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【戦後】伯林に天使はいたか?

#獣人戦線 #戦後 #幻朧帝国 #【Q】 #ヨーロッパ戦線 #カラス

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●兵共が夢の跡
 戦争は終わった。猟兵たちの活躍の結果、被害は最小限に抑えられヨーロッパは順調に復興へ歩みだそうとしていた。だが、そう上手くいかない街があった。
 ベルリン。『ゾルダートグラート』の首都であり、最強の機動都市要塞だった街。ベルリンの街は猟兵とゾルダートグラードの全面衝突の結果廃墟と化した。そして終戦後、どこからともなく流れてきた元兵士や孤児など行き場を失くした人々が住み着きはじめた。
 だが、その新参者を快く思わない者もいた。それはゾルダートグラートの残党である。彼らは『幼女総統ギガンティック』亡き後ゾルダートグラート再興を目指し、欧州各地で暗躍しているのだった。そんな彼らにとって、ベルリンは精神的支柱とも言える重要な場所であった。

 どこからかカアカアと声が聞こえる。ベルリンの片隅、ティーアガルテン地区に住み着き始めたのはその多くがカラス獣人であった。彼らが修復した建物は翼や羽の意匠が随所に施されており、いつの頃からかここは『翼の街』と呼ばれるようになった。
 廃墟の中から商店や酒場、集合住宅が再建され、カラスたちが我が物顔で闊歩する。その中を隠れるように、季節外れのコートを身に纏った小柄な獣人が路地裏を駆けていった。

●鋼鉄と桜の二重スパイ
「ユー達、獣人戦線のベルリンへ飛んでいただけないでしょうか?」
 ビノキオ・サンセット(ネズミと黄昏の道化師・f41578)が簡潔に用件を伝える。
「『獣人世界大戦』後、ベルリンに行き場を失くした獣人たちが住み着き始め、独自に街づくりを始めました。しかしゾルダートグラートの残党がそれを快く思わず、彼らに攻撃を加えようというのです。」
 グリモアが地図を映し出す。
「今回、連中はカラス獣人が多く住むティーアガルテン地区に狙いをつけ、ここの中心部に破壊工作を行おうとしています。そして厄介なことに、この作戦を担当するエージェントが幻朧帝国との二重スパイなのです。」
 『二重スパイ』という言葉に困惑する猟兵たち。それを意に介さず、ピノキオは説明を続ける。
「エージェントが獣人階梯2のレッサーパンダであることまではグリモアの予知にて判明しています。彼は幻朧帝国から入手した『逢魔弾道弾』を使い、ティーアガルテン地区をオブリビオン溢れる『逢魔が辻』へ作り替えるつもりなのです。」
 映像が切り替わる。
「エージェントの出現地点は特定できていますので、待ち伏せするのが良いでしょう。周囲には酒場や屋台など、ちょっとした歓楽街がありますので、そこで時間を潰しながら現地住民の協力を仰ぐのです。彼らの中には元兵士が大勢いますし、武器を隠し持っている者もいます。」
 ピノキオがグリモアを起動する。
「そういえば、まだカラスの猟兵は確認されていません。しかしカラスを狙う何らかの動きが各地で確認されています。警戒するに越したことはありません。皆様、対処のほどよろしくお願いします。」


武炎鉄
 こんにちは、武炎鉄です。32作目は獣人戦線です。『戦後のベルリンはどうなったのか』と『乗るしかない、カラスのビッグウェーブに!』が混ざった結果こうなりました。

●第1章は街を散策して一時の憩いを楽しみながら、カラス獣人たちに協力を仰ぎます。
●選択肢は一例ですので、こだわらずご自由にどうぞ。
●第2章は幻朧帝国のエージェント『ジャイアントパンダ『レッサー』』との戦闘です。詳しくは断章にて。
●その他連絡事項はタグでお知らせします。
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第1章 日常 『ひと時の憩い』

POW   :    美味いものをがっつり食べよう!

SPD   :    戦いを忘れてゲームの腕を競おう!

