宇宙要塞アイギス絶対防衛戦線
ようやく見付けた故郷は得体のしれない化け物に占領されているようだ。
取り戻そう、我々の故郷を。
「ねえ、今星が消えなかった?」
「何言ってるんだ? 星が消える訳……いや、消えてるな。って言うかどんどん消えて行ってるぞ!?」
「妙な天気だな。雲も無いのに曇ってやがる」
「太陽が何かで見えなくなっていく……これは一体?」
「うむ、緊急連絡だ」
(自称)レイリス・ミィ・リヴァーレ・輝・スカーレット(厨二系姉キャラSTG狂・f03431)がいつもの如くゆったりと椅子に座って手を組んでいる。
「VOIDの本格的な進行が確認された。まずは、この3Dマップを見て欲しい」
グリモアベースの執務室に3Dホロマップを表示させる。中央に地球と思われる青い球体。その周囲に無数の赤い点。あまりにもおびただしい量の赤い点。
「この赤い点がVOIDだ。まあこれはレーダーだから隙間も見えるだろうが……敵が七分で黒が三分、所でもは済まないかもしれん」
数が多い、あまりにも数が多すぎる。地球そのものを完全に包囲する程の数。
「幸いな事にこの数が一斉に降下する事は出来ない。大気圏を抜ける必要はあるからな。大気圏降下中ならそれなりに隙は出来る。ここをアイギスが保有している超高性能戦闘機群で叩き、地上まで降下する敵の数を減らしていく作戦だ」
宇宙要塞アイギス。今まで衛星軌道上機械神殿と呼ばれていた物の正体だ。一万年もの間宇宙からの敵を食い止め続けていたのだ。
「この作戦には明確な穴がある。アイギス自体は衛星軌道上に存在している為大気圏を抜ける必要が無い……つまり、アイギス自体が無防備という事だ。無論、アイギス自体にも多少の防衛設備はある。全周を覆う重力波バリア、ヴェルシールド。全4層のそれはあらゆる物の通過を遮断する……が、展開したままでは味方の機体も出し入れができない。シールドの一部に穴を開けて補給に戻った戦闘機を中に入れる必要がある」
そもそもアイギスの航空戦力が防衛の要なのだ。航空機運用を妨げてしまっては本末転倒である。
「味方だけを選択的に入れる事が出来ない以上、シールド圏内に敵の侵入を許してしまうだろう。それに、シールド自体も無限に稼働できる訳でも無い。無理矢理シールドに穴を開けて侵入される事もあるだろう」
ヴェルシールド自体の耐久力はかなりの物ではあるのだが、出来る事は時間稼ぎ程度か。
「そしてアイギスの保有戦力は戦闘機のみ。陸戦での拠点防衛は全く想定されていない」
実際には対抗できる機体も無くは無いが、元より攻撃力と機動力に極振りして防御力を捨てている戦闘機に拠点防衛線はやらせるべきでもない。
「そこで君達の出番という訳だ。アイギスはかなりの質量を持つ構造物だが、守るのはただ一か所。戦闘機を出し入れするメインハッチのみでいい」
メインハッチの映像をモニタに映す。堅牢なハッチではあるが、今回の作戦の性質上常に開けっ放しにしておくしかない。ハッチだけとはいえ、大量の戦闘機を運用するための物。軽く空母一隻分程度の大きさはある。
「このメインハッチの前に陣取り、内部への侵入を防げ。ハッチの前には飛行甲板が付いているから足場に困る事もあるまい」
飛行甲板ではあるのだが、そもそもこの甲板が必要な機体は居ないので殆ど飾りみたいな物である。一時期博物館になっていた頃の名残だろうか。かつてはここに大型輸送艦で乗り付けていたりしたのかもしれない。
「侵攻してくるVOIDだが、小型の物ばかりになるだろう。大型はそもそもヴェルシールドを抜けられない。その分、小型は数も多く足も速い。油断はするなよ」
想定される小型VOIDを立体映像表示する。人型ロボットの様な奴から編隊飛行する小型機、或いは冒涜的な外見をした戦闘機のような何か。
「ちなみに、超高性能戦闘機群が守っているとは言えこの数を落とし切る事は出来ない。少なくはない数が地上まで到達するだろう……だが、この世界の住民は自らを守る術を持っている。今は彼らの事を信じて任せておいてくれ」
すっと、横に手を振り全ての映像を消すと椅子に座って偉そうに腕を組み直す。
「私は見えた事件を解説するだけ……とも言えないなそろそろ。今出来る事は守る事だけ。だが、反撃の手筈は整えている。今はそれを信じて守り抜いて欲しい」
そして、アイギスの甲板へと繋がる転送用のゲートを開く。
「では、往くがよい」
Chirs
ドーモ、Chirs(クリス)です。
今回はVOID編第二話、拠点防衛戦となっております。第一話に参加していなくても全然大丈夫です。今回やる事はただ守る事だけなので。
今回はシンプルに戦闘シナリオとなっております。タワーディフェンスっぽい感じです。敵のおかわりは沢山来ます。
今回はいつも通りアドリブも連携もマシマシになります。ある程度の人数が集まってから書き始めます。皆さんに世界防衛戦線を提供出来れば良いなと思う所存でございます。
第1章 日常
『プレイング』
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POW : 肉体や気合で挑戦できる行動
SPD : 速さや技量で挑戦できる行動
WIZ : 魔力や賢さで挑戦できる行動
イラスト:仁吉
👑11
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
グラン・ボーン
アイギスのハッチが開き、エレベーターで上がってくる大きな影
腕を組み、まるでガンバスターのような偉容で現れたのはグランだ
シールドの穴からまっすぐにここにやってくるのなら、長く細い隊列になりそうだな
ジンライ、エルゴ陽動を頼むぜ
戦線が伸びきった時に勝負をかける
グランは、戦闘狂のマッチョマンであるが、脳筋ではない
勝つためには何でもする
グランは気を高める
体内を螺旋に流れる気の力
それが全身を球のようにつつみ、螺旋のエネルギー渦巻く球体からグランの顔が出ているという状態になっている
よしうて!
エルゴとジンライに押し出されグランは弾丸となってバリアの穴まで突っ込んでいく
当然間にいる敵をすべて吹き飛ばしながら
桃枝・重吾
アドリブ歓迎
宇宙で出来そうなことを並べたお任せプレイング。
■役割
星降丸:POWアーマー役、甲板から各種支援物資を追加補給として射出してきます。
梵天丸:キャバリア形態では不向きそうなので航宙機モードで参戦、UCと重吾のカード型カートリッジを併用した波◯砲もどきや、
アブホランスウィールによる重力レンズでの友軍機の砲撃の一点集中や、反対にプリズム◯ズム砲的な一定範囲に収めた範囲攻撃の補助的運用が出来ます。
尚、詳細は聞かされてない。
重吾:致命的射撃音痴なので火器は梵ちゃんにお任せして操縦…
時々、自分を射出して
梵ちゃんの重力糸を振るってデブリとか敵残骸を絡め取って中距離も殴りに行く、
重力糸で回収される。
●開門
かつては大型の貨物を内部に搬入するために備え付けられていたであろうエレベーター。猟兵達を乗せたそれがゆっくりと上昇していく。
いや、ゆっくりに感じるのは大きさ故の錯覚だ。実際にはそれなりの速度で上昇している。
その中央に男は威風堂々と立っている。両腕を組み、|人型決戦兵器《ガンバスター》めいて。その肩に一人のニンジャ。さらにキャバリアが一機。
グラン・ボーン(巨人の巨人拳伝承者・f34134)と叢雲・凪(断罪の黒き雷【ジンライ・フォックス】・f27072)、そしてエルゴ・ルスツァイア(|強化継承体《インヘリット・クローン》・f40463)である。
飛行甲板へ通じる天井が開き、エレベーターは止まった。それは地獄へ通じる門めいていた。この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ、と言わんがばかりに。
だが猟兵は否と答える。我、自らが希望その物であるが故に。
「ドーモ、ジンライ・フォックスです」
「グラン・ボーンです」
「エルゴ・ルスツァイアです」
そして、先んじて飛行甲板で待っていた者が応じた。
「ドーモ、ジンライ・フォックス=サン、グラン・ボーン=サン、エルゴ・ルスツァイア=サン。空野・プゥピィだプゥ」
「桃枝重吾です」
空野・プゥピィ(飛ばない仔豚はただの仔豚・f38289)、桃枝・重吾(|スペースデコトラ使いXL《スペース食べ歩き道中》・f14213)は代表して挨拶した。
奥ゆかしき挨拶は神聖不可侵の行為。この世界の古事記が現存していれば書かれている筈である。
「そしてこちらが地上部隊|蒼の豚《ポルコ・アッズーロ》のみんなだプゥ!」
「「「ヒャッハー!!」」」
ややモヒカンめいたこぶたの精鋭地上部隊! 空戦を主力とするこぶた軍団において彼らの役割は拠点制圧および、拠点迎撃。そして何より対空戦闘である。正しく今回の案件に打って付けなのだ。
「なるほど、|専門家《スペシャリスト》という訳か」
ジンライ・フォックスの目が光る!
