駆け抜ける勇士達(番外編1)
「・・・さて、準備はそろそろ整ったか」
キョウは立ち寄った浮島で必要物資を買い揃え、送迎してくれる予定の飛空艇の出発準備に備えていた。この地域は先の戦争『アルカディア争奪戦』の後も、オブリビオン達の襲撃がたびたび発生しているらしい。戦争により、この世界のオブリビオン達の勢力図は大きく変化した。今までは鳴りを潜めていた屍人帝国が自国の勢力圏を伸ばそうと必死になっているのかもしれない。
飛空艇出発までの時間を潰す為、キョウは浮島をぶらぶらと散策する。そんな中で病院の前へと差し掛かったころ、キョウは事件へと遭遇する事になる。慌てた様子で病院へと駆け込んで行く一人の男性。逼迫した状況なのだろう、男性の物と思われる怒鳴り声がキョウの元まで届いた。
「誰でもいい、動ける奴を迎撃に出してくれ!オブリビオンの一団が、この浮島を目指して進軍して来ているぞ!」
どうやら、この浮島へオブリビオンが襲撃してくるようだ。その動きを偶然察知した男が迎撃戦力をかき集める為、病院へも顔を出したのだろう。病院へ駆け込み戦力を募る・・・、その状況だけでも現状では迎撃戦力が足りていない事は明白であろう。
「こちらも治療者が多く、手が足りていないのです。治療さえ済めば、すぐにでも動ける方も結構居そうなのですが・・・。一部の医療器具が港に停泊中の飛空艇に積載されたままなのです。それらもあれば・・・」
受付嬢の方も、急ぎ治療に来ている勇士達の症状を確認してくれているようだ。そこへキョウが声を掛ける。
「ならば、俺がその医療器具の搬送を手伝おう」
キョウ自身には医療の心得はないから、そういう方面でなら力になれるかもしれない。今は、少しでも迎撃に出られる勇士達を増やす事が先決だ。キョウは医療器具の受領に必要な書類を受け取ると、飛空艇の待機する港へと駆け出して行った。
●
「皆様、『獣人世界大戦』お疲れさまでした。今回はブルーアルカディアで事件が発生しましたので、そちらの対応へ向かっていただきたく思います」
炎武・瑠美(天然系お嬢様…らしき者・f31245)が状況説明に入る。とある浮島へオブリビオンの一団が進軍中とのことだ。その浮島には病院があり、負傷した勇士達が多数治療に立ち寄っているという。現状は動ける勇士の数が圧倒的に足りていないらしく、オブリビオン達を撃退するのはかなり厳しい状態らしい。だが、負傷した勇士達の治療さえ済めば、かなりの戦力増加となる見込みだ。
「負傷した勇士の皆様が戦線復帰出来れば、オブリビオン達の一団への対処もかなり楽になるはずです。そうなれば、皆様はオブリビオン達を率いるボスの『グリフォンナイト』への対処に専念していただけると思います」
なるほど、勇士達の治療が済めば取り巻き達は彼らに任せて、自分達はボス戦へ専念出来るというわけか。
「現地には、先の戦争の際に猟兵の皆様と一緒する事もあった『キョウ』様もいらっしゃるようです。連携を取れればボスとの戦いもより楽になると思われます」
キョウという勇士は先の戦争の際に共に戦う事もあった封神武侠界の人族の末裔の男だ。直剣を手に速度重視の戦い方をする剣士だが、戦争の中で経験を積み自力での飛行手段の取得などもしているらしい。彼もボス戦へ参戦するらしいから、うまく連携を取れると心強い戦力となってくれるだろう。
「では、皆様を現地へと送ります。負傷した勇士の皆さんへの対応、ボスの討伐、よろしくお願いいたします」
瑠美は急ぎ、猟兵達を転送する準備に取り掛かるのであった。
黄昏空
MSの|黄昏空《たそがれ・そら》です。今回はブルーアルカディアの戦後シナリオをお届けします。浮島へ迫るオブリビオンの一団、それを撃退するために対処します。第一章では、浮島の病院で治療中の勇士達へ対処してもらいます。彼らの治療が回復したら、第二章でオブリビオンの迎撃に加わってくれます。
第二章はグリフォンナイトとのボス戦。ボス以外のオブリビオンは、治療の済んだ勇士達が対処してくれます。皆さんはボスのみに専念していただければ問題ありません。
