5
Dragon Dread

#ケルベロスディバイド #キマイラフューチャー #原罪蛇メデューサ #ドラゴンテイマー

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#ケルベロスディバイド
🔒
#キマイラフューチャー
🔒
#原罪蛇メデューサ
🔒
#ドラゴンテイマー


0




 ケルベロスディバイド、とある決戦都市。
 この都市にはデウスエクスの襲撃も久しく訪れず、住まう人々は長く平穏なる日々を享受していた。
 日常的にデウスエクスとの戦いを繰り広げているこの世界にあっては、奇跡的とすら言えることである。

 しかし、デウスエクスの存在を知るが故に、人々は僅かながら心中に不安を抱く。
 即ち、この平和がいつか壊れてしまうのではないか、と。
 都市の何処かで、誰かが、何の気も無くそう呟いた、ある日。

 ──その不安は、最悪の形で現実のものとなる。

『賛成86、反対12、棄権2。我等ダイウルゴス文明は、当該世界──ケルベロスディバイドへの攻撃を開始する』
 天に現れたるは、黒鉄の如き肉体を持つ巨竜の姿。
 その威容、何より『竜』たるその姿は、人々を『おそれ』させるに余りにも充分過ぎる代物で。

 禍禍禍 禍禍禍 禍禍禍禍禍禍禍──!!

 其を求める剣神の嗤う声が、空に響いた気がした。



「皆さん、ケルベロスディバイドがえらいコトになってます!」
 猟兵達へ呼びかけるグリモア猟兵、叢雲・紗綾(嘲り詰る兇弾・f40836)の表情には緊張の色が濃い。
「幾つもの決戦都市に、馬鹿みたいにでかいドラゴン――『ダイウルゴス』が現れて襲撃をかけてるんです!」
 その名を聞いた猟兵達の中には、驚愕を覚える者もいるだろうか。かつてアックス&ウィザーズの群竜大陸にて、帝竜の一体として現れた黒鉄のドラゴン。帝竜戦役において滅ぼしたと思われたかの竜が、まさかケルベロスディバイドに現れようとは。
「どうやら|十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》の一柱『原罪蛇メデューサ』が『ドラゴンテイマー』とかいう奴の支配下に入ったのが原因みたいなんです」
 其はかつてキマイラフューチャーの戦において現れたる正体不明のオブリビオンであり、どうやらダイウルゴスの指揮者と思しき存在。であればダイウルゴスが現れたことも得心がいくが、仮にも|十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》の一柱が異世界の存在の支配を受け入れるとは如何なることか。
「どうもあのクソヘビ女、『おそれ』が得られて人間が喰えるなら後はどうでもいい、とかいうふざけた思考回路してやがるみたいで。それであっさり支配を受け入れやがったんです」
 毒づく紗綾だが、己の至上目的の為なら恥も外聞もなくあらゆる手段を取り得る、というその在り方は充分に脅威たり得る。
「そのせいで、ドラゴンテイマーは簡単にダイウルゴスを地球に送り込めますし、メデューサも手っ取り早く『おそれ』を稼げるとかいうウィンウィン状態です。全くクソッタレです」
 元々メデューサは『おそれ』を介して配下を地球に転送する力を持つ。それがドラゴンテイマーの助力を受けた結果、日常のちょっとした恐怖や不安から生ずる些細な『おそれ』からですらダイウルゴスほどの強力な存在を転送できる程にまで転送効率が強化されたのだという。しかも。
「ケルベロスディバイドでドラゴンといったら、最強クラスのデウスエクス種族として地球の人達には知られてます。あんな馬鹿でかいドラゴンが暴れ回るのを目の当たりにしたら、そりゃあみんな盛大にビビって『おそれ』を抱いちまうでしょう」
 それは間違いなく、かの原罪蛇が強大な力を振るう糧となってしまうだろう。叶う限り迅速に殲滅せねばならない。

 然し、どんなに迅速に殲滅できてもメドゥーサの顕現は止められないと紗綾は言う。
「やっぱダイウルゴスの存在が稼ぐ『おそれ』は相当なモノみたいで、以前にメデューサの顕現を止めてもらった時よりも強くなって出て来る可能性が高いんです……ただ」
 それでも付け入る隙はあると紗綾。何かといえば。
「あのヘビ女、脳味噌までドラゴンテイマーに明け渡しちまったんで理性が無くなってるんです。残ってるのは、人間を喰いたいっていう食欲だけです」
 故に組し易くはなっているやもしれないが、力自体は高まっているのと、兎に角手当たり次第に人間を喰い散らしにいくだろうことには注意すべきだろう。油断なく当たって欲しいと紗綾は言う。

「メデューサを倒したら、多分ドラゴンテイマーと交戦するチャンスも得られるでしょうけど……」
 そこまで語って、紗綾は不意に黙り込む。何か問題があるのか、と猟兵の一人が促せば。
「いえ。あの髭オヤジ、見た感じ正々堂々真っ向勝負とか絶対しないクチっぽい気がするので、戦うとなったら策のひとつくらい弄してくるかもしれません」
 かつてと異なり、今ならば此方がユーベルコードで先手を取ることも可能ではあろうが。何を仕掛けてきても対応できるよう、心積もりはしておいた方が良いかもしれない。

「ともあれ、あんな烏合の衆と根暗親父にこの世界で好き勝手はさせられねーですので!」
 己もケルベロスディバイドで生まれ育ちデウスエクスと戦ってきた身として。怒りを以て紗綾は訴える。かの敵達を確と殲滅して欲しい、と。
「それでは転送始めます! 皆さんよろしくお願いしますね!」
 結ぶと共にグリモアを展開すれば。開いた門の先は、黒鉄のドラゴン舞い降りたる決戦都市。


五条新一郎
 唐突のボスラッシュ。
 五条です。

 此度のシナリオの舞台はケルベロスディバイド。
 長らく動向の不明だったあの敵が久々に動き出しました。
 彼によって顕現せし黒鉄の帝竜と、理性捨てたる原罪蛇を打ち倒し、かの敵へ迫ると致しましょう。

●目的
 決戦都市を襲撃する敵達の殲滅。

●戦場
 ケルベロスディバイドのとある決戦都市。
 規模大き目の都市にありそうな施設は一通り存在します。

●第一章
『ダイウルゴス』との「ボス戦」です。
 可能な限り迅速な殲滅が求められます。

●第二章
 |十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》『原罪蛇メデューサ』との「ボス戦」です。
 メデューサは理性を失っており、只管に人間を喰いたいとの欲求のままに行動します。

●第三章
『ドラゴンテイマー』との「ボス戦」です。
 詳細は第三章移行後の断章にて記述します。

●プレイングについて
 第一章はOP公開直後から、第二章以降は章移行後に断章を投稿しますのでそれ以降からプレイングを受け付けます。
 第二章までは|決戦配備《ポジション》の要請が可能です。

 それでは、皆様の八空貫くプレイングお待ちしております。
199




第1章 ボス戦 『ダイウルゴス』

POW   :    ダイウルゴス会議
自身の【体内の無数のダイウルゴスによる合議制】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    ダイウルゴス文明軍
レベル×1体の、【眼球】に1と刻印された戦闘用【小型ダイウルゴス】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    文明侵略衝撃波『フロンティア・ライン』
【四肢のどれか】から【見えざる文明侵略衝撃波】を放ち、【ダイウルゴスの一部になりたいと望ませる事】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:棘ナツ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
確かに、大変な状況では有りますねぇ。

まずは『メディック』を要請、交戦域からの避難誘導をお願いしまして。
『FAS』による飛行から『FLS』で|全『祭器』《未装備含》召喚、『FPS』の探査で竜さんの行動を調べるとともに【逍錄】を発動しますねぇ。
【会議】による「不利な行動」で「避けない」等を選ばれたら『空白』付与で【UC】や能力等を『白紙』に出来ますし、「不利な行動」がなければ結果的に【会議】の強化を防げますぅ。
他の「行動」を選ばれても「『祭器』超強化」と「『空白』付与」は得られますので、調べた「行動」に合わせ『|転移《FIS》』等で回避しつつ、各『祭器』を撃ち込みましょう。



 決戦都市の空を覆わんばかりの巨大な影。鋼鉄の如き肉体を持つドラゴンが、街を、其処に在る人々を睥睨していた。
「な、なんて大きいドラゴンなの……!?」
「あんなでかい奴、見たことないぞ……!」
 デウスエクスの襲撃には慣れたケルベロスディバイドの人々にとっても、かの巨大なる威容、何より『ドラゴン』という存在の形はそれ自体が恐るべき代物。其は多大なる『おそれ』を喚起して――
「皆さん! 此処は危険です! 早く避難を!」
 其処へ響く声。市民達がはっとして声の方を見れば、其処には避難を呼びかける特務機関DIVIDEの隊員達。
「既に敵を迎え撃つ為、ケルベロス達が出動しています、心配は要りません!」
 続く隊員のその言葉を裏付けるが如く。彼の背後からその頭上を飛び越え、遥か上空の竜を目掛けて飛翔する影を、市民達は目撃する。その様は、まさに天使――或いは天女の如く。

「これは大変な状況ですねぇ……」
 オーラの翼を背より広げ飛翔する、その影の主こそは夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。此度の襲撃事件に対処するべく出撃した猟兵の一人だ。
 地上の市民達の避難は|決戦配備《ポジション》メディックを以てDIVIDEに任せ、ダイウルゴスの迎撃へと打って出た彼女だが。成程、かつてアックス&ウィザーズの群竜大陸で相まみえたものと全く変わらぬ威容である。
「ですが、やってみるとしましょう」
 なれど、るこるもかつてより大幅にその力を高めているのだ。対抗は十二分に可能と言える。其を証立てるが如く、その種類も数も大幅に増えた祭器群を展開。上空の鋼竜へと向かってゆく。
『第六の猟兵、襲来を確認。ダイウルゴス文明円卓会議、対抗策の審議を開始する』
 るこるの姿を認めたダイウルゴスは、事務的とも思える声音をその顎より発する。ダイウルゴスという竜の特性、体内に在る無数のダイウルゴスによる合議を以ての行動決定。さながら、るこるという脅威への対策会議と言えようか。
「成程ぉ、かなり奥の方で会議を行っているようですねぇ」
 その会議がダイウルゴスの体内奥深くで行われている事実が、展開した探査祭器を介してるこるに伝わる。これでは流石に、会議そのものの阻止は叶わない。だが、対抗策はある。その結果への対処自体は可能であるが故に。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『空白の加護』をお与えくださいませ――」
 両手を合わせ、奉ずる女神に祈りを捧げる。展開されたる祭器が乳白色の輝きを発し、その全てがより大いなる力の気配を纏う。
「それでは、いきますよぉ!」
 その上で、攻撃の意志を確かとすれば。思念に応えた祭器群が、一斉に攻撃を開始。熱線や炸裂弾、魔力矢に光線等が、ダイウルゴスの鋼の如き体躯に突き刺さり、爆裂する。
 その威力は、通常の祭器による攻撃より格段に向上している。分厚い装甲じみたダイウルゴスの肉体に、罅や穴が次々と穿たれてゆく。
『賛成81、反対15、棄権4。猟兵に対し、小ダイウルゴス群による包囲攻撃を実行する。続いての議題へ移る』
 やがて審議が終わったらしく、ダイウルゴスの肉体各所から、彼をそのまま小型化したような竜の群れが現れ、るこるへ向けて襲い掛かる。だが。
『――緊急報告。ダイウルゴス会議による各部機能の向上が認められない。猟兵による何らかの干渉が疑われる』
 その口から発せられる、想定外の事態。即ち、会議に要した時間による能力向上――会議の結論が出るまで十分に動けぬリスクを代償とするユーベルコードが発動していない、と。
「その力、封じさせてもらいましたぁ」
 どうやら己のユーベルコードが効果を発揮しているらしい。安堵しつつ頷くるこる。先に発動せしめた|加護《ユーベルコード》により、祭器には敵のユーベルコードを一時的に存在しないものとする力が宿っている。これを以て、敵の強化を妨害したのである。
『敵猟兵の攻撃には此方の能力の阻害効果があると判断。この点を考慮の上、対抗策を検討する』
 ダイウルゴスの側もその性質に思い至ったらしい。其への対策を話し合うに並行し、小竜群がるこるを退けんと迫りゆく。
「なんのぉ!」
 ならば対抗策を編み出すまでに攻撃を重ねるまでだ。小竜群の攻撃を空間転移で凌ぎつつ、祭器群から立て続けに砲撃を繰り出し、鋼鉄の巨躯を削り、穿ってゆく。

成功 🔵​🔵​🔴​

御形・菘
はっはっは、もし何かの間違いで再会できたとしても戦争でだろうと思っておったが、ここでか! 実に嬉しいぞ!
さあ妾の撮れ高に協力してもらおうか!

右手を上げ、指を鳴らし、スピーカー、カモン!
ノリノリの爆音BGM(視聴者公募)を流しつつバトるとしようか!
妾がノるのも大切だが実の所は衝撃波対策だ、逆位相の音波で相殺するためにな
普段ならインテリな戦法はそう採らんが、強敵連戦を考えると色々とな?

はーっはっはっは! それでもまだ状況は五分と五分か!
ならば…後は楽しい殴り合いであろう? お主の巨体ならどこでもブッ飛ばし放題!
妾の左腕の一撃に精々耐えて見せるがよい!
決戦都市からは砲撃でガンガン攻撃力支援を貰うぞ!


御魂・神治
あのオッサン生きとったんかワレェ!
又聞きやけど、「倒せるかもしれへん」とか「議長が欠席」っつう時点でせやろなーって思てたけど!

天将がデカブツの事『|尊厳破壊《カリスマブレイク》されて下僕になった哀れな竜』って言うてるけど、何処情報やそれ

は?何?俺んち来ない?文明の一部になれやて?
【破魔】の【カウンターハック】で効果激増させた『大国』の結界でお断りしますや
してその波動の洗脳力を逆転させて「君消す」くらいの拒否感に変換した分、【エネルギー充填】させた天誅の【エネルギー弾】の【ヘッドショット】でドタマぶち抜いたるわ


ファルコ・アロー
てめーこのドラゴンやろー!
でけぇ図体で暴れやがって、だいめーわくなんですよ!
ボクの知らねーどっかの世界の大ボスかなんからしいですけど、今更お呼びじゃねーです!ぶっ飛ばしてやるですよ!

とゆー事でチェンジ・ファルコン!
少しでも大きさの差を埋めて空中戦で勝負です!
あのやろーはどうも脳内会議かなんかしてるみたいですから、その間にできるだけダメージ与えておくです。
とにかく速く、ぶつかっては逃げのヒットアンドアウェイで会議を纏める時間なんてやんねーですからね!
倒し切れなかったら一旦距離を取って、ビームで攻撃です。
時代遅れドラゴンとは言え強いは強いですからね、油断せず行くですよ!



