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エクソダスは示す、エースの再来

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●神隠しの少女
「ここは……」
『ツヴァイ』と呼ばれた少女は空を見上げた。
 彼女はWBC――『ワールド・ビルディング・カップ』決勝戦を終えて、帰宅する途中だった。
 けれど、空がまばゆく輝いたかと思った瞬間、彼女の姿はアスリートアースから消えさっていた。
 そして、今ここで彼女は空を見上げていた。
 自分の知っている空と違うところは何一つない空だった。
 いや、違うことが一つだけある。
 真昼の空、その青い空の向こうに輝く星があった。

 彼女は知らなかったけれど、それをこの世界の人々は|『殲禍炎剣』《ホーリーグレイル》と呼ぶ。
「私は、ここを知っている。知っています。けれど……」
 不思議な懐かしさだった。
 嘗て、『ピラミッドに目玉の生えたマスコット』の中に入った時、やってきた場所だと彼女は認識していた。
 けれど、場所が異なっているように思えた。
「あなたは」
 良く聞き馴染んだ声に顔を上げると、そこには己の母親にも似た女性がいた。
 いや、まるで自分自身が成長して大人になったのならば、このような姿になるのではないかと思えたのだ。

「『ツヴァイ』姉さん、急にどうしたって……」
 その女性の名であろうか。
 彼女の背後から現れるのは鋼鉄の巨人。
 この世界ではキャバリア……簡易型『レーギャルン』と呼ばれる戦術兵器だった。『ツヴァイ』と呼ばれた少女は知らなかったけれど、眼の前の女性……己と同じ名で呼ばれた大人の女性を見る。
 そして、鋼鉄の巨人の腹部……コクピットの中から姿を表した少年の姿に戸惑いを覚えた。
「『ゼクス』……! どうしてあなたがここに……!?」
「俺の名前を知っている? どういうことだ?」
「またお金持ちの道楽ですか?」
『ツヴァイ』と呼ばれた少女は、少年の顔立ち、その名を知っている。
 アスリートアースで巨大企業『株式会社サスナーEG』の御曹司だ。
 役者を雇い、大掛かりな仕掛けを作り出す。
 大企業の御曹司ならできなくないと思ったのだ。
 けれど、鋼鉄の巨人の腹部から身を乗り出した『ゼクス』は怪訝な顔をする。
「何を言っているのかわからない。姉さん、この子は」
「……驚いています、私も。私と同じ顔が」
「いや、どう見ても姉さんのほうが年行って……あ、いやごめん。そうじゃない」
『ゼクス』は、姉の表情に肩を震わせた。
「このまま荒野で一人ぼっちにさせるわけにはいかないよな――」

●天使の梯子
 曇天より差し込む光が梯子のように地上に降り注ぐ中、星の如き輝きを纏う人が降り立つ。
 名を『ザ・スター』。
 ファーストヒーローと呼ばれる世界最初のスーパーヒーローチームの一人である。
 己が宿敵を打ち倒すべく、世界の理の外へと踏み出した者たち。
 そんな彼が遂に、と肩を震わせる。
「遂に見つけたぞ! このクロムキャバリアなる世界こそが、邪神の複製体『レディ』の製造工場に間違いない! 全ての『プラント』を一つ残らず破壊すれば、我らが聖なる使命も終わりを告げる……」
 あまりにも永き時間が過ぎていった。
 だが、時間の流れは彼の強靭すぎる肉体には意味がなかった。
 それ故に彼は多くの時をわたり、こうして己たちの宿敵が一人『レディ』の製造工場である世界にたどり着いたのだ。
 漸くである。
 漸く終わる。

「……ウグッ、何だ?」
 頭が傷む。痛烈な痛み。それは己が心の声であった。
『強靭過ぎるがゆえに生きながらオブリビオンと化した、哀れな我がに肉体よ。|汝の使命を思い出せ《レミニセンス・ザ・ワールド》……!』
「……だ、黙れ黙れ!」
 頭の痛みを振り払うように『ザ・スター』は己が頭を掌で覆い振るう。
『我らが全てに沈黙を貫き、真の敵を探し続けたのは何故だ? あらゆる者たちに、真の平和と安らぎを齎すためではなかったのか?』
「そのとおりだ! その旅の目的地にたどり着いたのだ。だというのに!」
『クロムキャバリアの人々は、プラントに依存して生活している。それを破壊すれば、この世界の平和は失われてしまうのだ……!』
「だからといって何もせずに引き下がれるものか! 我が心よ、貴様こそ|汝の使命を思い出せ《レミニセンス・ザ・ワールド》!」
 懊悩するようにファーストヒーロー『ザ・スター』は、身をもがくようしながら掌を天に掲げる。

 瞬間、曇天貫くようにして衛星軌道上より砲撃がほとばしる。
 それは暴走衛生『殲禍炎剣』による無差別砲撃であった。空にありし者は全て撃ち抜く。その力が例外なく『ザ・スター』へと襲いかかったのだ。
 だが、瞬間、彼の瞳がユーベルコードに輝く。
 掲げた手より広がるは『エナジー・ゲート』。
 光り輝く円陣めいたユーベルコードは、『殲禍炎剣』の砲撃を吸い込み、消滅させたのだ。
『……この世界に生きる人々の平和を脅かせはしない……!』
「だ、黙れ……! 我らが宿願、その使命、此処で果たす……!」
 絶えず降り注ぐ砲撃。
 だが、その尽くが『エナジー・ゲート』に吸い込まれていく。
 はたから見れば、それは『ザ・スター』が『殲禍炎剣』の砲撃から地上を護っているようにも見えただろう。

 しかし、違う。
「プラントを破壊せよ、我が走狗『エルゼドール』」
 衛星軌道上より注ぐ砲撃とは逆に、地上より見上げる『エナジー・ゲート』より出現するのは、『空中戦対応型オブリビオン』、『エルゼドール』であった。
 そう、『エナジー・ゲート』によって吸収したエネルギーを持って生み出されたオブリビオンマシン『エルゼドール』は、この空にふたされた世界にあって圧倒的なアドバンテージを得て、周辺小国家全てのプラントを破壊せんと飛来するのだった――。

●残穢
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回の事件はクロムキャバリア世界……時間がありません。手短に申し上げます」
 焦りを示すような彼女の言葉に猟兵達は頷く。
 緊急を要する事態であることが理解できただろう。

「ファーストヒーロー『ザ・スター』と呼ばれる存在が、クロムキャバリア世界の全てのプラントを一つ残らず破壊する予知がなされました」
 ざわめくのも理解できるだろう。
 しかも、彼女の言葉が真実ならば『殲禍炎剣』の砲撃すら無視して高高度から小国家に強襲を仕掛けてくるというのだ。
 言うまでもないが、クロムキャバリアの軍備ではこれに対応できない。
 キャバリア駆る猟兵たちとてそうだろう。
 緊急事態であるが、猟兵達はこれに対応しなければならないのだ。
 ナイアルテの転移が始まる。
 猟兵達は、あまりにも時間が足りないことを自覚し、転移した先……小国家『グリプ5』へと降り立つのだった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はクロムキャバリア、突如として現れたファーストヒーロー『ザ・スター』は、この世界全てのプラントを破壊しようとしています。

 彼は生身のまま超高速で小国家『グリプ5』とその周辺小国家のはるか上空に謎のユーベルコード『エナジー・ゲート』を生み出し、当たり前のように『殲禍炎剣』からの怒涛の砲撃を吸い込み、消滅させ続けています。
 加えてこの状態で彼は『エナジー・ゲート』から『空中戦対応型オブリビオンマシン』を繰り出し、小国家『グリプ5』とその周辺小国家(『フルーⅦ』、『ビバ・テルメ』を初めとした広範囲)を襲撃させようとしています。

●第一章
 日常です。
 本来、クロムキャバリアでは暴走衛生『殲禍炎剣』の無差別砲撃があるため基本的に空中戦を想定していません。
 もともと生身単身で飛翔できたり、飛行性能を有したキャバリアを保有している皆さんであれば問題ありません。
 ですが、全てがそうであるとは言えないでしょう。
 また小国家『グリプ5』には何故か神隠しで転移してきてしまったアスリート少女『ツヴァイ』がいます。
 彼女は他世界知識(アニメ知識)で、何故かキャバリアに飛行性能をもたせる装備を作り上げることができます。
 彼女に頼むのもありかもしれません。

●第二章
 集団戦です。
『エナジー・ゲート』から召喚した『空中戦対応型オブリビオンマシン』、『エルゼドール』との高高度空中戦です。
 言うまでもないですが、このオブリビオンマシンは空中戦に完璧に対応しています。
 そのつもりで戦いましょう。

●第三章
 ボス戦です。
 戦場は高硬度の空中です。
 この事態を引き起こした張本人、ファーストヒーロー『ザ・スター』との決戦です。
 彼は通常のユーベルコードに加えて『オーバーブースト・マキシマイザー』を併用してきます。
 これに対処しましょう。

 それでは、小国家『グリプ5』と周辺小国家のプラントを破壊せんとするファーストヒーロー『ザ・スター』を迎え撃ち、クロムキャバリア初の高高度空中戦に挑む皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 日常 『空中戦に備えろ!』

POW   :    徹夜で空中戦用の機体や装備を開発する

SPD   :    既にある技術を応用し、飛行手段を編み出す

WIZ   :    幻の「飛行機技士」を探し出し、助力を頼む

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●いつかの誰か
「『怪物』め……!」
 機体のディスプレイのあちこちから警告音とアラート表示が明滅する。
|『憂国学徒兵』《ハイランダー・ナイン》と呼ばれた己たちが追い込まれている。
 眼の前には規格外の性能を有するキャバリアが迫る。凌ぐので精一杯だった。圧倒的な手数。
 阿修羅の如き多腕を持ってあらゆる武装を手繰る恐るべき決戦兵器。
 それが『プロメテウスX』であった。
『ゼクス』は、己が乗騎『熾煌』の機体状況を見やる。
 駆動系はまだ生きている。
 シールドコートユニットも、まだ無事だ。
 ジェネレーターである縮退炉も稼働はしている。
 だが、だめだ、と思った。
 己が一騎では、この怪物を止められない。この『怪物』を如何にかできるのは、ただ一人しかいない。
『悪魔』とも『救世主』とも呼ばれた男――『フュンフ・エイル』しかいない。

 だが、彼は間に合わないだろう。
 己達はあまりにも多くの戦いに介入しすぎた。
 平和を求めて、あらゆる争いに介入し、その戦いをやめさせるために戦ってきた。『戦いに際しては心に平和を』と思うからこそ、戦線は拡大していった。だからこそ、彼は間に合わない。
「矛盾の果て、か。仕方ないな。これでも確率は五分以下か」
 コンソールをタッチし、緊急コードを打ち込む。
 それは機体の縮退炉を臨界させる自爆コードであった。こうでもしなければ、あの『怪物』、『プロメテウスX』は仕留められない。いや、もしかしたら、足りないかもしれない。だが、それでも損害は与えられるかもしれない。
 なら、やるしかないのだ。
 しかし、己の機体の自爆コードが停止する。介入されている。何故、と思った瞬間。
「確率を上げましょう」
「『ツヴァイ』!?」
 もう一騎の『熾煌』が己の隣に立つ。
 彼女の機体も『プロメテウスX』に強襲を受けて戦える状態ではなかった。撤退させたはずだ。なのに、なんで、という思いがこみ上げる。

「一人で死ぬのは簡単な道でしょう。ならば、険しい道を選びましょう。きっと、それが正しい道なのですから」
「……馬鹿野郎! なんで!」
「決まっています。少しでも生存率を上げるためです」
『ツヴァイ』が己の機体の縮退炉を臨界させる。
 コクピットから飛び出し、『ゼクス』の乗騎へと飛び移ってくるのだ。コクピットハッチを開き、彼女を迎え入れる。
「『鉄壁』と言われた貴方の渾名、期待していますよ」
「共倒れかもしれないんだぞ」
「私は貴方を一人ぼっちにはさせません」
「死んじゃうより良いだろう!」
「それでも、最期が貴方と一緒なら。それがいいです――」

●再来
『ツヴァイ』と呼ばれた少女は、『ツヴァイ・ラーズグリーズ』と共に小国家『グリプ5』のプラントを操作していた。
 行われているのはキャバリア用の『空中戦対応バックパックユニット』の開発だった。
「貴方……一体何処でこんな技術を……」
『ツヴァイ・ラーズグリーズ』は目を見開く。
『ツヴァイ』と呼ばれた少女は、プラントにデータを入力していく。
 いや、もっと単純だった。
 小さなモックアップ――ミニチュアをスキャンさせ、それをプラントでもってキャバリアサイズにリサイズして出力させているのだ。
 それも恐ろしく早い。
「どこで、なんて。こんなこと私以外にもできますよ。それに、私はチームの中でも最も手が遅いんです」
 その言葉に『ツヴァイ・ラーズグリーズ』は目を剥く。
 これで遅い?
 ミニチュアサイズとは言え、『ツヴァイ』と呼ばれる少女は『空中戦対応バックパックユニット』を完璧に作り上げていた。
 エネルギーインゴットを増設するためのバックパックユニットに得られた電力を推進力に変換する機構といった内部機構まで再現しているのだ。

 兵器開発に携わっている『ツヴァイ・ラーズグリーズ』からしてみれば、あまりにも早すぎる神業であった。
「今は一刻も早くこれを増産しなければならないんですよね。そのためには」
「……ええ、わかっています。間に合わせます」
 二人の『ツヴァイ』は、来る脅威に備えるべく互いに手を取り合って、キャバリア用『空中戦対応バックパックユニット』の完成を目指すのだった――。
ウィル・グラマン
●WIZ

くっそぉ、こんな時にセラフィム・シックスが無事だったらよ…
居ねぇもんを求めて仕方ねぇし、俺達だけで何とかしねぇといけねぇな!

ベア、行くぜ…ってあれ?
何でここにツヴァイが居んの?
世界を渡れるのは俺達グリモア猟兵だけ何だけど…ま、いっか!
細けぇ事は良いから手を貸してくれよ
ベアはブースターで飛べば問題ねぇけど、指示役の俺が近くに居ねぇといけないんだ
そこで…ジャーン!
スーパーロボットに良くあるサポート用戦闘機の模型さ
これを作ってベアに指示を送りながら、オレ様も活躍するって寸法さ

で、問題がある
それを作ってくれる技術者知ってねぇかな?
足りねぇ物は俺の電脳魔術で補うからさ、ベアも頼んでくれよ



 空に座すは暴走衛生『殲禍炎剣』。
 それはこのクロムキャバリア世界の空を覆う見えぬ天蓋であった。
 いかなる存在も、例外もない。
 高高度を飛翔するものは全て撃ち落とす。
 それが『殲禍炎剣』である。
 しかし、此度迫る脅威は空より迫る。
 クロムキャバリアにおいて空は重要視されない。それ故に空より迫る軍勢を前には無力であった。
「くっそぉ、こんな時に『セラフィム・シックス』が無事だったらよ……」
 ウィル・グラマン(電脳モンスターテイマー・f30811)は、小国家『ビバ・テルメ』の領内の海底に沈み、そして朽ちた『巨神』を思う。
 あの熱線兵器であれば空より迫る軍勢に対して対抗することもできたかもしれないと思ったのだ。

「居ねぇもんを求めても仕方ねぇし、俺達だけでなんとかしねぇといけねぇな!」
 ウィルはすぐさま切り替える。
 このクロムキャバリアにおいて、ファーストヒーロー『ザ・スター』に狙われているのは全てのプラントである。
 転移した場所は小国家『グリプ5』。
 嘗て、9人の英雄たちによって建国され『憂国学徒兵』と呼ばれた者たちが前身となった小国家である。
 此処が狙われていると転移したのだが、彼は驚くべき人物がいることを目の当たりにする。
「なんで此処に『ツヴァイ』がいんの?」
「えっ」
 プラントで今なお、『空中戦対応バックパックユニット』の開発を急いでいる『ツヴァイ』と呼ばれた少女もウィルの顔を見て同じ顔をしていた。

 彼女はアスリートアース世界のアスリート少女だ。
 そんな彼女が何故世界をまたいでいるのか。
 神隠しと呼ばれる現象によって、世界は時々、こうして他世界の人物が偶発的に紛れ込むことがある。
 ブルーアルカディアも然りであろう。
「貴方は……」
「なんで? いや、今は細けぇことは良いから手を貸してくれよ!」
「はい!『ベアキャット』さんは」
「ベアはブースターで飛ぶことができる。けど、指示薬の俺が近くに居ねぇといけねぇんだ」
「確かに乗り込むタイプではないですよね」
『ツヴァイ』と呼ばれた少女の言葉にウィルは頷く。

 そう、今回は高高度での戦いだ。
 どうしてもウィルはついていけない。となれば、どうするか。
「ジャーン! スーパーロボットに良くあるサポート用戦闘機の模型さ」
「ああ、なるほど!」
『ツヴァイ』と呼ばれた少女は得心がいったようであるが、『ツヴァイ・ラーズグリーズ』は首を傾げている。
 理解が及ばなかったのだろう。だが、すぐに理解を示す。
「中継機、というわけですか」
「ご明察の通り! これを使ってベアに指示を飛ばしながらオレ様も活躍するって寸法さ」
 これならばウィルも高高度の『ベアキャット』に指示が出せる。
 しかし、問題が一つある。

 あくまで模型なのだ、ウィルが持ってきたのは。
「これを作ってくれる技術者がクロムキャバリアにはいねぇってことだよ」
「? できるじゃあないですか」
「どういうことだ」
「ここにはプラントっていう素敵なマシンがあります。知識があって、図面を作れるなら」
「あ、ああ! そうか!」
 ウィルは電脳魔術で即座に図面をかき出していく。
 そう、遺失技術で造られたプラント。
 これはあらゆる物を製造することができる。
 となれば、ウィルの思い描いたものだって、寸分たがわず作り上げることができるのだ。
 それを知ってウィルは、アスリートアースでの経験が活きると言わんばかりに中継機、サポート用戦闘機を作り上げるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メサイア・エルネイジェ
す、す、全てのおプラントを一つ残らず破壊~!?
そんなことをされれば、小国家の国民達は生きていけませんわ!
滅亡ですわ〜!
どうにか高高度空中戦に対応する為の準備を整えて…もうありましたわ
ヴリちゃん!スカイルーラーですわ〜!

ん?あの御方どこかで見たような?
思い出せませんわ〜!

お空の彼方に飛ぶにはきっとエネルギーがすんげぇ必要なのですわ
そちらのバックパックユニットを付けられるだけ付けるのですわ
戦闘が始まりましたらおパージすればよろしいのですわ
これでヴリちゃんのエネルギーを残したままお空の彼方に飛べますわ
わたくし天才ですわ〜!
わたくしもエネルギー補充ですわ
お酒をたくさん飲んでおくのですわ
お準備万端ですわ



 メサイア・エルネイジェ(暴竜皇女・f34656)は、わなわなと手を震わせた。
 別に禁断症状が出たわけではない。
 彼女は常時、ストゼロを手放さない。それがアルコールの過剰摂取による類のものではないということは、『エルネイジェ王国』第三皇女の威信と尊厳と、あと尻叩きの刑を免れるために明言しておこうと思う。
「す、す、全てのおプラントを一つ残らず破壊~!?」
 そう、彼女がわなわなとしていたのは、その予知を予兆をしったからである。
「そんなことをすれば、小国家の国民達は生きてはいけませんわ!」
 無論、小国家『グリプ5』の周辺小国家となれば、海を隔てているとは言え『エルネイジェ王国』もまた被害を受けることになるだろう。
 となれば、滅亡である。
「滅亡ですわ~!」

 大騒ぎである。
 もしも、彼女の『エルネイジェ王国』が滅びることになれば、もうストゼロを味わうことなどできない。
 いや、できる。
 なにせ、彼女はユーベルコードでもって無限ストロングチューハイ(リアルブレイカー)できてしまう猟兵なのだ。規格外にも程がある。めっ、でしょう!
「こりゃ一大事ですわ~! どうにか高高度空中戦に対応するための準備を整えて……」
 彼女は大慌てで乗騎である『ヴリトラ』に高高度空中戦に対応する装備を開発せねばと思ったが、はた、と気がつく。
 アルコールによって彼女のピンクの脳細胞が活性化されていく。
 電流火花が散る。

「もうありましたわ~! ヴリちゃん! スカイルーラーですわ~!」
 一人で解決!
 メサイアはストゼロをぐびっとやって、やっぱり頭脳労働したあとはキンッキンに冷えたストゼロだと思った。
 そんな彼女を『グリプ5』に神隠しで移動してきた『ツヴァイ』と呼ばれた少女は見ていた。え、なんでこの人当たり前のように昼間からお酒を飲んでいるのだろうと思っていた。
 正直、ダメな大人を見ている目であった。
 こうはなるまい、とも決意しているような目であったし、それは共にある少年『ゼクス・ラーズグリーズ』も同様だった。
「ん? あの御方何処かで見たような? 思い出せませんわ~!」
「『ツヴァイ』です!『五月雨模型店』の!」
「春雨? 春巻きは揚げ物! わたくし、油をストゼロで流し込むのに快感を覚えましてよ~!」
「ダメだ、この人。聞いちゃいない」
 いいのか? このピンクのお姫様は、第三皇女だぞ?

「ぴっかーん! 閃きましたわ~!」
「え、なに」
「お空の方なに飛ぶには、きっとエネルギーがすんげぇ必要なのですわ。そちらにご用意頂いているユニットパック! 付けられるだけヴリちゃんに頂戴したいのですわ!」
「そ、それで一体……え、まさか!」
「そのまさかですわ! 戦闘がはじまりましたら、高高度に一直線にかっ飛んで行って……ぼかん! ですわ~!」
「で、でも、ユニットをつけると嵩んで……」
「そこは、おパージでしてよ! これでヴリちゃんのエネルギーを残したままお空の彼方に飛べますわ~! わたいくし天才ですわ~!」
 加えて、メサイアは、あそれ! とアルコール度数9%のチューハイを自身の喉に流し込んでいくのだ。

「なんで飲んだ!?」
「わたくしもエネルギー補充ですわ!」
「うっ、酒臭!」
「これでお準備万端ですわ!」
「飲んだら乗るな、でしょう!」
「問答無用でしてよ~!」
 メサイアは、少年少女の制止を振り切って、さっそうと『ヴリトラ』のコクピットに滑り込むのだ。
 此処に高高度までの暴走超特急が生まれたのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーリー・ザルティア
【心境】
「これはちょっと複雑な光景ねぇ…」
『殲禍炎剣』の砲撃がここまで利用されてるなんて…
まあボクも結構利用してるけどさぁ…。
あと、見てていい気分じゃないね。汚い花火…早く終わらせないと…。

【行動】
判定:SPD
うん、空に上がれるようになっても結局は『殲禍炎剣』の脅威という課題が結局のところあるからね。
レスヴァント系列に搭載しているこの【殲禍炎剣に感知されなくなる特殊粒子】を提供するよ。
流出が怖いから精製技術は提供できないけど、現物ならね。
UC発動。その場で粒子を大量放出する。

あと飛空艇のデルフィナス号を持ってきたから、こいつの技術も提供する。
まあなんかの参考にしてくれ。



「これはちょっと複雑な光景ねぇ……」
 ユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)は、小国家『グリプ5』周辺の空に広がる『エナジー・ゲート』を見上げていた。
 天より降り注ぐは暴走衛生『殲禍炎剣』による無差別砲撃。
 しかし、それを尽く『エナジー・ゲート』が吸い込んでいるのだ。今はまだ予知された空中戦対応型オブリビオンマシンは飛来していない。
 生み出すにはエネルギーがまだ足りないのだろう。
 とは言え、猶予というものはそう多くはない。
「『殲禍炎剣』の砲撃が此処まで良いように利用されるなんて……」
 しかしまあ、ユーリーも時折利用しているのは黙っておこうと思った。

「あまり見てて良い気分じゃないね」
 炸裂し続ける砲撃。
 全てが高高度で吸収されている。ともすれば、それは突如として現れたファーストヒーロー『ザ・スター』が『殲禍炎剣』の砲撃から地上を護っているようにも見えただろう。
 内情は全く異なる。
 だからこそ、ユーリーはそれを汚い花火だと思った。
「早く終わらせないと……」
 彼女は己がやらねばならないことを考える。
 キャババリア『レスヴァントMK-2』は限定的ながら特殊粒子でもって『殲禍炎剣』の対象にならないようにすることができる。
 この特殊粒子を提供することで『グリプ5』にて行われている空中戦対応バックパックユニットの開発に協力できないかと思ったのだ。

 今、『グリプ5』にて残されている機体は多くない。
 小国家『フルーⅦ』にて起こった事件、武装ボランティアの一件によって『グリプ5』は軍備を拡充できていないのだ。
「本当、余計な事をしてくれたよね。あれで警戒して防衛の要であるキャバリアを無償提供なんていう虫の良い話には引っかからなくなったのは喜ぶべきだけど……」
 慎重になるあまり、軍備を整える余裕がないのだ。
「ですが、この特殊粒子は……」
「うん、以前ここから『バンブーク第二帝国』での決戦のためにキャバリアを飛ばしたでしょ。あのときのノウハウ、活かせない?」
 ユーリーは『ツヴァイ・ラーズグリーズ』にそう告げる。
 流石に精製技術は渡せない。
 流出して悪用されたくはないからだ。現物であるのならば、己の機体から供給できる。

「それと、あの飛空艇の技術もね」
「ありがたい話ですが、平時では使えないでしょうね。いえ、この際です。ご提供、感謝いたします」
「いえいえ。まあ、なんかの参考になればってね」
 ユーリーはひらひらとなんでもないというように手を振る。
 とは言え、確かに飛空艇はこの戦いでしか役には立たないだろう。むしろ、それがユーリーの狙いであった。
 過ぎたる力は、きっといたずらに他の周辺小国家を刺激してしまう。
 そうなれば、争いが起こるのは火を見るより明らかだ。

「この飛空艇は、高高度までは到達できないでしょう。ですが、高度を稼ぐことはできます。その足場としてなら」
「そうだね。せっかくだ、エネルギーは節約したほうが良い」
 ユーリーは『ツヴァイ』と呼ばれた少女と共に飛空艇の技術を用いた謂わば空中空母を急ぎプラントから生み出すべく、データを入力していくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イクシア・レイブラント
こんにちは。
研究所の許可のもと、これまでの空中や外宇宙での戦闘データや、
衛星軌道上における放射能やデブリなどの影響など、情報提供に来た。
元よりクロムキャバリアの高高度戦闘を意識して私は造られている。
データの信頼性は保証するよ。
…。なぜか見覚えがないデータまであるけれど、これは私が|私《イクシア》になる前の情報かしら。

バリアシステム型のスペースアーマーとジェットパックさえあれば
人間でも戦闘に支障ないはずだけど、懸念点は長距離航行時のステルス性ね。
いくら推力が足りていても、殲禍炎剣に検知されて撃ち落されればアウト。
検知されないような特殊な材質って何かないかしら?

と飛行機技師に聞いてみるよ(WIZ)



 猟兵の一人がもたらした飛空艇のデータ。
 これを小国家『グリプ5』にてファーストヒーロー『ザ・スター』の襲来に備えていた『ツヴァイ』と呼ばれた少女や、今や国家元首となった『ツヴァイ・ラーズグリーズ』たちは、猟兵たちの機体を高高度までエネルギーを温存したまま飛翔させるための空中空母として建造させる準備を勧めていた。
 そんなプラントにやってきたのは、イクシア・レイブラント(翡翠色の機械天使・f37891)であった。
「こんにちは」
 彼女は、プラントへの立ち入りを許可されたことを示す証明書を手にしてやってきていた。

「貴方は……」
「私はイクシア・レイブラント。これまでの空中や外宇宙での戦闘データや、衛星軌道上における放射能やデブリの影響の情報提供に来た」
「そのようなデータを何故、貴方は持ち得たのですか」
『ツヴァイ・ラーズグリーズ』の疑問は当然であろう。
 ここクロムキャバリアにおいては、空中戦闘は行われない。
 なぜなら、暴走衛生『殲禍炎剣』の無差別砲撃があるからだ。そのため、戦場は限定的な地上戦ばかりになる。
 誰もが経験しえない空中戦闘のデータをどうして彼女が持たらせるのかを理解できないのだ。
 それは当然であろう。
 彼女は猟兵である。
 他の世界を知り、空に蓋されぬ世界での戦いを経てきた歴戦の戦士なのだ。

「もとよりクロムキャバリア高高度戦闘を意識して私は造られている」
「レプリカント……!」
「そう。データの信頼性は保証するよ」
 さあ、とイクシアは己が肉体からデータをプラントに備えられたモニターに表示していく。
 次々と開示されていく情報。
 しかし、その中にイクシア自身も知り得ないデータがある。
 自分が自分になる前の情報かもしれない。
「バリアシステム型のスペースアーマーとジェットパックさえあれば、人間でも戦闘に支障はないはずだけど」
「いえ、生身は……」
 懸念を示す『ツヴァイ・ラーズグリーズ』。
 生身単身でキャバリアに立ち向かえるのは超常たる猟兵くらいだろう。イクシアの語る言葉は流石に『ツヴァイ・ラーズグリーズ』でも首を横に振るしかなかった。

「でも、このバリアシステム搭載型のアーマー? はいいな。俺の機体に転用できそうだ」
『ゼクス・ラーズグリーズ』は、イクシアのもたらしたデータの一つを見やる。
 バリアシステムを搭載したアーマー。
 それを己がキャバリアに搭載すれば、防御性能を高められると思ったのだろう。
「『殲禍炎剣』の無差別砲撃は、今回に限って言えば無視して良い。なにせ、あの『エナジー・ゲート』が全て吸い込んでくれている……」
 そう、『ザ・スター』は謎のユーベルコード『エナジー・ゲート』でもって無差別砲撃の全てを吸収している。
 だが、それは此方を思ってのことではない。
 空中戦対応型オブリビオンマシンを生み出すためのエネルギー源にしているのだ。
 あの砲撃のエネルギーが十分に得られたのならば、すぐさまに彼はオブリビオンマシンを地上の小国家に差し向けるだろう。

「そういう意味では空中戦に今回は集中するだけでいい」
 イクシアは『エナジー・ゲート』がオブリビオンマシンを差し向ける予想時間を算出する。
 あまり時間はない。
 けれど、やれるだけのことはやらねばならない。
 高高度まで征くためには多大な推進力が必要になる。それをある程度軽減するために飛空艇のデータを用いた空中空母が建造されているのだ。
「間に合わせだから、今回限りだろうけれど……」
 イクシアはこれならば、と思う。
 戦いの場は高高度。
 その戦い方をデータとして既に習得している自分だからこそ、戦いの場においては十全に戦うことができるだろう。
 そう信じて、迫るタイムリミットを見やるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

久遠寺・遥翔
アドリブ連携歓迎

「さてと、ひとまず到着したがどうしたもんかね」
俺のイグニシオンはクロムキャバリアだがそのフレームにはスペースオペラワールドの技術が使われている
[空中戦]や宇宙での戦闘のほうが地上戦より得意なくらいで、ブルーアルカディアでも散々帝竜とやりあったくらいだ
空中戦に挑む基本的な備えは出来ていると考えていいだろう
ただ通常高度の空やあの世界の雲海の上に広がる空と高高度の空ではどの程度感覚が異なるかはわからない
せめてこの場で調べがつく情報から俺が持てる[戦闘知識]をフル動員し現時点で最適と思われるパラメータを[見切り]、[メカニック]技術を駆使して機体を調整、仕上げていくぜ



 猟兵の提案によって建造が進む空中空母に久遠寺・遥翔(焔の機神イグニシオン/『黒鋼』の騎士・f01190)は己がキャバリア『イグニシオン』を固定させる。
 ハンガーのような設備が揃っているのは、この空中空母が高高度まで到達するための推進力を節約させるためであった。
 猟兵たちのキャバリアは、この空中空母という下駄によって余力を残した状態で高高度に到達し、迫る空中戦対応型オブリビオンマシンとの戦いに挑むことができるのだ。
「さてと」
 遥翔は、少し考える。
 戦場までの道筋は確保できていると言って良い。
 だが、彼が懸念しているのは、己がキャバリアが空中戦や宇宙での戦闘よりは地上戦に向いているという点である。
 できないわけではない。
 なにせ彼のキャバリアは最新鋭たるクロムキャバリア。
 そのフレームには他世界の技術……それもスペースオペラワールドの技術が使用されているのだ。

 はっきり言って、クロムキャバリアの現行の技術を考えれば、数世代先を言っている技術力で建造されたと言っても良い機体だ。
 彼はコクピットの中でシュミレートを走らせる。
 戦場の勝手が違う。
 なら、万全を期すためには、多くのシュミレーションが必要となるだろう。
「ブルーアルカディアで散々やりあったくらいだ。空中戦の心構えはできている。しかし、あの雲海の上に広がる世界と高硬度の空ではどの程度感覚が異なるのか……」
 そう、誰もがわからないことだ。
 このクロムキャバリアにおいて、今回の戦いは世界初の高硬度戦闘となるのだ。
 ノウハウというものをクロムキャバリアの住人たちが持ち得るはずがなかった。

 だからといって何もしないわけにはいかない。
「データを引き出しておくか。推進機がやられたら、真っ逆さまってわけだし、守るべき箇所は抑えておくべきか」
 それは逆に言えば敵の空中戦対応型オブリビオンマシンにも該当する。
 彼らの機体が空中戦対応型とは言え、推進機に損害を受ければ地上に落ちるしかない。となれば、効率的に敵の群れを叩くには、そこがウィークポイントとなるはずだ。
 どのようなオブリビオンマシンが出現するのかはわからない。
 けれど、確実に言えるのは、空中戦に対応している装備を持っている、ということだ。

「強みが弱点になる得る、か。皮肉なことだな。なら、俺がやるべきこてゃ『イグニシオン』のパラメーターを調整、仕上げていくことだけか」
 遥翔は己の機体のコンソールを叩く。
 機体フレームの内圧や、マッスルシリンダーの圧力の数値をいじっていく。
 空中での機動は駆動系に負荷を掛けることは少ないだろう。
 その代わり、推進機に多大な負荷がかかる。
 故に遥翔は、搭載されているであろうエネルギーインゴットの機体各部に伝達する数値を調整していくのだ。
「よし、これで空中戦での駆動時間を上げることはできるだろうが……」
 どのように戦うか。
 または敵がどのように戦うかで変化してくるだろう。

「その都度やらないといけないってことか」
 面倒なことだと頭を振る。
 けれど、やめる理由はない。
 この一戦がクロムキャバリアという世界そのものの存亡を掛けていると言っても過言ではない。
 己たちが敗れればファーストヒーロー『ザ・スター』は、世界に存在する全てのプラントを破壊するだろう。
 そうなれば人々は生きてはいけないのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ファルコ・アロー
はぁー!?
プラント全部ぶっ壊すとかクソ迷惑なんですけど!?
そんな事されたら皆が困るどころじゃねーんです、どんな理由か知らねーですけど全力全開で邪魔させてもらうですよ!
不幸中の幸いは空で戦えるって所ですね。
この世界の大体のキャバリアは空なんて飛べねーですし、ここはボクの出番でしょう!
ボクはもしかしたら、この為に生まれて来たのかも知れねーですね。
まぁでも一人じゃ敵を撃ち漏らしかねねーですし、仲間を飛べるようにするのも良いかもです。
ボクの翼やスラスターはこの世界のプラントから作られたものです。
このままでも戦闘機形態でもきっとこの世界にぴったりなはずです、形とか!
さぁ、思う存分参考にして良いですよ!



