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Sushi gate emergency

#アヤカシエンパイア #安倍晴明 #ブレイズゲート

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#ブレイズゲート


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●アヤカシエンパイア某国、とある坂東武者の館にて
「皆の者! 明日はスシの日だぁー!」
「「「おぉー!」」」
 バカ陽気な声が屋敷に響き渡った。
 |安乗次郎留唯《あのりじろうとめただ》が集まった一族郎党に向かって告げたのである。
 その日の職務を告げる朝礼の終わりにであった。この一帯を統治する彼と一族郎党はいつもこんなノリである。
 かれらは一人の例外もなく大の|鮨《スシ》好きであった。
 この地方ではアヤカシエンパイアでありながら、平安結界が上手い具合に作用したのか、はたまた密かに異世界から伝わったのか、江戸前寿司や現代アースの寿司が作られていた。
 だから貴族も武士も庶民に至るまで、みんなスシ好きなのだ。
 貴族の任命により、この地方一帯を治めている次郎留唯の館でも週に一度は集まって一日中スシ宴会を行っている。その時は周辺に住まう庶民も集まって大々的にやるのがならわしだ。

 そんな愉快な所だったのだが……。

「次郎様ぁー!」
 次の日の朝早く、下人の一人が次郎のもとへ駆け込んで来た。
「どうしたっ?!」
「そっ外が! 外の様子がおかしいんです……!」
 次郎は慌てふためく下人の様子を見て、急いで外へと向かう。
「これはっ……!?」
 次郎が見た光景は次のようだった。
 空は紅に染まり、朝だというのに月が浮かんでおり、しかもただの月ではなく果てしなく大きく、そして空より鮮やかな紅の月だ。空には奇妙な影が飛び、全体的に薄暗く、物陰には小さな何かが獣の目のように光っており、鹿とも鳥ともつかぬ何かの声が時々聞こえる。
「まるで地獄のような光景ですよ!」
 下人がこう言うのを聞いて、次郎はどこか浮世離れした彫りの深い顔に気難し気な表情を浮かべる。
 しばし思案してから、口を開いた。
「あわてるな。まずはスシだ!」

●グリモアベースのグリモア案内
「安乗 留唯……何だか親近感がある名前だな」
 安乗ならぬアノルルイ・ブラエニオンはグリモアベースに集まった猟兵達に、どうでもいい所感を告げた。
「次郎というのが通称なのだな。この次郎というのは坂東武者なのだが、彼の治める一帯がブレイズゲートにされてしまったのだ!」
 ブレイズゲート。
 魔軍将「安倍晴明」がアヤカシエンパイアに現れ、秘術『|白炎換界陣《びゃくえんかんかいじん》』によって平安結界内部に築かれた村や都を、妖溢れる奇怪な迷宮、ブレイズゲートに造り替えてしまうという事件が現在、発生している。
 これもその一つだという。
 ブレイズゲートの内部では多数の妖が無限に分裂と成長を繰り返しており、放置すればブレイズゲートの外にまで溢れ出すのも時間の問題だ。
「まったくあの悪趣味水晶屍人はとんでもない事をしてくれたものだ!この間も朱海が、彼奴が野に放った日野富子ゾンビを駆除する依頼を出していたが……それだってまだ完全には解決していないんだぞ、だというのにまだ飽きたらんらしい、あの悪趣味水晶屍人は!大体、エンパイアウォーが終わってどれだけ経ったと思っているのだ、何度も出てきて恥ずかしくないのか!」
 好き放題言うアノルルイ。安倍晴明はこんなところでも大人気のようだ。
「何の話だった、そうブレイズゲートだ!
 もちろん一刻を争う事態だ。君達にはすぐに乗り込んで破壊してもらう……だがその前に問題がひとつある」
 アノルルイは鋭い目付きで人差し指を立てた。
「現地住民は大のスシ好きだ。
 そろそろスシを食わないと死ぬ!」
 誰も意味がわからなかった。
「巻き込まれた人々はこの非常事態だというのにスシパーティーを開こうとしている。
 逃げ遅れる可能性が高まるのは言うまでもない。
 準備やパーティーの最中に襲われれば一網打尽だ。そんなことをしている場合ではないのだがしないわけにはいかんようだ。変な坂東武者!
 君達はまずこいつらにスシを振る舞ってやって欲しい。だが材料は妖どもに襲われて食われてしまうのだ……だから材料を集める所からだな。現地住民は逞しい人々だから手伝わせても構わないぞ。
 無事スシを作ることができても、今度はスシパーティー中に敵が襲ってくる!こっちはスシを食っているのに敵は大真面目だ。なんだこの状況?!敵にとっては不可解だろうがお帰り願え!
 そこまでやってようやくブレイズゲート攻略が始まる。君達は次郎らと共に迷宮の主を倒すのだ……そうすれば人々を救うことができるだろう」
 ここまで一気に言い終わってからアノルルイは一息ついた。恐るべき肺活量である。そして大きく息を吸った。
「以上だ!人々の手に平安を取り戻してくれ。検討を祈る!」
 そう言って角笛を吹き鳴らした。


デイヴィッド
 ハーイ!アイアム デイヴ!

 変なブレイズゲートです。人を選ぶ内容ですのでご注意ください。

●第一章
 スシが食いたくなって仕方がない人々が好き勝手やって危険な目に合うのを防ぐため、スシを食わせます。
 材料は基本的にブレイズゲート内で調達しますが、妖蠢く迷宮なので変な材料が採れたりします(MSがプレイングに基づいて決めます、全く指定しなくてもいいです)
 安全な材料を持ち込むのも可能ですが何がどう転んで変なスシができるのかはわかりません。
 たとえマズくても原住民は『スシを食った』満足感は得られます。

●第二章
 原住民はまだスシを食っている最中なのにシリアスに敵が襲ってきます。
 敵はシリアスになりたいのに原住民の様子を見て引きます。第一章のノリをそのまま引き継いでもよいですし、シリアスに戦ってもよいでしょう。

●第三章
 原住民がようやく外に出る気になって行動を開始します。ボスが行く手を阻みますが、スシのことしか考えていない原住民の様子に引きます。

●全章を通じてNPCに協力を要請することが可能です。OPに登場した人物の他、次郎の一族郎党や庶民などがいます。
 登場頻度は、プレイングに記載がなければただ茶々を入れるだけとなります。

●第一章のフラグメント投稿者様によれば、平安時代にも鮨は存在し、鹿や猪の鮨、フナ・アユ・サケ等の鮨も作られていたそうです。
 このシナリオではそれにとどまらず、現代日本で食えるレベルのスシが作られているという設定です(公式設定とは違っている可能性があります)。

●MSが執筆する時間は主に金曜日の夜から日曜日となっております。
 それ以外に送っていただいたプレイングは不採用となる可能性がありますので、もし不採用となった場合、再送頂ければ幸いです。ただし確実に採用を約束できるものではありません。
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第1章 冒険 『そろそろ鮨を食べないと!!』

POW   :    鮨!!旨すぎる!!反省しろ!!!

SPD   :    なんて旨さなんだ鮨!!限界は無いのか!!!

WIZ   :    そろそろ鮨のファンクションを開始する!!!

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「予定を早めるしかあるまい!近隣の村人達にはすぐ屋敷に来るよう伝えよ!道中の安全確保も怠るな!」
 次郎はこの非常事態に対してすぐに集まった一族郎党に指示を飛ばした。
「次郎様!一大事です!」
「どうした!」
 そこに駆け込んできた下男にすぐさま向き直る次郎。
「兵糧庫がっ……!」

 次郎が下男に言われて兵糧庫に来て見ると、無惨に荒らされた後だった。
「今日のための……スシの材料がっ……!」
 壁にはぼろぼろに穴が開いており、昨日まで溜め込まれていたあらゆる寿司のネタや酢飯、味噌汁、生米に至るまで、すべて何かに食い荒らされ何も残っていなかった。
「次郎様、お気をつけて下され!妖どもが出入りしております!」
 そこを警護しているのか、武装した郎党の一人が物々しい雰囲気で言った。
「しかし……これでは寿司が……」
「どうしてこんなことに……」
 下男はじめ、大いに落胆した者達の姿が認められる。一様に暗い表情を見せていた。

「諦めるな!」
 次郎は一喝した。
「最後まで希望は捨てるな!何としてでも寿司を握るのだ!」

「す……寿司……」
 しばしの静寂の後で、誰かが口を開いた。
「寿司……」
「寿司……!寿司……!」
「寿司!寿司!寿司!」
「「「「寿司!寿司!寿司!」」」」
「「「「寿司!寿司!寿司!」」」」
「「「「寿司!寿司!寿司!」」」」
 やがて、そこにいる全ての者が、寿司コールを繰り返した。

「私が……私達が寿司だ!」
「次郎様意味がわかりませぬ」
 微妙に纏まらなかった。
シン・クレスケンス(サポート)
◆人物像
落ち着いた雰囲気を持つ穏やかな青年。
窮地でも動じず冷静な状況判断で切り抜ける。

UDC組織のエージェントであり、魔術を会得し目的の為に研究し研鑽を積む魔術師でもある。

生来、探究心や知識欲が旺盛(どの分野でも)。
(魔術の研究をしている為)魔術やそれに類する学問、技術に特に目がなく、それらの品や事象の情報を仕入れては一頭と一羽を連れ各地を飛び回っている。
UDCの『ツキ』曰く、ワーカホリック。

◆口調
・シン→ステータス参照
(※使役は呼び捨て)
・ツキ→俺/お前、呼び捨て
だぜ、だろ、じゃないか?等男性的な話し方


武富・昇永
そこまで寿司が食いたいのか!ここまでくると感服するほかない!
坂東武者は妖に肉体を憑依させて戦うという無茶なことをすると聞くし
この程度のことでは焦りもしないということか…

あれほどの豪快な戦闘集団を全員無事に退避させたとあれば大手柄は確実!
ならば早急に彼らの欲求を満たして無事に送り届けるとしよう!

寿司といえば魚だろう!だから川か池を探す!探索は{座敷式神・出世魚モジャコ}にやらせよう!
({座敷式神・出世魚モジャコ}を召喚すると『欲望解放』して溢れた出世欲を式神に注いで『情報収集』能力を強化する)

あとは【出世道・雑兵首まとめ狩り】で雑魚共を刈り取りながら材料を集めるとしようか!