 猟兵達がかつてドラゴンテイマーと遭遇したのは5年前のキマイラフューチャー、バトルオブフラワーズでのこと。かつては圧倒的なその実力に加え、グリモア猟兵からの情報でも滅ぼせるか否か未知数の存在とあり、多くの猟兵が因縁を感じたものであった。
 その一年後、アックス&ウィザーズ群竜大陸にて帝竜の一角となっていたダイウルゴスと交戦。彼らがドラゴンテイマーの配下たる存在であることは、その時に彼ら自身が発言していたが。
「やっぱりあのオッサン生きとったんかワレェ!」
 何処か納得げでありつつも、唸らずにはおれぬらしい御魂・神治(|除霊師《ドケチ宮司(仮)》・f28925)。彼自身は帝竜戦役の後に猟兵となった身なので、ドラゴンテイマーもダイウルゴスも直接見えた経験は無いものの、当時のことは別の猟兵から聞ける範囲で知っている。
「『倒せるかもしれへん』とか『議長が欠席』っつう時点でせやろなーって思てたけど!」
「はっはっは! 見事に再戦フラグが立っておったという訳だな!」
 そうして聞いた情報から、生存の予感はしていた――神治の口にしたその情報を、御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は高らかな笑いと共に一言で評した。恐らく、当時を知る殆どの猟兵達が思っていただろう――ドラゴンテイマーは滅びていない、と。
「然し何かの間違いで再会できたとしても戦争でだろうと思っておったが――此処でとはな!」
 然し、まさか遠くケルベロスディバイドの、然も、平時の任務として再戦の機会が訪れようとは。菘も予想だにしていなかった様子だ。
「だが、実に嬉しいぞ!」
「喜んでる場合じゃねーですよ!」
 再戦への意欲をそう評する菘だが、其処に突っ込みが入る。憤慨した様子のファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)だ。
「あのドラゴンやろー、あんなでけぇ図体で暴れやがって!」
 既に決戦都市の建物は幾つかが崩れ壊れ、被害が生じ始めている。其を齎す上空の鋼鉄巨竜を見上げ、口汚く罵ってみせるファルコ。我が物顔で上空に君臨するかの竜への憤りを露とする。
「ボクの知らねーどっかの世界の大ボスか何からしいですけど、今更お呼びじゃねーです!」
『然し今や|尊厳破壊《カリスマブレイク》されて下僕になった哀れな竜です』
 吼えるファルコに、何やら神治の傍らから発された声が補足情報めいて告げる。彼の相棒たる|人工式神《AI》『天将』のものだ。
「え、マジですか?」
「何処情報やそれ」
 天将から唐突に齎されたその情報或いは見解、ファルコも神治も驚き混じりに詳細を問いにいく。果たして何処でそのような情報を得たのか――
「まあそれは兎も角!」
 だが現時点で重要な情報ではない、とばかり菘が本題へと話を戻す。見上げればダイウルゴスの側も猟兵達に気付いたか、周囲に小型のダイウルゴスというべき竜の群れを放ちだしている。
「まずは前座をきっちり片付けねばな! 妾の撮れ高にも協力してもらうとしよう!」
「撮れ高はええけど、きっちり片さなアカンのはその通りやな!」
「ええ、ぶっ飛ばしてやるですよ!」
 かの竜を撃滅することが此度の任務の第一歩だ。菘の呼びかけるに神治とファルコも応え、戦闘開始――と判じた次の瞬間。
「ぬおっ!?」
 響く轟音に続き、ダイウルゴスの身体の上で次々爆発が上がるのを神治は目にする。決戦都市からの砲撃が始まったのだ。
「はっはっは! 始まったな!」
 菘は分かっていたとばかりに笑う。というのもこの砲撃、彼女が特務機関DIVIDEに対し|決戦配備《ポジション》クラッシャーを要請した旨に基づいて繰り出されているからだ。
 砲撃は絶え間なく続き、幾つかは小竜を巻き込みこれを撃墜してゆく。ダイウルゴス本体にもある程度ダメージは通っているようだ。
「では今のうちに突撃です!」
 なれども決するには猟兵の力が必要不可欠だ。ファルコは頷き、その手を空へ掲げ――
「ウィングアップ! チェェェェェンジ! ファルコン!」
 叫ぶと共に、ファルコの身体が光に包まれ、形を変えて。ほんの数秒で、彼女の姿は全長10mの戦闘機へと変化を果たしていた。
『さあ、行くですよ!』
 そしてファルコは上空へと飛び立ち、ものの数秒とせぬうちにかの巨竜の在る高度へと到達する。
『時代遅れのドラゴンやろー! この世界から出ていけです!』
 突撃で邪魔な小竜を薙ぎ倒し、ダイウルゴスの身へと肉薄し。ビーム砲を立て続けに撃ち込んで、鋼鉄じみた肉体に焦げた傷跡を穿ってゆく。
『っぐ、審議、審議続行……』
 ファルコの猛攻と、次々浴びせられる砲撃に、ダイウルゴスが呻く。激しい攻撃に晒され続けることで、どうやら審議に遅れが生じている様子。
『ってもこれだけじゃ倒しきれねーですか……!』
 なれど未だ殲滅までは遠い。悔しげに呻きつつ、ダイウルゴスの上方へとフライパスしてゆくファルコ。一方で菘と神治はダイウルゴスの下方から肉薄、接近戦を仕掛けられる距離まで迫り。
「さぁて、殴りあうとしようかダイウルゴス!」
 菘は跳び上がると、ダイウルゴスの腹部っぽい位置を狙って異形の左腕を繰り出す。見目にも丈夫そうな其は文字通りの鋼の如き肉体を強烈に打ち据え、軋みめいた音を響かせる。
「ワイは殴り合いは遠慮させてもらうわ!」
 その後方、神治が構えるのは長剣にも似た意匠のスナイパーライフル。巨体故に遠いダイウルゴスの頭部をも狙い得る、抜群の射撃精度を持つ逸品だ。
 トリガーと共に撃ち放つは、神の加護が宿った銃弾。頭部とは言わずとも首元や胸を穿ち、巨竜の身へと着実に傷を齎してゆく。
『賛成66、反対29、棄権5。地上の敵に対し|文明侵略衝撃波《フロンティア・ライン》の発動を承認。続いて空中の敵への対処を審議する』
 と、其処にダイウルゴスの審議結論を告げる声。どうやら菘と神治への対処だけでも先に行おうと結論付けたらしい。
「おおっと、その衝撃波は御免被る!」
 ダイウルゴスへの同化を迫るその衝撃波、菘としては他の猟兵にも増して受ける訳にはいかぬ代物。己はあくまで己なのだ、と。
「カモン、スピーカー! 貰ったリクエストから一曲流してもらうとしよう!」
 人間のそれと変わらぬ右手でフィンガースナップを一つ打てば、菘の周囲に無数のドローンらしき飛行物体が現れる。機体のほぼ全体がスピーカーとしての機構で構成された其は、超高性能な音声出力機能を有する自律飛翔型スピーカーだ。
「こいつぁアレやな。あいつのユーベルコードが来よるで」
 神治は敵の口ぶりとグリモア猟兵より聞いた情報から、この後生じ得る事態に当たりをつける。文明侵略衝撃波、厄介な攻撃ではあるが。
「せやけど、ワイとしちゃ狙いどころや」
 スナイパーライフルを一旦下ろし、意識を集中。敵の攻撃を凌げば、其処に反撃のチャンスがある。そう判じ、まずは敵の攻撃を凌ぐに全力を注ぐとする。
『ボクへの対策は先送りとか、ナメんじゃねーですよ!!』
 一方ファルコは、敵が事実上己への対処を先送りしたことに憤慨する。別に敵に褒められたって嬉しい訳ではないし地上の二人の方が脅威と言われれば納得できないではないが、それはそれとして低く見られるのは面白くない。
『その判断、後悔させてやるです!』
 だが一方で、己にとっては現状が攻撃のチャンスであることも理解する。己対策の審議が終わるまでに、叶う限りのダメージを稼がねば。戦闘機のバーニアを吹かし、再度ダイウルゴスの巨躯へと肉薄。ビーム砲をはじめ火器を次々と叩き付け、肉体を削り穿ちにかかってゆく。
 その間に、地上で猛烈な衝撃が巻き起こるのを、爆音と大気の揺らぎから察する。|文明侵略衝撃波《フロンティア・ライン》が発動したのだ。
「ぐ……こいつぁ……!」
 純粋な衝撃波としても強烈な其を受け、神治は数歩分後ろへと後退る。身体随所にも引き裂き傷を受け、決して負傷は軽くない。
 だが、その技の本当の脅威は其処ではないと神治は知る。直後に脳内へ響く、漠然とした声が誘う――ダイウルゴス文明へ同化せよ、と。
(何、俺んち来ない? 文明の一部になれやて……?)
 理屈を超えてどうにも甘美に聞こえるその誘い。敢えて防御を甘くしてその衝撃波を受けたからこそ実感できる、誘惑への抗い難さ。
「――お断りします、や」
 だが、それでも――或いは、故にこそ。神治は否と応える。己の周囲へ展開した結界を以て、抵抗の意志さえ封じる呪力を封じ込める。
「ほんで、ワイからも返事聞かせたるわ」
 再度スナイパーライフルを構える。銃身に意識を向ければ、力が其処に注がれるのを感じる。精神攻撃や状態異常の数に比例してより大きな力を齎すユーベルコード、その力の高まりを感じる。
 ダイウルゴスは相変わらず大きな動きを取らない。であるならば。狙うは一点――
「――君、消えたってや」
『―――!!』
 言い放つが早いか、トリガーを引く。放たれたる銃弾が、狙い違わず巨竜の顎を、頭蓋を貫き。その巨体を僅かに揺らがした。
『だったらこいつも持っていけです!!』
 頭部へ損傷。ならば己も其処へ攻め込まん、と。神治による狙撃が決まったのを目にしたファルコは、意を決し頭部を目掛けての突撃を敢行。小ダイウルゴスによる迎撃も突っ切り、一気に頭部へと肉薄すれば。
『吹っ飛びやがれです、時代遅れのドラゴンやろー!!』
 搭載されたる火器の全てを叩き付け、更には自身の機体による体当たりまで。あらん限りの攻撃を浴びせられ、頭部の装甲が砕け、削れてゆく。
『――賛成53、反対40、棄権7。空中の猟兵への対処は現状維持として進行する』
 なれども会議の結論を発すれば、その身体機能に陰りは無く、寧ろ高まってゆくのを菘は見て取る。敵のユーベルコードに対処して漸く五分と五分、というところか。
「――はーっはっはっは! だが、それでこそ面白い!」
 だが、五分まで持って行ければ充分だ。左腕に拳を握り、再度肉薄する。
「後は楽しい殴り合いよ! さあ、妾の左腕に何処まで耐えられるかな!」
 重々しい風の唸り音を伴って繰り出される拳が、ダイウルゴスの巨躯を殴り、打ち据え。その損傷は微々なれど、それでもいつかはこのドラゴンが斃れ滅びる、そんな予感を齎し得る攻勢。
 |決戦配備《ポジション》による砲撃も繰り返される中。爆炎と爆風の吹き荒れる中で、菘は一心不乱に巨竜を殴り抜き、その勇姿を余すことなく動画撮影していったという。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

カタリナ・エスペランサ
やってくれたものだね
仮にこれと同じ事を繰り返せるなら防衛側としては些か分が悪い
とはいえだ。まだ打てる手は幾らでもある
仕掛け人まで出てくるなら寧ろ好都合、徹底的に叩くとしよう
それこそ恐れるに足りずと示せるくらいにね!

決戦配備はレスキュー、連戦に備え民間人の避難を最優先
知覚範囲内の挙動は《戦闘知識》で、知覚外の挙動は《第六感》で《見切り》を補強し対処するよ

使うUCは【囚演】
小型ダイウルゴスを合体前に悉く絡め取って斬り刻むと同時にコピー
同様に《ハッキング+属性攻撃》紅雷を宿した蜘蛛糸で《捕縛+束縛》封じ込めた本体へ
複製ダイウルゴスをぶつけ、結界状に封鎖した蜘蛛の巣内で自爆・爆縮を引き起こし仕留めよう


ベルト・ラムバルド
アドリブ連携上等!

ドラゴンにおっぱいお化けに竜使い!あのおっぱいお化けまだ生きてたのか!?
この騎士ベルト・ラムバルドがまとめてぷちーと叩き潰してやるのだ!行くぞー!

決戦配備はスナイパー!
ミサイルによる支援で飛び舞う竜を狙ってくれ!私には当てるなよ!

キャバリア操縦し索敵と情報収集で小型の竜の居場所を探り空中機動で飛び回り突撃!
二刀の剣を抜き振るい小型の竜共を鎧砕きと鎧無視攻撃でバッサバッサと切り捨ててゆくぞ!

ムフフ…こーいう時の為にこの技を作っておいて良かったのよ!
サークランサーを構えて神殺しと龍殺し属性の超巨大荷電粒子ビームの範囲攻撃で竜共を焼き尽してやるわ!
味方は当たるなよ!敵には当たれー!


エミリィ・ジゼル
デカパイ全裸好きのおっさんに議会乗っ取られてるダイウルゴスには若干の同情を抱きますが、ケルディバを荒らしに来た時点で情状酌量の余地はありません。
判決、死刑! ただちに刑を執行しましょう

【決戦配備:ディフェンダー】

今回はスピード勝負。ダウウルゴス議会を開く間も与えません。
UC『轢き殺すサメイドの術』を用いて、15400kmの速度をもってダイウルゴスに特攻。口の中に突っ込んでダイウスドスの顔面を【串刺し】で貫いてやります。

マッハ12を超える速度によってすげー衝撃波が発生することが考えられるため、事前に決戦配備にて隔壁展開を依頼しておきます。

どでかい穴をあけてやるぜー!



 |決戦配備《ポジション》の要請を受けたDIVIDEの隊員達の避難誘導に従い、人々は整然と避難してゆく。都市に降り立てる巨大なドラゴンに対する『おそれ』はあれど、それを上回る希望も確かに在ると、そう理解するが故に。
 その希望を示すべく、三人の猟兵がダイウルゴスを目掛けて疾走する。己の足で地を馳せる者、キャバリアの推進機構で翔ける者、サメに跨り地を滑る者。疾走の形は三者三様なれど、その意志は一つ。
「――やってくれたものだね」
 己の足で馳せるカタリナ・エスペランサ(閃風の舞手・f21100)の表情は苦い。使い捨ての効く戦力であるダイウルゴスと、デウスエクス故に滅ぼすことのできないメデューサ。地球の人々を蹂躙するにあたって、これほど相性の良い組み合わせも早々無い。防ぐ側としては些か分が悪い、と認めざるを得ない。
「ええ、デカパイ全裸好きのおっさんに議会乗っ取られて使い潰されてるダイウルゴスには若干同情を抱かないでもないですが」
 サメに跨り並走するエミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)もカタリナに同意を示す。が、その表現にはカタリナ、目を丸くした模様。
「デカ……?」
「かつてはドン・フリーダム、今度はメデューサ。あのおっさん、デカパイで全裸の女性とばかり関わってるので」
 だからそういう女性が好きなんだろう、と。そんな見解を得た根拠を語るエミリィ。あくまで個人の見解である、とは一応申し添えておく。
『って言うかあのおっぱいお化け、まだ生きてたのか!?』
 同じく並走する紫闇のキャバリア『パロメデス』からベルト・ラムバルド(自称、光明の暗黒騎士・f36452)の驚く声。メデューサは以前散々に打ち倒したと思ったのに、と。
「デウスエクスだからね、今の処完全に滅ぼす手段は無いよ。業腹だけどね」
 肩を竦めつつ応えるカタリナ。然し「とはいえだ」と続ければ。
「まだ打てる手は幾らでもあるし……仕掛け人まで出て来るなら、寧ろ好都合だよ」
 徹底的に叩きのめせば、恐れるに足りずと示し得る。人々の『おそれ』を薄れさせれば敵の狙いは破綻する。カタリナはそう見解を語る。
『応! ドラゴンもおっぱいお化けも獣使いも! この騎士ベルト・ラムバルドがまとめてぷちーと叩き潰してやるのだ!』
「そうですね、ケルディバを荒らそうとした罪への判決は死刑。ただちに執行するとしましょう」
 カタリナの意志にベルトもエミリィも同意を示したところで、前方に漆黒の巨竜――ダイウルゴスの姿が認められ。
 直後、幾つもの風を切る音が三者の耳へと届き――次の瞬間、飛来した幾つものミサイルがダイウルゴス目掛けて着弾。爆発が巻き起こり炎に巨躯が包まれる。
『先手は打った! このまま一気に行くぞー!』
 其はベルトが要請した|決戦配備《ポジション》スナイパーによる長距離火力支援。三人がダイウルゴスと接敵した、まさにその瞬間という絶妙のタイミングで仕掛けられた其は、ベルトの言の通り敵への先制攻撃として機能しただろうか。
「ええ、隔壁も展開済みのようですし。速攻で決めてしまいましょう」
 周辺の建物が隔壁で保護されているのを確かめつつ、エミリィも応えて頷く。敵の破壊活動対策である以上に、此度は己も周辺被害が生じかねない戦法を取る予定であるが故、|決戦配備《ポジション》ディフェンダーとして隔壁展開を要請していたのだ。
『敵軍の迎撃行動を確認。ダイウルゴス文明群、出撃。敵の迎撃と情報収集を』
 とはいえ敵も黙ってはいない。ミサイル攻撃を受けたダイウルゴスからアナウンスじみた声が発されると共に、その全身から無数の小さなダイウルゴスと見えるドラゴンが飛び出してくる。あれがダイウルゴス文明軍か。
「そうはいかないね!」
 尤も、その迎撃行動は織り込み済みだ。カタリナが両手を掲げ、指揮者めいた所作で幾度か打ち振れば。空中を舞う小ダイウルゴス達の動きが突如、静止する。否、何かに引っかかったかのように空中で動きを止め、藻掻いている。
「その偽りの生の、此処が終着点」
 其はカタリナが放った蜘蛛の巣。あまりの細さゆえの視認性の低さと、其と反する強靭さで、絡め取った小竜達をきつく締め上げ――否、蜘蛛糸が肉に食い込んでゆく。これは即ち。
「――心ゆくまで、踊り狂うがいいよ」
 カタリナが勢いよく腕を振るうと共に。糸に捕らわれたダイウルゴス達は全身をズタズタに引き裂かれ、塵と化し消えていき……その塵から、新たな小ダイウルゴスが現れ。元から在った小ダイウルゴスへと襲い掛かってゆく。
 其は蜘蛛糸を展開するに行使したユーベルコードの、もう一つの効果。糸に触れた敵のユーベルコードを複製行使する力。以て、手駒たる小ダイウルゴス群を呼び出し、数の差を埋めにかかる。
 更に、上空高くへはベルトのパロメデスが飛翔し、高空からカタリナを狙おうとする小竜達へと吶喊してゆく。
『空中戦なら私が相手だ!』
 巨大な西洋剣と大型の光剣、二つの剣を抜き放てば、機体出力を以て思いきり振り回す。実体剣の重量は重厚な表皮も容易く砕き、高出力の光剣は表皮もまるでバターか何かの如く軽く引き裂き。瞬く間に小竜達を殲滅してみせる。
『この程度か! さあ、まだまだいくぞー!!』
 その戦果を誇示してみせるかのように二つの剣を掲げてみせれば、更に迫る小ダイウルゴス軍。なれど臆すことなく、ベルトは猛然と小竜らへ立ち向かう。
「よし、此処で一気に突っ切っていくとしましょうか!」
 そんな二人の大立ち回りを見遣りつつ、今ぞ好機とエミリィは判ずる。カタリナの蜘蛛糸と複製ダイウルゴス文明軍はダイウルゴス側戦力の大半に対処を強い、空中でのベルトの暴れぶりはダイウルゴス本体含め上空の竜達の意識を大いに引き付ける。
「レッツゴー・サメ子! 今が駆け抜ける時!」
 叫ぶが早いか、跨るサメ――どうやらサメ子という名らしい――が竜巻を纏い、其が物凄い勢いで上空へ向けてカッ飛んでゆく。伴って吹き荒れる|衝撃波《ソニックブーム》が周囲一帯で荒れ狂い、展開された隔壁軍を荒々しく削ってゆく。
『……ッ! 想定以上に敵の攻勢が早い。早急なる採決を――』
 対するダイウルゴスは、小ダイウルゴスを展開する以外に大きな動きは見られない。体内のダイウルゴス議会が議論の真っ最中なのだろう。
(議会の結論が出る前にカタをつけてやりますよ)
 其は議会の為に隙を晒すユーベルコードの存在以上に、議会の結論を待たねば本格的な迎撃が叶わぬという性質を帯びる。ならばユーベルコードでの強化が充分果たされるより早く攻め込む。それがエミリィの作戦方針。
 飛翔するサメ子はぐんぐんと高いところへと飛び昇ってゆく。敵の議論の中核たる頭部を狙う主の意志に応えて、真っ直ぐに。
「……む?」
 其処でエミリィは気付く。赤く輝く糸めいたものが、ダイウルゴスの巨躯――特に下半身へと重点的に巻き付き、その身を縛めている事実に。あれはもしや――
「議論が終わろうとも終わるまいとも。逃がしはしないよ」
 糸を手繰る先にはカタリナ。紅雷を纏わせた蜘蛛糸で以て、ダイウルゴスの身を拘束し動きを封じていたのだ。
 その背後からは百体を超える複製ダイウルゴス軍が飛び立ち、本来の本体たるダイウルゴス目掛けて突撃してゆく。無論、目的は同化による加勢などではない。
『ここが頃合いか……今こそコレの出番だな!』
 高空の小ダイウルゴス群を一通り殲滅しきったベルトは、パロメデスの構えたる二刀を徐に収める。代わって其が構えるは、先端に巨大な砲口を備えたる巨大な騎槍。
『やっぱり騎士たる者、竜や怪物を倒してこそだからな! この技を作っておいて良かった!』
 ベルトの語る合間にも、騎槍砲の砲口には膨大な荷電エネルギーが集束してゆく――否、集束する力はそればかりではない。
『神殺しと竜殺しの属性力で! 焼き尽くしてやるわ!』
 即ち、まさに|邪竜殺しの聖槍《ドラゴン・キラー》。この時の為に編み出したとすら言えそうな業を、今此処に解き放たんとする。
『これは……! 緊急回避……!』
 三者揃って強烈なる一撃を用意している。そう判じたダイウルゴス、議論を一旦中断してでも対処せんとするが。
「言った筈だよ、逃がしはしないと」
 その身はカタリナの蜘蛛糸に捕らわれ簡単には動けず。ダイウルゴス文明軍も最早残り少ない。選択肢は、極めて限られていた。
『……総員、突撃せよ……!』
 即ち、残る小ダイウルゴス軍の一斉突撃。以て三人の攻勢の勢いを削ぎにかかるが。
「その抵抗にも、意味は無い……ってね」
 カタリナの腕が振るわれれば、小竜達は空中に縫い留められ、斬り裂かれ。その上を、複製された小ダイウルゴスが飛び越えて。
『私の名誉と名声の為に……消え去れよッ!!』
 ベルトの吼えると共に、パロメデスの構えた騎槍から放たれた荷電粒子ビームが小ダイウルゴス軍を薙ぎ払い、そのまま本体へまで殆ど勢い衰えることなく突き抜けて。
「観念しなさいダイウスドス! その顔面、粉砕してくれましょう!」
 エミリィの駆るサメ子は小竜などものともせぬとばかりに轢き潰し跳ね飛ばし。その速度一切衰えさせることなく、その頭部目掛けて矢の如き勢いで飛翔して――
『オオオオオ……!!』
 そして。
 無数の複製ダイウルゴス文明軍の一斉自爆と、竜殺しの荷電粒子ビームにが腹部を貫いたのが、巨大なる帝竜をも激しく揺さぶって。
「どでかい穴を開けてやるぜ、ダウウルゴス!」
 広がった口中へと飛び込んだメイドとサメが、そのまま纏う竜巻衝撃波と共に頭部をブチ抜いて。巨竜の全身に、深い傷を齎していったのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

早門瀬・リカ
【剣と分かつもの】
ドラゴンとの連戦、厳しい戦いになりそうだね。
それでもアンジェの前で弱気な所は見せられない。
幻影雷獣撃でダイウルゴスの動きを封じていくよ。
小型ダイウルゴスの合体を阻止したり、
文明侵略衝撃波を発射するのを防げればかな。
巨大な相手だけれど、少しでも弱点と思しき個所を
見つけてより効果的にダメージを
与えられるように狙っていくよ。
アンジェが狙われるようなことが無いよう
僕の方で注意を引きつけるよ。
その隙にアンジェには攻撃してもらうね。
決戦配備のポジション効果も得られるなら、
スナイパーによる遠距離攻撃をお願いしたいかな。

「あれがドラゴン…倒さなければならない因縁の相手だね」

アドリブ歓迎


アンジェリカ・ディマンシュ
【剣と分かつもの】
ドラゴン……デウスエクスの、そもそもブレイド世界の『ドラゴン』ではありませんが……万象と融合し、一つの生命でありながら文明を築き上げますか
リカ、心してかかりましょう

わたくしはUCで『万能戦艦』の幻影を呼び出し、そこから武装を射出して攻撃していきますわ
わたくしの世界でのドラゴンとの最終決戦『日本列島防衛線』でもドラゴン相手に優位に保った我が子の力、オブリビオンのドラゴンと言えどどうでしょうか!?