 クロムキャバリア世界全てのプラントを一つ残らず破壊する。
 それがファーストヒーロー『ザ・スター』の目的である。
 何故、そんなことをする必要があるというのだろう。どんな使命があろうとも、この世界に生きる人々の拠り所であり、生活の基盤であるプラントを破壊さえるわけにはいかない。
 ファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)は憤慨しきりであった。
「はぁー!? ほんとクソ迷惑なんですけど!?」
 彼女はだんだんと地面を己の足で踏みつけた。
 いかなる理由があるのか走らない。
 けれど、それをさせるわけにはいかないのだ。

 プラントが破壊されれば、それだけで小国家の国力は低下する。
 それどころか、日常生活すらままならなくなる。半日停止するだけでインフラ復旧に膨大な時間がかかるのだ。
「そんなことしたら皆が困るなんてどころじゃねーです!」
 全力で阻止しなければ、とファルコは小国家『グリプ5』にて猟兵の提案によって建造されている空中空母にやってきていた。
 この空中空母は、高高度に猟兵たちを運ぶための下駄だ。
 地上から飛び立つよりは、これによって余力を残した状態で高高度へと到達することができるだろう。

「不幸中の幸いは、空で戦えるってことですね」
 彼女はわずかに喜びに胸が踊るのを感じたかもしれない。
 己の存在意義は依然、無いに等しい。
 けれど、今は違うのだ。
 この戦いという限定的な状況なれど、ファルコは、思う。
 己はもしかしたら、この日のために生まれたのかもしれない、と。
 空に蓋をされた世界に生まれてしまった航空戦力のレプリカント。無用の長物。お荷物。存在していても意味のないもの。
 自身で思う以上にファルコは自身への評価が低い。
 けれど、彼女と共にあった小国家『レンブラント・ラダー』の部隊は彼女の居場所を作ってくれたのだ。

 なら。
「ボクは戦いますですよ!」
 彼らを護るためにも。
 世界を護るためにも。
 多くを護るために、彼女は自分の力を発揮することを決意する。
「ボクの翼やスラスターはこの世界のプラントで造られたものです。役立てて欲しいです」
 ファルコは『グリプ5』の国家元首『ツヴァイ・ラーズグリーズ』に、己が装備のデータを提供する。
 本来ならば、小国家同士は多くが敵対状態にある。
 無論、ファルコが所属している小国家『レンブラント・ラダー』もそうだ。
 他国に自分の装備の情報を提供するなど、本来はありえないことだ。
 けれど、彼女はためらわなかった。

 誰かを護ることで、自分の大切な居場所を、彼らを護ることに繋がると理解しているのだ。
「このままでも戦闘機形態でも、きっとこの世界にはピッタリなはずです。空中空母にも転用できます」
「……ありがとうございます。あなたの意志を」
 深く『ツヴァイ・ラーズグリーズ』は頭を下げる。
 ファルコは彼女が己の立場をかなぐり捨てて己に礼を告げたことを知る。
 こそばゆい気持ちがある。
 けれど、悪い気持ちではない。
 今まで存在価値のなかった自分が、誰かのために役立っている。その少しだけ気恥ずかしい気持ちをごまかすようにファルコは胸を張って言うのだ。
「さぁ、思う存分参考にして良いですよ――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
『グリプ5』、WBCなどで
名前だけは何度か聞いたことがあるわ
この小国家を訪れるのは初めてだけど
不思議な感じがするわね

『ツヴァイ』が二人いる……?
一人は私の知っている『ツヴァイ』なのね
流石だわ、この状況でも冷静に作業を進めている
どうして、と今は疑問を抱く猶予もない
この危機を乗り越えるには、彼女の力が必要
ならば、余計な邪魔はしないわ

『ツヴァイ』がいれば『空中戦対応バックパックユニット』の完成はきっと間に合う
キャバリアを借りられるか頼んでみましょう



 小国家『グリプ5』――その名前だけは、知っていた。
 薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は、WBC……他世界であるアスリートアースにて決勝戦を争ったチームの名前がそれであったことを思い出す。
 そして、この世界クロムキャバリアでも耳にした小国家の名でもある。
 しかし、彼女はこの小国家に訪れるのは初めてであった。
 不思議な感覚を覚える。
 既視感めいたものであると言えるだろうか。
 その既視感の源は、プラントにて猟兵が提案した空中空母の建造に勤しむ『ツヴァイ』と
呼ばれた少女の姿を見つけたからかもしれない。

 そして、その傍らにて共に作業をしている『グリプ5』の国家元首『ツヴァイ・ラーズグリーズ』の姿にわずかに心が跳ねる。
「『ツヴァイ』が二人いる……?」
 幼い少女のことを静漓は知っている。
 けれど、彼女はアスリートアースの人間のはずだ。どうしてこのクロムキャバリアにいるのだろうか、という疑問が尽きない。
 尋ねればきっと彼女は自分がどうしてこの場にいるのかはわからないが、しかし、世界が危機にひんしているから自分にできることをしているだけだと応えるだろうことは、予想できた。

 今は彼女の作業の邪魔をしてはいけないと静漓は、この様な逼迫した状況にあっても冷静さを失わない彼女の姿に心強さを覚えるだろう。
「あんた、あの子の知り合い? 何か知ってるのか?」
 そんな静漓の様子に気がついた少年『ゼクス・ラーズグリーズ』が駆け寄ってくる。
 彼からしたら『ツヴァイ』は身寄りなく現れた少女なのだろう。
 縁なくこの地にいる、というのは心細いだろうと思ったのだ。そこに彼女を知っているであろう素振りを見せた静漓に問いかけるのは当然とも言えた。

「そうね。けれど、今はそれを問いただしてる時間はない、そうでしょう?」
 それは余計な邪魔でしかない、と彼女は『ゼクス・ラーズグリーズ』の言葉を遮る。いましなければならないのは、この危機を乗り越えるための方策である。
「……それは、そうだけどさ」
「彼女の邪魔はしないほうが良いわ」
 彼は『ツヴァイ』のことが気になってしかたないのだろう。

「それと、少し尋ねたいのだけれどキャバリアを借り受けられないかしら」
「今、この小国家にあるのは二騎だけなんだ。簡易型『レーギャルン』……俺と、妹の機体だけ……いや、でも」
「あるの?」
「プラントは今、あの空中空母を作るのにかかりっきりだし、『ツェーン』たちは、まだ『フルーⅦ』から戻ってこない……けど」
『ゼクス・ラーズグリーズ』は静漓に示す。
「プラントを稼働させる時に、あの子が慣らしで作った機体がある」
 あれが、と示す先にあったのは簡易型『レーギャルン』だった。
 しかし、武装がほとんどない。
 加えて、空中戦対応バックパックユニットが十全に接続できていないのだ。

「今から作業をすれば……ギリギリかもしれない。あんた、手伝えるか?」
「戦いには一騎でも多くのキャバリアが必要。手伝うわ」
 静漓と『ゼクス・ラーズグリーズ』は未だ未完成なる残された一騎、プラントによって複製された『レーギャルン』を戦いに用いることができるように突貫作業であるが、なんとか戦えるように組み上げ始めるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
【サージェさんと】

『ツヴァイ』さんをアブダクションとか、
五月雨模型店のみんなが心配するじゃない!

……『フィーア』さん泣かせたら、万死に値するからね?

っていうか、まず状況解らなくて不安だろうから、会ってお話ししないとかな。
これでもお友だちのつもりだし!

よければ【ネルトリンゲン】にお部屋用意するよ!

あとは『スター』さんだけど……。
とりあえず『飛ぶ』って事に関しては問題ないから、
わたしはみんなの改造とか手伝っちゃおう。

『グリプ5』のみんなに状況を伝えて、
サージェさんや『ツヴァイ』さんといっしょに、『グリプ5』にある機体の改造したり、
飛行ユニットの開発をしていこう。

あと殲禍炎剣対策も、考えないとね!


サージェ・ライト
【理緒さんと】
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、胸がアッ、ツヴァイさん(大)とツヴァイさん(小)の視線が痛い?!
なんでそこで顔を見合わせますか?!
理緒さん……はいつものりおりおでした

そういえばキャンピーくん事件の時にお二人はお会いしてないんでしたっけ?
大丈夫です
このクノイチが責任を持ってお互いの身元の保証をあっるぇ?!
私の信用が疑われてます?!
おかしい

かもんっ!『ファントムシリカ』!
ツヴァイさん(小)は初めて見るかもですが私の愛機です
そしてお目付け役のシリカさんです痛いまだ何もしていない?!
とりあえずシリカさん!
空中戦対応のバックパック付けてもらいますので!
ちょっと我慢してくださいね!



 猟兵たちのもたらした技術、データ、そして提案。
 小国家『グリプ5』においてプラントから建造されているのは空中戦対応型バックパックユニットだけではなかった。
 飛空艇のデータを用いて建造される空中空母。
 それは此度の戦いだけに限定して運用される空を飛ぶ船だった。
 多くのキャバリアを搭載するためだけで戦闘能力はない。けれど、戦いの戦場が高高度となるのならば、猟兵たちのキャバリアの余力を残した状態で戦場まで運ぶことができる。
「確かにわたしの『ネルトリンゲン』だけじゃ、不安はあったけれどね」
 菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)はしかし、と頭を振る。

 彼女が不機嫌な顔をしているのは、この事件を引き起こした者に対する憤りではなかった。
 神隠しでもってアスリートアースから転移してきてしまったと見られる少女『ツヴァイ』のことだ。
 彼女が神隠しにあったとなれば、『五月雨模型店』の面々は今頃大きな騒動を興しているだろう。そうなれば必然、理緒が推している『フィーア』が泣いてしまうかもしれない。
「そんなの万死に値するからね?」
 その感情はわからないでもないが、誰が万死に値するだろうか。
 強いて言うならば運命というやつであろうか。
「ご心配にはおよびません。私には私にできることをやらねばならないという目的がありますから」
『ツヴァイ』と呼ばれた少女はプラントでの作業を続行している。
 その姿を見て理緒は安心する。
 アスリートである彼女は、プラントで忙しなく設計と製造を繰り返している。知っているつもりであったが、新たな一面を見たような気がした。
 それほどまでに彼女の手は早かった。
 アスリートよりも、こういう技師めいた方面に彼女の才能があるのかもしれない。

「困ったことがあったら言ってね。これでもお友達のつもりだし!」
「そんな……いえ、ありがとうございます」
 友達、という言葉に『ツヴァイ』は、はにかむ。
 そんないい感じの空気の中に突如乱入してくるのは、サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)だった。
「お呼びとあらば参じましょう。私はクノイチ、胸がアッ」
「お静かに願えますか」
「作業中ですよ。常識を考えてください」
『ツヴァイ・ラーズグリーズ』と『ツヴァイ』と呼ばれた少女二人の視線がサージェにぶっ刺さる。
 どこもかしこも、柔らかい体をしているので、視線の鋭利さに耐えられない。
「うぐっ! 視線が痛い! 理緒さんはいつものりおりおなのにツッコミがないのに、どうして私だけこんな!」
 クノイチだからじゃない?

 というか、とサージェは思った。
『ツヴァイ』と呼ばれる少女が神隠しにあったというのに、どうしてこんなに落ち着いているのだろうか。
「あ、そっか。『ツヴァイ』さんは一度キャンピーくん事件にてクロムキャバリアに一度来ているんでしたっけ!」
「あの時は、ここではないところでしたが……この世界が大変だっていうことは理解しているつもりです」
「なるほど! 大変肝っ玉がすわっていて素晴らしい! あ、『ツヴァイ・ラーズグリーズ』さん、彼女の身元はこのクノイチが責任持って保証いたし」
「いえ、それには及びません。というか、クノイチと名乗るのならば、間諜の類なのでは?」
 じと、と『ツヴァイ・ラーズグリーズ』の視線が再び刺さる。
「あっるぇ!? 私の信用が疑われてます!?」
 おかしい。
 なんで? とサージェは首を傾げる。だがまあ、クノイチって名乗ってるしなぁ。

「ええい、仲間であることを示すためには! かもんっ!『ファントムシリカ』! これでどうです! ちゃんとキャバリアもあります! 私の愛機ッ! そして、お目付け役の『シリカ』さんってぎにゃ!?」
 バリってやられている。
『早く空中戦対応型バックパックユニット』つけて』
「まだ何もしてないのに!」
「まだ何もしていないからでは?」
「やるべきことやってないからでは?」
「ダブルでツッコまれると!」
 ひどい、とサージェはさめざめとする。

「はいはい、サージェさんはお手伝いしようね。あ、簡易型『レーギャルン』は二騎だけ?」
 理緒は開発されている空中戦対応型バックパックユニットを見やる。
 サージェはすっかり蚊帳の外であった。のの字を床に描くしかなかった。また、バリられるぞ。
「ええ。プラントの仕様になれるために一騎だけキャバリアを複製させてもらいましたが、あちらは……」
『ゼクス・ラーズグリーズ』と他の猟兵がいじっている。
 ならば、と理緒は頷く。
「暴走衛生『殲禍炎剣』の砲撃は『ザ・スター』が『エナジー・ゲート』で一手に引き受けているけれど、いいことじゃないね。実質、向こうはずっとオブリビオンマシンの供給源を得ているようなものだから」
 とは言え、それがなくば自分たちも高高度では戦えないだろう。
 理緒はうーん、と頭を悩ませながら、しかし刻一刻と作戦開始時間が迫るのを感じる。
「やるだけのことやろう。ね、サージェさん!」
「あ、ハイ! クノイチがんばります! あ、『ツヴァイ』さん大小お二人共まだ間諜なの疑っておられます!?」
 そんなサージェに二人の『ツヴァイ』は、冗談だと笑う。
 戦いの前の僅かな暇。
 けれど、確かに護るべきものがあると二人は頷きあうのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

(『ツヴァイ』さんたちといっしょに、「いつものか」顔)
はーい。次いきますよー。

あ、そいえば『ツヴァイ』さん、なんでこんなところに?
アスアスもアブダクションとあるんです?

なにはともあれ、たしかに『ツヴァイ』さん2人はややこし……えー!
そこは、1号2号、じゃないんですか!?

だって今回の敵ってヒーローさんなんですよね?
ヒーローなら1号2号、赤いマフラーでV3って決まってるじゃないですか!

……いたいです。

って、え?え?な、なんです、いきなりなんですか!?
甘やかされると怖いんですが!?(でも膝枕であーんはしてもらう)

これが先払いってやつでしょうか。わたし今日までなのかな。

えっ!?
ソナーレに乗っていいんですか! 乗っても飛べるんですか!?
それじゃいままでの紐なしバンジーはいったい!?

希望してないですよ!?
あれ、やられる度に襟に穴空くんですからね!

それ聞いちゃうと、まだまだ甘やかして欲しいなー……なんて。
あとケーキ1個食べるあいだくらいいいですよね!?

なら、改造してもらってる間甘えまーす♪


ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の!!香りがしまぁぁぁぁすっ!!
はい、メイド参上しました
「あ、いつものか」的な表情やめて頂けますか?!
ええ、ツヴァイ様もツヴァイ様も……ええい複雑!
ツヴァイ様とツヴァイお嬢様とお呼びしましょう
お二人ともご機嫌麗しゅう
|しあわせなゆめ《異なる世界》から溢れでたツヴァイお嬢様には刺激がキツすぎるかもしれませんが
戦いに際しては心に平和を
お力も貸してもらえますか?
もちろんツヴァイ様にもお願いいたします

さて
フォル!いらっしゃい!
ツヴァイお嬢様には初めてお見せしますかね?
私の愛機です
私の方は良いとしてルクス様ですね(膝枕なでもふ餌付け)
(手作りケーキとかあーんしつつ)
んーさすがにクチバシ生身は死にそうですし
ソナーレはフォルで運びましょう
え?運べますよ?
こう、爪で肩をがしっと掴んでそのまま飛翔
元々そういう設計ですし
え?これまでのバンジー?
あれはルクス様の希望では??
と、ともあれ
ツヴァイ様、ツヴァイお嬢様
ソナーレが万が一落ちても大丈夫なようにバックパックお願いできますか?



 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は裏回しをする。なんの裏回しって、段取りの、である。
 なんの段取りかっていうと、それは即ち。
「|『エイル』様《主人様》の!! 香りがしまぁぁぁぁすっ!!」
 これである。
 なんだ、いつものか、と『ツヴァイ』と呼ばれた少女と『ツヴァイ・ラーズグリーズ』はルクスと顔を見合わせて頷く。
 慣れたもんである。
「はーい。次行きますよー」
「『あ、いつものか』的な表情やめて頂けますか?!」
「いえ、実際そうですし……」
 ルクスの言葉にステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は猛抗議する。しかし、二人の『ツヴァイ』たちの表情に彼女の頬がひきつる。
 え、もしかして、お二人もそっちがわ?
「ええ……『ツヴァイ』様も『ツヴァイ・ラーズグリーズ』様も……ええい複雑!『ツヴァイ』お嬢様と『ツヴァイ』様とお呼びしても?」
「お、お嬢様?」
「ええ、小さい方がお嬢様。大きいほうがレディとして」
 恭しくこういうときだけカーテシーをバッチリ決めるメイド。
 ずるい。

「え、あ、その、今はその」
 しどろもどろの『ツヴァイ』にステラは笑む。顔が良いってこういう時に便利である。
「でもなんで『ツヴァイ』さんは、こんなところに? アブダクションです?」
「気がついたら、ここにいました。どうしてなのかは、わかりませんが……」
「でも、ややこしいですよね。どちらも『ツヴァイ』さんで同じ顔をしてますし。1号2号でよくないです?」
 数字の名を冠しているのに、1号2号はさらにややこしくなりはしまいか。
「|しあわせなゆめ《異なる世界》から溢れ出た『ツヴァイ』お嬢様には刺激がキツすぎるかもしれませんが……」
「『戦いに際しては心に平和を』、でしょう。そのために私はきっとここにいるのです」
「言うまでもないことでございましたか。お嬢様。なれば」
「ええ、どうか貴方がたの御力を」
 お貸し頂けないかと『ツヴァイ・ラーズグリーズ』は小国家『グリプ5』の国家元首として猟兵たちに頭を下げているのだ。

「今は飛空艇と呼ばれる異世界の船のデータを持って、空中空母を建造しています。この完成をもって高高度まで皆様の機体を運びます。余力を持った状態で戦闘を開始していただくためです」
 そう、猟兵たちのもたらしたデータによってプラントにて今回の戦いだけに使用する空中空母を建造している最中なのだ。
 なるほど、と思う。
 これならば猟兵たちの余力を残した状態で高高度に到達することができる。
 敵は暴走衛生『殲禍炎剣』の砲撃をエネルギーに変換する謎のユーベルコード『エナジー・ゲート』え無尽蔵に空中戦対応型オブリビオンマシンを繰り出してくる。
 物量で押されては、猟兵達は高高度に到達しても余力を残すどころではない。
 だからこその空中空母である。
「なるほど。では、私どもからもキャバリアのご提供を。フォル!」
 ステラが手を掲げると、それに呼応するようにして現れる鳥型キャバリア『フォルティス・フォルトゥーナ』とるくすのキャバリア『ソナーレ』であった。
 鋼鉄の鳥と巨人。
 二騎が建造途中であるが空中空母のハンガーへと格納されていく。

「あれが……」
「ええ、『ツヴァイ』お嬢様には初めてお見せします。私の愛機です。無論、空戦は可能でございます。ですが、ルクス様の『ソナーレ』は」
 いきなりルクスをステラは膝の上に乗せてなでなでもふもふした上に、膝枕で手作りケーキをあーん、する。
 なんで?
 急になんで?
「え? な、なんです、いきなりなんですか!? 甘やかされると怖いんですが!?」
 いきなりのことにルクスは戸惑う。
 いや、誰だって戸惑うだろう。
 いつもは厳しい人が急に優しさを見せるのだ。何か裏があるに違いない。
「流石にクチバシに吊るしての特攻は、高高度では死んでしまいますからね。『ソナーレ』はフォルで運びましょう」
「運べるんですか!? えっ!?『ソナーレ』に乗ったままでも良いですか!?」
「はい、戦場が戦場ですから」
 こともなげにステラは言う。
 しかし、ならば今までの生身バンジー状態で『フォルティス・フォルトゥーナ』の嘴の先に吊るされていたのはなんだったのかと思わないでもない。
「もともとそういう設計ですし。肩をこう、がしっと掴んで飛べます」
「ええっ、じゃあ、なんで今までそうしなかったんですか!?」
「え? あれはルクス様の希望では?」
 そんなわけあるか! とルクスは膝枕の上でダバダバ暴れる。

 二人のやり取りを見て『ツヴァイ』たちは、いつものやつだな、と自分たちの作業に戻る。思いっきりスルーしている。
「希望してないですよ!? でも、今回は大変そうなので、まだまだ甘やかしてほしいなー……なんて! あと一個ケーキ食べる間位いいですよね!?」
「いえ、『ソナーレ』が万が一落ちてもだいじょうぶなように空中戦対応型バックパックユニットをお願いしなければなりません」
「なら、改造してもらっている間あまえまーす!」
「サービスタイムは終了です」
 すくっと立ち上がるステラ。
 ルクスは膝枕の上から転落して床に額をぶつける。
「うぅ……痛いです」
「ルクス様、いきますよ。事態は一刻を争うのです」
「わかってますけど! 流石に扱いが雑過ぎます! 待遇の改善を求めまーす!!」
「そういうのは、戦いが終わってからにして頂けますか」
 いつものやり取りである。
 だが、そんないつもがあるからこそ、逼迫した事態でも普段通りの力が発揮できるのだ。
 それを示すように二人はいつものように騒々しく作業を進めるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
【POW】
……わざわざ他所の世界から面倒事を起こしに来るとはね……

一応『コルヴィルクス』があるから空中戦はできなくもないし、いざとなればドラグレクスに乗るという手もあるけれど……それだけで空中戦を「し続ける」のにはちょっと不安があるのよね。あくまで一時的な飛行機能な訳だから。
……そうね、いっそメガスラスターでなく、もっと大型……キャバリアを大型兵器の制御部として組み込むみたいな形にする手も……空戦前提だし、ミサイルとかも増設を……

(なんだかミー〇ィアとかデ〇ドロビウムとかヒュッ〇バインガ〇ナーみたいなモノを作る気になっている。一応スクラップとか資材さえあるなら金属細胞でどうにかするつもり)



 他世界の存在。
 ファーストヒーロー『ザ・スター』の目的は、クロムキャバリア世界全てのプラントを破壊することである。
 そして、それを為すために暴走衛生『殲禍炎剣』の無差別砲撃を『エナジー・ゲート』でもって受け止め続けている。
 はたから見れば、無差別砲撃を防いでいるように思えたかもしれない。
 しかし、内情は異なる。
 そう、彼は『殲禍炎剣』より放たれる砲撃を謎のユーベルコード『エナジー・ゲート』でもって吸収し、それを空中戦対応型オブリビオンマシンへと変貌させているのだ。
「……わざわざ他所の世界から面倒事を起こしに来るとはね……」
 アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は己の機体ならば高高度であっても十分に戦えることを理解していた。

 クロムキャバリアでは空中戦を行う機会はない。
 けれど、備わった機能がないわけではないのだ。とは言え、演ったことがない、と言うだけの話だ。
「いざとなれば『ドラグレクス』に乗る、という手段も取れるけれど……」
 懸念もある。
 高高度の戦場に存在し続けるということはできるかもしれない。
 けれど、戦闘を継続する、という点においては不安がある。あくまで一時的な飛行機能でしかない。逆に空中戦対応型オブリビオンマシンは、空戦を行うために製造された機体である。
 一つの目的に特化した機体と、汎用性によって飛翔できる機体との間に横たわる溝は思う以上に大きいのだ。

 いっそ、とアルカは小国家『グリプ5』のプラント施設で腕組みして難しい顔をする。 
 今、ここでは猟兵たちの提案ともたらしたデータによって高高度まで猟兵たちを運ぶ空中空母が建造されている。
 戦場まで余力を持って向かうことができるのはありがたいことだ。
 けれど、それでも不安は付きまとう。
「メガスラスターではなく、もっと大型……キャバリアを大型兵器の制御部として組み込むみたいな形にする手も……」
 アルカは考え込む。
 いくつかの資材を持ち込んではいるが、これをどのように組み合わせるかが頭の使い所だった。
「空戦前提だし、ミサイルとかも増設しても……」
「機体のバランスが崩れませんか」
 顔を見上げると、そこにいたのは『ヌル・ラーズグリーズ』であった。
『憂国学徒兵』の一人にして、『ラーズグリーズ』の姓を持つ数字を冠した少年少女の母親である。
 彼女はオブリビオンマシンを巡る戦いに巻き込まれた人物である。
 一時はオブリビオンマシンに狂気を増幅されていたが、こうして復帰しているのだろう。彼女がアルカのやろうとしていることを見かねて助言を申し出てきたのだ。

「今回限りの空戦だから、最悪使い捨ててもいいかな、と思っているんだけれど」
「となれば、推進機を大出力にするよりも、一時的に飛ぶ……砲弾のように敵陣に突撃して大火力をばらまいてパージした方が生存率が上がるかと」
 火力を放ったあとは、そうした装備はただの重しになってしまう、と『ヌル・ラーズグリーズ』は語る。 
 確かに、とアルカは頷く。
「じゃあ、こんなのはどうかしら?」
 アルカは『ヌル・ラーズグリーズ』と共に己がキャバリアに接続する……キャバリア大のアームドフォートを組み上げ、建造された空中空母へと搭載するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
ツヴァイ殿とツヴァイ殿。
ふむ……どう呼び分けるのが良いのでしょうか……?
……いえ、今はそれより、ダイダラ用のエネルギーバックパックの造形をお願いしたく。10m級の機体、通常のキャバリアとは規格が異なりますが、どうでしょうか?

メガスラスターは既に装着済み、エネルギーも、そう簡単に尽くことはないですが、全容見えぬ敵との高高度空中戦、可能な限り【継戦能力】は高めておきたいのです。

……形が鮮明であれば、巨大物であろうと想像は容易!プラントの手は煩わせません!
模型を元に|『ミミックトレジャー』《選択技能【空中機動】》即時創造!ダイダラに装着!
【エネルギー充填】あとはこれに補給をお願い致します!!