「そこまで寿司が食いたいのか!」
 はなだ色の狩衣姿、流麗な黒髪の貴族の男。武富・昇永(昇鯉・f42970)は、ブレイズゲートに飲み込まれた次郎の屋敷に転移し、寿司作りに燃える次郎に挨拶して一言か二言話した。そして彼の人となりを理解してこう口にしたのだった。
「ええ、食いたいですな!」
 相手が貴きご身分なので敬った口調になっているが、豪快さは微塵も変わらない様子で次郎は答えた。
「本来ならば歓待したき所ではありますが、残念ながら材料を切らしておりましてな!ただ今集めさせております故、しばしお待ちくだされ」
 次郎は昇永が何をしに来たのかわかっていなかった。
「いいや、それには及ばぬ」
 昇永は次郎に現状を説明し、それでは承知しないだろうから仕方がないから寿司を食わせてやろうというつもりだということを説明した。
「何と、貴族の方の助力を頂けるとは心強い!」
「俺だけではないぞ。皆が貴族ではないが一騎当千の強者ばかり」
 昇永はそう言って、傍らの男に目を向ける。
 埃一つないスーツ姿で眼鏡をかけた落ち着いた青年だ。やや長身の昇永より少し高く、目には知的な輝きを見てとれる。
「シン・クレスケンス(真理を探求する眼・f09866)と申します。よろしくお願いします」
 非の打ち所のない丁寧な口調で自己紹介した。
「|安乗次郎留唯《あのりじろうとめただ》に御座る。この事態の解決のためには協力を惜しみませぬ。何でも言うて下され!」

 次郎に挨拶を終えた二人はすぐさま館の外へと向かった。
「……楽しそうですね」
 シンは道すがら、昇永に言った。
「シン殿こそ!何か興味を惹かれるものでもおありかな?」
「ええ。安倍晴明の秘術『|白炎換界陣《びゃくえんかんかいじん》……平安結界を上書きしその内容を書き換える……これは是非とも研究せねばと」
「シン殿は知識欲が旺盛なのだな。俺も旺盛だが、別の欲だ!
 貴族社会は成果主義だ。あれほどの豪快な戦闘集団を全員無事に退避させたとあれば大手柄は確実!
 この事態を収束させ、俺はもっともっとのし上がるのだ!」
 互いに求めるものが明らかな者同士、意気投合して外へと向かっていく。

 外に出ればそこはもはや別世界だ。
 空の色は見ていれば移り変わるように不安定だ。赤や緑、紫……共通して薄暗く、何の脈絡もなく暗雲が立ち込めていることもある。遠景は霧のようなものに覆われて見えないか、砂漠や海、山野や氷原が蜃気楼のように移り変わって消える。
「まやかしでしょう」
 シンは微塵も冷静さを揺るがさずに言った。
「問題ない。風景を頼りに進めば迷おうが、俺にはこの者がいる」
 昇永は座敷式神・出世魚モジャコに呼び掛ける。
 昇永の溢れんばかりの出世欲を受けたモジャコは、それに応じて探索能力と鱗の鮮やかさを増す。
「寿司といえば魚だろう!モジャコよ、川か池を探すのだ!」

 果たして……。

「ブレイズゲート内にこんな場所が!?」
 見渡す限りの大海原だった。
 それも、昇永とシンの『両横』に、壁のように水面がそびえ立っているのである。
「ブレイズゲートは通常の物理法則が通用しない場所と聞きます。この海ももとからあったものか……それともどこか別の空間と繋がったものか……」
 シンは眼前の光景を、冷静に分析しようと試みていた。
「考察は後だ、シン殿。海とあれば都合が良い……海の幸の宝庫ではないか!」
「そうですね。考えるべきは食材確保の方法……あれは!」
 その時、両横から丸太ほどもある触手が、何本も現れて昇永とシンに挑みかかるように伸びてきた。やがて、鯨ほどはあろうかという程のタコの頭が現れる。
 水面を見れば他にも巨大な怪魚や蟹、人の顔を持っていたり、ほの暗い水の中で不気味に光ったり……まさに海の百鬼夜行といった様相だ。
「これは好都合」
「考えるまでもないと」
 昇永が妖切太刀・御首級頂戴丸を構え、シンが眼鏡を指で持ち上げる。
 そう、猟兵が、この程度の事態で狼狽えようか。
「参る!」
 昇永が飛び出すと、正面にいる大蛸に向かい御首級頂戴丸を振るう。
 ──出世道・雑兵首まとめ狩り──
 未だ剣の間合いではなかったがその一瞬、刃が巨大化した。
 己の身長をはるかに上回る長さとなった刃を昇永は易々と振るい、瞬く間に大蛸の触手をぶつ切りにし、その周辺にいる怪生物をも三枚に下ろす。

「混沌から産まれし槍よ、我が命に従い、立ち塞がるモノを封じ殲滅せよ!」
 その場に踏みとどまったシンの周辺の空間に、彼の力を帯びた言葉に応えて、未知の材質で出来た黒い槍が幾本も形成される。
 ──|殲滅の槍の召喚《サモン・アナイアレイター》──
 それは幾何学模様のような軌跡を描いて飛び、周辺に群がる海の妖の体に銛のごとく突き刺さる。それが刺さった妖には電流が流れ、瞬く間に活動を停止させた──雷属性を帯びていたためだ。
「大漁旗が無いのが残念です」
 シンは満足げに言って、眼鏡を持ち上げる。
 妖ばかりではあるが、どうやら、海の幸には困らないで済みそうだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アトシュ・スカーレット(サポート)
性格
悪ガキから少し成長したが、やっぱり戦うのは好き
大人に見られるように見た目的にも精神的にも背伸びしている
目の前で助けられる人がいるなら積極的に救おうとする
口調は「〜だな。」など男性的

戦闘
【呪詛(腐敗)】と「棘」を組み合わせ、万物を強引に腐敗させる方法をついに編み出した
前衛も後衛もやれる万能型だが、前衛の方が好き
複数の武器を同時に操ることも可能
高速戦闘も力任せの戦闘も状況に応じて使い分ける
(装備していれば)キャバリアにも対応可
光や聖属性は使えません

非戦闘
聞き耳などを駆使した情報収集を中心とする
化術で動物に化けて偵察することも


伊槻・阿音香
…なるほど!晴明なる者とぶれえずげえとが悪いやつなのはわかったぞい!
先日腰をいわした主様に代わり、わしが祓ってくれようぞ!
…ところで、スシとは何じゃ?

なにッ!?必要な材料が奪われた!?
よくわからんが、そのスシなるものがこの状況を打破するために必要ならば致し方ないのう!
盗人が妖どもなら、この近くをうろつく誰ぞがまだ隠し持っておるじゃろ!
わしが片っ端からしばき回してやるぞい!
持っとらん?おうお主ちと跳ねてみよ!

これでいくつかは取り返せたかのう…
ん!?誰じゃお主は!…次郎様の郎党じゃった!
…なにッ!この妖を!?たしかに魚に見えなくもないが、妖なんぞ喰って大丈夫なんか!?

わからぬ…スシとは何なんじゃ…



「何と面妖な、村の中に階段があるとは……?」
 次郎の郎党のうちの何人か、近隣の村の人々の様子を見に行った者達は変わり果てた村の様子に面食らっていた。ブレイズゲートとなってしまった周辺は位置関係も複雑に変わっており、彼らにとっては見知ったはずの村を見つけるだけでも一苦労であった。
 しかも怪我人がいたのだ。妖に家を襲われ、倒壊に巻き込まれてしまった男がいた。子供も何人かいて、屋敷までの移動は困難を極めると思われた。郎党もここまで来る道中に、何度か妖に襲われたのである。
「放ってはおけぬ!怪我人はわしが背負うゆえ、皆で屋敷に向かうぞ」
「待てよ。ここは任せな」
 そこに現れた者があった。
 女性のような顔立ちのすらりと背の高い人物。衣服は現代アース系の落ち着いた色合いのものを着ていた。武器を携行しており、ブレイズゲートを探索するものであることがわかる。
 彼こそは、アトシュ・スカーレット(神擬の人擬・f00811)。この事態を打開すべく転移してきた猟兵である。
 アトシュは、怪我をした男性の前にしゃがみ込んだ。
「この指輪に触れて力を抜くんだ」
 穏やかに言った言葉通りのことを男性がすると、男性の姿は掻き消えた。
「『空間作成』だ……指輪の中に家があると思ってくれ、そこで休んでいてもらう」
「おお……ありがたい、これなら屋敷まで運べるぞ!」
 郎党はユーベルコードの存在を知っているため、すぐに納得した。
「ところで、持っていってもいい食べ物はあるかい。飯とか、醤油とか酢とか……次郎様の所で必要なんだが……」
 アトシュは男の妻とおぼしき女に聞いた。

 その時、突然走ってくる足音が聞こえた。

「そこな動くな、盗っ人どもめ!このわしが直々に懲らしめてくれるわ!」
 階段(村の別の空間に通じている)を降りてきたのは、女の子のような髪が生えている、直立する狐……が巫女服を着ている姿だった。
 その人物は、アトシュに薙刀を突き付ける。
「……む?!もしや妖ではない?」
「どっちかと言えばそっちが妖に近いんじゃないか、キツネだし」
 何かを察して、アトシュは冷静に言った。 
「それは済まなんだ!早とちりじゃ!
 わしは猟兵の伊槻・阿音香(式神の検非違使・f43624)! 
 この事態を収集するのに必要な"スシ"なるものの材料が盗まれたと聞き──」
「待て。転移の時にいただろ。もう会ってる」
 阿音香は慌てるあまり猟兵に対して自分は猟兵であることを説明した。
「おお、そう言えばそうじゃな。わしは盗まれたスシの材料を探しているのじゃが、お主は?」
「近隣の村の様子を見て回ってる。っていうか待てよ、寿司の材料ならもう食われてるんじゃねえのか?」
「なにっ!?スシとは……もしや食い物なのか!」
「知らねえの?」
 大きく目を見開いて驚く阿音香にアトシュは呆れる。世間知らずな10歳の少女式神だった。まあ、この地方の寿司の普及っぷりはアヤカシエンパイア全体で言えば異常なことではあるのだが。
「ううむ……では材料となるのは……」
「色々あるけどもちろん食えるものだぞ、寿司は飯に魚とか卵とか乗せたり、海苔で巻いたり、色んなものを組み合わせた料理だな」
「何ということじゃ……む、それは何じゃ?」
 阿音香は先程の怪我をした男性の妻とおぼしき女が持ってきた、米に視線がいった。
「米ですけど……」
「米はそのままでは食えぬよな。もしかしたら米も盗まれておるやも知れぬ!こうしては居れぬ、わしは探してくる!」
「おい、一人で」
 大丈夫か、と聞き終わる前に阿音香は走り去っていった。
 アトシュは先程の怪我人や、まだ移動が遅い子供達も異空間に収納して次郎の屋敷に連れていく必要があったため、阿音香をすぐに追いかけることは出来なかった。
「心配だ……」
 それは阿音香の命が、というより、阿音香が何をするのか、と言うことがだった。

 ……阿音香は真っ白な砂漠を歩いていた。空も真っ白で、自然界には存在するとは思えない異様な光景だった。だというのに生き物はいる。飛んでいる。
「なっ、なんという大量の雀なんじゃあ」
 最初、巨大な化け物が空を飛んでいるのかと思った。それは近くで見ると、普通のサイズの雀の巨大な群れだった。何重にも重なった鳴き声がとんでもなくうるさい。
「もしやこれが……米を盗んだ妖……」
 阿音香は近づいていく。
 するとどうしたことか、雀の群れは一ヶ所に集まっていくではないか。
 膨張した雀の群れが、明らかにおかしい密度に収縮していく。それは、人間一人分の大きさだった。
 収縮を止めた時、その影は、人の姿になっていた。狩衣を着た、どこか高貴そうな佇まいだが、髪も髭も伸ばし放題だった。最初座っていたが、やがて立ち上がり、阿音香を見て笑った。
 およそ人間とは思えぬ者の笑みだ。そこに込められた感情は計りがたいものではあったが、少なくとも親愛とはかけ離れた、どちらかと言えば、獲物を見つけて残忍な悦びを覚えた時の顔だ。
「……妖め、覚悟!」
 猟兵であり式神である阿音香をもってして、気を抜けない相手であるということがわかる。
 妖は人の姿から、また何百何千という雀の大群の姿へと変じ、一斉に阿音香に襲いかかった。
「ハァーッ!成敗!」
 阿音香は薙刀を構える。ユーベルコードで神霊体となった彼女は、薙刀から衝撃波を放っての攻撃が可能だ。
 阿音香が敬愛する主がこれまでそうしてきたように、阿音香もまた、妖へと向かっていく。

「……ぜぇ……ぜぇ……」
 数分後、全身が突っつかれまくった阿音香の姿があった。
 激闘の末、妖には勝ったものの、阿音香自身は傷だらけだ。
「おう、ここにいたのか」
 倒れている阿音香に声をかけるものがあった。アトシュだ。
「お主は先刻の……。そこに妖が倒れておろう、どうじゃ、盗んだ米は持っておったか、確かめてはくれぬかのう……」
 阿音香は弱々しい声で頼む。
「妖、って……この尋常じゃない数の雀のことか……こんなのの相手してたのか、こりゃ避けた方がいい相手だったな……」
「米は……?」
「雀だからな、もう食ってしまってんだろ」
「なにっ!?雀は米を食うのか!?」
「知らねえの?」
 入内雀、または実方雀と言う妖の伝承がある。訳あって陸の孤島とでも言うべき地方へと左遷された藤原実方という人物の怨霊が、雀となって都に現れ農作物を食い荒らしたという。これがそれそのものだと断言できないが、本当に雀の怪異に狙われたのであれば、米など一溜まりもないだろう。
「何ということじゃ……わしは役には立てんかったのか……」
「いいや、戦果はあったぜ」
 アトシュは阿音香を鼓舞するように力強く言った。
「申し分のねえ量の鳥肉がここにあるだろ」
「鳥肉……?雀か!しかしさっき人の姿に変わっておったぞ、食べて大丈夫なのか!?」
「なに、雀になったのなら人じゃねえだろ」
 ダークセイヴァーの過酷な環境をよく知るアトシュには、そう言えるだけの逞しさがあった。
「帰ろうぜ」
 二人は持てるだけの雀を持って、武家屋敷へと帰還するのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

百地・モユル(サポート)
熱血で好奇心旺盛
本が好きな小学生

正義感が強く困っている人は見過ごせない

UDCアース出身
技能の世界知識でほかの世界のこともわかるかも
あとボクが持ってる技能で
使えるのは…
情報収集、コミュ力、時間稼ぎ、救助活動、学習力、暗視、聞き耳あたりかな?
それに勇気と覚悟と気合い!