このシナリオには『アルカディア争奪戦』に登場したNPCのキョウが参戦します。第一章で偶然浮島へ滞在中に事件に遭遇。本人は負傷しておりませんので病院での対応にも顔を出します。その後ボス戦には皆さんと一緒に戦いに参加する形となります。
●プレイングボーナス:キョウと連携し、ボスへ対処する(第二章のみ)
以下、NPCの説明を記載します。
●登場NPC:キョウ(封神武侠界の人族の末裔。26歳の男性。直剣を手に連続攻撃を仕掛ける速度重視型の剣士。技能によって中距離攻撃&範囲攻撃も可能に)
取得技能:【切り込み2】【根性1】【戦闘知識1】【カウンター2】【早業1】【受け流し1】【集団戦術1】【呪詛耐性1】【範囲攻撃1】【衝撃波1】【オーラ防御1】【見切り1】【ダッシュ1】【優しさ1】。
取得UC:【宿星天剣戟】(レベル×5km/hで飛翔しながら、【宿星剣】で「🔵取得数+2回」攻撃する)
プレイング受付はOP公開と共に開始。土日以外はお一人ずつの採用・執筆になるかと思います。よろしくお願いします。
第1章 日常
『病院は大忙し!』
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POW : 医療器具を搬送する!
SPD : 薬剤を調合する!
WIZ : 患者を診察する!
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
ああ、人手不足は大変ですよねぇ。
それでは、何とかしてみましょう。
【涵輔】を発動、獣人戦線基準で『階梯4~5』程度の『様々な獣人の姿』をした『女神の信徒』を多数召喚しますねぇ。
彼女達は共通で、神への祈りによる『治癒能力』を所持しておりますので、多数の怪我人の治療には丁度良いですぅ。
私自身は、怪我を癒してもリハビリ等の兼ね合いですぐに動くのが難しい方への対応に回り、『FTS』のあ空間倉庫や『FFS』のコンコンで『リハビリ器具』を取出し提供、その辺りのフォローをしましょうかぁ。
後は『精神的ショック』への対応として『FXS』による治癒結界も展開、物心両面から治療を行いますねぇ。
「人手不足は大変ですよねぇ。なんとかしてみましょう」
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の見た感じでは人手もそうだが、物資も不足気味に思われる。戦地に近い場所の病院はそれだけ負傷者が運び込まれる可能性が高い。いくら医療器具や薬があってもあっという間に消費されてしまうのだろう。
(今回に限ってしまえば、私のUCや祭器での回復を行っていけば、この場での薬品等の使用を抑える事にも繋がるかもしれませんねぇ)
今回はたまたまるこる達猟兵がこの浮島を訪れる事になったが、この地域で戦闘が今後も発生する事は間違いないだろう。残念ながら、猟兵はその全ての戦闘に関わる事は出来ない…。今回の治療に使用せずに済んだ薬品等は、今後の為の備蓄になるはずだ。
「では、まずは人手不足を解消しますねぇ。【涵輔】を発動しますぅ」
るこるはUCで獣人の姿をした豊穣の女神の使徒達を多数召喚する。
「皆さん、治療の方をよろしくお願いしますぅ。敵が迫っていますので、少しでも多くの人を迅速に治してまいりましょう」
るこるの言葉に頷いた使徒達は怪我人にマンツーマンで、時に欠損部位があるものや重体の者などは複数人が担当し怪我人に治療を施していく。
「お、俺の目が…また見えるようになった!」
「俺は片腕を失って、もう戦う事も出来ないかと思ってたんだが…。これなら、また戦えるぞ!」
病院内は一気に活気づいていく。この状況に病院の看護師も驚きを隠せない。
「沢山の方々が一気に退院出来そうですね!凄いです!」
もしかしたら一部の重体者などは、直ぐに戦線復帰が出来ない者もいるかもしれないが…。それでも使徒達のおかげで、一命を取り留めたばかりか退院する目途まで立つ事だろう。
だが欠損部位が復活した者の中には、長期にわたり負傷していた者もいたのだろう。欠損した状態に体が慣れてしまい、直ぐには元の感覚を取り戻せない者もいるようだ。