決戦配備はキャスターで『万能戦艦の幻影』を強化し支援する術式を施してもらいますわ
さぁ、共に行きましょう……
そう言って優雅に、ドラゴンを相手に髪を払って臨戦態勢に

アドリブ歓迎



 天を覆わんばかりの黒き巨竜が座する決戦都市の空に、今一つ、巨大なる影が現れる。ダイウルゴスに匹敵せんばかりの、巨大なる空中戦艦。
 更なるデウスエクスの襲来かとざわめきかける人々だが、しかしその姿を見て理解する。あれは――あの戦艦は、人類に味方する存在であると。
「巨大なる竜が相手となれば、我が子の出番ですわね」
 地上にて二つの巨大な飛行存在を見上げ、アンジェリカ・ディマンシュ(ケルベロスブレイド命名者・f40793)は目を細める。其は彼女の故郷、|此処とは似て非なる世界《ケルベロスブレイド》におけるケルベロス達の切り札、彼女がその名を与えた万能戦艦。その幻影。
 あくまでも幻影たるが故、性能は実体のそれには及ばぬとも。|決戦配備《ポジション》キャスターの要請によって性能の底上げは果たしている。かの帝竜相手でも充分な戦力となる筈だ。
「あれがドラゴン……倒さなければならない因縁の相手だね」
 そんなアンジェリカと並び立つ早門瀬・リカ(星影のイリュージョニスト・f40842)は、緊張の面持ちで空を見上げる。見るからに強大なドラゴン、なれどこれですら前座に過ぎないという事実。厳しい戦いが予想されるが。
(それでも、アンジェの前で弱気な所は見せられない)
 少女の如き愛らしき面立ちなれども男子なれば。怯懦滲みかける顔を叩き、表情を引き締める。
「ええ。わたくしの知るドラゴンとは、そもそもの存在からして全く異質な存在ではありますが」
 リカに応えつつ、敵を見据えるアンジェリカの瞳は油断なき色。オブリビオンとデウスエクス、その起源から異なる存在でこそあるが、万象と融合して合一するその性質、そして単一の生命でありながら文明を築き上げる在り方には、何処か相通ずるものを感じざるを得ない。
「間違いなく強敵です。リカ、心してかかりましょう」
「勿論だよ……さあ、行こう!」
 なれども倒すべき敵には変わりなし。頷き、リカへと呼びかける。リカもまた応えて頷き、共に空を圧する帝竜へ向け駆け出してゆく。
 直後、ダイウルゴスの身体の上で発生する幾つもの爆発。それは決戦都市外周から放たれたミサイル。リカが要請した|決戦配備《ポジション》スナイパーによるものだ。
「雷神砲、発射!」
 更にアンジェリカが号令を発すれば、上空の戦艦の前部、巨大なる主砲口から高密度の雷撃がダイウルゴス目掛け放たれる。その出力、かの竜の堅固なる外殻をも大きく抉る程のもの。
『前方の巨大戦艦はユーベルコード生成物と断定。ダイウルゴス文明軍、制御者を探し出しこれを殲滅せよ』
 先制攻撃により小さからぬ打撃を受けたダイウルゴスだが、無論一方的にやられてばかりではない。その全身から無数の小型ダイウルゴスというべきドラゴン達を出撃させ、地上の二人へと差し向けてきた。
「そうはいくもんか!」
 アンジェリカを狙わせなどさせない。その意志のもとリカが印を結べば、周囲には140体を超える雷の獣達が召喚される。数の差を補う、リカの忍術による幻影召喚術だ。
「お前達の相手は僕だ!」
 雷獣達はリカの意志に応えて散開、迫る小ダイウルゴスへと次々と襲い掛かっては、備えたる雷牙を以て喰らいつく。何体もの雷獣に襲われた小竜はそのまま全身を雷撃に焼き尽くされ、耐えた者も身体が麻痺して身動き叶わず墜落してゆく。
 敵の無力化を旨としたリカの意志に応えた雷獣達は、一撃与えたら次の相手へ向かい、より多くの敵を無力化することを旨として行動。以て、敵の戦力を次々と削り減らしにかかってゆく。
「道が開いた……行け!」
 やがてダイウルゴスへ至る道が開けば、自らも雷獣達を率いて突撃。幾つもの雷の牙で噛みつかせると共に、自らも斬霊刀で斬りつけ、僅かずつでも巨躯を削らんとする。
(僕の方に気を引き付けないと……!)
 万能戦艦を制御するアンジェリカを狙わせない為には、己がより大きな脅威であると敵に認識させる必要がある。その為の雷獣であり、敵への肉薄を旨とした戦術展開。その目的は、最低限ではあれど成功していると言えた。
(リカが無力化した敵も、確実に始末していきませんとね)
 地上に墜落したドラゴン達は麻痺と落下ダメージで充分に身動きができない。其処を狙って、アンジェリカは万能戦艦から更なる雷撃を放ってトドメを刺してゆく。本来の万能戦艦には無い武装、広範囲攻撃となる雷撃拡散射出である。
 以て周囲の小竜達を殲滅したら、再び雷神砲での砲撃を実行。その一撃、ダイウルゴスに対しても大きなダメージを齎し得る強烈な代物。
「これが、わたくしの世界でのドラゴンとの最終決戦でも優位を保ってみせた我が子の力です」
 その名を与えた名付け親として、誇るかのように宣言してみせる。この力は、異世界のオブリビオンのドラゴンにも通用するのだと。
「さあ、最後まで油断なく行きましょう」
 爆風に乱れかけた髪を払い、呻く巨竜を見据え、或いは果敢に接近戦を挑むリカを見守りつつ。アンジェリカは油断なく、万能戦艦から次々と攻撃を繰り出させてゆく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アネット・レインフォール
▼静
まさか戦後に再び見知った竜を目にするとはな…

通常ならば議決前か上回る速度での撃破だが
これ以上、会議されて状況が複雑化しても面倒だ

…幸いあの巨体であれば的を外す懸念は無い

有用なのは広範囲且つ威力のある一撃
だが…ここは一つ保険も上乗せしておくか

▼動
住民のおそれ対策として結界術で色付きの障壁を準備

葬剣を手に居合や早業による連撃を重ねながら敵の損傷度や戦況を冷静に分析
必要時は念動力で刀剣類を操り足場か牽制用に

受けるがいい――同盟諸国の生み出した一撃を!

暗糸で敵の部位を絡め注意を引き付けて接近
負傷部位や心臓付近等に葬剣を突き立て
零距離で電撃の追撃を込めたUCを叩き込む

少しは後続がラクになればいいが…


オリヴィア・ローゼンタール
巨竜に蛇怪……厄介な組み合わせですね
しかし竜殺しの英雄譚を成し遂げ、人々の心からおそれを取り除いてみせる!(勇気)

|決戦配備《ポジション》はスナイパーを要請!
近付かずにミサイルによる突入の支援をお願いします!

白き翼の姿に変身、飛翔(空中戦)
両翼から魔力放出して加速、群竜の渦中へ吶喊!
【空中機動】で小竜を躱し、聖槍で切り払いながら巨竜を目指す

巨竜まであと少し……
聖槍に雷霆の魔力を凝縮(武器に魔法を纏う)、圧縮(全力魔法)、形成(限界突破)――【天叢雲剣】!
吹き荒ぶ嵐が小竜を【吹き飛ばし】、道を切り拓く!
黄金の稲妻の大剣を轟かせ、【なぎ払う】!!


ノエル・ラーズグリーズ
……いや展開が急すぎない?
って言ってる場合じゃないか。ケルベロス、ノエル・ラーズグリーズ、出ます!

早く撃退した方がいいのは確かだし、大きい分ぶつかる人数も多い筈。なら……。『白銀』で駆け各所にセントリーガン『ドヴェルグ』を仕込みつつ、魔導加速砲『迅雷』で砲撃を加えて牽制、意識をこちらへと向けさせ、UC…【機械妖精部隊展開・妨害奇襲】での奇襲を狙います。
単なる奇襲だけじゃなく、防御を削減する効果もあるから、最悪一撃が決まりさえすれば味方も優位に出来る筈。ブラックドッグ隊の存在を隠すのと、白銀での攻撃回避をしやすくする効果を狙って、決戦配備は「ジャマー」をお願いします!

※アドリブ連携等歓迎です!



『躯体損傷増大、なれど戦闘行動継続に支障無し』
 全身に夥しき傷を負ったダイウルゴスだが、退く様子は見られない。尚も決戦都市に破壊を、其処に在る人々の心に『おそれ』を齎さんと、数多の小竜をその身より放つ。
「……まさか、戦後に再び見知った竜を目にするとはな……」
 遠い記憶。万物を併呑せる文明の竜王。かつてと異なる世界にて蘇った、かの敵との対面。今はまだ戻れぬ故郷を思い、アネット・レインフォール(剣の異邦人・f01254)は数瞬、瞑目する。
「かの巨竜だけではありません。この後にはあの女怪も控えているとのこと」
 存在するだけで『おそれ』を生む巨竜と、其を喰らい強さを増す女怪。厄介な組み合わせだ、とオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は唸る。
「そうだったな……面倒な状況だ」
 眉根を寄せるアネット。しかも、それらの背後に在るというのは、あの――
「って言うか、展開がちょっと急すぎない……?」
 突然の来訪者、其の支配下に降った|十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》が一角。そして現れたる脅威の尖兵。唐突に急変した情勢を前に、ノエル・ラーズグリーズ(|楽園《おうち》の追放者。・f40853)は戸惑いを隠せない。とはいえ。
「……でも、そう言ってる場合じゃなさそうだね……!」
 戸惑いはあれど戦意が無い訳ではない。ケルベロスの一人として、あの恐るべき巨竜へ立ち向かう意志を瞳に宿し、空を真っ直ぐに見据える。
「ああ。早急に打ち倒すべきだろう」
「ええ。竜殺しの英雄譚を成し遂げ、人々の心から『おそれ』を取り除いてみせましょう!」
 同意を示すアネットに、オリヴィアは得物たる黄金の聖槍を掲げ戦意を示す。己らの戦いぶりを以て、人々に勇気を与えん、と。
(……そういう事なら、障壁は不要か)
 当初、現状以上の『おそれ』の発生を防ぐべく、結界を展開して人々からダイウルゴスの姿を隠そうとしていたアネットだが。寧ろ『おそれ』の払拭の為ならば、と取り下げることにした様子。
「それでは行きましょう……スナイパーの皆さん、お願いします!」
 続いてオリヴィアが声を張るが早いか、ダイウルゴス周囲の空中で幾つもの爆発が発生。アネットとノエルが空を見れば、決戦都市各所から無数のミサイルが飛来し、小ダイウルゴス達を次々と撃ち落としていっている。オリヴィアが要請した|決戦配備《ポジション》スナイパーによるものだ。
 その戦果を確かめるよりも早く、オリヴィアはその背に白き翼を広げ空へと飛び立つ。ならば己も行くのみ、とアネットも其に続き駆け出す。
 ノエルは傍らに停めていた車両へと乗り込み、その運転席へと座す。彼女の移動拠点であり戦場での足となる、可変式の魔導戦闘車両『|白銀《シロガネ》』である。
『――ケルベロス、ノエル・ラーズグリーズ! 出ます!』
 ステアリングを握り、その意志を口に出すと共に、アクセルを踏み込めば。戦闘車両は全速で以て走り出す。恐るべき巨竜から、決戦都市を、人々を守る為に。

「おおおおおおおおお!!」
 背の翼より魔力を噴き出し、光の矢の如き勢いで飛翔するオリヴィア。ミサイルの爆風を斬り裂きながら、未だ数多在る小ダイウルゴスの群れへと吶喊してゆく。
 四方八方から襲い来る小竜の群れ、その合間を巧みにすり抜けては聖槍を振るい、斬り払う。目指すはその先に待ち構えるダイウルゴス本体。
 なれど竜の軍勢は未だ数多く、群れ成してはオリヴィアの行く手を阻んでくる。更には横合いから迫る竜が、その身へ食らいつかんと顎を広げ――
「そうはいかん」
 声と共に迸る一閃が、竜の首を斬り断ち一刀のもとに仕留めてみせる。オリヴィアが視線を向ければ、刀剣を足場に抜き打ちの斬撃を繰り出したアネットの姿。
「助かりました。然し、やはり敵数が多い」
 オリヴィアは礼を述べつつも、聖槍振るう腕は止めず。一振り毎に小竜が斬り捨てられ地へ落ちてゆくが、群がる竜の数はあまりに多い。
「礼には及ばん。見た処、敵も満身創痍。足止めに全力を投じているという処だろう」
 アネットは応えつつ、空中を跳び回る。竜の背を蹴り、念動制御した刀剣類を足場と成し、空飛ぶ力無くも空中を自在に機動する。
「敵は恐らく、この間に俺達への対処を議論している筈。それが纏まるまでに決着をつけたいが――」
 纏まってしまえば、対抗は厳しくなる。それまでにこれらダイウルゴス文明軍を突破せねば――と、其処に。
『それなら私にお任せです!』
 地上から響くノエルの声。其に引き続いて地上から撃ち上げられてくる、幾つもの銃弾と砲弾。オリヴィアとアネットを包囲せんとする小ダイウルゴス達を次々と撃ち抜き、撃墜せしめてゆく。
『迎撃態勢整いました! あのドラゴン達は片っ端から撃ち落とします!』
 操縦する魔導戦闘車両から砲撃を繰り返しつつ、ノエルは声を張る。彼女の在る地点から離れた距離からも、設置されたセントリーガン群が機銃を連射しては竜達を片っ端から撃ち穿つ。
 戦闘開始後、ノエルは地上を駆け巡ってセントリーガン群を設置、以て竜の軍勢の迎撃態勢を整えていた。攻撃開始までは時間がかかったものの、準備が完了したならば後は攻めるのみだ。
 尚も続くミサイルでの援護射撃、其に地上からのノエルの援護射撃が加われば、敵軍の殲滅ペースは更に上がる。均衡を崩すは今だ。
「ありがとうございます! でしたら……!」
「礼を言う。後は、突破するのみ」
 其々の言葉で礼を告げ、オリヴィアとアネットはダイウルゴス本体目掛け飛翔・跳躍する。密度の減じた竜の群れを薙ぎ払い、斬り刻み、巨竜との距離を縮めてゆく。
 地上と外周からの援護砲撃に数を減らされつつも、残る小竜群が近づけじとばかり群がり来るが。
「――此処まで来れば、最早貴様らには止められん!」
 機を得たりとオリヴィアが吼える。ダイウルゴスを間近に見据えたこの距離ならば、今こそ切り札を切り得ると。
 聖槍を両手に握り、高く掲げる。穂先に集うは、黄金に煌めき弾ける雷霆の魔力。凝縮され、圧縮された膨大な魔力――オリヴィアの限界を超えて高まった力は、やがて一つの形を作る。
「天地に轟く雷霆よ……!」
 其は聖槍を柄とした、長大なる大剣。雷霆を凝集せし輝きが、大気を震わせ嵐を起こし、空を舞う小竜群の動きを乱し。
「遍く邪悪を焼き尽くし、神の御稜威を知らしめよ!!」
 そして大剣を振り抜けば、迸るは激しき稲妻。周辺空域を駆け抜け広がる黄金の稲妻が、小竜達を薙ぎ払い、悉くを焼き焦がし消し飛ばしていく。
「――見えた。そこだな……!」
 最早ダイウルゴス文明軍は壊滅状態。僅かに残った小竜を斬り倒しながらアネットは更に跳躍。目の前には、ダイウルゴスの巌じみた脚部。
 其を目掛け、片腕を振るう。袖から放たれるは極黒の鋼糸。かつての世界の仲間が有していた其は、鋼竜の足を捉え。力強く引くと共に、アネットの身を一気に跳ね上げる。
『……! 敵の肉薄……ぐわぁぁっ!?』
 其に気付いたダイウルゴスはアネットを振り落とさんと下肢を振るうが、直後、頭部や背部を走った無数の衝撃に驚愕の叫びを上げる。
『うまくいきましたね……! 奇襲、成功です!』
 快哉は地上から。援護射撃に徹していたノエルが、其と並行して構えていた奇襲の成功を認めたが故のものだ。
 ダイウルゴスの背中側へと跳躍したアネットは見る。かの巨竜の背に突き立つ、無数の黒き刃めいた姿の妖精達を。あれこそは『ブラックドッグ』、ノエルが構えていた切り札。地上及び下方に意識を引き付け、その隙に上方から奇襲せんと伏せられていた、隠密型|機械妖精《メタルフェアリー》。
 それだけならばダイウルゴスにも気付かれていたやもしれぬが、更にノエルは|決戦配備《ポジション》ジャマーを要請していた。以て、魔力的なジャミングを戦域に展開、ブラックドッグ隊の存在を隠し通すことに成功したのだ。
『今です! ブラックドッグ隊の刃で、敵の守りは薄くなっているはず!』
 此処が好機とノエルは呼びかける。ブラックドッグ達の刃には敵の耐える力を削減する力がある、ダイウルゴスの鋼鉄が如き体躯にも、今なら刃を通すこと難しくない筈と。
「よし……ならば、あそこだ」
 応え、アネットはダイウルゴスの背を駆け上がる。翼の付け根の更に先、ブラックドッグ達の刃が突き立った一帯、その中心。
 心臓部はこの辺りの筈。そう推測し、得物たる葬剣を突き立てる。ノエルの言の通り、堅固な筈の体表は、然し驚く程容易く貫かれ、葬剣は根元近くまで突き刺さる。
「これで……決着をつける」
 柄を握り込み、アネットは力を籠める。己の全ての闘気を、腕に、刃に流し込む。
「悪しき巨竜よ! 神威の刃にて滅びるがいい!」
 更にダイウルゴスの正面からはオリヴィアが雷霆剣を振りかざし肉薄する。大剣は尚も黄金の輝きを放ち、大気震わす力を示す。
『………!!』
 ダイウルゴスには最早言葉も無い。今から議論したとて、この状況を凌ぐ手段を見出すには時間が無い。即ち――
「受けるがいい――同盟諸国の生み出した一撃を!」
 アネットの意志と共に、凝縮された闘気は雷電となってダイウルゴスの体内に叩き込まれ。その全身を駆け巡り焼き焦がす。
「おおおおおおお!!」
 オリヴィアの雄叫びと共に振り下ろされた雷剣が、ダイウルゴスの頭部へと打ち込まれ。その頭蓋を、一刀の元に両断した。

『損耗率……限界突破……我らダイウルゴス文明は……最早……瓦解する、のみ……』
 徐々に崩壊してゆくダイウルゴスの巨体。その最中、断末魔じみて巨竜の顎は言葉を紡ぐ。
『なれど……『おそれ』の回収は、予定値を達成……』
 だが、これのみでは終わらぬとばかりに続けるは、当初目的の達成を意味する言。其は、即ち。
『此を以て……我らダイウルゴス文明は……『原罪蛇メデューサ』を……此処に、召喚……する……!』
 全身が完全に崩壊しきる、その直前に。滅びゆく帝竜は、更なる禍を決戦都市へと呼び寄せた……!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『十二剣神『原罪蛇メデューサ』』

POW   :    蛇蛇獄魔獄狡兎殺
【全身から染み出す「超次元の蛇」】で近接攻撃し、与えたダメージに比例して対象の防御力と状態異常耐性も削減する。
SPD   :    朧朧蛇蝎奇霊夜行
自身が対象にとって未知の存在である限り、通常の行動に追加して「【広域感染型の金縛り】」「【鎮火できず永遠に追尾する鬼火】」の心霊現象を与える。
WIZ   :    歓歓禍禍大虞呪咒
【底知れぬ恐怖をもたらす笑い声】を放ちダメージを与える。命中すると【「おそれ」】を獲得し、自身が触れた対象の治癒or洗脳に使用できる。

イラスト:カス

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『禍禍禍 禍禍禍 禍禍禍禍禍禍禍……!!』
 決戦都市に響く哄笑。聞き覚えのある猟兵も無い猟兵も居ようが、いずれにせよ、その主が何者かなど考えるまでもなし。
 声の響く方角を目指し駆ければ、通りを進む大きな影。間違いない、あれはメデューサ――|十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》『原罪蛇メデューサ』だ。
『嗚鳴鳴 愛し子よ 鳴鳴鳴 愛し子よ 鳴鳴鳴鳴鳴……!』
 だが、その様相は明らかにおかしい。その声音、その動きには理性らしきものが全く感じられぬ。只々、愛し子――人類を喰らいたいという食欲だけで動いている獣の、否、獣にすら劣る有様。
『……禍禍禍禍禍!』
 と、其処でどうやらメデューサの側も猟兵達に気付いたらしい。方向転換し、蛇体をうねらせ凄まじい勢いで迫り来る。
『禍禍禍 愛し子よ 禍禍禍 喰ろうてやろう 禍禍禍禍禍禍!!』
 只ならぬ様相で迫り来る巨怪。その存在の齎す威圧感は、以前に顕現した時より更に高まっている。ダイウルゴスの集めた『おそれ』はそれほどまでに多量であったのだ。
 だが、理性無き存在となった今ならば付け入る隙はあろう。何より、人類を喰らわんとする斯様な存在を、捨て置く理由は無し……!