このあたりの技能を使って調べられることは調べたいし

もし力仕事とかで必要ならトリニティエンハンスやストロンゲストモードなどのパワーアップ系UCも使うよ

今日はここの世界か…どの世界も、ボクたちがちょっとずつ良くしていければいいね

アドリブ絡み歓迎



 寿司に飯は欠かせない。
 ごく当たり前のことだ。

 だから、安乗次郎留唯の屋敷で大寿司宴会が催される時、台所は下女達の戦場となる。

 そして戦場である以上は、猟兵の存在は大きな助けとなる……!

「水の魔力!」
 釜に盛られた米に清潔な水が注がれ、
「炎の魔力!」
 くべられた薪は勢いよく燃え上がり、
「風の魔力!」
 丁度いい量で送られる風がそれを維持する。
 ユーベルコード、トリニティ・エンハンスは米を炊く時に重宝するということを、百地・モユル(ももも・f03218)は知った。
 何しろ色々な事を学ぶ小学生。柔軟な発想と大胆な実行力、それが大きな意味を持つ年頃だ。加えて正義感が強く困っている人は見過ごせないモユルの性格、それは現地の人々を大いに助けることとなった。
「凄いですモユル様!こんなに早く火が起こるなんて……それに水を汲まなくてもいいなんて!すごくたくさんのお米を炊くから、水を用意するだけでも大変だったんですよ!」
 モユルの傍らでは若い下女がはしゃいでいる。料理に専門的な知識のないモユルに指示を下すために付けられたのだ。アヤカシエンパイアの技術水準は平安結界があるといってもあくまでも平安時代基準、そしてその平安結界も今は|白炎換界陣《びゃくえんかんかいじん》で歪められている以上まともに機能する保証はない。そんな中、ユーベルコードでの助力はオブリビオンとの戦いに匹敵する程に、生活に役に立った。
「へへ、みんなが楽しみにしてる事を、止めさせるわけにはいかないもんな!
 魔法はみんなの役に立ってこそだぜっ!」
 モユルは元気に言った。そして釜を見る。ぐつぐつと鳴って蓋が揺れ、ご飯が炊ける時の香ばしい香りが広がってくる。こういうものが、命を繋ぐのだ。
 米は近隣の村人達から非常徴収(と、いっても村人達も今日の寿司パーティで食べるのだが)してきたもので、村人を救助し屋敷まで誘導する時に一緒に集めてきた。その時はモユルも救助活動に加わっていた。米を見ているうちに、トリニティ・エンハンスがご飯を炊くのに使えないかと閃いたのだった。
「でも寿司は飯だけじゃ作れないぜ!醤油とか酢とか、大丈夫なのかっ?!」

成功 🔵​🔵​🔴​

印旛院・ラビニア(サポート)
・境遇的なものもあり、思考や嗜好は成人男性のものです(恥ずかしい境遇なので自分からは喋らない)
・基本的にはヘタレで気弱、慎重な面がありますが、物事がうまくいったり周りに煽てられるとイキり散らかして墓穴を掘ることもあります
・なんだかんだで人がいいので困っている人につい手を差し伸べたりしちゃいます
・やり込みゲーマーで現状を学ぶ【学習力】と自分のプレイに【チューニング】できる応用力が武器

 UCは指定した物をどれでも使用し、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。えっちな展開はコメディ目であれば許容
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「──足りないものは酢と醤油が、これだけですね?」
 廊下で下女の話を聞きつつメモをとっているバニースーツの女の子がいる。格好は場違いなくらいセクシー&キュートだが表情は真面目そのものだ……ついでに言えば、人格は男性だ。彼女(※便宜上こう表記する)は印旛院・ラビニア(エタらない人(仮)・f42058)である。
「わかりました、それじゃ大豆と酒粕をあるだけ用意してください!」
「え!? ……大豆と、酒粕ですか?」
「僕の方でも屋敷を探して……足りなければ村まで行ってきます!見つけたものはここに持ってきてください!」
 そう言って下女と別れた。

 そうして、数時間後にラビニアは戻ってきた。
「あっ、ラビニア様!言われたものは、これだけ見つかりました……でもこれをどうするんですか?」
「足りるかどうかはわかりませんがやってみましょう!」
 そして身に付けていた小さなポーチを開けて、酒粕を掴み、無造作に入れた。
「い、いったい何を……え?ええっ!?」
 次の瞬間、ラビニアは瓶に入った液体を取り出した……薄い黄金色の液体……それは『酢』だった。
 酒粕を原料として酢を作ることはできる。しかし、それには長い醸造時間が必要なはずなのに……瓶まで。
 それから、大豆をポーチに突っ込んで、今度は黒い液体の入った瓶を取り出す……『醤油』だ。
「……さすが次郎様のお客様は怪しげな術をお使いになる!……でもとっても便利ですね!」
 下女はもう思考は放棄して結果だけ受け入れてしまっている。
「今は方法なんて選んでいられないからね!」
 世界観とか情緒とかいってる場合ではない。
 こんなことをできるのも、ラビニアが元々はゲーム世界の住人だからだ。ユーベルコード、|どこでも工房《どこでもクリエイションができるアトリエ》は、ゲームにおける『アイテム製作』を実現するものだ。使い方は、アイテムポーチに素材を入れるだけ。見た目は小さなアイテムポーチだが、中身はゲームのインベントリなので大きさなど気にせずに入れられる。現に今、『樽』が入っている。これは醸造を行う素材で、他に大豆があれば醤油を、酒粕があれば酢をすぐに、瓶に入った状態で製作可能だ。これがGGO流の生産システム。猟兵ともなれば別世界にそれを持ち込むぐらい容易い。
(この瞬間がたまらない!)
 今ラビニアは生産者の悦びを感じていた。
 しかも用途がはっきりしている。スキル上げだけに大量に作って銀行前とかに捨てるのは訳が違う。生産者冥利に尽きた。
「ものを作るのって楽しいよね!」
「これ、作るって言うんですか?」
 ただ、凄すぎてリアリティはなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

エドゥアルト・ルーデル
そろそろ寿司を食わないと死ぬぜ!

寿司を愛する者よ…寿司が無ければ今から作りに行けばいいだろうこの野郎!反省しろ!うるせえ黙れ!
と郎党共と互いに食い気味に会話(のドッジボール)しながら勢いのままにブレイズゲートとか言う迷宮に突入でござるよ!
いや…違うでござるな…今からここはブレイ寿司ゲートだ!!

みんな!得物は持ったな!行くぞォ!
ブレイ寿司ゲートとやらからは妖が出てくるんでござるよね?じゃあ中にいるソイツらを捌いて寿司にすればいいんだよこの野郎!植物系ならシャリに!ネタは…まあなんかいた奴で!食えると思えば食えるんでござるよ!寿司のフィールを高めろ!うるせぇ黙れ!!

みんな!˝寿司˝決めろォォ!!



「ヒャッハー!そろそろ寿司を食わないと死ぬぜ!」
 |お決まりの掛け声《ヒャッハー》をキメながら突如として次郎の屋敷に突入してきたその男の顎には黒い髭があった。
「誰だお前は!」
 と、郎党の一人が問いかける。
「うるせえ黙れ!」
「なにっ!?」
「寿司を愛する者よ…寿司が無ければ今から作りに行けばいいだろうこの野郎!反省しろ!」
「なにっ!?」
「というわけで!拙者はこれから材料を狩りに行く……寿司を愛するならついてくるでござる!」
「なにっ!?」
「うるせえ黙れ!」
 ワンパターンなリアクションの郎党と意気投合(?)したその男こそは、エドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)であった。
「そうまで言われて行かないわけにはいくまい!ヒゲの御仁とともに何人か行くがよい!」
 遠くから見守っていた次郎が、指揮を執る自分の代わりに何人かの郎党に指示を下す。
「いざ行かん!ブレイズゲート……いや…違うでござるな…今からここはブレイ寿司ゲートだ!!」
 安倍晴明何するものぞ。
 迷宮しかないならば、迷宮を我らが寿司のために利用するまで!
「みんな!得物は持ったな!行くぞォ!」
「「「「「応!」」」」」
「うるせえ黙れ!」
 嗚呼……エドゥアルドと武者達が征く!
 果たしてそこは完全なる別世界。
 空の色は時とともに千変万化し、砂漠や海、山野や氷原が蜃気楼のように重なっては消える。
「エモノがいたぜでござるよ!」
 妖しげな風景に動くものを見つけたエドゥアルドは躍りかかり、郎党もそれに続く。
 果たしてそこにいたのは踊る骸骨。
「こんなモノ食えるかー!」
「うるせえ黙れ!食えると思えば食えるんでござるよォォ!」
「|真に《マジで》|申して《言って》|御座るか《んのか》黒ヒゲ殿!」
 略奪!相手が骨しかなかろうが問題ではない!
「次!」
 顔のついた琵琶に手足が生えた妖だ。
「ヒャッハー!」
 どこをどう食うのかも考えずにハントする。 
「次!」
 筆に記すのもはばかれるような見た目のでかい蟲。
「節足動物ヒャッハー!」
 郎党は顔をしかめていたが、エドゥアルドは嬉々として捕獲した。
「次!」
 豪華な着物を纏った鬼か何か。地獄の書記官とかではなかろうか。
「倫理観?かなぐり捨てろぉ!寿司のフィールを高めるんでござるよォォ!」
 嗚呼……世紀末!
 悲しい哉、ブレイズゲートとあっては明らかに友好種族と言えないものは全て敵。そういう解釈が罷り通る。
 スシのために狩猟人となったエドゥアルドにとってはクソッタレな天国だ。
「みんな!˝寿司˝決めろォォ!!」
「「「「「ウオオオオオオ!!!」」」」」
「うるせえ黙れ!」
 エドゥアルドの熱気にあてられたのか、郎党達が野性味溢れる雄叫びをあげる……しかし彼らはこの時、内心『どんなスシができあがるのか』心配であった……。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『堕落陰陽師』

POW   :    簡易護法・略式十二神将
自身の【護符 】を代償に、1〜12体の【陰陽属性に応じた式神】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
SPD   :    汚染式神・蔓延妖怪変化
レベル×1体の【妖に汚染された式神 】を召喚する。[妖に汚染された式神 ]は【陰陽】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
WIZ   :    反転妖術・平安爆弾
戦場の【平安 】属性を吸収して【妖】状態に変えると共に、[平安 ]属性の【自爆式神】を放ち視界内全てにダメージ。

イラスト:すずや

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


・本日のネタ

 白身魚(怪魚)
 赤身魚(怪魚)
 大蛸
 化け蟹
 穴子寿司風の何か
 雀の照り焼き(山盛り)
 恨み骨髄
 名状し難いデカい虫のトゲトゲした長い脚の中から抜いた肉
 鬼の……どこか
 琵琶(※楽器)
 
