「……こ、ここは……どこ?」
不安そうにあたりを見回す、幼き少年。町で遊んでいたら、偶然、アナグラへと繋がる穴を見つけてしまった。
少年はその中に入ってしまい、文字通り迷子になっていた。
始めは探検だと面白がって入って行ったのだが、似たような場所が続いて、よくわからない街へとやってきた。
「どうしよう……もう、戻れない……のかな?」
この場に彼を知る者はいない。
いるのはそう……。
「ん? あの坊主、ここいらでは見ないやつだな」
「きっと迷子ですぜ、旦那」
そんな彼を見つめる二人組が、にやりと笑みを浮かべた。
「……というわけでさ、ウロ組合のやつらに捕まる前に、その子を保護して欲しいんだ」
それを予知した霧崎・ヤマト(土蜘蛛の魔剣士・f42006)は、集まった第弐帝都対策部に所属する仲間に話し始める。
「今から行けば、すぐにその子と会うことができると思う。ただ、かなり警戒してたりするから、優しくするとか……んーと、面倒だけど、場合によっては、がっちり捕まえて、そのまま一気にアナグラの外まで出ていくのがいいと思う。でも」
ヤマトはそこで言葉を切って、こう続ける。
「ウロ組合の二人組は、なんとかその子を捕まえて、売り飛ばそうと企んでる。だから、ウロ組合の二人組と……じゃなかった」
手元にある紙を見ながら、ヤマトはもう一度、言葉を改めて。
「ウロ組合が鳴らす鈴で、ウロを呼ぶかもしれない。そのウロは組合の二人以外を傷つけようとして動くから、コテンパンにして欲しいんだ。容赦しなくていいよ。ウロは。でも、ウロ組合の二人は、なるべく怪我させないようにして欲しいんだ」
いろいろと大変らしいよとヤマトは告げる。
「とにかく、あの子さ、すっごく怖がってるから、早めに保護してあげて欲しいんだ。それとウロの二人も怪我させないようにすること。あっと、呼び出したウロはぶっ倒しちゃって大丈夫。それ見て、ウロの二人も逃げちゃうから」
二人組は逮捕しても構わないからよろしく頼むねと、ヤマトはにこっと笑みを浮かべるのであった。
柚葵チハヤ
初めまして、ヤケアトでも担当することになりました、|柚葵《ゆずき》チハヤです。
今回は、誤ってアナグラへと迷い込んでしまった子供の救出となります。
ただ、子供は早めに合流しないと、ウロ組合のヤバい二人組に捕って、売り飛ばされてしまいます。
その前に、子供を保護し、子供のいた元居た場所まで連れ帰ってください。
それと、ウロ組合の人達に捕まったら、ウロとの戦闘になります。そこで、皆さんの強さを見せつければ、ウロ組合の二人組は、やってられねーぜと逃げ出しますので、そのまま「見逃す」か、「捕まえて逮捕するか」をしてください(プレイング次第で対応が変わります)。
あ、それと注意です。ウロを惑わすようなことをすると、ウロ組合の二人組を襲ってしまいます。その場合、ウロ組合の人達と問題を引き起こすこととなります。今回はできれば、無用な衝突は避けたいので、ウロだけ倒すようにお願いします。
また複数で参加も可能です。その場合は、お相手の名前やID、グループ名をお忘れなく。
それでは、ヤケアトでも、楽しいプレイング、お待ちしていますね。
第1章 日常
『プレイング』
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POW : 肉体や気合で挑戦できる行動
SPD : 速さや技量で挑戦できる行動
WIZ : 魔力や賢さで挑戦できる行動
イラスト:ヒトリデデキルモン
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
心深・逸楽
いやはや、俺は下っ端の下っ端で適当に日銭を稼がせて貰ってる身だが…同じウロ組合の人間が悪さしようってんだから目も当てられないぜ
同じ島のもんがすまねぇな
たっぷりと灸を据えてやりたいが……その前に子供を助けてやらねぇとな
子供を探して見つけ次第『闇に紛れる』
そのまま無傷で保護出来たら万々歳なんだがな
…おいおい僕ちゃん、泣かないでおくれ
俺は人攫いじゃないよ
逸楽お兄ちゃんって呼んでおくれ
俺の身体を這う蜘蛛が気になるかもだがコイツは影で実態は無いんだ
いざとなれば俺はこの悪魔を召喚するが…今はまだ僕ちゃんが居るからな
なるべく安全圏内まで連れていきたいところ
とりあえず第弐帝都対策部まで行けたら万々歳か?
三毛乃・文太郎
人間様の子供ながら、なんと勇気ある行動力!
今回は場所が悪かっただけでしょうね。
彼と会ったら怖がらせないよう視線を合わせてお話しましょう。
どうも人間様、迷子ですか?