WIZ   :    酒! 飲まずにはいられない!!

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●二重スパイの愛国心
「ここはボクたちの国だ。」
 生まれ持った愛らしさで中和されているが、忌々し気な顔をしたエージェント『レッサー』が路地裏からカラスたちを睨んでいた。
 二重スパイである彼は表向き幻朧帝国へ忠誠を誓っていたがその実、彼の心はゾルダートグラートへの愛国心で溢れていた。だからこそ、祖国を壊滅へと追いやり『総統』を倒し、首都を壊滅させた猟兵への復讐に燃えていた。
――レッサーは知らない。幻朧帝国は彼が二重スパイであると看過していることを。それ故の捨て駒として『逢魔弾道弾』を渡したことを。
ソニア・コーンフィールド
二重スパイ…なんか思うとこありそうな?
とにかくヤバい作戦はちゃんと阻止しなきゃね!
…それはそれとして翼の街ってどんななのかな?
カラスの羽色だと地味そうだけど楽しみ!

現地では屋台巡りメインに楽しむね!
建物の意匠的に装飾品や武器等にも羽や翼の意匠があったり?
なんとなーく無骨な感じのデザイン多そうだけど…それはそれでカッコよさそう!
酒場も興味あるけどまだ早い…!
カフェとかならいい感じにこの世界のベルリンの空気感とか楽しめるかな?
できればおしゃべり好きそうなカラスのひとに話しかけ、旅の猟兵と伝えてこの地区のオススメの場所とか教えて貰いたいかも!
上手く色々話して仲良くなれたらなー。

※アドリブ絡み等お任せ



●ベルリンの昼下がり
 カラスたちが行きかう雑踏の中を、ソニア・コーンフィールド(西へ東へ・f40904)は周囲を見渡しながら歩いていた。
「ここは初めて来たけど、結構賑わっているね。」
 だが、弾痕や焦げ跡の残る建物がまだそこかしこに残っている。それがこのベルリンがかつて『獣人世界大戦』における激戦地の一つであったことを嫌でも思い出させるのだった。

 ソニアは屋台が立ち並ぶ一角へと足を運んだ。屋台の中で特に多いのが、現地の言葉で『ヴルスト』と呼ばれるソーセージを出す屋台だ。当然肉ではなく、植物で再現された|糧食《レーション》である。
 昼下がりのこの時間帯は、復興作業に従事している肉体労働者が客の多くを占めている。彼らに人気なのが、焼いたヴルストにカレー粉とケチャップで作られたソースをかけた『カリーヴルスト』だ。ソニアも興味深く1本購入してみる。
「うわぁ!美味しそう!」
 ヴルストの焼けた香りとカレーソースの香りが食欲を刺激する。添えられた小さなパンにヴルストを挟んで口に運ぶと、忠実に再現された弾ける皮と肉汁が口の中に広がる。
「お嬢ちゃん、おまけだよ。」
 屋台の店主である恰幅のいい中年女性が、一掴み分のフライドポテトをソニアの皿に乗せた。
「ありがとう!」
「お嬢ちゃん、良かったな!」
 ソニアの後ろから、数名のカラスが声を掛けてきた。服装からするに、彼らも工事現場で働いているのだろう。
「そうだ、おじさん達最近この辺でレッサーパンダを見なかった?」
 早速本題に入るソニア。すると、一人が声を上げた。
「あれじゃないか?ほら昨日の夕方、現場に勝手に入ろうとしたヤツ。」
「知っているの!?」
「俺らはあっちの集合住宅で工事やってんだけど、昨日の夕方、作業が終わって現場を見回りしてたら、柵の隙間から現場の中に入ろうとしてたヤツがいたんだ。暗くて毛色は分からなかったけど、体毛がふわふわで、尻尾も長い方だったから条件には一致すると思うぜ?」
 彼らが働く工事現場は地区の中心部にほど近い。『逢魔弾道弾』を設置するならピッタリの場所だ。
「もしそのレッサーパンダを探しているなら、カフェで話を聞いてみるといい。カフェはベルリンでも最先端の情報が集まる場所だからな。」

