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白炎に蝕まれし平安

#アヤカシエンパイア #安倍晴明 #ブレイズゲート

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#ブレイズゲート


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「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「サムライエンパイアで倒されたはずの魔軍将『安倍晴明』が、アヤカシエンパイアに現れました」
 エンパイアウォーでも他の魔軍将とは異なる怪しげな言動を見せ、独自の目的で動いていたと思しき陰陽師『安倍晴明』。どうやってアヤカシエンパイアにやって来たかは不明だが、これまで彼奴が起こした事件を振り返れば、またしても惨劇を企てていることは想像に難くない。

「晴明は秘術『|白炎換界陣《びゃくえんかんかいじん》』によって平安結界を歪め、都のひとつを妖溢れる奇怪な迷宮に造り替えてしまいました」
 迷宮内部では多数の妖が無限に分裂と成長を繰り返しており、放置すれば迷宮の外にまで溢れ出すのも時間の問題だ。アヤカシエンパイアという世界の根幹となる「平安結界」を、まさか侵食してしまうオブリビオンがいるとは――晴明自身はこの迷宮を「ブレイズゲート」と呼んでいるようだ。
「しかも迷宮の中には元々この都に住んでいた平安貴族や一般庶民の方々が、そのまま巻き込まれています」
 すでに晴明自身はこの地を離れた後のようだが、このままでは増殖する妖の群れによって住人達が全滅するのも時間の問題だ。今すぐブレイズゲートに乗り込み、巻き込まれた人々を救い出して、この危険極まる迷宮を破壊しなければならない。

「ブレイズゲート化した都は物理法則を無視した広大な迷宮となっていて、内部は名もなき低級妖の群れが大量発生しています」
 一体一体の妖は弱いため、現地に居合わせた陰陽師達も善戦しているようだが、無限に増え続ける敵をいつまでも相手にできるはずがない。ブレイズゲートという迷宮現象を根本的に解決しない限り、こちらに勝ち目はないのだ。
「ここは陰陽師の方々と協力して現地の人々を護りながら、迷宮の奥を目指しましょう」
 ブレイズゲートの中心に迫れば、出現する妖もより強力になると予想される。ここには非戦闘員の庶民だけではなく、貴族や検非違使、陰陽師といったユーベルコード使いがいたのが不幸中の幸いだろう。彼らと協力すれば無尽蔵な妖の壁を全滅させることはできずとも、最奥へ乗り込む一路を切り開けるかもしれない。

「迷宮の最奥には、ブレイズゲートの主として据えられた一体の強大な妖がいます。その名は『|魂喰《たまくらひ》の蓮華姫』。人や獣の精気や魂を喰らい、自らの糧とする鬼です」
 蓮華姫は高飛車で傲慢で、人間をただの餌と見下している、典型的な「悪しき妖」の一種だ。だが魂を喰い続けることで得た妖力や妖術は侮りがたく、油断ならない強敵には違いない。ブレイズゲート内でこいつを倒せる可能性があるのは猟兵だけだろう。
「この蓮華姫を撃破すればブレイズゲートは消滅し、内部に囚われていた人々も解放されます」
 増え続ける妖の群れとの連戦、そして強大な迷宮の主。いかに猟兵であっても過酷な消耗を強いられるだろうが、この依頼には多くの人命がかかっている。再び「平安の世」を取り戻し、人々を救える存在は猟兵しかいないのである。

「晴明の目的は謎めいていて、ブレイズゲートの危険度は未知数です。この事件を解決するために、どうか皆様の力をお貸しください」
 説明を終えたリミティアは手のひらの上にグリモアを浮かべ、ブレイズゲート化した都へと猟兵達を送り出す。
 異界より来たりし悪の陰陽師の秘術に、破られたまぼろしの「平安の世」。偽りなれども人々が生き存えられる世界を取り戻すことはできるのか。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 今回のシナリオはサムライエンパイアにて、陰陽師『安倍晴明』が作り出した迷宮「ブレイズゲート」を攻略する依頼です。

 1章ではブレイズゲート内で大量発生した低級妖の群れから、巻き込まれた人々を守ります。
 現地には都で暮らしていた一般庶民をはじめ、貴族や陰陽師などもいます。しかし彼らの力をもってしても無限分裂する妖を全滅させることは叶わないため、人々の保護と迷宮の攻略を優先してください。

 2章では前章よりも強力な妖の群れとの集団戦です。
 この章でも陰陽師達が共に戦ってくれますが、やはり敵は無限に分裂して現れるためキリがありません。
 殲滅を狙うよりも突破口をこじ開け、ボスのいる最奥に進む必要があるでしょう。

 3章はこのブレイズゲートの主である『魂喰の蓮華姫』との決戦です。
 一体でも非常に強力な妖ですが、こいつを撃破すればブレイズゲートは消滅し、囚われていた人々も解放されます。
 1章からここまでずっと連戦になるため、ペース配分なども重要になってくるかもしれません。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『低級妖の群れを殲滅せよ!』

POW   :    纏めて蹴散らしてやる!複数を相手に力で粉砕する!

SPD   :    殲滅速度を上げるぞ!敵の出現速度を上回る殲滅速度で圧倒する!

WIZ   :    皆で力を合わせよう!陰陽師達を支援し、総合力で敵を圧倒する!

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

葦原・夢路
WIZ

『白炎換界陣』…わたくしは陰陽術には詳しくはありませんがよくないものなのは一目瞭然。
民を巻き込むなどあってはならぬ事です。
わたくしに出来うることは事は限られておりますが。
わたくしはわたくし出来うることをもって皆を守れるよう戦いましょう。

魔除けに霊的防御で戦う術を持たぬ民を護る結界を作りましょう。

その後は陰陽師や検非違使の方に協力をしていただきわたしくしもUC【赤白花嵐】で援護いたします。



「『白炎換界陣』…わたくしは陰陽術には詳しくはありませんがよくないものなのは一目瞭然」
 別世界より現れた陰陽師『安倍晴明』が用いた秘術は、一夜にして平和な都を妖の跳梁跋扈する「ブレイズゲート」に変えた。この事実ひとつを取っても、葦原・夢路(ゆめじにて・f42894)が警戒するには十分過ぎただろう。迷宮と化した都の中では、大勢の庶民が囚われたままとなっている。
「民を巻き込むなどあってはならぬ事です」
 歌を詠み、花を愛で、民草に「平安」な夢を見せることが夢路の務め。この現象はまったくの真逆と言えるものだ。
 断固として許すまじき怪事件を前に、楚々とした姫君は強い憤りを十二単に秘め、邪なる白炎の渦中に乗り込んだ。

「わたくしに出来うることは事は限られておりますが。わたくしはわたくし出来うることをもって皆を守れるよう戦いましょう」
 ブレイズゲート内部で夢路が歌を紡げば、白炎換界陣に歪められた空間の一部が再度書き換えられ、魔除けの結界が構築される。彼女のような平安歌人はアヤカシエンパイアの霊的防御を担う要職。うたかたのまぼろしを具現化させ、かりそめの「平安」を作り出すのだ。
「皆様方、こちらに」
「は、はいっ!」「ひえぇぇぇっ」
 夢路の呼びかけに導かれて、戦う術を持たぬ民たちが結界内に転がり込んでくる。分裂を続ける妖の群れも、この中までは入ってこれない様子だ。いくら数が多くてもしょせん低級では、彼女の歌を突破できるほどの力は持ち得ない。

「陰陽師や検非違使の方も、協力をしていただけますか?」
「無論ですとも」「此方こそ、御助力感謝致します」
 さらに夢路は民たちと一緒にブレイズゲートに囚われていた、現地の霊能力者たちと一緒に妖の群れに立ち向かう。
 彼女は決して守るだけが能のか弱き姫にはあらず。【赤白花嵐】の歌を詠みあげれば、たちまち迷宮には赤と白の花嵐が吹き荒れる。
「赤い花と白い花、どちらも綺麗……」
 二色の花のうち赤い花は妖にダメージを与え、白い花は味方のケガを治療する。分裂し続ける敵との戦いで疲弊していた霊能力者たちは、彼女の歌のおかげで力を取り戻し、怯んだ妖の群れを押し返していく。この間にも結界の中には大勢の民が次々と避難してくる。

「ご無事ですか、皆様方?」
「へえ、なんとか」「助かりましたじゃ」
 これまで妖の存在すら知らなかった一般庶民は、今日はじめてこの世界の真実と、貴族たちの本当の使命を知った。
 花嵐を舞い散らせて妖を退け、優しく呼びかける夢路に、恐怖するばかりの民草は大いに励まされたのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

武富・昇永
平安結界を作り変える...?セイメイというやつは俺たちと同じ力を持っているということか?
いや、考えるのは後回しだ!それよりも巻き込まれた人々を救出しなくては!
これほどの大事件を犠牲者なしで解決できれば大手柄なのは確実!
何としてでも全員無事に避難させてみせる!

({護廷式神・出世魚ブリ}を召喚し『欲望解放』して溢れた出世欲を式神に注いで大きさと頑強さを増大させる)
護廷式神・出世魚ブリよ!逃げる人々の盾になれ!
俺は{早馬・餓狼黒鹿毛}に騎乗して低級妖どもをUC【出世道・雑兵首まとめ狩り】で倒して数を減らし
退避するまでの時間を稼ぐ!

さぁかかってくるがいい!妖ども!俺は青天井の昇り鯉!武富・昇永なり!



「平安結界を作り変える……? セイメイというやつは俺たちと同じ力を持っているということか?」
 アヤカシエンパイアの陰陽師や霊能力者が総力を結集し、心血を注いで作り上げた「平安結界」。それに外部から干渉できる者がいるとすれば同じ異能者だろうと、武富・昇永(昇鯉・f42970)は考える。陰陽師『安倍晴明』――その肩書は虚飾に非ずということか。
「いや、考えるのは後回しだ! それよりも巻き込まれた人々を救出しなくては!」
 昇永にとって重要なのは考察よりも、今まさに危機に見舞われる庶民の安否である。とかく上昇志向の強い男だが、平安貴族としての使命を忘れてはおらぬ。『白炎換界陣』なる異界の秘術が生み出した迷宮、ブレイズゲートの中にも彼は果敢に飛び込んでいった。

「護廷式神・出世魚ブリよ! 逃げる人々の盾になれ!」
 一歩足を踏み入れればそこはすでに戦場。『裂け目』でも見られないほどの数の低級妖と、逃げ惑う民たちがいる。
 昇永は「護廷式神・出世魚ブリ」を召喚し、心から溢れる出世欲を注ぐ。すると術者の欲望に応じて式神はみるみる巨大化し、民と妖の間に立ち塞がった。
『ギギッ?!』『ジャマダ!』
 大きさに合わせて頑強さも増しているようで、雪崩のような妖どもの侵攻はブリの巨体で一時的にせき止められる。
 しかし無限に分裂する妖相手にただ守っているだけでは、持ち堪えられなくなるのは確定。ゆえに昇永は即座に次の手を打つ。

「退避するまでの時間を稼ぐ! 今の内に逃げろ!」
「はっ、はいぃぃぃっ!」
 昇永はぱんと柏手を打つと、瞬く間に現れた「早馬・餓狼黒鹿毛」に飛び乗り「妖切太刀・御首級頂戴丸」を抜刀。
 低級妖の群れに突っ込むと、衆目を引き付けるように堂々と名乗りを上げ、【出世道・雑兵首まとめ狩り】を放つ。
「さぁかかってくるがいい! 妖ども! 俺は青天井の昇り鯉! 武富・昇永なり!」
 その勇ましさは坂東武者の如し。巨大化した太刀を豪快に振り回して、居並ぶ妖どもの首を片っ端から刎ね飛ばす。
 どれだけ分裂しようが所詮は低級。一匹一匹は彼の相手にならない。辺り一面敵だらけなのも、逆に狙うまでもないと言うことだ。

「小さな手柄も積み上げれば大手柄! まとめて狩らせてもらうぞ!」
『『ギ、ギエーーーッ!!!?』』
 ここが手柄の挙げどころとばかりに一騎当千の働きを見せる昇永。木っ端の如くなぎ倒された妖の悲鳴が木霊する。
 それでもまだ妖の数に減る気配がないのは、このブレイズゲートなる異界の作用であろう。しかし逆に言えば、これ以上の侵攻は完全に止まっている。
「手柄が減らぬというのも悪くはないな!」
 これならば幾らでも狩り放題だと、昇永は休みなく太刀を振り回し、妖の大群を食い止め続ける。我が身を張って民を逃がす彼の働きぶりは事実賞賛に値するものであり、宮中からの報奨も大きいだろう――無論、それもこれも無事にここを出られればの話だが。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真宮・律
義娘の星羅(f42858)と参加

まあ、クルセイダー倒した時は晴明はまだ生き残るすべ残ってるようないいようだったしな。陰陽師の星羅と皇族の武人の朔兎を迎えた時点で覚悟はしてたが。

本当にでやがった。星羅は大丈夫らしい。むしろ闘志漲ってるな?ああ、これ以上お前の人生脅かす前に犠牲を減らし、今度こそ仕留めるぞ。

ああ、いくぞ、星羅、早く、出来るだけ殲滅するぞ!!ついてこい!!星羅、フォローたすかる!!荒ぶる雷鳴!!星羅が手数で圧倒するなら、俺は広範囲を一気に薙ぎ払う!!

星羅がふらついたら支えてやるし、吹っ飛んだらうけとめてやる。星羅の無念と悔しさは良くわかるしな。道は作ったな!!


神城・星羅
義父の律(f38364)と参加

ええ、陰陽師にとって「安倍晴明」は悪い意味でもいい意味でも影響力が高いですしね。無視はできません。でも数々の人の尊厳を辱める所業、予兆にて違和感甚だしい姿をみて確信しましたよ。

心は決まってます。この偽りの陰陽師の犠牲を減らし、必ず祓うと。

はい、脅威を完全に鎮めるには殲滅を早めると。お父様にしっかりついてまいります。お父様の方も私に出来るだけ併せてくださってるようですし。

白虎の進撃発動!!少し火力を多めにしますか。投擲武器を90、爆弾を35、幻影を24!!かなり力押しですが、導きの狛犬、護りの狼、金鵄、八咫烏もフォローにまわします!!

