易くできない理由は、海に囲まれた南方の島であるというだけではない。
「……潮の流れが速い上に、巨大海獣が彷徨する海域故に」
潮の流れが人が島に近づくことを阻み、さらに巨大海獣の存在が人の足をさらに遠ざけるからだ。
けれど、島で暮らしていたオニバスがそれを知ったのは、実はそれほど昔の話ではなく。
「そのせいか我が故郷は隠れ里扱いなのだと猟兵になって初めて知った」
……うむ、潜んで生きてるというつもりは全くなかった、と。
自分としては、至って普通に生活していたという認識であったのだ。
そう……島の外の世界を知るまでは。
そしてふと、御伽灯籠の炎が揺らめいたのを見れば。
「どの位巨大か……そうだな、宮本武蔵の鯨退治の浮世絵があろう。どの生物もあれ位の大きさだ」
話に興味を持った灯籠にそう問われた気がして、こたえてみせるオニバス。
まるで話の続きを強請るかのような灯火へと。
「魚、蟹、鮫も海蛇も例外なくでかく、人を襲う性質を持つものが多い」
そんな狂暴な巨大海獣達や時折牙を剥いて荒れ狂う海は、確かに多くの危険も孕むけれど。
でもオニバスの脳裏に蘇るのは、海の音が聴こえる静寂、香る潮風、ゆるりと時間が流れているような平穏、海と共に生きる日々のこと。
だから、いつか帰ろうと思っているのだ。妻とともに……今はまだ叶わずとも、きっといずれ。
そう、故郷のあの島へ――。
「故郷の名? そうか、言ってなかったな」
そしてオニバスはその名を告げる――天の海と書いて『あまみ』と呼ぶ、と。
「天の如く何物をも寄せ付けぬ海だから、だそうだ」
それからそう語りながらも、改めてふと気づく。
そんな意識は島にいる時にはなかったのだけれど、でもやはり。
……改めて考えると確かに隠れ里のような島だな、って。
解けてゆく特殊空間の中で、灯火がまたひとつ、消えたのを見届けつつも。
大成功
🔵🔵🔵
コッペリウス・ソムヌス
【玉兎3】友人達と
メガリスの御伽灯籠だっけ
骨董品を集めちゃう趣味は何となく共感しつつ…
自分語りって何が良いんだろうねぇ
二人と共通しそうな話題…っと、
カクリヨで蝙蝠のライラと
Xmasデートした話でもしておく?
出逢ったのが三年ほど前の聖夜で
丁度そこから千一夜は越えたような頃合いだったから
新しい飾りでも贈ろうかなぁと思い立ってね
…結局オレだけでは決まらなくって
本人(?)の好みに合わせて選んで貰って
ついでにお茶して帰ったオチだけどねぇ
春に違うリボンしてたのは、まぁそういう話だよ
普段聞かないような思い出話も
こういう機会ならではだよねぇ
どちらかと言えば此のあとの
喫茶時間の方にも興味向いてそうだけど
神白・みつき
【玉兎】3名
灯籠と聞くと違う灯りを想像してしまいますが
なるほど、ラムプとも呼ばれるものですね
仄暗い雨天の空気に丁度いい優しい光です
では私は印象深いものの話を
種族柄、桜とは縁が深いのですが
散った花弁が川で作る花筏の光景が美しいと知ったのは
実は旅に出た後なのです
御役目以外が初めて目に入ったからでしょうか
今日のような雨の日は特に
雨雫と花弁が遊ぶように流れる様子が涼しげで
今もはっきりと思い出されます
ライラの新しいリボンはコッペリウス様が贈られたのですね
可愛らしい意匠だったのでずっと気になっておりました
確かに嵐様は今が一番過ごし易そうです
今夏もきっと暑いので
涼しい場所に遊びに行くのも良いですね
邨戸・嵐
【玉兎3】
骨董ってあんま分かんない
興味はあとの喫茶ばかりでメニューを眺めつつ
まずは思い出語りを食べさせてあげなきゃねえ
寒いのが動けなくなるから一番苦手で、暑いのも嫌い
けど、雨の時期は好き
ひとの真似して屋根の下で暮らすようになったけど
蛇の姿だった頃は雨の岩陰も冷たくていい気分でねえ
起きたら流されてるのも案外楽しかったものだから
たまに恋しくなるよ
コッペリウスってひとに物を贈るの好きだよねえ
今日のライラもお洒落してるのかな
俺もご機嫌取りしたいときは小物を探そうか
みつきの旅の話は夜通し聞いても面白そう
君の目で見た世界っていつも俺と違うから
美しいも楽しいも、食べてみたいな
雨宿りにと潜った扉の先を照らしているのは、ふわり仄かに燈る灯火たち。
その明かりは不思議と、雨に降られて少し冷えた身体をじわりとあたためてくれるようでもあり。
迎えてくれる明かりたちに順に目を向ければ、その意匠に同じものはひとつもない。
まるで、此処を訪れる人たちひとりひとりが紡いできた時間がそれぞれ違うように。
そして、店のマスターが趣味で収集しているというそんなアンティークランプたちをくるりと見回してみつつ。
骨董品を集めちゃう趣味は何となく共感しちゃうねえ、なんて。
夢現のような砂色から覗く銀のいろを細めながらも。
「メガリスの御伽灯籠だっけ」
コッペリウス・ソムヌス(Sandmann・f30787)が口にするのは、数多光る灯火のうちのひとつ。
その灯籠の輝きが、不可思議な現象を引き起こすという話であるが。
ぱっと見たところ、どれが件のメガリスであるかは分からない。
神白・みつき(幽寂・f34870)も、明かりを燈した灯籠たちをひとつひとつ眺めてみて。
「灯籠と聞くと違う灯りを想像してしまいますが。なるほど、ラムプとも呼ばれるものですね」
灯籠という言葉のイメージ通りの和の趣きのものもあれば、異国情緒漂う形や細工のもの、多彩な光を煌めかせるもの。
そんなそれぞれ意匠の違う、様々な光を放つアンティークランプであるけれど。
でも不思議と、それら全てに共通してみつきが思うのは。
「仄暗い雨天の空気に丁度いい優しい光です」
眩しすぎず、けれど暗すぎもせず、淡く柔らかな輝き。
そして、並ぶ沢山のランプを興味深そうに眺めるふたりと共に、店の二階席に案内されながらも。
「骨董ってあんま分かんない」
邨戸・嵐(飢える・f36333)のもっぱらの興味は、古めかしいランプなどではなく。
ソファーにぽふりと座って早速手を伸ばす、カフェのお品書き。
ぱらりとメニューをめくり眺める彼の関心ごとはそう、あとの喫茶ばかりで。
けれど――空間が刹那ゆらり歪んでその様相を変え、暗闇に百の炎が揺らめけば。
「まずは思い出語りを食べさせてあげなきゃねえ」
自分達よりも、おなかをすかせている子がいるから、まずは満たしてあげることにする。
空間の中心に灯る、四季を織り成す意匠のメガリス『御伽灯籠』へと、その灯火が欲する『自分語り』を。
「自分語りって何が良いんだろうねぇ」
コッペリウスはそう小さく首を傾けつつも、二人と共通しそうな話題……っと。
「カクリヨで蝙蝠のライラとXmasデートした話でもしておく?」
語りはじめるのは、星降る夜に出逢った美しき夜の子とのこと。
「出逢ったのが三年ほど前の聖夜で。丁度そこから千一夜は越えたような頃合いだったから、新しい飾りでも贈ろうかなぁと思い立ってね」
……君さえよければ、そんな道行きを、ご一緒してくれるかい? なんて。
口説くような囁きを向けた当時に送ったループタイも、共に過ごした同じ年月、その首元を飾っていたから。
古びたそれの代わりのプレゼントでもと考えて、カクリヨの店へと足を向けてみたのが、昨年のクリスマスであったのだけれど。
「……結局オレだけでは決まらなくって。本人の好みに合わせて選んで貰って、ついでにお茶して帰ったオチだけどねぇ」
でもそれは、コッペリウスにとって、それまでにはなかった変化であって。
それはそれで、こうやって思い出して語るくらいには、きっと楽しかったのだろうし。
明るい銀の綺羅星の円環を見つけたのもその時だった。
そして、共に改めて選んだ流れ落ちる様なストライプのそれは夜の子によく似合っていてお洒落で、スイーツだって美味しかったから。
「春に違うリボンしてたのは、まぁそういう話だよ」
「ライラの新しいリボンはコッペリウス様が贈られたのですね。可愛らしい意匠だったのでずっと気になっておりました」
「コッペリウスってひとに物を贈るの好きだよねえ。今日のライラもお洒落してるのかな」
コッペリウスの語る話に言ったみつきにそう頷きつつ……俺もご機嫌取りしたいときは小物を探そうか、なんて。
言った嵐も続いて、自分語りを。
「寒いのが動けなくなるから一番苦手で、暑いのも嫌い」
本性は蛇なのだから、寒いのは勿論、暑いのだって苦手なのだけれど。
そう――ちょうど、今宵みたいに。
「けど、雨の時期は好き。ひとの真似して屋根の下で暮らすようになったけど、蛇の姿だった頃は雨の岩陰も冷たくていい気分でねえ」
ひんやりじめっとした雨がよく降るこの季節は、過ごしやすくて好きで。
子守歌のような雨音を聞きながら、快適にうとうと寝ちゃうことだってよくあって。
「起きたら流されてるのも案外楽しかったものだから、たまに恋しくなるよ」
そして目覚めた場所が、見覚えのない景色にいつの間にか変わっていたなんてことだって、ちょっぴり面白かったりもしたのだった。
そんな蛇の雨流れとでもいった思い出を、みつきはコッペリウスと共に微笑まし気に聞きながらも。
「確かに嵐様は今が一番過ごし易そうです。今夏もきっと暑いので、涼しい場所に遊びに行くのも良いですね」
楽しく涼しい夏のお出掛けの提案をしてみつつも。
……では私は印象深いものの話を、と。
「種族柄、桜とは縁が深いのですが。散った花弁が川で作る花筏の光景が美しいと知ったのは、実は旅に出た後なのです」
ふたりに続いて語るのは、今も鮮明に心に残っている、淡くも儚い彩りたちが織り成す光景。
満開に咲いた桜花もとても美しいのだけれど。
咲き誇った後、はらりと舞い降っては積もって行く春の彩りは、散りゆく名残の時にさえ、水面を美しく染め上げては揺らめいていて。
「御役目以外が初めて目に入ったからでしょうか。今日のような雨の日は特に、雨雫と花弁が遊ぶように流れる様子が涼しげで」
天から雨が落ちて弾ければ、戯れるように流れゆく花弁たち。
そんな雨の日に見た花筏の光景は、みつきにとって……今もはっきりと思い出されます、と。
そう語れるほどに、心に散ることなく咲き続けている。
そして、語り部の自分語りを欲する食い意地の張った灯籠と共に、そんな話に耳を傾けながらも。
「みつきの旅の話は夜通し聞いても面白そう。君の目で見た世界っていつも俺と違うから」
……美しいも楽しいも、食べてみたいな、なんて。
灯籠に負けないくらい食いしん坊な嵐の言葉を聞けば。
「普段聞かないような思い出話も、こういう機会ならではだよねぇ」
コッペリウスもふたりが語る話を楽しみつつ、こう思うのだった。
……どちらかと言えば此のあとの、喫茶時間の方にも興味向いてそうだけど、って。
満足したかのように大きく『御伽灯籠』の明かりが刹那揺らめき――周囲の灯火が3つ、同時に消えるのを見届けながら。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ジャスパー・ドゥルジー
【邪蛸】
お、見ろよパウル
あいつがその「御伽灯籠」ってやつか
俺の話かぁ
あ、俺ってこう見えて昔は体弱かったのよ
今も割と風邪引きやすい方かも
でも最近は寝込むまでこじらせる事がほぼなくて
こないだもちょっと喉が痛いなって思ってたら
パウルがすぐに気づいてくれて
身体にいいモン作ってくれたり気遣ってくれたりしてさ
そういう時すげえ幸せ感じるっていうか…
つまり自分語りっつーかただの惚気なんだけど
俺もパウルが体調崩したら恩返ししたいなって思ってるんだけど
パウルって全然風邪ひかねーのよ。なんで?
…マジで?
え、それすげくね?
そう「生まれた」のは色々な理由があるんだろうけど
俺は手放しにパウルってやっぱすげえなって思うな
パウル・ブラフマン
【邪蛸】
今日はジャスパーと雨宿りデート…もといオシゴトに来たよ♪
ワァオ、コレがウワサの!