「こちらも”その道のプロ”だよ」
腕を組んだ姿勢のままにやりと嗤うグラン。
『メインシステム、戦闘モード起動』
エルゴは愛機のイクスフェルを通常モードから戦闘モードへ切り替えた。
「攻守速に各々長けた今回のスクワッドはこの任務に最適だろう。さながら僕を含め”三銃士”といったところか!」
広域スキャンを奔らせて戦場を精査したエルゴが言った。
「なるほど、この甲板の上は人口重力で1G環境を作っているのか」
『生命体は1Gの方が動きやすいだろう、|来訪者《ビジター》』
アイギスの管理AIのアバターである荒いポリゴンの人影が投影される。
『甲板の上を人工的に1G環境に設定しているだけだ。甲板から離れれば0G環境に戻る』
「こちらとしてはその方が助かる」
基本設計は陸戦兵器のイクスフェルは地上走行速度に優れているが、重力下の空中戦は不得手だ。
「下は任せた。上に陣取らせてもらう」
「おう、地上は任せろ!」「穴だらけにしてやる!」「たっぷりと弾丸を味わわせるやるぜ!」
ブーストを吹かして上昇すると、途中から急に推力が上がるのを感じ上昇ブーストをカット。軽く左右に吹かし、動きを確認する。
「じゃあ、あたいもそろそろ|出撃《で》るプゥ!」
残滓ヒコーキのエンジンを吹かし、プロペラを回す。唯一、この飛行甲板を本来の用途で運用している……いや、そもそも飛行甲板に似せて作っただけなのでそうでもないか?
「ほんとは師団長達も呼びたかったけど……」
その時、ある物が目に留まる。
「って、甲板に居るあの他より明白に鮮やかな赤色のヒコーキは!」
一瞬視界に移ったそれが消える。否、甲板から落ちた? そんなミスをする男ではない。プゥピィの離陸と同時に紅が空に昇る。
「空中空母式自由落下離陸! 危な過ぎて誰も真似できないその動きはッ!」
『よう仔豚ちゃん。少しは腕を上げたか?』
「伝説のロッソ師団長プゥ!? どうしてここに」
『風が吹く場所に理由は必要無い。俺の空だ』
「さすがきまぐれな師団長プゥ……!」
「で、そっちは何してるんだ?」
「ちょっと思い付いた事があってね」
重吾は星降丸にアイギスから持ち出した物資を積み込んでいる。
「戦闘機はここに補給する為に帰って来るんでしょ?」
「成程な」
グランはその意図を理解して笑った。
「あんまり俺の出番を減らすなよ」
「無くなりはしないでしょ。だって、これだよ?」
これと言って空を指を刺す。いや、空のあるべき場所をと言うべきか。
敵が七分で黒が三分、と言ったがアレは嘘だったかな。
「10割敵って感じだし」
「全く、退屈しなさそうだな」
「|一人はみんなのために《One for All》、|みんなは一人のために《All for One》!!」
『|来訪者《ビジター》、それは誤訳だぞ』
「え、そうなの?」
『私の知る限りでは。一人の為ではなく、一つの目的の為と言われている。誰かに頼らなければ生きていけない依存者ではなく、自立した個の集団によってより高みへと到達する。それが本来の意味であるらしい』
「成程……!」
静寂。
頭上には空を覆い尽くすほどの敵。今この瞬間もどこかの空で戦闘機達が降下するVOIDを撃退し、それでも落とし切れなかったVOIDと住民が地上で戦っているだろう。どれほど高性能であっても、この数の全てを落とす事は不可能だ。それが猟兵であっても。
だから今、猟兵達はここに居る。彼らの還る場所を守る為に。
『来るぞ、|来訪者《ビジター》。最初の客だ』
損壊した戦闘機がアイギスに向かって最大戦速で突っ込んで来る。それに群がる様に追う、無数のVOID。
『奴らめ、戻る時にシールドに穴を開ける事を理解しているか』
「だからと言って見捨てはしない!」
超高性能戦闘機群は全て自動操縦だ。全ての機体の仕様が異なる為、それぞれが各自にAIを組み立てて運用している。
AIは一つの命、マキナの一つとされているこの世界では超高性能戦闘機群もまたそれぞれが一つの命であり、たった一つの命を懸けてこの空を守っているのだ。
「グラン=サン! エルゴ=サン! 例の作戦で行く」
「ああ、やってやろうぜ」
『了解』
「チーム・ジンライ、アッセンブルッ!」
◆プレイング締め切りの為通常プレイングのみを先行採用して導入部分を執筆しています。続きはしばらくお待ちください。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
◆プレイングの受付は続行中です。締切なのは通常プレイング期間だけです。ご安心ください。
●漆黒の猟犬
その機体は黒を基調として染められ、上部ブースターに猟犬のエンブレムが刻まれている。
三本爪を生やした球状のエネルギー体”フォース”を後方に装着し、紅色の光束を後方に撃ち続けて後方から追って来るVOIDを減らし続けていた。
だが、それでも。津波の如く押し寄せるVOIDを相手には時間稼ぎ程度にしかならない。
――だが、それでいい。|時間を稼ぐ《・・・・・》事こそが自分の役割だ。
漆黒の猟犬は母港に向かって飛び続ける。前方に回り込む敵はレールガンで仕留めつつ、反撃の粒子弾を躱していく。
燃料も弾薬も無限にある訳では無い。超高性能戦闘機の中には敵からエネルギーを奪うとか、敵の攻撃を自分のエネルギーとして蓄積できる機体も居るが、少なくともこの機体はそうでは無いし継続して戦闘を続けていればどこかしらに不具合は出る。
その整備の為にも母港に戻る必要はあるのだ。
だからと言って母港だけを守り続ける事も出来ない。そもそも攻撃力と機動性に特化された戦闘機群は何かを守るにはどうしても不向きであり、惑星全体に降り注ぐVOIDを放置する選択肢など端から無い。
それこそが今の自分たちに課せられた任務であり、今ここに存在する理由だ。
――それに、自分は100年ほど休んでいたからな。
大破し、衛星軌道上を彷徨うだけのデブリになっている事を休むと言えるのなら、だが。
――踏み込み過ぎた。その自覚はある。
これまでにない規模の攻勢。回収され修復された機体。張り切る理由ならいくらでもある。
――またMIAしても修復は、
前方に回り込む大型VOID。既に衝突不可避位置。
――不可能か。そもそもこの戦闘中のMIAはそのままVOID化だな。
それならば、と自爆コードを入力しかけた瞬間。赤黒い炎の剛剣が前方のVOID体を両断した。
「させないぜッ!」
それはどちらに言った言葉だろうか。退路を塞いだ敵に対してか、活路を諦めた自分に対してか。
――同じ相手に二度も救われるとはな。
彼は、いや、多くの戦闘機は長い活動期間により自然発生的に備わった意識はあってもそれを発する器官は持っていない。
想定していなかったのだ。そんな物が必要になるという事を。
「俺は気にせずそのまま進め!」
つい先日残骸となった自分を回収し、さらに今目の前でもう一度助けられた相手に感謝の言葉も返せないという事がこれほどまでに口惜しい事だとは思わなかったのだ。
だから彼は言葉ではなく行動で示した。溜めた波動エネルギーを解放、指向性誘導電撃へと変換し貫ける限りのVOIDを串刺しにした。
無補給で撃てるのは、今ので最後だ。だが、撃つ価値のある一発だった筈だ。
空野・プゥピィ
●アドリブ連携大歓迎プゥ
ぼいどを倒せばいいプゥね!任せるプゥ!