ええ、道筋は見えましたかね。



「まあ、クルセイダー倒した時は晴明はまだ生き残るすべ残ってるようないいようだったしな。陰陽師の星羅と皇族の武人の朔兎を迎えた時点で覚悟はしてたが」
 エンパイアウォーでの敗北後、猟書家『クルセイダー』の肉体を乗っ取って復活し、二度も猟兵の前で乱を起こした陰陽師『安倍晴明』。三度目となるともはや驚きも少ないようで、真宮・律(黄昏の雷鳴・f38364)は冷静に事態を受け止めていた。
「ええ、陰陽師にとって『安倍晴明』は悪い意味でもいい意味でも影響力が高いですしね。無視はできません。でも数々の人の尊厳を辱める所業、予兆にて違和感甚だしい姿をみて確信しましたよ」
 彼の義娘である神城・星羅(黎明の希望・f42858)も、すでに話を聞いて覚悟はできている様子。いかに陰陽師を名乗ろうとも、あの『安倍晴明』は紛うことなき世界の敵だ。「平安の世」を保つ要である結界を歪め、妖溢れる迷宮に変えてしまうなど。

「本当にでやがった」
 実際に現地でブレイズゲート化した都の有り様を見れば、律にも多少の驚きはある。『白炎換界陣』なる未知の秘術で迷宮化した空間では、妖どもが無限の分裂増殖を繰り返しながら人々を襲っている。彼はまだしも、この世界の住人にとってはショッキングな光景だろう。
「でも星羅は大丈夫らしい。むしろ闘志漲ってるな?」
「心は決まってます。この偽りの陰陽師の犠牲を減らし、必ず祓うと」
 齢八つにして歳に似合わぬ大人びた振る舞いで宣言する星羅。若くとも平安貴族としての心得と使命感はしっかりと身についているようだ。妖の襲撃によって実の家族を失った彼女にとって、妖は憎き敵でもあるというのに――その瞳に暗い感情の色は見えない。

「ああ、これ以上お前の人生脅かす前に犠牲を減らし、今度こそ仕留めるぞ」
 義娘の覚悟の強さを知った律は、義父として彼女を支えんと気を張る。このままブレイズゲートを放置すれば、迷宮の外まで妖が溢れ出すのも時間の問題。さすれば平安結界の綻びは深刻なものとなり、アヤカシエンパイアそのものが――星羅の生きる世界が崩壊する。
「いくぞ、星羅、早く、出来るだけ殲滅するぞ!! ついてこい!!」
「はい、脅威を完全に鎮めるには殲滅を早めると。お父様にしっかりついてまいります」
 赤銅の両手剣「クレプスキュル」を構えて走り出す律と、指揮棒を片手に追いかける星羅。眼前に立ちはだかるのは数え切れないほどの妖の群れだ。一体一体は低級とて、これだけの数が集まってしまえば脅威だが――二人とも恐れる様子はまるでない。

「少し火力を多めにしますか。いざ、障害を蹴散らす一撃となれ!!」
 星羅は手近な物品に「ライトニングタイガー」を憑依させ、爪と牙と咆哮をもって眼前の妖を排除せよと命じる。
 さらに【導きの使い】で召喚した白虎たちを、90の投擲武器、35の爆弾、24の幻影に変化させ。飛来する爪牙と爆発をもって敵群を吹き飛ばす。
「かなり力押しですが、導きの狛犬、護りの狼、金鵄、八咫烏もフォローにまわします!!」
 手持ちの式神や従僕等をほぼ全て動員した、総力戦の如き様相。それだけやらなければ戦線の突破は不可能だと判断したか。星羅の振るう「音律の指揮棒」の動きに合わせて鳥獣たちは意のままに動き、低級妖どもを蹴散らしていく。

「星羅、フォローたすかる!!」
 前線で妖と切り結ぶ律も、星羅の式神たちの援護にはかなり助けられていた。義娘にフォローされることについて情けないとは思わない、こと妖との戦いにおいては対等の猟兵として実力を認めている証だ。得手不得手を補って互いに助け合うのは戦場の鉄則だろう。
「星羅が手数で圧倒するなら、俺は広範囲を一気に薙ぎ払う!!」
 そう叫んで律は【荒ぶる雷鳴】を発動。掲げた手のひらから迸る電撃が、戦場一帯にはびこる妖どもに降りかかる。
 落雷を受けた妖はダメージを受けるだけでなく、一時的に感電して動けなくなる。無尽蔵に増殖する敵に対しては、こちらのほうが足止めとして効果的だろう。

「まだやれるよな、星羅?」
「はい、勿論ですお父様」
 敵群の勢いが鈍ると、律は星羅のもとでそっと肩を支える。沢山の式神を一気に運用したためだろうか、本人は気丈なままでも微かによろめいたのを見逃さなかったのだ。彼もオブリビオンに家族を引き裂かれた者として、義娘の無念と悔しさは良くわかる――だから覚悟に水を差すつもりはないが、何かあれば受け止めてやる備えはできていた。
「道は作ったな!!」
「ええ、道筋は見えましたかね」
 対する星羅のほうも、義父ができるだけ自分に併せてくれているのは察していた。慮る心は言葉よりも態度で示す、血よりも強い絆で結ばれた父娘は、跳梁跋扈する妖どもを薙ぎ倒しながらブレイズゲートの深層へと迫りつつあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

花咲・月華
鬼と龍

助けに来ました!行こう、シャミ!朱雀!
気配感知や索敵しながらオーラ防御を展開して妖怪の攻撃を防ぎ炎属性の弾幕を放ち反撃する

『数が多いな、効率よく殲滅する!』
朱雀はUC鳳凰烈火を発動して爆焔怒号術をする為に心眼で敵の動きを見ながら爆破する衝撃波で敵を一箇所に誘導してから爆焔怒号術発動して効率よく敵を焼き尽くす

蟲達も力を貸して!
蟲使いで弾幕と衝撃波で攻撃する蟲達を呼び出して他の人達のサポートへ行かせた


よし、一気に焼き尽くす!
UCを発動して時空崩壊の焔矢を放ち
周りの敵を殲滅しながら焼却の矢弾の雨を放つ


まだまだ戦闘は続くから無理しないでね!
とシャミや朱雀だけでは無く他の陰陽師や貴族達に呼びかけた


結月・志愛美
鬼と龍

はい、行きますよ!月華様!朱雀さん!
推力移動で加速しながら先陣を切る

体力を減らさないように効率よく動きますよ!
視力と心眼と気配感知で周りの敵を感知しながら刀で妖怪を切断する(足場習熟で足元を警戒する)


『シャミ!私も頼りなぁ!』
背中に背負うサヴェイジ・オーラが後ろにいる妖怪に向けて衝撃波を放つ

極天神楽…陽輪龍舞!
私は走りながら概念干渉斬を妖怪立ち回るを切り裂く


そして、天舞!
UC十二の剣・陽輪龍舞の効果でUC一の剣・天舞を発動して概念破壊と根源切断の剣を放ち妖怪達を切り裂く

あっ次に出てくる妖はこれより強力ですからね
『ああ、気を付けな!』
と月華様とサヴェ姉の言う事を聞いて無理をしないようにする



「助けに来ました! 行こう、シャミ! 朱雀!」
「はい、行きますよ! 月華様! 朱雀さん!」
 陰陽師『安倍晴明』の秘術によりブレイズゲートと化した都。そこに駆けつけた花咲・月華(『野望』を抱く?花咲の鬼姫・f39328)と結月・志愛美(時空を超えた龍神少女『シャミ』と次元災害の剣・f40401)、そして月華のお付きである朱雀は、住民救助と妖殲滅のために直ちに行動を開始した。

「体力を減らさないように効率よく動きますよ!」
 先陣を切ったのは志愛美だ。妖力による推力移動で加速しながら、両の目と心眼で敵の気配を探るが――感知するまでもないほどに、ブレイズゲート内部は敵で溢れかえっている。どれも低級の妖だが、無限に増殖と分裂を続けながら生あるものを無差別に襲うそれは、まさに地獄絵図だった。
「ゲゲゲッ!」「ギギィッ!」
「何匹いるんだろう……」「こいつら……消えて!」
 立ちはだかる妖どもを志愛美はすれ違いざまに切り捨て、一方の月華はオーラで攻撃を防ぎながら炎の弾幕で反撃。
 攻撃を受けた妖は消滅するが、すぐにブレイズゲートの奥から次の妖がどんどん出てくる。聞いていた通り、まともに戦っていたのではキリがなさそうだ。

「極天神楽……陽輪龍舞!」
 志愛美は走りながら極天刀『極楽鳥花』を抜くと、【極天神楽・十二の剣・陽輪龍舞】による概念干渉斬で、立ちはだかる妖を一刀両断する。若くして天賦の剣才を持つ彼女にとって、ここの妖は一体一体なら相手にならない。だが、これだけ数が多いとなると足元を警戒する必要もあるだろう。
「そして、天舞!」
「「ギギャーーーッ!!!?」」
 彼女は十二の剣を繰り出した体勢から【極天神楽・一の剣・天舞】に繋げ、概念を砕き、根源を断つ斬撃をもって妖どもを切り裂く。それぞれの剣技が次の剣技に連動するようになっている彼女のユーベルコードに隙はなく、攻撃の手は止まらなかった。

『数が多いな、効率よく殲滅する!』
 先駆けとして大立ち回りを見せる志愛美に続いて、朱雀も【鳳凰烈火】を発動。鬼の大将としての力を開放すると、爆破する衝撃波で周囲の敵を誘導し――一箇所に纏まったところで【爆焔怒号術】を起爆。白炎もかくやという凄まじい熱量をもって、妖どもをまとめて焼き尽くす。
「蟲達も力を貸して!」
 月華は瓢箪型の蟲笛を吹いて蟲の群れを呼び出し、弾幕と衝撃波で他の者達のサポートをさせる。ここでは猟兵だけではなく、不運にもブレイズゲートに巻き込まれた貴族や陰陽師も戦っている。減らない敵を相手にジリ貧になっていた彼らは、この援軍に「ありがたや!」と声を上げた。

『シャミ! 私も頼りなぁ!』
「ありがとう、サヴェ姉」
 なおも妖どもは分裂を続けるが、猟兵達にも頼もしい仲間がいる。志愛美に背負われた魔剣「サヴェイジ・オーラ」は、後ろにいる妖怪を衝撃波で吹き飛ばす。どこから敵が来ても彼女が死角をカバーしてくれるおかげで、志愛美は前だけを向いて戦える。
「よし、一気に焼き尽くす!」
 敵の勢いが衰えてきたところで、月華が【花咲流奥義・鬼姫覚醒】を発動。本気になった彼女の放つ焔矢は、時空を崩壊させながら無数の矢弾の雨となり、有象無象どもを焼却する。断末魔の悲鳴を上げる暇もなく、低級妖の群れは灰燼に帰した。

「まだまだ戦闘は続くから無理しないでね!」
「うむ、承知した」「感謝いたしますぞ」
 周囲の妖を一時的に殲滅できても、ブレイズゲートが消えるまで敵は増え続ける。月華は志愛美や朱雀だけでなく、他の陰陽師や貴族達にも呼びかけ、長期戦に備えるように伝える。迷宮の主までの道程は遠く、この先も過酷な連戦が予想されていた。
「あっ次に出てくる妖はこれより強力ですからね」
『ああ、気を付けな!』
 月華やサヴェイジ・オーラの言う事を聞いて、志愛美も無理をしないように仲間と足並みを揃える。猟兵と仲間たちに現地の霊能者も一丸となれば、必ずや道は切り開ける――誰一人として犠牲を出さないために、一行は迷宮の最深部を目指すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

枡野・時恒
安倍晴明、信長に与していた賊がこの世界に逃げ延びていたか。
奴の目論見は、なんとしても潰さねばならん!

ブレイズゲート内の移動は「巽」に《騎乗》して、機動力を活かして
逃げ遅れた民を迅速に探そう。
小さい子供なら2人程度、大人でも1人は巽の背に乗せて、
安全圏まで運んでやろう。
妖は、見つけ次第《妖魔殺し》の力を込めた矢を射掛けたり、
《切り込み》をかけ【剣刃一閃】で斬り捨てる。
妖が襲ってこようが、《精神の余裕》《落ち着き》を
見せることで、民を動揺させないようにする。
敵は無限に湧くので、雑魚はさっさと撒いて最短の道を探るぞ。
陰陽師の術があれば、きっと正確な経路を導き出せるだろう。
早く彼らと合流しなければ。



「安倍晴明、信長に与していた賊がこの世界に逃げ延びていたか」
 かつてサムライエンパイアを乱世に陥れた第六天魔王・織田信長率いる魔軍との戦いで。ある地方領主だった枡野・時恒(羅刹の板東武者・f02964)の父は討ち死にした。そんな因縁深き魔王に仕えた『魔軍将』の1人が復活し、別の世界で新たな事変を起こそうとしていると聞けば、居ても立っても居られない。
「奴の目論見は、なんとしても潰さねばならん!」
 あの男にこれ以上の狼藉を許してはならぬと、勇んで向かった先で彼を待っていたのは、白炎に包まれし平安の都。
 内部に足を踏み入れれば、そこはもう元の都とはまるで異なる空間となっており。無限に分裂を続ける妖の群れが、巻き込まれた無辜の民を襲っていた。

「頼むぞ、巽!」
 時恒は鹿毛の愛馬の背に跨ってブレイズゲート内を駆け、機動力を活かして逃げ遅れた民のもとへと迅速に向かう。
 現地の陰陽師や猟兵達も奮闘しているが、いまだ全ての民を逃がしきるには至っておらず。崩れた家の物陰に隠れ、妖に怯える庶民らを探し出すと、彼は馬上よりさっと手を差し伸べる。
「乗れ!」
「は、はいぃっ」
 小さい子供なら2人程度、大人でも1人は巽の背に乗せられる。羅刹の膂力で馬上まで引き上げると、時恒はすぐにまた走り出した。この先には魔除けの結界が張られた一時的な安全圏がある。そこまで連れていけばひとまずは大丈夫だろう。