そだね、自分語り…そしたら先行ジャスパーで!
麗しい旋律のようなオレの女神の声色。
ブレスの合間に寸分の狂いもなく自然に相槌を打つ。
ちっちゃい頃のジャスパーの痛みまで全部取り除けたらよかったのに。
ふふっ…♪オレは勘が鋭い方だから
ジャスパーが困った時はすーぐお助けしちゃうんだもんね☆
想定外の質問にはゆっくり瞬きを。
幾らでも誤魔化せる。でも、今日は―
…オレってウィルスや細菌兵器に強いの。
すぐ抗体が出来て平気になるんだ。
もし世界で不治の病が流行しても
オレが自分の身体に入れて特効薬を作って、ジャスパー達を助けるからね!
今夜の天気は、あいにくの雨……どころか。
むしろ、うきうき嬉しい雨宿りデート!
もとい、猟兵のお仕事のため、パウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)がジャスパー・ドゥルジー("D"RIVE・f20695)とやって来たのは、雨の日の夜にしか開いていないカフェ。
そして2階の席に案内され、ぽふりとふかふかのソファーに座って。
雨の日スイーツ沢山のお品書きを眺めつつ尻尾をゆらりとさせていたジャスパーは、周囲の変化に気付く。
ひとつふたつ、十、二十……百。
空間内に百の火が灯り、そしてその中でもひときわ目に留まるのは。
「お、見ろよパウル。あいつがその「御伽灯籠」ってやつか」
「ワァオ、コレがウワサの!」
そう――話に聞いていた、メガリス『御伽灯籠』である。
四季の意匠が施されたそれは一見すると、凝った細工の古びたアンティーク品としか見えないけれど。
でも不思議とわかるのだ、その灯籠は欲していると。
特殊空間に引き込んだ語り部たちの『自分語り』を。
語る内容はなんだっていい。ただし、話を紡がない限り、此処から出られないというから。
「そだね、自分語り……そしたら先行ジャスパーで!」
「俺の話かぁ」
パウルにそう話を振られたジャスパーは少しだけ考えた後、語り始める。
「あ、俺ってこう見えて昔は体弱かったのよ」
パウルといつもお喋りしている時と同じように、気負う事などもなく。
「今も割と風邪引きやすい方かも。でも最近は寝込むまでこじらせる事がほぼなくて」
「うんうん、確かにジャスパーはちょっと体調崩しやすいよね」
そして……麗しい旋律のようなオレの女神の声色、って。
そうジャスパーから届く心地良い声に耳を傾け、ブレスの合間に寸分の狂いもなく自然に相槌を打ちながらも。
向ける微笑みの裡で、パウルは思わずにいられない。
――ちっちゃい頃のジャスパーの痛みまで全部取り除けたらよかったのに、って。
そしてジャスパーは改めて自分を見つめる彼へと視線を向け、尻尾をゆらりと続けるのだった。
「こないだもちょっと喉が痛いなって思ってたら、パウルがすぐに気づいてくれて。身体にいいモン作ってくれたり気遣ってくれたりしてさ」
そういう時すげえ幸せ感じるっていうか……と。
「つまり自分語りっつーかただの惚気なんだけど」
そんな言葉が、仕草が……いや全てが、やはりとても愛しいって思うから。
「ふふっ……♪ オレは勘が鋭い方だから。ジャスパーが困った時はすーぐお助けしちゃうんだもんね☆」
笑み零しながら告げるパウルなのだけれど。
でも次の瞬間――思わず、ぱちりと。
「俺もパウルが体調崩したら恩返ししたいなって思ってるんだけど。パウルって全然風邪ひかねーのよ。なんで?」
ふいに向けられた、紫とピンクが混じり合ういろと想定外の質問に、ゆっくりと瞬く。
きっとジャスパーは、ただ思ったことをさらりと口にしているのだということは分かるし。
だからこそ、笑ってみせて、そうかな? なんて。
ゆるりと躱すような言葉や笑みで、幾らでも誤魔化せるだろうし。
そうしたとしても、それに関して特に深く突っ込まれるようなことも多分ないから。
以前の自分だったら……きっとそうしていただろうけれど。
でも、今日は――って、ジャスパーの瞳を真っ直ぐに見つめ返して。
「……オレってウィルスや細菌兵器に強いの。すぐ抗体が出来て平気になるんだ」
誤魔化すことを、パウルはやめる。
だって、分かっているし、よく知っているから。
「……マジで? え、それすげくね?」
誤魔化さず告げた自分の言葉にも、ジャスパーがそう返してくれることを。
そう自分のことを変えてくれてくれたのは、彼のこういうところだから。
そして、何よりも。
(「そう「生まれた」のは色々な理由があるんだろうけど」)
きっと手放しに、やっぱすげえな、なんて彼は自分のことを思っているのだろう。
……でも。
「もし世界で不治の病が流行しても。オレが自分の身体に入れて特効薬を作って、ジャスパー達を助けるからね!」
誰でもない彼の方こそすごいって、パウルはそう思うし。自分は沢山、救われているから。
だから……これからは全部、何があっても助けたいって思うのだ。
空間が解け始め、灯火がふたつ、消えるのを見届けながら――心から自然と、誓うように笑って。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふえ、自分語りですか。
えっと、自己紹介でもいいですよね。
私はフ……。
ふええ、アヒルさん邪魔しないでください。
ふえ?アヒルさんの武勇伝を語っているから邪魔をするなって、私は自己紹介をしようとしていたのに。
……長いですね。
ふえ?アヒルさんが静かになりました、武勇伝は終わったのでしょうか?
それでは私の自己紹介を……。
ふええ、アヒルさんまた邪魔をしないでください。
ふえ?クライマックスに入る為の間をとっていたって、いつまで続くんですか?
あともう少しですか?
……長いですね。
やっと終わったみたいです。
ようやく私の自己紹介を……。
ふえ?もう時間というか文字数が足りないから私の自己紹介は割愛するって、そんなぁ。
雨の景色が窓の外に見える、アンティークランプ灯る雰囲気のあるカフェ。
でも、いつの前にか、百の灯火が燈る特殊空間の中に誘われてしまう、フリル・インレアン(大きな|帽子の物語《 👒 🦆 》はまだ終わらない・f19557)とアヒルさん。
とはいえ、これは目の前にあるメガリス『御伽灯籠』の仕業だということは分かっているし。
どうやったらここから抜け出せるかも聞いているから。
「ふえ、自分語りですか。えっと、自己紹介でもいいですよね」
フリルは話に聞いた通りにいざ、『自分語り』こと自己紹介を――。
「私はフ……」
……しようと、したのだけれど。
「ふええ、アヒルさん邪魔しないでください」
自己紹介を刹那遮るのは、アヒルさんの声。
でも……アヒルさんの主張を聞けば、逆に。
「ふえ? アヒルさんの武勇伝を語っているから邪魔をするなって、私は自己紹介をしようとしていたのに」
アヒルさんも、邪魔をするなと言っているから。
とりあえず、アヒルさんの武勇伝が終わるのを待ってみることにするフリルなのだが。
「……」
一応、話に耳を傾けつつも。
「…………」
いつまでも饒舌なアヒルさんへと、思わずぽろり。
「……長いですね」
でもそう紡げば、ぴたりと。
「ふえ? アヒルさんが静かになりました」
……武勇伝は終わったのでしょうか? なんて。
再度、今度こそフリルは口を開いて。
「それでは私の自己紹介を……。ふええ、アヒルさんまた邪魔をしないでください」
やはり邪魔されました!?
いや――アヒルさん曰く。
「ふえ? クライマックスに入る為の間をとっていたって、いつまで続くんですか?」
でもクライマックスというくらいだから、もう終わるだろうと。
またとりあえず、黙って順番待ちをするフリルだけれど。
「……長いですね」
二回も言っちゃうほど、やはり長いです……!
でも暫くして、やっと終わったみたいだから。
「ようやく私の自己紹介を……」
フリルは満を持して、自己紹介をついに!
「ふえ? もう時間というか文字数が足りないから私の自己紹介は割愛するって、そんなぁ」
できたのかどうは――アヒルさんと御伽灯籠のみぞ知る……!?
大成功
🔵🔵🔵
ネモ・ノーメンネスキオー
アンティークランプを鑑賞し、「これはかの高名なランプ作家のものですね」「マスターは審美眼をお持ちのようだ」
百の燈火も美しい。
私はネモ・ノーメンネスキオー。名前が長い?(くつくつ笑い)
でしたら、NNとお呼びください。私の名前など、然したる問題ではありません。
自分の話、でしたね。では、このような話では如何でしょう。
私は上質なものを好んでおりまして。こちらのカフェのアンティークランプような美術品でも宝飾品でも、料理でも人でも、ね⋯(意味ありげに笑う)
外見や地位などではありません。
猟兵の皆様は素晴らしいです。私も審美眼は確かなのですよ。
その紳士然とした彼の行動原理は、「愉快」「興味深い」と思うか否か。
そして雨の日の夜にしか営業しないというその店に、ネモ・ノーメンネスキオー(Mr.N.N.・f43780)は足を踏み入れて。
「これはかの高名なランプ作家のものですね」
「よくご存じで、詳しいのですね……!」
「マスターは審美眼をお持ちのようだ」
指定した二階の席へと案内してくれるウェイトレスと一言二言交わしてみることもそう、愉快だと思ったから。
そして二階のソファー席に案内されれば、礼儀正しく感謝を告げてから。
美しい所作で腰をおろせば、刹那――周囲を見回すネモの瞳にも灯る。
……百の燈火も美しい、と。
そう紡ぎながらも、いつの間にか誘われた特殊空間内に灯った百つの火へと向ける、興味深そうな色を。
それから、この空間を作ったというメガリス『御伽灯籠』へと、やはり礼儀正しく。
「私はネモ・ノーメンネスキオー。名前が長い?」
ゆうらりふいに揺れた、『自分語り』な話を欲するという灯籠へと、くつくつ笑ってから。
……でしたら、NNとお呼びください、と告げるネモ。
私の名前など、然したる問題ではありません――そう告げて。
それから、手入れの行き届いた上等なスーツの胸元を改めてそっと整えてから。
「自分の話、でしたね。では、このような話では如何でしょう」
ネモは始める。御伽灯籠が聞きたがっている『自分語り』を。
「私は上質なものを好んでおりまして。こちらのカフェのアンティークランプような美術品でも宝飾品でも、料理でも人でも、ね……」
そう意味ありげに笑えば、はっきりと口にする。
「外見や地位などではありません」
そんなことには、心動かされないから。
ネモが興味があるのは――そう。
「猟兵の皆様は素晴らしいです」
……私も審美眼は確かなのですよ、なんて。
灯火がまたひとつ消えて、元の景色に戻りはじめた空間内で。
やはりあくまで上品な紳士の如き雰囲気を醸しながらも、意味深に笑って。
大成功
🔵🔵🔵
鈴鹿・小春
百物語…じゃなくて自分語り!?
一風変わったメガリスだねー…特殊空間に入れる代わりに、出るのに自分語りしなきゃいけないのが代償?
何を語るかなー。
いい雰囲気のカフェだねー。
雨の雰囲気にもよく合って…あ、空気変わったかな。
じゃあ語るねー。
惚気は控えつつ最近のマイブームは…旅と写真!
他の世界の景色とか珍しい生き物とか色々撮るのが楽しいよ。
お仕事とかこっちの生活に影響しない範囲で、だけど他の猟兵の人とかにオススメ聞いて実際に見たりとかね。
銀誓館での昔からの知り合いの皆とも一緒に楽しんだり近況お話したりも楽しいし!
戦いも大変…此間の始祖人狼は特にキツかったなあ。
でも勝ってるし大丈夫!
