獣人世界大戦⑳〜はじまりの全てをぶつけて
グリモアベースに次のようなクエスト依頼書が張り出されている。
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【概要】:はじまりの猟兵の討伐。
【達成条件】
・真実を語れる条件を満たすために、彼女を『完膚なきまでに倒す』こと。
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あなたがこの依頼書を見ていると、グリモア猟兵のマルゲリータ・カベルネ(ギルドの受付員さん・f41916)が話しかけて来た。
「こんにちわ。こちらは猟兵でなければ解決できない特別クエストです。内容の詳細をお聞きしますか?」
頷くとあなたはグリモアベース内にあるこの依頼の集合場所へと案内される。そこに到着するとマルゲリータは足を止めてあなたへ振り返った。
「それでは、『獣人世界大戦』の特別クエストの説明を開始します」
「これより詳細をお伝えします。場所は獣人戦線の世界の【獣人世界大戦の第三戦線】です。今回皆さんにお願いしたい内容は【はじまりの猟兵を『完膚なきまでに倒す』】こととなります」
獣人世界大戦の戦況はすでに後半。各勢力もあるものは敗走しあるものは目的の仕上げのためにと動き出している。どの勢力も大きな力を得るために動いている様ではあるが――猟兵の奮闘の結果、この戦いの中で『はじまりの場所』の結界が消えた。
それにより『はじまりの猟兵』と呼ばれる者が現れたのだが、彼女はオブリビオンと化した影響で自身の意思では真実を告げられないらしい。
しかし意図せず嘘の情報を渡さない条件があるというのだ。
それは『容易には復活できぬ程叩きのめされれば、その末期に少しだけ、真実を語ることができる』とのことだ。
彼女は『二番目から五番目の猟兵について』の情報を持っているそうだが、それを聞く為にもまずは『完膚なきまでに倒す』事が必要となる。
「どうやら彼女は手加減はしてくれない様ですね……。これもオブリビオン化がもたらす制約なのでしょうか?」
続けて、はじまりの猟兵の能力の説明へ移っていった。
「そして彼女の能力についてですが、注意するべきは技能となるでしょう。戦闘に関するあらゆる耐性、機動力、命中、回避、防御の技能を高レベルで備えています。そして装備は『ライフル』・『拳銃』・『バヨネット』・『グレネード』・『軍用シャベル』・『弾帯』・『野戦服』・『ハンディトーキー』・『軍用甘味』の九つ。これらと現地にあるものを駆使した、己に取れる手段全てを使い尽くす『戦場の戦い方』で挑んでくるでしょう」
はじまりの猟兵は自身を弱いと言うが、しかしそれはあくまでユーベルコードが取れる戦術の話だと思われる。
「……強いて弱点を挙げるなら、彼女のもつユーべルコードは最新のものではありません。出来る事が限られている事が、こちらの勝機になるかもしれません」
最後にそう言い、マルゲリータのは話は終了した。
目の前に【いますぐ出発しますか?】と書かれた小さなウインドウが現れる。ここで『はい』の選択に触れると目的地である『獣人戦線』の世界へ転送される様だ。
クエストの達成条件と取るべき作戦を確認したら出発しよう。
ウノ アキラ
はじめましての方は初めまして。そしてこんにちわ。ウノ アキラです。
このオープニングに興味を持っていただき、ありがとうございます。
●
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プレイングボーナス……「戦場の戦い方」に対抗する/圧倒的な力や最新戦術で叩き潰す。
プレイングボーナス……高レベルの防御の技能と回避の技能への対策を行う。
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●執筆タイミングなど
書けそうなタイミングで書いていきます。日曜には完全に締め切るつもりです。
人数によっては全員の採用は難しいかもしれません。その場合は書き易そうな方から採用していく見込みです。
●依頼について
『やや難』です。難易度の関係からプレイングボーナスが限られます。
そのためいつものようなボーナス増量になり難いです。
場所は古い戦場跡地です。何があるかは断章で軽く書いていきますが、塹壕があったり半壊した兵器が転がってたりします。
はじまりの猟兵の各技能はどれも四桁に近いつもりで作戦を練るのが良いと思います。
攻撃も技能とユーベルコードを乗せないと効き辛いでしょう。
また、相手はOPで触れたように装備品と現地にあるものを駆使してきます。危険な所からはしっかり退避して逃げ回りします。
相手を戦術で誘い出して追い詰めて、ユーベルコードでねじ伏せる戦いとなるでしょう。
また、彼女が語るつもりの真実はこのリプレイの中では出ません。
事前の情報は以上となります。
よろしくお願いいたします。
第1章 ボス戦
『はじまりの猟兵』
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POW : ストライク・イェーガー
レベルm半径内の対象全員を、装備した【ライフル】で自動的に攻撃し続ける。装備部位を他の目的に使うと解除。
SPD : プログラムド・ジェノサイド
【予め脳にプログラムしていた連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : キューソネコカミ
【ライフル】が命中した敵を一定確率で即死させる。即死率は、負傷や射程等で自身が不利な状況にある程上昇する。
イラスト:hoi
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●雪の積もる古い戦場跡
そこは雪が積もった古い戦場跡地だった。
詰まれた土嚢と鉄条網が点在し、塹壕も途切れ途切れに迷路のように構築されている。
塹壕の外には半壊した兵器が転がっていて、どれがまだ動き、どれが動かないのかは遠目では不明だ。
塹壕と土嚢の他には雑木林も点在しており、隠れる場所自体は多い。しかしこれらの地形のどこかには地雷が埋まっている可能性もある。
猟兵がこの地を訪れると早速、塹壕の方向から銃弾が放たれてきた。
断続的にこちらへ撃ってくるそれは少しずつ着弾点が修正されているものの、どことなく誘っている様に感じられる。
巧みに姿を隠しているのか姿は確認できない。あるいは発射地点には居らず現地の兵器をリペアして遠隔操作している可能性さえもある……。
……相手の得意な場からこちらの得意な場へと状況をうまく変えていきたい所だ。
少なくともこのままでは狙い撃ちだ。まずは動かなければならないだろう。
エミリィ・ジゼル
戦闘に関する技能を高レベルで備えている
つまり幸運は人並ですね。であれば運ゲーを仕掛けましょう
ワールドハッキングプログラム起動!クソスレしようぜ!
ようこそ、ここは行動の度にダイスが振られ、ゾロ目が出たら問答無用で死ぬ世界
どれだけ歴戦の猛者であろうと、出目で即死する愉快で不条理なクソスレ世界です。
この世界でわたくしは、サメ子で上空を飛びまわり、
【第六感】と【見切り】を駆使してひたすら逃げに徹します。
同時に持ち前の【幸運】でゾロ目を回避し続けながら、はじまりちゃんにゾロ目が出るようにお【祈り】します
わたくしが倒れるのが先か、はじまりちゃんがゾロ目るのが先か
究極の運ゲーの幕開けだー!