地上部隊ポルコ・アッズーロ(蒼の豚)のみんな!地上の攻撃は任せたプゥ!
あたいは《こぶたの拡散追尾術》を使ってるプゥ!
こちらプゥピィ!視界良好です!どうぞ!
ホーミングミサイルも12000個も発射すれば十分プゥ!
まず、ぼいどを甲板に乗せないし、乗せちゃったらアッズーロの皆が機銃発射してくれるプゥ。イマドキの地上部隊だからドローンも飛ばせるらしいプゥ。偵察と自爆特攻してくれるプゥね!
ほんとは師団長達も呼びたかったけど……って、甲板に居るあの他より明白に鮮やかな赤色のヒコーキは!
まさか伝説のロッソ師団長プゥ!?地上部隊呼んだ時に一緒についてきちゃったプゥね!!さすがきまぐれな師団長プゥ……!
ロッソ「俺は左だ。左右から畳みかけるぞ」
コピー!旋回プゥー!(一旦右へ回り、そして素早く左へと旋回する)
ロッソ「ていうかお前なぁ……ミサイルの撃ちすぎだ!」
てへ、やり過ぎましたプゥ。
。o(でもロッソ師団長だってミサイル沢山撃ってるプゥよね……?)
叢雲・凪
グラン=サン エルゴ=サンと協力
グラン=サンの肩に乗り【某〇〇兄弟 兄】めいてエントリー!
アイギスにいる職員あるいは人工知能に対してアイサツ
「ドーモ ジンライ・フォックスです」
「特記戦力に協力を依頼した。二人とも【その道のプロ】だよ」(仮面の中でニヤリ顔をしつつ)
奥ゆかしくグラン=サン・エルゴ=サンを紹介しよう。
攻守速に各々長けた今回のスクワッドはこの任務に最適だろう。
さながら僕を含め『三銃士』といったところか!
【一人はみんなのために、みんなは一人のために!!】
伝説のフレンチ・ニンジャが残したレジェンダリーハイクである。
戦闘開始と共に踏み込んで敵を引き付けよう。
陽動はボクの役割だ!。(ダッシュ+残像+軽業)
ある程度敵を攻撃するが本命は違う。グラン=サン エルゴ=サンのいる【キルゾーン】に敵を引きつけたら決断的に『UC:迅雷』を発動!
雑兵の動きを止めて二人が制圧しやすい状況を作り出す!
「イヤッー!」
とどめはグラン=サンのUCだ。
ボクの体内カラテを電気エネルギーに変換しグラン=サンに充填!
●超級覇王翔吼弾を使わざるを得ない
アイギスに向かって漆黒の猟犬が飛ぶ。
「アレ、このままじゃマズいな」
「ええ、確かに」
グランの狙い通りに敵の戦列は真っすぐ伸び切っている。戦闘の味方機を追跡する形で。
あまりに当然の話だが、守る筈の味方を巻き込んでの範囲攻撃では本末転倒だ。
『心配無い、こっちでカバーする』
『だから、いつでも撃てるようにしておくのです』
空中で待機しているエルゴと、夜乃・瞳(ミレナリィドールのスターライダー・f01213)が答えた。
瞳は既に【|天使の棺《エンジェルパック》】で異相次元機動兵器とサイバーコネクトしている。
「よし、じゃあ分断は任せるぜ。俺は全力でぶっ放つ」
『目標、第一ヴェルシールドを通過。第二ヴェルシールドにゲートを開け、第一を閉じる』
「いや、ちょっと待て」
『どうした、|来訪者《ビジター》』
「そのバリアの穴、開けたままには出来ないか?」
『まずはコイツを持って行くのです!』
瞳は第四防壁を通過した漆黒の猟犬の後方に|大型ミサイル《バルムンク》を放つ。先頭の敵が融解したが、数としてはほとんど減っていない。
『そこにコレなのです』
その合間にバリア弾を展開。後続の敵を足止めする。
『いいぞ、引き継ぐ!』
エルゴの駆るイクスフェルが壁で足止めされた敵を両腕にマウントした”W-AR-C/L 40mm複合|電磁加速砲弾《レールチェーンガン》”で牽制する。
「こいつも持って行くプゥ!」
プゥピィとロッソが【こぶたの|拡散追尾術《ザ・ホーミングミサイル》】で20000発のホーミングミサイルを叩き込み爆発させる。
その間に漆黒の猟犬は全速力でドックに突っ込み、敵との距離を大きく放す。巻き込まれない位置まで。
だが、それでも。
「これだけの攻撃を叩き込んでも全然減ってないプゥ……!」
然り。それ程までに数が多い。言うまでも無く瞳もエルゴもプゥピィもロッソも決して少なくは無い数の敵を落としている。
降り注ぐ滝に向かってどれほど大きな桶を掲げようとも、滝その物を止める事は出来ない。この数の暴力は正しく滝と形容する外にない。
「イヤーッ!」
そこにジンライ・フォックスが垂直高速リフト射出めいた勢いでトビケリを放つ!
「手を止めるな! 攻撃を続けろ!」
『是非は無い』
エルゴはイクスフェルの背部にマウントした”W-BM-S/G マルチランチャー”の多弾頭分裂ミサイルを浴びせる。
「俺は左だ。左右から畳みかけるぞ」
「コピー! 旋回プゥー!」
プゥピィは一旦機首を左に向け、素早く右へ切り返す。
「ていうかお前なぁ……ミサイルの撃ちすぎだ!」
「てへ、やり過ぎましたプゥ」
(でもロッソ師団長だってミサイル沢山撃ってるプゥよね……?)
プゥピィが撃ったのは12000発である。
『では私は下からなのです』
三本爪の強化型アンカーフォース改を前方装備し、広範囲を薙ぎ払うレーザー”ターミネイト・γ+”を放つ。
「イヤーッ!」
ジンライ・フォックスは敵を蹴り砕き、その反動で跳躍。稲妻めいた軌道でジグザグに跳ぶ。カラテは射撃武器と比較すれば殲滅効率と言う面ではどうしても劣る。更に、接触自体が既に危険なVOIDと至近距離での交戦をしなければならない。
だが、カラテとは抗う力。VOIDの侵食をカラテにより拒絶するのだ。そして何よりもジンライ・フォックスの狙いは敵の動きを誘導する事にある。
『やはりジンライ・フォックスを優先して追って来るか』
「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」
望み通りとばかりに八艘飛びめいた動きで次々と敵を蹴り砕きながらも予定通りにメインハッチの方へと誘導する。既に漆黒の猟犬は帰還済み。
「条件は揃ったな」
グランは気を高める。体内を螺旋に流れる気の力。それが全身を球のようにつつみ、螺旋のエネルギーが渦巻く。球体からグランの顔が出ているが、どういう構造してるんだろうそれ。
グランの背後には先にイクスフェルが着地してグランを支えている。
「イヤァァーーーッ!!」
ジンライ・フォックスは敵の群れと共に後退して引き付けたまま文字通りの【|迅雷《ジンライ》】と化した。戦場全体の敵に光の速度でジンライ・カラテを叩き込み、爆発四散は出来ずとも短時間の麻痺を与えていく! そのままの勢いでグランの背後に着地!