「リハビリの必要な方はいらっしゃいますかぁ?こちらでリハビリ器具の準備もありますぅ」
るこるはその辺りの準備もちゃんと行っていた。るこるは祭器の亜空間倉庫やキマイラフューチャーの原理を応用したコンコンにより、リハビリに必要な道具を次々と取り出した。
「使徒の皆さんと一緒にリハビリを行っていただければ、より早く効果的にリハビリを行えると思いますよぉ?」
「それはありがたい!これを借りるぞ!」
るこるからリハビリ器具を受け取った勇士が使徒に付き添われ、リハビリを開始し始める。使徒達の治療能力を受けながらならば、あっという間に戦線復帰まで持っていく事が出来るだろう。
しかし、闘志を漲らせ復帰への一歩を踏み出す者ばかりではなかった。中には傷は癒えても心に深く傷を負っている者もいる。戦いの中でへし折られた心は、体の傷が癒えたとしてもそれだけで立ち直れる物ではない。るこるはそのような者達にも手を差し伸べる。打ちひしがれる者達の周囲に浮かぶ花型の祭器が温かな光を放ち、勇士達を包み込む。
「…この温かな光は…」
暗い表情を浮かべていた者達も徐々に表情が和らいでいく。この調子ならば普段の自分を取り戻してくれる事だろう。
その後も、るこるは使徒達と共に総動員で負傷者の治療に当たるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ファルコ・アロー
広い空で皆自由に飛べる……良いじゃねーですか、まるでボクのためにあるような世界ですよここは!
そんな世界をオブリビオンなんぞにくれてやるのはもったいねーです。
やってやろーじゃねーですか!
とはゆーものの、怪我人の治療なんて消毒とか絆創膏貼るとかくらいしかできねーですし、そこは本職の連中に任せとくですかね。
今ボクの本領を発揮できるのは、医療器具だなんだを運ぶ事です!
人力で運べないようなものでも怪力で動かせるですし、ボクが戦闘機になった所に積んでもらえばびゅーんとひとっ飛びで運べるんじゃねーですかね。
何ならその辺の島を回って、医者でも看護師でも連れてきてやるです!
「広い空で皆自由に飛べる……良いじゃねーですか、まるでボクのためにあるような世界ですよここは!」
「|殲禍炎剣《ホーリー・グレイル》」によって自由に空を飛ぶ事が出来ない|クロムキャバリア《世界》で生まれ育ったファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991) にとって、転送された先に広がる光景は、まさに夢のような世界であった。なにせ『自由に空を飛べる世界への憧れ』こそが生まれた世界を飛び出した理由なのだから、ファルコの空への憧れ度合いも相当なものだ。
そして、この自分の憧れの世界を今もなお蹂躙し続けるオブリビオンの存在はファルコにとって許せる存在ではなかった。
「そんな世界をオブリビオンなんぞにくれてやるのはもったいねーです。やってやろーじゃねーですか!」
意気揚々と行動を開始するファルコであった…が。
(とはゆーものの、怪我人の治療なんて消毒とか絆創膏貼るとかくらいしかできねーです)
レプリカントであるファルコは、仮に負傷したとしても体の一部を換装し直すなどの対応で自身の傷は何とかなってしまう。医療技術などは特に必要性はなかったのだ。
(そこは本職の連中に任せとくですかね。ボクに出来そうな事は…)
ファルコは病院のスタッフに話しかけ、自分も何か力になりたいという旨を伝える。
「それなら、港の方に停泊中の飛空艇から医療器具を運んで来てくれるかしら?ちょうど今、そちらへ向かってくれている勇士の方もいるようですし」
スタッフから事情を聴いたファルコは、自分にも出来る事が見つかり目を輝かせる。
「人力で運べないようなものでも、ボクなら怪力で動かせるです!それにボクが戦闘機になった所に積んでもらえばびゅーんとひとっ飛びで運べるんじゃねーですかね」
幸いにして病院の近くには戦闘機となった状態のファルコでも着陸が可能そうな場所も確認出来た。スタッフの話にあった勇士と協力すれば医療器具をかなり早く運搬が可能なのではないか?
