「黯党の党首は斃されましたが、配下の悪魔召喚士は健在……残された彼らは同盟者である、幻朧戦線将校カルロス・グリードへと悪魔生物『デモノイド』を供与していました。カルロスは儚く弱い存在である影朧達に忠実なデモノイドの軍勢を与えて、『世界への復讐』を果たすよう囁きます……」
「たとえ復讐を果たしたとしても、決してこの影朧の未練は晴れないでしょう……このまま放置すればその力に溺れ、更なる復讐に及ぶかもしれません。……報いの相手が、もういなくとも」
影朧の命を受け送り出されたデモノイドの群れがそこに現れる、と澪はいう。デモノイドは影朧の復讐を果たすべく強大な拳で辺りの地形ごと全てなぎ倒し、鋭い剣状に変形させた腕部で切り裂き、恐ろしい咆哮で周囲を無差別に攻撃してくる。
攻撃対象には駐屯地にいる人々も含まれているので、彼らの安全確保も必要だろう。たとえどんなに優秀な軍人であっても、猟兵でない彼らはデモノイドにも影朧にも敵わない。
蒼き悪魔、デモノイド——彼らは人間に『デモノイド寄生体』を移植することで生み出された、異形の悪魔生物だ。彼らはもう理性も言葉も失っていて、影朧について何も聞き出すことはできないけれど、彼らの行動には影朧の抱く意図が反映されている。
現れた影朧との戦いの中で、手がかりを元に説得することもできるかもしれない。説得が届けば、影朧の力は弱まるかもしれないのだ。倒したあとの転生も望めるかもしれない。
今までもそうだったように、今回も無事に解決へと進んでいくでしょう、と。澪は信頼の言葉を口にした後、よろしくお願いします、と頭を下げるのだった。
霧野
霧野です、よろしくお願いします。
サクラミラージュにて、デモノイドの力で以って復讐を果たさんとする影朧のテロル行為を止めてください。
●シナリオについて
2章での情報収集は、具体的な内容でもふわっとした感じでも大丈夫です。
3章の影朧戦で、前章までの情報を踏まえてこの影朧を説得しようとした場合、プレイングボーナスがあります。
第1章 集団戦
『悪魔生物『デモノイド』』
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POW : デモノイドグラップル
単純で重い【悪魔化した拳】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : デモノイドカッター
【剣状に硬質化した腕部】で近接攻撃し、与えたダメージに比例して対象の防御力と状態異常耐性も削減する。
WIZ : デモノイドロアー
【恐ろしい咆哮】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●蒼き慟哭
ごうと音を立てて拳が唸る。
びゅんと風を切って腕が振るわれる。
恐ろしく哀しい唸りがすべてをなぎ倒す。
デモノイド達は主の意に従い、——を、それに繋がるものを|毀《こわ》す。
人と物の境なく。ただ、与えられた命令に従うように。
国栖ヶ谷・鈴鹿
◎
疑問は多いけど、まずは目の前のデモノイドを祓う事、それが最優先だ。
【フュウネラル・バレッドパレヱド】
とにかく、相手の攻撃をもらわないこと。
紅路夢の機動力で動きつつ、デモノイドの動きを見極めていこうか。
もう、人間としての意思はないとは言え、憑き物は祓っていこう。
ユーベルコヲドでの乱射で、邪悪さや敵愾心を削ぎつつ、影朧が何を求めているのか、少しでも見えるものを見つけていこう。