「寿司!最高にうまいぜ!」
「寿司!うますぎる自覚はあるのか!」
「寿司!うますぎるだろ!反省しろ!」
「寿司!あはれなり!いとをかし!」
「寿司!いみじうあはれにをかしけれ!」

 坂東武者達や地域住民の食いっぷりと言ったら筆舌に尽くしがたいものだった。まず、誰一人黙って食わない。食ったら叫ぶ。叫んだら食う。中には食いながら走り回ったり跳び跳ねたりしているものもいる。
 ……猟兵は、別に食っても食わなくても良い。

「うわっ コイツら ヘン」
 かれらが引くのも当然と言えた。
 あまりにあまりだったから口調までヘンになってしまった。
「ブレイズゲートの中でスシを……コイツら……正気か!」
「構うな、今のうちにやってしまえ、スキだらけではないか」
「そうだな……」
 かれらはねじ曲がった思想信条に準じる陰陽師達だった。ブレイズゲートの効果で分裂増殖しており、何パターンかの同じ顔がいくつも並んでいる。
 かれらは安倍晴明に同調し、活動に乗じて行動を起こしているのである。具体的にはこうしてブレイズゲートに入って、逃げ惑う人々を見て楽しみ、もし希望を持って脱出しようとしている者がいれば、その希望をくじくのを目的としてここにいる。
 だというのにバカ騒ぎしてスシを食っている連中に出くわしたものだから、どうして良いかわからず引いてしまったのだった……。

「むっ!誰だお前ら!?」
 だが、やがて郎党の一人が陰陽師達に気づいて、皆がかれらを見た。
「「「「「我ら、安倍晴明と心を同じくする者!」」」」」
 何人かがまったく同じ声・タイミングで言った。
「なるほど!寿司食うか?」
「「「「「食わんわ!」」」」」
 勧めたのはよりにもよって次郎だった。
「「「「「こんな状況でスシを食うとは、何を考えているのだ貴様ら!」」」」」
「うるせえ一人ずつ喋れ!」
「これでよいか!」
「何を考えているのかだと?
 寿司のことだぜ!」
 次郎が迷いもなく答えた。
「状況をわかってないのか!」
「寿司を食ってるぜ!」
「こいつら~~~……」
 陰陽師達は頭を抱えた。
「こいつら生かしておくとブレイズゲート内に適応して子孫繁栄しかねない。我らで始末してしまうべきだ!」
 やがて陰陽師の一人が言った。
「そうだな!敵対するのなら誰であろうと倒すまでだ!」
 猟兵みたいな発言をするものまで現れはじめた。
「やってやるぜ!」
 そして勢いよく立ち上がる次郎。理解が早かった。

●状況説明
・PCは寿司を食っても食わなくてもいい。食っても別に何か効果があるわけではない。
・NPCに助力を求めることも可能。戦闘能力があるのは次郎と一族郎党。
・助力を求めない場合は茶々を入れる程度の登場になる。
真宮・律
何!?寿司食べ放題だと!!なんか物騒なオーラ放っている奴らいるが目の前の寿司を目の前にいると全力で食わずにいられないぞ。

俺、胃袋ブラックホールの娘いるからな。娘ほどではないがかなり食べる!!なにしろ戦争で鮫1匹シメて料理した時足りなくてもう1匹シメたぐらいだ。

あ、手助けしてくれるなら嬉しいが、俺、火雷の意志発動して敵全力で薙ぎ払いながら寿司食べにいくから巻き込まれるなよ?ああ、寿司たべたい!!

ああ、敵の攻撃は【迷彩】【心眼】で回避、敵の存在すらなかったように【限界突破】【重量攻撃】【怪力】であっさり薙ぎ払う。

おお、ここに沢山新鮮な寿司が!!食べるぞ!!これ、家族に土産に・・・無理か。



 時は少し遡る……。
「寿司!食べずにはいられない!」
「うおおお!俺の腹を満たせ!寿司ーーー!」
「娘にも食わせてやりたいぞ!寿司ーーーーーっ!」
 胃袋ブラックホールの娘のことを想いながら、銀髪で長身の男が、服になされた刺繍の龍を暴れさせつつ、寿司をキメていた。
 そして思い出す、妻とでキャンプした日のことを……あれはバトル・オブ・オリンピアの一幕。無人島で鮫一尾をまるごと平らげて、それでも足らずにもう一尾釣り上げたのだった……。今日はあの日のように、食欲の獣が咆哮をあげている。
 彼の名は真宮・律(黄昏の雷鳴・f38364)。この事態を打開すべく、村人の救助や寿司作りに尽力していた猟兵の一人で、そして、とにかく寿司が食いたかった男だ。
 娘には及ばないがという注釈がつくものの、かなりの大食漢を自負している律の食いっぷりたるや、坂東武者や庶民達にも負けていない。──というか、馴染みすぎでは?

 だが今となっては、律達の前に堕落した陰陽師達が現れ、攻撃を仕掛けてきている。
 その時律は……。

「うまさの技能レベルはいくつだ!寿司ーーーっ!」
 お構い無しだった。
「ええい、呆れた奴!始末してくれる!」
 寿司を食い続ける律を前にした陰陽師の一人が、空中に向かって護符をばら蒔いた。それらは一枚一枚が十二神将の姿に変わった──簡易護法・略式十二神将である。
 周りの武者達は迎撃するために距離を取り、庶民達は寿司と共に避難した。その場で寿司を食っているのは律だけだ。
 十二神将は律に容赦なく打ちかかろうとしていた。
 だが、武器の間合いまで迫った瞬間……。
 凄まじい閃光が迸り、轟音が轟いた。
 瞬時に吹き飛ばされる十二神将達……周囲の人々達は、紫電を纏い炎の尾を引いて飛ぶ流星を目にした。
 ここが次郎の屋敷の庭で幸いした。寿司宴会は大勢が集まるため、座敷ではなく庭で催されている。
 流星は瞬く間に天へと昇ったかと思うと、超高速で降下。寿司が乗った桶の間近を猛スピードで通りすぎる……桶は大いに揺れて音をたてるが、乗っていた寿司はみんななくなっていた。
「寿司を食う流星だ……」
「寿司を愛するあまり、流星になった男だ!」
 そんな声が交わされる。
 流星になったのは誰であったか──無論、律に他ならない。
 発動したユーベルコードの名は『|火雷の意志《ほのいかづちのいし》』。
 邪魔には屈さずに寿司を食いたいという意志が、律を強くした。
 その思いは雷光を放ち、激しく燃え、高速で空を翔る。
 周囲の陰陽師達はその動きを追いきれず、『寿司食い流星』の軌道に入って跳ね飛ばされながら身を灼かれるか、全速力で逃げるかのどちらかだった。
 周囲に陰陽師どもはいなくなっても流星は|翔《かけ》続け、周辺の寿司桶が空になってやっと、律は動きを止めた。
「食べたぜ!」
 そして、律は満足げに腹をさすった。
「おかわりをもらえるか?」
 しかし、まだまだ食欲の獣は飽き足りない。
「それと、やはり家族にも持って帰りたい!」
 律のこの言葉に、寿司を握っている下女が微笑んでうなづく。
 日持ちこそしないが、ブレイズゲートを破壊した暁には土産に持たせてくれるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

焼肉奉行・特上丸(サポート)
アドリブ、改変、連携問題無し、NG無しッ!!

様々な世界で焼き方や食べ方を拘るうちに、焼肉を食べる際の焼き加減や食べ頃など全てを確認、指示することを許される『焼肉奉行』を襲名したッッ!!それが我輩であるぞッ!!!

戦闘では対象の肉を食用に捌くことに関しては右に出る者はいない!!スープや野菜といったサイドメニューも充実!!!
肉に関することなら全て、我輩に任せるがよいッ!!!

日常面でも焼肉に関しては任せるのだ!!


試作機・庚(サポート)
はーい呼ばれてなくても参上する庚さんデスよ
サポート参加ってやつデスね

…サポート参加って何書けばいいんデスかね?
とりあえず口調はこれでわかると思うんデスけど…
まぁ私はその時々で色々変わるデスから気にしない気にしない
私が出来ることなら大体の事はするデス
あーけど、基本私はハピエン厨デスからあまりにも酷いことはしないデス
私がされる分には基本何されても別に問題ないデスけど…
私以外の奴…例え敵でもあまりにも可愛そうだと感じたら手を差し伸べる場合があるデス
まぁ必要があればやることやるんデスけどね
仕事デスし
なんでそこの判断は任せるデース

こんなもんでいいデスかね…?
あっ忘れてた『UCの詠唱は自由にどうぞ』デスよ



「我輩に任せるがよいッッ!!!」
 一体何をか。それは猟兵が大量に集めてきた雀を焼くことだった。今回のミッションが寿司を作ることで、ネタに『肉』を用いるのならば、それは己の得意分野だ。
 彼の名は焼肉奉行・特上丸(巨大焼肉将軍・f42907)!
 焼肉大将軍、否、『巨大』焼肉将軍!
「されど今は!『巨大肉寿司将軍』なりぃーーっ!」
 焼肉がメインでなくとも問題はない。重要な要素であることに変わりはないからだ。
「来いッ!黒子ォ!」
 特上丸がユーベルコードで呼び出した黒子……彼はもたらした、この寿司に飢えたる場所に大量の『白米』を。
 周辺がブレイズゲートと化した無類の寿司好き・安乗次郎留唯の屋敷に、寿司宴会の日に──寿司に欠かせぬ『米』を!
 特上丸は思うのだ。
 シャリと、ネタの関係は──
 米と、焼肉の関係に似ていると。

「っていうか……ほぼ同じデス……」
 試作機・庚(|盾いらず《フォートレス》・f30104)は雀の照り焼き寿司の濃厚な味わいを楽しみながら言った。
 口に入れる前から香ばしい香りを漂わせていた寿司だが、口に入れれば、ほどよい甘みのある深い味わいと心地よい肉の歯触りが、適度な水量で炊かれた歯ごたえのあるご飯とよく合い、絶妙な味わいとなっている。
「まるで味の第六猟兵デース」
 様々な世界が互いに個性を出しあって絶妙なバランスを醸し出している第六の猟兵達が駆ける世界に、庚は例えた。
「トレヴィア~ン」
 周囲の武者達や住民達は「なんて美味いんだ!寿司!」「うまさの限界を知れ!寿司!」「日本一の美味き寿司かな」などと言いながら飛んだり跳ねたり|箙《えびら》を叩いてはやしたりしながら寿司を食っているのだが、庚は庚なりに常識の範囲内で、味の世界を堪能していた。

 だが、そんな平和で愉快な一時もいつまでもは続かなかった。
 安倍晴明と志を同じくすると言う、堕落した陰陽師達が、ブレイズゲートの中でスシパーティを催す一行を危険と見て、粛清しようとしたのである。

「おお……寿司の危機デース」
 庚が周囲を見渡すと、坂東武者達は応戦しようと得物を振り上げ、住民達は寿司を安全なところまで運ぶか、その場で寿司を守ろうとしている。
「判りましたデス、それなら庚さんも一肌脱ぐのもやぶさかではないデス」
 庚は立った。
「お見せするデス……『到達点』を……」
 ……|到達点《グランド・フィナーレ》。
 庚が此度、到達した場所とは……。