「道を開けろ、妖めが!」
「ギギィッ?!」「ゲゲーーッ!?」
 道中に立ちはだかる妖どもは見つけ次第、伝家の強弓「屠龍」より妖魔殺しの力を込めた矢を射掛けて撃ち落とす。
 一匹一匹は低級の妖だ、羽虫を射殺すよりも容易い。問題は倒しても倒しても一向に減ることのない敵の数だろう。
「ひぃっ、ま、また来ましたっ」
「問題はない」
 怯える民を動揺させないよう、時恒は精神の余裕を落ち着きを見せる。武将たるものこれしきの逆境に狼狽えていては示しが付かぬというものだ。羅刹の太刀を抜き放った彼は果敢に敵陣に切り込んでいき、【剣刃一閃】にて妖どもを斬り捨て、文字通りの血路を開く。

(雑魚はさっさと撒くぞ)
 ひとたび囲みを突破してしまえば、巽の脚に追いつける妖はそうそういない。無限に湧く敵と律儀に戦う気もなく、時恒は目的地まで最短の道を往く。無事に安全圏まで到達すれば、彼は乗せてきた庶民たちをそっと地面に降ろした。
「ここに居れば安心だ。すぐにこの異変も収まる」
「あ、ありがとうざいますっ」「この御恩は忘れません!」
 平身低頭して感謝する民たちに「よいのだ」と応えると、時恒は休む間もなく愛馬を走らせる。ブレイズゲート化を解除しない限り、無限に増殖する妖にこの都は滅ぼされる。一刻も早く異変の元凶を断たねばならぬと、彼も重々承知していた。

「陰陽師の術があれば、きっと正確な経路を導き出せるだろう。早く彼らと合流しなければ」
 これより先、ブレイズゲートの最深部を目指すためには現地の陰陽師たちの協力も不可欠となる。武人としての経験から戦の匂いを嗅ぎ取り、戦闘が起きている現場へと急ぐ時恒。有象無象の低級妖どもを蹴散らしながら、その騎行は寸刻たりとも止まることはなかった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

八秦・頼典
●WIZ

へぇ、異なる世界からやってきた安倍晴明…ねぇ
この世界での安倍晴明となれば、帝が在位された古の平安京にて活躍された伝説の陰陽師
陰陽師たる者なれば誰もが憧れた存在だが…まさか異なる世界の|晴明《はるあきら》殿が平安結界を破壊するとは奇妙なこと
ならば、この目でしかと確かめよう
本当に安倍晴明なのかどうかを

都となればボクの顔や階位を知る者が多いだろうが、逆にボクほど実力がある事を示す階位が立てば妖に対抗し続ける陰陽師達の励みとなろう
目には目、歯には歯、数には数
低級な妖には数で対抗する『形代招来』で十分かな?
無数の形代である程度駆逐すれば、後はキミ達で何とか出来るはず
ボクはその手助けをしただけさ



「へぇ、異なる世界からやってきた安倍晴明……ねぇ」
 八秦・頼典(平安探偵陰陽師ライデン・f42896)が知る、この世界での「安倍晴明」となれば、帝が在位された古の平安京にて活躍された伝説の陰陽師だ。残された逸話の数は両手両足の指でも数え切れず、後世の陰陽道にも様々な形で影響を与えている。
「陰陽師たる者なれば誰もが憧れた存在だが……まさか異なる世界の|晴明《はるあきら》殿が平安結界を破壊するとは奇妙なこと」
 たとえ同姓同名でも、世界が違えば別人となることも珍しくはない――頼典も世の道理は承知している。されど同じ陰陽師を生業としながら、こうも真逆な悪行を為す「安倍晴明」とはいかに。晴明を名乗り、斯様な所業に走った真意はどこにあるのか。

「ならば、この目でしかと確かめよう。本当に安倍晴明なのかどうかを」
 普段は女性絡みの依頼しか受けないと公言している頼典だが、この件に関しては流石に心が動いたと見える。ブレイズゲート化した都にやって来た彼は、霊獣「|阿近《あこん》」と「|吽近《うこん》」を筆頭に数多の式神らを引き連れ、いざ堂々と迷宮入りした。
「おお、あの一対の霊獣は……!」「従一位、八秦頼典殿か!」
 都となれば現地の平安貴族らにも、その顔を知る者は少なくない。猟兵に覚醒してから数々の難事件を解決に導き、破竹の勢いで階位を上げた彼の名は宮中でも評判だ。すべからく妖討滅の使命を背負うこの世界の貴族社会において、階位の高さは実力の指標ともなる。

「目には目、歯には歯、数には数。低級な妖には数で対抗する『形代招来』で十分かな?」
 敵味方大勢の注目が集まっているのを感じながら、頼典は簡単な呪言と印を組むだけで、数百体の形代を召喚する。
 ひとつひとつの強さは程々だが、相手も有象無象なら遅れは取るまい。檜扇を軽くひと扇ぎすれば、形代の群れは一斉に妖どもに襲い掛かっていった。
「あなや、お見事!」「私共も続きますぞ!」
 階位という実力の裏付けがある頼典が前に立てば、その他の陰陽師たちには大きな励みとなる。尽きることのない妖に抵抗し続けるのにも限界を感じていた者も、彼の勇姿を見て再び奮い立った。もちろん彼も自身の影響力を理解したうえでの行動である。

「無数の形代である程度駆逐すれば、後はキミ達で何とか出来るはず」
 力を温存する目的でも、現地の陰陽師に華を持たせる意味でも、頼典は自分の力だけで妖を殲滅しようとはしない。
 数を減らし、敵陣をかき乱せば、すかさず他の者が追撃を図る。ブレイズゲート内での妖は無限に分裂増殖するが、陰陽師達の巧みな連携をもってすれば活路は開かれる。
「感謝致します、頼典殿!」「貴方が来てくださらなければ、どうなっていたことか……」
「なに、ボクは手助けをしただけさ」
 陰陽師たちは口々に感謝を述べるが、頼典は涼しい顔で応じる。今は手柄がどうこうよりも先に進むほうが肝心だ。
 ブレイズゲートの最深部にいる、いわば迷宮の主を討伐するため、平安の守護者たちは一丸となって戦い続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

西恩寺・久恩
無意識にUC超越者の肉体を発動

成る程これが例の妖達と迷宮ですね
私は妖怪を殴り飛ばしながら周りを見る(庶民達を守るようにする)

『皆さん、こっちへ避難してください!フラウディ・スパーク!』『カモカモ〜!』
フラウディとカモカモは現地の人達を避難させながら謎の光線を放つ

手伝いますよ、無限天理陰陽術式…至大至剛!
私は苦戦している陰陽師と貴族達に助太刀するように指定UCを発動して妖を消し飛ばした(久恩は割と有名らしい)

…ここですかね?
霊力で推力移動をしながら第六感と瞬間思考力と気配感知で迷宮の攻略を目指す

『主さん!』『カモ〜!』
マッチョになっているフラウディとカモカモと合流して迷宮の出口へ目指すのだった



「成る程これが例の妖達と迷宮ですね」
 異世界の陰陽師『安倍晴明』が作り出した迷宮・ブレイズゲートと、その内部で無限に分裂増殖する妖どもの群れ。
 この世のものとは思えぬ地獄絵図を前にしても、西恩寺・久恩(妖怪陰陽師(物理)ここに見参!・f42881)は動揺をまるで見せず、寄ってきた妖を殴り飛ばす。
「グゲェッ!?」
 無意識のユーベルコードで強化された【超越者の肉体】は、ただのパンチでも低級の妖程度なら一撃で粉砕するほどのパワーを生む。しかし一匹潰しても周りを見回せば、同様の妖が何百あるいは何千匹も――こいつらから庶民たちを守りながら戦うのは、少々骨が折れそうだ。

『皆さん、こっちへ避難してください! フラウディ・スパーク!』『カモカモ〜!』
 久恩の式神「フラウディ」と「カモカモ」は、謎の光線を放って妖を牽制しながら、現地の人達を避難させていた。
 突然のブレイズゲート化という災厄に見舞われたこの地には、逃げる間もなく巻き込まれた者が大勢いる。その多くは戦う力を持たない庶民であり、彼女たちの助けがなければ妖の餌食だったろう。
「くっ、数が多すぎる……」「泣き言を言うでない!」
「ギギッ!」「ギヒヒヒッ!」
 中には平安貴族や陰陽師といった霊能力者もいるが、彼らも無限に分裂増殖する敵に苦戦を強いられているようだ。
 民を守るべく必死の抵抗を続けているが、士気も体力もいつまで保つか。妖どもの耳障りな喚き声は、まるで彼らを嘲笑っているようだ。

「手伝いますよ、無限天理陰陽術式……至大至剛!」
 久恩はそうした者達の助太刀をするようにユーベルコードを発動。全身に力を込めて拳を突き出せば、次元を震わすほどの衝撃波が放たれ、その周囲にいた数百匹ほどの妖が「ギギャーーーッ!?!」と悲鳴を上げて消し飛ばされた。
「おお、助かった!」「感謝しますぞ!」
「いえ、当然のことです」
 この救援によって士気を盛り返した陰陽師たちと共に、久恩は妖どもと戦いながら第六感と思考力を研ぎ澄ませる。
 このまま普通に戦っていてもブレイズゲートは消えない。迷宮と化した都を攻略し、最深部に到達する必要がある。

「……ここですかね?」
 持ち前の直感と瞬間思考で正しい道程を導きだした久恩は、霊力を推進力にして飛ぶような疾さで迷宮を移動する。
 邪魔な妖は【無限天理陰陽術式『至大至剛』】で蹴散らしつつ、殲滅よりも先を急ぐ。どうせまた増えるのだから、まともに相手をするだけ時間の無駄だ。
『主さん!』『カモ〜!』
 一般庶民の避難誘導を終えたフラウディとカモカモとも途中で合流して、一行は最短ルートで迷宮の深部を目指す。
 ブレイズゲートの奥から感じ取れる禍々しい妖気――この辺りにいる奴らとは別格な妖の気配が、まるで彼女たちを招いているようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『境鳥』

POW   :    天狗隠し
自身の【身体と武装】を【妖術で視聴嗅覚での感知が不可能な状態】化して攻撃し、ダメージと【混乱、または病気】の状態異常を与える。
SPD   :    天狗団扇
【羽団扇と羽団扇を扇ぐ事で起こした風】が命中した敵をレベル×10m吹き飛ばす。
WIZ   :    天狗火
レベル×1個の【天狗火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。

イラスト:もりさわともひろ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 巻き込まれた一般庶民を蹴散らしながら、増殖する有象無象の妖を蹴散らし、ブレイズゲートの奥に向かう猟兵達。
 先に進むにつれて空間の歪みは大きくなり、元の都とはかけ離れた風景となる。そして一行の行く手を阻むように、これまでとは違う妖が姿を現した。

「ぞろぞろ来たわね、陰陽師ども」
「ここを通りたいのなら、あたし達と遊んでもらいましょ」

 『境鳥』。またの名を木の葉天狗とも呼ばれる、鳥の翼を生やした女性型の妖だ。
 美しい容姿と剣術、妖術を用いて人を惑わし、悪戯好きで人を驚かせたり攫ったりする事を好むという。
 彼女らもまたブレイズゲートに取り込まれたことで、無限に分裂増殖する存在となったようだ。

 一対一ならまだ猟兵のほうが強いとはいえ、境鳥の実力はこれまで倒してきた低級妖より格上だ。
 さらに、この後にはブレイズゲートの主となった妖との戦闘も控えている。いたずらな消耗は避けたい。

「微力ながら、力を貸しますぞ」
「皆々様は隙をみて、先をお急ぎなされ!」

 だがここには猟兵だけではなく、陰陽師や検非違使といった現地の霊能力者がいる。
 無尽蔵の敵を相手に勝機は薄くとも、ともに戦えば妖の壁を破り、最奥へ乗り込む一路を切り開けるやもしれない。

 数え切れぬほどの女妖どもの、クスクスという笑い声が迷宮に反響する。
 白炎の悪夢を終わらせるには、一刻も早くあやつらを打ち払わねば――猟兵達は再び戦闘態勢を取った。
枡野・時恒
村人の避難は完了したか。ならば後は、目の前の敵を
打ち倒すのみだ。そこの天狗ども、道を開けてもらおうか。

道中で合流した陰陽師や検非違使たちと共闘の構え。
飛行する相手に対し、屠龍を引き絞り《矢弾の雨》を放つ。
敵の妖術には《呪詛耐性》《邪心耐性》で抵抗を試みよう。
視聴覚で敵を感知できないから、陰陽師の術式や式神の
助けを借りて彼らに索敵してもらおう。

――そこか。
俺の目は欺けただろうが、この蟲たちの本能は誤魔化せられんぞ?
呪髪を振り乱し、体内で飼いならしている黒燐蟲を、
《蟲使い》の秘術を以て今解き放つ!
【暴走黒燐弾・奥義】は俺の前に立つモノすべてを喰らい尽くすぞ。
以後は検非違使と連携して、攻撃を続行だ。



「村人の避難は完了したか。ならば後は、目の前の敵を打ち倒すのみだ」
 ブレイズゲートに巻き込まれた庶民の安全はひとまず確保され、この場にいるのは戦える力を持つ者のみ。道中で合流した陰陽師や検非違使たちと並び立って、時恒は立ちはだかる『境鳥』の群れを睨みつけた。やつばらを突破した先には、いよいよ迷宮の主が待っている。
「そこの天狗ども、道を開けてもらおうか」
「ふーんだ。どかせてみせなさいよ」
 そう告げる|武士《もののふ》の殺気にも境鳥たちは怯まず、からかうような笑みで団扇をあおぐ。色香や妖術で人を惑わせる典型的な女妖の仕草だ。ふざけた態度に反して実力はなかなかのもので、これまでの低級妖のように分裂増殖するのも同じだ。油断はすまい、と時恒は気を引き締めた。

「征くぞ」
「応!」
 時恒は強弓「屠龍」の弦を引き絞り、空中の境鳥に向けて矢を射る。同時に、陰陽師や検非違使も術や矢を放った。
 アヤカシエンパイアの平安を守護してきた霊能者との共闘は、激しい矢弾の雨を戦場に降らせ、またたく間に数十の妖を撃ち落とす。
「うぎゃっ!」「いったぁ~……やったわね!」
 思ったよりも手痛い攻撃を喰らった境鳥たちは、妖術【天狗隠し】を発動。ひゅうと吹きすさぶ風の妖気が彼女らの姿を消し去り、視聴嗅覚の感知を不可能にする。一体どこへ――と思った次の瞬間、時恒の脇腹に鋭い痛みが走った。