「イィィィヤァァァァーーーッ!」
高めたカラテをそのままグランへと伝導!
「これだけの数が相手なら超級覇王翔吼弾を使わざるを得ないな。 いくぞ!!」
そして、|巨人《グラン》は全てを蹂躙した。
開けられたままのシールドの穴からは続々とVOIDが入り込んでいる。想定外の対応だが、厄介なシールドの穴が開いたままなのだ。突撃せざるを得ない。
それが罠だと分かっていても。
メインハッチから一直線に伸びた戦列を【超級覇王翔吼弾|《チョウキュウハオウショウコウダン》】が一撃でその大半を蹂躙轢殺した。
『撃ち漏らしはお任せなのです』
瞳のロックオンレーザーが僅かな生き残りも処理。シールド内の敵はきれいさっぱり全滅した。
そう、シールド内に入り込んだ敵は、である。
「それなりに減らしたつもりではあったんだけどな」
一番外側の第一ヴェルシールドの外まで蹂躙したグランは重吾の|悠々荷台《ユニヴァースユナイトキャリア》を足場にして空を睨む。
「全然減ってないな」
空を埋め尽くす敵多数は未だに健在。
「ああ、ここからが本当に踏ん張り所だな」
獄炎の翼を広げたウタが答えた。
『流石に内部への突入は警戒するようになっただろう。以降のハッチ防衛はこっちで引き受ける』
『俺達地上部隊も居るぜー!』
『あたい達空戦組はこのまま外で戦うプゥ!』
『ヴェルシールドの穴はこのまま開けて置いたままの方が都合が良さそうだな』
「コイツは借りたままでいいか? ここからは外で暴れ回った方が良さそうだ」
『好きに使っていいよ』
遠くに、味方機三機が敵に追われている姿が見えた。追跡する敵の数は分散して減ってはいるが総量は大差無い。
戦いは未だ、決着の時を見出せずにいた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
木霊・ウタ
心情
アイギスや戦闘機をオブリビオンにさせやしない
ずっと守ってくれてる恩義もあるしな
絶対に護るぜ
地球を守るために創られ
地球圏を喰らおうとし
オブリビオンとなっても(なったから、なのか
地球を特別な存在って認識してるVOID
ちょいと哀れなカンジだよな
俺たち猟兵が海へ還してやろう
戦闘
迦楼羅を炎翼として顕現
最大速度でアイギスへ
焔摩天を手にVOIDの群れに突っ込む
宇宙に紅の線を描きながら
片っ端から両断焼却
そのまま飛行軌道上のVOIDを撃破しながら
シールドの穴から突入し
メインハッチの前へ
遅くなって悪ィ
高速飛行で紅蓮の槍と化して倒していく他
状況によって
獄炎のバリアで味方を庇ったり
広範囲への炎の剣風で一気に薙ぎ払ったりする
海へ還れっ
当然
味方機とのコンビネーションも
やってみせるぜ
ずっと地球を守り抜いてきた勇者達だ
相当状況判断力が高いはず
互いの穴を埋めるような共闘が出来るぜ、きっと
VOIDの地球降下が止まる
その時まで炎を燃やし続ける
事後
鎮魂曲を奏でる
安らかに、な
皆もお疲れさんっと(ぐっ
夜乃・瞳
作戦に参加した他の猟兵の皆さんと協力して戦うのです
アドリブ歓迎ですよ
私はまず、天使の棺を使って機動兵器を身にまとって戦うのです
初手はとりあえず飛行甲板にとどまりバリア弾をばら撒いてメインハッチへの攻撃を防いでいくのですよ
小型機程度の攻撃ならば相殺できると思うのです
「副砲、弾種変更。バリア弾装填なのです」
敵が増えてきたら私も離陸して積極的に機動戦を行い敵を減らしていくのです
レールキャノンやミサイルさらには追加で使用したコールオプションで召喚したフォースや波動砲も使って全力で戦闘を行うのです
「転送システム開放、フォース多重召喚なのです」
複数のフォースを召喚して状況に応じて付け替えたり、フォースシュートで飛ばして戦うのです
「力場構築、エネルギー充填完了。ベクトル固定、エネルギー開放!拡散波動砲、発射なのです」
波動砲は攻撃範囲を重視して拡散波動砲を使用していくのですよ
●奮闘
少し時間を遡ろう。
「アイギスや戦闘機をオブリビオンにさせやしない。ずっと守ってくれてる恩義もあるしな。絶対に護るぜ!」
先立って漆黒の猟犬の帰還を援護した木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)はシールド外で奮闘していた。
その足が立っているのは|権天使《プリンシパリティーズ》の名を冠する戦闘機の上だ。最低限に留められた紅の装甲に剥き出しのダクト。光学兵器ではない超高熱の火炎を用いる事を目的として開発された機体だ。
現時点でのウタの出し得る最高速度は765km/h。生身でこの速度が出てしまえる辺り猟兵いい加減にしろ案件ではあるが、それでも空間戦闘を前提にした次元戦闘機と比べれば劣る。しかし、次元戦闘機は正面への制圧力こそ高い物の正面以外はあまり高くはない。
なので、猟兵と次元戦闘機が連携を取るならこの形に落ち着くという訳である。
|権天使《プリンシパリティーズ》の放つ業火がVOIDの群れを一直線に焼き払う。反撃の粒子弾を避け、時に前方に装着したフォースで防ぎながら飛ぶ。
「やらせないぜ」
そして側面や背面から迫る敵を機上のウタが振るう焔摩天の切っ先から飛ぶ獄炎斬撃で迎撃。粒子弾も獄炎障壁なら焼却排除可能。ウタの獄炎に耐え切れる機体だからこそ出来る完璧なコンビネーションである。
だが、燃料は使えば減る。小型トカマクに閉じ込めた超高温のプラズマを熱源としているので液体燃料ほど減る訳では無いがやはり無限ではない。
「ああ、そろそろ補給に戻るのか?」
炎使いであるウタは言葉が無くとも直感的にそれを感じ取れる。
「大丈夫だ、彼は俺に任せてくれ」
前方にはこちらに向かって飛ぶ漆黒の猟犬。
「あんたの仲間は俺が助ける」
迦楼羅を炎翼として顕現したウタはそのままの勢いで機上から跳躍した。
速度とは相対的な物である。自力で出せる限界が765km/hなだけであって、それ以上の速度で飛ぶ機体の上にいる状態なら相対的な速度は0だ。そこから更にウタ自身が765km/hを自由に上乗せできるのだ。
まあ、これが大気圏内ならばそうも行かないのだがここは衛星軌道上。遮る物は何もない。
「遅くなって悪ィ」
「気にするな。あの黒いのを先に助けてたんだろう」
「ああ。誰も犠牲になんかさせないぜ」
「だな」
グランは|悠々荷台《ユニヴァースユナイトキャリア》から跳躍。
『やる事は同じ。まずは後続の分断なのです』
瞳とウタは正面から突っ込む。
「で、左右は俺達だ」
「了解プゥ!」
プゥピィとロッソは左右に分かれて散開する。
『初手バルムンクを置きに使うのです』
|大型ミサイル《バルムンク》の爆発は広範囲に及び、耐久力の低い敵ならばまとめて蒸発させる。
『やっぱり、対応されているのです』
だが、先ほど使ったように多くの敵を巻き込んで一網打尽にするとはいかない。一体が特攻し、他は範囲外に逃げて散開する。
「ただ数で攻めてきてるんじゃないな」
跳躍したグランが逃れた敵を踏み砕きながら|悠々荷台《ユニヴァースユナイトキャリア》に着地する。
「ふん」
|巨人《グラン》の拳が空を殴る。その拳圧で数体のVOIDが吹き飛ぶ。
「だが、散開したという事は」
「密度が減る。あたい達の餌食だプゥ!」
22000発のホーミングミサイルが散開したVOID達にピラニアめいて襲い掛かり食い散らす。その間に帰還中だった三機は戦線を離脱。
だが、今度のVOIDはそれを追撃しない。何故ならば。
「今の狙いは俺達か」
広く散開したVOIDが猟兵達に全方位から襲い掛かる!