 アスリートアースの『ツヴァイ』と呼ばれた少女。
 クロムキャバリアの小国家『グリプ5』の国家元首『ツヴァイ・ラーズグリーズ』。
 この二人と面識のある朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は、困惑していた。
 確かに年齢の差という見分け方はある。
 だが、どちらも同じ名前であるがゆえに小枝子はどう呼んだものかと頭を悩ませていた。
「……『ツヴァイ』殿と『ツヴァイ』殿……」
 頭を悩ませても答えはでない。
 いや、と頭を振る。
 それどころではない。
「……そうでした。今はそれよりも『ダイダラ』用のエネルギーバックパックの製造をお願いしたのですが」
 小枝子は他の猟兵たちの提案ともたらされたデータによって建造されつつある空中空母のハンガーで己がキャバリア『ダイダラ』を見上げて、『ツヴァイ・ラーズグリーズ』に問いかける。

 今回の戦場は高高度である。
 本来ならば、クロムキャバリアでは存在しえないはずの戦場なのだ。
 空中空母は、この高高度まで猟兵たちのキャバリアを余力残した状態で届けるための、今回限りの艦艇なのだ。
 とは言え、まだ問題はある。
 高高度まで運べても、そこから戦うためには空中戦対応型バックパックユニットを取り付けなければならない。
 しかし、小枝子の『ダイダラ』は体高5m級の戦術兵器であるキャバリアの規格を大きく逸脱している。
 二倍はあろうかという巨躯。
 規格が異なればバックパックユニットも新調せざるをえない。
「メガスラスター……それを支える動力源は」
「確保しているであります。ですが、それを効率よく回すためには、やはりバックパックユニットが必要かと思いまして」
「わかります。可能な限り継続戦闘能力は向上させたいというわけですね」
「はい。ですので」
「私の出番というわけですか」
『ツヴァイ・ラーズグリーズ』の背後から『ツヴァイ』と呼ばれた少女が顔を出す。

 彼女はアスリートアースで『プラクト』と呼ばれるホビー・スポーツのアスリートをしている。自分で思い描き、作り、戦うホビー・スポーツ。
 ならば、彼女に頼むべきだと小枝子は思ったのだ。
「お願いできるでありますか」
「お任せください。でも、私のイメージをお伝えするだけでいいのですか?」
「ええ、無論。自分はイメージするのは難しいであります。ですが、『ツヴァイ』殿のイメージをえられるのならば、プラントの手は煩わせません!」
「わかりました。では。外付けのプロペラントタンクの増設。プロペラントタンクはブースターを取り付けて、直で推進機としましょう。そうすれば、万が一被弾してもパージが容易です。そして!」
 小枝子は『ツヴァイ』のイメージを受け取りながら頷く。
 膨らんでいく。

 己がユーベルコードによってエクトプラズムが形をなしていく。
『ダイダラ』の背面に配されていくプロペラントタンクブースター。いくつも取り付けられ、まるで背に千手を背負うような形になっていく。
「ご助力感謝いたします! これで!」
「ええ、頼みました」
 戦場にありては、互いの信頼が物を言うのだ。小枝子は二人の手を握り締め、完成を間近に控えた空中空母を見上げるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
「『殲禍炎剣』のエネルギーを使って?オブリビオンマシンを大量生産?んなのありかよ…」
「とにかく急いで準備するとして間に合うかどうか…おや?」

あれってもしかして『五月雨模型店』のツヴァイか?おーい!
やっぱりあんたか。まさかこんな世界で会えるたぁ、不思議な縁もあるもんだ
見たところ猟兵になったようにゃ見えないが…今はいいか

模型を使ってバックパックを作ってるって?
いきなり別世界に飛ばされたってのにすぐに対応するなんて大したもんだぜ

それなら折角だし、俺の分もお願いしていいか?それと武装の方も幾つか作っておきたいんだ
模型の事ならプラクトを作った経験があるから俺も頑張って手伝える筈だしさ、頼むよ

アドリブ歓迎



 空では光が明滅している。
 広がるは巨大なユーベルコード『エナジー・ゲート』である。
 それが衛星軌道上に存在する暴走衛生『殲禍炎剣』の無差別砲撃を受け止め続け、そして、それをエネルギーに変換して吸収し続けているのだ。
「しかも、そのエネルギーを使って? オブリビオンマシンを大量生産? しかも、空中戦対応型? んなのありかよ……」
 星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)は見上げた空の先に呆然とつぶやく。
 そう、あまりにも無体が過ぎる。
 ここクロムキャバリアにおいて対空に対する備えは何一つない。
 それは百年に及ぶ戦争状態においても、誰一人として空中戦をしようとしなかったからであり、また同時に必要性がなかったからだ。

 空には暴走衛生。
 確実に、無慈悲に無差別に。
 放たれる砲撃があるがゆえに空は戦場なりえず。そのために此度、全世界がたった一人のファーストヒーロー『ザ・スター』によって危機にさらされているのだ。
 あの空中戦対応型オブリビオンマシンが大挙として小国家に向かえば、今の軍備では小国家は持ちこたえられないだろう。
 そうなれば、プラントは全て破壊され、人々は生活すらままならなくなってしまう。
「だが、それでも抗おうっていう気概があるんだよな」
 祐一は、そんな小国家の一つ『グリプ5』にて猟兵の提案ともたらされたデータによって建造されつつある空中空母を見やる。
 これで猟兵たちの機体を高高度まで運び、余力を持った状態で空中戦対応型オブリビオンマシンとの対決に挑んでもらおうと言うのだろう。

 そんな建造現場に一人の少女の姿を認め、祐一は驚きに目を見開く。
「おいおい、まさかあれって『五月雨模型店』の『ツヴァイ』か? おーい!」 
 祐一は思わず呼びかけていた。
 振り返る彼女の瞳が目を見開く。見知った顔だったからだ。
「あなたは……!」
「やっぱりあんたか。まさかこんな世界で会えるたぁ、不思議な縁もあるもんだ」
 祐一は違和感を覚える。
 彼女は猟兵ではない。
 なのに、他世界にわたってきている。これが噂に聞く神隠しというやつなのだろうか。ともあれ、災難と言えば災難である。
 アスリートアースとは似ても似つかない世界。
 ここに来て、彼女がこんなことに携わっているのは、驚き以外の何ものでもない。

「その手にしているのは?」
 しかし、驚いてばかりはいられない。
 祐一は『ツヴァイ』が手にしていたモックアップを指差す。
「これは空中戦対応型バックパックユニットのモックアップミニチュアです。これをプラントに読み込ませて、キャバリアに装着できるものを製造しているんです」
「まさか模型から……?」
 さらに驚きであった。
 確かにプラントはデータさえ入力すれば、こうやってあらゆる物を作り出せる。それこそキャバリアだって可能なのだ。
 だからこそ、祐一は驚く。
 神隠しで理由もわからず異世界に飛ばされたあとだと言うのに、すぐさま順応しているのだ。大したものだと思わざるをえない。
 自分が彼女の年の頃であったのならば、戸惑うばかりであったかもしれない。

「なら、せっかく出し俺の分も頼めるか? それと武装もいくつか……」
「構いません。空中空母も目処がたちました。あとは時間の許す限り、精一杯のことをやろうと思っていましたから」
「ありがたい。俺も『プラクト』で模型を作ったことがあるんだ。イメージは伝えられるはずだぜ」
 祐一は己の乗騎に空中戦対応型バックパックユニットを搭載し、さらに模型からプラントに読み込ませた新たな武装を製造し、空中空母へと運び込む。
 戦いの体勢は万全。
 となれば、命運を分は己達の領分である。
 祐一は、戦いの場となる高硬度を思うのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
闇堕ちヒーローものはちょっと世界観と違うくない?
まあいーんだけれども、いや良くはないけど
ついでに空からも狙ってくるとか、ヒーローなのにやる事がセコい!
セコいセコいセコい!
私はまあ飛んでくなり下から斬るなり何でもするから良いけどさあ

やる事が無いしツヴァイ(アスリートの方)が頑張ってて鼻が高いよ…って後方先輩面しながら積みプラ崩してよ…
そう、これこそキラキラメッキ
コストの都合で失伝していたメッキ加工が復活!
これで色々とやろうと思ってたのに完全に忙しくて積んでいたのさ!

え?手伝わないかって?
ふふふ、私はいい言葉を知っている
戦いの前には心をリラーックス!!
何か違う気もするけど。つまりそういう事!



 空にあるは謎のユーベルコード『エナジー・ゲート』と衛星軌道上から放たれる無差別砲撃。
 暴走衛生『殲禍炎剣』から放たれる砲撃の全てを『エナジー・ゲート』はエネルギーに変換し吸収していた。
 空の面は砲撃にさらされながら、地上を向いた面には一切余波が及ぶところがなかった。それどころか、その『エナジー・ゲート』からは次々と空中戦対応型オブリビオンマシンが生み出され続けていた。
 十分な数が製造されれば、即座にファーストヒーロー『ザ・スター』はオブリビオンマシンを世界の小国家に向けて解き放つだろう。
 そうなれば、空からの襲撃に対する軍備なき小国家は為すすべもなくプラントを破壊されて滅びる。

 それをさせぬために猟兵達は小国家『グリプ5』に駆けつけた。
 彼らがもたらした飛空艇のデータと各種情報によって今はプラントから空中空母が建造されていた。
 武装は用意できなかったが、この空中空母ならば猟兵たちを高行動まで運ぶことができる。そうすれば、猟兵達は余力をもったまま高高度に至ることができる。
 それを為したのは一人の『ツヴァイ』と呼ばれた少女だった。
 無論、彼女だけの力ではない。
 遺失技術プラントがあればこそであるが、しかし、アスリートアースにて『プラクト』というホビー・スポーツのアスリートであった彼女の経験があればこそ、空中戦対応型バックパックユニットの開発と空中空母の建造が間に合ったとも言える。
「いやまあ、闇堕ちヒーローものはちょっと世界観違うくない? とか思ってたんだけど。あと、空から狙ってくるとかセコい! セコいセコいセコい! いやまあ、いいんだけどさぁ」
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は自分が重力制御で飛べるから、特別問題はないと思っていた。
 むしろ、此処にやってきたのはいいけれど、やることがない。

 自分がやろうとしていたことは、大体が『ツヴァイ』と呼ばれた少女がやってくれていた。
「へへっ、鼻が高いよ……」
 謎の後方先輩面しながら玲は一つの箱を手にしていた。
 言うまでもないことであるが、それはプラモデルのパッケージであった。
 イラストが豪華絢爛である。
 なんていうか、デフォルメライズされたロボット……? が武者の? 形をしているホビーであるようだった。
「そんなわけでやることない先輩は、積みプラ崩してよ……」
 箱蓋を開けると、まず目に飛び込んでくるのはキラキラメッキであった。
 そう、これはただのメッキではないのだ!

 プラントと同じく遺失技術によって造られたメッキ加工! あまりにも採算が取れず、また技術を保有していた会社がなくなったことによって失伝していた技術の復活! 
 それがキラキラメッキ!
「これで色々やろうと思ってたのに完全に忙しくて積んでたのさ! お披露目する機会もなくなってしまったけど、今こそ好機! 大人はスキマ時間を上手に活用して趣味をしなければならないんだよ!」
 仕事もする、遊びもする。
 両方やらなくっちゃあならないのが大人の辛いところだが。

「あの、手伝わないんですか?」
『ズィーベン・ラーズグリーズ』がおずおず、と言った感じで玲のもとにやってくる。
 完全に今の玲は遊んでる大人である。大人なのに。
 子供に見咎められる大人ほど悲しいものはない。
 けれど、玲は余裕だった。
「ふふふ、私はいい言葉を知っている」
「……?」
「戦いの前には心をリラーックス!!」
 玲は叫んだ。
 それはもう心の中の声を大にして叫んだのだ。何か違う気がしないでもない。けれど、大まかなことは伝えられたと思う。伝われ。

「つ、つまり?」
「これから大きな戦いなんでしょ。ならさ、いつもどおりにやれるように心を保つことも大切なことだって話! 見なよ、この煌き! 輝羅輝羅してれるでしょ!」
 翼のパーツを示して玲は目を輝羅輝羅させていた。
 色々危うい表現であるが、しかし玲はいつもどおりができるようにと敢えて、心を落ち着かせるために完成した空中空母の中で、さらに自分が組み上げたキラキラメッキのプラモデルを誇らしげに飾るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん

ツヴァイ殿、いつぞやのスーパーカオスドラゴン殿と似た状況なのですねー…。
空中戦ですかー。私たちは霹靂で対応できますがー…。
ふむ、では対応ユニット造りを手伝いましょう。こういう細かいことは、私と陰海月の分野ですのでー。


陰海月「ぷきゅ!?」
ツヴァイさんにビックリ!(お店に写真見せに行こうと思ってた矢先だったらしい)
でもでも、必要だから…ぼくも手伝う!ぼくは器用なんだ!



 神隠し。
 それは他世界があると知る者にとっては、あり得る事象である。
 ある世界から姿を消した存在が、他の世界で発見されることがある。それが神隠しである。本来ならば、グリモアの力を経て転移するのが常である猟兵であっても、その原因を解明することができていない。
 何故、興り得るのか。
 どの様な条件が必要なのか。
 いずれもがわからないことばかりであった。
 
 そういう意味ではアスリートアースから突如として神隠しによってクロムキャバリアに転移してしまった『ツヴァイ』と呼ばれた少女は戸惑いこそあれど、幼い身であるがゆえに困惑を抱えたままであったはずだ。
 けれど、彼女は戸惑いも困惑もしなかった。
 一度、『キャンピーくん』によってクロムキャバリアに転移したことがあるからかもしれない。
 そして、彼女は猟兵たちのもたらしたデータと提案によってプラントから高高度へとキャバリアを運ぶための下駄……即ち空中空母を建造していた。
「なるほど。これで余力を持ったままみなさんを高硬度まで運ぶ、と」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』は頷く。
 完成を見た空中空母。
 今回だけのために使用される艦艇であるが、しかし心強いものである。

「『ツヴァイ』殿は、いつぞやの『スーパーカオスドラゴン』殿と似たような状況なのでしょうかねー……」
 とは言え、空中戦。
 しかも高高度である。空中戦対応型バックパックユニットがなければ、キャバリアは戦うことができないだろう。
 となれば、自分たちができるのは十分なユニットの製造と点検である。
「ぷきゅっ!」
『陰海月』は驚いていたが、しかし彼女がそうであるように、この場でできることをしっかりやろうと思うのは同じであったようだった。

「ありがとうございます。助けて頂いてばかりですが」
『ツヴァイ』と呼ばれた少女の言葉に『陰海月』はまた今度写真をお店に見せにいくね、と触腕で指切りをする。
 まずは、この戦いを無事に乗り切ることから初めなければならない。
 自分も手伝うと『陰海月』は空中戦対応型バックパックユニットに不備がないか一緒に点検始めるのだ。
 少しでも確率を上げるためにはこうした地道な作業が必要だったのだ。

「さあ、時刻です」
『ツヴァイ・ラーズグリーズ』の言葉に『疾き者』は振り返る。
 そう、それはファーストヒーロー『ザ・スター』と空中戦対応型オブリビオンマシンの存在する高高度へと空中空母で向かうためのタイムリミット。
 やるべきことはやった。
 ならば、後は己たちの出番だ。
 世界の命運を掛けた戦いである。
 ならばこそ、これに勝利しなければ小国家の要であり、人々の生活を支えるプラントが一つ残らず破壊されてしまうことだろう。

「それはさせはしませんよー」
 多くの犠牲を強いることで達成されるものがあるのだとしても、今はそれしかないのだとしても、それでも多くのことを考え模索することこそが人の生きる道だ。
 それを示すために猟兵達は空へとあがるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

才堂・紅葉
空ですか
なるほどこれは厄介ですね
蒸気王の蒸気ロケットで飛翔は出来ますが、奴等に届かせるにはもう一段頭の悪い加速がいります

……非常に気が進みませんが、技術交流をして貰いましょう
ツヴァイさん、超高度戦闘に際して蒸気王の飛行性能の強化案への協力をお願いします
基本性能に関しては、製作担当のこの三バ……いえ三人の技術者の方々と相談してもらえれば
連中が開発した謎の蒸気通信ガジェットで三人組を紹介し、改良を依頼する
マッド三人になんか危険っぽい他世界知識のツヴァイの組み合わせは不安だが、大事なのは性能だ
多少の不安は目を瞑り、決戦用の機体の調整の終るのを待つとしよう

「操縦者の安全性は最優先でお願いしますね?」



「空ですか」
 クロムキャバリアにおいて空は戦場ではない。
 生活を支えるインフラの一つでもない。
 そう、空はあれど、そこは人の領域ではないのだ。誰のものでもない。強いて言うのならば暴走衛生『殲禍炎剣』の領域である。
 例外はない。
 一定の高度に到達した物を尽く撃ち抜く無差別砲撃。
 これによって滅びた小国家もまた存在したことだろう。故に人々は空を己が領域から放棄したのだ。

 だからこそ、今空に浮かぶ謎のユーベルコード『エナジー・ゲート』は驚異的であった。
 無差別砲撃をすべて受け止め、エネルギーへと変換して吸収し、さらには空中戦対応型オブリビオンマシンすら生み出して見せるのだ。
「なるほど、これは厄介ですね」
 才堂・紅葉(お嬢・f08859)は、己の『蒸気王』ならば蒸気ロケットのがジェットで飛翔することはできるが、戦場は高高度。
 その戦場までは猟兵の提案とデータによって建造された空中空母で運ばれるとは言え、空中戦対応型オブリビオンマシンに届かせるためにはもう一つ工夫がいる、と思ったのだ。

 とは言え、気は進まない。
 技術交流と言えば聞こえは良いかもしれない。
「三人寄れば文殊の知恵(マスターアルケミスツ)とは言いますけど……他に……他に手はないの私……」
 アスリートアースから神隠しで転移してきた少女『ツヴァイ』は、他世界の知識を有する存在である。
 そんな彼女に紅葉の知る天才三人組技術者を引き合わせるのはどうなのだと思わないでもなかった。そうでなくても他世界の知識を組み合わせるのは気が引ける。
 けれど、大事なのは性能である。
「『ツヴァイ』さん、超高度戦闘に関して飛行性能の強化案への協力をお願いしたいのですが」
「だいじょうぶです。空母も無事、建造できましたし。後はロスタイムですから」
 笑顔が明るすぎる。
 自分が引き合わせようとしているマッドな三人組とは比べ物にならない。
 不安すぎる。
 少女の道行きを歪ませてしまいやしないかと不安になってしまう。

 けれど、ここでオブリビオンの策動を阻止できなければ、どの道世界が危ういのだ。
 ならばこそ、紅葉は天才三人組プラス異世界の少女の知識という脅威のコラボによって強化された蒸気ロケットユニットを見上げる。
 機体に取り付けられたユニットの調整が終わるのを静かに待つしかない。
「あの」
「なんでしょう?」
「操縦者の安全性は最優先でお願いしますね?」
「だいじょうぶです、私でも耐えられるものになってますから!」
 ニッコリの『ツヴァイ』に紅葉は一抹の不安を覚える。
 彼女はアスリートアースのアスリートである。
 アスリートアースのアスリートは皆、殺人的なスポーツ競技に耐えうる肉体を持っている。となれば。
『ツヴァイ』もまた例外ではないのだろう。
「……本当に? 本当に本当に操縦者の安全は考慮されているんですね?」
 紅葉は不安に不安がかぶさる思いであった。
 だいじょうぶだよね? 殺人的な加速とかないよね?
 殺人的なスポーツ競技に耐えられるから、紅葉も耐えられるよね、という感覚では困るのだ。
 けれど、戦場へと向かうタイムリミットは無常にも刻限を迎える。
 飛び立つ空中空母の中で紅葉は思う。
 本当にだいじょうぶなのだろうか、と。

 だが、もう賽は投げられ目はでているのだ。
 ならば、その出た目で勝負しなければならない。
「まったく、スリリングな賭けよね、これは――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『エルゼドール』

POW   :    近接魔導戦闘
自身に【念導障壁】をまとい、高速移動と【魔杖槍による白兵戦や魔力】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    魔杖槍火力投射
【光輪型探信儀から放たれた探索魔導波】が命中した対象に対し、高威力高命中の【魔杖槍を使用した魔力の奔流】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    第四世代戦闘魔導指揮システム
敵より【洗練された戦闘指揮システムの統制下にある】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。

イラスト:key-chang

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 小国家『グリプ5』より飛翔するは、空中空母。
 本来ならばクロムキャバリアにおいて、このような艦艇は存在しえない。
 けれど、猟兵の提案ともたらしてきたデータによって実現した空中空母は彼らの機体を高高度まで余裕を持って届けさせるための土台、下駄であった。
「本艦はこれより高高度領域まで上昇します。キャバリア搭乗員の皆様、頼みます」
『ツヴァイ・ラーズグリーズ』の言葉が響く。
 浮上する空中空母。
 飛行船とは異なる上昇の仕方であった。これはスピード勝負だ。一気に飛び立ち、高高度に存在する敵を打倒さなければならない。
 どんどん急上昇していく空中空母。
 しかし、それをただ黙ってみているファーストヒーロー『ザ・スター』ではなかった。

 彼が『エナジー・ゲート』より生み出した空中戦対応型オブリビオンマシン『エルゼドール』たちが一気に地上へと飛ぶのだ。
「小賢しい真似をする。だが、その程度」
 瞬間、『ザ・スター』の体躯が砲弾のように空中空母へと一直線に飛び込む。
 凄まじい衝撃が空中空母に響き渡り、アラートがけたたましく鳴り響いた。
「直上から!? 直撃したと……!」
「エンジン部に被弾!」
「高度を保てない……なら、緊急発進を!」
 その言葉と共に空中空母から飛び出すのは猟兵たちのキャバリア。
 猟兵達に『グリプ5』のキャバリア、簡易型『レーギャルン』を駆る『ゼクス・ラーズグリーズ』と『ズィーベン・ラーズグリーズ』は告げる。
「空中空母は俺達が!」
「だから、皆さんはあの空中戦対応型キャバリアを……!」
 そう、猟兵達に猶予はない。
 あの空中戦対応型オブリビオンマシンが小国家に飛来すれば、為す術もなくプラントは一方的に破壊されてしまう。

 空中空母に飛来したファーストヒーロー『ザ・スター』も捨て置くことはできない。
「敵は一人……なら、皆さんが来るまで持ちこたえて見せます。空母だって! だから!」
「己が力を過信するか、『エース』。ならば、その驕り、慢心。ここで打ち砕く。我が使命のため、そして世界の平和のため!」
『ザ・スター』の力のほとばしりを感じる。
 だがしかし、二人の言葉に猟兵達は頷くしかなかっただろう。
 彼らならば己たちが『エルゼドール』たちを打倒するまで持ちこたえられるはずだ。
 だからこそ、猟兵達は高高度にて迫る大量の空中戦対応型オブリビオンマシン『エルゼドール』を一刻も早く打倒すべく、大空を飛ぶのだ――。
ウィル・グラマン
●POW

にゃろー、前線基地の空中空母めがけてカチコミしてきたな!
ザ・スターをどうにかしねぇといけねぇけど、その前に僚機をなんとかしねぇとな
こうなりゃベアと一緒に出撃するしかねぇか
ベアは先にブースターで垂直出撃して連中を相手にしろ!
俺はコイツ…支援戦闘機のベアライザーを空中空母のカタパルトから出撃だ!!

へへ、計算通りに上手く飛んだな!
慣らし運転を済ませたら、ベアを相手にするキャバリアに照準を合わせて…ミサイル発射!
バリアで直撃しなくても爆煙で視界を遮ればOK
ベアライザーの通信装置越しに俺がベアに指示を送って、最大出力のブースターでバリアをぶち抜いてやるぜ!
そこだ、ベア!
全力のパンチをぶちかませ!



 一筋縄ではいかない。
 少なくともウィル・グラマン(電脳モンスターテイマー・f30811)は揺れる空中空母の中でそう思っただろう。
 高高度まで空中空母でもって上昇するというアイデア事態は優れたものだった。だが、ファーストヒーロー『ザ・スター』はもとより空に座す存在。
 地上より飛び立つ者があれば、それを目ざとく見つけることは予想できたことだった。
 だが。
「にゃろー! いきなり直上からカチコミかけてくるとは!」
 ウィルは揺れる空中空母のハンガーから漆黒のスーパーロボット『ベアキャット』と共に飛び出す。

 緊急を要する事態であったが高高度に問題なく『ベアキャット』はロケットブースターで直上に飛翔し、またその僚機として支援戦闘機『ベアライザー』に乗ったウィルは『ベアキャット』に指示を飛ばす。
 空中空母が揺れるほどの衝撃。
 それほどまでに『ベアキャット』の背面に配されたロケットブースターは凄まじい推力を生み出しているのだ。
「へへっ、計算通りに上手く飛んだな! ベア!」
『ガォン!!』
 ウィルの指示に従い、咆哮する『ベアキャット』。
 空中戦対応型オブリビオンマシン『エルゼドール』は無人機であろうが、しかし『ザ・スター』によって操られている。
 念動障壁をまとった攻防一体の機体。
 手にした武装は杖なのか槍なのか判然としない。だが、どちらにせよ遠近を使い分けることができるようだった。

 放たれる魔道光線を躱し『ベアキャット』が高硬度の戦場を飛ぶ。
 ウィルもまた『ベアライザー』でもって空中を機動する。ぶっつけ本番で慣らし運転もなかったが、ウィルともあろう者であれば操縦に不安はなかったのだ。
「……」
『エルゼドール』たちは一斉に陣形を組み、手にした魔杖槍を構える。
 エナジーを蓄えた一斉射撃。
 雨のように降り注ぐ光条の中をウィルは『ベアライザー』でもって飛び、ミサイルを放つ。
「これでも喰らいやがれ!」
 急ぎ、『エルゼドール』たちを撃破しなければならない。
 一刻も早く空中空母で戦う二騎の『レーギャルン』に加勢に向かわねばならない。
『ザ・スター』はファーストヒーロー。
 言うまでもなく猟兵たちが初めて遭遇する存在である。
 暴走衛生の無差別砲撃を尽く無効化する力を見ても、彼の力は強大そのものであると言えるだろう。

「手早く済ませる!」
 ミサイルの爆発の中から『エルゼドール』が飛び抱いてっくる。
 だが、それがウィルの狙いだった。
「馬鹿が! 簡単にこっちの手に乗りやがって! ベア! やれ!!」
 その言葉に『ベアキャット』が吠えるようにして爆発から飛び出した『エルゼドール』へと巨腕を叩き込む。
 魔導バリアに覆われていても関係ない。
「やれぇ、『ベアキャット』!」
 ユーベルコードに煌めくアイセンサー。
 それはウィルのユーベルコードを受けて強化された『ベアキャット』の最大出力のブースターと鋼鉄の拳による痛烈な一撃。

 バリアさえぶち抜くような圧倒的な一撃でもって『エルゼドール』の頭部がひしゃげ、さらには腹部までを砕きながら粉砕してみせたのだ。
 高高度に咲く爆発。
 ウィルは、その戦端を切り開き、更に迫る『エルゼドール』たちを相手取って『ベアキャット』に全力のパンチを見舞えと叫ぶのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
引き続き『疾き者』にて
武器:漆黒風

さて、まずはアレを散らさないといけませんねー。
いきますよ、霹靂。

騎乗しての空へ。さてさて、魔力の奔流を放たれる前に、UCつきの漆黒風投擲といきますかー。
ええまあ、ああいうのって関節部分ありますからね。それを穿たれただけでも、行動は制限されましょう。
そこへ、追加の漆黒風投擲で…見た目に合わぬ風属性+重量攻撃も加えて。霊障の一部を纏わせましたら、重いのですよー。


霹靂「クエッ」
飛んだことのないお空だ。限界突破な速度で、いっぱい飛ぶ!
陰海月「ぷきゅ」
後ろで四天流星ふりふり。位置錯誤して、少しでも当たらないように!



 高高度の戦闘は、苛烈な環境であった。
 羽ばたくヒポグリフ『霹靂』は己の羽がいつもよりも空気を掴むことができないのを知ったであろう。
 まるで羽に鎖が雁字搦めにされているようにさえ錯覚してしまう。
 それほどまでに高高度という戦場はいつも羽ばたく空とは異なるものであった。
 とは言え、ここで退くことはできない。
 己たちを高高度まで引き上げてくれた空中空母は、ファーストヒーロー『ザ・スター』の強襲を受けて傾いている。
 一刻も早く迫る空中戦対応型オブリビオンマシン『エルゼドール』の群れを打倒さなければならない。
「クエッ!」
「ええ、そうですね。『ザ・スター』も気になりますが、まずはアレらを蹴散らさないといけませんねー」
『霹靂』を駆る馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』は、敵の襲撃が思った以上に早いものであることを知る。

 先手を打たれたこと。
 ファーストヒーローの名に恥じぬ力である。
 その圧倒的な力を前にしても、己たちがやるべきことをなさねばならない。
 空中空母に迫った『ザ・スター』は、今二騎のキャバリア『レーギャルン』が抑えてくれている。彼らが『エース』と呼ばれる技量を持っていたとしても、長くは保つまい。
 故に急ぎ『エルゼドール』を打倒しなければならないのだ。
「……」
 無数の空中戦対応型オブリビオンマシン『エルゼドール』の光背の如きユニットから放たれるは、探索魔導波であった。
 無数の機体から四方八方から迫る魔導波。
 これを躱すことは難しい。
 故に、『疾き者』は手にした棒手裏剣を一瞬で放つ。
 魔導波を防ぐことはできない。
 ならば、その一瞬、その一手先を打ち込むのだ。
 ユーベルコード、四更・風(シコウ・フウ)にて放たれた一撃が『エルゼドール』の駆動部を撃ち抜く。

 確かに、敵の駆動を潰すのは定石であっただろう。
 だが、ここは高高度。
 空中戦なのだ。ならば、手は武装を保持する要であれど、脚部や関節部はあまり重要視されない。
 手にした魔杖槍が残っているのならば、それでいいのだとうように『エルゼドール』たちから放たれる魔力が弾丸のように『疾き者』へと投射される。
 凄まじい火力である。
 雨のように降り注ぐ魔力弾。
 そのさなかを『霹靂』は必死に飛ぶ。
 重たい翼であれど、しかし、戦わねばならない。限界を此処で越えねばならないのだ。

「ぷきゅ」
『疾き者』の背にひっついていた『陰海月』が位置を錯誤させるための『四天流星』を振るう。
 しかし、位置を錯誤させても、弾幕のように降り注ぐ『エルゼドール』の弾丸が次々と迫るのだ。
 だが、瞬間、『エルゼドール』たちに高度が堕ちていく。
 まるで何か重しを付けられたように高高度から地上へと落下していくのだ。
「……!」
「ふふ、先の棒手裏剣がただの一撃だと? 霊障の一部をまとわせているのです。つまり、見た目以上に重いのですよ、その棒手裏剣は」
『疾き者』は、迫る魔力弾を『霹靂』と共に空中を翻ることによって躱しながら、なんとか己たちの力を作用させる。
 駆体に打ち込まれた一撃はたしかに針の一撃のようなものであった。

 けれど、その針の一刺しこそが『エルゼドール』の駆体に重しをつけるようなものだったのだ。
 この高高度に置いては、それ自体が致命的だった。
 失墜していくオブリビオンマシンを見送るようにしながら『疾き者』はさらに迫る大軍を身ある。
 あの『エナジー・ゲート』。
 あれこそがオブリビオンマシンを生み出す源泉。
 ならばこそ、この全てを撃滅し、大元たる『ザ・スター』を打倒さねばならないのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーリー・ザルティア
【心境】
「その言葉そっくりそのまま返してあげるよ。」
力を過信してるのがどっちかってことをね!!

【行動】
レスヴァントMk-2で出撃する。
ソニックウイングの『推力移動』で軽やかに飛ぶよ。
さて、『空中戦』が得意なのはそっちだけじゃないよ!!