……もし、遺体が残るようなら、利用されてしまった人がちゃんと帰れるように弔いたいね。
この無差別テロルが、黯党の残渣なら、ここで残らずに終わらせておこう。
●
送り出された鈴鹿の目に一番に飛び込んできたのは、デモノイドが拳を振り上げる姿だった。
拳の先にいるのは軍服の人物と制服の人物。この駐屯地に属する士官と非戦闘員の事務職だろう。このまま見ていれば、砕けた大地に赤が広がるはずだ。
もちろんその未来は訪れない。
鈴鹿の手が翻る。ナアサテイヤとダズラ、二丁の銃の引き金を弾きながら。鈴鹿の脚が駆ける。ひらりひらりと、銃声を伴奏に舞い踊りながら。
清めの弾丸で撃ち抜かれた蒼い悪魔はぐずりと崩れ、その向こうで驚いた顔が見えた。
「大丈夫ですね」
「ああ、感謝する。其方は噂の超弩級戦力だろうか」
「はい、そうでございます。まだあの蒼い悪魔はいるでしょう。避難誘導をぜひ進めてください」
彼らに怪我がないことを確認し、その場に残された僅かな金属を拾い上げ、鈴鹿はフロヲトバイに乗って征く。
倉庫の壁を壊そうとするデモノイドを、それを止めようと走ってくる軍人を狙うデモノイドを、清めの銃弾のパレヱドを届けて祓うために。
(疑問は多い)
幾体も祓いながら鈴鹿は考える。
黯党の党首は倒した。残党が新たな拠り所を求めるのは自然ではある。その先が手を携えていた幻朧将校だった、というのも納得できる。
たが影朧を唆し、世界を揺らがす理由は何なのか。そもそも影朧自身の復讐は何を対象としたものか。はじまりの猟兵の語った、第二から第五までの猟兵達との繋がりはあるのか。
尽きない疑問は、世界に残る謎は多い。けれど今、鈴鹿がやるべきは決まっていた。
軍刀を構えた軍人に向かうデモノイドを撃ち祓い、鈴鹿はきゅっと口を結ぶ。
(まずは目の前のデモノイドを祓う事、それが最優先だ)
悪魔の核とされた人の遺体が残れば、きちんと帰れるように弔いたかった。
でもそれは叶わない。悪魔が崩れた後に残るのは、彼らに付いていた金属だけだ。どこの誰かもわからない、物言わぬ冷たい塊だ。
それでも残された|金属片《よすが》を大切に拾い、鈴鹿はハイカラさんのメイド服を翻し、紅路夢を走らせる。
(この無差別テロルが、黯党の残渣なら、ここで残らずに終わらせておこう)
これ以上の哀しさを増やさないように。復讐を続けさせないように。
鈴鹿が清めの弾を撃ち込めばデモノイドは僅かに動きを変えていた。邪悪さや敵愾心を削ぎ落とされ、命令により忠実に応えるように動きの質を変える。
武器や軍人をより狙うような、そんな動きに。
大成功
🔵🔵🔵
水貝・雁之助
◎
……うん、この引っかかる感じは……そう言う事なのかな?
出来れば此の予感は当たって欲しくないんだけど当たっていたとしたら……止めないとね
其の為にもしっかりと邪魔をしてくるこいつらも倒さないと、だし
〇ユーベルコードを使い悉平太郎を呼び出し戦闘
〇地形の利用をし簡易的に拠点を作り〇拠点防御しながら敵を一体ずつ倒していく
又、可能なら〇天候操作で雨を降らせ滑りやすくしたり敵の動きを誘導し他の敵の攻撃から防ぐ為の〇敵を盾にする等していく
兎に角、確実に敵を屠り、本命に備える
悪いけど犠牲者の君達の事を考えてあげられる余裕は今の僕にはない
だからせめて苦しむことなく解放してあげるよ
……武器や軍人狙い、やっぱりか
●
雁之助はとある予感を感じていた。何か引っかかる、それは当たって欲しくない予感だ。
(……うん、この感じは……そう言う事なのかな?)