自分は妖怪です。どうせ驚かすのなら愉快な驚きを提供したく。
人間様、どうぞお好きな動物を仰ってくださいな。
猫でも犬でもフクロウでも、【化術】で機嫌を取ってみましょう。
気が紛れたら【トリプルどろんチェンジ】で一反木綿に。少年をくるりと巻いて連れ帰りましょう。
もしウロ組合と遭遇しましたら、ウロを呼ばれる前に提灯お化けに変化して驚かせてやりましょう。
ウロまで現れたら巨大狸に化けて少年を庇います。…守るので、退治は他の方にお任せしますね。
咲泉・彩華
男の子が追いかけられてるの?それは大変!すぐに保護してあげないとだね!
【風遁・竜巻隠れ】で姿を隠しつつ、街中を走って探すよ
どんな道でも駆け抜けられるよ!(足場習熟&悪路走破)
追いかけられてるなら、喧噪がありそうだよね
特にトラブルっぽい喧噪の気配を探るよ
…きっとあそこ!
着いたら、UCを一旦解除して姿を現し、男の子を落ち着かせる
助けに来たよ。もう大丈夫。
元の場所まで帰ろう
この子を追いかけてたのは君たちかな?悪いけど、諦めてもらうよ!
ウロには、UCの竜巻を飛ばして攻撃!
まだやるかな?退いてくれたほうがお互いのためじゃないかな?
うん、賢明な判断だね
それじゃあ、帰ろっか!
あ、お団子食べる?
鳶沢・ギンコ
※アドリブ歓迎、共闘希望
【作戦】
他のPCたちと腕章でフクロウの仲間だと示してから協力を呼びかけ
「情報収集」で迷子を探す。
ウロ組合と戦闘になったら迷子を「目立たない」「物を隠す」で
離れた場所へ避難させてからパチンコとかんしゃく玉で
「援護射撃」「おどろかす」などをしながら
UC【アナグラ愚連隊出動!】で味方の行動を援護する。
・演出
直接戦うことはせず、逃げ隠れしながらチョッカイを掛ける感じで戦う
敵の攻撃に割り込んで注意をそらしたり、
「咄嗟の一撃」で周囲の物を利用した妨害を仕掛けたりする
・セリフ
おい!
ウチは頼まれてアンタを家へ返すために来たんや
この辺は子供を食い物にする奴らばっかりやさかいココに隠れとき
◆アナグラの迷い子探し
少々、薄暗い地下。そこはとてつもなく広い地下都市であった。
今回、|第弐帝都対策部《フクロウの面々》にもたらされた仕事は、アナグラに紛れ込んで迷子になった子供を探すことであった。
「いやはや、俺は下っ端の下っ端で、適当に日銭を稼がせて貰ってる身だが……同じウロ組合の人間が悪さしようってんだから、目も当てられないぜ」
青い瞳が地下を照らす明りにきらりと光る。彼のその白い肌に時折、蠢く影が見えるが……たぶん、気のせいだろう。心深・逸楽(刹那の享楽に殉ずる男・f43647)は、ウロ組合に所属するものでありながら、今回は|対策部《フクロウ》の一人として、その腕に白い腕章をつけていた。
「同じ島のもんがすまねぇな。たっぷりと灸を据えてやりたいが……その前に子供を助けてやらねぇとな」
そう告げる逸楽に、隣にいる、ぶかぶかのハンチング帽をかぶった子供が顔を上げた。
「え? ウロ組合ってことは……あいつらの仲間や!」
名は鳶沢・ギンコ(アナグラネズミ・f43549)。シャツと釣りズボンの靴磨き風の格好をしており、その腕には逸楽と同じ、白の腕章が見える。
「違う違う! 俺は君のお仲間だ。今は子供を助けたいと思ってるフクロウだよ」
「本当にそうなんかー?」
疑いの目を向けるギンコも、実は陰で手下の浮浪児たちと一党「アナグラネズミ」を結成しているのは、内緒だ。
「まあまあ、お二人とも落ち着いて下さい。今回は皆さん、同じフクロウなのですから」
そう声をかけるのは、三毛乃・文太郎(猫又は地下世界を泳ぐ・f43553)。三毛色の髪から、ぴょんと猫の耳が二つ。おまけに二股に分かれた猫のしっぽも揺れている。また、その首にはフィルムカメラも下がっていた。もちろん、腕には白い腕章がついていた。
「うんうん。今日はみんなフクロウさんなんだから、ついているこれが証拠だよ」
咲泉・彩華(お団子閃忍・f31537)がにこやかに笑みを浮かべながら、腕につけた白い腕章を指さしていく。桃色の髪色に動きやすそうな和装をしている。そんな彼女はお団子一つでどんなこともしちゃう、くノ一でもあった。
「まあ、そういうんなら……」
ちょっぴり不服そうなギンコの隣で、逸楽はホッとしているよう。
「それにしても……人間様の子供ながら、なんと勇気ある行動力! 今回は場所が悪かっただけでしょうね」
話題を変えるように、文太郎がそう告げると。
「きっとそうだよね……って、男の子が追いかけられてるんだっけ? 大変! すぐに保護してあげないとだね!」
今日の任務を思い出して、彩華は急がなきゃと皆を急かす。