「これが天狗の妖術か」
 まるで見えはしなかったが、時恒の表情に動揺はない。彼が身に着ける大鎧「鹿王」には妖の毛を編み込んで呪詛耐性を付与しており、妖術のダメージや状態異常を軽減してくれる。そして日頃から厳しい鍛錬を積んだ武士の精神は、妖の邪心に惑わされなどしない。
「ここはお任せあれ!」
「感謝する」
 視聴覚で感知できないから我らの出番だと、陰陽師たちが術式や式神を用いて索敵を始める。神出鬼没の妖の所在を突き止めるのは得意分野であろう。時恒は有り難くその助力を借り、自らも敵の気配を探らんと意識を研ぎ澄ませる。

「――そこか」
 ほどなく式神たちが捉えた空中の一点を睨みつけると、時恒は呪髪「月禍雫」を振り乱し、体内で飼い慣らしている黒燐蟲を、蟲使いの秘術を以て今こそ解き放つ。それは数百数千の蟲の集まりによる、闇を凝縮したかのような漆黒の弾丸であった。
「俺の目は欺けただろうが、この蟲たちの本能は誤魔化せられんぞ?」
「やばッ……きゃぁぁぁッ!!!?!」
 着弾した【暴走黒燐弾・奥義】は、爆発と共に標的の皮と肉を食い破る。境鳥たちが慌てて逃げ出しても、黒燐蟲の本能は見えない獲物をどこまでも追跡し、骨の髄まで捕食するまで止まらない。お預けを喰らったぶんだけ飢えていたのやもしれない、解放された蟲たちの衝動には慈悲も容赦もなかった。

「【暴走黒燐弾・奥義】は俺の前に立つモノすべてを喰らい尽くすぞ」
「なんともはや、恐ろしいものですな……しかし今が好機なれば!」
 以後の時恒は検非違使たちと連携し、蟲が食い荒らした妖どもに攻撃を続行する。また妖術で身を隠そうとしても、今度は群がる黒燐蟲が目印となって場所を教えてくれる。次々と射落とされていく境鳥の骸は、骨の一片も残さず蟲の腹の中に収まるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

武富・昇永
退避はひとまず完了したな!ということは後は討伐での勲功稼ぎだ!
(召喚していた{護廷式神・出世魚ブリ}に『欲望解放』して溢れた出世欲をさらに注いで大きさと頑強さを増大させる)
ブリよ!もうひと働きしてもらうぞ!
陰陽師や検非違使たちの盾となって少しでも被害を減らすのだ!
そして俺はこれより敵の大将首めがけて突貫する!
({妖切太刀・御首級頂戴丸}を抜刀し八相の構えをとるとUC【出世道・功名一番槍】を発動して無数の妖の集団へ突撃する)
遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ!
俺は青天井の昇り鯉!武富・昇永!
俺の手柄になりたくば大いに邪魔をするがいい!
大将首のついでに刈り取ってやろう!



「退避はひとまず完了したな! ということは後は討伐での勲功稼ぎだ!」
 出てくる妖が強くなってきても、昇永からすれば手柄が大きくなっただけに過ぎない。彼は召喚していた「護廷式神・出世魚ブリ」に解放した出世欲をさらに注いで、ますます大きさと頑強さを増大させる。いくらでも溢れだす欲望と向上心は、ブレイズゲートの妖と同じで尽きることがない。
「あらあら、もしかしてもう勝った気でいるの?」「それは甘いんじゃないかしら?」
 出世の踏み台扱いされて面白くないのは『境鳥』たちのほうだ。妖の恐ろしさを今一度人間どもに思い知らせてやろうと、刀を抜いて空を舞う。【天狗隠し】等の妖術や剣術、さらには自身の美貌まで武器として使いこなす彼女らは、決してこれまでの有象無象とは違う。

「ブリよ! もうひと働きしてもらうぞ! 陰陽師や検非違使たちの盾となって少しでも被害を減らすのだ!」
 敵集団が襲い掛かってくる気配を感じた昇永は、巨大化したブリを前に押し出して味方を護る。低級妖と戦っていた時よりも一回り以上でかくなったブリは、飛びかかる境鳥たちの攻撃を一手に引き受けた。式神使いの荒いことだが、これも信用の証ではある。
「きゃははは! お刺身にしてあげる!」
 巨大ブリに群がり切り刻む境鳥たち。どんなに美しい容姿をしていても、やはり本性は残酷な妖だ。刀の餌食にされながらも、それでもブリは命令通り一歩も退かず、その勇姿に守られた陰陽師や検非違使は「あなや!」と感服の言葉を叫んだ。

「そして俺はこれより敵の大将首めがけて突貫する!」
 ブリが盾となっている間に、昇永は「妖切太刀・御首級頂戴丸」を抜刀し、八相の構えを取ると【出世道・功名一番槍】を発動。敵味方にはっきりと聞こえるよう大声で名乗りを上げながら、眼前にいる無数の妖の集団へと突撃する。
「遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ! 俺は青天井の昇り鯉! 武富・昇永!」
 出世欲に比例して高まる霊力が銀色のオーラとなり、彼を重力の軛から解放する。地を離れ空を翔ける姿は、まるで弓から放たれた矢のようで。血相を変えた敵が「と、止まりなさいっ!」と叫んでも、まったくスピードを緩めない。

「俺の手柄になりたくば大いに邪魔をするがいい! 大将首のついでに刈り取ってやろう!」
「な……ッ、きゃぁぁぁッ!!?」
 槍の穂先のように鋭くなったオーラが正面の敵を突き飛ばし、振り下ろした太刀が野菜でも切るように首を刎ねる。
 昇永はただ進路上にいる障害物を蹴散らしているだけ。本人も言うようにここの連中の首級は「もののついで」だ。だというのに誰も止められない。まるで滝を登り龍とならんとする鯉のように、止まることを知らぬ出世欲の塊を。
「こ、こいつッ……!!」
 自分たちがほとんど眼中にすらないことを察した境鳥たちは、怒りと屈辱で歯噛みする。しかし悔しがったところで歴然とした実力の差は埋まらない。分裂増殖が続く限り全滅はないものの、戦線を突破してブレイズゲートの奥に進む彼を阻止することは、もはや不可能であった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

葦原・夢路
WIZ
突破口を作らねばならぬとは言え陰陽師の方や検非違使の方をこの場に残さなくてはいけないのは心配ですね…そうですわね…迷宮の中にさらに迷宮を作ってしまいましょう。
UC「まぼろしの歌詠み」
この迷宮に女妖めを閉じ込め
迷宮のそこかしこにわたくしの幻影をおけば少しばかりは時間は稼げるでしょう。



「突破口を作らねばならぬとは言え陰陽師の方や検非違使の方をこの場に残さなくてはいけないのは心配ですね……」
 ブレイズゲート深部にて戦況の推移を見極めながら、夢路はぽつりとそう語る。彼らの実力を疑うわけではないが、無限に分裂する妖相手に延々と戦い続けろというのは酷な話だ。猟兵がブレイズゲートの主を倒すまで、彼らが無事に持ち堪えられる保障はない。
「我らのことはお気になさらず」
「どうぞ先にお進みください!」
 もともとこの都の守護を任じられていた陰陽師や検非違使たちは、すでに覚悟を決めている。迷宮を消し去り、元の平安を取り戻すためなら、自らは捨て石になってでも猟兵を先に送り出すつもりだ。その奮闘と猟兵との共闘によって妖の壁には穴が開きつつあるが――そんな彼らだからこそ見捨てて行くわけにはいかない。

「そうですわね……迷宮の中にさらに迷宮を作ってしまいましょう」
 平安歌人としての才気をもって、紡ぎ上げるは【まぼろしの歌詠み】。幻を現に、いつわりをまことに塗り替えるのは晴明だけの術にあらず。『白炎換界陣』が生み出したブレイズゲートが、夢路の和歌で再び書き換えられ、からくり屋敷の迷宮を構築する。
「ちょっと……なによこれ!」「せっかく居心地が良かったのに!」
 新たな迷宮の中に招かれた境鳥は、口々にぴいぴいと不満を口にする。「平安結界」を維持する力と同種の術である平安歌人のユーベルコードは、彼女たちにとってみれば不快極まりないだろう。さっさと術者を殺して外に出ようと、にわかに殺気立ちはじめる。

「この迷宮に女妖めを閉じ込め、そこかしこにわたくしの幻影をおけば、少しばかりは時間は稼げるでしょう」
 若くして従四位上の階位を授けられ、才知に秀でた夢路の迷宮は、知恵浅き下級妖どもの力押しでは破壊できない。
 だからこそ敵が自分を殺してまぼろしを解除しようとすることを見越して、彼女は迷宮の各所に囮を配置していた。これ見よがしであっても、妖どもの視点で考えれば無視もできまい。
「こいつも違う!」「ああもう、狭っ苦しいったら!」
 境鳥は【天狗火】をばら撒いて目についたものを片っ端から燃やそうとするが、迷宮を炎上させたところで自分の首を絞めるだけだ。はんなりと屋敷の廊下や座敷にたたずむ姫君の姿は麗しく、されど触れようとすれば陽炎の如く消えてしまう。本物の彼女は果たしてどこにいるのやら。

「皆様は今の内に息を整え、出口から現れる女妖めを待ち構えるのがよろしいかと。わたくしは先に参ります」
「承知いたしました」「お気をつけなされ、姫」
 夢路はこの場にいる霊能者たちに指示を与えると、まぼろしの迷宮を残したまま自分はブレイズゲートの奥に進む。
 あとは彼らのことを信じて任せ、自分は己が為すべきことを果たすのみ。歪んだ都に花の香を薫らせながら、花愛ずる姫君はいざ決戦の舞台へと――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真宮・律
【調和の絆】

空飛んで風自在に使いこなす、と。数多すぎるな。住民どころか俺たち猟兵まで地の果てまで飛ばされるな。気抜くと。ああ、この世界の妖の対処は現地の検非違使や陰陽師が詳しいだろう。援護頼めるか?ああ、検非違使は俺が攻撃撃った時突撃してくれれば。

うかうかしてると戦況悪くなるので荒ぶる雷鳴!!問答無用で纏めて攻撃する。悪いが、容赦はできない!!ふっとばされたらいそいで戻りたいが、時間はかかるな。【ダッシュ】はするが。

近接は難度高そうだな。【オーラ防御】【迷彩】【心眼】で防御体勢とりつつ、【斬撃波】【衝撃波】【電撃】で遠距離攻撃メインで!!

ああ、突破するぞ!!瞬、行けるか?


神城・瞬
【調和の絆】

少しペースを調整したいですので、僕が出ますね。ええ、空を自在に飛び、強烈な風を操る・・・数が多いので苦戦は必至ですが、ここで奴らをくいとめないと住民の皆様の命が危険です。

大いなる災いも鎮める必要がありますので、地元の陰陽師、星羅の先輩方のお力を借り、打ち破りましょう。

お父さんが吹き飛ばされること織り込み済みで戦うのでフォローしなければ。もちろん強烈な火をくらうとおもうので【オーラ防御】【結界術】【残像】【回復力】で身を保たせます。氷メインの僕にはきついですが、屈する訳には。

【高速詠唱】【全力魔法】【限界突破】!!氷晶の矢!!倒される前に!!

貴方達に構っている余裕はない!!退場を!!



「空飛んで風自在に使いこなす、と。数多すぎるな。住民どころか俺たち猟兵まで地の果てまで飛ばされるな。気抜くと」
 ブレイズゲートの最深部に向かう猟兵を阻むように、立ちはだかった『境鳥』の群れ。これまで蹴散らしてきた低級妖とは段違いの実力を持ちながら、無限に分裂する特性はそのまま。これは厄介な相手だと律も認めたようで、一度気を引き締め直す。
「ええ、空を自在に飛び、強烈な風を操る……数が多いので苦戦は必至ですが、ここで奴らをくいとめないと住民の皆様の命が危険です」
 彼の言葉に同意するのは神城・瞬(清光の月・f06558)。ボスとの戦いに向けて少しペースを調節するために、義妹の星羅と交代で前線に出てきたようだ。先のことを考えると全力を出し切るわけにはいかず、かといって手を抜けば味方や一般庶民を危機に晒す。難しい局面での参戦だ。

「大いなる災いも鎮める必要がありますので、地元の陰陽師、星羅の先輩方のお力を借り、打ち破りましょう」
「ああ、この世界の妖の対処は現地の検非違使や陰陽師が詳しいだろう。援護頼めるか?」
「言うに及ばず!」「元より我らの使命は、この都の守護であるがゆえ!」
 瞬と律からの要請に、現地の霊能者たちは勇ましく応答する。異界の陰陽師に結界を歪められ、その解決を猟兵に丸投げしたとあっては、彼らのプライドにも関わるだろう。「平安の世」を守る者としての矜持をもって、全力を尽くす心構えだ。
「うかうかしてると戦況悪くなるな!! 悪いが、容赦はできない!!」
 開幕の狼煙となったのは律のユーベルコードだった。掲げた手のひらから放たれる【荒ぶる雷鳴】が、立ちはだかる妖どもを問答無用で纏めて攻撃する。稲妻を浴びた境鳥は「きゃぁっ?!」と悲鳴を上げて、墜落していく者も多数。感電で動けなくなった者も含めて数十体は仕留めただろうか。

「続きますぞ!」「うおおおおっ!」
 律の攻撃と同時に検非違使たちは突撃し、陰陽師たちは式神を放つ。元々妖の討滅を使命とする彼らの技量は決して低いものではなく、仮に同数の戦いであれば境鳥相手にも優勢を取れただろう。しかしブレイズゲート内にいる限り、妖の数が尽きることはない。
「やったわね!」「飛んでいっちゃえ!」
「うおっ……すまん、すぐ戻る!」
 お返しとばかりに【天狗団扇】を扇ぎ、凄まじい突風を起こす境鳥たち。それに巻き込まれた律と数名の検非違使が強制的に後方に吹き飛ばされる。律は壁に叩きつけられる前に受身を取ると、急いで前線に戻ろうとダッシュするが、復帰までには少し時間がかかるだろう。