 ソニアはカラスの労働者に教えられたカフェへと足を運んだ。翼の意匠が施されたドアをくぐると、くすんだ白い壁と使い込まれた、どこか統一感を欠いた調度品、そして壮年の店主が彼女を出迎えた。
「いらっしゃいませ。いかがなさいますか?」
 店主がすっとメニュー表を差し出す。遠くからは常連と思しき客の話し声がBGM代わりに聞こえる。
(あれ、コーヒーが2種類ある?)
 メニュー表には値段に差がある2種類のコーヒーが記載されていた。ソニアはとりあえず安い方のコーヒーを注文した。
「ご注文のコーヒーです。」
 ソニアの前にコーヒーが置かれた。だが、どうにも香りがソニアの知るコーヒーと少し違う。一口飲むと、麦茶のような、少し土っぽい味がした。
「タンポポの根で作られたコーヒーの代用品です。本物のコーヒー豆は高いですからね。」
 店主の言葉に、ソニアはベルリンの経済状態を察するより他なかった。

 代用コーヒーを飲みほしたソニアは、怪しいレッサーパンダを見なかったか店内の客に聞いてみた。
「3日前に『ゲルマニア記念塔』の近くでそれらしいのを見た。」
「私も見たわ。」
 客の多くが『ゲルマニア記念塔』と呼ばれる場所の周辺でレッサーパンダを見たと証言した。そして、それはグリモアの予知で特定されたエージェントの出現場所と一致していた。

「みんな、驚かないで聞いて欲しいんだけど」
 ソニアは自分が猟兵であること、この街にゾルダートグラートの残党が攻撃を仕掛けてくること、そしてゾルダートグラートの残党を倒すために皆の協力が必要であることを語った。
「猟兵の頼みならやるしかない!」
「私はこう見えても前線でワルシャワ条約機構軍とやり合ってましてね、腕には自信がありますよ。」
「うちに隠していた機関銃の出番か。」
 皆が席を立ち、各々戦闘準備を始める。この店の常連は皆、元兵士なのだ。そして店主もまた、レジスタンスの現場指揮官として戦っていた人物である。
「ゾルダートグラートと幻朧帝国の二重スパイ、ですか。」
「そのエージェントにとっても思うところはありそうだよね。」
「幻朧帝国からすれば、作戦がどう転んでも得する立場ですからね。」
「まさか、邪魔になったスパイを猟兵に始末させるってこと!?」
「その『まさか』ですよ。」
 ソニアは天井を見上げた。幻朧帝国の策に乗るしか、ベルリンを守る手立ては無いのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミーガン・クイン(サポート)
 はぁい♪
サキュバスの魔女、ミーガン・クインよ。