「……ああっ。来たデス。機械の身体にパワーがみなぎるデス!」
 此度、到達した場所は……『フードファイト・ワイルドモード』。戦闘中に食べた肉の量と質に応じて全身の細胞が活性化し、戦闘力が増加する。
 庚は、戦闘が始まったと認識している今もなお、どんどん雀寿司を食い続けている。
「どんどん持ってくるデス!」
「良かろうッ!」
 特上丸がひたすらに焼き続け、庚に寿司を提供していく。
「させるか!反転妖術・平安爆弾!」
 堕落陰陽師の一人が、ただならぬ様子を見て仕掛けた。術が発動すると、なんと焼かれていた、羽をむしられた雀が飛び回りはじめたのだ、それも大量に。
 それらはそのまま堕落陰陽師の式神となり、庚や特上丸に激突しては爆発する。
「何の、こんなものでは──」
 庚は、ユーベルコードで細胞が活性化している今は、負った火傷もすぐに癒え初めている。レプリカントに「細胞」はおかしいのかもしれないが、とにかく肉体を構成する物質が正常な状態へと戻ろうとしている。
 庚の機械の脚が大地を蹴った。
「今の私は倒せないデス!」
「汚染式神・蔓延妖怪変化!私を守れ!」
 庚が走り出すと同時に、堕落陰陽師を守るように妖めいた式神が現れ、行く手を阻もうとする。
「力こそパワーという言葉を知らないんデスか!?」
 庚はかまわず、両の手で式神を掴むと、堕落陰陽師に向かって投げつけた。
 まさに怪力乱神。
 怪力無双で乱舞する機械仕掛けの神だ。
「無駄だ、食っておる肉の質が違うのだッ!!
 具体的には、焼き方であるぞぉッ!!!」
 特上丸が敵を恫喝する。庚のユーベルコードの切欠として、充分すぎるほどにその役を務めた。
「ぐっ……ならば貴様だけでも!」
 堕落陰陽師は特上丸に狙いを絞り、反転妖術・平安爆弾で自爆する式神と化した寿司をけしかける。
「甘いわッ!我こそは焼肉奉行」
 特上丸は迫る自爆焼肉寿司式神に向かって、目にも止まらぬ速度で手を動かす。
「食材を活かすことにかけては」
 すべて掴み取って釜の中に放りこみ蓋をした。
「何者にも引けを取らぬわぁッ!」
 中で爆発音が炸裂する。全体重をかけて押さえた蓋は、微塵も動かない。
 蓋を取った。香ばしい香りが辺りに立ち込める。
 焼肉奉行はしゃもじで釜の中身をすくうと、手で握って固め、黒子が握っていたご飯の上に置いた。
 ──鳥そぼろ寿司だ。
「へいお待ちぃッ!!!」
 堕落陰陽師は迫力に押されてそれを口にする。
「…………おいしい…………」
 その目から、涙がこぼれ落ちた。

 その堕落陰陽師は、何も言わずに背を向け、その場を後にした。
「……よかったデスね」
 庚はその背中を見送り、その者に対しては何もせず、別の敵へと向かうのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

エドゥアルト・ルーデル
そろそろ寿司で汗を流そうね!

拙者には理解かる…貴様らも大いなる寿司の意思に導かれたんだな!?SUSHI食べたいでござろう!
食いてぇなら|寿司《虫の足とか妖怪の何かとか琵琶とか》をたらふく馳走してやるでござるよ!
寿司なら食べ物だろうが!うるせえ黙れ!

郎党諸君にも協力してもらうでござるよ!どんどん寿司を握るんだ!
そして拙者は反撃できないぐらいの超光速で動き回り陰陽師共の口に寿司をねじ込む!具体的には以下の手順で

①寿司を持ちます
②相手の口をこじ開けます
③ねじ込んでねじ込んで
④ヘイ!お待ち

No SUSHI,No Lifeでござるよ
ついでに式神も寿司にしようぜ!なんでも食材でござる!うるせえ黙れ!



「そろそろ寿司で汗を流そうねえ!」
 何の心境の変化があったのか、それとも今度はそういう趣向なのか、心もちサワヤカな口調になっているがやはり胡散臭いヒゲの男(エドゥアルト・ルーデル)(黒髭・f10354)が、現れた堕落陰陽師達の前に立ちはだかり、言った。
「な……なんだこいつは」
 エドゥアルトを前にした陰陽師は、相手の戦闘スタイルがまるで計り知れないでいた。
「拙者には|理解《わ》かる…貴様らも大いなる寿司の意思に導かれたんだな!?SUSHI食べたいでござろう!」
「いらんと言ってるだろう!?頼むから状況を理解してくれ!」
 シリアスになりたい陰陽師は懇願口調になっていた。
「いかんでござるよ!寿司はみんなの心を一つにしてくれる素晴らしいものさ!みんなで楽しまなきゃ!
 みんな協力してくれ!どんどん寿司を握るんだ!」
「心得たァ!」
 郎党に呼び掛けたエドゥアルトに、真っ先に次郎が応える。次郎が答えたのならば彼の郎党が従わないわけにはいかない。
「そう……それがいい!その、倒れている郎党の前にあるやつ」
 エドゥアルトが指を指した方向には何があったのか、寿司を前にして倒れ伏している郎党達がいる。敵と戦って倒されたというわけではなかった。
 彼らが食べた寿司のネタは「恨み骨髄」……踊る骸骨の骨の中身を寿司ネタにしてみたものだったのだが……。
「な、何をつくってしまったのだおまえら」
 陰陽師は見てしまった、その付近に散らばる人骨(動いている)やら、バラバラになった名状し難いでかい虫の死骸やら、赤い赤い赤い赤いナニカやら琵琶やらを……。
「ホントに何してんだーーー!!!」
「うるせえ黙れ!」
 陰陽師はエドゥアルトにSUSHIを口に突っ込まれて黙った。
 そして白目を向いて気絶した。
「step.1! 寿司を持ちます!」
 ここからのエドゥアルトの動きはもはや人間の目では捉えられぬほどの速さだった。次郎や郎党が握ったアレな寿司を、エドゥアルトが可能な限り持ったり小脇に抱えたりする。
「step.2! 相手の口をこじ開けます!」
 こじ開けると決めた時には!すでにこじ開けているッ!
 次なる陰陽師が犠牲となった。
「step.3! ねじ込んでねじ込んで」
 持てるだけ持ったヤバい寿司をこれでもかという程にねじ込む!ねじ込む!ねじ込む!!!
「step.4! ヘイ!お待ち!」
 やはり白目を剥いて倒れた。
 ここまでほんの一瞬の出来事である。
「来るなっ……来るなー!」
 味方がやられているうちに汚染式神・蔓延妖怪変化を発動できた陰陽師もいたが。
「楽しいねえ!式神を寿司にするのは!なんて楽しいんだ!」
 気がついたら寿司のネタにされていた。エドゥアルトの動きはそこまで折り込み済みだったのだ。
「寿司は食べるモノでござろう!!!」
 突然の理不尽な怒りのままに、エドゥアルトは怒濤のごとくSUSHIを陰陽師達に食わせていく。ネタにされた汚染式神もその中に含まれていた。
 気が付けば静かになっていた。周囲の堕落陰陽師達は、みんなSUSHIを食べて命ゲージをゼロにしたのである……。
「食べさせたぜ!死んだぜ(敵が)!」
 エドゥアルトの顔は晴れやかだった。
「No SUSHI,No Lifeでござるよ!」

成功 🔵​🔵​🔴​

武富・昇永
やはりこの坂東武者たちはひと味どころかふた味も違うな!
敵を目の前にしても気にも留めず寿司を食らい、さらに敵に寿司を勧めるなど常人には到底できぬ!
彼らの実力を見抜いた俺の目に狂いはなかった!

さて、俺はさらなる勲功を稼ぐために彼ら坂東武者と一緒に堕ちた陰陽師どもを刈り取るぞ!

おそらく敵味方入り乱れての乱戦になるだろうからここは攻撃する対象を指定できる【出世道・天穿つ瀑布】を使う!

さらに{早馬・餓狼黒鹿毛}に騎乗して戦場を縦横無尽に駆け回りながら{伏竹弓・勲功必中撃抜弓}で射かけて敵を翻弄するぞ!

さぁ腹ごなしのついでに手柄を得るとしようか!



「はっはっはっはっは!」
 雅やかな声が突然呵々大笑した。
 はなだ色の狩衣を揺らして、武富・昇永(昇鯉・f42970)が、いかにも満足した様子で笑っているのである。
「見事!見事!やはりそなた達はひと味どころかふた味も違うな!
 敵を目の前にしても気にも留めず寿司を食らい、さらに敵に寿司を勧めるなど常人には到底できぬ!
 俺の目に狂いはなかった!」
 次郎達に向けて言っているのである。昇永は、惜しみ無い賛辞を次郎達に送っているのだ。
「武富様、ご遠慮なさるな!邪魔者は我らが片付けますゆえ、気にせず寿司を食い続けて下さいませ」
「何を言うか!俺も戦うぞ!」
 なおも昇永をもてなそうとする次郎だったが、昇永はそれを遮る。
 そして大きく息を吸うと、勢い良く指笛を吹く。
 すぐさま蹄の音を勇壮に響かせ、早馬・餓狼黒鹿毛が目をらんらんと輝かせて現れた。
「この武富・昇永……。
 勲功を得ずして戦を眺めているなど、出来ようか!
 第一功は、この俺が頂く!はっ!」
 餓狼黒鹿毛に飛び乗り、手綱を引くと大きく嘶いて上体を反らした。
 そして風を斬って疾走する餓狼黒鹿毛の馬上で構えるは、伏竹弓・勲功必中撃抜弓。
 まるで上体を揺るがせずに放った矢が、堕落陰陽師の一人の胸を射抜き、倒した。
「まずは一人!頂いたぞ!」
 好戦的な笑みを浮かべながら、昇永は次の敵に狙いを定め、馬を走らせる。
 見れば次郎や郎党は、堕落陰陽師達が喚び出した妖とやり合っている。周辺の家具や草──平安結界に由来するものを妖に作り替え、それを式神として使役しているのだ。
 式神は所々で自爆し、郎党や周辺の物や寿司を吹き飛ばしている。
「敵が集まってきた!戦功獲得のまたとない機会よ!」
 昇永は出世のことを思い、力を入れる。
「有れ、天穿つ瀑布!」
 昇永が力ある言葉を口にすれば、眼前に蒼炎の渦が巻き起こり、天へ向かって伸びた。
「ふははははは!見るがいい!これぞ極位極官へと至る道!吉祥の兆しなり!」
 蒼炎の渦は広がり、動いて周囲の物を飲み込むが、しかし何も焼いていない。しかし堕落陰陽師を飲み込むと、それだけを苛烈に焼いた。このユーベルコードは、指定したものだけを焼くのである。
 常に出世欲を捧げ続けられるものだけがこれを制御しうる──といっても昇永ならば造作もない。
 彼は出世欲の権化なのだから。
「ふはははははは!出世の贄となるがいい!貴様らのごとき悪党ならば倒しても心が痛まぬわ、いくらでも蹴落とそう!」
「おお……流石は武富様!なんというお力……そして強欲か!」
 次郎が感嘆の声をあげる。あくまでも賛辞である。
「そなた達も功をあげるがよい!安乗殿……出世はよいぞ!」
「仰せの通りに!かくなれば私も出世して、もっと沢山のもっと美味い寿司を食うと致しましょうぞ!」
 次郎もまた、蒼炎の渦から逃れようとする敵を追いたてるようにして動き、攻める。
「ふはははははは!」「わーっはははははは!」
 高飛車な戦士達……果敢に戦う彼らは、次々と堕落した陰陽師を屠っていく!

成功 🔵​🔵​🔴​

鳶沢・成美(サポート)
『え、これが魔導書? まあどうしよう?』
『まあどうでもいいや、オブリビオンなら倒すだけですよ』

故郷UDCアースの下町の古書店でたまたま見つけた魔導書を読んで覚醒した自称なんちゃって陰陽師

昨今でいう陽キャラ? みたいな行動は正直よくわからないのでマイペースに行動
でも集団での行動も嫌いじゃないですよ
元ボランティア同好会でつい気合い入れて掃除しちゃったりしなかったり
一応木工好きでゲートボール好きキャラのはず……たぶん

例え好みの容姿だろうと、事情があろうと敵ならスパッと倒すだけですよ

実はシルバーレイン世界の同位体である自分と融合していたことが判明
三角定規型詠唱定規の二刀流で戦う様に

アドリブ・絡み・可


伊槻・阿音香
…うむ!このような状況に置かれても、スシのお陰で誰ひとり生きる意志を失っておらぬ!
スシの力はすごいのう!(考えるのをやめた顔)

さて敵襲じゃ!
すまぬが次郎様や郎党の皆様にはどうにか敵の気を引いて貰いたいのう
本来であればお救いせねばならぬ方々にこのような役目を押し付けるのは申し訳ないのじゃが、
皆様わしなんかよりだいぶうるさ…存在感があるからのう!よっ、坂東武者の鑑!
皆様の勇ましき姿に敵の気が逸れた所を、巫現載霊の舞で刺身にしてくれるのじゃ!
…言っておくが今のは言葉のあやで本当に刺身にはせぬぞ!



