獣人世界大戦⑱〜うつろなる渾沌化のラメント
死ぬ事は赦さぬ。
再孵化。
はじまりの猟兵の確保。
赦されざる罪。
――|炎の破滅《カタストロフ》。
「カカッ、仰せのままに!」
師父たる渾沌氏によって甦った有頂天道人の体には凄まじい力が湧き出してくる。自然と笑みがあふれた。牙を剥くように哂う。
「師父よ、この俺に更なる力を与えてくださったこと、心よりお礼仕る……!」
「やっぱり裏にいたのは渾沌氏『鴻鈞道人』だった」
麒・嵐(東方妖怪の冒険商人・f29276)がわかりきっていたかのように肩を竦めるように、あまりにもそれはわかりやすいものだった。
「あれだけ|そのまま《・・・・》の姿なら、誰でも予想がつくね。一度は撃破されたはずの有頂天道人をより濃い『渾沌化』を纏った状態で骸の海から再孵化させ、『はじまりの猟兵』の奪取を命じたのさ。|渾沌の諸相《undefined》を身に着けた有頂天道人はそう簡単に勝てる相手ではなくなった。それまで右半身にとどまっていた渾沌化はもはや全身に及び、『不定形の怪物の部位』をどこからでも作り出して襲いかからせることができる。これは必ず先制攻撃となるが、それだけじゃない。いったいどんな攻撃なのか予知ができない。つまり、戦場で有頂天道人と相対し、実際に目の前で発動するまで詳細不明であるという状況にある」
予知ができない以上、この場で説明できることにも限りがある。対処法は任せるしかないのだ、有頂天道人と戦う猟兵本人に。
「確かなのは、戦争が終結した時点で有頂天道人が倒されていなかった場合、彼ははじまりの猟兵を拉致して撤退する。まったく厄介なことだね。有頂天道人の撃破がならずとも勝敗に影響はないが、放っておけばせっかく邂逅できたはじまりの猟兵とまともに話すこともできずに奪われてしまうというのだから」
選択の余地はない、と嵐は続ける。
「はじまりの猟兵を奪われないためには、有頂天道人を撃破しなければならない。わかりやすいといえばわかりやすいね。どうせ、皆はもうどうするか決めてるんだろう? 健闘を祈ろう」
ツヅキ
OP公開直後よりプレイング募集しています。
こちらに届いたものから順次リプレイをお返しする予定です。
●第1章
渾沌氏『鴻鈞道人』の再孵化によって『渾沌の様相』を全身にまで広げた有頂天道人との戦いです。渾沌化した全身から襲いかかる『不定形の怪物の部位』による先制攻撃への対処がなければ勝利は難しい相手ですが、その詳細は実際に発動するまで不明のままです。
なお、戦勝終了時点でこの戦場が未制圧であった場合、⑳の結果に関わらず有頂天道人ははじまりの猟兵を拉致して撤退します。
●プレイングボーナス
有頂天道人の「詳細不明な先制攻撃」に対処する。
詳細はOPをご参照ください。
それでは、よろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『渾沌氏「有頂天道人」undefined』
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POW : 渾沌孤拳 undefined nackle
全身に【undefined】を帯び、戦場内全ての敵の行動を【undefined】で妨害可能になる。成功するとダメージと移動阻止。
SPD : 渾沌奇脚 undefined asault
【undefined】姿勢のまま、レベルkm/hで移動できる。移動中は、攻擊が命中した敵に【undefined】の状態異常を与える。
WIZ : 渾沌妖血 undefined blood
術者の血液に触れたあらゆる対象は、血液が除去されるまで、全ての知覚が【undefined】で埋め尽くされる。
イラスト:松宗ヨウ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
七那原・望
またお前ですか。そしてやはりあの下衆と通じていたのですね。