※|十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》『原罪蛇メデューサ』との戦いです。
※戦場は決戦都市の大通りとなります。左右にビルが並び、幾つかの車両が放置されている状況。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・『祭器』召喚継続
・アド/絡◎

■行動
確かに、威圧感は凄いですが。

『キャスター』を要請し『加護』である【UC】と『祭器』を強化、『FAS』で飛行し『FPS』で彼女の情報を把握しまして。
各攻撃用『祭器』を私後方に配置、『刀』を構え【皍劊】を発動しますぅ。
彼女の『超次元の蛇』が距離によらず近接攻撃可能なのは以前の交戦で把握済みですが、あくまで近接攻撃故に『先制攻撃条件』は成立可能、『一時無敵化』でダメージを防ぎつつ『万象を斬る』ことで『蛇』ごと本体を斬りますねぇ。
更に各『祭器』で攻撃直後の隙を狙い攻撃、理性を失った彼女なら『祭器』でなく私を続けて狙うでしょうから、繰返し[カウンター]で対応を。


御形・菘
は~、妾はとっても悲しいぞ?
今のお主はまるで、いいねを貰えるなら炎上歓迎!な配信者みたいなものではないか
バトる相手には常にリスペクトを示す妾なのだが、信念を棄てたお主は醜い、…本当に悲しいよ

此度の妾は凄い勢いでグルグル回る!
往復させては間に合わんだろうからな、左腕を軸にしてアクロバティックに!
尾が届く範囲に入った蛇からガンガンフッ飛ばしていこう
まあ噛み付かれたりするかもしれんが仕方ない!

さあ、後は楽しい根競べだ
ジリジリとでも前進して、妾の尾の先は必ずメデゥーサに届かせるとも
今のお主とエモくバトることなどできん、精々反省するがよい!
ボディでは許しはせん、情けないお主の頭を全力でブッ飛ばす!


ベルト・ラムバルド
アドリブ上等

うぉ…いつ見てもでっか……存在感が!
ボインゴーストめ…ついに発狂したか!?いや元からか?
とにかく奴を倒さねば世界の危機だ!ベルト・ラムバルドは恐れずに行くぞ!

キャバリア操縦し突撃!敵の突撃には空中機動で回避
超次元の蛇は二刀の剣で蛇どもを斬り付けながら退ける

…なんちゅー馬鹿力!あれじゃ迂闊に近づけん!
…!こ~なりゃこちらは化け力よ!

決戦配備はジャマー!煙幕散布で視界を妨害
そして東方妖怪達を召喚!彼等に人間の叫び声に化けて貰う

今のメデューサなら声のほうを追うはず!
視界の悪い煙幕の中でぐるぐる回って貰おうか!

その隙に索敵でロックオン!サークランサー構え巨大荷電粒子ビーム発射だ!喰らえー!


ファルコ・アロー
てめーもてめーで一人で楽しそうに大笑いしやがってんじゃねーですよ!
脳味噌空っぽにして食欲だけ詰め込んだよーなやろーにゃ負けねーですよ、ボクは!
とゆー事で決戦配備!クラッシャー!
出し惜しみすんじゃねーですよ、喰われたくなきゃ弾切れまで全部出せです!
その砲撃に紛れてボクは飛ぶですよ!
空高く、行ける所まで行って……後はあのでけぇドタマに向かって推力移動!
バリア尽きるまでぶつかり続けてやるですよ!
砲撃の手も休めんじゃねーですよ、あの蛇も流れ弾も防ぎ切ってやるですから!
特攻上等ですけどてめーのご主人様をぶっ飛ばさなきゃですからね、バリアが切れるタイミングギリギリで離脱するですよ!



『禍禍禍 禍禍禍 禍禍禍禍禍禍禍!』
 哄笑を上げながら迫りくる原罪蛇メデューサ。真っ直ぐに突っ込みながら伸ばされた手を、猟兵達は各々の手段で以て回避する。
「てめーもてめーで一人で楽しそうに大笑いしやがってんじゃねーですよ!」
 その様をびしりと指差しながら、飛び退いたファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)は抗議の声を上げる。人々を喰らい殺すその行いを歓喜と共に行おうなど、堪ったものではない。
『ボインゴーストめ……ついに発狂したか!? いや元からか?』
 上空に退避した紫暗のキャバリア『パロメデス』の機内より、ベルト・ラムバルド(自称、光明の暗黒騎士・f36452)の気圧され気味の声。其は、メデューサの理性を失ったことで更に増した存在感に対してであり。
『しかし、相変わらずでっか……存在感が』
「確かに、威圧感は凄いですが……」
 背に広げたオーラの翼で以て上空に逃れた夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)が気にしている部位ではない。筈である。
『鳴鳴鳴 愛し子よ 鳴鳴鳴 飯だ 飯だ 飯の時間だ』
 飯たる愛し子らが離れてゆくのを見たメデューサの身から、漆黒の闇めいたオーラが滲み出る。超次元の蛇達を放とうとしているのだろうか。
「ですが、これはぁ……」
「……はぁ~。全くであるぞ」
 然し、今のかの敵の在り方は。眉根を寄せるるこるに、御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)が盛大な溜息で応え。
「なあメデューサよ。妾はとっても悲しいぞ?」
 続けて原罪蛇へと語りかけるその声音は、僅かに失望を滲ませた嘆きの色。『おそれ』という手段の為に策を巡らせてきたかの存在が、容易く顕現を果たす手段と引き換えに知性の全てを捨ててしまおうとは。
「今のお主はまるで、いいねを貰えるなら炎上歓迎! な配信者みたいなものではないか」
 知性も、信念も、何もかも。目的の為に捨ててしまったかの剣神。戦う相手には常にリスペクトを示す菘としても、この敵は、あまりにも。
「信念を捨てたお主は醜い。……本当に悲しいよ」
 そう斬って捨てるより他に無い。断じた声音は、無念さすら滲ませ――
『禍禍禍 禍禍禍 禍禍禍禍禍禍禍!』
 だが、当のメデューサにはそんな菘の内心を認識する知性も無し。ただ正面の『愛し子』を喰らわんとばかり、猟兵達の在る周囲の空間から無数の蛇を滲ませ食らいつかせにかかる。
「まあ、そうであろうな!」
 尤も、其は菘としても分かっていたことではあった。徐に異形の左腕を地に付けたかと思えば、その身を大きく振り抜いて。長大なる蛇体で以て、滲み出て来た蛇達を打ち据え千切り飛ばした。
「やはりそうきますかぁ!」
 空中のるこるもまた、同様に得物たる霊刀を振るい蛇達を斬り捨てる。|女神の加護《ユーベルコード》により万象を裂く力を帯びた刀は、無数に迫る蛇をも容易く斬り捨ててゆく……のみならず。
『亞亞亞亞亞亞亞亞亞亞!!』
 悲鳴めいた声を上げるメデューサ、繰り出さんとした超次元の蛇の攻勢が鈍る。其処を狙い、るこるの背後に展開されていた祭器群が一斉砲撃を繰り出す。熱線や炸裂弾、重力弾といった様々な弾体が、よろめく巨怪へと叩き込まれその身を焼き焦がす。
 るこるの攻撃に僅かなりとも怯んだ様子のメデューサ。其を確かめるが早いか、続けざまにファルコが動く。
「|決戦配備《ポジション》クラッシャー、出し惜しみすんじゃねーですよ!」
 通信するはDIVIDE、決戦配備の要請。応えて周囲のビルに据えられた砲台群がメデューサへと向けられ、一斉に砲撃を開始する。叩き込まれる砲弾が盛大な爆発を巻き起こし、原罪蛇の巨躯を爆炎の中に呑み込んでゆく。
「脳味噌空っぽにして食欲だけ詰め込んだよーなやろーにゃ負けねーですよボクは!」
 効果有りと判ずれば、即座にファルコは跳躍、飛翔する。その背の鋼鉄の翼で以て、高く、高く、叶い得る限り高くへと。
『お前を倒さねば世界の危機だ!』
 故にベルト・ラムバルドは恐れずに行く。爆炎を突っ切らんばかりの勢いでパロメデスを飛翔させ、メデューサへと肉薄せんとする。
『於於於於於於於!!』
 だが、砲撃から態勢を立て直したメデューサは再度周辺空間より蛇の群れを解き放つ。空間を超えて伸び出る無数の黒蛇を、パロメデス目掛けて食らいつかせにかからんとばかり嗾ける。
「やらせはせんぞ!」
 パロメデスの構える実体剣と光剣、二つの巨大剣を振り回し、襲い来る蛇の群れを片っ端から斬り捨ててゆく。一体一体は弱い黒蛇達である、巨大な刃に薙ぎ払われれば容易く引き千切れ吹き飛んでゆくのみ。だが。
『禍禍禍禍禍禍禍禍!!』
『ぬおっ!?』
 其処へ徐に伸ばされてくるメデューサの手。思わずバーニアを吹かして距離を取るパロメデス。其処へ更なる黒蛇達が襲い来る。
『ぬう、あれじゃー迂闊に近づけんな!』
 パロメデスに二刀を振り回させながら唸るベルト。何しろ敵には知性が無い、故に後先考えぬ攻撃を仕掛けてくることも充分に考えられる。無理に斬り込んでも掴まれてしまえば只では済まぬ。
「よもや此処まで数が多いとはなぁ!」
「効いてはいる筈なんですがぁ……!」
 菘は蛇体を巧みに振り回し、ブレイクダンスめいた動きで黒蛇を弾き飛ばすが、やはり此方も距離を詰めるには至っていない様子。るこるも霊刀を振るって蛇達を斬り飛ばし、原罪蛇本体へも斬撃を浴びせてはいるが、敵はそのダメージに対応したらしく最初ほどに怯んだ様子は見られない。
『……! こーなりゃ……!』
 どうやら仕掛けるには正攻法でとはいかなさそうである。ならばとベルトは通信を飛ばす。現地のDIVIDEへと。
『於於於……!』
 直後、メデューサの周囲から猛烈な煙が噴出する。其は|決戦配備《ポジション》ジャマーによって展開された、ある種の魔力を帯びた煙幕。以て直感の働きも鈍らせながら、原罪蛇の身をその内側へと覆い隠す。無論、彼方からも猟兵達の姿を捉えるは容易なるまい。
『東方妖怪の皆さーん! お助けー!!』
 其処へベルトは更なる手を打つ。ユーベルコードによって呼び寄せたるは、以前の任務で助けた東方妖怪達。彼ら彼女らは得意の化術を行使し即座に変化を実行。何に化けたかといえば。
『わーーーーー!!』
『きゃーーーー!!』
『うおーーーー!!』
『ふぉーーーー!!』
 辺りに響くは幾つもの叫び声。しかしその主の姿は見えない。何故ならば、その声そのものが東方妖怪達の化けたモノであるが故。実体なき声そのものとなった妖怪達は、次々と煙幕の中へと飛び込んでゆく。
『鳴鳴鳴 飯だ 飯だ 禍禍禍 愛し子よ 我が飯よ 禍禍禍禍禍……!』
 煙幕の中で譫言じみた声を上げながら、メデューサの影が蠢く。東方妖怪達の化けた声を頼りに人類を探し、追いかけているらしい。己の追う『愛し子』が声だけの存在とは分からぬままに。
 同時、猟兵達を襲っていた黒き蛇達がその数を減らす。声の主達へと振り向けたのだろうか。
『ともかく今がチャンスだ! この隙に一気に攻撃するぞー!』
 だが好機には変わるまい。ベルトは愛機を操り、二刀に代わって長大なる騎兵槍を構える。その先端には荷電粒子の光が迸り、充填されゆくエネルギーが集束せんとしている。即ち荷電粒子砲。
「承りましたぁ!」
 呼応するようにるこるもまた頷き、祭器群を煙幕目掛け再展開。かの巨怪の正確な居場所も、探査祭器で確実に捉えている。
「一気に叩かせて頂きますぅ!」
 以て一斉砲撃。熱線、炸裂弾、爆弾に重力弾、魔力矢。多彩なる砲撃が煙幕の中へと飛び込み多重爆発、巻き起こる爆風は煙幕を吹き飛ばしていく程。
『エネルギー充填完了! 喰らえー!!』
 更にベルトも槍の荷電粒子砲を撃ち放つ。此度はユーベルコードを伴わぬ故に神殺しの力こそ無いが、それでも強力なる荷電粒子ビームが爆風の中心点へと撃ち込まれ、其処に在った巨怪の身を貫き穿つ。
『鳴鳴鳴鳴鳴……!!』
 爆風が収まると共に露となるメデューサの姿。砲撃に晒され、少なからぬ傷を負ったその身ではあるが、猟兵達の攻勢は止まらない。
「それで終わりじゃねーですよ大食いヘビ女!!」
 上空から声。見れば、地上目掛けて超高速で急降下してくる影が一つ。伴う声音は間違いない、ファルコだ。先の攻撃の後、上空高く飛び上がった彼女は地上数km辺りまで上昇、其処から己の身をバリアで護っての急降下を敢行してきたのだ。
「喰らいやがれですよ……!!」
 地上のメデューサをターゲットロック、そのまま流れ星じみて急降下――そして激突。バリアが無ければファルコ自身をも砕き散らしかねない程の猛烈な衝撃が、メデューサへと叩き込まれ。
「痛いか? いやお主のコトだ、この程度で痛がりはせんだろうな」
 それでも踏み止まる原罪蛇へと迫る影。菘である。その視線は鋭く、メデューサを射抜かんばかりに。
「だが、今のお主とエモくバトることなどできん」
 跳躍し、身を翻す。腰の捻りを加えることで、下半身の蛇体が大きくしなりながら振るわれて。
「精々反省するが良い!」
 性根を叩き直さんばかりの、蛇体による猛打が。メデューサの側頭部を強かに捉え、その巨躯を揺るがしたのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

早門瀬・リカ
【剣と分かつもの】
原罪蛇メデューサ…ダイウルゴスに続いての強敵だね。
引き続きアンジェと共闘するよ。
決戦配備のポジション効果はジャマーによる
妨害と撹乱攻撃をお願いしたいかな。
相手にするには勇気がいるけれど
アンジェの前で情けない姿は見せられない。
注意を僕の方に向けさせる意味でも
螺旋爆散掌による接近戦を挑むよ。
とはいえ簡単には接近できないだろうし
ポジションによる支援はアンジェとの連携、
そしてビルや車両も遮蔽物として利用させてもらうよ。
接近出来たら全力の一撃を叩き込むよ。
その姿に恐れたり惑わされたりなんかしないよ。

「次もある。だから一撃で決めさせてもらう!」


アンジェリカ・ディマンシュ
【剣と分かつもの】
決戦配備はディフェンダー
魔法防御で心霊現象による被害を食い止め、そのままUCを駆使しますわ
二点間の事象の入れ替えを行い、まずは『鎮火できず永遠に追尾する鬼火』と『広域感染型の金縛り』の影響下に入る前に遮蔽や回避が出来る位置に座標転移
そのままもう一つのUC『聖王女陛下へ捧ぐ讃美歌』で作り出した『『聖王女』に捧ぐ音響魔法陣』を用い、心霊現象の対抗ミームとして確立しわたくしとリカに接種させますわ