※アドリブ等お任せ
今宵の天気は雨模様、雨の日のお出掛けはちょっぴり煩わしかったりするけれど。
でも……むしろ、そんな天気だからこそ、鈴鹿・小春(万彩の剣・f36941)は予知で聞いた店へと足を向ける。
だってそのカフェは、雨の日の夜しか開いていないというから。
そしてそこにあるという、今回の回収対象のメガリスは。
(「百物語……じゃなくて自分語り!? 一風変わったメガリスだねー……特殊空間に入れる代わりに、出るのに自分語りしなきゃいけないのが代償?」)
小春の言う、いわゆる百物語と似てはいるのだけれど。
百の灯火が揺れる空間で促されるのは、怪談ではなく、語り部自身の話――そう『自分語り』である。
それから、何を語るかなー、なんて考えながらも。
入店して二階の席へと案内されつつも、くるりと視線を巡らせてみれば。
「いい雰囲気のカフェだねー」
沢山のアンティークランプに仄か照らされる店内は良い雰囲気で。
ソファーの席にぽふっと座れば、沈むようなふかふかの座り心地。
窓の外をふと見れば、先程よりも雨脚が強まっているようで、雨音が耳に聞こえる。
まさに店のコンセプトである、雨が止むまでゆっくりと過ごせそうなゆったりとした空気感が漂っているのだけれど。
「雨の雰囲気にもよく合って……あ、空気変わったかな」
刹那、ゆらりと空間が揺らめいたかと思えば……風景が一変、百の明かりが燈って。
その中心に灯る、四季の意匠の灯籠『御伽灯籠』の姿を確認しつつ、小春は早速紡ぎ出す。
「じゃあ語るねー。最近のマイブームは……旅と写真!」
今回は惚気は控えつつも、まずは今個人的にはまっていることを。
猟兵の仕事などでこうやって、色々な所へと足を運ぶこともよくあることだし。
ならば折角の機会を、楽しまない手はないから。
「他の世界の景色とか珍しい生き物とか色々撮るのが楽しいよ。お仕事とかこっちの生活に影響しない範囲で、だけど他の猟兵の人とかにオススメ聞いて実際に見たりとかね」
旅と写真、そして人と話をすることも好きなのだ。
「銀誓館での昔からの知り合いの皆とも一緒に楽しんだり近況お話したりも楽しいし!」
皆と会話したりするのも好きだし……それに時には、世界の危機に共に立ち向かったりすることなんかも、昔からよくあることで。
「戦いも大変……此間の始祖人狼は特にキツかったなあ」
先の戦いを思い返しつつも、小春は続ける――でも勝ってるし大丈夫! って。
そして『御伽灯籠』にも色々と話をしてあげれば、ゆうらりと大きく灯火が揺らめいて。
再び空間が歪んだ瞬間、ふっとひとつ、火が消える。小春の話を聞いて、満足したかのように。
大成功
🔵🔵🔵
雨絡・環
【雲蜘蛛】
雨宿りかふぇ
何て面白い趣向でしょうか
雨音と灯が不思議と落ち着くこと
あら、
素直に手を引かれ座る
己語りをすればよろしいのでしたか
アルフィードさんにお話してない事はあるかしら
何でもお伝えしているような、
そうでなくても良いと不思議と思えるような
ああ、でも
アルフィードさんの昔話は伺いたいわ?
嘗て人喰らいの化生であったことはお話しましたね
殿方へ近づき、一夜に命を啜る化生
なんの疑問も懐かずに数多のヒトを喰らいましたが
『美味しい』と感じた事は無かった様に思います
腹を満たすだけ
だからでしょうか
討伐されかけ、逃して下さったあの御方をお慕いしていると気づいた時
何も喰う気がなくなって、其のまま餓死したのです
ほほ!つまらぬ話で申し訳ございました
はい、次はアルフィードさんね
笑わない、とは
今では想像が付きません
子供達…もしやゼロさんのこと?
絡繰の様であった貴方様が未来を選ぶ衝動を得たと
その方々が今の明るさを
笑顔を与えたのですね
素敵ね
ええ、とっても
わたくしアルフィードさんのご飯が無ければ
一日が終われませんのよ
アルフィード・クローフィ
【雲蜘蛛】
雨宿りカフェ?
とても面白いね!
2階まで行こう!彼女の手を握り2階へと
彼女を席に座らせてその隣をストンと座る
環ちゃんのお話?
どんな話でも俺は聴きたいな
ふむふむ、味が無かったのがその人にあってから食べたく無くなったんだね
餓死…
ふふっ、色々聞けて嬉しい!
じゃ次は俺だね
俺は産まれた時から一人、親?
親は誰かわからない、捨てられたのか死んだのか
俺を拾って育てたのが殺し屋さん達
たまたま人手が足りなくて孤児を誘拐してたら俺も居たんだって
笑わない、泣かない、ただただ言われた事をしてた子供
殺して欲しいって言われたら殺してたし
それが面白い?って思った事は無いよ
息をしてるのと同じ?
ある日小さな子達を殺してるの見て、何だか面白くなかったから殺し屋さん全員殺しちゃた
残った子供達と教会で暮らしてる
ゼロ?うん、弟も含めて
明るい?ふふっそう?
俺が笑うと子供達も笑うから面白いなぁって
素敵?そうかも!
今はお料理美味しい?
それは一人じゃ無いって事だね!
俺も環ちゃんが美味しそうに食べてくれたら幸せな気持ちになるよ!
その店が提供するのは、美味しい食べ物や飲み物と、そして雨の夜だけの特別な時間。
だって何せ、この『花傘館』は。
「雨宿りかふぇ。何て面白い趣向でしょうか」
「雨宿りカフェ? とても面白いね!」
雨が止むまでごゆるりとどうぞ、と灯りが燈る、雨宿りカフェなのだから。
そんな少し変わったコンセプトのカフェにわくわくしつつも。
店内に足を踏み入れたのは、雨絡・環(からからからり・f28317)とアルフィード・クローフィ(仮面神父・f00525)。
雨の夜のような静かな空間を、沢山のランプの炎が仄か揺らめいては照らしていて。
「雨音と灯が不思議と落ち着くこと」
耳に聞こえるのは、窓を打つ小気味よい雨の音。
そしてそんな数多の光や響く雨音に迎えられながらも、そう紡ぐ環をアルフィードは促す。
「2階まで行こう!」
彼女の手を握って、カフェの2階へと。
そんな彼に、あら、と口にしつつも、環は素直に手を引かれて。
彼女をふかふかのソファーにぽふりと座らせれば、その隣にストンと座るアルフィード。
さぁこれからは暫し、ふたりでゆったり楽しく雨宿り――といきたいところだけれど。
刹那、急に風景が変わって。ぽうぽつと灯りはじめるのは、百の灯り。
そして中心に、四季の意匠が施されたアンティークランプ――『御伽灯籠』の燈火が煌々と揺らめく。
けれど勿論、ふたりが慌てるようなことはなく。
その灯籠が何を欲しているのかも、分かっているから。
「己語りをすればよろしいのでしたか」
環はそう紡いだ後、隣の彼へと小首を傾げてみせる。
灯籠が欲しているのはそう、語り部自身の話。
けれど、どうせならば。
「アルフィードさんにお話してない事はあるかしら」
……何でもお伝えしているような、そうでなくても良いと不思議と思えるような、なんて。
灯籠にだけでなく、共に赴いた彼ともお喋りに興じたいから。
何か話していないことはあったか、と考えてみるけれど。
ふたり視線が合えば、互いに笑み合ってお揃いのお強請りを紡ぎ合う。
「環ちゃんのお話? どんな話でも俺は聴きたいな」
「ああ、でも、アルフィードさんの昔話は伺いたいわ?」
そんな雨宿りもまたきっと、興味深くて楽しいに違いないから。
まずは、環から口を開く。
「嘗て人喰らいの化生であったことはお話しましたね」
殿方へ近づき、一夜に命を啜る化生。
巧みに蜘蛛の糸を張り巡らせるように男を騙し絡めとっては、その魂を喰らっていた。
「なんの疑問も懐かずに数多のヒトを喰らいましたが、『美味しい』と感じた事は無かった様に思います。腹を満たすだけ、だからでしょうか」
だが、腹は一時的に満ちても、それを美味しいと思ったことはなくて。
腹が減ってはただ喰らう、そんな日々の中――いつもの通り夢に巣食い、魂を貪る腹積もりで。
或る殿方へと、憐れ誘う姿で近づいたのだけれど……その目論見は外れ、無数の破魔矢に貫かれて。
あわや、止めの太刀が振り下ろされるかと思った瞬間。
男はその刃を振り下ろさなかったのだ。
そして、命辛々逃げる事が出来た化生に芽生えてしまった変化。
「討伐されかけ、逃して下さったあの御方をお慕いしていると気づいた時、何も喰う気がなくなって」
「ふむふむ、味が無かったのがその人にあってから食べたく無くなったんだね」
「其のまま餓死したのです」
「餓死……」
腹を満たすことよりも、満ちる想いに気付いた化生は、遂に飢え死んだのだった。
そして自分の話に耳を傾けながらも見つめるアルフィードに、いつも通り笑み返してから。
「ほほ! つまらぬ話で申し訳ございました」
「ふふっ、色々聞けて嬉しい!」
「はい、次はアルフィードさんね」
促すのは、語り部の交代。
「じゃ次は俺だね」
アルフィードはこくりと頷いた後、話を始める。
「俺は産まれた時から一人、親? 親は誰かわからない、捨てられたのか死んだのか」
そして、そんなアルフィードを拾って育てたのが、殺し屋達で。
「たまたま人手が足りなくて孤児を誘拐してたら俺も居たんだって」
幼い頃の彼は――笑わない、泣かない、ただただ言われた事をしていた子供であったという。
「笑わない、とは。今では想像が付きません」
環も意外そうな声を零すほど、今の彼からは想像つかないけれど。
でも、アルフィードも同じだったのだ。
「殺して欲しいって言われたら殺してたし。それが面白い? って思った事は無いよ」
……息をしてるのと同じ? って。
言われるまま、ただ当たり前に人を殺していた。『面白い』とも何も感じたこともなく。
でも……そんな日々の中でふと訪れた変化。
「ある日小さな子達を殺してるの見て、何だか面白くなかったから殺し屋さん全員殺しちゃた」
そして環も知っている、今のアルフィードが在るのだ。
「残った子供達と教会で暮らしてる」
「子供達……もしやゼロさんのこと?」
「ゼロ? うん、弟も含めて」
そう、感情を一切見せなかった子供が。
「絡繰の様であった貴方様が未来を選ぶ衝動を得たと。その方々が今の明るさを、笑顔を与えたのですね」
「明るい? ふふっそう? 俺が笑うと子供達も笑うから面白いなぁって」
今みたいに、自然に笑えるようになったのだ。
それから、そんな彼の顔を見つめる環は、話を聞いて心に灯った言の葉を口にする――素敵ね、って。
そしてアルフィードも彼女の声に、すぐにこう返せるのは。
「素敵? そうかも!」
笑って過ごす今が――面白い、って思うから。
だから、彼女にも訊いてみる。
「今はお料理美味しい?」
「ええ、とっても」
そうやはり同じように、環がすぐ頷けるのは。
「わたくしアルフィードさんのご飯が無ければ、一日が終われませんのよ」
アルフィードの作ってくれるご飯を食べれば――美味しい、って思うから。
そしてそんな、面白いや美味しいって思えることは。
「俺も環ちゃんが美味しそうに食べてくれたら幸せな気持ちになるよ!」
とても幸せで、素敵なこと。
それからふたりが語り終えれば、ふっと周囲に灯る炎がふたつ、消えるのが見えて。
百物語の特殊空間が歪んでいく中、アルフィードは環の手を取って続ける。
……それは一人じゃ無いって事だね! って。
窓の外の雨の風景や響く雨音が戻ってきた雨宿りカフェで、楽し気に笑みながら。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
城野・いばら
御話を聞きたいコはどなたかしら
このお喋りバラが来たからには退屈させないの
先ずは自己紹介!
お喋りな薔薇で、魔女で、奥さんのいばらよ
ふふ、肩書が多くて吃驚した?
カーテシーして座したなら
御話の種を頭の中でぐるぐる回す
故郷を出た時の?
お出かけ先での素敵な出会いの御話?
そうね、一つと選ぶならば
大切にしたいお話を
私ね、5年前までは
故郷を旅立つ日が来るとは思わなかった
訪れるコ達に休息の場を作ってあげる
それが役割で、嬉しいコトだったの
…でも今は、とっても欲張りよ
故郷にはもう帰れないけれど…
私だけのお日様さんに出会えて
気付いたら肩書がいっぱい
それは、とても、とても幸いなコト
未来はとっても未知数で
どんな物語を紡ぐかは
いつもいつでも、自分次第
大きな水槽さんの海で泳ぎを覚えたり
兎さんになったり
小さくなったり
お話を聞くのも楽しいけれど
創造するのもとっても楽しいのよ
ね、あなたも物語を紡いでみない?
色んな景色に飛び出すの
そうしたらあなただけの物語が見つかるかも
一緒に行きましょう?