「好都合だぜ!」
ウタは焔摩天を正眼に構えて炎翼を広げ、後方爆破滑空! 紅蓮の槍めいて触れる側から両断し溶断する。
「ああ、全く好都合だ」
グランは再び跳躍するとVOIDの一体を掴み投げ付ける! 巨人の膂力で投擲されたVOIDを巻き込みながら崩壊してく。
「弾と足場が勝手に寄って来るんだからな」
群がろうとするVOIDを踏み付け、掴んでは投げ付ける縦横無尽の格闘術だ!
『よし、このフォースはお前らにくれてやるのです』
瞳はアンカーフォース改をシュートし、大型的に食らい付かせる。制御用光学チェーンが負荷に耐え切れずに砕け、三本爪のフォースは解き放たれた獰猛な野獣めいて襲い掛かる。
『出し惜しみは無しなのです。おかわりもあるのです』
【コールオプション】で呼び出したテンタクルフォースをシュートし、自動制御で攻撃させる。
『まだまだあるのですよ。転送システム開放、フォース多重召喚なのです』
フレキシブルフォース、ニードルフォース改、ドリルフォース、スタンダードフォース改、サイクロンフォースと次々と呼び出してはシュートしていく。
「俺と空中格闘戦か」
ロッソは巧みな操縦技術で変幻自在の飛行を魅せる。
「頂きプゥ!」
その後ろからプゥピィの機銃が追跡する敵を撃ち落とす。そしてプゥピィが追われれば今度はロッソが撃ち落とす。
空戦組は縦横無尽の奮闘をしていた。だが、彼らに襲い掛かる敵が全てではない。襲い掛からない敵がアイギスの開いたままのバリアの穴に向かっていくのだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
●|防衛線《タワーオブディフェンス》
三機がバリアの穴を抜ける。
「今だね」
|アブホランス・ウィール《忌まわしき運命を轢き潰す糸車》は重力糸を射出する双銃である。糸で出来る事は出来ない道理が無い。
空戦組により追撃を阻まれたVOIDだが、開けっ放しのバリアの穴は当然狙って押し寄せる。梵天丸が一本の糸を引っ張ると、バリアの穴の周囲に張り巡らせていた重力糸の網が張られる。あやとりの要領だ。
「ああ、今だ」
脚部をアイギス外殻にマグネットアンカーで固定したイクスフェルの構えたHV-DRS |超高速高貫徹弾《ペネトレーティング・バレット》が網に絡め捕られたVOID達を一発で打ち砕く。
「一発で十分と、言えればよかったんだが」
大型薬莢をコッキングで輩出し、次弾を装填。梵天丸は更に重力糸を重ねて強度を上げている間にもう一発ぶち込む。豆腐に銃弾を撃ち込めばこう飛び散るだろう、と言う具合に一発の銃弾である事を踏まえれば十分な数をぶち抜いていはいる。
ただ単に、それ以上に。敵の攻勢には終わりが無く全てを倒し切る事などできないと言うだけだ。三度目の|超高速高貫徹弾《ペネトレーティング・バレット》を撃ち込む時には既に網は破られていた。
だが、それだけの時間を稼げた。
帰還した三機の内の一機は甲板に着陸し、星降丸の弾薬と燃料補充を受けている。先に機体自体をスキャンして重度の損傷が無い事は確認済み。いちいちドックの中に入るよりこの方が手っ取り早い。
あまりにも多岐に渡る超高性能戦闘機群の使う燃料は恐ろしく色々ある訳で、ただ補給するだけでも一苦労ではある。やってる事としては補給装置なんだが、|あのゲーム《スパロボ》って一体どうやってあの多彩過ぎる機体群に対応する燃料を1ターンで補充しているのだろう。母艦の格納庫がどう考えても設定以上に広すぎるのも十分謎だが。
話が逸れた。つまり、燃料補充するだけの|一手《1ターン》は稼げたと言う事である。補給を受けた|都市警戒仕様機最終型《ノー・チェイサー》は即座に機首転換。網を抜けたVOIDをロックオンレーザーで駆逐する。
「「「ヒャッハー!!」」」
甲板に展開済みの地上部隊|蒼の豚《ポルコ・アッズーロ》はようやくの出番に奇声めいた叫びを上げながら分隊支援火器を撃ちまくる。言動がモヒカンめいていたがその実態は|専門家《スペシャリスト》と呼ぶに相応しい規律の取れた動き。甲板への着地を許さない弾幕制圧だ。
「「「ヒャッハー!!」」」
それだけでは終わらない。対物ライフルをバカスカ撃ちまくり、空を進むVOIDも次々と叩き落としていく。
なお、どっちも本来は三脚で地面に固定して使う銃器だが|蒼の豚《ポルコ・アッズーロ》はそれを対空用途で使う都合上、三脚抜きで空に向けてぶっ放している。普通、歩兵が対空戦闘するなら携帯地対空誘導弾なのだが一発撃ったらそれっきりのミサイルよりこっちの方が好みらしい。そもそも彼らの使ってる銃には三脚が付いてないし、対空戦闘用に設計されているのだろう。竹やりで落とそうとするよりは大分現実的とは言え大概な代物ではある。
だが、それでも全ては落とせない。
「空中戦か」
ジンライ・フォックスの脳裏にあの日の会話が蘇る。
「空中戦が苦手とな?」
「はい。特に宇宙となるとどうしたらいい物か……」
探索の帰りに凪はアルバス・ゲンドーソーに相談をしていた。
「ほっほっほっ、それは可笑しな話じゃな」
「何故ですか? おじいちゃんは『最下級の物体浮遊術』すら扱えんようだ、と言っていましたが」
「我が友人はそもそも魔術を必要としていなかったのじゃろう。興味はあったようじゃが、それ以上に根本的な問題があった」
「根本的な問題、ですか」
「我が友人はな、受け継がれた黒雷とカラテで物理法則を書き換えるような事が出来てしまっていたのじゃ」
「なんと……!」
凪は改めて先代、祖父のカラテに畏怖を抱いた。
「つまり、右脚が沈む前に左脚を出して走れば空を走る事が可能だと!」
「いや、流石に無理があるじゃろう」
「……ですよね」
その方法で海を走る人も居る訳だが、流石に空中までは走れない……いや、どこぞの海賊団のコックは出来るんだったか?
「ではどうやって?」
「ほっほっほっ、凪よ。稲妻が空を駆けるのは当然の事では無いか。ましてや、お主は落ちる先を自由に決められる稲妻。出来ぬと思っている事の方が不思議よのう」
「空を、駆ける……ッ!」
全身に漆黒の稲妻を巡らせるように走らせ、ジンライ・フォックスは空を蹴って走った!
「イヤーッ!」
【|迅雷《ジンライ》】己の名を賭したユーベルコードは空中すら己の足場として使えるまでに至ったジンライ・フォックスの新境地である。
「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」
戦場全体を縦横無尽に駆け巡る黒き稲妻! 確かに、接地していない分単発のカラテ破壊力には劣るが電撃による麻痺を与えられる。そこに重吾が垂直高速リフト射出され、
「おおっと!」
重力糸を振るい、麻痺したVOIDを一括りに縛る!