自身を中心に多重詠唱全力魔法の結界術を展開。
これで正体不明の攻撃も飛んでくる血液も防ぐことができます。
とはいえ万が一があっても怖いので強化属性全力魔法でスピードを強化した状態で背中の翼で空中機動。有頂天道人から距離を取ります。
視覚情報に加えて第六感、心眼、気配感知も駆使して有頂天道人の行動を見切り、正体不明の攻撃に対してはその都度瞬時に結界の追加展開や素早く間合いを変えるなどして対応を。
十分に詠唱が完了したら全力魔法のカドラプル・プリズム・レインボー。出力を限界突破させて一気に有頂天道人を消し飛ばします。
もう出てこなくていいですよ。
七那原・望(比翼の果実・f04836)は明確に眉をひそめた。完膚なきまでに倒したにも関わらず、復活した理由が再孵化である。
すなわち通じていたのだ、あの下衆と。
「……渾沌氏、忘れもしません」
望が軽く両手を広げると、その周囲を不可視の結界が包み込んだ。多重詠唱による結界は幾重もの防御となって 渾沌妖血を跳ね除ける。
真っ赤な血痕が目には見えない結界の表面に跳ねた。
「だとしたら何だという?」
「もう二度と出てこれなくしてあげます」
あまりにも望の飛翔する速度が速かったせいで、有頂天道人ほどの玄人であっても目で追い続けることは難しかった。
速く、もっと疾く――!
もちろん望の方からも相手の捕捉は難しくなるが、視覚を第六感と心眼で補うことで相手の攻撃に備えた。
果たして何が来る?
身構えた直後、巨大な杭のように変形した不定形の怪物が一直線に望へ襲いかかる。とっさに正面へ結界を厚く集め、弾くように抗った。同時に可能な限りの速度で後退し、間合いをさらに空けることで威力の減衰を狙う。
「ちッ、仕留め損ねたか!」
「それだけではありませんよ。まさか、わたしがただ逃げ回っていたとでもお思いで?」
四大元素をまとめ上げた破壊光線はまばゆい色彩で戦場を染め上げながら有頂天道人に向かって解き放たれた。
それも、まっすぐに、だ。
さっき有頂天道人が杭を走らせたのとまったく同じ軌道で撃ち返したそれは真正面から彼を呑み込んだ。渾沌化していようが関係ない、限界まで出力を上げたカドラプル・プリズム・レインボーの威力は懸命に堪える有頂天道人の努力空しく、虹色の彼方に消し飛ばしたのである。
大成功
🔵🔵🔵
鳴上・冬季
「貴方は邪仙の弟子であって、鴻鈞道人本人ではありません。貴方の無限は有限です。そこに付け入る隙があります」
嗤う
「無意識でも攻撃には癖が出るのですよ」
風火輪で上空に位置取り戦闘
仙術+功夫で縮地(短距離転移)
空中戦・空中機動+功夫で軽身功
自分を気とオーラ防御で包み攻撃してくる敵の動きを空気で読みながら軽身功と縮地でひたすら回避
まず敵の攻撃パターンを読む
ある程度攻撃パターンを読んだら距離離し雷公鞭で雷撃
義体が硬直した一瞬に全合体させた雷火で攻撃し包み込み
混沌の諸相ごと塵すら残さず焼き尽くす
「貴方の混沌は鴻鈞道人と違い貴方個人で完結します。混沌自体を目減り減少させる事が出来れば完封出来るのですよ」
嗤う
愛天・真澄
なんと悍ましい様相でありましょうか。
このような変異を受け入れてしまう程に、その身は愛に飢えているのですね。
ええ、わたくしが愛の何たるかを、その身を以てお教えして差し上げましょうとも。
生身にて参戦致します。
愛の鉄槌を振るい、愛(【暴力】)を彼の身へ撃ち込んで参ります。
血を浴びれば、恐らくは精神に著しい損耗を齎す幻覚が五感を占めることでしょう。
ですが、わたくしの心には常に神がおわします。
かの神への【祈り】を以て【落ち着き】、【狂気耐性】を高めて耐えましょう。
何より、五感が使い物にならずとも、愛を示す手段は存在します。
『神は此処に在り』。
わたくしの眼前に神をお招きし、かの敵へ神の愛を齎しましょう。
鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)の嗤い声が微かに戦場の空気を震わせた。有頂天道人が怪訝そうに片方の眉を上げる。