今夜の御話はここまでね
続きは、また今度
ぽつぽつと降り始めた雨はきっと、花たちにとっては心地良い恵みの雨でもあるだろうけれど。
今夜カフェの扉を潜ったのは、雨宿りするため。
そして日沈まぬ美しい城を彩っていた白薔薇は、雨の日の夜にも話の花を咲かせる。
「御話を聞きたいコはどなたかしら」
……このお喋りバラが来たからには退屈させないの、って。
だって、城野・いばら(白夜の魔女・f20406)は、お喋り花な白薔薇さんなのだから。
そして花緑青の瞳を巡らせ探すのは、たくさんのお話を聞きたいとおねだりする子。
その子がいるというカフェの2階に上がれば、先ずは自己紹介!
「お喋りな薔薇で、魔女で、奥さんのいばらよ。ふふ、肩書が多くて吃驚した?」
でも元から多かったわけではなくて、通せんぼが得意なお喋り花さん、だけだった。
それが今では、いばらを彩る肩書もいっぱい。
だから、話してあげられる話だって、たくさんあるから。
花弁のようなスカートを摘まんでカーテシーして、ふかふかソファーさんにぽふりと座したなら。
ふいに変化する風景や灯る百の炎を目にしつつも、いばらは頭の中でぐるぐる。
御話の種を回していれば、ゆらりひときわ明るい灯火を揺らめかせるその子を見つける。
まるで話をねだるような、四季の意匠纏う『御伽灯籠』を。
そんな子に、どんなお話を聞かせてあげようかと。
……故郷を出た時の?
……お出かけ先での素敵な出会いの御話?
いばらは色々考えてみたけれど――そうね、と。
「私ね、5年前までは、故郷を旅立つ日が来るとは思わなかった」
一つと選ぶならば、大切にしたいお話を。
そわりと話を待つ子に、いばらは話して聞かせることにする。
「訪れるコ達に休息の場を作ってあげる。それが役割で、嬉しいコトだったの」
それだけでも、嬉しいことだった。
けれど一輪のお喋り花は物語の垣根を超えて、咲いて咲って何処へでも。
色んな世界を旅して綻んで、いっぱいのことを知ったから。
「……でも今は、とっても欲張りよ。故郷にはもう帰れないけれど……」
あの日にはもう、帰れはしないのだけれど――でも。
お喋りな白薔薇さんは……いばらは、だからこそ巡り会えたのだ。
「私だけのお日様さんに出会えて、気付いたら肩書がいっぱい」
……それは、とても、とても幸いなコト、って。
そう心から言える今を、たくさんの肩書をくれた、いばらだけのお日様さんに。
恵みの雨も嬉しいけれど、でもお花さんはぽかぽかお日様さんが何よりも大好きだから。
そんなお日様さんはいっぱい、無垢で無知なお喋り花に教えてくれた。
「未来はとっても未知数で。どんな物語を紡ぐかは、いつもいつでも、自分次第」
そしてふたり、結ばれ誓い合ったのだ。一緒に、未来という自分達だけの物語を紡いでいこうと。
さらにその先にまで、継いでいけるようにと。
それにこれまでだって。
「大きな水槽さんの海で泳ぎを覚えたり、兎さんになったり、小さくなったり」
灯籠さんに話してあげたい、いばらの楽しい物語はいっぱい!
そして思うから。お話を集めているという子ならば、きっと。
「お話を聞くのも楽しいけれど、創造するのもとっても楽しいのよ」
物語を描いて紡ぐことだって、楽しんでくれるはず。
だから、いばらはその手を差し伸べる。
「ね、あなたも物語を紡いでみない? 色んな景色に飛び出すの。そうしたらあなただけの物語が見つかるかも」
……一緒に行きましょう? って。
自分がそうだったように、お話が好きなこの子だって、見つけられるはずって。
そして、ふいに周囲の炎がひとつ消えれば、周囲の風景が揺らめいたかと思えば。
いつの間にか、雨の景色を窓の外に臨むカフェへと戻って来て。
花緑青の瞳に映るのは、店内を仄か照らす『御伽灯籠』の姿。
沢山の話を収集し、明かりをゆうらり満足気に揺らめかせながら。
そんな子を見つければ、いばらは咲って。
「今夜の御話はここまでね」
優しい雨音響く今宵は一旦、紐といた物語にしおりを挟むことにする。
……続きは、また今度、って。
次に物語を花開かせ紡ぐその時を、またのお楽しみにと。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 日常
『雨と唄えば』
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POW : どこかの軒先で雨宿り。
SPD : 傘持ってるよ、気にせず歩こう♪
WIZ : 喫茶店などの店で雨宿り。
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
特殊空間から解放されれば、瞳に映るのは。
窓の外に見える雨の景色と、店内を仄か照らす沢山のランプの明かりたち。
そしてそっと視線を巡らせれば、猟兵達はその姿を見つける。
他のランプに紛れるように明かりを灯している『御伽灯籠』の姿を。
念のため、もう誰かが特殊空間に誘われないよう、密かに『御伽灯籠』の灯火を消してから。
あとは怪しまれないよう、この灯籠を――メガリスを回収すれば、依頼完遂である。
もうメガリスの灯は消したから、この場で怪異が怒ることはないだろうし。
マスターやウェイトレスから見れば、『花傘館』で雨宿りをしている客であるから。
何も頼まずに、灯籠だけ回収するというのも、不自然なこと。
クラシックなソファーの座り心地は、つい長居したくなるほどふわふわな心地であるし。
窓から見える庭には今の季節、雨の日にぴったりな紫陽花も咲き誇っている。
折角だから、雨の日の夜を暫しこの店で楽しむのも良いだろう。
そんな『花傘館』で雨宿りする時間は、他の客に迷惑にならなければ、何でも自由。
そう席も混んでいないため、2階から1階への席の移動も、店員に申し入れれば問題無さそうだ。
そしてメニューを開けば、雨や傘や花がモチーフの飲み物やスイーツ、軽食が沢山。
傘がさされた、花いっぱいの雨色ブーケパフェは、目でも舌でも可愛さや甘さを存分に堪能できるし。
食べられる花・エディブルフラワーに飾られた花かき氷も、シロップの味が選べて、映える見た目も日記で。
同じく美味しい花がいっぱい咲いた、とろりと甘い花の香がするシロップをかけて食べる花畑パンケーキに。
魔法の雨を降らせると色が変わる紫陽花炭酸クラッシュゼリーなど、雨の日スイーツはこの店ならではだし。
レトロカフェらしく、和洋限らず、沢山の数のメニューがあって。
レインドロップケーキと呼ばれている雨の雫のようなぷるぷるの水信玄餅に、和傘をさした紫陽花あんみつ、ゆるかわなカエルさん焼きまんじゅうなどの、雨をイメージした和スイーツもあるというし。
おなかがすいていれば、花に彩られたナポリタンやグラタンやオムライス、フルーツサンドなどの軽食も用意されている。
飲み物も、色が変わるバタフライピーのハーブティーやバタフライピーラテは、まるで紫陽花の彩りのようで。
しゅわり弾ける雨色サイダーも爽やかだし、ほっこりあたたかい傘のラテアートが施された珈琲やココアなどの、雨を思わせるドリンクも豊富。
勿論、普通の珈琲紅茶や抹茶や日本茶などもあるので、お好みで注文できる。
また、成人している客に限るが、雨をイメージした酒類も楽しめるという。
雨の日の夜を思わせる傘などが飾られた雨宿りカクテルや、まあるいグラスに注がれる紫陽花サワー。
マスターチョイスの雨の日に呑みたい味わいのブレンデッドウイスキー、天泣という名の日本酒など、雨の日にちなんだ酒がいただけるようであるし。
甘い物は勿論、甘くない紫陽花揚げ海老団子や花の生春巻きなどのつまみになるような小鉢もあるので、雨音を聞きながら晩酌も良いのではないか。
どのように雨宿りの時間を過ごすかは、その人次第。
雨音をBGMに、静かに読書をしたり、編み物をしてみたり。
ただ何もせず、ほっこり過ごすのも良いし。
誰かと会話を楽しんだり、お喋り好きなマスターに話しかけてもいいかもしれない。
何せ此処は雨宿りカフェなのだから、もしも雨が止む迄の時間で手持無沙汰になれば、暇潰しも用意されている。
好きなチャームや天然石が組み合わせられるアンブレラマーカーは、傘の出番が多い梅雨には大活躍だろうし。
ステンドグラス風のしおりは、傘やカエル紫陽花などの絵柄が好きに選べるというし、読書のお供にもぴったり。
雨が止むのを、フリルレースで作るお洒落なてるてる坊主を作りながら待つのもまた良いだろう。
雨は降っているが、広い紫陽花咲く庭を傘をさして散策などもできるようだ。
メガリス回収に関しては、それほど難しくはないだろう。
まだ『御伽灯籠』はこの店に飾られて日が浅く、確かにマスターが心惹かれた意匠であることは確かとはいえ。
どうしてもマスターが手元に置いておきたい愛着はまだわいていないことは、2階に飾られていたことからわかるから。
気に入ったから是非売ってほしいと持ち掛ければ、きっと大丈夫であるだろうし。
怪異の影響を考えれば此処に置いておくのは危険なため、猟兵の技能を駆使して気付かれず持ち帰ることも可能だろうが。
回収にあたるのは誰かひとりまたは1グループであることが自然だろうし。
他の猟兵は、マスターや店員に不自然に思われないよう、雨宿りカフェを楽しむことに注力して欲しい。
何より、折角だから雨宿りのひとときを楽しく――貴方好みに過ごして欲しい。
『花傘館』は、そういう雨の日の夜の憩いを提供している店なのだから。
●マスターより補足
メガリス回収に関しては、どなたかおひとり様もしくは1グループ様のプレイングを採用することになります。
もしくは、プレイングの内容が不自然でなければ数名様のプレイングをひとまとめにする可能性もあります。
カフェを楽しむ行動だけでも全く構いません、その際も最後はメガリスはきちんと回収されますので、ご自由に雨宿りカフェでのひとときを楽しんでいただければです。
八重咲・風鈴
※アドリブ、連携などOK
「終わったなぁ」
ゆるると笑ってから一段落したなぁとメガリス回収は他の人に任せて、自分は怪しまれないよう喫茶店を楽しませてもらおう。
なにせパンケーキとか美味しそうだし、こういう凝ったものはワクワクするので
ココアと花畑パンケーキをお願いして、それを楽しみながら店内をゆっくりとそこから見よう。
こういうのんびりした時間も、悪くは無いというか、とても好きなので
気が付けば、耳に聴こえるのは、ぽつぽつと窓を打つ雨の音。
何気なく宵の紫陽花のような藍色の瞳を向ければ、まだ当分止みそうもないけれど。
でも、特に急いでもいないし、八重咲・風鈴(旅する羽衣人・f43372)は元々そういう性分なのだ。
「終わったなぁ」
ゆるゆると笑って紡ぐその口調通り、のんびりとしていてマイペースなのである。
そして無事に『御伽灯籠』が引き起こした特殊空間からも解放されて、一段落したなぁ、と。
あとはメガリスを回収すれば、今回の依頼は完遂となるが。
風鈴はゆるゆる、ほわほわとメニューに手を伸ばしてみる。
メガリス回収は他の人に任せて、自分は仲間が怪しまれないよう喫茶店を楽しむ……これもれっきとした、猟兵の仕事に違いないから。
いや、それも勿論あるのだけれど。
(「なにせパンケーキとか美味しそうだし、こういう凝ったものはワクワクするなぁ」)
灯籠に話して聞かせたようなカレーも美味しいし、メニューに並んでいるような甘いものにもまた惹かれるし。
店のコンセプトである雨や花をモチーフとした、いわゆる映える見目にも、心が躍るというもの。
ということで、やはり気になっていた花畑パンケーキと飲み物はココアを注文してから。
程なくして運ばれてきた、色とりどりの美味しい花がいっぱい咲いたパンケーキに、とろり甘い花の香のシロップをかけて。
はむりと頬張ってはのんびりと味わいつつ、店内をゆっくりと席から眺めてみれば。
読書をしている人もいれば、談笑している人、特に何もせずゆったり過ごしている人……皆、雨が止むまでひとときを、それぞれ楽しんでいて。
ココアのあたたかさと甘さにほわりと癒されながらも、風鈴ももう暫く、雨宿りを楽しむつもり。
だって、ふらり気ままな自由人である彼にとって、いつ止むかわからない雨を待つことは勿論、全く苦ではないし。
ランプたちの仄かな灯火揺れる店内に流れる、このまったりとした空気感は居心地が良くて。
風鈴は花咲くパンケーキをじっくり眺めつつ、再び口にしながらも、藍色の瞳をゆるりと細める。
(「こういうのんびりした時間も、悪くは無いというか」)
むしろ――とても好きなので、って。
大成功
🔵🔵🔵
夜鳥・藍
メガリスは他の方にお任せしましょうか。もしいらっしゃらなかったら自分で行います。
さてどうしましょうか。
本を持って来てれば読むところだけど、メガリス絡みと聞いてたから持ってきてないし。
雨音を聞いてると眠くなってしまうから何もしないというのもきっと寝ちゃうから。
……なにもやる事はない時は目的もなくカードを切るのだけど、さすがに営業妨害になるんじゃないかしら?