「良い誘導だ、凪さん……いや、ジンライ・フォックス!」
既にイクスフェルは狙撃位置!
「マグネットアンカーロック。バレル、電力、照準全て良し」
そしてエルゴは【|高加速貫徹弾《ペネトレーティング・バレット》】の銃爪を引いた!
水風船めいて括られたVOIDは纏めて撃ち抜き粉砕!
だが、それでも。VOIDの数は尽きる事は無い。バリアの穴から増援のVOIDが突入する!
「これがシミュレーションゲームなら稼ぎ所なんだろうけど」
射出された操縦席に重力糸で回収されながら重吾が呟いた。
「どちらかって言うとタワーオブディフェンスなんだよね。全方位を守るより攻められる場所を一か所に絞った方が戦いやすい」
ハッチの内側から漆黒の猟犬が飛び出す! チャージ済みの波動エネルギーを電撃に変換。フルチャージのライトニング波動砲が増援VOIDを貫きながらバリアの穴を突き抜けて行った。燃料補充を終えた|追跡者無し《ノー・チェイサー》も追従して穴から出撃していく。
「時間を稼げば味方も救える。さあ、まだまだ頑張ろう」
●戦闘開始6時間後
『ちょっと休ませてもらうのですよ』
瞳はバリアの穴から戻り、ドックの中へ向かっていく。
『|来訪者《ビジター》、ドックの中に有機生命体用休憩スペースがある。使うといい』
『有機生命体じゃないけど有難く使わせてもらうのですよ』
瞳の【|天使の棺《エンジェルパック》】は思考と直結する絶大な反応速度と火器管制を得られるが、毎秒寿命を削られる程の消耗を引き換えにしている。その状態で6時間も戦闘して平気な筈がない。
「おう、ゆっくり休んでおけ。こっちは持たせる」
グランが甲板に着地。外ので空中戦は他に任せてバリア内の掃討に加わる。
「そらよ」
最も、やる事に変わりはない。跳躍してVOIDを踏み殺しながら投擲。他に何か使える武器でもあればよかったのだが。
『|来訪者《ビジター》、これを使え』
ドック内から射出されたそれをグランが受け取る。
「なんだこりゃ?」
『ただの建材だ』
「|ただの建材《マスブレード》か」
武器と呼ぶにはあまりに大雑把であり、グランの膂力をもってしても扱うには困難ではある。
だが、グランはその大質量を持ったままに跳躍。大上段から思いっきり振り下ろせば当たった相手はもちろん、その衝撃波だけでVOIDを巻き込んで撃破する。
「悪くない」
『使い潰して構わんが投げるなよ。ただの建材とは言え資源だ』
「だったら、投げても帰ってくるようにすればいい」
梵天丸がアブホランスウィールを束ねてワイヤーを作り、|建材《マスブレード》を幾重にも頑丈に縛り付ける。
「これでよし」
「ワイヤーを手放さなきゃ投げても回収できる訳だな」
グランは試しとばかりに|建材《マスブレード》を槍投げの要領で投擲する。何体ものVOIDを串刺しにして打ち抜き、ワイヤーの長さまで飛べばぴたりと空中停止する。
「重さも操れるのか」
「重力糸だからね」
軽くなった建材を引っ張って呼び戻すと再びずっしり来る重量。
「いい武器だ」
今度はワイヤーを短く持って振り回す。連結部が極端に長いヌンチャクかフレイルか、或いはガンダムハンマーだろうか。膂力に任せて振り回すだけで容易に敵を粉砕できるのはいいのだが。
『味方を巻き込むなよ』
「分かってるって」
今度は攻撃半径が大き過ぎて味方を巻き込みそうで怖い。|質量武器《マスブレード》を力任せに振り回しているだけなので。
●戦闘開始12時間後
『十分休んだから再出撃するのですよ』
瞳がドックから出撃する。
『空戦能力は十分か、今の内にこちらも休ませてもらおう』
「ボクはまだ行けます」
「俺も問題無しだ」
『整備と補充は任せておけ、|来訪者《ビジター》』
イクスフェルが入れ替わる様にドック内に帰還。
「グランーサン! もう一度アレを行けるか?」
「聞くまでも無かろうよ」
|建材《マスブレード》を置き、甲板上で螺旋状に気を高める。
「だが、さっき程には巻き込めないな」
「こっちも、麻痺が通り難くなってきたようだ……」
対応されている。敵は数が多いが、一度使った手には対抗措置を取っているようだ。同じ手を使っても目に見えて効果が落ちている。
『それなら違う手を使うまでなのです』
瞳はGAIDENのコードを入力。
『ブラックホールボンバー、なのです!』
局所的超重力場を発生させるブラックホールボンバーを放つ。
「なあ、ソイツの威力で敵が潰れてないか?」
『あー……まあ、耐えた敵も居るから任せるのです』
「どの道、通路を通る後続相手なら超級覇王翔吼弾を使わざるを得ないな。 いくぞ!!」
「イヤーッ!!」
ジンライ・フォックスがジンライ・カラテ注入! 再び放たれた超級覇王翔吼弾がバリアの外までの後続を轢殺!
「残った敵はボクに任せてくれ」
『分かったのです』
瞳はそれを追って外へ。バリア内に残る猟兵はジンライ・フォックスのみ。
「これだけ数が減っていれば十分だ。イヤーッ!」
稲妻の速度で甲板を蹴り、VOID粉砕! 更に空中を蹴り、次のVOIDへとトビケリ!
「イヤーッ!」
VOID粉砕! 更に空中を蹴り、次のVOIDへとトビケリ!
その軌跡は稲妻の如し。麻痺を与える威力の低いカラテではなく一撃で破壊する威力のカラテであれば当然の結果と言える。
「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」
●戦闘開始18時間
「そっちに追い込んだプゥ!」
『任せるのです。力場構築、エネルギー充填完了』
瞳は波動エネルギーを一転収束させていく。
『ベクトル固定、エネルギー開放! 拡散波動砲、発射なのです』
収束した波動エネルギーに指向性を与えつつ空中で拡散。再収束するように曲線を描いた後に交差しながら広範囲を殲滅していく。
「仔豚、そろそろ休んでおけ」
「まだ、まだ行けるプゥ!」
「そうかい」
プゥピィの背後に付いた敵をロッソが機銃で撃ち落とす。
「本当にそうだったら後ろを取られるな」
「ご、ごめんなさいプゥ……」
「どの道、一度補給に戻る必要はある。機銃もミサイルも燃料も無い。そのまま休め」
「でも、まだ敵は一杯だプゥ!」
「だからだ。お前が休まないと俺が休めないしな」
「……分かったプゥ」
プゥピィとロッソは補給の為にバリア内へと帰還する。
入れ違うように出撃してきたのは白と黒の機体。
「そのデザイン、俺の相方って訳か」
獄炎翼を操り、黒い機体の背に乗るウタ。|熾天使《セラフィム》と|堕天使《ルシファー》の名を与えられた二機はどちらも小型トカマクを内蔵した火炎武装機体の末裔に位置する存在。
「凄い熱量だ。俺じゃなかったら黒焦げだな」
排熱能力の限界を超える為に開発されたこの二機。その熱量で近付くだけでも十二分に危険な代物なのだが。炎使いってどこまでの熱量に耐えられるのだろうか。
「構わない、最大出力でぶっ放せ」
本当に大丈夫? という若干の困惑は見せつつそう言うのならば、と言う感じに二機の翼が光り輝く。
天使の名を冠しているのは伊達ではない。機体の排熱能力の限界を超える為に開発されたこの放熱板は限界まで熱を蓄積した後に分離して放棄する事で熱その物を空中に投棄すると言う荒業に至った。
放たれる白の灼熱と黒の業炎。核融合炉、人工太陽とまで言われる熱をそのままに吹き付ける双極の灼熱波動砲はVOID体を易々と蒸発させる。
「流石に、ここまでの温度は俺でも作れないな」
と、言うよりまだ衛星軌道上で運用しているから何とかなっているだけでこの温度を地上でぶっ放したら大変な事になる。明らかに生身の人間がどうにかするような温度では無いのだ、本来は。
ウタは焔摩天を正面に構える。
「作れなくても、使う事なら!」
解き放たれた灼熱をその切っ先に収束させ、巨大な業火の剣……と、言うより長すぎて鞭と呼ぶべきだろうか?