 私のユーベルコードの拡大魔法や縮小魔法、
アイテムの巨大化薬や縮小薬で色んなものを大きくしたり小さくしたり。
きっと楽しいことが出来るわね♪

 ミュールフォンは無口で無表情だけど従順で私を守ってくれる、
剣と盾で戦う天使ちゃん。
戦闘面はこの子にお任せ♪
巨大化で蹂躙しちゃいましょう♡

 サポートに不思議な魔法の力はいかがかしらぁ?
私のことを好きに使ってみてね♡



●ここが彼らの新しき|故郷《ホーム》
 穏やかな昼下がり、大きな公園の一角をミーガン・クイン(規格外の魔女・f36759)が歩いていた。もちろんただの散歩ではない。小型の天使『ミュールフォン』を公園内に放ち、エージェントにつながる情報を探させつつ、自らも手掛かりを探しているのだ。
 ミーガンの前方に、乳母車に子供を乗せた母親たちが世間話している姿が見えた。怪しまれないようにしつつ声を掛ける。
「こんにちわ、今日はいい天気ね。」
 母親たちは一瞬にして警戒した様子を見せる。だがそのような反応もミーガンは織り込み済みだ。旅行者を装い、彼女たちから話を聞きだそうというのだ。
「実は私、ヨーロッパを旅していてベルリンには今日着いたばかりなの。皆さんのおすすめスポットとか教えてくれたら嬉しいなって♪」
 なるほど旅行者か。母親たちの警戒感が薄れる。
「おすすめ、と聞かれてもねぇ。」
「今のベルリンなんて工事現場位しか見るのもが無いわよ。」
 口々に語りだす母親たち。その中の一人が『ゲルマニア記念塔』の話を始めた。
「確かゾルダートグラードの偉い人……『ギガンティック』と同じ身長の塔だって聞いたわ。」
 かの幼女総統と同じ高さの塔とはいかほどばかりか。もしかしたらベルリン全土から見えるかもしれない。
(縮小しごたえがありそうね)
 内心、完全に趣味に走った感想を擁きながらそれを億尾にも出さないミーガンであった。

 乳母車の赤ん坊が目を覚ました。ピイピイと鳴いて母親を呼ぶ。
「ごめんなさいね。」
 誰に聞かせるともなく呟きながら、赤ん坊を抱きかかえる母親。
 この街を新しく故郷とする者たちの為にも、ゾルダートグラードだろうが幻朧帝国だろうが、破壊工作を阻止しなくては。
「お話ありがとう。それじゃ、ご縁があったらまた♪」
 手を振り、その場から離れるミーガン。向かうは『ゲルマニア記念塔』だ。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『ジャイアントパンダ『レッサー』』

POW   :    いっぱいたべておおきくなぁれ
【ごはんをいっぱい食べて更に身体】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
SPD   :    ふまれたらどうなる? しらんのか。さいあくしぬ。
【ぽてぽて移動する巨大な身体】が命中した敵を一定確率で即死させる。即死率は、負傷や射程等で自身が不利な状況にある程上昇する。
WIZ   :    ササくってるばあいじゃねえ!
【笹食ってる場合じゃねえ!という気持ち】を纏いレベル×100km/hで疾走する。疾走中は攻撃力・回避力・受けるダメージが4倍になる。

イラスト:みろまる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は御柱・神です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●『ゲルマニア記念塔』
 それはベルリンに高く聳える異質の塔。元々は『幼女総統ギガンティック』を称えるべく作られていたという曰く付きである。そんな『ゲルマニア記念塔』だが、現在は訪れる人もなくひっそりと静まり返っていた。
「閣下、ボクたちが至らないばかりに……。」
 墓標のような塔を見上げ、悲しげに呟くエージェント『レッサー』。だが次の瞬間、彼は思いもよらぬものを目にする。――カラスの群れが空を、塔を埋め尽くしていた。猟兵たちが情報を流した結果、ベルリン全土からカラス獣人たちが集まってきたのだ。
「『逢魔弾道弾』はどこですか?」
 武装したカフェの店主がレッサーに問うた。
「お前たちなんかに教えるもんか!それっ!」
 レッサーの身体がユーベルコードの光に包まれたと同時に、巨大化が始まった。
「がおー!お前たちなんかに負けないぞ!」
ソニア・コーンフィールド
珈琲で一息つけて見つけられたし、後はこのまま倒すだけだね!
無限軌道都市からいい感じに復興してるこの都市守るためにガンバロー!
…凄くでっかくなってるけどサイズ差で勝負決まる訳じゃないよね!

カラス獣人と共闘、ぽてぽて移動だけどうっかり触れたら即死しちゃうかもだし距離取るよう注意しとくね!
やっぱり空中からの銃撃とか得意なんだろうけど火力…というより毛皮分厚過ぎじゃない?
ここはUC起動して火炎放射器な感じのガジェット召喚、胴体に火炎放射!
その毛を焼いて薄くしたら銃弾とかでダメージ届き易くなるんじゃないかなって。
皆このベルリン守りたいって思ってるし、どんな想い抱いてても譲れないよ!