●
相手は技能が高く、まともな交戦は厳しいだろう。
――ならばまともに相手をしなければ良い。
エミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)はこの地に降り立つや、いきなりユーベルコードを発動させた。
「『戦闘に関する技能』を高レベルで備えている。つまり『幸運は人並み』ですね。であれば運ゲーを仕掛けましょう――」
彼女がそう言うや、戦場内が異なる理の世界と交換されていく……。それは『物理法則を超越し、ゾロ目を出したら死ぬ』という法則を持つ愉快で不条理なクソスレ世界――則ち、ギャンブル要素がある命の軽い世界だ。
「ワールドハッキングプログラム起動! クソスレしようぜ!」
世界を交換したエミリィは、さっそく鮫魔術で改造された騎乗用の鮫、サメ子を呼び出す。
その時、何もない空間からころりと100面ダイスが二つ現れて、転がった。
(dice:78)
このダイスに構わずにエミリィはサメに乗る(dice:52)と、そのまま空へ浮遊していく……。その時、早速遠くから『ぎゃー!?』と悲鳴が聞こえてきた。
「な、なんです、これ!? サイコロが出て【53】、【90】と出目が出たと思ったらさっき【33】が出でいきなり死にそうになったんですけど!?」
『はじまりの猟兵』の抗議の声が戦場に響いた。どうやら『はじまりの猟兵』は『ゾロ目を出したら死ぬ』の法則に違反して気合で耐えたらしい。そのペナルティとして、たったいま彼女の行動成功率が低下した。
その声に耳を傾けると、エミリィはこの世界の説明を始めていく(dice:36)。
「ようこそ、ここは行動の度にダイスが振られ、ゾロ目が出たら問答無用で死ぬ世界。どれだけ歴戦の猛者であろうと、出目で即死する愉快で不条理なクソスレ世界です」
「なんて不条理な……!!」
そう返事をしながらも、空を飛ぶエミリィへ向けてライフルで狙う(dice:97)『はじまりの猟兵』。
「ですが、空に身を晒したのは迂闊でしたね! 丸見えですよ!」
空を飛ぶサメを狙うのはライフルだけではない。瓦礫に隠された重機関銃やパンツァーキャバリアの砲塔が無線の操作を通してエミリィを狙い(dice:56)、空の逃げ場を潰す様に弾幕を張っていく(dice:71)。
対するエミリィは全力で回避に徹した(dice:27)。それも、相手がなるべく行動する様にと、煽るように身を晒したままだ。
「わたくしが倒れるのが先か、はじまりちゃんがゾロ目るのが先か、究極の運ゲーの幕開けだー!」
――戦いは苛烈を極めた。
エミリィは130まで積み上げた幸運の技能に祈りを添えて『はじまりの猟兵』がゾロ目を出す事を祈りつつ、サメ子を酷使する。対する『はじまりの猟兵』も度々ゾロ目を出しては行動成功率を低下させていった。
同じ土俵に立つ必要はないのだ。常識を非常識へとぶちこんで、家事の出来ないメイドは空飛ぶサメと戦場の空を舞う。
やがて『はじまりの猟兵』は通算【11回目】のゾロ目を出した。『ゾロ目を出したら死ぬ』法則を文字通り適応させるならそれはきっとダイス結果に限らないだろう……。
「こんな戦場は嫌ですーーーー!!」
これが『はじまりの猟兵』の断末魔だった――ゾロ目をゾロ目回数出した『はじまりの猟兵』は、ユーベルコードで生み出された世界の法則に倒されたのだ。
第六の猟兵が生み出す新たな戦術とユーべルコード……その力を前に、古きはじまりの猟兵はこうして残機をひとつ減らしたのだった。
成功
🔵🔵🔴
ヴィヴ・クロックロック
なるほど、大先輩ってわけだな?
よかろう、最新最高の力でいっちょかみしてみるとしようか。
UCを使ってゾンビによる波状攻撃を仕掛ける。無論UCを使わず召喚するゾンビも混ぜて行く、倒せば増える爆弾ゾンビと普通のゾンビを織り交ぜるわけだ。そこに仙術道術を用いた幻術を混ぜてさらに水増ししていこう。
ゾンビはその辺で拾った武器も使わせ、塹壕も利用しつつ全方位から飽和攻撃を用いて敵ユーベルコードの突破を試みる。ゾンビの質、量ともに限界突破して逃亡を阻止だ。
ふふふ…楽しくなってきたぞ、徹底的に削いで削って擂り潰して…さあ頑張れ最初の正義の味方!そんなモノではないだろう!!はっはっは!!
●
――古い戦場跡を大量のゾンビの群れが埋め尽くしていた。
その群れは銃撃に手足を吹き飛ばされながらも前進してゆく。頭を吹き飛ばされてしまえば流石に動きは止まったが、その遺体も積み重なれば立派な弾避けとなり後続が進む礎となっていた。
ゾンビたちは塹壕にも入り込み、迷路のような穴の中をゆっくりと進んでゆく。地雷で吹き飛ぼうとも味方の屍を踏み越えて次から次へと、前へ。
そして一定距離を前進するとその場で爆発し、爆心地から再び新たな群れが湧き出るのだった。
このゾンビはユーべルコードだ。
これはヴィヴ・クロックロック(世界を救う音(仮)・f04080)のユーべルコード『|屍人《アンデット》|飢走曲《・カプリチオ》』によるもの。その能力は、生者を追いかけ捕食するゾンビの群れを放つというものだ。放たれたゾンビは狙った位置に着弾すると爆発し、その爆発地点に次の群れを発生させさらにゾンビを増やしてゆく。そしてオブリビオンはすでに死んだ過去の存在だが同時に受肉した生者でもあるため、ゾンビは『はじまりの猟兵』を探して、追ってゆく。
その群れの遥か後方でヴィヴは詰まれた土嚢の裏に隠れながら腕を組んで座っていた。
「こちらはユーべルコードで召喚した大量のゾンビに召喚術で召喚した普通のゾンビも混ぜてある。厄介な仕掛けは普通のゾンビが解体できるからサポートも問題ない。さて、大先輩はこの最新最高の力にどう対抗するかな?」
はじめは銃弾が激しく撃ち込まれてきていたが、それも徐々に減ってきている。瓦礫の中や塹壕に設置されていた遠隔操作の重火器をゾンビが破壊しているためだ。ゾンビたちによる戦場の進行は確実に進んでいた。
「ふふふ……楽しくなってきたぞ、徹底的に削いで削って擂り潰して……さあ頑張れ最初の正義の味方! そんなモノではないだろう!! はっはっは!!」
戦場を埋め尽くす死者の群れに対し、『はじまりの猟兵』は出来る限りの手を尽くしていた。
「ああっ、とうとう塹壕に……。でもあそこで一度途切れて地上に出るから、二分後にグレネードを……って、瓦礫に隠してた重機関銃からの無線が、またひとつ応答が無くなりましたー!?」
リペアした古い武器を武器改造して遠隔操作しているとはいえ、もはや手数が追いついていない。加えて相手は死を恐れぬ無限湧きの肉壁だ。ゾンビたちは戦場のセオリーを一切無視して向かって来ている。
「止むを得ません……! ええーい!」
はじまりの猟兵は身を隠すのを止めて、塹壕から飛び上がった。そして前方半径内のゾンビの群れを一斉にライフルで攻撃――『ストライク・イェーガー』を使用する。