「何が面白い?」
「いえ、思い上がりも甚だしいですね……と。貴方は邪仙の弟子であって、鴻鈞道人本人ではありません。貴方の無限は有限。つまり、そこに付け入る隙があります」
風火輪によって上空へ昇った冬季に有頂天道人の先制攻撃が襲いかかる。その時、冬季は見た。渾沌化の怪物が杭のような形を取ってこちらを狙うのを。とっさに仙術と功夫の力で縮地を行い、躱せる方向へ移動する。身体に纏うオーラがびりびりと危機を伝えた。
(「やれやれ、読みづらいものだな。だが」)
空気を読み、回避する間にパターンを記憶する。
同時に分析を行い、予測に繋げる。
有頂天道人は己の勝利を確信しているかのように愛天・真澄(愛神の使徒・f32265)の目には見えた。異形の姿と力を当然のように使い、変異を受け入れる様相はあまりにも悍ましい。
「それほどまでに、その身は愛に飢えているのですね」
哀れなる者を真澄は救いたいと思った。
真実の愛、愛の何たるかを伝道するため、真澄の捧げる祈りは温かく心を満たす。“虚”なる渾沌など恐ろしくはないのだ。頬に飛び散る血さえ、心までは汚せない。増殖する“虚”の前に愛は等しく充足と感謝をもたらして包み込むがゆえに。
真澄は真っすぐな瞳で有頂天道人を見つめ返した。
「わたくしには愛があります。わたくしの心には神がおわします」
「なら、俺の心には師父がいる」
「ですが、そこに本物の愛はありますか?」
真澄が語るごと、|ハンマー《愛の鉄槌》は有頂天道人を強かに打ち据える。確かな手ごたえが武器を通して伝わる度に真澄は恍惚にも似た吐息をついた。
愛の力を揺るぎなき暴力と変え、渾身の力で殴り飛ばす。あまりの衝撃に有頂天道人が呻いた。真澄はさらなる追い打ちをかける。
「わたくしがあなたに、本物の愛の何たるかをお教えして差し上げます」
「くそ、愛だ何だのと……」
有頂天道人は臍を噛む。
「これじゃ、埒が明かねえ!」
既に冬季は有頂天道人の動きを既に読み切っていた。
「そこです。――雷公鞭」
雷公鞭の直撃を受けた義体がショートする。有頂天道人が態勢を立て直そうとした瞬間、戦場に布陣させた雷火が結合して一気に発火した。
「しまッ……」
逃げようとした有頂天道人を真澄のハンマーが雷火のただ中へと叩き込んだ。神の愛の前には肉体の五感などいかほどのものか知れない。
「『神は此処に在り』」
燃え盛る雷火に焼かれながら、有頂天道人は見たであろう。真澄の元に降臨した光輝く『何か』を。
「ばかな――」
愛に撃たれる衝撃がその時、有頂天道人を貫いた。
まるで天啓のような衝撃は肉体の崩壊を齎し、雷火の中へ墜ちてゆく。渾沌の様相ごと塵すら残さず焼き尽くされるだろう。
「貴方の混沌は鴻鈞道人と違い、貴方個人で完結します。すなわち混沌自体を目減り減少させる事が出来れば完封出来るのですよ」
轟音轟かせる狐火を背に、冬季は嗤った。
「もっとも、その状態ではこの言葉も聞こえていはいないでしょうが……」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ベリル・モルガナイト
ここで。再び。相見えることに。なるとは
ですが。貴方の。為すべきことが。変わらぬように
私の。為すべきことも。また変わりません
私は。盾の騎士
世界を。守護するために。貴方を。再び。打ち倒します
詳細不明の。先制攻撃
ですが。貴方の。性質から。推測できることは。あります
恐らくは。怪物の。部位による。格闘攻撃
どんな。怪物になろうとも。動きの。起こりは。必ず。あります
それに。盾を。合わせて。耐え抜きます
そして。先制攻撃に。盾を。合わせたことで。【是は勇猛なりし覚悟の盾なれば】を。発動
捕縛した。隙に。距離を。詰め。全力で。盾を叩き付けます
この盾の。重みが。我が。覚悟の。重みと。知りなさい