UC:高機動攻撃を発動。
マッハ5.0の加速は『肉体改造』で強化した僕の体でもちょっときついけど、がまんする。
自慢の『操縦』テクで無理やり制御しつつ、攻撃を『見切り』回避。
アストライアの『制圧射撃』で撃破しつつ、アンチ殲禍炎剣特殊粒子の足場を利用して敵機の連携を妨害し、追撃に利用し撃破する。



 ファーストヒーロー『ザ・スター』。
 その力は言うまでもなく強大そのものであった。
 謎のユーベルコード『エナジー・ゲート』によって『殲禍炎剣』の無差別砲撃を尽く吸収している様からも見て取れる。
 それだけではない。
 吸収したエネルギーをもって空中戦対応型オブリビオンマシンすら生み出して見せている。
 ユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)は揺れる空中空母のハンガーから己がキャバリア『レスヴァントMK-2』と共に飛び出す。
 背後に見える生身単身たる『ザ・スター』を認め、彼女は彼の言葉を返す。
「その言葉そっくりそのまま返してあげるよ」
 そう、力を過信しているのがどちらなのか。
 力を使命のために使うのは当然だろう。けれど、その力を振るう先を見ていないのであれば、以下に使命が崇高なるものであれ、神聖なるものであれ、見失っているのと同義である。
 故にユーリーは『レスヴァントMk-2』と共に高硬度の戦場に飛び立つ。

「ソニックウィング展開! 敵を蹴散らすまで持ちこたえて!」
「やってみせます!」
 二騎の簡易型『レーギャルン』を駆る『ズィーベン・ラーズグリーズ』の言葉にユーリーは任せた、と背中を預けるように迫るオブリビオンマシン『エルゼドール』の大軍へと突っ込んでいく。
「空中戦が得意なのは、そっちだけじゃないよ!!」
 探索魔導波が光背の如きユニットから発射され、『レスヴァントMk-2』の機体が補足される。
 一斉に『エルゼドール』たちが魔杖槍を構えた。
 来る、とユーリーは瞬間思考でもって判断する。
 あの探索魔導波は早く、そして人間の目では視認できない。
 レプリカントの高解像度のアイセンサーでも恐らく無理だろう。けれど、それ自体に攻撃力がないのであれば、問題ない。
 あくまであれは己の位置を索敵するためのもの。
「ならさ!」
『エルゼドール』から一斉に放たれる魔力弾。
 その雨あられの如き砲撃の中を『レスヴァントMk-2』と共にユーリーは飛ぶ。

 その二つのアイセンサーが煌き、ユーベルコードの発露を知らしめるように『レスヴァントMk-2』は高硬度の戦場に残光を残すように飛ぶ。
 加速、加速、加速。
 圧倒的な加速度Gがユーリーの体躯をコクピットシートに押し付けるようだった。
 胸が潰れる。肺が圧迫される。
 己の肋骨で潰されるような感覚さえある。
 肉体改造された体躯であっても痛みを覚えるほどの加速。
 音速を超えた『レスヴァントMk-2』は一気に魔力弾の雨をかいくぐり、『エルゼドール』へと肉薄する。

 それは一瞬だった。
 一瞬の交錯でありながら、ユーリーは瞬時に己の武装をたぐり、アサルトライフルを至近距離から『エルゼドール』に叩き込み、その機体の頭部を踏みつけてさらに飛翔する。
「コンバットアサルト!」
 迫る魔力弾はユーリーの駆る『レスヴァントMk-2』に追従するように放たれる。
 しかし、それらの尽くを機体から噴出させる特殊粒子をチャフ代わりにしながら、機動を変えるように踏みつけて飛ぶのだ。
「ぐっ、うっ!!」
 機動を変えるたびに見を圧迫する加速度G。
 だが、ためらってはいられない。
 己が飛ぶのは、敵を倒すためだ。一刻も早く『ザ・スター』と激突している二騎の『レーギャルン』を助けに行かねばならない。

 そして、空中空母もまた直情からの直撃を受けて堕ちていくしかない。
 ならばこそ、時間が惜しい。
「邪魔、しないでよね! さっさと片付けて、あいつに力を過信しているのがどっちか叩きつけてやらないといけないんだからさ! だから! 退けぇ!!」
 ユーリーは裂帛の気合と共に加速度Gを押しのけるように『レスヴァントMk-2』を借り、高高度の空にユーベルコードの残光を刻むように高機動攻撃(コンバットアサルト)を『エルゼドール』へと叩き込み、|撃墜数《スコア》をさらに跳ね上げるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メサイア・エルネイジェ
即オチ2コマですわ〜!
緊急発進ですわ〜!
一気に飛んでバックパックユニットをおパージ!
フライトユニットでぎゅんぎゅん飛び回りますわ〜!
急旋回や急減速で翻弄するのですわ〜!

ガンポッドで蜂の巣にして差し上げますわ〜!
空気抵抗を受け難いという事は?
すんげぇスピードを出してもお照準がブレ難いという事ですわ〜!
スピードも落ちませんわ〜!

ん?なんか効きが悪いですわねぇ?
おバリアですわ〜!
それではハイパーブースト!
超スピードで突っ込むのですわ〜!
何も無いお空なのでスピード出し放題ですわ〜!
わたくし自身がミサイルになるのですわ〜!
槍はブレードエッジでいなしてヴリちゃんタックル!
からのヴリちゃん噛み付きですわ〜!



 直上からの強襲は、必然であったのかもしれない。
 クロムキャバリアに生きる将兵にとって対空警戒は不慣れなものであった。ましてや、この空中戦はぶっつけ本番だったのだ。
 まともな警戒などできようはずもない。
 その一点をついたファーストヒーロー『ザ・スター』の一撃は空中空母の機関部を直撃し、サブ動力のエネルギーインゴットを一気に消費する形で高度を維持する他なかったのだ。
 しかし、それでも出力が徐々に落ちていく。
「即オチ2コマですわ~!」
 メサイア・エルネイジェ(暴竜皇女・f34656)は思わず、叫んでいた。
「緊急発進を!」
『ツヴァイ・ラーズグリーズ』の言葉にメサイアは空中空母から『ヴリトラ』と共に飛び出す。
 増設されたバックパックユニットから凄まじい推力を得て高硬度を『ヴリトラ』は砲弾のように一直線に走るようであった。
 偶然居合わせたオブリビオンマシン『エルゼドール』を一撃で轢殺するほどの加速。バックパックユニットを増設していなかったのならば、大惨事になるところであった。
「あら~? 何か轢きまして? まあ、いいのですわ~! 進路上に陣取ってる相手が悪いのですわ~! 言ってしまえば、当たり屋みてぇなものですわ~! わたくしなにも悪く有りませんわ~!」
 バックパックユニットがパージされ、フライトユニットを装備した『ヴリトラ』が高高度で急旋回し、百八十度回頭して突き進んできた道を後帰るようにして腕部に装備されたガンポッドに寄る斉射でもって『エルゼドール』を撃ち抜く。

「おほほほ~! 蜂の巣にして差し上げますわ~!」
 凄まじい勢いで弾丸が飛ぶ。
 しかし、『エルゼドール」は機体に念動障壁を張り巡らし、これを防ぐのだ。
「……」
 無人機であれど『ザ・スター』によって動かされているのだろう。
 これだけの数を操り、なおかつ、『エース』二騎を相手取っているのだ。恐るべき敵であると言わざるをえないだろう。
「すんげぇスピードを出しているのに、まったく! おバリアを張るなんて!」
 効きが悪い、とメサイアは野生の本能で知る。
 弾丸は確かに『エルゼドール』に当たっているのに、どうも手応えがないのだ。
 だからこそ、メサイアの瞳はユーベルコードに輝く。

 効きが悪い?
 ならどうするか。
 考えるまでもない。ガンポッドの銃弾が小さいから効きが悪いのだ。
 ならどうする? どうする? どうしちゃう?
「わたくし自身がミサイルになるのですわ~!」
 何も考えていないのではない。
 ただ脳筋なだけなのだ。弾丸が小さいからバリアに弾かれる。なら、バリアに弾かれない大口径をぶつければ良い。
 けれど、己の装備ではバリアを貫通できるほどの一撃は放てない。
 ならば。

「当たって砕くのですわ!」
 当たって砕けるではなく。砕く。メサイアの言葉に『ヴリトラ』が咆哮する。
 此処は地上と違って遮蔽物がない。
 大気も薄い。
 抵抗がないということだ。故に『ヴリトラ』は己が航空戦仕様のフライトユニットの超高効率エンジンの出力を上げ、暴竜猛襲(ハイパーブースト)たる己が突進を『エルゼドール』に叩き込むのだ。
 躱すことなどできようはずもない。
 今や、暴竜はこの空域において無類の速さを誇る。
 そして同時に、比類なき凶暴性を宿しているのだ。

 重量と速度ではない。
 凶暴と脳筋である。
 メサイアはためらわない。踏み込む時はアクセル全開ベタ踏みである。駆け引きなど、本能でやるものだ。故にメサイアは『エルゼドール』を空中空母から飛び出したときと同じように突っ込み、ブレードエッジで槍の一撃を弾き飛ばし、ファングバイトの一撃を持って、その駆体を引きちぎり、その凶暴性を示すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

才堂・紅葉
待って!

蒸気王が何時の間にか三体合体の蒸気帝に換装され、更にそれを取り込むように空中空母の予備パーツの動力ユニットが連結されている。100m級の蒸気帝が小さく見える規模だ…
蒸気帝の巨体をして、電動自転車にレーシングカーのエンジンを搭載するような暴挙だ。およそ正気の発想ではない

「ツヴァイ……これなら高々度は余裕だけど、私の安全性は?」
三馬鹿と揃いの良い笑顔が返ってきた。私ならいけると
彼女は脳筋だった。神はいない
諦めて突貫した

注意するのは馬鹿推力による大気圏突破だ
大気をブレーキに減速し、惑星内に機体を保たねば死ぬ
敵機の群れ?
この無茶なエアブレーキの【衝撃波】で生き延びた奴がいたら大したものだと思う



 完成した己が機体の空中戦対応型装備。
 しかし、才堂・紅葉(お嬢・f08859)は目を見開く。
 確かに己が知り合いたるマッドな天才たちに己が機体を託したことは間違いない。しかし、そこに『ツヴァイ』と呼ばれた少女、その良心をひとつまみ入れたはずなのだ。
 なのに。
「どうして!?」
 紅葉は己がキャバリア『蒸気王』がいつの間にか三体合体の蒸気帝(スチームカイザー)へと変貌していることに驚愕する。
 それだけならば想定された運用である。
 戦闘メカをジョイントで接続することで、強大な力へと変貌せしめるのだから、構わない。
 けれど。

「これなに!?」
「何って空中空母を建造する時に出た予備のパーツが余っていたので」
『ツヴァイ』と呼ばれた少女が頷く。
 はっきり言ってクソデカイ。
 これをどうしろと? 扱えるのか? と思わないでもない。
 言ってしまえば、電動自転車にレーシングカーのエンジンを搭載したようなアンバランスさ。
 おおよそ正気ではない。
 何を思ってこんな設計にしたのかわからない。
 むしろ、誰も止めなかったのか。
「『ツヴァイ』……これなら高高度は余裕かもだけど」
「いけます! というか、お早く! 空中空母は長く保ちません!」
「そうだけど! あの! 私の安全性は!?」
 三馬鹿の笑顔がムカつく。
 そして、こともあろうに『ツヴァイ』も笑顔だった。
「だいじょうぶです! 私でもいける設計ですから!」
 超人アスリートと同じ基準で考えられても困る。
 なんで? もしかして、彼女、知的に見えて実は脳筋なのだろうか?
 少しでも良心として機能することを期待していた自分が浅はかであった。
 神様なんていない。

「なら、突貫するしかない!」
 紅葉は己が操る『蒸気王』と共に戦場たる高高度へと飛び出す。
 ばかみたいな推力による挙動は制御しようとしてできるものではない。戦場に荒ぶ『エルゼドール』の砲撃野中を構わず突っ込んでいく。
 体躯にのしかかる加速度Gに紅葉は思わず胃の内容物がこみ上げてくるのを感じただろう。
 だが、止まってなんかいられない。
「このまま弾き飛ばす! ぶつけて、落とせば良い!」
 それ以前に彼女の機体は凄まじい推力で持って周囲に衝撃波を生み出していた。
 直接ぶつかれば、質量の差で『エルゼドール』は拉げてしまうだろう。
 もう自棄だった。
 自身の身の安全なんて考えない。
 紅葉にできたのは、この戦場を一刻でも早く終わらせることだけだった。
「こんな乱戦の中で『蒸気帝』にぶつからずにいられたのなら……大した運の持ち主ってことよね!」
 紅葉は、己の算算段があまりにも甘かったことを思い知らされる形となったが、しかし、戦場をぶち抜く圧倒的な速度と巨体でもって次々と『エルゼドール』を撃破していくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

久遠寺・遥翔
アドリブ連携歓迎
イグニシオンに[騎乗]しての[空中戦]
あぁ、やはり空はいいな
UCを発動し、全開速度で飛び回り分身の如き[残像]で翻弄しながらすれ違いざまに敵機を切り裂いてまわる[範囲攻撃]
同時使用可能なUC念導刃での追撃も加えて確実に落としていく
敵の攻撃は[心眼]と[第六感]の合わせ技でしっかり[見切り]避けて飛ぶがさすがに探索波をすべて避けるのは無理だろう
魔力の奔流は[結界術]と[オーラ防御]を組み合わせた[鉄壁]の多重障壁で防ぐぜ
この空は自由でなくてはならない
それを押さえつけるあの衛星も許せないが、空から世界を滅ぼしにかかるお前たちも捨て置けない



 高高度の戦場は、多くのオブリビオンマシン『エルゼドール』が『エナジー・ゲート』から次々と出現する乱戦と成り果てていた。
 それもそのはずだ。
 猟兵たちが多くを打ち倒してはいるが、あの『エナジー・ゲート』が絶えず暴走衛生『殲禍炎剣』の砲撃を受け止め、エネルギーに変換しているのだ。
 一気に数を減らさねば、ファーストヒーロー『ザ・スター』の下へ戻ることもできはしないだろう。
 だが、そんな乱戦の戦場に在りながらも久遠寺・遥翔(焔の機神イグニシオン/『黒鋼』の騎士・f01190)は空を見上げていた。
「あぁ、やはり空はいいな」
 彼の駆るキャバリア『イグニシオン』のアイセンサーがユーベルコードに輝く。

「行くぜ相棒!」
 戦場に残光が刻まれる。
 それは『イグニシオン』が構えた太陽を灼く黄昏の剣(ラグナレク・キャリバー)の一撃であった。
 高高度を一直線に飛翔しながらすれ違い様に『エルゼドール』たちを炎の剣でもって切り裂いているのだ。
 たしかに敵の数は多い。
 けれど、己の飛翔を止められるものなどいない。

 それでも『エルゼドール』たちの放つ探索魔導波を躱すことはできないだろう。
 多数という利点を有し、戦場を埋め尽くす魔導波。
 そして『エルゼドール』たちは魔杖槍を構える。
「……」
 物言わぬオブリビオンマシンたち。
 彼らは探索魔導波によって感知した『イグニシオン』へと魔力弾を雨のように降り注がせる。
「来るかよ! なら!」
 多重障壁を張り巡らせる。
 凄まじい物量である。
 だが、重ねた障壁は砕かれながらも一撃を『イグニシオン』へと到達させることはなかった。
 爆風が吹き荒れるさなかを赤い輝きが切り裂いていく。
『イグニシオン』のアイセンサーは『エルゼドール』たちの放つ弾幕の最中を縫うようにして飛ぶ。
 全てを躱すことはできない。
 しかし、障壁によって阻むことはできる。
 此処まで空中空母によって余力を持って至れた時点で『イグニシオン』の状態は万全そのものだった。

 故に遥翔は告げる。
「この空は自由でなくてはならない」
 しかし、見上げた空は蓋をされている。
 暴走衛生の砲撃は『エナジー・ゲート』の上で行われ続けているのだろう。
 これがクロムキャバリアという世界だ。
 空に蓋をされた世界。
「押さえつけるあの衛生も許せないが、空から世界を滅ぼしにかかるお前たちも捨て置けない」
 己が戦う理由はそれだけたというように遥翔と『イグニシオン』は高高度の戦場を翔ぶのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ファルコ・アロー
てめーらですか!プラントぶっ壊そうってー連中は!
てめーの言う世界平和が何だか知らねーですけど、あんまボク達を舐めんじゃねーですよ!
そんな事されたらぜってー今よりひでー事になるって事くれーは分かるです!
1機残らずスクラップにしてやるですよ!
とゆー事でROCKET DIVE!スクランブルです!
敵も速えですけど、スピードならボクだって負けねーです。
瞬間思考力で敵の動きに対応して、上手いことぶつかってやるですよ!
念動障壁だの魔力だの訳分かんねー武装積みやがって!
ボクは単に大きくて速いだけの砲弾です。
でも思い知らせてやるですよ。
どんな高度な技術だって、その前には砕け散るしかねーって事を!



 空を飛んでいる。
 この空を。
 他世界ではなく、クロムキャバリアの空を飛んでいる。
 ファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)の心に去来するのは、喜びであったのかもしれない。己の存在意義。
 それを今まさしく彼女は得ている。
 確かに猟兵として戦う以上、他の世界の空を飛ぶことはあった。
 けれど、クロムキャバリアでは無理だったのだ。
 皮肉なことに、このような事態になって初めて彼女は己が存在意義を正しく果たすことができるのだ。
 だからこそ。
「てめーらですか! プラントぶっ壊そうってー連中は!」
 彼女は怒りに燃える。

 プラントを滅ぼさんとする存在。
 ファーストヒーロー『ザ・スター』。彼がいかなる使命を抱えているのかなど今のファルコには関係なかった。
 たとえ、世界の平和を願っているのだとしても。
「てめーの言う世界平和が何だか知らねーですけど! あんまボク達を舐めんじゃねーですよ!」
 ファルコは空中空母から飛び立つ。
『ザ・スター』の一撃を受けて、その空中空母は徐々に高度を下げている。
 確かに強大な力だ。
 けれど、ファルコは己が怒りを推進力に変えて飛翔する。

「ぜってー今よりひでーことになる前に!」
 彼女は迫る『エルゼドール』たちを睨めつける。
 煌めく魔杖槍の一撃を彼女は真っ向から受け止める。否、受け止めるのではない。己自身を砲弾に変えるようにユーベルコードの輝き放つロケット噴射でもって飛び込み、念動障壁ごとぶち抜いたのだ。
「……」
 物言わぬオブリビオンマシンの胴部をぶち抜くファルコの拳。
 ナックルアローは、まさしく拳の矢であった。

 そして、今の彼女は矢ではなく砲弾そのものだった。
 ラプターウィングはパルスプラズマ・スラスターの推力とユーベルコードによって高高度の空を裂くようにして『エルゼドール』の念動障壁をぶち抜いたのだ。
「一騎残らずスクラップにしてやるですよ!」
 確かに『エルゼドール』は空中戦対応型オブリビオンマシンであろう。
 けれど、スピードだけでならばファルコも負けるつもりはない。
 そして、敵は無人機。
 恐らく『ザ・スター』が念動力で操っているのだろう。
 だからこそ、思考が遅れる。
 どんなに超越した能力を持っているのだとしても、百を超える無人機を一度に操るのだ、齟齬も出ればラグだって生まれるのだ。
 
 そこをファルコは瞬間的に踏み込む。
 敵の動きは確かに空戦に慣れている。けれど、空戦のために生まれてきた己が体躯があるのだ。
 ならば、劣る理由などない。
「念堂障壁だの魔力だの訳わかんねー武装積みやがって! なんだなんだ、そんなもん! いつだってボクは諦めてきたんですよ! 仕方ないって! でも!」
 違ったのだ。
 この日、このときのためにファルコはあるのだ。
 多くを護るために戦うことができる。
 守られるお荷物なんかじゃない。
 今こそ、今までの道程に報いる時なのだ。
「ボクは砲弾です。かっ飛んでいったら戻ってこれないのかもしれない。でも、思い知らせてやるですよ!」
 ファルコの瞳がユーベルコードに輝く。

 爛々とした輝きであった。
「どんな高度な技術だって、物理でぶつかれば、砕け散るしかねーってことを!!」
 そう、己は砲弾。
 全てをぶち抜く、この世界で生まれてこの世界のために戦う一等強い砲弾なのだ――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
(高速で飛来する機神)

やれやれ…この世界は相変わらず退屈しねーが

「この世界で空中空母とか凄いねご主人サマ☆」
ま、この世界は割と何でもありだからな

つーかよ
ヒーローがプラントぶっ壊しとか…そういう危機を救うのがヒーローじゃねーのか?
【情報収集・視力・戦闘知識】
敵軍の陣形と機能
人が乗っていないかは一応把握
【属性攻撃・迷彩】
機体に光水属性付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で音や熱源隠蔽
【念動力・空中戦・弾幕】
UC発動中
超絶速度で飛び回りながら念動光弾を乱射して蹂躙の限りを尽くす
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
接近して鎌剣で切り刻み武装や金目の物は根こそぎ強奪

悪いがあまりおめーらには構ってられねーからな



 高高度へと飛び立つ機体があった。
 本来ならば、このクロムキャバリアにおいて、それは自殺行為であった。
 なぜなら、空には暴走衛生『殲禍炎剣』が存在しているからだ。
 空を高速で飛翔するものを例外なく撃ち抜く砲撃によって、この世界は空に蓋をされた世界なのだ。
 しかし、今は違う。
 今だけは違うのだ。
 今、空を覆っているのは暴走衛生の砲撃たる蓋ではなく、謎のユーベルコード『エナジー・ゲート』による砲撃の無効化と、その砲撃エネルギーを変換してのオブリビオンマシンの出現である。
 
 故に、地上から飛び立った一騎のキャバリア『メルクリウス』を駆るカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は揺れる機体の中でため息をつく。
「やれやれ……この世界は相変わらず退屈しねーが」
『この世界で空中空母とかすごいね、ご主人サマ☆』
 だが、その空中空母はファーストヒーロー『ザ・スター』の一撃によって徐々に高度を下げ始めている。
「ま、この世界は割りとなんでもありだからな」
 カシムは『メリクリウス』の自力でもって高高度まで到達し、戦場を見やる。
 
 迫るは空中戦闘対応型オブリビオンマシン『エルゼドール』たちであった。
 放たれ続ける探索魔導波によって己が存在も感知されているのだろう。構えた魔杖槍から魔力弾が雨のように己へと放たれている。
「つーかよ、ヒーローがプラントぶっ壊しとか……そういう危機を救うのがヒーローじゃねーのか?」
 理由はわからない。
 しかし、ファーストヒーロー『ザ・スター』はいかなる理由からか、この世界のプラントを須らく破壊しようとしている。
 プラントを破壊したことで何がどう平和に繋がるのかは理解できない。
 この世界の人々の生活が困窮するだけだ。
 それがわからないとは言えないはずだ。
 なのに、それを敢行しようと言うのならば。

「それを阻ませてもらうぜ」
 ユーベルコードに輝く『メルクリウス』のアイセンサー。
「加速装置起動……『メルクリウス』……お前の力を見せてみろ……!」
 加速する機体。
 空中にあってなお、制動に問題はなかった。
 高高度は物理的な障害はない。
 しかし、逆を言えば、全天全周の全てが攻撃の射線になり得るということである。 
 故にカシムは加速する。
 迫る魔力弾の雨の中を疾駆するようにして『メルクリウス』は駆け抜け、すれ違い様に『エルゼドール』の躯体を念動光弾でもって打ちのめすのだ。
 乱射される光弾。

「その程度の弾幕で捉えられるものかよ!」
 踏み込み、手にした鎌剣の一閃が『エルゼドール』の魔杖槍を両断する。
 爆発が巻き起こるが、しかし、それに『メルクリウス』は巻き込まれることすらなかった。爆風の衝撃すら『メルクリウス』には届かない。
 圧倒的な速度で空中を駆け抜け、変幻自在な空中機動でもって『エルゼドール』を翻弄し、次々と撃破していくのだ。
「悪いがおめーらには構っていられねーからな――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
……くっ、念の為フローリアを残して修復にあたらせて…プロトミレス(コルヴィルクス・AF装備)、出る!

敵は多数だけど…いえ、どのみちこの装備を用意した時から腹は決まってる
それに、雑魚集団にいつまでも構っている余裕はないのよ!

先手必勝、『ツインGランチャー』を発射しながら最大出力での推力移動で敵集団へ突っ込み、敵機群が離脱を図る前に全滅させるつもりで全ミサイルを発射、撃ち尽くしたのならそのまま装甲をパージして周囲の敵機へとぶつけ、続けて残りの敵集団を即ロックしての【BS-BXステラ・プルウィア】で殲滅を狙う!!
接近してきた残敵は『ルーナグラディウス』で応戦し、ドラグレクスの砲撃で仕留めてもらうわ



「ダメージコントロールを!」
 アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)はファーストヒーロー『ザ・スター』の一撃によって空中空母が傾ぐのを感じながら、その強襲の一撃が致命的なものであることを知る。
 カタパルトの上に立つはキャバリア『プロトミレス』だった。
 アームドフォートのようなバックパックユニットを装備した機体が飛び出す。
 同時に彼女は『フローリア』を空中空母の船内に残す。
 機械人形である『フローリア』たちによって、空中空母が少しでも保つように応急処置たるダメージコントロールでもって地上に落下することを防ごうとしているのだ。

「頼みます! 此方は機関部がやられています。どうにか予備電力のエネルギーインゴットで賄っていますが……!」
『ツヴァイ・ラーズグリーズ』の言葉にアルカは頷く。
「うまくできるかはわからない。けれど、やらないよりはマシ。なるべく早く決着させる!『プロトミレス』、出る!」
 飛び出す巨体。
 空中戦対応型バックパックユニットによって推力を得た『プロトミレス』は乱戦となった高高度の戦場を飛ぶ。
 敵は多数。
 モニターに点在するターゲット。
 あまりにも数が多い。わかっていたことだ。
「どの道、この装備を用意した時に腹は決まっているのよ!」
 アルカの瞳がモニターに映る敵影を捉える。

 ターゲットサイトがリンクし、彼女の視線によってロックオンされていく。
「雑魚集団にいつまでも構っている余裕はないのよ!」
 ユーベルコードに輝く彼女の瞳が視界内の全ての敵を睨めつける。
「……天より降り注げ、|星の雨《ステラ・プルウィア》!」
 無数のホーミングレーザーが放たれると同時に、装備された『ツインGランチャー』から火線が放たれ、戦場を二分する。
 そして、機体が加速する。
 バックパックユニットによる加速。
 空戦を想定しているとは言え、しかし、この空中戦はアルカにとっては数多くない経験であったことだろう。
 通常の戦いならば、横軸の攻撃しかありえない。
 そういう戦場だったのだ、これまでは。

 しかし、此処は高高度の空。
 ならばこそ、迫る攻撃は四方八方。全天全てが攻撃の射線たり得るのだ。
 加えて、空は障害物がない。
 故に、アルカの『プロトミレス』はバックパックユニットよって巨大化の弊害をもろに被ることになる。
『エルゼドール』たちの攻撃が集中するのだ。
「パージ! ぶつける!!」
 瞬間、バックパックユニットが炸裂するようにして装甲を弾き飛ばし、迫る『エルゼドール』たちに激突する。
 如何に空中戦対応型とは言え、物理的な激突には機体の制御が乱れるだろう。
 そこに『プロトミレス』が飛び込み、これを両断するのだ。

 機体の各部の結晶から放たれるホーミングレーザーを解き放ちながらアルカの『プロトミレス』が落下していく。
 しかし、その足場となるべく現れるのは機龍『ドラグレクス』であった。
 その背に『プロトミレス』は飛び乗り、さらに迫る敵を砲撃で持って撃ち落としていくのだ。
「空中空母は……!」
『フローリア』から伝わってくるダメージコントロールの推移。
 どうにか機関部の代替出力が安定したようである。これならば墜落の心配はないと言えるだろう。
「なら、この敵を蹴散らす!『ドラグレクス』!!」
 アルカは機龍『ドラグレクス』と共に高高度の戦場を蹂躙するように砲撃と共に切り裂くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
敵だ、戦いだ!ダイダラ、戦闘機動!!

ダイダラ、メガスラスター【推力移動】
同時に『タンク・オブ・スティール』発動
重力によって増すダイダラの装備重量を火力と防御力に還元!
空中空母を襲う魔力放射攻撃を【鉄壁】の|前面装甲《タフネス》で受け止め、
頭部大出力殺戮兵器デスアイの【レーザー射撃弾幕】で念導障壁をぶち抜き【範囲攻撃】

スナオ『まだたくさんいるよ!』
ならばなぎ払うまで!!行けー!!!

弾幕を放ちながらプロペラントタンクブースターで【空中機動】
縦横無尽に螺旋を描き!オシレーションブレード展開【なぎ払い】
デスアイに晒されなかったエルゼドール共へ、
高速で超振動ブレードトンファーを叩きつけ!【切断】する!!