でもそうね、許可が得られるのなら簡易的ですが占いでもしましょうか。
マスター相手でもお客様相手でも。
占い方は簡単なイエスorノウの一枚引きか、ある程度ケルト十字当たりかしら?
占星術を今できる程習熟してませんがタロットだけは自信があります。
灯火はこれ以上怪異が起こらないよう、念のために消してあるけれど。
でも、ふと目を向ければ、沢山の話を聞けて満足そうにも見える『御伽灯籠』。
夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)は、もしも誰もいないのならば自分が担うつもりでいたが。
(「メガリスは他の方にお任せしましょうか」)
回収に動く仲間がいるようなので、店の人達に不自然に思われないよう、雨宿りを楽しむことに。
とはいえ……さてどうしましょうか、と。
いざ、自由に過ごしていいという時間ができれば、ちょっぴり悩んでしまう。
思いつく過ごし方といえばやはり、雨音を耳にしながらゆっくりと読書、とかなのだが。
(「本を持って来てれば読むところだけど、メガリス絡みと聞いてたから持ってきてないし」)
今回このカフェを訪れたのは猟兵の仕事のためであったから、肝心の本をあいにく持参してはいないし。
かといって、何もしないで過ごすというのも。
(「雨音を聞いてると眠くなってしまうから」)
……きっと寝ちゃう、ってそう思うから。
自分が普段、時間ができた時に、何をしているかを思い返してみて。
(「……なにもやる事はない時は目的もなくカードを切るのだけど、さすがに営業妨害になるんじゃないかしら?」)
そう思いながらも周囲をそっと見てみれば皆、思いのほか自由に過ごしているようだから。
そんな人達の様子を眺めつつ……でもそうね、許可が得られるのなら、と。
「簡易的ですが、店内で占いをしても大丈夫でしょうか」
「占いですか、それは素敵ですね。むしろ占っていただきたいくらいです」
マスターに声を掛けてみれば、思った以上に快い声が返ってきたし。
「あ、私も! 占い好きなんです」
「ではよければ、僕も」
マスターに続いてウェイトレスも、そして楽しくも同じように暇を持て余していた客も、そう乗り気に申し出てくれたから。
(「占い方は簡単なイエスorノウの一枚引きか、ある程度ケルト十字当たりかしら?」)
藍はそう考えつつ、取り出したカードをシャッフルして。
……占星術を今できる程習熟してませんがタロットだけは自信があります、と。
星の光の導きを詠みながらもわくわくと、宙色の瞳を細めて、雨宿りの時間を楽しむのだった。
大成功
🔵🔵🔵
コッペリウス・ソムヌス
【玉兎3】
蝙蝠のライラも一緒に
雨宿りの続きといこうか
眺めたメニューで気になっていた
雨色ブーケパフェと適当に珈琲でも頼んで
目で楽しめるモノが好きなんだよねぇ
アラシのお裾分け横目で見つつ
食べるのは花畑にでも埋もれてるような
ライラの好きに任せる事にして
…そういえば君のオシャレの話題も出ていたから
この店でも何か見つかると良いよね
考え事ついでに手にしたフリルレースで
白コウモリ想うてるてる坊主でも作り乍ら
色違いもお揃いも
並んでる光景こそ良く思えそうな
あえてライラに紅い系、みたらしに青色の
紫陽花チャーム飾りを添えてみつつの
いちばん良いのを選ぶでも
全部が良いなんて欲張りも
賑やかな雨時みたいに振り返れそうだよね
神白・みつき
【玉兎3】
蜥蜴のみたらしも雨宿りに興味が出た様子
他の方の迷惑にならないよう過ごしましょうね
卓上を埋める飲食物にも慣れて参りました
では私は紫陽花あんみつと温かい抹茶を
窓の外の紫陽花と似ているので
まるで花をそのままいただいているよう
雨に濡れる紫陽花、花筏とはまた違った趣があって
ずっと眺めていられそうです
嵐様やコッペリウス様にたくさん飾りを
選んでいただいて上機嫌なみたらしを横目に
ふりるれぇすでてるてる坊主をひとつ
どんな顔を描くか悩みますが…ここは
今のみたらしの表情を参考にしましょうか
いただいた硝子飾りを一旦てるてる坊主に付けると
みたらしがどこか不服そうですね…
心配せずとも、ちゃんと持ち帰りますよ
邨戸・嵐
【玉兎3】
腹減りの灯篭も満足したかな
俺はこれからやっと本番
卓上に喫茶メニューをずらっと並べて
ふたりもつまみ食いはお好きにどうぞ
って、いつも通りほとんど俺が食べるんだろうけど
梅雨の特別メニューは特に気になるねえ
蛙の姿はやっぱり手が出ちゃうな
焼き饅頭と見つめ合った後にいただきます
傘型のガラスチャームを店に見つけて
どれが似合うかなって考え
ライラに夜の薄紫、みたらしに夕暮の赤橙
君たち、お揃いって好き?
コッペリウスのとどっちがお気に召すかな
てるてる坊主の仕上がりを見せてって覗いて
冬は蜜柑にみたらしの顔書いて並べたねえ
選んだチャームはリボンで結っておこうか
貢ぎ物ってことでさ
梅雨が終われば本人たちが使ってよ
燈されていた灯りがそっと消されれば、今宵はもう、不可思議な出来事は起こらないだろうけれど。
沢山のランプたちに紛れ飾られているその姿を見れば、邨戸・嵐(飢える・f36333)は思う。
「腹減りの灯篭も満足したかな」
色々な話を欲していた食いしん坊な灯籠も、おなかいっぱいになっただろうと。
だから、ぱらりとメニューをめくれば……俺はこれからやっと本番、と。
今度はようやくお待ちかね、自分達が飢えを満たす番。
そして、これから始まるひとときに楽しい気配を感じてか、朱い尻尾をゆらゆらと、興味を示した様子のみたらしに。
「他の方の迷惑にならないよう過ごしましょうね」
神白・みつき(幽寂・f34870)は、そう向けた桜の如き色を細めて。
同じ様にそわり、夜色の翼をぱたぱたと羽ばたかせる蝙蝠のライラも勿論一緒に。
まだ雨も止みそうにないから――皆で楽しむのは、雨宿りの続き。
ということで、コッペリウス・ソムヌス(Sandmann・f30787)が注文したのは。
「目で楽しめるモノが好きなんだよねぇ」
眺めたメニューで気になっていた、雨色ブーケパフェ。
そんな甘い雨色の花束に添えてもらうのは、傘のラテアート。
運ばれてきた円錐型のグラスに飾られた甘やかな花のパフェは、まさにブーケのようで。
美しく且つ美味しそうなヴィジュアルはコッペリウスの言うように、眺めているだけで気持ちも華やぐというもの。
そして、心躍る光景といえば、やはり。
「ふたりもつまみ食いはお好きにどうぞ」
喫茶メニューをずらっと並べた卓の上。
嵐はそうふたりにも紡ぎつつも、まぁわかってはいるのだ。
(「って、いつも通りほとんど俺が食べるんだろうけど」)
それは、みつきも同じで……卓上を埋める飲食物にも慣れて参りました、なんて。
嵐が頼んだ量に驚くこともなく、もうひとつ。
「では私は紫陽花あんみつと温かい抹茶を」
……窓の外の紫陽花と似ているので、と。
頼んでみたのは、紫陽花あんみつ。
それから温かい抹茶と共に運ばれてきたそれを、ひと掬いするその前に眺めてみた後。
はむりと口にすれば……まるで花をそのままいただいているよう、と。
ふと見つめる先は、雨音を鳴らす窓の外。
「雨に濡れる紫陽花、花筏とはまた違った趣があって。ずっと眺めていられそうです」
同じ水と花が織り成す景観といっても、咲かせる彩や風情はそれぞれで。
「梅雨の特別メニューは特に気になるねえ」
……蛙の姿はやっぱり手が出ちゃうな、なんて。
ゆるかわなカエルの焼きまんじゅうをひとつ、手にしたものの。
ふと目が合えば、暫し見つめ合って。でもやはり、はむりといただきます!
そしてコッペリウスは、そんな嵐のお裾分けを横目で見つつも、任せることにする。
食べるのは、花畑にでも埋もれてるようなライラの好きに、って。
それから、今は食い気がメインかもしれないけれど。
「……そういえば君のオシャレの話題も出ていたから、この店でも何か見つかると良いよね」
ふと先程の話した内容を思い返しつつも、紡げば。
考え事ついでにコッペリウスが手にしたのは、繊細でお洒落なフリルレース。
白コウモリ想うてるてる坊主でも作りながら、耳に聴こえるのは嵐の声。
「君たち、お揃いって好き?」
そんな嵐が見つけたのは、店に並んだ傘型のガラスチャームたち。
傘とひとことに言っても、そのカタチや色は様々だから。
どれが似合うかなって考えつつも選んでみたのは、ライラには夜の薄紫、みたらしには夕暮の赤橙のもの。
そしてコッペリウスもてるてる坊主にお洒落させつつ、紅と青のいろを手にしてみるけれど。
……色違いもお揃いも、並んでる光景こそ良く思えそうな、って。
あえて添えてみるのは、ライラには紅系の、みたらしには青の、紫陽花チャーム飾り。
「コッペリウスのとどっちがお気に召すかな」
そう視線を向けられる当のみたらしをみつきが見れば。
ライラと共に、ふたりに沢山の飾りを選んでもらって上機嫌な様子で。
そんな様子を横目に、フリルレースでてるてる坊主をひとつ作ってみるのだけれど。
「どんな顔を描くか悩みますが……」
……ここは、と、ちらり見遣るのは。
(「今のみたらしの表情を参考にしましょうか」)
うきうきえっへん、満足気なお顔。
そんなみつきやコッペリウスが作る、てるてる坊主の仕上がりをひょこりと。
見せてって覗いた嵐は、なんだか既視感を覚えて。
「冬は蜜柑にみたらしの顔書いて並べたねえ」
そう思い返しながらも、選んだ傘のチャームはリボンで結っておくことにして。
貢ぎ物ってことでさ――なんて渡された硝子飾りを、みつきが一旦てるてる坊主に付ければ。
「みたらしがどこか不服そうですね……」
「梅雨が終われば本人たちが使ってよ」
「心配せずとも、ちゃんと持ち帰りますよ」
ちょっぴり抗議するように尻尾をぶんぶんするみたらしを宥めて。
「いちばん良いのを選ぶでも、全部が良いなんて欲張りも、賑やかな雨時みたいに振り返れそうだよね」
コッペリウスも紫陽花チャームをてるてる坊主にゆらり飾りながらも、あとは夜の子たちにやはりお任せ。
でも、自分たちのだと言わんばかりの気に入り具合をみれば、きっと。
雨が止んだ後の予報は――傘も紫陽花もどちらもお揃いで、お持ち帰りになりそうな心模様。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
真宮・奏
義兄で夫である瞬(f06558)と参加
他の世界の仕事が忙しすぎて、兄さん・・・瞬と二人きりで過ごす時間が取れないでいました。うう、未だに名前呼びなれない・・・。あ、とても美味しそうなカフェが!!アンティークカフェが!!夜ご飯、いかが?
お酒!!飲みましょう!!あ、一緒に紫陽花サワー飲みましょう!!それなりに飲めますしね。私たち。
メニューはオムライス、フルーツサンド、クラッシュゼリー!!それでも厳選したんですよ!!エビ団子添えましょう。うん、それ以上は財布がパンクしますね。・・・美味しい!!