まさか、一度倒したはずの者と再び相まみえることになろうとは……ベリル・モルガナイト(宝石の守護騎士・f09325)の記憶にあるそれよりもさらに渾沌化の進んだ有頂天道人を前にして、鋭く目を細める。どのような先制攻撃が来ようが、ベリルは盾の騎士ならば。
「何が。来ようと。耐え抜いて。みせましょう」
「カカッ、真正面から勝負を挑むか、いい度胸だ!」
有頂天道人の渾沌化した異形が生み出すのは鋭い杭である。ベリルの想像通り、それは怪物の部位より放たれた。格闘も同然の零距離から撃ち込まれるそれをベリルは両手に構えた盾で受け止める。
「なに!?」
まさか防がれるとは思わなかったのだろう。
驚きを隠せない有頂天道人にベリルが告げる。
「どんな。怪物であろうとも。動きの。起こりを見抜くことさえできれば。決して。不可能では。ありません」
「こいつ――!?」
必ずや世界を守護するという意思が、何としても彼に引導を渡すという決意が、盾に注がれるベリルの魔力となって有頂天道人の攻撃に抗うのだ。
堪えろ。
そして、再び、打ち倒す。
ベリルの覚悟に応えるべく、盾に触れた端から渾沌化が紐解かれてゆく。勇猛なる覚悟を証明するかの如く、ベリルは有頂天道人までの距離を詰めるために動いた。命など惜しくはない、ただ只管に全力で、迷いなく。
「この盾の。重みが。我が。覚悟の。重みと。知りなさい」
叩きつけるのは、渾身の一撃。
まともにくらってしまった有頂天道人は対処しきれず、もんどりうって倒される。勝負を分けたのは覚悟の違いだ。己の為すべきことをわかっているベリルの、盾の騎士としての役目を果たそうとするその覚悟がこの時、強敵を超えたのだ。
大成功
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暗都・魎夜
【心情】
有頂天道人、やっぱり鴻鈞道人の関係者か
てめぇらに恨みがある訳じゃねえが、史・睡藍の借りを返さなくっちゃいけねえんでな
てめぇが鴻鈞道人に会う術を知ってる可能性が十に一つ
てめぇを叩きのめしてそれを得られる可能性が十に一つとして
百に一つなら、悪党退治のついでにやるにはちょうどいい
【戦闘】
何が来るのか分からねえのは脅威だが、別にそんなのは今に始まったことじゃねえ
「戦闘知識」「第六感」「心眼」「勝負勘」を駆使して「武器受け」
直撃を避ける
攻撃を防ぎきったら「カウンター」から「リミッター解除」「グラップル」でUCの拳を放つ
結局のところな
どんな相手でも両手の拳で殴るのが、どんな時だって確実なんだよ
やはり、と暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)は頷いた。
再孵化と渾沌化の様相……渾沌氏『鴻鈞道人』の関係者だということが判明した現在、魎夜のやるべきことは定まった。
「師父を知っているのか?」
「ああ、てめぇらに恨みがある訳じゃねえがな。史・睡藍の借りを返さなくっちゃいけねえ」
「復讐かい」
「少し違うな」
魎夜は冷静に言った。
「てめぇが鴻鈞道人に会う術を知ってる可能性が十に一つ。てめぇを叩きのめしてそれを得られる可能性が十に一つとして、百に一つなら、悪党退治のついでにやるにはちょうどいい……ってな」
頼みは自分自身だ。
これまで戦ってきた経験と知識、それにこの世のものざる領域の直観が|今だ《・・》と告げる。もはや本能のようなそれに従い、交差した手甲で受け止める。
「何!?」
有頂天道人が武器としたのは杭であった。
全身に及ぶ渾沌化の様相が鋭い一本の杭へと変化し、真っすぐに突き出される。その切っ先を、魎夜は直撃するすんでの所で矛先を逸らしたのである。
魎夜はそのまま踏み込み、カウンターの一撃を放った。限界を知らない拳が有頂天道人の顎をアッパーで殴り飛ばす。
「がッ……」
「――結局のところな」
例えどんな相手だろうが、この両手の拳で殴るのが確実だろう。
「どんな時だって、な」
大成功
🔵🔵🔵
紫・藍
あやー。予知もできないとはー。
それは藍ちゃんくん側からはどうしようもないですので!