(お父さんが吹き飛ばされること織り込み済みで戦うのでフォローしなければ)
 律がいない間の穴を埋めるのは瞬だ。残っている霊能者たちに檄を飛ばし、得意の精霊術で敵を討つ。周りに豪快で猪突猛進タイプの人間が多かったためか、自然と冷静沈着にフォローするのが得意になっていた。まだ体力や魔力にも余裕はあるし、保たせてみせる。
「あんたもウザい!」「燃えちゃいな!」
 やはり猟兵こそが最大の脅威と認識した境鳥たちは、今度は【天狗火】の妖術を放つ。天狗団扇の風のような吹き飛ばし効果はないが、こちらは合体させることでより強烈な火球を生み出せる。瞬は即座にオーラによる結界を張って、防御体勢を取った。

(メインの僕にはきついですが、屈する訳には)
 生半可な氷など一瞬で蒸発させてしまうほどの火力。しかし残像で直撃を回避すればどうにか耐えられる。持ち前の回復力の高さで身を保たせ、氷細工の如き「六花の杖」を握りしめ。尊敬する義父との共闘で、無様な姿を見せるわけにはいかない。
「倒される前に!!」
「「きゃぁぁっ!!?」」
 力を振り絞って呪文を詠唱し、限界を超えた本数の【氷晶の矢】を放つ。魔力で形作られた数百もの矢は、空を舞う境鳥どもを次々に撃ち落とす。徐々に増殖も追いつかなくなってきたか、さっきより数が減ってきたような気がする。

「待たせた! 近接は難度高そうだな、遠距離攻撃メインで!!」
 息せき切って律が戻ってきたのはそんなタイミングだ。状況をすぐさま把握した彼は、迷彩を施したオーラで防御体勢を取り、心眼を研ぎ澄ませて炎や風を躱しながら、懐に忍ばせていた短剣を振るう。「ローアサンダー」――咆哮の雷の名を冠する彼のもうひとつの愛剣は、その刃より稲妻の斬撃波を解き放った。
「瞬、行けるか?」
「はい!」
 立て続けに重ねられた攻撃が、妖の壁に穴をこじ開ける。今がチャンスだと叫ぶ律に、瞬もすぐに息を整え応じた。
 陰陽師や検非違使たちも攻撃を続け、二人の突破を支援する。激しい戦いの音に紛れて「ご武運を!」と叫ぶ声が聞こえてきた。

「貴方達に構っている余裕はない!! 退場を!!」
「ああ、突破するぞ!!」
「くっ……このおぉっ……!!」「猟兵めえッ!!!」
 勢いに乗った瞬と律を、もはや境鳥たちでは止めることができず。戦線を突破した二人はぴいぴいと喚く女妖どもを尻目に、そのままブレイズゲートの最深部を目指す。前方から感じられるのはこれまでとは別格の強大な妖気――決戦の時は遠くないと、両者言うまでもなく確信していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

八秦・頼典
●POW

これはまた麗しい妖達だ
妖でなければお近づきしたいまでにね
だけど、ボクとキミ達は相容れない関係でしかない
そちらが遊んであげると申すならば、こちらはあやしてあげるよ

恥ずかしがったのか姿を消したが、これは物理的には消えていない|妖術《まやかし》である
|阿近《あこん》と|吽近《うこん》も嗅ぎ分けられないユーベルコードらしいけど、頭隠して尻隠さずかな
陰陽師に検非違使達、よーく目を凝らせば違和感を感じないかな?
これは身に纏った風と光の屈折で透明になっているに過ぎない…だから、ほら
ボクの霊力を通わせた檜扇で叩けばごらんの通り

『此の世には不可思議など有り得ない』のさ
対処が分かれば後はこちらの物だよ



「これはまた麗しい妖達だ。妖でなければお近づきしたいまでにね」
 妖術と剣術、そして色香で人間を惑わせるという天狗の一種『境鳥』。女好きの性だろうか、彼女らと遭遇した頼典の態度はさっきまでの低級妖の時よりも心なしか紳士的だ。さすが(?)市井では女癖が悪い好色家貴族として評判の男である。
「だけど、ボクとキミ達は相容れない関係でしかない。そちらが遊んであげると申すならば、こちらはあやしてあげるよ」
「まあ! フフフ……」「できるかしら、あなたに?」
 もっとも女好きは表の顔。裏の顔にして平安貴族の使命である、妖退治の務めを怠りはしない。飄々と笑みを浮かべて宣言すれば、境鳥たちはクスクスと笑いながら団扇をひと振り。ひゅうと逆巻く風とともに、頼典の視界から消え失せた。

「頼典殿、これは……!」
「恥ずかしがったのか姿を消したが、これは物理的には消えていない|妖術《まやかし》である」
 慌てる他の貴族らとは違って冷静に、冗談めかした口ぶりで頼典は言う。境鳥の【天狗隠し】は確かに術者を視聴嗅覚での感知が不可能な状態にするが、実体が消滅したわけではない。おおかたこれで不意打ちを食らわせ、ダメージを与えつつ混乱を誘うつもりだろう。
「|阿近《あこん》と|吽近《うこん》も嗅ぎ分けられないユーベルコードらしいけど、頭隠して尻隠さずかな。陰陽師に検非違使達、よーく目を凝らせば違和感を感じないかな?」
「ふむ……?」「そう仰られますと……なにかが」
 頼典に促されて現地の霊能者はじいっと目を細める。すると確かに、ぼんやりとだが風景にかすかな"ゆらぎ"のようなものがある。はじめはブレイズゲート化による空間の歪みかと思って見落としていたものだが、この不自然さはそれとも別物だ。

「これは身に纏った風と光の屈折で透明になっているに過ぎない……だから、ほら」
 頼典が霊力を通わせた檜扇でトンと叩けば、まやかしの風は解け、潜んでいた妖の姿は再び衆目の前に露わとなる。
 相手がユーベルコードを発動するまでの仕草や情報から、彼は妖術の原理を推理し、解除法まで解き明かしたのだ。
「ごらんの通り」
「うそっ、バレた……ッ?!」
 こうも呆気なく妖術を破られるとは思っていなかったのだろう、檜扇で打たれた境鳥の動揺は実際のダメージ以上に大きかった。それも無理はないか――頼典は手品師から手品のタネを明かし、大勢の前で周知させたのだ。彼の解説を聞いた者たちは、もはや同じ手では騙せない。

「『此の世には不可思議など有り得ない』のさ。対処が分かれば後はこちらの物だよ」
「然り!」「感謝致しますぞ、頼典殿!」
 これが陰陽術に並ぶ頼典のもうひとつの特技、陰陽師探偵『ライデン』の推理力。その明晰な頭脳によって活路を示された陰陽師や検非違使たちは、奮い立って攻撃を仕掛ける。不可視の妖術を使っていた妖どもが、次々に所在を暴かれ、討ち取られていく。
「そ、そんなバカな……きゃぁぁぁっ!!」
 軽く遊んでやるつもりが逆にあやされてしまい、屈辱の悲鳴とともに消えていく境鳥たち。分裂増殖はまだ続いているが、このペースならこちらの殲滅速度のほうが速い。この場はもう彼らに任せておけば大丈夫だろうと、頼典自身は迷宮の奥へと歩を進めるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

西恩寺・久恩
瞬間思考力と第六感は常に発動する

行きましょう、皆さん
『頑張りましょうね!カモカモ!』『カモ!』
フラウディとカモカモもやる気である
陰陽師達も戦闘態勢をとる

心眼で相手を見ながら気配感知で周りの敵を確認する

今回は鬼の手を使います…ふん!
敵のUCに対しては指定UCを発動して拳波動を放ち風を逆に吹き飛ばす

『フラウディ・スパーク!』『カモ〜!』
フラウディとカモカモは謎の光線を敵に放ち敵に攻撃

ありがとうございます、皆さん…!
他の陰陽師達も協力して敵を足止めしてくれる

無限天理陰陽術式…兎走烏飛!
『カモカモ!』『カモ!』
フラウディとカモカモを肩に乗せながらUC無限天理陰陽術式『兎走烏飛』を発動し一気に走り抜ける



「行きましょう、皆さん」
『頑張りましょうね! カモカモ!』『カモ!』
「「応!!」」
 行く手を阻む『境鳥』たちを心眼で捉え、その気配を感知しながら、静かな檄を飛ばす久恩。フラウディとカモカモもやる気で応じ、現地の陰陽師たちも戦闘態勢を取る。ここを突破しなければブレイズゲートの最深部へは到達できぬ以上、この戦いがひとつの要所となるであろう。
「ふ~んだ、行かせないわよ」「この迷宮の中ならあたしたちは遊び放題なんだから!」
 境鳥たちからすれば、居るだけで無限に仲間が増え、オモチャになる人間もいて、なにより煩わしい「平安結界」が存在しないブレイズゲートは理想の環境だ。誰一人として通してやるものかと、からかいと嗜虐心に満ちた笑みで一行に襲い掛かってきた。

「吹き飛んじゃえ!」
 境鳥たちが【天狗団扇】を大きく扇ぐと、たちまち戦場に風が巻き起こる。木々も建物も地面から引っ剥がし、空の彼方まで舞い上げるほどの大風だ。あんなものを受けたらどこまで飛ばされるか分かったものではない――陰陽師たちが身構える中、しかし久恩だけはスッと前に出た。
「今回は鬼の手を使います……ふん!」
 両手に霊力を纏わせてぐっと握り締めると、彼女の手は鬼の手へと変じ。そのまま思いっきり拳を突き出せば、生じた波動が妖風を逆に吹き飛ばした。これぞ【無限天理陰陽術式『仙才鬼才』】。幾年にも渡り重ねてきた修行の成果である。

「なっ、あたしたちの風が……!」「や、やるじゃないの……きゃあっ?!」
『フラウディ・スパーク!』『カモ〜!』
 風をかき消されたことで境鳥たちが動揺している隙に、フラウディとカモカモが謎の光線を放つ。彼女たちは久恩が作った式神ではないため、どういった原理で攻撃しているのか誰にも分からないのだが、威力のほどは疑いなかった。
「我らもゆくぞ!」「猟兵のために、やつばらをここで食い止めるのだ!」
 他の陰陽師も協力して敵を足止めしてくれている。ブレイズゲート化の異変を解決できるのが猟兵しかいない以上、彼らの役目は最深部に猟兵を向かわせるための一助となること。平安の守護者としての矜持をもって、全身全霊で妖と立ち向かうその姿は、勇ましくも高潔であった。

「ありがとうございます、皆さん……!」
 彼らと共に戦える喜びと感謝を伝え、その働きを無駄にしないために、久恩はもう一度霊力を身に纏う。大きく前に屈んで両手を地面につけた、いわゆるクラウチングスタートの体勢になると、フラウディとカモカモを呼び戻し、肩に乗せて――【超越者の肉体】による身体能力の強化を、瞬発力の向上にあてる。
「無限天理陰陽術式……兎走烏飛!」
『カモカモ!』『カモ!』
 一瞬でトップスピードに到達する、爆発的なスタートダッシュ。それは敵味方汎ゆる存在の反応を置き去りにして、戦場を走り抜ける一陣の風だった。突き破られた音速の壁は一拍遅れて衝撃波を生み出し、進路にいた妖をなぎ倒す。

「きゃぁぁぁぁぁっ!!!?!!」
 境鳥たちからすれば、なにかが傍を通り過ぎたと思った次の瞬間には吹き飛ばされていたようなもので、何が起きたのか理解も追いつかない。追いかけようとしたところで追いつけないのは明白だろう――久恩の姿はすでに見えなくなるほど遠ざかり、ブレイズゲートの最深部めざしてひたすら走り続けていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

花咲・月華
鬼と龍

ここを突破するよ!シャミ!
シャミに呼びかけて推力移動で走りながらUCを発動する

行っけー!ってあれ?シャミ?
心眼と視力で周りの敵を見て気配感知と索敵で敵の位置を確認しながら敵のUCは素早く時空崩壊の焔矢を放ち敵を消し去る
しかしシャミと逸れてしまった…

力を貸して!吹雪!
指定UCの効果でUC伝説の大妖怪・吹雪を発動し吹雪を呼び出した

吹雪は周りに絶対零度の氷を放ち敵を凍らせる(凍らせた氷は他の敵の風を防ぐ位置になっているさっき索敵や気配感知で敵の位置を見ていたのはこの為)


急がないと!
吹雪が敵を凍らせて出来た氷を壁にしながらここを突破する

よかった、シャミも来れたんだね!
逸れたシャミとも合流出来た


結月・志愛美
鬼と龍

はい!月華様!
月華様の呼びかけに応える

焔天滅昇!
UC五の剣を発動して前方の敵を竜巻斬撃を放ち攻撃したが

うわあぁぁぁぁぁ!月華様ぁぁぁぁ!
『おい!シャミィィィィ!合流する為に一旦落ち着きなぁ!』
敵のUCで吹き飛ばされてしまったがサヴェ姉に呼びかけられる

やあ!
迷彩で姿を消してから心眼と気配感知で周りの敵を確認しながら推力移動で加速する(陰陽師達や月華様が妖と戦っている為消えた私を探す暇が無いはず)

五の剣!そして月輪龍舞!
再びUCを発動してから五の剣の効果で
六の剣・月輪龍舞を発動して敵を切り裂いた


あっ!月華様!逸れてしまって申し訳ありませんでした~!
謝りながら最奥を目指した(勿論許してくれた)



「ここを突破するよ! シャミ!」
「はい! 月華様!」
 霊力を推力にして迷宮をひた走る月華と、その呼びかけに応える志愛美。ブレイズゲート化の異変を解決するために奔走する鬼と龍の妖怪コンビは、前方にまた新たな敵が現れても立ち止まりはしなかった。ここを越えれば最深部まであと一息だ。
「行かせないってーば!」「出直してきなさい!」
 真剣なふたりをからかうように『境鳥』たちは【天狗団扇】をひと扇ぎ。風を起こして遠方に吹き飛ばさんとする。
 木の葉天狗とも呼ばれる彼女らの妖術は、これまでの低級な妖とはレベルが違う。軽薄なふりをして意地でも異変を解決させないつもりだ。