「いっけぇぇぇーーッ!」
それを横薙ぎに振う。それは大きくしなりながら軌道上のVOID体を焼却していく。
双極の天使が放熱ユニットをパージして投棄する。それは抜け落ちた天使の羽のようだった。
●戦闘開始24時間後
「そろそろ休めよ、ジンライ・フォックス」
「いいや、まだだ。それよりもグラン=サンの方こそ休んだ方がいいのでは?」
「はっ、俺がか? まだまだ踏ん張れるぜ」
「ボクもそう言う修業はしている」
「だったら、もう少し頑張るか」
「……そうだな」
バリアの先、黒く染まった空を見る。アレが全て敵。相当数倒しているのに減っている様子はない。
「なあ、俺達が戦ってるのは召喚系ユーベルコードだよな」
「だろうな」
ユーベルコードによって召喚された敵。しかも、ユーベルコードで複製しているのは恐らく自分自身。数が減らない訳だ。
「本体を叩きに行けないのが歯痒い所だ」
相手の|技量《レベル》がどれほどかは分からないが、延々と増えた敵だけを倒し続けるしかないと言う状況はどうしても消耗だけが募る。それでも本体を叩きに行かないのは単純に、この広い宇宙のどこに本体が居るのか分からないからだ。太陽系内のどこかに居るとは言え、砂漠で砂粒を探すよりなお難しい。
「「「ヒャッハー!!」」」
地上部隊|蒼の豚《ポルコ・アッズーロ》は三交代でシフトを組んで休憩を取りながら戦っている。
「|銃弾《たま》寄こせ! 使ってやるぞ!」
「はいはい」
弾薬は星降丸から供給されている。戦闘機の補給物資よりかは調達が楽だ。
●戦闘開始32時間後
『それは通さないぞ』
イクスフェルのW-AR-C/Lの40mm複合電磁加速砲弾がVOIDを駆逐する。ミサイルは温存だ。
『敵の攻勢に変化が無くなってきたな』
「ああ」
獄炎翼を広げて拠点まで戻ってきたウタが同意した。
「撃てる手が尽きた、だったらいいけど」
『全くそうは思えないが』
文字通りの意味で底知れない相手。一瞬の油断も出来ない。だが、これほどまでに長時間戦闘を続けていれば猟兵とて疲弊はするのだ。食事はとっているが、睡眠はまともに取れていない。
『不味いのです』
それは、最前線にいた瞳からの報告。
『フォース付き戦闘機が出てきたのです』
次元戦闘機にとって矛であり盾でもあるフォース。味方の次元戦闘機は当たり前に装備していたが、それを装備した敵という事は。
『敵性次元戦闘機なのです』
これまでの敵とは質が違う、という事だ。
「このタイミングで新戦力だって」
気力を振り絞って獄炎を広げる。
「やらせは、しない……ぜッ!」
『温存しておいてよかった』
エルゴはW-BM-S/Gの多弾頭分裂ミサイルを全弾発射。だが、
『避けられた!? 機動性が違うぞ』
大量のミサイルをひらりと躱す敵性戦闘機。道を開けろとばかりに放たれる邪悪なる波動砲。
「これは、流石に!」
獄炎で焼き切れない。回避と防御を強いられる。
『空域を突破される! 任せたぞ、地上組!』
チェーンガンを叩き込もうとするもエルゴも回避で手一杯だ。
「やられたな」
グランが跳躍しながら|建築資材《マスブレード》を振りかぶる。
「今までの敵はこっちを消耗させるだけの雑兵。こっちが本命の突破戦力って訳だ」
「だとしてもッ!」
振り絞るカラテは精彩に欠けている。
「イヤーッ!」
それでも、蹴り砕く。確かに機動性は上がっている。だが耐久力は低い。
「当てられれば落とせるだろ」
|建築資材《マスブレード》を振り回し、一機でも多く落とそうとする。
「ドックファイトで後れを取る訳にはいかんな」
ロッソは側面に回って機銃掃射。
「ヒコーキ同士の戦いなら、負けられないプゥ!」
プゥピィも逆側面からミサイルを浴びせる。
もはや誰もがなりふり構わぬ必死の猛攻だ。だがそれは、既に余裕が無くこれ以上の手が打てない証左でもあった。
「くそっ、突破される!」
その猛攻を掻い潜った数機が戦線を突破。ドックに向かって恐るべき速度で飛行する。
「必ず通る場所ならば」
梵天丸が糸を引く!
「そこに罠は仕掛けておくでしょ」
重力糸が、ドックの入り口に張り巡らされる!
『後は任せろ』
ドック内で待機していた次元戦闘機がレーザーをその一点に集中させる。集光重力レンズ効果で敵性次元戦闘機は爆発四散!
「なんとか、乗り切ったか」
「今のは流石に、抜かれたかと」
『残念ながら』
瞳が最前線から報告してきた。
『また敵性次元戦闘機が来たのですよ……!』
数は今までの敵程ではない。だが、機動性が別次元だ。それに、今までの敵も来なくなった訳じゃない。
「……やれるのか」
「やるしか、無い……!」
エルゴ・ルスツァイア
アドリブ歓迎
イクスフェルに搭乗
グランさん、凪さんと協力。
宇宙要塞防衛戦。何とも心躍るじゃないか。
0G戦闘システム、正常に起動。念の為とは言え組んでおいて正解だな。
さて、一仕事と行こうか!
基礎設計は陸戦兵器のイクスフェルだが、脚部にスラスターは存在する。重力下での飛行は不得意だが、0G圏なら機動するのに十二分。
減速の無い0G圏において、実体弾兵装の射程は長大だ。
機動し、互いの位置に気を付けつつ、スナイパーか砲兵の如く貫通力の高いW-AR-C/Lの40mm複合電磁加速砲弾の掃射やW-BM-S/Gの分裂ミサイルで遠距離から数を減らそう。
良い陽動だ、凪さん…いや、ジンライ・フォックス!