この世界も災いの種多けれど、こういう憩いの場も残ってる。守らないとですね。これからも共に。瞬。
神城・瞬
義妹で妻の奏(f03210)と参加
色々家族全員が忙しく駆け回ってて夫婦で過ごす時間が取れなかった・・・まあ、結婚したのが去年のクリスマスですし、名前呼びが慣れないのも仕方ない。ゆっくり過ごしましょう。
ああ、アンティークカフェ、ですか。夜ご飯にしましょう。ナポリタンにウィスキーに焼きまんじゅう。それに生春巻きですか。うん、奏もそうですが、僕も凄く厳選しましたよ。これで財布が空です。魅力的すぎるんですよ、そのカフェのメニュー。
そうですね、成人した夫婦だからこそ晩酌ができる。あの小さい恋人たちが安心して故郷のお酒を共にできる未来の為に。やるべきことを。
(名前呼びに微笑み)まずは一歩、ですね。
雨が降る夜、並んで傘の花を咲かせながらも。
真宮・奏(絢爛の星・f03210)は一息つき、ここ最近のことを思い返しつつも。
「他の世界の仕事が忙しすぎて、兄さん……瞬と二人きりで過ごす時間が取れないでいました」
そう口にすれば、うう、と小さく唸ってしまう。
瞬は確かに義兄であるけれど、でも今は夫でもあるのだから。名前呼びで、とは思うのだけれど。
未だに名前呼びなれない……なんて、つい兄さんと呼んでしまう奏。
そんな彼女の言葉に、神城・瞬(清光の月・f06558)も頷きながらも。
「色々家族全員が忙しく駆け回ってて夫婦で過ごす時間が取れなかった……」
名前呼びにそわりとしているその姿を見つつも思う。
……まあ、結婚したのが去年のクリスマスですし、名前呼びが慣れないのも仕方ない、と。
それに、折角こうやってふたりの時間が取れたのだから。
ゆっくり過ごしましょう、と雨音を聞きながら歩いていれば。
ふと顔を上げた奏が刹那、ぱっと瞳を輝かせて。
「あ、とても美味しそうなカフェが!! アンティークカフェが!!」
「ああ、アンティークカフェ、ですか」
その視線を追った瞬も、雨の夜に営業している、アンティークな雰囲気の雨宿りカフェを見つけて。
「夜ご飯、いかが?」
「夜ご飯にしましょう」
わくわくしている妻の誘いを断るはずもなく、ふたり揃ってカフェ『花傘館』の店内へと足を踏み入れれば。
沢山のランプが灯る中、案内されたふかふかのソファー席に座れば、早速メニューをぱらり。
「お酒!! 飲みましょう!!」
奏がまず広げたのは、アルコールのページ。
いや、お酒だけではなくて。
「メニューはオムライス、フルーツサンド、クラッシュゼリー!!」
美味しい物だって勿論、気になるものを選んでいく奏だけれど。
「それでも厳選したんですよ!!」
悩みに悩んで、なんとか絞り込んだラインナップなのです。
でもそれは、瞬も同じで。
「ナポリタンにウィスキーに焼きまんじゅう。それに生春巻きですか」
そう口にしつつも続ける……うん、奏もそうですが、僕も凄く厳選しましたよ、と。
ということで、頼むメニューも、悩みつつ決定――。
「エビ団子添えましょう」
いえ、紫陽花揚げ海老団子も追加です。
そんなオーダーを店員に済ませた後、瞬はちょっぴりだけ苦笑するも。
「これで財布が空です。魅力的すぎるんですよ、そのカフェのメニュー」
「うん、それ以上は財布がパンクしますね」
食べたい物を全て頼めば、おなかではなく財布のほうがパンクしてしまいそうだから、このくらいにしておいて。
注文した品物が並べられれば、早速いただきます!
嬉々と手を伸ばした奏は、オムライスにフルーツサンド、クラッシュゼリーをひとくちずつぱくりと味わってみれば。
「……美味しい!!」
その美味しさに、ぱあっと咲く幸せそうな笑顔。
それからふと手にするのは、まあるい可愛いグラスに入った、お楽しみのお酒。
「あ、一緒に紫陽花サワー飲みましょう!! それなりに飲めますしね。私たち」
「そうですね、成人した夫婦だからこそ晩酌ができる」
瞬も、そう柔く瞳を細めて返しながらも。
心に思うのは小さなふたりのことと、家族皆で最近も赴いた別世界のこと。
「あの小さい恋人たちが安心して故郷のお酒を共にできる未来の為に。やるべきことを」
「この世界も災いの種多けれど、こういう憩いの場も残ってる。守らないとですね」
ずっと今までも、家族で戦場を渡り歩いてきて、いくつもの事件を解決してきたのだから。
奏は紫陽花サワーをそっと掲げて、乾杯を。
……これからも共に。瞬――って。
そしてそんな妻に、微笑んで返す瞬。
「まずは一歩、ですね」
確かに耳に届いた、名前呼びに。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
パウル・ブラフマン
【邪蛸】
無事にオシゴトを終えてほっとひと息。
雨も未だ降ってるし…
ねぇジャスパー、もう少しココでゆっくりしてこっか♪
アンブレラマーカーを自作…!
うっわ超エモいじゃん、オレ達もお互いの作り合いっこしない?
オーダーした雨宿りカクテルを楽しみつつも
ジャスパー概念パーツの選定はガチでいくもんね!
お揃いの紫陽花型のプレートに
紫色のハートの天然石と、悪魔の尻尾を模したチャームを連ねよう。
キミの酔い具合も、本当は全てお見通し。
でも甘えたその笑顔があまりにも愛くるしくて…
紡がれた言葉も嬉しくて堪らないんだ。
まだ雨は降っているけれどこのグラスが空いたら出発しよっか。
オレ達に似た色の…とびっきりの紫陽花を探しにさ♪
ジャスパー・ドゥルジー
【邪蛸】
紫陽花サワーをゆっくり飲みながら
パウルと一緒にアンブレラマーカーを作るぜ
やっぱアンブレラマーカーかな
紫からピンクのグラデーションが可愛い紫陽花型のプレートに
雨粒みたいな青い雫型の天然石を添えて
手元が狂わないようにゆーっくり飲んでるから
さすがの俺もぜんぜん酔ってねえんだけど
ちょっと酔ったフリしてへにゃって笑いつつ
「紫陽花って俺らみたいだよな」なんて口走ってみる
パウルの目の色のやつと、俺の目の色のやつがいてさ
外を眺めれば雨はまだしとしと降り続けていて
絶好の手芸日和だよなあ
もうちょっと店でのんびりしていたいけど
早く傘につけて雨の散歩に繰り出したい気持ちもあるな
眼前に広がる風景は、沢山のランプが仄か灯る雰囲気の良いカフェの店内。
話を欲していた『御伽灯籠』の灯火も念の為、今はもう消しているから。
パウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)は、無事にひと仕事終えてほっとひと息つきつつも。
窓の外を見れば、雨も未だ降ってるし……と。
「ねぇジャスパー、もう少しココでゆっくりしてこっか♪」
メガリス回収という、この仕事の仕上げのためにも。
それに何より――ふたりの雨宿りデートを楽しむためにも、そう提案して。
まんまるグラスに入った紫陽花サワーをゆっくり飲みながら、さて雨宿りのひとときをどう過ごそうかと。
瞳巡らせたジャスパー・ドゥルジー("D"RIVE・f20695)が見つけたのは。
「やっぱアンブレラマーカーかな」
様々な色や形をしたアンブレラマーカー。
そしてそれらは、暇つぶしにどうぞと、好みのものを作れるのだと聞いたから。
「アンブレラマーカーを自作……! うっわ超エモいじゃん、オレ達もお互いの作り合いっこしない?」
「じゃあ、この可愛いやつ……紫陽花型のプレートでお揃いとかどう?」
「うんうん、さすがジャスパーはセンスがいいね! それで作ろっか♪」
お揃いのプレートで、お互いのアンブレラマーカーを作り合いっこ。
オーダーした雨宿りカクテルを楽しみつつも……ジャスパー概念パーツの選定はガチでいくもんね! と。
パウルは並々ならぬ気合いで、ひとつひとつ確りとパーツを厳選して。
お揃いの紫陽花型のプレートに連ねたのは、選び抜いた紫色のハートの天然石とゆらり揺れる悪魔の尻尾を模したチャーム。
ジャスパーも、ピンクのグラデーションが可愛い紫陽花型のプレートに、ひとしずく。
雨粒みたいな青い雫型の天然石を添えながらも。
「紫陽花って俺らみたいだよな」
……パウルの目の色のやつと、俺の目の色のやつがいてさ、なんて。
へにゃって笑いつつ、口走ってみるも。
(「手元が狂わないようにゆーっくり飲んでるから、さすがの俺もぜんぜん酔ってねえんだけど」)
悪戯にゆるり尻尾を揺らしながら、そうちょっと酔ったフリ。
けれどさっき言った通りに、オレは勘が鋭い方だから、と。
しかもそれがジャスパーのこととなれば、より一層のこと。
パウルはそっと見つめる青の瞳を細める――キミの酔い具合も、本当は全てお見通し、って。
でも、それには気付かないフリ。
だって、思わずにこにこしてしまうほど。
(「甘えたその笑顔があまりにも愛くるしくて……紡がれた言葉も嬉しくて堪らないんだ」)
掴まれた心が、きゅんとなっているのだから。
そしてジャスパーは、器用に嬉々と作業を進めていきながらも。
ふと外を眺めれば、雨はまだしとしと降り続けていて、止む気配はなさそうで。
「絶好の手芸日和だよなあ」
作業を邪魔しない、心地良い雨の音色を耳にしながら、パウルと一緒に雨宿りを満喫しつつも。
「もうちょっと店でのんびりしていたいけど、早く傘につけて雨の散歩に繰り出したい気持ちもあるな」
完成したアンブレラマーカーを揺らして見つめ、そう口にすれば。
そんなジャスパーの声に、パウルが返すのは。
「まだ雨は降っているけれどこのグラスが空いたら出発しよっか」
雨宿りも雨の散歩も、ジャスパーがしたいことをどっちとも欲張っちゃえる提案。
オレ達に似た色の……とびっきりの紫陽花を探しにさ♪ って。
作り合いっこした紫陽花のマーカーが仲良く揺れる傘を、雨の夜空にくるりと咲かせながら、一緒に。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
八坂・詩織
五十嵐・右京(f35357)さんをお誘い
五十嵐さん何か飲まれます?私は雨宿りカクテルと、紫陽花炭酸クラッシュゼリーをいただこうかと。
ゼリーはあれですよね、バタフライピーにレモン汁をかけると色が変わるっていう…
こういう色変わりスイーツって実験みたいで大好きです。
五十嵐さんはどうして先生に?理科の教員免許もお持ちなんですよね。
私は…元から理科教師への憧れありましたけど、昔の天文部の部員からも先生に向いてるんじゃないかって言ってもらえて。
小学校だと全教科教えないといけないし高校だと生物と物理で分かれちゃうので。中学生くらいがいいかなって。
あとはこれからはSTEM教育重要ですよね、等教育論を語れたらと
喫茶店での雨宿りは、同じ職業についている者同士、お喋りするにも絶好のひととき。
「五十嵐さん何か飲まれます? 私は雨宿りカクテルと、紫陽花炭酸クラッシュゼリーをいただこうかと」
「じゃあ俺は、紫陽花サワーと……雨色ブーケパフェ、いや花畑パンケーキも美味そうだよな……」
「五十嵐さんは甘い物がお好きなんですか?」
「えっ!? ま、まぁ……うん、好きだぞ」
何だかちょっぴり照れたように大きく頷く、そんな彼の少し意外な趣向を知れたりもするし。
「五十嵐さんはどうして先生に? 理科の教員免許もお持ちなんですよね」
同僚が教師になったきっかけにも、何気に興味があるから。
そして雑談を交わしつつ、運ばれてきたゼリーの上に、添えられている魔法の雨を降らせてみれば。
雨の中で咲く紫陽花のような彩りが、青から紫へと移ろう。
とはいえ、ふたりは理科教師。
「ゼリーはあれですよね、バタフライピーにレモン汁をかけると色が変わるっていう……」
「バタフライピーに多く含まれるアントシアニンがアルカリ性だから、酸性のレモン果汁かけたら色変わるんだな」
「こういう色変わりスイーツって実験みたいで大好きです」
「分かる、俺もこういうのすげー好き。俺は小学部の教員だけど、理科の……それこそ、理科の中でも化学が専門だからな!」
魔法の雨という詩的な言葉よりも、化学反応の方が心が躍るみたい……?
それから嬉々と甘いパンケーキを食べつつも、右京は先程向けられた問いにこう答える。
「先生になったきっかけか。俺は子供が好きだし、小学部を選んだのは、体育とか図工とか音楽とかも楽しそうかなって。理科教師の免許を取ったのは単純に、一番得意で好きな教科だったからだな」
そして、詩織は何で教師に? と逆に訊ねられれば。
「私は……元から理科教師への憧れありましたけど、昔の天文部の部員からも先生に向いてるんじゃないかって言ってもらえて」
「確かに、先生って感じするな」
「そうですか? 私は五十嵐さんとは逆に、小学校だと全教科教えないといけないし。高校だと生物と物理で分かれちゃうので、中学生くらいがいいかなって。五十嵐さんは確かに、小学部の先生っぽいですね」
互いにそう会話を交わしつつ、スイーツやお酒をいただいていれば。
「あとはこれからはSTEM教育重要ですよね」
「まだまだ環境を整える必要はあるけどな。まずは生徒たちに、色々興味を持ってもらえるようすることが大事だよな」
「これから人工知能も発達していくでしょうし、人間だからこその新しいものを創造する能力や多様性が、これからは求められますからね」
やはりどうしても、職業病……?