 傾ぐ船体。
 空中空母はファーストヒーロー『ザ・スター』の一撃によって機関部に直撃を受けた。
 猟兵の配した機械人形によってかろうじてダメージコントロールは行われているようであるが、しかし、『エナジー・ゲート』によって生み出されたオブリビオンマシンを如何にかしなければならない。
 このまま放置すれば、あの空中戦対応型オブリビオンマシン『エルゼドール』たちは、小国家のプラントを破壊しつくすだろう。
「敵だ、戦いだ!」
 空中空母から這い出すようにして巨躯たるキャバリア『ダイダラ』が、その眼光たるアイセンサーを赤く輝かせる。
 まるで怪物じみたた動きであった。

 しかし、最も異形であったのは、その背面に千手のごとく突き出す無数のプロペラントタンクブースターであった。
『ダイダラ』の巨躯を飛ばすには、大出力でもって機体を飛ばすほかなかったのだ。
 朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)はしかし、構わかなった。
「『ダイダラ』、戦闘機動!!」
 メガスラスターの噴射と共にプロペラントタンクブースターが点火する。
 同時にユーベルコードによって巨体、その追加されたプロペラントタンクブースターの重量というペナルティを無視するのだ。
 あまりにも力技である。
 そして、このユーベルコードの恐るべき点は、装備の重量によって全ての装備の威力と防御力が強化されることにある。
 そう、小枝子の駆る『ダイダラ』はその圧倒的な重量によって同時に火力と防御力を得たのだ。
 鉄壁たる装甲と共に空中空母を飛び立つ『ダイダラ』は一際異形であったことだろう。

「頭部大出力殺戮兵器デスアイ、照射!!」
 小枝子の咆哮と共に頭部に備わった光子レーザーバルカンが弾の雨となってオブリビオンマシン『エルゼドール』へと解き放たれる。
 念動障壁など意に介さない。 
 それほどまでに『ダイダラ』は圧倒的な威力を得ているのだ。
「……」
 物言わぬオブリビオンマシン『エルゼドール』は次々と撃滅されていく。
 爆発の華が高高度の戦場に咲く。
 しかし、これだけの破壊をもたらしてもなお、『エルゼドール』は『エナジー・ゲート』から出現してくるのだ。
『まだまだたくさんいるよ!』
『ダイダラ』の制御AI『スナオ』の言葉に小枝子は、簡単なことだと叫ぶ。
「薙ぎ払うまで!! 行けー!!!」
 モニターにはプロペラントタンクからどんどん光子レーザーによるエネルギーが減っていく様が見て取れる。
 
 それほどまでにエネルギー効率が悪いのだろう。
「迅速に行動すべし!!」
 小枝子はプロペラントタンクブースターの速度と共に高高度の戦場に縦横無尽に螺旋を描くように、それこそ光弾の嵐を巻き起こすように飛び『エルゼドール』たちを破壊していく。
 展開された両肘に装備されたブレードトンファーの刃が振動し、『エルゼドール』を両断する。
 爆発に巻き込まれてもなお、『ダイダラ』の赤いアイセンサーが煌き続けていた。
 その威容は恐るべきものであったことだろう。
 戦場を圧倒する巨躯。
 そして火力。
 もはや、何者も止められぬというように『ダイダラ』は暴風となってオブリビオンマシンを破壊し続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミレア・ソリティス
【紅き嵐と蒼の天使】
……こちらミレア・ソリティス、これより友軍と共にそちらの支援へと入ります
4型、5型兵装(一部)及び『ヴィントシュトス』を装備し、即座にUC【コード・テンペスト】を使用、空戦形態に変形して出撃します

戦場への認識阻害ジャミング(弱)を放ちながら、ミサイルにより周辺空域にジャミング粒子を追加散布し敵機のセンサー類を妨害、『Gフリューゲル』と『プラズマグリーブ』を追加の可変翼及びプラズマ推進器とし機動力を強化、敵集団の撹乱を行います
通常時は『サーベラス』の対空砲火で迎撃し、ヴィクトリア様のUCで動きが鈍った敵機には『ノヴァ・バスター』による重力弾頭での確実な撃破を狙いましょう


ヴィクトリア・ノウェム
【紅き嵐と蒼の天使】
別に呼ばれてないけど援軍、です。経験上母船が墜ちたら大変困る事になるです
とりあえずさっさとあれを落とせばいいです?じゃあ飛空艇形態の『エル・セプス』で飛び立つです

空中機動、空中戦、飛空艇操作と必要な技能は持ってるです、エル・セプスで攻撃を回避しながら『A.F.C.』で砲撃してくです。
相手のUCに対しては最初の「探索魔導波」の時点でこっちもUC【蒼穹の輪廻】をぶつけて、
その魔導波とやらも魔力の奔流も、機体のエネルギーもぜんぶ吸収してしまうです。おまけで吸収した分のエネルギーは味方におすそ分けするです

…そうそう、援軍は、私だけじゃない、です。こっちばかり見てると痛い目見るです



 高高度に猟兵たちの機体を運んだ空中空母が傾いでいる。
 機関部に直撃した一撃でまだ船体が保持されているのは、猟兵の施したダメージコントロールの賜物であったことだろう。
 しかし、このままでは空中空母は沈む。
 そして、高高度に存在する謎のユーベルコード『エナジー・ゲート』から無数の空中戦対応型オブリビオンマシンが出現し続ける。
 圧倒的な数と空中戦に特化したオブリビオンマシンであれば、世界中のプラントを襲撃するのは容易いだろう。
 故に猟兵達はこれを止めねばならないのだ。
「別に呼ばれてないけど援軍です」
「……こちらミレア・ソリティス、これより友軍と共にそちらの支援に入ります」
 ヴィクトリア・ノウェム(はらぺこ空戦天使・f33941)とミレア・ソリティス(軍団たる「私」・f26027)は突如して現れた援軍であった。

「援軍……!? この高度でどうやって……」
 小国家『グリプ5』の国家元首『ツヴァイ・ラーズグリーズ』は空中空母の中で現れた猟兵に目を見開く。
 だがしかし、援軍であることは疑いようがない。
「こちらは辛うじて高度を保っています。どうか……」
「ええ、経験上母船が墜ちたら大変困ることになるです。とりあえず……」
 ヴィクトリアは飛空艇形態の『エル・セプス』を駆り、高高度を飛翔し、迫るオブリビオンマシン『エルゼドール』を見やる。
 探索魔導波が四方八方から襲い来る。
 どれもが躱すことはできないほどの圧倒的な物量だった。
 そして、その探索魔導波によって感知されたヴィクトリアたちに向かって『エルゼドール』は魔杖槍を構えた。
 煌々と輝く切っ先。
 放たれるは魔力弾。
 雨あられのように降り注ぐ弾幕の中をヴィクトリアとミレアは飛ぶ。

 まるで縫い目を縫うようにして二人の機動は空中にあって華麗とさえ言える見事なものだった。
「空戦に慣れている!?」
「当然、です!」
 そう、ヴィクトリアは大空の世界に生きた猟兵である。
 大地を戦場にするよりも、空を戦場に重きをおいた戦い方を熟知している。故に、このクロムキャバリアの世界では彼女は空を飛ぶ以上、遅れを取る理由など何一つなかったのだ。
「無駄に探索魔導波なんて放つなら!」
 ヴィクトリアの瞳がユーベルコードに輝く。
 迫る弾幕と探索魔導波を不可視の波動と黄金の羽の嵐でもって受け止め、吸収するのだ。
 攻撃全てを受け止め、吸収することで変換された天使の羽が空中空母に降り注ぐ。
 直撃を受けた機関部を回復させるようにヴィクトリアは『エルゼドール』の攻撃を利用したのだ。

「……機関部回復……!」
「……そうそう、援軍は、私だけじゃない、です」
 ヴィクトリアの真横をミレアが飛ぶ。
 しかし、その姿を『エルゼドール』は感知できなかった。
 サブユニットと合体したミレアから発生するジャミングによって彼女の姿はセンサーにひっかからないのだ。
 ましてや『エルゼドール』は無人機。
 目視ではなく、そのセンサーに全てを頼っている状態にあっては、彼女の姿を捉えることはできないのだ。
「コード・テンペスト。砲戦用拡張サブユニット展開」
 ミレアは黄金の羽の嵐が巻き起こる高高度の中にあって、各種火器をリンクさせ、ターゲットサイトを覗き込む。
 その瞳に輝くはユーベルコードであった。
 構えるは対要塞用の大型ランチャー。
 砲口に蓄えられたエネルギーが炸裂した瞬間、迫る弾幕もろとも『エルゼドール』を薙ぎ払うのだ。

「目標の撃破を確認。上部『エナジー・ゲート』より敵増援確認」
「まったくわらわらと良くもやってくるもの、です」
「直情の暴走衛生からの無差別砲撃を未だにエネルギーとして充填している様子」
「なら、敵の増援が来るより早く撃滅しちゃえばいい、です!」
 二人は乱戦となった高高度を飛ぶ。
 どれだけ敵が出現しようが、生み出されるよりも早くこれを撃滅し、一刻も早くファーストヒーロー『ザ・スター』を打ち倒すべく、飛翔するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

怖いじゃなく、やべー……。

アッ、ハイ!乗ります、今乗ります。
かもん!ソナーレ!

おおおおおー!フォルさん以外と力持ち!
これなら安心して演奏できますね。

わっかりましたー! 飛んでる相手には効果てきめん。
【悪魔のトリル】スピーカーとアンプで増幅バージョン、いきますよー♪

って、なんかルビ酷くないです!?

確かに全体攻撃ではありますけど、無差別じゃないですよ。
ステラさんとかちゃんと聴いてくれれば、回復とかできますのに!

……『ツヴァイ』さんたち、聴いてくれますよね?

そ、それにしても揺れますね。
これ演奏しながらだとちょっとキツ……うっぷ。

まってください!?
我慢しますから落とさないでくださいよー!?


ステラ・タタリクス
【ステルク】
ちぃっ!大ボスが小賢しい真似を!
そんなに私たちが怖いですか!
ルクス様、早くソナーレに!
フォル!ソナーレを掴んで飛翔開始です!
空中空母の直掩に回るよりは一刻も早く敵を殲滅した方が良さそうですね
驕りも慢心も|青《善性》と|赤《悪性》を揺れ動く人の心が為すものならば!
それを守るのが私たちの役目です!
ルクス様、一気にいきますよ!
具体的には|光の演奏・奏魔法《広域破壊音波》で!
えっ、気のせいです

私は新UCのお披露目といきましょう!
フォル!【ヴォワ・アンジェリク】!
エルゼドールの攻撃を回避しつつ
叩き込んでいきましょう!
フォルの機動力ならそれくらいは!
あ、ルクス様間違って落としたらごめんなさい



 空中空母が揺れ、直撃を受けたことを知らしめる。
 しかし、猟兵たちのダメージコントロールと修復によって何とか機関部の出力を取り戻すことができた。
「ちぃっ! 大ボスが小賢しい真似を!」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は揺れる空中空母のハンガーで舌打ちする。
 直上からの一撃。
 ファーストヒーロー『ザ・スター』は空中空母を一撃で以て致命打に変えたのだ。
 それはある意味当然であったのかもしれない。
 クロムキャバリアには対空に対する備え、戦術がほぼ存在しない。
 故に直情からの強襲は最高の一手であったのだ。
 そして、加えるのならば『エナジー・ゲート』より出現し続ける空中戦対応型オブリビオンマシン『エルゼドール』である。

 これを放置すれば彼らは地上の小国家に向かい、プラントを一つ残らず破壊するだろう。
 空戦に対する軍備なき小国家はこれに対することなどできようはずもない。
「そんなに私達が怖いですか! ルクス様、お早く『ソナーレ』に!」
 ステラの額がビキっていたのをルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は見た。
 いつもなら茶化していたところであろうが、今回は心に秘めた。
 怖いじゃなくて、やべーな、と。
「アッ、ハイ! 乗ります、今乗ります。かもん!『ソナーレ』!」
「かもんっ! じゃなくて、ルクス様が乗り込むんです!」
「アッ、ハイ」
 がし、と『ソナーレ』の肩部を掴むは『フォルティス・フォルトゥーナ』であった。
 鳥型キャバリアに肩を基部として接続することで『ソナーレ』は空戦能力を得て空中空母から飛び立つのだ。

 ある種、必然的な合体であった。
 キャバリアでありながら鳥型。
 空を飛ぶことのできない世界でありながら、このような存在がある、というのはもしかしたのならば、今回のような事態を予見していたからかもしれない。
 いずれにしても。
「此処は俺達が!」
「任せてください……必ず持ちこたえますから!」
『ゼクス・ラーズグリーズ』と『ズィーベン・ラーズグリーズ』の簡易型『レーギャルン』の二騎が『ザ・スター』と対峙している。
 空母の直掩に回るより、ステラは即座に『エルゼドール』たちを排除することを選んだ。
 無論、敵の目的がプラントの破壊であるからだ。
「おおおおおー! フォルさん意外と力持ち! これなら安心して演奏できますね」
「ええ、驕りも慢心も|青《善性》と|赤《悪性》を揺れ動く人の心が為すものならば! それを護るのが私達の役目です!」
 空中を自在に飛ぶ合体した『ソナーレ』。

「空中機動は此方が!」
「わっかりましたー! なら、わたしは飛んでる相手には効果てきめん! 悪魔のトリル(アクマノトリル)、スピーカーとアンプで増幅バージョン、いっきますよー!」
「具体的には|光の演奏・奏魔法《広域破壊音波》!」
「なんか今、ルビ打ちませんでした?」
「木のせいです!」
 ルクスの瞳と『ソナーレ』のアイセンサーが同期するように輝き、演奏の音を増幅していく。
 開口された『ソナーレ』のマスクからほとばしるは音の洪水であった。
 それを躱すことなどできはしない。
 音の波は四方八方に駆け抜け、その振動を見ることはできない。
 いわば不可視。
 その一撃を受けて『エルゼドール』たちの空中機動が止まるのだ。
「『ツヴァイ』さんたち、聞いてくれてますかー!」
「今それどころじゃないので、後で!」
 そんな返事を聞きルクスは、じゃあ後で演奏会ですね、と頷く。
 だが、それよりもルクスはなんか嫌な予感がした。

 ぞわ、と背中に悪寒が走る。
「此度は私のお披露目も致しましょう。フォル! ヴォワ・アンジェリク!」
『ソナーレ』の肩部を基部に背面に合体していた『フォルティス・フォルトゥーナ』の嘴が開き、その奥から現れるアンプのような基部。
 瞬間、そこから放たれたのは皮肉にもルクスと同じ音であった。
 ルクスの演奏をコピーした音が炸裂するようにしてほとばしり、広域にわたって『エルゼドール』たちの躯体を打ち据えるのだ。
 しかも、高速機動をしながらである。
「うっぷっ、ちょっとこれキツ」
「ルクス様、間違って落としたらごめんなさい」
「この揺れでそれ言うのやめてください!? シャレにならないですよ!?」
「いえ、手元が狂うかもしれません」
「が、我慢しますから落とさないでくださいよー!?」
 これだけ緊迫した事態にありながら、しかし二人はいつも通りに高高度を舞う……いや、わちゃわちゃしていた――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
【サージェさんと】

もちろん【ネルトリンゲン】で参戦。

空母の運用なら、こっちに一日の長あり、だよー♪

『ゼクス』さん、『ズィーベン』さん、
|ネルトリンゲン《こっち》はまだ保つから、こっちに着艦してもおっけーだよ。
『ツヴァイ』さんも、高高度での足場と拠点は引き継ぐから無理はしないでね!

なんて言いつつ、こっちが数堕とせば生存率も上がるかな。

敵がゲートから湧いてくるって言うなら、ど真ん中でたたき落とす!
『希』ちゃん、次元シールド展開!

サージェさん、足場は任せて!
さあ突っ込む、よー♪全方位弾幕いっけー!

己が力を過信?
めいっぱい驕ってる元ヒーローがなに言っちゃってるのかな!
クロムをあまり舐めない方がいいよ!


サージェ・ライト
【理緒さんと】
『ファントム・シリカ』いっきまーす!
バックパックのおかげである程度地上と同じ感覚で戦えますし
理緒さんのおかげで退避場所も確保!
でも死角をフォローしないと!
ルベライトビット射出!
【百花繚乱】展開!
シリカ、制御お願いします!
まずはルベライトビットのひとつを空中空母の支援へ!

理緒さんの荒ぶりに乗るしかない!
アレキサンドライトラックから
セラフィナイトスピア召喚!
斥力フィールド展開しつつ
シリカ、ルベライトビットで支援射撃を!
崩れたところをていやーっ!

過信も驕りも慢心も正しく人の心
大切なのはひとりではない事を
周りに頼る事を忘れないこと!
エースの皆さんはそれを乗り越えて此処にいるのです!



 二騎のキャバリア、簡易型『レーギャルン』にも空中戦対応型バックパックユニットが備えられている。
 だが、戦闘はぶっつけ本番であった。
 もとより『エース』とは言え、彼らは地上戦の経験しかない。
 経験ばかりは技量で賄うことのできないものである。
 故に空中戦闘においては未だ彼らの動きはぎこちない。平面での戦いではなく、立体的な戦いを強いられるからだ。
「『ゼクス』さん、『ズィーベン』さん、|『ネルトリンゲン』《こっち》はまだ保つから、いつでもこっちを足場にして着艦してオッケーだよ」
 戦闘空母である『ネルトリンゲン』から菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は二騎のキャバリアに告げる。

「ありがとうございます。ですが!」
「みなさんは、空中戦対応型キャバリアを! まだ戦えます!」
「無理しちゃダメだよ。『ツヴァイ』さんも、無理はしないで」
 理緒の言葉にファーストヒーロー『ザ・スター』の直撃を受けた空中空母の中で『ツヴァイ・ラーズグリーズ』は頷く。
 しかし、猟兵たちのダメージコントロールによって機関部の出力が戻ってきているのだ。
「なんとしても保たせて見せます。ですから!」
「おっけー。こっちが数墜とせば! サージェさん!」
「はーい!『ファントム・シリカ』、いっきまーす!」
 サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)の駆るキャバリア『ファントム・シリカ』が『ネルトリンゲン』から飛び出す。
 バックパックユニットのおかげで空中戦にも対応できるようになった機体のおかげでサージェは地上戦と変わらぬ機動を得るに至ったのだ。

「足場の確保ヨシ! 死角をフォローさせていただきますね! ルベライトビット射出!」
『ファントム・シリカ』の機体から『ルベライトビット』が射出され、サージェの脳はに感応するのだ。
「見えました!『シリカ』、軌道制御をお願いします!」
 これ以上は空中空母を傷つけさせはしないとルベライトビットが飛び、そして残ったものが乱戦の戦場へと飛び立つ。
「サージェさん、『エナジー・ゲート』から数多数! やっぱり暴走衛生の砲撃をエネルギーに変えてるラグがあるみたい! なら!」
「ゲートから飛び出してきたど真ん中で!」
「叩き落とす!『希』ちゃん、次元シールド展開!」
『エナジー・ゲート』の直下に次元断層シールドが展開し、ゲートから出現した『エルゼドール』たちを挟み込むのだ。

「サージェさん、挟み込んだよ!後は!」
「はいな!」
 サージェは理緒の荒ぶる様子に乗るしかないと思ったのだ。
 下手に何か言おうものなら、絶対面倒なことになると確信していたのだ。
『ファントム・シリカ』の背面に配された武装懸架からセラフィナイトスピアを引き抜き、斥力フィールドと共に飛び込む。
 次元断層シールドに挟まれて身動きの取れない『エルゼドール』など撃破するには容易い。
 敵の出現が『殲禍炎剣』の砲撃からラグをおいて、というタイミングなら、ここで押し込めば敵の勢いを削ぐことができる。
「過信も驕りも慢心も正しく人の心。大切なのは一人ではないことを、周りに頼ることを忘れないこと!」
「力を持っているからって目一杯驕ってる元ヒーローが何言っちゃってるのかなって感じだよね!」
 二人はゲートから出現する『エルゼドール』を抑え込むようにして戦いながら、ファーストヒーロー『ザ・スター』の言葉に反論するのだ。

 それはこれまで何度もクロムキャバリアの戦いに参じていたからだろう。
 彼女たちは知っている。
 そう、知っているのだ。
「『エース』の皆さんは、多くの困難を乗り越えて此処にいるのです!」
「あんまり舐めない方がいいよ!」
 その二人の声に応えるように二騎のキャバリアが生身単身の『ザ・スター』と激突するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
突貫だけど、うまくいったわ
『ゼクス・ラーズグリーズ』が教えてくれた
あなたはあの優しい『ツェーン』の子
共に戦う仲間の為に、地上にいる人々を守る為に、一緒に飛んで『レーギャルン』

たとえ不利な状況になっても諦めたくない
オブリビオンマシン達を地上へ行かせないわ
結界術で足場を作り、ジャンプ移動と回避に利用するわ
小回りを利かせた動きで『エルゼドール』を撹乱し
早業の光の矢で撃ち落とすわ

私達は平和な世界を夢見て、ここにいる
『ザ・スター』、あなただって本当は……



 組み上げられたキャバリア。
 その姿を見上げて、薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は胸をなでおろす。
 彼女はキャバリアを保ち得ぬ猟兵であった。
 故に借り受けようと思っていたのだが、小国家『グリプ5』は度重なるオブリビオンマシン事件によって保有するキャバリアが極端に少なくなっていた。
 貸し出せるほどの余裕はなく、けれど、それが必要となれば突貫で組み上げるしかなかったのだ。
『ツヴァイ』と呼ばれた少女がプラントを使うために試作として産出していたパーツを流用して組み上げられた簡易型『レーギャルン』。
 更に簡素なものとなってしまったが、一応キャバリアとしての体裁は整えられていると言って良いだろう。

「あなたはあの優しい『ツェーン』の子」
 空中空母への攻撃によって振動がコクピットにまで響いている。
 外では戦いが始まっている。
 ファーストヒーロー『ザ・スター』を抑えるために二騎の簡易型『レーギャルン』が戦っていて、そして猟兵たちも空中戦対応型オブリビオンマシン『エルゼドール』を地上の小国家へと向かわせぬために戦っているのだ。
 自分も戦わねばならない。
「共に戦う仲間の為に、地上にいる人々を護るために、一緒に飛んで『レーギャルン』」
 静漓の瞳がユーベルコードに輝く。
 猟兵たちのダメージコントロールによって高度を取り戻し、機関部の出力をなんとか捻出した空中空母から静漓の『レーギャルン』が飛び出す。

 機体色もロールアウトカラーの鈍色。
 されど、空にありて彼女の『レーギャルン』はユーベルコードの輝きを受けて煌めくようだった。
 戦場は乱戦。
 多くの『エルゼドール』がところせましと飛び交い、襲いかかってくるのだ。
 はっきりいって不利な状況である。
 予断を許さぬ状況が続いている。けれど、静漓の心にあるのはオブリビオンマシンを地上に向かわせぬという意志であった。
「行くわ、『レーギャルン』」
 静漓の結界術によって空中に足場が作り出され、迫る攻撃を跳ねるように奇妙な機動でもって『レーギャルン』は躱しながら『エルゼドール』へと肉薄する。
 小回りを効かせた動きであった。

「滅びよ」
『レーギャルン』の腕部が弓のように展開し、光の矢――水月の矢(スイゲツノヤ)がつがえられる。
 放たれた一射は、ただの一撃であったが『エルゼドール』の機体を貫き、一瞬で機能を停止させる。
「私達は平和な世界を夢見て、ここにいる」
 いつだってそうだ。
 この世界は戦乱の世界。
 平和の意味すらわからず、けれど、それを求め続ける世界。
 見果てぬ夢のような平和。
 静漓は思う。その想いはファーストヒーロー『ザ・スター』も同じなのだろう。

 だからこそ、二騎のレーギャルンが生身単身の『ザ・スター』に激突して尚抑え込むので精一杯な姿を遠目に見やり、思う。
「『ザ・スター』、あなただって本当は……」
 己たちと同じ思いなのだろう。
 どこで道が違えてしまったのか。
 わからない。けれど、静漓の想いに応えるように『レーギャルン』のアイセンサーが煌き、迫る『エルゼドール』を光の矢が貫くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
「ったく、こっちはぶっつけ本番だってのに、もうちょいのんびりしてろっての…」
SPD

「とにかくシステム上はオールグリーンだ。ブルースティール出るぞ!」
順番待ちのカタパルトを待つ時間も惜しんで推力移動全開で出撃
…HAの調子は良さそうだな。これなら十分に空中戦ができる!

さて、相手の攻撃は厄介だが魔導波が当たってから奔流を放つってんならその前に動きを止めりゃいいのさ
UCを起動し、先制攻撃でイニシアチブを握ったら、CBR、HLU、LBを一斉発射だ
一撃で落とせない個体があっても、部位破壊で戦闘力を落とせれば他が落としてくれる筈さ

悪ぃが、一機たりとも地上には行かせないぜ。全部ここで堕ちちまいな!

アドリブ歓迎



「ったく、こっちはぶっつけ本番だっていうのに、もうちょいのんびりしてろっての……」
 直上からの一撃。
 空中空母に強襲したファーストヒーロー『ザ・スター』の一撃は、被害甚大であった。
 しかし、猟兵たちのダメージコントロールによって即座に轟沈するということはなかった。
 なんとか機関部の出力を取り戻すことに成功した空中空母は未だ高高度を維持していたのだ。
「緊急発進を!」
「ああ、とにかくシステム上はオールグリーンだ。機体に損害はない。ありがとな」
「頼みます」
「『ブルースティール』出るぞ!」
 星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)は『ザ・スター』の強襲に毒づきながらも、己のキャバリアに接続された空中戦対応型バックパックユニットのスラスターを噴射させながら空中空母のカタパルトからもどかし下に飛び立つ。
 順番待ちなどしていられない。
「ハイ・アルティテュールの調子は良いみたいだな。これなら空中戦ができる!」
 モニターの数値を見やり、祐一は頷く。

 敵もまた空中戦対応型オブリビオンマシンだ。
 そして、探索魔導波を常に発して敵を感知して弾幕を放ってくる厄介な敵である。
「だが、即座に弾幕を張らねぇところを見るに、無人機!」
 あくまで探索魔導波を放って、反応が帰ってきてから魔杖槍から魔力弾を放つのだ。ならば、そこにラグが生まれる。
「無人機ならではの融通の効かなさってわけだ!」
 祐一は『ブルースティール』と共に高高度の乱戦に飛び込み、弾幕が放たれるより早く、己の機体に装備された火器のトリガーを退く。
 乱れ打ち、と呼ぶに相応しい火器の乱舞。
 爆発が高高度の戦場に吹き荒れる。

「……」
「やっぱりな! 無人機とは言っても自律行動じゃあない。こいつは、あの親玉がなんらかの手段で動かしてる!」
 そう、祐一は気がついたのだ。
 この『エルゼドール』たちは、自律行動で動いていない。いわゆるAIではない。
 あくまで『ザ・スター』の念動力でもって操作されているのだ。
 確かに恐るべきことである。
 二騎のキャバリアを相手取りながら、無数の『エルゼドール』を操る。
 どれだけの意志があれば、そんなことができるのだろうか。
 それほどまでに『ザ・スター』の力は強大だ。けれど、猟兵たちだって負けてはいないのだ。
 膨大な数の『エルゼドール』を押し返すように撃破していっているのだ。

「悪ぃが、一騎たりとも地上には行かせないぜ」
 ユーベルコードに輝く『ブルースティール』のアイセンサー。
 瞬間、マニュピレーターから発生した雷球が炸裂し、一瞬で発生した破裂音より早く広がる雷撃でもって『エルゼドール』を打ち据えるのだ。
 一撃で撃破できなくても、その一撃がこの高高度という戦場においては命取りなのだ。
 わずかに動きを止めた『エルゼドール』は落下するしかない。
 そして、この高高度だ。
 如何に空中戦対応型オブリビオンマシンと言えど、落下から体勢を整えることはできない。
 後は。
「地面に激突するだけだ。全部ここで墜ちちまいな!」
 祐一は、『エルゼドール』たちをサンダークラップの雷撃で打ち据え、戦場を支配していくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
空中空母かー…
まあそりゃあ的になるよね
とはいえ先ずは飛行型の数を減らそう
まあ、ヒーローの相手は…ガンバ!って事で!

《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
【Code:U.G】を起動、重力制御で空中へ
戦場全体に弱い重力を照射
エルゼドールの動きを鈍らそう
抜刀した両剣を『オーラ防御』のシールドで耐久性強化
後は加速を乗せて突っ込むだけ
最大まで速度を上げて突っ込んで『串刺し』!
だいたいマッハ12!
多分!
頭部とか関節部とか、壊しやすそうな所に突っ込んで撃破していこう
飛行を可能にしてる部分を壊して、後は文字通り落としてしまうのが良いんだろうけど
ま、手当たり次第当たり屋しとけばなんとかなる!



「おっと……揺れるなぁ」
 空中空母への強襲。
 ファーストヒーロー『ザ・スター』の一撃は正しい。だが、もしも、これが空戦に慣れたものたちであったのならば、真っ先に己たちの頭上を警戒していたことだろう。
 これができなかったのは、クロムキャバリアという世界の構図に起因している。
 そもそもクロムキャバリアにおいて空戦という概念はほぼ存在しない。
 言うまでもないが、暴走衛生に空を抑えられているからだ。戦いは常に平面的なもの。それ故に対応が遅れたのだ。
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は、しかしそれを責めるつもりはなかった。
「まあね、そりゃあ的になるよね。とは言え、まずは」
 玲は重力制御形態へと移行し、抜刀された模造神器の刀身を蒼く輝かせる。

「Code:U.G(コード・アンロック・グラビティ)――重力制御開始。地の理は今此処に」
 彼女のユベールコードと共に高高度の戦場へと飛び出す。
 乱戦そのものと言える敵と味方が入り乱れる視界。
 それを彼女は見据える。
 確かに空中戦対応型オブリビオンマシン『エルゼドール』は厄介な敵だ。
 もとより空中戦に特化しているし、恐らく無人機である。
 となれば、空中の機動はでたらめなものだろう。何よりも暴走衛生の砲撃をエネルギーに変換して『エナジー・ゲート』より無尽蔵に生み出しているのだ。
「キリがない。まあ、あっちではヒーローの相手をガンバってくれてるっていうんならさ」
 玲は手にした二振りの模造神器の刀身を交錯させ、励起させる。
 瞬間、戦場に存在している『エルゼドール』たちの高度が下がっていくのだ。

 そう、彼女は戦場全体に弱い重力を照射し続けていた。
 動きが鈍るだけではなく、徐々に『エルゼドール』たちは機体の高度が墜ちていっているのだ。
 鈍った動きの『エルゼドール』が反撃を行おうとしても無駄であった。
 ならば、と念動障壁が展開されるが玲は両の模造神器を古い上げる。
 重力制御に寄る飛翔。
 その加速を受けた模造神器の一閃は『エルゼドール』の念動障壁など容易く切り裂き、その一撃を叩き込むのだ。

 速度にしてマッハ12である。
 凄まじい勢いで踏み込んだ彼女の一撃は『エルゼドール』の頭部をぶち抜く。破片が飛び散り、その衝撃と重力によって『エルゼドール』たちは次々と落下していく。
「イージーだよね。ぶつかるだけでいいんだから……ま、当たり屋みたいだけど」
 まあ、なんとかなる、と玲は気軽に考える。
 とは言え、この後に控えているのはファーストヒーロー『ザ・スター』である。
 謎のユーベルコード『エナジー・ゲート』を用い、暴走衛生の砲撃すらエネルギーに変換してしまう恐るべき敵。
「サクッと全部落としてしまおう」
 掲げた模造神器がユーベルコードの輝きを放つ。
 迫る『エルゼドール』は、まさしく玲にとって容易い敵であると言わんばかりに、彼女に近づくまでもなく、彼女の音速を超えた突撃に弾かれながら、失墜していく運命だったのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イクシア・レイブラント
アドリブ・共闘歓迎
鎧装騎兵イクシア交戦を開始する。
《情報収集》で残存勢力を確認、【削り抉る電磁嵐】でエルゼドールを攻撃。
念導障壁で直撃を反らすようなら[弾道計算、レーザー射撃]で誘導弾を起爆させ、
電子機器をダウンさせる程のプラズマと電磁波で敵機の動きを封じる。
あとは[推力移動、滑空]で戦場を飛び回り、
大型フォースブレイドで[空中戦、武器巨大化、なぎ払い]。

これ以上の増援は阻止したいけれど、今の手持ちの武装で通用するかしら?
可能ならエナジーゲートにも攻撃を仕掛けたい。



 高高度の戦場は乱戦であった。
 多くの空中戦対応型オブリビオンマシン『エルゼドール』が『エナジー・ゲート』から次々と出現している。
 倒しても倒しても現れるのは、謎のユーベルコード『エナジー・ゲート』が衛星軌道上にある暴走衛生『殲禍炎剣』より放たれ続けている無差別砲撃をエネルギーに転換しているからであろう。
 となれば、この『エルゼドール』は無限に湧き出すということになる。
「ならば、『エナジー・ゲート』を生み出しているファーストヒーロー『ザ・スター』を倒さなければ」
 地上への脅威は取り除けないということになる。
 とは言え、イクシア・レイブラント(翡翠色の機械天使・f37891)は理解する。このまま『エルゼドール』を放置したまま『ザ・スター』との戦いに突入すれば、彼らは地上のプラントへと向かうだろう。
 そうなってしまっては本末テントうなのだ。

「鎧装騎兵イクシア、交戦を開始する」
 乱戦とは言え、敵の情報はある。
 味方の猟兵たちが戦っているおかげで、だいぶ数を減らせているし、あれだけ膨大な数を生み出すエネルギーも砲撃を転換するラグによって致命的な隙があることがわかっている。
 高高度に存在している『エルゼドール』を撃滅すれば、『ザ・スター』に攻撃を叩き込み大元である『エナジー・ゲート』を消すことができるのだ。
「目標範囲確定。対象……捕捉。FCS、オールグリーン。全弾射出!」
 イクシアは己のユーベルコードによって、強力なプラズマを宿した追尾誘導弾を発射する。
 削り抉る電磁嵐(エレクトロ・スラッシュ・サンダーストーム)とも言うべき追尾誘導弾は高高度を飛び、『エルゼドール』へと迫る。
 しかし、敵は念動障壁でこれを防ごうとしているのだ。

 そして、空中戦対応型オブリビオンマシンであることを示すように空中機動を描いてイクシアを翻弄する。
「敵性機体の挙動を確認。修正。誤差」
 イクシアは放った追尾誘導弾をレーザー射撃で打ち抜き、起爆させる。
 炸裂した誘導弾が爆風を生み出し『エルゼドール』の動きを鈍らせる。そこへ彼女は大型フォースブレイドを掲げ、横薙ぎに振り払うのだ。
 打ち込まれた斬撃が『エルゼドール』の胴を切り裂き、爆発する。
「敵機沈黙。これ以上の増援は……」
 未だ出現する『エルゼドール』。
 とは言え、十分な数ではない。ということは、此方の勢いが勝っている照明である。
「『エナジー・ゲート』への攻撃は……できない」
 余裕がない。
 迫りくる『エルゼドール』の群れを叩くので今は背いっぱいだろう。
 もとより、『エナジー・ゲート』は『ザ・スター』のユーベルコード。ならば、大元である『ザ・スター』を倒せばこれも消えるだろう。

 イクシアは今己にできることを判断し、手持ちの武装を確認し高高度の戦場を切り裂くようにして飛ぶ。
『エルゼドール』を打ち据え、フォースブレイドで切り裂く。
 凄まじい乱戦。
 爆発と衝撃が遊ぶ中、イクシアは『ザ・スター』に肉薄すべく力を振るうのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

んもー
長生きしすぎて大事なことを忘れちゃうなんてこまったもんだね!
あれ?なんでボクのこと見てるの?