※アドリブ絡み等お任せ



●ベルリンは誰のものか
「…凄くでっかくなってるけどサイズ差で勝負決まる訳じゃないよね!」
 ソニアが己を、そして周囲を奮い立たせるように叫んだ。
「猟兵はあの|巨大幼女《ギガンティック》に勝ったって聞いたぞ!」
「だったらこっちにもチャンスの一つはあるはずだ!」
 周りのカラス獣人たちが口々に叫ぶ。彼らは一度故郷を失った。だからこそ新しい故郷まで失うわけにはいかないのだ。それ故なのか皆、驚くほど士気は高い。
「ベルリンを守るためにガンバロー!」
「おー!」

 誰かが持ち込んだ機関銃の音が開戦の合図だった。
「オレたちのベルリンを守るぞ!」
 銃剣を手にした若いカラス獣人がレッサーに向かって飛ぶ。
「お前たちのベルリンじゃない!ベルリンはボクらゾルダートグラードのものだ!」
 怒りの声を上げながら、レッサーが空飛ぶカラスに向かって爪を衝き立てるように手を振り下ろす。カラスは寸でのところで爪を回避し、銃剣の一撃を与えようとするも、レッサーの毛先を少し斬り落とすにとどまった。

 ぽてぽてと歩きながら、ベルリンの中心部へ向かうレッサー。それは集合住宅の工事現場に隠した『逢魔弾道弾』から猟兵たちを遠ざけるための囮作戦だ。
「あの踏み付けは強力ですね、踏まれた日にはパンツァーキャバリアでもひとたまりもない。」
 ソニアの隣にいたカフェの店主が冷静に分析する。
「みんな、レッサーから距離を取って!遠距離から攻撃しよう!」
 ソニアの呼びかけに距離を取り、銃撃戦へと切り替えるカラスたち。記念塔に潜んでいたスナイパー数名が狙撃を試みる。だが、彼らの銃弾はレッサーの分厚い毛皮に阻まれ、皮膚にすら届かない。
「あの毛皮どうなってんだよ!」
「こっちはデアボリカライフルまで投入したんだよ!?」
「駄目だ、重機関銃でも決定打にならない。」
 スナイパーたちに動揺が走る。
「まずはあの毛皮をどうにかしないと……そうだ!」
 ソニアの手にしているドラゴンガジェットがユーベルコードの光に包まれる。
「ドラゴンガジェット、火炎放射器仕様だよ!」
 レッサーに向けて引き金を引くと、勢いよく炎が放たれる。
「あちっ!」
 確かに効き目はあるようで、レッサーの毛皮が焦げだした。だが皮膚を曝け出させるまでにはまだ足りない。
「何か油でもあればいいのでしょうが、そう簡単には……。」
 このベルリンにおいて、油というものは工業用であれ食用であれ、それなりの値段で取引される貴重品だ。この状況で油が手に入るわけなどない。カフェの店主が言うのも最もである。しかし、状況は意外な形で打破されることになった。
「油かい?少しでいいならウチの店のを使いな!」
 あの屋台の女店主が揚げ油の入った鍋を持ってきたのだ。
「しかし、それではフライドポテトが……!」
「いいんだよ、油代は後で猟兵さんに払ってもらうさ。それっ!」
 女店主がレッサーに向かって勢いよく油をぶちまける。ソニアはそれを見逃さず、油の付着した毛皮に向け火炎放射を放った。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
 先程以上に毛皮が燃え広がる。そしてレッサーの表皮が現れたところに、スナイパーたちが間髪入れず銃弾を撃ち込んだ。

「お、おのれぇ!」
 怒りに震えるレッサー。戦いはまだ始まったばかりだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シン・クレスケンス(サポート)
◆人物像
落ち着いた雰囲気を持つ穏やかな青年。
窮地でも動じず冷静な状況判断で切り抜ける。

◆戦闘
射撃(愛用は詠唱銃だが、様々な銃器を使い分けている)と魔術による広範囲攻撃が主。
魔力の操作に長け、射撃の腕も確か。
作戦次第では、闇色の武器を召喚(UC【異界の剣の召喚】)して前衛を務めることもある。