気が付いたら語り合い意見交換するのは、教育論。
大成功
🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふええ、ど、どうにか間に合いました。
まさか、自己紹介を高速詠唱するとは思いませんでした。
アヒルさんも私をおいてさっさと現実に戻ってきてますし。
……あ、アヒルさん先に料理を食べてるなんて、ズルいですよ。
私も早口で自己紹介をしてたから、喉がカラカラです。
私にはバタフライピーのハーブティーをお願いします。
それにしても、『御伽灯籠』さんはよくアヒルさんの言ってることをわかりましたよね?
やっぱりメガリスさんの神秘の力なのでしょうか?
ふえ?アヒルさんの語りがうまかったから伝わっていたって、
はいはい、そういうことにしておきましょうね。
気が付けば、沢山のアンティークランプが仄かに灯る店の風景に戻っていたから。
大きな帽子をそっと押さえながら、ホッとするフリル・インレアン(大きな|帽子の物語《 👒 🦆 》はまだ終わらない・f19557)。
いや、自分語りをしなければ出られない特殊空間に閉じ込められたというのに。
アヒルさんの長い武勇伝だのなんだの、文字数の関係で、危うく自己紹介を割愛されて、戻れなくなるところであったが。
「ふええ、ど、どうにか間に合いました」
何とか元の店内に戻ってこられたことに、心底安堵しつつも、こう思わずにはいられない。
……まさか、自己紹介を高速詠唱するとは思いませんでした、なんて。
そしてその原因となった、長い長い武勇伝を先に披露して。
「アヒルさんも私をおいてさっさと現実に戻ってきてますし」
しれっと自分を置いて先に戻っているその姿を目を向ければ。
これまたちゃっかりと、フリルを待つ気などさらさらない様子で、はむはむ。
「……あ、アヒルさん先に料理を食べてるなんて、ズルいですよ」
雨の日メニューを早速あれこれと堪能しているアヒルさん。
そんなアヒルさんに続いて、フリルもメニューを開いてから。
「私も早口で自己紹介をしてたから、喉がカラカラです。私にはバタフライピーのハーブティーをお願いします」
とりあえず喉も潤せて、季節限定感も味わそうな、色が変わる爽やかな飲み物に。
それからレモン汁の魔法の雨を降らせ、青から紫に移ろうバタフライピーのハーブティーを口にして、ようやく一息ついた後。
ふと思い返せば、湧いてきたこんな疑問を口にするフリル。
「それにしても、『御伽灯籠』さんはよくアヒルさんの言ってることをわかりましたよね?」
……やっぱりメガリスさんの神秘の力なのでしょうか? なんて。
そう考えていれば、聞こえてきたアヒルさんの主張に瞳をぱちりと瞬かせた後。
「ふえ? アヒルさんの語りがうまかったから伝わっていたって」
一緒に雨宿りのひとときを堪能しつつも、こう返しておくことに。
……はいはい、そういうことにしておきましょうね、って。
大成功
🔵🔵🔵
オニバス・ビロウ
先程見せて貰っためにゅー表の…雨にちなんだ酒、といったものが気になっている
雨上がりに感じる風の吹き抜けるような晴れやかな味わいなのか、
はたまた雨のしとりとした空気を含んだ口当たりのような酒なのか
どうせならどちらも味わいたい
店主よ、そういった酒を二つ見繕って貰えるだろうか
つまみは…うむ、辛めのものと甘めのものを二つ頼みたい
穏やかな雨音の中で妻のことを考える
天海も暑くなる頃だから、一度妻と暮らす家に戻って雨漏りしてないか激しい風雨で建付けが悪くなってないか確認して…
|楓《俺の最愛》よ、必ず一緒に帰ろうな
共に帰ったら、君の好きな爽やかな風味の酒と辛味あるつまみでささやかに帰ってこれた祝いをしよう
人々の話を欲し、沢山の話を収集する『御伽灯籠』の灯火ももう今は消されていて。
そっと飾られているその灯籠も、色々な話を聞けて満足もしているだろうから。
オニバス・ビロウ(花冠・f19687)は現実に戻ってきたことを確認すれば、手を伸ばしてぺらりと。
ページを捲りつつも探してみるのは。
(「先程見せて貰っためにゅー表の……雨にちなんだ酒、といったものが気になっている」)
横文字は苦手だけれど、雨の日をイメージしたのだと見た酒。
それは、雨上がりに感じる風の吹き抜けるような晴れやかな味わいなのか。
はたまた、雨のしとりとした空気を含んだ口当たりのような酒なのか――。
そして、オニバスがマスターへと告げるのは。
「店主よ、そういった酒を二つ見繕って貰えるだろうか」
……どうせならどちらも味わいたい、と。
折角だから、同じ雨の酒でも、趣の違うものをふたつ頼んでみることに。
いや、酒だけではなくて。
「酒のつまみに、何か肴もいかがでしょうか?」
「つまみは……うむ、辛めのものと甘めのものを二つ頼みたい」
酒のお供も、辛めと甘め、それぞれ違ったものを。
そして出された一つ目のカクテルは、天泣という日本酒をベースにブルーキュラソーとレモンを加えた雨上がりのような、爽やかな味わいの日本酒カクテルと。
静かな夜の雨をイメージしたという、しっとり重めのブレンデッドウイスキー。
つまみも、辛めのソースを絡めていただく花の生春巻きと、甘いカエル饅頭を見繕って貰って。
選んで貰った酒を飲み比べ、つまみを交互に口にしつつも。
(「天海も暑くなる頃だから、一度妻と暮らす家に戻って雨漏りしてないか激しい風雨で建付けが悪くなってないか確認して……」)
穏やかな雨音の中で考えるのは、『御伽灯籠』にも語った故郷・天海のこと。
そして、何よりも――妻のことを。
(「共に帰ったら、君の好きな爽やかな風味の酒と辛味あるつまみでささやかに帰ってこれた祝いをしよう」)
……|楓《 俺の最愛 》よ、必ず一緒に帰ろうな、と。
きっと彼女も好きだろう雨上がりの日本酒カクテルと、辛味ソースを纏わせた美しく花咲く生春巻きを口にしつつも。
雨音を聞きながら、改めてオニバスは想いを強くするのだった――いつか、今度はふたりで酒を酌み交わせる、そんな日のために。
大成功
🔵🔵🔵
ネモ・ノーメンネスキオー
せっかく訪れたことですし、のんびりして行くとしましょう。
窓辺の席で雨音をBGMに優雅な所作でブレンデッドウイスキーを楽しみます。素晴らしい味わいで、職人達の努力が垣間見えるようだ。
マスターは多趣味でいらっしゃるようだ。こだわって選んでいるであろうカフェのメニューやお酒の話を聞きたいですね。
メガリスの回収に向かっているだろう方々の為、マスターの気を引く意味合いもあります。だからこそ彼等に『何かあると思わせない』より自然なタイミング、長さで。
最後はマスターやスタッフに一礼。
ドアを閉めたら『unidentified』を真っ黒な傘に変形させて差して歩き、何処へともなく姿を消しましょう。
灯籠が魅せる百の灯火も、そして店主の拘りが随所に見て取れるカフェも。
ネモ・ノーメンネスキオー(Mr.N.N.・f43780)にとって、少なからず興味を擽られたから。
(「せっかく訪れたことですし、のんびりして行くとしましょう」)
メガリスがどれか判明した今、それを回収する仕上げは残ってはいるものの。
窓辺の席で雨音をBGMに優雅な所作で楽しむのは、雨の日にぴったりだと出して貰ったブレンデッドウイスキー。
ゆらりと深い琥珀の色合いは、夜を思わせるもので。
「素晴らしい味わいで、職人達の努力が垣間見えるようだ」
口にすれば重めのボディが確かに、しっとりとした静かな雨の日のよう。
「よくおわかりで。それは長期熟成の逸品なんですよ」
「どうりで、落ち着いた表情を見せつつも複雑な味わいなわけですね」
そして酒と共にネモが楽しむのは。
「マスターは多趣味でいらっしゃるようだ。このカフェのメニューやお酒の選定はマスターが?」
こだわって色々と選んでいることが容易にわかる、マスターとの会話。
それは勿論、今回は猟兵の仕事として此処には赴いていて。
「ええ、このような特殊な営業時間のカフェですし、私が好きなものや興味を惹かれたものをと」
「成程。並ぶランプもかの高名な作家のものであったりと、興味深いですね」
メガリスの回収に向かっているだろう他の猟兵の為、マスターの気を引く意味合いもあるから。
だからこそネモは、より自然なタイミング、長さの会話を心掛ける。
マスターやウェイトレス、一般人の彼等に決して、『何かあると思わせない』ようにと。
だがマスターの様子を見れば、自分の拘りやその良さを分かってくれるネモとの会話に、わくわくと饒舌になっている様子で。
きっと彼が何か怪しむようなことはないだろう。
だからネモは最後に紳士的でスマートな所作で、マスターやスタッフに一礼して、
程良いタイミングで店を後にし、そのドアを閉めれば、夜空にステッキのような漆黒を掲げる。
そして刹那、『unidentified』が変形した真っ黒な傘を雨空に咲かせれば、まるで闇に溶けるかのように。
雨音だけが響く静かな夜、何処へともなく姿を消すのだった。
大成功
🔵🔵🔵
鈴鹿・小春
右京センパイ(f35357)と!
御伽灯籠の灯も消したし後はゆっくり雨宿り。
ソファーに座ってメニューは…目移りしちゃう!
雨色サイダーとカエルさん焼きまんじゅうを頼もうかなー。右京センパイはどうします?
やっぱ映えそうな組み合わせとかナチュラルに選んでそうな…!
美味しそうな組み合わせとかあったら追加注文しますね!
しとしと雨降る中でゆっくり時間を過ごす、やっぱり落ち着きますよねー。
…右京センパイだったら『自分語り』どんなのしたのかなーとかちょっと気になったり。
雨はいつか止むんだろうけど、それまでの時間を楽しめるかはきっと心持ち次第。
ゆっくりのんびり待ちながらいっぱい語りましょー!
※アドリブ絡み等お任せ
自分達が先程誘われた、百物語のような空間。
けれどそれを生み出していた『御伽灯籠』は、沢山の話を聞いて満足したのか。
灯火が消えた今、静かに大人しく飾られている。
そんなメガリスを様子を窺いながらも。
(「御伽灯籠の灯も消したし後はゆっくり雨宿り」)
まだ、当分雨も止みそうにないから。
鈴鹿・小春(万彩の剣・f36941)は、声を掛けた右京とともに改めてふかふわのソファーに座って。
「メニューは……目移りしちゃう!」
開いたメニューはあれもこれも美味しそうで、つい迷ってしまうけれど。
「雨色サイダーとカエルさん焼きまんじゅうを頼もうかなー。右京センパイはどうします?」
「そうだなぁ。んじゃ、色が変わるバタフライピーラテと花かき氷にするかなー」
(「やっぱ映えそうな組み合わせとかナチュラルに選んでる……!」)
自称オサレであるだけあって、相変わらず映えそうな右京のチョイス。
そんな謎の女子力の高さに関心しつつも、小春もふと目についたものを追加注文。
「あ、右京センパイ、このぷるぷるの水信玄餅……レインドロップケーキ? これも美味しそうだから頼んでみません?」
「お、いいな! 映えそうだし、頼んでみるか」
やはり少なからず映えを意識しているんだ……なんて彼の言葉を聞いて思いつつも。
「しとしと雨降る中でゆっくり時間を過ごす、やっぱり落ち着きますよねー」
運ばれてきた雨の日メニューを堪能しつつも、ふと小春は右京をちらり。
「? どうした?」
「……右京センパイだったら『自分語り』どんなのしたのかなーとかちょっと気になったり」
そうそっと口にしてみれば、すぐにこう返ってくる。
俺の可愛い奥さんと天使な娘たちの話だな! なんて。
それに小春も頷きながらも、相変わらずぶれないデレデレ振りな惚気を聞いたり、話したりしつつも。
小春は窓の外に降る雨を眺め、思うのだった。
(「雨はいつか止むんだろうけど、それまでの時間を楽しめるかはきっと心持ち次第」)
だから――ゆっくりのんびり待ちながらいっぱい語りましょー! って。
憂鬱な雨などではなく、ゆったり雨宿りができる楽しい雨の夜のひとときを、目一杯満喫しながら。
大成功
🔵🔵🔵
城野・いばら
楽し気に明かりゆらす御伽灯籠さんを見たら
故郷に咲いていた頃、
アリスのお話を聞くのが楽しみだったのを思い出した
このお店やマスターさんお喋りも
そんな風に聞いてたのかしら
お店とのご縁…
出来れば、知らないままのお別れはさせたくなくて
例えこの世界に降り注ぐ世界結界が
不思議な現象を包み隠してしまうとしても
マスターさんにきちんと伝えたい
突然、お子さんを私にください!