●バラバラXくんが反応している
そうか…元々はキミもこの世界の…
そうだね!戦おう!一緒に!的な展開をここに挟んでおこう!
UC『神知』の力によってバラバラXくんとマインドミナBVA産思考反応金属・プラスチック樹脂複合素材の【封印を解く】!
それによってなんかやたら大きくなっていくバラバラXくんに大群を襲ってもらおう!
なんか絵面が暴食惑星とかなんでかんでも取り込んで破壊してく破滅系SFみたい?そうだね!

あ、その間にボクはこのことは秘密だよ!いいね!
と彼女に口止めしとこう!



 猟兵から見たファーストヒーロー『ザ・スター』の行動は暴挙そのものであったことだろう。
 いかなる使命があるのかはわからない。
 けれど、彼のやろうとしていることはクロムキャバリアに生きる人々の基盤を破壊することであった。
 プラント。
 遺失技術であり、破壊されれば修復することができないものである。
 あらゆる物を生産する施設であり、これなくば人々はインフラ一つとっても生み出すことはできない。
 それほどまでに依存しているのだ。
 そんなプラントを破壊してしまえばどうなるかなどわかりきっている。

 人々は荒廃した大地にて生きてはいけない。
「んもー、長生きしすぎて大事なことを忘れちゃうなんて、こまったもんだね!」
 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は自分のことを棚に上げて、ウンウンと高高度で頷いていた。
 そして、己の懐からなにかに反応するようにして輝くものがあった。
 それはロニ自身が作り上げたプラスチックホビー『バラバラX』であった。
「そうか……もともとキミもこの世界の……そうだね! 戦おう! 一緒に!」
 的な! とロニは笑む。
「そういう展開を此処に挟んでおけば、なんか意味深でいよね! それじゃあ、行こうか!」
 ロニは掲げた『バラバラX』の封印を解く。
 思考反応金属とプラスチック樹脂複合素材。
 これらは封印だったのだ。
 その存在のサイズをプラスチックホビーの枠組みの中に組み込むための封印。それを今、ロニは解いた。
 するとどうしたことだろう。
 プラスチックホビーであった『バラバラX』が巨大禍していくのだ。
「おー……なんかすっごい!」

 最早絵面は、球体というかミニマムサイズの惑星みたいな様相である。
 もはや『バラバラX』であった時の面影すらない。
 大人になるってこういうことなのだろうか? いや、周囲の猟兵たちが撃破した空中戦対応型オブリビオンマシン『エルゼドール』の破片やらなんやらを取り込んでやたらと大きくなっていっているのだ。
「うーん、なんか絵面が。暴食惑星とかなんとかって感じ。何でもかんでも取り込んで破壊していく破壊系SFみたい!」
 どういうジャンルなのかわからない。
 しかし、巨大化した球体『バラバラX』を『エルゼドール』は止められない。
 他の猟兵たちが破壊していくたびに、『バラバラX』は巨大化し、さらに無事であった『エルゼドール』すらも取り込んでいくのだ。
 暴食がすぎる。
 それほどまでの力を前にしてロニは、やっぱりうんうんと頷くばかりであった。

「これでなんとか、敵の出現は打ち止め……じゃないね。やっぱりあのお空にある暴走衛生がある限り、や、『エナジー・ゲート』がある限りでてきちゃうのかー」
 ロニは面倒だな、と思いながらも謎のユーベルコード『エナジー・ゲート』を操る『ザ・スター』を見やる。
 なんとか『エルゼドール』達を撃破したのはいいが、時を稼がれればまた『エナジー・ゲート』から『エルゼドール』たちが出現するだろう。
 そうなっては厄介極まりないことになる。
 やはり大本である『ザ・スター』を打倒さなければならないのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ファーストヒーロー『ザ・スター』』

POW   :    バスター・ナックル
【拳】を構えて【エナジー・ゲートから降り注ぐ光】を纏い、発動前後が無防備となる代わりに、超威力・超高速・防護破壊の一撃を放つ。
SPD   :    スーパー・ノヴァ
自身の【装備】を【輝く「超新星モード」】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
WIZ   :    レミニセンス・ザ・ワールド
常識的な行動を囁く【「ザ・スターの心」の幻影】と、非常識な行動を囁く【「ザ・スターの肉体」の幻影】が現れる。[「ザ・スターの肉体」の幻影]に従うと行動成功率が8倍になる。

イラスト:もりさわともひろ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ファーストヒーロー『ザ・スター』に強襲の一撃を受けて機関部に甚大なダメージを負った空中空母であったが、しかし、猟兵たちのダメージコントロールでもって出力を取り戻していた。
 予備電力であるエネルギーインゴットを用いた場当たり的な対処であったが、しかし高度を保ち続けていたことは事実。
『ザ・スター』は迫る二騎の簡易型『レーギャルン』を相手取りながら、念動力でもって空中戦対応型オブリビオンマシン『エルゼドール』を操っていた。
 しかし、猟兵たちの活躍により『エナジー・ゲート』より生み出した全ての『エルゼドール』が破壊されたことに歯噛みする。
「我が使命を阻むか。だが、漸くたどり着いた目的地。ここで引き下がれるものか!」
「生身単身だからって!」
『ゼクス・ラーズグリーズ』の『レーギャルン』の一撃が『ザ・スター』を打ち据える。
 空中に吹き飛ばされた『ザ・スター』であったが、くるりと体勢を整え息を吐き出す。
 如何に超常たる力を保ち得るのだとしても『エース』の技量は、これをなんとか抑え込んでいたのだ。とは言え、その代償は大きかった。
 二騎の簡易型『レーギャルン』の機体は、どこもかしこも損傷だらけであった。
「『ゼクス』兄、もう機体が保たない! 退いてってば!」
「でも、コイツを抑えなければ!」
『ゼクス・ラーズグリーズ』の『レーギャルン』が『ザ・スター』に組み付く。

「足りない。何一つ足りないぞ『エース』。貴様の意志を貫き通す力も、技量も、何もかも! 足りない、ぞ!! 我と貴様との間に横たわるのは溝ではない。圧倒的な高みに至るための距離! それが貴様にはない!!」
 炸裂する力に『ゼクス・ラーズグリーズ』の機体の腕部が消し飛ぶ。
 武装を失い、残るは胴のみ。
 コクピットハッチをこじ開けるように引き剥がし『ザ・スター』は『ゼクス・ラーズグリーズ』を睨めつける。
 その横合いに飛び込むのは『ズィーベン・ラーズグリーズ』の『レーギャルン』であった。しかし、それすらも『ザ・スター』は一蹴する。
 機体が空中空母の壁面に叩きつけられ、突き抜けてハンガーへと押し込まれる。拉げた機体が力を失ったように倒れ込み、『ズィーベン・ラーズグリーズ』は己の意識を手放した。

「埋められぬ力量差すら自覚できぬ愚かさが! その生命を無為に失わせるのだ!」
『ザ・スター』が拳を振り上げ、むき身となった『ゼクス・ラーズグリーズ』へと叩きつけんとする。
 しかし、その腕が止まる。
「……ウグッ……またか、頭が……!!」
『哀れな我が肉体よ。|汝の使命を思い出せ《レミニセンス・ザ・ワールド》……!』
「黙れ! 我が心よ、何故わからん! この世界のプラントを全て破壊すれば、邪神の複製体『レディ』は……!」
『今生きる人々の、未来にあるかもしれない平和の可能性さえも摘み取って得たものに、真の価値はない。それは我らが求めた真の平和と安らぎではないはずだ……!』
 呻くように『ザ・スター』がよろめく。

 その瞬間を『ゼクス・ラーズグリーズ』は見逃さなかった。
 両腕を失った機体を押し付けるようにして『レーギャルン』で『ザ・スター』を空中空母から高高度へと押しやり、機体の自爆コードを起動する。
「なんとしても、お前だけは!」
「――!」
 もう一騎の『レーギャルン』が空に『ザ・スター』ごと飛び出した『ゼクス・ラーズグリーズ』の『レーギャルン』を追う。
 その『レーギャルン』に乗っていたのは『ズィーベン・ラーズグリーズ』ではなかった。
『ツヴァイ』と呼ばれた少女だった。
「ば、馬鹿! なんで!」
「死なせはしません! もう、二度と!」
 それは、無駄な行為だった。
『ゼクス・ラーズグリーズ』の機体の自爆だけでよかったのだ。気を失った『ズィーベン・ラーズグリーズ』に変わって『レーギャルン』に乗り込んだ『ツヴァイ』と呼ばれた少女が飛び出す必要はなかった。

『そうだ、我が肉体よ。こんな悲しみの要因だけが世界に積み重なっていく。それを憂うからこそ』
 如何なる手段を用いいたのか、『ザ・スター』は、『レーギャルン』の自爆コードを解除した。落ちていく二騎の『レーギャルン』。
 同時に『ザ・スター』の手繰るユーベルコード『エナジー・ゲート』より出現するのは、『黄金のキャバリア』。
 機体装甲の表面にびっしりと防御呪術文字が施された『黄金のキャバリア』に『ザ・スター』は乗り込む。
「……頭が、傷む……! 悲しみは積み重なっていく。わかっている。だからこそ、我らがやらねばならない。真の平和が争いの後にしかやってこないのだとしても、それでも恒久たる平和を得るためには!」
 今、戦わねばならないのだと叫ぶ『ザ・スター』の意志を取り込んだ『黄金のキャバリア』、『レミニセンス・エニグマ』は、高高度を圧倒的な速度で飛翔しながら、迫る猟兵たちに対峙するのだった――。
ウィル・グラマン
●POW

へっ、このまま生身で闘うのかと思ったら随分派手なキャバリアに乗り込みやがったか
神と言ってもたいした事はなさそうだな
ラーズグリーズにレーギャルンは無事に脱出したそうだし、頼れるのは俺達だけ

けどよ、流石は神を名乗るだけあるな!
手玉に取られてベアも力負けしちまうし、ブースターもぶっ壊れりゃ…ベア、手筈通りに行くぜぇ…ライザークロース!!
ライジング・ベアキャット、Go!

にひひ、どうだ見たか!
こんな事もあろうかと、ベアライザーにはベアのブースターとして合体する機能を持たせてたんだぜ!

ロボットってのはな…人の頭脳と正義の心が加わってこそだ!
それにプラントはクロムキャバリアの生活に欠かせねぇもんだし、俺達レプリカントが生まれる場所で俺がどのプラントで生まれたかまでは知らねぇけど、なら全部のプラントを守るだけだぜ!
独り善がりな正義面かましてやるテメェなんかに、俺とベアはやられはしねぇぞ!!

インゴットエネルギーバイパス、接続
エネルギー、フルチャージ!
一撃必殺のファイナルキャノン!
やぁってやるぜ!!



 高高度の戦場に煌めくは黄金の輝きであった。
 それはファーストヒーロー『ザ・スター』が『エナジー・ゲート』より招来せしめた『黄金のキャバリア』。
 体躯、その装甲表面に施されているのは防御呪術。
 そして乗り込んだ『ザ・スター』の力をは反映するように凄まじい速度で飛翔し続けている。
「頭が……傷むッ! 我が心よ、斯様な戯言を!」
『我が肉体よ。何故理解しない。貴様の行いは、嘗て掲げた平和を砕くものでしかない』
「黙れッ!」 
 何故か『ザ・スター』は苦悩するようにうめき続けている。

 そのさまをウィル・グラマン(電脳モンスターテイマー・f30811)は『ベアライザー』を駆り見た。
「へっ、このまま生身で戦うのかと思ったら随分派手なキャバリアにのりこみやがったか」
 ウィルは生身単身の『ザ・スター』と戦うことになると想定していたのだろう。
 だが『ザ・スター』は己が身を鎧うように『黄金のキャバリア』、『レミニセンス・エニグマ』に乗り込み、その力を発揮する。
「神と言っても大したことはなさそうだな」
「黙れ。貴様たちに我が使命を邪魔立てはさせぬ」
 瞬間、重圧が迸る。
 凄まじい光。
『エナジー・ゲート』より降り注ぐ無尽蔵たる力の奔流を受けた『ザ・スター』は、その身に黄金の如き輝きを宿し、そして『レミニセンス・エニグマ』にも伝達していく。

 機体装甲に刻まれた防御呪術が明滅し、凄まじい一撃が迫るのだとウィルは直感的に理解したのだ。
「やろう、何か仕掛けるつもりか。だが、やらせやしねぇ! ベア! 行くぜぇ……ライザークロース!!」
「ガォン!!」
 その言葉に従うように漆黒のスーパーロボット『ベアキャット』が咆哮する。

 ブースターが点火し、一気に飛翔した『ベアキャット』はウィルの駆る『ベアライザー』と速度を合わせ、空中で合体してみせたのだ。
 そう、背に負ったブースターにさらに『ベアライザー』がドッキングし、此処に誕生したのは、天下無敵のスーパーロボット。
「ライジング・ベアキャット! Go!!」
 高高度の空に輝く漆黒のスーパーロボット。
 黒光りする鋼鉄は、黄金の輝きにも負けぬものであった。
「にひひ、どうだ見たか! こんなこともあろうかと、『ベアライザー』にはベアのブースターとして合体する機能を持たせていたんだぜ!」
「小手先を!」
「そうかな!」
 空中で激突する『ライジング・ベアキャット』と『レミニセンス・エニグマ』。
 互いの拳が打ち据えられる。
 凄まじい力。
『ベアキャット』の腕部がひしゃげる。

 なんという力であろうか。
 だが、ウィルは思う。
 確かに『ザ・スター』はファーストヒーローとして強大な力を持っている。その嘗てありし使命もまた崇高なものであり、神聖なものであったのだろう。
 だが、心と肉体が乖離している。
 そして、それは己とロボット、ベアキャットの間にも横たわる問題だった。
「ロボットってのはな……人の頭脳と正義の心が加わってこそだ!」
 それを小手先と『ザ・スター』は言ったのだ。

 ウィルは思う。
 そうではないのだと。
 たしかに自分はレプリカントだ。
 プラントから生まれた存在。そして、プラントが如何にクロムキャバリアの生活において欠かせぬものであるのかも知っている。
 己が生まれた場所が何処でなんて関係ない。
 生命さえも生まれる場所。
 それがプラントなのならば、ウィルは思う。全てのプラントが己の護るべき故郷。
「独りよがりな正義面かましてるテメェなんかに!」
 ウィルの瞳がユーベルコードに輝き、『ベアキャット』のアイセンサーが煌めく。

 エネルギーインゴットから流入するエネルギーが『ベアライザー』にバイパスをつなぎ、エネルギーを増幅させていく。
 漆黒の鋼鉄の駆体。
 その身に充填していくエネルギーはフルチャージ。
 そして、今『ベアキャット』の片腕は粉砕された。残された一撃は、たった一度のチャンス。
「我が崇高なる使命の前には!!」
「そんなもんで、俺様とベアはやられはしねぇぞ!!」
『ベアキャット』の胸部装甲が展開し、その内部に備わったファイナルキャノンの砲口をあらわにする。
「やぁってやるぜ!!」
「ガォン!!」
 ウィルの叫びと『ベアキャット』の咆哮が重なった瞬間、炸裂するは巨大電撃弾であった。
 凄まじいエネルギーの奔流と共に『レミニセンス・エニグマ』が飲み込まれていく。
 しかし、その結果をウィルは見ることはなかっただろう。
 放った一撃は『ベアキャット』をオーバーヒートさせるほどの一撃だったのだ。飛行能力を失った『ベアキャット』は辛うじて高度を保っていた空中空母の上に重たい音を立てて降り立つというより、墜落するようにして、その機体の動きを止めるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メサイア・エルネイジェ
あら〜!落ちていってしまいましたわ〜!
しかも金ピカのおキャバリアが出てまりましたわ〜!
めちゃくちゃ速いですわ〜!
逃げたら延々とお尻を追い回されるのですわ!
相手が手強い時こそ攻めの姿勢とお姉様が仰っておりましたわ!
ヴリちゃん!こちらもバイオレンスアサルトで超スピードでかっ飛びましてよ〜!

ミサイルを連続発射!
空対空ミサイルなので飛んでいる相手に効果抜群ですわ〜!
少しズラして撃つと1発目を避けられている最中に次が飛んでいくのですわ!
そこに錐揉みしながらガンポッドを連射して突撃ですわ!
必殺ヴリちゃんおキック……ではなく横にシュバってすり抜けるのですわ!
お尻尾を振って高速旋回!
必殺ジェノサイドバスター!



 凄まじい雷撃弾を放った漆黒のスーパーロボットが空中空母の艦体の上に墜ちた。
 それほどまでに消耗する一撃を放って尚、ファーストヒーロー『ザ・スター』の乗騎『レミニセンス・エニグマ』は、その黄金の装甲に刻まれた防御呪術を明滅させる。
 消耗しているのだと、本能的にメサイア・エルネイジェ(暴竜皇女・f34656)は理解した。
 あの『黄金のキャバリア』には圧倒的な暴力の気配がある。
 彼女は人一倍、そうした暴力性に対して反応できる猟兵であった。
「金ピカのおキャバリア!」
 何処かで見たような気がする。
 いや、共通しているのは金色である、という一点のみであるが、メサイアにとってはどっちにしたって一緒であった。
 確かに脅威だと理解できる。
 けれど、どの道逃げてもお尻を追い回されるに違いないとメサイアは既に心の中で結論付けていた。そう、確かに敵は己よりも強いのだろう。
 はっきりとわかる。
 強さが野生の本質、その上下を決定づけるものであるが、しかし、メサイアは『エルネイジェ王国』の姫、皇女なのだ。

 つまり。
「お姉様はおっしゃっておりましたわ~! 相手が手強い時こそ攻めの姿勢と!」
 ならば、とメサイアの瞳が爛々と輝く。
 そう、彼女は止まらない。
 たとえ、迫る敵がどんな強大であっても、ぶっ叩けばぶっ壊せると信じて止まぬ脳筋皇女なのだ。『エルネイジェ王国』への風評被害がひどいとかそんなこと今更である。
「この世界にあるプラントこそが、『レディ』の複製体を生み出す源にして根源! この世界を殲滅しなければ、我が使命の旅路は終わらぬのだ!」
『ザ・スター』のユーベルコードを受けて『レミニセンス・エニグマ』の機体が輝く。
 超新星モードに至った機体が超スピードでもって高高度を飛ぶ。
 メサイアはむしろ、その速度にこそ目を輝かせた。
「ヴリちゃん! こちらもかっとびましてよ~!」

 瞬間『ヴリトラ』は黒き暴風となって戦場を飛ぶ。
 フライトユニットに備わったミサイルが放たれ、火線を轢きながら『レミニセンス・エニグマ』へと追いすがる。
 発射タイミングをずらして放ったため、一発を躱しても即座に続くミサイルが迫るのだ。
 爆発を巻き起こしながら空中で『レミニセンス・エニグマ』が飛翔する。
 しかし、敵もさるものである。
 これだけ本能的とは言え、技巧を交えたミサイルを尽く躱しているのだ。
「この程度で我が旅路、その道行きを邪魔立てはさせぬ……ヌッ!?」
 そう、メサイアは脳筋皇女。
 そこに駆け引きはあれど、全てが野性的なもの。直感的に動くメサイアは『ヴリトラ』を錐揉み回転させながらガンポッドの弾丸をばら撒き、『レミニセンス・エニグマ』へと突撃するのだ。

 あまりにも直線的な攻撃。
 されど、暴風たる一撃は『レミニセンス・エニグマ』を後退させる。
「必殺ヴリちゃんおキック……ッ!!」
 繰り出されるアンダーフレームに蹴撃。
「見え透いた一撃を!」
 だが、その一撃に合わせるように『ザ・スター』は超新星モードに至りし『レミニセンス・エニグマ』の拳を『ヴリトラ』に叩き込む。
 いや、叩き込むことはできなかった。
 メサイアは瞬間的に『ヴリトラ』のテイルスマッシャーを振って己が機体をよじるように反転させたのだ。
 振るわれた拳が機体をかすめる。
 装甲をえぐりながらも、その破片のさなかに『ヴリトラ』のアイセンサーが眼光のようにきらめいた。

「あいったぁ~!? ヴリちゃんの漆黒のお体によくも傷をつけてくれましたわね~! 許しがたしですわ~!」
 メサイアは我が身が切りつけられたのかというほどの声を上げながら、その瞳はまさしく本能の命ずるままに交錯した『レミニセンス・エニグマ』を睨めつけ、『ヴリトラ』の口腔に備わったジェノサイドバスターの輝きを解き放つ。
「あ、それ! これが恨み辛みの必殺ジェノサイドバスターですわ~!!」
 放たれた光条の一撃が『レミニセンス・エニグマ』の黄金の装甲に激突し、その飛散る光を戦場に満たすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
引き続き『疾き者』にて

霹靂、陰海月を乗せて退避を。ここから先は、四悪霊のみで。(飛び降り)

肉体と精神が乖離すれば、苦しみがありますが。今の『ザ・スター』はそれが大きいですね…。
ですが、何も詳しいことが判明していないプラントを壊させるわけにもいきませんからねー。

落ち行きつつUCを使用。それで得たもので空中戦を維持。できるだけ、『ザ・スター』には近づかぬように。
たとえ光がどのように眩しくても、この雷(風属性重量攻撃付きの)は、貴方を穿つもの。一瞬でも無防備になれば、それは隙なのですよー。


霹靂「クエー…」
陰海月「ぷきゅ!?」
おじーちゃん、まーた孫たちをびっくりさせてる…。



「『霹靂』、これよりは『陰海月』を連れて退避を」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』はヒポグリフである『霹靂』から飛び降り、高高度を征く。
 いや、落ちている、というのが正しいだろう。
 猟兵たちの戦いによってファーストヒーロー『ザ・スター』は『黄金のキャバリア』、『レミニセンス・エニグマ』を『エナジー・ゲート』より召喚し、乗り込むに至った。
 つまり、これは彼が追い込まれている証明である。
 生身単身で戦うことを放棄したのだ。
 そして、身を鎧うようにして『レミニセンス・エニグマ』で戦う事を選んだ。

 つまり。
「肉体と心が乖離している。その苦しみが彼に襲いかかっているのでしょう」
『ザ・スター』は、永きに渡る時へて肉体がオブリビオン化している。
 心は未だ崇高なる平和の徒であったとしても、肉体はオブリビオンとなり、そのねじれめいた肉体と心の軋轢に痛みを覚えているのだろう。
「グゥッ……頭が、傷むっ! これは猟兵のユーベルコードだけではない!」
『思い出せ、我が使命を。我が肉体よ、これは我らが望んだ真の平和ではない!』
 懊悩するように『黄金のキャバリア』のジェネレーターが咆哮する。
 黄金の装甲に刻まれた防御呪術によって、これまで猟兵たちのユーベルコードを防いできていたが、しかし機体は消耗し続けている。
 たとえ、今は損傷を与えられなくても、攻撃を叩き込み続ければ……。
「確実に防御呪術が消耗して傷を与えることができる、と」
『疾き者』は落ちながら『レミニセンス・エニグマ』へと落下するようにして飛び込む。

 そう、己たちの戦いはいつだってそうだ。
 オブリビオンとは強大なる者。
 彼らと戦うには、あまりにも己たちの個としての力は弱い。
 だからこそ、紡いでいくのだ。
 先んじた猟兵たちが打ち込んだ渾身の力に続くように己の力も叩きつける。
「これが我らの怒りよ」
 煌めく瞳にユーベルコードが宿る。
 背に翼が膨れ上がるようにして生まれ、羽ばたく。
 体躯は黄と黒の縞模様を描き、五体が変貌していく。
 喉より迸るは咆哮。

 それは雷のように(ウゴクコトライテイノゴトク)轟く翼生えし虎であった。
 雷が解き放たれ、『レミニセンス・エニグマ』へと叩き込まれる。
「怒りなど、我が使命の前には意味のないものだ。そんな一時の感情に動かされることなど、ない!!」
 膨れ上がる『レミニセンス・エニグマ』の機体の輝き。
 凄まじい輝きと共に放たれる一打が『疾き者』の五体を穿つ。
 なんたる一撃であろうか。
 あれだけ隙を見せていながら、瞬間的に放たれた拳の一撃は目視すらできなかった。血反吐が撒き散らされ、高高度に舞う。

 だが、五体打ち抜かれて尚、虎の咆哮は轟く。
「たとえ光がどのように眩しくても、この雷は貴方を穿つもの」
「う、おおおおおっ!!!」
 迸るゼロ距離の雷撃。
 確かに恐るべき一打であった。
 しかし、わずかでも無防備になるのならば、己は雷撃を叩き込むことをやめない。
 組み付くように虎の顎を黄金の装甲に突き立てる。
 流し込む雷撃。
 凄まじい力と力の激突。
 防御呪術の紋様が明滅し、その力を雷撃が削ぎ落としていく。

「我が身を差し出すか!」
「いいえ、この肉体は悪霊。なれば」
 滅びることはない。
 そういうように凄まじい雷撃と共に『レミニセンス・エニグマ』は、その装甲に配された防御呪術を削られながら高高度の空に巻き起こる爆発の華に飲み込まれるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イクシア・レイブラント
聞いていい?
ヒーローというものは町の中にヴィランが1人でもいたら町を滅ぼすの?
ただ1人の生存者も許さないの?
それがあなたの望む、|故郷《ヒーローズアース》のあるべき形?
違うよね。
ヒーローはもっとカッコいいものだもの。

【最大稼働】と加速する景象を起動し
[瞬間思考力、戦闘演算、空中起動、アクセルコンボ]でバスター・ナックルを避け、
大型フォースブレイドの[空中戦、武器巨大化、なぎ払い]で反撃。

あなたが妥協しても、私たち第六の猟兵は諦めない。
あなたを退け、邪神も倒して、
|この世界《クロムキャバリア》も|あなたの故郷《ヒーローズアース》も守ってみせる。
だって、それがヒーローというものでしょう?



 爆発の中で防御呪術の施された黄金の装甲が輝く。
 ファーストヒーロー『ザ・スター』の操る『レミニセンス・エニグマ』である。
 これまで猟兵たちのユーベルコードを受けて装甲にびっしりと刻まれていた防御呪術は削れてきているように思えた。
 しかし、未だ『レミニセンス・エニグマ』は健在であった。
 空に浮かぶ『エナジー・ゲート』より降り注ぐ光。
 ユーベルコードの輝き。
「聞いて良い?」
 その輝きの中、決定的な隙がありながらイクシア・レイブラント(翡翠色の機械天使・f37891)は己が問いを投げかけるために使った。
「ヒーローというのものは街の中にヴィランが一人でもいたら街を滅ぼすの? ただ一人の生存者も許さないの?」
「当然だ。それが街そのものを滅ぼすのならば、たった一人のヴィランを仕留めるために犠牲の責任を追うのだ」
『違う。街も救う。人も救う。ヴィランさえも救う。全てを救うという責任に押しつぶされぬ心を持つものがヒーローだ』
 相反する言葉が響く。

 オブリビオン化した肉体と未だ崇高なる使命に燃える心。
『ザ・スター』は乖離している。
 心と体。
 永き時を生きるがゆえに、肉体はオブリビオンへと変貌してしまったのだ。
 故にイクシアは己の問いかけにそれぞれ異なる答えが帰ってきたことに頷く。
「そうだよね。あなたの望む、|故郷《ヒーローズアース》のあるべき形は、『ザ・スター』、そのオブリビオンと化した肉体が紡いだ言葉どおりじゃあないよね」
 イクシアは言う。
 ヒーローとは。
「もっとカッコいいものだもの」

 瞬間、互いの機体と体が交錯する。
 刹那にも似た時間だった。
 最大稼働(フルドライブ)であっても、イクシアは『レミニセンス・エニグマ』の一撃を躱すことはできなかった。
 互いに飛翔能力を得て、激突する。
 ぶつかる一撃。
 ユーベルコードの明滅が空に走る。
 緑のサイキックエナジーは、『レミニセンス・エニグマ』の一撃で霧散した。
 拳の一撃がイクシアの体躯を打ち据える。
 衝撃が走り抜け、イクシアは五体が砕けるような衝撃を覚えた。

 しかし、彼女の瞳は輝きを失っていなかった。
 たとえ、サイキックエナジーが霧散させられても、五体が砕けようとも。
 未だ己に残るものがある。
 それは意志の力だった。
「イグニッション」
 短くつぶやいた瞬間、大型フォースブレイドが励起する。
 刀身が巨大化し、緑のサイキックエナジーが充填されていく。
 意志なくば、力はただの暴力でしかない。
 ならば、意志ある力は何になるのか。

「あなたが妥協しても、私達第六の猟兵は諦めない」
 不屈へと至る。
 掲げた刀身をイクシアは『レミニセンス・エニグマ』へと叩きつける。
「あなたを退け、邪神も倒して」
「全て此処で終わるはずなのだ。永き時の旅路。その終着点が此処なのだ。それを!」
「|この世界《クロムキャバリア》も、|あなたの故郷《ヒーローズアース》も守ってみせる」
 イクシアの斬撃が黄金の装甲に走る。
 これまで先行した猟兵たちのユーベルコードによって消耗した防御呪術を弾き飛ばしながら彼女の一撃が遂に傷をつけるのだ。
「だって、それがヒーローというものでしょう――?」

大成功 🔵​🔵​🔵​

久遠寺・遥翔
アドリブ連携歓迎
|星《スター》の意志を取り込んだ黄金のキャバリア…!
ならこちらも出し惜しみはなしだ
いくぜ相棒、オーバーロード――イグニシオン・ソーリス!
|太陽《ソーリス》の輝きと熱でお前の歪んだ正義と哀しみを焼き尽くす!