攻撃はリカに任せましょう
防御と抑止はわたくしにお任せを
そう言って座標転移等による『事象の入れ替え』を用いてリカをサポートしますわ



『禍禍禍 愛し子よ 禍禍禍 何処だ 何処だ 禍禍禍禍禍!』
 原罪蛇メデューサは大通りの交差点を文字通り右往左往している。交差点から伸びる道のあちらこちらから、人々の悲鳴が聞こえてくるからだ。
「一先ず撹乱はできているようだね」
 その発生源は|決戦配備《ポジション》ジャマーで要請したスピーカー付ドローン。其が敵に対し十全な効果を発揮していることを確かめ、早門瀬・リカ(星影のイリュージョニスト・f40842)は頷きを一つ。
(――けれど、あの様子。まともに相手するには勇気が要るね)
 なれどもその表情は硬い。理性を失っているとはいえ仮にも|十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》の一角。感じられる力は相当のものだ。不用意な接近は無謀であろう。
「心配には及びません、リカ。わたくしがついておりますから」
 そんな彼の背にかかる声。振り向けば、其処にはパートナーたるアンジェリカ・ディマンシュ(ケルベロスブレイド命名者・f40793)の姿。
「|決戦配備《ポジション》ディフェンダーを要請し、この一帯に魔術的防護を敷いて貰いました。敵の心霊現象にも抵抗は叶うでしょう」
 敵の脅威となる心霊現象を引き起こすユーベルコード、其への対処が己の役割と任ずるアンジェリカ。あくまで落ち着いたその表情を前に、リカは一つ頷いて。
「――ありがとう。なら、攻めるのは僕の役割、だね」
「お願いします。防御と抑止は、わたくしにお任せを」
 己の役割をそう任ずれば、アンジェリカの応えるに再度頷き向き直る。その表情に、先程までの硬さは無し。
(そうだ。アンジェの前で情けない姿は見せられない)
 如何に女性的な見目とてリカも男である。信頼し合うパートナーたる女性との共闘とあらば、無様な真似はできぬ。そのプライドが、心中の惑いを拭い去る。
 身構え、前を見据え。撹乱に惑う原罪蛇が背中を向けた、その瞬間を狙って――
「――よし、行くよ!」
 アンジェリカへと呼びかけるが早いか、リカは駆け出す。真っ直ぐ、迷うことなく、|十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》の一角たる蛇怪を目掛けて。
『禍禍禍 そこか 禍禍禍 愛し子よ 禍禍禍禍禍禍禍禍!!』
 然しメデューサはリカの接近に素早く反応。瞬時に向き直ると同時、リカを目掛けて青白い炎の玉が放たれ。同時、彼の身には強烈な重圧がかかってくる。
(これが、心霊現象――!)
 |決戦配備《ポジション》の援護を受けてこれ程の強烈な金縛りか。唸るリカだが、直後に眼前の風景が一変。前方に見えていた女怪の姿に代わり、倒れた車両の屋根が視界に大きく映る。同時、金縛りが解けて元通り身体が動くことを知覚する。
(これは、アンジェのユーベルコード……)
 その変化を齎した要因に、リカはすぐに思い当たる。アンジェリカの行使する、任意二点の間の事象の逆転を齎すユーベルコード。その効果で、心霊現象の効果範囲外へ己を転移させたのだろう。
(なら!)
 跳躍し車両を乗り越えれば、其処にはリカの姿を探し辺りを見回す原罪蛇の姿。気付かれる前に叶う限りの接近を。その意志を以てリカは駆ける。
『鳴鳴鳴 見つけた 鳴鳴鳴 愛し子よ』
 なれどメデューサはやはり即座に気付き、リカへと振り向いた。再び彼の身を鬼火と金縛りとが襲う――が。
(……今度は、身体が軽い)
 先程までの重圧が感じられないことをリカは知覚する。条件は先程と変わっていない筈だが――否、決定的な違いが一つある。
「これは聖王女陛下へ捧ぐ讃美歌。其を形とした音響魔法陣。心霊現象を退ける対抗ミームですわ」
 其はアンジェリカが作り上げたる、|己の元在った並行世界《ケルベロスブレイド》にて対話果たせし聖王女へ向けた讃美歌。世界の災厄を退ける彼女を想う歌は、同じく災い齎す事象を退ける力となる。以て、心霊現象へ対抗する力をリカへ与えたのだ。
「ありがとう、アンジェ……! これなら!」
 礼を述べると共にリカは更に駆ける。己よりも遥かに大きく強大な、原罪蛇の至近へと。
『亞亞亞亞亞 喰らおう 喰らおう 愛し子よ 亞亞亞亞亞』
 メデューサがその手を伸ばし、リカへ掴みかからんとする。速い。躱せるか。否、疑問を挟む余地など無い。
(恐れも、惑わされもしない――)
 身を捻り、跳躍。空中にて弧を描く身から、伸ばされた手をすり抜け、そのままメデューサの頭上を跳び越えて。
 着地、眼前には原罪蛇の背中。背後に回られたことで彼女が振り向こうとするが、遅い。
「次もある――だから!」
 この一撃で、決める。その意思を込めた渾身の掌打を、振り向きかけた女怪の脇へと撃ち込めば――
『――鳴鳴鳴鳴鳴鳴鳴鳴!!?』
 捻じれ、爆ぜるメデューサの肉体。リカの全力による螺旋エネルギーを込めた一撃は、原罪蛇の肉体に激烈なる破壊を齎したのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アネット・レインフォール
▼静
勝負事で理性を失うとはな…戦いにおいて重要な武器だろうに
しかし興味深いな?完全な獣…でも無いらしい

(大通りを一瞥)
場所柄、被害は抑えた方が良さそうだ
ならばここは技を選ぶべきか

…奴の技を使うのは癪ではあるが

▼動
周囲に結界術を重ねて感染対策
鬼火は葬剣をコートにしておく

服屋を探しダメ元でマネキン等を念動力で操り囮になるか試す
二刀流の如く両手に人形を持ち殴打の連撃から本命の斬撃に繋げる死角攻撃も

(思い出してきたぞ――奴との感覚を…!)

攻撃と支援を兼ね戦場ごと凍結
式刀を鬼火にぶつけ燃えたまま掴み居合による連続コンボを叩き込む

UC中にロードローラーがあればブン投げる事も検討

む、何故かあんな所にロ―(略


エミリィ・ジゼル
【決戦配備:ジャマー】
前に会った時よりも「おそれ」をたんと摂取してパワーアップしたようですが、理性なき獣になどやられるわけにはいきません。
カモン、かじできないさんズ!

大通りで向かい合うメデューサに対して|真の姿《かじできないさんズ》を解放。
左右のビルや車両の影にかじできないさんズを呼び出し、暴走鮫鱗弾を【一斉発射】します。
同時に、決戦配備で申請した戦闘ヘリからの援護射撃でメデューサを【足止め】。メデューサの近接攻撃を警戒しつつ、遠距離鮫魔術乱射で着実にダメージを与えていきます。

ケルベロスの底力を見せてやる!


カタリナ・エスペランサ
決戦配備:メディック
……そろそろかな
決戦配備の人員自体にも戦場からの避難を勧告しておくよ
支援するなら遠隔操作の無人機でも使って貰おう

《ものを隠す+封印術+影縛り+応用力》【黒鉄の暴嵐】秘匿発動
影の中に隠した状態で《学習力+武器・防具改造》自己進化開始

この程度の未知は以前の討伐で解析済み
必要なら同様に《|負けん気《プライド》》で影響を跳ね除け紅雷を纏い自己《ハッキング》強制操作&《空中戦》
《戦闘知識・第六感》併せ《心眼》で《見切り》攻撃回避、変異要素も《情報収集+学習力》で捕捉
〆は原罪蛇の抹殺に最適化した機龍の《封印を解く》奇襲で一気に《蹂躙》するよ


戦いもせず己の尊厳を売り渡した脳無し
――無様ね


御魂・神治
あかんわ、頭アッパッパーになっとる
十二剣神の面目丸潰れやないか
こりゃ後でシバき倒されるか、欠番にされるかやな

うわこの蛇無限湧きかいな、しかもめっちゃしぶといヤツやこれ!
【浄化・属性攻撃】の【結界術】と【衝撃波】で接触時間遅らせつつ、紫電符と爆龍符の【爆撃・弾幕】で纏めて処分
その間に高天原に【エネルギー充填】させとく
理性無いいうても食いたいもんなかなか食えんかったら、終いに本能的にイラついて隙出るか、元から雑な行動がより一層雑になるやろ
あんたはコレでも食っとけや!
『深淵』で、ぎょうさん出てくる蛇ごと吸い寄せて【重量攻撃】でバッキバキに潰して圧殺や



『鳴鳴鳴 鳴鳴鳴 鳴鳴鳴鳴鳴鳴!』
 譫言めいた叫びを上げながら迫り来る原罪蛇メデューサ。全身に深い傷を負って尚、理性を喪失したるが故に其を意に介すことなく、己が腹を満たさんという欲求のままに地を滑る。目指すは正面の『愛し子』達――猟兵達。
「あかんわ、ありゃ。頭アッパッパーになっとる」
 その様相を前として、御魂・神治(|除霊師《ドケチ宮司(仮)》・f28925)は目も当てられんとばかり額に手を遣る。異界の存在の走狗と堕すなど、|十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》の面目丸潰れである。
「こりゃ後でシバき倒されるか、欠番にされるかやな」
「全く、無様ね」
 呆れたような神治の見解に、カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手・f21100)も肩を竦める。迫る原罪蛇へ向ける視線は、侮蔑を隠しもせぬ。
「戦いもせず己の尊厳を売り渡した脳無し。神が聞いて呆れる」
 元々偽神とはいえ、そう名乗る存在としては余りにもお粗末な有様。これでは狗にすら劣ると感じたろうか。
「勝負事で理性を失うとはな」
 アネット・レインフォール(剣の異邦人・f01254)もまた、その在り方への疑問を抱く。其は戦において重要な武器だろうに、と。
「とはいえ、前に会った時よりもパワーアップはしているようですね」
 これもダイウルゴスが稼いだ『おそれ』をたんと摂取した結果か、とエミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)は唸る。力そのものは以前の事件で交戦した時より一段以上上だ。なれども。
「しかし理性無き獣――とも別のなんかになど、やられるわけにはいきませんね」
「ああ。完全な獣……というわけではないようだが。何であれ、為すべきは同じ」
 以前より強いからといって、戦わぬという選択肢は無い。立ち向かう意志を示すエミリィにアネットも頷き応える。
『禍禍禍 禍禍禍 禍禍禍禍禍禍禍禍禍!!』
 其処に響くは原罪蛇の哄笑。周囲に闇が滲み溢れると共に、青白い鬼火が渦を巻いて辺りへと撒き散らされる。ユーベルコードの産物、己を未知とする敵を焼き払う炎。
「……っ、これは……」
 己が身へとかかる重圧を感じ、カタリナは呻く。肉体の自由を奪う金縛り。あの鬼火共々、心霊現象が発現しつつあるらしい。
「……でも、この程度の未知なら」
 鬼火と金縛りを齎すユーベルコードは、術者に対する道の度合いで効果が高まるという。以前の交戦で、この剣神については解析により多くの情報を得るに至っている。これならば斯様な術に翻弄などされぬ。
 カタリナの身に、紅の雷が纏われる。己を己で制御する為の雷光が、金縛りに縛められかけた身に自由を齎す。
「く、流石に厳しいか……?」
 アネットは地を駆け鬼火を躱さんと試みるが、如何に駆けようとも鬼火は正確にアネットを追従してくる。被弾時に備え得物たる葬剣をコート状に変形させ纏ってはいるが、これはあくまで非常手段だ。
(マネキンを囮にするのも通用しないか……)
 傍らのショーウィンドウに飾られていたマネキンを念動力で操り、以て鬼火を引き付けんとしたが効果は無く。どうしたものか、と辺りを見回し考える。
(――このような場所ならば。被害は抑えた方が良さそうだ。ならば、ここは技を選ぶべきだろう)
 大通りを眺め渡していた処に、ふと過ぎった戦術方針。恐らく此処は多くの人々で賑わう繁華街。其処に破壊の爪痕を遺すことは、人心の観点から好ましくない。それに、鬼火対策としても有効ではあるやもしれぬ。
(……奴の技を使うのは癪ではあるが)
 その為に思い至った技は、忌まわしき大敵に由来する代物でこそあるが。この際贅沢は言えぬだろう。
「うわ、この蛇無限湧きかいな……しかもめっちゃしぶといヤツやこれ!」
 広がる闇からは無数の蛇が鎌首を擡げ、猟兵達目掛けて食らいつかんとしてくる。神治は其に衝撃波を放ち弾き飛ばしたり結界を展開して闇の広がりを抑制したりするが、それでも闇は着実に迫り来る。
「むう、これは反撃しようにもまずこれを凌がないといけないヤツですね……っと!」
 エミリィも応えつつ、携えたバットで襲い来た闇の蛇を殴り飛ばし消滅せしめる。なれど其処を埋めるように更なる蛇が迫り来る。
「厄介ですね、キリが無い」
「いっぺん纏めてブッ飛ばしてやるわ、ちょい待ってや!」
 唸るエミリィに、神治が応えながらその手に符を広げる。広がる闇へ目掛けて放たれた其は、半分がプラズマ火球に変じて闇を灼き、もう半分が闇の中心で一斉に爆発してこれを吹き飛ばす。
 一時晴れる闇、なれど既にメデューサの方から新たな闇が迫り来る。ならば仕掛けは早急に行わねばなるまい。
「――ここです! お願いします!」
 其を見て取ったエミリィが何処へともなく呼びかける。否、其は予め用意していた要請――|決戦配備《ポジション》ジャマーに基づく戦闘ヘリの援護。
 直後、響き渡るけたたましいローター音。エミリィの頭上へとやってきた戦闘ヘリが、機銃やミサイルを全力で発射。其がメデューサへと浴びせかけられれば、さしもの狂える蛇怪も数瞬怯まざるを得ない。
「ケルベロスの底力、見せてやる! カモン、かじできないさんズ!」
 更にエミリィが声を上げれば、左右のビルの窓や道路の放置車両の影から現れる幾つもの姿。それは――全てがエミリィと全く同じ姿をしていた。この局面において発現した、彼女の真の姿。増えるかじできないさん。まさに生命の埒外。
 それらかじできないさんズは、メデューサ目掛けて一斉にサメを射出する。鮫魔術によって召喚せしサメ達が原罪蛇へと着弾すれば――その周囲は、無数の空飛ぶサメに覆われる。闇も鬼火も纏めて食らい尽くさんばかりに屈強なサメの群れは、無論のことメデューサにも容赦なく食らいつく。
「攻勢が止まった――此処が攻め処だね」
 そんな状況の変化を見て取ったカタリナは駆け出す。直後、戦場を奔るは凍てつく波動。道路を、ビルを凍り付かせるそれは、然し猟兵達やその召喚物、上空の戦闘ヘリには影響を与えず。もがくメデューサの動きのみを、目に見えて鈍らせる。
(思い出してきたぞ――奴との感覚を……!)
 その主は、大太刀を構えたアネット。かつて交戦せし歴史の竜王、其が行使した時間凍結を模したる絶対零度の氷結領域を展開し、戦場ごとメデューサを凍結にかかったのだ。
「完全には止まらんか、だが充分だ」
「そうだね、これなら充分に仕掛けられる」
 その結果を見て頷くアネットに、カタリナが応えるが早いか。彼女の影から飛び出すは、その身に幾つもの機関砲を備えた機械仕掛けの竜。予め召喚しておいたものを己の影に潜め、敵に合わせて自己進化させたものだ。
「獄禍解放――此処からは文字通りの鉄火場だ、ってね!」
 宣言じみて告げると同時、機竜がその身の機関砲を一斉発射。大口径の機関砲弾が怒涛の勢いで原罪蛇へと浴びせられ、巨大なその身を撃ち抜き削り、抉ってゆく。
『呼呼呼呼呼呼呼呼呼呼呼呼!!』
 凍り付いた緩慢な時間の中、全身を機関砲弾に撃ち抜かれメデューサは悲鳴にも似た絶叫を上げる。其処には、飯にありつけぬことへの憤懣も滲むだろうか。
「食いたいモンなかなか食えんかったら、そりゃあ理性無い言うてもイラつくわなぁ」
 その様子を見て取って、神治は理解を示すような素振りを示す。無論、其に応えて人間を贄と捧げるような行いはせぬ。
 携えたブランダーバス型の銃を、メデューサへ向け構える。これまでの交戦の合間、エネルギーを蓄積したその銃口には、展開されたる闇をも吸い込まんばかりの闇が満ち。
「せやから――コレでも食っとけや!」
 引鉄を引けば、ラッパ型の銃口から放たれ出るは暗黒球体。其は一帯に散らばる瓦礫や鬼火の残りを吸いこみ砕いていきながら、やがてメデューサの身へと着弾すれば。
『鳴鳴鳴鳴鳴鳴鳴鳴鳴鳴!!』
 猛烈な重力に晒されるメデューサの身体から、幾つもの破砕音が響く。超重力によってその肉体が押し潰されんばかりの勢いだ。
 カタリナの機竜の弾幕や、エミリィの分身達が繰り出す鮫魔術が、絶え間なく原罪蛇を苛む中、アネットが駆け迫ってゆく。
「これで、片をつける」
 残存する鬼火へ、式刀を振るう。両断された其は炎となって、大太刀へと纏わりついて刀身を炎に包む。
 そのまま肉薄したアネットは、猛烈な勢いで燃える大太刀を振るい。超速の連続斬りを叩き込んで、その身に大きなダメージを刻み込み焼き込んでいった。

(――そろそろ、かな)
 其を見届けつつ、カタリナは道路の端を眺める。未だ残っていた人々の避難誘導を行う、DIVIDE製のドローン群の姿が認められる。カタリナが|決戦配備《ポジション》メディックで避難誘導要員を要請すると共に伝えた、ひとつの要望に基づいての配備だ。
(彼らも避難し始めているのかな。幸いだ)
 少しだけ安堵を滲ますカタリナ。この後のドラゴンテイマーとの戦い、何が起こるか分からぬが故に。DIVIDEの隊員達にも避難を促したのだ。
(杞憂で済めばいいけど……)
 叶うならば外れて欲しい予想ではある。だが故にこそ有り得る事態。唸りながらも、今のこの戦いに決着をつけるべく。カタリナは再度、猟兵達の攻勢に呻くメデューサへと向き直った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

オリヴィア・ローゼンタール
白いパイロットスーツの姿に変身
虚空より召喚するはヘラクレス!

これなるは、貴様と同じ名を持つ怪物を討ちし|英雄《ペルセウス》の継嗣、その名を冠する鋼の超人!
旧き蛇怪よ、恐れ戦慄くのは貴様の方だ!(威圧・恐怖を与える)

|決戦配備《ポジション》はディフェンダー!
展開される隔壁を――もぎ取る!
即席の盾として前方に構え吶喊!(ダッシュ)
ヘラクレス、【神の試練を乗り越えし者】よ!
汝の父祖がした如く、かの蛇怪を打ち倒せ!!

隔壁の盾を構えたまま突進! そして鋼の拳を叩き込む!(重量攻撃)
超次元の蛇は【怪力】で捻り潰す!(グラップル)
ヘラの蛇、ヒュドラ、蛇怪退治はヘラクレスの得意技
無双の剛力で死ぬまで殴る!


ノエル・ラーズグリーズ
「原罪蛇メデューサ」……なんか正直、最初の印象からは落ちぶれた感あるけど、デウスエクス側の大物なのに変わりはない訳で……!ノエル・ラーズグリーズ、これより交戦します!

さっき設置した『ドヴェルグ』のうち、動かせる分を全機再起動して支援射撃を開始、
後はさっきと同様、【機械妖精部隊展開・妨害奇襲】をブラックドッグ隊に指示し、
こっちを狙ってくるなら大きく動き回って囮も兼ねつつ、出てくる蛇の回避・迎撃を優先、狙ってこないなら『迅雷』での砲撃を撃ち込んで……ブラックドッグによる奇襲実行に合わせて
『迅雷』での集中砲撃と「スナイパー」の「決戦配備」での遠距離攻撃を撃ち込みます!