「陰陽師だって?!…………おお…うん、用心しよう!」
「貴様!陰陽師で|戯れ言《ギャグ》を言うのはよせ!」
 鳶沢・成美(三角定規の除霊建築士・f03142)は爆笑ギャグで一気に注目を集めた、主に敵である堕落した陰陽師達から。安乗次郎留唯や彼の郎党は意味がわからずに困惑したり、同意して用心したりしている。
「ブレイズゲートで寿司を食うばかりか阿呆な事をぬかすとは…」
「わかりました!お相手つかまつろうじゃないの、こっちはなんちゃって陰陽師だけどね!」
 たまたま見つけた魔導書で猟兵に覚醒した成美は、なんちゃって陰陽師を名乗っている。だが猟兵に切欠は大した問題ではなかった。
 ただ武器にしているものは傍目には問題に見えた。
「何だ……あの武器は……」
 陰陽師達は見たこともない成美の武器に困惑する。
 三角定規だった。
 成美は両手に持った三角定規を回転させ、ヘリコプターのように空に上昇していく。
「飛びおった!?油断ならぬ!」

「……これじゃ!」
 その様子を見て伊槻・阿音香(式神の検非違使・f43624)は閃く。
 こっそりと次郎に近づいて言った。体格差でどうしても上目遣いになる。阿音香のつぶらな瞳に次郎の庇護欲は掻き立てられた。
「次郎様、本来であればお救いせねばならぬ方々にこのような役目を押し付けるのは申し訳ないのじゃが、どうにか敵の目を引き付けて頂けぬかのう!その隙にわしがやっつけてやるのじゃ。
 皆様わしなんかよりだいぶうるさ…存在感があるからのう!よっ、坂東武者の鑑!」
 ほんの短い間にここまで言い切った。
「心得た!!!」
 対する次郎はニッと笑って頷く。こうかはばつぐんだ!

「ハァーーーッ!」
 次郎は近くの寿司などが並べられている机の、寿司のない所に飛び乗り──
「遠からん者は音にも聞け、近くは目にも見給え。これこそ東国に聞こえし、安乗"悪次郎"留唯よ!」
 ──|大音聲《だいおんじょう》をあげ、見栄を切った。

 悪次郎の悪とは勇猛さを意味するもので、名前に箔を付けるためにとりあえず付けとけ、ぐらいのノリで言っている。猟兵風に言えば『ユーベル次郎』といったところか。ユーベルコードの言葉の意味は謎だが……。
「ずるい!次郎様ばっかり!」
「俺も俺も!」
「……ふっ……闇に秘されし我が魂の名を、光の元に晒す時が来たか……」
 一族郎党が色めき立つ。戦で名乗りをあげるのは、武士みんなの憧れらしい。
「やあやあ我こそは──」
「山田太郎森長が息子、山田太郎森盛!」
「刮目せよ!我が名は大暗黒皇帝、深淵澱・悪美崇!」
 纏まりのない名乗り合戦が始まった。ちなみに最後のはしんえんでん・あびすと読む。
「私はっ!庶民の娘カネ!」
「サトだよ!よろしくね!」
 さらには庶民の子供までがノリ始めた。陰陽師達が見るやすばやく逃げて、すぐに隠れて何処にいるのかわからなくなってしまった。ここでは庶民もユーベルコードを使うらしい。

「……うーむ、スシを食って生きている人はすごいんじゃのう」
 阿音香は思いの外派手な結果になったので感服した。ついでに、スシに対する誤解が深まった。
 堕落陰陽師はと言えば、やはり呆れていた。かれらは武士ではないので、別に名乗りとかやる習慣はない。
「隙あり!!!」
 なので攻撃してきた。
 敵の注目を集めるという意味では、阿音香の目論みは成功した。そもそも名乗りとはそういうものである。
「早く倒さねば危ないのう……!」
 阿音香はすぐさま神霊体へと変わり、薙刀を手にして姿勢をかがめ、すばやく敵の後方へと回り込んだ。
(今のわしは暗殺検非違使巫女…平安の世を乱すものを、速やかに滅殺する!)
 陰陽師が今まさに式神を呼び出そうとしている所に、背後から薙刀を振るい衝撃波を浴びせる。
「ぐはっ……!?」
 一体がまともに受け、倒れた。
「おのれ、いつの間に背後にっ!?」
「まあ気づくわのう、かかって来い!刺身にしてくれる!」
「何っ!?我らまでも寿司のネタに…」
「言葉のあやじゃ!!!」
 堕落陰陽師達は前方に坂東武者、後方に阿音香と挟まれる形となる。すぐに統制は取れず、まず何人かが数で劣る阿音香から始末しようと動いた。
「汚染式神・蔓延妖怪変化!式神よ、あの者に攻撃せよ!」
「おっと、孤立はさせませんよ!」
 阿音香に向かって放たれた妖めいた式神、しかし、それは上空から降り立った成美が、回転する三角定規で切り刻んだ。
 そして薙刀を構える阿音香の隣で三角定規を構える。
「三角定規二刀流・竜巻……お見せしましょう!」
 まるで剣術使いのように、なんちゃって陰陽師の成美が言った。
「わしとて偉大なる陰陽師の式神じゃあ!遠慮はいらぬぞっ!」
 阿音香も続いて見栄を切った。
 攻防は続いた。敵のペースを崩すことに成功した猟兵と次郎の一族郎党は優勢に戦いを運び、一人また一人と敵を倒していく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『魂喰の蓮華姫』

POW   :    真なる魂喰の衝動
自身の【魂喰の本質と共に暴食衝動 】を解放し、物質透過能力と3回攻撃を得る。ただし毎秒加速する【他者の魂や生命力への渇望】を満たし続けないと餓死。
SPD   :    |八千矛《ヤチホコ》之舞台
【己の鋭い牙や爪 】が命中した敵から剥ぎ取った部位を喰らう事で、敵の弱点に対応した形状の【装束を身に纏い武器を手にした凶戦姫】に変身する。
WIZ   :    |奴延鳥《ぬえ》乃翠爪
かつて喰らった「【雷獣・鵺 】」の魂を纏い、2倍ダメージ・2回攻撃・自動反撃を有した【伸縮自在の翡翠の鬼爪】を装備する。

イラスト:鳥季

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠蓮条・凪紗です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


   GOCHISOUSAMA

「「「「「「食べたぜ!」」」」」」
 坂東武者と現地の方々はついに寿司に満足した。中には食えそうにない寿司を無理に食って倒れたものもいたが……おおむね満足した。
「帰って寝るぜ!」
「もう違うでしょ次郎様!この人達と一緒に事件を解決しないと!」
「そ……そうであった!」
 庶民の娘に指摘されて次郎は自分の頭をはたいた。
「確かにこのままでは寿司を作るのに不便、米も育てられぬだろうしな……よし!
 そろそろぶれ…寿司…………井戸の攻略を開始する!」
 次郎は状況は理解したが、名前については理解していなかった。

 こうして、次郎は一族郎党から何人かの精鋭を選び、他は寿司の後片付けをするのに残して、猟兵達と共にブレイズゲートの攻略に乗り出した。
 通常の物理法則が通用しない、妖蠢く空間……しかし、埒外たる猟兵達にとって攻略できない迷宮ではなかった。
 そして一行は最深部へと辿り着く。

「邪魔するぞ!」
 そこはブレイズゲートの主が陣取る空間であったが、次郎は普通に押し入った。
 そこにいたのは|唐衣裳姿《からぎぬもすがた》(今で言う十二単)の高貴な佇まいの女人だった。色白で見目形良い女人であったが、頭部からは水晶のような角が生えており、周囲には紫電が爆ぜていた。そして犬歯は牙と言っても良いほどに長く、さながら平安の世に生まれた吸血鬼であるかのようだ。こんな風貌の女がただの女であるわけではなく、周囲の禍禍しい気配はこれまでにない程に濃く、女自身からもひときわ濃いものを発している。
「ふ、来おったか……」
 雅やかだが、身の危険を感じずにはいられない声で、女は言った。
「その雰囲気、お前がぶれ寿司井戸の主か!」
「そう……妾こそがブレ、何?」
「寿司のある暮らしのため、討たせてもらう!」
「寿司?寿司と言うたのか?」
 次郎は率先して雰囲気をぶち壊しにした。
「……恐れを知らぬ奴よのう……。
 まあ、良いわ。何であれ喰らうだけじゃ。
 その無駄に猛猛しい精気と魂、妾に捧げよ!」

 どうやら……。
 あちらはあちらで、『そろそろ魂を食べないと死ぬぜ!』状態らしい。

「……何か納得のいかぬ描写をされた気がする……」
エドゥアルト・ルーデル
貴様か…ブレイ寿司ゲートを作りこの世界から寿司を消し去ったのは…
許されねぇ行いだ!そろそろ寿司の裁きを受けなさい!

そんなに寿司が食いたきゃ腹いっぱい喰わせてやるでござる!あの変な陰陽師共の様に!
突然興奮するこいつをがっつり押さえつけて腕含めて背中側から拘束でござる!2倍程度の強化で拙者に勝てる訳ないだろ!

拙者は抑え込んでるから次郎氏と一族郎党はこいつに腹いっぱい寿司を食べさせてあげなさい
寿司は皆で食べた方が美味いでござるからな!材料?その辺にいっぱいあるだろ!いいからジャンジャン持って来い!ねじ込むんだよ!うるせえ黙れ!
腹減ってるんだろ!寿司食いねぇ!!!うるせえ黙れ!!!!!

食べさせたぜ!!



「行くぞ、贄ども」
 魂喰の蓮華姫……その両手の爪が伸び、翡翠色に輝いた。周囲では紫電が火花を散らす。かつて喰らった妖の魂が荒ぶっているかのように……。
 纏った衣の重量など無いかのごとく、それをはためかせ、風のごとく駆けた。
 それは次郎の眼前に一瞬で迫ろうとする。