って言っても吃驚させちゃうだろうから
カウンター席で魔法な紫陽花さんのゼリーを頂きながら
お喋りをする折に、買受けたいコトを伝えるの
雨と紫陽花さんの魔法が注ぐ素敵な空間
今夜は語り部役で来たけど
雨にちなんだお酒もあると聞けば
次は旦那さんを誘って来たいな
今は、これ以上不可思議なことが起こらないように、その灯火も消されているけれど。
でもそっと店に飾られているその姿は、たくさんの物語を聞けて満足そうに見えるし。
城野・いばら(白夜の魔女・f20406)は、お喋りを咲かせるのが好きな白薔薇であるのだけれど。
話を聞かせていた時の御伽灯籠の、楽し気に明かりをゆらしていた様子を見て、思い出していたのだ。
(「故郷に咲いていた頃、アリスのお話を聞くのが楽しみだったな」)
だから、あの子の気持ちがわかる気がするから。
いばらは、大人しくしている四季の意匠の子を見つめつつも思う。
……このお店やマスターさんお喋りも、そんな風に聞いてたのかしら、って。
いや、わかるからこそ、気になるのだ――お店とのご縁……と。
メガリスは回収しなければならない。今は実害が無くても、その力は大きいから。
今回もそのために、此処へと来たことはわかっている。
けれど、マスターがあの子を気に入って此処に連れて帰ってきたのだろうし。
様々な人達が訪れ、話をいっぱい聞けるこのカフェを、あの子も気に入っているのかもしれない。
でもだからこそ、いばらは思うから――出来れば、知らないままのお別れはさせたくない、と。
(「例えこの世界に降り注ぐ世界結界が、不思議な現象を包み隠してしまうとしても」)
……マスターさんにきちんと伝えたい、って。
とはいえ突然、お子さんを私にください! なんて言っても吃驚させちゃうだろうから。
マスターと会話ができるカウンター席で、青の紫陽花ゼリーに魔法の雨をぽたりと降らせて。
紫へと彩り移ろうそれをいただきながらも、お喋りをする折にいばらは伝える。
――あの子を……『御伽灯籠』を買い受けたい、と。
そんないばらの申し出に、最初こそ驚いた様子のマスターだったけれど。
「何だか不思議な子だなって気になって、連れて帰ってきたのですが。あの子の居場所は此処ではないという気もしていて」
そう言いつつも『御伽灯籠』をそっと手にして持って来れば、こう続ける。
この子を貴女が貰い受けていただけるのならば、喜んで――って。
そして礼を言いつつ、一緒に帰る子を隣に置いてから。
グリモアベースに預けるか、おうちに連れて帰るか、どちらでもいいらしいから……どうするかをそっと考えながらも。
(「雨と紫陽花さんの魔法が注ぐ素敵な空間、今夜は語り部役で来たけど」)
ぱらりとメニューを改めて捲り、雨にちなんだお酒も色々あると聞けば、そわり。
雨宿りを楽しみつつも、いばらは思うのだった。
また今日みたいな雨の夜の日に……次は旦那さんを誘って来たいな、って。
大成功
🔵🔵🔵
アルフィード・クローフィ
【雲蜘蛛】
うん!お仕事終わったねー!
あめあめふれふれ、と歌いながら雨宿り
ん?どうしょうかなぁ
環ちゃんはお酒にするの?
甘い物とお酒良いよね!じゃ俺も
紫陽花サワーにかえるちゃんまんじゅう!
ほら、ゲコゲコ可愛いよ!
ずっと降ってるねー!歌の御呪いが効いたのかな?
てるてる坊主?良いね!
眼帯?レースの服??
わぁーーー!!!俺そっくり!可愛いてるてる坊主さんだね!
笑ってるね?きっと環ちゃんに作ってもらえて嬉しいのだー
俺も作るーー!
絹糸を持ってきて編んでいく
じゃじゃーん!蜘蛛の巣風レースだよ!
黒い着物布でてるてる坊主作り、蜘蛛の巣レースを覆う
ふふっ、環ちゃんてるてる坊主!!!
どうかな?
てるてる坊主って逆さにすると雨が降るだっけ?
あっ!環ちゃんが作ってくれたてるてる坊主欲しいな?また作ってくれる?
うん!俺も作るよ!
環ちゃん!環ちゃん!!
アンティークランプがあるよ!環ちゃんは和服ランプ?灯篭のイメージだね!
俺?ガラス?それはきっと綺麗だね!
(そういいながらメガリスを回収する)
雨絡・環
【雲蜘蛛】
怪異は落ち着いたよう
なれば後はこの雨宿りを楽しむのみ、ですね
アルフィードさんは何か召しあがります?
わたくしは…昔話をしたせいでしょうか
少しお酒を頂きたい気分
紫陽花あんみつと、天泣をお願いしましょう
紫陽花と蛙、良い取り合わせね
まあ本当、愛らしい蛙
今にも歌い出しそうではありませんか
雨は止みそうにありませぬな
歌…言霊の力、というものですか
ほほ、ではこの時間はアルフィードさんのお陰かしら
止むを待つまで、てるてる坊主でも作ってみましょう
白いフリルレヱスでふわふわ、ひらり
右目の辺りを黒く塗って眼帯のように
如何でしょう、貴方様に似てますかしら?
他の部分のお顔も歪んでいるのはご愛敬
ほら、笑っているように見えません?
アルフィードさんも?…あらまあ
何とも器用に作られること
良く似てますよ
此方のわたくし、上等な衣を着せてもらいましたねえ
逆さに?雨乞いの役割もありますの
ええ、勿論宜しいですよ
アルフィードさんもまた作って下さる?
ええ、素敵な意匠
確かに灯篭は馴染み深いわ
貴方様ならすてんど硝子のらんぷかしら
周囲に灯る明かりは、百物語のための炎ではもうなくて。
アンティークな店内を仄かに照らす、様々な意匠のランプたちのもの。
耳にいつの間にか聞こえるのは、窓を打つ雨の音。
そんな周囲の様子に、雨絡・環(からからからり・f28317)は銀を湛える瞳をそっと細めて。
「怪異は落ち着いたよう。なれば後はこの雨宿りを楽しむのみ、ですね」
「うん! お仕事終わったねー!」
アルフィード・クローフィ(仮面神父・f00525)もこくりと頷いて返してから。
あめあめふれふれ――なんて歌いながら、楽しい雨宿りを。
そして、心地良いふかふかのソファーに腰かけたまま、環はぱらりとお品書きの頁を捲ってみて。
「アルフィードさんは何か召しあがります?」
「ん? どうしょうかなぁ」
「わたくしは……昔話をしたせいでしょうか。少しお酒を頂きたい気分」
悩まし気にメニューを覗き込むアルフィードの隣で、雨宿りのお供をこう決める。
「紫陽花あんみつと、天泣をお願いしましょう」
「環ちゃんはお酒にするの? 甘い物とお酒良いよね!」
それから、アルフィードも……じゃ俺も、と選んだのは。
「紫陽花サワーにかえるちゃんまんじゅう!」
「紫陽花と蛙、良い取り合わせね」
テーブルに注文した品が運ばれてくれば、眼前がまるで窓の外の景色のようで。
「ほら、ゲコゲコ可愛いよ!」
「まあ本当、愛らしい蛙。今にも歌い出しそうではありませんか」
ケロケロゲコゲコ、クワクワクワ……そんな風に、雨に喜んでは歌い出しそうな、甘やかなかえるちゃん。
そして外は、そんな蛙も喜びそうな雨模様だけれど。
「雨は止みそうにありませぬな」
「ずっと降ってるねー! 歌の御呪いが効いたのかな?」
「歌……言霊の力、というものですか」
あめあめふれふれ、そんな歌や言霊の御呪いは抜群……?
確かに、雨は当分止みそうもなく、雨宿りもまだまだ楽しめそうだから。
「ほほ、ではこの時間はアルフィードさんのお陰かしら」
環はそう笑った後、ふいに細くしなやかな指を伸ばして。
「止むを待つまで、てるてる坊主でも作ってみましょう」
摘まむのは、白いフリルレヱス。
「てるてる坊主? 良いね!」
そしてアルフィードが目を向ければ、ふわふわ、ひらり。
環は、白いフリルでお洒落させたてるてる坊主の右目の辺りを黒く塗って、眼帯のようにして。
「眼帯? レースの服??」
「如何でしょう、貴方様に似てますかしら?」
完成させたのは、そう。
「わぁーーー!!! 俺そっくり! 可愛いてるてる坊主さんだね!」
アルフィードに似せて作ってみた、お洒落で可愛らしいてるてる坊主さん。
他の部分のお顔もちょっぴり歪んでいるのはご愛敬、だけれど。
「ほら、笑っているように見えません?」
彼に似てるって思うのは、にこにこ楽しそうに笑っているようにみえるから。
そんな自分似のてるてる坊主さんをじいと見つめてから。
「笑ってるね? きっと環ちゃんに作ってもらえて嬉しいのだー」
アルフィードもお揃いで、そうにこにこ。
それから、絹糸を持ってきて。
「俺も作るーー!」
糸を編み編みしていく、そんな彼の手際を見れば。
「アルフィードさんも? ……あらまあ、何とも器用に作られること」
するすると形ができて編み上がっていく様子に、環は感心したように声を向けて。
「じゃじゃーん! 蜘蛛の巣風レースだよ!」
アルフィードが作るのは、まるで蜘蛛の巣のようなレース編み。
そして、黒い着物布でてるてる坊主を作って、ふわりと蜘蛛の巣レースを纏わせれば。
「ふふっ、環ちゃんてるてる坊主!!!」
環にそっくりなてるてる坊主さんの出来上がり!
そして……どうかな? って。
自分を見つめる彼に、環は微笑んで返す。
「良く似てますよ。此方のわたくし、上等な衣を着せてもらいましたねえ」
ということで、ふたり似のてるてる坊主をいざ、飾ってみようと思うも。
アルフィードは首を傾けてから、くるり。
「てるてる坊主って逆さにすると雨が降るだっけ?」
「逆さに? 雨乞いの役割もありますの」
もう少しだけ、まだ雨宿りを楽しみたいから――あめあめふれふれ、てるてる坊主さんたちは逆さに。
そして、そんな仲良くふたつ逆さに飾るのも、良いのだけれど。
「あっ! 環ちゃんが作ってくれたてるてる坊主欲しいな? また作ってくれる?」
「ええ、勿論宜しいですよ。アルフィードさんもまた作って下さる?」
「うん! 俺も作るよ!」
今度は、互いに作ったものを交換こする約束も。
それから、雨の日にぴったりなお酒を口にして、肴に甘味も堪能しながらも。
アルフィードはふと、先程見たそれの様子を窺いつつ紡ぐ。
「環ちゃん! 環ちゃん!! アンティークランプがあるよ! 環ちゃんは和服ランプ? 灯篭のイメージだね!」
「ええ、素敵な意匠。確かに灯篭は馴染み深いわ」
そう――そう話しながらもさり気なく視線で追うそれは、四季の意匠が施されたメガリス『御伽灯籠』。
けれどどうやら、マスターに貰い受けると申し出て了承を得た仲間がいるようだから。
仲間の元に無事にメガリスが渡ったことを見届けてから、環はふと見つける。
「貴方様ならあの、すてんど硝子のらんぷかしら」
「俺? ガラス? わぁ、綺麗なランプだね!」
淑やかな和服の様な意匠の和灯籠とお隣さん同士並んだ、華やかな光を燈すステンドグラスのランプを。
雨が止めば、今宵の摩訶不思議な灯籠のお噺は、これで御終い。
でも、まだもう少しだけ――楽しい夜の雨宿りの時間は続きそう。
大成功
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