※アドリブ、連携歓迎です



『鳴鳴鳴 飯を 鳴鳴鳴 飯を――』
 総身に傷を負いながらも、メデューサは尚も餌食を求めて地を滑る。伴って譫言じみた声を上げる様は、飢えに喘ぐ亡者にすら似る。
『……なんか正直、最初の印象からは落ちぶれた感ありますね……』
 その有様を前に、魔導戦闘車両『|白銀《シロガネ》』の機内からノエル・ラーズグリーズ(|楽園《おうち》の追放者。・f40853)が困惑混じりの声を漏らす。仮にも|十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》の一柱――デウスエクスの大物であるというのに。
「とはいえ、力そのものは以前より高まっているように感じられます」
 応えるオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)も、困惑気味の声音ではあるが。それでも、視線は迫ってくる蛇怪を油断なく見据える。理性を失ったとて油断できる敵ではない、其にはノエルも肯定を返す。
『ええ。大物であることには変わりありません……!』
 故にこそ、できる限りの全力にて打ち倒す。その意志のもと、戦闘車両のコンソールを介し、先程設置したセントリーガン群の状態を確認。どうやら、数機は今の戦場にも射角を向けられそうだ。
「なればこそ、私は此を以てかの敵を迎え撃ちましょう――ヘラクレス!」
 いつの間にかパイロットスーツ姿に着替えていたオリヴィアも頷き、直後に虚空へ向けて声を張る。呼ばわる声に応えて空間より現れ出るは、鋼鉄の|巨人じみた人型《スーパーロボット》――『ヘラクレス』。
『――禍禍禍禍禍禍! 飯! 飯! 禍禍禍禍禍禍!!』
 ヘラクレスの着地が決戦都市を揺さぶる。其処に『飯』の気配を感じたか、メデューサは歓喜めいた声を上げると共に、地を滑る速度を一層加速せしめる。
『旧き蛇怪よ!』
 なれど其を制せんとばかり、ヘラクレスに乗り込んだオリヴィアが声を張る。増幅された大音声が、決戦都市内に広く響き渡る。
『これなるは、貴様と同じ名を持つ怪物を討ちし|英雄《ペルセウス》が継嗣、その名を冠する鋼の超人!』
 かの英雄そのものでなくとも、格としては決して劣らぬ大英雄。その名を冠せし機体の操縦席にてオリヴィアは堂々吼える。
『恐れ慄くのは貴様の方だ! 覚悟するがいい!』
『禍禍禍禍禍禍禍禍!!』
 なれどもメデューサには最早恐れも無いのか、哄笑と共に己の周囲へ闇を広げる。超次元の蛇にて攻撃を仕掛けるユーベルコードだ。
『そんなものは――』
 対するオリヴィアは落ち着き払い、ヘラクレスを操って傍らのビルを保護する隔壁――|決戦配備《ポジション》ディフェンダーにて展開されたそれを徐に掴み。一瞬後、力任せにもぎ取った!
『通用などしない! 行くぞ!!』
 其を盾の如く構えたヘラクレス、猛然と進攻を開始。襲い来る蛇をも弾き防ぎ攻撃を妨げ、瞬く間にメデューサへと肉薄。直後、隔壁をメデューサへと押し付けたかと思えば。
『おおおおおお!!』
 極限まで固められた巨英雄の拳が、オリヴィアの雄叫びと共に振るわれ。迫り来た蛇怪の顔面を強かに殴り抜いた!
『亞亞亞亞亞亞……!』
 衝撃に呻きながら後退るメデューサ、其処に幾つもの機関銃の火線が走る。ノエルのセントリーガン群だ。
「射線策定、予想飛来ルート転送完了、ブラックドッグ隊出撃……って此処で敵!?」
 そのノエルは戦闘車両内部にて周辺状況を確認し、対処を取るべくコンソールを叩く。其処へメデューサの放った超次元の蛇が襲い来た。ただでさえやることが多いというのに、これでは己らが喰われかねん。
『これくらいなら……!』
 迫る黒影の蛇へと機体の機関銃を叩き込み、蛇の群れを退け。攻撃が一瞬止まったタイミングを突き、ノエルは通信回線を開く。
『|決戦配備《ポジション》スナイパー、今です! 目標の存在座標は――』
 呼びかけるが早いか、直後にミサイルが飛来。メデューサを捉え、爆炎にその巨怪を呑み込む。
『まだまだ……! 全機、仕掛けて!』
 爆炎の退かぬうちから更なる指示を飛ばせば、ノエルのその意志に応えるが如く、刃の如き機械妖精がメデューサを背後から斬りつけ、その身の護りごと敵の生命力を削りにかかる。
『鳴鳴鳴鳴鳴鳴鳴!!』
 立て続けに浴びせられる攻撃に、悲鳴じみたメデューサの声が上がる。追い詰めている。そう実感できる叫びだ。
『まだまだ! 終わりはしない!』
 なれば一気に引導を渡すのみ。オリヴィアの意志に応え、ヘラクレスが再度踏み込む。鋼鉄の剛腕を振るうごと、重い拳の一撃が蛇怪の巨体を殴り穿つ。蛇怪退治はこの英雄にとっても得意技、拳の一振りごとにメデューサを着実に追い詰めてゆく。
 間を埋めるのは、ノエルの砲撃や|決戦配備《ポジション》によるミサイル攻撃。絶え間ないそれら攻勢が、メデューサの残る生命力を着実に奪っていき。
『滅びよ! 理無き蛇怪よ!!』
 叫ぶと共に繰り出された渾身の一撃が、その命の全てを、削り尽くしたのである。

『呼呼……鳴鳴……飯……飯を……亞亞亞亞亞亞……』
 嘆きとも呻きともつかぬ声音と共に、メデューサの肉体は崩れ落ち、消滅してゆく。その様は、強大なるデウスエクスとは思い難い程に、何処か物寂しさすら伴って。
 だが、その決着の余韻を感じる暇すら、猟兵達に与えないとばかり――けたたましい爆発音が、決戦都市に轟いた――!!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『ドラゴンテイマー』

POW   :    クリムゾンキャリバー
【赤き剣の右腕】が命中した対象に対し、高威力高命中の【黒竜ダイウルゴスの群れ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    ギガンティックダイウルゴス
レベル×1体の、【逆鱗】に1と刻印された戦闘用【大型ダイウルゴス】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    文明侵略(フロンティア・ライン)
自身からレベルm半径内の無機物を【黒竜ダイウルゴスの群れ】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。

イラスト:ハルヨリ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 爆発音の源へと至れば、其処はこの決戦都市における特務機関DIVIDEの基地。建物は所々無残に吹き飛び、炎に包まれ。巻き起こる爆炎の中、基地に詰めていた隊員達は混乱しつつも安全確保や負傷者救助に追われている状況。猟兵の一人の勧告を受け撤収を始めてはいたものの、間に合わなかったらしい。
 其を前にした猟兵達は気付く。その混乱の中心、開けた広場に佇む黒衣の男――背に八枚の翼を負い、右腕を真紅の刃とした男の姿に。
「――思ったより早かったな」
 男の方も猟兵達が到着したことに気付いたかの如く振り返る。その姿は間違いない、丁度五年前にキマイラフューチャーに現れたるオブリビオン――『ドラゴンテイマー』だ。
「ダイウルゴスは兎も角、メデューサならばもう少し時間が稼げるかと思っていたが――まあ良い」
 淡々とした口調で、値踏みするかのように語る竜遣い。敵も味方も、盤上の駒と見なすかの如く。
「ならば、次は私が相手となろう――但し」
 黒衣の男は悠然と構える。その直後、男の周囲で更なる爆発が轟き。戦場をより苛烈なる猛火にて包み込んでゆく。
「この炎の中、力なき者共が右往左往する中。私だけを相手していて良いと思うのなら、な」
 どうやら、其を以て地の利を築き上げたつもりらしい。だが事実として、巻き起こる猛火は猟兵の身でも無視はできず、DIVIDEの隊員達にもこのままでは人的被害を避け得ない。叶う限りそれらに対処しつつ、かの敵を打ち倒さねば。

※戦場は特務機関DIVIDEの基地。ドラゴンテイマーが仕掛けていた爆弾の爆発で火の海と化しています。
※逃げ遅れた隊員達が多数。それでも離脱を促す猟兵がいた為か、負傷者は多くても死者は今の処出ていない様子。
※「炎に包まれた戦場の環境に対策する」「隊員達の避難を支援する」ことでプレイングボーナスがつきます。
※DIVIDE基地が機能停止した為、本章では|決戦配備《ポジション》の要請ができません。
御形・菘
はっはっは、久しいのう
妾のキマフュに手ぇ出したお主とは再びバトりたいと常々願っておったよ
ここで会ったが五年目、ボコりたいところだが…実に的確に優勢を取ってきて、厄介すぎて嬉しいぞ!

右手を上げ、指を鳴らし、さあ至高の薔薇よ空高くに花開くがよい!
はーっはっはっは! 妾のつくるエモき聖域へようこそ!
助け合いの精神、善性持つ者を支援する領域だ、うまく非難できるよう助けよう

もちろんお主に効くわけがなく、光が竜には変化するはずがない! 世界はお主に味方をせんよ
黒竜どもをブッ飛ばしつつ全力で真っすぐ突っ込む! 今の妾にはそれができるようになった!
さあ、邪神の左腕の一撃を受けてエモく盛大にブッ飛ぶがよい!


ベルト・ラムバルド
アドリブ上等

!?
貴様ぁッ!それでも人間か!!?竜使いめ!!許さんッ!!!

キャバリアを操縦、高性能を駆使し突撃!
機体にカリスマオーラ纏い戦場の炎から機体を護る

DIVIDEの負傷者の救助の為にデビルキングワールドの悪魔達を召喚
お人好しで屈強な彼等なら瓦礫も炎も大丈夫だろう!
半分を救助に!そして残りの半分は私と共に
竜使いが召喚した大型の龍の迎撃に向かわせ集団戦術と大軍指揮で悪魔達と共に戦おう

サークランサー振り回し範囲攻撃で叩き付け串刺しで突き刺したり
巨大荷電粒子ビームの鎧無視攻撃で吹き飛ばす!

出来れば竜使いを倒したいが…今は私が龍共を抑える!
その隙に竜使いを叩いてくれ同胞よ!騎士が相手だ!行くぞー!


ノエル・ラーズグリーズ
「決戦配備」の方を潰してきた……!?
けど、ならこうするまで……!

【戦闘配備:攻守強化】!!機械妖精 『タイプ:イフリート』、『タイプ:スプリガン』隊を全機発進!
一応相手のユーベルコードを警戒し距離を取らせ、イフリート隊は敵に対し味方の攻撃に合わせての火砲支援、スプリガン隊は簡易防護障壁「光の壁」で味方や退避中の隊員の防衛へと回します!
『白銀』で駆け回って『ドヴェルグ』を設置、即座に起動させての弾幕展開と、白銀の迎撃機構『陽炎』でダイウルゴスを迎撃、とどめに『迅雷』をぶっ放して応戦し、避難の手伝いをしてまわります!

直接殴り合いが出来なくても、これが、私の戦い方よ……!
※アドリブ・連携等歓迎です



 燃え盛るDIVIDE基地、混乱しつつも対処に追われる隊員達。其を背後に悠然と待ち構えるドラゴンテイマー。駆け付けた猟兵達が目にしたのはそんな光景であった。
『|決戦配備《ポジション》の方を潰してきた……!?』
 魔導戦闘車両の車内からその光景を認め、驚愕を隠せない様子のノエル・ラーズグリーズ(|楽園《おうち》の追放者。・f40853)。よもや己らではなくその支援を担う人々を攻撃しようとは。
『貴様ァッ! それでも人間か!?』
 彼らも戦闘に関わるとは言え、戦う力を持たぬ者も少なくない。其を躊躇なく巻き込む所業に、乗機たるキャバリアの機内よりベルト・ラムバルド(自称、光明の暗黒騎士・f36452)は憤慨を露とする。
「見れば分かるだろう」
 対するドラゴンテイマーは只々平然と。当然の事ではないかとばかり言い放つ様、己の行いについて何らの痛痒も感じておらぬと見える。
「はっはっは、実に的確に優勢を取って来る!」
 厄介すぎて嬉しいぞ、と御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)はいっそ晴れやかに笑う。実に五年ぶりの対峙となるが、あの時の見立て通りだ、と。
「まあ良い、此処で会ったが五年目。盛大にボコらせて貰うぞ!」
 身構える菘。己が|故郷《キマフュ》に手を出した竜使い、再び見えたいとは常々願っていた処である。
「やれるものならやってみるが良い」
 なれど其を前としたドラゴンテイマー、軽く肩を竦める仕草。というのは。
「私一人にかかずらって、あの者達を捨て置く、というのならば」
 視線の先には対処に追われるDIVIDE隊員達。人命を尊重するならば彼らを意識せずには居れぬだろう、とばかりの物言いは、其を以て猟兵達の意識を逸らさんとする策か。
「はっはっは! 無論、其処は考えているとも!」
『舐めるなよ! 騎士たる私が民草を顧みぬワケが無いだろう!』
『こういう状況なら、こうするまでです……!』
 だが当然とばかり、三者は異口同音に両立の術を応える。このような状況へも対処し得るのが猟兵である、と。
『『タイプ:スプリガン』、炎への対処を!』
 ノエルの声に応え、何処からともなく機械仕掛けの妖精の一群が現れ、基地内各所へ飛んでゆく。彼女の戦力たる機械妖精群、その一種。防衛を旨とする『タイプ:スプリガン』。其々が光の壁を展開して炎を食い止め、隊員達の救助や避難を助ける。
『一般悪魔の皆さーん!!』
 ベルトが呼びかけると共に現れるのは、姿も大きさも様々な悪魔っぽい人々。デビルキングワールドの住民の皆さん、総勢154名。下手なオブリビオンを上回る頑丈さといい子マインドを併せ持つ彼らは、ベルトの要請に基づき半数が救助活動へと向かってゆく。
「至高の薔薇よ空高く花開け! 彼らの行いを助けるのだ!」
 菘が人のそれと同じ右手を掲げて指を鳴らせば、赤黒く染まった空の只中、純白の薔薇が花開く。其は光を放ち戦場を照らし、清浄なるエモさをその場に醸し出す。
 無論、其は只の演出ではない。光が降り注ぎだすと共に、救助活動に走る隊員達や悪魔達、機械妖精の動きに精彩が増す。その光は戦場を浄刹――清浄なる領域へと変化せしめるもの。助け合いの精神や善性を持つ者に力与えるもの。以て避難を支援するものである。
『――これならみんな大丈夫そうです!』
 そうして進む救助・避難活動の様子をモニタリングし、ノエルは安心したように声を上げる。ならば心置きなく目の前の敵に集中できる、と。
「――という訳だ。さあ、遠慮なくボコらせて貰うぞ!」
『貴様の所業は決して許さんぞ、竜使いめ!』
 其を受けて菘は蛇体をうねらせて地を滑り、ベルトは愛機のバーニアを吹かして。其々に竜使いを目掛けて突撃してゆく。
「そう来るか。ならば、少々骨を折らねばならんな」
 己の策の一つは折れたか。其を認めて僅かに眉根を寄せるドラゴンテイマーだが、言動は尚も落ち着きを保ち。左手を掲げれば、空中から、地上から、無数の小さな竜がその姿を現してくる。其は先程、ダイウルゴスが戦力として呼び寄せていた小ダイウルゴス群によく似た竜だ。
 上空から、正面から、其々が接近戦を挑まんとする二人を退けようと一斉に迫る。その数は多く、歴戦の猟兵たる二人にも少なからぬ脅威と言えるが。
『『タイプ:イフリート』、援護砲撃を!』
 だが其処で動くのがノエルだ。彼女の呼びかけるが早いか、ダイウルゴス群の中から幾つも爆発が発生、黒き竜を次々と撃ち砕いてゆく。
 其は、ノエルの周囲でバズーカめいた砲を構える機械妖精の仕業。火砲支援を担う機械妖精『タイプ:イフリート』だ。
『悪魔の皆さん! あれが敵、あれが悪です!』
 ベルトが呼びかけるは、先程救助活動へ向かわせなかった悪魔達。示す先には、逆鱗に『20』の数字を浮かばせた大きな竜達。ダイウルゴス群の一部が合体し戦闘力を高めたものだ。単純な数の中に紛れたこれを以て、有効打を入れんとしていたか。
 なれど気付けば対処は叶う。悪魔達はベルトに応え、各々の手段で以て空へ飛び立ち。空中に身構えていた大ダイウルゴスへと一斉に攻撃を開始する。
『よし、竜共は私が抑える! 竜使いは任せたぞ同胞よ!』
 残る竜の群れを巨大騎槍で薙ぎ払い、ベルトは菘へ呼びかける。ドラゴンテイマーまでの道は開いたが、残る竜は数多い。ならば足止めを担う者が必要だろう、との判断だ。
「有難い! 貰った見せ場は存分に活かしてみせるとも!」
 ベルトに応え、菘は真っ直ぐに黒衣の男を目掛けて地を滑りゆく。途上にも数匹の黒竜が行く手を妨げに来るが。
『お仲間の邪魔はさせません!』
 ノエルの声と共に、魔導電磁機構で加速された砲弾がダイウルゴスの一体を吹き飛ばす。更にはイフリート隊の砲撃に加え、設置されたセントリーガンからの射撃が、竜達を撃ち抜き爆ぜ飛ばし。
「今の妾達はこの程度では止まらんよ!」
 残る一体は菘の異形の左腕から繰り出される拳で殴り飛ばされる。飛んだ先はドラゴンテイマー――と思われた刹那、その身が真っ直ぐに断ち割られ両断される。
「成程、かつてとは違う、というつもりか」
 右腕の紅き剣でダイウルゴスを斬り払い退けたドラゴンテイマーは飽くまで平然たる様相を崩さず、迫る菘へ無感動な視線を向ける。新たにダイウルゴスの生まれる気配は、どうやら無い。
 故に、竜使いは再度紅剣を振るう。鋭く放たれる斬撃は、先の竜と同様に菘の身を断ち斬らんとして――
「何の!」
「!」
 なれど菘は左腕にて其を防ぎ止める。己の斬撃が止められた事実に、ドラゴンテイマーは眉を跳ねさせ。初めて驚きの反応を示した。
 五年前ならばそのまま腕を斬り飛ばされていたやも知れぬが、菘の力はその頃より大幅に高まっている。何より、頭上の薔薇より注ぐ光は、彼女にもその加護を与えているのだ。眼前の竜使いと違って。
「世界はお主に味方せんよ!」
 言い放つと共に、菘は敵の懐へと滑り飛び込む。危険を感じ飛び退かんとするドラゴンテイマーだが、叶わぬ。そのタイミングを制するかの如く、背後で幾つもの爆発。
『直接殴り合えなくたって、これが、私の戦い方よ……!』
 ノエルの指示に応えたイフリート隊が支援砲撃を実行、ドラゴンテイマーの退避行動を封じたのだ。以て、菘に攻撃のチャンスを齎す為に。
『行けい、同胞よ! 背中は騎士が守っているぞー!』
 菘の背後を取らんと迫るドラゴン達が、極太なビームを浴びて消し飛ばされる。ベルトが騎槍から放った巨大荷電粒子ビームだ。以て菘の背を守る、此度彼が担うと決めたは、ひとえにその役割ゆえ。
「はっはっは! 良かろう!」
 仲間達のお膳立ても貰った、ならばこの場は確と決めねば。振りかぶった左腕、異形の五指を、強く、硬く握り込み。
「この一撃で、エモく盛大にブッ飛ぶがよい!」
 そして振り抜く、大振りなアッパーカット気味の拳。渾身にて振るわれた邪神の左腕が、防御に構えられた紅剣をもすり抜け。主たる竜使いの顎を捉えて、戦場の空――白き薔薇の光と黒き焼尽の煙とが彩る空へ、吹き飛ばしてみせた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

早門瀬・リカ
【剣と分かつもの】

流石に最後の相手だけあって、
思うようには戦わせてはくれないようだね。
ここまで協力してくれた隊員達の避難させたい
気持ちはあるけれど、それを許す相手ではない。
ならば僕は炎の対処とドラゴンテイマーへの攻撃に集中する。
アンジェが上手く避難させてくれるようだしアテにさせてもらうよ。
あらゆる技術を組み合わせた螺旋の力で炎を吸収しつつ、
螺旋術式帝による全力の一撃をドラゴンテイマーに叩き込むよ。
大型ダイウルゴスや群れを召喚してきても、合体される前に撃破するよ。
多少ダメージを受けても怯まず、
とにかくドラゴンテイマーを倒すまで攻撃に集中だね。

「そっちこそ他に気を取られている暇があるかな!」


アンジェリカ・ディマンシュ
【剣と分かつもの】
やはり爆破してきますか…
ですが、分かっているというならやりようもありますわよ

UCを用いてオラトリオとダモクレスの特性を複合
機械天使の翼を広げ、時間を操作すると同時に炎の戦場の炎などの被害要因を機械化
機械化によって疑似的に決戦配備を再現して被害要因を排除すると同時、時間操作で隊員達の避難を円滑に進めていく

さて、避難が終わったのを確認したら…こちらの手番ですわよ
リカ、無茶はしない様に!
時間操作でリカが負った傷を時間逆行で傷を負う前の状態にしながら、機械化した被害要因による火力を高めた疑似決戦配備の砲撃をドラゴンテイマーに大型ダイウルゴス諸共叩き込んで砲火に飲み込んでいく