 だが、その前に周り込むものがある。
 それは蓮華姫に横から回し蹴りを叩き込む。ガードしつつも蓮華姫は勢いで後ろに退がり、蹴りを放った相手と向かい合う。

「貴様か…ブレイ寿司ゲートを作りこの世界から寿司を消し去ったのは…」
 そこにはエドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)が構え、佇んでいた。寸分の隙もない構えであったが、ちょっと腰が前後に動いている。あと……とにかく凄いオーラだ。
「……ブレイズゲートな。っていうか寿司うんぬんは何の話じゃ……?」
 蓮華姫は戦闘のテンションを維持したまま訂正して問いただすという器用な真似をした。
「とぼけるな!貴様のせいで拙者達はブレイ寿司ゲート内で一から材料を集め、寿司を作りあげなくてはならなかった……許されねぇ行いだ!
 そろそろ寿司の裁きを受けなさい!」
 その場で跳び上がり、集中線付きで凄むエドゥアルト。
「……どうでもいいが……もっと違う所に怒れ!」
 陰陽師達も言っていたが、命の危機である。
 蓮華姫は逆ギレしながらも、エドゥアルトに向けて踏み込み、上段から爪の一撃を見舞おうとする。
 対するエドゥアルトはそれを体捌きでいなした。次の一撃も難なく避け、三撃目を放ったところでエドゥアルトの姿が消えた。
 気づくと蓮華姫は背後から羽交い締めにされていた。
「ばかな、なぜこうも早く動く!?」
「その程度の強化で拙者に勝てるわけないだろ!拙者のユーベルコードによる強化にな!」
「|奴延鳥《ぬえ》乃翠爪を上回る強化じゃと?!」
 ユーベルコードによる身体強化は、条件がある程、効果が強力な傾向にある。
 蓮華姫の|奴延鳥|《ぬえ》乃翠爪は2倍ダメージ・2回攻撃・自動反撃を有した爪を装備するというものであったが、現在エドゥアルトが受けている恩恵は、命中率・回避率・ダメージが3倍。
 その条件とは『敵より変態であること』……。
「デュフフフ!ドゥフフフ!ゲヒヒヒヒ!」
 彼は――変態だった。
「今のうちでござる!次郎氏と一族郎党のみんな!」
「よし!今のうちに……」
「こいつに腹いっぱい寿司を食べさせてあげなさい」
「なんと!」
 得物を構えた次郎と一族郎党だったが、彼らをしてエドゥアルトの言葉は予想を越えていた。
 変態であった。
「寿司!何と尊いのでしょう!材料?いっぱいあるだろ!いいからジャンジャン持って来い!ねじ込むんだよ!拙者のマーマイト使う?」
「な……なぜ……。
 我らが寿司の材料を持っていることがわかったのです!」
 一族郎党は一族郎党で、実は既に準備万端だった。
「だってここ来る途中に妖を狩っては身体の一部を切り取ってたじゃん」
「そこまでお見通しであるとは……」
 別に隠してもなかったのでみんな知ってた。しかも一人はご飯を詰め込んだ米櫃を背負って来ているくらいだ。
「……ここまで来たら、やってやれ!」
 次郎はゴーサインを出した。
「御意!寿司を作ることにかけては家中随一……『安乗四天王』の実力、とくとご覧あれ!
 今回はこの、斬り落としたばかりの河童の腕を使います」
「生々しい!見せるでない!」
 蓮華姫はエドゥアルトに羽交い締めされながら憤慨した。
『安乗四天王』の、最初の一人が河童の腕を刻み、次の一人が飯を握り、三人目が海苔で巻く。
「ほんとのかっぱ巻き、お待ち!」
 そして四人目が寿司下駄に乗せて出した。
「言うと思うたわ……」
 呆れたような、どこか安心したような表情で蓮華姫は言った。
「ねじ込むんでござるよ!」
 エドゥアルトは四天王の四人目にそう促すが、蓮華姫が牙を剥いていて危険極まりないので、そっと食べさせて手を引っ込めた。
「まずい…………」
 普通に食べて、普通に不評だった。
「なっならばこれはどうだ!『|蛟《みずち》の刺身』」
「まずい…………」
「『琵琶牧々』(※第一章から出てきてる琵琶の妖怪)」
「まずい…………」
「拙者のマーマイト使う?」
「まずい…………」
 蓮華姫は終始低いテンションで、それでも平然と食べきった。三番目などただの琵琶(楽器)だったというのに……。
「そのようなモノは好かぬ!妾は人の魂が好みじゃ!」
 業を煮やした蓮華姫は羽交い締めするエドゥアルトの腕に噛みついた。
 流石に怯んだので、その隙に離れ、エドゥアルトと向かい合う。
「そなたが良い!そなたが欲しい!」
「そんな、拙者が欲しいだなんて……ぽっ♥️」
「生きたまま切り刻んで一切れずつ食ってやるわ!」
 変態でも健康であれば食材として申し分なかった。
「拙者の活け作り食べる?」
 そう言って胸元をさらけ出してポーズを取るエドゥアルト。
 変態であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベルト・ラムバルド(サポート)
ハイカラさんのクロムキャバリア ×今は 宇宙騎士!

普段の口調は私、君、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?

騎士道精神を胸にキャバリア《パロメデス》に乗って戦うぞ
弱きを助け強きを挫く誇り高き光明の暗黒騎士だ!
でも実はお調子者でおっちょこちょいな奴だ!いわゆる残念なイケメンだ!
生身でも戦えるけどあんまし強くないかも…?でもタフな奴!

基本はキャバリアの乗って戦うぞ!
キャバリアに乗れない時は…なんとか生身で頑張って戦うぞ!
時々コミュ力で知り合った異世界の人やモノ?を召喚したりするんだ!

仲の良い想い人がいるけどぞんざいな扱い方をされてるけどめげないぞ!頑張れ!


バジル・サラザール(サポート)
『毒を盛って毒で制す、なんてね』
『大丈夫!?』
『あまり無理はしないでね』

年齢 32歳 女 7月25日生まれ
外見 167.6cm 青い瞳 緑髪 普通の肌
特徴 手足が長い 長髪 面倒見がいい 爬虫類が好き 胸が小さい
口調 女性的 私、相手の名前+ちゃん、ね、よ、なの、かしら?

下半身が蛇とのキマイラな闇医者×UDCエージェント
いわゆるラミア
バジリスク型UDCを宿しているらしい
表の顔は薬剤師、本人曰く薬剤師が本業
その割には大抵変な薬を作っている
毒の扱いに長け、毒を扱う戦闘を得意とする
医術の心得で簡単な治療も可能
マッドサイエンティストだが、怪我した人をほおっておけない一面も

アドリブ、連携歓迎



「躾が必要らしいな!」
 オブリビオン・魂喰の蓮華姫はその瞳を暴食衝動に輝かせ、自身の領域へと至った探索者達に襲いかかろうとした。
 それを阻むように、大きな影が得物を構えて前に出る。
「動いたか、デカブツ!」
「ふっ、このベルト・ラムバルド(自称、光明の暗黒騎士・f36452)、騎士道精神にのっとり──」
 クロムキャバリア・パロメデスの中から語りかける声はしかし、突然途絶えた。パロメデスが突如として不思議な光に包まれたかと思うと、発光しながら巨大になっていく。
「って最後まで喋らせて!何だ、何をした!?」
「いや妾は何もしとらんが」
 蓮華姫は思わず素で答えた。
「この感触はもしや!アレか?アレなのか??」
 一応自分のユーベルコードなので起こっていることには想像がついた……最初は何が起こったのか一瞬わからなかった程であるが……こういう性質のユーベルコードなので何がきっかけで発動するのかわからないのである……。
 かくしてベルト・ラムバルドとその乗機パロメデスは、突如として人機一体化した、全長25mのスーパーキャバリアへと変貌を遂げたのである! 
「スーパー・カオス・チェーーーンジ!!!」
「意図してなかったであろうっ!」
 蓮華姫は思わずツッコミを入れた。
「我が剣、受けるがいい!」
 スーパーキャバリアはスーパー巨大化カリブルヌスソードを構え、アンダースイング気味に薙ぎ払った。巨大な振り子が迫るかのような剣撃は、避けてもその余波が動きを鈍らせる。
「……いや、この方が手っ取り早いな!」
 スーパーキャバリアは突如剣を振るう手を止め、爪先で蹴りつけた。全長25mの巨体ならば、なるほど剣で斬るよりこちらの方が手っ取り早い。
「ぐはっ……!」
 剣に警戒していた蓮華姫は意表を突かれ、腹部に蹴りを食らい吹っ飛ぶ。
「剣で斬りつけるばかりが兵法ではない!とどめだ!」
 飛び上がっての踏みつけを見舞う。蓮華姫はスーパーキャバリアの、巨大な足の下敷きとなった。
「……ぐがあああ!」
 だが次の瞬間、スーパーキャバリアが仰け反って倒れた。周囲で攻撃のタイミングを図っていた仲間達は、下敷きにならないよう慌てて離れる。
 スーパーキャバリアの足の裏は無惨に傷だらけとなり、激しく出血していた。人機一体となった以上、痛覚も共有されるのは道理であった。
「人の分際で妾を足蹴に……許さぬ!」
 解放された蓮華姫は空気を震わすほどの怒りを顕にしていた。足の裏は人体の急所の一つであるが、踏み潰されながらも反撃するとは、流石はブレイズゲートのボスと言ったところか。
「ユーベルコードを解きなさい!」
 女の声が鋭く響いた。スーパーキャバリアの姿が掻き消え、パロメデスと外にいるベルト・ラムバルドの姿が現れたのはそのすぐ後の事だった。分離した二者は同じ姿勢で倒れていた。
 ベルトの方に、白い鎖が伸びて脚に巻き付く。鎖はその身体をそのまま引きずっていく。
「もう少し優しく扱って!」
「大丈夫よ、鎖が治療してくれるわ」
 抗議の声に答えたのは、優しく落ち着いた女の声。白衣を着た姿はなるほど医者といった風体で、下半身は蛇身であるのが特徴的なキマイラだ。
 その鎖は|白蛇の鎖《サーペントチェイン》、鎖が巻き付いたものを高速治療するユーベルコード。
 そして彼女は──バジル・サラザール(猛毒系女史・f01544)は、無言でポーションを投擲した。
 それは蓮華姫の足元で割れ、白い霧が彼女を包んだ。
「くっ!?なん……」
 突如として皮膚や目、粘膜に強い刺激を感じる。
「それは2-クロロベンズアルデヒドとマロノニトリルを原料としてピペリジンを触媒に加え、クネーフェナーゲル縮合によって製造した、クロロベンジリデンマロノニトリル水溶液。
 催涙ガスの方が通りがいいかしら?
 オブリビオンとはいえすぐに視力は戻らないはずよ」
「なめるな、この程度で!」
 蓮華姫は目から涙を流しながらも、両手の爪を伸ばしバジルに向かっていく。その周囲で紫電が何度も爆ぜ、爪は翡翠色に輝いた。
 襲い来る蓮華姫にバジルはロッドを手に応戦する。蛇身の稼働範囲をいかし、身をくねらせ、爪撃を幾度も避けてみせた。
「仲間を何度傷つけようと、私が何度でも治すわ」
 ロッドで牽制して離脱する。蛇のごとき相貌が、蓮華姫を射抜いた。
「守りきれぬものも、救いきれぬものもある」
 蓮華姫は痛む目でもなお、バジルを睨み付けてみせる。
「それでも、よ」
「ならば、己の限界を知るがいい」
 二者は離れる。戦いは続いた……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

源・朔兎
師匠(律)から新鮮な寿司が無償で食べられるときいた!!

なんか見たことのある着物姿の鬼がいるが、もう寿司が食べたい気持ちが先だ!!俺12歳だし、まだまだ筋肉を鍛えなければ!!なので美味しい寿司を沢山食べるんだ!!最早戦いより寿司食べたい!!

ああ、全力で寿司を食べたい!!黎明の進撃!!想いのまま、【限界突破】で突進して寿司を食う!!邪魔する奴らは全て吹っ飛ばす!!(熱血純情少年の食欲は恐ろしい}

おお、流石師匠お勧めの寿司だ!!凄く満足した!!あ?なんかさっきの鬼が倒れてるんだが。存在すら忘れてた。

あ、師匠の分も加えて一杯寿司土産にできるな?奏さんもきっと満足するぞ!!