◆特技
・情報収集
・機械の扱いにも魔術知識にも精通している

◆UDC『ツキ』
闇色の狼の姿をしており、魂や魔力の匂いを嗅ぎ分けての追跡や索敵が得意。
戦闘は鋭い牙や爪で敵を引き裂き、喰らう。

◆口調
・シン→ステータス参照
(※使役は呼び捨て)
・ツキ→俺/お前、呼び捨て
だぜ、だろ、じゃないか?等男性的な話し方



●逢魔弾道弾とふしぎないきもの
 猟兵とカラス獣人たちがレッサーと戦っていたその頃、集合住宅の工事現場には作業員たちとシン・クレスケンス(真理を探求する眼・f09866)の姿があった。
「この工事現場のどこかに『逢魔弾道弾』が隠されているという話でしたね。」
「ああ、ベルリン一帯を吹っ飛ばすヤバい爆弾だと聞いている。」
 現場監督を務めるカラス獣人が答える。どこで話が捻じ曲がったのかは定かではないが『逢魔弾道弾』が『ヤバい爆弾』であることに変わりはない。速く見つけ出し、無効化しなければならないのだ。
「集合住宅の設計図と計画書だ。使ってくれ。」
 現場監督がシンに書類を差し出した。ざっと眺めたところ、建設現場そのものが結構広い。『逢魔弾道弾』がどのような形状であるかは不明だが、探すのに人手が必要であることは容易に想像できた。
「皆さんも捜索を手伝っていただけないでしょうか?」
「勿論だ!」
「その為に俺たちは来たんだ!」
 シンの協力依頼に頼もしく応える作業員たち。だが、それでも数が足りない。
「『ツキ』と『ノクス』、それから君達も手伝ってほしい。」
 シンの呼びかけに応じ、闇色の毛並みを持つ狼の姿をしたUDC怪物『ツキ』と梟の姿をした精霊『ノクス』、そしてシンの新しい力――3匹のバトモンが現れた。
「レオ!レオ!」
 シンの足元に擦り寄るのは、とかげりゅうバトモンの『レオパン』。
「モノ~?」
 周囲を興味深げに見渡しているのは、エンサイクロペディアバトモンの『モノシリス』。
「……ヤタ。」
 カラス+呪術バトモンの『ヤタバード』はカラス獣人たちをじっと見つめている。同族か遠い親戚だと思っているのだろうか。
「皆さん『逢魔弾道弾』らしき物を見つけたらすぐ僕を呼んでください。処理はこちらで行います。」

 暫くして、作業員たちと行動を共にしていたレオパンがシンの所へ戻ってきた。
「レオ!」
 どうやら『逢魔弾道弾』らしき物を発見したようだ。レオパンは付いてこいと言わんばかりに前を歩く。そして1棟の建設途中の集合住宅へと辿り着いた。中に入ると、作業員たちが慌ただしく動いていた。
「来てくれたか。これが『逢魔弾道弾』ってヤツか?」
 開封された木箱の中に、金属で作られた円筒状の物体が置かれていた。周囲にはコードがいくつも巻き付けられ、さながら根が出てきた種子のようだ。
「置いた記憶の無い木箱があったから、開けてみたらこの通りだ。」
 作業員の話を聞いてなるほどと納得したシン。であれば、念のため解体して無力化する必要があるだろう。
「ここをキャンプ地としよう。」
 ユーベルコードの力により、半径165m圏内をキャンプ地としたシン。これならば万が一爆発した場合でも被害は最小限に食い止められる。皆が固唾を呑んで見守る中、器用に一つ一つの仕掛けを解除していく。そして数十分後、シンは『逢魔弾道弾』の無力化に成功した。
 沸き立つ作業員とレオパン。だがそこにモノシリスとヤタバードが飛び込んできた。どうやら彼らも『逢魔弾道弾』を発見したらしい。
「敵もさるもの、といったところですか。いいでしょう。」
 工具箱を手に、シンは再び爆弾解除へ向かうのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

キノ・コバルトリュフ
キノキノ、火力が足りないんだって?
だったら、焼き舞茸はいかが?