「それは心強いわね。運搬の方、宜しくお願いね」
「任せるです!大船…もとい、戦闘機に乗ったつもりで待っているです!」
ファルコはすぐさま空へと浮かび上がると、飛空艇の止まる港へと急行するのであった。
「医療器具の運搬を手伝いに来たです!ある程度の量があるなら、ボクが戦闘機になった所に積み込んで欲しいです」
港へ到着すると医療器具らしき物を両手に抱える男に遭遇する。恐らく病院で話のあった勇士であろう。すぐさまファルコはUCによって戦闘機の姿へと変身した。
「積み込みはお願いするです。その代わり病院まではひとっ飛びで運搬するです!」
勇士や港にいた者達によって素早く医療器具を乗せたファルコは、言葉通り迅速に医療器具を搬送する事に成功する。
「後は…何ならその辺の島を回って、医者でも看護師でも連れてきてやるです!」
オブリビオンの襲撃してくる方向と逆側の地域ならば、そう時間もかからず安全に行き来出来るだろう。ファルコはその後も時間の許す限り、医療スタッフへの支援へ全力を尽くすのであった。
余談ではあるが、今回のこのファルコの行動は、浮島のある地域一帯での『有事の際は相互支援する』という枠組み作りのきかっけになったという。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『グリフォンナイト』
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POW : グリフォンスパイク
自身の【グリフォン】が捕食した対象のユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、[グリフォン]から何度でも発動できる。
SPD : 鷲獅子の主
【グリフォン】を操縦中、自身と[グリフォン]は地形からの激突ダメージを受けず、攻撃時に敵のあらゆる防護を無視する。
WIZ : ソニックグレイヴ
【グレイヴ】から【衝撃波】を放ち、【全身に走る痺れ】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:シャル
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵達の尽力のおかげで、病院で治療を受けていた勇士達は瞬く間に戦線復帰が可能となった。
「来た!情報にあったオブリビオン達が来たぞ!」
グリフォンナイトをリーダーとするオブリビオンの一団が浮島へと間近に迫ってきていた。戦闘準備を整えた勇士達が次々と港を飛び立ち、オブリビオン達との交戦に入る。
「ザコ共は俺達に任せてくれ!あのグリフォンに乗った奴は任せる!」
勇士達の猛攻により、グリフォンナイトと配下の者達が見事に分断された。
「ふむ…、これだけの迎撃戦力を持っていたとは…想定外だったな。だが…」
グリフォンナイトは相対する猟兵達をギラリと睨みつける。
「お前達は中でも指折りの実力者のようだな。つまり、お前達さえ倒せば後は烏合の衆、各個撃破など容易いというものだ」
猟兵達も武器を構え、戦闘状態へと移行する。
「俺も力を貸すぜ。今の俺なら飛行しながら衝撃波を飛ばしたり接近戦を仕掛けたり、そういった援護は出来るからな」
医療器具を運搬を終えたキョウも、猟兵達の元へと駆け付けた。
他のザコは勇士達に任せておけば問題ない。自分達は目の前のグリフォンナイトとの戦闘へ専念すればいい。こうして、浮島を舞台にした戦闘は開始されたのである。
アラタマ・ミコト
これは好機/危機でございます!
荒魂鎮神命が御業【殲剣陣羽織】で対処いたします。
皆様方は……?
何でそんな物を使っているのかでございますか?
……極楽浄土ではこれも武器なのです!
「ゆにーくあいてむ」と言われるのです!!
「これは好機でございます!」
戦線復帰した勇士達のおかげで、オブリビオンのボスとの戦いに専念出来る。このチャンスを逃さぬ為、アラタマ・ミコト(極楽浄土にて俗世に塗れし即身仏・f42935)は先手必勝でUCを発動させる。巨大な刀と神剣を取り出すと二つの武器へ力を注ぎ込み、念動力にて操作する。
「剣を振るわず遠距離武器として扱うか!」
グリフォンライダーは巧みにグリフォンを操り、飛来する刀と剣の攻撃を回避し続ける。
(相手はなかなかの機動力を持っているようです。もう少し手数が欲しいですね…)
アラタマは周囲を見渡すが、現在戦場は浮島に隣接する雲の上。アラタマは飛行手段を持たないので、浮島の端から念動力での遠距離攻撃を仕掛けているのが現状なのだが…。武器になりそうな物体は…。おや?これは…。
「この浮島の周囲では戦闘が何度も発生しているようですし、その時の残骸でしょうか?」
何かの物体の破片などの残骸が浮島に流れ着いている事に気が付く。
(これも武器としましょう。……極楽浄土ではこれも武器なのです!)