 ドーーーーン!
「アーーーーーッ!!!」
 突然超高速で飛来した白いナニカに蓮華姫は吹っ飛ばされた。
 シリアス爆散。
「新鮮な寿司が無償で食べられるときいた!!」
 白いそれは動きを止めて背景にドン!という効果音を背負ってそう言った。群青色の褐衣姿、白い髪に赤と黄のオッドアイ、長身だが少年らしい顔立ちの、彼こそは源・朔兎(既望の彩光・f43270)、真宮・律の弟子である。というか師匠は?
「寿司!寿司はどこだ!そろそろ寿司を食べないと目につくものすべてをぶっ飛ばすぞ!」
 若さゆえ暴走気味だった(朔兎は12歳)。
 まあ律もこんな感じだったが(律は42歳)。
「寿司はどこかと問われたら」
「作らないわけには参りませぬな!」
「我等安乗四天王に」
「万事お任せくだされい!」
 打ち合わせ一切無しで名乗りをあげる安乗四天王。
 手慣れているのだろうか。
 この非常事態だというのに寿司を食うことを優先してそれがようやく終わってブレイズゲート攻略に重い腰をあげたのではなかったのかと突っ込んでくれる蓮華姫は14800km/hで突っ込んできた朔兎に吹っ飛ばされてどこかへ行ってしまった。
 さておき、安乗四天王は丹精込めて、そして手早く寿司を握っていく。状況が状況なので作れる寿司には限りが……いや、普通に考えたら食べ盛りの若者が満足して余りある量だ。何しに来てるのこいつら?
「うおおお!寿司!|こころ《テンション》爆上がりだぜ!」
「寿司!このうまさは!太政大臣級だ!」
「そんなに美味くて討伐の|詔《みことのり》が出されないのか!寿司ーーー!」
「めぐり逢ひて見しやそれともわかぬ間に
 雲がくれにし寿司の味わひ」
 最後の方など柄にもなく歌を詠んでしまった。やはり高貴な血は隠せないということか。意味は「うますぎて味わう暇もなく食い終わっちまったぜ!」といったところ。
「これだけ喜んでいただけると作り甲斐がありますな」
 安乗四天王もご満悦だ。もはや武士というより寿司職人である。
「おお、流石師匠お勧めの寿司だ!!凄く満足した!!」
 凄まじい食欲を発揮し、満たされた朔兎。しかしいつお勧めされたのだろうか。さては律、食うだけ食って満足して帰ったか?
「土産に持って帰るから包んでくれよ!」
 そして若い分遠慮がなかった。
「いっぱい!とにかくいっぱい包んでくれ!」
 胃袋ブラックホールの真宮・奏(※律の娘)が食う量のことを思えば尋常の量では足りるまい。

「おのれらぁぁぁぁ…………!妾の領域で、一体何をしておるのだぁぁ~~~!」
 ここで、ようやく蓮華姫が戻ってきた。

成功 🔵​🔵​🔴​

伊槻・阿音香
なるほど!この妖がこのぶれえずげえとの主か!
何の恨みがあるかは知らぬが、|民の幸せ《寿司》を奪う所業は許しておけぬ!
この伊槻様が式神、アネカが祓ってくれようぞ!
…なに?式神なぞ喰ろうても腹の足しにならぬ?
どうせわしが怖くて手も出せぬのじゃろ?
違うと言うならかかって来るがよい!

…気位が高そうじゃし、これだけ誹れば頭に血が上って向かってくるじゃろ
何を隠そう、他の猟兵や次郎様達が戦っておる間、今わしがいる所の目の前に|落とし穴を作っ《UC発動し》ていたのよ!
冷静さを欠いている今なら、穴に落ちるしかないのう!
各々方!いのち尽きるまで奴が穴から出られぬよう、ぼっこぼこにしてやるのじゃ!



「あいや待たれい!そこの妖!」
 伊槻・阿音香(式神の検非違使・f43624)が蓮華姫の前に立ちはだかり、子狐のような顔に自分は弁慶か何かになったような表情を浮かべて大見得を切った。
「何の恨みがあるかはぁ~知らぬが!
 民の|幸せ《寿司》を奪う所業は、許してぇ~おけぬ!
 この伊槻様が式神、アネカが!祓ってくれようぞ~~~!」
 それはもう拍子木が間に入るような絶妙な間を入れた見栄の切りようだった。郎党の誰かが「伊槻屋!」と掛け声を送る。
「ほう、少しは弁えた奴がおったわ!」
 蓮華姫は怒り狂ってこそいたが、まともに相手をしてもらえて、ほんの少しだが嬉しそうだった。無視されて自分の生活スペースで寿司を食われているよりは、怒りをぶつけられる方が良い。
「じゃが……小さき式神などに用は無し!退きゃれ!」
「などと言うて!どうせわしが怖くて手も出せぬのじゃろ?違うと言うならかかって来るがよい!」
 指四本をくいくいと動かし、挑発する阿音香。
「そうか……そんなに血祭りにあげられたいならば、叶えてやろう!」
 蓮華姫は大股に、阿音香へとにじり寄る。その眼に暴食衝動の炎を燃やしながら……。

「……あぁぁぁぁぁ~~~っ!?」
 ……そして穴に落ちた。
「かかりおったな!」
 阿音香は拳を握りしめて喜びを表現する。
 阿音香は朔兎が寿司を食っている間に、蓮華姫が通りそうな所にあらかじめ退魔円匙で穴を掘っていたのだ。
 吹っ飛ばされて帰ってくるまでの間の時間はそんなに長いものではなかったが……(まあ、朔兎が満足するくらい寿司を食う時間はあったわけだが)、平安の検非違使にかかれば、十分すぎる時間だ。十数秒もかからぬうちに穴も掘れないようでは、平安京に現れるエイリ……妖を穴に埋めることなど到底できない。……これこそがユーベルコード「検非違使の穴堀り」である。
 そしてこの蓮華姫、少々直情的であったようだ。なにせ普段から人間を餌と見下しているから、自分を騙せるだけの知恵が相手にあるなどと思っていないので、手っ取り早く事を済ませようとしている。
 さらに言えば、阿音香は所々に食い終わった寿司下駄やら調理された妖の捨てられた部分やらマーマイトやらを散乱させて、足元を確認しづらくしていた。
「これがわしの実力よ!さあ皆様!
 今のうちに攻撃を!」
 流石に埋める程の時間はない。しかし、しばし行動不能にするくらいの時間は稼げた。
「おお!」
 次郎と一族郎党が前に出る。
「ようやく我らもまともな攻撃ができるな!」
 それを言ってはいけない。
 矢を構えた武者達は一斉に矢を放った。穴の中の蓮華姫に、それを避ける術はない。
 さすがに命を奪うまでには至らなかったが、矢は蓮華姫の身に何本も突き刺さり、体力の多くを奪った。
「……なめたまねを!人や式神ごときが、大人しく喰われればよいものを!」
 やはり人間やそれに与するものを見下しているのか、これだけの目に遭っても、最後には自分が勝つというつもりでいるようだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

武富・昇永
妖の親玉さえも坂東武者たちの勢いに飲まれかけているな!
見ていて痛快だったぞ!
さぁて面白いものも見せてもらったし
次は俺が勲功稼ぎの妙技を彼らに披露する番だな!

妖の親分よ!
彼らは俺の手柄を世に広めてもらう大事な役目があるのだ!
お前に食わせる魂は一かけらもないぞ!
腹が減っているならこれでも食ってろ!

({護廷式神・出世魚ブリ}で敵の攻撃を受け止めると『欲望解放』で溢れた出世欲を式神に注ぎ硬さと大きさを増大させて敵の視界を防ぐ)

お次はコイツだ!
(敵の脇腹に向かって{思業式神・出世魚ハマチ}を突撃させる)

そしてこれでシメだ!
(UC【出世道・勲狩り連撃】発動)



「人ごときがなめたまねを……!」
 蓮華姫の怒りは頂点に達していた。その双眸から放たれる光は残虐さをいよいよ顕にして、触れるものみな傷つけかねない勢いだ。
「まずはこいつからじゃ……」
 その燃えるような眼光が、次郎を見る。
「来るか!」
 その迫力に背筋に寒気に覚えながらも、恐怖を振り払うように、東国刀を構える。
「来たれ、妖──サムライ妖武装変!」
 踏み込みとともに、次郎の目が、声が、鬼気を帯びたものへと変わる。
「その程度の事で!」
 蓮華姫は次郎の気迫など物ともせず、獣のように襲いかかっていく。
 次郎は蓮華姫の動きに合わせ、その頭上に東国刀を振り下ろした。
(──刀が、透過した?!)
 狙いは正確だった。だというのに刀はその身を斬ることなくすり抜けていく。
 右、左と次郎の腹部に拳が打ち込まれ、最大限に開いた顎が、脳天からかぶりつこうとした。
 だが、その横っ面に何かが飛来してぶつかった。その勢いで蓮華姫は仰け反り、次郎は離脱する。
「邪魔が入ったか!」
 蓮華姫は自分にぶつかった何かが飛んできた方向を見る。
「この者達に手出しはさせぬ!この武富・昇永(昇鯉・f42970)がいる限りはな!」
 果たしてそこには、大胆不敵にして堂々たる若き貴族の姿があった。
「彼らは俺の手柄を世に広めてもらう大事な役目があるのだ!
 お前に食わせる魂は一かけらもないぞ!」
「残念じゃが……その一かけらとて逃がす気はない!」
「否!これでも喰らっておれ!」
 いつの間にか頭上に昇永の『護廷式神・出世魚ブリ』が飛来している。それこそは先程蓮華姫にぶつけたものだ。蓮華姫はユーベルコードにより物質透過能力を持っていたが、式神は物質とは言えまい。
「お前の食欲などその腹を満たして終わる。
 俺の出世欲は……青天井だ!」
 昇永の言葉通りに……『ブリ』が、その身を大きくしていく。この式神は昇永が出世欲を発揮するのに応じて頑強さと大きさを増すのだ。蓮華姫の2倍ほどに膨らんだ『ブリ』が、視界を覆い尽くさんばかりに迫る。
「邪魔だ!」
 蓮華姫は腕で振り払って『ブリ』を遠ざける。
 だが、その直後に脇腹に何かが激突した。
「ぐっ……?!」
 思わぬ箇所から一撃を入れたのは、『思業式神・出世魚ハマチ』。これも昇永の式神で、昇永の出世欲に応じて速度と攻撃力が増す。それにしても出世欲に溢れた名前である。
「まだまだこんなものではないぞ!」
 昇永が伏竹弓・勲功必中撃抜弓の矢を放つ。その矢は霊力によって成るものであり、蓮華姫は透過できずその胸に矢を受ける。
 そして視界をあげれば、体勢を建て直すまもなく襲いかかる巨大な影が。
 そこにいたのは早馬・餓狼黒鹿毛。強者の血と肉が大好物の猛獣だ。狂ったように歓喜の声をあげて、蓮華姫の肩に噛みつく。
 畳み掛けるように昇永が跳んだ。
「返り討ちにしてくれる!」
 蓮華姫はなおも体勢を建て直し、爪の一撃を見舞おうとする。
「これで止めだ!」
 昇永は力強い踏み込みとともに妖切太刀・御首級頂戴丸で打ちかかる。
 両者が交差した。
 周囲には夥しい量の血潮が飛び散る。
 わずかの間、両者は動かないでいた。
 やがて、蓮華姫が崩れ落ちる。 
 脳天から胸部に至るまで、叩き斬っていた。
「…………ああ…………空腹じゃ…………」
 未練がましい声が、魂喰の蓮華姫が残した最期の言葉となった。



「此度は本当に、ありがとうございました!」
 安乗次郎留唯と一族郎党、下男下女に至るまで総出で猟兵に頭を下げ、感謝を示す。
 ブレイズゲートの主を倒したことにより、平安結界は修復され、この地は元の美しい、豊かな土地へと戻りつつあった。
「きっとすぐに美味い寿司が食べられるようになるでしょう。我々にとっては死活問題でした……本当に皆様には感謝してもしきれませぬ!」
 安乗次郎留唯は語る。中ではそう困った様子を見せなかったし、傍からは困ったように見えてはいなかったが、あのままブレイズゲートに囚われたままであれば、やがて寿司を作れなくなり、絶望して果てていたことだろう。
 かれらが中で希望を失わずにいられたのも、猟兵達が共にあったからこそだ。
 だから猟兵達は好きなだけここに逗留してもいいし、いつ訪ねてきてもいい。歓迎されるだろう。
「今ある材料でですが寿司を作りました。どうぞお持ちくださいませ!」
 そして感謝の印として一人一人に寿司が渡される。
「食っても問題ないものしか入っておりませぬからな!」
 次郎は念を押した。
「今度は皆様の力で、他の地方の寿司を救って差し上げてくださいませ」
 そしてやはり寿司が平和の基準だった。
「それでは我々は日常の営みに戻ります。重ね重ね、ありがとうございました!」 
 再び頭を下げる次郎。
 そして最後に次郎と一族郎党、使用人の全てが声を揃えて言った。

「「「「「「寿司は最高!」」」」」」

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年07月07日


挿絵イラスト