キノ!バルくんどんどん焼いていくよ!!
トリュフ!バルくん、いい焼き加減だね。
キノも奉納の舞いを頑張っちゃうよ!
マツタケ!!おいしく焼けたかな?



●キノコはドイツ語でピルツ
「キノキノ、火力が足りないんだって?」
 物陰からひょっこりと現れたキノ・コバルトリュフ(キノコつむりの星霊術士・f39074)に、地上から砲撃を放っていたカラス獣人が声を掛けた。
「援軍か?ちょうどいい、手を貸してくれ!」
 キノが二つ返事で了承すると、砲手が簡単に戦況と作戦を説明してくれた。
「あのデカブツはモフモフの毛皮に覆われていて、こちらの攻撃が通らねぇ。だから先のあの毛皮を焼いて皮膚を出す。毛皮を無力化したらその場所を狙って攻撃だ。」
 炎の扱いならばキノにもいくらかの心得がある。
「だったら、焼き舞茸はいかが?」
「いいねぇ、ビールがあればもっといい。」

 くるくると回り、奉納の舞を踊りだすキノ。呼応するように、彼女の足元から創世記の炎の渦が現れ、レッサーの元へと向かう。レッサーもまた自身を焼き尽くそうとする炎に気付き、出元であるキノを倒すべく動き出した。
「ササくってるばあいじゃねえ!」
 奉納の舞に専念し、無防備なキノを守るように星霊が現れる。
「キノ!バルくんどんどん焼いていくよ!!」
 黒猫のような姿をした星霊、バルカンの『バルくん』がレッサーの鼻を爪で引っ掻いた。ダメージこそ大したことはないが、レッサーが一瞬怯んだ動きを見せた。その隙を突き、炎の渦がレッサーを包む。
「あついよぉ!!」
「トリュフ!バルくん、いい焼き加減だね。キノも奉納の舞いを頑張っちゃうよ!」
 奉納の舞を踊るキノにも力が入る。呼応するように炎の渦も勢いを増す。
「このっ!」
 キノを踏みつぶそうとするレッサー。しかし、この場にいる敵は猟兵のみにあらず。
「今だ、撃て!」
 カラス獣人たちによる一斉砲撃がレッサーに襲い掛かる。本来攻撃を防ぐはずのモフモフの毛皮は先程の炎の渦が焼き尽くした。砲弾がダイレクトに皮膚へと突き刺さる。レッサーが言語にならない悲鳴を上げた。

「マツタケ!!おいしく焼けたかな?」
「レッサーパンダの丸焼き、いい感じだぜ?」
 キノのそばで、砲手がニヤリと笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネッド・アロナックス(サポート)
めずらしい そざいはある?
なければ じょうほうを しいれて かえろうかな!
(※セリフはひらがな+カタカナ+空白で話します)

探し物や調べ物は楽しくて得意だよ
"くらげほうき"や"ゆきソリ"で空を飛んだり泳いだりしてヒトや物も運ぶよ

戦闘はサポートに回ることが多いかな
手強い敵は基本隠れながら隙を作って逃げる!
"クリーピングコイン"で物をひっかけて飛ばしたり
"しろくじら"の歌で余所見をさせたりね

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し多少の怪我は厭わず積極的に行動します
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
また例え依頼の成功のためでも公序良俗に反する行動はしません
あとはおまかせ
よろしくおねがいします!