という事らしい。アラタマが武器として使えると思えば、それは武器となるのだ。早速残骸へと力を注ぎ込み、刀と神剣に続くように射出する。
「む?!一気に手数を増やしてきたか!このような物まで武器として扱うとは、なかなかやるではないか」
念動力で操られた「武器」が一気に増えた事で、グリフォンの回避行動もかなり厳しくなってきているようだ。このまま押し切る事が出来るならば…。
「俺もいるのを忘れているぜ!おらっ!」
アラタマの攻撃に便乗するようにキョウも衝撃波を放ち、グリフォンを追い詰めていく。
「なるほど、このままではこちらが不利か…。ならば、まずは一人そちらの戦力を減らすとしよう」
ずっと回避行動に専念していたグリフォンナイトが、ここで反撃に移った。グリフォンが軽快なフットワークで飛来する武器や衝撃波を掻い潜り肉薄した先に居たのは…キョウであった!
「くっ、俺の方をまず先に倒すってわけか!なめるなっ!」
グリフォンライダーと切り結ぶ覚悟のキョウだったが、肉薄する直前にアラタマの武器が飛来しグリフォンの接近をけん制。キョウは辛くもピンチを切り抜けた。
「やはり、お前の方を先に倒さねばならないか!食らいつけグリフォン!」
空中で急ターンし、今度は地上にいるアラタマへと肉薄してきたグリフォン!急ぎ武器を呼び戻しグリフォンの一撃を迎撃する。アラタマに食らいつく事を諦め鉤爪での攻撃に切り替えたグリフォンが、叩きつけるようにアラタマへと強烈な一撃を振り下ろした!十字に交差した刀と神剣により鉤爪の一撃は大幅にダメージ軽減出来たものの、アラタマは一撃喰らってしまった。
しかし、そこでグリフォンに異変が起こる。びくりと体を震わせ硬直してしまったのだ。アラタマのUCはアラタマが装備する将軍鎧に密着した物を武器として操るもの。今、まさにグリフォンは密着状態にあったのだ。必死に抵抗を試みたグリフォンは、その為に硬直状態となったのである。
「好機です!雷雲よ、敵を穿つのです!!」
動きの止まったグリフォンライダーを、神剣が召喚した落雷が打ち据えた!
大成功
🔵🔵🔵
(リプレイ内、『グリフォンナイト』と『グリフォンライダー』と敵の名前が混在している事に気が付きました。正しくは『グリフォンナイト』です。申し訳ありません)
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
此方も、貴方を排除すれば他に回れますからねぇ。
お互い様ということで?
『FAS』により飛行、『FLS』で|全『祭器』《未装備含》を召喚しまして。
『FPS』で探査を行うと共に【匸勹】を発動、全『祭器』を超強化&隠蔽しますねぇ。
私自身は『FLS』の空間歪曲と『FIS』の転移回避で、キョウさんは『FMS』のバリアでガードしても、騎士さんには状況が把握出来ませんし、周囲を覆う様々な『祭器』からの攻撃も知覚不能、キョウさんからの『衝撃波』という動きの見える攻撃が混ざる分、より回避は困難になりますぅ。
グリフォンの『捕食』も当たらなければ無意味、後は各『祭器』の包囲攻撃で叩きますねぇ。
「確かに貴方の意見には同意しますぅ。此方も、貴方を排除すれば他に回れますからねぇ」
「ほぉ、この私に勝つつもりか?」
「最低でも、負けるつもりは全くありませんねぇ」
るこるの戦い方を知る者ならば、納得の話である。分の悪い賭けはしない、確実に手堅く勝てる手札を準備してから戦うのがるこるの戦い方だからだ。
「勝っても負けてもお互い様という事で?」
無論負けるつもりは一ミリもないが。
「では、勝負だ!」
硬直状態から抜け出したグリフォンの背に乗り、グリフォンナイトが襲い掛かって来た!