バラバラになって探すことも考えたが、相手はウロ使い。万が一のことも考え、やはりまとまって動く方が良いだろうと判断した。
「迷子ってことは……大通りには来てないってことやろか?」
「恐らく、そうでしょうね」
「じゃあ、裏通りってことで……!!」
「ちょ、嬢ちゃん、早すぎっ!!」
ギンコの言葉に彩華が反応して、すぴゅーんと駆け出していく。その後を三人が必死に追いかけていく。
「追いかけられてるなら、喧噪がありそうだよね」
走る彩華は冷静に判断しつつ、トラブルっぽい喧噪の気配を探っていく。
「……見つけたっ!!」
「「だ、だから、早い(です)って」」
だが、彩華が動いてくれたお陰で、ウロ組合の二人組に追われている子供を見つけることが出来た。
「助けに来たよ。もう大丈夫。元の場所まで帰ろう。それと、この子を追いかけてたのは君たちかな? 悪いけど、諦めてもらうよ!」
すぐさま、彩華が間に入り、子供に声を掛けつつ、追ってきた悪いウロ組合の二人組にそう呼びかけた。
「その腕章、もしかして……」
二人組が悪さをする前に、今度は文太郎がどろんを姿を変えて、驚かす。そう、提灯お化けになって。
「わあっ!!」
「「うわああああ!!」」
驚いた拍子に、その手に持っていた鈴が鳴る。それと同時に現れたのは、狼の姿をした影のウロ。ちなみに二人組は提灯お化けに驚いて、すぐさまその場を逃げ去ってしまったようだ。
その間に驚いた子供が思わず、泣き出してしまった。その子を落ち着かせるために逸楽が声を掛ける。
「……おいおい僕ちゃん、泣かないでおくれ。俺は人攫いじゃないよ。……逸楽お兄ちゃんって呼んでおくれ」
「人攫い……じゃない、の?」
その声にギンコも頷く。
「ウチらは頼まれて、アンタを家へ返すために来たんや! この辺は子供を食い物にする奴らばっかりやさかい、ココに隠れとき」
近くにあったガラクタ置き場にかけられた布を、そのまま子供にかけてやってる間に、二人組を追い払った文太郎と逸楽が、子供の傍にいて守っていた。
一方、ウロを一手に引き受けていた彩華はというと。
「悪い奴らが諦めて、さっさと逃げてくれたのは良いけど……ちょっと多すぎない?」
つぎつぎと竜巻を飛ばして、蹴散らしていくが、あのちりんという音だけで、こんなに増えるとは予想外。
「ねーちゃん、手伝うで!」
そこに現れたのは、ギンコ。ぱんぱんぱんと、かんしゃく玉が鳴り響き、ウロ達の牽制を担ってくれた。
「いけぇっ、おまえら!」
更にはアナグラ|愚連隊出動《グレンタイ・シュツドウ》!を使って、低級ウロを召還し、逃げ隠れしながらチョッカイを掛ける感じで、戦いをサポートしていく。
「これなら行けそうかも!」
少々時間がかかりそうだが、これならばと彩華は、ギンコのサポートを受けながら、次々とウロを倒していくのだった。
その間に、逸楽と文太郎は、ウロ達に見つからないところで親睦を深めていた。
「どうも人間様、迷子ですか? 自分は妖怪です。どうせ驚かすのなら愉快な驚きを提供したく。人間様、どうぞお好きな動物を仰ってくださいな」
そう文太郎が言うと。
「……じゃあ、ネズミ」
子供のその言葉を聞いて、どろんと猫耳の人の姿から、小さなネズミに化けて見せた。
「こりゃ見事だな……」
見ていた逸楽も思わず声を漏らす。一方、子供はというと。
「すごい凄い、もっと見せて!! 今度は犬が見たい!」
「お安い御用です」
そのまま、子供が願うまま、次々と化けて見せて、さっきまで泣いていた子供は、もうすっかり元気を取り戻していた。
と、そこに……。
「お、終わったよ……」
「つ、疲れたわぁ~」
ウロ退治を終えた彩華とギンコが戻ってきた。先ほどの恐ろしい影はなく、もう安全だ。
「とりあえず、第弐帝都対策部まで行けたら万々歳か?」
「疲れたでしょうし、連れていきますよ」
逸楽の言葉にを受けて、文太郎がどろんと一反木綿に化けた。それでくるりと子供を巻いて、空へと上がろうとしたのだが……。
「私も乗せてー!」
「ウチもっ!!」
「こりゃあいい!」
三人も乗って、大変なことになっている。
「も、もう……皆さん、重いですよ……」
よたよたふらふらしながら、一反木綿の文太郎は、何とか対策部のある建物へと向かう。
「それじゃあ、帰ろっか! あ、お団子食べる?」
「うんっ!!」
こうして、集まった|第弐帝都対策部《フクロウ》達の活躍により、無事、子供は保護された。
また、二人組が呼びだしたウロも、全て退治済み。
アナグラの平和はこうして、保たれたのであった。
大成功
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