真の姿のキャバリアに[騎乗]して引き続きの[空中戦]
UCでこちらも高速で飛び回るが、奴の速度に真っ向から挑んでも対抗はできないだろう
だからこそこれまで培った[戦闘知識]からの予測と[心眼]による現状把握によってその軌道を[見切り]、急な軌道変更も[第六感]で察知、相手の動きを読むことで速度差を補い、[残像]を捉えさせる形で回避する
特に光を纏った瞬間はまずい。相手が無防備になろうとも回避に専念だ
その拳をしっかりと避けた後の隙をつく形でこちらの飛行軌道を変更、相手に重力で圧縮した焔、|太陽《いのち》の輝きを叩きつけるぜ



 斬撃が黄金のキャバリア『レミニセンス・エニグマ』の装甲に遂に傷をつける。
 斬撃の裂傷を受けながら、しかしファーストヒーロー『ザ・スター』は諦めていなかった。何を、と言うのならば今更だろう。
 この世界に存在する全てのプラントを破壊することを、だ。
 なぜなら、彼にとって此処が旅の終着点。
 永きに渡る時を経てきたがゆえに彼の肉体はオブリビオン化してしまっている。
「我らは此処で戦いを終わらせる。プラントこそが『レディ』、邪神の複製体を生み出すもの。これを止めれば、我らの使命は終わる。旅路が終わるのだ!」
『真の敵を打ち倒すこと。確かに我らはそれを求めた。その先に真の平和があると信じ、人々に平穏がもたらせると。だが、今まさに人々の平和を脅かそうとしているのは……』
 己であると『ザ・スター』の心が言う。

 肉体と心とが乖離した状態。
 故に『イグニシオン』を駆る久遠寺・遥翔(焔の機神イグニシオン/『黒鋼』の騎士・f01190)は叫ぶ。
「出し惜しみはなしだ。行くぜ相棒、オーバーロード――イグニシオン・ソーリス!」
 星の名を持つファーストヒーロー。
 相対するは太陽の輝きを宿す熱神。
 乖離した心と体に宿す正義は歪み果てた。しかし、正義とは即ち歪みそのものである。
 誰しもの心にある正義。
 これを映す己の心が相対するものにとっては、歪んだ鏡に思えてならぬのだ。
 故に、真の平和は遠く。
 されど、求めて止まぬのだ。

「故に、貴様たちの存在は、我らの使命を妨げる障害!」
『どこまで言っても悲しみが生まれていく』
「なら、この太陽の輝きが! 熱が! お前の悲しみを焼き尽くす!」
 真の姿をさらす『イグニシオン』と『レミニセンス・エニグマ』が空中で交差する。そのたびに火花が散るような衝撃が大空に走るのだ。
 遥翔は、これまでの戦いの中で培ってきた経験を持って『ザ・スター』の動きを予測する。
 だが、疾い。
 疾すぎると言ってもいい。
 目で捉えられない。機動そのものが圧倒的な速度。力量差によって『ザ・スター』は、ユーベルコードの力を更に引き上げているのだ。
 追いつける訳がなかった。

 そもそもが個としての力はオブリビオンに及ばない。それが猟兵である。
 戦場を翔ぶ『レミニセンス・エニグマ』は黄金の閃光そのものだった。
 此方が残像を持って敵を上回ろうとしても、それさえも見切ってくるのだ。
 あらゆる点において『ザ・スター』は猟兵の能力を越えている。だが、そんな敵はこれまで幾度となく相対してきたのだ。
「ああ、そうだ。どんな敵も俺達よりも強かった。だが、世界を守ってきた。なぜだかわかるか、『ザ・スター』!」
 帝竜。
 その存在は圧倒的だった。
 巨躯も、力も、猟兵を凌駕していた。けれど、これを猟兵たちは打ち倒してきたのだ。
 個ではなく、紡ぎ、束ねることで打ち倒してきたのだ。

 今回も同じだ。
「|原初躍動《イグニッション》――!」
 身に宿すは、闇を蝕む太陽(イクリプス・バスター)だった。
 内燃する超重力によって圧縮するは焔。
 その焔は己の意志だ。
「『エナジー・ゲート』よ!」
『レミニセンス・エニグマ』に降り注ぐは『エナジー・ゲート』の光。
 降り注ぐ光を纏う黄金が決定的な隙を生み出す。
 無防備そのものだった。
 けれど、次の瞬間閃光が迸る。
 遥翔は、まずい、と思った。
 けれど、その拳を躱すことはできなかった。ユーベルコードに寄る加速、『エナジー・ゲート』に寄る超高速が掛け合わされているのだ。

 躱そうと判断しても、何もかもが遅きに失する。
 放たれた『レミニセンス・エニグマ』の拳の一撃が『イグニシオン』の躯体を打ち据える。
 装甲に走る傷跡。
 その傷跡から走るは焔。
 そう、己が機体に圧縮された焔が傷跡から噴出する。
 吹き荒れる熱量は、解き放たれたもの。故に、遥翔の瞳がユーベルコードに輝く。

「これが|太陽《いのち》の輝き。喰らいな!!」
 決定的な隙は、二度訪れる。
 即ち、『ザ・スター』が強大な一撃を放つ前と、後。
 そして、遥翔が選んだのは後者。圧縮された焔――イクリプス・バスターの一撃が『レミニセンス・エニグマ』へと叩きつけられる。
 高高度の空にもう一つの太陽が生まれるかのような強烈な輝きの中、確かに遥翔は己がいのちの輝きを灯すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
ドラグレクスに乗る事で飛行能力を補うけど、互いに速度がある分、射線を合わせづらいわね……
けど、この速度からの超高速の一撃である以上、どうやったって相手を視認し続ける必要がある筈、なら……無理にでも押し通す!
プロトミレスの腕部を金属細胞により強制換装!相手の攻撃は換装してない方の機体の腕をぶつけて「当てさせ」【HXA-1 ヒュプノキャノン】を放つ!!生じた隙を無理やり引き延ばして、そこに全兵装をぶち込んでやるわ…!

……こっちは次々来る面倒事にこれから先もずっと対処して、仮初でもなんでも得た平穏を維持し続けなきゃいけないの、いつまでも「面倒事の一つ」に過ぎないあなたに、構ってる暇はないのよ……!!



 太陽の輝きのような爆発が高高度の空に咲く。
 機龍『ドラグレクス』に騎乗するキャバリア『プロトミレス』を駆るアルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は、猟兵としての戦いがまだ終わっていないことを知る。
 輝くは『エナジー・ゲート』。
 それはファーストヒーロー『ザ・スター』のユーベルコードの輝きであった。
 彼のユーベルコードは膨大なエネルギーを己が機体に降り注がせる。
 決定的な隙。
 今ならば攻撃を叩き込むことができる。

 けれど、アルカは超高速の一撃が来る、と理解していた。
 あれを躱すことはできない。
 ユーベルコードによって底上げされた加速と、あの『エナジー・ゲート』より降り注ぐ光によって『ザ・スター』の駆る黄金のキャバリア『レミニセンス・エニグマ』は閃光のような速さを得て、己が機体に一撃を見舞うだろう。
 痛烈なる一撃であることは言うまでもない。
「そもそも射線が合わせづらい……!」
 対抗する手段を考えている時間さえない。
 この決定的な隙の後に繰り出される『レミニセンス・エニグマ』の一撃を『プロトミレス』は耐えられないだろう。

「無駄だ。我が旅路は此処に終着点を見出したのだ! ここで邪神の複製体『レディ』を生み出すプラントの全てを破壊しつくして、この旅路を終わらせるのだ!」
『だが、それでいいわけがない。人々の生活を成り立たせているプラントを破壊し、この世界に生きる人々の平和を脅かすことは!』
 肉体と心が乖離した『ザ・スター』の言葉が響き渡る。
 アルカは見据える。
 敵は必殺の一撃を己に叩き込むだろう。
 ならばこそ、彼女は逃げない。
 金属細胞によって変貌した『プロトミレス』の腕部。
 
 一瞬の明滅と共に放たれる『レミニセンス・エニグマ』の一撃を変貌していない腕部でもって受け止める。いや、受け止める、という表現は正しくないだろう。
 放たれた一撃に合わせることさえ難しい中、アルカは己の機体の腕部一つを当てさせたのだ。
 だが、それでは『レミニセンス・エニグマ』の一撃は止まらないだろう。
 腕部を砕き、肩部までも粉砕し、衝撃がコクピットの胴体にまで到達する。半身をえぐられるかのような一撃にアルカは呻く。
「まだ……!」
 アルカの瞳がユーベルコードに輝いた瞬間、残された腕部のヘキサアームズを漆黒の砲へと変貌させる。
 放たれるは閃光弾。
 ただの閃光弾ではない。
 その一撃はヒュプノキャノン。
 視認することによって意識レベルを低下させる光であった。

「たかが目眩ましで止まるものか!」
「そうよね。でも、その一撃を放った後の隙は引き伸ばすことができる!」
 そう、『ザ・スター』の一撃は強烈無比。
 だが、放った後の隙は決定的だった。
「……こっちは次々来る面倒事にこれから先もずっと対処して、仮初でもなんでも得た平穏を維持し続けなきゃいけないの」
 アルカは吠える。
 たとえ、得たものが仮初で一時的なものでも。
 それでも、得難いものなのだ。だからこそ、アルカは吠えた。敵にではなく!
「いつまでも『面倒事の一つ』に過ぎないあなたに、構っている暇はないのよ……!!」
 その言葉と共に放たれる全武装の一撃。
 炸裂した爆発と共にアルカは『レミニセンス・エニグマ』の装甲を吹き飛ばすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーリー・ザルティア
【心境】
「黄金のキャバリア…悪趣味よ…ヒーローッ!!」
…あの子たちを迎えに行かないといけないの。ボク達の未来のエースをね。
邪魔よ!!

【行動】
残りの推進剤に不安はあるけど…あんたたちを倒してあの子たちを迎えに行くにはおつりがある。そうよねレスヴァントMk-2ッ!!

『瞬間思考力』で『見切り』自慢の『操縦』テクで回避しつつアストライアの『制圧射撃』でけん制して間合いを維持。

エースの誇り魅せてあげる。
UC:レムナント・オーヴァー発動。
これがエースの力だ(吐血)

ダークマンティスの『レーザー射撃』からのイニティウムの『重量攻撃』
さらにレスヴァントパンチだッ!!



 空にユーベルコードの明滅が巻き起こる。
 渦を巻くように乱舞する光。
 その全てが戦いの光であった。ただ一つだけ違うことがあれば、それは地上で起こっていないということである。
 クロムキャバリア世界における戦場は地上である。
 空で起こり得ることはない。
 暴走衛生が蓋する世界。
 故に起こり得ぬことが今起こっているのだ。

 その輝きの中に黄金のキャバリア『レミニセンス・エニグマ』が飛翔する。
 猟兵たちのユーベルコードを受けて、黄金の装甲の防御呪術の文様がかすみ始めているのだ。
「我が使命の旅路、その障害となるか!」
『違う。彼らは世界を救わんとしている。そして、その世界に生きる人々も』
「黙れ! 漸く永きに渡る旅路が終わろうとしているというのに!」
 乖離する心と体。
 そのさまを見やり、ユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)は高高度の空を『レスヴァントMk-2』と共に飛翔する。
「黄金のキャバリア……悪趣味よ……ヒーローッ!!」
 踏み込むユーリー。
 アサルトライフルの弾丸が黄金の装甲に弾かれる。

 如何に防御呪術の文様がかすれ始めているとは言え、未だ『レミニセンス・エニグマ』の強固な装甲は健在であった。
「……あの子達を迎えに行かないといけないの。ボクたちの未来の『エース』をね」
「戦うことしか知らぬ平和に届かぬ力を護るというのか!」
「そうよ。『エース』は戦いの中から生まれるけれど、『エース』が戦いを生むわけじゃない! 邪魔よ!!」
 ユーリーの瞳がユーベルコードに輝く。
 戦場に散った『エース』たちの魂をユーリーの『レスヴァントMk-2』の装甲を覆っていく。
 如何にユーリーが類稀なる操縦テクニックを有していても『レミニセンス・エニグマ』の一撃は超高速。
 もとより、この戦いは空における高速戦闘である。
 そこに『エナジー・ゲート』から降り注ぐ光を得た『レミニセンス・エニグマ』の速度が掛け合わされれば、不可避なる一撃と変貌することはわかっていた。
 だからこそ、ユーリーは踏み込んだのだ。

 躱すのではない。
 真っ向から叩きつけるのだ。
「戦いの中でしか生まれない者たちがいる。そんな者たちの行く末など!」
 決まっている。
 いつだって破滅にひた走るものだ。
 穏やかなる日々の中に死せる『エース』など稀であろう。一握りの中でも、さらに一粒のような存在である。
 故にユーリーは思う。
 己の体を覆うのは、戦場に散っていった者たちの思いだ。
 故にユーリーは踏み込む。
 超高速の一撃が『レスヴァントMk-2』の頭部の頬をえぐる。
 それだけ済んだのは、ユーリーの操縦技術があればこそだった。

「これが、『エース』の力だ!」
 衝撃に内蔵が傷つく。
 こみ上げる血の味を噛み締めながらユーリーは長大な砲身の暴発めいた一撃で以て『レミニセンス・エニグマ』を吹き飛ばす。
 爆風の中をさらにユーリーは翔ぶ。
「人の! 力だ!!」
 振りかぶるキャバリアソードは黄金の装甲に砕けた。けれど、止まらない。振りかぶった拳、そのマニュピレーターを彼女は力任せに叩きつけ『レミニセンス・エニグマ』の頭部、そのフェイスカバーを砕くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ファルコ・アロー
落ちてった連中を助けてやりてーのは山々ですけど、先にコイツを片付けなきゃいけなさそうですね。
そんでそのてめーは敵前なのに一人でごちゃごちゃ何をくっちゃべってやがんですか、ボクも舐められたモンですね!
だったら見せてやるですよ、ボクの翼を!
チェェェンジ・ファルコン!
空中戦ならボクの専門です。
その趣味の悪ぃ金ピカのキャバリアごと、空から叩き落としてやるですよ!
とは言え全武装発射ってのは厄介ですね、こっちもビームとロータリーキャノンで牽制する事になるですか。
狙うは敵の大技の前の瞬間に出来る隙です。
どんな弾幕張ってようと、全速力で特攻してぶつかってやるですよ!
あの空母の分、のし付けてお返しです!



 空より落ちていく二騎のキャバリアがあった。
 最後まで戦い抜いた機体。
 そこに少年少女たちが乗っていることをファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)は知っていた。
 助けなければ、と思う。
 けれど、同時に高高度にありて一際強烈な存在感を放つ存在を捨て置けぬとも思ったのだ。
 黄金のキャバリア『レミニセンス・エニグマ』。
 ファーストヒーロー『ザ・スター』の駆るキャバリアである。猟兵の駆るキャバリアの拳の一撃が、その頭部のフェイスカバーを砕き、その内に秘めた顔をさらけ出す。
「何処まで言っても、平和は遠く。だが、実現できるかもしれない可能性が目の前にあるのだ。それに手を伸ばさぬのは、これまで散っていった者たちへの侮辱でしかない!」
『そうではない。我が肉体よ。貴様は、ただ終わりたいだけだ。この永きに渡る旅路の終わりを望んでいるだけに過ぎない』
 乖離した肉体と心。
 それに懊悩するように『レミニセンス・エニグマ』の砕けたフェイスカバーの奥の表情がくじゅうに歪んでいる。

「敵前なのに一人でごちゃごちゃ何をくっちゃべってやがんですか! ボクも滑られたモンですね!」
 ファルコの瞳がユーベルコードに輝く。
『レミニセンス・エニグマ』は『エナジー・ゲート』から光を得て、輝いている。
 放たれるは不可避の一撃であろうことは言うまでもない。
 もとより高速戦闘。
 加えて、そこに『エナジー・ゲート』からのエネルギーを溜め込んだ『レミニセンス・エニグマ』の超高速の打撃。
 わかっている。
 躱す術はない。
 これまで多くの猟兵たちのキャバリアが躱しきれず、しかし肉を切らせて骨を断つかのようにユーベルコードを叩き込んできたのだ。

「だったら! 見せてやるですよ、ボクの翼を! チェェェェンジ・ファルコン!!」
 ウィングアップとともにファルコは戦闘機に変身する。
 空こそ己が晴れ舞台にして独壇場である。
 航空戦力として生まれたレプリカント。
 このクロムキャバリアにおいて、航空能力は無用の長物だった。まるで役に立たないものだった。
 他の世界ならば役立つこともできた。
 けれど、ファルコはこの世界でこそ己の力を役立てたいと思っていたのだ。
 仲間がいる。
 こんな自分を受け入れてくれた居場所がある。
 それを壊そうというのならば。

「邪魔をするな!」
 炸裂する超高速の一撃。
 光すら追い越すような一撃。ファルコは牽制射撃を放っても尚、意味がないことを知る。
 どんな攻撃も『レミニセンス・エニグマ』の一撃は弾き飛ばしてくる。
 だが、ファルコは臆さなかった。
 怯まなかった。
 後退という文字は彼女にはなかった。
 戦闘機に変身した己の翼がもがれるような衝撃があった。止まらない。止まる理由なんてない。
「このまま突っ込むです! 全速力で! 特攻して! ぶつかってやるですよ!!」
 ファルコの瞳はユーベルコードに輝いていた。
 今こそ己の力を発露する時。
 空にありて、地上にある者たちは見上げることしかできない姿。
 遠すぎて星の瞬きのような輝きであったかもしれない。

 けれど、誰かのつぶやきは風に乗ってファルコに届いたのだ。
「行け」
 それは唸るような乱気流となって、ファルコの耳朶を打ち、背を押す風となって。
「空母の分、のし付けてお返しです!」
 体当たりとも言うべき一撃をもって『レミニセンス・エニグマ』の装甲を拉げさせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
【サージェさんと】

『希』ちゃん【トラクターチェイン】照射!
レーギャルン捕まえて!

まったく……わたしの友達になにしてくれるかな。

しかもなに?
『恒久たる平和』?

ファーストヒーローとか言われてたくせに、
そんなものないって解ってないのかな?

人が人である以上、そんなものありえない。
だからヒーローとかがいるんだよ?

少しでも多く、マシな時間を作るために。

そんなことも解らなくなってるから、
『世界を壊せば戦いがなくなる』とか、トンデモ極論言い出すんだよ。

そんなの平和じゃない。ただの全滅。バッドエンド。

それを望むなら容赦しないよ。
サージェさんとわたしが骸の海に送ってあげる。

あ、サージェさん、攻撃は任せた!


サージェ・ライト
【理緒さんと】
にゃんとーっ?!
ツヴァイ(小)さんなんてことをー?!
シリカさん!ルベライトビットをザ・スターに全投入!
理緒さんのお二人救助活動のフォローを!
ついでに私もフローライトダガーを投擲っ!
ふぅ
おっとー理緒さんが荒ぶっておららる
いえ、今日は私も同じ気分ですけどねー
真の平和が争いの後にしかないのなら
その争いの犠牲は何とする?
悲劇の連続を喜劇として喜べるのは
|傍観者《バイ・スタンダー》だけなんですよ!!

シリカさん、今日は止まりませんからね!
セラフィナイトスピア召喚!
エンジェライトスラスター展開!
「友の想い乗せたこの一撃は信念をも砕く! 参ります!」
威力重視の【疾風怒濤】
全力でゴー!



 空を走るは牽引用のビームチェインであった。
 しかし、その先が落ちていく二騎の『レーギャルン』を捉えた。だが、その瞬間『レミニセンス・エニグマ』の放った衝撃が、吹き荒れる戦いの波がキャバリアを5体牽引できるほどの強度を持つビームチェインを吹き飛ばす。
「ああっ!」
 菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は思わず目を見開いた。
 落ちていく二騎の『レーギャルン』を助けるために放ったビームチェインであったが、『ネルトリンゲン』は戦場に近づきすぎていた。
 いや、近づかねばそもそも『レーギャルン』を救うという行動を起こすこともできなかっただろう。
 戦いの余波は凄まじい。
 天より降り注ぐは『エナジー・ゲート』の光。
 その光を受けて、黄金のキャバリア『レミニセンス・エニグマ』は輝く。

 どうしようもないほどの強烈な重圧が襲い来る。
「二騎ともボロボロだったんだよ! あれじゃ!」
 理緒はすぐさまシュミレートする。
 彼女たちは自分の友達なのだ。そんな彼らが落ちていく。
 けれど、まだ希望はある。二騎は確かにボロボロだった。けれど、一騎を犠牲にして急制動を掛ければ、可能性はあった。
「にゃんとーっ?!」
 サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は己のキャバリア『ファントム・シリカ』と共に空に在りて、その光景に目を見開く。
 ファーストヒーロー『ザ・スター』の操るキャバリアへと牽制を放っていたが、それでも敵はまるで意に介した様子もなく『エナジー・ゲート』からの輝きを受けて、その黄金の装甲を輝かせていた。
 凄まじい力のほとばしり。

「なんとか……助かる道筋はある、はず! だったら、わたしたちは! サージェさん!」
「お、おおう。理緒さん、荒ぶっておられる。いえ、今日は私も同じ気分ですけどねー」
 二人は戦いに集中する。
 迫るは『レミニセンス・エニグマ』。
 その黄金の機体は高高度におけるもう一つの足場である戦闘空母『ネルトリンゲン』へと迫る。
 超新星の如き姿へと変貌した黄金のキャバリアによる一撃を『ネルトリンゲン』は電脳術式で編まれた結界で受け止める。
 強大な一撃であれど、反射する力によって『レミニセンス・エニグマ』の腕部がひしゃげる。だが、拉げただけだった。
 あの一撃は強烈であったが、しかし『レミニセンス・エニグマ』の装甲は、それに耐えうる強度を持っていたのだ。

「恒久たる真の平和のためには!」
「人が人である以上、そんなものありえない。だから、ヒーローがいるんだよ。少しでも多く、マシな時間を作るために」
『絶えず時は流れ続ける。そうして未来に時は進む。だが、その時の流れに抗えるほどの強靭な肉体は、骸の海に踏み込むことでオブリビオン化してしまう。乖離した肉体と心は、いずれ歪む』
「だったら! こんなの平和じゃない。ただの全滅、バッドエンドだってわかるでしょ!」
 結界に弾かれる『レミニセンス・エニグマ』へと『ファントム・シリカ』が飛び込む。

 確かに、と思う。
「真の平和が争いの後にしかないのなら、その争いの犠牲は何とするのです」
「礎になるしかないだろう。真の平和が尊きものであると知るのならば、犠牲もまた尊いものだ。そういうものだ。そうでなければ、遣る瀬無いのだ! だからこそ!」
『エナジー・ゲート』の光を受けて『レミニセンス・エニグマ』の機体が輝く。
 来る、とサージェは気がつく。
 あの強大な一撃を躱すことはできない。
 高速戦闘の中で、さらに加速するのだ。躱せるわけがない。
 だからこそ、サージェは覚悟した。
 こればかりは譲れない。どれだけ『シリカ』が止めたって知らない。後で引っかかれても甘んじて受け入れよう。
『何処までいっても悲劇が起こり得る。そうであるのならば』
「|傍観者《バイ・スタンダー》気取りで! 悲劇の連続を肯定して喜劇だなんて言葉が出る! そんなのは!」
 サージェの瞳がユーベルコードに輝く。
 手にしたセラフィナイトスピアが輝きを受け、そしてスラスターが噴射する光と共に、疾風怒濤(クリティカルアサシン)の連撃が『レミニセンス・エニグマ』の放つ一撃と真っ向からぶつかる。

 ただの一撃。
 されど、此方が放つは超連続攻撃。
 砕けていく。
『ファントム・シリカ』の装甲が砕け、破片が飛び散るも、それさえも『レミニセンス・柄にの一撃を前に粉々になっていく。
 それでも。
「サージェさん! 行っけぇぇ!!」
 背を押すは結界だった。
『レミニセンス・エニグマ』のはなった一撃を反射する結界でもって衝撃そのものを『ファントム・シリカ』の背に押し込み、加速させたのだ。
「友の思いを乗せた一撃は、信念をも砕く!」
 振りかぶった最後のセラフィナイトスピアの一撃が『レミニセンス・エニグマ』の拉げた腕部を砕くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

んー。
今回はなんでか生きてますね?
ちょっとイラっとしたからでしょうか。

戦っている方には申し訳ないんですけど、
恒久的な平和ななんてないんですよ。
そのかわり恒久的な戦いもないですけどね。

戦いがあるから平和を求める。
平和だから戦いを始める。

そんなのの繰り返しなんです。

そして勇者は、そんな少しの間の平和を得るために戦うんです。
それが嫌だからって、全部壊しちゃえ、とか、ただの独りよがりですよ?

……って!?

結局バンジーじゃないですかー!

あーもう!
めずらしくシリアスできてましたのに!

なにはともあれ!
世界を壊す存在を、勇者として許すことはできません!

全力の【世界調律】で、骸の海に還ってもらいます!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
ルクス様、生きてますかー?
いえ、生命というよりは精神的に
踏ん張り時です
もう少し頑張ってくださいませ

さて
平和の為に
平和を理由に戦い続けた方がいます
その結果をご存知ですか?
いまだ、この世界の何処にも平和は無く
その方の遺したモノを巡って争いが起きる始末
語り継がれている
敵対勢力からのその方の呼称……『悪魔』
ええ、今の貴方に相応しいですね?

ええ、|過去《オブリビオン》が未来を変える事などあり得ないのです
歴史は繰り返させない
私たちが止めます!

ルクス様離しますよ?
ご自分で制御を
私が仕掛けますのでその隙に決めてください!
フォル!【ル・ディアーブル・ヴィアン】!
悪魔には悪魔を
とてもお似合いでしょう?



「ルクス様、生きてますかー? いえ、生命というより精神的に」
「んー」
 なんでだろう、とステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の言葉に己のキャバリア『ソナーレ』のコクピットでルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は唸る。
 今回はなんでかシリアスの中に在っても生きている。
 蕁麻疹がでていないのだ。
 どういうことだろうか。
 もしかして、耐性ができたということだろうか。そんなことあるわけないのであるが、まあ、ルクスは今回ちょっとイラっとしたからかもしれないな、と結論付けた。
「ともあれ、踏ん張り時です。もう少し頑張ってくださいませ」
「ええ、戦っている方には申し訳ないんですけど、恒久的な平和なんてないんですよ。そのかわり恒久的な戦いもないんですけどね」
 ルクスは思う。

 これは繰り返しだ。
 歴史が繰り返されるように。
 繰り返されることが愚かしいというのならば、きっとそうなのだろう。
 理も真理も得られないように思えてしまう。
 けれど、それは現実に横たわっているものだ。
 人が自ら獲得するものではない。
 だからこそ多くの者たちが懊悩して死んでいく。生命の間際に悟りを得られたのだとしても、それはあまりにも遅すぎる。
 戦いがあるから平和を求める。
 平和だから戦い始める。
「どこまで行ってもそんなのの繰り返しなんです」
「諦観にまみれてなどいられないからこそ、我らは使命をはたさんとしている。それを!」
 拉げた『レミニセンス・エニグマ』の腕部を掲げて、ファーストヒーロー『ザ・スター』は咆哮する。

 ユーベルコードの輝き。
 確かに彼らは真の平和を求めたのだろう。他者にもたらさんと戦った者たちなのだろう。
 けれど、ステラは思う。
 平和の為に。平和を理由に戦い続けた者がいる。
 その結果は歴史の示すとおりだ。
 このクロムキャバリアは、そうした戦いの積み重ねでできている。
 未だこの世界に真の平和はなく。遺されたものをめぐりて戦いが起きる。
「プラントもその一つなのでしょう。語り継がれるものが、形をなして力を持つ。残穢にしか過ぎないものであっても、その名が戦いを呼び起こすのです」
『悪魔』とも『救世主』とも呼ばれたもの。
 それはファーストヒーロー『ザ・スター』を見ればわかる。
 乖離した心と肉体。

 その二つの間にあって、もがき懊悩するものがあるのならば。
「ええ、|過去《オブリビオン》が未来を変えることなどありえないのです。歴史は繰り返させない」
『言葉が人を争いに駆り立てるのだとしても、その言葉事態に罪はない。ましてや力さえない。けれど、人は心を持つからこそ、言葉を力に変える。真の平和がないかもしれないと気が付きながらも、その先を求めて歩む。そんな人びとに報いるためには』
「私たちが止めます!」
 瞬間、ステラは『フォルティス・フォルトゥーナ』とドッキングしていた『ソナーレ』の肩部接続を解除した。

「えっ!?」
「分離致します。ルクス様、ご自分で制御を」
「いきなりですか!? これって結局バンジーじゃないですかー!」
 落下していく『ソナーレ』という重しを捨てた『フォルティス・フォルトゥーナ』が戦場たる空を飛ぶ。
「いいえ、私が仕掛けます。どうしても隙が必要な敵なのです。ですから!」
「あーもう! 珍しくシリアスできてましたのに!」
 儚い夢であった。
 人の夢と書いて儚い。悲しいね。

「悪魔には悪魔を。ル・ディアーブル・ヴィアン!」
 迫る『レミニセンス・エニグマ』最大の一撃に『フォルティス・フォルトゥーナ』全ての武装が叩き込まれる。
 それでも止まらない。
 攻撃で散ったエネルギーさえも『フォルティス・フォルトゥーナ』の機体を打ち据える。翼のフレームが歪み、装甲も亀裂が走る。
 けれど、それでもステラは止めなかった。
 この空に在りて、己のキャバリアは、このときのために存在してたのだから。
「ええい、ともあれ! 世界を正しき姿に!」
 巨大音叉を掲げる『ソナーレ』は落下しながらも、その周囲にありし猟兵たちのキャバリアの負った傷を吸収しながら巨大な光の輝きを解き放つ。
 ステラが生み出した隙。
 その間隙を縫うようにして直下から放たれた一撃が『レミニセンス・エニグマ』を打ち据えた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
モー『すっごく眩しいのに、なんだか昏くて、悲しい光』
…星が、どう輝こうとも、それが敵なら自分は壊す。
……ダイダラァアアアアアアア!!!

ダイダラ操縦『戦塵無窮』発動!
黒輪光展開、追尾灼熱線【弾幕】をザ・スターへ放ち!
同時に膨大な霊物質を以て【エネルギー充填】急速補充!
プロペラントタンクブースター最大推力!!

モー『止めたげて!だって、こんなの違うもん!!』
光を追え!壊す為に!止める為に!!

デスアイで牽制【レーザー射撃】
デスアイ光線と追尾灼熱線の火力と弾幕を以て敵機機動を抑制し、
無数の灼熱線の間隙を【空中機動】で縫い、
超振動ブレードトンファーが発する【衝撃波】と共に巨拳を【怪力】で叩きつけ【吹き飛ばし】

モー『これが平和だなんて、あの人に言わせないで……!!』
星に手を伸ばせ!!終わらせる為に!!!