るこるはまず光の翼を展開し、上空へとあがるとグリフォンナイトの突進をひらりと回避する。敵の攻撃を回避しながら、持ちうる全ての祭器を使用可能な状態へと活性化させていく…。るこるの周囲に多数の祭器がずらりと浮かぶ中、探知系祭器を戦闘エリア内へ展開すると同時にるこるはUCを発動させた。
「【匸勹】を発動しますぅ」
「なっ…消えた…?」
るこるのUCが発動したと同時に、活性化したはずのるこるの祭器達が全て姿を消してしまった。キョウもグリフォンナイトも周囲を見渡すが、るこるの祭器は一切目視出来ない。収納したわけではないようだ。その証拠に今はるこるは光の翼を展開していないように見えるのにもかかわらず、空を飛んでいるのだから。
「くっ、あれだけの武器を隠ぺいしたというのか!?なんという出鱈目なっ!」
周囲を警戒しながらも、その場にいるのは危険と察知したグリフォンナイトは最大速度でるこるへと強襲を仕掛けてくる!その一撃は、初手の攻撃よりも確かに素早いものであったが…。るこるはその突進を短距離転移を行う事で楽々回避する。グリフォンナイトは急ターンし槍で追撃の刺突攻撃を繰り出してくるが、その一撃は見えない障壁に阻まれるこるへは届かない。
「そちらの女が無理ならばっ!」
攻撃の矛先を切り換えたグリフォンナイトが、今度はキョウへと襲い掛かるが…。そちらも見えない何かによって遮られ、キョウにダメージを負わせることが出来ない。
「な、何がどうなってるんだ?」
状況が上手く呑み込めていないキョウにるこるが簡単に説明する。
「キョウさんの方にはバリアを展開しておりますぅ。目視は出来ませんが防御対策はしっかり行っておりますのでぇ、キョウさんは遠慮なく攻撃をしてくださいぃ」
「そういう事か!それならっ!」
事態を把握したキョウは衝撃波を放ちまくる。防御の事は考えなくていいのだ、これでキョウは攻撃だけに専念出来る。
そうこうしているうちに、るこるの祭器達はグリフォンナイトを完全に包囲するように展開されていた。見えない檻に囚われたグリフォンナイトは、ただ見えない攻撃に曝される事になる。
グリフォンナイトにとってより不運であったのは、キョウの衝撃波は目視出来るという事。目視出来るキョウの衝撃波だけを回避出来ても、るこるの放つ見えない攻撃には反応出来ない。これが見えない攻撃だけならば、集中力を研ぎ澄ませば辛うじて対処が可能かもしれないが…。目視の可・不可の攻撃が混在しながら飛来する状態はグリフォンナイトの精神をも疲弊させていく…。
るこるはこうしてグリフォンナイトを確実に消耗させていったのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ファルコ・アロー
しっかり戦場を整えてくれてるですね……やるじゃねーですかやろーども!
こっちも負けてらんねーです!
キョウっての、てめーもしっかり着いてくるですよ!
とゆー事でROCKET DIVE!アクセラレーション!
空中戦で片を付けてやるです!
相手は人が乗ってるようなでけぇ的です、高速で飛んでてもよく見えるですよ!
体当たりが当たらなくたって、近くをボクが飛べば周辺の空気の流れは結構乱れるはずです。
翼で飛んでるのなら、この状況はちょっとキツいんじゃねーですか?
体勢を崩した所を狙いすまして、一発でけーのをカマしてやるです!
二発目はてめーにくれてやるですよ、キョウ!