「行っけー!」
「焔天滅昇!」
 対して月華は【花咲流奥義・鬼姫覚醒】を発動し、肉眼と心眼で敵の気配や位置を確認し、時空崩壊の焔矢を放つ。
 同時に志愛美も【極天神楽・五の剣・焔天滅昇を発動。因果を破壊する焔矢と、概念を斬り伏せるを受けては、境鳥たちもたまらず「きゃあぁぁぁっ?!」と悲鳴を上げて消え去った。
「よし! ってあれ? シャミ?」
「うわあぁぁぁぁぁ! 月華様ぁぁぁぁ!」
 だが、焔矢で敵のユーベルコードを相殺した月華と違って、志愛美は【天狗団扇】の風で吹き飛ばされてしまった。
 相方と逸れてきょとんとする月華と、パニックになる志愛美。こちらの戦力をバラバラにしたうえで各個撃破するのが敵の狙いか。

『おい! シャミィィィィ! 合流する為に一旦落ち着きなぁ!』
「う、うん、サヴェ姐」
 慌てふためく志愛美に呼びかけるのは魔剣「サヴェイジ・オーラ」。この状況で冷静さを失ったら、月華と合流する前に妖の餌食だ。逆に対処さえ間違えなければ、1人でもこのレベルの敵には遅れを取らないはず――姉貴分に活を入れられ、頭の冷えた志愛美は刀を構え直した。
(陰陽師達や月華様が妖と戦っている為、消えた私を探す暇が無いはず)
 まずは迷彩で姿を消してから、心眼で周りの敵の気配を確認する。主戦場からはかなり遠ざかってしまったが、敵もこちらを追いかけるほどの余裕はなかったらしい。だったら、この状況を逆手に取って奇襲をかける。先程月華がやっていたのと同じ推力移動で、彼女は一気に急加速した。

「五の剣! そして月輪龍舞!」
 戦場に戻った志愛美は再び【極天神楽・五の剣・焔天滅昇】を発動。白銀に煌めく竜巻の斬撃波で敵を薙ぎ払うと、円の動きから【極天神楽・六の剣・月輪龍舞】に繋げる。龍を象るような動きから、漆黒に染まった斬撃が放たれる。
「ッ、もう戻ってき……ぎゃあッ?!」
 技名の通り、神楽を舞っているかのように美しく無駄のない剣術のコンビネーションを披露され、境鳥たちは次々に討ち取られていく。悲鳴とともに墜落した骸から羽がはらはらと舞い散るなか、志愛美は一瞥もくれずに先を急いだ。

「力を貸して! 吹雪!」
 一方で月華のほうは【伝説の大妖怪・吹雪】を召喚し、邪魔な妖どもを一掃せんとしていた。呼び出されたのは境鳥にも負けぬ美貌を持つ、青い髪に白い着物を着た女性。主の号令に応えてふうと息を吹けば、辺りはたちまち絶対零度の氷雪に包まれる。
「さ、さむ……か、体が、凍って……」「やばッ?! あっちに行きなさいよ、雪女!」
 氷を浴びた境鳥はたちまち凍りつき。それを見た連中はまたしても【天狗団扇】で吹き飛ばそうとするが――吹雪が凍らせた氷は、他の敵からの風を防ぐのにちょうどいい場所に立っている。最初に月華が敵の位置を入念に把握していたのは、この時のためだったのだ。

「急がないと!」
「ちょっと、待ちなさ……きゃぁっ?!」
 吹雪が敵を凍らせてできた氷を風よけの壁にしながら、月華は一気に戦線を突破する。止めようとする敵もいたが、やはり氷の壁が邪魔になるか、現地の陰陽師たちによる妨害もあって追いつけない。悔しそうな声と悲鳴はすぐに遠ざかって聞こえなくなった。
「あっ! 月華様!」
「よかった、シャミも来れたんだね!」
 別ルートから戦線を突破してきた志愛美も、ここで月華と合流する。逸れてしまった時は大丈夫だろうかと心配したものの、お互い大したケガはしていない。気力体力ともにまだ残っており、このままボスに挑んでも問題なさそうだ。

「逸れてしまって申し訳ありませんでした~!」
「いいのよ! さあ行きましょ!」
 最奥をめざしながら志愛美は先程の件を謝るが、月華は気にしたふうもなくそれを許す。この程度のトラブルで二人の信頼と絆が切れることはなく、士気はむしろ高まっている。ここから先は敵の妨害もなく、あとは駆け抜けるのみ――ブレイズゲートの最深部、迷宮の主が座する場まであと一息だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『魂喰の蓮華姫』

POW   :    真なる魂喰の衝動
自身の【魂喰の本質と共に暴食衝動 】を解放し、物質透過能力と3回攻撃を得る。ただし毎秒加速する【他者の魂や生命力への渇望】を満たし続けないと餓死。
SPD   :    |八千矛《ヤチホコ》之舞台
【己の鋭い牙や爪 】が命中した敵から剥ぎ取った部位を喰らう事で、敵の弱点に対応した形状の【装束を身に纏い武器を手にした凶戦姫】に変身する。
WIZ   :    |奴延鳥《ぬえ》乃翠爪
かつて喰らった「【雷獣・鵺 】」の魂を纏い、2倍ダメージ・2回攻撃・自動反撃を有した【伸縮自在の翡翠の鬼爪】を装備する。

イラスト:鳥季

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠蓮条・凪紗です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「おうおう、来よったか」

 分裂する無数の妖どもを蹴散らして、ついにブレイズゲートの最深部に足を踏み入れた猟兵たち。
 そこで一同を待っていたのは、艶やかな衣に身を包んだ1人の美女。彼女は持っていた扇をぱちんと畳むと、口元から笑みとともに牙を覗かせる。

「土足で妾の寝所に踏み入るとは無粋な輩じゃが、特別に許してやろうかえ。こんなにも愉快な宴の日じゃからのう」

 彼女がブレイズゲートの主に据えられた妖、『|魂喰《たまくらひ》の蓮華姫』。
 妖術や幻術で人々を惑わし、その精気や魂を啜る鬼女だ。
 他の妖とは違って分裂はしないようだが、たった一体でもこれまでの有象無象が束になっても敵わないほどの妖気を感じる。迷宮のボスにふさわしい貫禄だ。

「あの煩わしい『平安結界』が、斯様に素晴らしき迷宮に換わるとはのう。愉快愉快……ここにおれば妾の兵は尽きず、そなたらのような愚か者を喰い放題というわけじゃ」

 蓮華姫は安倍晴明の起こしたブレイズゲート化を愉しんでいる様子で、ここを自らの拠点とするつもりのようだ。
 彼女が健在である限りブレイズゲートは消えず、無限に分裂する妖はいずれ迷宮の外まで溢れ出すだろう。そうなればどれほどの惨劇が「平安の世」をかき乱すか分かったものではない。

「さて、ではそなたら、宴の余興じゃ。はらわたをぶちまけて無様に踊り狂いながら、妾にその魂を献上せよ」

 高飛車で傲慢に、完全に猟兵たちを見下しきった態度で、殺気を放つ蓮華姫。
 生かして帰すつもりはないということか。無論、猟兵たちもすごすごと退く気はない。
 ここに来るために協力してくれた現地の霊能者たちの為にも、絶対にブレイズゲートの主を討ち果たさねば。

 白炎に蝕まれし平安を取り戻せるか否か。いざ決戦の幕が上がる。
葦原・夢路
WIZ
この迷宮を破壊せずして「平安」の世は作れません。
わたくしたちが大事に守ってきた平安結界を利用されるなど…許されぬ事。
それを台無しにして愉しむ様な輩に負ける事など出来ません。
わたくしも本気で参ります。
UC【百花斉放】
さぁ、わたくし達の絆を持って退けましょう。



「この迷宮を破壊せずして『平安』の世は作れません」
 ブレイズゲートの最深部で『魂喰の蓮華姫』と対峙した夢路は、今一度決意を言葉にする。無尽蔵の妖を内包したこの迷宮が存在する限り、ずっと「平安の世」は脅かされる。何よりこのままでは平安結界を修復することもできない。
「わたくしたちが大事に守ってきた平安結界を利用されるなど……許されぬ事。それを台無しにして愉しむ様な輩に負ける事など出来ません」
「許せぬのあれば、いかがする?」
 少女の怒りを蓮華姫は面白そうにニヤニヤと笑いながら見ている。都の貴族や霊能者風情に自分が負けるなど、露ほども考えていない態度だ。事実、数多の人間を喰らいながら今日まで生き延びてきたのだから実力は確かなのだろう。だがそれも今日までの話だ。

「わたくしも本気で参ります」
「面白い。せいぜい妾を楽しませるがよいわ!」
 静かに霊気を漲らせる夢路を嗤い、蓮華姫は【奴延鳥乃翠爪】を発動。かつて喰らった雷獣・鵺の魂を纏い、翡翠の鬼爪を手に生やす。そして無造作に腕を突き出すと、まるで槍の矛先のように爪が伸び、心の臓を抉り出そうとする。
「愛する花々と共に参りましょう」
 これに対して夢路も【百花斉放】を発動。自らが愛する花たちの化身、十二の月を象徴する十二の花神を使役する。
 梅花、蘭花、桃花、牡丹、芍薬、蓮花、紫薇、桂花、菊花、水仙、芙蓉、柘榴。全ての季節の花がここに集い、白炎の迷宮を鮮やかに彩る。

「さぁ、わたくし達の絆を持って退けましょう」
「なんじゃ、花か。見た目通り軟弱な術だのう!」
 夢路の本気を見ても蓮華姫は舐めた態度を崩さず、翠爪のひと振りで花神を薙ぎ払わんとする。しかし花愛ずる姫君の寵愛を受けた花たちはそれしきのことでは散らされず、十二柱それぞれが防御と攻撃の役割に分かれ、反撃を行う。
「甘く見ていただいては困ります」
「ぬう? こやつら……!」
 小癪なと言わんばかりに両手の爪を振り回す蓮華姫。ダメージや攻撃回数の倍増に加えて自動反撃まで有した【奴延鳥乃翠爪】は確かに強力だが、夢路たちは十三体が心をひとつにして戦っているのだ。咲き誇る十二の花が鬼の爪を受け止め、逸らし、隙ができたところにまた別の花が花吹雪や蔓草の鞭を浴びせる。

「ええい、そなたさえ殺してしまえば!」
 思わぬ苦戦を強いられた蓮華姫は、花神たちの主である夢路に攻撃を集中させた。伸縮自在の翡爪が可憐な姫君の柔肌を裂く――しかし、彼女は凛とたたずんだままだった。十二花神を使役している限り【百花斉放】の効果によって、彼女が死ぬことは決してない。
「お楽しみはここまでです」
「うぬぅ……ッ!!」
 返歌の如く放たれた十二花神の総攻撃が、魂喰の蓮華姫を吹き飛ばす。それは「平安」の守護者たちの力を侮りすぎたがゆえの醜態。高位の妖らしくプライドも高い蓮華姫は、素直にそれを認められず憎々しげな眼差しを向けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

花咲・月華
鬼と龍と狐

見つけた!倒すよ、シャミ!
シャミに声をかけて戦闘開始

…危ないな!
敵のUCは視力と心眼で敵の動きを見ながら気配感知で攻撃する気配を感知して動きを回避するかオーラ防御で敵の攻撃を防ぎ素早く焼却の弾幕を放ち反撃

反撃させてもらうよ!
指定UCを発動して時空崩壊の焔矢を放ち敵を消し飛ばす

焼き尽くせ!太陽極天光よ!
吹き飛ばされている敵に対しては指定UCの効果でUC太陽極天光を放ち敵を再び焼き尽くす

久恩さん!あっ…ありがとうございます
どうやら久恩さんも来ていたらしく協力して貰う事にした
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=55590の事で頭が上がらないのだ


結月・志愛美
鬼と龍と狐

はい!月華様!
月華様に声をかけられ戦闘開始

大丈夫ですか!月華様!
敵のUCに対しては視力と心眼で敵の動きを見ながら気配感知で敵の攻撃を感知して回避する

危ない、月華様!
推力移動で月華様を攻撃しようとする敵の爪攻撃を刀で武器受けする
(月華様はオーラ防御で防いでいたので杞憂だったが)

極天神楽…天舞!そして、日輪!
指定UCで敵を切り裂いた後、UC一の剣の効果でUC二の剣を発動して敵に追撃した

久恩さん?!あっ…
『アンタ、こいつに…ぜ』
言わないで?!
最初に会った時にした事を思い出した

喰らえ!銀神炎車!
指定UCの効果でUC三の剣を放ち敵に追撃した

さあ、行きましょう!月華様!久恩さん!
と皆に声をかける


西恩寺・久恩
常に第六感と瞬間思考力と気配感知を発動

鬼と龍と狐

あれ?月華さん、志愛美もお久しぶりですね…
と戦闘の邪魔をしない範囲で声をかけた

うざいですね、えい
敵のUCは心眼で牙や爪の攻撃をお祓い棒でシャドウパリィして怪力で殴り飛ばした(この時部位を取られないように注意する事)

鬼の手を使いましょうか、無限天理陰陽術式…仙才鬼才!
指定UCを発動して推力移動で勢いをつけながら怪力で殴り飛ばした

無限天理陰陽術式…神出鬼没!
敵が吹き飛んだ隙に地面に潜り一旦隠れる

くらいなさい、ふん!
脱力状態から一気に筋肉を引き締めて超神越速の一撃を放ち殴り飛ばした

二人元気でよかったです、まだまだ敵は元気みたいなので気を抜かないように…



「見つけた! 倒すよ、シャミ!」
「はい! 月華様!」
 ついにブレイズゲートの最深部に辿り着き、『魂喰の蓮華姫』と遭遇した二人の猟兵。月華が声をかければ志愛美も構えを取り、同時に戦闘を開始する。あの妖こそが安倍晴明が据えた迷宮の主であり、討ち取ればブレイズゲートも消滅するはずだ。
「ふふ、よいよい。ヒトではないものの魂も妾は大好物よ」
 精気に満ちた竜神と妖怪の少女らを見て、蓮華姫は舌なめずり。活きの良い餌が自分からやって来たと思っている。
 魂の一片まで喰らい尽くしてくれようと、発動するのは【八千矛之舞台】。刀よりも鋭利な己の爪牙をもって、獲物の肉と皮を剥ぎ取らんとする。