その予感が己の宿縁に関わると確信できる。ただその縁が、雁之助が予想するものではないことを心から願っていた。
悲しくて愛しい記憶に通じていてほしくないと、心から願っている。
けれど、この予想が当たっているならば。
(当たっていたとしたら……止めないとね)
きっと愛しいかの人は、悲しんでいるはずだから。
駐屯地に送り出された雁之助は、手近な建物の影を簡易拠点とし、遮蔽をとってデモノイドに相対する。
囲まれないように位置取り、一体一体確実に倒すために。
(悪いけど、犠牲者の君達の事を考えてあげられる余裕は今の僕にはない)
デモノイドには元となる人間がいる。彼らも家族から引き離され、悪魔を寄生させられて、自分の意思も命も奪われた存在だ。理性をなくした悪魔として、主の意志のまま暴れるばかりの犠牲者だ。
けれど雁之助の邪魔をするなら、それは確かな敵であった。
「だからせめて苦しむことなく解放してあげるよ。悉平太郎、力を貸してほしい」
静かな声で呼び出すのは、悪逆非道の猿神殺しの柴犬、その霊だ。
鋭い牙と爪を持つ勇敢な御霊は、蒼い悪魔の咆哮にも怯まずに地を蹴って食いついた。ちょうど周囲一体を狙う咆哮をあげるべく、大きく口を開けたデモノイドは、痛みに吠える。
その間に雁之助は小さな雨雲を呼び寄せた。ほんの僅かの湿り雨、けれど濡れた地面はデモノイドの足を滑らせた。
暴れ、滑り、揺れ動く巨体の太い首を柴犬がちぎり取り、爪で肉を割いていけば、ぐずりとデモノイド崩れていく。
(兎に角、今は確実に敵を屠り、本命に備える)
予感は強くなっていくばかり。デモノイド達を観察しながら、雁之助は悉平太郎の援護を続けた。
そうした中で観察していけば、彼らの狙いも推測できてくる。
「ああ……そうか。武器や軍人狙い、やっぱりか」
扉を破った先に武器が格納された倉庫を、刀や銃を持った軍人を狙うような動きが多い。ただの食糧庫や住居、非戦闘員を狙うよりもずっと。
このあと、詳しく調査を行えば、狙いについてしっかりした確信も得られるだろうか。
そうしたら——雁之助の予感も、やはり当たってしまうのだろうか。
大成功
🔵🔵🔵
真宮・響
【星の絆】
まあ、アタシの家族はこのサクラミラージュに縁深い。実は本田にも面識があるんだ。分身体なんだが。この桜散る都に潜む闇を散々みてきた身としては。状況を把握しておかないとね。
デモノイドはしらないんだよ。でも影朧にも色々事情があるんでね。
無理やりこの姿にさせられてる姿をみると、ね。終わらせてやろうか。
赫灼の戦乙女発動。まず一体戦乙女を随身させ、【残像】【オーラ防御】【見切り】【心眼】を利用しながら様子をみる。これぐらいの修羅場は幾度も経験したんでね。耐え切れる。
やはり、ね。狙いが定まりすぎているか。奏、いいかい?【気合い】【範囲攻撃】!!一気に槍で斬りはらう!!
真宮・奏
【星の絆】で参加
私たち家族はこのサクラミラージュに家があるんですよ。でも闇に潜む戦火、影朧の悲哀。よく存じております。それに本田とも面識あるんですよ。分身体ですがね。
デモノイドは知識ありません。でも自分の意志なしで姿変えられたとなれば・・・放ってはおけませんとも。
トリニティ・エンハンス発動。【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】【拠点防御】【受け流し】【ジャストガード】。防衛に徹して様子を伺います。
やはり、ですか。この方達も強大な悪に飲まれた犠牲者。【覚悟】はあります。【限界突破】【衝撃波】・・・お救いできなくて申し訳ないです。せめてくるしみが続く前に。
●
真宮・響(赫灼の炎・f00434)と真宮・奏(絢爛の星・f03210)の家はこのサクラミラージュにある。愛する家族と共にずっと暮らしてきた。