とはいえ、上空へ出ても障害物の裏までは届かない。さらにヴィヴの生み出した幻影のゾンビも混ざっていたため、思う様に数を減らすことが出来なかった。
そしてゾンビのいくつかが爆発して再びその場で増えてゆく。
「ちょっとこれ、終わらなくないですか!? これぜんぶ倒せるひといるんですか!?」
悲鳴に似た声を上げながらもはじまりの猟兵は攻めへと転じた。このまま待ち構えてもすり減るだけなので、打って出る事にしたのだ。狙いはこの群れを操る術者――ヴィヴ本人。
ゾンビは目的の場所に着弾しなければ爆発しない。ならば着弾前にすり抜けてしまえば良い。
彼女はゾンビの動きを見切って隙を探すとダッシュで駆け抜けていく。そして、素早い動きで幻影を生み出し、野生の勘も効かせながらはじまりの猟兵は後方のヴィヴへと迫っていった。
けれどこれ以上は危険だと野生の勘が告げくる。
「さあ、贄は目の前だ! はっはっは!!!」
ヴィヴの声が聞こえると、たった今躱したゾンビと眼前にいるゾンビがそれぞれ爆発した。その爆発は新たなゾンビの群れを呼び出して周囲を瞬く間に埋め尽くしていく……。新たに増殖したゾンビは、その場ですぐに爆発して更に、さらなる群れを生み出した。
その増え方は累乗。比喩ではなく文字通りのゾンビの壁が生み出されると『はじまりの猟兵』めがけて崩れ落ちて来る。
「元より苦し紛れの突貫でしたが、これはちょっともう、無理って感じですね……。これが六番目の猟兵が使う新しいユーべルコードですか……!」
多少の数なら突出した個でも上回れただろう……けれど爆発しながら無限に増えていく群れにはさすがに成す術もない。
こうして、個をはるかに上回る圧倒的な数を前に『はじまりの猟兵』は倒されていった。
大成功
🔵🔵🔵
笹乃葉・きなこ
◯POW/アドリブお任せ
はじまりの猟兵とのガチバトル楽しませてもらうべぇ(ニチャァ)
リミッターは常に解除で行くべな
先ずはジグザグでダッシュで近づいて!
装備部位を他の事に使わせてやるべ
貫通攻撃と部位破壊と鎧無視攻撃で攻撃を無理に通そうとするべっ!
おら!大事に銃を抱えても防戦一方だぞ!
グレネードが来たらユーベルコードで叩き返す
バヨネット、ライフル、拳銃、ハンディートーキは武器落としで落とす
防御と回避は
ユーベルコード発動時は、ユーベルコードは掴む事を優先して本体のオラは別の動きなぎなたでなぎ払ったり
別々な動きをして攻撃とかかなぁ?
うへぇ、頭のリミッター解除して少しでも回転はやくして攻撃だべ
●
笹乃葉・きなこ(キマイラの戦巫女・f03265)は強引に接近を試みた。
途中の障害物も利用して、己のリミッターを解除してジグザグに走って走っていく。
けれど、瓦礫に隠された重機関銃は問題なく避けられても高レベルのスナイパー技能を用いたライフルでの狙撃はそうもいかない。『はじまりの猟兵』は塹壕から頭を出すとライフルを構えてジグザグに突進してくるきなこを狙う。
そのとき、相手の姿を見つけたきなこはニチャァを笑みを浮かべた。
「見つけたべ! はじまりの猟兵とのガチバトル楽しませてもらうべぇ」
この時きなこをめがけて足を撃ち抜く正確な射撃が行われる……。しかし、それは標的に当たる前に叩き落された。
――きなこのユーべルコード『笹乃葉式気功術』だ。これは見えない未知の生体エネルギーを放って対象を攻撃し、ものを掴む事もできる技だ。この能力できなこは銃弾を攻撃して、迎撃したのだ。
「!? 今のが彼女のユーべルコード……。バリア系? それとも空間に作用するもの? 見えなかったので突破口が掴めませんが……なら情報収集です!」
はじまりの猟兵は再び上半身を晒して『ストライク・イェーガー』を使用しようとする。その時、手に持ったライフルが『見えない何か』に叩き落された。
「いくべぇ!」
きなこは笹乃葉式気功術で放つ未知の生体エネルギーを操ると、はじまりの猟兵のライフルを叩き落す。相手は落とした銃を拾う隙を作ろうとグレネードを投げてきたがきなこはそれも気功術で叩き落した。
その間にも距離は縮まってきなこのなぎなたが届く距離となる……ここからは近接戦闘の間合いだ。
「とりゃあーーーー!」
「えいやーー!」
きなこが薙刀を撃ち込むと、はじまりの猟兵はバヨネットを抜いて武器受けし、きなこの薙刀を武器落としで落とそうとする。けれどきなこの狙いも武器落とし。きなこは気功術で見えないエネルギーを放つと、相手のバヨネットを叩き落した。
「くっ、見えないエネルギーを飛ばしていますね! なら……!」
はじまりの猟兵はすぐに両腕を硬化させてオーラを纏うと片腕できなこの薙刀をオーラ防御した。そしてもう片方の拳で不意打ちのカウンターを試みる。
だが事前の予知で触れられた様に、この場に現れたはじまりの猟兵が高い技能を持つのは耐性、機動力、命中、回避、防御に関するもののみ。つまり攻撃手段と火力底上げに関しては突出したものは無い。そのため、武器を封じられては威力に乏しく、このカウンターの拳はリミッターを外したきなこを止めることはできなかった。
「おら! 大事に銃を抱えても防戦一方だぞ!」
殴られた痛みを無視して、きなこはさらに攻撃を続けていく。
相手が武器を使おうとすれば即座にきなこの笹乃葉式気功術で武器を掴んで妨害した。それは始まりの猟兵を徹底して素手の状態にしていく。そしてその素手の反撃を受けながらも、きなこはひたすら攻撃に徹していった。
けれど反撃を避けなかった理由は実は攻撃を途切れさせないためではない。このとき、きなこの方も一杯一杯だったのだ。
(うへぇ、オラ本体とユーベルコードとで別々な動きすんのは頭がしんどいべ……! 頭のリミッターも解除して少しでもはやく攻撃だべ!!!)
けれどこのユーべルコードで武器を落とし続ける戦術が効いて、はじまりの猟兵はまともな反撃ができずにいた。
この間もきなこは『はじまりの猟兵』を滅多打ちにしていく……。貫通攻撃、部位破壊、鎧無視攻撃も重ねた怪力の攻撃で、きなこは相手の硬化、鉄壁、オーラ防御をじわじわと削り取っていったのだ。そしてきなこの方も素手とはいえ度々カウンターの攻撃を受けてボロボロとなっていく。
……この削り合いは、やがて『はじまりの猟兵』のほうが膝をつく形で終息した。
「こうして武器を徹底して封じられるとは思ってもみませんでした……。流石、六番目の猟兵は強いですね……」
戦場に勝利者の咆哮がこだまする。
「うおおおーーーー! やったべーーーーーーーー!!!」
今回は互いに正面から殴り合った結果、リミッターを外して無理を通したきなこが上回る戦いになった。もちろん武器を徹底して封じたのが勝因として大きいのは言うまでもない。
こうして、ユーベルコードを巧みに戦術に組み込んだ攻撃によって『はじまりの猟兵』は倒されたのだった。
成功
🔵🔵🔴
エドゥアルト・ルーデル
&&&
さあこいはじまりちゃん氏!拙者は一発撃たれただけで死ぬぞォォ!