「……危ないな!」
 月華は肉眼と心眼の二つで敵の動きを捉え、攻撃の気配を感知すると瞬時に飛び退く。避けきったつもりだったが、鬼女の爪は身体を掠めていたようで、胸元から炎のような燐光が散る。オーラで防御していなければ危ない所だった。
「大丈夫ですか! 月華様!」
「ほほほ、他人の心配をする余裕があるのかえ?」
 思わず叫んだ志愛美にも、蓮華姫は間髪入れずに牙を剥く。こちらも月華と同様肉眼と心眼、そして気配感知を駆使して回避を試みるが――なるほど、ブレイズゲートの主として傲慢に振る舞うだけのことはある。一瞬の判断ミスが命取りになる戦いだ。

「危ない、月華様!」
「ありがとう、シャミ!」
 推力移動で加速した志愛美は、月華を攻撃しようとする蓮華姫の前に割り込み、刀で爪を受け止める。月華にはオーラ防御があるので杞憂だったかもしれないが、彼女に庇われたおかげで、月華は少しだけ体勢を整える余裕ができた。
「反撃させてもらうよ!」
「なにっ……!?」
 【花咲流奥義・鬼姫覚醒】を発動し、焔の妖力鎧を纏う鬼の姫。長く伸びた髪をなびかせ時空崩壊の焔矢を射れば、不意を突かれた蓮華姫は大きく吹き飛ばされた。ただの獲物にまさか反撃されるとは思っていなかったが、ダメージ以上に動揺は大きい様子だ。

「今だよ、シャミ!」
「極天神楽……天舞!」
 間髪入れずに焼却の弾丸で追撃する月華に合わせ、志愛美も【極天神楽・一の剣・天舞】を発動。横一文字に放たれた白銀の斬撃波が、蓮華姫を切り裂き血飛沫を上げる。ただの小娘と侮るなかれ、その秘めたる剣才は天賦のものだ。
「そして、日輪!」
「ぐがぁッ?!」
 流れるように円を描いて【極天神楽・二の剣・日輪】で追撃。二度の斬撃を浴びた蓮華姫の口から、獣のような絶叫が上がった。身にまとった十二単の下から覗く傷口は、決して浅いものではない――彼女がこれほどのダメージを負うのはいつぶりの事だろうか。

「あれ? 月華さん、志愛美もお久しぶりですね……」
「「久恩さん?!」」
 そんな戦闘が白熱したタイミングで、偶然にも最深部に到達したのは久恩。前から月華や志愛美と面識のあった彼女は、戦闘の邪魔をしない範囲で声を掛ける。向こうからすれば、彼女が同じ依頼に参加しているのもここで今知ったので、かなり驚いていたが。
「あっ……」
『アンタ、こいつに……ぜ』
「言わないで?!」
 まだ月華と志愛美がアヤカシエンパイアを訪れたばかりの頃、妖退治でちょっとしたアクシデントに見舞われたところを久恩に助けられたのが三人の馴れ初めだ。その時にあった恥ずかしい体験をサヴェイジ・オーラに蒸し返されそうになり、志愛美は慌てて赤面する。

「なにを貴様ら呑気にしておる……ここは馴れ合いの場ではないぞ!」
 知己の三人が揃ったことで和やかな空気が生まれたのを、蓮華姫は見逃さない。後からやってきた者からまずは仕留めようと、牙を剥き出しにして爪を振るうが――久恩はさっと鉄製のお祓い棒を取り出すと、心眼をもって敵の攻撃をパリィする。
「うざいですね、えい」
「ぐはっ!?」
 アヤカシエンパイアの陰陽師である久恩は、この面子の中だと妖退治の経験が一番豊富だ。この鬼女がこちらの部位を剥ぎ取ろうとしているのも察した上で捌き切り、お返しとばかりに殴り飛ばす。高位の妖と比較しても、彼女の怪力はやはり群を抜いていた。

「鬼の手を使いましょうか、無限天理陰陽術式……仙才鬼才!」
 ここまで来ればもはや出し惜しみは要らないと、久恩はユーベルコードで自身の両手を鬼の手に変化させる。鬼には鬼をということだろうか、纏った霊力により加速した彼女は、殴り飛ばした蓮華姫のもとにダッシュで追いつき、もう一度殴り飛ばす。
「無限天理陰陽術式……神出鬼没!」
 敵が「ぐがはぁっ!!」と叫びながら吹っ飛んでいくと、その隙に久恩はもうひとつユーベルコードを発動。鬼の手で床板を引き剥がすと、地面に潜って一旦身を隠す。もちろんこれは逃げたのではなく、次の攻撃を仕掛けるための布石である。

「うぬぬ……小娘め、どこへ行った……!」
 蓮華姫が立ち直った頃にはもう久恩は地面の下にいる。二度も殴られた屈辱を晴らさねば気が収まらぬと、まさしく悪鬼の形相で姿を探すが――今ここで戦っていた相手が久恩だけではないことを、怒りのあまり彼女は失念していた。
「焼き尽くせ! 太陽極天光よ!」
「ッ、しまった……ぎゃぁぁぁッ!!!」
 よそ見をしている敵めがけて月華が放つは【太陽極天光】。覚醒により太陽神の力を得た彼女の必殺技は、いかなる防御も無視して焼き尽くす。滅びの大地に住まう妖どもには効果覿面であろう。燦然たる極光に身を灼かれ、蓮華姫が身悶える。

「喰らえ! 銀神炎車!」
「お、おのれッ、ぐあぁぁッ!!」
 すかさず志愛美も【極天神楽・三の剣・銀神炎車】で追撃。自身が縦回転しながら放つ車輪状の斬撃波が、蓮華姫をばっさりと斬り伏せる。一・二の剣と合わせて十字の刀傷をその身に刻まれた悪鬼の姫は、苦痛と憤怒にまみれて絶叫する。ただの食事に、これほどまでの屈辱を味わわされるとは。
「くらいなさい、ふん!」
「なッ――……!!!」
 されど彼女の屈辱はまだ終わらない。地に潜っていた久恩が脱力状態から一気に筋肉を引き締める超神越速の一撃、【無限天理陰陽術式『神出鬼没』】を叩き込む。地中という死角からの攻撃を受けた蓮華姫は驚愕の表情のまま、天高く突き飛ばされていった――。

「二人共元気でよかったです、まだまだ敵は元気みたいなので気を抜かないように……」
「あっ……ありがとうございます」
 会心の一発を食らわせても、妖のしぶとさを知っている久恩は油断しない。事実、まだブレイズゲートが消滅しないのなら主も健在ということだろう。以前の件で彼女には頭の上がらない月華は、素直に忠告を受け入れて協力して貰うことにした。
「さあ、行きましょう! 月華様! 久恩さん!」
 そんな二人に声を掛けるのは志愛美。また一人頼もしい仲間が加わって、気合も十分といった様子で刀を構え直す。
 久恩、月華の両名も彼女と並んでそれぞれの武器を構え、蓮華姫が立ち上がってくるのを待ち構える――いかに強大な妖とはいえ最後に勝つのは自分達だと、その表情が物語っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

武富・昇永
勝手にやってきて人々を襲い占領しあげく我らを侵入者呼ばわりとは
獣のように喚く妖の方がはるかにマシだな

しかし不愉快な気持ちになったが俺も特別に許してやろう!
なにせ今日狩った首を全部合わせても勝てないほどの大物の首が
目の前にあるのだからな!

イラつきよりも興奮の方が勝っているぞ!
滾らせてくれるではないか!

さて、どうやって刈り取ろうか
{転身式神・多忙冠者}に『欲望解放』で溢れた出世欲を注ぎ『存在感』を強化することで囮にして
敵が囮を攻撃した瞬間に【出世道・勲狩り連撃】で一気に畳みかけるとしよう!

この事件の発端となったセイメイの首も必ず刈り取ってみせる!
その前にまずは貴様で練習するとしよう!



「勝手にやってきて人々を襲い占領しあげく我らを侵入者呼ばわりとは、獣のように喚く妖の方がはるかにマシだな」
 こちらを同格と見做さない、傲慢を過ぎてふてぶてしい『魂喰の蓮華姫』の態度に、昇永も遠慮のない罵倒を返す。
 なまじ知性が高いと悪意まで強まるのか。ブレイズゲートに我が物顔で君臨し、人々の絶望を宴の余興に、魂と血肉を甘露として愉しむ、まったくもって不愉快な輩だ。
「しかし不愉快な気持ちになったが俺も特別に許してやろう! なにせ今日狩った首を全部合わせても勝てないほどの大物の首が、目の前にあるのだからな!」
 向こうがこちらを餌としかて見ないのなら、彼もまた相手を「手柄」としか見ない。彼奴を討ち取りブレイズゲートを消滅させれば、本日一番の功績になるのは間違いない。昂る功名心と野心は、これまでの疲労を吹き飛ばして余りあるものだった。

「イラつきよりも興奮の方が勝っているぞ! 滾らせてくれるではないか!」
「ほほほ……思い上がりもここまで来ると見事よのぉ? 一体誰が誰の首を狩ると?」
 気合十分の昇永に対し、蓮華姫は扇子を広げ余裕の笑みを見せるが――口元がひくついている辺り、イラつきを隠しきれていない。思いのほか猟兵に手こずらされ、目算が狂っているようだ。ここらで勝負の流れを変えようと【真なる魂喰の衝動】を解放し、|魂喰《たまくらひ》の妖としての本質を露わにする。
(さて、どうやって刈り取ろうか)
 自信満々なことを言いはしたが、昇永にも相手の実力を把握する冷静さはある。無策で突っ込んでも返り討ちにされて貪り食われるだけだろう。が、向こうも向こうで衝動解放したということは、魂や命を喰いたくて仕方がないはず。ならば、ここはひとつ"釣り"をしてみるのも面白い。

「行くぞ!」
 愛刀「御首級頂戴丸」を振りかざし、正面から敵に切り込んでいく昇永。目を爛々と輝かせ、自然と緩んだ表情は、もはや出世のことしか頭にない様子だ。相対する側から見ればすこぶる不快であり、蓮華姫の額に青筋が浮かんだのも無理はなかった。
「甘く見るではいわ! 妾の首、そなたのような下郎にやるほど安くはないぞ!」
 怒りのままに振るった爪撃は、重く、鋭く。一瞬のうちに三度刻まれた昇永の体はバラバラになって床に散らばる。
 あれだけ大言壮語をほざきながら、実際に戦ってみればこの程度か。口ほどにもない、と蓮華姫は鼻で笑うが――。

「……いや、違う。これは式神か?!」
 吹き出した血の匂いを嗅いで、ようやく気付いた。このバラバラの肉からは命の鼓動を感じない。ただの紙人形だ。
 昇永が用いる「転身式神・多忙冠者」は、術者の出世欲を注ぐごとに本物と見紛うほど存在感が強化される。これを彼は囮にしたのだ。
「流れるように勲功を得る我が妙技!見せてやろう!」
 敵が囮に食いついた瞬間、本物の昇永は【出世道・勲狩り連撃】を発動。「伏竹弓・勲功必中撃抜弓」から放たれた霊力の矢が蓮華姫の肩を射抜き、余裕の面が「ッ!?」と驚愕に変われば、「早馬・餓狼黒鹿毛」の突進で一気に畳みかける。

「この事件の発端となったセイメイの首も必ず刈り取ってみせる!」
「ぐぅッ?! き、きさま……!!」
 留まることを知らぬ野心のままに、早馬の蹄が敵を踏み倒す。見下ろすものと見上げる者、立場が明確となった位置取りで、蓮華姫は憎々しい視線を向けるが――昇永は痛快至極と言わんばかりの笑みで、とどめの一撃を振り下ろす。
「その前にまずは貴様で練習するとしよう!」
「ぐぎゃぁっ!!」
 これまでにも数々の妖の首級を頂いてきた名刀が、悪鬼の首を中程まで断つ。まともな生き物なら絶命する傷だが、腐っても太妖、まだ悲鳴を上げる余裕があるとはしぶとい。やはり練習はしておくに越したことはないと、昇永は追撃の太刀を繰り出すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

枡野・時恒
魂を食らう鬼女か。いかにもあいつの手下らしい、卑しい奴よ。この迷宮も貴様を討てば終いだ、覚悟しろ。

太刀を抜いて接近戦を挑む。《武器受け》《切り込み》で奴の爪牙と渡り合うが、奴がユーベルコードで攻撃を強化したのを見計らい、
【無敵城塞】を発動する。
《精神の余裕》《覚悟》を以て完全防御の構えをとり、奴の攻撃に耐えきってみせよう。
奴は毎秒渇望を加速させるのだろう?ならばこちらはひたすら防御しながら必殺の太刀を浴びせるのに意識を集中させ、敵が焦燥するのを待つ。
餓えに耐えきれなくなって攻撃が雑になった瞬間を見計らって【無敵城塞】を解き、《見切り》とともに《怪力》を乗せた全霊の一撃を浴びせてやろう!