道人さん側にどうにかなってもらいましょう!
踊るのでっす、緩やかに、それでいて速く、残像が残るように!
ぐるぐるぐるぐるとウェーブを描くような藍ちゃんくん!
木を隠すなら森の中、藍ちゃんくんを隠すなら藍ちゃんくんの中!
これ、衣装と藍ちゃんくんの動きも合わせて催眠術でもあるのでっすよねー。
狙いをつけようともくらくらして、本者が分からないのではー?
とはいえ今の道人さんなら狙いをつけずとも、全藍ちゃんくんを狙えば良いまででっすがー。
血液、なのでっすよね?
今や道人さんの力の源である 渾沌の。
それを大量に放出するというのは失血でかなり辛いのではー?
藍ちゃんくんでっすか?
視覚どころか全ての知覚が埋め尽くされようとも藍ちゃんくんは踊り続けるのでっす!
undefined?
藍ちゃんくんは常に可愛くかっこいい藍ちゃんくん自身をくっきりとイメージできるのでっす!
藍ちゃんくんでっすよー!
失血が更に進むよう激しく踊らせちゃうのでっす!
「あやー。予知もできないとはー」
紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は腕を組み、小首を傾げたがすぐに開き直った。どうしようもないことを悩むくらいならさっさと行動に移した方が性に合っている。
具体的には、楽しくいこう。
「というわけで、一緒に踊りましょう!」
「踊る? 何を言って……」
すぐに有頂天道人は思い知ったはずだ。
藍がくるくると回り、残像を見せながら惑わせる。つい動きを目で追いたくなる動きで。続けてウェーブを描けば、ひらひらと衣装が翻った。いつしか有頂天道人もリズムに乗り始める。まるでデコイだ。狙いをつけようとしても、手元が狂う。
思わず有頂天道人は舌を打った。
杭を作り直し、もう一度試みるが――。
「どこを狙っていらっしゃるのでっすかー?」
なにしろ、有頂天道人の攻撃は血液を使う。有限だ。つまり、大量に放出すれば失血してしまうわけで……。
一方の藍は踊り続ける。
ライブで鍛えた体力はそう簡単には力尽きない。
相手が渾沌化の様相で埋め尽くそうとするのなら、いくらでも踊り続けてみせよう。“虚”を塗り替える藍ドルの姿をご覧あれ。
「くッ……」
「どうしたのでっすかー?」
さらに激しく藍が踊れば、つられて有頂天道人も踊ってしまう。動けば動くほどに失血が進むだろう。くるりと回れば、相手もくるり。これが藍ちゃんくんのダンスなのだ。常にかわいく、かっこよく。そのイメージをはっきりと思い浮かべられる間は、undefinedなど脅威にならない。
「はーい! これが藍ちゃんくんでっすよー!」
もはや催眠術にかかったも同然の有頂天道人である。
ふらふらと踊りながら攻撃を繰り出そうとするが、藍はひらりと踊りながら躱す。そのうちに有頂天道人の方に限界が訪れた。
「く……こ、この俺が……!? すまない、師父――」
倒れ伏す有頂天道人、お辞儀をする藍。
最高の笑顔で。
「お付き合いありがとうございましたなのでっす!」
大成功
🔵🔵🔵