 燃え盛るDIVIDE基地。避難や救助に奔走しつつも混乱を隠せぬ様子の基地隊員達。この様子では|決戦配備《ポジション》は機能するまい。
「やはり爆破してきますか」
 なれどアンジェリカ・ディマンシュ(ケルベロスブレイド命名者・f40793)は落ち着き払った様子で事態を把握する。自身がグリモア猟兵として予知した類似の事件でも、ドラゴンテイマーは同様の手口で|決戦配備《ポジション》を機能停止に追い込んでいた。此度も同様の行動に出て来る可能性は、想定の範囲内ではあったのだ。
「流石に、思うようには戦わせてはくれないようだね……」
 一方、アンジェリカの前では早門瀬・リカ(星影のイリュージョニスト・f40842)がそのドラゴンテイマーと対峙している処。真っ直ぐにかの男を見据える顔には緊張が滲む。悠然と立つその様相、先の猟兵との交戦による負傷は見えるが、発される気配は傷の影響を全く感じさせない。
 リカの頬を汗が伝う。正直な処を言えば、此処まで協力してくれた隊員達の避難や救助を手伝いたい気持ちはある。なれど、眼前の敵は其を許しなどしないだろう。そもそも、救援行動の片手間に相手できるような敵でもない。此処はどうするべきか――
「――大丈夫です、リカ」
 そんなリカの心情を察したか。アンジェリカが声をかける。はっとしながらも意識だけを後ろへ向けるに留めたリカへ、アンジェリカは続ける。
「こうなることはわたくしの予想の内。故にやりようはあります」
 即ち、この場の状況を解決する手段はある。自信を以てアンジェリカは告げる。故にこそ。
「基地の人達のことはわたくしにお任せを。リカは、ドラゴンテイマーとの戦いに集中してください」
 そう請け負うが早いか、アンジェリカの背には大きな翼が広がってゆく。機械仕掛けの天使の翼が構築されてゆく。ユーベルコードによって成る、|時空干渉《オラトリオ》と|機械化《ダモクレス》の力を合わせた技能の発現を示す翼。
「分かった。そっちはお任せするよ、アンジェ!」
 其を認めるが早いか、リカは走りだす。悠然と立ちはだかるドラゴンテイマーを目掛け、真っ直ぐに。
「そうか、飽くまでも私か。民を顧みることなく、切り捨ててでも私を――」
「何とでも言えばいい! 僕は、アンジェを信じる!」
 そんなリカの決意を鈍らせんというのか、詰るようなドラゴンテイマーの言を鋭く斬って捨てると共に、疾走しながらリカは構えを取る。不可思議なるその構えが形となった瞬間、周囲で燃え盛る炎が一斉に渦巻きながらミカのもとへと吸い寄せられる。激しく燃えていたそれらの炎は、彼の身を焼くことなくその内へと吸い込まれ。
「見るがいい、螺旋の果てに至りし、忍びの神の術!」
 其はありとあらゆる術式技能を組み合わせた、究極の螺旋忍術。その手を力強く、掌打の形で繰り出せば。掌から撃ち出されるは、今し方吸収した炎のエネルギー。螺旋を描いて渦を為し、ドラゴンテイマーへと襲いかかる……!
「………!」
 右腕の紅き魔剣を構えて防御姿勢を取るドラゴンテイマー。なれど螺旋の炎渦は黒衣を削るように焼き焦がし、その下の肌へも傷を穿ってゆく。

 一方のアンジェリカは、機械の翼を広げて意識を集中する。一帯へと獲得せし権能を展開、時間と概念とを掌握し。避難や救助が円滑に進むよう、それらの操作を開始する。
 迫る炎や崩れ落ちそうな瓦礫、人的被害を齎し得る要素は機械化し、救助に当たる隊員達の時間を高速化することで救助活動に要する時間の短縮を試みる。無論、其の妨げとなる炎や瓦礫も機械化してゆく。
 時間操作を受けた隊員達は、周囲との時間経過の違いに戸惑いつつもすぐに適応、素早く負傷者の救助にかかってゆく。其を認めたアンジェリカは、その間に反撃の準備を整え始める。
 被害要因から形成された機械群は、無論のことただそれだけの代物ではない。アンジェリカの意志に応え、一つの方向性を以て組み上げられてゆく。其は幾つもの砲台やミサイルランチャー。普段|決戦配備《ポジション》で要請することの多い決戦都市の武装群の再現。|決戦配備《ポジション》が使えないならば、自ら作り上げれば良い。そんな発想のもとで組み上げられた代物だ。
(さて、この一帯の避難は完了しましたわね)
 周囲の炎上していた建物群を見渡せば、其処から次々と撤収してゆく隊員達の姿が認められる。どうやら救助は完了、避難も間もなく完了するようだ。
(では――こちらの手番ですわよ、ドラゴンテイマー)
 後顧の憂いは断った。後は攻めるのみ。その意志を新たにした丁度その時、アンジェリカの目には飛び来る黒鉄の巨竜の姿が認められた――

「せいっ! はぁっ!」
 時間は少し巻き戻り、ドラゴンテイマーと交戦するリカ。次々と飛び来るダイウルゴスの群れへと腕を振るえば、螺旋を描く手裏剣が放たれ、竜の身体へと次々突き立ち。濃密な呪詛で以てその身を腐り落とさせる。
「大したものだ。だが」
 そんなリカの大立ち回りを前としても、ドラゴンテイマーは平然と。鋭い踏み込みから紅剣を振るい、リカへ襲い掛かる。
「くっ……!」
 飛び退くリカだが僅かに遅く、その胸元を紅剣の切先が僅かに掠めて鮮血が滲み出る。
(やっぱり、強い)
 傷は浅い、気にせずとも問題は無い。然し、流石に一人で抑えるにはなかなかに難い敵。既に幾度か有効打は与えたものの、リカ自身もその身へ幾つもの傷を穿たれている。深手と言えるものが無いのが救いか。
「さて。私はこのまま、戯れ続けていても構わないが――」
 呼吸を整えんとしたリカに対し、ドラゴンテイマーは徐に語りだす。今度は何を、と訝しむ間もあればこそ。ちら、と視線を逸らした敵のそれを、思わず目で追えば。
「―――!!」
 愕然とするリカ。ドラゴンテイマーが呼び出したダイウルゴスの数体が、アンジェリカの在る方へ向かっている――!
「後方を任せた仲間の事まで、捨てておいても――」
 アンジェリカを狙うことでリカへの更なる揺さぶりをかけんとばかり、問いかけようとするドラゴンテイマー――だが。
「え?」
「――何?」
 直後、ダイウルゴス群の方で大爆発。リカも、そしてドラゴンテイマーも戸惑い気味に其方を見れば。
「リカ、お待たせしました。|決戦配備《ポジション》クラッシャー、配備完了ですわよ」
 微笑むアンジェリカの姿、そして立ち並ぶ砲台群。まさに|決戦配備《ポジション》の疑似再現と言うべき兵器群が、其処には揃えられていた。
 驚愕から安堵へ。表情を和らげるリカの身の負傷が、あっという間に消えてゆく。
「わたくしが来たからには、無理は禁物ですわよ」
 リカの身の時間を巻き戻すことで負傷を消したアンジェリカは、忠告めいて告げ。その間にも、砲台群は更に砲撃を重ね、今度はドラゴンテイマー目掛けて砲火を降り注がせてゆく。
「ありがとう……! 大丈夫、今なら決められる!」
 力強く頷き応えると共にリカは走りだす。足元に生じた螺旋の渦を蹴って高く跳躍すれば、前方に砲火を逃れて八の翼で飛翔せんとするドラゴンテイマーの姿。
「そっちこそ、他に気を取られてる場合じゃなかったね!」
「……読まれていたか」
 両腕を掲げる。頭上で雲が螺旋を描き、中心に眩い光の渦が形成される。其はまさに雷じみて――
「これが――僕の、全力だよ!!」
 リカが腕を振り下ろすと同時。光が一気に地上目掛けて撃ち放たれ。その途上のドラゴンテイマーの身をも呑み込み、焼き焦がしてゆく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アネット・レインフォール
▼静
状況が複雑化しているな
火災…先の戦いで時間凍結を見せたのは失策だったか
体力の消耗は兎も角、一度戦場で見せた技がそう何度も通じるとは思えない

…だが、手はある筈だ

これまでテイマーとは幾度か対峙してきた
何か情報を聞き出せればいいんだが…

▼動
隊員達は結界術で天井や壁に障壁・崩落を受流す事で退避を支援
霽刀を手に瓦礫等を範囲攻撃で敵へ吹飛す事も検討を

剣戟の最中、雑談がてら次の狙いや世界等を聞いてみるか
意識を逸らす目的なので返答は期待していないが

UCの大多数は黒竜にぶつけて囮や時間稼ぎに利用
残りの分身は全て本体に狙いを定め
フェイントを織り交ぜながら早業による居合を叩き込む

目には目を、群れには群れを――だ


御魂・神治
どうせ劣勢になったらスタコラサッサやと思うけどな、このグリモアクレクレ
今回はお帰り願おか、出てきたらその都度殴ったる
天将『彼が求めているグリモアは次元が異なるモノとの疑惑が』
だから何処情報やそれ、怖

圧倒的物量で攻めてくるタイプっぽいな
天将、武神起動せえ!
自律稼働モード(式神使い)で隊員を保護・誘導して【破魔】の力で強化した【結界術】で守り固めろ
ついでに【情報収集】で相手の行動パターンとか攻撃予想立ててや

物量には物量をぶつけるんや
武神で守り続けている時間が長引く程ごっついもん出るんやで
結界破ろうとキツい一撃放ってくるやろうな、引っかかったな阿呆が!
『浅間大神』によるカウンター【爆撃】をお返しや


ファルコ・アロー
やりゃあがったですね、てめー!
でもこれでてめーの浅い底が見えたですよ、陰湿な小細工しやがって!
強えードラゴンまとめてるってーなら真正面から戦えってんです!
まぁ集団で攻めてるこっちが言う事じゃねーですけど……どっちにしても攻め辛いのは確かです、まずは気配感知と瞬間記憶で怪我人の位置を探っておくです。
あのおっさんの相手する前に、推力移動しながら怪力とフルパワーで瓦礫撤去するですよ。
怪我人でも逃げやすくして、燃えるものをある程度纏めるのが目的です。
おっさんに攻撃されたら動けないくらい重傷の人は他の猟兵や隊員に任せて、ボクはそっちに対処するです。
相打ち覚悟、グラップルで敵を掴んで振り回してやるですよ!



「……状況が複雑化しているな」
 駆け付けた先、破壊されたDIVIDE基地を見回しアネット・レインフォール(剣の異邦人・f01254)は眉根を寄せる。巻き起こる火災、対処に追われるDIVIDEの隊員達。
(……先の戦いで時間凍結を見せたのは失策だったか)
 切り札を切る順番を間違えたかもしれない、と。唸りながらアネットは少し離れた場所、別の猟兵達と交戦する破壊の犯人を睨み据える。一度この戦場で見せた技である、という事実は体力の消耗以上に深刻だ。まして敵は、あの技の原典を知っている存在。
(だが、手はある筈だ)
 後悔している暇があれば次善を探る。その意志のもとに視線を付近の建物へ。炎によってかなり脆くなっているその建物は今にも倒壊しそうだが、DIVIDE隊員達曰く、中には逃げ遅れた仲間が複数居るらしい。なれば救助完了までは持たせねば。
「ならば、こうしてみよう」
 其を受け、アネットが手を翳せば。建物の壁面や天井、特に脆くなっている部分に結界が展開されて補強効果を齎す。これならばもう暫くは持たせられるか。
「よっしゃ、今の内に救助しよか」
「あのおっさんの相手する前にみんな助けるですよ!」
 当面の倒壊危機は去った。アネットと共に御魂・神治(|除霊師《ドケチ宮司(仮)》・f28925)とファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)もまた、建物内へと足を踏み入れてゆく。崩れそうな部位には適宜アネットが結界での補強をかけるが、それでも長く持たせられるわけではない。迅速に救助を進めねば。
「生命反応はこの階と上二階……それより上にはねーですね」
 レプリカントたるファルコが生体反応を探ることで逃げ遅れた隊員達の位置を把握、更に邪魔な瓦礫を手早く撤去することで経路を確保。救出活動の効率化を図る。
「それにしても、全く陰湿な小細工をするオッサンですね!」
 合間に思わず漏れる毒。一般人を盾にするような姑息な策には、ファルコも一層の怒りを心中に燃やす。
「せやな。ほんで、どうせ劣勢になったらスタコラサッサやと思うで、あのグリモアクレクレ」
 予測される敵の立ち回りを鑑みて、肩を竦める神治。まあ出てきたらその都度殴ったる、とも言い添えるが。
「グリモア?」
「ワイも話に聞いただけやが、あのオッサン、どうもグリモアが目当てらしいわ」
 かの敵の目的について、どうやら確からしいのは只その一点。そんな会話を交わす二人であったが。
『彼が求めているグリモアは次元が異なるモノとの疑惑が』
 其処へ不意に届く声。神治のサポート役たる人工式神『天将』である。しかし。
「だから何処情報やそれ、怖」
 このサポートAI、一体どこからそんな情報を仕入れているのか。主なのに把握できていない事実と合わせて思わず引いてしまう神治であった。
「―――――」
 一方、アネットは天将の情報を聞いて何やら考え込む仕草を見せる。あの男の求めているであろうグリモアとは、恐らくは――
(何か情報を聞き出せればいいんだが……)
 その推測を確信に変えられるような情報を。幾度かドラゴンテイマーと交戦してきたが、次こそは何か情報を手に入れたい、と。
  そんな各々の思いと共に。救助活動を一通り終えた猟兵達は、そのまま此度の襲撃の犯人を討つべく走り出した。

「やりゃあがったですねてめー!!」
 ドラゴンテイマーの姿を認めるや否や、ファルコは怒りのままに敵を目掛けてブースタ突撃。炎の軌跡を背後に残しながら、あっという間に肉薄を遂げ、殴りかかってゆく。
「何度来ようと、その企みは全て打ち砕くだけだ」
 愛刀たる霽刀を構え、アネットもまたドラゴンテイマーへと斬りかかる。ドラゴンテイマーの側も赤き剣の右腕にて防ぎ止め応じる。
 霽刀を振るい、紅き剣を振るわれ。熾烈な剣戟戦は、いつしか両者の鍔迫り合いとなり。アネットとドラゴンテイマーは互いに押し合う。
「こんな遠い世界まで態々ご苦労なことだ」
 押し込む膂力をうまく誤魔化し逃がしながら、アネットが話しかける。ドラゴンテイマーからの返答は無いが、元より意識を逸らす為の会話。返答など期待していない。
「此処にお前の求める物は無い。観念して別の世界へ尻尾を巻いて逃げるのだな」
 其は挑発であると同時、一種にカマ掛けに近い。まともに質問してもまともに答えが返ってくるとは思えない。ならばこのような手段を以て――
「それ程までに、この世界での活動が都合悪いと見える。ならば、未だこの世界を諦めるには早いな」
 ドラゴンテイマーはそれもまた受け流し。どうやらこの敵から直接情報を得ることは厳しいと見える。
「まずは、お前達には退いて貰うとしよう」
 アネットの刀を押し返すや、ドラゴンテイマーは紅剣を振りかざす。その切っ先より更に上、舞い降りる無数の竜――ダイウルゴスの群れが、猟兵達を目掛け襲い掛かってくる……!
「ちぃ、圧倒的物量で攻めて来るタイプやったか……」
 その数は正しく圧倒的。神治は唸ると共に、傍らに浮遊する天将に呼びかける。
「天将、武神起動せえ! 結界で守り固めて、奴さんの行動パターンとか攻撃予想立ててや!」
『承知しました』
 応えて天将はその身に強化外骨格を纏い、己の周囲広範囲へ結界を展開。防壁じみた結界を幾つか立てて、敵群の攻勢を防ぎ止めにかかる。
「こんだけ強えードラゴン纏めてんなら真正面から戦えってんですー!」
 苛立たしげに吼えながら、ファルコは迫り来るダイウルゴスを殴り飛ばし、機関砲の斉射で撃ち砕いたりと暴れ回る。それでも押し返せぬとなれば、天将が展開した結界へと逃れ凌ぐ。
「私はお前達のような蛮勇を誇れる身ではないのでな」
 なれどドラゴンテイマーはあくまで平然と。現れ出るダイウルゴス群の数は、未だ衰えることを知らず。
「このまま、押し潰れてしまうがいい」
 ダイウルゴスの物量で以て、猟兵達を押し潰しにかかる。展開された結界をも踏み砕き、ダイウルゴス群が尚も迫らんとした、その時。
「お断りや。ほんで、よう此処まで攻め続けてくれたなぁ」
 神治の不敵な声音。次いで構えられたる符。其を周囲へとばら撒くように投げれば、あっという間にそれらの数が増殖し――直後、爆発。
 今しがた繰り出したのは、符を爆発的な勢いで増殖させての広域大規模破壊。戦場の全てを爆発に呑み込み、吹き飛ばさんばかりの超広範囲。まさに切り札というべき大規模破壊だ。
「ぐ……っ、随分と派手にやってくれるな。だが」
 其はドラゴンテイマーをも巻き込み、その身へ少なからず傷を齎すが。未だ余裕ありそうな彼、上空に展開されていたダイウルゴス群をけしかけんとする。
「悪いが、此処までだ」
 だがその機先を征さんとばかり、無数の斬撃が彼らを襲う。強烈なる電荷を纏う超光速の斬撃群は、立ちはだかるダイウルゴス群をも悉く斬り刻んで、ドラゴンテイマーにも無数の刃を襲い掛からせる。
「絶技、雷刃千仭戟。目には目を、群れには群れを――だ」
 まさに其を実践せんばかりの刃の大群。大量に在った筈のダイウルゴス群は全滅し、ドラゴンテイマーにも浅からぬ傷を齎して。
「休んでる暇はねーですよ!」
 その隙を突かんとばかり、ファルコが突撃。ドラゴンテイマーへ肉薄し格闘戦を仕掛けようとする。
「休みたくもなる。この程度、凌ぐにはあまりに容易い」
 なれど竜使いは速やかに反応。紅剣で以て刺突を繰り出せば、其はファルコの脇腹を捉え。フィルムスーツごと肉が裂け、鮮血が噴き出す――が。
「ぐ……っ、そーですか。なら」
「!」
 だがファルコは止まらぬ。己の脇腹を裂いた紅剣を抱えるように掴む。ドラゴンテイマーの文字通り右腕たる其を掴むとは、即ち彼自身を捉えると同義。其を悟り、ドラゴンテイマーの顔が引き攣った。
「このまま、思いっきりぶん回してやるですよ!」
 怪力の限り、全身の筋力を駆使して、紅剣を――其と繋がった竜使いを振り回し、地面に叩きつけ。更なる衝撃と其に伴う傷を、その身へ刻み込んでゆく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・『祭器』召喚継続
・アド/絡◎

■行動
守りながらの交戦は、普通のことですので?