そしてこの世界で起きた事件、黯党や幻朧戦線が起こす事件、闇に潜む戦火、影朧の悲哀も、幾度となく見てきた。
かつて要人を暗殺せしめんと現れた黯党首魁『本田・英和』の分体にも|見《まみ》えたこともある。彼の本体も獣人世界大戦にて撃破され、骸の海へと還ったが、彼の起こした黯党の残滓は未だサクラミラージュを騒がせている。
「状況を把握しておかないとね」
「ええ」
新たな悲しみを生ませないために、今尚続く悲しみを終わらせるために。この世界を守るために。
新たな事件を見定めるべく、母と娘は事件の現場へと赴いた。
送り出された駐屯地では既に蒼い悪魔、デモノイドが何体も現れていた。
今まさに刃に変えた腕を振るい、軍服姿の将校を切り飛ばそうとする姿が、大きく拳を振り上げて、転んだ事務員を潰そうとする姿が響と奏の目に飛び込んでくる。
「さあ、共に行くよ!!」
真紅の戦乙女が響の詠唱に応じて現れ、先行する。全て切り裂くような鋭さの腕を戦乙女が弾き、槍を構えた響がデモノイドと将校との間に割って入る。
デモノイドが目前に現れた獲物に腕を再度振えど、そこに残っていたのは残像のみ。オーラで動きを強化した戦乙女が再度デモノイドの腕を弾き、将校が退避する隙を作り出した。
「させません!」
トリニティ・エンハンスで己の防御力を強化した奏が拳を振り上げたデモノイドと事務員の間に割って入る。
そのままオーラを纏ったエレメンタル・シールドで受けとめ、人ならざる膂力を受け流し、タイミングを合わせて弾いた。
デモノイドが崩れた地面でたたらを踏むように。デモノイドが再び拳を振るうまでの時間を稼ぐために。その間に背後の事務員が無事に離れられるように、デモノイドの狙いを見定めるために、奏は防御に徹する。
しばし響が戦乙女と共にひきつけ、見切りながら刃の腕をかわし続け、奏が剛力を受け止めいなし、ずらしながらしばし耐える。
響も奏もデモノイドについてよく知らない。けれど知っていることもある。彼らは人の体に悪魔寄生体を植えられ、異形へと変えられた存在だ。人の心を抑えつけられ、意識も理性もないままに影朧の命令を果たそうと暴れ回る。
「やはり、ね。狙いが定まりすぎているか」
「やはり、ですか」
その動きを観察していれば、影朧の意図が朧気ながらも見えてくる。無差別に暴れているように見えながらも、確かな狙いがあると確信できた。
それこそが影朧の復讐に繋がるのだとわかってくる。
避けて、受け止めながら二人の会話は続く。
「無理やり変えられたこの姿をみると、ね」
「自分の意志を持たないようにされ、姿を変えられたとなれば……放ってはおけませんとも」
狙いは見えてきた、あとはデモノイドを止めるだけだ。真紅の戦乙女を伴奏に加え、響と奏のデュオが始まった。
戦乙女と響が軽やかに刃を振るうデモノイドを翻弄し、奏が剛力の一撃を弾き飛ばす。軽快に、重厚に、デモノイドの動く先を誘導し。息を合わせて動きを合わせて幾度かそれを繰り返せば、2体の蒼い悪魔がごく近い距離に集まっていた。
「奏、いいかい?」
「はい、せめてくるしみが続く前に」
「ああ。終わらせてやろうか」
響がブレイズランスを構え直す。この一閃で終わらせようと心を定め、赤熱の刃を横薙ぎに、一気呵成に切り払う。
奏がブレイズセイバーを両手に握って高く跳ぶ。から勢いつけて振り下ろす。響の一閃に交わるように、世界を護る意思を込めて。
赤に切り裂かれた悪魔はぐずりと崩れ、消えていった。そこには元となった人を偲ぶようなものはなく、僅かにデモノイドに付いていた金属が残るばかりだ。
「この方達も強大な悪に飲まれた犠牲者。……お救いできなくて申し訳ないです」
恨むべきはこの事件を起こした影朧か。しかし影朧にも色々な事情があるだろう。
けれどその復讐は続けさせてはならない。悩みはあれども、今やることははっきりしている。