突然だが初っ端からオサレなポーズをキめつつ飛び出して拙者は死ぬ!そらライフルで撃たれたら死ぬよ、人間だもの…まあリスポーンして復活するから問題ないでござるが
|霊視体験《シックスセンス》ではございません、これが|第六猟兵《シックスイェーガー》でございます
|領ォ域展開《ギャグ時空開放》、ここはもう拙者の場でござるよ
ウッ!失礼!153秒以上すると拙者は死ぬんだ!まあまたリスポーンするけど
適当に爆弾持ってはじまりちゃんに突撃!爆発!良い感じに服ボロボロにしてSEXYになろうね!
よぉ~し探すぞォ~!はじまりちゃん探しまくるぞォ~~!
●
相手を撃ち殺せたからといって、戦いに勝利したとでも思ったか?
エドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)は戦闘開始直後に死んでいた。
威嚇射撃もなんのそのと、ダンスの決めポーズのようなオサレなポーズを取りながら飛び出して、一発でスナイプされたのだ。
あまりに呆気ないその結末に『はじまりの猟兵』は思わず姿を見せてその遺体を確認する。
「え? これで終わりですか……?」
はじまりの猟兵はバヨネットをライフルに装着して槍にすると、その剣先でエドゥアルトの遺体を突き刺してみた。間違いなく死んでいる。
「し……死んでる……」
「そらライフルで撃たれたら死ぬよ、人間だもの」
すぐ横で誰かがコメントを挟んできたため、誰だろうと見てみるとそこにはエドゥアルト・ルーデルがいる。もちろん見下ろした遺体もエドゥアルト・ルーデルだ。
はじまりの猟兵は思わず狼狽えた。
「えっ!? どういう……あっ!? オブリビオン化してますか?」
「霊視体験でもオブリビオン化でもございません、これが第六猟兵でございます」
エドゥアルトは真顔でそう答えると、ニカッと怪しい笑顔を見せるのだった。
ユーべルコード『|黒ひげは二度死ぬ《ニカイイジョウシンデマスヨネ》』――それは死んだあとのリスポーンが保証され、その後残る死体からギャグ時空を放出してシリアスな空気を無力化するというもの。
このユーベルコードはなんども蘇るリスポーンも強力だが本領はその後に放出されるギャグ時空にある。どんなダメージもギャグ描写となって死に難くなっていくのだ。
エドゥアルトAの遺体からギャグ時空が放出され、遺体がカートゥーン的な絵柄に変化していった……。流れた血も次のシーンには消えて遺体は背景に転がる人形のようになっていく。
「領ォ域展開、ここはもう拙者の場でござるよ!」
エドゥアルトBが呆然とするはじまりの猟兵の腕を掴もうとすると、はじまりの猟兵は「ヒェッ」と振り払ってすぐさまライフルで撃ち返した。
銃撃を受けたエドゥアルトは「アババババ」と悲鳴を上げて倒れるが、「んもー照れちゃって。暴力ヒロインでござるか~?」と直ぐに起き上がってくる。
けれどその直後、エドゥアルトBは突然倒れた。
「ウッ!」
「え? ……今度こそ死にましたか?」
はじまりの猟兵が再びライフルに着剣したバヨネットで突いて確認すると。
「失礼! 153秒以上すると拙者は死ぬんだ! まあまたリスポーンするけど」
エドゥアルトCがやってきた。
「よぉ~し探すぞォ~! はじまりちゃん探しまくるぞォ~~!」
戦場をエドゥアルトがスキップのステップで駆け抜けてゆく。地雷を踏んでぎゃー! と吹き飛ばされてもギャグ時空であまりダメージにはなっていない。……というかエドゥアルト自身が爆弾を持って走り回っている。
「ヒャッハー! 見つけたでござるよォ~~!」
「きゃー!? もう来ないでくださいー!?」
エドゥアルトは銃弾を浴びながらはじまりの猟兵に抱き着いた。そして、投げ飛ばされる前に抱えてた爆弾で自爆をする。けれどギャグ時空に包まれているのははじまりの猟兵の方も同じで、あまりダメージは入ってない。……ダメージは無いのだが……。
「これっ! どういう羞恥プレイなんですかっ!? いっそ殺してくださいー!!」
はじまりの猟兵の服はギャグ描写としてボロボロなっていた。
再びリスポーンしたエドゥアルトは再びはじまりの猟兵を探しては、周辺をしつこく付きまとっていく。
「見ぃつけたぁ!」
「ヒッ」
「ふむん。良い感じに服ボロボロになってきたでござるな。この調子でSEXYになろうね!」
再び、エドゥアルトは笑顔で自爆した。
服がボロボロでほぼ裸の少女を髭のおじさんが追いかけていく……。
もしここが人里であれば、ギャグ時空といえどエドゥアルトは即逮捕されていただろう。
「その頭のお面は取れないんでござるか? ねぇねぇお顔が見たいでござるよォ~~!」
「いやぁー! 来ないでくださいー!!!」
だがしかしここははじまりの場所。他に人は居らず二人っきりであり、追ってくる相手は何度死んでもリスポーンをして復活する存在だ……。
そして、長い追いかっけっこの末に『はじまりの猟兵』はやがて心が折れて消滅した。
どんなに歴戦の戦士でもギャグ時空に放り込まれ尊厳を破壊されたら生きていけないのだ。
こうして、『はじまりの猟兵』は六番目の猟兵の恐ろしさを心に刻んで倒されたのだった。
成功
🔵🔵🔴
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
ッチ…どうにもやり難い戦場だねぇ。
まるで数が見えない大軍を相手にしてるような気分だよ。
けれども、相手が一人だってのならまだ勝機は見出せそうだ。
|戦場《ここ》での戦い方、じっくりご教授願おうじゃないのさ……!
ある程度時間差と同時偏差射撃を組み合わせてくるのは流石、けれどもそれは一人の意思で遂行されている戦術だろう?
それならアタシは、テレパスでその思考をトレースする。
取っている戦術上で「そこにあって欲しくないもの」をいくつかクラフトし、戦線を押し上げる補助にするよ。
流石に連続で作り続けるとバレるだろうから最低限に収めつつ、『制圧射撃』の『弾幕』を張りながら追いつめるよ!