『FAS』により飛行、『FKS』による思考加速も併せて『FPS』の探査で戦場を把握、『FLS』の空間歪曲障壁を展開しまして。
【垩畃】を発動し『祭器』全てを超強化、情報を元に『FMS』のバリアと『FES』の対炎結界で安全な脱出経路を形成しますねぇ。
経路上に『FQS』の治癒結界を重ね、負傷者の治療を行えばより確実に退避出来るでしょうかぁ。

テイマーさんの【キャリバー】は右腕の命中が条件、探査で腕の動きを集中的に把握し、時機を合わせて『FIS』により、右腕で狙い辛い『敵方左後方』へと転移回避すれば対処可能でしょう。
そして『炎』が爆弾によるものなら、それ自体は彼の支配下に無く、間違いなく『戦場内の時空間に接触した武器』ですぅ。
戦場内の『炎』と『空間』を支配下に置き操作、空間を裂くことでテイマーさんの回避可能な範囲を制限し、防御・避難に使用する物を除く攻撃機能を持つ全『祭器』共々、一斉攻撃による飽和攻撃を行いますねぇ。



 戦闘は進み、ドラゴンテイマーの身には多くの傷が刻まれ、DIVIDE基地の隊員達の避難や救助も進む。なれども。
「状況を解決するに彼らはあまりに無力。其に手を貸さず、私と戦うということか」
 負傷を意に介していないかの如く淡々と語るドラゴンテイマー。その物言いは皮肉めいた色を帯びる。敵を滅ぼす為なら今を生きる者達の命も意に介さぬのが猟兵か、と言わんばかり。
「守りながらの交戦は、普通のことですので?」
 なれども、対峙する夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は動じない。彼女の言の通り、救うべき者を背に負っての戦闘など、歴戦の猟兵たる彼女は幾度となく経験しているのだ。
 既に得物たる祭器群は展開済み。オーラの翼がるこるの身を中空へと浮かばせ、水晶柱型の祭器が戦場のあらゆる情報を詳らかに探査する。呪符型祭器によって形成される空間歪曲障壁で守りも抜かりなし。
 更に尚も救助が続く基地施設の方面には、探査にて得られた情報に合わせバリアや対炎結界、更には治癒結界までが敷かれ、負傷者の応急治療から救助活動、避難活動に至るまでを手厚く補助する。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その統督の理をここに」
 其処へユーベルコードを発動し、祭器の性能を大幅に底上げすれば、その支援効果もより高まって。これならば、後は直接干渉せずとも隊員達の力で避難が叶うだろう。
「それでは、お相手致しますぅ」
 展開した攻撃祭器から、熱線や炸裂弾、戦輪や重力弾――多様なる砲撃爆撃、斬撃を次々と繰り出す。飛翔によって射角をつけた攻撃により、流れ弾で基地に更なる被害が生ずるを防ぎながら。
「物量を恃みにした飽和攻撃のつもりか。単純極まりない」
 其を前としてもドラゴンテイマーは落ち着き払った様子で。るこるの戦法を辛辣に評しつつ、背の八翼を広げて飛翔。雨霰と降り注ぐ攻撃を躱しながら高度を上げ、るこるの射撃から角度を奪いにかかる。その動きは、流れ弾が基地施設へ向かうことを企図するかの如し。
 尤も、るこるとしても敵のその動きは想定の内。敵がある程度の高度へ至ったところで、逆に下降を開始。地上からの対空攻撃へと移行せんとする。
「予想通りの動きだ」
 なれどもるこるが地上に降りる動きは、どうやらドラゴンテイマーの想定の内だったらしい。地上に着地した彼女を狙い、竜使いは一気に急降下。右腕に備わる紅剣を以て、彼女の身を貫かんとして――
「!」
 紅剣の切先がるこるの身を捉える、そう見えたまさにその瞬間。るこるの姿が消えた。一瞬にして、跡形もなく。
「其方か――ッ!?」
 素早く振り向く。るこるの姿は、男の左後ろ上方にあった。ならばこのまま身を捻り、勢いを乗せた突きを撃ち込む――そんな男の目算は、直後に生じた異変によって即座に瓦解させられる。
 周辺で燃えていた炎が、一斉にドラゴンテイマー目掛けて集束、殺到。逃げ場を奪わんばかりに包み込み、飲み込まんとしてくる。
「捉えましたよぉ」
 其は紛いなきるこるの為した業。先に発動せしユーベルコードのもう一つの効果、戦場内の時空間に接する己が武器と見なしたもの全てを一時的に祭器化し自在に操作する力。
 祭器強化効果でより火力を増した炎が壁となって、竜使いを包囲する。唯一の逃げ道たる頭上は、るこるに抑えられている。
「……………!!」
 祭器群一斉砲撃、同時に炎の渦が完全に閉じ。猛烈なる火力が、ドラゴンテイマーの身へと激しく叩きつけられた。

成功 🔵​🔵​🔴​

カタリナ・エスペランサ
つまらない策だね
手加減してほしいなら頭を下げて頼めばいいものを

死者が出てないだけ上等
《ハッキング+天候操作》豪雨で炎の熱を和らげるよ
響かせる《歌唱》は味方に《鼓舞+ドーピング》の加護を
敵には《誘惑+催眠術》幻惑を与える《高速詠唱》代わりさ
【解演】→【神狩りし簒奪者】、黒炎・白雷・影鎖の三重《属性攻撃》は
《目立たない+封印術+武器に魔法を纏う+応用力》でダガーに仕込む
時間は掛かるけれど丁度良い

装備[驕傲]の《情報収集+念動力》力場は敵の動きも要救助者も見逃さない
《戦闘知識+第六感》併せ《心眼》で《見切り》戦場全体の動向を先読み
《空中戦》機動力と《結界術》や[第六神権]・《早業+怪力》の手数活用、
《受け流し》や《カウンター》で敵の攻撃に対処
《かばう+護衛+救助活動》で隊員達を逃がすよ

歌唱支援と避難誘導に専念してるよう見せるところまでが《演技》印象操作
好機を逃さずオーバーロードで瞬発力を更に跳ね上げダガーで《暗殺》
一度に《封印を解く》は体内から炸裂し心身を縛る三重権能、敵UCも纏めて封殺しよう


エミリィ・ジゼル
おのれドラゴンテイマー…街を焼いて人々の安寧を奪い、帝竜戦役では議長の癖に議会をブッチし、5年間も姿を見せず、かと思えば全裸の女性とばかりお近づきになってる…!
そんな奴を許すわけにはいかねえ…絶対にとっちめてやる!

シェイプ・オブ・ウォーターでソーダ水の雨を降らせ、街を包む炎を鎮火。
そして、深海と同じ環境と化した戦場を|真の姿《かじできないさんズ》とともに【水中機動】と【高速泳法】を駆使して突き進み、竜属性特攻を有した幻想殺しのフライパンでドラゴンテイマーをぶん殴ります。

【集団戦術】という名の数の【暴力】でどんな相手も強引にねじ伏せる
我々ケルベロスの戦い方を変態トカゲ野郎に思い知らせてやる!


オリヴィア・ローゼンタール
これだけの力を持ちながら卑劣な真似を……!

ヘラクレスの巨躯では人間大の敵と相性が悪い、コックピットから飛び降りて下乗
地に着いた時には白き和服――雪女の姿に変身している

舞い踊れば氷の嵐がが吹き荒れる――【氷嵐神楽】!
極寒の冷気が迸り、炎の海を凍てつかせ(凍結攻撃)、人々が逃げる道を作る
指向性を持った吹雪を起こし(天候操作)、大型ダイウルゴスの翼を凍結させて墜落
吹き荒れる嵐を追い風に、超加速した【ダッシュ】でドラゴンテイマーまで一気に距離を詰める
四肢に漲るは万象凍結の霊威(凍結攻撃・覇気)
爆発的に増大したスピードと反応速度による、【怪力】の拳打と蹴撃を叩き込む!



「――成程」
 黒衣の上からでも分かる程に深く傷ついた様子のドラゴンテイマー。なれどもその佇まいや声音はあくまでも淡々としたもの。追い詰められているという焦燥感は皆無。まるで、この戦況さえも己の想定の内であるかのように。
「流石に五年も経てば、猟兵達も力をつけてくるか」
 何処か納得したように呟く。かつてであれば先手のユーベルコードにて問答無用に退けることも可能だったが、今の彼らに其は叶わぬ。
「だが、まあ良い」
 それもまた些事でしかない、とでも言うかのように。地響き轟かせ向かいくる巨大な影へと緩やかに向き直る。己を仕留めんと襲い来たる猟兵達、其を乗せたる鋼の巨英雄へと。
『――これだけの力を持ちながら、卑劣な真似を……!』
 その機体、スーパーロボット『ヘラクレス』から響くは、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)の怒りに震える声。彼女達から見て、ドラゴンテイマーの立つ位置はDIVIDE基地の中枢、司令部がある建物――尚も炎上中の其を背にする位置。基地内に残る人々を助けたくば、己を倒すか己に隙を晒せと言わんばかりの立ち位置。
 己ら猟兵と単騎で互角以上に渡り合える力を持ちながら、基地の人々を人質に取るような行いを為す竜使いの在り方。オリヴィアとしては尚更に怒りが募る様子。
「……つまらない策だね」
 一方、ヘラクレスの右肩に立つカタリナ・エスペランサ(閃風の舞手・f21100)は呆れたように溜息をついてみせる。呆れの理由は、オリヴィアの怒りの理由と同じく。
「手加減して欲しいなら、頭を下げて頼めばいいものを」
 冷たい視線と共に言い放つ。其を受ける黒衣の男は、然し眉一つ動かさず一言とて語らず。
「おのれドラゴンテイマー……!」
 其処に、ヘラクレスの左肩から唸るような声。エミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)が鋭く睨み据えるような視線をドラゴンテイマーへと向けていた。かの男の卑劣なる行為に、彼女もまた怒りに震えているのだろうか。
「街を焼いて人々の安寧を奪い、帝竜戦役では議長の癖に議会をブッチし、五年間も姿を見せず、かと思えば全裸の女性とばかりお近づきになってる……!」
「いや最初以外何なのさ」
 だが続けて飛び出してきた言葉は何だか妙なベクトルを向いていた。思わず突っ込みを入れるカタリナ。全裸の女性云々はダイウルゴス戦で共闘していた時にも言っていたが。
「そんな奴を許すわけにはいかねえ……絶対にとっちめてやる!」
 然し突っ込みには構わず言い切ったエミリィ、ヘラクレスの肩を蹴り跳躍。地上へ降りてドラゴンテイマーと至近で対峙せんとする。
「まあ、許さないのは同意だね」
 其処には納得を示しつつカタリナも同じく跳躍、地上のエミリィと並び立つ。
「ええ、この場にて打ち倒してみせましょう!」
 ヘラクレスのコクピットを開けてオリヴィアも応え、其処から飛び出し地上へと下りる。ヘラクレスは強大にして巨大なスーパーロボットだが、その巨躯故に人間大の相手とは戦い難い。故にオリヴィアは生身での戦闘を選択したのだ。
 そして地へと降り立てば、パイロットスーツを纏っていたその身はいつの間にか白い和服姿へと変じていた。其は雪女をイメージした装い。この状況にて行使せんとするユーベルコードに合わせたものだ。
「私を倒すか。構わんが――」
 身構える三人を眼前として、ドラゴンテイマーは然し尚も平然とした様子を崩さず。冷ややかとも見える視線を巡らせる。
「さて、その間に逃げ遅れた者達が耐えられるだろうか」
 即ち救うべき人々の命が天秤に乗っていることの指摘。以て猟兵達の動揺を誘おうというのだろうが。
「やかましいわ全裸おっぱいマニア! そんなのは織り込み済みよ!」
「死者が出てないだけ上等さ」
「貴様を倒した上で、皆を救う! 当然の事だ!」
 エミリィは鋭く切り返し、カタリナは微笑と共に言い切り、オリヴィアは力強く言い放つ。そして、それが単なる意志の発露に限らぬことを、直後に証立ててみせる。
 片手を上げるはエミリィとカタリナ。其に応えるかの如く、自然のものと同じ雨と、ソーダ水の雨――二種類の雨が降りしきり、DIVIDE基地を燃やす炎を鎮火してゆく。
 其処へ更にオリヴィアが神楽舞にも似た舞を踊ることで、一帯の気温は一気に下降。降りしきる雨が雪へと変わり、燃え盛っていた炎が凍り付き。高熱やら煙といった火災の影響が一挙に衰えてゆく。
「………」
 これでは猟兵達を足止めできても目的は果たせそうもない。無感動ながらに不快げに眉根を寄せるドラゴンテイマーだが。
「~~~♪」
 カタリナは更に歌い始める。味方に鼓舞を、敵に混乱を与えんとする歌を。
「――何のつもりかは分からんが」
 その歌の意味をドラゴンテイマーはどうやら知り得ない。故に戦場で歌い出すという行いの意味をも測りかねているようだが。
「全て打ち砕き、瓦礫と灰燼に変えてくれよう」
 言い放つと同時、その背後には本物と比しても遜色無い程に巨大な疑似ダイウルゴスが現れ。周囲の瓦礫も次々と小さなダイウルゴスと化せば、猟兵達を目掛け次々襲い掛かってゆく。
「甘い! 全て凍り付くがいい!」
 踊り続けるオリヴィアが吼えるが早いか。戦場に吹き荒ぶは猛烈なる吹雪。なれど其は猟兵達の在る位置からドラゴンテイマーの在る位置へ向けた指向性を持つ代物。故にドラゴンテイマーとダイウルゴス達にこそ、その冷気は効果を発揮する。巨大ダイウルゴスは動きを徐々に鈍らせ、小型ダイウルゴス群の中には墜落するものも。
「今です! カモン、かじできないさんズ!」
 其を見て取り、エミリィが駆け出す。その後にエミリィが続き、エミリィが後を追って共に走りだす。
 何ともややこしい状況だが事実である。事実として、エミリィはその数を実際に増やしているからだ。これもまた埒外たる猟兵の真の姿のひとつである。
「ふっとべー!!」
 邪魔する小ダイウルゴスに対しては、その手のフライパンを振るってその身を打ち据える。そのフライパンはただの武器ではない、竜に対してこそより威力を発揮する幻想殺しのフライパンだ。
 ダイウルゴス達もエミリィ達に反撃するが、その動きはぎこちない。カタリナの歌が幻惑の効果を齎し、エミリィの在る位置を正しく認識できていない。その状態ではエミリィ達に対抗できる筈もなく、吹雪でのダメージもあって次々と打ち倒されてゆく。
「行くぞ、ドラゴンテイマー!」
 そうして道が開いた処で、オリヴィアも駆け出す。吹雪を起こす風を追い風としたことで、その速度は尋常ならざる域へと至り。瞬く間にドラゴンテイマーへの肉薄を果たす。
「邪魔をしないでもらおうか」
 うんざりしたような声音で応えるドラゴンテイマー、右腕に接続された真紅の剣を振るい反撃する。オリヴィアはその刃の軌道を潜り、一気に肉薄。掌打を繰り出し、竜使いの腹を力強く打つ!
「ぐっ……! く、この感じは!」
 呻くドラゴンテイマー。その一撃のダメージは掌打そのものに留まらぬ。オリヴィアが纏う万象凍結の霊威が齎す冷気もまた、竜使いへの確かなダメージとなる。
 飛び退きオリヴィアから距離を取らんとするドラゴンテイマー、彼を庇うかの如く横合いから小ダイウルゴスが飛び込んでくる。オリヴィアの蹴りとエミリィ達のフライパンにて打ち倒すが、敵とは再び距離が開く。
「逃がさん……!」
 ならば追い詰め、打ち倒すのみ。消滅してゆくダイウルゴスを跳び越え、ドラゴンテイマーを尚も負う。
 そんなオリヴィアと、其に続くエミリィ達とを相手取るドラゴンテイマーだが、彼は気付かぬ。カタリナの姿が、その場から消えていることに。

(要救助者が多いのはあっちか)
 カタリナの姿は、火災の鎮火した基地施設内に。展開した力場による情報収集力が、要救助者の位置を確と彼女に伝える。
 後は持ち前の機動力を生かして現場へ急行、逃げ遅れた者達を助け出すだけだ。崩れた瓦礫も崩れかけの通路も、強化した膂力や破損を補う結界術によって労せず突破が叶う。
「見つけた。皆、大丈夫かな?」
「あ……あなたは、猟兵……?」
 そうして反応があった位置へと至れば、固まって火災を耐え凌いでいたと思しき基地の隊員達を発見。相応に衰弱したり、負傷している者も多いが、深刻な状態の者はどうやら居ないようだ。良かった、とカタリナも安堵を漏らす。
「察しの通りアタシは猟兵だよ。さ、早く脱出しよう」
 全員の状態を手早く確かめ、脱出に支障無しと判ずれば。早速此処を出よう、と先導を開始する。

「――しつこいものだ」
 凍気を纏うオリヴィアの蹴りを紅剣で受け流し、ドラゴンテイマーはそのまま距離を取る。合間に大ダイウルゴスが足を振るい、エミリィ達の追撃を牽制する。
「往生際が悪いですよ裸おっぱいマイスター!」
 少しずつダメージは与えているが、攻め切れない。どうにもしぶとい、とエミリィは抗議めいた声を上げつつ考える。その発言内容はさておき。
(――私の消耗を狙っているとでも?)
 オリヴィアは心中で唸る。彼女に雪女めいた力を与えるユーベルコードは、その力の代償として彼女の命数を削る。長期戦となればその影響も少しずつ出て来るだろう。
(だが、強引に攻め切れる敵ではない)
 元より強大なオブリビオン、更に背後の巨大ダイウルゴスも翼を凍らせ墜落はさせたが、その巨体そのものが未だに脅威として残っている。ドラゴンテイマーを深追いすれば、あの爪やブレスにやられかねない。
 状況そのものは此方が有利だが、長引けば覆される可能性もある。攻め切るには、如何したものか――
「「―――!」」
 だが、其処で二人は気付く。その場に威容を晒していた巨大ダイウルゴスが、突如としてその姿を薄れさせ、消え去ったことに。
「悪いね、待たせた」
 其を果たした者の声が響く。カタリナだ。その声は、ドラゴンテイマーの背後から。彼に対し奇襲を仕掛け、見事にこれを決めてみせたのである。
「……読み違えていたというのか」
 ドラゴンテイマーの口から、苦悶混じりの呟きが漏れる。その身は影の縛鎖に縛られ、黒き炎に燃やされ、胸からは白き雷の槍が突き出ていた。
 其を為したのはカタリナの行使していたユーベルコードの力。竜使いの背に突き立てた愛用のダガーから解放された其は、三種の権能の全てを命中させることでユーベルコードをも封じ得る代物なのだ。
 何より、カタリナが此処まで歌による支援と救助活動に専念していたことが、ドラゴンテイマーの判断を誤らせていた。彼女は積極的に己へ向けて仕掛けて来ることは無い、と。
「まさに。まんまと騙されてくれた、って訳だ」
 冷ややかに告げるカタリナは、視線でオリヴィアとエミリィ達に告げる。今だ、と。応え、二人が動くのと、カタリナが離れるのは全くの同時。
「これが!」「我々ケルベロスの!」「戦い方だ!」「変態トカゲ野郎め!!」
 エミリィ達が口々に叫びながら、ドラゴンテイマーを囲んでフライパンで叩く。竜特性特攻付きのフライパンは、この竜使いに対しても十全な威力を発揮する。或いはこの状況を避けるのが、この男の行動の第一義だったのかもしれない。
 何にせよ、集団戦術という名の数の暴力に持ち込めれば、今のエミリィは本領を存分に発揮できる。フライパンで思うさま打ち据え続け、ドラゴンテイマーの身に打撃を与え続ければ。
「これで、終わりだ……!」
 全力のスピードで以て、オリヴィアが一気に駆け迫る。まともに動けぬ今の敵ならば、この一撃も充分に当て得る。その判断のもと、振りかぶった腕に、万象を凍結せしめる霊威を纏って。
「悪しき竜使いよ――砕け散れ!!」
 エミリィ達が飛び退くのと入れ替わりに、叩き込まれたその拳は、ドラゴンテイマーの胸を捉え。同時に注がれたる凍気が其処を凍らせ、そして全身に凍結を広げさせてゆく。
「――今回は、此処までか」
 敗北を悟ったらしいドラゴンテイマー。だが、その声音は、まるでそれすら些事と言わんばかりに他人事じみて。
「まあ良い……まだ、次はある――」
 其は、己が未だ滅びることなど無いという確信を帯びて。呟いたその直後、凍結が全身へと至り。そのまま砕け散り、消え去ってゆくのであった。



 以て、猟兵達は決戦都市へ襲いきたダイウルゴス、メデューサ、ドラゴンテイマーの全てを撃破。
 なれど、恐らくはその全てが未だ健在。真なる決着をつけられるは、果たしていつのこととなるだろうか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年06月28日


挿絵イラスト