水心子・真峰(サポート)
水心子真峰、推参
さて、真剣勝負といこうか

太刀のヤドリガミだ
本体は佩いているが抜刀することはない
戦うときは錬成カミヤドリの一振りか
脇差静柄(抜かない/鞘が超硬質)や茶室刀を使うぞ

正面きっての勝負が好みだが、試合ではないからな
乱舞させた複製刀で撹乱、目や足を斬り付け隙ができたところを死角から貫く、束にしたものを周囲で高速回転させ近付いてきた者から殴りつける
相手の頭上や後ろに密かに回り込ませた複製刀で奇襲、残像で目眩まし背後から斬る、なんて手を使う
まあ最後は大体直接斬るがな

それと外来語が苦手だ
氏名や猟兵用語以外は大体平仮名表記になってしまうらしい
なうでやんぐな最近の文化も勉強中だ



●海と太刀の同盟
「ここに めずらしい そざいはある?」
 パンデミック・マシンの準備をしていたカラス獣人たちに、ネッド・アロナックス(ガムゴム人の冒険商人・f41694)が声を掛けた。
「残念だけど、あなたが求めているものは無さそうね。」
 若い女性が少し残念そうな声色で返答した。
「ベルリンは今、どこもかしこも資源不足ですし。」
 神経質そうな男が言葉を続ける。急激な人口増加と建設ラッシュの続くベルリンでは、供給が追い付かないことによる資源の不足と価格高騰が問題となっていた。
「ところで、これは何だ?」
 ネッドの隣にいた水心子・真峰(ヤドリガミの剣豪・f05970)が、女性の肩に付いていた茶色い毛の束を拾い上げた。その毛の束にネッドが興味を示す。
「こんなの はじめて みたよ。」
「もしかしたら、そこのレッサーの毛かもしれませんね。」
「これ ゆずってくれる?」
「そんなもので良ければいくらでも。」

 レッサーがどこからか取り出したヴルストを頬張る。と、その身体が『ゲルマニア記念塔』を追い越さんばかりに更に巨大化していく。
「慌てないで、的が大きくなったと考えましょう。」
 カフェの店主が冷静になるよう、周囲に声を掛ける。元々レジスタンスで指揮官をしていた店主は、無用な動揺が戦場においていかに危機を招くか知っているのだ。
 その言葉通り、砲手や狙撃手の攻撃が次から次へとレッサーの火傷した皮膚に命中する。しかし――。
「かゆいなぁ。」
 無慈悲な一言と共に、尻尾の一振りでなぎ払われるカラス獣人たち。巨大化した分、攻撃力が強化されたのだろう。そして、巨大化した前足が『ゲルマニア記念塔』に潜む狙撃手たちに襲い掛かろうとしたその時だった。
「いまだよ!」
 ネッドのユーベルコードの力が込められたパンデミック・マシンが起動した。パンデミック・マシンから噴き出す霧がレッサーの頭上で雲となり、ソーダ水の雨を降らせる。
「この雨はいったい……?」
 雨に打たれるレッサーだったが、異変はすぐに起きた。
「し、染みるよぉ!痛いよぉ!」
 ソーダ水は海水へと転じ、レッサーの火傷に染み込む。ヴルストよりも笹を喰っている場合ではない。
「隙あり!」
 痛みに動けなくなるレッサーに、『水心子静柄』を手にした真峰が躍るように斬りかかる。咄嗟に回避しようとするレッサーだったが、深海の重圧が上からレッサーを押さえつけるようにのしかかった。
「これにて、御免!」
 『水心子静柄』の一閃が、レッサーの身体を縦半分の真っ二つに切断した。

●鋼鉄と桜の同盟
 それから数日後。ゾルダートグラード領内某所にて、高官が部下から報告を受けていた。高官はその服装から、ゾルダートグラードの軍人であると思われる。
「ベルリンに派遣した『レッサー』がやられたか。」
「猟兵及び現地住民の激しい抵抗にあったようです。いかがなさいましょう?」
「『同盟』締結のいい手土産になると思ったんだがな。まぁいい。ベルリンは後回しにして、他の計画を先に進めろ。」
 部下が出て行った後の部屋で、高官はひとり呟く。
「総統閣下がおられた間は棚上げされていた『桜鋼同盟』計画。だが、今の我々にはこれに縋るしかないのだ……。」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2025年07月14日


挿絵イラスト