数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は塹壕に飛び込むと、腕だけを出して魔導サブマシンガンを数発撃ち返した。
威嚇が効いて相手の射撃が一度止まったものの、再び銃弾が退路を塞ぐように周辺を狙い撃ち、同時にグレネードが投げ込まれていく。
「うおっ、やべぇ!」
多喜は走って塹壕の角を曲がるとその爆発をやりすごした。こういった爆発物を避けるために塹壕はジグザグに掘られているのだ。
「ッチ……どうにもやり難い戦場だねぇ。まるで数が見えない大軍を相手にしてるような気分だよ」
相手は現地の古い兵器をリペアして武器改造し罠として設置している。これで手数を確保して、自身の得意な陣地を構築している様だった。
「ある程度時間差と同時偏差射撃を組み合わせてくるのは流石、けれどもそれは一人の意思で遂行されている戦術だろう? ……手が一人だってのならまだ勝機は見出せそうだ。戦場での戦い方、じっくりご教授願おうじゃないのさ……!」
多喜はテレパスで相手が弱点だと思う物についての探りをいれる。これで相手の苦手なものを作り出すのが多喜のユーべルコード『|弱点特攻作成《カニングクラフト》』だ。
(さて、相手さんの取る戦術上で「そこにあって欲しくないもの」は……と)
多喜が隠れる塹壕からはじまりの猟兵の潜む方向へ複数の迫撃砲弾が飛んでいく。
塹壕はその構造上は空からの攻撃に弱く、弧を描いて上から飛来する砲撃はあって欲しくないものだ。それが的確に嫌な所に落ちて来る。
加えてはじまりの猟兵はまだ多喜のユーべルコードを把握していないため、向かってくる攻撃は常にユーべルコードである可能性を考えなければならない。
「さぁて炙りだせるかねぇ。……っと、来たか!」
多喜が次に備えて麻袋を取り出すと『はじまりの猟兵』が潜んでいた塹壕から飛び出してきた。多喜はサブマシンガンで応戦するも、銃弾は尽く見切られて紙一重で躱されてしまう。
しかし多喜にはテレパスで相手の思考が手に取る様に解っていた。
(砲撃の正確さがユーベルコードなのは大当たりさ。けれどアンタは前提を読み間違えているんだ。思考を読むだけじゃなくて、読んだ上で様々なものを創り出せるのがアタシのユーべルコードさ!)
多喜は煙幕を焚くとその煙の中に紛れていった。対するはじまりの猟兵もグレネードを放り投げて爆風で煙を吹き飛ばしていく。そして、吹き飛ぶ煙に浮かんだ人影にライフルが突き付けられた。
「どうやら今回はわたしの勝ち……あれ?」
けれどそれは多喜ではなく、人の大きさの麻袋。
「しまった……罠ですか!」
はじまりの猟兵は罠を警戒し、即座に塹壕の角まで飛び退いて地に臥せる。けれどあたりは静寂に包まれて、爆発の類が発動する気配が無い。
……はじまりの猟兵は状況を確認するために顔を上げた。すると、信じられないものが視界に入る。
それは優雅なティーセットとお菓子が乗った純白のテーブルと椅子だった。
これが『はじまりの猟兵』にとって最も『そこにあって欲しくないもの』だった。
戦場にはろくな食料はなく、彼女は生前も含めて実に長い間、甘味に飢えていた。『軍用甘味』で凌いでいても、同じものばかりではやがて飽きて苦痛となる。
……そんな少女の目の前に、美味しそうなお菓子の盛り合わせと紅茶が置かれているのだ。
この光景と誘惑は、はじまりの猟兵を戦場から日常へと引き戻してしまう。
ここには飛び交う銃撃の音も無ければ血の匂いも無い。火薬の香りは多少するが、かつての戦場と比べれば無いも同然。いま彼女の意識を再び戦場に引き戻す要素は無い。
「クッキー……チョコレート……ケーキ……」
彼女はうわ言のように呟くとふらふらとテーブルに近づいていく。そのとき、隠れていた多喜が姿を現した。
「……アンタはこんなモノに弱いんだな」
すぐにライフルの銃口が向けられたが、多喜は両手を上げて武器を持っていないことをアピールしつつ言葉を続けていく。
「おっと。ここでアタシを撃てばこのケーキは全部台無しだ。それでも良いのかい?」
「くっ……」
いちど日常に引き戻され、甘味への飢えを自覚させられた『はじまりの猟兵』はすでに戦意がボロボロだ。
多喜にも戦意が見られないため、はじまりの猟兵の意識はひたすら甘味に注がれていく。
「ユーべルコードで作った偽物だけど、材料はちゃんとした食材さ。それも有名店のレシピの模倣品だ。もちろん精巧に作られているから味も保障するよ」
食べられるという事実を伝えると、とうとう『はじまりの猟兵』の心とよだれがだばだばと決壊する。
「わたしの負けでいいです!!! だから、お願いします! これをください!!」
最も古き者は戦場で戦場を忘れさせられた。そして、最新のスイーツに完全屈服した。
「こんなユーベルコードがあるなんて六番目の猟兵は凄いですね……。戦場でもこんなものが常に食べられたら良かったのに……」
そう言い残すと彼女は満足して消えていった。
こうして『はじまりの猟兵』は六番目の猟兵に心の弱みを突かれて倒されたのだった。
多喜はどこか納得いかない気持ちで空を見上げて呟く。
「ま、ずっと食べられてなかったみたいだからねぇ……。それにしても、ちょっと思ってたのと違う終わり方だったな……」
成功
🔵🔵🔴
エリー・マイヤー
&&&
完膚なきまでに倒せ。
儚げ美少女にそう言われると、倒さず済ます方法を探したくなりますね。
いや、無理なことはわかってるので普通に倒しますけども。
さて、相手は歴戦の猟兵で戦巧者。
姑息な戦術や小細工の腕で言えば、向こうの方が上なんでしょうね。
というわけでゴリ押します。
まず【念動フラッド】で敵の攻撃を無効化します。
同時に使用するのは【念動プレス】。
範囲内の全てを潰して、取れる手段を根こそぎ奪いつつ攻撃します。
最初から射程内にいたら楽ですが…
まぁ、攻撃が来た方に向けて虱潰しに潰していけば、そのうちどこかで会えるでしょう。
そんなわけで、今から潰しに行きます。
楽しみ待っててくださいね、はっちゃんさん。
●
あらゆる干渉を無効化する『無尽蔵のサイキックエナジー』を纏い、エリー・マイヤー(被造物・f29376)は一歩また一歩と進んでゆく。
威嚇目的でそこかしこから飛んでくる銃弾はもちろん、本命の狙撃さえもエリーには届かない。……これがエリーのユーべルコード『|念動《サイ》フラッド』だ。
(……完膚なきまでに倒せ。儚げ美少女にそう言われると、倒さず済ます方法を探したくなりますね。いや、無理なことはわかってるので普通に倒しますけども)
共闘する戦場もあるにはあるが、それさえも撃破対象の闇が『はじまりの猟兵』のエネルギー源になっていて戦い終えるとはじまりの猟兵は消滅してしまう。
この戦いは共存の道を悠長に考える猶予もないため、残念ながら倒すしかない相手だ。
さて、エリーが使っているユーベルコードは干渉を無効化するだけではなく他のユーベルコードと同時に使用することもできる。
つまりこの防御を維持したまま他のユーベルコードも使えるのだ。
エリーは銃弾が飛んできたほうへ歩いていくと、そこでもうひとつのユーべルコード『|念動《サイ》プレス』を使用する。すると、エリーを中心とした半径151mが念動力による疑似重力で押し潰されていった。