己が【闘争心】と少女の【優しさ】を以て、オーバーロード。
白く変わる黒輪光から引き出した霊物質をダイダラのもう片方の腕に纏わせ、武装変換。
【追撃】超巨大ブレードトンファーで敵機を、『星』を、【切断】する。



 まばゆい輝きが高高度に満ちている。
 それはユーベルコードの激突に寄る明滅であったし、また同時に戦いの光でもあった。
 ファーストヒーロー『ザ・スター』が求めたのは真の平和。
 そして、それを人びとにもたらし、平穏のままに生きる世界を作り出すこと。
 そのはじまりの思いは、しかし永き時に歪む。
 たとえ、どんな崇高なる使命を心に抱いたのだとしても、生きながらに骸の海へと踏み込めば、時は必ずや肉体をオブリビオン化するだろう。
 例外はあるのか。
 それともないのか。
 わからない。わからない、が……。
『すっごく眩しいのに、なんだか昏くて、悲しい光』
 巨大なキャバリア『ダイダラ』を制御するAIの言葉に朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は頷かなかった。

 同意できるほどのものを己は持っていなかったからだ。
 けれど、同時に思う。
 超新星を思わせる輝きを前にしても己ができることはやはりただひとつなのだ。
「……星がどう輝こうとも、それが敵ならば自分は壊す」
 そう、壊すことしかできない。
 どんなものだってそうだ。
 壊せば終わる。
 ねじれ果てた使命の果てが、今ここにあるというのならば、それを壊す。
「……ダイダラァアアアアアアアアア!!!!」
 咆哮と共に巨大なキャバリア『ダイダラ』が唸りを上げる。
 ユーベルコードに輝く異形の頭部。
 無尽蔵に生成される膨大な霊物質が背に追う黒輪光を形成し、灼熱熱線を弾幕のようにファーストヒーロー『ザ・スター』の操る『レミニセンス・エニグマ』へと叩き込む。
 充填され続ける霊物質の量にかまけた弾幕。
 空に明滅する光は、さらに苛烈になっていくだろう。

「戦いを齎すものよ。それは破壊そのものだ。故に!」
 己は、その平和を為すために破壊齎す邪神の複製体を生み出すプラントを破壊しなければならないと、超新星の輝きの中に『ザ・スター』は咆哮する。
『だが、破壊が再生を呼び込むのまた事実。その実を忘れ、己が使命という免罪符に走るか、我が肉体よ』
「黙れ黙れ黙れ! 邪神の複製体さえ生み出すことのない世界になれば! それでいいのだ!」
 超新星の如き輝きを放つ『レミニセンス・エニグマ』は黄金の輝きと共に『ダイダラ』へと迫る。
 放たれる熱線をものともせず黄金の装甲が輝いているのだ。
『止めたげて! だって、こんなの違うもん!!」
 制御AIの声が小枝子の耳を打つ。
 けれど、小枝子は止まらなかった。
 止めて、終わるものではない。

 壊さなければ、あの『ザ・スター』は止まらない。止めても、きっと止まらないのならば、もはや壊すしかない。
 放たれるレーザーを躱しながら巨体に叩き込まれる『レミニセンス・エニグマ』の一撃。
 片腕は拉げ、頭部のフェイスカバーは砕けている。
 機体装甲に配されていた防御呪術の多くはかすれている。
 だが、それでも『レミニセンス・エニグマ』は止まらない。それどころか、凄まじい一撃を『ダイダラ』に叩き込み、その巨体を吹き飛ばすのだ。
『これが平和だなんて、あの人に言わせないで……!!』
「ならば、星に手を伸ばせ!! 終わらせる為に!!!」
 超新星が星のはじまりならば、星の終わりもまた存在するのだ。
 故に、叫ぶ少女の優しさを乗せる小枝子の闘争心が超克へと至る。

 こじ開けるようにして『ダイダラ』の巨腕が超振動するブレードの衝撃波を放ち『レミニセンス・エニグマ』の拳と打ち合う。
 背に負った光背が白く変じるほどに引き出された霊物質を『ダイダラ』の巨腕にまとわせ、小枝子は振りかぶる。
 壊す。
 そう、それしかできない。
 平和の道筋からは程遠いのかもしれない。けれど、それでも自らができるのは、こんな徒に破壊を齎す力を壊すことだけだ。
「嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼!!!」
 それは嘆きの言葉ではなく。
 憂うものでもなく。

 ただ、ひたすらに純粋な破壊を齎すために振るわれる一撃。
 小枝子は形成された霊物質の刃を『レミニセンス・エニグマ』へと叩きつけ、その黄金の装甲、星の輝を断ち切るように振り抜くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
やれやれ…ロボットで戦う世界で生身とかTPOをわきまえてねーんじゃねーの?
だがまぁ…てめーの流儀に合わせてやるよ
「体格差がありすぎると当てにくくなるからでしょ?」
余計な事いうんじゃねーよばっきゃろー!?

UC発動
【情報収集・視力・戦闘知識】
スターの動きとUCの強化部分と半減を把握

【属性攻撃・迷彩】
光水属性を己達に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で音や匂いを隠蔽
【念動力・弾幕・スナイパー・空中戦】
超絶速度で飛び回り念動光弾を叩き込み
【電撃・二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
鎌剣と打刀で襲い掛かり連携による連続斬撃を叩き込み電撃を注ぎ込み蹂躙
武装や金目の物は根こそぎ強奪
僕は此処は譲らねぇぞ!



 切り裂かれた黄金の装甲から飛び出すは、ファーストヒーロー『ザ・スター』であった。
 黄金のキャバリア『レミニセンス・エニグマ』を捨てたわけではない。
 天より降り注ぐ『エナジー・ゲート』の光でもって、損傷を回復させるのに専念するためだった。
「確かに猟兵の力は侮りがたい。だが!」
 生身単身であっても『ザ・スター』は強大な力を誇っている。
 みなぎるようにして彼の体躯が超新星の輝きを放つ。
 そう、彼はもとより生身で戦うヒーローである。圧倒的な力を前に、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)はやれやれと嘆息する。
「……ロボットで戦う世界で生身とかTPOをわきまえてねーんじゃねーの?」
 時と場合に寄る、としか言いようがない。
 だが、とカシムは肩をすくめながらも、仕方ないというように相手の流儀似合わせるのだと言わんばかりに生身でもって高高度に飛び出す。
『体格差がありすぎると当てにくくなるからでしょ?』
『メルシー』の言葉にカシムは喉が支える思いをした。
「余計なことをいうんじゃねーよばっきゃろー!?」
 
 そんな二人を前にしても『ザ・スター』はペースに飲み込まれることなく、そして、乱されることなくみなぎる力を発揮する。
「どのような状況であろうとも戦うことに代わりはない。どんな相手でも、どんな不利な状況であっても真っ向から立ち向かう。それがヒーローとうものだ!」
 踏み込まれた、とカシムは理解する。
 ただの一瞬。 
 瞬きの刹那に『ザ・スター』はカシムの間合いに踏み込み、その拳を振るいあげていた。
 理解はしていたが、圧倒的な実力差がある。
 もとより、オブリビオンとは猟兵にまさる個である。
 その力はこれまでも見てきた通りだ。
 如何に猟兵が生命の埒外であるのだとしても、この実力差は覆せない。だからこそ、猟兵達は共に戦い、紡ぐことで強大な敵を打ち倒してきたのだ。

 それを水泡に帰すかのような無体。
『ザ・スター』の持つ『エナジー・ゲート』は、『殲化炎剣』の砲撃をエネルギーに変える暇さえあれば、無限に戦うことができるのだろう。
 だからこそ、カシムは己の存在をひた隠すために光学迷彩と水の障壁で音や匂いを隠蔽したのだ。
 だが。
「そこだ!」
 第六感。
 間隔を超越したものがある。
 猟兵たちに保ち得るのならば、『ザ・スター』にも保ち得るのは当然である。全てにおいて個として凌駕するのであればこそ、カシムは己の胴に打ち込まれた拳の一撃に内蔵がひっくり返るような痛みを覚えた。
 だが、止まれない。
 超高速で飛び回り、念動光弾の弾幕を叩き込み、距離を埋めさせぬと叩く。
 痛みに呼吸を忘れる。
 肺が跳ねる。
 内臓が嫌な感触を伝え、己の口腔に血の味が滲む。

 手にした鎌剣と刀を古い、連携の一撃を叩き込む。
「『メルシー』!!」
『ラジャったよ、ご主人サマ♪』
 そう、己は一人ではない。
 如何に敵が強大であっても、共に戦う者がある。ならばこそ、カシムと『メルシー』は互いに交錯するように踏み込み、加速に加速を重ね、超新星の如き輝きへと立ち向かう。
 振るう斬撃は交差し、カシムは吠える。
「僕は此処を譲らねぇぞ!」
 そう、止まらない。ここで紡ぐことをやめない。次につなげるためにカシムは『ザ・スター』に打撃を与え、裂帛の気合に吠えるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
平和の名のもとに犠牲になるものがあって
過去の悲しみを、今も知らずに礎にして踏みつけている
そうやって生きるしかなくても
私はあの子達の未来を諦めたくない

『レーギャルン』の簡素な体を利用するわ
軽い動きで結界術の足場を跳躍し、相手の死角へ回り込む
一気に行くわよ『レーギャルン』
腕部の弓から放つ光の矢を「月光の剣」へと変じ
早業の乱れ撃ちで攻撃を相殺しながら叩き込むわ

……『ツヴァイ』達が生きているのは偶然じゃない
きっとあなたは本当のヒーローだった



 猟兵たちのユーベルコードによってファーストヒーロー『ザ・スター』の黄金のキャバリア『レミニセンス・エニグマ』は傷ついた。
 故に彼は機体を『エナジー・ゲート』の光によって修復させようとしているのだ。
 だが、それが一朝一夕にてできることではない。
 故に彼は生身単身で飛び出し、猟兵との戦いを繰り広げているのだ。
「真の平和を齎すためには、プラントを破壊しなければならないのだ。何故、それがわからない!」
『我が肉体よ。平和とは何かを犠牲にすることの免罪符ではないのだ。それは嘗ての貴様もわかっていたことだろう。それを憂うからこそ……』
 呻くようにして『ザ・スター』は頭を振る。
 肉体と心が乖離しているのだ。
 肉体は死することなく骸の海へと踏み込み、オブリビオン化してしまった。しかし、崇高なる使命を持つ心は、そのまま。
 その軋轢が生み出すのは、猟兵たちの勝機であった。

「平和の名の元に犠牲になるものがあって、過去の悲しみを、今も知らずに礎にして踏みつけている」
 薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は、鈍色のキャバリア『レーギャルン』の中でつぶやく。
 いつかの誰かの言葉だった。
 そうやって生きるしかない。
 わかっている。
 時は絶えず運び、進む。今を過去にして、踏みつけて、それでも前に進んでいくしかない。
 落ちていく二騎の『レーギャルン』。
 彼らは他の猟兵の助けもあって、減速しながら地上に落下していっている。助かる可能性はあるだろう。
 だからこそ、静漓は己の胸に強く去来するものを見た。
 自分が望むもの。
 強く願うもの。
 それがなんなのかを自覚する。

「私は、あの子達の未来を諦めたくない」
 たとえ、戦火があらゆる物を吹き飛ばすのだとしても。強大な力が全てを押しつぶしていくのだとしても。
 それでも静漓は思う。
 思うことになんの力もない。思いは何も成さない。
「一気に行くわよ『レーギャルン』」
 それは熾盛する炎を封じ込めていた箱の名。
 ならばこそ静漓は共に飛び出す。突貫で組み上げられた機体は簡素なものだった。だからこそ、軽快な動きを見せることができる。
 静漓の結界の上を跳ねるように跳躍し、生身単身の『ザ・スター』へと迫る。

 苦悩するように歪む顔を静漓は見ただろう。
 弓のように展開した腕部から生み出された光の矢を月の剣(ツキノツルギ)へと変え、静漓はユーベルコードの輝きを宿した瞳で『ザ・スター』を見つめる。
 あの時、『ザ・スター』は二騎の『レーギャルン』を完全に破壊することができたはずだ。なのに、それをしなかった。
 偶然なのか。
 それとも己達、猟兵が間に合ったためなのか。
 そうじゃないと静漓は思った。
 放たれる三日月の光刃が『ザ・スター』を襲う。

「……『ツヴァイ』たちが生きているのは偶然なんかじゃない」
「黙れ! 我の邪魔をするものは、我が旅路、崇高なる使命を妨げる障害は、全て排除する。それが真の平和に繋がるのだ!」
「きっとあなたは本当のヒーローだった。だから」
『幼き少年少女たちの行く末を、我らが決めることはない。彼らは彼らの足で立って歩んでいける。強き心を持つ者。戦いに秀でた者を『エース』と呼ぶのではない。生き残るために懸命に命の輝きを放つものこそが』
「『エース』、あの子たちと言うのね」
 静漓は振るう光刃で『ザ・スター』を打ち据える。
 如何に乖離した心と体であっても、示す輝きは暗闇のような未来を照らす灯火なのだ。
 月光のように、それはきっと誰かの道を優しく照らすはずだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
「ツヴァイ!?飛ばされた先で死ぬなんて冗談じゃないぞ…無事でいろよ!」
SPD

「気になる事は他にもある…けど今は目の前の事態だな」
HAに搭載した予備燃料でブルースティールのエネルギー充填を済ませたら黄金のキャバリアと対峙する
二つのUCを併用してくる相手と悠長に構える訳にはいかない…だったら!

機体のリミッター解除、限界突破した空中機動による空中戦で相手のスピードに対抗しつつ
HLUの誘導弾と展開したLBのマヒ攻撃による制圧射撃で移動先を封じながら一気に接近
冬雷と推力移動を乗せたCBBの全力の一撃を叩き込む

悲劇を止める為にそれ以上の悲劇を生み出してどうすんだ。本末転倒もいい加減にしやがれ!

アドリブ歓迎



 落ちていく二騎の『レーギャルン』は、猟兵たちの手助けもあって、なんとか地上に降り立つことができるかもしれない。
 少なくとも星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)は己のキャバリア『ブルースティール』のコクピットのモニターで観測していた。
 ビームチェインによる牽引はほどかれたが、しかし減速していた。機体の一つを捨てれば、なんとか地上に落下する衝撃を抑えられる。
「飛ばされた先で死ぬなんて冗談じゃない……きっと無事でいろよ!」
 祐一はだからこそ、高高度を飛ぶ。
 この戦場に存在する敵……ファーストヒーロー『ザ・スター』を打倒しなければならない。
 多くの気がかりがある。
 何故、という気持ちもある。

 けれど、それらの全てを排除してでも戦わねばならぬ敵がいるのだ。
 生身単身の『ザ・スター』。
 彼の黄金のキャバリア『レミニセンス・エニグマ』は『エナジー・ゲート』の修復を待つように光を注がれている。
 猟兵たちのユーベルコードがあまりにも、その機体にダメージを与えていたからだ。
 しかし、すでに『ザ・スター』本人にもダメージが蓄積している。
 月光を思わさえるような刃の一撃が彼の体躯を傷つけていたのだ。
「此処で我が使命を果たせずしてなんとする! 来い!『レミニセンス・エニグマ』よ!!」
 修復は不完全であろうに、しかし後には引けぬと『ザ・スター』の『レミニセンス・エニングマ』が再び姿を表す。

 凄まじい速度。
 超新星の如き輝きを放つ機体は、圧倒的な速度で持って『ブルースティール』を翻弄する。
 ついていけない。
 あまりにも疾すぎる。捉えられない。
 それほどまでに敵は圧倒的だったのだ。
「スピードで対抗できない……!」
 空中機動のリミッターを解除しても尚、追いすがることしかできない。
 放たれた弾丸をかすめることもなく『レミニセンス・エニグマ』は『ブルースティール』の背後を取るように空中で翻る。
 見事の一言に尽きるものであった。
 全ての機体性能、技量が此方を上回っている。
「ならよ!」
 悠長に戦っている暇などない。

「これで終わりだ。この一撃で以て、障害は排除する!」
 振るい落とされる『レミニセンス・エニグマ』の一撃。
 背後を撮られたが故の劣勢。けれど、祐一は己が機体のスラスターを全開にし、反転する。
 コクピットの衝撃吸収さえ追いつかぬ急旋回。その場で百八十度回転するようにして機体が反転し、祐一はユーベルコードの輝きを放つ銃口を振るわれる拳に突きつける。
 全力だった。
 この一撃が間に合わなければ、きっと己の機体はばらばらになるだろう。
『レミニセンス・エニグマ』の黄金の拳が銃口に激突する。
 ひしゃげる砲身。 
 だが、冬雷(トウライ)の輝きは発露する。
 炸裂する爆発。
 その爆発が己にも累を及ぼすなど考えもしなかった。いや、構わなかったのだ。それでも、己の一撃が『レミニセンス・エニグマ』に損傷を与えられるのならば、それで十分だったのだ。

 その一撃が互いの機体を吹き飛ばす。
「悲劇を止めるために、それ以上の悲劇を生み出してどうすんだ。そんなの!」
 祐一は吠える。
 プラントを破壊すれば、真の平和が訪れるのかもしれない。
 いわば、争う理由でしかないからだ。
 けれど、と思う。
「それで人が多く死ぬんだぞ! 本末転倒もいい加減にしやがれ!」
 その叫びと共に祐一は、爆発の中に飲み込まれた『レミニセンス・エニグマ』を睨めつけるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクトリア・ノウェム
【紅き嵐と蒼の天使】
……何だか一人で盛り上がってるです……でも逃げないで残るなら都合がいいです。
逃げられたのでまた見つけて追い詰めて、ってなる方がよっぽど面倒です

何かでかくなった味方と連携するです、『Dアヴェンジャー』を載せた『レミエールⅢ』も呼び出して連携、空中機動で高速飛行しながら『ミスリルセイバー』で攻撃してくです
といっても速いから決定打を撃ちに……む、手があるです?なら、任せるです
…って、無茶するです……けど、そのチャンス、逃さないです
ミレア、さんが抑えてる間にレミエールⅢを突っ込ませてガム弾を撃ち込ませ動きを邪魔してから、全力での【G.A.F.C.】、ぶちこんでやるです…!


ミレア・ソリティス
【紅き嵐と蒼の天使】
作戦情報を更新しました
【コード・テュポーン】を発動、敵機へとジャミングミサイルを発射し、周辺へのジャミングにより認識阻害を行い、必要であれば先ほど落下した二機の回収を実行します

回収後、又は回収が不要であれば『Gフリューゲル』『プラズマグリーブ』による空中機動と『サーベラス』による弾幕展開での牽制を織り交ぜ空中戦を行い、敵UCに対してはフリューゲルを副腕形態に変形、ヴィクトリア様をかばい、その攻撃を受け止め、プラズマグリーブでの蹴り、サーベラスでの弾幕、『ノヴァ・バスター』での反撃を狙います
最悪破損がひどい場合は、そのまま敵機の動きを拘束、味方の為のチャンスを作りましょう



「ヴィントシュトス・ヴィントシュティレ転送、機体兵装複合、再構築―――モード・テュポーンへのシフト完了、戦闘開始します」
 それは高高度に生まれた全高21mにも及ぶ巨躯であった。
 ミレア・ソリティス(軍団たる「私」・f26027)のユーベルコードによって変じた全領域対応のヒト型機動兵器。
 それがコード・テュポーンである。
 彼女の体躯はキャバリアを圧倒する巨大さ。
 放たれるジャミングミサイルと共に、ヴィクトリア・ノウェム(はらぺこ空戦天使・f33941)は高高度の空を飛ぶ。
「な、何かでっかくなったです……」
 ミレアそのものたる巨体。
 あまりにも巨大過ぎるがゆえに高高度の戦場にあっては、スケールがあわなくなってしまったようにも思えただろう。
 まるで現実味がない光景である。

「作戦情報を更新しました。先程の落下した二騎は減速、地上への激突は免れる様子」
「それは良い情報です。ですが……」
 ヴィクトリアは見た。
 黄金のキャバリアを呼び寄せたファーストヒーロー『ザ・スター』は懊悩するように、己の心と肉体が乖離した歪みに苦渋の表情を浮かべている。
「何故、理解しない。我が使命は邪神の複製体を生み出すプラントを破壊することだ。それで真の平和が訪れるのだぞ!」
『違う。それはこの世界に生きる人々の生活を脅かすことだ。それは我らが使命に矛盾した行いだ。故に、これを行うことは許されない』
 内在する心と反発する肉体。
 そのためか、動きが鈍っているとも言えるだろう。

「……何だか一人で盛り上がってるです……でも」
「好条件でしょう。この機に一気に攻勢を」
 ミレアノ言葉にヴィクトリアは頷く。
 無人支援機と共に彼女は飛翔し、『レミニセンス・エニグマ』へと肉薄する。
 隙だらけだった。
 けれど、『エナジー・ゲート』より降り注ぐ光が『レミニセンス・エニグマ』に力を溜め込むものであることを知る。
 今までの隙は予備動作にすぎなかったのだ。
 無人支援機とミレアの砲撃に寄る弾幕によって動きは止まっている。
 だが、次の瞬間『レミニセンス・エニグマ』は体高5m級の戦術兵器よりも更に巨大なミレアへと己が拳を叩き込んでいた。
 超高速の一撃。
 躱せるものではなかった。
 凄まじ衝撃をミレアは副腕で受け止めてはいたが、その尽くが破壊されていた。

「副腕脱落。ヴィクトリア様は」
「だ、だいじょうぶです……無茶をするです……!」
 ミレアは己の巨体を囮に『レミニセンス・エニグマ』の一撃を受け止めていた。
 あの一撃を受けてヴィクトリアは無事ではすまないだろう。
 彼女が無事だったのは副腕を犠牲にしたのと、巨大化していたおかげであった。巨大な体躯による蹴撃、そして弾幕が『レミニセンス・エニグマ』に迫るが、尽くが躱される。
 やはり、とミレアは思う。
 己の損害を軽視しなければならない。
 巨体であるためのメリットは一つ。そう、敵の動きを己が腕の内側で補足できるということだ。

 故に彼女は己が身を挺するようにして『レミニセンス・エニグマ』を掴み上げる。
 だが、それでどうにかできるものではない。
 捕まえたと思った瞬間、己が腕がひしゃげる。
「また無茶をして……! けど!」
 動きが止まる。
「無駄なことを! この程度で止まるのならば!!」
「いいえ、これはヴィクトア様の一撃を確実に当てるための方策」
「『レミエールⅢ』!」
 ヴィクトリアの言葉とともに無人支援機からガム弾が放たれミレアの腕ごと『レミニセンス・エニグマ』を拘束する。

 そして、空に輝くはユーベルコードの輝きであった。
「限界チャージ……!G.A.F.C.(ギガ・エンジェリック・フォース・キャノン)……耐えられるものなら、耐えてみればいい、です……!」
 放たれるはヴィクトリアの魔力と天使核より生み出されたエネルギーを一点に集約した魔力砲撃。
 あらゆる防御も意味をなさない。
 如何に『レミニセンス・エニグマ』が防御呪術を前身に配しているのだとしても意味がない。
 全ての防御を貫く一撃は、黄金の装甲を穿ち、その機体を爆発に巻き込ませるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

●UC『神知』使用
|汝の使命を思い出せ《レミニセンス・ザ・ワールド》!
|汝 の 使 命 を 思 い 出 せ 《レミニセンス・ザ・ワールド》!
ヨシヨシ効いてる効いてる
ってなるようなら[叡智の球]くんを介して彼の脳内に度々直接唱えて【精神攻撃】をかけてデバフしてこう!

聞こえますか…?今|脳内《心》に直接語りかけています…
んもー
スターくん?どゆことー?
キミ、|悪役《ヴィラン化》とか|ダークヒーロー《闇堕ち》とかするタイプだっけー?

と色々仕掛けた後でわかったよ!後は任せて!とやって
バラバラXくん!
今こそキミのキャバリアとしての真の姿で攻撃だ!
と変形していい感じにドーーーンッ!



「|汝の使命を思い出せ《レミニセンス・ザ・ワールド》! |汝 の 使 命 を 思 い 出 せ 《レミニセンス・ザ・ワールド》!」
 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は猟兵たちの攻勢によって削がれた黄金のキャバリアを見やる。
 爆発の中にありながら、しかし強靭なる防御呪術によってファーストヒーロー『ザ・スター』のキャバリア『レミニセンス・エニグマ』は未だ機体の形を留めていた。
 凄まじいことだ。
 此処まで追い込んでいて尚、黄金の輝きを絶やさない。
 それどころか超新星の如き輝きを放ってさえいる。
「スターくん、聞こえますか……? 今、|脳内《心》に直接語りかけています……」
 ロニは神知(ゴッドノウズ)によって呼びかける。
 言葉は届くかもしれない。
 けれど、肉体と心とが乖離した『ザ・スター』の内面は懊悩に満ちていた。

 肉体はオブリビオン化し、その使命を如何にしても果たそうとする意志にまみれている。
 他の何をおいても使命を果たす。
 邪神の複製体を生み出すプラント。
 これを破壊し尽くさねばならぬとし、そして嘗ての彼であったのならば、その破壊によって世界に生きる人々から平和が失われることを厭うただろう。
 けれど、永きに渡る旅路は、その肉体をオブリビオンに生きながらに変えてしまったのだ。
「キミ、|悪役《ヴィラン化》とか、|ダークヒーロー《闇落ち》とかするタイプだっけー?」
 ロニは語りかける。
「黙れ。我が旅路の終着点が此処なのだ。漸く終わりが見えたのだ。だといううのに、何もせぬままに次なる可能性を探すなど。ここで終わらせれば、邪神の複製体が生み出されることはない。故に!」
『その犠牲の果てにあるものは果たして平和と呼べるのか』
「生まれ出る者たちの先を見据えればこそ、此処でプラントは一つ残らず破壊しなければならない! そのために!」
『今を犠牲にしても構わないというのか。思い出せ、我が使命を。そうではなかったはずだ』
「うんうん、真の平和、平穏。それを人びとに齎すことこそが君たちの使命だもんね。うんうん、わかった! 後は任せて!」
 ロニは頷き、己の球体へと変貌した『バラバラX』の真の姿をさらす。
 キャバリアとしての真の姿。
 変貌した姿と共にロニは拳を突き出す。

 如何に永きに渡る時が歪み果てさせたものであったとしても、それでも『ザ・スター』が抱えていたものは不変だったのだ。
 心がそうであったように。
 肉体がオブリビオン化しても、心までは強靭な……それこそ、使命に殉じる覚悟と気概を保ち得る存在だったのだ。
「というわけで、ド――ンッ!!」
 放たれる一撃が空に明滅する。
 光の柱が立ち上り、ロニは、砕ける黄金の装甲の破片が地上に落下していくのを見るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
強靭であるが故に骸の海を渡っても生き長らえ、そして生きながらオブリビオンになる
いかに高潔な思想を持っていようとも、オブリビオンになってしまえばその意志は捻じ曲がる…か
いやそれだと、アスリートの連中が素面なの怖くない?ってなるんだけどまあ例外という事で…
兎も角、偉大な先人が醜態晒すのは忍びないしね
此処で止めさせて貰おう

一端空中空母に戻って足場を確保

祈り此処に在らずとも
願い此処に在らずとも
誓い此処に在らずとも
正義此処に在らずとも
超克の意志此処に在り!

超克、オーバーロード
外装転送、模造神器全抜刀
正義の如何を語るつもりは無いけど、自己矛盾してる現状は正させて貰うよ
【剣技・暴嵐剣】起動
レミニセンス・エニグマの飛行軌道を収集し、行動予測
タイミングを合わせて空母より跳躍
そして急降下し、上から強襲
斬撃を叩き込む!
『串刺し』でレミニセンス・エニグマに剣を2本突き立て、固定
残りの2剣での連続攻撃で削っていこう

…若干見てくれは悪いけど、そっちが高速で動くならこうするしかないじゃん?
さあ、根比べといこうか



 強靭であること。
 それは戦いを生き抜くには必要な条件であったことだろう。
 何者にも傷つけることのできぬ強靭さを持つのならば、その力を正しきことに使う心こそが求められる。
 ファーストヒーロー『ザ・スター』はまさしくヒーローであった。
 真の平和と平穏。
 それを他者に齎すために永きにわたり戦ってきた。
 邪神の複製体『レディ』。これを生み出すものを突き止め、破壊する。そうすることで戦いにまみれた旅路は終わりを告げる。

 ――はずだった。

「強靭であるがゆえに骸の海をわたっても生きながらえ、そして生きながらオブリビオンになる」
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は黄金のキャバリア『レミニセンス・エニグマ』を駆る『ザ・スター』が未だ猟兵たちの攻勢を受けて尚、その強靭さを証明するように存在しているのを見やる。 
 如何に高潔な思想を持ち、誰かのために戦う者であったとしても、オブリビオン化すれば歪み果てる。
「いやでもさ、そうなるとアスリートアースの連中が素面なの怖くない?」
 オブリビオン化してもアスリートアースのフォーミュラたちは、カタストロフを防ぐために団結していた。
 あれが例外なのか。
 それとも、何が別の要因があるのかはわからない。
 とは言え、と玲は思う。
 掛け値なしにファーストヒーロー『ザ・スター』は偉大な先人であったのだ。
 ならばこそ、その醜態をさらし続けるのは忍びない。

「邪魔をするな! 我が旅路は此処で終着を見た! それを!」
「此処で止めさせてもらうよ」
 玲は空中空母の船体へと降り立ち、息を吐き出す。
 息を吐いて、吐いて、吐いて。
 己の中にある雑念を吐き出す。

 祈りが此処になくても。
 願いが此処に満ちることなくても。
 誓いが違えようとも。
 正義が歪んでしまっても。
「超克の意志、此処に在り!」
 克己すべきものがある。オーバーロードの輝きと共に玲の瞳が輝く。迸る力。蒼き光とともに外装副腕が転送され、四振りの模造神器が励起する。
 UDCを模した力。
 その発露に『ザ・スター』は、『エナジー・ゲート』の光を『レミニセンス・エニグマ』へと降り注がせる。

「邪神の力を模したか! あの力に天頂を幻視したというのならば!」
『その力すら制御し、己が力と為す事ができるのならば』
「偉大な先輩に正義の如何を語るつもりはないよ。けれどさ、肉体と心が乖離している現状は!」
 正す、と玲は四振りの模造神器と共にユーベルコードの輝きに包まれる。
 荒れ狂うは蒼嵐。
 手にした刀身が励起し、暴風を解き放つ。

「プログラムロード! 剣技・暴嵐剣(プログラム・ランページソード)!」
 互いに踏み込む。
『レミニセンス・エニグマ』の速度は圧倒的だった。
 もとより高速戦闘。加えて、『エナジー・ゲート』より注ぐ光によって超高速の一撃を放つのだ。
 交差させた刀身に『レミニセンス・エニグマ』の拳が激突する。
 空中空母から飛び立った玲の外装副腕がきしむ。
 だが、それは『レミニセンス・エニグマ』も同様だった。彼女の外装副腕が手にしていた模造神器が、腕部を貫いていた。
 砕ける副腕。
 互いに失ったのは二本の腕。
 だが、『レミニセンス・エニグマ』は攻撃能力を失っている。対する玲は未だ二本の己が腕を保持しているのだ。
 叩き込まれる斬撃が、黄金のかすれた防御呪術を切り裂くようにして機体を破壊する。
「まだだ! 我が使命の旅路は!」

 コクピットハッチをぶち抜くようにして『ザ・スター』が迫る。
 凄まじい速度。
 対応しきれず玲は『ザ・スター』の拳の一撃を受ける。
 腹部を穿たれたと思うほどの一撃。衝撃が体を走り抜け、口腔から血反吐が散る。
 しかし、玲の瞳はユーベルコードに輝く。
 此処は嵐。
 そう、高高度にありながら荒れ狂う蒼嵐が存在している。ならばこそ、嵐纏う剣戟は止まることはない。

「さあ、こっからだよ。根比べと行こうか」
 玲は血反吐撒き散らしながら二振りの模造神器を振るう。
 斬撃と拳が激突し、火花が散る。
 見てくれが悪いとか、なりふり構っていないとか、そんなものはどうでもよかったのだ。
「我が使命を!」
『いいや、此処で終わりだ我が肉体よ。確かに我らは使命に殉じたのだ。己達以外の全てを犠牲にせぬために、我が身すら厭わず骸の海に踏み込んだことに後悔はない。我らは紡いだ』
「旅路の終着はそこだ! 終われるのだ! なのにどうして、止められる!」
『我らは託すだけでいい』
 その言葉が紡がれた瞬間、玲は己の一撃が『ザ・スター』の拳に弾かれるのを見た。
 けれど、彼女にはもう一振りがある。
 片手ではなく、両手で握り締めた模造神器の刀身が蒼き嵐と共に振り降ろされ、『ザ・スター』を両断する。

 放たれた一閃は『ザ・スター』を消滅させ、そして急降下していく空中空母を護るようにして暴走衛生の砲撃から守るように徐々に消えゆく『エナジー・ゲート』と共に戦いの終わりを知らしめるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年06月21日


挿絵イラスト