「しっかり戦場を整えてくれてるですね……。やるじゃねーですかやろーども!」
ちゃんと受けた恩は返す、その勇士達の心意気をファルコは好ましく思った。今度はこちらがその心意気に応える番だろう。
「こっちも負けてらんねーです!ん?てめーはさっきの…。キョウってのは、てめーでしたか 」
よく見てみれば、目の前にいるのは先ほど港で顔を合わせた勇士の男であった。
「空中戦で片を付けてやるです!キョウ、しっかり着いてくるですよ!! ROCKET DIVE!アクセラレーション!」
ロケット噴射で上空へと舞い上がったファルコは、そのまま最大速度でグリフォンナイトへと特攻を仕掛けていく。それを追うようにキョウが続いた。
グリフォンナイトは防戦一方だった状況の間にかなり消耗していたようだが、ファルコ達の接近に瞬時に対応してきた。
「今度の相手は真っ向から突っ込んでくるか!グリフォン、そのまま丸呑みにしてしまえ!」
グリフォンが大きく口を開け、迫るファルコを捕食にしようと待ち構える。だが…。
「そんなおせー動きで、ボクを捉えられるわけねーです!」
グリフォンの口が閉じるよりも、ファルコがその横を通過する方が圧倒的に速かった。
(相手は人が乗ってるようなでけぇ的です、高速で飛んでてもよく見えるですよ!)
高速飛翔の中でもファルコはしっかりと標的の位置や動きを把握していた。瞬時の判断で体当たりを一旦諦め、敵の側面を突っ切る形を取ったのだ。
「くっ、速い!だが、対応出来ないわけでは…なにっ!」
一度目の交錯は互いに不発に終わったかに思われたが、そこでグリフォンナイトに予測不能の事態が発生する。ファルコが横を通過した際に、その空間に乱気流ともいえる空気の乱れが発生したのだ。
その乱気流に翻弄され、グリフォンナイトは騎乗するグリフォンにしがみ付く。乱気流が収まるまではそのまま耐える事しか出来そうにない。
「翼で飛んでいるなら、この状況はかなりキツいんじゃねーですか?」
「貴様、まさかこの状況を狙って?!」
一度目の攻撃で体当たりが成功しても問題なし、万一当たらなくても乱気流を発生させて相手の身動きを封じる事は出来るだろうという算段だった。
「こっちはその隙を突かせてもらうです!」
一発強烈なのをぶちカマすつもりで、ファルコが全武装携帯状態での特攻を仕掛ける。このUCによるダメージは、その使用者の装備重量と速度が大きく影響を与えるのだ!今のこの状態なら爆発的な破壊力をたたき出す事が出来るだろう。
「くっ、まだ気流の乱れが止まらん!な、なんとか回避しろグリフォン!」
ファルコの意図を察し、必死に回避を試みるグリフォンナイトだが…。
「そんなおせー動きじゃ、ボクの体当たりは回避出来ねーです!今度こそ、喰らいやがれです!」
ファルコは最大積載重量×最大速度での体当たりをぶちカマした!その激突エネルギーは膨大で、グリフォンナイトはキリモミするように浮島の端へと叩きつけられた。
「二発目はてめーにくれてやるですよ、キョウ!」
「あぁ、任せろっ!はぁぁぁっ!」
落下速度も乗せたキョウの追撃が、落下したグリフォンナイトに叩き込まれた!
大成功
🔵🔵🔵
キノ・コバルトリュフ
キノキノ、火力が足りないんだって?
だったら、焼き舞茸はいかが?
キノ!バルくんどんどん焼いていくよ!!
トリュフ!バルくん、いい焼き加減だね。
キノも奉納の舞いを頑張っちゃうよ!
マツタケ!!おいしく焼けたかな?
「くっ、やはり俺だけの力では決定打は与えられないか…」
地上へ落下したグリフォンナイトへ追撃の一撃を与えたキョウであったが、その一太刀は相手に致命傷は与えられていない。グリフォンナイトはかなり消耗してきているのは確かが、あと一歩、あと一歩が届かない…。
「キノキノ、火力が足りないんだって?」
そこへ現れたのはキノ・コバルトリュフ(|キノコつむり《🍄🍄🍄🍄🍄》の星霊術士・f39074)であった。キノの独特な口調に若干呆気にとられつつも、キョウは素直に頷く。自分の実力不足を痛感したのだ。
「俺は強くなったと思っていた。あの戦争を猟兵達と共に駆け抜けて…。だが、今回の戦いで『まだまだ上には上がいるんだ』という事を痛感した」
少し項垂れたキョウの顔を覗き込むキノ。
「火力が足りないなら、焼き舞茸はいかが?」
「焼き、舞茸…だと?」
一瞬キノの意図が把握出来ず、キョウは目を丸くするが…。そんな中、グリフォンナイトが復活を果たす。相棒のグリフォン共々満身創痍のようだが、まだ戦うつもりのようだ。
「なかなかにやる。しかし、相手にすべき対象はお前達以外にもいる。お前達との戦いは、そろそろ決着と行こうではないか」
再び舞い上がったグリフォンナイトが槍を構え、必殺の一撃を放とうと力を溜め始める。
「奴も最後の一撃を放ってくるみたいだな…。俺が対抗出来るだろうか…」
「そういう時はキノ達と力を合わせればいいんだよキョウちゃん!バルくん、どんどん焼いていくよ!」
キノの呼びかけに彼女に使い魔のバルくんも協力し、二人(?)でUC発動準備に入った。
「何をするつもりなのか知らないが…。これで終わりだ!喰らうがいい、渾身のソニックグレイヴを!」
グリフォンナイトの最後の一撃なのだろう。キノとキョウを一刀両断しそうな巨大な衝撃波が放たれた!万事休すか?