……その負荷はなんと1382G。単純に考えてもあらゆる重さがおよそ1382倍となる重力だ。
「ここもハズレですか。まぁ、攻撃が来た方に向けて虱潰しに潰していけば、そのうちどこかで会えるでしょう」
大地にめり込み、ひしゃげた重機関銃を見下ろしてエリーは呟いた。
一方で『はじまりの猟兵』は野生の勘で危険を感じてエリーのユーベルコードの範囲から逃げた直後。
塹壕内の壁ごとあらゆるものがメキメキと音を立てて潰れていき、地上でジャンクとして転がる戦車の砲塔までも飴のようにひしゃげていくのを目撃してしまう。
「……ひえっ、あ、あぶない……!」
防御の技能を重ねても耐えられる自信がない。
四桁の技能には四桁の技能をぶつけるんだよ! と言わんばかりのエリーの一点突破な高レベル技能と、その技能を威力に組み込んだユーベルコードが圧倒的な火力を生み出している。
加えてエリーは干渉を無効化する状態なので守りも完璧だ。状況としては対戦車装備のないただの歩兵に重戦車が迫るかの如しである。
つまり平たく言うと成す術がない。
どんな小細工や罠もまるで意味を成さない圧倒的なパワーが、はじまりの猟兵を追いかけて来る状態だ。
「いま音がしましたね。あのあたりに誰かいるのでしょうか……。今から潰しに行きます。楽しみ待っててくださいね、はっちゃんさん」
エリーは『はじまりの猟兵』が逃げる時の音を聞き取ると、そちらへと進路をとった。
地雷も鉄条網も無尽蔵のサイキックエナジーがぐにゃりと退かし、たとえ爆発しても破片も衝撃も届かない。そしてある程度歩くとプレスで周辺を押しつぶしてゆく……。そのとき塹壕の溝の中に動く影がエリーから見えた。
「あれでしょうか」
エリーは念動力を見えた影へと伸ばしたが、しかし見切られたのか回避されてしまったようだ。
「たぶんはっちゃんさんだと思うのですが……。このまま追いかけてみましょう」
エリーが通った跡には何も残らなかった。塹壕内の壁も、転がっているかつての戦いの残骸も、土嚢の袋も崩れて潰れ、雑木林も倒壊し徐々に平らに慣らされていき、古き戦場跡地は徐々に見晴らしが良くなっていった……。
この鬼ごっこがしばらく続いた後に、エリーはついに『はじまりの猟兵』を念動力で捕まえた。
はじまりの猟兵は必死にライフルで反撃したが、銃弾はエリーの念動フラッドによる干渉の無効化で弾かれてしまう。グレネードを投げつけても同様にエリーには届かなかった。
「捕まえましたよ。ゴリ押しですが、『完膚なきまでに倒す』ためにこのまま止めを刺させてもらいます」
「その……なるべく苦しくない様に一瞬でお願いします……」
圧倒的なユーベルコードは、同様に圧倒的なユーベルコードでなければ対処することができない……。
こうして、『はじまりの猟兵』は六番目の猟兵が持つ最新のユーべルコードによってまたひとつ倒されていくのだった。
成功
🔵🔵🔴
クリスティアーネ・アステローペ
正面から戦ってもダメそうね
こっちも精々場所を活用して、一対多の状態を作りましょう
まずは〈衝撃波〉で手近な地面の雪や土を巻き上げてその〈影(闇)に紛れる/正体を隠す〉ことで被弾率を少しでも下げつつ
〈高速詠唱/多重詠唱〉した【UC】で作った影の獣を塹壕や彼女がいそうな場所へ嗾けながら雑木林へ
枝上に陣取って改めて〈多重詠唱/全力魔法/高速詠唱〉による【UC】を展開
周囲の地形毎〈蹂躙〉しましょう
あの子の射程を上回れればあらゆる方向から獣の顎が〈怪力〉で齧りついて〈吸血〉と足止めができるけど
突き抜けて来るでしょうから〈結界術〉での防護と〈カウンター〉で〈先制攻撃〉するために古刀を抜いて備えておくわ
●
相手は高レベルの防御と回避の技能を持つという。
その情報からクリスティアーネ・アステローペ(朧月の魔・f04288)はとるべき対策を考えていた。
彼女は戦場に降り立つや、さっそく柄の長い斧『断頭斧槍"救済者フランツィスカ"』を振り上げて衝撃波で大地の雪と土を巻き上げて煙を作る。
この煙は、身を隠すと同時に『影』を作るためのもの。
「正面から戦ってもダメそうね。だったらこっちも精々場所を活用して、一対多の状態を作りましょう」
クリスティアーネは身を隠して威嚇射撃から逃れると、素早い詠唱で言葉を紡いでゆく。
『我、流るるものの簒奪者にして領を侵せしものへの誅戮者なり』
『然れば我は求め訴えたり』
『喰らえ、ただその闇の欲する儘に』
この言葉が生み出すのは影の魔獣だ。
クリスティアーネの巻き上げた雪と土の煙は、日の光も遮って『影』を生み出していた。その影にクリスティアーネが触れるとそこから獣の頭が現れて、瓦礫の裏や塹壕の中へと首を伸ばしていく……。
これがのユーべルコード『|消失する地平《スクワッシュリージョン》』だ。この首は敵に噛みつくと、生命力を奪う事が出来る。
(けれど、さすがに手ごたえは無し、ね。やっぱり、もっとたくさん必要かしら)
影の獣の首が駆け巡る最中に、クリスティアーネは巻き上げた煙に紛れて手近の雑木林に入っていった。
そこは木々が日の光を遮る影に満ちた場所。そしてクリスティアーネが操る影の魔獣は影の広さに応じた数で現れる――つまり、雑木林の全ての影を使えば、先ほどとは比べ物にならないほどの影で一帯を攻撃できるだろう。
クリスティアーネは周囲が良く見える木々の上に陣取った。先ほど生み出した獣たちの首は巻き上げた煙がが薄れるに連れて影とともに消え始めており、『はじまりの猟兵』もクリスティアーネの居場所を探し始めている。
「我、流るるものの簒奪者にして――」
クリスティアーネが再び詠唱を開始した時、はじまりの猟兵が雑木林の上に気が付いた。
彼女は素早くライフルを構えるとスナイパー技能でクリスティアーネを狙い撃つ。その正確な狙撃を、クリスティアーネは『無銘の古刀』で受けて弾道を逸らした。
「――喰らえ、ただその闇の欲する儘に」
そして、この詠唱は相手が二発目を撃とうとするよりも早く終わった。
タイミングは一回目の狙撃とほぼ同時。林の影から多数の魔獣の首が、カウンターのように放たれてはじまりの猟兵へと伸びていく。はじまりの猟兵は二発目の射撃を諦めて回避行動を優先していった。
クリスティアーネを狙った銃弾は、逸した事で直撃は免れたが肩を貫いている。
「あの子に獣の顎が追い付けば、齧り付いて生命力を奪えるのだけれど……。それまでは、この痛みも我慢、ね」
相手が慣れて来る前に、さらに手数を付さなければ。そう考えてクリスティアーネは再び詠唱を開始した。
次ももちろん高速に、ただし多重に、より多く。
『はじまりの猟兵』は伸びて来る魔獣の首から逃げていた。
迎撃しようにも、相手は影であるため手ごたえが無く止められないためだ。それに通常攻撃であるならまだしも超常の力であるユーベルコードを防御するのはリスクが高い。当たれば何が起きるか……それが分かるまでは、回避が無難となるだろう。
「ですが、このくらいなら問題ありませんね。あとはどうやって反撃するかですが……」
動きを見切り、野生の勘にダッシュやジャンプ、軽業などを駆使して軽快に避けながら彼女は術者であるクリスティアーネを狙う隙を探していく。
素早い動きで幻影を作り、魔獣の首を引き付けて大きく飛び上がると、身体を捻って狙撃を試みた。しかし――。