これ以上のかなしみも、くるしみも無いように。響と奏は、次のデモノイドを倒すべく駆け出した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ジゼル・サンドル
◎○
ひどい話だな、人の憎しみや哀しみにつけこんで化け物に変えてしまうなんて…
復讐はただでさえ何も生まないのに、ましてその感情を利用しようだなんて影朧への冒涜じゃないか。
【結界術】で周囲に結界を張りつつ拡声機能付のデバイス越しに、デモノイドの咆哮にも負けないくらいの【大声】で避難を呼びかけよう。
復讐を思い止まらせることも、君を元の姿に戻してやることもかなわずすまない…今わたしにできるのはせめて鎮魂の祈りと共に送ってあげるくらいだ。
『花嵐の旋律』発動、手回しオルガンを鎮魂曲と共に舞う無数の花びらに変えて攻撃。
自身のダメージは【オーラ防御】で軽減をはかる。
咆哮すら悲痛の叫びのようで心が痛むな…
●
ジゼル・サンドル(歌うサンドリヨン・f34967)は憤る。
「ひどい話だな、人を化け物——デモノイドに変えて利用するだけじゃなく、影朧の憎しみや哀しみにつけこんで、世界を壊そうとして。復讐はただでさえ何も生まないのに、ましてその感情を利用しようだなんて影朧への冒涜じゃないか」
理性のないままに暴れる怪物に変えられた人は苦しかっただろう。何も報われない復讐を繰り返すだけの影朧は苦しむだけだろう。
黯党も幻朧戦線も世界を壊し人を害するばかりで、巻き込まれる人も影朧も、世界にも悲しみは増えていくばかりで。
それでもジゼルはそんな状況を変えたい、救いたいと桜舞う世界へと赴くのだ。
事件の現場へと送り出されたジゼルの目に映ったのは、今、咆哮をあげようとするデモノイドの姿。辺り一帯に異様な響きの吠え声が広がる前に、ジゼルは結界を張る。周囲にいる軍人も、戦えない事務員も守るように。
結界で守ると同時に響いた咆哮に負けぬよう、夜空に歌うクロウタドリを介し、ジゼルはよく通る声で周囲に呼びかける。
「こちらは超弩級戦力だ! 皆を助けに来た、デモノイド……蒼い悪魔はこちらで引き受ける! 避難を進めてほしい!」
「……承知した! 皆の避難を進めよう」
ジゼルの呼びかけに応じ、周りにいた軍人が連携を取って周囲一帯の避難を進めていく。
このまま彼らが無事に逃げられるように、結界を維持しながらジゼルはデモノイドと相対した。
ジゼルの手元に現れた手回しオルガンが形を変える。ひらりと軽やかに、ふわりと柔らかに。色とりどりの花びらが幾重にも広がっていく。
「旋律と共に舞え、花嵐」
静謐な旋律の鎮魂曲が始まれば、無数の花びらがデモノイドを囲んでいく。その姿が埋もれていけば、抗うようにデモノイドの裂けたような口からおぞましい咆哮が溢れ出た。避難する人を優先して張った結界を、ジゼルを守るオーラを超えて、デモノイドの咆哮が届いてくる。
(ああ、咆哮すら悲痛の叫びのようで心が痛むな……)
けれどジゼルにできるのは、デモノイドを送ることだけだ。
「君を元の姿に戻してやることも、助けることもかなわずすまない……せめて、安らかに」
真摯な鎮魂の祈りを、奏でる曲に、舞いあがる花びらに乗せて、デモノイドに、その元になった人に届くように。ジゼルは祈り、デモノイドを見送る。
花びらの中の蒼い体がぐずりと崩れ、僅かな金属片を残すまで。
大成功
🔵🔵🔵
彼女が生まれ育ったのは戦乱の世だった。彼女から家族を奪った戦を、仇の配下に追われ幼くして放浪生活を送る事になった原因で自分の様な者を数多く生み出す戦を、とても嫌っていた。
けれどいつも雁之助に申し訳ないと謝って、家族を奪われた怒りはあっても、それを押し付けることはしてこなかった。追われる放浪生活で疲弊し、ボロボロになっても雁之助へと謝ってくれる人だった。