いや…、それに対抗するようにキノとバルくんが力を合わせて放ったのは高速旋回する炎の渦。UC【神火大嵐舞】だ!
「なにっ!?この私の渾身の一撃を止めた、だと!」
巨大な衝撃波と炎の渦が真っ向からぶつかり合う。巨大な衝撃波と炎の渦は激しい拮抗状態に陥いり…
。そして…ついに…。
「相殺されたというのか…。だが、これでそちらも力は出し尽くした事だろう」
両者の間でひと際大きな炎の柱が立ち上がり…、そして消滅した。炎の渦を維持する為、渾身の奉納の舞を踊っていたキノは既に疲労困憊。『相手側には、もう自分に致命的な一撃を与える手段はない』とグリフォンナイトは高を括ったのだが…。ふと自分の頭上に気配を感じたグリフォンナイトは、本能的に頭上を見上げる。そこには直剣に炎を纏わせたキョウの姿があった。
キノとグリフォンナイトの作り出した高火力の炎を奇跡的に自身の武器へと纏わせる事に成功したキョウは、その高火力を持ってグリフォンナイトを叩ききった!
「ば、馬鹿な…こんな事が…」
炎に巻かれ相棒と共に地上へと落下したグリフォンナイトは…そのまま消し炭となる。
「マツタケ!! キョウちゃん、おいしく焼けたかな?」
「ふっ、ちょっと火力が高すぎたかもしれないな…」
苦笑いしながらもキノのノリに応えるキョウは、どこか心の閊えが取れた様子だった。
猟兵達がグリフォンナイトとの戦いに決着が付いた頃、周囲で繰り広げられていたオブリビオン対勇士達の戦いも終盤となっていた。ボスが討伐され、一気に戦意の下がったオブリビオンの群れは全く間に撃破されていく…。そして…。
「俺達の勝利だ!」
「おぉぉぉっ!」
怪我が回復し戦線復帰した勇士達の数はかなりのものであり、襲撃してきたオブリビオン達の数を上回っていた。それゆえに大勝を得る事が出来たのだ。
そして、無事に戦いを終えた勇士達はそれぞれの日常へと戻っていく。今回の戦場となった浮島を拠点としていた勇士もそれなりに居たが、大半は偶然立ち寄った部類の者達が多かった模様。彼らが猟兵達へのお礼の言葉を口々にした後、浮島を発っていく。
「俺もそろそろ出発みたいだ。今回は助かった」
キョウもそろそろ乗船する予定の飛空艇の準備が終わったようだ。猟兵達に一礼した後、飛空艇へと乗船していった。
またこの世界に関わる事があれば、キョウや今回は顔を合わせなかった勇士とも再会する機会があるかもしれない。
「さて、出発が遅くなったが…。アニーの仕事に同行予定だったが…、合流が遅れてカンカンになってなければいいが」
キョウは猟兵達に見送られ浮島を出発すると、甲板に出て風に当たりながら今回の戦いを振り返る。久方ぶりに猟兵達と共闘し、色々と得る事もあったと思う。まぁ、アニーに関しては事情を説明すればわかってくれるだろう。そう思う事にし、キョウは風に曝されながら戦いの余韻に浸るのであった。
【完】
大成功
🔵🔵🔵