『『『――然れば我は求め訴えたり』』』
『『『喰らえ、ただその闇の欲する儘に』』』
――しかし反撃はあと一歩遅かった。
雑木林の影から、さらに無数の獣の首が伸びてきたのだ。
その首たちは空を埋め尽くすように空へ延びて、光を遮り、天を影で埋め尽くす。
「えええーーーーーーーー!?」
『はじまりの猟兵』はそのまま、空中で無数の首に囲まれてしまった。周囲は闇に包まれて、闇の中では無数の顎が隙間なく噛みついて、はじまりの猟兵の生命力を奪っていく……。
「ちょうど傷が治ったわね」
クリスティアーネがそう呟いた時、『はじまりの猟兵』は消滅していた。
身体は傷つかずとも生命力を直接奪われてはどうしようもない。
こうして『はじまりの猟兵』は、六番目の猟兵のユーべルコードに倒されていくのだった。
成功
🔵🔵🔴
クリスティーヌ・エスポワール
土嚢に鉄条網、塹壕に半壊兵器群……
普通にやると障害物で動けない間にヘッドショットで終わりそう
……なら、|最新兵器《キャバリア》で踏み潰してあげるわ
端的に言うと、新型機で大【ジャンプ】してから飛行しての【空中戦】ね
これで地上の障害や遮蔽、罠は無効化した上で、脅威の数も絞れるはず
当然相手もライフルや兵器で対空攻撃するでしょうけど、【空中機動】に【残像】も添えて全力で回避
そして、回避行動を取りながら【星屑は星天を描く】発動!
【念動力】による無数の【誘導弾】で、敵も兵器も飽和攻撃で撃ち抜くわ
航空機の機動性と装甲車両の火力を併せ持つ……これが|最新兵器《キャバリア》よ!
●
塹壕に土嚢、鉄条網といったものは地上戦をメインとした陣地の構築だ。
基本的には上からの攻撃に弱く、その対処として塹壕には上空からの爆撃に備えた横穴が作られる事もある。だがこの古い戦場跡の塹壕にはその手のものがとても少なく、空に備える機能が弱いように見えた。
それはこの戦場が、航空機の性能が低い古い時代のものだからだろう。
戦場を見るや、クリスティーヌ・エスポワール(廃憶の白百合・f02149)はすぐにそのことに気が付いた。
この戦場に施された野戦築城はいずれも上空への警戒度が低く、古い戦術のものだ。
(土嚢に鉄条網、塹壕に半壊兵器群……。普通にやると障害物で動けない間にヘッドショットで終わりそう。……なら)
相手が古い兵器とその運用の戦術で来るのなら――。
「最新兵器で踏み潰してあげるわ」
いまのクリスティーヌの乗機は、跳躍からの三次元戦闘を得意とするクロムキャバリア『ASP-000 ヌヴェル・リュヌ』だ。
彼女は最初に放たれた威嚇の射撃を避けながら戦場の情報を集めて特徴を読み取っていく。
とはいえもたもたしてもいられない。
動くと狙われるため、まずはとにかく動き回ろうと大きな跳躍を開始した。
ヌヴェル・リュヌは大出力推進機群を備えた統合システム『EP-04AB エトワール・ブリヨント』の働きもあって空中を滑る様に降下していく。それは放物線を描く普通の跳躍とは大きく異なる動きだ。
これには『はじまりの猟兵』も狙いをつけきれない様で、スナイパー技能で狙う頻度が低下している。
そしてこの跳躍は上から見下ろすこともできるため、クリスティーヌは早くも相手の場所を見つけていた。
「見つけた!」
野戦服で迷彩を高めようとも、最新の電子機器はそれらしいモノを素早く見つけ出せる。ましてやクリスティーヌは電脳魔術士だ。機体と直接同期可能な専用コクピットの前では、ユーべルコードですらない通常の迷彩は無いも同然だろう。
同様に地上の罠の位置も分析が進み地上の仕掛けを避けた跳躍も難なく行えている。こういった補助は電子機器の強みだ。
さらにクリスティーヌは、周辺の地形から相手が取りうる回避コースを算出していった。
「マルチロック及びラプラス演算開始……完了。念動式誘導弾の星屑、躱せるものなら躱してみなさい! 航空機の機動性と装甲車両の火力を併せ持つ……これが|最新兵器《キャバリア》よ!」
ヌヴェル・リュヌから1310発もの大量の誘導弾が発射された。それはユーべルコード『|星屑は星天を描く《アマ・デトワール》』。極超音速に達する速度の輝く誘導弾が幾何学模様を宙に残して飛翔する――。
二本足で立つ鋼の兵器が軽快に宙を飛んでいく。
その未知の兵器に『はじまりの猟兵』は苦戦していた。
「あれは鎧でしょうか……? それともユーべルコード……? 何にせよ、思ったより俊敏ですね……。もう少し近づいてきたら、着地のタイミングを狙って組み付いてみましょう! バヨネットを隙間に差し込めば流石に効きそうです」
そのように作戦を考えてはじまりの猟兵は移動を開始する。しかし彼女は大きく前提を間違えていた。
これはキャバリアという兵器と電子機器への知識を持たない故の読み間違いだ。それ故に、あれだけの巨体では足元が見えづらく、障害物の多い場所でのジャンプでは周囲が見えていないと考えていたのだ。
加えて、|キャバリア《5mの巨体》がクリスティーヌの切り札のユーベルコードなのだと勘違いしている。それ程までに最新兵器の性能が高かったということなのだが、この読み違いは決定的な敗因のひとつとなった。
――はじめは野生の勘が告げる警告だった。反射的に飛び退くとそこを光の軌跡が通り抜けてゆく。
その光はひとつではなく四方からはじまりの猟兵を包囲して襲い掛かって来た。
「ユーべルコード……!? まさか今までのはただの兵器――」
ユーべルコードの温存に気付いて警戒していれば、もうすこし対応できていたかもしれない。
……けれど狭い塹壕から出るにはもう遅すぎた。
如何に高レベルの回避技能を持っていようとも、音速を超える無数の光を避けるにはここは余りに狭すぎる……。
はじまりの猟兵はオーラ防御や硬化での防御も試みていたが、それも無数の星屑に削られて、破られてしまった。
戦術は兵器と技術の発展と共に変わってゆく。そこにユーべルコードが合わされば古き者に勝つのはそう難しい事ではない。
こうして『はじまりの猟兵』は、六番目の猟兵が操る最新兵器とユーベルコードに倒されるのだった。
成功
🔵🔵🔴
霧島・絶奈
◆心情
勝つ為にあらゆる手段を尽くす…
親近感を覚える相手ですね
なればこそ全力で、この『逢瀬』を愉しみましょう
◆行動
相手の得意とする戦術に付き合うつもりはありません
【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】しつつ【罠使い】の技を行使
「魔法で敵を識別するサーモバリック爆薬」を複数設置
二重の面制圧で回避に対抗しましょう
序に言えば…
塹壕や障害物程度ではサーモバリック爆薬の爆風には対抗出来ませんよ
さて…
そろそろ本命の攻撃と致しましょう
<真の姿を開放>
『涅槃寂静』にて「死」属性の「極超新星」を行使し【範囲攻撃】
惑星すら滅ぼす自然現象です
この破壊を避ける術など皆無でしょう
負傷は【限界突破】する程【各種耐性】を高めた【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復
技能レベルの話をするならば…
そう易々と貫ける程私の守りは易くありませんよ
よしんば抜いたとて貴女の命で補填するだけの話です
そういえば…
『時宮・朱鷺子』と言う名にお聞き覚えは?