「魂を食らう鬼女か。いかにもあいつの手下らしい、卑しい奴よ」
 人間を蔑み虐げ、腹を満たす餌としか見なさない『魂喰の蓮華姫』の気質は、あの晴明とも馬が合っただろうと時恒は納得する。こんな輩が迷宮の主として君臨していれば、ブレイズゲートはますます地獄と化し「平安の世」は千々に乱れること間違いない。
「この迷宮も貴様を討てば終いだ、覚悟しろ」
「ふん……そなたらこそ、妾を怒らせる覚悟はできておったのか?」
 太刀を抜いて宣告すれば、蓮華姫も傲然と言い返す。己が拠点でこれだけの狼藉を働かれ、黙っているはずもなし。
 激しい怒気と殺意を露わにする悪鬼を前に、羅刹の板東武者は一歩も怯まず、武士らしく正面から接近戦を挑んだ。

「討ち取る」
「喰ってやる!」
 火花を散らす時恒の太刀と、蓮華姫の爪牙。羅刹の膂力に耐えうる強化の呪法がかけられた剛刀は強烈だが、幾百の人妖の魂を喰らい続けた悪鬼の爪も、生半可な刀などより強靭で鋭い。幾度かの剣戟を交えてなお、どちらも互角に渡り合っていた。
「なかなかやるではないか……特別に妾も本気を出してやろう!」
 拮抗を崩さんと先に動いたのは蓮華姫。【真なる魂喰の衝動】を解放することで自身の攻撃を強化する。刀一本では受けきれないほどの手数で相手を押し切るつもりか――これを受けて、時恒は守りのユーベルコードの構えを取った。

「耐えきってみせよう」
 発動するのは【無敵城塞】。精神の余裕と覚悟をもって完全防御の構えを取り、蓮華姫の猛攻を全て受け止める。
 この状態であればあらゆる攻撃に対してほぼ無敵になるが、発動中はまったく動けなくなる。つまりは反撃の手段がない、一時しのぎのユーベルコードなのだが――。
(奴は毎秒渇望を加速させるのだろう? ならばこちらはひたすら防御しながら、敵が焦燥するのを待つ)
 【真なる魂喰の衝動】を発動した蓮華姫は、魂や生命力への渇望を満たし続けなければ餓死してしまう。暴食なる己の性が時間経過とともに最大の敵になるのだ。短期決着で終わらせるか、近くに手頃な捕食対象がいれば問題はなかっただろうが、ひたすら防御に徹されて時間を浪費するのは不味い。

「ええい糞が! とっとと妾に喰われぬか!」
 次第に焦りを隠しきれなくなってきた蓮華姫をよそに、時恒は【無敵城塞】を維持する。やがて餓えに耐えきれなくなれば、悪鬼の攻撃は雑になる。その瞬間を見計らって必殺の一太刀を浴びせるために、意識を集中させているのだ。
「……見切った!」
 やがて好機は訪れる。自身の衝動に苛まれた蓮華姫が、決着を急いだ挙げ句に出した大振りの隙。その刹那に時恒は【無敵城塞】を解き、全霊の一撃を繰り出した。これまで亀のように守りに徹してきたこともあって、それは相手からすれば不慮の奇襲となる――。

「覚悟はいいか!」
「ぐ、ぎゃぁッ!!!!」
 羅刹の怪力を乗せた剛の一太刀は、妖の強靭な肉体をも切り裂き、吹き出した血潮が十二単の衣を真っ赤に染める。
 深手を負った蓮華姫の口から漏れた悲鳴は姫と言うより、まさしく悪鬼のそれであり。傲岸不遜なブレイズゲートの主にも、年貢の納め時が迫っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真宮・律
【調和の絆】で参加

うわ、正真正銘命を奪うことに特化した妖だ。でも比較的目撃例が多いだけに比較的対策が立てられるのが幸いだな。星羅、一度見たことがあるらしいから、その経験からくる援護、頼りにさせてもらう。

疾雷の構え!!こっちがずるの透過能力と手数を重視するならそれそうおうの対策を立てる。【迷彩】【残像】【瞬間思考力】【心眼】を駆使して3回攻撃をたえ、確実に反撃をいれる。これだけ特化してるなら物質透過能力の発動はある程度わかる。【勝負勘】に賭ける。


星羅、体大丈夫か?動けそうなら援護頼む!!【連携攻撃】!!【限界突破】【急所突き】!!必殺の一撃を入れる!!絆の力舐めるな!!


神城・星羅
【調和の絆】で参加

ああ、全てを奪うのは最適の妖ですね。その忌まわしき結界のの最後の護り手には最適といえるでしょう。

ただ、人の魂を奪うことのみに執着してる為、目撃例が多すぎるのである程度対策が立てられますね。私も遭遇した事があるので援護はできるとおもいます。お役に立てるかと。

牙や爪の一撃が起点となる以上、それをうけなければ危険は少ないでしょうか。導きの使い発動。爆弾はお父様を巻き込むので投擲武器90、幻影を61個作成。【残像】【幻影使い】を駆使して攻撃を捌きつつ、【回復力】で体力を維持。

できればお父様の必殺の一撃に併せられるように温存したいところ。【援護射撃】【限界突破】で気合の矢を!!



「ああ、全てを奪うのは最適の妖ですね。その忌まわしき結界の最後の護り手には最適といえるでしょう」
 安倍晴明がブレイズゲートの主として彼女を据えたわけを、星羅は実際に『魂喰の蓮華姫』と会ってみて納得した。
 面倒な平安結界に煩わされず、無限に増える配下を従え、好きなだけ人間の魂を喰える。蓮華姫からすればここから出る理由がないのだ。だからこそ絶対に護ろうとするだろう。
「うわ、正真正銘命を奪うことに特化した妖だ。でも比較的対策が立てられるのが幸いだな」
「ええ、人の魂を奪うことのみに執着してる為、目撃例が多すぎるので」
 妖の悪性を煮詰めたような人喰いの悪鬼に、律も顔をしかめる。道中の低級妖とは格の違いすぎる相手だが、人目を憚らぬ悪行ぶりは彼らを利する要因でもあった。なにぶん妖とは何をしてくるか分からぬ連中である分、情報のあるなしが勝算に直結する。これには星羅もこくりと同意した。

「私も遭遇した事があるので援護はできるとおもいます。お役に立てるかと」
「その経験からくる援護、頼りにさせてもらう」
 星羅が再び【導きの使い】で白虎たちを召喚すれば、律は【疾雷の構え】を取る。陣形は星羅が後衛、律が前衛だ。
 対する蓮華姫はすでに【真なる魂喰の衝動】を解放している。もはや本人にも収まりが付かないほどの渇望、魂喰の本質が暴食の悪鬼を覚醒させる。
「人間どもが……所詮は無駄なあがきだと思い知らせてくれるわ!」
 憤怒の形相で飛び掛かってきた彼女は、まず正面の律に喰らいつく。両手の爪と牙による、目にも留まらぬ三連撃。
 手数重視の技に加えて物質透過能力まであるが、これは既知のユーベルコード。律もそれ相応の対策は立てている。

「最近習得したばかりだが……練習相手になってもらうぜ?」
「ぬうッ?!」
 残像と迷彩によって敵の目を眩ませ、瞬間思考力と心眼を駆使して攻撃を見切る。歴戦の傭兵は三連撃を見事に耐えきり、さらには反撃まで食らわせた。愛剣クレプスキュルによる神速の斬撃が、蓮華姫の頬を切り裂き、流血させる。剣自体を透過される恐れもあったのに、それを許さなかったのは卓越した勝負勘がなせる技か。
「おのれ……ぬうッ?!」
「お父様はやらせません」
 激昂した蓮華姫が再度攻撃を仕掛ける前に、星羅の追撃が割って入る。投擲武器に変化した90の白虎は、純白の牙を悪鬼の肌に突き立てた。道中で使った爆弾はここだと父を巻き込むので使えないが、その制限を苦にしない技量が彼女にはあった。

「小癪な……ならば娘のほうから先に喰ろうてやるわ!」
 邪魔をされた蓮華姫は敵意の矛先を星羅に向ける。まだ幼い血肉を剥ぎ取り、喰らい、【八千矛之舞台】でさらなる強化を果たすつもりか。捕食を通じて弱点まで見抜かれるようになると、今は優勢な戦況もたちまち逆転しかねない。
(牙や爪の一撃が起点となる以上、それを受けなければ危険は少ないでしょうか)
 以前の戦いで【八千矛之舞台】の効果を知っていた星羅は、残しておいた61の白虎から自身の幻影を作り出し、それを操って敵の攻撃を捌く。残像とともに揺らめく多数の幻影の中から、本物を見つけ出すのは至難の業。蓮華姫の爪牙は血肉も魂も手応えもない虚像を切り裂くばかりだ。

「ぐぬぬ……おのれ、おのれぇ!!」
 怒り、猛り、荒ぶりながら、衝動のままに暴れ狂う蓮華姫。時間経過とともに増す暴食の渇望は、彼女の精神を徐々に蝕みつつあった。攻撃はより激しさを増すが、引き換えに冷静な判断はおぼつかなくなる――逆襲に転じるなら今が好機だろう。厄介な物質透過能力の発動も、これだけ特化しているならある程度分かる。
「星羅、体大丈夫か? 動けそうなら援護頼む!!」
「はい、お父様。いけます!!」
 守りから攻めの構えに移行する律。彼の必殺の一撃に併せるため、星羅もここまで体力の維持と温存に努めてきた。
 調律の弓に矢を番え、いつでも準備万全だと義娘が表情で答えれば、義父は全幅の信頼のもと敵に切り込んでいく。

「たかが人間風情が……群れたところで妾に敵うとでも……!!」
「絆の力舐めるな!!」「侮らないでください!!」
 気合を込めた星羅の矢と、神速に達した律の剣が、敵の急所を同時に貫く。それは調和の絆の連携がもたらした限界を超える一撃だった。直後、蓮華姫の身体から栓を抜いたように血潮が吹き出し、これまで喰らい集めてきた生命力が抜け落ちていく。
「お、ぉぉぉ……バカな……妾が人間などに……」
 ここまで追い詰められてもなお、現実を受け入れられない蓮華姫。だが否定したところで失った血は返ってこない。
 主が討たれれば、ブレイズゲートも消滅する。彼女の窮地と連動するように、迷宮の風景は陽炎の如く揺らぎ始めていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

八秦・頼典
●WIZ

ふぅむ、ブレイズゲートを引き起こした安倍晴明の痕跡は梨の礫か
鬼女を置き土産としている奸物なれば自らの痕跡を残さないものだが、なぁに犯人とは思わぬ見落としをしているものだ
今回は残念だったけど、同じ事件を追っていけば…いつかは尻尾を掴めるかもだね?

その為にも楔である魂喰の蓮華姫を討ち果たさねばだ
お生憎様だけど、ボクは尻に敷かれる趣味は無いんでね
宴と申すのであれば、ここは無礼講と行こうじゃないか
そんな感じに挑発しながらのらりくらりと攻撃を躱しながら様子見し、血が上って正体を見せたところで『七星七縛符』

オン・アミリタテイセイ・カラ・ウン…阿近、吽近
蓮華姫は宴の余興をご所望だ…遠慮なく喰らいつけ



「ふぅむ、ブレイズゲートを引き起こした安倍晴明の痕跡は梨の礫か」
 平安を巡る戦いも佳境に入る中、頼典はひとり残念そうに眉をひそめていた。最深部まで足を運んでみても、この迷宮に安倍晴明の姿は影も形もなかった。どうやら「白炎換界陣」で平安結果を歪めた後、ブレイズゲートの主を据えてすぐに撤収したと思われる。
「鬼女を置き土産としている奸物なれば自らの痕跡を残さないものだが、なぁに犯人とは思わぬ見落としをしているものだ。今回は残念だったけど、同じ事件を追っていけば……いつかは尻尾を掴めるかもだね?」
 今後も同様のブレイズゲート事件はアヤカシエンパイア各地で繰り返されるだろう。それを解決する過程で手がかりを集め、真犯人たる安倍晴明を追い詰める。陰陽師探偵の慧眼と推理力から、いつまでも逃げおおせられるとは思わぬことだ。

「その為にも楔である魂喰の蓮華姫を討ち果たさねばだ」
「ぐぬぬ……生意気な陰陽師めが。這いつくばって許しを乞うておれば楽に死なせてやったものを!」
 この事件の"先"をすでに見据えた頼典の態度は『魂喰の蓮華姫』の神経を逆撫でするものだった。数多の人妖の魂魄を喰らい、人々から畏怖されてきた自分がこの扱い。餌風情が身の程を弁えろと怒鳴り散らすのも、傲慢な彼女の性格からすれば当然の反応だろう。
「お生憎様だけど、ボクは尻に敷かれる趣味は無いんでね。宴と申すのであれば、ここは無礼講と行こうじゃないか」
「おのれ、おのれッ! 妾を舐めるでないわァッ!!」
 凄まじい怒気と殺気を浴びせられても、頼典は平然とした様子で挑発する。いよいよ堪忍袋の緒が切れた蓮華姫は、牙を剥き出しにして彼に襲い掛かった。これまでの激闘で深手を負い、衣と髪を振り乱したその姿はまさに悪鬼。姫の呼び名からは程遠い醜悪さだ。

「舞踊も貴族の嗜みだからね、上手く踊れているかな?」
「ほざけぇ!!」
 冗談を絶やさぬまま、のらりくらりと攻撃を躱す頼典。激情で動きが単調になった敵をあしらいつつ、まずは様子見といった所か。蓮華姫からすれば彼の言動全てが癪に障り、冷静になるどころの話ではない。内心にある窮地への焦りが、ますます頭に血を上らせる。
「バラバラに引き裂いてくれるわッ!!」
 かくして怒り狂った蓮華姫は【奴延鳥乃翠爪】を発動。かつて喰らった「雷獣・鵺」の魂魄を纏い、変貌を遂げる。
 その両手から生えた翡翠の鬼爪は、切れ味もリーチもこれまでより格段に強化されている。追い詰められた悪鬼の最後の悪あがきだ。

「正体を見せたね」
「ぬぅッ?!」
 そこで頼典は【七星七縛符】を発動。さっと放たれた護符が蓮華姫の額に張り付き、ユーベルコードを封じ込める。
 纏っていた紫電が消え、金縛りにあったように動かない我が身に狼狽する蓮華姫。白炎の迷宮を舞台にした宴にも、そろそろ終焉の時が来たようだ。
「オン・アミリタテイセイ・カラ・ウン……阿近、吽近」
 阿弥陀如来の真言を唱え、阿吽二体の霊獣を呼び出す。獅子と犬に似たその威容は、敵対する者から見れば黄泉路の番犬か。荒々しき炎と静かなる激流の性質をたたえた双眸が睨めつければ、悪鬼は堪らず「ひっ!」と悲鳴を上げた。

「蓮華姫は宴の余興をご所望だ……遠慮なく喰らいつけ」
「やっ、やめろ……この妾が、人間なんぞにぃ……ぎゃあぁぁぁぁァーーーッ!!!?」
 飛びかかる二頭、響き渡る断末魔の絶叫。暴食で悪名を馳せた妖が、最期は自らも喰われて終わるのは因果応報か。
 悪しき妖にかける慈悲はなく、阿近と吽近は頼典の命令通りに命脈を食いちぎり。最後の最後まで自分の敗北を認めきれぬまま『魂喰の蓮華姫』は骸の海に還っていった――。



 迷宮の主が斃れたことにより、ブレイズゲートは消滅。歪んだ結界は正され、元通りの「平安の都」が戻って来る。
 異界より来たりし悪の陰陽師、安倍晴明。彼の秘術によって蝕まれた平安の危機は、猟兵の活躍によって無事解決とあいなったのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年07月03日


挿絵イラスト