バレル、電力、照準全て良し。
弾薬とて無限とはいかない。その動きが止まった瞬間、脚部をアイギス外殻にマグネットアンカーでロック。
本命のUC:高加速貫徹弾を叩き込み、最高効率で纏めて撃ち抜く。
●戦闘開始48時間後
「まだ行けるかよ、ジンライ・フォックス!」
「当然、まだまだボクのカラテは尽きてはいない!」
まともな睡眠も取れずに戦い続けて48時間。燃料弾薬の補充だけで戦えるマキナなら無理では無い時間だが、生身の猟兵には十分堪える。
『次元戦闘機同士の戦いなら』
側面に回り込みスタンダート波動砲で撃ち落とす瞳。使うユーベルコードの都合上最も長く休憩時間を取っている彼女だが、単独で次元戦闘機並みかそれ以上の機動力を持ち敵に対する情報も十分持っている彼女は動ける時間なら誰よりも堕としている。
「残滓ヒコーキだって負けちゃいないプゥ!」
次元戦闘機は慣性を無視したような超機動力で翻弄してくるが、逆を言えば慣性の力を扱えていない。その点、残滓ヒキーキはドックファイトのプロフェッショナルであり慣性の力を操る|航空機動《マニューバ》で翻弄する。
『キャバリアも甘く見ないで貰いたいな』
エルゴの駆るイクスフェルはそれらに比べて機動力はどうしても劣る。だが、小型機の粒子弾程度なら物ともしな装甲を持ち、射撃精度は別次元。
「やらせないって言ってるだろ!」
獄炎翼を広げて焔摩天を振り回すウタ。小型と言っても最低でも乗用車サイズのVOIDを相手に一太刀で両断する焔摩天は対応力に優れる。
「少し休んでおいた方がいいんじゃないか?」
「バカ言えよ、もうそろそろ時間だろ?」
「確かに、少し位は休んでおいた方が良かったかもしれなかったけどな」
|建築資材《マスブレード》を二つ重力糸で繋いでヌンチャクの様に振り回すグランと小回りの利くジンライ・フォックス。グランが大雑把に敵戦力を削り、打ち漏らしをジンライ・フォックスが対処する。
「ああ、レイリスさんが言ってた阻止限界時間まではもうちょっとだね」
そして彼らを後方支援する重吾。敵の構成変化に対しても柔軟に対応し戦闘中の猟兵に糧食をお届けするのも重吾の大事な役割だ。しっかり食べないとこれだけの長期戦には対応できない。
猟兵達は戦い続けた。そして、その時は訪れた。
「なんだ、敵が引いていくぞ?」
「諦めたプゥ?」
「だったら良かったんだけどね」
宇宙が動く。黒一色に染められた宇宙の一部が円形状に開き、その中心に紅い凶星が輝く。
「大口径長射程ビームでアイギスとワタシ達ごと撃ち抜く気か」
その光はただの星ではありえない。
「ヴェルシールドは持ちこたえられるのか?」
『不可能だな。アイギスごと蒸発して地球まで着弾する。自然環境も一万年前まで逆戻りだろう』
「成程な。俺達に対処する手段は無い」
それはそうだろう。そんな物を準備していると私が言っていないからな。
「さあ、反撃の手筈とやらを見せてもらおう。レイリス=サン!」
そう、私はずっとこの瞬間を待っていた。
たとえ相手が衛星サイズの巨大構造物でも、あくまでも太陽系の範囲内に居るとしても。この広大な宇宙の中からそれを探すのは不可能に近く、宇宙にはVOIDが大量に存在していてろくに哨戒機も飛ばせない現状では完全に不可能だ。しかも、相手はご丁寧にも亜空間に潜み続けていた。
だから、この時を待った。
「私はずっと、待っていたんだ」
発射するタイミング、角度。その時のアイギスの位置。観測するエネルギー量。
猟兵が見た情報ならばグリモアを通して私に伝わって来る。まあ、そのお陰で私も不眠不休な訳だが。
「撃つ瞬間は通常空間に復帰するしかないよなぁ……座標さえ判れば、後は十分だ」
ゲートを開く。この瞬間の為に待機させていた決戦兵器の目の前に。
決戦兵器。高性能戦闘機群の中でも特に秀でた攻撃力を持つが、機動性は劣るその機体もまたこの瞬間を待ち焦がれていた。
元から超高性能戦闘機はただの一機で戦局を覆す存在として開発されている。それが集まっているとなるとそれぞれに役割分担も産まれてくる。この機体は取り分け限定的な場面でしか活躍の場が得られない機体であるが故にここまで出撃せずに待機し続けていた。
|紅の鉄塊《ケンロクエン》。そのエスコート役として同じく待機していた|戦場の指揮者《コンサートマスター》。その二機が開かれたゲートを通り抜ける。
ゲートを抜けると同時に|ビーム長時間照射機能搭載型最終機《コンサートマスター》の持続式圧縮波動砲Ⅲが直線状の敵を排除する。そのビームに添うようにしてフルブーストで突き進む紅の鉄塊。目指す敵は衛星サイズで一撃で破壊する事は不可能だが、今まさに発射しようとしている砲身一つを撃ち抜くには十分。まあ、その砲身一つも宇宙戦艦サイズではあるのだが。
だが|紅い楔《ケンロクエン》は迷わず|鉄杭《パイルバンカー》を解き放った。その射出速度は凄まじく突き抜ける物体との接触でプラズマ発電を起こす程だ。どう見ても機体の全長の4倍以上まで伸びている|鉄杭《パイルバンカー》は果たして、その役目を完遂した。
ただの一撃で敵旗艦の主砲を貫通。膨大なエネルギーが乱反射し、爆発して崩壊した。
『待たせたな諸君。これより今作戦の最終プロセス、作戦名サード・ライトニングのブリーフィングを行う。一度グリモアベースに帰還してくれ』
私はアイギスの甲板上にゲートを展開して伝えた。
「ようやく敵の親玉を叩けるって訳だな」
『だが、このアイギスの守りはどうする? 砲撃に失敗したからまた敵が来るぞ』
『問題無い。代打を用意しておいた』
私はもう一つのゲート、いや、いくつかのゲートを同時に開いた。
「君達は……!」
「ほっほっほっ、ご苦労じゃったな凪……いや、ジンライ・フォックス先生」
「アルバス・ゲンドーソー=センセイ!」
「おれ達も居るが」
「義を見てせざるは腰抜け、です!」
「おいおいおい、なんで俺まで引っ張り出されるんだよ」
「ピザでも焼いてろ」
「マスダラくん! コトホギさんに、タキくん。それにチバくんまで!」
「私も居るぞ」
「命知らず共、遠足は順調か?」
「ルーデル先生にミシガン先生まで来たのか。これは心強いな」
「「「「おれ達も来たぞー!!」」」」
「ゴブリン集落の皆! ……いや、来て大丈夫かこんな所」
「大丈夫大丈夫、戦闘自体は護衛組でやるから賑やかし程度にね」
「それ、ほぼ遊びに来てるって言ってるような物じゃないか」
「まー、私達もそんなには変わらないかなぁ」
「あら、キッチンだって立派な戦場よ」
「ハクメとミチコまで来たのか。久しぶりだな」
「おうよ、来てやったぜ」
「それで、現場はどこだ」
「親方、木工じゃない大工はあんまりできる事は無いんじゃないか?」
「生活スペースはあるんだろう。もう少しマシにしておいてやる。本当なら寝不足で戦場に出るなって言いたい所だが」
「イクサはこっちに任せてくれてもよかったのに」
『っていうかアレキャバリアランカー、ミシガンのライガーテイルと最近急上昇してるルーデルのサンダーボルトネクストじゃん!』
他のマキナタ住民までぞろぞろとやって来る。お前ら、観光じゃないんだぞ。
『あー、キャバリアランク戦したいなぁ!』
『終わったらやろうぜ!』
「はーここがあの機械神殿とはねぇ」
「こんな所来れるの今だけっしょ! 一杯楽しまないと!」
更にキャバリオン自治集落とウォール・アクア組まで合流。
「いや、ちょっと待った。ここってデモンズコード使えないんだよな?」
そう、ここは空中に存在するナノマシンが無いのでデモンズコードは発動しない。デモンズコードならば。
「え? いや普通に使えるし?」
「別にいつも通りよね」
そう、彼らが使っているのはユーベルコード。
「これが”感染”した結果、って事か」
この場に居る者は全て一度は猟兵と共闘した経験がある。その時にデモンズコードからユーベルコードへと変化したのだろう。本人達にその自覚は無いが。
「ともかく、ここは私達に任せておけ。君達はやる事があるのだろう?」
「ああ、ここは任せたぜ!」
『|来訪者《ビジター》、|幸運を祈る《グットラック》』
そして、猟兵達は一度私のグリモアベースへと帰還した。この戦いを終らせる為に。
大成功
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