貴女と服装がよく似ていて、面白い能力と言動の人物だったものですから…
●
塹壕は身を隠しながら攻撃するための場であるが、相手が入り込んできたなら話は変わってくる。
そうなると行われるのは閉所での戦闘だ。
「……っ!」
霧島・絶奈(暗き獣・f20096)の腕にバヨネットが突き立てられた。とはいえ絶奈自身を包むオーラ防御が刃を通す事を許さずそれは引っ搔く程度の傷で済む。絶奈は直ぐに黒剣の『【Guilty】』を振ったが、しかしそれは手ごたえも無く空を切った。
いま塹壕の中で絶奈と『はじまりの猟兵』の白兵戦が繰り広げられている……。絶奈は高いオーラ防御を活かして強引に塹壕まで到達していた。500ともなれば並大抵の通常攻撃では傷も付き難い。そして守りが硬いのは『はじまりの猟兵』も同様で、この戦いは既に千日手に近い状況が続いている。
……とはいえ、はじまりの猟兵の方は無傷の状態だ。絶奈の素早い二度の攻撃や塹壕内に広く放つ衝撃波は見切られてしまい、爆風裂けのための横穴や上へのジャンプで躱されてしまっている。仮に当たっても高い耐性がマヒを受け付けないだろう。
事前の情報にあったように『はじまりの猟兵』はあらゆる耐性、機動力、命中、回避、防御の技能を高レベルで備えている。しかし攻撃力や攻撃手段に関する技能はそこまで高くはなく、それ故に今の様な状況になっていた。
「どうしました? 早く奥の手を見せないと、このまま削り勝ちしちゃいますよ!」
「今まさにこの『逢瀬』を愉しんでいるところです。なのでお構いなく」
はじまりの猟兵はグレネードのピンを抜くと、それを絶奈へ投げて跳び退いた。爆発と破片が絶奈を襲うがオーラがそれを軽減させる。
「勝つ為にあらゆる手段を尽くす……そこに、親近感を覚えるのです」
「その手段の大半は正面から耐えられちゃってますけどね!」
はじまりの猟兵は飛び退くと、距離を空けながらユーベルコードによる射撃を撃ち込んだ。
状況は有利。不利ではないため『キューソネコカミ』の即死の発動は無い。けれど通常の射撃よりはダメージがあるため絶奈の身体に新たな傷が増えた。
しかし絶奈は愉しむためだからと無策のまま挑んでいる訳ではない。
彼女は交戦の合間に塹壕のあちこちに爆薬を仕掛けていたのだ。特に相手が衝撃波を避けようと横穴に入る瞬間が狙いである。
「心配せずとも大丈夫です。元よりこちらは、あなたの得意とする戦術に最後まで付き合うつもりはありません」
「つまり、そろそろ本気というわけですね……!」
はじまりの猟兵は周囲をひときわ警戒するが、絶奈はそのままのんびり会話を続けだす。
「そういえば……『時宮・朱鷺子』と言う名にお聞き覚えは? 貴女と服装がよく似ていて、面白い能力と言動の人物だったものですから……」
「知りませんけど……」
「……そうですか」
そう答えるや、絶奈はいきなり仕掛けておいた罠を爆発させた――それは、魔法により被害対象を敵味方で選べるサーモバリック爆薬だ。異なる世界を行き来する六番目の猟兵だからこそ作りだせた魔法と科学の二つを併せた爆薬だ。
爆薬自身の燃焼により塹壕内の酸素が一瞬消えて、大きな圧力と熱が溝の中で荒れ狂う――辺りには土煙が舞い上がり、この場の全員の視界を奪っていた。
この爆発の余韻の中で絶奈は空を見上げて言葉をつぶやく。
「さて……そろそろ本命の攻撃と致しましょう」
絶奈の姿が別の姿へ変わっていった。
それは神々しく、しかし死を連想するような、骨を思わせる白。
『其は始原にして終焉。永遠不変と千変万化。万物が内包する奇蹟にして――』
異端の神が言葉を紡ぐ。それは死への誘いの言の葉。それは終焉を呼ぶ言の葉。
――何かを隠していることは勘付いていた。
警戒するべきは相手のユーべルコード。この六番目の猟兵は、尊大不遜に接近してきただけあって流石に固く、ならばこそ策を狙っている様であった。
だからはじまりの猟兵は常に周囲を警戒して回避先を残す様に立ち回っていたのだ。
そしていま塹壕の中に絶奈が仕掛けていた爆薬が爆発する。
……それははじまりの猟兵にとっては未知の爆弾であったが、しかし圧力と熱と一瞬の無酸素は環境耐性が軽減してくれた。そのためあまりダメージにはなっていない。
「今ので終わりなのでしょうか……?」
はじまりの猟兵が様子を見ると、絶奈は動かずに空を仰いでいる。
「……ああ、今のも無傷だったのですね」
そう言った絶奈の姿が変わっていた。
白く、神々しく、けれど死を思わせる白い姿になっており、淡々と言葉を続けてゆく。
「では、これはどうでしょうか。これが私の本命です――『|涅槃寂静《ヨクト》』」
すると、古き戦場跡に極小の|極超新星《ハイパーノヴァ》が発生した。
それは太陽の約40倍以上の質量の恒星が重力崩壊を起こして生じるといわれる『自然現象』だ――任意の属性と自然現象を合成した現象を発動させるのが絶奈のユーベルコード『|涅槃寂静《ヨクト》』。
今回発生させた現象は極小サイズとはいえそのエネルギーで周辺一帯を大地ごと抉り取っていく。
……この自然現象は、一瞬で古い戦場跡地を世界から消し去ってしまった。
こうして『はじまりの猟兵』は六番目の猟兵のユーべルコードによって倒されていくのだった。
成功
🔵🔵🔴